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JP2020198831A - Rnaの解析方法、核酸の作製方法、核酸、キット、およびrna解析システム - Google Patents

Rnaの解析方法、核酸の作製方法、核酸、キット、およびrna解析システム Download PDF

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JP2020198831A
JP2020198831A JP2019109092A JP2019109092A JP2020198831A JP 2020198831 A JP2020198831 A JP 2020198831A JP 2019109092 A JP2019109092 A JP 2019109092A JP 2019109092 A JP2019109092 A JP 2019109092A JP 2020198831 A JP2020198831 A JP 2020198831A
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Taro Ueno
太郎 上野
高志 船津
Takashi Funatsu
高志 船津
怜 飯塚
Ryo IIZUKA
怜 飯塚
興雅 鍾
Chinya Chung
興雅 鍾
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University of Tokyo NUC
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Abstract

【課題】単一エクソソームのRNAを解析可能なRNA解析方法を提供する。【解決手段】(a)エクソソームに由来するRNAの配列またはその相補配列と、前記エクソソームを識別する前記エクソソーム識別配列と、前記RNAを識別するRNA識別配列と、を有する核酸を作製する工程と、(b)前記核酸の配列を解析する工程と、を含む、RNAの解析方法。【選択図】なし

Description

本発明は、RNAの解析方法、核酸の作製方法、核酸、キット、およびRNA解析システムに関する。
血中には様々な臓器(細胞種)から放出されたエクソソームが混在し、それぞれにmiRNAが内包されているため、がん細胞から放出されたエクソソーム中のmiRNAのみを選択的に測定することができれば、高精度にがんの診断ができる可能性がある。
がん特異的なエクソソーム中のmiRNAを定量する方法として、がん細胞の細胞膜上に特異的に発現する抗原を指標にエクソソームを収集し、内包されるmiRNAを定量する方法が考えられている(特許文献1)。しかしながら、この方法では、一度の選別で基本的には1種類の抗原を指標として分離するため精度が低く、対象エクソソーム上の複数の抗原を指標にエクソソームを分離するには、その種類に応じて何度も選別作業を繰り返すことが必要となり、多くの時間と費用を要する。ここで、もしエクソソーム1個に内包されるmiRNAの種類と量とを効率よく定量する手法が確立できれば、がん細胞由来のエクソソームに特有なmiRNAプロファイルを持つエクソソームの数をカウントすることで、がんの有無や進行度、原発がんの種類を、高精度に診断できると期待される。
また、エクソソームには、miRNA以外にも、mRNA等の各種RNA分子が内包されており、エクソソーム1個に内包されるこれらのRNAの種類と量を解析することで、疾患診断等に有用な情報を得られる可能性がある。
国際公開第2013/099925号
本発明の一実施態様は、(a)エクソソームに由来するRNAの配列またはその相補配列と、前記エクソソームを識別するエクソソーム識別配列と、前記RNAを識別するRNA識別配列と、を有する核酸を作製する工程と、(b)前記核酸の配列を解析する工程と、を含む、RNAの解析方法である。
本発明の一実施態様は、エクソソームに由来するRNAの配列またはその相補配列と、前記エクソソームを識別するエクソソーム識別配列と、前記RNAを識別するRNA識別配列と、を有する核酸の作製方法であって、前記エクソソーム識別配列またはその相補配列と第1の相補配列とを有するエクソソーム識別核酸に、前記第1の相補配列に相補的な配列を有する第1のアダプター核酸を結合させる工程と、前記第1のアダプター核酸に、前記RNAを結合させる工程と、前記RNAに、第2のアダプター核酸を結合させる工程と、を含み、前記第1のアダプター核酸および前記第2のアダプター核酸の少なくとも一方が、前記RNA識別配列またはその相補配列を有する、核酸の作製方法である。
本発明の一実施態様は、エクソソームに由来するRNAの配列またはその相補配列と、前記エクソソームを識別するエクソソーム識別配列と、前記RNAを識別するRNA識別配列と、を有する核酸の作製方法であって、前記エクソソーム識別配列またはその相補配列と、前記RNAを捕捉するRNA捕捉配列とを有するエクソソーム識別核酸に、前記RNA捕捉配列を介して、前記RNAを結合させる工程と、前記RNAに、前記RNA識別配列またはその相補配列を有する核酸を結合させる工程と、を含む、核酸の作製方法である。
本発明の一実施態様は、エクソソームに由来するRNAの配列またはその相補配列と、前記RNAが由来する前記エクソソームを識別するエクソソーム識別配列と、前記RNAを識別するRNA識別配列と、を有する核酸である。
また、本発明の一実施態様は、エクソソームを識別するエクソソーム識別配列またはその相補配列を有するエクソソーム識別核酸と、前記エクソソームに由来する個々のRNAを識別するRNA識別配列またはその相補配列を有するアダプター核酸と、1個の液滴内に1個の担体と1個のエクソソームとを封入させる流路を有する流体デバイスと、を備える、キットである。
また、本発明の一実施態様は、エクソソームに由来するRNAの配列またはその相補配列と、前記エクソソームを識別するエクソソーム識別配列と、前記RNAを識別するRNA識別配列と、を有する核酸を作製する核酸作製部と、前記核酸の配列を解析する配列解析部と、を備える、RNA解析システムである。
本発明の一実施態様にかかるRNAの解析方法の工程の一例を示す。 本発明の一実施態様にかかるRNAの解析方法の工程の一例を示す。 本発明の一実施態様にかかるRNAの解析方法の工程の一例を示す。 本発明の一実施態様にかかるRNAの解析方法の工程の一例を示す。 本発明の一実施態様にかかるRNAの解析方法の工程の一例を示す。 本発明の一実施態様にかかるRNAの解析方法の工程の一例を示す。 本発明の一実施態様にかかる核酸の一例を示す。 本発明の一実施態様にかかる核酸の一例を示す。 本発明の一実施態様にかかるRNAの解析方法の工程の一例を示す。 本発明の一実施態様にかかるRNAの解析方法の工程の一例を示す。 本発明の一実施態様にかかる核酸の一例を示す。 本発明の一実施態様にかかる核酸の一例を示す。 本発明の一実施態様にかかるRNAの解析方法の工程の一例を示す。 本発明の一実施態様にかかるRNAの解析方法の工程の一例を示す。 本発明の一実施態様にかかる核酸の一例を示す。 本発明の一実施態様にかかる核酸の一例を示す。 本発明の一実施態様にかかるRNAの解析方法の工程の一例を示す。 本発明の一実施態様にかかるRNAの解析方法の工程の一例を示す。 本発明の一実施態様にかかるRNAの解析方法の工程の一例を示す。 本発明の一実施態様にかかるRNAの解析方法の工程の一例を示す。 本発明の一実施態様にかかるRNAの解析方法の工程の一例を示す。 本発明の一実施態様にかかるRNAの解析方法の工程の一例を示す。 本発明の一実施態様にかかるRNAの解析方法の工程の一例を示す。 本発明の一実施態様にかかるRNAの解析方法の工程の一例を示す。 本発明の一実施態様にかかるRNAの解析方法の工程の一例を示す。 本発明の一実施態様にかかるキットが備える流体デバイスの一例を示す。 本発明の一実施態様にかかるキットが備える流体デバイスの一例を示す。 本発明の一実施態様にかかるRNA解析システムの構成例を示す。
以下、場合により図面を参照しつつ、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、図面中、同一又は相当部分には同一又は対応する符号を付し、重複する説明は省略する。なお、各図における寸法比は、説明のため誇張している部分があり、必ずしも実際の寸法比とは一致しない。
[RNAの解析方法]
一実施態様において、本発明は、(a)エクソソームに由来するRNAの配列またはその相補配列と、前記エクソソームを識別するエクソソーム識別配列と、前記RNAを識別するRNA識別配列と、を有する核酸を作製する工程と、(b)前記核酸の配列を解析する工程と、を含む、RNAの解析方法を提供する。
本実施態様にかかるRNAの解析方法は、エクソソームが内包するRNAを解析するために用いることができる。本実施態様にかかるRNAの解析方法によれば、エクソソームに内包されるRNAを、エクソソーム毎に識別して、解析を行うことができる。本実施態様にかかるRNAの解析方法は、例えば、血液試料中のエクソソームが内包するRNAの解析に用いることができる。
本実施態様にかかるRNAの解析方法により解析されるRNAは、エクソソームに内包されるRNAであれば、特に限定されず、例えば、miRNA、mRNA等が挙げられる。一例として、RNAは、miRNAである。
<工程(a)>
工程(a)は、エクソソームに由来するRNAの配列またはその相補配列と、前記エクソソームを識別するエクソソーム識別配列と、前記RNAを識別するRNA識別配列と、を有する核酸を作製する工程である。
「エクソソームに由来するRNA」とは、エクソソームに内包されていたRNAをいう。エクソソームは、miRNA等の多数のRNA分子を内包している。「エクソソームに由来するRNA」は、エクソソームに内包されていた多数のRNA分子中の1分子のRNAである。「エクソソームに由来するRNAの配列」とは、エクソソームに内包されていたRNA1分子の配列をいう。本明細書において、「RNAの配列」と表記する場合、「エクソソームに由来するRNAの配列」を指す。RNAの配列の相補配列とは、エクソソームに由来するRNAの配列に相補的な配列をいう。「RNAの配列またはその相補配列」とは、エクソソームに由来する1分子のRNAの配列および前記1分子のRNAの相補配列のいずれかをいう。
「RNAが由来するエクソソーム」とは、前記RNAが内包されていたエクソソームをいう。
なお、本明細書において、核酸の構成要素を指す場合には、前記「エクソソームに由来するRNA」と区別するために、「リボ核酸」と表記する。
「エクソソーム識別配列」は、RNAが由来するエクソソームを識別するための配列である。エクソソーム識別配列は、原則として、エクソソームと1:1で対応している。したがって、同じエクソソームに由来するRNAは、同じエクソソーム識別配列を有する。本工程で作製される核酸が、エクソソーム識別配列を有することにより、前記RNAが由来するエクソソーム毎に、核酸をグルーピングすることができる。
本明細書において、「原則として」と記載する場合、一部の例外を含み得ることを意味する。例えば、「原則として」と記載する場合、0〜5%程度の例外を含み得る。
「RNA識別配列」は、前記RNAを1分子毎に識別するための配列(例、塩基配列)である。RNA識別配列は、原則として、識別するRNA1分子と1:1で対応している。本工程で作製される核酸が、RNA識別配列を有することにより、後述の工程(b)において配列解析を行う際に、PCR等により核酸を増幅した場合であっても、増幅効率等の違い等により生じる核酸存在量のずれをRNA識別配列に基づき補正することができる。
RNA識別配列は、本工程で作製される核酸において、RNAの配列またはその相補配列の5’末端側および3’末端側のいずれに位置していてもよい。また、本工程で作製される核酸は、RNA識別配列を1個有していてもよく、2個以上有していてもよい。核酸が、2個以上のRNA識別配列を有する場合、RNA識別配列は、RNAの配列またはその相補配列の5’末端側および3’末端側の両方に位置していてもよい。例えば、RNA識別配列を2個有する場合は、上記核酸は、第1のRNA識別配列と第2のRNA識別配列とを備える。
一例として、RNA識別配列は、RNAの配列またはその相補配列の5’末端側に位置する。一例として、RNA識別配列は、RNAの3’末端側に位置する。一例として、RNA識別配列は、RNAの配列またはその相補配列の5’末端側および3’末端側の両方に位置する。
本工程で作製される核酸は、一例として、5’末端側から順に、RNA識別配列、RNAの配列またはその相補配列、およびエクソソーム識別配列が配置される。本工程で作製される核酸は、一例として、5’末端側から順に、RNAの配列またはその相補配列、RNA識別配列、およびエクソソーム識別配列が配置される。本工程で作製される核酸は、一例として、5’末端側から順に、RNA識別配列、RNAの配列またはその相補配列、RNA識別配列、およびエクソソーム識別配列が配置される。本工程で作製される核酸は、一例として、3’末端側から順に、RNA識別配列、RNAの配列またはその相補配列、およびエクソソーム識別配列が配置される。本工程で作製される核酸は、一例として、3’末端側から順に、RNAの配列またはその相補配列、RNA識別配列、およびエクソソーム識別配列が配置される。本工程で作製される核酸は、一例として、3’末端側から順に、RNA識別配列、RNAの配列またはその相補配列、RNA識別配列、およびエクソソーム識別配列が配置される。
本工程で作製される核酸は、上記のような配列を有する一本鎖核酸であってもよく、前記一本鎖核酸に相補鎖が相補結合した二本鎖核酸であってもよい。
本工程で作製される核酸は、RNAの配列またはその相補配列、エクソソーム識別配列、RNA識別配列に加えて、他の配列(例、塩基配列)を含んでいてもよい。他の配列は、一例として、エクソソーム識別配列とRNAの配列またはその相補配列との間に位置する。他の配列は、一例として、RNAの配列またはその相補配列とRNA識別配列との間に位置する。他の配列は、一例として、エクソソーム識別配列とRNA識別配列との間に位置する。他の配列は、一例として、本工程で作製される核酸の3’末端領域に存在し、エクソソーム識別配列の3’末端に隣接して位置する。他の配列は、一例として、本工程で作製される核酸の5’末端領域に存在し、RNA識別配列の5’末端に隣接して位置する。他の配列は、一例として、本工程で作製される核酸の5’末端領域に存在し、RNAの配列またはその相補配列の5’末端に隣接して位置する。他の配列は、一例として、本工程で作製される核酸の5’末端領域に存在し、エクソソーム識別配列の5’末端に隣接して位置する。他の配列は、一例として、本工程で作製される核酸3’末端領域に存在し、RNA識別配列の3’末端に隣接して位置する。他の配列は、一例として、本工程で作製される核酸の3’末端領域に存在し、RNAの配列またはその相補配列の3’末端に隣接して位置する。
本工程で作製される核酸は、リボ核酸であってもよく、デオキシリボ核酸であってもよく、これらの混合物であってもよい。また、核酸は、天然の核酸に限定されず、BNA(bridged nucleic acids)やPNA(peptide nucleic acid)等の人工核酸を含むものであってもよい。本工程で作製される核酸は、一例として、デオキシリボ核酸である。本工程で作製される核酸は、一例として、リボ核酸である。本工程で作製される核酸は、一例として、デオキシリボ核酸とリボ核酸の混合物である。
なお、本明細書において、「核酸」は、リボ核酸からなるもの、デオキシリボ核酸からなるもの、ならびにリボ核酸およびデオキシリボ核酸からなるものを包含する。さらに、「核酸」は、天然核酸からなるもの、人工核酸からなるもの、ならびに天然核酸および人工核酸からなるものを包含する。
