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JP2021057237A - リチウムイオン電池用セパレータ - Google Patents

リチウムイオン電池用セパレータ Download PDF

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JP2021057237A JP2019180433A JP2019180433A JP2021057237A JP 2021057237 A JP2021057237 A JP 2021057237A JP 2019180433 A JP2019180433 A JP 2019180433A JP 2019180433 A JP2019180433 A JP 2019180433A JP 2021057237 A JP2021057237 A JP 2021057237A
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Abstract

【課題】本発明の課題は、不織布基材と、無機粒子として水酸化マグネシウムを含む塗層とから構成されるセパレータであって、厚みを薄くしても、高温下での形状安定性に優れ、高い耐熱性を有するセパレータを提供することにある。【解決手段】熱可塑性繊維を主体とする不織布基材の両面に水酸化マグネシウムを含む塗層が形成されてなるリチウムイオン電池用セパレータであって、不織布基材の空隙に充填された塗層の体積充填率が、不織布基材中の空隙体積に対して60〜95%であり、不織布基材に含まれる熱可塑性繊維に対する水酸化マグネシウムの質量比が0.8〜2.0であることを特徴とするリチウムイオン電池用セパレータ。【選択図】なし

Description

本発明は、リチウムイオン電池用セパレータに関する。
リチウムイオン電池(以下、「電池」と略記する場合がある)には、正負極間の接触を防ぐためのリチウムイオン電池用セパレータが用いられている。
リチウムイオン電池用セパレータ(以下、「セパレータ」と略記する場合がある)として従来用いられているポリエチレン又はポリプロピレンからなる多孔性フィルムは、耐熱性が低く、安全上重大な問題を抱えている。すなわち、多孔性フィルムをセパレータとして用いた電池は、内部短絡等の原因により電池内部で局部的な発熱が生じた場合、発熱部位周辺のセパレータが収縮して内部短絡がさらに拡大し、暴走的に発熱して発火・破裂等の重大な事象に至ることがある。
このような問題に対し、不織布基材と、無機粒子を含む塗層とから構成される耐熱性の高いセパレータが提案されている(例えば、特許文献1参照)。このようなセパレータのうち、電解液の分解を誘発することのない有利なセパレータとして、無機粒子が、酸化マグネシウム又は水酸化マグネシウムであるセパレータが提案されている(例えば、特許文献2及び3参照)。
一方で、近年のリチウムイオン電池のエネルギー密度向上に伴い、とりわけ高い耐熱性を有するセパレータが望まれている。セパレータに求められる耐熱性とは、「メルトインテグリティ」と言われる、高温下でも、形状安定性が高く、電池の正負極を電気的に分離する機能を失わない性質である(例えば、非特許文献1参照)。
特許文献2又は3に示されるセパレータは、不織布基材の空隙に充填された塗層の充填率や、不織布基材に含まれる熱可塑性繊維に対する水酸化マグネシウムの質量比が低いことから、厚みを薄くした場合、高温化での形状安定性が低下し、耐熱性が不十分となるおそれがあった。
特表2013−541128号公報 国際公開第2016/043142号パンフレット 特開2012−134024号公報
「エレクトロニクスシリーズ リチウムイオン電池の高安全技術と材料」普及版、株式会社シーエムシー出版、2014年9月9日発行、第145頁
本発明の課題は、不織布基材と、無機粒子として水酸化マグネシウムを含む塗層とから構成されるセパレータであって、厚みを薄くしても、高温下での形状安定性に優れ、高い耐熱性を有するセパレータを提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、下記手段を見出した。
(1)熱可塑性繊維を主体とする不織布基材の両面に水酸化マグネシウムを含む塗層が形成されてなるリチウムイオン電池用セパレータであって、不織布基材の空隙に充填された塗層の体積充填率が、不織布基材中の空隙体積に対して60〜95%であり、不織布基材に含まれる熱可塑性繊維に対する水酸化マグネシウムの質量比が0.8〜2.0であることを特徴とするリチウムイオン電池用セパレータ。
(2)厚みが15〜20μmであることを特徴とする(1)記載のリチウムイオン電池用セパレータ。
本発明によれば、不織布基材と、水酸化マグネシウムを含む塗層とから構成されるリチウムイオン電池用セパレータであって、厚みを薄くしても、高温下での形状安定性に優れ、高い耐熱性を有するリチウムイオン電池用セパレータを提供することができる。
本発明のリチウムイオン電池用セパレータ用セパレータは、熱可塑性繊維を主体とする不織布基材の両面に水酸化マグネシウムを含む塗層が形成されてなるリチウムイオン電池用セパレータであって、不織布基材の空隙に充填された塗層の体積充填率が、不織布基材中の空隙体積に対して60〜95%であり、不織布基材に含まれる熱可塑性繊維に対する水酸化マグネシウムの質量比が0.8〜2.0であることを特徴とする。
