化合物
本発明の化合物は一般式(I)のものである。本発明の化合物は、予想外の生物学的活性を有する新しいクラスのビフェニル含有化合物である。本発明の化合物はまた、新しい抗体−薬物コンジュゲートおよびコンジュゲート試薬の産生において有用性を見出す。
いくつかの実施形態では、化合物は式(I’)のものである。
本発明の化合物において、好ましくは、Rに存在する任意の基RyまたはRzは、メチル基、または特に水素原子である。好ましい一実施形態では、Yは存在しない。Yが存在する場合、それは、例えば−CH2−O−CH2−のように、酸素原子によって中断されてもよいC1−4アルキレンまたはC1−4アルキレンオキシ基が好ましい。アルキレン基は、例えば、メチレン、エチレン、またはn−プロピレン基であり得、一方、アルキレンオキシ基は、例えば、メチレンオキシ、エチレンオキシ、またはn−プロピレンオキシ基であり得る。いくつかの実施形態では、Rは、−Y−OH、−Y−SH、−Y−S(O)2NH−Rx、−Y−NHS(O)2−Rx、−Y−CO2H、−Y−C(O)NH−Rx、−Y−NHC(O)−Rx、−Y−NHRy、または−Y−S(O)2NH2であり、式中、Yは存在しないか、またはYはC1−6アルキレン基を表し、Rxは、−OH、−SH、−NH2またはCO2Hで置換されているC1−6アルキル基を表す。いくつかの好ましい実施形態では、RはY−NHC(O)−Rxであり、より好ましくは、Rは、Yが存在しないY−NHC(O)−Rxであり、さらにより好ましくは、Rは、Yが存在せず、Rxが−SHで置換されているC1−6アルキルを表す、Y−NHC(O)−Rxである。いくつかの好ましい実施形態では、Rは、−OH、−NH2、−SH、−CONH2、−SO2NH2、−CO2H、CH2OH、または−NHC(O)−C1−6アルキレン−SH、特に−NH2または−NH−C(O)−C1−6アルキレン−SH、特に−NH−C(O)−C1−6アルキレン−SHである。Rが−NH−C(O)−C1−6アルキルであり、式中、該アルキルが−SHで置換されている(すなわち、−NH(C(O)−C1−6アルキレン−SH)場合、C1−6アルキル部分は、直鎖または分岐鎖であり得、例えば、Rは以下を含み得る:
いくつかの実施形態では、Rは、−OH、−NH2、−CONH2もしくは−CO2H基、またはC1−4アルキレン基、特に−OH、−NH2、−CONH2、もしくは−CO2H基で置換されているメチレン、エチレン、またはn−プロピレン基である。R基は、フェニル環のいずれの位置にあってよい。基Rは、好ましくは、フェニル環の3または4位にある(すなわち、メイタンシノイドコア構造の一部を形成するフェニル環に結合を形成するフェニル環の位置に対して)。
存在する場合、各Reは、独立して、ハロゲン原子、任意選択で置換されているC1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、またはC1−6アルコキシ基を表し、それらのそれぞれが、任意選択で、酸素原子、任意選択で置換されているフェニルもしくはC5−10ヘテロアリール基、−OH、−CO2Rv、−C(O)NRvRw、−NRvC(O)Rw、NRvRw、_−SRv、−S(O)−Rv、S(O)2−Rv、−S(O)2NRvRw、−CN基、または−NO2基によって中断されてもよい。いくつかの実施形態では、Reは存在しないか、または存在する場合、各Reは、独立して、ハロゲン原子、CF3基、C1−4アルキル基、C1−4アルコキシ基、−CN基、または−NO2基を表す。いくつかの実施形態では、存在する任意のRe基は、独立して、ハロゲン原子、メトキシ基、−CN基、または−NO2基からなる群から選択される。いくつかの好ましい実施形態では、存在する任意のRe基は、塩素、フッ素、メトキシ基、−CN基、および−NO2基からなる群から選択される。いくつかの好ましい実施形態では、存在する任意のRe基は、好ましくは、ハロゲン原子、例えば、塩素、臭素、もしくはフッ素原子、またはメチルもしくはメトキシ基である。好ましくは、nは、0、1、または2、特に0または1、特に0である。存在する場合、Re基または各Re基は、フェニル環がR基で置換されている位置以外のフェニル基の任意の位置にあってよい。
好ましくは、XはOHを表す。好ましくは、Raは、C1−4アルキル、特にメチルを表す。好ましくは、Rbは水素を表す。好ましくは、Rcは、水素またはメトキシ、より好ましくは水素を表す。好ましくは、Rdは、C1−4アルキル、特にメチルを表す。好ましくは、Reは、塩素または水素、特に塩素を表す。好ましくは、Rfは、C1−4アルキル、特にメチルを表す。
置換基Rgの性質は、本発明に重要であるとは考えられず、メイタンシンコア中のこの位置における非常に広範囲の置換基が文献に報告されている。任意のアルキル、アルケニル、またはアルキニル基は、好ましくは、最大10個、例えば最大6個の炭素原子を有する。シクロアルキル基は、好ましくは、5、6、または7個の環炭素原子を有し、例えば、1つ以上のC1−4アルキル基で置換されていてもよい。アリール基は、好ましくは、フェニル基である。ヘテロアリール基は、例えば、少なくとも1個のO、S、および/またはN原子を含む5、6、または7個の環原子を有することができる。それは、例えば、チオフェン、ピロール、ピロリドン、オキサゾール、チアゾール、イミダゾール、ピラゾール、ピラゾリン、イソキサゾール、トリアゾール、ピラン、ピリジン、ピペリジン、ジオキサン、モルホリン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、またはピペラジン基であり得る。アリールまたはヘテロアリール基Rg上に存在し得る任意選択の置換基は、ハロゲン原子、ならびにアルキル、ハロアルキル、ヒドロキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、およびアルコキシ基を含み、ここで、任意のアルキル部分は、1〜4個の炭素原子を有する。アルキル基Rgは、例えば、1個以上のハロゲン原子および/またはヒドロキシ、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、もしくはジアルキルアミノ基で置換されていてもよく、ここで、任意のアルキル部分は、1〜4個の炭素原子を有する。アルキル基Rgは、1つ以上のアミノ酸、例えば、N−メチルアラニンまたはN−メチルシステインで置換されていてもよい。Rgが置換アルキル基であるいくつかの実施形態では、基−C(O)−Rgは、アミノ酸由来であってもよい。例えば、アルキル基Rgは、基N(Ri)(Rii)で置換されていてもよく、式中、Riは、水素またはC1−4アルキル基を表し、Riiは、C1−4アルキル基、−C(O)−C1−6アルキル基、−C(O)−C2−6アルケニル基、または−C(O)−C3−6シクロアルキル基を表し、該C3−6シクロアルキル基は、非置換であるか、または最大2個のメチル基で置換されていてもよい。いくつかの好ましい実施形態では、Rgは、非置換であるか、またはN(Ri)(Rii)で置換されているC1−4アルキルを表し、Riは、C1−4アルキル基を表し、Riiは、−C(O)−C1−6アルキル基を表す。そのようなRg基の例には、以下が含まれる:
Rgが置換アルキル基であるいくつかの実施形態では、上述の基N(Ri)(Rii)で置換されていることに加えて、アルキル基は、任意選択で、−OH、−SH、−SMe、任意選択でヒドロキシルで置換されているC6−10芳香族炭素環、およびC5−10芳香族複素環からなる群から選択される置換基で置換されていてもよい。上述のように、基−C(O)−Rgはアミノ酸由来であってもよい。例えば、基−C(O)−Rgは、例えば、L−アラニンまたはL−メチオニンなどのアミノ酸残基を含み得る。
いくつかの好ましい実施形態では、Rgは、置換または特に非置換のC1−6アルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ペンチル、ヘキシル、または任意選択で置換されているフェニル基を表す。最も好ましくは、Rgは、C1−4アルキル、特にイソプロピルを表す。
いくつかの好ましい実施形態では、RaはC1−4アルキルを表し、Rbは水素を表し、Rcは、水素またはメトキシを表し、RdはC1−4アルキルを表し、Reは存在しないか、または存在する場合、フッ素、塩素、メトキシ、−CN、または−NO2を表し、n=0または1であり、RfはC1−4アルキルを表し、RgはC1−4アルキルを表す。
いくつかの好ましい実施形態では、RaはC1−4アルキルを表し、Rbは水素を表し、Rcは、水素またはメトキシを表し、RdはC1−4アルキルを表し、Reは存在しないか、または存在する場合、塩素を表し、RfはC1−4アルキルを表し、RgはC1−4アルキルを表す。
好ましくは、化合物は、式(I’)の化合物またはその塩であり、
式中、Rは、基−Y−OH、−Y−O−Rx、−Y−SH、−Y−S−Rx、−Y−CO2H、−Y−C(O)−Rx、−Y−NHRy、−Y−NRy−NHRz、または−Y−CRy=NOHを表し、式中、Yは存在しないか、またはYは、C1−6アルキレンもしくはC1−6アルキレンオキシ基を表すかのいずれかであり、それらのいずれかは、酸素原子によって中断されてもよく、Rxは、−OH、−SH、−NHRy、または−CO2Hで置換されているC1−4アルキル基を表し、RyおよびRzはそれぞれ、独立して、水素原子またはC1−4アルキル基を表し、Xは、OH、OC1−4アルキル、SH、S1−4アルキル、またはCNを表し、Raは、水素原子またはC1−4アルキル基を表し、Rbは、水素、OH、C1−4アルコキシ、またはC1−4アルキルC(O)O−を表し、Rcは、水素、OH、C1−4アルコキシ、またはC1−4アルキルC(O)O−を表し、Rdは、水素原子またはC1−4アルキル基を表し、各Reは、独立して、ハロゲン原子、CF3基、またはC1−4アルキル基もしくはC1−4アルコキシ基を表し、nは、0、1、2、3、または4であり、Rfは、水素原子またはC1−4アルキル基を表し、Rgは、水素原子、または任意選択で置換されているアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、またはヘテロアリール基を表す。
好ましくは、本発明の化合物は、一般式(Ia)の化合物またはその塩であり、
式中、R、X、n、およびRa〜Rgは、例えば式(I)または式(I’)の化合物について上述される意味および好ましい意味を有する。式(Ia)の化合物はまた、以下のように表すことができる:
より好ましくは、本発明の化合物は、一般式(Ib)の化合物またはその塩であり、
式中、R、Re、およびnは、例えば、式(I)または式(I’)の化合物について上述される意味および好ましい意味を有する。
いくつかの実施形態では、化合物は、式(Ib)の化合物(式中、nは0または1であり、存在する場合、Reは、塩素、フッ素、メトキシ、−CN、または−NO2であり、Rは、−NH2または−NH−C(O)−C1−6アルキレン−SHである)またはその塩である。
いくつかの実施形態では、化合物は、式(Ic)の化合物
(式中、Rgは、
であり、nは0または1であり、存在する場合、Reは、塩素、フッ素、メトキシ、−CN、または−NO2であり、Rは、−NH2または−NH−C(O)−C1−6アルキレン−SHである)またはその塩である。
式(I)(ならびに(I’)、(Ia)、(Ib)、および(Ic))の化合物は、塩を形成してもよい。本発明による好適な塩は、有機酸または無機酸を用いて形成されたものを含む。特に、酸を用いて形成される好適な塩には、鉱酸、強有機カルボン酸、例えば、非置換であるか、または例えばハロゲンで置換されている1〜4個の炭素原子のアルカンカルボン酸、例えば飽和または不飽和ジカルボン酸、例えばヒドロキシカルボン酸、例えばアミノ酸を用いて、または有機スルホン酸、例えば、非置換であるか、またはハロゲンで置換されている(C1−C4)−アルキル−もしくはアリール−スルホン酸を用いて形成されるものが含まれる。薬学的に許容される酸付加塩には、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、クエン酸、酒石酸、酢酸、リン酸、乳酸、ピルビン酸、トリフルオロ酢酸、コハク酸、過塩素酸、フマル酸、マレイン酸、グリコール酸、乳酸、サリチル酸、オキサロ酢酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ギ酸、安息香酸、マロン酸、ナフタレン−2−スルホン酸、ベンゼンスルホン酸、イセチオン酸、アスコルビン酸、リンゴ酸、フタル酸、アスパラギン酸、およびグルタミン酸、リジンおよびアルギニンから形成されるものが含まれる。式(I)(ならびに(I’)、(Ia)、(Ib)、および(Ic))の化合物およびそれらの塩は、溶媒和物、例えば水和物の形態でも存在し得る。
本発明の化合物はキラル(不斉中心)を含有する。個々の立体異性体(エナンチオマーおよびジアステレオマー)は本発明の範囲内である。本発明の化合物はアトロプ異性体としても存在し得、これは単結合(例えば、ビアリール結合)の周りの束縛回転によって生じる立体異性体である。いくつかの場合では、アトロプ異性体間の相互変換に対する障壁は、個々のアトロプ異性体が安定であり、単離可能であり得るように十分に高くてよい。したがって、個々のアトロプ異性体もまた本発明の範囲内である。状況によっては、化合物は互変異性形態で存在してもよく、そのような互変異性形態の化合物も本発明に包含される。
本発明のペイロードはコンジュゲートに形成することができ、そのため、それらはコンジュゲートの調製に有用な中間体とみなすことができる。それらの構造は、C−19位でのリンカーへの接続を可能にする(命名法については、Higashideら、1977、前記を参照されたい)。C−3位へのエステル結合を介してリンカーに接続されているメイタンシノイドペイロードは、エステラーゼまたはベータ脱離による切断/加水分解を受けることが知られている。エステラーゼは血中に存在することが知られており、これらの加水分解メカニズムの両方が、細胞に入る前にメイタンシノイドペイロードの早期放出をもたらす可能性があり、それは非特異的毒性および/または抗腫瘍薬の効力の低下を引き起こし得る。しかしながら、メイタンシノイド中のC−3エステル置換基の存在は効力の改善と関連することが本発明者らによって理解される。コンジュゲーションがC−19位を介する場合、ベータ脱離および/またはエステラーゼによる加水分解は依然として可能であるが、ペイロード、したがってADCは依然として活性を保持し、C−3でコンジュゲートされたペイロードとは異なり、これらの反応後に早期放出を受けない。さらに、本発明者らは、比較インビトロ血清安定性実験を実施し、これは、驚くべきことに、C−3エステル置換基を介したコンジュゲーションに適する比較化合物がC−19位を介したコンジュゲーションに適するが、依然としてC−3エステル置換基も含む化合物よりも安定性が低いことを示す。したがって、本発明の化合物、ならびにそれらの化合物を組み込んでいるコンジュゲートは、良好な安定性を有すると考えられる。
本発明のプロセスの態様
本発明の化合物の重要な特徴は、メイタンシンコア構造に存在するフェニル基が基Rで置換されているさらなるフェニル基を担持し、この基Rが化合物を結合タンパク質にコンジュゲートするために使用され得ることである。メイタンシンのコア構造は、塩素原子を担持するフェニル基を含有する。本発明者らは、この塩素原子を置換して本発明のフェニル含有化合物を産生する新規方法を発見した。したがって、本発明はまた、以下の一般式:
(式中、X、Ra〜Rd、Rf、およびRgは、式(I)、(I’)、(Ia)、(Ib)、または(Ic)の化合物について上記される意味および好ましい意味を有する)の化合物を、アリール−有機金属試薬(ここで、アリール部分は(Re)nおよびRまたはRの保護体で置換されているフェニル基であり、Rおよび(Re)nは、一般式(I)、(I’)、(Ia)、(Ib)、または(Ic)について記載される意味を有する)と反応させることを含み、反応が遷移金属触媒の存在下で実施される、本発明の化合物を調製するためのプロセスも提供する。
アリール−有機金属試薬は、例えば、アリール亜鉛、アリール錫、アリールマグネシウム、またはアリールケイ素試薬であり得る。より好ましくは、アリール−有機金属試薬は、アリールホウ素試薬、特に以下の一般式のアリールボロン酸であり、
式中、Rおよび(Re)nは、一般式(I)、(I’)、(Ia)、(Ib)、または(Ic)について記載される意味を有し、Rは保護形態で存在してもよい。
遷移金属触媒は、例えば、銅、ニッケル、または特にパラジウムから誘導され得、金属は一般に酸化状態IまたはIIである。金属は二座または特に一座配位子と共に存在する。この配位子は、例えば、窒素または特にリンに基づくものであり得る。特に好ましい触媒は、(2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,6’−ジメトキシビフェニル)[(2−(2’−アミノ−1,1’−ビフェニル)パラジウム(II)メタンスルホネート(Sigma AldrichからSphos Pd G3として市販されている)である。
反応は一般に溶媒、例えば、THF、2−メチル−THF、1,4−ジオキサン、メチルtert−ブチルエーテル、もしくはジメトキシエタンなどのエーテル溶媒、トルエンなどの炭化水素、またはn−ブタノールなどのアルコールの存在下で実施される。THFの使用が好ましい。通常は基本条件が適している。反応は一般に室温または高温で実施される。反応温度は、例えば20〜120℃、例えば30〜100℃、特に40〜60℃であり得る。
好ましくは、式(II)の化合物は、以下の式:
(式中、Ra、Rb、Rc、Rd、Rf、Rg、およびXは、例えば、式(I)、(I’)、(Ia)、(Ib)、または(Ic)の化合物について上に定義される通りである)、
を有する。
アリール−有機金属試薬、特に式(III)(ならびに以下に考察する(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、および(IIId))の試薬において、基Rは保護形態で存在してもよいことが理解されるであろう。カルボキシ基を保護するのに好適な基には、メチル、エチル、t−ブチル、ベンジル、p−メトキシベンジル、9−フルオレニルメチル、トリメチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、およびジフェニルメチルが含まれる。アミノ基を保護するのに好適な基には、t−ブトキシカルボニル(BOC)、トリチル、ベンジルオキシカルボニル、9−フルオレニルメトキシカルボニル、ホルミル、トリメチルシリル、およびt−ブチルジメチルシリル(TBDMS)、フタルイミド、およびスクシンイミドが含まれ、ヒドラジンまたはヒドロキシルアミン基を保護するために類似の基が使用され得る。ヒドロキシ基を保護するのに好適な基は、トリメチルシリル、トリエチルシリル、t−ブチルジフェニルシリル、およびt−ブチルジメチルシリルなどのトリC1−6アルキルシリル基を含むシリル基;ホルミル、アセチル、およびピバロイルなどのC1−6アルカノイル基、ベンゾイルなどの芳香族アシル基を含むアシル基;ベンジル、p−メトキシベンジル、9−フルオレニルメチル、およびジフェニルメチルなどのアリールメチル基;テトラヒドロピラン(THP)などのアセタール基;アリルエーテルおよびt−Buエーテルなどのエーテル類;メトキシメチルエーテル(MOM)および2−メトキシエトキシメチルエーテル(MEM)が含まれる。好適な保護基の多くの例は、例えば、”Greene’s Protective Groups in Organic Synthesis”,Wiley−Blackwell,2014に見出すことができる。
アリール−有機金属試薬が保護形態の基Rを含有する場合、本発明のプロセスの直接産物は、式(I)、(I’)、(Ia)、(Ib)、もしくは(Ic)の化合物、またはそれらの塩であり、式中、基Rはその保護形態、したがって、
でも存在する。
これらの保護された化合物は、保護基の除去により一般式(I)、(I’)、(Ia)、(Ib)、もしくは(Ic)の対応する化合物、またはそれらの塩に変換され、そのため、保護された化合物は、一般式(I)、(I’)、(Ia)、(Ib)、もしくは(Ic)の化合物、またはそれらの塩の調製のための中間体として有用である。それら自体が生物学的活性を有すると期待されるこれらの保護された化合物は新規であり、本発明のさらなる態様を形成する。保護基が上述のもののうちの1つである化合物が特に好ましい。
いくつかの好ましい実施形態では、本プロセスは、パラジウム触媒の存在下で、式(II)の化合物を、アリール部分が(Re)nおよびRまたはRの保護体で置換されているフェニル基である(式中、Rおよび(Re)nは、一般式(I)、(I’)、(Ia)、(Ib)、または(Ic)について記載される意味を有する)アリール−ホウ素試薬と反応させることを含む。ハロゲン化アリールとアリールホウ素試薬との間のパラジウム触媒反応は、当該技術分野ではしばしば鈴木反応、鈴木カップリング、鈴木−宮浦反応、または鈴木−宮浦カップリングと呼ばれる。プロセスが鈴木反応を含む場合、いくつかの実施形態では、アリールホウ素試薬は、アリール−ボロン酸、アリール−ボロン酸エステル、またはアリールトリフルオロボレート塩である。好ましくは、アリールホウ素試薬は、例えば、式(III)
のアリール−ボロン酸またはアリールボロン酸エステル、例えば、式(IIIa)のピナコールエステル、式(IIIb)の1,3−プロパンジオールエステル、式(IIIc)のネオペンチルグリコールエステル、または式(IIId)のN−メチルイミノ二酢酸エステル:
(式中、Rおよび(Re)nは、一般式(I)、(I’)、(Ia)、(Ib)、または(Ic)について記載される意味を有し、Rは保護形態で存在してもよい)のいずれか、特に以下の一般式
(式中、Rおよび(Re)nは、一般式(I)、(I’)、(Ia)、(Ib)、または(Ic)について記載される意味を有し、Rは保護形態で存在してもよい)のアリールボロン酸である。アリールホウ素試薬に存在するRおよび/またはRe基が塩を形成し得る場合(例えば、−NH2であるR基を含有するアリールホウ素試薬の場合)、試薬の好適な塩形態(例えば、Rが−NH2である場合には塩酸塩など)が使用され得る。
本プロセスが鈴木反応(すなわち、アリールホウ素試薬およびパラジウム触媒の使用を伴うカップリング)を実施することを含む場合、反応は典型的には、無機カリウム塩基、例えば、リン酸カリウム、炭酸カリウム、水酸化カリウム、またはフッ化カリウムなどの好適な塩基の存在下で実施される。好ましくは、反応はリン酸カリウムの存在下で実施される。
式(III)の化合物および適切なアリールホウ素試薬を伴う鈴木反応に好適なパラジウム触媒には、シクロヘキシル基を含有する立体障害ホスフィン配位子に基づくもの、例えば、(2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,6’−ジメトキシビフェニル)[(2)−(2’−アミノ−1,1’−ビフェニル)パラジウム(II)メタンスルホネート(上述のSigma AldrichからSPhos Pd G3として市販されている)、および(2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピル−1,1’−ビフェニル)[2−(2’−アミノ−1,1’−ビフェニル)]パラジウム(II)メタンスルホネート(Sigma AldrichからXPhos Pd G3として市販されている)、またはその2つの混合物が含まれる。他の例としては、Sigma Aldrichにより商品名SPhos Pd G4およびXPhos Pd G4で販売されている触媒が挙げられる。これらの触媒の構造を以下に提供する:
好適な触媒のさらなる例は、やはりSigma Aldrichから入手可能なXPhos配位子(2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニル)と組み合わせた酢酸パラジウム(II)である。
本プロセスが鈴木反応(すなわち、アリールホウ素試薬およびパラジウム触媒の使用を伴うカップリング)を実施することを含む場合、反応は、例えば、高温(例えば、約30〜約100℃または40〜60℃の範囲の温度)、またはより好ましくは、周囲温度(例えば、局所周囲条件に応じて、15〜40℃の範囲の温度)で実施され得る。
本プロセスが鈴木反応(すなわち、アリールホウ素試薬およびパラジウム触媒の使用を伴うカップリング)を実施することを含む場合、反応は典型的には、水の存在下で行われる。水を添加すると反応が促進され、加速されることがわかった。したがって、好ましい実施形態では、本プロセスは、パラジウム触媒の存在下、および水の存在下で(例えば、水性溶媒系が使用される)、式(II)の化合物を、アリール部分が(Re)nおよびRまたはRの保護体で置換されているフェニル基である(式中、Rおよび(Re)nは、一般式(I)、(I’)、(Ia)、(Ib)、または(Ic)について記載される意味を有する)アリール−ホウ素試薬と反応させることを含む。好適な水性溶媒系の例には、THF:水、2−メチルTHF:水、ジエチルエーテル:水、ジイソプロピルエーテル:水、メチルtert−ブチルエーテル:水、ジメトキシエタン:水、および1,4−ジオキサン:水などのエーテル:水溶媒系が含まれる。さらなる例としては、n−ブタノール:水などのアルコール:水溶媒系、およびトルエン:水系が挙げられる。いくつかの好ましい実施形態では、溶媒系は、例えば5:1〜20:1、特に約10:1の体積比のTHF:水である。
アリールホウ素試薬と式(II)の化合物との間のパラジウム触媒反応は、酸素の不在下または実質的な不在下で特に良好に進行することも見出された。典型的には、反応は、系から空気をパージした後、アルゴンまたは窒素などの不活性雰囲気下で行われる。系に残存する酸素レベルを最小限に抑えるために、複数回のパージ−再充填サイクルを実施することができる。したがって、いくつかの好ましい実施形態では、鈴木反応は、酸素の不在下または実質的な不在下で実施される。
鈴木反応は、水の存在下および酸素の実質的な不在下で特に良好に作用することがわかった。したがって、いくつかの好ましい実施形態では、アリール−有機金属試薬は、アリール−ボロン酸またはアリール−ボロン酸エステルであり、反応は、水の存在下、および酸素の不在下もしくは実質的な不在下で、パラジウム触媒の存在下で実施される。
本発明のプロセスは、予想外にも、様々な官能基を含む広範囲のビアリールモチーフへのアクセスを提供し、また高収率で式(I)、(I’)、(Ia)、(Ib)、および(Ic)のある特定の化合物への直接アクセスも提供する。本発明の化合物を調製する際の温和な条件の使用の成功は、式(II)の化合物中の立体障害電子豊富塩化アリール部分の認識される反応性、およびメイタンシノイド化合物の複雑で敏感な化学構造の観点から特に驚くべきことである。特にパラジウム触媒の使用がメイタンシノイドコア構造のジエンおよび/またはエポキシド部分の分解をもたらすと予想されるため、本発明のプロセスの有効性は驚くべきことである。これは実際には起こらない。
ビアリールカップリング工程の後、得られた化合物をさらなる化学変換にかけることができることが理解されよう。例えば、上述のように、アリール−有機金属試薬が保護形態の基Rを含有する場合、本プロセスの直接産物も保護形態となり、保護基を除去する脱保護工程に付すことができる。別の例として、ビアリールカップリング工程の産物が式(I)、(I’)、(Ia)、(Ib)、または(Ic)の化合物である場合、それは、後続の化学変換によって式(I)、(I’)、(Ia)、(Ib)、または(Ic)のさらなる化合物に変換され得る(例えば、Rが−NH2である化合物は、Rが−NH−C(O)−C1−6アルキル−SHである化合物に変換され得るか、またはRが−CH2OHである化合物は、酸化により、Rが−CO2Hである化合物に変換され得る)。さらなる例として、式(I)、(I’)、(Ia)、(Ib)、または(Ic)の化合物は、コンジュゲート剤およびコンジュゲートを産生するのに有用であり、本プロセスはまた、式(I)、(I’)、(Ia)、(Ib)、または(Ic)の化合物が本発明のコンジュゲート試薬または本発明のコンジュゲートに変換される、1つ以上のさらなる工程も含み得る。
コンジュゲートおよびコンジュゲート試薬
本発明のコンジュゲートおよび試薬は、式(I)、(I’)、(Ia)、(Ib)、もしくは(Ic)の基Rを介して、式(I)、(I’)、(Ia)、(Ib)、もしくは(Ic)の化合物、またはそれらの塩(本明細書中でペイロードもしくは薬物Dと称される)を、本発明のコンジュゲート中の結合タンパク質または本発明のコンジュゲート試薬中の官能基に接続するリンカーを含有する。コンジュゲートおよび試薬は、それぞれ、以下によって概略的に表すことができ、
