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JP2021118995A - 分離膜モジュール - Google Patents

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JP2021118995A
JP2021118995A JP2020013244A JP2020013244A JP2021118995A JP 2021118995 A JP2021118995 A JP 2021118995A JP 2020013244 A JP2020013244 A JP 2020013244A JP 2020013244 A JP2020013244 A JP 2020013244A JP 2021118995 A JP2021118995 A JP 2021118995A
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Japan
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separation membrane
flow path
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gas
separation
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JP2020013244A
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English (en)
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洋帆 広沢
Hiroho Hirozawa
洋帆 広沢
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Toray Industries Inc
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Toray Industries Inc
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Abstract

【課題】供給流体の偏流を抑制し分離特性を高めた分離膜モジュールを提供すること。【解決手段】本発明は、中心管、分離膜、供給側流路材、および透過側流路材を有する分離膜モジュールであって、上記供給側流路材および/又は上記透過側流路材は、一方向に並んだ経糸、および、上記経糸とは異なる方向に並んだ緯糸からなる網目状物であり、上記経糸は、少なくとも2本の繊維が捩じれた構造を有する、分離膜モジュールを提供する。【選択図】図1

Description

本発明は、液体や気体を選択分離する分離膜モジュールに関する。
水処理や気体分離ためのプロセスとして、分離膜エレメントによる分離法の利用が拡大してきている。分離膜エレメントとしては様々な形態があるが、分離膜の一方の面に処理される被処理流体(供給流体)を供給し、他方の面から透過流体を得る点では共通している。分離膜エレメントは、束ねられた多数の分離膜を備えることにより、1個の分離膜エレメントあたりの膜面積が大きくなるように、すなわち1個の分離膜エレメントあたりに得られる透過流体の量が大きくなるように形成されている。分離膜エレメントとしては、用途や目的にあわせて、スパイラル型、中空糸型、プレート・アンド・フレーム型、回転平膜型および平膜集積型などの各種の形状の分離膜エレメントが提案されている。
それらの中でも、スパイラル型の分離膜エレメントが広く用いられている。スパイラル型の分離膜エレメントは、中心管と、その中心管の周囲に巻き付けられた積層体とを備えている。積層体は、供給流体を分離膜表面に供給する供給側流路材、供給流体に含まれる成分を分離する分離膜、および分離膜を透過し供給流体から分離された透過側流体を中心管へと導くための透過側流路材が積層されることで形成されている。スパイラル型の分離膜エレメントは、供給流体に圧力を付与することができるので、透過流体を多く取り出すことができる点で好ましく用いられている。
スパイラル型の分離膜エレメントでは、一般的に、供給側流体の流路を形成させるために、供給側流路材として、主に高分子化合物製のネットが使用されている。また、分離膜として、複合型の分離膜が用いられている。複合型の分離膜は、供給側から透過側に積層された、ポリアミドなどの架橋高分子化合物からなる分離機能層(多孔性支持層)、ポリスルホンなどの高分子化合物からなる多孔性樹脂層、およびポリエチレンテレフタレートなどの高分子化合物からなる不織布の基材を備えている。また、透過側流路材としては、分離膜の落ち込みを防き、かつ透過側の流路を形成させる目的で、供給側流路材よりも間隔の細かいトリコットと呼ばれる編み物部材が使用されている。
また、近年、分離コストの低減への要求の高まりから、分離膜エレメントの高性能化が求められている。例えば、分離膜エレメントの分離性能の向上および単位時間あたりの透過流体量を増加させるため、流路材等の分離膜エレメント部材の性能向上が提案されている。
具体的には、流路材として、網目の形状を制御して流動抵抗を低減したネットが提案されている(特許文献1参照)。また、ネットを構成する繊維と異径化することで、分離膜表面との間に空間を設け、流体の偏流を抑制するネットが提案されている(特許文献2参照)。
さらに、繊維を三層に積層して流体を乱流化するネットが提案されている(特許文献3参照)。
国際公開2018−222746 国際公開2018−221103 国際公開2019−078604
しかしながら、従来の流路材を含む分離膜モジュールでは、流動抵抗と流体の偏流抑制のバランスが不十分であり、分離膜の性能をモジュールで十分に発揮できない問題があった。
そこで本発明は、流動抵抗と偏流抑制に優れた流路材を含む分離膜モジュールを提供することを課題とする。
上記目的を達成するための本発明は、以下である。
(1) 中心管、分離膜、供給側流路材、および透過側流路材を有する分離膜モジュールであって、
