発明の技術分野
本発明は一般的に、診断的及び治療的な使用のための抗IL−36R抗体に関する。抗体は、そのような化合物を含む医薬組成物及びキットにおいて使用することができる。抗体は、種々の疾患又は障害、例えば、ヒトにおける免疫学的疾患、炎症性疾患、自己免疫疾患、線維性疾患、及び呼吸器疾患の処置のための方法において有用である。
発明の背景
サイトカインのIL−1ファミリーは、11異なるリガンド、即ち、IL−1α(IL−1F1とも呼ばれる)、IL−1β(IL−1F2)、IL−1受容体アンタゴニスト(IL−1Ra又はIL−1F3)、IL−18(IL−1F4)、IL−1F5〜IL−1F10、及びIL−1F11(又はIL−33)で構成される。IL−1α及びIL−1βは、I型IL−1受容体(IL−1RI)への結合及び共通の共受容体IL−1受容体アクセサリータンパク質(IL−1RAcP)の動員に対して炎症誘発性活性を誘導することが公知であるのに対し、IL−1Raは、IL−1RIへのIL−1結合の競合的阻害剤として作用し、このように、抗炎症活性を発揮する。多数の試験で、IL−18がIFN−γの誘導因子である炎症誘発性サイトカインであるとして報告されたのに対し、IL−33はTh2応答の制御に特に含まれる免疫調節性サイトカインとして記載された。IL−1ファミリーの新たなメンバー(IL−1F5、IL−1F6、IL−1F8、及びIL−1F9を含む)は、IL−1のホモログについてのDNAデータベースの検索を通じて同定された。ヒト及びマウスでは、これらのサイトカインをコードする全ての遺伝子が、染色体2qの300kb未満にマップされ、ここではそれらは、IL1A、IL1B、及びIL1RN遺伝子により隣接されている。IL−1F6、IL−1F8、及びIL−1F9は、IL−1及びIL−1Raと21%〜37%のアミノ酸配列相同性を共有するのに対し、IL−1F5はIL−1Raと52%のアミノ酸配列相同性を呈し、IL−1F5が内因性受容体アンタゴニストを表しうることを示唆する。
IL−1F6、IL−1F8、及びIL−1F9は、IL−1Rrp2(IL−1Rファミリーの受容体)に結合し、IL−1RAcPを共受容体として使用し、IL−1により誘導されるシグナルと同様の細胞内シグナルを刺激するのに対し、IL−1F5は、IL−1Rrp2を過剰発現するJurkat T細胞においてIL−1F9誘導性NF−κB活性化を阻害することが示された。IL−1βと同様に、全てのこれらのIL−1ホモログがリーダーペプチドを欠き、従来の分泌経路を通じて放出されることはできないが、試験では、IL−1Rrp2アゴニストの放出がIL−1β分泌を調節する機構とは異なる機構により制御されうることが示唆されている。これらのサイトカインの特定の生物学的効果を認識し、それらが全て同じ受容体に結合することを認識するために、IL−1ホモログの命名法を修正することが最近提案された。このように、IL−1Rrp2は現在IL−36Rと呼ばれ、そのリガンドはIL−36α(IL−1F6)、IL−36β(IL−1F8)、及びIL−36γ(IL−1F9)と命名されている。また、IL−1F5は、受容体アンタゴニスト活性を発揮することが示されており、IL−36Raに改名されている。
IL−36α、IL−36β、及びIL−36γのメッセンジャーRNAは、病原体に曝露されているいくつかの組織、特に内部上皮組織中及び皮膚中で高度に発現されている。興味深いことに、IL−IL−36Ra及びIL−36αの発現が1β/TNF−α刺激ヒトケラチノサイトにおいて有意に上方調節されており、IL−36Ra及びIL−36γ mRNAが病変性乾癬皮膚において高度に増加している。さらに、IL−36γタンパク質産生が、TNF−α及びIFN−γ刺激後のヒトケラチノサイトにおいて増強されている。IL−36α mRNA及びタンパク質発現の上昇が、慢性腎疾患においても報告されている。
ケラチノサイトにおいてIL−36αを過剰発現するトランスジェニックマウスは、乾癬といくつかの特色を共有する炎症性皮膚病変を示す。この表現型は、トランスジェニックマウスをIL−36Ra欠損マウスと交配した場合により重度になり、インビボでのIL−36Raの調節機能を裏付けている。ケラチノサイト特異的IL−36αトランスジェニックの炎症性皮膚状態は、マウスを12−O−テトラデカノイルホルボール13−アセテートで処置した場合にヒト乾癬にさらに類似し、組織学的、分子的、及び治療への応答においてヒト疾患に似ている。さらに、免疫不全マウスに移植されたヒト乾癬病変皮膚は、マウスを抗IL−36R抗体で処置する場合に正常化され、IL−36軸がヒト乾癬皮膚における病変表現型を維持するために要求されることを立証している。まとめると、これらのデータは、IL−36Rリガンド(IL−36α、IL−36β、及びIL−36γを含む)がインビトロ及びインビボで炎症誘発性効果を発揮し、IL−36Raが天然アンタゴニストとして作用し、このようにIL−1/IL−1Raシステムを模倣することを示す。
従って、IL−36Rリガンドが多数の疾患状態に含まれるとの証拠があり、特に炎症性疾患の処置における使用のために、この経路を標的化する新たな治療用薬剤についての必要性がある。
発明の概要
本発明は、IL−36Rに結合する生物治療薬、特に抗体を提供することにより、上記の必要性に対処する。一態様では、本発明の抗体は、IL36リガンド媒介性シグナル伝達(α、β、及び/又はγ)を遮断する。一態様では、本発明の抗体は、例えば、疾患(例えば乾癬、炎症性腸疾患、強皮症、COPD、及び慢性腎臓病など)における上皮媒介性炎症/線維症の処置のために有用である。
一態様では、本発明は、強皮症、掌蹠膿疱症、全身性膿疱性乾癬、糖尿病性腎症、ループス腎炎、強皮症、強直性脊椎炎、又はIBDを伴う患者の処置のための方法に関し、前記方法は、TNF阻害剤、循環受容体融合タンパク質、インテグリン阻害剤、又はIL−23阻害剤との併用において抗IL−36R抗体を患者に投与することを含む。
上記の態様に関する実施形態では、TNF阻害剤はインフリキシマブ、アダリムマブ、セルトリズマブペゴルを含み、循環受容体融合タンパク質はエタネルセプトを含み、インテグリン阻害剤はベドリズマブを含む。上記の態様に関する別の実施形態では、抗IL−36R抗体は以下を含む:a)配列番号26のアミノ酸配列(L−CDR1);配列番号35、102、103、104、105、106、又は140のアミノ酸配列(L−CDR2);配列番号44のアミノ酸配列(L−CDR3)を含む軽鎖可変領域;及びb)配列番号53のアミノ酸配列(H−CDR1);配列番号62、108、109、110、又は111のアミノ酸配列(H−CDR2);配列番号72のアミノ酸配列(H−CDR3)を含む重鎖可変領域。上記の態様に関する別の実施形態では、抗IL−36R抗体は以下を含む:
I.a)配列番号26のアミノ酸配列(L−CDR1);配列番号102のアミノ酸配列(L−CDR2);配列番号44のアミノ酸配列(L−CDR3)を含む軽鎖可変領域;及びb)配列番号53のアミノ酸配列(H−CDR1);配列番号62、108、109、110、又は111のアミノ酸配列(H−CDR2);配列番号72のアミノ酸配列(H−CDR3)を含む重鎖可変領域。
II.a)配列番号26のアミノ酸配列(L−CDR1);配列番号103のアミノ酸配列(L−CDR2);配列番号44のアミノ酸配列(L−CDR3)を含む軽鎖可変領域;及びb)配列番号53のアミノ酸配列(H−CDR1);配列番号62、108、109、110、又は111のアミノ酸配列(H−CDR2);配列番号72のアミノ酸配列(H−CDR3)を含む重鎖可変領域。
III.a)配列番号26のアミノ酸配列(L−CDR1);配列番号104のアミノ酸配列(L−CDR2);配列番号44のアミノ酸配列(L−CDR3)を含む軽鎖可変領域;及びb)配列番号53のアミノ酸配列(H−CDR1);配列番号62、108、109、110、又は111のアミノ酸配列(H−CDR2);配列番号72のアミノ酸配列(H−CDR3)を含む重鎖可変領域。
IV.a)配列番号26のアミノ酸配列(L−CDR1);配列番号105のアミノ酸配列(L−CDR2);配列番号44のアミノ酸配列(L−CDR3)を含む軽鎖可変領域;及びb)配列番号53のアミノ酸配列(H−CDR1);配列番号62、108、109、110、又は111のアミノ酸配列(H−CDR2);配列番号72のアミノ酸配列(H−CDR3)を含む重鎖可変領域。
V.a)配列番号26のアミノ酸配列(L−CDR1);配列番号106のアミノ酸配列(L−CDR2);配列番号44のアミノ酸配列(L−CDR3)を含む軽鎖可変領域;及びb)配列番号53のアミノ酸配列(H−CDR1);配列番号62、108、109、110、又は111のアミノ酸配列(H−CDR2);配列番号72のアミノ酸配列(H−CDR3)を含む重鎖可変領域。
VI.a)配列番号26のアミノ酸配列(L−CDR1);配列番号140のアミノ酸配列(L−CDR2);配列番号44のアミノ酸配列(L−CDR3)を含む軽鎖可変領域;及びb)配列番号53のアミノ酸配列(H−CDR1);配列番号62、108、109、110、又は111のアミノ酸配列(H−CDR2);配列番号72のアミノ酸配列(H−CDR3)を含む重鎖可変領域。
上記の態様に関する別の実施形態では、抗IL−36R抗体は以下を含む:
(i)配列番号77のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号87のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
(ii)配列番号77のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号88のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
(iii)配列番号77のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び 配列番号89のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
(iv)配列番号80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号87のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
(v)配列番号80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号88のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
(vi)配列番号80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号89のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
(vii)配列番号85のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号100のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
(viii)配列番号85のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号101のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
(ix)配列番号86のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号100のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
(x)配列番号86のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号101のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域。
上記の態様に関する別の実施形態では、抗IL−36R抗体は以下を含む:
i.配列番号115のアミノ酸配列を含む軽鎖;及び配列番号125のアミノ酸配列を含む重鎖;又は
ii.配列番号115のアミノ酸配列を含む軽鎖;及び配列番号126のアミノ酸配列を含む重鎖;又は
iii.配列番号115のアミノ酸配列を含む軽鎖;及び配列番号127のアミノ酸配列を含む重鎖;又は
iv.配列番号118のアミノ酸配列を含む軽鎖;及び配列番号125のアミノ酸配列を含む重鎖;又は
v.配列番号118のアミノ酸配列を含む軽鎖;及び配列番号126のアミノ酸配列を含む重鎖;又は
vi.配列番号118のアミノ酸配列を含む軽鎖;及び配列番号127のアミノ酸配列を含む重鎖;又は
vii.配列番号123のアミノ酸配列を含む軽鎖;及び配列番号138のアミノ酸配列を含む重鎖;又は
viii.配列番号123のアミノ酸配列を含む軽鎖;及び配列番号139のアミノ酸配列を含む重鎖;又は
ix.配列番号124のアミノ酸配列を含む軽鎖;及び配列番号138のアミノ酸配列を含む重鎖。
上記の態様に関する別の実施形態では、抗IL−36R抗体は、静脈内負荷用量、それに続く1回以上の皮下注射により投与する。
一態様では、本発明は、以下の特性の1つ以上を有する抗IL−36R抗体を提供する。
一態様では、本発明の抗IL−36R抗体は、高い分子/細胞結合効力を有する。一態様では、本発明の抗IL−36R抗体はKD<0.1nMでヒトIL−36Rに結合する。さらなる態様では、本発明の抗IL−36R抗体、特にヒト化抗IL−36R抗体は、KD<50pMでヒトIL−36Rに結合する。一態様では、本発明の抗IL−36R抗体はEC90<5nMでIL−36R発現細胞に結合する。
別の態様では、本発明の抗IL−36R抗体は高い細胞ベースの機能的遮断効力を有する。一態様では、本発明の抗IL−36R抗体は、疾患関連細胞株及び初代細胞において、IC90<5nMで全ての3つのIL−36Rアゴニストリガンド(α、β、γ)を遮断する。
一態様では、本発明の抗IL−36R抗体は、上に示す分子/細胞結合効力及び細胞ベースの機能的遮断効力を有する。
さらなる態様では、本発明の抗IL−36R抗体は、例えば、ヒトIL−1R1又はIL−36R陰性細胞株に対して1000倍を超える高い選択性を有する。さらなる態様では、本発明の抗IL−36R抗体は、ヒトIL−1R1又はIL−36R陰性細胞株に結合しない。
実施形態1では、本発明は抗IL−36R抗体又はその抗原結合フラグメントを提供し、それは0.1nMと等しい又はそれ未満のKDでヒトIL−36Rに結合する。
実施形態2では、本発明は、実施形態1に従った抗IL−36R抗体又はその抗原結合フラグメントを提供し、それにおいて前記抗体又は抗原結合フラグメントはモノクローナル抗体又はその抗原結合フラグメントである。
実施形態3では、本発明は、実施形態1又は2に従った抗IL−36R抗体又はその抗原結合フラグメントを提供し、それにおいて前記抗体又は抗原結合フラグメントはヒト化抗体又はその抗原結合フラグメントである。
実施形態4では、本発明は、実施形態3に従った抗IL−36R抗体又はその抗原結合フラグメントを提供し、それは50pMと等しい又はそれ未満のKDでヒトIL−36Rに結合する。
実施形態5では、本発明は、実施形態1〜4のいずれか1つに従った抗IL−36R抗体又はその抗原結合フラグメントを提供し、それはヒトIL−1R1に結合しない。
実施形態6では、本発明は、実施形態1に従った抗IL−36R抗体又はその抗原結合フラグメントを提供し、それにおいて抗体又はその抗原結合フラグメントは以下を含む:
a)配列番号26のアミノ酸配列(L−CDR1);配列番号35、102、103、104、105、106、又は140のアミノ酸配列(L−CDR2);配列番号44のアミノ酸配列(L−CDR3)を含む軽鎖可変領域;及び
b)配列番号53のアミノ酸配列(H−CDR1);配列番号62、108、109、110、又は111のアミノ酸配列(H−CDR2);配列番号72のアミノ酸配列(H−CDR3)を含む重鎖可変領域。
実施形態7では、本発明は、実施形態6に従った抗IL−36R抗体又はその抗原結合フラグメントを提供し、それにおいて抗体又はその抗原結合フラグメントは以下を含む:
a)配列番号26のアミノ酸配列(L−CDR1);配列番号102のアミノ酸配列(L−CDR2);配列番号44のアミノ酸配列(L−CDR3)を含む軽鎖可変領域;及び
b)配列番号53のアミノ酸配列(H−CDR1);配列番号62、108、109、110、又は111のアミノ酸配列(H−CDR2);配列番号72のアミノ酸配列(H−CDR3)を含む重鎖可変領域。
実施形態8では、本発明は、実施形態6に従った抗IL−36R抗体又はその抗原結合フラグメントを提供し、それにおいて抗体又はその抗原結合フラグメントは以下を含む:
a)配列番号26のアミノ酸配列(L−CDR1);配列番号103のアミノ酸配列(L−CDR2);配列番号44のアミノ酸配列(L−CDR3)を含む軽鎖可変領域;及び
b)配列番号53のアミノ酸配列(H−CDR1);配列番号62、108、109、110、又は111のアミノ酸配列(H−CDR2);配列番号72のアミノ酸配列(H−CDR3)を含む重鎖可変領域。
実施形態9では、本発明は、実施形態6に従った抗IL−36R抗体又はその抗原結合フラグメントを提供し、それにおいて抗体又はその抗原結合フラグメントは以下を含む:
a)配列番号26のアミノ酸配列(L−CDR1);配列番号104のアミノ酸配列(L−CDR2);配列番号44のアミノ酸配列(L−CDR3)を含む軽鎖可変領域;及び
b)配列番号53のアミノ酸配列(H−CDR1);配列番号62、108、109、110、又は111のアミノ酸配列(H−CDR2);配列番号72のアミノ酸配列(H−CDR3)を含む重鎖可変領域。
実施形態10では、本発明は、実施形態6に従った抗IL−36R抗体又はその抗原結合フラグメントを提供し、それにおいて抗体又はその抗原結合フラグメントは以下を含む:
a)配列番号26のアミノ酸配列(L−CDR1);配列番号105のアミノ酸配列(L−CDR2);配列番号44のアミノ酸配列(L−CDR3)を含む軽鎖可変領域;及び
b)配列番号53のアミノ酸配列(H−CDR1);配列番号62、108、109、110、又は111のアミノ酸配列(H−CDR2);配列番号72のアミノ酸配列(H−CDR3)を含む重鎖可変領域。
実施形態11では、本発明は、実施形態6に従った抗IL−36R抗体又はその抗原結合フラグメントを提供し、それにおいて抗体又はその抗原結合フラグメントは以下を含む:
a)配列番号26のアミノ酸配列(L−CDR1);配列番号106のアミノ酸配列(L−CDR2);配列番号44のアミノ酸配列(L−CDR3)を含む軽鎖可変領域;及び
b)配列番号53のアミノ酸配列(H−CDR1);配列番号62、108、109、110、又は111のアミノ酸配列(H−CDR2);配列番号72のアミノ酸配列(H−CDR3)を含む重鎖可変領域。
実施形態12では、本発明は、実施形態6に従った抗IL−36R抗体又はその抗原結合フラグメントを提供し、それにおいて抗体又はその抗原結合フラグメントは以下を含む:
a)配列番号26のアミノ酸配列(L−CDR1);配列番号140のアミノ酸配列(L−CDR2);配列番号44のアミノ酸配列(L−CDR3)を含む軽鎖可変領域;及び
b)配列番号53のアミノ酸配列(H−CDR1);配列番号62、108、109、110又は111のアミノ酸配列(H−CDR2);配列番号72のアミノ酸配列(H−CDR3)を含む重鎖可変領域。
実施形態13では、本発明は、実施形態1に従った抗IL−36R抗体又はその抗原結合フラグメントを提供し、それにおいて抗体又はその抗原結合フラグメントは、配列番号76、77、78、79、80、81、82、又は83のいずれか1つのアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号87、88、89、90、91、92、93、94、又は95のいずれか1つのアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む。
実施形態14では、本発明は、実施形態13に従った抗IL−36R抗体又はその抗原結合フラグメントを提供し、それにおいて抗体又はその抗原結合フラグメントは、配列番号77のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号87のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
配列番号77のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号88のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
配列番号77のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号89のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む。
実施形態15では、本発明は、配列番号80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号87のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
配列番号80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号88のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
配列番号80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号89のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む抗体又はその抗原結合フラグメントを提供する。
実施形態16では、本発明は、実施形態1に従った抗IL−36R抗体又はその抗原結合フラグメントを提供し、それにおいて抗体又はその抗原結合フラグメントは以下を含む:
配列番号27のアミノ酸配列(L−CDR1);配列番号36のアミノ酸配列(L−CDR2);配列番号45のアミノ酸配列(L−CDR3)を含む軽鎖可変領域;及び配列番号107のアミノ酸配列(H−CDR1);配列番号63のアミノ酸配列(H−CDR2);配列番号73のアミノ酸配列(H−CDR3)を含む重鎖可変領域;又は配列番号27のアミノ酸配列(L−CDR1);配列番号36のアミノ酸配列(L−CDR2);配列番号45のアミノ酸配列(L−CDR3)を含む軽鎖可変領域;及び配列番号107のアミノ酸配列(H−CDR1);配列番号64のアミノ酸配列(H−CDR2);配列番号73のアミノ酸配列(H−CDR3)を含む重鎖可変領域;又は配列番号27のアミノ酸配列(L−CDR1);配列番号36のアミノ酸配列(L−CDR2);配列番号45のアミノ酸配列(L−CDR3)を含む軽鎖可変領域;及び配列番号54のアミノ酸配列(H−CDR1);配列番号63又は64のアミノ酸配列(H−CDR2);配列番号73のアミノ酸配列(H−CDR3)を含む重鎖可変領域。
実施形態17では、本発明は、実施形態1に従った抗IL−36R抗体又はその抗原結合フラグメントを提供し、それにおいて抗体又はその抗原結合フラグメントは、配列番号84、85、又は86のいずれか1つのアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;配列番号96、97、98、99、100、又は101のいずれか1つのアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む。
実施形態18では、本発明は、実施形態17に従った抗IL−36R抗体又はその抗原結合フラグメントを提供し、それにおいて抗体又はその抗原結合フラグメントは、配列番号85のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号100のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
配列番号85のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号101のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む。
実施形態19では、本発明は、実施形態17に従った抗IL−36R抗体又はその抗原結合フラグメントを提供し、それにおいて抗体又はその抗原結合フラグメントは、配列番号86のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;配列番号100のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
配列番号86のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号101のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む。
