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JP2021113312A - α化改質澱粉 - Google Patents

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JP2021113312A
JP2021113312A JP2021005433A JP2021005433A JP2021113312A JP 2021113312 A JP2021113312 A JP 2021113312A JP 2021005433 A JP2021005433 A JP 2021005433A JP 2021005433 A JP2021005433 A JP 2021005433A JP 2021113312 A JP2021113312 A JP 2021113312A
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starch
dietary fiber
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water
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JP2021005433A
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English (en)
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清香 石原
Seiko Ishihara
清香 石原
美樹 太田
Miki Ota
美樹 太田
誠 中馬
Makoto Chuma
誠 中馬
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San Ei Gen FFI Inc
Original Assignee
San Ei Gen FFI Inc
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Abstract

【課題】冷水でも容易に水和し、水和物の経時的な粘度変化が少ない性質を示すα化澱粉を提供することを目的とする。
【解決手段】(a)澱粉及び特定の食物繊維の混合物を水の存在下で加熱処理して得られる改質澱粉の水懸濁物を加熱処理する、α化工程、及び(b)前記α化工程を経た改質澱粉を、α化を保持した状態で乾燥させる工程、を含む製造方法により、α化澱粉を調製する。
【選択図】図1

Description

本発明は、物理的改質澱粉を起原とするα化澱粉及びその製造方法に関する。
一般的に澱粉は、加水加熱によって糊化(α化)することによって、澱粉粒が膨潤して水和する。澱粉のα化状態を保持したまま乾燥させて得られるα化澱粉は、水、特に冷水でも水和しやすいという性質を有する。そのため、α化澱粉は、工業的には加熱による糊化工程を省略できるという利点があり、例えば元来加熱工程を設けていない食品の製造プロセスで需要がある。
しかし、α化澱粉は、水存在下において徐々にアミロース及びアミロペクチンが再度結晶化する老化(β化)が起こる。そしてこのような老化によって、経時的に粘度や風味の変化が起こり、品質が損なわれることが一般的に知られている。
このような粘度変化の抑制のために、例えばα化澱粉の原料としてワキシーコーンスターチ等の比較的老化しにくい澱粉を用いる手段が知られている。しかし、この場合、得られたα化澱粉の物性や食感が、使用する食品によっては好ましいものとはならないという問題があった。
一方で、澱粉の機能性を変化させるために、物理的又は化学的に澱粉を改質することが知られている。例えば特許文献1には、澱粉及び果実由来食物繊維の混合物を湿熱処理することを含む、澱粉の物理的改質手段が開示されている。しかし、得られた改質澱粉から、α化処理を経て乾燥物であるα化澱粉を得ることは記載されていない。
WO2018/216748号公報
本発明は、上記のような状況の中、冷水でも容易に水和し、水和物の経時的な粘度変化が少ない性質を示すα化澱粉を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討した結果、(a)澱粉及び特定の食物繊維の混合物を、水の存在下で加熱処理して得られる改質澱粉の水懸濁物を加熱処理する、α化工程、及び(b)前記α化工程を経た改質澱粉を、α化を保持した状態で乾燥させる工程、を含む製造方法により、冷水でも水和し、経時的な粘度変化が少ないα化澱粉を調製できることを見出し、本発明に至った。
即ち、本発明は、以下のα化澱粉の製造方法を提供する。
[1]
(a)澱粉並びに果実由来食物繊維及び/又はマメ科植物由来食物繊維の混合物を水の存在下で加熱処理して得られる改質澱粉
の水懸濁液を加熱処理する、α化工程、及び
(b)前記α化工程を経た改質澱粉を、α化を保持した状態で乾燥させる工程
を含む、α化澱粉の製造方法。
[2]
前記澱粉が、馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉、コメ澱粉、及び甘蔗澱粉からなる群より選ばれる1種又は2種以上である、[1]に記載の製造方法。
[3]
馬鈴薯澱粉並びに果実由来食物繊維及び/又はマメ科植物由来食物繊維の混合物を起原とする物理的改質澱粉の、α化物の乾燥物であり、
室温の水95質量部に対して5質量部を懸濁して得られる懸濁液の、B型回転粘度計を用いて測定される粘度が100mPa・s以上であり、前記懸濁液を5℃で1週間保存した後の粘度変化率が−50〜70%である、
α化澱粉。
[4]
α化度が20%以上である、[3]に記載のα化澱粉。
さらに、本発明は、以下の組成物を提供する。
[5]
[3]又は[4]に記載のα化澱粉を含有する、組成物。
[6]
さらにワキシー種の澱粉又はそのα化物を含有する、[5]に記載の組成物。
[7]
飲食品又は飲食品製造用製剤である、[5]又は[6]に記載の組成物。
本発明のα化澱粉は、冷水にも容易に水和する。そして、本発明のα化澱粉は、その水和物の経時的な粘度変化が小さい。
試験例1において、室温のイオン交換水に、実施例1、2及び比較例1の澱粉を懸濁して2時間経過した後に測定した懸濁液の粘度、及び5℃で1日静置した後の懸濁液の外観を表す図である。矢印の部分は、澱粉の膨潤が不十分で、澱粉が沈殿している様子を表す。
本明細書において、「生澱粉」とは、物理処理又は化学処理による変性が生じていない澱粉を表す。即ち生澱粉は、細胞壁を破壊して、植物中の澱粉粒を取り出して集めたものであって、化学処理等の加工を一切行っていない澱粉である。
本明細書において、「α化」と「糊化」は、特に区別されず、いずれも澱粉粒が吸水して膨潤又は崩壊した状態にすることを表す。このとき、澱粉のアミロペクチン鎖間には水が入りこんだ状態となる。
本明細書において、「α化物」と「糊化物」は、特に区別されず、澱粉粒が吸水して膨潤又は崩壊した状態になっている澱粉を表す。「α化物」又は「糊化物」には、糊液(澱粉懸濁液を加熱して糊状となったもの)のように水中に澱粉粒が懸濁・分散したもの、あるいは後述のα化澱粉のような乾燥物、などが包含される。
本明細書において、「α化澱粉」とは、α化状態を保持した澱粉の乾燥物を表す。
