[0039] 実施形態を詳細に説明する前に、実施形態を実施することができる例示的な環境を提示することが有用であろう。
[0040] 図1は、リソグラフィ装置LAを概略的に示す。この装置は、
[0041] 放射ビームB(例えばUV放射又はDUV放射)を調節するように構成された照明システム(イルミネータ)ILと、
[0042] パターニングデバイス(例えばマスク)MAを支持するように構築され、特定のパラメータに従ってパターニングデバイスを正確に位置決めするように構成された第1のポジショナPMに接続された支持構造(例えばマスクテーブル)MTと、
[0043] 基板(例えばレジストコートウェーハ)Wを保持するように構成され、特定のパラメータに従って基板を正確に位置決めするように構成された第2のポジショナPWに接続された基板テーブル(例えばウェーハテーブル)WTと、
[0044] パターニングデバイスMAによって放射ビームBに与えられたパターンを基板Wのターゲット部分C(例えば1つ以上のダイを含む)に投影するように構成された投影システム(例えば屈折投影レンズシステム)PSであって、基準フレーム(RF)上に支持された投影システムと、
を含む。
[0045] 照明システムは、放射を誘導し、整形し、又は制御するための、屈折型、反射型、磁気型、電磁型、静電型、又はその他のタイプの光学コンポーネント、あるいはそれらの任意の組み合わせなどの様々なタイプの光学コンポーネントを含むことができる。
[0046] 支持構造は、パターニングデバイスの方向、リソグラフィ装置の設計等の条件、例えばパターニングデバイスが真空環境に保持されているか否かに応じた方法で、パターニングデバイスを支持する。支持構造は、機械式、真空式、静電式又はその他のクランプ技術を用いて、パターニングデバイスを保持することができる。支持構造は、例えば、必要に応じて固定又は可動式にできるフレーム又はテーブルであってもよい。支持構造は、パターニングデバイスが例えば投影システムに対して確実に所望の位置に来るようにしてもよい。本明細書において「レチクル」又は「マスク」という用語を使用した場合、その用語は、より一般的な用語である「パターニングデバイス」と同義と見なすことができる。
[0047] 本明細書において使用する「パターニングデバイス」という用語は、基板のターゲット部分にパターンを付与するために使用し得る任意のデバイスを指すものとして広義に解釈されるべきである。一実施形態において、パターニングデバイスは、基板のターゲット部分にパターンを生成するために、放射ビームの断面にパターンを付与するために使用できる任意のデバイスである。ここで、放射ビームに付与されるパターンは、例えばパターンが位相シフトフィーチャ又はいわゆるアシストフィーチャを含む場合、基板のターゲット部分における所望のパターンに正確には対応しないことがある点に留意されたい。一般的に、放射ビームに付与されるパターンは、集積回路などのターゲット部分に生成されるデバイスの特定の機能層に相当する。
[0048] パターニングデバイスは透過性又は反射性でよい。パターニングデバイスの例には、マスク、プログラマブルミラーアレイ、及びプログラマブルLCDパネルがある。マスクはリソグラフィにおいて周知のものであり、これには、バイナリマスク、レベンソン型(alternating)位相シフトマスク、ハーフトーン型(attenuated)位相シフトマスクのようなマスクタイプ、更には様々なハイブリッドマスクタイプも含まれる。プログラマブルミラーアレイの一例として、小型ミラーのマトリクス配列を使用し、ミラーは各々、入射する放射ビームを異なる方向に反射するように個々に傾斜することができる。傾斜したミラーは、ミラーマトリクスによって反射する放射ビームにパターンを付与する。
[0049] 本明細書において使用する「投影システム」という用語は、例えば使用する露光放射、又は液浸液の使用や真空の使用などの他の要因に合わせて適宜、例えば屈折光学システム、反射光学システム、反射屈折光学システム、磁気光学システム、電磁気光学システム及び静電光学システム、又はその任意の組み合わせを含む任意のタイプの投影システムを網羅するものとして広義に解釈されるべきである。本明細書において「投影レンズ」という用語を使用した場合、これは更に一般的な「投影システム」という用語と同義と見なすことができる。
[0050] 投影システムPSの光学伝達関数は不均一である可能性があり、これは基板W上に結像されるパターンに影響を及ぼす場合がある。非偏光放射では、このような効果は、投影システムPSから出射する放射の透過(アポディゼーション)及び相対位相(収差)をその瞳面内の位置の関数として記述する2つのスカラーマップによって充分に記述できる。透過マップ及び相対位相マップとも称され得るこれらのスカラーマップは、完全な基底関数セットの線形結合として表現することができる。特に便利なセットは、単位円上に規定された直交多項式セットを形成するゼルニケ多項式である。各スカラーマップの決定は、このような展開における係数を決定することを含み得る。ゼルニケ多項式は単位円上で直交しているので、測定されたスカラーマップと各ゼルニケ多項式との内積を順番に計算し、これをそのゼルニケ多項式のノルムの2乗で除算することによって、ゼルニケ係数を決定することができる。
[0051] 透過マップ及び相対位相マップは、フィールド及びシステムに依存する。すなわち、一般に各投影システムPSは、各フィールドポイントで(すなわち、その像面内の各空間位置で)異なるゼルニケ展開を有する。投影システムPSの瞳面内の相対位相を決定するには、例えば、投影システムPSの対物面(すなわちパターニングデバイスMAの面)内の点状放射源から投影システムPSを介して放射を投影し、シヤリング干渉計を用いて波面(すなわち同位相のポイントの軌跡)を測定すればよい。シヤリング干渉計は共通経路干渉計であるので、有利なことに、波面を測定するために第2の基準ビームを必要としない。シヤリング干渉計は、投影システムの像面(すなわち基板テーブルWT)に、例えば2次元格子のような回折格子を含むと共に、投影システムPSの瞳面と共役な面に干渉パターンを検出するよう配置された検出器を含むことができる。干渉パターンは、シヤリング方向の瞳面内の座標に対する放射の位相の導関数に関連している。検出器は、例えば電荷結合素子(CCD)のようなセンシング要素アレイを備えることができる。
[0052] リソグラフィ装置の投影システムPSは、目に見えるフリンジを生成しない可能性があるので、例えば回折格子を移動させる等の位相ステッピング技法を用いて波面の決定の精度を向上させることができる。ステッピングは、回折格子の面内で、測定のスキャン方向に対して垂直な方向に実行できる。ステッピング範囲は1つの格子周期とすることができ、少なくとも3つの(均等に分散した)位相ステップを使用できる。このため、例えば、3回のスキャン測定をy方向で実行し、各スキャン測定をx方向の異なる位置において実行できる。回折格子のこのステッピングは、実質的に位相変動を強度変動に変換し、位相情報の決定を可能とする。検出器を較正するため、回折格子に対して垂直な方向(z方向)に格子をステッピングすることも可能である。
[0053] 投影システムPSの瞳面内の透過(アポディゼーション)を決定するには、例えば、投影システムPSの対物面(すなわちパターニングデバイスMAの面)内の点状放射源から投影システムPSを介して放射を投影し、検出器を用いて投影システムPSの瞳面と共役な面内の放射の強度を測定すればよい。収差を決定するため波面の測定に用いるのと同じ検出器を使用することができる。
[0054] 投影システムPSは、複数の光学(例えばレンズ)要素を備え、更に、収差(フィールド全体の瞳面における位相変動)を補正するようにこれらの光学要素のうち1つ以上を調整するよう構成された調整機構AMを備えることができる。これを達成するため、調整機構は、投影システムPS内の1つ以上の光学(例えばレンズ)要素を1つ以上の異なる方法で操作するように動作可能である。投影システムは、光軸がz方向に延出している座標系を有することができる。調整機構は、1つ以上の光学要素を変位させること、1つ以上の光学要素を傾斜させること、及び/又は1つ以上の光学要素を変形させることの任意の組み合わせを実行するように動作可能である。光学要素の変位は、任意の方向(x、y、z、又はそれらの組み合わせ)に行うことができる。光学要素の傾斜は典型的に、x方向及び/又はy方向の軸を中心として回転させることにより光軸に対して垂直な面外であるが、非回転対称の非球面光学要素ではz軸を中心とした回転を使用してもよい。光学要素の変形は、低周波数形状(例えば非点収差)及び/又は高周波数形状(例えば自由形状の非球面)を含み得る。光学要素の変形は、例えば、1つ以上のアクチュエータを使用して光学要素の1以上の側面に力を加えることにより、及び/又は1つ以上の加熱要素を用いて光学要素の1つ以上の選択された領域を加熱することにより実行できる。一般に、投影システムPSを調整してアポディゼーション(瞳面における透過変動)を補正することは不可能である場合がある。投影システムPSの透過マップは、リソグラフィ装置LA用のパターニングデバイス(例えばマスク)MAを設計する際に使用できる。計算機リソグラフィ技法を用いて、アポディゼーションを少なくとも部分的に補正するようにパターニングデバイスMAを設計することができる。
[0055] 本明細書で示すように、本装置は、(例えば透過マスクを使用する)透過タイプである。あるいは、装置は、(例えば上記で言及したようなタイプのプログラマブルミラーアレイを使用する、又は反射マスクを使用する)反射タイプでもよい。
[0056] リソグラフィ装置は、2つ(デュアルステージ)又はそれ以上のテーブル(例えば、2つ又はそれ以上の基板テーブルWTa、WTb、2つ又はそれ以上のパターニングデバイステーブル、基板テーブルWTaと、例えば測定の促進及び/又はクリーニング専用の基板なしの投影システム下方のテーブルWTb等)を有するタイプとすることができる。このような「マルチステージ」機械においては、追加のテーブルを並行して使用するか、又は、1つ以上の他のテーブルを露光に使用している間に1つ以上のテーブルで予備工程を実行することができる。例えば、アライメントセンサASを使用するアライメント測定、及び/又はレベルセンサLSを使用するレベル(高さや傾斜等)の測定を実行可能である。
[0057] リソグラフィ装置は、投影システムと基板との間の空間を充填するように、基板の少なくとも一部を水などの比較的高い屈折率を有する液体で覆えるタイプでもよい。液浸液は、例えばパターニングデバイスと投影システムの間など、リソグラフィ装置の他の空間に適用することもできる。液浸技術は、投影システムの開口数を増加させるために当技術分野で使用することができる。本明細書で使用する「液浸」という用語は、基板などの構造を液体に沈めなければならないという意味ではなく、露光中に投影システムと基板の間に液体が存在するというほどの意味である。
[0058] 図1を参照すると、イルミネータILは放射源SOから放射ビームを受ける。放射源とリソグラフィ装置とは、例えば放射源がエキシマレーザである場合に、別々の構成要素であってもよい。このような場合、放射源はリソグラフィ装置の一部を形成すると見なされず、放射ビームは、例えば適切な誘導ミラー及び/又はビームエクスパンダなどを備えるビームデリバリシステムBDの助けにより、放射源SOからイルミネータILへと渡される。他の事例では、例えば放射源が水銀ランプの場合は、放射源がリソグラフィ装置の一体部分であってもよい。放射源SO及びイルミネータILは、必要に応じてビームデリバリシステムBDとともに放射システムと呼ぶことができる。
[0059] イルミネータILは、放射ビームの角度強度分布を調整するように構成されたアジャスタADを備えていてもよい。通常、イルミネータの瞳面における強度分布の外側及び/又は内側半径範囲(一般にそれぞれ、σ-outer及びσ-innerと呼ばれる)を調節することができる。また、イルミネータILは、インテグレータIN及びコンデンサCOなどの他の種々のコンポーネントを備えていてもよい。イルミネータを用いて放射ビームを調節し、その断面にわたって所望の均一性と強度分布とが得られるようにしてもよい。
[0060] 放射ビームBは、支持構造(例えばマスクテーブル)MT上に保持されたパターニングデバイス(例えばマスク)MAに入射し、パターニングデバイスによってパターン形成される。パターニングデバイスMAを横断した放射ビームBは、投影システムPSを通過し、投影システムPSは、ビームを基板Wのターゲット部分C上に合焦させる。第2のポジショナPW及び位置センサIF(例えば、干渉計デバイス、リニアエンコーダ、2Dエンコーダ又は容量センサ)の助けにより、基板テーブルWTを、例えば様々なターゲット部分Cを放射ビームBの経路に位置決めするように正確に移動できる。同様に、第1のポジショナPMと別の位置センサ(図1には明示されていない)を用いて、パターニングデバイスライブラリからの機械的な取り出し後又はスキャン中などに放射ビームBの経路に対してパターニングデバイスMAを正確に位置決めできる。一般に、支持構造MTの移動は、第1のポジショナPMの部分を形成するロングストロークモジュール(粗動位置決め)及びショートストロークモジュール(微動位置決め)の助けにより実現できる。同様に、基板テーブルWTの移動は、第2のポジショナPWの部分を形成するロングストロークモジュール及びショートストロークモジュールを用いて実現できる。ステッパの場合(スキャナとは対照的に)、支持構造MTをショートストロークアクチュエータのみに接続するか、又は固定してもよい。パターニングデバイスMA及び基板Wは、マスクアライメントマークM1、M2及び基板アライメントマークP1、P2を使用して位置合わせすることができる。図示のような基板アライメントマークは、専用のターゲット部分を占有するが、ターゲット部分の間の空間に位置してもよい(スクライブラインアライメントマークとして周知である)。同様に、パターニングデバイスMA上に複数のダイを設ける状況では、マスクアライメントマークをダイ間に配置してもよい。
[0061] 図示のリソグラフィ装置は、以下のモードのうち少なくとも1つにて使用可能である。
[0062] 1.ステップモードでは、支持構造MT及び基板テーブルWTは、基本的に静止状態に維持される一方、放射ビームに付与されたパターン全体が1回でターゲット部分Cに投影される(すなわち単一静的露光)。次に、別のターゲット部分Cを露光できるように、基板テーブルWTがX方向及び/又はY方向に移動される。ステップモードでは、露光フィールドの最大サイズによって、単一静的露光で像が形成されるターゲット部分Cのサイズが制限される。
[0063] 2.スキャンモードでは、支持構造MT及び基板テーブルWTは同期的にスキャンされる一方、放射ビームに付与されるパターンがターゲット部分Cに投影される(すなわち単一動的露光)。支持構造MTに対する基板テーブルWTの速度及び方向は、投影システムPSの拡大(縮小)及び像反転特性によって求めることができる。スキャンモードでは、露光フィールドの最大サイズによって、単一動的露光におけるターゲット部分の(非スキャン方向における)幅が制限され、スキャン動作の長さによってターゲット部分の(スキャン方向における)高さが決まる。
