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JP2021091354A - 転舵装置 - Google Patents

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JP2021091354A
JP2021091354A JP2019224453A JP2019224453A JP2021091354A JP 2021091354 A JP2021091354 A JP 2021091354A JP 2019224453 A JP2019224453 A JP 2019224453A JP 2019224453 A JP2019224453 A JP 2019224453A JP 2021091354 A JP2021091354 A JP 2021091354A
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恭彦 原田
Yasuhiko Harada
恭彦 原田
庄野 彰一
Shoichi Shono
彰一 庄野
毅 山崎
Takeshi Yamazaki
毅 山崎
本多 秀生
Hideo Honda
秀生 本多
山本 拓也
Takuya Yamamoto
拓也 山本
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Toyota Motor Corp
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Abstract

【課題】 実用性の高い独立型転舵装置を提供する。【解決手段】 それぞれが転舵可能な複数の車輪12を備える車両に配備されて、それら複数の車輪のうちの1つを独立して転舵する転舵装置34を、駆動源として電動モータ36aを有するアクチュエータ36と、その電動モータへの供給電流を制御することでその電動モータの動作量に応じた車輪の転舵を実現させるコントローラとを備えるように構成し、かつ、コントローラを、電動モータが動作しているにも拘わらず車輪を転舵させられない転舵不能現象を、電動モータの動作量と電動モータへの供給電流の変化の様子とによって検知するように構成する。その転舵装置によれば、車輪の転舵量を検出することなく、転舵不能現象を検知でき、その検知した転舵不能現象に対処できる。【選択図】 図1

Description

本発明は、車両に配備されて車輪を転舵する転舵装置に関する。
昨今、転舵可能な複数の車輪を備える車両に配備されて、それら複数の車輪のうちの1つを独立して転舵する転舵装置(以下、「独立型転舵装置」という場合がある)が検討されている。例えば、下記特許文献に記載されている独立型転舵装置は、左右の車輪を独立して転舵可能とすべく、左右の車輪に対して、それぞれ、電動モータを駆動源として有するアクチュエータが設けられている。そして、下記特許文献に記載されている独立型転舵装置では、左右のアクチュエータの一方に異常が発生した場合に、他方による転舵力を、異常が発生している一方に機械的に伝達するフェールセーフ機構が設けられている。
特開2011−131777号公報
独立型転舵装置において、自身の不具合を検知することは有意義である。その一方で、不具合の種類は多々あり、ある種の不具合の検知によって、その不具合に対処可能となる。つまり、特定の不具合を検知可能とすることで、独立型転舵装置の実用性は向上する。本発明は、そのような実情に鑑みてなされたものであり、実用性の高い独立型転舵装置を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明の転舵装置は、
それぞれが転舵可能な複数の車輪を備える車両に配備されて、それら複数の車輪のうちの1つを独立して転舵する転舵装置であって、
駆動源として電動モータを有するアクチュエータと、その電動モータへの供給電流を制御することでその電動モータの動作量に応じた車輪の転舵を実現させるコントローラとを備え、
そのコントローラが、前記電動モータが動作しているにも拘わらず車輪を転舵させられない転舵不能現象を、前記電動モータの動作量と前記電動モータへの供給電流の変化の様子とによって検知するように構成される。