D〜リンカー〜F’または
D〜リンカー〜F
式中、Dは薬物であり、Fは試薬の官能基であり、これは結合タンパク質との反応時に、コンジュゲートに存在する結合タンパク質を含む基F’を生じさせる。
いくつかの実施形態では、リンカーは、例えば、コアメイタンシノイド構造と結合タンパク質との間のスペーサーとして機能し得るペンダントR基を含有する式(I)、(I’)、(Ia)、(Ib)、または(Ic)の化合物を含むコンジュゲートの場合、結合であり得、他の好ましい実施形態では、リンカーは結合以外であり、例えば、リンカーは、薬物と結合タンパク質との間、または薬物と結合タンパク質と反応する試薬の官能基との間のスペーサーとして機能する基を含む。
いくつかの好ましい実施形態では、コンジュゲートは、式(I’)の化合物を含む。
本発明の化合物は、当該技術分野で既知の連結化学を使用して基Rを介して化合物を適切な結合タンパク質(例えば、抗体、抗体断片など)に連結させることによってコンジュゲート、特に抗体薬物コンジュゲート(ADC)に作製され得る。例示的な連結化学は、それぞれWO2004/060965およびWO2013/090590内に開示されているマレイミドまたはN−ヒドロキシスクシンイミドに基づくもの、およびWO2014/064424A1に開示されているものを含む。
本明細書中で使用される場合、用語「結合タンパク質」は、結合タンパク質およびペプチドの両方を含むことを意味し、文脈が特に別様に必要としている場合を除いて、ペプチドならびにタンパク質を含むと理解されるべきである。本発明のコンジュゲートにおいて使用され得る結合タンパク質は、標的上の結合パートナーの結合剤としての機能を果たし得る任意のタンパク質、ポリペプチド、またはペプチドを含む。標的は、例えば、微生物、ウイルス、または細胞、例えば、癌または免疫細胞であり得る。したがって、結合タンパク質は、本発明の化合物、本発明によるコンジュゲート中のペイロードを特定の標的に標的化するように作用する。そのような結合タンパク質の例には、全長抗体、抗体断片、免疫グロブリン(Ig)、および非Igタンパク質足場/合理的またはコンビナトリアルタンパク質工学技術によって得られる抗体模倣物、ならびにレクチンが含まれる。タンパク質−薬物コンジュゲートにおいて使用される最も一般的な結合タンパク質は、抗体であり、結合タンパク質へのいかなる言及も、文脈が特に別様に必要としている場合を除いて、抗体への具体的な言及を含むと理解されるべきである。
本明細書で使用される場合、「抗体」は、免疫グロブリン分子の可変領域内の少なくとも1つの抗原認識部位を介してタンパク質、ポリペプチド、ペプチド、炭水化物、ポリヌクレオチド、脂質、またはそれらの組み合わせなどの標的抗原を認識し、特異的に結合する免疫グロブリン分子を意味する。用語「抗体」は、抗体が所望の生物学的活性を示す限り、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、二重特異性抗体などの多重特異性抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、抗体の抗原決定部分を含む融合タンパク質、および抗原認識部位を含む任意の他の修飾免疫グロブリン分子を包含する。抗体は、それぞれアルファ、デルタ、イプシロン、ガンマ、およびミューと呼ばれるそれらの重鎖定常ドメインの同一性に基づいて、5つの主要なクラスの免疫グロブリン:IgA、IgD、IgE、IgG、およびIgM、またはそれらのサブクラス(アイソタイプ)(例えばIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、およびIgA2)のいずれかを含み得る。異なるクラスの免疫グロブリンは、異なり、よく知られたサブユニット構造および三次元配置を有する。一実施形態では、抗体は、IgG1またはIgG4である。
さらに、文脈が別様に必要としいている場合を除いて、用語「抗体」は、全長抗体、および全長抗体の抗原結合領域を含む抗体断片を包含するものと理解されるべきである。抗体断片は、例えば、抗体断片から形成されるFab、Fab’、F(ab’)2、scFv、Fv、ダイアボディ、ミニボディ、または多重特異性抗体、例えば、scFv断片またはダイアボディの異なる順列で構成されるミニボディ、および任意選択でFc断片またはCHドメイン、例えば、scFv−Fc、scFv−FC−scFv、Fab−scFv、(Fab’ScFv)2、scDiabodies、scDiabody−Fc、scDiabody−CH3、scFv−CH3、およびSCFV−CH2−CH3融合タンパク質であり得る。抗体断片は、酵素的切断、合成、または組換え技術によって産生され得る。
結合タンパク質は、標的の表面上の受容体、抗原、または他の部分、例えば、増殖性、自己免疫性、または感染性疾患に関連する細胞またはウイルスの結合剤としての機能を果たし得る。例えば、結合タンパク質は、癌細胞上の細胞表面抗原に特異的に結合する抗体であり得る。癌細胞の抗体標的化のための細胞表面抗原の特定および確認の方法は、例えば、Carter P,et al.,Endocr.Relat.Cancer.2004 Dec;l l(4):659−87において既知であり、癌を治療するためのいくつかの抗体−薬物コンジュゲートが現在臨床開発中である。癌の治療に利用可能な抗体、および特定の癌の腫瘍マーカーの例も当該技術分野において周知であり、使用することができる。あるいは、標的は、免疫細胞、例えば、自己免疫抗体の産生に関与する細胞、または自己免疫疾患に関連する活性化リンパ球であり得る。他の実施形態では、標的は、微生物またはウイルスの感染または疾患に関連する微生物またはウイルスであり得る。
本発明のコンジュゲートに有用な抗体の例は、抗CD30抗体、例えばキメラモノクローナル抗体cAC10、例えばブレンツキシマブである。本発明のコンジュゲートに有用な抗体のさらなる例は、抗HER2抗体、例えばトラスツズマブである。
本発明によるコンジュゲート試薬は、結合タンパク質と反応可能な官能基Fにリンカーを介した基Rを介して結合している本発明による化合物を含む。
上述のように、本発明のコンジュゲートを形成するために任意の種類の既知のコンジュゲーション反応を使用することができる。例えば、反応は、チオール結合、アミンコンジュゲーション、またはクリックケミストリーの既知の方法を用いて実施され得る。例えば、試薬は、マレイミド基、N−ヒドロキシスクシンイミド基、クリックケミストリー基、例えば、アジドもしくはアルキン基、アミン基、カルボキシル基、または活性エステル基を含有し得る。他の可能性のあるアプローチは、操作されたシステインまたは非天然アミノ酸などのコンジュゲーションのために特異的にアミノ酸を用いて組み換え操作された結合タンパク質の使用、およびトランスグルタミナーゼなどの特定の酵素反応による酵素コンジュゲーションを含む。酵素コンジュゲーションはまた、例えば、結合タンパク質に操作された配列LPXTGにリンカー−薬物部分をコンジュゲートすることができるソルターゼ酵素を使用して達成することもできる。結合タンパク質上の反応部位は、本質的に求核性または求電子性のいずれかであり得る。一般的なコンジュゲーション部位は、リジンもしくはシステインアミノ酸残基、または炭水化物部分にある。あるいは、結合タンパク質に結合されたポリヒスチジンタグでコンジュゲーションが起こり得る。
好ましくは、コンジュゲート試薬は、結合タンパク質に存在する少なくとも1つの求電子剤、または特に求核剤と反応可能であり、したがってそれに化学結合することが可能な官能基を含む。そのため、コンジュゲート試薬は典型的には、求核剤との反応で失われる少なくとも1つの脱離基を含む。コンジュゲート試薬は、例えば、2つ以上の脱離基を含み得、好ましくは、本発明によるコンジュゲート試薬は、2つの求核剤と反応可能である。2つ以上の脱離基が存在する場合、これらは同一または異なり得る。あるいは、コンジュゲート試薬は、2つの脱離基と化学的に等価であり、単一の基が2つの求核剤と反応可能である単一の基を含有し得る。
求核基は硫黄原子およびアミン基を含み、結合タンパク質中の求核基は、例えばシステイン、リジン、またはヒスチジン残基によって提供される。本発明の好ましい一実施形態では、求核基は、結合タンパク質に存在するシステイン残基に存在する硫黄原子である。そのような構造は、結合タンパク質に存在するジスルフィド結合の還元によって得ることができる。別の実施形態では、求核基は、結合タンパク質に結合したポリヒスチジンタグに存在するヒスチジン残基に存在するイミダゾール基であり得る。
試薬の一群は、Smith et al.,J.Am.Chem.Soc,.2010,132,1960−1965、およびSchumacher et al.,Bioconj.Chem.,2011,22,132−136に記載されるビス−ハロ−またはビス−チオ−マレイミドおよびそれらの誘導体に基づく。これらの試薬は以下の官能基を含有し、
式中、各Lは脱離基である。マレイミド環の窒素原子は連結基に接続されている。
同様に、単一の脱離基Lを含有するマレイミド:
を使用することができる。やはり、マレイミド環の窒素原子は連結基に接続されている。
また、脱離基を欠くマレイミド:
を使用することができる。やはり、マレイミド環の窒素原子は連結基に接続されている。例えば、マレイミド系試薬を、例えば、結合タンパク質に存在し得るジスルフィド結合を還元した後に、結合タンパク質に存在するチオール部分と反応させることができる。
他の群の試薬は、WO2011/73391に記載されているものである。これらの試薬の例は以下の官能基を含み、
式中、各Lは脱離基である。
さらなる群のコンジュゲート試薬は、N−ヒドロキシスクシンイミドエステルなどの活性化アシル基に基づくもの、すなわち、以下の式を有する官能基
、またはその塩を含有するものである。
この種類の官能基は、例えば、結合タンパク質に存在する求核性アミン基とのアミド化反応により、結合タンパク質にコンジュゲートするために使用することができる。
コンジュゲート試薬の別の例は、以下のピリジルジスルフィド基を含有するものであり、
式中、R’は存在しないか、または−NO2基などの電子求引性基を表すかのいずれかである。この種類の官能基を使用して、例えば、結合タンパク質に存在するチオール部分との反応(例えば、結合タンパク質中のジスルフィド架橋の還元から得られる)によって結合タンパク質にコンジュゲートすることができ、それ自体がジスルフィド連結を含有するコンジュゲートをもたらす。
本発明の特に好ましい実施形態では、コンジュゲート試薬は、以下の官能基Fを含有し、
式中、Wは電子求引性基、例えば、ケト基、エステル基−O−CO−、またはスルホン基−SO2−を表し、AおよびBはそれぞれ、独立して、C1−5アルキレンまたはアルケニレン鎖を表し、各Lは、独立して、脱離基を表すか、または両方のLが一緒になって脱離基を表すかのいずれかである。そのような基を含有する試薬がタンパク質と反応すると、最初の脱離基Lが失われて、以下の式の官能基を含有するコンジュゲート試薬がその場で形成され、
式中、mは0〜4であり、これは第1の求核剤と反応する。次いで、第二の脱離基Lが失われ、第二の求核剤との反応が起こる。官能基(V)および(VI)が互いに化学的に等価であるため、官能基(V)を含有する試薬を出発物質として使用する代わりに、官能基(VI)を含有する試薬を使用することができる。
本発明のこれらのコンジュゲート試薬は、WO2005/007197およびWO2010/100430に開示されている一般的な種類のものである。そのような試薬は、例えば、ジスルフィド結合の還元によって得られる2個の硫黄原子、またはポリヒスチジンタグに存在するヒスチジン残基に存在するイミダゾール基を標的化するために使用され得る。
脱離基Lは、例えば、−SP、−OP、−SO2P、−OSO2P、−N+PR13R14、ハロゲン、または−O
であり得、式中、Pは、水素原子、またはアルキル(好ましくはC1−6アルキル)、アリール(好ましくはフェニル)、もしくはアルキル−アリール(好ましくはC1−6アルキル−フェニル)基を表すか、または部分−(CH2CH2O)q−を含む基であり、式中、qは6以上の数であり、R13およびR14はそれぞれ、独立して、水素原子、C1−4アルキル基、または基Pを表し、
は、置換アリール基、特にフェニル基を表し、これは、少なくとも1つの置換基、例えば、−CN、−CF3、−NO2、−CO2Raa、−COH、−CH2OH、−CORaa、−ORaa、−OCORaa、−OCO2Raa、−SRaa、−SORaa、−SO2Raa、−NHCORaa、−NRaa 2、CORaa、−NHCO2Raa、−NPCO2Raa、−NO、−NHOH、−NRaaOH、−CH=N−NHCORaa、−CH=N−NRaaCORaa、−N+Raa 3、−N+HRaa 2、−N+H2Raa、ハロゲン、特に塩素、または特にフッ素、−C≡CRaa、−CH=CRaa 2、および−CH=CHRaaを含有し、式中、各Raaは、水素原子、またはアルキル(好ましくはC1−6アルキル)、アリール(好ましくはフェニル)、もしくはアルキル−アリール(好ましくはC1−6アルキル−フェニル)基を表す。電子求引性置換基の存在が好ましい。
Pが部分−(CH2CH2O)q−(式中、qは6以上の数である)を含む基を表すコンジュゲート試薬は、WO2016/059377に記載されており、そのような脱離基を含む試薬は、本発明の1つの好ましい実施形態を形成する。そのような試薬は、例えば、−(CH2CH2O)q−R1を含み得、式中、R1はキャッピング基である。R1は、例えば、水素原子、アルキル基、特にC1−4アルキル基、特にメチル基、または任意選択で置換されているアリール基、例えば任意選択で置換されているフェニル基、例えばトリル基であり得る。あるいは、キャッピング基は、カルボキシル基またはアミン基などの官能基を含み得る。そのようなキャッピング基は、例えば、式−CH2CH2CO2Hまたは−CH2CH2NH2を有し得、−(CH2CH2O)q−鎖の末端単位を官能化することによって調製され得る。あるいは、キャッピング基で終結するのではなく、−(CH2CH2O)q−基は、2つの求核剤と反応可能な化学的に等価な2つの脱離基が存在するように、コンジュゲート試薬内に2つの結合点を有し得る。
脱離基の−(CH2CH2O)q−部分は、PEG(ポリエチレングリコール)に基づく。PEGは、直鎖または分岐鎖であり得、それは任意の方法で誘導体化または官能化され得る。qは、6以上の数、例えば、6、7、8、9、または10以上である。例えば、qは、6〜9であり得る。qの上限は特にない。qは、例えば150以下、例えば120以下、例えば100以下であり得る。例えば、qは、6または7〜150、例えば6または7〜120であり得る。
本発明による新規コンジュゲート試薬に存在する特に好ましい脱離基Lは、−SPまたは−SO2P、特に−SO2Pである。この基の中で、好ましい一実施形態は、Pがフェニル、または特にトリル基を表す場合である。別の好ましい実施形態は、Pが部分−(CH2CH2O)q、特にqが上述の値のうちの1つ、特に7を有するものを含む基を表す場合である。特に好ましい脱離基Lは、−SO2−(CH2CH2O)q−Hおよび−SO2−(CH2CH2O)q−Me、特に−SO2−(CH2CH2O)7−Hおよび−SO2−(CH2CH2O)7−Meである。本明細書を通して、脱離基Lへのいかなる言及もこれらの好ましい基、特に−SO2−(CH2CH2O)q−Hおよび−SO2−(CH2CH2O)q−Me、特に−SO2−(CH2CH2O)7−Hおよび−SO2−(CH2CH2O)7−Meへの特定の言及を含むと理解されるべきである。
好ましくは、Wはケト基を表す。好ましくは、AおよびBのそれぞれは、−CH2−を表し、mは0である。
上記の式VおよびVIの試薬は、以下の基F’を含むコンジュゲートを形成し、
式中、W’は、電子求引性基または電子求引性基の還元により得られる基を表し、Prは求核剤Nuを介してAおよびBに結合した結合タンパク質を表す。コンジュゲーションプロセスの直接産物(以下により詳細に記載される)は、電子求引性基Wを含有するコンジュゲートである。しかしながら、コンジュゲーションプロセスは好適な条件下で可逆的である。これは、いくつかの用途、例えば、結合タンパク質の迅速な放出が必要とされる場合には望ましい場合があるが、他の用途にとっては、結合タンパク質の迅速な放出は望ましくない場合がある。したがって、電子求引性部分を還元して結合タンパク質の放出を妨げる部分を得ることによって、コンジュゲートを安定化させることが望ましい場合がある。したがって、コンジュゲーションプロセスは、コンジュゲート中の電子求引性基を還元するさらなる任意選択の工程を含み得る。還元剤としての水素化ホウ素、例えば水素化ホウ素ナトリウム、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム、またはトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムの使用が特に好ましい。使用され得る他の還元剤には、例えば、塩化スズ(II)、アルミニウムアルコキシドなどのアルコキシド、および水素化アルミニウムリチウムが含まれる。
したがって、例えば、ケト基を含有する部分Wは、CH(OH)基を含有する部分に還元することができる。エーテル基CH.ORaaは、ヒドロキシ基とエーテル化剤との反応によって得ることができる。エステル基CH.O.C(O)Raaは、ヒドロキシ基とアシル化剤との反応によって得ることができる。アミン基CH.NH2、CH.NHRaaまたはCH.NRaa 2は、還元アミノ化によりケトンから調製することができる。あるいは、アミドCH.NHC(O)RaaまたはCH.N(C(O)Raa)2は、アミンのアシル化によって形成することができる。スルホンは、スルホキシド、スルフィド、またはチオールエーテルに還元することができる。
好ましくは、基F’およびFは、以下の式:
を有する。
上記の式において、好ましい脱離基は上記の通りである。好ましくは、各Nuは硫黄原子である。
コンジュゲート試薬の他の好ましい基は、以下の官能基を含み、
〜W−CR15R15’−CR15.L.L’(VIII)
式中、Wは、上記の意味および好ましい意味を有し、
各R15は水素原子またはC1−4アルキル基を表すか、R15’は水素原子を表すかのいずれかであり、各LおよびL’は、独立して、脱離基を表すか、またはLおよびL’の両方が一緒になって脱離基を表すか、あるいは
各R15は水素原子またはC1−4アルキル基を表し、Lは脱離基を表し、R15’およびL’は一緒になって結合を表すかのいずれかである。
コンジュゲート試薬の別の基は、以下の官能基Fを含み、
〜W−(CH=CH)p−(CH2)2−L(IX)または
〜W−(CH=CH)p−CH=CH2(X)
式中、Wは上記の意味および好ましい意味を有し、pは、0または1〜4の整数、好ましくは0を表す。この種類の特に好ましい試薬は、以下の官能基を含み、
−NH−CO−Ar’−CO−(CH2)2−L(IXa)または
〜NH−CO−Ar’−CO−CH=CH2(Xa)
式中、Ar’は、任意選択で置換アリール、特にフェニル基を表す。
すべての場合において、脱離基LおよびL’の好ましい意味は上述の通りである。
本発明によるコンジュゲート試薬は、結合タンパク質との反応のために2つ以上の官能基を含有し得る。例えば、試薬は、分子の一端に、好ましくは式(V)または(VI)の官能基、および分子の他の場所に1つ以上の追加の官能基を含有してもよい。そのような構造は、例えば、Belcheva et al,J.Biomater.Sci Polymer Edn.9(3),207−226に記載されており、複数の結合タンパク質および/または複数のペイロードを含有するコンジュゲートの合成に有用である。
本発明の新規コンジュゲート試薬は、既知の方法と同様の方法で調製することができる。式(I)中の全ての可能な基Rの共通の特徴は、それらがリンカー上の相補的基と容易に反応可能であることである。したがって、例えば、ヒドロキシルまたはチオール基をリンカー上の酸基と反応させてエステル結合を形成することができる。アミノ基を酸基(DCCなどの活性化された酸基を含む)と反応させてアミド結合を形成することができる。所望する場合、最初にカルボキシル基を活性化することにより、カルボキシル基をアミン基と反応させてアミド結合を形成してもよい。所望する場合、最初にカルボキシル基を活性化することによりヒドラジンをアルデヒドまたはケトンと反応させてヒドラゾンを形成するか、またはカルボン酸と反応させてヒドラジドを形成することができる。オキシアミン基をアルデヒドまたはケトンと反応させてオキシムを形成することができる。
本発明によるコンジュゲート試薬を結合タンパク質と反応させて、本発明によるコンジュゲートを形成することができ、そのような反応は本発明のさらなる態様を形成する。したがって、好適な官能基、特に官能基VまたはVIを含むコンジュゲート試薬を、結合タンパク質、特に抗体または抗体断片と反応させて、コンジュゲート、特にグループ(VII)を含むコンジュゲートを形成する。
式(V)または(VI)のコンジュゲート試薬を使用することの重要な特徴は、α−メチレン脱離基および二重結合がマイケル活性化部分としての機能を果たす電子求引性官能基と交差共役することである。脱離基が直接置換よりも交差官能性試薬中で脱離する傾向があり、電子求引性基がマイケル反応に好適な活性化部分である場合、連続的なマイケルおよびレトロマイケル反応によって逐次分子内ビス−アルキル化が起こり得る。官能基(V)を含有する試薬において、脱離基は、最初のアルキル化が起こるまで露出されない潜在的共役二重結合を遮蔽して、官能基(VI)を含む試薬を得るのに役立ち、ビス−アルキル化は、相互作用的なマイケルおよびレトロマイケル反応から生じる。交差官能性アルキル化剤は、二重結合にコンジュゲートした、または脱離基と電子求引性基との間に複数の結合を含有し得る。
結合タンパク質への結合がタンパク質中のジスルフィド結合から誘導される2個の硫黄原子を介する場合、本プロセスはジスルフィド結合を還元することにより実施することができ、その後還元産物は本発明による試薬と反応する。好ましくは、ジスルフィド結合を還元し、過剰の還元剤を、例えば緩衝液交換により除去した後に、コンジュゲート試薬を導入する。ジスルフィド結合は、従来の方法を用いて、例えば、ジチオトレイトール、メルカプトエタノール、またはトリス−カルボキシエチルホスフィンを用いて還元することができる。
例えば式(V)または(VI)の基を含むコンジュゲート剤の場合、コンジュゲーション反応は、WO2005/007197、WO2009/047500、WO2014/064423、およびWO2014/064424に開示されている条件を含む、既知のコンジュゲーションプロセスと同様の条件下で実施され得る。
例えば、結合タンパク質に存在する求核性アミン基とのアミド化反応によって、N−ヒドロキシスクシンイミドエステルを有するコンジュゲート試薬を使用してコンジュゲーションが実施される場合、コンジュゲーション反応は、例えば、Widdison et al,J.”Med. 2006,49(14),p4392−4408、WO2004/103272、WO2012/061590、またはWO2013/090590に開示されている条件を含む、既知のコンジュゲーションプロセスと同様の条件下で実施することもできる。同様に、マレイミド連結化学については、WO2004/010957またはWO2004/060965に開示されているものなどの条件を使用することができる。
本プロセスは、例えば、全ての反応物が可溶性である溶媒または溶媒混合物中で実施することができる。例えば、結合タンパク質を水性反応媒体中でポリマーコンジュゲート試薬と直接反応させることができる。求核剤のpH要件に応じて、この反応媒体も緩衝化することができる。反応に最適なpHは一般に、少なくとも4.5、典型的には約5.0〜約8.5、好ましくは約6.0〜7.5であろう。最適な反応条件は、当然のことながら、用いられる特定の反応物に依存する。
水性反応媒体を使用する場合、3〜40℃の反応温度が一般に好適である。有機媒体(例えば、THF、酢酸エチル、アセトン、アセトニトリル、DMF、DMA)中で行われる反応は、典型的には、周囲温度までの温度で行われる。好ましい一実施形態では、反応は、ある割合の有機溶媒、例えば最大50体積%の有機溶媒、典型的には5〜20体積%の有機溶媒を含有し得る水性緩衝液中で実施される。
結合タンパク質は、化学量論的当量またはわずかに過剰のコンジュゲート試薬を使用して効果的にコンジュゲートすることができる。しかしながら、過剰の化学量論のコンジュゲート試薬を用いてコンジュゲーション反応を行うことも可能であり、これはいくつかのタンパク質に対して、またはより高い平均比の薬物対抗体(より高いDAR)を含有するコンジュゲートが望まれる場合に望ましい場合がある。過剰の試薬は、後続のコンジュゲートの精製中に、例えば、イオン交換クロマトグラフィーまたはHPLCによって容易に除去することができる。
当然のことながら、タンパク質が十分な好適な結合点を含有する場合、2つ以上のコンジュゲート試薬を結合タンパク質にコンジュゲートさせることが可能である。例えば、2つの異なるジスルフィド結合を含有する結合タンパク質、または1つのジスルフィド結合を含有し、ポリヒスチジンタグも担持する結合タンパク質において、式(V)または(VI)のコンジュゲート試薬を使用して、結合タンパク質1分子あたり試薬2分子をコンジュゲートすることが可能であり、そのようなコンジュゲートは本発明の一部を形成する。
リンカー
ペイロードを、一般式(I)、(I’)、(Ia)、(Ib)、または(Ic)の基Rを介して本発明によるコンジュゲート中の結合タンパク質、または本発明によるコンジュゲート試薬中の結合タンパク質と反応可能な官能基に接続するリンカーは、任意の所望の基、例えば、この分野で一般的に見られる従来の基のいずれかを含有し得る。
リンカーサブセクション(i)。
一実施形態では、ペイロードと式F’/Fの基との間のリンカー、特に式(V)、(VI)、(VII)、(VIII)、(IX)、および(X)のコンジュゲートまたは試薬中の式F’/Fの基に直ぐ隣接するリンカーのその部分は、アルキレン基(好ましくはC1−10アルキレン基)、または任意選択で置換されているアリールもしくはヘテロアリール基を含み得、そのうちのいずれかは、1個以上の酸素原子、硫黄原子、−NRaa基(式中、Raaは、水素原子またはアルキル(好ましくはC1−6アルキル)、アリール(好ましくはフェニル)、またはアルキル−アリール(好ましくはC1−6アルキル−フェニル)基である)、ケト基、−O−CO−基、−CO−O−基、−O−CO−O、−O−CO−NRaa−、−NR−CO−O−、−CO−NRaa−、および/または−NRaa.CO−基で終結されるか、または中断されてもよい。好適なアリール基は、フェニルおよびナフチル基を含み、一方好適なヘテロアリール基は、ピリジン、ピロール、フラン、ピラン、イミダゾール、ピラゾール、オキサゾール、ピリダジン、ピリミジン、およびプリンを含む。基F/F’に直ぐ隣接するリンカーのその部分として特に好ましいのは、アリール基、特にフェニル基である。基F/F’に直ぐ隣接するリンカーのその部分としてさらに特に好ましいのは、ヘテロアリール基、例えば上述のもののうちの1つである。
アリールまたはヘテロアリール基は、−NRaa.CO−もしくは−CO.NRaa−基、例えば−NH.CO−もしくは−CO.NH−基であるか、またはそれらを含有する連結基のさらなる部分に隣接していてもよい。ここで、および本明細書の他の箇所で、基Raaが存在する場合、これは、好ましくはC1−4アルキル、特にメチル基、または特に水素原子である。
任意選択で置換されているアリール、特にフェニル、またはヘテロアリール基上に存在し得る置換基には、例えば、アルキル(好ましくはC1−4アルキル、特にメチル、OHまたはCO2Hで任意選択で置換されている)、−CF3、−NRaa 2、−CN、−NO2、−CO2Raa、−COH、−CH2OH、−CORaa、−ORaa、−OCORaa、−OCO2Raa、−SRaa、−SORaa、−SO2Raa、−NHCORaa、−NRaaCORaa、−NHCO2Raa、−NRaa.CO2Raa、−NO、−NHOH、−NRaa.OH、−CH=N−NHCORaa、−CH=N−NRaa.CORaa、−N+Raa 3、−N+H3、−N+HRaa 2、−N+H2Raa、ハロゲン、例えば、フッ素もしくは塩素、−C≡CRaa、−CH=CRaa 2、および−CH=CHRaaから選択される同一または異なる置換基のうちの1つ以上が含まれ、式中、各Raaは、独立して、水素原子、またはアルキル(好ましくはC1−6アルキル)、アリール(好ましくはフェニル)、もしくはアルキル−アリール(好ましくはC1−6アルキル−フェニル)基を表す。電子求引性置換基の存在が特に好ましい。好ましい置換基としては、例えば、CN、NO2、−ORaa、−OCORaa、−SRaa、−NHCORaa、−NHOH、および−NRaa.CORaaが挙げられる。