≪第1実施形態≫
一実施形態において、本工程は、下記の工程を含むことができる:
エクソソーム識別配列またはその相補配列と後述の第1のアダプター核酸が結合する第1の相補配列とを有するエクソソーム識別核酸に、前記第1の相補配列に相補的な配列を有する第1のアダプター核酸を結合させる工程(以下、「第1のアダプター核酸結合工程」という);
前記第1のアダプター核酸に、RNAを結合させる工程(以下、「RNA結合工程」という);および
前記RNAに、第2のアダプター核酸を結合させる工程(以下、「第2のアダプター核酸結合工程」という)。
前記第1のアダプター核酸および前記第2のアダプター核酸の少なくとも一方は、RNA識別配列またはその相補配列を有している。
第1のアダプター核酸結合工程、RNA結合工程、および第2のアダプター核酸結合工程は、いずれの順番で実施してもよい。一例として、第1のアダプター核酸結合工程、RNA結合工程、および第2のアダプター核酸結合工程は、前記の順番で実施される。
以下、第1のアダプター核酸が有するRNA識別配列を「第1のRNA識別配列」、第2のアダプター核酸が有するRNA識別配列を「第2のRNA識別配列」と表記する。
第2のアダプター核酸が第2のRNA識別配列を有する場合、第1のアダプター核酸が第1のRNA識別配列を有する場合、および第1のアダプター核酸が第1のRNA識別配列を有し、且つ第2のアダプター核酸が第2のRNA識別配列を有する場合のそれぞれについて、本工程の具体例をさらに詳述する。
(1)第2のアダプター核酸が第2のRNA識別配列を有する場合
第2のアダプター核酸が、第2のRNA識別配列を有する場合の工程(a)の具体例について、図1〜8を参照して説明する。
(第1のアダプター核酸結合工程)
図2は、第1のアダプター核酸結合工程を説明する図である。
・エクソソーム識別核酸
エクソソーム識別核酸10は、エクソソーム識別配列11および第1の相補配列13を有している。なお、エクソソーム識別核酸10が有するエクソソーム識別配列11は、工程(a)により作製される核酸が有するエクソソーム識別配列と同じ配列か、またはその相補配列である。本明細書では、前記核酸が有するエクソソーム識別配列およびその相補配列をまとめて、「エクソソーム識別配列」と表記する。
図2の例では、エクソソーム識別核酸10は、固相の担体の一例としてのビーズ1に結合した状態で準備されている。エクソソーム識別核酸10が有するエクソソーム識別配列11は、原則として、ビーズ毎に異なっている。1個のビーズに結合するエクソソーム識別核酸10は、全て同じエクソソーム識別配列11を有している。
エクソソーム識別配列11は、ビーズ1毎に異なる配列であればよく、例えばランダム配列により構成される。エクソソーム識別配列11の長さは、例えば、解析対象の試料に含まれると予想されるエクソソームの量に応じて適宜設定することができる。エクソソーム識別配列11の長さは、一例として5〜20塩基であり、一例として7〜15塩基であり、一例として8〜12塩基である。
第1の相補配列13は、第1のアダプター核酸20と相補的に結合するための配列である。第1の相補配列13は、第1のアダプター核酸20とハイブリダイズ可能であればよく、配列の種類及び長さは特に限定されない。第1の相補配列13の長さは、一例として15〜70塩基であり、一例として20〜50塩基であり、一例として25〜40塩基である。
エクソソーム識別核酸10は、一例として、デオキシリボ核酸である。
エクソソーム識別核酸10を結合させたビーズ1は、例えば、図1に例示する方法により調製することができる。図1の方法では、第3のアダプター核酸2を介して、ビーズ1にエクソソーム識別核酸10を結合している。
図1の例では、ビーズ1には、複数の第3のアダプター核酸2が結合されている。ビーズ1への第3のアダプター核酸2の結合方法は、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。一例として、アビジンまたはストレプトアビジン等のアビジン類でコーティングしたビーズ1に、ビオチン標識した第3のアダプター核酸2を結合させる方法が挙げられる。例えば、第3のアダプター核酸2の5’末端をビオチン標識することにより、前記5’末端標識ビオチンを介して、第3のアダプター核酸2がストレプトアビジン等でコーティングしたビーズ1に結合する。図1の例では、第3のアダプター核酸2の5’末端がビーズ1に結合している。
第3のアダプター核酸2を結合されたビーズ1は、1個ずつ、プライマー3およびDNAポリメラーゼ4とともに、液滴5aに封入される。液滴5aは、一例として、水滴である。液滴5aは、一例として、油中水型エマルション中の水滴である。1個の液滴5aには、原則として、1個のビーズ1と、1種類のエクソソーム識別核酸10と、プライマー3と、DNAポリメラーゼ4と、を封入されている。液滴5a中には、上記に加えて、dNTP等も封入される。
エクソソーム識別核酸10は、第2の相補配列12を有している。第2の相補配列12は、第3のアダプター核酸2の少なくとも一部に相補的な配列である。液滴5a中で、エクソソーム識別核酸10は、第2の相補配列12を介して、第3のアダプター核酸2とハイブリダイズして結合する。
この状態で、第3のアダプター核酸2およびプライマー3をプライマーセットとしてエマルションPCR(ePCR)を行うことにより、ビーズ上に存在する大部分の第3のアダプター核酸2に、エクソソーム識別核酸10を結合させることができる。このようにして、エクソソーム識別核酸10を結合させたビーズ1を調製することができる。調製したビーズ1は、遠心分離等により液滴5aから回収し、アルカリ変性処理等によりエクソソーム識別核酸10を一本鎖化した後、第1のアダプター核酸結合工程に供することができる。
・第1のアダプター核酸
第1のアダプター核酸20は、第1の相補配列13に相補的な配列22を有している。第1の相補配列に相補的な配列22は、第1の相補配列13と完全に相補的である必要はなく、第1の相補配列13にハイブリダイズできる程度に相補的であればよい。
第1のアダプター核酸20は、一例として、リボ核酸である。
一例として、第1のアダプター核酸20の5’末端はアデニル化されている。5’末端のアデニル化は、例えば、市販のアデニル化キットを用いて行うことができる。第1のアダプター核酸20の5’末端をアデニル化することにより、後述のRNA結合工程において、RNA同士の結合より優先して、効率よく第1のアダプター核酸20の5’末端にRNAを結合させることができる。
エクソソーム識別核酸10と、第1のアダプター核酸20とを接触させて、ハイブリダイゼーション反応を行うことにより、エクソソーム識別核酸10に、第1のアダプター核酸20を結合させることができる。
したがって、工程(a)は、第1のアダプター核酸結合工程、RNA結合工程、および第2のアダプター核酸結合工程に加えて、さらに、担体(例、ビーズ1)に結合させた第3のアダプター核酸に、エクソソーム識別核酸を結合させて、前記担体上で前記エクソソーム識別核酸を増幅する工程を含むことができる。この場合、エクソソーム識別核酸は、第3のアダプター核酸の少なくとも一部に相補的な第2の相補配列をさらに有し、前記第2の相補配列を介して、前記第3のアダプター核酸に結合する。
(RNA結合工程)
図3、4は、RNA結合工程を説明する図である。
上記第1のアダプター核酸結合工程で調製されたエクソソーム識別核酸10および第1のアダプター核酸20が結合されたビーズ1は、エクソソーム30とともに、液滴5bに封入される。1個の液滴5bには、原則として、1個のビーズ1と、1個のエクソソーム30とが封入される。液滴5bは、一例として、水滴である。液滴5bは、一例として、油中水型エマルション中の水滴である。
液滴5b中には、さらに、界面活性剤6およびRNAリガーゼ7が封入される。界面活性剤6は、エクソソーム30を溶解して破壊するためのものである。界面活性剤6は、エクソソーム30を溶解し、核酸を破壊しないものであれば、特に限定されない。界面活性剤6としては、例えば、TritonX−100、IGEPAL CA−630(Nonidet P40)等が挙げられる。エクソソーム30が界面活性剤6により破壊されることにより、エクソソーム30に内包されていたRNA31が液滴5b中に放出される。
RNAリガーゼ7は、核酸同士のライゲーション反応を触媒し、第1のアダプター核酸20とRNAとを結合する。RNAリガーゼ7は、核酸のライゲーション反応を触媒するものであれば、特に限定されない。RNAリガーゼ7としては、例えば、T4 RNAリガーゼ2欠損変異体が挙げられる。T4 RNAリガーゼ2次欠損変異体は、核酸(デオキシリボ核酸またはリボ核酸)のアデニル化された5’末端と、リボ核酸の3’ヒドロキシ末端とのライゲーション反応を触媒するRNAリガーゼである。そのため、第1のアダプター核酸20の5’末端がアデニル化されている場合、T4 RNAリガーゼ2次欠損変異体を用いることにより、RNA31を効率的に第1のアダプター核酸20に結合させることができる。T4 RNAリガーゼ2次欠損変異体としては、例えば、T4 RNA Ligase 2(Truncated)(BioBision社製)等が利用可能である。
第1のアダプター核酸20に対するRNA31の結合は、液滴5b中で、界面活性剤6によりエクソソーム30を溶解させてRNA31を放出させた後、RNAリガーゼ7により第1のアダプター核酸20とRNA31とをライゲーションさせることより行うことができる。ライゲーション反応の条件は、RNAリガーゼの種類に応じて、適宜設定すればよい。例えば、T4 RNAリガーゼ2欠損変異体を用いる場合、反応条件としては、25℃で4時間に次いで16℃で一晩等が例示される。
このようにして、第1のアダプター核酸20にRNA31を結合させることができる。1個のビーズ1には、単一のエクソソーム30から放出されたRNA31−1〜RNA31−5が、エクソソーム識別核酸10および第1のアダプター核酸20を介して結合している。このようにして調製したビーズ1は、遠心分離等により液滴5bから回収し、第2のアダプター核酸結合工程に供することができる。
RNA31の数が、ビーズ1に結合する第1のアダプター核酸20の数よりも少ない場合には、上記ライゲーション反応後、第1のアダプター核酸20の一部は、RNA31が未結合のままの状態となる。この場合、液滴5bからビーズ1を回収した後、RNA31が結合していない第1のアダプター核酸20のブロッキングを行ってもよい。ブロッキングは、例えば、5’末端がリン酸化されていないブロッキング用核酸を用いて行うことができる。例えば、RNA31が未結合である第1のアダプター核酸20に、RNAリガーゼにより、ブロッキング用核酸を結合させることにより、ブロッキングを行うことができる。
(第2のアダプター核酸結合工程)
図5は、第2のアダプター核酸結合工程を説明する図である。
・第2のアダプター核酸
第2のアダプター核酸40は、第2のRNA識別配列41を有している。なお、第2のアダプター核酸40が有する第2のRNA識別配列41は、工程(a)により作製される核酸が有するRNA識別配列と同じ配列か、またはその相補配列である。本明細書では、前記核酸が有するRNA識別配列およびその相補配列をまとめて、「RNA識別配列」と表記する。
第2のRNA識別配列41は、RNA31毎に異なる配列であればよく、例えばランダム配列により構成される。第2のRNA識別配列41の長さは、例えば、解析対象の試料に含まれると予想されるエクソソームに由来するRNAの量に応じて適宜設定することができる。RNA識別配列11の長さは、一例として5〜30塩基であり、一例として10〜25塩基であり、一例として15〜20塩基である。
一例として、第2のRNA識別配列41は、第2のアダプター核酸40の3’末端に配置されている。第2のRNA識別配列41が、第2のアダプター核酸40の3’末端に位置することにより、RNA31と第2のアダプター核酸40とのライゲーション効率が高くなる。
第2のアダプター核酸40は、一例として、リボ核酸である。
第2のアダプター核酸40を、上記RNA結合工程で調製された、エクソソーム識別核酸10−第1のアダプター核酸20−RNA31が結合されたビーズ1に接触させて、RNA31に第2のアダプター核酸40を結合させる。RNA31と第2のアダプター核酸40との結合は、RNAリガーゼにより行うことができる。一例として、RNAリガーゼは、T4RNAリガーゼである。T4RNAリガーゼによるライゲーション反応の条件としては、上記と同様の条件が挙げられる。
(核酸増幅工程)
工程(a)は、上記第1のアダプター核酸結合工程、RNA結合工程、および第2のアダプター核酸結合工程に加えて、任意に、エクソソーム識別配列11と、第2のRNA識別配列41と、RNA31の配列またはその相補配列と、を含む領域を増幅する工程(以下、「核酸増幅工程」という)を含んでいてもよい。一例として、核酸増幅工程は、第2のアダプター核酸結合工程の後に行われる。
図6は、核酸増幅工程を説明する図である。
第2のアダプター核酸結合工程の後、第1のアダプター核酸20−RNA31−第2のアダプター核酸40が結合された核酸は、エクソソーム識別核酸10にハイブリダイズした状態となっている。この状態で、逆転写酵素を用いて逆転写反応を行うことにより、第1のアダプター核酸20−RNA31−第2のアダプター核酸40が逆転写されて、エクソソーム識別核酸10の3’末端側に隣接して、第1のアダプター核酸20の相補配列20’−RNA31の相補配列31’−第2のアダプター核酸40の相補配列40’からなる核酸(cDNA)が形成される。前記核酸は、エクソソーム識別配列11、RNA31の相補配列31’、および第2のRNA識別配列41の相補配列41’を有している。
逆転写反応の後、エクソソーム識別配列11またはその相補配列、RNA31またはその相補配列31’、および第2のRNA識別配列41またはその相補配列41’を含む領域を、PCR等により増幅してもよい。前記PCRに使用するプライマーは、エクソソーム識別配列11またはその相補配列、RNA31またはその相補配列31’、および第2のRNA識別配列41またはその相補配列41’を含む領域を増幅できるものであれば、特に限定されない。
フォワードプライマーとしては、エクソソーム識別配列11の5’末端側に位置する配列にアニーリングし得るプライマーを用いることができる。一例として、フォワードプライマーとしては、エクソソーム識別核酸10の第2の相補配列12、または第3のアダプター核酸2にアニーリングし得るプライマーが挙げられる。
リバースプライマーとしては、第2のRNA識別配列41の5’末端側に位置する配列にアニーリングし得るプライマーを用いることができる。一例として、リバースプライマーとしては、第2のアダプター核酸40における第2のRNA識別配列41の5’末端側に位置する配列にアニーリングし得るプライマーが挙げられる。
上記組み合わせの他、フォワードプライマーとしては、第2のRNA識別配列41の5’末端側に位置する配列にアニーリングし得るプライマーを用いることができる。一例として、フォワードプライマーとしては、第2のRNA識別核酸40における第2のRNA識別配列41の5’末端側に位置する配列にアニーリングし得るプライマーが挙げられる。
リバースプライマーとしては、エクソソーム識別配列11の5’末端側に位置する配列にアニーリングし得るプライマーを用いることができる。一例として、フォワードプライマーとしては、エクソソーム識別核酸10の第2の相補配列12、または第3のアダプター核酸2にアニーリングし得るプライマーが挙げられる。
本実施形態において、工程(a)の後に得られる核酸の一例を図7および図8に示す。