[0064] 3.別のモードでは、支持構造MTはプログラマブルパターニングデバイスを保持して基本的に静止状態に維持され、基板テーブルWTを移動又はスキャンさせながら、放射ビームに与えられたパターンをターゲット部分Cに投影する。このモードでは、一般にパルス状放射源を使用して、基板テーブルWTを移動させる毎に、又はスキャン中に連続する放射パルスの間で、プログラマブルパターニングデバイスを必要に応じて更新する。この動作モードは、以上で言及したようなタイプのプログラマブルミラーアレイなどのプログラマブルパターニングデバイスを使用するマスクレスリソグラフィに容易に利用できる。
[0065] 上述した使用モードの組み合わせ及び/又は変形、又は全く異なる使用モードも利用できる。
[0066] 図2に示されているように、リソグラフィ装置LAは、リソセル(lithocell)又はクラスタと呼ばれることもあるリソグラフィセルLCの一部を形成し得る。リソグラフィセルLCは、基板に露光前プロセス及び露光後プロセスを実行する装置も含む。従来、これらには、1つ以上のレジスト層を堆積する1つ以上のスピンコータSC、露光されたレジストを現像する1つ以上のデベロッパDE、1つ以上の冷却プレートCH、及び/又は1つ以上のベークプレートBKが含まれる。基板ハンドラすなわちロボットROは、入出力ポートI/O1、I/O2から1つ以上の基板を取り出し、それらを様々なプロセス装置間で移動させ、リソグラフィ装置のローディングベイLBに引き渡す。これらの装置は、まとめてトラックと称されることも多く、トラック制御ユニットTCUの制御下にある。TCU自体は監視制御システムSCSによって制御される。SCSは、リソグラフィ制御ユニットLACUを介してリソグラフィ装置も制御する。従って、これら様々な装置は、スループット及び処理効率を最大化するように動作させることができる。
[0067] リソグラフィ装置によって露光される基板を正確にかつ一貫して露光するため、及び/又は少なくとも1つのパターン転写ステップ(例えば光学リソグラフィステップ)を含むパターニングプロセス(例えばデバイス製造プロセス)を監視するため、基板又は他の物体を検査して、例えばアライメント、オーバーレイ(例えば、積層されている複数の層内の構造間のもの、又は例えばダブルパターニングプロセスによって同一層内に別個に設けられたその層内の構造間のものであり得る)、ラインの太さ、クリティカルディメンション(CD)、フォーカスオフセット、材料特性等、1つ以上の特性を測定又は決定することが望ましい。従って、リソセルLCが配置されている製造設備は典型的に、リソセル内で処理された基板W又はリソセル内の他の物体のいくつか又は全てを測定するメトロロジシステムMETも含む。メトロロジシステムMETはリソセルLCの一部とすることができ、例えばリソグラフィ装置LAの一部(アライメントセンサAS等)とすればよい。
[0068] 1つ以上の測定されるパラメータは、例えば、パターン形成された基板内に又はパターン形成された基板上に形成された連続する層間のオーバーレイ、例えばパターン形成された基板内に又はパターン形成された基板上に形成されたフィーチャのクリティカルディメンション(CD)(例えば臨界線幅)、光学リソグラフィステップのフォーカス又はフォーカスエラー、光学リソグラフィステップのドーズ又はドーズエラー、光学リソグラフィステップの光学収差等を含み得る。この測定は、製品基板自体のターゲットにおいて及び/又は基板上に設けられた専用メトロロジターゲットにおいて実行することができる。測定は、レジストの現像の後かつエッチングの前に実行するか、又はエッチング後に実行することができる。
[0069] パターニングプロセスで形成された構造の測定を行うため、走査電子顕微鏡、像ベースの測定ツール、及び/又は様々な専門ツールの使用を含む様々な技法がある。上述のように、高速かつ非侵襲的な形態の専門メトロロジツールは、放射ビームを基板表面上のターゲットへ誘導し、散乱した(回折/反射した)ビームの特性を測定するものである。基板で散乱した放射の1つ以上の特性を評価することによって、基板の1つ以上の特性を決定できる。これを回折ベースのメトロロジと称することができる。この回折ベースのメトロロジの1つの適用例は、ターゲット内のフィーチャ非対称性の測定である。これは例えばオーバーレイの測度として使用できるが、他の適用例も既知である。例えば非対称性は、回折スペクトルの反対側の部分を比較する(例えば、周期格子の回折スペクトルにおける−1次と+1次を比較する)ことによって測定できる。これは上述のように、また、参照により全体が本願に含まれる米国特許出願公開US2006−066855号に記載されているように実行することができる。回折ベースのメトロロジの別の適用例は、ターゲット内のフィーチャ幅(CD)の測定である。このような技法は、以下に記載される装置及び方法を使用することができる。
[0070] 従って、デバイス製造プロセス(例えばパターニングプロセス又はリソグラフィプロセス)においては、プロセスの前、プロセスの間、又はプロセスの後に、基板又は他の物体に様々なタイプの測定が実行され得る。測定によって、特定の基板に欠陥があるか否かを決定すること、プロセス及びプロセスで使用された装置に対する調整を行うこと(例えば、基板上の2つの層を位置合わせする又は基板に対してパターニングデバイスを位置合わせすること)、プロセス及び装置の性能を測定すること、又は他の目的を達成することができる。測定の例は、光学結像(例えば光学顕微鏡)、非結像光学測定(例えばASML YieldStar、ASML SMASH GridAlign等の回折ベースの測定)、機械的測定(例えばスタイラスを用いるプロファイリング、原子間力顕微鏡(AFM))、及び/又は非光学結像(例えば走査電子顕微鏡(SEM))を含む。参照により全体が本願に含まれる米国特許第6,961,116号に記載されているSMASH(SMart Alignment Sensor Hybrid)システムは自己参照干渉計を使用し、これは、2つの重複する相対的に回転させたアライメントマーカ像を生成し、これらの像のフーリエ変換を干渉させた瞳面内で強度を検出し、干渉次における強度変動として現れる2つの像の回折次間の位相差から位置情報を抽出する。
[0071] メトロロジ結果は、直接又は間接的に監視制御システムSCSに提供される。エラーが検出された場合、(特に、検査を迅速かつ高速に実行できるのでバッチ内の1つ以上の別の基板がまだ露光されていない場合)後続基板の露光に対して、及び/又は露光済み基板の以降の露光に対して、調整を行うことができる。また、すでに露光済みの基板を、歩留まりを向上させるためにはぎ取って再加工するか、又は廃棄することによって、不良であるとわかっている基板上で更に処理を実行することを回避できる。1つの基板のいくつかのターゲット部分のみが不良である場合は、良好なターゲット部分にのみ更に露光を実行することができる。
[0072] メトロロジシステムMET内で、メトロロジ装置を用いて基板の1つ以上の特性を決定する。具体的には、様々な基板の1つ以上の特性がどのように異なっているか、又は、同一基板の様々な層が層ごとにどのように異なっているかを決定する。上述のように、メトロロジ装置は、リソグラフィ装置LAもしくはリソセルLCに一体化するか、又はスタンドアロンのデバイスとすることができる。
[0073] メトロロジを可能とするため、基板上に1つ以上のターゲットを提供することができる。一実施形態において、ターゲットは特別に設計され、周期構造を含むことができる。一実施形態において、ターゲットはデバイスパターンの一部であり、例えばデバイスパターンの周期構造である。一実施形態において、デバイスパターンはメモリデバイスの周期構造である(例えばバイポーラトランジスタ(BPT)、ビットラインコンタクト(BLC)等の構造)。
[0074] 一実施形態において、基板上のターゲットは、現像後に周期構造フィーチャが固体レジストラインで形成されるように印刷されている1つ以上の1D周期構造(例えば格子)を含むことができる。一実施形態において、ターゲットは、現像後に1つ以上の周期構造がレジスト内の固体レジストピラー(pillar)又はビアで形成されるように印刷されている1つ以上の2D周期構造(例えば格子)を含むことができる。あるいは、バー、ピラー、又はビアは、基板内に(例えば基板上の1つ以上の層内に)エッチングすることも可能である。
[0075] 一実施形態において、パターニングプロセスの対象のパラメータの1つはオーバーレイである。0次の回折(鏡面反射に対応する)が阻止され、より高い次数のみが処理される暗視野スキャトロメトリを用いて、オーバーレイを測定することができる。暗視野メトロロジの例は、PCT特許出願公開WO2009/078708号及びWO2009/106279号で見ることができる。これらは参照により全体が本願に含まれる。この技法の更に別の開発は、米国特許出願公開US2011−0027704号、US2011−0043791号、及びUS2012−0242970号に記載されている。これらは参照により全体が本願に含まれる。回折次数の暗視野検出を用いた回折ベースのオーバーレイによって、より小さいターゲットにおけるオーバーレイ測定が可能となる。これらのターゲットは照明スポットよりも小さい可能性があり、基板上の製品構造によって取り囲まれる場合がある。一実施形態では、複数のターゲットを1つの放射キャプチャで測定することができる。
[0076] 図3Aに、例えばオーバーレイを測定するため実施形態で使用するのに適したメトロロジ装置が概略的に示されている。図3Bに、ターゲットT(格子のような周期構造を含む)及び回折された光線が更に詳しく示されている。メトロロジ装置は、スタンドアロンのデバイスであってもよく、又は、リソグラフィ装置LA内で例えば測定ステーションに、もしくはリソグラフィセルLCに組み込んでもよい。装置全体を通していくつかの分岐を有する光軸が、点線Oによって表されている。この装置において、出力11(例えば、レーザもしくはキセノンランプ等の放射源、又は放射源に接続された開口)が発した放射は、プリズム15を介して、レンズ12、14及び対物レンズ16を含む光学系によって基板Wに誘導される。これらのレンズは4F配置の二重シーケンスに配置されている。基板像を検出器に与えるならば、異なるレンズ配置を使用することも可能である。
[0077] 一実施形態において、このレンズ配置は、空間周波数フィルタリングのための中間瞳面のアクセスを可能とする。従って、ここでは(共役)瞳面と称される基板面の空間スペクトルを表す面における空間強度分布を規定することによって、放射が基板に入射する角度範囲を選択できる。具体的にはこれは、例えば、レンズ12と14との間の、対物レンズ瞳面の後方投影像である面に、適切な形態のアパーチャプレート13を挿入することによって実行できる。図示する例では、アパーチャプレート13は、13N及び13Sと示されている異なる形態を有し、異なる照明モードの選択を可能とする。本例における照明システムは、オフアクシス照明モードを形成する。第1の照明モードでは、アパーチャプレート13Nが、単に記載の目的で「北(north)」と表記されている方向からオフアクシス照明を与える。第2の照明モードでは、アパーチャプレート13Sを用いて、「南(south)」と表記されている反対側の方向から同様の照明を与える。異なるアパーチャを用いることで他の照明モードも可能となる。所望の照明モードの外側における不必要な放射は所望の測定信号と干渉する可能性があるので、瞳面の残り部分は暗いことが望ましい。
[0078] 図3Bに示されているように、ターゲットTは、基板Wが対物レンズ16の光軸Oに対して実質的に垂直であるように配置されている。軸Oから外れた角度からターゲットTに入射する照明光線Iは、0次の光線(実線0)及び2つの1次光線(一点鎖線+1と二点鎖線−1)を生じる。オーバーフィルされた(overfilled)小さいターゲットTを用いる場合、これらの光線は、メトロロジターゲットT及び他のフィーチャを含む基板のエリアをカバーする多くの平行光線のうちの1つに過ぎない。プレート13のアパーチャは、(有用な放射量を入射させるために必要な)有限幅を有するので、入射光線Iは実際にはある角度範囲を有し、回折光線0及び+1/−1はやや広がる。小さいターゲットの点像分布関数に従うと、各次数+1及び−1は、図示されているように単一の理想的な光線ではなく、ある角度範囲に更に広がる。周期構造ピッチ及び照明角度は、対物レンズに入射する1次光線が中心光軸と密接に位置合わせされるように設計又は調整できることに留意すべきである。図3A及び図3Bに示されている光線は、単に図において容易に区別できるようにするため、多少オフアクシスに示されている。基板W上のターゲットにより回折された少なくとも0次及び+1次は、対物レンズ16によって集光され、プリズム15を介して後方に誘導される。
[0079] 図3Aに戻ると、第1及び第2の照明モードの双方は、北(N)及び南(S)と表記されている直径方向反対側のアパーチャを指定することによって示される。入射光線Iが光軸の北側からである場合、すなわちアパーチャプレート13Nを用いて第1の照明モードが適用される場合、+1(N)と示されている+1回折光線が対物レンズ16に入射する。これに対して、アパーチャプレート13Sを用いて第2の照明モードが適用される場合、レンズ16に入射するのは、−1回折光線(−1(S)と示されている)である。従って一実施形態においては、特定の条件下で、例えばターゲットを回転させた後、又は照明モードを変更した後、又は結像モードを変更した後、ターゲットを2回測定して−1次及び+1次の回折次の強度を別個に取得することにより、測定結果が得られる。所与のターゲットでこれらの強度を比較することで、ターゲットにおける非対称性の測定を行う。ターゲットにおける非対称性は、例えばオーバーレイのようなリソグラフィプロセスのパラメータのインジケータとして使用できる。上述の状況では、照明モードが変更される。
[0080] ビームスプリッタ17は、回折ビームを2つの測定分岐に分割する。第1の測定分岐において、光学系18は、0次及び1次の回折ビームを用いて、第1のセンサ19(例えばCCD又はCMOSセンサ)上にターゲットの回折スペクトル(瞳面像)を形成する。各回折次数はセンサ上の異なるポイントに入射するので、画像処理によって次数を比較対照することができる。センサ19によりキャプチャされた瞳面像は、メトロロジ装置を合焦するため及び/又は強度測定を規格化するために使用できる。瞳面像は、以下で更に記載するように、再構築のような他の測定目的のためにも使用できる。