前記供給側流路材および/又は前記透過側流路材は、一方向に並んだ経糸、および、前記経糸とは異なる方向に並んだ緯糸からなる網目状物であり、
前記経糸は、少なくとも2本の繊維が捩じれた構造を有する、分離膜モジュール。
(2) 前記緯糸は、前記経糸を構成する複数の繊維に挟まれることで、前記経糸と前記緯糸で構成される交点を有する、前記(1)に記載の分離膜モジュール。
(3) 前記交点において、前記経糸および前記緯糸は溶着していることを特徴とする、前記(2)に記載の分離膜モジュール。
(4) 前記分離膜は、基材と、基材上の多孔性支持層と、多孔性支持層上の分離機能層を有し、前記分離機能層はポリアミドを含むことを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載の分離膜モジュール。
(5) 以下の工程1および2を、この順に有する、水素の製造方法。
工程1:水素を含んだ気体を、前記(1)〜(4)のいずれかに記載の分離膜モジュールに供給する工程。
工程2:前記分離膜モジュールに対して圧力を加える工程。
本発明によって、分離膜モジュールの圧力容器への装填性を改善することができる。
本発明の分離膜モジュールの一つの形態を示す一部展開斜視図である。 本発明の流路材の一つの形態を示す平面図である。 本発明の流路材の他の形態を示す平面図である。 本発明の流路材の一つの形態を示す断面図である。 従来の流路材の形態を示す断面図である。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
<分離膜モジュール>
本発明の分離膜モジュールは、中心管、分離膜、供給側流路材、および透過側流路材を有する。以下、これについて説明する。
図1に示すように、分離膜モジュール(100)は、中心管(6)と、中心管(6)の周囲に巻囲された分離膜リーフおよび透過側流路材(3)を備える。図1に示すx軸の方向が中心管(6)の長手方向である。またy軸の方向が中心管の長手方向と垂直な方向である。
中心管(6)は、後述の透過気体が排出されるように少なくとも下流側の端部が開口している中空状の(円筒形の)部材である。複数の分離膜モジュール100が連結される場合は、両端が開口している中心管が採用される。中心管6の側面(円筒形状における側面)には複数の孔が設けられている。
分離膜リーフは、供給側の面および透過側の面を有し、供給側の面が互いに向かい合い、かつ透過側が互いに向かい合うように配置された複数の分離膜(1)と、分離膜(1)の供給側の面の間に配置された供給側流路材(2)とを有する。なお、例えば1枚の膜が、透過側または供給側の面を内側にして折りたたまれ、それが中心管の周囲に巻囲されている場合も、「複数の分離膜」が設けられている場合に含める。
さらに分離膜(1)の透過側の面の間には透過側流路材が配置され、分離膜リーフと共に巻囲されることで分離膜モジュール(100)が形成される。
分離膜モジュール(100)の一方の端面からは、供給気体(201)が供給される。供給気体(201)は、分離膜モジュール(100)の中心管(6)の長手方向を分離されながら移動し、分離膜を透過した透過気体(202)は中心管(6)側面の孔から中心管(6)内部をとおり、その端部から排出される。また、ろ過されなかった供給気体は、濃縮気体(203)として、分離膜モジュール(100)の他方の端面から排出される。
なお、図1以外の態様の分離膜モジュールにおいても、本発明の分離膜モジュールが備える透過側流路材を適用することができる。
<供給側流路材および透過側流路材>
(形態)
本発明の分離膜モジュールは、供給側流路材および透過側流路材を備える。本発明において、供給側流路材および/又は透過側流路材は、一方向に並んだ経糸、および、前記経糸とは異なる方向に並んだ緯糸からなる網目状物であり、さらに経糸は、少なくとも2本の繊維が捩じれた構造を有する。少なくとも2本の繊維が捩じれた構造であれば、3本以上の繊維が捻れていても良いが、3本以上の場合は使用する繊維が多くなるため、流路材が厚くなる傾向にあるため、スパイラル型膜モジュールのような限定された空間に分離膜や流路材を詰める場合では、捻れた繊維の本数は2本が好ましい。つまり、前述の網目状物中の経糸は、2本の繊維が捩じれた構造を有することが特に好ましい。
以下、供給側流路材、透過側流路材について、図面を用いて説明する。なお、本発明において、単に流路材と記した場合、それは、供給側流路材および透過側流路材の総称を意味する。
供給側流路材および/又は透過側流路材は、図2および図3の態様のように、一方向に並んだ経糸、および、経糸とは異なる方向に並んだ緯糸からなる網目状物であり、経糸は、少なくとも2本の繊維として経糸A(511)および経糸B(512)を有し、それぞれが捩じれた構造を有する(捻れ部(53)とよぶ)。供給側流路材および透過側流路材は、分離膜モジュールにおいて分離膜に挟まれるよう配されるが、経糸A(511)、経糸B(512)および緯糸(52)は、少なくとも2本の繊維が捩じれた構造を有することで、図4のように分離膜(1)との経糸および緯糸間に空間が生じ流体が流れやすくなる。
従来の網目状で構成される流路材では、図5のように経糸(513)および緯糸(52)が分離膜(1)と接触するため、接触領域近傍で滞留が生じていたが、本発明のように少なくとも2本の繊維が捩じれた構造を有することで、糸と分離膜との間に空間が設けられることとなり、供給流体が流れやすくなり、滞流が解消して過効率の低下が解消される。
なお、本発明において供給側流路材および/又は透過側流路材は、一方向に並んだ経糸、および、前記経糸とは異なる方向に並んだ緯糸からなる網目状物であり、さらに経糸は、少なくとも2本の繊維が捩じれた構造を有するが、こういった繊維構造を有する網目状物の流路材は、供給側流路材と透過側流路材の両方に用いられるか、供給側流路材及び透過側流路材のいずれか一方のみに用いられる。そして供給側流路材及び透過側流路材のいずれか一方のみに、一方向に並んだ経糸、および、前記経糸とは異なる方向に並んだ緯糸からなる網目状物であり、さらに経糸は、少なくとも2本の繊維が捩じれた構造の流路材を用いた場合、供給側流路材及び透過側流路材の他方においては、その他の構造の流路材を用いることとなる。こういったその他の流路材としては、例えば、ネットや不織布、トリコットなどの編み物、突起物を有する多孔性シートが挙げられる。また、流路材として機能する突起物を、分離膜の供給側面および/または透過面に固着させても構わない。
