定義
特に定義されない限り、本明細書で使用される全ての科学技術用語は、本発明が関係する技術分野の当業者が一般に理解するのと同じ意味を有する。
用語「1つの(a)」及び「1つの(an)」は、その冠詞の文法上の指示対象の1つ又は1つより多い(即ち少なくとも1つ)を指す。例として、「要素」は、1つの要素又は1つより多い要素を意味する。
用語「約」は、量、時間的な継続期間などの計測可能な値を参照するとき、指定される値から±20%又は一部の例では±10%、又は一部の例では±5%、又は一部の例では±1%、又は一部の例では±0.1%の変動が、かかる変動が本開示の方法の実施に適切であるものとして包含されることを意味する。
用語「キメラ抗原受容体」又は代わりに「CAR」は、一連のポリペプチド、典型的には最も単純な実施形態で2ポリペプチドを指し、免疫エフェクター細胞にあるとき、細胞に標的細胞、典型的には癌細胞に対する特異性及び細胞内シグナル産生を与える。いくつかの実施形態において、CARは、下に定義されるような、少なくとも細胞外抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン及び刺激性分子由来の機能的シグナル伝達ドメイン及び/又は共刺激性分子を含む細胞質シグナル伝達ドメイン(本明細書では「細胞内シグナル伝達ドメイン」とも称する)を含む。いくつかの態様において、一連のポリペプチドは、互いに隣接している。いくつかの実施形態において、一連のポリペプチドは、二量体化分子存在下において、互いにポリペプチドを結合できる、例えば抗原結合ドメインを細胞内シグナル伝達ドメインに結合できる二量体化スイッチを含む。一態様において、刺激性分子は、T細胞受容体複合体と関係するζ鎖である。一態様において、細胞質シグナル伝達ドメインは、下に定義するような少なくとも1つの共刺激性分子に由来する1つ以上の機能的シグナル伝達ドメインを更に含む。一態様において、共刺激性分子は、本明細書に記載の共刺激性分子、例えば4−1BB(即ちCD137)、CD27及び/又はCD28から選択される。一態様において、CARは、細胞外抗原結合ドメインと、膜貫通ドメインと、刺激分子に由来する機能性シグナル伝達ドメインを含む細胞内シグナル伝達ドメインとを含むキメラ融合タンパク質を含む。一態様において、CARは、細胞外抗原結合ドメインと、膜貫通ドメインと、共刺激分子に由来する機能性シグナル伝達ドメイン及び刺激分子に由来する機能性シグナル伝達ドメインを含む細胞内シグナル伝達ドメインとを含むキメラ融合タンパク質を含む。一態様において、CARは、細胞外抗原結合ドメインと、膜貫通ドメインと、1つ以上の共刺激分子に由来する2つの機能性シグナル伝達ドメイン及び刺激分子に由来する機能性シグナル伝達ドメインを含む細胞内シグナル伝達ドメインとを含むキメラ融合タンパク質を含む。一態様において、CARは、細胞外抗原結合ドメインと、膜貫通ドメインと、1つ以上の共刺激分子に由来する少なくとも2つの機能性シグナル伝達ドメイン及び刺激分子に由来する機能性シグナル伝達ドメインを含む細胞内シグナル伝達ドメインとを含むキメラ融合タンパク質を含む。一態様において、CARは、CAR融合タンパク質のアミノ末端(N−ter)に任意選択のリーダー配列を含む。一態様において、CARは、細胞外抗原結合ドメインのN末端にリーダー配列を更に含み、リーダー配列は、任意選択により、細胞プロセシング及びCARの細胞膜局在化中に抗原結合ドメイン(例えば、scFv)から切断される。
本明細書に記載のものなどの特定の腫瘍マーカーXを標的とする抗原結合ドメイン(例えば、scFv又はTCR)を含むCARは、XCARとも称される。例えば、CD19を標的とする抗原結合ドメインを含むCARは、CD19CARと称される。
用語「シグナル伝達ドメイン」は、二次メッセンジャーを生成するか又はかかるメッセンジャーに応答してエフェクターとして機能することにより定義されたシグナル伝達経路を介して細胞活性を調節するように細胞内で情報を伝えることにより機能するタンパク質の機能性の一部分を指す。
用語「抗体」は、本明細書で使用されるとき、抗原と特異的に結合する免疫グロブリン分子に由来するタンパク質又はポリペプチド配列を指す。抗体は、ポリクローナル又はモノクローナル、多重鎖又は単鎖又はインタクトな免疫グロブリンであり得、且つ天然の供給源又は組換え供給源に由来し得る。抗体は、免疫グロブリン分子の四量体であり得る。
用語「抗体断片」は、抗原のエピトープと特異的に相互作用する(例えば、結合、立体障害、安定化/不安定化、空間分布による)能力を保持する抗体の少なくとも一部分を指す。抗体断片の例は、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv断片、scFv抗体断片、ジスルフィド結合Fv(sdFv)、VHドメイン及びCH1ドメインからなるFd断片、線形抗体、sdAbなどの単一ドメイン抗体(VL又はVHのいずれか)、ラクダ科VHHドメイン、ヒンジ領域でジスルフィド架橋により連結した2個のFab断片及び単離CDRを含む二価断片などの抗体断片から形成される多特異性抗体又は抗体の他のエピトープ結合断片を含むが、これらに限定されない。抗原結合断片は、シングルドメイン抗体、マキシボディ、ミニボディ、ナノボディ、イントラボディ、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、v−NAR及びビス−scFvにも取り込まれ得る(例えば、Hollinger and Hudson,Nature Biotechnology 23:1126−1136,2005を参照されたい)。抗原結合断片は、フィブロネクチンIII型(Fn3)などのポリペプチドをベースとする足場にもグラフトされ得る(フィブロネクチンポリペプチドミニボディについて記載している米国特許第6,703,199号明細書を参照されたい)。
用語「scFv」は、軽鎖の可変領域を含む少なくとも1つの抗体断片と、重鎖の可変領域を含む少なくとも1つの抗体断片とを含む融合タンパク質を指し、軽鎖及び重鎖可変領域は、例えば、合成リンカー、例えば短い可動性ポリペプチドリンカーによって近接して連結されており、単鎖ポリペプチドとして発現することが可能であり、及びscFvは、その由来であるインタクトな抗体の特異性を保持している。指定されない限り、本明細書で使用されるとき、scFvは、VL及びVH可変領域を例えばポリペプチドのN端側及びC端側末端に対していずれの順序でも有し得、scFvは、VL−リンカー−VHを含み得るか又はVH−リンカー−VLを含み得る。
抗体又はその抗体断片を含む本発明のCARの一部分は、種々の形態で存在し得、抗原結合ドメインは、例えば、シングルドメイン抗体断片(sdAb)、単鎖抗体(scFv)、ヒト化抗体又は二重特異性抗体を含め、連続したポリペプチド鎖の一部として発現する(Harlow et al.,1999,Using Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,NY;Harlow et al.,1989,Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor,New York;Houston et al.,1988,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:5879−5883;Bird et al.,1988,Science 242:423−426)。一態様において、本発明のCAR組成物の抗原結合ドメインは、抗体断片を含む。更なる態様において、CARは、scFvを含む抗体断片を含む。ある所与のCDRの厳密なアミノ酸配列境界は、Kabat et al.(1991),“Sequences of Proteins of Immunological Interest,”5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD(「Kabat」番号付けスキーム)、Al−Lazikani et al.,(1997)JMB 273,927−948(「Chothia」番号付けスキーム)により記載のもの又はその組み合わせを含む多くの周知のスキームのいずれかを使用して決定できる。
本明細書で使用されるとき、用語「結合ドメイン」又は「抗体分子」は、少なくとも1つの免疫グロブリン可変ドメイン配列を含むタンパク質、例えば免疫グロブリン鎖又はその断片を指す。用語「結合ドメイン」又は「抗体分子」は、抗体及び抗体断片を包含する。ある実施形態において、抗体分子は、多重特異性抗体分子であり、例えば、これは、複数個の免疫グロブリン可変ドメイン配列を含み、ここで、複数個のうちの第1の免疫グロブリン可変ドメイン配列が第1のエピトープに対する結合特異性を有し、複数個のうちの第2の免疫グロブリン可変ドメイン配列が第2のエピトープに対する結合特異性を有する。ある実施形態において、多重特異性抗体分子は、二重特異性抗体分子である。二重特異性抗体は、2つ以下の抗原に対して特異性を有する。二重特異性抗体分子は、第1のエピトープに対して結合特異性を有する第1の免疫グロブリン可変ドメイン配列及び第2のエピトープに対して結合特異性を有する第2の免疫グロブリン可変ドメイン配列によって特徴付けられる。
本発明のCARの抗体又は抗体その断片を含む部分は、例えば、単一ドメイン抗体断片(sdAb)、単鎖抗体(scFv)、ヒト化抗体又は二機能性抗体を含む、抗原結合ドメインが連続的ポリペプチド鎖の一部として発現される多様な形態で存在し得る(Harlow et al.,1999,In:Using Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,NY;Harlow et al.,1989,In:Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor,New York;Houston et al.,1988,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:5879−5883;Bird et al.,1988,Science 242:423−426)。一態様において、本発明のCAR組成物の抗原結合ドメインは、抗体断片を含む。更なる態様において、CARは、scFvを含む抗体断片を含む。
用語「抗体重鎖」は、その天然に存在するコンホメーションをとる抗体分子に存在する2種類のポリペプチド鎖の大きい方を指し、通常、これが抗体の属するクラスを決定する。
用語「抗体軽鎖」は、その天然に存在するコンホメーションをとる抗体分子に存在する2種類のポリペプチド鎖の小さい方を指す。カッパ(κ)及びラムダ(λ)軽鎖が2つの主要な抗体軽鎖アイソタイプを指す。
用語「組換え抗体」は、例えば、バクテリオファージ又は酵母発現システムによって発現される抗体など、組換えDNA技術を用いて作成される抗体を指す。この用語は、抗体をコードするDNA分子であって、抗体タンパク質を発現するDNA分子又はその抗体を指定するアミノ酸配列の合成によって作成された抗体を意味するとも解釈されるべきであり、DNA又はアミノ酸配列は、当技術分野において利用可能な周知の組換えDNA又はアミノ酸配列技術を用いて得られたものである。
用語「抗原」又は「Ag」は、免疫応答を引き起こす分子を指す。この免疫応答には、抗体産生又は特異的免疫適格細胞の活性化のいずれか又は両方が含まれ得る。当業者は、任意の巨大分子が、事実上あらゆるタンパク質又はペプチドを含め、抗原となり得ることを理解するであろう。更に、抗原は、組換えDNA又はゲノムDNAに由来し得る。当業者は、従って、免疫応答を生じさせるタンパク質をコードするヌクレオチド配列又は部分的ヌクレオチド配列を含む任意のDNAが、その用語が本明細書において使用される通りの「抗原」をコードすることを理解するであろう。更に、当業者は、抗原がある遺伝子の完全長ヌクレオチド配列によってのみコードされる必要はないことを理解するであろう。本発明には、限定されないが、2つ以上の遺伝子の部分的ヌクレオチド配列の使用が含まれること及びそれらのヌクレオチド配列が所望の免疫応答を生じさせるポリペプチドをコードするように様々な組み合わせで配列されることが容易に明らかである。更に、当業者は、抗原が「遺伝子」によってコードされる必要は全くないことを理解するであろう。抗原は、合成して作成され得、又は生体試料から得られ得、又はポリペプチド以外の巨大分子である可能性もあることが容易に明らかである。かかる生体試料には、限定されないが、組織試料、腫瘍試料、細胞又は体液が他の生物学的成分と共に含まれ得る。
用語「抗癌効果」は、限定されないが、例えば腫瘍容積の減少、癌細胞数の減少、転移数の減少、平均余命の増加、癌細胞増殖の減少、癌細胞生存の減少又は癌性病態に関連する様々な生理学的症状の改善を含め、様々な手段によって明らかになり得る生物学的効果を指す。「抗癌効果」は、そもそも癌の発生を防ぐことにおけるペプチド、ポリヌクレオチド、細胞及び抗体の能力によっても明らかになり得る。用語「抗腫瘍効果」は、例えば、腫瘍体積減少、腫瘍細胞数減少、腫瘍細胞増殖減少又は腫瘍細胞生存減少を含むが、これらに限定されない種々の手段により顕在化され得る生物学的効果を指す。
用語「自己」は、同じ個体に由来する任意の材料であって、後にその個体に再導入されることになる材料を指す。
用語「同種異系」は、材料が導入される個体と同じ種の異なる動物に由来する任意の材料を指す。2つ以上の個体は、1つ以上の遺伝子座の遺伝子が同一でないとき、互いに同種異系であると言われる。一部の態様において、同じ種の個体からの同種異系材料は、抗原的に相互作用するのに十分に遺伝的に異なり得る。
用語「異種」は、異なる種の動物に由来する移植片を指す。
用語「癌」は、異常細胞の無制御の成長によって特徴付けられる疾患を指す。癌細胞は、局所的に又は血流及びリンパ系を通じて体の他の部位に広がり得る。様々な癌の例が本明細書に記載され、限定されないが、乳癌、前立腺癌、卵巣癌、子宮頸癌、皮膚癌、膵癌、結腸直腸癌、腎癌、肝癌、脳癌、リンパ腫、白血病、肺癌などが挙げられる。用語「腫瘍」及び「癌」は、本明細書では同義的に使用され、例えば両方の用語とも固形及び液性、例えばびまん性又は循環性腫瘍を包含する。本明細書で使用されるとき、用語「癌」又は「腫瘍」は、前癌性並びに悪性の癌及び腫瘍を含む。
「由来する」は、この用語が本明細書で使用される場合、第1の分子と第2の分子との間の関係を指す。これは、概して、第1の分子と第2の分子との間の構造的類似性に言及するものであり、第2の分子に由来する第1の分子に関する方法又は供給源を限定することを含意又は包含しない。例えば、CD3ζ分子に由来する細胞内シグナル伝達ドメインの場合、細胞内シグナル伝達ドメインは、求められる機能、即ち適切な条件下でシグナルを生成する能力を有するような十分なCD3ζ構造を保持している。これは、細胞内シグナル伝達ドメインの特定の作製方法に限定することを含意又は包含せず、例えば細胞内シグナル伝達ドメインを提供するためにCD3ζ配列で開始して不要な配列を欠失させ、又は変異を付与して細胞内シグナル伝達ドメインに至らせなければならないことを意味しない。
語句「本明細書に記載の腫瘍抗原の発現に関連する疾患」には、限定されないが、例えば癌若しくは悪性腫瘍などの増殖性疾患又は骨髄形成異常、骨髄異形成症候群若しくは前白血病などの前癌病態を含めた、本明細書に記載の腫瘍抗原の発現に関連する疾患又は本明細書に記載の腫瘍抗原を発現する細胞に関連する病状又は本明細書に記載の腫瘍抗原を発現する細胞に関連する非癌関連の適応症が含まれる。一態様において、本明細書に記載の腫瘍抗原の発現と関連する癌は、血液癌である。一態様において、本明細書に記載の腫瘍抗原の発現と関連する癌は、固形癌である。更に、本明細書に記載の腫瘍抗原の発現に関連する疾患としては、限定されないが、例えば、本明細書に記載の腫瘍抗原の発現に関連する非定型的及び/又は非典型的な癌、悪性腫瘍、前癌状態又は増殖性疾患が挙げられる。本明細書に記載の腫瘍抗原の発現に関連する非癌関連徴候には、限定されないが、例えば自己免疫疾患(例えば、ループス)、炎症性障害(アレルギー及び喘息)及び移植が含まれる。一部の実施形態において、腫瘍抗原発現細胞は、腫瘍抗原をコードするmRNAを発現するか又はいずれかの時点で発現した。ある実施形態において、腫瘍抗原発現細胞は、腫瘍抗原タンパク質(例えば、野生型又は突然変異体)を産生し、腫瘍抗原タンパク質は、正常レベル又は低下したレベルで存在し得る。ある実施形態において、腫瘍抗原発現細胞は、一時的に検出可能なレベルの腫瘍抗原タンパク質を産生したが、続いて検出可能な腫瘍抗原タンパク質を実質的に産生しなくなった。
用語「保存的配列改変」は、そのアミノ酸配列を含む抗体又は抗体断片の結合特性が大きい影響又は変化を被ることのないアミノ酸改変を指す。かかる保存的改変には、アミノ酸置換、付加及び欠失が含まれる。改変は、部位特異的突然変異誘発及びPCR媒介性突然変異誘発など、当技術分野において公知の標準技法によって本発明の抗体又は抗体断片に導入することができる。保存的アミノ酸置換は、アミノ酸残基が同様の側鎖を有するアミノ酸残基に置き換えられるものである。同様の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、当技術分野において定義されている。これらのファミリーには、塩基性側鎖(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システイン、トリプトファン)、非極性側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン)、β分枝側鎖(例えば、スレオニン、バリン、イソロイシン)及び芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を有するアミノ酸が含まれる。従って、本発明のCAR内の1つ以上のアミノ酸残基は、同じ側鎖ファミリーからの他のアミノ酸残基に置き換えることができ、及び変化したCARは、本明細書に記載される機能アッセイを用いて試験することができる。
用語「刺激」は、刺激性分子(例えば、TCR/CD3複合体又はCAR)とその同族のリガンド(又はCARの場合には腫瘍抗原)との結合によって誘導される一次応答を指し、それにより、限定されないが、TCR/CD3複合体を介したシグナル伝達又は適切なNK受容体若しくはCARのシグナル伝達ドメインを介したシグナル伝達などのシグナル伝達事象を媒介する。刺激は、特定の分子の発現変化を媒介することができる。
用語「刺激性分子」は、免疫細胞(例えば、T細胞、NK細胞、B細胞)によって発現され、免疫細胞シグナル伝達経路の少なくともいくつかの態様について、免疫細胞の活性化を刺激的に調節する細胞質シグナル伝達配列を提供する分子を指す。一態様において、シグナルは、例えば、TCR/CD3複合体と、ペプチドを載せたMHC分子との結合により開始される一次シグナルであり、これは、増殖、活性化、分化などを含むが、これらに限定されないT細胞応答の媒介をもたらす。刺激性方向に作用する初代細胞質シグナル伝達配列(「一次シグナル伝達ドメイン」とも称される)は、免疫受容体チロシンベースの活性化モチーフ又はITAMとして知られるシグナル伝達モチーフを含み得る。本発明において特に有用であるITAM含有細胞質シグナル伝達配列の例には、CD3ζ、共通FcRγ(FCER1G)、FcγRIIa、FcRβ(FcεR1b)、CD3γ、CD3δ、CD3ε、CD79a、CD79b、DAP10及びDAP12由来のものが含まれるが、これらに限定されない。本発明の具体的なCARにおいて、本発明の任意の1つ以上のCARの細胞内シグナル伝達ドメインは、細胞内シグナル伝達配列、例えばCD3−ζの一次シグナル伝達配列を含む。本発明の具体的なCARにおいて、CD3−ζの一次シグナル伝達配列は、配列番号18として提供される配列又は非ヒト種、例えばマウス、げっ歯類、サル、類人猿などからの均等な残基である。本発明の具体的なCARにおいて、CD3−ζの一次シグナル伝達配列は、配列番号20に提供される通りの配列又は非ヒト種、例えばマウス、げっ歯類、サル、類人猿などからの均等な残基である。
用語「抗原提示細胞」又は「APC」は、その表面上に主要組織適合遺伝子複合体(MHC)と複合体化した外来抗原を提示するアクセサリー細胞などの免疫系細胞(例えば、B細胞、樹状細胞など)を指す。T細胞は、そのT細胞受容体(TCR)を用いてこうした複合体を認識し得る。APCは、抗原をプロセシングしてそれをT細胞に提示する。
「細胞内シグナル伝達ドメイン」は、この用語が本明細書で使用されるとき、分子の細胞内部分を指す。細胞内シグナル伝達ドメインは、CAR含有細胞、例えばCART細胞の免疫エフェクター機能を促進するシグナルを生成する。例えば、CART細胞における免疫エフェクター機能の例としては、細胞溶解活性及びサイトカインの分泌を含めたヘルパー活性が挙げられる。
ある実施形態において、細胞内シグナル伝達ドメインは、一次細胞内シグナル伝達ドメインを含み得る。例示的一次細胞内シグナル伝達ドメインには、一次刺激又は抗原依存性刺激に関与する分子に由来するものが含まれる。ある実施形態において、細胞内シグナル伝達ドメインは、共刺激細胞内ドメインを含み得る。例示的共刺激細胞内シグナル伝達ドメインには、共刺激シグナル又は抗原非依存性刺激に関与する分子に由来するものが含まれる。例えば、CARTの場合、一次細胞内シグナル伝達ドメインがT細胞受容体の細胞質配列を含むことができ、且つ共刺激細胞内シグナル伝達ドメインが共受容体又は共刺激分子からの細胞質配列を含むことができる。
一次細胞内シグナル伝達ドメインは、免疫受容活性化チロシンモチーフ又はITAMとして知られるシグナル伝達モチーフを含むことができる。ITAMを含む一次細胞質シグナル伝達配列の例には、限定されないが、CD3ζ、共通FcRγ(FCER1G)、FcγRIIa、FcRβ(FcεR1b)、CD3γ、CD3δ、CD3ε、CD79a、CD79b、DAP10及びDAP12に由来するものが含まれる。
用語「ζ」若しくは代わりに「ζ鎖」、「CD3−ζ」又は「TCR−ζ」は、GenBan受託番号BAG36664.1として提供されるタンパク質又は非ヒト種、例えばマウス、げっ歯類、サル、類人猿などからの均等な残基として定義され、「ζ刺激ドメイン」若しくは代わりに「CD3−ζ刺激ドメイン」又は「TCR−ζ刺激ドメイン」は、T細胞活性化に必要な初期シグナルを機能的に伝達するのに十分なζ鎖の細胞質ドメインからのアミノ酸残基又はその機能性誘導体として定義される。一態様において、ζの細胞質ドメインは、GenBank受託番号BAG36664.1の残基52〜164又はその機能性オルソログである非ヒト種、例えばマウス、げっ歯類、サル、類人猿などからの均等な残基を含む。一態様において、「ζ刺激ドメイン」又は「CD3−ζ刺激ドメイン」は、配列番号18として提供される配列である。一態様において、「ζ刺激ドメイン」又は「CD3−ζ刺激ドメイン」は、配列番号20として提供される配列である。
用語「共刺激分子」は、共刺激リガンドに特異的に結合して、それにより、限定されないが増殖など、T細胞による共刺激応答を媒介するT細胞上のコグネイト結合パートナーを指す。共刺激分子は、効率的な免疫応答に寄与する抗原受容体又はそのリガンド以外の細胞表面分子である。共刺激性分子には、MHCクラスI分子、BTLA及びTollリガンド受容体並びにOX40、CD27、CD28、CDS、ICAM−1、LFA−1(CD11a/CD18)、ICOS(CD278)及び4−1BB(CD137)が含まれるが、これらに限定されるものではない。そのような共刺激性分子の更なる例は、CDS、ICAM−1、GITR、BAFFR、HVEM(LIGHTR)、SLAMF7、NKp80(KLRF1)、NKp44、NKp30、NKp46、CD160、CD19、CD4、CD8α、CD8β、IL2Rβ、IL2Rγ、IL7Rα、ITGA4、VLA1、CD49a、ITGA4、IA4、CD49D、ITGA6、VLA−6、CD49f、ITGAD、CD11d、ITGAE、CD103、ITGAL、CD11a、LFA−1、ITGAM、CD11b、ITGAX、CD11c、ITGB1、CD29、ITGB2、CD18、LFA−1、ITGB7、NKG2D、NKG2C、TNFR2、TRANCE/RANKL、DNAM1(CD226)、SLAMF4(CD244、2B4)、CD84、CD96(Tactile)、CEACAM1、CRTAM、Ly9(CD229)、CD160(BY55)、PSGL1、CD100(SEMA4D)、CD69、SLAMF6(NTB−A、Ly108)、SLAM(SLAMF1、CD150、IPO−3)、BLAME(SLAMF8)、SELPLG(CD162)、LTBR、LAT、GADS、SLP−76、PAG/Cbp、CD19a及びCD83と選択的に結合するリガンドを含む。
共刺激性細胞内シグナル伝達ドメインは、共刺激性分子の細胞内部分であり得る。共刺激性分子は、以下のタンパク質ファミリーに代表され得る:TNF受容体タンパク質、免疫グロブリン様タンパク質、サイトカイン受容体、インテグリン、シグナル伝達リンパ球活性化分子(SLAMタンパク質)及び活性化NK細胞受容体。そのような分子の例には、CD27、CD28、4−1BB(CD137)、OX40、GITR、CD30、CD40、ICOS、BAFFR、HVEM、ICAM−1、リンパ球機能関連抗原−1(LFA−1)、CD2、CDS、CD7、CD287、LIGHT、NKG2C、NKG2D、SLAMF7、NKp80、NKp30、NKp44、NKp46、CD160、B7−H3及びCD83と特異的に結合するリガンドなどが含まれる。
細胞内シグナル伝達ドメインは、その由来である分子の細胞内部分全体、又は天然の細胞内シグナル伝達ドメイン全体、又はその機能性断片若しくはその誘導体を含み得る。
用語「4−1BB」は、GenBank受託番号AAA62478.2として提供されるアミノ酸配列又は非ヒト種、例えばマウス、げっ歯類、サル、類人猿などからの均等な残基を有するTNFRスーパーファミリーのメンバーを指し、及び「4−1BB共刺激ドメイン」は、GenBank受託番号AAA62478.2のアミノ酸残基214〜255又は非ヒト種、例えばマウス、げっ歯類、サル、類人猿などからの均等な残基として定義される。一態様において、「4−1BB共刺激ドメイン」は、配列番号14として提供される配列又は非ヒト種、例えばマウス、げっ歯類、サル、類人猿などからの均等な残基である。
「免疫エフェクター細胞」は、この用語が本明細書で使用されるとき、免疫応答、例えば免疫エフェクター応答の促進に関与する細胞を指す。免疫エフェクター細胞の例としては、T細胞、例えばα/β T細胞及びγ/δ T細胞、B細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、ナチュラルキラーT(NKT)細胞、肥満細胞及び骨髄由来食細胞が挙げられる。
「免疫エフェクター機能又は免疫エフェクター応答」は、この用語が本明細書で使用されるとき、標的細胞の免疫攻撃を亢進させる又は促進する例えば免疫エフェクター細胞の機能又は応答を指す。例えば、免疫エフェクター機能又は応答は、標的細胞の死滅又は成長若しくは増殖阻害を促進するT細胞又はNK細胞の特性を指す。T細胞の場合、一次刺激及び共刺激が免疫エフェクター機能又は応答の例である。
用語「コードする」は、定義付けられたヌクレオチド配列(例えば、rRNA、tRNA及びmRNA)又は定義付けられたアミノ酸配列のいずれかを有する生物学的過程における他のポリマー及び巨大分子の合成の鋳型としての役割を果たす、遺伝子、cDNA又はmRNAなど、ポリヌクレオチド内の特異的ヌクレオチド配列の固有の特性及びそれによってもたらされる生物学的特性を指す。従って、遺伝子、cDNA又はRNAは、その遺伝子に対応するmRNAの転写及び翻訳によって細胞又は他の生体系のタンパク質が産生される場合にタンパク質をコードする。そのヌクレオチド配列がmRNA配列と同一の且つ通常配列表に提供されるものであるコード鎖及び遺伝子又はcDNAの転写鋳型として使用される非コード鎖の両方は、その遺伝子のcDNAのタンパク質又は他の産物をコードすると称することができる。
特記されない限り、「アミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列」は、互いの縮重バージョンであり、同じアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列の全てを含む。タンパク質又はRNAをコードするヌクレオチド配列という語句には、そのタンパク質をコードするヌクレオチド配列が何らかのバージョンで1つ又は複数のイントロンを含み得る限りにおいて、イントロンも含まれ得る。
用語「有効量」又は「治療有効量」は、本明細書では同義的に使用され、本明細書に記載される通りの化合物、製剤、材料又は組成物が特定の生物学的結果を達成するのに有効な量を指す。
用語「内因性」は、生物、細胞、組織又は系由来の又はその内部で産生される任意の材料を指す。
用語「外因性」は、生物、細胞、組織又は系の外側から導入されるか又はその外側で産生される任意の材料を指す。
用語「発現」は、プロモーターによってドライブされる特定のヌクレオチド配列の転写及び/又は翻訳を指す。
用語「トランスファーベクター」は、単離核酸を含む組成物であって、細胞内部への単離核酸の送達に使用し得る組成物を指す。当技術分野では、限定されないが、線状ポリヌクレオチド、イオン性又は両親媒性化合物に関連するポリヌクレオチド、プラスミド及びウイルスを含め、多くのベクターが公知である。従って、用語「トランスファーベクター」には自己複製プラスミド又はウイルスが含まれる。この用語は、例えば、ポリリジン化合物、リポソームなど、細胞への核酸のトランスファーを促進する非プラスミド及び非ウイルス化合物も更に含むものと解釈されなければならない。ウイルストランスファーベクターの例としては、限定されないが、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクターなどが挙げられる。
用語「発現ベクター」は、発現させるヌクレオチド配列に作動可能に連結した発現制御配列を含む組換えポリヌクレオチドを含むベクターを指す。発現ベクターは、発現に十分なシス作用エレメントを含み、他の発現用エレメントは、宿主細胞によって供給されるか又はインビトロ発現系に供給され得る。発現ベクターには、組換えポリヌクレオチドを組み込むコスミド、プラスミド(例えば、ネイキッド又はリポソームに含まれる)及びウイルス(例えば、レンチウイルス、レトロウイルス、アデノウイルス及びアデノ随伴ウイルス)を含め、当技術分野において公知のもの全てが含まれる。
用語「レンチウイルス」は、レトロウイルス科(Retroviridae)の属を指す。レンチウイルスは、非分裂細胞を感染させることができる点でレトロウイルスの中でユニークであり、レンチウイルスは、宿主細胞のDNAに多量の遺伝情報を送達することができ、そのため、遺伝子デリバリーベクターの最も効率的な方法の1つである。HIV、SIV及びFIVは、全てレンチウイルスの例である。
用語「レンチウイルスベクター」は、特に、Milone et al.,Mol.Ther.17(8):1453−1464(2009)に提供される通りの自己不活性化レンチウイルスベクターを含め、レンチウイルスゲノムの少なくとも一部分に由来するベクターを指す。臨床で使用し得るレンチウイルスベクターの他の例としては、限定されないが、例えばOxford BioMedicaからのLENTIVECTOR(登録商標)遺伝子デリバリー技術、LentigenからのLENTIMAX(商標)ベクターシステムなどが挙げられる。非臨床タイプのレンチウイルスベクターも利用可能であり、当業者に公知であろう。
用語「相同」又は「同一性」は、2つのポリマー分子間、例えば2つのDNA分子又は2つのRNA分子など、2つの核酸分子間又は2つのポリペプチド分子間におけるサブユニット配列同一性を指す。2つの分子の両方におけるサブユニット位置が同じ単量体サブユニットによって占有されるとき、例えば2つのDNA分子の各々の位置がアデニンによって占有される場合、それらは、その位置で相同又は同一である。2つの配列間の相同性は、一致する位置又は相同な位置の数の直接の関数である。例えば、2つの配列における位置の半分(例えば、10サブユニット長のポリマーにおける5個の位置)が相同である場合、それらの2つの配列は、50%相同である。位置の90%(例えば、10個中9個)が一致するか又は相同である場合、それらの2つの配列は、90%相同である。
「ヒト化」形態の非ヒト(例えば、マウス)抗体は、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小配列を含むキメラ免疫グロブリン、免疫グロブリン鎖又はその断片(抗体のFv、Fab、Fab’、F(ab’)2又は他の抗原結合部分配列など)である。ほとんどの場合、ヒト化抗体及びその抗体断片は、ヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体又は抗体断片)においてレシピエントの相補決定領域(CDR)からの残基が所望の特異性、親和性及び能力を有するマウス、ラット又はウサギなどの非ヒト種(ドナー抗体)のCDRからの残基に置き換えられているものである。一部の例では、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク領域(FR)残基が対応する非ヒト残基に置き換えられる。更に、ヒト化抗体/抗体断片は、レシピエント抗体にも、移入されるCDR又はフレームワーク配列にも見られない残基を含むことができる。これらの改変は抗体又は抗体断片の性能を更に精緻化及び最適化し得る。一般に、ヒト化抗体又はその抗体断片は、少なくとも1つ及び典型的には2つの可変ドメインの実質的に全てを含むことになり、CDR領域の全て又は実質的に全てが非ヒト免疫グロブリンのものに対応し、且つFR領域の全て又は大部分がヒト免疫グロブリン配列のものである。ヒト化抗体又は抗体断片は、免疫グロブリン定常領域(Fc)、典型的にはヒト免疫グロブリンのFcの少なくとも一部分も含むことができる。更なる詳細については、Jones et al.,Nature,321:522−525,1986;Reichmann et al.,Nature,332:323−329,1988;Presta,Curr.Op.Struct.Biol.,2:593−596,1992を参照されたい。
「完全にヒト」は、分子全体がヒト起源であるか、又はヒト形態の抗体又は免疫グロブリンと同一のアミノ酸配列からなる抗体又は抗体断片などの免疫グロブリンを指す。
用語「単離されている」は、自然状態から改変されているか又は取り出されていることを意味する。例えば、生きている動物に天然に存在する核酸又はペプチドは、「単離されている」のではないが、その自然状態の共存する材料から部分的又は完全に分離された同じ核酸又はペプチドは、「単離されている」。単離核酸又はタンパク質は、実質的に精製された形態で存在することができ、又は例えば宿主細胞など、非天然環境中に存在することができる。
本発明との関連において、一般的に存在する核酸塩基に関して以下の略称が使用される。「A」は、アデノシンを指し、「C」は、シトシンを指し、「G」は、グアノシンを指し、「T」は、チミジンを指し、及び「U」は、ウリジンを指す。
用語「作動可能に連結された」又は「転写制御」は、調節配列と異種核酸配列との間における後者の発現をもたらす機能的な連結を指す。例えば、第1の核酸配列が第2の核酸配列と機能的に関係した状態に置かれているとき、第1の核酸配列は、第2の核酸配列と作動可能に連結されている。例えば、プロモーターがコード配列の転写又は発現に影響を及ぼす場合、プロモーターは、コード配列に作動可能に連結されている。作動可能に連結されるDNA配列は、互いに連続し得、例えば2つのタンパク質コード領域をつなぎ合わせる必要がある場合、同じリーディングフレーム内にある。
免疫原性組成物の「非経口」投与という用語は、例えば、皮下(s.c.)、静脈内(i.v.)、筋肉内(i.m.)、又は胸骨内注射、腫瘍内、又は輸注技法を含む。
用語「核酸」又は「ポリヌクレオチド」は、一本鎖又は二本鎖の形態のデオキシリボ核酸(DNA)又はリボ核酸(RNA)及びそれらのポリマーを指す。具体的に限定しない限り、この用語には、参照核酸と同様の結合特性を有し、且つ天然に存在するヌクレオチドと同じように代謝される、天然ヌクレオチドの既知の類似体を含む核酸が包含される。特に指示されない限り、ある詳細な核酸配列は、黙示的に、その保存的に改変された変異体(例えば、縮重コドン置換)、アレル、オルソログ、SNP及び相補配列並びに明示的に指示される配列も包含する。具体的には、縮重コドン置換は、1つ以上の選択の(又は全ての)コドンの3番目の位置が混合塩基及び/又はデオキシイノシン残基で置換されている配列を作成することによって達成し得る(Batzer et al.,Nucleic Acid Res.19:5081(1991);Ohtsuka et al.,J.Biol.Chem.260:2605−2608(1985);及びRossolini et al.,Mol.Cell.Probes 8:91−98(1994))。
用語「ペプチド」、「ポリペプチド」及び「タンパク質」は、同義的に使用され、ペプチド結合によって共有結合的に連結したアミノ酸残基で構成される化合物を指す。タンパク質又はペプチドは、少なくとも2つのアミノ酸を含有しなければならず、タンパク質の配列又はペプチドの配列を含むことのできるアミノ酸の最大数に制限はない。ポリペプチドは、互いにペプチド結合によってつなぎ合わされた2つ以上のアミノ酸を含む任意のペプチド又はタンパク質を含む。本明細書で使用されるとき、この用語は、当技術分野では一般に例えばペプチド、オリゴペプチド及びオリゴマーとも称される短鎖と、当技術分野では概してタンパク質と称される、多数の種類があるより長い鎖との両方を指す。「ポリペプチド」には、例えば、生物学的に活性な断片、実質的に相同なポリペプチド、オリゴペプチド、ホモ二量体、ヘテロ二量体、ポリペプチドの変異体、修飾ポリペプチド、誘導体、類似体、融合タンパク質が特に含まれる。ポリペプチドには、天然ペプチド、組換えペプチド又はこれらの組み合わせが含まれる。
用語「プロモーター」は、ポリヌクレオチド配列の特異的転写を開始させるのに必要である、細胞の合成機構又は導入された合成機構によって認識されるDNA配列を指す。
用語「プロモーター/調節配列」は、そのプロモーター/調節配列に作動可能に連結された遺伝子産物の発現に必要な核酸配列を指す。一部の例では、この配列は、コアプロモーター配列であり得、他の例では、この配列は、エンハンサー配列及び遺伝子産物の発現に必要な他の調節エレメントも含み得る。プロモーター/調節配列は、例えば、遺伝子産物を組織特異的に発現するものであり得る。
用語「構成的」プロモーターは、遺伝子産物をコードするか又はそれを指定するポリヌクレオチドと作動可能に連結されているとき、細胞のほとんど又は全ての生理条件下で細胞において遺伝子産物の産生を生じさせるヌクレオチド配列を指す。
用語「誘導性」プロモーターは、遺伝子産物をコードするか又はそれを指定するポリヌクレオチドと作動可能に連結されているとき、実質的にプロモーターに対応する誘発物質が細胞に存在する場合に限り細胞において遺伝子産物の産生を生じさせるヌクレオチド配列を指す。
用語「組織特異的」プロモーターは、遺伝子をコードするか又はそれによって指定されるポリヌクレオチドと作動可能に連結されているとき、実質的に細胞がプロモーターに対応する組織型の細胞である場合に限り細胞において遺伝子産物の産生を生じさせるヌクレオチド配列を指す。
用語「癌関連抗原」又は「腫瘍抗原」は、同義的に、癌細胞の表面上に完全に又は代わりに断片(例えば、MHC/ペプチド)として発現する分子(典型的にはタンパク質、炭水化物又は脂質)であって、癌細胞への薬理学的薬剤の優先的なターゲティングに有用な分子を指す。いくつかの実施形態において、腫瘍抗原は、正常細胞及び癌細胞の両方が発現するマーカー、例えば系列マーカー、例えばB細胞上のCD19である。いくつかの実施形態において、腫瘍抗原は、正常細胞と比較して癌細胞で過剰発現する(例えば、正常細胞と比較して1倍の過剰発現、2倍の過剰発現、3倍の過剰発現又はそれを超える)細胞表面分子である。いくつかの実施形態において、腫瘍抗原は、癌細胞で不適切に合成される細胞表面分子、例えば正常細胞に発現する分子と比較して欠失、付加又は変異を含む分子である。いくつかの実施形態において、腫瘍抗原は癌細胞の細胞表面にのみ、完全に又は代わりに断片(例えば、MHC/ペプチド)として発現することになり、正常細胞の表面に合成されないか又は発現しない。いくつかの実施形態において、本発明のCARは、MHC提示ペプチドに結合する抗原結合ドメイン(例えば、抗体又は抗体断片)を含むCARを含む。通常、内因性タンパク質に由来するペプチドは、主要組織適合遺伝子複合体(MHC)クラスI分子のポケットに嵌まり、CD8+Tリンパ球上のT細胞受容体(TCR)によって認識される。MHCクラスI複合体は、あらゆる有核細胞によって構成的に発現される。癌では、ウイルス特異的及び/又は腫瘍特異的ペプチド/MHC複合体が免疫療法用のユニークなクラスの細胞表面標的となる。ヒト白血球抗原(HLA)−A1又はHLA−A2のコンテクストでウイルス又は腫瘍抗原由来のペプチドを標的とするTCR様抗体が記載されている(例えば、Sastry et al.,J Virol.2011 85(5):1935−1942;Sergeeva et al.,Blood,2011 117(16):4262−4272;Verma et al.,J Immunol 2010 184(4):2156−2165;Willemsen et al.,Gene Ther 2001 8(21):1601−1608;Dao et al.,Sci Transl Med 2013 5(176):176ra33;Tassev et al.,Cancer Gene Ther 2012 19(2):84−100を参照されたい)。例えば、TCR様抗体は、ヒトscFvファージディスプレイライブラリなど、ライブラリのスクリーニングによって同定することができる。
用語「腫瘍支持抗原」又は「癌支持抗原」は、互換的に、それ自体癌性ではないが、例えば増殖又は生存、例えば免疫細胞に対する抵抗性を促進することにより、癌細胞を支持する、細胞の表面に発現される分子(典型的には、タンパク質、炭水化物又は脂質)を指す。この型の例示的な細胞は、間質細胞及び骨髄由来サプレッサー細胞(MDSC)を含む。腫瘍支持抗原自体は、抗原が癌細胞を支持する細胞上に存在する限り、腫瘍細胞を支持する役割を果たさなくてもよい。
用語「可動性ポリペプチドリンカー」又は「リンカー」は、scFvとの関連で使用されるとき、可変重鎖領域と可変軽鎖領域とを共に連結するために単独又は組み合わせで使用されるグリシン及び/又はセリン残基などのアミノ酸からなるペプチドリンカーを指す。一実施形態において、可動性ポリペプチドリンカーは、Gly/Serリンカーであり、アミノ酸配列(Gly−Gly−Gly−Ser)n(式中、nは、1つ以上の正の整(配列番号31)数、例えばn=1、n=2、n=3、n=4、n=5及びn=6、n=7、n=8、n=9及びn=10である(配列番号28))を含む。一実施形態において、可動性ポリペプチドリンカーには、限定されないが、(Gly4 Ser)4(配列番号29)又は(Gly4 Ser)3(配列番号30)が含まれる。別の実施形態において、リンカーは、(Gly2Ser)、(GlySer)又は(Gly3Ser)の複数の繰り返しを含む。また、国際公開第2012/138475号パンフレット(参照により本明細書に援用される)に記載されるリンカーも本発明の範囲内に含まれる。
本明細書で使用されるとき、5’キャップ(RNAキャップ、RNA7−メチルグアノシンキャップ又はRNA m7Gキャップとも称される)は、転写開始直後に真核生物メッセンジャーRNAの「前」又は5’末端に付加された修飾グアニンヌクレオチドである。5’キャップは、1番目の転写ヌクレオチドに連結される末端基からなる。その存在は、リボソームによる認識及びRNアーゼからの保護に重要である。キャップ付加は転写と結び付いており、それぞれが他方に影響を与えるようにして同時転写的に起こる。転写開始直後、合成されているmRNAの5’末端に、RNAポリメラーゼに関連するキャップ合成複合体が結合する。この酵素複合体は、mRNAキャッピングに必要な化学反応を触媒する。合成は、多段階生化学反応として進行する。キャッピング部分は、mRNAのその安定性又は翻訳効率などの機能を調整するために改変することができる。
本明細書で使用されるとき、「インビトロ転写RNA」は、インビトロ合成されたRNA、好ましくはmRNAを指す。概して、インビトロ転写RNAは、インビトロ転写ベクターから作成される。インビトロ転写ベクターは、インビトロ転写RNAの作成に使用される鋳型を含む。
本明細書で使用されるとき、「ポリ(A)」は、ポリアデニル化によってmRNAに付加される一連のアデノシンである。一過性発現用のコンストラクトの好ましい実施形態において、ポリAは、50〜5000(配列番号34)、好ましくは64より多く、より好ましくは100より多く、最も好ましくは300又は400より多い。ポリ(A)配列は、局在性、安定性又は翻訳効率などのmRNA機能を調整するために化学的又は酵素的に改変することができる。
本明細書で使用されるとき、「ポリアデニル化」は、メッセンジャーRNA分子へのポリアデニリル部分又はその改変変異体の共有結合を指す。真核生物では、ほとんどのメッセンジャーRNA(mRNA)分子が3’末端でポリアデニル化される。3’ポリ(A)テールは、酵素、ポリアデニル酸ポリメラーゼの作用によってmRNA前駆体に付加されるアデニンヌクレオチドの長い配列(多くの場合に数百個)である。高等真核生物では、ポリ(A)テールは、特異的配列、ポリアデニル化シグナルを含む転写物に付加される。ポリ(A)テール及びそれに結合したタンパク質は、mRNAをエキソヌクレアーゼによる分解から保護するのに役立つ。ポリアデニル化は、転写終結、mRNAの核外移行及び翻訳にも重要である。ポリアデニル化は、DNAからRNAへの転写直後に核内で起こるが、更に後に細胞質でも起こり得る。転写が終結した後、RNAポリメラーゼに関連するエンドヌクレアーゼ複合体の作用によってmRNA鎖が切断される。切断部位は、通常、切断部位近傍の塩基配列AAUAAAの存在によって特徴付けられる。mRNAが切断された後、切断部位の遊離3’末端にアデノシン残基が付加される。
本明細書で使用されるとき、「一過性」は、数時間、数日間又は数週間の期間にわたる組み込まれないトランス遺伝子の発現を指し、この発現期間は、宿主細胞においてゲノムに組み込まれた場合又は安定プラスミドレプリコン中に含まれている場合の遺伝子の発現期間よりも短い。
本明細書で使用される場合、用語「処置する」、「処置」及び「処置している」は、1つ以上の療法(例えば、本発明のCARなどの1つ以上の療法剤)の投与によってもたらされる増殖性障害の進行、重症度及び/若しくは持続期間の低減若しくは改善又は増殖性障害の1つ以上の症状(好ましくは1つ以上の認識し得る症状)の改善を指す。具体的な実施形態において、用語「処置する」、「処置」及び「処置している」は、患者には必ずしも認識できない、腫瘍の成長などの増殖性障害の少なくとも1つの計測可能な理学的パラメータの改善を指す。他の実施形態において、用語「処置する」、「処置」及び「処置している」は、増殖性障害の進行の物理的な、例えば認識し得る症状の安定化による阻害、生理学的な、例えば理学的パラメータの安定化による阻害のいずれか又は両方を指す。他の実施形態において、用語「処置する」、「処置」及び「処置している」は、腫瘍サイズ又は癌性細胞数の低減又は安定化を指す。
用語「シグナル伝達経路」は、細胞のある部分から細胞の別の部分へのシグナルの伝達において役割を果たす種々のシグナル伝達分子間の生化学的関係を指す。語句「細胞表面受容体」は、シグナルを受け取り、且つ細胞の膜を越えてシグナルを伝える能力を有する分子及び分子複合体を含む。
用語「対象」は、免疫応答を生じさせることのできる生きている生物(例えば、哺乳類、ヒト)を含むことが意図される。
用語の「実質的に精製された」細胞は、他の細胞型を本質的に含まない細胞を指す。実質的に精製された細胞とは、その天然に存在する状態でそれが通常結び付いている他の細胞型と分離されている細胞も指す。一部の例では、実質的に精製された細胞集団とは、均質な細胞集団を指す。他の例では、この用語は、単に、その自然状態でそれが天然に結び付いている細胞から分離されている細胞を指す。一部の態様において、これらの細胞は、インビトロで培養される。他の態様において、これら細胞は、インビトロで培養されない。
用語「療法的」とは、本明細書で使用されるとき、治療を意味する。療法的効果は疾患状態の低減、抑制、寛解又は根絶によって達成される。
用語「予防」は、本明細書で使用されるとき、疾患又は疾患状態の予防又はそれに対する予防的治療を意味する。
本発明との関連において、「腫瘍抗原」、又は「過剰増殖性障害抗原」、又は「過剰増殖性障害に関連する抗原」は、特異的な過剰増殖性障害に共通する抗原を指す。特定の態様において、本発明の過剰増殖性障害抗原は、限定されないが、原発性又は転移性黒色腫、胸腺腫、リンパ腫、肉腫、肺癌、肝癌、非ホジキンリンパ腫、ホジキンリンパ腫、白血病、子宮癌、子宮頸癌、膀胱癌、腎癌及び腺癌、例えば乳癌、前立腺癌、卵巣癌、膵癌などを含めた癌に由来する。
用語「トランスフェクトされた」、又は「形質転換された」、又は「形質導入された」は、外因性核酸を宿主細胞に移入させるか又は導入するプロセスを指す。「トランスフェクトされた」、又は「形質転換された」、又は「形質導入された」細胞は、外因性核酸をトランスフェクト、形質転換又は形質導入されたものである。細胞には初代対象細胞及びその子孫が含まれる。
用語「特異的に結合する」は、試料中に存在するコグネイト結合パートナー(例えば、腫瘍抗原)タンパク質を認識し、結合する抗体又はリガンドであって、しかし、試料中の他の分子は、実質的に認識又は結合しない、抗体又はリガンドを指す。
「制御可能キメラ抗原受容体(RCAR)」は、本明細書で使用される場合、一連のポリペプチド、典型的には最も単純な実施形態で2ポリペプチドを指し、RCARX細胞にある場合、RCARX細胞に標的細胞、典型的には癌細胞に対する特異性及び制御可能細胞内シグナル産生又は増殖を与え、これは、RCARX細胞の免疫エフェクター特性を最適化し得る。RCAR細胞は、少なくとも一部には、抗原結合ドメインにより結合される抗原を含む標的細胞に対する特性を提供することを抗原結合ドメインに依存する。一実施形態において、RCARは、二量体化分子存在下、細胞内シグナル伝達ドメインを抗原結合ドメインに結合できる二量体化スイッチを含む。
「膜アンカー」又は「膜繋留ドメイン」は、この用語が本明細書で使用されるとき、細胞外又は細胞内ドメインを細胞膜にアンカリングするのに十分なポリペプチド又は部分、例えばミリストイル基を指す。
「スイッチドメイン」は、この用語が本明細書で例えばRCARに言及する場合に使用されるとき、二量化分子の存在下で別のスイッチドメインと会合する実体、典型的にはポリペプチドベースの実体を指す。この会合の結果、第1のスイッチドメインに連結、例えば融合した第1の実体と、第2のスイッチドメインに連結、例えば融合した第2の実体との機能的カップリングが生じる。第1及び第2のスイッチドメインは、まとめて二量化スイッチと称される。実施形態において、第1及び第2のスイッチドメインは、互いに同じであり、例えば、これらは、同じ一次アミノ酸配列を有するポリペプチドであり、まとめてホモ二量化スイッチと称される。実施形態において、第1及び第2のスイッチドメインは、互いに異なり、例えば、これらは、異なる一次アミノ酸配列を有するポリペプチドであり、まとめてヘテロ二量化スイッチと称される。実施形態において、スイッチは、細胞内である。実施形態において、スイッチは、細胞外である。実施形態において、スイッチドメインは、ポリペプチドベースの実体、例えばFKBP又はFRBベースであり、二量化分子は、小分子、例えばラパログである。実施形態において、スイッチドメインは、ポリペプチドベースの実体、例えばmycペプチドに結合するscFvであり、二量化分子は、ポリペプチド、その断片又はポリペプチドの多量体、例えば1つ以上のmyc scFvに結合するmycリガンド又はmycリガンドの多量体である。実施形態において、スイッチドメインは、ポリペプチドベースの実体、例えばmyc受容体であり、二量化分子は、抗体又はその断片、例えばmyc抗体である。
「二量化分子」は、この用語が本明細書で例えばRCARに言及する場合に使用されるとき、第1のスイッチドメインと第2のスイッチドメインとの会合を促進する分子を指す。実施形態において、二量化分子は、対象に天然に存在しないか、又は有意な二量化をもたらし得る濃度で存在しない。実施形態において、二量化分子は、小分子、例えばラパマイシン又はラパログ、例えばRAD001である。
用語「生物学的に均等」は、参照用量又は参照量の参照化合物(例えば、RAD001)によって生じる効果と均等な効果を生じさせるのに必要な量の参照化合物(例えば、RAD001)以外の薬剤を指す。一実施形態において、効果は、例えば、P70 S6キナーゼ阻害によって測定したときの、例えばインビボ又はインビトロアッセイで評価したときの、例えば本明細書に記載されるアッセイ、例えばブーレイ(Boulay)アッセイによって測定したときのmTOR阻害レベルである。一実施形態において、効果は、細胞選別によって測定したときのPD−1陽性/PD−1陰性T細胞の比の変化である。一実施形態において、mTOR阻害剤の生物学的に均等な量又は用量は、参照用量又は参照量の参照化合物と同じレベルのP70 S6キナーゼ阻害を達成する量又は用量である。一実施形態において、mTOR阻害剤の生物学的に均等な量又は用量は、参照用量又は参照量の参照化合物と同じレベルのPD−1陽性/PD−1陰性T細胞の比の変化を達成する量又は用量である。
用語「低免疫増強用量」は、mTOR阻害剤、例えばアロステリックmTOR阻害剤、例えばRAD001又はラパマイシン又は触媒mTOR阻害剤と併せて使用されるとき、例えばP70 S6キナーゼ活性の阻害によって測定したときのmTOR活性を、完全ではないが、部分的に阻害するmTOR阻害剤の用量を指す。mTOR活性の、例えばP70 S6キナーゼの阻害による評価方法は、本明細書で考察される。用量は、完全な免疫抑制をもたらすには不十分であるが、免疫応答を増強するには十分である。一実施形態において、mTOR阻害剤の低免疫増強用量は、PD−1陽性T細胞の数の減少及び/又はPD−1陰性T細胞の数の増加又はPD−1陰性T細胞/PD−1陽性T細胞の比の増加をもたらす。一実施形態において、mTOR阻害剤の低免疫増強用量は、ナイーブT細胞の数の増加をもたらす。一実施形態において、mTOR阻害剤の低免疫増強用量は、以下の1つ以上をもたらす:
例えばメモリーT細胞上、例えばメモリーT細胞前駆体上の以下のマーカー:CD62Lhigh、CD127high、CD27+及びBCL2の1つ以上の発現の増加;
例えばメモリーT細胞上、例えばメモリーT細胞前駆体上のKLRG1の発現の減少;及び
メモリーT細胞前駆体、例えば以下の特性:CD62Lhighの増加、CD127highの増加、CD27+の増加、KLRG1の減少及びBCL2の増加のいずれか1つ又は組み合わせを有する細胞の数の増加。
ここで、上記に記載される変化のいずれも、例えば未処置対象と比較した場合、例えば少なくとも一過性に起こる。
「難治性」は、本明細書で使用される場合、処置に応答しない疾患、例えば癌を指す。実施形態において、難治性癌は、処置の開始前又は開始時点で処置に抵抗性であり得る。他の実施形態において、難治性癌は、処置中に抵抗性になり得る。難治性癌は、抵抗性癌とも称される。
「再発した」は、本明細書で使用される場合、一定期間の改善後、例えば治療(例えば、癌治療)の先の処置後の、疾患(例えば、癌)の再来又は癌などの疾患の徴候及び症状を指す。
範囲:本開示全体を通じて、本発明の様々な態様が範囲の形式で提示され得る。範囲の形式での記載は、単に便宜上及び簡潔にするためのものであり、本発明の範囲に対する確固たる限定と解釈されてはならないことが理解されるべきである。従って、範囲の記載は、具体的に開示される全ての可能な部分範囲並びにその範囲内にある個々の数値を有すると考えられなければならない。例えば、1〜6などの範囲の記載は、1〜3、1〜4、1〜5、2〜4、2〜6、3〜6などの具体的に開示される部分範囲並びにその範囲内にある個々の数値、例えば1、2、2.7、3、4、5、5.3及び6を有すると考えられなければならない。別の例として、95〜99%の同一性などの範囲は、95%、96%、97%、98%又は99%の同一性を有するものを含み、且つ96〜99%、96〜98%、96〜97%、97〜99%、97〜98%及び98〜99%の同一性などの部分範囲を含む。これは、範囲の幅に関わらず適用される。
本明細書で使用される場合、用語「IFNG」、「インターフェロンγ」又は「IFN−γ」は、遺伝子IFNG及びその遺伝子によってコードされるタンパク質を指す。ヒトゲノムにおいて、IFNGは、染色体12q15に位置する。例示的なIFNG配列は、Genebank番号:NM_000619.2で提供される。
本明細書で使用される場合、用語「NOTCH2」、「神経原性遺伝子座ノッチ相同タンパク質2」又は「hN2」は、遺伝子NOTCH2及び遺伝子によってコードされるタンパク質を指す。ヒトゲノムにおいて、NOTCH2は、染色体1p12に位置する。2つの例示的なNotch2アイソフォームは、Genebank番号:NM_001200001.1及びNM_024408.3で提供される。
本明細書で使用される場合、用語「IL2RA」、「インターロイキン−2受容体サブユニットα」、「IL−2−RA」又は「IL2−RA」は、IL2RA遺伝子及びその遺伝子によってコードされるタンパク質を指す。これは、「CD25」、「TAC抗原」又は「p55」としても知られている。ヒトゲノムにおいて、IL2RAは、染色体10p15.1に位置する。3つの例示的なIL2RAアイソフォームは、Genebank番号NM_000417.2、NM_001308242.1及びNM_001308243.1で提供される。
本明細書で使用される場合、用語「PRDM1」又は「PRドメインジンクフィンガータンパク質1」は、遺伝子PRDM1及びその遺伝子によってコードされるタンパク質を指す。それは、「BLIMP−1」、「βインターフェロン遺伝子陽性調節ドメインI結合因子」、「PRドメイン含有タンパク質1」、「陽性調節ドメインI結合因子1」、「PRDI−BF1」及び「PRDI結合因子1」としても知られている。ヒトゲノムにおいて、PRDM1は、染色体6q21に位置する。4つの例示的なPRDM1アイソフォームは、Genebank番号:NM_001198.3、NM_182907.2、XM_011536063.2及びXM_017011187.1で提供される。
「Tet」という用語は、本明細書で使用される場合、10−11転座メチルシトシンジオキシゲナーゼファミリーの遺伝子ファミリー及び前記遺伝子によってコードされるタンパク質を指す。Tetには、例えば、Tet1、Tet2及びTet3が含まれる。
「Tet2」という用語は、本明細書で使用される場合、遺伝子、tetメチルシトシンジオキシゲナーゼ2及び前記遺伝子によってコードされるタンパク質、tet2メチルシトシンジオキシゲナーゼを指し、これは、メチルシトシンの5−ヒドロキシメチルシトシンへの変換を触媒する。これは、「KIAA1546」、「FLJ20032」及び「tet発癌遺伝子ファミリーメンバー2」とも称される。コードされたタンパク質は、骨髄造血に関与しており、この遺伝子の欠陥は、いくつかの骨髄増殖性障害に関連している。ヒトゲノムにおいて、TET2は、染色体4q24に位置する。現在、6つのTET2アイソフォームが記述されており、Genebank番号は、NM_001127208.2;XM_005263082.1;XM_006714242.2;NM_017628.4;XM_011532044.1;及びXM_011532043.1である。
ヒトTet2のタンパク質配列の例は、UniProt受託番号Q6N021として提供される。
tet2遺伝子は、染色体4、位置GRCh38.p2(GCF_000001405.28)(NC_000004.12(105145875〜105279803);遺伝子ID54790に位置する。
Tet2をコードする核酸配列の例を以下に提供する。ヒトTet2の6つの同定されたアイソフォームが同定されている。mRNA配列を以下に提供する(実施形態において、各配列中、Tは、Uで置換され得る)。実施形態において、Tet2は、下記配列の各々によりコードされるタンパク質を含む。
「Tet阻害剤」又は「Tet[x]阻害剤」(例えば、「Tet1阻害剤」、「Tet2阻害剤」又は「Tet3阻害剤」)は、その用語が本明細書で使用される場合、対応するTet、例えばTet1、Tet2及び/又はTet3、例えばTet2の機能及び/又は発現を低減又は排除する分子又は分子群(例えば、系)を指す。一実施形態において、Tet、例えばTet1、Tet2及び/又はTet3、例えばTet2阻害剤は、Tet、例えばTet1、Tet2及び/又はTet3、例えばTet2の発現を阻害する、例えばTet、例えばTet1、Tet2及び/又はTet3、例えばTet2の発現を低減するか又は排除する分子を指す。実施形態において、Tet、例えばTet1、Tet2及び/又はTet3、例えばTet2阻害剤は、Tet、例えばTet1、Tet2及び/又はTet3、例えばTet2の機能を阻害する分子である。Tet、例えばTet1、Tet2及び/又はTet3、例えばTet、例えばTet1、Tet2及び/又はTet3、例えばTet2の発現を阻害するTet2阻害剤の例は、遺伝子編集系結合部位又はその近辺の核酸の修飾が、Tet、例えばTet1、Tet2及び/又はTet3、例えばTet2の発現を低減又は排除するように修飾される、例えば本明細書に記載のTet、例えばTet1、Tet2及び/又はTet3、例えばTet2遺伝子内又はその調節エレメント内の核酸を標的とする遺伝子編集系である。Tet、例えばTet1、Tet2及び/又はTet3、例えばTet、例えばTet1、Tet2及び/又はTet3、例えばTet2の発現を阻害するTet2阻害剤の別の例は、Tet、例えばTet1、Tet2及び/又はTet3、例えばTet2 mRNAとハイブリダイズすることができ、Tet、例えばTet1、Tet2及び/又はTet3、例えばTet2翻訳の減少又は排除を生じる、核酸分子、例えばRNA分子、例えば短鎖ヘアピンRNA(shRNA)又は短鎖干渉RNA(siRNA)である。Tet、例えばTet1、Tet2及び/又はTet3、例えばTet2阻害剤は、Tet、例えばTet1、Tet2及び/又はTet3、例えばTet2発現を阻害する分子をコードする核酸(例えば、抗Tet、例えばTet1、Tet2及び/又はTet3、例えばTet2 shRNA又はsiRNAをコードする核酸又は抗Tet、例えばTet1、Tet2及び/又はTet3、例えばTet2遺伝子編集系の1つ以上、例えば全ての成分をコードする核酸)も含む。Tet、例えばTet1、Tet2及び/又はTet3、例えばTet2の機能を阻害する分子の例は、Tet、例えばTet1、Tet2及び/又はTet3、例えばTet2の1つ以上の活性を阻害する分子、例えばタンパク質又は小分子である。例は、Tet、例えばTet1、Tet2及び/又はTet3、例えばTet2の小分子阻害剤である。別の例は、ドミナントネガティブTet、例えばTet1、Tet2及び/又はTet3、例えばTet2タンパク質である。別の例は、Tetのドミナントネガティブバージョン、例えばTet1、Tet2及び/又はTet3、例えばTet2結合パートナー、例えば関連ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)である。別の例は、Tet、例えばTet1、Tet2及び/又はTet3、例えばTet2結合パートナーを阻害する分子、例えば小分子、例えばTet、例えばTet1、Tet2及び/又はTet3、例えばTet2関連HDAC阻害剤である。Tet、例えばTet1、Tet2及び/又はTet3、例えばTet2阻害剤は、Tet、例えばTet1、Tet2及び/又はTet3、例えばTet2の阻害剤をコードする核酸も含む。
用語「IFNG阻害剤」及び「IFN−γ阻害剤」は、本明細書で互換的に使用され、IFN−γの発現及び/又は機能を低減又は排除する分子又は分子群(例えば、系)を指す。IFN−γ阻害剤には、IFN−γ、IFN−γ受容体(例えば、IFN−γ受容体1及び/又はIFN−γ受容体2)又はIFN−γエフェクター(例えば、TNFSF14、TNFRSF3、TNFRSF14又はTNFRSF6B)の全ての適切な形態の全てのアンタゴニスト又は阻害剤が含まれる。例示的なIFN−γ阻害剤には、IFN−γ遺伝子又はその調節エレメントを標的とする遺伝子編集系;IFN−γ翻訳を低減する核酸分子、例えばRNA分子、例えば短鎖ヘアピンRNA(shRNA)又は短鎖干渉RNA(siRNA);及びIFN−γの1つ以上の活性を阻害するタンパク質、ペプチド又は小分子が含まれるが、これらに限定されるものではない。
本明細書で使用される場合、用語「NOTCH2阻害剤」は、NOTCH2の発現及び/又は機能を低減又は排除する分子又は分子群(例えば、系)を指す。例示的なNOTCH2阻害剤には、NOTCH2遺伝子又はその調節エレメントを標的とする遺伝子編集系;NOTCH2翻訳を低減する核酸分子、例えばRNA分子、例えば短鎖ヘアピンRNA(shRNA)又は短鎖干渉RNA(siRNA);及びNOTCH2の1つ以上の活性を阻害するタンパク質、ペプチド又は小分子が含まれるが、これらに限定されるものではない。
本明細書で使用される場合、用語「IL2RA阻害剤」は、IL2RAの発現及び/又は機能を低減又は排除する分子又は分子群(例えば、系)を指す。例示的なIL2RA阻害剤には、IL2RA遺伝子又はその調節エレメントを標的とする遺伝子編集系;IL2RA翻訳を低減する核酸分子、例えばRNA分子、例えば短鎖ヘアピンRNA(shRNA)又は短鎖干渉RNA(siRNA);及びIL2RAの1つ以上の活性を阻害するタンパク質、ペプチド又は小分子が含まれるが、これらに限定されるものではない。
本明細書で使用される場合、用語「PRDM1阻害剤」は、PRDM1の発現及び/又は機能を低減又は排除する分子又は分子群(例えば、系)を指す。例示的なPRDM1阻害剤には、PRDM1遺伝子又はその調節エレメントを標的とする遺伝子編集系;PRDM1翻訳を低減する核酸分子、例えばRNA分子、例えば短鎖ヘアピンRNA(shRNA)又は短鎖干渉RNA(siRNA);及びPRDM1の1つ以上の活性を阻害するタンパク質、ペプチド又は小分子が含まれるが、これらに限定されるものではない。
本明細書で使用される場合、「Tet2関連遺伝子」は、その構造、発現及び/又は機能がTet2と関連する(例えば、影響を受けるか又は調節される)遺伝子又はその構造、発現及び/又は機能がTet2と関連する(例えば、影響を受けるか又は調節される)遺伝子産物(例えば、mRNA又はポリペプチド)をコードする遺伝子を指す。Tet2関連遺伝子には、Tet2遺伝子は、含まれない。
いくつかの実施形態において、Tet2関連遺伝子は、本明細書に記載の1つ以上の(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10又はそれを超える)遺伝子を含む。いくつかの実施形態において、Tet2関連遺伝子は、表8に記載の1つ以上の(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10又はそれを超える)遺伝子を含む。いくつかの実施形態において、Tet2関連遺伝子は、表9に記載の1つ以上の(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10又はそれを超える)遺伝子を含む。
いくつかの実施形態において、Tet2関連遺伝子は、IFNG、NOTCH2、CD28、ICOS、IL2RA又はPRDM1から選択される1つ以上(例えば、2、3、4、5つ又は全て)の遺伝子を含む。
一実施形態において、Tet2関連遺伝子は、IFNGを含む。一実施形態において、Tet2関連遺伝子は、NOTCH2を含む。一実施形態において、Tet2関連遺伝子は、CD28を含む。一実施形態において、Tet2関連遺伝子は、ICOSを含む。一実施形態において、Tet2関連遺伝子は、IL2RAを含む。一実施形態において、Tet2関連遺伝子は、PRDM1を含む。
一実施形態において、Tet2関連遺伝子は、IFNG及びNOTCH2を含む。一実施形態において、Tet2関連遺伝子は、IFNG及びCD28を含む。一実施形態において、Tet2関連遺伝子は、IFNG及びICOSを含む。一実施形態において、Tet2関連遺伝子は、IFNG及びIL2RAを含む。一実施形態において、Tet2関連遺伝子は、IFNG及びPRDM1を含む。一実施形態において、Tet2関連遺伝子は、NOTCH2及びCD28を含む。一実施形態において、Tet2関連遺伝子は、NOTCH2及びICOSを含む。一実施形態において、Tet2関連遺伝子は、NOTCH2及びIL2RAを含む。一実施形態において、Tet2関連遺伝子は、NOTCH2及びPRDM1を含む。一実施形態において、Tet2関連遺伝子は、CD28及びICOSを含む。一実施形態において、Tet2関連遺伝子は、CD28及びIL2RAを含む。一実施形態において、Tet2関連遺伝子は、CD28及びPRDM1を含む。一実施形態において、Tet2関連遺伝子は、ICOS及びIL2RAを含む。一実施形態において、Tet2関連遺伝子は、ICOS及びPRDM1を含む。一実施形態において、Tet2関連遺伝子は、IL2RA及びPRDM1を含む。
一実施形態において、Tet2関連遺伝子は、IFNG、NOTCH2及びCD28を含む。一実施形態において、Tet2関連遺伝子は、IFNG、NOTCH2及びICOSを含む。一実施形態において、Tet2関連遺伝子は、IFNG、NOTCH2及びIL2RAを含む。一実施形態において、Tet2関連遺伝子は、IFNG、NOTCH2及びPRDM1を含む。一実施形態において、Tet2関連遺伝子は、IFNG、CD28及びICOSを含む。一実施形態において、Tet2関連遺伝子は、IFNG、CD28及びIL2RAを含む。一実施形態において、Tet2関連遺伝子は、IFNG、CD28及びPRDM1を含む。一実施形態において、Tet2関連遺伝子は、IFNG、ICOS及びIL2RAを含む。一実施形態において、Tet2関連遺伝子は、IFNG、ICOS及びPRDM1を含む。一実施形態において、Tet2関連遺伝子は、IFNG、IL2RA及びPRDM1を含む。一実施形態において、Tet2関連遺伝子は、NOTCH2、CD28及びICOSを含む。一実施形態において、Tet2関連遺伝子は、NOTCH2、CD28及びIL2RAを含む。一実施形態において、Tet2関連遺伝子は、NOTCH2、CD28及びPRDM1を含む。一実施形態において、Tet2関連遺伝子は、NOTCH2、ICOS及びIL2RAを含む。一実施形態において、Tet2関連遺伝子は、NOTCH2、ICOS及びPRDM1を含む。一実施形態において、Tet2関連遺伝子は、NOTCH2、IL2RA及びPRDM1を含む。一実施形態において、Tet2関連遺伝子は、CD28、ICOS及びIL2RAを含む。一実施形態において、Tet2関連遺伝子は、CD28、ICOS及びPRDM1を含む。一実施形態において、Tet2関連遺伝子は、CD28、IL2RA及びPRDM1を含む。一実施形態において、Tet2関連遺伝子は、ICOS、IL2RA及びPRDM1を含む。
一実施形態において、Tet2関連遺伝子は、CD28、ICOS、IL2RA及びPRDM1を含む。一実施形態において、Tet2関連遺伝子は、NOTCH2、ICOS、IL2RA及びPRDM1を含む。一実施形態において、Tet2関連遺伝子は、NOTCH2、CD28、IL2RA及びPRDM1を含む。一実施形態において、Tet2関連遺伝子は、NOTCH2、CD28、ICOS及びPRDM1を含む。一実施形態において、Tet2関連遺伝子は、NOTCH2、CD28、ICOS及びIL2RAを含む。一実施形態において、Tet2関連遺伝子は、IFNG、ICOS、IL2RA及びPRDM1を含む。一実施形態において、Tet2関連遺伝子は、IFNG、CD28、IL2RA及びPRDM1を含む。一実施形態において、Tet2関連遺伝子は、IFNG、CD28、ICOS及びPRDM1を含む。一実施形態において、Tet2関連遺伝子は、IFNG、CD28、ICOS及びIL2RAを含む。一実施形態において、Tet2関連遺伝子は、IFNG、NOTCH2、IL2RA及びPRDM1を含む。一実施形態において、Tet2関連遺伝子は、IFNG、NOTCH2、ICOS及びPRDM1を含む。一実施形態において、Tet2関連遺伝子は、IFNG、NOTCH2、ICOS及びIL2RAを含む。一実施形態において、Tet2関連遺伝子は、IFNG、NOTCH2、CD28及びPRDM1を含む。一実施形態において、Tet2関連遺伝子は、IFNG、NOTCH2、CD28及びIL2RAを含む。一実施形態において、Tet2関連遺伝子は、IFNG、NOTCH2、CD28及びICOSを含む。
いくつかの実施形態において、Tet2関連遺伝子は、IFNG、NOTCH2、CD28、ICOS及びIL2RAを含む。いくつかの実施形態において、Tet2関連遺伝子は、IFNG、NOTCH2、CD28、ICOS及びPRDM1を含む。いくつかの実施形態において、Tet2関連遺伝子は、IFNG、NOTCH2、CD28、IL2RA及びPRDM1を含む。いくつかの実施形態において、Tet2関連遺伝子は、IFNG、NOTCH2、ICOS、IL2RA及びPRDM1を含む。いくつかの実施形態において、Tet2関連遺伝子は、IFNG、CD28、ICOS、IL2RA及びPRDM1を含む。いくつかの実施形態において、Tet2関連遺伝子は、NOTCH2、CD28、ICOS、IL2RA及びPRDM1を含む。
いくつかの実施形態において、Tet2関連遺伝子は、IFNG、NOTCH2、CD28、ICOS、IL2RA及びPRDM1を含む。
特定の実施形態において、Tet2の発現及び/又は機能が阻害されると、Tet2関連遺伝子の発現及び/又は機能が変化する。いくつかの実施形態において、Tet2の発現及び/又は機能が阻害されると、Tet2関連遺伝子の発現及び/又は機能が低減又は排除される。他の実施形態において、Tet2の発現及び/又は機能が阻害されると、Tet2関連遺伝子の発現及び/又は機能が増加又は活性化される。
いくつかの実施形態において、Tet2関連遺伝子又は遺伝子産物は、Tet2に関連する(例えば、Tet2の阻害に関連する)生物学的経路のメンバーである。特定の実施形態において、Tet2関連遺伝子又は遺伝子産物は、経路のTet2の下流にある。一実施形態において、Tet2関連遺伝子又は遺伝子産物は、経路のTet2の上流にある。
特定の実施形態において、Tet2関連遺伝子は、Tet2(例えば、Tet2遺伝子又は遺伝子産物)と直接的又は間接的に相互作用する遺伝子産物(例えば、ポリペプチド)をコードする。他の実施形態において、Tet2関連遺伝子は、Tet2(例えば、Tet2遺伝子又は遺伝子産物)と相互作用しない遺伝子産物(例えば、ポリペプチド)をコードする。
本明細書で使用される場合、「Tet2関連遺伝子」の「モジュレーター」は、Tet2関連遺伝子の機能及び/又は発現を調節する(例えば、低減若しくは排除又は増加若しくは活性化する)分子又は分子群(例えば、系)を指す。特定の実施形態において、モジュレーターは、Tet2関連遺伝子の発現及び/又は機能を低減又は排除する。他の実施形態において、モジュレーターは、Tet2関連遺伝子の発現及び/又は機能を増加又は活性化する。特定の実施形態において、モジュレーターは、Tet2関連遺伝子の阻害剤である。他の実施形態において、モジュレーターは、Tet2関連遺伝子のアクティベーターである。いくつかの実施形態において、モジュレーターは、例えば、核酸が遺伝子編集系結合部位又はその近くで修飾されて、Tet2関連遺伝子の発現及び/又は機能を調節するように、Tet2関連遺伝子又はその調節エレメント内の核酸を標的とする、遺伝子編集系である。いくつかの実施形態において、モジュレーターは、遺伝子編集系の成分又は遺伝子編集系の成分をコードする核酸である。他の実施形態において、モジュレーターは、Tet2関連遺伝子のmRNAとハイブリダイズすることができ、例えばTet2関連遺伝子産物の減少又は排除を生じる、核酸分子、例えばRNA分子、例えば短鎖ヘアピンRNA(shRNA)又は短鎖干渉RNA(siRNA)である。他の実施形態において、モジュレーターは、RNA分子、例えばshRNA又はsiRNAをコードする核酸である。いくつかの態様において、モジュレーターは、例えば、Tet2関連遺伝子の過剰発現のための、Tet2関連遺伝子の遺伝子産物又は遺伝子産物をコードする核酸である。他の実施形態において、モジュレーターは、Tet2関連遺伝子の発現及び/又は機能を調節する小分子である。他の実施形態において、モジュレーターは、Tet2関連遺伝子の発現及び/又は機能を調節するタンパク質である。例えば、モジュレーターは、Tet2関連遺伝子の遺伝子産物の変異体(例えば、ドミナントネガティブ変異体又は構成的に活性な変異体)又は結合パートナーであり得る。いくつかの実施形態において、モジュレーターは、前述のタンパク質をコードする核酸である。モジュレーターは、Tet2関連遺伝子の転写前、それと同時若しくはその後及び/又はTet2関連遺伝子の翻訳前、それと同時若しくはその後にTet2関連遺伝子の発現及び/又は機能を調節(例えば、阻害又は活性化)することができる。
本明細書で使用される場合、「Tet関連遺伝子」は、その構造、発現及び/又は機能がTet(例えば、Tet1、Tet2及び/又はTet3)と関連する(例えば、影響を受けるか又は調節される)遺伝子又はその構造、発現及び/又は機能がTet(例えば、Tet1、Tet2及び/又はTet3)と関連する(例えば、影響を受けるか又は調節される)遺伝子産物(例えば、mRNA又はポリペプチド)をコードする遺伝子を指す。Tet関連遺伝子は、Tet遺伝子(例えば、Tet1、Tet2及び/又はTet3遺伝子)を含まない。
特定の実施形態において、Tet(例えば、Tet1、Tet2及び/又はTet3)の発現及び/又は機能が阻害されると、Tet関連遺伝子の発現及び/又は機能が変化する。いくつかの実施形態において、Tet(例えば、Tet1、Tet2及び/又はTet3)の発現及び/又は機能が阻害されると、Tet関連遺伝子の発現及び/又は機能が低減又は排除される。他の実施形態において、Tet(例えば、Tet1、Tet2及び/又はTet3)の発現及び/又は機能が阻害されると、Tet関連遺伝子の発現及び/又は機能が増加又は活性化される。
いくつかの実施形態において、Tet関連遺伝子又は遺伝子産物は、Tet(例えば、Tet1、Tet2及び/又はTet3)に関連する(例えば、Tet(例えば、Tet1、Tet2及び/又はTet3)の阻害に関連する)生物学的経路のメンバーである。特定の実施形態において、Tet関連遺伝子又は遺伝子産物は、経路のTet(例えば、Tet1、Tet2及び/又はTet3)の下流にある。一実施形態において、Tet関連遺伝子又は遺伝子産物は、経路のTet(例えば、Tet1、Tet2及び/又はTet3)の上流にある。
特定の実施形態において、Tet関連遺伝子は、Tet(例えば、Tet1、Tet2及び/又はTet3)(例えば、Tet遺伝子又は遺伝子産物)と直接的又は間接的に相互作用する遺伝子産物(例えば、ポリペプチド)をコードする。他の実施形態において、Tet関連遺伝子は、Tet(例えば、Tet1、Tet2及び/又はTet3)(例えば、Tet遺伝子又は遺伝子産物)と相互作用しない遺伝子産物(例えば、ポリペプチド)をコードする。
本明細書で使用される場合、「Tet関連遺伝子」の「モジュレーター」は、Tet関連遺伝子(例えば、Tet1、Tet2及び/又はTet3に関連する遺伝子)の機能及び/又は発現を調節する(例えば、低減若しくは排除又は増加若しくは活性化する)分子又は分子群(例えば、系)を指す。特定の実施形態において、モジュレーターは、Tet関連遺伝子の発現及び/又は機能を低減又は排除する。他の実施形態において、モジュレーターは、Tet関連遺伝子の発現及び/又は機能を増加又は活性化する。特定の実施形態において、モジュレーターは、Tet関連遺伝子の阻害剤である。他の実施形態において、モジュレーターは、Tet関連遺伝子のアクティベーターである。いくつかの実施形態において、モジュレーターは、例えば、核酸が遺伝子編集系結合部位又はその近くで修飾されて、Tet関連遺伝子の発現及び/又は機能を調節するように、Tet関連遺伝子又はその調節エレメント内の核酸を標的とする、遺伝子編集系である。いくつかの実施形態において、モジュレーターは、遺伝子編集系の成分又は遺伝子編集系の成分をコードする核酸である。他の実施形態において、モジュレーターは、Tet関連遺伝子のmRNAとハイブリダイズすることができ、例えばTet関連遺伝子産物の減少又は排除を生じる、核酸分子、例えばRNA分子、例えば短鎖ヘアピンRNA(shRNA)又は短鎖干渉RNA(siRNA)である。他の実施形態において、モジュレーターは、RNA分子、例えばshRNA又はsiRNAをコードする核酸である。いくつかの実施形態において、モジュレーターは、例えば、Tet関連遺伝子の過剰発現のための、Tet関連遺伝子の遺伝子産物又は遺伝子産物をコードする核酸である。他の実施形態において、モジュレーターは、Tet関連遺伝子の発現及び/又は機能を調節する小分子である。他の実施形態において、モジュレーターは、Tet関連遺伝子の発現及び/又は機能を調節するタンパク質である。例えば、モジュレーターは、Tet関連遺伝子の遺伝子産物の変異体(例えば、ドミナントネガティブ変異体又は構成的に活性な変異体)又は結合パートナーであり得る。いくつかの実施形態において、モジュレーターは、前述のタンパク質をコードする核酸である。モジュレーターは、Tet関連遺伝子の転写前、それと同時若しくはその後及び/又はTet関連遺伝子の翻訳前、それと同時若しくはその後にTet関連遺伝子の発現及び/又は機能を調節(例えば、阻害又は活性化)することができる。
「系」という用語は、Tet及び/又はTet関連遺伝子、例えばTet2及び/又はTet2関連遺伝子の遺伝子編集又は調節(例えば、阻害又は活性化)に関連して本明細書で使用される場合、共に所望の機能をもたらすように作用する分子のグループ、例えば1つ以上の分子を指す。
本明細書で使用される用語「遺伝子編集系」は、前記系により標的とされる遺伝子DNAの部位又はその近辺の1つ以上の核酸の改変、例えば欠失を導き及び実施する、系、例えば1つ以上の分子を指す。遺伝子編集系は当技術分野において公知であり、以下により詳細に記載する。
「結合パートナー」という用語は、本明細書においてTet及び/又はTet関連分子、例えばTet2及び/又はTet2関連分子に関連して使用される場合、Tet及び/又はTet関連遺伝子産物、例えばTet2及び/又はTet2関連遺伝子産物と相互作用する、例えば結合する分子、例えばタンパク質を指す。理論に拘束されることを望まないが、Tet、例えばTet1、Tet2及び/又はTet3、例えばTet2は、1つ以上のHDACタンパク質に結合すると考えられる。このようなHDACタンパク質は、Tet、例えばTet1、Tet2及び/又はTet3、例えばTet2結合パートナーの例として考慮される。
「ドミナントネガティブ」遺伝子産物又はタンパク質は、別の遺伝子産物又はタンパク質の機能を妨害するものである。影響を受ける他の遺伝子産物は、ドミナントネガティブタンパク質と同一であるか又は異なり得る。ドミナントネガティブ遺伝子産物は、切断、点変異を有する全長タンパク質若しくはその断片又は全長野生型若しくは変異体タンパク質若しくはその断片と他のタンパク質との融合体を含む多様な形態であり得る。観察される阻害レベルは非常に低い可能性がある。例えば、これは、効果を見るために、機能的タンパク質又は過程に関与するタンパク質と比較して大過剰のドミナントネガティブタンパク質を必要とし得る。通常の生物学的アッセイ条件下での効果の確認は困難であり得る。一実施形態において、Tet関連遺伝子産物のドミナントネガティブ変異体(例えば、Tet2関連遺伝子産物)は、Tet関連遺伝子(例えば、Tet2関連遺伝子)変異体によりコードされる触媒的に不活性な遺伝子産物である。別の実施形態において、Tet関連遺伝子産物のドミナントネガティブ結合パートナー(例えば、Tet2関連遺伝子産物)は、Tet関連遺伝子(例えば、Tet2関連遺伝子)変異体によりコードされる触媒的に不活性な遺伝子産物である。一実施形態において、ドミナントネガティブTet、例えばTet1、Tet2及び/又はTet3、例えばTet2は、触媒的に不活性なTet、例えばTet1、Tet2及び/又はTet3、例えばTet2である。別の実施形態において、ドミナントネガティブTet、例えばTet1、Tet2及び/又はTet3、例えばTet2結合パートナーは、触媒的に不活性なTet、例えばTet1、Tet2及び/又はTet3、例えばTet2結合HDAC阻害剤である。
理論に拘束されることを望まないが、「セントラルメモリーT細胞(Tcm)表現型」を有する細胞は、CCR7及びCD45ROを発現する。一実施形態において、セントラルメモリーT細胞表現型を有する細胞は、CCR7及びCD45ROを発現し、且つ/又はナイーブT細胞と比較してより低レベルのCD45RAを発現するか又は発現しない。一実施形態において、セントラルメモリーT細胞表現型を有する細胞は、CD45RO及びCD62Lを発現し、且つ/又はナイーブT細胞と比較してより低レベルのCD45RAを発現するか又は発現しない。一実施形態において、セントラルメモリーT細胞表現型を有する細胞は、CCR7、CD45RO及びCD62Lを発現し、且つ/又はナイーブT細胞と比較してより低レベルのCD45RAを発現するか又は発現しない。
