以下、開示の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下では、本開示の一実施形態としての医療用の内視鏡装置を例に説明する。医療用の内視鏡装置における観察の対象部位は、例えば、呼吸器等、消化器等である。
図1は、本開示の一実施形態に係る内視鏡装置の全体構成を示す外観図である。
図1に示すように、本実施形態の内視鏡装置1は、被検体の内部に挿入される細長い管状の挿入部12と、挿入部12の基端側に配置された操作部11と、一側が操作部11に接続された連結可撓管(ユニバーサルコード)13と、を備えている。
挿入部12は、先端側から順に先端部12a、湾曲可動部12b及び可撓管部12cが連設されて構成されており、可撓管部12aが操作部11の連結部11aに接続された構成になっている。
また、連結可撓管13の他側には、内視鏡装置1をプロセッサ2に接続するコネクタ部13aが設けられている。プロセッサ2は、光源装置、システムコントローラ、画像処理装置等を有し、観察部位の電子画像を表示するモニタ3が付設された構成になっている。
プロセッサ2の光源装置からの照射光は、LCB(Light Carrying Bundle)の一端側に入射し、LCB内で全反射を繰り返すことによって、LCB内を他端側へ伝播する。LCBは、コネクタ部13aから連結可撓管13、及び操作部11を介して、挿入部12の先端部12aに延設されている。
挿入部12の先端部12aには、照明窓,観察窓(対物窓)、等が形成されている。先端部12aの内部には、この照明窓に臨ませて、LCBの出射端からの照射光が入射する配光レンズが設けられている。また、観察窓(対物窓)に臨ませて、観察部位(照明窓からの照射光の被照射部分)からの戻り光を受光する対物レンズが設けられている。
加えて、先端部12aの内部は、対物レンズを介して受光面上の各画素で結像した光学像(観察部位からの戻り光)を光量に応じた電荷として蓄積して、R,G,Bの画素信号を生成して出力する撮像素子,撮像素子を駆動制御して1フィールドもしくは1フレーム分の画素信号を所定の時間間隔(例えば1/60秒あるいは1/30秒間隔)で読み出して出力するドライバ信号処理回路、等が設けられている。
連結可撓管13の管内には、各種信号線,LCB等が挿通されている。各種信号線には、例えば、ドライバ信号処理回路や撮像素子の駆動信号ライン,ドライバ信号処理回路からの画像信号ライン,操作部11に設けられたスイッチからのスイッチ信号ライン、等が含まれる。そのうち、ドライバ信号処理回路や撮像素子の駆動信号ライン,ドライバ信号処理回路からの画像信号ラインは、操作部11を介して、挿入部12の先端部12aに延び、撮像素子やドライバ信号処理回路と接続されている。
プロセッサ2は、システムコントローラがメモリに格納された各種プログラムを実行することによって、内視鏡装置1とプロセッサ2とモニタ3とから構成される内視鏡システム全体を統合的に制御する。プロセッサ2は、コネクタ接続された内視鏡装置1からスイッチ信号ラインを介して受信したスイッチ操作信号を基に、プロセッサ2側の対応機器を駆動制御したり、画像信号ラインを介して受信した画像信号を基に、観察部位の電子画像をモニタに表示したり、画像記録媒体に記録することができる。
このような内視鏡装置1では、操作部11に設けた湾曲操作機構15によって、挿入部12の湾曲可動部12bを所望形態に湾曲させることができる。
図2は、湾曲操作機構が設けられた操作部の構成断面図である。
湾曲操作機構15は、挿入部12の湾曲可動部12bを左右方向として規定される面内で湾曲させるための左右湾曲機構15LRと、湾曲可動部15を左右方向として規定される面と直交する上下方向の面内で湾曲させるための上下湾曲機構15UDとを有している。
操作部11のハウジング11'内には基板11bが固設され、この基板11b上には湾曲操作機構15の回動基軸21の基端側が固定される。その際、回動基軸21の基端側は、ハウジング11'に形成した貫通孔11cを介して、ハウジング11'内に配置される。回動基軸21は、基端側が基板11bに固定された状態で、先端側が、貫通孔11cを介して、ハウジング外部(図中、上方)に突出するようになっている。回動基軸21を基板11b上に固定後、ハウジング11'の貫通孔11cの内周面と後述する固定筒軸台座61の外周面との間に生じる隙間部分は、蓋体11dによって液密に塞がれる。回動基軸21は、剛性部材で形成されている。
ここで、湾曲操作機構15の左右湾曲機構15LRの構成について説明する。
回動基軸21の外周面には、左右湾曲機構15LRを構成する筒状の操作軸体31が、外挿されている。操作軸体31は、その筒軸孔に回動基軸21が挿通されて、回動基軸21に対して回動可能に支持されている。操作軸体31は、回動基軸21と同様に、剛性部材で形成されている。
操作軸体31は、その外周面に、軸方向に沿って回動基軸21の先端側から基端側に向けて、すなわち図中における操作軸体31の上端側から下端側に向けて、底板部31a,嵌合部31b,プーリー取付部31cが順次形成された形態になっている。
底板部31aは、操作軸体31の上端側の外周部が嵌合部31bに対して径方向外方に突出した円板状のフランジ部で構成されている。底板部31aは、その外周部分が左右湾曲機構15LRの操作部としての湾曲操作ノブ33のノブ本体33'と固定される。
嵌合部31bには、後述する上下湾曲機構15UDを構成する筒状の操作軸体41の筒軸孔が操作軸体31に対して回動可能かつ液密に嵌合する。嵌合部31bすなわち操作軸体31の外周には、上下湾曲機構15UDの操作軸体41が、左右湾曲機構15LRと同様に、回動基軸21に対して操作軸体31とは独立に回動可能に外挿されることになる。
プーリー取付部31cには、プーリー35が固定される。プーリー35は、操作軸体31と一体的に回動可能になっている。
湾曲操作ノブ33は、左右湾曲機構15LRの湾曲操作部を構成する。湾曲操作ノブ33のノブ本体33'の外周面は、その周回りに沿って等間隔で、例えば5つの指掛部33aがノブ本体33'の径方向外方に突出して形成されている。
また、ノブ本体33'には、孔軸をノブ本体33'の中心軸に一致させて、大径の有底孔部33bが形成されている。有底孔部33bは、その孔軸に垂直な孔断面形状が円形になっている。有底孔部33bの底部に該当するノブ本体33'の部分には、有底孔部33bの孔軸すなわちノブ本体33'の中心軸と一致させて、ロック軸部材71を挿通させるための軸挿通孔33cが貫通形成されている。
湾曲操作ノブ33は、ノブ本体33'に形成されている有底孔部33bの孔開口を操作軸体31の底板部31aと対向させて、操作軸体31の底板部31aをノブ本体33'の孔開口端に嵌合して固定することによって、操作軸体31に対して固定されている。底板部31aがノブ本体33'に固定されることにより、湾曲操作ノブ33を回動操作すれば、湾曲操作ノブ33に底板部31aが固定されている操作軸体31は、湾曲操作ノブ33に応動して回動し、操作軸体31のプーリー取付部31cに固定されたプーリー35も、湾曲操作ノブ33及び操作軸体31と一体的に回動する。
