JP2021107885A - 組合せ眼鏡レンズ - Google Patents
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Abstract
【課題】従来の単一レンズでは実現できなかった眼鏡倍率やディストーションなどの光学特性を十分に改善することができる組合せ眼鏡レンズを提供する。【解決手段】2枚のレンズを組み合わせてなる組合せ眼鏡レンズであって、眼鏡の装用時に、物体側に位置する第1のレンズと、眼球側に位置する第2のレンズとを組み合わせてなる。レンズ中心では、前記第1のレンズと前記第2のレンズの屈折力の符号が逆である。または、レンズ中心から周辺部に向かう屈折力の変化は、前記第1のレンズと前記第2のレンズで逆である。【選択図】図1
Description
本発明は、2枚のレンズを組み合わせてなる組合せ眼鏡レンズに関するものである。
現在の眼鏡レンズは、たとえばコンタクトレンズでは起こりえない眼鏡倍率に由来する様々な問題(例えば、物が大きく・小さく・歪んで・にじんで見える、人から見られたときに目が実際より大きく・小さく見える、顔の輪郭が歪んで見える、等)があり、このことが眼鏡の装用を控える或いは断念する一因となっている。
従来の単一レンズで構成された眼鏡レンズの場合、例えば非点収差や像面湾曲についてはレンズ設計で制御可能であるが、倍率やディストーション(像の歪み)を制御することはできない。つまり、眼鏡倍率等の制御を1枚のレンズで行うことは原理的に不可能である。
従来の特許文献1には、2つの累進多焦点レンズを使用した視力矯正装置であって、特に老視者用の眼鏡レンズについて開示されている。
また、従来の特許文献2には、累進屈折力眼鏡レンズとして眼鏡フレームに嵌め込まれて使用される基本レンズに、着脱自在に装着される補助レンズが組み合わされた組み合わせ眼鏡レンズであって、特に老視者のための視力矯正用の累進屈折力を有する組み合わせ眼鏡レンズについて開示されている。
また、従来の特許文献2には、累進屈折力眼鏡レンズとして眼鏡フレームに嵌め込まれて使用される基本レンズに、着脱自在に装着される補助レンズが組み合わされた組み合わせ眼鏡レンズであって、特に老視者のための視力矯正用の累進屈折力を有する組み合わせ眼鏡レンズについて開示されている。
上記特許文献1、2に開示されている従来技術はいずれも、基本の累進レンズに他のレンズを組み合わせることにより、基本レンズとは異なる累進タイプ(設計タイプ、累進帯長、加入度数など)、あるいは単焦点レンズに再構築するという技術である。
このような技術は、眼鏡レンズの複数使用とそれほど変わるものではなく、装用者の利便性が著しく向上するものではない。例えば特許文献1では、基本の累進屈折力レンズにそれと逆加入のレンズを組み合わせることにより老眼鏡に再構築しているが、これは累進屈折力レンズが老眼鏡に変化しただけで、累進屈折力レンズとしての性能が向上したわけではない。また、特許文献2では、基本レンズに補助レンズを組み合わせることにより、基本レンズとは異なるタイプのレンズを提供しているが、これは従来からの使用目的に応じた眼鏡の掛け替えの延長であり、2本の眼鏡(例えば累進屈折力レンズ+老眼鏡)を持ち歩くか補助レンズを持ち歩くかの違いでしかなく、2つのレンズを組み合わせることによる光学性能の向上は達成されていない。
そこで、本発明は、このような従来の問題に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、従来の単一(1枚)レンズでは十分に実現できなかった眼鏡倍率やディストーションなどの光学特性を良好に改善することができる組合せ眼鏡レンズを提供することである。
上記課題を解決するため、本発明者は鋭意検討した結果、1枚のレンズでは補正しきれない眼鏡倍率やディストーションなどの光学特性を特定の2枚のレンズを組み合わせることにより補正できることを見出した。
すなわち、上記課題を解決するため、本発明は以下の構成を有する。
すなわち、上記課題を解決するため、本発明は以下の構成を有する。
(構成1)
2枚のレンズを組み合わせてなる組合せ眼鏡レンズであって、眼鏡の装用時に、物体側に位置する第1のレンズと、眼球側に位置する第2のレンズとからなり、レンズ中心では、前記第1のレンズと前記第2のレンズの屈折力の符号が逆であることを特徴とする組合せ眼鏡レンズ。
2枚のレンズを組み合わせてなる組合せ眼鏡レンズであって、眼鏡の装用時に、物体側に位置する第1のレンズと、眼球側に位置する第2のレンズとからなり、レンズ中心では、前記第1のレンズと前記第2のレンズの屈折力の符号が逆であることを特徴とする組合せ眼鏡レンズ。
(構成2)
2枚のレンズを組み合わせてなる組合せ眼鏡レンズであって、眼鏡の装用時に、物体側に位置する第1のレンズと、眼球側に位置する第2のレンズとを組み合わせてなり、レンズ中心から周辺部に向かう屈折力の変化は、前記第1のレンズと前記第2のレンズで逆であることを特徴とする組合せ眼鏡レンズ。
2枚のレンズを組み合わせてなる組合せ眼鏡レンズであって、眼鏡の装用時に、物体側に位置する第1のレンズと、眼球側に位置する第2のレンズとを組み合わせてなり、レンズ中心から周辺部に向かう屈折力の変化は、前記第1のレンズと前記第2のレンズで逆であることを特徴とする組合せ眼鏡レンズ。