理論に拘束されることを望まないが、「エフェクターメモリーT細胞(Tem)表現型」を有する細胞は、ナイーブT細胞と比較してより低レベルのCCR7を発現するか又は発現せず、より高レベルのCD45ROを発現する。
本明細書に記載される経路は、例えば、Gene Ontology Consortium(例えば、Biological Process Ontology)及び/又はGene Set Enrichment Analysis(GSEA)(例えば、Hallmark or Canonical pathway gene sets)に記載されている。
Biological Process Ontologyは、例えば、Ashburner et al.Gene ontology:tool for the unification of biology(2000)Nat Genet 25(1):25−9;The Gene Ontology Consortium.Gene Ontology Consortium:going forward.(2015)Nucl Acids Res 43 Database issue D1049-D1056に記載されている。ホールマーク遺伝子セット及びカノニカル経路遺伝子セットは、例えば、Tamayo,et al.(2005)PNAS 102,15545−15550;Mootha,Lindgren,et al.(2003)Nat Genet 34,267−273に記載されている。
本明細書で使用される場合、「白血球分化経路」とは、比較的特殊化されていない造血前駆細胞が白血球の特殊化された特徴を獲得するプロセス、例えばBiological Process OntologyのGO:0002521に分類される1つ以上のプロセスを指す。
本明細書で使用される場合、「免疫系プロセスの正の調節経路」とは、免疫系プロセスの頻度、速度又は程度を活性化又は増加させるプロセス、例えばBiological Process OntologyのGO:0002684に分類される1つ以上のプロセスを指す。
本明細書で使用される場合、「膜貫通受容体タンパク質チロシンキナーゼシグナル伝達経路」とは、チロシンキナーゼ活性を有する細胞表面受容体への、細胞外リガンドの結合により開始されるシグナル伝達経路、例えばBiological Process OntologyのGO:0007169に分類される1つ以上の経路を指す。
本明細書で使用される場合、「解剖学的構造形態形成の調節経路」とは、解剖学的構造形態形成の頻度、速度又は程度を調節するプロセス、例えばBiological Process OntologyのGO:0022603に分類される1つ以上のプロセスを指す。
本明細書で使用される場合、「NFKBを介したTNFAシグナル伝達経路」とは、TNFに応答してNFκBによって調節されるプロセス、例えばホールマーク遺伝子セット(GSEA)のM5890に分類される1つ以上の遺伝子が関与するプロセスを指す。
本明細書で使用される場合、「ヒドロラーゼ活性の正の調節経路」とは、ヒドロラーゼ活性の頻度、速度及び/又は程度を活性化又は増加させるプロセス、例えばBiological Process OntologyのGO:0051345に分類される1つ以上のプロセスを指す。
本明細書で使用される場合、「創傷治癒経路」とは、受傷後に損傷組織の完全性(例えば、部分的又は完全な完全性)を回復するプロセス、例えばBiological Process OntologyのGO:0042060に分類される1つ以上のプロセスを指す。
本明細書で使用される場合、「α−βT細胞活性化経路」とは、例えば、マイトジェン、サイトカイン、ケモカイン、細胞リガンド又はそれが特異的である抗原への曝露に起因する、αβT細胞の形態及び/又は挙動の変化、例えばBiological Process OntologyのGO:0046631に分類される1つ以上の変化が関与するプロセスを指す。
本明細書で使用される場合、「細胞成分移動の調節経路」とは、細胞成分の移動の頻度、速度及び/又は程度を調節するプロセス、例えばBiological Process OntologyのGO:0051270に分類される1つ以上のプロセスを指す。
本明細書で使用される場合、「炎症反応経路」とは、例えば、脊椎動物組織による、感染又は化学物質又は物理的要因によって引き起こされる受傷に対する防御反応(例えば、即時防御反応)、例えばBiological Process OntologyのGO:0006954に分類される1つ以上の反応を指す。いくつかの実施形態において、このプロセスは、局所的血管拡張、細胞間空間への血漿の溢出及び/又は白血球及びマクロファージの蓄積を特徴とする。
本明細書で使用される場合、「骨髄細胞分化経路」とは、比較的特殊化されていない骨髄前駆細胞が骨髄性白血球、巨核球、血小板又は赤血球系列のいずれかの細胞の特殊化された特徴を獲得するプロセス、例えばBiological Process OntologyのGO:0030099に分類される1つ以上のプロセスを指す。
本明細書で使用される場合、「サイトカイン産生経路」とは、細胞刺激後にサイトカインが合成又は分泌され、その細胞内又は細胞外レベルの増加をもたらすプロセス、例えばBiological Process OntologyのGO:0001816に分類される1つ以上のプロセスを指す。
本明細書で使用される場合、「UV応答の下方制御の経路」とは、紫外線(UV)放射に応答して下方制御される遺伝子、例えばホールマーク遺伝子セットのM5942に分類される1つ以上の遺伝子が関与するプロセスを指す。
本明細書で使用される場合、「多細胞生物プロセスの負の調節経路」とは、生物プロセス、細胞レベルを超える生物の機能に関するプロセス(例えば、組織と器官との統合プロセス)の頻度、速度及び/又は程度を停止、防止又は低減するプロセス、例えばBiological Process OntologyのGO:0051241に分類される1つ以上のプロセスを指す。
本明細書で使用される場合、「血管形態形成経路」とは、血管の解剖学的構造が生成及び組織化されるプロセス、例えばBiological Process OntologyのGO:0048514に分類される1つ以上のプロセスを指す。
本明細書で使用される場合、「NFAT依存性転写経路」とは、リンパ球におけるカルシニューリン調節NFAT依存性転写に関与する遺伝子、例えばカノニカル経路遺伝子セットのM60に分類される1つ以上の遺伝子に関連するプロセスを指す。
本明細書で使用される場合、「アポトーシスプロセスの正の調節経路」とは、アポトーシスの頻度、速度及び/又は程度を活性化又は増加させるプロセス、例えばBiological Process OntologyのGO:0043065に分類される1つ以上のプロセスを指す。
本明細書で使用される場合、「低酸素経路」とは、低酸素に応答して上方制御される遺伝子、例えばホールマーク遺伝子セットのM5891に分類される1つ以上の遺伝子が関与するプロセスを指す。
本明細書で使用される場合、「KRASシグナル伝達による上方制御の経路」とは、KRAS活性化により上方制御される遺伝子、例えばホールマーク遺伝子セットのM5953に分類される1つ以上の遺伝子が関与するプロセスを指す。
本明細書で使用される場合、「ストレス活性化プロテインキナーゼシグナル伝達カスケードの経路」とは、ストレス活性化プロテインキナーゼ(SAPK)カスケードが1つ以上のシグナルを中継するシグナル伝達経路、例えばBiological Process OntologyのGO:0031098に分類される1つ以上のシグナル伝達経路を指す。
説明
本発明は、Tet関連遺伝子(例えば、Tet2関連遺伝子)のモジュレーター(例えば、阻害剤又はアクティベーター)及びTet(例えば、Tet1、Tet2及び/又はTet3)、例えばTet2の阻害剤並びにその使用方法を提供する。特に、本発明は、本明細書に記載の1つ以上の遺伝子の阻害剤を含むCAR発現T細胞及びCAR T細胞に関連する1つ以上の遺伝子の使用を提供する。本発明の阻害剤は、それらの使用方法と共により詳細に以下に記載される。CAR、CAR T細胞及び使用方法について以下で更に説明する。
理論に拘束されるものではないが、特定の実施形態において、1つ以上のTet関連(例えば、Tet2関連)遺伝子の発現及び/又は機能が調節された細胞は、DNAヒドロキシメチル化の減少並びに変化したT細胞の分化に一致したエピジェネティックなプロファイルの獲得を示し得ると考えられている。例えば、1つ以上のTet関連(例えば、Tet2関連)遺伝子の発現及び/又は機能が調節されたCAR T細胞は、後期メモリー分化の特性と異なる初期メモリー表現型を示し得る。従って、特定の実施形態において、TET(例えば、TET2)経路における1つ以上の遺伝子の発現及び/又は機能の調節は、T細胞増殖を促進し得、それにより遺伝的にリダイレクトされたT細胞での処置を増強し得る。
Tet及びTet関連遺伝子のモジュレーター
本発明は、例えば、Tet関連遺伝子(例えば、Tet2関連遺伝子)のモジュレーター及び任意選択によりTet(Tet1、Tet2及び/又はTet3、例えばTet2)の阻害剤を含む組成物並びにそのような組成物及び/又は本明細書に記載の他の手段を使用することにより、免疫エフェクター細胞機能、例えばCAR発現細胞機能を強化するための方法を提供する。当技術分野で公知の任意のモジュレーター、Tet関連遺伝子(例えば、Tet2関連遺伝子)及びTet(例えば、Tet1、Tet2及び/又はTet3、例えばTet2)の任意の阻害剤を本発明に従って使用することができる。Tet関連遺伝子(例えば、Tet2関連遺伝子)のモジュレーターの例及びTet(例えば、Tet1、Tet2及び/又はTet3、例えばTet2)の例示的な阻害剤は、以下に記載される。
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される方法のいずれかによるTet2関連遺伝子のいずれかの調節は、単一アレル性又は両アレル性であり得る。特定の実施形態において、調節は、両アレル性である(例えば、2つの調節されたアレル)。他の実施形態において、調節は、単一アレル性である(例えば、1つの調節されたアレル及び1つの野生型アレル)。
遺伝子編集系
本発明によると、遺伝子編集系は、Tet関連遺伝子(例えば、Tet2関連遺伝子)のモジュレーター及び/又はTet(例えば、Tet1、Tet2及び/又はTet3、例えばTet2)の阻害剤として使用することができる。また、本発明により、Tet関連遺伝子(例えば、Tet2関連遺伝子)及び/又はTet(例えば、Tet1、Tet2及び/又はTet3、例えばTet2)を標的とする遺伝子編集系の1つ以上の成分をコードする核酸の使用が企図される。
一実施形態において、Tet2関連遺伝子は、IFNG、NOTCH2、CD28、ICOS、IL2RA又はPRDM1から選択される1つ以上(2、3、4、5つ又は全て)の遺伝子である。一実施形態において、Tet2関連遺伝子は、表8から選択される1つ以上の(例えば、組み合わせ又は2、3、4、5、6、7、8、9、10又はそれを超える)遺伝子である。一実施形態において、Tet2関連遺伝子は、表9、列Dから選択される1つ以上の(例えば、組み合わせ又は2、3、4、5、6、7、8、9、10又はそれを超える)遺伝子である。一実施形態において、Tet2関連遺伝子は、表9、列Aから選択される1つ以上の(例えば、組み合わせ又は2、3、4、5、6、7、8、9、10又はそれを超える)経路に関連する、1つ以上の(例えば、組み合わせ又は2、3、4、5、6、7、8、9、10又はそれを超える)遺伝子である。一実施形態において、Tet2関連遺伝子は、セントラルメモリーT細胞表現型に関連する1つ以上の遺伝子である。
CRISPR/Cas9遺伝子編集系
天然に存在するCRISPR/Cas系は、配列決定された真正細菌ゲノムの約40%及び配列決定された古細菌の90%に見られる。Grissa et al.(2007)BMC Bioinformatics 8:172。この系は、プラスミド及びファージなどの外来遺伝的要素に対する抵抗性を付与する一種の原核生物免疫系であり、後天性免疫の型を提供する。Barrangou et al.(2007)Science 315:1709−1712;Marragini et al.(2008)Science 322:1843−1845。
CRISPR/Cas系は、マウス又は霊長類などの真核生物における遺伝子編集(特定の遺伝子のサイレンシング、増強又は変更)に使用するために改変されている。Wiedenheft et al.(2012)Nature 482:331−8。これは、例えば、特別に設計したCRISPR及び1つ以上の適切なCasを含むプラスミドを真核細胞に導入することにより達成される。
CRISPR座位と呼ばれることもあるCRISPR配列は、交互の反復及びスペーサーを含む。天然に存在するCRISPRにおいて、スペーサーは、通常、細菌に対して外来であるプラスミド又はファージ配列などの配列を含み、Tet関連遺伝子(例えば、Tet2関連遺伝子)及び/又はTet(例えば、Tet1、Tet2及び/又はTet3、例えばTet2)を標的とする例示的なCRISPR/Cas系において、スペーサーは、Tet関連遺伝子(例えば、Tet2関連遺伝子)及び/又はTet(例えば、Tet1、Tet2及び/又はTet3、例えばTet2)の遺伝子配列又はその調節エレメントの配列に由来する。
CRISPR座位からのRNAは、構成的に発現され、小RNAへと処理される。これらは、反復配列が隣接したスペーサーを含む。RNAは、他のCasタンパク質をRNA又はDNAレベルで外来性遺伝的要素に対して発現抑制するように導く。Horvath et al.(2010)Science 327:167−170;Makarova et al.(2006)Biology Direct 1:7。スペーサーは、そのため、siRNAに類似して、RNA分子のテンプレートとしての役割を果たす。Pennisi(2013)Science 341:833−836。
多くの異なるタイプの細菌で自然に生じるように、CRISPRの正確な配置及び構造、Cas遺伝子の機能及び数及びそれらの産物は、種毎にいくぶん異なる。Haft et al.(2005)PLoS Comput.Biol.1:e60;Kunin et al.(2007)Genome Biol.8:R61;Mojica et al.(2005)J.Mol.Evol.60:174−182;Bolotin et al.(2005)Microbiol.151:2551−2561;Pourcel et al.(2005)Microbiol.151:653−663;及びStern et al.(2010)Trends.Genet.28:335−340。例えば、Cse(Casサブタイプ、大腸菌(E.coli))タンパク質(例えば、CasA)は、機能的複合体、Cascadeを形成し、これは、CRISPR RNA転写物を、Cascadeが保持するスペーサー−反復単位に処理する。Brouns et al.(2008)Science 321:960−964。他の原核生物において、Cas6は、CRISPR転写物を加工する。大腸菌(E.coli)におけるCRISPRベースのファージ不活性化は、Cascade及びCas3を必要とするが、Cas1又はCas2を必要としない。パイロコッカス・フリオサス(Pyrococcus furiosus)及び他の原核生物におけるCmr(Cas RAMPモジュール)タンパク質は、小CRISPR RNAと機能的複合体を形成し、これは、相補性標的RNAを認識し、切断する。より単純なCRISPR系は、二重らせんの各鎖のための2活性切断部位を有するヌクレアーゼであるタンパク質Cas9に依存する。Cas9と修飾CRISPR遺伝子座RNAとの組み合わせを遺伝子編集のための系に使用できる。Pennisi(2013)Science 341:833−836。
従って、CRISPR/Cas系を使用して、例えばTet関連遺伝子(例えば、Tet2関連遺伝子)、及び/又はTet(例えば、Tet1、Tet2及び/又はTet3、例えばTet2)若しくはTet関連遺伝子(例えば、Tet2関連遺伝子)、及び/又はTet(例えば、Tet1、Tet2及び/又はTet3、例えばTet2)の遺伝子調節エレメントを改変させる、例えば1つ以上の核酸を欠失させる又はTet関連遺伝子(例えば、Tet2関連遺伝子)及び/又はTet(例えば、Tet1、Tet2及び/又はTet3、例えばTet2)の機能の発現を減少させる未成熟終止を導入することができる。代わりに、CRISPR/Cas系をRNA干渉のように使用して、Tet関連遺伝子(例えば、Tet2関連遺伝子)及び/又はTet(例えば、Tet1、Tet2、Tet3、例えばTet2)を可逆的な方法で遮断することもできる。例えば、哺乳類細胞では、RNAポリメラーゼを立体的に遮断し、RNAは、Casタンパク質をTet関連遺伝子(例えば、Tet2関連遺伝子)及び/又はTet(例えば、Tet1、Tet2及び/又はTet3、例えばTet2)のプロモーターに導くことができる。
真核生物細胞における遺伝子編集のためのCRISPR/Cas系は、典型的には、(1)標的化配列(ゲノムDNA標的配列にハイブリダイズすることができる)及びCas、例えばCas9酵素と結合することができる配列を含むガイドRNA分子(gRNA)、及び(2)Cas、例えばCas9、タンパク質を含む。標的化配列及びCas、例えばCas9酵素に結合することができる配列は、同じ又は異なる分子上に配置され得る。異なる分子上に配置されている場合、それぞれは、例えば、ハイブリダイゼーションにより、分子が会合することを可能にするハイブリダイゼーションドメインを含む。
本発明の例示的なgRNA分子は、配列(ここで、「n」は、標的化配列(例えば、本明細書、例えば表3に記載のもの)の残基を指し、15〜25ヌクレオチドからなり得、例えば20ヌクレオチドからなる):
nnnnnnnnnnnnnnnnnnnnGUUUUAGAGCUAUGCUGUUUUG(配列番号40);
及び次の配列を有する第2の核酸配列:
であって、任意選択により、3’末端に1、2、3、4、5、6又は7(例えば、4又は7、例えば7)の更なるUヌクレオチドを有する配列(配列番号41)を有する第1の核酸を含む、例えばそれからなる。
代わりに、第2の核酸分子は、上記配列の断片からなり得、ここで、そのような断片は、第1の核酸とハイブリダイズできる。このような第2の核酸分子の例は、
であり、任意選択により、3’末端に1、2、3、4、5、6又は7(例えば、4又は7、例えば7)の更なるUヌクレオチドを有する(配列番号42)。
本発明の別の例示的なgRNA分子は、配列(ここで、「n」は、標的化配列(例えば、本明細書、例えば表3に記載のもの)の残基を指し、15〜25ヌクレオチドからなり得、例えば20ヌクレオチドからなる):
であって、任意選択により、3’末端に1、2、3、4、5、6又は7(例えば、4又は7、例えば4)の更なるUヌクレオチドを有する配列を有する第1の核酸を含む、例えばそれからなる。当技術分野で公知の技術、例えば米国特許出願公開第20140068797号明細書、国際公開第2015/048577号パンフレット及びCong(2013)Science 339:819−823に記載されているものを使用して、Tet関連遺伝子(例えば、Tet2関連遺伝子)及び/又はTet(例えば、Tet1、Tet2及び/又はTet3、例えばTet2)遺伝子を阻害する人工CRISPR/Cas系を生成できる。例えば、Tsai(2014)Nature Biotechnol.,32:6 569−576、米国特許第8,871,445号明細書;同第8,865,406号明細書;同第8,795,965号明細書;同第8,771,945号明細書;及び同第8,697,359号明細書(これらの内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載のもののようなTet関連遺伝子(例えば、Tet2関連遺伝子)及び/又はTet(例えば、Tet1、Tet2及び/又はTet3、例えばTet2)遺伝子を阻害する当技術分野において公知の他の人工CRISPR/Cas系も産生できる。Tet関連遺伝子(例えば、Tet2関連遺伝子)及び/又はTet(例えば、Tet1、Tet2及び/又はTet3、例えばTet2)遺伝子を阻害するこのような系は、例えば、CRISPR/Cas系を、標的遺伝子、例えばTet関連遺伝子(例えば、Tet2関連遺伝子)及び/又はTet(例えば、Tet1、Tet2及び/又はTet3、例えばTet2)遺伝子の配列とハイブリダイズする標的化配列を含むgRNA分子を含むように操作することにより、産生され得る。実施形態において、gRNAは、標的遺伝子、例えばTet関連遺伝子(例えば、Tet2関連遺伝子)及び/又はTet(例えば、Tet1、Tet2及び/又はTet3、例えばTet2)遺伝子の15〜25ヌクレオチド、例えば20ヌクレオチドと完全に相補性である標的化配列を含む。一実施形態において、標的遺伝子、例えばTet関連遺伝子(例えば、Tet2関連遺伝子)及び/又はTet(例えば、Tet1、Tet2及び/又はTet3、例えばTet2)遺伝子の15〜25ヌクレオチド、例えば20ヌクレオチドは、CRISPR/Cas系(例えば、ここで、系は、S.ピオゲネス(S.pyogenes)Cas9タンパク質を含み、PAM配列は、NGGを含み、ここで、Nは、A、T、G又はCのいずれかであり得る)のCasタンパク質により認識されるプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)配列の5’に直接配置される。実施形態において、gRNAの標的化配列は、表2に列挙された配列に相補的なRNA配列を含む、例えばそれからなる。実施形態において、gRNAは、表3に列挙された標的化配列を含む。
一実施形態において、外来DNAを、CRISPR/Cas系、例えばCAR(例えば、本明細書に記載のもの)をコードするDNAと共に細胞に導入することができ、外来DNAの配列及び染色体配列に応じて、この過程は、CRISPR/Cas系により標的化される部位又はその近辺でのCAR(例えば、本明細書に記載のもの)をコードするDNAを組み込むのに使用され得る。本明細書に記載されるように、しかし、理論に拘束されることなく、例において、そのような組み込みは、CARの発現及びTet関連遺伝子(例えば、Tet2関連遺伝子)及び/又はTet(例えば、Tet1、Tet2及び/又はTet3、例えばTet2)遺伝子の破壊をもたらし得る。このような外来DNA分子は、本明細書において「テンプレートDNA」と称される。実施形態において、テンプレートDNAは、目的の1つ又は複数の分子をコードする(例えば、本明細書に記載のCARをコードする)テンプレートDNAの核酸に対するホモロジーアーム5’、3’又は5’及び3’の両方を更に含み、ここで、前記ホモロジーアームは、標的配列に隣接するゲノムDNA配列に相補的である。
一実施形態において、本発明のCRISPR/Cas系は、Cas9、例えばS.ピオゲネス(S.pyogenes)Cas9及びTet関連遺伝子(例えば、Tet2関連遺伝子)並びに/又はTet(例えば、Tet1、Tet2及び/又はTet3、例えばTet2)遺伝子の配列とハイブリダイズする標的化配列を含むgRNAを含む。一実施形態において、CRISPR/Cas系は、Tet関連遺伝子(例えば、Tet2関連遺伝子)及び/又はTet(例えば、Tet1、Tet2及び/又はTet3、例えばTet2)遺伝子に特異的なgRNAをコードする核酸及びCasタンパク質、例えばCas9、例えばS.ピオゲネス(S.pyogenes)Cas9をコードする核酸を含む。一実施形態において、CRISPR/Cas系は、Tet関連遺伝子(例えば、Tet2関連遺伝子)及び/又はTet(例えば、Tet1、Tet2及び/又はTet3、例えばTet2)遺伝子に特異的なgRNA及びCasタンパク質、例えばCas9、例えばS.ピオゲネス(S.pyogenes)Cas9をコードする核酸を含む。
本発明における使用のために相補的標的化配列を含むgRNAが生成され得るTet2のゲノム標的配列の例は、以下の表2に列挙される。実施形態において、gRNAは、以下の表の標的配列のRNA相補体を含む(例えば、sgTET2_1について、gRNAは、CCUUGGACACCUUCUCCUCC(配列番号44)を含むであろう)。実施形態において、gRNAは、以下の表2の標的配列のRNA類似体を含む(例えば、sgTET2_1について、gRNAは、GGAACCUGUGGAAGAGGAGG(配列番号45)を含むであろう)。実施形態において、Tet2阻害剤は、Tet2に特異的なgRNA分子をコードする核酸であり、ここで、核酸は、例えば、U6−又はH1−プロモーターの制御下で以下の2つの表からの標的配列の配列を含む。
本発明の種々の実施形態において、Tet、例えばTet2を阻害するのに有用なgRNA標的化配列の例を以下の表3に提供する。実施形態において、本発明のCRISPR/Cas系は、表3に列挙された配列を含む標的化配列を含むgRNA分子を含む。実施形態において、本発明のCRISPR/Cas系は、表3に列挙された配列である標的化配列を含むgRNA分子を含む。
TALEN遺伝子編集系
TALENは、TALエフェクターDNA結合ドメインとDNA切断ドメインを融合することにより人工的に産生される。転写アクティベーター様効果(TALE)は、HLA又はTCR遺伝子の部分を含む、任意の所望のDNA配列に結合するように操作できる。操作されたTALEとDNA開裂ドメインを合わせることにより、HLA又はTCR配列を含む、任意の所望のDNA配列に特異的な制限酵素を産生できる。次いで、これらを細胞に導入でき、そこで、それらは、ゲノム編集のために使用され得る。Boch(2011)Nature Biotech.29:135−6;及びBoch et al.(2009)Science 326:1509−12;Moscou et al.(2009)Science 326:3501。
TALEは、ザントモナス細菌により分泌されるタンパク質である。DNA結合ドメインは、12番目及び13番目のアミノ酸以外、反復した高度に保存的な33〜34アミノ酸配列を含む。これらの2箇所は、高度に可変であり、特定のヌクレオチド認識と強い相関を示す。それらは、従って、所望のDNA配列と結合するように操作され得る。
TALENを産生するために、TALEタンパク質を例えば野生型又は変異FokIエンドヌクレアーゼであるヌクレアーゼ(N)と融合する。TALENにおいて使用するために、FokIについていくつかの変異が行われており、これらは、例えば、切断特異性又は活性の改善を含む。Cermak et al.(2011)Nucl.Acids Res.39:e82;Miller et al.(2011)Nature Biotech.29:143−8;Hockemeyer et al.(2011)Nature Biotech.29:731−734;Wood et al.(2011)Science 333:307;Doyon et al.(2010)Nature Methods 8:74−79;Szczepek et al.(2007)Nature Biotech.25:786−793;及びGuo et al.(2010)J.Mol.Biol.200:96。
FokIドメインは、二量体として機能し、適切な配向及び間隔を有する標的ゲノムにおける部位のための独特なDNA結合ドメインを有する2つの構築物を必要とする。TALE DNA結合ドメインとFokI切断ドメインとの間のアミノ酸残基数及び2の個々のTALEN結合部位の間の塩基数の両方が高レベルの活性を達成するために重要なパラメータであると考えられる。Miller et al.(2011)Nature Biotech.29:143−8。
Tet関連遺伝子(例えば、Tet2関連遺伝子)及び/又はTet(例えば、Tet1、Tet2及び/又はTet3、例えばTet2)遺伝子に特異的なTALENを細胞内で使用して、二重鎖切断(DSB)を産生できる。変異は、修復機構が切断を非相同末端結合により不適切に修復する場合、切断部位に導入できる。例えば、不適切な修復は、フレームシフト変異を導入し得る。代わりに、外来DNAを、TALEN、例えばCAR(例えば、本明細書に記載のもの)をコードするDNAと共に細胞に導入することができ、外来DNAの配列及び染色体配列に応じて、この過程は、TALENにより標的化される部位又はその近辺でのCAR(例えば、本明細書に記載のもの)をコードするDNAを組み込むのに使用され得る。本明細書に記載されるように、しかし、理論に拘束されることなく、例において、そのような組み込みはCARの発現及びTet関連遺伝子(例えば、Tet2関連遺伝子)及び/又はTet(例えば、Tet1、Tet2及び/又はTet3、例えばTet2)遺伝子の破壊をもたらし得る。このような外来DNA分子は、本明細書において「テンプレートDNA」と称される。実施形態において、テンプレートDNAは、目的の1つ又は複数の分子をコードする(例えば、本明細書に記載のCARをコードする)テンプレートDNAの核酸に対するホモロジーアーム5’、3’又は5’及び3’の両方を更に含み、ここで、前記ホモロジーアームは、標的配列に隣接するゲノムDNA配列に相補的である。
Tet関連遺伝子(例えば、Tet2関連遺伝子)及び/又はTet(例えば、Tet1、Tet2及び/又はTet3、例えばTet2)遺伝子における配列に特異的なTALENは、モジュラー成分を使用する種々のスキームを含む、当技術分野において公知の任意の方法を使用して構築できる。Zhang et al.(2011)Nature Biotech.29:149−53;Geibler et al.(2011)PLoS ONE 6:e19509;米国特許第8,420,782号明細書;米国特許第8,470,973号明細書、その内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
ジンクフィンガーヌクレアーゼ
「ZFN」又は「ジンクフィンガーヌクレアーゼ」とは、所望の核酸配列、例えばTet関連遺伝子(例えば、Tet2関連遺伝子)及び/又はTet(例えば、Tet1、Tet2及び/又はTet3、例えばTet2)遺伝子を改変する、例えば1つ以上の核酸を欠失させるため使用できる人工ヌクレアーゼであるジンクフィンガーヌクレアーゼを指す。
TALENと同様、ZFNは、DNA結合ドメインに融合したFokIヌクレアーゼドメイン(又はその誘導体)を含む。ZFNの場合、DNA結合ドメインは、1つ以上のジンクフィンガーを含む。Carroll et al.(2011)Genetics Society of America 188:773−782;及びKim et al.(1996)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 93:1156−1160。
ジンクフィンガーは、1つ以上の亜鉛イオンにより安定化される小タンパク質構造モチーフである。ジンクフィンガーは、例えば、Cys2His2を含むことができ、約3bp配列を認識できる。既知特異性の種々のジンクフィンガーを合わせて、約6bp、9bp、12bp、15bp又は18bp配列を認識する多フィンガーポリペプチドを産生できる。ファージディスプレイ、酵母ワンハイブリッド系、細菌ワンハイブリッド及びツーハイブリッド系及び哺乳動物細胞を含む、特異的配列を認識するジンクフィンガー(及びそれらの組み合わせ)を産生するための種々の選択及びモジュラーアセンブリー技術が利用可能である。
TALENと同様、ZFNは、DNAを切断するために二量体化しなければならない。そのため、ZFNの対が非パリンドロームDNA部位を標的とすることが必要である。2の各々のZFNは、そのヌクレアーゼが適切に離れて、DNAの逆の鎖に結合しなければならない。Bitinaite et al.(1998)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 95:10570−5。
またTALENと同様、ZFNは、DNAに二重鎖切断を創製でき、これは、不適切に修復された場合にフレームシフト変異を創製でき、細胞におけるTet関連遺伝子(例えば、Tet2関連遺伝子)及び/又はTet(例えば、Tet1、Tet2及び/又はTet3、例えばTet2)遺伝子の発現の減少に至る。ZFNは、Tet関連遺伝子(例えば、Tet2関連遺伝子)及び/又はTet(例えば、Tet1、Tet2及び/又はTet3、例えばTet2)遺伝子を変異させるため、又は標的配列若しくはその近辺の部位にCARをコードする核酸を導入するために相同組換えと共に使用することができる。上述のように、CARをコードする核酸は、テンプレートDNAの一部としても導入され得る。実施形態において、テンプレートDNAは、目的の1つ又は複数の分子をコードする(例えば、本明細書に記載のCARをコードする)テンプレートDNAの核酸に対するホモロジーアーム5’、3’又は5’及び3’の両方を更に含み、ここで、前記ホモロジーアームは、標的配列に隣接するゲノムDNA配列に相補的である。
Tet関連遺伝子(例えば、Tet2関連遺伝子)及び/又はTet(例えば、Tet1、Tet2及び/又はTet3、例えばTet2)遺伝子における配列に特異的なZFNは、当技術分野において公知の任意の方法を使用して構築できる。例えば、その内容が全体として参照により本明細書に組み込まれるProvasi(2011)Nature Med.18:807−815;Torikai(2013)Blood 122:1341−1349;Cathomen et al.(2008)Mol.Ther.16:1200−7;及びGuo et al.(2010)J.Mol.Biol.400:96;米国特許出願公開第2011/0158957号明細書;及び米国特許出願公開第2012/0060230号明細書を参照されたい。実施形態において、ZFN遺伝子編集系は、ZFN遺伝子編集系、例えばTet関連遺伝子(例えば、Tet2関連遺伝子)及び/又はTet(例えば、Tet1、Tet2及び/又はTet3、例えばTet2)遺伝子を標的とするZFN遺伝子編集系の1つ以上の成分をコードする核酸も含み得る。
理論に拘束されるものではないが、Tet関連遺伝子(例えば、Tet2関連遺伝子)及び/又はTet(例えば、Tet1、Tet2及び/又はTet3、例えばTet2)遺伝子を標的とする遺伝子編集系(例えば、CRISPR/Cas遺伝子編集系)は、例えば、切断型Tet関連遺伝子(例えば、Tet2関連遺伝子)及び/又は切断型Tet(例えば、Tet1、Tet2及び/又はTet3、例えばTet2)遺伝子の発現を引き起こし得る編集イベントを発生させることにより、Tet関連遺伝子(例えば、Tet2関連遺伝子)及び/又はTet(例えば、Tet1、Tet2及び/又はTet3、例えばTet2)遺伝子の1つ以上の機能を調節(例えば、阻害)することを可能にし得ると考えられる。また、理論に拘束されるものではないが、切断型Tet関連遺伝子(例えば、Tet2関連遺伝子)産物及び/又は切断型Tet(例えば、Tet1、Tet2及び/又はTet3、例えばTet2)遺伝子産物は、Tet関連遺伝子(例えば、Tet2関連遺伝子)産物及び/又はTet(例えば、Tet1、Tet2及び/又はTet3、例えばTet2)遺伝子産物の1つ以上の機能(例えば、足場機能)を保存しながら、Tet関連遺伝子(例えば、Tet2関連遺伝子)産物及び/又はTet(例えば、Tet1、Tet2及び/又はTet3、例えばTet2)遺伝子産物の1つ以上の他の機能(例えば、触媒的機能)を阻害し得、それは、従って、好ましいものであり得る。Tet関連遺伝子(例えば、Tet2関連遺伝子)及び/又はTet(例えば、Tet1、Tet2及び/又はTet3、例えばTet2)遺伝子の後期エクソン又はイントロンを標的とする遺伝子編集系は、この点で特に好ましいものであり得る。一態様において、本発明の遺伝子編集系は、Tet関連遺伝子(例えば、Tet2関連遺伝子)及び/又はTet(例えば、Tet1、Tet2及び/又はTet3、例えばTet2)遺伝子の後期エクソン又はイントロンを標的とする。一態様において、本発明の遺伝子編集系は、エクソン又はエクソン8の下流のイントロンを標的とする。一態様において、遺伝子編集系は、Tet2遺伝子のエクソン8又はエクソン9、例えばエクソン9を標的とする。
理論に拘束されるものではないが、他の実施形態において、Tet関連遺伝子(例えば、Tet2関連遺伝子)及び/又はTet(例えば、Tet1、Tet2及び/又はTet3、例えばTet2)遺伝子の初期エクソン又はイントロンを標的とする、例えば標的遺伝子に未成熟終止コドンを導入して、遺伝子産物の発現を生じさせないか、又は完全に非機能性の遺伝子産物の発現を生じさせることも好ましい場合がある。Tet関連遺伝子(例えば、Tet2関連遺伝子)及び/又はTet(例えば、Tet1、Tet2及び/又はTet3、例えばTet2)遺伝子の初期エクソン又はイントロンを標的とする遺伝子編集系は、この点で、特に好ましいものであり得る。一態様において、本発明の遺伝子編集系は、Tet関連遺伝子(例えば、Tet2関連遺伝子)及び/又はTet(例えば、Tet1、Tet2及び/又はTet3、例えばTet2)遺伝子の初期エクソン又はイントロンを標的とする。一態様において、本発明の遺伝子編集系は、エクソン又はエクソン4の上流のイントロンを標的とする。実施形態において、遺伝子編集系は、Tet関連遺伝子(例えば、Tet2関連遺伝子)及び/又はTet(例えば、Tet1、Tet2及び/又はTet3、例えばTet2)遺伝子のエクソン1、エクソン2又はエクソン3、例えばエクソン3を標的とする。
理論に拘束されるものではないが、他の実施形態において、Tet関連遺伝子(例えば、Tet2関連遺伝子)及び/又はTet(例えば、Tet1、Tet2及び/又はTet3、例えばTet2)遺伝子の配列を標的とすることも好ましい場合があり、これは、遺伝子の1つ以上のアイソフォームに特異的であるが、遺伝子の1つ以上の他のアイソフォームには影響しない。実施形態において、触媒ドメインを含む、Tet関連遺伝子(例えば、Tet2関連遺伝子)及び/又はTet(例えば、Tet1、Tet2及び/又はTet3、例えばTet2)遺伝子のアイソフォームを特異的に標的とすることが好ましい場合がある。
二重鎖RNA、例えばSiRNA又はShRNA、モジュレーター
本発明によると、二重鎖RNA(「dsRNA」)、例えばsiRNA又はshRNAは、Tet関連遺伝子(例えば、Tet2関連遺伝子)及び/又はTet(例えば、Tet1、Tet2及び/又はTet3、例えばTet2)遺伝子のモジュレーター(例えば、阻害剤)として使用することができる。また、本発明により、Tet関連遺伝子(例えば、Tet2関連遺伝子)及び/又はTet(例えば、Tet1、Tet2及び/又はTet3、例えばTet2)遺伝子の前記dsRNAモジュレーター(例えば、阻害剤)をコードする核酸の使用が企図される。
一実施形態において、Tet関連遺伝子(例えば、Tet2関連遺伝子)及び/又はTet(例えば、Tet1、Tet2及び/又はTet3、例えばTet2)遺伝子のモジュレーター(例えば、阻害剤)は、核酸、例えばdsRNA、例えばTet関連遺伝子(例えば、Tet2関連遺伝子)若しくは遺伝子産物及び/又はTet(例えば、Tet1、Tet2及び/又はTet3、例えばTet2)遺伝子若しくは遺伝子産物をコードする核酸、例えばTet関連遺伝子産物(例えば、Tet2関連遺伝子)及び/又はTet(例えば、Tet1、Tet2及び/又はTet3、例えばTet2)遺伝子産物をコードするゲノムDNA又はmRNAをコードする核酸に特異的なsiRNA又はshRNAである。
本発明の一態様は、Tet関連遺伝子(例えば、Tet2関連遺伝子)及び/又はTet(例えば、Tet1、Tet2及び/又はTet3、例えばTet2)遺伝子の配列、核酸配列(例えば、Tet関連遺伝子(例えば、Tet2関連遺伝子)産物及び/又はTet(例えば、Tet1、Tet2及び/又はTet3、例えばTet2)遺伝子産物をコードするゲノムDNA又はmRNA)に相補的(例えば、100%相補的)である、少なくとも15の連続ヌクレオチド、例えば15、16、17、18、19、20、21、22、23、24又は25の連続ヌクレオチド、例えば21の連続ヌクレオチドを含む、dsRNA、例えばsiRNA又はshRNAを含む組成物を提供する。実施形態において、少なくとも15の連続ヌクレオチド、例えば15、16、17、18、19、20、21、22、23、24又は25の連続ヌクレオチド、例えば21の連続ヌクレオチドは、shRNAの標的配列又は表4に列挙されるTet2 shRNAをコードする核酸の連続ヌクレオチドを含む。分子が依然としてRNA干渉を媒介できる場合、標的配列及び/又はshRNA分子の一部はDNAとして提示されるが、これらの配列を標的とする又はこれらの配列を含むdsRNA剤は、RNA又は本明細書に開示される及び/又は当技術分野で公知の任意のヌクレオチド、修飾ヌクレオチド又は置換物であり得ると考えられる。
一実施形態において、Tet関連遺伝子(例えば、Tet2関連遺伝子)及び/又はTet(例えば、Tet1、Tet2及び/又はTet3、例えばTet2)遺伝子の発現を阻害するdsRNA分子をコードする核酸分子を、Tet関連遺伝子(例えば、Tet2関連遺伝子)及び/又はTet(例えば、Tet1、Tet2及び/又はTet3、例えばTet2)遺伝子の発現を阻害するdsRNA分子が例えばCAR発現細胞内で発現されるようにプロモーター、例えばH1又はU6駆動プロモーターに操作可能に連結する。例えば、Tiscornia G.,“Development of Lentiviral Vectors Expressing siRNA,”Chapter 3,in Gene Transfer:Delivery and Expression of DNA and RNA(eds.Friedmann and Rossi)を参照されたい。Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY,USA,2007;Brummelkamp TR,et al.(2002)Science 296:550−553;Miyagishi M,et al.(2002)Nat.Biotechnol.19:497−500。一実施形態において、Tet関連遺伝子(例えば、Tet2関連遺伝子)及び/又はTet(例えば、Tet1、Tet2及び/又はTet3、例えばTet2)遺伝子の発現を阻害するdsRNA分子をコードする核酸分子は、CARの成分、例えば要素の全てをコードする核酸分子を含む同じベクター、例えばレンチウイルスベクター上に存在する。そのような実施形態において、Tet関連遺伝子(例えば、Tet2関連遺伝子)及び/又はTet(例えば、Tet1、Tet2及び/又はTet3、例えばTet2)遺伝子の発現を阻害するdsRNA分子をコードする核酸分子は、ベクター、例えばレンチウイルスベクター上、CARの成分、例えば全ての成分をコードする核酸の5’又は3’に位置する。Tet関連遺伝子(例えば、Tet2関連遺伝子)及び/又はTet(例えば、Tet1、Tet2及び/又はTet3、例えばTet2)遺伝子の発現を阻害するdsRNA分子をコードする核酸分子は、CARの成分、例えば全ての成分をコードする核酸と同一又は異なる方向で転写され得る。一実施形態において、Tet関連遺伝子(例えば、Tet2関連遺伝子)及び/又はTet(例えば、Tet1、Tet2及び/又はTet3、例えばTet2)遺伝子の発現を阻害するdsRNA分子をコードする核酸分子は、CARの成分、例えば全ての成分をコードする核酸分子を含むベクター以外のベクター上に存在する。一実施形態において、Tet関連遺伝子(例えば、Tet2関連遺伝子)及び/又はTet(例えば、Tet1、Tet2及び/又はTet3、例えばTet2)遺伝子の発現を阻害するdsRNA分子をコードする核酸分子は、CAR発現細胞内で一時的に発現する。一実施形態において、Tet関連遺伝子(例えば、Tet2関連遺伝子)及び/又はTet(例えば、Tet1、Tet2及び/又はTet3、例えばTet2)遺伝子の発現を阻害するdsRNA分子をコードする核酸分子は、CAR発現細胞のゲノムに安定に組み込まれる。
shRNA配列をコードする核酸配列の例を以下に提供する。標的配列は、Tet2ゲノムDNA(又は周囲のDNA)内の配列を指す。Tet2 shRNAをコードする核酸は、本発明で有用なshRNA分子をコードする。実施形態において、Tet2阻害剤は、以下に列挙される標的配列に特異的な又はそのmRNA相補体に特異的なsiRNA又はshRNAである。実施形態において、Tet2阻害剤は、以下の表4のTet2 shRNAをコードする核酸によってコードされるshRNAである。実施形態において、Tet2阻害剤は、例えば、Tet2 shRNAが産生されるようにU6又はH1プロモーターの制御下にある、以下の表4のTet2 shRNAをコードする核酸を含む核酸である。実施形態において、本発明は、shRNAの標的配列、例えば表4のshRNAのいずれかのshRNAの標的配列の、RNA類似体(即ち全てのT核酸残基がU核酸残基で置換されたもの)である配列を含むsiRNA又はshRNAを提供する。
Tet2の更なるdsRNA阻害剤、例えばshRNA及びsiRNA分子は、当技術分野で公知の方法及び本明細書に記載の方法を使用して設計及び試験することができる。実施形態において、dsRNA Tet2阻害剤、例えばshRNA又はsiRNAは、配列番号1358の配列を標的とする。実施形態において、dsRNA Tet2阻害剤、例えばshRNA又はsiRNAは、配列番号1359の配列を標的とする。実施形態において、dsRNA Tet2阻害剤、例えばshRNA又はsiRNAは、配列番号1360の配列を標的とする。実施形態において、dsRNA Tet2阻害剤、例えばshRNA又はsiRNAは、配列番号1361の配列を標的とする。実施形態において、dsRNA Tet2阻害剤、例えばshRNA又はsiRNAは、配列番号1362の配列を標的とする。実施形態において、dsRNA Tet2阻害剤、例えばshRNA又はsiRNAは、配列番号1363の配列を標的とする。実施形態において、dsRNA Tet2阻害剤、例えばshRNA又はsiRNAは、Tet2をコードするmRNAの配列を標的とする。
いくつかの実施形態において、dsRNA阻害剤は、IFNG、NOTCH2、CD28、ICOS、IL2RA又はPRDM1の阻害剤である。例えば、PRDM1の例示的なdsRNA阻害剤、例えばshRNA及びsiRNA分子は、当技術分野で公知であり、例えば国際公開第2013/070563号パンフレットに記載され、これは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
実施形態において、阻害剤は、上記実施形態のいずれかのdsRNA阻害剤、例えばshRNA又はsiRNAをコードする核酸、例えばDNAである。実施形態において、核酸、例えばDNAは、ベクター、例えば任意の従来の発現系、例えば本明細書に記載のもの、例えばレンチウイルスベクター上に配置される。
理論に拘束されるものではないが、dsRNA阻害剤(例えば、siRNA又はshRNA)は、Tet関連遺伝子(例えば、Tet2関連遺伝子)及び/又はTet(例えば、Tet1、Tet2及び/又はTet3、例えばTet2)遺伝子のmRNAの配列を標的とし、これは、遺伝子の1つ以上のアイソフォームに特異的であるが、遺伝子の1つ以上の他のアイソフォームには影響しない(例えば、ユニークなスプライスジャンクションを標的とするか、又は遺伝子の1つ以上のアイソフォームに存在するが遺伝子の1つ以上の他のアイソフォームには存在しないドメインを標的とするため)。実施形態において、触媒ドメインを含む、Tet関連遺伝子(例えば、Tet2関連遺伝子)及び/又はTet(例えば、Tet1、Tet2及び/又はTet3、例えばTet2)遺伝子のアイソフォームを特異的に標的とすることが好ましい場合がある。
小分子
いくつかの実施形態において、Tet関連遺伝子(例えば、Tet2関連遺伝子)及び/又はTet(例えば、Tet1、Tet2及び/又はTet3、例えばTet2)遺伝子のモジュレーターは、小分子である。例示的な小分子モジュレーター(例えば、阻害剤)を以下に説明する。
IFN−γ阻害剤
実施形態において、IFN−γ阻害剤は、IFN−γの発現及び/又は機能を阻害又は低減する小分子である。一例において、本発明によるIFN−γ阻害剤は、IFN−γの合成を阻害又は低減する小分子、例えばビスフェノール若しくはフェノキシ化合物又はその誘導体である。例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第5,880,146号明細書を参照されたい。別の例において、本発明によるIFN−γ阻害剤は、IFN−γ誘導因子(IGIF)の産生を減少させること又はインターロイキン−1β変換酵素(ICE)を阻害することにより、IFN−γを阻害する小分子である。例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第5,985,863号明細書を参照されたい。
NOTCH2阻害剤
実施形態において、NOTCH2阻害剤は、Notch2の発現及び/又は機能を阻害又は低減する小分子である。
一例において、本発明によるNOTCH2阻害剤は、グリオトキシン又はその誘導体であり、例えばアセチルグリオトキシン、6−C1−3−アルコキシグリオトキシン、6−C2−3−アシルオキシグリオトキシン、6−ジヒドログリオトキシン、6−ジヒドロキシグリオトキシン、6−[(メトキシカルボニル)メトキシ]グリオトキシン若しくは6−シアノメトキシグリオトキシン又はその塩からなる群から選択される。例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第7,981,878号明細書を参照されたい。
一例において、本発明によるNOTCH2阻害剤は、6−4[−(tertブチル)−フェノキシ]ピリジン−3−アミン又はその誘導体であり、例えば参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第9,296,682号明細書を参照されたい。
一例において、本発明によるNOTCH2阻害剤は、γ−セクレターゼ阻害剤、例えばMK−0752(Merck&Co.)、RO4929097(Roche)、セマガセスタット(LY−450139;Eli Lilly&Co.)、アバガセスタット(BMS−708163;Bristol−Myers Squib)、DAPT(N−[N−(3,5−ジフルオロフェニルアセチル−L−アラニル)]−S−フェニルグリシンt−ブチルエステル)、L685,458、化合物E((s,s)−2−(3,5−ジフルオロフェニル)−アセチルアミノ]−N−(1−メチル−2−オキソ−5−フェニル−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−3−イル)−プロピオンアミド)、DBZ(ジベンザゼピン)、JLK6(7−アミノ−4−クロロ−3−メトキシイソクマリン)又は化合物18([11−エンド]−N−(5,6,7,8,9,10−ヘキサヒドロ−6,9−メタノベンゾ[9][8]アヌレン−11−イル)−チオフェン−2−スルホンアミド)である。例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるPurow B.Adv Exp Med Biol.2012;727:305−19を参照されたい。
CD28阻害剤
実施形態において、CD28阻害剤は、CD28の発現及び/又は機能を阻害又は低減する小分子である。
ICOS阻害剤
実施形態において、ICOS阻害剤は、ICOSの発現及び/又は機能を阻害又は低減する小分子である。
IL2RA阻害剤
実施形態において、IL2RA阻害剤は、IL2RAの発現及び/又は機能を阻害又は低減する小分子である。
一例において、本発明によるIL2RA阻害剤は、IL−2とIL2RAとの間の結合を低下させる小分子、例えばアシルフェニルアラニン類似体、例えばRo26−4550(Roche)又はその誘導体である。例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるThanos et al.,Proc Natl Acad Sci U S A.2006を参照されたい。
PRDM1阻害剤
実施形態において、PRDM1阻害剤は、PRDM1の発現及び/又は機能を阻害又は低減する小分子である。
Tet阻害剤
実施形態において、Tet阻害剤は、Tet、例えばTet1、Tet2及び/又はTet3、例えばTet2の発現及び/又は機能を阻害する小分子である。
Tet2阻害剤
実施形態において、Tet2阻害剤は、Tet2の発現及び/又は機能を阻害する小分子である。例えば、本発明によるTet2阻害剤は、2−ヒドロキシグルタレート(CAS#2889−31−8)である。
別の例において、本発明によるTet2阻害剤は、以下の構造を有する。
別の例において、本発明によるTet2阻害剤は、N−[3−[7−(2,5−ジメチル−2H−ピラゾール−3−イルアミノ)−1−メチル−2−オキソ−1,4−ジヒドロ−2H−ピリミド[4,5−d]ピリミジン−3−イル]−4−メチルフェニル]−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド(CAS#839707−37−8)であり、以下の構造を有する。
別の例において、本発明によるTet2阻害剤は、2−[(2,6−ジクロロ−3−メチルフェニル)アミノ]安息香酸(CAS#644−62−2)であり、以下の構造を有する。
実施形態において、本発明のTet2阻害剤は、前述のいずれかの薬学的に許容される塩である。
HDAC阻害剤
本発明によると、任意の公知のHDAC阻害剤を使用することができる。HDAC阻害剤の非限定的な例には、ボニノスタット(Zolinza(登録商標));ロミデプシン(Istodax(登録商標));トレコスタチンA(TSA);オキサムフラチン;ボリノスタット(ゾリンザ(登録商標)、スベロイルアニリドヒドロキサム酸);ピロキサミド(シベロイル−3−アミノピリジンアミドヒドロキサム酸);トラポキシンA(RF−1023A);トラポキシンB(RF−10238);シクロ[(αS,2S)−α−アミノ−η−オキソ−2−オキシランオクタノイル−O−メチル−D−チロシル−L−イソロイシル−L−プロリル](Cyl−1);シクロ[(αS,2S)−α−アミノ−η−オキソ−2−オキシランオクタノイル−O−メチル−D−チロシル−L−イソロイシル−(2S)−2−ピペリジンカルボニル](Cyl−2);環状[L−アラニル−D−アラニル−(2S)−η−オキソ−L−α−アミノオキシランオクタノイル−D−プロリル](HC−毒素);シクロ[(αS,2S)−α−アミノ−η−オキソ−2−オキシランオクタノイル−D−フェニルアラニル−L−ロイシル−(2S)−2−ピペリジンカルボニル](WF−3161);クラミドシン((S)−環状(2−メチルアラニル−L−フェニルアラニル−D−プロリル−η−オキソ−L−α−アミノオキシランオクタノイル);アピシジン(シクロ(8−オキソ−L−2−アミノデカノイル−1−メトキシ−L−トリプトフィル−L−イソロイシル−D−2−ピペリジンカルボニル);ロミデプシン(Istodax(登録商標)、FR−901228);4−フェニルブチレート;スピルコスタチンA;ミルプロイン(バルプロ酸);エンチノスタット(MS−275、N−(2−アミノフェニル)−4−[N−(ピリジン−3−イル−メトキシカルボニル)−アミノ−メチル]−ベンズアミド);デプデシン(4,5:8,9−ジアンヒドロ−1,2,6,7,11−ペンタデオキシ−D−トレオ−D−イド−ウンデカ−1,6−ジエニトール);4−(アセチルアミノ)−N−(2−アミノフェニル)−ベンズアミド(CI−994としても知られる);N1−(2−アミノフェニル)−N8−フェニル−オクタンジアミド(BML−210としても知られる);4−(ジメチルアミノ)−N−(7−(ヒドロキシアミノ)−7−オキソヘプチル)ベンズアミド(M344としても知られる);(E)−3−(4−(((2−(1H−インドール−3−イル)エチル)(2−ヒドロキシエチル)アミノ)−メチル)フェニル)−N−ヒドロキシアクリルアミド(NVP−LAQ824);パノビノスタット(Farydak(登録商標));モセチノスタット及びベリノスタット。
タンパク質
いくつかの実施形態において、Tet関連遺伝子(例えば、Tet2関連遺伝子)及び/又はTet(例えば、Tet1、Tet2及び/又はTet3、例えばTet2)遺伝子のモジュレーターは、タンパク質である。例示的なタンパク質モジュレーター(例えば、阻害剤)は、以下に記載される。
IFN−γ阻害剤
実施形態において、IFN−γ阻害剤は、IFN−γの発現及び/又は機能を阻害又は低減するタンパク質である。一例において、本発明によるIFN−γ阻害剤は、抗IFN−γ抗体若しくはその断片又は抗IFN−γ受容体抗体若しくはその断片である。例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる国際公開第2013/078378号パンフレット、国際公開第2011/061700号パンフレット、米国特許第6,329,511号パンフレット、米国特許第6,558,661号パンフレット及び米国特許第4,897,264号パンフレットを参照されたい。
別の例では、本発明によるIFN−γ阻害剤は、IFN−γ受容体又はその断片、例えば参照によりその全体が本明細書に組み込まれる国際公開第2011/061700号パンフレット、米国特許第6,558,661号明細書及び米国特許第7,608,430号明細書に記載のものである。
別の例では、本発明によるIFN−γ阻害剤は、修飾又は不活性化されたIFN−γ又はIFN−γの断片であり、例えば参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第5,451,658号明細書及び米国特許第7,973,133号明細書に記載のものである。
別の例では、本発明によるIFN−γ阻害剤は、IFN−γのアンタゴニストであるサイトカインであり、例えば参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第5,612,195号明細書に記載のものである。
別の例では、本発明によるIFN−γ阻害剤は、IFN−γの産生を阻害又は低減するBCRF1タンパク質であり、例えば参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第5,736,390号明細書に記載のものである。
NOTCH2阻害剤
実施形態において、NOTCH2阻害剤は、NOTCH2の発現及び/又は機能を阻害又は低減するタンパク質である。一例において、本発明によるNotch2阻害剤は、抗NOTCH2抗体又はその断片であり、例えば参照によりその全体が本明細書に組み込まれる国際公開第2014/141064号パンフレット、国際公開第2008/091641号パンフレット、米国特許第7,919,092号明細書、米国特許第8,226,943号明細書及び米国特許第8,404,239号明細書を参照されたい。
IL2RA阻害剤
実施形態において、IL2RA阻害剤は、IL2RAの発現及び/又は機能を阻害又は低減するタンパク質である。一例において、本発明によるIL2RA阻害剤は、抗IL2RA抗体又はその断片であり、例えば参照によりその全体が本明細書に組み込まれる国際公開第1990/007861号パンフレット、国際公開第2000/030679号パンフレット、国際公開第2014/144935号パンフレット及び米国特許第7,438,907号明細書を参照されたい。例示的な抗IL2RA抗体には、ダクリズマブ、バシリキシマブ及びBT563が含まれる。
別の例では、本発明によるIL2RA阻害剤は、IL2RAのペプチドアンタゴニストであり、例えばその全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,635,597号明細書及びEmerson et al.,Protein Sci.2003 Apr;12(4):811−22を参照されたい。
PRDM1阻害剤
実施形態において、PRDM1阻害剤は、PRDM1の発現及び/又は機能を阻害又は低減するタンパク質又はペプチドである。一例において、本発明によるPRDM1阻害剤は、抗PRDM1抗体又はその断片である。一例において、本発明によるPRDM1阻害剤は、PRDM1に結合する遮断ペプチドである。
ドミナントネガティブTet2
本発明によると、ドミナントネガティブTet2アイソフォーム及び前記ドミナントネガティブTet2をコードする核酸は、Tet2阻害剤として使用することができる。実施形態において、ドミナントネガティブTet2は、Tet2の触媒機能を欠いている。ドミナントネガティブTet2の例は、配列番号1357の番号付けに従って、変異R1261Gを有する配列番号1357を含むか又はそれからなるタンパク質である。ドミナントネガティブTet2の例は、配列番号1357の番号付けに従って、変異R1262Aを有する配列番号1357を含むか又はそれからなるタンパク質である。ドミナントネガティブTet2の例は、配列番号1357の番号付けに従って、変異S1290Aを有する配列番号1357を含むか又はそれからなるタンパク質である。ドミナントネガティブTet2の例は、配列番号1357の番号付けに従って、WSMYYN(配列番号1357のアミノ酸1291〜1296)からGGSGGS(配列番号67)への変異を有する配列番号1357を含むか又はそれからなるタンパク質である。ドミナントネガティブTet2の例は、配列番号1357の番号付けに従って、変異M1293A及びY1294Aを有する配列番号1357を含むか又はそれからなるタンパク質である。ドミナントネガティブTet2の例は、配列番号1357の番号付けに従って、変異Y1295Aを有する配列番号1357を含むか又はそれからなるタンパク質である。ドミナントネガティブTet2の例は、配列番号1357の番号付けに従って、変異S1303Nを有する配列番号1357を含むか又はそれからなるタンパク質である。ドミナントネガティブTet2の例は、配列番号1357の番号付けに従って、変異H1382Yを有する配列番号1357を含むか又はそれからなるタンパク質である。ドミナントネガティブTet2の例は、配列番号1357の番号付けに従って、変異D1384Aを有する配列番号1357を含むか又はそれからなるタンパク質である。ドミナントネガティブTet2の例は、配列番号1357の番号付けに従って、変異D1384Vを有する配列番号1357を含むか又はそれからなるタンパク質である。実施形態において、ドミナントネガティブTet2は、前述の変異のいずれかの組み合わせを含み得る。そのような変異は、例えば、Chen et al.,Nature,493:561−564(2013);Hu et al,Cell,155:1545−1555(2013)に記載され、その内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
ドミナントネガティブTet2結合パートナー
理論に拘束されるものではないが、Tet2は、1つ以上のHDAC、例えば免疫エフェクター細胞、例えばT細胞で発現した1つ以上のHDACと相互作用、例えば結合し、そのようなTet2:HDAC複合体は、細胞内のTet2活性に寄与し得ると考えられる。実施形態において、本発明のTet2阻害剤は、ドミナントネガティブTet2結合パートナー、例えばドミナントネガティブTet2結合HDACである。他の実施形態において、本発明のTet2阻害剤は、ドミナントネガティブTet2結合パートナー、例えばドミナントネガティブTet2結合HDACをコードする核酸を含む。
ベクター
本明細書に記載されるように、本発明は、Tet関連遺伝子(例えば、Tet2関連遺伝子)及び/又はTet(例えば、Tet1、Tet2及び/又はTet3、例えばTet2)遺伝子(例えば、本明細書に記載されるもの)の、遺伝子編集系、shRNA若しくはsiRNA阻害剤、小分子、ペプチド又はタンパク質モジュレーター(例えば、阻害剤)など、Tet関連遺伝子(例えば、Tet2関連遺伝子)及び/又はTet(例えば、Tet1、Tet2及び/又はTet3、例えばTet2)遺伝子のモジュレーター(例えば、阻害剤)をコードする、ベクター、例えば本明細書に記載されるものを提供する。
例えば、CARを更に含む実施形態において、核酸は、例えば、本明細書に記載される、CARをコードする配列を更に含み得る。いくつかの実施形態において、本発明は、本明細書に記載のTet関連遺伝子(例えば、Tet2関連遺伝子)及び/又はTet(例えば、Tet1、Tet2及び/又はTet3、例えばTet2)遺伝子の阻害剤をコードする核酸配列を含み、本明細書に記載のCAR分子をコードする核酸配列を含む、ベクターを提供する。実施形態において、核酸配列は、別個のベクター上に配置される。他の実施形態において、2つ以上の核酸配列は、同じフレームにおいて単一核分子により且つ単一のポリペプチド鎖としてコード化される。この態様において、2つ以上のCARは、例えば、1つ以上のペプチド開裂部位により分けられ得る(例えば、自己開裂部位又は細胞内プロテアーゼのための基質)。ペプチド開裂部位の例は、次のものを含み、ここで、GSG残基は、任意選択である。
T2A:(GSG)E G R G S L L T C G D V E E N P G P(配列番号68)
P2A:(GSG)A T N F S L L K Q A G D V E E N P G P(配列番号69)
E2A:(GSG)Q C T N Y A L L K L A G D V E S N P G P(配列番号70)
F2A:(GSG)V K Q T L N F D L L K L A G D V E S N P G P(配列番号71)
これらのペプチド切断部位は、本明細書では集合的に「2A部位」と称される。実施形態において、ベクターは、本明細書に記載のCARをコードする核酸配列及び本明細書に記載のTet関連遺伝子(例えば、Tet2関連遺伝子)及び/又はTet(例えば、Tet1、Tet2及び/又はTet3、例えばTet2)遺伝子のshRNA又はsiRNA阻害剤をコードする核酸配列を含む。実施形態において、ベクターは、本明細書に記載のCARをコードする核酸配列及び本明細書に記載のTet関連遺伝子(例えば、Tet2関連遺伝子)及び/又はTet(例えば、Tet1、Tet2及び/又はTet3、例えばTet2)遺伝子のゲノム編集系(例えば、CRISPR/Cas系)モジュレーター(例えば、阻害剤)をコードする核酸配列を含む。
モジュレーターの使用方法
本発明は、Tet関連遺伝子(例えば、Tet2関連遺伝子)及び/又はTet(例えば、Tet1、Tet2及び/又はTet3、例えばTet2)遺伝子の発現及び/又は機能を変化させる工程を含む、CAR発現細胞、例えば本明細書に記載のCARを発現する細胞、例えばCAR19発現細胞(例えば、CTL019又はCTL119)の治療有効性を高める方法を提供する。
特定の実施形態において、方法は、Tet関連遺伝子(例えば、Tet2関連遺伝子)及び/又はTet(例えば、Tet1、Tet2及び/又はTet3、例えばTet2)遺伝子の発現及び/又は機能を低減又は排除することを含む。他の実施形態において、方法は、Tet関連遺伝子(例えば、Tet2関連遺伝子)及び/又はTet(例えば、Tet1、Tet2及び/又はTet3、例えばTet2)遺伝子の発現及び/又は機能を増加又は活性化することを含む。いくつかの実施形態において、方法は、前記細胞を、本明細書に記載のTet関連遺伝子(例えば、Tet2関連遺伝子)及び/又はTet(例えば、Tet1、Tet2及び/又はTet3、例えばTet2)遺伝子のモジュレーター(例えば、阻害剤)と接触させることを含む。いくつかの実施形態において、方法は、前記細胞内の5−ヒドロキシメチルシトシンのレベルを低下させることを含む。
本発明は、前記細胞において、Tet関連遺伝子(例えば、Tet2関連遺伝子)及び/又はTet(例えば、Tet1、Tet2及び/又はTet3、例えばTet2)遺伝子の発現又は機能を変化させる(例えば、低減若しくは排除又は増加若しくは活性化する)工程を含む、CAR発現細胞、例えば改善された機能を有する(例えば、改善された有効性、例えば腫瘍標的化又は増殖を有する)CAR発現細胞を製造する方法を更に提供する。実施形態において、方法は、前記細胞を、本明細書に記載のTet関連遺伝子(例えば、Tet2関連遺伝子)及び/又はTet(例えば、Tet1、Tet2及び/又はTet3、例えばTet2)遺伝子のモジュレーター(例えば、阻害剤又はアクティベーター)と接触させることを含む。いくつかの実施形態において、接触は、エクスビボで行われる。いくつかの実施形態において、接触は、インビボで行われる。いくつかの実施形態において、接触は、前記細胞がCAR、例えば本明細書に記載のCARを発現するように修飾される前、同時又は後に行われる。
実施形態において、本発明は、CAR発現細胞、例えば本明細書に記載のCARを発現する細胞、例えばCAR19発現細胞(例えば、CTL019又はCTL119発現細胞)において、Tet関連遺伝子(例えば、Tet2関連遺伝子)及び/又はTet(例えば、Tet1、Tet2及び/又はTet3、例えばTet2)遺伝子の発現及び/又は機能を変化させる(例えば、阻害又は活性化する)ための方法を提供し、方法は、Tet関連遺伝子(例えば、Tet2関連遺伝子)及び/又はTet(例えば、Tet1、Tet2及び/又はTet3、例えばTet2)遺伝子の発現及び/又は機能を変化させる(例えば、低減若しくは排除又は増加若しくは活性化する)工程を含む実施形態において、方法は、前記細胞を本明細書に記載のTet関連遺伝子(例えば、Tet2関連遺伝子)及び/又はTet(例えば、Tet1、Tet2及び/又はTet3、例えばTet2)遺伝子のモジュレーター(例えば、阻害剤又はアクティベーター)と接触させることを含む。いくつかの実施形態において、方法は、前記細胞内の5−ヒドロキシメチルシトシンのレベルを低下させることを含む。
一実施形態において、本発明は、Tet関連遺伝子(例えば、Tet2関連遺伝子)及び/又はTet(例えば、Tet1、Tet2及び/又はTet3、例えばTet2)遺伝子の発現が破壊されるように、CARをコードする核酸を、Tet関連遺伝子(例えば、Tet2関連遺伝子)及び/又はTet(例えば、Tet1、Tet2及び/又はTet3、例えばTet2)遺伝子又はその調節エレメント内の部位において、細胞、例えば免疫エフェクター細胞、例えばT細胞に導入することを含む方法、例えば上記の方法を提供する。Tet関連遺伝子(例えば、Tet2関連遺伝子)及び/又はTet(例えば、Tet1、Tet2及び/又はTet3、例えばTet2)遺伝子内の部位での組み込みが、例えば、上記のようなTet関連遺伝子(例えば、Tet2関連遺伝子)及び/又はTet(例えば、Tet1、Tet2及び/又はTet3、例えばTet2)遺伝子を標的とする遺伝子編集系を使用して、達成され得る。
一実施形態において、本発明は、Tet関連遺伝子(例えば、Tet2関連遺伝子)及び/又はTet(例えば、Tet1、Tet2及び/又はTet3、例えばTet2)遺伝子を標的とする、遺伝子編集系、例えばCRISPR/Cas遺伝子編集系、例えばTet関連遺伝子(例えば、Tet2関連遺伝子)及び/又はTet(例えば、Tet1、Tet2及び/又はTet3、例えばTet2)遺伝子の標的配列に相補的な標的化配列を有するgRNAを含む、CRISPR/Cas系を細胞に導入する工程を含む方法、例えば上記の方法を提供する。実施形態において、gRNA及びCas酵素のリボ核タンパク質複合体として、CRISPR/Cas系が前記細胞に導入される、例えば電気穿孔を介して導入される。一実施形態において、この方法は、CRISPR/Cas系の1つ以上の成分をコードする核酸を前記細胞に導入することを含む。一実施形態において、前記核酸は、CAR、例えば本明細書に記載のCARをコードするベクター上に配置される。
一実施形態において、本発明は、Tet関連遺伝子(例えば、Tet2関連遺伝子)及び/又はTet(例えば、Tet1、Tet2及び/又はTet3、例えばTet2)遺伝子を標的とする阻害性dsRNA、例えばshRNA又はsiRNAを細胞に導入する工程を含む方法、例えば上記の方法を提供する。一実施形態において、方法は、Tet関連遺伝子(例えば、Tet2関連遺伝子)及び/又はTet(例えば、Tet1、Tet2及び/又はTet3、例えばTet2)遺伝子を標的とする阻害性dsRNA、例えばshRNA又はsiRNAをコードする核酸を前記細胞に導入することを含む。一実施形態において、前記核酸は、CAR、例えば本明細書に記載のCARをコードするベクター上に配置される。
CAR及びCAR T細胞の更なる成分及び本発明に関する方法を以下に記載する。
本発明のCARで操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を使用した、物質の組成物及び癌などの疾患の処置のための使用方法が本明細書に提供される。
一態様において、本発明は、腫瘍抗原、例えば本明細書に記載の腫瘍抗原への特異的結合のために操作した抗原結合ドメイン(例えば、抗体又は抗体断片、TCR又はTCR断片)を含む、多数のキメラ抗原受容体(CAR)を提供する。一態様において、本発明は、CARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を提供し、ここで、操作された免疫エフェクター細胞は抗癌特性を示す。一態様において、細胞がCARで形質転換され、CARが細胞表面上に発現する。いくつかの実施形態において、細胞(例えば、T細胞、NK細胞)は、CARをコードするウイルスベクターで形質導入される。いくつかの実施形態において、ウイルスベクターは、レトロウイルスベクターである。いくつかの実施形態において、ウイルスベクターは、レンチウイルスベクターである。一部のかかる実施形態において、細胞は、CARを安定に発現し得る。別の実施形態において、細胞(例えば、T細胞、NK細胞)に、CARをコードする核酸、例えばmRNA、cDNA、DNAをトランスフェクトする。一部のかかる実施形態において、細胞は、CARを一過性に発現し得る。
一態様において、本明細書に記載のCARの抗原結合ドメインは、scFv抗体断片である。一態様において、そのような抗体断片は、それらが同等の結合親和性を保持する、例えば、それらは、由来するIgG抗体と同程度の親和性で同じ抗原に結合する点で機能的である。他の実施形態において、抗体断片は、より低い結合親和性を有し、例えば、それは、由来する抗体よりも低い結合親和性で同じ抗原に結合するが、本明細書に記載の生物学的応答を提供するという点で機能的である。一実施形態において、CAR分子は、標的抗原について、10−4M〜10−8M、例えば10−5M〜10−7M、例えば10−6M又は10−7Mの結合親和性KDを有する抗体断片を含む。一実施形態において、抗体断片は、参照抗体、例えば本明細書に記載の抗体より少なくとも5倍、10倍、20倍、30倍、50倍、100倍又は1000倍小さい結合親和性を有する。
一態様において、このような抗体断片は、当業者に理解されるように、免疫応答活性化、その標的抗原からのシグナル伝達開始阻害を含むが、これらに限定されない生物学的応答を提供するという点で機能的である。
一態様において、CARの抗原結合ドメインは、それが由来するscFvのマウス配列と比較してヒト化されたscFv抗体断片である。
一態様において、本発明のCARの抗原結合ドメイン(例えば、scFv)は、配列が哺乳類細胞での発現にコドン最適化されている核酸分子によってコードされる。一態様において、本発明のCARコンストラクト全体は、配列全体が哺乳類細胞での発現にコドン最適化されている核酸分子によってコードされる。コドン最適化とは、コードDNAにおける同義コドン(即ち同じアミノ酸をコードするコドン)の出現頻度が異なる種で偏っているという発見を指す。かかるコドン縮重により、同一のポリペプチドが種々のヌクレオチド配列によってコードされることが可能になる。種々のコドン最適化方法が当技術分野において公知であり、例えば少なくとも米国特許第5,786,464号明細書及び同第6,114,148号明細書に開示される方法が挙げられる。
一態様において、本発明のCARは、特異的抗体の抗原結合ドメインを細胞内シグナル伝達分子と組み合わせる。例えば、いくつかの態様において、細胞内シグナル伝達分子は、CD3−ζ鎖、4−1BB及びCD28シグナル伝達モジュール並びにそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。一態様において、抗原結合ドメインは、本明細書に記載の腫瘍抗原に結合する。
更に、本発明は、CAR及びCAR発現細胞並びに数ある疾患の中で、癌又は本明細書に記載の腫瘍抗原を発現する細胞若しくは組織が関与するあらゆる悪性腫瘍若しくは自己免疫性疾患を処置するための医薬又は方法におけるそれらの使用を提供する。
一態様において、本発明のCARを本明細書に記載の腫瘍抗原を発現する正常細胞の根絶に使用でき、それにより細胞移植前の細胞コンディショニング治療としての使用が適用可能である。一態様において、本明細書に記載の腫瘍抗原を発現する正常細胞は、正常幹細胞であり、細胞移植は、幹細胞移植である。
一態様において、本発明は、キメラ抗原受容体(CAR)を発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を提供し、ここで、操作された免疫エフェクター細胞は抗腫瘍特性を示す。好ましい抗原は、本明細書に記載の癌関連抗原(即ち腫瘍抗原)である。一態様において、CARの抗原結合ドメインは、部分的ヒト化抗体断片を含む。一態様において、CARの抗原結合ドメインは、部分的ヒト化scFvを含む。従って、本発明は、ヒト化抗原結合ドメインを含み、細胞、例えばT細胞又はNK細胞へ操作された、CAR及び養子治療のためのその使用方法を提供する。
一態様において、本発明のCARは、CD137(4−1BB)シグナル伝達ドメイン、CD28シグナル伝達ドメイン、CD27シグナルドメイン、CD3ζシグナルドメイン及びこれらの任意の組み合わせの群から選択される少なくとも1つの細胞内ドメインを含む。一態様において、本発明のCARは、少なくとも1つの細胞内シグナル伝達ドメインを含み、CD137(4−1BB)又はCD28以外の1つ以上の共刺激分子からのものである。
本発明のCARの成分のいくつかの例の配列を表1に列挙する。表中、aaは、アミノ酸を表し、naは、対応するペプチドをコードする核酸を表す。
癌関連抗原
本発明は、免疫エフェクター細胞を、癌に指向させる、1つ以上のCARを含有するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を提供する。これは、癌関連抗原に対して特異的であるCAR上の抗原結合ドメインを通して達成される。本発明のCARにより標的化され得る2つのクラスの癌関連抗原(腫瘍抗原)が存在する:(1)癌細胞の表面に発現される癌関連抗原;及び(2)それ自体は細胞内であるが、そのような抗原(ペプチド)の断片がMHC(主要組織適合複合体)により癌細胞の表面に提示される、癌関連抗原。
従って、本発明は、以下の癌関連抗原(腫瘍抗原)を標的とするCARを提供する:CD19、CD123、CD22、CD30、CD171、CS−1、CLL−1(CLECL1)、CD33、EGFRvIII、GD2、GD3、BCMA、Tn Ag、PSMA、ROR1、FLT3、FAP、TAG72、CD38、CD44v6、CEA、EPCAM、B7H3、KIT、IL−13Ra2、メソテリン、IL−11Ra、PSCA、VEGFR2、ルイスY、CD24、PDGFR−β、PRSS21、SSEA−4、CD20、葉酸受容体α、ERBB2(Her2/neu)、MUC1、EGFR、NCAM、Prostase、PAP、ELF2M、エフリンB2、IGF−I受容体、CAIX、LMP2、gp100、bcr−abl、チロシナーゼ、EphA2、フコシルGM1、sLe、GM3、TGS5、HMWMAA、o−アセチル−GD2、葉酸受容体β、TEM1/CD248、TEM7R、CLDN6、TSHR、GPRC5D、CXORF61、CD97、CD179a、ALK、ポリシアル酸、PLAC1、GloboH、NY−BR−1、UPK2、HAVCR1、ADRB3、PANX3、GPR20、LY6K、OR51E2、TARP、WT1、NY−ESO−1、LAGE−1a、レグマイン、HPV E6、E7、MAGE−A1、MAGE A1、ETV6−AML、精子タンパク質17、XAGE1、Tie 2、MAD−CT−1、MAD−CT−2、Fos関連抗原1、p53、p53変異体、プロステイン、サバイビン及びテロメラーゼ、PCTA−1/ガレクチン8、MelanA/MART1、Ras変異体、hTERT、肉腫転座切断点、ML−IAP、ERG(TMPRSS2 ETS融合遺伝子)、NA17、PAX3、アンドロゲン受容体、サイクリンB1、MYCN、RhoC、TRP−2、CYP1B1、BORIS、SART3、PAX5、OY−TES1、LCK、AKAP−4、SSX2、RAGE−1、ヒトテロメラーゼ逆転写酵素、RU1、RU2、腸カルボキシルエステラーゼ、mut hsp70−2、CD79a、CD79b、CD72、LAIR1、FCAR、LILRA2、CD300LF、CLEC12A、BST2、EMR2、LY75、GPC3、FCRL5及びIGLL1。
腫瘍支持抗原
本明細書に記載のCARは、腫瘍支持抗原(例えば、本明細書に記載の腫瘍支持抗原)に結合する抗原結合ドメイン(例えば、抗体又は抗体断片、TCR又はTCR断片)を含み得る。いくつかの実施形態において、腫瘍支持抗原は、間質細胞又は骨髄由来サプレッサー細胞(MDSC)上に存在する抗原である。間質細胞は、微小環境における細胞分裂を促進するために成長因子を分泌し得る。MDSC細胞は、T細胞の増殖及び活性化を阻害することができる。理論に拘束されることを望まないが、いくつかの実施形態において、CAR発現細胞は腫瘍支持細胞を破壊し、それにより腫瘍増殖又は生存を間接的に阻害する。
実施形態において、間質細胞抗原は、骨髄間質細胞抗原2(BST2)、線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)及びテネイシンの1つ以上から選択される。一実施形態において、FAP特異的抗体は、シブロツズマブとの結合について競合するか又はそれと同じCDRを有する。実施形態において、MDSC抗原は、CD33、CD11b、C14、CD15及びCD66bの1つ以上から選択される。従って、いくつかの実施形態において、腫瘍支持抗原は、骨髄間質細胞抗原2(BST2)、線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)又はテネイシン、CD33、CD11b、C14、CD15及びCD66bの1つ以上から選択される。
キメラ抗原受容体(CAR)
本発明は、CARをコードする配列を含む組換えDNA構築物を包含し、CARは、本明細書に記載の癌関連抗原に特異的に結合する抗原結合ドメイン(例えば、抗体又は抗体断片、TCR又はTCR断片)を含み、抗原結合ドメインの配列は、例えば、細胞内シグナル伝達ドメインをコードする核酸配列に連続しており、それと同じリーディングフレーム内にある。細胞内シグナル伝達ドメインは、共刺激シグナル伝達ドメイン及び/又は一次シグナル伝達ドメイン、例えばζ鎖を含み得る。共刺激シグナル伝達ドメインとは、共刺激分子の細胞内ドメインの少なくとも一部分を含むCARの一部分を指す。
具体的な態様において、本発明のCAR構築物はscFvドメインを含み、scFvの前には、配列番号2に提供されるような任意選択のリーダー配列があり得、後ろには、配列番号4又は配列番号6又は配列番号8又は配列番号10に提供されるような任意選択のヒンジ配列、配列番号12に提供されるような膜貫通領域、配列番号14又は配列番号16を含む細胞内シグナル伝達ドメイン及び配列番号18又は配列番号20を含むCD3ζ配列があり得、例えば、これらのドメインは、連続しており、同じリーディングフレーム内にあり、単一の融合タンパク質を形成する。
一態様において、例示的CAR構築物は、任意選択のリーダー配列(例えば、本明細書に記載されるリーダー配列)、細胞外抗原結合ドメイン(例えば、本明細書に記載される抗原結合ドメイン)、ヒンジ(例えば、本明細書に記載されるヒンジ領域)、膜貫通ドメイン(例えば、本明細書に記載される膜貫通ドメイン)及び細胞内刺激ドメイン(例えば、本明細書に記載される細胞内刺激ドメイン)を含む。一態様において、例示的CAR構築物は、任意選択のリーダー配列(例えば、本明細書に記載されるリーダー配列)、細胞外抗原結合ドメイン(例えば、本明細書に記載される抗原結合ドメイン)、ヒンジ(例えば、本明細書に記載されるヒンジ領域)、膜貫通ドメイン(例えば、本明細書に記載される膜貫通ドメイン)、細胞内共刺激シグナル伝達ドメイン(例えば、本明細書に記載される共刺激シグナル伝達ドメイン)及び/又は細胞内一次シグナル伝達ドメイン(例えば、本明細書に記載される一次シグナル伝達ドメイン)を含む。
例示的なリーダー配列は、配列番号2として提供される。ヒンジ/スペーサー配列の例は、配列番号4、又は配列番号6、又は配列番号8、又は配列番号10として提供される。例示的な膜貫通ドメイン配列は、配列番号12として提供される。例示的な4−1BBタンパク質の細胞内シグナル伝達ドメインの配列は、配列番号14として提供される。例示的なCD27の細胞内シグナル伝達ドメインの配列の例は、配列番号16として提供される。例示的なCD3ζドメイン配列は、配列番号18又は配列番号20として提供される。
一態様において、本発明は、CARをコードする核酸分子を含む組換え核酸コンストラクトを包含し、核酸分子は、細胞内シグナル伝達ドメインをコードする核酸配列に連続しており、それと同じリーディングフレーム内にある、例えば本明細書に記載される抗原結合ドメインをコードする核酸配列を含む。
