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JP2021146302A - 濾材、フィルタエレメント、及び濾材の製造方法 - Google Patents

濾材、フィルタエレメント、及び濾材の製造方法 Download PDF

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JP2021146302A JP2020050348A JP2020050348A JP2021146302A JP 2021146302 A JP2021146302 A JP 2021146302A JP 2020050348 A JP2020050348 A JP 2020050348A JP 2020050348 A JP2020050348 A JP 2020050348A JP 2021146302 A JP2021146302 A JP 2021146302A
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Abstract

【課題】圧力損失が小さい、脱臭機能を有する濾材、前記濾材からなるフィルタエレメント、及び濾材の製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明の濾材は、一方の繊維集合体Aの厚さ方向の断面における最も見掛密度の高い部分の見掛密度と、最も見掛密度の低い部分の見掛密度の差が0.030g/cm以上と、繊維集合体Aに見掛密度が低い部分と、見掛密度が高い部分が存在し、見掛密度が低い部分は空気が通りやすいことから、圧力損失が小さい、脱臭機能を有する濾材が実現できる。また、本発明の濾材は、繊維集合体B前駆体の一方の主面上に脱臭粒子を配置してから、繊維集合体B前駆体の脱臭粒子を有する主面上に別の繊維集合体A前駆体を積層するとともに加圧し、少なくとも繊維集合体A前駆体を厚さ方向に部分的に変形させることで製造できる。
【選択図】図1

Description

本発明は、脱臭機能を有する濾材、前記濾材からなるフィルタエレメント、及び濾材の製造方法に関する。
従来から、濾材によって空気中に存在する塵埃だけでなく、においやアレルギーの原因になる揮発性有機化合物(VOC)を除去して、空気を浄化することが求められている。
このようなVOCを除去できる濾材として、例えば特開2018−167155号公報(特許文献1)のエアフィルター用濾材のように、2つの不織布により形成される層間に吸着剤が配置され、吸着剤に活性炭及び無機多孔質体を使用した濾材が知られている。なお、特許文献1のエアフィルター用濾材は吸着剤(活性炭、無機多孔質体)とホットメルト接着剤をシェーカーで攪拌し、不織布の上に均一に散布し、加熱してホットメルト接着剤を溶かした状態で別の不織布をかぶせ、熱プレスすることでエアフィルター用濾材を製造している。
特開2018−167155号公報(請求項5など)
しかし、特許文献1に開示された濾材は、熱プレスにより圧縮されていることから、2つの不織布が緻密で、圧力損失が大きいものであった。
本発明はこのような状況下においてなされたものであり、圧力損失が小さい、脱臭機能を有する濾材、前記濾材からなるフィルタエレメント、及び濾材の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の請求項1にかかる発明は、「2つの繊維集合体A、Bの間に脱臭粒子が配置された濾材であって、濾材の厚さ方向の断面において、少なくとも一方の繊維集合体Aに見掛密度が高い部分と見掛密度が低い部分が存在し、前記一方の繊維集合体Aにおける最も見掛密度の高い部分の見掛密度と、最も見掛密度の低い部分の見掛密度の差が0.030g/cm以上である、濾材。」である。
本発明の請求項2にかかる発明は、「繊維集合体Bと脱臭粒子とが有機樹脂を介して接着しており、前記有機樹脂がシート状である、請求項1に記載の濾材。」である。
本発明の請求項3にかかる発明は、「繊維集合体Bと脱臭粒子とが有機樹脂を介して接着しており、前記有機樹脂の量が10g/m以下である、請求項1又は2に記載の濾材。」である。
本発明の請求項4にかかる発明は、「脱臭粒子の含有量が100g/m以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の濾材。」である。
本発明の請求項5にかかる発明は、「濾材の厚さが0.70mm以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の濾材。」である。
本発明の請求項6にかかる発明は、「請求項1〜5のいずれか1項に記載の濾材がプリーツ加工されたものと、前記濾材がプリーツ加工されたものの周縁部に外枠を備えてなる、フィルタエレメント。」である。
本発明の請求項7にかかる発明は、「(1)繊維集合体B前駆体を用意し、繊維集合体B前駆体の一方の主面上に脱臭粒子を配置する工程、(2)繊維集合体B前駆体の脱臭粒子を有する主面上に別の繊維集合体A前駆体を積層するとともに加圧し、少なくとも繊維集合体A前駆体を厚さ方向に部分的に変形させて、繊維集合体A前駆体に由来する繊維集合体Aと、繊維集合体B前駆体に由来する繊維集合体Bの間に脱臭粒子が配置された濾材を形成する工程、とを有する、請求項1に記載の濾材の製造方法。」である。