[0081] 第2の測定分岐において、光学系20、22は、センサ23(例えばCCD又はCMOSセンサ)上に、基板Wのターゲットの像を形成する。第2の測定分岐では、対物レンズ16の瞳面と共役な面内に開口絞り21が提供されている。開口絞り21は、センサ23で形成されるターゲットの像が−1又は+1の1次ビームから形成されるように、0次回折ビームを阻止するよう機能する。センサ19及び23によって測定された像に関するデータは、プロセッサ及びコントローラPUに出力される。プロセッサ及びコントローラPUの機能は、実行されている測定の特定のタイプに依存する。「像」という用語は広い意味で使用されることに留意すべきである。−1次及び+1次のいずれか一方のみが存在する場合、このような周期構造フィーチャ(例えば格子ライン)の像は形成されない。
[0082] 図3に示されているアパーチャプレート13及び開口絞り21の特定の形態は単なる例である。別の実施形態では、ターゲットのオンアクシス照明を用いると共に、オフアクシスアパーチャを有する開口絞りを用いて、実質的に1つのみの1次回折放射をセンサに送出する。更に別の実施形態では、1次ビームの代わりに又は1次ビームに加えて、2次、3次、及び更に高次のビーム(図3には示されていない)を測定に使用することができる。
[0083] これらの異なるタイプの測定に照明を適合できるようにするため、アパーチャプレート13は、ディスクの周囲部に形成されたいくつかのアパーチャパターンを含むことができる。このディスクは回転して所望のパターンを所定位置に持っていく。アパーチャプレート13N又は13Sは、1方向(セットアップに応じてX又はY)に配向されたターゲットの周期構造を測定するため用いられることに留意すべきである。直交周期構造を測定するためには、90度から270度までのターゲットの回転を実施すればよい。図3C及び図3Dに異なるアパーチャプレートが示されている。図3Cは、2つの別のタイプのオフアクシス照明モードを示している。図3Cの第1の照明モードでは、アパーチャプレート13Eが、単に記載のために前述の「北」に対して「東(east)」と表記されている方向からオフアクシス照明を与える。図3Cの第2の照明モードでは、アパーチャプレート13Wを用いて、「西(west)」と表記されている反対側の方向から同様の照明を与える。図3Dは、2つの更に別のタイプのオフアクシス照明モードを示している。図3Dの第1の照明モードでは、アパーチャプレート13NWが、前述のように「北」及び「西」と表記されている方向からオフアクシス照明を与える。第2の照明モードでは、アパーチャプレート13SEを用いて、前述のように「南」及び「東」と表記されている反対側の方向から同様の照明を与える。これらの使用と、装置の他の多くの変形及び適用例は、例えば、先に言及した以前公開された特許出願公開公報に記載されている。
[0084] 図4は、基板上に形成された例示的な複合メトロロジターゲットTを示している。複合ターゲットは、密接に配置された4つの周期構造(この場合は格子)32、33、34、35を含む。一実施形態において、周期構造レイアウトは測定スポットよりも小さい可能性がある(すなわち、周期構造レイアウトはオーバーフィルされる)。このため一実施形態において、周期構造は、メトロロジ装置の照明ビームによって形成される測定スポット31内に全てが収まるように充分に密接配置される。その場合、4つの周期構造は全て同時に照明されると共に同時にセンサ19及び23上に結像される。オーバーレイ測定に専用の例では、周期構造32、33、34、35自体は、周期構造を積層することによって形成された複合周期構造(例えば複合格子)である。すなわち、これらの周期構造は、基板W上に形成されたデバイスの異なる層内に、1つの層内の少なくとも1つの周期構造が別の層内の少なくとも1つの周期構造の上に重なるようにパターニングされている。このようなターゲットは、20μm×20μm内、又は16μm×16μm内の外側寸法を有し得る。更に、これらの周期構造の全てを用いて、特定の1対の層のオーバーレイを測定する。ターゲットによって2対以上の層の測定を容易に行うには、複合周期構造の異なる部分が形成されている異なる層間のオーバーレイの測定を容易にするため、周期構造32、33、34、35が、異なるバイアスのオーバーレイオフセットを有すればよい。このように、基板上のターゲットの全ての周期構造を用いてある対の層を測定し、基板上の同じターゲットの別のものの全ての周期構造を用いて別の対の層を測定する。この場合、異なるバイアスによってこれらの対の層の区別が容易になる。
[0085] 図4に戻ると、周期構造32、33、34、35は、X方向及びY方向で入射した放射を回折するように、図示のような異なる配向とすることができる。一例において、周期構造32及び34は、それぞれ+d、−dのバイアスを有するX方向の周期構造である。周期構造33及び35は、それぞれ+d、−dのバイアスを有するY方向の周期構造とすればよい。4つの周期構造が図示されているが、別の実施形態は、所望の精度を得るためにより大きいマトリックスを含み得る。例えば、3×3アレイの合計9個から成る複合周期構造が、−4d、−3d、−2d、−d、0、+d、+2d、+3d、+4dのバイアスを有してもよい。これらの周期構造による別個の像を、センサ23でキャプチャされた像内で識別することができる。
[0086] 図5は、図3の装置において図4のターゲットを用い、図3Dのアパーチャプレート13NW又は13SEを用いて、センサ23で形成し検出することができる像の一例を示している。センサ19は異なる個々の周期構造32〜35を分解できないが、センサ23はこれらを分解できる。暗い色の矩形はセンサ上の像のフィールドを表し、この中で、基板上の照明スポット31が、対応する円形エリア41に結像される。この中の矩形エリア42〜45は、周期構造32〜35の像を表している。ターゲットは、スクライブレーン内の代わりに又はスクライブレーン内に加えて、デバイス製品フィーチャ間に位置決めすることができる。周期構造がデバイス製品エリア内に配置されている場合、この像フィールドの外周にデバイスフィーチャも見える可能性がある。プロセッサ及びコントローラPUは、パターン認識を用いてこれらの像を処理して、周期構造32〜35の別個の像42〜45を識別する。このように、これらの像はセンサフレーム内の固有の位置で極めて精密に位置合わせする必要はない。これにより、全体として測定装置のスループットは大幅に向上する。
[0087] 周期構造の別個の像が一度識別されたら、例えば識別したエリア内の選択された画素強度値を平均すること又は合計することによって、これら個々の像の強度を測定できる。像の強度及び/又は他の特性を相互に比較することができる。これらの結果を組み合わせて、リソグラフィプロセスの様々なパラメータを測定できる。オーバーレイ精度はそのようなパラメータの一例である。
[0088] 一実施形態において、パターニングプロセスの対象のパラメータの1つはフィーチャ幅(例えばCD)である。図6は、フィーチャ幅の決定を可能とする極めて概略的な一例のメトロロジ装置(例えばスキャトロメータ)を示している。これは、基板Wへ放射を投影する広帯域(白色光)放射プロジェクタ2を備えている。方向転換された放射はスペクトロメータ検出器4に送られる。スペクトロメータ検出器4は、例えば左下のグラフに示すように、鏡面反射した放射のスペクトル10(波長の関数としての強度)を測定する。このデータから、検出されたスペクトルを生じさせる構造又はプロファイルを、プロセッサPUにより、例えば厳密結合波解析及び非線形回帰によって、又はシミュレーションされたスペクトルのライブラリとの比較によって、図6の右下に示すように再構築することができる。一般に、この再構築では、構造の概略的な形態は既知であり、構造が作製されたプロセスの知識からいくつかの変数が推定されるので、測定データから決定すべき構造の変数は少数だけである。このようなメトロロジ装置は、法線入射メトロロジ装置又は斜め入射メトロロジ装置として構成することができる。更に、再構築によるパラメータの測定に加えて、製品及び/又はレジストパターンにおけるフィーチャの非対称性の測定においては角度分解スキャトロメトリが有用である。非対称性測定の具体的な適用例はオーバーレイ測定であり、この場合のターゲットは、相互に重畳された周期構造セットを含む。このような非対称性測定の概念は、例えば米国特許出願公開US2006−066855号に記載されている。これは参照により全体が本願に含まれる。
[0089] 図7は、本明細書に開示される本発明の実施形態で使用するのに適したメトロロジ装置100の一例を示している。このタイプのメトロロジ装置の動作原理は、米国特許出願US2006−033921号及びUS2010−201963号に更に詳しく説明されている。これらは参照により全体が本願に含まれる。装置全体を通していくつかの分岐を有する光軸が、点線Oによって表されている。この装置において、放射源110(例えばキセノンランプ)が発した放射は、光学系によって基板Wへ誘導される。光学系は、レンズシステム120、アパーチャプレート130、レンズシステム140、部分反射面150、及び対物レンズ160を含む。一実施形態において、これらのレンズシステム120、140、160は、4F配置の二重シーケンスに配置されている。一実施形態において、放射源110が発した放射はレンズシステム120を用いてコリメートされる。所望の場合、異なるレンズ配置を使用することも可能である。基板面の空間スペクトルを表す面における空間強度分布を規定することによって、放射が基板に入射する角度範囲を選択できる。具体的にはこれは、例えば、レンズ120と140との間の、対物レンズ瞳面の後方投影像である面に、適切な形態のアパーチャプレート130を挿入することによって実行できる。異なるアパーチャを用いることによって、異なる強度分布(例えば輪帯(annular)、ダイポール等)が可能となる。半径方向及び周辺方向の照明の角度分布、並びに、放射の波長、偏光、及び/又はコヒーレンス等の特性を調整して、所望の結果を得ることができる。例えば、放射源110と部分反射面150との間に1つ以上の干渉フィルタ130(図9を参照のこと)を提供して、例えば400〜900nm、又は200〜300nmのようなより低い範囲内の対象波長を選択することができる。干渉フィルタは、様々なフィルタのセットを含むのではなく、調節可能なものとすればよい。干渉フィルタの代わりに格子を使用してもよい。一実施形態では、放射源110と部分反射面150との間に1つ以上の偏光子170(図9を参照のこと)を提供して、対象の偏光を選択することができる。偏光子は、様々な偏光子のセットを含むのではなく、調節可能なものとすればよい。
[0090] 図7に示されているように、ターゲットTは、基板Wが対物レンズ160の光軸Oに対して垂直であるように配置されている。従って、放射源110からの放射は、部分反射面150によって反射され、対物レンズ160を介して基板W上のターゲットTの照明スポットS(図8を参照のこと)に合焦される。一実施形態において、対物レンズ160は、望ましくは少なくとも0.9又は少なくとも0.95という大きい開口数(NA)を有する。液浸メトロロジ装置(水のような比較的屈折率の高い流体を用いる)は、1を超える開口数を有し得る。
[0091] 軸Oから外れた角度から照明スポットに合焦された照明光線170、172は、回折光線174、176を生じる。これらの光線は、ターゲットTを含む基板エリアをカバーする多くの平行光線のうちの1つに過ぎないことに留意すべきである。照明スポット内の各要素はメトロロジ装置の視野内にある。プレート130のアパーチャは、(有用な放射量を入射させるのに必要な)有限幅を有するので、入射光線170、172は実際にはある角度範囲を有し、回折光線174、176はやや広がる。小さいターゲットの点像分布関数に従うと、各回折次数は、図示されているように単一の理想的な光線ではなく、ある角度範囲に更に広がる。
[0092] 基板W上のターゲットにより回折された少なくとも0次は、対物レンズ160によって集光され、部分反射面150を介して後方に誘導される。光学要素180は、回折ビームの少なくとも一部を光学系182に与える。光学系182は、0次及び/又は1次回折ビームを用いて、センサ190(例えばCCD又はCMOSセンサ)上に、ターゲットTの回折スペクトル(瞳面像)を形成する。一実施形態では、センサ190に特定の回折次数が与えられるように、いくつかの回折次数を除去するためアパーチャ186が提供されている。一実施形態では、アパーチャ186によって、実質的に又は主として0次放射のみをセンサ190に送出することができる。一実施形態において、センサ190は、基板ターゲットTの2次元角散乱スペクトルを測定できるように2次元検出器とすることができる。センサ190は、例えばCCD又はCMOSセンサアレイとすればよく、例えば1フレーム当たり40ミリ秒の積分時間を使用できる。センサ190を用いて、方向転換された放射の強度を単一の波長(又は狭い波長範囲)で測定するか、複数の波長で別個に強度を測定するか、又はある波長範囲にわたって積分された強度を測定できる。更に、センサを用いて、TM(transverse magnetic)偏光及び/又はTE(transverse electric)偏光の放射強度、及び/又はTM偏光放射とTE偏光放射との位相差を別個に測定できる。
[0093] 任意選択的に、光学要素180は、回折ビームの少なくとも一部を測定分岐200に与えて、センサ230(例えばCCD又はCMOSセンサ)上に、基板W上のターゲットの像を形成する。測定分岐200は、メトロロジ装置の合焦(すなわち、基板Wを対物系160と合焦させる)のような様々な補助的機能、及び/又は導入部で言及したタイプの暗視野結像のために使用できる。
[0094] 様々な大きさ及び形状の格子に対してカスタマイズされた視野を与えるため、放射源110から対物レンズ160までの経路上でレンズシステム140内に調整可能フィールド絞り300が提供されている。フィールド絞り300はアパーチャ302を含み、ターゲットTの面と共役な面内に位置付けられているので、照明スポットはアパーチャ302の像になる。像は拡大係数に従ってスケーリングされるか、又はアパーチャと照明スポットは1:1の大きさの関係であり得る。異なるタイプの測定に照明を適合できるようにするため、アパーチャプレート300は、ディスクの周囲部に形成されたいくつかのアパーチャパターンを含むことができる。このディスクは回転して所望のパターンを所定位置に持っていく。この代わりに又はこれに加えて、プレート300のセットを提供し、これらを交換することで同じ効果を達成することも可能である。これに加えて又はこの代わりに、変形可能ミラーアレイ又は透過型空間光変調器のようなプログラマブルアパーチャデバイスを用いることも可能である。
[0095] 典型的に、ターゲットは、その周期構造フィーチャがY軸と平行に又はX軸と平行に延出するように位置合わせされる。回折挙動に関して、Y軸と平行な方向に延出するフィーチャを有する周期構造はX方向に周期性を有し、X軸と平行な方向に延出するフィーチャを有する周期構造はY方向に周期性を有する。双方の方向で性能を測定するため、双方のタイプのフィーチャが提供されるのが一般的である。簡略化のためライン及び空間に言及しているが、周期構造をライン及び空間で形成する必要はない。更に、各ライン及び/又はライン間の空間は、より小さいサブ構造で形成された構造であってもよい。更に、例えば周期構造がポスト及び/又はビアホールを含む場合、周期構造は同時に2つの次元の周期性を有するように形成され得る。