一態様において、本発明は、CARをコードする核酸分子を含む組換え核酸構築物を包含し、核酸分子は、抗原結合ドメインをコードする核酸配列を含み、この配列は、細胞内シグナル伝達ドメインをコードする核酸配列に連続しており、それと同じリーディングフレーム内にある。CARに使用し得る例示的細胞内シグナル伝達ドメインには、限定されないが、例えばCD3−ζ、CD28、CD27、4−1BBなどの1つ以上の細胞内シグナル伝達ドメインが含まれる。一部の例では、CARは、CD3−ζ、CD28、4−1BBなどの任意の組み合わせを含み得る。
所望の分子をコードする核酸配列は、標準的な技法を用いて、例えばその核酸分子を発現する細胞からのライブラリをスクリーニングすることによるか、それを含むことが知られるベクターから核酸分子を誘導することによるか、又はそれを含む細胞及び組織から直接単離することによるなど、当技術分野において公知の組換え方法を用いて得ることができる。代わりに、目的の核酸はクローニングでなく、むしろ合成的に作製することができる。
本発明は、細胞に直接形質導入することのできるCARを発現するレトロウイルス及びレンチウイルスベクターコンストラクトを含む。
本発明は、細胞に直接トランスフェクトすることのできるRNA構築物も含む。トランスフェクションに使用するためのmRNAの作成方法には、特別に設計したプライマーによるテンプレートのインビトロ転写(IVT)と、続くポリA付加が含まれ、それにより、3’及び5’非翻訳配列(「UTR」)(例えば、本明細書に記載の3’及び/又は5’UTR)、5’キャップ(例えば、本明細書に記載の5’キャップ)及び/又は配列内リボソーム進入部位(IRES)(例えば、本明細書に記載のIRES)、発現させようとする核酸及びポリAテールを含む構築物、典型的には50〜2000塩基長(配列番号32)が産生される。このように産生されたRNAは、種々の種類の細胞を効率的にトランスフェクトすることができる。一実施形態において、テンプレートは、CARの配列を含む。一実施形態において、RNA CARベクターは、電気穿孔によって細胞、例えばT細胞又はNK細胞に形質導入される。
抗原結合ドメイン
一態様において、本発明のCARは、他の場合には抗原結合ドメインと称される標的特異的結合エレメントを含む。部分の選択は、標的細胞の表面を定義するリガンドの種類及び数に依存する。例えば、抗原結合ドメインは、特定の疾患状態に関連する標的細胞上の細胞表面マーカーとしての役割を果たすリガンドを認識するように選択され得る。従って、本発明のCARにおける抗原結合ドメインのリガンドとしての役割を果たし得る細胞表面マーカーの例には、ウイルス、細菌及び寄生虫感染症、自己免疫疾患及び癌細胞に関連するものが含まれる。
一態様において、所望の抗原に特異的に結合する抗原結合ドメインをCARに操作することにより、CAR媒介性T細胞応答を目的の抗原に仕向けることができる。
一態様において、抗原結合ドメインを含むCARの一部分は、腫瘍抗原、例えば本明細書に記載される腫瘍抗原を標的とする抗原結合ドメインを含む。
抗原結合ドメインは、限定されないが、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、組換え抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体及びその機能性断片、例えば、限定されないが、重鎖可変ドメイン(VH)、軽鎖可変ドメイン(VL)及びラクダ科動物由来ナノボディの可変ドメイン(VHH)などのシングルドメイン抗体及び組換えフィブロネクチンドメイン、T細胞受容体(TCR)又はその断片、例えば単鎖TCRなど、抗原結合ドメインとして機能することが当技術分野において公知の代替的足場を含め、抗原に結合する任意のドメインであり得る。一部の例では、抗原結合ドメインは、CARが最終的に使用されることになる同じ種に由来することが有益である。例えば、ヒトでの使用には、CARの抗原結合ドメインが抗体又は抗体断片の抗原結合ドメインにヒト又はヒト化残基を含むことが有益であり得る。
一実施形態において、CD19 CARは、米国特許第8,399,645号明細書;米国特許第7,446,190号明細書;Xu et al.,Leuk Lymphoma.2013 54(2):255−260(2012);Cruz et al.,Blood 122(17):2965−2973(2013);Brentjens et al.,Blood,118(18):4817−4828(2011);Kochenderfer et al.,Blood 116(20):4099−102(2010);Kochenderfer et al.,Blood 122(25):4129−39(2013);又は16th Annu Meet Am Soc Gen Cell Ther(ASGCT)(May 15−18,Salt Lake City)2013,Abst 10(それぞれその全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されたCD19 CARである。一実施形態において、CD19に対する抗原結合ドメインは、例えば、国際公開第2012/079000号パンフレット(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載のCAR、抗体又はその抗原結合断片の抗原結合部分、例えばCDRである。一実施形態において、CD19に対する抗原結合ドメインは、例えば、国際公開第2014/153270号パンフレット;Kochenderfer,J.N.et al.,J.Immunother.32(7),689−702(2009);Kochenderfer,J.N.,et al.,Blood,116(20),4099−4102(2010);国際公開第2014/031687号パンフレット;Bejcek,Cancer Research,55,2346−2351,1995;又は米国特許第7,446,190号明細書(それぞれ、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載のCAR、抗体又はその抗原結合断片の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、メソテリンに対する抗原結合ドメインは、例えば、国際公開第2015/090230号パンフレットに記載の抗体、抗原結合断片又はCARの、抗原結合ドメイン、例えばCDR、scFv又はVH及びVLであるか又はそれに由来し得る(一実施形態において、CARは国際公開第2015/090230号パンフレットに記載のCARであり、その内容は、その全体が本明細書に組み込まれる)。実施形態において、メソテリンに対する抗原結合ドメインは、例えば、国際公開第1997/025068号パンフレット、国際公開第1999/028471号パンフレット、国際公開第2005/014652号パンフレット、国際公開第2006/099141号パンフレット、国際公開第2009/045957号パンフレット、国際公開第2009/068204号パンフレット、国際公開第2013/142034号パンフレット、国際公開第2013/040557号パンフレット又は国際公開第2013/063419号パンフレット(それぞれその全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている抗体、抗原結合断片又はCARの抗原結合部分、例えばCDR、scFv又はVH及びVLであるか又はそれに由来する。
一実施形態において、CD123に対する抗原結合ドメインは、例えば、国際公開第2014/130635号パンフレット(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載の抗体、抗原結合断片又はCARの抗原結合部分、例えばCDR、scFv又はVH及びVLであるか又はそれに由来する。一実施形態において、CD123に対する抗原結合ドメインは、例えば、国際公開第2016/028896号パンフレット(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載の抗体、抗原結合断片又はCARの抗原結合部分、例えばCDR、scFv又はVH及びVLであるか又はそれに由来し、実施形態において、CARは国際公開第2016/028896号パンフレットに記載のCARである。一実施形態において、CD123に対する抗原結合ドメインは、例えば、国際公開第1997/024373号パンフレット、国際公開第2008/127735号パンフレット(例えば、26292、32701、37716又は32703のCD123結合ドメイン)、国際公開第2014/138805号パンフレット(例えば、CSL362のCD123結合ドメイン)、国際公開第2014/138819号パンフレット、国際公開第2013/173820号パンフレット、国際公開第2014/144622号パンフレット、国際公開第2001/66139号パンフレット、国際公開第2010/126066号パンフレット(例えば、Old4、Old5、Old17、Old19、New102又はOld6のいずれかのCD123結合ドメイン)、国際公開第2014/144622号パンフレット又は米国特許国際公開第2009/0252742号明細書(それぞれその全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載の抗体、抗原結合断片又はCARの抗原結合部分、例えばCDR、scFv又はVH及びVLであるか、又はこれらに由来する。
一実施形態において、CD22に対する抗原結合ドメインは、例えば、Haso et al.,Blood,121(7):1165−1174(2013);Wayne et al.,Clin Cancer Res 16(6):1894−1903(2010);Kato et al.,Leuk Res 37(1):83−88(2013);Creative BioMart(creativebiomart.net):MOM−18047−S(P)に記載されている抗体の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、CS−1に対する抗原結合ドメインは、エロツズマブ(BMS)の抗原結合部分、例えばCDRであり、例えばTai et al.,2008,Blood 112(4):1329−37;Tai et al.,2007,Blood.110(5):1656−63を参照されたい。
一実施形態において、CLL−1に対する抗原結合ドメインは、例えば、国際公開第2016/014535号パンフレット(その内容は全体として本明細書に組み込まれる)に記載の抗体、抗原結合断片又はCARの抗原結合部分、例えばCDR又はVH及びVLである。一実施形態において、CLL−1に対する抗原結合ドメインは、例えば、R&D、ebiosciences、Abcamから入手可能な抗体、例えばPE−CLL1−hu Cat#353604(BioLegend);及びPE−CLL1(CLEC12A)Cat#562566(BD)の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、CD33に対する抗原結合ドメインは、例えば、Bross et al.,Clin Cancer Res 7(6):1490−1496(2001)(Gemtuzumab Ozogamicin,hP67.6)、Caron et al.,Cancer Res 52(24):6761−6767(1992)(Lintuzumab,HuM195)、Lapusan et al.,Invest New Drugs 30(3):1121−1131(2012)(AVE9633)、Aigner et al.,Leukemia 27(5):1107−1115(2013)(AMG330,CD33 BiTE)、Dutour et al.,Adv hematol 2012:683065(2012)及びPizzitola et al.,Leukemia doi:10.1038/Lue.2014.62(2014)に記載されている抗体の抗原結合部分、例えばCDRである。CD33を標的とする例示的なCAR分子は本明細書に記載されており、国際公開第2016/014576号パンフレット、例えば国際公開第2016/014576号パンフレットの表2(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に提供される。
一実施形態において、GD2に対する抗原結合ドメインは、例えば、Mujoo et al.,Cancer Res.47(4):1098−1104(1987);Cheung et al.,Cancer Res 45(6):2642−2649(1985)、Cheung et al.,J Clin Oncol 5(9):1430−1440(1987)、Cheung et al.,J Clin Oncol 16(9):3053−3060(1998)、.Handgretinger et al.,Cancer Immunol Immunother 35(3):199−204(1992)に記載されている抗体の抗原結合部分、例えばCDRである。いくつかの実施形態において、GD2に対する抗原結合ドメインは、mAb 14.18、14G2a、ch14.18、hu14.18、3F8、hu3F8、3G6、8B6、60C3、10B8、ME36.1及び8H9(例えば、国際公開第2012033885号パンフレット、国際公開第2013040371号パンフレット、国際公開第2013192294号パンフレット、国際公開第2013061273号パンフレット、国際公開第2013123061号パンフレット、国際公開第2013074916号パンフレット及び国際公開第201385552号パンフレットを参照されたい)から選択される抗体の抗原結合部分である。いくつかの実施形態において、GD2に対する抗原結合ドメインは、米国特許出願公開第20100150910号明細書又は国際公開第2011160119号パンフレットに記載されている抗体の抗原結合部分である。
一実施形態において、BCMAに対する抗原結合ドメインは、例えば、国際公開第2012163805号パンフレット、国際公開第200112812号パンフレット及び国際公開第2003062401号パンプレットに記載されている抗体の抗原結合部分、例えばCDRである。実施形態において、更なる例示的なBCMA CAR構築物は、国際公開第2012/0163805号パンフレット(その内容が全体として参照により本明細書に組み込まれる)からの抗原結合ドメイン、例えばCDR、scFv又はVH及びVL配列を用いて産生される。実施形態において、更なる例示的なBCMA CAR構築物は、国際公開第2016/014565号パンフレット(その内容が全体として参照により本明細書に組み込まれる)からの抗原結合ドメイン、例えばCDR、scFv又はVH及びVL配列を用いて産生される。実施形態において、更なる例示的なBCMA CAR構築物は、国際公開第2014/122144号パンフレット(その内容が全体として参照により本明細書に組み込まれる)からの抗原結合ドメイン、例えばCDR、scFv又はVH及びVL配列を用いて産生される。実施形態において、更なる例示的なBCMA CAR構築物は、国際公開第2016/014789号パンフレット(その内容が全体として参照により本明細書に組み込まれる)からのCAR分子及び/又はBCMA結合ドメイン(例えば、CDR、scFv又はVH及びVL配列)を用いて産生される。実施形態において、更なる例示的なBCMA CAR構築物は、国際公開第2014/089335号パンフレット(その内容が全体として参照により本明細書に組み込まれる)からのCAR分子及び/又はBCMA結合ドメイン(例えば、CDR、scFv又はVH及びVL配列)を用いて産生される。実施形態において、更なる例示的なBCMA CAR構築物は、国際公開第2014/140248号パンフレット(その内容が全体として参照により本明細書に組み込まれる)からのCAR分子及び/又はBCMA結合ドメイン(例えば、CDR、scFv又はVH及びVL配列)を用いて産生される。
一実施形態において、Tn抗原に対する抗原結合ドメインは、例えば、米国特許出願公開第2014/0178365号明細書、米国特許第8,440,798号明細書、Brooks et al.,PNAS 107(22):10056−10061(2010)及びStone et al.,OncoImmunology 1(6):863−873(2012)に記載されている抗体の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、PSMAに対する抗原結合ドメインは、例えば、Parker et al.,Protein Expr Purif 89(2):136−145(2013)、米国特許出願公開第20110268656号明細書(J591 ScFv);Frigerio et al,European J Cancer 49(9):2223−2232(2013)(scFvD2B);国際公開第2006125481号パンフレット(mAbs 3/A12,3/E7及び3/F11)に記載されている抗体及び単鎖抗体断片(scFv A5及びD7)の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、ROR1に対する抗原結合ドメインは、例えば、Hudecek et al.,Clin Cancer Res 19(12):3153−3164(2013);国際公開第2011159847号パンフレット;及び米国特許出願公開第20130101607号明細書に記載されている抗体の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、FLT3に対する抗原結合ドメインは、例えば、国際公開第2011076922号パンフレット、米国特許第5777084号明細書、欧州特許第0754230号明細書、米国特許出願公開第20090297529号明細書及びいくつかの市販カタログ抗体(R&D、ebiosciences、Abcam)に記載されている抗体の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、TAG72に対する抗原結合ドメインは、例えば、Hombach et al.,Gastroenterology 113(4):1163−1170(1997)に記載されている抗体;及びAbcam ab691の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、FAPに対する抗原結合ドメインは、例えば、Ostermann et al.,Clinical Cancer Research 14:4584−4592(2008)(FAP5)、米国特許出願公開第2009/0304718号明細書;シブロツズマブ(例えば、Hofheinz et al.,Oncology Research and Treatment 26(1),2003を参照されたい);及びTran et al.,J Exp Med 210(6):1125−1135(2013)に記載の抗体の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、CD38に対する抗原結合ドメインは、ダラツムマブ(例えば、Groen et al.,Blood 116(21):1261−1262(2010);MOR202(例えば、米国特許第8,263,746号明細書を参照されたい);又は米国特許第8,362,211号明細書に記載の抗体の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、CD44v6に対する抗原結合ドメインは、例えば、Casucci et al.,Blood 122(20):3461−3472(2013)に記載されている抗体の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、CEAに対する抗原結合ドメインは、例えば、Chmielewski et al.,Gastoenterology 143(4):1095−1107(2012)に記載されている抗体の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、EPCAMに対する抗原結合ドメインは、例えば、MT110、EpCAM−CD3二特異性Ab(例えば、clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT00635596を参照されたい);エドレコロマブ;3622W94;ING−1;及びアデカツムマブ(MT201)から選択される抗体の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、PRSS21に対する抗原結合ドメインは、米国特許第8,080,650号明細書に記載されている抗体の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、B7H3に対する抗原結合ドメインは、例えば、抗体MGA271(Macrogenics)の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、KITに対する抗原結合ドメインは、例えば、米国特許第7915391号明細書、米国特許出願公開第20120288506号明細書に記載されている抗体及びいくつかの市販のカタログ抗体の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、IL−13Ra2に対する抗原結合ドメインは、例えば、国際公開第2008/146911号パンフレット、国際公開第2004087758号パンフレット、いくつかの市販カタログ抗体及び国際公開第2004087758号パンフレットに記載されている抗体の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、CD30に対する抗原結合ドメインは、例えば、米国特許第7090843B1号明細書及び欧州特許第0805871号明細書に記載されている抗体の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、GD3に対する抗原結合ドメインは、例えば、米国特許第7253263号明細書;米国特許第8,207,308号明細書;米国特許出願公開第20120276046号明細書;欧州特許第1013761号明細書;国際公開第2005035577号パンフレット;及び米国特許第6437098号明細書に記載されている抗体の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、CD171に対する抗原結合ドメインは、例えば、Hong et al.,J Immunother 37(2):93−104(2014)に記載されている抗体の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、IL−11Raに対する抗原結合ドメインは、Abcam(カタログ番号ab55262)又はNovus Biologicalss(カタログ番号EPR5446)から入手可能な抗体の抗原結合部分、例えばCDRである。別の実施形態において、IL−11Raに対する抗原結合ドメインは、ペプチドであり、例えばHuang et al.,Cancer Res 72(1):271−281(2012)を参照されたい。
一実施形態において、PSCAに対する抗原結合ドメインは、例えば、Morgenroth et al.,Prostate 67(10):1121−1131(2007)(scFv 7F5);Nejatollahi et al.,J of Oncology 2013(2013),article ID 839831(scFv C5−II);及び米国特許出願公開第20090311181号明細書に記載されている抗体の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、VEGFR2に対する抗原結合ドメインは、例えば、Chinnasamy et al.,J Clin Invest 120(11):3953−3968(2010)に記載されている抗体の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、ルイスYに対する抗原結合ドメインは、例えば、Kelly et al.,Cancer Biother Radiopharm 23(4):411−423(2008)(hu3S193 Ab(scFvs));Dolezal et al.,Protein Engineering 16(1):47−56(2003)(NC10 scFv)に記載の抗体の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、CD24に対する抗原結合ドメインは、例えば、Maliar et al.,Gastroenterology 143(5):1375−1384(2012)に記載されている抗体の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、PDGFRβに対する抗原結合ドメインは、抗体Abcam ab32570の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、SSEA−4に対する抗原結合ドメインは、抗体MC813(Cell Signaling)又は他の市販の抗体の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、CD20に対する抗原結合ドメインは、抗体リツキシマブ、オファツムマブ、オクレリズマブ、ベルツズマブ若しくはGA101の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、葉酸受容体αに対する抗原結合ドメインは、抗体IMGN853又は米国特許出願公開第20120009181号明細書;米国特許第4851332号明細書、LK26:米国特許第5952484号明細書に記載の抗体の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、ERBB2に対する抗原結合ドメイン(Her2/neu)は、抗体トラスツズマブ又はペルツズマブの抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、MUC1に対する抗原結合ドメインは、抗体SAR566658の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、EGFRに対する抗原結合ドメインは、抗体セツキシマブ、パニツムマブ、ザルツムマブ、ニモツズマブ又はマツズマブの抗原結合部分、例えばCDRである。一実施形態において、EGFRvIIIに対する抗原結合ドメインは、例えば、国際公開第2014/130657号パンフレットに記載の抗体、抗原結合断片又はCARの、抗原結合ドメイン、例えばCDR、scFv又はVH及びVLであるか又はそれに由来し得る(一実施形態において、CARは国際公開第2014/130657号パンフレットに記載のCARであり、その内容は、その全体が本明細書に組み込まれる)。
一実施形態において、NCAMに対する抗原結合ドメインは、抗体クローン2−2B:MAB5324(EMD Millipore)の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、エフリンB2に対する抗原結合ドメインは、例えば、Abengozar et al.,Blood 119(19):4565−4576(2012)に記載されている抗体の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、IGF−I受容体に対する抗原結合ドメインは、例えば、米国特許第8344112B2号明細書;欧州特許出願公開第2322550A1号明細書;国際公開第2006/138315号パンフレット又はPCT/US2006/022995号明細書に記載されている抗体の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、CAIXに対する抗原結合ドメインは、抗体クローン303123(R&D Systems)の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、LMP2に対する抗原結合ドメインは、例えば、米国特許第7,410,640号明細書又は米国特許出願公開第20050129701号明細書に記載されている抗体の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、gp100に対する抗原結合ドメインは、抗体HMB45、NKIbetaB、又は国際公開第2013165940号パンフレット、又は米国特許出願公開第20130295007号明細書に記載の抗体の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、チロシナーゼに対する抗原結合ドメインは、例えば、米国特許第5843674号明細書;又は米国特許出願公開第19950504048号明細書に記載されている抗体の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、EphA2に対する抗原結合ドメインは、例えば、Yu et al.,Mol Ther 22(1):102−111(2014)に記載されている抗体の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、GD3に対する抗原結合ドメインは、例えば、米国特許第7253263号明細書;米国特許第8,207,308号明細書;米国特許出願公開第20120276046号明細書;欧州特許出願公開第1013761A3号明細書;20120276046;国際公開第2005035577号パンフレット;又は米国特許第6437098号明細書に記載されている抗体の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、フコシルGM1に対する抗原結合ドメインは、例えば、米国特許出願公開第20100297138号明細書;又は国際公開第2007/067992号パンフレットに記載されている抗体の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、sLeに対する抗原結合ドメインは、抗体G193(ルイスYについて)の抗原結合部分、例えばCDRである。Scott AM et al,Cancer Res 60:3254−61(2000)を参照されたく、Neeson et al,J Immunol May 2013 190(Meeting Abstract Supplement)177.10にも記載される。
一実施形態において、GM3に対する抗原結合ドメインは、抗体CA2523449(mAb 14F7)の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、HMWMAAに対する抗原結合ドメインは、Kmiecik et al.,Oncoimmunology 3(1):e27185(2014)(PMID:24575382)(mAb9.2.27);米国特許第6528481号明細書;国際公開第2010033866号パンフレット;又は米国特許出願公開第20140004124号明細書に記載の抗体の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、o−アセチル−GD2に対する抗原結合ドメインは、抗体8B6の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、TEM1/CD248に対する抗原結合ドメインは、例えば、Marty et al.,Cancer Lett 235(2):298−308(2006);Zhao et al.,J Immunol Methods 363(2):221−232(2011)に記載されている抗体の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、CLDN6に対する抗原結合ドメインは、抗体IMAB027(Ganymed Pharmaceuticals)の抗原結合部分、例えばCDRである。例えば、clinicaltrial.gov/show/NCT02054351を参照されたい。
一実施形態において、TSHRに対する抗原結合ドメインは、例えば、米国特許第8,603,466号明細書;米国特許第8,501,415号明細書;又は米国特許第8,309,693号明細書に記載されている抗体の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、GPRC5Dに対する抗原結合ドメインは、抗体FAB6300A(R&D Systems);又はLS−A4180(Lifespan Biosciences)の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、CD97に対する抗原結合ドメインは、例えば、米国特許第6,846,911号明細書;de Groot et al.,J Immunol 183(6):4127−4134(2009)に記載されている抗体;又はR&D:MAB3734からの抗体の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、ALKに対する抗原結合ドメインは、例えば、Mino−Kenudson et al.,Clin Cancer Res 16(5):1561−1571(2010)に記載されている抗体の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、ポリシアル酸に対する抗原結合ドメインは、例えば、Nagae et al.,J Biol Chem 288(47):33784−33796(2013)に記載されている抗体の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、PLAC1に対する抗原結合ドメインは、例えば、Ghods et al.,Biotechnol Appl Biochem 2013 doi:10.1002/bab.1177に記載されている抗体の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、GloboHに対する抗原結合ドメインは、抗体VK9;又は例えばKudryashov V et al,Glycoconj J.15(3):243−9(1998),Lou et al.,Proc Natl Acad Sci USA 111(7):2482−2487(2014);MBr1:Bremer E−G et al.J Biol Chem 259:14773-14777(1984)に記載されている抗体の抗原結合部分である。
一実施形態において、NY−BR−1に対する抗原結合ドメインは、例えば、Jager et al.,Appl Immunohistochem Mol Morphol 15(1):77−83(2007)に記載されている抗体の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、WT−1に対する抗原結合ドメインは、例えば、Dao et al.,Sci Transl Med 5(176):176ra33(2013);又は国際公開第2012/135854号パンフレットに記載されている抗体の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、MAGE−A1に対する抗原結合ドメインは、例えば、Willemsen et al.,J Immunol 174(12):7853−7858(2005)(TCR様scFv)に記載されている抗体の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、精子タンパク質17に対する抗原結合ドメインは、例えば、Song et al.,Target Oncol 2013 Aug 14(PMID:23943313);Song et al.,Med Oncol 29(4):2923−2931(2012)に記載されている抗体の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、Tie2に対する抗原結合ドメインは、抗体AB33(Cell Signaling Technology)の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、MAD−CT−2に対する抗原結合ドメインは、例えば、PMID:2450952;米国特許第7635753号明細書に記載されている抗体の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、Fos関連抗原1に対する抗原結合ドメインは、抗体12F9(Novus Biologicals)の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、MelanA/MART1に対する抗原結合ドメインは、欧州特許第2514766A2号明細書;又は米国特許第7,749,719号明細書に記載されている抗体の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、肉腫転座切断点に対する抗原結合ドメインは、例えば、Luo et al,EMBO Mol.Med.4(6):453−461(2012)に記載されている抗体の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、TRP−2に対する抗原結合ドメインは、例えば、Wang et al,J Exp Med.184(6):2207−16(1996)に記載されている抗体の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、CYP1B1に対する抗原結合ドメインは、例えば、Maecker et al,Blood 102(9):3287−3294(2003)に記載されている抗体の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、RAGE−1に対する抗原結合ドメインは、抗体MAB5328(EMD Millipore)の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、ヒトテロメラーゼ逆転写酵素に対する抗原結合ドメインは、抗体カタログ番号:LS−B95−100(Lifespan Biosciences)の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、腸カルボキシルエステラーゼに対する抗原結合ドメインは、抗体4F12:カタログ番号:LS−B6190−50(Lifespan Biosciences)の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、mut hsp70−2に対する抗原結合ドメインは、抗体Lifespan Biosciences:モノクローナル:カタログ番号:LS−C133261−100(Lifespan Biosciences)の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、CD79aに対する抗原結合ドメインは、Abcamから入手可能な抗体抗CD79a抗体[HM47/A9](ab3121);Cell Signalling Technologyから入手可能な抗体CD79A抗体番号3351;又はSigma Aldrichから入手可能なウサギにおいて産生した抗CD79A抗体である抗体HPA017748の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、CD79bに対する抗原結合ドメインは、抗体ポラツズマブベドチン、Dornan et al.,“Therapeutic potential of an anti−CD79b antibody−drug conjugate,anti−CD79b−vc−MMAE,for the treatment of non−Hodgkin lymphoma”Blood.2009 Sep 24;114(13):2721−9.doi:10.1182/blood−2009−02−205500.Epub 2009 Jul 24に記載の抗CD79b又は“4507 Pre−Clinical Characterization of T Cell−Dependent Bispecific Antibody Anti−CD79b/CD3 As a Potential Therapy for B Cell Malignancies”Abstracts of 56th ASH Annual Meeting and Exposition,San Francisco,CA December 6−9 2014に記載の二特異性抗体抗CD79b/CD3の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、CD72に対する抗原結合ドメインは、Myers及びUckun,“An anti−CD72 immunotoxin against therapy−refractory B−lineage acute lymphoblastic leukemia.”Leuk Lymphoma.1995 Jun;18(1−2):119−22に記載の抗体J3−109又はPolson et al.,“Antibody−Drug Conjugates for the Treatment of Non−Hodgkin’s Lymphoma:Target and Linker−Drug Selection”Cancer Res March 15,2009 69;2358に記載の抗CD72(10D6.8.1,mIgG1)の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、LAIR1に対する抗原結合ドメインは、ProSpecから入手可能な抗体ANT−301 LAIR1抗体;又はBioLegendから入手可能な抗ヒトCD305(LAIR1)抗体の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、FCARに対する抗原結合ドメインは、Sino Biological Inc.から入手可能な抗体CD89/FCARAntibody(カタログ番号10414−H08H)の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、LILRA2に対する抗原結合ドメインは、Abnovaから入手可能な抗体LILRA2モノクローナル抗体(M17)、クローン3C7又はLifespan Biosciencesから入手可能なマウス抗LILRA2抗体、モノクローナル(2D7)の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、CD300LFに対する抗原結合ドメインは、BioLegendから入手可能な抗体マウス抗CMRF35様分子1抗体、モノクローナル[UP−D2]又はR&D Systemsから入手可能なラット抗CMRF35様分子1抗体、モノクローナル[234903]の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、CLEC12Aに対する抗原結合ドメインは、抗体二特異性T細胞エンゲージャー(BiTE)scFv抗体及びNoordhuis et al.,“Targeting of CLEC12A In Acute Myeloid Leukemia by Antibody−Drug−Conjugates and Bispecific CLL−1xCD3 BiTE Antibody”53rdASH Annual Meeting and Exposition,December 10−13,2011に記載のADC及びMCLA−117(Merus)の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、BST2(CD317とも称される)に対する抗原結合ドメインは、Antibodies−Onlineから入手可能な抗体マウス抗CD317抗体、モノクローナル[3H4]又はR&D Systemsから入手可能なマウス抗CD317抗体、モノクローナル[696739]の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、EMR2(CD312とも称される)に対する抗原結合ドメインは、Lifespan Biosciencesから入手可能な抗体マウス抗CD312抗体、モノクローナル[LS−B8033]又はR&D Systemsから入手可能なマウス抗CD312抗体、モノクローナル[494025]の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、LY75に対する抗原結合ドメインは、EMD Milliporeから入手可能な抗体マウス抗リンパ球抗原75抗体、モノクローナル[HD30]又はLife Technologiesから入手可能なマウス抗リンパ球抗原75抗体、モノクローナル[A15797]の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、GPC3に対する抗原結合ドメインは、Nakano K,Ishiguro T,Konishi H,et al.Generation of a humanized anti−glypican 3 antibody by CDR grafting and stability optimization.Anticancer Drugs.2010 Nov;21(10):907−916に記載の抗体hGC33、又はMDX−1414、HN3、又はYP7の抗原結合部分、例えばCDRであり、これら3つは、全てFeng et al.,“Glypican−3 antibodies:a new therapeutic target for liver cancer.”FEBS Lett.2014 Jan 21;588(2):377−82に記載される。
一実施形態において、FCRL5に対する抗原結合ドメインは、Elkins et al.,“FcRL5 as a target of antibody−drug conjugates for the treatment of multiple myeloma”Mol Cancer Ther.2012 Oct;11(10):2222−32に記載の抗FcRL5抗体の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、IGLL1に対する抗原結合ドメインは、Lifespan Biosciencesから入手可能な抗体マウス抗免疫グロブリンλ様ポリペプチド1抗体、モノクローナル[AT1G4]、BioLegendから入手可能なマウス抗免疫グロブリンλ様ポリペプチド1抗体、モノクローナル[HSL11]の抗原結合部分、例えばCDRである。
一実施形態において、抗原結合ドメインは、上に列挙した、抗体からの1つ、2つ、3つ(例えば、3つ全て)の重鎖CDR、HC CDR1、HC CDR2及びHC CDR3並びに/又は上に列挙した抗体からの1つ、2つ、3つ(例えば、3つ全て)の軽鎖CDR、LC CDR1、LC CDR2及びLC CDR3を含む。一実施形態において、抗原結合ドメインは、上に列挙した抗体の重鎖可変領域及び/又は軽鎖可変領域を含む。
別の態様において、抗原結合ドメインは、ヒト化抗体又は抗体断片を含む。一部の態様において、非ヒト抗体は、ヒト化であり、抗体の特定の配列又は領域は、ヒトで天然に産生される抗体又はその断片との類似性が増すように改変される。一態様において、抗原結合ドメインは、ヒト化である。
ヒト化抗体は、CDR移植(例えば、それぞれその全体が参照により本明細書に組み込まれる欧州特許第239,400号明細書;国際公開第91/09967号パンフレット;及び米国特許第5,225,539号明細書、同第5,530,101号明細書及び同第5,585,089号明細書を参照されたい)、ベニアリング又はリサーフェシング(例えば、それぞれその全体が参照により本明細書に組み込まれる欧州特許第592,106号明細書及び欧州特許第519,596号明細書;Padlan,1991,Molecular Immunology,28(4/5):489−498;Studnicka et al.,1994,Protein Engineering,7(6):805−814;及びRoguska et al.,1994,PNAS,91:969−973を参照されたい)、鎖シャッフリング(例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,565,332号明細書を参照されたい)及び例えばそれぞれその全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2005/0042664号明細書、米国特許出願公開第2005/0048617号明細書、米国特許第6,407,213号明細書、米国特許第5,766,886号明細書、国際公開第9317105号パンフレット、Tan et al.,J.Immunol.,169:1119−25(2002)、Caldas et al.,Protein Eng.,13(5):353−60(2000)、Morea et al.,Methods,20(3):267−79(2000)、Baca et al.,J.Biol.Chem.,272(16):10678−84(1997)、Roguska et al.,Protein Eng.,9(10):895−904(1996)、Couto et al.,Cancer Res.,55(23 Supp):5973s−5977s(1995)、Couto et al.,Cancer Res.,55(8):1717−22(1995)、Sandhu J S,Gene,150(2):409−10(1994)及びPedersen et al.,J.Mol.Biol.,235(3):959−73(1994)に記載の技術を含むが、これらに限定されない、当技術分野で公知の多様な方法を使用して産生できる。多くの場合、フレームワーク領域におけるフレームワーク残基を、抗原結合を変える、例えば改善するためにCDRドナー抗体からの対応する残基で置換する。これらのフレームワーク置換は、当技術分野で周知の方法、例えば抗原結合に重要なフレームワーク残基を同定するためのCDRとフレームワーク残基の相互作用のモデリング及び特定の位置の異常フレームワーク残基を同定するための配列比較により同定される。(例えば、参照により本明細書に組み込まれるQueen et al.、米国特許第5,585,089号明細書;及びRiechmann et al.,1988,Nature,332:323を参照されたい)。
ヒト化抗体又は抗体断片は、非ヒトである供給源から残留している1つ以上のアミノ酸残基を有する。これらの非ヒトアミノ酸残基は、多くの場合、典型的には「インポート」可変ドメインからとられる「インポート」残基という。本明細書に提供されるように、ヒト化抗体又は抗体断片は、フレームワークが完全に又は大部分ヒト生殖細胞系に由来する、非ヒト免疫グロブリン分子及びフレームワーク領域からの1つ以上のCDRを含む。抗体又は抗体断片のヒト化のための多数の技術が当技術分野で周知であり、本質的に、Winter and co−workers(Jones et al.,Nature,321:522−525(1986);Riechmann et al.,Nature,332:323−327(1988);Verhoeyen et al.,Science,239:1534−1536(1988))の方法に従い、齧歯類CDR又はCDR配列をヒト抗体の対応する配列に置換することにより、即ちCDR移植(欧州特許第239,400号明細書;国際公開第91/09967号パンフレット;及び米国特許第4,816,567号;第6,331,415号;第5,225,539号;第5,530,101号;第5,585,089号;第6,548,640号明細書、これらの内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)により実施できる。このようなヒト化抗体及び抗体断片において、実質的に1つより少ない無傷のヒト可変ドメインは、非ヒト種からの対応する配列により置換されている。ヒト化抗体は、多くの場合、あるCDR残基及びおそらくあるフレームワーク(FR)残基が齧歯類抗体における類似部位からの残基により置換される、ヒト抗体である。抗体及び抗体断片のヒト化は、ベニアリング又はリサーフェシング(欧州特許第592,106号明細書;欧州特許第519,596号明細書;Padlan,1991,Molecular Immunology,28(4/5):489−498;Studnicka et al.,Protein Engineering,7(6):805−814(1994);及びRoguska et al.,PNAS,91:969−973(1994))又は鎖シャッフリング(米国特許第5,565,332号明細書)によっても達成でき、その内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
ヒト化抗体を製造するために使用する軽及び重両者のヒト可変ドメインの選択は、抗原性を減少するためである。いわゆる「ベストフィット」法により、齧歯類抗体の可変ドメインの配列を既知ヒト可変ドメイン配列のライブラリ全体に対してスクリーニングする。齧歯類に最も近いヒト配列を、その後、ヒト化抗体のためのヒトフレームワーク(FR)として受け入れる(Sims et al.,J.Immunol.,151:2296(1993);Chothia et al.,J.Mol.Biol.,196:901(1987)、これらの内容は、その全体が参照によりその全体を本明細書に組み込まれる)。別の方法は、特定のサブグループの軽鎖又は重鎖の全抗体のコンセンサス配列由来の特定のフレームワークを使用する。同じフレームワークは、数種の異なるヒト化抗体のために使用し得る(例えば、その内容が全体として参照により本明細書に組み込まれるNicholson et al.Mol.Immun.34(16−17):1157−1165(1997);Carter et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,89:4285(1992);Presta et al.,J.Immunol.,151:2623(1993)を参照されたい)。いくつかの実施形態において、重鎖可変領域のフレームワーク領域、例えば4つ全てのフレームワーク領域は、VH4_4−59生殖細胞系配列由来である。一実施形態において、フレームワーク領域は、例えば、対応するマウス配列のアミノ酸からの1つ、2つ、3つ、4つ又は5つの改変、例えば置換を含み得る。一実施形態において、軽鎖可変領域のフレームワーク領域、例えば全部で4つのフレームワーク領域は、VK3_1.25生殖細胞系配列由来である。一実施形態において、フレームワーク領域は、例えば、対応するマウス配列のアミノ酸からの1つ、2つ、3つ、4つ又は5つの改変、例えば置換を含み得る。
いくつかの態様において、本発明のCAR組成物の抗体断片を含む部分は、標的抗原に対する高親和性及び他の有利な生物学的特性を維持しながらヒト化される。本発明の一態様によると、ヒト化抗体及び抗体断片は、親及びヒト化配列の三次元モデルを使用して、親配列及び種々の概念的ヒト化産物の分析の過程により製造される。三次元免疫グロブリンモデルは、一般に利用可能であり、当業者に熟知されている。選択した候補免疫グロブリン配列の可能性のある三次元立体構造的構造を説明及び提示するコンピュータープログラムが利用可能である。これらのディスプレイの検査は、候補免疫グロブリン配列の機能における残基の可能性のある役割の分析、例えば候補免疫グロブリンの標的抗原への結合能に影響する残基の分析を可能にする。この方法で、FR残基は、標的抗原に対する親和性増加などの所望の抗体又は抗体断片時調が達成されるように、レシピエント及びインポート配列から選択及び組み合わせできる。一般に、CDR残基は、抗原結合の直接的且つ最も実質的な影響に関与する。
ヒト化抗体又は抗体断片は、例えば、本発明における元の抗体と同様の抗原特異性、本明細書に記載されるようなヒト癌関連抗原に結合する能力を保持し得る。いくつかの実施形態において、ヒト化抗体又は抗体断片は、本明細書に記載の癌関連抗原に結合する改善された親和性及び/又は特異性を有し得る。
一態様において、本発明の抗原結合ドメインは、抗体又は抗体断片の特定の機能的特徴又は特性によって特徴付けられる。例えば、一態様において、抗原結合ドメインを含む本発明のCAR組成物の部分は、本明細書に記載の腫瘍抗原に特異的に結合する。
一態様において、本明細書に記載の抗癌抗原結合ドメインは、断片、例えば単鎖可変断片(scFv)である。一態様において、本明細書に記載の抗癌関連抗原結合ドメインは、Fv、Fab、(Fab’)2又は二機能性(例えば、二特異性)ハイブリッド抗体(例えば、Lanzavecchia et al.,Eur.J.Immunol.17,105(1987))である。一態様において、本発明の抗体及びその断片は、野生型又は増強した親和性で本明細書に記載の癌関連抗原に結合する。
ある例において、scFvsは、当技術分野で公知の方法により製造できる(例えば、Bird et al.,(1988)Science 242:423−426及びHuston et al.,(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:5879−5883を参照されたい)。ScFv分子は、可動性ポリペプチドリンカーを使用して、VH領域とVL領域とを一緒に連結することにより産生できる。scFv分子は、最適長及び/又はアミノ酸組成を有するリンカー(例えば、Ser−Glyリンカー)を含む。リンカー長は、scFvの可変領域がどのように折りたたまれ、相互作用するかに大きく影響し得る。実際、短ポリペプチドリンカーを用いる場合、(例えば、5〜10アミノ酸)、鎖内折りたたみは阻止される。鎖内折りたたみは、2可変領域が一体となって機能的エピトープ結合部位を形成させるためにも必要である。リンカー方向及びサイズの例は、例えば、参照により本明細書に組み込まれるHollinger et al.1993 Proc Natl Acad.Sci.U.S.A.90:6444−6448、米国特許出願公開第2005/0100543号、第2005/0175606号、第2007/0014794号明細書及び国際公開第2006/020258号パンフレット及び国際公開第2007/024715号パンフレットを参照されたい。
scFvは、そのVL領域とVH領域との間に少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、50又はそれを超えるアミノ酸残基のリンカーを含み得る。リンカー配列は、あらゆる天然に存在するアミノ酸を含み得る。いくつかの実施形態において、リンカー配列は、アミノ酸グリシン及びセリンを含む。別の実施形態において、リンカー配列は、(Gly4Ser)n(ここで、nは、1つ以上の正の整数である)などの一連のグリシン及びセリン反復を含む(配列番号22)。一実施形態において、リンカーは、(Gly4Ser)4(配列番号29)又は(Gly4Ser)3(配列番号30)であり得る。リンカー長の変動は、活性を維持又は増強し、活性試験において優れた有効性を生じ得る。
別の態様において、抗原結合ドメインは、T細胞受容体(「TCR」)又はその断片、例えば単鎖TCR(scTCR)である。そのようなTCRを作製する方法は、当技術分野で公知である。例えば、illemsen RA et al,Gene Therapy 7:1369−1377(2000);Zhang T et al,Cancer Gene Ther 11:487−496(2004);Aggen et al,Gene Ther.19(4):365−74(2012)(参考文献は、その全体が本明細書に組み込まれる)を参照されたい。例えば、リンカー(例えば、柔軟なペプチド)によって連結されたT細胞クローン由来のVα及びVβ遺伝子を含むscTCRを操作することができる。このアプローチは、それ自体が細胞内にある癌関連標的にとって非常に有用であるが、そのような抗原(ペプチド)の断片は、MHCによって癌細胞の表面に提示される。
二特異性CAR
一実施形態において、多特異性抗体分子は、二特異性抗体分子である。二特異性抗体は、2つ以下の抗原に特異性を有する。二特異性抗体分子は、第1のエピトープに対する結合特異性を有する第1の免疫グロブリン可変ドメイン配列及び第2のエピトープに対する結合特異性を有する第2の免疫グロブリン可変ドメイン配列により特徴付けられる。一実施形態において、第1及び第2のエピトープは、同じ抗原、例えば同じタンパク質(又は多量体タンパク質のサブユニット)である。一実施形態において、第1及び第2のエピトープは、重複する。一実施形態において、第1及び第2のエピトープは、重複しない。一実施形態において、第1及び第2のエピトープは、異なる抗原、例えば異なるタンパク質(又は多量体タンパク質の異なるサブユニット)にある。一実施形態において、二特異性抗体分子は、第1のエピトープに結合特異性を有する重鎖可変ドメイン配列及び軽鎖可変ドメイン配列並びに第2のエピトープに結合特異性を有する重鎖可変ドメイン配列及び軽鎖可変ドメイン配列を含む。一実施形態において、二特異性抗体分子は、第1のエピトープに結合特異性を有する半抗体及び第2のエピトープに結合特異性を有する半抗体を含む。一実施形態において、二特異性抗体分子は、第1のエピトープに結合特異性を有する半抗体又はその断片及び第2のエピトープに結合特異性を有する半抗体又はその断片を含む。一実施形態において、二特異性抗体分子は、第1のエピトープに結合特異性を有するscFv又はその断片及び第2のエピトープに結合特異性を有するscFv又はその断片を含む。
一実施形態において、抗体分子は、多特異性(例えば、二特異性又は三特異性)抗体分子である。二特異性又はヘテロ二量体抗体分子を産生するためのプロトコルは、当技術分野で公知である。例えば、米国特許第5731168号明細書に記載の「ノブインアホール」アプローチ;例えば、国際公開第09/089004号パンフレット、国際公開第06/106905号パンフレット及び国際公開第2010/129304号パンフレットに記載のような静電的ステアリングFc対形成;例えば、国際公開第07/110205号パンフレットに記載のような鎖交換操作ドメイン(SEED)ヘテロ二量体形成;例えば、国際公開第08/119353号パンフレット、国際公開第2011/131746号パンフレット及び国際公開第2013/060867号パンフレットに記載のようなFabアーム交換;例えば、米国特許第4433059号明細書に記載のような、例えばアミン反応性基とスルフヒドリル反応性基とを有するヘテロ二官能性試薬を使用して二特異性構造を製造するための、抗体架橋結合による二重抗体コンジュゲート;例えば、米国特許第4444878号明細書に記載のような、2重鎖間のジスルフィド結合の還元及び酸化のサイクルを経る異なる抗体からの半抗体(重−軽鎖対又はFab)の組み換えにより産生する二特異性抗体決定基;例えば、米国特許第5273743号明細書に記載のような、三機能性抗体、スルフヒドリル反応性基により架橋された3Fab’断片;例えば、米国特許第5534254号明細書に記載のような、生合成結合タンパク質、例えばC末端テール、好ましくはジスルフィド又はアミン反応性化学架橋結合により架橋されたscFvの対;例えば、米国特許第5582996号明細書に記載のような、二機能性抗体、例えば置換された定常ドメインを有する、ロイシンジッパー(例えば、c−fos及びc−jun)により二量体化された異なる結合特性を有するFab断片;例えば、米国特許第5591828号明細書に記載のような、二特異性及びオリゴ特異性一価及びオリゴ価受容体、例えば一方の抗体のCH1領域と他方の典型的には軽鎖を伴う抗体のVH領域との間のポリペプチドスペーサーを介して連結した2つの抗体(2Fab断片)のVH−CH1領域;例えば、米国特許第5635602号明細書に記載のような、二特異性DNA−抗体コンジュゲート、例えば二本鎖切片のDNAを経た抗体又はFab断片の架橋;例えば、米国特許第5637481号明細書に記載のような、二特異性融合タンパク質、例えば親水性らせん状ペプチドリンカーを間に有し、完全定常領域を有する2つのscFvを含む発現構築物;例えば、米国特許第5837242号明細書に記載のような、多価及び多特異性結合タンパク質、例えばIg重鎖可変領域の結合領域を有する第1のドメイン及びIg軽鎖可変領域の結合領域を有する第2のドメインを有し、一般に、二特異性、三特異性、四特異性の分子を作るための高次構造を包含する二特異性抗体と呼ばれるポリペプチドの二量体;例えば、米国特許第5837821号明細書に記載のような、二特異性/多価分子を形成するように二量体できる、ペプチドスペーサーで更に抗体ヒンジ領域及びCH3領域に結合した、連結VL鎖及びVH鎖を有するミニボディ構築物;二特異性二特異性抗体を形成するように二量体を形成できる、いずれかの方向で短ペプチドリンカー(例えば、5又は10アミノ酸)により又はリンカーなしで連結されたVH及びVLドメイン;例えば、米国特許第5844094号明細書に記載のような三量体及び四量体;例えば、米国特許第5864019号明細書に記載のような、一連のFV(又はscFv)を形成するように更にVLドメインと結合した、C末端で架橋可能基とのペプチド結合により連結した一連のVHドメイン(又はファミリーメンバーにおけるVLドメイン);及び例えば米国特許第5869620号明細書に記載のような、scFV又は二特異性抗体形態の両者を使用して、例えばホモ二価、ヘテロ二価、三価及び四価構造を形成するように、非共有又は化学架橋により多価構造に合わさっている、ペプチドリンカーにより連結してVHドメイン及びVLドメインの両者を有する単鎖結合ポリペプチドを例えば含むが、これらに限定されない。多特異性及び二特異性分子及びそれを製造するための更なる例は、例えば、米国特許第5910573号明細書、米国特許第5932448号明細書、米国特許第5959083号明細書、米国特許第5989830号明細書、米国特許第6005079号明細書、米国特許第6239259号明細書、米国特許第6294353号明細書、米国特許第6333396号明細書、米国特許第6476198号明細書、米国特許第6511663号明細書、米国特許第6670453号明細書、米国特許第6743896号明細書、米国特許第6809185号明細書、米国特許第6833441号明細書、米国特許第7129330号明細書、米国特許第7183076号明細書、米国特許第7521056号明細書、米国特許第7527787号明細書、米国特許第7534866号明細書、米国特許第7612181号明細書、米国特許出願公開第2002004587A1号明細書、米国特許出願公開第2002076406A1号明細書、米国特許出願公開第2002103345A1号明細書、米国特許出願公開第2003207346A1号明細書、米国特許出願公開第2003211078A1号明細書、米国特許出願公開第2004219643A1号明細書、米国特許出願公開第2004220388A1号明細書、米国特許出願公開第2004242847A1号明細書、米国特許出願公開第2005003403A1号明細書、米国特許出願公開第2005004352A1号明細書、米国特許出願公開第2005069552A1号明細書、米国特許出願公開第2005079170A1号明細書、米国特許出願公開第2005100543A1号明細書、米国特許出願公開第2005136049A1号明細書、米国特許出願公開第2005136051A1号明細書、米国特許出願公開第2005163782A1号明細書、米国特許出願公開第2005266425A1号明細書、米国特許出願公開第2006083747A1号明細書、米国特許出願公開第2006120960A1号明細書、米国特許出願公開第2006204493A1号明細書、米国特許出願公開第2006263367A1号明細書、米国特許出願公開第2007004909A1号明細書、米国特許出願公開第2007087381A1号明細書、米国特許出願公開第2007128150A1号明細書、米国特許出願公開第2007141049A1号明細書、米国特許出願公開第2007154901A1号明細書、米国特許出願公開第2007274985A1号明細書、米国特許出願公開第2008050370A1号明細書、米国特許出願公開第2008069820A1号明細書、米国特許出願公開第2008152645A1号明細書、米国特許出願公開第2008171855A1号明細書、米国特許出願公開第2008241884A1号明細書、米国特許出願公開第2008254512A1号明細書、米国特許出願公開第2008260738A1号明細書、米国特許出願公開第2009130106A1号明細書、米国特許出願公開第2009148905A1号明細書、米国特許出願公開第2009155275A1号明細書、米国特許出願公開第2009162359A1号明細書、米国特許出願公開第2009162360A1号明細書、米国特許出願公開第2009175851A1号明細書、米国特許出願公開第2009175867A1号明細書、米国特許出願公開第2009232811A1号明細書、米国特許出願公開第2009234105A1号明細書、米国特許出願公開第2009263392A1号明細書、米国特許出願公開第2009274649A1号明細書、欧州特許第346087A2号明細書、国際公開第0006605A2号パンフレット、国際公開第02072635A2号パンフレット、国際公開第04081051A1号パンフレット、国際公開第06020258A2号パンフレット、国際公開第2007044887A2号パンフレット、国際公開第2007095338A2号パンフレット、国際公開第2007137760A2号パンフレット、国際公開第2008119353A1号パンフレット、国際公開第2009021754A2号パンフレット、国際公開第2009068630A1号パンフレット、国際公開第9103493A1号パンフレット、国際公開第9323537A1号パンフレット、国際公開第9409131A1号パンフレット、国際公開第9412625A2号パンフレット、国際公開第9509917A1号パンフレット、国際公開第9637621A2号パンフレット、国際公開第9964460A1号パンフレットに見ることができる。上に参照した出願の内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
二特異性抗体分子の各抗体又は抗体断片(例えば、scFv)内において、VHは、VLの上流又は下流であり得る。いくつかの実施形態において、上流抗体又は抗体断片(例えば、scFv)は、そのVL(VL1)の上流のそのVH(VH1)と共に配置され、下流抗体又は抗体断片(例えば、scFv)は、そのVL(VL2)の上流のそのVH(VH2)と共に配置され、その結果、全体的二特異性抗体分子は、配置VH1−VL1−VL2−VH2を有する。他の実施形態において、上流抗体又は抗体断片(例えば、scFv)は、そのVH(VH1)の上流のそのVL(VL1)と共に配置され、下流抗体又は抗体断片(例えば、scFv)は、そのVH(VH2)の上流のそのVL(VL2)と共に配置され、その結果、全体的二特異性抗体分子は、配置VL1−VH1−VH2−VL2を有する。任意選択により、リンカーは、2つの抗体又は抗体断片(例えば、scFv)間、例えば構築物がVH1−VL1−VL2−VH2として配列される場合、VL1とVL2との間又は構築物がVL1−VH1−VH2−VL2として配置される場合、VH1とVH2との間に配置される。リンカーは、本明細書に記載のリンカー、例えば(Gly4−Ser)nリンカー(ここで、nは、1、2、3、4、5又は6、好ましくは4である)であり得る(配列番号72)。一般に、2つのscFv間のリンカーは、2つのscFvのドメイン間の誤対合を避けるのに十分長くなければならない。任意選択により、リンカーは、第1のscFvのVLとVHとの間に配置される。任意選択により、リンカーは、第2のscFvのVLとVHとの間に配置される。複数リンカーを有する構築物において、リンカーの任意の2つ以上は、同一又は異なり得る。従って、いくつかの実施形態において、二特異性CARは、本明細書に記載のような配置でVL、VH及び任意選択により1つ以上のリンカーを含む。
安定性及び変異
本明細書に記載の癌関連抗原に対する抗原結合ドメイン、例えばscFv分子(例えば、可溶性scFv)の安定性を、慣用の対照scFv分子又は完全長抗体の生物物理学的特性(例えば、熱安定性)を参照して評価できる。一実施形態において、ヒト化scFvは、記載するアッセイにおいて、対照結合分子(例えば、慣用のscFv分子)より、約0.1℃、約0.25℃、約0.5℃、約0.75℃、約1℃、約1.25℃、約1.5℃、約1.75℃、約2℃、約2.5℃、約3℃、約3.5℃、約4℃、約4.5℃、約5℃、約5.5℃、約6℃、約6.5℃、約7℃、約7.5℃、約8℃、約8.5℃、約9℃、約9.5℃、約10℃、約11℃、約12℃、約13℃、約14℃又は約15℃高い熱安定性を有する。
本明細書に記載の癌関連抗原に対する抗原結合ドメイン、例えばscFvの改善した熱安定性は、続いて、CAR構築物全体に貢献し、CAR構築物の治療的性質の改善に至る。本明細書に記載の癌関連抗原の抗原結合ドメイン、例えばscFvの熱安定性は、慣用の抗体と比較して、少なくとも約2℃又は3℃改善され得る。一実施形態において、本明細書に記載の癌関連抗原の抗原結合ドメイン、例えばscFvは、慣用の抗体と比較して、1℃改善された熱安定性を有する。別の実施形態において、本明細書に記載の癌関連抗原の抗原結合ドメイン、例えばscFvは、慣用の抗体と比較して、2℃改善された熱安定性を有する。他の態様において、scFvは、慣用の抗体に対して4℃、5℃、6℃、7℃、8℃、9℃、10℃、11℃、12℃、13℃、14℃、15℃改善された熱安定性を有する。比較は、例えば、本明細書に開示されるscFv分子とscFv VH及びVLが由来する抗体のscFv分子又はFab断片との間でなされ得る。熱安定性を、当分野で知られる方法を使用して測定できる。例えば、一実施形態において、Tmを測定できる。Tmを測定する方法及びタンパク質安定性を決定する他の方法は、下に更に詳細に記載する。
scFvの変異(可溶性scFvのヒト化又は直接変異誘発により生じる)は、scFvの安定性を変化させ、scFv及びCAR構築物の全体的安定性を改善することができる。ヒト化scFvの安定性は、Tm、変性温度及び凝集温度などの測定値を使用して、マウスscFvと比較される。
変異体scFvの結合能を、公知のアッセイ及び本明細書に記載のアッセイを使用して決定できる。
一実施形態において、本明細書に記載の癌関連抗原の抗原結合ドメイン、例えばscFvは、変異scFvがCAR構築物の安定性改善を提供するように、ヒト化過程に由来する、少なくとも1つの変異を含む。他の態様において、本明細書に記載の癌関連抗原の抗原結合ドメイン、例えばscFvは、変異scFvがCAR構築物の安定性改善を提供するように、ヒト化過程に由来する、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10変異を含む。
タンパク質安定性を評価する方法
抗原結合ドメインの安定性は、例えば、下記の方法を使用して、評価し得る。このような方法は、最小安定ドメインが最初に変性する又は協調的に変性する多ドメイン単位(例えば、単一変性遷移を示す多ドメインタンパク質)の全体的安定性閾値を制限する、複数熱的変性遷移の決定を可能にする。最小安定ドメインを、多数の更なる方法で同定できる。変異誘発を、どのドメインが全体的安定性を制限するか探索するために実施できる。更に、多ドメインタンパク質のプロテアーゼ抵抗性を、最小安定ドメインが本質的に変性することが知られる条件下、DSC又は他の分光学的方法により実施できる(Fontana,et al.,(1997)Fold.Des.,2:R17−26;Dimasi et al.(2009)J.Mol.Biol.393:672−692)。最小安定ドメインが同定されたら、このドメインをコードする配列(又はその部分)を、本方法における試験配列として用い得る。
a)熱安定性
組成物の熱安定性を、当分野で知られる、多数の非限定的生物物理学的又は生化学的技術を使用して分析し得る。特定の実施形態において、熱安定性を、分析的分光により評価する。
分析的分光法の例は示差走査熱量測定(DSC)である。DSCは、大部分のタンパク質又はタンパク質ドメインの変性に付随する熱熱吸収性に感受性である熱量計を用いる(例えば、Sanchez−Ruiz,et al.,Biochemistry,27:1648−52,1988を参照されたい)。タンパク質の熱安定性を決定するために、タンパク質サンプルを熱量計に入れ、Fab又はscFvが変性するまで温度を上げる。タンパク質が変性する温度が、全体的タンパク質安定性の指標である。
分析的分光法の他の例は、円二色性(CD)分光である。CD分光測定は、組成物の光学活性を温度上昇の関数として測定する。円二色性(CD)分光は、構造的不斉に起因する左手側偏光対右手側偏光の吸収の差異を測定する。障害された又は変性した構造は、規則正しい又は折りたたまれた構造と極めて異なるCDスペクトルをもたらす。CDスペクトルは、温度上昇の変性効果に対するタンパク質の感受性を反映し、従ってタンパク質熱安定性の指標である(van Mierlo and Steemsma,J.Biotechnol.,79(3):281−98,2000を参照されたい)。
熱安定性を測定するための分析的分光法の他の例は、蛍光発光分光である(van Mierlo and Steemsma,supraを参照されたい)。熱安定性を測定するための分析的分光法の更に他の例は、核磁気共鳴(NMR)分光である(例えば、van Mierlo and Steemsma,supraを参照されたい)。
組成物の熱安定性は、生化学的に測定できる。熱安定性を評価するための生化学的方法の例は、熱負荷アッセイである。「熱負荷アッセイ」において、組成物を、設定した一定期間、一定範囲の高温に付す。例えば、一実施形態において、試験scFv分子又はscFv分子を含む分子を例えば1〜1.5時間、一定範囲の温度上昇に付す。その後、タンパク質の活性を、関連する生化学的アッセイによりアッセイする。例えば、タンパク質が結合タンパク質(例えば、scFv又はscFv含有ポリペプチド)であるならば、結合タンパク質の結合活性を、機能的又は定量的ELISAにより決定できる。
このようなアッセイはハイスループット形式で実施でき、大腸菌及びハイスループットスクリーニングを使用する実施例に記載のものである。抗原結合ドメイン、例えば本明細書に記載の癌関連抗原に対する抗原結合ドメインを含むもの、例えばscFv変異体のライブラリが、当技術分野で公知の方法を使用して作成され得る。抗原結合ドメイン、例えば本明細書に記載の癌関連抗原に対するもの、例えばscFvの発現に対する抗原結合ドメインの発現が誘導され得、抗原結合ドメイン、例えば本明細書に記載の癌関連抗原に対するもの、例えばscFvは、熱負荷に供され得る。負荷試験サンプルを結合についてアッセイでき、安定である、本明細書に記載の癌関連抗原に対する抗原結合ドメイン、例えばscFvをスケールアップし、更に特徴付けし得る。
熱安定性を、上記技術のいずれかを使用して、組成物の融解温度(Tm)を測定することにより評価する(例えば、分析的分光技術)。融解温度は、組成物の分子の50%が折りたたまれた状態である、温度遷移曲線の中点の温度である(例えば、Dimasi et al.(2009)J.Mol Biol.393:672−692を参照されたい)。一実施形態において、本明細書に記載の癌関連抗原に対する抗原結合ドメイン、例えばscFv、例えばscFvのTm値は、約40℃、41℃、42℃、43℃、44℃、45℃、46℃、47℃、48℃、49℃、50℃、51℃、52℃、53℃、54℃、55℃、56℃、57℃、58℃、59℃、60℃、61℃、62℃、63℃、64℃、65℃、66℃、67℃、68℃、69℃、70℃、71℃、72℃、73℃、74℃、75℃、76℃、77℃、78℃、79℃、80℃、81℃、82℃、83℃、84℃、85℃、86℃、87℃、88℃、89℃、90℃、91℃、92℃、93℃、94℃、95℃、96℃、97℃、98℃、99℃、100℃である。一実施形態において、IgGのTm値は、約40℃、41℃、42℃、43℃、44℃、45℃、46℃、47℃、48℃、49℃、50℃、51℃、52℃、53℃、54℃、55℃、56℃、57℃、58℃、59℃、60℃、61℃、62℃、63℃、64℃、65℃、66℃、67℃、68℃、69℃、70℃、71℃、72℃、73℃、74℃、75℃、76℃、77℃、78℃、79℃、80℃、81℃、82℃、83℃、84℃、85℃、86℃、87℃、88℃、89℃、90℃、91℃、92℃、93℃、94℃、95℃、96℃、97℃、98℃、99℃、100℃である。一実施形態において、多価抗体のTm値は、約40℃、41℃、42℃、43℃、44℃、45℃、46℃、47℃、48℃、49℃、50℃、51℃、52℃、53℃、54℃、55℃、56℃、57℃、58℃、59℃、60℃、61℃、62℃、63℃、64℃、65℃、66℃、67℃、68℃、69℃、70℃、71℃、72℃、73℃、74℃、75℃、76℃、77℃、78℃、79℃、80℃、81℃、82℃、83℃、84℃、85℃、86℃、87℃、88℃、89℃、90℃、91℃、92℃、93℃、94℃、95℃、96℃、97℃、98℃、99℃、100℃である。
熱安定性は、分析的熱量測定技術(例えば、DSC)を使用して組成物の比熱又は熱容量(Cp)を測定することによっても評価する。組成物の比熱は、1molの水の温度を1℃上げるのに必要なエネルギー(例えば、kcal/molで)である。大きいCpは、変性又は不活性タンパク質組成物の特徴である。組成物の熱容量(ΔCp)の変化を、温度遷移前後の組成物の比熱の決定により測定する。熱安定性は、変性のギブズ自由エネルギー(ΔG)、変性のエンタルピー(ΔH)又は変性のエントロピー(ΔS)を含む、熱力学的安定性の他のパラメータの測定又は決定によっても評価し得る。上記生化学的アッセイ(例えば、熱負荷アッセイ)の1つ以上を使用して、組成物の50%がその活性(例えば、結合活性)を保持する温度(即ちTC値)を決定する。
更に、本明細書に記載の癌関連抗原の抗原結合ドメイン、例えばscFvに対する変異は、本明細書に記載の癌関連抗原の未変異の抗原結合ドメイン、例えばscFvと比較して、本明細書に記載の癌関連抗原の抗原結合ドメイン、例えばscFvの熱安定性を変化させるためになされ得る。本明細書に記載の癌関連抗原のヒト化抗原結合ドメイン、例えばscFvがCAR構築物に取り込まれるとき、本明細書に記載の癌関連抗原の抗原結合ドメイン、例えばヒト化scFvは、本発明のCAR全体に熱安定性を提供する。一実施形態において、本明細書に記載の癌関連抗原に対する抗原結合ドメイン、例えば、scFvは、本明細書に記載の癌関連抗原の抗原結合ドメイン、例えばscFvに熱安定性を付与する単一変異を含む。別の実施形態において、本明細書に記載の癌関連抗原に対する抗原結合ドメイン、例えばscFvは、本明細書に記載の癌関連抗原に対する抗原結合ドメイン、例えばscFvに、熱安定性を付与する複数の変異を含む。一実施形態において、本明細書に記載の癌関連抗原に対する抗原結合ドメイン、例えばscFvの複数の変異は、本明細書に記載の癌関連抗原に対する抗原結合ドメイン、例えばscFvの熱安定性に対して相加効果を有する。
b)凝集%
組成物の安定性は、その凝集傾向の測定により決定できる。凝集は、多数の非限定的生化学的又は生物物理学的技術により測定できる。例えば、組成物の凝集は、クロマトグラフィー、例えばサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を使用して評価し得る。SECは、サイズに基づき分子を分ける。カラムを、イオン及び小分子を内側に入れるが、大きいものは入れないポリマーゲルの半固体ビーズで満たす。タンパク質組成物をカラムの上部に適用したとき、小型の折りたたまれたタンパク質(即ち非凝集タンパク質)は、大タンパク質凝集が利用可能であるより大量の溶媒に分散される。その結果、大きい凝集体はカラムをより速く移動し、この方法で混合物をその要素に分離又は分画できる。各フラクションは、ゲルから溶出するに連れて別々に定量できる(例えば、光散乱による)。従って、組成物の凝集%を、フラクションの濃度と、ゲルに適用したタンパク質の総濃度の比較により決定できる。安定組成物は、本質的に単一フラクションとしてカラムから溶出し、溶出プロファイル又はクロマトグラムにおいて本質的に単一ピークとして見える。
c)結合親和性
組成物の安定性を、その標的結合親和性の決定により評価できる。決定結合親和性のための広範な方法が当分野で知られる。結合親和性を決定するための方法の例は、表面プラズモン共鳴を用いる。表面プラズモン共鳴は、例えば、BIAcoreシステム(Pharmacia Biosensor AB,Uppsala,Sweden and Piscataway,N.J.)を使用する、バイオセンサーマトリックス内のタンパク質濃度の変化の検出により実時間生体分子特異的相互作用の分析を可能にする、光学的現象である。更なる記載については、U.,et al.(1993)Ann.Biol.Clin.51:19−26;Jonsson,U.,i(1991)Biotechniques 11:620−627;Johnsson,B.,et al.(1995)J.Mol.Recognit.8:125−131;及びJohnnson,B.,et al.(1991)Anal.Biochem.198:268−277を参照されたい。