前述のとおり本発明では、供給側流路材および/又は透過側流路材は、一方向に並んだ経糸、および、その経糸とは異なる方向に並んだ緯糸からなる網目状物であり、さらにその経糸は、少なくとも2本の繊維が捩じれた構造を有するが、その緯糸は、その(2本の繊維が捩じれた構造を有する)経糸を構成する複数の繊維に挟まれることで、その経糸とその緯糸で構成される交点を有することが好ましい。なお交点では、経糸および緯糸が溶着していても、接着剤など他の樹脂を介して固定されていても構わないが、交点では経糸および緯糸が溶着していることが好ましい。この態様について、図面を用いて説明する。
図3の態様のように、緯糸(52)が、少なくとも2本の繊維である経糸A(511)および経糸B(512)に挟まれ、それらが接触することで構成される交点(54)を構成することで、緯糸と分離膜表面の間の空間の大きさが均一化するため、流動抵抗や流体の滞流が低減される。
特に交点(54)において、経糸および緯糸が溶着することで分離膜モジュールの製造時に流路材の糸のズレによる分離膜への擦過が抑制され、分離機能層が破壊されず優れた分離効率を発現することにつながる。ここで溶着とは、経糸および緯糸を熱によって溶かし、冷却することで接着させる、つまり、経糸と緯糸を他の樹脂などを介することなく直接接着させることを指す。
(厚み)
供給側流路材および透過側流路材の厚みは、処理する流体によって好ましい範囲が異なるが、気体分離の目的で用いる場合は、薄型であることが好ましい。モジュール作製のために曲げなど変形を加えた場合は、流路材に応力が発生し破壊されやすくなるため、薄型化して曲げに対する剛性を適切に低減しておくことが重要となるためである。このような理由から、分離膜モジュールを気体分離の目的で用いる場合、流路材の厚みは0.6mm以下が好ましく、0.5mm以下がさらに好ましい。
一方、液体分離の目的で用いる場合では、気体に比べて粘性や密度が高いため、厚みを増して流動抵抗を低減することが重要である。よって、分離膜モジュールを液体分離の目的で用いる場合、流路材の厚みは0.2mm以上1.5mm以下が好ましく、0.3mm以上1.0mm以下がさらに好ましく、0.5mm以上0.9mm以下が特に好ましい。
(平均孔径)
厚みと同様に、供給側流路材および透過側流路材の平均孔径も、処理する流体によって好ましい範囲が異なる。気体分離の目的で用いる場合、加圧ろ過時の分離膜の流路材への落ち込み抑制し、かつ応力を分散させるために、流路材の平均孔径は4mm以下が好ましく、3mm以下がさらに好ましく、2mm以下が特に好ましい。
一方、液体分離の目的で用いる場合は、流路材の平均孔径を大きくして流動抵抗を低減することが重要であり、流路材の平均孔径は1.5mm以上7.0mm以下が好ましく、2.5mm以上6.0mm以下がさらに好ましく、4.0mm以上5.0mm以下が特に好ましい。
流路材の平均孔径は、無作為に測定した孔の「4×流路材の平面方向における孔の面積/孔の周長」で表される円相当直径の平均値である。流路材の一方の面で30個の孔について面積および周長を測定し、円相当直径を算出する。さらに30個の円相当直径の平均値を算出する。流路材の他方の面で同様に円相当直径の平均値を算出する。
なお供給側流路材および透過側流路材の平均孔径は、同一でも異なっていても良く、図2および図3に示すように繊維間距離x、繊維間距離yは同一でも異なっていても良い。
(材料)
供給側流路材および透過側流路材を構成する材料としては、成型又は成形性の観点から熱可塑性樹脂が好ましく、分離膜の損傷を抑制する観点から、ポリエステル、ナイロン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリ乳酸、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂、又はUV硬化性樹脂がより好ましい。
(供給および透過気体の流動制御壁)
流路材には供給気体や透過気体の流動を制御するような曲線、直線状の壁を設けても良い。また、壁は分離膜モジュールが運転される圧力や温度、供給側気体の種類に応じて劣化しないものであれば素材は限定されない。
<分離膜端部の封止>
供給側流路材を挟んだ分離膜の端部同士は、適宜封止されるが、その「封止」の方法としては、例えば、接着剤若しくはホットメルト等による接着、加熱若しくはレーザ等による融着又は、ゴム製シートを挟みこむ方法が挙げられるが、簡便な接着による封止が好ましい。
<高膜面積化>
供給側流路材や透過側流路材を薄くすることにより、分離膜モジュール中に空間を創出することができ、その空間中に分離膜を充填して、分離膜モジュールの膜面積を増大させることができる。特に本発明の流路材のように、流動抵抗を低減させることで、流路材を薄型化しても流動抵抗増加の影響が軽微であり、膜面積増大による気体透過性の向上が可能となる。
<中心管>
中心管の形態としては、上述のとおり円筒状を適用することができ、外周には気体が通過できる孔を単数または複数有する。また、中心管の内部に仕切り壁を設け、端部から供給された気体がもう一方の端部に移動できず、外周に設けられた孔を通過する構成としても良い。
<分離膜>
分離膜は特に限定されるものではないが、本発明において分離膜は、基材と、基材上の多孔性支持層と、多孔性支持層上の分離機能層を有することが好ましい。ただし、基材は必須の要素ではなく、分離膜は少なくとも多孔質支持層と分離機能層とを備えればよい。
(基材)
分離膜として、基材、基材上の多孔性支持層、及び、多孔性支持層上の分離機能層を有する態様の分離膜を用いる場合、その基材としては、ポリエステル系重合体、ポリアミド系重合体、ポリオレフィン系重合体、あるいはこれらの混合物や共重合体等を含む基材が挙げられる。中でも基材としては、機械的、熱的に安定性の高いポリエステル系重合体の布帛が特に好ましい。基材として用いる布帛の形態としては、長繊維不織布や短繊維不織布、さらには織編物を好ましく用いることができる。ここで、長繊維不織布とは、平均繊維長300mm以上、かつ平均繊維径3〜30μmの不織布のことを指す。
