以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一又は相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
図1を参照して、本発明の実施形態に係る画像形成装置1の構成について説明する。図1は、画像形成装置1の構成の一例を示す図である。画像形成装置1は、例えば、タンデム方式のカラープリンターである。
図1に示すように、画像形成装置1は、操作部2、給紙部3、搬送部4、トナー補給部5、画像形成部6、転写部7、定着部8、排出部9、及び制御部10を備える。
操作部2は、ユーザーからの指示を受け付ける。操作部2は、ユーザーからの指示を受け付けると、ユーザーからの指示を示す信号を制御部10へ送信する。操作部2は、液晶ディスプレー21及び複数の操作キー22を含む。液晶ディスプレー21は、例えば、各種処理結果を表示する。操作キー22は、例えば、テンキー、及びスタートキーを含む。操作部2は、画像形成処理の実行を示す指示が入力されると、画像形成処理の実行を示す信号を制御部10へ送信する。この結果、画像形成装置1による画像形成動作が開始される。
給紙部3は、給紙カセット31、及び給紙ローラー群32を有する。給紙カセット31は、複数枚の用紙Pを収容可能である。給紙ローラー群32は、給紙カセット31に収容された用紙Pを1枚ずつ搬送部4へ給紙する。用紙Pは記録媒体の一例である。
搬送部4は、ローラー及びガイド部材を備える。搬送部4は、給紙部3から排出部9まで延在する。搬送部4は、画像形成部6及び定着部8を経由するように、給紙部3から排出部9まで用紙Pを搬送する。
トナー補給部5は、画像形成部6にトナーを補給する。トナー補給部5は、第1装着部51Y、第2装着部51C、第3装着部51M、及び第4装着部51Kを備える。トナー補給部5は現像剤補給部の一例である。トナーは現像剤の一例である。
第1装着部51Yには第1トナーコンテナ52Yが、装着される。同様に、第2装着部51Cには第2トナーコンテナ52Cが、第3装着部51Mには第3トナーコンテナ52Mが、第4装着部51Kには第4トナーコンテナ52Kが装着される。なお、第1装着部51Y〜第4装着部51Kの構成は、装着されるトナーコンテナの種類が異なるのみで他の構成は同様である。このため、第1装着部51Y〜第4装着部51Kを総称して、「装着部51」と記載する場合がある。
第1トナーコンテナ52Y、第2トナーコンテナ52C、第3トナーコンテナ52M、及び第4トナーコンテナ52Kには、トナーがそれぞれ収容される。本実施形態において、第1トナーコンテナ52Yには、イエロートナーが収容される。第2トナーコンテナ52Cには、シアントナーが収容される。第3トナーコンテナ52Mには、マゼンタトナーが収容される。第4トナーコンテナ52Kには、ブラックトナーが収容される。
画像形成部6は、露光装置61、第1画像形成ユニット62Y、第2画像形成ユニット62C、第3画像形成ユニット62M、及び第4画像形成ユニット62Kを備える。
第1画像形成ユニット62Y〜第4画像形成ユニット62Kの各々は、帯電装置63、現像装置64、及び感光体ドラム65を有する。感光体ドラム65は、像担持体の一例である。
帯電装置63、及び現像装置64は、感光体ドラム65の周面に沿って配置される。本実施形態において、感光体ドラム65は、図1の矢印R1で示す方向(時計回り)に回転する。
帯電装置63は、感光体ドラム65を放電によって所定の極性に均一に帯電させる。本実施形態において、帯電装置63は、感光体ドラム65を正の極性に帯電させる。露光装置61は、帯電した感光体ドラム65にレーザー光を照射する。これにより、感光体ドラム65の表面に静電潜像が形成される。
現像装置64は、感光体ドラム65の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する。現像装置64は、トナー補給部5からトナーが補給される。現像装置64は、トナー補給部5から補給されたトナーを感光体ドラム65の表面に供給する。この結果、感光体ドラム65の表面にトナー像が形成される。
本実施形態において、第1画像形成ユニット62Yにおける現像装置64は、第1装着部51Yと接続する。したがって、第1画像形成ユニット62Yにおける現像装置64には、イエロートナーが補給される。よって、第1画像形成ユニット62Yにおける感光体ドラム65の表面には、イエロートナー像が形成される。
第2画像形成ユニット62Cにおける現像装置64は、第2装着部51Cと接続する。したがって、第2画像形成ユニット62Cにおける現像装置64には、シアントナーが補給される。よって、第2画像形成ユニット62Cにおける感光体ドラム65の表面には、シアントナー像が形成される。
第3画像形成ユニット62Mにおける現像装置64は、第3装着部51Mと接続する。したがって、第3画像形成ユニット62Mにおける現像装置64には、マゼンタトナーが補給される。よって、第3画像形成ユニット62Mにおける感光体ドラム65の表面には、マゼンタトナー像が形成される。