プーリー35には、一対の同径の巻回部35a,35bが設けられている。各巻回部35a,35bには、それぞれ操作ワイヤ37a,37bが巻回方向を異ならせて固定されている。プーリー35の回動によって、操作ワイヤ37aと操作ワイヤ37b6のうちのいずれか一方の操作ワイヤ37がプーリー35に巻き取られ、いずれか他方の操作ワイヤ37がプーリー35から繰り出される。また、プーリー35の回動方向の正逆切り換えに応じて、巻回部35a,35b間で巻き取り側と繰り出し側とが入れ替わる。
操作ワイヤ35a,35bは、挿入部12の湾曲可動部12bに備えられた、左右湾曲機構15LRの被作動部の節輪にそれぞれ接続されている。左右湾曲機構15LRの被作動部は、操作ワイヤ35a,35bそれぞれの巻き取り及び繰り出し動作に応動して、湾曲可動部12bを左右方向に湾曲する。例えば、図1中のL方向に湾曲操作ノブ33を回動させると、操作軸体31も一体的に回動し、湾曲可動部12bが図中、左方に湾曲する一方、R方向に湾曲操作ノブ33を回動させると、湾曲可動部12bが図中、右方に湾曲する。
その際、図示の例では、プーリー35の巻回部35a,35bは、互いの巻回軸の軸心をずらせて、互いの巻回軸の軸心を操作軸体31の軸心に対して偏心させて設けられている。これにより、湾曲操作ノブ33の回動操作に応じて、巻回部35a,35bのそれぞれ巻回軸が操作軸体31の軸心を中心に公転しながら巻回部35a,35bが回動するので、湾曲操作ノブ33の指掛部33aの回動操作量を操作ワイヤ35a,35bそれぞれの巻き取り及び繰り出し回動量に精度よく伝達できる構成になっている。
また、実施例においては、操作軸体31の底板部31aがノブ本体33'に固定されて、ノブ本体33'の有底孔部33bに、ブレーキ機構収納室39が画成されている。そして、ブレーキ機構収納室39には、操作軸体31の先端の軸孔開口端によって支持されて、左右湾曲機構15LRに付設されたブレーキ機構70の制動力発生機構73が収容されている。
ブレーキ機構70は、左右湾曲機構15LRによる現在の湾曲可動部12bの左右湾曲姿勢状態を保持(ロック)しておきたい場合に、左右湾曲機構15LRの湾曲操作ノブ33が不作為に回動しないように湾曲操作ノブ33の回動に制動(ブレーキ)をかける機構である。ブレーキ機構70は、ロック軸部材71の回動によって制動力発生機構73に制動力発生または制動力解除を行なわせて、湾曲操作ノブ33の回動をロック(制動)又はロック解除(制動解除)できる構成になっている。ここでは、説明上の便宜のため、制動力発生機構73の具体的な構成及び作用についての説明は省略し、追って詳述する。
ブレーキ機構70の制動及び制動解除を行うためのロック軸部材71は、図示の例では、一端側の外周部分がフランジ部71bになった筒軸部材で構成されている。ロック軸部材71は、筒部71aが回動基軸21の先端側の外周部分に外挿されて設けられている。ロック軸部材71は、筒軸孔に回動基軸21が挿通され、回動基軸21に対して回動可能に設けられている。また、ロック軸部材71は、湾曲操作ノブ33の軸挿通孔33cに筒部71aを挿通させ、フランジ部71bを湾曲操作ノブ33のノブ本体33'外に位置させるようにして、湾曲操作ノブ33に対しても回動可能に設けられている。その上で、ロック軸部材71は、回動基軸21の先端側の外周面に取り付けられた止め輪によって、回動基軸21の軸方向に沿った取付位置が規制され、制動力発生機構73は、湾曲操作ノブ33の被制動面(被押圧面)との間の回動基軸21の軸方向に沿った互いの位置合わせがなされている。
ロック軸部材71には、一端側のフランジ部71bに、ブレーキ機構70のブレーキ操作ノブ75が取り付けられて固定されている。ロック軸部材71の他端側の筒部71aは、制動力発生機構73との係合部71cになっている。
ブレーキ操作ノブ75を回動することにより、ロック軸部材71はブレーキ操作ノブ75と一体的に、回動基軸21及び湾曲操作ノブ33に対して回動でき、制動力発生機構73の制動力発生又は制動力解除を行えるようになっている。
次に、湾曲操作機構15の上下湾曲機構15UDの構成について説明する。上下湾曲機構15UDは、回動基軸21の軸方向に沿って、左右湾曲機構15LRと左右湾曲機構15LRのプーリー35との間に位置するように配置されている。
上下湾曲機構15UDは、筒状の操作軸体41を有し、操作軸体41は、左右湾曲機構15LRを構成する操作軸体31の嵌合部31bに、回動可能に外挿されている。操作軸体41は、その外周面に、軸方向に沿って回動基軸21の先端側から基端側に向けて、すなわち図中における操作軸体41の上端側から下端側に向けて、蓋板部41a,嵌合部41b,プーリー取付部41cが順次形成された形態になっている。
蓋板部41aは、操作軸体41の一端側の外周部分が嵌合部41bに対して径方向外方に突出した円板状のフランジ部で構成されている。蓋板部41aは、その外周部分が上下湾曲機構15UDの操作部としての湾曲操作ノブ43のノブ本体43'と固定される。
嵌合部41bは、筒状の固定筒軸台座61の軸孔に対して回動可能に嵌合する。すなわち、嵌合部41bすなわち操作軸体41の外周には、固定筒軸台座61が外挿される。
プーリー取付部41cには、プーリー45が固定される。プーリー45は、操作軸体41と一体的に回動可能になっている。
湾曲操作ノブ43は、上下湾曲機構15UDの湾曲操作部を構成する。湾曲操作ノブ43のノブ本体43'の外周面は、その周回りに沿って等間隔で、例えば5つの指掛部43aがノブ本体43'の径方向外方に突出して形成されている。
湾曲操作ノブ43のノブ本体43'には、孔軸をノブ本体43'の中心軸に一致させて、大径の貫通孔部43bが形成されている。貫通孔部43bは、その孔軸に垂直な孔断面形状が円形になっている。
貫通孔部43bの一端側開口部分(図中、上方側開口部分)は、操作軸体41の蓋板部41aとの嵌合部になっている。貫通孔部43bの一端側開口には、操作軸体41の蓋板部41aが嵌合し、一端側開口は、蓋板部41aによって液密に施蓋される。
貫通孔部43bの他端側開口部分(図中、下方側開口部分)は、環状の底板部63との嵌合部になっている。底板部63には、湾曲操作ノブ43の貫通孔部43bとの固定状態で、孔軸を貫通孔部43bの孔軸及びノブ本体43'の中心軸と一致させるようにして、後述するロック軸部材81を挿通させるための軸挿通孔65が貫通形成されている。
湾曲操作ノブ43は、ノブ本体43'に形成されている貫通孔部43bの一端側開口部分に操作軸体41の蓋板部41aを嵌合することによって、操作軸体41に対して固定され、湾曲操作ノブ43と操作軸体41とは、操作軸体31に対して一体的に回動可能できるようになっている。湾曲操作ノブ43と操作軸体41とが固定されることにより、湾曲操作ノブ43を回動操作すれば、湾曲操作ノブ43に蓋板部41aが固定されている操作軸体41は、湾曲操作ノブ43に応動して回動し、操作軸体41のプーリー取付部41cに固定されたプーリー45も、湾曲操作ノブ43及び操作軸体41と一体的に回動する。その際、湾曲操作ノブ43に固定された底板部63は、ロック軸部材81の周りをxリングを介して回動し、湾曲操作ノブ43はロック軸部材81に対しても相対回動できるようになっている。