一態様において、CARの抗原結合ドメインは、本明細書に記載の抗原結合ドメインアミノ酸配列と相同であるアミノ酸配列を含み、抗原結合ドメインは、本明細書に記載の抗原結合ドメインの所望の機能的特性を保持する。
特定の一態様において、本発明のCAR組成物は、抗体断片を含む。更なる態様において、抗体断片はscFvを含む。
種々の態様において、CARの抗原結合ドメインは、一方又は両方の可変領域(例えば、VH及び/又はVL)内、例えば1つ以上のCDR領域内及び/又は1つ以上のフレームワーク領域の、1つ以上のアミノ酸の改変により操作される。特定の一態様において、本発明のCAR組成物は、抗体断片を含む。更なる態様において、抗体断片はscFvを含む。
本発明の抗体又は抗体断片が、アミノ酸配列が(例えば、野生型から)異なるように更に改変され得るが、所望の活性は改変されないことが当業者に理解される。例えば、「非必須」アミノ酸残基でのアミノ酸置換を生じる更なるヌクレオチド置換は、タンパク質に対して行われ得る。例えば、分子における非必須アミノ酸残基は、同じ側鎖ファミリーからの別のアミノ酸残基で置換され得る。別の実施形態において、一連のアミノ酸を、側鎖ファミリーメンバーの順番及び/又は組成が異なる構造的に類似する一連のもので置き換えることができ、例えばアミノ酸残基が類似側鎖を有するアミノ酸残基で置き換えられた保存的置換をなし得る。
塩基性側鎖(例えば、リシン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非電荷極性側鎖(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、β分枝側鎖(例えば、スレオニン、バリン、イソロイシン)及び芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を含む、類似側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、当技術分野で定義されている。
2つ以上の核酸又はポリペプチド配列に関連して、同一性パーセントは、同じである、2つ以上の配列を指す。2配列は、次の配列比較アルゴリズムの1つを使用して又は手動アラインメント及び目視により、比較窓又は指定領域にわたり、最大対応を比較及びアラインしたとき、同じであるアミノ酸残基又はヌクレオチドを特定パーセント有する場合、「実質的に同一」である(特定領域又は特定されていないときに配列全体にわたって例えば60%の同一性、任意選択により70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の同一性)。任意選択により、同一性は、少なくとも約50ヌクレオチド(又は10アミノ酸)長の領域又はより好ましくは100〜500又は1000又はそれを超えるヌクレオチド(又は20、50、200又はそれを超えるアミノ酸)長の領域にわたり、同一性が存在する。
配列比較のために、典型的には1配列が対照配列としての役割を果たし、それに対して試験配列を比較する。配列比較アルゴリズムを使用するとき、試験及び対照配列をコンピューターに入力し、必要であれば、部分配列座標を指定し、配列アルゴリズムプログラムパラメータを指定する。デフォルトプログラムパラメータを使用でき又は代替パラメータを指定できる。次いで、配列比較アルゴリズムは、プログラムパラメータに基づき、対照配列に対する試験配列の配列同一性パーセントを計算する。比較のために配列をアラインメントする方法は、当技術分野で周知である。比較のための配列の最適アラインメントは、例えば、Smith and Waterman,(1970)Adv.Appl.Math.2:482cの局所相同性アルゴリズム、Needleman and Wunsch,(1970)J.Mol.Biol.48:443の相同性アラインメントアルゴリズム、Pearson and Lipman,(1988)Proc.Nat’l.Acad.Sci.USA 85:2444のサーチのための類似法、これらのアルゴリズムのコンピューターによる実行(Wisconsin Genetics Software Package,Genetics Computer Group,575 Science Dr.,Madison,WIにおけるGAP、BESTFIT、FASTA及びTFASTA)又は手動アラインメント及び目視(例えば、Brent et al.,(2003)Current Protocols in Molecular Biologyを参照されたい)により実施できる。
配列同一性及び配列類似性パーセントの決定に適するアルゴリズムの2つの例はBLAST及びBLAST 2.0アルゴリズムであり、これらはそれぞれAltschul et al.,(1977)Nuc.Acids Res.25:3389−3402;及びAltschul et al.,(1990)J.Mol.Biol.215:403−410に記載されている。BLAST解析を実施するためのソフトウエアは、National Center for Biotechnology Informationから公的に入手可能である。
2アミノ酸配列間の同一性パーセントは、PAM120荷重残基表、ギャップ長ペナルティ12及びギャップペナルティ4を使用して、ALIGNプログラム(バージョン2.0)に取り込まれている、Meyers and W.Miller,(1988)Comput.Appl.Biosci.4:11−17)アルゴリズムを使用しても決定できる。加えて、2アミノ酸配列間の同一性パーセントは、Blossom 62マトリックス又はPAM250マトリックス及びギャップ荷重16、14、12、10、8、6又は4及び長さ荷重1、2、3、4、5又は6を使用する、GCGソフトウェアパッケージ(www.gcg.comで利用可能)のGAPプログラムに取り込まれているNeedleman and Wunsch(1970)J.Mol.Biol.48:444−453)アルゴリズムを使用して決定できる。
一態様において、本発明は、機能的に均等な分子を産生する、出発抗体又は断片(例えば、scFv)アミノ酸配列の改変を企図する。例えば、CARに含まれる、本明細書に記載の癌関連抗原に対する抗原結合ドメイン、例えばscFvの、VH又はVLを、本明細書に記載の癌関連抗原に対する抗原結合ドメイン、例えばscFvの、出発VH又はVLフレームワーク領域の少なくとも約70%、71%。72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の同一性を保持するように修飾できる。本発明は、機能的に均等な分子を産生するための、CAR構築物全体の改変、例えばCAR構築物における種々のドメインの1つ以上のアミノ酸配列における改変を企図する。CAR構築物は、出発CAR構築物の少なくとも約70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の同一性を保持するように改変され得る。
膜貫通ドメイン
膜貫通ドメインに関して、種々の実施形態において、CARは、CARの細胞外ドメインに結合する膜貫通ドメインを含むように設計できる。膜貫通ドメインは、膜貫通領域に隣接した1つ以上の更なるアミノ酸、例えば膜貫通が由来するタンパク質の細胞外領域と関係する1つ以上のアミノ酸(例えば、細胞外領域の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10〜最大で15のアミノ酸)及び/又は膜貫通タンパク質が由来するタンパク質の細胞内領域と関係する1つ以上のアミノ酸(例えば、細胞内領域の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10〜最大で15のアミノ酸)を含み得る。一態様において、膜貫通ドメインは、CARの他のドメインの1つと関連するものであり、例えば一実施形態において、膜貫通ドメインは、シグナル伝達ドメイン、共刺激ドメイン又はヒンジドメインが由来するのと同じタンパク質由来であり得る。別の態様において、膜貫通ドメインは、CARの任意の別のドメインが由来するものと同じタンパク質に由来しない。ある例において、膜貫通ドメインは、このようなドメインが、同一又は異なる表面膜タンパク質の膜貫通ドメインと結合するのを避けるように、例えば受容体複合体の他のメンバーとの相互作用を最小化するように選択され又はアミノ酸置換による改変ができる。一態様において、膜貫通ドメインは、CAR発現細胞の細胞表面上の別のCARとホモ二量体化できる。異なる態様において、膜貫通ドメインのアミノ酸配列は、同じCAR発現細胞に存在する天然結合パートナーの結合ドメインとの相互作用を最小化するように改変又は置換され得る。
膜貫通ドメインは、天然由来又は組み換え源由来であり得る。源が天然であるとき、ドメインは、あらゆる膜結合又は膜貫通タンパク質由来であり得る。一態様において、膜貫通ドメインは、CARが標的に結合したときは常に細胞内ドメインにシグナル伝達できる。本発明において特に有用な膜貫通ドメインは、例えば、T細胞受容体のα、β又はζ鎖、CD28、CD27、CD3ε、CD45、CD4、CD5、CD8、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137、CD154の少なくとも膜貫通領域を含み得る。一実施形態において、膜貫通ドメインは、例えば、KIRDS2、OX40、CD2、CD27、LFA−1(CD11a、CD18)、ICOS(CD278)、4−1BB(CD137)、GITR、CD40、BAFFR、HVEM(LIGHTR)、SLAMF7、NKp80(KLRF1)、NKp44、NKp30、NKp46、CD160、CD19、IL2Rβ、IL2Rγ、IL7Rα、ITGA1、VLA1、CD49a、ITGA4、IA4、CD49D、ITGA6、VLA−6、CD49f、ITGAD、CD11d、ITGAE、CD103、ITGAL、CD11a、LFA−1、ITGAM、CD11b、ITGAX、CD11c、ITGB1、CD29、ITGB2、CD18、LFA−1、ITGB7、TNFR2、DNAM1(CD226)、SLAMF4(CD244、2B4)、CD84、CD96(Tactile)、CEACAM1、CRTAM、Ly9(CD229)、CD160(BY55)、PSGL1、CD100(SEMA4D)、SLAMF6(NTB−A、Ly108)、SLAM(SLAMF1、CD150、IPO−3)、BLAME(SLAMF8)、SELPLG(CD162)、LTBR、PAG/Cbp、NKG2D、NKG2Cの少なくとも膜貫通領域を含み得る。
ある例において、膜貫通ドメインは、ヒンジ、例えばヒトタンパク質からのヒンジを介して、CARの細胞外領域、例えばCARの抗原結合ドメインに結合できる。例えば、一実施形態において、ヒンジは、ヒトIg(免疫グロブリン)ヒンジ(例えば、IgG4ヒンジ、IgDヒンジ)、GSリンカー(例えば、本明細書に記載のGSリンカー)、KIR2DS2ヒンジ又はCD8aヒンジであり得る。一実施形態において、ヒンジ又はスペーサーは、配列番号4のアミノ酸配列を含む(例えば、これからなる)。一態様において、膜貫通ドメインは、配列番号12の膜貫通ドメインを含む(例えば、これからなる)。
一態様において、ヒンジ又はスペーサーは、IgG4ヒンジを含む。例えば、一実施形態において、ヒンジ又はスペーサーは、アミノ酸配列
のヒンジを含む。いくつかの実施形態において、ヒンジ又はスペーサーは、
のヌクレオチド配列によりコードされたヒンジを含む。
一態様において、ヒンジ又はスペーサーは、IgDヒンジを含む。例えば、一実施形態において、ヒンジ又はスペーサーは、アミノ酸配列
のヒンジを含む。いくつかの実施形態において、ヒンジ又はスペーサーは、
のヌクレオチド配列によりコードされたヒンジを含む。
一態様において、膜貫通ドメインは組み換えであり得、その場合、ロイシン及びバリンなどの疎水性残基を優勢に含む。一態様において、フェニルアラニン、トリプトファン及びバリンのトリプレットを、組み換え膜貫通ドメインの各末端に見ることができる。
任意選択により、2〜10アミノ酸長の短オリゴ又はポリペプチドリンカーが、CARの膜貫通ドメインと細胞質領域の間に結合を形成し得る。グリシン−セリンダブレットは特に適当なリンカーを提供する。例えば、一態様において、リンカーは、GGGGSGGGGSのアミノ酸配列を含む(配列番号10)。一実施形態において、リンカーは、GGTGGCGGAGGTTCTGGAGGTGGAGGTTCCのヌクレオチド配列によりコードされる(配列番号11)。
一態様において、ヒンジ又はスペーサーは、KIR2DS2ヒンジを含む。
細胞質ドメイン
本CARの細胞質ドメイン又は領域は、細胞内シグナル伝達ドメインを含む。細胞内シグナル伝達ドメインは、一般的に、CARが導入されている免疫細胞の正常エフェクター機能の少なくとも1つの活性化を担う。用語「エフェクター機能」は、細胞の特殊化された機能を指す。T細胞のエフェクター機能は、例えば、細胞溶解活性又はサイトカインの分泌を含むヘルパー活性であり得る。従って、用語「細胞内シグナル伝達ドメイン」は、エフェクター機能シグナルを形質導入し、細胞に特殊な機能を果たすよう指示するタンパク質の部分を指す。通常、細胞内シグナル伝達ドメイン全体を用いることができるが、多くの場合、鎖全体を使用する必要はない。細胞内シグナル伝達の切断された一部を使用する範囲内において、このような切断された一部を、それがエフェクター機能シグナルを伝達する限り、完全鎖の代わりに使用し得る。用語細胞内シグナル伝達ドメインは、そのため、エフェクター機能シグナルの伝達に十分な細胞内シグナル伝達ドメインのあらゆる切断された一部を含むことを意図する。
本発明のCARにおいて使用する細胞内シグナル伝達ドメインの例は、T細胞受容体(TCR)及び抗原受容体結合後にシグナル伝達を開始するために協調して機能する共受容体の細胞質配列並びにこれらのあらゆる誘導体又はバリアント及び同じ機能的能力を有するあらゆる組み換え配列を含む。
TCR単独により産生されたシグナルはT細胞の完全活性化には不十分であり、二次及び/又は共刺激性シグナルも必要であることが知られている。そのため、T細胞活性化は、2つの異なるクラスの細胞質シグナル伝達配列が介在するということができる:TCR(初代細胞内シグナル伝達ドメイン)を介して抗原依存性一次活性化を開始するもの及び二次又は共刺激性シグナル(二次細胞質ドメイン、例えば共刺激ドメイン)を提供するように抗原非依存的方法で作用するもの。
一次シグナル伝達ドメインは、TCR複合体の一次活性化を刺激性方向又は阻害性方向のいずれかで制御する。刺激性方向で作用する初代細胞内シグナル伝達ドメインは、免疫受容体チロシンベースの活性化モチーフ又はITAMとして知られるシグナル伝達モチーフを含み得る。
本発明において特に有用であるITAM含有一次細胞内シグナル伝達ドメインの例は、CD3ζ、共通FcRγ(FCER1G)、FcγRIIa、FcRβ(FcεR1b)、CD3γ、CD3δ、CD3ε、CD79a、CD79b、DAP10及びDAP12のものを含む。一実施形態において、本発明のCARは、細胞内シグナル伝達ドメイン、例えばCD3ζの一次シグナル伝達ドメインを含む。
一実施形態において、一次シグナル伝達ドメインは、天然ITAMドメインと比較して改変された(例えば、増加又は減少した)活性を有する、修飾ITAMドメイン、例えば変異ITAMドメインを含む。一実施形態において、一次シグナル伝達ドメインは、修飾ITAM含有初代細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば最適化及び/又は切断されたITAM含有初代細胞内シグナル伝達ドメインを含む。一実施形態において、一次シグナル伝達ドメインは、1つ、2つ、3つ、4つ又はそれを超えるITAMモチーフを含む。
CARの細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ζシグナル伝達ドメインをそれ自体で含むことができ又は本発明のCARに関連して、有用な任意の他の所望の細胞内シグナル伝達ドメインと組み合わせ得る。例えば、CARの細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ζ鎖部分及び共刺激性シグナル伝達ドメインを含み得る。共刺激性シグナル伝達ドメインは、共刺激性分子の細胞内ドメインを含むCARの部分を指す。共刺激性分子は、リンパ球の抗原に対する効率的応答に必要である、抗原受容体又はそのリガンド以外の細胞表面分子である。そのような分子の例には、CD27、CD28、4−1BB(CD137)、OX40、CD30、CD40、PD−1、ICOS、リンパ球機能関連抗原−1(LFA−1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7−H3及びCD83と特異的に結合するリガンド等が含まれる。例えば、CD27共刺激は、インビトロでヒトCART細胞の増殖、エフェクター機能及び生存を増強し、インビボでヒトT細胞残留性及び抗腫瘍活性を増強することが示されている(Song et al.Blood.2012;119(3):696−706)。更なるこのような共刺激性分子の例は、CDS、ICAM−1、GITR、BAFFR、HVEM(LIGHTR)、SLAMF7、NKp80(KLRF1)、NKp44、NKp30、NKp46、CD160、CD19、CD4、CD8α、CD8β、IL2Rβ、IL2Rγ、IL7Rα、ITGA4、VLA1、CD49a、ITGA4、IA4、CD49D、ITGA6、VLA−6、CD49f、ITGAD、CD11d、ITGAE、CD103、ITGAL、CD11a、LFA−1、ITGAM、CD11b、ITGAX、CD11c、ITGB1、CD29、ITGB2、CD18、LFA−1、ITGB7、TNFR2、TRANCE/RANKL、DNAM1(CD226)、SLAMF4(CD244、2B4)、CD84、CD96(Tactile)、NKG2D、CEACAM1、CRTAM、Ly9(CD229)、CD160(BY55)、PSGL1、CD100(SEMA4D)、CD69、SLAMF6(NTB−A、Ly108)、SLAM(SLAMF1、CD150、IPO−3)、BLAME(SLAMF8)、SELPLG(CD162)、LTBR、LAT、GADS、SLP−76、PAG/Cbp及びCD19aを含む。
本発明のCARの細胞質部分内の細胞内シグナル伝達配列は、互いに無作為に又は特定の順序で連結し得る。任意選択により、例えば、2〜10アミノ酸(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9又は10アミノ酸)長の短オリゴ又はポリペプチドリンカーは、細胞内シグナル伝達配列間に結合を形成し得る。一実施形態において、グリシン−セリンダブレットを適当なリンカーとして使用できる。一実施形態において、単一アミノ酸、例えばアラニン、グリシンを適当なリンカーとして使用できる。
一態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、2つ以上、例えば2つ、3つ、4つ、5つ又はそれを超える共刺激性シグナル伝達ドメインを含むように設計される。一実施形態において、2つ以上、例えば2つ、3つ、4つ、5つ又はそれを超える共刺激性シグナル伝達ドメインは、リンカー分子、例えば本明細書に記載のリンカー分子により分けられる。一実施形態において、細胞内シグナル伝達ドメインは、2つの共刺激性シグナル伝達ドメインを含む。一実施形態において、リンカー分子はグリシン残基である。一実施形態において、リンカー分子はアラニン残基である。
一態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ζのシグナル伝達ドメイン及びCD28のシグナル伝達ドメインを含むように設計される。一態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ζのシグナル伝達ドメイン及び4−1BBのシグナル伝達ドメインを含むように設計される。一態様において、4−1BBのシグナル伝達ドメインは、配列番号14のシグナル伝達ドメインである。一態様において、CD3−ζのシグナル伝達ドメインは、配列番号18のシグナル伝達ドメインである。
一態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ζのシグナル伝達ドメイン及びCD27のシグナル伝達ドメインを含むように設計される。一態様において、CD27のシグナル伝達ドメインは、QRRKYRSNKGESPVEPAEPCRYSCPREEEGSTIPIQEDYRKPEPACSP(配列番号16)のアミノ酸配列を含む。一態様において、CD27のシグナル伝達ドメインは、
の核酸配列によりコードされる。
一態様において、本明細書に記載のCAR発現細胞は、第2のCAR、例えば同じ標的又は異なる標的(例えば、本明細書に記載の癌関連抗原以外の標的又は本明細書に記載の異なる癌関連抗原)に対する、例えば異なる抗原結合ドメインを含む第2のCARの更に含み得る。一実施形態において、第2のCARは、癌関連抗原と同じ癌細胞型を発現する標的に対する抗原結合ドメインを含む。一実施形態において、CAR発現細胞は、第1の抗原を標的とし、共刺激シグナル伝達ドメインを有するが、一次シグナル伝達ドメインを有しない細胞内シグナル伝達ドメインを含む第1のCAR及び第2の異なる抗原を標的とし、一次シグナル伝達ドメインを有するが、共刺激シグナル伝達ドメインを有しない細胞内シグナル伝達ドメインを含む第2のCARを含む。理論に拘束されることを望まないが、第1のCARへの共刺激シグナル伝達ドメイン、例えば4−1BB、CD28、CD27又はOX−40及び一次シグナル伝達ドメイン、例えばCD3ζの第2のCARへの配置は、両標的が発現される細胞に対してCAR活性を制限する。一実施形態において、CAR発現細胞は、本明細書に記載の標的抗原に結合する抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン及び共刺激ドメインを含む第1の癌関連抗原CAR及び異なる標的抗原(例えば、第1の標的抗原と同一の癌細胞型に発現される抗原)を標的とし、抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン及び一次シグナル伝達ドメインを含む第2のCARを含む。別の実施形態において、CAR発現細胞は、本明細書に記載の標的抗原に結合する抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン及び一次シグナル伝達ドメインを含む第1のCAR及び第1の標的抗原以外の抗原(例えば、第1の標的抗原と同一の癌細胞型に発現される抗原)を標的とし、抗原に対する抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン及び共刺激シグナル伝達ドメインを含む第2のCARを含む。
一実施形態において、CAR発現細胞は、本明細書に記載のXCAR及び阻害性CARを含む。一実施形態において、阻害性CARは、正常細胞、例えばまたCLLを発現する正常細胞で見られるが、癌細胞で見られない抗原と結合する抗原結合ドメインを含む。一実施形態において、阻害性CARは、抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン及び阻害分子の細胞内ドメインを含む。例えば、阻害性CARの細胞内ドメインは、PD1、PD−L1、CTLA4、TIM3、CEACAM(例えば、CEACAM−1、CEACAM−3及び/又はCEACAM−5)、LAG3、VISTA、BTLA、TIGIT、LAIR1、CD160、2B4又はTGFβの細胞内ドメインであり得る。
一実施形態において、CAR発現細胞が2つ以上の異なるCARを含むとき、種々のCARの抗原結合ドメインは、抗原結合ドメインが互いに相互作用しないようなものである。例えば、第1及び第2のCARを発現する細胞は、第2のCARの抗原結合ドメイン、例えばVHHである第2のCARの抗原結合ドメインと結合を形成しない、例えば断片、例えばscFvとしての第1のCARの抗原結合ドメインを有し得る。
一部の実施形態において、抗原結合ドメインは、単一ドメイン抗原結合(SDAB)分子を含み、相補的決定領域が単一ドメインポリペプチドの一部である分子を含む。例は、重鎖可変ドメイン、軽鎖を天然に欠く結合分子、慣用の4鎖抗体由来の単一ドメイン、操作されたドメイン及び抗体由来のもの以外の単一ドメインスキャフォールドを含むが、これらに限定されない。SDAB分子は、当技術分野の又は将来的な単一ドメイン分子であり得る。SDAB分子は、マウス、ヒト、ラクダ、ラマ、ヤツメウナギ、魚類、サメ、ヤギ、ウサギ及びウシを含むが、これらに限定されない任意の種由来であり得る。この用語は、ラクダ科(Camelidae)及びサメ以外の種由来の天然に存在する単一ドメイン抗体分子も含む。
一態様において、SDAB分子は、例えば、サメの血清に見られる新規抗原受容体(NAR)として知られる免疫グロブリンアイソタイプ由来であるような、魚類で見られる免疫グロブリンの可変領域に由来し得る。NAR(「IgNAR」)の可変領域由来の単一ドメイン分子を製造する方法は、国際公開第03/014161号パンフレット及びStreltsov(2005)Protein Sci.14:2901−2909に記載されている。
別の態様によると、SDAB分子は、軽鎖を欠く重鎖として知られる天然に存在する単一ドメイン抗原結合分子である。このような単一ドメイン分子は、例えば、国際公開第9404678号パンフレット及びHamers−Casterman,C.et al.(1993)Nature 363:446−448に記載されている。明確化するために、天然に軽鎖を欠く重鎖分子由来のこの可変ドメインは、ここでは、4鎖免疫グロブリンの慣用のVHと区別するためにVHH又はナノボディとして知られている。このようなVHH分子は、ラクダ科(Camelidae)種、例えばラクダ、ラマ、ヒトコブラクダ、アルパカ及びグアナコ由来であり得る。ラクダ科(Camelidae)以外の他の種は、天然に軽鎖を欠く重鎖分子を産生し得、このようなVHHは、本発明の範囲内である。
SDAB分子は、組み換え、CDR移植、ヒト化、ラクダ化、脱免疫化及び/又はインビトロ産生され得る(例えば、ファージディスプレイにより選択)。
受容体の抗原結合ドメイン間を相互作用する抗原結合ドメインを含む複数のキメラ膜包埋受容体を有する細胞は、例えば、抗原結合ドメインの1つ以上がその同族抗原に結合することを阻止するため、望ましくない可能性があることも判明した。従って、本明細書に開示されるのは、このような相互作用を最小化する、抗原結合ドメインを含む第1及び第2の天然に存在しないキメラ膜包埋受容体を有する細胞である。また、本明細書に開示されるのは、このような相互作用を最小化する抗原結合ドメインを含む第1及び第2の天然に存在しないキメラ膜包埋受容体をコードする核酸並びにこのような細胞及び核酸を製造及び使用する方法である。一実施形態において、前記第1及び第2の天然に存在しないキメラ膜包埋受容体の抗原結合ドメインの一方は、scFvを含み、他方は、単一VHドメイン、例えばラクダ科、サメ若しくはヤツメウナギ単一VHドメイン又はヒト若しくはマウス配列由来の単一VHドメインを含む。
一部の実施形態において、本発明は、第1及び第2のCARを含み、ここで、前記第1のCAR、前記第2のCARの一方の抗原結合ドメインは、可変軽ドメイン及び可変重ドメインを含まない。一実施形態において、前記第1のCAR、前記第2のCARの一方の抗原結合ドメインは、scFvであり、他方は、scFvではない。一実施形態において、前記第1のCAR、前記第2のCARの一方の抗原結合ドメインは、単一VHドメイン、例えばラクダ科、サメ若しくはヤツメウナギ単一VHドメイン又はヒト若しくはマウス配列由来の単一VHドメインを含む。一実施形態において、前記第1のCAR、前記第2のCARの一方の抗原結合ドメインは、ナノボディを含む。一実施形態において、前記第1のCAR、前記第2のCARの一方の抗原結合ドメインは、ラクダ科VHHドメインを含む。
一部の実施形態において、前記第1のCAR、前記第2のCARの一方の抗原結合ドメインは、scFvを含み、他方は、単一VHドメイン、例えばラクダ科、サメ若しくはヤツメウナギ単一VHドメイン又はヒト若しくはマウス配列由来の単一VHドメインを含む。一実施形態において、前記第1のCAR、前記第2のCARの一方の抗原結合ドメインは、scFvを含み、他方は、ナノボディを含む。一実施形態において、前記第1のCAR、前記第2のCARの一方の抗原結合ドメインは、scFvを含み、他方は、ラクダ科VHHドメインを含む。
一部の実施形態において、細胞の表面上に存在するとき、前記第1のCARの抗原結合ドメインのその同族抗原への結合は、前記第2のCARの存在により実質的に低減されない。一実施形態において、前記第2のCARの存在下の前記第1のCARの抗原結合ドメインのその同族抗原への結合は、前記第2のCARの非存在下の前記第1のCARの抗原結合ドメインのその同族抗原への結合の85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%である。
一部の実施形態において、細胞の表面上に存在するとき、前記第1のCAR、前記第2のCARの抗原結合ドメインは、両方がscFv抗原結合ドメインである場合より少なく互いに結合する。一実施形態において、前記第1のCAR及び前記第2のCARの抗原結合ドメインは、両方がscFv抗原結合ドメインである場合より85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%少なく互いに結合する。
別の態様において、本明細書に記載のCAR発現細胞は、別の薬剤、例えばCAR発現細胞の活性を増強する薬剤を更に発現できる。例えば、一実施形態において、薬剤は、阻害分子を阻害する薬剤であり得る。阻害分子、例えばPD1は、CAR発現細胞が免疫エフェクター応答を開始する能力を減少させ得る。阻害分子の例は、PD1、PD−L1、CTLA4、TIM3、CEACAM(例えば、CEACAM−1、CEACAM−3及び/又はCEACAM−5)、LAG3、VISTA、BTLA、TIGIT、LAIR1、CD160、2B4及びTGFβを含む。一実施形態において、阻害分子を阻害する薬剤は、例えば、本明細書に記載の分子、例えば細胞に正のシグナルを提供する第2のポリペプチド、例えば本明細書に記載の細胞内シグナル伝達ドメインに結合した第1のポリペプチド、例えば阻害分子を含む薬剤である。一実施形態において、薬剤は、例えば、PD1、PD−L1、CTLA4、TIM3、CEACAM(例えば、CEACAM−1、CEACAM−3及び/又はCEACAM−5)、LAG3、VISTA、BTLA、TIGIT、LAIR1、CD160、2B4若しくはTGFβ又はこれらのいずれかの断片(例えば、これらのいずれかの少なくとも細胞外ドメインの部分)などの阻害分子の第1のポリペプチド及び本明細書に記載の細胞内シグナル伝達ドメインである第2のポリペプチド(例えば、共刺激ドメイン(例えば、本明細書に記載のような例えば41BB、CD27又はCD28)及び/又は一次シグナル伝達ドメイン(例えば、本明細書に記載のCD3ζシグナル伝達ドメインを含む)である第2のポリペプチドを含む。一実施形態において、薬剤は、PD1又はその断片(例えば、PD1の少なくとも細胞外ドメインの部分)の第1のポリペプチド並びに本明細書に記載の細胞内シグナル伝達ドメイン(例えば、本明細書に記載のCD28シグナル伝達ドメイン及び/又は本明細書に記載のCD3ζシグナル伝達ドメイン)の第2のポリペプチドを含む。PD1は、CD28、CTLA−4、ICOS及びBTLAも含む受容体のCD28ファミリーの阻害性メンバーである。PD−1は、活性化B細胞、T細胞及び骨髄細胞に発現される(Agata et al.1996 Int.Immunol 8:765−75)。PD1に対する2リガンド、PD−L1及びPD−L2は、PD1への結合によりT細胞活性化を下方制御することが示されている(Freeman et al.2000 J Exp Med 192:1027−34;Latchman et al.2001 Nat Immunol 2:261−8;Carter et al.2002 Eur J Immunol 32:634−43)。PD−L1は、ヒト癌において豊富である(Dong et al.2003 J Mol Med 81:281−7;Blank et al.2005 Cancer Immunol.Immunother 54:307−314;Konishi et al.2004 Clin Cancer Res 10:5094)。免疫抑制は、PD1とPD−L1との局所相互作用の阻害により逆転できる。
一実施形態において、薬剤は、膜貫通ドメイン及び41BB及びCD3ζなどの細胞内シグナル伝達ドメインに融合する阻害分子、例えばプログラム細胞死1(PD1)(本明細書ではPD1 CARと称する)の細胞外ドメイン(ECD)を含む。一実施形態において、PD1 CARは、本明細書に記載のXCARと組み合わせで使用したとき、T細胞の残留性を改善する。一実施形態において、CARは、配列番号26において下線で示すPD1の細胞外ドメインを含むPD1 CARである。一実施形態において、PD1 CARは、配列番号26のアミノ酸配列を含む。
一実施形態において、PD1 CARは、下記アミノ酸配列を含む(配列番号39)。
一実施形態において、薬剤は、PD1 CAR、例えば本明細書に記載のPD1 CARをコードする核酸配列を含む。一実施形態において、PD1 CARの核酸配列を下に示し、PD1 ECDは下記配列番号27において下線が付されている。
別の態様において、本発明は、CAR発現細胞、例えばCART細胞の集団を提供する。いくつかの実施形態において、CAR発現細胞の集団は、種々のCARを発現する細胞の混合物を含む。例えば、一実施形態では、CART細胞の集団は、本明細書に記載の癌関連抗原に対する抗原結合ドメインを有するCARを発現する第1の細胞及び異なる抗原結合ドメイン、例えば本明細書に記載の異なる癌関連抗原に対する抗原結合ドメイン、例えば第1の細胞によって発現されるCARの抗原結合ドメインによって結合された癌関連抗原と異なる、本明細書に記載の癌関連抗原に対する抗原結合ドメインを有するCARを発現する第2の細胞を含み得る。別の例として、CAR発現細胞の集団は、本明細書に記載の癌関連抗原に対する抗原結合ドメインを含むCARを発現する第1の細胞及び本明細書に記載の癌関連抗原以外の標的に対する抗原結合ドメインを含むCARを発現する第2の細胞を含み得る。一実施形態において、CAR発現細胞の集団は、例えば、初代細胞内シグナル伝達ドメインを含むCARを発現する第1の細胞及び二次シグナル伝達ドメインを含むCARを発現する第2の細胞を含む。
他の態様において、本発明は、細胞の集団を提供し、ここで、集団内の少なくとも1つの細胞は、本明細書に記載の癌関連抗原に対する抗原結合ドメインを有するCARを発現し、第2の細胞は、他の薬剤、例えばCAR発現細胞の活性を増強する薬剤を発現する。例えば、一実施形態において、薬剤は、阻害分子を阻害する薬剤であり得る。阻害分子、例えばPD−1は、CAR発現細胞が免疫エフェクター応答を開始する能力を減少させ得る。阻害分子の例は、PD−1、PD−L1、CTLA4、TIM3、CEACAM(例えば、CEACAM−1、CEACAM−3及び/又はCEACAM−5)、LAG3、VISTA、BTLA、TIGIT、LAIR1、CD160、2B4及びTGFβを含む。一実施形態において、阻害分子を阻害する薬剤は、例えば、本明細書に記載の分子、例えば細胞に正のシグナルを提供する第2のポリペプチド、例えば本明細書に記載の細胞内シグナル伝達ドメインに結合した第1のポリペプチド、例えば阻害分子を含む薬剤である。一実施形態において、薬剤は、例えば、PD−1、PD−L1、CTLA4、TIM3、CEACAM(例えば、CEACAM−1、CEACAM−3及び/又はCEACAM−5)、LAG3、VISTA、BTLA、TIGIT、LAIR1、CD160、2B4若しくはTGFβ又はこれらのいずれかの断片などの阻害分子の第1のポリペプチド及び本明細書に記載の細胞内シグナル伝達ドメインである第2のポリペプチド(例えば、共刺激ドメイン(例えば、本明細書に記載のような例えば41BB、CD27、OX40又はCD28)及び/又は一次シグナル伝達ドメイン(例えば、本明細書に記載のCD3ζシグナル伝達ドメインを含む)である第2のポリペプチドを含む。一実施形態において、薬剤は、PD−1又はその断片の第1のポリペプチド及び本明細書に記載の細胞内シグナル伝達ドメインの第2のポリペプチド(例えば、本明細書に記載のCD28シグナル伝達ドメイン及び/又は本明細書に記載のCD3ζシグナル伝達ドメイン)を含む。
一態様において、本発明は、別の薬剤、例えば本明細書に記載のキナーゼ阻害剤などのキナーゼ阻害剤と組み合わせて、CAR発現細胞、例えばCART細胞、例えば種々のCARを発現する細胞の混合物を投与することを含む方法を提供する。別の態様において、本発明は、集団内の少なくとも1つの細胞が本明細書に記載の癌関連抗原の抗原結合ドメインを有するCARを発現し、第2の細胞が別の薬剤、例えばCAR発現細胞の活性を増強する薬剤を発現する細胞集団を別の薬剤、例えば本明細書に記載のキナーゼ阻害剤などのキナーゼ阻害剤と組み合わせて投与することを含む方法を提供する。
制御可能なキメラ抗原受容体
いくつかの実施形態において、CAR活性が制御できる制御可能CAR(RCAR)は、CAR治療の安全性及び有効性を最適化するために望ましい。CAR活性が制御され得る多くの方法がある。例えば、誘導性アポトーシス(例えば、二量体化ドメインに融合したカスパーゼを使用するもの)(例えば、Di et al.,N Egnl.J.Med.2011 Nov.3;365(18):1673−1683を参照されたい)を本発明のCAR治療における安全スイッチとして使用できる。一態様において、RCARは、本明細書に記載の標準的CARの要素、例えば抗原結合ドメイン及び細胞内シグナル伝達ドメインが個別のポリペプチド又はメンバーに配置された、一連の典型的には最も単純な実施形態において2つのポリペプチドを含む。一部の実施形態において、一連のポリペプチドは、二量体化分子の存在下で互いにポリペプチドを結合できる、例えば抗原結合ドメインを細胞内シグナル伝達ドメインに結合できる二量体化スイッチを含む。
一態様において、RCARは、2つのポリペプチド又はメンバー:1)細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば本明細書に記載の一次細胞内シグナル伝達ドメイン及び第1のスイッチドメインを含む、細胞内シグナル伝達メンバー;2)本明細書に記載の抗原結合ドメイン、例えば本明細書に記載の腫瘍抗原を標的とするもの及び第2のスイッチドメインを含む抗原結合メンバーを含む。任意選択により、RCARは、本明細書に記載の膜貫通ドメインを含む。一実施形態において、膜貫通ドメインは、細胞内シグナル伝達メンバー上、抗原結合メンバー上又は両方の上に配置できる。(特に断らない限り、RCARのメンバー又は要素が本明細書に記載されるものであるとき、順番は記載した通りであり得るが、他の順番も同様に含まれる。換言すると、一実施形態において、順番は、本書に記載の通りであるが、他の実施形態において、順番は、異なり得る。例えば、膜貫通領域の一端の要素の順番は、例と異なり得、例えば、細胞内シグナル伝達ドメインに対するスイッチドメインの配置は、異なり、例えば逆であり得る)。
一実施形態において、第1及び第2のスイッチドメインは、細胞内又は細胞外二量体化スイッチを形成できる。一実施形態において、二量体化スイッチは、例えば、第1及び第2のスイッチドメインが同一であるホモ二量体化スイッチ又は例えば第1及び第2のスイッチドメインが互いに異なるヘテロ二量体化スイッチであり得る。
実施形態において、RCARは、「多スイッチ」を含み得る。多スイッチは、ヘテロ二量体化スイッチドメイン又はホモ二量体化スイッチドメインを含み得る。多スイッチは、複数の、例えば2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ又は10のスイッチドメインを独立して第1のメンバー、例えば抗原結合メンバー及び第2のメンバー、例えば細胞内シグナル伝達メンバー上に含む。一実施形態において、第1のメンバーは、複数の第1のスイッチドメイン、例えばFKBPベースのスイッチドメインを含み得、第2のメンバーは、複数の第2のスイッチドメイン、例えばFRBベースのスイッチドメインを含み得る。一実施形態において、第1のメンバーは、第1及び第2のスイッチドメイン、例えばFKBPベースのスイッチドメイン及びFRBベースのスイッチドメインを含み得、第2のメンバーは、第1及び第2のスイッチドメイン、例えばFKBPベースのスイッチドメイン及びFRBベースのスイッチドメインを含み得る。
一実施形態において、細胞内シグナル伝達メンバーは、1つ以上の細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば一次細胞内シグナル伝達ドメイン及び1つ以上の共刺激性シグナル伝達ドメインを含む。
一実施形態において、抗原結合メンバーは、1つ以上の細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば1つ以上の共刺激性シグナル伝達ドメインを含み得る。一実施形態において、抗原結合メンバーは、複数の、例えば2つ又は3つの例えば41BB、CD28、CD27、ICOS及びOX40から選択される、本明細書に記載の共刺激性シグナル伝達ドメインを含み、実施形態において、一次細胞内シグナル伝達ドメインを含まない。一実施形態において、抗原結合メンバーは、細胞外から細胞内方向で次の共刺激性シグナル伝達ドメインを含む:41BB−CD27;41BB−CD27;CD27−41BB;41BB−CD28;CD28−41BB;OX40−CD28;CD28−OX40;CD28−41BB;又は41BB−CD28。このような実施形態において、細胞内結合メンバーは、CD3ζドメインを含む。このような実施形態において、RCARは、(1)抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン及び2つの共刺激ドメイン及び第1のスイッチドメインを含む抗原結合メンバー;及び(2)膜貫通ドメイン又は膜繋留ドメイン及び少なくとも1つの一次細胞内シグナル伝達ドメイン及び第2のスイッチドメインを含む細胞内シグナル伝達ドメインを含む。
一実施形態は、抗原結合メンバーがCAR細胞表面に繋留されていないRCARを提供する。これは、細胞内シグナル伝達メンバーを有する細胞が、細胞を、抗原結合メンバーをコードする配列で形質転換する必要なく1つ以上の抗原結合ドメインと好都合に対合することを可能とする。このような実施形態において、RCARは、1)第1のスイッチドメイン、膜貫通ドメイン、細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば一次細胞内シグナル伝達ドメイン及び第1のスイッチドメインを含む細胞内シグナル伝達メンバー;及び2)抗原結合ドメイン及び第2のスイッチドメインを含む抗原結合メンバーを含み、ここで、抗原結合メンバーは、膜貫通ドメイン又は膜繋留ドメインを含まず、任意選択により細胞内シグナル伝達ドメインを含まない。いくつかの実施形態において、RCARは、3)第2の抗原結合ドメイン、例えば抗原結合ドメインにより結合されるのと異なる抗原に結合する第2の抗原結合ドメイン;及び第2のスイッチドメインを含む第2の抗原結合メンバーを更に含み得る。
抗原結合メンバーが二特異性活性化及びターゲティング能を含むRCARも本明細書で提供される。この実施形態において、抗原結合メンバーは、複数の、例えば2つ、3つ、4つ又は5つの抗原結合ドメイン、例えばscFvを含み得、ここで、各原結合ドメインは、標的抗原、例えば異なる抗原又は同じ抗原、例えば同じ抗原の同一又は異なるエピトープに結合する。一実施形態において、複数の抗原結合ドメインは、タンデムであり、任意選択により、リンカー又はヒンジ領域が抗原結合ドメインの各々の間に配置される。適当なリンカー及びヒンジ領域は、本明細書に記載される。
一実施形態は、増殖のスイッチングが可能な配置を有するRCARを提供する。この実施形態において、RCARは、1)任意選択により、膜貫通ドメイン又は膜繋留ドメイン;例えば、41BB、CD28、CD27、ICOS及びOX40及びスイッチドメインから選択される1つ以上の共刺激性シグナル伝達ドメインを含む細胞内シグナル伝達メンバー;及び2)抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン及び一次細胞内シグナル伝達ドメイン、例えばCD3ζドメインを含む抗原結合メンバーを含み、ここで、抗原結合メンバーは、スイッチドメインを含まないか、又は細胞内シグナル伝達メンバー上のスイッチドメインと二量体化するスイッチドメインを含まない。一実施形態において、抗原結合メンバーは、共刺激性シグナル伝達ドメインを含まない。一実施形態において、細胞内シグナル伝達メンバーは、ホモ二量体化スイッチからのスイッチドメインを含む。一実施形態において、細胞内シグナル伝達メンバーは、ヘテロ二量体化スイッチの第1のスイッチドメインを含み、RCARは、ヘテロ二量体化スイッチの第2のスイッチドメインを含む第2の細胞内シグナル伝達メンバーを含む。このような実施形態において、第2の細胞内シグナル伝達メンバーは、細胞内シグナル伝達メンバーと同じ細胞内シグナル伝達ドメインを含む。一実施形態において、二量体化スイッチは、細胞内である。一実施形態において、二量体化スイッチは、細胞外である。
本明細書に記載のRCAR配置のいずれかにおいて、第1及び第2のスイッチドメインは、本明細書に記載のようなFKBP−FRBベースのスイッチを含む。
また本明細書で提供されるのは、本明細書に記載のRCARを含む細胞である。RCARを発現するように操作したあらゆる細胞をRCARX細胞として使用できる。一実施形態において、RCARX細胞は、T細胞であり、RCART細胞と称する。一実施形態において、RCARX細胞は、NK細胞であり、RCARN細胞と称する。
RCARコード化配列を含む核酸及びベクターも本明細書で提供される。RCARの種々の要素をコードする配列は、同じ核酸分子、例えば同じプラスミド又はベクター、例えばウイルスベクター、例えばレンチウイルスベクターに配置できる。一実施形態において、(i)抗原結合メンバーをコードする配列及び(ii)細胞内シグナル伝達メンバーをコードする配列は、同じ核酸、例えばベクターに存在できる。対応するタンパク質の産生は、例えば、別々のプロモーターの使用により又はバイシストロニック転写産物(これは、単一翻訳産物の開裂又は2つの別々のタンパク質産物の翻訳により2つのタンパク質の産生を生じ得る)の使用により達成できる。一実施形態において、開裂可能ペプチドをコードする配列、例えばP2A又はF2A配列を(i)と(ii)との間に配置する。ペプチド開裂部位の例は、次のものを含み、ここで、GSG残基は、任意選択である。
T2A:(GSG)E G R G S L L T C G D V E E N P G P(配列番号68)
P2A:(GSG)A T N F S L L K Q A G D V E E N P G P(配列番号69)
E2A:(GSG)Q C T N Y A L L K L A G D V E S N P G P(配列番号70)
F2A:(GSG)V K Q T L N F D L L K L A G D V E S N P G P(配列番号71)
一実施形態において、IRES、例えばEMCV又はEV71 IRESをコードする配列を(i)と(ii)との間に配置する。これらの実施形態において、(i)及び(ii)は、単一RNAとして転写される。一実施形態において、(i)及び(ii)が別々のmRNAとして転写されるように、第1プロモーターは、(i)に操作可能に連結し、第2プロモーターは、(ii)に操作可能に連結する。
代わりに、RCARの種々の要素をコードする配列を種々の核酸分子、例えば異なるプラスミド又はベクター、例えばウイルスベクター、例えばレンチウイルスベクターに配置できる。例えば、(i)抗原結合メンバーをコードする配列を第1核酸、例えば第1ベクターに配置でき、(ii)細胞内シグナル伝達メンバーをコードする配列は、第2核酸、例えば第2ベクターに存在できる。
二量体化スイッチ
二量体化スイッチは、非共有又は共有であり得る。非共有二量体化スイッチにおいて、二量体化分子は、スイッチドメイン間の非共有相互作用を促進する。共有二量体化スイッチにおいて、二量体化分子は、スイッチドメイン間の共有相互作用を促進する。
一実施形態において、RCARは、FKBP/FRAP又はFKBP/FRBベースの二量体化スイッチを含む。FKBP12(FKBP又はFK506結合タンパク質)は、天然産物免疫抑制剤、ラパマイシンのための最初の細胞内標的としての役割を果たす豊富な細胞質タンパク質である。ラパマイシンは、FKBP及び大PI3KホモログFRAP(RAFT、mTOR)に結合する。FRBは、FKBP−ラパマイシン複合体の結合のために十分であるFRAPの93アミノ酸部分である(Chen,J.,Zheng,X.F.,Brown,E.J.&Schreiber,S.L.(1995)Identification of an 11−kDa FKBP12−rapamycin−binding domain within the 289−kDa FKBP12−rapamycin−associated protein and characterization of a critical serine residue.Proc Natl Acad Sci U S A 92:4947−51)。
実施形態において、FKBP/FRAP、例えばFKBP/FRBベースのスイッチは、二量体化分子、例えばラパマイシン又はラパマイシン類似体を使用できる。
FKBPのアミノ酸配列は、次の通りである。
実施形態において、FKBPスイッチドメインは、ラパマイシン又はラパログ、例えば配列番号54の下線が付された部分の存在下でFRB又はその断片若しくは類似体と結合する能力を有するFKBPの断片を含み、これは、次の通りである。
FRBのアミノ酸配列は、次の通りである。
本明細書で使用される用語「FKBP/FRAP、例えばFKBP/FRBベースのスイッチ」は、ラパマイシン又はラパログ、例えばRAD001の存在下でFRB又はその断片若しくは類似体と結合する能力を有するFKBP断片又はその類似体を含み、配列番号54又は55のFKBP配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%の同一性を有するか、又は30、25、20、15、10、5つ、4つ、3つ、2つ又は1つのアミノ酸残基を超えて異ならない第1のスイッチドメイン;及びラパマイシン又はラパログの存在下でFRB又はその断片若しくは類似体と結合する能力を有するFRB断片又はその類似体を含み、配列番号56のFRB配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%の同一性を有するか、又は30、25、20、15、10、5つ、4つ、3つ、2つ又は1つのアミノ酸残基を超えて異ならない第2のスイッチドメインを含む二量体化スイッチを指す。一実施形態において、本明細書に記載のRCARは、配列番号54(又は配列番号55)に開示するアミノ酸残基を含む1スイッチドメイン及び配列番号56に開示するアミノ酸残基を含む1スイッチドメインを含む。
実施形態において、FKBP/FRB二量体化スイッチは、FRBベースのスイッチドメイン、例えば修飾FRBスイッチドメイン、FKBPベースのスイッチドメイン及び二量体化分子、例えばラパマイシン又はラパログ、例えばRAD001間の複合体形成が変えられた、例えば増強された修飾FRBスイッチドメインを含む。一実施形態において、修飾FRBスイッチドメインは、アミノ酸位置L2031、E2032、S2035、R2036、F2039、G2040、T2098、W2101、D2102、Y2105及びF2108から選択される1つ以上、例えば2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10又はそれを超える変異を含み、ここで、野生型アミノ酸は、任意の他の天然に存在するアミノ酸へ変異されている。一実施形態において、変異体FRBは、E2032に変異を含み、ここで、E2032は、フェニルアラニン(E2032F)、メチオニン(E2032M)、アルギニン(E2032R)、バリン(E2032V)、チロシン(E2032Y)、イソロイシン(E2032I)、例えば配列番号57又はロイシン(E2032L)、例えば配列番号58に変異されている。一実施形態において、変異体FRBは、T2098に変異を含み、ここで、T2098は、フェニルアラニン(T2098F)又はロイシン(T2098L)、例えば配列番号59に変異されている。一実施形態において、変異体FRBは、E2032及びT2098に変異を含み、ここで、E2032は、任意のアミノ酸に変異され、T2098は、任意のアミノ酸に変異され、例えば配列番号60である。一実施形態において、変異体FRBは、E2032I及びT2098L変異を含み、例えば配列番号61である。一実施形態において、変異体FRBは、E2032L及びT2098L変異を含み、例えば配列番号62である。
他の適当な二量体化スイッチは、GyrB−GyrBベースの二量体化スイッチ、ジベレリンベースの二量体化スイッチ、タグ/バインダー二量体化スイッチ及びハロタグ/snapタグ二量体化スイッチを含む。本明細書に提供する手引きに従い、このようなスイッチ及び関連する二量体化分子は、当業者に明らかである。
二量体化分子
スイッチドメイン間の結合は、二量体化分子により促進される。二量体化分子存在下でのスイッチドメイン間の相互作用又は結合は、第1のスイッチドメインに結合、例えば融合したポリペプチドと、第2のスイッチドメインに結合、例えば融合したポリペプチドとの間のシグナル伝達を可能にする。非律速レベルの二量体化分子存在下で本明細書に記載の系において測定して、シグナル伝達は、1.1倍、1.2倍、1.3倍、1.4倍、1.5倍、1.6倍、1.7倍、1.8倍、1.9倍、2倍、5倍、10倍、50倍、100倍増加する。
ラパマイシン及びラパマイシン類似体(ラパログと称される場合もある)、例えばRAD001は、本明細書に記載のFKBP/FRBベースの二量体化スイッチにおける二量体化分子として使用できる。一実施形態において、二量体化分子は、ラパマイシン(シロリムス)、RAD001(エベロリムス)、ゾタロリムス、テムシロリムス、AP−23573(リダフォロリムス)、バイオリムス及びAP21967から選択できる。FKBP/FRBベースの二量体化スイッチで使用するのに適する更なるラパマイシン類似体は、「組み合わせ治療」と題される節又は「例示的なmTOR阻害剤」と題される節に更に記載する。
スプリットCAR
いくつかの実施形態において、CAR発現細胞は、スプリットCARを使用する。スプリットCARアプローチは、国際公開第2014/055442号パンフレット及び国際公開第2014/055657号パンフレットにより詳細に記載されている。簡潔には、スプリットCAR系は、第1の抗原結合ドメイン及び共刺激ドメイン(例えば、41BB)を有する第1のCARを発現する細胞を含み、細胞は、第2の抗原結合ドメイン及び細胞内シグナル伝達ドメイン(例えば、CD3ζ)を有する第2のCARも発現する。細胞が第1の抗原に遭遇したとき、共刺激ドメインが活性化され、細胞が増殖する。細胞が第2の抗原に遭遇したとき、細胞内シグナル伝達ドメインが活性化され、細胞死滅活性が開始される。そのため、CAR発現細胞は、両方の抗原の存在下でのみ完全活性化される。
RNAトランスフェクション
インビトロで転写されたRNA CARの製造方法が本明細書に開示される。本発明は、細胞に直接遺伝子導入できるRNA構築物をコードするCARも含む。トランスフェクションに使用するためのmRNAを産生する方法は、特異的に設計したプライマーを用いる鋳型のインビトロ転写(IVT)、続くポリA付加を含み、3’及び5’非翻訳配列(「UTR」)、5’キャップ及び/又は配列内リボソーム進入部位(IRES)、発現させる核酸及びポリAテールを含む構築物、典型的には50〜2000塩基長(配列番号32)を産生し得る。このように産生されたRNAは、異なる種の細胞において効率的に翻訳され得る。一態様において、鋳型は、CARの配列を含む。
一態様において、本発明のCARは、メッセンジャーRNA(mRNA)によってコードされている。一態様において、本明細書に記載のCARをコードするmRNAは、CAR発現細胞、例えばCART細胞又はCAR NK細胞の産生のために免疫エフェクター細胞、例えばT細胞又はNK細胞に導入される。
一実施形態において、インビトロ転写RNA CARを一過性トランスフェクションの形態として細胞に導入できる。RNAは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)産生鋳型を使用するインビトロ転写により産生される。任意の供給源からの目的のDNAを、適切なプライマー及びRNAポリメラーゼを使用してインビトロmRNA合成のための鋳型にPCRにより直接変換できる。DNAの供給源は、例えば、ゲノムDNA、プラスミドDNA、ファージDNA、cDNA、合成DNA配列又はDNAのあらゆる他の適切な供給源であり得る。インビトロ転写のための所望の鋳型は本明細書中に記載されるCARである。例えば、RNA CARの鋳型は、本明細書に記載の腫瘍抗原に対する抗体の単鎖可変ドメインを含む細胞外領域、ヒンジ領域(例えば、本明細書に記載のヒンジ領域)、膜貫通ドメイン(例えば、CD8aの膜貫通ドメインなどの本明細書に記載の膜貫通ドメイン);及び細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば本明細書に記載の細胞内シグナル伝達ドメイン、例えばCD3−ζのシグナル伝達ドメイン及び4−1BBのシグナル伝達ドメインを含むものを含む細胞質領域を含む。
一実施形態において、PCRに使用するDNAは、オープンリーディングフレームを含む。DNAは、生物のゲノムからの天然に存在するDNA配列由来であり得る。一実施形態において、核酸は、5’及び/又は3’非翻訳領域(UTR)のいくらか又は全てを含み得る。核酸は、エクソン及びイントロンを含み得る。一実施形態において、PCRに使用するDNAは、ヒト核酸配列である。別の実施形態において、PCRに使用するDNAは、5’及び3’UTRを含むヒト核酸配列である。DNAは、代わりに、天然に存在する生物で通常発現されない人工DNA配列であり得る。例示的な人工DNA配列は、融合タンパク質をコードするオープンリーディングフレームを形成するようにライゲートされた遺伝子の部分を含むものである。ライゲートされたDNAの部分は、単一生物由来又は1つを超える生物由来であり得る。
PCRを使用して、トランスフェクションに使用するmRNAのインビトロ転写のための鋳型を産生する。PCRを実施する方法は、当技術分野で周知である。PCRにおいて使用するプライマーは、PCRのための鋳型として使用するDNAの領域に実質的に相補的である領域を有するように設計する。本明細書で使用する「実質的に相補的」は、プライマー配列の残基の大部分又は全てが相補的であるか又は1つ以上の塩基が非相補的又はミスマッチである、ヌクレオチドの配列を指す。実質的に相補的な配列は、PCRに使用するアニーリング条件下においてDNA標的とアニール又はハイブリダイズできる。プライマーは、DNA鋳型の任意の部分と実質的に相補的であるように設計できる。例えば、プライマーは、5’及び3’UTRを含む、細胞において通常転写される(オープンリーディングフレーム)核酸の部分を増幅するように設計できる。プライマーは、目的の特定のドメインをコードする核酸の部分を増幅するようにも設計できる。一実施形態において、プライマーは、5’及び3’UTRの全て又は一部を含む、ヒトcDNAのコーディング領域を増幅するように設計される。PCRに有用なプライマーは、当技術分野で周知の合成法により産生できる。「順方向プライマー」は、増幅するDNA配列の上流であるDNA鋳型上にヌクレオチドに対して実質的に相補的であるヌクレオチドの領域を含むプライマーである。「上流」は、コード鎖に対して、増幅するDNA配列に対する5位を指すために本明細書で使用する。「逆方向プライマー」は、増幅するDNA配列の下流である、二本鎖DNA鋳型に対して実質的に相補的なヌクレオチドの領域を含むプライマーである。「下流」は、コード鎖に対して、増幅するDNA配列に対する3’位を指すために本明細書で使用する。
PCRに有用なあらゆるDNAポリメラーゼを本明細書に開示する方法で使用できる。試薬及びポリメラーゼは、多数の供給元から市販されている。
安定性及び/又は翻訳効率を促進する能力を有する化学構造も使用し得る。RNAは、好ましくは、5’及び3’UTRを有する。一実施形態において、5’UTRは、1〜3000ヌクレオチド長である。コーディング領域に付加する5’及び3’UTR配列の長さは、UTRの異なる領域をアニールするPCRのためのプライマーの設計を含むが、これに限定されない異なる方法により変わり得る。このアプローチを使用して、当業者は、転写RNAのトランスフェクション後、最適翻訳効率を達成するのに必要な5’及び3’UTR長を修飾できる。
5’及び3’UTRは、目的の核酸のための天然に存在する内在性5’及び3’UTRであり得る。代わりに、目的の核酸に対して内在性ではないUTR配列を順方向及び逆方向プライマーへのUTR配列の取り込みにより又は鋳型の任意の他の修飾により付加できる。目的の核酸に対して内在性ではないUTR配列の使用は、RNAの安定性及び/又は翻訳効率の修飾のために有用であり得る。例えば、3’UTR配列のAUリッチ要素は、mRNAの安定性を低下させ得ることが知られる。従って、3’UTRを、当技術分野で周知であるUTRの特性に基づき、転写されたRNAの安定性を増加するように選択及び設計できる。
一実施形態において、5’UTRは、内在性核酸のKozak配列を含み得る。代わりに、目的の核酸に対して内在性ではない5’UTRを上記のようにPCRにより付加するとき、コンセンサスKozak配列を5’UTR配列の付加により再設計できる。Kozak配列は、あるRNA転写物の翻訳効率を上げることができるが、効率的翻訳を可能とするために全RNAで必要であるように見えない。多くのmRNAについてのKozak配列に対する必要性は、当技術分野で公知である。他の実施形態において、5’UTRは、RNAゲノムが細胞で安定であるRNAウイルスの5’UTRであり得る。他の実施形態において、種々のヌクレオチドアナログを、mRNAのエキソヌクレアーゼ分解を妨害するために3’又は5’UTRにおいて使用できる。
遺伝子クローニングの必要性なしにDNA鋳型からのRNAの合成を可能にするために、転写のプロモーターは、転写する配列の上流のDNA鋳型に結合すべきである。RNAポリメラーゼのプロモーターとして機能する配列が順方向プライマーの5’末端に追加されるとき、RNAポリメラーゼプロモーターは、転写されるオープンリーディングフレームの上流のPCR産物に取り込まれる。好ましい一実施形態において、プロモーターは、本明細書の他の箇所に記載するような、T7ポリメラーゼプロモーターである。他の有用なプロモーターは、T3及びSP6 RNAポリメラーゼプロモーターを含むが、これらに限定されない。T7、T3及びSP6プロモーターのコンセンサスヌクレオチド配列が当技術分野で公知である。
好ましい一実施形態において、mRNAは、リボソーム結合、翻訳開始及び細胞におけるmRNAの安定性を決定する、5’末端及び3’ポリ(A)テールの両者にキャップを有する。環状DNA鋳型、例えばプラスミドDNA上において、RNAポリメラーゼは、真核細胞における発現に適しない長いコンカテマー産物を産生する。3’UTRの末端で直線化されたプラスミドDNAの転写は、転写後ポリアデニル化されても、真核トランスフェクションに有効ではない正常サイズのmRNAを生じる。
直鎖状DNA鋳型で、ファージT7 RNAポリメラーゼは、鋳型の最後の塩基を越えて転写物の3’末端を伸長できる(Schenborn and Mierendorf,Nuc Acids Res.,13:6223−36(1985);Nacheva and Berzal−Herranz,Eur.J.Biochem.,270:1485−65(2003))。
DNA鋳型に伸びるポリA/Tの組込みの慣用法は、分子クローニングである。しかしながら、プラスミドDNAに統合されたポリA/T配列は、プラスミド不安定性を生じ得、これは、細菌細胞から得たプラスミドDNA鋳型が多くの場合に欠失及び他の異常で高度に汚染されている理由である。これにより、クローニング工程は、困難で時間がかかるだけでなく、多くの場合に信頼できないものとなる。これが、クローニングを伴わないポリA/T 3’ストレッチを有するDNA鋳型の産生を可能にする方法が非常に望ましい理由である。
転写DNA鋳型のポリA/Tセグメントは、100TテールなどのポリTテールを含む逆方向プライマーを使用するPCR中(配列番号35)(サイズは、50〜5000Tであり得る(配列番号36))又はDNAライゲーション若しくはインビトロ組み換えを含むが、これらに限定されない任意の他の方法によりPCR後に産生できる。ポリ(A)テールはまた、RNAに安定性を提供し、その分解を減らす。一般に、ポリ(A)テールの長さは、転写されたRNAの安定性と正に相関する。一実施形態において、ポリ(A)テールは、100〜5000アデノシンである(配列番号37)。
RNAのポリ(A)テールは、大腸菌(E.coli)ポリAポリメラーゼ(E−PAP)のなどのポリ(A)ポリメラーゼの使用により、インビトロ転写後更に伸長できる。一実施形態において、ポリ(A)テールの100ヌクレオチドから300〜400ヌクレオチドへの長さの延長(配列番号38)は、RNAの翻訳効率の約2倍増加を生じる。更に、3’末端への異なる化学基の付加は、mRNA安定性を増加させ得る。このような結合は、修飾/人工ヌクレオチド、アプタマー及び他の化合物を含み得る。例えば、ATPアナログは、ポリ(A)ポリメラーゼを使用してポリ(A)テールに取り込まれ得る。ATPアナログは、RNAの安定性を更に高め得る。
5’キャップもRNA分子に安定性を提供する。好ましい一実施形態において、本明細書に開示する方法により産生されたRNAは、5’キャップを含む。5’キャップは、当技術分野で公知であり、本明細書に記載の技術を使用して提供される(Cougot,et al.,Trends in Biochem.Sci.,29:436−444(2001);Stepinski,et al.,RNA,7:1468−95(2001);Elango,et al.,Biochim.Biophys.Res.Commun.,330:958−966(2005))。
本明細書に開示する方法により産生されたRNAは、配列内リボソーム進入部位(IRES)配列も含み得る。IRES配列は、mRNAへのキャップ非依存的リボソーム結合を開始し、翻訳開始を促進するあらゆるイルス、染色体又は人工設計配列であり得る。糖、ペプチド、脂質、タンパク質、抗酸化剤及び界面活性剤などの細胞透過性及び生存能を促進する因子を含有し得る、細胞電気穿孔に適した任意の溶質が含まれ得る。
RNAを、多数の異なる方法、例えば商業的に利用可能な方法のいずれかを使用して標的細胞に導入でき、これは、電気穿孔(Amaxa Nucleofector−II(Amaxa Biosystems,Cologne,Germany))、(ECM 830(BTX)(Harvard Instruments,Boston,Mass.)又はGene Pulser II(BioRad,Denver,Colo.)、Multiporator(Eppendort,Hamburg Germany)、リポフェクションを使用するカチオン性リポソーム介在トランスフェクション、ポリマー封入、ペプチド介在トランスフェクション又は「遺伝子銃」などの微粒子銃粒子送達系(例えば、Nishikawa,et al.Hum Gene Ther.,12(8):861−70(2001)を参照されたい)を含むが、これらに限定されない。
非ウイルス送達方法
いくつかの態様において、非ウイルス方法を使用して、本明細書に記載のCARをコードする核酸を細胞又は組織又は対象に送達できる。
いくつかの実施形態において、非ウイルス方法は、トランスポゾン(転位因子とも呼ばれる)の使用を含む。いくつかの実施形態において、トランスポゾンは、ゲノムの位置にそれ自体挿入できるDNAの断片、例えば自己複製性であり、そのコピーをゲノムに挿入することができるDNAの断片又は長い核酸の外にスプライシングされ、ゲノムの別の場所に挿入されることができるDNAの断片である。例えば、トランスポゾンは、転位のための逆位反復フランキング遺伝子からなるDNA配列を含む。
例示的なトランスポゾンを使用する核酸送達法は、Sleeping Beautyトランスポゾン系(SBTS)及びpiggyBac(PB)トランスポゾン系を含む。例えば、Aronovich et al.Hum.Mol.Genet.20.R1(2011):R14−20;Singh et al.Cancer Res.15(2008):2961−2971;Huang et al.Mol.Ther.16(2008):580−589;Grabundzija et al.Mol.Ther.18(2010):1200−1209;Kebriaei et al.Blood.122.21(2013):166;Williams.Molecular Therapy 16.9(2008):1515−16;Bell et al.Nat.Protoc.2.12(2007):3153−65;及びDing et al.Cell.122.3(2005):473−83(これらの全ては、参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい。
SBTSは2つの成分:1)導入遺伝子を含むトランスポゾン、及び2)トランスポサーゼ酵素の供給源を含む。トランスポサーゼは、担体プラスミド(又は他のドナーDNA)から、宿主細胞染色体/ゲノムなどの標的DNAにトランスポゾンを転位できる。例えば、トランスポサーゼは、担体プラスミド/ドナーDNAに結合し、トランスポゾン(導入遺伝子含有)をプラスミドの外に切り出し、宿主細胞のゲノムに入れる。例えば、Aronovich et al.上掲を参照されたい。
例示的なトランスポゾンは、pT2ベースのトランスポゾンを含む。例えば、全て参照により本明細書に組み込まれるGrabundzija et al.Nucleic Acids Res.41.3(2013):1829−47;及びSingh et al.Cancer Res.68.8(2008):2961−2971を参照されたい。例示的なトランスポサーゼは、Tc1/mariner型トランスポサーゼ、例えばSB10トランスポサーゼ又はSB11トランスポサーゼを含む(例えば、サイトメガロウイルスプロモーターから発現できる機能亢進トランスポサーゼ)。例えば、全て参照により本明細書に組み込まれるAronovich et al.;Kebriaei et al.;及びGrabundzija et al.を参照されたい。
SBTSの使用は、導入遺伝子、例えば本明細書に記載のCARをコードする核酸の効率的組込み及び発現を可能にする。例えば、SBTSなどのトランスポゾン系を使用する、本明細書に記載のCARを安定に発現する細胞、例えばT細胞又はNK細胞を産生する方法が本明細書に提供される。
本明細書に記載の方法により、いくつかの実施形態において、SBTS成分を含む1つ以上の核酸、例えばプラスミドが細胞に送達される(例えば、T細胞又はNK細胞)。例えば、核酸は、核酸(例えば、プラスミドDNA)送達の標準法、例えば本明細書に記載の方法、例えば電気穿孔、トランスフェクション又はリポフェクションにより送達される。いくつかの実施形態において、核酸は、導入遺伝子、例えば本明細書に記載のCARをコードする核酸を含むトランスポゾンを含む。いくつかの実施形態において、核酸は、導入遺伝子(例えば、本明細書に記載のCARをコードする核酸)を含むトランスポゾン並びにトランスポサーゼ酵素をコードする核酸配列を含む。他の実施形態において、例えばデュアルプラスミド系、例えば第1のプラスミドが導入遺伝子を含むトランスポゾンを含み、第2のプラスミドがトランスポサーゼ酵素をコードする核酸配列を含む、2核酸の系が提供される。例えば、第1及び第2の核酸は、宿主細胞に共送達される。
いくつかの実施形態において、本明細書に記載のCARを発現する細胞、例えばT細胞又はNK細胞は、ヌクレアーゼ(例えば、亜鉛フィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、転写アクティベーター様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、CRISPR/Cas系又は操作されたメガヌクレアーゼ再操作ホーミングエンドヌクレアーゼ)を使用するSBTS及び遺伝子編集の遺伝子挿入の組み合わせを使用して産生される。
いくつかの実施形態において、非ウイルス送達方法の使用は、細胞、例えばT細胞又はNK細胞の再プログラミング及び対照への細胞の直接注入を可能にする。非ウイルスベクターの利点は、患者集団に見合うために必要な十分量の産生が容易且つ比較的安価であること、保存中の安定性及び免疫原性の欠如を含むが、これらに限定されない。
CARをコードする核酸構築物
本発明は、本明細書に記載の1つ以上のCAR構築物をコードする核酸分子も提供する。一態様において、核酸分子は、メッセンジャーRNA転写物として提供される。一態様において、核酸分子は、DNA構築物として提供される。
従って、一態様において、本発明は、キメラ抗原受容体(CAR)をコードする核酸分子に関し、CARは、本明細書に記載の腫瘍抗原に結合する抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン(例えば、本明細書に記載の膜貫通ドメイン)並びに刺激ドメイン、例えば共刺激シグナル伝達ドメイン(例えば、本明細書に記載の共刺激シグナル伝達ドメイン)及び/又は一次シグナル伝達ドメイン(例えば、本明細書に記載の一次シグナル伝達ドメイン、例えば本明細書に記載のζ鎖)を含む細胞内シグナル伝達ドメイン(例えば、本明細書に記載の細胞内シグナル伝達ドメイン)を含む。一実施形態において、膜貫通ドメインは、T細胞受容体のα、β又はζ鎖、CD28、CD3ε、CD45、CD4、CD5、CD8、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137及びCD154からなる群から選択されるタンパク質の膜貫通ドメインである。いくつかの実施形態において、膜貫通ドメインは、例えば、KIRDS2、OX40、CD2、CD27、LFA−1(CD11a、CD18)、ICOS(CD278)、4−1BB(CD137)、GITR、CD40、BAFFR、HVEM(LIGHTR)、SLAMF7、NKp80(KLRF1)、NKp44、NKp30、NKp46、CD160、CD19、IL2Rβ、IL2Rγ、IL7Rα、ITGA1、VLA1、CD49a、ITGA4、IA4、CD49D、ITGA6、VLA−6、CD49f、ITGAD、CD11d、ITGAE、CD103、ITGAL、CD11a、LFA−1、ITGAM、CD11b、ITGAX、CD11c、ITGB1、CD29、ITGB2、CD18、LFA−1、ITGB7、、NKG2D、NKG2C、TNFR2、DNAM1(CD226)、SLAMF4(CD244、2B4)、CD84、CD96(Tactile)、CEACAM1、CRTAM、Ly9(CD229)、CD160(BY55)、PSGL1、CD100(SEMA4D)、SLAMF6(NTB−A、Ly108)、SLAM(SLAMF1、CD150、IPO−3)、BLAME(SLAMF8)、SELPLG(CD162)、LTBR、PAG/Cbpの少なくとも膜貫通領域を含み得る。
一実施形態において、膜貫通ドメインは、配列番号12の配列又はそれと95〜99%の同一性を有する配列を含む。一実施形態において、抗原結合ドメインは、膜貫通ドメインにヒンジ領域、例えば本明細書に記載のヒンジによって接続されている。一実施形態において、ヒンジ領域は、配列番号4、若しくは配列番号6、若しくは配列番号8、若しくは配列番号10又はそれと95〜99%の同一性を有する配列を含む。一実施形態において、単離核酸分子は、共刺激性ドメインをコードする配列を更に含む。一実施形態において、共刺激ドメインは、OX40、CD27、CD28、CDS、ICAM−1、LFA−1(CD11a/CD18)、ICOS(CD278)及び4−1BB(CD137)からなる群から選択されるタンパク質の機能性シグナル伝達ドメインである。そのような共刺激分子の更なる例は、CDS、ICAM−1、GITR、BAFFR、HVEM(LIGHTR)、SLAMF7、NKp80(KLRF1)、NKp44、NKp30、NKp46、CD160、CD19、CD4、CD8α、CD8β、IL2Rβ、IL2Rγ、IL7Rα、ITGA4、VLA1、CD49a、ITGA4、IA4、CD49D、ITGA6、VLA−6、CD49f、ITGAD、CD11d、ITGAE、CD103、ITGAL、CD11a、LFA−1、ITGAM、CD11b、ITGAX、CD11c、ITGB1、CD29、ITGB2、CD18、LFA−1、ITGB7、NKG2D、NKG2C、TNFR2、TRANCE/RANKL、DNAM1(CD226)、SLAMF4(CD244、2B4)、CD84、CD96(Tactile)、CEACAM1、CRTAM、Ly9(CD229)、CD160(BY55)、PSGL1、CD100(SEMA4D)、CD69、SLAMF6(NTB−A、Ly108)、SLAM(SLAMF1、CD150、IPO−3)、BLAME(SLAMF8)、SELPLG(CD162)、LTBR、LAT、GADS、SLP−76及びPAG/Cbpを含む。一実施形態において、共刺激ドメインは、配列番号16の配列又はそれと95〜99%の同一性を有する配列を含む。一実施形態において、細胞内シグナル伝達ドメインは、4−1BBの機能的シグナル伝達ドメイン及びCD3ζの機能的シグナル伝達ドメインを含む。一実施形態において、細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号14の配列若しくは配列番号16又はそれと95〜99%の同一性を有する配列及び配列番号18若しくは配列番号20の配列又はそれと95〜99%の同一性を有する配列を含み、ここで、細胞内シグナル伝達ドメインを含む配列は、同じフレームにおいて且つ単一のポリペプチド鎖として発現される。
他の態様において、本発明は、配列番号2のリーダー配列、本明細書に記載されるようなscFvドメイン、配列番号4又は配列番号6又は配列番号8又は配列番号10(又はそれと95〜99%の同一性を有する配列)のヒンジ領域、配列番号12の配列(又はそれと95〜99%の同一性を有する配列)を有する膜貫通ドメイン、配列番号14の配列を有する4−1BB共刺激性ドメイン又は配列番号16の配列(又はそれと95〜99%の同一性を有する配列)を有するCD27共刺激性ドメイン及び配列番号18又は配列番号20の配列を有するCD3ζ刺激性ドメイン(又はそれと95〜99%の同一性を有する配列)を含む、CAR構築物をコードする単離核酸分子に関する。
別の態様において、本発明は、抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン及び刺激性ドメインを含む細胞内シグナル伝達ドメインを含む、キメラ抗原受容体(CAR)分子をコードする核酸分子に関し、ここで、前記抗原結合ドメインは、CD19、CD123、CD22、CD30、CD171、CS−1、CLL−1(CLECL1)、CD33、EGFRvIII、GD2、GD3、BCMA、Tn Ag、PSMA、ROR1、FLT3、FAP、TAG72、CD38、CD44v6、CEA、EPCAM、B7H3、KIT、IL−13Ra2、メソテリン、IL−11Ra、PSCA、VEGFR2、ルイスY、CD24、PDGFR−β、SSEA−4、CD20、葉酸受容体α、ERBB2(Her2/neu)、MUC1、EGFR、NCAM、プロスターゼ(Prostase)、PRSS21、PAP、ELF2M、エフリンB2、IGF−I受容体、CAIX、LMP2、gp100、bcr−abl、チロシナーゼ、EphA2、フコシルGM1、sLe、GM3、TGS5、HMWMAA、o−アセチル−GD2、葉酸受容体β、TEM1/CD248、TEM7R、CLDN6、TSHR、GPRC5D、CXORF61、CD97、CD179a、ALK、ポリシアル酸、PLAC1、GloboH、NY−BR−1、UPK2、HAVCR1、ADRB3、PANX3、GPR20、LY6K、OR51E2、TARP、WT1、NY−ESO−1、LAGE−1a、MAGE−A1、レグマイン、HPV E6、E7、MAGE A1、ETV6−AML、精子タンパク質17、XAGE1、Tie 2、MAD−CT−1、MAD−CT−2、Fos関連抗原1、p53、p53変異体、プロステイン、サバイビン及びテロメラーゼ、PCTA−1/ガレクチン8、MelanA/MART1、Ras変異体、hTERT、肉腫転座切断点、ML−IAP、ERG(TMPRSS2 ETS融合遺伝子)、NA17、PAX3、アンドロゲン受容体、サイクリンB1、MYCN、RhoC、TRP−2、CYP1B1、BORIS、SART3、PAX5、OY−TES1、LCK、AKAP−4、SSX2、RAGE−1、ヒトテロメラーゼ逆転写酵素、RU1、RU2、腸カルボキシルエステラーゼ、mut hsp70−2、CD79a、CD79b、CD72、LAIR1、FCAR、LILRA2、CD300LF、CLEC12A、BST2、EMR2、LY75、GPC3、FCRL5及びIGLL1からなる群から選択される腫瘍抗原に結合する。
一実施形態において、コード化CAR分子は、共刺激性ドメインをコードする配列を更に含む。一実施形態において、共刺激ドメインは、OX40、CD27、CD28、CDS、ICAM−1、LFA−1(CD11a/CD18)及び4−1BB(CD137)からなる群から選択されるタンパク質の機能性シグナル伝達ドメインである。一実施形態において、共刺激性ドメインは、配列番号14の配列を含む。一実施形態において、膜貫通ドメインは、T細胞受容体のα、β又はζ鎖、CD28、CD3ε、CD45、CD4、CD5、CD8、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137及びCD154からなる群から選択されるタンパク質の膜貫通ドメインである。一実施形態において、膜貫通ドメインは、配列番号12の配列を含む。一実施形態において、細胞内シグナル伝達ドメインは、4−1BBの機能的シグナル伝達ドメイン及びζの機能的シグナル伝達ドメインを含む。一実施形態において、細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号14の配列及び配列番号18の配列を含み、ここで、細胞内シグナル伝達ドメインを含む配列は、同じフレームにおいて且つ単一のポリペプチド鎖として発現される。一実施形態において、本明細書に記載の抗癌関連抗原結合ドメインは、ヒンジ領域によって膜貫通ドメインに結合している。一実施形態において、ヒンジ領域は、配列番号4を含む。一実施形態において、ヒンジ領域は、配列番号6、又は配列番号8、又は配列番号10を含む。
所望の分子をコードする核酸配列は、標準技術を使用して、例えば遺伝子を発現する細胞からのライブラリのスクリーニングにより、それを含むことが知られるベクターからの遺伝子を誘導化することにより又はそれを含むことが知られる細胞及び組織から直接単離することによるような、組み換え当技術分野で知られる方法を使用して得ることができる。代わりに、目的の遺伝子をクローン化ではなく合成により産生できる。
本発明は、本発明のDNAが挿入されているベクターも提供する。レンチウイルスなどのレトロウイルス由来のベクターは、それらが導入遺伝子の長期の安定した組み込み及び娘細胞への伝播を可能にするため、長期遺伝子導入を達成するのに適するツールである。レンチウイルスベクターは、肝細胞などの非増殖細胞を形質導入できる点で、マウス白血病ウイルスなどのオンコ−レトロウイルス由来のベクターを超える更なる利点を有する。それらは、低免疫原性であるという更なる利点も更に有する。レトロウイルスベクターは、例えば、γレトロウイルスベクターでもあり得る。γレトロウイルスベクターは、例えば、プロモーター、パッケージングシグナル(ψ)、プライマー結合部位(PBS)、1つ以上の(例えば、2)末端反復配列(LTR)及び目的の導入遺伝子、例えばCARをコードする遺伝子を含み得る。γレトロウイルスベクターは、gag、pol及びenvなどのウイルス構造的遺伝子を欠き得る。例示的なγレトロウイルスベクターは、マウス白血病ウイルス(MLV)、脾フォーカス形成ウイルス(SFFV)及び骨髄増殖性肉腫ウイルス(MPSV)及びそれら由来のベクターを含む。他のγレトロウイルスベクターは、例えば、Tobias Maetzig et al.,“Gammaretroviral Vectors:Biology,Technology and Application”Viruses.2011 Jun;3(6):677−713に記載される。
別の実施形態において、所望の本発明のCARをコードする核酸を含むベクターは、アデノウイルスベクター(A5/35)である。別の実施形態において、CARをコードする核酸の発現は、sleeping beauty、crisper、CAS9及びジンクフィンガーヌクレアーゼなどのトランスポゾンを使用して達成できる。参照により本明細書に包含される下記のJune et al.2009 Nature Reviews Immunology 9.10:704−716を参照されたい。