実施形態20では、本発明は抗IL−36R抗体を提供し、それにおいて抗体は、配列番号114、115、116、117、118、119、120、又は121のいずれか1つのアミノ酸配列を含む軽鎖;及び配列番号125、126、127、128、129、130、131、132、又は133のいずれか1つのアミノ酸配列を含む重鎖を含む。
実施形態21では、本発明は、実施形態20に従った抗IL−36R抗体を提供し、それにおいて抗体は、配列番号115のアミノ酸配列を含む軽鎖;及び配列番号125のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。
実施形態22では、本発明は、実施形態20に従った抗IL−36R抗体を提供し、それにおいて抗体は、配列番号115のアミノ酸配列を含む軽鎖;及び配列番号126のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。
実施形態23では、本発明は、実施形態20に従った抗IL−36R抗体を提供し、それにおいて抗体は、配列番号115のアミノ酸配列を含む軽鎖;及び配列番号127のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。
実施形態24では、本発明は、実施形態20に従った抗IL−36R抗体を提供し、それにおいて抗体は、配列番号118のアミノ酸配列を含む軽鎖;及び配列番号125のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。
実施形態25では、本発明は、実施形態20に従った抗IL−36R抗体を提供し、それにおいて抗体は、配列番号118のアミノ酸配列を含む軽鎖;及び配列番号126のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。
実施形態26では、本発明は、実施形態20に従った抗IL−36R抗体を提供し、それにおいて抗体は、配列番号118のアミノ酸配列を含む軽鎖;及び配列番号127のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。
実施形態27では、本発明は抗IL−36R抗体を提供し、それにおいて抗体は、配列番号122、123、又は124のいずれか1つのアミノ酸配列を含む軽鎖;及び配列番号134、135、136、137、138、又は139のいずれか1つのアミノ酸配列を含む重鎖を含む。
実施形態28では、本発明は、実施形態27に従った抗IL−36R抗体を提供し、それにおいて抗体は、配列番号123のアミノ酸配列を含む軽鎖;及び配列番号138のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。
実施形態29では、本発明は、実施形態27に従った抗IL−36R抗体を提供し、それにおいて抗体は、配列番号123のアミノ酸配列を含む軽鎖;及び配列番号139のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。
実施形態30では、本発明は、27に従った抗IL−36R抗体を提供し、それにおいて抗体は、配列番号124のアミノ酸配列を含む軽鎖;及び配列番号138のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。
実施形態31では、本発明は、実施形態1に従った抗IL−36R抗体又はその抗原結合フラグメントを提供し、それにおいて抗体又はその抗原結合フラグメントは以下を含む:
a)配列番号26のアミノ酸配列(L−CDR1);配列番号103のアミノ酸配列(L−CDR2);配列番号44のアミノ酸配列(L−CDR3)を含む軽鎖可変領域;及び
b)配列番号53のアミノ酸配列(H−CDR1);配列番号62のアミノ酸配列(H−CDR2);配列番号72のアミノ酸配列(H−CDR3)を含む重鎖可変領域。
実施形態32では、本発明は、実施形態1に従った抗IL−36R抗体又はその抗原結合フラグメントを提供し、それにおいて抗体又はその抗原結合フラグメントは以下を含む:
a)配列番号26のアミノ酸配列(L−CDR1);配列番号104のアミノ酸配列(L−CDR2);配列番号44のアミノ酸配列(L−CDR3)を含む軽鎖可変領域;及び
b)配列番号53のアミノ酸配列(H−CDR1);配列番号62のアミノ酸配列(H−CDR2);配列番号72のアミノ酸配列(H−CDR3)を含む重鎖可変領域。
実施形態33では、本発明は、実施形態1に従った抗IL−36R抗体又はその抗原結合フラグメントを提供し、それにおいて抗体又はその抗原結合フラグメントは以下を含む:
a)配列番号27のアミノ酸配列(L−CDR1);配列番号36のアミノ酸配列(L−CDR2);配列番号45のアミノ酸配列(L−CDR3)を含む軽鎖可変領域;及び
b)配列番号107のアミノ酸配列(H−CDR1);配列番号63のアミノ酸配列(H−CDR2);配列番号73のアミノ酸配列(H−CDR3)を含む重鎖可変領域。
実施形態34では、本発明は、実施形態1に従った抗IL−36R抗体又はその抗原結合フラグメントを提供し、それにおいて抗体又はその抗原結合フラグメントは以下を含む:
a)配列番号27のアミノ酸配列(L−CDR1);配列番号36のアミノ酸配列(L−CDR2);配列番号45のアミノ酸配列(L−CDR3)を含む軽鎖可変領域;及び
b)配列番号107のアミノ酸配列(H−CDR1);配列番号64のアミノ酸配列(H−CDR2);配列番号73のアミノ酸配列(H−CDR3)を含む重鎖可変領域。
一実施形態では、実施形態1〜34のいずれか1つに従った抗体又はその抗原結合フラグメントはモノクローナル抗体である。一実施形態では、実施形態1〜34のいずれか1つに従った抗体又はその抗原結合フラグメントはヒト化抗体である。一実施形態では、実施形態1〜34のいずれか1つに従った抗体又はその抗原結合フラグメントはモノクローナルヒト化抗体である。
実施形態35では、本発明は、抗IL−36R抗体又はその抗原結合フラグメントを提供し、それにおいて抗体又はその抗原結合フラグメントは以下を含む:
配列番号21のアミノ酸配列(L−CDR1);配列番号30のアミノ酸配列(L−CDR2);配列番号39のアミノ酸配列(L−CDR3)を含む軽鎖可変領域;及び配列番号48のアミノ酸配列(H−CDR1);配列番号57のアミノ酸配列(H−CDR2);配列番号67のアミノ酸配列(H−CDR3)を含む重鎖可変領域;又は配列番号22のアミノ酸配列(L−CDR1);配列番号31のアミノ酸配列(L−CDR2);配列番号40のアミノ酸配列(L−CDR3)を含む軽鎖可変領域;及び配列番号49のアミノ酸配列(H−CDR1);配列番号58のアミノ酸配列(H−CDR2);配列番号68のアミノ酸配列(H−CDR3)を含む重鎖可変領域;又は配列番号23のアミノ酸配列(L−CDR1);配列番号32のアミノ酸配列(L−CDR2);配列番号41のアミノ酸配列(L−CDR3)を含む軽鎖可変領域;及び配列番号50のアミノ酸配列(H−CDR1);配列番号59のアミノ酸配列(H−CDR2);配列番号69のアミノ酸配列(H−CDR3)を含む重鎖可変領域;又は配列番号24のアミノ酸配列(L−CDR1);配列番号33のアミノ酸配列(L−CDR2);配列番号42のアミノ酸配列(L−CDR3)を含む軽鎖可変領域;及び配列番号51のアミノ酸配列(H−CDR1);配列番号60のアミノ酸配列(H−CDR2);配列番号70のアミノ酸配列(H−CDR3)を含む重鎖可変領域;又は配列番号25のアミノ酸配列(L−CDR1);配列番号34のアミノ酸配列(L−CDR2);配列番号43のアミノ酸配列(L−CDR3)を含む軽鎖可変領域;及び配列番号52のアミノ酸配列(H−CDR1);配列番号61のアミノ酸配列(H−CDR2);配列番号71のアミノ酸配列(H−CDR3)を含む重鎖可変領域;又は配列番号26のアミノ酸配列(L−CDR1);配列番号35のアミノ酸配列(L−CDR2);配列番号44のアミノ酸配列(L−CDR3)を含む軽鎖可変領域;及び配列番号53のアミノ酸配列(H−CDR1);配列番号62のアミノ酸配列(H−CDR2);配列番号72のアミノ酸配列(H−CDR3)を含む重鎖可変領域;又は配列番号27のアミノ酸配列(L−CDR1);配列番号36のアミノ酸配列(L−CDR2);配列番号45のアミノ酸配列(L−CDR3)を含む軽鎖可変領域;及び配列番号54のアミノ酸配列(H−CDR1);配列番号63のアミノ酸配列(H−CDR2);配列番号73のアミノ酸配列(H−CDR3)を含む重鎖可変領域;又は配列番号27のアミノ酸配列(L−CDR1);配列番号36のアミノ酸配列(L−CDR2);配列番号45のアミノ酸配列(L−CDR3)を含む軽鎖可変領域;及び配列番号54のアミノ酸配列(H−CDR1);配列番号64のアミノ酸配列(H−CDR2);配列番号73のアミノ酸配列(H−CDR3)を含む重鎖可変領域;又は配列番号28のアミノ酸配列(L−CDR1);配列番号37のアミノ酸配列(L−CDR2);配列番号46のアミノ酸配列(L−CDR3)を含む軽鎖可変領域;及び配列番号55のアミノ酸配列(H−CDR1);配列番号65のアミノ酸配列(H−CDR2);配列番号74のアミノ酸配列(H−CDR3)を含む重鎖可変領域;又は配列番号29のアミノ酸配列(L−CDR1);配列番号38のアミノ酸配列(L−CDR2);配列番号47のアミノ酸配列(L−CDR3)を含む軽鎖可変領域;及び配列番号56のアミノ酸配列(H−CDR1);配列番号66のアミノ酸配列(H−CDR2);配列番号75のアミノ酸配列(H−CDR3)を含む重鎖可変領域。
実施形態36では、本発明は抗IL−36R抗体又はその抗原結合フラグメントを提供し、それにおいて抗体又はその抗原結合フラグメントは、配列番号1のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号11のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
配列番号2のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号12のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
配列番号3のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号13のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
配列番号4のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号14のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
配列番号5のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号15のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
配列番号6のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号16のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
配列番号7のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号17のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
配列番号8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号18のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
配列番号9のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号19のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
配列番号10のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号20のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域。
さらなる実施形態37では、本発明は、前述の実施形態のいずれか1つに従った抗体又は抗原結合フラグメント及び医薬的に許容可能な担体を含む医薬組成物を提供する。
さらなる実施形態38では、本発明は、医薬における使用のための、前述の実施形態のいずれか1つに従った抗体又は抗原結合フラグメント又は医薬組成物を提供する。
さらなる実施形態39では、本発明は、実施形態1〜37のいずれか1つに従った抗体又は抗原結合フラグメント又は医薬組成物を提供し、それにおいてその使用は炎症性疾患の、自己免疫疾患の、呼吸器疾患の、代謝障害の、上皮介在炎症性障害の、線維症、又は癌の処置である。
さらなる実施形態40では、本発明は、実施形態1〜37のいずれか1つに従った抗体又は抗原結合フラグメント又は医薬組成物を提供し、それにおいてその使用は乾癬、炎症性腸疾患、乾癬性関節炎、多発性硬化症、関節リウマチ、COPD、慢性喘息、又は強直性脊椎炎の処置のためである。
さらなる実施形態41では、本発明は、実施形態1〜37のいずれか1つに従った抗体又は抗原結合フラグメント又は医薬組成物を提供し、それにおいてその使用は炎症性腸疾患の処置のためである。
さらなる実施形態42では、本発明は、実施形態41に従った抗体又は抗原結合フラグメント又は医薬組成物を提供し、それにおいて疾患はクローン病である。
別の実施形態43では、本発明は、実施形態1〜37のいずれか1つに従った抗体又は抗原結合フラグメント又は医薬組成物を、それを必要とする患者に投与することを含む、疾患を処置する方法を提供し、それにおいて疾患は炎症性疾患、自己免疫疾患、呼吸器疾患、代謝障害、上皮介在炎症性障害、線維症、及び癌より選択する。
別の実施形態44では、本発明は、疾患が乾癬、炎症性腸疾患、乾癬性関節炎、多発性硬化症、関節リウマチ、COPD、慢性喘息、及び強直性脊椎炎より選択する、実施形態43に従った方法を提供する。
さらなる実施形態45では、本発明は、クローン病を処置するための方法を提供する。
本発明のさらなる実施形態は以下を包含する:
− 本発明に従った抗IL−36R抗体又は抗原結合フラグメントをコードする配列、好ましくはDNA又はRNA配列を含む単離ポリヌクレオチド;
− 配列番号1〜140の1つ以上により定義される配列をコードする、本発明に従った単離ポリヌクレオチド;
− 本発明に従ったポリヌクレオチドを含むベクター、好ましくは発現ベクター、より好ましくは発現制御配列と機能的に関連する本発明に従ったポリヌクレオチドを含むベクター;
− 本発明に従ったポリヌクレオチド及び/又は本発明に従ったベクターを含む宿主細胞;
− 本発明に従った抗IL−36R抗体又は抗原結合フラグメントの産生のための方法、好ましくは本発明に従ったポリヌクレオチド、及び/又は本発明に従ったベクター、及び/又は本発明に従った宿主細胞の使用を含む組換え産生方法;
− そのような方法は、好ましくは、(a)抗IL−36R抗体又は抗原結合フラグメントの発現を可能にする条件下で宿主細胞を培養する、及び(b)抗IL−36R抗体又は抗原結合フラグメントを回収する工程を含む;
− 本発明に従った抗IL−36R抗体又は抗原結合フラグメントを含む診断キットもしくは診断方法、又はその使用;
− 炎症性疾患、自己免疫疾患、呼吸器疾患、代謝障害、上皮介在炎症性障害、線維症、癌、乾癬、炎症性腸疾患、乾癬性関節炎、多発性硬化症、関節リウマチ、COPD、慢性喘息、強直性脊椎炎、又はクローン病の診断のための、本発明に従った診断キット又は診断方法。
図1:IL−36アンタゴニストリガンド(IL−36RA/IL1F5、IL−38/ILF10)はシグナル伝達カスケードを阻害する。
図2:遺伝子チップ分析によって、乾癬皮膚においてIL−36Rリガンド(IL−36 RA、IL−36α、及びIL−36γ)が上方調節されることが実証される。
図3:ヒトの皮膚切片を使用した発現プロファイル。抗体33D10を使用した抗体滴定が包埋されたホルマリン固定パラフィン。
図4:ヒトの皮膚切片の表皮の厚さを評価するための方法。
発明の説明
本発明は抗IL−36R抗体に関する。一態様では、本発明の抗体は、例えばヒトにおける診断的及び治療的な使用のためである。
本発明は、IL−36R、特にヒトIL−36Rに結合する抗体を提供する。本発明はまた、IL−36Rに結合するヒト化抗体に関する。特定の実施形態では、これらのヒト化抗体の配列は、特定のリードマウス抗体の配列に基づいて同定されている。
この理論により束縛されることを望まないが、抗IL−36R抗体又はその抗原結合フラグメントはヒトIL−36Rに結合し、このように、IL−36アゴニストの結合を妨げ、そのようにする際にIL−36Rから炎症性メディエーターへのシグナル伝達カスケードを少なくとも部分的に遮断すると考えられている。これを図1により例証する。
一態様では、本発明の抗体は、ヒト疾患のモデルにおける使用のためである。IL−36RはIL−1RL2及びIL−1Rrp2としても公知である。アゴニストIL−36リガンド(α、β、又はγ)は、次にIL−1受容体アクセサリータンパク質(IL−1RAcP)とヘテロ二量体を形成するIL−36受容体と会合することによりシグナル伝達カスケードを開始することが報告されている。IL−36アンタゴニストリガンド(IL−36RA/IL1F5、IL−38/ILF10)はシグナル伝達カスケードを阻害する(図1を参照のこと)。
一態様では、本発明は、以下の特性の1つ以上を有する抗IL−36R抗体を提供する。
一態様では、本発明の抗IL−36R抗体は、高い分子/細胞結合効力を有する。一態様では、本発明の抗IL−36R抗体は、KD<0.1nMでヒトIL−36Rに結合する。さらなる態様では、本発明の抗IL−36R抗体、特にヒト化抗IL−36R抗体は、KD<50pMでヒトIL−36Rに結合する。一態様では、本発明の抗IL−36R抗体は、EC90<5nMでIL−36R発現細胞に結合する。
別の態様では、本発明の抗IL−36R抗体は、高い細胞ベースの機能的遮断効力を有する。一態様では、本発明の抗IL−36R抗体は、疾患関連細胞株及び初代細胞において、IC90<5nMで全ての3つのIL−36Rアゴニストリガンドを遮断する。
一態様では、本発明の抗IL−36R抗体は、上に示す分子/細胞結合効力及び細胞ベースの機能的遮断効力を有する。
一態様では、本発明の抗IL−36R抗体はヒト化抗体である。一態様では、本発明の抗IL−36R抗体はモノクローナル抗体である。一態様では、本発明の抗IL−36R抗体は全長抗体である。一態様では、本発明の抗IL−36R抗体はヒト化モノクローナル抗体、例えば、全長ヒト化モノクローナル抗体である。
本発明の抗体又はその抗原結合フラグメントは、特定の「IL−36R抗原エピトープ」又は「IL−36Rエピトープ」を認識する。本明細書中で使用するように、これらの用語は、抗IL−36R抗体と免疫活性化することが可能である分子(例、ペプチド)又は分子のフラグメントを指す。
エピトープは最も一般にはタンパク質、短いオリゴペプチド、オリゴペプチド模倣物(即ち、IL−36R抗原の抗体結合特色を模倣する有機化合物)、又はそれらの組み合わせである。抗体についてのペプチド又はポリペプチドエピトープの最小サイズは約4〜5アミノ酸と考えられている。ペプチド又はポリペプチドエピトープは、例えば少なくとも7つのアミノ酸又は例えば少なくとも9つのアミノ酸又は例えば約15〜約20のアミノ酸を含む。抗体は抗原性ペプチド又はポリペプチドをその三次形態において認識することができるため、エピトープを含むアミノ酸は連続している必要はなく、一部の場合において、同じペプチド鎖上になくてもよい。エピトープは、当技術分野において公知の技術、例えばX線結晶学、水素/重水素交換質量分析(HXMS)、部位特異的変異誘発、アラニンスキャニング変異誘発、及びペプチドスクリーニング方法などにより決定してもよい。
抗体又は免疫グロブリンの一般化された構造は、当業者に周知である。これらの分子は、2つの同一の軽(L)鎖及び2つの同一の重(H)鎖で構成される、典型的には約150,000ダルトンのヘテロ四量体糖タンパク質であり、典型的には全長抗体として言及される。各々の軽鎖は、1つのジスルフィド結合により重鎖に共有結合的に連結されてヘテロ二量体を形成し、ヘテロ二量体分子が、ヘテロ二量体の2つの同一の重鎖間での共有結合的なジスルフィド結合により形成される。軽鎖及び重鎖は1つのジスルフィド結合により一緒に連結されているが、2つの重鎖間のジスルフィド連結の数は免疫グロブリンのアイソタイプにより変動する。各々の重鎖及び軽鎖はまた、一定の間隔を置いた鎖内ジスルフィド架橋を有する。各々の重鎖は、アミノ末端に可変ドメイン(VH)を有し、3つ又は4つの定常ドメイン(CH1、CH2、CH3、及びCH4)、ならびにCH1とCH2の間のヒンジ領域が続く。各々の軽鎖は、2つのドメイン、アミノ末端可変ドメイン(VL)及びカルボキシ末端定常ドメイン(CL)を有する。VLドメインはVHドメインと非共有結合的に会合するのに対し、CLドメインは一般にジスルフィド結合を介してCH1ドメインに共有結合的に連結される。特定のアミノ酸残基は、軽鎖可変ドメインと重鎖可変ドメインの間に界面を形成すると考えられている(Chothia et al., 1985, J. Mol. Biol. 186:651-663)。可変ドメインはまた、本明細書中で可変領域として言及する。
可変ドメイン内の特定のドメインは、異なる抗体間で広範囲に異なり、即ち、「超可変」である。これらの超可変ドメインは、その特定の抗原決定基についての各々の特定の抗体の結合及び特異性に直接的に含まれる残基を含む。軽鎖及び重鎖の両方の可変ドメインにおける超可変性は、相補性決定領域(CDR)又は超可変ループ(HVL)として公知である3つのセグメント中に集中している。CDRは、Kabat et al., 1991, In: Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, Md.における配列比較により定義されるのに対し、HVL(本明細書中でCDRとしても言及する)は、可変ドメインの三次元構造に従って構造的に定義される(Chothia and Lesk, 1987, J. Mol. Biol. 196: 901-917により記載される通り)。これら2つの方法は、CDRのわずかに異なる同定をもたらす。Kabatにより定義されるように、CDR−L1は軽鎖可変ドメイン中の約24〜34残基に、CDR−L2は約50〜56残基に、及びCDR−L3は約89〜97残基に位置付けられる;CDR−H1は重鎖可変ドメイン中の約31〜35残基に、CDR−H2は約50〜65残基に、CDR−H3は約95〜102残基に位置付けられる。特定のCDRを包含する正確な残基番号は、CDRの配列及びサイズに依存して変動する。当業者は、抗体の可変領域アミノ酸配列が与えられれば、いずれの残基が特定のCDRを含むかをルーチン的に決定することができる。重鎖及び軽鎖のCDR1、CDR2、CDR3により、従って、所与の抗体について特異的なユニークかつ機能的な特性が定義される。
重鎖及び軽鎖の各々の内の3つのCDRは、フレームワーク領域(FR)により分離され、それには変動が少ない傾向がある配列が含まれる。重鎖及び軽鎖可変ドメインのアミノ末端からカルボキシ末端まで、FR及びCDRは以下の順番で配置されている:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、及びFR4。FRの大部分のβシート構成により、各々の鎖内のCDRが互いに、ならびに他の鎖のCDRに近接する。結果として生じる立体構造は抗原結合部位に寄与するが(Kabat et al., 1991, NIH Publ. No. 91-3242, Vol. I, pages 647-669を参照)、全てのCDR残基が必ずしも抗原結合に直接的に含まれるわけではない。
FR残基及びIg定常ドメインは、抗原結合に直接的には含まれないが、しかし、抗原結合に寄与する及び/又は抗体エフェクター機能を媒介する。一部のFR残基は、少なくとも3つの方法において抗原結合に対して有意な効果を有すると考えられている:直接的なエピトープへの非共有結合的な結合による、1つ以上のCDR残基との相互作用による、ならびに重鎖及び軽鎖の間の界面に影響することによる。定常ドメインは、抗原結合に直接的に含まれないが、しかし、種々のIgエフェクター機能、例えば抗体依存性細胞傷害(ADCC)、補体依存性細胞傷害(CDC)、及び抗体依存性細胞貪食(ADCP)における抗体の関与などを媒介する。
脊椎動物の免疫グロブリンの軽鎖は、定常ドメインのアミノ酸配列に基づき、2つの明らかに異なるクラス、カッパ(κ)及びラムダ(λ)の1つに割り当てられる。比較により、哺乳動物免疫グロブリンの重鎖は、定常ドメインの配列に従って、5つの主要なクラスの1つに割り当てる:IgA、IgD、IgE、IgG、及びIgM。IgG及びIgAは、サブクラス(アイソタイプ)、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、及びIgA2にさらに分ける。免疫グロブリンの異なるクラスに対応する重鎖定常ドメインは、それぞれα、δ、ε、γ、及びμと呼ぶ。天然免疫グロブリンのクラスのサブユニット構造及び三次元配置は周知である。