第4画像形成ユニット62Kにおける現像装置64は、第4装着部51Kと接続する。したがって、第4画像形成ユニット62Kにおける現像装置64には、ブラックトナーが補給される。よって、第4画像形成ユニット62Kにおける感光体ドラム65の表面には、ブラックトナー像が形成される。
転写部7は、第1画像形成ユニット62Y〜第4画像形成ユニット62Kにおける各感光体ドラム65の表面に形成された各トナー像を用紙Pに重ねて転写する。本実施形態において、転写部7は、二次転写方式によって各トナー像を用紙Pに重ねて転写する。詳しくは、転写部7は、4つの一次転写ローラー71、中間転写ベルト72、駆動ローラー73、従動ローラー74、二次転写ローラー75、及び濃度センサー76を有する。
中間転写ベルト72は、4つの一次転写ローラー71、駆動ローラー73、及び、従動ローラー74に張架された無端ベルトである。中間転写ベルト72は、駆動ローラー73の回転に応じて駆動する。図1において、中間転写ベルト72は、反時計回りに周回する。従動ローラー74は、中間転写ベルト72の駆動に応じて回転駆動する。
第1画像形成ユニット62Y〜第4画像形成ユニット62Kは、中間転写ベルト72の下面の駆動方向Dに沿って、中間転写ベルト72の下面と対向して配置される。本実施形態において、第1画像形成ユニット62Y〜第4画像形成ユニット62Kは、中間転写ベルト72の下面の駆動方向Dの上流側から下流側に向けて第1画像形成ユニット62Y〜第4画像形成ユニット62Kの順で配置される。
各一次転写ローラー71は、中間転写ベルト72を介して各感光体ドラム65に対向して配置され、各感光体ドラム65に向けて押圧されている。このため、各感光体ドラム65の表面に形成されたトナー像が中間転写ベルト72に順次転写される。本実施形態において、中間転写ベルト72には、イエロートナー像、シアントナー像、マゼンタトナー像、及びブラックトナー像がこの順で重ねて転写される。以下、イエロートナー像、シアントナー像、マゼンタトナー像、及びブラックトナー像が重ねられたトナー像を「積層トナー像」と記載する場合がある。
二次転写ローラー75は、中間転写ベルト72を介して駆動ローラー73に対向して配置される。二次転写ローラー75は、駆動ローラー73に向けて押圧されている。これにより、二次転写ローラー75と駆動ローラー73との間に転写ニップが形成される。用紙Pが転写ニップを通過すると、中間転写ベルト72上の積層トナー像が用紙Pに転写される。本実施形態において、イエロートナー像、シアントナー像、マゼンタトナー像、及びブラックトナー像がこの順で、上層から下層となるように用紙Pに転写される。積層トナー像が転写された用紙Pは、搬送部4によって定着部8へ向けて搬送される。
濃度センサー76は、第1画像形成ユニット62Y〜第4画像形成ユニット62Kよりも下流側において中間転写ベルト72に対向して配置されており、感光体ドラム65上に形成された積層トナー像の濃度を測定する。なお、濃度センサー76は、中間転写ベルト72上の積層トナー像の濃度を測定するものでもよく、また、用紙P上に定着されたトナー像の濃度を測定するものでもよい。
定着部8は、加熱部材81、及び加圧部材82を備える。加熱部材81、及び加圧部材82は互いに対向して配置され、定着ニップを形成する。画像形成部6から搬送された用紙Pは、定着ニップを通過することにより所定の定着温度で加熱されながら、加圧される。この結果、積層トナー像が用紙Pに定着する。用紙Pは、搬送部4によって定着部8から排出部9へ向けて搬送される。
排出部9は、排出ローラー対91及び排出トレイ93を有する。排出ローラー対91は、排出口92を介して排出トレイ93へ用紙Pを搬送する。排出口92は、画像形成装置1の上部に形成される。
制御部10は、画像形成装置1が備える各部の動作を制御する。制御部10は、プロセッサー11と、記憶部12と、予測部13とを備える。プロセッサー11は、例えばCPU(Central Processing Unit)を備える。記憶部12は、半導体メモリーのようなメモリーを備え、HDD(Hard Disk Drive)を備えてもよい。記憶部12は、制御プログラムを記憶している。プロセッサー11は、制御プログラムを実行することによって、画像形成装置1の動作を制御する。予測部13は、帯電装置63によって帯電した感光体ドラム65の表面の電位(表面電位)を予測する。
(表面電位予測)
本実施形態において、予測部13は、温度、湿度、印字率、印字モード、及び帯電装置63を流れる帯電電流等に基づいて、感光体ドラム65の表面電位を予測する。具体的には、予測部13は、画像形成装置1における各種センサー(例えば、濃度センサー76を含む。)が測定した温度、湿度等を取得する。また、予測部13は、帯電装置63を流れる帯電電流の電流値(帯電電流値)を取得する。
また、予測部13は、例えば、画像形成装置1に入力された画像形成処理の実行を示す画像形成指示に対応した画像形成処理用の画像データを参照して、対応する画像の印字率を取得する。また、予測部13は、画像形成指示に対応する印字モードを示すモード情報を取得する。印字モードは、例えば、複数の用紙Pに連続して画像形成される連続印字モード、及び複数の用紙Pに間欠的に画像形成される間欠印字モード等がある。