(構成3)
前記第1のレンズは、そのレンズ中心ではマイナスの屈折力を有し、レンズ中心から周辺部に向かって屈折力が徐々に減少し、前記第2のレンズは、そのレンズ中心ではプラスの屈折力を有し、レンズ中心から周辺部に向かって屈折力が徐々に増加することを特徴とする構成1又は2に記載の組合せ眼鏡レンズ。
前記第1のレンズは、そのレンズ中心ではマイナスの屈折力を有し、レンズ中心から周辺部に向かって屈折力が徐々に減少し、前記第2のレンズは、そのレンズ中心ではプラスの屈折力を有し、レンズ中心から周辺部に向かって屈折力が徐々に増加することを特徴とする構成1又は2に記載の組合せ眼鏡レンズ。
(構成4)
前記第1のレンズは、そのレンズ中心ではプラスの屈折力を有し、レンズ中心から周辺部に向かって屈折力が徐々に減少し、前記第2のレンズは、そのレンズ中心ではマイナスの屈折力を有し、レンズ中心から周辺部に向かって屈折力が徐々に増加することを特徴とする構成1又は2に記載の組合せ眼鏡レンズ。
前記第1のレンズは、そのレンズ中心ではプラスの屈折力を有し、レンズ中心から周辺部に向かって屈折力が徐々に減少し、前記第2のレンズは、そのレンズ中心ではマイナスの屈折力を有し、レンズ中心から周辺部に向かって屈折力が徐々に増加することを特徴とする構成1又は2に記載の組合せ眼鏡レンズ。
(構成5)
眼鏡フレームに枠入れされた状態で、前記第1のレンズの後面と前記第2のレンズの前面は、少なくとも一部が離間していることを特徴とする構成1乃至4のいずれか一項に記載の組合せ眼鏡レンズ。
眼鏡フレームに枠入れされた状態で、前記第1のレンズの後面と前記第2のレンズの前面は、少なくとも一部が離間していることを特徴とする構成1乃至4のいずれか一項に記載の組合せ眼鏡レンズ。
(構成6)
前記組合せ眼鏡レンズの倍率を1.0に近づけるように、前記第1のレンズと前記第2のレンズを組み合わせることを特徴とする構成1乃至5のいずれか一項に記載の組合せ眼鏡レンズ。
前記組合せ眼鏡レンズの倍率を1.0に近づけるように、前記第1のレンズと前記第2のレンズを組み合わせることを特徴とする構成1乃至5のいずれか一項に記載の組合せ眼鏡レンズ。
(構成7)
前記組合せ眼鏡レンズは、前記第1のレンズと前記第2のレンズを組み合わせたときに、眼鏡レンズの処方値を満たすことを特徴とする構成1乃至6のいずれか一項に記載の組合せ眼鏡レンズ。
前記組合せ眼鏡レンズは、前記第1のレンズと前記第2のレンズを組み合わせたときに、眼鏡レンズの処方値を満たすことを特徴とする構成1乃至6のいずれか一項に記載の組合せ眼鏡レンズ。
(構成8)
前記組合せ眼鏡レンズは、遠用作業距離を視認するための遠用部と、近用作業距離を視認するための近用部と、前記遠用部と前記近用部との間に設けられた中間部とを備え、前記中間部では屈折力が累進的に増加することを特徴とする構成7に記載の組合せ眼鏡レンズ。
前記組合せ眼鏡レンズは、遠用作業距離を視認するための遠用部と、近用作業距離を視認するための近用部と、前記遠用部と前記近用部との間に設けられた中間部とを備え、前記中間部では屈折力が累進的に増加することを特徴とする構成7に記載の組合せ眼鏡レンズ。
本発明の組合せ眼鏡レンズによれば、従来の単一(1枚)レンズでは十分に実現できなかった眼鏡倍率やディストーションなどの光学特性を良好に改善することができる。つまり、本発明による特定の2枚のレンズを組み合わせることにより、単一(1枚)のレンズでは補正しきれなかった眼鏡倍率やディストーションなどの光学特性を補正し改善することができる。
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら詳述する。
上記構成1の発明にあるように、本発明の組合せ眼鏡レンズは、2枚のレンズを組み合わせてなる組合せ眼鏡レンズであって、眼鏡の装用時に、物体側に位置する第1のレンズと、眼球側に位置する第2のレンズとからなり、レンズ中心では、前記第1のレンズと前記第2のレンズの屈折力の符号が逆であることを特徴とするものである。
ここで、レンズの屈折力とは、光線を曲げる強さを表すものである。単位は、Diopter(ジオプトリー)であり、焦点距離の逆数である。以下、レンズの屈折力の単位を単に「D」と表記する。
レンズの屈折力の符号が「プラス(+)」の場合は、遠視矯正用のレンズであり、レンズの屈折力の符号が「マイナス(−)」の場合は、近視矯正用のレンズである。
レンズの屈折力の符号が「プラス(+)」の場合は、遠視矯正用のレンズであり、レンズの屈折力の符号が「マイナス(−)」の場合は、近視矯正用のレンズである。
本発明は、特定の2枚のレンズを組み合わせることにより、従来の単一(1枚)のレンズでは補正しきれなかった眼鏡倍率やディストーションなどの光学特性を補正し改善するものである。本発明における上記第1のレンズと上記第2のレンズはそれぞれ単体では眼鏡レンズとしての機能はなく、第1のレンズと第2のレンズを組み合わせたときに、所定の処方値を満たす眼鏡レンズとなる。
本発明の組合せ眼鏡レンズは、上記のとおり、眼鏡の装用時に、物体側に位置する第1のレンズと、眼球側に位置する第2のレンズを組み合わせてなり、レンズ中心では、第1のレンズと第2のレンズの屈折力の符号が逆である。つまり、レンズ中心では互いに屈折力の符号が逆である第1のレンズと第2のレンズを組み合わせている。