本発明の請求項1にかかる濾材は、一方の繊維集合体Aの厚さ方向の断面における最も見掛密度の高い部分の見掛密度と、最も見掛密度の低い部分の見掛密度の差が0.030g/cm以上と、繊維集合体Aに見掛密度が低い部分と、見掛密度が高い部分が存在し、見掛密度が低い部分は空気が通りやすいことから、圧力損失が小さい、脱臭機能を有する濾材が実現できる。
本発明の請求項2にかかる濾材は、繊維集合体Bと脱臭粒子とが有機樹脂を介して接着しており、前記有機樹脂がシート状であることから、有機樹脂が粒子状である場合よりも有機樹脂の分布が均一であり、繊維集合体B上に脱臭粒子が均一に分布し、脱臭性能の良い濾材が実現しやすい。
本発明の請求項3にかかる濾材は、繊維集合体Bと脱臭粒子とが有機樹脂を介して接着しており、前記有機樹脂の量が10g/m以下と少ないことから、濾材をプリーツ加工する際に脱臭粒子と有機樹脂との接着がはずれ、プリーツ加工の際にかける力が小さくてもプリーツ加工が可能であることから、プリーツ加工が施しやすく加工性が優れる濾材である。
本発明の請求項4にかかる濾材は、脱臭粒子の含有量が100g/m以下と少ないことから、脱臭粒子が2つの繊維集合体A、Bの間に点在している。そのため、脱臭粒子の存在していない部分に一方の繊維集合体Aの見掛密度が小さい部分が存在しやすいため、圧力損失の小さい濾材が実現しやすい。
本発明の請求項5にかかる濾材は、濾材の厚さが0.70mm以下と薄い濾材であることから、小さいスペースにも濾材を設置することができ、また、プリーツ加工が施しやすく加工性が優れる濾材である。
本発明の請求項6にかかるフィルタエレメントは、プリーツ加工されているので、濾材の濾過面積が広く、塵埃及びVOCの捕集効率が優れるフィルタエレメントである。
本発明の請求項7にかかる濾材の製造方法は、繊維集合体B前駆体の一方の主面上に脱臭粒子を配置してから、繊維集合体B前駆体の脱臭粒子を有する主面上に別の繊維集合体A前駆体を積層するとともに加圧し、少なくとも繊維集合体A前駆体を厚さ方向に部分的に変形させて、繊維集合体A前駆体に由来する繊維集合体Aと、繊維集合体B前駆体に由来する繊維集合体Bの間に脱臭粒子が配置された濾材を形成することで、圧力損失が小さい、脱臭機能を有する濾材を製造できる方法である。
本発明の濾材の厚さ方向の断面の一例を示す、説明図である。 従来技術の濾材の厚さ方向の断面を示す、説明図である。 実施例1の濾材の厚さ方向の断面を、走査型電子顕微鏡(倍率:80倍)で撮影した写真である。 比較例1の濾材の厚さ方向の断面を、走査型電子顕微鏡(倍率:80倍)で撮影した写真である。
本発明の濾材を構成する繊維集合体A(1)は、濾材の厚さ方向の断面において見掛密度の高い部分と見掛密度が低い部分が存在し、前記一方の繊維集合体A(1)における最も見掛密度の高い部分の見掛密度と、最も見掛密度が低い部分の見掛密度の差が0.030g/cm以上である。
なお、本発明の濾材は、繊維集合体A(1)及び繊維集合体B(2)を含むが、濾材の厚さ方向の断面において見掛密度の差が大きい方を繊維集合体A(1)とする。
濾材の厚さ方向の断面において繊維集合体A(1)に見掛密度の高い部分と見掛密度が低い部分が存在する濾材の厚さ方向の断面の一例を、図1に例示する。図1に示した濾材は、濾材を構成する繊維集合体A(1)が脱臭粒子(3)の形状に追従し繊維集合体Aの厚さ方向の長さが一定でない。なお、図1において、繊維集合体A(1)における最も見掛密度の高い部分は繊維集合体A(1)における最も厚さ方向の長さが短い部分(5)であり、繊維集合体A(1)における最も見掛密度の低い部分は繊維集合体A(1)における最も厚さ方向の長さが長い部分(6)である。一方で、従来技術の濾材は、濾材の厚さ方向の断面を図2に例示するように、繊維集合体A(1)の厚さ方向の長さが一定であり、繊維集合体A(1)の見掛密度も一定である。
図1に示した濾材の厚さ方向の断面における、繊維集合体A及びBにおける最も見掛密度の高い部分の見掛密度及び最も見掛密度の低い部分の見掛密度は、以下の方法により算出することができる。
(1)繊維集合体AまたはBの目付を算出する。なお、目付とは、最も広い面における面積1mあたりの質量をいう。
(2)濾材を、濾材の主面に対して垂直方向に切断する。
(3)(2)で切断した濾材の切断面を顕微鏡で観察し、濾材の断面写真を3枚撮る。このとき、濾材の切断面の長辺が1cm以上となるように断面写真を撮る。
(4)(3)で得られた3枚の濾材の断面写真から、濾材の主面に対して垂直である繊維集合体AまたはBの最も長い厚さ方向の長さ(mm)を断面写真ごとに測定し、3枚の断面写真における測定値を算術平均し、小数点第4位を四捨五入する。また、繊維集合体AまたはBの最も短い厚さ方向の長さ(mm)も同様に求める。なお、本発明でいう「主面」とは、最も広い面のことをいう。