[0096] 図8は、典型的なターゲットTの平面図を示すと共に、図7の装置における照明スポットSの範囲を示している。周囲の構造からの干渉のない回折スペクトルを得るため、一実施形態におけるターゲットTは、照明スポットSの幅(例えば直径)よりも大きい周期構造(例えば格子)である。スポットSの幅はターゲットの幅及び長さよりも小さくすることができる。言い換えると、ターゲットは照明によって「アンダーフィル(underfilled)」される。回折信号には、ターゲット自体の外側の製品フィーチャ等からの信号が実質的に存在しない。これにより、ターゲットを無限と見なせるので、ターゲットの数学的再構築が簡略化する。
[0097] 図9は、メトロロジを用いて得られた測定データに基づいてターゲットパターン30’の1つ以上の対象の変数の値を決定する例示的なプロセスを概略的に示している。検出器190によって検出された放射は、ターゲット30’の測定放射分布108を与える。
[0098] 所与のターゲット30’について、パラメータ化数学モデル206から、例えば数値的なマクスウェルソルバ(numerical Maxwell solver)210を用いて、放射分布208を計算/シミュレーションすることができる。パラメータ化数学モデル206は、ターゲットを構成すると共にターゲットに関連付けられた様々な材料の例示的な層を示している。パラメータ化数学モデル206は、様々に変動し得ると共に導出することができる、検討対象のターゲット部分のフィーチャ及び層についての変数の1つ以上を含むことができる。図9に示されているように、変数の1つ以上は、1つ以上の層の厚さt、1つ以上のフィーチャの幅w(例えばCD)、1つ以上のフィーチャの高さh、1つ以上のフィーチャの側壁角度α、及び/又はフィーチャ間の相対位置(本明細書ではオーバーレイと見なされる)を含み得る。図示されていないが、変数の1つ以上は更に、限定ではないが、層の1つ以上の屈折率(例えば実屈折率又は複素屈折率、屈折率テンソル等)、1つ以上の層の消衰係数(extinction coefficient)、1つ以上の層の吸収、現像中のレジスト損失、1つ以上のフィーチャの基礎部分(footing)、及び/又は1つ以上のフィーチャのラインエッジラフネスも含み得る。1D周期構造又は2D周期構造の、例えば幅、長さ、形状のような1つ以上のパラメータの1つ以上の値、又は3Dプロファイル特性の値を、パターニングプロセス及び/又は他の測定プロセスの知識から再構築プロセスに入力することができる。例えば、変数の初期値は、測定されているターゲットのCDやピッチ等の値のような1つ以上のパラメータの予想値とすることができる。
[0099] 場合によっては、1つのターゲットを単位セルの複数のインスタンスに分割することができる。その場合、ターゲットの放射分布の算出を容易にするため、モデル206は、ターゲットの構造の単位セルを用いて計算/シミュレーションを行うように設計することができる。単位セルは全ターゲットにわたってインスタンスとして繰り返される。従ってモデル206は、ターゲットの放射分布を決定するために、1つの単位セルを用いて計算を行い、その結果をコピーして、適切な境界条件を用いてターゲット全体に適合させることができる。
[0100] 再構築の時点で放射分布208を計算することに加えて又はその代わりに、検討対象のターゲット部分の変数の複数の変動に対して複数の放射分布208を予め計算しておき、再構築の時点で使用される放射分布のライブラリを生成することも可能である。
[0101] 次いで212において、測定放射分布108を、(例えば、その時点の近くで計算されたか又はライブラリから取得された)計算放射分布208と比較して、これら2つの差を決定する。差がある場合、パラメータ化数学モデル206の変数の1つ以上の値を変化させ、新たな計算放射分布208を取得し(例えば計算するか又はライブラリから取得する)、測定放射分布108と比較することができる。これを、測定放射分布108と放射分布208との間に充分な一致が見出されるまで行う。一致が見出された時、パラメータ化数学モデル206の変数の値は、実際のターゲット30’のジオメトリと良好な又は最良の一致を与える。一実施形態では、測定放射分布108と計算放射分布208との差が公差閾値内である場合に充分な一致がある。
[0102] 一実施形態において、パターニングプロセスの対象のパラメータの1つは、(例えば基板とパターニングデバイスとの)アライメントである。このため、上述したように、基板(及び/又は基板テーブル及び/又はパターニングデバイス)に1つ以上のアライメントターゲットを提供して基板上に基準位置を与えることができ、リソグラフィ装置にアライメントシステムを提供して1つ以上のアライメントターゲットのアライメント位置を測定する。1つ以上のアライメントターゲットのアライメント位置を測定することにより、原理上、基板上の1つ以上のポイントの位置を予測できる。例えば、以前露光したターゲット部分の位置を計算し、この以前露光したターゲット部分の上で後続のターゲット部分を露光するようにリソグラフィ装置を制御することができる。
[0103] 通常、基板上のアライメントターゲットは1つ以上の回折格子を含む。リソグラフィ装置のアライメントシステムは、1つ以上の格子の方へ放射を発する放射源と、1つ以上の格子からの回折放射を検出する検出器と、を有するアライメントセンサシステムを含む。この回折放射は例えば、1つ以上の格子の位置を決定するため使用される1次、2次、3次、及び/又はより高次で回折された放射である。
[0104] また、ここまでインスペクション装置の例を記載してきた(ほとんどはスキャトロメトリの原理で動作する)が、アライメント装置は、放射源からターゲット(例えばアライメント格子)へ放射を提供し、検出器を用いてターゲットから方向転換した(例えば回折された)放射部分を検出し、検出した放射を解析して2つ以上の物体(例えば基板とパターニングデバイス)間のアライメントを決定する同様の原理で動作する。
[0105] 図10は、例示的なアライメントシステム1000を示す概略図である。アライメントシステム1000は、レーザ等のコヒーレント照明源1004を含み、これは電磁放射1006をプリズム1008に提供する。電磁放射の少なくとも一部は、界面1010で反射されて、基板Wや基板テーブルWT等に配置することができるアライメントターゲット1012(例えばアライメントマーク)を照明する。アライメントターゲット1012は180度の対称性を有し得る。180度の対称性とは、アライメントターゲット1012がアライメントターゲット1012の面に垂直な対称軸を中心として180度回転した場合、このアライメントターゲットが回転していないアライメントターゲットと実質的に同一であることを意味する。これが当てはまる軸を対称軸と呼ぶ。一実施形態において、アライメントターゲット1012は基板W上の放射感応性フィルムに配置されている。
[0106] 一実施形態では、アライメントターゲット1012と放射ビームとの間に、(例えば基板テーブルWTを移動させることによって)矢印1014で示される方向の相対運動が与えられる。アライメントターゲット1012によって方向転換された電磁放射は、プリズム1008を通過し、像回転干渉計1016によって集光される。良好な品質の像を形成する必要はないが、アライメントターゲットのフィーチャを分解しなければならないことは認められよう。像回転干渉計1016は任意の適切な光学要素のセットとすればよく、一実施形態ではプリズムの組み合わせであり、これは、アライメントターゲットの2つの像を形成し、これらの像のうち一方を他方に対して180度回転させ、次いでこれら2つの像を干渉により再結合することで、アライメントターゲット1012と位置合わせされた場合に電磁放射が偏光又は振幅のいずれかで強め合うように(constructively)又は弱め合うように(destructively)干渉してアライメントターゲット1012の中心を容易に検出できるようになっている。干渉計1016によって確定された回転の中心を通る光線は、センサアライメント軸1018を規定する。
[0107] 検出器1020は、像回転干渉計1016から電磁放射を受光する。次いで、検出器1020は1つ以上の信号を信号解析器1022に提供する。信号解析器1022は、基板テーブルWT又はその位置センサIFに結合されており、アライメントターゲット1012の中心が決定された場合に基板テーブルWTの位置がわかるようになっている。従って、アライメントターゲット1012の位置は基板テーブルWTに対して正確にわかる。あるいは、アライメントターゲット1012の中心がアライメントセンサ1000に対してわかるようにアライメントセンサ1000の位置を知ることができる。結果として、アライメントターゲット1012の中心の正確な位置が基準位置に対してわかる。
[0108] 一実施形態において、照明源1004は4色レーザモジュールアセンブリ(LMA:laser module assembly)及び偏光マルチプレクサ(PMUX:polarized multiplexer)を含む。LMAは、4つの別個のレーザビームを発生するように構成されている。例えばLMAは、532nmの緑色波長の放射ビーム、633nmの赤色波長の放射ビーム、780nmの近赤外波長の放射ビーム、及び850nmの遠赤外波長の放射ビームを発生することができる。偏光マルチプレクサは、LMAによって発生した4つのレーザビームを、アライメントシステム1000の照明源として機能する単一の偏光ビームに多重化するように構成されている。認められるように、これより多いか又は少ない数の波長を生成することも可能である。
[0109] 一実施形態において、ターゲットの測定精度及び/又は感度は、ターゲット上に提供される放射ビームの1つ以上の特性に対して変動し得る。この1つ以上の特性は例えば、放射ビームの波長、放射ビームの偏光、放射ビームの位相、放射ビームの強度分布(すなわち角度又は空間強度分布)、基板上の放射ビームの入射角度等である。このため、例えばターゲットの良好な測定精度及び/又は感度が望ましく得られる特定の測定戦略を選択することができる。
[0110] 測定を可能とするため、測定システムを用いた測定の1つ以上のパラメータを規定する測定レシピを使用することができる。一実施形態において、「測定レシピ」という用語は、測定自体の1つ以上のパラメータ、測定されるパターンの1つ以上のパラメータ、又はそれら双方を含む。例えば、測定レシピにおいて使用される測定が回折ベースの光学測定である場合、測定自体の1つ以上のパラメータは、測定放射の波長、測定放射の偏光、測定放射の位相、測定放射の基板に対する入射角度、及び/又は回折された測定放射の基板上のパターンに対する相対的な配向を含み得る。測定自体の1つ以上のパラメータは、測定に使用されるメトロロジ装置の1つ以上のパラメータを含み得る。測定されるパターンは、その回折が測定されるパターンとすることができる。測定されるパターンは、測定の目的のために特別に設計又は選択されるパターンとすることができる(「ターゲット」又は「ターゲット構造」としても知られる)。ターゲットの複数のコピーを基板上の多くの場所に配置できる。測定レシピを用いて、結像されるパターンの層を基板上の既存のパターンに対して位置合わせすることができる。測定レシピを用いて、基板の相対位置を測定することにより、基板に対してパターニングデバイスを位置合わせすることができる。測定レシピが、測定されるパターンの1つ以上のパラメータを含む場合、測定されるパターンの1つ以上のパラメータは、パターンの識別(例えばパターンを別のパターンから区別する)、及び/又はパターンの少なくとも一部の形状、及び/又はパターンの少なくとも一部の配向、及び/又はパターンの少なくとも一部のピッチ(例えば周期構造のピッチであり、下方周期構造の上にある層内の上方周期構造のピッチ及び/又は下方周期構造のピッチを含む)、及び/又はパターンの少なくとも一部の大きさ(例えばCD)(例えば周期構造のフィーチャのCDであり、上方周期構造及び/又は下方周期構造のフィーチャを含む)、及び/又はパターンの少なくとも一部の材料特性(例えば屈折率、消衰係数、材料タイプ等)、及び/又はパターンのフィーチャのセグメント化(例えば、周期構造のフィーチャのサブ構造への分割)を含み得る。
[0111] 測定レシピは、(r1,r2,r3,・・・rn、t1,t2,t3,・・・tm)のような形態で表現することができる。ここで、riは測定の1つ以上のパラメータであり、tjは測定される1つ以上のパターンの1つ以上のパラメータである。認められるように、n及びmは1であり得る。更に、測定レシピは、測定の1つ以上のパラメータ及び測定される1つ以上のパターンの1つ以上のパラメータの双方を有する必要はなく、測定の1つ以上のパラメータだけを有するか、又は測定される1つ以上のパターンの1つ以上のパラメータだけを有する可能性がある。
[0112] ここで、実際のパターニングプロセス(例えばデバイス製造業者によって実行される)は、基板上に様々な材料の層(スタックとも称される)を堆積する多様な処理技法を含み得る。これらのプロセス層は、パターニングプロセスのライフサイクル全体を通して様々なシステム及びステージにおいて放射と相互作用する。例えば、アライメントセンサ、レベルセンサ、露光投影システム(例えば露光放射)、オーバーレイやCD等の検査メトロロジ装置等からの放射は、基板が露光/測定される場合に基板上の様々な層と相互作用する可能性がある。
[0113] 様々な屈折率、消衰係数、層の厚さ等に応じて、これらのシステムは入射放射に対する多様な応答を有し得る。図11に、多様なスペクトル応答の例が示されている。図11は、基板上に異なる組み合わせの材料を含む7つの異なるパターニングプロセスにより生成された基板の曲線を示しており、異なる波長の放射を用いてアライメントについて測定が行われている。各曲線は、7つの異なるパターニングプロセスのうち1つからの基板を表す。横軸は、基板上のマークを測定するため使用されるアライメント測定ビーム(500nmから900nm)の波長に対応し、縦軸は規格化1次回折強度に対応する。各曲線は、それぞれ異なるパターニングプロセスによる基板上の同一タイプのマークについて決定されている。これらの曲線はスイング曲線(swing curve)の例である。より一般的には、本明細書において言及されるスイング曲線は、光学応答特性(例えば強度、回折効率等)と、光学応答特性を生成するため使用される放射の特性(例えば波長、偏光、位相、入射角等)との関係を記述する。また、スイング曲線はグラフで表現する必要はなく、スイング曲線という用語は、単にデータで表現された関係を包含する。このため、スイング曲線は単にデータとして表現されるか、グラフで表現されるか、又はそれら双方とすることができる。
[0114] 図11は、異なるパターニングプロセス間で様々な性質のスペクトルが存在し得ることを示している。特定のパターニングプロセスの基板では波長の小さい変化に対して強度が顕著に変化し得ること、及び、特定のパターニングプロセスの基板ではある波長範囲にわたって強度がかなり広い範囲の値を有し得ることがわかる。更に、この変動及び範囲は、異なるパターニングプロセスからの基板では大きく異なる可能性がある。また、曲線のいくつかでは、応答において実質的にピーク又は不連続点が存在し得るが、他の曲線ではこれらは存在しない。