好ましくは、リンカーは、基F’/Fに隣接する上記の基のうちの1つを含む。特に好ましいのは、基:
あるいは、特に
を含むコンジュゲートおよびコンジュゲート試薬である。
式:
−CO−NH−Het−F’、−CO−NH−Het−F、−NH−CO−Het−F’、および−NH−CO−Het−F(式中、Hetは、ヘテロアリール基、例えば、上述のもののうちの1つを表す)のコンジュゲートおよびコンジュゲート試薬も好適である。
上記の構造のいずれも、以下のサブセクション(ii)および(iii)に記載の構造のいずれかと隣接し得る。
上記の式全て、特に式(XI)、(XII)、(XIII)、および(XIV)において、好ましくは、F’は、式(VII)、例えば上記の(VIIa)、(VIIb)、または(VIIc)を有し、好ましくは、Fは、式(V)または(VI)、例えば、上記の(Va)、(Vb)、(VIa)、または(VIb)を有する。
リンカーサブセクション(ii)。
一実施形態では、リンカーは、分解性基を含有し得る、すなわち、それは生理学的条件下で分解し、結合しているかまたは結合するであろうタンパク質からペイロードを分離する基を含有し得る。あるいは、それは生理学的条件下で切断可能ではないリンカーであり得る。リンカーが生理学的条件下で切断する場合、それは細胞内条件下で切断可能であることが好ましい。標的が細胞内である場合、好ましくは、リンカーは、細胞外条件に対して実質的に非感受性である(すなわち、十分な用量の治療薬の細胞内標的への送達が禁止されないように)。
リンカーが分解性基を含有する場合、これは一般に、加水分解条件に敏感であり、例えば、それはある特定のpH値(例えば酸性条件)で分解する基であり得る。加水分解/酸性条件は、例えば、エンドソームまたはリソソームに見出すことができる。酸性条件下で加水分解を受けやすい基の例には、ヒドラゾン、セミカルバゾン、チオセミカルバゾン、シス−アコニットアミド、オルトエステル、およびケタールが含まれる。加水分解条件の影響を受けやすい基の例には、以下が含まれる:
好ましい実施形態では、リンカーは以下を含む:
例えば、以下を含む:
リンカーはまた、還元条件下でも分解を受けやすい可能性がある。例えば、チオールなどの生物学的還元剤に曝されると切断可能なジスルフィド基を含有し得る。ジスルフィド基の例には以下が含まれ、
式中、R、R’、R’’、およびR’’’は、それぞれ独立して、水素またはC1−4アルキルである。好ましい実施形態では、リンカーは以下を含む:
例えば、以下を含む:
リンカーはまた、酵素分解を受けやすい基も含有し得、例えば、それはプロテアーゼ(例えば、リソソームまたはエンドソームプロテアーゼ)またはペプチダーゼによる切断を受けやすい可能性がある。本発明の特に好ましい実施形態では、リンカーの一部は、少なくとも1個、例えば少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、または少なくとも5個のアミノ酸残基、特に天然に存在するアルファアミノ酸を含むペプチジル基を含有する。例えば、リンカーのその部分は、配列Phe−Leu、Gly−Phe−Leu−Gly、Val−Ala、Val−Cit、Phe−Lys、またはGlu−Glu−Gluを含有し得、Val−Citペプチジル基の存在が好ましい。以下に考察するように、配列Val−Cit−PABを含有するリンカーが特に好ましい。
酵素分解を受けやすい基の特に好ましい例は以下であり、
式中、AAはプロテアーゼ特異的アミノ酸配列、例えば上述のもののうちの1つ、特にVal−Citを表す。言い換えれば、好ましい実施形態では、リンカーは以下を含む。
例えば、以下を含む:
いくつかの好ましい実施形態では、リンカーのPAB部分(すなわち、ベンジルオキシカルボニル部分)は、薬物部分のR基(例えば、−NH2基の残基)に直接連結され、したがって、カルバメート部分を形成してもよく、式(I)、(I’)、(Ia)、(Ib)、または(Ic)の化合物においてRが−NH2の場合、Val基の窒素は、リンカーの残りの部分に接続され得る。
上に考察するように、いくつかの実施形態では、式(I)、(I’)、(Ia)、(Ib)、または(Ic)の化合物は、式−NH−C(O)−C1−6アルキレン−SHのR基を含有し得る。本発明のコンジュゲートまたはコンジュゲート試薬に組み込まれるとき、これはジスルフィド連結の使用によって達成され得、例えば以下である。
そのような場合、コンジュゲートまたはコンジュゲート試薬のリンカー部分は、ジスルフィド結合の還元によって切断されて、式−NH−C(O)−C1−6アルキレン−SHのR基を含有する式(I)の化合物を放出することができる−S−C1−6アルキレン−基を含有するとみなすことができる。例えば、いくつかの実施形態では、リンカーは、以下から選択される−S−C1−6アルキレン−基を含む:
この種類のコンジュゲートは、例えば、好適なカルボン酸またはカルボン酸誘導体とのアミド化反応により、R基が−NH2基である式(I)、(I’)、(Ia)、(Ib)、または(Ic)の化合物から合成されてもよい。結果として、リンカー基は、代わりに以下の基:
(例えば、上述のように、生物学的還元剤に曝されると切断可能であるジスルフィド基を含有するリンカー基)を含むとみなすことができる。
本発明のコンジュゲートは、R基の残基を介して(例えば、Rが−NH2である式(I)の化合物の場合には−NH−基を介するか、またはRが−NHC(O)C1−6アルキレン−SHである式(I)の化合物の場合には、基−NHC(O)C1−6アルキレン−S−を介して)薬物Dにコンジュゲートされる結合タンパク質を含む。
リンカーは、単一のペイロードD、または2つ以上の基Dを担持し得る。複数の基Dは、例えばアスパラギン酸もしくはグルタミン酸または同様の残基を組み込み得る分岐リンカーの使用によって組み込まれ得る。これは以下の式の分岐要素を導入し、
式中、bは、1、2、3、または4であり、b=1はアスパラギン酸であり、b=2はグルタミン酸であり、b=3は1つの好ましい実施形態を表す。上記の式中のアシル部分はそれぞれ、基Dにカップリングされてもよい。上記の分岐基は、−CO.CH2−基を組み込んでいてもよく、したがって、
所望する場合、アスパラギン酸もしくはグルタミン酸または類似の残基を、さらなるアスパラギン酸および/もしくはグルタミン酸ならびに/または類似の残基、例えば、
などにカップリングさせてもよい。
同様に、アミノ酸リジン、セリン、トレオニン、システイン、アルギニン、もしくはチロシン、または類似の残基(例えば、リジンまたはセリン)を導入して分岐基を形成してもよく、したがって、
(式中、bはリジンの場合4である)および
(式中、bはセリンの場合1である)。
リンカーサブセクション(iii)。
本発明の試薬およびコンジュゲートのリンカーは、所望する場合、オリゴマーまたはポリマー(本明細書では便宜上一緒に「ポリマー」と呼ばれる)を含有し得る。ポリマーは、例えば、ポリアルキレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリレート、例えばポリアクリロイルモルホリン、ポリメタクリレート、ポリオキサゾリン、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、またはポリメタクリルアミド、例えばポリカルボキシメタクリルアミド、またはHPMAコポリマーであり得る。さらに、ポリマーは、酵素分解または加水分解的分解を受けやすいポリマーであり得る。そのようなポリマーは、例えば、ポリエステル、ポリアセタール、ポリ(オルトエステル)、ポリカーボネート、ポリ(イミノカーボネート)、およびポリアミド、例えば、ポリ(アミノ酸)を含む。ポリマーは、ホモポリマー、ランダムコポリマー、またはブロックコポリマーなどの構造的に定義されたコポリマーであり得、例えば、それは2つ以上のアルキレンオキシド、またはポリ(アルキレンオキシド)およびポリエステル、ポリアセタール、ポリ(オルトエステル)、またはポリ(アミノ酸)のいずれかから誘導されるブロックコポリマーであり得る。使用され得る多官能性ポリマーとしては、ジビニルエーテル−無水マレイン酸およびスチレン−無水マレイン酸のコポリマーを挙げることができる。
天然に存在するポリマー、例えば、キチン、デキストラン、デキストリン、キトサン、デンプン、セルロース、グリコーゲン、ポリ(シアリル酸)、ヒアルロン酸、およびそれらの誘導体などの多糖類も使用され得る。糖類またはアミノ酸などの天然モノマーおよびエチレンオキシドまたはメタクリル酸などの合成モノマーから誘導されるハイブリッドポリマーを使用することができるため、ポリグルタミン酸などのポリマーも使用することができる。
ポリマーは、好ましくは、水溶性の合成ポリマー、特にポリアルキレングリコールである。ポリマーがポリアルキレングリコールである場合、これは、好ましくは、C2および/またはC3単位を含有するものであり、特にポリエチレングリコールである。ポリマー、特にポリアルキレングリコールは、単一の直鎖を含有し得るか、またはそれは、小さいかまたは大きいかのいずれかの多くの鎖で構成される分岐形態を有し得る。置換またはキャップされたポリアルキレングリコール、例えば、メトキシポリエチレングリコールを使用することができる。
ポリマーは、任意選択で、任意の所望の方法で誘導体化または官能化されてもよい。反応性基は、ポリマー末端または末端基において、あるいはペンダントリンカーを介してポリマー鎖に沿って連結されてもよい。
PEGがリンカーに存在する場合、本発明のコンジュゲートおよび試薬のリンカーに存在する〜(CH2−CH2−O−)〜単位の最適な数は当然のことながら、意図する用途に依存するであろう。いくつかの用途では、高分子量PEGを使用することができ、例えば、数平均分子量は、最大約75,000、例えば、最大50,000、40,000、または30,000g/モルであり得る。例えば、数平均分子量は、500〜約75,000g/モルの範囲であり得る。しかしながら、より小さなPEG部分がいくつかの用途には好ましい場合がある。例えば、リンカーのPEG部分は、最大3,000g/モルの分子量を有し得る。しかしながら、わずか2つの繰り返し単位、例えば2〜50の繰り返し単位を含有するPEG基は、いくつかの用途に有用である。2、3、4、5、6、7、8、9、または10の繰り返し単位、または12、20、24、36、40、または48の繰り返し単位を有するPEG含有部分が、例えばリンカーに存在し得る。
WO2016/063006には、特定の構造のPEG含有リンカーを有する試薬およびコンジュゲートが記載されており、そのようなリンカーを含む試薬およびコンジュゲートは、本発明の1つの好ましい実施形態を形成する。
そのような試薬およびコンジュゲートにおいて、式−CH2CH2ORrの末端基を有するペンダントPEG鎖であるか、またはそれを含むPEG部分があり、式中、Rrは、水素原子、アルキル基、例えば、C1−4アルキル基、特にメチル基、または任意選択で置換されているアリール基、特にフェニル基、特に非置換フェニル基を表す。
この種類のコンジュゲートは、以下の式によって概略的に表すことができ、
式中、Dは本発明の新規ペイロードを表し、F’は結合タンパク質を表し、PEGは式−CH2CH2ORrの末端基を有するペンダントポリエチレングリコール鎖を表す。
この種類の試薬は、以下の式によって概略的に表すことができ、
式中、Dは本発明のペイロードを表し、Fは結合タンパク質と反応可能な官能基を表し、PEGは、式−CH2CH2ORrの末端基を有するペンダントポリエチレングリコール鎖を表す。官能基Fは、好ましくは、上で説明したようにタンパク質またはペプチドに存在する2つの求核剤と反応可能であり、好ましくは式(V)、(VI)、または(VIII)、特に(V)または(VI)のものである。
好ましい一実施形態では、リンカーのPEG部分中のPEG全てがペンダントPEG鎖に存在する。別の実施形態では、PEGはコンジュゲートまたは試薬の主鎖にも存在し得る。
全体のPEG部分と同様に、ペンダントPEG鎖のサイズは、意図する用途に依存するであろう。例えば、該ペンダントPEG鎖は、最大3,000g/モルの分子量を有し得る。しかしながら、例えばわずか2つの繰り返し単位、例えば2〜50の繰り返し単位を有する別個のPEG鎖からなる非常に小さいオリゴマーはいくつかの用途に有用であり、本発明の好ましい一実施形態では該PEG鎖として存在する。ペンダントPEG鎖は、直鎖または分岐鎖であり得る。PEG鎖、例えば、12、20、24、36、40、または48の繰り返し単位を有する直鎖または分岐鎖を例えば使用することができる。
リンカーが環内に少なくとも2つの〜(CH2−CH2−O−)〜単位を含むコンジュゲートおよび試薬も企図される。例えば、環は、環内の単一の連結原子を介してリンカーの残りの部分に結合され得るか、または環は、環内の2個以上の連結原子を介してリンカーの残りの部分に単一点で結合され得る。
この種類のコンジュゲートは、以下の式によって概略的に表すことができ、
式中、Dは本発明のペイロードを表し、F’はリンカーのタンパク質またはペプチド結合部分を介してコンジュゲートの残りの部分に結合したタンパク質またはペプチドを表し、
は、少なくとも2つのエチレングリコール(〜(CH2−CH2−O−)〜)単位を含む環を表す。
この種類の試薬は、以下の式によって概略的に表すことができ、
式中、Dは本発明のペイロードを表し、Fはタンパク質またはペプチドに結合可能な官能基を表し、
は、少なくとも2つのエチレングリコール(〜(CH2−CH2−O−)〜)単位を含む環を表す。官能基Fは、以下により詳細に説明されるように、タンパク質またはペプチドと反応可能である。
連結原子は、例えば、窒素、炭素、リン、またはケイ素原子、特に窒素および/または炭素原子であり得、リンカーの残りの部分への結合点に存在する原子は、例えば、窒素または炭素原子であり得る。
以下は、本発明のコンジュゲートまたは試薬中のリンカーの残りの部分への環の結合の可能な形態の概略図であり、Tは環中の連結原子を表し、PEGは少なくとも以下の2つの〜(CH2−CH2−O−)〜単位を表す。
好適な環の具体例には以下のものが含まれ、式中、記号「〜」は、環の以下のリンカーへの組み込み点を示す。
好ましくは、環は、単一点でリンカーの残りの部分に結合しており、最も好ましくは、環は、環内の単一の連結原子を介して単一点でリンカーの残りの部分に結合される。
環は、例えば、〜(CH2−CH2−O−)x〜単位からなってもよく、式中、xは、少なくとも2、好ましくは2〜20である。あるいは、環は、〜(CH2−CH2−O−)x〜単位を含有し得、式中、xは、少なくとも2、好ましくは2〜50、特に2〜20であるが、上述の1つ以上の追加の原子も含み得るか、または他の方法で誘導体化され得る。2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20の繰り返し単位、または24、36、40、または48の繰り返し単位を有するPEG含有環が例えば使用され得る。
コンジュゲートおよび試薬は、クラウンエーテルから容易に合成することができる。クラウンエーテルは、エチレングリコールの環状オリゴマーであり、多くの異なるクラウンエーテルが知られており、それらのいくつかは完全にエチレングリコール単位からなり、それらのいくつかは環内に追加の原子を含有する。例えば、アザ−クラウンエーテルは窒素原子を含有し、一方ジアザ−クラウンエーテルは2個の窒素原子を含有する。多くのクラウンエーテルが市販されており、これらは、本発明によるコンジュゲートおよび試薬の合成のための便利な出発点を提供する。他の化合物と反応し得る官能基を担持するクラウンエーテルが知られており、例えば、カルボキシ、ヒドロキシ、アミノ、イソシアネート、ニトロ、またはアルデヒド基などの官能基を任意選択で担持するベンゼン環に融合したクラウンエーテルであるため、カルボキシ、ヒドロキシ、アミノ、またはアルデヒド基を担持するクラウンエーテルが知られている。
本発明によるコンジュゲートおよび試薬に組み込むことができる典型的なクラウンエーテルは、以下に示す構造を含む。
これらは、環内に存在する原子、特に窒素原子を介する反応により、または例えば、側鎖上に存在するヒドロキシ、アミノ、カルボキシ、アルデヒド、イソシアネート、もしくはニトロ基などの基を介して、本発明のコンジュゲートおよび試薬のリンカーの主鎖に結合し得る。典型的な連結は以下の通りである:
リンカーがシクロデキストリンを含むコンジュゲートおよび試薬も企図される。例えば、シクロデキストリンは、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、またはγ−シクロデキストリンであり得る。シクロデキストリンを含むコンジュゲートにおいて、シクロデキストリンは、例えば、3または6位を介して、例えばアミノ官能化シクロデキストリンを介してリンカーの残りの部分に結合され得る。この種類のコンジュゲートおよび試薬のいくつかの実施形態では、シクロデキストリンは単環式であり得る。この種類のコンジュゲートおよび試薬のいくつかの実施形態では、シクロデキストリンは、リンカーの主鎖に連結されるペンダント基として存在してもよい。
いくつかの実施形態では、コンジュゲート試薬は、以下の式により概略的に表すことができ、
かつ/またはコンジュゲートは、以下の式により概略的に表すことができ、
式中、Dは本発明のペイロード、例えば、以下の式の基を表し、
式中、Rgは、−C(CH3)2または
であり、nは、0または1であり、Reは存在しないか、または存在する場合、塩素、フッ素、メトキシ、−CN、もしくは−NO2のいずれかであり、
は、本発明のコンジュゲートに存在する場合、生理学的条件下でコンジュゲートの分解を容易にする部分を含む基、例えば、Dが−NH−基を介してコンジュゲートされている場合、−Ala−Val−もしくは−PAB−Cit−Val−基、またはコンジュゲートに存在する別の硫黄原子に共有結合している硫黄含有基(すなわち、コンジュゲートに存在しているジスルフィド−S−S−部分をもたらす)、例えば、Dが−NH−C(O)−C1−6アルキエン−S−基を介してコンジュゲートされている場合、−S−C1−6アルキレン−部分を含有する基を表し、
Fは、結合タンパク質と反応可能な官能基、例えば、
(式中、R’は存在しないか、または電子求引性基、例えば−NO2基のいずれかを表す)を表すか、
またはFは、
を表し、
F’は、官能基の残基を介してコンジュゲートの残りの部分に結合したタンパク質またはペプチドを表す。
例えば、この種類のコンジュゲート試薬は、以下の構造を有し得、
式中、Rgは、−C(CH3)2または
であり、nは、0または1であり、Reは存在しないか、または存在する場合、塩素、フッ素、メトキシ、−CN、もしくは−NO2のいずれかであり、R’は存在しないか、または−NO2基などの電子求引性基のいずれかを表し、コンジュゲートは、リンカーのタンパク質またはペプチド結合部分とタンパク質またはペプチドとの反応から生じる対応する構造を有し得る。
いくつかの実施形態では、コンジュゲート試薬は、以下の式により概略的に表すことができ、
かつ/またはコンジュゲートは、以下の式により概略的に表すことができ、
式中、Dは本発明のペイロード、例えば、以下の式の基を表し、
式中、Rgは、−C(CH3)2または
であり、nは、0または1であり、Reは存在しないか、または存在する場合、塩素、フッ素、メトキシ、−CN、もしくは−NO2のいずれかであり、
は、本発明のコンジュゲートに存在する場合、生理学的条件下でコンジュゲートの分解を容易にする部分を含む基、例えば、Dが−NH−基を介してコンジュゲートされている場合、−Ala−Val−もしくは−PAB−Cit−Val−基、またはコンジュゲートに存在する別の硫黄原子に共有結合している硫黄含有基(すなわち、コンジュゲートに存在しているジスルフィド−S−S−部分をもたらす)、例えば、Dが−NH−C(O)−C1−6アルキエン−S−基を介してコンジュゲートされている場合、−S−C1−6アルキレン−部分を含有する基を表し、
PEGは、ポリエチレングリコール含有基を表し、
Fは、結合タンパク質と反応可能な官能基、例えば、
(式中、R’は存在しないか、または電子求引性基、例えば−NO2基のいずれかを表す)を表すか、
またはFは、
を表し、
F’は、官能基の残基を介してコンジュゲートの残りの部分に結合しているタンパク質またはペプチドを表す。
例えば、この種類のコンジュゲート試薬は、以下の構造を有し得、
式中、Rgは、−C(CH3)2または
であり、nは、0または1であり、Reは存在しないか、または存在する場合、塩素、フッ素、メトキシ、−CN、もしくは−NO2のいずれかであり、
コンジュゲートは、リンカーのタンパク質またはペプチド結合部分とタンパク質またはペプチドとの反応から生じる対応する構造を有し得る。
いくつかの実施形態では、コンジュゲート試薬は、次式により概略的に表すことができ、
かつ/またはコンジュゲートは、次式により概略的に表すことができ、
式中、Dは本発明のペイロード、例えば、次式の基を表し、
式中、Rgは、−C(CH3)2または
であり、nは、0または1であり、Reは存在しないか、または存在する場合、塩素、フッ素、メトキシ、−CN、もしくは−NO2のいずれかであり、
は、本発明のコンジュゲートに存在する場合、生理学的条件下でコンジュゲートの分解を容易にする部分を含む基、例えば、Dが−NH−基を介してコンジュゲートされている場合、−Ala−Val−もしくは−PAB−Cit−Val−基、またはコンジュゲートに存在する別の硫黄原子に共有結合している硫黄含有基(すなわち、コンジュゲートに存在しているジスルフィド−S−S−部分をもたらす)、例えば、Dが−NH−C(O)−C1−6アルキエン−S−基を介してコンジュゲートされている場合、−S−C1−6アルキレン−部分を含有する基を表し、
は、Glu、ASP、Lys、Ser、Thr、Cys、Arg、Tyr、または同様の残基などの分岐部分を含有する基を表し、
PEGは、式−CH2CH2ORrの末端基を有するペンダントポリエチレングリコール鎖(式中、Rrは、水素原子、アルキル基、例えばC1−4アルキル基、特にメチル基、または任意選択で置換されているアリール基、特にフェニル基、特に非置換フェニル基を表す)を表し、
Fは、結合タンパク質と反応可能な官能基、例えば、
(式中、R’は存在しないか、または電子求引性基、例えば−NO2基のいずれかを表す)を表すか、
またはFは、
を表し、
F’は、官能基の残基を介してコンジュゲートの残りの部分に結合しているタンパク質またはペプチドを表す。
例えば、この種類のコンジュゲート試薬は、以下の構造を有し得、
式中、Rgは、−C(CH3)2または
であり、nは、0または1であり、Reは存在しないか、または存在する場合、塩素、フッ素、メトキシ、−CN、もしくは−NO2のいずれかであり、
コンジュゲートは、リンカーのタンパク質またはペプチド結合部分とタンパク質またはペプチドとの反応から生じる対応する構造を有し得る。
いくつかの実施形態では、コンジュゲート試薬は、次式により概略的に表すことができ、
かつ/またはコンジュゲートは、次式により概略的に表すことができ、
式中、Dは本発明のペイロード、例えば、次式の基を表し、
式中、Rgは、−C(CH3)2または
であり、nは、0または1であり、Reは、存在する場合、塩素、フッ素、メトキシ、−CN、もしくは−NO2であり、
は、本発明のコンジュゲートに存在する場合、生理学的条件下でコンジュゲートの分解を容易にする部分を含む基、例えば、Dが−NH−基を介してコンジュゲートされている場合、−Ala−Val−もしくは−PAB−Cit−Val−基、またはコンジュゲートに存在する別の硫黄原子に共有結合している硫黄含有基(すなわち、コンジュゲートに存在しているジスルフィド−S−S−部分をもたらす)、例えば、Dが−NH−C(O)−C1−6アルキエン−S−基を介してコンジュゲートされている場合、−S−C1−6アルキレン−部分を含有する基を表し、
は、Glu、ASP、Lys、Ser、Thr、Cys、Arg、Tyr、または同様の残基などの分岐部分を含有する基を表し、
は、少なくとも2つのエチレングリコール(〜(CH2−CH2−O−)〜)単位を含む環を表し、
Fは、結合タンパク質と反応可能な官能基、例えば、
(式中、R’は存在しないか、または電子求引性基、例えば−NO2基のいずれかを表す)を表すか、
またはFは、
を表し、
F’は、官能基の残基を介してコンジュゲートの残りの部分に結合したタンパク質またはペプチドを表す。
例えば、この種類のコンジュゲート試薬は、以下の構造を有し得、
式中、Rgは、−C(CH3)2または
であり、nは、0または1であり、Reは存在しないか、または存在する場合、塩素、フッ素、メトキシ、−CN、もしくは−NO2のいずれかであり、コンジュゲートは、リンカーのタンパク質またはペプチド結合部分とタンパク質またはペプチドとの反応から生じる対応する構造を有し得る。
上述のものと類似のプロセスにより、例えば、適切な塩化アリールメイタンシノイド化合物およびアリール−ホウ素試薬を使用する鈴木カップリングにより、ならびに任意選択で、以下の式(I)の化合物を産生するための後続の反応により(例えば、脱保護および/またはアミド化により)産生され得る本発明の化合物も含み、
、式中、Subは、
である。
例えば、Sub基のフェニル環上のある特定のオルト置換基の存在により結合したビアリールの周りの束縛回転により、単離可能なアトロプ異性体が産生される場合、本発明はそれら個々のアトロプ異性体も含む。例えば、Subが
である場合、本発明の化合物は、
であり得る。
本発明の化合物はまた、下記の例示化合物も含む。
本発明のコンジュゲートは、式(I)の上記化合物を組み込むものも含む。
医薬組成物および医療用途
本発明による化合物およびコンジュゲートは、薬学的に許容される担体と一緒に、任意選択で治療に使用するための、具体的には増殖性、自己免疫性、または感染性の疾患の治療のための薬剤として使用するための追加の治療薬と一緒に医薬組成物に製剤化することができる。患者を治療する方法は、薬学的有効量のそのような化合物、コンジュゲート、または組成物を、治療を必要とする患者に投与することを含む。患者は、動物、具体的には哺乳動物、より具体的にはヒトであり得る。本発明が有用性を見出す例示的な状態には、例えば、癌、例えば、非ホジキンリンパ腫、急性骨髄性白血病、多発性骨髄腫、リンパ球性白血病、および慢性骨髄性白血病を含む白血病;胃癌;乳癌;卵巣癌;肝臓癌;腸癌;結腸癌;腎臓癌、例えば腎細胞癌;肺癌、例えば小細胞肺癌;黒色腫;膀胱癌;ならびに肉腫が含まれる。
例示的な医薬組成物は、非経口投与用の無菌の水性または油性懸濁液の形態のものを含む。非経口投与としては、皮下、静脈内、筋肉内、腹腔内、および髄腔内注射、ならびに注入技術が挙げられる。非経口投与(例えば、注射による)に適した製剤は、水性または非水性、等張性、発熱物質不含、無菌の液体(例えば、溶液、懸濁液)を含む。そのような液体は、抗酸化剤、緩衝剤、保存剤、安定剤、静菌剤、懸濁剤、増粘剤、および製剤を意図するレシピエントの血液(または他の関連する体液)と等張にする溶質などの他の薬学的に許容される成分をさらに含有し得る。液体製剤用の例示的な担体には、食塩水、緩衝食塩水、デキストロース、水、グリセロール、エタノール、またはそれらの組み合わせが含まれる。製剤は、pH調整剤および緩衝剤、浸透圧調整剤、安定剤、湿潤剤など、またはそれらの組み合わせなどの薬学的に許容される補助物質を任意選択でさらに含んでもよい。