(5)以下の式で繊維集合体A及びBにおける最も短い厚さ方向の長さを有する部分(最も見掛密度の高い部分)の見掛密度及び最も長い厚さ方向の長さを有する部分(最も見掛密度の低い部分)の見掛密度を算出する。
d={a/b}/10
d:見掛密度(g/cm
a:繊維集合体の目付(g/m
b:繊維集合体の最も長い又は最も短い厚さ方向の長さの算術平均値(mm)
本発明の濾材を構成する繊維集合体A(1)における最も見掛密度の高い部分の見掛密度と、最も見掛密度が低い部分の見掛密度の差が0.030g/cm以上であるが、見掛密度の差が大きいほど見掛密度の低い部分により空気が通りやすいことから、最も見掛密度の高い部分の見掛密度と、最も見掛密度が低い部分の見掛密度の差が0.035g/cm以上がより好ましく、0.040g/cm以上が更に好ましい。最も見掛密度の高い部分の見掛密度と、最も見掛密度が低い部分の見掛密度の差が大きすぎると、見掛密度の高い部分の通気度が低すぎて圧力損失の増加の原因になることから、0.080g/cm以下が好ましい。
また、繊維集合体A(1)における最も見掛密度の高い部分の厚さ方向の長さは、長ければ長いほどより通気度が高く圧力損失の低い濾材を実現できることから、0.070mm以上が好ましく、0.090mm以上がより好ましく、0.110mm以上が更に好ましい。上限については、厚さ方向の長さが長すぎると濾材の濾過性能が低下するおそれがあることから、0.250mm以下が現実的である。繊維集合体A(1)における最も見掛密度の低い部分の厚さ方向の長さは、長すぎると濾材の濾過性能が低下するおそれがあることから、1.00mm以下が好ましく、0.700mm以下が好ましく、0.550mm以下が更に好ましい。下限については、短すぎると通気度が低下し圧力損失が高い濾材となるおそれがあることから、0.100mm以上が現実的である。
更に、繊維集合体A(1)における最も見掛密度の高い部分の見掛密度は、低ければ低いほどより通気度が高く圧力損失の低い濾材を実現できることから、0.200g/cm以下が好ましく、0.150g/cm以下がより好ましく、0.130g/cm以下が更に好ましい。下限については、濾材の濾過性能が低下するおそれがあることから、0.100g/cm以上が現実的である。繊維集合体A(1)における最も見掛密度の低い部分の見掛密度は、低すぎると、濾材の濾過性能が低下するおそれがあることから、0.020g/cm以上が好ましく、0.030g/cm以上がより好ましく、0.040g/cm以上が更に好ましい。上限については、見掛密度が高すぎると通気度が低下し圧力損失が高い濾材となるおそれがあることから、0.100g/cm以下が現実的である。
本発明の濾材を構成する繊維集合体A(1)は、例えば、不織布や織物あるいは編物などから構成することができる。
繊維集合体A(1)を構成する成分としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、炭化水素の一部をシアノ基またはフッ素あるいは塩素といったハロゲンで置換した構造のポリオレフィン系樹脂など)、スチレン系樹脂、ポリエーテル系樹脂(ポリエーテルエーテルケトン、ポリアセタール、フェノール系樹脂、メラミン系樹脂、ユリア系樹脂、エポキシ系樹脂、変性ポリフェニレンエーテル、芳香族ポリエーテルケトンなど)、ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリアリレート、全芳香族ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂など)、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド系樹脂(例えば、芳香族ポリアミド樹脂、芳香族ポリエーテルアミド樹脂、ナイロン樹脂など)、ニトリル基を有する樹脂(例えば、ポリアクリロニトリルなど)、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリスルホン系樹脂(ポリスルホン、ポリエーテルスルホンなど)、フッ素系樹脂(ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデンなど)、セルロース系樹脂、ポリベンゾイミダゾール樹脂、アクリル系樹脂(例えば、アクリル酸エステルあるいはメタクリル酸エステルなどを共重合したポリアクリロニトリル系樹脂、アクリロニトリルと塩化ビニルまたは塩化ビニリデンを共重合したモダアクリル系樹脂など)、ビニロン繊維など、公知の有機樹脂からなることができる。
なお、これらの有機樹脂は、直鎖状のポリマー構造または分岐状のポリマー構造のいずれからなるものでも構わず、また有機樹脂がブロック共重合体やランダム共重合体でも構わず、また有機樹脂の立体構造や結晶性の有無がいかなるものでも、特に限定されるものではない。更には、有機樹脂を混ぜ合わせたものでも良く、特に限定されるものではない。
繊維集合体A(1)を構成する繊維は、例えば、溶融紡糸法、乾式紡糸法、湿式紡糸法、直接紡糸法(メルトブロー法、スパンボンド法、静電紡糸法など)、複合繊維から一種類以上の有機樹脂を除去することで繊維径が細い繊維を抽出する方法、繊維を叩解して分割された繊維を得る方法など公知の方法により得ることができる。