[0115] 更に、図12で示されているように、スペクトル応答曲線は、基板上の層の厚さの小さい変化に対して顕著に変化し得る。図11と同様、横軸は、基板上のマークを測定するため使用されるアライメント測定ビーム(500nmから900nm)の波長に対応し、縦軸は規格化1次回折強度に対応する。図12において、各曲線は同一のパターニングプロセスからの基板に対応するが、スタックの厚さが異なる。具体的には、各曲線に対応した基板は、スタックの厚さを公称スタックから1%刻みで+/−5%まで変動させている。図12で見られるように、この例では、これらの曲線は全体的な形状は同じであるが、値の範囲が異なったり、横軸に沿ってシフトしたりする可能性がある。従って、スタックの厚さが変化すると、応答に著しい変化が生じ得る。
[0116] 認められるように、放射を使用するリソセル内の様々なコンポーネントは、パターニングプロセスの基板に対するスイング曲線の異なる部分で相互作用する。例えばアライメントセンサ(図10のツール等)は、可視又は近赤外範囲(例えば532nmまで、635nmまで、780nmまで、845nmまで)の異なる波長でプロービングを実行できる。レベルセンサは、紫外、可視、又は近赤外範囲(例えば225まで〜400nm、又は600まで〜1050nm)の異なる波長でプロービングを実行できる。オーバーレイ、CD等のメトロロジ検査ツール(図3〜図9のツールのうち1つ等)は、可視又は近赤外範囲において基板内で基板のプロービングを実行できる。露光投影システムは、紫外又は極端紫外範囲(例えば約13.5nm、約193nm、約248nm、約365nm)において基板上に露光ビームを投影できる。従って、こういった各コンポーネントの性能又はそれを使用する性能は、スタックによって異なる影響を受ける可能性がある。更に、その性能は、スタックの変化(例えばスタックの1つ以上の層の厚さのプロセス変動)に応じて変動すると共に、基板ごとに、更には基板内で、ばらつき(variations)のために変動する可能性がある。
[0117] このため、一実施形態においては、これらのコンポーネントのうち1つ以上を単純な単層スタックに対して較正することができる。しかしながら、複雑な多層プロセススタックでは精度誤差又は準最適な(suboptimal)性能が発生することがある。例えばフォトレジストの露光では、下にある各層の光学特性の差によって、露光に最適な露光量/パターンが単純な単層の場合とは変化する。測定のために放射を使用するセンサ(アライメントセンサ、レベルセンサ、オーバーレイやCD等のメトロロジシステム等)では、検出された放射のスペクトルプロファイルは、単純な単層スタックを用いて較正された照明スペクトルプロファイルとは著しく異なり、精度誤差を招く恐れがある。
[0118] 以下で、パターニングプロセスで処理された基板によって引き起こされるアライメントセンサの精度誤差の一例について説明する。アライメントセンサの機能は、アライメントマークの横方向位置を測定することである。しかしながら、例えばアライメントセンサにおける収差のために、アライメントセンサの光学要素内の様々な波長及び角度の結果として、図13に示されるように異なる位置合わせ位置が計算される。図13に、複数の異なる波長の各々について(g、r、n、fは異なる波長に対応する)、アライメントセンサの開口数の関数として、ナノメートル単位の計算された予想アライメントが縦軸に示されている。望ましくは、計算された予想アライメントは全ての開口数において各波長でゼロでなければならないが、予想アライメントは、例えば同一の開口数において異なる波長では異なる可能性があり、更に、同一の波長において異なる開口数では異なる可能性がある。従って、アライメントセンサモジュールのそのような光学収差を補正するため、基準マーク又は較正基板に対して較正を実行することができる。
[0119] しかしながら、アライメントマークから回折される検出波長又は角度が変化すると、実質的に測定は未較正状態となる。例えば図14は、特定の遠赤外測定波長を提供するために使用される10の照明源の例示的な出力強度スペクトルを示す。これらの照明源のうち1つ以上をアライメントセンサで使用して、遠赤外アライメント測定ビームを提供することができる。縦軸は任意の単位で強度を示し、横軸は照明源によって出力された波長を示す。図14に示されているように、照明源は比較的広いスペクトル帯域幅を有する。従って、この照明スペクトルを、図11に示したような特定のパターニングプロセスの基板のスペクトル応答スイング曲線と組み合わせた場合、検出されるスペクトルは照明スペクトルとは異なるものとなり、プロセス誘起の(process induced)精度誤差が生じることが直感的にわかる。
[0120] 従って、パターニングプロセスについて説明するため、例えばコンポーネント(例えばアライメントセンサ)の設計中に、及び/又は適用可能コンポーネントの性能試験のために、パターニングプロセスによって生成された基板を用いて試験を実行することができる。すなわち、プロセス誘起の精度誤差を測定できる。
[0121] このために、製品開発ライフサイクル全体を通してプロセス基板は通常、パターニングプロセス内の基板の多様なインスタンスに対してロバストな解決策を設計する必要がある。しかしながら、これらの製品基板は高価で、時間がかかり、製造が複雑である可能性がある。また、測定対象の製品基板を取得する(例えば製品基板の中間物及び/又は最終物を収集、追跡、及び輸送する)物流上の複雑さ及びコストも存在し得る。更に、知的財産保護の問題がある。例えば、製品の製造業者以外によって試験が実行される場合、製品の製造業者は、知的財産を公表する(expose)ことを恐れて、また競合者に対する競争上の優位性を維持するために、製造された中間基板又は最終基板を共有することを嫌がる可能性があり、まして材料や層厚に関する詳細事項のような製品の作製法はなおさらである。従って、この試験は典型的にパターニングプロセス開発ライフサイクルの終了時に行われ得るが、これによってパターニングプロセス開発の時間及びコストが増大し、柔軟性が低下する。
[0122] このため、一実施形態においては、コンポーネント(例えばメトロロジシステムやリソグラフィ装置の投影システム等)によって放射に露光された場合の製品基板の挙動を模倣するか又は再現する製品試験基板が提供される。従って一実施形態において、製品試験基板は、製品基板が有する課題のいくつかを識別することができる。これは、そのような課題を製品ライフサイクル中でより早く識別することによって、有用となり得る。これは、コンポーネント(例えばメトロロジシステム)のプロセス時(on-process)性能の改善にとって有用であり得る。
[0123] 図11及び図12で見られるように、プロセス効果は多くの場合、スイング曲線の勾配と相関する。従って、勾配の大きいスイング曲線は特に問題となり得る。例えば図11で見られるように、適用可能な公称作用放射波長(working radiation wavelength)における大きい勾配は問題となり得る。その理由は、公称作用放射波長から波長の比較的小さい変動があると、例えば強度において著しい変化が生じるからである。これに加えてまたこの代わりに、図12で見られるように、精度誤差は、基板スタックの変化(例えば材料組成の変化や層厚の変化等、スタック内で設計との差を発生させるプロセス変動)に起因して変化し得る。基板スタックの変化は、例えば1つ以上の層の厚さの基板内変化、及び/又は、例えば1つ以上の層の厚さの基板間(すなわち基板ごとの)変化であり得る。更に、適用可能コンポーネントのインスタンス間(例えば異なるセンサシステム間)の光学収差の変化は、同一のプロセス基板上でコンポーネントごとの精度の差を引き起こす可能性がある。
[0124] 従って、一実施形態において提供される製品試験基板では、製品試験基板の光学応答特性が、製品試験基板上の入射放射の特性の変化に対して比較的高い非ゼロ感度を有する。すなわち、光学応答特性は入射放射の特性の変化に対して少なくとも非ゼロの変化を有する。一実施形態において、製品試験基板の光学応答特性は強度及び/又は回折効率である。例えば、回折1次放射の強度又は回折効率である。一実施形態において、入射放射の特性は、放射波長、放射の入射角、放射の偏光、及び/又は放射ビームの位相である。言い換えると、製品試験基板は、ある特定値の特性の放射(例えば、放射ビームの波長、放射ビームの偏光、放射ビームの位相、放射ビームの強度分布(すなわち角度又は空間強度分布)、基板上の放射ビームの入射角等)で照明された場合、その製品試験基板の放射特性に対する光学応答特性(強度等)を示すスイング曲線上のその特性の特定値において比較的大きい勾配を実現する。一実施形態では、製品試験基板のスイング曲線の少なくとも一部は非ゼロ勾配を有する。一実施形態では、製品試験基板のスイングの少なくとも一部は非線形である。
[0125] 一実施形態において、製品試験基板は、コンポーネントによって製品試験基板上(及び製品基板上)に与えられた放射の1つ以上の公称特性(例えば波長)で比較的高い感度を有する。このため、例えば、アライメントセンサシステムは4つの公称波長で放射を与えるよう構成することができる(認められるように、アライメントセンサシステムは、これより少ないか又は多い数の波長を与えてもよい)。また、製品試験基板は、これらの波長のうち1つ以上でアライメントセンサシステムによって照明された場合、この1つ以上の波長において比較的高い感度を与えるように構成されている。むろん、複数のそのような高い感度が与えられる場合、それらが同じ値を有する必要はない。
[0126] 一実施形態において、感度はスイング曲線の勾配と考えることができる。一実施形態において、感度は単位波長当たりの強度の%変化で表現することができ、一実施形態では、0.25%/nm以上、0.5%/nm以上、0.75%/nm以上、又は1%/nm以上の値を有する。典型的な値は0.25%/nm〜1%/nmから選択できる。一実施形態において、感度は、0.25以上(例えば約14度以上)、0.5以上(例えば約25度以上)、0.75以上(例えば約36度以上)、又は1以上(例えば約45度以上)のスイング曲線勾配値とすることができる。一実施形態において、基板は角感度を有し得る。角度勾配は、単位角度(例えば単位は度)当たりの角度反射率変化(例えば単位は%)で表すことができる。一実施形態において、角度反射率は1%/度以上の値を有し、典型的な角度勾配は1%/度〜6%/度の範囲から選択された値を有し得る。一実施形態において、感度は単位勾配当たりの誤差と考えることができる(例えば1%勾配当たりの1nm収差誤差)。この文脈における感度は、単位勾配当たり0〜5nm誤差の範囲から選択できる。
[0127] 一実施形態において、製品試験基板は、比較的容易に及び/又は迅速に製造することができる。一実施形態において、製品試験基板スタックにはデバイス構造が全く存在しない。このため、基板は機密情報を含まないという利点を有することができ、従って知的財産のリスクは生じない。一実施形態において、製品試験基板スタックは、1つだけもしくはそれ以上の平面層から、又はスタック上部のパターンの下方にある1つだけもしくはそれ以上の平面層から構成されている。
[0128] 更に、上記のように、プロセス効果の根本原因の1つはプロセススイング曲線の大きい勾配から生じる。このため、製品試験基板は、対象の1つ以上の入射放射特性(例えば波長)でスイング曲線の大きい勾配を効果的に実現するよう生成することができる。一実施形態において、製品試験基板は、特定の条件セットで大きい勾配を実現するように、所望の用途向けにスイング曲線を調節するよう生成することができる。
[0129] 一実施形態において、製品試験基板は、リソセルのプロセストラックを用いて製造される。トラックを用いてプロセス試験基板を構築することの利点は、基板を生成する速度及び/又は効率である。従って、製品試験基板の一実施形態は、商用のプロセストラック上で実行することができ、トラックを有するいかなる工場も製品試験基板を作製できる。
[0130] 一実施形態において、製品試験基板はエッチングステップなしで製造される。一実施形態において、製品試験基板スタックはスピンコーティングによって生成された1つ以上の層を含み、この1つ以上の層の厚さは堆積中のスピン速度によって制御できるようになっている。
[0131] 一実施形態において、製品試験基板は、ベーク及び現像の後に架橋する1つ以上の材料を用いて製造される。一実施形態において、製品試験基板スタックは、スピンオンカーボン(SoC:spin-on-carbon)及び/又はスピンオンガラス(SoG:spin-on-glass)の1つ以上の層を含む。一実施形態において、製品試験基板スタックは1つ以上のレジストを含む。
[0132] 一実施形態において、製品試験基板は20以下の層を有する。一実施形態において、製品試験基板は4以下のプロセスステップで作成される(例えばコーティング、堆積、パターン転写、現像)。一実施形態において、製品試験基板上の測定用パターンは、約500nmより小さいフィーチャ、約800nmより小さいフィーチャ、又は約1000nmより小さいフィーチャを持たない。
[0133] 一実施形態において、製品試験基板は製品基板に比べて単純であり、従って比較的安価に生成され得る。更に、一実施形態において製品試験基板は、例えばスタックの全て又は一部をはぎ取ることによって複数回リサイクルすることができる。
[0134] 図15Aは、製品試験基板の一実施形態のスタックの概略図である。製品試験基板はベース基板1500を含み、このベース基板1500の上に複数の層が積層されている。一実施形態では、特定の材料の1つ以上の層1510が提供されている。図15Aの例では3つの層が提供されているが、単一の層又は別の数の層を提供することも可能である。一実施形態において、1つ以上の層1510はスピンオンカーボンを含む。一実施形態において、層1510の各々は75〜100nmの範囲内の厚さであり、従ってこの例における合計の厚さは225〜300nmである。
[0135] 1つ以上の層1510の上に、1つ以上の層1510の材料とは異なる特定の材料の1つ以上の層1520が積層されている。図15Aの例では2つの層が提供されているが、単一の層又は別の数の層を提供することも可能である。一実施形態において、1つ以上の層1520はスピンオンガラスを含む。一実施形態において、層1520の各々は20〜40nmの範囲内の厚さであり、従ってこの例における合計の厚さは40〜80nmである。
[0136] 一実施形態において、1つ以上の層1520の上に積層された特定の材料の1つ以上の層1530が提供されている。図15Aの例では3つの層が提供されているが、単一の層又は別の数の層を提供することも可能である。一実施形態において、1つ以上の層1530はスピンオンカーボンを含む。一実施形態において、層1530の各々は75〜100nmの範囲内の厚さであり、従ってこの例における合計の厚さは225〜300nmである。