本明細書において、「改質澱粉」とは、加工によって、澱粉粒が水への曝露、加熱及び/若しくは撹拌等の物理的な刺激によって膨潤及び/又は崩壊する性質が低減された澱粉を表す。
本明細書において、「物理的改質澱粉」は、主に加熱、加圧等の物理的な処理によって得られる改質澱粉を表す。
本明細書において、「α化改質澱粉」とは、α化状態を保持した改質澱粉の乾燥物を表す。
本明細書において、「非α化改質澱粉」とは、α化改質澱粉以外の改質澱粉を表す。
本明細書において、「実質的に含まない」とは、それが存在する場合、検出限界未満のレベルであることを表し、例えば、0.1%未満であることを意味する。
特に限定されない限り、本明細書中に記載されている工程、処理、又は操作は、室温で実施され得る。
本明細書中、室温は、10〜40℃の範囲内の温度を意味する。また、本明細書中、加熱とは、室温以下の温度を有する当該混合物の温度を、処理前より高くする処理を意味する。
本明細書において、粘度の数値はB型回転粘度計又はラピッドビスコアナライザー(RVA)を用いて測定される。
本明細書において、B型回転粘度計を用いる場合は、特に記載がなければ、ローターの回転数60rpm、品温20℃で粘度を測定するものとする。具体的には、測定に使用されるB型回転粘度計は、株式会社東京計器製 BL型が好ましい。当該機器を用いる場合、測定用ローターは、付属のローターを試料の粘度に応じて選択すればよい。即ち、100mPa・s未満ではNo.1の、100〜500mPa・sではNo.2の、500〜2000mPa・sではNo.3の、2000mPa・s以上ではNo.4のローターを使用する。
ラピッドビスコアナライザーを用いる場合は、機器はNew Port Scientific社製のものが好適に使用される。
[α化澱粉の製造方法]
本発明の、改質澱粉から得られるα化澱粉(α化改質澱粉)の製造方法は、
(a)澱粉並びに果実由来食物繊維及び/又はマメ科植物由来食物繊維の混合物を水の存在下で加熱処理して得られる改質澱粉
の水懸濁液を加熱処理する、α化工程、及び
(b)前記α化工程を経た改質澱粉を、α化を保持した状態で乾燥させる工程
を含む。
(改質澱粉)
α化工程に用いられる改質澱粉の製造方法のうち、果実由来食物繊維を用いるものは、WO2018/216748号公報に記載された方法を用いることができる。また、マメ科植物由来食物繊維を用いた場合も、同様の方法を用いることができる。即ち、改質澱粉の好ましい実施形態は以下のとおりであるが、必ずしもこれらに限定されない。なお、ここで使用する原材料、用語、使用する測定方法については、WO2018/216748号公報の定義に従う。
(1)澱粉
当該製造方法で使用される澱粉は、化学処理による変性が生じていない澱粉(いわゆる生澱粉)である。
当該澱粉としては、一般に流通している澱粉を広く利用することができる。澱粉は、澱粉粒として、植物の細胞内に蓄積されている。当該澱粉(又は澱粉粒)は、アミロペクチンを含有する。当該澱粉(又は澱粉粒)は、更にアミロースを含有することができる。
澱粉粒の構造は、いまだ完全には解明されていないが、うるち種の澱粉の場合はアミロース、及びアミロペクチンが、ワキシー種の澱粉の場合はアミロペクチンが一定の規則的な構造を構成していると考えられている。
当該製造方法で使用される澱粉の例は、馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉、コメ澱粉、コーン澱粉、甘蔗澱粉、小麦澱粉、緑豆澱粉、葛澱粉及びサゴ澱粉、並びにそれらのワキシー種澱粉(例:ワキシー馬鈴薯澱粉、ワキシー米澱粉)を包含する。中でも、得られるα化改質澱粉の粘度発現が良好となる点から、馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉、コメ澱粉、及び甘蔗澱粉からなる群より選ばれる1種又は2種以上が好ましく、馬鈴薯澱粉がより好ましい。
当該澱粉粒の粒子径(最長径)は、馬鈴薯澱粉及びそのワキシー種澱粉の場合は例えば15〜100μmの範囲内、タピオカ澱粉及びそのワキシー種澱粉の場合は例えば5〜35μmの範囲内、コメ澱粉及びそのワキシー種澱粉の場合は例えば2〜10μmの範囲内、コーン澱粉及びそのワキシー種澱粉の場合は例えば6〜25μmの範囲内、小麦澱粉の場合は例えば10〜35μmの範囲内、甘藷澱粉の場合は例えば15〜35μmの範囲内、緑豆澱粉の場合は例えば15〜25μmの範囲内、葛澱粉の場合は例えば3〜15μmの範囲内、及びサゴ澱粉の場合は例えば10〜60μmの範囲内であることができる。
また、当該澱粉粒の粒子径(最長径)の標準偏差は、馬鈴薯澱粉及びそのワキシー種澱粉の場合は例えば1〜60μmの範囲内、タピオカ澱粉及びそのワキシー種澱粉の場合は例えば1〜15μmの範囲内、コメ澱粉及びそのワキシー種澱粉の場合は例えば0.1〜5μmの範囲内、コーン澱粉及びそのワキシー種澱粉の場合は例えば1〜11μmの範囲内、小麦澱粉の場合は例えば1〜15μmの範囲内、甘藷澱粉の場合は例えば1〜15μmの範囲内、緑豆澱粉の場合は例えば0.1〜5μmの範囲内、葛澱粉の場合は例えば0.1〜5μmの範囲内、及びサゴ澱粉の場合は例えば1〜30μmの範囲内であることができる。
当該澱粉粒の最長径/最短径の比は、例えば、約1.0〜約1.5の範囲内、1.1〜1.5の範囲内、又は約1.0であることができる。
当該澱粉は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いられ得る。
(2)果実由来食物繊維及び/又はマメ科植物由来食物繊維
当該製造方法で使用される果実由来食物繊維及びマメ科植物由来食物繊維は、一般に流通しているものを広く利用することができる。このような食物繊維は、公知の方法で製造すること、及び/又は商業的に入手することが可能である。
当該製造方法で使用される果実由来食物繊維は、また例えば、果実の圧搾後に果汁を除いた残渣、又はその精製物として調製できる。
当該製造方法で使用される果実由来食物繊維は、好適に、水溶性食物繊維、及び水不溶性食物繊維を含有する複合型食物繊維であることができる。
当該製造方法で使用される果実由来食物繊維は、好適に、ペクチン質を含有する食物繊維であることができる。
当該水溶性食物繊維の例は、水溶性ヘミセルロース、及びペクチン、並びにそれらの組合せを包含する。
当該不溶性食物繊維の例は、セルロース、リグニン、不溶性ヘミセルロース、及びプロトペクチン、並びにそれらの組合せを包含する。
前記複合型食物繊維は、好適に、食物繊維を50質量%以上、60質量%以上、70質量%以上、又は80質量%以上含有することができる。
前記複合型食物繊維は、好適に、不溶性食物繊維を、20質量%以上、30質量%以上、40質量%以上、50質量%以上、又は60質量%以上含有することができる。
前記複合型食物繊維は、好適に、水溶性食物繊維を、例えば、10質量%以上、20質量%以上、30質量%以上、40質量%以上、又は50質量%以上含有することができる。
前記複合型食物繊維が含有する水不溶性食物繊維及び水溶性食物繊維の質量比は、好ましくは1:0.2〜1:15、より好ましくは1:0.3〜1:10、及び更に好ましくは1:0.4〜1:5の範囲内であることができる。
当該製造方法に関し、食物繊維含有量、水溶性食物繊維含有量、及び不溶性食物繊維含有量は、プロスキー変法(AOAC公定法991.42及び993.19)によって、測定される。