繊維集合体A(1)を構成する繊維は、一種類あるいは複数種類の有機樹脂から構成されてなるものでも構わない。複数種類の有機樹脂を含んでなる繊維として、一般的に複合繊維と称される、例えば、芯鞘型、海島型、サイドバイサイド型、オレンジ型などの複合繊維を使用することができる。
繊維集合体A(1)を構成する繊維の繊維径については特に限定するものではないが、繊維径は、1.0〜30μmが好ましく、1.5〜20μmがより好ましく、2.0〜15μmが更に好ましい。繊維集合体Aを構成する繊維の繊維長は、長ければ長いほど、繊維集合体Aの形態安定性が優れることから、5mm以上が好ましく、10mm以上がより好ましく、20mm以上が更に好ましく、連続繊維であってもよい。
本発明の濾材を構成する繊維集合体B(2)は、繊維集合体A(1)と同様の構成成分、構成繊維であることができる。
繊維集合体B(2)を構成する繊維の繊維径、及び繊維長については特に限定するものではないが、繊維径は、1.0〜50μmが好ましく、3.0〜40μmがより好ましく、5.0〜30μmが更に好ましい。繊維長は、3mm以上が好ましく、4mm以上がより好ましく、5mm以上が更に好ましい。繊維長の上限については、25mm以下が現実的である。
本発明の濾材を構成する脱臭粒子(3)は、脱臭作用を有する粒子をいい、例えば、活性炭や、シリカゲルや酸化チタンなどの無機粒子などが挙げられる。本発明の濾材を構成する脱臭粒子は、1種類であっても2種類以上であってもよい。この中でも、活性炭とシリカゲルの2種類を脱臭粒子に含んでいると、効率よく脱臭できる濾材であることから、好ましい。
脱臭粒子(3)の形状や大きさは適宜調整するが、脱臭粒子として、例えば、球状(略球状や真球状)、繊維状、針状、平板状、不定形形状や多面体形状あるいは羽毛状やテトラポッド形状などから適宜選択することができる。また、脱臭粒子の平均粒子径としては、0.10〜1.5mmであるのが好ましく、0.11〜1.2mmであるのがより好ましく、0.12〜1.0mmであるのが最も好ましい。
なお、本発明でいう脱臭粒子(3)の粒子径とは、脱臭粒子の電子顕微鏡写真または脱臭粒子を有する濾材の主面の電子顕微鏡写真を撮影して測定できる脱臭粒子の直径のことであり、平均粒子径とは、脱臭粒子10個の平均の粒子径を意味する。なお、電子顕微鏡写真に写る脱臭粒子の形状が非円形である場合には、電子顕微鏡写真に写る前記形状の脱臭粒子と同じ面積を有する円の直径を、脱臭粒子の直径とみなす。
また、脱臭粒子(3)に、脱臭効率の向上を目的として、アミン系化合物、酸ヒドラジド化合物などの、臭気成分と反応する化合物、及び臭気成分を吸着する化合物を含有していてもよい。
本発明の濾材に含まれる脱臭粒子(3)の含有量は、少ない程、濾材において脱臭粒子が存在していない部分に繊維集合体A(1)の構成繊維が入り込んだ状態にあり、繊維集合体A(1)の見掛密度が小さい部分が存在しやすいため、圧力損失の小さい濾材が実現しやすいことから、100g/m以下が好ましく、90g/m以下がより好ましく、80g/m以下が更に好ましい。一方で、脱臭粒子の含有量が少なすぎると、濾材がVOCを十分に捕集できず、濾材の脱臭作用が不十分になるおそれがあることから、5g/m以上が現実的である。
本発明の濾材は、脱臭粒子(3)が濾材から脱落しにくいように、繊維集合体B(2)と脱臭粒子(3)とが有機樹脂(4)を介して接着しているのが好ましい。繊維集合体B(2)と脱臭粒子(3)とが有機樹脂(4)を介して接着しているときの有機樹脂(4)の形状は、例えば粒子状、シート状などが挙げられるが、有機樹脂(4)の形状がシート状であると、有機樹脂(4)が粒子状である場合よりも有機樹脂(4)の分布が均一であり、繊維集合体B(2)上に脱臭粒子が均一に分布し、脱臭性能の良い濾材が実現しやすいことから好ましい。
本発明に用いる、接着に用いる有機樹脂(4)の種類は適宜選択するものであり、特に限定されるものではなく、繊維集合体A、Bを構成する成分として挙げた、公知の有機樹脂を使用することができる。
濾材における、繊維集合体B(2)と脱臭粒子(3)を接着している有機樹脂(4)の量が10g/m以下であると、濾材をプリーツ加工する際に脱臭粒子(3)と有機樹脂(4)との接着がはずれ、プリーツ加工の際にかける力が少なくてもプリーツ加工が可能であることから、プリーツ加工が施しやすく加工性が優れる上、濾材の通気度が有機樹脂(4)により低下しにくく圧力損失が小さい濾材であり好ましい。繊維集合体B(2)と脱臭粒子(3)を接着している有機樹脂(4)の量が少なければ少ない程、前記効果がより得られることから、9g/m以下が好ましく、8g/m以下がより好ましい。一方、有機樹脂(4)の量が少なすぎると、脱臭粒子(3)が濾材から脱落しやすくなるおそれがあることから、1g/m以上が好ましく、2g/m以上がより好ましく、3g/m以上が更に好ましい。