図7は、1個のエクソソーム30−1に由来するRNA31−1〜31−iを含む核酸51−1a〜51−maの一例である。核酸51−1a〜51−maは、一例として、デオキシリボ核酸である。核酸51−1a〜51−maは、エクソソーム識別配列11として、共通のエクソソーム識別配列11−1を有している。核酸51−1a〜51−maは、さらに、第1のアダプター核酸20の配列、RNA31−1〜31−i、および第2のRNA識別配列41−11〜41−1mを有している。
図7中、RNA31−1と表示されるRNAは、同じ種類のRNAである。核酸51−1a〜51maが含むRNA31の種類及びそれらの存在比は、エクソソーム30−1に内包されていたRNA31の種類及びそれら存在比を反映している。そのため、エクソソーム識別配列11−1を有する核酸51−1a〜51−maにおいて、RNA31−1〜31−iの種類およびそれらの存在比を解析することにより、エクソソーム30−1に内包されていたRNA31−1〜31−iの種類およびそれらの存在比を求めることができる。例えば、RNA31−1〜31−iの種類およびそれらの存在比の解析は、後述の工程(b)における次世代シーケンサー等を用いて決定された核酸51−1a〜51−maの塩基配列に基づいて、行うことができる。さらに、エクソソーム30−1に内包されていたRNA31−1〜31−iには、1分子毎に、第2のRNA識別配列41−11〜1mのいずれか1つが付与されているため、第2のRNA識別配列41−11〜1mの存在比に基づいて、核酸増幅反応等によるRNA31−1〜31−iの存在比の変動を補正することができる。
図8は、図7のエクソソーム30−1とは異なるエクソソーム30−2に由来するRNA31−1〜31−jを含む核酸52−1a〜52−naの一例である。核酸52−1a〜52−naは、一例として、デオキシリボ核酸である。核酸52−1a〜52−naは、エクソソーム識別配列11として、共通のエクソソーム識別配列11−2を有している。核酸52−1a〜52−naは、さらに、第1のアダプター核酸20の配列、RNA31−1〜31−j、および第2のRNA識別配列41−21〜41−2nを有している。
エクソソーム識別配列11−2を有する核酸52−1a〜52−naにおいて、RNA31−1〜31−jの種類およびそれらの存在比を解析することにより、エクソソーム30−2に内包されていたRNA31−1〜31−jの種類およびそれらの存在比を求めることができる。さらに、エクソソーム30−2に内包されていたRNA31−1〜31−jには、1分子毎に、第2のRNA識別配列41−21〜2nのいずれか1つが付与されているため、第2のRNA識別配列41−21〜2nの存在比に基づいて、核酸増幅反応等によるRNA31−1〜31−jの存在比の変動を補正することができる。
図7および図8中、31−1〜31−iおよび31−1〜31−jとして表される配列は、エクソソームに由来するRNA31−1〜31−iおよびRNA31−1〜31−jの相補配列であってもよい。図7および図8中、11−1および11−2として表される配列は、エクソソーム識別核酸10が有するエクソソーム識別配列11−1およびエクソソーム識別配列11−2の相補配列であってもよい。図7および図8中、20で表される配列は、第1のアダプター核酸20の相補配列であってもよい。図7および図8中、41−11〜41−1mおよび41−21〜41−2nで表される配列は、第2のアダプター核酸40が有する第2のRNA識別配列41−11〜41−1mおよび第2のRNA識別配列41−21〜41−2nの相補配列であってもよい。
一例として、図7および図8中、31−1〜31−iおよび31−1〜31−jとして表される配列が、エクソソームに由来するRNA31−1〜31−iおよびRNA31−1〜31−jの相補配列である場合、
11−1および11−2として表される配列は、エクソソーム識別核酸10が有するエクソソーム識別配列11−1およびエクソソーム識別配列11−2と同じ配列であり、
20として表される配列は、第1のアダプター核酸20の相補配列であり、
41−11〜41−1mおよび41−21〜41−2nとして表される配列は、第2のアダプター核酸40が有する第2のRNA識別配列41−11〜41−1mおよび第2のRNA識別配列41−21〜41−2nの相補配列である。
一例として、図7および図8中、31−1〜31−iおよび31−1〜31−jとして表される配列が、エクソソームに由来するRNA31−1〜31−iおよびRNA31−1〜31−jと同じ配列である場合、
11−1および11−2として表される配列は、エクソソーム識別核酸10が有するエクソソーム識別配列11−1およびエクソソーム識別配列11−2の相補配列であり、
20として表される配列は、第1のアダプター核酸20と同じ配列であり、
41−11〜41−1mおよび41−21〜41−2nとして表される配列は、第2のアダプター核酸40が有する第2のRNA識別配列41−11〜41−1mおよび第2のRNA識別配列41−21〜41−2nと同じ配列である。
上述の例では、第1のアダプター核酸結合工程、RNA結合工程、および第2のアダプター核酸結合工程、の順で工程(a)を行う例について説明したが、これらの順番は、適宜変更することも可能である。一例として、第1のアダプター核酸結合工程、および第2のアダプター核酸結合工程を行った後、RNA結合工程を行ってもよい。この場合、RNA結合工程において、エクソソーム識別核酸に結合している第1のアダプター核酸に、第2のアダプター核酸が結合しているRNAが結合される。
(2)第1のアダプター核酸が第1のRNA識別配列を有する場合
第1のアダプター核酸が、第1のRNA識別配列を有する場合の工程(a)の具体例について、図9〜12を参照して説明する。
(第1のアダプター核酸結合工程)
図9は、第1のアダプター核酸結合工程を説明する図である。
第1のアダプター核酸20は、第1の相補配列13に相補的な配列22に加えて、第1のRNA識別配列21を有している。なお、第1のアダプター核酸20が有する第1のRNA識別配列21は、工程(a)により作製される核酸が有するRNA識別配列と同じ配列か、またはその相補配列である。
一例として、第1のRNA識別配列21は、第1の相補配列に相補的な配列22の5’末端側に配置されている。第1のアダプター核酸20は、第1のRNA識別配列21および第1の相補配列に相補的な配列22のみからなるものであってもよく、他の配列を含んでいてもよい。
第1のアダプター核酸結合工程は、第1のアダプター核酸20が第1のRNA識別配列21を有すること以外は、上記(1)における第1のアダプター核酸結合工程と同様に行うことができる。
(RNA結合工程)
RNA結合工程は、上記(1)におけるRNA結合工程と同様に行うことができる。
(第2のアダプター核酸結合工程)
図10は、第2のアダプター核酸結合工程を説明する図である。
本実施形態において、第2のアダプター核酸40は、第2のRNA識別配列41を有さない。第2のアダプター核酸40は、核酸増幅工程におけるプライマーアニーリング領域を付与するために、RNA31に結合される。
第2のアダプター核酸結合工程は、第2のアダプター核酸40が第2のRNA識別配列41を有さないこと以外は、上記(1)における第2のアダプター核酸結合工程と同様に行うことができる。
第2のアダプター核酸結合工程の後は、任意に、核酸増幅工程を行ってもよい。本実施形態における核酸増幅工程は、エクソソーム識別配列11またはその相補配列と、第1のRNA識別配列21またはその相補配列と、RNA31の配列またはその相補配列と、を含む領域を増幅する工程である。核酸増幅工程は、上記(1)における核酸増幅工程と同様に行うことができる。
本実施形態において、工程(a)の後に得られる核酸の一例を図11および図12に示す。
図11は、エクソソーム30−1に由来するRNA31−1〜31−iを含む核酸51−1b〜51−mbの一例である。核酸51−1b〜51−mbは、第2のRNA識別配列41−11〜41−1mの代わりに、第1のRNA識別配列21−11〜21−1mを有すること以外は、図7における核酸51−1a〜51−maと同様である。
図12は、図11のエクソソーム30−1とは異なるエクソソーム30−2に由来するRNA31−1〜31−jを含む核酸52−1b〜52−nbの一例である。核酸52−1b〜52−mbは、第2のRNA識別配列41−21〜41−2nの代わりに、第1のRNA識別配列21−21〜21−2nを有すること以外は、図8における核酸51−1a〜51−naと同様である。
図11および図12中、31−1〜31−iおよび31−1〜31−jで表される配列は、エクソソームに由来するRNA31−1〜31−iおよびRNA31−1〜31−jの相補配列であってもよい。図11および図12中、11−1および11−2で表される配列は、エクソソーム識別核酸10が有するエクソソーム識別配列11−1およびエクソソーム識別配列11−2の相補配列であってもよい。図11および図12中、21−11〜21−1mおよび21−11〜21−1nで表される配列は、第1のアダプター核酸20が有する第1のRNA識別配列21−11〜21−1mおよび第1のRNA識別配列21−11〜21−1nの相補配列であってもよい。
一例として、図11および図12中、31−1〜31−iおよび31−1〜31−jとして表される配列が、エクソソームに由来するRNA31−1〜31−iおよびRNA31−1〜31−jの相補配列である場合、
11−1および11−2として表される配列は、エクソソーム識別核酸10が有するエクソソーム識別配列11−1およびエクソソーム識別配列11−2と同じ配列であり、
21−11〜21−1mおよび21−11〜21−1nとして表される配列は、第1のアダプター核酸20が有する第1のRNA識別配列21−11〜21−1mおよび21−11〜21−1nの相補配列であり、
40として表される配列は、第2のアダプター核酸40の相補配列である。
一例として、図11および図12中、31−1〜31−iおよび31−1〜31−jとして表される配列が、エクソソームに由来するRNA31−1〜31−iおよびRNA31−1〜31−jと同じ配列である場合、
11−1および11−2として表される配列は、エクソソーム識別核酸10が有するエクソソーム識別配列11−1およびエクソソーム識別配列11−2の相補配列であり、
21−11〜21−1mおよび21−11〜21−1nとして表される配列は、第1のアダプター核酸20が有する第1のRNA識別配列21−11〜21−1mおよび21−11〜21−1nと同じ配列であり、
40として表される配列は、第2のアダプター核酸40と同じ配列である。
上述の例では、第1のアダプター核酸結合工程、RNA結合工程、および第2のアダプター核酸結合工程、の順で工程(a)を行う例について説明したが、これらの順番は、適宜変更することも可能である。一例として、第1のアダプター核酸結合工程、および第2のアダプター核酸結合工程を行った後、RNA結合工程を行ってもよい。この場合、RNA結合工程において、エクソソーム識別核酸に結合している第1のアダプター核酸に、第2のアダプター核酸が結合しているRNAが結合される。
(3)第1のRNA識別配列および第2のRNA識別配列を有する場合
第1のアダプター核酸が第1のRNA識別配列を有し、且つ第2のアダプター核酸が第2のRNA識別配列を有する場合の工程(a)の具体例について、図13〜16を参照して説明する。
(第1のアダプター核酸結合工程)
図13は、第1のアダプター核酸結合工程を説明する図である。
第1のアダプター核酸20は、第1の相補配列13に相補的な配列22に加えて、第1のRNA識別配列21を有している。
第1のアダプター核酸結合工程は、上記(2)における第1のアダプター核酸結合工程と同様に行うことができる。
(RNA結合工程)
RNA結合工程は、上記(1)におけるRNA結合工程と同様に行うことができる。
(第2のアダプター核酸結合工程)
図14は、第2のアダプター核酸結合工程を説明する図である。
第2のアダプター核酸40は、第2のRNA識別配列41を有している。
第2のアダプター核酸結合工程は、上記(1)における第2のアダプター核酸結合工程と同様に行うことができる。
第2のアダプター核酸結合工程の後は、任意に、核酸増幅工程を行ってもよい。本実施形態における核酸増幅工程は、エクソソーム識別配列11またはその相補配列と、第1のRNA識別配列21またはその相補配列と、RNA31の配列またはその相補配列と、第2のRNA識別配列41またはその相補配列と、を含む領域を増幅する工程である。核酸増幅工程は、上記(1)における核酸増幅工程と同様に行うことができる。
本実施形態において、工程(a)の後に得られる核酸の一例を図15および図16に示す。
図15は、エクソソーム30−1に由来するRNA31−1〜31−iを含む核酸51−1c〜51−mcの一例である。核酸51−1c〜51−mcは、第2のRNA識別配列41−11〜41−1mに加えて、第1のRNA識別配列21−11〜21−1mを有すること以外は、図7における核酸51−1a〜51−maと同様である。
図16は、図15のエクソソーム30−1とは異なるエクソソーム30−2に由来するRNA31−1〜31−jを含む核酸52−1c〜52−ncの一例である。核酸52−1c〜52−mcは、第2のRNA識別配列41−21〜41−2nに加えて、第1のRNA識別配列21−21〜21−2nを有すること以外は、図8における核酸51−1a〜51−naと同様である。
図15および図16中、31−1〜31−iおよびR31−1〜31−jで表される配列は、エクソソームに由来するRNA31−1〜31−iおよびRNA31−1〜31−jの相補配列であってもよい。図15および図16中、11−1および11−2で表される配列は、エクソソーム識別核酸10が有するエクソソーム識別配列11−1およびエクソソーム識別配列11−2の相補配列であってもよい。図15および図16中、21−11〜21−1mおよび21−11〜21−1nで表される配列は、第1のアダプター核酸20が有する第1のRNA識別配列21−11〜21−1mおよび第1のRNA識別配列21−11〜21−1nの相補配列であってもよい。図15および図16中、41−11〜41−1mおよび41−21〜41−2nで表される配列は、第2のアダプター核酸40が有する第2のRNA識別配列41−11〜41−1mおよび第2のRNA識別配列41−21〜41−2nの相補配列であってもよい。
一例として、図15および図16中、31−1〜31−iおよび31−1〜31−jとして表される配列が、エクソソームに由来するRNA31−1〜31−iおよびRNA31−1〜31−jの相補配列である場合、
11−1および11−2として表される配列は、エクソソーム識別核酸10が有するエクソソーム識別配列11−1およびエクソソーム識別配列11−2と同じ配列であり、
21−11〜21−1mおよび21−11〜21−1nとして表される配列は、第1のアダプター核酸20が有する第1のRNA識別配列21−11〜21−1mおよび21−11〜21−1nの相補配列であり、
41−11〜41−1mおよび41−21〜41−2nとして表される配列は、第2のアダプター核酸40が有する第2のRNA識別配列41−11〜41−1mおよび第2のRNA識別配列41−21〜41−2nの相補配列である。
一例として、図15および図16中、31−1〜31−iおよび31−1〜31−jとして表される配列が、エクソソームに由来するRNA31−1〜31−iおよびRNA31−1〜31−jと同じ配列である場合、
11−1および11−2として表される配列は、エクソソーム識別核酸10が有するエクソソーム識別配列11−1およびエクソソーム識別配列11−2の相補配列であり、
21−11〜21−1mおよび21−11〜21−1nとして表される配列は、第1のアダプター核酸20が有する第1のRNA識別配列21−11〜21−1mおよび21−11〜21−1nと同じ配列であり、
41−11〜41−1mおよび41−21〜41−2nとして表される配列は、第2のアダプター核酸40が有する第2のRNA識別配列41−11〜41−1mおよび第2のRNA識別配列41−21〜41−2nと同じ配列である。