上記転舵不能現象は、例えば、電動モータからステアリングナックルの間の動作伝達機構の構成要素間に滑りが生じて、車両を直進させようとする方向に路面から車輪に作用する力、すなわち、セルフアライメントトルクに打ち勝つて車輪を転舵することができなくなったような現象が相当する。セルフアライメントトルクは、車輪の転舵量の増加に伴って増加し、そのセルフアライメントトルクに打ち勝つために必要な力は、電動モータに供給される電流(厳密には、電力)に比例する。したがって、簡単に言えば、上記転舵不能現象の発生により、ある転舵量を超えた車輪の転舵を行おうとして電動モータを動作させても、車輪の転舵がその転舵量において維持されるとともに、電動モータへの供給電流がある値に維持されることになる。言い換えれば、転舵不能現象の発生により、車輪の転舵量と電動モータの動作量との間に、ズレが生じるのである。本発明の転舵装置では、そのような電動モータの動作量と電動モータへの供給電流の変化の様子(供給電流が変化しないことをも含む概念である)とによって、車輪の転舵量を検出することなく、上記転舵不能現象を検知できるのである。コントローラが上記転舵不能現象を検知することで、例えば、コントローラはその転舵不能現象に対処することができ、本発明の転舵装置は、実用性が高いものとなる。
発明の態様
転舵不能現象が、上述のように、車輪の転舵量がある転舵量を超えたときに生じる現象である場合において、本発明の転舵装置では、コントローラを、その転舵不能現象が生じるときの電動モータの動作量である現象発生動作量を検知するように構成することができる。
そして、本発明の転舵装置において、コントローラを、転舵不能現象が生じている状態から車輪の転舵量を減少させる際に、その減少を、上記検知した現象発生動作量を基準として行うことが可能である。現象発生動作量に基づくことにより、転舵不能現象が生じている状態において生じた車輪の転舵量と電動モータの動作量とのズレを解消しつつ、直進時における転舵位置(以下、「直進時位置」)に車輪を位置させることが可能となる。
また、本発明の転舵装置において、コントローラを、現象発生動作量を超えた電動モータの動作を禁止するように構成することができる。つまり、コントローラを、転舵不能現象が生じる位置を超えた車輪の転舵を禁止するように構成することができる。転舵不能現象が、動作伝達機構の構成要素間の滑りに依存する場合、転舵不能現象を継続させることは、それら構成要素を互いに摩耗させることに繋がり、現象発生動作量が徐々に小さくなって、最終的には、殆ど車輪を転舵することができなくなる。つまり、転舵装置に大きなダメージを与えることになるのである。したがって、転舵不能現象が検知された際、以後、転舵不能現象が生じないように、車輪の転舵を制限することで、大きなダメージを転舵装置が受けることを回避可能となる。
また、本発明の転舵装置を複数の車輪の各々に対して設けることによってステアリンスシステムを構築し、そのステアリングシステムを、複数の車輪のうちの1つに対して設けられた転舵装置において転舵不能現象が生じているときに、その転舵不能現象による車両の転向量の不足を軽減するために、複数の車輪のうちの他の1以上のものに対して設けられた転舵装置のアクチュエータが有する電動モータの動作量を増加させるように構成してもよい。このステアリングシステムによれば、1の車輪に設けられた転舵装置における転舵不能現象に起因して生じる車両の転向量不足を、他の車輪の転舵量を増加させることで、緩和することが可能となる。
実施例の転舵装置を含んで構成された車両用車輪配設モジュールを示す斜視図である。 図1に示す車輪配設モジュールが各車輪に対して搭載された車両を示す模式図である。 実施例の転舵装置に生じる転舵不能現象のメカニズムを説明するための模式図である。 車輪の転舵量と転舵モータのモータ回転量との関係を転舵不能現象を説明するために示すグラフである。 1つの車輪に対して転舵不能現象が生じている場合に他の車輪の転舵量を増加させて行う操舵支援を説明するための模式図である。 実施例の転舵装置において実行される車輪転舵プログラムのフローチャートである。 図6の車輪転舵プログラムにおいて実行されるサブルーチンのフローチャートである。
以下、本発明を実施するための形態として、本発明の実施例である転舵装置を、図を参照しつつ詳しく説明する。なお、本発明は、下記実施例の他、前記〔発明の態様〕の項に記載された形態を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の形態で実施することができる。
[A]転舵装置および車両用車輪配設モジュールのハード構成