なお、脱臭粒子(3)の脱落防止、及び、濾材の取り扱い性向上を目的として、繊維集合体A(1)と脱臭粒子(3)とが有機樹脂を介して接着していてもよく、そのときの有機樹脂の形状は特に限定するものではない。濾材における、繊維集合体A(1)及びB(2)と脱臭粒子を接着している有機樹脂の総量は、多ければ多いほど脱臭粒子が脱落しにくい一方、多すぎると濾材の空隙をふさぎ、濾材の通気度が低下し圧力損失が増大するおそれがある上、濾材の加工性が悪化するおそれがあることから、2〜20g/mが好ましく、4〜18g/mがより好ましく、6〜16g/mが更に好ましい。
本発明の濾材の目付は、適宜調整するものであるが、50〜200g/mが好ましく、80〜170g/mがより好ましく、100〜150g/mが更に好ましい。
また、本発明の濾材の厚さは、小さいスペースにも濾材を設置することができ、また、加工性(プリーツ加工等)が優れる濾材であるように、0.70mm以下が好ましい。厚さが薄ければ薄い程前記効果がより得られることから、0.68mm以下がより好ましく、0.66mm以下が更に好ましい。一方、濾材が薄すぎると、形態保持性が劣るおそれがあることから、0.30mm以上が好ましく、0.40mm以上がより好ましく、0.50mm以上が更に好ましい。なお、濾材、及び後述の繊維集合体A前駆体及び繊維集合体B前駆体の「厚さ」は、高精度デジタル測定機(登録商標:ライトマチック(VL−50A)(株)ミツトヨ)により計測した、主面間方向に100gの荷重をかけた際の、5点で測定された各主面間の距離の算術平均値をいい、前述の繊維集合体A及びBの厚さ方向の長さとは定義が異なる。
濾材を構成する繊維集合体A(1)、B(2)の少なくとも1つはエレクトレット処理されているのが好ましい。エレクトレット処理がされていることにより、通常では除去しにくいサブミクロンサイズやナノサイズの微細塵を静電気力により捕集することができる。
本発明の濾材は、2つの繊維集合体A(1)、B(2)及び脱臭粒子(3)を有するものであるが、繊維集合体A、B以外のほかの繊維集合体、及び通気性多孔フィルムや通気性発泡体などの通気性の素材を有していても良い。
また、本発明の濾材は、繊維集合体A(1)が上流側になるように空気を通過させても、繊維集合体B(2)が上流側になるように空気を通過させても良いが、繊維集合体の内部の見掛密度の差が小さい繊維集合体B(2)が上流側になるように空気を通過させた方が濾材内において空気流が偏りにくく、効率的に塵埃及びVOCを捕集できることから、濾材を使用する際は繊維集合体B側が上流側になるように空気を通過させるよう使用するのが好ましい。
なお、本発明の濾材の厚さ方向の断面構造は、図1に例示したものに限定されるものではなく、他にも、例えば、繊維集合体Aにおいて厚さが一定であっても繊維密度が異なり、見掛密度差を有する場合も、図1に例示した断面構造を有する濾材と同様の作用効果を奏する。
更に、本発明の濾材は特に加工していない平板形状のものであってもよいが、本発明の濾材をプリーツ加工したものと、前記濾材がプリーツ加工されたものの周縁部に外枠を備えてなるフィルタエレメントは、濾過面積が広く、塵埃及びVOCの捕集効率が優れることから好ましい。本発明のフィルタエレメントのプリーツ高さは、5〜50mmが好ましく、10〜45mmがより好ましく、15〜30mmが更に好ましい。フィルタエレメントのプリーツ間隔は、2〜20mmが好ましく、3〜15mmがより好ましく、3〜10mmが更に好ましい。フィルタエレメントにおける外枠は、濾材がプリーツ加工されたものの周縁部の全体(例えば濾材がプリーツ加工されたものの平面形状が長方形の場合、プリーツの折り目方向に直交する方向の周縁部、及びプリーツの折り目方向に平行する方向の周縁部)にあってもよいし、濾材がプリーツ加工されたものの周縁部の一部のみ(例えば濾材がプリーツ加工されたものの平面形状が長方形の場合、プリーツ形状を固定し保持することを目的としてプリーツの折り目方向に直交する方向の周縁部のみなど)にあってもよい。
また、プリーツ加工した濾材と外枠の接着は、例えば、ポリ酢酸ビニルなどのホットメルト樹脂を外枠と濾材との間に介在させることにより行うことができる。更に、外枠としては、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス、各種樹脂、紙、あるいは不織布からなる外枠を使用することができる。
なお、上述のような濾材及びフィルタエレメントは、例えば、額縁状のフィルタフレームに収納するなどして、フィルタユニットとして使用することができる。
更に本発明の濾材は、プリーツ加工以外の加工に供してもよい。本発明の濾材を加工したものとしては、例えば、濾材を巻回するように加工し、濾材を巻出して使用するロールフィルタ装置用のロールフィルタなどが挙げられる。
次に、本発明の濾材の製造方法について説明する。
まず、繊維集合体B前駆体を用意し、繊維集合体B前駆体の一方の主面上に脱臭粒子を配置する。
繊維集合体B前駆体は、例えば、不織布や織物あるいは編物などから構成することができる。繊維集合体B前駆体が織物や編物である場合、前述のようにして調製した繊維を、織るあるいは編むことで調製して繊維集合体B前駆体を構成することができる。繊維集合体B前駆体が不織布である場合、例えば、乾式法による乾式不織布、湿式法による湿式不織布、直接紡糸法によるスパンボンド不織布、メルトブロー不織布、静電紡糸不織布などを用いることができる。これらの中でも、濾材の加工性(プリーツ加工等)が優れることから、不織布であるのが好ましく、不織布の中でも構成繊維の繊維長が短く、よりプリーツ加工性が優れる湿式不織布であるのがより好ましい。