プーリー45には、一対の同径の巻回部45a,45bが設けられている。各巻回部45a,45bには、それぞれ操作ワイヤ47a,47bが巻回方向を異ならせて固定されている。プーリー45の回動によって、操作ワイヤ47aと操作ワイヤ47bのうちのいずれか一方の操作ワイヤ47がプーリー45に巻き取られ、いずれか他方の操作ワイヤ47がプーリー45から繰り出される。また、プーリー45の操作回動の正逆切り換えに応じて、巻回部45a,45b間で巻き取り側と繰り出し側とが入れ替わる。
操作ワイヤ47a,47bは、挿入部12の湾曲可動部12bに備えられた、上下湾曲機構15UDの被作動部の節輪にそれぞれ接続されている。上下湾曲機構15UDの被作動部は、操作ワイヤ47a,47bそれぞれの巻き取り及び繰り出し動作に応動して、湾曲可動部12bを上下方向に湾曲させる。例えば、図1中のU方向に湾曲操作ノブ43を回動させると、操作軸体41も一体的に回動し、湾曲可動部12bが図中、上方に湾曲される一方、湾曲操作ノブ43をD方向に回動させると、湾曲可動部12bが図中、下方に湾曲される。
その際、図示の例では、プーリー45の巻回部45a,45bも、プーリー3524の巻回部35a,35bの場合と同様に、互いの巻回軸の軸心をずらせて、互いの巻回軸の軸心を操作軸体41の軸心に対して偏心させて設けられている。これにより、湾曲操作ノブ43の指掛部43aの回動量を操作ワイヤ47a,47bそれぞれの巻き取り及び繰り出し回動量に精度よく伝達できる構成になっている。
また、実施例においては、操作軸体41の蓋板部41a,底板部63がノブ本体43'に固定されて、ノブ本体43'には、ブレーキ機構収納室49が貫通孔部43bに画成される。そして、ブレーキ機構収納室49には、固定筒軸台座61及びこの固定筒軸台座61に支持されたロック軸部材81によって支持されて、上下湾曲機構15UDに付設されたブレーキ機構80の制動力発生機構83が収容されている。
ブレーキ機構80は、上下湾曲機構15UDによる現在の湾曲可動部12bの上下湾曲姿勢状態を保持(ロック)しておきたい場合に、上下湾曲機構15UDの湾曲操作ノブ43が不作為に回動しないように湾曲操作ノブ43の回動に制動(ブレーキ)をかける機構である。ブレーキ機構80は、ロック軸部材81の回動によって制動力発生機構83に制動力発生または制動力解除を行なわせて、湾曲操作ノブ43の回動をロック又はロック解除できる構成になっている。ここでは、説明上の便宜のため、制動力発生機構83の具体的な構成及び作用についての説明は省略し、追って詳述する。
ブレーキ機構80の制動及び制動解除を行うためのロック軸部材81は、図示の例では、一端側の外周部分がフランジ部81bになった筒軸部材で構成されている。ロック軸部材81のフランジ部81bには、その周回りの所定箇所に取付部81cが突出形成されている。取付部81cには、ブレーキ操作レバー85が取り付け固定されている。ブレーキ操作レバー85は、回動基軸21を中心とした径方向に、レバーの操作端が湾曲操作ノブ43よりも外側に突出する形態になっている。
ロック軸部材81は、筒部81aが固定筒軸台座61の外周面に外挿されて、固定筒軸台座61に対して回動可能に設けられている。図示の例では、固定筒軸台座61は、小径の軸孔部分と大径の軸孔部分とが互いの軸心を合わせて連設され、段付貫通孔部を備えた筒状部材で構成されている。固定筒軸台座61は、大径の軸孔部分の開口が設けられた側の開口縁部が回動基軸21と共に基板11bに固定される。
固定筒軸台座61の貫通段付孔部における小径の軸孔部分には、回動基軸21,操作軸体31,操作軸体41が挿通され、大径の軸孔部分には、回動基軸21,操作軸体31,操作軸体41が挿通され、さらに操作軸体31に固定されたプーリー35及び操作軸体41に固定されたプーリー45が収容されている。プーリー35,45が収容された固定筒軸台座61の基端側部分には、プーリー35,45から操作ワイヤ37,47,を導出するための導出切欠部61aが設けられている。
小径の軸孔部分が設けられた側の固定筒軸台座61の先端側部分は、ハウジング11'の蓋体11dに備えられた貫通孔11c、ロック軸部材81の筒軸孔、及びブレーキ機構収納室49の制動力発生機構83を挿通される。
固定筒軸台座61の先端の軸孔開口端によって、湾曲操作機構15における回動基軸21の軸方向に沿って、上下湾曲機構15UDの湾曲操作ノブ43が左右湾曲機構15LRの湾曲操作ノブ33とハウジング11'との間に重なって配置されるように支持される。
また、固定筒軸台座61の先端側部分の外周面に適宜形成された支持段部61bによって、ブレーキ機構80の制動力発生機構83は、湾曲操作ノブ43のブレーキ機構収納室49に収容支持され、ロック軸部材81は、回動基軸21の軸方向に沿ってブレーキ操作レバー85が湾曲操作ノブ43とハウジング11'との間に配置されるように支持される。
ブレーキ操作レバー85が回動操作されると、ロック軸部材81は、固定筒軸台座61すなわち回動基軸21に対して、ブレーキ操作レバー85と一体的に回動するようになっている。
次に、湾曲操作機構15に備えられたブレーキ機構の構成について詳細に説明する。説明に当たって、左右湾曲機構15LRのブレーキ機構70と上下湾曲機構15UDのブレーキ機構80とは、それぞれの制動力発生機構73,83の構成が湾曲操作ノブ33,43のブレーキ機構収納室39,49に設けられ、湾曲操作ノブ33の有底孔部33b及び湾曲操作ノブ43の貫通孔部43bそれぞれの孔内周面を被制動面(被押圧面)としている点で同じであり、両者は略同様な構成なので、以下では、上下湾曲機構15UDのブレーキ機構80を例に、ブレーキ機構70,80の具体的構成及び作用について、図面に基づき説明する。
図3は、図2に示された内視鏡装置における上下湾曲機構15UDのブレーキ機構80部分の拡大図である。図4は、図3においてIV−IV矢視方向に眺めたブレーキ機構80の断面図である。
図3,図4に示すように、ブレーキ機構80は、ブレーキ操作部としてのブレーキ操作レバー85と、ブレーキ操作レバー85のブレーキ力の発生又は解放操作を、湾曲操作ノブ43のブレーキ機構収納室49の内部へ伝達するロック軸部材81と、ブレーキ機構収納室49に収容され、ロック軸部材81を介して伝達されるブレーキ力の発生操作又は解放操作に応じて制動力の発生又は解放を行う制動力発生機構83と、を有する構成になっている。
図2,図3に示すように、ブレーキ操作レバー85の回動は、固定筒軸台座61に回動可能に外挿されたロック軸部材81に伝達される。固定筒軸台座61は、湾曲操作ノブ43が固定された操作軸体41が回動可能に外挿された回動基軸21とともに、ハウジング11'内の基板11bに固定されている。これにより、ブレーキ操作レバー85は、湾曲操作ノブ43とは独立に回動操作が行える。
制動力発生機構83は、湾曲操作ノブ43のブレーキ機構収納室49に収容されている。制動力発生機構83は、ブレーキ機構収納室49を形成する貫通孔部43bの孔内周面を被制動面(被押圧面)にして、制動力の発生又は解放を行う。制動力発生機構83は、自身が収納されるブレーキ機構収納室49の収納室周壁を被制動面にすることによって、回動基軸21及び固定筒軸台座61の軸方向に沿った自身の寸法を抑えることができる。