概説すると、CARをコードする天然又は合成核酸の発現は、典型的には、CARポリペプチドをコードする核酸又はその一部をプロモーターに操作可能に連結させ、その構築物を発現ベクターに取り込むことにより達成される。ベクターは、真核生物での複製及び組み込みに適し得る。典型的クローニングベクターは、所望の核酸配列の発現の制御に有用な転写及び翻訳ターミネーター、開始配列及びプロモーターを含む。
本発明の構築物の発現は、標準遺伝子送達プロトコルを使用する核酸免疫化及び遺伝子治療にも使用し得る。遺伝子送達のための方法が当技術分野で知られている。例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第5,399,346号明細書、同第5,580,859号明細書、同第5,589,466号明細書を参照されたい。別の実施形態において、本発明は、遺伝子治療ベクターを提供する。
核酸は、多数のタイプのベクターにクローン化できる。例えば、核酸は、プラスミド、ファージミド、ファージ誘導体、動物ウイルス及びコスミドを含むが、これらに限定されないベクターにクローン化できる。特に興味深いベクターは、発現ベクター、複製ベクター、プローブ産生ベクター及びシーケンシングベクターを含む。
更に、発現ベクターは、ウイルスベクターの形態で細胞に提供され得る。ウイルスベクター技術は、当技術分野で周知であり、例えばSambrook et al.,2012,MOLECULAR CLONING:A LABORATORY MANUAL,volumes 1 −4,Cold Spring Harbor Press,NY及び他のウイルス学及び分子生物学マニュアルに記載されている。ベクターとして有用なウイルスは、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、ヘルペスウイルス及びレンチウイルスを含むが、これらに限定されない。一般に、適当なベクターは、少なくとも1生物で機能的な複製起点、プロモーター配列、便利な制限エンドヌクレアーゼ部位及び1つ以上の選択可能マーカーを含む(例えば、国際公開第01/96584号パンフレット;国際公開第01/29058号パンフレット;及び米国特許第6,326,193号明細書)。
多数のウイルスベースの系が哺乳動物細胞への遺伝子移入のために開発されている。例えば、レトロウイルスは、遺伝子送達系のための簡便なプラットフォームを提供する。選択した遺伝子を、当技術分野で知られる技術を使用して、ベクターに挿入し、レトロウイルス粒子に包装できる。次いで、組み換えウイルスが単離され、対象の細胞にインビボ又はエクスビボで送達され得る。多数のレトロウイルス系が当技術分野で知られている。いくつかの実施形態において、アデノウイルスベクターを使用する。多数のアデノウイルスベクターが当技術分野で知られている。一実施形態において、レンチウイルスベクターを使用する。
更なるプロモーター要素、例えばエンハンサーは、転写開始の頻度を制御する。典型的には、これらは、開始部位の上流30〜110bpの領域に位置するが、多数のプロモーターが同様に開始部位の下流に機能的要素を含むことが示されている。プロモーター要素間の空間は、多くの場合、可動性であり、そのため、要素が互いに逆になったとき又は移動したときにプロモーター機能が保持される。チミジンキナーゼ(tk)プロモーターにおいて、プロモーター要素間の空間は、活性が落ち始める前、50bp離れるまで増加し得る。プロモーターにより、個々の要素は、転写を活性化するために協調的又は独立的に機能できるように見える。代表的プロモーターは、CMV IE遺伝子、EF−1α、ユビキチンC又はホスホグリセロキナーゼ(PGK)プロモーターを含む。
哺乳動物T細胞においてCARコード核酸分子を発現することができるプロモーターの例は、EF1aプロモーターである。天然EF1aプロモーターは、アミノアシルtRNAのリボソームへの酵素送達を担う伸長因子−1複合体のαサブユニットの発現を駆動する。EF1aプロモーターは、哺乳動物発現プラスミドで広く使用されており、レンチウイルスベクターにクローン化された核酸分子からCAR発現を駆動するのに有効であることが示されている。例えば、Milone et al.,Mol.Ther.17(8):1453−1464(2009)を参照されたい。一態様において、EF1aプロモーターは、配列番号1として提供される配列を含む。
プロモーターの別の例は、最初期サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター配列である。このプロモーター配列は、それに操作可能に連結したあらゆるポリヌクレオチド配列の高レベルの発現を駆動できる強い構成的プロモーター配列である。しかしながら、サルウイルス40(SV40)初期プロモーター、マウス乳房腫瘍ウイルス(MMTV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)末端反復配列(LTR)プロモーター、MoMuLVプロモーター、トリ白血病ウイルスプロモーター、エプスタイン・バーウイルス最初期プロモーター、ラウス肉腫ウイルスプロモーターを含むが、これらに限定されない他の構成的プロモーター配列並びにアクチンプロモーター、ミオシンプロモーター、伸長因子−1αプロモーター、ヘモグロビンプロモーター及びクレアチンキナーゼプロモーターなど、しかし、これらに限定されないヒト遺伝子プロモーターも使用し得る。更に、本発明は、構成的プロモーターの使用に限定すべきではない。誘導性プロモーターも本発明の一部であるとして意図される。誘導性プロモーターの使用は、操作可能に連結したポリヌクレオチド配列の発現を、発現が望まれるときに活性化し、発現が望まれないときに遮断することができる分子スイッチを提供する。誘導性プロモーターの例は、メタロチオネインプロモーター、グルココルチコイドプロモーター、プロゲステロンプロモーター及びテトラサイクリンプロモーターを含むが、これらに限定されない。
ベクターは、例えば、分泌を促進するためのシグナル配列、ポリアデニル化シグナル及び転写ターミネーター(例えば、ウシ成長ホルモン(BGH)遺伝子から)、エピソーム複製及び原核生物における複製を可能にする要素(例えば、SV40起源及びColE1又は当技術分野で知られる他のもの)及び/又は選択を可能にする要素(例えば、アンピシリン耐性遺伝子及び/又はゼオシンマーカー)も含み得る。
CARポリペプチド又はその一部の発現を評価するために、細胞に導入する発現ベクター遺伝子導入又はウイルスベクターによる感染が探求される細胞集団から発現細胞から発現細胞の同定及び選択を容易にするために、選択可能マーカー遺伝子又はレポーター遺伝子又は両方を含み得る。他の態様において、選択可能マーカーは、DNAの別の断面に担持され、共トランスフェクション法において使用され得る。選択可能マーカー及びレポーター遺伝子のいずれも、宿主細胞における発現が可能であるように適切な制御配列が隣接し得る。有用な選択可能マーカーは、例えば、neoなどの抗生物質耐性遺伝子を含む。
レポーター遺伝子は、恐らく遺伝子導入されている細胞を同定し、制御配列の機能性を評価するために使用される。一般に、レポーター遺伝子は、レシピエント生物又は組織に存在又は発現されず、発現がある容易に検出可能な特性、例えば酵素活性により顕在化されるポリペプチドをコードする遺伝子である。レポーター遺伝子の発現を、DNAがレシピエント細胞に導入されてから適当な時間後にアッセイする。適当なレポーター遺伝子は、ルシフェラーゼ、β−ガラクトシダーゼ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ、分泌型アルカリホスファターゼ又は緑色蛍光タンパク質遺伝子をコードする遺伝子を含み得る(例えば、Ui−Tei et al.,2000 FEBS Letters 479:79−82)。適当な発現系は、周知であり、既知技術により製造できるか又は商業的に入手できる。一般に、レポーター遺伝子の最高レベルの発現を示す最小5’フランキング領域を有する構築物をプロモーターとして同定する。このようなプロモーター領域は、レポーター遺伝子に連結し、プロモーター駆動転写を調節する能力について薬剤を評価するのに使用され得る。
細胞に遺伝子を導入し、発現させる方法は、当技術分野で知られている。発現ベクターに関連して、ベクターは、当技術分野の任意の方法により、宿主細胞、例えば哺乳動物、細菌、酵母又は昆虫細胞に容易に導入できる。例えば、発現ベクターは、物理的、化学的又は生物学的手段により、宿主細胞に移入され得る。
宿主細胞にポリヌクレオチドを導入するための物理的方法は、リン酸カルシウム沈殿、リポフェクション、微粒子銃、微量注入、エレクトロポレーションなどを含む。ベクター及び/又は外来性核酸を含む細胞を産生する方法は、当技術分野で周知である。例えば、Sambrook et al.,2012,MOLECULAR CLONING:A LABORATORY MANUAL,volumes 1−4,Cold Spring Harbor Press,NYを参照されたい)。宿主細胞へのポリヌクレオチドの導入に好ましい方法は、リン酸カルシウムトランスフェクションである。
宿主細胞に目的のポリヌクレオチドを導入するための生物学的方法は、DNA及びRNAベクターの使用を含む。ウイルスベクター、特にレトロウイルスベクターは、哺乳動物、例えばヒト細胞への遺伝子挿入に最も広く使用される方法となってきている。他のウイルスベクターは、レンチウイルス、ポックスウイルス、単純ヘルペスウイルスI、アデノウイルス及びアデノ関連ウイルスなどに由来し得る。例えば、米国特許第5,350,674号明細書及び同第5,585,362号明細書を参照されたい。
宿主細胞にポリヌクレオチドを導入するための化学的手段は、巨大分子複合体、ナノカプセル、マイクロスフェア、ビーズ及び水中油型エマルジョン、ミセル、混合ミセル及びリポソームを含む脂質ベースの系などのコロイド分散体系を含む。インビトロ及びインビボで送達媒体として使用するための代表的コロイド系は、リポソーム(例えば、人工膜小胞)である。標的化ナノ粒子又は他の適当なサブミクロンサイズの送達系を用いるポリヌクレオチドの送達など、最新式の核酸の標的化送達の他の方法が利用可能である。
非ウイルス送達系を利用する場合、代表的送達媒体は、リポソームである。脂質製剤の使用は、宿主細胞への核酸の導入のために意図される(インビトロ、エクスビボ又はインビボ)。別の態様において、核酸は、脂質と結合され得る。脂質と結合した核酸は、リポソームの水性内部への被包、リポソームの脂質二重層内への分散、リポソームとオリゴヌクレオチドの両方と結合する連結分子を介するリポソームへの結合、リポソームへの封入、リポソームとの複合体化、脂質含有溶液への分散、脂質との混合、脂質との組み合わせ、脂質中の懸濁液としての包含、ミセル内への包含又は複合体化又は他の方法で脂質と結合する。脂質、脂質/DNA又は脂質/発現ベクター結合組成物は、溶液中の何らかの特定の構造に限定されない。例えば、それらは、二重層構造において、ミセルとして又は「崩壊」構造を有して存在し得る。それらは、単に溶液に分散され、恐らくサイズ又は形状が均一ではない凝集体も形成し得る。脂質は、天然に存在する又は合成脂質であり得る脂肪物質である。例えば、脂質は、細胞質に天然に生じる脂肪滴並びに脂肪酸、アルコール、アミン、アミノアルコール及びアルデヒドなどの長鎖脂肪族炭化水素を含む化合物群及びその誘導体を含む。
使用に適する脂質は、商業的供給源から得ることができる。例えば、ジミリスチルホスファチジルコリン(「DMPC」)は、Sigma,St.Louis,MOから得ることができ、リン酸ジセチル(「DCP」)は、K&K Laboratories(Plainview,NY)から得ることができ;コレステロール(「Choi」)は、Calbiochem−Behringから得ることができ、ジミリスチルホスファチジルグリセロール(「DMPG」)及び他の脂質は、Avanti Polar Lipids,Inc.(Birmingham,AL.)から得ることができる。クロロホルム又はクロロホルム/メタノール中の脂質の原液を約−20℃で保存できる。クロロホルムを、メタノールよりも容易に揮発するために唯一の溶媒として使用する。「リポソーム」は、封入された脂質二重層又は凝集体の産生により形成される多様な単及び多層状脂質媒体を包含する一般的用語である。リポソームは、リン脂質二重層膜及び内部水性媒体を伴う小胞構造を有することにより特徴付けられ得る。多層状リポソームは、水性媒体により分離された、複数の脂質層を有する。それらは、リン脂質が過剰の水溶液に懸濁されたときに自然に形成される。脂質要素は、閉構造形成前に自己凝集し、水及び溶解した溶質を脂質二重層の間に封入する(Ghosh et al.,1991 Glycobiology 5:505−10)。しかしながら、通常の小胞構造と異なる構造を溶液で有する組成物も包含される。例えば、脂質は、ミセル構造であるか又は単に脂質分子の不均一凝集体として存在すると考えられ得る。リポフェクタミン−核酸複合体も考慮される。
外来性核酸を宿主細胞に導入するか又はそうでなければ細胞を本発明の阻害剤に曝露する方法に関係なく、宿主細胞における組み換えDNA配列の存在を確認するために多様なアッセイを行い得る。このようなアッセイは、例えば、サザン及びノーザンブロッティング、RT−PCR及びPCRなどの当業者に周知の「分子生物学的」アッセイ、薬剤の同定に使用するための、例えば免疫学的手段(ELISA及びウェスタンブロット)により、特定のペプチドの存在又は不在を検出するような「生化学的」アッセイ又は本発明の範囲内に入る本明細書に記載のアッセイを含む。
本発明は、CARコード化核酸分子を含むベクターを更に提供する。一態様において、CARベクターを細胞、例えばT細胞又はNK細胞に直接形質導入することができる。一態様において、ベクターは、クローニング又は発現ベクター、例えば1つ以上のプラスミド(例えば、発現プラスミド、クローニングベクター、ミニサークル、ミニベクター、二重微小染色体)、レトロウイルス及びレンチウイルスベクター構築物を含むが、これらに限定されないベクターである。一態様において、ベクターは、哺乳動物免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)においてCAR構築物の発現ができる。一態様において、哺乳動物T細胞は、ヒトT細胞である。一態様において、哺乳動物NK細胞は、ヒトNK細胞である。
細胞の供給源
増殖及び遺伝的改変又は他の改変前に細胞、例えばT細胞又はナチュラルキラー(NK)細胞の供給源を対象から得ることができる。用語「対象」は、免疫応答が惹起できる生存生物(例えば、哺乳動物)を含むことを意図する。対象の例は、ヒト、サル、チンパンジー、イヌ、ネコ、マウス、ラット及びそれらのトランスジェニック種を含む。T細胞は、末梢血単核細胞、骨髄、リンパ節組織、臍帯血、胸腺組織、感染部位からの組織、腹水、胸水、脾臓組織及び腫瘍を含む多数の供給源から得ることができる。
本開示の一態様において、免疫エフェクター細胞、例えばT細胞を、Ficoll(商標)分離など、当業者に知られるあらゆる技術を使用して、対象から採取した血液の単位から得ることができる。ある好ましい態様において、個体の循環血液からの細胞をアフェレーシスにより得る。アフェレーシス産物は、典型的にはT細胞、単球、顆粒球、B細胞、他の有核白血球を含むリンパ球、赤血球及び血小板を含む。一態様において、アフェレーシスにより採取した細胞は、血漿画分を除去し、且つ任意選択により細胞を続くプロセシング過程のために適切な緩衝液又は媒体に入れるためにするために洗浄され得る。一実施形態において、細胞をリン酸緩衝化食塩水(PBS)で洗浄する。別の実施形態において、洗浄溶液は、カルシウムを欠き、マグネシウムを欠き得るか、又は全てではないにしても多くの二価カチオンを欠き得る。
カルシウム非存在下の初期活性化過程は、活性化の増強に至り得る。当業者に容易に認識されるように、洗浄工程は、製造業者の指示に従う半自動化「フロースルー」遠心分離(例えば、Cobe 2991 cell processor、Baxter CytoMate又はHaemonetics Cell Saver 5)により達成され得る。洗浄後、細胞を、例えば無Ca、無MgPBS、PlasmaLyte A又は他の緩衝剤を含む又は含まない食塩水溶液など、多様な生体適合性緩衝液に再懸濁し得る。代わりに、アフェレーシス試料の望ましくない要素を除去し、細胞を培養培地に直接再懸濁し得る。
本出願の方法は、5%以下、例えば2%の、ヒトAB血清を含む培養培地条件を利用でき、既知培養培地条件及び組成物、例えばSmith et al.,“Ex vivo expansion of human T cells for adoptive immunotherapy using the novel Xeno−free CTS Immune Cell Serum Replacement”Clinical&Translational Immunology(2015)4,e31;doi:10.1038/cti.2014.31に記載のものを用い得ることが認識される。
一態様において、T細胞は、赤血球を溶解し、例えばPERCOLL(商標)勾配による遠心分離又は向流遠心溶出法により単球を枯渇させることにより、末梢血リンパ球から単離する。
本明細書に記載の方法は、例えば、本明細書に記載の、例えば陰性選択技術を使用する、例えばT制御性細胞枯渇集団、CD25+枯渇細胞である、免疫エフェクター細胞の特異的亜集団、例えばT細胞の選択を含み得る。好ましくは、T制御性枯渇細胞集団は、30%、25%、20%、15%、10%、5%、4%、3%、2%、1%未満のCD25+細胞を含む。
一実施形態において、T制御性細胞、例えばCD25+T細胞を、抗CD25抗体又はその断片又はCD25結合リガンド、IL−2を使用して集団から除去する。一実施形態において、抗CD25抗体又はその断片又はCD25結合リガンドを基質、例えばビーズにコンジュゲートするか又は他に基質、例えばビーズ上に被覆させる。一実施形態において、抗CD25抗体又はその断片を本明細書に記載の基質にコンジュゲートさせる。
一実施形態において、T制御性細胞、例えばCD25+T細胞を、Miltenyi(商標)からのCD25枯渇剤を使用して集団から除去する。一実施形態において、細胞対CD25枯渇剤の比は、1e7細胞対20μL、又は1e7細胞対15μL、又は1e7細胞対10μL、又は1e7細胞対5μL、又は1e7細胞対2.5μL、又は1e7細胞対1.25μLである。一実施形態において、例えばT制御性細胞、例えばCD25+枯渇のために5億細胞/mlを使用する。更なる態様において、6億、7億、8億又は9億細胞/mlの細胞濃度を使用する。
一実施形態において、枯渇すべき免疫エフェクター細胞集団は、約6×109CD25+T細胞を含む。他の態様において、枯渇すべき免疫エフェクター細胞集団は、約1×109〜1×1010(及びその間の任意の整数値)CD25+T細胞を含む。一実施形態において、得られたT制御性枯渇細胞集団は、2×109T制御性細胞、例えばCD25+細胞又はそれ未満(例えば、1×109、5×108、1×108、5×107、1×107又はそれ未満のCD25+細胞)を含む。
一実施形態において、T制御性細胞、例えばCD25+細胞を、例えばチュービング162−01など、枯渇チュービングセットと共にCliniMAC系を使用して集団から除去する。一実施形態において、CliniMAC系を例えばDEPLETION2.1などの枯渇設定において動かす。
特定の理論に拘束されることを望まないが、アフェレーシス前又はCAR発現細胞産物の製造中の対象における免疫細胞の負のレギュレーターのレベルの減少(例えば、望まない免疫細胞、例えばTREG細胞の数の減少)は、対象の再発リスクを減らし得る。例えば、TREG細胞を枯渇する方法は、当技術分野で知られている。例えば、TREG細胞を減少させる方法は、シクロホスファミド、抗GITR抗体(抗GITR本明細書に記載の抗体)、CD25枯渇及びそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。
一部の実施形態において、製造法は、CAR発現細胞製造前のTREG細胞の数の減少(例えば、枯渇)を含む。例えば、製造法は、例えば、試料、例えばアフェレーシス試料を抗GITR抗体及び/又は抗CD25抗体(又はその断片又はCD25結合リガンド)と接触させ、CAR発現細胞(例えば、T細胞、NK細胞)産物の製造前にTREG細胞を枯渇させることを含む。
一実施形態において、対象は、CAR発現細胞産物製造のための細胞採取前にTREG細胞を減らす1つ以上の治療で前処置されており、それにより対象がCAR発現細胞処置を再び必要とするリスクを軽減する。一実施形態において、TREG細胞を低減する方法は、対象へのシクロホスファミド、抗GITR抗体、CD25枯渇又はこれらの組み合わせの1つ以上の投与を含むが、これらに限定されない。シクロホスファミド、抗GITR抗体、CD25枯渇又はこれらの組み合わせの1つ以上の投与は、CAR発現細胞産物注入前、注入中又は注入後に行われ得る。
一実施形態において、対象は、CAR発現細胞産物製造のための細胞の採取前にシクロホスファミドで前処置され、それにより対象がCAR発現細胞処置を再発するリスクを軽減する。一実施形態において、対象は、CAR発現細胞産物製造のための細胞の採取前に抗GITR抗体で前処置され、それにより対象がCAR発現細胞処置を再発するリスクを軽減する。
一実施形態において、除去すべき細胞集団は、制御性T細胞又は腫瘍細胞ではなく、CART細胞の増殖及び/又は機能に他に負に影響する細胞、例えばCD14、CD11b、CD33、CD15又は潜在的免疫抑制性細胞により発現される他のマーカーを発現する細胞である。一実施形態において、このような細胞は、制御性T細胞及び/又は腫瘍細胞と同時に、又は前記枯渇後に、又は別の順番で除去することが意図される。
本明細書に記載の方法は、2つ以上の選択工程、例えば2つ以上の枯渇工程を含み得る。陰性選択によるT細胞集団の富化は、例えば、陰性に選択される細胞に独特な表面マーカーを指向する抗体の組み合わせにより達成できる。1つの方法は、陰性に選択される細胞に存在する細胞表面マーカーを指向するモノクローナル抗体のカクテルを使用する陰性磁気免疫粘着又はフローサイトメトリーによる細胞選別及び/又は選択である。例えば、陰性選択によりCD4+細胞を富化するために、モノクローナル抗体カクテルは、CD14、CD20、CD11b、CD16、HLA−DR及びCD8に対する抗体を含み得る。
本明細書に記載の方法は、腫瘍抗原、例えばCD25を含まない腫瘍抗原、例えばCD19、CD30、CD38、CD123、CD20、CD14又はCD11bを発現する細胞集団からの除去を更に含み、それによりCAR、例えば本明細書に記載のCARの発現に適するT制御性枯渇、例えばCD25+枯渇及び腫瘍抗原枯渇細胞集団を提供する。一実施形態において、腫瘍抗原発現細胞は、T制御性、例えばCD25+細胞と同時に除去される。例えば、抗CD25抗体又はその断片及び抗腫瘍抗原抗体又はその断片を同じ基質、例えばビーズに結合でき、これを細胞の除去に使用でき、又は抗CD25抗体又はその断片及び抗腫瘍抗原抗体又はその断片を別のビーズに結合でき、その混合物を細胞の除去に使用できる。他の実施形態において、T制御性細胞、例えばCD25+細胞の除去及び腫瘍抗原発現細胞の除去は、逐次的であり、例えばいずれの順番でも生じ得る。
チェックポイント阻害剤、例えば本明細書に記載のチェックポイント阻害剤を発現する細胞、例えばPD1+細胞、LAG3+細胞及びTIM3+細胞の1つ以上の集団からの除去を含み、それによりT制御性枯渇、例えばCD25+枯渇細胞及びチェックポイント阻害剤枯渇細胞、例えばPD1+、LAG3+及び/又はTIM3+枯渇細胞集団を提供する方法も提供される。例示的なチェックポイント阻害剤は、B7−H1、B7−1、CD160、P1H、2B4、PD1、TIM3、CEACAM(例えば、CEACAM−1、CEACAM−3及び/又はCEACAM−5)、LAG3、TIGIT、CTLA−4、BTLA及びLAIR1を含む。一実施形態において、チェックポイント阻害剤発現細胞は、T制御性、例えばCD25+細胞と同時に除去される。例えば、抗CD25抗体又はその断片及び抗チェックポイント阻害剤抗体又はその断片を同じビーズに結合でき、それを細胞の除去に使用でき、又は抗CD25抗体又はその断片及び抗チェックポイント阻害剤抗体又はその断片を別のビーズに結合でき、その混合物を細胞の除去に使用できる。他の実施形態において、T制御性細胞、例えばCD25+細胞の除去及びチェックポイント阻害剤発現細胞の除去は、逐次的であり、例えばいずれ順序の順番でも生じ得る。
本明細書に記載の方法は、陽性選択工程を含み得る。例えば、T細胞を、所望のT細胞の陽性選択に十分な時間、DYNABEADS(登録商標)M−450 CD3/CD28 Tなどの抗CD3/抗CD28(例えば、3×28)コンジュゲートビーズとインキュベーションすることにより単離することができる。一実施形態において、時間は、約30分である。更なる実施形態において、時間は、30分〜36時間又はそれより長い範囲及びその間の任意の整数値である。更なる実施形態において、時間は、少なくとも1時間、2時間、3時間、4時間、5時間又は6時間である。更に別の実施形態において、時間は、10〜24時間、例えば24時間である。腫瘍組織又は免疫不全状態個体から腫瘍浸潤性リンパ球(TIL)を単離するような、他の細胞型と比較してT細胞が少ないあらゆる状況において、T細胞を単離するために長いインキュベーション時間が使用され得る。更に、長いインキュベーション時間の使用は、CD8+T細胞の捕獲効率を高め得る。そのため、単にT細胞をCD3/CD28ビーズと結合させる時間を短くするか若しくは長くし、且つ/又はビーズ対T細胞比を増加若しくは減少させる(更に本明細書に記載の通り)ことにより、T細胞の亜集団は、培養開始時又は過程中の他の時点で優先的に選択され得る。更に、ビーズ又は他の表面上の抗CD3及び/又は抗CD28抗体比を増加又は減少させることにより、T細胞の亜集団は、培養開始時又は工程中の他の時点で優先的に選択され得る。
一実施形態において、T細胞IFN−γ、TNFα、IL−17A、IL−2、IL−3、IL−4、GM−CSF、IL−10、IL−13、グランザイムB及びパーフォリン又は他の適切な分子、例えば他のサイトカインの1つ以上を発現するT細胞集団を選択できる。細胞発現についてスクリーニングする方法は、例えば、国際公開第2013/126712号パンフレットに記載する方法により決定できる。
陽性又は陰性選択により所望の細胞集団を単離するために、細胞及び表面(例えば、ビーズなどの粒子)の濃度は、変わり得る。一態様において、細胞とビーズとの最大接触を確実にするために、ビーズと細胞とを一緒に混合する体積を有意に低下させる(例えば、細胞濃度を増加させる)ことが望まれ得る。例えば、一態様において、100億細胞/ml、90億細胞/ml、80億細胞/ml、70億細胞/ml、60億細胞/ml又は50億細胞/mlの濃度を使用する。一態様において、10億細胞/mlの濃度を使用する。更なる態様において、細胞の7500万、8000万、8500万、9000万、9500万又は1億細胞/mlの濃度を使用する。更なる態様において、1億2500万又は1億5000万細胞/mlの濃度を使用できる。
高濃度を使用して細胞収率、細胞活性化及び細胞増殖を増加できる。更に、高細胞濃度の使用は、CD28陰性T細胞などの目的の標的抗原を弱く発現し得る細胞の、又は多くの腫瘍細胞が存在する試料(例えば、白血病性血液、腫瘍組織など)からのより効率的な捕獲を可能にする。このような細胞集団は、治療的価値を有し得、取得することが望ましい。例えば、高濃度細胞の使用は、通常CD28発現が弱いCD8+T細胞のより効率的な選択を可能にする。
関連する態様において、低濃度の細胞を使用することが望ましいことがある。T細胞と表面(例えば、ビーズなどの粒子)との混合物を有意に希釈することにより、粒子と細胞との相互作用が最小化される。これは、粒子に結合する所望の抗原を高量で発現する細胞で選択する。例えば、CD4+T細胞は、高レベルのCD28を発現し、希釈濃度でCD8+T細胞より効率的に捕獲される。一態様において、使用する細胞の濃度は5×106/mlである。他の態様において、使用する濃度は約1×105/ml〜1×106/ml及びその間の任意の整数値であり得る。
他の態様において、細胞を、種々の長さの時間、種々の速度で2〜10℃又は室温においてローテータでインキュベートし得る。
刺激のためのT細胞は、洗浄工程後にも凍結され得る。理論に拘束されることを望まないが、凍結と続く解凍工程は、細胞集団から顆粒球及びある程度単球を除去することにより、より均一な産物を提供する。血漿及び血小板を除去する洗浄工程後、細胞を凍結溶液に懸濁し得る。多くの凍結溶液及びパラメータが当技術分野で知られ、これに関連して有用であるが、ある方法は、20%DMSO及び8%ヒト血清アルブミンを含むPBS又は10%Dextran 40及び5%デキストロース、20%ヒト血清アルブミン及び7.5%DMSO又は31.25%Plasmalyte−A、31.25%デキストロース5%、0.45%NaCl、10%Dextran 40及び5%デキストロース、20%ヒト血清アルブミン及び7.5%DMSOを含む培養培地又は例えばHespan及びPlasmaLyte Aを含む他の適当な細胞凍結媒体を使用し、次いで細胞を1°/分の速度で−80℃に凍結し、気相の液体窒素貯蔵タンクに保存する。制御凍結の他の方法並びに直接−20℃又は液体窒素の非制御凍結も使用できる。
一態様において、凍結保存細胞を本明細書に記載のように解凍し、洗浄し、本発明の方法を使用する活性化前に室温で1時間休息させる。
本発明に関連して、本明細書に記載の増殖細胞が必要となり得る時点の前の期間における対象からの血液試料又はアフェレーシス産物の収集も企図されている。従って、増殖する細胞の供給源を必要な任意の時点で採取でき、T細胞などの所望の細胞を、本明細書に記載のものなどの免疫細胞療法からの利益があるであろう任意の数の疾患及び状態について、免疫細胞療法におけるその後の使用のために単離及び凍結できる。一態様において、血液試料又はアフェレーシスを一般に健常対象から採取する。一態様において、血液試料又はアフェレーシスを、一般に、疾患を発症するリスクにあるが、依然として疾患を発症していない健常対象から採取し、目的の細胞をその後の使用のために単離及び凍結する。一態様において、T細胞をその後の時点で増殖、凍結及び使用し得る。一態様において、試料を、本明細書に記載の特定の疾患の診断の直後に、しかし、何らかの処置前に患者から採取する。更なる態様において、ナタリズマブ、エファリズマブ、抗ウイルス剤、化学療法剤、放射線、シクロスポリン、アザチオプリン、メトトレキサート、ミコフェノレート及びFK506などの免疫抑制剤、CAMPATH、抗CD3抗体、シトキサン、フルダラビン、シクロスポリン、FK506、ラパマイシン、ミコフェノール酸、ステロイド、FR901228及び照射などの抗体又は他の免疫除去剤による処置を含むが、これらに限定されない、任意の数の関連する処置モダリティの前に対象からの血液試料又はアフェレーシスから細胞を単離する。
本発明の更なる態様において、T細胞を、対象に機能的T細胞を残す処置後、患者から直接得る。ある癌処置、特に免疫系を損傷させる薬物での処置後、処置の直後、患者が、通常、その処置から回復するまでの間、得られるT細胞の品質がエクスビボで増殖する能力について最適であり得るか又は改善され得ることが観察されている。同様に、本明細書に記載の方法を使用するエクスビボ操作後、これらの細胞は、生着及びインビボ増殖増強について好ましい状態であり得る。そのため、本発明に関連して、T細胞、樹状細胞又は造血細胞系統の他の細胞を含む血液細胞をこの回復期に採取することが企図される。更に、一態様において、可動化(例えば、GM−CSFでの可動化)及びコンディショニングレジメンを使用して、特定の細胞型の再増殖、再循環、再生及び/又は増殖に好都合である条件を、特に治療後の定められた時間枠中に対象に形成できる。細胞型の例は、T細胞、B細胞、樹状細胞及び免疫系の他の細胞を含む。
一実施形態において、免疫エフェクターCAR分子を発現する細胞、例えば本明細書に記載のCAR分子は、低い免疫増強用量のmTOR阻害剤を受けた対象から得る。一実施形態において、CARを発現するように操作される免疫エフェクター細胞集団、例えばT細胞を、対象又は対象から採取したPD1陰性免疫エフェクター細胞、例えばT細胞のレベル又はPD1陰性免疫エフェクター細胞、例えばT細胞/PD1陽性免疫エフェクター細胞、例えばT細胞の比が少なくとも一過性に増加するように、低い免疫増強用量のmTOR阻害剤の投薬から十分な時間後又は十分な用量の後に採取する。
他の実施形態において、CARを発現するように操作されているか又は操作する免疫エフェクター細胞、例えばT細胞集団を、PD1陰性免疫エフェクター細胞、例えばT細胞の数を増やすか又はPD1陰性免疫エフェクター細胞、例えばT細胞/PD1陽性免疫エフェクター細胞、例えばT細胞の比を増やす量のmTOR阻害剤と接触させることにより、エクスビボで処理できる。
一実施形態において、T細胞集団は、ジアシルグリセロールキナーゼ(DGK)欠損である。DGK欠損細胞は、DGK RNA又はタンパク質を発現しないか、又はDGK活性が低下した又は阻害された細胞である。DGK欠損細胞は、DGK発現を低減又は阻止するための遺伝的方法、例えばRNA干渉剤、例えばsiRNA、shRNA、miRNAの投与により産生できる。代わりに、DGK欠損細胞は、本明細書に記載のDGK阻害剤での処置により産生できる。
一実施形態において、T細胞集団は、イカロス欠損である。イカロス欠損細胞は、イカロスRNA又はタンパク質を発現しないか、又はイカロス活性が低下した又は阻害された細胞を含み、イカロス欠損細胞は、イカロス発現を低減又は阻止するための遺伝的方法、例えばRNA干渉剤、例えばsiRNA、shRNA、miRNAの投与により産生できる。代わりに、イカロス欠損細胞は、イカロス阻害剤、例えばレナリドマイドでの処置により産生できる。
実施形態において、T細胞集団は、DGK欠損及びイカロス欠損であり、例えばDGK及びイカロスを発現せず、又はDGK及びイカロス活性が低下又は阻害されている。このようなDGK及びイカロス欠損細胞は、本明細書に記載の方法のいずれかにより産生できる。
一実施形態において、NK細胞を対象から得る。別の実施形態において、NK細胞は、NK細胞株、例えばNK−92細胞株(Conkwest)である。
同種CAR
本明細書に記載の実施形態において、免疫エフェクター細胞は、同種免疫エフェクター細胞、例えばT細胞又はNK細胞であり得る。例えば、細胞は、同種T細胞、例えば機能的T細胞受容体(TCR)及び/又はヒト白血球抗原(HLA)、例えばHLAクラスI及び/又はHLAクラスIIの発現を欠く同種T細胞である。
機能的TCRを欠くT細胞は、例えば、その表面に何ら機能的TCRを発現しないように操作され、機能的TCRを含む1つ以上のサブユニットを発現しないように操作され、又はその表面に微少の機能的TCRを産生するように操作され得る。代わりに、T細胞は、例えば、TCRのサブユニットの1つ以上の変異した又は切断型の発現により、実質的に障害されたTCRを発現し得る。用語「実質的に障害されたTCR」は、このTCRが宿主で有害な免疫反応を惹起しないことを意味する。
本明細書に記載のT細胞は、例えば、その表面に機能的HLAを発現しないように操作され得る。例えば、本明細書に記載のT細胞は、細胞表面発現HLA、例えばHLAクラス1及び/又はHLAクラスIIが下方制御されるように操作され得る。
一部の実施形態において、T細胞は、機能的TCR及び機能的HLA、例えばHLAクラスI及び/又はHLAクラスIIを欠き得る。
機能的TCR及び/又はHLAの発現を欠く修飾T細胞は、TCR又はHLAの1つ以上のサブユニットのノックアウト又はノックダウンを含む任意の適当な手段により得ることができる。例えば、T細胞は、siRNA、shRNA、群生性等間隔短回文反復配列(CRISPR)転写アクティベーター様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)又は亜鉛フィンガーエンドヌクレアーゼ(ZFN)を使用したTCR及び/又はHLAのノックダウンを含み得る。
一部の実施形態において、同種細胞は、例えば、本明細書に記載の方法のいずれかにより、阻害性分子を発現しないか又は低レベルで発現する細胞であり得る。例えば、細胞は、例えば、CAR発現細胞が免疫エフェクター応答を開始する能力を低下できる、阻害分子を発現しないか又は阻害分子を低レベルで発現する細胞であり得る。阻害分子の例は、PD1、PD−L1、CTLA4、TIM3、CEACAM(例えば、CEACAM−1、CEACAM−3及び/又はCEACAM−5)、LAG3、VISTA、BTLA、TIGIT、LAIR1、CD160、2B4及びTGFβを含む。DNA、RNA又はタンパク質レベルでの阻害による阻害分子の阻害は、CAR発現細胞性能を最適化できる。実施形態において、例えば本明細書に記載の阻害性核酸、例えば阻害性核酸、例えばdsRNA、例えばsiRNA又はshRNA、群生性等間隔短回文反復配列(CRISPR)、転写アクティベーター様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)又は亜鉛フィンガーエンドヌクレアーゼ(ZFN)を使用できる。
TCR又はHLAを阻害するためのsiRNA及びshRNA
一部の実施形態において、TCR発現及び/又はHLA発現を、細胞、例えばT細胞におけるTCR及び/又はHLAをコードする核酸を標的とするsiRNA又はshRNAを使用して阻害できる。
T細胞におけるsiRNA及びshRNAの発現は、例えば、レンチウイルス発現系などの任意の慣用の発現系を使用して達成できる。
TCRの要素の発現を下方制御する代表的shRNAは、例えば、米国特許出願公開第2012/0321667号明細書に記載されている。HLAクラスI及び/又はHLAクラスII遺伝子の発現を下方制御する代表的siRNA及びshRNAは、例えば、米国特許出願公開第2007/0036773号明細書に開示されている。
TCR又はHLAを阻害するためのCRISPR
本明細書で使用する「CRISPR」、又は「TCR及び/又はHLAに対するCRISPR」、又は「TCR及び/又はHLAを阻害するためのCRISPR」は、一連の群生性等間隔短回文反復配列又はこのような一連の反復を含む系を指す。本明細書で使用する「Cas」は、CRISPR関連タンパク質を指す。「CRISPR/Cas」系は、TCR及び/又はHLA遺伝子の発現抑制又は変異に使用できる、CRISPR及びCas由来の系を指す。
天然に存在するCRISPR/Cas系は、配列決定された真正細菌ゲノムの約40%及び配列決定された古細菌の90%に見られる。Grissa et al.(2007)BMC Bioinformatics 8:172。この系は、プラスミド及びファージなどの外来遺伝的要素に対する抵抗性を付与する一種の原核生物免疫系であり、後天性免疫の型を提供する。Barrangou et al.(2007)Science 315:1709−1712;Marragini et al.(2008)Science 322:1843−1845。
CRISPR/Cas系は、マウス又は霊長類などの真核生物における遺伝子編集(特定の遺伝子のサイレンシング、増強又は変更)に使用するために改変されている。Wiedenheft et al.(2012)Nature 482:331−8。これは、真核細胞に、特別に設計したCRISPR及び1つ以上の適切なCasを含むプラスミドを導入することにより達成される。
CRISPR座位と呼ばれることもあるCRISPR配列は、交互の反復及びスペーサーを含む。天然に存在するCRISPRにおいて、スペーサーは、通常細菌に対して外来であるプラスミド又はファージ配列などの配列を含み、TCR及び/又はHLA CRISPR/Cas系において、スペーサーは、TCR又はHLA遺伝子配列に由来する。
CRISPR座位からのRNAは、構成的に発現され、Casタンパク質により小RNAに加工される。これらは、反復配列が隣接したスペーサーを含む。RNAは、他のCasタンパク質をRNA又はDNAレベルで外来性遺伝的要素に対して発現抑制するように導く。Horvath et al.(2010)Science 327:167−170;Makarova et al.(2006)Biology Direct 1:7。スペーサーは、そのため、siRNAに類似して、RNA分子のテンプレートとしての役割を果たす。Pennisi(2013)Science 341:833−836。
多くの異なるタイプの細菌で自然に生じるように、CRISPRの正確な配置及び構造、Cas遺伝子の機能及び数及びそれらの産物は、種毎にいくぶん異なる。Haft et al.(2005)PLoS Comput.Biol.1:e60;Kunin et al.(2007)Genome Biol.8:R61;Mojica et al.(2005)J.Mol.Evol.60:174−182;Bolotin et al.(2005)Microbiol.151:2551−2561;Pourcel et al.(2005)Microbiol.151:653−663;及びStern et al.(2010)Trends.Genet.28:335−340。例えば、Cse(Casサブタイプ、大腸菌(E.coli))タンパク質(例えば、CasA)は、機能的複合体、Cascadeを形成し、これは、CRISPR RNA転写物を、Cascadeが保持するスペーサー−反復単位に処理する。Brouns et al.(2008)Science 321:960−964。他の原核生物において、Cas6は、CRISPR転写物を加工する。大腸菌(E.coli)におけるCRISPRベースのファージ不活性化は、Cascade及びCas3を必要とするが、Cas1又はCas2を必要としない。パイロコッカス・フリオサス(Pyrococcus furiosus)及び他の原核生物におけるCmr(Cas RAMPモジュール)タンパク質は、小CRISPR RNAと機能的複合体を形成し、これは相補性標的RNAを認識し、切断する。より単純なCRISPR系は、二重らせんの各鎖のための2活性切断部位を有するヌクレアーゼであるタンパク質Cas9に依存する。Cas9と修飾CRISPR遺伝子座RNAの組み合わせを遺伝子編集のための系に使用できる。Pennisi(2013)Science 341:833−836。
CRISPR/Cas系を使用して、TCR及び/又はHLA遺伝子を編集でき、(塩基対の付加又は欠失)又は未成熟終止を導入でき、これは、そうしてTCR及び/又はHLAの発現を減少させる。代わりに、CRISPR/Cas系をRNA干渉のように使用し、TCR及び/又はHLA遺伝子を可逆性形式でオフにできる。哺乳動物細胞において、例えば、RNAは、Casタンパク質をTCR及び/又はHLAプロモーターに導くことができ、RNAポリメラーゼを立体的に遮断する。
当技術分野で知られる技術、例えば米国特許出願公開第20140068797号明細書及びCong(2013)Science 339:819−823に記載のものを使用して、TCR及び/又はHLAを阻害する人工CRISPR/Cas系を産生できる。例えば、Tsai(2014)Nature Biotechnol.,32:6 569−576、米国特許第8,871,445号明細書;同第8,865,406号明細書;同第8,795,965号明細書;同第8,771,945号明細書;及び同第8,697,359号明細書に記載されるもののような、TCR及び/又はHLAを阻害する当技術分野で知られる他の人工CRISPR/Cas系も産生できる。
TCR及び/又はHLAを阻害するためのTALEN
「TALEN」、又は「HLA及び/又はTCRに対するTALEN」、又は「HLA及び/又はTCRを阻害するTALEN」は、HLA及び/又はTCR遺伝子の編集に使用できる人工ヌクレアーゼである転写アクティベーター様エフェクターヌクレアーゼを指す。
TALENは、TALエフェクターDNA結合ドメインとDNA切断ドメインを融合することにより人工的に産生される。転写アクティベーター様効果(TALE)は、HLA又はTCR遺伝子の部分を含む、任意の所望のDNA配列に結合するように操作できる。操作されたTALEとDNA開裂ドメインを合わせることにより、HLA又はTCR配列を含む、任意の所望のDNA配列に特異的な制限酵素を産生できる。次いで、これらを細胞に導入でき、そこで、それらは、ゲノム編集のために使用され得る。Boch(2011)Nature Biotech.29:135−6;及びBoch et al.(2009)Science 326:1509−12;Moscou et al.(2009)Science 326:3501。
TALEは、ザントモナス細菌により分泌されるタンパク質である。DNA結合ドメインは、12番目及び13番目のアミノ酸以外、反復した高度に保存的な33〜34アミノ酸配列を含む。これらの2箇所は、高度に可変であり、特定のヌクレオチド認識と強い相関を示す。それらは、従って、所望のDNA配列と結合するように操作され得る。
TALENを産生するために、TALEタンパク質を、野生型又は変異FokIエンドヌクレアーゼであるヌクレアーゼ(N)と融合する。TALENにおいて使用するために、FokIについていくつかの変異が行われており、これらは、例えば、切断特異性又は活性の改善を含む。Cermak et al.(2011)Nucl.Acids Res.39:e82;Miller et al.(2011)Nature Biotech.29:143−8;Hockemeyer et al.(2011)Nature Biotech.29:731−734;Wood et al.(2011)Science 333:307;Doyon et al.(2010)Nature Methods 8:74−79;Szczepek et al.(2007)Nature Biotech.25:786−793;及びGuo et al.(2010)J.Mol.Biol.200:96。
FokIドメインは、二量体として機能し、適切な配向及び間隔を有する標的ゲノムにおける部位のための独特なDNA結合ドメインを有する2つの構築物を必要とする。TALE DNA結合ドメインとFokI切断ドメインとの間のアミノ酸残基数及び2の個々のTALEN結合部位の間の塩基数の両方が高レベルの活性を達成するために重要なパラメータであると考えられる。Miller et al.(2011)Nature Biotech.29:143−8。
HLA又はTCR TALENを細胞内で使用して二重鎖切断(DSB)を産生できる。変異は、修復機構が切断を非相同末端結合により不適切に修復する場合、切断部位に導入できる。例えば、不適切な修復は、フレームシフト変異を導入し得る。代わりに、外来DNAをTALENと共に細胞に導入でき、外来DNAの配列及び染色体配列により、この方法は、HLA又はTCR遺伝子における欠損の補正、又はwt HLA、又はTCR遺伝子におけるこのような欠損の導入に使用でき、そうしてHLA又はTCRの発現を減少させる。
HLA又はTCRにおける配列に特異的なTALENは、モジュラー要素を使用する多様なスキームを含む、当技術分野で知られる任意の方法を使用して構築できる。Zhang et al.(2011)Nature Biotech.29:149−53;Geibler et al.(2011)PLoS ONE 6:e19509。
HLA及び/又はTCRを阻害するためのジンクフィンガーヌクレアーゼ
「ZFN」又は「ジンクフィンガーヌクレアーゼ」又は「HLA及び/又はTCRに対するZFN」又は「HLA及び/又はTCRを阻害するZFN」は、HLA及び/又はTCR遺伝子の編集に使用できる人工ヌクレアーゼであるジンクフィンガーヌクレアーゼを指す。
TALENと同様、ZFNは、DNA結合ドメインに融合したFokIヌクレアーゼドメイン(又はその誘導体)を含む。ZFNの場合、DNA結合ドメインは、1つ以上のジンクフィンガーを含む。Carroll et al.(2011)Genetics Society of America 188:773−782;及びKim et al.(1996)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 93:1156−1160。
ジンクフィンガーは、1つ以上の亜鉛イオンにより安定化される小タンパク質構造モチーフである。ジンクフィンガーは、例えば、Cys2His2を含むことができ、約3bp配列を認識できる。既知特異性の種々のジンクフィンガーを合わせて、約6bp、9bp、12bp、15bp又は18bp配列を認識する多フィンガーポリペプチドを産生できる。ファージディスプレイ、酵母ワンハイブリッド系、細菌ワンハイブリッド及びツーハイブリッド系及び哺乳動物細胞を含む、特異的配列を認識するジンクフィンガー(及びそれらの組み合わせ)を産生するための種々の選択及びモジュラーアセンブリー技術が利用可能である。
TALENと同様、ZFNは、DNAを切断するために二量体化しなければならない。そのため、ZFNの対が非パリンドロームDNA部位を標的とすることが必要である。2の各々のZFNは、そのヌクレアーゼが適切に離れて、DNAの逆の鎖に結合しなければならない。Bitinaite et al.(1998)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 95:10570−5。
またTALENと同様、ZFNは、DNAに二重鎖切断を創製でき、これは、不適切に修復された場合にフレームシフト変異を創製でき、細胞におけるHLA及び/又はTCRの発現及び量の減少に至る。ZFNは、HLA又はTCR遺伝子における変異のために相同組換えとも使用できる。
HLA及び/又はTCRにおける配列に特異的なZFNは、当技術分野で知られる任意の方法を使用して構築できる。例えば、Provasi(2011)Nature Med.18:807−815;Torikai(2013)Blood 122:1341−1349;Cathomen et al.(2008)Mol.Ther.16:1200−7;Guo et al.(2010)J.Mol.Biol.400:96;米国特許出願公開第2011/0158957号明細書;及び米国特許出願公開第2012/0060230号明細書を参照されたい。
テロメラーゼ発現
何らかの特定の理論に拘束されることを望まないが、一実施形態において、治療的T細胞は、T細胞における短縮されたテロメアのために患者における残留性が短く、従って、テロメラーゼ遺伝子を用いるトランスフェクションは、T細胞のテロメアを延長し、患者におけるT細胞の残留性を改善し得る。Carl June,“Adoptive T cell therapy for cancer in the clinic”,Journal of Clinical Investigation,117:1466−1476(2007)を参照されたい。そのため、一実施形態において、免疫エフェクター細胞、例えばT細胞、異所性にテロメラーゼサブユニット、例えばテロメラーゼの触媒的サブユニット、例えばTERT、例えばhTERTを発現する。いくつかの態様において、本開示は、細胞をテロメラーゼサブユニット、例えばテロメラーゼの触媒的サブユニット、例えばTERT、例えばhTERTをコードする核酸と接触させることを含む、CAR発現細胞を産生する方法を提供する。細胞を、CARをコードする構築物と接触させる前に、同時に又は後に核酸と接触させ得る。
一態様において、本開示は、免疫エフェクター細胞集団(例えば、T細胞、NK細胞)を製造する方法に関する。一実施形態において、本方法は、免疫エフェクター細胞集団(例えば、T細胞又はNK細胞)を提供し、免疫エフェクター細胞集団を、CARをコードする核酸と接触させ、免疫エフェクター細胞集団をテロメラーゼサブユニット、例えばhTERTをコードする核酸と、CAR及びテロメラーゼ発現を可能とする条件下で接触させることを含む。
一実施形態において、テロメラーゼサブユニットをコードする核酸は、DNAである。一実施形態において、テロメラーゼサブユニットをコードする核酸は、テロメラーゼサブユニットの発現を駆動できるプロモーターを含む。
一実施形態において、hTERTは、以下のようにGenBank Protein ID AAC51724.1のアミノ酸配列を有する(Meyerson et al.,“hEST2,the Putative Human Telomerase Catalytic Subunit Gene,Is Up−Regulated in Tumor Cells and during Immortalization”Cell Volume 90,Issue 4,22 August 1997,Pages 785−795)。
一実施形態において、hTERTは、配列番号63の配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、96^、97%、98%又は99%同一の配列を有する。一実施形態において、hTERTは、配列番号63の配列を有する。一実施形態において、hTERTは、N末端、C末端又は両方に欠失(例えば、5、10、15、20又は30アミノ酸以下)を含む。一実施形態において、hTERTは、N末端、C末端又は両方にトランスジェニックアミノ酸配列(例えば、5、10、15、20又は30アミノ酸以下)を含む。
一実施形態において、hTERTは、GenBank受託番号AF018167の核酸配列によりコードされる(Meyerson et al.,“hEST2,the Putative Human Telomerase Catalytic Subunit Gene,Is Up−Regulated in Tumor Cells and during Immortalization”Cell Volume 90,Issue 4,22 August 1997,Pages 785−795)。
一実施形態において、hTERTは、配列番号64の配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、96、97%、98%又は99%同一である配列を有する核酸によりコードされる。一実施形態において、hTERTは、配列番号64の核酸によりコードされる。
免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞)の活性化及び増殖
T細胞などの免疫エフェクター細胞は、例えば、米国特許第6,352,694号明細書;同第6,534,055号明細書;同第6,905,680号明細書;同第6,692,964号明細書;同第5,858,358号明細書;同第6,887,466号明細書;同第6,905,681号明細書;同第7,144,575号明細書;同第7,067,318号明細書;同第7,172,869号明細書;同第7,232,566号明細書;同第7,175,843号明細書;同第5,883,223号明細書;同第6,905,874号明細書;同第6,797,514号明細書;同第6,867,041号明細書;及び米国特許出願公開第20060121005号明細書に記載する方法を使用して、一般的に活性化及び増殖できる。
一般に、免疫エフェクター細胞、例えばT制御性細胞枯渇細胞の集団を、CD3/TCR複合体結合シグナルを刺激する薬剤が結合したその表面と、T細胞の表面上の共刺激性分子を刺激するリガンドを接触させることにより増殖できる。特に、T細胞集団は、表面上に固定された抗CD3抗体若しくはその抗原結合断片又は抗CD2抗体との接触又はカルシウムイオノフォアと組み合わせたタンパク質キナーゼCアクティベータ(例えば、ブリオスタチン)との接触により、本明細書に記載のように刺激し得る。T細胞表面上のアクセサリー分子の共刺激のために、アクセサリー分子と結合するリガンドである。例えば、T細胞集団を、T細胞の増殖刺激に適する条件下で抗CD3抗体及び抗CD28抗体と接触させ得る。CD4+T細胞又はCD8+T細胞の増殖を刺激するために、抗CD3抗体及び抗CD28抗体を使用できる。抗CD28抗体の例は、9.3、B−T3、XR−CD28を含み(Diaclone,Besancon,France)、当技術分野で一般に知られる他の方法のように使用できる(Berg et al.,Transplant Proc.30(8):3975−3977,1998;Haanen et al.,J.Exp.Med.190(9):13191328,1999;Garland et al.,J.Immunol Meth.227(1−2):53−63,1999)。
一態様において、T細胞のための一次刺激シグナル及び共刺激シグナルは、異なるプロトコルにより提供され得る。例えば、各シグナルを提供する薬剤は、溶液中でも表面と結合し得る。表面に結合しているとき、薬剤は、同じ表面(即ち「シス」形態)又は別の表面(即ち「トランス」形態)に結合し得る。代わりに、一方の薬剤が表面に結合し、他方が溶液にあり得る。一態様において、共刺激シグナルを提供する薬剤は、細胞表面に結合し、一次活性化シグナルを提供する薬剤は、溶液中であるか又は表面と結合する。一態様において、両剤は、溶液中にあり得る。一態様において、薬剤は、不溶性形態であり、Fc受容体又は抗体又は薬剤と結合する他の結合剤を発現する細胞などの表面に架橋され得る。この点に関して、例えば本発明におけるT細胞の活性化及び増殖のために意図される人工抗原提示細胞(aAPC)について、米国特許出願公開第20040101519号明細書及び同第20060034810号明細書を参照されたい。
一態様において、2剤は、ビーズに、同じビーズ、即ち「シス」又は別のビーズ、即ち「トランス」で固定化される。例として、一次活性化シグナルを提供する薬剤は、抗CD3抗体又はその抗原結合断片であり、共刺激シグナルを提供する薬剤は、抗CD28抗体又はその抗原結合断片であり、両剤は、均等な分子量で同じビーズに共固定化される。一態様において、CD4+T細胞増殖及びT細胞増殖のためのビーズに結合した1:1比の各抗体を使用する。本発明の一態様において、1:1比を使用して観察された増殖と比較して、T細胞増殖の増殖が観察されるように、ビーズに結合した抗CD3:CD28抗体の比を使用する。特定の一態様において、1:1比を使用して観察された増殖と比較して約1〜約3倍増加が観察される。一態様において、ビーズに結合したCD3:CD28抗体比は、100:1〜1:100及びその間の全ての整数値の範囲である。一態様において、抗CD3抗体より多くの抗CD28抗体が粒子に結合しており、即ちCD3:CD28比が1未満である。一態様において、ビーズに結合した抗CD28抗体対抗CD3抗体比は、2:1より大きい。特定の一態様において、ビーズに結合した1:100 CD3:CD28比の抗体を使用する。一態様において、ビーズに結合した1:75 CD3:CD28比の抗体を使用する。更なる態様において、ビーズに結合した1:50 CD3:CD28比の抗体を使用する。一態様において、ビーズに結合した1:30 CD3:CD28比の抗体を使用する。ある好ましい態様において、ビーズに結合した1:10 CD3:CD28比の抗体を使用する。一態様において、ビーズに結合した1:3 CD3:CD28比の抗体を使用する。更なる態様において、ビーズに結合した3:1 CD3:CD28比の抗体を使用する。
1:500〜500:1及びその間の任意の整数値の粒子対細胞比をT細胞又は他の標的細胞の刺激のために使用し得る。当業者に容易に認識され得るように、粒子対細胞比は、標的細胞に対する粒子径に依存し得る。例えば、小さいサイズのビーズは、少ない細胞にのみ結合でき、大きいビーズは、多く結合できる。一態様において、細胞対粒子比は、1:100〜100:1及びその間の任意の整数値の範囲であり、更なる態様において1:9〜9:1及びその間の任意の整数値からなる比をT細胞刺激に使用し得る。T細胞刺激をもたらす抗CD3及び抗CD28結合粒子対T細胞の比は、上記のように変わり得るが、しかしながら、ある好ましい値は、1:100、1:50、1:40、1:30、1:20、1:10、1:9、1:8、1:7、1:6、1:5、1:4、1:3、1:2、1:1、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1及び15:1を含み、1つの好ましい比は少なくとも1:1粒子対T細胞である。一態様において、1:1以下の粒子対細胞比を使用する。特定の一態様において、好ましい粒子:細胞比は、1:5である。更なる態様において、粒子対細胞比は、刺激の日により変わり得る。例えば、一態様において、粒子対細胞比は、1日目は1:1〜10:1であり、更なる粒子をその後10日目まで連日又は隔日で細胞に添加し、最終比1:1〜1:10である(添加の比の細胞数に基づく)。特定の一態様において、粒子対細胞比は、刺激1日目に1:1であり、刺激3日目及び5日目に1:5に調節する。一態様において、粒子を、1日目の1:1及び刺激3日目及び5日目の1:5の最終比に基づき、連日又は隔日で添加する。一態様において、粒子対細胞比は、刺激1日目は2:1であり、刺激3日目及び5日目に1:10に調節する。一態様において、粒子を、1日目の1:1及び3日目及び5日目の1:10の最終比に基づき、連日又は隔日で添加する。当業者は、多様な他の比が本発明における使用に適し得ることを認識する。特に、比は、粒子径並びに細胞サイズ及びタイプによる。一態様において、使用するための最も典型的な比は、1日目の1:1、2:1及び3:1付近である。
更なる態様において、T細胞などの細胞を薬剤被覆ビーズと組み合わせ、ビーズ及び細胞をその後分離し、次いで細胞を培養する。異なる態様において、培養前に薬剤被覆ビーズ及び細胞を分離するが、一緒に培養する。更なる態様において、ビーズ及び細胞を磁気力などの力の適用によりまず濃縮し、細胞表面マーカーのライゲーションを増加させ、それにより細胞刺激を誘導する。
例として、細胞表面タンパク質を、抗CD3及び抗CD28が結合した常磁性ビーズ(3x28ビーズ)とT細胞を接触させることにより、ライゲートし得る。一態様において、細胞(例えば、104〜109T細胞)及びビーズ(例えば、DYNAビーズS(登録商標)M−450 CD3/CD28 T常磁性ビーズを1:1比)を緩衝液、例えばPBS(カルシウム及びマグネシウムなどの二価カチオンなし)中で合わせる。再び、任意の細胞濃度を使用し得ることが当業者に容易に認識され得る。例えば、標的細胞は、試料中で極めて稀であり、試料の0.01%のみが含まれるか又は試料全体(即ち100%)が目的の標的細胞で構成され得る。従って、あらゆる細胞数が本発明に関連して一体となる。一態様において、細胞と粒子との最大接触を確実にするために、粒子及び細胞を混合する体積を有意に減少させる(即ち細胞の濃度を高める)ことが望ましいことがある。例えば、一態様において、約100億細胞/ml、90億細胞/ml、80億細胞/ml、70億細胞/ml、60億細胞/ml、50億細胞/ml又は20億細胞/mlの濃度を使用する。一態様において、1億細胞/ml超を使用する。更なる態様において、1000万、1500万、2000万、2500万、3000万、3500万、4000万、4500万又は5000万細胞/mlの細胞濃度を使用する。更なる態様において、細胞の7500万、8000万、8500万、9000万、9500万又は1億細胞/mlの濃度を使用する。更なる態様において、1億2500万又は1億5000万細胞/mlの濃度を使用できる。高濃度を使用して、細胞収率、細胞活性化及び細胞増殖を増加できる。更に、高細胞濃度の使用は、CD28陰性T細胞などの目的の標的抗原を弱く発現し得る細胞のより効率的な捕獲を可能にする。このような細胞集団は、治療的価値を有し得、且つ特定の態様では得ることが望ましいであろう。例えば、高濃度細胞の使用は、通常、CD28発現が弱いCD8+T細胞のより効率的な選択を可能にする。
一実施形態において、CAR、例えば本明細書に記載のCARをコードする核酸が形質導入された細胞を例えば本明細書に記載の方法により増殖する。一実施形態において、細胞を数時間(例えば、約2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、15時間、18時間、21時間)〜約14日(例えば、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日又は14日)の期間の培養により増殖する。一実施形態において、細胞は、4〜9日の期間増殖される。一実施形態において、細胞は、8日以下、例えば7日、6日又は5日の期間増殖される。一実施形態において、細胞、例えば本明細書に記載のCAR発現細胞は、5日の培養により増殖され、得られた細胞は、同じ培養条件において9日間培養で増殖された同じ細胞よりも強力である。効力は、例えば、多様なT細胞機能、例えば増殖、標的細胞死、サイトカイン産生、活性化、遊走又はそれらの組み合わせにより規定され得る。一実施形態において、5日増殖された細胞、例えば本明細書に記載のCD19 CAR細胞は、同じ培養条件下において9日間培養で増殖された同じ細胞と比較して、抗原刺激による細胞倍加の少なくとも1倍、2倍、3倍又は4倍増加を示す。一実施形態において、細胞、例えば本明細書に記載のCD19 CAR発現細胞を発現する細胞は、5日の培養により増殖され、得られた細胞は、同じ培養条件下において9日間培養で増殖された同じ細胞と比較して、高い炎症誘発性サイトカイン産生、例えばIFN−γ及び/又はGM−CSFレベルを示す。一実施形態において、5日増殖された細胞、例えば本明細書に記載のCD19 CAR細胞は、同じ培養条件下において9日間培養で増殖された同じ細胞と比較して、炎症誘発性サイトカイン産生、例えばIFN−γ及び/又はGM−CSFレベルのpg/mlで少なくとも1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、10倍又はそれを超えて増加する。
T細胞の培養期間が60日以上となり得るような数サイクルの刺激も望まれ得る。T細胞培養に適する条件は、血清(例えば、胎児ウシ又はヒト血清)、インターロイキン−2(IL−2)、インスリン、IFN−γ、IL−4、IL−7、GM−CSF、IL−10、IL−12、IL−15、TGFβ及びTNF−α又は当業者に知られる細胞増殖のための任意の他の添加剤を含む、増殖及び生存能に必要な因子を含み得る、適切な培地(例えば、最小必須培地又はRPMI培地1640又はX−vivo 15(Lonza))を含む。細胞の増殖のための他の添加剤は、界面活性剤、プラスマネート、及びN−アセチル−システイン、及び2−メルカプトエタノールなどの還元剤を含むが、これらに限定されない。培地は、無血清又は適切な量の血清(又は血漿)が添加されたか、又は規定されたセットのホルモン及び/又はT細胞の増殖及び拡大に十分な量のサイトカインが添加されたRPMI 1640、AIM−V、DMEM、MEM、α−MEM、F−12、X−Vivo15及びX−Vivo20、Optimizerを含み得る。抗生物質、例えばペニシリン及びストレプトマイシンは、実験的培養においてのみ包含され、対象に注入すべき細胞の培養に含まれない。標的細胞は、増殖を支持するのに必要な条件、例えば適切な温度(例えば、37℃)及び雰囲気(例えば、空気+5%CO2)で維持される。
一実施形態において、細胞は、例えば、フローサイトメトリーなどの本明細書に記載の方法により測定して、14日の増殖期間にわたり、細胞の少なくとも200倍(例えば、200倍、250倍、300倍、350倍)増加をもたらす1つ以上のインターロイキンを含む適切な培地(例えば、本明細書に記載の培地)で増殖させる。一実施形態において、細胞は、IL−15及び/又はIL−7(例えば、IL−15及びIL−7)の存在下で増殖させる。
実施形態において、本明細書に記載の方法、例えばCAR発現細胞製造法は、T制御性細胞、例えばCD25+T細胞を、例えば抗CD25抗体又はその断片又はCD25結合リガンド、IL−2を使用して細胞集団から除去することを含む。細胞集団からT制御性細胞、例えばCD25+T細胞を除去する方法は、本明細書に記載される。実施形態において、方法、例えば製造法は、細胞集団(例えば、CD25+T細胞などのT制御性細胞が枯渇されている細胞集団;又は抗CD25抗体、その断片又はCD25結合リガンドと前に接触された細胞集団)とIL−15及び/又はIL−7との接触を更に含む。例えば、細胞集団(例えば、抗CD25抗体、その断片又はCD25結合リガンドと先に接触されている)をIL−15及び/又はIL−7の存在下で増殖させる。
一部の実施形態において、本明細書に記載のCAR発現細胞を、インターロイキン−15(IL−15)ポリペプチド、インターロイキン−15受容体α(IL−15Ra)ポリペプチド又はIL−15ポリペプチドとIL−15Raポリペプチドの組み合わせ、例えばhetIL−15を含む組成物とCAR発現細胞の製造中に例えばエクスビボで接触させることを含む。実施形態において、本明細書に記載のCAR発現細胞をCAR発現細胞の製造中に例えばエクスビボで、IL−15ポリペプチドを含む組成物と接触させる。実施形態において、本明細書に記載のCAR発現細胞をCAR発現細胞の製造中に例えばエクスビボで、IL−15ポリペプチド及びIL−15Raポリペプチドの両方の組み合わせを含む組成物と接触させる。実施形態において、本明細書に記載のCAR発現細胞をCAR発現細胞の製造中に例えばエクスビボで、hetIL−15を含む組成物と接触させる。
一実施形態において、本明細書に記載のCAR発現細胞を、エクスビボ増殖中、hetIL−15を含む組成物と接触させる。一実施形態において、本明細書に記載のCAR発現細胞を、エクスビボ増殖中、IL−15ポリペプチドを含む組成物と接触させる。一実施形態において、本明細書に記載のCAR発現細胞を、エクスビボ増殖中、IL−15ポリペプチド及びIL−15Raポリペプチドの両方を含む組成物と接触させる。一実施形態において、接触は、リンパ球亜集団、例えばCD8+T細胞の生存及び増殖をもたらす。
種々の刺激時間に曝されているT細胞は、異なる特徴を示し得る。例えば、典型的な血液又はアフェレーシスした末梢血単核細胞産物は、細胞毒性又はサプレッサーT細胞集団(TC、CD8+)より大きいヘルパーT細胞集団(TH、CD4+)を有する。CD3及びCD28受容体での刺激によるT細胞のエクスビボ増殖は、約8〜9日目前まで主にTH細胞からなるT細胞集団を産生するが、約8〜9日目後、T細胞集団は、徐々に大きくなるTC細胞集団を含む。従って、処置の目的により、主にTH細胞を含むT細胞集団を対象に注入することは有利であり得る。同様に、TC細胞の抗原特異的サブセットが単離されている場合、このサブセットを大きい程度まで増殖させることが有利であり得る。
更に、CD4及びCD8マーカーに加えて、他の表現型マーカーは、細胞増殖過程の経過中、有意に、しかし、主に再現性よく変化する。そうして、このような再現性は、特定の目的のために活性化T細胞産物をもたらす能力を可能とする。
本明細書に記載のCARが構築されると、適切なインビトロ及び動物モデルにおける抗原刺激後にT細胞を増殖させる能力、再刺激の非存在下でのT細胞増殖の持続及び抗癌活性など、しかし、これらに限定されない分子の活性を評価するために種々のアッセイが使用され得る。本発明のcarの効果を評価するためのアッセイは、以下に更に詳細に記載される。
初代T細胞におけるCAR発現のウエスタンブロット分析を、単量体及び二量体の存在を検出するために使用できる。例えば、Milone et al.,Molecular Therapy 17(8):1453−1464(2009)を参照されたい。極めて簡潔には、CARを発現するT細胞(CD4+及びCD8+T細胞の1:1混合物)をインビトロで10日超増殖させ、続いて溶解及び還元条件下のSDS−PAGEを行う。全長TCR−ζ細胞質ドメイン及び内因性TCR−ζ鎖を含むCARを、TCR−ζ鎖に対する抗体を使用するウェスタンブロッティングにより検出する。同じT細胞サブセットを、共有結合性二量体形成の評価を可能とするために非還元条件下のSDS−PAGE分析に使用する。
抗原刺激後のCAR+T細胞のインビトロ増殖をフローサイトメトリーにより測定できる。例えば、CD4+及びCD8+T細胞の混合物をαCD3/αCD28 aAPCで刺激し、続いて分析すべきプロモーターの制御下において、GFPを発現するレンチウイルスベクターで形質導入する。代表的プロモーターは、CMV IE遺伝子、EF−1α、ユビキチンC又はホスホグリセロキナーゼ(PGK)プロモーターを含む。GFP蛍光を、CD4+及び/又はCD8+T細胞サブセットの培養6日目にフローサイトメトリーにより評価する。例えば、Milone et al.,Molecular Therapy 17(8):1453−1464(2009)を参照されたい。代わりに、CD4+及びCD8+T細胞の混合物を0日目にαCD3/αCD28被覆磁気ビーズで刺激し、2Aリボソームスキッピング配列を使用するCARとeGFPを発現するバイシストロニックレンチウイルスベクターを使用して、1日目にCARを形質導入する。培養物を本明細書に記載の癌関連抗原+K562細胞(本明細書に記載の癌関連抗原を発現するK562)、野生型K562細胞(K562野生型)又は抗CD3及び抗CD28抗体存在下でhCD32及び4−1BBLを発現するK562細胞(K562−BBL−3/28)でのいずれかで再刺激し、続いて洗浄する。外来性IL−2を100IU/mlにおいて隔日で培養物に添加する。GFP+T細胞を、ビーズベースの計数を使用するフローサイトメトリーにより数える。例えば、Milone et al.,Molecular Therapy 17(8):1453−1464(2009)を参照されたい。
再刺激非存在下の持続するCAR+T細胞増殖も測定できる。例えば、Milone et al.,Molecular Therapy 17(8):1453−1464(2009)を参照されたい。簡潔には、平均T細胞体積(fl)を、0日目のαCD3/αCD28被覆磁気ビーズでの刺激及び1日目の記載するCARの形質導入後、培養8日目にCoulter Multisizer III粒子カウンター、Nexcelom Cellometer Vision又はMillipore Scepterを使用して測定する。
動物モデルもCART活性の測定に使用できる。例えば、免疫欠損マウスにおける初代ヒトプレB ALLを処置するための、本明細書に記載のヒト癌関連抗原に特異的なCAR+T細胞を使用する異種移植モデルを使用できる。例えば、Milone et al.,Molecular Therapy 17(8):1453−1464(2009)を参照されたい。極めて簡潔には、ALL確立後、マウスを処置群に無作為化する。異なる数の癌関連抗原特異的CAR操作T細胞を、B−ALLを担持するNOD−SCID−γ−/−マウスに1:1の比で共注射する。マウスからの脾臓DNAにおける癌関連抗原特異的CARベクターのコピー数を、T細胞注射後、種々の時点で評価する。動物を1週間間隔で白血病について評価する。本明細書に記載の末梢血癌関連抗原B−ALL芽細胞数を、本明細書に記載の癌関連抗原−ζCAR+T細胞又は偽形質導入T細胞を注射したマウスで測定する。ログ・ランク検定を使用して、群の生存曲線を比較する。更に、NOD−SCID−γ−/−マウスへのT細胞注射4週間後の絶対的末梢血CD4+及びCD8+T細胞数も分析し得る。マウスに白血病性細胞を注射し、3週間後、eGFPに連結したCARをコードするバイシストロニックレンチウイルスベクターによりCARを発現するように操作されたT細胞を注射する。T細胞を、注入GFP+T細胞の45〜50%に、注射前に偽形質導入細胞と混合することにより標準化し、フローサイトメトリーにより確認する。動物を1週間間隔で白血病について評価する。CAR+T細胞群の生存曲線を、ログ・ランク検定を使用して比較する。
用量依存的CAR処置応答を評価できる。例えば、Milone et al.,Molecular Therapy 17(8):1453−1464(2009)を参照されたい。例えば、21日目にCAR T細胞、等しい数の偽形質導入T細胞で処置した又はT細胞処置なしの、マウスにおいて白血病が確立した後35〜70日後に末梢血を得る。各群からのマウスを本明細書に記載の末梢血癌関連抗原ALL芽細胞数の決定のために無作為に採血し、35日目及び49日目に屠殺する。残りの動物を57日目及び70日目に評価する。
細胞増殖及びサイトカイン産生の評価は、例えば、Milone et al.,Molecular Therapy 17(8):1453−1464(2009)に以前に記載されている。簡潔には、CAR媒介増殖の評価を、洗浄したT細胞と、本明細書に記載の癌関連抗原(K19)又はCD32及びCD137(KT32−BBL)を発現するK562細胞とを最終T細胞:K562比2:1で混合することによりマイクロタイタープレートにおいて実施する。K562細胞を使用前にγ線で照射する。抗CD3(クローンOKT3)及び抗CD28(クローン9.3)モノクローナル抗体を、これらのシグナルがエクスビボでの長期CD8+T細胞増殖を支持するため、刺激T細胞増殖について陽性対照として役立つKT32−BBL細胞の培養物に添加する。T細胞を、製造者により記載の通りCountBright(商標)蛍光ビーズ(Invitrogen,Carlsbad,CA)及びフローサイトメトリーを使用して培養において数える。CAR+T細胞を、eGFP−2A連結CAR発現レンチウイルスベクターで操作されたT細胞を使用するGFP発現により同定する。GFPを発現しないCAR+T細胞について、CAR+T細胞をビオチニル化組み換え癌関連抗原(本明細書に記載のもの)タンパク質及び二次アビジン−PEコンジュゲートにより検出する。T細胞のCD4+及びCD8+発現も、特異的モノクローナル抗体(BD Biosciences)を使用して同時に検出する。サイトカイン測定を、製造業者の指示に従ってヒトTH1/TH2サイトカイン細胞数測定ビーズアレイキット(BD Biosciences,San Diego,CA)を使用して再刺激24時間後に回収した上清で実施する。FACScaliburフローサイトメーターを使用して蛍光を評価し、データを製造業者の指示に従って分析する。
細胞毒性を標準的51Cr放出アッセイにより評価できる。例えば、Milone et al.,Molecular Therapy 17(8):1453−1464(2009)を参照されたい。簡潔には、標的細胞(K562株及び初代プロB−ALL細胞)に51Cr(NaCrO4として、New England Nuclear,Boston,MA)を37℃で2時間、頻繁に撹拌しながら充填し、完全RPMIで2回洗浄し、マイクロタイタープレートに播種する。エフェクターT細胞をウェル中で完全RPMI中に標的細胞と種々のエフェクター細胞:標的細胞(E:T)比で混合する。更なる培地のみ(自発的放出、SR)又はtriton−X 100洗剤1%溶液(全放出、TR)を含むウェルも調製する。37℃で4時間のインキュベーション後、各ウェルから上清を回収する。放出された51Crを、次いでγ粒子カウンター(Packard Instrument Co.,Waltham,MA)を使用して測定する。各条件を少なくとも3回行い、溶解のパーセントを式:溶解%=(ER−SR)/(TR−SR)(式中、ERは、各実験条件で放出された平均51Crを示す)を使用して計算する。
造影技術を使用して、腫瘍担持動物モデルにおけるCARの特異的輸送及び増殖を評価できる。このようなアッセイは、例えば、Barrett et al.,Human Gene Therapy 22:1575−1586(2011)に記載されている。簡潔には、NOD/SCID/γc−/−(NSG)マウスにNalm−6細胞をIV注射し、7日後、CAR構築物でエレクトロポレーションから4時間後にT細胞を注射する。T細胞は、ホタルルシフェラーゼを発現するようにレンチウイルス構築物で安定にトランスフェクトされ、マウスをバイオルミネセンスについて造影する。代わりに、Nalm−6異種移植モデルにおけるCAR+T細胞の単回注射の治療有効性及び特異性を次のように測定できる。NSGマウスに、ホタルルシフェラーゼを安定に発現するように形質導入したNalm−6を注射し、続いて7日後に本発明のcarで電気穿孔したT細胞を1回尾静脈注射する。動物を注射後の種々の時点で造影する。例えば、5日目(処置2日前)及び8日目(CAR+PBL後24時間)に代表的マウスにおけるホタルルシフェラーゼ陽性白血病の光子密度ヒートマップを作成できる。
本明細書の実施例部分に記載のもの並びに当分野で知られるものを含む、他のアッセイも、本明細書に記載のCARの評価に使用できる。
治療適用
一態様において、本発明は、本明細書に記載の癌関連抗原の発現と関連する疾患を処置する方法を提供する。
一態様において、本発明は、XCARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、それを必要とする対象に提供することによって癌を処置する方法であって、Xは本明細書に記載の腫瘍抗原を発現し、癌細胞は前記X腫瘍抗原を発現する、方法を提供する。
一態様において、本発明は、本明細書に記載のXCARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、それを必要とする対象に提供することによって癌を処置する方法であって、癌細胞がXを発現する方法を提供する。一実施形態において、Xは正常細胞及び癌細胞の両方で発現されるが、正常細胞ではより低いレベルで発現される。一実施形態において、方法は、XCARがXを発現する癌細胞に結合して死滅させることができる親和性でXに結合する、CARを選択することを更に含むが、Xを発現している正常細胞の30%、25%、20%、15%、10%、5%未満(例えば、本明細書に記載のアッセイにより測定される)が死滅する。例えば、図13A及び13Bに記載されたアッセイを使用することができるか、又はCr51 CTLに基づくフローサイトメトリーなどの死滅アッセイを使用することができる。一実施形態において、選択されたCARは、標的抗原について、10−4M〜10−8M、例えば10−5M〜10−7M、例えば10−6M又は10−7Mの結合親和性KDを有する抗原結合ドメインを有する。一実施形態において、選択された抗原結合ドメインは、参照抗体、例えば本明細書に記載の抗体より少なくとも5倍、10倍、20倍、30倍、50倍、100倍又は1000倍小さい結合親和性を有する。
一実施形態において、本発明は、CD19 CARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、それを必要とする対象に提供することによって癌を処置する方法であって、癌細胞がCD19を発現する方法を提供する。一実施形態において、処置される癌は、ALL(急性リンパ芽球性白血病)、CLL(慢性リンパ性白血病)、DLBCL(びまん性大B細胞リンパ腫)、MCL(マントル細胞リンパ腫又はMM(多発性骨髄腫)である。
一態様において、本発明は、EGFRvIIICARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、それを必要とする対象に提供することによって癌を処置する方法であって、癌細胞は、EGFRvIIIを発現する、方法を提供する。一実施形態において、処置される癌は、神経膠芽腫である。
一態様において、本発明は、メソテリンCARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、それを必要とする対象に提供することによって癌を処置する方法であって、癌細胞は、メソテリンを発現する、方法を提供する。一実施形態において、処置される癌は、中皮腫、膵臓癌又は卵巣癌である。
一態様において、本発明は、CD123CARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、それを必要とする対象に提供することによって癌を処置する方法であって、癌細胞がCD123を発現する方法を提供する。一実施形態において、処置される癌はAMLである。
一態様において、本発明は、CD22CARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、それを必要とする対象に提供することによって癌を処置する方法であって、癌細胞がCD22を発現する方法を提供する。一実施形態において、処置される癌はB細胞悪性腫瘍である。
一態様において、本発明は、CS−1CARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、それを必要とする対象に提供することによって癌を処置する方法であって、癌細胞がCS−1を発現する方法を提供する。一実施形態において、処置される癌は多発性骨髄腫である。
一態様において、本発明は、CLL−1CARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、それを必要とする対象に提供することによって癌を処置する方法であって、癌細胞がCLL−1を発現する方法を提供する。一実施形態において、処置される癌はAMLである。
一態様において、本発明は、CD33CARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、それを必要とする対象に提供することによって癌を処置する方法であって、癌細胞がCD33を発現する方法を提供する。一実施形態において、処置される癌はAMLである。
一態様において、本発明は、GD2CARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、それを必要とする対象に提供することによって癌を処置する方法であって、癌細胞がGD2を発現する方法を提供する。一実施形態において、処置される癌は神経芽細胞腫である。