繊維集合体B前駆体が不織布である場合、不織布の構成繊維を結合する方法として、例えば、ニードルや水流によって絡合する方法、繊維同士をバインダで一体化する方法、あるいは、不織布の構成繊維を結合する前の繊維ウエブが熱可塑性樹脂を備える繊維を含んでいる場合には、繊維ウエブを加熱処理することで前記熱可塑性樹脂を溶融して、繊維同士を一体化する方法を挙げることができる。なお、繊維ウエブを加熱処理する方法として、例えば、カレンダーロールにより加熱加圧する方法、熱風乾燥機により加熱する方法、無圧下で赤外線を照射して熱可塑性樹脂繊維を溶融させる方法などを用いることができる。
繊維集合体B前駆体の見掛密度は、濾過性能の優れる濾材、また加工性の優れる濾材を製造できるように、0.060〜0.400g/cmであるのが好ましく、0.080〜0.300g/cmであるのがより好ましく、0.100〜0.200g/cmであるのが更に好ましい。また、繊維集合体B前駆体の目付は、濾過性能の優れる濾材、また加工性の優れる濾材を製造できるように、10.0〜100g/mであるのが好ましく、20.0〜80.0g/mであるのがより好ましく、30.0〜60.0g/mであるのが更に好ましい。更に、繊維集合体B前駆体の厚さは、濾過性能の優れる濾材、また加工性の優れる濾材を製造できるように、0.100〜0.600mmであるのが好ましく、0.150〜0.500mmであるのがより好ましく、0.200〜0.400mmであるのが更に好ましい。
更に、脱臭粒子(3)の配置量は、脱臭粒子(3)の存在していない部分に繊維集合体A前駆体が入り込み、濾材を構成する繊維集合体A(1)の厚さ方向の断面において、見掛密度が高い部分と見掛密度が低い部分が存在するように、100g/m以下が好ましく、90g/m以下がより好ましく、80g/m以下が更に好ましい。
また、脱臭粒子(3)を配置する方法としては特に限定するものではない。また、脱臭粒子(3)の脱落防止を目的として、脱臭粒子(3)を配置する前に繊維集合体B前駆体の一方の主面上に有機樹脂(4)を配置し、繊維集合体B前駆体と脱臭粒子(3)を接着するのが好ましい。有機樹脂(4)を配置し、繊維集合体B前駆体と脱臭粒子(3)を接着する方法としては、例えば、シート状の有機樹脂(4)を積層、又は粒子状の有機樹脂(4)を散布することで繊維集合体B前駆体の一方の主面上に有機樹脂(4)を配置し、その後、熱や高温の水蒸気などにより有機樹脂(4)を溶解させ、有機樹脂(4)が溶解している間に脱臭粒子(3)を配置し、冷却して脱臭粒子(3)を接着する方法や、熱で溶解させた有機樹脂(4)を繊維集合体B前駆体の一方の主面上に配置し、有機樹脂(4)が溶解している間に脱臭粒子(3)を配置し、冷却して脱臭粒子(3)を接着する方法、液体または溶媒に溶けた有機樹脂(4)を塗布することで繊維集合体B前駆体の一方の主面上に有機樹脂(4)を配置し、次いで有機樹脂(4)が乾燥し、固化する前に脱臭粒子(3)を配置した後、有機樹脂(4)を乾燥させて脱臭粒子(3)を接着する方法などが挙げられる。
次に、繊維集合体B前駆体の脱臭粒子(3)を有する主面上に別の繊維集合体A前駆体を積層するとともに加圧し、少なくとも繊維集合体A前駆体を厚さ方向に部分的に変形させて、繊維集合体A前駆体に由来する繊維集合体A(1)と、繊維集合体B前駆体に由来する繊維集合体B(2)の間に脱臭粒子(3)が配置された、本発明の濾材を製造する。
繊維集合体A前駆体は、繊維集合体B前駆体と同様に、不織布や織物あるいは編物などから構成することができるが、これらの中でも厚さが変化しやすく、繊維集合体A前駆体由来の繊維集合体A(1)における最も見掛密度の高い部分の見掛密度と最も見掛密度の低い部分の見掛密度の差が0.030g/m以上となりやすい不織布が好ましく、不織布の中でもより見掛密度の差が0.030g/m以上となりやすい上、ある程度の厚さを有する乾式不織布又はメルトブロー不織布がより好ましく、容易にエレクトレット処理でき、塵埃の捕集性能の高い濾材が実現できることからメルトブロー不織布が更に好ましい。
このとき、脱臭粒子(3)の存在していない部分に繊維集合体A前駆体の構成繊維が入り込み、繊維集合体A(1)の厚さ方向の断面において、見掛密度が高い部分と見掛密度が低い濾材が製造しやすいように、また、濾過性能の優れる濾材を製造しやすいように、繊維集合体A前駆体の見掛密度は、0.020〜0.200g/cmであるのが好ましく、0.025〜0.100g/cmであるのがより好ましく、0.030〜0.050g/cmであるのが更に好ましい。また、繊維集合体A前駆体の厚さは、繊維集合体A(1)の厚さ方向の断面において、見掛密度が高い部分と見掛密度が低い濾材が製造しやすいように、また、濾過性能の優れる濾材を製造しやすいように、0.050〜0.800mmであるのが好ましく、0.070〜0.500mmであるのがより好ましく、0.100〜0.400mmであるのが更に好ましい。更に、繊維集合体A前駆体の目付は、濾材の濾過性能に優れるように、また、濾材の加工性に優れるように、5.0〜30.0g/mであるのが好ましく、7.0〜25.0g/mであるのがより好ましく、10.0〜20.0g/mであるのが更に好ましい。