本発明の発明者らは、不織布基材と水酸化マグネシウムを含む塗層とから構成されるセパレータにおける、熱溶融時の形状安定性の発現機構について検討し、不織布基材に含まれる熱可塑性繊維が熱溶融した際に、熱溶融して液体となった熱可塑性繊維が水酸化マグネシウムに吸収され、硬い油粘土状物を形成して流動性を失うことを見出した。さらに、不織布基材の空隙に充填された塗層の体積充填率が、不織布基材中の空隙体積に対して60〜95%であり、不織布基材に含まれる熱可塑性繊維に対する水酸化マグネシウムの質量比が0.8〜2.0である場合に、内部抵抗が高くなる等の、その他のセパレータ特性を損なうことなく、該作用が特に顕著に発現することも見出した。
本発明のリチウムイオン電池用セパレータにおいて、不織布基材の空隙に充填された塗層の体積充填率が、不織布基材中の空隙体積に対して60%未満の場合は、熱溶融して液体となった熱可塑性繊維を水酸化マグネシウムが吸収し切れず、流動性が失われない。そのため、不織布基材が熱溶融した場合に形状安定性に優れたセパレータは得られない。一方、不織布基材の空隙に充填された塗層の体積充填率が、不織布基材中の空隙体積に対して95%を超える場合には、熱溶融して液体となった不織布基材の構成材料と水酸化マグネシウムとの混合物は、脆いケーキ状であり、外力で容易に崩壊してしまう。そのため、不織布基材が熱溶融した場合でも形状安定性が高いセパレータは得られない。不織布基材の空隙に充填された塗層の体積充填率は、65〜90%であることがより好ましく、70〜90%であることがさらに好ましい。
本発明のリチウムイオン電池用セパレータにおいて、不織布基材に含まれる熱可塑性繊維に対する水酸化マグネシウムの質量比が0.8未満である場合、熱溶融して液体となった熱可塑性繊維を水酸化マグネシウムが吸収し切れず、形状安定性に優れたセパレータは得られない。一方、不織布基材に含まれる熱可塑性繊維に対する水酸化マグネシウムの質量比を2.0よりも高くしても、熱溶融して液体となった熱可塑性繊維を吸収する効果は向上せず、イオン透過性を阻害して内部抵抗が高くなる。不織布基材に含まれる熱可塑性繊維に対する水酸化マグネシウムの質量比は、0.9〜1.9であることがより好ましく、1.0〜1.9であることがさらに好ましい。
本発明のリチウムイオン電池用セパレータの塗層に含まれる水酸化マグネシウムを製造するための方法には特に制限はない。例えば、水酸化マグネシウムの製造方法としては、マグネシウム源である海水とアルカリを反応させる方法、酸化マグネシウムと水を反応させる方法、天然の鉱床から産出された鉱石を粉砕する方法などがあるが、本発明はこれらに限定されるものではない。本発明に用いられる水酸化マグネシウムの平均粒子径は、低い内部抵抗と小さい自己放電とを両立できる範囲として0.3μm以上2.0μm未満が好ましく、0.4μm以上1.5μm未満がより好ましく、0.5μm以上1.2μm未満がさらに好ましい。本発明における平均粒子径とは、レーザー回折法による粒度分布測定から求められる体積基準50%粒子径(D50)である。
本発明において、塗層には、塗層の強度を高めるため、有機ポリマーバインダーを含有させることが好ましい。有機ポリマーバインダーは、セパレータの塗層に用いるのに好適なものであれば特に制限はされない。その例としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、(メタ)アクリレート共重合体、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)及びその共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体(SBR)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリアクリルアミド(PAM)及びその共重合体、ポリウレタン(PU)などの樹脂が挙げられ、また、これらの樹脂の一部に、非水電解液への溶解を防止するために、架橋構造を導入した樹脂も用いることができる。これらの有機ポリマーバインダーは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、スチレン−ブタジエン共重合体(SBR)、(メタ)アクリレート共重合体が特に好ましい。
有機ポリマーバインダーの含有量は、水酸化マグネシウム100質量部に対して、0.5質量部以上10.0質量部以下が好ましく、0.7質量部以上8.0質量部以下がより好ましく、1.0質量部以上6.0質量部以下がさらに好ましい。有機ポリマーバインダーの含有量が低すぎると、リチウムイオン電池用セパレータの塗層強度が弱くなる場合がある。逆に、有機ポリマーバインダーの含有量が高すぎると、リチウムイオン電池用セパレータの内部抵抗が高くなる場合がある。
本発明において、塗層には、水酸化マグネシウム、有機ポリマーバインダー以外に、ポリアクリル酸及びその共重合体、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩(CMC−Na)等の各種分散剤;ポリエチレンオキサイド、ポリアクリルアミド、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩等の各種増粘剤;濡れ剤;防腐剤;消泡剤などの添加剤を、必要に応じ配合することもできる。
本発明の塗工液を調製するための媒体としては、水酸化マグネシウム、有機ポリマーバインダー及び添加剤を均一に溶解又は分散できるものであれば特に限定されず、例えば、水;N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、2−ブタノン、トルエン、ヘキサン等の有機溶媒が例示される。