上述の例では、第1のアダプター核酸結合工程、RNA結合工程、および第2のアダプター核酸結合工程、の順で工程(a)を行う例について説明したが、これらの順番は、適宜変更することも可能である。一例として、第1のアダプター核酸結合工程、および第2のアダプター核酸結合工程を行った後、RNA結合工程を行ってもよい。この場合、RNA結合工程において、エクソソーム識別核酸に結合している第1のアダプター核酸に、第2のアダプター核酸が結合しているRNAが結合される。
≪第2実施形態≫
一実施形態において、工程(a)は、下記の工程を含むことができる:
前記エクソソーム識別配列と、前記RNAを捕捉するRNA捕捉配列とを有するエクソソーム識別核酸に、前記RNA捕捉配列を介して、前記RNAを結合させる工程(以下、「RNA捕捉工程」)と、
前記RNAに、第2のアダプター核酸を結合させる工程(「第2のアダプター核酸結合工程」という)。
前記第2のアダプター核酸は、第2のRNA識別配列を有している。
RNA捕捉工程、および第2のアダプター核酸結合工程は、いずれの順番で実施してもよい。一例として、RNA捕捉工程、および第2のアダプター核酸結合工程は、前記の順番で実施される。
「RNA捕捉配列」は、エクソソームに由来するRNAを結合して捕捉するための配列である。
本実施形態にかかる方法は、一例として、エクソソームに由来するRNAに、ポリ(A)などの所定の配列を付加することにより行うことができる。なお、エクソソームに由来するRNAがあらかじめポリ(A)などの所定の配列を有する場合には、前記所定の配列の付加を行う必要はない。ポリ(A)を有するRNAとしては、mRNAが挙げられる。RNA捕捉配列としては、一例として、前記所定の配列の相補配列が挙げられる。以下、一例として、所定の配列がポリ(A)である場合について説明する。
(RNA捕捉工程)
図17は、本実施形態にかかる方法で用いるエクソソーム識別核酸10の一例を示す図である。エクソソーム識別核酸10は、エクソソーム識別配列11に加えて、RNA捕捉配列を有している。図17の例では、エクソソーム識別核酸10は、RNA捕捉配列の一例として、ポリ(T)配列14を有している。図17の例では、エクソソーム識別核酸10は、担体の一例としてのビーズ1に結合した状態で準備されている。
ポリ(T)配列14を有するエクソソーム識別核酸10の調製方法は、特に限定されない。一例として、前記第1実施形態の(1)で説明したように、ビーズ1に結合させた第3のアダプター核酸2に、エクソソーム識別核酸10をハイブリダイズさせて、エマルションPCRを行う際に、ポリ(T)配列またはポリ(A)配列を有するプライマーを用いることにより、ポリ(T)配列14を有するエクソソーム識別核酸10を調製することができる。ポリ(T)配列またはポリ(A)配列の長さは、特に限定されないが、例えば、10〜50残基程度とすることができる。
図18、19は、RNA捕捉工程を説明する図である。
エクソソーム識別核酸10が結合されたビーズ1は、エクソソーム30とともに、液滴5bに封入される。1個の液滴5bには、原則として、1個のビーズ1と、1個のエクソソーム30とが封入される。液滴5bは、一例として、水滴である。液滴5bは、一例として、油中水型エマルション中の水滴である。
液滴5b中には、さらに、界面活性剤6、ポリ(A)ポリメラーゼ8、およびATP等が封入される。エクソソーム30が界面活性剤6により破壊されることにより、エクソソーム30に内包されていたRNA31が液滴5b中に放出される。
ポリ(A)ポリメラーゼ8は、RNA31にポリ(A)配列32を付加する酵素である。ポリ(A)ポリメラーゼ8は、RNAのポリアデニル化反応を触媒するものであれば、特に限定されない。
RNA31に対するポリ(A)配列32の付加は、液滴5b中で、界面活性剤6によりエクソソーム30を溶解させてRNA31を放出させた後、RNA31にポリ(A)ポリメラーゼ8を作用させることにより行うことができる。ポリアデニル化反応の条件は、ポリ(A)ポリメラーゼの種類に応じて、適宜設定すればよい。反応条件としては、例えば、37℃で1時間等が例示される。
ポリ(A)配列32が付加されたRNA31は、ポリ(A)配列32とエクソソーム識別核酸10のポリ(T)配列14とのハイブリダイゼーションを介して、エクソソーム識別核酸10に結合する。
このようにして、エクソソーム識別核酸10にRNA31を結合させることができる。1個のビーズ1には、単一のエクソソーム30から放出されたRNA31−1〜RNA31−5が、エクソソーム識別核酸10に結合している。このようにして調製したビーズ1は、遠心分離等により液滴5bから回収する。その後、適宜、未反応のエクソソーム識別核酸10のブロッキングを行ってもよい。未反応のエクソソーム識別核酸10のブロッキングは、上記第1実施形態における未反応の第1のアダプター核酸20のブロッキングと同様に行うことができる。
一実施形態において、RNA捕捉工程は、エクソソームに由来するRNAに所定の配列を付加する工程と、エクソソーム識別配列と、前記所定の配列の相補配列であるRNA捕捉配列とを有するエクソソーム識別核酸に、前記RNA捕捉配列を介して、前記RNAを結合させる工程と、を含む、ということもできる。
(第2のアダプター核酸結合工程)
図20は、第2のアダプター核酸結合工程を説明する図である。
第2のアダプター核酸結合工程は、上記第1実施形態の(1)における第2のアダプター核酸結合工程と同様に行うことができる。本実施形態において、第2のアダプター核酸は、第2のRNA識別配列41を有している。
上記RNA捕捉工程で調製されたビーズ1において、RNA31は、エクソソーム識別核酸10のポリ(T)配列14と、RNA31に付加されたポリ(A)配列32とのハイブリダイゼーションを介して、エクソソーム識別核酸10に結合している。この状態で、RNA31に第2のアダプター核酸40を結合させる。RNA31と第2のアダプター核酸40との結合は、上記第1実施形態の(1)と同様に行うことができる。
第2のアダプター核酸結合工程の後は、任意に、核酸増幅工程を行ってもよい。本実施形態における核酸増幅工程は、エクソソーム識別配列11またはその相補配列と、RNA31の配列またはその相補配列と、第2のRNA識別配列41またはその相補配列と、を含む領域を増幅する工程である。核酸増幅工程は、上記第1実施形態の(1)における核酸増幅工程と同様に行うことができる。
図21は、核酸結合工程を説明する図である。
第2のアダプター核酸結合工程の後、RNA31−第2のアダプター核酸40が結合された核酸は、エクソソーム識別核酸10にハイブリダイズした状態となっている。この状態で、逆転写酵素を用いて逆転写反応を行うことにより、RNA31−第2のアダプター核酸40が逆転写されて、エクソソーム識別核酸10の3’末端側に隣接して、RNA31の相補配列31’−第2のアダプター核酸40の相補配列40’からなる核酸(cDNA)が形成される。前記核酸は、エクソソーム識別配列11、RNA31の相補配列31’、および第2のRNA識別配列41の相補配列41’を有している。
逆転写反応の後、エクソソーム識別配列11またはその相補配列、RNA31またはその相補配列31’、および第2のRNA識別配列41またはその相補配列41’を含む領域を、PCR等により増幅してもよい。前記PCRに使用するプライマーは、エクソソーム識別配列11またはその相補配列、RNA31またはその相補配列31’、および第2のRNA識別配列41またはその相補配列41’を含む領域を増幅できるものであれば、特に限定されず、上記第1実施形態の(1)で例示したものと同様のものが挙げられる。
本実施形態において、工程(a)の後に得られる核酸としては、図7および図8に示す核酸51−1a〜51−maおよび核酸52−1a〜52−naにおいて、第1のアダプター核酸20の配列を有さないものが例示される。
当該核酸において、図7および図8中、31−1〜31−iおよび31−1〜31−jとして表される配列は、エクソソームに由来するRNA31−1〜31−iおよびRNA31−1〜31−jの相補配列であってもよい。図7および図8中、11−1および1−2として表される配列は、エクソソーム識別核酸10が有するエクソソーム識別配列11−1およびエクソソーム識別配列11−2の相補配列であってもよい。図7および図8中、41−11〜41−1mおよび41−21〜41−2nとして表される配列は、第2のアダプター核酸40が有する第2のRNA識別配列41−11〜41−1mおよび第2のRNA識別配列41−21〜41−2nの相補配列であってもよい。
一例として、図7および図8中、31−1〜31−iおよび31−1〜31−jとして表される配列が、エクソソームに由来するRNA31−1〜31−iおよびRNA31−1〜31−jの相補配列である場合、
11−1および11−2として表される配列は、エクソソーム識別核酸10が有するエクソソーム識別配列11−1およびエクソソーム識別配列11−2と同じ配列であり、
20として表される配列は、RNA捕捉配列(ポリ(T)配列14)に置き換えられ、
41−11〜41−1mおよび41−21〜41−2nとして表される配列は、第2のアダプター核酸40が有する第2のRNA識別配列41−11〜41−1mおよび第2のRNA識別配列41−21〜41−2nの相補配列である。
一例として、図7および図8中、31−1〜31−iおよび31−1〜31−jとして表される配列が、エクソソームに由来するRNA31−1〜31−iおよびRNA31−1〜31−jと同じ配列である場合、
11−1および11−2として表される配列は、エクソソーム識別核酸10が有するエクソソーム識別配列11−1およびエクソソーム識別配列11−2の相補配列であり、
20として表される配列は、所定の配列(ポリ(A)配列32)に置き換えられ、
41−11〜41−1mおよび41−21〜41−2nとして表される配列は、第2のアダプター核酸40が有する第2のRNA識別配列41−11〜41−1mおよび第2のRNA識別配列41−21〜41−2nと同じ配列である。
≪第3実施形態≫
第3実施形態は、上記第1の実施形態における第2のアダプター核酸結合工程を変形例により実施する実施形態である。第1のアダプター核酸結合工程およびRNA結合工程は、上記第1の実施形態と同様に行うことができる。
(第2のアダプター核酸結合工程の変形例)
図22、23は、第2のアダプター核酸結合工程の変形例を説明する図である。
RNA結合工程後、第1のアダプター核酸20にRNA31が結合された核酸は、エクソソーム識別核酸10にハイブリダイズした状態となっている。この状態で、ターミナルヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)活性を有する逆転写酵素を用いて逆転写反応を行う。これにより、第1のアダプター核酸20−RNA31が逆転写されて、エクソソーム識別核酸10の3’末端側に隣接して、第1のアダプター核酸20の相補配列20’−RNA31の相補配列31’(第1のアダプター核酸−RNAのcDNA)が形成される。逆転写酵素が、RNA31の5’末端に到達すると、そのTdT活性により、第1のアダプター核酸の相補配列20’−RNAの相補配列31’の3’末端に特定の短い配列(特定配列62)(例、シトシン(C)に富んだ配列、2〜10残基程度)を付加する(図22)。
前記逆転写反応の反応液中に、特定配列62に相補的な配列(特定相補配列42)と第2のRNA識別配列41とを有する第2のアダプター核酸40を添加しておくと、特定相補配列42と特定配列62とがハイブリダイズし、逆転写酵素は、第2のアダプター核酸40の5’末端まで逆転写反応を行い、特定配列62に続いて第2のアダプター核酸40の相補配列40’(第2のアダプター核酸40のcDNA)が形成される(図23)。このようにして、RNA31の相補配列31’に、第2のアダプター核酸40の相補配列40’を結合させることができる。
逆転写反応の後、エクソソーム識別配列11、RNA31、および第2のRNA識別配列41を含む領域を、PCR等により増幅してもよい。前記PCRに使用するプライマーは、上記第1実施形態で例示したものと同様のものを用いることができる。
本実施形態において、工程(a)の後に得られる核酸としては、図7および図8に示す核酸51−1a〜51−maおよび核酸52−1a〜52−naにおいて、RNA31−1〜31−iと第2のRNA識別配列41−11〜41−1mとの間、および、RNA31−1〜31−jと第2のRNA識別配列41−21〜41−2nとの間に、特定相補配列42を有するものが例示される。
当該核酸において、図7および図8中、31−1〜31−iおよび31−1〜31−jとして表される配列は、エクソソームに由来するRNA31−1〜31−iおよびRNA31−1〜31−jの相補配列であってもよい。図7および図8中、11−1および11−2として表される配列は、エクソソーム識別核酸10が有するエクソソーム識別配列11−1およびエクソソーム識別配列11−2の相補配列であってもよい。図7および図8中、20の配列として表される配列は、第1のアダプター核酸20の相補配列であってもよい。図7および図8中、41−11〜41−1mおよび41−21〜41−2nとして表される配列は、第2のアダプター核酸40が有する第2のRNA識別配列41−11〜41−1mおよび第2のRNA識別配列41−21〜41−2nの相補配列であってもよい。特定相補配列42は、特定配列62に置き換えられてもよい。
一例として、図7および図8中、31−1〜31−iおよび31−1〜31−jとして表される配列が、エクソソームに由来するRNA31−1〜31−iおよびRNA31−1〜31−jの相補配列である場合、
11−1および11−2として表される配列は、エクソソーム識別核酸10が有するエクソソーム識別配列11−1およびエクソソーム識別配列11−2と同じ配列であり、
20として表される配列は、第1のアダプター核酸20の相補配列であり、
31−1〜31−iとして表される配列および41−11〜41−1mとして表される配列の間、並びに31−1〜31−jとして表される配列および41−21〜41−2nとして表される配列の間には、特定配列62が配置され、
41−11〜41−1mおよび41−21〜41−2nとして表される配列は、第2のアダプター核酸40が有する第2のRNA識別配列41−11〜41−1mおよび第2のRNA識別配列41−21〜41−2nの相補配列である。
一例として、図7および図8中、31−1〜31−iおよび31−1〜31−jとして表される配列が、エクソソームに由来するRNA31−1〜31−iおよびRNA31−1〜31−jと同じ配列である場合、
11−1および11−2として表される配列は、エクソソーム識別核酸10が有するエクソソーム識別配列11−1およびエクソソーム識別配列11−2の相補配列であり、
20として表される配列は、第1のアダプター核酸20と同じ配列であり、
31−1〜31−iとして表される配列および41−11〜41−1mとして表される配列の間、並びに31−1〜31−jとして表される配列および41−21〜41−2nとして表される配列の間には、特定相補配列42が配置され、
41−11〜41−1mおよび41−21〜41−2nとして表される配列は、第2のアダプター核酸40が有する第2のRNA識別配列41−11〜41−1mおよび第2のRNA識別配列41−21〜41−2nと同じ配列である。
上記の例では、上記第1実施形態の(1)に対応する実施形態について説明したが、第1実施形態の(2)および(3)に対応する実施形態についても同様に、第2のアダプター核酸結合工程を上記変形例により行うことができる。
第1実施形態の(2)に対応する実施形態において、第2のアダプター核酸結合工程を上記変形例により行う場合、工程(a)の後に得られる核酸としては、図11および図12に示す核酸51−1b〜51−mbおよび核酸52−1b〜52−nbにおいて、RNA31−1〜31−iと第2のRNA識別配列41−11〜41−1mとの間、および、RNA31−1〜31−jと第2のRNA識別配列41−21〜41−2nとの間に、特定相補配列42を有するものが例示される。