予測部13は、例えば、温度、湿度、印字率、印字モード、及び帯電電流値等と表面電位との関係を示す予測式F1を参照して、取得した温度、湿度、印字率、印字モード、及び帯電電流値等を用いて表面電位(予測表面電位)VAを算出する。予測式F1は、例えば記憶部12に記憶されている。
なお、本実施形態において、予測部13は、予測式F1の参照に限らず、例えば、温度、湿度、印字率及び印字モード等と表面電位との関係を示す予測表面電位テーブルを参照して表面電位(予測表面電位)VAを算出してもよい。予測表面電位テーブルは、例えば記憶部12に記憶されている。
制御部10は、例えば、予測部13が予測した予測表面電位VAに基づいて、帯電装置63が感光体ドラム65を帯電させるために感光体ドラム65に印加する電圧(帯電バイアス)V1を決定する。
例えば、制御部10は、高温多湿の環境では予測表面電位VAが低めに予測されるため、帯電バイアスV1を低めに決定し、低温低湿の環境では予測表面電位VAが高めに予測されるため、帯電バイアスV1を高めに決定する。また、例えば、制御部10は、印字モードが連続印字モードの場合、予測表面電位VAが高めに予測されるため、帯電バイアスV1を高めに決定する。
このように、画像形成装置1において、感光体ドラム65の予測表面電位VAを予測し、予測結果に基づいて帯電バイアスV1を決定することで、簡易な構成で適正な現像バイアスによる現像を行うことができる。
しかしながら、予測結果を検証しなければ、予測結果が誤っていた場合、適正な現像バイアスによる現像を行うことができず、また、予測結果の修正を行うこともできない。
そこで、本実施形態では、以下に示す方法により、予測結果の検証を行う。
次に、図2を参照して、現像装置64の構成について詳細に説明する。図2は、現像装置64の構成の一例を示す図である。詳しくは、図2は、第1画像形成ユニット62Yにおける第1現像装置64Yを示す。なお、図2では、理解を容易にするために感光体ドラム65を2点鎖線で図示している。本実施形態において、第1現像装置64Yは、2成分現像方式によって感光体ドラム65の表面に形成された静電潜像を現像する。図1を参照して既に説明したように、第1現像装置64Yの現像容器640は、第1トナーコンテナ52Yに接続する。したがって、第1現像装置64Yの現像容器640には、イエロートナーがトナー補給口640hを介して補給される。
図2に示すように、第1現像装置64Yは、現像容器640の内部に現像ローラー641、第1攪拌スクリュー643、第2攪拌スクリュー644、及びブレード645を有する。詳しくは、現像ローラー641は、第2攪拌スクリュー644と対向して配置される。ブレード645は、現像ローラー641と対向して配置される。
現像容器640は、仕切り壁640cによって第1攪拌室640aと第2攪拌室640bとに区画される。仕切り壁640cは、現像ローラー641の軸方向に延びる。第1攪拌室640aと第2攪拌室640bとは、仕切り壁640cの長手方向の両端の外方において連通している。
第1攪拌室640aには、第1攪拌スクリュー643が配置される。第1攪拌室640aには、磁性体キャリアが収容されている。第1攪拌室640aには、非磁性体のトナーがトナー補給口640hを介して補給される。図2に示す例では、第1攪拌室640aには、イエロートナーが補給される。
第2攪拌室640bには、第2攪拌スクリュー644が配置される。第2攪拌室640bには、磁性体のキャリアが収容されている。
イエロートナーは、第1攪拌スクリュー643及び第2攪拌スクリュー644によって攪拌されてキャリアと混合される。この結果、キャリア、及びイエロートナーからなる2成分現像剤が構成される。2成分現像剤は、現像剤の一例であるため、以下「現像剤」と省略して記載することがある。
第1攪拌スクリュー643及び第2攪拌スクリュー644は、第1攪拌室640aと第2攪拌室640bとの間で現像剤を循環させて攪拌する。この結果、トナーが所定の極性に帯電する。本実施形態において、トナーは、正の極性に帯電する。
現像ローラー641は、非磁性の回転スリーブ641aと、マグネット体641bとによって構成される。マグネット体641bは、回転スリーブ641aの内部に固定して配置される。マグネット体641bは、複数の磁極を含む。現像剤は、マグネット体641bの磁力によって、現像ローラー641に吸着する。この結果、現像ローラー641の表面に磁気ブラシが形成される。
本実施形態において、現像ローラー641は、図2の矢印R2(反時計回り)で示す方向に回転する。現像ローラー641は、回転することによって磁気ブラシをブレード645と対向する位置まで搬送する。ブレード645は、現像ローラー641との間にギャップ(隙間)が形成されるように配置されている。したがって、磁気ブラシの厚さがブレード645によって規定される。ブレード645は、現像ローラー641と感光体ドラム65とが対向する位置よりも磁気ローラー642の回転方向の上流側に配置される。
現像ローラー641には、所定の電圧が印加される。これにより、表面に形成された現像剤層が感光体ドラム65と対向する位置まで搬送され、現像剤中のトナーが感光体ドラム65に付着される。