図示の上下湾曲機構15UDの制動力発生機構83の場合は、制動力発生機構83は、固定筒軸台座61の先端側の外周に螺嵌された環状の止め具67により、固定筒軸台座61の外周面に形成された支持段部61bとの間で挟持される。これにより、湾曲操作ノブ43の被制動面(被押圧面)との間の回動基軸21及び固定筒軸台座61の軸方向に沿った互いの位置合わせ、及びブレーキ操作レバー85及びロック軸部材81の固定筒軸台座61の軸方向に沿ったガタツキ防止をはかっている。
図3,図4に示すように、制動力発生機構83は、ベース110、一対の押圧片(当て駒)130(130R,130L)、ブレーキ駆動レバー150、及び駆動バネ170を備えて構成されている。
そして、制動力発生機構83は、ブレーキ操作レバー85の回動操作にクリック感を与えるクリック感発生機構88も兼ねた構成になっている。クリック発生機構88は、挿入部12の湾曲可動部12bの湾曲姿勢が、制動力発生機構83が発生する制動力によってどのくらいの程度のロック(保持)状態にあるか、全くロック(姿勢保持)されていないフリー(非保持)状態にあるかを、ブレーキ操作レバー85の回動操作に伴うクリック感で使用者に感得させる機構である。
ベース110は、固定筒軸台座61の外周面に固定され、一対の押圧片130をベース110に対してそれぞれ揺動可能に支持する。
一対の押圧片130(130R,130L)は、ベース110に対する取付軸部134を支点にした回動によって、ベース110と同一平面上で、ベース110に対して拡開及び収束するように揺動する。
ブレーキ駆動レバー150は、ロック軸部材81に、ロック軸部材81とともに一体的に回動自在に取り付けられている。ブレーキ駆動レバー150は、ブレーキ操作レバー85の回動操作に基づくロック軸部材81の回動によって、固定筒軸台座61及びこの固定筒軸台座61の外周面に固定されたベース110に対して回動する。ブレーキ駆動レバー150は、駆動バネ170とのバネ係合部152を有し、その回動操作に応じて、バネ係合部152に係合されている駆動バネ170を回動変位させる。
駆動バネ170は、制動力発生機構83のアクチュエータとして、ブレーキ駆動レバー150の駆動に応じて一対の押圧片130それぞれに、押圧片130をベース110に対して拡開させるバネ付勢力を付与する。
次に、クリック感発生機構88も兼ねた制動力発生機構83の各部の詳細な構成について、図面とともに説明する。
図5は、図3,図4において示したベースの具体的な構成図である。図5において、図5(A)は、回動基軸21及び固定筒軸台座61の軸方向に係り、斜め上方からベース110を眺めた外観構成図、図5(B)は、回動基軸21及び固定台座61の軸方向に係り、斜め下方からベース110を眺めた外観構成図、図5(C)は、図4に示したブレーキ機構80の断面図からベース110を抜き取って表したベース110の断面図である。
ベース110は、基部111の周りに、3つのバネガイド部112,113,114が一体的に備えられた盤状の成型部材で構成されている。ベース110は、湾曲操作ノブ43のブレーキ機構収納室49に収容可能な大きさ寸法になっている。
ベース110では、基部111がベース110の中央部を構成し、基部111には、固定筒軸台座61の外周面と嵌合する貫通孔115、及び固定筒軸台座61の先端側の外周に螺嵌される環状の止め具67が係合する係合凹部116が同軸で形成されている。図示の例では、貫通孔115は、孔軸に垂直な孔断面形状が角丸四角形状になっており、固定筒軸台座61の先端側に形成された角丸四角形状の筒外周が挿嵌され、ベース110は固定筒軸台座61とともに回動できないようになっている。
3つのバネガイド部112,113,114は、基部111の周りにそれぞれの突出方向を異ならせて放射状に形成されている。各バネガイド部112,113,114は、基部111の貫通孔115の孔軸を中心にしてブレーキ機構収納室49を形成する貫通孔部43bの孔内周面の半径よりも小さい半径の円弧状の外縁部分を備え、それぞれの外縁部分には、駆動バネ170の変位移動を案内するガイド溝117,118及びガイド孔119が形成されている。
3つのバネガイド部117,118,119は、図5(C)に示されているように、2つのバネガイド部117,118は、残りの1つのバネガイド部119の基部111に対する突出する向きを対称軸o-oにして、互いの配置が線対称になるように配置されている。これにより、ベース110は、3つのバネガイド部117,118,119が基部111の貫通孔115の孔軸を交点部とした‘Y’の字形態になっている。
その上で、ベース110は、バネガイド部112とバネガイド部114との間のベース外縁部分と、バネガイド部113とバネガイド部114との間のベース外縁部分とが、それぞれ押圧片130の収束縁部121,122となっている。加えて、各収束縁部121,122におけるバネガイド部112,113側寄りには、押圧片130(130R,130L)の取付軸孔124(124R,122L)が形成されている。取付軸孔124R,122Lは、バネガイド部114の基部111に対して突出する向きを対称軸o−oにして、互いの配置位置が線対称位置になるように形成されている。また、ベース110は、バネガイド部112とバネガイド部113との間のベース外縁部分が、ブレーキ駆動レバー150のレバー移動ガイド部125になっている。
図6は、図3,図4において示した押圧片130(130R,130L)の具体的な構成図である。図6において、図6(A)は、回動基軸21及び固定筒軸台座61の軸方向に係り、斜め上方から押圧片130R,130Lを眺めた外観構成図、図6(B)は、図4に示したブレーキ機構の断面図から押圧片130R,130Lを抜き取って表した、ベースの断面図である。
本実施例では、図4に示した押圧片130R,130Lは、ともに同じ形状・大きさの押圧片130で構成され、表裏を異ならせて使用することにより、押圧片130R又は130Lとして使用可能になっている。
押圧片130は、円弧状の周面部からなる押圧部131と、ベース110の収束縁部121,122と同様な形状の周面部からなる収束部132と、を備えた弓形状の成型部材で構成されている。押圧片130の押圧部131は、ベース110のバネガイド部112,113,114それぞれの円弧状の外縁部分と径の大きさが略同じ円弧状の周面部で形成され、この円弧状の周面部のうちの一部は他の周面部に対して径方向に小量だけ突出し、ブレーキ機構収納室49を形成する貫通孔部43bの孔内周面に当接可能な当接部133になっている。また、押圧片130の収束部132には、その長さ方向の一方側に寄せて、ベース110の収束縁部121,122に形成された取付軸孔124(124R,124L)に回動可能に係合する取付軸部134が一体的に突出形成されている。
その上で、弓形状の成型部材で構成された押圧片130の内部には、図6(B)に示すように、押圧部131の円弧状の周面部に沿って延びるバネガイド孔135が形成されている。そして、バネガイド孔135の外周側すなわち押圧部131側の孔内壁面には、複数の湾曲凹部136(136-1〜136-4)が、押圧部131の円弧方向に沿って波形形状で連設された形態になっている。