用語「抗体」、「抗IL−36R抗体」、「ヒト化抗IL−36R抗体」、「ヒト化抗IL−36Rエピトープ抗体」、及び「変異体ヒト化抗IL−36Rエピトープ抗体」は、モノクローナル抗体(全長モノクローナル抗体を含む)、ポリクローナル抗体、多特異性抗体(例、二重特異性抗体)、及び抗体(例えばフラグメント可変ドメインなど)、及び所望の生物学的活性(例、IL−36R結合)を示す抗体の他の部分を包含する。用語「モノクローナル抗体」(mAb)は、単一の抗原決定基「エピトープ」に対して向けられた高度に特異的な抗体を指す。従って、修飾語「モノクローナル」は、同一のエピトープに向けられた抗体を示しており、任意の特定の方法による抗体の産生を要求するとして解釈すべきではない。モノクローナル抗体は、当技術分野において公知の任意の技術又は方法論(例、ハイブリドーマ方法(Kohler et al., 1975, Nature 256:495)、又は当技術分野において公知の組換えDNA方法(例、米国特許第4,816,567号を参照のこと)、又はファージ抗体ライブラリーを使用して組換え的に産生されたモノクローナル抗体の単離の方法を含む)により、Clackson et al., 1991, Nature 352: 624-628、及びMarks et al., 1991, J. Mol. Biol. 222: 581-597において記載される技術を使用して作製することができることを理解すべきである。
用語「単量体」は、抗体の均一な形態を指す。例えば、全長抗体については、単量体は、2つの同一の重鎖及び2つの同一の軽鎖を有する単量体抗体を意味する。
キメラ抗体は、1つの種(非ヒト哺乳動物、例えばマウスなど)の抗体の重鎖及び軽鎖可変領域と、別の種(例、ヒト)の抗体の重鎖及び軽鎖定常領域からなり、第1種(例、マウス)からの抗体の可変領域をコードするDNA配列を、第2種(例、ヒト)からの抗体の定常領域のDNA配列に連結し、連結された配列を含む発現ベクターで宿主を形質転換して、それがキメラ抗体を産生することを可能にすることにより得ることができる。あるいは、キメラ抗体はまた、重鎖及び/又は軽鎖の1つ以上の領域又はドメインが、別の免疫グロブリンクラスもしくはアイソタイプからの、又はコンセンサスもしくは生殖系列配列からのモノクローナル抗体中の対応する配列と同一、相同、又はその変異体であるものでありうる。キメラ抗体は、抗体フラグメントがその親抗体の所望の生物学的活性、例えば同じエピトープへの結合を示すとの条件で、そのような抗体のフラグメントを含むことができる(例、米国特許第4,816,567号;及びMorrison et al., 1984、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81: 6851-6855を参照のこと)。
用語「抗体フラグメント」、「抗IL−36R抗体フラグメント」、「抗IL−36Rエピトープ抗体フラグメント」、「ヒト化抗IL−36R抗体フラグメント」、「ヒト化抗IL−36Rエピトープ抗体フラグメント」、「変異体ヒト化抗IL−36Rエピトープ抗体フラグメント」は、可変領域又は機能的能力(例えば、特異的なIL−36Rエピトープ結合)が保持されている全長抗IL−36R抗体の一部を指す。抗体フラグメントの例は、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fd、Fv、scFv、及びscFv−Fcフラグメント、ダイアボディ、線形抗体、単鎖抗体、ミニボディ、抗体フラグメントから形成されたダイアボディ、及び抗体フラグメントから形成された多特異性抗体を含むが、これらに限定しない。
全長抗体を酵素(例えばパパイン又はペプシンなど)で処理し、有用な抗体フラグメントを生成することができる。パパイン消化を使用して「Fab」フラグメントと呼ばれる2つの同一の抗原結合抗体フラグメントを産生し、各々が単一の抗原結合部位、及び残りの「Fc」フラグメントを伴う。Fabフラグメントはまた、軽鎖の定常ドメイン及び重鎖のCH1ドメインを含む。ペプシン処理によって、2つの抗原結合部位を有し、依然として抗原を架橋することが可能なF(ab’)2フラグメントがもたらされる。
Fab’フラグメントは、CH1ドメインのC末端の抗体ヒンジ領域からの1つ以上のシステインを含む追加の残基の存在によりFabフラグメントとは異なる。F(ab’)2抗体フラグメントは、ヒンジ領域中のシステイン残基により連結されたFab’フラグメントの対である。抗体フラグメントの他の化学的共役も公知である。
「Fv」フラグメントは、密着した非共有結合的な会合における1つの重鎖可変ドメイン及び1つの軽鎖可変ドメインの二量体からなる完全な抗原認識及び結合部位を含む。この立体配置では、各々の可変ドメインの3つのCDRが相互作用し、VH−VL二量体の表面上に抗原結合部位を定義する。集合的に、6つのCDRは抗体に抗原結合特異性を付与する。
「単鎖Fv」又は「scFv」抗体フラグメントは、ドメインが単一のポリペプチド鎖中に存在する抗体のVH及びVLドメインを含む単鎖Fv変異体である。単鎖Fvは、抗原を認識して結合することが可能である。scFvポリペプチドはまた、場合により、scFvによる抗原結合のための所望の三次元構造の形成を促進するために、VHドメインとVLドメインの間に位置するポリペプチドリンカーを含みうる(例、Pluckthun, 1994, In The Pharmacology of monoclonal Antibodies, Vol. 113, Rosenburg and Moore eds., Springer-Verlag, New York, pp. 269-315を参照のこと)。
「ダイアボディ」は2つの抗原結合部位を伴う小さな抗体フラグメントを指し、そのフラグメントは、同じポリペプチド鎖(V.sub.H−V.sub.L又はV.sub.L−V.sub.H)中の軽鎖可変ドメイン(V.sub.L)に接続された重鎖可変ドメイン(V.sub.H)を含む。ダイアボディは、例えば、Holliger et al. (1993) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90: 6444-6448により完全に記載されている。
他の認識された抗体フラグメントは、一対のタンデムFdセグメント(VH−CH1−VH−CH1)を含み、一対の抗原結合領域を形成する抗体フラグメントを含む。これらの「線形抗体」は、例えば、Zapata et al. 1995, Protein Eng. 8(10):1057-1062に記載されているように、二重特異性又は単一特異性でありうる。
「ヒト化抗体」又は「ヒト化抗体フラグメント」は、免疫グロブリンアミノ酸配列変異体、又はそのフラグメントを含む特定の型のキメラ抗体であり、それは所定の抗原に結合することが可能であり、ヒト免疫グロブリンのアミノ酸配列を実質的に有する1つ以上のFR及び非ヒト免疫グロブリンのアミノ酸配列を実質的に有する1つ以上のCDRを含む。しばしば「インポート」配列として言及されるこの非ヒトアミノ酸配列は、典型的には、「インポート」抗体ドメイン、特に可変ドメインから取得される。一般的に、ヒト化抗体は、ヒト重鎖ドメイン又は軽鎖可変ドメインのFRの間に挿入された非ヒト抗体の少なくともCDR又はHVLを含む。本発明には、マウスモノクローナル抗体から由来するCDR又はヒト生殖系列配列の重鎖及び軽鎖可変ドメインのFR間に挿入されたヒト化CDRを含む特定のヒト化抗IL−36R抗体を記載する。特定のマウスFR残基はヒト化抗体の機能に重要であり、従って特定のヒト生殖系列配列の重鎖及び軽鎖可変ドメイン残基は対応するマウス配列のものと同じになるように改変されることが理解されるであろう。
別の態様では、ヒト化抗IL−36R抗体は、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメイン(例えば、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fabc、及びFvフラグメント中に含まれる)の実質的に全てを含み、それにおいてCDRの全て又は実質的に全てが非ヒト免疫グロブリンのものに対応し、特に本明細書中では、CDRの全てが本明細書中で以下に詳述するマウス又はヒト化配列であり、FRの全て又は実質的に全てが、ヒト免疫グロブリンコンセンサス配列又は生殖系列配列のものである。別の態様では、ヒト化抗IL−36R抗体はまた、免疫グロブリンFc領域の少なくとも一部、典型的にはヒト免疫グロブリンのものも含む。通常、抗体は軽鎖ならびに重鎖の少なくとも可変ドメインの両方を含む。抗体はまた、適当な場合、重鎖のCH1、ヒンジ、CH2、CH3、及び/又はCH4領域の1つ以上を含みうる。
ヒト化抗IL−36r抗体は、免疫グロブリンの任意のクラス(IgM、IgG、IgD、IgA、及びIgEを含む)及び任意のアイソタイプ(IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、及びIgA2など)より選択することができる。例えば、定常ドメインは、ヒト化抗体が細胞傷害活性を示すことが望まれる補体固定定常ドメインでありうるが、アイソタイプは典型的にはIgG1である。そのような細胞傷害活性が望ましくない場合、定常ドメインは別のアイソタイプ(例、IgG2)であってもよい。代わりのヒト化抗IL−36R抗体は、1つを上回る免疫グロブリンクラス又はアイソタイプからの配列を含むことができ、特定の定常ドメインを選択して所望のエフェクター機能を最適化することは、当技術分野の通常のスキルの範囲内である。特定の実施形態では、本発明は、IgG1抗体であり、特にエフェクター機能のノックアウトが存在するIgG1抗体である抗体を提供する。
ヒト化抗IL−36R抗体のFR及びCDR、又はHVLは、親配列に正確に対応する必要はない。例えば、インポートCDR、又はHVL、又はコンセンサスもしくは生殖細胞系FR配列の1つ以上の残基は、結果として生じるアミノ酸残基がもはやいずれかの親配列の対応する位置における本来の残基と同一ではないが、しかし、抗体がそれでもIL−36Rへの結合の機能を保持するように、置換、挿入、又は欠失により変更(例、変異誘発)されうる。そのような変化は、典型的には広範囲ではなく、保存的な変更になる。通常、ヒト化抗体残基の少なくとも75%が、親のコンセンサス又は生殖細胞系FR及びインポートCDR配列の残基に対応し、よりしばしば、少なくとも90%、最も頻繁には95%を上回る、又は98%を上回る、又は99%を上回る。
重鎖と軽鎖の可変領域間の界面に影響を及ぼす免疫グロブリン残基(「VL−VH界面」)は、2つの鎖の互いの近接又は方向に影響を及ぼすものである。鎖間相互作用に含まれうる特定の残基には、VL残基34、36、38、44、46、87、89、91、96、及び98ならびにVH残基35、37、39、45、47、91、93、95、100、及び103を含む(Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest (National Institutes of Health, Bethesda, Md., 1987)において示されるナンバリングシステムを利用)。米国特許第6,407,213号にはまた、残基、例えばVL残基43及び85、ならびにVH残基43及び60などもこの相互作用において含まれうることが考察されている。これらの残基はヒトIgGだけについて示されているが、それらは種を渡り適用可能である。鎖間相互作用において含まれることが合理的に予想される重要な抗体残基は、コンセンサス配列中への置換のために選択される。
用語「コンセンサス配列」及び「コンセンサス抗体」は、任意の特定のクラス、アイソタイプ、又はサブユニット構造の全ての免疫グロブリン、例えばヒト免疫グロブリン可変ドメイン中の各々の位置で最も頻繁に生じるアミノ酸残基を含むアミノ酸配列を指す。コンセンサス配列は、特定の種の又は多くの種の免疫グロブリンに基づいてもよい。「コンセンサス」配列、構造、又は抗体は、特定の実施形態において記載されているコンセンサスヒト配列を包含し、任意の特定のクラス、アイソタイプ、又はサブユニット構造の全てのヒト免疫グロブリン中の各々の位置で最も頻繁に生じるアミノ酸残基を含むアミノ酸配列を指すと理解される。このように、コンセンサス配列は、各々の位置に1つ以上の公知の免疫グロブリン中に存在するアミノ酸を有するアミノ酸配列を含むが、しかし、それは任意の単一の免疫グロブリンのアミノ酸配列全体を正確に複製しないことがある。可変領域コンセンサス配列は、天然に産生された抗体又は免疫グロブリン(Kabat et al., 1991, Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, Md.)、及びそれらの変異体からは得られない。
ヒト生殖細胞系列配列は、ヒト集団において天然に見出される。これらの生殖細胞系遺伝子の組み合わせによって、抗体の多様性が生成される。抗体の軽鎖についての生殖系列抗体配列は、保存されたヒト生殖系列カッパ又はラムダv遺伝子及びj遺伝子から由来する。同様に、重鎖配列は生殖細胞系のv、d、及びj遺伝子から由来する(LeFranc, M-P, and LeFranc, G, “The Immunoglobulin Facts Book” Academic Press, 2001)。
本明細書中で使用する「変異体」、「抗IL−36R変異体」、「ヒト化抗IL−36R変異体」、又は「変異体ヒト化抗IL−36R」は各々、少なくとも軽鎖可変マウスCDRを有するヒト化抗IL−36R抗体を指す。変異体は、アミノ酸変化がIL−36Rへの抗体の結合を実質的に損なわないとの条件で、1つ又は両方の軽鎖又は重鎖可変ドメイン中の1つ以上のアミノ酸変化を有する変異体を含む。
「単離」抗体は、その天然環境の成分から同定ならびに分離及び/又は回収されたものである。抗体の天然環境の混入成分は、抗体の診断的又は治療的な使用を妨げうる物質であり、酵素、ホルモン、又は他のタンパク質性もしくは非タンパク質性溶質でありうる。一態様では、抗体は、抗体の重量により少なくとも95%を上回る単離まで精製する。
単離抗体には、抗体の天然環境の少なくとも1つの成分が存在しないため、それが産生される組換え細胞内のインサイツの抗体が含まれる。通常、しかし、単離抗体は、組換え細胞物質が除去される少なくとも1つの精製工程により精製される。
用語「抗体性能」は、抗原の抗体認識又はインビボでの抗体の有効性に寄与する因子を指す。抗体のアミノ酸配列中での変化は、抗体特性(例えば折り畳みなど)に影響を及ぼしうるが、物理的因子、例えば抗原への抗体結合の初期速度(ka)、抗原からの抗体の解離定数(kd)、抗原についての抗体の親和定数(Kd)、抗体の立体構造、タンパク質の安定性、及び抗体の半減期などに影響しうる。
用語「エピトープタグ」は、本明細書中で使用する場合、「エピトープタグ」に融合された抗IL−36R抗体を指す。「エピトープタグ」は、抗体産生のためのエピトープを提供するための十分な数のアミノ酸を有するポリペプチドであるが、しかし、ヒト化抗IL−36R抗体の所望の活性を妨げないように設計されている。エピトープタグは通常、エピトープタグに対して産生された抗体が他のエピトープと実質的に交差反応しないように十分にユニークである。適切なタグポリペプチドは一般的に少なくとも6つのアミノ酸残基を含み、通常は約8〜50のアミノ酸残基、又は約9〜30の残基を含む。エピトープタグ及びエピトープに結合する抗体の例は、flu HAタグポリペプチド及びその抗体12CA5(Field et al., 1988 Mol. Cell. Biol. 8: 2159-2165)、c−myc tagならびにそれへの8F9、3C7、6E10、G4、B7及び9E10抗体(Evan et al., 1985, Mol. Cell. Biol. 5(12):3610-3616)、ならびに単純ヘルペスウイルス糖タンパク質D(gD)タグ及びその抗体(Paborsky et al. 1990, Protein Engineering 3(6): 547-553)を含む。特定の実施形態では、エピトープタグは「サルベージ受容体結合エピトープ」である。本明細書で使用する用語「サルベージ受容体結合エピトープ」は、IgG分子のインビボでの血清半減期の増加に関与するIgG分子(例えばIgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4など)のFc領域のエピトープを指す。
一部の実施形態では、本発明の抗体は細胞傷害性薬剤に結合させてもよい。これは、細胞の機能を阻害もしくは防止する、及び/又は細胞の破壊を起こす任意の物質である。この用語は、放射性同位体(例えばI131、I125、Y90、及びRe186など)、化学療法薬剤、毒素(例えば細菌、真菌、植物、動物由来の酵素活性毒素など)、及びそのフラグメントを含む。そのような細胞傷害性薬剤は、標準的な手順を使用して本発明のヒト化抗体に共役することができ、例えば、抗体を用いた治療が適応される患者を処置するために使用することができる。
「化学療法薬剤」は、癌の処置において有用な化学的な化合物である。本発明の治療用抗体と結合させることができる化学療法薬剤の多数の例がある。そのような化学療法剤の例は、アルキル化剤(例えばチオテパ及びシクロホスファミドなど);アルキルスルホン酸塩(例えばブスルファン、インプロスルファン、及びピポスルファンなど);アジリジン(例えばベンゾドパ、カルボコン、メツレドーパ、及びウレドーパなど);エチレンイミン及びメチルアメラミン(アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホラミド、トリエチレンチオホスホラミド、及びトリメチルオロメラミンを含む);アセトゲニン(特にブラタシン及びブラタシノン);カンプトテシン(合成類似体トポテカンを含む);ブリオスタチン;カリスタチン;CC−1065(そのアドゼレシン、カルゼレシン、及びビゼレシン合成類似体を含む);クリプトフィシン(特にクリプトフィシン1及びクリプトフィシン8);ドラスタチン、アウリスタチン(類似体モノメチルアウリスタチンE及びモノメチルアウリスタチンFを含む);デュオカルマイシン(合成類似体、KW−2189及びCBI−TMIを含む);エリューセロビン;パンクラチスタチン;サルコジクチン;スポンギスタチン;窒素マスタード(例えばクロラムブシル、クロマファジン、クロロホスファミド、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシド塩酸塩、メルファラン、ノベムビチン、フェネステリン、プレドニムスチンなど);トロホスファミド、ウラシルマスタード;ニトロソ尿素(例えばカルムスチン、クロロゾトシン、フォテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、ラニムスチンなど);抗生物質(例えばエンジイン抗生物質など)(例:カリケアミシン、特にカリケアミシンガンマ1I及びカリケアミシンphiI1)(例えば、Agnew, Chem. Intl. Ed. Engl., 33:183-186を参照のこと);ダイネミシン(ダイネミシンAを含む);ビスホスホネート(例えばクロドロネートなど);エスペラミシン;ならびにネオカルジノスタチン発色団及び関連する発色タンパク質エンジイン抗生物質発色団)、アクラシノマイシン、アクチノマイシン、オートラマイシン、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カラビシン、カミノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6−ジアゾ−5−オキソ−L−ノルロイシン、ドキソルビシン(Adriamycin(商標))(モルホリノ−ドキソルビシン、シアノモルホリノ−ドキソルビシン、2−ピロリノ−ドキソルビシン、及びデオキシドキソルビシンを含む)、エピルブシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシン(例えばマイトマイシンCなど)、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン、ピューロマイシン、ケラマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、ゾルビシン;代謝拮抗剤(例えばメトトレキサート及び5−フルオロウラシル(5−FU)など);葉酸類似体(例えばデノプテリン、メトトレキサート、プテロプテリン、トリメトレキサートなど);プリン類似体(例えばフルダラビン、6−メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニンなど);ピリミジン類似体(例えばアンシタビン、アザシチジン、6−アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジンなど);アンドロゲン(例えばカルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトンなど);抗副腎剤(anti−adranals)(例えばアミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタンなど);葉酸補充剤(例えばフォロリン酸(frolinic acid)など);アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;エニルウラシル;アムサクリン;ベストラブシル;ビサントレン;エダトレキサート(edatraxate);デフォファミン;デモコルシン;ジアジコン;エルフォミチン;酢酸エリプチニウム;エポチロン;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシ尿素;レンチナン;ロニダミン;メイタンシノイド(例えばメイタンシン及びアンサミトシンなど);ミトグアゾン、ミトキサントロン;モピダモール;ニトラクリン;ペントスタチン;フェナメット;ピラルビシン;ロソキサントロン;ポドフィリン酸;2−エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK(登録商標);ラゾキサン;リゾキシン;シゾフラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジコン;2,2’,2’’−トリクロロトリエチルアミン;トリコテセン(特にT−2毒素、ベラクリンA、ロリジンA、及びアンギジン);ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミタブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン;アラビノシド(「Ara−C」);シクロホスファミド;チオテパ;タキソイド、例、パクリタキセル(TAXOL(登録商標)、Bristol-Myers Squibb Oncology、ニュージャージー州プリンストン)及びドキセタキセル(TAXOTERE(登録商標)、Rhone-Poulenc Rorer、フランス、アントニー);クロラムブシル;ゲムシタビン(Gemzar(商標));6−チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキサート;白金類似体(例えばシスプラチン及びカルボプラチンなど);ビンブラスチン;白金;エトポシド(VP−16);イホスファミド;ミトキサントロン;ビンクリスチン;ビノレルビン(Navelbine(商標));ノバントロン;テニポシド;エダトレキサート;ダウノマイシン;アミノプテリン;ゼローダ;イバンドロナート;CPT−11;トポイソメラーゼ阻害剤RFS 2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);レチノイド(例えばレチノイン酸など);カペシタビン;及び上記のいずれかの医薬的に許容可能な塩、酸、又は誘導体を含む。また、この定義において含むのは、腫瘍に対するホルモン作用を調節又は阻害する抗ホルモン剤、例えば抗エストロゲン及び選択的エストロゲン受容体修飾薬(SERM)などであり、例えば、タモキシフェン(Nolvadex(商標)を含む)、ラロキシフェン、ドロロキシフェン、4−ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェン、LY117018、オナプリストン、及びトレミフェン(Fareston(商標));副腎におけるエストロゲン産生を調節する、酵素アロマターゼを阻害するアロマターゼ阻害剤、例えば、4(5)−イミダゾール、アミノグルテチミド、酢酸メゲストロール(Megace(商標))、エキセメスタン、フォルメスタン、ファドロゾール、ボロゾール(Rivisor(商標))、レトロゾール(Femara(商標))、及びアナストロゾール(Arimidex(商標));及び抗アンドロゲン剤(例えばフルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、ロイプロリド、及びゴセレリンなど);及び上記のいずれかの医薬的に許容可能な塩、酸、又は誘導体を含む。これらの薬剤の任意の1つ以上を本発明のヒト化抗体に結合させて、種々の障害の処置のために有用な治療薬剤を提供してもよい。