[0137] 一実施形態において、1つ以上の層1530の上に積層された特定の材料の1つ以上の層1540が提供されている。図15Aの例では1つの層が提供されているが、別の数の層を提供することも可能である。一実施形態において、1つ以上の層1540はスピンオンガラスを含む。一実施形態において、層1540の各々は20〜40nmの範囲内の厚さであり、従ってこの例における合計の厚さは20〜40nmである。
[0138] 一実施形態では、更に別の層は提供されず、従って平坦な上面が維持され得る。このような製品試験基板は、例えばレベルセンサシステムと共に使用され得る。一実施形態では、1つ以上の層1540の上に積層されたレジスト層1550を提供することができる。一実施形態において、層1550は、100〜300nmの範囲内の厚さ又は5〜35nmの範囲内の厚さである。一実施形態において、レジスト層1550は平坦な上面を有し得る。このような製品試験基板は、例えばレベルセンサシステム及び/又はリソグラフィ装置の投影システムと共に使用され得る。例えばアライメント測定システム向けのこの実施形態では、層1550に形成されたパターン1560が提供されている。この例では、層はレジスト層であるが、異なる材料であってもよい。一実施形態において、層1500〜1540のうち1つ以上は、オーバーレイを測定できるようなパターンを含み得る。
[0139] 図15Bは、入射放射波長(nm)の関数として図15Aの製品試験基板の回折効率(%)を示す例示的なグラフ(すなわち製品試験基板のスイング曲線)である。図15Bで見られるように、製品試験基板のスイング曲線は線形でなく、実質的に線形でもない。スイング曲線は非線形である。一実施形態において、スイング曲線には、1つ以上の急激な低下(約634nm及び約840nmに示すもの等)がある。
[0140] 更に、図15Bで示されているように、スイング曲線は対象の1つ以上の波長で比較的大きい急峻な勾配を有する。このため、製品試験基板の光学応答特性は、対象の1つ以上の波長において製品試験基板上の入射放射の特性の変化に対して比較的高い感度を有する。図15Bの場合、スイング曲線は、約634nm、780nm、及び840nmの対象波長において急峻な勾配を有する。一実施形態において、対象波長は、メトロロジシステム(アライメント測定システム等)によって生成される測定波長である。
[0141] 図16Aは、製品試験基板の別の実施形態のスタックの概略図である。製品試験基板はベース基板1600を含み、このベース基板1600の上に複数の層が積層されている。一実施形態では、特定の材料の1つ以上の層1610が提供されている。図16Aの例では3つの層が提供されているが、単一の層又は別の数の層を提供することも可能である。一実施形態において、1つ以上の層1610はスピンオンカーボンを含む。一実施形態において、層1610の各々は75〜100nmの範囲内の厚さであり、従ってこの例における合計の厚さは225〜300nmである。
[0142] 1つ以上の層1610の上に、1つ以上の層1610の材料とは異なる特定の材料の1つ以上の層1620が積層されている。図16Aの例では1つの層が提供されているが、別の数の層を提供することも可能である。一実施形態において、1つ以上の層1620はスピンオンガラスを含む。一実施形態において、層1620の各々は20〜40nmの範囲内の厚さであり、従ってこの例における合計の厚さは20〜40nmである。
[0143] 一実施形態において、1つ以上の層1620の上に積層された特定の材料の1つ以上の層1630が提供されている。図16Aの例では3つの層が提供されているが、単一の層又は別の数の層を提供することも可能である。一実施形態において、1つ以上の層1630はスピンオンカーボンを含む。一実施形態において、層1630の各々は75〜100nmの範囲内の厚さであり、従ってこの例における合計の厚さは225〜300nmである。
[0144] 一実施形態では、更に別の層は提供されず、従って平坦な上面が維持され得る。このような製品試験基板は、例えばレベルセンサシステムと共に使用され得る。一実施形態では、1つ以上の層1630の上に積層されたレジスト層1640を提供することができる。一実施形態において、層1640は、100〜300nmの範囲内の厚さ又は5〜35nmの範囲内の厚さである。一実施形態において、レジスト層1640は平坦な上面を有し得る。このような製品試験基板は、例えばレベルセンサシステム及び/又はリソグラフィ装置の投影システムと共に使用され得る。例えばアライメント測定システム向けのこの実施形態では、層1640に形成されたパターン1650が提供されている。この例では、層はレジスト層であるが、異なる材料であってもよい。一実施形態において、層1600〜1630のうち1つ以上は、オーバーレイを測定できるようなパターンを含み得る。
[0145] 図16Bは、入射放射波長(nm)の関数として図16Aの製品試験基板の回折効率(%)を示す例示的なグラフ(すなわち製品試験基板のスイング曲線)である。図16Bで見られるように、製品試験基板のスイング曲線は線形でなく、実質的に線形でもない。スイング曲線は非線形である。一実施形態において、スイング曲線には、1つ以上の急激な低下(約600nm及び約795nmに示すもの等)がある。
[0146] 更に、図16Bで示されているように、スイング曲線は対象の1つ以上の波長で比較的大きい急峻な勾配を有する。このため、製品試験基板の光学応答特性は、対象の1つ以上の波長において製品試験基板上の入射放射の特性の変化に対して比較的高い感度を有する。図16Bの場合、スイング曲線は、約634nm、780nm、及び840nmの対象波長において急峻な勾配を有する。一実施形態において、対象波長は、メトロロジシステム(アライメント測定システム等)によって生成される測定波長である。図15Bと比較すると、図16Bのスイング曲線は、異なる対象波長で異なる勾配を提供することができ、このため特定の用途向けに固有の感度/勾配を提供することがわかる。例えば図16の例における製品試験基板は、図15の製品試験基板よりも、約780nmにおいて製品試験基板上の入射放射の特性の変化に対する高い感度を有する。
[0147] 図17は、製品試験基板を生成する例示的な方法1700のフローチャートである。1702では、基板ベース上に第1の材料層を提供する(例えば堆積技法、スピン(spin on)等によって堆積する)。一実施形態において、基板ベースはシリコンウェーハである。一実施形態において、第1の材料層は、例えば2〜20のサブ層のような材料の複数のサブ層を含む。
[0148] 第1のタイプの製品試験基板では、第1の材料層はカーボン含有材料を含む。一実施形態において、第1の層の材料はスピンオンカーボンを含む。一実施形態において、第1の層は複数のスピンオンカーボン層を含む。一実施形態において、第1の材料層は600nm〜1200nmの範囲から選択される。
[0149] 第2のタイプの製品試験基板では、第1の材料層は二酸化ケイ素を含む。一実施形態において、第1の層は複数のスピン二酸化ケイ素層を含む。一実施形態において、第1の材料層は300nm〜1500nmの範囲から選択される。
[0150] 1704において、第1の材料層の上に第2の材料層を提供する(例えば堆積技法、スピン等によって堆積する)。一実施形態において、第2の材料層は、例えば2〜20のサブ層のような材料の複数のサブ層を含む。
[0151] 第1のタイプの製品試験基板では、第2の材料層はガラス含有材料を含む。一実施形態において、第2の層の材料はスピンオンガラスを含む。一実施形態において、第2の層は複数のスピンオンガラス層を含む。一実施形態において、第2の材料層は10nm〜300nmの範囲から選択される。
[0152] 第2のタイプの製品試験基板では、第2の材料層は二酸化ハフニウムを含む。一実施形態において、第2の層は複数の二酸化ハフニウム層を含む。一実施形態において、第2の材料層は10nm〜300nmの範囲から選択される。
[0153] 一実施形態において、第2の層の材料は第1の層の材料とすることができ、第1の層の材料は第2の層の材料とすることができる。
[0154] 任意選択的なステップ1706では、第2の材料層の上に第3の材料層を提供する(例えば堆積技法、スピン等によって堆積する)。一実施形態において、第3の材料層は、例えば2〜20のサブ層のような材料の複数のサブ層を含む。一実施形態において、第3の材料層は第1の材料層のものと同一である。
[0155] 第1のタイプの製品試験基板では、第3の材料層は炭素含有材料を含む。一実施形態において、第3の層の材料はスピンオンカーボンを含む。一実施形態において、第3の層は複数のスピンオンカーボン層を含む。一実施形態において、第3の材料層は600nm〜1200nmの範囲から選択される。
[0156] 一実施形態において、第1の層、第2の層、及び/又は第3の層は、現像及び/又はエッチングを必要とすることなく従来のトラックシステムで生成することができる。一実施形態において、製品試験基板は、エッチング、イオンインプラント、及び/又は化学機械平坦化を用いることなく生成される。
[0157] 一実施形態において、第1の層、第2の層、及び任意選択的な第3の層は共に、比較的高い平坦性を有する層を生成する。例えば、層の平坦性は10nm以下又は5nm以下である。
[0158] 任意選択的なステップ1708では、レジスト層を提供することができる。一実施形態では、レジスト層に、例えばメトロロジマークパターンのようなパターンを提供できる。一実施形態において、パターンは、評価が行われているコンポーネントからの放射でレジストを照明することによって生成される。一実施形態において、パターンは現像済みレジストである。一実施形態において、パターンは、2つの異なる層内に積層されたパターンを有するオーバーレイメトロロジマークである。その場合、積層されているパターンは、第2の層もしくは任意選択的な第3の層に生成するか、又は第2の層もしくは任意選択的な第3の層の上方に提供された層に生成することができる。
[0159] 上述のように、層の厚さ及び/又は材料は、対象の1つ以上の波長において所望の感度を有するスイング曲線を示すように選択される。例えばスイング曲線は、例えば赤色(620まで〜680nm)及び近赤外(750まで〜900nm)帯域幅内の対象の1つ以上の特定波長において、低い1次回折効率/強度(例えば30%以下、10%以下、又は1%以下)を有する急峻さ(例えば5〜20%勾配)とすることができる。
[0160] 一実施形態では、光学シミュレーションツールを用いて、所望のプロファイルのスイング曲線を有するカスタム放射フィールドを得るように、材料(例えば材料タイプ、屈折率等)、材料の厚さ等を選択することができる。
[0161] 図18は、本明細書に記載されるような製品試験基板を使用する例示的な方法1800のフローチャートである。
[0162] 1802では、例えばリソグラフィ装置の投影システムや、メトロロジツール(例えばリソグラフィ装置のレベルセンサ、リソグラフィ装置のアライメントセンサ、リソグラフィ装置外部のメトロロジツール等)のようなコンポーネントからの放射で、本明細書に記載される製品試験基板を照明する。
[0163] 1804では、照明した製品試験基板によって方向転換された放射を検出する。検出した放射から、パラメータ値(例えば強度値、回折効率等)を決定する。
[0164] 1806では、パラメータ値を処理して、コンポーネントに関する決定を行う。例えばパラメータ値は、コンポーネントによって照明されたベア基板(bare substrate)について決定し、次いで同一のコンポーネントによって照明された製品試験基板について決定することができる。一実施形態では、パラメータ値を複数の波長でベア基板について決定して、異なる波長のパラメータ値間の差を見出すことができる。同様に、パラメータ値を複数の波長で製品試験基板について決定して、異なる波長のパラメータ値間の差を見出すことができる。次いで、ベア基板及び製品試験基板について決定した差を比較して、コンポーネントによる効果を決定することができる(更に、それに対して本明細書に記載されるようなアクションを実行することができる)。
[0165] 一実施形態では、レベルセンサを評価するため、製品試験基板と同じ高さのベア基板をレベルセンサによって照明し、次いでパラメータ値の差を用いて、レベルセンサに対する製品試験基板の効果を決定することができる(更に、それに対して本明細書記載されるようなアクションを実行することができる)。
[0166] 一実施形態では、解析されているコンポーネントによって照明した製品試験基板のスイング曲線を決定し、このスイング曲線からコンポーネントによる効果を決定することができる(例えば、理想的なコンポーネントによって照明された場合の製品試験基板のシミュレーションしたスイング曲線と比較することによって)。
[0167] 一実施形態では、複数の異なる製品試験基板をコンポーネントによって照明することができる。各製品試験基板は異なるスイング曲線を有し、これは例えば、コンポーネントによる照明を含むプロセスにおける1つ以上の変数のある特定の百分率変化を表す。次いで、測定された異なる製品試験基板を解析して、例えばプロセス中の変化に対するコンポーネントのロバスト性を査定することができる。
[0168] 一実施形態において、メトロロジツール(例えば解析ベースのオーバーレイ又はCDメトロロジツール、レベルセンサ、アライメントセンサ等)は、測定のために特定の測定放射波長(例えば4以上の動作波長)を使用することができる。このためユーザは、測定に用いる「ベストな」波長を決定したい場合がある。「ベスト」は、最も正確な(又は、少なくとも別の波長よりも正確な)結果が得られる波長や、プロセス効果に対して最もロバストな(又は少なくとも別の波長よりもプロセス効果に対してロバストな)波長等とすることができる。このため一実施形態においては、1つ以上の製品試験基板は、それぞれが試験構造を有する複数の領域を有するように生成され、これらは動作放射波長の各々に対して同様のスイング曲線の勾配又は勾配範囲(例えば0.25%/nm〜1%/nm)を有する。その範囲に対する試験構造の応答を測定することによって、ユーザは、どの放射波長が勾配範囲に対して最も感度が低い(又は少なくとも別の波長よりも感度が低い)か決定することができる。その波長は、例えばプロセス変化に対するロバスト性及び/又は精度に関して、より良好な測定結果を与えると予想できる。一実施形態において、試験構造の応答は、試験構造を用いて決定されたパラメータと、基準試験構造(例えばベア基板上の基準)について既知のパラメータとを比較することによって評価できる。この比較は、基準試験構造から既知のパラメータが生じる同一の波長を用いて行うか、又は同一の既知のパラメータを生じるはずである各波長で行うことができる。
[0169] 別の実施形態において、ユーザは、プロセス効果に対して最適なロバスト性でメトロロジ装置の設計やセットアップ等を実行したい場合がある。このため一実施形態では、製品試験基板のセット(collection)を生成することができる。これらの製品試験基板は、同様のものか、又は課題とする特性(例えば層厚の変化、測定放射波長の変化、角度変化等)を誇張したものであり、プロセス効果を軽減又は最小限に抑えると共にいっそうロバストなメトロロジ装置を生成するため、様々なメトロロジ装置の設計やセットアップ等の検討事項を修正及び試験する。