実施例の転舵装置は、図1に示す車両用車輪配設モジュール10(以下、単に、「モジュール10」という場合がある)に組み込まれている。モジュール10は、タイヤ12aが装着されたホイール12bを車体に配設するためのモジュールである。ホイール12b自体を車輪と考えることができるが、本実施例においては、便宜的に、タイヤ12aが装着されたホイール12bを車輪12と呼ぶこととする。
本モジュール10は、車輪回転駆動装置としての車輪駆動ユニット14を有している。車輪駆動ユニット14は、ハウジング14aと、ハウジング14aに内蔵された駆動源としての電動モータおよびその電動モータの回転を減速する減速機(ともに図示を省略する)と、ホイール12bが取り付けられるアクスルハブ(図では隠れて見えない)とを有している。車輪駆動ユニット14は、ホイール12bのリムの内側に配置されるものであり、いわゆるインホイールモータユニットと呼ばれるものである。よく知られた構造のものであるため、ここでの説明は省略する。
本モジュール10は、マクファーソン型サスペンション装置(「マクファーソンストラット型」とも呼ばれる)を含んで構成されている。このサスペンション装置において、車輪駆動ユニット14のハウジング14aは、車輪を回転可能に保持するキャリアとして、言い換えれば、ハウジング14aは、後に説明する転舵装置におけるステアリングナックルとして機能する。したがって、サスペンション装置は、サスペンションアームであるロアアーム16と、車輪駆動ユニット14のハウジング14aと、ショックアブソーバ18と、サスペンションスプリング20とを含んで構成されている。
サスペンション装置自体は一般的な構造のものであるため、簡単に説明すれば、ロアアーム16は、いわゆるLアームと呼ばれる形状のものであり、基端部が車両前後方向において2つの部分に分かれており、その基端部において、第1ブッシュ22,第2ブッシュ24を介して、アーム回動軸線Lのまわりに回動可能に、車体のサイドメンバー(図示を省略)に支持されている。ロアアーム16の先端部は、第1ジョイントであるアーム連結用ボールジョイント26(以下、「第1ジョイント26」という場合がある)を介して、車輪駆動ユニット14のハウジング14aの下部に回動可能に連結されている。
ショックアブソーバ18は、下端部が、車輪駆動ユニット14のハウジング14aに固定的に支持され、上端部が、アッパサポート28を介して、車体のタイヤハウジングの上部に支持されている。サスペンションスプリング20の上端部も、アッパサポート28を介して車体のタイヤハウジングの上部に支持されており、サスペンションスプリング20の下端部は、ショックアブソーバ18にフランジ状に設けられたロアサポート18aによって支持されている。つまり、サスペンションスプリング20とショックアブソーバ18とは、ロアアーム16と車体との間に、互いに並列的に配設されているのである。
本モジュール10は、ブレーキ装置を有しており、そのブレーキ装置は、ホイール12bとともにアクスルハブに取り付けられて車輪12とともに回転するディスクロータ30と、そのディスクロータ30を跨ぐようにして車輪駆動ユニット14のハウジング14aに保持されたブレーキキャリパ32とを含んで構成されている。詳しい説明は省略するが、このブレーキキャリパ32は、摩擦部材としてのブレーキパッドと、電動モータを有してその電動モータの力でブレーキパッドをディスクロータ30に押し付けることで車輪12の回転を止めるためのブレーキアクチュエータとを有しており、当該ブレーキ装置は、いわゆる電動モータの発生させる力に依存して制動力を発生させる電動ブレーキ装置とされているのである。
さらに、本モジュール10は、本発明の実施例である転舵装置34を有している。転舵装置34は、左右1対の車輪12のうちの片方のみを転舵するための単輪転舵装置であり、概ね、先に説明したようにステアリングナックルとして機能する車輪駆動ユニット14のハウジング14a(以下、転舵装置34の構成要素として扱う場合には、「ステアリングナックル14a」という場合がある。)と、ロアアーム16の基端部に近い位置においてロアアーム16に配設された転舵アクチュエータ36と、その転舵アクチュエータ36とステアリングナックル14aとを連結するタイロッド38とを含んで構成されている。
