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JP2021095441A - 樹脂組成物、粘着剤樹脂組成物および粘着フィルム - Google Patents

樹脂組成物、粘着剤樹脂組成物および粘着フィルム Download PDF

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JP2021095441A
JP2021095441A JP2019225480A JP2019225480A JP2021095441A JP 2021095441 A JP2021095441 A JP 2021095441A JP 2019225480 A JP2019225480 A JP 2019225480A JP 2019225480 A JP2019225480 A JP 2019225480A JP 2021095441 A JP2021095441 A JP 2021095441A
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一敏 大庭
Kazutoshi Oba
一敏 大庭
雪恵 松田
Yukie Matsuda
雪恵 松田
雄貴 水野
Yuki Mizuno
雄貴 水野
睦 中里
Mutsumi Nakazato
睦 中里
後藤 淳
Atsushi Goto
淳 後藤
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Artience Co Ltd
Nanyang Technological University
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Toyo Ink SC Holdings Co Ltd
Nanyang Technological University
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Abstract

【課題】伸縮性に優れ、伸長時にクラックの発生を効果的に抑制できる粘着剤組成物および粘着フィルムを提供する。【解決手段】本発明に係る粘着剤組成物は、ブロック共重合体(C)を含有する。ブロック共重合体(C)は、官能基を有さないエチレン性不飽和単量体に由来する構造単位を主体とし、数平均分子量が10,000〜500,000であり、ブロック構造が[重合体ブロック(A)−重合体ブロック(B)]qXであり(qは3以上6以下の整数であり、重合体ブロック(A)のガラス転移温度は20℃以上であり、[重合体ブロック(B)]qXのガラス転移温度が20℃未満であり、Xは開始剤残基または/およびカップリング剤残基、またはその誘導体である)、特定の官能基(J)を有しない。【選択図】図1

Description

本発明は、樹脂組成物に関する。また、前記樹脂組成物を含む粘着剤組成物に関する。更に、前記樹脂組成物から形成された粘着層を有する粘着フィルムに関する。
様々な産業分野において粘着材料が用いられており、これらの材料の更なる高機能化に関して種々の提案がなされている。例えば、粘着材料として、有機テルル化合物を用いてリビングラジカル重合された(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とするビニルモノマーおよび反応性官能基を有するビニルモノマーをそれぞれ特定量有する共重合体を含有する樹脂組成物からなる粘着剤が開示されている(特許文献1)。また、ブチルアクリレート、アクリル酸、2-ヒドロキシエチルアクリレートモノマーをリビングラジカル重合して得た、水酸基およびカルボキシル基を有する(メタ)アクリル系ポリマーに、イソシアネートまたはエポキシ架橋剤を含有する粘着層を有する粘着テープ(特許文献2)が開示されている。また、偏光板用粘着剤組成物としてカルボキシル基を有するトリブロックポリマーを用いた粘着剤が提案されている(特許文献3)。さらに、近年は省エネルギー、省資源の観点から、塗工性に優れたホットメルト粘接着剤が提案されている(特許文献4)。
国際公開第2007/119884号 国際公開第2016/067406号 特開2017−19974号公報 国際公開第2016/121607号
生体センシング等のヘルスケア機器、ウェアラブル機器、並びにロボティックスなどの分野の進展に伴い、伸縮性に優れた粘着材料が求められている。このような用途では、粘着特性に加えて、加工時または/および使用時に曲面部や可動部に追随可能な伸縮性が求められる。
また、可動部に粘着材料を用いると、繰り返し伸縮に伴う樹脂の構造破壊によって、樹脂自身にクラックが発生しやすいという問題がある。特に、導電材などのフィラー等を含有する場合には、伸長時にバインダー樹脂から、例えば、導電材が剥離して樹脂中に空隙(ボイド)が発生し、そこを起点としてクラックが生じやすくなる。また、伸長に伴うクラックの他に伸縮に伴って被着体から剥離しやすいという問題もある。
上述する課題に加えて、近年は、粘着剤の性能に対する要求レベルがまずます高度化するなか、凝集力と粘着力等の粘着物性とホットメルト塗工性の両方を兼ね備えた粘着剤の提供が強く求められている。しかしながら、現行品では溶融粘度が高く、ホットメルト塗工性にまだまだ課題が多い。さらに、電子機器等の構成部材となり得る粘着剤においては、高湿の環境下に耐えうる耐久性および信頼性が求められ、再剥離用途では特に、被着体から糊残りなく剥離され得る特性が強く求められている。
本発明は、上記背景に鑑みてなされたものであり、伸縮性に優れ、伸長時にクラックの発生を効果的に抑制できる樹脂組成物、粘着剤組成物および粘着フィルムを提供することを目的とする。また、優れた粘着力、凝集力、ホットメルト塗工性、低汚染性を示す粘着フィルムを提供することを目的とする。
本発明者が鋭意検討を重ねたところ、以下の態様において、本発明の課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
[1]:ブロック共重合体(C)を含有する樹脂組成物であって、
ブロック共重合体(C)は、エチレン性不飽和単量体に由来する構造単位を主体とし、且つ数平均分子量が10,000〜500,000であり、
ブロック構造は、[重合体ブロック(A)−重合体ブロック(B)]Xの星形ブロック構造であり(但し、qは3以上6以下の整数であり、重合体ブロック(A)のガラス転移温度は20℃以上であり、[重合体ブロック(B)]Xのガラス転移温度が20℃未満であり、Xは開始剤残基または/およびカップリング剤残基、またはその誘導体である)、
ブロック共重合体(C)には、メルカプト基、水酸基、カルボキシ基、アミノ基、ビニル基、加水分解性シリル基、イソシアネート基、ブロックイソシアネート基、エポキシ基、オキセタン基、フリル基、アセトアセチル基、オキサゾリジン基、ニトリル基およびリン酸基から選択される官能基(K)を有しない樹脂組成物。
[2]: ブロック共重合体(C)は、リビングラジカル重合により得られたことを特徴とする、[1]に記載の樹脂組成物。
[3]: ブロック共重合体(C)は、有機ヨウ素系リビングラジカル重合開始剤残基を少なくとも含み 、ブロック共重合体(C)に対して、ヨウ素含有率が0.0001〜10,000質量ppmの範囲にある[1]又は[2]に記載の樹脂組成物。
[4]: ブロック共重合体(C)は、
有機ヨウ素系リビングラジカル重合開始剤残基を含み、以下の一般式(4)に記載の構造を有する、
Figure 2021095441
但し、Polymerization unitは、Yからの分岐毎にそれぞれ独立に、エチレン性不飽和単量体に由来する構造単位を主体とする重合体ユニットであり、
は、Yからの分岐毎にそれぞれ独立に、エステル基、ケトン基およびアミド基からなる群より選択される2価の基、または直接結合であり、
Qは1価の分子末端基であり、Yからの分岐毎にそれぞれ独立に、前記分子末端基は、官能基、官能基を有していてもよい炭化水素基、またはヨード基であり、
Yはp価の、置換基を有していてもよい炭化水素基であり、
pは2〜6の整数であり、
はYからの分岐毎にそれぞれ独立に、水素原子または置換基を有していてもよい1価の炭化水素基であり、
はYからの分岐毎にそれぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよい1価の炭化水素基または−CORであり、
とRはYからの分岐毎にそれぞれ独立に、互いに結合して環を形成していてもよく、
は、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、アルコキシ基、アミノ基または置換基を有していてもよい1価の炭化水素基であり、
前記炭化水素基は、複素環を有していてもよく、それぞれ独立に、鎖状炭化水素基、脂環式炭化水素基および芳香族炭化水素基の少なくともいずれかを有する、
ことを特徴とする[3]に記載の樹脂組成物。
[5]: 重合体ブロック(A)が、メタクリル酸エステル由来の構造単位を50質量%以上含み、重合体ブロック(B)がアクリル酸エステル由来の構造単位を70質量%以上含むことを特徴とする、[1]〜[4]いずれかに記載の樹脂組成物。
[6]: 重合体ブロック(A)中にメチルメタクリレート由来の構造単位を50質量%以上含み、且つ重合体ブロック(B)中にブチルアクリレート由来の構造単位を70質量%以上含むことを特徴とする、[1]〜[5]いずれかに記載の樹脂組成物。
[7]: ブロック共重合体(C)の多分散度(Mw/Mn)が2.5以下であることを特徴とする[1]〜[6]いずれかに記載の樹脂組成物。
[8]: ブロック共重合体(C)中の重合体ブロック(A)と重合体ブロック(B)に対する重合体ブロック(A)の含有率が1〜50質量%の範囲にあることを特徴とする[1]〜[7]いずれかに記載の樹脂組成物。
[9]: [1]〜[8]いずれかに記載の樹脂組成物を含有する粘着剤組成物。
[10]: 更に、粘着付与樹脂を含有する、[9]に記載の粘着剤組成物。
[11]: [9]又は[10]に記載の粘着剤組成物から形成された粘着層を有する粘着フィルム。
本発明によれば、伸縮性に優れ、伸長時にクラックの発生を効果的に抑制できる樹脂組成物、粘着剤組成物および粘着フィルムを提供できるという優れた効果を奏する。更に、本発明によれば、優れた粘着力、凝集力、ホットメルト塗工性、低汚染性を示す粘着フィルムを提供できるという優れた効果を有する。
製造例1に係るブロック共重合体(C)の製造方法を説明するための模式図。 製造例3に係るブロック共重合体(C)の製造方法を説明するための模式図。 製造例3に係るブロック共重合体(C)の製造方法を説明するための模式図。
以下、本発明を適用した実施形態の一例について説明する。本明細書において特定する数値は、実施形態または実施例に開示した方法により求められる値である。なお、本発明の趣旨に合致する限り、他の実施形態も本発明の範疇に含まれる。また、本発明のフィルムは、シート、テープおよびラベルと同義である。また、特に言及しない限り、各種成分は、それぞれ独立に、単独または2種類以上を併用できる。
<樹脂組成物>
本発明に係る樹脂組成物は、以下のブロック共重合体(C)を含有する。ブロック共重合体(C)は、エチレン性不飽和単量体に由来する構造単位を主体とし、数平均分子量が10,000〜500,000である。
ブロック共重合体(C)のブロック構造は、[重合体ブロック(A)−重合体ブロック(B)]Xの星形ブロック構造である。但し、qは3以上6以下の整数である。また、重合体ブロック(A)のガラス転移温度を20℃以上とし、[重合体ブロック(B)]Xのガラス転移温度を20℃未満とする。Xは開始剤残基または/およびカップリング剤残基、またはその誘導体である。
ブロック共重合体(C)は、ブロック構造が、[A−B]Xの星形ブロック構造(但し、q=3〜6の整数)であればよく、重合体ブロック(A)の連鎖末端に開始剤残基またはその誘導体、官能基、不活性基、架橋性基、置換基などを有していてもよい。
また、ブロック共重合体(C)は、メルカプト基、水酸基、カルボキシ基、アミノ基、ビニル基、加水分解性シリル基、イソシアネート基、ブロックイソシアネート基、エポキシ基、オキセタン基、フリル基、アセトアセチル基、オキサゾリジン基、ニトリル基およびリン酸基から選択される官能基(K)を有しない。なお、製造工程途上において、これらの官能基(K)が含まれていてもよいことは言うまでもない。
ブロック共重合体(C)のいずれかに、官能基(K)以外の官能基を有していてもよい(本明細書では、便宜上、官能基(K)以外の官能基を官能基(L)という)。官能基(L)としては、ヒドラジド基、カルボジイミド基、オキサゾリン基、アジリジン基、アセタール基、スピロオルトエステル基、活性エステル基、活性エーテル基、環状カーボネート基、イソプロペニル基、アルデヒド基、プロパルギル基、アジド基が例示できる。ここで、活性エステル、活性エーテル基とは、架橋反応に利用できる活性化されたエステル結合をいう。例えば、メチルアクリルアミドメトキシ酢酸などの化合物が挙げられ、二重結合、活性エステル基、活性エーテル基を持っているモノマーであり、アクリル樹脂の架橋に利用されている。なお、広義には、エステル結合、エーテル結合なども官能基(L)に分類され得るが、重合体ブロック(A)または/および重合体ブロック(B)にこれらの結合が含まれていてもよいことは言うまでも無い。
なお、以降の説明において重合体ブロック(A),重合体ブロック(B)をそれぞれ、単にA,Bと表記することがある。
本明細書において「エチレン性不飽和単量体」とは、重合性のエチレン性不飽和基を分子内に1つ以上有する単量体をいう。また、「主体とする」とは、ブロック共重合体(C)の合計質量に基づいてエチレン性不飽和単量体に由来する構造単位を70質量%以上含むことをいう。また、「星形ブロック構造」とは、重合体ブロック(B)−重合体ブロック(A)のジブロック体が、Xを起点として複数(3〜6)結合されてなる(Xと重合体ブロック(B)が結合されてなる)[重合体ブロック(A)−重合体ブロック(B)]qXの構造をいう。