基材は、通気量が0.5cc/cm/sec以上5.0cc/cm/secであることが好ましい。基材の通気量が上記範囲内にあることにより、多孔性支持層をとなる高分子溶液が基材に含浸するため、基材との接着性が向上し、微多孔性支持膜の物理的安定性を高めることができる。
基材の厚みは10〜200μmの範囲内にあることが好ましく、より好ましくは30〜120μmの範囲内である。なお、本書において、特に付記しない限り、厚みとは、平均値を意味する。ここで平均値とは相加平均値を表す。すなわち、基材および多孔性支持層の厚みは、断面観察で厚み方向に直交する方向(膜の面方向)に20μm間隔で測定した20点の厚みの平均値を算出することで求められる。
(多孔性支持層)
多孔性支持層は、実質的にガスの分離性能を有さず、実質的に分離性能を有する分離機能層に強度を与えるためのものである。多孔性支持層の孔のサイズや分布は特に限定されないが、例えば、均一で微細な孔、あるいは分離機能層が形成される側の表面からもう一方の面まで徐々に大きな微細孔をもち、かつ、分離機能層が形成される側の表面で微細孔の大きさが0.1nm以上100nm以下であるような多孔性支持層が好ましいが、使用する材料やその形状は特に限定されない。
多孔性支持層は、例えば、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアミド、ポリエステル、セルロース系ポリマー、ビニルポリマー、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンスルフィドスルホン、ポリフェニレンスルホン、およびポリフェニレンオキシドなどのホモポリマー並びにコポリマーからなる群から選択される少なくとも1種のポリマーを含有する。ここでセルロース系ポリマーとしては酢酸セルロース、硝酸セルロースなどが挙げられ、ビニルポリマーとしてはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリアクリロニトリルなどが挙げられる。多孔性支持層は、ポリスルホン、ポリアミド、ポリエステル、酢酸セルロース、硝酸セルロース、ポリ塩化ビニル、ポリアクリロニトリル、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンスルフィドスルホンなどのホモポリマーまたはコポリマーを含有することが好ましい。多孔性支持層は、より好ましくは酢酸セルロース、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアミド、ポリフェニレンスルフィドスルホン、またはポリフェニレンスルホンを含有する。これらの素材の中では化学的、機械的、熱的に安定性が高く、成型が容易であることからポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアミドが特に好ましい。
基材と多孔性支持層の厚みは、分離膜の強度およびそれをモジュールにしたときの充填密度に影響を与える。十分な機械的強度および充填密度を得るためには、基材と多孔性支持層の厚みの合計が、30μm以上300μm以下であることが好ましく、100μm以上220μm以下であるとより好ましい。また、多孔性支持層の厚みは、20μm以上100μm以下であることが好ましい。なお、本書において、特に付記しない限り、厚みとは、平均値を意味する。ここで平均値とは相加平均値を表す。すなわち、基材と多孔性支持層の厚みは、断面観察で厚み方向に直交する方向(膜の面方向)に20μm間隔で測定した、20点の厚みの平均値を算出することで求められる。
本発明に使用する多孔性支持層は、ミリポア社製”ミリポアフィルターVSWP”(商品名)や、東洋濾紙社製”ウルトラフィルターUK10”(商品名)のような各種市販材料から選択することもできるが、”オフィス・オブ・セイリーン・ウォーター・リサーチ・アンド・ディベロップメント・プログレス・レポート”No.359(1968)に記載された方法に従って製造することができる。
(分離機能層)
分離機能層は、特に限定されないが、ポリアミドを含む分離機能層であることが好ましい。ここでポリアミドとは、多官能性アミンと多官能性酸ハロゲン化物との重縮合反応で得られた化合物である。そしてポリアミドを含む分離機能層は、ポリアミドを主成分とすることが好ましい。ここで主成分とは、分離機能層の全成分の合計100重量%において、ポリアミドが占める割合は50重量%以上、70重量%以上、または90重量%以上であり、分離機能層は、ポリアミドのみで構成されていてもよい。分離機能層がポリアミドを50%以上含むことにより、高性能な膜性能を発現しやすい。このポリアミドは、全芳香族ポリアミドでも、全脂肪族ポリアミドでも、芳香族部分と脂肪族部分を併せ持っていてもよいが、より高い性能を発現するためには、全芳香族であることが好ましい。
また、多官能性アミンとは、具体的には多官能芳香族アミンまたは多官能脂肪族アミンであり、多官能性酸ハロゲン化物とは、多官能芳香族酸ハロゲン化物または多官能脂肪族酸ハロゲン化物である。また、重縮合反応とは、界面重縮合である。
ここで、多官能アミンおよび多官能酸ハロゲン化物の少なくとも一方が3官能以上の化合物を含んでいることが好ましい。
また、分離機能層の厚みは、十分な分離性能およびガス透過度を得るために、通常0.01〜1μmの範囲内、好ましくは0.1〜0.5μmの範囲内である。本発明においては、ポリアミドを含む分離機能層のことを、以下、ポリアミド分離機能層とも記載する。
分離膜を構成するポリアミド分離機能層中のポリアミドは、末端アミノ基の数をA、末端カルボキシ基の数をB、アミド基の数をCとしたとき、
(A+B)/C≦0.66
を満たすことが好ましい。
アミノ基とカルボキシ基は二酸化炭素との親和性が強い官能基であることが知られており、ポリアミド中にこうした官能基の占める割合が小さくなることで一酸化炭素、二酸化炭素との親和性が小さくなり、水素やヘリウムといった軽ガスの透過度を低下させることなく一酸化炭素、二酸化炭素の透過度のみが低下し、軽ガス/一酸化炭素、軽ガス/二酸化炭素の分離選択性が向上する。