転舵アクチュエータ36は、駆動源としての電動モータである転舵モータ36aと、転舵モータ36aの回転を減速する減速機36bと、転舵モータ36aの減速機36bを介した回転によって回動させられてピットマンアームとして機能するアクチュエータアーム36cとを含んで構成されている。タイロッド38の基端部は、第2ジョイントであるロッド基端部連結用ボールジョイント40(以下、「第2ジョイント40」という場合がある)を介して、アクチュエータアーム36cに連結され、タイロッド38の先端部は、第3ジョイントであるロッド先端部ボールジョイント42(以下、「第3ジョイント42」という場合がある)を介して、ステアリングナックル14aが有するナックルアーム14bに連結されている。
上記サスペンション装置は、マクファーソン型のサスペンション装置であり、上記アッパサポート28の中心と、第1ジョイント26の中心とを結ぶ線が、キングピン軸線KPとなる。転舵モータ36aの作動を制御することで、転舵アクチュエータ36によって、ステアリングナックル14aはキングピン軸線KPまわりに回動させられる。つまり、車輪12が転舵されるのである。
転舵装置34は、転舵アクチュエータ36がロアアーム16に配設されている。そのため、モジュール10の車体への組み付け作業を簡便に行うことが可能となる。端的に言えば、ロアアーム16の基端部を車体のサイドメンバーに取り付け、アッパサポート28を車体のタイヤハウジングの上部に取り付けることで、当該モジュール10を車両に搭載することができるのである。つまり、本モジュール10は、車両に対する搭載性において優れたモジュールとされているのである。
モジュール10は、例えば、図2に模式的に示すように、車両の前後左右4つの車輪12の各々に対して配置することができる。この車両では、車輪12の転舵に関して言えば、4つのモジュール10の各々の転舵装置34は、個別に、コントローラである転舵電子制御ユニット(以下、「転舵ECU」と略す場合があり、図では、「S−ECU」と示されている。)50によって制御される。具体的には、各モジュール10の転舵装置34の転舵モータ36aの制御が、転舵ECU50によって行われる。したがって、転舵ECU50をも含んで転舵装置34が構成されていると考えることができるのである。ちなみに、転舵ECU50は、CPU,ROM,RAM等を有するコンピュータ、転舵モータ36aの駆動回路等を含んで構成されている。
本車両は、4つの車輪12にそれぞれ対応する4つの転舵装置34を含んで構成されるステアリングシステムが搭載されていると考えることができる。そのステアリングシステムは、いわゆるステアバイワイヤ型のステアリングシステムであり、その構成要素として、運転者のステアリング操作を受け付けるための操作装置52を有している。操作装置52は、ステアリング操作部材としてのステアリングホイール54と、そのステアリングホイール54の回転角である操作角をステアリング操作部材の操作量として検出するためのステアリングセンサ56と、ステアリングホイール54に操作反力を付与する反力付与装置58と、当該操作装置52のコントローラである操作電子制御ユニット(以下、「操作ECU」と略す場合があり、図では、「O−ECU」と示されている。)60とを有している。各転舵ECU50,操作ECU60は、CAN(car area network or controllble area network)62に接続されており、そのCAN62を介して互いに通信可能とされている。
[B]転舵装置の制御
i)基本制御
各転舵装置34の転舵ECU50は、ステアリングセンサ56の検出に基づくステアリングホイール54の操作角、すなわち、操作量δを、CAN62を介して操作ECU60から入手しており、その入手した操作量δに基づいて、自身が転舵する車輪12において実現させるべき転舵量である目標転舵量を決定する。車輪12の転舵量と、転舵モータ36aの動作量、すなわち、転舵モータ36aの回転量であるモータ回転量θとは、所定の比率となっているため、目標転舵量として、実際には、実現させるべきモータ回転量θである目標モータ回転量θ*を決定する。ちなみに、モータ回転量θは、通電相の切り換えのために転舵モータ36aに設けられたモータ回転角センサ(例えば、レゾルバ等である)を利用して取得される。なお、車輪12の転舵量は、車両が直進状態にあるときの位置(以下、「基準位置」という場合がある)を基準とした転舵角を意味し、モータ回転量θは、車輪12が基準位置となっているときの回転位置(以下、「基準回転位置」という場合がある)を基準とした転舵モータ36aの回転角を意味する。