更に、「開始剤残基」とは、開始剤由来の部分構造をいい、ブロック共重合体(C)中の開始剤に由来する残基を意味する。また、「カップリング剤残基」とは、カップリング剤由来の部分構造をいい、ブロック共重合体(C)中のカップリング剤に由来する残基を意味する。また、「その誘導体」とは、開始剤残基または/およびカップリング剤残基の一部が化学変換された構造をいう。例えば、ブロック共重合体(C)の合成時に、開始剤残基または/およびカップリング剤残基の一部が置換、付加された構造が含まれる。
また、本明細書において「エチレン性不飽和単量体に由来する構造単位」には、エチレン性不飽和単量体の残基の他、エチレン性不飽和単量体の残基の一部分をブロック共重合体(C)の重合時または重合後に反応性化合物と反応させて得られたエチレン性不飽和単量体の残基の誘導体も含む。例えば、エチレン性不飽和単量体の残基の一部分に官能基(L)または/および置換基が導入された構造単位も含まれる。なお、単量体自体に官能基(L)または/および置換基が含まれていてもよいことは言うまでもない。また、ブロック共重合体(C)内の側基同士、側鎖同士、または側基と側鎖が互いにまたは反応性化合物を介して結合して環を形成した構造を含む。
重合体ブロック(A)のガラス転移温度(以下、Tgともいう)が20℃以上であるとは、ブロック共重合体(C)中のそれぞれの重合体ブロック(A)のTgが20℃以上であることをいう。重合体ブロック(A)のTgは、重合体ブロック(A)のブロックが得られた段階でTgを測定することにより確認することができる。ここで、それぞれの重合体ブロック(A)が20℃以上である場合、ブロック共重合体(C)から求められる重合体ブロック(A)全体のTgも20℃以上となる。即ち、各重合体ブロック(A)を合計した全体の重合体ブロック(A)(以下、<重合体ブロック(A)>Totalと表記する)のTgと、それぞれの重合体ブロック(A)のTgは相関関係があり、<重合体ブロック(A)>TotalのTgを求め、このTgにより重合体ブロック(A)それぞれのTgが20℃以上の条件を満たすか否かを判断することができる。
本明細書における重合体ブロック(A)のTgは、ブロック共重合体(C)が得られた段階でDSC測定して得られた曲線において認められる<重合体ブロック(A)>TotalのTgであり、JIS K 7121:2012プラスチックの転移温度測定法に基づき測定を行い、当該JIS 9.3記載の補外ガラス転移開始温度(Tig)により求められる値とする。<重合体ブロック(A)>Totalに由来するTgは、同様の化学構造を有するブロックではない重合体のTgと同一または近傍の数値となるので、後述する[重合体ブロック(B)]XのTgと容易に区別が付けられる。<重合体ブロック(A)>Totalの上記Tg、およびそれぞれの重合体ブロック(A)のTgは、ブロック共重合体(C)の連鎖末端、即ち、重合体ブロック(A)の連鎖末端の構造によって値は大きく変わらないので、本明細書においては、連鎖末端も含めて、<重合体ブロック(A)>Totalおよびそれぞれの重合体ブロック(A)のTgを判断するものとする。
但し、各重合体ブロック(A)の単量体に由来する構造単位がブロック毎に異なるケースなどにおいて、DSC測定して得られた曲線において、複数のTgが観測される場合には、<重合体ブロック(A)>TotalのTgに代えて、それぞれの重合体ブロック(A)のTgにより判断するものとする。その場合には、各重合体ブロック(A)の重合が完了した時点でサンプリングしてTgを求める。或いは、それぞれの重合体ブロック(A)と同様の化学構造を有する重合体のTgと相関があるので、それぞれの対応する重合体のTgをFoxの式より求め、Tgが20℃以上であるか否かにより判断してもよい。FOXの式は、下記式(1)から求められる値である。
1/(Tg+273.15)=Σ[W/(Tg+273.15)] ・・・(1)
式(1)中、Tgは重合体ブロック(A)のTg(℃)であり、Wは重合体ブロック(A)を構成する単量体aの質量分率であり、Tgは単量体aの単独重合体(ホモポリマー)のTg(℃)である。なお、Tgはホモポリマーの特性値として広く知られており、例えば、「POLYMERHANDBOOK、THIRDEDITION」に記載されている値や、メーカのカタログ値を用いることができる。
また、ブロック共重合体(C)が得られた段階でDSC測定して得られた曲線において認められる[重合体ブロック(B)]XのTgであり、JIS K 7121:2012プラスチックの転移温度測定方法に基づき測定を行い、当該JIS 9.3記載の補外ガラス転移開始温度(Tig)により求められる値とする。[重合体ブロック(B)]XのTgは、同様の化学構造を有する重合体のTgと同一または近傍の数値となるので重合体ブロック(A)に由来するTgと容易に区別が付けられる。
星形ブロック構造の場合の開始剤残基または/およびカップリング剤残基、またはその誘導体Xの分子量は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において特に限定されない。例えば、50〜2,500とすることができる。重合体ブロック(A)の連鎖末端に任意で有していてもよい開始剤残基またはその誘導体の分子量も同様に本発明の趣旨を逸脱しない範囲において特に限定されず、例えば、50〜2,500程度とすることができる。
重合体ブロック(A)のTgは20℃以上であり、40℃以上であることが好ましく、60℃以上であることがより好ましく、80℃以上であることが更に好ましく、100℃以上であることが特に好ましい。重合体ブロック(A)のTgの上限値は特に限定されないが、例えば300℃、250℃または200℃とすることができる。この重合体ブロック(A)のTgは、前述したように<重合体ブロック(A)>TotalのTgに読み替えられる(以降においても同様とする。)。即ち、<重合体ブロック(A)>Totalは20℃以上であり、40℃以上であることが好ましく、60℃以上であることがより好ましく、80℃以上であることが更に好ましく、100℃以上であることが特に好ましい。同様に、<重合体ブロック(A)>Totalの上限値は特に限定されないが、例えば300℃、250℃または200℃とすることができる。
[重合体ブロック(B)]XのTgは、20℃未満であり、10℃以下であることが好ましく、0℃以下であることがより好ましく、−10℃以下であることが更に好ましく、−20℃以下であることが特に好ましい。[重合体ブロック(B)]XのTgの下限値は特に限定されないが、例えば−100℃、−90℃または−80℃とすることができる。
各ブロックにおけるTgを前述のように調整し、且つ特定の星形ブロック共重合体(C)とすることにより、重合体ブロック(A)と重合体ブロック(B)がミクロ相分離構造を形成し、応力緩和点を含む構造を形成し得る物理架橋を形成することができる。ブロック共重合体(C)が星形ブロック構造であることによって、伸縮時の引張強度を高め、伸縮性を優れたものとすることができる。また、ブロック共重合体(C)自体に自己粘着性を付与することができる。
重合体ブロック(A)のTgと[重合体ブロック(B)]XのTgの温度差は特に限定されないが、75℃以上であることが好ましく、より好ましくは100℃以上、更に好ましくは125℃以上、特に好ましくは150℃以上である。150℃以上とすることにより、ミクロ相分離構造を促進し、物理架橋による効果をより効果的に引き出すことができる。
本明細書でいう数平均分子量(Mn)は、後述する実施例により求められる方法で求められる値である。ブロック共重合体(C)のMnは、10,000〜500,000とする。この範囲とすることにより、ブロック共重合体(C)を例えばフィルムとした場合に、伸縮性と強度を両立することができる。Mnの好ましい範囲は10,000〜400,000であり、より好ましい範囲は30,000〜300,000である。多分散度(Mw/Mn)は特に限定されないが、1〜2.5であることが好ましく、1〜2.0であることがより好ましく、1〜1.8であることが更に好ましく、ミクロ相分離構造の形成を促進する観点からは多分散度を1〜1.5、1〜1.3とすることが特に好ましい。
各重合体ブロック(A)のMnはそれぞれ異なっていてもよいが、伸縮性の観点からは実質的に同一であることが好ましい。同様に、各重合体ブロック(B)のMnはそれぞれ異なっていてもよいが、伸縮性の観点からは実質的に同一であることが好ましい。
エチレン性不飽和単量体中のエチレン性不飽和基の具体例としては、エチレン基、プロペニル基、ブテニル基、ビニルフェニル基、(メタ)アクリル基、アリルエーテル基、ビニルエーテル基、マレイル基、マレイミド基、(メタ)アクリルアミド基、アセチルビニル基およびビニルアミド基が例示できる。「エチレン性不飽和単量体」は、(メタ)アクリル基がより好ましい。なお、「(メタ)アクリル」は「アクリル」、「メタクリル」およびこれらの混合物の両方を包含する。また、「(メタ)アクリレート」は「アクリレート」、「メタクリレート」およびこれらの混合物の両方を包含する。
各重合体ブロック(A)の単量体に由来する構造単位は、ブロック毎に異なる単量体に由来する構造単位から構成されていてもよいし、ブロック間で同一の単量体に由来する構造単位から構成されていてもよい。好ましくは、重合体ブロック(A)同士は、単量体に由来する構造単位の60質量%以上が互いに共通していることが好ましく、70質量%が共通していることがより好ましく、80質量%以上が共通していることが更に好ましい。同様に、各重合体ブロック(B)は、ブロック毎に異なる単量体に由来する構造単位から構成されていてもよいし、ブロック間で同一の単量体に由来する構造単位から構成されていてもよい。好ましくは、重合体ブロック(B)同士は、単量体に由来する構造単位の60質量%以上が互いに共通していることが好ましく、70質量%が共通していることがより好ましく、80質量%以上が共通していることが更に好ましい。なお、ここで共通するとは、単量体の配列までは問わず、成分が共通していることを意味する。
ブロック共重合体(C)の結合形式は、伸縮性および機械的強度をより効果的に高める観点からは、[A−B]Xのうちのq=3の3分岐構造、q=4の4分岐構造が好ましい。重合体ブロック(A)および重合体ブロック(B)はそれぞれ独立に、1種単独または2種以上の単量体由来の構造単位を有する。
ブロック共重合体(C)の合計質量に基づいてエチレン性不飽和単量体に由来する構造単位の含有量は、ブロック共重合体(C)の合計質量に対して80質量%以上であることが好ましく、より好ましくは85質量%以上、更に好ましくは90質量%以上、特に好ましくは95質量%以上であり、重合体ブロック(A)および重合体ブロック(B)のミクロ相分離構造をより効果的に促進する観点からは、開始剤残基または/およびカップリング剤残基、またはその誘導体Xおよびブロック共重合体(C)の末端の構造以外がエチレン性不飽和単量体に由来する構造単位(100質量%)からなるブロック共重合体(C)が好ましい。
重合体ブロック(A)は前述したTgを満たし、エチレン性不飽和単量体に由来する構造単位を主体とする、ハードセグメントとして機能するブロックである。単量体は1種単独または2種以上を併用して用いられる。単量体の具体例として、メタクリル酸エステル、アクリルアミド、N−アルキルアクリルアミド、スチレン、スチレン誘導体、マレイミドおよびアクリロニトリルからなる群から選択される少なくとも1つが例示できる。メタクリル酸エステルとしては、炭素数が1〜20、炭素数1〜16、炭素数1〜12、炭素数1〜8または炭素数1〜4のアルキル基が例示できる。また、スチレン誘導体としては、α−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、p−クロロスチレン、クロロメチルスチレンおよびビニルトルエンが例示できる。また、次に説明する重合体ブロック(B)で例示する単量体をその一部に好適に含むことができる。
重合体ブロック(B)は前述したTgを満たし、エチレン性不飽和単量体に由来する構造単位を主体とする、ソフトセグメントとして機能するブロックである。単量体は1種単独または2種以上を併用して用いられる。単量体の具体例として、アクリル酸エステル、オレフィン化合物、ジエン化合物およびアルキレンオキシドからなる群から選択される少なくとも1つが例示できる。アクリル酸エステルとしては、炭素数が1〜20、炭素数1〜16、炭素数1〜12、炭素数1〜8または炭素数1〜4のアルキル基を有するアルキルアクリレートが例示できる。オレフィン化合物およびジエン化合物としては、炭素数が1〜20、炭素数1〜16、炭素数1〜12、炭素数1〜8または炭素数1〜4のオレフィン化合物およびジエン化合物が例示できる。また、アルキレンオキシドとしては、炭素数が1〜20、炭素数1〜16、炭素数1〜12、炭素数1〜8または炭素数1〜4のアルキレン基を有するアルキレンオキシドが例示できる。また、前述の重合体ブロック(A)で例示する単量体をその一部に好適に含むことができる。
ブロック共重合体(C)の好適例として、重合体ブロック(A)がメタクリル酸エステル由来の構造単位を50質量%以上含み、重合体ブロック(B)がアクリル酸エステル由来の構造単位を70質量%以上含むブロック共重合体(C)が例示できる。重合体ブロック(A)中のメタクリル酸エステル由来の構造単位は、より好ましくは60質量%以上であり、更に好ましくは70質量%以上、80質量%以上、90質量%以上である。また、メタクリル酸エステル由来の構造単位を100質量%としてもよい。また、重合体ブロック(B)中のアクリル酸エステル由来の構造単位は、より好ましくは80質量%以上であり、更に好ましくは85質量%以上、90質量%以上、95質量%以上である。また、アクリル酸エステル由来の構造単位を100質量%としてもよい。重合体ブロック(A)がメタクリル酸エステル由来の構造単位を50質量%以上含み、且つ重合体ブロック(B)がアクリル酸エステル由来の構造単位を70質量%以上含むことによって、伸縮性に優れ、クラックの発生を効果的に防止することができる。また、ミクロ相分離を促して機能分離することによって、自己粘着性を高めることができる。