一態様において、本発明は、BCMACARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、それを必要とする対象に提供することによって癌を処置する方法であって、癌細胞がBCMAを発現する方法を提供する。一実施形態において、処置される癌は多発性骨髄腫である。
一態様において、本発明は、TnCARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、それを必要とする対象に提供することによって癌を処置する方法であって、癌細胞がTn抗原を発現する方法を提供する。一実施形態において、処置される癌は卵巣癌である。
一態様において、本発明は、PSMACARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、それを必要とする対象に提供することによって癌を処置する方法であって、癌細胞がPSMAを発現する方法を提供する。一実施形態において、処置される癌は前立腺癌である。
一態様において、本発明は、ROR1CARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、それを必要とする対象に提供することによって癌を処置する方法であって、癌細胞がROR1を発現する方法を提供する。一実施形態において、処置される癌はB細胞悪性腫瘍である。
一態様において、本発明は、FLT3 CARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、それを必要とする対象に提供することによって癌を処置する方法であって、癌細胞がFLT3を発現する方法を提供する。一実施形態において、処置される癌はAMLである。
一態様において、本発明は、TAG72CARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、それを必要とする対象に提供することによって癌を処置する方法であって、癌細胞がTAG72を発現する方法を提供する。一実施形態において、処置される癌は胃腸癌である。
一態様において、本発明は、CD38CARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、それを必要とする対象に提供することによって癌を処置する方法であって、癌細胞がCD38を発現する方法を提供する。一実施形態において、処置される癌は多発性骨髄腫である。
一態様において、本発明は、CD44v6CARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、それを必要とする対象に提供することによって癌を処置する方法であって、癌細胞がCD44v6を発現する方法を提供する。一実施形態において、処置される癌は子宮頸癌、AML又はMMである。
一態様において、本発明は、CEACARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、それを必要とする対象に提供することによって癌を処置する方法であって、癌細胞がCEAを発現する方法を提供する。一実施形態において、処置される癌は消化器癌又は膵臓癌である。
一態様において、本発明は、EPCAMCARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、それを必要とする対象に提供することによって癌を処置する方法であって、癌細胞がEPCAMを発現する方法を提供する。一実施形態において、処置される癌は胃腸癌である。
一態様において、本発明は、B7H3CARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、それを必要とする対象に提供することによって癌を処置する方法であって、癌細胞がB7H3を発現する方法を提供する。
一態様において、本発明は、KITCARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、それを必要とする対象に提供することによって癌を処置する方法であって、癌細胞がKITを発現する方法を提供する。一実施形態において、処置される癌は胃腸癌である。
一態様において、本発明は、IL−13Ra2CARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、それを必要とする対象に提供することによって癌を処置する方法であって、癌細胞がIL−13Ra2を発現する方法を提供する。一実施形態において、処置される癌は神経膠芽腫である。
一態様において、本発明は、PRSS21CARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、それを必要とする対象に提供することによって癌を処置する方法であって、癌細胞がPRSS21を発現する方法を提供する。一実施形態において、処置される癌は、卵巣癌、膵臓癌、肺癌及び乳癌から選択される。
一態様において、本発明は、CD30CARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、それを必要とする対象に提供することによって癌を処置する方法であって、癌細胞がCD30を発現する方法を提供する。一実施形態において、処置される癌はリンパ腫又は白血病である。
一態様において、本発明は、GD3CARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、それを必要とする対象に提供することによって癌を処置する方法であって、癌細胞がGD3を発現する方法を提供する。一実施形態において、処置される癌は黒色腫である。
一態様において、本発明は、CD171CARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、それを必要とする対象に提供することによって癌を処置する方法であって、癌細胞がCD171を発現する方法を提供する。一実施形態において、処置される癌は、神経芽細胞腫、卵巣癌、黒色腫、乳癌、膵臓癌、結腸癌又はNSCLC(非小細胞肺癌)である。
一態様において、本発明は、IL−11RaCARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、それを必要とする対象に提供することによって癌を処置する方法であって、癌細胞がIL−11Raを発現する方法を提供する。一実施形態において、処置される癌は骨肉腫である。
一態様において、本発明は、PSCACARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、それを必要とする対象に提供することによって癌を処置する方法であって、癌細胞がPSCAを発現する方法を提供する。一実施形態において、処置される癌は前立腺癌である。
一態様において、本発明は、VEGFR2CARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、それを必要とする対象に提供することによって癌を処置する方法であって、癌細胞がVEGFR2を発現する方法を提供する。一実施形態において、処置される癌は固形腫瘍である。
一態様において、本発明は、ルイスYCARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、それを必要とする対象に提供することによって癌を処置する方法であって、癌細胞がルイスYを発現する方法を提供する。一実施形態において、処置される癌は卵巣癌又はAMLである。
一態様において、本発明は、CD24CARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、それを必要とする対象に提供することによって癌を処置する方法であって、癌細胞がCD24を発現する方法を提供する。一実施形態において、処置される癌は膵臓癌である。
一態様において、本発明は、PDGFR−βCARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、それを必要とする対象に提供することによって癌を処置する方法であって、癌細胞がPDGFR−βを発現する方法を提供する。一実施形態において、処置される癌は、乳癌、前立腺癌、GIST(胃腸間質腫瘍)、CML、DFSP(隆起性皮膚線維肉腫)又は神経膠腫である。
一態様において、本発明は、SSEA−4CARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、それを必要とする対象に提供することによって癌を処置する方法であって、癌細胞がSSEA−4を発現する方法を提供する。一実施形態において、処置される癌は神経膠芽腫、乳癌、肺癌又は幹細胞癌である。
一態様において、本発明は、CD20CARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、それを必要とする対象に提供することによって癌を処置する方法であって、癌細胞がCD20を発現する方法を提供する。一実施形態において、処置される癌はB細胞悪性腫瘍である。
一態様において、本発明は、葉酸受容体αCARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、それを必要とする対象に提供することによって癌を処置する方法であって、癌細胞が葉酸受容体αを発現する方法を提供する。一実施形態において、処置される癌は卵巣癌、NSCLC、子宮内膜癌、腎臓癌又は他の固形腫瘍である。
一態様において、本発明は、ERBB2CARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、それを必要とする対象に提供することによって癌を処置する方法であって、癌細胞は、ERBB2(Her2/neu)を発現する、方法を提供する。一実施形態において、処置される癌は、乳癌、胃癌、結腸直腸癌、肺癌又は他の固形腫瘍である。
一態様において、本発明は、MUC1CARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、それを必要とする対象に提供することによって癌を処置する方法であって、癌細胞は、MUC1を発現する、方法を提供する。一実施形態において、処置される癌は、乳癌、肺癌又は他の固形腫瘍である。
一態様において、本発明は、EGFRCARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、それを必要とする対象に提供することによって癌を処置する方法であって、癌細胞は、EGFRを発現する、方法を提供する。一実施形態において、処置される癌は、神経膠芽腫、SCLC(小細胞肺癌)、SCCHN(頭頸部の扁平上皮癌)、NSCLC又は他の固形腫瘍である。
一態様において、本発明は、NCAMCARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、それを必要とする対象に提供することによって癌を処置する方法であって、癌細胞は、NCAMを発現する、方法を提供する。一実施形態において、処置される癌は、神経芽細胞腫又は他の固形腫瘍である。
一態様において、本発明は、CAIXCARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、それを必要とする対象に提供することによって癌を処置する方法であって、癌細胞は、CAIXを発現する、方法を提供する。一実施形態において、処置される癌は、腎臓癌、CRC、子宮頸癌又は他の固形腫瘍である。
一態様において、本発明は、EphA2CARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、それを必要とする対象に提供することによって癌を処置する方法であって、癌細胞がEphA2を発現する方法を提供する。一実施形態において、処置される癌はGBMである。
一態様において、本発明は、GD3CARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、それを必要とする対象に提供することによって癌を処置する方法であって、癌細胞がGD3を発現する方法を提供する。一実施形態において、処置される癌は黒色腫である。
一態様において、本発明は、フコシルGM1CARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、それを必要とする対象に提供することによって癌を処置する方法であって、癌細胞がフコシルGMを発現する方法を提供する。
一態様において、本発明は、sLeCARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、それを必要とする対象に提供することによって癌を処置する方法であって、癌細胞がsLeを発現する方法を提供する。一実施形態において、処置される癌はNSCLC又はAMLである。
一態様において、本発明は、GM3CARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、それを必要とする対象に提供することによって癌を処置する方法であって、癌細胞がGM3を発現する方法を提供する。
一態様において、本発明は、TGS5CARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、それを必要とする対象に提供することによって癌を処置する方法であって、癌細胞がTGS5を発現する方法を提供する。
一態様において、本発明は、HMWMAACARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、それを必要とする対象に提供することによって癌を処置する方法であって、癌細胞がHMWMAAを発現する方法を提供する。一実施形態において、処置される癌は黒色腫、神経膠芽腫又は乳癌である。
一態様において、本発明は、o−アセチル−GD2CARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、それを必要とする対象に提供することによって癌を処置する方法であって、癌細胞がo−アセチル−GD2を発現する方法を提供する。一実施形態において、処置される癌は神経芽細胞腫又は黒色腫である。
一態様において、本発明は、CD19CARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、それを必要とする対象に提供することによって癌を処置する方法であって、癌細胞がCD19を発現する方法を提供する。一実施形態において、処置される癌は、葉酸受容体β、AML、骨髄腫である。
一態様において、本発明は、TEM1/CD248CARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、それを必要とする対象に提供することによって癌を処置する方法であって、癌細胞がTEM1/CD248を発現する方法を提供する。一実施形態において、処置される癌は固形腫瘍である。
一態様において、本発明は、TEM7RCARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、それを必要とする対象に提供することによって癌を処置する方法であって、癌細胞がTEM7Rを発現する方法を提供する。一実施形態において、処置される癌は固形腫瘍である。
一態様において、本発明は、CLDN6CARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、それを必要とする対象に提供することによって癌を処置する方法であって、癌細胞がCLDN6を発現する方法を提供する。一実施形態において、処置される癌は卵巣癌、肺癌又は乳癌である。
一態様において、本発明は、TSHRCARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、それを必要とする対象に提供することによって癌を処置する方法であって、癌細胞がTSHRを発現する方法を提供する。一実施形態において、処置される癌は甲状腺癌又は多発性骨髄腫である。
一態様において、本発明は、GPRC5DCARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、それを必要とする対象に提供することによって癌を処置する方法であって、癌細胞がGPRC5Dを発現する方法を提供する。一実施形態において、処置される癌は多発性骨髄腫である。
一態様において、本発明は、CXORF61CARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、それを必要とする対象に提供することによって癌を処置する方法であって、癌細胞がCXORF61を発現する方法を提供する。
一態様において、本発明は、CD97CARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、それを必要とする対象に提供することによって癌を処置する方法であって、癌細胞がCD97を発現する方法を提供する。一実施形態において、処置される癌は、B細胞悪性腫瘍、胃癌、膵臓癌、膵臓癌、食道癌、神経膠芽腫、乳癌又は結腸直腸癌である。
一態様において、本発明は、CD179aCARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、それを必要とする対象に提供することによって癌を処置する方法であって、癌細胞がCD179aを発現する方法を提供する。一実施形態において、処置される癌はB細胞悪性腫瘍である。
一態様において、本発明は、ALK CARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、それを必要とする対象に提供することによって癌を処置する方法であって、癌細胞がALKを発現する方法を提供する。一実施形態において、処置される癌は、NSCLC、ALCL(未分化大細胞リンパ腫)、IMT(炎症性筋線維芽細胞腫瘍)又は神経芽細胞腫である。
一態様において、本発明は、ポリシアル酸CARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、それを必要とする対象に提供することによって癌を処置する方法であって、癌細胞がポリシアル酸を発現する方法を提供する。一実施形態において、処置される癌は小細胞肺癌である。
一態様において、本発明は、PLAC1CARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、それを必要とする対象に提供することによって癌を処置する方法であって、癌細胞は、PLAC1を発現する、方法を提供する。一実施形態において、処置される癌は、HCC(肝細胞癌)である。
一態様において、本発明は、GloboHCARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、それを必要とする対象に提供することによって癌を処置する方法であって、癌細胞は、GloboHを発現する、方法を提供する。一実施形態において、処置される癌は、卵巣癌、胃癌、前立腺癌、肺癌、乳癌又は膵臓癌である。
一態様において、本発明は、NY−BR−1CARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、それを必要とする対象に提供することによって癌を処置する方法であって、癌細胞は、NY−BR−1を発現する、方法を提供する。一実施形態において、処置される癌は、乳癌である。
一態様において、本発明は、UPK2CARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、それを必要とする対象に提供することによって癌を処置する方法であって、癌細胞がUPK2を発現する方法を提供する。一実施形態において、処置される癌は膀胱癌である。
一態様において、本発明は、HAVCR1CARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、それを必要とする対象に提供することによって癌を処置する方法であって、癌細胞がHAVCR1を発現する方法を提供する。一実施形態において、処置される癌は腎臓癌である。
一態様において、本発明は、ADRB3CARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、それを必要とする対象に提供することによって癌を処置する方法であって、癌細胞がADRB3を発現する方法を提供する。一実施形態において、処置される癌はユーイング肉腫である。
一態様において、本発明は、PANX3CARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、それを必要とする対象に提供することによって癌を処置する方法であって、癌細胞がPANX3を発現する方法を提供する。一実施形態において、処置される癌は骨肉腫である。
一態様において、本発明は、GPR20CARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、それを必要とする対象に提供することによって癌を処置する方法であって、癌細胞がGPR20を発現する方法を提供する。一実施形態において、処置される癌はGISTである。
一態様において、本発明は、LY6KCARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、それを必要とする対象に提供することによって癌を処置する方法であって、癌細胞がLY6Kを発現する方法を提供する。一実施形態において、処置される癌は乳癌、肺癌、卵巣癌又は子宮頸癌である。
一態様において、本発明は、OR51E2CARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、それを必要とする対象に提供することによって癌を処置する方法であって、癌細胞がOR51E2を発現する方法を提供する。一実施形態において、処置される癌は前立腺癌である。
一態様において、本発明は、TARPCARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、それを必要とする対象に提供することによって癌を処置する方法であって、癌細胞がTARPを発現する方法を提供する。一実施形態において、処置される癌は前立腺癌である。
一態様において、本発明は、WT1CARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、それを必要とする対象に提供することによって癌を処置する方法であって、癌細胞がWT1を発現する方法を提供する。
一態様において、本発明は、NY−ESO−1CARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、それを必要とする対象に提供することによって癌を処置する方法であって、癌細胞がNY−ESO−1を発現する方法を提供する。
一態様において、本発明は、LAGE−1a CARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、それを必要とする対象に提供することによって癌を処置する方法であって、癌細胞がLAGE−1aを発現する方法を提供する。
一態様において、本発明は、MAGE−A1CARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、それを必要とする対象に提供することによって癌を処置する方法であって、癌細胞がMAGE−A1を発現する方法を提供する。一実施形態において、処置される癌は黒色腫である。
一態様において、本発明は、MAGE A1CARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、それを必要とする対象に提供することによって癌を処置する方法であって、癌細胞がMAGE A1を発現する方法を提供する。
一態様において、本発明は、ETV6−AML CARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、それを必要とする対象に提供することによって癌を処置する方法であって、癌細胞がETV6−AMLを発現する方法を提供する。
一態様において、本発明は、精子タンパク質17CARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、それを必要とする対象に提供することによって癌を処置する方法であって、癌細胞が精子タンパク質17を発現する方法を提供する。一実施形態において、処置される癌は卵巣癌、HCC又はNSCLCである。
一態様において、本発明は、XAGE1CARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、それを必要とする対象に提供することによって癌を処置する方法であって、癌細胞がXAGE1を発現する方法を提供する。一実施形態において、処置される癌はユーイング又は横紋筋肉腫である。
一態様において、本発明は、Tie2 CARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、それを必要とする対象に提供することによって癌を処置する方法であって、癌細胞がTie2を発現する方法を提供する。一実施形態において、処置される癌は固形腫瘍である。
一態様において、本発明は、MAD−CT−1CARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、それを必要とする対象に提供することによって癌を処置する方法であって、癌細胞がMAD−CT−1を発現する方法を提供する。一実施形態において、処置される癌は前立腺癌又は黒色腫である。
一態様において、本発明は、MAD−CT−2CARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、それを必要とする対象に提供することによって癌を処置する方法であって、癌細胞は、MAD−CT−2を発現する、方法を提供する。一実施形態において、処置される癌は、前立腺癌、黒色腫である。
一態様において、本発明は、Fos関連抗原1CARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、それを必要とする対象に提供することによって癌を処置する方法であって、癌細胞は、Fos関連抗原1を発現する、方法を提供する。一実施形態において、処置される癌は、神経膠腫、扁平上皮癌又は膵臓癌である。
一態様において、本発明は、p53CARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、それを必要とする対象に提供することによって癌を処置する方法であって、癌細胞がp53を発現する方法を提供する。
一態様において、本発明は、プロステインCARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、それを必要とする対象に提供することによって癌を処置する方法であって、癌細胞がプロステインを発現する方法を提供する。
一態様において、本発明は、サバイビン及びテロメラーゼCARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、それを必要とする対象に提供することによって癌を処置する方法であって、癌細胞がサバイビン及びテロメラーゼを発現する方法を提供する。
一態様において、本発明は、PCTA−1/ガレクチン8CARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、それを必要とする対象に提供することによって癌を処置する方法であって、癌細胞がPCTA−1/ガレクチン8を発現する方法を提供する。
一態様において、本発明は、MelanA/MART1CARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、それを必要とする対象に提供することによって癌を処置する方法であって、癌細胞がMelanA/MART1を発現する方法を提供する。
一態様において、本発明は、Ras変異体CARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、それを必要とする対象に提供することによって癌を処置する方法であって、癌細胞がRas変異体を発現する方法を提供する。
一態様において、本発明は、p53変異体CARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、それを必要とする対象に提供することによって癌を処置する方法であって、癌細胞がp53変異体を発現する方法を提供する。
一態様において、本発明は、hTERT CARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、それを必要とする対象に提供することによって癌を処置する方法であって、癌細胞がhTERTを発現する方法を提供する。
一態様において、本発明は、肉腫転座切断点CARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、それを必要とする対象に提供することによって癌を処置する方法であって、癌細胞が肉腫転座切断点を発現する方法を提供する。一実施形態において、処置される癌は肉腫である。
一態様において、本発明は、ML−IAP CARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、それを必要とする対象に提供することによって癌を処置する方法であって、癌細胞がML−IAPを発現する方法を提供する。一実施形態において、処置される癌は黒色腫である。
一態様において、本発明は、ERGCARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、それを必要とする対象に提供することによって癌を処置する方法であって、癌細胞がERG(TMPRSS2 ETS融合遺伝子)を発現する方法を提供する。
一態様において、本発明は、NA17CARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、それを必要とする対象に提供することによって癌を処置する方法であって、癌細胞がNA17を発現する方法を提供する。一実施形態において、処置される癌は黒色腫である。
一態様において、本発明は、PAX3CARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、それを必要とする対象に提供することによって癌を処置する方法であって、癌細胞がPAX3を発現する方法を提供する。一実施形態において、処置される癌は胞巣状横紋筋肉腫である。
一態様において、本発明は、アンドロゲン受容体CARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、それを必要とする対象に提供することによって癌を処置する方法であって、癌細胞がアンドロゲン受容体を発現する方法を提供する。一実施形態において、処置される癌は転移性前立腺癌である。
一態様において、本発明は、サイクリンB1CARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、それを必要とする対象に提供することによって癌を処置する方法であって、癌細胞がサイクリンB1を発現する方法を提供する。
一態様において、本発明は、MYCNCARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、それを必要とする対象に提供することによって癌を処置する方法であって、癌細胞がMYCNを発現する方法を提供する。
一態様において、本発明は、RhoC CARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、それを必要とする対象に提供することによって癌を処置する方法であって、癌細胞がRhoCを発現する方法を提供する。
一態様において、本発明は、TRP−2CARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、それを必要とする対象に提供することによって癌を処置する方法であって、癌細胞がTRP−2を発現する方法を提供する。一実施形態において、処置される癌は黒色腫である。
一態様において、本発明は、CYP1B1CARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、それを必要とする対象に提供することによって癌を処置する方法であって、癌細胞がCYP1B1を発現する方法を提供する。一実施形態において、処置される癌は乳癌、結腸癌、肺癌、食道癌、皮膚癌、リンパ節癌、脳腫瘍又は精巣癌である。
一態様において、本発明は、BORIS CARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、それを必要とする対象に提供することによって癌を処置する方法であって、癌細胞がBORISを発現する方法を提供する。一実施形態において、処置される癌は肺癌である。
一態様において、本発明は、SART3CARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、それを必要とする対象に提供することによって癌を処置する方法であって、癌細胞がSART3を発現する方法を提供する。
一態様において、本発明は、PAX5CARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、それを必要とする対象に提供することによって癌を処置する方法であって、癌細胞がPAX5を発現する方法を提供する。
一態様において、本発明は、OY−TES1CARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、それを必要とする対象に提供することによって癌を処置する方法であって、癌細胞がOY−TES1を発現する方法を提供する。
一態様において、本発明は、LCK CARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、それを必要とする対象に提供することによって癌を処置する方法であって、癌細胞がLCKを発現する方法を提供する。
一態様において、本発明は、AKAP−4CARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、それを必要とする対象に提供することによって癌を処置する方法であって、癌細胞がAKAP−4を発現する方法を提供する。
一態様において、本発明は、SSX2CARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、それを必要とする対象に提供することによって癌を処置する方法であって、癌細胞がSSX2を発現する方法を提供する。
一態様において、本発明は、RAGE−1CARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、それを必要とする対象に提供することによって癌を処置する方法であって、癌細胞がRAGE−1を発現する方法を提供する。一実施形態において、処置される癌はRCC(腎細胞癌)又は他の固形腫瘍である。
一態様において、本発明は、ヒトテロメラーゼ逆転写酵素CARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、それを必要とする対象に提供することによって癌を処置する方法であって、癌細胞がヒトテロメラーゼ逆転写酵素を発現する方法を提供する。一実施形態において、処置される癌は固形腫瘍である。
一態様において、本発明は、RU1CARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、それを必要とする対象に提供することによって癌を処置する方法であって、癌細胞がRU1を発現する方法を提供する。
一態様において、本発明は、RU2CARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、それを必要とする対象に提供することによって癌を処置する方法であって、癌細胞がRU2を発現する方法を提供する。
一態様において、本発明は、腸カルボキシルエステラーゼCARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、それを必要とする対象に提供することによって癌を処置する方法であって、癌細胞が腸カルボキシルエステラーゼを発現する方法を提供する。一実施形態において、処置される癌は甲状腺癌、RCC、CRC(結腸直腸癌)、乳癌又は他の固形腫瘍である。
一態様において、本発明は、プロスターゼCARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、それを必要とする対象に提供することによって癌を処置する方法であって、癌細胞がプロスターゼを発現する方法を提供する。
一態様において、本発明は、PAPCARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、それを必要とする対象に提供することによって癌を処置する方法であって、癌細胞がPAPを発現する方法を提供する。
一態様において、本発明は、IGF−I受容体CARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、それを必要とする対象に提供することによって癌を処置する方法であって、癌細胞がIGF−I受容体を発現する方法を提供する。
一態様において、本発明は、gp100CARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、それを必要とする対象に提供することによって癌を処置する方法であって、癌細胞がgp100を発現する方法を提供する。
一態様において、本発明は、bcr−abl CARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、それを必要とする対象に提供することによって癌を処置する方法であって、癌細胞がbcr−ablを発現する方法を提供する。
一態様において、本発明は、チロシナーゼCARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、それを必要とする対象に提供することによって癌を処置する方法であって、癌細胞がチロシナーゼを発現する方法を提供する。
一態様において、本発明は、フコシルGM1CARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、それを必要とする対象に提供することによって癌を処置する方法であって、癌細胞がフコシルGM1を発現する方法を提供する。
一態様において、本発明は、mut hsp70−2CARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、それを必要とする対象に提供することによって癌を処置する方法であって、癌細胞がmut hsp70−2を発現する方法を提供する。一実施形態において、処置される癌は黒色腫である。
一態様において、本発明は、CD79aCARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、それを必要とする対象に提供することによって癌を処置する方法であって、癌細胞がCD79aを発現する方法を提供する。
一態様において、本発明は、CD79bCARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、それを必要とする対象に提供することによって癌を処置する方法であって、癌細胞がCD79bを発現する方法を提供する。
一態様において、本発明は、CD72CARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、それを必要とする対象に提供することによって癌を処置する方法であって、癌細胞がCD72を発現する方法を提供する。
一態様において、本発明は、LAIR1CARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、それを必要とする対象に提供することによって癌を処置する方法であって、癌細胞がLAIR1を発現する方法を提供する。
一態様において、本発明は、FCAR CARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、それを必要とする対象に提供することによって癌を処置する方法であって、癌細胞がFCARを発現する方法を提供する。
一態様において、本発明は、LILRA2CARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、それを必要とする対象に提供することによって癌を処置する方法であって、癌細胞がLILRA2を発現する方法を提供する。
一態様において、本発明は、CD300LF CARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、それを必要とする対象に提供することによって癌を処置する方法であって、癌細胞がCD300LFを発現する方法を提供する。
一態様において、本発明は、CLEC12A CARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、それを必要とする対象に提供することによって癌を処置する方法であって、癌細胞がCLEC12Aを発現する方法を提供する。
一態様において、本発明は、BST2CARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、それを必要とする対象に提供することによって癌を処置する方法であって、癌細胞がBST2を発現する方法を提供する。
一態様において、本発明は、EMR2CARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、それを必要とする対象に提供することによって癌を処置する方法であって、癌細胞がEMR2を発現する方法を提供する。
一態様において、本発明は、LY75CARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、それを必要とする対象に提供することによって癌を処置する方法であって、癌細胞がLY75を発現する方法を提供する。
一態様において、本発明は、GPC3CARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、それを必要とする対象に提供することによって癌を処置する方法であって、癌細胞がGPC3を発現する方法を提供する。
一態様において、本発明は、FCRL5CARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、それを必要とする対象に提供することによって癌を処置する方法であって、癌細胞がFCRL5を発現する方法を提供する。
一態様において、本発明は、IGLL1CARを発現するように操作された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、それを必要とする対象に提供することによって癌を処置する方法であって、癌細胞がIGLL1を発現する方法を提供する。
一態様において、本発明は、癌性腫瘍の増殖が阻害されるようにPD1 CARを使用したインビボでの対象の処置に関する。PD1 CARは、癌性腫瘍の増殖を阻害するために単独で使用され得る。代わりに、PD1 CARを、他のCAR、免疫原性物質、標準的な癌処置又は他の抗体と組み合わせて使用し得る。一実施形態において、対象は、PD1 CAR及び本明細書に記載のXCARで処置される。一実施形態において、PD1 CARは、別のCAR、例えば本明細書に記載のCAR及びキナーゼ阻害剤、例えば本明細書に記載のキナーゼ阻害剤と組み合わせて使用され得る。
別の態様において、対象を処置する、例えば対象における過増殖性状態又は障害(例えば、癌)、例えば固形腫瘍、軟部組織腫瘍又は転移性病変を軽減又は緩和する方法が提供される。本明細書で使用される場合、用語「癌」は、病理組織学的型又は侵襲性のステージとは無関係に、全ての型の癌性増殖又は発癌過程、転移性組織又は悪性形質転換細胞、組織又は臓器を含むことを意味する。固形腫瘍の例には、肝臓、肺、乳房、リンパ系、消化管(例えば、結腸)、尿生殖路(例えば、腎細胞、尿路上皮細胞)、前立腺及び咽頭に影響を及ぼすものなど、種々の臓器系の悪性腫瘍、例えば肉腫、腺癌及び癌腫が含まれる。腺癌には、大部分の結腸癌、直腸癌、腎細胞癌、肝臓癌、肺の非小細胞癌、小腸の癌及び食道の癌などの悪性腫瘍が含まれる。一実施形態において、癌は黒色腫、例えば進行したステージの黒色腫である。前述の癌の転移性病変も本発明の方法及び組成物を使用して処置又は予防することができる。処置され得る他の癌の例としては、骨癌、膵臓癌、皮膚癌、頭頸部癌、皮膚又は眼内の悪性黒色腫、子宮癌、卵巣癌、直腸癌、肛門部癌、胃癌、精巣癌、子宮癌、卵管癌、子宮内膜癌、子宮頸癌、膣の癌、外陰癌、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、食道癌、小腸癌、内分泌系癌、甲状腺癌、副甲状腺癌、副腎癌、軟部組織肉腫、尿道癌、陰茎癌、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ性白血病を含む慢性又は急性白血病、小児固形腫瘍、リンパ球性リンパ腫、膀胱癌、腎臓癌又は尿管癌、腎盂癌、中枢神経系(CNS)新生物、原発性CNSリンパ腫、腫瘍血管新生、脊髄軸腫瘍、脳幹神経膠腫、下垂体腺腫、カポジ肉腫、類表皮癌、扁平上皮癌、T細胞リンパ腫、アスベストにより誘発された癌を含む環境的に誘発された癌及び前記癌の組み合わせが挙げられる。転移性癌、例えばPD−L1を発現する転移性癌(Iwai et al.(2005)Int.Immunol.17:133−144)の処置は、本明細書に記載の抗体分子を使用して達成され得る。
増殖が阻害され得る例示的な癌には、典型的には免疫療法に応答性の癌が含まれる。処置のための癌の非限定的な例は、黒色腫(例えば、転移性悪性黒色腫)、腎臓癌(例えば、明細胞癌)、前立腺癌(例えば、ホルモン難治性前立腺腺癌)、乳癌、結腸癌及び肺癌(例えば、非小細胞性肺癌)を含む。更に、難治性又は再発性悪性腫瘍は、本明細書に記載の分子を使用して処置することができる。
一態様において、本発明は、哺乳動物免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)における発現のために、プロモーターと操作可能に連結したCARを含むベクターに関する。一態様において、本発明は、本明細書に記載の癌関連抗原を発現する癌の処置における使用のための、本発明のCARを発現する組換え免疫エフェクター細胞を提供する。一態様において、本発明のCAR発現細胞は、CAR発現細胞が癌細胞を標的とし、癌の増殖が阻害されるように、腫瘍細胞を、その表面に発現される少なくとも1つの癌関連抗原と接触させることができる。
一態様において、本発明は、CARTが抗原に応答して活性化され、癌細胞を標的とするように、癌細胞を本発明のCAR発現細胞と接触させ、腫瘍の増殖が阻害されることを含む、癌の増殖を阻害する方法に関する。
一態様において、本発明は、対象における癌を処置する方法に関する。この方法は、癌が対象において処置されるように、対象に本発明のCAR発現細胞を投与することを含む。一態様において、本明細書に記載の癌関連抗原の発現と関連する癌は、血液癌である。一態様において、血液癌は、白血病又はリンパ腫である。一態様において、本明細書に記載の癌関連抗原の発現に関連する癌には、限定されないが、例えばB細胞急性リンパ性白血病(「BALL」)、T細胞急性リンパ性白血病(「TALL」)、急性リンパ性白血病(ALL)を例えば含むがそれに限定されない1つ以上の急性白血病、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性リンパ性白血病(CLL)を例えば含むがそれに限定されない1つ以上の慢性白血病を含めた癌及び悪性腫瘍が含まれる。本明細書に記載の癌関連抗原の発現に関連する更なる癌又は血液学的病態は、限定されないが、例えばB細胞前リンパ球性白血病、芽球性形質細胞様樹状細胞新生物、バーキットリンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、ヘアリー細胞白血病、小細胞型若しくは大細胞型濾胞性リンパ腫、悪性リンパ球増殖性病態、MALTリンパ腫、マントル細胞リンパ腫、辺縁帯リンパ腫、多発性骨髄腫、骨髄形成異常及び骨髄異形成症候群、非ホジキンリンパ腫、形質芽球性リンパ腫、形質細胞様樹状細胞新生物、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症及び骨髄性血球細胞の無効な産生(又は異形成)によってまとめられる種々の血液学的病態の群である「前白血病」などを含む。更に、本明細書に記載の癌関連抗原に関連する疾患としては、これらに限定されないが、例えば、本明細書に記載の癌関連抗原の発現に関連する、非定型的及び/又は非典型的な癌、悪性腫瘍、前癌状態又は増殖性疾患が挙げられる。
いくつかの実施形態において、本発明のCAR発現細胞で処置され得る癌は、多発性骨髄腫である。多発性骨髄腫は、骨髄に形質細胞クローンが蓄積することを特徴とする血液の癌である。多発性骨髄腫の現在の治療法には、サリドマイドの類似体であるレナリドマイドによる処置が含まれるが、これに限定されるものではない。レナリドマイドは、抗腫瘍活性、血管新生阻害、免疫調節を含む活性を有する。一般的に、骨髄腫細胞は、フローサイトメトリーにより、本明細書に記載の癌関連抗原の発現について陰性であると考えられる。従って、実施形態において、例えば本明細書に記載のCD19 CARを、骨髄腫細胞を標的とするために使用し得る。いくつかの実施形態において、本発明のCAR治療を、1つ以上の更なる治療、例えばレナリドマイド処置と組み合わせて使用することができる。
本発明は、ある種の細胞療法を含み、ここで、免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)が、キメラ抗原受容体(CAR)を発現するように遺伝的に修飾され、CAR発現T細胞又はNK細胞が、それを必要とするレシピエントに注入される。注入された細胞は、レシピエントで腫瘍細胞を殺傷することができる。抗体療法と異なり、CAR修飾免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)は、インビボで複製でき、持続した腫瘍制御をもたらし得る長期残留性をもたらす。種々の態様において、患者に投与された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)又はその子孫は、患者において、患者にT細胞又はNK細胞を投与した後に少なくとも4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、12ヶ月、13ヶ月、14ヶ月、15ヶ月、16ヶ月、17ヶ月、18ヶ月、19ヶ月、20ヶ月、21ヶ月、22ヶ月、23ヶ月、2年、3年、4年又は5年持続する。
本発明は、ある種の細胞療法も含み、ここで、免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)は、キメラ抗原受容体(CAR)を一過性に発現するように例えばインビトロ転写RNAにより改変され、CAR T細胞又はNK細胞は、それを必要とするレシピエントに注入される。注入された細胞は、レシピエントで腫瘍細胞を殺傷することができる。そのため、種々の態様において、患者に投与した免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)は、患者にT細胞又はNK細胞投与後、1ヶ月、例えば3週間、2週間、1週間未満存在する。
何らかの特定の理論に拘束されないが、CAR修飾免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)により惹起される抗腫瘍免疫応答は、能動的又は受動的免疫応答であり得るか又は代わりに直接的対間接的免疫応答によるものであり得る。一態様において、CAR形質導入免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)は、本明細書に記載の癌関連抗原を発現するヒト癌細胞に応答して特定の炎症誘発性サイトカイン分泌及び強力な細胞溶解性活性を示し、可溶性の本明細書に記載の癌関連抗原の阻害に抵抗し、バイスタンダー死滅を媒介し、確立されたヒト腫瘍の退縮を媒介する。例えば、本明細書に記載の癌関連抗原を発現する腫瘍の不均一な場における抗原低腫瘍細胞は、近辺の抗原陽性癌細胞に対して先に反応している癌関連抗原の本明細書に記載の癌関連抗原にリダイレクトされた免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)による間接的破壊を受け得る。
一態様において、本発明の完全ヒトCAR修飾免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)は、哺乳動物におけるエクスビボ免疫化及び/又はインビボ治療のための一種のワクチンである。一態様において、哺乳動物は、ヒトである。
エクスビボ免疫化に関して、i)細胞の増殖、ii)細胞へのCARをコードする核酸の導入又はiii)細胞の凍結保存の少なくとも1つが、哺乳動物に細胞を投与する前にインビトロで起こる。
エクスビボ過程は、当技術分野で周知であり、下により詳細に記載する。簡潔には、細胞を哺乳動物(例えば、ヒト)から単離し、本明細書に記載するCARを発現するベクターで遺伝的に改変(即ちインビトロで形質導入又はトランスフェクト)される。CAR修飾細胞を哺乳動物レシピエントに投与して、治療効果を提供できる。哺乳動物レシピエントは、ヒトであり得、CAR修飾細胞は、レシピエントに対して自己であり得る。代わりに、細胞は、レシピエントに対して同種、同系又は異種であり得る。
造血幹細胞及び前駆細胞のエクスビボ増殖のための方法は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,199,942号明細書に記載され、本発明の細胞に適用され得る。他の適当な方法は、当技術分野で知られ、従って、本発明は、細胞のエクスビボ増殖の特定の方法に限定されない。簡潔には、免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)のエクスビボ培養及び増殖は、(1)哺乳動物からの採取した末梢血又は髄外植体からのCD34+造血幹細胞及び前駆細胞回収、及び(2)エクスビボでのこのような細胞の増殖を含む。米国特許第5,199,942号明細書に記載される細胞増殖因子に加えて、flt3L、IL−1、IL−3及びc−kitリガンドなどの他の因子を細胞の培養及び増殖に使用できる。
エクスビボ免疫化の点で細胞ベースのワクチンを使用するのに加えて、本発明は、患者における抗原に対する免疫応答を惹起するための、インビボ免疫化のための組成物及び方法も提供する。
一般に、本明細書に記載の細胞活性化及び増殖は、免疫不全状態である個体で惹起する疾患の処置及び予防に利用し得る。特に、本発明のCAR修飾免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、本明細書に記載の癌関連抗原の発現と関連する疾患、障害及び状態の処置に使用する。特定の態様において、本発明の細胞を、本明細書に記載の癌関連抗原の発現と関連する疾患、障害及び状態を発症するリスクのある患者の処置に使用する。従って、本発明は、処置を必要とする対象に、本発明のCAR修飾免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)の治療有効量を投与することを含む、本明細書に記載の癌関連抗原の発現と関連する疾患、障害及び状態の処置又は予防のための方法を提供する。
一態様において、本発明のCAR発現細胞を、癌又は悪性腫瘍などの増殖性疾患又は脊髄形成異常症、骨髄異形成症候群又は前白血病状態などの前癌状態の処置に使用し得る。更に、本明細書に記載の癌関連抗原に関連する疾患としては、これらに限定されないが、例えば、本明細書に記載の癌関連抗原を発現する、非定型的及び/又は非典型的な癌、悪性腫瘍、前癌状態又は増殖性疾患が挙げられる。本明細書に記載の癌関連抗原の発現に関連する非癌関連の適応症には、限定されないが、例えば自己免疫疾患(例えば、狼瘡)、炎症性障害(アレルギー及び喘息)及び移植が含まれる。
本発明のCAR修飾免疫エフェクター細胞、(例えば、T細胞、NK細胞)を、単独で又は希釈剤及び/又はIL−2又は他のサイトカイン又は細胞集団などの他の成分と組み合わせて医薬組成物として投与し得る。
血液癌
血液癌状態は、白血病、リンパ腫並びに血液、骨髄及びリンパ系に影響する悪性リンパ増殖状態などの癌の型である。
白血病は、急性白血病及び慢性白血病に分類できる。急性白血病は、急性骨髄性白血病(AML)及び急性リンパ性白血病(ALL)として更に分類され得る。慢性白血病は、慢性骨髄性白血病(CML)及び慢性リンパ系白血病(CLL)を含む。他の関連する状態は、骨髄球性血液細胞の産生不良(又は異形成)によりまとめられる血液学的状態の多様な集合であり、AMLに形質転換するリスクがある骨髄異形成症候群(MDS、以前は「前白血病状態」として知られる)を含む。
リンパ腫は、リンパ球から生じる血液細胞腫瘍の群である。例示的なリンパ腫は、非ホジキンリンパ腫及びホジキンリンパ腫を含む。
本発明は、癌を処置するための組成物及び方法を提供する。一態様において、癌は、血液癌であり、血液癌が白血病又はリンパ腫であるものを含むが、これらに限定されない。一態様において、本発明のCAR発現細胞を使用して、これらに限定されないが、例えば、これらに限定されないが、例えばB細胞急性リンパ性白血病(「BALL」)、T細胞急性リンパ性白血病(「TALL」)、急性リンパ性白血病(ALL)を含む、1つ以上の急性白血病;これらに限定されないが、例えば、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性リンパ球性白血病(CLL)を含む、1つ以上の慢性白血病;これらに限定されないが、例えば、B細胞前リンパ球性白血病、芽球性形質細胞様樹状細胞の新生物、バーキットリンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、ヘアリーセル白血病、小細胞型若しくは大細胞型濾胞性リンパ腫、悪性のリンパ増殖性状態、MALTリンパ腫、マントル細胞リンパ腫、辺縁帯リンパ腫、多発性骨髄腫、脊髄形成異常及び骨髄異形成症候群、非ホジキンリンパ腫、形質芽細胞リンパ腫、形質細胞様樹状細胞の新生物、ワルデンシュトレーム型マクログロブリン血症及び骨髄の血液細胞の無効な産生(又は異形成)を併せ持つ血液学的な状態の多様な集合体である「前白血病状態」などを含む、更なる血液癌又は血液学的状態などの癌及び悪性腫瘍を処置し得る。更に、本明細書に記載の癌関連抗原に関連する疾患としては、これらに限定されないが、例えば、本明細書に記載の癌関連抗原を発現する、非定型的及び/又は非典型的な癌、悪性腫瘍、前癌状態又は増殖性疾患が挙げられる。
本発明は、本明細書に記載の癌関連抗原を発現する細胞集団の増殖を阻害する又は低減する方法も提供し、本方法は、本明細書に記載の癌関連抗原を発現する細胞を含む細胞集団を、本明細書に記載の癌関連抗原を発現する細胞に結合する本発明のCAR発現T細胞又はNK細胞に接触させることを含む。特定の態様において、本発明は、本明細書に記載の癌関連抗原を発現する癌細胞集団の増殖を阻害する又は低減する方法を提供し、本方法は、本明細書に記載の癌関連抗原を発現する癌細胞集団を、本明細書に記載の癌関連抗原を発現する細胞に結合する本発明のCAR発現T細胞又はNK細胞に接触させることを含む。一態様において、本発明は、本明細書に記載の癌関連抗原を発現する癌細胞集団の増殖を阻害する又は低減する方法を提供し、本方法は、本明細書に記載の癌関連抗原を発現する癌細胞集団を、本明細書に記載の癌関連抗原を発現する細胞に結合する本発明のCAR発現T細胞又はNK細胞に接触させることを含む。特定の態様において、本発明のCAR発現細胞T細胞又はNK細胞は、細胞及び/又は癌細胞の含量、数、量又はパーセンテージを、陰性対照と比較して、骨髄性白血病又は本明細書に記載の癌関連抗原を発現する細胞と関連する別の癌を有する対象又は動物モデルで少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも65%、少なくとも75%、少なくとも85%、少なくとも95%又は少なくとも99%減少させる。一態様において、対象は、ヒトである。
本発明は、本明細書に記載の癌関連抗原を発現する細胞(例えば、本明細書に記載の癌関連抗原を発現する血液癌又は非定型癌)と関連する疾患を予防、処置及び/又は管理する方法も提供し、本方法は、本明細書に記載の癌関連抗原を発現する細胞に結合する本発明のCAR T細胞又はNK細胞を、必要とする対象に投与することを含む。一態様において、対象は、ヒトである。本明細書に記載の癌関連抗原を発現する細胞と関係する障害の非限定的な例は、自己免疫性障害(狼瘡など)、炎症性障害(アレルギー及び喘息など)及び癌(本明細書に記載の癌関連抗原を発現する血液癌又は非定型癌など)を含む。
本発明は、本明細書に記載の癌関連抗原を発現する細胞と関連する疾患を予防、処置及び/又は管理する方法も提供し、本方法は、本明細書に記載の癌関連抗原を発現する細胞に結合する本発明のCAR T細胞又はNK細胞を、必要とする対象に投与することを含む。一態様において、対象は、ヒトである。
本発明は、本明細書に記載の癌関連抗原を発現する細胞と関連する癌の再発を予防する方法を提供し、本方法は、本明細書に記載の癌関連抗原を発現する細胞に結合する本発明のCAR T細胞又はNK細胞を、それを必要とする対象に投与することを含む。一態様において、方法は、処置を必要とする対象に、本明細書に記載の癌関連抗原を発現する細胞と結合する有効量の本明細書に記載のCAR発現T細胞又はNK細胞を、有効量の別の治療と組み合わせて投与することを含む。
組み合わせ治療
本明細書に記載のCAR発現細胞は、他の公知の薬剤及び治療と組み合わせて使用され得る。本明細書で使用する「組み合わせて」投与するとは、2つの(又はそれを超える)異なる処置を、対象が障害を患っている過程中に対象に送達することを意味し、例えば2つ以上の処置を、対象が障害と診断された後に且つ障害が治癒又は撲滅される前に、又は処置が他の理由で中止される前に送達される。一実施形態において、投与期間の重複があるように、一方の処置の送達は、第2の処置の送達開始時に依然として行われている。これは、本明細書では「同時(simultaneous)」又は「同時(concurrent)送達」ということがある。他の実施形態において、一方の処置の送達は、他の処置の送達が始まる前に終わる。いずれかの場合の一実施形態において、処置は、組み合わせ投与のためにより有効である。例えば、第2の処置剤は、より有効である、例えば等しい効果が少ない第2の処置剤で見られるか、又は第2の処置剤は、第2の処置剤を第1の処置剤の非存在下で投与したときに見られるよりも大きい程度で症状を軽減するか又は第1の処置剤で同様の状況が見られる。一実施形態において、送達、障害と関係する症状又は他のパラメータの減少は、他方の処置剤の非存在下において一方の処置剤の送達で観察されるより大きい。2つの処置の効果は、一部相加的、完全相加的又は相加的より大きいものであり得る。送達は、送達した第1の処置の効果が第2の薬剤の送達時になお検出可能であるようなものであり得る。
本明細書に記載のCAR発現細胞及び少なくとも1つの更なる治療剤を同時に、同じ又は別の組成物で又は逐次的に投与できる。逐次投与について、本明細書に記載のCAR発現細胞をまず投与し得、更なる薬剤を次に投与し得、又は投与の順番が逆であり得る。
CAR治療及び/又は他の治療剤、方法又はモダリティを活動性障害の期間又は寛解又は低活動性疾患の期間に投与できる。CAR治療を他の処置の処置前、処置と同時に、処置後又は障害の寛解中に投与できる。
組み合わせて投与するとき、CAR治療及び更なる薬剤(例えば、第2又は第3の薬剤)又は全てを、個々に、例えば単剤療法として使用する各薬剤の量又は投与より高い、低い又は同じ量又は用量で投与できる。一実施形態において、CAR治療、更なる薬剤(例えば、第2又は第3の薬剤)又は全ての投与される量又は用量は、個々に、例えば単剤療法として使用する各薬剤の量又は用量より低い(例えば、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%又は少なくとも50%)。他の実施形態において、所望の効果(例えば、癌の処置)を生じるCAR治療、更なる薬剤(例えば、第2又は第3の薬剤)又は全ての投与される量又は用量は、同じ治療効果を達成するのに必要である、個々に、例えば単剤療法として使用する各薬剤の量又は用量より低い(例えば、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%又は少なくとも50%低い)。
更なる態様において、本明細書に記載のCAR発現細胞は、処置レジメンにおいて、手術、化学療法、放射線、シクロスポリン、アザチオプリン、メトトレキサート、ミコフェノレート、FK506などの免疫抑制剤、抗体又はCAMPATH、抗CD3抗体などの他の免疫除去剤若しくは他の抗体療法、サイトキシン、フルダラビン、シクロスポリン、FK506、ラパマイシン、ミコフェノール酸、ステロイド、FR901228、サイトカイン及び照射、Izumoto et al.2008 J Neurosurg 108:963−971に記載されるものなどのペプチドワクチンと組み合わせて使用され得る。
一実施形態において、本明細書に記載のCAR発現細胞を化学療法剤と組み合わせて使用できる。例示的な化学療法剤は、アントラサイクリン(例えば、ドキソルビシン(例えば、リポソームドキソルビシン))、ビンカアルカロイド(例えば、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン)、アルキル化剤(例えば、シクロホスファミド、ダカルバジン、メルファラン、イホスファミド、テモゾロミド)、免疫細胞抗体(例えば、アレムツズマブ、ゲムツズマブ、リツキシマブ、オファツムマブ、トシツモマブ、ブレンツキシマブ)、代謝拮抗剤(例えば、葉酸アンタゴニスト、ピリミジン類似体、プリン類似体及びアデノシンデアミナーゼ阻害剤(例えば、フルダラビン))、mTOR阻害剤、TNFRグルココルチコイド誘発TNFR関連タンパク質(GITR)アゴニスト、プロテアソーム阻害剤(例えば、アクラシノマイシンA、グリオトキシン又はボルテゾミブ)、サリドマイド又はサリドマイド誘導体(例えば、レナリドマイド)などの免疫調節剤を含む。
併用療法における使用が企図される一般的化学療法剤は、アナストロゾール(アリミデックス(登録商標))、ビカルタミド(カソデックス(登録商標))、硫酸ブレオマイシン(Blenoxane(登録商標))、ブスルファン(マイレラン(登録商標))、ブスルファン注(ブスルフェクス(登録商標))、カペシタビン(ゼローダ(登録商標))、N4−ペントキシカルボニル−5−デオキシ−5−フルオロシチジン、カルボプラチン(パラプラチン(登録商標))、カルムスチン(BiCNU(登録商標))、クロラムブシル(リューケラン(登録商標))、シスプラチン(Platinol(登録商標))、クラドリビン(ロイスタチン(登録商標))、シクロホスファミド(シトキサン(登録商標)又はNeosar(登録商標))、シタラビン、シトシンアラビノシド(Cytosar−U(登録商標))、シタラビンリポソーム注射(DepoCyt(登録商標))、ダカルバジン(DTIC−Dome(登録商標))、ダクチノマイシン(アクチノマイシンD、Cosmegan)、塩酸ダウノルビシン(Cerubidine(登録商標))、クエン酸ダウノルビシンリポソーム注射(DaunoXome(登録商標))、デキサメサゾン、ドセタキセル(タキソテール(登録商標))、塩酸ドキソルビシン(アドリアマイシン(登録商標)、Rubex(登録商標))、エトポシド(ベプシド(登録商標))、リン酸フルダラビン(フルダラ(登録商標))、5−フルオロウラシル(アドルシル(登録商標)、エフデックス(登録商標))、フルタミド(Eulexin(登録商標))、テザシチビン、ゲムシタビン(ジフルオロデオキシシチジン)、ヒドロキシ尿素(ハイドレア(登録商標))、イダルビシン(イダマイシン(登録商標))、イホスファミド(IFEX(登録商標))、イリノテカン(Camptosar(登録商標))、L−アスパラギナーゼ(ELSPAR(登録商標))、ロイコボリンカルシウム、メルファラン(アルケラン(登録商標))、6−メルカプトプリン(ピュリネソール(登録商標))、メトトレキサート(Folex(登録商標))、ミトキサントロン(ノバントロン(登録商標))、マイロターグ、パクリタキセル(タキソール(登録商標))、phoenix(イットリウム90/MX−DTPA)、ペントスタチン、ポリフェプロザン20とカルムスチンインプラント(グリアデル(登録商標))、クエン酸タモキシフェン(ノルバデックス(登録商標))、テニポシド(Vumon(登録商標))、6−チオグアニン、チオテパ、チラパザミン(Tirazone(登録商標))、注射用塩酸トポテカン(ハイカムチン(登録商標))、ビンブラスチン(Velban(登録商標))、ビンクリスチン(オンコビン(登録商標))及びビノレルビン(ナベルビン(登録商標))を含む。
例示的なアルキル化剤は、窒素マスタード、エチレンイミン誘導体、アルキルスルホネート、ニトロソウレア類及びトリアゼン):ウラシルマスタード(アミノウラシルマスタード(登録商標)、Chlorethaminacil(登録商標)、Demethyldopan(登録商標)、Desmethyldopan(登録商標)、Haemanthamine(登録商標)、Nordopan(登録商標)、Uracil nitrogen mustard(登録商標)、Uracillost(登録商標)、Uracilmostaza(登録商標)、ウラムスチン(登録商標)、ウラムスチン(登録商標))、クロルメチン(Mustargen(登録商標))、シクロホスファミド(シトキサン(登録商標)、Neosar(登録商標)、Clafen(登録商標)、エンドキサン(登録商標)、Procytox(登録商標)、Revimmune(商標))、イホスファミド(Mitoxana(登録商標))、メルファラン(アルケラン(登録商標))、クロラムブシル(リューケラン(登録商標))、ピポブロマン(Amedel(登録商標)、Vercyte(登録商標))、トリエチレンメラミン(ヘメル(登録商標)、Hexalen(登録商標)、Hexastat(登録商標))、トリエチレンチオホスホロアミン、テモゾロミド(テモダール(登録商標))、チオテパ(Thioplex(登録商標))、ブスルファン(Busilvex(登録商標)、マイレラン(登録商標))、カルムスチン(BiCNU(登録商標))、ロムスチン(CeeNU(登録商標))、ストレプトゾシン(Zanosar(登録商標))及びダカルバジン(DTIC−Dome(登録商標))を含むが、これらに限定されない。アルキル化剤の更なる例は、オキサリプラチン(エロキサチン(登録商標));テモゾロミド(テモダール(登録商標)及びテモダール(登録商標));ダクチノマイシン(別名アクチノマイシン−D、Cosmegen(登録商標));メルファラン(別名L−PAM、L−サルコリシン及びフェニルアラニンマスタード、アルケラン(登録商標));アルトレタミン(別名ヘキサメチルメラミン(HMM)、Hexalen(登録商標));カルムスチン(BiCNU(登録商標));ベンダムスチン(Treanda(登録商標));ブスルファン(ブスルフェクス(登録商標)及びマイレラン(登録商標));カルボプラチン(パラプラチン(登録商標));ロムスチン(別名CCNU、CeeNU(登録商標));シスプラチン(別名CDDP、Platinol(登録商標)及びPlatinol(登録商標)−AQ);クロラムブシル(リューケラン(登録商標));シクロホスファミド(シトキサン(登録商標)及びNeosar(登録商標));ダカルバジン(別名DTIC、DIC及びイミダゾールカルボキサミド、DTIC−Dome(登録商標));アルトレタミン(別名ヘキサメチルメラミン(HMM)、Hexalen(登録商標));イホスファミド(Ifex(登録商標));Prednumustine;プロカルバジン(Matulane(登録商標));メクロレタミン(別名窒素マスタード、ムスチン及び塩酸メクロロエタミン、Mustargen(登録商標));ストレプトゾシン(Zanosar(登録商標));チオテパ(別名チオホスホアミド、TESPA及びTSPA、Thioplex(登録商標));シクロホスファミド(エンドキサン(登録商標)、シトキサン(登録商標)、Neosar(登録商標)、Procytox(登録商標)、Revimmune(登録商標));及びベンダムスチンHCl(Treanda(登録商標))を含むが、これらに限定されない。
実施形態において、本明細書に記載のCAR発現細胞を、フルダラビン、シクロホスファミド及び/又はリツキシマブと組み合わせて対象に投与する。実施形態において、本明細書に記載のCAR発現細胞を、フルダラビン、シクロホスファミド及びリツキシマブ(FCR)と組み合わせて対象に投与する。実施形態において、対象は、CLLを有する。例えば、対象は、染色体17の短腕に欠失を有する(例えば、白血病性細胞におけるdel(17p))。他の例において、対象は、del(17p)を有しない。実施形態において、対象は、免疫グロブリン重鎖可変領域(IgVH)遺伝子に変異を含む白血病性細胞を含む。他の実施形態において、対象は、免疫グロブリン重鎖可変領域(IgVH)遺伝子に変異を含む白血病性細胞を含まない。実施形態において、フルダラビンを約10〜50mg/m2(例えば、約10〜15、15〜20、20〜25、25〜30、30〜35、35〜40、40〜45又は45〜50mg/m2)の用量で例えば静脈内に投与する。実施形態において、シクロホスファミドを約200〜300mg/m2(例えば、約200〜225、225〜250、250〜275又は275〜300mg/m2)の用量で例えば静脈内に投与する。実施形態において、リツキシマブを約400〜600mg/m2(例えば、400〜450、450〜500、500〜550又は550〜600mg/m2)の用量で例えば静脈内に投与する。
実施形態において、本明細書に記載のCAR発現細胞をベンダムスチン及びリツキシマブと組み合わせて対象に投与する。実施形態において、対象は、CLLを有する。例えば、対象は、染色体17の短腕に欠失を有する(例えば、白血病性細胞におけるdel(17p))。他の例において、対象は、del(17p)を有しない。実施形態において、対象は、免疫グロブリン重鎖可変領域(IgVH)遺伝子に変異を含む白血病性細胞を含む。他の実施形態において、対象は、免疫グロブリン重鎖可変領域(IgVH)遺伝子に変異を含む白血病性細胞を含まない。実施形態において、ベンダムスチンを約70〜110mg/m2(例えば、70〜80、80〜90、90〜100又は100〜110mg/m2)の用量で例えば静脈内に投与する。実施形態において、リツキシマブを約400〜600mg/m2(例えば、400〜450、450〜500、500〜550又は550〜600mg/m2)の用量で例えば静脈内に投与する。
実施形態において、本明細書に記載のCAR発現細胞をリツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン及び/又はコルチコステロイド(例えば、プレドニゾン)と組み合わせて対象に投与する。実施形態において、本明細書に記載のCAR発現細胞をリツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン及びプレドニゾン(R−CHOP)と組み合わせて対象に投与する。実施形態において、対象は、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(DLBCL)を有する。実施形態において、対象は、巨大腫瘤がない限局したステージのDLBCL(例えば、7cm未満のサイズ/直径の腫瘍を含む)を有する。実施形態において、対象は、R−CHOPと組み合わせて放射線で処置される。例えば、対象にR−CHOP(例えば、1〜6サイクル、例えば1、2、3、4、5又は6サイクルのR−CHOP)、続いて放射線を投与する。ある場合、対象に放射線後R−CHOP(例えば、1〜6サイクル、例えば1、2、3、4、5又は6サイクルのR−CHOP)を投与する。
実施形態において、本明細書に記載のCAR発現細胞をエトポシド、プレドニゾン、ビンクリスチン、シクロホスファミド、ドキソルビシン及び/又はリツキシマブと組み合わせて対象に投与する。実施形態において、本明細書に記載のCAR発現細胞をエトポシド、プレドニゾン、ビンクリスチン、シクロホスファミド、ドキソルビシン及びリツキシマブ(EPOCH−R)と組み合わせて対象に投与する。実施形態において、本明細書に記載のCAR発現細胞を用量調節EPOCH−R(DA−EPOCH−R)と組み合わせて対象に投与する。実施形態において、対象は、B細胞リンパ腫、例えばMyc再配列侵襲性B細胞リンパ腫を有する。
実施形態において、本明細書に記載のCAR発現細胞をリツキシマブ及び/又はレナリドマイドと組み合わせて対象に投与する。レナリドマイド((RS)−3−(4−アミノ−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル)ピペリジン−2,6−ジオン)は、免疫調節剤である。実施形態において、本明細書に記載のCAR発現細胞をリツキシマブ及びレナリドマイドと組み合わせて対象に投与する。実施形態において、対象は、濾胞性リンパ腫(FL)又はマントル細胞リンパ腫(MCL)を有する。実施形態において、対象は、FLを有し、癌治療剤で先に処置されていない。実施形態において、レナリドマイドを約10〜20mg(例えば、10〜15mg又は15〜20mg)で例えば連日投与する。実施形態において、リツキシマブを約350〜550mg/m2(例えば、350〜375、375〜400、400〜425、425〜450、450〜475又は475〜500mg/m2)で例えば静脈内投与する。
例示的なmTOR阻害剤は、例えば、テムシロリムス;リダフォロリムス(以前はデフェロリムスとして既知、(1R,2R,4S)−4−[(2R)−2−[(1R,9S,12S,15R,16E,18R,19R,21R,23S,24E,26E,28Z,30S,32S,35R)−1,18−ジヒドロキシ−19,30−ジメトキシ−15,17,21,23,29,35−ヘキサメチル−2,3,10,14,20−ペンタオキソ−11,36−ジオキサ−4−アザトリシクロ[30.3.1.04,9]ヘキサトリアコンタ−16,24,26,28−テトラエン−12−イル]プロピル]−2−メトキシシクロヘキシルジメチルホスフィネート、AP23573及びMK8669としても知られ、国際公開第03/064383号パンフレットに記載);エベロリムス(アフィニトール(登録商標)又はRAD001);ラパマイシン(AY22989、シロリムス(登録商標));シマピモド(CAS 164301−51−3);エムシロリムス、(5−{2,4−ビス[(3S)−3−メチルモルホリン−4−イル]ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−イル}−2−メトキシフェニル)メタノール(AZD8055);2−アミノ−8−[トランス−4−(2−ヒドロキシエトキシ)シクロヘキシル]−6−(6−メトキシ−3−ピリジニル)−4−メチル−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7(8H)−オン(PF04691502、CAS 1013101−36−4);及びN2−[1,4−ジオキソ−4−[[4−(4−オキソ−8−フェニル−4H−1−ベンゾピラン−2−イル)モルホリニウム−4−イル]メトキシ]ブチル]−L−アルギニルグリシル−L−α−アスパルチルL−セリン−、分子内塩(SF1126、CAS 936487−67−1)(配列番号1262)及びXL765を含む。
例示的な免疫調節剤は、例えば、アフツズマブ(Roche(登録商標)から入手可能);ペグフィルグラスチム(Neulasta(登録商標));レナリドマイド(CC−5013、レブリミド(登録商標));サリドマイド(サロミド(登録商標))、アクチミド(CC4047);及びIRX−2(インターロイキン1、インターロイキン2及びインターフェロンγを含むヒトサイトカイン混合物、CAS 951209−71−5、IRX Therapeuticsから入手可能)を含む。
例示的なアントラサイクリンは、例えば、ドキソルビシン(アドリアマイシン(登録商標)及びRubex(登録商標));ブレオマイシン(lenoxane(登録商標));ダウノルビシン(塩酸ダウノルビシン、ダウノマイシン及び塩酸ルビドマイシン、Cerubidine(登録商標));ダウノルビシンリポソーム(クエン酸ダウノルビシンリポソーム、DaunoXome(登録商標));ミトキサントロン(DHAD、ノバントロン(登録商標));エピルビシン(Ellence(商標));イダルビシン(イダマイシン(登録商標)、イダマイシンPFS(登録商標));マイトマイシンC(ムタマイシン(登録商標));ゲルダナマイシン;ハービマイシン;ラビドマイシン;及びデスアセチルラビドマイシンを含む。
例示的なビンカアルカロイドは、例えば、酒石酸ビノレルビン(ナベルビン(登録商標))、ビンクリスチン(オンコビン(登録商標))及びビンデシン(Eldisine(登録商標)));ビンブラスチン(別名硫酸ビンブラスチン、ビンカロイコブラスチン及びVLB、Alkaban−AQ(登録商標)及びVelban(登録商標));及びビノレルビン(ナベルビン(登録商標))を含む。
例示的なプロテオソーム阻害剤は、ボルテゾミブ(ベルケイド(登録商標));カーフィルゾミブ(PX−171−007、(S)−4−メチル−N−((S)−1−(((S)−4−メチル−1−((R)−2−メチルオキシラン−2−イル)−1−オキソペンタン−2−イル)アミノ)−1−オキソ−3−フェニルプロパン−2−イル)−2−((S)−2−(2−モルホリノアセトアミド)−4−フェニルブタンアミド)−ペンタンアミド);マリゾミブ(NPI−0052);イキサゾミブクエン酸エステル(MLN−9708);デランゾミブ(CEP−18770);及びO−メチル−N−[(2−メチル−5−チアゾリル)カルボニル]−L−セリル−O−メチル−N−[(1S)−2−[(2R)−2−メチル−2−オキシラニル]−2−オキソ−1−(フェニルメチル)エチル]−L−セリンアミド(ONX−0912)を含む。
実施形態において、本明細書に記載のCAR発現細胞をブレンツキシマブと組み合わせて対象に投与する。ブレンツキシマブは、抗CD30抗体及びモノメチルオーリスタチンEの抗体−薬物コンジュゲートである。実施形態において、対象は、ホジキンリンパ腫(HL)、例えば再発性又は難治性HLを有する。実施形態において、対象は、CD30+HLを含む。実施形態において、対象は、自己幹細胞移植(ASCT)を受けている。実施形態において、対象は、ASCTを受けていない。実施形態において、ブレンツキシマブを約1〜3mg/kg(例えば、約1〜1.5mg/kg、1.5〜2mg/kg、2〜2.5mg/kg又は2.5〜3mg/kg)で例えば静脈内に例えば3週間毎に投与する。
実施形態において、本明細書に記載のCAR発現細胞をブレンツキシマブ及びダカルバジン又はブレンツキシマブとベンダムスチンとの組み合わせと組み合わせて対象に投与する。ダカルバジンは、化学名5−(3,3−ジメチル−1−トリアゼニル)イミダゾール−4−カルボキサミドを有するアルキル化剤である。ベンダムスチンは、化学名4−[5−[ビス(2−クロロエチル)アミノ]−1−メチルベンズイミダゾール−2−イル]ブタン酸を有するアルキル化剤である。実施形態において、対象は、ホジキンリンパ腫(HL)を有する。実施形態において、対象は、癌治療剤で先に処置されていない。実施形態において、対象は、少なくとも60歳、例えば60歳、65歳、70歳、75歳、80歳、85歳又はそれを超える。実施形態において、ダカルバジンを約300〜450mg/m2(例えば、約300〜325、325〜350、350〜375、375〜400、400〜425又は425〜450mg/m2)の用量で例えば静脈内に投与する。実施形態において、ベンダムスチンを約75〜125mg/m2(例えば、75〜100又は100〜125mg/m2、例えば約90mg/m2)の用量で例えば静脈内に投与する。実施形態において、ブレンツキシマブを約1〜3mg/kg(例えば、約1〜1.5mg/kg、1.5〜2mg/kg、2〜2.5mg/kg又は2.5〜3mg/kg)で例えば静脈内に例えば3週間毎に投与する。
いくつかの実施形態において、本明細書に記載のCAR発現細胞を対象にCD20阻害剤、例えば抗CD20抗体(例えば、抗CD20単又は二特異的抗体)又はその断片と組み合わせて投与する。例示的な抗CD20抗体は、リツキシマブ、オファツムマブ、オクレリズマブ、ベルツズマブ、オビヌツズマブ、TRU−015(Trubion Pharmaceuticals)、オカラツズマブ及びPro131921(Genentech)を含むが、これらに限定されない。例えば、Lim et al.Haematologica.95.1(2010):135−43を参照されたい。
いくつかの実施形態において、抗CD20抗体は、リツキシマブを含む。リツキシマブは、例えば、www.accessdata.fda.gov/drugsatfda_docs/label/2010/103705s5311lbl.pdfに記載のように、CD20に結合し、CD20発現細胞の細胞溶解を起こすキメラマウス/ヒトモノクローナル抗体IgG1κである。実施形態において、本明細書に記載のCAR発現細胞をリツキシマブと組み合わせて対象に投与する。実施形態において、対象は、CLL又はSLLを有する。