具体的には、第1現像装置64Yは、電流測定部646と、算出部647と、現像電源648と、詳細測定部649とを更に備える。
電流測定部646は、例えば、現像電源648と現像ローラー641との間に接続される。現像電源648は、第1現像装置64Yの現像ローラー641に所定の現像バイアスを印加する。所定の現像バイアスは、例えば、制御部10によって、予測部13が予測した予測表面電位VAに基づいて決定される。
電流測定部646は、現像電源648によって印加された現像バイアスに応じて、第1現像装置64Y及び感光体ドラム65と現像ローラー641との間を流れる現像電流を検知する。電流測定部646は、例えば、電流計からなり、現像電流の電流値を測定する。算出部647は、電流測定部646によって測定された現像電流に基づいて、感光体ドラム65の表面電位を算出する。詳細測定部649は、制御部10による制御により、感光体ドラム65の表面電位の詳細測定処理を行う。
(実表面電位測定)
次に、図3A及び図3Bを参照して、第1現像装置64Yを流れる現像電流について説明する。図3A及び図3Bは、電流測定部646によって測定される現像電流を示す図である。
例えば、電流測定部646は、第1現像装置64Yが感光体ドラム65の表面に形成された静電潜像を現像している間の現像電流の電流値を測定する。
本実施形態において、ユーザーによる画像形成処理の実行を示す指示が画像形成装置1に入力されると、制御部10は、画像形成装置1が備える各部に画像形成動作を開始するよう画像形成部6を制御する。具体的には、制御部10は、帯電装置63、第1現像装置64Y、現像電源648及び露光装置61を制御する。
帯電装置63は、制御部10による制御により、感光体ドラム65の表面を所定の表面電位Vに帯電させる。詳しくは、帯電装置63が感光体ドラム65に帯電バイアスV1を印加すると、感光体ドラム65の表面が表面電位Vに帯電する。
現像電源648は、制御部10による制御により、現像ローラー641に現像バイアスを印加する。現像バイアスは、直流成分及び交流成分を含む。例えば、現像バイアスの交流成分には、sin波が用いられる。現像バイアスの交流成分にsin波を用いると、バイアス波形に歪が生じにくいことから、現像バイアスの直流成分を安定して測定することができる。なお、現像バイアスは、交流成分を含まなくてもよい。
図3Aは、直流成分の大きさ(Vdc1)が表面電位Vより小さい現像バイアスが、現像ローラー641に印加された場合を示す。
露光装置61は、制御部10による制御により、帯電装置63が表面電位Vに帯電させた感光体ドラム65にレーザー光を照射する。これにより、感光体ドラム65の表面に静電潜像が形成される。
第1現像装置64Yは、感光体ドラム65の表面に静電潜像が形成されると、制御部10による制御により、感光体ドラム65の表面に形成された静電潜像を現像する。
このとき、電流測定部646は、現像電流の電流値を測定する。図3Aにおいて、現像電流Id1は、現像ローラー641に形成された磁気ブラシ中のトナーが現像ローラー641へ移動するときに流れる電流と、現像ローラー641に形成された磁気ブラシを通して感光体ドラム65から流れる電流Ia1とを合わせた電流である。
一方、図3Bは、直流成分の大きさ(Vdc2)が表面電位Vより大きい現像バイアスが、現像ローラー641に印加された場合を示す。図3Bにおいて、現像電流Id2は、トナーが感光体ドラム65へ現像されるときに流れる電流Ia2と、現像ローラー641に形成された磁気ブラシを通して感光体ドラム65へ流れる電流とを合わせた電流である。
このように、電流測定部646によって計測される現像電流の向きは、現像バイアスの直流成分が表面電位Vより大きい場合と、現像バイアスの直流成分が表面電位Vより小さい場合とで逆になる。
また、現像バイアスの直流成分が表面電位Vと等しい場合、現像電界強度がゼロとなり、現像電流の大きさはゼロを示す。このことから、現像電流の大きさがゼロとなる場合の現像バイアスの直流成分を表面電位Vと考えることができる。
次に、図3及び図4を参照して、表面電位の算出について説明する。図4は、現像電流と現像バイアスとの対応関係を示すグラフである。図4は、縦軸に現像電流を示し、横軸に現像バイアスを示す。
例えば、現像電源648は、現像バイアスVdc1を現像ローラー641に印加する。このとき、電流測定部646は、現像電流Id1の電流値を測定する。算出部647は、現像電源648が印加している現像バイアスVdc1と、電流測定部646によって測定された現像電流Id1の電流値とを取得する(図3A)。
また、現像電源648は、現像バイアスVdc2を現像ローラー641に印加する。このとき、電流測定部646は、現像電流Id2の電流値を測定する。算出部647は、現像電源648が印加している現像バイアスVdc2と、電流測定部646によって測定された現像電流Id2の電流値とを取得する(図3B)。
算出部647は、取得した現像バイアスVdc1及び現像電流Id1と、現像バイアスVdc2及び現像電流Id2とに基づいて、現像電流が流れなくなる現像バイアスを実表面電位V0として算出する。