当業者が通常理解する通り、複合型食物繊維の、プロスキー変法によって測定された食物繊維含有量は、必ずしも100質量%、又はこれに近い値ではない。
当該製造方法で使用される果実由来食物繊維の例は、シトラス由来食物繊維、リンゴ由来食物繊維、及びトマト由来食物繊維等を包含する。なかでも、シトラス由来食物繊維(シトラスファイバー)が好ましい。
シトラスファイバーは、例えば、シトラスの圧搾後の残渣を粉末化し、及びこれに高衝撃を与えて得られたものであることができる。
シトラスファイバーは、例えば、細胞のミセル構造が壊れポーラスな構造を有しているものであることができる。
当該製造方法で使用されるマメ科植物由来食物繊維は、マメ科(Fabaceae)に属する植物の種子から得られる食物繊維であれば特に限定されず、例えば、大豆由来食物繊維、グァー類(グァーガム等)、エンドウ由来食物繊維、ローカストビーンガム、タマリンド種子多糖類、タラガム等が挙げられる。中でも本発明の製造方法には、大豆由来食物繊維、エンドウ由来食物繊維が好適に用いられる。
大豆由来食物繊維は、大豆に由来する水溶性の食物繊維であり、特に限定されるものではないが、別名大豆食物繊維又は水溶性大豆ヘミセルロース等と称されるものが包含される。構成糖として、主に、ガラクトース、アラビノース、ガラクツロン酸からなる。大豆由来食物繊維は、ペクチンと異なり、二価の金属イオンによってゲル化や増粘しにくいことを特徴とする。当該大豆由来食物繊維は、通常、大豆から分離大豆蛋白質を製造する過程で生成する不溶性食物繊維から抽出・精製され、必要に応じて殺菌して調製することができる。
当該製造方法において、果実由来食物繊維又はマメ科植物由来食物繊維は、澱粉の改質剤として機能でき、従って、改質澱粉の製造に用いることができる。当該果実由来食物繊維又はマメ科植物由来食物繊維は、他の澱粉改質剤を包含する1種以上の食品若しくは食品添加物との組み合わせ(例:添加、又は混合)において用いてもよい。
当該「他の澱粉改質剤」の例としては、
(a)水溶性ヘミセルロース、キサンタンガム、ペクチン、グァーガム、ローカストビーンガム、ジェランガム、タマリンドシードガム、サイリウムシードガム、寒天、カラギナン、アラビアガム、ガティガム、及びセルロース、並びにそれらの誘導体等の多糖類;及び
(b)その他の食物繊維が挙げられる。
当該「食品若しくは食品添加物」の例は、タンパク質、油脂、糖類、塩類(ミネラル)、ビタミン類、調味料、香料、酸味料、色素、保存料、糊料、pH調整剤、及び甘味料を包含する。
(3)改質方法
本発明の澱粉の改質方法は、澱粉、並びに果実由来食物繊維及び/又はマメ科植物由来食物繊維の混合物を、水の存在下で加熱処理することを含む。
当該「水の存在下」とは、前記混合物が、前記加熱処理中に、水に曝露され得る環境内にあることを意味する。当該水の形態は、例えば、気体、又は液体、或いはこれらの組合せであることができる。
当該「加熱処理」とは、前記混合物が、処理前の品温より高い温度に曝露されることを意味する。
水の存在下での熱処理は、好適に、
[1]水分含量が20%未満の前記混合物を湿熱処理すること、又は
[2]前記混合物として、水分含量が20〜50質量%である混合物を用意し、及び当該混合物を100〜200℃で加熱することにより、実施できる。
当該混合物は、澱粉、並びに果実由来食物繊維及び/又はマメ科植物由来食物繊維を含有し、且つこれらが混合されている組成物であることできる。ここで、これらが「混合されている」状態は、通常理解される通り、澱粉、及び果実由来食物繊維又はマメ科植物由来食物繊維の大部分(好ましくは、全て)が、相互作用(好ましくは接触)し得る程度に十分に近接している状態を意味する。
本発明の澱粉の改質方法において、澱粉、並びに果実由来食物繊維及び/又はマメ科植物由来食物繊維は、これら以外の成分と共存していてもよい。
当該組成物は、澱粉、果実由来食物繊維、及びマメ科植物由来食物繊維以外の成分を含有していてもよい。
このような成分の例は、塩基性物質を包含する。
当該製造方法において前記澱粉、並びに果実由来食物繊維及び/又はマメ科植物由来食物繊維との組み合わせにおいて、アルカリ性の化合物を使用できる。
当該塩基性物質としては、水に溶かすとアルカリ性(例えば、8以上のpH)を示す物質が例示できる。
その具体例は、周期表第1族の金属(例:ナトリウム、カリウム)の水酸化物、炭酸塩、又は炭酸水素塩、有機酸塩;及び周期表第2族の金属(例:カルシウム、マグネシウム)の水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩、又は有機酸塩を包含する。
当該有機酸の例は、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、グルコン酸、フマル酸、酢酸、及びシュウ酸を包含する。
なかでも、周期表第1族の金属の炭酸塩又は炭酸水素塩が好ましく、及び周期表第1族の炭酸塩がより好ましい。
当該塩基性物質を使用する場合、その量は、前記澱粉の100質量部に対して、0.01〜0.5質量部の範囲内、好ましくは0.02〜0.2質量部の範囲内、及びより好ましくは0.1〜0.2質量部であることができる。
このような塩基性物質の使用により、本発明の方法による改質の効果をより増強し得る。
前記塩基性物質の使用時期は任意であり、例えば、澱粉、並びに果実由来食物繊維及び/又はマメ科植物由来食物繊維を混合した後に、塩基性物質を添加及び混合してもよく、或いは澱粉、及び塩基性物質を混合した後に、果実由来食物繊維及び/又はマメ科植物由来食物繊維を混合してもよい。
[1]態様1(湿熱処理)
当業者が容易に理解できる通り、当該製造方法の一側面は、澱粉を、果実由来食物繊維及び/又はマメ科植物由来食物繊維との共存下で、湿熱処理することを含む方法であることができる。
澱粉、並びに果実由来食物繊維及び/又はマメ科植物由来食物繊維の混合物は、両者を混合することにより用意できる。
当該混合は、両者の少なくとも一部が接触できるように実施すればよい。
当該態様1の一態様においては、粉末の澱粉と、粉末の果実由来食物繊維及び/又はマメ科植物由来食物繊維とが、混合される。
当該態様1の別の一態様において、粉末の澱粉と、果実由来食物繊維及び/又はマメ科植物由来食物繊維の水溶液又は懸濁液とが、混合される。
当該混合は、撹拌等の公知の方法で実施すればよい。
前記混合物における、前記澱粉と、前記果実由来食物繊維及びマメ科植物由来食物繊維の総和の質量比は、好ましくは99:1〜80:20の範囲内、より好ましくは98:2〜80:20の範囲内、更に好ましくは98:2〜88:12の範囲内、より更に好ましくは97:3〜90:10の範囲内、及び特に好ましくは約95:5である。
果実由来食物繊維及びマメ科植物由来食物繊維の割合が少なすぎる場合、澱粉粒の膨潤及び/又は崩壊を抑制する効果が小さくなる傾向があり、また、レトルト殺菌を包含する加熱殺菌の後の澱粉含有溶液のゲル化を十分に抑制できない傾向がある。
一方、果実由来食物繊維及びマメ科植物由来食物繊維の割合が多すぎる場合、粘度を上昇させる主成分である澱粉の含有量が少なくなりすぎる。
当該態様1で改質された澱粉は、改質処理前の当該混合物と同様の質量比で、澱粉、並びに果実由来食物繊維及び/又はマメ科植物由来食物繊維を含有し得る。