抗体はまた、プロドラッグに結合させてもよい。「プロドラッグ」は、親薬物と比較して腫瘍細胞への細胞傷害性が低く、酵素的に活性化される、又はより活性な形態に変換されることが可能な医薬活性物質の前駆体又は誘導体の形態である。例えば、Wilman, 1986, “Prodrugs in Cancer Chemotherapy”, In Biochemical Society Transactions, 14, pp. 375-382, 615th Meeting Belfast and Stella et al., 1985, “Prodrugs: A Chemical Approach to Targeted Drug Delivery, In: ”Directed Drug Delivery, Borchardt et al., (ed.), pp. 247-267, Humana Pressを参照のこと。有用なプロドラッグは、リン酸含有プロドラッグ、チオリン酸含有プロドラッグ、硫酸含有プロドラッグ、ペプチド含有プロドラッグ、D−アミノ酸修飾プロドラッグ、グリコシル化プロドラッグ、β−ラクタム含有プロドラッグ、場合により置換されたフェノキシアセトアミド含有プロドラッグ、及び場合により置換されたフェニルアセトアミド含有プロドラッグ、5−フルオロシトシン、及びより活性な細胞傷害性のない薬物に変換することができる他の5−フルオロウリジンプロドラッグを含むが、これらに限定しない。プロドラッグ形態に誘導体化することができる細胞傷害性薬物の例は、上に記載する化学療法薬剤を含むが、これらに限定しない。
診断ならびに治療モニタリング目的のために、本発明の抗体はまた、標識、標識単独又は標識及び追加の第2薬剤(プロドラッグ、化学療法薬剤など)のいずれかに結合させてもよい。他の第2薬剤と区別される標識は、検出可能な化合物又は組成物である薬剤を指し、本発明のヒト化抗体に直接的又は間接的に結合させてもよい。標識自体が検出可能でありうる(例、放射性同位体標識又は蛍光標識)又は、酵素標識の場合では、検出可能である基質化合物又は組成物の化学的変化を触媒しうる。標識されたヒト化抗IL−36R抗体は、インビトロ及びインビボ診断を含む種々の適用において調製及び使用することができる。
本発明の抗体は、インビボでのその送達に影響を及ぼすために、リポソーム調製物の一部として処方化してもよい。「リポソーム」は、種々の型の脂質、リン脂質、及び/又は界面活性剤で構成される小さな小胞である。リポソームは、場合により1つ以上の医薬的に活性な薬剤及び/又は標識と共役させた又はそれとの併用における、化合物又は製剤(例えば本明細書中に開示するヒト化抗IL−36R抗体など)の哺乳動物への送達のために有用である。リポソームの成分は一般に、生体膜の脂質配置と同様に、二重層構造中に配置される。
本発明の特定の態様は、本発明のヒト化抗体の1つ以上のドメインをコードする単離核酸に関する。「単離」核酸分子は、それが抗体核酸の天然供給源において通常関連付けられる少なくとも1つの混入核酸分子から同定され分離された核酸分子である。単離核酸分子は、それが天然細胞中に存在するため、核酸分子から区別される。
本発明の種々の態様では、ヒト化抗体の1つ以上のドメインを組換え発現させる。そのような組換え発現には、1つ以上の制御配列、即ち、特定の宿主生物中の作動可能に連結されたコード配列の発現のために必要なポリヌクレオチド配列を用いてもよい。原核細胞における使用のために適切な制御配列には、例えば、プロモーター、オペレーター、及びリボソーム結合部位配列を含む。真核生物の制御配列は、プロモーター、ポリアデニル化シグナル、及びエンハンサーを含むが、これらに限定しない。これらの制御配列は、原核生物及び真核生物の宿主細胞におけるヒト化抗IL−36R抗体の発現及び産生のために利用することができる。
核酸配列は、別の核酸配列と機能的な関係に置かれた場合に「作動可能に連結」されている。例えば、核酸プレ配列又は分泌リーダーは、それがポリペプチドの分泌に関与するプレタンパク質として発現される場合、ポリペプチドをコードする核酸に作動可能に連結されている;プロモーター又はエンハンサーは、それが配列の転写に影響を及ぼす場合、コード配列に作動可能に連結されている;又は、リボソーム結合部位は、それが翻訳を促進するように位置付けられている場合、コード配列に作動可能に連結されている。一般的に、「作動可能に連結されている」は、連結されているDNA配列が連続的であること、及び分泌リーダーの場合では、連続的でリーディングフレーム中にあることを意味する。しかし、エンハンサーは場合により連続的である。連結は、便利な制限サイトでのライゲーションにより達成することができる。そのような部位が存在しない場合、合成オリゴヌクレオチドアダプター又はリンカーを使用することができる。
本明細書中で使用する表現「細胞」、「細胞株」、及び「細胞培養」は互換的に使用し、全てのそのような命名がその後代を含む。このように、「形質転換体」及び「形質転換細胞」は、移入の回数に関係なく、初代対象細胞及びそれから由来する培養物を含む。
処置の目的のための用語「哺乳動物」は、哺乳動物(ヒト、家畜及び農場動物、及び動物園、スポーツ、又はペットの動物(例えばイヌ、ウマ、ネコ、ウシなど)を含む)として分類される任意の動物を指す。好ましくは、哺乳動物はヒトである。
「障害」は、本明細書中で使用するように、本明細書において記載するヒト化抗IL−36R抗体を用いた処置から利益を得うる任意の状態である。これは、哺乳動物を問題の疾患に罹りやすくするような病的状態を含む慢性及び急性の障害又は疾患を含む。本明細書において処置される非限定的な例又は障害は、炎症性、血管新生、自己免疫性、及び免疫学的障害、呼吸器障害、癌、血液学的悪性腫瘍、良性及び悪性腫瘍、白血病及びリンパ性悪性腫瘍を含む。
用語「癌」及び「癌性」は、典型的には未制御の細胞成長により特徴付けられる哺乳動物の生理学的状態を指す、又は記載する。癌の例は、癌腫、リンパ腫、芽細胞腫、肉腫、及び白血病を含むが、これらに限定しない。
IL−36R関連障害は免疫系の疾患及び障害(例えば自己免疫障害及び炎症性障害など)を含む。そのような状態は、関節リウマチ(RA)、全身性エリテマトーデス(SLE)、強皮症、シェーグレン症候群、多発性硬化症、乾癬、乾癬性関節炎、炎症性腸疾患(例、潰瘍性大腸炎及びクローン病)、肺炎症、喘息、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、上皮性炎症性疾患、線維症、及び強直性脊椎炎を含むが、これらに限定しない。
用語「静脈内注入」は、約15分より長い時間、一般的には約30〜90分の間にわたる動物又はヒト患者の静脈中への薬剤の導入を指す。
用語「静脈内ボーラス」又は「静脈内プッシュ」は、身体が約15分又はそれ以下、一般的には5分又はそれ以下で薬物を受けるような、動物又はヒトの静脈中への薬物投与を指す。
用語「皮下投与」は、薬物容器からの比較的ゆっくりとした持続的送達による、動物又はヒト患者の皮膚下、好ましくは皮膚と下層組織の間のポケット内での薬剤の導入を指す。下層組織から皮膚をつまむ、又は引っ張ることによってポケットを作製してもよい。
用語「皮下注入」は、一定時間(30分又はそれ以下、あるいは90分又はそれ以下を含むが、これらに限定しない)にわたる薬物容器からの比較的ゆっくりとした持続的送達による、動物又はヒト患者の皮膚下、好ましくは皮膚と下層組織の間のポケット内での薬剤の導入を指す。場合により、注入は、動物又はヒト患者の皮膚下に埋め込まれた薬物送達ポンプの皮下移植により行ってもよく、それにおいてポンプによって、所定の時間(例えば30分、90分、又は処置レジメンの長さにわたる期間など)にわたり所定量の薬物が送達される。
用語「皮下ボーラス」は、ボーラス薬物送達が約15分未満である、動物又はヒト患者の皮膚下への薬物投与を指す;別の態様では、5分未満、さらに別の態様では60秒未満である。さらに別の態様では、投与は皮膚と下層組織の間のポケット内であり、ポケットは、下層組織から皮膚をつまむ、又は引っ張ることにより作製してもよい。
用語「治療有効量」は、処置されている障害の症状の1つ以上を緩和又は寛解する活性薬剤の量を指すために使用する。別の態様では、治療有効量は、例えば疾患進行を遅らせる際に有効であることが示されている標的血清濃度を指す。効力は、処置する状態に依存して、従来の方法において測定することができる。
用語「処置」及び「治療」などは、本明細書中で使用するように、任意の臨床的に望ましい又は有益な効果(1つ以上の症状の軽減又は緩和、退行、疾患又は障害の進行の緩徐化又は休止を含むが、これらに限定しない)に導く、疾患又は障害のための治療的ならびに予防的、又は抑制的措置を含むことを意味する。このように、例えば、用語「処置」は、疾患又は障害の症状の発症に先立つ又はそれに続く薬剤の投与を含み、それにより疾患又は障害の1つ以上の徴候を予防又は除去する。別の例として、この用語は、疾患の症状と闘うための、疾患の臨床症状発現後の薬剤の投与を含む。さらに、発症後及び臨床症状発現後の薬剤の投与が開発されており、そこでは投与は、処置が疾患の寛解に導くか否かにかかわらず、疾患又は障害の臨床パラメーター(組織損傷の程度又は転移の量もしくは程度など)に影響を及ぼし、本明細書中で使用する「処置」又は「治療」を含む。さらに、本発明の組成物が単独で又は別の治療用薬剤との併用において、ヒト化抗IL−36R抗体組成物の使用の非存在における症状と比較し、処置されている障害の少なくとも1つの症状を緩和又は寛解する限り、結果は、障害の全ての症状が緩和されるか否かにかかわらず、基礎となる障害の有効な処置とみなすべきである。
用語「添付文書」は、治療用産物の市販パッケージ中に習慣的に含まれる指示書を指すために使用し、それには、そのような治療用産物の使用に関する適応、使用法、投与、禁忌、及び/又は警告に関する情報が含まれる。
抗体
一態様では、本明細書中に記載及び開示するのは、抗IL−36R抗体、特にヒト化抗IL−36R抗体、ならびに1つ以上の抗IL−36R抗体、特に本発明の1つ以上のヒト化抗IL−36R抗体を含む組成物及び製造品である。また記載するのは、抗IL−36抗体、特にヒト化抗IL−36R抗体の抗原結合フラグメントを含む結合薬剤である。
本発明の代表的な抗体の可変領域及びCDRを以下に開示する:
抗IL−36Rマウス抗体配列
本発明の代表的なマウスリード抗体(マウスリード)の可変領域及びCDRを以下に示す:
抗IL−36Rヒト化抗体配列
ヒトフレームワーク配列を、フレームワークの相同性、CDR構造、保存された基準残基、保存された界面充填残基、及びヒト化可変領域を産生するための他のパラメーターに基づきマウスリードについて選択した(実施例5を参照のこと)。
抗体81B4及び73C5から由来する代表的なヒト化可変領域を以下に示す。
上に示す抗体81B4及び73C5から由来するヒト化可変領域のCDR配列を下に描写する。
一態様では、本発明の可変領域を定常領域に連結させる。例えば、本発明の可変領域は、下に示す定常領域に連結し、抗体の重鎖又は軽鎖を形成する。
本発明の代表的な軽鎖及び重鎖配列を以下に示す(定常領域に連結された抗体81B4及び73C5から由来するヒト化可変領域)。
上に列挙するCDRは、Cothiaナンバリングシステムを使用して定義する(Al-Lazikani et al., (1997) JMB 273, 927-948)。
一態様では、本発明の抗体は、例えば上に示すような3つの軽鎖CDR及び3つの重鎖CDRを含む。
一態様では、本発明の抗体は、上に示す軽鎖及び重鎖可変領域を含む。一態様では、本発明の軽鎖可変領域は、軽鎖定常領域、例えばカッパ又はラムダ定常領域に融合させる。一態様では、本発明の重鎖可変領域は、重鎖定常領域、例えばIgA、IgD、IgE、IgG、又はIgM、特にIgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4に融合させる。
本発明は、配列番号115のアミノ酸配列を含む軽鎖;及び配列番号125のアミノ酸配列を含む重鎖を含む抗IL−36R抗体を提供する(抗体B1)。
本発明は、配列番号115のアミノ酸配列を含む軽鎖;及び配列番号126のアミノ酸配列を含む重鎖を含む抗IL−36R抗体を提供する(抗体B2)。
本発明は、配列番号115のアミノ酸配列を含む軽鎖;及び配列番号127のアミノ酸配列を含む重鎖を含む抗IL−36R抗体を提供する(抗体B3)。
本発明は、配列番号118のアミノ酸配列を含む軽鎖;及び配列番号125のアミノ酸配列を含む重鎖を含む抗IL−36R抗体を提供する(抗体B4)。
本発明は、配列番号118のアミノ酸配列を含む軽鎖;及び配列番号126のアミノ酸配列を含む重鎖を含む抗IL−36R抗体を提供する(抗体B5)。
本発明は、配列番号118のアミノ酸配列を含む軽鎖;及び配列番号127のアミノ酸配列を含む重鎖を含む抗IL−36R抗体を提供する(抗体B6)。
本発明は、配列番号123のアミノ酸配列を含む軽鎖;及び配列番号138のアミノ酸配列を含む重鎖を含む抗IL−36R抗体を提供する(抗体C3)。
本発明は、配列番号123のアミノ酸配列を含む軽鎖;及び配列番号139のアミノ酸配列を含む重鎖を含む抗IL−36R抗体を提供する(抗体C2)。
本発明は、配列番号124のアミノ酸配列を含む軽鎖;及び配列番号138のアミノ酸配列を含む重鎖を含む抗IL−36R抗体を提供する(抗体C1)。
本発明の抗体は、種々の疾患又は障害、例えばヒトにおける免疫学的疾患、炎症性疾患、自己免疫疾患、及び呼吸器疾患の処置のための方法において有用である。例えば、本発明の抗体は、乾癬、関節リウマチ、炎症性腸疾患、又は乾癬性関節炎の処置のための方法において有用である。例えば、本発明の抗体は、慢性閉塞性肺障害(COPD)又は喘息の処置のための方法において有用である。例えば、本発明の抗体は、強皮症、掌蹠膿疱症、全身性膿疱性乾癬、糖尿病性腎症、ループス腎炎、強皮症、強直性脊椎炎、IL−36受容体アンタゴニスト欠損自己免疫疾患(DITRA)、IL−1受容体アンタゴニスト欠損自己免疫疾患(DIRA)、又はクリオピリン関連周期性症候群(CAPS)の処置のための方法において有用である。
一部の態様では、ヒト化抗体は遮断活性を呈し、それによりIL−36受容体へのIL−36リガンドの結合を少なくとも45%だけ、少なくとも50%だけ、少なくとも55%だけ、少なくとも60%だけ、少なくとも65%だけ、少なくとも70%だけ、少なくとも75%だけ、少なくとも80%だけ、少なくとも85%だけ、少なくとも90%だけ、又は少なくとも95%だけ減少させる。IL−36受容体へのIL−36リガンドの結合を遮断する抗体の能力は、当技術分野において公知の競合的結合アッセイを使用して測定することができる。あるいは、抗体の遮断活性は、IL−36受容体により媒介されるシグナル伝達が阻害されるか否かを決定するためにIL−36の生物学的効果(例えばIL−8、IL−6、及びGM−CSFの産生など)を評価することにより測定することができる。
さらなる態様では、本発明は、好ましい生物物理学的特性を有するヒト化抗IL−36R抗体を提供する。一態様では、本発明のヒト化抗IL−36R抗体は、緩衝液中で少なくとも90%の単量体形態、又は少なくとも92%の単量体形態、又は少なくとも95%の単量体形態で存在する。さらなる態様では、本発明のヒト化抗IL−36R抗体は、緩衝液中で少なくとも90%の単量体形態、又は少なくとも92%の単量体形態、又は少なくとも95%の単量体形態で1ヶ月間にわたり又は4ヶ月間にわたり残る。
一態様では、本発明のヒト化抗体は、抗体B1、抗体B2、抗体B3、抗体B4、抗体B5、抗体B6、抗体C1、抗体C2、又は抗体C3である。したがって、一実施形態では、本発明のヒト化抗体は、配列番号115の軽鎖配列及び配列番号125の重鎖配列を含む(抗体B1)。別の実施形態では、本発明のヒト化抗体は、配列番号115の軽鎖配列及び配列番号126の重鎖配列を含む(抗体B2)。別の実施形態では、本発明のヒト化抗体は、配列番号115の軽鎖配列及び配列番号127の重鎖配列を含む(抗体B3)。別の実施形態では、本発明のヒト化抗体は、配列番号118の軽鎖配列及び配列番号125の重鎖配列を含む(抗体B4)。別の実施形態では、本発明のヒト化抗体は、配列番号118の軽鎖配列及び配列番号126の重鎖配列を含む(抗体B5)。別の実施形態では、本発明のヒト化抗体は、配列番号118の軽鎖配列及び配列番号127の重鎖配列を含む(抗体B6)。別の実施形態では、本発明のヒト化抗体は、配列番号124の軽鎖配列及び配列番号138の重鎖配列を含む(抗体C1)。別の実施形態では、本発明のヒト化抗体は、配列番号123の軽鎖配列及び配列番号139の重鎖配列を含む(抗体C2)。別の実施形態では、本発明のヒト化抗体は、配列番号123の軽鎖配列及び配列番号138の重鎖配列を含む(抗体C3)。
さらなる実施形態では、本発明のヒト化抗体は、配列番号115の軽鎖配列及び配列番号125の重鎖配列からなる(抗体B1)。別の実施形態では、本発明のヒト化抗体は、配列番号115の軽鎖配列及び配列番号126の重鎖配列からなる(抗体B2)。別の実施形態では、本発明のヒト化抗体は、配列番号115の軽鎖配列及び配列番号127の重鎖配列からなる(抗体B3)。別の実施形態では、本発明のヒト化抗体は、配列番号118の軽鎖配列及び配列番号125の重鎖配列からなる(抗体B4)。別の実施形態では、本発明のヒト化抗体は、配列番号118の軽鎖配列及び配列番号126の重鎖配列からなる(抗体B5)。別の実施形態では、本発明のヒト化抗体は、配列番号118の軽鎖配列及び配列番号127の重鎖配列からなる(抗体B6)。別の実施形態では、本発明のヒト化抗体は、配列番号124の軽鎖配列及び配列番号138の重鎖配列からなる(抗体C1)。別の実施形態では、本発明のヒト化抗体は、配列番号123の軽鎖配列及び配列番号139の重鎖配列からなる(抗体C2)。別の実施形態では、本発明のヒト化抗体は、配列番号123の軽鎖配列及び配列番号138の重鎖配列からなる(抗体C3)。
一部の実施形態では、その抗原結合フラグメント(例えば重鎖及び軽鎖可変領域など)を含むヒト化抗IL−36R抗体は、抗体B1、抗体B2、抗体B3、抗体B4、抗体B5、抗体B6、抗体C1、抗体C2、又は抗体C3から由来する残基のアミノ酸配列を含む。
さらなる実施形態では、本発明は、本発明の抗体、例えば本明細書中に記載する抗体B1、抗体B2、抗体B3、抗体B4、抗体B5、抗体B6、抗体C1、抗体C2、又は抗体C3とヒトIL−36Rに競合的に結合する抗IL−36R抗体又はその抗原結合フラグメントを提供する。IL−36Rに競合的に結合する抗体又は抗原結合フラグメントの能力は、当技術分野において公知の競合的結合アッセイを使用して測定することができる。
ヒト化抗IL−36R抗体は、場合により、コンセンサス又は生殖細胞系フレームワーク領域中に特定のアミノ酸置換を含む。これらのフレームワーク位置におけるアミノ酸残基の特定の置換は、抗体性能(結合親和性及び/又は安定性を含む)の種々の態様を、ヒト生殖細胞系フレームワーク領域中へのCDR又はHVLの「直接的スワップ」により形成されるヒト化抗体において実証されるものを上回り改善することができる。
一部の実施形態では、本発明は、配列番号1〜10のいずれか1つに示すアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域を伴う他のモノクローナル抗体を記載する。一部の実施形態では、本発明は、配列番号11〜20のいずれか1つに示すアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を伴う他のモノクローナル抗体を記載する。そのようなCDRをヒトコンセンサス重鎖及び軽鎖可変ドメインのFR中に配置することによって、本発明の有用なヒト化抗体がもたらされるであろう。
特に、本発明は、配列番号1/11、2/12、3/13、4/14、5/15、6/16、7/17、8/18、9/19、10/20の軽鎖可変領域及び重鎖可変領域の併用を伴うモノクローナル抗体を提供する。そのような可変領域は、ヒト定常領域と併用することができる。
一部の実施形態では、本発明は、配列番号76〜86のいずれか1つに示すアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域配列を伴う他のヒト化抗体を記載する。一部の実施形態では、本発明は、配列番号87〜101のいずれか1つに示すアミノ酸配列を有する重鎖可変領域配列を伴う他のヒト化抗体を記載する。特に、本発明は、配列番号77/89、80/88、80/89、77/87、77/88、80/87、86/100、85/101、85/100の軽鎖可変領域及び重鎖可変領域の併用を伴うモノクローナル抗体を提供する。そのような可変領域は、ヒト定常領域と併用することができる。
さらなる実施形態では、本発明は、配列番号77のCDRを含むヒト化軽鎖可変ドメイン及び配列番号77の可変ドメイン軽鎖アミノ酸配列のフレームワーク領域のアミノ酸配列と少なくとも90%同一である、少なくとも93%同一である、又は少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を有するフレームワーク領域ならびに配列番号89のCDRを含むヒト化重鎖可変ドメイン及び配列番号89の可変ドメイン重鎖アミノ酸配列のフレームワーク領域のアミノ酸配列と少なくとも90%同一である、少なくとも93%同一である、又は少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を有するフレームワーク領域を含む抗IL−36R抗体又はその抗原結合フラグメントに関する。一実施形態では、抗IL−36R抗体はヒト化モノクローナル抗体である。
さらなる実施形態では、本発明は、配列番号80のCDRを含むヒト化軽鎖可変ドメイン及び配列番号80の可変ドメイン軽鎖アミノ酸配列のフレームワーク領域のアミノ酸配列と少なくとも90%同一である、少なくとも93%同一である、又は少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を有するフレームワーク領域ならびに配列番号88のCDRを含むヒト化重鎖可変ドメイン及び配列番号88の可変ドメイン重鎖アミノ酸配列のフレームワーク領域のアミノ酸配列と少なくとも90%同一である、少なくとも93%同一である、又は少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を有するフレームワーク領域を含む抗IL−36R抗体又はその抗原結合フラグメントに関する。一実施形態では、抗IL−36R抗体はヒト化モノクローナル抗体である。
さらなる実施形態では、本発明は、配列番号80のCDRを含むヒト化軽鎖可変ドメイン及び配列番号80の可変ドメイン軽鎖アミノ酸配列のフレームワーク領域のアミノ酸配列と少なくとも90%同一である、少なくとも93%同一である、又は少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を有するフレームワーク領域ならびに配列番号89のCDRを含むヒト化重鎖可変ドメイン及び配列番号89の可変ドメイン重鎖アミノ酸配列のフレームワーク領域のアミノ酸配列と少なくとも90%同一である、少なくとも93%同一である、又は少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を有するフレームワーク領域を含む抗IL−36R抗体又はその抗原結合フラグメントに関する。一実施形態では、抗IL−36R抗体はヒト化モノクローナル抗体である。
さらなる実施形態では、本発明は、配列番号77のCDRを含むヒト化軽鎖可変ドメイン及び配列番号77の可変ドメイン軽鎖アミノ酸配列のフレームワーク領域のアミノ酸配列と少なくとも90%同一である、少なくとも93%同一である、又は少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を有するフレームワーク領域ならびに配列番号87のCDRを含むヒト化重鎖可変ドメイン及び配列番号87の可変ドメイン重鎖アミノ酸配列のフレームワーク領域のアミノ酸配列と少なくとも90%同一である、少なくとも93%同一である、又は少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を有するフレームワーク領域を含む抗IL−36R抗体又はその抗原結合フラグメントに関する。一実施形態では、抗IL−36R抗体はヒト化モノクローナル抗体である。
さらなる実施形態では、本発明は、配列番号77のCDRを含むヒト化軽鎖可変ドメイン及び配列番号77の可変ドメイン軽鎖アミノ酸配列のフレームワーク領域のアミノ酸配列と少なくとも90%同一である、少なくとも93%同一である、又は少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を有するフレームワーク領域ならびに配列番号88のCDRを含むヒト化重鎖可変ドメイン及び配列番号88の可変ドメイン重鎖アミノ酸配列のフレームワーク領域のアミノ酸配列と少なくとも90%同一である、少なくとも93%同一である、又は少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を有するフレームワーク領域を含む抗IL−36R抗体又はその抗原結合フラグメントに関する。一実施形態では、抗IL−36R抗体はヒト化モノクローナル抗体である。