なお、ここでいう「レンズ中心」とは、単焦点レンズの場合は「光学中心」をいい、累進屈折力レンズの場合は「隠しマークの中点」をいうものとする。隠しマークは、第1のレンズの物体側の面、及び/または、第2のレンズの眼球側の面につけられる。
また、上記構成2の発明にあるように、本発明の組合せ眼鏡レンズは、2枚のレンズを組み合わせてなる組合せ眼鏡レンズであって、眼鏡の装用時に、物体側に位置する第1のレンズと、眼球側に位置する第2のレンズとを組み合わせてなり、レンズ中心から周辺部に向かう屈折力の変化は、前記第1のレンズと前記第2のレンズで逆であることを特徴とするものである。
このように、本発明では、レンズ中心から周辺部に向かう屈折力の変化が互いに逆である第1のレンズと第2のレンズを組み合わせることによっても、従来の単一(1枚)のレンズでは補正しきれなかった眼鏡倍率やディストーションなどの光学特性を補正し改善することができる。例えば、レンズ中心から周辺部に向かって屈折力が徐々に減少する第1のレンズと、レンズ中心から周辺部に向かって屈折力が徐々に増加する第2のレンズを組み合わせることができる。
図17の(a)は本発明の組合せ眼鏡レンズの構成図であり、(b)はその場合のレンズ中心から周辺部に向かう屈折力の変化の様子を示す図である。(b)は、直径60mmのレンズの主経線上の位置(横軸)に対する屈折力(縦軸)をプロットしたものである。
図17は、後述の実施例1による第1のレンズ1と第2のレンズ2を組み合わせた場合を示しており、同図(b)に示されるように、第1のレンズ1は、そのレンズ中心ではプラスの屈折力を有し、レンズ中心から周辺部に向かって屈折力が徐々に減少し、他方、第2のレンズ2は、そのレンズ中心ではマイナスの屈折力を有し、レンズ中心から周辺部に向かって屈折力が徐々に増加する。
また、図18の(a)は本発明の組合せ眼鏡レンズの構成図であり、(b)はその場合のレンズ中心から周辺部に向かう屈折力の変化の様子を示す図である。(b)は、直径60mmのレンズの主経線上の位置(横軸)に対する屈折力(縦軸)をプロットしたものである。
図18は、後述の実施例3による第1のレンズ5と第2のレンズ6を組み合わせた場合を示しており、同図(b)に示されるように、第1のレンズ5は、そのレンズ中心ではマイナスの屈折力を有し、レンズ中心から周辺部に向かって屈折力が徐々に減少し、第2のレンズ6は、そのレンズ中心ではプラスの屈折力を有し、レンズ中心から周辺部に向かって屈折力が徐々に増加する。
また、本発明においては、眼鏡フレームに枠入れされた状態で、上記第1のレンズの後面と上記第2のレンズの前面は、少なくとも一部が離間していることが望ましい(上記構成5の発明)。したがって、レンズ全体にわたって第1のレンズと第2のレンズが離れていてもよいし、たとえばフレームの縁付近だけで2枚のレンズが接触している状態であってもよい。
ただし、レンズの中心部分では、上記第1のレンズの後面と上記第2のレンズの前面は離れている必要がある。レンズの中心部分で第1のレンズと第2のレンズが接触していると、後述する倍率γの(式2)において第1のレンズと第2のレンズとの間隔が0(ゼロ)になり、その結果、γの値は変わらないことになり、組合せ眼鏡レンズの倍率を1.0に近づけるようにする効果が出せないからである。第1のレンズと第2のレンズは、フレームに枠入れされた状態において、レンズ中心から少なくとも±10mmの領域内では互いに離間していることが好ましく、レンズ中心から±20mmの領域内では離間していることが更に好ましく、レンズ中心から±30mmの領域内では離間していることが最も好ましい。通常使われる視線の範囲は、正面視方向から±30度程度であり、眼球の回旋中心点からレンズ後方頂点までの一般的な距離を25mmとした場合を考慮すると、レンズ上で±30mmの領域では上記2枚のレンズは離間していることが最も好ましい。
本発明では、上記組合せ眼鏡レンズの倍率を1.0に近づけるように、上記第1のレンズと上記第2のレンズを組み合わせることが好ましい(上記構成6の発明)。すなわち、裸眼での倍率に近づける(近似させる)ような第1のレンズと第2のレンズの組み合わせが望ましい。
ところで、第1のレンズと第2のレンズがいずれも薄肉レンズ(肉厚をゼロとしたもの)で近軸の場合は、第1のレンズと第2のレンズの組合せからなる組合せ眼鏡レンズの度数Pと倍率γが下記の条件式1、式2を満たす。
(式1) P=φ1/(1−t1φ1)+φ2
(式2) γ=[1/(1−t1φ2)]×1/(1−t2P)
ここで、
φ1:第1のレンズの屈折力
φ2:第2のレンズの屈折力
t1:第1のレンズと第2のレンズとの間隔(離間距離)
t2:第2のレンズと角膜との間隔
なお、薄肉レンズでない場合は、離間距離t1は、第1のレンズの後側主点と第2のレンズの前側主点の間隔になる。
(式1) P=φ1/(1−t1φ1)+φ2
(式2) γ=[1/(1−t1φ2)]×1/(1−t2P)
ここで、
φ1:第1のレンズの屈折力
φ2:第2のレンズの屈折力
t1:第1のレンズと第2のレンズとの間隔(離間距離)
t2:第2のレンズと角膜との間隔
なお、薄肉レンズでない場合は、離間距離t1は、第1のレンズの後側主点と第2のレンズの前側主点の間隔になる。