図11および図12中、31−1〜31−iおよび31−1〜31−jで表される配列は、エクソソームに由来するRNA31−1〜31−iおよびRNA31−1〜31−jの相補配列であってもよい。図11および図12中、11−1および11−2で表される配列は、エクソソーム識別核酸10が有するエクソソーム識別配列11−1およびエクソソーム識別配列11−2の相補配列であってもよい。図11および図12中、21−11〜21−1mおよび21−11〜21−1nで表される配列は、第1のアダプター核酸20が有する第1のRNA識別配列21−11〜21−1mおよび第1のRNA識別配列21−11〜21−1nの相補配列であってもよい。特定相補配列42は、特定配列62に置き換えられてもよい。
一例として、図11および図12中、31−1〜31−iおよび31−1〜31−jとして表される配列が、エクソソームに由来するRNA31−1〜31−iおよびRNA31−1〜31−jの相補配列である場合、
11−1および11−2として表される配列は、エクソソーム識別核酸10が有するエクソソーム識別配列11−1およびエクソソーム識別配列11−2と同じ配列であり、
21−11〜21−1mおよび21−11〜21−1nとして表される配列は、第1のアダプター核酸20が有する第1のRNA識別配列21−11〜21−1mおよび21−11〜21−1nの相補配列であり、
31−1〜31−iとして表される配列および40として表される配列の間、並びに31−1〜31−jとして表される配列および40として表される配列の間には、特定配列62が配置され、
40として表される配列は、第2のアダプター核酸40の相補配列である。
一例として、図11および図12中、31−1〜31−iおよび31−1〜31−jとして表される配列が、エクソソームに由来するRNA31−1〜31−iおよびRNA31−1〜31−jと同じ配列である場合、
11−1および11−2として表される配列は、エクソソーム識別核酸10が有するエクソソーム識別配列11−1およびエクソソーム識別配列11−2の相補配列であり、
21−11〜21−1mおよび21−11〜21−1nとして表される配列は、第1のアダプター核酸20が有する第1のRNA識別配列21−11〜21−1mおよび21−11〜21−1nと同じ配列であり、
31−1〜31−iとして表される配列および40として表される配列の間、並びに31−1〜31−jとして表される配列および40として表される配列の間には、特定相補配列42が配置され、
40として表される配列は、第2のアダプター核酸40と同じ配列である。
第1実施形態の(3)に対応する実施形態において、第2のアダプター核酸結合工程を上記変形例により行う場合、工程(a)の後に得られる核酸としては、図15および図16に示す核酸51−1c〜51−mcおよび核酸52−1c〜52−ncにおいて、RNA31−1〜31−iと第2のRNA識別配列41−11〜41−1mとの間、および、RNA31−1〜31−jと第2のRNA識別配列41−21〜41−2nとの間に、特定相補配列42を有するものが例示される。
一例として、図15および図16中、31−1〜31−iおよび31−1〜31−jとして表される配列が、エクソソームに由来するRNA31−1〜31−iおよびRNA31−1〜31−jの相補配列である場合、
11−1および11−2として表される配列は、エクソソーム識別核酸10が有するエクソソーム識別配列11−1およびエクソソーム識別配列11−2と同じ配列であり、
21−11〜21−1mおよび21−11〜21−1nとして表される配列は、第1のアダプター核酸20が有する第1のRNA識別配列21−11〜21−1mおよび21−11〜21−1nの相補配列であり、
31−1〜31−iとして表される配列および41−11〜41−1mとして表される配列の間、並びに31−1〜31−jとして表される配列および41−21〜41−2nとして表される配列の間には、特定配列62が配置され、
41−11〜41−1mおよび41−21〜41−2nとして表される配列は、第2のアダプター核酸40が有する第2のRNA識別配列41−11〜41−1mおよび第2のRNA識別配列41−21〜41−2nの相補配列である。
一例として、図15および図16中、31−1〜31−iおよび31−1〜31−jとして表される配列が、エクソソームに由来するRNA31−1〜31−iおよびRNA31−1〜31−jと同じ配列である場合、
11−1および11−2として表される配列は、エクソソーム識別核酸10が有するエクソソーム識別配列11−1およびエクソソーム識別配列11−2の相補配列であり、
21−11〜21−1mおよび21−11〜21−1nとして表される配列は、第1のアダプター核酸20が有する第1のRNA識別配列21−11〜21−1mおよび21−11〜21−1nと同じ配列であり、
31−1〜31−iとして表される配列および41−11〜41−1mとして表される配列の間、並びに31−1〜31−jとして表される配列および41−21〜41−2nとして表される配列の間には、特定相補配列42が配置され、
41−11〜41−1mおよび41−21〜41−2nとして表される配列は、第2のアダプター核酸40が有する第2のRNA識別配列41−11〜41−1mおよび第2のRNA識別配列41−21〜41−2nと同じ配列である。
≪第4実施形態≫
第4実施形態は、上記第2の実施形態における第2のアダプター核酸結合工程を、上記第2のアダプター核酸結合工程の変形例により実施する実施形態である。
(RNA捕捉工程)
RNA捕捉工程は、上記第2の実施形態と同様に行うことができる。
(第2のアダプター核酸結合工程の変形例)
図24、25は、本実施形態における第2のアダプター核酸結合工程の変形例を説明する図である。第2のアダプター核酸結合工程の変形例は、第1のアダプター核酸20を有さないこと以外は、上記第3実施形態と同様に行うことができる。
RNA結合工程後、ポリ(A)配列32を有するRNA31は、エクソソーム識別核酸10にハイブリダイズした状態となっている。この状態で、ターミナルヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)活性を有する逆転写酵素を用いて逆転写反応を行う。これにより、RNA31が逆転写されて、エクソソーム識別核酸10の3’末端側に隣接して、RNA31の相補配列31’(RNA31のcDNA)が形成される。逆転写酵素が、RNA31の5’末端に到達すると、そのTdT活性により、RNAの相補配列31’の3’末端に特定配列62を付加する(図24)。
前記逆転写反応の反応液中に、特定相補配列42と第2のRNA識別配列41とを有する第2のアダプター核酸40を添加しておくと、特定相補配列42と特定配列62とがハイブリダイズし、逆転写酵素は、第2のアダプター核酸40の5’末端まで逆転写反応を行い、特定配列62に続いて第2のアダプター核酸40の相補配列40’(第2のアダプター核酸40のcDNA)が形成される(図25)。このようにして、RNA31の相補配列31’に、第2のアダプター核酸40の相補配列40’を結合させることができる。
逆転写反応の後、エクソソーム識別配列11、RNA31、および第2のRNA識別配列41を含む領域を、PCR等により増幅してもよい。前記PCRに使用するプライマーは、上記第1実施形態で例示したものと同様のものを用いることができる。
本実施形態において、工程(a)の後に得られる核酸としては、図7および図8に示す核酸51−1a〜51−maおよび核酸52−1a〜52−naにおいて、第1のアダプター核酸20の配列を有さず、且つRNA31−1〜31−iと第2のRNA識別配列41−11〜41−1mとの間、および、RNA31−1〜31−jと第2のRNA識別配列41−21〜41−2nとの間に、特定相補配列42を有するものが例示される。
当該核酸において、図7および図8中、31−1〜31−imおよび31−1〜31−jとして表される配列は、エクソソームに由来するRNA31−1〜31−iおよびRNA31−1〜31−jの相補配列であってもよい。図7および図8中、11−1および11−2として表される配列は、エクソソーム識別核酸10が有するエクソソーム識別配列11−1およびエクソソーム識別配列11−2の相補配列であってもよい。図7および図8中、41−11〜41−1mおよび41−21〜41−2nとして表される配列は、第2のアダプター核酸40が有する第2のRNA識別配列41−11〜41−1mおよび第2のRNA識別配列41−21〜41−2nの相補配列であってもよい。特定相補配列42は、特定配列62に置き換えられてもよい。
一例として、図7および図8中、31−1〜31−iおよび31−1〜31−jとして表される配列が、エクソソームに由来するRNA31−1〜31−iおよびRNA31−1〜31−jの相補配列である場合、
11−1および11−2として表される配列は、エクソソーム識別核酸10が有するエクソソーム識別配列11−1およびエクソソーム識別配列11−2と同じ配列であり、
20として表される配列は、RNA捕捉配列(ポリ(T)配列14)に置き換えられ、
31−1〜31−iとして表される配列および41−11〜41−1mとして表される配列の間、並びに31−1〜31−jとして表される配列および41−21〜41−2nとして表される配列の間には、特定配列62が配置され、
41−11〜41−1mおよび41−21〜41−2nとして表される配列は、第2のアダプター核酸40が有する第2のRNA識別配列41−11〜41−1mおよび第2のRNA識別配列41−21〜41−2nの相補配列である。
一例として、図7および図8中、31−1〜31−iおよび31−1〜31−jとして表される配列が、エクソソームに由来するRNA31−1〜31−iおよびRNA31−1〜31−jと同じ配列である場合、
11−1および11−2として表される配列は、エクソソーム識別核酸10が有するエクソソーム識別配列11−1およびエクソソーム識別配列11−2の相補配列であり、
20として表される配列は、所定の配列(ポリ(A)配列32)に置き換えられ、
31−1〜31−iとして表される配列および41−11〜41−1mとして表される配列の間、並びに31−1〜31−jとして表される配列および41−21〜41−2nとして表される配列の間には、特定相補配列42が配置され、
41−11〜41−1mおよび41−21〜41−2nとして表される配列は、第2のアダプター核酸40が有する第2のRNA識別配列41−11〜41−1mおよび第2のRNA識別配列41−21〜41−2nと同じ配列である。
上記の例では、エクソソーム識別核酸10を結合させる担体としてビーズ1を例示したが、担体は、ビーズに限定されず、核酸を結合可能な粒子状の担体であれば、特に制限なく用いることができる。粒子状担体の例としては、例えば、ビーズ(磁気ビーズ、樹脂ビーズ等)、ハイドロゲル粒子(アルギン酸ナトリウムゲル、アガロースゲルなど)、金ナノ粒子等が挙げられる。粒子状担体の粒子径は、特に限定されないが、例えば、1〜20μm程度が挙げられる。
<工程(b)>
工程(b)は、工程(a)で作製された核酸の配列を解析する工程である。
核酸配列の解析方法は、特に限定されず、公知の配列解析方法を用いることができる。例えば、配列解析方法としては、シーケンサーにより塩基配列を決定する方法、検出プローブを用いた核酸マイクロアレイを用いる方法等が挙げられる。
一例として、配列解析方法は、シーケンサーにより塩基配列を決定する方法である。シーケンサーとしては、一例として、次世代シーケンサーが挙げられる。次世代シーケンサーを用いることにより、多数の核酸の塩基配列を高速で決定することができる。
塩基配列が決定された核酸は、共通のエクソソーム識別配列11を有する核酸毎にグループ分けすることができる。次いで、各グループ内で、RNAの種類およびそれらの存在比を分析する。その際に、核酸増幅反応等により生じた存在比の変動は、第1のRNA識別配列21および第2のRNA識別配列41のいずれかまたは両方の配列情報に基づき、補正することができる。これにより、単一エクソソームに由来するRNAの種類およびそれらの存在比に関する正確な情報を取得することができる。
本実施態様にかかるRNAの解析方法によれば、エクソソーム識別配列によりエクソソームを識別し、RNA識別配列により核酸増幅反応等により生じるRNAの存在比の変動を補正することができるため、エクソソーム毎にRNAの種類およびその存在比を解析することができる。そのため、例えば、がん細胞等の異常細胞から放出された特定のエクソソームに由来するRNA(例えば、miRNA)を高感度に精度よく定量することができる。したがって、血液試料から、がん等の疾患を診断する方法に適用することができる。
[核酸の作製方法]
一実施態様において、本発明は、エクソソームに由来するRNAの配列またはその相補配列と、前記エクソソームを識別するエクソソーム識別配列と、前記RNAを識別するRNA識別配列と、を有する核酸の作製方法を提供する。
一実施形態において、本実施態様にかかる核酸の作製方法は、エクソソーム識別配列またはその相補配列と第1の相補配列とを有するエクソソーム識別核酸に、前記第1の相補配列に相補的な配列を有する第1のアダプター核酸を結合させる工程と、前記第1のアダプター核酸に、エクソソームに由来するRNAを結合させる工程と、前記RNAに、第2のアダプター核酸を結合させる工程と、を含む。前記第1のアダプター核酸および前記第2のアダプター核酸の少なくとも一方は、前記RNA識別配列またはその相補配列を有する。
本実施形態にかかる核酸の作製方法は、上記実施態様にかかるRNA解析方法の工程(a)の第1実施形態または第3実施形態と同様に行うことができる。
本実施形態にかかる核酸の作製方法は、上記RNA解析方法の工程(a)の第1実施形態または第3実施形態と同様に、エクソソーム識別配列またはその相補配列と、RNA識別配列またはその相補配列と、前記RNAの配列またはその相補配列と、を含む領域を増幅する工程、をさらに含んでいてもよい。
本実施形態にかかる核酸の作製方法により作製される核酸は、上記実施態様にかかるRNA解析方法の工程(a)の第1実施形態または第3実施形態で得られる核酸と同様である。
一実施形態において、本実施態様にかかる核酸の作製方法は、エクソソーム識別配列と、エクソソームに由来するRNAを捕捉するRNA捕捉配列とを有するエクソソーム識別核酸に、前記RNA捕捉配列を介して、前記RNAを結合させる工程と、前記RNAに、前記RNA識別配列を有する核酸を結合させる工程と、を含む。
本実施態様にかかる核酸の作製方法は、上記実施態様にかかるRNA解析方法の工程(a)の第2実施形態または第4実施形態と同様に行うことができる。本実施形態における「RNA識別配列を有する核酸」は、上記実施態様にかかるRNA解析方法の工程(a)の第2実施形態または第4実施形態における「第2のアダプター核酸」に該当する。
本実施形態にかかる核酸の作製方法は、上記RNA解析方法の工程(a)の第2実施形態または第4実施形態と同様に、エクソソーム識別配列またはその相補配列と、RNA識別配列その相補配列と、前記RNAの配列またはその相補配列と、を含む領域を増幅する工程、をさらに含んでいてもよい。
本実施形態にかかる核酸の作製方法により作製される核酸は、上記実施態様にかかるRNA解析方法の工程(a)の第2実施形態または第4実施形態で得られる核酸と同様である。
[核酸]
一実施態様において、本発明は、エクソソームに由来するRNAの配列またはその相補配列と、前記エクソソームを識別する前記エクソソーム識別配列と、前記RNAを識別するRNA識別配列と、を有する核酸を提供する。