さらなる実施形態では、本発明は、配列番号80のCDRを含むヒト化軽鎖可変ドメイン及び配列番号80の可変ドメイン軽鎖アミノ酸配列のフレームワーク領域のアミノ酸配列と少なくとも90%同一である、少なくとも93%同一である、又は少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を有するフレームワーク領域ならびに配列番号87のCDRを含むヒト化重鎖可変ドメイン及び配列番号87の可変ドメイン重鎖アミノ酸配列のフレームワーク領域のアミノ酸配列と少なくとも90%同一である、少なくとも93%同一である、又は少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を有するフレームワーク領域を含む抗IL−36R抗体又はその抗原結合フラグメントに関する。一実施形態では、抗IL−36R抗体はヒト化モノクローナル抗体である。
さらなる実施形態では、本発明は、配列番号86のCDRを含むヒト化軽鎖可変ドメイン及び配列番号86の可変ドメイン軽鎖アミノ酸配列のフレームワーク領域のアミノ酸配列と少なくとも90%同一である、少なくとも93%同一である、又は少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を有するフレームワーク領域ならびに配列番号100のCDRを含むヒト化重鎖可変ドメイン及び配列番号100の可変ドメイン重鎖アミノ酸配列のフレームワーク領域のアミノ酸配列と少なくとも90%同一である、少なくとも93%同一である、又は少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を有するフレームワーク領域を含む抗IL−36R抗体又はその抗原結合フラグメントに関する。一実施形態では、抗IL−36R抗体はヒト化モノクローナル抗体である。
さらなる実施形態では、本発明は、配列番号85のCDRを含むヒト化軽鎖可変ドメイン及び配列番号85の可変ドメイン軽鎖アミノ酸配列のフレームワーク領域のアミノ酸配列と少なくとも90%同一である、少なくとも93%同一である、又は少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を有するフレームワーク領域ならびに配列番号101のCDRを含むヒト化重鎖可変ドメイン及び配列番号101の可変ドメイン重鎖アミノ酸配列のフレームワーク領域のアミノ酸配列と少なくとも90%同一である、少なくとも93%同一である、又は少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を有するフレームワーク領域を含む抗IL−36R抗体又はその抗原結合フラグメントに関する。一実施形態では、抗IL−36R抗体はヒト化モノクローナル抗体である。
さらなる実施形態では、本発明は、配列番号85のCDRを含むヒト化軽鎖可変ドメイン及び配列番号85の可変ドメイン軽鎖アミノ酸配列のフレームワーク領域のアミノ酸配列と少なくとも90%同一である、少なくとも93%同一である、又は少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を有するフレームワーク領域ならびに配列番号100のCDRを含むヒト化重鎖可変ドメイン及び配列番号100の可変ドメイン重鎖アミノ酸配列のフレームワーク領域のアミノ酸配列と少なくとも90%同一である、少なくとも93%同一である、又は少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を有するフレームワーク領域を含む抗IL−36R抗体又はその抗原結合フラグメントに関する。一実施形態では、抗IL−36R抗体はヒト化モノクローナル抗体である。
一部の特定の実施形態では、本明細書中に開示するヒト化抗IL−36R抗体は、本明細書中に開示するマウスモノクローナル抗体又はヒト化抗体のCDR又はHVL及びヒト生殖細胞系重鎖及び軽鎖可変ドメインのFRを含む重鎖又は軽鎖可変ドメインを少なくとも含む。
さらなる一態様では、本発明は、配列番号21〜29のいずれか1つの軽鎖CDR1(L−CDR1)配列;配列番号30〜38のいずれか1つの軽鎖CDR2(L−CDR2)配列;配列番号39〜47のいずれか1つの軽鎖CDR3(L−CDR3)配列;配列番号48〜56のいずれか1つの重鎖CDR1(H−CDR1)配列;配列番号57〜66のいずれか1つの重鎖CDR2(H−CDR2)配列;及び配列番号67〜75のいずれか1つの重鎖CDR3(H−CDR3)配列を含む抗IL−36R抗体又はその抗原結合フラグメントを提供する。一態様では、抗IL−36R抗体又はその抗原結合フラグメントは、上に列挙するL−CDR1、上に列挙するL−CDR2、及び上に列挙するL−CDR3を含む軽鎖可変領域、ならびに上に列挙するH−CDR1、上に列挙するH−CDR2、及び上に列挙するH−CDR3を含む重鎖可変領域を含む。
さらなる態様では、本発明は、以下を含む抗IL−36R抗体又はその抗原結合フラグメントを提供する:
a)それぞれ配列番号21、30、39、48、57、及び67のL−CDR1、L−CDR2、L−CDR3、H−CDR1、H−CDR2、及びH−CDR3配列;又は
b)それぞれ配列番号22、31、40、49、58、及び68のL−CDR1、L−CDR2、L−CDR3、H−CDR1、H−CDR2、及びH−CDR3配列;又は
c)それぞれ配列番号23、32、41、50、59、及び69のL−CDR1、L−CDR2、L−CDR3、H−CDR1、H−CDR2、及びH−CDR3配列;又は
d)それぞれ配列番号24、33、42、51、60、及び70のL−CDR1、L−CDR2、L−CDR3、H−CDR1、H−CDR2、及びH−CDR3配列;又は
e)それぞれ配列番号25、34、43、52、61、及び71のL−CDR1、L−CDR2、L−CDR3、H−CDR1、H−CDR2、及びH−CDR3配列;又は
f)それぞれ配列番号26、35、44、53、62、及び72のL−CDR1、L−CDR2、L−CDR3、H−CDR1、H−CDR2、及びH−CDR3配列;又は
g)それぞれ配列番号27、36、45、54、63、及び73のL−CDR1、L−CDR2、L−CDR3、H−CDR1、H−CDR2、及びH−CDR3配列;又は
h)それぞれ配列番号27、36、45、54、64、及び74のL−CDR1、L−CDR2、L−CDR3、H−CDR1、H−CDR2、及びH−CDR3配列;又は
i)それぞれ配列番号27、36、45、54、64、及び73のL−CDR1、L−CDR2、L−CDR3、H−CDR1、H−CDR2、及びH−CDR3配列;又は
j)それぞれ配列番号28、37、46、55、65、及び74のL−CDR1、L−CDR2、L−CDR3、H−CDR1、H−CDR2、及びH−CDR3配列;又は
k)それぞれ配列番号29、38、47、56、66、及び75のL−CDR1、L−CDR2、L−CDR3、H−CDR1、H−CDR2、及びH−CDR3配列。
さらなる態様では、本発明は、以下を含む抗IL−36R抗体又はその抗原結合フラグメントを提供する:
a)それぞれ配列番号26、103、44、53、62、及び72のL−CDR1、L−CDR2、L−CDR3、H−CDR1、H−CDR2、及びH−CDR3配列;又は
b)それぞれ配列番号26、104、44、53、62、及び72のL−CDR1、L−CDR2、L−CDR3、H−CDR1、H−CDR2、及びH−CDR3配列;又は
c)それぞれ配列番号27、36、45、107、63、及び73のL−CDR1、L−CDR2、L−CDR3、H−CDR1、H−CDR2、及びH−CDR3配列;又は
d)配列番号27、36、45、107、64、又は73のL−CDR1、L−CDR2、L−CDR3、H−CDR1、H−CDR2、及びH−CDR3配列。
一態様では、抗IL−36R抗体又はその抗原結合フラグメントは、上に列挙するL−CDR1、L−CDR2、及びL−CDR3の併用を含む軽鎖可変領域、ならびに上に列挙するH−CDR1、H−CDR2、及びH−CDR3の併用を含む重鎖可変領域を含む。
特定の実施形態では、これらの例示的な免疫グロブリンの間の切り換えられたCDR領域(即ち、例えば、マウス抗体又はそれから由来するヒト化抗体の1つの1つ又は2つのCDRを、別のマウス抗体又はそれから由来するヒト化抗体からの類似のCDRで切り換える)を伴うキメラ抗体によって有用な抗体がもたらされうることが期待される。
特定の実施形態では、ヒト化抗IL−36R抗体は抗体フラグメントである。種々の抗体フラグメントが上で一般的に考察されており、抗体フラグメントの産生のために開発された技術がある。フラグメントは、インタクトな抗体のタンパク質分解消化を介して由来することができる(例、Morimoto et al., 1992, Journal of Biochemical and Biophysical Methods 24:107-117;及びBrennan et al., 1985, Science 229:81を参照のこと)。あるいは、フラグメントは、組換え宿主細胞中で直接的に産生されうる。例えば、Fab’−SHフラグメントを大腸菌から直接的に回収し、化学的に共役してF(ab’)2フラグメントを形成することができる(例、Carter et al., 1992, Bio/Technology 10:163-167を参照のこと)。別のアプローチにより、F(ab’)2フラグメントを組換え宿主細胞培養から直接的に単離することができる。抗体フラグメントの産生のための他の技術は、当業者には明らかであろう。したがって、一態様では、本発明は、本明細書中に記載するCDR、特に本明細書中に記載するL−CDR1、L−CDR2、L−CDR3、H−CDR1、H−CDR2、及びH−CDR3の併用の1つを含む抗体フラグメントを提供する。さらなる態様では、本発明は、本明細書中に記載する可変領域、例えば本明細書中に記載する軽鎖可変領域及び重鎖可変領域の併用の1つを含む抗体フラグメントを提供する。
特定の実施形態は、配列番号125、126、又は127の重鎖配列との併用において配列番号115又は118のいずれかの軽鎖配列を含むヒト化抗IL−36R抗体のF(ab’)2フラグメントを含む。そのような実施形態は、そのようなF(ab’)2を含むインタクトな抗体を含むことができる。
特定の実施形態は、配列番号138又は139の重鎖配列との併用において配列番号123又は124のいずれかの軽鎖配列を含むヒト化抗IL−36R抗体のF(ab’)2フラグメントを含む。そのような実施形態は、そのようなF(ab’)2を含むインタクトな抗体を含むことができる。
一部の実施形態では、抗体又は抗体フラグメントは、エフェクター機能を媒介する定常領域を含む。定常領域は、IL−36R発現標的細胞に対する抗体依存性細胞傷害(ADCC)、抗体依存性細胞貪食(ADCP)、及び/又は補体依存性細胞傷害(CDC)応答を提供する。エフェクタードメインは、例えば、Ig分子のFc領域でありうる。
抗体のエフェクタードメインは、任意の適切な脊椎動物種及びアイソタイプからでありうる。異なる動物種のアイソタイプは、エフェクター機能を媒介する能力において異なる。例えば、CDC及びADCC/ADCPを媒介するヒト免疫グロブリンの能力は、一般的にそれぞれIgM≒IgG1≒IgG3>IgG2>IgG4及びIgG1≒IgG3>IgG2/IgM/IgG4の順番にある。マウス免疫グロブリンは、一般的にそれぞれマウスIgM≒IgG3>>IgG2b>IgG2a>>IgG1及びIgG2b>IgG2a>IgG1>>IgG3の順番においてCDC及びADCC/ADCPを媒介する。別の例では、マウスIgG2aがADCCを媒介し、マウスIgG2a及びIgMの両方がCDCを媒介する。
抗体改変
ヒト化抗IL−36R抗体及び薬剤は、ヒト化抗IL−36R抗体又はその抗原結合フラグメントの改変を含むことができる。例えば、癌を処置する際での抗体の有効性を増強するために、エフェクター機能に関して抗体を改変することが望ましいであろう。1つのそのような改変は、Fc領域中へのシステイン残基の導入であり、それによりこの領域中での鎖間ジスルフィド結合形成が可能になる。このようにして生成されたホモ二量体抗体は、改善された内在化能力及び/又は増加した補体媒介性細胞死滅及び/又は抗体依存性細胞傷害(ADCC)を有しうる。例えば、Caron et al., 1992, J. Exp Med. 176:1191-1195;及びShopes, 1992, J. Immunol. 148:2918-2922を参照のこと。増強した抗腫瘍活性を有するホモ二量体抗体を、Wolff et al., 1993, Cancer Research 53: 2560-2565に記載されているようなヘテロ二機能性架橋剤を使用して調製することもできる。あるいは、抗体は、二重Fc領域を含むように操作することができ、抗体の補体溶解及びADCC能力を増強する。Stevenson et al., 1989, Anti-Cancer Drug Design 3: 219-230を参照のこと。
ADCCを支持する改善した能力を伴う抗体は、Fc領域のグリコシル化パターンを修飾することにより生成されてきた。これは、CH2ドメイン中のアスパラギン残基N297での抗体グリコシル化が、ADCCの前提条件であるIgG受容体とFcγ受容体の相互作用において含まれるため可能である。宿主細胞株は、変化したグリコシル化(例えばN−アセチルグルコサミンの二分枝の増加又はフコースの低下など)を伴う抗体を発現するように操作されてきた。フコースの低下によって、二分枝N−アセチルグルコサミンの存在を増加させるよりも、ADCC活性により大きな増強が提供される。さらに、低フコース抗体によるADCCの増強は、FcγRIIIaV/F多型に非依存的である。
抗体のFc領域のアミノ酸配列を改変することは、ADCCを強化するためのグリコシル化操作の代替法である。Fcγ受容体についてのヒトIgG1上の結合部位は、広範な変異分析により決定されている。これによって、FcγRIIIaについての結合親和性を増加させ、インビトロでADCCを増強するFc変異を伴うヒト化IgG1抗体の生成に導かれた。加えて、結合特性の多くの異なる順列、例えば、他のFcγR受容体への未変化又は減弱した結合を伴う特定のFcγR受容体への結合の改善を伴うFc変異体が得られた。
別の態様は、細胞傷害性薬剤、例えば化学療法剤、毒素(例、細菌、真菌、植物、もしくは動物起源の酵素的に活性な毒素、又はそのフラグメント)など、又は放射性同位体(即ち、放射性複合体)に結合したヒト化抗体又はそのフラグメントを含む免疫複合体を含む。
そのような免疫複合体の生成において有用な化学療法剤が上に記載されている。有用な免疫複合体を形成するために使用することができる酵素活性毒素及びそのフラグメントは、ジフテリアA鎖、ジフテリア毒素の非結合活性フラグメント、外毒素A鎖(緑膿菌由来)、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデシンA鎖、アルファサルシン、シナアブラギリ(Aleurites fordii)タンパク質、ジアンチン(dianthin)タンパク質、ヨウシュヤマゴボウ(Phytolaca americana)タンパク質(PAPI、PAPII、及びPAP−S)、ツルレイシ(Momordica charantia)阻害剤、クルシン、クロチン、サボンソウ(Sapaonaria officinalis)阻害剤、ゲロニン、ミトゲリン、レストリクトシン、フェノマイシン、エノマイシン、トリコテセンなどを含む。多様な放射性核種が放射性複合体ヒト化抗IL−36R抗体の産生のために利用可能である。例は、212Bi、131I、131In、90Y、及び186Reを含む。
ヒト化抗IL−36R抗体及び細胞傷害剤又は化学療法剤の複合体は、多様な二機能性タンパク質カップリング剤、例えばN−スクシンイミジル−3−(2−ピリジルジチオール)プロピオネート(SPDP)、イミノチオラン(IT)、イミドエステルの二機能性誘導体(例えばジメチルアジピミデートHCLなど)、活性エステル(例えばジスクシンイミジルスベレートなど)、アルデヒド(例えばグルタルアルデヒド(glutareldehyde)など)、ビス−アジド化合物(例えばビス(p−アジドベンゾイル)ヘキサンジアミンなど)、ビス−ジアゾニウム誘導体(例えばビス−(p−ジアゾニウムベンゾイル)−エチレンジアミンなど)、ジイソシアネート(例えばトルエン2,6−ジイソシアネートなど)、及びビス活性フッ素化合物(例えば1,5−ジフルオロ−2,4−ジニトロベンゼンなど)などを使用し、公知の方法により作製することができる。例えば、リシン免疫毒素は、Vitetta et al., 1987, Science 238:1098に記載されているように調製することができる。炭素−14標識1−イソチオシアナトベンジル−3−メチルジエチレントリアミン五酢酸(MX−DTPA)は、抗体への放射性ヌクレオチドの結合のための例示的なキレート剤である。複合体はまた、切断可能なリンカーを用いて形成することもできる。
本明細書中に開示するヒト化抗IL−36R抗体はまた、免疫リポソームとして製剤化することもできる。抗体を含むリポソームは、当技術分野において公知の、例えばEpstein et al., 1985, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82:3688;Hwang et al., 1980, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77:4030;ならびに米国特許第4,485,045号及び第4,544,545号において記載される方法により調製する。増強された循環時間を伴うリポソームは、例えば、米国特許第5,013,556号に開示されている。
特に有用なリポソームは、ホスファチジルコリン、コレステロール、及びPEG誘導体化ホスファチジルエタノールアミン(PEG−PE)を含む脂質組成物を用いた逆相蒸発方法により生成することができる。リポソームは、定義された孔径のフィルターを通して押し出され、所望の直径を伴うリポソームをもたらす。本明細書中に開示する抗体のFab’フラグメントは、Martin et al., 1982, J. Biol. Chem. 257:286-2888に記載されているように、ジスルフィド交換反応を介してリポソームに結合させることができる。化学療法剤(例えばドキソルビシンなど)は、場合により、リポソーム内に含まれる。例えば、Gabizon et al., 1989, J. National Cancer Inst. 81(19):1484を参照のこと。
本明細書中に記載及び開示する抗体はまた、プロドラッグ(例、ペプチジル化学療法剤)を活性な抗癌薬物に変換するプロドラッグ活性化酵素に抗体を結合させることにより、ADEPT(抗体指向酵素プロドラッグ治療)手順において使用することもできる。例えば、WO81/01145、WO88/07378、及び米国特許第4,975,278号を参照のこと。ADEPTのために有用な免疫複合体の酵素成分は、プロドラッグをそのより活性な細胞毒性形態に変換するような方法においてプロドラッグに作用することが可能な酵素である。ADEPTにおいて有用である特定の酵素は、リン酸含有プロドラッグを遊離薬物に変換するためのアルカリホスファターゼ;硫酸含有プロドラッグを遊離薬物に変換するためのアリールスルファターゼ;非毒性5−フルオロシトシンを抗癌薬物5−フルオロウラシルに変換するためのシトシンデアミナーゼ;ペプチド含有プロドラッグを遊離薬物に変換するためのプロテアーゼ、例えばセラチアプロテアーゼ、サーモリシン、スブチリシン、カルボキシペプチダーゼ、及びカテプシン(例えばカテプシンB及びLなど)など;D−アミノ酸置換基を含むプロドラッグを変換するためのD−アラニルカルボキシペプチダーゼ;グリコシル化プロドラッグを遊離薬物に変換するための糖切断酵素(例えばβ−ガラクトシダーゼ及びノイラミニダーゼなど);β−ラクタムで誘導体化された薬物を遊離薬物に変換するためのβ−ラクタマーゼ;及びフェノキシアセチル基又はフェニルアセチル基をそれぞれ伴うそれらのアミン窒素で誘導体化された薬物を遊離薬物に変換するためのペニシリンアミダーゼ(例えばペニシリンVアミダーゼ又はペニシリンGアミダーゼなど)を含むが、これらに限定しない。あるいは、酵素活性を有する抗体(「アブザイム」)を使用し、プロドラッグを遊離活性薬物に変換することができる(例えば、Massey, 1987, Nature 328: 457-458を参照のこと)。抗体−アブザイム複合体は、例えば、酵素を、上で考察するヒト化抗IL−36R抗体/ヘテロ二機能性架橋試薬に共有結合的に結合させることにより、腫瘍細胞集団へのアブザイムの送達のために既知の方法により調製することができる。あるいは、上で考察するように、少なくとも酵素の機能的に活性な部分に連結された本明細書中に開示する抗体の抗原結合領域を少なくとも含む融合タンパク質は、組換えDNA技術を使用して構築することができる(例えば、Neuberger et al., 1984, Nature 312:604-608を参照のこと)。
特定の実施形態では、例えば、組織浸透を増加させるために、インタクトな抗体ではなく、ヒト化抗IL−36R抗体フラグメントを使用することが望ましいことがある。血清半減期を増加させるために、抗体フラグメントを改変することが望ましいことがある。これは、例えば、抗体フラグメント中へのサルベージ受容体結合エピトープの組み入れにより達成することができる。1つの方法では、抗体フラグメントの適当な領域を変更(例、変異)させることができる、又はエピトープをペプチドタグ中に組み入れることができ、次に、例えば、DNA又はペプチド合成によりいずれかの末端又は中央で抗体フラグメントに融合させる。例えば、WO96/32478を参照のこと。
他の実施形態では、ヒト化抗IL−36R抗体の共有結合的な修飾も含む。共有結合的な修飾は、システイニル残基、ヒスチジル残基、リジニル残基及びアミノ末端残基、アルギニル残基、チロシル残基、カルボキシル側基(アスパルチル又はグルタミル)、グルタミニル残基及びアスパラギニル残基、又はセリル残基もしくはトレオニル残基の修飾を含む。別の型の共有結合的な修飾は、グリコシドを抗体に化学的又は酵素的に共役することを含む。そのような修飾は、適当な場合、化学合成により、又は抗体の酵素的もしくは化学的切断により作製しうる。抗体の他の型の共有結合的な修飾を、抗体の標的アミノ酸残基を、選択された側鎖又はアミノ末端残基もしくはカルボキシ末端残基と反応することが可能である有機誘導体化剤と反応させることにより分子中に導入することができる。
抗体上に存在する糖部分の除去は、化学的又は酵素的に達成することができる。化学的脱グリコシル化は、Hakimuddin et al., 1987, Arch. Biochem. Biophys. 259:52により、及びEdge et al., 1981, Anal. Biochem., 118:131により記載されている。抗体上の糖部分の酵素的切断は、Thotakura et al., 1987, Meth. Enzymol 138:350により記載されているように、多様なエンドグリコシダーゼ及びエキソグリコシダーゼの使用により達成することができる。
別の型の有用な共有結合的な修飾は、米国特許第4,640,835号、米国特許第4,496,689号、米国特許第4,301,144号、米国特許第4,670,417号、米国特許第4,791,192号、及び米国特許第4,179,337号の1つ以上において示す様式において、抗体を多様な非タンパク質性ポリマー(例、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、又はポリオキシアルキレン)の1つに連結することを含む。
ヒト化及びアミノ酸配列変異体
抗IL−36R抗体のアミノ酸配列変異体は、適当なヌクレオチド変化を抗IL−36R抗体DNA中に導入することにより、又はペプチド合成により調製することができる。そのような変異体は、例えば、本明細書中の実施例の抗IL−36R抗体のアミノ酸配列内の残基からの欠失、及び/又はその中への挿入、及び/又はその置換を含む。欠失、挿入、及び置換の任意の組み合わせを行い、最終的な構築物が所望の特徴を持つとの条件で、最終的な構築物に到達する。アミノ酸の変化はまた、ヒト化又は変異型抗IL−36R抗体の翻訳後プロセスを変更させうる(例えばグリコシル化部位の数又は位置の変化など)。
変異誘発のための好ましい位置である抗IL−36R抗体の特定の残基又は領域の同定のための有用な方法は、「アラニンスキャニング突然変異誘発」と呼ばれ、Cunningham and Wells(Science、244:1081-1085(1989))に記載されている通りである。ここでは、残基又は標的残基のグループが同定され(例、荷電残基、例えばarg、asp、his、lys、及びgluなど)、中性又は負に荷電したアミノ酸(典型的にはアラニン)により置き換え、アミノ酸とIL−36R抗原との相互作用に影響を及ぼす。置換への機能的感受性を実証するこれらのアミノ酸位置は、置換の部位で、又は置換部位についてさらなる又は他の変異体を導入することにより洗練する。このように、アミノ酸配列変異を導入するための部位は事前に決定されているが、変異自体の性質は事前に決定される必要はない。例えば、所与の部位での変異の性能を分析するために、アラニンスキャニング又はランダム変異誘発を標的コドン又は領域で行い、発現された抗IL−36R抗体変異体を所望の活性についてスクリーニングする。