また、本発明の組合せ眼鏡レンズは、上記第1のレンズと上記第2のレンズを組み合わせたときに、眼鏡レンズの処方値を満たすものである(上記構成7の発明)。
前にも説明したように、本発明における上記第1のレンズと上記第2のレンズはそれぞれ単体では眼鏡レンズとしての機能はなく、第1のレンズと第2のレンズを組み合わせたときに、所定のレンズ処方値を満たす眼鏡レンズとなる。
たとえば、本発明の組合せ眼鏡レンズは、遠用作業距離を視認するための遠用部と、近用作業距離を視認するための近用部と、前記遠用部と前記近用部との間に設けられた中間部とを備え、この中間部では屈折力が累進的に増加する眼鏡レンズとすることができる(上記構成8の発明)。すなわち、上記第1のレンズと第2のレンズが組み合わされたときに、2枚のレンズを通過する光の分布が累進屈折力レンズと同等の機能を与えるものとなる。
また、本発明の組合せ眼鏡レンズは、上記第1のレンズと第2のレンズが組み合わされたときに、単焦点レンズと同等の機能を与えるものとすることができる。
以上詳細に説明したように、本発明の組合せ眼鏡レンズでは、特定の2枚のレンズを組み合わせることで処方度数に沿った光学特性を有するものであり、従来の単一(1枚)レンズでは十分に実現できなかった眼鏡倍率やディストーションなどの光学特性を良好に改善することができる。すなわち、特定の2枚のレンズを上述のごとく組み合わせることにより、単一(1枚)のレンズでは補正しきれなかった眼鏡倍率やディストーションなどの光学特性を補正し改善することができる。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。
(実施例1)
図1は、本発明の実施例1に係る組合せ眼鏡レンズの構成図である。
図1に示すように、実施例1は、物体側に位置し、レンズ中心での屈折力の符号がプラスの第1のレンズ1と、眼球側に位置し、レンズ中心での屈折力の符号がマイナスの第2のレンズ2を組み合わせて、球面度数S−5.0[D](マイナスレンズ)とした単焦点レンズの機能を有する組合せレンズを例示している。実施例1の第1のレンズ1と第2のレンズ2はいずれも直径が60mmのレンズであり、第1のレンズ1の度数は+7.8[D]、第2のレンズ2の度数は−13.3[D]である。また、第1のレンズ1と第2のレンズ2のレンズ間隔は3mmである。
(実施例1)
図1は、本発明の実施例1に係る組合せ眼鏡レンズの構成図である。
図1に示すように、実施例1は、物体側に位置し、レンズ中心での屈折力の符号がプラスの第1のレンズ1と、眼球側に位置し、レンズ中心での屈折力の符号がマイナスの第2のレンズ2を組み合わせて、球面度数S−5.0[D](マイナスレンズ)とした単焦点レンズの機能を有する組合せレンズを例示している。実施例1の第1のレンズ1と第2のレンズ2はいずれも直径が60mmのレンズであり、第1のレンズ1の度数は+7.8[D]、第2のレンズ2の度数は−13.3[D]である。また、第1のレンズ1と第2のレンズ2のレンズ間隔は3mmである。
図2は、実施例1における組合せレンズの光学特性を示すもので、(a)はレンズ位置と屈折力の関係を示す図である。すなわち、レンズの主経線上(図1中の矢印に沿ったレンズ位置)の屈折力をプロットしたものであり、DM(実線で表記)は経線方向(Meridional)の屈折力、DS(破線で表記)は周方向(Sagittal)の屈折力を示す。以下に説明する他の実施例を示す図面においても同様である。
また、図2(b)はレンズの主経線上の位置と入射角の変化率の関係を示す図である。縦軸は、入射角の変化率(%)、横軸はレンズ位置(°)である。入射角の変化率とは、同じ目標物体を見るときの裸眼での入射角をθ0、レンズを通して見る時の入射角をθとするとき、100×(θ−θ0)/θ0 で表される。レンズ位置は視角で表される。
なお、図2(b)の原点では入射角の変化率は0%なので像の大きさに変化がなく、倍率は1.0になる。図2(b)において、入射角の変化率が正の領域(第1象限及び第2象限)では、像が拡大し、倍率が負の領域(第3象限及び第4象限)では、像は縮小する。以下に説明する他の実施例を示す図面においても同様である。
実施例1の組合せレンズは、レンズ中心での屈折力の符号がプラスの第1のレンズ1と、レンズ中心での屈折力の符号がマイナスの第2のレンズ2を組み合わせており、また、第1のレンズ1と第2のレンズ2の屈折力分布を制御することにより、組合せレンズの入射角の変化率をマイナスレンズであることによる負の値(後述の図4(b)参照)から上げている。その結果、図2(b)に示すとおり、レンズ中心から周辺に向かって倍率は1.0でほぼ一定(等倍)となっている。
なお、図2(b)の原点では入射角の変化率は0%なので像の大きさに変化がなく、倍率は1.0になる。図2(b)において、入射角の変化率が正の領域(第1象限及び第2象限)では、像が拡大し、倍率が負の領域(第3象限及び第4象限)では、像は縮小する。以下に説明する他の実施例を示す図面においても同様である。
実施例1の組合せレンズは、レンズ中心での屈折力の符号がプラスの第1のレンズ1と、レンズ中心での屈折力の符号がマイナスの第2のレンズ2を組み合わせており、また、第1のレンズ1と第2のレンズ2の屈折力分布を制御することにより、組合せレンズの入射角の変化率をマイナスレンズであることによる負の値(後述の図4(b)参照)から上げている。その結果、図2(b)に示すとおり、レンズ中心から周辺に向かって倍率は1.0でほぼ一定(等倍)となっている。