重合体ブロック(A)のメタクリル酸エステル由来の構造単位を形成する単量体として、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、ノルマルブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、ターシャリブチルメタクリレート、イソアミルメタクリレート、ペンチルメタクリレート、ノルマルヘキシルメタクリレート、イソヘキシルメタクリレート、イソヘプチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、イソオクチルメタクリレート、ノルマルオクチルメタクリレート、イソノニルメタクリレート、イソデシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、テトラデシルメタクリレート、オクタデシルメタクリレート、べへニルメタクリレート、イソステアリルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、t−ブチルシクロヘキシルメチルメタクリレート、イソボロニルメタクリレート、トリメチルシクロヘキシルメタクリレート、シクロデシルメタクリレート、シクロデシルメチルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、t−ブチルベンゾトリアゾールフェニルエチルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ナフチルメタクリレート、アリルメタクリレートなどの、脂肪族、脂環族、芳香族アルキルメタクリレート類が例示できる。
また、メトキシメチルメタクリレート、メトキシエチルメタクリレート、メトキシプロピルメタクリレート、エトキシメチルメタクリレート、エトキシエチルメタクリレート、エトキシプロピルメタクリレートなどのアルコキシ基の炭素数が1〜4であり、アルキル基の炭素数が1〜4であるアルコキシアルキルメタクリレートなどのアルコキシアルキルメタクリレート類;(ポリアルキレン)グリコールモノアルキル、アルキレン、アルキンエーテルまたはエステルのモノメタクリレート類;酸素原子含有のメタクリル酸系モノマー類;窒素原子含有のメタクリル酸系モノマー類等を用いることができる。更に、その他、ハロゲン原子含有メタクリレート類も例示できる。
重合体ブロック(A)のメタクリル酸エステル由来以外の構造単位を形成する単量体としては、メタクリル酸エステルと重合し得る他の単量体を用いることができる。具体的には、スチレン等が挙げられる。
重合体ブロック(A)の好適な例として、メチルメタクリレート由来の構造単位を50質量%以上含む態様が挙げられる。より好ましくはメチルメタクリレート由来の構造単位が60質量%以上であり、80質量%以上であることが更に好ましい。また、重合体ブロック(A)の100質量%がメチルメタクリレート由来の構造単位であってもよい。
重合体ブロック(B)のアクリル酸エステル由来の構造単位を形成する単量体として、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、ノルマルブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、ターシャリブチルアクリレート、イソアミルアクリレート、ペンチルアクリレート、ノルマルヘキシルアクリレート、イソヘキシルアクリレート、イソヘプチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、ノルマルオクチルアクリレート、イソノニルアクリレート、イソデシルアクリレート、ラウリルアクリレート、テトラデシルアクリレート、オクタデシルアクリレート、べへニルアクリレート、イソステアリルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、t−ブチルシクロヘキシルメチルアクリレート、イソボロニルアクリレート、トリメチルシクロヘキシルアクリレート、シクロデシルアクリレート、シクロデシルメチルアクリレート、ベンジルアクリレート、t−ブチルベンゾトリアゾールフェニルエチルアクリレート、フェニルアクリレート、ナフチルアクリレート、アリルアクリレートなどの、脂肪族、脂環族、芳香族アルキルアクリレート類が例示できる。
また、(ポリアルキレン)グリコールモノアルキル、アルキレン、アルキンエーテルまたはエステルのモノアクリレート類;酸素原子含有のアクリル酸系モノマー類;窒素原子含有のアクリル酸系モノマー類等を用いることができる。更に、その他、ハロゲン原子含有アクリレート類も例示できる。
重合体ブロック(B)のアクリル酸エステル由来以外の構造単位としては、アクリル酸エステルと重合し得る他の単量体を用いることができる。
重合体ブロック(B)の好適な例として、ブチルアクリレート由来の構造単位を70質量%以上含む態様が挙げられる。より好ましくはブチルアクリレート由来の構造単位が80質量%以上であり、90質量%以上であることが更に好ましい。また、重合体ブロック(B)の100質量%がブチルアクリレート由来の構造単位であってもよい。
ブロック共重合体(C)の好適な例として、重合体ブロック(A)中にメチルメタクリレート由来の構造単位を50質量%以上含み、且つ重合体ブロック(B)中にブチルアクリレート由来の構造単位を70質量%以上含む態様が例示できる。このようなブロック共重合体(C)によれば、収縮性がより効果的に優れたフィルム等を提供できる。重合体ブロック(A)中のメチルメタクリレート由来の構造単位は、60質量%以上、70質量%以上、80質量%以上、90質量%以上としてもよく、100質量%以上としてもよい。重合体ブロック(B)中のブチルアクリレート由来の構造単位は、80質量%以上、90質量%以上としてもよく、100質量%としてもよい。
ブロック共重合体(C)を用いることによって、重合体ブロック(A)と重合体ブロック(B)が海島構造(体心立方)、シリンダー(ヘキサゴナル)、ジャイロイド、ラメラ相等の分子レベルでの相分離構造(ミクロ相分離構造)を形成することができる。ミクロ相分離構造を形成することによって、優れた伸縮性を付与し、クラック発生を効果的に抑制できるブロック共重合体(C)および樹脂組成物を提供できる。伸縮性をより効果的に高める観点からは、重合体ブロック(A)が島、重合体ブロック(B)が海に相当する海島構造であることがより好ましい。なお、ミクロ相分離構造は、原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscope、AFM)を用いて観察することにより確認できる。
ブロック共重合体(C)の重合体ブロック(A)と重合体ブロック(B)に対する重合体ブロック(A)の含有率は特に限定されないが、海島構造のミクロ相分離構造を容易に得る観点からは、1〜50質量%であることが好ましく、15〜30質量%であることがより好ましい。また、粘着性を効果的に引き出す観点からは、ブロック共重合体(C)の重合体ブロック(A)と重合体ブロック(B)に対する重合体ブロック(A)の含有率が1〜35質量%であることが好ましく、5〜30質量%であることがより好ましい。
ブロック共重合体(C)における重合体ブロック(A)と重合体ブロック(B)の含有比率は特に限定されないが、ミクロ相分離構造を容易に得る観点からは、ブロック共重合体(C)に対して、重合体ブロック(A)と重合体ブロック(B)の含有率が90.0〜99.9質量%であることが好ましく、98.0〜99.9質量%であることがより好ましい。
ヨウ素含有率は、ヨウ素由来の着色を抑制する観点から、ブロック共重合体(C)に対して0.0001質量ppm以上、10,000質量ppm以下(以下、単にppmともいう)とする。凝集力向上の観点からは、下限は0.0001ppmとする。ヨウ素含有率の下限値は0.01ppmであることが好ましく、0.1ppmであることがより好ましく、1ppmであることが更に好ましく、10ppm若しくは100ppmであることが特に好ましい。また、ヨウ素含有率の上限は5,000ppmであることがより好ましく、2,000ppmあることが更に好ましく、1,000ppm以下であることが特に好ましい。
また、凝集力向上以外の観点からも、樹脂組成物中にヨウ素を0.0001〜10,000質量ppm含有することで、抗菌性の向上効果がある。
本明細書においてブロック共重合体(C)に対するヨウ素含有率は、蛍光X線分析装置を用いて微量ヨウ素の検出法によりヨウ素含有率を求める。当該測定法によってヨウ素が検出されなかった場合には、検出限界値が0.0001ppm未満である(少なくとも0.0001ppmのヨウ素を検出可能な)装置を用いてヨウ素含有率を求める。本発明においては、蛍光X線分析装置を用いてヨウ素が検出されなかった場合には、後述する実施例に記載のICP−MS又はICP−MS/MS測定装置により求めた。
[ブロック共重合体(C)の製造方法]
以下、本実施形態のブロック共重合体(C)の製造方法の一例について説明するが、本発明のブロック共重合体(C)は以下の製造方法に限定されるものではない。
重合起点を3〜6有するいずれかの重合開始剤を用いて重合体ブロック(B)および重合体ブロック(A)をこの順に逐次重合により得る工程を含む[A−B]qXで表されるブロック共重合体(C)の製造方法がある(以下、方法(I))。
また、重合体ブロック(B)、重合体ブロック(A)を任意の順に逐次重合することによりA−B型のジブロック構造を得、A−B型のジブロック構造の分子末端に必要に応じて反応性末端を導入し、この反応性末端と反応性を示す連結ユニットを3〜6有するいずれかのカップリング剤を用いてカップリング反応を行う工程を含む[A−B]qXで表されるブロック共重合体(C)の製造方法がある(以下、方法(II))。
各重合体ブロックの重合方法は特に限定されないが、リビングアニオン重合、ニトロキシド系の触媒を用いた重合/NMP法、ヨウ素系化合物を触媒に用いたヨウ素移動重合/RCMP(可逆配位媒介重合)法、又はRTCP(可逆移動触媒重合)法が好適である。これらのうちでも、低コストであり、金属を使わずに合成できる観点、並びに一般的なラジカル重合と同じ温度条件下で重合することが可能であり、既存の生産設備が使える観点から、RCMP法(又はRTCP法)がより好適である。これらの製造方法によれば、星形ブロック構造を容易に製造することができる。
重合体ブロック(A)の連鎖末端は、通常、不活性基に変換する。重合体連鎖末端に所望の官能基(L)などを導入することもできる。以下、RCMP法(又はRTCP法)を例に取り詳細に説明する。
RCMP法(又はRTCP法)は、特殊な材料や金属系の触媒が不要であり、有機ヨウ素系リビングラジカル重合開始剤を用いる。有機ヨウ素系リビングラジカル重合開始剤は、触媒と混合し、必要に応じて加温することで、ヨウ素と直結していた炭素にラジカルが生じ、それによって重合性モノマーの重合が開始される。そして、持続性のヨウ素ラジカルとラジカル連鎖末端とが一時的に結合を形成し、ラジカル連鎖末端とヨウ素ラジカルが可逆的に再結合する特性により、ラジカル重合の進行を制御できる。重合温度は、例えば60〜120℃で行うことができる。
重合の終了は、通常重合温度を制御することにより終了する。重合体の連鎖末端は、ラジカル連鎖末端とヨウ素ラジカルとの再結合が形成されている。連鎖末端のアルキルラジカルとヨウ素ラジカルに再開裂する可能性があるので、連鎖末端は不活性処理することが好ましい。不活性処理は、例えば、連鎖末端を非重合性基に変換する方法がある。また、連鎖末端に所望の官能基(L)を導入してもよい。以下、RCMP法(又はRTCP法)を例に取り詳細に説明する。
まず、各種原料を用意する。具体的には、重合体ブロック(A)および重合体ブロック(B)の原料、並びに有機ヨウ素系リビングラジカル重合開始剤(以下、単に重合開始剤(XI)ともいう)、触媒(m)、必要に応じて溶媒、重合開始剤(XI)以外のラジカル重合開始剤、単体ヨウ素等を用意する。また、触媒(m)として重合開始剤(XI)のヨウ素に配位して重合開始剤からヨウ素を引き抜く化合物を少なくとも有する。触媒(m)として、ヨウ素ラジカルのドーマント作用を促進する化合物を更に有していてもよい。
重合開始剤(XI)は、炭素−ヨウ素結合を有する有機ヨウ素化合物であり、触媒(m)の存在下で重合が進行し、ラジカル重合のドーマント種になり得る化合物である。重合開始剤(XI)として、下記一般式(4)〜(6)で表される化合物を例示できる。重合開始剤(XI)は1種単独または2種以上を併用して用いられる。
Figure 2021095441
Figure 2021095441
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但し、Zは、Yからの分岐毎にそれぞれ独立に、エステル基、ケトン基およびアミド基からなる群より選択される2価の基、または直接結合であり、
Yはp価の置換基を有していてもよい炭化水素基であり、
pは3〜6の整数であり、
、RおよびRはそれぞれ独立に、一般式(6)の場合にはYからの分岐毎にそれぞれ独立に、水素原子または置換基を有していてもよい1価の炭化水素基であり、
およびRはそれぞれ独立に、一般式(6)の場合にはYからの分岐毎にそれぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよい1価の炭化水素基または−CORであり、
は置換基を有していてもよい1価の炭化水素基、−COR、シアノ基またはニトロ基であり、
とR、RとR4、とRおよびRとRはそれぞれ独立に、一般式(6)の場合にはYからの分岐毎にそれぞれ独立に、互いに結合して環を形成していてもよく、
は、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、アルコキシ基、アミノ基または置換基を有していてもよい1価の炭化水素基であり、
11は置換基を有していてもよい2価の炭化水素基であり、
12はアルキレン基、アリーレン基およびアルキレンオキシ基からなる群より選ばれる2価の炭化水素基、または直接結合であり、
前記炭化水素基は、複素環を有していてもよく、それぞれ独立に、鎖状炭化水素基、脂環式炭化水素基および芳香族炭化水素基の少なくともいずれかを有する。一般式(4)、一般式(5)は、ヨウ素−炭素結合を1つ有する例であり、一般式(6)はヨウ素−炭素結合が3〜6つ有する例である。所望とするブロック共重合体(C)の構造に応じて、適切な重合開始剤(XI)を選定すればよい。