湿熱処理とは、通常理解される通り、高い相対湿度条件下での加熱処理を包含することができる。具体的には、当該相対湿度は、好ましくは、80%以上より好ましくは90%以上、更に好ましくは95%以上、及び特に好ましくは100%であることができる。
当該態様1の好適な一態様において、湿熱処理は、好ましくは水蒸気の存在下、より好ましくは飽和水蒸気下で実施される。
当該態様1の別の好適な一態様において、湿熱処理は、好ましくは、前記混合物を、その水分含量が所定の範囲になるように(具体的には、水分含量が、例えば、20〜50質量%になるように)調湿した後、100〜200℃で加熱する。当該加熱は、湿熱処理、又は乾熱処理であることができる。
湿熱処理の温度の下限の好適な例は、95℃、100℃、105℃、110℃、115℃、及び120℃を包含する。
当該温度をこのような数値以上に設定することにより、澱粉粒の膨潤及び/又は崩壊を抑制する効果を高くすることができる。
また、当該温度をこのような数値以上に設定することにより、レトルト殺菌を含む加熱殺菌後の澱粉含有溶液のゲル化を抑制する効果を高くすることができる。
湿熱処理の温度の上限の好適な例は、200℃、150℃、140℃、135℃、130℃、125℃、120℃、115℃、及び110℃を包含する。
当該温度をこのような数値以下に設定することにより、改質処理に起因する澱粉の望まざる着色を防止又は抑制できる。
湿熱処理の温度は、好ましくは95〜140℃の範囲内、より好ましくは100℃〜130℃の範囲内、及び更に好ましくは105℃〜130℃の範囲内であることができる。
湿熱処理の時間の下限の好適な例は、0.5分間、1分間、2分間、3分間、4分間、5分間、6分間、8分間、10分間、12分間、15分間、及び20分間を包含する。
当該時間をこのような数値以上に設定することにより、澱粉粒の膨潤及び/又は崩壊を抑制する効果が高くすることができる。
また、当該時間をこのような数値以上に設定することにより、レトルト殺菌を含む加熱殺菌後の澱粉含有溶液のゲル化を抑制する効果を高くすることができる。
湿熱処理の時間の上限の好適な例は、180分間、150分間、120分間、90分間、60分間、40分間、30分間、20分間、15分間、10分間、5分間、2分間、及び1分間を包含する。
当該時間をこのような数値以下に設定することにより、改質処理に起因する澱粉の望まざる着色を防止又は抑制できる。
湿熱処理の時間は、好ましくは1〜300分間の範囲内、より好ましくは5〜300分間の範囲内、更に好ましくは10〜180分間、より更に好ましくは10〜120分間の範囲内であることができる。
好適に、湿熱処理の温度をより高く設定する場合、時間をより短く設定することが可能であり、並びに湿熱処理の温度をより低く設定する場合、時間をより長く設定することが可能であり、湿熱処理の温度と時間の好適な組合せの例は、
(a)95〜120℃の範囲内の温度、且つ10〜120分間の範囲内の時間、及び
(b)120〜140℃の範囲内の温度、且つ3〜60分間の範囲内の時間を包含する。
当該湿熱処理は、例えば、
(a)市販のオートクレーブ等の加圧加熱容器を使用して行うこと、
(b)流動層造粒乾燥機、及び/又はハイブリッドキルン等の装置に、水蒸気、過熱水蒸気、及び/又は水スプレーなどを組み合わせて加熱処理をすること、及び
(c)恒温恒湿槽を用いて所望の温度及び湿度条件で加熱処理すること等の方法によって実施できる。
前記「オートクレーブ」とは、当業者が通常理解する通り、圧力釜又は加圧蒸気釜と呼ばれる装置の一形態であり、密閉容器中で排気バルブを制御しながら水を加熱することにより、内圧を保ちながら水蒸気温度を100℃以上にすることができる装置である。
当該オートクレーブは、加圧熱殺菌及び/又は水熱合成に用いられており、加圧熱殺菌用のものでは上限4気圧、130℃程度までの処理が可能であり、一方、水熱合成用のものでは、数百気圧、300℃程度までの処理が可能である。
オートクレーブ容器内の相対湿度は100%となることができる。
前記「ハイブリッドキルン」とは、インダクション加熱(IH)による外熱加熱と過熱水蒸気による内熱加熱方式を併用したロータリー型の装置であり、キルン内に試料を投入した後、加熱しながら飽和又は過熱水蒸気を吹き込むことにより湿熱処理を行なうことができる。
飽和水蒸気を用いる場合は100℃程度、過熱水蒸気を用いる場合は105℃〜400℃程度の加熱処理を行うことができる。
当該ハイブリッドキルンは開放系なので、加熱時間中、常に水蒸気を供給する必要がある。キルン内圧力は大気圧(1気圧)である。
当該水蒸気量は、供給する水蒸気の温度、水蒸気流の線速度及び加熱時間によって決定される。実際には、供給した水蒸気量は水蒸気発生装置が消費した水の量から計算することができる。
前記恒温恒湿槽とは、常圧開放系の処理槽中をヒーターで加熱しつつ、水を別のヒーターで加熱し、水蒸気を吹き込むことにより槽内に相対湿度80〜100%の雰囲気をつくり、この状態から排気ファンによって槽内から水蒸気を適宜排出することによって湿度及び温度を一定にコントロールすることができる熱処理装置である。
当該恒温恒湿槽の場合、温度及び相対湿度は、湿球温度計及び/又は乾球温度計により自動的に計算され設定された温度及び湿度に制御することができる。
恒温恒湿槽の槽内は開放系なので、加熱時間中、常に水蒸気を供給する必要がある。槽内圧力は大気圧(1気圧)である。
当該水蒸気量は、設定した槽内の相対湿度、槽内の温度及び処理時間によって決定される。実際には、供給した水蒸気量は、ハイブリッドキルンと同様に恒温恒湿槽に供給された水の量から計算することができる。
また、特開平4−130102に記載のように、減圧ラインと加圧蒸気ラインとの両方を付設し、内圧、外圧共に耐圧性の密閉できる容器内に澱粉を入れ、減圧とした後、蒸気導入による加圧加熱を行い、或いはこの操作を繰り返すことにより、澱粉を所定時間加熱した後冷却することによって湿熱処理澱粉の効率的製造することもできる。
当該態様1の好適な一態様における前記湿熱処理は、例えば、前記混合物を、密閉容器内に水蒸気を導入した加圧環境下で5〜300分間加熱する処理であることができる。
当該態様1により改質された澱粉は、好適に、元の澱粉に比べて、澱粉粒の膨潤及び/又は崩壊が抑制されている。
当該態様1によれば、好ましくは、前記澱粉が、試料1.2gにイオン交換水を加えて全量25gにしてスラリー調製すること、当該スラリーの粘度を、ラピッドビスコアナライザーを用いて、試料の温度を、
0〜 60秒まで、50℃で保持し、
60〜282秒まで、0.203℃/秒で昇温し、
282〜432秒まで、95℃で保持し、
432〜660秒まで、0.200℃/秒で降温し、及び
660〜780秒まで、50℃で保持し、且つ
パドルの回転数を、
0〜10秒まで960rpm、及び
10秒以降は160rpmとする
条件で、当該60〜780秒の間、測定したときに、
この間の当該粘度の最大値が、
原料澱粉(未改質)の当該粘度の最大値より低い性質を有する改質澱粉;好ましくは、単独改質した原料澱粉の当該粘度の最大値より低い性質を有する改質澱粉;
具体的には、例えば、好ましくは600mPa・s以下、より好ましくは550mPa・s以下、更に好ましくは、500mPa・s以下、及び、より更に好ましくは450mPa・s以下である性質を有する改質澱粉へと改質される。