また、図2(c)はディストーションの様子を示す図である。縦軸はレンズのy方向の位置(°)、横軸はレンズのx方向の位置(°)であり、視角で表される。以下に説明する他の実施例を示す図面においても同様である。この図より明らかなように、実施例1の組合せレンズによれば、ディストーションのない理想的な状態(破線)にほぼ近く、後述の1枚レンズの場合に発生するディストーションが補正されていることがわかる。
一方、図3は、上述の実施例1に対する参考例1に係る眼鏡レンズの構成図であり、レンズ中心での屈折力の符号がマイナスで、球面度数S−5.0[D](マイナスレンズ)とした単焦点レンズを例示している。
図4は、上記参考例1における光学特性を示すもので、(a)はレンズ位置と屈折力の関係を示す図、(b)はレンズ位置と入射角の変化率の関係を示す図、(c)はディストーションの様子を示す図である。なお、各図の縦軸と横軸の表すものは、前述の図2と同様である。
参考例1の単一レンズの場合には、たとえば図4(b)に示されるように、レンズの中心から周辺に向かって入射角の変化率が負の値の方向(倍率が1倍より小。すなわち像が縮小する。)に大きくなっており、倍率が良好に制御できておらず、これがレンズ周辺部のディストーションの発生につながっている。また、図4(c)に示すように、いわゆるたる型のディストーションが発生している。要するに、参考例1のマイナスの単一レンズの場合には、像が縮小されて見え、且つたる型のディストーションが発生してしまうという問題がある。
以上の説明から明らかなように、実施例1の組合せ眼鏡レンズによれば、従来の単一(1枚)レンズでは十分に実現できなかった眼鏡倍率やディストーションなどの光学特性を良好に補正し改善することが可能となった。
(実施例2)
図5は、本発明の実施例2に係る組合せ眼鏡レンズの構成図である。
図5に示すように、実施例2は、物体側に位置し、レンズ中心での屈折力の符号がプラスで累進要素をもつ第1のレンズ3と、眼球側に位置し、レンズ中心での屈折力の符号がマイナスで累進要素をもつ第2のレンズ4を組み合わせて、球面度数S−5.0[D](マイナスレンズ)とした、累進屈折力レンズと同等の機能を有する組合せレンズを例示している。
本実施例では、第1のレンズ3の加入度は「逆加入(regressive)」、第2のレンズ4の加入度は「順加入(progressive)」になる。例えば、第1のレンズ3の度数は+7.8[D]、加入度数は逆加入で1.6[D]つく。つまり、レンズの上部から下部にかけて1.6[D]だけ度数が減る(加入度数−1.6[D])。第2のレンズ4の度数は−13.3[D]、加入度数は順加入で4.2[D]つく。つまり、レンズの上部から下部にかけて4.2[D]だけ度数が増える(加入度数+4.2[D])。このとき、出来上がりの組合せレンズの処方度数としての加入度数は、+3.5[D]となる。
実施例2の第1のレンズ3と第2のレンズ4はいずれも直径が60mmのレンズであり、また第1のレンズ3と第2のレンズ4のレンズ間隔は3mmである。
図5は、本発明の実施例2に係る組合せ眼鏡レンズの構成図である。
図5に示すように、実施例2は、物体側に位置し、レンズ中心での屈折力の符号がプラスで累進要素をもつ第1のレンズ3と、眼球側に位置し、レンズ中心での屈折力の符号がマイナスで累進要素をもつ第2のレンズ4を組み合わせて、球面度数S−5.0[D](マイナスレンズ)とした、累進屈折力レンズと同等の機能を有する組合せレンズを例示している。
本実施例では、第1のレンズ3の加入度は「逆加入(regressive)」、第2のレンズ4の加入度は「順加入(progressive)」になる。例えば、第1のレンズ3の度数は+7.8[D]、加入度数は逆加入で1.6[D]つく。つまり、レンズの上部から下部にかけて1.6[D]だけ度数が減る(加入度数−1.6[D])。第2のレンズ4の度数は−13.3[D]、加入度数は順加入で4.2[D]つく。つまり、レンズの上部から下部にかけて4.2[D]だけ度数が増える(加入度数+4.2[D])。このとき、出来上がりの組合せレンズの処方度数としての加入度数は、+3.5[D]となる。
実施例2の第1のレンズ3と第2のレンズ4はいずれも直径が60mmのレンズであり、また第1のレンズ3と第2のレンズ4のレンズ間隔は3mmである。
図6は、実施例2における組合せレンズの光学特性を示すもので、(a)はレンズ位置と屈折力の関係を示す図であり、レンズの主経線上(図1中の矢印に沿ったレンズ位置)の屈折力をプロットしたものである。図示するとおり、実施例2の組合せレンズは、遠用部と近用部で屈折力が異なり、中間部では屈折力が累進的に変化しており、累進屈折力レンズと同等の機能を有する。
また、図6(b)はレンズの主経線上の位置と入射角の変化率の関係を示す図である。図示するとおり、実施例2の組合せレンズでは、眼鏡倍率は1.0に近い値でほぼ一定(等倍)となっている。
また、図6(c)はディストーションの様子を示す図である。この図より明らかなように、実施例2の組合せレンズによれば、ディストーションのない理想的な状態(破線)にほぼ近く、後述の1枚レンズの場合に発生するディストーションが補正されていることがわかる。