本明細書において「置換基」とは、別途の定義がない限り、有機基中の一以上の水素原子が、官能基(K)以外の官能基(例えば、ハロゲン原子、ニトロ基)を有していてもよい、複素環基、炭素数1〜12の直鎖状脂肪族炭化水素基、炭素数1〜12の分岐状脂肪族炭化水素基、炭素数1〜12の環状脂肪族炭化水素基、炭素数1〜12のアリール基、炭素数1〜12のアラルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数1〜12のアルケニル基、炭素数1〜12のアシル基、炭素数1〜12のアルコキシカルボニル基、炭素数1〜12のアルキロイルオキシ基または炭素数1〜12のアリーロイルオキシ基で置換されていることを意味する。複素環基は特に限定されないが、官能基(K)以外の官能基を有していてもよい炭素数5〜18の芳香族複素環が例示できる。ヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子、硫黄原子が例示できる。具体例としては、フラン、チオフェン、ピロール、ピリジンが挙げられる。
重合開始剤(XI)の具体例としては、エチレンビス(2−ヨードイソブチレート)、エチレンビス(2−ヨード−2−フェニルアセテート)、p−キシリレンジヨージド、1,4−ビス(1’−ヨードエチル)ベンゼン、2,5−ジヨードアジピン酸ジエチル、グリセロールトリス(2−ヨードイソブチレート)、1,3,5−トリス(1’−ヨードエチル)ベンゼン2−ヨード−2−(4’−(2”−ヨードプロピオニルオキシ)フェニル)酢酸メチル、2−ヨードイソ酪酸4−ヨードブチル、2−ヨード−2−(4’−(4”−ヨードブタノイルオキシ)フェニル)酢酸メチル、2−ヨードフェニル酢酸4−ヨードブチル、2−ヨード−2−フェニル酢酸2−(ヨードアセトキシ)エチル、エチル2−ヨードアセテート、エチル2−ヨードプロパノエート、エチル2−ヨードブチレート、エチル2−ヨードバレレート、エチル2−ヨードイソブチレート、メチル2−ヨードアセテート、エチル2−ヨードイソブチレート、ベンジル2−ヨードイソブチレート、α−ヨード−γ−ブチロラクトン、2−ヨードプロピオンアミド、2-ヨードアセトフェノン、ベンジルヨージド、(1−ヨードエチル)ベンゼン、4−ニトロベンジルヨージド、エチル2−ヨード−2−フェニルアセテート、エチル2−ヨード2−(4’−メチルフェニル)アセテート、エチル2−ヨード−2−(4’−ニトロフェニル)アセテート、ヨードジフェニルメタン、9−ヨード−9H-フルオレン、ジエチル2−ヨード−2−メチルメロネート、エチル2−ヨード−2−メチルアセトアセテート、1,3,5−トリス(1’−ヨードエチル)ベンゼンが例示できる。2−ヒドロキシエチル−2−ヨードイソ酪酸塩、2−ヒドロキシエチル−2−ヨード−2−フェニル酢酸塩、2−ヨード−2−アミジノプロパン、2−ヨード−2−メチルプロパンアミド、2−ヨードプロンアミドが例示できるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
また、特開2018−111806号公報に開示の有機ヨウ素化合物を好適に利用できる。重合開始剤のヨウ素に直結する炭素は、第3級炭素、第2級炭素または電子吸引基と直結している第1級炭素が好ましい。
重合開始剤(XI)は、重合開始剤(XI)を合成するための原料を仕込み、重合中にin situ、即ち反応溶液中で重合開始剤(XI)を生成させて、それをこの重合法の重合開始剤(XI)として使用することもできる。例えば、アゾ化合物とヨウ素を原料として仕込み、その両者の反応により重合開始剤(XI)を重合中にin situで生成反応させ、それをこの重合法の重合開始剤(XI)として使用することができる。即ち、本発明の製造方法では、例えばヨウ素とアゾ化合物とを反応させることにより、本重合工程において重合開始剤(XI)を生成する工程を含んでいてもよい。
重合開始剤(XI)を生成させるために用いるアゾ化合物としては、例えば、アゾ系ラジカル重合開始剤が例示できる。アゾ系ラジカル重合開始剤(例えば、AIBN)のように他の開始剤を用いて重合開始剤(XI)を生成させる場合には、他の開始剤を消費して重合開始剤(XI)が充分に得られてからモノマーを添加して重合体生成を行う方法が好適である。
アゾ化合物としては、例えば、2,2‘−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド]、2,2’−アゾビス[N−(2−ヒドロキシエチル)−2−メトキシプロパンアミド]、2,2’−アゾビス(2−メチル−2−プロペニルプロパンアミド)、2,2’−ビス(2−イミダゾリン−2−イル)[2,2’−アゾビスプロパン]二塩酸塩、2,2’−アゾビス(プロパン−2−カルボアミジン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]、2,2’−アゾビス[2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル]プロパン二塩酸塩、2,2’−アゾビス〔2−メチル−N−2−プロペニルプロパンアミド〕、2,2’−アゾビス〔2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕二塩酸塩が例示できる。
有機ヨウ素化合物のヨウ素に配位して重合開始剤(XI)からヨウ素を引き抜く触媒(m)は、RCMP法において通常用いられる有機アミン化合物、ヨウ化物イオンとのイオン結合を有する非金属化合物を制限無く用いることができる。この非金属化合物中の非金属原子がカチオンの状態であり、ヨウ化物イオンとイオン結合を形成している触媒が好適である。
有機アミン化合物からなる触媒(m)としては、トリエチルアミン、トリブチルアミン、1,1,2,2−テトラキス(ジメチルアミノ)エテン、1,4,8,11−テトラメチル−1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン、エチレンジアミン、テトラメチルエチレンジアミン、テトラメチルジアミノメタン、トリス(2−アミノエチル)アミン、トリス(2−(メチルアミノ)エチル)アミン、ヘマトポルフィリンが例示できる(国際公開第2011/016166号)。
ヨウ化物イオンとのイオン結合を有する非金属化合物であって、該非金属化合物中の非金属原子がカチオンの状態であり、ヨウ化物イオンとイオン結合を形成している触媒としては、具体的にはアンモニウム塩、イミダゾリウム塩、ピリジニウム塩、ホスホニウム塩、スルホニウム塩、ヨードニウム塩等が挙げられ、より具体的には、テトラブチルアンモニウムヨーダイド、テトラブチルアンモニウムトリヨーダイド、テトラブチルアンモニウムブロモジヨーダイド、1−メチル−3−メチル−イミダゾリウムヨーダイド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムブロマイド、2−クロロ−1−メチルピリジニウムヨーダイド、ヘキサフェニルジホスファゼニウムクロリド、メチルトリブチルホスホニウムヨーダイド、テトラフェニルホスホニウムヨーダイド、トリブチルスルホニウムヨーダイド、ジフェニルヨードニウムヨーダイド等を挙げることができる(国際公開WO2013/027419号公報参照)。
RTCP法(可逆移動触媒重合)で重合する場合は、触媒に連鎖移動能をもつ有機分子を用いる。この場合は、触媒とラジカル発生剤(アゾ化化合物など)を組み合わせて、触媒から触媒ラジカルを発生させ、この触媒ラジカルを休眠種の活性化剤として利用する。
ラジカルを発生させて重合開始剤(XI)からヨウ素を引き抜く化合物(触媒)としては、例えば、RTCP法に用いられるリン、窒素、炭素、酸素、ゲルマニウム、スズおよびアンチモンから選択される少なくとも1種の中心原子と、当該中心原子に結合したヨウ素原子と、を含む化合物からなる触媒が挙げられる。
ゲルマニウム、スズまたはアンチモンから選択される中心元素とする触媒としては、
例えば、ゲルマニウム、スズまたはアンチモンから選択される少なくとも1つの中心元
素と、当該中心元素に結合した少なくとも1つのヨウ素原子を含む化合物などが挙げられ、具体的にはヨウ化ゲルマニウム(II)、ヨウ化ゲルマニウム(IV)、ヨウ化スズ(II)、ヨウ化スズ(IV)が例示できる(特開2007−92014号公報参照)。これらの触媒は1種単独または2種類以上を併用してもよい。
窒素またはリンを中心元素とする触媒としては、窒素またはリンから選択される少なくとも1つの中心元素と、当該中心元素に結合した少なくとも1つのヨウ素原子とを含む化合物が挙げられ、具体的には、ヨウ化リンなどのハロゲン化リン;ヨウ化ホスフィンなどのホスファイト系化合物;エトキシフェニルフォスフィネート、フェニルフェノキシフォスフィネートなどのホスフィネート系化合物;ヨウ化窒素、ヨウ化亜リン酸、ヨウ化アミン、ヨードスクシンイミドなどのヨウ化イミド誘導体; ヒダントイン系化合物などが挙げられる(国際公開第2008/139980号参照)。これらの触媒は1種単独または2種類以上を併用できる。
炭素を中心元素とする触媒としては、例えば、ヨードベンゼン、4−メチル−1−ヨードベンゼン、2,4,6−トリメチルヨードベンゼン、3−シアノヨードベンゼン、4−シアノヨードベンゼン、4−ヨードアニソール、テトラヨードメタン、トリフルオロヨードメタン、ジフルオロジヨードメタン、1,4−シクロヘキサジエン、ジフェニルメタン、ジメシチルメタン、キサンテン、チオキサンテン、マロン酸ジエチル、フルオレン;アセチルアセトンなどのアセトアセチル系化合物が例示できる。これらの触媒は1種単独または2種類以上を併用できる。
酸素を中心とする触媒の具体例としては、例えば、フェノール、ヒドロキノン、tert−ブチルフェノールなどのフェノール系化合物;チモールジアイオダイドなどのアイオドオキシフェニル化合物;ビタミンEなどのビタミン類や、N−コハク酸イミドなどが例示できる。これらの触媒は1種単独または2種以上を併用できる。
[方法(I)]
RCMP法によりブロック共重合体(C)を製造する場合には、触媒(m)および炭素−ヨウ素結合を3〜6のいずれかである重合開始剤(XI)の存在下で、まず重合体ブロック(B)のラジカル重合を行う。次いで、重合体ブロック(B)が得られた後、重合体ブロック(A)を形成するための単量体を添加し、重合体ブロック(A)の重合を開始する。
重合開始剤(XI)の炭素−ヨウ素結合が3つの場合には、重合体ブロック(B)、重合体ブロック(A)の順にブロックを重合することにより、[A−B]Xの星形ブロック構造が得られる。重合開始剤(XI)の炭素−ヨウ素結合が4〜6の場合も同様に、[A−B]X〜[A−B]Xの星形ブロック構造が得られる。
触媒(m)の添加量は、重合速度を適切なものとし、且つ未反応単量体の残存量を低減させる観点から、重合開始剤(XI)100モルに対して、0.01〜2,500モルが好ましく、より好ましくは0.05〜1,000モル、さらに好ましくは0.1〜500モルである。
重合開始剤(XI)の量は、ブロック共重合体(C)のブロック構造および所望とするMnの値等により変動し得るが、例えば、全単量体の100質量部あたり例えば0.01〜10質量部とすることができる。重合開始剤(XI)の分子量は特に限定されず、好適な範囲はブロック共重合体(C)のMnによっても変動し得るが、例えば、150〜1,500とすることが好適である。
重合条件は、用いる単量体および重合開始剤(XI)の種類によって適宜設定すればよい。重合温度は、例えば室温〜200℃、より好ましくは60〜120℃である。また、重合雰囲気は、窒素ガス、アルゴンガスなどの不活性ガス下で行うことが好ましい。反応時間は、単量体の転化率を指標に適宜設定すればよい。例えば、30分〜120時間である。
重合は、バルク重合でも溶液重合でもよい。また、乳化重合、分散重合、懸濁重合などにより重合してもよい。溶液重合に用いる溶媒は特に限定されないが、水;メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、tert−ブチルアルコール等のアルコール系溶媒;ジクロロエタン、ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン原子含有溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒;プロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ジグライム等のエーテル系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸セロソルブ等のエステル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジアセトンアルコール等のケトン系溶媒;ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒が例示できる。溶媒は、1種単独または2種以上が併用して用いられる。
重合の終了は、通常重合温度を制御することにより終了する。重合体の連鎖末端は、ラジカル連鎖末端とヨウ素ラジカルとの再結合が形成されている。連鎖末端のアルキルラジカルとヨウ素ラジカルに再開裂する可能性があるので、連鎖末端は不活性処理することが好ましい。不活性処理は、例えば、連鎖末端を非重合性基に変換する方法がある。また、連鎖末端に所望の官能基を導入してもよい。なお、重合体末端がドーマント種であるヨウ素が残っていてもよい場合には、この工程は省略できる。
前述の一般式(6)の重合開始剤(XI)を用いて重合体ブロック(B)、重合体ブロック(A)を逐次重合することにより、以下の一般式(3)のブロック共重合体(C)が得られる。
Figure 2021095441
但し、Polymerization unitは、Yからの分岐毎にそれぞれ独立に、エチレン性不飽和単量体に由来する単量体を主体とする重合体ユニットであり、Qは1価の分子末端基であり、Yからの分岐毎にそれぞれ独立に、前記分子末端基は、官能基(L)、官能基(L)を有していてもよい炭化水素基、またはヨード基であり、その他の記号は、一般式(6)で説明した通りである。