また、ポリアミド中のアミド基の占める割合が大きくなることで、ポリアミド中の架橋の度合いが向上し、孔径が小さくなり、水素やヘリウムといった軽ガスに比べサイズの大きな窒素、一酸化炭素、二酸化炭素、硫化水素、亜硫酸ガス、炭化水素類の透過度が低下し、軽ガス/窒素、軽ガス/一酸化炭素、軽ガス/二酸化炭素、軽ガス/炭化水素、軽ガス/硫化水素、軽ガス/亜硫酸ガスの分離選択性が向上する。ここで、ガスの分子サイズは、水素<二酸化炭素<一酸化炭素=窒素<硫黄分(硫化水素、亜硫酸ガス)であり、分子サイズの大きいガスほど分離し易く、例えば、水素/二酸化炭素の分離選択性よりも、水素/窒素、水素/一酸化炭素、水素/炭化水素、水素/硫化水素、水素/亜硫酸ガスの分離選択性は高くなる傾向にある。
ここで末端アミノ基の数A、末端カルボキシ基の数B、アミド基の数Cの比は、分離機能層の13C固体NMR測定より求めることができる。具体的には、分離膜5mから基材を剥離し、ポリアミド分離機能層と多孔性支持層を得た後、多孔性支持層を溶解・除去し、ポリアミド分離機能層を得る。得られたポリアミド分離機能層をDD/MAS−13C固体NMR法により測定を行い、各官能基の炭素ピークまたは各官能基が結合している炭素ピークの積分値の比較から各官能基の数比を算出することができる。
本書において、「多官能芳香族アミン」とは、一分子中に第一級アミノ基および第二級アミノ基のうち少なくとも一方のアミノ基を2個以上有し、かつ、アミノ基のうち少なくとも1つは第一級アミノ基である芳香族アミンを意味し、「多官能脂肪族アミン」とは、一分子中に第一級アミノ基および第二級アミノ基のうち少なくとも一方のアミノ基を2個以上有しする脂肪族アミンを意味する。
例えば、多官能芳香族アミンは、o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、o−キシリレンジアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、o−ジアミノピリジン、m−ジアミノピリジン、p−ジアミノピリジン等の2個のアミノ基がオルト位やメタ位、パラ位のいずれかの位置関係で芳香環に結合した多官能芳香族アミン;1,3,5−トリアミノベンゼン、1,2,4−トリアミノベンゼン、3,5−ジアミノ安息香酸、3−アミノベンジルアミン、4−アミノベンジルアミン、2,4−ジアミノチオアニソール、1,3−ジアミノチオアニソール、1,3−ジアミノ−5−(ジメチルホスフィノ)ベンゼン、(3,5−ジアミノフェニル)ジメチルホスフィンオキシド、(2,4−ジアミノフェニル)ジメチルホスフィンオキシド、1,3−ジアミノ−5−(メチルスルホニル)ベンゼン、1,3−ジアミノ−4−(メチルスルホニル)ベンゼン、1,3−ジアミノ−5−ニトロソベンゼン、1,3−ジアミノ−4−ニトロソベンゼン、1,3−ジアミノ−5−(ヒドロキシアミノ)ベンゼン、1,3−ジアミノ−4−(ヒドロキシアミノ)ベンゼンなどの多官能芳香族アミンや、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、ピペラジン、2−メチルピペラジン、2,4−ジメチルピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、2,6−ジメチルピペラジンなどの多官能脂肪族アミンが挙げられる。これらの多官能アミンは、単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
多官能酸ハロゲン化物とは、多官能性カルボン酸誘導体とも表され、一分子中に少なくとも2個のハロゲン化カルボニル基を有する酸ハロゲン化物をいう。例えば、3官能酸ハロゲン化物では、トリメシン酸クロリドなどを挙げることができ、2官能酸ハロゲン化物では、ビフェニルジカルボン酸ジクロリド、アゾベンゼンジカルボン酸ジクロリド、テレフタル酸クロリド、イソフタル酸クロリド、ナフタレンジカルボン酸クロリド、オキサリルクロリドなどを挙げることができる。多官能アミンとの反応性を考慮すると、多官能酸ハロゲン化物は多官能酸塩化物であることが好ましく、また、膜の選択分離性、耐熱性を考慮すると、一分子中に2〜4個の塩化カルボニル基を有する多官能酸塩化物であることが好ましい。中でも、入手の容易性や取り扱いのしやすさの観点から、トリメシン酸クロリドを用いるとより好ましい。これらの多官能酸ハロゲン化物は、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
さらに分離機能層はニトロ基を有していてもよい。前記官能基はポリアミドの形成反応時にモノマーが有していても、ポリアミドを形成した後に化学変換により導入してもよいが、モノマーの入手のしやすさや取扱の簡便さからポリアミドに後から化学的作用を加える方法が好ましい。
さらに、分離膜を構成するポリアミド機能層は、芳香族環に結合するフッ素原子を有し、X線光電子分光法(XPS)により分析した際、炭素原子数に対するフッ素原子数が0.1〜2%の範囲にある、を満たすことが好ましい。フッ素原子が結合する芳香族環は、ポリアミドを形成するモノマーのうち、芳香族アミン由来でもよいし、酸ハロゲン化物由来であってもよい。
「多官能芳香族アミン」とは、一分子中に第一級アミノ基および第二級アミノ基のうち少なくとも一方のアミノ基を2個以上有し、かつ、アミノ基のうち少なくとも1つは第一級アミノ基である芳香族アミンを意味する。
例えば、多官能芳香族アミンは、o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、o−キシリレンジアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、o−ジアミノピリジン、m−ジアミノピリジン、p−ジアミノピリジン等の2個のアミノ基がオルト位やメタ位、パラ位のいずれかの位置関係で芳香環に結合した多官能芳香族アミン;1,3,5−トリアミノベンゼン、1,2,4−トリアミノベンゼン、3,5−ジアミノ安息香酸、3−アミノベンジルアミン、4−アミノベンジルアミン、2,4−ジアミノチオアニソール、1,3−ジアミノチオアニソール、1,3−ジアミノ−5−(ジメチルホスフィノ)ベンゼン、(3,5−ジアミノフェニル)ジメチルホスフィンオキシド、(2,4−ジアミノフェニル)ジメチルホスフィンオキシド、1,3−ジアミノ−5−(メチルスルホニル)ベンゼン、1,3−ジアミノ−4−(メチルスルホニル)ベンゼン、1,3−ジアミノ−5−ニトロソベンゼン、1,3−ジアミノ−4−ニトロソベンゼン、1,3−ジアミノ−5−(ヒドロキシアミノ)ベンゼン、1,3−ジアミノ−4−(ヒドロキシアミノ)ベンゼンなどの多官能芳香族アミンなどが挙げられる。これらの多官能芳香族アミンは、単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