一方、図7は、上述の実施例2に対する参考例2に係る眼鏡レンズの構成図であり、レンズ中心での屈折力の符号がマイナスで、球面度数S−5.0[D](マイナスレンズ)、加入度数+3.50[D]とした、累進屈折力レンズを例示している。
図8は、上記参考例2における光学特性を示すもので、(a)はレンズ位置と屈折力の関係を示す図、(b)はレンズ位置と入射角の変化率の関係を示す図、(c)はディストーションの様子を示す図である。
参考例2の単一レンズの場合には、図8(b)での入射角の変化率を表す曲線は、マイナスレンズであるため負の領域(第3象限及び第4象限)に存在し、遠用部と近用部で屈折力が異なるため遠用部と近用部の入射角の変化率は異なっている。近用部の入射角の変化率は、加入度数すなわちプラスの度数がついていることにより、遠用部での入射角の変化率よりも正の側(縦軸の上方)にシフトしている。また、図8(c)に示すように、近用部側方の領域には、累進屈折力レンズに特有の斜め方向のディストーションが発生している。要するに、参考例2の累進屈折力レンズの場合には、像が縮小されて見え、且つ累進屈折力レンズに特有のディストーションが発生してしまうという問題がある。
以上の説明から明らかなように、実施例2の組合せ眼鏡レンズによれば、従来の単一(1枚)レンズでは十分に実現できなかった眼鏡倍率やディストーションなどの光学特性を良好に補正し改善することが可能となった。
(実施例3)
図9は、本発明の実施例3に係る組合せ眼鏡レンズの構成図である。
図9に示すように、実施例3は、物体側に位置し、レンズ中心での屈折力の符号がマイナスの第1のレンズ5と、眼球側に位置し、レンズ中心での屈折力の符号がプラスの第2のレンズ6を組み合わせて、球面度数S+5.0[D](プラスレンズ)とした単焦点レンズの機能を有する組合せレンズを例示している。実施例3の第1のレンズ5と第2のレンズ6はいずれも直径が60mmのレンズであり、第1のレンズ5の度数は−6.6[D]、第2のレンズ6の度数は+11.2[D]である。また、第1のレンズ5と第2のレンズ6のレンズ間隔は5mmである。
図9は、本発明の実施例3に係る組合せ眼鏡レンズの構成図である。
図9に示すように、実施例3は、物体側に位置し、レンズ中心での屈折力の符号がマイナスの第1のレンズ5と、眼球側に位置し、レンズ中心での屈折力の符号がプラスの第2のレンズ6を組み合わせて、球面度数S+5.0[D](プラスレンズ)とした単焦点レンズの機能を有する組合せレンズを例示している。実施例3の第1のレンズ5と第2のレンズ6はいずれも直径が60mmのレンズであり、第1のレンズ5の度数は−6.6[D]、第2のレンズ6の度数は+11.2[D]である。また、第1のレンズ5と第2のレンズ6のレンズ間隔は5mmである。
図10は、実施例3における組合せレンズの光学特性を示すもので、(a)はレンズ位置と屈折力の関係を示す図であり、レンズの主経線上(図1中の矢印に沿ったレンズ位置)の屈折力をプロットしたものである。
また、図10(b)はレンズの主経線上の位置と入射角の変化率の関係を示す図である。
実施例3の組合せレンズは、レンズ中心での屈折力の符号がマイナスの第1のレンズ5と、レンズ中心での屈折力の符号がプラスの第2のレンズ6を組み合わせている。また、第1のレンズ5と第2のレンズ6の屈折力分布を制御することにより、プラスレンズであることによる正の値(図10(b)中の破線参照。後述の参考例3の単一レンズの場合の入射角の変化率の変化)から組合せレンズの入射角の変化率を下げている。その結果、図10(b)に示すとおり、レンズ中心から周辺に向かって倍率は1.0に近い値でほぼ一定(等倍)となっている。なお、単一レンズの場合、入射角の変化率の変化(破線)は、レンズの周辺に向かって大きくなっている。すなわち、周辺に向かってディストーションが大きくなっている。
実施例3の組合せレンズは、レンズ中心での屈折力の符号がマイナスの第1のレンズ5と、レンズ中心での屈折力の符号がプラスの第2のレンズ6を組み合わせている。また、第1のレンズ5と第2のレンズ6の屈折力分布を制御することにより、プラスレンズであることによる正の値(図10(b)中の破線参照。後述の参考例3の単一レンズの場合の入射角の変化率の変化)から組合せレンズの入射角の変化率を下げている。その結果、図10(b)に示すとおり、レンズ中心から周辺に向かって倍率は1.0に近い値でほぼ一定(等倍)となっている。なお、単一レンズの場合、入射角の変化率の変化(破線)は、レンズの周辺に向かって大きくなっている。すなわち、周辺に向かってディストーションが大きくなっている。
また、図10(c)はディストーションの様子を示す図である。この図より明らかなように、実施例3の組合せレンズによれば、ディストーションのない理想的な状態(破線)にほぼ近く、後述の1枚レンズの場合に発生するディストーションが補正されていることがわかる。
一方、図11は、上述の実施例3に対する参考例3に係る眼鏡レンズの構成図であり、レンズ中心での屈折力の符号がプラスで、球面度数S+5.0[D](プラスレンズ)とした単焦点レンズを例示している。