本発明のセパレータは、熱可塑性繊維を主体とする不織布基材を用いる。熱可塑性繊維の含有量は、不織布基材に含まれる全繊維成分に対して70質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、90質量%以上がさらに好ましい。本発明のセパレータに用いる不織布基材は、熱可塑性繊維のみからなっていても良い。熱可塑性繊維の含有量が70質量%よりも少ない場合、不織布基材が熱溶融した際に、熱溶融して液体となった不織布基材の構成材料が水酸化マグネシウムに吸収され、硬い油粘土状物を形成するという作用が得られ難いことから、本発明の効果が得られ難く、さらには、不織布基材の強度が弱くなりすぎる場合がある。
熱可塑性繊維の平均繊維径は1μm以上10μm以下が好ましく、1μm以上8μm以下がより好ましく、1μm以上5μm以下がさらに好ましい。平均繊維径が1μm未満の場合、繊維が細すぎて、塗層が不織布基材内部に滲み込みにくくなり、セパレータの厚み増加を抑制することが難しくなることがある。平均繊維径が10μmより太い場合、不織布基材自体の厚みを薄くすることが困難になり、セパレータの厚み増加を抑制することが難しくなることがある。本発明における平均繊維径とは、不織布基材断面の走査型電子顕微鏡写真より、不織布基材を構成する繊維について、繊維の長さ方向に対して垂直な断面又は垂直に近い断面の繊維を30本選択し、その繊維径を測定した平均値である。熱可塑性繊維は熱や圧力によって溶融する場合や変形する場合がある。その場合は、断面積を測定して、真円換算の繊維径を算出する。
熱可塑性繊維の繊維長は1mm以上10mm以下が好ましく、2mm以上8mm以下がより好ましく、2mm以上5mm以下がさらに好ましい。繊維長が1mmより短い場合、不織布基材から脱落することがあり、10mmより長い場合、繊維がもつれてダマになることがあり、厚みむらが生じることがある。
熱可塑性繊維を構成する樹脂としては、ポリオレフィン系、ポリエステル系、ポリ酢酸ビニル系、エチレン−酢酸ビニル共重合体系、ポリアミド系、アクリル系、ポリ塩化ビニル系、ポリ塩化ビニリデン系、ポリビニルエーテル系、ポリビニルケトン系、ポリエーテル系、ポリビニルアルコール系、ポリエステルアミド系、ポリエーテルエーテルケトン系、エチレン−ビニルアルコール共重合体系等の樹脂が挙げられる。また、これらの樹脂の誘導体も使用できる。これらの樹脂の中で、塗層との接着性を高くするためには、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂を使用することが好ましい。また、セパレータの耐熱性を向上させるためには、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂を使用することが好ましい。
ポリエステル系樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)系、ポリブチレンテレフタレート(PBT)系、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)系、ポリエチレンナフタレート(PEN)系、ポリブチレンナフタレート系(PBN)、ポリエチレンイソフタレート系、全芳香族ポリエステル系等の樹脂が挙げられる。また、これらの樹脂の誘導体も使用できる。耐電解液性、塗層との接着性を向上させる観点からは、ポリエチレンテレフタレート系樹脂が好ましい。
アクリル系樹脂としては、アクリロニトリル100%の重合体からなるもの、アクリロニトリルに対して、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等の(メタ)アクリル酸誘導体、酢酸ビニル等を共重合させたもの等が挙げられる。
ポリオレフィン系樹脂としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルペンテン、エチレン−ビニルアルコール共重合体、オレフィン系共重合体等が挙げられる。ポリアミド系樹脂としては、ナイロンなどの脂肪族ポリアミド、半芳香族ポリアミドが挙げられる。
熱可塑性繊維は、単一の樹脂からなる繊維(単繊維)であっても良いし、2種以上の樹脂からなる繊維(複合繊維)であっても良い。また、不織布基材に含まれる熱可塑性繊維は、1種でも良いし、2種類以上を組み合わせて使用しても良い。複合繊維としては、芯鞘型、偏芯型、サイドバイサイド型、海島型、オレンジ型、多重バイメタル型が挙げられる。複合繊維を分割した繊維を使用しても良い。
不織布基材は、熱可塑性繊維以外の繊維を含有しても良い。例えば、溶剤紡糸セルロース、再生セルロース等の短繊維;溶剤紡糸セルロース、再生セルロース等のフィブリル化物;天然セルロース繊維;天然セルロース繊維のパルプ化物;天然セルロース繊維のフィブリル化物;無機繊維;アラミド繊維のフィブリル化物等の非熱可塑性合成樹脂のフィブリル化物;アラミドパルプ等の非熱可塑性合成樹脂のパルプ化物等を含有しても良い。
不織布基材の坪量は、好ましくは5g/m以上12g/m以下であり、より好ましくは7g/m以上10g/m以下である。坪量が12g/mを超える場合、セパレータの薄膜化が難しくなる場合がある。坪量が5g/m未満の場合、十分な強度を得ることが難しい場合がある。なお、坪量はJIS P 8124:2011(紙及び板紙−坪量の測定方法)に規定された方法に基づき測定される。