この間の当該粘度の最大値は、好ましくは、10mPa・s、より好ましくは30mPa・s以上、及び更に好ましくは50mPa・s以上である。
当該態様1において好ましくは、この間の当該粘度の最大値は、780秒の時点(すなわち、前記測定の終了時)での粘度であることができる。
[2]態様2(水分量を調整した混合物の加熱処理)
当業者が容易に理解できる通り、当該製造方法の一側面は、前記混合物として、水分含量が20〜50質量%である混合物を用意し、及び当該混合物を100〜200℃で加熱することを含む方法であることができる。
当該態様2は、適宜、前記態様1における条件等の説明を参照して理解される。冗長な記載を避けるため、以下、前記態様1における条件等の説明を参照して理解される事項については記載を省略する。
当該態様2では、前記混合物として、水分含量が20〜50質量%である混合物を用意する。当該混合物の用意は、澱粉並びに果実由来食物繊維及び/又はマメ科植物由来食物繊維の混合物を調湿することによって実施できる。
調湿の方法としては、最終的に組成物の水分含量を20〜50質量%にできる方法ならば、特に限定されないが、澱粉並びに果実由来食物繊維/又はマメ科植物由来食物繊維の混合物に、前記の水分含量になるように、秤量された水を、混合しながら滴下する方法、又はスプレー等で噴霧する方法を採用すればよい。
当該態様2は、大きく分けて、澱粉、果実由来食物繊維及び/又はマメ科植物由来食物繊維、及び水を均一に混合する混合工程と、加熱工程に分けられる。
当該加熱は、湿熱処理、又は乾熱処理であることができる。
当該湿熱処理は、前記で説明した処理であることができる。
当該乾熱処理は、加熱工程中に外部から水分を加えずに加熱する処理であることができ、これを実現できる方法であれば、具体的な方法は、特に限定されない。
その例は、対流伝熱乾燥装置、又は伝導伝熱乾燥装置等を使用する方法を含む。
特に、混合、及び加熱を同時に行うことができ、滞留時間を長くすることが可能な、周囲を加熱可能なジャケットを備えた混合機形の加熱装置等を用いると、より効率がよい。
加熱処理の際の温度の設定は、好ましくは100〜200℃の範囲内、及びより好ましくは120〜150℃の範囲内である。このような温度であることにより、長時間の加熱を必要とせず、且つ澱粉の望まざる変質(例:分解、転移、再会合、着色)が抑制される。
加熱処理の時間は、処理温度に応じて適宜選択することができる。加熱温度がより高い場合は、より短時間にでき、一方、加熱温度がより低い場合はより長時間にできる。
具体的には、例えば、好ましくは10分〜5時間、及びより好ましくは1〜3時間であることができる。
このような条件を採用することにより、果実由来食物繊維及び/又はマメ科植物由来食物繊維の改質効果が十分になり、且つ澱粉の望まざる変質を抑制できる。
このようにして得られた澱粉は、その後、必要に応じて、解砕、調湿、篩分等の工程を通すことも可能である。
前記のようにして改質された澱粉は、所望により、解砕、調湿、及び篩分等からなる群より選択される1種以上の後処理を施されてもよい。
(α化工程)
本発明の製造方法において、上記の改質澱粉を含有する水懸濁液が加熱処理されるα化工程を経る。これにより、澱粉がα化して糊液となる。水の添加量及び加熱温度は、用いる改質澱粉の種類により適宜設定し得るが、当該改質澱粉がα化する条件であれば特に限定されない。例えば、加熱温度は、70〜200℃であり得る。
上記α化工程において、改質澱粉は、均質にする観点から、水に懸濁された状態で加熱処理されることが好ましい。
(乾燥工程)
上記のα化工程を経た改質澱粉(即ち、改質澱粉の糊液)は、α化を保持した状態で乾燥される。α化を保持するためには、特に限定されないが、例えばα化工程の後に冷却を経ずに、100〜200℃の温度で加熱して水分を減少させればよい。水分を減少させる方法としては、特に限定されないが、例えば直接糊液を加熱して水分を蒸発させる方法が挙げられる。
本発明の製造方法において、α化を保持する観点から、α化工程と乾燥工程を共通の加熱工程で連続的又は同時に行うことが好ましい。当該共通の加熱工程に用いられる装置は特に限定されないが、エクストルーダー、ドラムドライヤー、ホットプレート、スプレードライヤーなどが挙げられる。
本発明の製造方法で得られるα化改質澱粉の水分含量は、特に限定されないが、α化改質澱粉の全量に対して、好ましくは16質量%以下、より好ましくは13質量%以下であり、本発明の製造方法で得られるα化改質澱粉は実質的に水分を含有していなくてもよい。また、本発明の製造方法で得られるα化改質澱粉の水分含量は、α化改質澱粉の全量に対して、例えば、0.1質量%以上、0.5質量%以上、1質量%以上であってもよい。
本発明の製造方法には、さらに改質澱粉又はα化改質澱粉に対して、粉砕、調湿、及び篩分からなる群より選ばれる1種以上の処理を行う工程を含んでもよい。
[α化澱粉]
本発明のα化澱粉(α化改質澱粉)は、以下の特徴を有する。
馬鈴薯澱粉並びに果実由来食物繊維及び/又はマメ科植物由来食物繊維の混合物を起原とする物理的改質澱粉の、α化物の乾燥物であり、
室温の水95質量部に対して5質量部を懸濁して得られる懸濁液の、B型回転粘度計を用いて測定される粘度が100mPa・s以上であり、前記懸濁液を5℃で1週間保存した後の粘度変化率が−50〜70%である。
本発明のα化改質澱粉を室温の水95質量部に対して5質量部を懸濁して得られる懸濁液のB型回転粘度計を用いて測定される粘度は、100mPa・s以上であり、好ましくは200mPa・s以上、より好ましくは300mPa・s以上、更に好ましくは400mPa・s以上である。
本発明のα化改質澱粉を室温の水95質量部に対して5質量部を懸濁して得られる懸濁液のB型回転粘度計を用いて測定される粘度は、特に限定されないが、例えば5000mPa・s以下、4000mPa・s以下、3000mPa・s以下、2000mPa・s以下でありうる。
本明細書において、上記のα化改質澱粉の懸濁液の粘度は、懸濁液を調製してから2時間後に測定される粘度とする。
本発明のα化改質澱粉を室温の水95質量部に対して5質量部を懸濁して得られる懸濁液を5℃で1週間保存した後の粘度変化率は、−50〜70%であり、より好ましくは−40〜50%、更に好ましくは−30〜30%である。
ここで、粘度変化率とは、懸濁液を調製してから2時間後の粘度(保存前粘度)と、調製した懸濁液の5℃で1週間保存した後の粘度(保存後粘度)とを用いて、以下の式で表される。即ち、粘度変化率は、保存前粘度に対する、保存による粘度変化量の割合を百分率で表したものである。
粘度変化率(%)=(保存後粘度−保存前粘度)/保存前粘度×100
本発明のα化改質澱粉は、以下の方法を用いて得られるα化度が、特に限定されないが、例えば20%以上であり、好ましくは30%以上、より好ましくは40%以上、更に好ましくは50%以上、更により好ましくは60%以上、特に好ましくは70%以上である。
<α化度の測定方法>
(1)澱粉0.1gをチューブにはかり、0.2Nの水酸化カリウム水溶液10mLを添加する。
(2)(1)のサンプルをボルテックスミキサーで十分に撹拌(例えば、TAITEC株式会社製PresentMixer2013の場合は10秒以上ボルテックス)した後、振とう機(ヤマト科学株式会社製シェイキングバスBW101)を用いて200rpmで30分間振とうさせる。