本発明の化合物、コンジュゲート、および組成物は、所望する場合、追加の治療薬、例えば追加の抗癌剤、例えば、アルキル化剤、アルキルスルホネート、アジリジン、エチレンイミンおよびメチラメラミン、アセトゲニン、アウリスタチン、カンプトテシン、ブリオスタチン、カリースタチン、CC−1065、クリプトフィシン、ドラスタチン、デュオカルマイシン、エリュテロビン、パンクラチスタチン、サルコディクチン、スポンジスタチン、ナイトロジェンマスタード、抗生物質、エンジイン抗生物質、ダイネマイシン、ビスフォスフォネート、エスペラミシン、色素タンパク質エンジイン抗菌性発色団、アクラシノマイシン、アクチノマイシン、アントラマイシン、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カラビシン、カルミノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6−ジアゾ−5−オキソ−L−ノルロイシン、ドキソルビシン、エピルビシン、エソルビシン、イダルマイシン、マルセロマイシン、マイトマイシン、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン(potfiromycin)、ピューロマイシン、ケラマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、ゾルビシン;代謝拮抗薬、エルロチニブ、ベムラフェニブ、クリゾチニブ、ソラフェニブ、イブルチニブ、エンザルタミド、葉酸類似体、プリン類似体、アンドロゲン、抗副腎剤、葉酸補給剤、例えばフロリン酸、アセグラトン、アルドホスファミドグリコシド、アミノレブリン酸、エニルウラシル、アムサクリン、ベストラブシル、ビサントレン、エダトレキサート、デホファミン、デメコルシン、ジアジコン、エルホルニチン、酢酸エリプチニウム、エポチロン、エトグルシド、硝酸ガリウム、ヒドロキシ尿素、レンチナン、ロニダミン、メイタンシノイド、ミトグアゾン、ミトキサントロン、モピダンモル、ニトラエリン、ペントスタチン、フェナメト、ピラルビシン、ロソキサントリン、ポドフィリン酸2−エチルヒドラジド、プロカルバジン、PSK(登録商標)多糖複合体(JHS Natural Products,Eugene,OR)、ラゾキサン;リゾキシン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジコン;2,2’、2”−トリクロロトリエチルアミン;トリコテセン(特に、T−2毒素、ベルラクリン(verracurin)A、ロリジンA、およびアングイジン);ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン;アラビノシド(「Ara−C」);シクロホスファミド;チオテパ;タキソイド、クロランブシル;ゲムシタビン;6−チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキサート;白金類似体、ビンブラスチン;白金;エトポシド(VP−16);イホスファミド;ミトキサントロン;ビンクリスチン;ビノレルビン;ノバントロン;テニポシド;エダトレキサート;ダウノマイシン;アミノプテリン;ゼローダ;イバンドロネート;イリノテカン(Camptosar、CPT−11)、トポイソメラーゼ阻害剤RFS2000;ジフルオロメチルオルニチン;レチノイド;カペシタビン;コンブレタスタチン;ロイコボリン;オキサリプラチン;細胞増殖を減少させるPKC−アルファ、Raf、H−Ras、EGFR、およびVEGF−Aの阻害剤;ならびにそれらの薬学的に許容される塩、酸または誘導体;またはそれらの組み合わせと組み合わせて使用され得る。
本発明の化合物は、コンジュゲート、および組成物はまた、追加の抗体、例えば、アバゴボマブ(abagovomab)、アデカツムマブ(adecatumumab)、アフツズマブ(afutuzumab)、アレムツズマブ、アルツモマブ、アマツキシマブ、アナツモマブ(anatumomab)、アルシツモマブ、バビツキシマブ(bavituximab)、ベクツモマブ(bectumomab)、ベバシズマブ、ビバツズマブ(bivatuzumab)、ブリナツモマブ(blinatumomab)、ブレンツキシマブ、カンツズマブ、カツマキソマブ(catumaxomab)、セツキシマブ、シタツズマブ(citatuzumab)、シクスツムマブ(cixutumumab)、クリバツズマブ(clivatuzumab)、コナツムマブ(conatumumab)、ダラツムマブ、ドロジツマブ、デュリゴツマブ(duligotumab)、ドゥシギツマブ、デツモマブ(detumomab)、ダセツズマブ、ダロツズマブ(dalotuzumab)、エクロメキシマブ(ecromeximab)、エロツズマブ、エンシツキシマブ(ensituximab)、エルツマキソマブ(ertumaxomab)、エタラシズマブ、ファルレツズマブ、フィクラツズマブ(ficlatuzumab)、フィギツムマブ(figitumumab)、フランボツマブ(flanvotumab)、フツキシマブ(futuximab)、ガニツマブ(ganitumab)、ゲムツズマブ、ギレンツキシマブ(girentuximab)、グレムバツムマブ(glembatumumab)、イブリツモマブ、イゴボマブ(igovomab)、イムガツズマブ(imgatuzumab)、インダツキシマブ(indatuximab)、イノツズマブ、インテツムマブ(intetumumab)、イピリムマブ、イラツムマブ(iratumumab)、ラベツズマブ、レクサツムマブ、リンツズマブ、ロルボツズマブ(lorvotuzumab)、ルカツムマブ(lucatumumab)、マパツムマブ、マツズマブ、ミラツズマブ、ミンレツモマブ(minretumomab)、ミツモマブ(mitumomab)、モキセツモマブ(moxetumomab)、ナルナツマブ(narnatumab)、ナプツモマブ、ネシツムマブ、ニモツズマブ、ノフェツモマブン(nofetumomabn)、オカラツズマブ(ocaratuzumab)、オファツムマブ、オララツマブ(olaratumab)、オナルツズマブ(onartuzumab)、オポルツズマブ(oportuzumab)、オレゴボマブ、パニツムマブ、パルサツズマブ(parsatuzumab)、パトリツマブ(patritumab)、ペムツモマブ、ペルツズマブ、ピンツモマブ(pintumomab)、プリツムマブ(pritumumab)、ラコツモマブ(racotumomab)、ラムシルマブ、ラドレツマブ(radretumab)、リロツムマブ、リツキシマブ、ロバツムマブ(robatumumab)、サツモマブ(satumomab)、シブロツズマブ、シルツキシマブ、シムツズマブ(simtuzumab)、ソリトマブ(solitomab)、タカツズマブ(tacatuzumab)、タプリツモマブ(taplitumomab)、テナツモマブ、テプロツムマブ、ティガツズマブ、トシツモマブ、トラスツズマブ、ツコツズマブ、ウブリツキシマブ、ベルツズマブ、ボルセツズマブ(vorsetuzumab)、ボツムマブ(votumumab)、ザルツムマブ、CC49、3F8、またはそれらの組み合わせと組み合わせて使用することもできる。
本発明の化合物、コンジュゲート、および組成物は、放射線療法と組み合わせて治療に使用することができる。
いくつかの好ましい実施形態では、化合物、コンジュゲート、コンジュゲート試薬、組成物、処理方法、プロセス、または中間体は、以下の番号を付けた項で定義される通りである。
1.一般式(I)の化合物またはその塩であって、
式中、Rは、基−Y−OH、−Y−O−Rx、−Y−SH、−Y−S−Rx、−Y−CO2H、−Y−CO−Rx、−Y−NHRy、−Y−NRy−NHRz、または−Y−CRy=NOHを表し、式中、Yは存在しないか、またはYは、C1−6アルキレンもしくはC1−6アルキレンオキシ基を表すかのいずれかであり、それらのいずれかは、酸素原子によって中断されてもよく、Rxは、−OH、−SH、−NHRy、または−CO2Hで置換されているC1−4アルキル基を表し、RyおよびRzはそれぞれ、独立して、水素原子またはC1−4アルキル基を表し、Xは、OH、OC1−4アルキル、SH、S1−4アルキル、またはCNを表し、Raは、水素原子またはC1−4アルキル基を表し、Rbは、水素、OH、C1−4アルコキシ、またはC1−4アルキルC(O)O−を表し、Rcは、水素、OH、C1−4アルコキシ、またはC1−4アルキルC(O)O−を表し、Rdは、水素原子またはC1−4アルキル基を表し、各Reは、独立して、ハロゲン原子、CF3基、またはC1−4アルキル基もしくはC1−4アルコキシ基を表し、nは、0、1、2、3、または4であり、Rfは、水素原子またはC1−4アルキル基を表し、Rgは、水素原子、または任意選択で置換されているアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、またはヘテロアリール基を表す、化合物。
2.Yが存在しないか、またはYが、酸素原子によって中断されてもよいC1−4アルキレンもしくはC1−4アルキレンオキシ基を表す、項1に定義される化合物。
3.Rが、−OH、−NH2、−CONH2、もしくは−CO2H基、または−OH、−NH2、−CONH2、もしくは−CO2H基で置換されているC1−4アルキレン基である、項1または項2のいずれかに定義される化合物。
4.Rが、フェニル環の3または4位にある、項1〜3のいずれか一項に定義される化合物。
5.存在する任意のRe基が、ハロゲン原子またはメチルもしくはメトキシ基である、項1〜4のいずれか一項に定義される化合物。
6.nが、0、1、または2である、項1〜5のいずれか一項に定義される化合物。
7.Xが、OHを表す、項1〜6のいずれか一項に定義される化合物。
8.RaがC1−4アルキルを表し、Rbが水素を表し、Rcが水素またはメトキシを表し、RdがC1−4アルキルを表し、Reが塩素または水素を表し、RfがC1−4アルキルを表し、RgがC1−4アルキルを表す、項1〜7のいずれか一項に定義される化合物。
9.一般式(Ia)の化合物またはその塩である、項1〜8のいずれか一項に定義される化合物:
10.一般式(Ib)の化合物またはその塩である、項9に定義される化合物:
11.リンカーを介して結合タンパク質に連結される、項1〜10のいずれか一項に定義される化合物を含み、該リンカーが、一般式Iの基Rを介して該化合物に接続されている、コンジュゲート。
12.前記結合タンパク質が、全長抗体または前記全長抗体の抗原結合領域を含む抗体断片である、項11に定義されるコンジュゲート。
13.前記結合タンパク質が、IgG1もしくはIgG4、またはIgG1もしくはIgG4の断片である、項11に定義されるコンジュゲート。
14.以下の部分であって、
式中、W’が、電子求引性基または電子求引性基の還元により得られる基を表し、AおよびBがそれぞれ、独立して、C1−5アルキレンまたはアルケニレン鎖を表し、Prが、求核剤Nuを介してAおよびBに結合した前記結合タンパク質を表す、部分を含むか、または以下の部分であって、
〜W’−(CH=CH)p−(CH2)2−Nu−Pr
式中、W’が、電子求引性基または電子求引性基の還元により得られる基を表し、pが、0または1〜4の整数であり、Prが求核剤Nuを介して分子の残りの部分に結合した前記結合タンパク質を表す、部分を含む、項11〜13のいずれか一項に定義されるコンジュゲート。
15.以下の部分を含むか、
または以下の部分であって、
〜NH−CO−Ar’−CO−(CH2)2−Nu−Pr
式中、Ar’が、任意選択で置換されているアリール基を表す、部分を含む、項14に定義されるコンジュゲート。
16.各Nuが、前記結合タンパク質Pr中のシステイン残基に存在する硫黄原子を表すか、または各Nuが、前記結合タンパク質に結合したポリヒスチジンタグに存在するイミダゾール基を表す、項11〜15のいずれか一項に定義されるコンジュゲート。
17.前記リンカーが、式−CH2CH2ORr(式中、Rrは、水素原子、アルキル基、または任意選択で置換されているアリール基を表す)の末端基を有するペンダントポリエチレングリコール鎖を含む、項11〜16のいずれか一項に定義されるコンジュゲート。
18.前記リンカーが、少なくとも2つの天然に存在するアルファアミノ酸を含むペプチジル基を含む、項11〜17のいずれか一項に定義されるコンジュゲート。
19.前記リンカーが、配列Val−Cit−PABを含む、項18に定義されるコンジュゲート。
20.結合タンパク質と反応可能な少なくとも1つの官能基にリンカーを介して結合され、前記リンカーが、一般式Iの基Rを介して前記化合物に接続されている、項1〜10のいずれか一項に定義される化合物を含むコンジュゲート試薬。
21.前記官能基が、以下の式:
(式中、Wは電子求引性基を表し、AおよびBはそれぞれ、独立して、C1−5アルキレンまたはアルケニレン鎖を表し、各Lは、独立して、脱離基を表すか、または両方のLが一緒になって脱離基を表すかのいずれかである)、または
(式中、WおよびAは上記の意味を有し、Lは脱離基を表し、mは0〜4である)、または
〜W−(CH=CH)p−(CH2)2−Lもしくは〜W−(CH=CH)p−CH=CH2
(式中、Wは電子求引性基を表し、pは0または1〜4の整数を表し、Lは脱離基を表す)を有する、項20に定義されるコンジュゲート試薬。
22.前記官能基が、以下の式を有し、
〜NH−CO−Ar’−CO−(CH2)2−Lもしくは〜NH−CO−Ar’−CO−CH=CH2
式中、Ar’が、任意選択で置換されているアリール基を表す、項21に定義されるコンジュゲート試薬。
23.前記脱離基または各脱離基が、部分−(CH2CH2O)q−(式中、qは6以上の数である)を含む、項20〜22のいずれか一項に定義されるコンジュゲート試薬。
24.前記リンカーが、項17〜19のいずれか一項に定義される特徴を含む、項20〜23のいずれか一項に定義されるコンジュゲート試薬。
25.項1〜10のいずれか一項に定義される化合物、または項11〜19のいずれか一項に定義されるコンジュゲートを、薬学的に許容される担体と一緒に、任意選択で追加の治療薬と一緒に含む、医薬組成物。
26.増殖性、自己免疫性、または感染性の疾患または障害の治療を必要とする患者を治療する方法であって、薬学的有効量の、項1〜10のいずれか一項に定義される化合物、項11〜19のいずれか一項に定義されるコンジュゲート、または項25に定義される医薬組成物を患者に投与することを含む、方法。
27.治療に使用するための、項1〜10のいずれか一項に定義される化合物または項11〜19のいずれか一項に定義されるコンジュゲート。
28.項1〜10のいずれか一項に定義される一般式Iの化合物またはその塩を調製するためのプロセスであって、以下の一般式の化合物であって、
式中、X、Ra〜Rd、Rf、およびRgが、前記一般式Iについて記載される意味を有する化合物を、アリール−有機金属試薬であって、アリール部分が(Re)nおよびRまたはRの保護体で置換されているフェニル基であり、Rおよび(Re)nが、前記一般式Iについて記載される意味を有する、アリール−有機金属試薬と反応させることを含み、前記反応が、遷移金属触媒の存在下で実施される、プロセス。
29.前記アリール−有機金属試薬が、以下の一般式のボロン酸、
またはその保護体であり、前記反応がパラジウム触媒の存在下で実施される、項28に定義されるプロセス。
30.以下の一般式:
(式中、X、n、およびRa−Rgは、一般式Iについて記載される意味を有し、Rprotは、保護基を担持する一般式Iの基Rである)を有する、項1〜10のいずれか一項に定義される一般式Iの化合物もしくはその塩の調製に有用な中間体、またはその塩。
31.Rが、−OH、もしくは−SH基を含み、保護基が、シリル基、アシル基、もしくはアリールメチル基であるか、Rが、−CO2H基を含み、前記保護基が、メチル、エチル、t−ブチル、ベンジル、p−メトキシベンジル、9−フルオレニルメチル、トリメチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、もしくはジフェニルメチルであるか、またはRが、−NHR’、−NHR’‘、もしくは−NHR’‘‘基を含み、前記保護基が、t−ブトキシカルボニル、トリチル、ベンジルオキシカルボニル、9−フルオレニルメトキシカルボニル、ホルミル、トリメチルシリル、もしくはt−ブチルジメチルシリルである、項30に定義される中間体。
以下の実施例は本発明を図示する。
一般的な方法:
1H NMRスペクトルは、適切なNMR機器(例えば、Varian Inova 500MHz NMR機器)を使用して記録した。クロマトグラフィー純度はLC/MS(例えばAgilent 1200シリーズLC/MSシステム)を使用して決定した。
実施例1:4−(N−Bocアミノ)フェニル−AP3,3の調製
化合物1 4−(N−Bocアミノ)フェニルボロン酸(18.7mg)を、固体のAP3 2(32.6mg)に、リン酸三カリウム(32.7mg)およびパラジウム触媒Sphos Pd G3(1mg)(Sigma−Aldrichから市販されている)と共に添加した。固体をAr3xでパージし、混合物に乾燥THF(150μL)を添加した。次いで、Arを反応混合物に60秒間通気し、反応容器を密封し、40℃で2時間加熱し、その時点でLC/MSにより反応は完了したとみなされた。次いで、短いSiO2パッドを通して反応混合物を濾過し、Et2Oで洗浄し、濃縮した。次いで、混合物を分取HPLC(Gemini150×30mmカラム)(H2O中5→95%ACN、それぞれ0.05%AcOHを含有)で精製し、所望の画分を凍結乾燥して3を白色の結晶性固体(14.3mg、35%収率)として得た。1H NMR(500MHz,CHLOROFORM−d)δ=7.41(d,J=7.3Hz,2H),7.06(d,J=8.8Hz,2H),6.88(dd,J=1.5,10.7Hz,2H),6.58−6.46(m,2H),6.27−6.18(m,2H),5.49(dd,J=9.0,15.4Hz,1H),4.85(dd,J=2.9,12.2Hz,1H),4.36−4.28(m,1H),3.83(s,3H),3.61−3.52(m,2H),3.39(s,3H),3.28(d,J=13.2Hz,1H),3.09−2.95(m,3H),2.70−2.68(m,3H),2.65(quin,J7.0Hz,1H),2.25(dd,J=2.9,13.7Hz,1H),1.77(s,3H),1.70(d,J=13.2Hz,1H),1.55(s,9H),1.33(d,J=6.3Hz,3H),1.28(d,J=7.3Hz,3H),1.22(d,J=6.8Hz,3H),0.96(s,3H);LC/MS:保持時間3.49分((Merck Chromolith RP−18e分析用HPLCカラム(モノリシック、50×2mm);分析用HPLC法:注入体積5μL;流速1mL/分;5分間にわたって水中5→95%アセトニトリル);λ=254または220nmでのアジレントダイオードアレイ検出器;室温)、C43H58N3O11の(ES+)計算値:[M+H]+792;実測値792。
BOC保護基を化合物3から除去して、遊離アミン基を含有する対応する化合物を産生することができる。次いで、この化合物を同様に既知の方法を用いてアミン基を介してコンジュゲートさせて、コンジュゲート、具体的には抗体−薬物コンジュゲートを産生することができる。
実施例2:Karpas−299およびSK−BR−3細胞株における化合物3のインビトロ効力アッセイ
インビトロで細胞傷害性薬またはADCで処理した後の腫瘍細胞の生存の消失は、増加濃度の薬物またはADCの存在下で細胞株を成長させ、CellTiter−Glo(登録商標)Luminescence試薬(Promega)を使用して増殖または代謝活性の消失を定量することによって測定することができる。プロトコルは、ウェルに存在する細胞の数に直接関係する、ATP合成に基づく未処理細胞に関する細胞播種、薬物処理、および細胞の生存の決定を記載する。
CD30陽性ヒトT細胞リンパ腫細胞株Karpas−299は、University of CambridgeのAbraham Karpas博士から得た。細胞を、10%ウシ胎児血清、100U/mLのペニシリン、および100μg/mLのストレプトマイシンで補充したRPMI培地中で成長させた。Karpas299細胞を、ウェルあたり2,500細胞(50μL/ウェル)で透明底白色壁96ウェルプレートに播種し、37℃および5%CO2で24時間インキュベートした。
HER2陽性腫瘍細胞株、SK−BR−3(ATCC−HTB−30)を、10%ウシ胎児血清、100u/mLのペニシリン、および100μg/mLのストレプトマイシンで補充したMcCoyの5A培地中で成長させた。SK−BR−3細胞を剥離し、ウェルあたり5,000細胞(100μL/ウェル)でポリ−D−リジンコーティングした透明底白色壁96ウェルプレートに播種し、37℃および5%CO2で24時間インキュベートした。
適切な細胞培養培地を希釈剤として使用して、化合物の連続希釈物を三つ組で調製した。CD30陽性Karpas−299細胞を、2×アッセイ濃度で50μLの化合物で処理した。SK−BR−3アッセイプレートから培地を除去し、1×アッセイ濃度で100μLの連続希釈化合物と交換した。アッセイ濃度は表1に特定される。次いで、細胞を化合物(総体積100μL/ウェル)と共に37℃および5%CO
2でさらに96時間インキュベートした。
インキュベーションの終わりに、製造者の指示書に記載されるように、CellTiter−Glo(登録商標)Luminescence試薬を使用して細胞の生存を測定した。続いて、4パラメーター非線形回帰モデルを用いてデータを分析した。
生存率は未処理細胞の%として表し、以下の式を用いて計算した。
全化合物についてのIC50値を外挿するために、生存%(Y軸)をnMで表した薬物濃度(X軸)の対数に対してプロットした。
結果を表2ならびに図1および2に示す。両方の細胞株において、化合物3は対照DM1よりも高い効力を有する。
実施例3:メイタンシノイド化合物4の調製。
アリールホウ素試薬、4−アミノフェニルボロン酸(215mg)、リン酸三カリウム(668mg)、触媒SPhos Pd G3(15.4mg)、およびAP3(500mg)をアルゴンパージ反応容器に順次添加した。次いで、容器を密封し、固体をアルゴンでパージした(4×排気/パージサイクル)。次いで、アルゴンでパージすることによって厳密に脱酸素化したTHF(6mL)および水(0.6mL)を添加し、反応混合物を室温で18時間撹拌した。次いで、反応混合物を酢酸エチル(60mL)で希釈し、鹹水(20mL)で洗浄した。層を分離し、有機層を減圧下で濃縮した。次いで、残渣を、緩衝液A(v/v):水:0.1%酢酸および緩衝液B(v/v):アセトニトリル:0.1%酢酸(100:0v/vから0:100v/v)で溶出する逆相C−18カラムクロマトグラフィーにより精製し、所望の画分を凍結乾燥して化合物4を白色の個体(449mg)として得た。1H NMR(500MHz;CDCl3)δ6.90(d,J=8.1Hz,2H),6.84(d,J=10.1Hz,2H),6.69(d,J=8.6Hz,2H),6.48(dd,J=15.4,11.0Hz,1H),6.24(s,1H),6.18(d,J=11.0Hz,1H),5.49−5.44(m,1H),4.84(dd,J=11.9,2.8Hz,1H),4.32−4.27(m,1H),3.82(s,3H),3.55(d,J=13.0Hz,1H),3.52(d,J=9.0Hz,1H),3.37(s,3H),3.25(d,J=13.0Hz,1H),3.06(s,1H),3.00(d,J=9.9Hz,1H),2.97−2.94(m,1H),2.68(s,3H),2.64−2.61(m,1H),2.23(dd,J=13.8,2.7Hz,1H),1.74(s,3H),1.68(d,J=13.6Hz,1H),1.52−1.47(m,1H),1.30(d,J=6.5Hz,3H),1.26(d,J=7.2Hz,3H),1.25−1.23(m,1H),1.20(d,J=6.5Hz,3H),0.93(s,3H)。LC/MS:(ES+)[M+H]+(692,100%)。
実施例4:メイタンシノイド化合物5の調製。
実施例3の化合物4と同様の方法で化合物5を合成した。簡単に説明すると、4−アミノ−3−クロロフェニルボロン酸ピナコールエステル(100mg)、リン酸三カリウム(674mg)、SPhos Pd G3(15.2mg)、およびAP3(500mg)を、アルゴンパージ反応容器に順次添加した。次いで、容器を密封し、固体をアルゴンでパージした(4×排気/パージサイクル)。次いで、アルゴンでパージすることによって厳密に脱酸素化したTHF(6mL)および水(0.6mL)を添加し、反応混合物を室温で5時間撹拌した。次いで、反応混合物を酢酸エチル(60mL)で希釈し、鹹水(20mL)で洗浄した。層を分離し、有機層を減圧下で濃縮した。次いで、残渣を、緩衝液A(v/v):水:0.1%酢酸および緩衝液B(v/v):アセトニトリル:0.1%酢酸(100:0v/vから0:100v/v)で溶出する逆相C−18カラムクロマトグラフィーにより精製し、所望の画分を凍結乾燥して化合物5を白色の個体(80mg)として得た。1H NMR(500MHz;CDCl3)δ7.05(s,1H),6.85(d,J=11.4Hz,2H),6.77(s,2H),6.48(dd,J=15.4,11.2Hz,1H),6.24(s,1H),6.18(d,J=11.2Hz,1H),5.46(dd,J=15.4,9.0Hz,1H),4.84(dd,J=11.8,2.8Hz,1H),4.32−4.27(m,1H),4.11(d,J=0.6Hz,2H),3.83(s,3H),3.55(d,J=13.0Hz,1H),3.52(d,J=9.0Hz,1H),3.37(s,3H),3.25(d,J=13.0Hz,1H),3.02−2.99(m,J=7.8Hz,2H),2.93(dd,J=13.7,12.2Hz,1H),2.72(s,3H),2.65−2.60(m,1H),2.24−2.21(m,1H),1.74(s,3H),1.68(d,J=13.3Hz,1H),1.53−1.47(m,1H),1.30(d,J=6.4Hz,3H),1.30−1.27(m,1H),1.26(d,J=7.2Hz,3H),1.20(d,J=6.7Hz,3H),0.93(s,3H)。LC/MS:(ES+)[M+H]+(726,100%)。
実施例5:メイタンシノイド化合物6の調製。
工程1:化合物7の合成。
THF:DMF(8mL、1:1v/v)中の2,2’−ジチオビス(5−ニトロピリジン)(930mg)および4−メルカプト−ペンタン酸(197mg)の溶液にピリジン(150μL)を添加し、溶液を室温で15時間撹拌した。次いで、反応混合物を酢酸エチル(50mL)で希釈し、鹹水(20mL)で洗浄した。有機層を分離し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。次いで、残渣を、ヘキサン:酢酸エチル(100:0v/vから60:40v/v)で溶出する順相クロマトグラフィーにより精製した。溶媒を真空中で除去して、化合物7を淡黄色の固体(194mg)として得た。1H NMR(500MHz;CDCl3)δ9.26(d,J=2.1Hz,1H),8.39(dd,J=8.8,2.1Hz,1H),7.89(d,J=8.8Hz,1H),3.13−3.06(m,1H),2.64−2.53(m,2H),2.04−1.89(m,2H),1.37(d,J=6.8Hz,3H)。LC/MS:(ES+)[M+H]+(289,100%)。
工程2:化合物8の合成。
0℃のDMF(8mL)中の化合物4(237mg)、化合物7(102mg)、およびHATU(405mg)の撹拌溶液に、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA、240μL)をゆっくり添加した。反応混合物を室温に温め、16時間撹拌した。溶液を水(20mL)および鹹水(20mL)で希釈し、得られた混合物を酢酸エチル(50mL)で抽出した。有機層を分離し、真空中で濃縮した。残渣をDMF(8mL)に溶解し、緩衝液A(v/v):水:0.1%酢酸および緩衝液B(v/v):アセトニトリル:0.1%酢酸(100:0v/vから0:100v/v)で溶出する逆相C−18カラムクロマトグラフィーにより精製した。所望の画分を凍結乾燥して、化合物8を淡黄色の固体(253mg)として得た。1H NMR(500MHz;CDCl3)δ9.27(d,J=2.2Hz,1H),8.40(dt,J=8.8,2.9Hz,1H),7.95−7.93(m,1H),7.56−7.54(m,2H),7.47−7.45(m,1H),7.10(dd,J=7.6,0.4Hz,2H),6.89(d,J=7.7Hz,2H),6.54−6.48(m,1H),6.24(d,J=0.4Hz,1H),6.21(d,J=11.1Hz,1H),5.49(dd,J=15.2,9.1Hz,1H),4.85(dd,J=12.0,2.8Hz,1H),4.34−4.29(m,1H),3.84(s,3H),3.59(d,J=13.0Hz,1H),3.54(d,J=9.0Hz,1H),3.39(s,3H),3.29(d,J=12.9Hz,1H),3.22−3.17(m,1H),3.04−2.97(m,3H),2.69(d,J=2.8Hz,3H),2.67−2.56(m,3H),2.27−2.24(m,1H),2.12−2.07(m,2H),1.77(s,3H),1.70(d,J=13.0Hz,1H),1.55−1.48(m,1H),1.42−1.41(m,3H),1.32(d,J=6.4Hz,3H),1.27−1.26(m,1H),1.28(d,J=7.2Hz,3H),1.22(d,J=6.7Hz,3H),0.96(s,3H)。LC/MS:(ES+)[M+H]+(962,100%)。