多官能芳香族酸ハロゲン化物とは、多官能性芳香族カルボン酸誘導体とも表され、一分子中に少なくとも2個のハロゲン化カルボニル基を有する芳香族酸ハロゲン化物をいう。例えば、3官能酸ハロゲン化物では、トリメシン酸クロリドなどを挙げることができ、2官能酸ハロゲン化物では、ビフェニルジカルボン酸ジクロリド、アゾベンゼンジカルボン酸ジクロリド、テレフタル酸クロリド、イソフタル酸クロリド、ナフタレンジカルボン酸クロリドなどを挙げることができる。多官能芳香族アミンとの反応性を考慮すると、多官能芳香族酸ハロゲン化物は多官能芳香族酸塩化物であることが好ましく、また、膜の選択分離性、耐熱性を考慮すると、一分子中に2〜4個の塩化カルボニル基を有する多官能芳香族酸塩化物であることが好ましい。中でも、入手の容易性や取り扱いのしやすさの観点から、トリメシン酸クロリドを用いるとより好ましい。これらの多官能芳香族酸ハロゲン化物は、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
また、後述するように、ポリアミドは、単官能性芳香族酸ハロゲン化物に由来する部分を有していてもよい。多官能性酸ハロゲン化物のうち重縮合における結合に寄与する官能基を除いた部分である。
さらに、ポリアミドは、芳香族環に結合したフッ素を有する。フッ素が結合する芳香族環は、アミン由来であってもよいし、酸ハロゲン化物由来であってもよい。
<気体分離方法>
本発明の分離膜モジュールは、水素、ヘリウムなどの軽気体を選択的に透過して濃度を高くする気体分離方法に利用することができる。つまり、本発明における気体分離方法は、
(1)分離膜の一方の面に軽気体を含む混合気体を供給する工程、および
(2)(1)工程の後、分離膜の他方の面から前記混合気体よりも軽気体濃度の高い気体を得る工程を含む。
分離膜を透過した気体、つまり軽気体濃度の高い気体は「透過気体」と呼ばれ、分離膜を透過せずに分離膜の上記一方の面に残った気体は「濃縮気体」と呼ばれる。
本発明の気体分離方法においては、上述したスパイラル型分離膜モジュールを用いることができる。また、本発明の気体分離方法においては、圧力容器と、直列または並列に接続され、上記圧力容器に収容されたスパイラル型の分離膜モジュール
本発明の分離膜モジュールに混合気体を供給し、透過気体と濃縮気体に分離することによって、供給気体から特定の気体を分離することができる。このとき、供給気体をコンプレッサーにより昇圧して分離膜やそのモジュールに供給してもよいし、分離膜やそのモジュールの透過側をポンプで減圧してもよい。さらに、上記のモジュールを複数段にわたって配置し気体分離を行ってもよい。複数段のモジュールを使用する際は、後段のモジュールには前段モジュールの濃縮気体、透過気体のいずれを供給してもよい。また、後段のモジュールの濃縮気体あるいは透過気体を、前段のモジュールの供給気体と混合してもよい。透過気体や濃縮気体を後段のモジュールに供給する際、これをコンプレッサーで加圧してもよい。
気体の供給圧力は特に限定されないが、0.1MPa〜2.5MPaが好ましい。0.1MPa以上とすることで気体の透過速度が大きくなり、2.5MPa以下とすることで分離膜やそのモジュール部材が圧力変形することを防ぐことができる。「供給側の圧力/透過側の圧力」の値も特に限定されないが、2〜20が好ましい。「供給側の圧力/透過側の圧力」の値を2以上にすることで気体の透過速度を大きくすることができ、20以下とすることで、供給側のコンプレッサー、または透過側のポンプの動力費を抑制することができる。
気体の供給温度は特に限定されないが、0℃〜200℃が好ましく、25℃〜180℃がより好ましい。温度を25℃以上とすることで良好な気体透過性が得られ、180℃以下とすることでモジュール部材が熱変形することを防ぐことができる。
特に本発明の分離膜モジュールは、工程1および工程2を、この順に有する、水素の製造方法に用いることが好ましい。
工程1:水素を含んだ気体を、本発明の分離膜モジュールに供給する工程。
工程2:分離膜モジュールに対して圧力を加える工程。
なおこの水素の製造方法における各工程の詳細は、気体分離方法として上述したとおりである。つまり工程1では、天然ガスなどの水素を含む気体を、配管を通して分離膜モジュールに供給する。水素を含む気体の供給温度は、0℃〜200℃程度が好ましい。また工程2では、気体分離方法として上述したように、分離膜モジュールに対して、0℃〜200℃の水素を含む供給気体を、圧力が0.1MPa〜2.5MPaとなるように供給し濾過を行う。
<液体分離方法>
分離膜モジュールは、さらに、直列または並列に接続して圧力容器に収納されることにより、分離膜モジュールとして使用される。
また、上記の分離膜モジュール、および分離膜モジュールは、それらに液体を供給するポンプや、その液体を前処理する装置などと組み合わせて、液体分離装置を構成することができる。この液体分離装置を用いることにより、例えば、原水を飲料水などの透過水と膜を透過しなかった濃縮水とに分離して、目的にあった水を得ることができる。
液体分離装置の操作圧力は高い方が除去率は向上するが、運転に必要なエネルギーも増加すること、また、分離膜モジュールの供給流路と透過流路の保持性を考慮すると、分離膜モジュールに被処理水を透過する際の操作圧力は、0.5MPa以上10MPa以下であることが好ましい。原水温度が高くなると塩除去率が低下するが、低くなるにしたがい膜透過流束も減少するので、原水温度は5℃以上45℃以下であることが好ましい。また、原水のpHが中性領域にある場合、原水が海水などの高塩濃度の液体であっても、マグネシウムなどのスケールの発生が抑制され、また、膜の劣化も抑制される。