図12は、上記参考例3における光学特性を示すもので、(a)はレンズ位置と屈折力の関係を示す図、(b)はレンズ位置と入射角の変化率の関係を示す図、(c)はディストーションの様子を示す図である。
参考例3の単一レンズの場合には、たとえば図12(b)に示されるように、入射角の変化率を表す曲線はプラスレンズであるため正の領域(第1象限及び第2象限)に存在する。入射角の変化率はレンズの中心から周辺に向かって大きくなっており、倍率が良好に制御できておらず、これがレンズ周辺部のディストーションの発生につながっている。また、図10(c)に示すように、いわゆる糸巻き型のディストーションが発生している。要するに、参考例3のプラスの単一レンズの場合には、像が拡大されて見え、且つ糸巻き型のディストーションが発生してしまうという問題がある。
以上の説明から明らかなように、実施例3の組合せ眼鏡レンズによれば、従来の単一(1枚)レンズでは十分に実現できなかった眼鏡倍率やディストーションなどの光学特性を良好に補正し改善することが可能となった。
(実施例4)
図13は、本発明の実施例4に係る組合せ眼鏡レンズの構成図である。
図13に示すように、実施例4は、物体側に位置し、レンズ中心での屈折力の符号がマイナスで累進要素をもつ第1のレンズ7と、眼球側に位置し、レンズ中心での屈折力の符号がプラスで累進要素をもつ第2のレンズ8を組み合わせて、球面度数S+2.0[D](プラスレンズ)とした、累進屈折力レンズと同等の機能を有する組合せレンズを例示している。
本実施例では、第1のレンズ7の加入度は「逆加入(regressive)」、第2のレンズ8の加入度は「順加入(progressive)」になる。例えば、第1のレンズ7の度数は−4.4[D]、加入度数は逆加入で1.9[D]つく。つまり、レンズの上部から下部にかけて1.9[D]だけ度数が減る(加入度数−1.9[D])。第2のレンズ8の度数は+6.7[D]で、加入度数は順加入で4.3[D]つく。つまり、レンズの上部から下部にかけて4.3[D]だけ度数が増える(加入度数+4.3[D])。このとき、出来上がりの組合せレンズの処方度数としての加入度数は、+3.5[D]となる。
実施例4の第1のレンズ7と第2のレンズ8はいずれも直径が60mmのレンズであり、また第1のレンズ7と第2のレンズ8のレンズ間隔は5mmである。
図13は、本発明の実施例4に係る組合せ眼鏡レンズの構成図である。
図13に示すように、実施例4は、物体側に位置し、レンズ中心での屈折力の符号がマイナスで累進要素をもつ第1のレンズ7と、眼球側に位置し、レンズ中心での屈折力の符号がプラスで累進要素をもつ第2のレンズ8を組み合わせて、球面度数S+2.0[D](プラスレンズ)とした、累進屈折力レンズと同等の機能を有する組合せレンズを例示している。
本実施例では、第1のレンズ7の加入度は「逆加入(regressive)」、第2のレンズ8の加入度は「順加入(progressive)」になる。例えば、第1のレンズ7の度数は−4.4[D]、加入度数は逆加入で1.9[D]つく。つまり、レンズの上部から下部にかけて1.9[D]だけ度数が減る(加入度数−1.9[D])。第2のレンズ8の度数は+6.7[D]で、加入度数は順加入で4.3[D]つく。つまり、レンズの上部から下部にかけて4.3[D]だけ度数が増える(加入度数+4.3[D])。このとき、出来上がりの組合せレンズの処方度数としての加入度数は、+3.5[D]となる。
実施例4の第1のレンズ7と第2のレンズ8はいずれも直径が60mmのレンズであり、また第1のレンズ7と第2のレンズ8のレンズ間隔は5mmである。
図14は、実施例4における組合せレンズの光学特性を示すもので、(a)はレンズ位置と屈折力の関係を示す図であり、レンズの主経線上(図1中の矢印に沿ったレンズ位置)の屈折力をプロットしたものである。図示するとおり、実施例4の組合せレンズは、遠用部と近用部で屈折力が異なり、中間部では屈折力が累進的に変化しており、累進屈折力レンズと同等の機能を有する。
また、図14(b)はレンズの主経線上の位置と入射角の変化率の関係を示す図である。図示するとおり、実施例4の組合せレンズでは、眼鏡倍率がほぼ等倍となっている。なお、参考までに、後述の参考例4の単一レンズの場合の入射角の変化率の変化を図14(b)中に破線で示しているが、レンズの周辺に向かって入射角の変化率大きくなっている。
また、図14(c)はディストーションの様子を示す図である。この図より明らかなように、実施例4の組合せレンズによれば、ディストーションのない理想的な状態(破線)にほぼ近く、後述の1枚レンズの場合に発生するディストーションが補正されていることがわかる。
一方、図15は、上述の実施例4に対する参考例4に係る眼鏡レンズの構成図であり、レンズ中心での屈折力の符号がプラスで、球面度数S+2.5[D](プラスレンズ)、加入度数+3.50[D]とした、単一の累進屈折力レンズを例示している。
図16は、上記参考例4における光学特性を示すもので、(a)はレンズ位置と屈折力の関係を示す図、(b)はレンズ位置と入射角の変化率の関係を示す図、(c)はディストーションの様子を示す図である。