エクソソームに由来するRNAの配列またはその相補配列、エクソソーム識別配列、およびRNA識別配列は、上記「[RNAの解析方法]」で説明したものと同様のものである。RNA識別配列は、RNAの5’末端側および3’末端側のいずれに位置していてもよく、RNAの5’末端側および3’末端側の両方に位置していてもよい。
本実施態様にかかる核酸は、エクソソーム識別配列、RNAの配列またはその相補配列、およびRNA識別配列に加えて、さらに、5’末端および3’末端の少なくとも一方に任意の配列を含んでいてもよい。前記任意の配列は、核酸増幅反応におけるプライマーアニーリングサイトとして利用され得る。
本実施態様にかかる核酸は、上記実施態様にかかるRNA解析方法の工程(a)において作製される核酸と同様のものである。工程(a)は、第1〜第4実施形態のいずれの実施形態で行ったものであってもよい。
本実施態様にかかる核酸は、一例として、デオキシリボ核酸である。本実施態様にかかる核酸の具体例としては、図7に示される核酸51−1a〜5ma、図8に示される核酸52−1a〜52na、図11に示される51−1b〜51−mb、図12に示される核酸52−1b〜52nb、図15に示される51−1c〜51−mc、図16に示される核酸52−1c〜52nc等が挙げられる。また、前記の核酸において、RNA31もしくはその相補配列と第2のRNA識別配列41もしくはその相補配列との間に、特定相補配列42もしくは特定配列62を有するものが例示される(前記工程(a)の第3実施形態で作製される核酸)。また、前記の核酸において、第1のアダプター核酸20の配列を有さないものが挙げられる(前記工程(a)の第2実施形態および第4実施形態で作製される核酸)。
本実施態様にかかる核酸の具体例を以下に例示する。
(例1)
5’側から3’側に向かって、エクソソーム識別配列、RNAの配列またはその相補配列、および第2のRNA識別配列が、この順で配置された核酸。前記エクソソーム識別配列の5’末端側には任意の配列を有していてもよい。前記第2のRNA識別配列の3’末端側には任意の配列を有していてもよい。前記エクソソーム識別配列と前記RNAの配列またはその相補配列との間には、任意の配列を有していてもよい。前記RNAの配列またはその相補配列と第2のRNA識別配列との間には、任意の配列を有していてもよい。
(例2)
5’側から3’側に向かって、エクソソーム識別配列、第1のRNA識別配列、およびRNAの配列またはその相補配列が、この順で配置された核酸。前記エクソソーム識別配列の5’末端側には任意の配列を有していてもよい。前記RNAの配列またはその相補配列の3’末端側には任意の配列を有していてもよい。前記エクソソーム識別配列と前記第1のRNA識別配列との間には、任意の配列を有していてもよい。前記第1のRNA識別配列と前記RNAの配列またはその相補配列との間には、任意の配列を有していてもよい。
(例3)
5’側から3’側に向かって、エクソソーム識別配列、第1のRNA識別配列、RNAの配列またはその相補配列、および第2のRNA識別配列が、この順で配置された核酸。前記エクソソーム識別配列の5’末端側には任意の配列を有していてもよい。前記RNAの配列またはその相補配列の3’末端側には任意の配列を有していてもよい。前記エクソソーム識別配列と前記第1のRNA識別配列との間には、任意の配列を有していてもよい。前記第1のRNA識別配列と前記RNAの配列またはその相補配列との間には、任意の配列を有していてもよい。前記RNAの配列またはその相補配列と第2のRNA識別配列との間には、任意の配列を有していてもよい。
(例4)
前記例1の核酸において、前記エクソソーム識別配列と前記RNAの配列またはその相補配列との間に、所定の配列(例、ポリ(T)、10〜50残基程度)を含む任意の配列を有する核酸。
(例5〜7)
前記例1、3、および4の各核酸において、前記RNAの配列またはその相補配列と前記第2のRNA識別配列との間に、TdT活性により形成される特定配列(例、Cに富んだ短い配列(例えば、2〜10残基))を含む任意の配列を有する核酸。
(例8)
前記例2の核酸において、前記RNAの配列またはその相補配列の3’末端側に、TdT活性により形成される特定配列(例、Cに富んだ短い配列(例えば、3〜10残基))を含む任意の配列を有する核酸。
(例9〜16)
前記例1〜8の各核酸の相補配列からなる核酸。
前記例1〜8のいずれかの核酸と、その相補鎖からなる二本鎖核酸。
[キット]
一実施態様において、本発明は、エクソソームを識別するエクソソーム識別配列を有するエクソソーム識別核酸と、前記エクソソームに由来する個々のRNAを識別するRNA識別配列を有するアダプター核酸と、1個の液滴内に1個の粒子状担体と1個のエクソソームとを封入させる流路を有する流体デバイスと、を備える、キットを提供する。
本実施態様にかかるキットは、上記実施態様にかかるRNAの解析方法に使用することができる。上記実施態様にかかるRNAの解析方法に必要な試薬およびデバイスをキット化することにより、容易に上記実施態様にかかるRNAの解析方法を実施することができる。
<エクソソーム識別核酸>
エクソソーム識別核酸は、エクソソームを識別するエクソソーム識別配列またはその相補配列を有する。一実施形態において、エクソソーム識別核酸は、エクソソーム識別配列またはその相補配列に加えて、第1の相補配列と、第2の相補配列12とを有する。これらの配列およびエクソソーム識別核酸は、上記「[RNAの解析方法]」で説明したものと同様のものである。エクソソーム識別核酸は、ホスホロアミダイト法等の公知の核酸合成方法等により、合成することができる。
<アダプター核酸>
アダプター核酸は、エクソソームに由来する個々のRNAを識別するRNA識別配列またはその相補配列(以下、まとめて「RNA識別配列」と記載する場合がある)を有する。アダプター核酸としては、第1のRNA識別配列を有する第1のアダプター核酸、および第2のRNA識別配列を有する第2のアダプター核酸が挙げられる。本実施態様にかかるキットが第1のRNA識別配列を有する第1のアダプター核酸を有する場合、本実施態様にかかるキットは、さらに第2のRNA識別配列を有さない第2のアダプター核酸を備えていてもよい。本実施態様にかかるキットが第2のRNA識別配列を有する第2のアダプター核酸を有する場合、本実施態様にかかるキットは、さらに第1のRNA識別配列を有さない第1のアダプター核酸を備えていてもよい。
≪第1のアダプター核酸≫
第1のアダプター核酸は、前記エクソソーム識別配列が有する第1の相補配列に相補的な配列を有する。第1のアダプター核酸は、上記「[RNAの解析方法]」で説明したものと同様のものである。第1のアダプター核酸は、ホスホロアミダイト法等の公知の核酸合成方法等により、合成することができる。
第1のアダプター核酸は、第1のRNA識別配列を有していてもよく、有していなくてもよい。ただし、後述の第2のアダプター核酸が第2のRNA識別配列を有さない場合、第1のアダプター核酸は、第1のRNA識別配列を有する。第1のRNA識別配列は、上記「[RNAの解析方法]」で説明したものと同様のものである。
一例として、第1のアダプター核酸の5’末端はアデニル化されていてもよい。第1のアダプター核酸の5’末端がアデニル化されていることにより、第1のアダプター核酸とRNAとの結合を効率よく行うことができる。
≪第2のアダプター核酸≫
第2のアダプター核酸は、本実施態様にかかるキットにより作製される核酸の増幅反応を行う際に、プライマーアニーリング領域を提供する。第2のアダプター核酸は、上記「[RNAの解析方法]」で説明したものと同様のものである。第2のアダプター核酸は、ホスホロアミダイト法等の公知の核酸合成方法等により、合成することができる。
第2のアダプター核酸は、第2のRNA識別配列を有していてもよく、有していなくてもよい。ただし、上述の第1のアダプター核酸が第1のRNA識別配列を有さない場合、第2のアダプター核酸は、第2のRNA識別配列を有する。第2のRNA識別配列は、上記「[RNAの解析方法]」で説明したものと同様のものである。第2のアダプター核酸が第2のRNA識別配列を有する場合、一例として、第2のRNA識別配列は、第2のアダプター核酸の3’末端に配置される。第2のRNA識別配列が、第2のアダプター核酸の3’末端に配置されることにより、第2のアダプター核酸とRNAとの結合を効率よく行うことができる。
第2のアダプター核酸は、TdT活性を有する逆転写酵素によりDNAに付加される特定配列に相補的(特定相補配列)な配列を3’末端に有していてもよい。
<流体デバイス(第1の流体デバイス)>
流体デバイスは、1個の液滴内に1個の担体と1個のエクソソームとを封入させる流路を有する流体デバイスである。1個の液滴内に1個の担体と1個のエクソソームとを封入可能なものであれば、流体デバイスの構造は特に限定されない。流体デバイスは、一例として、油中水滴を作製可能な流体デバイスであって、1個の水滴内に1個のビーズと1個のエクソソームとを封入可能な流体デバイスである。以下、後述の第2の流体デバイスと区別するため「第1の流体デバイス」ということがある。
図26は、第1の流体デバイスの具体例を示す図である。図26に例示する流体デバイス110は、油溶液用インレット111、第1の水溶液用インレット112、第2の水溶液用インレット113、および油中水滴用アウトレット115を備えている。流体デバイス110は、さらに、油溶液用インレット111から供給された油溶液が流れる油溶液用流路116、第1の水溶液用インレット112から供給された水溶液が流れる第1の水溶液用流路117、第2の水溶液用インレット113から供給された水溶液が流れる第2の水溶液用流路118、油溶液用流路116と第1の水溶液用流路117と第2の水溶液用流路118との交差部114、ならびに交差部114で生成された油中水滴を油中水滴用アウトレット115に運搬する油中水滴用流路119を備えている。交差部114では、図26bおよび図26cに示すように、第1の水溶液用流路117、第2の水溶液用流路118および油中水滴用流路119の流路幅が狭窄している。この交差部114の構造により、第1の水溶液用流路117および第2の水溶液用流路118から供給される水溶液が、油溶液用流路116を流れる油溶液により分断されて、油中液滴(油中水滴)が形成される。
流体デバイス110において、一例として、油溶液用流路116、第1の水溶液用流路117、第2の水溶液用流路118、および油中水滴用流路119の流路幅は60μmであり、狭窄部の幅は30μmであり、全流路の高さは50μmである。流路幅、狭窄部の幅、および流路の高さは、前記のものに限定されず、使用するビーズの大きさに応じて適宜設定可能である。例えば、流路の幅を40〜100μm、狭窄部の幅を10〜50μm、流路の高さを30〜100μm等とすることができる。
油溶液用インレット111から油溶液用流路116への出口付近には、油溶液用流路116の目詰まりを防ぐために、マイクロピラー等からなるフィルターが設置されていてもよい。第1の水溶液用インレット112から水溶液用流路117への出口付近には、水溶液用流路117の目詰まりを防ぐために、マイクロピラー等からなるフィルターが設置されていてもよい。第2の水溶液用インレット113から水溶液用流路118への出口付近には、水溶液用流路118の目詰まりを防ぐために、マイクロピラー等からなるフィルターが設置されていてもよい。
上記のような構成を備える流体デバイス110の使用方法について説明する。以下の説明では、担体の一例としてビーズを用いているが、粒子状の固相担体であれば、他の担体でも同様に実施することができる。
まず、油溶液用インレット111から油溶液を注入する。注入された油溶液は、油溶液用流路116に供給される。次いで、第1の水溶液用インレット112からビーズを含む水溶液を注入する。注入されたビーズ含有水溶液は水溶液用流路117に供給されて、交差部114で油溶液と交差する。また、第2の水溶液用インレット113からエクソソームを含む水溶液を注入する。注入されたエクソソーム含有水溶液は水溶液用流路118に供給されて、交差部114で油溶液と交差する。
交差部114では、第1の水溶液用流路117から供給されるビーズ含有水溶液と、第2の水溶液用流路118から供給されるエクソソーム含有水溶液とが合流し、油溶液用流路116から供給される油溶液により分断されて、油中水滴が生成される。この際に、油中水滴内に、一定の割合で、1個のビーズと1個のエクソソームとが封入される。
交差部114で生成された油中水滴は、油中水滴用流路119を通って油中水滴用アウトレット115に到達する。油中水滴用アウトレット115に到達した油中水滴は、マイクロピペット等により油中水滴用アウトレット115から回収することができる。
流体デバイス110には、図示しない動力源が接続されていてもよく、前記動力源により、油溶液用流路116、第1の水溶液用流路117、および第2の水溶液用流路118を流れる油溶液および水溶液の流れが制御されてもよい。
上記において、ビーズ含有水溶液中のビーズ濃度が濃すぎると、1個の油中水滴に複数のビーズが封入される可能性があるため、5〜15個程度の水滴に、1個の割合でビーズが封入される程度のビーズ濃度に設定してもよい。一例として、ビーズ濃度は、10〜10個/100μL程度とすることができる。また、エクソソーム含有水溶液中のエクソソーム濃度が濃すぎると、1個の油中水滴に複数のエクソソームが封入される可能性があるため、5〜15個程度の水滴に、1個の割合でエクソソームが封入される程度のエクソソーム濃度に設定してもよい。一例として、エクソソーム濃度は、10〜10個/100μL程度とすることができる。
また、ビーズ含有水溶液に、ビーズに加えて、適宜必要な試薬(例えば、界面活性剤、RNAリガーゼ、ポリ(A)ポリメラーゼ、RNA分解酵素阻害剤など)を添加しておくことにより、ビーズおよびエクソソームと共にこれらの試薬を水滴内に封入することができる。
流体デバイス110の油溶液用インレット111には、あらかじめ予め油溶液が充填されていてもよい。第1の水溶液用インレット112には、エクソソーム識別核酸を結合させたビーズ、界面活性剤、RNAリガーゼ、ポリ(A)ポリメラーゼ、ATP、RNA分解酵素阻害剤等を含む水溶液が予め充填されていてもよい。
<他の構成>
本実施形態のキットは、上記構成に加えて、任意に他の構成を備えていてもよい。他の構成としては、例えば、第2の流体デバイス、エクソソーム識別核酸の第2の相補配列に相補的な配列を有する第3のアダプター核酸を結合させた担体、プライマー等が挙げられる。
(第2の流体デバイス)
第2の流体デバイスは、1個の液滴内に1個の担体を封入させる流路を有する流体デバイスである。1個の液滴内に1個の粒子状担体を封入可能なものであれば、流体デバイスの構造は特に限定されない。第1の流体デバイスは、一例として、油中水滴を作製可能な流体デバイスであって、1個の水滴内に1個の粒子状担体を封入可能な流体デバイスである。
図27は、第2の流体デバイスの具体例を示す図である。図27に例示する流体デバイス100は、油溶液用インレット101、水溶液用インレット102、および油中水滴用アウトレット104を備えている。流体デバイス100は、さらに、油溶液用インレット101から供給された油溶液が流れる油溶液用流路105、水溶液用インレット102から供給された水溶液が流れる水溶液用流路106、油溶液用流路105と水溶液用流路106との交差部103、ならびに交差部103で生成された油中水滴を油中水滴用アウトレット104に運搬する油中水滴用流路107を備えている。交差部103では、図27cに示すように、水溶液用流路106および油中水滴用流路107の流路幅が狭窄している。この交差部103の構造により、水溶液用流路106を流れる水溶液が、油溶液用流路105を流れる油溶液により分断されて、油中液滴(油中水滴)が形成される。