分離膜モジュールによって処理される液体は、水処理に使用する場合、原水としては、海水、かん水、および排水等の500mg/L以上100g/L以下のTDS(Total Dissolved Solids:総溶解固形分)を含有する液状混合物が挙げられる。一般に、TDSは総溶解固形分量を指し、「質量÷体積」で表されるが、1Lを1kgと見なして「質量比」で表されることもある。定義によれば、0.45μmのフィルターで濾過した溶液を39.5℃以上40.5℃以下の温度で蒸発させ残留物の質量から算出できるが、より簡便には実用塩分(S)から換算する。
以下に実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。
(流路材A)
(経糸、緯糸とも糸径0.3mmのポリエチレン繊維を用いて、図2の態様(一方向に並んだ経糸、及び、それとは異なる方向に並んだ緯糸からなる網目状物で、その経糸は2本の繊維が捩じれた構造を有する態様)の絡織メッシュ(厚み0.56mm、繊維間距離2mm×2mm、空隙率70%)を作製し流路材Aとした。
(流路材B)
流路材Bとして、図3の態様(一方向に並んだ経糸、及び、それとは異なる方向に並んだ緯糸からなる網目状物で、その経糸は2本の繊維が捩じれた構造を有し、さらに、緯糸は、経糸を構成する複数の繊維に挟まれることで、経糸と緯糸で構成される交点を有し、その交点において経糸および緯糸が溶着している態様)の下記3種類の絡織メッシュを用いた。
B−1: サンシャインマルハナネット ダイオ化成社製、品番:P−6060、厚み0.43mm、繊維間距離4mm×4mm、空隙率86%)
B−2:サンシャイン(ダイオ化成社製、品番:9010、厚み0.56mm、繊維間距離2mm×2mm、空隙率73%)
B−3: サンシャイン(ダイオ化成社製、品番:6010S、厚み0.56mm、繊維間距離2mm×6mm、空隙率83%)
(流路材の平均孔径)
キーエンス社製高精度形状測定システムKS−1100を用いて、流路材の表面を倍率100倍で観察し、無作為に抽出した30個の空孔について、面積および周長を測定した。測定値から、「4×流路材の平面方向における孔の面積/孔の周長」で表される円相当直径を算出した。こうして得られた30個の円相当直径の平均値を算出した。流路材の裏面についても同様に円相当直径の平均値を算出した。なお、表面、裏面とは、単に一方の面、他方の面を意味し、特定の面を指すものではない。
(流路材の厚み)
デジマチックインジケータ(ミツトヨ社製 品番547−301)を用いて、無作為に選択した30箇所について厚みを測定し、その平均値を厚みとした。
(気体分離膜の作製)
抄紙法で製造されたポリエステル繊維からなる不織布(通気度1.0cc/cm/秒)上に、ポリスルホンの15質量%ジメチルホルムアミド(DMF)溶液を室温(25℃)、塗布厚み190μmでキャストした後、直ちに純水中に5分間浸漬することによって、基材である不織布上に多孔性支持層を形成した。
次に、2−エチルピペラジンが5.0質量%、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムが500ppm、リン酸3ナトリウムが2.0質量%になるように溶解した水溶液に、多孔性支持層を形成した基材を10秒間浸漬した後、エアーノズルから窒素を吹き付けて、余分な水溶液を除去した。続いて70℃に加温した0.2質量%のトリメシン酸クロリドを含むn−デカン溶液を、多孔性支持体の表面に均一塗布し、60℃の膜面温度で3秒間保持した後に、膜面温度を10℃まで冷却し、この温度を維持したまま空気雰囲気下で1分間放置し、分離機能層(ポリアミド膜)を形成した。得られた分離膜を垂直に保持して液切りし、60℃の純水で2分間洗浄して分離膜を得た。
(液体分離膜の作製)
ポリエチレンテレフタレート繊維からなる不織布(糸径:1デシテックス、厚み:約0.09mm、密度0.80g/cm)上にポリスルホンの15.2質量%のDMF溶液を180μmの厚みで室温(25℃)にてキャストし、ただちに純水中に浸漬して5分間放置し、80℃の温水で1分間浸漬することによって繊維補強ポリスルホン支持膜からなる、多孔性支持層(厚さ0.13mm)を作製した。
その後、多孔性支持層ロールを巻き出し、m−PDAの2重量%水溶液中に2分間浸漬し、該支持膜を垂直方向にゆっくりと引き上げ、エアーノズルから窒素を吹き付け支持膜表面から余分な水溶液を取り除いた後、トリメシン酸クロリド0.13重量%を含むn−デカン溶液を表面が完全に濡れるように塗布して1分間静置した。次に、膜から余分な溶液を除去するために膜を1分間垂直に保持して液切りした。その後、90℃の熱水で2分間洗浄して分離膜(ポリアミド膜)を得た。
このように得られた分離膜を、分離膜エレメントでの有効面積が0.5mとなるように折り畳み断裁加工し、ネット(厚み:0.5mm、ピッチ:3mm×3mm、繊維径:250μm、投影面積比:0.25)を供給側流路材として、表1に示す1枚のリーフを作製した。
(気体分離膜モジュールの作製)
気体分離膜を幅300mmに裁断し、25℃の温室下で風乾後に折り畳み、折り畳まれた分離膜に挟まれるように、表1に示す供給側流路材を配置する構成とした。さらに、供給側流路材が配置されたのとは逆側の分離膜の面に、透過側流路材を配置し、透過側流路材の端部3辺に接着剤を塗布し、これらの積層物である分離膜ユニット(リーフ数:3枚)を、ABS樹脂製集水管(幅:300mm、径:17mm、孔数80個×直線2列)にスパイラル状に巻囲し、直径を2.5インチの分離膜モジュールを作製した。
(液体分離用の透過側流路材の作製)
スリット幅0.5mm、ピッチ0.9mmの櫛形シムを装填したアプリケーターを用いて、バックアップロールを20℃に温度調節しながら、分離膜エレメントとした場合に集水管の長手方向に対して垂直かつ封筒状膜とした場合に巻回方向の内側端部から外側端部まで集水管の長手方向に対して垂直になるよう直線状に、高結晶性PP(MFR1000g/10分、融点161℃)60質量%と低結晶性α−オレフィン系ポリマー(出光興産株式会社製;低立体規則性ポリプロピレン「L−MODU・S400」(商品名))40質量%からなる組成物ペレットを樹脂温度205℃、走行速度10m/minで直線状に不織布上に塗布して突起物(厚み0.23mm、幅0.5mm)を得た。不織布は厚み0.07mm、目付量が35g/m、エンボス柄(φ1mmの円形、ピッチ5mmの格子状)であった。
(液体分離膜モジュールの作製)