いくつかの実施形態において、リツキシマブを静脈内に例えば静脈内点滴として投与する。例えば、各点滴は、約500〜2000mg(例えば、約500〜550mg、550〜600mg、600〜650mg、650〜700mg、700〜750mg、750〜800mg、800〜850mg、850〜900mg、900〜950mg、950〜1000mg、1000〜1100mg、1100〜1200mg、1200〜1300mg、1300〜1400mg、1400〜1500mg、1500〜1600mg、1600〜1700mg、1700〜1800mg、1800〜1900mg又は1900〜2000mg)のリツキシマブを提供する。いくつかの実施形態において、リツキシマブを150mg/m2〜750mg/m2、例えば約150〜175mg/m2、175〜200mg/m2、200〜225mg/m2、225〜250mg/m2、250〜300mg/m2、300〜325mg/m2、325〜350mg/m2、350〜375mg/m2、375〜400mg/m2、400〜425mg/m2、425〜450mg/m2、450〜475mg/m2、475〜500mg/m2、500〜525mg/m2、525〜550mg/m2、550〜575mg/m2、575〜600mg/m2、600〜625mg/m2、625〜650mg/m2、650〜675mg/m2又は675〜700mg/m2の用量で投与し、ここで、m2は、対象の体表面積を示す。いくつかの実施形態において、リツキシマブを少なくとも4日、例えば4日、7日、14日、21日、28日、35日又はそれを超える投薬間隔で投与する。例えば、リツキシマブを少なくとも0.5週間、例えば0.5週間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間又はそれを超える投薬間隔で投与する。いくつかの実施形態において、リツキシマブを一定期間、例えば少なくとも2週間、例えば少なくとも2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、12週間、13週間、14週間、15週間、16週間、17週間、18週間、19週間、20週間又はそれより長く、本明細書に記載の用量及び投薬間隔で投与する。例えば、リツキシマブを本明細書に記載の用量及び投薬間隔で1処置サイクル当たり計少なくとも4回の投与で投与する(例えば、1処置サイクル当たり少なくとも4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16回又はそれを超える投与)。
いくつかの実施形態において、抗CD20抗体は、オファツムマブを含む。オファツムマブは、分子量約149kDaを有する抗CD20 IgG1κヒトモノクローナル抗体である。例えば、オファツムマブは、トランスジェニックマウス及びハイブリドーマ技術を使用して産生し、組み換えマウス細胞株(NS0)から発現及び精製する。例えば、www.accessdata.fda.gov/drugsatfda_docs/label/2009/125326lbl.pdf;及びClinical Trial Identifier number NCT01363128、NCT01515176、NCT01626352及びNCT01397591を参照されたい。実施形態において、本明細書に記載のCAR発現細胞をオファツムマブと組み合わせて対象に投与する。実施形態において、対象は、CLL又はSLLを有する。
いくつかの実施形態において、オファツムマブを静脈内点滴として投与する。例えば、各点滴は、約150〜3000mg(例えば、約150〜200mg、200〜250mg、250〜300mg、300〜350mg、350〜400mg、400〜450mg、450〜500mg、500〜550mg、550〜600mg、600〜650mg、650〜700mg、700〜750mg、750〜800mg、800〜850mg、850〜900mg、900〜950mg、950〜1000mg、1000〜1200mg、1200〜1400mg、1400〜1600mg、1600〜1800mg、1800〜2000mg、2000〜2200mg、2200〜2400mg、2400〜2600mg、2600〜2800mg又は2800〜3000mg)のオファツムマブを投与する。実施形態において、オファツムマブを約300mgの出発用量、続いて2000mg、例えば約11用量で例えば24週間投与する。いくつかの実施形態において、オファツムマブを少なくとも4日、例えば4日、7日、14日、21日、28日、35日又はそれを超える投薬間隔で投与する。例えば、オファツムマブを少なくとも1週間、例えば1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、12週間、24週間、26週間、28週間、20週間、22週間、24週間、26週間、28週間、30週間又はそれを超える投薬間隔で投与する。いくつかの実施形態において、オファツムマブを一定期間、例えば少なくとも1週間、例えば1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、12週間、13週間、14週間、15週間、16週間、17週間、18週間、19週間、20週間、22週間、24週間、26週間、28週間、30週間、40週間、50週間、60週間若しくはそれを超えるか、又は1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、12ヶ月若しくはそれを超えるか、又は1年、2年、3年、4年、5年若しくはそれを超えて、本明細書に記載の用量及び投薬間隔で投与する。例えば、オファツムマブを1処置サイクル当たり計少なくとも2用量において本明細書に記載の用量及び投薬間隔で投与する(例えば、1処置サイクル当たり少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、18、20又はそれを超える用量)。
ある場合、抗CD20抗体は、オクレリズマブを含む。オクレリズマブは、例えば、Clinical Trials Identifier Nos.NCT00077870、NCT01412333、NCT00779220、NCT00673920、NCT01194570及びKappos et al.Lancet.19.378(2011):1779−87に記載のようなヒト化抗CD20モノクローナル抗体である。
ある場合、抗CD20抗体は、ベルツズマブを含む。ベルツズマブは、CD20に対するヒト化モノクローナル抗体である。例えば、Clinical Trial Identifier No.NCT00547066、NCT00546793、NCT01101581及びGoldenberg et al.Leuk Lymphoma.51(5)(2010):747−55を参照されたい。
ある場合、抗CD20抗体は、GA101を含む。GA101(オビヌツズマブ又はRO5072759とも称する)は、ヒト化及び糖鎖改変抗CD20モノクローナル抗体である。例えば、Robak.Curr.Opin.Investig.Drugs.10.6(2009):588−96;Clinical Trial Identifier Numbers:NCT01995669、NCT01889797、NCT02229422及びNCT01414205;並びにwww.accessdata.fda.gov/drugsatfda_docs/label/2013/125486s000lbl.pdfを参照されたい。
ある場合、抗CD20抗体は、AME−133vを含む。AME−133v(LY2469298又はオカラツズマブとも称する)は、リツキシマブと比較してFcγRIIIa受容体に対する親和性が増加し、抗体依存性細胞傷害(ADCC)活性が増強された、CD20に対するヒト化IgG1モノクローナル抗体である。例えば、Robak et al.BioDrugs 25.1(2011):13−25;及びForero−Torres et al.Clin Cancer Res.18.5(2012):1395−403を参照されたい。
ある場合、抗CD20抗体は、PRO131921を含む。PRO131921は、リツキシマブと比較してFcγRIIIaへの結合が良好であり、ADCCが増強されるように操作されたヒト化抗CD20モノクローナル抗体である。例えば、Robak et al.BioDrugs 25.1(2011):13−25;及びCasulo et al.Clin Immunol.154.1(2014):37−46;及びClinical Trial Identifier No.NCT00452127を参照されたい。
ある場合、抗CD20抗体は、TRU−015を含む。TRU−015は、CD20に対する抗体のドメイン由来の抗CD20融合タンパク質である。TRU−015は、モノクローナル抗体より小さいが、Fc媒介エフェクター機能を保持する。例えば、Robak et al.BioDrugs 25.1(2011):13−25を参照されたい。TRU−015は、ヒトIgG1ヒンジ、CH2及びCH3ドメインに連結した抗CD20一本鎖可変断片(scFv)を含むが、CH1及びCLドメインを欠く。
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の抗CD20抗体を治療剤、例えば本明細書に記載の化学療法剤(例えば、シトキサン、フルダラビン、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤、デメチル化剤、ペプチドワクチン、抗腫瘍抗生物質、チロシンキナーゼ阻害剤、アルキル化剤、抗微小管又は有糸分裂阻害剤)、抗アレルギー剤、制吐剤(又は制吐剤)、鎮痛剤又は細胞保護的薬剤にコンジュゲート又は他の方法で結合する。
実施形態において、本明細書に記載のCAR発現細胞を、B細胞リンパ腫2(BCL−2)阻害剤(例えば、ABT−199又はGDC−0199とも称されるベネトクラクス)及び/又はリツキシマブと組み合わせて対象に投与する。実施形態において、本明細書に記載のCAR発現細胞をベネトクラクス及びリツキシマブと組み合わせて対象に投与する。ベネトクラクスは、抗アポトーシスタンパク質、BCL−2を阻害する小分子である。ベネトクラクス(4−(4−{[2−(4−クロロフェニル)−4,4−ジメチルシクロhex−1−エン−1−イル]メチル}ピペラジン−1−イル)−N−({3−ニトロ−4−[(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イルメチル)アミノ]フェニル}スルホニル)−2−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イルオキシ)ベンズアミド)の構造を下に示す。
実施形態において、対象は、CLLを有する。実施形態において、対象は、再発したCLLを有し、例えば、対象は、先に癌治療を投与されている。実施形態において、ベネトクラクスを約15〜600mg(例えば、15〜20mg、20〜50mg、50〜75mg、75〜100mg、100〜200mg、200〜300mg、300〜400mg、400〜500mg又は500〜600mg)で例えば連日投与する。実施形態において、リツキシマブを約350〜550mg/m2(例えば、350〜375、375〜400、400〜425、425〜450、450〜475又は475〜500mg/m2)で例えば静脈内に例えば毎月投与する。
一実施形態において、本明細書に記載のCARを発現する細胞を、Treg細胞集団を減少させる分子と組み合わせて対象に投与する。Treg細胞数を減らす(例えば、枯渇させる)方法は、当技術分野で知られ、例えばCD25枯渇、シクロホスファミド投与、GITR機能改変を含む。理論に拘束されることを望まないが、アフェレーシス前又は本明細書に記載のCAR発現細胞投与前に対象におけるTreg細胞数を減らすことは、腫瘍微小環境における望まない免疫細胞(例えば、Treg)の数を減らし、対象の再発のリスクを減らすと考えられる。一実施形態において、本明細書に記載のCARを発現する細胞を、対象に、制御性T細胞(Treg)を枯渇させるGITRアゴニスト及び/又はGITR抗体などのGITRを標的とする及び/又はGITR機能を調節する分子と組み合わせて投与する。実施形態において、本明細書に記載のCARを発現する細胞をシクロホスファミドと組み合わせて対象に投与する。一実施形態において、GITR結合分子及び/又はGITR機能を調節する分子(例えば、GITRアゴニスト及び/又はTreg枯渇GITR抗体)をCAR発現細胞の前に投与する。例えば、一実施形態において、GITRアゴニストを細胞のアフェレーシス前に投与できる。実施形態において、シクロホスファミドをCAR発現細胞の投与(例えば、注入又は再注入)前又は細胞のアフェレーシス前に対象に投与する。実施形態において、シクロホスファミド及び抗GITR抗体をCAR発現細胞の投与(例えば、注入又は再注入)前又は細胞のアフェレーシス前に対象に投与する。一実施形態において、対象は、癌(例えば、固形癌又はALL又はCLLなどの血液癌)を有する。一実施形態において、対象は、CLLを有する。実施形態において、対象は、ALLを有する。実施形態において、対象は、固形癌、例えば本明細書に記載の固形癌を有する。例示的なGITRアゴニストは、例えば、米国特許第6,111,090号明細書、欧州特許第090505B1号明細書、米国特許第8,586,023号明細書、国際公開第2010/003118号パンフレット及び同2011/090754号パンフレットに記載のGITR融合タンパク質又は例えば米国特許第7,025,962号明細書、欧州特許第1947183B1号明細書、米国特許第7,812,135号明細書、米国特許第8,388,967号明細書、米国特許第8,591,886号明細書、欧州特許第1866339号明細書、国際公開第2011/028683号パンフレット、国際公開第2013/039954号パンフレット、国際公開第2005/007190号パンフレット、国際公開第2007/133822号パンフレット、国際公開第2005/055808号パンフレット、国際公開第99/40196号パンフレット、国際公開第2001/03720号パンフレット、国際公開第99/20758号パンフレット、国際公開第2006/083289号パンフレット、国際公開第2005/115451号パンフレット、米国特許第7,618,632号明細書及び国際公開第2011/051726号パンフレットに記載のものなど、例えば抗GITR抗体、例えばGITR融合タンパク質及び抗GITR抗体(例えば、二価抗GITR抗体)を含む。
一実施形態において、本明細書に記載のCAR発現細胞を、mTOR阻害剤、例えば本明細書に記載のmTOR阻害剤、例えばエベロリムスなどのラパログと組み合わせて対象に投与する。一実施形態において、mTOR阻害剤をCAR発現細胞の前に投与する。例えば、一実施形態において、mTOR阻害剤を細胞のアフェレーシスの前に投与できる。一実施形態において、対象は、CLLを有する。
一実施形態において、本明細書に記載のCAR発現細胞をGITRアゴニスト、例えば本明細書に記載のGITRアゴニストと組み合わせて対象に投与する。一実施形態において、GITRアゴニストをCAR発現細胞の前に投与する。例えば、一実施形態において、GITRアゴニストを細胞のアフェレーシス前に投与できる。一実施形態において、対象は、CLLを有する。
一実施形態において、本明細書に記載のCAR発現細胞を、キナーゼ阻害剤と組み合わせて使用できる。一実施形態において、キナーゼ阻害剤は、CDK4阻害剤、例えば本明細書に記載のCDK4阻害剤、例えば6−アセチル−8−シクロペンチル−5−メチル−2−(5−ピペラジン−1−イル−ピリジン−2−イルアミノ)−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オン、ヒドロクロライド(パルボシクリブ又はPD0332991とも呼ばれる)など、例えばCD4/6阻害剤である。一実施形態において、キナーゼ阻害剤は、BTK阻害剤、例えばイブルチニブなど、例えば本明細書に記載のBTK阻害剤である。一実施形態において、キナーゼ阻害剤は、mTOR阻害剤、例えばラパマイシン、ラパマイシン類似体、OSI−027など、例えば本明細書に記載のmTOR阻害剤である。mTOR阻害剤は、例えば、mTORC1阻害剤及び/又はmTORC2阻害剤、例えば本明細書に記載のmTORC1阻害剤及び/又はmTORC2阻害剤であり得る。一実施形態において、キナーゼ阻害剤は、MNK阻害剤、例えば4−アミノ−5−(4−フルオロアニリノ)−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジンなど、例えば本明細書に記載のMNK阻害剤である。MNK阻害剤は、例えば、MNK1a、MNK1b、MNK2a及び/又はMNK2b阻害剤であり得る。一実施形態において、キナーゼ阻害剤は、例えば、PF−04695102など、本明細書に記載のデュアルPI3K/mTOR阻害剤である。
一実施形態において、キナーゼ阻害剤は、アロイシンA;フラボピリドール又はHMR−1275、2−(2−クロロフェニル)−5,7−ジヒドロキシ−8−[(3S,4R)−3−ヒドロキシ−1−メチル−4−ピペリジニル]−4−クロメノン;クリゾチニブ(PF−02341066;2−(2−クロロフェニル)−5,7−ジヒドロキシ−8−[(2R,3S)−2−(ヒドロキシメチル)−1−メチル−3−ピロリジニル]−4H−1−ベンゾピラン−4−オン、ヒドロクロライド(P276−00);1−メチル−5−[[2−[5−(トリフルオロメチル)−1H−イミダゾール−2−イル]−4−ピリジニル]オキシ]−N−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−1H−ベンズイミダゾール−2−アミン(RAF265);インジスラム(E7070);ロスコビチン(CYC202);パルボシクリブ(PD0332991);ジナシクリブ(SCH727965);N−[5−[[(5−tert−ブチルオキサゾール−2−イル)メチル]チオ]チアゾール−2−イル]ピペリジン−4−カルボキサミド(BMS 387032);4−[[9−クロロ−7−(2,6−ジフルオロフェニル)−5H−ピリミド[5,4−d][2]ベンズアゼピン−2−イル]アミノ]−安息香酸(MLN8054);5−[3−(4,6−ジフルオロ−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)−1H−インダゾール−5−イル]−N−エチル−4−メチル−3−ピリジンメタンアミン(AG−024322);4−(2,6−ジクロロベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸N−(ピペリジン−4−イル)アミド(AT7519);4−[2−メチル−1−(1−メチルエチル)−1H−イミダゾール−5−イル]−N−[4−(メチルスルホニル)フェニル]−2−ピリミジンアミン(AZD5438);及びXL281(BMS908662)から選択されるCDK4阻害剤である。
一実施形態において、キナーゼ阻害剤は、CDK4阻害剤、例えばパルボシクリブ(PD0332991)であり、パルボシクリブを一定期間にわたり1日約50mg、60mg、70mg、75mg、80mg、90mg、100mg、105mg、110mg、115mg、120mg、125mg、130mg、135mg(例えば、75mg、100mg又は125mg)の用量で例えば28日サイクルの14〜21日間連日又は21日サイクルの7〜12日間連日投与する。一実施形態において、1サイクル、2サイクル、3サイクル、4サイクル、5サイクル、6サイクル、7サイクル、8サイクル、9サイクル、10サイクル、11サイクル、12サイクル又はそれを超えるパルボシクリブを投与する。
実施形態において、本明細書に記載のCAR発現細胞をサイクリン依存性キナーゼ(CDK)4又は6阻害剤、例えば本明細書に記載のCDK4阻害剤又はCDK6阻害剤と組み合わせて対象に投与する。実施形態において、本明細書に記載のCAR発現細胞をCDK4/6阻害剤(例えば、CDK4及びCDK6の両方を標的とする阻害剤)、例えば本明細書に記載のCDK4/6阻害剤と組み合わせて対象に投与する。一実施形態において、対象は、MCLを有する。MCLは、現在利用可能な治療にはほとんど応答せず、即ち本質的に不治の侵襲性癌である。MCLの多くの症例において、サイクリンD1(CDK4/6のレギュレーター)がMCL細胞で発現される(例えば、免疫グロブリン及びサイクリンD1遺伝子が関与する染色体転座のため)。そのため、理論に拘束されないが、MCL細胞は、高特異性(即ち正常免疫細胞に対する最小限の影響)でCDK4/6阻害に高度に感受性であると考えられる。CDK4/6阻害剤単独でMCLの処置にいくぶん有効性を有しているが、部分的寛解のみが達成され、高再発率である。例示的なCDK4/6阻害剤は、LEE011(リボシクリブ)であり、その構造を下に示す。
理論に拘束されないが、本明細書に記載のCAR発現細胞及びCDK4/6阻害剤(例えば、LEE011又は他の本明細書に記載のCDK4/6阻害剤)の投与は、例えば、CDK4/6阻害剤単独と比較して高い応答性、例えば高い寛解率及び/又は低い再発率を達成すると考えられる。
一実施形態において、キナーゼ阻害剤は、イブルチニブ(PCI−32765);GDC−0834;RN−486;CGI−560;CGI−1764;HM−71224;CC−292;ONO−4059;CNX−774;及びLFM−A13から選択されるBTK阻害剤である。好ましい実施形態において、BTK阻害剤は、インターロイキン−2−誘導性キナーゼ(ITK)のキナーゼ活性を低減又は阻害せず、GDC−0834;RN−486;CGI−560;CGI−1764;HM−71224;CC−292;ONO−4059;CNX−774;及びLFM−A13から選択される。
一実施形態において、キナーゼ阻害剤は、BTK阻害剤、例えばイブルチニブ(PCI−32765)である。実施形態において、本明細書に記載のCAR発現細胞をBTK阻害剤(例えば、イブルチニブ)と組み合わせて対象に投与する。実施形態において、本明細書に記載のCAR発現細胞をイブルチニブ(PCI−32765とも称す)と組み合わせて対象に投与する。イブルチニブ(1−[(3R)−3−[4−アミノ−3−(4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル]ピペリジン−1−イル]プロプ−2−エン−1−オン)の構造を以下に示す。
実施形態において、対象は、CLL、マントル細胞リンパ腫(MCL)又は小リンパ球性リンパ腫(SLL)を有する。例えば、対象は、染色体17の短腕に欠失を有する(例えば、白血病性細胞におけるdel(17p))。他の例において、対象は、del(17p)を有しない。実施形態において、対象は、再発したCLL又はSLLを有し、例えば、対象は、先に癌治療を投与されている(例えば、先に1つ、2つ、3つ又は4つの癌治療を投与されている)。実施形態において、対象は、難治性CLL又はSLLを有する。他の実施形態において、対象は、濾胞性リンパ腫、例えば再発性又は難治性濾胞性リンパ腫を有する。いくつかの実施形態において、イブルチニブを約300〜600mg/日(例えば、約300〜350、350〜400、400〜450、450〜500、500〜550又は550〜600mg/日、例えば約420mg/日又は約560mg/日)で例えば経口により投与する。実施形態において、イブルチニブを約250mg、300mg、350mg、400mg、420mg、440mg、460mg、480mg、500mg、520mg、540mg、560mg、580mg、600mg(例えば、250mg、420mg又は560mg)の用量で連日一定期間、例えば21日サイクルで連日又は28日サイクルで連日投与する。一実施形態において、1サイクル、2サイクル、3サイクル、4サイクル、5サイクル、6サイクル、7サイクル、8サイクル、9サイクル、10サイクル、11サイクル、12サイクル又はそれを超えるイブルチニブを投与する。理論に拘束されないが、イブルチニブの添加はT細胞増殖性応答を増強し、T細胞をT−ヘルパー−2(Th2)からT−ヘルパー−1(Th1)表現型にシフトさせ得ると考えられる。Th1及びTh2は、ヘルパーT細胞の表現型であり、Th1とTh2とで異なる免疫応答経路を指向する。Th1表現型は、例えば、細胞内病原体/ウイルス又は癌性細胞などの細胞を死傷するための炎症誘発性応答又は自己免疫性応答永続化と関係する。Th2表現型は、好酸球蓄積及び抗炎症性応答と関係する。
一実施形態において、キナーゼ阻害剤は、テムシロリムス;リダフォロリムス(1R,2R,4S)−4−[(2R)−2−[(1R,9S,12S,15R,16E,18R,19R,21R、23S,24E,26E,28Z,30S,32S,35R)−1,18−ジヒドロキシ−19,30−ジメトキシ−15,17,21,23、29,35−ヘキサメチル−2,3,10,14,20−ペンタオキソ−11,36−ジオキサ−4−アザトリシクロ[30.3.1.04,9]ヘキサトリアコンタ−16,24,26,28−テトラエン−12−イル]プロピル]−2−メトキシシクロヘキシルジメチルホスフィネート、AP23573及びMK8669としても知られる;エベロリムス(RAD001);ラパマイシン(AY22989);セマピモド;(5−{2,4−ビス[(3S)−3−メチルモルホリン−4−イル]ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−イル}−2−メトキシフェニル)メタノール(AZD8055);2−アミノ−8−[トランス−4−(2−ヒドロキシエトキシ)シクロヘキシル]−6−(6−メトキシ−3−ピリジニル)−4−メチル−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7(8H)−オン(PF04691502);及びN2−[1,4−ジオキソ−4−[[4−(4−オキソ−8−フェニル−4H−1−ベンゾピラン−2−イル)モルホリニウム−4−イル]メトキシ]ブチル]−L−アルギニルグリシル−L−α−アスパルチルL−セリン−、分子内塩(SF1126)(配列番号1262);及びXL765から選択されるmTOR阻害剤である。
一実施形態において、キナーゼ阻害剤は、mTOR阻害剤、例えばラパマイシンであり、ラパマイシンを約3mg、4mg、5mg、6mg、7mg、8mg、9mg、10mg(例えば、6mg)の用量で連日、一定期間、例えば21日サイクルで連日又は28日サイクルで連日投与する。一実施形態において、1サイクル、2サイクル、3サイクル、4サイクル、5サイクル、6サイクル、7サイクル、8サイクル、9サイクル、10サイクル、11サイクル、12サイクル又はそれを超えるラパマイシンを投与する。一実施形態において、キナーゼ阻害剤は、mTOR阻害剤、例えばエベロリムスであり、エベロリムスを一定期間にわたり1日約2mg、2.5mg、3mg、4mg、5mg、6mg、7mg、8mg、9mg、10mg、11mg、12mg、13mg、14mg、15mg(例えば、10mg)の用量において例えば28日サイクルで連日投与する。一実施形態において、1サイクル、2サイクル、3サイクル、4サイクル、5サイクル、6サイクル、7サイクル、8サイクル、9サイクル、10サイクル、11サイクル、12サイクル又はそれを超えるエベロリムスを投与する。
一実施形態において、キナーゼ阻害剤は、CGP052088;4−アミノ−3−(p−フルオロフェニルアミノ)−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン(CGP57380);セルコスポラミド;ETC−1780445〜2;及び4−アミノ−5−(4−フルオロアニリノ)−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジンから選択されるMNK阻害剤である。
実施形態において、本明細書に記載のCAR発現細胞をホスホイノシチド3−キナーゼ(PI3K)阻害剤(例えば、本明細書に記載のPI3K阻害剤、例えばイデラリシブ又はドゥベリシブ)及び/又はリツキシマブと組み合わせて対象に投与する。実施形態において、本明細書に記載のCAR発現細胞をイデラリシブ及びリツキシマブと組み合わせて対象に投与する。実施形態において、本明細書に記載のCAR発現細胞をドゥベリシブ及びリツキシマブと組み合わせて対象に投与する。イデラリシブ(GS−1101又はCAL−101とも呼ばれる;Gilead)は、PI3Kのδアイソフォームを遮断する小分子である。イデラリシブ(5−フルオロ−3−フェニル−2−[(1S)−1−(7H−プリン−6−イルアミノ)プロピル]−4(3H)−キナゾリノン)の構造を下に示す。
デュベリシブ(IPI−145とも呼ばれる;Infinity Pharmaceuticals及びAbbvie)は、PI3K−δ、γを遮断する小分子である。ドゥベリシブ(8−クロロ−2−フェニル−3−[(1S)−1−(9H−プリン−6−イルアミノ)エチル]−1(2H)−イソキノリノン)の構造を下に示す。
実施形態において、対象は、CLLを有する。実施形態において、対象は、再発したCLLを有し、例えば、対象は、先に癌治療を投与されている(例えば、先に抗CD20抗体を投与されているか又は先にイブルチニブを投与されている)。例えば、対象は、染色体17の短腕に欠失を有する(例えば、白血病性細胞におけるdel(17p))。他の例において、対象は、del(17p)を有しない。実施形態において、対象は、免疫グロブリン重鎖可変領域(IgVH)遺伝子に変異を含む白血病性細胞を含む。他の実施形態において、対象は、免疫グロブリン重鎖可変領域(IgVH)遺伝子に変異を含む白血病性細胞を含まない。実施形態において、対象は、染色体11の長腕に欠失を有する(del(11q))。他の実施形態において、対象は、del(11q)を有しない。実施形態において、イデラリシブを約100〜400mg(例えば、100〜125mg、125〜150mg、150〜175mg、175〜200mg、200〜225mg、225〜250mg、250〜275mg、275〜300mg、325〜350mg、350〜375mg又は375〜400mg)で例えばBID投与する。実施形態において、ドゥベリシブを約15〜100mg(例えば、約15〜25、25〜50、50〜75又は75〜100mg)で例えば1日2回投与する。実施形態において、リツキシマブを約350〜550mg/m2(例えば、350〜375mg/m2、375〜400mg/m2、400〜425mg/m2、425〜450mg/m2、450〜475mg/m2又は475〜500mg/m2)で例えば静脈内投与する。
一実施形態において、キナーゼ阻害剤は、デュアルホスファチジルイノシトール3−キナーゼ(PI3K)並びに2−アミノ−8−[トランス−4−(2−ヒドロキシエトキシ)シクロヘキシル]−6−(6−メトキシ−3−ピリジニル)−4−メチル−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7(8H)−オン(PF−04691502);N−[4−[[4−(ジメチルアミノ)−1−ピペリジニル]カルボニル]フェニル]−N’−[4−(4,6−ジ−4−モルホリニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)フェニル]尿素(PF−05212384、PKI−587);2−メチル−2−{4−[3−メチル−2−オキソ−8−(キノリン−3−イル)−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル]フェニル}プロパンニトリル(BEZ−235);アピトリシブ(GDC−0980、RG7422);2,4−ジフルオロ−N−{2−(メチルオキシ)−5−[4−(4−ピリダジニル)−6−キノリニル]−3−ピリジニル}ベンゼンスルホンアミド(GSK2126458);8−(6−メトキシピリジン−3−イル)−3−メチル−1−(4−(ピペラジン−1−イル)−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−2(3H)−オンマレイン酸(NVP−BGT226);3−[4−(4−モルホリニルピリド[3’,2’:4,5]フロ[3,2−d]ピリミジン−2−イル]フェノール(PI−103);5−(9−イソプロピル−8−メチル−2−モルホリノ−9H−プリン−6−イル)ピリミジン−2−アミン(VS−5584、SB2343);及びN−[2−[(3,5−ジメトキシフェニル)アミノ]キノキサリン−3−イル]−4−[(4−メチル−3−メトキシフェニル)カルボニル]アミノフェニルスルホンアミド(XL765)から選択されるmTOR阻害剤である。
実施形態において、本明細書に記載のCAR発現細胞は、未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)と組み合わせて対象に投与される。例示的なALKキナーゼは、クリゾチニブ(Pfizer)、セリチニブ(Novartis)、アレクチニブ(中外)、ブリガチニブ(AP26113とも呼ばれる;Ariad)、エントレクチニブ(Ignyta)、PF−06463922(Pfizer)、TSR−011(Tesaro)(例えば、Clinical Trial Identifier No.NCT02048488を参照されたい)、CEP−37440(Teva)及びX−396(Xcovery)を含む。一実施形態において、対象は、固形癌、例えば本明細書に記載の固形癌、例えば肺癌を有する。
クリゾチニブの化学名は、3−[(1R)−1−(2,6−ジクロロ−3−フルオロフェニル)エトキシ]−5−(1−ピペリジン−4−イルピラゾール−4−イル)ピリジン−2−アミンである。セリチニブの化学名は、5−クロロ−N2−[2−イソプロポキシ−5−メチル−4−(4−ピペリジニル)フェニル]−N4−[2−(イソプロピルスルホニル)フェニル]−2,4−ピリミジンジアミンである。アレクチニブの化学名は、9−エチル−6,6−ジメチル−8−(4−モルホリノピペリジン−1−イル)−11−オキソ−6,11−ジヒドロ−5H−ベンゾ[b]カルバゾール−3−カルボニトリルである。ブリガチニブの化学名は、5−クロロ−N2−{4−[4−(ジメチルアミノ)−1−ピペリジニル]−2−メトキシフェニル}−N4−[2−(ジメチルホスホリル)フェニル]−2,4−ピリミジンジアミンである。エントレクチニブの化学名は、N−(5−(3,5−ジフルオロベンジル)−1H−インダゾール−3−イル)−4−(4−メチルピペラジン−1−イル)−2−((テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)アミノ)ベンズアミドである。PF−06463922の化学名は、(10R)−7−アミノ−12−フルオロ−2,10,16−トリメチル−15−オキソ−10,15,16,17−テトラヒドロ−2H−8,4−(メテノ)ピラゾロ[4,3−h][2,5,11]−ベンズオキサジアザシクロテトラデシン−3−カルボニトリルである。CEP−37440の化学名は、(S)−2−((5−クロロ−2−((6−(4−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−1−イル)−1−メトキシ−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ベンゾ[7]アヌレン−2−イル)アミノ)ピリミジン−4−イル)アミノ)−N−メチルベンズアミドである。X−396の化学名は、(R)−6−アミノ−5−(1−(2,6−ジクロロ−3−フルオロフェニル)エトキシ)−N−(4−(4−メチルピペラジン−1−カルボニル)フェニル)ピリダジン−3−カルボキサミドである。
カルシウム依存的ホスファターゼカルシニューリンを阻害する(シクロスポリン及びFK506)又は増殖因子誘発シグナル伝達に重要であるp70S6キナーゼを阻害する薬物(ラパマイシン)(Liu et al.,Cell 66:807−815,1991;Henderson et al.,Immun.73:316−321,1991;Bierer et al.,Curr.Opin.Immun.5:763−773,1993)も使用できる。更なる態様において、本発明の細胞組成物を、骨髄移植、フルダラビンなどの化学療法剤、体外照射療法(XRT)、シクロホスファミド及び/又はOKT3又はCAMPATHなどの抗体を使用するT細胞除去療法と組み合わせて(例えば、その前に、それと同時に又はその後に)患者に投与し得る。一態様において、本発明の細胞組成物を、CD20と反応する薬剤、例えばリツキサンなどのB細胞除去療法後に投与する。例えば、一実施形態において、対象を高用量化学療法剤と続く末梢血幹細胞移植の標準的処置に付す。特定の実施形態において、移植後、対象は、本発明の増殖した免疫細胞の注入を受ける。更なる実施形態において、増殖細胞を手術前又は後に投与する。
実施形態において、本明細書に記載のCAR発現細胞は、インドールアミン2,3−ジオキシゲナーゼ(IDO)阻害剤と組み合わせて対象に投与される。IDOは、アミノ酸、L−トリプトファンのキヌレニンへの分解を触媒する酵素である。多くの癌、例えば前立腺癌、結腸直腸癌、膵臓癌、子宮頸癌、胃癌、卵巣癌、頭部癌及び肺癌がIDOを過発現する。pDC、マクロファージ及び樹状細胞(DC)がIDOを発現できる。理論に拘束されないが、L−トリプトファンの減少(例えば、IDOによる触媒)は、T細胞アネルギー及びアポトーシスの誘発による免疫抑制性環境をもたらすと考えられる。そのため、理論に拘束されないが、IDO阻害剤は、例えば、CAR発現免疫細胞の抑制又は死を減少させることにより、本明細書に記載のCAR発現細胞の効果を増強できると考えられる。実施形態において、対象は、固形腫瘍、例えば本明細書に記載の固形腫瘍、例えば前立腺癌、結腸直腸癌、膵臓癌、子宮頸癌、胃癌、卵巣癌、頭部癌又は肺癌を有する。例示的なIDO阻害剤は、1−メチル−トリプトファン、インドキシモド(NewLink Genetics)(例えば、Clinical Trial Identifier Nos.NCT01191216;NCT01792050を参照されたい)及びINCB024360(Incyte Corp.)(例えば、Clinical Trial Identifier Nos.NCT01604889;NCT01685255を参照されたい)を含むが、これらに限定されない。
実施形態において、本明細書に記載のCAR発現細胞は、骨髄由来サプレッサー細胞のモジュレーター(MDSC)と組み合わせて対象に投与される。MDSCは、末梢及び多くの固形腫瘍の腫瘍部位に蓄積する。これらの細胞は、T細胞応答を抑制し、それによりCAR発現細胞療法の効果を障害する。理論に拘束されないが、MDSCモジュレーター投与は、本明細書に記載のCAR発現細胞の効果を増強すると考えられる。一実施形態において、対象は、固形腫瘍、例えば本明細書に記載の固形腫瘍、例えば神経膠芽腫を有する。例示的なMDSCのモジュレーターは、MCS110及びBLZ945を含むが、これらに限定されない。MCS110は、マクロファージコロニー刺激因子(M−CSF)に対するモノクローナル抗体(mAb)である。例えば、Clinical Trial Identifier No.NCT00757757を参照されたい。BLZ945は、コロニー刺激因子1受容体(CSF1R)の小分子阻害剤である。例えば、Pyonteck et al.Nat.Med.19(2013):1264−72を参照されたい。BLZ945の構造を下に示す。
実施形態において、本明細書に記載のCAR発現細胞をCD19 CART細胞(例えば、CTL019、例えば参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2012/079000号パンフレットに記載のもの又はCTL119)と組み合わせて対象に投与する。実施形態において、対象は、CD19+リンパ腫、例えばCD19+非ホジキンリンパ腫(NHL)、CD19+FL又はCD19+DLBCLを有する。実施形態において、対象は、再発性又は難治性CD19+リンパ腫を有する。実施形態において、リンパ球枯渇性化学療法剤をCD19 CART細胞の投与前に、それと同時に又はその後に投与(例えば、注入)する。一例において、リンパ球枯渇性化学療法剤をCD19 CART細胞の投与前に対象に投与する。例えば、リンパ球枯渇性化学療法剤は、CD19 CART細胞注入の1〜4日(例えば、1日、2日、3日又は4日)前に終わる。実施形態において、複数用量のCD19 CART細胞を例えば本明細書に記載のように投与する。例えば、単一用量は、約5×108個のCD19 CART細胞を含む。実施形態において、リンパ球枯渇性化学療法剤を、本明細書に記載のCAR発現細胞、例えば非CD19 CAR発現細胞の投与(例えば、注入)前に、それと同時に又はその後に対象に投与する。実施形態において、CD19 CARTを、非CD19 CAR発現細胞、例えば本明細書に記載の非CD19 CAR発現細胞の投与(例えば、注入)前に、それと同時に又はその後に対象に投与する。
一部の実施形態において、本明細書に記載のCAR発現細胞は、インターロイキン−15(IL−15)ポリペプチド、インターロイキン−15受容体α(IL−15Ra)ポリペプチド又はIL−15ポリペプチド及びIL−15Raポリペプチドの両方の組み合わせ、例えばhetIL−15(Admune Therapeutics,LLC)と組み合わせて対象に投与される。hetIL−15は、IL−15及びIL−15Raのヘテロ二量体非共有複合体である。hetIL−15は、例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8,124,084号明細書、米国特許第2012/0177598号明細書、米国特許第2009/0082299号明細書、米国特許第2012/0141413号明細書及び米国特許第2011/0081311号明細書に記載されている。実施形態において、het−IL−15を皮下投与する。実施形態において、対象は、癌、例えば固形癌、例えば黒色腫又は結腸癌を有する。実施形態において、対象は、転移癌を有する。
一実施形態において、対象は、CAR発現細胞の投与に関連する副作用を低減又は緩和する薬剤を投与することができる。CAR発現細胞の投与に付随する副作用は、CRS及びマクロファージ活性化症候群(MAS)とも呼ばれる血液貪食リンパ組織球増多症(HLH)を含むが、これらに限定されない。CRSの症状は、高熱、悪心、一過性低血圧、低酸素症などを含む。CRSは、発熱、疲労、食欲不振、筋肉痛、関節痛(arthalgias)、悪心、嘔吐、頭痛などの臨床的体質的徴候及び症状を含み得る。CRSは、発疹などの臨床皮膚徴候及び症状を含み得る。CRSは、悪心、嘔吐及び下痢などの臨床的消化器徴候及び症状を含み得る。CRSは、頻呼吸及び低酸素血症などの臨床的呼吸器徴候及び症状を含み得る。CRSは、頻脈、脈圧の増大、低血圧、心拍出量の増加(早期)及び心拍出量の低下(後期)などの臨床的心血管徴候及び症状を含み得る。CRSは、凝固兆候及びd−二量体増加、出血の有無にかかわらず低フィブリノゲン血などの症状を含み得る。CRSは、高窒素血症などの臨床腎徴候及び症状を含み得る。CRSは、高トランスアミナーゼ血症及び高ビリルビン血症などの臨床肝徴候及び症状を含み得る。CRSは、頭痛、精神状態の変化、混乱、せん妄、単語発見困難又はフランク失語、幻覚、振戦、ジメトリア、異常歩行、発作などの臨床的神経徴候及び症状を含み得る。
従って、本明細書に記載の方法は、対象に本明細書に記載のCAR発現細胞を投与し、更にCAR発現細胞処置に由来する可溶性因子のレベル増加を管理する1つ以上の薬剤の投与を含み得る。一実施形態において、対象で増加し得る可溶性因子は、IFN−γ、TNFα、IL−2及びIL−6の1つ以上である。一実施形態において、対象において増加する因子は、IL−1、GM−CSF、IL−10、IL−8、IL−5及びフラクタルカインの1つ以上である。そのため、これらの副作用を処置するために投与する薬剤は、これらの可溶性因子の1つ以上を中和する薬剤であり得る。一実施形態において、これらの可溶性形態の1つ以上を中和する薬剤は、抗体又はその抗原結合断片である。このような薬剤の例は、ステロイド(例えば、コルチコステロイド)、TNFα阻害剤及びIL−6阻害剤を含むが、これらに限定されない。TNFα阻害剤の例は、インフリキシマブ、アダリムマブ、セルトリズマブペゴール及びゴリムマブなどの抗TNFα抗体分子である。TNFα阻害剤の別の例は、エタネルセプトなどの融合タンパク質である。小分子TNFα阻害剤は、キサンチン誘導体(例えば、ペントキシフィリン)及びブプロピオンを含むが、これらに限定されない。IL−6阻害剤の例は、トシリズマブ(toc)、サリルマブ、エルシリモマブ、CNTO 328、ALD518/BMS−945429、CNTO 136、CPSI−2364、CDP6038、VX30、ARGX−109、FE301及びFM101などの抗IL−6抗体分子又は抗IL−6受容体抗体分子である。一実施形態において、抗IL−6受容体抗体分子は、トシリズマブである。IL−1Rベースの阻害剤の例は、アナキンラである。
一実施形態において、CAR発現細胞の活性を増強する薬剤を対象に投与できる。例えば、一実施形態において、薬剤は、阻害分子を阻害する薬剤であり得る。阻害分子、例えばプログラム細胞死1(PD−1)は、CAR発現細胞が免疫エフェクター応答を開始する能力を減少させ得る。阻害分子の例は、PD−1、PD−L1、CTLA−4、TIM−3、CEACAM(例えば、CEACAM−1、CEACAM−3及び/又はCEACAM−5)、LAG−3、VISTA、BTLA、TIGIT、LAIR1、CD160、2B4及びTGFβを含む。DNA、RNA又はタンパク質レベルでの阻害による阻害分子の阻害は、CAR発現細胞性能を最適化できる。実施形態において、例えば本明細書に記載のような阻害性核酸、例えば阻害性核酸、例えばdsRNA、例えばsiRNA又はshRNA、群生性等間隔短回文反復配列(CRISPR)、転写−アクティベーター様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)又はジンクフィンガーエンドヌクレアーゼ(ZFN)を使用して、CAR発現細胞の阻害分子の発現を阻害できる。一実施形態において、阻害剤は、shRNAである。一実施形態において、阻害分子は、CAR発現細胞内で阻害される。これらの実施形態において、阻害分子の発現を阻害するdsRNA分子を、CARの要素、例えば要素全部をコードする核酸と連結する。一実施形態において、阻害シグナルの阻害剤は、例えば、阻害分子と結合する抗体又は抗体断片であり得る。例えば、薬剤は、PD−1、PD−L1、PD−L2又はCTLA4に結合する抗体又は抗体断片であり得る(例えば、イピリムマブ(MDX−010及びMDX−101とも称し、ヤーボイ(登録商標)として市販;Bristol−Myers Squibb;トレメリムマブ(Pfizerから入手可能なIgG2モノクローナル抗体、以前はチシリムマブ、CP−675,206として既知))。一実施形態において、薬剤は、TIM3に結合する抗体又は抗体断片である。一実施形態において、薬剤は、CEACAM(CEACAM−1、CEACAM−3及び/又はCEACAM−5)に結合する抗体又は抗体断片である。一実施形態において、薬剤は、LAG3に結合する抗体又は抗体断片である。
PD1は、CD28、CTLA−4、ICOS及びBTLAも含む受容体のCD28ファミリーの阻害性メンバーである。PD−1は、活性化B細胞、T細胞及び骨髄細胞に発現される(Agata et al.1996 Int.Immunol 8:765−75)。PD1に対する2リガンド、PD−L1及びPD−L2は、PD1への結合によりT細胞活性化を下方制御することが示されている(Freeman et al.2000 J Exp Med 192:1027−34;Latchman et al.2001 Nat Immunol 2:261−8;Carter et al.2002 Eur J Immunol 32:634−43)。PD−L1は、ヒト癌において豊富である(Dong et al.2003 J Mol Med 81:281−7;Blank et al.2005 Cancer Immunol.Immunother 54:307−314;Konishi et al.2004 Clin Cancer Res 10:5094)。免疫抑制は、PD1とPD−L1との局所相互作用の阻害により逆転できる。PD1、PD−L1及びPD−L2の抗体、抗体断片及び他の阻害剤は、当技術分野で入手可能であり、本発明のCARと組み合わせて使用され得る。例えば、ニボルマブ(BMS−936558又はMDX1106とも称す;Bristol−Myers Squibb)は、PD1を特異的に遮断する完全ヒトIgG4モノクローナル抗体である。PD1に特異的に結合するニボルマブ(クローン5C4)及び他のヒトモノクローナル抗体は、米国特許第8,008,449号明細書及び国際公開第2006/121168号パンフレットに開示されている。ピディリズマブ(CT−011;Cure Tech)は、PD1に結合するヒト化IgG1kモノクローナル抗体である。ピディリズマブ及び他のヒト化抗PD1モノクローナル抗体は、国際公開第2009/101611号パンフレットに開示されている。ペンブロリズマブ(以前はランブロリズマブとして知られ、MK03475とも称される;Merck)は、PD1に結合するヒト化IgG4モノクローナル抗体である。ペンブロリズマブ及び他のヒト化抗PD1抗体は、米国特許第8,354,509号明細書及び国際公開第2009/114335号パンフレットに開示される。MEDI4736(Medimmune)は、PDL1と結合し、リガンドとPD1との相互作用を阻害するヒトモノクローナル抗体である。MDPL3280A(Genentech/Roche)は、PD−L1に結合するヒトFc最適化IgG1モノクローナル抗体である。PD−L1に対するMDPL3280A及び他のヒトモノクローナル抗体は、米国特許第7,943,743号明細書及び米国特許出願公開20120039906号明細書に記載されている。他の抗PD−L1結合剤は、YW243.55.S70(重鎖及び軽鎖可変領域は、国際公開第2010/077634号パンフレットの配列番号20及び21に示される)及びMDX−1 105(別名BMS−936559及び例えば国際公開第2007/005874号パンフレットに開示される抗PD−L1結合剤)である。AMP−224(B7−DCIg;Amplimmune;例えば、国際公開第2010/027827号パンフレット及び国際公開第2011/066342号パンフレットに開示)は、PD1とB7−H1の相互作用を遮断するPD−L2 Fc融合可溶性受容体である。他の抗PD1抗体は、とりわけ、AMP 514(Amplimmune)、例えば米国特許第8,609,089号明細書、米国特許出願公開第2010028330号明細書及び/又は米国特許出願公開第20120114649号明細書に開示の抗PD1抗体を含む。
TIM−3(T細胞免疫グロブリン−3)も、特にIFN−g分泌CD4+Tヘルパー1及びCD8+T細胞毒性1細胞においてT細胞機能を負に制御し、T細胞疲弊に重要な役割を有する。TIM3とそのリガンド、例えばガレクチン−9(Gal9)、ホスファチジルセリン(PS)及びHMGB1の相互作用の阻害は、免疫応答を高め得る。TIM3及びそのリガンドの抗体、抗体断片及び他の阻害剤は、当技術分野で利用可能であり、本明細書に記載のCD19 CARと組み合わせて使用され得る。例えば、TIM3を標的とする抗体、抗体断片、小分子又はペプチド阻害剤は、そのリガンドとの相互作用を阻害するためにTIM3のIgVドメインに結合する。TIM3を阻害する抗体及びペプチドは、国際公開第2013/006490号パンフレット及び米国特許出願公開第20100247521号明細書に開示されている。他の抗TIM3抗体は、RMT3−23のヒト化バージョン(Ngiow et al.,2011,Cancer Res,71:3540−3551に開示)及びクローン8B.2C12(Monney et al.,2002,Nature,415:536−541に開示)を含む。TIM3及びPD−1を阻害する二特異性抗体は、米国特許出願公開第20130156774号明細書に開示されている。
他の実施形態において、CAR発現細胞の活性を増強する薬剤は、CEACAM阻害剤(例えば、CEACAM−1、CEACAM−3及び/又はCEACAM−5阻害剤)である。一実施形態において、CEACAMの阻害剤は、抗CEACAM抗体分子である。例示的な抗CEACAM−1抗体は、国際公開第2010/125571号パンフレット、国際公開第2013/082366号パンフレット、国際公開第2014/059251号パンフレット及び国際公開第2014/022332号パンフレットに開示され、例えばモノクローナル抗体34B1、26H7及び5F4;又は例えば米国特許出願公開第2004/0047858号明細書、米国特許第7,132,255号明細書及び国際公開第99/052552号パンフレットに開示のようなその組み換え形態である。他の実施形態において、抗CEACAM抗体は、例えば、Zheng et al.PLoS One.2010 Sep 2;5(9).pii:e12529(DOI:10:1371/journal.pone.0021146)に記載のようにCEACAM−5と結合するか、又は例えば国際公開第2013/054331号パンフレット及び米国特許出願公開第2014/0271618号明細書に記載のようにCEACAM−1及びCEACAM−5と交差反応する。
理論に拘束されることを望まないが、CEACAM−1及びCEACAM−5などの癌胎児性抗原細胞接着分子(CEACAM)は、少なくとも部分的に抗腫瘍免疫応答の阻害を媒介すると考えられる(例えば、Markel et al.J Immunol.2002 Mar 15;168(6):2803−10;Markel et al.J Immunol.2006 Nov 1;177(9):6062−71;Markel et al.Immunology.2009 Feb;126(2):186−200;Markel et al.Cancer Immunol Immunother.2010 Feb;59(2):215−30;Ortenberg et al.Mol Cancer Ther.2012 Jun;11(6):1300−10;Stern et al.J Immunol.2005 Jun 1;174(11):6692−701;Zheng et al.PLoS One.2010 Sep 2;5(9).pii:e12529を参照されたい)。例えば、CEACAM−1は、TIM−3のヘテロ親和性リガンドとして及びTIM−3媒介T細胞耐容性及び疲弊に役割を有するとして記載されている(例えば、国際公開第2014/022332号パンフレット;Huang,et al.(2014)Nature doi:10.1038/nature13848)。実施形態において、CEACAM−1及びTIM−3の共遮断は、異種移植結腸直腸癌モデルにおいて抗腫瘍免疫応答を増強することが示されている(例えば、国際公開第2014/022332号パンフレット;Huang,et al.(2014)、前掲を参照されたい)。他の実施形態において、CEACAM−1及びPD−1の共遮断は、例えば、国際公開第2014/059251号パンフレットに記載されるようにT細胞耐容性を減少させる。そのため、CEACAM阻害剤を、本明細書に記載の他の免疫調節剤(例えば、抗PD−1及び/又は抗TIM−3阻害剤)と使用して、癌、例えば黒色腫、肺癌(例えば、NSCLC)、膀胱癌、結腸癌、卵巣癌及び本明細書に記載の他の癌に対する免疫応答を増強させ得る。
LAG−3(リンパ球活性化遺伝子−3又はCD223)は、CD8+T細胞疲弊に役割を有することが示されている、活性化T細胞及びB細胞に発現される細胞表面分子である。LAG−3及びそのリガンドの抗体、抗体断片及び他の阻害剤は、当技術分野で入手可能であり、本明細書に記載のCD19 CARと組み合わせて使用され得る。例えば、BMS−986016(Bristol−Myers Squib)は、LAG3を標的とするモノクローナル抗体である。IMP701(Immutep)は、アンタゴニストLAG−3抗体であり、IMP731(Immutep及びGlaxoSmithKline)は、枯渇性LAG−3抗体である。他のLAG−3阻害剤は、LAG3の可溶性部分とMHCクラスII分子のIgの組み換え融合タンパク質であり、抗原提示細胞(APC)を活性化するIMP321(Immutep)である。他の抗体は、例えば、国際公開第2010/019570号パンフレットに開示されている。
いくつかの実施形態において、CAR発現細胞の活性を増強する薬剤は、例えば、第1ドメイン及び第2ドメインを含む融合タンパク質であり得、ここで、第1ドメインは、阻害分子又はその断片であり、第2ドメインは、陽性シグナルと関係するポリペプチド、例えば本明細書に記載の細胞内シグナル伝達ドメインを含むポリペプチドである。いくつかの実施形態において、陽性シグナルと結合するポリペプチドは、CD28、CD27、ICOSの共刺激ドメイン、例えばCD28、CD27及び/又はICOSの細胞内シグナル伝達ドメイン及び/又は例えば本明細書に記載の例えばCD3ζの一次シグナル伝達ドメインを含み得る。一実施形態において、融合タンパク質は、CARを発現するのと同じ細胞により発現される。別の実施形態において、融合タンパク質は、本発明のCARを発現しない細胞、例えばT細胞により発現される。
一実施形態において、本明細書に記載のCAR発現細胞の活性を増強する薬剤は、miR−17−92である。
一実施形態において、本明細書に記載のCARの活性を増強する薬剤は、サイトカインである。サイトカインは、T細胞増殖、分化、生存及び恒常性に関連する重要な機能を有する。本明細書に記載のCAR発現細胞を受ける対象に投与できるサイトカインは、IL−2、IL−4、IL−7、IL−9、IL−15、IL−18及びIL−21又はこれらの組み合わせを含む。好ましい実施形態において、投与するサイトカインは、IL−7、IL−15又はIL−21又はこれらの組み合わせである。サイトカインを1日1回又は1日2回以上、例えば1日2回、1日3回又は1日4回投与できる。サイトカインを2日以上投与でき、例えばサイトカインを2日、3日、4日、5日、6日、1週間、2週間、3週間又は4週間投与する。例えば、サイトカインを1日1回、7日間投与する。
実施形態において、サイトカインをCAR発現T細胞と組み合わせて投与する。サイトカインをCAR発現T細胞と同時に又は一緒に投与でき、例えば同じ日に投与できる。サイトカインをCAR発現T細胞と同じ医薬組成物に製剤するか又は別の医薬組成物に製剤することができる。代わりに、サイトカインをCAR発現T細胞の投与後間もなく、例えばCAR発現T細胞投与1日、2日、3日、4日、5日、6日又は7日後に投与し得る。1日を超える投薬レジメンでサイトカインを投与する実施形態において、サイトカイン投薬レジメンの1日目は、CAR発現T細胞の投与と同じ日であり得、又はサイトカイン投薬レジメンの1日目は、CAR発現T細胞の投与1日、2日、3日、4日、5日、6日又は7日後であり得る。一実施形態において、1日目にCAR発現T細胞を対象に投与し、2日目にサイトカインを1日1回、翌7日間投与する。好ましい実施形態において、CAR発現T細胞と組み合わせて投与するサイトカインは、IL−7、IL−15又はIL−21である。
他の実施形態において、サイトカインを、CAR発現細胞の投与から一定期間後、例えばCAR発現細胞の投与から少なくとも2週間、3週間、4週間、6週間、8週間、10週間、12週間、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月又は1年又はそれを超えて後に投与する。一実施形態において、サイトカインを、CAR発現細胞に対する対象の応答の評価後に投与する。例えば、対象に本明細書に記載の用量及びレジメンに従い、CAR発現細胞を投与する。CAR発現細胞療法に対する対象の応答を、腫瘍増殖阻止、循環腫瘍細胞減少又は腫瘍退縮を含む本明細書に記載の方法のいずれかを使用して、CAR発現細胞の投与2週間、3週間、4週間、6週間、8週間、10週間、12週間、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月又は1年又はそれを超えて後に評価する。CAR発現細胞療法に対して十分な応答を示さない対象にサイトカインを投与し得る。CAR発現細胞療法に対して応答が最適以下である対象へのサイトカインの投与は、CAR発現細胞有効性又は抗癌活性を改善する。好ましい実施形態において、CAR発現細胞の投与後に投与するサイトカインは、IL−7である。
低用量のmTOR阻害剤との組み合わせ
一実施形態において、CAR分子、例えば本明細書に記載のCAR分子を発現する細胞は、低い免疫増強用量のmTOR阻害剤と組み合わせて投与される。
一実施形態において、mTOR阻害剤の用量は、5%以上90%以下、10%以上90%以下、15%以上90%以下、20%以上90%以下、30%以上90%以下、40%以上90%以下、50%以上90%以下、60%以上90%以下又は70%以上90%以下のmTOR阻害と関連するか又はそれを提供する。
一実施形態において、mTOR阻害剤の用量は、5%以上80%以下、10%以上80%以下、15%以上80%以下、20%以上80%以下、30%以上80%以下、40%以上80%以下、50%以上80%以下又は60%以上80%以下のmTOR阻害と関連するか又はそれを提供する。
一実施形態において、mTOR阻害剤の用量は、5%以上70%以下、10%以上70%以下、15%以上70%以下、20%以上70%以下、30%以上70%以下、40%以上70%以下又は50%以上70%以下のmTOR阻害と関連するか又はそれを提供する。
一実施形態において、mTOR阻害剤の用量は、5%以上60%以下、10%以上60%以下、15%以上60%以下、20%以上60%以下、30%以上60%以下又は40%以上60%以下のmTOR阻害と関連するか又はそれを提供する。
一実施形態において、mTOR阻害剤の用量は、5%以上50%以下、10%以上50%以下、15%以上50%以下、20%以上50%以下、30%以上50%以下又は40%以上50%以下のmTOR阻害と関連するか又はそれを提供する。
一実施形態において、mTOR阻害剤の用量は、5%以上40%以下、10%以上40%以下、15%以上40%以下、20%以上40%以下、30%以上40%以下又は35%以上40%以下のmTOR阻害と関連するか又はそれを提供する。
一実施形態において、mTOR阻害剤の用量は、5%以上30%以下、10%以上30%以下、15%以上30%以下、20%以上30%以下又は25%以上30%以下のmTOR阻害と関連するか又はそれを提供する。
一実施形態において、mTOR阻害剤の用量は、1、2、3、4又は5%以上20%以下、1、2、3、4又は5%以上30%以下、1、2、3、4又は5%以上35%以下、1、2、3、4又は5%以上40%以下又は1、2、3、4又は5%以上45%以下のmTOR阻害と関連するか又はそれを提供する。
一実施形態において、mTOR阻害剤の用量は、1、2、3、4又は5%以上90%以下のmTOR阻害と関連するか又はそれを提供する。
本明細書で議論されるように、mTOR阻害の程度は、P70 S6キナーゼ阻害の程度として表現され得、例えば、mTOR阻害の程度は、P70 S6キナーゼ活性における低下レベルにより、例えばP70 S6キナーゼ基質のリン酸化の減少により決定できる。mTOR阻害のレベルは、本明細書に記載の方法により、例えばBoulayアッセイ又はウエスタンブロットによるリン酸化S6レベルの測定により、評価することができる。
例示的なmTOR阻害剤
本明細書で使用される場合、用語「mTOR阻害剤」は、細胞におけるmTORキナーゼを阻害する、化合物又はリガンド又はその薬学的に許容される塩を指す。一実施形態において、mTOR阻害剤は、アロステリック阻害剤である。一実施形態において、mTOR阻害剤は、触媒的阻害剤である。
アロステリックmTOR阻害剤は、中性三環式化合物ラパマイシン(シロリムス)、例えばラパマイシン誘導体、ラパマイシンアナログ(ラパログとも称する)及びmTOR活性を阻害する他のマクロライド化合物を含む、ラパマイシンと構造的及び機能的類似性を有する化合物であるラパマイシン関連化合物を含む。
ラパマイシンは、式Aに示す構造を有する、ストレプトミセス・ハイグロスコピクスにより産生される既知のマクロライド抗生物質である。
例えば、McAlpine,J.B.,et al.,J.Antibiotics(1991)44:688;Schreiber,S.L.,et al.,J.Am.Chem.Soc.(1991)113:7433;米国特許3,929,992号を参照されたい。ラパマイシンについて種々のナンバリングスキームが提唱されている。混乱を避けるため、特定のラパマイシンアナログを本明細書で命名する場合、名称は、式Aのナンバリングスキームを使用したラパマイシンを参照して付与する。
本発明において有用なラパマイシンアナログは、例えば、本発明において有用なラパマイシンアナログは、例えば、ラパマイシンのシクロヘキシル環上のヒドロキシ基がOR1(ここで、R1はヒドロキシアルキル、ヒドロキシアルコキシアルキル、アシルアミノアルキル又はアミノアルキルである)で置き換えられているO−置換アナログ;例えば引用により本明細書に包含させる、米国特許第5,665,772号明細書及び国際公開第94/09010号パンフレットに記載のものなど、エベロリムスとして知られるRAD001である。他の適当なラパマイシンアナログは、26位又は28位が置換されたものを含む。ラパマイシンアナログは、例えば、内容を引用により本明細書に包含させる米国特許第6,015,815号明細書、国際公開第95/14023号パンフレット及び国際公開第99/15530号パンフレットに記載のものなど、上記アナログのエピマー、特に40位、28位又は26位が置換され、場合により更に水素化され得るアナログのエピマーであり得、例えばゾタロリムスとしても知られるABT578又はその内容を引用により本明細書に包含させる米国特許第7,091,213号明細書、国際公開第98/02441号パンフレット及び国際公開第01/14387号パンフレットに記載のラパマイシンアナログ、例えばリダフォロリムスとしても知られるAP23573である。
米国特許第5,665,772号明細書からの、本発明における使用に適するラパマイシンアナログの例は、40−O−ベンジル−ラパマイシン、40−O−(4’−ヒドロキシメチル)ベンジル−ラパマイシン、40−O−[4’−(1,2−ジヒドロキシエチル)]ベンジル−ラパマイシン、40−O−アリル−ラパマイシン、40−O−[3’−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4(S)−イル)−プロプ−2’−エン−1’−イル]−ラパマイシン、(2’E,4’S)−40−O−(4’,5’−ジヒドロキシペント−2’−エン−1’−イル)−ラパマイシン、40−O−(2−ヒドロキシ)エトキシカルボニルメチル−ラパマイシン、40−O−(2−ヒドロキシ)エチル−ラパマイシン、40−O−(3−ヒドロキシ)プロピル−ラパマイシン、40−O−(6−ヒドロキシ)ヘキシル−ラパマイシン、40−O−[2−(2−ヒドロキシ)エトキシ]エチル−ラパマイシン、40−O−[(3S)−2,2−ジメチルジオキソラン−3−イル]メチル−ラパマイシン、40−O−[(2S)−2,3−ジヒドロキシプロプ−1−イル]−ラパマイシン、40−O−(2−アセトキシ)エチル−ラパマイシン、40−O−(2−ニコチノイルオキシ)エチル−ラパマイシン、40−O−[2−(N−モルホリノ)アセトキシ]エチル−ラパマイシン、40−O−(2−N−イミダゾリルアセトキシ)エチル−ラパマイシン、40−O−[2−(N−メチル−N’−ピペラジニル)アセトキシ]エチル−ラパマイシン、39−O−デスメチル−39,40−O,O−エチレン−ラパマイシン、(26R)−26−ジヒドロ−40−O−(2−ヒドロキシ)エチル−ラパマイシン、40−O−(2−アミノエチル)−ラパマイシン、40−O−(2−アセトアミノエチル)−ラパマイシン、40−O−(2−ニコチンアミドエチル)−ラパマイシン、40−O−(2−(N−メチル−イミダゾ−2’−イルカルベトキサミド)エチル)−ラパマイシン、40−O−(2−エトキシカルボニルアミノエチル)−ラパマイシン、40−O−(2−トリルスルホンアミドエチル)−ラパマイシン及び40−O−[2−(4’,5’−ジカルボエトキシ−1’,2’,3’−トリアゾール−1’−イル)−エチル]−ラパマイシンを含むが、これらに限定されない。
本発明において有用な他のラパマイシンアナログは、ラパマイシンのシクロヘキシル環上のヒドロキシ基及び/又は28位のヒドロキシ基がヒドロキシエステル基で置き換えられたアナログが知られ、例えば米国再発行特許第44,768号明細書に見られるラパマイシンアナログ、例えばテムシロリムスである。
本発明において有用な他のラパマイシンアナログは、16位のメトキシ基が他の置換基、好ましくは(場合によりヒドロキシ置換)アルキニルオキシ、ベンジル、オルトメトキシベンジル又はクロロベンジルにより置き換えられている及び/又は39位のメトキシ基が39炭素と共に除去され、ラパマイシンのシクロヘキシル環が39位のメトキシ基を欠くシクロペンチル環になるもの;例えば、その内容が参照により本明細書に組み込まれる国際公開第95/16691号パンフレット及び国際公開第96/41807号パンフレットに記載のものを含む。アナログは、ラパマイシンの40位のヒドロキシがアルキル化され及び/又は32−カルボニルが還元されるように更に修飾され得る。
国際公開第95/16691号パンフレットからのラパマイシンアナログは、16−デメトキシ−16−(ペント−2−イニル)オキシ−ラパマイシン、16−デメトキシ−16−(ブト−2−イニル)オキシ−ラパマイシン、16−デメトキシ−16−(プロパルギル)オキシ−ラパマイシン、16−デメトキシ−16−(4−ヒドロキシ−ブト−2−イニル)オキシ−ラパマイシン、16−デメトキシ−16−ベンジルオキシ−40−O−(2−ヒドロキシエチル)−ラパマイシン、16−デメトキシ−16−ベンジルオキシ−ラパマイシン、16−デメトキシ−16−オルト−メトキシベンジル−ラパマイシン、16−デメトキシ−40−O−(2−メトキシエチル)−16−ペント−2−イニル)オキシ−ラパマイシン、39−デメトキシ−40−デスオキシ−39−ホルミル−42−ノル−ラパマイシン、39−デメトキシ−40−デスオキシ−39−ヒドロキシメチル−42−ノル−ラパマイシン、39−デメトキシ−40−デスオキシ−39−カルボキシ−42−ノル−ラパマイシン、39−デメトキシ−40−デスオキシ−39−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)カルボニル−42−ノル−ラパマイシン、39−デメトキシ−40−デスオキシ−39−(モルホリン−4−イル)カルボニル−42−ノル−ラパマイシン、39−デメトキシ−40−デスオキシ−39−[N−メチル、N−(2−ピリジン−2−イル−エチル)]カルバモイル−42−ノル−ラパマイシン及び39−デメトキシ−40−デスオキシ−39−(p−トルエンスルホニルヒドラゾノメチル)−42−ノル−ラパマイシンを含むが、これらに限定されない。
国際公開第96/41807号パンフレットからのラパマイシンアナログは、32−デオキソ−ラパマイシン、16−O−ペント−2−イニル−32−デオキソ−ラパマイシン、16−O−ペント−2−イニル−32−デオキソ−40−O−(2−ヒドロキシ−エチル)−ラパマイシン、16−O−ペント−2−イニル−32−(S)−ジヒドロ−40−O−(2−ヒドロキシエチル)−ラパマイシン、32(S)−ジヒドロ−40−O−(2−メトキシ)エチル−ラパマイシン及び32(S)−ジヒドロ−40−O−(2−ヒドロキシエチル)−ラパマイシンを含むが、これらに限定されない。
他の適当なラパマイシンアナログは、その内容を引用により本明細書に包含させる米国特許出願公開第2005/0101624号明細書に記載のようなウミロリムスである。
エベロリムス(アフィニトール(登録商標))としても知られるRAD001は、化学名(1R,9S,12S,15R,16E,18R,19R,21R,23S,24E,26E,28E,30S,32S,35R)−1,18−ジヒドロキシ−12−{(1R)−2−[(1S,3R,4R)−4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メトキシシクロヘキシル]−1−メチルエチル}−19,30−ジメトキシ−15,17,21,23,29,35−ヘキサメチル−11,36−ジオキサ−4−アザ−トリシクロ[30.3.1.04,9]ヘキサトリアコンタ−16,24,26,28−テトラエン−2,3,10,14,20−ペンタオンを有する。
アロステリックmTOR阻害剤の更なる例は、シロリムス(ラパマイシン、AY−22989)、40−[3−ヒドロキシ−2−(ヒドロキシメチル)−2−メチルプロパノエート]−ラパマイシン(テムシロリムス又はCCI−779とも呼ばれる)及びリダフォロリムス(AP−23573/MK−8669)を含む。アロステリックmTOR阻害剤の他の例は、ゾタロリムス(ABT578)及びウミロリムスを含む。
これとは別に又はこれに加えて、触媒的、ATP競合的mTOR阻害剤が、mTORキナーゼドメインを直接標的とし、且つmTORC1及びmTORC2の両者を標的とすることが判明している。これらは、4EBP1−T37/46リン酸化及びキャップ依存性翻訳などのラパマイシン耐性mTORC1アウトプットを調節するために、ラパマイシンなどのアロステリックmTOR阻害剤よりmTORC1の効果的な阻害剤でもある。
触媒的阻害剤は、BEZ235又は2−メチル−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−8−キノリン−3−イル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]−プロピオニトリル又はモノトシル酸塩形態(BEZ235の合成は国際公開第2006/122806号パンフレットに記載);CCG168(AZD−8055としても知られる、Chresta,C.M.,et al.,Cancer Res,2010,70(1),288−298)であり、これは、化学名{5−[2,4−ビス−((S)−3−メチル−モルホリン−4−イル)−ピリド[2,3d]ピリミジン−7−イル]−2−メトキシ−フェニル}−メタノール;3−[2,4−ビス[(3S)−3−メチルモルホリン−4−イル]ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−イル]−N−メチルベンズアミド(国際公開第09104019号パンフレット);3−(2−アミノベンゾ[d]オキサゾール−5−イル)−1−イソプロピル−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−アミン(国際公開第10051043号パンフレット及び国際公開第2013023184号パンフレット);N−(3−(N−(3−((3,5−ジメトキシフェニル)アミノ)キノキサリン−2−イル)スルファモイル)フェニル)−3−メトキシ−4−メチルベンズアミド(国際公開第07044729号パンフレット及び国際公開第12006552号パンフレット);PKI−587(Venkatesan,A.M.,J.Med.Chem.,2010,53,2636−2645)であり、これは、化学名1−[4−[4−(ジメチルアミノ)ピペリジン−1−カルボニル]フェニル]−3−[4−(4,6−ジモルホリノ−1,3,5−トリアジン−2−イル)フェニル]尿素;GSK−2126458(ACS Med.Chem.Lett.,2010,1,39−43)であり、これは、化学名2,4−ジフルオロ−N−{2−メトキシ−5−[4−(4−ピリダジニル)−6−キノリニル]−3−ピリジニル}ベンゼンスルホンアミド;5−(9−イソプロピル−8−メチル−2−モルホリノ−9H−プリン−6−イル)ピリミジン−2−アミン(国際公開第10114484号パンフレット);(E)−N−(8−(6−アミノ−5−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル)−1−(6−(2−シアノプロパン−2−イル)ピリジン−3−イル)−3−メチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−2(3H)−イリデン)シアナミド(国際公開第12007926号パンフレット)を含む。
触媒的mTOR阻害剤の更なる例は、8−(6−メトキシ−ピリジン−3−イル)−3−メチル−1−(4−ピペラジン−1−イル−3−トリフルオロメチル−フェニル)−1,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−2−オン(国際公開第2006/122806号パンフレット)及びKu−0063794(Garcia−Martinez JM,et al.,Biochem J.,2009,421(1),29−42。Ku−0063794は、哺乳動物ラパマイシンの標的(mTOR)の特異的阻害剤である。)を含む。WYE−354は、触媒的mTor阻害剤の他の例である(Yu K,et al.(2009).Biochemical,Cellular,and インビボ Activity of Novel ATP−Competitive and Selective Inhibitors of the Mammalian Target of Rapamycin.Cancer Res.69(15):6232−6240)。
本発明によって有用なmTOR阻害剤は、上記のいずれかのプロドラッグ、誘導体、薬学的に許容される塩又はその類似体も含む。
RAD001などのmTOR阻害剤は、本明細書に記載の特定の用量に基づき、当技術分野で十分に確立された方法に基づいて送達用に製剤化され得る。特に、米国特許第6,004,973号明細書(参照により本明細書に組み込まれる)は、本明細書に記載のmTOR阻害剤で使用できる製剤例を提供する。
mTOR阻害の評価
mTORはキナーゼP70 S6をリン酸化し、それによりP70 S6キナーゼを活性化し、その基質をリン酸化させる。mTOR阻害の程度は、P70 S6キナーゼ阻害の程度として表現され得、例えば、mTOR阻害の程度は、P70 S6キナーゼ活性における低下レベルにより、例えばP70 S6キナーゼ基質のリン酸化の減少により決定できる。阻害剤の非存在下、例えば阻害剤の投与前及び阻害剤の存在下又は阻害剤の投与後、P70 S6キナーゼ活性(基質をリン酸化するP70 S6キナーゼの能力)を測定することにより、mTOR阻害のレベルを決定できる。P70 S6キナーゼの阻害レベルは、mTOR阻害レベルを示す。従って、P70 S6キナーゼが40%阻害されると、P70 S6キナーゼ活性で測定されるmTOR活性は40%阻害される。本明細書で言及される阻害の程度又はレベルは、投与間隔にわたる阻害の平均レベルである。例として、阻害剤が週に1回与えられる場合、阻害のレベルは、その間隔、即ち1週間にわたる阻害の平均レベルによって与えられる。
Boulay et al.,Cancer Res,2004,64:252−61(参照により本明細書に組み込まれる)は、mTOR阻害のレベルを評価するために使用できるアッセイ(本明細書ではBoulayアッセイと称される)を教示する。一実施形態において、アッセイは、mTOR阻害剤、例えばRAD001の投与前後の生体サンプルからのP70 S6キナーゼ活性の測定に依存する。サンプルは、mTOR阻害剤で処置した後、予め選択した時間、例えば処置後24、48及び72時間で採取され得る。例えば、皮膚又は末梢血単核細胞(PBMC)からなど、生体サンプルを使用できる。サンプルから総タンパク質抽出物を調製する。P70 S6キナーゼは、P70 S6キナーゼを特異的に認識する抗体を使用した免疫沈降により、タンパク質抽出物から分離される。単離されたP70 S6キナーゼの活性は、インビトロキナーゼアッセイで測定することができる。単離されたキナーゼは、基質のリン酸化を可能にする条件下で、40Sリボソームサブユニット基質(P70 S6キナーゼの内因性基質である)及びγ32Pとインキュベートできる。その後、反応混合物をSDS−PAGEゲル上で分離し、PhosphorImagerを使用して32Pシグナルを分析することができる。40Sリボソームサブユニットのサイズに対応する32Pシグナルは、リン酸化された基質及びP70 S6キナーゼの活性を示す。キナーゼ活性の増減は、リン酸化された基質の32Pシグナルの面積及び強度を定量化すること(例えば、ImageQuant、Molecular Dynamicsを使用して)、定量化されたシグナルに任意のユニット値を割り当てること及び投与後の値を投与前の値又は参照値と比較することによって計算できる。例えば、キナーゼ活性の阻害パーセントは、次の式で計算できる:1−(投与後に得られる値/投与前に得られる値)×100。上述のように、本明細書で言及される阻害の程度又はレベルは、投与間隔にわたる阻害の平均レベルである。
キナーゼ活性、例えばP70 S6キナーゼ活性の評価のための方法も、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,727,950号明細書に提供される。
mTOR阻害のレベルは、PD1陰性T細胞のPD1陽性T細胞に対する比率の変化によっても評価することができる。末梢血からのT細胞は、当技術分野で知られた方法により、PD1陰性又は陽性として特定できる。
低用量mTOR阻害剤
本明細書に記載の方法は、低い免疫増強用量のmTOR阻害剤、複数用量のmTOR阻害剤、例えばRAD001などのラパログを含むアロステリックmTOR阻害剤を使用する。対照的に、mTOR経路を完全に又はほぼ完全に阻害する阻害剤のレベルは免疫抑制性であり、例えば臓器移植拒絶反応を防ぐために使用される。更に、mTORを完全に阻害する高用量のラパログも腫瘍細胞の増殖を阻害し、種々の癌の処置に使用される(例えば、Antineoplastic effects of mammalian target of rapamycine inhibitors.Salvadori M.World J Transplant.2012 Oct 24;2(5):74−83;Current and Future Treatment Strategies for Patients with Advanced Hepatocellular Carcinoma:Role of mTOR Inhibition.Finn RS.Liver Cancer.2012 Nov;1(3−4):247−256;Emerging Signaling Pathways in Hepatocellular Carcinoma.Moeini A,Cornella H,Villanueva A.Liver Cancer.2012 Sep;1(2):83−93;Targeted cancer therapy − Are the days of systemic chemotherapy numbered?Joo WD,Visintin I,Mor G.Maturitas.2013 Sep 20.;Role of natural and adaptive immunity in renal cell carcinoma response to VEGFR−TKIs and mTOR inhibitor.Santoni M,Berardi R,Amantini C,Burattini L,Santini D,Santoni G,Cascinu S.Int J Cancer.2013 Oct 2を参照されたい)。
本発明は、少なくとも部分的に、現在の臨床設定で使用される用量よりも十分に少ないmTOR阻害剤の用量が、対象における免疫応答の増加及びPD−1陰性T細胞/PD−1陽性T細胞の比率の増加において優れた効果を有するという驚くべき発見に基づいている。mTOR活性の部分的な阻害のみをもたらす低用量のmTOR阻害剤が、ヒト対象の免疫応答を効果的に改善し、PD−1陰性T細胞/PD−1陽性T細胞の比率を増加させることができたことは驚くべきことであった。
代わりに又は更に、いかなる理論にも拘束されることを望むものではないが、低い免疫増強用量のmTOR阻害剤は、例えば未処置の対象と比較して、例えば少なくとも一時的に、ナイーブT細胞数を増加させることができると考えられる。代わりに又は更に、こちらも理論に縛られることを望むものではないが、十分な時間又は十分な投与後のmTOR阻害剤による処置は、
例えばメモリーT細胞上、例えばメモリーT細胞前駆体上の、以下のマーカー:CD62Lhigh、CD127high、CD27+及びBCL2の1つ以上の発現の増加;
例えばメモリーT細胞上、例えばメモリーT細胞前駆体上の、KLRG1の発現の減少;及び
メモリーT細胞前駆体、例えば以下の特性:CD62Lhighの増加、CD127highの増加、CD27+の増加、KLRG1の減少及びBCL2の増加のいずれか1つ又は組み合わせを有する細胞の数の増加
の1つ以上をもたらすと考えられる。ここで、上記の変化はいずれも、例えば未処置対象と比較したとき、例えば少なくとも一過性に起こる(Araki,K et al.(2009)Nature 460:108−112)。メモリーT細胞前駆体は、分化プログラムの初期段階にあるメモリーT細胞である。例えば、メモリーT細胞は、以下の特性:CD62Lhighの増加、CD127highの増加、CD27+の増加、KLRG1の減少及び/又はBCL2の増加の1つ以上を有する。
一実施形態において、本発明は、mTOR阻害剤、例えばアロステリックmTOR阻害剤、例えばラパログ、ラパマイシン若しくはRAD001又は触媒的mTOR阻害剤の組成物又は剤形に関し、これは、選択された投与レジメンにより、例えば1日に1回又は1週間に1回投与された場合、完全な又は有意な免疫抑制に関連しないが、免疫応答の増強に関連するmTOR阻害のレベルに関連する。