(3)1010×gで10分間遠心して上清を4mL回収する。
(4)1Nの塩酸を用いてpH7とした後、イオン交換水を加えて全量を100mLとする。
(5)(4)で得られた溶液0.75mLに、イオン交換水2.25mLを加えて混合し、さらに1%ヨウ素・10%ヨウ化カリウム水溶液30μLを添加した後、600nmの波長で吸光度を測定し、その値をAとする。
(6)(1)で0.2Nの水酸化カリウム水溶液の代わりに0.6Nの水酸化カリウム水溶液を用いる以外は、(1)〜(5)の操作を同様に行い、得られたサンプルの600nmにおける吸光度を測定し、その値をBとする。
(7)得られた吸光度の値A及びBから、次式を用いてα化度(%)を算出する。
α化度(%)=A/B×100
本発明のα化澱粉の起原(原料)となる組成物は、例えば上記の[α化澱粉の製造方法]の項に記載された製造方法に従って、馬鈴薯澱粉並びに果実由来食物繊維及び/又はマメ科植物由来食物繊維の混合物を水の存在下で加熱処理して得られる改質澱粉が挙げられる。
本発明のα化改質澱粉は、好適には、上記の[α化澱粉の製造方法]の項に記載した方法により製造される。
本発明のα化改質澱粉は、上記の[α化澱粉の製造方法]の項に記載した製造方法によって製造される場合は、改質澱粉に由来する果実由来食物繊維及び/又はマメ科植物由来食物繊維を含有する。そして、本発明のα化改質澱粉は、果実由来食物繊維及び/又はマメ科植物由来食物繊維に由来する水不溶性食物繊維及び水溶性食物繊維を含有する。
本発明のα化改質澱粉の食物繊維含有量は、α化改質澱粉全量に対して、好ましくは1〜20質量%、より好ましくは2〜20質量%、更に好ましくは2〜12質量%、より更に好ましくは3〜10質量%、3〜8質量%、3〜6質量%又は4〜5質量%である。
本発明のα化改質澱粉が含有する水不溶性食物繊維及び水溶性食物繊維の質量比は、特に限定されないが、好ましくは1:0.2〜1:15、より好ましくは1:0.2〜1:5の範囲内である。
食物繊維の含有量は、水不溶性食物繊維及び水溶性食物繊維の含有量の和である。水不溶性食物繊維及び水溶性食物繊維は[α化澱粉の製造方法]の項に記載されるようにプロスキー変法によって定量される。
本発明のα化改質澱粉は、冷水においても水和する性質を有する。また当該α化改質澱粉の起原である改質澱粉をα化してから乾燥工程を経ていない糊液と、当該改質澱粉と同量の本発明のα化改質澱粉を含む水溶液を比較すると、同じ条件では、本発明のα化改質澱粉のほうが経時的な粘度変化が小さいという特徴を有する。
さらに、本発明のα化改質澱粉は、水和による粘度発現に優れるという特有の効果を奏する。
さらに本発明のα化改質澱粉は、食品に適用した場合に、粘度発現しながらも、不快なぬめり又は曳糸性が少ない。また、当該食品が麺類の場合は、本発明のα化改質澱粉は、粘度発現しながらも麺のほぐれが良いという特徴を有する。よって、本発明のα化改質澱粉は、例えば、食品としてソース類又は麺類に好適に使用することができる。
本発明のα化改質澱粉は、特に限定されず、飲食品、医薬部外品、医薬品、化粧品、日用品、又はこれらの製造用製剤等に使用されるが、好ましくは飲食品の製造用製剤、より好ましくは増粘剤又は分散安定化剤に使用される。
なお、本明細書において、飲食品の製造用製剤は、食品扱いの製剤及び食品添加物扱いの製剤を包含する。
本発明のα化改質澱粉が使用される飲食品は、特に限定されないが、例えば、通常、澱粉が使用される飲食品、又は澱粉を含有する飲食品であり、好ましくは、澱粉が水中(又は自由水の存在下)で撹拌される工程、澱粉が水中(又は自由水の存在下)で糊化される工程、及び澱粉が水中で加熱される工程を含む製造方法で製造される飲食品である。そのような飲食品の具体例としては、特に限定されないが、例えば、バッター;たれ類、甘酢あん;スープ;ヨーグルト(例:無脂肪ヨーグルト、低脂肪ヨーグルト)、プロセスチーズ等のデイリープロダクト;スプレッド;うどん、そば、パスタ(スパゲティ、マカロニ等)、中華麺、そうめん、ひやむぎ、春雨、フォー、ビーフン、冷麺、糸こんにゃく、しらたき等の麺類(当該麺類は、例えば、生麺、半生麺、冷凍麺、乾燥麺、フライ麺、又はノンフライ麺等であることができる);パン類(例:食パン、全粒粉パン);ケーキ、及びクッキー等の焼き菓子類;アイスクリーム、アイスミルク、及びラクトアイス等の冷菓類;フラワーペースト(小麦粉含有ペースト)、及びカスタード風クリーム等のフィリング等;団子、練りあん、及びようかん等の和菓子類;お好み焼き、たこ焼き、チヂミ、及びブリトー;餃子、春巻き、及び中華饅;ハム、及びソーセージ等の魚畜加工肉製品;煮しめ、甘露煮、湯煮、うま煮、及び煮豆等の煮物類;いため物、串焼、網焼、ホイル焼、及びかば焼等の焼物類;から揚げ、天ぷら、及びフライ等の揚げ物類;しゅうまい、及び茶わん蒸し等の蒸し物類;胡麻あえ等の和えもの類;サラダ類; プリン、ゼリー、ババロア、ムース、杏仁豆腐等の洋生菓子等;ホットケースミックス等の粉末ミックス類;インスタントスープ等のインスタント食品等、とろみ調整食品等が挙げられる。
[α化澱粉を含有する組成物]
本発明の組成物は、上記の[α化澱粉の製造方法]の項に記載されたα化改質澱粉又は上記の[α化澱粉]の項に記載されたα化改質澱粉を含有する。
本発明の組成物としては、特に限定されず、飲食品、医薬部外品、医薬品、化粧品、日用品、又はこれらの製造用製剤等が挙げられる。
本発明の組成物は、特に限定されないが、本発明の効果をさらに高める観点から、さらにワキシー種の澱粉又はそのα化物を含有してもよい。ワキシー種の澱粉又はそのα化物としては、ワキシーコーンスターチ又はそのα化物が好ましい。
本発明の組成物中のワキシー種の澱粉及びそのα化物の総含有量は、α化改質澱粉1質量部に対して、好ましくは0.1〜3質量部、より好ましくは0.2〜3質量部、更に好ましくは0.5〜3質量部である。
本発明の組成物は、さらに、α化改質澱粉、ワキシー種の澱粉及びそのα化物以外の成分として、水溶性多糖類;水不溶性多糖類;賦形剤;乳化剤;飲食品に用いられる栄養成分;塩類;呈味成分;果汁;果肉;野菜;野菜汁;アルコール、酒類;ピューレ;エキス;香辛料;甘味料;糖アルコール;高甘味度甘味料;苦味料;酸味料;香料;着色料、その他食品添加物等から選ばれる1種又は2種以上含有していてもよい。
(態様1:飲食品)
本発明の組成物が飲食品である場合、その具体例としては、上記の[α化澱粉]の項に記載した、α化改質澱粉が使用される飲食品が挙げられる。
当該飲食品全量に対するα化改質澱粉の含有量は、特に限定されないが、0.1〜20質量%であり、好ましくは0.5〜10質量%、より好ましくは1〜5質量%である。
(態様2:製造用製剤)
本発明の組成物が製造用製剤である場合、好ましくは飲食品の製造用製剤として、より好ましくは飲食品の増粘剤又は分散安定化剤として、各種の飲食品の製造に使用される。
本発明の組成物が飲食品の製造用製剤である場合、α化改質澱粉の含有量は、当該製剤の全量に対して、10〜100質量%、好ましくは20〜100質量%、さらに好ましくは30〜90質量%である。
以下、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