分離膜を湿潤状態の液体分離膜とし、上記の液体分離用の透過側流路材を用いたこと以外は気体分離膜モジュールと同様の方法で作製した。
(気体分離膜の水素/酸素選択性)
25℃の温室下で風乾した分離膜を直径17mmの棒状物に3周巻き付け、24時間保持した。その後、分離膜を引き延ばして有効膜面積25cmの円形に切り取り、供給側と透過側の2つのチャンバに隔てられた透過セルに取り付け、水素40モル%、酸素60モル%を含む供給気体を圧力0.1MPa、温度25℃、100mL/minにて供給した。また、透過側にはスイープガスであるアルゴンを圧力0.1MPa、温度25℃で供給した。運転から30分間運転した後に、TCD(熱伝導度検出器)を有するガスクロマトグラフィーへ透過気体(つまり水素および酸素の混合気体)とスイープガスとの混合気体を送り、この混合気体における透過気体の濃度を分析し、水素および酸素の透過度を算出した。また、水素透過度を酸素透過度で除して、水素/酸素選択性を算出した。
(気体分離膜モジュールの水素/酸素選択性)
気体分離膜モジュールを圧力容器に収納し、水素40モル%、酸素60モル%を含む供給気体を30L/min、温度25℃で分離膜モジュールに供給しながら、圧力0.1MPaでろ過を行った。得られた透過気体を分離膜(ポリアミド膜)と同様の方法で分析し、気体分離膜モジュールの水素/酸素選択性を算出した。
(選択性比)
上述した気体分離膜の水素/酸素選択性に対する、気体分離膜モジュールの水素/酸素選択性を算出し装填性とした。すなわち、算出した値が1に近いほど供給気体や透過気体の偏流が抑制された分離膜モジュールである。
(液体分離膜の脱塩率(TDS除去率))
膜を50mmの面積に円形に切りとり、上記造水量と同様の条件で評価し、サンプリングした透過水について、TDS濃度を伝導率測定により求め、下記式から分離膜のTDS除去率を算出した。
TDS除去率(%)=100×{1−(透過水中のTDS濃度/供給水中のTDS濃度)}
(液体分離膜モジュールの脱塩率(TDS除去率))
液体分離膜モジュールをベッセルに装填し、温度25℃、pH6.5に調整したかん水(TDS濃度約500ppm)を、操作圧力0.5MPaで供給して膜ろ過処理を2時間行なった後に30分間のサンプリングを行い、得られた透過水について、TDS濃度を伝導率測定により求め、下記式から液体分離膜モジュールのTDS除去率を算出した。
TDS除去率(%)=100×{1−(透過水中のTDS濃度/供給水中のTDS濃度)}
(イオン除去比)
上述した液体分離膜の脱塩率(TDS除去率)に対する、液体分離膜モジュールの脱塩率(TDS除去率)を算出し装填性とした。すなわち、算出した値が1に近いほど、供給液体の偏流が抑制された分離膜モジュールである。
(流動抵抗)
気体分離膜モジュールの水素/酸素選択性、液体分離膜モジュールの脱塩率の測定時における、圧力容器入口および出口の圧力を読み取り、その圧力差(圧力容器入口の圧力―圧力容器出口の圧力)を流動抵抗とした。
(実施例1)
気体分離膜モジュールの性能を評価したところ、結果は表1のとおりであった。
Figure 2021118995
(実施例2〜4)
供給側および透過側流路材を表1のとおりに変更した以外は全て実施例1と同様にして、気体分離膜モジュールを作製した。気体分離膜モジュールの性能を評価したところ、結果は表1のとおりであった。
(実施例5)
液体分離膜モジュールの性能を評価したところ、結果は表1のとおりであった。
(実施例6〜8)
供給側および透過側流路材を表1のとおりに変更した以外は全て実施例1と同様にして、液体分離膜モジュールを作製した。液体分離膜モジュールの性能を評価したところ、結果は表1のとおりであった。
(比較例1)
供給側および透過側流路材を表2のとおりに変更した以外は全て実施例1と同様にして、気体分離膜モジュールを作製した。気体分離膜モジュールの性能を評価したところ、結果は表1のとおりであった。すなわち流路材が分離膜と接触している領域が多いため流路が狭く、また偏流が生じたため流動抵抗と選択性比が悪化した。
(比較例2)
供給側および透過側流路材を表2のとおりに変更した以外は全て実施例1と同様にして、液体分離膜モジュールを作製した。液体分離膜モジュールの性能を評価したところ、結果は表1のとおりであった。比較例1と同様、流路材が分離膜と接触している領域が多いため流路が狭く、また偏流が生じたため流動抵抗と選択性比が悪化した。
表1に示す結果から明らかなように、実施例1〜8における分離膜モジュールは、流動抵抗が低く偏流抑制に優れているといえる。
本発明の分離膜モジュールは、液体や分離の分離等に好適に用いることができる。
1 分離膜
2 供給側流路材
3 透過側流路材
511 経糸A
512 経糸B
52 緯糸
53 捻れ部
54 交点
6 中心管
100 分離膜モジュール
201 供給気体
202 透過気体
203 濃縮気体
x 経糸間距離
y 横糸間距離

Claims (5)

  1. 中心管、分離膜、供給側流路材、および透過側流路材を有する分離膜モジュールであって、
    前記供給側流路材および/又は前記透過側流路材は、一方向に並んだ経糸、および、前記経糸とは異なる方向に並んだ緯糸からなる網目状物であり、
    前記経糸は、少なくとも2本の繊維が捩じれた構造を有する、分離膜モジュール。
  2. 前記緯糸は、前記経糸を構成する複数の繊維に挟まれることで、前記経糸と前記緯糸で構成される交点を有する、請求項1に記載の分離膜モジュール。
  3. 前記交点において、前記経糸および前記緯糸は溶着していることを特徴とする、請求項2に記載の分離膜モジュール。
  4. 前記分離膜は、基材と、基材上の多孔性支持層と、多孔性支持層上の分離機能層を有し、前記分離機能層はポリアミドを含むことを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の分離膜モジュール。
  5. 以下の工程1および2を、この順に有する、水素の製造方法。
    工程1:水素を含んだ気体を、請求項1〜4のいずれかに記載の分離膜モジュールに供給する工程。
    工程2:前記分離膜モジュールに対して圧力を加える工程。
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