なお、本実施形態において、算出部647は、現像電流が流れなくなる現像バイアスを実表面電位として算出する構成としたが、これに限らず、感光体ドラム65の表面が帯電していない状態において流れる現像電流と同じ大きさの現像電流が流れる場合の現像バイアスを実表面電位として算出してもよい。
本実施形態において、第1画像形成ユニット62Y〜第4画像形成ユニット62Kの各々における現像装置64の構成は、トナー補給部5から補給されるトナーの種類が異なるのみで、他の構成は略同様である。したがって、第2画像形成ユニット62C〜第4画像形成ユニット62Kにおける第2現像装置64C〜第4現像装置64Kの構成の説明については、説明を省略する。
このように、実表面電位V0の算出を行うことで、予測部13による予測結果(予測表面電位VA)の検証が可能になる。
本実施形態において、画像形成を行うたびに表面電位予測及び実表面電位測定を行うと処理に時間がかかるため、定期的又は不定期に表面電位予測を行い、表面電位予測において予測された予測表面電位VAに基づく帯電バイアスV1が大きく変動する場合、実表面電位測定を行う。
例えば、制御部10は、予測部13による予測結果(予測表面電位VA)を取得し、予測表面電位VAに基づいて決定する帯電バイアスV1が前回の帯電バイアスV1の10%を越えて変動している場合、実表面電位を算出するよう算出部647を制御する。
(表面電位予測に反映)
また、予測部13は、算出部647によって算出された実表面電位に基づいて、予測表面電位を更新する。具体的には、制御部10は、算出部647によって実表面電位が算出されると、算出された実表面電位と予測表面電位VAとを比較し、実表面電位と予測表面電位VAとが例えば10%以上異なっている場合、実表面電位と同じ予測表面電位が算出されるように記憶部12における予測式F1又は予測表面電位テーブルを更新する。
(詳細測定)
また、本実施形態において、実表面電位と予測表面電位VAとの差が所定の閾値より大きい場合、詳細測定部649による表面電位の詳細測定処理が行われてもよい。
具体的には、制御部10は、実表面電位と予測表面電位VAとが例えば10%以上異なっている場合、表面電位の詳細測定処理を行うよう詳細測定部649を制御する。
次に、図1、図2及び図5を参照して、詳細測定処理について説明する。図5は、詳細測定処理において露光装置61が感光体ドラム65にレーザー光を照射する様子を示す図である。
具体的には、詳細測定処理において、現像電源648は、制御部10による制御により、現像ローラー641に現像バイアスを印加する。直流成分の大きさ(電圧Vdc3)は、実表面電位V0より小さくなるように設定される。
露光装置61は、制御部10による制御により、実表面電位V0に帯電している感光体ドラム65にレーザー光を照射する。詳しくは、露光装置61は、レーザー光を照射しながらレーザー光を照射する位置(照射位置)を感光体ドラム65の軸方向に移動させる。図5は、照射位置が感光体ドラム65における軸方向の左端の範囲L1から感光体ドラム65の軸方向に右に範囲L2まで移動している様子を示す。これにより、感光体ドラム65の表面に静電潜像が形成される。
現像装置64は、感光体ドラム65の表面に静電潜像が形成されると、制御部10による制御により、感光体ドラム65の表面に形成された静電潜像を現像する。
電流測定部646は、露光により感光体ドラム65の表面に形成された静電潜像を現像装置64が現像している間の現像電流(露光現像電流)Idを測定し、露光現像電流Idの電流値を測定する。
本実施形態において、露光装置61は、現像ローラー641が1回転する期間より長い期間にわたってレーザー光を感光体ドラム65に照射する。現像ローラー641は、円周振れのため、回転毎に露光現像電流Idが変動するためである。
次に、図6(a)〜(e)を参照して、露光現像電流Idについて説明する。図6(a)〜(e)は、感光体ドラム65の軸方向における表面電位及び現像ローラー641に印加された電圧を示す図である。図6(a)〜(e)は、横軸に感光体ドラム65の軸方向を示し、縦軸に電位(電圧)を示す。
図6(a)は、露光装置61がレーザー光を照射していない状態において、感光体ドラム65の表面が実表面電位V0に均一に帯電していることを示している。
この状態において、露光現像電流Idは、現像ローラー641に形成された磁気ブラシ中のトナーが現像ローラー641へ移動するときに流れる電流と、現像ローラー641に形成された磁気ブラシを通して感光体ドラム65から流れる電流とを合わせた電流(Id3)である。
図6(b)は、露光装置61が図5に示す範囲L1にレーザー光を照射している状態における実表面電位V0、表面電位VL及び電圧Vdc3を示す。
露光装置61によるレーザー光の照射により、感光体ドラム65における範囲L1の帯電電位は、実表面電位V0から表面電位VLへ変化する。表面電位VLは、電圧Vdc3より小さい電位である。