参考例4の単一レンズの場合には、図16(b)での入射角の変化率を表す曲線は、プラスレンズであるため正の領域(第1象限及び第2象限)に存在し、遠用部と近用部で屈折力が異なるため遠用部と近用部の入射角の変化率は異なっている。近用部の入射角の変化率は、加入度数すなわちプラスの度数がついていることにより、遠用部の入射角の変化率よりも正の側(縦軸の上方)にシフトしている。また、図16(c)に示すように、近用部側方の領域には、累進屈折力レンズに特有の斜め方向のディストーションが発生している。要するに、参考例4の累進屈折力レンズの場合には、像が拡大して見え、且つ累進屈折力レンズに特有のディストーションが発生してしまうという問題がある。
以上の説明から明らかなように、実施例4の組合せ眼鏡レンズによれば、従来の単一(1枚)レンズでは十分に実現できなかった眼鏡倍率やディストーションなどの光学特性を良好に補正し改善することが可能となった。
1、3、5、7 第1のレンズ
2、4、6、8 第2のレンズ
2、4、6、8 第2のレンズ
Claims (8)
- 2枚のレンズを組み合わせてなる組合せ眼鏡レンズであって、
眼鏡の装用時に、物体側に位置する第1のレンズと、眼球側に位置する第2のレンズとからなり、
レンズ中心では、前記第1のレンズと前記第2のレンズの屈折力の符号が逆であることを特徴とする組合せ眼鏡レンズ。 - 2枚のレンズを組み合わせてなる組合せ眼鏡レンズであって、
眼鏡の装用時に、物体側に位置する第1のレンズと、眼球側に位置する第2のレンズとを組み合わせてなり、
レンズ中心から周辺部に向かう屈折力の変化は、前記第1のレンズと前記第2のレンズで逆であることを特徴とする組合せ眼鏡レンズ。 - 前記第1のレンズは、そのレンズ中心ではマイナスの屈折力を有し、レンズ中心から周辺部に向かって屈折力が徐々に減少し、前記第2のレンズは、そのレンズ中心ではプラスの屈折力を有し、レンズ中心から周辺部に向かって屈折力が徐々に増加することを特徴とする請求項1又は2に記載の組合せ眼鏡レンズ。
- 前記第1のレンズは、そのレンズ中心ではプラスの屈折力を有し、レンズ中心から周辺部に向かって屈折力が徐々に減少し、前記第2のレンズは、そのレンズ中心ではマイナスの屈折力を有し、レンズ中心から周辺部に向かって屈折力が徐々に増加することを特徴とする請求項1又は2に記載の組合せ眼鏡レンズ。
- 眼鏡フレームに枠入れされた状態で、前記第1のレンズの後面と前記第2のレンズの前面は、少なくとも一部が離間していることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の組合せ眼鏡レンズ。
- 前記組合せ眼鏡レンズの倍率を1.0に近づけるように、前記第1のレンズと前記第2のレンズを組み合わせることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の組合せ眼鏡レンズ。
- 前記組合せ眼鏡レンズは、前記第1のレンズと前記第2のレンズを組み合わせたときに、眼鏡レンズの処方値を満たすことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の組合せ眼鏡レンズ。
- 前記組合せ眼鏡レンズは、遠用作業距離を視認するための遠用部と、近用作業距離を視認するための近用部と、前記遠用部と前記近用部との間に設けられた中間部とを備え、前記中間部では屈折力が累進的に増加することを特徴とする請求項7に記載の組合せ眼鏡レンズ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019239524A JP2021107885A (ja) | 2019-12-27 | 2019-12-27 | 組合せ眼鏡レンズ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019239524A JP2021107885A (ja) | 2019-12-27 | 2019-12-27 | 組合せ眼鏡レンズ |
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Publication Number | Publication Date |
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JP2021107885A true JP2021107885A (ja) | 2021-07-29 |
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Family Applications (1)
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JP2019239524A Pending JP2021107885A (ja) | 2019-12-27 | 2019-12-27 | 組合せ眼鏡レンズ |
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Country | Link |
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2019
- 2019-12-27 JP JP2019239524A patent/JP2021107885A/ja active Pending
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