[方法(II)]
RCMP法により製造する場合には、重合体ブロック(B)、重合体ブロック(A)を任意の順で逐次重合し、A−B型のジブロック体を得、その後、カップリングを行う工程を経て、[A−B]Xで表されるブロック共重合体(C)を得られる。ジブロック体の重合開始剤(XI)としては、前述の一般式(4)、(5)が好適である。そして、連結基を3〜6有するカップリング剤を用いることにより、ブロック共重合体(C)が得られる。
(製造例1:ブロック共重合体(C))
図1に、ブロック共重合体(C)の製造法の一例を示す。まず、重合体ブロック(B)を形成するための単量体1に、炭素−ヨウ素結合が3つある重合開始剤3および触媒4を加えて重合を行う。単量体1の種類は1種単独または2種以上とすることができる。当該重合により、開始剤残基Xを有する重合体ブロック(B)およびその連鎖末端にドーマント種としてのヨウ素が結合され、単量体1に由来する構造単位1*を有する重合体31が得られる。
重合体31が得られた後、重合体ブロック(A)を形成するための単量体2を加える。単量体2もそれぞれ独立に、1種単独または2種以上とする。単量体2を加えることにより、重合体31の連鎖末端を基点としたリビングラジカル重合が進行し、[A−B]Xの星形ブロック構造を有し、連鎖末端にドーマント種としてのヨウ素が結合され、単量体2に由来する構造単位2*を有する重合体32が得られる。
重合体32が得られた後、重合体32の連鎖末端を不活性基に変換することにより、ブロック共重合体(C)が得られる。なお、末端基がヨード基でもよい場合には、重合体32をブロック共重合体(C)とすることができる。
(製造例2:4〜6分岐のブロック共重合体(C)の製造例)
4〜6分岐のブロック共重合体(C)は、炭素−ヨウ素結合がそれぞれ4〜6つ有する重合開始剤(XI)を用いる以外は、製造例1と同様の方法により製造できる。
RCMP法(又はRTCP法)によれば、重金属が実質的に含まれないブロック共重合体(C)が得られるという利点がある。このため、人体と直接接触する用途、例えば医療用途などに特に好適である。また、RCMP法(又はRTCP法)によれば、リビングラジカル重合ができるので多分散度の狭いブロック共重合体(C)を得ることが可能である。なお、製造例1、2においてはRCMP法の例を挙げたが、リビングアニオン重合、ATR法、RAFT法、NMP法によっても同様に重合することができる。
(製造例3:4分岐のブロック共重合体(C))
図2に、4分岐のブロック共重合体(C)の製造法の一例を示す。図2に示すように、まず、重合体ブロック(A)を形成するための単量体2に、炭素−ヨウ素結合が1つある重合開始剤3および必要に応じて触媒(不図示)を加えて重合を行う。
図2の例では、重合開始剤3として2−ヨード−2−メチルプロピオニトリルの一つを用いた例を示しているが、例えば前述したヨウ素−炭素結合を1つ有するヨウ素系重合開始剤を好適に用いることができる。当該重合により、開始剤残基Xを有する重合体ブロック(A)およびその連鎖末端にヨウ素Iが結合された、単量体2に由来する構造単位2*を有する重合体44が得られる。
重合体44が得られた後、重合体ブロック(B)を形成するための単量体1を加える。単量体1を加えることにより、重合体44の連鎖末端を基点としたリビングラジカル重合が進行し、A−B型のジブロック構造を有し、連鎖末端にヨウ素Iが結合された、単量体1に由来する構造単位1を有する重合体45が得られる。そして、これに2−アミノエタノールを反応させることにより、連鎖末端に水酸基を有するA−B型のジブロック構造46が得られる。
続いて、図3に示すように、連鎖末端に水酸基および開始剤残基Xを有するA−B型のジブロック構造46に対してカップリング剤として4官能のテトライソシアネート化合物6を加えてカップリング化反応を行う。その結果、重合体ブロック(A)の分子末端に開始剤残基Xを有し、且つ4分岐の[A−B]Xを有するブロック共重合体(C)が得られる。[A−B]XのXはカップリング剤残基の誘導体であり、重合体ブロック(A)の分子末端の開始剤残基Xとは互いに構造が異なる。
カップリング剤としては、上記例においては水酸基と反応性を示す官能基を1分子中に3以上有する化合物が用いられる。製造例3おいては、イソシアネート基を4つ有する化合物を用いる。好適なカップリング剤としては、ポリイソシアネート化合物や多官能アクリレート化合物が例示できる。また、水酸基の部位に他の官能基(例えば、メルカプト基、メルカプチド基)を導入し、この官能基を利用する反応によりカップリング化反応を行ってもよい。
製造例3においては、カップリング剤として4官能のカップリング剤を挙げたが、3〜6官能のカップリング剤を任意に用いることができる。カップリング剤としては、トルエンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等のジイソシアネートモノマーや、各ジイソシアネートモノマーを3〜6官能の多価アルコールに付加したアダクト体をはじめ、イソシアネートヌレート体(三量体)、ビウレット体等が例示できる。
[樹脂組成物(D)の組成等]
樹脂組成物(D)は、少なくともブロック共重合体(C)含む樹脂組成物であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で他の化合物を含有できる。溶剤を含んでいてもよいし、無溶剤でもよい。
樹脂組成物(D)は、液状、ペースト状、フィルム状または成形体である。樹脂組成物(D)は、粘着剤、接着剤、塗料等の各種ペースト、保護フィルム、成形材料、樹脂改質剤、添加剤などの最終製品前の製品または用途を含む。また、樹脂組成物(D)は、フィルム、層、或いは成形物などの部材そのものであってもよい。
ブロック共重合体(C)は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。例えば、トリブロック構造を有するブロック共重合体(C)と、3分岐の星形ブロック構造を有するブロック共重合体(C)を併用することができる。
樹脂組成物(D)に含まれる任意の他の成分として、ブロック共重合体(C)以外の樹脂、溶剤、粘着付与樹脂、架橋剤、添加剤、フィラーが例示できる。
(その他の樹脂)
ブロック共重合体(C)以外の樹脂として、本発明に該当しないブロック共重合体(C)、例えば、A−B−A型のトリブロック構造のブロック共重合体(e)、[A−B]Xの星形ブロック構造を有するブロック共重合体(e)、分子量が10,000〜500,000の範囲外のブロック共重合体(e)、その他のアクリル樹脂が例示できる。ブロック共重合体(C)とブロック共重合体(e)を混合することにより、塗工粘度、粘着性および剥離性をより適切なものに調整することができる。
また、ブロック共重合体(C)以外の樹脂として、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド、ポリエステル、ポリエステルアミド、ポリブタジエン、セルロース、ポリウレタンポリウレア、オレフィン系樹脂、粘着付与樹脂が例示できる。
樹脂組成物(D)を粘着剤組成物として用いる場合は、粘着付与樹脂を用いることにより、タック性、粘着力および保持力の調整が容易となる。粘着付与樹脂としては、ブロック共重合体(C)との相溶性に優れる樹脂が好適であり、テルペン系樹脂、ロジン樹脂などの天然樹脂、石油樹脂、水素添加石油樹脂、スチレン系樹脂、クマロン−インデン系樹脂、フェノール系樹脂、キシレン系樹脂の合成樹脂が例示できる。
粘着付与樹脂は、ブロック共重合体(C)100質量部に対して、0.1〜50質量部用いることが好ましい。より好ましくは1〜40質量部であり、更に好ましくは5〜20質量部である。
粘着付与樹脂は、ブロック共重合体(C)100質量部に対して、0.1〜50質量部用いることが好ましい。より好ましくは1〜40質量部であり、更に好ましくは5〜20質量部である。
前記ロジン系樹脂としては、ガムロジン、トール油ロジン、ウッドロジン等のロジン;水添ロジン、不均化ロジン、重合ロジン等の変性ロジン;これらロジン、変性ロジンのグリセリンエステル、ペンタエリスリトールエステル等のロジンエステルが例示できる。上記ロジン類の具体例としては、パインクリスタルKE−100、パインクリスタルKE−311、パインクリスタルKE−359、パインクリスタルKE−604、パインクリスタルD−6250(荒川化学工業社製)が挙げられる。
前記テルペン系樹脂としては、α−ピネン、β−ピネン、ジペンテン等を主体とするテルペン樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、水添テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂等が挙げられる。上記テルペン系樹脂の具体例としては、タマノル901(荒川化学工業社製)が例示できる。前記水素添加(以下、水添ともいう)石油樹脂等としては、(水添)脂肪族系(C5系)石油樹脂、(水添)芳香族系(C9系)石油樹脂、(水添)共重合系(C5/C9系)石油樹脂、(水添)ジシクロペンタジエン系石油樹脂、脂環式飽和炭化水素樹脂等が挙げられる。上記スチレン系樹脂としては、ポリα−メチルスチレン、α−メチルスチレン/スチレン共重合体、スチレン系単量体/脂肪族系単量体共重合体、スチレン系単量体/α−メチルスチレン/脂肪族系単量体共重合体、スチレン系単量体共重合体、スチレン系単量体/芳香族系単量体共重合体が例示できる。上記スチレン系樹脂の具体例としては、FTR6000シリーズ、FTR7000シリーズ(三井化学社製)が例示できる。
前記粘着付与樹脂の中でも、相容性に優れる点で、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、芳香族系石油樹脂が好ましく、中でも接着性を高める観点からロジン系樹脂および芳香族系石油樹脂が好ましく、また、ロジン系樹脂の場合は、耐光劣化や着色、不純物による気泡の発生を抑える観点から、蒸留、再結晶、抽出等の操作により精製処理された不均化又は水素化ロジン類がさらに好ましい。これらは単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。また、前記粘着付与樹脂の軟化点については、高い粘着力を発現する点から50〜150℃のものが好ましい。
(溶剤)
樹脂組成物(D)を粘着剤組成物として用いる場合は、溶剤含有タイプ、無用剤タイプのいずれでもよい。
溶剤含有タイプの場合、液状またはペースト状とする態様がある。この場合、溶剤は、ブロック共重合体(C)および他の成分への溶解性または分散性を考慮して選定する。また、加工性を改善するために可塑剤的機能として溶剤を用いる態様もある。この場合、加工性およびプロセス性等を考慮して溶剤を選定する。
溶剤は1種単独または2種以上を併用して用いることができる。具体的には、トルエン、キシレン、ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶剤;ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素系溶剤;ジエチルエーテル、メトキシトルエン、ジオキサン等のエーテル系溶剤、その他の炭化水素系溶剤の有機溶剤が例示できる。
(架橋剤)
樹脂組成物(D)に含有するブロック共重合体(C)は自己粘着性を有するので、架橋剤を用いずに粘着剤組成物として利用することが可能であるが、架橋剤を添加してもよい。架橋剤としては、ブロック共重合体(C)の官能基(L)と架橋する反応性基を有する架橋剤を好適に用いることができる。
(添加剤)
前記添加剤は、用途に応じて本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各種添加剤を制限なく用いることができる。例えば、紫外線防止剤、帯電防止剤、粘着付与剤、シランカップリング剤、酸化防止剤、重合禁止剤、顔料、着色剤、可塑剤、軟化剤、加工助剤、消泡剤、充填剤、粘度調整剤、分散剤、レベリング調整剤、反射防止剤、蛍光剤、光拡散剤、光安定剤、屈折率調整剤、艶消し剤、フィラー、界面活性剤が例示できる。
樹脂組成物(D)を電子デバイス用途などに用いる場合には、帯電防止剤を添加することが好ましい。帯電防止剤としては、例えば、化研産業株式会社製のPR−IL1汎用帯電防止剤(イオン性液体)が例示できる。
また、樹脂組成物(D)を粘着剤組成物として用いる場合は、粘着力調整の観点からは可塑剤を含むことが好ましい。可塑剤の好適な例としては上記可塑剤としては、ジブチルフタレート、ジ−n−オクチルフタレート、ビス−2−エチルヘキシルフタレート、ジ−n−デシルフタレート、ジイソデシルフタレートなどのフタル酸エステル類、ビス−2−エチルヘキシルセバケート、ジ−n−ブチルセバケートなどのセバシン酸エステル類、ビス−2−エチルヘキシルアゼレートなどのアゼライン酸エステル類、ビス−2−エチルヘキシルアジペート、ジ−n−オクチルアジペートなどのアジピン酸エステル類などの脂肪酸エステル類;塩素化パラフィンなどのパラフィン類;ポリプロピレングリコールなどのグリコール類;エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油などのエポキシ系高分子可塑剤;トリオクチルホスフェート、トリフェニルホスフェートなどのリン酸エステル類;トリフェニルホスファイトなどの亜リン酸エステル類;ポリ(メタ)アクリル酸n−ブチル、ポリ(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルなどのアクリル系オリゴマー;液状ポリブテン;液状ポリイソブチレン;液状ポリイソプレン;プロセスオイル;ナフテン系オイルが例示できる。
フィラーとしては、ガラス繊維、カーボン繊維などの無機繊維及び有機繊維;炭酸カルシウム、タルク、カーボンブラック、酸化チタン、シリカ、クレー、硫酸バリウム、炭酸マグネシウムなどの無機充填剤、銀、銅、カーボンナノチューブなどの導電材が例示できる。