各湾曲凹部136は、それぞれの凹部周壁の底位置及び縁位置を例えば押圧部131の円弧状の周面部の円弧中心からの距離を異ならせる等して、相互に調整されて形成されている。図示の例では、各湾曲凹部136-1〜136-4は、押圧片130の長さ方向に関して押圧片130の自由端になる他端側から取付軸部134が形成された固定端になる一端側に向けて、円弧状の周面部の円弧中心から凹部周壁の底位置及び縁位置までの距離が順次増加するように形成されている。
押圧片130R,130Lは、図4に示すように、各取付軸部134をベース110の収束縁部121,122に形成された取付軸孔124R,124Lに係合させて、押圧片130R,130Lそれぞれの収束部132をベース110の収束縁部121,122に対向させるようにして、ベース110に対して取り付けられる。
これにより、押圧片130R,130Lは、ベース110に対する取付軸部134を支点にした回動によって、ベース110と同一平面上で、ベース110に対して拡開及び収束するように揺動できるようになっている。この場合、押圧片130R,130Lの拡開状態とは、押圧片130の自由端になる他端側がベース110の収束縁部121,122に対して離間している押圧片130R,130Lのベース110に対する回動状態を指し、押圧片130R,130Lの収束状態とは、押圧片130の自由端側になる他端側がベース110の収束縁部121,122に対して最も近寄った押圧片130R,130Lのベース110に対する回動状態を指すものとする。
そのために、押圧片130R,130Lも、ベース110に対して取り付けられてブレーキ機構収納室49に収容された状態で、その収束状態では、押圧部131がブレーキ機構収納室49を形成する湾曲操作ノブ43の貫通孔部43bの孔内周面(被制動面、被押圧面)に当接せずに離間状態を保てる大きさ・形状で構成されている。
図7は、図3,図4において示したブレーキ駆動レバー150の具体的な構成図である。図7において、図7(A)は、回動基軸21及び固定筒軸台座61の軸方向に係り、上方からブレーキ駆動レバー150を眺めた外観上面図、図7(B)は、図7(A)においてB−B矢視方向に眺めたブレーキ駆動レバー150の一部切断側面図、図7(C)は、回動基軸21及び固定筒軸台座61の軸方向に係り、下方からブレーキ駆動レバー150を眺めた外観下面図である。
ブレーキ駆動レバー150は、盤状の円環部151と、その外周部に一体的に形成されたバネ係合部152とを有する構成になっている。円環部151は、軸挿通孔153を備え、軸挿通孔153は、固定筒軸台座61の段付貫通孔部部分が挿通可能な大きさになっている。ブレーキ駆動レバー150は、軸挿通孔153に固定筒軸台座61の段付貫通孔部部分が挿通された状態で、固定筒軸台座61すなわち回動基軸21に対して回動自在になっている。
ブレーキ駆動レバー150は、円環部151の上面の、軸挿通孔153352の開口周りには、環状のベース支持部154が形成されている。ベース支持部154は、固定筒軸台座61の軸端部部分を貫通孔115に嵌合させて固定筒軸台座61に回動不能に取り付けられたベース110を支持する。また、円環部151の下面の軸挿通孔153の開口部には、ロック軸部材81の軸端部が係合する係合凹部155が形成されている。図示の例では、係合凹部155は、角丸四角形状の凹部内周面を備え、係合凹部155には、ロック軸部材81の角丸四角形状の筒外周を有した軸端部が互いの孔軸を合わせて係合できるようになっている。軸端部を係合凹部155に係合させたロック軸部材81は、ロック軸部材81自身の固定筒軸台座61すなわち回動基軸21に対する回動を、ブレーキ駆動レバー150に伝達できる構成になっている。ブレーキ駆動レバー150は、ブレーキ操作レバー85の回動操作によって固定筒軸台座61すなわち回動基軸21に対して回動するロック軸部材81とともに、固定筒軸台座61すなわち回動基軸21に対して一体的に回動できるようになっている。
ブレーキ駆動レバー150のバネ係合部152は、円環部151の径方向外方に突出した位置で、ベース支持部154が形成された円環部151の軸方向端面側から上方に軸方向に沿って延びる係合柱部156を有して構成されている。バネ係合部152は、ベース支持部154によって支持されたベース110のレバー移動ガイド部125に配置され、ベース110の貫通孔115の孔軸を中心にした円弧方向に沿って、レバー移動ガイド部125を移動できるようになっている。したがって、ブレーキ駆動レバー150のバネ係合部152は、ブレーキ操作レバー85の回動操作によって固定筒軸台座61すなわち回動基軸21に対して回動するロック軸部材81に連動して、固定筒軸台座61に対して回動不能に取り付けられたベース110のレバー移動ガイド部125に沿って移動できるようになっている。
図8は、図3,図4において示した駆動バネ170の具体的な構成図である。図8において、図8(A)は、回動基軸21及び固定筒軸台座61の軸方向に沿った向きに駆動バネ170を眺めた平面外観図、図8(B)は、図8(A)においてB−B矢視方向に眺めた駆動バネ170の外観図である。
駆動バネ170は、板バネ部材を屈曲成形して構成された付勢力発生部材で、その平面外観形状は、図8(A)に示すように、開放部171と係合凹部172とが対極位置に形成された壺状の開放型湾曲形状になっている。
駆動バネ170は、開放部171を形成する板バネ端部と係合凹部172を形成する板バネ中間部分との間を繋ぐ一対の板バネ揺動部173(173R,173L)が、開放部171と係合凹部172とを結ぶ中心線o−oを対称軸にして線対称形状になっている。各板バネ揺動部分173は、開放部171を形成する板バネ端部173pから係合凹部172の凹部縁部173qに向けて、山折りされた肩部174、谷折りされたくびれ部175、湾曲突出された湾曲部176が連設された形態になっている。
駆動バネ170は、その係合凹部172が固定支持された状態で、図8(A)中に破線で示すように、開放部171を形成する板バネ揺動部173それぞれの板バネ端部173p同士が近接するように、板バネ揺動部173(173R,173L)が図8(A)中に実線で示した常態に対して撓み変形できる構造になっている。
駆動バネ170は、押圧片130R,130Lがベース110に対して拡開及び収束するように揺動可能に取り付けられた状態で、板バネ揺動部173R,173Lがそれぞれ対応する押圧片130R,130Lのバネガイド孔135に挿通される。そして、この挿通状態で、駆動バネ170は、係合凹部172をベース110のレバー移動ガイド部125に位置させて、押圧片130R,130Lとともにベース110の3つのバネガイド部112,113,114によって案内支持される。駆動バネ170の装着によって、押圧片130R,130L及びベース110は、駆動バネ170とともに制動力発生機構83のアッセンブリとして一体化される。
そして、制動力発生機構83のアッセンブリは、ベース110の貫通孔115に固定筒軸台座61の軸端部を挿通させて、軸挿通孔153に固定筒軸台座61の軸端部を挿通させたブレーキ駆動レバー150の円環部151上に搭載される。この搭載に当たっては、レバー移動ガイド部125に位置されている駆動バネ170の係合凹部172には、ブレーキ駆動レバー150のバネ係合部152が係合される。