不織布基材の厚みは、好ましくは8μm以上18μm以下であり、より好ましくは10μm以上16μm以下である。厚みが8μm未満の場合、十分な強度が得られない場合がある。厚みが18μmを超える場合、セパレータの薄膜化が難しくなる場合がある。なお、厚みはJIS B 7502:2016(マイクロメータ)に規定された外側マイクロメータを使用して、5N荷重することにより測定された値を意味する。
不織布基材の製造方法としては、繊維ウェブを形成し、繊維ウェブ内の繊維を結合させて不織布を得る製造方法を用いることができる。得られた不織布は、そのまま不織布基材として使用しても良いし、複数枚の不織布からなる積層体を不織布基材として使用することもできる。繊維ウェブの製造方法としては、例えば、カード法、エアレイ法、スパンボンド法、メルトブロー法等の乾式法;湿式抄紙法等の湿式法;静電紡糸法等が挙げられる。このうち、湿式法によって得られるウェブは、均質かつ緻密であり、セパレータ用の不織布基材として好適に用いることができる。湿式法は、繊維を水中に分散して均一な抄紙スラリーとし、この抄紙スラリーを円網式、長網式、傾斜式等の抄紙方式の少なくとも1つを有する抄紙機を用いて、繊維ウェブを得る方法である。
繊維ウェブから不織布を製造する方法では、接着、融着及び絡合からなる群から選ばれる繊維結合方法によって、繊維を結合させる。繊維結合方法としては、水流交絡(スパンレース)法、ニードルパンチ法、バインダー接着法等を使用することができる。バインダー接着法には、繊維ウェブに付与したバインダーで繊維を結合させるケミカルボンド法、繊維ウェブに含まれるバインダー用熱可塑性繊維で繊維を結合させるサーマルボンド法等を使用することができる。特に、均一性を重視して前記湿式法を用いる場合、サーマルボンド法を施して、バインダー用熱可塑性繊維を接着することが好ましい。サーマルボンド法により、均一な繊維ウェブから均一な不織布が形成される。
本発明では、不織布を加熱された金属ロールと弾性ロールとの間を通過させて、加熱・加圧処理(熱カレンダー処理)が施されて、不織布基材とすることが好ましい。一般に、熱カレンダー処理装置としては、加熱機構を有する金属製のヒートロール(金属ロール)と、金属芯の外周面に弾性体層を被着してある弾性ロールとで構成された装置がある。これは、両ロールを略平行に対接させ、両ロールの間で不織布を狭接し、高いニップ圧を加えながら回転・走行させて、不織布の機械的強度の発現や、厚みの調整等を目的に用いられるものである。
本発明における、熱カレンダー処理時の金属ロール温度は、バインダー用熱可塑性繊維の融点又は軟化温度に対して−60〜−10℃であることが好ましく、−50〜−20℃であることがより好ましい。金属ロールの温度がバインダー用熱可塑性繊維の融点又は軟化温度に対して−60℃より低い場合では、バインダー用熱可塑性繊維の接着が不十分となりやすく、不織布基材の機械的強度の発現が不十分となる場合がある。一方、金属ロールの温度がバインダー用熱可塑性繊維の融点又は軟化温度に対して−10℃より高い場合には、不織布が金属ロールに貼り付きやすくなり、不織布基材の表面に欠陥が生じるおそれがある。
熱カレンダー処理時のニップのニップ圧力(線圧)は、好ましくは19〜180kN/mであり、より好ましくは39〜150kN/mである。加工速度は、好ましくは5〜150m/minであり、より好ましくは10〜100m/minである。
本発明のセパレータは、水酸化マグネシウムを含む塗工液を不織布基材に塗工して製造することができる。塗工液を不織布基材に塗工する方法としては、各種の塗工装置を用いることができる。塗工装置としては、ブレード、ロッド、リバースロール、リップ、ダイ、カーテン、エアーナイフ等各種の塗工方式、フレキソ、スクリーン、オフセット、グラビア、インクジェット等の各種印刷方式、ロール転写、フィルム転写などの転写方式、ディッピング等の引き上げ方式等を、必要に応じて選択して用いることができる。
不織布基材の両面に塗層が形成されてなることを特徴とする本発明のセパレータにおいて、不織布基材の片面にのみ塗層形成した場合、塗層にピンホールが発生し、漏れ電流が大きくなる。原因は不明だが、不織布基材の片面のみに、好適な乾燥塗工量を得るだけの塗工液を塗工した場合、不織布基材の裏面に塗工液の裏抜けがおこり、塗層にピンホールが発生するものと推定される。
塗層の塗工量は、不織布基材の両面に当たりの乾燥塗工量として5g/m以上14g/m以下が好ましく、6g/m以上13g/m以下がより好ましい。塗工量が5g/m未満の場合、ピンホールが発生しやすく、セパレータ性能が損なわれるおそれがある。一方、塗工量が14g/mを超える場合、イオン透過性を阻害して内部抵抗が高くなるおそれがある。
本発明のリチウムイオン電池用セパレータの厚みは、好ましくは15μm以上20μm以下であり、より好ましくは15μm以上18μm以下である。厚みが15μm未満の場合、不織布基材に含まれる熱可塑性繊維が熱溶融した場合に形状安定性を損なうおそれがあり、また、ピンホールが発生しやすくなるおそれがある。一方、20μmを超える厚みとしても、不織布基材に含まれる熱可塑性繊維が熱溶融した場合の形状安定性を向上させる効果は乏しく、また、内部抵抗が高くなるおそれがある。
不織布基材の空隙に充填された塗層の体積充填率が、不織布基材中の空隙体積に対して60〜95%であるセパレータは、不織布基材への塗工液の浸透を調整することで得ることができる。