樹脂組成物(D)を無溶剤型の粘着剤組成物として用いた場合、或いは可塑剤として少量溶剤を添加した粘着剤組成物として用いた場合には、各成分をニーダールーダー、押出機などを用いて混合、或いは混練装置を使用して、加熱混合することにより粘着剤組成物を製造できる。また、各成分を有機溶媒に溶解して混合した後に、有機溶媒を留去して粘着剤組成物を製造してもよい。
無溶剤型の粘着剤組成物の粘着層の形成は、加熱溶融状態で圧着した後に冷却することで固化して粘着特性を発現させるホットメルト粘着剤とすることもできる。溶剤レスの粘着剤組成物を用いることにより、安全性・環境に配慮した粘着剤を提供できる。
粘着層の形成方法は、特に制限は無く、溶剤により粘度を調整した粘着剤組成物を例えば基材または離型シートに、例えばマイヤーバー、アプリケーター、刷毛、スプレー、ローラー、グラビアコーター、ダイコーター、リップコーター、コンマコーター、ナイフコーター、リバースコ−ター、およびスピンコーター等を用いて形成できる。基材に塗工する場合には、基材に帯電防止処理、プラズマ処理、密着付与プライマー処理、コロナ処理等を施してもよい。塗工に際して乾燥工程を行うことが好ましい。乾燥装置は、特に制限は無く、例えば熱風乾燥機、赤外線ヒーターおよび減圧法等が挙げられる。乾燥温度は、通常60〜160℃程度である。本実施形態の粘着フィルム(F)における粘着層の乾燥後の膜厚は、5〜100μmとすることが好ましい。
粘着剤組成物によれば、ブロック共重合体(C)を用いることにより重合体ブロック(A)と重合体ブロック(B)の相溶性の差によりミクロ相分離を起こし、更に[A−B]Xの星形ブロック構造を有するので、島ドメインの応力分散を図ることが可能になる。このため、引張破断強さを高めることができる。また、伸縮性に優れ、伸長時にクラックの発生を効果的に抑制できる。重合体ブロック(A)はブロック共重合体(C)の疑似架橋点となるので、架橋剤を用いずに、疑似架橋構造による粘着性により、非架橋型の粘着剤組成物として好適に用いることができる。
粘着剤組成物は、樹脂組成物(D)により形成した粘着層に架橋構造を構築しない非架橋型の粘着剤として好適である。樹脂組成物(D)に、架橋剤を添加した架橋型の粘着剤としても利用できる。架橋剤は、ブロック共重合体(C)と架橋させる態様が例示できる。この場合には、ブロック共重合体(C)の官能基(L)と反応性を示す反応基を有する架橋剤を添加して、架橋構造を構築する態様が好適である。
本発明の樹脂組成物(D)は、伸縮性に優れ、伸長時にクラックの発生を効果的に抑制できるブロック共重合体(C)を含有するので、製造時または/および使用時に曲面形状に追随性が求められる粘着用途に好適である。例えばストレッチャブル材、ウェアラブル材、メディカル分野やロボティックス分野の可動部(例えば、人工筋肉、人工皮膚、各種アクチュエータ)の粘着材に好適である。屈曲性、フレキシブル性が要求される部材、曲面形状への追随性が求められる粘着用途に好適に用いられる。また、段差構造がある複雑な形状の被着体への被覆性が求められる粘着用途にも好適である。
その他、樹脂組成物(D)は伸縮性に優れた特性を生かして各種用途に用いることができる。例えば、光学部材用粘着剤、各種プラスチックシート、一般ラベル・シール、塗料、弾性壁材、塗膜防水材、床材、粘着剤、積層構造体用粘着剤、ホットメルト粘着剤、シーリング剤、成形材料、表面改質用コーティング剤、バインダー(磁気記録媒体、インキバインダー、鋳物バインダー、焼成レンガバインダー、グラフト材、マイクロカプセル、グラスファイバーサイジング等)、ウレタンフォーム(硬質、半硬質、軟質)、ウレタンRIM、UV・EB硬化樹脂、ハイソリッド塗料、熱可塑性エラストマー、熱硬化型エラストマー、マイクロセルラー、繊維加工剤、可塑剤、吸音材料、制振材料、界面活性剤、ゲルコート剤、人工大理石用樹脂、人工大理石用耐衝撃性付与剤、インキ用樹脂、量子ドット用樹脂、フィルム(ラミネート粘着剤、保護フィルム等)、合わせガラス用樹脂、反応性希釈剤、各種成形材料、弾性繊維、人工皮革、合成皮革等の原料として、また、各種樹脂添加剤およびその原料等としても有用である。
<粘着フィルム>
本実施形態の粘着フィルムは、本実施形態に係る樹脂組成物(D)を含有する粘着剤組成物から形成された粘着層を少なくとも有する粘着フィルム(F)である。粘着フィルム(F)によれば、[重合体ブロック(A)−重合体ブロック(B)]Xの星形ブロック構造を有するブロック共重合体(C)を含有するので、粘着性、伸縮性に優れた粘着フィルム(F)を提供できる。
粘着フィルム(F)は、基材と粘着層が積層された積層体から構成されていてもよい。また、帯電防止層、保護層など、任意の1または複数の層との積層体としてもよい。粘着層は1層の単層または2層以上の積層体とすることができる。
前記基材は、伸縮性に優れた材料であることが好ましく、エラストマー、プラスチック、繊維、フッ素ゴム、シリコーンゴム、天然ゴム等が例示できる。基材は、板状、フィルム状など任意の部材を選択できる。基材の形状は、平面状の他、曲面形状または複雑な形状であってもよい。基材は、単独または2種以上の積層体を使用できる。
基材の厚みは特に制限されないが、例えば1〜500μmとすることができる。また、10〜100μm、20〜50μmとしてもよい。基材フィルムの厚みが上記範囲であると、フィルムの巻き取り性、加工性の点で優れる。一方、基材フィルムが薄いと強度が不足する傾向がある。また、基材フィルムが厚すぎると柔軟性が悪く、基材フィルムが被着体の形状に追随しなくなる虞がある。
前記プラスチックは、例えばポリビニルアルコール、トリアセチルセルロース、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリシクロオレフィン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、およびポリエチレンナフタレート等のポリエステル;ポリカーボネート、ポリノルボルネン、ポリアリレート、ポリアクリル、ポリフェニレンサルファイド、ポリスチレン、ポリアミド、およびポリイミド等が挙げられる。
粘着層の架橋反応は、上記乾燥工程時に熱により行ってもよいし、別途、エージング処理や熱圧着を行ってもよい。また、活性光線照射により架橋を行ってもよい。
粘着層は、基材の片面に形成する態様の他、両面に形成することもできる。粘着層上には、被着体に貼付する直前まで、剥離性シートを積層させておくことが好ましい。剥離性シートは、例えば、上質紙等の紙またはプラスチックフィルムに剥離剤をコーティングしてなる公知の剥離紙または剥離フィルムを用いることができる。
被着体は特に限定されないが、人体、SUS(ステンレス鋼),ガラス、プラスチックフィルム等が挙げられる。プラスチックフィルムは、例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA),ポリカーボネートがある。また、ポリプロピレン、ポリエチレン等のオレフィンも好適である。
粘着フィルム(F)は、人体やロボットの可動部や曲面部への追随性が求められるストレッチャブルやウェアラブルな粘着材として好適である。粘着フィルム(F)の用途としては、粘着性光学フィルム、一般ラベル・シール等がある。
粘着フィルム(F)によれば、ブロック共重合体(C)を含有する樹脂組成物(D)を含有する粘着剤組成物から形成された粘着層を有するので、製造時または/および製品において優れた伸縮性を有する。樹脂組成物(D)を含有する粘着剤組成物としては、架橋剤を更に加えた粘着剤組成物を用いることにより、粘着フィルム(F)の耐溶剤性、耐熱性を高め、更に粘着性を高めることができる。粘着フィルム(F)は、伸縮性を有し、伸長時のクラック発生を抑制でき、更に被着体との密着性に優れるので、曲面形状を有する被着体、可動部に対する粘着フィルム(F)として特に好適である。
以下に、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、例中、「部」とあるのは「質量部」を、「%」とあるのは「質量%」を意味するものとする。また、溶剤以外は不揮発分換算値である。
[重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)およびMw/Mnの測定]
GPC(商品名:GPCV−2000、日本ウォーターズ社製、カラム:TSKgel、α−3000、移動相:10mMトリエチルアミン/ジメチルホルムアミド溶液)を用い、標準物質としてポリスチレン(分子量427,000、190,000、96,400、37,400、10,200、2,630、440、92)を使用して検量線を作製し、重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)を測定した。この測定値から多分散度(PDI=Mw/Mn)を算出した。
[ガラス転移温度の測定]
ガラス転移温度は、JIS K 7121(2012)プラスチックの転移温度測定法に準拠して測定を行い、当該JIS 9.3記載の補外ガラス転移開始温度(Tig)により求められる温度でガラス転移温度を求めた。測定には、示差走査熱量計(TAインスツルメント社製、DSC Q2000)を用いた。上記方法により、<重合体ブロック(A)>TotalのTg、およびトリブロック構造の場合には重合体ブロック(B)のTg、星形ブロック構造の場合には[重合体ブロック(B)]XのTgが求められる。
[ヨウ素含有率の測定]
各実施例・比較例で得られた樹脂組成物をメチルエチルケトンに溶解させて樹脂組成物の濃度が2.5質量%の溶液を調製した。得られた溶液を蛍光X線分析装置(フィリップス社製、品番:PW2404)で測定し、各実施例・比較例で得られたブロック共重合体(C)の質量に対するヨウ素含有率(ppm)を求めた。
また、蛍光X線分析装置によりヨウ素が検出されなかったサンプルは、ICP−MS(誘導結合プラズマ質量分析)装置(アジレント・テクノロジー社製、Agilent 7900)で測定し、ブロック共重合体(C)に対するヨウ素含有率(質量ppm)を求めた。
更に、ICP−MS装置によりヨウ素が検出されなかったサンプルは、ICP−MS/MS装置(アジレント・テクノロジー社製、Agilent 8900 ICP−QQQ を MS/MS モードで使用)で測定し、ブロック共重合体(C)に対するヨウ素含有率(質量ppm)を求めた。
ICP−MS、ICP−MS/MSの測定条件としては、ブロック共重合体(C)約0.25gを精秤し、マイクロウェーブ湿式分解装置を用いた酸分解法により処理後、蒸留水で50mL定溶とし、ICP測定を行った。
ブロック共重合体の原料の略称は、以下の通りである。
(単量体)
MMA:メチルメタクリレート(住友化学社製)
BMA:ブチルメタクリレート(三菱ケミカル社製)
BA:ブチルアクリレート(日本触媒社製)
MA:メチルアクリレート(日本触媒社製)
St:スチレン(中央化成品社製)
LMA:ラウリルメタクリレート(三菱ケミカル社製)
2EHA:2−エチルヘキシルアクリレート(日本触媒社製)
(重合開始剤)
合成2:4分岐有機ヨウ素系リビングラジカル重合開始剤
合成3:5分岐有機ヨウ素系リビングラジカル重合開始剤
合成4:6分岐有機ヨウ素系リビングラジカル重合開始剤
CP−I:2−ヨード−2−メチルプロピオニトリル(東京化成工業社製)
BM1448: 4−シアノ−4−[(ドデシルスルファニルチオカルボニル)スルファニル]ペンタンサンメチル(BORON MOLECULAR社製)
EMA−II:エチレンビス(2−ヨードイソブチレート)(合同資源社製)
EMA−III:グリセロールトリス(2−ヨードイソブチレート)(合同資源社製)
3f−BiB:1,1,1-Tris(2-bromoisobutyryloxymethyl)ethane(Aldrich社製、No. 723185)
4f−BiB:Pentaerythritol tetrakis(2-bromoisobutyrate)(Aldrich社製、No. 723193)
6f−BiB:Dipentaerythritol hexakis(2-bromoisobutyrate)(Aldrich社製、No. 723207)
AIBN:2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)(和光純薬社製)
(カップリング剤)
2C−(a)(2官能イソシアネート(a)):ヘキサメチレンジイソシアネート(東ソー社製)
3C−(b)(3官能イソシアネート(b)):TDI−TMPアダクト体(日本ポリウレタン工業社製)
4C−(c)(4官能イソシアネート(c)):合成7
6C−(d)(6官能イソシアネート(d)):合成8
(粘着付与樹脂)
パインクリスタルKE311(ロジン系、荒川化学社製)
タマノル901(テルペンフェノール系、荒川化学社製)
(重合開始剤の合成)
合成2:4分岐有機ヨウ素系リビングラジカル重合開始剤
窒素ガス導入管、撹拌機を備えた200mLフラスコに、4f-BiB:Pentaerythritol tetrakis(2-bromoisobutyrate)(Aldrich社製、No. 723193)5.19g(7.1mmol)、ヨウ化ナトリウム(和光純薬社製)5.09g(34mmol)をアセトニトリル20mLに溶解させ、窒素置換後、80℃で8時間加熱攪拌した。反応終了後、濾過精製し、減圧下で溶媒を濃縮し、白色固体物4.98g(収率87.2%)の合成2の化合物を得た。目的物の生成は、H−NMRより確認した。
合成3:5分岐有機ヨウ素系リビングラジカル重合開始剤
窒素ガス導入管、撹拌機を備えた500mLフラスコに、2−ブロモイソブチリルブロミド(東京化成工業社製)50.0g(0.22mol)とα−D−グルコース(Aldrich社製)5.0g(0.028mol)、ピリジン50mLをクロロホルム100mLに溶解させ、窒素置換後、60℃で12時間加熱攪拌した。反応終了後、濾過生成し、減圧下で溶媒を濃縮し、白色固体物2.25g(収率30.0%)の中間体化合物を得た。次いで、窒素ガス導入管、撹拌機を備えた100mLフラスコに、中間体化合物0.50g(0.54mmol)ヨウ化ナトリウム0.5g(3.3mmol)をアセトン50mLに溶解させ、窒素置換後、80℃で12時間加熱攪拌した。反応終了後、濾過精製し、減圧下で溶媒を濃縮し、白色固体物0.38g(収率79.2%)の合成3の化合物を得た。目的物の生成は、H−NMRより確認した。