繊維集合体B前駆体の脱臭粒子を有する主面上に別の繊維集合体A前駆体を積層するとともに加圧する際の加圧方法は特に限定するものではないが、例えば2本のロールの間に通して加圧する方法、積層したものの上からプレスして加圧する方法などが挙げられる。2本のロールの間に通して加圧する方法を採用する場合、少なくとも繊維集合体A前駆体を厚さ方向に部分的に変形させられるように、繊維集合体B前駆体、脱臭粒子、繊維集合体A前駆体を積層した積層体の厚さよりも2本のロール間隔を狭くするのが好ましく、繊維集合体B前駆体と繊維集合体A前駆体の厚さの合計よりも2本のロール間隔を狭くするのがより好ましい。なお、加圧する際の温度は、特に加温しなくても加温しても良いが、温度が高すぎると繊維集合体前駆体A、Bの構成繊維を溶解させて繊維集合体前駆体A、Bの空隙をふさぎ、圧力損失が増大するおそれがあることから、繊維集合体A、B前駆体の構成繊維のうち、最も低い融点よりも低い温度で加圧するのが好ましい。
また、脱臭粒子(3)の脱落防止、及び、濾材の取り扱い性向上を目的として、繊維集合体B前駆体の脱臭粒子を有する主面上に別の繊維集合体A前駆体を積層する前に、繊維集合体B前駆体の脱臭粒子を有する主面上、もしくは繊維集合体A前駆体の一方の主面上に有機樹脂を配置し、繊維集合体B前駆体及び/又は脱臭粒子(3)と繊維集合体A前駆体とを接着するのが好ましい。有機樹脂を配置し、繊維集合体B前駆体及び/又は脱臭粒子(3)と繊維集合体A前駆体とを接着する方法としては、前述の有機樹脂を配置し、繊維集合体B前駆体と脱臭粒子(3)とを接着する方法と同様の方法が採用できる。なお、繊維集合体B前駆体と脱臭粒子(3)との接着と、繊維集合体B前駆体及び/又は脱臭粒子(3)と繊維集合体A前駆体との接着は、同時に行っても、別々に行ってもよい。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
(実施例1)
(繊維集合体A前駆体)
熱可塑性樹脂として、融点160℃のポリプロピレン樹脂を用い、押出機およびギヤポンプ、メルトブロー口金、圧縮空気発生装置および空気加熱機、捕集コンベア、および巻取機からなる装置を用いて、目付15.0g/m、厚さ0.350mm、見掛密度0.043g/cm、繊維径2.0〜5.0μm、連続繊維のメルトブロー不織布を製造した。その後、前記メルトブロー不織布にエレクトレット処理を施し、繊維集合体A前駆体を作製した。
(繊維集合体B前駆体)
傾斜ワイヤー方式の湿式法により、繊維径25μm、繊維長20mmのポリエチレンテレフタレート繊維を60mass%、繊維径15μm、繊維長20mmのビニロン繊維を40mass%から構成された目付35.0g/mの繊維ウエブを作製した。その後、該繊維ウエブにアクリルバインダを含浸し、乾燥熱処理して目付45.0g/m、厚さ0.300mm、見掛密度0.150g/cmの湿式不織布からなる繊維集合体B前駆体を作製した。
(脱臭粒子)
平均粒子径0.30μm、比表面積1100m/gの活性炭、及び平均粒子径0.15μm、比表面積480m/g、球状のシリカゲルを準備した。
次に、前記活性炭と前記シリカゲルを3:1の質量比で混合し、本発明の脱臭粒子とした。
(濾材の製造)
繊維集合体B前駆体の一方の主面上に、目付5g/mの共重合ポリアミドから構成された融点110℃の熱可塑性有機樹脂シートを積層した。
次に、繊維集合体B前駆体の共重合ポリアミドから構成された熱可塑性有機樹脂シートを有する主面上に、脱臭粒子を総量が63g/mになるように均一に散布した。
その後、圧力5kg/cm、温度120℃の水蒸気処理を7秒間行って熱可塑性有機樹脂シートを溶融させて、繊維集合体B前駆体と脱臭粒子を接着させた。
さらに、繊維集合体B前駆体の脱臭粒子を有する主面上に、目付5g/mのポリプロピレンから構成され、溶融されたホットメルト樹脂のスプレーを施し、ホットメルト樹脂が溶融している間に繊維集合体A前駆体を積層させて、ロール間距離0.65mmの常温の2本のロールの間に通し、繊維集合体A前駆体と脱臭粒子を接着させ、目付133g/m、厚さ0.65mmの濾材を得た。実施例1の濾材において、繊維集合体Aにおける最も長い厚さ方向の長さが0.238mm、最も短い厚さ方向の長さが0.120mm、繊維集合体Aにおける最も見掛密度の高い部分の見掛密度は0.125g/cm、最も見掛密度の低い部分の見掛密度は0.063g/cm、差が0.062g/cmであった。なお、繊維集合体Bにおける最も長い厚さ方向の長さが0.290mm、最も短い厚さ方向の長さが0.276mm、最も見掛密度の高い部分の見掛密度は0.163g/cm、最も見掛密度の低い部分の見掛密度は0.155g/cm、差が0.008g/cmであった。
(フィルタエレメントの製造)
前記濾材をプリーツ加工機に供し、また、ホットメルト樹脂を用いて不織布から構成された外枠を濾材の周縁部全体に貼り付け、200mm角、プリーツ高さ19mm、プリーツ間隔3mmのフィルタエレメントを製造した。