工程3:化合物6の合成。
アセトニトリル:水(1.8mL、5:4v/v)中の化合物8(22mg)およびトリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩(TCEP.HCl、67mg)の溶液に、7〜8のpHが達成されるまで飽和炭酸水素ナトリウム溶液(1.2mL)をゆっくり添加した。次いで、反応混合物を室温で2時間撹拌した後、溶液を真空中で濃縮し、残渣をアセトニトリル(50mL)に溶解した。次いで、アセトニトリル溶液を鹹水(20mL)で洗浄し、層を分離し、有機層を真空中で濃縮した。次いで、残渣を、緩衝液A(v/v):水:0.1%酢酸および緩衝液B(v/v):アセトニトリル:0.1%酢酸(100:0v/vから0:100v/v)で溶出する逆相C−18カラムクロマトグラフィーにより精製し、所望の画分を凍結乾燥して化合物6を白色の個体(14mg)として得た。1H NMR(500MHz;CDCl3)δ7.58−7.57(m,1H),7.51−7.47(m,1H),7.09(d,J=8.2Hz,2H),6.89(d,J=9.0Hz,2H),6.51(dd,J=15.4,11.1Hz,1H),6.24(s,1H),6.22−6.20(m,1H),5.49(dd,J=15.3,9.0Hz,1H),4.85(dd,J=12.0,2.8Hz,1H),4.34−4.29(m,1H),3.83(s,3H),3.58(d,J=12.9Hz,1H),3.54(d,J=8.9Hz,1H),3.39(s,3H),3.28(d,J=12.8Hz,1H),3.07−2.96(m,4H),2.69(s,3H),2.66−2.62(m,1H),2.61−2.53(m,2H),2.27−2.24(m,1H),2.19−2.13(m,1H),1.86−1.80(m,1H),1.77(s,3H),1.70(d,J=13.5Hz,1H),1.54−1.48(m,2H),1.43(d,J=6.7Hz,3H),1.32(d,J=6.3Hz,3H),1.28(d,J=7.2Hz,3H),1.27−1.26(m,1H),1.22(d,J=6.7Hz,3H),0.96(s,3H)。LC/MS:(ES+)[M+H]+(808,100%)。
実施例6:メイタンシノイド化合物9の調製。
工程1:化合物10の合成。
4−メルカプト−ペンタン酸の代わりに4−メルカプト−4−メチル−ペンタン酸を使用して、実施例5の化合物7と同様の方法で化合物10を合成した。化合物10を淡黄色の固体として単離した。LC/MS:(ES+)[M+H]+(303,100%)。
工程2:化合物11の合成。
化合物7の代わりに化合物10を使用して、実施例5の化合物8と同様の方法で化合物11を合成した。化合物11を淡黄色の固体として単離した。1H NMR(500MHz;CDCl3)δ9.35−9.24(m,1H),8.44−8.36(m,1H),7.88(dd,J=46.8,8.7Hz,1H),7.54−7.44(m,2H),7.35−7.34(m,1H),7.09−7.07(m,1H),6.87−6.86(m,2H),6.51−6.46(m,1H),6.26(s,1H),6.20−6.17(m,1H),5.47(dd,J=15.6,9.1Hz,1H),4.85−4.82(m,1H),4.32−4.27(m,1H),3.82(s,3H),3.58−3.55(m,1H),3.52(d,J=8.9Hz,1H),3.37(s,3H),3.28−3.25(m,1H),3.16−3.12(m,1H),3.03−2.94(m,3H),2.67(s,3H),2.66−2.60(m,1H),2.56−2.53(m,2H),2.25−2.22(m,1H),2.15−2.07(m,2H),1.75(s,3H),1.69−1.66(m,1H),1.52−1.48(m,1H),1.37(s,6H),1.30(d,J=6.3Hz,3H),1.26(d,J=7.1Hz,3H),1.25−1.24(m,1H),1.20(d,J=6.7Hz,3H),0.94(s,3H)。LC/MS:(ES+)[M+H]+(976,100%)。
工程3:化合物9の合成。
化合物8の代わりに化合物11を使用して、実施例5の化合物6と同様の方法で化合物9を合成した。化合物9を白色の固体として単離した。1H NMR(500MHz;CDCl3)1H NMR(500MHz;CDCl3)δ7.56−7.54(m,2H),7.34(s,1H),7.08−7.07(m,2H),6.86(d,J=9.8Hz,2H),6.51−6.46(m,1H),6.21−6.18(m,2H),5.49−5.44(m,1H),4.85−4.82(m,1H),4.32−4.27(m,1H),3.81(s,3H),3.56(d,J=12.7Hz,1H),3.52(d,J=9.0Hz,1H),3.37(s,3H),3.26(d,J=13.6Hz,1H),3.01−2.94(m,3H),2.67(s,3H),2.64−2.61(m,1H),2.59−2.56(m,2H),2.25−2.22(m,1H),2.04−2.01(m,2H),1.75(s,3H),1.69−1.67(m,1H),1.52−1.48(m,1H),1.43(s,6H),1.30(d,J=6.3Hz,3H),1.26(d,J=7.1Hz,3H),1.25−1.23(m,1H),1.20(d,J=6.7Hz,3H),0.94(s,3H)。LC/MS:(ES+)[M+H]+(822,100%)。
実施例7:メイタンシノイド化合物12の調製。
工程1:化合物13の合成。
THF(10mL)中の2,2’−ジチオビス(5−ニトロピリジン)(682mg)および4−メチルモルホリン(NMM、600μL)の撹拌溶液に、酢酸エチル(2mL)中の4−メルカプト酪酸(222mg)の溶液をゆっくり添加し、混合溶液を室温で1時間撹拌した。次いで、反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム溶液(10mL)、水(10mL)、および酢酸エチル(30mL)で希釈した。有機層を分離し、飽和炭酸水素ナトリウム溶液(20mL)で洗浄した。水層を混合し、1M HCl(70mL)で酸性化した後、酢酸エチル(2×50mL)で抽出した。次いで、混合有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。残渣を、ヘキサン(0.5%酢酸):酢酸エチル(100:0v/vから60:40v/v)で溶出する順相クロマトグラフィーにより精製した。溶媒を真空中で除去して、化合物13を淡黄色の固体(82mg)として得た。1H NMR(500MHz,CDCl3)δ9.28(s,1H),8.40(dd,J=8.8,2.6Hz,1H),7.87(d,J=8.8Hz,1H),2.91(t,J=7.1Hz,2H),2.54(t,J=7.1Hz,2H),2.05(四重項,J=7.1Hz,2H)。LC/MS:(ES+)[M+H]+(275,100%)。
工程2:化合物14の合成。
化合物7の代わりに化合物13を使用して、実施例5の化合物8と同様の方法で化合物14を合成した。化合物14を淡黄色の固体として単離した。1H NMR(500MHz;CDCl3)δ9.30(d,J=2.2Hz,1H),8.43(dd,J=8.8,2.5Hz,1H),7.92(d,J=9.0Hz,1H),7.57−7.54(m,1H),7.44−7.41(m,1H),7.11−7.08(m,2H),6.90−6.88(m,2H),6.53−6.48(m,1H),6.23−6.19(m,2H),5.52−5.47(m,1H),4.86−4.83(m,1H),4.34−4.29(m,1H),3.84(s,3H),3.59(d,J=13.1Hz,1H),3.54(d,J=9.0Hz,1H),3.39(s,3H),3.29(d,J=12.7Hz,1H),3.04−2.97(m,5H),2.69(s,3H),2.67−2.62(m,1H),2.58−2.55(m,2H),2.27−2.24(m,1H),2.21−2.15(m,2H),1.77(s,3H),1.70(ddd,J=13.0,1.4,0.6Hz,1H),1.54−1.50(m,1H),1.32(d,J=6.4Hz,3H),1.28(d,J=11.2Hz,4H),1.27−1.26(m,1H),1.22(d,J=6.7Hz,3H),0.96(s,3H)。LC/MS:(ES+)[M+H]+(948,100%)。
工程3:化合物12の合成。
化合物8の代わりに化合物14を使用して、実施例5の化合物6と同様の方法で化合物12を合成した。化合物12を白色の固体として単離した。1H NMR(500MHz;CDCl3)δ7.56−7.54(m,1H),7.49(d,J=3.9Hz,1H),7.08−7.07(m,2H),6.86(d,J=8.8Hz,2H),6.49(dd,J=15.3,11.0Hz,1H),6.21−6.18(m,2H),5.47(dd,J=15.3,9.0Hz,1H),4.84−4.81(m,1H),4.32−4.27(m,1H),3.81(s,3H),3.56(d,J=13.0Hz,1H),3.52(d,J=9.0Hz,1H),3.37(s,3H),3.28−3.25(m,1H),3.04−2.95(m,3H),2.67(s,3H),2.65−2.61(m,2H),2.53(t,J=7.2Hz,2H),2.26−2.22(m,1H),2.07−2.02(m,2H),1.75(s,3H),1.69(d,J=0.4Hz,1H),1.54−1.48(m,1H),1.38(t,J=8.0Hz,1H),1.30(d,J=6.3Hz,3H),1.26(d,J=7.2Hz,3H),1.25−1.24(m,1H),1.20(d,J=6.7Hz,3H),0.94(s,3H)。LC/MS:(ES+)[M+H]+(794,100%)。
実施例8:メイタンシノイド化合物15の調製。
工程1:化合物16の合成。
0℃の水(15mL)中の3−メルカプト−プロピオン酸(0.41mL)の撹拌溶液に、エタノール(7.5mL)中のS−メチルメタンチオールスルホネート(0.49mL)の溶液を添加した。反応混合物を室温に温め、18時間撹拌した後、真空中で濃縮した。7〜8のpHが達成されるまで飽和炭酸水素ナトリウム溶液(8mL)を残渣に添加し、次いで、得られた混合物をジクロロメタン(2×10mL)で抽出した。層を分離し、水層を0.1M HCl溶液(12mL)、次いで1M HCl溶液(6mL)で酸性化して、溶液pHを2〜3にした。次いで、水層を酢酸エチル(2×40mL)で抽出した。有機層を分離し、混合し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮して、化合物16を白色の固体(0.71g)として得た。1H NMR(500MHz;CDCl3)δ2.94(t,J=6.8Hz,2H),2.83(d,J=6.8Hz,2H),2.42(s,3H)。LC/MS:(ES+)[M+H]+(152,100%)。
工程2:化合物17の合成。
化合物7の代わりに化合物16を使用して、実施例5の化合物8と同様の方法で化合物17を合成した。化合物17を白色の固体として単離した。LC/MS:(ES+)[M+H]+(826,100%)。
工程3:化合物15の合成。
化合物8の代わりに化合物17を使用して、実施例5の化合物6と同様の方法で化合物15を合成した。化合物15を白色の固体として単離した。1H NMR(500MHz;CDCl3)δ7.63(s,1H),7.57−7.55(m,1H),7.09−7.07(m,2H),6.87(d,J=8.2Hz,2H),6.49(dd,J=15.3,11.1Hz,1H),6.22−6.18(m,2H),5.47(dd,J=15.3,9.1Hz,1H),4.85−4.82(m,1H),4.32−4.27(m,1H),3.82(s,3H),3.57(d,J=13.0Hz,1H),3.52(d,J=8.9Hz,1H),3.37(s,3H),3.26(d,J=12.7Hz,1H),3.04−2.95(m,3H),2.90(q,J=7.4Hz,2H),2.70(dd,J=8.7,4.5Hz,2H),2.67(s,3H),2.64−2.60(m,1H),2.24(dd,J=13.9,2.6Hz,1H),1.75(s,3H),1.72(d,J=8.5Hz,1H),1.70−1.66(m,1H),1.54−1.48(m,1H),1.30(d,J=6.4Hz,3H),1.26(d,J=7.2Hz,3H),1.24−1.23(m,1H),1.20(d,J=6.8Hz,3H),0.94(s,3H)。LC/MS:(ES+)[M+H]+(780,100%)。
実施例9:メイタンシノイド化合物18の調製。
工程1:化合物19の合成。
エタノール:水(10mL、1:1v/v)中の4−メルカプトペンタン酸(0.97g)の溶液に、S−メチルメタンチオールスルホネート(0.72mL)を添加し、反応混合物をアルゴン雰囲気下、室温で22時間撹拌した。エタノールを減圧下で除去した後、反応溶液を鹹水(10mL)で希釈し、酢酸エチル(3×15mL)で抽出した。次いで、混合有機層を鹹水(15mL)で洗浄し、有機層を分離し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮して、化合物19を黄色の油状物(0.9g)として得た。1H NMR(300MHz;CDCl3):δ9.09(s,1H),2.89(m,1H),2.52(t,J=7.6Hz,2H),2.41(s,3H),2.03−1.85(m,2H),1.35(d,J=6.8Hz,3H)。
工程2:化合物20の合成。
アルゴン雰囲気下、0℃の無水THF(2mL)中の化合物19(33mg)の溶液に、イソブチルクロロホルメート(25μL)およびNMM(50μL)を添加した。0℃で20分間撹拌した後、無水THF(4mL)中の化合物5(42mg)の溶液を、反応混合物にゆっくり添加し、それは室温に温められ、さらに16時間撹拌された。次いで、アルゴン雰囲気下、室温で1時間撹拌した無水THF(1mL)中の化合物19(33mg)およびイソブチルクロロホルメート(25μL)の溶液を、反応混合物に添加した。次いで、反応溶液を24時間撹拌した後、溶媒を真空中で除去し、残渣を、緩衝液A(v/v):水:0.05%酢酸および緩衝液B(v/v):アセトニトリル:0.05%酢酸(80:20v/vから0:100v/v)で溶出する逆相C−18カラムクロマトグラフィーにより精製した。所望の画分を混合し、凍結乾燥して、化合物20を白色の固体(20mg)として得た。1H NMR(500MHz;CDCl3):δ8.42(s,1H),7.70(s,1H),7.12(s,1H),7.04(d,J=7.0Hz,1H),6.88(s,1H),6.85(s,1H),6.48(dd,J=15.4,11.1Hz,1H),6.21−6.17(m,2H),5.47(dd,J=15.5,8.9Hz,1H),4.83(dd,J=11.9,2.3Hz,1H),4.30(t,J=10.8Hz,1H),3.82(s,3H),3.56(d,J=13.0Hz,1H),3.52(d,J=9.0Hz,1H),3.37(s,3H),3.27(d,J=12.4Hz,2H),3.00(d,J=9.5Hz,2H),2.94−2.89(m,3H),2.73(s,3H),2.64(dq,J=21.7,7.3Hz,3H),2.43(d,J=3.6Hz,1H),2.23−2.21(m,1H),2.17−2.15(m,1H),2.06(dd,J=13.1,7.4Hz,1H),1.75(s,3H),1.67(d,J=13.7Hz,1H),1.50(d,J=6.6Hz,3H),1.40(d,J=6.7Hz,1H),1.31(d,J=6.2Hz,3H),1.26(q,J=8.2Hz,5H),1.20(d,J=6.7Hz,3H),0.94(s,3H)。LC/MS:(ES+)[M+H]+(888,100%)。
工程3:化合物18の合成。
化合物8の代わりに化合物20を使用して、実施例5の化合物6と同様の方法で化合物18を合成した。1H NMR(500MHz;CDCl3):δ8.41(s,1H),7.70(s,1H),7.12(s,1H),7.04(d,J=6.8Hz,1H),6.88(s,1H),6.85(s,1H),6.48(dd,J=15.2,11.2Hz,1H),6.21−6.17(m,2H),5.47(dd,J=15.4,9.0Hz,1H),4.84−4.80(m,1H),4.30(t,J=11.0Hz,1H),3.82(s,3H),3.56(d,J=12.8Hz,1H),3.52(d,J=8.9Hz,1H),3.37(s,3H),3.27(d,J=12.7Hz,1H),2.99(t,J=8.4Hz,1H),2.92(t,J=12.8Hz,1H),2.73(s,3H),2.67−2.59(m,2H),2.22(d,J=13.9Hz,1H),2.08−2.04(m,1H),1.75(s,3H),1.67(d,J=14.3Hz,2H),1.50(d,J=6.6Hz,3H),1.36(d,J=6.8Hz,2H),1.30(t,J=6.6Hz,6H),1.20(d,J=6.6Hz,3H),0.94(s,3H),0.88(dd,J=11.6,5.5Hz,3H)。LC/MS:(ES+)[M+H]+(842,100%)。
実施例10:メイタンシノイド化合物21の調製。
工程1:化合物22の合成。
化合物4の代わりに化合物5を使用し、化合物7の代わりに化合物10を使用して、実施例5の化合物8と同様の方法で化合物22を合成した。化合物22を白色の固体として単離した。LC/MS:(ES+)[M+H]+(1010,100%)。
工程2:化合物21の合成。
化合物8の代わりに化合物22を使用して、実施例5の化合物6と同様の方法で化合物21を合成した。化合物21を白色の固体として単離した。1H NMR(500MHz;CDCl3)δ8.44−8.42(m,1H),7.69(d,J=0.3Hz,1H),7.12(d,J=0.6Hz,1H),7.06−7.04(m,1H),6.86(d,J=11.8Hz,2H),6.51−6.45(m,1H),6.22−6.17(m,2H),5.47(dd,J=15.4,9.0Hz,1H),4.84−4.82(m,1H),4.84−4.82(m,1H),4.32−4.27(m,1H),3.82(s,3H),3.56(d,J=13.0Hz,1H),3.52(d,J=9.0Hz,1H),3.37(s,3H),3.27(d,J=12.7Hz,1H),3.00(d,J=9.5Hz,2H),2.92(t,J=12.9Hz,1H),2.72(s,3H),2.66−2.60(m,3H),2.24−2.21(m,1H),2.04(dd,J=9.2,6.8Hz,2H),1.75(s,3H),1.67(d,J=11.3Hz,1H),1.54−1.48(m,1H),1.44(s,6H),1.31(d,J=6.3Hz,3H),1.25(s,3H),1.25−1.23(m,1H),1.20(d,J=6.7Hz,3H),0.94(s,3H)。LC/MS:(ES+)[M+H]+(856,100%)。
実施例11:メイタンシノイド化合物23の調製。
工程1:化合物24の合成。
0℃のDMF(1.5mL)中の化合物5(50mg)、化合物16(29mg)、およびHATU(79mg)の撹拌溶液にDIPEA(50μL)をゆっくり添加した。反応混合物を室温に温め、14時間撹拌した。追加量の、DMF(500μL)、HATU(129mg)、およびDIPEA(100μL)中の化合物16(47mg)を添加し、反応混合物を室温でさらに6時間撹拌した。次いで、反応混合物を、緩衝液A(v/v):水:0.1%酢酸および緩衝液B(v/v):アセトニトリル:0.1%酢酸(100:0v/vから0:100v/v)で溶出する逆相C−18カラムクロマトグラフィーにより直接精製した。所望の画分を混合し、凍結乾燥して、化合物24を白色の固体(15mg)として得た。LC/MS:(ES+)[M+H]+(860,100%)。
工程2:化合物23の合成。
化合物8の代わりに化合物24を使用して、実施例5の化合物6と同様の方法で化合物23を合成した。化合物23を白色の固体として単離した。1H NMR(500MHz;CDCl3)1H NMR(500MHz;CDCl3)δ8.45−8.43(m,1H),7.75(s,1H),7.13(s,1H),7.06(d,J=8.2Hz,1H),6.88−6.85(m,2H),6.48(dd,J=15.4,11.0Hz,1H),6.21−6.17(m,2H),5.47(dd,J=15.5,9.0Hz,1H),4.83(dd,J=11.8,2.9Hz,1H),4.32−4.27(m,1H),3.82(s,3H),3.56(d,J=12.9Hz,1H),3.52(d,J=8.9Hz,1H),3.37(s,3H),3.27(d,J=12.8Hz,1H),3.02−2.99(m,2H),2.94−2.90(m,3H),2.78(t,J=6.5Hz,2H),2.73(s,3H),2.65−2.60(m,1H),2.23(dd,J=13.7,2.8Hz,1H),1.74(s,3H),1.67(d,J=13.1Hz,1H),1.53−1.47(m,1H),1.31(d,J=6.3Hz,3H),1.26(d,J=7.2Hz,3H),1.25−1.23(m,1H),1.20(d,J=6.7Hz,3H),0.94(s,3H)。LC/MS:(ES+)[M+H]+(814,100%)。
実施例12:メイタンシノイド細胞傷害性ペイロードを含むコンジュゲーション試薬25の調製。
工程1:化合物26の合成。
DMF(2mL)中の化合物8(17mg)および4−メルカプトペンタン酸(10mg)の混合物を室温で16時間撹拌した。次いで、反応混合物を酢酸エチル(20mL)で希釈し、鹹水(10mL)で洗浄した。有機層を分離し、真空中で濃縮した後、残渣をDMF(6mL)に溶解し、緩衝液A(v/v):水:0.1%酢酸および緩衝液B(v/v):アセトニトリル:0.1%酢酸(100:0v/vから0:100v/v)で溶出する逆相C−18カラムクロマトグラフィーにより精製した。所望の画分を混合し、凍結乾燥して、化合物26をオフホワイト色の固体(23mg)として得た。1H NMR(500MHz;CDCl3)δ8.17(s,1H),7.59−7.58(m,2H),7.06−7.05(m,2H),6.86(s,2H),6.48(dd,J=15.3,11.1Hz,1H),6.41(s,1H),6.18(d,J=10.9Hz,1H),5.47(dd,J=15.4,8.9Hz,1H),4.79(d,J=12.0Hz,1H),4.29(t,J=11.3Hz,1H),3.81(s,3H),3.56(d,J=13.0Hz,1H),3.52(d,J=8.9Hz,1H),3.37(s,3H),3.26(d,J=12.9Hz,1H),2.96(d,J=9.2Hz,2H),2.90−2.84(m,2H),2.66(d,J=3.7Hz,3H),2.62(dd,J=14.0,7.0Hz,2H),2.55−2.40(m,4H),2.32−2.25(m,1H),2.07−1.95(m,3H),1.79(t,J=6.9Hz,1H),1.74(s,3H),1.68−1.65(m,1H),1.53−1.46(m,1H),1.34(d,J=6.4Hz,3H),1.27(d,J=6.6Hz,6H),1.24(d,J=7.2Hz,3H),1.24−1.23(m,1H),1.19(d,J=6.7Hz,3H),0.94(s,3H)。LC/MS:(ES+)[M+H]+(940,100%)。
工程2:試薬25の合成。
無水ジクロロメタン(2mL)中の化合物26(23mg)、N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC.HCl、12mg)、およびN−ヒドロキシスクシンイミド(5mg)の混合物を室温で4時間撹拌した。次いで、反応混合物を真空中で濃縮し、残渣をDMSO(5mL)に溶解した後、緩衝液A(v/v):水:0.1%酢酸および緩衝液B(v/v):アセトニトリル:0.1%酢酸(100:0v/vから0:100v/v)で溶出する逆相C−18カラムクロマトグラフィーにより精製した。所望の画分を混合し、凍結乾燥して、試薬25を白色の固体(25mg)として得た。1H NMR(500MHz;CDCl3)δ7.75−7.69(m,1H),7.58−7.54(m,2H),7.08−7.06(m,2H),6.87−6.85(m,2H),6.48(dd,J=15.4,11.0Hz,1H),5.47(dd,J=15.4,9.0Hz,1H),4.84−4.81(m,1H),4.32−4.27(m,1H),3.81(s,3H),3.56(d,J=13.0Hz,1H),3.52(d,J=8.9Hz,1H),3.37(s,3H),3.26(d,J=13.0Hz,1H),3.01−2.84(m,6H),2.82(d,J=1.0Hz,3H),2.80−2.73(m,2H),2.67(s,3H),2.64−2.60(m,1H),2.53−2.50(m,2H),2.25−2.21(m,1H),2.15−2.11(m,1H),2.06−1.96(m,3H),1.75(s,3H),1.68(d,J=13.5Hz,1H),1.53−1.47(m,1H),1.37(d,J=6.8Hz,3H),1.34−1.30(m,6H),1.26(d,J=7.2Hz,3H),1.24−1.23(m,1H),1.20(d,J=6.8Hz,3H),0.94(s,3H)。LC/MS:(ES+)[M+H]+(1037,100%)。
実施例13:メイタンシノイド細胞傷害性ペイロードを含むコンジュゲーション試薬27の調製。
工程1:化合物28の合成。
4−メルカプト−ペンタン酸の代わりに4−メルカプト−4−メチル−ペンタン酸を使用して、実施例12の化合物26と同様の方法で化合物28を合成した。化合物28を白色の固体として単離した。1H NMR(500MHz;CD3OD)δ7.63−7.62(m,2H),6.96(s,1H),6.71−6.66(m,1H),6.29−6.27(m,1H),5.58−5.53(m,1H),4.76−4.73(m,1H),4.26−4.22(m,1H),3.83(s,3H),3.63−3.60(m,2H),3.39(s,3H),3.36(m,1H),3.07−3.02(m,1H),2.99−2.94(m,1H),2.89−2.87(m,1H),2.79−2.74(m,1H),2.70(s,3H),2.63−2.54(m,2H),2.40−2.37(m,2H),2.27−2.24(m,1H),2.06−1.90(m,5H),1.80(s,3H),1.65−1.54(m,3H),1.36(d,J=6.8Hz,3H),1.29−1.27(d,13H),1.22(d,J=6.7Hz,3H),1.02(s,3H)。LC/MS:(ES+)[M+H]+(954,100%)。
工程2:試薬27の合成。
化合物26の代わりに化合物28を使用して、実施例12の試薬25と同様の方法で試薬27を合成した。試薬27を白色の固体として単離した。1H NMR(500MHz;CDCl3)δ7.89(d,J=4.9Hz,1H),7.58−7.56(m,2H),7.07(d,J=8.1Hz,2H),6.86(d,J=6.4Hz,2H),6.48(dd,J=15.3,11.1Hz,1H),6.23(s,1H),6.18(d,J=10.9Hz,1H),5.47(dd,J=15.4,9.0Hz,1H),4.84−4.81(m,1H),4.32−4.27(m,1H),3.81(s,3H),3.56(d,J=12.9Hz,1H),3.52(d,J=9.0Hz,1H),3.37(s,3H),3.26(d,J=12.8Hz,1H),3.06(s,1H),3.00−2.94(m,2H),2.87−2.83(m,6H),2.77−2.71(m,2H),2.66(s,3H),2.64−2.60(m,1H),2.55−2.48(m,2H),2.24(d,J=13.4Hz,1H),2.09−1.96(m,4H),1.75(s,3H),1.68(d,J=13.5Hz,1H),1.54−1.46(m,1H),1.34(d,J=6.7Hz,3H),1.30−1.28(m,9H),1.25−1.24(m,1H),1.26(d,J=7.2Hz,3H),1.20(d,J=6.7Hz,3H),0.94(s,3H)。LC/MS:(ES+)[M+H]+(1051,100%)。