不織布基材への塗工液の浸透を調整する方法としては以下のようなものがある。1つ目の方法として、不織布基材を構成する繊維径を調整する方法がある。この方法においては、繊維径の小さい繊維の配合率を少なくすれば塗工液の浸透は向上し、不織布基材の空隙に充填される塗層の体積充填率は高くなり、繊維径の小さい繊維の配合率を高くすれば、塗工液の浸透が抑えられ、不織布基材の空隙に充填される塗層の体積充填率は低くなる。また、不織布基材を構成する繊維の表面に付着する油剤や、湿式法にて不織布基材を形成する場合は分散剤や消泡剤などの界面活性剤の量を調整することで、塗工液の浸透を調整できる。例えば、不織布基材への塗工液の浸透を進めるためには、油剤や分散剤の不織布基材繊維への付着量を多くすれば良い。本発明において、不織布基材を構成する繊維への油剤等の付着量は、0.01〜1質量%の範囲が好ましい。
2つ目の方法として、熱カレンダー処理時の金属ロール温度を調整する方法がある。この方法においては、金属ロールの温度を低くすれば、不織布基材表面の皮膜化が抑えられることにより塗工液の浸透は向上し、不織布基材の空隙に充填される塗層の体積充填率は高くなり、金属ロールの温度を高くすれば、不織布基材表面の皮膜化が向上することにより塗工液の浸透が抑えられ、不織布基材の空隙に充填される塗層の体積充填率は低くなる。
3つ目の方法として、不織布基材の繊維配向性を調整する方法がある。不織布基材の繊維配向性の指標としては、例えば、不織布基材を構成する両表層の繊維の平均配向角が挙げられる。本発明において、平均配向角とは、走査型電子顕微鏡を用い、不織布を構成する両表層の繊維を、その視野内の本数が15〜25本になるような倍率で観察し、各繊維の配向方向が、不織布の長手方向(縦方向、製造方向)に対してなす角度(0〜90度)を配向角とした場合の配向角の平均として求める。本発明において表層の繊維とは、他の繊維との交点の少なくとも1ヶ所において、他の繊維よりも表面側に位置しているか、不織布が熱処理の過程で変形し、表面側が平坦になっている繊維を指す。この方法においては、不織布基材の平均配向角を大きくすると、塗工液の浸透が向上し、不織布基材の空隙に充填される塗層の体積充填率が高くなる。本発明においては、不織布基材の両表層の平均配向角が、5〜20度であることが好ましく、5〜18度であることがより好ましい。
不織布基材の平均配向角を調整する方法としては、例えば、湿式法で不織布を製造する場合、長網式又は傾斜式の抄紙機を用い、抄造速度を速くするか、ワイヤー上に繊維分散スラリーを載せる際の、抄造速度/ヘッドボックスからのスラリーの噴射速度の比を(以下、JW比と記す)を大きくすることにより、平均配向角を小さくすることができる。一方、円網式抄紙機等の、ワイヤーを、スラリーを満たした槽中に設置する抄造方式を用いることにより、平均配向角を大きくすることができる。
4つ目の方法として、塗工液の粘度(ハイシア粘度、ローシア粘度)を調整する方法がある。この方法において、塗工液の浸透を向上させるためには、塗工液の粘度を低くすれば良い。塗工液の粘度を調整する方法としては、塗工液の固形分濃度を調整する方法、増粘剤を添加する方法、塗工液の温度を調整する方法等がある。本発明において、塗工液のB型粘度は、50〜1500mPa・sが好ましく、さらに好ましくは100〜1000mPa・sの範囲である。
5つ目の方法として、塗工液の表面張力を調整する方法がある。この方法において、塗工液の浸透を向上させるためには、塗工液の表面張力を低くすればよく、塗工液の浸透を抑えるためには、塗工液の表面張力を高くすればよい。塗工液の表面張力を調整する方法としては、濡れ剤を添加する方法、濡れ剤の添加量を調整する方法、塗工液の温度を調整する方法等がある。本発明において、塗工液が水系の場合の表面張力は、10〜70mN/mが好ましく、特に20〜60mN/mが特に好ましい。
6つ目の方法として、塗工方法を選択する方法がある。この方法において、塗工液の浸透を向上させるためには、塗工液を不織布基材に圧入する方向の動圧が作用しやすい塗工方式を用いればよい。塗工液の浸透を抑えるためには、塗工液を不織布基材に圧入する方向の動圧が作用しにくい塗工方式を用いればよい。塗工液を不織布基材に圧入する方向の動圧が作用しやすい塗工方法の例としては、ディッピング、ブレード、ロッド等が挙げられる。塗工液を不織布基材に圧入する方向の動圧が作用しにくい塗工方法の例としては、ダイ、カーテンが挙げられる。両者の中間的な塗工方法の例としては、グラビアが挙げられる。本発明においては、浸透深さを容易に調整できることから、リバース方式のグラビアが好ましく用いられる。特に、グラビア径が150mm以下の小径グラビアがさらに好ましく用いられる。
これらの方法を適宜組み合わせることによって、不織布基材への塗工液の浸透を調整することができ、不織布基材の空隙に充填された塗層の体積充填率が、不織布基材中の空隙体積に対して60〜95%であるセパレータを得ることができる。
不織布基材の空隙に充填された塗層の体積充填率は、以下の方法により求めることができる。
不織布基材の坪量をw(g/m)、厚みをt(μm)、不織布基材を構成する繊維の密度をρ(g/cm)とし、以下の数式(1)により、不織布基材の1mに占める空隙量(空隙体積)V(cm)を求める。
[数式(1)] V=t−(w/ρ
不織布基材に塗工する塗工液を、塗工液が浸透しない非多孔質のPETフィルムに塗工・乾燥し、塗工量w(g/m)と、塗工前後の厚みより算出した塗層の厚みt(μm)から、以下の数式(2)にて、塗層密度ρ(g/cm)を求める。
[数式(2)] ρ=w/t
セパレータの厚みをT(μm)、乾燥塗工量をW(g/m)とし、以下の数式(3)により、塗工液不織布基材中の空隙体積に充填された塗層の体積充填率X(%)を求めることができる。