合成4:6分岐有機ヨウ素系リビングラジカル重合開始剤
窒素ガス導入管、撹拌機を備えた200mLフラスコに、6f-BiB:Dipentaerythritol hexakis(2-bromoisobutyrate)(Aldrich社製、No. 723207)8.15g(7.1mmol)、ヨウ化ナトリウム(和光純薬社製)5.09g(34mmol)をアセトニトリル20mLに溶解させ、窒素置換後、80℃で8時間加熱攪拌した。反応終了後、濾過精製し、減圧下で溶媒を濃縮し、白色固体物7.98g(収率84.2%)の合成4の化合物を得た。目的物の生成は、H−NMRより確認した。
合成7:4官能イソシアネート(c)
窒素ガス導入管、撹拌機を備えた100mLフラスコに、L−1,2,3,4−ブタンテトラオール(東京化成工業社製)12.2g(100mmol)、トリレン−2,4−ジイソシアナート(東京化成工業社製)76.6g(440mmol)を入れ、窒素置換後、100℃で3時間加熱攪拌した。反応終了後、濾過精製し、目的物を80.1g(収率87.2%)の合成7の化合物を得た。目的物の生成は、H−NMRより確認した。
合成8:6官能イソシアネート(d)
窒素ガス導入管、撹拌機を備えた500mLフラスコに、ジペンタエリトリトール(東京化成工業社製)25.4g(100mmol)、トリレン−2,4−ジイソシアナート(東京化成工業社製)114.9g(660mmol)をトルエン100mLに溶解させ、窒素置換後、60℃で3時間加熱攪拌した。反応終了後、濾過精製し、目的物を100.7g(収率70.2%)の合成8の化合物を得た。目的物の生成は、H−NMRより確認した。
[重合体ブロック(A)と重合体ブロック(B)に対する重合体ブロック(A)の含有率(質量%)]
ブロック共重合体(C)中の重合体ブロック(A)と重合体ブロック(B)に対して、重合体ブロック(A)の含有率を算出した。具体的には、重合体ブロック(A)と重合体ブロック(B)を構成するエチレン性不飽和単量体の合計仕込み量に対する、重合体ブロック(A)の含有率を求めた。
(実施例T1):カップリング化反応によるブロック共重合体(C)の合成
RAFT法およびカップリング化反応によりブロック共重合体(C)を合成した。具体的には、窒素ガス導入管、撹拌機を備えた2Lフラスコに、BM1448(RAFT剤)3.9g、AIBN0.02g、MMA23.0g、St2.0gをメチルエチルケトン溶媒50.0g中で、75℃の環境下、12時間反応させることにより重合体ブロック(A)を得た。H−NMRから算出したMMA、Stの転化率はどちらも99.5%以上であった。次いで、AIBN0.03g、BA127.5g、BMA22.5g、メチルエチルケトン溶媒150.0gをプレポリマー溶液全量に加え、75℃で20時間反応させた。H−NMRから算出した2段目モノマーBA、BMAの転化率はどちらも100%であった。その後、室温まで冷却した後、濾過、洗浄、および乾燥によって重合体ブロック(B)を含むA−Bジブロックポリマーを得た。更に、このようにして得られたジブロック体70.0gをトルエン300gに溶解させ、処理剤としてモノエチルアミン18gを添加し、30℃で18時間攪拌した。H−NMR分析およびIR分析、メルカプタン滴定分析により、重合体ブロック(B)の末端のチオカルボニルチオ基が定量的にメルカプト基に変換されていることを確認した。
次いで、メルカプト基を末端に有するA−Bジブロックポリマー100gに対して、脱水トルエン200g、カップリング剤として3官能イソシアネート3C−(b)0.33g、および触媒としてジブチルスズビスイソオクチルチオグリコレート0.01gを添加し、80℃で10時間反応させることによりカップリング反応を行った。その後、トルエンを留去し、精製後、得られた重合体のH−NMR分析およびIR分析、メルカプタン滴定分析、MALDI−TOFMS分析より、主鎖中にチオウレタン結合であるカップリング剤残基Xを有する3分岐の[A−B]Xの星形ブロックポリマーを得た。
得られたブロック共重合体(C)の仕込み比から算定される単量体ユニットの構造単位の含有割合、Mn、多分散度、ヨウ素含有量等の物性値および重合体ブロック(A)、重合体ブロック(B)のTgを表1、2に示す(以下の実施例も同様とする)。
合成したブロック共重合体(C)のH−NMRスペクトルデータを以下に示す。
H−NMR(400MHz、重クロロホルム溶媒)δppm:7.40−7.27、6.71−6.52、4.03、3.60、2.27、1.90、1.60、1.37、0.94(全てシグナルはブロード)。
実施例T1の<重合体ブロック(A)>TotalのTg、<重合体ブロック(B)[X]<のTgを表1に示す。また、重合体ブロック(A)のメタクリル酸エステルの単量体の仕込み率、メチルメタクリレートの仕込み率、重合体ブロック(B)のアクリル酸エステルの単量体の仕込み率、ブチルアクリレートの仕込み率を表1に示す。
また、実施例T1のブロック共重合体(C)のMn、Mw/Mn、重合体ブロック(A)と重合体ブロック(B)の仕込み量に対する重合体ブロック(A)の含有率(質量%)およびヨウ素含有率(質量ppm)を求めた。これらの結果を表2に示す。以下の実施例、比較例も同様とした。
(実施例T2、T4)
実施例T1と同様RAFT法により、表1に示す条件で重合し、分岐構造の[A−B]Xの星形ブロック構造を得た。表2に実施例T1と同様の特性値を示す(以下同様)。
(実施例T3)
RCMP法およびカップリング化反応によりブロック共重合体(C)を合成した。具体的には、窒素ガス導入管、撹拌機を備えた2Lフラスコに、CP−Iを0.46g、ヨウ素を0.002g、テトラブチルアンモニウムヨージド6.2g、MMAを21.0gおよびBMA3.0g、BA3.0g、MA3.0gをトルエン溶媒50g中で、75℃で12時間反応させることにより重合体ブロック(A)を得た。H−NMRから算出したMMA、BMA、BA、MAの転化率は全て100%であった。次いで、BA119.0gおよびBMA7.0g、LMA14.0gをプレポリマー溶液全量に加え、110℃で24時間反応させ、室温まで冷却後、アルミナ粉(Aldrich社製)を添加し、1時間攪拌した後、濾過、洗浄、および乾燥によって重合体ブロック(B)を含むA−Bジブロックポリマーを得た。H−NMRから算出したBA、BMA、LMAの転化率は全て100%であった。
得られたジブロックポリマー100.0gに2−アミノエタノール6.2g、ジグライム150.0gを添加し、110℃で8時間反応させ、室温まで冷却した後、濾過、洗浄、および乾燥によって重合体ブロック(B)の末端に水酸基を有するA−Bジブロックポリマーを得た。
次いで、水酸基を末端に有するA−Bジブロックポリマー100gに対して、脱水トルエン200g、カップリング剤として3官能イソシアネート3C−(b)0.31g、および触媒としてジブチルスズビスイソオクチルチオグリコレート0.01gを添加し、80℃で10時間反応させることによりカップリング反応を行った。その後、トルエンを留去し、得られた重合体のHNMR分析およびIR分析より、主鎖中にウレタン結合であるカップリング剤残基Xを有する3分岐の[A−B]Xの星形ブロックポリマーを得た。目的物の生成は、H−NMR、GPC、IR分析により確認した。
合成したブロック共重合体(C)のH−NMRスペクトルデータを以下に示す。
1H−NMR(400MHz、重クロロホルム溶媒)δppm:4.03、3.97、3.60、2.27、1.90、1.60、1.37、0.94(全てシグナルはブロード)。
(実施例T5)
実施例T1と同様RCMP法により、表1に示す条件で重合し、分岐構造の[A−B]Xの星形ブロック構造を得た。表2に実施例T3と同様の特性値を示す(以下同様)。
(比較例T1、T2)
比較例として、[A−B]Xの星形構造を有するブロック共重合体を合成した。具体的には、比較例T1は実施例T1と同様RAFT法により、比較例T2は実施例T3と同様RCMP法により、表1に示す単量体および仕込み比の条件により重合することにより、[A−B]Xの星形構造を有するブロック共重合体(J1)および(J2)を得た。
Figure 2021095441
Figure 2021095441
(実施例T6)
ATRP法によりブロック共重合体(C)を合成した。具体的には、窒素ガス導入管、撹拌機を備えた2Lフラスコに、臭化銅(I)1.0gと3f−BiB:1,1,1-Tris(2-bromoisobutyryloxymethyl)ethane(Aldrich社製、No. 723185)2.8g、N,N,N’、N’’,N’’−ペンタメチルジエチレントリアミン1.0g、BA140.0gを、メチルエチルケトン溶媒200g中、110℃で16時間反応させてプレポリマーを得た。H−NMRから算出したBAの転化率は99.5%以上であった。次いで、MMA56.4gおよびBA3.6gをプレポリマー溶液全量に加え、110℃で10時間反応させた。その後、室温まで冷却し、濾過、洗浄および乾燥工程を経て、3分岐の[A−B]Xの星形ブロック構造を有するブロック共重合体(C6)を得た。H−NMRから算出したMMA、BAの転化率はどちらも100%であった。目的物の生成は、H−NMR、MALDI−TOFMSより確認した。
得られたブロック共重合体(C6)の仕込み比から算定される単量体ユニットの構造単位の含有割合を表3,表4に示す。また、ブロック共重合体(C)のMn、多分散度、ヨウ素含有率等の物性値および重合体ブロック(A)、重合体ブロック(B)のTgを表3、表4に示す(以下の実施例T7〜T18も同様とする。また、後述する実施例T19〜T22、比較例T3〜T11のそれぞれは、表5,表6に示す)。
合成したブロック共重合体(C)のH−NMRスペクトルデータを以下に示す。
1H−NMR(400MHz、重クロロホルム溶媒)δppm:4.03、3.60、2.27、1.90、1.60、1.37、0.94(全てシグナルはブロード)。
(実施例T7、T8)
重合開始剤として3f−BiBの代わりに、4f−BiB、6f−BiBを用い、単量体の種類および仕込み比を表3に示す条件に変更した以外は、実施例T6と同様のATRP法により、分岐構造の[A−B]Xの星形ブロック構造を有するブロック共重合体(C7)および(C8)を得た。
(実施例T9)
RCMP法によりブロック共重合体(C)を合成した。具体的には、窒素ガス導入管、撹拌機を備えた2Lフラスコに、EMA−IIIを0.94g、ヨウ素を0.001g、テトラブチルアンモニウムヨージド13.2gおよびBA146.0gをトルエン溶媒200g中で、110℃で24時間反応させてプレポリマーを得た。H−NMRから算出したBAの転化率は100%であった。次いで、MMA54.0gをプレポリマー溶液全量に加え、110℃で12時間反応させた。その後、室温まで冷却し、濾過、洗浄および乾燥によって3分岐の[A−B]Xの星形ブロック構造を有するブロック共重合体(C9)を得た。H−NMRから算出したMMA、BAの転化率はどちらも100%であった。目的物の生成は、H−NMR、MALDI−TOFMSより確認した。
合成したブロック共重合体(C)のH−NMRスペクトルデータを以下に示す。
1H−NMR(400MHz、重クロロホルム溶媒)δppm:4.03、3.60、2.27、1.90、1.60、1.37、0.94(全てシグナルはブロード)。
(実施例T10〜T22、比較例T5〜T11)
重合開始剤、単量体の種類および単量体比を表3、5に示す条件で重合した以外は、実施例T9と同様の条件により重合を行い、星形ブロック構造を有するブロック共重合体(C10)〜(C22)、並びにブロック共重合体(J5)〜(J11)を得た。
得られたブロック共重合体(C10)〜(C22)、(J5)〜(J11)の仕込み比から算定される単量体ユニットの構造単位の含有割合を表3,表5に示す。また、各ブロック共重合体のMn、多分散度、ヨウ素含有率等の物性値および重合体ブロック(A)、重合体ブロック(B)のTgを表4、6に示す(以下の比較例T3、T4も同様とする)。
(比較例T3)
重合開始剤として3f−BiBの代わりに、2f−BiBを用い、単量体の種類および仕込み比を表3に示す条件に変更した以外は、実施例T6と同様のATRP法により、2分岐の[A−B]Xの星形構造を有するブロック共重合体(J3)を得た。
(比較例T4)
RAFT法によりブロック共重合体を合成した。具体的には、窒素ガス導入管、撹拌機を備えた2Lフラスコに、RAFT開始剤としてBM1448を0.78g、AIBNを0.50gおよびMMAを22.5g、MAを1.25g、Stを1.25g、トルエン溶媒50gを混合し、80℃で6時間反応させてプレポリマーを得た。H−NMRから算出したMMA、MA、Stの転化率は全て99.0%以上であった。
次いで、AIBNを0.50gおよびBAを135.0g、BMA15.0g、トルエン溶媒150gをプレポリマー溶液全量に加え、80℃で更に14時間反応させた。H−NMRから算出した2段目モノマーBA、BMAの転化率はどちらも99.5%以上であった。
更に、AIBNを0.15gおよびMMAを22.5g、MAを1.25g、Stを1.25g、トルエン溶媒50gを混合し、80℃で6時間反応させた。H−NMRから算出した3段目モノマーMMA、MA、Stの転化率は全て99.5%以上であった。
その後、室温まで冷却後、濾過、洗浄および乾燥によってA−B−Aトリブロック構造を有するブロック共重合体(J4)を得た。目的物の生成は、H−NMRより確認した。
Figure 2021095441
Figure 2021095441
Figure 2021095441
Figure 2021095441
<ブロック共重合体(C)の膜物性および自己粘着物性>
実施例T1〜T22の各ブロック共重合体(C1)〜(C22)および比較例T1〜T11に係るブロック共重合体(J1〜J11)および市販のブロック共重合体(LA2330(クラレ社製))を以下の方法によりフィルム状に成形し、膜物性および自己粘着性について、以下の基準により評価した。その結果を表7に示す。
(実施例Z1〜Z22、比較例Z1〜Z12のフィルムの製造)