なお、本ステアリングシステムは、後方側の2つの車輪12(以下、「後輪12」という場合があり、同様に、前方側の2つの車輪12を「前輪12」という場合がある)をも転舵するため、前輪12の転舵に加えて、後輪12をも転舵する。すなわち、本ステアリングシステムは、いわゆる4輪転舵システムである。本ステアリングシステムにおける後輪12の目標転舵量は、例えば、車両走行速度v,ステアリングホイール54の操作量δ等に基づいて、一般的な4輪転舵システムと同様に決定されればよく、ここでの詳しい説明は省略する。各転舵装置34の転舵ECU50は、自身が転舵制御を行う車輪12(以下、「対応車輪12」という場合がある)が前後左右の車輪12のうちのいずれであるかに依拠して設定された決定ルールに基づいて、対応車輪12の目標転舵量、すなわち、対応車輪12を転舵させるために制御する転舵モータ36a(以下、「対応転舵モータ36a」という場合がある)の目標モータ回転量θ*を決定する。
各転舵装置34の転舵ECU50は、モータ回転角センサの検出に基づいて、現時点での実際のモータ回転量θである実モータ回転量θを取得し、目標モータ回転量θ*に対する実モータ回転量θの偏差であるモータ回転量偏差Δθを演算する。そして、モータ回転量偏差Δθに基づくフィードバック制御の手法に従って、転舵モータ36aに供給する電流である供給電流iを決定し、その電流iを転舵モータ36aに供給する。この手法は、一般的なものであるため、その手法のここでの説明は省略する。
なお、車輪12には、車輪12を基準位置に戻そうとする力、すなわち、セルフアライメントトルクTqが、路面から作用し、また、転舵装置34、詳しくは、転舵装置34の減速機36bは逆効率は正効率に対して低い。それらのことから、同じ転舵量を実現させる場合であっても、車輪12の転舵量を増加させていく過程,転舵量を維持している過程,転舵量を減少させていく過程とでは、供給電流iは異なることとなる。ちなみに、車輪12の転舵量を増加させていく過程では、転舵モータ36aは、セルフアライメントトルクTqに打ち勝つだけのトルクを発生させる必要があり、一方で、セルフアライメントトルクTqは、車輪12の実際の転舵量と車両走行速度vとに依存した大きさである。したがって、大まかに言えば、車輪12の転舵量を増加させていく過程では、セルフアライメントトルクTqに応じた大きさの電流iが転舵モータ36aに供給されることになる。
ii)転舵不能現象とそれへの対処のための制御
本実施例の転舵装置34では、転舵モータ36aが動作しているにも拘わらず車輪12を転舵させられない現象である転舵不能現象に対処するための制御が行われる。転舵不能現象は、例えば、転舵アクチュエータ36の構成要素間において滑りが生じているような時に出現する。図3を参照して具体的に説明すれば、例えば、転舵アクチュエータ36は、アクチュエータアーム36cの穴36c1に減速機36bの出力軸36b1が嵌め入れられた構造を有している。この構造において、出力軸36b1の外周面36b2と穴36c1の内周面との間の摩擦力によって、出力軸36b1の回転がアクチュエータアーム36cの回動として伝達される。出力軸36b1と穴36c1との嵌合に弛みが発生した場合、摩擦力の減少により、セルフアライメントトルクTqがある程度大きくなったとき、転舵モータ36aが回転しているのにも拘わらず、車輪12が転舵できない現象が発生するのである。
図4(a)のグラフから解るように、転舵装置34が正常でありかつ車両走行速度vが一定であると仮定した場合、モータ回転量θを基準回転位置である0の状態から増加させるべく転舵モータ36aを動作させることで、車輪12の転舵量を基準位置である0から増加させ、次に、転舵量を増加させた状態から、モータ回転量θを0にまで減少させるように転舵モータ36aを動作させることで、転舵量を0に戻すことが可能である。
それに対して、図4(b)のグラフから解るように、転舵不能現象が発生するような失陥を転舵装置34が抱えている場合、例えば、モータ回転量θが現象発生動作量としての現象発生モータ回転量θSとなった時点からは、モータ回転量θを増加させ続けても転舵量が一定量に維持されることになる。現象発生モータ回転量θSを超えてある程度転舵モータ36aを動作させた状態から、モータ回転量θを0にまで減少させると、車輪12は、基準位置を超えて、逆方向に転舵されてしまうことになる。転舵不能現象の発生は、このような問題を招来させることになる。
また、転舵不能現象が発生している状態が長く継続することは、アクチュエータアーム36cの穴36c1と減速機36bの出力軸36b1との間に滑りを持続させることになり、それらの間の弛みを助長して、遂には、車輪12を殆ど転舵できなくなる。したがって、転舵不能現象が一旦発生したら、以後、転舵不能現象を発生させないことが望ましいのである。