実施例14:試薬25および27のトラスツズマブへのコンジュゲーションにより、それぞれ抗体薬物コンジュゲート(ADC)29および30を産生する。
コンジュゲーション試薬25および27をトラスツズマブにコンジュゲートし、それぞれADC29および30を得た。簡単に説明すると、試薬をDMSOに溶解して10mMのストック溶液を得た。100mMリン酸ナトリウム緩衝液、100mM塩化ナトリウム、pH8.0中のトラスツズマブの溶液にプロピレングリコール(40%v/v)を添加し、溶液を穏やかに混合して4.8mg/mLの最終抗体濃度を得た。次いで、コンジュゲーション試薬(13当量/mAb)を抗体溶液に添加し、反応混合物を穏やかに混合し、24℃で3時間インキュベートした。次いで、活性炭粉末(70%w/wのmAb)を、室温で30分間穏やかに撹拌した反応溶液に添加して未反応の薬物関連種を除去した。次いで、反応混合物を濾過し(0.22μmのPES膜)、精製した試料をPD−10脱塩カラムを使用して10mMコハク酸、6%w/vトレハロース、0.01%v/v Tween20、pH5.5に緩衝液交換した。
コンジュゲートのDARは、PNGase Fを使用した試料の脱グリコシル化後の質量分析によって決定した。コンジュゲートの平均DARは、個々のDAR種の相対ピーク強度から計算した。3.3および2.8のDAR割り当てを、抗体薬物コンジュゲート29および30についてそれぞれ決定した。
実施例15:SK−BR−3細胞株における化合物のインビトロ効力アッセイ。
本発明の化合物で処理した後の腫瘍細胞の生存の消失を、実施例2に記載のように、増加濃度の本発明の化合物の存在下でSK−BR−3細胞株を成長させ、増殖または代謝活性の消失を定量することによって試験した。本発明の化合物についての平均IC
50値を表3に示し、アッセイ濃度を表4に特定する。Chem.Eur.J.2012,18,880−886からの以下の比較化合物31のIC
50値
も提供する。
ビフェニル部分を含有する本発明の化合物は、アリルアミン含有比較化合物よりも、SK−BR−3細胞の増殖の阻害に関して、予想外に低いIC50値を有する。
実施例16:トラスツズマブ−薬物コンジュゲート29をKadcyla(登録商標)(比較)と比較したJIMT−1マウス異種移植片研究。
実施例14に記載したようにコンジュゲート29を調製した。到着時6週齢の健康な雌のNMRIヌードマウス(RjOrl:NMRI−Foxn1nu/Foxn1nu)を細胞接種に使用した。
PBS中の200μLの細胞懸濁液中の5×106のJIMT−1細胞(乳癌)を右側腹部に皮下注射することによって腫瘍を誘導した。腫瘍細胞の接種の直前に、マトリゲル(細胞懸濁液200μLあたりマトリゲル40μL)を添加した。カリパスを用いて腫瘍を週に2回測定し、以下の式を用いて体積を推定した。
腫瘍体積が約134mm3の平均腫瘍体積に達したとき、動物を無作為に8匹のマウスの群に分け、処置を開始した(0日目)。全ての試験物質は尾静脈(i.v.ボーラス)を介して注射した。単回用量の30mg/kgのADCを10mL/kgで与え、PBSをビヒクル群に使用した。
マウスの生存および行動を毎日記録した。体重を週に2回測定した。人道的評価項目に到達したとき(例えば、群分布時の体重と比較して>10%の体重および/または腫瘍体積>2000mm3の算出腫瘍重量>20%の動物体重減少、腫瘍の潰瘍形成、運動性の欠如、疼痛の一般的な徴候)、またはあらかじめ決められた試験終了日に動物を安楽死させた。
処置後0日目および14日目の平均腫瘍体積±標準誤差を図3に表す。結果は、ビヒクル処置動物について、腫瘍体積が0日目〜14日目の間に約2倍になった(135対268mm3)ことを示す。コンジュゲート29(30mg/kg用量)で処置した動物については、14日目までに腫瘍体積は0日目に記録された値のほぼ半分(134対73mm3)に減少したが、臨床製品Kadcyla(登録商標)は同じ期間にわたって腫瘍体積の増加(134対165mm3)を示した。すべての化合物は忍容性良好であった。
実施例17:メイタンシノイド化合物32の調製。
実施例3の化合物4と同様の方法で化合物32を合成した。簡単に説明すると、4−アミノフェニルボロン酸ピナコールエステル(16mg)、リン酸三カリウム(33mg)、SPhos Pd G3(6mg)、およびメイタンシン(Toronto Research Chemicalsから入手可能、25mg)をアルゴンパージ反応容器に順次添加した。次いで、容器を密封し、固体をアルゴンでパージした(4×排気/パージサイクル)。次いで、アルゴンでパージすることによって厳密に脱酸素化したTHF(600μL)および水(60μL)を添加し、反応混合物を室温で17時間撹拌した。次いで、反応混合物を酢酸エチル(20mL)で希釈し、鹹水(10mL)で洗浄した。層を分離し、有機層を減圧下で濃縮した。次いで、残渣を、緩衝液A(v/v):水:0.1%酢酸および緩衝液B(v/v):アセトニトリル:0.1%酢酸(100:0v/vから0:100v/v)で溶出する逆相C−18カラムクロマトグラフィーにより精製し、所望の画分を凍結乾燥して化合物32を白色個体(17.3mg)として得た。1H NMR(500MHz;CDCl3)δ6.90(d,J=7.9Hz,2H),6.82(s,1H),6.72−6.66(m,3H),6.66(s,1H),6.46(dd,J=15.4,11.2Hz,1H),6.23(s,1H),5.70(dd,J=15.3,9.0Hz,1H),5.35−5.31(m,1H),4.82(dd,J=12.0,2.7Hz,1H),4.32−4.28(m,1H),3.81(s,3H),3.68(d,J=12.8Hz,1H),3.52(d,J=9.0Hz,1H),3.42−3.41(m,1H),3.37(s,3H),3.15(d,J=12.7Hz,1H),3.10−3.03(m,2H),2.81(s,3H),2.68(s,3H),2.26(dd,J=14.3,2.6Hz,1H),2.07(s,3H),1.68(s,3H),1.65(d,J=13.7Hz,1H),1.54−1.48(m,1H),1.32−1.30(m,6H),1.26(d,J=13.0Hz,1H),0.92(s,3H)。LC/MS:(ES+)[M+H]+(749,100%)。
実施例18:メイタンシノイド化合物33の調製。
工程1:化合物34の合成。
化合物4の代わりに化合物32を使用して、実施例5の化合物8と同様の方法で化合物34を合成した。化合物34を淡黄色の固体として単離した。LC/MS:(ES+)[M+H]+(1019,100%)。
工程2:化合物33の合成。
化合物8の代わりに化合物34を使用して、実施例5の化合物6と同様の方法で化合物33を合成した。化合物33を白色の固体として単離した。1H NMR(500MHz;CDCl3)δ7.56−7.53(m,2H),7.28(dq,J=3.1,1.0Hz,1H),7.07−7.05(m,2H),6.83(s,1H),6.72−6.69(m,1H),6.67(d,J=0.3Hz,1H),6.48−6.42(m,1H),6.21(s,1H),5.71−5.66(m,1H),5.35−5.31(m,1H),4.82−4.79(m,1H),4.31−4.27(m,1H),3.80(s,3H),3.69(d,J=12.7Hz,1H),3.51(d,J=9.0Hz,1H),3.40−3.39(m,1H),3.36(s,3H),3.17−3.14(m,1H),3.07(d,J=9.8Hz,1H),3.03−2.98(m,2H),2.80(s,3H),2.65(s,3H),2.57−2.52(m,2H),2.26−2.23(m,1H),2.17−2.11(m,1H),2.06(s,3H),1.82−1.75(m,1H),1.68(s,3H),1.64−1.61(m,1H),1.46−1.44(m,1H),1.41−1.40(m,3H),1.31−1.29(m,6H),1.26−1.23(m,1H),0.91(s,3H)。LC/MS:(ES+)[M+H]+(865,100%)。
実施例19:メイタンシノイド細胞傷害性ペイロードを含むコンジュゲーション試薬35の調製。
工程1:化合物36の合成。
4−[2,2−ビス[(p−トリルスルホニル)−メチル]アセチル]安息香酸(1.0g、Nature Protocols,2006,1(54),2241−2252)の溶液を、窒素雰囲気下、無水THF(10mL)中のN−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(306mg)に添加した。得られた溶液を0℃に冷却し、ジイソプロピルカルボジイミド(310μL)を滴加した。反応混合物を0℃で20分間撹拌した後、室温に温めた。1時間後、追加のTHF(10mL)を反応混合物に添加した。18時間後、生じた沈殿物を濾過し、冷THF(2x5mL)で洗浄した後、真空中で乾燥させた。固体をメタノール(10mL)と共に室温で1時間撹拌し、濾過により回収し、メタノール(2×5mL)およびジエチルエーテル(5mL)で順次洗浄した。次いで、固体を真空中で乾燥させて、化合物36を白色の固体(1.1g)として得た。LC/MS:(ES+)[M+H]+(618,100%)。
工程2:化合物37の合成。
窒素雰囲気下、無水DMF(20mL)中のL−グルタミン酸5−tert−ブチルエステル(198mg)の撹拌懸濁液に、NMM(107μL)を添加した。反応混合物を0℃に冷却した後、化合物36(603mg)を添加した。得られた懸濁液を0℃で1時間撹拌した後、反応混合物を室温に温めた。19時間後、得られた溶液を真空中で濃縮し、緩衝液A(v/v):水:5%アセトニトリル:0.1%ギ酸および緩衝液B(v/v):アセトニトリル:0.1%ギ酸(100:0v/vから0:100v/v)で溶出する逆相C18カラムクロマトグラフィーにより精製した。有機溶媒を真空中で除去し、水性溶媒を凍結乾燥により除去して、化合物37を白色の固体(198mg)として得た。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ7.98(1H,d),7.86(2H),7.71−7.65(6H,m),7.36(4H,d),4.68(1H,ddd),4.34(1H,q),3.62(2H,ddd),3.50(2H,ddd),2.69(1H ddd),2.55−2.45(1H,m),2.48(6H,s),2.34−2.16(2H,m),1.46(9H,s)。LC/MS:(ES+)[2M+H]+(1371,70%),[2M+H−tBu]+(1315,70%),[M+H−tBu]+(630,100%)。
工程3:化合物38の合成。
化合物37(50mg)および(ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ)トリス−(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(BOP)(40mg)を無水DMF(3mL)に溶解し、0℃に冷却し、無水DMF(2mL)中のNH2−PEG(24u)−OMe(99mg)およびNMM(10μL)の溶液に添加した。反応混合物を0℃で撹拌し、4時間後、追加量のBOP(10mg)およびNMM(2.5μL)を反応混合物に添加し、それはさらに15分間撹拌された後、−20℃で18時間保存された。次いで、反応混合物を真空中で濃縮し、緩衝液A(v/v):水:5%アセトニトリル:0.1%ギ酸および緩衝液B(v/v):アセトニトリル:0.1%ギ酸(100:0v/vから0:100v/v)で溶出する逆相C18カラムクロマトグラフィーにより精製した。有機溶媒を真空中で除去し、水性溶媒を凍結乾燥により除去して、ビス−トリルスルホニル−プロパノイル−ベンズアミド−L−Glu−[OtBu]−[PEG(24u)−OMe]を無色の油状物(128mg)として得た。LC/MS:(ES+)[M+H]+(1757Da,100%),[M+2H]2+(879,100%)。ビス−トリルスルホニル−プロパノイル−ベンズアミド−L−Glu−[OtBu]−[PEG(24u)−OMe](126.5mg)をギ酸(2.5mL)に溶解し、窒素雰囲気下、室温で撹拌した。20時間後、反応混合物を真空中で濃縮し、18時間高真空下で乾燥させて、化合物38を無色の油状物(122mg、推定定量的収率)として得た。LC/MS:(ES+)[M+H]+(1700,100%)。
工程4:化合物39の合成。
0℃に冷却した、DMF(3mL)中の化合物4(50mg)、Fmoc−Val−Cit−PAB−PNP(Levena Biopharma、85mg)、および1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール(HOAt)(11.5mg)の溶液にDIPEA(40μL)を添加した。反応混合物を室温に温め、19時間撹拌した。追加のHOAt(14mg)を添加し、混合物を室温で9時間撹拌した後、−20℃で72時間保存した。さらにHOAt(18mg)を添加し、混合物を室温で6時間撹拌した。次いで、反応混合物を、緩衝液A(v/v):水:0.05%トリフルオロ酢酸および緩衝液B(v/v):アセトニトリル:0.05%トリフルオロ酢酸(100:0v/vから0:100v/v)で溶出する逆相C18カラムクロマトグラフィーにより直接精製した。産物の画分を混合し、減圧下で濃縮し、水溶液を酢酸エチル(100mL)で抽出した。層を分離し、有機層を鹹水で洗浄した。次いで、酢酸エチル層を分離し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。産物をジクロロメタン:メタノール(100:0v/vから85:15v/v)で溶出する順相クロマトグラフィーによりさらに精製した。溶媒を真空中で除去して、化合物39を白色個体(44mg)として得た。1H NMR(500MHz,CD3OD)δ ppm0.83−1.03(m,14H),1.12−1.34(m,17H),1.46−1.67(m,7H),1.79(s,6H),1.92(br.s.,2H),2.03−2.14(m,2H),2.24(d,J=14.17Hz,2H),2.69(s,4H),2.76(dt,J=13.92,6.72Hz,2H),2.87(d,J=9.77Hz,2H),2.99−3.16(m,3H),3.16−3.24(m,2H),3.37(d,J=6.35Hz,8H),3.57−3.63(m,3H),3.82(s,4H),3.98(d,J=7.33Hz,1H),4.17−4.27(m,3H),4.34−4.46(m,3H),4.50−4.61(m,1H),4.74(d,J=9.77Hz,2H),5.15(s,3H),5.55(dd,J=15.14,8.79Hz,1H),6.27(d,J=10.75Hz,1H),6.67(dd,J=15.63,11.23Hz,1H),6.95(s,1H),7.04−7.15(m,4H),7.27−7.43(m,3H),7.49(d,J=7.82Hz,5H),7.61(d,J=8.3,3H),7.67(t,J=8.3,3H),7.80(d,J=7.33Hz,3H)。LC/MS:(ES+)[M+H]+(1320,100%)。
工程5:化合物40の合成。
アルゴン雰囲気下、無水メタノール(2mL)中の化合物39(52mg)の溶液にジエチルアミン(250μL)を添加し、混合物を室温で1時間撹拌した。次いで、追加のジエチルアミン(250μL)を添加し、混合物を室温でさらに2時間撹拌した。次いで、反応混合物を減圧下で濃縮し、緩衝液A(v/v):水:0.1%酢酸および緩衝液B(v/v):アセトニトリル:0.1%酢酸(100:0v/vから0:100v/v)で溶出する逆相C18カラムクロマトグラフィーにより精製した。所望の画分を混合し、凍結乾燥して、化合物40を白色の固体(25mg)として得た。1H NMR(500MHz;DMSO−d6)δ10.23(s,1H),9.80(s,1H),8.69(d,J=7.5Hz,1H),8.10(s,3H),7.63(d,J=8.5Hz,2H),7.48(d,J=8.2Hz,2H),7.39(d,J=8.5Hz,2H),7.13(s,1H),7.08(d,J=8.0Hz,1H),6.87(s,1H),6.81(s,1H),6.62(dd,J=15.2,11.3Hz,1H),6.22(d,J=11.0Hz,1H),6.08(s,1H),5.89−5.86(m,1H),5.43(dd,J=15.2,8.9Hz,1H),5.11(s,2H),4.59−4.52(m,2H),4.11(t,J=11.2Hz,1H),3.76(s,3H),3.68−3.66(m,J=5.3Hz,1H),3.54−3.51(m,J=7.7Hz,2H),3.25(s,3H),3.06−3.05(m,1H),2.98−2.97(m,1H),2.85(t,J=13.1Hz,1H),2.70(d,J=9.7Hz,1H),2.66−2.63(m,1H),2.22(d,J=12.4Hz,1H),2.09(q,J=6.7Hz,1H),1.76−1.73(m,1H),1.69(s,3H),1.66−1.62(m,1H),1.51−1.38(m,4H),1.15−1.13(m,5H),1.10(d,J=6.7Hz,3H),0.97−0.94(m,9H)。LC/MS:(ES+)[M+H]+(1098,100%)。
工程6:試薬35の合成。
0℃に冷却した無水DMF(400μL)中の化合物38(25.3mg)の溶液に、HATU(5.7mg)を添加した。25分間撹拌した後、NMM(1.5μL)を添加し、溶液を15分間撹拌した後、室温に温め、さらに10分間撹拌した。無水DMF(300μL)中の化合物40(15mg)の別の溶液にNMM(1.5μL)を添加し、溶液を室温で10分間撹拌した。次いで、溶液を混合し、追加のHATU(5.7mg)およびNMM(0.8μL)を反応混合物に添加した。室温で1時間撹拌した後、反応混合物を真空中で濃縮し、緩衝液A(v/v):水:0.05%トリフルオロ酢酸および緩衝液B(v/v):アセトニトリル:0.05%トリフルオロ酢酸(95:5v/vから0:100v/v)で溶出する逆相C18カラムクロマトグラフィーにより精製した。有機溶媒を真空中で除去し、水性溶媒を凍結乾燥により除去して、試薬35を無色の固体(27.2mg)として得た。LC/MS:(ES+)[M+2Na]2+(1412Da,40%),[M+H+Na]2+(1401,50%),[M+2H+Na]3+(935,80%),[M−H2O+3H]3+(921,100%)。
実施例20:メイタンシノイド細胞傷害性ペイロードを含むコンジュゲーション試薬41の調製。
工程1:化合物42の合成。
ジクロロメタン(15mL)中のジエタノールアミン(2.5g)およびトリエチルアミン(6.05g)の撹拌溶液に、室温でジクロロメタン(15mL)中の塩化トシル(3.8g)の溶液をゆっくり添加した。2時間後、水(25mL)を反応混合物に添加し、産物をジクロロメタン(5×30mL)で抽出した。混合有機抽出物を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、次いで溶液を濾過し、揮発物を真空中で除去して、化合物42を白色の固体(4.7g)として得た。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ7.68(d,J=8.3Hz,2H),7.30(d,J=8.3Hz,2H),3.84(t,J=5.0Hz,4H),3.56(s,2H),3.24(t,J=5.0Hz,4H),2.41(s,3H)。LC/MS:(ES+)[M+Na]+(282,95%),[M+H]+(260,100%)。
工程2:化合物43の合成。
無水THF(2mL)中の化合物42(176mg)の溶液を、室温の無水THF(8mL)中の水素化ナトリウム(80mg、鉱油中60%分散液)の溶液に1時間かけて滴加した。1時間撹拌した後、無水THF(2mL)中のヘキサエチレングリコールジ−p−トルエンスルホネート(400mg)の溶液を2時間かけて添加し、反応混合物を室温で72時間撹拌した。水(30mL)を添加し、THFを真空中で除去した。水溶液をクロロホルム(4×25mL)で抽出し、有機相を混合し、硫酸マグネシウム上で乾燥させた後、溶液を濾過し、真空中で濃縮した。次いで、残渣を、緩衝液A(v/v):水:5%アセトニトリル:0.05%トリフルオロ酢酸および緩衝液B(v/v):アセトニトリル:0.05%トリフルオロ酢酸(100:0v/vから0:100v/v)で溶出する逆相C18カラムクロマトグラフィーにより精製した。有機溶媒を真空中で除去し、水性溶媒を凍結乾燥により除去して、化合物43を無色の油状物(78mg)として得た。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ7.68(d,J=8.3Hz,2H),7.26(d,J=8.3Hz,4H),3.67−3.58(m,24H),3.58−3.53(m,4H),3.38(t,J=6.0Hz,4H),2.40(s,3H)。LC/MS:(ES+)[M+Na]+(528,80%),[M+H]+(506,50%)。
工程3:化合物44の合成。
無水THF(6mL)中の化合物43(78mg)の溶液に、水素化アルミニウムリチウム(1.13mL、THF中1M溶液)を添加し、溶液を16時間還流加熱した後、反応混合物を0℃に冷却し、水を滴加してクエンチした。懸濁液を濾過し、沈殿物をクロロホルム:エタノール(9:1v/v、5×6mL)で洗浄した。ろ液および洗液を混合し、真空中で濃縮して、化合物44を無色の油状物(50mg)として得た。LC/MS:(ES+)[M+Na]+(374,70%),[M+H]+(352,100%)。
工程4:化合物45の合成。
0℃の無水DMF(500μL)中のFmoc−Glu(OtBu)−OH(78mg)の溶液に、HATU(108mg)およびNMM(34μL)を添加し、混合物を0℃で10分間撹拌した。これに、無水DMF(500μL)中の化合物44(44mg)の溶液を添加し、混合物をアルゴン雰囲気下0℃で15分間撹拌した。次いで、反応混合物を真空中で濃縮し、残渣を無水DMF(500μL)に溶解した。ピペリジン(70μL)を添加し、溶液を室温で90分間撹拌した。反応溶液を真空中で濃縮し、緩衝液A(v/v):水:5%アセトニトリル:0.05%トリフルオロ酢酸および緩衝液B(v/v):アセトニトリル:0.05%トリフルオロ酢酸(100:0v/vから0:100v/v)で溶出する逆相C18カラムクロマトグラフィーにより精製した。有機溶媒を真空中で除去し、水性溶媒を凍結乾燥により除去して、化合物45を橙色の油状物(44mg)として得た。LC/MS:(ES+)[M+H]+(537,45%)。
工程5:化合物46の合成。
0℃の無水DMF(500μL)中の4−[2,2−ビス[(p−トリルスルホニル)−メチル]アセチル]安息香酸(37.5mg)の溶液に、HATU(65mg)およびNMM(20μL)を添加し、混合物を0℃で10分間撹拌した。これに、無水DMF(500μL)中の化合物45(44.3mg)の溶液を添加し、混合物をアルゴン雰囲気下0℃で1時間撹拌した。次いで、反応混合物を真空中で濃縮し、残渣をDMF(1mL)に溶解し、緩衝液A(v/v):水:0.05%トリフルオロ酢酸および緩衝液B(v/v):アセトニトリル:0.05%トリフルオロ酢酸(60:40v/vから0:100v/v)で溶出する逆相C18カラムクロマトグラフィーにより精製した。溶媒を凍結乾燥により除去して、ビス−トリルスルホニル−プロパノイル−ベンズアミド−L−Glu−(OtBu)−アザ−24−クラウン−8を白色の固体(28.5mg)として得た。LC/MS:(ES+)[M+Na]+(1041,20%),[M+H]+(1019,5%)。無水ジクロロメタン(1mL)中のビス−トリルスルホニル−プロパノイル−ベンズアミド−L−Glu−(OtBu)−アザ−24−クラウン−8(26.5mg)の溶液に、トリフルオロ酢酸(500μL)を添加し、溶液をアルゴン雰囲気下室温で1時間撹拌した。揮発物を真空中で除去して、化合物46を白色の固体として得た(推定定量的収率)。LC/MS:(ES+)[M+Na]+(985,35%),[M+H]+(963,30%)。
工程6:試薬41の合成。
0℃に冷却したDMF(300μL)中の化合物46(10.5mg)の溶液に、HATU(4mg)を添加した。20分間撹拌した後、NMM(1μL)を添加し、反応溶液を0℃でさらに30分間撹拌した。0℃に冷却したDMF(200μL)中の化合物40(10mg)の別の溶液にNMM(1μL)を添加し、溶液を40分間撹拌した。次いで、溶液を混合した後、追加量のHATU(4mg)およびNMM(1μL)を添加し、反応混合物を室温に温め、3.25時間撹拌した。次いで、反応溶液を真空中で濃縮し、緩衝液A(v/v):水:0.05%トリフルオロ酢酸および緩衝液B(v/v):アセトニトリル:0.05%トリフルオロ酢酸(70:30v/vから0:100v/v)で溶出する逆相C18カラムクロマトグラフィーにより精製した。有機溶媒を真空中で除去し、水性溶媒を凍結乾燥により除去して、試薬41を白色の固体(8.2mg)として得た。LC/MS:(ES+)[M+2Na]2+(1043,30%),[M+Na+H]2+(1033,60%),[M+2H]2+(1021,100%),[M+3H]3+(682,30%)。
実施例21:メイタンシノイド細胞傷害性ペイロードを含むコンジュゲーション試薬47の調製。
工程1:化合物48の合成。
0℃の無水DMF(2mL)中の化合物4(50mg)、Fmoc−Val−Ala−OH(Creagen、67mg)およびHATU(85mg)の撹拌溶液に、DIPEA(50μL)を添加した。溶液を室温に温め、16時間撹拌した。次いで、反応混合物を、緩衝液A(v/v):水:0.1%酢酸および緩衝液B(v/v):アセトニトリル:0.1%酢酸(100:0v/vから0:100v/v)で溶出する逆相C18カラムクロマトグラフィーにより直接精製し、所望の画分を凍結乾燥して化合物48を白色の個体(57mg)として得た。LC/MS:(ES+)[M+H]+(1084,100%)。
工程2:化合物49の合成。
ジクロロメタン(2mL)中の化合物48(30mg)の撹拌溶液にジエチルアミン(140μL)を添加し、反応混合物を室温で16時間撹拌した後、溶液を真空中で濃縮した。残渣をDMF(5mL)に溶解し、緩衝液A(v/v):水:0.1%酢酸および緩衝液B(v/v):アセトニトリル:0.1%酢酸(100:0v/vから0:100v/v)で溶出する逆相C18カラムクロマトグラフィーにより精製した。所望の画分を混合し、凍結乾燥して、化合物49を白色の固体(20mg)として得た。LC/MS:(ES+)[M+H]+(862,100%)。
工程3:試薬47の合成。
0℃のDMF(2mL)中の化合物38(15.6mg)、化合物49(8mg)、およびHATU(6.6mg)の溶液にNMM(30μL)を添加し、混合物を0℃で90分間撹拌した。次いで、反応混合物を、緩衝液A(v/v):水:0.1%酢酸および緩衝液B(v/v):アセトニトリル:0.1%酢酸(100:0v/vから0:100v/v)で溶出する逆相C18カラムクロマトグラフィーにより直接精製した。所望の画分を混合し、凍結乾燥して、試薬47を白色の固体(15mg)として得た。1H NMR(500MHz;DMSO−d6)δ9.99(s,0.5H),9.92(s,0.5H),8.73(dd,J=7.2,5.1Hz,1H),8.40−8.39(m,0.5H),8.25(d,J=6.5Hz,0.5H),8.05−8.01(m,1H),7.97−7.87(m,2H),7.67−7.51(m,6H),7.46−7.44(m,3H),7.13−7.09(m,2H),6.86(s,1H),6.81(s,1H),6.65−6.60(m,1H),6.52(s,1H),6.23−6.21(m,1H),5.87(s,1H),5.42(dd,J=15.2,8.9Hz,1H),4.59−4.57(m,1H),4.46−4.39(m,2H),4.27−4.17(m,1H),4.13−4.09(m,1H),4.01−3.98(m,1H),3.84−3.80(m,2H),3.75−3.71(m,6H),3.51(s,96H),3.44−3.42(m,5H),3.38−3.36(m,1H),3.25(d,J=4.0Hz,6H),2.89−2.83(m,1H),2.70(d,J=9.4Hz,1H),2.46(s,6H),2.40−2.22(m,4H),2.08−1.90(m,3H),1.69(s,3H),1.51−1.45(m,2H),1.40−1.38(m,1H),1.33−1.31(m,4H),1.14(d,J=7.1Hz,6H),1.10(d,J=6.6Hz,4H),0.93(s,3H),0.90−0.84(m,6H)。LC/MS:(ES+)[M+2H]2+(1272,30%),[M+3H]3+(848,100%)。