[数式(3)] X=100×[{W/ρ−(T−t)}/V]
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。なお、実施例において百分率(%)及び部は、断りのない限り全て質量基準である。また、塗工量は乾燥塗工量(塗工量(絶乾))である。
<不織布基材の作製>
PET1:ポリエチレンテレフタレートからなる、繊維径2.3μm、繊維長3mmの延伸ポリエステル単繊維(密度:1.38g/cm、融点:256℃)
PET2:ポリエチレンテレフタレートからなる、繊維径3.0μm、繊維長3mmの延伸ポリエステル単繊維(密度:1.38g/cm、融点:256℃)
PET3:ポリエチレンテレフタレートからなる、繊維径5.3μm、繊維長3mmの延伸ポリエステル単繊維(密度:1.38g/cm、融点:256℃)
PET4:ポリエチレンテレフタレートからなる、繊維径4.3μm、繊維長3mmのバインダー用未延伸ポリエステル単繊維(密度:1.38g/cm、融点:235℃)
2mの分散タンクに水を投入後、表1に示す繊維配合率(%)で配合し、分散濃度0.2%で5分間分散して抄紙用スラリーを得た。この抄紙用スラリーを用いて、傾斜式抄紙機又は円網式抄紙機を用い、表2に示す抄造条件でワイヤーに形成した湿紙を表面温度130℃のヤンキードライヤーにて熱圧乾燥して湿式不織布を作製した。湿式不織布を金属ロール−弾性ロール(ショア硬度D91)の構成の熱カレンダー装置を使用して、表2に示す条件で熱カレンダー処理を行い、不織布基材1〜7を得た。
<平均配向角の測定>
不織布基材1〜7の異なる3ヶ所から採取したサンプルについて、湿紙をワイヤーに形成した際に、ワイヤーに接した面をワイヤー面、その反対面を非ワイヤー面として、前記した方法により、不織布基材両表面の平均配向角を測定した。結果を表2に示す。
Figure 2021057237
Figure 2021057237
<塗工液Aの調製>
平均粒子径1.5μmの水酸化マグネシウム100部とポリカルボン酸型高分子界面活性剤0.4部、水100部とを混合して十分攪拌した。次いで、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩(1%水溶液の25℃における粘度が7000mPa・s)1.5%水溶液67部(固形分1.0部)及び、カルボキシ変性スチレン−ブタジエン共重合体エマルション(固形分濃度50%、ガラス転移点−18℃、平均粒子径0.2μm)10部(固形分5部)を攪拌しながら順次添加し、最後に調整水を加えて、固形分濃度を30%に調整し、塗工液Aを調製した。なお、塗工液AのB型粘度は520mPa・sであった。
<塗工液Bの調製>
平均粒子径1.5μmの水酸化マグネシウムを平均粒子径0.5μmの水酸化マグネシウムに変更し、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩(1%水溶液の25℃における粘度が7000mPa・s)1.5%水溶液添加量67部を33部(固形分0.5部)に変更した以外は、塗工液Aと同様に塗工液Bを調製した。なお、塗工液BのB型粘度は270mPa・sであった。
<塗工液Cの調製>
平均粒子径1.5μmの水酸化マグネシウムを平均粒子径1.8μmの水酸化マグネシウムに変更し、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩(1%水溶液の25℃における粘度が7000mPa・s)1.5%水溶液添加量67部を100部(固形分1.5部)に変更した以外は、塗工液Aと同様に塗工液Cを調製した。なお、塗工液CのB型粘度は1050mPa・sであった。
<塗工液Dの調製>
カルボキシメチルセルロースナトリウム塩(1%水溶液の25℃における粘度が7000mPa・s)1.5%水溶液添加量67部を2部(固形分0.03部)に変更した以外は、塗工液Aと同様に塗工液Dを調製した。なお、塗工液DのB型粘度は70mPa・sであった。
(実施例1)
不織布基材1上に、塗工液Aを、塗工装置としてリバースグラビアコーターを用いて、乾燥塗工量が3.0g/mとなるように塗工・乾燥した後、不織布基材1のもう一方の面上に、塗工液Aを、リバースグラビアコーターを用いて、乾燥塗工量が4.0g/mとなるように塗工・乾燥して、実施例1のリチウムイオン電池用セパレータを得た。
(実施例2)
不織布基材1上に、塗工液Bを、リバースグラビアコーターを用いて、乾燥塗工量が3.0g/mとなるように塗工・乾燥した後、不織布基材1のもう一方の面上に、塗工液Bを、リバースグラビアコーターを用いて、乾燥塗工量が4.0g/mとなるように塗工・乾燥して、実施例2のリチウムイオン電池用セパレータを得た。
(実施例3)
不織布基材2上に、塗工液Bを、リバースグラビアコーターを用いて、乾燥塗工量が5.0g/mとなるように塗工・乾燥した後、不織布基材2のもう一方の面上に、塗工液Bを、リバースグラビアコーターを用いて、乾燥塗工量が6.0g/mとなるように塗工・乾燥して、実施例3のリチウムイオン電池用セパレータを得た。
(実施例4)
不織布基材2上に、塗工液Cを、リバースグラビアコーターを用いて、乾燥塗工量が4.0g/mとなるように塗工・乾燥した後、不織布基材2のもう一方の面上に、塗工液Cを、リバースグラビアコーターを用いて、乾燥塗工量が8.0g/mとなるように塗工・乾燥して、実施例4のリチウムイオン電池用セパレータを得た。
(実施例5)