そこで、本転舵装置34では、転舵不能現象を検知するようにされている。詳しく説明すれば、上述のように、車輪12の転舵量を増加させていく過程では、セルフアライメントトルクTqに応じた大きさの電流iが転舵モータ36aに供給される。したがって、転舵不能現象が発生している場合には、モータ回転量θが増加していても、転舵モータ36aへの供給電流iは増加しなくなる。つまり、本転舵装置34では、転舵不能現象を、モータ回転量θが増加しているにも拘わらず転舵モータ36aへの供給電流iが増加していないときに、転舵不能現象が発生していると認定する。言い換えれば、転舵モータ36aの動作量と転舵モータ36aへの供給電流iの変化の様子とによって、転舵不能現象を検知するようにされているのである。
また、本転舵装置34では、供給電流iが増加しなくなった時点のモータ回転量θが、上述の現象発生モータ回転量θSとして検知され、現象発生モータ回転量θSを超えて転舵モータ36aが回転動作させられても、モータ回転量θは、現象発生モータ回転量θSとされる。このような処置を施すことによって、転舵不能現象が発生している状態から基準位置まで車輪12を戻す際には、単に、モータ回転量θが0となるまで転舵モータ36aを動作させれば済むことになる。
さらに、本転舵装置34では、転舵不能現象が一旦検知された場合には、以降の車輪12の転舵が制限される。詳しく言えば、本転舵装置34では、モータ回転量θと車両走行速度vとに基づき、現時点でのセルフアライメントトルクTqが推定されており、転舵不能現象が発生した時点で、その時点でのセルフアライメントトルクTqからマージントルクTqMを減じたものを限界トルクTq0として認定する。そして、以降、セルフアライメントトルクTqが限界トルクTq0を超えた状態での車輪12の転舵が禁止される。具体的には、セルフアライメントトルクTqが限界トルクTq0を超えている場合に、目標モータ回転量θ*が、現時点でのモータ回転量θに設定される。ちなみに、マージントルクTqMは、限界トルクTq0にある程度の余裕を持たせるために設定されている。
4つの車輪12のいずれに対しても転舵制限がなされていない場合には、車両は、ステアリングホイール54の操作量δに応じて適切に操舵される。例えば、図5(a)は、右に向かってある操作量δにおいて車両が旋回する際に、各車輪12が転舵されている状態を示している。ちなみに、後輪12は、前輪12とは逆向きに転舵されている。それに対して、4つの車輪12のいずれかに転舵制限がなされた場合には、車両の転向量は、減少する。例えば、図5(b)は、右前輪10に転舵制限がなされている場合を示しているが、車両は、右に向かって転向するが、右前輪10の転舵量が充分ではないため、アンダステア気味の車両の操舵となっている。
本ステアリングシステムでは、前後左右いずれか1つの車輪12に対して転舵制限がなされた場合、上記転向量の不足を軽減するために、他の車輪12の1以上のものの転舵量を増加させるように構成されている。つまり、転舵不能現象が生じている際に、車両の操舵に対する支援処理が実行される。詳しく言えば、他の車輪12の1以上のものの各々に対して設けられた転舵装置34の転舵モータ36aの目標モータ回転量θ*を、ある変更分dθ*(以下、「支援モータ回転量dθ*」という場合がある)だけ変更させるようにされている。例えば、図5(c)に示すように、右旋回時に右前輪12に対して転舵制限がなされている場合には、左前輪12,右後輪12,左後輪12のそれぞれの転舵量が増加される。ちなみに、車両の旋回方向と転舵制限を受けている車輪12とに基づいて、他の車輪12のいずれの転舵量をどの程度増加若しくは減少させるか、すなわち、他の車輪12に対する上記支援モータ回転量dθ*は、当該車両のコンセプト等に基づいて、任意に設定すればよい。
iii)制御フロー
本転舵装置34における車輪12の転舵制御、詳しくは、上記転舵不能現象の検知および上記転舵不能現象への対処のための処理を含む転舵制御は、図6にフローチャートを示す車輪転舵プログラムを、転舵ECU50のコンピュータが短い時間ピッチ(例えば、数m〜数十msec)で繰り返し実行することによって行われる。以下に、当該プログラムに従った処理の流れを簡単に説明する。なお、車輪12の転舵の向きに関しては、左右のどちらにおいても処理に差がなく、左右のどちらにおいてもセルフアライメントTqの大きさは同じであると考えることができるため、以下の説明は、車輪12の転舵の向きについては限定することなく行うこととする。また、転舵不能現象は、2つ以上の車輪に対しては出現しないと仮定して、以下の説明を行うこととする。