この状態において、感光体ドラム65における範囲L1に対向する現像ローラー641の部分E1には、トナーが感光体ドラム65へ現像されるときに流れる電流と、現像ローラー641に形成された磁気ブラシを通して感光体ドラム65へ流れる電流とを合わせた現像電流(Id4)が流れる。また、現像ローラー641における部分E1以外には、現像電流Id4と逆向きの現像電流Id3が流れる。このことから、現像ローラー641全体を流れる露光現像電流Idは、現像電流Id3及び現像電流Id4の合計電流となる。
図6(c)は、露光装置61がレーザー光の照射位置を範囲L1から右に移動させた状態における実表面電位V0、表面電位VL及び電圧Vdc3を示す。この状態においては、図6(b)と同様に、感光体ドラム65におけるレーザー光が照射されている位置に対向する現像ローラー641の部分には、現像電流Id4が流れ、他の部分には、現像電流Id3が流れるため、露光現像電流Idの大きさは、図6(b)と同じである。
図6(d)は、露光装置61がレーザー光の照射位置を図6(c)に示す位置から更に右に移動させた状態における実表面電位V0、表面電位VL及び電圧Vdc3を示す。この状態において、現像ローラー641を流れる露光現像電流Idは、図6(b)及び図6(c)と同様である。
図6(e)は、露光装置61がレーザー光の照射位置を図5に示す範囲L2に移動させた状態における実表面電位V0、表面電位VL及び電圧Vdc3を示す。この状態において、現像ローラー641を流れる露光現像電流Idは、図6(b)〜(d)と同様である。
以上のように、感光体ドラム65においてレーザー光が照射されている範囲と、レーザー光が照射されていない範囲との割合は一定であるため、感光体ドラム65の表面が実表面電位V0に均一に帯電している場合、現像電流Id3及び現像電流Id4の合計電流は、一定である。
本実施形態において、実表面電位V0を画像形成処理において設定される表面電位より小さく設定することで、現像電流Id4が小さくなり、移動するトナーの量を少なくすることができる。このため、消費されるトナーの量を抑制することができる。
(表面電位が不均一である場合)
次に、図7(a)〜(e)を参照して、感光体ドラム65の表面の一部(範囲L3)が実表面電位V0より高い表面電位V0aに帯電している場合の露光現像電流Idについて説明する。図7(a)〜(e)は、感光体ドラム65の軸方向における表面電位及び現像ローラー641に印加された電圧を示す図である。図7(a)〜(e)は、横軸に感光体ドラム65の軸方向を示し、縦軸に電位(電圧)を示す。
図7(a)は、範囲L3が実表面電位V0より高い表面電位V0aに帯電しており、露光装置61がレーザー光を照射していない状態を示している。
この状態における露光現像電流Idの大きさは、図6(a)と比べて、範囲L3に対向する現像ローラー641の部分E3を現像電流Id3より大きい電流(Id5)が流れるため、大きくなる。
図7(b)は、露光装置61が図3に示す範囲L1にレーザー光を照射している状態における実表面電位V0、表面電位V0a、VL及び電圧Vdc3を示す。
露光装置61によるレーザー光の照射により、感光体ドラム65における範囲L1の表面電位は、実表面電位V0から表面電位VLへ変化する。表面電位VLは、電圧Vdc3より小さい電位である。
この状態において、感光体ドラム65における範囲L1に対向する現像ローラー641の部分E1には、トナーが感光体ドラム65へ現像されるときに流れる現像電流(Id4)が流れる。また、現像ローラー641における部分E1以外には、現像電流Id3及び現像電流Id5が流れる。このことから、現像ローラー641全体を流れる露光現像電流Idは、現像電流Id3〜Id5の合計電流となる。
図7(c)は、露光装置61がレーザー光の照射位置を範囲L1から右に移動させた状態における実表面電位V0、表面電位V0a、VL及び電圧Vdc3を示す。この状態においては、図7(b)と同様に、感光体ドラム65におけるレーザー光が照射されている位置に対向する現像ローラー641の部分には、現像電流Id4が流れ、他の部分には、現像電流Id3及び現像電流Id5が流れるため、露光現像電流Idの大きさは、図7(b)と同じである。
図7(d)は、露光装置61がレーザー光の照射位置を図7(c)に示す位置から更に右の範囲L3に移動させた状態における実表面電位V0及び電圧Vdc3を示す。また、このとき、感光体ドラム65における範囲L3の帯電電位は、表面電位V0aから表面電位VLaへ変化する。例えば、表面電位VLaは、表面電位VLより大きくなるものとする。
この状態において、現像ローラー641の部分E3には、トナーが感光体ドラム65へ現像されるときに流れる現像電流(Id6)が流れる。また、現像ローラー641における部分E3以外には、現像電流Id3が流れる。このことから、現像ローラー641全体を流れる露光現像電流Idは、現像電流Id3及び現像電流Id6の合計電流となる。
図7(e)は、露光装置61がレーザー光の照射位置を図5に示す範囲L2に移動させた状態における実表面電位V0、表面電位V0a、VL及び電圧Vdc3を示す。この状態において、現像ローラー641を流れる露光現像電流Idは、図7(b)及び(c)と同様である。
(露光の異常)