図9は、湾曲操作機構15の上下湾曲機構15UDに設けられたブレーキ機構80の組み付け工程図である。
ブレーキ機構80は、固定筒軸台座61の筒外周に、まず、ブレーキ操作レバー85が取り付けられたロック軸部材81が回動可能に取り付けられる。その際、ロック軸部材81の筒部81aの外周には、底板部63がロック軸部材81に対して回動可能に取り付けられている。次に、固定筒軸台座61の筒外周には、ブレーキ駆動レバー150がその係合凹部155をロック軸部材81の軸端部に係合させて取り付けられる。これにより、ブレーキ駆動レバー150は、ブレーキ操作レバー85の回動操作に応動して、ロック軸部材81とともに一体的に固定筒軸台座61の外周回りを回動可能になる。
ブレーキ駆動レバー150が設けられた位置よりも先端側の固定筒軸台座61の外周部分には、制動力発生機構83のアッセンブリを構成するベース110が係合される。制動力発生機構83のアッセンブリは、ベース110と、ベース110に回動可能に取り付けられてベース110に対し拡開及び収束可能な一対の押圧片130(130R,130L)と、駆動バネ170との組み立て体である。その際には、制動力発生機構83のアッセンブリを構成する駆動バネ170の係合凹部172は、ブレーキ駆動レバー150のバネ係合部152に設けられた係合柱部156と係合させられる。そして、制動力発生機構83のベース110は、止め具67により、固定筒軸台座61の外周面に固定支持される。
また、外周面にロック軸部材81、制動力発生機構83のアッセンブリが設けられた固定筒軸台座61の筒部内には、操作軸体41の嵌合部41bが挿入され、固定筒軸台座61に対して操作軸体41が回動可能に設けられる。そして、湾曲操作ノブ43が、その貫通孔部43bに制動力発生機構83のアッセンブリを収容するようにして、操作軸体41の蓋板部41a、ロック軸部材81に外挿された底板部63に対して取り付けられ、制動力発生機構83のアッセンブリはブレーキ機構収納室49に収容される。
このようにしてブレーキ機構80が組み付けられた上下湾曲機構15UDでは、図3,図4に示すように、湾曲操作ノブ43の回動操作に応動して、操作軸体41が固定筒軸台座61の筒部内で回動基軸21に対して回動できるようになっており、ブレーキ操作レバー85の回動操作に応動して、ロック軸部材81及び制動力発生機構83のブレーキ駆動レバー150が固定筒軸台座61及び制動力発生機構83のベース110に対して回動できるようになっている。そして、制動力発生機構83では、このブレーキ駆動レバー150のベース110に対する回動に伴って、駆動バネ170の係合凹部172と係合しているブレーキ駆動レバー150のバネ係合部152がベース110のレバー移動ガイド部125に沿って移動し、駆動バネ170も、ベース110のバネガイド部112,113,114並びに押圧片130R,130Lそれぞれのバネガイド孔135に沿って、ベース110の貫通孔115に係合された固定筒軸台座61の周りを回動変位できるようになっている。制動力発生機構83は、この駆動バネ170の固定筒軸台座61の周りの回動変位に応じて、図10〜図12に示すように、湾曲操作ノブ43の貫通孔部43bの孔内周面を被制動面(被押圧面)にして制動力の発生又は解放を行うことができる。
図10は、湾曲操作ノブ43の回動操作がロック状態になっている場合の制動力発生機構83の動作状態説明図、図11は、湾曲操作ノブ43の回動操作がハーフロック状態になっている場合の制動力発生機構83の動作状態説明図、図12は、湾曲操作ノブ43の回動操作がフリー状態になっている場合の制動力発生機構83の動作状態説明図、をそれぞれ示す。図10〜図12はいずれも、制動力発生機構83の動作状態を、図3におけるIV−IV矢視方向に眺めた断面図である。また、図13は、湾曲操作ノブ43の回動操作がロック状態になっている場合のブレーキトルクの説明図である。
図10に示すように、湾曲操作ノブ43の回動操作のロック状態は、ブレーキ操作レバー85を回動操作してブレーキ駆動レバー150をベース110に対して回動させ、ブレーキ駆動レバー150のバネ係合部152に設けられた係合柱部156を、ベース110のレバー移動ガイド部125に沿ってバネガイド部113側寄りに位置させることによってなされる。これに伴って、駆動バネ170は、ベース110のバネガイド部112,113,114並びに押圧片130R,130Lそれぞれのバネガイド孔135に沿って、ベース110の貫通孔115に係合された固定筒軸台座61の周りを回動変位し、このロック状態では、駆動バネ170の双方の肩部174,174は、一対の押圧片130R,130Lそれぞれの湾曲凹部136-2に係合し、ベース110に対しての回動位置が位置決めされるようになる。この位置決め状態では、駆動バネ170は、図8(A)中に実線で示した常態に対して破線で示すような収縮状態になっており、一対の板バネ揺動部173の板バネ端部173p同士が近接し、板バネ端部173p間の距離Dが常態に対して縮小した状態になっている。そして、駆動バネ170の双方の肩部174,174が係合する押圧片130R,130Lそれぞれの湾曲凹部136-2には、この収縮状態の駆動バネ170のバネ力Pが作用しているため、押圧片130R,130Lそれぞれは取付軸部134を中心にして回動し、押圧片130R,130Lそれぞれの収束部132の自由端側はベース110の収束縁部121,122から離間させられ、押圧片130R,130Lそれぞれはベース110に対して拡開し、それぞれの押圧部131に設けられた当接部133が湾曲操作ノブ43の貫通孔部43bの孔内周面からなる被制動面を押圧力P'で押圧する。
この場合、図13に基づいて、駆動バネ170のバネ力Pと駆動バネ170の撓みとの関係を説明すれば、
板バネからなる駆動バネ170のバネ力P
P=bt3Ed/(4L3) ・・・・式(1)
になり、
駆動バネ170の曲げ応力σは、駆動バネ170を例えばSUS304を用いて形成した場合、88[kg/mm2]で塑性変形してしまい、
σ=1.5dtE/L2 ・・・・式(2)
になる。
ここで、
P:駆動バネ170のバネ力P
b:駆動バネ170を構成するSUSの線板幅[mm]、
t:駆動バネ170を構成するSUSの線板厚[mm]、
E:駆動バネ170の縦弾性係数 2×104[kg/mm2]、
d:駆動バネ170の撓み量[mm]、
L:支点から荷重点までの長さ[mm]、
である。
そして、押圧片130R,130Lそれぞれの押圧部131に設けられた当接部133による、湾曲操作ノブ43の貫通孔部43bの孔内周面からなる被制動面に対する押圧力(押し付け力)P'は、
P'=P・A/B ・・・・式(3)
になる。
ここで、
A:図13に示した、駆動バネ170のベース110上における支点から板バネ端部173pの荷重点までの長さ[mm]、
B:図13に示した押圧片130R,130Lそれぞれのベース110に対する回動支点から当接部133の荷重点までの長さ[mm]、
である。
そして、押圧片130R,130Lそれぞれの当接部133が湾曲操作ノブ43に及ぼすブレーキトルクT[kgmm]は、
T=μP'R ・・・・式(4)
になる。
ここで、
μ:押圧片130R,130Lそれぞれの当接部133と被制動面としての湾曲操作ノブ43の貫通孔部43bの孔内周面との間の摩擦係数、