実施例22:メイタンシノイド細胞傷害性ペイロードを含むコンジュゲーション試薬50の調製。
工程1:化合物51の合成。
無水DMF(2mL)中のアミノ−PEG(2u)−酸(50mg)および6−マレイミドヘキサン酸N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(60mg)の撹拌懸濁液にDIPEA(80μL)を添加し、反応混合物を室温で2時間撹拌した。次いで、混合物を、緩衝液A(v/v):水:0.1%酢酸および緩衝液B(v/v):アセトニトリル:0.1%酢酸(100:0v/vから0:100v/v)で溶出する逆相C−18カラムクロマトグラフィーにより直接精製した。所望の画分を混合し、凍結乾燥して、化合物51を白色の固体(43mg)として得た。1H NMR(500MHz;DMSO−d6)δ7.83−7.80(m,1H),7.02(s,2H),3.61(t,J=6.4Hz,3H),3.41−3.36(m,6H),3.34−3.33(m,1H),3.18(q,J=5.8Hz,3H),2.45(t,J=6.3Hz,2H),2.05(t,J=7.4Hz,2H),1.48(dt,J=14.9,7.4Hz,4H),1.23−1.13(m,2H)。LC/MS:(ES+)[M+H]+(371,100%)。
工程2:試薬50の合成。
0℃に冷却したDMF(1.5mL)中の化合物40(12mg)、化合物51(5.6mg)、およびHATU(8.2mg)の溶液にNMM(20μL)を添加し、混合物を0℃で2.5時間撹拌した。次いで、反応混合物を、緩衝液A(v/v):水:0.1%酢酸および緩衝液B(v/v):アセトニトリル:0.1%酢酸(100:0v/vから0:100v/v)で溶出する逆相C−18カラムクロマトグラフィーにより直接精製した。所望の画分を混合し、凍結乾燥して、試薬50を白色の固体(12mg)として得た。1H NMR(500MHz;DMSO−d6)δ10.06(s,1H),9.79−9.78(m,1H),8.18(d,J=7.3Hz,1H),7.91(d,J=8.8Hz,1H),7.82−7.80(m,1H),7.63(d,J=8.5Hz,2H),7.47(d,J=8.5Hz,2H),7.37(d,J=8.5Hz,2H),7.13(s,1H),7.08(d,J=8.0Hz,2H),7.00(s,2H),6.86(s,1H),6.80(s,1H),6.62(dd,J=15.3,11.2Hz,1H),6.21(d,J=11.1Hz,1H),6.04−6.01(m,1H),5.87(s,1H),5.45−5.40(m,3H),5.10(s,2H),4.59−4.56(m,1H),4.41−4.37(m,1H),4.25−4.22(m,1H),4.13−4.09(m,1H),3.76(s,3H),3.63−3.59(m,2H),3.54−3.50(m,2H),3.48−3.46(m,4H),3.38−3.36(m,4H),3.25(s,3H),3.17(q,J=5.8Hz,2H),3.04−2.92(m,2H),2.88−2.83(m,1H),2.70(d,J=9.7Hz,1H),2.67−2.61(m,1H),2.47−2.45(m,1H),2.41−2.36(m,1H),2.23(dd,J=13.0,0.8Hz,1H),2.04(t,J=7.4Hz,2H),2.01−1.94(m,1H),1.73−1.65(m,5H),1.63−1.58(m,1H),1.51−1.42(m,7H),1.40−1.35(m,2H),1.20−1.12(m,8H),1.10(d,J=6.6Hz,3H),0.94(s,3H),0.87(d,J=6.7Hz,3H),0.83(d,J=6.8Hz,3H)。LC/MS:(ES+)[M+H]+(1449,100%)。
実施例23:一連のメイタンシノイド化合物の調製。
4−アミノフェニルボロン酸をある範囲のアリールホウ素試薬で置き換えて、化合物52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、および64を産生することにより、実施例3に記載したものと類似の手順を用いて一般式(XV)の一連のメイタンシノイド化合物を調製した。実施例3に記載される化合物構造および合成プロトコルに対する修飾を表5に示す。
化合物52の特徴付けデータ:1H NMR(500MHz;CDCl3)δ7.21−7.15(m,1H),6.85(d,J=2.2Hz,2H),6.68−6.65(m,1H),6.51−6.45(m,3H),6.22−6.17(m,2H),5.49−5.44(m,1H),4.84−4.81(m,1H),4.31−4.27(m,1H),3.82(s,3H),3.57−3.50(m,2H),3.37(s,3H),3.29−3.24(m,1H),3.02−2.90(m,3H),2.73(s,3H),2.69−2.61(m,1H),2.27−2.22(m,1H),1.75(s,3H),1.69−1.66(m,1H),1.50−1.48(m,1H),1.30(d,J=6.3Hz,3H),1.26(d,J=7.1Hz,3H),1.24−1.23(m,1H),1.20(d,J=6.7Hz,3H),0.93(s,3H)。LC/MS:(ES+)[M+H]+(692,100%)。
化合物53の特徴付けデータ:LC/MS:(ES+)[M+H]+(722、100%)。
化合物54の特徴付けデータ:1H NMR(500MHz;CDCl3)δ7.98(s,1H),7.08(dd,J=8.5,1.5Hz,1H),6.89(s,1H),6.86(s,1H),6.82(d,J=8.6Hz,1H),6.48(dd,J=15.4,11.0Hz,1H),6.21−6.16(m,4H),5.47(dd,J=15.4,9.0Hz,1H),4.84(dd,J=11.9,2.8Hz,1H),4.30(t,J=10.6Hz,1H),3.84(s,3H),3.57(d,J=12.9Hz,1H),3.52(d,J=9.0Hz,1H),3.37(s,3H),3.27(d,J=13.0Hz,1H),3.00(d,J=9.7Hz,1H),2.94(t,J=12.9Hz,1H),2.74(s,3H),2.63(dt,J=13.9,6.9Hz,1H),2.25(dd,J=13.8,2.7Hz,1H),1.75(s,3H),1.67(d,J=13.5Hz,1H),1.53−1.47(m,1H),1.30(d,J=6.3Hz,3H),1.26(d,J=7.1Hz,3H),1.25−1.24(m,1H),1.20(d,J=6.7Hz,3H),0.94(s,3H)。LC/MS:(ES+)[M+H]+(737, 100%)。
化合物55の特徴付けデータ:1H NMR(300MHz;CDCl3)δ6.99(dd,J=10.9,8.4Hz,1H),6.85(d,J=2.7Hz,2H),6.54−6.47(m,2H),6.44−6.39(m,1H),6.21−6.16(m,2H),5.47(dd,J=15.4,9.1Hz,1H),4.83(dd,J=11.9,2.9Hz,1H),4.33−4.25(m,1H),3.82(s,3H),3.73(s,2H),3.58−3.50(m,2H),3.37(s,3H),3.25(d,J=13.1Hz,1H),3.02−2.86(m,2H),2.73(s,3H),2.67−2.58(m,1H),2.22(dd,J=13.8,2.7Hz,1H),1.74(s,3H),1.67(d,J=13.7Hz,1H),1.53−1.46(m,1H),1.30(d,J=6.2Hz,3H),1.26(d,J=7.0Hz,3H),1.25−1.23(m,1H),1.20(d,J=6.7Hz,3H),0.93(s,3H)。LC/MS:(ES+)[2M+H]+(1420,100%),[M+H]+(710,70%)。
化合物56の特徴付けデータ:1H NMR(500MHz;CDCl3)δ7.83(d,J=8.3Hz,2H),7.23−7.21(m,2H),6.89(d,J=10.0Hz,2H),6.49(dd,J=15.5,11.0Hz,1H),6.21−6.19(m,2H),5.48(dd,J=15.5,9.1Hz,1H),4.84(dd,J=11.9,2.9Hz,1H),4.32−4.27(m,1H),3.82(s,3H),3.58(d,J=12.7Hz,1H),3.52(d,J=9.0Hz,1H),3.37(s,3H),3.30−3.27(m,1H),3.02−2.94(m,2H),2.66(s,3H),2.64−2.60(m,1H),2.25(dd,J=13.6,2.8Hz,1H),1.76(s,3H),1.69−1.67(m,1H),1.53−1.48(m,1H),1.31(d,J=6.4Hz,3H),1.26(d,J=7.2Hz,4H),1.25−1.24(m,1H),1.20(d,J=6.8Hz,3H),0.95(s,3H)。LC/MS:(ES+)[M+H]+(720,100%)。
化合物57の特徴付けデータ:1H NMR(500MHz;CDCl3)δ7.94(d,J=8.7Hz,2H),6.89(d,J=9.0Hz,2H),6.48(dd,J=15.3,11.0Hz,1H),6.21−6.18(m,2H),5.47(dd,J=15.3,9.0Hz,1H),4.85(s,2H),4.82(dd,J=11.9,2.9Hz,1H),4.31−4.27(m,1H),3.81(s,3H),3.57(d,J=12.8Hz,1H),3.52(d,J=8.9Hz,1H),3.37(s,3H),3.28(d,J=12.7Hz,1H),3.01−2.91(m,2H),2.67(s,3H),2.65−2.59(m,1H),2.23(dd,J=13.8,2.8Hz,1H),1.75(s,3H),1.66(dd,J=13.7,1.5Hz,1H),1.52−1.47(m,1H),1.30(d,J=6.3Hz,3H),1.25(d,J=7.2Hz,3H),1.25−1.23(m,1H),1.20(d,J=6.7Hz,3H),0.94(s,3H)。LC/MS:(ES+)[M+H]+(756,100%)。
化合物58の特徴付けデータ:1H NMR(500MHz;CDCl3)δ6.96(d,J=7.9Hz,2H),6.86(d,J=10.4Hz,2H),6.81(d,J=8.6Hz,2H),6.49(dd,J=15.4,11.1Hz,1H),6.24(s,1H),6.19(d,J=11.1Hz,1H),5.47(dd,J=15.5,9.0Hz,1H),4.83(dd,J=11.9,2.8Hz,1H),4.32−4.28(m,1H),3.82(s,3H),3.56(d,J=13.0Hz,1H),3.52(d,J=9.0Hz,1H),3.37(s,3H),3.26(d,J=12.8Hz,1H),3.02−2.96(m,2H),2.67(s,3H),2.64−2.60(m,1H),2.27(dd,J=13.6,2.3Hz,1H),1.75(s,3H),1.68(d,J=13.5Hz,1H),1.53−1.48(m,1H),1.30(d,J=6.3Hz,3H),1.26(d,J=7.2Hz,3H),1.25−1.24(m,1H),1.20(d,J=6.7Hz,3H),0.94(s,3H)。LC/MS:(ES+)[M+H]+(693,100%)。
化合物59の特徴付けデータ:1H NMR(300MHz;CDCl3)δ7.22(d,J=7.9Hz,1H),6.86(s,2H),6.83−6.80(m,1H),6.70(d,J=7.6Hz,1H),6.62(s,1H),6.48(dd,J=15.3,11.0Hz,1H),6.39(s,1H),6.19(d,J=10.7Hz,1H),5.51(dd,J=15.3,9.0Hz,1H),4.86(dd,J=11.9,2.5Hz,1H),4.44−4.36(m,1H),3.82(s,3H),3.56(d,J=13.0Hz,1H),3.49(d,J=9.0Hz,1H),3.36(s,3H),3.24(d,J=13.1Hz,1H),3.00(d,J=9.6Hz,1H),2.91(t,J=13.0Hz,1H),2.65(s,2H),2.63−2.58(m,1H),2.41−2.35(m,1H),1.74(s,3H),1.71−1.65(m,1H),1.57−1.45(m,1H),1.31(d,J=6.3Hz,3H),1.28−1.27(m,1H),1.23(d,J=7.1Hz,3H),1.19(d,J=6.7Hz,3H),0.95(s,3H)。LC/MS:(ES+)[M+H]+(693,100%)。
化合物60の特徴付けデータ:1H NMR(300MHz;CDCl3)δ7.39(d,J=8.0Hz,2H),7.11(d,J=7.8Hz,2H),6.88(d,J=4.2Hz,2H),6.49(dd,J=15.4,10.9Hz,1H),6.22−6.17(m,2H),5.47(dd,J=15.3,9.2Hz,1H),4.82(dd,J=12.0,3.0Hz,1H),4.73(s,2H),4.33−4.26(m,1H),3.82(s,3H),3.57(d,J=12.9Hz,1H),3.53−3.50(m,1H),3.37(s,3H),3.27(d,J=13.3Hz,1H),3.03−2.91(m,3H),2.67(s,3H),2.67−2.58(m,1H),2.23(dd,J=13.8,3.0Hz,1H),1.75(d,J=5.5Hz,3H),1.70−1.65(m,1H),1.55−1.46(m,1H),1.31(d,J=6.3Hz,3H),1.26−1.24(m,1H),1.26(d,J=7.2Hz,3H),1.20(d,J=6.7Hz,3H),0.94(s,3H)。LC/MS:(ES+)[M+H]+(707,100%)。
化合物61の特徴付けデータ:1H NMR(300MHz;CDCl3)δ7.40−7.30(m,2H),7.13(s,1H),7.07−7.04(m,1H),6.88(d,J=6.2Hz,2H),6.49(dd,J=15.4,11.0Hz,1H),6.21−6.17(m,2H),5.47(dd,J=15.2,9.0Hz,1H),4.84−4.80(m,1H),4.70(s,2H),4.33−4.25(m,1H),3.82(s,3H),3.57(d,J=12.7Hz,1H),3.52(d,J=9.0Hz,1H),3.37(s,3H),3.27(d,J=12.6Hz,1H),3.04−2.91(m,3H),2.66(s,3H),2.63−2.58(m,1H),2.28−2.22(m,1H),1.86−1.82(m,1H),1.75(s,3H),1.70−1.65(m,1H),1.52−1.47(m,1H),1.30(d,J=6.2Hz,3H),1.27−1.24(m,1H),1.26(d,J=7.0Hz,3H),1.20(d,J=6.7Hz,3H),0.95(s,3H)。LC/MS:(ES+)[M+H]+(707,100%)。
化合物62の特徴付けデータ:1H NMR(500MHz;CDCl3)δ7.11(s,1H),7.00(d,J=8.4Hz,1H),6.89−6.85(m,J=10.7Hz,3H),6.48(dd,J=15.4,11.0Hz,1H),6.23(s,1H),6.18(d,J=11.0Hz,1H),6.09(s,1H),5.47(dd,J=15.4,9.0Hz,1H),4.83(dd,J=11.9,2.9Hz,1H),4.32−4.27(m,1H),3.83(s,3H),3.56(d,J=12.9Hz,1H),3.52(d,J=9.0Hz,1H),3.37(s,3H),3.26(d,J=12.9Hz,1H),3.11(d,J=2.0Hz,1H),3.00(d,J=9.7Hz,1H),2.94(dd,J=13.7,12.1Hz,1H),2.71(s,3H),2.65−2.59(m,1H),2.24(dd,J=13.8,2.7Hz,1H),1.74(s,3H),1.67(d,J=13.5Hz,1H),1.52−1.46(m,1H),1.30(d,J=6.4Hz,3H),1.26(d,J=7.2Hz,3H),1.27−1.25(m,1H),1.20(d,J=6.7Hz,3H),0.94(s,3H)。LC/MS:(ES+)[M+H]+(727,100%)。
化合物63の特徴付けデータ:1H NMR(500MHz;CDCl3)δ7.05(d,J=8.3Hz,0.33H),6.98(d,0.66H,J=2.4Hz,0.66H),6.94−6.91(m,1H),6.89−6.85(m,2.33H),6.79(d,J=8.3Hz,0.66H),6.51−6.44(m,1H),6.23−6.15(m,2H),5.50−5.41(m,1H),4.84(dd,J=11.9,3.0Hz,0.66H),4.74(dd,J=12.1,3.1Hz,0.33H),4.32−4.23(m,1H),3.94−3.92(m,2H),3.88(s,2H),3.84(s,1H),3.59−3.50(m,2H),3.37(s,2H),3.36(s,1H),3.31−3.25(m,1H),3.02−2.78(m,4H),2.69(s,2H),2.65−2.60(m,1H),2.27−2.23(m,0.66H),2.14−2.11(m,0.33H),1.77(s,1H),1.74(s,2H),1.70−1.62(m,1H),1.52−1.46(m,1H),1.32−1.25(m,7H),1.21−1.19(m,3H),0.95(s,2H),0.90(s,1H)。LC/MS:(ES+)[M+H]+(717,100%)。
化合物64の特徴付けデータ:1H NMR(500MHz;CDCl3)δ7.30(d,J=2.4Hz,0.2H),7.24(d,J=2.4Hz,0.8H),6.94(d,J=8.1Hz,0.2H),6.90(s,0.8H),6.83−6.79(m,2H),6.74(s,1H),6.71(d,J=8.2Hz,1H),6.51−6.46(m,1H),6.22−6.15(m,2H),5.49−5.41(m,1H),4.86(dd,J=11.8,2.7Hz,0.8H),4.68−4.65(m,0.2H),4.33−4.24(m,1H),3.85−3.81(m,2H),3.76−3.73(m,3H),3.68−3.66(m,3H),3.59−3.49(m,2H),3.37−3.36(m,3H),3.28−3.22(m,1H),3.11−3.02(m,2.4H),2.93(s,0.6H),2.91−2.85(m,0.6H),2.70(s,2.4H),2.67−2.60(m,1H),2.29−2.26(m,0.8H),1.80(s,0.6H),1.78−1.74(m,0.2H),1.73(s,2.4H),1.72−1.63(m,1H),1.54−1.46(m,1H),1.32−1.30(m,3H),1.28−1.24(m,4H),1.21−1.18(m,3H),0.97(s,2.4H),0.91(s,0.6H)。LC/MS:(ES+)[M+H]+(750,100%)。
実施例24:メイタンシノイド化合物65の調製。
反応容器に化合物61(36mg)、硝酸鉄(III)9水和物(13mg)、TEMPO(4.8mg)、塩化カリウム(6.2mg)、および1,2−ジクロロエタン(2mL)を順次添加し、混合物を酸素雰囲気下で5日間撹拌した。次いで、反応混合物を真空中で濃縮し、残渣をDMF(10mL)に溶解し、その後、緩衝液A(v/v):水:0.1%酢酸および緩衝液B(v/v):アセトニトリル:0.1%酢酸(100:0v/vから0:100v/v)で溶出する逆相C−18カラムクロマトグラフィーにより精製した。所望の画分を混合し、凍結乾燥して、化合物65を白色の固体(4.5mg)として得た。1H NMR(500MHz;CD3OD)δ8.01(d,J=7.4Hz,1H),7.82−7.80(m,1H),7.53−7.50(m,1H),7.42−7.39(m,1H),7.17(s,1H),6.99(s,1H),6.72−6.67(m,1H),6.30(d,J=11.0Hz,1H),5.59−5.51(m,1H),4.75(d,J=11.7Hz,1H),4.27−4.22(m,1H),3.85(s,3H),3.65−3.61(m,3H),3.39(s,3H),3.11−3.06(m,1H),2.88(d,J=9.4Hz,1H),2.80−2.74(m,1H),2.67(s,3H),2.32−2.29(m,1H),1.81(s,3H),1.66−1.57(m,3H),1.31−1.27(m,7H),1.23(d,J=6.5Hz,3H),1.04(s,3H)。LC/MS:(ES+)[M+H]+(721,100%)。
実施例25:メイタンシノイド細胞傷害性ペイロードを含むコンジュゲーション試薬66の調製。
工程1:化合物67の合成。
0℃のDMF(15mL)中の化合物58(328mg)、Boc−Val−Cit−PAB(BroadPharm、688mg)、およびトリ−n−ブチルホスフィン(700μL)の撹拌溶液に、ジイソプロピルアゾジカルボキシレート(560μL)をゆっくり添加した。混合物を徐々に室温に温め、2.5時間撹拌した。次いで、反応混合物を、緩衝液A(v/v):水:0.1%酢酸および緩衝液B(v/v):アセトニトリル:0.1%酢酸(100:0v/vから0:100v/v)で溶出する逆相C−18カラムクロマトグラフィーにより直接精製した。所望の画分を混合し、凍結乾燥して、化合物67を淡黄色の固体(92mg)として得た。LC/MS:(ES+)[M+H]+(1154,100%)。
工程2:化合物68の合成。
ギ酸(2mL)中の化合物67(92mg)の溶液を室温で80分間撹拌した。次いで、反応混合物を真空中で濃縮し、残渣をDMF(5mL)に溶解し、その後、緩衝液A(v/v):水:0.1%酢酸および緩衝液B(v/v):アセトニトリル:0.1%酢酸(100:0v/vから0:100v/v)で溶出する逆相C−18カラムクロマトグラフィーにより精製した。所望の画分を混合し、凍結乾燥して、化合物68を白色の固体(47mg)として得た。LC/MS:(ES+)[M+H]+(1054,100%)。
工程3:試薬66の合成。
化合物49の代わりに化合物68を使用して、実施例21の試薬47と同様の方法(工程3)で試薬66を合成した。試薬66を白色の固体として単離した。1H NMR(500MHz;DMSO−d6)δ10.02(s,1H),8.76(d,J=7.8Hz,0.5H),8.16−8.14(m,0.5H),8.05−8.02(m,1H),7.92−7.79(m,2H),7.69−7.61(m,2H),7.57−7.51(m,5H),7.47−7.43(m,4H),7.41−7.31(m,2H),7.12(d,J=0.4Hz,1H),7.09−7.08(m,2H),7.00(d,J=8.8Hz,2H),6.86(s,1H),6.81(s,1H),6.65−6.60(m,0.5H),6.53(s,0.5H),6.23−6.20(m,0.5H),5.99−5.97(m,0.5H),5.89−5.87(m,1H),5.45−5.40(m,3H),5.06−5.00(m,1H),4.59−4.53(m,0.5H),4.44−4.39(m,1H),4.27−4.24(m,0.5H),4.14−4.07(m,0.5H),4.02−3.97(m,0.5H),3.86−3.80(m,1H),3.76(s,3H),3.74−3.71(m,1.5H),3.68−3.63(m,0.5H),3.51(s,96H),3.46−3.42(m,5H),3.25(d,J=4.4Hz,7H),3.05−2.94(m,1.5H),2.90−2.85(m,0.5H),2.72−2.70(m,1H),2.66−2.63(m,2H),2.46(s,6H),2.40−2.37(m,2H),2.34−2.27(m,2H),2.20−2.17(m,1H),2.05−1.91(m,2H),1.72−1.68(m,4H),1.62−1.59(m,0.5H),1.52−1.35(m,4.5H),1.14(d,J=6.9Hz,6H),1.10(d,J=6.6Hz,3H),0.94(s,3H),0.88(d,J=6.5Hz,3H),0.84(d,J=6.7Hz,4H)。LC/MS:(ES+)[M+2H]2+(1368,20%),[M+3H]3+(912,70%),[M+4H]4+(684,100%)。
実施例26:メイタンシノイド細胞傷害性ペイロードを含むコンジュゲーション試薬69の調製。
化合物58の代わりに化合物62を使用して、実施例25の試薬66と同様の方法(工程1)で試薬69を合成した。試薬69を白色の固体として単離した。1H NMR(500MHz;CDCl3)δ9.15(s,0.5H),7.96−7.88(m,2.5H),7.80−7.72(m,1H),7.75−7.66(m,8H),7.47−7.44(m,1H),7.37−7.32(m,7H),7.17(s,1H),6.97(d,J=8.4Hz,1H),6.89(d,J=8.1Hz,1H),6.85(d,J=4.7Hz,2H),6.48(dd,J=15.3,11.0Hz,0.5H),6.25−6.17(m,1.5H),5.97−5.86(m,0.5H),5.50−5.45(m,0.5H),5.11−5.00(m,4H),4.81(dd,J=11.6,1.9Hz,1H),4.67−4.65(m,0.5H),4.56−4.55(m,0.5H),4.38−4.20(m,2H),3.81(s,3H),3.63(s,96H),3.57−3.52(m,12H),3.37(d,J=5.5Hz,6H),3.27−3.20(m,3H),2.94(dd,J=27.1,11.3Hz,2H),2.69(s,3H),2.65−2.61(m,1H),2.47(s,6H),2.41−2.34(m,1.5H),2.22−2.13(m,2.5H),1.98−1.95(m,1H),1.83−1.79(m,3H),1.74(s,3H),1.66(d,J=13.5Hz,1H),1.58−1.48(m,2H),1.29(d,J=6.1Hz,3H),1.25(d,J=7.1Hz,4H),1.19(d,J=6.7Hz,3H),1.00(t,J=6.4Hz,5H),0.93(s,3H)。LC/MS:(ES+)[M+2H]2+(1385,15%),[M+3H]3+(923,75%),[M+4H]4+(693,100%)。
実施例27:メイタンシノイド細胞傷害性ペイロードを含むコンジュゲーション試薬70の調製。
工程1:化合物71の合成。
無水DMF(1mL)中の化合物18(18mg)および化合物7(19mg)の溶液を室温で18時間アルゴン雰囲気下で撹拌した。次いで、反応溶液を水(1mL)で希釈し、緩衝液A(v/v):水:0.05%酢酸および緩衝液B(v/v):アセトニトリル:0.05%酢酸(70:30v/vから10:90v/v)で溶出する逆相C−18カラムクロマトグラフィーにより精製した。所望の画分を混合し、真空中で濃縮し、凍結乾燥して、化合物71を白色の固体(12mg)として得た。1H NMR(500MHz;CDCl3):δ8.41(s,1H),7.70(s,1H),7.12(s,1H),7.04(d,J=7.3Hz,1H),6.87(dd,J=10.8,5.9Hz,2H),6.48(dd,J=15.2,10.9Hz,1H),6.31(s,1H),6.19(dd,J=11.0,0.5Hz,1H),5.47(dd,J=15.4,8.8Hz,1H),4.84−4.81(m,1H),4.32−4.28(m,1H),3.82(d,J=5.0Hz,3H),3.56(d,J=12.7Hz,1H),3.52(d,J=9.0Hz,1H),3.37(s,3H),3.28−3.21(m,2H),3.00(dd,J=10.0,4.8Hz,1H),2.91(t,J=13.0Hz,1H),2.73(d,J=8.7Hz,3H),2.67−2.56(m,4H),2.44(d,J=8.5Hz,1H),2.23(dd,J=13.8,3.1Hz,1H),2.16(dt,J=12.7,6.6Hz,1H),2.03(ddt,J=25.3,12.2,6.5Hz,4H),1.50(d,J=6.7Hz,3H),1.45(d,J=6.7Hz,3H),1.36(dt,J=6.9,3.6Hz,1H),1.31(q,J=6.1Hz,5H),1.25(dt,J=7.5,4.1Hz,4H),1.20(d,J=6.7Hz,3H),0.93(s,3H)。LC/MS:(ES+)[M+H]+(974,100%),[M+Na]+(996,45%)