特に記載のない限り、「部」は「質量部」を、また「%」は「質量%」を意味する。また、文中「*」印は、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製であることを示し、文中「※」印は、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社の登録商標又は商標であることを示す。
[澱粉試料の調製]
表1の条件で、原料を処理して澱粉試料を調製した。改質澱粉の調製方法及びα化工程及び乾燥工程の詳細は次のとおりである。
(改質澱粉の調製)
改質澱粉の調製は次の手順で行った。
(1)生澱粉単独又は生澱粉及び種々の食物繊維を含有する原料組成物を湿熱処理した。湿熱処理はオートクレーブSX−500(トミー精工製)を用いて、相対湿度100%の条件下で、105℃10分間、120℃10分間又は130℃10分間行った。
(2)湿熱処理後の試料を、ステンレス製のバットに取り出し、室温で一晩乾燥させた。
(α化工程及び乾燥工程)
(1)種々の原料組成物又は改質澱粉を20質量%含有する水懸濁液を調製した。
(2)得られた懸濁液を143℃に加熱したデジタルホットプレート(アズワン株式会社製、ND−2A)上に薄く広げ、そのまま熱で水分を飛ばして乾燥させた。これにより、α化工程と乾燥工程が連続で行われ、試料がα化を保持した状態で乾燥される。
(3)室温で一晩放置し、十分に乾燥させたのち、粉砕し、30メッシュの篩を用いて篩過し、得られたサンプルをα化澱粉として用いた。
得られた澱粉試料の概要を表1に示す。
Figure 2021113312
[試験例1.α化改質澱粉の冷水溶解性の評価]
実施例1、2及び比較例1の澱粉試料5gを、イオン交換水95gに加えて、室温で10分間攪拌したのち、ガラス瓶に充填し、調製してから2時間経過後の粘度を測定した。また、当該懸濁液を5℃で1日静置した後、外観を撮影した。粘度測定はB型回転粘度計(BL型、東京計器製)を用い、品温20℃、回転数60rpmにて測定した。その結果、図1のように、非α化改質澱粉である比較例1は水和、膨潤していない澱粉が沈殿し、十分な粘度を発現しないが、α化改質澱粉である実施例1及び実施例2は澱粉が十分に水和、膨潤し、適度な粘度を有する均一な溶液となった。
[試験例2.澱粉水和物(糊液)の経時的な粘度安定性の評価]
表2に示すように、種々の澱粉試料の水和物(糊液)について、粘度の安定性を評価した。比較例1以外の澱粉試料については、イオン交換水95gに、澱粉試料5gを加え、室温で10分撹拌し、得られた糊液をガラス瓶に移し、調製後2時間経過後の粘度を保存前粘度として測定した。また、比較例1については、試験例1で示したように冷水では水和しないため、イオン交換水95gに澱粉試料5gを加え、湯浴中で加熱し90℃に達してから10分撹拌して糊液を調製した。得られた糊液をガラス瓶に移して20℃に調温し、調製後2時間経過後の粘度を保存前粘度として測定した。
これらの糊液を5℃の恒温槽で1週間保存した後の粘度を保存後粘度として測定し、以下の式によって粘度変化率(%)を算出した。なお、粘度測定はB型回転粘度計を用いて、品温20℃、回転数60rpmで行った。
粘度変化率(%)=(保存後粘度−保存前粘度)/保存前粘度×100
Figure 2021113312
結果を表2に示した。加熱によってα化した後に乾燥工程を経ていない比較例1の糊液と、乾燥工程を経た実施例1の水和液の粘度変化率を比較すると、実施例1の粘度変化率が顕著に小さかった。
また、未改質の馬鈴薯澱粉をα化処理した比較例2及び比較例3、並びに果実由来食物繊維を添加せずに湿熱処理で改質した馬鈴薯澱粉をα化処理した比較例4では、保存によって粘度が顕著に増大した。一方、α化改質澱粉である実施例1〜5は、これら比較例に比べて粘度変化率が小さかった。
以上の結果から、本発明のα化改質澱粉は、改質澱粉をα化した後に乾燥するステップを追加することによって、水溶性だけでなく、低温保存の際に経時的に粘度が変化しにくい性質も付与されることが明らかとなった。
[試験例3.α化度の評価]
本明細書で定めたα化度の測定方法に従って、種々の澱粉試料のα化度を評価した結果を表3に示す。実施例のα化改質澱粉は、比較例と比べていずれも高いα化度を示した。
Figure 2021113312
[試験例4.レトルトスープの評価]
表4の処方に従い、次の製法でレトルトスープを調製した。
<製法>
(1)水にNo.1〜4の原料を加え、室温で3分攪拌した。
(2)No.5、6の原料を加え、室温で10分攪拌した。
(3)No.7のクエン酸三ナトリウム水溶液を添加してpHを6に調整後、水で全量を補正した。
(4)レトルトパウチに充填し、121℃で20分間レトルト殺菌した。
Figure 2021113312
調製したレトルトスープについて、5℃で保存試験を行った。5℃で1日経過後のスープの粘度を保存前粘度として測定した。次に、さらに5℃で1週間経過後の粘度を保存後粘度として測定し、以下の式に従って保存前後の変化率(%)を算出した。なお、粘度測定はB型回転粘度計を用いて、品温20℃、回転数60rpmで行った。
保存前後の変化率(%)=(保存後粘度−保存前粘度)/保存前粘度×100
結果を表4に示した。実施例1のα化改質澱粉を用いた実施例3−1のレトルトスープは、冷蔵保存による粘度変化が小さく、さらにワキシーコーンスターチのα化物を併用した実施例3−2では、さらに粘度変化が抑制された。本発明のα化改質澱粉を用いることにより、レトルトスープの低温保存時の粘度変化が抑制され、α化改質澱粉に加えてワキシー種澱粉のα化物を併用することで、粘度変化はさらに抑制されることが明らかになった。
[試験例5.α化改質澱粉含有食品の評価]
(5−1.春雨サラダの評価)
表5−1の処方及び製法に従って春雨サラダを調製した。次に、食品の研究開発に従事し、官能評価に熟練した4名のパネル(男性2名、女性2名、平均年齢31.0歳)により、春雨サラダの不快なぬめりの強さ、ほぐれやすさ及び風味の強さの3項目について官能評価を行った。各食品の評価はラインスケール法により行い、100mmの直線の右端をそれぞれの項目の最大値、左端を最小値とするスケール上の位置でパネルの知覚した各評価項目の強度を表す左端からの距離(mm)を各項目の評点とした。ここで、それぞれの評価項目の左端(強度0)と右端(強度100)は次のように設定した。
不快なぬめりの強さ:増粘剤無添加区の不快なぬめりの強さを0、不快な粘りを感じ舌にまとわりつく場合を100とした。
ほぐれやすさ:増粘剤無添加区のほぐれやすさを100、全くほぐれず塊となっている場合を0とした。
風味の強さ:増粘剤無添加区の風味の強さを100、全く風味を感じられない場合を0とした。
結果を表5−2に示した。いずれのパネルも実施例4の春雨サラダが比較例の春雨サラダに比べて不快なぬめりの強さが小さいと判定した。また、ほぐれやすさと風味の強さについては、平均点の差から、実施例の春雨サラダは比較例の春雨サラダに比べてより優れていることが示された。以上から、本発明のα化改質澱粉を春雨サラダに使用した場合、不快なぬめりが少なく風味立ちが良好であり、ほぐれやすく食べやすいという特徴を付与できることが明らかとなった。
Figure 2021113312
Figure 2021113312
(5−2.甘酢あんの評価)