表7に示す各ブロック共重合体100部をトルエンに溶解し、濃度40質量%の樹脂組成物を得た。そして、各実施例および比較例に係る樹脂組成物をそれぞれ、厚さ38μmのポリエチレンテレフタレート製剥離性フィルム基材(製品名「SP−PET382050」、リンテック社製)の剥離処理面上に、ドクターブレードにて乾燥後の厚みが65μmと、1mmになるように塗工した2水準のフィルムを準備した。そして、両フィルムを25℃で100時間乾燥することにより各膜厚の樹脂フィルムを有する積層体を得た。
(引張破断強さおよび引張破断伸度)
各実施例および比較例の厚み1mmの積層体を、250mm×700mmのサイズにカットし、ダンベル3号型試験片を繰り出すことで試験片αを作製した。そして、試験片αから剥離性フィルムを剥がした樹脂フィルムに対し、引張試験機(RTG1310、AND社製)を用いて、23℃湿度50%、サンプルのチャック間距離40mm、速度50mm/minの条件で引張試験を行うことにより、樹脂フィルムの引張破断強さおよび引張破断伸度を測定した。測定によって樹脂フィルムが破断した際の強度を引張破断強さとし、破断した際の伸度を引張破断伸度とした。
(粘着力/180°剥離試験)
各実施例および比較例の厚みが65μmの積層体を、25mm×100mmのサイズにカットして試験片βを作製した。次いで、JIS G4305及びJIS B0601に準拠したステンレス板(SUS304、表面仕上げBA、表面粗さ50nm、サイズ50mm×125mm)上に、樹脂フィルムがステンレス板と対向した状態となるように載せた。次いで、試験片β上に300mm/分の速度で2kgのゴムローラーを一往復させることにより、試験片βとステンレス板とを貼り合わせた。更に、試験片βから剥離性フィルムを剥がし、JIS Z0237に準じて、樹脂フィルム上に厚さ25μmのJIS C2318に規定するポリエチレンテレフタレートフィルムを重ねた。その後、ポリエチレンテレフタレートフィルム上に300mm/分の速度で2kgのゴムローラーをもう一往復させることにより、180°剥離強度評価用サンプルγを得た。続いて、引張試験機(RTG1250A、AND社製)を用いて、温度23℃、湿度50%で24時間静置し、JIS Z0237に準じて、剥離速度300mm/分で180°方向の引張試験を行い、180°剥離強度(N/25mm)を測定した。
(保持力)
試験片βを、上述するJIS G4305及びJIS B0601に準拠したステンレス板に25mm×25mmで貼り付け、試験片β上に300mm/分の速度で2kgのゴムローラーを一往復させることにより、試験片βとステンレス板とを貼り合わせた。その後、24時間室温にて保管後することにより保持力評価用サンプルδを作製した。そして、保持力評価用サンプルδを100℃と120℃の2水準、相対湿度50%の条件で、荷重1kgの重りを吊り下げ、おもりが落下するまでの時間から求めた。20時間後で重りが落下しない場合は、20時間後の試験片βとステンレス板のずれ距離を測長し、以下の基準により保持力を評価した。
+++:ずれ距離が1.0mm以下。
++:ずれ距離が1.0mmを超えて、10.0mm以下。
+:ずれ距離が10.0mmを超えて、20.0mm以下。
NG:ずれ距離が20.0mmを超える、又は重りが落下する。
同様にして、保持力評価用サンプルδを120℃、相対湿度50%の条件で上記基準により保持力を評価した。これらの結果を表7に示す。
Figure 2021095441
<粘着剤組成物および粘着フィルムの作製および特性評価>
表8に示す各ブロック共重合体100部に、表8に示す配合量で粘着付与樹脂を加え、トルエンに溶解させることで、実施例Z23〜Z44に係る濃度40質量%の粘着剤組成物を得た。また、比較のために、比較例Z13〜Z24に係る樹脂組成物も同様の方法で調製した。また、これらの樹脂組成物から粘着層を形成し、膜物性および粘着物性を評価した。製造条件および評価結果を表8に示す。
(粘着フィルムの製造)
各実施例および比較例に係る樹脂組成物をそれぞれ厚さ38μmのポリエチレンテレフタレート製剥離性フィルム基材(製品名「SP−PET382050」、リンテック社製)の剥離処理面上に、ドクターブレードにて乾燥後の厚みが65μmと、1mmになるように塗工した2水準のフィルムを準備した。そして、両フィルムを25℃で100時間乾燥することにより各膜厚の粘着層(樹脂フィルム)を有する積層体である粘着フィルムを得た。
(粘着力/180°剥離試験および保持力)
粘着フィルムの粘着層に対し、上述した樹脂フィルムと同様の方法により上記粘着剤組成物で形成した厚み65μmの粘着層(フィルム)を用いて測定した。
また、以下の基準により粘着層の保持力を評価した。測定条件は、樹脂フィルムと同様の方法により測定した。
+++:ずれ距離が1.0mm以下。
++:ずれ距離が1.0mmを超えて、10.0mm以下。
+:ずれ距離が10.0mmを超えて、20.0mm以下。
NG:ずれ距離が20.0mmを超える、又は重りが落下する。
Figure 2021095441
<粘着剤組成物および粘着フィルムの作製および特性評価>
表9に示す各ブロック共重合体100部に、表9に示す配合量で粘着付与樹脂を加え、溶融混合(温度180℃)し、実施例Z45〜Z50および比較例Z25〜Z29に係るホットメルト粘着剤組成物を調製した。また、これらの樹脂組成物から粘着層を形成し、膜物性および粘着物性、ホットメルト塗工性、汚染性を評価した。評価結果を表9に示す。
(粘着フィルムの製造|ホットメルト粘着剤)
サンツール社製のホットメルト塗工機を用いて、得られた各ホットメルト粘着剤組成物を剥離処理フィルム(帝人デュポンフィルム社製ピューレックスA43)の上にホットメルト塗工(温度180℃)し、前記剥離処理フィルムを剥がして感圧接着フィルム(厚み65μm)を得た。そして、25℃で100時間乾燥することにより粘着層(樹脂フィルム)を有する積層体である粘着フィルムを得た。得られた粘着フィルムに対し、粘着物性、ホットメルト塗工性、溶融粘度、汚染性について評価した結果を表9に示す。
(粘着力/180°剥離試験および保持力)
実施例Z1等と同様の評価基準により評価した。
(ホットメルト塗工性)
以下の基準により作製した粘着フィルムの塗工表面の荒れ具合を目視観察で評価した。
+++:塗工表面が鏡面上で良好である
+:塗工表面にブツやムラが僅かに確認できる
NG:塗工表面にはっきりとしたブツやムラが確認できる
(溶融粘度)
B型粘度計にて、180℃に加温されたホットメルト粘着剤組成物の溶融粘度(mPa・s)を測定した。以下の基準により評価した。
+++:溶融粘度が12,000(mPa・s)以下
+:溶融粘度が12,000を超えて、20,000以下(mPa・s)
NG:20,000を超える(mPa・s)
(汚染性)
実施例Z1等と同様にステンレス板に貼り付け、150℃乾燥条件下に6時間静置後に剥離した時の被着体の状態を目視で観察した。以下の基準により評価した。
+++:(耐熱試験後)剥離汚染が全くない
++:(耐熱試験後)剥離汚染が少ない
NG:(耐熱試験後)剥離汚染がある
Figure 2021095441
[付記]
本明細書は、上記実施形態から把握される以下に示す技術思想の発明も開示する。
[付記1]
ブロック共重合体(C)の製造方法であって、
炭素−ヨウ素結合を3〜6有する少なくともいずれかの有機ヨウ素系リビングラジカル重合開始剤と、重合体ブロック(B)を重合するためのエチレン性不飽和単量体を主体とする単量体を混合して、リビングラジカル重合を開始して、前記有機ヨウ素系リビングラジカル重合開始剤残基Xを基点とした重合体ブロック(B)を有する星型ブロック構造を得る工程(a)、
工程(a)後に、重合体ブロック(A)を重合するためのエチレン性不飽和単量体を主体とする単量体を加えて、リビングラジカル重合により重合体ブロック(A)を合成する工程(b)、前記重合体ブロック(A)のガラス転移温度は20℃以上であり、
前記星形ブロック構造の[重合体ブロック(B)]qX(但し、qは3以上6以下の整数)のガラス転移温度が20℃未満である、ブロック共重合体(C)の製造方法。
[付記2]
ブロック共重合体(C)の製造方法であって、
炭素−ヨウ素結合を1つ有する有機ヨウ素系リビングラジカル重合開始剤と、重合体ブロック(A)を重合するためのエチレン性不飽和単量体を主体とする単量体、または重合体ブロック(B)を重合するためのエチレン性不飽和単量体を主体とする単量体、のいずれか一方を混合して、リビングラジカル重合を開始して、前記有機ヨウ素系リビングラジカル重合開始剤の残基を基点とした重合体ブロック(A)または重合体ブロック(B)を得る工程(d)、
工程(d)後に、工程(d)で重合体ブロック(A)を重合した場合には重合体ブロック(B)を重合するためのエチレン性不飽和単量体を主体とする単量体を加え、工程(d)で重合体ブロック(B)を重合した場合には重合体ブロック(A)を重合するためのエチレン性不飽和単量体を主体とする単量体を加えて、リビングラジカル重合を行って重合体ブロック(A)−重合体ブロック(B)のジブロック構造体を得る工程(e)、
前記ジブロック構造体を、結合部位を3〜6有するカップリング剤とカップリングさせることにより星型ブロック構造を得る工程(f)、
前記重合体ブロック(A)のガラス転移温度は20℃以上であり、
前記星形ブロック構造の[重合体ブロック(B)]qX(但し、qは3以上6以下の整数)のガラス転移温度が20℃未満である、ブロック共重合体(C)の製造方法。
[付記3]
付記1〜2のいずれかに記載の製造方法により得られるブロック共重合体(C)。
1、2:単量体、
3:重合開始剤、
4:触媒、
6:カップリング剤
31、32、44、45:重合体
46:ジブロック構造

Claims (11)

  1. ブロック共重合体(C)を含有する樹脂組成物であって、
    ブロック共重合体(C)は、
    エチレン性不飽和単量体に由来する構造単位を主体とし、且つ数平均分子量が10,000〜500,000であり、
    ブロック構造は、
    [重合体ブロック(A)−重合体ブロック(B)]Xの星形ブロック構造であり(但し、qは3以上6以下の整数であり、重合体ブロック(A)のガラス転移温度は20℃以上であり、[重合体ブロック(B)]Xのガラス転移温度が20℃未満であり、Xは開始剤残基または/およびカップリング剤残基、またはその誘導体である)、
    ブロック共重合体(C)には、メルカプト基、水酸基、カルボキシ基、アミノ基、ビニル基、加水分解性シリル基、イソシアネート基、ブロックイソシアネート基、エポキシ基、オキセタン基、フリル基、アセトアセチル基、オキサゾリジン基、ニトリル基およびリン酸基から選択される官能基(K)を有しない樹脂組成物。
  2. ブロック共重合体(C)は、リビングラジカル重合により得られたことを特徴とする、請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. ブロック共重合体(C)は、有機ヨウ素系リビングラジカル重合開始剤残基を少なくとも含み 、
    ブロック共重合体(C)に対して、ヨウ素含有率が0.0001〜10,000質量ppmの範囲にある請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
  4. ブロック共重合体(C)は、
    有機ヨウ素系リビングラジカル重合開始剤残基を含み、以下の一般式(4)に記載の構造を有する、
    Figure 2021095441
    但し、Polymerization unitは、Yからの分岐毎にそれぞれ独立に、エチレン性不飽和単量体に由来する構造単位を主体とする重合体ユニットであり、
    は、Yからの分岐毎にそれぞれ独立に、エステル基、ケトン基およびアミド基からなる群より選択される2価の基、または直接結合であり、
    Qは1価の分子末端基であり、Yからの分岐毎にそれぞれ独立に、前記分子末端基は、官能基、官能基を有していてもよい炭化水素基、またはヨード基であり、
    Yはp価の、置換基を有していてもよい炭化水素基であり、
    pは2〜6の整数であり、
    はYからの分岐毎にそれぞれ独立に、水素原子または置換基を有していてもよい1価の炭化水素基であり、
    はYからの分岐毎にそれぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよい1価の炭化水素基または−CORであり、
    とRはYからの分岐毎にそれぞれ独立に、互いに結合して環を形成していてもよく、
    は、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、アルコキシ基、アミノ基または置換基を有していてもよい1価の炭化水素基であり、
    前記炭化水素基は、複素環を有していてもよく、それぞれ独立に、鎖状炭化水素基、脂環式炭化水素基および芳香族炭化水素基の少なくともいずれかを有する、
    ことを特徴とする請求項3に記載の樹脂組成物。
  5. 重合体ブロック(A)が、メタクリル酸エステル由来の構造単位を50質量%以上含み、重合体ブロック(B)がアクリル酸エステル由来の構造単位を70質量%以上含むことを特徴とする、請求項1〜4いずれかに記載の樹脂組成物。
  6. 重合体ブロック(A)中にメチルメタクリレート由来の構造単位を50質量%以上含み、且つ重合体ブロック(B)中にブチルアクリレート由来の構造単位を70質量%以上含むことを特徴とする、請求項1〜5いずれかに記載の樹脂組成物。
  7. ブロック共重合体(C)の多分散度(Mw/Mn)が2.5以下であることを特徴とする請求項1〜6いずれかに記載の樹脂組成物。
  8. ブロック共重合体(C)中の重合体ブロック(A)と重合体ブロック(B)に対する重合体ブロック(A)の含有率が1〜50質量%の範囲にあることを特徴とする請求項1〜7いずれかに記載の樹脂組成物。
  9. 請求項1〜8いずれかに記載の樹脂組成物を含有する粘着剤組成物。
  10. 更に、粘着付与樹脂を含有する、請求項9に記載の粘着剤組成物。
  11. 請求項9又は10に記載の粘着剤組成物から形成された粘着層を有する粘着フィルム。
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