次に、図8(a)〜(e)を参照して、感光体ドラム65の露光に異常がある場合の露光現像電流Idについて説明する。図8(a)〜(e)は、感光体ドラム65の軸方向における表面電位及び現像ローラー641に印加された電圧を示す図である。図6(a)〜(e)は、横軸に感光体ドラム65の軸方向を示し、縦軸に電位(電圧)を示す。
図8(a)、(b)、(d)及び(e)は、それぞれ図6(a)、(b)、(d)及び(e)と同じ状態である。
図8(c)は、露光装置61がレーザー光の照射位置を範囲L1から右の範囲L5に移動させた状態における実表面電位V0及び電圧Vdc3を示す。このとき、範囲L5において露光異常のため、帯電電位が実表面電位V0から表面電位VLbへ変化したものとする。表面電位VLbは、表面電位VLより高電位であるものとする。この場合、露光現像電流Idの大きさは、図8(c)に示す現像電流Id7が図8(b)、(d)及び(e)に示す現像電流Id4の大きさより小さくなるため、大きくなる。
以上のように、感光体ドラム65に露光異常が生じている場合、又は感光体ドラム65が均一に帯電していない場合、露光現像電流Idが一定ではなくなる。また、露光の異常の他、感光体ドラム65の感度異常及び現像装置64による現像の不具合等が生じている場合においても、図8に示すような露光現像電流Idとなる。
本実施形態において、上記のような露光現像電流Idの変動を検知して、予測部13による予測表面電位VAの更新に算出部647によって算出された実表面電位V0を用いるか否かを決定する。
例えば、図2に示す詳細測定部649は、上記処理が行われている間に電流測定部646が測定した露光現像電流Idの変化量を測定し、露光現像電流Idの大きさが所定の閾値以上にわたって変化した箇所(部分変動)が存在するか否かを判定する。
具体的には、詳細測定部649は、露光現像電流Idの大きさが図7(c)及び(d)、並びに図7(d)及び(e)にかけて変化していることから、「部分変動あり」と判定する。
また、詳細測定部649は、露光現像電流Idの大きさが図8(b)及び(c)並びに図8(c)及び(d)にかけて変化していることから、「部分変動あり」と判定する。
一方、詳細測定部649は、図6(b)〜(e)に示すように、露光現像電流Idが一定の大きさである場合、露光現像電流Idの大きさが所定の閾値以上にわたって変化した箇所が存在しない「部分変動なし」と判定する。
制御部10は、詳細測定部649による判定結果を取得し、判定結果が「部分変動あり」の場合、例えば、画像形成装置1の異常をユーザーに通知する表示を液晶ディスプレー21に表示する処理を行う。
ユーザーは、液晶ディスプレー21の表示を見て、例えば、感光体ドラム65の一部に関して異常が存在することを認識し、サービスマンによる感光体ドラム65の交換等のメンテナンスを適切に行うことができる。
一方、制御部10は、取得した判定結果が「部分変動なし」の場合、実表面電位と同じ予測表面電位が算出されるように記憶部12における予測式F1又は予測表面電位テーブルを更新する。
このように、感光体ドラム65の表面電位の予測と、現像電流に基づく表面電位の算出と、表面電位の詳細測定とを組み合わせることにより、表面電位をより高精度に得ることができ、現像バイアスをより適正に制御することができる。
次に、図9を参照して、本実施形態に係る表面電位制御プロセスについて説明する。図9は、本実施形態に係る表面電位制御プロセスを示すフローチャートである。
まず、予測部13は、定期的又は不定期に、予測式F1又は予測表面電位テーブルを用いて、温度、湿度、印字率、印字モード、及び帯電電流値等に基づいて、感光体ドラム65の予測表面電位VAを予測する(ステップS11)。
制御部10は、予測部13による予測結果(予測表面電位VA)に基づいて、帯電装置63が感光体ドラム65に印加する帯電バイアスV1を決定する(ステップS12)。
制御部10は、帯電バイアスV1の変動に基づいて、実表面電位V0を算出する(ステップS13)。制御部10は、帯電バイアスV1が前回の帯電バイアスV1からの変動は10%以下の場合(ステップS13でNO)、次回の予測表面電位の予測まで予測部13を待機させる(ステップS11)。
一方、制御部10は、帯電バイアスV1が前回の帯電バイアスV1から10%を越えて変動している場合(ステップS13でYES)、実表面電位V0を算出するよう算出部647を制御する(ステップS14)。
制御部10は、予測表面電位VAと算出部647によって算出された実表面電位V0とを比較し(ステップS15)、予測表面電位VAと実表面電位V0との乖離が例えば10%未満の場合(ステップS15でYes)、次回の予測表面電位の予測まで予測部13を待機させる(ステップS11)。
一方、制御部10は、予測表面電位VAと実表面電位V0との乖離が10%以上の場合(ステップS15でYes)、表面電位の詳細測定処理を行うよう詳細測定部649を制御する(ステップS16)。
詳細測定部649は、詳細測定処理において、電流測定部646が測定した露光現像電流Idの変化量を測定し(ステップS17)、測定した変化量に基づいて、「部分変動あり」か「部分変動なし」かを判定する(ステップS18)。