車輪転舵プログラムに従う処理では、まず、ステップ1(以下、「S1」と略す。他のステップも同様である)において、ステアリングセンサ56の検出に基づいてステアリングホイール54の操作量δが、他のシステム(例えばブレーキシステム等)から車両走行速度vが、転舵モータ36aのモータ回転角センサの検出に基づいて現時点でのモータ回転量θが、それぞれ取得される。
次に、S2において、ステアリングホイール54の操作量δが0であるか否か、すなわち、ステアリングホイール54が車両を直進させるために位置させられる回転位置に位置するか否かが判定される。操作量δが0であるときには、S3において、現時点で転舵モータ36aが基準回転位置に位置させられていると見做して、モータ回転量θのキャリブレーション、すなわち、実モータ回転量θを0とする処理が行われ、当該プログラムの1回の実行が終了させられる。一方で、S2において操作量δが0でないと判定されたとき、すなわち、車両を旋回させるためのステアリング操作が行われていると判定されたときには、S4において、転舵モータ36aの制御の目標となる目標モータ回転量θ*が、操作量δに基づいて決定され、S5において、実モータ回転量θと車両走行速度vとに基づいて、車輪12が受けているセルフアライメントトルクTqが推定される。
続くS6において、フラグDFの値が判定される。フラグDFは、当該車輪12に上述の転舵不能現象が生じた場合に、値が“1”とされるフラグであり、未だ一度も上述の転舵不能現象が生じていない場合には、値が初期値のまま“0”とされているフラグである。フラグDFの値が“1”となっている場合には、S7の転舵制限処理が実行され、フラグDFの値が“0”のままである場合には、S7の転舵制限処理はスキップされる。S7の転舵制限処理については、後述する。
転舵制限処理が実行された後、若しくは、転舵制限処理がスキップされた後、S8において、当該車輪12以外の車輪12において転舵不能現象が出現していて、その車輪12の転舵装置34から、当該車輪12の転舵装置34に対して支援要請がなされているか否かが判定される。つまり、当該車輪12以外の車輪12に対して上述の転舵制限がなされており、その旨の情報を、当該転舵装置34の転舵ECU50が入手している否かが、判定される。支援要請を受けている場合には、S9の操舵支援処理が実行され、支援要請を受けていない場合には、S9の操舵支援処理はスキップされる。S9の操舵支援処理については、後述する。
操舵支援処理が実行された後、若しくは、操舵支援処理がスキップされた後、S10において、既に決定されている目標モータ回転量θ*、若しくは、後に説明する転舵制限処理によって変更された目標モータ回転量θ* 或は操舵支援処理によって補正された目標モータ回転量θ*と、取得されている実モータ回転量θとに基づいて、モータ回転量偏差Δθ(=θ*−θ)が決定され、S11において、その決定されたモータ回転量偏差Δθに基づいて、転舵モータ36aに供給される電流iが決定される。そして、S12において、その電流意iが、転舵モータ36aに供給される。
続くS13において、上述のフラグDFの値が再度判定され、フラグDFの値が“0”であると判定された場合には、S14の転舵不能現象検知処理が実行されて、当該プログラムの1回の実行が終了させられる。フラグDFの値が“1”の場合には、既に転舵不能現象が検知されているため、S14の処理をスキップして当該プログラムの1回の実行が終了させられる。
S14の転舵不能現象検知処理は、図7(a)にフローチャートを示す転舵不能現象検知サブルーチンが実行されることによって行われる。当該サブルーチンに従う処理では、まず、S21において、決定されている目標モータ回転量θ*が増加過程にあるか否かが判定され、目標モータ回転量θ*が増加過程にある場合には、S22において、転舵モータ36aに供給されている電流iが増加しているか否かが判定される。目標モータ回転量θ*が増加過程にない場合、若しくは、目標モータ回転量θ*が増加過程であって供給電流iが増加している場合には、後述するタイムカウンタtのリセット処理がS23において実行されて、当該サブルーチンの実行は終了させられる。