不織布基材3上に、塗工液Dを、リバースグラビアコーターを用いて、乾燥塗工量が5.0g/mとなるように塗工・乾燥した後、不織布基材3のもう一方の面上に、塗工液Dを、リバースグラビアコーターを用いて、乾燥塗工量が6.0g/mとなるように塗工・乾燥して、実施例5のリチウムイオン電池用セパレータを得た。
(実施例6)
不織布基材3上に、塗工液Aを、リバースグラビアコーターを用いて、乾燥塗工量が5.0g/mとなるように塗工・乾燥した後、不織布基材3のもう一方の面上に、塗工液Aを、リバースグラビアコーターを用いて、乾燥塗工量が5.0g/mとなるように塗工・乾燥して、実施例6のリチウムイオン電池用セパレータを得た。
(比較例1)
不織布基材4上に、塗工液Cを、リバースグラビアコーターを用いて、乾燥塗工量が4.0g/mとなるように塗工・乾燥した後、不織布基材4のもう一方の面上に、塗工液Cを、リバースグラビアコーターを用いて、乾燥塗工量が8.0g/mとなるように塗工・乾燥して、比較例1のリチウムイオン電池用セパレータを得た。
(比較例2)
不織布基材5上に、塗工液Dを、リバースグラビアコーターを用いて、乾燥塗工量が5.0g/mとなるように塗工・乾燥した後、不織布基材5のもう一方の面上に、塗工液Dを、リバースグラビアコーターを用いて、乾燥塗工量が6.0g/mとなるように塗工・乾燥して、比較例2のリチウムイオン電池用セパレータを得た。
(比較例3)
不織布基材6上に、塗工液Aを、リバースグラビアコーターを用いて、乾燥塗工量が5.0g/mとなるように塗工・乾燥した後、不織布基材6のもう一方の面上に、塗工液Aを、リバースグラビアコーターを用いて、乾燥塗工量が6.0g/mとなるように塗工・乾燥して、比較例3のリチウムイオン電池用セパレータを得た。
(比較例4)
不織布基材7上に、塗工液Dを、リバースグラビアコーターを用いて、乾燥塗工量が5.0g/mとなるように塗工・乾燥した後、不織布基材7のもう一方の面上に、塗工液Dを、リバースグラビアコーターを用いて、乾燥塗工量が6.0g/mとなるように塗工・乾燥して、比較例4のリチウムイオン電池用セパレータを得た。
(比較例5)
不織布基材2上に、塗工液Cを、リバースグラビアコーターを用いて、乾燥塗工量が6.5g/mとなるように塗工・乾燥した後、不織布基材2のもう一方の面上に、塗工液Cを、リバースグラビアコーターを用いて、乾燥塗工量が7.0g/mとなるように塗工・乾燥して、比較例5のリチウムイオン電池用セパレータを得た。
(比較例6)
不織布基材3上に、塗工液Cを、リバースグラビアコーターを用いて、乾燥塗工量が3.5g/mとなるように塗工・乾燥した後、不織布基材3のもう一方の面上に、塗工液Cを、リバースグラビアコーターを用いて、乾燥塗工量が5.0g/mとなるように塗工・乾燥して、比較例6のリチウムイオン電池用セパレータを得た。
(比較例7)
不織布基材2上に、塗工液Bを、リバースグラビアコーターを用いて、乾燥塗工量が11.5g/mとなるように塗工・乾燥して、比較例7のリチウムイオン電池用セパレータを得た。
実施例及び比較例のリチウムイオン電池用セパレータと、それを用いてなるリチウムイオン電池について、下記の評価を行い、その結果を表3に記載した。
<セパレータの厚み>
JIS B 7502:2016(マイクロメータ)に規定された外側マイクロメータを使用して、5N荷重することにより測定した。
<充填率:不織布基材の空隙に充填された塗層の体積充填率>
表2に示す、不織布基材1〜7の坪量をw(g/m)、厚みをt(μm)、不織布1〜7を構成する繊維の密度をρ(g/cm)とし、以下の数式(1)により、不織布基材1〜7の1mに占める空隙量を計算し、空隙体積V(cm)とした。
[数式(1)] V=t−(w/ρ
塗工液A〜Dを、塗工液が浸透しない非多孔質のPETフィルムに塗工・乾燥し、塗工量w(g/m)と、塗工前後の厚みより算出した塗層の厚みt(μm)から、以下の数式(2)にて、塗層密度ρ(g/cm)を計算した。なお、塗工前後の厚みは、JIS B 7502:2016(マイクロメータ)に規定された外側マイクロメータを用いて、5N荷重することにより測定した。
[数式(2)] ρ=w/t
セパレータの厚みをT(μm)、乾燥塗工量をW(g/m)とし、以下の数式(3)で、塗工液不織布基材中の空隙体積に充填された塗層の体積充填率X(%)を計算し、『充填率』として表3に記載した。
[数式(3)] X=100×[{W/ρ−(T−t)}/V]
<無機粒子/繊維質量比:不織布基材に含まれる熱可塑性繊維に対する水酸化マグネシウムの質量比>不織布基材1〜7に含まれる熱可塑性繊維に対する、実施例及び比較例のセパレータに含まれる水酸化マグネシウムの質量比を計算し、『無機粒子/繊維質量比』として表3に記載した。
<耐熱性評価>
実施例及び比較例のリチウムイオン電池用セパレータに、はんだリワーク用のホットエアー装置を用い、10℃ステップで変化させた種々の温度の熱風を吹きつけ、セパレータに孔が開く最低の温度を確認し、以下の基準で評価した。なお、本試験の熱風温度が高ければ高い程、セパレータに孔が開きやすい。より広範な温度条件において電池の正負極を電池的に分離するという機能を維持できるという観点から、より高温まで孔が開かないセパレータが、不織布基材に含まれる熱溶融した場合の形状安定性に優れ、耐熱性の高いセパレータと言える。
A:セパレータに孔が開く最低の温度が350℃以上
B:セパレータに孔が開く最低の温度が350℃未満、330℃以上
C:セパレータに孔が開く最低の温度が330℃未満、300℃以上
D:セパレータに孔が開く最低の温度が300℃未満
<ピンホール評価>