[0170] 従って、一実施形態では、メトロロジツールによって測定されるパラメータ(例えば、回折ベースのメトロロジツールによるオーバーレイ又はCD、レベルセンサツールによる高さ/配向/焦点、アライメントセンサによるアライメント/変位等)は、スイング曲線によって影響を受ける可能性がある。このため、製品試験基板を用いて、比較的単純な製品試験基板上のターゲットを測定及び比較することにより、そういったメトロロジツールによるメトロロジのロバスト性を査定することができる。
[0171] 1808では、パラメータ値に基づいてアクションを実行する。例えばアクションは、デバイス製品基板をパターニングするために使用されるパターニングプロセスを構成する(例えば、パターニングプロセスにおける装置のセッティングを変更する)ことを含み得る。別の例として、アクションは、コンポーネントのセッティングを変更することを含み得る。別の例として、アクションは、コンポーネントを使用に適していないと指定すること、又はコンポーネントの修理もしくは交換を行うことを含み得る。
[0172] 従って、本明細書で記載されるように、例えば性能試験及び/又は較正のために望ましいスイング曲線を有する革新的な製品試験基板が記載されている。更に、本明細書で記載されるように、そのような製品試験基板を構築するための革新的なプロセス、及びそのような製品試験基板を使用する方法も提供される。
[0173] 一実施形態において、方法が提供される。この方法は、コンポーネントからの放射で製品試験基板を照明することであって、製品試験基板はエッチングされたデバイスパターンを含まず、照明された場合に非ゼロ感度を生じ、非ゼロ感度は、放射の特性の変化に対する製品試験基板の光学応答特性の変化を表す、ことと、製品試験基板によって方向転換された放射の少なくとも一部を測定してパラメータ値を決定することと、パラメータ値に基づいてコンポーネントに対するアクションを実行することと、を含む。
[0174] 一実施形態において、放射の特性に対する光学応答特性の製品試験基板のスイング曲線は非線形部分を有する。一実施形態において、光学応答特性は回折効率及び/又は強度を含む。一実施形態において、特性は、放射波長、放射偏光、放射位相、及び/又は製品試験基板に対する放射の入射角を含む。一実施形態において、製品試験基板は、異なる材料による少なくとも2つの概ね平坦な層を含み、パターンを有する。一実施形態において、放射の特性は波長であり、ナノメートル単位の波長に対する百分率としての強度で表された製品試験基板のスイング曲線は、波長の対象の特定の値に対して0.25%/nm以上の勾配を有する。一実施形態において、製品試験基板は、放射の特性の対象の特定の第1の値に対する第1の非ゼロ感度と、放射の特性の対象の特定の第2の値に対する第2の非ゼロ感度と、を生じ、放射の特性の対象の第2の値は放射の特性の対象の第1の値とは異なる。一実施形態において、アクションは、デバイス製品基板のパターニングに使用されるパターニングプロセスを構成することを含む。一実施形態において、アクションは、コンポーネントのセッティングを変更すること又はコンポーネントを使用に適していないと指定することを含む。
[0175] 一実施形態において、方法が提供される。この方法は、照明された場合に非ゼロ感度を生じる製品試験基板の1つ以上の物理的特性を決定するため、放射によって照明された製品試験基板の光学応答を計算することであって、非ゼロ感度は、放射の特性の変化に対する製品試験基板の光学応答特性の変化を表す、ことと、製品試験基板を生成するため1つ以上の物理的特性を含む電子命令を生成することと、を含む。
[0176] 一実施形態において、方法は、1つ以上の物理特性を有するように製品試験基板を生成することを更に含む。一実施形態において、製品試験基板はエッチングされたデバイスパターンを含まない。一実施形態において、光学応答特性は回折効率及び/又は強度を含む。一実施形態において、特性は、放射波長、放射偏光、放射位相、及び/又は製品試験基板に対する放射の入射角を含む。一実施形態において、製品試験基板は、異なる材料による少なくとも2つの概ね平坦な層を含み、パターンを有する。一実施形態において、1つ以上の物理的特性は、製品試験基板が、放射の特性の対象の特定の第1の値に対する第1の非ゼロ感度と、放射の特性の対象の特定の第2の値に対する第2の非ゼロ感度と、を生じるようなものであり、放射の特性の対象の第2の値は放射の特性の対象の第1の値とは異なる。一実施形態において、放射の特性は波長であり、ナノメートル単位の波長に対する百分率としての強度で表された製品試験基板のスイング曲線は、波長の対象の特定の値に対して0.25%/nm以上の勾配を有する。
[0177] 一実施形態において、コンポーネントからの放射による照明のための製品試験基板が提供される。製品試験基板は、エッチングされたデバイスパターンを含まず、照明された場合に非ゼロ感度を生じ、非ゼロ感度は、放射の特性の変化に対する製品試験基板の光学応答特性の変化を表す。
[0178] 一実施形態において、製品試験基板は、異なる材料による少なくとも2つの概ね平坦な層を含み、パターンを有する。一実施形態において、放射の特性に対する光学応答特性の製品試験基板のスイング曲線は非線形部分を有する。一実施形態において、光学応答特性は回折効率及び/又は強度を含む。一実施形態において、特性は、放射波長、放射偏光、及び/又は製品試験基板に対する放射の入射角を含む。一実施形態において、製品試験基板は、放射の特性の対象の特定の第1の値に対する第1の非ゼロ感度と、放射の特性の対象の特定の第2の値に対する第2の非ゼロ感度と、を生じ、放射の特性の対象の第2の値は放射の特性の対象の第1の値とは異なる。一実施形態において、放射の特性は波長であり、ナノメートル単位の波長に対する百分率としての強度で表された製品試験基板のスイング曲線は、波長の対象の特定の値に対して0.25%/nm以上の勾配を有する。
[0179] 図19を参照すると、コンピュータシステム2100が図示されている。コンピュータシステム2100は、情報を伝達するためのバス2102又は他の通信機構、及び、情報を処理するためバス2102と結合されたプロセッサ2104(又は複数のプロセッサ2104及び2105)を含む。また、コンピュータシステム2100は、情報及びプロセッサ2104によって実行される命令を記憶するための、バス2102に結合されたランダムアクセスメモリ(RAM)又は他の動的ストレージデバイス等のメインメモリ2106も含む。メインメモリ2106は、プロセッサ2104によって実行される命令の実行中に一時変数又は他の中間情報を記憶するためにも使用され得る。コンピュータシステム2100は更に、プロセッサ2104用の静的情報及び命令を記憶するための、バス2102に結合された読み取り専用メモリ(ROM)2108又は他の静的ストレージデバイスも含む。磁気ディスク又は光ディスク等の記憶デバイス2110が、情報及び命令を記憶するために提供され、バス2102に結合されている。
[0180] コンピュータシステム2100は、バス2102を介して、コンピュータユーザに情報を表示するための陰極線管(CRT)又はフラットパネルディスプレイ又はタッチパネルディスプレイ等のディスプレイ2112に結合することができる。英数字キー及び他のキーを含む入力デバイス2114が、プロセッサ2104に情報及びコマンド選択を伝達するためバス2102に結合されている。プロセッサ2104に方向情報及びコマンド選択を伝達するため、並びにディスプレイ2112上でのカーソル移動を制御するための、別のタイプのユーザ入力デバイスが、マウス、トラックボール、又はカーソル方向キー等のカーソル制御2116である。この入力デバイスは典型的に、2軸、すなわち第1の軸(例えばx)及び第2の軸(例えばy)の2自由度を有し、デバイスが面内で位置を指定することを可能とする。また、タッチパネル(スクリーン)ディスプレイも入力デバイスとして使用され得る。
[0181] コンピュータシステム2100は、プロセッサ2104がメインメモリ2106に含まれる1つ以上の命令の1つ以上のシーケンスを実行することに応答して本明細書の処理ユニットとして機能するのに適切なものであり得る。そのような命令は、ストレージデバイス2110のような別のコンピュータ読み取り可能媒体からメインメモリ2106に読み取ることができる。メインメモリ2106に含まれる命令のシーケンスの実行によって、プロセッサ2104は本明細書に記載されるプロセスを実行する。また、メインメモリ2106に含まれる命令のシーケンスを実行するため、マルチプロセッシング構成の1つ以上のプロセッサも使用され得る。代替的な実施形態では、ソフトウェア命令の代わりに又はソフトウェア命令と組み合わせてハードワイヤード回路を使用できる。従って、実施形態は、ハードウェア回路及びソフトウェアのいかなる特定の組み合わせにも限定されない。
[0182] 本明細書で用いる場合、「コンピュータ読み取り可能媒体」という用語は、プロセッサ2104に実行用の命令を提供することに関与する任意の媒体を指す。そのような媒体は、限定ではないが、不揮発性媒体、揮発性媒体、及び伝送媒体を含む多くの形態をとり得る。不揮発性媒体は、例えばストレージデバイス2110のような光ディスク又は磁気ディスクを含む。揮発性媒体は、メインメモリ2106のような動的メモリを含む。伝送媒体は、バス2102を構成するワイヤを含む同軸ケーブル、銅線、及び光ファイバを含む。伝送媒体は、無線周波数(RF)及び赤外(IR)データ通信中に発生したもの等、音波又は光波の形態もとり得る。コンピュータ読み取り可能媒体の一般的な形態は、例えばフロッピーディスク、可撓性ディスク、ハードディスク、磁気テープ、他の任意の磁気媒体、CD−ROM、DVD、他の任意の光媒体、パンチカード、紙テープ、孔のパターンを有する任意の他の物理的な媒体、RAM、PROM、EPROM、FLASH−EPROM、他の任意のメモリチップもしくはカートリッジ、後述するような搬送波、又はコンピュータが読み取ることができる他の任意の媒体を含む。
[0183] 様々な形態のコンピュータ読み取り可能媒体は、1つ以上の命令の1つ以上のシーケンスを実行のためプロセッサ2104へ伝送することに関与し得る。例えば、命令は、最初はリモートコンピュータの磁気ディスク上に担持されている場合がある。リモートコンピュータは、命令をその動的メモリにロードし、モデムを使用して電話線で命令を送信することができる。コンピュータシステム2100にローカルなモデムは、電話線でデータを受信し、赤外線送信器を用いてデータを赤外線信号に変換することができる。バス2102に結合された赤外線検出器は、赤外信号内で伝送されたデータを受信し、データをバス2102に乗せることができる。バス2102はデータをメインメモリ2106に伝送し、ここからプロセッサ2104は命令を検索し実行する。メインメモリ2106が受信した命令は、任意選択的に、プロセッサ2104による実行の前又は後にストレージデバイス2110に記憶してもよい。
[0184] コンピュータシステム2100は、バス2102に結合された通信インタフェース2118も含むことができる。通信インタフェース2118は、ローカルネットワーク2122に接続されたネットワークリンク2120に対する双方向データ通信結合を提供する。例えば通信インタフェース2118は、対応するタイプの電話線にデータ通信接続を提供するための総合デジタル通信網(ISDN:integrated services digital network)カード又はモデムとすればよい。別の例として、通信インタフェース2118は、コンパチブルなLANにデータ通信接続を提供するためのローカルエリアネットワーク(LAN)カードとすればよい。ワイヤレスリンクを実装することも可能である。任意のそのような実装において、通信インタフェース2118は、様々なタイプの情報を表すデジタルデータストリームを伝送する電気信号、電磁信号、又は光信号を送信及び受信する。
[0185] ネットワークリンク2120は、典型的に、1つ以上のネットワークを介して他のデータデバイスに対するデータ通信を提供する。例えばネットワークリンク2120は、ローカルネットワーク2122を介したホストコンピュータ2124に対する接続、又はインターネットサービスプロバイダ(ISP)2126によって動作されるデータ機器に対する接続を提供し得る。ISP2126は、今日では一般に「インターネット」2128と呼ばれる世界的なパケットデータ通信ネットワークを介してデータ通信サービスを提供する。ローカルネットワーク2122及びインターネット2128は双方とも、デジタルデータストリームを伝送する電気信号、電磁信号、又は光信号を使用する。様々なネットワークを介した信号、及びコンピュータシステム2100との間でデジタルデータを伝送する通信インタフェース2118を介したネットワークリンク2120上の信号は、情報を輸送する搬送波の例示的な形態である。
[0186] コンピュータシステム2100は、1又は複数のネットワーク、ネットワークリンク2120、及び通信インタフェース2118を介して、メッセージを送信すると共にプログラムコードを含むデータを受信することができる。インターネットの例では、サーバ2130は、インターネット2128、ISP2126、ローカルネットワーク2122、及び通信インタフェース2118を介して、アプリケーションプログラムについて要求されたコードを送信できる。1つ以上の実施形態によれば、1つのそのようなダウンロードされたアプリケーションは、例えば本明細書に開示されるような方法を提供する。受信されたコードは、受信された状態でプロセッサ2104によって実行され、及び/又は、後に実行するためストレージデバイス2110もしくは他の不揮発性ストレージに記憶され得る。このように、コンピュータシステム2100は、搬送波の形態のアプリケーションコードを取得できる。
[0187] 本開示の一実施形態は、本明細書に開示したような方法を記述する機械読み取り可能命令の1つ以上のシーケンスを含むコンピュータプログラム、又は、そのようなコンピュータプログラムが記憶されたデータストレージ媒体(例えば半導体メモリ、磁気ディスク、又は光ディスク)の形態をとり得る。更に、機械読み取り可能命令は2つ以上のコンピュータプログラムにおいて具現化することができる。2つ以上のコンピュータプログラムは、1つ以上の異なるメモリ及び/又はデータストレージ媒体に記憶することができる。
[0188] 1つ以上のコンピュータプログラムがリソグラフィ装置の少なくとも1つのコンポーネント内にある1つ以上のコンピュータプロセッサによって読み出される時に、本明細書に記載するあらゆるコントローラは各々、又は組み合わせて動作可能になる。コントローラは各々、又は組み合わせて、信号を受信、処理、送信するのに適した任意の構成を有する。1つ以上のプロセッサは、コントローラの少なくとも1つと通信するように構成されている。例えば、各コントローラは、上記方法のための機械読み取り式命令を含むコンピュータプログラムを実行する1つ以上のプロセッサを含むことができる。コントローラは、そのようなコンピュータプログラムを記憶するデータ記憶媒体及び/又はそのような媒体を収容するハードウェアを含むことができる。したがって、コントローラは、1つ以上のコンピュータプログラムの機械読み取り式命令に従って動作することができる。