アミノ酸配列の挿入は、1残基から100又はそれ以上の残基を含むポリペプチドまでの長さの範囲のアミノ及び/又はカルボキシル末端融合、ならびに単一又は複数のアミノ酸残基の配列内挿入を含む。末端挿入の例は、エピトープタグに融合された抗IL−36R抗体を含む。抗IL−36R抗体分子の他の挿入変異体は、抗体の血清半減期を増加させる酵素又はポリペプチドの抗IL−36R抗体のN又はC末端への融合を含む。
別の型の変異体はアミノ酸置換変異体である。これらの変異体は、抗IL−36R抗体分子中の少なくとも1つのアミノ酸残基が除去され、その場所に異なる残基が挿入されている。置換変異誘発のために最も目的となる部位は、超可変領域を含むが、FR変化も熟慮する。保存的置換を表5において「好ましい置換」の見出しの下に示す。そのような置換が生物学的活性において変化をもたらす場合、次により実質的な変化(「例示的置換」と命名する、又はアミノ酸クラスを参照して以下にさらに記載する)を導入し、産物をスクリーニングしてもよい。
タンパク質化学では、抗体の生物学的特性は、(a)置換の領域におけるポリペプチド骨格の構造(例えば、シート又はらせん構造)、(b)標的部位での分子の電荷もしくは疎水性、又は(c)側鎖の大部分の維持に対するそれらの効果において有意に異なる置換を選択することにより達成することができることが一般的に受け入れられている。天然に生じる残基は、一般の側鎖特性に基づいてグループに分けられる:
(1)疎水性:ノルロイシン、met、ala、val、leu、ile;
(2)中性親水性:cys、ser、thr;
(3)酸性:asp、glu;
(4)塩基性:asn、gin、his、lys、arg;
(5)鎖の方向に影響を及ぼす残基:gly、pro;及び
(6)芳香族:trp、tyr、phe。
非保守的な置換は、これらのクラスの1つのメンバーを別のクラスについて交換することを伴う。
ヒト化又は変異体抗IL−36R抗体の適切なコンフォメーションを維持することに含まれるシステイン残基も一般的にセリンで置換し、分子の酸化安定性を改善し、異常な架橋を防止し、確立された結合点を細胞傷害性又は細胞増殖抑制性化合物に提供する。逆に、システイン結合を抗体に加えて、安定性を改善することができる(特に抗体が抗体フラグメント、例えばFvフラグメントなどである場合)。
置換変異体の型は、親抗体(例、ヒト化抗体又はヒト抗体)の1つ以上の超可変領域残基を置換することを含む。一般的に、さらなる開発のために選択された、結果として得られる変異体は、それらが生成される親抗体と比べて改善された生物学的特性を有する。そのような置換変異体を生成するための便利な方法は、ファージディスプレイを使用した親和性成熟である。簡単には、いくつかの超可変領域部位(例、6〜7部位)が変異されて、各々の部位で全ての可能なアミノ置換が生成される。このように生成された抗体変異体は、各々の粒子内にパッケージされたM13の遺伝子III産物への融合物として糸状ファージ粒子から一価の様式で呈示される。ファージディスプレイされた変異体を次に、それらの生物学的活性(例、結合親和性)についてスクリーニングする。改変のための候補超可変領域部位を同定するために、アラニンスキャニング変異誘発を実施し、抗原結合に有意に寄与する超可変領域残基を同定することができる。あるいは、又はまた、抗原−抗体複合体の結晶構造を分析し、抗体とヒトIL−36Rの間の接触点を同定することが有益でありうる。そのような接触残基及び隣接残基は、本明細書中で詳述する技術に従った置換のための候補である。一度そのような変異体が生成されると、変異体のパネルは本明細書中に記載するようにスクリーニングに供し、1つ以上の関連アッセイにおいて優れた特性を伴う抗体をさらなる開発のために選択しうる。
抗体の別の型のアミノ酸変異体によって、抗体の本来のグリコシル化パターンが変更される。「変更」により、抗体中に見出される1つ以上の糖部分を欠失させること、及び/又は抗体中に存在しない1つ以上のグリコシル化部位を加えることを意味する。
一部の実施形態では、グリコシル化部位を加えるために本発明の抗体を修飾することが望ましいであろう。抗体のグリコシル化は典型的には、N連結又はO連結のいずれかである。N連結は、アスパラギン残基の側鎖への糖部分の付着を指す。トリペプチド配列アスパラギン−X−セリン及びアスパラギン−X−スレオニン(ここでXはプロリンを除く任意のアミノ酸である)は、アスパラギン側鎖への糖部分の酵素的付着のための認識配列である。このように、ポリペプチド中でのこれらのトリペプチド配列のいずれかの存在によって、潜在的なグリコシル化部位が作製される。O連結グリコシル化は、N−アセチルガラクトサミン、ガラクトース、キシロースの糖の1つの、ヒドロキシアミノ酸、最も一般にはセリン又はスレオニンへの付着を指すが、5−ヒドロキシプロリン又は5−ヒドロキシリジンを使用してもよい。このように、所与のタンパク質(例、抗体)をグリコシル化するために、タンパク質のアミノ酸配列を、上に記載するトリペプチド配列の1つ以上を含むように操作する(N連結グリコシル化部位について)。変化はまた、本来の抗体の配列への1つ以上のセリン又はスレオニン残基の付加、又はそれによる置換により作製してもよい(O連結グリコシル化部位について)。
抗IL−36R抗体のアミノ酸配列変異体をコードする核酸分子は、当技術分野において公知である多様な方法により調製される。これらの方法は、天然供給源からの単離(天然に生じるアミノ酸配列変異体の場合において)又はオリゴヌクレオチド媒介性(又は部位特異的)変異誘発、PCR変異誘発、及び抗IL−36R抗体の以前に調製された変異体又は非変異体バージョンのカセット変異誘発による調製を含むが、これらに限定しない。
ポリヌクレオチド、ベクター、宿主細胞、及び組換え方法
他の実施形態は、ヒト化抗IL−36R抗体をコードする配列を含む単離ポリヌクレオチド、ベクター、及びポリヌクレオチドを含む宿主細胞、ならびにヒト化抗体の産生のための組換え技術を包含する。単離ポリヌクレオチドは、抗IL−36R抗体の任意の所望の形態(例えば、全長モノクローナル抗体、Fab、Fab’、F(ab’)2、及びFvフラグメント、ダイアボディ、線形抗体、単鎖抗体分子、ならびに抗体フラグメントから形成された多特異性抗体を含む)をコードすることができる。
一部の実施形態は、配列番号:配列番号:1〜10のいずれかのアミノ酸配列を有する抗体又は抗体フラグメントの軽鎖可変領域をコードする配列を含む単離ポリヌクレオチドを含む。一部の実施形態は、配列番号11〜20のアミノ酸配列を有する抗体又は抗体フラグメントの重鎖可変領域をコードする配列を含む単離ポリヌクレオチドを含む。
一部の実施形態は、配列番号76〜86のいずれかのアミノ酸配列を有する抗体又は抗体フラグメントの軽鎖可変領域をコードする配列を含む単離ポリヌクレオチドを含む。一部の実施形態は、配列番号87〜101のアミノ酸配列を有する抗体又は抗体フラグメントの重鎖可変領域をコードする配列を含む単離ポリヌクレオチドを含む。
一部の実施形態は、配列番号114〜124のいずれかのアミノ酸配列を有する抗体の軽鎖をコードする配列を含む単離ポリヌクレオチドを含む。一部の実施形態は、配列番号125〜139のアミノ酸配列を有する抗体の重鎖をコードする配列を含む単離ポリヌクレオチドを含む。
一態様では、単離ポリヌクレオチド配列は、それぞれ配列番号115及び配列番号127;それぞれ配列番号118及び配列番号126;それぞれ配列番号118及び配列番号127;それぞれ配列番号115及び配列番号125;それぞれ配列番号115及び配列番号126;それぞれ配列番号118及び配列番号125;それぞれ配列番号124及び配列番号138;それぞれ配列番号123及び配列番号139;それぞれ配列番号123及び配列番号138のアミノ酸配列を含む軽鎖及び重鎖可変領域を有する抗体又は抗体フラグメントをコードする。
ヒト化抗IL−36R抗体又はそのフラグメントもしくは鎖をコードする配列を含むポリヌクレオチドは、当技術分野において公知であるように、1つ以上の調節配列又は制御配列に融合することができ、当技術分野において公知であるように、適切な発現ベクター又は宿主細胞中に含めることができる。重鎖又は軽鎖可変ドメインをコードするポリヌクレオチド分子の各々を、定常ドメイン(例えばヒト定常ドメインなど)をコードするポリヌクレオチド配列に非依存的に融合させ、インタクトな抗体の産生を可能にすることができる。あるいは、ポリヌクレオチド又はその部分を一緒に融合させて、一本鎖抗体の産生のための鋳型を提供することができる。
組換え生産のために、抗体をコードするポリヌクレオチドを、クローニング(DNAの増幅)又は発現のために複製可能なベクター中に挿入する。組換え抗体を発現させるための適切な多くのベクターが利用可能である。ベクター成分は一般的に、以下の1つ以上を含むが、これらに限定しない:シグナル配列、複製起点、1つ以上のマーカー遺伝子、エンハンサーエレメント、プロモーター、及び転写終結配列。
ヒト化抗IL−36R抗体はまた、融合ポリペプチドとして産生することもでき、それにおいて、抗体は、異種ポリペプチド、例えば成熟タンパク質又はポリペプチドのアミノ末端に特定の切断部位を有するシグナル配列又は他のポリペプチドなどと融合させる。選択される異種シグナル配列は、典型的には、宿主細胞により認識され処理される(即ち、シグナルペプチダーゼにより切断される)ものである。ヒト化抗IL−36R抗体シグナル配列を認識及び処理しない原核生物宿主細胞については、シグナル配列を原核生物のシグナル配列に置換することができる。シグナル配列は、例えば、アルカリホスファターゼ、ペニシリナーゼ、リポタンパク質、熱安定性エンテロトキシンIIリーダーなどでありうる。酵母分泌のために、天然シグナル配列は、例えば、酵母インベルターゼアルファ因子(サッカロミセス及びクルイベロミセスα因子リーダーを含む)、酸性ホスファターゼ、Cアルビカンスグルコアミラーゼ、又は WO90/13646において記載されるシグナルから得られるリーダー配列で置換することができる。哺乳動物細胞では、哺乳動物のシグナル配列ならびにウイルス分泌リーダー、例えば、単純ヘルペスgDシグナルを使用することができる。そのような前駆体領域についてのDNAは、ヒト化抗IL−36R抗体をコードするDNAにリーディングフレームで連結する。
発現ベクター及びクローニングベクターは、ベクターが1つ以上の選択された宿主細胞中で複製することを可能にする核酸配列を含む。一般的に、クローニングベクター中では、この配列はベクターが宿主染色体DNAに非依存的に複製することを可能にするものであり、複製起点又は自律複製配列を含む。そのような配列は、多様な細菌、酵母、及びウイルスについて周知である。プラスミドpBR322からの複製起点は大半のグラム陰性細菌について適切であり、2−υプラスミド起点は酵母について適切であり、種々のウイルス起点(SV40、ポリオーマ、アデノウイルス、VSV、及びBPV)が哺乳動物細胞中のクローニングベクターのために有用である。一般的に、複製起点成分は哺乳動物発現ベクターについては必要とされない(SV40起点だけが典型的には使用されうる。なぜなら、それは初期プロモーターを含むからである)。
発現ベクター及びクローニングベクターは、発現の同定を容易にするための選択マーカーをコードする遺伝子を含みうる。典型的な選択可能なマーカー遺伝子は、抗生物質又は他の毒素(例、アンピシリン、ネオマイシン、メトトレキサート、又はテトラサイクリン)への耐性を付与するタンパク質をコードする、あるいは補体栄養要求性欠損であるか、又は他の代替法において、複合培地中には存在しない特定の栄養素が供給される(例、桿菌についてのD−アラニンラセマーゼをコードする遺伝子)。
選択スキームの一例では、宿主細胞の成長を停止させるために薬物を利用する。異種遺伝子で成功裏に形質転換された細胞は、薬剤耐性を付与するタンパク質を産生し、このように、選択レジメンで生存する。そのような優勢選択の例では、ネオマイシン、ミコフェノール酸、及びハイグロマイシンの薬物が使用される。哺乳動物細胞のための一般の選択マーカーは、ヒト化抗IL−36R抗体をコードする核酸を取り込む能力のある細胞の同定を可能にするものであり、例えばDHFR(ジヒドロ葉酸レダクターゼ)、チミジンキナーゼ、メタロチオネイン−I及びII(例えば霊長類のメタロチオネイン遺伝子など)、アデノシンデアミナーゼ、オルニチンデカルボキシラーゼなどである。DHFR選択遺伝子で形質転換された細胞は、DHFRの競合的アンタゴニストであるメトトレキサート(Mtx)を含む培養培地中で形質転換体の全てを培養することにより最初に同定される。野生型DHFRを用いた場合での適当な宿主細胞は、DHFR活性(例、DG44)が欠損したチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株である。
あるいは、抗IL−36R抗体、野生型DHFRタンパク質、及び別の選択マーカー、例えばアミノグリコシド3’−ホスホトランスフェラーゼ(APH)などをコードするDNA配列で形質転換又は同時形質転換された宿主細胞(特に内因性DHFRを含む野生型宿主)は、選択マーカー用の選択薬剤(例えばアミノグリコシド系抗生物質、例、カナマイシン、ネオマイシン、又はG418など)を含む培地中での細胞成長により選択することができる。例えば、米国特許第4,965,199号を参照のこと。
組換え生産を宿主細胞としての酵母細胞中で実施する場合、酵母プラスミドYRp7中に存在するTRP1遺伝子(Stinchcomb et al., 1979, Nature 282: 39)を選択マーカーとして使用することができる。TRP1遺伝子は、トリプトファン中で成長する能力を欠く酵母の変異株用の選択マーカー、例えば、ATCC No.44076又はPEP4−1(Jones, 1977, Genetics 85:12)などを提供する。酵母宿主細胞ゲノムにおけるtrp1領域の存在は、トリプトファンの非存在における成長による形質転換を検出するための有効な環境を提供する。同様に、Leu2p欠損酵母株(例えばATCC 20,622及び38,626など)は、LEU2遺伝子を持つ公知のプラスミドにより補完される。
また、1.6μm環状プラスミドpKD1から由来するベクターは、クルイベロミセス酵母の形質転換用に使用することができる。あるいは、組換え子牛キモシンの大規模生産用の発現系がK.ラクティスについて報告された(Van den Berg, 1990, Bio/Technology 8:135)。クルイベロミセスの工業株による成熟組換えヒト血清アルブミンの分泌用の安定マルチコピー発現ベクターも開示されている(Fleer et al., 1991, Bio/Technology 9:968-975)。
発現ベクター及びクローニングベクターは、通常は、宿主生物により認識され、抗IL−36R抗体又はそのポリペプチド鎖をコードする核酸分子に機能的に連結されたプロモーターを含む。原核生物宿主での使用のために適切なプロモーターは、phoAプロモーター系、β−ラクタマーゼ系、及びラクトースプロモーター系、アルカリホスファターゼ、トリプトファン(trp)プロモーター系、ならびにハイブリッドプロモーター(例えばtacプロモーターなど)を含む。他の公知の細菌プロモーターも適切である。細菌系での使用のためのプロモーターはまた、ヒト化抗IL−36R抗体をコードするDNAに機能的に連結されたシャインダルガルノ(S.D.)配列を含む。
多くの真核生物プロモーター配列が公知である。実際に、全ての真核生物遺伝子が、転写が開始される部位の約25〜30塩基上流にATリッチ領域を有する。多くの遺伝子の転写の開始から70〜80塩基上流にある別の配列は、CNCAAT領域であり、ここでNは任意のヌクレオチドでありうる。大半の真核生物遺伝子の3’末端には、コード配列の3’末端へのポリAテールの付加のためのシグナルとなりうるAATAAA配列がある。これらの配列の全てが、真核生物の発現ベクター中に適切に挿入される。
酵母宿主での使用のための適切なプロモーター配列の例は、3−ホスホグリセリン酸キナーゼ又は他の解糖酵素、例えばエノラーゼ、グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ、ヘキソキナーゼ、ピルビン酸デカルボキシラーゼ、ホスホフルクトキナーゼ、グルコース−6−リン酸イソメラーゼ、3−ホスホグリセリン酸ムターゼ、ピルビン酸キナーゼ、トリオースリン酸イソメラーゼ、ホスホグルコースイソメラーゼ、及びグルコキナーゼなどのためのプロモーターを含む。
誘導性プロモーターには、成長条件により制御される転写という追加の利点がある。これらは、アルコールデヒドロゲナーゼ2、イソシトクロムC、酸性ホスファターゼ、窒素代謝に関連付けられる誘導体酵素、メタロチオネイン、グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ、ならびにマルトース及びガラクトースの利用に関与する酵素のための酵母プロモーター領域を含む。酵母発現での使用のための適切なベクター及びプロモーターが、EP 73,657にさらに記載されている。酵母エンハンサーはまた、酵母プロモーターと有利に使用される。
哺乳動物宿主細胞におけるベクターからのヒト化抗IL−36R抗体の転写は、例えば、ウイルス、例えばポリオーマウイルス、鶏痘ウイルス、アデノウイルス(例えばアデノウイルス2など)、ウシパピローマウイルス、鳥肉腫ウイルス、サイトメガロウイルス、レトロウイルス、B型肝炎ウイルス、及びサルウイルス40(SV40)のゲノムから、異種哺乳動物プロモーター(例、アクチンプロモーター又は免疫グロブリンプロモーター)から、又は熱ショックプロモーターから得られるプロモーターにより制御される(そのようなプロモーターが宿主細胞系に適合している場合)。
SV40ウイルスの初期及び後期プロモーターは、SV40ウイルスの複製起点も含むSV40制限フラグメントとして便利に得られる。ヒトサイトメガロウイルスの初期プロモーターは、HindIII E制限フラグメントとして便利に得られる。ウシパピローマウイルスをベクターとして使用して哺乳動物宿主においてDNAを発現させる系が、米国特許第4,419,446号に開示されている。この系の改変が米国特許第4,601,978号に記載されている。Reyes et al., 1982, Nature 297:598-601も参照のこと。単純ヘルペスウイルスからのチミジンキナーゼプロモーターの制御下でのマウス細胞におけるヒトp−インターフェロンcDNAの発現が開示されている。あるいは、ラウス肉腫ウイルスの末端反復配列をプロモーターとして使用することができる。
組換え発現ベクターにおいて使用することができる別の有用なエレメントは、エンハンサー配列であり、これは、より高等な真核生物によるヒト化抗IL−36R抗体をコードするDNAの転写を増加させるために使用される。多くのエンハンサー配列が現在、哺乳動物遺伝子(例、グロビン、エラスターゼ、アルブミン、α−フェトプロテイン、及びインスリン)から公知である。典型的には、しかし、真核細胞ウイルスからのエンハンサーが使用される。例は、複製開始点の後期側のSV40エンハンサー(bp 100−270)、サイトメガロウイルス初期プロモーターエンハンサー、複製開始点の後期側のポリオーマエンハンサー、及びアデノウイルスエンハンサーを含む。真核生物プロモーターの活性化のためのエンハンサーエレメントの記載については、Yaniv, 1982, Nature 297:17-18も参照のこと。エンハンサーは、ヒト化抗IL−36R抗体をコードする配列の5’又は3’の位置でベクター中にスプライシングされうるが、しかし、好ましくはプロモーターから5’部位に位置する。
真核生物の宿主細胞(酵母、真菌、昆虫、植物、動物、ヒト、又は他の多細胞生物からの有核細胞)で使用される発現ベクターは、転写の終結のため及びmRNAを安定化するために要求される配列も含むことができる。そのような配列は一般に、真核生物又はウイルスのDNA又はcDNAの5’及び場合によっては3’非翻訳領域から入手可能である。これらの領域は、抗IL−36R抗体をコードするmRNAの非翻訳部分においてポリアデニル化フラグメントとして転写されるヌクレオチドセグメントを含む。1つの有用な転写終結成分はウシ成長ホルモンのポリアデニル化領域である。WO94/11026及びそこに開示されている発現ベクターを参照のこと。一部の実施形態では、ヒト化抗IL−36R抗体を、CHEF系を使用して発現させることができる(例えば、米国特許第5,888,809号を参照のこと;その開示を参照により本明細書中に組み入れる)。
本明細書中のベクター中でのDNAのクローニング又は発現のための適切な宿主細胞は、上に記載する原核生物、酵母、又は高等真核生物細胞である。この目的のための適切な原核生物は、真正細菌(例えばグラム陰性又はグラム陽性生物など)、例えば、腸内細菌科、例えば大腸菌など(例、大腸菌)、エンテロバクター、エルウィニア、クレブシエラ、プロテウス、サルモネラ(例、サルモネラ・ティフィムリウム(Salmonella typhimurium))、セラチア(例、セラチア・マルセッセンス(Serratia marcescans)など)、及びシゲラ、ならびにバチルス、例えばBサブティリス及びBリケニフォルミス(例、1989年4月12日に公開されたDD266,710に開示されているBリケニフォルミス41P)、シュードモナス、例えば緑膿菌など、及びストレプトマイセスを含む。1つの好ましい大腸菌クローニング宿主は大腸菌294(ATCC 31,446)であるが、他の株、例えば大腸菌B、大腸菌X1776(ATCC 31,537)、及び大腸菌W3110(ATCC 27,325)などが適切である。これらの例は、限定ではなく例示的である。
原核生物に加えて、真核微生物、例えば糸状菌又は酵母などは、ヒト化抗IL−36R抗体をコードするベクターのための適切なクローニング宿主又は発現宿主である。サッカロマイセス・セレビシエ、又は一般のパン酵母は、下等真核宿主微生物の中で最も一般に使用されている。しかし、多数の他の属、種、及び株が一般に入手可能で、本明細書中で有用であり、例えばシゾサッカロミセス・ポンベ;クルイベロミセス宿主、例えば、例、Kラクティス、Kフラジリス(ATCC 12,424)、Kブルガリクス(ATCC 16,045)、Kウィッケルハミイ(wickeramii)(ATCC 24,178)、Kワルティイ(ATCC 56,500)、Kドロソフィラルム(ATCC 36,906)、Kサーモトレランス、及びKマルシアヌス;ヤロウィア(EP 402,226);ピチア・パストリス(Pichia pastors)(EP 183,070);カンジダ;トリコデルマ・リーシア(EP 244,234);ニューロスポラ・クラッサ;シュワンニオミセス、例えばシュワンニオミセス・オクシデンタリスなど;及び糸状菌、例えば、例、ニューロスポラ、ペニシリウム、トリポクラジウム、ならびにアスペルギルス宿主、例えばAニジュランス及びAニガーなどである。
グリコシル化ヒト化抗IL−36R抗体の発現のための適切な宿主細胞は、多細胞生物から由来する。無脊椎動物細胞の例は、植物細胞及び昆虫細胞(例、多数のバキュロウイルス株及び変異体、ならびに宿主、例えばスポドプテラ・フルギペルダ(イモムシ)、ネッタイシマカ(蚊)、ヒトスジシマカ(蚊)、キイロショウジョウバエ(ショウジョウバエ)、及びボンビックス・モリ(カイコ)などからの対応する許容昆虫宿主細胞を含む)を含む。トランスフェクション用の多様なウイルス株が公に入手可能であり(例、オートグラファ・カリフォルニカNPVのL−1変異体及びボンビックス・モリNPVのBm−5株)、そのようなウイルスは、特にスポドプテラ・フルギペルダ細胞のトランスフェクションのために使用してもよい。
綿、トウモロコシ、ジャガイモ、大豆、ペチュニア、トマト、タバコの植物細胞培養物も宿主として利用することができる。
別の態様では、ヒト化抗IL−36Rの発現を脊椎動物細胞中で行う。培養(組織培養)における脊椎動物細胞の増殖は、ルーチンの手順になっており、技術は広く利用可能である。有用な哺乳動物宿主細胞株の例は、SV40で形質転換されたサル腎臓CV1株(COS−7、ATCC CRL 1651)、ヒト胚腎臓株(浮遊培養中での成長のためにサブクローン化された293又は293細胞)(Graham et al., 1977, J. Gen Virol. 36: 59)、ベビーハムスター腎細胞(BHK、ATCC CCL 10)、チャイニーズハムスター卵巣細胞/−DHFR1(CHO, Urlaub et al., 1980, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77: 4216;例、DG44)、マウスセルトリ細胞(TM4、Mather, 1980, Biol. Reprod. 23:243-251)、サル腎細胞(CV1 ATCC CCL 70)、アフリカミドリザル腎細胞(VERO−76、ATCC CRL−1587)、ヒト子宮頸癌細胞(HELA、ATCC CCL 2)、イヌ腎細胞(MDCK、ATCC CCL 34)、バッファローラット肝細胞(BRL 3A、ATCC CRL 1442)、ヒト肺細胞(W138、ATCC CCL 75)、ヒト肝細胞(Hep G2、HB 8065)、マウス乳腺腫瘍(MMT 060562、ATCC CCL51)、TR1細胞(Mather et al., 1982, Annals N.Y. Acad. Sci. 383: 44-68)、MRC 5細胞、FS4細胞、及びヒト肝癌株(Hep G2)である。