表6−1の処方及び製法に従って甘酢あんを調製した。得られた甘酢あんの粘度を、B型回転粘度計を用いて、品温20℃、回転数6rpm及び60rpmで測定した。表6−1に示すように、実施例5の甘酢あんは、比較例5の甘酢あんに比べて若干粘度が高かった。
次に、これらの甘酢あんの不快なぬめりの強さ、曳糸性及び風味の強さの3項目について春雨サラダの場合と同じ4名のパネルで、ラインスケール法を用いた官能評価を行った。ここで、曳糸性は、甘酢あんをスプーンで掬って液体を垂らしたときに、明確に糸曳きが見られる場合を100(mm)、全く糸曳きが見られない場合を0(mm)として評価した。
官能評価の結果を表6−2に示した。いずれのパネルも実施例5の甘酢あんが比較例5の甘酢あんに比べて不快なぬめり及び曳糸性が小さいと判定した。また、風味立ちについても、平均点の差から、実施例5の甘酢あんが比較例の甘酢あんに比べてより優れていることが示された。以上から、本発明のα化改質澱粉を甘酢あんに使用した場合、不快なぬめりや曳糸性が小さく、風味立ちが良いという特徴を付与できることが明らかとなった。
Figure 2021113312
Figure 2021113312
[処方例1:甘酢あん]
表7に示す処方及び以下の製法に従い、α化改質澱粉を含有する甘酢あんを調製した。
<製法>
1.水に澱粉試料を添加し、室温で10分間撹拌した。
2.残りの原材料を加え、5分間撹拌しながら溶解した後、耐熱パウチに充填し、密封した。
3.85℃の湯浴中で30分間殺菌した。
Figure 2021113312
[処方例2:バッター]
表8に示す処方に従い、α化改質澱粉を含むバッター液を調製した。ここで、水には氷水を用いた。得られたバッター液を用いて、下記の製法に従い、天ぷらを調製した。
<製法>
1.サツマイモを1cmの厚さに切った。
2.サツマイモ片を、バッター液に浸浸することによりバッター液でコーティングした後、175℃で3分間油調した。
Figure 2021113312
[処方例3:食パン]
表9に示す処方及び以下の製法に従い、α化改質澱粉を含有する食パンを調製した。
<製法>
1.強力粉、グラニュー糖、脱脂粉乳、塩、澱粉試料を粉体混合した。
2.1の混合物と無塩バター、及び水を、ホームベーカリー(ナショナル製、SD−BT103)に投入し、ドライイーストはイースト容器に投入し、焼成した。
Figure 2021113312
[処方例4:うどん]
表10に示す処方及び以下の製法に従い、α化改質澱粉を含有するチルドタイプの茹でうどん(製品pH=4.8)を調製した。
<製法>
1.中力粉及び澱粉試料に水を添加し、万能混合攪拌機にて10分間混合捏練した。
2.1の混合物に、食塩を添加し、更に5分間混合捏練して、麺塊を得た。
3.麺塊を製麺機にて荒延ばしすることにより、そぼろ状の麺塊を含む帯状の生地を得た。
4.3の生地の4枚を製麺機にて複合することによりシート状の麺帯を得たのち、3mmの厚さに圧延し、3mm幅にカットして、生のうどんを調製した。
5.得られた生のうどんを茹で(98〜100℃で12分間)、水洗した。
6.得られた麺を10℃に冷却した後、酸浸漬(条件:グルコノデルタラクトンの0.5%水溶液(pH2.9)中に、30秒間)、包装、殺菌(条件:コンベアスティーマーにて90℃、30分間)した後、10℃まで冷却した。
Figure 2021113312
[処方例5:お好み焼き]
表11に示す処方及び以下の製法に従い、α化改質澱粉を含有するお好み焼きを調製した。
<製法>
1.表11の原料を全て混合して、お好み焼き用の生地を得た。
2.熱したホットプレートに生地を広げ、その上に天カス、ネギ、及び紅生姜を適量投入し、両面を焼いた。
Figure 2021113312
[処方例6:クッキー]
表12に示す処方、製法に従いα化改質澱粉を含有するクッキーを調製した。
<製法>
1.ショートニングとマーガリンを、万能型混合撹拌器を用いて216rpmでクリーム状になるまで撹拌した。
2.1の混合物に、さらにグラニュー糖を加えて、3分間撹拌した。
3.予めカロチンベースを加えて混合した全卵を、2の混合物に数回に分けて加えた。
4.3の混合物に、予めふるっておいた薄力粉、澱粉試料、脱脂粉乳、食塩、膨張剤(サンオーバーO−62(*))を添加し、ゴムベラで混合して、生地を調製した。
5.得られた生地を、冷蔵庫で30分間寝かせた。
6.生地を厚さ5mmにのばし、直径32mmの型で型抜きした。
7.型抜きした生地を、180℃に予熱したオーブンで12分間焼成した。
8.室温まで十分に冷ましたのち、乾燥剤を入れた密閉容器に保存した。
Figure 2021113312
[処方例7:コーンポタージュスープの素]
表13の処方に従って、全ての原料を混合し、粉末状のコーンポタージュスープの素を得た。コーンポタージュスープの素30gに湯150mLを加えることにより、α化改質澱粉を含有するコーンポタージュスープを調製した。
Figure 2021113312
[処方例8:とろみ調整食品]
実施例1の澱粉試料(α化改質澱粉1)250g、デキストリン250gの粉体混合物を流動層造粒機に投入し、イオン交換水150gをバインダーとして使用して流動層造粒を行い、α化改質澱粉を含有する顆粒状のとろみ調整食品を調製した。

Claims (7)

  1. (a)澱粉並びに果実由来食物繊維及び/又はマメ科植物由来食物繊維の混合物を水の存在下で加熱処理して得られる改質澱粉
    の水懸濁液を加熱処理する、α化工程、及び
    (b)前記α化工程を経た改質澱粉を、α化を保持した状態で乾燥させる工程
    を含む、α化澱粉の製造方法。
  2. 前記澱粉が、馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉、コメ澱粉、及び甘蔗澱粉からなる群より選ばれる1種又は2種以上である、請求項1に記載の製造方法。
  3. 馬鈴薯澱粉並びに果実由来食物繊維及び/又はマメ科植物由来食物繊維の混合物を起原とする物理的改質澱粉の、α化物の乾燥物であり、
    室温の水95質量部に対して5質量部を懸濁して得られる懸濁液の、B型回転粘度計を用いて測定される粘度が100mPa・s以上であり、前記懸濁液を5℃で1週間保存した後の粘度変化率が−50〜70%である、
    α化澱粉。
  4. α化度が20%以上である、請求項3に記載のα化澱粉。
  5. 請求項3又は4に記載のα化澱粉を含有する、組成物。
  6. さらにワキシー種の澱粉又はそのα化物を含有する、請求項5に記載の組成物。
  7. 飲食品又は飲食品製造用製剤である、請求項5又は6に記載の組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2023162988A1 (ja) * 2022-02-25 2023-08-31 株式会社アルファテック α化澱粉乾燥粉末の製造方法、α化澱粉乾燥粉末、α化そば乾燥粉末、及びα化澱粉乾燥粉末の製造装置

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2023162988A1 (ja) * 2022-02-25 2023-08-31 株式会社アルファテック α化澱粉乾燥粉末の製造方法、α化澱粉乾燥粉末、α化そば乾燥粉末、及びα化澱粉乾燥粉末の製造装置

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