R:被制動面としての湾曲操作ノブ43の貫通孔部43bの孔内周面の半径[mm]、
である。
このように、図示のブレーキ機構80では、制動力発生機構83は、湾曲操作ノブ43の貫通孔部43bで形成されたブレーキ機構収納室49に収容される。そして、制動力発生機構83は、湾曲操作ノブ43が取付られて湾曲操作ノブ43と一体的に回動する、湾曲操作ノブ43の貫通孔部43bの孔軸に対して垂直な操作軸体41の蓋板部41aの板面に対してではなく、湾曲操作ノブ43の貫通孔部43bの孔軸に対して平行な貫通孔部43bの孔内周面に対して、駆動バネ170によって押圧片130R,130Lそれぞれの当接部133を押し当てることができる。
同様に、図11に示すように、湾曲操作ノブ43の回動操作のハーフロック状態は、ブレーキ操作レバー85を回動操作してブレーキ駆動レバー150をベース110に対して回動させ、ブレーキ駆動レバー150のバネ係合部152に設けられた係合柱部156を、ベース110のレバー移動ガイド部125に沿ってバネガイド部113の中央部に位置させることによってなされる。これに伴って、駆動バネ170は、ベース110のバネガイド部112,113,114並びに押圧片130R,130Lそれぞれのバネガイド孔135に沿って、ベース110の貫通孔115に係合された固定筒軸台座61の周りを回動変位し、このハーフロック状態では、駆動バネ170の一方の肩部174は一対の押圧片130R,130Lのうちの押圧片130Rの湾曲凹部136-1に係合し、他方の肩部174は押圧片130Lの湾曲凹部136-3に係合して、ベース110に対しての回動位置が位置決めされるようになる。この位置決め状態では、駆動バネ170は、図8(A)中に実線で示した常態に対して破線で示すような収縮状態になっており、一対の板バネ揺動部173の板バネ端部173p同士が近接し、板バネ端部173p間の距離Dが常態に対して縮小し、かつ図10に示したロック状態に対しては拡がった状態になっている。そして、駆動バネ170の一対の肩部174,174が係合する押圧片130Rの湾曲凹部136-1及び押圧片130Lの湾曲凹部136-3には、この収縮状態の駆動バネ170のバネ力Pが作用しているため、押圧片130R,130Lそれぞれは取付軸部134を中心にして回動し、押圧片130R,130Lそれぞれの収束部132の自由端側はベース110の収束縁部121,122から離間させられ、押圧片130R,130Lそれぞれはベース110に対して拡開し、それぞれの押圧部131に設けられた当接部133が湾曲操作ノブ43の貫通孔部43bの孔内周面からなる被制動面を、図10に示したロック状態の場合の押圧力P'よりも小さな大きさ、例えばロック状態の場合の押圧力P'の略半分の大きさの押圧力P'/2で押圧する。
これにより、押圧片130R,130Lそれぞれの当接部133が湾曲操作ノブ43に及ぼすブレーキトルクTの大きさは、図10に示したロック状態の場合よりも小さな大きさになり、湾曲操作ノブ43はロック状態の場合よりも緩いハーフロック状態でロックされていることになる。
一方、図12に示すように、湾曲操作ノブ43の回動操作のフリー状態は、ブレーキ操作レバー85を回動操作してブレーキ駆動レバー150をベース110に対して回動させ、ブレーキ駆動レバー150のバネ係合部152に設けられた係合柱部156を、ベース110のレバー移動ガイド部125に沿ってバネガイド部112側寄りに位置させることによってなされる。これに伴って、駆動バネ170は、ベース110のバネガイド部112,113,114並びに押圧片130R,130Lそれぞれのバネガイド孔135に沿って、ベース110の貫通孔115に係合された固定筒軸台座61の周りを回動変位し、このフリー状態では、駆動バネ170の一方の肩部174はベース110のバネガイド部114に設けられたガイド孔119の孔内壁面に係合し、他方の肩部174は押圧片13130Lのいずれの湾曲凹部136-1〜136-4とも係合せずに、ベース110に対しての回動位置が位置決めされるようになる。この位置決め状態では、駆動バネ170は、図8(A)中に実線で示した常態すなわち自然状態になっており、一対の板バネ揺動部173の板バネ端部173p同士は近接せずに、板バネ端部173p間の距離Dが図11に示したハーフロック状態に対しても拡がった状態になっており、最大に拡がった状態になっている。そして、駆動バネ170の一対の肩部174,174のうちの一方はベース110のバネガイド部114によって支持され、他方は押圧片130Rのいずれの湾曲凹部136-1〜136-4によっても支持されないので、押圧片130R,130Lそれぞれは取付軸部134を中心にして回動し、押圧片130R,130Lそれぞれの収束部132の自由端側をベース110の収束縁部121,122に近接させて、押圧片130R,130Lそれぞれをベース110に対して収束させることが可能になる。
これにより、それぞれの押圧部131に設けられた当接部133が湾曲操作ノブ43の貫通孔部43bの孔内周面からなる被制動面から離間できるようになり、湾曲操作ノブ43の貫通孔部43bの孔内周面からなる被制動面には、当接部133から押圧力P'が作用しなくなる。
したがって、この上下湾曲機構15UDに備えられたブレーキ機構80によれば、ブレーキ操作レバー83の回動操作によって制動力発生機構83に制動力発生または制動力解除を行なわせて、湾曲操作ノブ43の現在の回動操作位置を、図10に基づき説明したロック状態、図11に基づき説明したハーフロック状態、図12に基づき説明したフリー状態のうちのいずれかの状態で選択的に保持することができる。そして、図10に基づき説明したロック状態、又は図11に基づき説明したハーフロック状態では、湾曲操作ノブ43が不作為に回動しないように湾曲操作ノブ43の回動に制動(ブレーキ)をかけられる。これら場合において、湾曲操作ノブ43にかかる制動力の大きさは、図10に基づき説明したロック状態の場合が図11に基づき説明したハーフロック状態の場合よりも大きくなるようになっていて、図10に基づき説明したロック状態、図11に基づき説明したハーフロック状態、図12に基づき説明したフリー状態のうちのいずれかの状態に、ブレーキ操作レバー83の回動操作に応じて調整できる。
また、図10に基づき説明したロック状態に湾曲操作ノブ43がなっている場合は、ブレーキ駆動レバー150をロック状態におけるブレーキトルクTの大きさよりも大きな回動トルクで所定方向に回動操作すれば、湾曲操作ノブ43を図11に基づき説明したハーフロック状態にすることでき、図11に基づき説明したハーフロック状態に湾曲操作ノブ43がなっている場合は、ブレーキ駆動レバー150をハーフロック状態におけるブレーキトルクTの大きさよりも大きな回動トルクで所定方向又はその反対方向に回動操作すれば、湾曲操作ノブ43を図12に基づき説明したフリー状態、又は図10に基づき説明したロック状態にすることができる。