宿主細胞は、ヒト化抗IL−36R抗体産生用の上に記載する発現ベクター又はクローニングベクターで形質転換し、プロモーターの誘導、形質転換体の選択、又は所望の配列をコードする遺伝子の増幅のために適宜改変された従来の栄養培地中で培養する。
本明細書中に記載するヒト化抗IL−36R抗体を産生するために使用される宿主細胞は、多様な培地中で培養してもよい。商業的に入手可能な培地、例えばHam’s F10(Sigma-Aldrich Co.、ミズーリ州セントルイス)、最小必須培地((MEM)、(Sigma-Aldrich Co.)、RPMI−1640(Sigma-Aldrich Co.)、及びダルベッコ改変イーグル培地((DMEM)、Sigma-Aldrich Co.)などが宿主細胞を培養するために適切である。また、Ham et al., 1979, Meth. Enz. 58: 44、Barnes et al., 1980, Anal. Biochem. 102: 255、米国特許第4,767,704号、米国特許第4,657,866号、米国特許第4,927,762号、米国特許第4,560,655号、米国特許第5,122,469号、WO90/103430、及びWO87/00195の1つ以上において記載されている培地のいずれかが、宿主細胞用の培養培地として使用されうる。これらの培地のいずれかには、必要に応じて、ホルモン及び/又は他の成長因子(例えばインスリン、トランスフェリン、又は表皮成長因子など)、塩(例えば塩化ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、リン酸塩など)、緩衝剤(例えばHEPESなど)、ヌクレオチド(例えばアデノシン及びチミジンなど)、抗生物質(例えばゲンタマイシンなど)、微量元素(通常、マイクロモル範囲の最終濃度で存在する無機化合物として定義する)、及びグルコース又は等価のエネルギー源を補充してもよい。他のサプリメントも、当業者に公知でありうる適当な濃度で含まれてもよい。培養条件、例えば温度、pHなどは、発現のために選択された宿主細胞で以前に使用されたものであり、当業者には明らかであろう。
組換え技術を使用する場合、抗体は細胞内、細胞膜周辺腔において産生される、又は培地中に直接分泌されることができる。抗体が細胞内で産生される場合、最初の工程として細胞が破壊されてタンパク質が放出されうる。粒子状破片は、宿主細胞又は溶解フラグメントのいずれかであり、例えば遠心分離又は限外濾過により除去することができる。Carter et al., 1992, Bio/Technology 10:163-167には、大腸菌の細胞膜周辺腔に分泌される抗体を単離するための手順が記載されている。簡単には、細胞ペーストを、酢酸ナトリウム(pH 3.5)、EDTA、及びフェニルメチルスルホニルフルオリド(PMSF)の存在において約30分間にわたり解凍する。細胞破片は遠心分離により除去することができる。抗体が培地中に分泌される場合、そのような発現系からの上清は一般的に、商業的に入手可能なタンパク質濃縮フィルター、例えばAmicon又はMillipore Pellicon限外濾過ユニットを使用して最初に濃縮する。プロテアーゼ阻害剤(例えばPMSFなど)を前述の工程のいずれかに含めてタンパク質分解を阻害してもよく、抗生物質を含めて外来性混入物の成長を防止してもよい。多様な方法を使用して、抗体を宿主細胞から単離することができる。
細胞から調製された抗体組成物は、例えば、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析、及び親和性クロマトグラフィーを使用して精製することができ、親和性クロマトグラフィーは典型的な精製技術である。親和性リガンドとしてのプロテインAの適合性は、抗体中に存在する任意の免疫グロブリンFcドメインの種及びアイソタイプに依存する。プロテインAは、ヒトガンマ1、ガンマ2、又はガンマ4重鎖に基づく抗体を精製するために使用することができる(例、Lindmark et al., 1983 J. Immunol. Meth. 62:1-13を参照のこと)。プロテインGは、全てのマウスアイソタイプ及びヒトガンマ3について推奨される(Guss et al., 1986 EMBO J. 5:1567-1575を参照のこと)。親和性リガンドが付着しているマトリックスはほとんどの場合アガロースであるが、しかし、他のマトリックスも利用可能である。機械的に安定したマトリックス、例えば制御された細孔ガラス又はポリ(スチレンジビニル)ベンゼンなどによって、アガロースで達成することができるよりも速い流速及び短い処理時間が可能になる。抗体がCH3ドメインを含む場合、Bakerbond ABX(商標)樹脂(J. T. Baker、ニュージャージー州フィリップスバーグ)が精製のために有用である。タンパク質精製のための他の技術、例えばイオン交換カラムでの分画、エタノール沈殿、逆相HPLC、シリカでのクロマトグラフィー、陰イオン又は陽イオン交換樹脂(例えばポリアスパラギン酸カラムなど)でのヘパリンSEPHAROSE(商標)クロマトグラフィーでのクロマトグラフィー、クロマトフォーカシング、SDS−PAGE、及び硫酸アンモニウム沈殿なども回収する抗体に依存して利用可能である。
任意の予備精製工程に続き、目的とする抗体及び混入物を含む混合物を、約2.5〜4.5の間のpHで溶出緩衝液を使用し、典型的には低塩濃度(例、約0〜0.25M塩から)で実施する低pH疎水性相互作用クロマトグラフィーに供してもよい。
また含まれるのは、本明細書中で定義する低、中程度、及び高ストリンジェンシー条件下で、本発明の抗体又は抗体フラグメントをコードする単離ポリヌクレオチド配列により表されるヌクレオチド配列の全部又は一部(例、可変領域をコードする部分)にハイブリダイズする核酸である。ハイブリダイズする核酸のハイブリダイズ部分は、典型的には少なくとも15(例、20、25、30、又は50)ヌクレオチド長である。ハイブリダイズする核酸のハイブリダイズ部分は、抗IL−36Rポリペプチド(例、重鎖又は軽鎖可変領域)、又はその補体をコードする核酸の一部又は全部の配列と少なくとも80%、例えば少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも98%同一である。本明細書中に記載する型のハイブリダイズする核酸は、例えば、クローニングプローブ、プライマー、例えばPCRプライマー、又は診断プローブとして使用することができる。
非治療的使用
本明細書中に記載する抗体は、親和性精製薬剤として有用である。このプロセスでは、抗体を、当技術分野で周知の方法を使用して、固相(例えばプロテインA樹脂など)に固定化する。固定化された抗体を、精製されるIL−36Rタンパク質(又はそのフラグメント)を含むサンプルと接触させ、その後、支持体を、IL−36Rタンパク質(固定化抗体に結合する)を除くサンプル中の実質的に全ての物質を除去する適切な溶媒で洗浄する。最後に、支持体を、抗体からIL−36Rタンパク質を放出する別の適切な溶媒で洗浄する。
抗IL−36R抗体、例えばヒト化抗IL−36R抗体は、IL−36Rタンパク質を検出及び/又は定量する診断アッセイ、例えば特定の細胞、組織、又は血清中でのIL−36R発現を検出する際に有用である。抗IL−36R抗体は、例えば、臨床検査手順の一部として疾患の発症又は進行をモニターし、例えば、所与の処置及び/又は予防レジメンの有効性を決定するために診断的に使用することができる。検出は、抗IL−36R抗体を共役することにより促進することができる。検出可能な物質の例は、種々の酵素、補欠分子族、蛍光物質、発光物質、生物発光物質、放射性物質、種々の陽電子放射断層撮影を使用した陽電子放射金属、及び非放射性常磁性金属イオンを含む。例えば、本発明に従った診断薬としての使用のための抗体に結合させることができる金属イオンについては、米国特許第4,741,900号を参照のこと。
抗IL−36R抗体を、IL−36R関連障害(例、IL−36Rの異常発現により特徴付けられる障害)を診断するための方法において、又は被験体がIL−36R関連障害を発症する増加リスクを有するか否かを決定するために使用することができる。そのような方法は、被験体からの生物学的サンプルをIL−36R抗体と接触させること、及びIL−36Rへの抗体の結合を検出することを含む。「生物学的サンプル」により、IL−36Rを潜在的に発現する個体、細胞株、組織培養物、又は他の細胞の供給源から得られた任意の生物学的サンプルを意味する。哺乳動物から組織生検及び体液を得るための方法は、当技術分野において周知である。
一部の実施形態では、方法は、患者サンプル中のIL−36Rのレベルをコントロールサンプル(例、IL−36R関連障害を有していない被験体)と比較し、患者がIL−36R関連障害を有するか、又はIL−36R関連障害を発症するリスクがあるかを決定する。
一部の実施形態では、例えば、診断目的のために、抗体を検出可能な部分で標識することが有利であろう。多数の検出可能な標識が利用可能であり、放射性同位元素、蛍光標識、酵素基質標識などを含む。標識は、種々の公知の技術を使用して抗体と間接的に結合させてもよい。例えば、抗体をビオチンと結合させてもよく、上に言及する3つの広範なカテゴリーの標識のいずれかをアビジンと結合させる(又はその逆)ことができる。ビオチンはアビジンに選択的に結合し、このように、標識を、この間接的な様式において抗体と結合させることができる。あるいは、標識と抗体との間接的な結合を達成するために、抗体を小さなハプテン(例えばジゴキシンなど)と結合させることができ、上に言及する異なる型の標識の1つを抗ハプテン抗体(例、抗ジゴキシン抗体)と結合させる。このように、標識と抗体との間接的な結合を達成することができる。
例示的な放射性同位体標識は、35S、14C、125I、3H、及び131Iを含む。抗体は、例えば、Current Protocols in Immunology, Volumes 1 and 2, 1991, Coligen et al., Ed. Wiley-Interscience, New York, N.Y., Pubsに記載されている技術を使用し、放射性同位体で標識することができる。放射活性は、例えば、シンチレーションカウントにより測定することができる。
例示的な蛍光標識は、希土類キレート(ユーロピウムキレート)から由来する標識を含み、又はフルオレセイン及びその誘導体、ローダミン及びその誘導体、ダンシル、リサミン、フィコエリトリン、ならびにテキサスレッドが利用可能である。蛍光標識は、公知の技術、例えばCurrent Protocols in Immunologyに開示されているようなものを介して抗体に結合させることができる。蛍光は、蛍光光度計を使用して定量することができる。
当技術分野において公知の種々の十分に特徴付けられた酵素基質標識がある(例、総説については米国特許第4,275,149号を参照のこと)。酵素は一般的に、種々の技術を使用して測定することができる発色基質の化学的変化を触媒する。例えば、変化は、分光光度的に測定することができる基質における色の変化でありうる。あるいは、酵素は基質の蛍光又は化学発光を変化させうる。蛍光における変化を定量するための技術を上に記載している。化学発光基質は化学反応により電子的に励起され、次に、例えば化学発光計を使用して測定することができる光を放出しうる、又は蛍光アクセプターにエネルギーを供与する。
酵素標識の例は、ルシフェラーゼ、例えばホタルルシフェラーゼ及び細菌ルシフェラーゼなど(米国特許第4,737,456号)、ルシフェリン、2,3−ジヒドロフタラジンジオン、リンゴ酸デヒドロゲナーゼ、ウレアーゼ、ペルオキシダーゼ、例えばホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRPO)など、アルカリホスファターゼ、βガラクトシダーゼ、グルコアミラーゼ、リゾチーム、サッカライドオキシダーゼ(例えばグルコースオキシダーゼ、ガラクトースオキシダーゼ、グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼなど)、ヘテロサイディック(heterocydic)オキシダーゼ(例えばウリカーゼ及びキサンチンオキシダーゼなど)、ラクトペルオキシダーゼ、マイクロペルオキシダーゼなどを含む。酵素を抗体に結合させる技術は、例えば、O’Sullivan et al., 1981, Methods for the Preparation of Enzyme-Antibody Conjugates for use in Enzyme Immunoassay, in Methods in Enzym. (J. Langone & H. Van Vunakis, eds.), Academic press, N.Y., 73: 147-166において記載されている。
酵素−基質の併用の例は、例えば、以下を含む:基質として水素ペルオキシダーゼを伴う西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRPO)、ここで水素ペルオキシダーゼは、色素前駆体、例えばオルトフェニレンジアミン(OPD)又は3,3’、5,5’−テトラメチルベンジジン塩酸塩(TMB)などを酸化する;発色基質としてパラニトロフェニルホスフェートを伴うアルカリホスファターゼ(AP);及び発色性基質、例えばp−ニトロフェニル−β−D−ガラクトシダーゼなど又は蛍光基質4−メチルウンベリフェリル−β−D−ガラクトシダーゼを伴うβ−D−ガラクトシダーゼ(β−D−Gal)。
多数の他の酵素基質の併用が当業者に利用可能である。これらの全般的な総説については、米国特許第4,275,149号及び米国特許 4,318,980を参照のこと。
別の実施形態では、ヒト化抗IL−36R抗体を非標識で使用し、ヒト化抗IL−36R抗体に結合する標識抗体で検出する。
本明細書中に記載する抗体は、任意の公知のアッセイ方法、例えば競合結合アッセイ、直接及び間接サンドイッチアッセイ、及び免疫沈降アッセイなどにおいて用いることができる。例えば、Zola, Monoclonal Antibodies: A Manual of Techniques, pp. 147-158 (CRC Press, Inc. 1987)を参照のこと。
抗IL−36R抗体又はその抗原結合フラグメントを使用し、IL−36受容体へのリガンドの結合を阻害することができる。そのような方法は、抗IL−36R抗体又はその抗原結合フラグメントを細胞(例、哺乳動物細胞)又は細胞環境に投与することを含み、それによりIL−36受容体により媒介されるシグナル伝達を阻害する。これらの方法はインビトロ又はインビボで実施することができる。「細胞環境」により、細胞を取り囲む組織、培地、又は細胞外マトリックスを意図する。抗IL−36R抗体又はその抗原結合フラグメントは、抗体又はフラグメントが細胞の外側及び周囲のIL−36R分子に結合することが可能であるような様式において細胞の細胞環境に投与され、従って、IL−36リガンドのその受容体への結合を防止する。
診断キット
抗IL−36R抗体は、診断キット、即ち、所定量の試薬と診断アッセイを実施するための指示書とのパッケージされた併用で使用することができる。抗体を酵素で標識する場合、キットは、酵素により要求される基質及び補因子、例えば検出可能な発色団又は発蛍光団を提供する基質前駆体などを含んでもよい。また、他の添加物を含んでもよく、例えば安定剤、緩衝液(例えば、ブロック緩衝液又は溶解緩衝液)などである。種々の試薬の相対量は、アッセイの感度を実質的に最適化する試薬の溶液中での濃度を提供するために広く変動しうる。試薬は、溶解時に適当な濃度を有する試薬溶液を提供する賦形剤を含む乾燥粉末(通常は凍結乾燥)として提供してもよい。
治療的使用
別の実施形態では、本明細書中に開示するヒト化抗IL−36R抗体は、本明細書中に記載するIL−36Rの発現に関連付けられる種々の障害の処置において有用である。IL−36R関連障害を処置するための方法は、治療有効量のヒト化抗IL−36R抗体を、それを必要とする被験体に投与することを含む。
ヒト化抗IL−36R抗体又は薬剤は、非経口、皮下、腹腔内、肺内、及び鼻腔内、ならびに、局所免疫抑制処置のために望ましい場合、病変内投与(移植片の灌流又はそうでなければ移植前での抗体との接触を含む)を含む任意の適切な手段により投与する。ヒト化抗IL−36R抗体又は薬剤は、例えば、注入として又はボーラスとして投与することができる。非経口注入は筋肉内、静脈内、動脈内、腹腔内、又は皮下投与を含む。また、ヒト化抗IL−36R抗体は、特に抗体の減量を伴い、パルス注入により適切に投与する。一態様では、投薬は、投与が短期か長期かに部分的に依存して、注射、最も好ましくは静脈内注射又は皮下注射により与える。一態様では、ヒト化抗IL−36R抗体又は薬剤は、静脈内負荷用量、それに続く1回以上の皮下注射により投与する。一態様では、皮下注射は、本明細書中に開示する投与間隔のいずれか1つで投与する。
疾患の予防又は処置のために、抗体の適当な投与量は、多様な因子、例えば上に定義する処置される疾患の型、疾患の重症度及び経過、抗体を予防又は治療の目的のために投与するのか否か、以前の治療、患者の病歴及び抗体への応答、及び担当医の判断などに依存する。抗体は、一回で又は一連の処置にわたって患者に適切に投与する。
疾患の型及び重症度に依存して、約1μg/kg〜20mg/kg(例、0.1〜15mg/kg)の抗体が、例えば、1回以上の別々の投与による、又は持続注入による患者への投与のための初期候補投与量である。典型的な1日投与量は、上に言及した因子に依存して、約1μg/kg〜100mg/kg又はそれ以上の範囲でありうる。数日又はそれ以上の反復投与については、条件に依存して、処置を、疾患症状の望ましい抑制が起こるまで持続する。しかし、他の投与レジメンが有用でありうる。この治療の進歩は、従来の技術及びアッセイにより簡単にモニターされる。例示的な投薬レジメンは、WO94/04188に開示されているものである。
用語「抑制」は、本明細書中では「寛解」及び「軽減」と同じ文脈で使用し、疾患の1つ以上の特徴の緩和を意味する。
抗体組成物は、良好な医療行為と一致する様式で製剤化、投薬、及び投与されるであろう。この文脈における考慮のための因子は、治療中の特定の障害、治療中の特定の哺乳動物、個々の患者の臨床状態、障害の原因、薬剤の送達部位、投与の方法、投与のスケジュール、及び医療従事者に公知である他の因子を含む。投与される抗体の「治療有効量」はそのような考慮事項により支配され、IL−36R発現に関連付けられる障害を予防、寛解、又は処置するために必要な最小量である。
抗体は、必要ではないが、しかし、場合により、問題の障害を予防又は処置するために現在使用されている1つ以上の薬剤を用いて製剤化する。そのような他の薬剤の有効量は、製剤中に存在するヒト化抗IL−36R抗体の量、障害又は処置の型、及び上で考察した他の因子に依存する。これらは一般的に同じ投与量で、上記で使用した投与経路、又はこれまでに用いた投与量の約1〜99%で使用する。
医薬組成物及びその投与
IL−36R結合薬剤(例、抗IL−36R抗体)を含む組成物は、免疫学的障害、呼吸器障害、又は癌を有するか、又は有するリスクがある被験体に投与することができる。本発明はさらに、癌、呼吸器疾患、又は免疫学的障害の予防又は処置のための医薬品の製造におけるIL−36R結合薬剤(例、抗IL−36R抗体)の使用を提供する。本明細書中で使用する用語「被験体」は、IL−36R結合薬剤を投与することができる任意の哺乳動物患者を意味し、例えば、ヒト及び非ヒト哺乳動物、例えば霊長類、げっ歯類、及びイヌなどを含む。本明細書中に記載する方法を使用した処置を特に意図した被験体はヒトを含む。抗体又は薬剤を単独で又は他の組成物との併用において、免疫学的障害、呼吸器障害、又は癌の予防又は処置において投与することができる。抗体又は薬剤との併用において投与することができるそのような組成物は、メトトレキサート(MTX)及び免疫調節剤(例、抗体又は低分子)を含む。
一実施形態では、抗体又は薬剤を単独で又は他の組成物との併用において、免疫学的障害、呼吸器障害、又は癌の予防又は処置において投与することができる。抗体又は薬剤との併用において投与することができるそのような組成物は、免疫調節剤(例えばアザチオプリン及び6−MPなど)を含む。
本発明の別の実施形態では、抗体又は薬剤を単独で又は他の組成物との併用において、免疫学的障害、呼吸器障害、又は癌の予防又は処置において投与することができる。抗体又は薬剤との併用において投与することができるそのような組成物は、種々のクラスの生物製剤、例えばTNF阻害剤(例えば、インフリキシマブ、アダリムマブ、セルトリズマブペゴル)、又は循環受容体融合タンパク質(例えばエタネルセプトなど)、インテグリン阻害剤(例えば、ベドリズマブ)、又はIL−23阻害剤などを含む。
本発明のさらなる実施形態は、IL−36R結合薬剤(例、抗IL−36R抗体)を含む組成物を単独で又は他の組成物との併用において、免疫障害、呼吸器障害、又は癌の予防又は処置において投与することを包含する。抗体又は薬剤との併用において投与することができるそのような組成物は、種々のクラスの生物製剤、例えばTNF阻害剤(例えば、インフリキシマブ、アダリムマブ、セルトリズマブペゴル)又は循環受容体融合タンパク質(例えばエタネルセプトなど)、インテグリン阻害剤(例えば、ベドリズマブ)、又はIL−23阻害剤などを含む。
例えば、TNF阻害剤(例えば、インフリキシマブ、アダリムマブ、セルトリズマブペゴル)又は循環受容体融合タンパク質(例えばエタネルセプトなど)、インテグリン阻害剤(例えば、ベドリズマブ)、又はIL−23阻害剤との併用における本発明の抗体は、強皮症、掌蹠膿疱症、全身性膿疱性乾癬、糖尿病性腎症、ループス腎炎、強皮症、強直性脊椎炎、IBD(潰瘍性大腸炎−軽度、中等度、重度ならびにクローン病−軽度、中等度、及び重度)の処置のために有用である。
別の実施形態では、TNF阻害剤(例えば、インフリキシマブ、アダリムマブ、セルトリズマブペゴル)又は循環受容体融合タンパク質(例えばエタネルセプトなど)、インテグリン阻害剤(例えば、ベドリズマブ)、又はIL−23阻害剤との併用における本発明の抗体を、強皮症、掌蹠膿疱症、全身性膿疱性乾癬、糖尿病性腎症、ループス腎炎、強皮症、強直性脊椎炎、IBD(潰瘍性大腸炎−軽度、中等度、重度ならびにクローン病−軽度、中等度、及び重度)の処置のために患者に投与する。
本発明のさらなる実施形態は、軽度、中等度に活動性、重度の潰瘍性大腸炎を処置するための方法を提供する。
本発明のさらなる実施形態は、軽度、中程度に活動性、重度のクローン病を処置するための方法を提供する。
さらなる実施形態では、本発明の抗体は、TNF阻害剤(例えば、インフリキシマブ、アダリムマブ、セルトリズマブペゴル)又は循環受容体融合タンパク質(例えばエタネルセプトなど)、インテグリン阻害剤(例えば、ベドリズマブ)、又はIL−23阻害剤の前、後、又は同時に投与してもよい。
別の実施形態では、本発明の抗体は、TNF阻害剤(例えば、インフリキシマブ、アダリムマブ、セルトリズマブペゴル)又は循環受容体融合タンパク質(例えばエタネルセプトなど)、インテグリン阻害剤(例えば、ベドリズマブ)、又はIL−23阻害剤を用いた処置への追加治療として投与してもよい。
そのような医薬組成物中での使用のための抗体の例は、配列番号1〜10のいずれかの軽鎖可変領域アミノ酸配列を有する抗体又は抗体フラグメントを含むものである。そのような医薬組成物中での使用のための抗体の例はまた、配列番号11〜20のいずれかの重鎖可変領域アミノ酸配列を有するヒト化抗体又は抗体フラグメントを含むものである。
そのような医薬組成物中での使用のための抗体のさらなる例はまた、配列番号76〜86のいずれかの軽鎖可変領域アミノ酸配列を有するヒト化抗体又は抗体フラグメントを含むものである。そのような医薬組成物中での使用のための好ましい抗体はまた、配列番号87〜101のいずれかの重鎖可変領域アミノ酸配列を有するヒト化抗体又は抗体フラグメントを含むものである。
そのような医薬組成物中での使用のための抗体のさらなる例はまた、配列番号77及び89、配列番号80及び88、配列番号80及び89、配列番号77及び87、配列番号77及び88、配列番号80及び87、配列番号86及び100、配列番号85及び101、又は配列番号85及び10のいずれかの軽鎖可変領域及び重鎖可変領域を有するヒト化抗体又は抗体フラグメントを含むものである。
そのような医薬組成物中での使用のための抗体のさらなる例はまた、配列番号115、118、123、又は124のいずれかの軽鎖領域アミノ酸配列を有するヒト化抗体を含むものである。そのような医薬組成物中での使用のための好ましい抗体はまた、配列番号125、126、127、138、又は139のいずれかの重鎖可変領域アミノ酸配列を有するヒト化抗体を含むものである。