流体デバイス100において、一例として、油溶液用流路105、水溶液用流路106、および油中水滴用流路107の流路幅は100μmであり、狭窄部の幅は40μmであり、全流路の高さは50μmである。流路幅、狭窄部の幅、および流路の高さは、前記のものに限定されず、使用するビーズの大きさに応じて適宜設定可能である。例えば、流路の幅を50〜300μm、狭窄部の幅を20〜80μm、流路の高さを30〜100μm等とすることができる。
油溶液用インレット101から油溶液用流路105への出口付近には、油溶液用流路105の目詰まりを防ぐために、マイクロピラー等からなるフィルターが設置されていてもよい。水溶液用インレット102から水溶液用流路106への出口付近には、水溶液用流路106の目詰まりを防ぐために、マイクロピラー等からなるフィルターが設置されていてもよい。
上記のような構成を備える流体デバイス100の使用方法について説明する。以下の説明では、粒子状担体の一例としてビーズを用いているが、粒子状の固相担体であれば、他の担体でも同様に実施することができる。
まず、油溶液用インレット101から油溶液を注入する。注入された油溶液は、油溶液用流路105に供給される。次いで、水溶液用インレット102から水溶液を注入する。注入された水溶液は水溶液用流路106に供給されて、交差部103で油溶液と交差する。この際に、水溶液用流路106から供給された水溶液が油溶液用流路105を流れる油溶液により分断されて、油中水滴が生成される。交差部103で生成された油中水滴は、油中水滴用流路107を通って油中水滴用アウトレット104に到達する。油中水滴用アウトレット104に到達した油中水滴は、マイクロピペット等により油中水滴用アウトレット104から回収することができる。
流体デバイス100には、図示しない動力源が接続されていてもよく、前記動力源により、油溶液用流路105および水溶液用流路106を流れる油溶液および水溶液の流れが制御されてもよい。
上記において、水溶液用インレット102に注入する水溶液にビーズを混合しておくことにより、交差部103で油中水滴が生成する際に、1個のビーズを1個の油中水滴に封入することができる。水溶液中のビーズ濃度が濃すぎると、1個の油中水滴に複数のビーズが封入される可能性があるため、5〜15個程度の水滴に、1個の割合でビーズが封入される程度のビーズ濃度に設定してもよい。一例として、ビーズ濃度は、10〜10個/100μL程度とすることができる。
また、水溶液に、ビーズに加えて、適宜必要な試薬(例えば、DNAポリメラーゼ、dNTP、プライマーなど)を添加しておくことにより、ビーズと共にこれらの試薬を水滴内に封入することができる。
流体デバイス100の油溶液用インレット101には、あらかじめ予め油溶液が充填されていてもよい。水溶液用インレット102には、第3のアダプター核酸を結合させたビーズ、DNAポリメラーゼ、dNTP等を含む水溶液が予め充填されていてもよい。
(担体)
担体は、一例として、エクソソーム識別核酸の第2の相補配列に相補的な配列を有する第3のアダプター核酸を結合させた粒子状担体である。粒子状担体の例としては、例えば、ビーズ(磁気ビーズ、樹脂ビーズ等)、ハイドロゲル粒子(アルギン酸ナトリウムゲル、アガロースゲルなど)、金ナノ粒子等が挙げられる。粒子状担体の粒子径は、特に限定されないが、例えば、1〜20μm程度が挙げられる。粒子状担体と第3のアダプター核酸との結合方法は、粒子状担体の種類に応じて、適宜選択することができる。一例として、アビジン−ビオチン結合を利用する方法、核酸をアミノ基、ホルミル基、SH基、などの官能基で修飾し、粒子状担体をアミノ基、ホルミル基、エポキシ基などを有するシランカップリング剤で表面処理したものを利用する方法、金-チオール結合を利用する方法等が挙げられる。第3のアダプター核酸は、上記「[RNAの解析方法]」で説明したものと同様のものである。第3のアダプター核酸は、ホスホロアミダイト法等の公知の核酸合成方法等により、合成することができる。
(プライマー)
プライマーとしては、エクソソーム識別核酸のエクソソーム識別配列、前記エクソソーム識別核酸に結合されたエクソソームに由来するRNAの配列もしくはその相補配列、および前記エクソソーム識別核酸もしくは前記RNAに結合されたアダプター核酸のRNA識別配列を含む領域を増幅可能なプライマーセットを構成するプライマーが挙げられる。プライマーの具体例としては、下記第1のプライマー、第2のプライマー、および第3のプライマーが挙げられる。
(第1のプライマー)
第1のプライマーは、エクソソーム識別核酸の第1の相補配列にアニーリングし得るプライマーである。第1のプライマーは、前記ビーズに結合する第3のアダプター核酸とともに、ビーズ上で、エクソソーム識別核酸を増幅するために用いられる。第1のプライマーは、第1の相補配列にアニーリングして、エクソソーム識別核酸を増幅し得るものであれば、特に限定されない。一例として、第1のプライマーは、エクソソームに由来するRNAを捕捉するRNA捕捉配列またはその相補配列を有していてもよい。前記RNA捕捉配列としては、ポリ(T)が挙げられる。第1のプライマーは、ホスホロアミダイト法等の公知の核酸合成方法等により、合成することができる。
(第2のプライマー)
第2のプライマーは、エクソソーム識別核酸の前記第2の相補配列または第3のアダプター核酸にアニーリングし得るプライマーである。第2のプライマーは、後述する第3のプライマーとともに、エクソソーム識別配列とRNAとRNA識別配列とを含む領域を増幅するために用いられる。第2のプライマーは、エクソソーム識別核酸の前記第2の相補配列または第3のアダプター核酸にアニーリングして、エクソソーム識別配列とRNAとRNA識別配列とを含む領域を増幅し得るものであれば、特に限定されない。第2のプライマーは、ホスホロアミダイト法等の公知の核酸合成方法等により、合成することができる。
(第3のプライマー)
第3のプライマーは、第2のアダプター核酸にアニーリングし得るプライマーである。第3のプライマーは、前述の第2のプライマーとともに、エクソソーム識別配列とRNAとRNA識別配列とを含む領域を増幅するために用いられる。第3のプライマーは、第2のアダプター核酸にアニーリングして、エクソソーム識別配列とRNAとRNA識別配列とを含む領域を増幅し得るものであれば、特に限定されない。第2のアダプター核酸が第2のRNA識別配列を有する場合、第3のプライマーは、第2のアダプター核酸において、第2のRNA識別配列の5’末端側にアニーリングするように設計される。第3のプライマーは、ホスホロアミダイト法等の公知の核酸合成方法等により、合成することができる。
本実施態様のキットは、上記の構成のほか、RNAリガーゼ、DNAポリメラーゼ、ポリ(A)ポリメラーゼ、逆転写酵素、dNTP、ATPおよび界面活性剤からなる群より選択される、少なくとも1種を備えていてもよい。これらの試薬は、上記実施態様にかかるRNAの解析方法において使用することができる。
本実施態様にかかるキットの構成例を以下に例示するが、これらに限定されない。
(構成例1)
エクソソーム識別配列またはその相補配列と第1の相補配列とを有するエクソソーム識別核酸、エクソソーム識別核酸を結合させた担体、第1の相補配列に相補的な配列を有する第1のアダプター核酸、第2のRAN識別配列またはその相補配列を有する第2のアダプター核酸、第2のプライマー、第3のプライマー、界面活性剤、RNAリガーゼ、逆転写酵素、dNTP、DNAポリメラーゼ、第1の流体デバイス。
(構成例2)
エクソソーム識別配列またはその相補配列と第1の相補配列とを有するエクソソーム識別核酸、エクソソーム識別核酸を結合させた担体、第1の相補配列に相補的な配列と第1のRNA識別配列またはその相補配列とを有する第1のアダプター核酸、第2のアダプター核酸、第2のプライマー、第3のプライマー、界面活性剤、RNAリガーゼ、逆転写酵素、dNTP、DNAポリメラーゼ、第1の流体デバイス。
(構成例3)
エクソソーム識別配列またはその相補配列と第1の相補配列とを有するエクソソーム識別核酸、エクソソーム識別核酸を結合させた担体、第1の相補配列に相補的な配列と第1のRNA識別配列またはその相補配列とを有する第1のアダプター核酸、第2のRNA識別配列を有する第2のアダプター核酸、第2のプライマー、第3のプライマー、界面活性剤、RNAリガーゼ、逆転写酵素、dNTP、DNAポリメラーゼ、第1の流体デバイス。
(構成例4〜6)
上記構成例1〜3のそれぞれにおいて、エクソソーム識別核酸が第2の相補配列をさらに有し、エクソソーム識別核酸を結合させた担体に替えて、第3のアダプター核酸を結合させた担体、第1のプライマー、および第2の流体デバイスを備える構成。
(構成例7〜12)
上記構成例1〜6のそれぞれにおいて、逆転写酵素がTdT活性を有する逆転写酵素であり、第2のアダプター核酸がさらに前記TdT活性により核酸に付加される特定配列に相補的な特定相補配列を有する構成。
(構成例13)
エクソソーム識別配列またはその相補配列を有するエクソソーム識別核酸、エクソソーム識別核酸を結合させた担体、第2のRNA識別配列またはその相補配列を有する第2のアダプター核酸、第2のプライマー、第3のプライマー、界面活性剤、ポリ(A)ポリメラーゼ、RNAリガーゼ、逆転写酵素、ATP、dNTP、DNAポリメラーゼ、第1の流体デバイス。
(構成例14)
上記構成例13において、エクソソーム識別核酸が第2の相補配列をさらに有し、エクソソーム識別核酸を結合させた担体に替えて、第3のアダプター核酸を結合させた担体、第1のプライマー、および第2の流体デバイスを備える構成。
(構成例15〜16)
上記構成例13〜14のそれぞれにおいて、逆転写酵素がTdT活性を有する逆転写酵素であり、第2のアダプター核酸がさらに前記TdT活性により核酸に付加される特定配列に相補的な特定相補配列を有する構成。RNAリガーゼは備えなくてもよい。
本実施態様にかかるキットは、さらに、RNA分解酵素阻害剤、各種反応用のバッファー類、油溶液、核酸フリー精製水、使用説明書等を備えていてもよい。
[RNA解析システム]
一実施態様において、本発明は、エクソソームに由来するRNAの配列またはその相補配列と、前記エクソソームを識別する前記エクソソーム識別配列と、前記RNAを識別するRNA識別配列と、を有する核酸を作製する核酸作製部と、前記核酸の配列を解析する配列解析部と、を備える、RNA解析システムを提供する。
一例として、前記核酸作製部は、前記エクソソーム識別配列またはその相補配列と第1の相補配列と第2の相補配列とを有するエクソソーム識別核酸を1分子と、前記第2の相補配列に相補的な配列を有する第3のアダプター核酸を結合させた担体を1個と、プライマーと、DNAポリメラーゼと、dNTPと、を1個の液滴内に封入する、第1の油中液滴作製部と、前記エクソソーム識別核酸を、前記第2の相補配列を介して前記第3のアダプター核酸に結合させて、前記担体上で、前記エクソソーム識別核酸を増幅する、第1の核酸増幅部と、前記担体上で増幅した前記エクソソーム識別核酸に、前記第1の相補配列に相補的な配列を有する第1のアダプター核酸を、前記第1の相補配列を介して結合させる、第1のアダプター核酸結合部と、前記第1のアダプター核酸を結合させた前記担体を1個と、エクソソームを1個と、RNAリガーゼと、界面活性剤と、を1個の液滴内に封入する、第2の油中液滴作製部と、前記界面活性剤で前記エクソソームを破壊し、前記第1のアダプター核酸に、前記エクソソームから放出されたRNAを結合させる、RNA結合部と、前記第1のアダプター核酸に結合させた前記RNAに、第2のアダプター核酸を結合させる、第2のアダプター核酸結合部と、前記エクソソーム識別配列と、前記RNAの配列またはその相補配列と、前記RNAを識別するRNA識別配列と、を含む領域を増幅する、第2の核酸増幅部と、から構成される。前記第1のアダプター核酸および前記第2のアダプター核酸の少なくとも一方は、前記RNA識別配列またはその相補配列を有する。
図28は、本実施態様にかかるRNA解析システムの構成例を示す図である。
図28に示すRNA解析システム200は、第1の油中液滴作製部の具体例として第1の油中水滴作製部210、第2の油中液滴作製部の具体例として第2の油中水滴作製部240を備えている。RNA解析システム200は、さらに、第1の核酸増幅部220と、第1のアダプター核酸結合部230と、RNA結合部250と、第2のアダプター核酸結合部260と、第2の核酸増幅部270と、配列解析部280と、を備えている。RNA解析システム200は、さらに、任意の構成として、配列解析部280における解析結果を出力する出力部290、および解析結果を記憶する記憶部300等を備えることができる。RNA解析システム200は、さらに、前記各部の動作を制御する制御部310、制御部310の制御に従い前記各部を駆動する駆動部320を備えることができる。駆動部320は、各部ごとに設置されていてもよい。以下の説明において、「エクソソーム識別配列」はその相補配列であってもよく、「RNA識別配列」はその相補配列であってもよい。
<第1の油中水滴作製部>
第1の油中水滴作製部210では、油中水滴が作製される。第1の油中水滴作製部210で作製される油中水滴には、エクソソーム識別核酸を1分子と、第3のアダプター核酸を結合させた担体(粒子状担体、例えばビーズ)を1個と、第1のプライマーと、DNAポリメラーゼと、dNTPとが封入される。エクソソーム識別核酸、第3のアダプター核酸を結合させた担体、第1のプライマーは、上記「[キット]」で説明したものと同様である。
第1の油中水滴作製部210は、一例として、上記「[キット]」で説明した第2の流体デバイスと同様の流路構成を備えることができる。油溶液用インレットから油溶液用流路に油溶液が供給されるとともに、水溶液用インレットから水溶液用流路に、エクソソーム識別核酸、第1のプライマー、DNAポリメラーゼ、dNTP等を含有する担体含有水溶液が供給されて、両流路の交差部で、原則として、1個の水滴に1個の担体が封入された油中水滴が形成される。油溶液および担体含有水溶液の流路への供給は、駆動部320により稼働するポンプ等により行われ、制御部310により制御される。
第1の油中水滴作製部210で作製された油中水滴は、流路等により第1の核酸増幅部220に運搬される。
<第1の核酸増幅部>
第1の核酸増幅部220では、担体上で、エクソソーム識別核酸の核酸増幅反応を行う。第1の油中水滴作製部210で作製された油中水滴には、エクソソーム識別核酸を1分子と、第3のアダプター核酸を結合させた担体を1個と、が封入されており、エクソソーム識別核酸は、第2の相補配列を介して、第3のアダプター核酸に結合する。油中水滴中には、さらに、第1のプライマーと、DNAポリメラーゼと、dNTPとが封入されているため、PCR等の核酸増幅反応を行うことにより、担体上で、エクソソーム識別核酸が増幅される。
第1の核酸増幅部220では、核酸増幅反応用の反応槽を備え、第1の油中水滴作製部210から運ばれた油中水滴は前記反応槽内に入れられる。反応槽は、加熱冷却機構を備え、制御部310により、熱変性、アニーリングおよび伸長反応の温度サイクルを繰り返すように制御される。前記温度サイクルを20〜40回程度繰り返した後、油中水滴は、流路等により第1のアダプター核酸結合部230に運搬される。
<第1のアダプター核酸結合部>
第1のアダプター核酸結合部230では、担体上で増幅したエクソソーム識別核酸に、第1のアダプター核酸を結合させる。第1のアダプター核酸は、上記「[RNAの解析方法]」で説明したものと同様である。第1のアダプター核酸は、エクソソーム識別核酸が有する第1の相補配列に相補的な配列を有しており、当該相補的な配列を介して、エクソソーム識別核酸に結合することができる。
第1のアダプター核酸結合部230は、一例として、遠心分離機構およびハイブリダイゼーション反応用の反応槽を備える。前記遠心分離機構は、駆動部320を介して制御部310により制御され、第1のアダプター核酸結合部230から運ばれた油中水滴を遠心分離して、担体を回収する。回収された担体は反応槽に入れられ、第1のアダプター核酸、ハイブリダイゼーションバッファー等が反応槽に投入される。反応槽は、加熱冷却機構を備え、熱変性温度に数分間制御された後、ハイブリダイゼーション反応温度(例、20〜40℃程度)となるように、制御部310により温度制御される。ハイブリダイゼーション反応後、担体は、流路等により第2の油中水滴作製部240に運搬される。