目標モータ回転量θ*が増加過程にあるにも拘わらず、供給電流iが増加していない場合には、転舵不能現象の発生の可能性があると推定され、S24において、転舵不能現象の発生の可能性が推定されてからの時間の経過を測定するためのタイムカウンタtの値が“0”であるか否かが判定される。タイムカウンタtの値が“0”である場合には、S25において、転舵不能現象が発生するモータ回転量θである現象発生モータ回転量θSが、現時点での実モータ回転量θに設定され、タイムカウンタtの値が“0”でない場合には、S25の処理がスキップされて、S26において、タイムカウンタtの値が、当該プログラムの実行ピッチに相当するカウントアップ値Δtだけ、カウントアップされる。
次のS27において、タイムカウンタtの値が、設定されている閾時間t0を超えているか否かが判定される。タイムカウンタtの値が閾時間t0を超えていると判定された場合には、S28において、転舵不能現象が生じていることを認定すべく、フラグDFの値が“1”とされる。そして、S29において、現時点の実モータ回転量θが、現象発生モータ回転量θSとされ、かつ、限界トルクTq0が、現時点で推定されているセルフアライメントトルクTqからマージントルクTqMを減じた値に設定される。さらに、S30において、車両のインストゥルメントパネルに、警告音とともに当該転舵装置34に転舵不能現象が生じている旨が表示され、運転者に対してその転舵不能現象の情報が報知される。S27においてタイムカウンタtの値が閾時間t0を超えていないと判定された場合には、S28〜S30の処理はスキップされる。
S6においてフラグDFの値が“1”であると判定された場合にS7において行われる転舵制限処理は、図7(b)にフローチャートを示す転舵制限サブルーチンが実行されることによって行われる。転舵制限サブルーチンに従う処理では、S31において、現時点で推定されているセルフアライメントトルクTqが、限界トルクTq0を超えているか否かが判定される。セルフアライメントトルクTqが限界トルクTq0を超えていると判定された場合には、S32において、目標モータ回転量θ*が現時点の実モータ回転量θに設定され、モータ回転量θが増加するような車輪12の転舵が禁止される。そして、S33において、他の車輪12の転舵装置34に対して、CAN62を介した車両操舵に対する支援要請がなされる。S31においてセルフアライメントトルクTqが限界トルクTq0を超えていないと判定された場合には、S32,S33の処理はスキップされる。
S8において他の車輪12の転舵装置34から当該車輪12の転舵装置34に対して支援要請がなされていると判定された場合にS9において行われる操舵支援処理は、図7(c)にフローチャートを示す操舵支援サブルーチンが実行されることによって行われる。このサブルーチンに従う処理では、S41において、支援要請を行っている転舵装置34がどの車輪12を対象車輪12としているかが、つまり、支援要請輪が、特定される。次のS42において、特定された支援要請輪と、当該転舵装置34の対象車輪12との関係に基づいて、車両の転向量の不足を補うべく、上述の支援モータ回転量dθ*が決定され、S43において、その決定された支援モータ回転量dθ*に基づいて、目標モータ回転量θ*が補正される。
10:車両用車輪配設モジュール 12:車輪 14:車輪駆動ユニット 14a:ハウジング〔ステアリングナックル〕 14b:ナックルアーム 34:転舵装置 36:転舵アクチュエータ 36a:転舵モータ〔電動モータ〕〔駆動源〕 36b:減速機 36c:アクチュエータアーム 38:タイロッド 40: ロッド基端部連結用ボールジョイント 42:ロッド先端部連結用ボールジョイント 50:転舵電子制御ユニット(転舵ECU)〔コントローラ〕 52:操作装置 54:ステアリングホイール〔ステアリング操作部材〕 56:ステアリングセンサ 58:反力付与装置 60:操作電子制御ユニット(操作ECU) 62:CAN

Claims (1)

  1. それぞれが転舵可能な複数の車輪を備える車両に配備されて、それら複数の車輪のうちの1つを独立して転舵する転舵装置であって、
    駆動源として電動モータを有するアクチュエータと、その電動モータへの供給電流を制御することでその電動モータの動作量に応じた車輪の転舵を実現させるコントローラとを備え、
    そのコントローラが、前記電動モータが動作しているにも拘わらず車輪を転舵させられない転舵不能現象を、前記電動モータの動作量と前記電動モータへの供給電流の変化の様子とによって検知するように構成された転舵装置。
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