工程2:試薬70の合成。
無水ジクロロメタン(3mL)中の化合物71(11mg)、EDC.HCl(15mg)、およびN−ヒドロキシスクシンイミド(10mg)の混合物を室温で72時間アルゴン雰囲気下で撹拌した。次いで、反応混合物を真空中で濃縮し、残渣をジクロロメタン:アセトニトリル(2mL、1:1v/v)に溶解した後、ジクロロメタン:アセトニトリル(100:0v/vから0:100v/v)で溶出する順相クロマトグラフィーにより精製した。所望の画分を混合し、溶媒を真空中で除去して、試薬70を白色の固体(12mg)として得た。1H NMR(500MHz;CDCl3):δ8.41(d,J=7.5Hz,1H),7.79−7.70(m,1H),7.12(s,1H),7.06−7.04(m,1H),6.86(d,J=11.8Hz,2H),6.48(dd,J=15.4,11.0Hz,1H),6.19(d,J=14.5Hz,2H),5.49−5.45(m,1H),4.83(dd,J=11.7,2.6Hz,1H),4.30(t,J=11.2Hz,1H),3.81(s,3H),3.56(d,J=12.8Hz,1H),3.52(d,J=8.8Hz,1H),3.37(s,3H),3.27(d,J=12.5Hz,2H),3.00(d,J=9.8Hz,2H),2.93(dd,J=13.0,4.8Hz,2H),2.87−2.79(m,7H),2.72(d,J=3.3Hz,3H),2.62(tt,J=13.4,6.5Hz,3H),2.23(d,J=14.2Hz,1H),2.07(dddd,J=31.6,23.4,16.2,7.7Hz,4H),1.74(s,3H),1.67(d,J=13.6Hz,1H),1.50(d,J=6.7Hz,1H),1.47(d,J=6.7Hz,1H),1.37(dd,J=6.8,1.7Hz,2H),1.34(d,J=6.9Hz,2H),1.31(d,J=6.3Hz,3H),1.26(q,J=8.3Hz,5H),1.20(d,J=6.7Hz,3H),0.94(s,3H)。LC/MS:(ES+)[M+H]+(1071,100%),[M+Na]+(1093,80%)。
実施例28:メイタンシノイド細胞傷害性ペイロードを含むコンジュゲーション試薬72の調製。
工程1:化合物73の合成。
0℃の無水DMF(5mL)中のFmoc−Lys(Boc)−OH(470mg)の溶液に、HATU(1.4g)を添加した。これに、0℃の無水DMF(5mL)中のNH2−PEG(24u)−OMe(1g)およびNMM(340μL)の溶液を添加した後、溶液を室温に温め、1時間撹拌した。次いで、反応混合物を真空中で濃縮し、緩衝液A(v/v):水:0.05%トリフルオロ酢酸および緩衝液B(v/v):アセトニトリル:0.05%トリフルオロ酢酸(95:5v/vから0:100v/v)で溶出する逆相C18カラムクロマトグラフィーにより精製した。有機溶媒を真空中で除去し、水性溶媒を凍結乾燥により除去して、Fmoc−Lys(Boc)−[PEG(24u)−OMe]を得た。LC/MS:(ES+)[M+Na]+(1560,100%),[M+H]+(1539,80%)。DMF(10mL)中のFmoc−Lys(Boc)−[PEG(24u)−OMe]の溶液にピペリジン(0.9mL)を添加し、溶液を室温で10分間撹拌した。反応溶液を真空中で濃縮し、緩衝液A(v/v):水:0.05%トリフルオロ酢酸および緩衝液B(v/v):アセトニトリル:0.05%トリフルオロ酢酸(95:5v/vから0:100v/v)で溶出する逆相C18カラムクロマトグラフィーにより精製した。有機溶媒を真空中で除去し、水性溶媒を凍結乾燥により除去して、化合物73を白色の固体(1g)として得た。LC/MS:(ES+)[M+H]+(1316,10%),[M+2H−Boc]2+(609,100%)。
工程2:化合物74の合成。
無水DMF(2mL)中の化合物36(420mg)の溶液に、無水DMF(3mL)中の化合物73(1g)およびNMM(92μL)の溶液を添加した。室温で2.5撹拌した後、反応混合物を真空中で濃縮し、緩衝液A(v/v):水:0.05%トリフルオロ酢酸および緩衝液B(v/v):アセトニトリル:0.05%トリフルオロ酢酸(95:5v/vから0:100v/v)で溶出する逆相C18カラムクロマトグラフィーにより精製した。有機溶媒を真空中で除去し、水性溶媒を凍結乾燥により除去して、ビス−トリルスルホニル−プロパノイル−ベンズアミド−L−Lys−[Boc]−[PEG(24u)−OMe]を白色の固体(0.84g)として得た。LC/MS:(ES+)[M+2H−Boc]2+(850,95%)。次いで、ビス−トリルスルホニル−プロパノイル−ベンズアミド−L−Lys−[Boc]−[PEG(24u)−OMe](0.84g)をギ酸(3mL)に溶解し、溶液を室温で3時間撹拌した。揮発物を真空中で除去し、残渣をトルエン(3×6mL)で洗浄した後、残渣を真空中で乾燥させ、緩衝液A(v/v):水:0.05%トリフルオロ酢酸および緩衝液B(v/v):アセトニトリル:0.05%トリフルオロ酢酸(95:5v/vから0:100v/v)で溶出する逆相C18カラムクロマトグラフィーにより精製した。有機溶媒を真空中で除去し、水性溶媒を凍結乾燥により除去して、化合物74を白色の固体(0.59g)として得た。LC/MS:(ES+)[M+H]+(1699,5%),[M+2H]2+(850,100%)。
工程3:試薬72の合成。
無水DMF(0.9mL)中の化合物74(52mg)の溶液に、試薬25(21mg)、続いてNMM(9μL)を添加し、混合物を室温で撹拌した。2および4時間後、さらに6時間後に追加量のNMM(2×9μL)を添加し、反応溶液を−20℃でさらに16時間保存した。次いで、反応溶液を真空中で濃縮し、残渣をアセトニトリル(400μL)に溶解し、その後、緩衝液A(v/v):水:0.05%トリフルオロ酢酸および緩衝液B(v/v):アセトニトリル:0.05%トリフルオロ酢酸(70:30v/vから0:100v/v)で溶出する逆相C18カラムクロマトグラフィーにより精製した。所望の画分を混合し、凍結乾燥して、試薬72を白色の固体(17mg)として得た。MS:(ES+)[M+2Na]2+(1333,10%)、[M+3H]3+(874,100%),[M+4H]4+(656,30%)。
実施例29:メイタンシノイド細胞傷害性ペイロードを含むコンジュゲーション試薬75の調製。
工程1:化合物76の合成。
DMF(5mL)中の化合物34(40mg)および4−メルカプトペンタン酸(27mg)の混合物を室温で16時間撹拌した。次いで、反応混合物を、緩衝液A(v/v):水:0.1%酢酸および緩衝液B(v/v):アセトニトリル:0.1%酢酸(100:0v/vから0:100v/v)で溶出する逆相C−18カラムクロマトグラフィーにより直接精製した。所望の画分を混合し、凍結乾燥して、化合物76を白色の固体(36mg)として得た。LC/MS:(ES+)[M+H]+(998,100%),[M+2H]2+(499,20%)。
工程2:試薬75の合成。
化合物26の代わりに化合物76を使用して、実施例12の試薬25と同様の方法で試薬75を合成した。試薬75を白色の固体として単離した。1H NMR(500MHz;CDCl3)δ7.76−7.70(m,1H),7.58−7.56(m,2H),7.08−7.06(m,2H),6.84(d,J=0.4Hz,1H),6.72−6.68(m,2H),6.46(dd,J=15.3,11.3Hz,1H),6.25(s,1H),5.72−5.67(m,1H),5.36−5.32(m,1H),4.82−4.79(m,1H),4.30(td,J=11.2,1.4Hz,1H),3.81(s,3H),3.70(d,J=12.9Hz,1H),3.52(d,J=9.1Hz,1H),3.37(s,3H),3.18−3.15(m,1H),3.09−3.02(m,2H),2.96−2.73(m,6H),2.66(s,3H),2.54−2.51(m,2H),2.28−2.24(m,1H),2.15−1.95(m,6H),1.69(s,3H),1.66(d,J=0.4Hz,1H),1.53−1.47(m,1H),1.37(d,J=6.7Hz,3H),1.34−1.25(m,13H),0.92(s,3H)。LC/MS:(ES+)[M+H]+(1094,100%)。
実施例30:メイタンシノイド細胞傷害性ペイロードを含むコンジュゲーション試薬77(比較物)の調製。
工程1:化合物78の合成。
化合物18の代わりにN2’−デアセチル−N2’−(4−メルカプト−1−オキソペンチル)−メイタンシン(BOC Sciencesから入手可能)を使用して、実施例27の化合物71と同様の方法で化合物78を合成した。化合物78を白色の固体として単離した。1H NMR(500MHz;CDCl3):δ6.83(s,1H),6.69−6.67(m,1H),6.42(ddd,J=14.9,11.3,3.4Hz,1H),6.32(d,J=6.4Hz,1H),5.69−5.62(m,1H),4.92−4.86(m,1H),4.32(四重項,J=9.8Hz,1H),3.99(s,3H),3.62(ddd,J=20.7,13.1,7.4Hz,1H),3.48(td,J=10.4,4.2Hz,1H),3.35(d,J=2.8Hz,3H),3.21(s,3H),3.17−3.12(m,1H),3.01−2.95(m,2H),2.91(dd,J=13.8,8.8Hz,2H),2.84(td,J=14.1,6.7Hz,2H),2.67−2.60(m,2H),2.55−2.36(m,4H),2.20(dd,J=14.4,2.6Hz,1H),1.95(td,J=13.2,6.9Hz,2H),1.81(dt,J=20.0,5.7Hz,2H),1.73(dd,J=19.2,14.2Hz,1H),1.65(s,3H),1.48−1.45(m,2H),1.39(dd,J=12.6,6.9Hz,2H),1.34(dd,J=9.0,7.0Hz,2H),1.32−1.25(m,12H),0.82(dd,J=11.9,5.7Hz,3H)。LC/MS:(ES+)[M−H2O+H]+(880,100%)、[M+H]+(898,15%),[M+Na]+(920,60%)。
工程2:試薬77の合成。
化合物26の代わりに化合物78を使用して、実施例12の試薬25と同様の方法で試薬77を合成した。試薬77を白色の固体として単離した。1H NMR(500MHz;CDCl3):δ6.86−6.83(m,1H),6.75(t,J=8.8Hz,1H),6.64(d,J=4.8Hz,1H),6.43(dd,J=15.3,11.2Hz,1H),6.20(s,1H),5.67(ddd,J=15.0,9.4,5.2Hz,1H),5.42(q,J=6.7Hz,1H),4.78(dd,J=12.0,2.7Hz,1H),4.27(t,J=11.3Hz,1H),3.98(s,3H),3.65(d,J=12.7Hz,1H),3.50(d,J=9.0Hz,1H),3.35(s,3H),3.22(s,3H),3.13(t,J=10.2Hz,1H),3.04(d,J=9.7Hz,1H),2.85(d,J=3.4Hz,9H),2.72(t,J=6.9Hz,2H),2.61(t,J=13.2Hz,1H),2.55−2.49(m,1H),2.46−2.35(m,1H),2.17(dd,J=14.3,2.4Hz,1H),2.04−1.83(m,4H),1.64(s,3H),1.57(d,J=13.6Hz,1H),1.51(s,2H),1.48−1.44(m,1H),1.30−1.23(m,14H),0.80(s,3H)。LC/MS:(ES+)[M−H2O+H]+(977,100%),[M+H]+(995,15%),[M+Na]+(1017,55%)。
実施例31:メイタンシノイド化合物79の調製。
アトロプ異性体の混合物として合成された化合物79は、実施例3の化合物4と同様の方法で調製された。簡単に説明すると、4−アミノ−2−クロロフェニルボロン酸ピナコールエステル(66mg)、リン酸三カリウム(148mg)、SPhos Pd G3(13.6mg)、およびAP3(100mg)を、アルゴンパージ反応容器に順次添加した。次いで、容器を密封し、固体をアルゴンでパージした(4×排気/パージサイクル)。次いで、アルゴンでパージすることによって厳密に脱酸素化したTHF(1.2mL)および水(120μL)を添加し、反応混合物を室温で12時間撹拌した。LC/MSによる粗反応混合物の分析は、化合物79について予想される分子量を有する2つのピークを特定した。2.81および3.00分に分解された2つのピークは2つのアトロプ異性体種に対応する。以後、2.81分および3.00分で溶出するアトロプ異性体は、それぞれ化合物80および81と呼ばれる。
アトロプ異性体の分離は、逆相分取HPLCによって達成された。最初に、粗反応混合物を酢酸エチル(40mL)で希釈し、次に鹹水(20mL)で洗浄した。有機層を分離し、真空中で濃縮し、残渣をDMF(4mL)に溶解した。アトロプ異性体80および81を、緩衝液A(v/v):水:0.05%酢酸および緩衝液B(v/v):アセトニトリル:0.05%酢酸(90:10v/vから10:90v/v、35分、室温)で溶出するLuna C18(2)カラム(250mm L×50mm ID、5μm)を使用する逆相分取HPLCにより分離した。2つのアトロプ異性体に対応する画分(LC/MSによって確認される)を分離し、凍結乾燥して、化合物80および81を白色の固体として得た。次いで、各化合物をジクロロメタン:アセトン(100:0v/vから50:50v/v)で溶出する順相クロマトグラフィーによりさらに精製して、化合物80(15mg)および化合物81(10mg)を白色の固体として得た。順相精製後の化合物80および81のHPLCクロマトグラムは、両方の化合物がピーク面積で純度>96%を達成したことを示す。
アトロプ異性体の安定性は、DMSO中の化合物80および81の溶液を50℃で1時間加熱することによって調べた。1時間加熱した後、化合物をHPLCで分析し、予熱した試料のHPLCクロマトグラムから変化は観察されず、両方のアトロプ異性体が安定であり、示された高温で相互変換しないことを示した。
化合物80の特徴付けデータ:1H NMR(500MHz;CDCl3)δ6.92(d,J=8.2Hz,1H),6.84(s,2H),6.73(d,J=2.1Hz,1H),6.57(dd,J=8.2,2.2Hz,1H),6.51−6.45(m,1H),6.21(s,1H),6.18−6.16(m,1H),5.47−5.42(m,1H),4.76−4.74(m,1H),4.30−4.25(m,1H),3.81(s,3H),3.55(d,J=12.6Hz,1H),3.51(d,J=8.8Hz,1H),3.36(s,3H),3.28(d,J=12.6Hz,1H),3.01(s,1H),2.94(s,3H),2.87(t,J=13.3Hz,1H),2.64−2.59(m,1H),2.19−2.15(m,1H),1.77(s,3H),1.66−1.63(m,1H),1.50−1.45(m,1H),1.29−1.24(m,6H),1.19(d,J=6.7Hz,3H),0.87(s,3H)。LC/MS:保持時間2.81分(Acquity UPLC BEH C18 1.7μm、2.1×50mmカラム、水(0.05%酢酸):アセトニトリル(0.05%酢酸)で溶出(95:5v/vから5:95v/v)、5分勾配、0.6mL/分、室温)、(ES+)[M+H]+(726,100%)。
化合物81の特徴付けデータ:1H NMR(500MHz;CDCl3)δ6.89(s,1H),6.84(s,1H),6.77(d,J=2.1Hz,1H),6.67(d,J=8.2Hz,1H),6.57(dd,J=8.2,2.1Hz,1H),6.51−6.46(m,1H),6.27(s,1H),6.19(d,J=11.1Hz,1H),5.47(dd,J=15.3,9.0Hz,1H),4.84−4.82(m,1H),4.32−4.27(m,1H),3.84(s,3H),3.58(d,J=13.1Hz,1H),3.52(d,J=8.9Hz,1H),3.37(s,3H),3.26(d,J=13.1Hz,1H),3.02−2.91(m,2H),2.72(s,3H),2.67−2.58(m,1H),2.23−2.21(m,1H),1.74(s,3H),1.68(d,J=13.2Hz,1H),1.53−1.47(m,2H),1.30(d,J=6.3Hz,3H),1.28−1.24(m,4H),1.20(d,J=6.7Hz,3H),0.94(s,3H)。LC/MS:保持時間3.00分、(ES+)[M+H]+(726,100%)。
本発明は、式79の化合物の個々のアトロプ異性体を含む。例えば、それは、実施例31において上記に示した条件下でLC/MSにより分析したとき、2.81分の保持時間を有するアトロプ異性体を含み、また実施例31において上記に示した条件下でLC/MSにより分析したとき、3.00分の保持時間を有するアトロプ異性体も含む。
2D NMR(ROESY)分光法および分子モデリング研究の組み合わせを使用して、化合物80および81が以下の構造を有することが提案される。
実施例32:SK−BR−3細胞株における化合物のインビトロ効力アッセイ。
本発明の化合物で処理した後の腫瘍細胞の生存の消失を、実施例2に記載のように、増加濃度の本発明の化合物の存在下でSK−BR−3細胞株を成長させ、増殖または代謝活性の消失を定量することによって試験した。本発明の化合物についての平均IC
50値を表6に示し、アッセイ濃度を表7に特定する。
これらのデータは、ビフェニル部分を含有する本発明の化合物が、アリルアミン含有比較物よりも予想外に低いIC
50値を有することを示す。
実施例33:試薬35、47、69、および72のトラスツズマブへのコンジュゲーションにより、それぞれDAR4を有する抗体薬物コンジュゲート(ADC)82、83、84、および85を産生する。
WO2014064423およびWO2014064424に記載されているものと同様の方法を用いて、コンジュゲーション試薬35、47、69、および72をトラスツズマブにコンジュゲートして、ADC82、83、84、および85を得た。
簡単に説明すると、トラスツズマブ(20mMリン酸ナトリウム、150mM NaCl、20mM EDTA pH7.5中5〜7.4mg/mL)を15分間加熱ブロック中で40℃に加熱した。5mM TCEP溶液(6当量/mAb)をmAb溶液に添加し、穏やかに混合し、40℃で1時間インキュベートした後、22℃に冷却した。
試薬35、47、および69を使用するコンジュゲーションのために、次いで、還元mAb溶液を20mMリン酸ナトリウム、150mM NaCl、20mM EDTA、pH7.5で4.4mg/mLに希釈した。コンジュゲーション試薬35、47、および69をDMFに溶解して1.5mM溶液を得た。コンジュゲーション試薬(5.6当量/mAb)をmAb溶液に添加して、4.0mg/mLの最終抗体濃度を得た。試薬72を使用するコンジュゲーションのために、試薬をプロピレングリコール:DMF(3:1v/v)に溶解して、0.75mM溶液を得た。次いで、試薬72(5.6当量/mAb)を還元mAb溶液に添加して、4.0mg/mLの最終抗体濃度を得た。
次いで、各コンジュゲーション反応溶液を穏やかに混合し、22℃で18〜21時間インキュベートした。次いで、粗反応溶液を等体積の50mMリン酸ナトリウム、4M NaCl、pH7と混合し、得られた溶液を50mMリン酸ナトリウム、2M NaCl、pH7で平衡化したToyoPearl Phenyl − 650S HICカラムにロードした。各ADCを50mMリン酸ナトリウム、pH7(20%イソプロパノール)の勾配でカラムから溶出した。DAR4ADCを含有する画分をプールし、濃縮した。濃縮した試料をPBS、pH7.1〜7.5に緩衝液交換し、滅菌濾過した(0.22μmのPVDF膜)。DAR割り当ては、A248/A280吸収比に基づいた。ADC82、83、84、および85の平均DARは、280nmでのHIC分析後の個々のDAR種の相対ピーク面積から計算した。
実施例34:試薬41のブレンツキシマブへのコンジュゲーションにより、DAR4を有する抗体薬物コンジュゲート(ADC)86を産生する。
実施例33に記載されているものと同様の方法を用いて、コンジュゲーション試薬41をブレンツキシマブにコンジュゲートしてADC86を得た。簡単に説明すると、ブレンツキシマブ(20mMリン酸ナトリウム、150mM NaCl、20mM EDTA、pH7.5中8.5mg/mL)を15分間加熱ブロック中で40℃に加熱した。TCEP(6当量/mAb)をmAb溶液に添加し、穏やかに混合し、40℃で1時間インキュベートした後、22℃に冷却した。コンジュゲーション試薬41をDMFに溶解して1.6mM溶液を得た。還元mAb溶液を、20mMリン酸ナトリウム、150mM NaCl、20mM EDTA、pH7.5)で6.7mg/mLに希釈し、続いてプロピレングリコールを添加して、4.4mg/mLの最終還元mAb溶液濃度を得た。コンジュゲーション試薬(6当量/mAb)をmAb溶液に添加して、4mg/mLの最終抗体濃度を得た。反応溶液を穏やかに混合し、22℃で24時間インキュベートした。この後、反応溶液を、22℃で30分間、50mM N−アセチル−L−システイン(試薬に対して20当量)で処理した。次いで、粗反応溶液を等体積の50mMリン酸ナトリウム、4M NaCl、pH7と混合し、得られた溶液を50mMリン酸ナトリウム、2M NaCl、pH7で平衡化したToyoPearl Phenyl−650S HICカラムにロードした。ADCは、50mMリン酸ナトリウム、pH7(20%イソプロパノール)の勾配でカラムから溶出した。DAR4ADCを含有する画分をプールし、濃縮した(Vivaspin20、10kDa PES膜)。濃縮した試料をDPBS、pH7.1〜7.5に緩衝液交換し、滅菌濾過した(0.22μmのPVDF膜)。ADCを、10mMリン酸ナトリウム、pH6.7で平衡化したヒドロキシアパタイトForesight CHTカラムを使用してさらに精製した。ADCは、10mMリン酸ナトリウム、2M NaCl、pH6.7の勾配でカラムから溶出した。ADCを含有する画分をプールし、濃縮し(Vivaspin20、30kDa PES膜)、濃縮した試料をDPBS、pH7.1〜7.5に緩衝液交換し、滅菌濾過した(0.22μmのPVDF膜)。実施例33に記載の方法を用いてコンジュゲートのDARを決定した。
実施例35:試薬50のトラスツズマブへのコンジュゲーションにより、抗体薬物コンジュゲート(ADC)87を産生する。
コンジュゲーション試薬50をトラスツズマブにコンジュゲートして、ADC87を得た。簡単に説明すると、試薬50をDMSOに溶解して10mMストック溶液を得た。100mM HEPES緩衝液、1mM EDTA、pH7.0(5mg/mL mAb濃度)中のトラスツズマブを、37℃で2時間、TCEP(2.2当量/mAb)で還元した。還元mAb溶液を25℃に冷却し、次いでDMSO(10%v/v)で希釈した。次いで、コンジュゲーション試薬50(10当量/mAb)を還元mAb溶液に添加し、反応混合物を穏やかに混合し、25℃で30分間インキュベートした。反応溶液をN−アセチルシステイン(10当量/mAb)と共に25℃で30分間インキュベートすることにより、過剰の試薬50をクエンチした。次いで、活性炭粉末(70%w/wのmAb)を反応溶液に添加し、これを室温で30分間穏やかに撹拌して未反応の薬物関連種を除去した。次いで、反応混合物を濾過し(0.22μmのPES膜)、精製した試料をPD−10脱塩カラムを使用して10mMコハク酸、6%w/vトレハロース、0.01%v/v Tween20、pH5.5に緩衝液交換した。実施例33に記載の方法を用いて、4の平均DARをコンジュゲート87に割り当てた。
実施例36:試薬70、75、および77(比較物)のトラスツズマブへのコンジュゲーションにより、それぞれ抗体薬物コンジュゲート(ADC)88、89、および90(比較物)を産生する。
以下の一般的なコンジュゲーションプロトコルを使用して、コンジュゲーション試薬70、75、および77(比較物)をトラスツズマブにコンジュゲートし、それぞれADC88、89、および90(比較物)を得た。簡単に説明すると、試薬をDMFに溶解して1.8〜4.0mMストック溶液を得た。20mMリン酸ナトリウム、150mM NaCl、20mM EDTA、pH7.5中のトラスツズマブの溶液に、試薬ストック溶液(1回の添加としてまたはインキュベーション期間を通して複数のアリコートとしてのいずれかで5〜20当量/mAb)を添加して、3.0〜4.0mg/mLの最終抗体濃度(DMF10%v/vを含有する)を得た。反応溶液を22℃で1〜4時間インキュベートした。
HiLoad16/600Superdex200pgカラムを用いた分取SECクロマトグラフィーおよび溶離液としてPBS(15%イソプロパノール)を使用する無勾配溶出により、ADC88および89を精製した。10mMリン酸ナトリウム、pH6.7で平衡化したForesight CHTヒドロキシアパタイトカラムを使用してADC90(比較物)を精製し、10mMリン酸ナトリウム、2M塩化ナトリウム、pH6.7の勾配でADCをカラムから溶出した。
カラムクロマトグラフィーの後、所望のADC含有画分をプールし、濃縮した。濃縮した試料をPBSに緩衝液交換し、滅菌濾過した。質量分析後、個々のDAR種の相対ピーク強度からDAR割り当てを計算した。ADC88、89、および90(比較物)について、それぞれ2.0、3.2、および3.1の平均DARを計算した。
実施例37:インビトロ細胞生存アッセイによるADCの分析
実施例2に記載のように、本発明のメイタンシノイドを組み込むADCで処理した後の腫瘍細胞の生存の消失を、増加濃度のADCの存在下で細胞株を成長させ、増殖または代謝活性の消失を定量することによって試験した。本発明のメイタンシノイドを組み込むADCの平均IC
50値を表8に示し、アッセイ濃度を表9に特定する。
得られたIC50値は、本発明の新規メイタンシノイドを組み込むADCがインビトロで強力な殺細胞特性を有することを示す。
実施例38:マウス血清中の化合物26および78(比較物)の安定性。
DMF:緩衝液(20mMリン酸ナトリウム、150mM塩化ナトリウム、20mM EDTA、pH7.5)の50/50v/v混合物(0.5mg/mL)中の化合物26および78(比較物)の溶液を、マウス血清中0.05mg/mL(90%(v/v)血清含有量)に希釈した。「0」時点に対応する各試料のアリコートを−80℃で直ちに凍結し、一方残りの試料を37℃で7日間インキュベートした。さらなるアリコートを4日後および7日後に採取し、−80℃で凍結した。分析の前に、試料を冷凍庫から取り出し、メイタンシノイド関連種をタンパク質沈殿によって血清から抽出した。各時点のアリコートにアセトニトリル(75%v/v)を添加し、穏やかに混合した後、混合物を4℃で2時間放置することによってタンパク質沈殿を行った。次いで、沈殿したタンパク質を遠心分離(1400×g、30分、4℃)により分離し、抽出したメイタンシノイド関連種を含有する上清をLC−Orbitrap−MSにより分析した。
逆相Orbitrap−MS分析試料を水でさらに希釈して15%v/vのアセトニトリル溶液を得た。次いで、各溶液のアリコート(2.5μL)を、PepMap C18カラム(0.075×150mm)を装着したDionex ULTIMATE3000UPLCからなるナノ液体クロマトグラフィーMSシステムに注入し、ロックマスを使用して75Kの解像度でESポジティブモードで操作されたOrbitrap−MS装置にオンラインで連結した。緩衝液Aは、両方とも0.1%ギ酸を含有する100%水および100%アセトニトリルの緩衝液Bからなり、15〜80%Bの勾配を流速0.3μL/分で60分間かけて行った。Thermo Xcalibur Qual Browserソフトウェアツールを使用して潜在的な分解産物について分析することにより、データ分析を手動で行った。
図4aは、マウス血清中37℃で4および7日後に、化合物78(比較物)の有意な分解が起こり、分解産物AおよびBに対応するピークが逆相Orbitrap−MS分析によって検出可能であることを示す。特に分解産物Bの量は4日目から7日目まで増加する。対照的に、図4bでは、7日間のインキュベーション後に、化合物26についてAおよびBと同等の分解産物(以下ではCおよびDと示す)は観察されなかった。これらのデータは、化合物78(比較物)に対して安定性が改善された化合物26と一致する。化合物78ならびに断片AおよびBの構造を以下に示す。
化合物26ならびに断片CおよびDの構造を以下に示す。