[0189] 本文ではICの製造におけるリソグラフィ装置の使用に特に言及しているが、本明細書で説明するリソグラフィ装置には他の用途もあることを理解されたい。例えば、これは、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用ガイダンス及び検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッドなどの製造である。こうした代替的な用途に照らして、本明細書で「ウェーハ」又は「ダイ」という用語を使用している場合、それぞれ「基板」又は「ターゲット部分」という、より一般的な用語と同義と見なしてよいことが当業者には認識される。本明細書に述べている基板は、露光前又は露光後に、例えばトラック(通常はレジストの層を基板に塗布し、露光したレジストを現像するツール)、メトロロジツール及び/又はインスペクションツールで処理することができる。適宜、本明細書の開示は、以上及びその他の基板プロセスツールに適用することができる。更に基板は、例えば多層ICを生成するために、複数回処理することができ、したがって本明細書で使用する基板という用語は、既に複数の処理済み層を含む基板も指すことができる。
[0190] 光リソグラフィの文脈における本開示の実施形態の使用に具体的に言及してきたが、本開示は、例えばナノインプリントリソグラフィのような他の用途にも使用することができ、文脈が許す場合は光リソグラフィに限定されないことは認められよう。ナノインプリントリソグラフィの場合、パターニングデバイスはインプリントテンプレート又はモールドである。
[0191] 本明細書に記載されるメトロロジ装置では、測定動作中に基板Wを保持するため基板サポートを提供することができる。基板サポートは、図1の基板テーブルWTと同様又は同一の形態であり得る。メトロロジ装置がリソグラフィ装置と一体化されている例では、これを同一の基板テーブルとしてもよい。測定光学系に対して基板を正確に位置決めするため、粗動ポジショナ及び微動ポジショナを提供することができる。例えば対象のターゲットの位置を取得するため、及びこれを対物レンズの下の位置に持っていくため、様々なセンサ及びアクチュエータが提供される。通常、基板W全体における様々な位置のターゲットに対して多くの測定が行われる。基板サポートをX方向及びY方向に移動させて様々なターゲットを捕らえると共に、Z方向に移動させて光学系の焦点に対するターゲットの所望の位置を得ることができる。例えば、実際には光学系が(典型的にX方向及びY方向であるが、場合によってはZ方向にも)実質的に固定されている可能性があると共に基板だけが移動する場合であっても、対物レンズを基板に対して様々な位置に持っていくように考えて動作を記述すると好都合である。基板と光学系の相対位置が正しいならば、原理上、これらのうち一方が現実の世界で移動しているのか、又は双方が移動しているのか、又は光学系の一部が(例えばZ方向及び/又は傾斜方向に)移動していると共に光学系の残り部分が固定され、かつ基板が(例えばX方向及びY方向であるが、任意選択的にZ方向及び/又は傾斜方向に)移動しているのかは、重要でない。
[0192] 本明細書で使用する「放射」及び「ビーム」という用語は、イオンビーム又は電子ビームなどの粒子ビームのみならず、紫外線(UV)放射(例えば、365nm、355nm、248nm、193nm、157nmもしくは126nm、又はこれら辺りの波長を有する)及び極端紫外線(EUV)放射(例えば、5nm〜20nmの範囲の波長を有する)を含むあらゆるタイプの電磁放射を網羅する。
[0193] 「レンズ」という用語は、状況が許せば、屈折、反射、磁気、電磁気及び静電光学コンポーネントを含む様々なタイプの光学コンポーネントのいずれか一つ、又はその組み合わせを指すことができる。
[0194] 本明細書において、閾値と交差する(cross)又は閾値を通過する(pass)とは、特定の値よりも低いか又は特定の値以下の値を有すること、特定の値よりも高いか又は特定の値以上の値を有すること、例えばパラメータ等に基づいて(例えばソートによって)他のものよりも高いか又は低いランクとされることを含み得る。
[0195] 本明細書において、エラーを補正すること又はエラーの補正とは、エラーを排除すること又はエラーを公差範囲内に低減させることを含む。
[0196] 本明細書において用いる場合、「最適化する」又は「最適化」という用語は、リソグラフィ又はパターニング処理の結果及び/又はプロセスが、例えば基板上への設計レイアウト投影の精度向上やプロセスウィンドウの拡大のような望ましい特徴を有するように、リソグラフィ装置やパターニングプロセス等を調整することを指すか又は意味する。従って、本明細書において用いる場合、「最適化する」又は「最適化」という用語は、1つ以上の変数の初期の1つ以上の値のセットに比べ、少なくとも1つの関連するメトリックにおいて例えば局所最適(local optimum)のような改善を与えるその1つ以上の変数の1つ以上の値を識別するプロセスを指すか又は意味する。「最適」及びその他の関連する用語は、これに応じて解釈されるべきである。一実施形態では、最適化ステップを繰り返し適用して、1つ以上のメトリックにおいて更に改善を得ることができる。
[0197] システムの最適化プロセスにおいて、システム又はプロセスの性能指数をコスト関数として表すことができる。最適化プロセスは、要するに、コスト関数を最適化する(例えば最小化又は最大化する)システム又はプロセスのパラメータセット(設計変数)を見出すプロセスということになる。コスト関数は、最適化の目標に応じて任意の適切な形態を有し得る。例えばコスト関数は、システム又はプロセスの特定の特性(評価ポイント)の意図される値(例えば理想的な値)に対するこれらの特性の偏差の重み付け自乗平均根(RMS:root mean square)とすることができる。また、コスト関数は、これらの偏差の最大値(すなわち最悪の偏差)とすることも可能である。本明細書における「評価ポイント」という用語は、システム又はプロセスの任意の特性を含むよう広義に解釈するべきである。システムの設計変数は、システム又はプロセスの実装の実用性のために、有限範囲に限定される及び/又は相互依存であり得る。リソグラフィ装置又はパターニングプロセスの場合、この制約は、調節可能範囲及び/又はパターニングデバイス製造可能性設計ルールのようなハードウェアの物理的特性及び特徴に関連付けられることが多く、評価ポイントは、基板上のレジスト像における物理的なポイント、並びにドーズ及び焦点のような非物理的な特徴を含み得る。
[0198] 以上、本開示の特定の実施形態を説明したが、説明とは異なる方法でも本開示を実施できることは認められよう。例えば本開示は、上記に開示したような方法を記述する機械読み取り式命令の1つ以上のシーケンスを含むコンピュータプログラム、又は、そのようなコンピュータプログラムが記憶されたデータストレージ媒体(例えば半導体メモリ、磁気ディスク、又は光ディスク)の形態をとることができる。
[0199] ブロック図において、図示されるコンポーネントは離散的な機能ブロックとして示されているが、実施形態は、本明細書に記載される機能性が図示のように組織化されているシステムに限定されない。各コンポーネントによって提供される機能性は、ここに図示したものとは異なるように組織化されたソフトウェア又はハードウェアモジュールによって提供され得る。例えば、そのようなソフトウェア又はハードウェアは、混合するか、結合するか、複製するか、分割するか、分散させる(例えばデータセンタ内で又は地理的に)か、又は他の異なるやり方で組織化され得る。本明細書に記載される機能性は、タンジブルな非一時的機械読み取り可能媒体に記憶されたコードを実行する1つ以上のコンピュータの1つ以上のプロセッサによって提供することができる。場合によっては、第三者のコンテンツ送出ネットワークが、ネットワーク上で伝送される情報の一部又は全てをホストすることができる。その場合、情報(例えばコンテンツ)が供給されるか又は他の方法で提供されると言われる範囲で、命令を送信してコンテンツ送出ネットワークから情報を検索することによって、その情報を提供することができる。
[0200] 特に明記しない限り、ここでの検討から明らかであるように、本明細書全体を通して、「処理する」、「計算する(computing)」、「計算する(calculating)」、「決定する」等の用語を用いた検討は、特殊用途コンピュータ又は同様の特殊用途電子処理/コンピューティングデバイスのような特定の装置のアクション又はプロセスを指すことは認められよう。
[0201] 読者は、本出願がいくつかの発明を記載していることを認めるべきである。出願人らは、それらの発明を複数の個別の特許出願に分離するのではなく単一の文書にまとめた。これは、関連する主題が出願プロセスの経済性のために役立つからである。しかしながら、そのような発明の別々の利点及び態様は一つに合成するべきではない。場合によっては、実施形態は本明細書に記した欠点の全てに対処するが、発明がそれぞれ独立して有用であること、及び、いくつかの実施形態がそのような問題のサブセットにのみ対処すること、又は本開示を検討する当業者には明らかである他の言及されていない利点を提供することは理解されよう。コストの制約のため、本明細書に開示されるいくつかの発明はここでは特許請求されず、継続出願のような後の出願において又は本発明の特許請求項を補正することによって特許請求される可能性がある。同様に、スペースの制約のため、本文書の「要約」セクションも「発明の概要」セクションも、全てのそのような発明又はそのような発明の全ての態様の包括的な列挙を含むものとして解釈すべきではない。
[0202] 記載及び図面は、開示される特定の形態に本発明を限定することは意図しておらず、反対に、本発明は、添付の特許請求の範囲によって規定される本発明の精神及び範囲内に該当する全ての変更、均等物(equivalents)、及び代替を包含することは理解されよう。
[0203] 本発明の様々な態様の変更及び代替的な実施形態は、本記載を考慮することで当業者には明らかとなろう。従って、本記載及び図面は単に例示としてのみ解釈されるものであり、本発明を実行する一般的な方法を当業者に教示する目的のためのものである。本明細書に図示され記載される本発明の形態は、実施形態の例と見なされることは理解されよう。要素及び材料は本明細書に図示され記載されるものと置換することができ、部分及びプロセスは逆転させるか又は省略することができ、いくつかの特徴(feature)は独立して利用することができ、実施形態又は実施形態の特徴は組み合わせることができる。これらは全て、本発明の本記載の利点を得た後で当業者に明らかとなろう。以下の特許請求の範囲に記載される本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、本明細書に記載される要素に変更を加えることができる。本明細書で使用される見出しは、単に整理する目的のためのものであり、本記載の範囲を限定するため使用することは意図していない。
[0204] 本出願全体を通して、「することができる(may)」という語が用いられる場合、強制的な意味(すなわち「〜しなければならない」を意味する)のではなく、許可の意味で用いられる(すなわち「〜する可能性を有する」を意味する)。「含む(include)」、「含んでいる(including)」、及び「含む(includes)」等の語は、限定ではないが、含んでいる(including)を意味する。本出願全体を通して、単数形「a(1つの)」、「an(1つの)」、「the(その)」が用いられる場合は、文脈上明らかに他の意味が示される場合を除いて、複数形を含む。従って、例えば「1つの(an)」要素又は「1つの(a)」要素に対する言及は、「1つ以上」のような1つ以上の要素についての他の用語及び句が使用されるとしても、2つ以上の要素の組み合わせを含む。「又は(or)」という用語は、他の指示がない限り、非排他的である、すなわち「及び(and)」と「又は(or)」の双方を包含する。条件関係を記述する用語、例えば「X、Yに応じて」、「X、Yの時」、「X、Yであるならば」、「X、Yである場合」等は、前件(antecedent)が後件(consequent)の必要因果条件であるか、前件が充分因果条件であるか、又は前件が寄与因果条件である因果条件を包含する。例えば、「状態Xは条件Yが確立した時に発生する」は、「XはYの時にのみ発生する」及び「XはY及びZの時に発生する」に対して包括的である(generic)。そのような条件関係は、前件が確立した直後に生じる結果に限定されない。いくつかの結果は遅れることがある。条件文において、前件はそれらの後件に接続されている。例えば、前件は後件が発生する可能性に関連している。複数の属性又は関数が複数のオブジェクトにマッピングされている記述(statement)(例えば、1つ以上のプロセッサがステップA、B、C、及びDを実行する)は、他の指示がない限り、全てのそのようなオブジェクトにマッピングされた全てのそのような属性又は関数と、属性又は関数のサブセットにマッピングされた属性又は関数のサブセットとの双方を包含する(例えば、全てのプロセッサの各々がステップAからDを実行する場合と、プロセッサ1がステップAを実行し、プロセッサ2がステップB及びステップCの一部を実行し、プロセッサ3がステップCの一部及びステップDを実行する場合の双方)。更に、他の指示がない限り、1つの値又はアクションが別の条件又は値「に基づいている」という記述は、その条件又は値が唯一の要因である例と、その条件又は値が複数の要因のうちの1つの要因である例の双方を包含する。他の指示がない限り、ある集合の「各(each)」インスタンスがある特性を有するという記述は、より大きい集合のいくつかの他の点で同一の又は同様のメンバがその特性を持たない事例を除外すると解釈するべきではない。すなわち、各(each)は必ずしも、あらゆるもの(each and every)を意味するわけではない。
[0205] いくつかの米国特許、米国特許出願、又は他の資料(例えば論文)が参照により含まれている範囲において、そのような米国特許、米国特許出願、及び他の資料の文章は、そのような資料と本明細書で述べられた記述及び図面との間に抵触(conflict)が存在しない範囲で参照によって含まれるだけである。そのような抵触が生じた場合、そのような参照により含まれる米国特許、米国特許出願、及び他の材料における抵触する文章は、特に、本明細書に参照により含まれない。
[0206] 上記の説明は例示的であり、限定的ではない。したがって、請求の範囲から逸脱することなく、記載されたような本発明を変更できることが当業者には明白である。