mTOR阻害剤、例えばアロステリックmTOR阻害剤、例えばラパログ、ラパマイシン若しくはRAD001又は触媒的mTOR阻害剤は、持続放出製剤で提供することができる。本明細書に記載の組成物又は単位剤形はいずれも、持続放出製剤で提供することができる。いくつかの実施形態において、持続放出製剤は、即時放出製剤よりも低いバイオアベイラビリティを有するであろう。例えば、実施形態において、即時放出製剤の同様の治療効果を達成するために、持続放出製剤は、即時放出製剤で提供される阻害剤の量の約2〜約5、約2.5〜約3.5又は約3倍を有するであろう。
一実施形態において、典型的には1週間に1回の投与に使用され、1単位剤形当たり0.1〜20、0.5〜10、2.5〜7.5、3〜6又は約5mgを有する、例えばRAD001の、即時放出形態が提供される。1週間に1回の投与では、これらの即時放出製剤は持続放出型に対応し、それぞれ0.3〜60、1.5〜30、7.5〜22.5、9〜18又は約15mgの、mTOR阻害剤、例えばアロステリックmTOR阻害剤、例えばラパマイシン又はRAD001を有する。実施形態において、両方の形態が週1回投与される。
一実施形態において、典型的には1日に1回の投与に使用され、1単位剤形当たり0.005〜1.5、0.01〜1.5、0.1〜1.5、0.2〜1.5、0.3〜1.5、0.4〜1.5、0.5〜1.5、0.6〜1.5、0.7〜1.5、0.8〜1.5、1.0〜1.5、0.3〜0.6又は約0.5mgを有する、例えばRAD001の、即時放出形態が提供される。1日に1回の投与では、これらの即時放出形態は持続放出型に対応し、それぞれ0.015〜4.5、0.03〜4.5、0.3〜4.5、0.6〜4.5、0.9〜4.5、1.2〜4.5、1.5〜4.5、1.8〜4.5、2.1〜4.5、2.4〜4.5、3.0〜4.5、0.9〜1.8又は約1.5mgの、mTOR阻害剤、例えばアロステリックmTOR阻害剤、例えばラパマイシン又はRAD001を有する。1週間に1回の投与では、これらの即時放出形態は持続放出型に対応し、それぞれ0.1〜30、0.2〜30、2〜30、4〜30、6〜30、8〜30、10〜30、1.2〜30、14〜30、16〜30、20〜30、6〜12又は約10mgの、mTOR阻害剤、例えばアロステリックmTOR阻害剤、例えばラパマイシン又はRAD001を有する。
一実施形態において、典型的には1日に1回の投与に使用され、1単位剤形当たり0.01〜1.0mgを有する、例えばRAD001の、即時放出形態が提供される。1日に1回の投与では、これらの即時放出形態は持続放出型に対応し、それぞれ0.03〜3mgの、mTOR阻害剤、例えばアロステリックmTOR阻害剤、例えばラパマイシン又はRAD001を有する。1週間に1回の投与では、これらの即時放出形態は持続放出型に対応し、それぞれ0.2〜20mgの、mTOR阻害剤、例えばアロステリックmTOR阻害剤、例えばラパマイシン又はRAD001を有する。
一実施形態において、典型的には1週間に1回の投与に使用され、1単位剤形当たり0.5〜5.0mgを有する、例えばRAD001の、即時放出形態が提供される。1週間に1回の投与では、これらの即時放出形態は持続放出型に対応し、それぞれ1.5〜15mgの、mTOR阻害剤、例えばアロステリックmTOR阻害剤、例えばラパマイシン又はRAD001を有する。
上記のように、mTOR経路の1つの標的はP70 S6キナーゼである。従って、本明細書に記載の方法及び組成物に有用なmTOR阻害剤の用量は、例えば本明細書に記載のアッセイ、例えばBoulayアッセイにより測定される、mTOR阻害剤の非存在下でのP70 S6キナーゼの活性と比較して、P70 S6キナーゼ活性の80%以下の阻害を達成するのに十分なものである。更なる態様において、本発明は、mTOR阻害剤の非存在下でのP70 S6キナーゼ活性と比較して、P70 S6キナーゼ活性の38%以下の阻害を達成するのに十分な量のmTOR阻害剤を提供する。
一態様において、本発明の方法及び組成物において有用なmTOR阻害剤の用量は、例えば、ヒト対象に投与される場合、例えば本明細書に記載のアッセイ、例えばBoulayアッセイにより測定して、90+/−5%(即ち85−95%)、89+/−5%、88+/−5%、87+/−5%、86+/−5%、85+/−5%、84+/−5%、83+/−5%、82+/−5%、81+/−5%、80+/−5%、79+/−5%、78+/−5%、77+/−5%、76+/−5%、75+/−5%、74+/−5%、73+/−5%、72+/−5%、71+/−5%、70+/−5%、69+/−5%、68+/−5%、67+/−5%、66+/−5%、65+/−5%、64+/−5%、63+/−5%、62+/−5%、61+/−5%、60+/−5%、59+/−5%、58+/−5%、57+/−5%、56+/−5%、55+/−5%、54+/−5%、54+/−5%、53+/−5%、52+/−5%、51+/−5%、50+/−5%、49+/−5%、48+/−5%、47+/−5%、46+/−5%、45+/−5%、44+/−5%、43+/−5%、42+/−5%、41+/−5%、40+/−5%、39+/−5%、38+/−5%、37+/−5%、36+/−5%、35+/−5%、34+/−5%、33+/−5%、32+/−5%、31+/−5%、30+/−5%、29+/−5%、28+/−5%、27+/−5%、26+/−5%、25+/−5%、24+/−5%、23+/−5%、22+/−5%、21+/−5%、20+/−5%、19+/−5%、18+/−5%、17+/−5%、16+/−5%、15+/−5%、14+/−5%、13+/−5%、12+/−5%、11+/−5%又は10+/−5%のP70 S6キナーゼ活性の阻害を達成するのに十分な用量である。
対象におけるP70 S6キナーゼ活性は、例えば、米国特許第7,727,950号明細書に記載の方法に従うもの、ホスホP70 S6Kレベル及び/又はホスホP70 S6レベルのイムノブロット分析によるもの又はインビトロキナーゼ活性アッセイによるものなど、当技術分野で公知の方法を使用して測定され得る。
本明細書で使用される場合、mTOR阻害剤の用量に関する用語「約」は、mTOR阻害剤の量の最大±10%の変動を指すが、記載された用量周りの変動を含まない場合がある。
いくつかの実施形態において、本発明は、標的トラフレベル内の用量で、mTOR阻害剤、例えばアロステリック阻害剤、例えばRAD001を対象に投与することを含む方法を提供する。いくつかの実施形態において、トラフレベルは、臓器移植及び癌患者において使用される投与レジメンに関連するトラフレベルよりも有意に低い。一実施形態において、mTOR阻害剤、例えばRAD001又はラパマイシンは、トラフレベルが免疫抑制又は抗癌効果をもたらすトラフレベルの1/2、1/4、1/10又は1/20未満になるように投与される。一実施形態において、mTOR阻害剤、例えばRAD001又はラパマイシンは、免疫抑制又は抗癌の適応における使用のためのFDA承認パッケージ添付文書に提供されるトラフレベルの1/2、1/4、1/10又は1/20未満のトラフレベルをもたらすように投与される。
一実施形態において、本明細書に開示される方法は、mTOR阻害剤、例えばアロステリック阻害剤、例えばRAD001を、0.1〜10ng/ml、0.1〜5ng/ml、0.1〜3ng/ml、0.1〜2ng/ml又は0.1〜1ng/mlの標的トラフレベルを提供する用量で、対象に投与することを含む。
一実施形態において、本明細書に開示される方法は、mTOR阻害剤、例えばアロステリック阻害剤、例えばRAD001を、0.2〜10ng/ml、0.2〜5ng/ml、0.2〜3ng/ml、0.2〜2ng/ml又は0.2〜1ng/mlの標的トラフレベルを提供する用量で、対象に投与することを含む。
一実施形態において、本明細書に開示される方法は、mTOR阻害剤、例えばアロステリック阻害剤、例えばRAD001を、0.3〜10ng/ml、0.3〜5ng/ml、0.3〜3ng/ml、0.3〜2ng/ml又は0.3〜1ng/mlの標的トラフレベルを提供する用量で、対象に投与することを含む。
一実施形態において、本明細書に開示される方法は、mTOR阻害剤、例えばアロステリック阻害剤、例えばRAD001を、0.4〜10ng/ml、0.4〜5ng/ml、0.4〜3ng/ml、0.4〜2ng/ml又は0.4〜1ng/mlの標的トラフレベルを提供する用量で、対象に投与することを含む。
一実施形態において、本明細書に開示される方法は、mTOR阻害剤、例えばアロステリック阻害剤、例えばRAD001を、0.5〜10ng/ml、0.5〜5ng/ml、0.5〜3ng/ml、0.5〜2ng/ml又は0.5〜1ng/mlの標的トラフレベルを提供する用量で、対象に投与することを含む。
一実施形態において、本明細書に開示される方法は、mTOR阻害剤、例えばアロステリック阻害剤、例えばRAD001を、1〜10ng/ml、1〜5ng/ml、1〜3ng/ml又は1〜2ng/mlの標的トラフレベルを提供する用量で、対象に投与することを含む。
本明細書で使用される場合、「トラフレベル」という用語は、次の投与の直前の血漿中の薬物の濃度又は2回の投与間の最小薬物濃度を指す。
いくつかの実施形態において、RAD001の標的トラフレベルは、約0.1〜4.9ng/mlの範囲にある。一実施形態において、標的トラフレベルは3ng/ml未満であり、例えば0.3以下〜3ng/mlである。一実施形態において、標的トラフレベルは3ng/ml未満であり、例えば0.3以下〜1ng/mlである。
更なる態様において、本発明は、RAD001の特定の標的トラフレベルと生物学的に同等である標的トラフレベルに関連する量のRAD001以外のmTOR阻害剤を利用することができる。一実施形態において、RAD001以外のmTOR阻害剤の標的トラフレベルは、本明細書に記載のRAD001のトラフレベルと同じレベルのmTOR阻害(例えば、本明細書に記載の方法、例えばP70 S6の阻害により測定される)を与えるレベルである。
医薬組成物:mTOR阻害剤
一態様において、本発明は、本明細書に記載のCAR細胞と組み合わせた使用のために製剤化された、mTOR阻害剤、例えば本明細書に記載のmTOR阻害剤を含む、医薬組成物に関する。
いくつかの実施形態において、mTOR阻害剤は、追加物、例えば本明細書に記載のもの、と組み合わせて投与するために製剤化される。
一般に、本発明の化合物は、当技術分野において公知の通常の及び許容される方式のいずれかにより、単独で又は1つ以上の治療剤と組み合わせて、上記治療有効量で投与される。
医薬製剤は、慣用の溶解及び混合方法を使用して製造し得る。例えば、原薬物質(例えば、mTOR阻害剤又は安定化形態の化合物(例えば、シクロデキストリン誘導体又は他の公知の複合体化剤との複合体)を、本明細書に記載の賦形剤の1つ以上の存在下、適当な溶媒に溶解する。mTOR阻害剤は、典型的には、薬物の容易に制御可能な投与量を提供し、患者に、洗練された、容易に取り扱い可能な製品を提供するように、医薬投与形態に製剤される。
本発明の化合物は、任意の慣用の経路、特に経腸的に、例えば経口的に、例えば錠剤又はカプセルの形態で、又は非経口的に、例えば注射可能な溶液又は懸濁液の形態で、局所的に、例えばローション、ゲル、軟膏又はクリームの形態で、又は経鼻又は坐剤の形態で、医薬組成物として投与され得る。mTOR阻害剤が本明細書に記載の別の薬剤と組み合わせて(同時に又は別々に)投与される場合、一態様において、両方の成分を、同じ経路で(例えば、非経口的に)投与し得る。代わりに、別の薬剤を、mTOR阻害剤と異なる経路で投与し得る。例えば、mTOR阻害剤は経口的に投与することができ、他の薬剤は非経口的に投与することができる。
持続放出
本明細書に開示されるmTOR阻害剤、例えばアロステリックmTOR阻害剤又は触媒的mTOR阻害剤は、本明細書に開示されるmTOR阻害剤、例えばラパマイシン又はRAD001を含む経口固形剤形の形態で医薬製剤として提供することができ、これは、製品安定性要件を満たし、且つ/又は即時放出(IR)錠剤よりも好ましい、平均血漿ピーク濃度の低下、薬物吸収の程度及び血漿ピーク濃度の患者間及び患者内変動の低下、Cmax/Cmin比の低下及び/又は食物の影響の低下などの薬物動態特性を有する。提供される医薬製剤は、より正確な用量調整を可能にし、且つ/又は有害事象の頻度を低減し得、従って本明細書に開示されるmTOR阻害剤、例えばラパマイシン又はRAD001を有する患者により安全な処置を提供する。
いくつかの実施形態において、本開示は、本明細書に開示されるmTOR阻害剤、例えばラパマイシン又はRAD001の安定な延長放出製剤を提供し、これは多粒子系であり、機能層及びコーティングを有し得る。
本明細書で使用される場合、「延長放出性多粒子製剤」という用語は、本明細書に開示されるmTOR阻害剤、例えばラパマイシン又はRAD001の、延長した期間、例えば少なくとも1、2、3、4、5又は6時間にわたる放出を可能にする製剤を指す。延長放出製剤は、特別な賦形剤、例えば本明細書に記載のもので作製されたマトリックス及びコーティングを含み得、これは、摂取後、延長された期間にわたって有効成分を利用可能にするように製剤化される。
「延長放出」という用語は、「持続放出(sustained release)」(SR)又は「持続放出(prolonged release)」という用語と互換的に使用できる。「延長放出」という用語は、経口投与の直後には活性薬品成分を放出しないが、欧州薬局方(第7版)錠剤及びカプセルのモノグラフ及び医薬品剤形に関する米国薬局方<1151>の薬局方の定義に従って延長的に放出する医薬製剤に関する。本明細書で使用される場合、「即時放出」(IR)という用語は、「Guidance for Industry:「Dissolution Testing of Immediate Release Solid Oral Dosage Forms」(FDA CDER、1997)の定義に従って、60分未満以内に活性薬品成分の85%を放出する医薬製剤を指す。いくつかの実施形態において、「即時放出」という用語は、例えば、本明細書に記載の溶解アッセイで測定される、30分以内の錠剤からのエベロリムスの放出を意味する。
本明細書に開示されるmTOR阻害剤、例えばラパマイシン又はRAD001の安定な延長放出製剤は、本明細書に記載の溶解アッセイなどの当技術分野で公知のアッセイを使用したインビトロ放出プロファイルによって特徴付けることができる。溶解容器を37℃で0.2%ドデシル硫酸ナトリウムを含有するpH6.8のリン酸緩衝液900mLで満たし、米国薬局方試験モノグラフ711及び欧州薬局方試験モノグラフ2.9.3.にそれぞれに従って、75rpmでパドル法を使用して溶解を行う。
いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるmTOR阻害剤、例えばラパマイシン又はRAD001の、安定な延長放出製剤は、以下の放出仕様に従ってインビトロ放出アッセイでmTOR阻害剤を放出する。
0.5h:<45%又は<40、例えば<30%
1時間:20〜80%、例えば、30〜60%
2h:>50%又は>70%、例えば>75%
3h:>60%又は>65%、例えば>85%、例えば>90%。
いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるmTOR阻害剤、例えばラパマイシン又はRAD001の、安定な延長放出製剤は、インビトロ溶解アッセイにおいて、45、60、75、90、105分又は120分以降にmTOR阻害剤の50%を放出する。
バイオポリマー送達方法
いくつかの実施形態において、本明細書に開示する1つ以上のCAR発現細胞をバイオポリマー足場、例えばバイオポリマーインプラントにより対象に投与又は送達し得る。バイオポリマー足場は、本明細書に記載のCAR発現細胞の送達、増殖及び/又は分散を支持又は増強することができる。バイオポリマー足場は、生体適合性(例えば、炎症性若しくは免疫応答を実質的に誘発しない)及び/又は天然に存在し得るか若しくは合成であり得る生分解性ポリマーを含む。
適当なバイオポリマーの例は、寒天、アガロース、アルギン酸、アルギン酸/リン酸カルシウムセメント(CPC)、β−ガラクトシダーゼ(β−GAL)、(1,2,3,4,6−ペンタアセチルa−D−ガラクトース)、セルロース、キチン、キトサン、コラーゲン、エラスチン、ゼラチン、ヒアルロン酸コラーゲン、ヒドロキシアパタイト、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシ−ヘキサノエート)(PHBHHx)、ポリ(ラクチド)、ポリ(カプロラクトン)(PCL)、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)(PLG)、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリ(乳酸−コ−グリコール酸)(PLGA)、ポリプロピレンオキシド(PPO)、ポリビニルアルコール)(PVA)、絹、大豆タンパク質及び大豆タンパク質単離体の、単独で又は任意の他のポリマー組成物とのあらゆる濃度及びあらゆる比での混合物を含むが、これらに限定されない。バイオポリマーは、接着又は遊走促進分子、例えばリンパ球のコラーゲン受容体に結合するコラーゲン模倣ペプチド及び/又は送達する細胞の送達、増殖又は機能、例えば抗癌活性を増強する刺激分子で増強又は改変され得る。バイオポリマー足場は、注射可能な例えばゲル又は半固体又は固体組成物であり得る。
いくつかの実施形態において、本明細書に記載のCAR発現細胞を、対象への送達前にバイオポリマー足場上に播種する。実施形態において、バイオポリマー足場は、例えば、足場のバイオポリマーに取り込まれた又はコンジュゲートされた、更に本明細書に記載の1つ以上の更なる治療剤(例えば、別のCAR発現細胞、抗体又は小分子)又はCAR発現細胞の活性を増強する薬剤を含む。実施形態において、バイオポリマー足場を例えば腫瘍内に注射するか、又は腫瘍若しくは抗腫瘍効果を媒介するのに十分に腫瘍に近位に外科的にインプラントする。バイオポリマー組成物及びその送達のための方法の更なる例は、Stephan et al.,Nature Biotechnology,2015,33:97−101;及び国際公開第2014/110591号パンフレットに記載される。
医薬組成物及び処置
本発明の医薬組成物は、本明細書に記載のように、CAR発現細胞、例えば複数のCAR発現細胞を1つ以上の薬学的に又は生理学的に許容される担体、希釈剤又は添加物と組み合わせて含む。このような組成物は、中性緩衝化食塩水、リン酸緩衝化食塩水などの緩衝液;グルコース、マンノース、スクロース又はデキストラン、マンニトールなどの炭水化物;タンパク質;グリシンなどのポリペプチド又はアミノ酸;抗酸化剤;EDTA又はグルタチオンなどのキレート剤;アジュバント(例えば、水酸化アルミニウム);及び防腐剤を含み得る。本発明の組成物は、1つの態様において静脈内投与用に製剤される。
本発明の医薬組成物を、処置する(又は予防する)疾患に適する方法で投与し得る。投与の量及び頻度は、患者の状態及び患者の疾患のタイプ及び重症度などの因子により決定されるが、適切な用量は、臨床試験により決定され得る。
一実施形態において、医薬組成物は、例えば、エンドトキシン、マイコプラズマ、複製可能レンチウイルス(RCL)、p24、VSV−G核酸、HIV gag、残留抗CD3/抗CD28被覆ビーズ、マウス抗体、貯留ヒト血清、ウシ血清アルブミン、ウシ血清、培養培地要素、ベクターパッケージング細胞又はプラスミド成分、細菌及び真菌からなる群から選択される汚染物が実質的になく、例えば検出可能なレベルで存在しない。一実施形態において、細菌は、アルガリゲネス・フェカリス(Alcaligenes faecalis)、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)、ヘモフィルス・インフルエンザ(Haemophilus influenza)、ナイセリア・メニンギティディス(Neisseria meningitides)、シュードモナス・エルジノーサ(Pseudomonas aeruginosa)、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)、ストレプトコッカス・ニューモニエ(Streptococcus pneumonia)及びストレプトコッカス・ピオゲネス(Streptococcus pyogenes)A群からなる群から選択される少なくとも1つである。
「免疫学的に有効量」、「抗腫瘍有効量」、「腫瘍阻害有効量」又は「治療量」が示されるとき、本発明の組成物の投与すべき正確な量は、年齢、体重、腫瘍サイズ、感染の程度又は転移及び患者(対象)の状態の個体差を考慮して医師が決定できる。本明細書に記載の免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を含む医薬組成物を、104〜109細胞/kg体重、いくつかの例において105〜106細胞/kg体重の範囲の用量(これらの範囲内の全整数値を含む)で投与し得ると一般に述べることができる。T細胞組成物をまたこの用量で複数回投与し得る。細胞を、免疫療法において一般に知られる注入技術を使用して投与できる(例えば、Rosenberg et al.,New Eng.J.of Med.319:1676,1988を参照されたい)。
一態様において、活性化免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を対象に投与し、続いて血液を採り(又はアフェレーシスを実施し)、本発明に従ってそれからの免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を活性化し、これらの活性化し、且つ増殖させた免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を患者に再注入することが望ましいことがある。この過程を数週間毎に複数回実施できる。一態様において、免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、10cc〜400ccの採血した血液から活性化できる。一態様において、免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を、20cc、30cc、40cc、50cc、60cc、70cc、80cc、90cc又は100ccの採血した血液から活性化する。
対象組成物の投与は、エアロゾル吸入、注射、摂取、輸注、留置又は移植を含む任意の簡便な方法により実施し得る。本明細書に記載の組成物を患者に経動脈的に、皮下に、皮内に、腫瘍内に、節内に、髄内に、筋肉内に、静脈内(i.v.)注射により又は腹腔内に投与し得る。1つの態様において、本発明のT細胞組成物を患者に皮内又は皮下注射により投与する。1つの態様において、本発明のT細胞組成物をi.v.注射により投与する。免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)の組成物を腫瘍、リンパ節又は感染部位に直接注射し得る。
特定の例示的態様において、対象は、白血球を採取し、エクスビボで富化又は枯渇させて、目的の細胞、例えばT細胞を選択及び/又は単離する白血球除去を受け得る。これらのT細胞単離体を当技術分野で知られる方法により増殖させ、1つ以上の本発明のCAR構築物が導入され、それにより本発明のCAR T細胞が創製されるように処理し得る。処置を必要とする対象を、その後、高用量の化学療法剤と続く末梢血幹細胞移植の標準的処置に付し得る。一態様において、移植後又は移植と同時に、対象は、増殖させた本発明のCAR T細胞の注入を受ける。更なる態様において、増殖細胞を手術前又は後に投与する。
患者に投与すべき上記処置の用量は、処置する状態の正確な性質及び処置のレシピエントにより変わる。ヒト投与のためのスケーリングは、当技術分野で認識されている習慣に従って実施できる。CAMPATHの用量は、例えば、概して成人患者に1〜約100mgの範囲であり、通常、連日で1〜30日の期間にわたって投与する。好ましい1日用量は、1〜10mg/日であるが、いくつかの例において最大40mg/日までの高用量を使用し得る(米国特許6,120,766号明細書に記載)。
一実施形態において、CARを、例えばインビトロ転写を使用して免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)に導入し、対象(例えば、ヒト)は、本発明のCAR免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞又はNK細胞)の初期投与及びその後の本発明の免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)の1回以上の投与を受け、ここで、その後の1回以上の投与は、先の投与後、15日、例えば14日、13日、12日、11日、10日、9日、8日、7日、6日、5日、4日、3日又は2日未満で行う。一実施形態において、本発明のCAR免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)の1回を超える投与を対象(例えば、ヒト)に1週間当たりに行い、例えば本発明のCAR免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)の2、3又は4投与を1週間当たりに投与する。一実施形態において、対象(例えば、ヒト対象)は、CAR免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)の1週間当たり1回を超える投与を受け(例えば、1週間当たり2回、3回又は4回投与)(本明細書ではサイクルとも称される)、続いて1週間、CAR免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を投与されず、その後、更にCAR免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)の1回以上の更なる投与(例えば、1週間当たりでCAR免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)の1回を超える投与)を対象に投与する。別の実施形態において、対象(例えば、ヒト対象)は、CAR免疫エフェクター発現細胞(例えば、T細胞、NK細胞)の1回を超えるサイクルの投与を受け、各サイクル間の期間は、10日、9日、8日、7日、6日、5日、4日又は3日より短い。一実施形態において、CAR免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を隔日で1週間3回投与する。一実施形態において、本発明のCAR免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)を少なくとも2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間又はそれを超えて投与する。
一態様において、本発明のCAR発現細胞を、レンチウイルスなどのレンチウイルスウイルスベクターを使用して産生する。この方法で産生した細胞、例えばCARTは、安定なCAR発現を有する。
一態様において、CAR発現細胞、例えばCARTを、γレトロウイルスベクター、例えば本明細書に記載のγレトロウイルスベクターなどのウイルスベクターを使用して産生する。これらのベクターを使用して産生されたCARTは、安定なCAR発現を有し得る。
一態様において、CARTは、形質導入4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日後、CARベクターを一過性に発現する。CARの一過性発現は、RNA CARベクター送達により行われ得る。一態様において、CAR RNAを電気穿孔法によりT細胞に形質導入する。
一過性に発現されるCAR免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)(特にマウスscFv担持CARTを伴う)を使用して処置される患者で生じ得る可能性のある問題は、複数処置後のアナフィラキシーである。
この理論に拘束されることを望まないが、このようなアナフィラキシー応答は、液性抗CAR応答を発達させる患者、即ち抗IgEアイソタイプを有する抗CAR抗体が原因であると考えられる。細胞を産生する患者の抗体は、抗原への暴露の10〜14日の中断があるとき、IgGアイソタイプ(これはアナフィラキシーを生じない)からIgEアイソタイプへのクラススイッチを受けると考えられる。
患者が一過性CAR治療(例えば、RNA形質導入により完成されたものなど)中に抗CAR抗体応答を産生する高リスクにある場合、CART注入中断は、10〜14日を超えて継続してはならない。
本発明を、次の実験的実施例を参照して更に詳細に記載する。これらの実施例は、説明のみを目的として提供し、特に断らない限り限定を意図しない。従って、本発明は、決して次の実施例に限定されると解釈してはならず、むしろ本明細書に提供する教示の結果として明らかとなる任意且つ全ての変形形態を含むと解釈すべきである。
実施例1:メチルシトシンジオキシゲナーゼTET2の破壊は、CD19標的化T細胞の治療有効性を促進する
概要
患者のT細胞を遺伝的にリダイレクトすることに基づく癌免疫療法は、B細胞性白血病及びリンパ腫の処置に使用できる。このアプローチでは、T細胞ゲノムは、腫瘍細胞を認識し、死滅させることを指示するキメラ抗原受容体(CAR)をコードするウイルスベクター又はトランスポゾンの組み込みによって改変される。しかしながら、このアプローチの成功は、操作された細胞の増殖の程度と持続性によりたびたび制限され得る。これは、CAR T細胞の増殖、エフェクター機能及び生存の機構に焦点を当てることによるためである。この実施例は、B細胞上のCD19タンパク質を標的とするCAR T細胞を用いて処置された慢性リンパ性白血病(CLL)患者の研究から推定機構を提供する。CAR T細胞を注入した際に、末梢血、リンパ節、骨髄に明らかな抗腫瘍活性が認められ、完全寛解が得られた。予期しないことに、抗腫瘍反応のピーク時、CAR T細胞の94%が単一クローンに由来した。この単一クローンは、レンチウイルスベクターを介したCAR導入遺伝子の挿入により、メチルシトシンジオキシゲナーゼTET2をコードする遺伝子が破壊されていた。更に分析を行うと、この患者の2番目のTET2アレルに新規のハイポモルフ変異が確認された。両アレル性TET2欠損を有する細胞は、DNAヒドロキシメチル化の減少並びに変化したT細胞の分化及び機能に一致するエピジェネティックなプロファイルを示した。増殖のピーク時には、破壊されたTET2を持つCAR T細胞は、セントラルメモリー表現型を示した。セントラルメモリー表現型は、後期メモリー/エフェクター分化を特徴とする長期間、持続的に反応を示した典型的な患者と異なる。TET2の実験的ノックダウンは、CAR Tリンパ球の運命及び抗腫瘍作用に対するTET2損失の影響を再現した。この結果は、この患者のTET2阻害がT細胞の増殖を促進し、エフェクター機能を増強したこと及び単一のCAR T細胞の子孫が寛解誘導したことを示す。これらのデータは、ヒトT細胞の運命決定におけるTET2の重要性を強調し、TET2経路の改変は、遺伝的にリダイレクトされたT細胞を用いた処置の強化に使用できる。
序説
ヒトの免疫系は、外来性抗原を発現する細胞を認識及び排除するように進化した。悪性細胞は、抗腫瘍T細胞免疫を誘発する可能性のあるネオ「非自己」エピトープを産生する可能性があるが、これらの反応は、腫瘍に対するT細胞の耐性によって制限されることがよくある。耐性を克服する1つのアプローチは、癌細胞を攻撃するTリンパ球を遺伝的にリダイレクトすることである。T細胞は、CD3ζ鎖の細胞内ドメインに連結する抗体由来結合部及び任意の共刺激エンドドメインから構成されるキメラ抗原受容体(CAR)にコード化される遺伝子に形質導入することができる(Gross,G.,Waks,T.&Eshhar,Z.Proceedings of the Natural Academy of Sciences of the United States of America 86,10024−10028(1989);Irving,B.A.&Weiss,A.Cell 64,891−901(1991))。腫瘍抗原の1つにCD19タンパク質があり、これはB細胞由来の癌に見られ、免疫療法の成功の対象とされている。例えば、4−1BB共刺激シグナル伝達ドメイン(CTL019)を組み入れた自己抗CD19 CAR T細胞は、CLLや急性リンパ性白血病(ALL)などのB細胞性悪性腫瘍の処置に使用できる。いくつかの例では、CAR T細胞療法の成功は、インビボで養子導入された細胞の十分な移植及び生存の達成次第であり得る。CTL019療法に反応するCLL患者は、CAR−T細胞注入後有意にCAR−T細胞の増殖及び持続を有し得る一方、非応答患者ではこれらの細胞は増殖分化能力の低下を示すことが観察された。理論にとらわれることを望まないが、例えば、応答患者におけるCAR T細胞の優れた抗腫瘍作用及び長期的な生着に関与するメカニズムは、T細胞内因性及び外因性因子の両方が含まれると信じられている。CLL患者のサブセットのみがCAR T細胞増殖の治療レベルを経験しているため(Porter,D.L.et al.,Science translational medicine 7,303ra139,doi:10.1126(2015)),長期寛解の際の増殖及び持続の成功の決定要因を理解することは非常に重要である。
この実施例では、B細胞上のCD19タンパク質を標的とするCAR T細胞を用いて処置された慢性リンパ性白血病(CLL)患者が評価された。CAR T細胞を注入した際に、末梢血、リンパ節、骨髄に明らかな抗腫瘍活性が認められ、完全寛解が得られた。抗腫瘍反応のピーク時、CAR T細胞の94%が単一クローンに由来した。この単一クローンでは、レンチウイルスベクターを介したCAR導入遺伝子の挿入により、メチルシトシンジオキシゲナーゼTET2をコードする遺伝子が破壊されていた。この挿入を宿す細胞は、DNAヒドロキシメチル化の減少並びに変化したT細胞の分化に一致したエピジェネティックなプロファイルの獲得を示した。増殖のピーク時には、TET2を挿入されたCAR T細胞は、早期メモリー表現型を示した。この表現型は、後期メモリー分化により特徴づけられる長期間、持続的に反応を示す典型的な患者と異なる。健康なドナーT細胞におけるTET2の実験的ノックダウンは、CAR Tリンパ球の運命における、組み込みを介したTET2破壊の効果を再現した。TET2の活性低下、例えば両アレル性破壊は、T細胞の増殖を促進させる挿入変異誘発に関連し、単一のCAR T細胞の子孫がこの患者、即ち本明細書では患者10と称される患者の寛解を誘導したと結論付けられた。これらのデータは、T細胞の分化におけるTET2の重要性を強調し、TET2経路の改変は、遺伝的にリダイレクトされたT細胞を用いた処置増強に有益であり得ると示唆する。
結果
複数の化学療法及び生物学的処置レジメン(患者10;表6)を経て進行した進行性CLLの78歳の男性が、CTL019療法の臨床試験(NCT01029366)に登録された。この患者は、3.75×108個と5.61×108個の自己CTL019細胞の養子移植を、2か月間隔をあけて2回受けた。CAR T細胞の第1の分割投与注入後、この患者は発熱が続いた。感染源は特定されなかった。患者10は、サイトカイン放出症候群(CRS)と診断され、インターロイキン(IL)−6受容体遮断療法を受けた後、CRSの兆候と症状は急速に回復した。患者10は、CAR T細胞の第1の投与を受けてから6週間後、CLLによる巨大リンパ腫腫脹及び広範な骨髄浸潤の進行を示し続けた。CTL019処置に反応するほとんどの患者は、注入の最初の1か月に、CRSに伴う急速なT細胞増殖及び腫瘍細胞量の持続的な減少を示し(例えば、Porter,D.L.et al.Science translational medicine 7,303ra139,(2015)を参照されたい)、これは患者10では発生しなかった(図1A〜1C)。
IL−6を介したシグナル伝達の早期遮断により、CAR T細胞療法に対するこの患者の応答が低下する可能性があるという懸念があったため、第2の細胞製剤が投与された(5.61×108CAR−T細胞、第1の注入後70日)。介入なしで数日後に回復した高熱、低血圧及び低酸素症の症状として見られたCRSによって注入は再び複雑化した。1ヵ月後の彼の骨髄の評価は、CLLの持続的な広範囲の浸潤を明らかにし、コンピューター断層撮影(CT)スキャンは、広範囲のリンパ節腫脹の最小限の改善を示した。第2の注入のおよそ2ヶ月後、CTL019細胞の増殖は末梢血でピークに達し、その後の数日間及び数週間の収縮が続いた(図1A)。CTL019細胞の増殖はCD8+T細胞コンパートメントで起こり、これはこの治療に反応するCLL患者に典型的である(図2及び図13)。この応答には、インターフェロン(IFN)−γ、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、IL−6、IL−8及びIL−10の血中濃度の上昇を伴う、臨床的介入を必要とする高悪性度CRSを伴った(図1B)。それに加え、高熱と同時に、患者はCLL細胞の急速なクリアランスを示した(図1C)。白血病クローンの追跡を可能にする免疫グロブリン重鎖(IGH)遺伝子座での転位生成物の次世代シーケンシングは、第2の注入後51日で腫瘍細胞量1logの減少を示し、このクローンは、1か月後には血液中より完全に死滅した(表7)。CTスキャンは、縦隔及び腋窩リンパ腫腫脹において劇的な改善を示した(69%の変化;図1D)。CTL019細胞の第2の注入の6ヶ月後、患者10は、骨髄中にCLLの所見は認められず(表7)、異常リンパ節腫脹は、全て消失し(図1D)、完全寛解を得た。彼の最新の長期フォローアップ評価(CTL019細胞注入後4.2年超)は、末梢血中のCAR T細胞の存在を示し、進行中のB細胞形成不全(図14A〜14C)及び循環器疾患又は骨髄浸潤の所見は認められなかった。血液中の追加の免疫細胞集団の細胞比率は正常であり、リンパ増殖性異常の徴候は観察されなかった(図14A−14C)。この実施例の時点で、完全寛解が5年以上持続している。
次に、CTL019細胞中のT細胞レパートリーのクローン構造は、処置前及び養子導入の後に検査された。T細胞受容体βレパートリーのディープシーケンシングにより、注入後1ヶ月の前注入CD8+CTL019細胞及びCD8+T細胞コンパートメントはポリクローナルであり、複数の異なるTCRVβクロノタイプがサンプル間で類似していることが明らかになった(図3;図4A)。第2の注入からおよそ2か月後、CTL019細胞集団を支配するTCRVβ5.1+クローンは、末梢血中の総CD8+Tリンパ球の50%以上存在していた(図4A〜4B)。その後の分析により、CD8+CAR T細胞レパートリーの94パーセントが、導入時又は第2の注入後1ヶ月では検出されなかったこの単一クローンからなることが明らかになった(図4C)。腫瘍根絶後、TCRVβ5.1+細胞の増殖は、CAR T細胞の減衰動力学と一致して低下した(図4D)。このようにして、この患者の白血病は、主にインビボで大量の増殖を示した単一のCAR T細胞の子孫によって排除された。
このクローン集団の優れた分化増殖能力と抗腫瘍効果の基本的なメカニズムを解明するために、末梢血中又は養子導入後のCD8+CAR+T細胞及び注入前のCAR形質導入細胞製剤中のレンチウイルスの組み込み部位を検査した。レンチウイルスDNAが、ヒトゲノム内の多くの部位に組み込まれているため、細胞クローンの増殖の追跡と挿入変異原性の調査のために組み込み受容部位の配列決定を使用することができる。
患者10の長期的な血液サンプルのサンプリングにより、TET2のイントロン9に組み込み部位を持つ細胞クローンが明らかとなった。この細胞クローンは、臨床活性のピーク時及び早期の時点でない時にCAR T細胞中で増殖した(図5A)。この高いクローン優位性は、現在までにCD19を標的とするT細胞で処置された患者では観察されていない。CLL及びALLでは、インビボでのCAR T細胞の蓄積は通常、形質導入されたT細胞集団内の多様なポリクローナル又は微量クローン性レパートリーの増殖に起因する。TET2組み込み体を保持する細胞は、長期持続性を示し(図5A)、注入後4.2年で、末梢血中に14%の相対的存在量が存在した(図11A)。クローン集団は経時的に収縮し、恒常性調節されているようであり、挿入性腫瘍形成が発生した兆候は見られなかった(図14A〜14C)。
TET2は血球形成の主調節因子であり、この遺伝子のハプロ不全又は欠失は、正常なクローン性造血の役割を果たし(Busque,L.et al.Nature genetics 44,1179−1181,doi:10.1038/ng.2413(2012))、自然発生及びヒトTリンパ球向性ウイルス1型(HTLV−1)関連悪性腫瘍を含むリンパ腫及び白血病の開始の役割も果たす(Yeh,C.H.et al.Molecular cancer 15,15,doi:10.1186/s12943−016−0500−z(2016))。TET2の不活性化は、造血幹細胞及び前駆細胞の自己複製の増加に寄与する可能性があるが、明らかな腫瘍発生を引き起こすことはまれであり、完全な悪性形質転換には、更に遺伝子変異が必要であると示唆している(Zang,S.et al.The Journal of clinical investigation 127,2998−3012,doi:10.1172/JCI92026(2017))。ポリアデニル化TET2 RNA集団の分析により、TET2エクソン9からベクターにスプライシングされて終結し、コード化されたタンパク質を切断する、新しいキメラRNAの出現が示された(図5B、6A及び6B)。トランケートされた融合TET2 mRNA及び対応するタンパク質のCAR T細胞特異的発現は、正常なTET2活性にドミナントネガティブの影響を与える可能性があるが、TET2変異体は野生型タンパク質の機能を抑制せず、従ってドミナントネガティブの特性を示さない。更に、インビトロ及びインビボ両方でのTET2変異の評価は、一貫して機能喪失型の表現型を示している。
レンチウイルス組み込みによるTET2の単一アレル性破壊が、この前例のないCAR T細胞クローン増殖の主な原因であるかどうかを確認するために、この対象からのCAR+(レンチウイルス組み込みによるTET2破壊)及びCAR−CD8+T細胞の配列決定を行い、関連する血液悪性腫瘍や前駆体病変の検査を行った。両方のサンプルで、アミノ酸1879(エクソン11)にミスセンス変異体がTET2の触媒活性のある領域で確認され、これは、野生型残基であるグルタミン酸をグルタミンに変換した(図11C)。特に、位置1879でのグルタミン酸からリジン、アスパラギン酸又はアラニンへのアミノ酸配列の変換を含むTET2の遺伝的変異は、骨髄異形成骨髄増殖性腫瘍に関連している。c.5635C変異は、その染色体に野生型参照配列(c.5635G)が含まれていたため、組み込まれたCAR導入遺伝子なしでTET2のアレルに存在していた。67個の更なる遺伝子のパネルに他の変異は確認されなかった。
TET2は、5−メチルシトシン(5mC)から5−ヒドロキシメチルシトシン(5hmC)への変換を触媒する酵素であるメチルシトシンジオキシゲナーゼをコードし、それによりDNA脱メチル化を媒介する(Tahiliani,M.et al.Science 324,930−935(2009);Iyer,L.M.,et al.Cell Cycle 8,1698−1710(2009))。シトシンのC5位置でのメチル化は、通常転写を抑制するため、脱メチル化は遺伝子発現を活性化すると予想される。E1879Q変異の機能的意義は、TET2変異体をコードするプラスミド又はHEK293T細胞に一時的にトランスフェクトされたこのTET2変異体を使用して調査された。ドットブロッティング法を使用したこれらの細胞から単離されたゲノムDNAの分析は、E1879Qが5−hmCでの酸化を失速させ、5−fC及び5−caCの形成が有意に減少することを明らかにした(図11D)。触媒的に不活性である(HxD)TET2の導入であったため、これは、5−mCの酸化が発生しなかった細胞とは対照的であった(図11D)。TET2タンパク質の一定の過剰発現は、細胞溶解液のウェスタンブロッティング法により検証された(図11D)。これらの発見をゲノムレベルで確認するために、トランスフェクトされた細胞からのDNAは、液体クロマトグラフィー−タンデム質量分析法を使用して分析される成分ヌクレオシドに分解された。実際、E1879Qを過剰発現する細胞は、野生型の対応物と比較して5−fC及び5−caCの生成が2倍減少した(図11E)。これらの発見は、患者10のクローン的に増殖したCD8+CAR T細胞におけるレンチウイルス組み込みによって破壊されないTET2アレルがハイポモルフであったという概念を支持している。
生体外でTET2が両アレル的に破壊されたT CAR+Vβ5.1+CD8+T細胞は、CAR−Vβ5.1−CD8+T細胞(TET2ハプロ不全)の対応物と比較して5hmCの総レベルが低かった(図7A)。E1879Q変異体が5−hmcの生成に影響を及ぼさなかったため(図11D−11E)、おそらくこれは、挿入性変異誘発後のTET2欠損の結果であった。
CAR T細胞機能に対するTET2挿入変異のメカニズムを調べるために、DNAアクセシビリティを調査するATAC−seqを実施した(Buenrostro,J.D.,et al.Nat Methods 10,1213−1218(2013)、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)(表10)。この患者からのTET2ハプロ不全(CAR−)とバイアレリック欠損(CAR+)CD8+T細胞間のエピジェネティックな変化は全体的にはわずかだった(図7B)が、クロマチンアクセシビリティプロファイルに基づく遺伝子オントロジー解析により、細胞周期及びT細胞受容体シグナル伝達を制御する経路内遺伝子に対してのアクセシビリティの獲得(図15及び表8)並びに分化、T細胞活性化及びエフェクター機能を制御する経路内遺伝子に対してのアクセシビリティの低下(図7C;図8;表8;付録の表9)が明らかになった。TET2両アレル性機能不全、例えば挿入性変異誘発後に実質的に減少した又は失われたATAC−seqリードに近い遺伝子には、IFNG、NOTCH2、CD28、ICOS、IL2RA及びPRDM1などのT細胞エフェクター分化及び機能のいくつかの制御因子が含まれていた(図7C;表8)。
クローン的に増殖したCAR T細胞の全体的なクロマチンランドスケープのこれらの変化が、Tリンパ球の分化と機能の中心的なメディエーターである特定の転写回路に影響を与えた可能性があるかどうかを判断するために、CAR−CD8+T細胞と比較してCAR+CD8+T細胞において得られた又は失われた転写因子(TF)モチーフを特定した(図12A)。CAR+T細胞で獲得したTFモチーフは、ナイーブ及び初期のメモリーヒトCD8+T細胞44に特徴付けられるE26形質転換特異的(ETS)(GABPα、ELF1、Elk4)及びジンクフィンガー(ZF)TF(Sp1)結合部位が含まれた(図12A及び表11)。特に、ETS TFは通常のT細胞の発達、活性化、生存に必要であることが実証されている(Muthusamy,N.,Barton,K.&Leiden,J.M.Nature 377,639−642,doi:10.1038/377639a0(1995))。対照的に、患者10のCAR+T細胞(NF−κB、IRF1、NFAT:AP1及びCTCF)において、よりアクセス可能でなかったTFモチーフ(図12A及び表11)は、最終分化エフェクター及び枯渇T細胞で濃縮され、生態をプログラムするエピジェネティックランドスケープを形成する上で重要な役割を担うことが知られている。両アレル性TET2損失の設定において閉じたピークには、塩基性ロイシンジッパー(bZIP)TF、BACH2によって認識されるモチーフも含まれていた(図12A及び表11)。BACH2は、マウスCD8+T細胞のナイーブ状態を維持するために、エフェクター関連遺伝子の発現を阻害すると報告されている一方で(Tsukumo,S.et al.Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America 110,10735−10740,doi:10.1073/pnas.1306691110(2013)、レンチウイルス組み込みによるその破壊は、いくつかの研究でHIV感染T細胞のクローン増殖及び持続性にも関連している(Ikeda,T.,Shibata,J.,Yoshimura,K.,Koito,A.&Matsushita,S.The Journal of infectious diseases 195,716−725,doi:10.1086/510915(2007))。更に、BACH2はマウス白血病ウイルスによって誘導されるB細胞性リンパ腫のプロウイルス組み込みの標的であり、その損失は免疫細胞のクローン形成活性と持続性の基本的な直接的機構である。概して、クロマチンのアクセシビリティとT細胞の分化、発達、クローン増殖及び持続性について詳細に明らかにされた調節因子と関連するTF結合モチーフとの有意差は、TET2欠損が患者10で確認された極めて強力なCAR T細胞中の活性制御機構を変更したという本発明者らの推察を裏付ける。
これらの知見によれば、この患者から培養した、TET2が両アレル欠損した、例えば破壊された、CAR+T細胞の機能分析は、活性化された際に(図7D)、IFN−γ及びCD107a(脱顆粒のサロゲートマーカー)の発現能力の低下を示し、これは、低分化状態と一致した。従って、TET2へのレンチウイルス組み込みは、第2のアレルのハイポモルフ変異と共に、変化したTリンパ球の運命と類似する方法でCAR T細胞のエピジェネティックランドスケープを再プログラムした。
表9は、本開示の一部である添付書類に示されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
次に、患者10からの生体内CTL019細胞の分化状態を分析し、この療法に反応した他の6人の患者からのCAR T細胞と比較した。この患者の中には、長期寛解を有し(6年超)、TET2組み込みを有しない2人のCLLを有する対象(患者1及び2)が含まれた。生体内生着及び活性化マーカー発現のピーク時(図9)では、CAR T細胞の65%以上がセントラルメモリー表現型であり、他の完全奏効者の表現型と異なり、完全奏効者のレパートリーは、応答の真最中でCD8+エフェクターメモリー及びエフェクターCTL019細胞が優位を占めていた(図7E)。TET2のノックダウンは、健康な対象からの合計及びCAR+CD8の両方並びにCD4ヒトT細胞の分化状態における、患者10におけるその損失の効果、例えば挿入性破壊を再現し(図7F〜G;図10A〜G;10C)、これは、TET2をTリンパ球の運命のエピジェネティックな調節因子として関連付けている。
TET2を介したCD8+T細胞分化の調節は、ナイーブサブセットとメモリサブセット間でTET2 mRNAの識別的発現を観察しなかったため、転写レベルでは発生しない可能性がある。これらの知見は、TET2遺伝子発現がCa2+依存的様式でT細胞受容体を誘発すると急速且つ一時的に増加するが、5−hmC誘導のタイミングはmRNA発現の変化よりも速く起こるという観察によって説明され得る。T細胞の活性化/分化中にTET2転写及びTET酵素活性を調節する抗原受容体シグナルは厳密に制御されているようであり、複数の独立したメカニズムを介して作用する可能性がある。
TET2欠損に起因するこのT細胞の分化状態改変の機能的意義を調査するため、臨床的CAR T細胞の有効性を予測するインビトロでの連続的な再刺激アッセイを実施した。CD19発現腫瘍細胞による反復刺激により、TET2欠損CAR T細胞は抗原依存的に増殖し続けた一方、TET2不変のCAR T細胞の再刺激により、細胞の生存性に影響を及ぼさず(図12C)培養増殖が停止した(図17)。これらの結果は、TET2の阻害剤である2−ヒドロキシグルタレートが生体外でマウスCD8+T細胞の生存を維持し、それは、同様に本来であればエフェクター分化によって減少するであろうこれらのリンパ球のインビボでの抗腫瘍活性を媒介する可能性があることを示している。マウスCD8+T細胞のTET2のノックアウトは、セントラルメモリー表現型の歪みに類似性を示すが、免疫炎症反応及び抗ウイルス反応の観点からそれらの増強活性は、分化増殖の優位性に起因しない(Carty,S.A.et al.J Immunol,doi:10.4049/jimmunol.1700559(2017))。これは、マウスCD8+T細胞と関連したヒトの機能に対するTET2欠乏の効果差を強調している。
CAR T細胞機能に対するTET2阻害の効果に更に取り組むために、急性(図18A)及び慢性(図18B)のインビトロ抗原刺激後のサイトカインの産生を調べた。患者10におけるCD8+CAR+T細胞の分析と一致して、CD3/CD28活性化後のIFNγ産生は、CD8+並びにTET2レベルが低下したCD4+T細胞で減少した(図18A)。同様の減少がTNFα産生において確認された(図18B)。対照的に、CD4+T細胞によるTNFα及びIL−2の両方の急性産生は、CAR特異的誘導により増加した(図18A)。大量のCTL019細胞のCD19発現腫瘍標的への反復曝露もIFNγの精緻化の減少をもたらしたが(図18B)、TET2阻害は、複数回の刺激後の種々の他の刺激性、炎症性及び調節性サイトカインの持続的産生をもたらした(図18B)。これらの観察結果は、TET2が抗原受容体及び/又は共刺激シグナル依存的様式で、ヒトT細胞サブセット特異的サイトカイン産生を制御し得ることを示唆している。
サイトカイン遺伝子座の調節に加えて、DNAメチル化は、エフェクターCD8+T細胞状態の形成と維持に影響を与える重要な動力学的エピジェネティックプロセスである。患者10から増殖したTET2欠損CAR+T細胞の機能的評価と他の研究からの知見に基づいて、本発明者らは、TET2のノックダウンはCTL019リンパ球におけるエフェクター分子の発現を減少させると予測した。CD3/CD28を除いたCAR特異的刺激により、CD107aの発現が増加した(図19A)。これは、少なくとも部分的には、NKG2D上方調節によるCD28共刺激を介した4−1BBによって媒介される細胞溶解能力の増強に起因する可能性がある。CD8T+細胞の分化には、メチル化の低下とGZMB(コード化しているグランザイムB)及びIFNGを含むエフェクター遺伝子座での遺伝子発現の上方調節とが伴うため、TET2阻害が細胞傷害性機構の重要な成分に影響するかどうかを検討した。IFNγとは対照的に、CD8+CAR+T細胞のTET2の減少により、グランザイムB及びパーフォリンの発現レベルが増加した(図19B)。これらの変化は、CD19発現白血病標的と共培養時のTET2ノックダウンCAR T細胞の細胞傷害活性の増強と関連していた(図19C)。
上記の知見は、TET2欠損が、頑強なエフェクター反応をすばやく増殖及び誘発できる一時的なメモリー細胞の特性を備えた極めて強力なCAR T細胞及びに長期的に持続する長命のメモリー細胞を産生し得ることを示唆している。従って、患者10及び他の長期的応答CLL患者からの遡及的注入後サンプルを使用して、CD8+CAR+及びCAR T細胞を用い追加のエフェクター/メモリーマーカーを調査した。応答の最中、患者10からの腫瘍反応性CAR+T細胞は、対応するCAR−T細胞と比較して、より高いレベルのグランザイムB(図20A)及びエオメソデルミン(EOMES;CD8+メモリーT細胞プールの形成及び維持に関与する転写因子;図20B、左パネル)を有しており、これは、持続的寛解を得た他の応答者と異なっていた。応答患者における全ての臨床的に活性なCD8+CAR+T細胞は、患者10のものを含み、T細胞メモリーの産生に関連する共刺激性受容体であるCD27を発現した(図20B、中央パネル)。DNAメチル化によって制御されることが知られているTリンパ球の老化マーカーであるKLRG1を発現するCTL019細胞の発生頻度は、他の対象のそれらと比較してTET2欠損患者10 CAR T細胞で有意に低かった(図20B、右パネル)。以前の観察によれば、患者10の生体内増殖のピークで高頻度のKi−67陽性CAR+T細胞が観察され(図20A、右パネル)、更にTET2がCAR特異的CD8+T細胞の増殖及び増大に必要とされていることが示唆された。これらの観察結果は、TET2の損失が、強力な抗腫瘍エフェクター反応を誘導する能力があるヒトメモリーCAR T細胞の発達を促進するという考えを集団的に裏付ける。
要約すると、例えばレンチウイルスの組み込みがTET2を破壊したような、両アレル性遺伝子TET2欠損を伴う単一CAR形質導入T細胞の顕著なクローン性増殖により、78歳のCLL患者において、非治癒的応答から深い分子遺伝学的寛解に形質転換された。このTリンパ球集団の特徴付けにより、エピジェネティックな環境の穏やかな変化でさえ、エフェクター機能と同様にして、分化の運命を変化させることができ、重要な治療効果につながることが明らかになった。当初の研究は1対象の詳細な分析に基づいていたが、12人の健康な個体からの初代ヒトT細胞を含む培養系に関連したCAR T細胞の運命中のTET2欠損の影響の反復性、Tリンパ球分化及び抗腫瘍活性は、免疫応答を形成できる修正可能なエピジェネティック経路の発見を裏付ける。このようにして、小分子を使用したエピゲノムを標的とする非常に効率の良い部位特異的導入遺伝子組込み戦略又は他の遺伝子工学的アプローチは、癌療法におけるCAR T細胞の有効性及び持続性を改善しうる。更に、この調査は、CAR T細胞に対してエピジェネティックなランドスケープマッピングを拡大するための推進力と、TET2が触媒及び/又は非触媒経路を介して分化能力/エフェクター効力を部分的に(又は完全に)制御する方法を決定づける、機構的枠組みを規定する。最後に、その結果は、単一のCAR T細胞の子孫が進行性白血病の強力な抗腫瘍効果を媒介するのに十分であることを示している。
方法
患者のサンプル
患者は施設内治験審査委員会(IRB)承認の臨床プロトコル:「Genetically Engineered Lymphocyte Therapy in Treating Patients With B−Cell Leukemia or Lymphoma That is Resistant or Refractory to Chemotherapy」(ClinicalTrials.gov番号:NCT01029366)に登録された。これは、TCRζ及び4−1BB共刺激ドメイン(CTL019)を組み込んだCD19キメラ抗原受容体を発現する自己T細胞の養子移入の安全性と有効性を評価するために設計された。全ての参加者は、ヘルシンキ宣言及び臨床試験実施基準のための調和ガイドラインに関する国際会議に従って、書面によるインフォームドコンセントを提出した。現在の研究は、既存の臨床試験から収集された患者サンプルを使用した二次調査である。従って、この例のサンプルサイズは、元の臨床試験計画とサンプルの入手可能性によって決定された。追加の包含/除外基準は適用されなかった。
細胞株
NALM−6細胞株は、当初アメリカンタイプカルチャーコレクション(ATCC)から得られた。OSU−CLL細胞は、オハイオ州立大学から入手した。10%ウシ胎児血清(FBS)、ペニシリン及びストレプトマイシンを含むRPMI培地で細胞を低密度の継代で増殖させ、製造業者(Lonza)の使用説明書に従ってMycoAlert検出キットを使用してマイコプラズマにつき試験した。細胞株の認証は、国際細胞株認証委員会によって実証された基準に基づいて、アリゾナ大学(米国)のGenetics Coreによって行われた。縦列型反復配列(STR)プロファイリングにより、これらの細胞株が80%の閾値の一致をはるかに上回っていた事が確認された。NALM−6及びOSU−CLL細胞は、クリックビートルグリーン(CBG)ルシフェラーゼ/増強GFP(eGFP)を構造的に発現するように設計され、FACSAria(BD)でソートされて、>99%の純粋な集団を取得した。マイコプラズマ及び認証試験は、分子工学の前後で定期的に行われる。
CAR T細胞の製造及び相関研究
CTL019製造用の末梢血T細胞は、前述のように白血球除去法によって得られた(Fraietta,J.A.et al.Blood 127,1117−1127(2016);Kalos,M.et al.Science translational medicine 3,95ra73,(2011);Porter,D.L.et al.The New England journal of medicine 365,725−733,(2011),Porter,D.L.et al.Science translational medicine 7,303ra139,(2015))。CTL019注入前後のサンプルのプロセシング、フローサイトメトリー評価、血清サイトカインの定量化及び定量的PCR分析は、以前に報告されたように実施された(Maude,S.L.et al.The New England journal of medicine 371,1507−1517,(2014))。免疫グロブリン重鎖(IGH)再構成の次世代配列決定は、血液及び骨髄サンプルから分離されたDNAで実行された。簡潔には、IGHの3番目の相補性決定領域の可変及び結合遺伝子領域に特異的なプライマーを増幅及びディープシーケンスに使用して、ベースラインサンプルに対する白血病性クローンを特定した(Adaptive Biotechnologies)。各サンプルの白血病性クローンの出現頻度は、合計及び特有の増殖性リードを使用して計算された。これらの相関アッセイは、疾患反応の評価と並行して、それぞれの臨床プロトコルで定義された時点で実施された。この臨床試験は単回処置試験であり、現在の研究における患者間の比較は、観察された臨床応答によって定義された。非特定化対象サンプルを使用して相関分析が行われたため、研究者は臨床反応を知らされていなかった。
フローサイトメトリー
血液中及び骨髄中のCTL019の増殖と持続性及びB−CLL細胞量の定期的な評価は、6パラメータAccuri C6フローサイトメーター(BD)を用いて以前に公表された方法に従い行われた(Kalos,M.et al.Science translational medicine 3,95ra73,(2011);Porter,D.L.et al.Science translational medicine 7,303ra139,(2015))。アクアブルー死細胞排除色素(Invitrogen)を用い、プレインキュベーションの直後にフローサイトメトリー抗体を表面染色することにより、CTL019注入産物又はPBMC注入後サンプルでT細胞免疫表現型検査を行った。CAR分子の検出に使用されたAlexa Fluor 647複合モノクローナル抗体が記述されている(Jena,B.et al.PLoS One 8,e57838,(2013))。この研究に使われた市販のフローサイトメトリー抗体は次の通りである:CD3 allophycocyanin(APC)H7,CCR7 PE/CF594(BD Biosciences);CD107a APC,(BD Biosciences);CD45RO brilliant violet(BV)570,CD8 BV650,CD4 BV785(Biolegend);Perforin BV421,Ki−67 Alexa Fluor(AF)700,TNFα BV605(Biolegend);IFNγ PE,IL−2 PerCP−eFluor 710,Eomes FITC(eBioscience);Granzyme B PE/Cyanine5.5(Invitrogen)及び TCRVβ5.1 APC(eBioscience)。細胞内サイトカイン産生の染色には、モネンシンを含むGolgiStopタンパク質輸送阻害剤及びブレフェルジンAを含むGolgiPlugタンパク質輸送阻害剤(BD Biosciences)が使用された。使用前に全てのフローサイトメトリー試薬は調整された。サンプルは、LSRFortessa(BD)を用いて得られ、データは、FlowJo software(TreeStar)により分析された。
TCRVβ ディープシーケンス
DNeasy Blood and Tissue Kit(Qiagen)を用い、注入前T細胞、末梢血サンプル又はソートされた注入後T細胞からゲノムDNAが分離された。immunoSEQ(Adaptive Biotechnologies)により、TCRVβディープシーケンスが行われた。TCRクロノタイプ出現頻度の評価には、生産的なTCR再構成のみが使用された。
組み込み部位分析
前述のように、ベクター組み込み部位はゲノムDNAから検出された(Brady,T.et al.,Nucleic Acids Res 39,e72(2011);Berry,C.et al.,PLoS Comput Biol 2,e157(2006);Berry,C.C.et al.,Bioinformatics 28,755−762(2012);Berry,C.C.et al.,Bioinformatics 30,1493−1500(2014))。BLAT(hg18、バージョン36.1、>95%の同一性)によりゲノム配列をヒトゲノムにアライメントし、組み込み部位分布分析のための統計的手法が以前記述されたように行われた(Scholler,J.et al.,Science translational medicine 4,132ra153(2012))。SonicAbundance法を使用して、組み込み部位データから細胞クローンの存在量を推察した(Berry,C.C.et al.,Bioinformatics 28,755−762(2012))。全てのサンプルは、PCRの創始者効果及びサンプリングの確率論を抑制するために、4重に独立して分析された。
TET2キメラ型転写物の検出
サンプルRNAを分離し、Qiagen One−Step RT−PCR Kitのテンプレートとして使用した。プライマーは、ベクター組み込み部位及び抗CD19BBζCARレンチウイルスベクター内部の配列に隣接する、TET2のエクソン9及び10境界を標的とするように設計された。これらには、ベクター配列の種々の領域が含まれていた(図6A)。製造業者の規格に従って反応を実施した。逆転写及びPCR活性化のサーモサイクリングの温度と時間は、製造業者毎に以下のサイクリング条件で実施された:94℃で30秒融解、30秒57℃プライマーアニーリング、1.5分72℃プライマー伸長(35サイクル)。72℃での最終伸長は、各サンプルについて10分間保持された。PCR産物は、電気泳動及び紫外線造影により、臭化エチジウムアガロースゲル(重量で1.5%)で可視化された。
注入後のCAR T細胞サンプルの次世代シーケンシング
CAR+及びCAR−CD8+T細胞は、患者10のインビボ増殖のピークに対応する注入後PBMCサンプルから精製された。前述のように、FACSAria(BD)によりT細胞はソートされ、それらのリンパ球からゲノムDNAが分離された。次いで、血液悪性腫瘍に関連する68遺伝子のカスタム標的化次世代シーケンシングパネルを使用し(TruSeq Custom Amplicon,Illumina Inc)、Illumina MiSeq(Illumina,Inc.)により配列決定した。前述のように、アッセイとバイオインフォマティクスを実行して、配列決定された標本につき最小平均深度2110リードが達成された(例:Daber,R.,Sukhadia,S.&Morrissette,J.J.Cancer Genet 206,441−448.を参照されたい)。提示されたデータは、ヒト参照シーケンスUCSCビルドhg19(NCBIビルド37.1)に基づいている。
TET2アレル宿主ベクター組み込みの決定
PCRアッセイは、ベクター組み込みとc.5635G>C変異の遺伝子座との間のDNA領域(約4kB)を増幅するために開発された。プライマーは、ベクター配列(MKL−3:5’−CTTAAGCCTCAATAAAGCTTGCCTTGAG−3’)及び変異の複数の下流領域、chr4:105,276,145(50bp:5’GCTGGTAAAAGACGAGGGAGATCCTG−3’,99bp:5’−GGCTTCCCAAAGAGCCAAGCCATG−3’,120bp:5’−CACGGGCTTTTTCAGCCATTTTGGC−3’)にアニールするように設計された。患者10のクローン増殖のピークに対応する、ソートされたCAR+及びCAR−CD8+T細胞からのゲノムDNAサンプルを増幅用に選択した。製造業者の推奨に従って、Long Amp Taqポリメラーゼ(New England BioLabs)及びサンプルから100〜400 ngのDNAを使用してPCR反応を実施した。増幅は次のように行われた:94℃で30秒間、30サイクル(94℃で30秒間、60℃で30秒間、65℃で3分20秒間)及び65℃で10分間の最終伸長。増幅産物は、1.0%臭化エチジウムアガロースゲルでの電気泳動により分離され、QIAquick Gel Extraction Kit(Qiagen)を使用して、サイズが4kbの顕著なバンドを分離した。分離されたバンドをpCR2.1ベクターに結合し、TOPO TA Cloning Kit(Invitrogen)を使用してTOP−10化学的形質転換受容性細胞にクローニングした。精製されたプラスミドは、標準的なサンガー技術を利用し、M13フォワード及びリバースプライマーを使用して配列決定した。配列決定の結果は、ベクター配列とリファレンスゲノムに合わせ整列された。
TET2 E1879Q変異の特徴付け
以前に特徴付けられ、結晶化されたヒトTET2−CS変異体(1129−1936δ1481−1843)は、pLEXm発現ベクターを使用し発現された。E1879Q変異又は触媒H1382Y及びD1384Aの変異(HxD変異体)は、標準的な手段によって産生された。HEK293T細胞は、GlutaMAX(ThermoFisher Scientific)及び10%FBS(Sigma)を含むDMEMで培養した。製造業者のプロトコルに従い、リポフェクタミン2000(ThermoFisher Scientific)を使用して、野生型(WT)、変異体hTET2−CS又は空pLEXmベクター対照を細胞にトランスフェクトした。トランスフェクションの24時間後に培地を交換し、トランスフェクションの48時間後にトリプシン処理により細胞は回収され、そしてリン酸緩衝生理食塩水に再懸濁された。DNeasy Blood and Tissue Kit(Qiagen)を使用してゲノムDNAは、細胞の5分の4から分離され、残りの5分の1の細胞はウエスタンブロット分析のためにCytoBuster Protein Extraction Reagent(EMD Millipore)を使用して溶解された。
シトシン修飾のDNAブロットは、確立された手順に従って実施された。HEK293T細胞から精製したDNAは、各サンプルを2倍希釈するため、Tris-EDTA(TE)緩衝液、pH 8.0で15、7.5及び3.5ng/μLに希釈された。1/4容量の2M NaOH−50mM EDTAを各サンプルに添加した。DNAを95℃で10分間変性させ、素早く氷に移した後、1:1の氷冷した2M酢酸アンモニウムを加えた。ポリフッ化ビニリデン(PVDF)膜をサイズにカットし、MeOHで湿らせ、TE緩衝液で平衡化した。次いで、PR 648スロットブロットマニホールド(GE Healthcare Life Sciences)に取り付けた。各ウェルを軽く真空吸引をした400μLのTEで洗浄し、600、300又は150ngのゲノムDNAを充填してから、TEで更に洗浄した。膜を5%ミルク-TBSTで2時間ブロックし、TBSTで3回洗浄した後、各修飾されたシトシンに対する一次抗体で、4℃で一晩ブロットした。1:5,000マウス抗5−mC(Abcam)、1:10,000ウサギ抗5−hmC(Active Motif);1:5,000ウサギ抗5−fC(Active Motif);1:10,000ウサギ抗5−caC(Active Motif)。次に、ブロットを洗浄し、1:2,000希釈の二次ウマ−抗マウス−ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP;Cell Signaling Technology)又は1:5,000ヤギ抗ウサギ−HRP(Santa Cruz Biotechnology)で2時間インキュベートし、洗浄し、Immobilon Western化学発光HRP基質(Millipore)及びAmersham Imager 600(GE Healthcare Life Sciences)を使用して画像化した。
タンパク質検出のために、清澄化した細胞溶解液を8%ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミド(SDS-PAGE)ゲルで泳動した。iBlot 2 Gel Transfer Device(ThermoFisher Scientific)を使用して、ゲルは一緒にPVDF膜に転写された。膜を室温で、0.1%(v/v)Tween−20(TBST)を含有するTris緩衝生理食塩水中の5%(w/v)ミルクで2時間ブロックし、TBSTで3回洗浄した後、1:10,000抗FLAG M2(Sigma)又は1:1,000抗Hsp90α/β(Santa Cruz Biotechnology)のいずれかの一次抗体で、4℃で一晩ブロットした。インキュベーションの後に、膜を洗浄し、2次ヤギ抗マウス−HRP(Santa Cruz Biotechnology)の1:5,000希釈で2時間ブロットし、洗浄し、Immobilon Western化学発光HRP基質(Millipore)を使用してAmersham Imager 600(GE Healthcare Life Sciences)で画像化した。
液体クロマトグラフィータンデム質量分析装置(LC−MS/MS)につき、1U DNA Degradase Plus(Zymo Research Corporation)を使用して、37℃で一晩、各サンプルから1〜2μgのゲノムDNAを成分ヌクレオシドに分解した。ヌクレオシド混合物を0.1%ギ酸で10倍に希釈し、緩衝液A(5 mMギ酸アンモニウム、pH4.0)で45℃に平衡化した5μm、2.1×250 mm Supelcosil LC−18−S分析カラム(Sigma)を装備したAgilent 1200シリーズHPLCに注入した。ヌクレオシドは、0〜15%の緩衝液B(4 mMギ酸アンモニウム、pH4.0、20%(v/v)メタノール)の濃度勾配で、流速0.5mL/分で8分間分離した。タンデムMS/MSは、ガス温度250℃、ガス流量12L/分、ネブライザー圧力35psi、シースガス温度300℃、シースガス流量11L/分、毛細管電圧3,500V、フラグメンター電圧70V及びδEMV+1,000Vで、6460三連四重極質量分析計(Agilent)で陽イオンモードESIによって実行された。衝突エネルギーは5−mC及び5−fCにつき10V;5−caCにつき15V;及び5hmCにつき25Vに最適化された。多重反応モニタリング(MRM)の質量遷移は、5−mC 242.11 126.066 m/z;5−hmC 258.11 124.051;5−fC 256.09 140.046;5−caC 272.09 156.041;及びT 243.10 127.050であった。標準曲線は、2.5μM〜610pM(合計12.5 pmol〜3 fmol)の範囲の標準ヌクレオシド(Berry&Associates,Inc.)を使用して作成された。等モル量の各修飾シトシンを含む消化されたオリゴヌクレオチドを品質管理サンプルとして使用した。ゲノムDNAサンプル内の各修飾シトシンの量を決定するために品質管理サンプルによって調整された、サンプルのピーク面積は、標準曲線に適合した。量は、総シトシン修飾のパーセンテージとして表される。
総5−ヒドロキシメチルシトシンレベルの測定
EasySep Human CD8+T Cell Immunomagnetic Negative Selection Kit(StemCell Technologies)を使用してCD8+T細胞を注入後PBMCサンプルから精製し、以前報告された迅速増殖プロトコル(Jin,J.et al.J Immunother 35,283−292,(2012))を使用し、エクスビボで増殖した。培養後、CD8+CAR+TCRVβ5.1+及びCD8+CAR−TCRVβ5.1−T細胞をFACSAria(BD)でソートした。細胞を透過処理し、37℃で60分間、300μg/ml DNase Iで処理した。洗浄後、サンプルを抗5−hmcモノクローナル抗体又はアイソタイプ対照と共に30分間インキュベートした後、Alexa Fluor 647共役二次抗体で染色した。細胞は、LSRFortessa(BD)で直ちに取得された。
ATAC−seqによるグローバルクロマチンプロファイリング
培養後、CD8+CAR+TCRVβ5.1+及びCD8+CAR−TCRVβ5.1−T細胞をFACSAria(BD)でソートした。ATAC−seqは、前述のように実行された(Buenrostro,J.D.et al.Nat Methods 10,1213−1218,(2013);Pauken,K.E.et al.Science 354,1160−1165,(2016))。エクスビボで増殖された各CD8+CAR+TCRVβ5.1+及びCD8+CAR−TCRVβ5.1−T細胞培養物に対して2回複製が行われた。簡潔には、各複製についてソートされた200,000個のCD8+T細胞から核を分離し、Tn5トランスポザーゼ(Illumina)の存在下で、37℃で45分間転位反応を行った。転位されたDNAの精製は、その後、MinElute Kit(Qiagen)で完了し、断片はデュアルインデックス(Illumina Nextra)でバーコード化された。Illumina NextSeq 500を使用して、ペアエンドシーケンス(2×75bpリード)を実行した。生のシーケンシングデータを処理し、Bowtie2を使用してGRC37h/hg19参照ゲノムにアラインし、MACS v1.4.2を使用して有意な濃縮領域を特定した。BedToolsを使用して合併されたピークリストを作成し、HOMERを使用してシーケンスタグの濃縮を行い、Metascapeを使用してGO/経路分析を実行した。遺伝子オントロジー及びDNAモチーフ分析には、信頼性の高いピークのみが使用された。これらの評価では、以前に実証された通り、濃縮スコア5未満のピークが除外された。
細胞内サイトカイン分析
エクスビボで増殖したCD8+T細胞を、CD107aモノクローナル抗体とゴルジ阻害剤ブレフェルジンA及びモネンシンの存在下で、抗CD3及び抗CD28モノクローナル抗体でコーティングした常磁性ポリスチレンビーズで6時間3:1において刺激した。細胞を洗浄し、生存/死滅生存率染料で染色した後、CD3、CD8及びTCRVβ5.1+の表面染色を行った。続いて、これらのリンパ球を固定/透過処理し、IFN−γについて細胞内染色した。細胞をLSRFortessa(BD)で分析した。
CAR T細胞の分化及び増殖効力アッセイ
前述のように、バルクプライマリーヒトT細胞は、抗CD3及び抗CD28モノクローナル抗体でコーティングされた常磁性ポリスチレンビーズで活性化され(Laport,G.G.et al.Blood 102,2004−2013(2003))、TET2又はGFP共発現を伴うスクランブル対照(Cellecta)を標的とする抗CD19BBζCAR及びshRNAヘアピン配列をコード化するレンチウイルスベクターに形質導入した。shRNA形質導入後のT細胞のノックダウン効率は、ローディング対照及び正規化対照の役割を果たすTET2(アッセイHs00325999_m1)及びGAPDH(アッセイ(Hs03929097_g1)及びGUSB(Hs99999908_m1)のTaqman遺伝子発現アッセイ(Applied Biosystems)を使用したリアルタイム定量PCRによって決定された。培養の14日後、これらの細胞の分化表現型をフローサイトメトリーにより決定した。GFP+CAR+T細胞をFACSAria(BD)でソートし、ネガティブ対照としてCD196又はメソセリンを発現するように設計された照射K562細胞と1:1で結合させた。CTL019細胞は、照射されたK562標的で合計3回連続して再刺激され、17日間にわたり一定間隔を置いて絶対数と生存率評価が行われた。細胞数と生存率の測定は、LUNA自動細胞カウンター(Logos Biosystems)を使用して取得した。集団の倍増は、方程式At=A02nを使用して計算された。nは集団の倍増の数、A0は細胞の入力数、Atは細胞の総数である。培養物中のサイトカインレベルの長期的測定のために、各再刺激の24時間後に上清を収集した。
細胞内サイトカイン、パーフォリン及びグランザイムB分析。
患者10からのCD8+T細胞を、CD107aモノクローナル抗体とゴルジ阻害剤ブレフェルジンA及びモネンシンの存在下で、抗CD3及び抗CD28モノクローナル抗体でコーティングした常磁性ポリスチレンビーズで6時間3:1に刺激した。細胞を洗浄し、生存/死滅生存率染料で染色した後、CD3、CD8及びTCRVβ5.1+の表面染色を行った。続いて、これらのリンパ球を固定/透過処理し、IFNγについて細胞内染色した。健康なドナー(TET2ノックダウン又は対照)から産生されたCAR T細胞は、CD3/CD28ビーズ又はCAR19に対する抗イディオタイプ抗体でコーティングされたビーズと同じ方法で刺激された。次に、細胞を表面マーカー(CD3、CD4、CD8及びCAR19)について染色した。固定及び透過処理後、IFNy、TNFα 及びIL−2に対して細胞内染色が行われた。
パーフォリン及びグランザイムB分析のために、TET2又はスクランブル対照shRNAで形質導入されたCTL019細胞を14日間増殖させ、凍結保存した。次に、これらのCAR T細胞を解凍して4時間静置した後、CD3、CD8及びCAR19の生存/死滅及び表面染色を行った。固定及び透過処理後、パーフォリン及びグランザイムの細胞内染色を実施した。細胞をLSRFortessa(BD)で分析した。
細胞毒性アッセイ。
TET2又はスクランブル対照に対する指向的shRNAで形質導入された健康なドナーCTL019細胞を、CBGルシフェラーゼ発現NALM−6及びOSU−CLL細胞株と指定された比率で16時間共培養した。細胞抽出物は、Bright−Glo Luciferase Assay System(Promega Corporation)を使用し作成され、製造業者の使用説明書に従って基質が追加された。ルシフェラーゼ測定は、SpectraMax luminescence microplate reader(Molecular Devices)で行われ、特異的溶解が測定された。
T細胞サブセットにおけるTET2遺伝子発現レベルの分析。
TET2遺伝子発現レベルは、3人の異なる健康な対象から分離されたCD8+T細胞サブセット(ナイーブ、TN;幹細胞メモリー、TSCM;セントラルメモリー、TCM;及びエフェクターメモリー、TEM)の公表された遺伝子発現データセットを分析することにより決定された。Genechip(Affymetrix)データは、RMA法を使用して、Bioconductor Oligoソフトウェアパッケージ(リリース3.6、Bioconductor)で処理された。
統計分析
D’Agostino−Pearsonオムニバス検定を使用して、全てのデータの正規性を評価した。サンプルサイズが小さすぎて正規性を適切に検証できない場合、ノンパラメトリック統計が使用された。組み込み部位のデータ分析では、X2、Fisherの正確確率検定又はベイジアンモデル平均化、条件付きロジットと回帰の組み合わせを使用して、前述のようにゲノムの特徴データの比較を実行した(Berry,C.et al.PLoS Comput Biol 2,e157(2006);Brady,T.et al.Genes Dev 23,633−642,(2009);Berry,C.et al.PLoS Comput Biol 2,e157,(2006);Ocwieja,K.E.et al.PLoS Pathog 7,e1001313,(2011))。shRNAを介したTET2ノックダウン実験におけるT細胞分化表現型の評価は、対応のあるスチューデントのt検定を使用して実行された。12人の正常なドナーでは、対応のある両側スチューデントのt検定を使用して、1.0(標準偏差の単位)の最小効果量を検出するため88%の検出力が得られる。各データグループ内の変動の推定値は、図中にエラーバーとして表示される。分析は、SAS(SAS Institute Inc.)、Stata 13.0(StataCorp)又はGraphPad Prism 6(GraphPad Software)を使用して実行された。全ての検定は両側検定であった。P値<.05は統計的に有意と見なされた。
更に記載しなくとも、当業者は、前の記載及び次の説明的実施例を使用して、本発明の化合物を製造及び利用し、特許請求される方法を実施できると考える。次の作業実施例は、本発明の多様な態様を特に示すものであり、本開示を限定するものと解釈されるべきでない。
均等物
本明細書に引用するそれぞれの及び全ての特許、特許出願及び刊行物の開示は、その全体が参照により本明細書に援用される。本発明は、具体的態様を参照して開示しているが、本発明の他の態様及び変形形態は、本発明の真の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の当業者によって考案され得ることが明らかである。下記の特許請求の範囲は、全てのこのような態様及び均等な変形形態を含むと解釈されることを意図する。