実施例及び比較例のリチウムイオン電池用セパレータ(A4サイズ:210mm×297mm)のピンホールの状態について、透過光を用いて目視にて確認し、次の評価基準で評価した。
A:ピンホールの発生は見られない。
B:うっすらと透過光が観察される部分が存在する。
C:明らかに透過光が多数観察される。
<リチウムイオン電池の作製>
実施例及び比較例のリチウムイオン電池を用い、正極にマンガン酸リチウム、負極にメソカーボンマイクロビーズ(mesocarbon microbead)、電解液にヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)の1mol/L炭酸ジエチル(DEC)/炭酸エチレン(EC)(容量比7/3)混合溶媒溶液を用いた設計容量30mAhのリチウムイオン電池を作製した。
<内部抵抗評価>
作製した各リチウムイオン電池について、「60mA定電流充電→4.2V定電圧充電(1時間)→60mAで定電流放電→2.8Vになったら次のサイクル」のシーケンスにて、5サイクルの慣らし充放電を行った後、「60mA定電流充電→4.2V定電圧充電(1時間)→6mAで30分間定電流放電(放電量3mAh)→放電終了直前の電圧を測定(電圧a)→60mA定電流充電→4.2V定電圧充電(1時間)→90mAで2分間定電流放電(放電量3mAh)→放電終了直前の電圧(電圧b)の測定」を行い、「内部抵抗Ω=(電圧a−電圧b)/(90mA−6mA)」の式で内部抵抗を求め、以下の基準で評価した。
A:内部抵抗が4Ω未満
B:内部抵抗が4Ω以上4.5Ω未満
C:内部抵抗が4.5Ω以上5Ω未満
D:内部抵抗が5Ω以上
<漏れ電流>
作製した各リチウムイオン二次電池を用い、1C、4.2Vで定電流定電圧充電(1/10Cカット)を行った時の充電容量を計測し、設計容量との比から、以下の基準で評価した。
A:設計容量の125%未満
B:設計容量の125以上150%未満
C:設計容量の150%以上
Figure 2021057237
表3に示した通り、実施例1〜6で作製したリチウムイオン電池は、熱可塑性繊維を主体とする不織布基材の両面に水酸化マグネシウムを含む塗層が形成されてなるリチウムイオン電池用セパレータであって、不織布基材の空隙に充填された塗層の体積充填率が、不織布基材中の空隙体積に対して60〜95%であり、不織布基材に含まれる熱可塑性繊維に対する水酸化マグネシウムの質量比が0.8〜2.0であることから、耐熱性に優れ、内部抵抗が低く、漏れ電流の少ないリチウムイオン電池用セパレータであった。
実施例1と実施例2との比較から、厚みが15μm以上である実施例1のリチウムイオン電池用セパレータは、厚みが15μm未満である実施例2のリチウムイオン電池用セパレータに対し、耐熱性が高く、ピンホール及び漏れ電流評価において良好な結果を示した。
一方、実施例5と実施例6との比較から、厚みが20μm以下である実施例5のリチウムイオン電池用セパレータは、厚みが20μmを超える実施例6のセパレータに対し、内部抵抗評価において良好な結果を示し、実施例6のセパレータは、実施例5のセパレータに対し、耐熱性が向上する傾向は見られなかった。
不織布基材の空隙に充填された塗層の体積充填率が、不織布基材中の空隙体積に対して60%未満である比較例1及び比較例3のリチウムイオン電池用セパレータは、高温下での形状安定性が低く、耐熱性に劣るセパレータとなった。
不織布基材の空隙に充填された塗層の体積充填率が、不織布基材中の空隙体積に対して95%を超える比較例2及び比較例4のリチウムイオン電池用セパレータは、高温下での形状安定性が低く、耐熱性に劣るセパレータとなった。
不織布基材に含まれる熱可塑性繊維に対する水酸化マグネシウムの質量比が0.8未満である比較例6のリチウムイオン電池用セパレータは、高温下での形状安定性が低く、耐熱性に劣るセパレータとなった。
不織布基材に含まれる熱可塑性繊維に対する水酸化マグネシウムの質量比が2.0を超える比較例5のリチウムイオン電池用セパレータは、実施例で作製したリチウムイオン電池用セパレータに対し、高温下での形状安定性が向上する傾向は見られておらず、内部抵抗が上昇する結果となった。
不織布基材の片面のみに塗層形成した比較例7のリチウムイオン電池用セパレータは、ピンホール評価及び漏れ電流評価にて悪い結果を示した。
本発明のリチウムイオン電池用セパレータは、リチウムイオン電池用以外にも、リチウムイオンポリマー電池、リチウムイオンキャパシタ等にも利用でき、さらに、リチウム以外の金属を用いた金属イオン電池、金属イオンポリマー電池、金属イオンキャパシタ等にも利用できる。

Claims (2)

  1. 熱可塑性繊維を主体とする不織布基材の両面に水酸化マグネシウムを含む塗層が形成されてなるリチウムイオン電池用セパレータであって、不織布基材の空隙に充填された塗層の体積充填率が、不織布基材中の空隙体積に対して60〜95%であり、不織布基材に含まれる熱可塑性繊維に対する水酸化マグネシウムの質量比が0.8〜2.0であることを特徴とするリチウムイオン電池用セパレータ。
  2. 厚みが15〜20μmであることを特徴とする請求項1記載のリチウムイオン電池用セパレータ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN117783893A (zh) * 2023-12-28 2024-03-29 江苏万锂达智能科技有限公司 一种锂电池储能监控系统及方法

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