そのような医薬組成物中での使用のための抗体のさらなる例はまた、抗体B1、抗体B2、抗体B3、抗体B4、抗体B5、抗体B6、抗体C1、抗体C2、又は抗体C3を含むものである。
種々の送達系が公知であり、IL−36R結合薬剤を投与するために使用することができる。導入の方法は、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、皮下、鼻腔内、硬膜外、及び経口経路を含むが、これらに限定しない。IL−36R結合薬剤は、例えば、注入、ボーラス、又は注射により投与することができ、他の生物学的に活性な薬剤(例えば化学療法剤など)と一緒に投与することができる。投与は全身的又は局所的でありうる。好ましい実施形態では、投与は皮下注射による。そのような注射用の製剤は、例えば、隔週で1回投与してもよい予め充填されたシリンジ中で調製してもよい。
特定の実施形態では、IL−36R結合薬剤の組成物は、注射により、カテーテルを用いて、坐剤を用いて、又はインプラントを用いて投与し、インプラントは多孔性、非多孔性、又はゼラチン状の物質であり、膜(例えばシラスティック(sialastic)膜など)、又は繊維を含む。典型的には、組成物を投与する場合、抗IL−36R抗体又は薬剤が吸収しない物質を使用する。
他の実施形態では、抗IL−36R抗体又は薬剤は制御放出系で送達する。一実施形態では、ポンプを使用してもよい(例、Langer, 1990, Science 249:1527-1533;Sefton, 1989, CRC Crit. Ref. Biomed. Eng. 14:201;Buchwald et al., 1980, Surgery 88:507;Saudek et al., 1989, N. Engl. J. Med. 321:574)。別の実施形態では、ポリマー物質を使用することができる(例、Medical Applications of Controlled Release(Langer and Wise eds., CRC Press, Boca Raton, Fla., 1974);Controlled Drug Bioavailability, Drug Product Design and Performance(Smolen and Ball eds., Wiley, New York, 1984);Ranger and Peppas, 1983, Macromol. Sci. Rev. Macromol. Chem. 23:61. また、Levy et al., 1985, Science 228:190;During et al., 1989, Ann. Neurol. 25:351;Howard et al., 1989, J. Neurosurg. 71:105を参照のこと)。他の制御放出系は、例えば、Langer(上記)において考察されている。
IL−36R結合薬剤(例、抗IL−36R抗体)は、治療有効量の結合薬剤及び1つ以上の医薬的に適合する成分を含む医薬組成物として投与することができる。
典型的な実施形態では、医薬組成物は、ヒトへの静脈内投与又は皮下投与のために適合した医薬組成物としてルーチンの手順に従って製剤化する。典型的には、注射による投与のための組成物は、滅菌等張水性緩衝液中の溶液である。必要な場合、医薬品はまた、可溶化剤及び局所麻酔薬(例えば注射部位での疼痛を和らげるためのリグノカインなど)を含めることができる。一般的に、成分は個別に、又は例えば、活性薬剤の量を示す密閉容器(例えばアンプル又はサシェなど)中に入れた乾燥した凍結乾燥粉末又は無水濃縮物としての単位剤形で一緒に混合して供給する。医薬品が注入により投与される場合、医薬品グレードの滅菌水又は生理食塩水を含む注入ボトルで調剤することができる。医薬品を注射により投与する場合、成分を投与前に混合することができるように、注射用滅菌水又は生理食塩水のアンプルを提供することができる。
さらに、医薬組成物は、(a)凍結乾燥形態中のIL−36R結合薬剤(例、抗IL−36R抗体)を含む容器、(b)医薬的に許容可能な注射用の希釈剤(例、滅菌水)を含む第2の容器を含む医薬キットとして提供することができる。医薬的に許容可能な希釈剤は、凍結乾燥抗IL−36R抗体又は薬剤の再構成又は希釈のために使用することができる。場合によりそのような容器に関連付けられるのは、医薬品又は生物学的産物の製造、使用、又は販売を規制する政府機関により規定された形態での通知であり、その通知は、機関による、ヒト投与のための製造、使用、又は販売の承認を反映する。
免疫学的障害又は癌の処置又は予防において有効であるIL−36R結合薬剤(例、抗IL−36R抗体)の量は、標準的な臨床技術により決定することができる。また、インビトロアッセイを場合により使用し、最適な投与量範囲を特定することを助けることができる。製剤において用いる正確な用量はまた、投与経路、及び免疫障害又は癌の段階に依存し、医師の判断及び各々の患者の状況に従って決定すべきである。有効用量は、インビトロ又は動物モデル検査系から由来する用量反応曲線から推定してもよい。
一般的に、免疫学的疾患又はIL−36Rを発現する癌を伴う患者に投与される抗IL−36R抗体又はIL−36R結合薬剤の投与量は、典型的には約0.1mg/kg〜約100mg/kg被験体の体重である。被験体に投与される投与量は、被験体の体重の約0.1mg/kg〜約50mg/kg、約1mg/kg〜約30mg/kg、約1mg/kg〜約20mg/kg、約1mg/kg〜約15mg/kg、又は約1mg/kg〜約10mg/kgである。
例示的な用量は1ng/kg〜100mg/kgを含むが、これらに限定しない。一部の実施形態では、用量は約0.5mg/kg、約1mg/kg、約2mg/kg、約3mg/kg、約4mg/kg、約5mg/kg、約6mg/kg、約7mg/kg、約8mg/kg、約9mg/kg、約10mg/kg、約11mg/kg、約12mg/kg、約13mg/kg、約14mg/kg、約15mg/kg、又は約16mg/kgである。用量は、例えば、毎日、週1回(毎週)、週2回、週3回、週4回、週5回、週6回、隔週もしくは毎月、8週間毎もしくは2ヵ月毎、又は3ヵ月毎に投与することができる。特定の実施形態では、用量は約0.5mg/kg/週、約1mg/kg/週、約2mg/kg/週、約3mg/kg/週、約4mg/kg/週、約5mg/kg/週、約6mg/kg/週、約7mg/kg/週、約8mg/kg/週、約9mg/kg/週、約10mg/kg/週、約11mg/kg/週、約12mg/kg/週、約13mg/kg/週、約14mg/kg/週、約15mg/kg/週、又は約16mg/kg/週である。一部の実施形態では、用量は約1mg/kg/週〜約15mg/kg/週の範囲である。
一部の実施形態では、IL−36R結合薬剤を含む医薬組成物は、結合薬剤に結合した又は結合していない治療用薬剤をさらに含むことができる。抗IL−36R抗体又はIL−36R結合薬剤は、免疫学的障害又は癌の処置又は予防のための1つ以上の治療用薬剤との併用において同時投与することができる。
そのような併用治療の投与は、疾患パラメーター(例、症状の重症度、症状の数、又は再発の頻度)に対して相加的又は相乗的な効果を有しうる。
併用投与の治療レジメンに関して、特定の実施形態では、抗IL−36R抗体又はIL−36R結合薬剤を治療用薬剤と同時に投与する。別の特定の実施形態では、治療用薬剤は、抗IL−36R抗体又はIL−36R結合薬剤の投与の前又はそれに続いて、抗IL−36R抗体又はIL−36R結合薬剤の投与の前又はそれに続く少なくとも1時間から数ヶ月まで、例えば、少なくとも1時間、5時間、12時間、1日、1週間、1ヵ月、又は3ヵ月に投与する。
製造品
別の態様では、上に記載する障害の処置のために有用な物質を含む製造品が含まれる。製造品は容器及びラベルを含む。適切な容器は、例えば、ボトル、バイアル、シリンジ、及び試験管を含む。容器は、多様な物質(例えばガラス又はプラスチックなど)から形成してもよい。容器は、状態を処置するために有効な組成物を保持し、滅菌アクセスポートを有しうる。例えば、容器は、静脈内溶液バッグ又は皮下注射針で貫通可能なストッパーを有するバイアルでありうる。組成物中の活性薬剤はヒト化抗IL−36R抗体である。容器上の又は容器に関連付けられるラベルは、組成物が、選んだ状態を処置するために使用されることを示す。製造品はさらに、医薬的に許容可能な緩衝液、例えばリン酸緩衝生理食塩水、リンゲル液、及びデキストロース溶液などを含む第2の容器を含んでもよい。それはさらに、他の緩衝液、希釈剤、フィルター、針、シリンジ、及び使用のための説明書を伴う添付文書を含む、商業的及びユーザーの観点から望ましい他の物質を含んでもよい。
本発明を以下の実施例においてさらに記載するが、それらは、本発明の範囲を限定することを意図しない。
本発明の抗体を、以下の実施例においてさらに記載する。
実施例
実施例1:抗ヒトIL−36R抗体の同定
複数のマウス系統を、組換え産生されたヒトIL−36R(ECD−細胞外ドメイン:Genbank Accession#NP_003845のアミノ酸20〜332)タンパク質及び従来のハイブリドーマ世代中に取り入れられた強い力価応答を生成するもので免疫した。ヒトIL−36R(ECD)への強い結合を誘発するが、ヒトIL−1R1(最も関連するIL−1Rファミリーメンバー)への結合を誘発しない融合産物をサブクローニングし、再スクリーニングした。複数のハイブリドーマを同定し、IL−36Rからのシグナル伝達に結合し中和するモノクローナル抗体をもたらした(実施例2、3、及び4を参照のこと)。可変ドメインを、標準的なPCRプライマーセットを使用してハイブリドーマからクローニングした。代表的なモノクローナル抗体の可変ドメイン及び特定のCDRは上に記載する通りである。マウス抗体の全てを、ヒト定常ドメイン(hu IgG1KO/カッパ)上のマウス可変ドメインからなるキメラ抗体に変換した。hu IgG1KO(ノックアウト)は、エフェクター機能(例えばFcγR及び補体結合など)を低下させることによりADCC及びCDC活性を排除する2つの置換変異(Leu234Ala及びLeu235Ala)を有する。マウス抗体及びキメラ抗体の可変ドメインは同一である。キメラ抗体を生成し、抗体の機能を確認し、正しい可変ドメイン配列が得られたことを確実にする。
実施例2:同定されたマウス抗ヒトIL−36R抗体の分子結合親和性
A)組換えヒトIL−36Rに結合する抗IL−36R抗体の動態及び結合親和性を、単一カラム精製後にハイブリドーマから生成された物質を使用し、Proteon(Bio-Rad、カリフォルニア州ハーキュリーズ)を使用して測定した。単一のIL−36R表面コート濃度で実行された、ヒトIL−36Rへの全てのマウスリードの結合親和性を<100pMであると推定した。7つの異なる表面密度で実行されるヒトIL−36Rへのマウス抗体の結合親和性(全体的適合)を表1に示す。キメラ抗IL36R IgGの結合は、それぞれのマウスリードと等価である。
B)マウスIL−36R及びヒトIL−1R1にわたる分子選択性
マウス及びキメラ抗IL−36R抗体をまた、マウスIL−36R又はヒトIL−1R1表面のいずれかに100nMの濃度で注射した。Fortebio Octet(Fortebio、カリフォルニア州メンロパーク)を使用して測定したこれらの抗体についてのマウスIL−36R及びヒトIL−1R1への結合シグナルはゼロであり、これらの抗体がヒトIL−36Rに選択的に結合することを示す。ヒトIL−36Rへの抗IL−36R抗体の結合も50%ヒト血清の存在において分析し、結合率に対する血清の有意な効果は観察されず、高い特異性が実証された。
実施例3:機能的ヒト及びカニクイザルアッセイにおけるマウス及びキメラ抗ヒトIL−36R抗体の効力。
プロトコール:ヒトNCI/ADR−RES細胞pNFκB/サイトカイン放出アッセイ
試薬:
R&D Systems:切断型rh IL36β
R&D Systems:切断型rh IL36γ
R&D Systems:切断型rh IL36α:
MA6000 Phospho- NFκB (Ser536) Whole Cell Lysate Kit
Meso Scale Diagnostics, LLC
MSD ELISAカスタムヒト96ウェル 4スポットアッセイ
Meso Scale Diagnostics, LLC
NCI/ADR−RES細胞を、96ウェルプレートにおいて0.25%血清を伴うRPMI培地中に45000個細胞/ウェルで播種した。1つのプレートはpNFκBの分析のために、別のプレートはサイトカイン放出のために利用した。プレートを次に、37℃、5%CO2で一晩インキュベートした。リガンド(IL36α、β、又はγ)及び抗体を、血清飢餓(SS)培地中で4×の所望の濃度に希釈した。アンタゴニスト(抗体)を、リガンドの前に細胞に加えた。pNFκBについて:NCI細胞+/−リガンド及びアンタゴニストを、37℃、5%CO2で1時間にわたりインキュベートした。培地を次に吸引し、細胞を氷上で100μl/ウェルの完全溶解緩衝液中で30分間溶解した。溶解物を次に、2500RPM、20分間、4℃で遠心分離し、MSD ELISAプレートに移し、製造業者のプロトコールに従ってpNFκBについてアッセイした。サイトカイン放出について:刺激後18〜24時間、上清をMSD ELISAプレートに移し、製造者のプロトコールに従ってサイトカインについてアッセイした。
プロトコール:BaF/3カニクイザルIL−36R細胞についてのpNFκB(S536)MSD ELISA
BaF/3カニクイザルIL−36R細胞を96ウェルプレートにおけるSS培地中に90,000個細胞/ウェルで播種した。100μlの培地をコントロールウェルに加えた。アンタゴニスト(抗体)を4×の所望の濃度に希釈し、50μlを各々のウェルに加えた。リガンド(IL36α、β、又はγ)をSS培地中で4倍の所望の濃度に希釈し、50μlを各々のウェルに加えた(最終容量200μl)。プレートを37℃、5%CO2で15分間にわたりインキュベートした。プレートを短時間遠心分離し、培地を吸引し、細胞を100μl/ウェルの完全溶解緩衝液中で溶解し(MSDpNFκBプロトコールを参照のこと)、氷上で30分間にわたりインキュベートした。溶解物を次に、2500RPM、20分間、4℃で遠心分離し、MSD ELISAプレートに移した。溶解物を次に、上に記載するMSDキットを使用してpNFκB活性について評価した。
結果:ヒトIL−36リガンドを用いたヒト機能アッセイ(pNFκB及びサイトカイン放出)及びカニクイザル機能アッセイ(pNFκB)におけるマウス抗ヒトIL−36R抗体についてのIC
90結果を表2に示す。ヒトIL−36リガンドを用いたヒト機能アッセイ(pNFκB及びサイトカイン放出)及びカニクイザル機能アッセイ(pNFκB)におけるキメラ抗ヒトIL−36R抗体についてのIC
90結果を表3に示す。
実施例4:ヒトIL−36R発現細胞へのマウス抗ヒトIL−36R抗体の結合
フローサイトメトリーによる抗体の結合についてのプロトコール
全長ヒトIL−36R又はNCI/ADR−RES細胞でトランスフェクトされたHEK293細胞を、染色前の24時間にわたり継代した。細胞を、PBS中の10mlの5mM EDTAでリンスすることによりフラスコから除去し、次に、追加の10mlの5mM EDTA及び2.5mlのAccumaxと37℃で10分間にわたりインキュベートし、細胞を脱凝集/分散させた。抗体を次に、PBS+2%BSA中で指定濃度に希釈し、細胞を室温で20分間にわたりインキュベートした。過剰の抗体を次に、200μlのPBSを加えることにより洗浄し、次に遠心分離した。二次試薬を次に、ウェル当たり50μlで加えて、細胞を室温で15分間にわたりインキュベートし、上に記載するように洗浄する。細胞を200μlのPBS中に再懸濁し、フローサイトメトリーにより分析した。ヒトIL−36R HEK形質移入体に結合するマウス抗ヒトIL−36R抗体についての結合EC50を表4に示す。
実施例5:ヒト化IL−36R抗体の産生
ヒトにおいて投与後の潜在的な免疫原性を低下させるために、マウス抗ヒトIL−36Rモノクローナル抗体81B4及び73C5を、設計及びスクリーニングプロセスを通じて「ヒト化」した。ヒトフレームワーク配列を、フレームワークの相同性、CDR構造、保存された標準残基、保存された界面充填残基、及び他のパラメーターに基づいて、マウスリードについて選択した。これらのフレームワーク位置におけるアミノ酸残基の特定の置換によって、結合親和性及び/又は安定性を含む抗体性能の種々の側面を、ヒト生殖細胞系フレームワーク領域中へのCDR又はHVLの「直接スワップ」により形成されるヒト化抗体において実証されるものを上回り改善することができる。キメラ親Fabと比較してより良好又は等価の結合及び改善された発現を示したFabを、さらなる特徴付けのために選択した。抗体81B4及び73C5についての代表的なヒト化可変領域を明細書のセクションに示している。この様式では、抗体B1から抗体B6は、マウス抗体81B4(ヒトIgG1 KO(KO=ノックアウト)/カッパ骨格中にクローン化)から由来するヒト化抗体であった。抗体B1からB6を表Aに示す。抗体C1からC3は、マウス抗体73C5(ヒトIgG1−KO(KO=ノックアウト)/カッパ骨格中にクローン化)から由来するヒト化抗体であった。抗体C1からC3を表Cに示す。
実施例6:ヒト化IL−36R抗体の結合
組換えヒトIL−36Rに結合するヒト化抗IL−36R抗体の動態及び結合親和性を、Proteon(Bio-Rad、カリフォルニア州ハーキュリーズ)を使用して測定した。ヒトIL−36Rを5つの異なる表面密度で固定化し、全体的適合を使用して結果を分析した(3つの実験の結果を示す表5を参照のこと)。フローサイトメトリーを介したNCI/ADR−RES細胞へのヒト化抗体の結合を、実施例4に記載するプロトコールを使用して測定した(EC
90値については表5を参照のこと)。
実施例7:機能的ヒトアッセイにおけるヒト化抗ヒトIL−36R抗体の効力
ヒトNCI/ADR−RES細胞からのヒト化IL−36R変異体を用いたシグナル伝達の機能的遮断を、実施例3に記載するようにテストした。ヒトIL−36リガンドを用いたヒト機能アッセイ(pNFκB及びサイトカイン放出)におけるヒト化抗ヒトIL−36R抗体についてのIC
90結果を表6に示す。
実施例8:機能的ヒト初代ケラチノサイトアッセイにおける抗IL−36R抗体の効力。
プロトコール:ヒト初代表皮ケラチノサイトpNFkB/サイトカイン放出アッセイ
細胞を96ウェルプレートにおける培養培地中に30,000個細胞/ウェルで播種し、37℃、5%CO
2で一晩インキュベートした。アッセイを次に、実施例3に記載するように実施した。
結果:ヒトIL−36リガンドで刺激したヒト初代ケラチノサイトアッセイ(pNFkB及びIL−8放出)におけるマウス、キメラ、及びヒト化抗IL−36R抗体についてのIC
90結果をそれぞれ表7、表8、及び表9に示す。
実施例9:機能的ヒト初代腸上皮細胞アッセイにおける抗IL−36R抗体の効力
プロトコール:ヒト初代腸上皮細胞pNFκB/サイトカイン放出アッセイ
細胞を96ウェルプレートにおける培養培地中に30,000個細胞/ウェルで播種し、37℃、5%CO
2で一晩インキュベートした。アッセイを次に、実施例3に記載するように実施した。
結果:ヒトIL−36リガンドで刺激したヒト初代腸上皮細胞アッセイ(pNFkB及びIL−8放出)におけるマウス抗IL−36R抗体についてのIC
90結果を表10に示す。
実施例10:機能的ヒト初代腸筋線維芽細胞アッセイにおける抗IL−36R抗体の効力
プロトコール:ヒト初代腸筋線維芽細胞pNFκB/サイトカイン放出アッセイ
細胞を96ウェルプレートにおける培養培地中に30,000細胞/ウェルで播種し、37℃、5%CO
2でインキュベートした。アッセイを次に、実施例3に記載するように実施した。
結果:ヒトIL−36リガンドで刺激したヒト初代腸筋線維芽細胞アッセイ(pNFkB及びIL−8放出)における抗IL−36R抗体についてのIC
90結果を表11及び表12に示す。
実施例11:機能的ヒト初代皮膚線維芽細胞アッセイにおける抗IL−36R抗体の効力
プロトコール:ヒト初代皮膚線維芽細胞pNFκB/サイトカイン放出アッセイ
細胞を96ウェルプレートにおける培養培地中に30,000個細胞/ウェルで播種し、37℃、5%CO
2で一晩インキュベートした。アッセイを次に、実施例3に記載するように実施した。
結果:ヒトIL−36リガンドで刺激したヒト初代皮膚線維芽細胞アッセイ(pNFkB及びIL−8放出)における抗IL−36R抗体についてのIC
90結果を表13及び表14に示す。
実施例12:機能的ヒト初代近位尿細管細胞アッセイにおけるマウス抗IL−36R抗体の効力
プロトコール:ヒト初代近位尿細管細胞pNFκB/サイトカイン放出アッセイ。
細胞を96ウェルプレートにおける培養培地中に5,000個細胞/ウェルで播種し、37℃、5%CO2で一晩インキュベートした。アッセイを実施例3に記載するように実施した。
結果:ヒトIL−36リガンドで刺激したヒト初代近位尿細管細胞アッセイ(IL−8放出)におけるマウス、キメラ、及びヒト化抗IL−36R抗体についてのIC
90結果を表15に示す。
実施例13:IL−36γ刺激再構築ヒト表皮からのIL−8産生の阻害。
プロトコール再構成表皮
抗IL−36R抗体(1.5μg/ml)を再構築したヒト表皮とプレインキュベートし、ヒト組換えIL−36γ(20ng/ml)で刺激した。組換えヒトIL−1β(20ng/ml;R&D Systems)を陽性コントロールとして使用した。培養中での24時間後、細胞上清を収集し、IL−8についてアッセイした(IL−8についてのアッセイは実施例3に記載している)。サンプルを3通りにテストし、平均pg/ml±標準誤差を下の表に示す(表16)。
実施例14:再構成ヒト表皮におけるIL−36リガンド誘導性S100A7及びS100A12遺伝子発現の阻害。
アゴニスト(agonsitic)IL−36リガンドを用いた再構成ヒト表皮の刺激によって、S100A7及びS100A12遺伝子発現が誘導される。S100A7及びS100A12は、表皮分化複合体内に位置する遺伝子である。
プロトコール:再構成ヒト表皮を抗IL−36R抗体(1.5μg/ml)とインキュベートし、ヒト組換えIL−36γ(20ng/ml)で刺激した。組換えヒトIL−1β(20ng/mL;R&D Systems)を陽性コントロールとして使用した。5%CO
2及び37℃での培養中での24時間後、RNAを再構築ヒト表皮から単離し、リアルタイム逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応により遺伝子発現についてアッセイした。相対発現を、2
−ΔΔCt方法を使用して算出した。サンプルを3通りにテストし、平均発現±標準誤差を下の表に示す(表17)。
実施例15:乾癬の異種移植モデルにおける抗IL−36R抗体の有効性
プロトコール:血液及び非病変皮膚生検を、皮膚科医により臨床的に診断された乾癬患者24名から得た。皮膚生検を免疫不全NIH−IIIマウスに移植し、4〜5週間にわたり生着させた。
末梢血単核細胞(PBMC)を、移植皮膚中への皮内注射のために生検時に各々のドナーから収集された血液から単離した。注射の前に、PBMCを1μg/mlのブドウ球菌エンテロトキシンB(Toxin Technologies、米国フロリダ州)及び80U/mlのヒト組換えIL−2(Peprotech Inc.、オランダ、オーステルハウト)で刺激した。自己PBMCを、PBS中の7.5×10^5個の細胞と皮内注射し、皮膚炎症の誘導及び乾癬の表現型を同期化させた。細胞の注射後3週間に、生検をマウスから回収し、組織学的検査により分析した。
組織学的染色を全ての群の凍結保存された皮膚組織で実施した。全ての皮膚層を覆う対角切片(8μm)を図4に記載するように調製した。表皮の厚さの評価のために、2つの非連続切片を生検の中心から無作為に選び、ヘマトキシリン−エオシンで染色した。その後、切片を100倍の倍率で評価した。生検の全長にわたり、堤の長さを、Olympus DP71カメラ及びCell^Dイメージングソフトウェア(V2.7、ドイツ、ミュンスター)を使用して両方の切片で測定した。
堤の長さを以下ように定義する:顆粒層の上縁と堤の底の間の距離。生検は無作為に盲検様式で採点した。
各々の処置群についての平均表皮厚及び最大表皮厚についての結果を表18に示す。各々の処置群での表皮厚における正味の変化についての結果を表19に示す。
実施例16:野生型マウス及びインターロイキン1受容体様2ホモ接合性ノックアウトマウスにおける3週間のタバコ煙曝露後の亜慢性肺炎症。
プロトコール:野生型マウス又はインターロイキン1受容体様2マウスを肺の苦痛を誘導するために3週間にわたりタバコ煙に曝露させた。1週目及び2週目は連続5日間の曝露から成ったが、マウスには3週目の間には4日間連続で曝露させた。マウスを各日5本のタバコに曝露させ、タバコ曝露(16分間)及び新鮮な空気(8分間)の24分間の間隔を伴った。最終曝露後18時間に、マウスを2×0.8mlのハンクス塩溶液(0.6mM EDTA)で洗浄した。上清及び細胞ペレットを、10分間にわたる遠心分離後、気管支肺胞洗浄液から収集した。各々の曝露群の気管支肺胞洗浄液中の総マクロファージ及び好中球細胞数を表20に示す。