制御部10は、詳細測定部649による判定結果が「部分変動なし」の場合(ステップS18でYes)、実表面電位V0と同じ予測表面電位が算出されるように記憶部12における予測式F1又は予測表面電位テーブルを更新する(ステップS19)。予測部13は、更新後の予測式F1又は予測表面電位テーブルを用いて、予測表面電位の次回の予測を行う(ステップS11)。
一方、詳細測定部649は、詳細測定部649による判定結果が「部分変動あり」の場合(ステップS18でNo)、画像形成装置1の異常をユーザーに通知する表示を液晶ディスプレー21に表示する処理を行う(ステップS20)。制御部10は、次回の予測表面電位の予測まで予測部13を待機させる(ステップS11)。
本実施形態では、現像バイアスの交流成分をsin波としたが、これに限らず、短形波であってもよい。現像バイアスの交流成分に短形波を用いると、現像剤抵抗の変化及び現像ギャップの変化等により現像領域のインピーダンスが変化し、バイアス波形に歪が生じやすくなり、現像バイアスの直流成分に影響を与えやすくなる。なお、画像形成時における現像バイアスの交流成分は、短形波の方がトナー移動効率が高いため、短形波を用いる方が望ましい。
次に、本発明が実施例に基づき具体的に説明されるが、本発明は以下の実施例によって限定されない。
本発明の実施例では、画像形成装置1として複合機を使用した。複合機は、TASKalfa2550Ci(京セラドキュメントソリューションズ株式会社)改造機であった。
複合機の実験条件は次の通りであった。
・感光体ドラム65:アモルファスシリコンドラム
・ブレード645:SUS430、磁性
・ブレード645の厚み:1.5mm
・現像ローラー641の表面形状:ローレット加工+ブラスト(Rzjis=5〜10μm)
・現像ローラー641の外径:20mm
・現像ローラー641の凹部:周方向80列
・現像ローラー641の周速/感光体ドラム65の周速:1.8
・現像ローラー641及び感光体ドラム65間の距離:0.30mm
・現像バイアスの交流成分:duty50%、短形波、6kHz
・トナー:外径6.8μm、正帯電性
・キャリア:外径35μm、フェライト・樹脂コートキャリア
・トナー濃度:6%
・プリント速度:55枚/分
・現像剤搬送量:250g/m2
・帯電装置63(帯電ローラー):外径12mm、芯金8mm、ゴム抵抗4.8LogΩ(DC500V印加時)
・帯電装置63の印加電圧:直流成分350V、交流成分1000V
本実施例において、実表面電位V0を230Vとした場合、図6(a)に示す露光現像電流Idの大きさは、−2.0μAであった。ここで、露光現像電流Idの符号は、露光現像電流Idの流れる方向を示す。露光現像電流Idのマイナスは、露光現像電流Idが感光体ドラム65から現像ローラー641へ流れることを示す。また、図6(b)〜(e)に示すレーザー光の照射による変化後の表面電位VLが10Vである場合、露光現像電流Id(Id3+Id4)の大きさは、−0.48μAであった。なお、ここでは、測定精度を上げるため、露光現像電流Idの直流成分を取得して判定を行っている。
また、図7(a)に示す範囲L3における表面電位V0aが240Vである場合、露光現像電流Id(Id3+Id4)の大きさは、−2.05μAであった。図7(b)、(c)、(e)に示す露光現像電流Id(Id3+Id4+Id5)の大きさは、−0.57μAであった。本実施例では、図7(d)に示す表面電位VLaが25Vであり、露光現像電流Id(Id3+Id6)の大きさは、−0.65μAであった。
図8(a)、(b)、(d)及び(e)は、それぞれ図6(a)、(b)、(d)及び(e)と同じ状態であるため、図8(a)における露光現像電流Idの大きさは、−2.0μAであり、図8(b)、(d)及び(e)における露光現像電流Idの大きさは、−0.48μAであった。図8(c)における露光現像電流Id(Id3+Id7)の大きさは、−0.65μAであった。
本実施例では、現像ローラー641の表面形状が「ローレット加工+ブラスト」であったが、これに限らず、「傾斜があるローレット溝+ブラスト」、「凹形状(ディンプル)+ブラスト」、「ローレット溝」、「ブラスト加工」及び「凹形状(ディンプル)」であってもよい。
また、本実施例では、トナーが正帯電性であったが、これに限らず、トナーが負帯電性であってもよい。この場合、実表面電位V0及び電圧Vdc3は、マイナス電位であり、電圧Vdc3が実表面電位V0より大きくなる。
また、本実施例では、感光体ドラム65にアモルファスシリコンドラムを用いたが、これに限らず、正帯電有機感光体ドラム(OPC:Organic Photo Conductor)を用いてもよい。この場合、帯電装置63の印加電圧に直流成分及び交流成分が含まれると、OPCの膜削れが促進されるため、電圧直流成分のみを含む印加電圧を用いることが望ましい。
以上、図面(図1〜図9)を参照しながら本発明の実施形態を説明した。但し、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚み、長さ、個数等は、図面作成の都合上から実際とは異なる。また、上記の実施形態で示す各構成要素の材質や形状、寸法等は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。