(比較例1)
(濾材の製造)
実施例1と同じ繊維集合体B前駆体の一方の主面上に、実施例1と同じ脱臭粒子63g/mと融点98℃の低密度ポリエチレン粒子10g/mの混合物を散布し、その後、圧力5kg/cm、温度120℃の水蒸気処理を7秒間行って低密度ポリエチレン粒子を溶融させて、繊維集合体B前駆体と脱臭粒子を接着させた。
さらに、低密度ポリエチレン粒子が溶融している間に繊維集合体B前駆体の脱臭粒子を有する主面上に、実施例1と同じ繊維集合体A前駆体を積層させてロール間距離0.65mmの常温の2本のロールの間に通し、繊維集合体A前駆体と脱臭粒子を接着させ、目付133g/m、厚さ0.65mmの濾材を得た。比較例1の濾材において、繊維集合体Aにおける最も長い厚さ方向の長さが0.188mm、最も短い厚さ方向の長さが0.142mm、繊維集合体Aにおける最も見掛密度の高い部分の見掛密度は0.106g/cm、最も見掛密度の低い部分の見掛密度が0.080g/cm、差が0.026g/cmであった。なお、繊維集合体Bにおける最も長い厚さ方向の長さが0.283mm、最も短い厚さ方向の長さが0.271mm、最も見掛密度の高い部分の見掛密度は0.166g/cm、最も見掛密度の低い部分の見掛密度は0.159g/cm、差が0.007g/cmであった。
(フィルタエレメントの製造)
前記濾材をプリーツ加工機に供し、また、ホットメルト樹脂を用いて不織布から構成された外枠を濾材の周縁部全体に貼り付け、200mm角、プリーツ高さ19mm、プリーツ間隔3mmのフィルタエレメントを製造した。
次の圧力損失試験で、実施例及び比較例の濾材及びフィルタエレメントを評価した。
(圧力損失試験)
実施例及び比較例の濾材及びフィルタエレメントを、有効間口面積0.1mのホルダーにセットし、面風速3m/minで繊維集合体B側から繊維集合体A側に向けて鉛直方向に空気を通過させ、濾材及びフィルタエレメントの上下流の圧力差をMODUS社製デジタルマノメータMA2−04P差圧計で測定した。測定は1つの濾材またはフィルタエレメントから任意に5箇所をサンプリングして行い、その平均値を濾材及びフィルタエレメントの圧力損失(単位:Pa)とした。
圧力損失試験の結果を、以下の表1に示す。
Figure 2021146302
表1の結果から、本発明の構成を有する実施例1の濾材及びフィルタエレメントは、本発明の構成を有しない比較例1の濾材及びフィルタエレメントと比較して、同じ繊維集合体A前駆体及び繊維集合体B前駆体によって製造され、同量の脱臭粒子、及び同量の脱臭粒子と繊維集合体を接着する有機樹脂から構成されているにも関わらず、圧力損失の低い濾材及びフィルタエレメントであることが分かった。
本発明による濾材及びフィルタエレメントは、室内などの空気を清浄化するためのフィルターに使用できるが、特に自動車や鉄道車両などの車室内の空気を清浄化するためのエアフィルターとして好ましく使用される。
1・・・繊維集合体A
2・・・繊維集合体B
3・・・脱臭粒子
4・・・有機樹脂
5・・・繊維集合体Aにおける最も厚さ方向の長さが短い部分
6・・・繊維集合体Aにおける最も厚さ方向の長さが長い部分

Claims (7)

  1. 2つの繊維集合体A、Bの間に脱臭粒子が配置された濾材であって、
    濾材の厚さ方向の断面において、少なくとも一方の繊維集合体Aに見掛密度が高い部分と見掛密度が低い部分が存在し、
    前記一方の繊維集合体Aにおける最も見掛密度の高い部分の見掛密度と、最も見掛密度の低い部分の見掛密度の差が0.030g/cm以上である、濾材。
  2. 繊維集合体Bと脱臭粒子とが有機樹脂を介して接着しており、前記有機樹脂がシート状である、請求項1に記載の濾材。
  3. 繊維集合体Bと脱臭粒子とが有機樹脂を介して接着しており、前記有機樹脂の量が10g/m以下である、請求項1又は2に記載の濾材。
  4. 脱臭粒子の含有量が100g/m以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の濾材。
  5. 濾材の厚さが0.70mm以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の濾材。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の濾材がプリーツ加工されたものと、前記濾材がプリーツ加工されたものの周縁部に外枠を備えてなる、フィルタエレメント。
  7. (1)繊維集合体B前駆体を用意し、繊維集合体B前駆体の一方の主面上に脱臭粒子を配置する工程、
    (2)繊維集合体B前駆体の脱臭粒子を有する主面上に別の繊維集合体A前駆体を積層するとともに加圧し、少なくとも繊維集合体A前駆体を厚さ方向に部分的に変形させて、繊維集合体A前駆体に由来する繊維集合体Aと、繊維集合体B前駆体に由来する繊維集合体Bの間に脱臭粒子が配置された濾材を形成する工程、
    とを有する、請求項1に記載の濾材の製造方法。
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