また、湾曲操作ノブ43を図10に基づき説明したロック状態と図11に基づき説明したハーフロック状態との間でブレーキ駆動レバー150を回動操作して状態変化させる際は、駆動バネ170の双方の肩部174,174が、押圧部131の円弧方向に沿って波形形状で連設された押圧片130R,130Lそれぞれの湾曲凹部136うちの湾曲凹部136-1と湾曲凹部136-2との境界の波頭部や湾曲凹部136-2と湾曲凹部136-3との境界の波頭部を乗り越えることにより、ブレーキ駆動レバー150を回動操作にクリック感を加えることができる。同様に、湾曲操作ノブ43を図11に基づき説明したハーフロック状態と図12に基づき説明したフリー状態との間でブレーキ駆動レバー150を回動操作して状態変化させる際も、駆動バネ170の双方の肩部174,174が、押圧部131の円弧方向に沿って波形形状で連設された押圧片130R,130Lそれぞれの湾曲凹部136うちの湾曲凹部136-1における押圧片130の自由端の波頭部や湾曲凹部136-3と湾曲凹部136-4との境界の波頭部を乗り越えることにより、ブレーキ駆動レバー150を回動操作にクリック感を加えることができる。
このように、制動力発生機構83を構成する押圧片130R,130Lそれぞれの隣り合う湾曲凹部136同士間の境界の波頭部は、同じく制動力発生機構83を構成する駆動バネ170と協働してブレーキ操作レバー85の回動操作にクリック感を与えるクリック感発生機構88としても機能し、ブレーキ機構80の制動力発生機構83はブレーキ機構80のクリック感発生機構88を兼ねる構成になっている。
これにより、ブレーキ機構80の制動力発生機構83とクリック感発生機構88とを別機構で設けることなく、制動力発生機構83がクリック感発生機構88を兼ねているので、部品点数が少なくでき、ブレーキ機構収納室49に収容されるブレーキ機構80を小型・軽量化でき、湾曲操作ノブ43の操作性もよくなる。
そして、ブレーキ機構80では、押圧片130R,130Lそれぞれには駆動バネ170からの付勢力を受けるための複数の湾曲凹部136-1〜136-4が形成され、固定筒軸台座61の周りの駆動バネ170の回動によって駆動バネ170からの付勢力を受ける湾曲凹部136-1〜136-4が変わる毎に押圧片130R,130Lそれぞれが駆動バネ170から受ける付勢力が、‘フリー状態’→‘ハーフロック状態’→‘ロック状態’の順で漸増し、又は‘ロック状態’→‘ハーフロック状態’→‘フリー状態’の順で漸減するので、湾曲操作ノブ43のブレーキ操作感も向上する。
また、押圧片130R,130Lそれぞれの複数の湾曲凹部136-1〜136-4のうち、押圧片130Rの湾曲凹部136-1及び押圧片130Lの湾曲凹部136-3を、駆動バネ170からの付勢力をハーフロック状態で受けることができる所定の湾曲凹部136として構成してあるので、例えば、手技中に、ブレーキ機構80を湾曲操作ノブ43の迅速操作でハーフロック状態に確実することができ、被検体内部の所望の位置にハーフロック状態のままの軽い力で挿入部12の先端部12a及び湾曲可動部12bを固定することができるようになる。
図14は、従来の制動力発生機構における駆動バネと図8で説明した本実施の形態の制動力発生機構における駆動バネとの構成比較図である。図15は、従来の制動力発生機構における駆動バネと図8で説明した本実施の形態の制動力発生機構における駆動バネとのブレーキトルク−バネ撓み量特性の比較図である。
特許文献1及び2に記載された如くの従来の制動力発生機構では、駆動バネ270のバネ撓み力によってプレート状の押圧片を湾曲操作ノブ43の貫通孔部43bの孔軸に対して垂直な操作軸体41(図1参照)の蓋板部41a(図1参照)の板面に対して押し当てる構成になっていたため、駆動バネ270は、図14に示すように、固定筒軸台座(図1参照)の先端側が挿通される挿通孔272が形成された円環部271と、円環部271の盤面に対して挿通孔272の軸方向の一側に屈曲され、円環部271の外周から放射状に突出された複数の羽根片275とを有する羽根車形状になっていた。そして、複数の羽根片255は、その羽面が円環部271の盤面に対する屈曲状態から同一平面状態になるように撓み変形する構造になっているため、バネ定数が大きく、かつ撓み量db[mm]に応じた反発力の変動も大きくなり、目的のブレーキトルク設定、例えば19〜24[kgmm]の範囲内の目的ブレーキトルクTを得るための撓み量db[mm]の値幅は、0.1[mm]しか許されなかった。
これに対して、一対の押圧片130(図1参照)を湾曲操作ノブ43の貫通孔部43bの孔軸に対して平行な貫通孔部43b(図1参照)の孔内周面に対して押し当てる図14(B)に示した本実施の形態に係る駆動バネ170では、目的のブレーキトルク設定、例えば同じ19〜24[kgmm]の範囲内の目的ブレーキトルクTを得るための撓み量da[mm]値幅は、従来の駆動バネ270よりもはるかに大きい、1.3[mm]で許されるようになる。
その結果、図14(B)に示した本実施の形態に係る駆動バネ170では、図15に示したブレーキトルク−バネ撓み量特性に表したように、従来の駆動バネ270よりも、バネ定数が小さく、かつ撓み量da[mm]に応じた反発力の変動も小さくすることができるので、19〜24[kgmm]の範囲内の目的のブレーキトルクTを得るための駆動バネ170の撓み量da[mm]の許容範囲1.3[mm]は、従来の駆動バネ270の許容範囲0.1[mm]よりもはるかに大きくなる。本実施の形態に係る駆動バネ170では、従来の駆動バネ270のように駆動バネ自体の部品公差の影響を受けにくくなるので、従来の駆動バネ270の場合は必要であったブレーキ機構80における制動力発生機構83個々のロック調整が不要になり、製造効率化をはかることができる。
より具体的には、特許文献1及び2に記載された如くの従来のブレーキ機構では、目的のブレーキトルクTを得るための駆動バネ270の撓み量daの許容範囲が狭いので、ブレーキ機構の組み付け後に、予め備えられている調整ネジをデフォルト位置から回動して駆動バネ270のバネ圧(デフォルト位置からの調整ネジの押し付け距離に比例する)を調整し、駆動バネ270の撓み量daを目的のブレーキトルクTが得られる許容範囲内にしなければならなかった。これに対し、本実施の形態に係る駆動バネ170は撓み量da[mm]の許容範囲が大きい(広い)ので、調整ネジもブレーキ機構の組み付け後の調整操作が不要になる。
なお、具体的な詳細の説明は省略したが、左右湾曲機構15LRのブレーキ機構70及び制動力発生機構73の構成も、ブレーキ操作レバー85がブレーキ操作ノブ75に変わってロック軸部材81の代わりにロック軸部材71が回動し、湾曲操作ノブ43の貫通孔部43bそれぞれの孔内周面を被制動面(被押圧面)としている点が異なるだけで、上下湾曲機構15UDのブレーキ機構80及び制動力発生機構83と同様な具体的構成になっている。
本開示の一実施形態に係る内視鏡装置は、上述したように構成されるが、そのブレーキ機構80及び制動力発生機構83の具体的構成は、上述した構成に限定されるものではない。例えば、駆動バネ170は、板バネの代わりに線状バネを屈曲して構成してもよく、ベース110及び押圧片130の具体的形状も、湾曲操作ノブ43内のブレーキ機構収納室49に収容可能で、一対の押圧片130をベース110に対して拡開及び収束させて、当接部133を被制動面(被押圧面)としての湾曲操作ノブ43の貫通孔部43bそれぞれの孔内周面に押し当て可能な形状であれば、いかような具体的形状であってもよい。