<第2の油中水滴作製部>
第2の油中水滴作製部240では、油中水滴が作製される。第2の油中水滴作製部240で作製される油中水滴には、第1のアダプター核酸を結合させた担体を1個と、エクソソームを1個と、RNAリガーゼと、界面活性剤とが封入される。第1のアダプター核酸を結合させた担体、エクソソームは、上記「[RNAの解析方法]」で説明したものと同様である。RNAリガーゼおよび界面活性剤は、上記「[RNAの解析方法]」で例示したものを用いることができる。
第2の油中水滴作製部240は、一例として、上記「[キット]」で説明した第1の流体デバイスと同様の流路構成を備えることができる。第1のアダプター核酸結合部230から運ばれた担体は、第1の水溶液用インレットに運搬される間に、RNAリガーゼ、界面活性剤等を含む水溶液と混合されて、担体含有水溶液が調製される。前記担体含有水溶液は、第1の水溶液用インレットから第1の水溶液用流路に供給される。油溶液用インレットから油溶液用流路に油溶液が供給される。第2の水溶液用インレットから第2の水溶液用流路に、エクソソーム、RNA分解酵素阻害剤等を含有するエクソソーム含有水溶液が供給される。これらの流路の交差部では、原則として、1個の水滴に1個の担体と1個のエクソソームが封入された油中水滴が形成される。油溶液、担体含有水溶液、およびエクソソーム含有水溶液の流路への供給は、駆動部320により稼働するポンプ等により行われ、制御部310により制御される。
第2の油中水滴作製部240で作製された油中水滴は、流路等によりRNA結合部250に運搬される。
<RNA結合部>
RNA結合部250では、第2の油中水滴作製部240で作製された油中水滴中で、界面活性剤によりエクソソームを破壊する。次いで、RNAリガーゼにより、第1のアダプター核酸に、エクソソームから放出されたRNAを結合させる。
RNA結合部250では、ライゲーション反応用の反応槽を備え、第2の油中水滴作製部240から運ばれた油中水滴は前記反応槽内に入れられる。反応槽は、加熱冷却機構を備え、制御部310により、ライゲーション反応温度に制御される。ライゲーション反応後、油中水滴は、流路等により第2のアダプター核酸結合部260に運搬される。
<第2のアダプター核酸結合部>
第2のアダプター核酸結合部260では、第1のアダプター核酸に結合させたRNAに、第2のアダプター核酸を結合させる。第2のアダプター核酸は、上記「[RNAの解析方法]」で説明したものと同様である。
第2のアダプター核酸結合部260は、一例として、遠心分離機構およびライゲーション反応用の反応槽を備える。前記遠心分離機構は、駆動部320を介して制御部310により制御され、RNA結合部250から運ばれた油中水滴を遠心分離して、担体を回収する。回収された担体は反応槽に入れられ、第2のアダプター核酸、RNAリガーゼ、RNA分解酵素阻害剤、ライゲーションバッファー等が反応槽に投入される。反応槽は、加熱冷却機構を備え、ライゲーション反応温度となるように、制御部310により温度制御される。ライゲーション反応後、担体は、流路等により第2の核酸増幅部270に運搬される。
<第2の核酸増幅部>
第2の核酸増幅部270では、エクソソーム識別配列と、RNAの配列またはその相補配列と、RNA識別配列と、を含む領域が増幅される。RNA識別配列は、前記第1のアダプター核酸および前記第2のアダプター核酸の少なくとも一方に含まれている。
第2の核酸増幅部270では、核酸増幅反応用の反応槽を備え、第2のアダプター核酸結合部260から運ばれた担体は前記反応槽内に入れられる。反応槽は、加熱冷却機構を備え、制御部310により、熱変性、アニーリングおよび伸長反応の温度サイクルを20〜60回程度繰り返すように制御される。第2の核酸増幅部270で増幅された核酸断片は、流路等により第2の核酸増幅部270に運搬される。
<配列解析部280>
配列解析部280では、第2の核酸増幅部で増幅された核酸断片の配列解析が行われる。配列解析部280は、一例として、シーケンサーと同様の構成を備えている。配列解析部280は、ネットワークで接続されたシーケンサー(例えば、次世代シーケンサー)であってもよい。
配列解析部280は、さらに、エクソソーム識別配列に基づいて核酸配列をグループ分けし、核酸増幅反応等による増幅効率等の違い等により生じる核酸存在量のずれを補正するため、RNA識別配列に基づいて前記グループ内でのRNAの存在比の変動を補正し、前記グループ内でのRNA存在比を算出する演算機構を備えていてもよい。例えば、同一のRNA識別配列を有する核酸断片は、1分子のRNAに由来するものとして、RNA存在比をRNA識別配列で演算することにより、RNAの存在比を補正することができる。演算は、一例としてRNA存在比をRNA識別配列の存在比で割ることで行われる。
<動作例>
上記のような構成を備えるRNA解析システム200の動作について説明する。
まず、第1の油中水滴作製部210において、油中水滴が作製される。油中水滴1個には、1分子のエクソソーム識別核酸と、第3のアダプター核酸が結合された担体1個とが封入される。また、同時に、DNAポリメラーゼ、プライマー、dNTP等が封入される。エクソソーム識別核酸は、第2の相補配列を介して、第3のアダプター核酸に結合する。
次に、第1の核酸増幅部220において、油中水滴中で、核酸増幅反応が行われる。これにより、担体上で、エクソソーム識別核酸が増幅され、エクソソーム識別核酸が結合した担体が作製される。
次に、第1のアダプター核酸結合部230において、油中水滴から担体が回収され、エクソソーム識別核酸に第1のアダプター核酸が結合される。第1のアダプター核酸は、エクソソーム識別核酸の第1の相補配列に相補的な配列を介して、エクソソーム識別核酸に結合する。
次に、第2の油中水滴作製部240において、第1のアダプター核酸を結合した担体1個と、エクソソーム1個とを含む油中水滴が作製される。油中水滴には、同時に、界面活性剤、RNAリガーゼが封入される。
次に、RNA結合部250において、第2の油中水滴作製部240で作製された油中水滴中で、界面活性剤によりエクソソームが破壊され、エクソソームから放出される。次いで、RNAリガーゼにより、第1のアダプター核酸に、RNAが結合される。
次に、第2のアダプター核酸結合部260において、油中水滴から担体が回収され、RNAリガーゼによりRNAに第2のアダプター核酸が結合される。
次に、第2の核酸増幅部270において、エクソソーム識別配列と、RNAと、RNA識別配列と、を含む領域が増幅される。これにより、エクソソーム識別配列と、RNAと、RNA識別配列と、を含む核酸が作製される。
次に、配列解析部280において、第2の核酸増幅部270で作製された核酸の配列解析が行われ、核酸の塩基配列が決定される。配列解析部280で決定された核酸の塩基配列は、一例として、出力部290から出力される。
RNA解析システム200は、第1のアダプター核酸結合部230を備えない構成としてもよい。この場合、RNA解析システム200は、第1の核酸増幅部220において、エクソソーム識別核酸にポリ(T)配列等のRNA捕捉配列を付加してもよい。また、RNA結合部250において、ポリ(A)ポリメラーゼにより、エクソソームから放出されたRNAをポリアデニル化してもよい。
RNA解析システム200は、第2のアダプター核酸結合部260において、TdT活性を有する逆転写酵素により、逆転写反応を行ってもよい。また、第2のアダプター核酸として、前記特定配列に相補的な配列を有するものを用いてもよい。
本実施態様にかかるRNA解析システムは、上記実施態様にかかるRNAの解析方法を実施するために使用することができる。また、本実施態様にかかるRNA解析システムは、上記説明した実施形態に限定されず、上記実施態様にかかるRNA解析方法を実施するための構成を適宜備えることができる。
また、上記した本実施形態によれば、エクソソーム識別配列によって識別された単一エクソソームに内包されるRNAの種類及び存在量を解析することができる。
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
実施例に記載のDNAおよびRNAのオリゴヌクレオチド配列を表1に示す。表中、下線、波線、二重線、イタリックで示した配列がそれぞれ相補的に結合する。Barcode−3にはエクソソームを識別するためのエクソソーム識別配列(ランダム配列)が、RNadp3にはRNAの分子数をカウントするためのRNA識別配列(ランダム配列)が、それぞれ付与されている(Kivioja, T. et al., Nat. Methods 9, 72-74 (2011).; Macosko, E. et al., Cell 161, 1202-1214 (2015).)。また、RNadp3およびRNadp4中のランダム配列は、miRNAとのライゲーション効率を増大させる効果がある(Zhuang, F., et al., Nucleic Acids Res. 40, e54 (2012).)。
Figure 2020198831
[実施例1]
(1)プライマーを提示したビーズの調製
ストレプトアビジンが固定化された直径10μmのポリスチレンビーズ(SuperAvidin Coated Microspheres;Bangs Laboratories)150 μLを1.5mLチューブに取り、遠心した(15,000g、2分)。溶液を丁寧に除いた後、1×B and W buffer(5mM Tris−HCl(pH7.6),0.5mM EDTA,1M NaCl,0.05%(v/v) Tween 20)を150μL加えて懸濁し、遠心した(15,000g,2分)。この操作を3回繰り返し、ビーズを洗浄した。これに、5’末端にDual biotinが付与されたDNAオリゴヌクレオチド(Spr−P4−5’bio:配列番号1;プライマー)溶液(10μM in 1×B and W buffer)を120μL加え、室温で20分混合し、両者を結合させた。その後、遠心(15,000 g,2分)を行って溶液を取り除き、1×B and W bufferを150μL加えて懸濁、遠心した(15,000g,2分)。この操作を3回繰り返し、未結合のプライマーを除去した。最後に、Nuclease−free water(QIAGEN)を100μL加えてビーズを懸濁した。これを10,000倍希釈した溶液を1μLカバーガラス上に滴下して乾燥させた後、顕微鏡観察を行い、ビーズの濃度を決定した。
(2)エマルジョンPCRを利用したエクソソーム識別配列を有するDNAビーズの調製
表2に示す組成の水溶液を調製し、図27に示す流体デバイスを用いて、直径40μmの油中水滴を作製した。油溶液は、4.5%(v/v)Span80、0.45%(v/v)Tween 80、および0.05%(v/v)Triton X−100を含むミネラルオイルを用いた。
Figure 2020198831
作製した油中水滴をPCRチューブに回収し、PCRを行った。反応は前処理(94℃,2分)の後、変性(94℃,15秒)、アニーリング(51.6℃,30秒)および伸長(68℃,15秒)を1サイクルとし、40サイクル行った。
(3)DNAビーズの回収
反応後、油中水滴を1.5mLチューブに移し、Nuclease−free waterを150μL添加後、遠心を行った(17,400g,3分,4℃)。上層および中間層を除去した後、下層に1×B and W bufferを150μL添加し、油中水滴を破壊した。懸濁後、遠心を行い(17,400g,3分,4℃)、ビーズを沈殿させた。溶液を除去した後、ビーズにエタノール150μLを加えて懸濁し、遠心を行った(17,400g,3分,4℃)。この操作を3回繰り返した。また1×B and W bufferを用いて、同様の洗浄操作を3回繰り返した。最後に、ビーズを0.05%(v/v)Tween 20を含むTE buffer(10mM Tris−HCl(pH7.6),1mM EDTA)に懸濁した。
(4)ビーズ上のDNAの一本鎖化
(3)で得られたビーズ溶液を遠心し、溶液を取り除き、0.05%(v/v)Tween 20を含む1×SSC溶液(150mM NaCl,15mM sodium citrate(pH7.0))を添加した。再び遠心を行って溶液を除去した後、ビーズをアルカリ変性溶液(0.15N NaOH,0.05%(v/v)Triton X−102)20μLに懸濁し、室温で15分放置した。続いてアルカリ洗浄溶液(0.1N NaOH,0.05%(v/v)Triton X−102)50μLでビーズを洗浄し、1×B and W buffer(100μL)を用いた洗浄を3回行った。最後に30μLの1×B and W bufferにビーズを懸濁し、4℃で保管した。
(5)第1のアダプター核酸のアデニル化
5’DNA Adenylation Kit(New England BioLabs)を用い、第1のアダプター核酸(RNadp3:配列番号5;5’末端がリン酸化されている)の5’末端をアデニル化した。表3に、その反応溶液の組成を示す。
Figure 2020198831
反応溶液は65℃で1時間インキュベートした後、熱処理(85℃,5分)を行い、反応を停止させた。この溶液を、尿素を用いた変性ポリアクリルアミドゲル(15%)を用いた電気泳動に供した。アデニル化されたRNadp3(5’AppRNadp3)に由来するバンドを切り出し、ZR small−RNATM PAGE Recovery Kit(Zymo Research)を用いて精製した。
(6)第1のアダプター核酸のハイブリダイゼーション
(4)で得られたビーズ溶液を遠心して溶液を取り除いた後、ビーズを1μM 5’AppRNadp3を含むHybridization buffer(10mM Tris−HCl(pH7.6),1mM EDTA,50mM NaCl,0.05%(v/v)Tween 20)20μLに懸濁した。これを95℃で2分処理した後、15秒で1℃ずつ、25℃まで温度を下げ、ビーズ上に提示されたDNA鎖に5’AppRNadp3をハイブリダイゼーションさせた。その後、遠心して溶液を除去し、1×B and W bufferを50μL添加した。この操作を3回繰り返し、ハイブリダイゼーションしていない5’AppRNadp3を除去した。最後に、ビーズを30μLのNuclease−free waterに懸濁した。
(7)miRNAのライゲーション
まず、表4に示す組成の水溶液1、および表5に示す組成の水溶液2を調製した。次に、図26に示す流体デバイスを用い、水溶液1および水溶液2を等量ずつ直径40μmの油中水滴に封入した。油溶液には、Pico−Surf 1(5%(w/w)in NovecTM 7500;Dolomite)を用いた。
Figure 2020198831
Figure 2020198831
作製した油中水滴をPCRチューブに回収し、25℃で4時間、その後16℃で一晩インキュベートし、miRNAを5’AppRNadp3にライゲーションした。
(8)油中水滴からのビーズ回収
油中水滴に静電気除去ピストル(ZEROSTAT 3;MILTY)を照射し、破壊した(Karbaschi, M. et al., Biomicrofluidics 11, 044107 (2017).)。得られた水相(ビーズを含む)を1.5mLチューブに移し、100μLの1×B and W bufferでビーズを3回洗浄した。
(9)未反応の第1のアダプター核酸のブロッキング
(8)で得られたビーズ溶液を遠心し、溶液を取り除いた。これに表6の組成の溶液を添加することで、未反応の5’AppRNadp3の5’末端にRNAオリゴヌクレオチド(RNadp2:配列番号15)をライゲーションした。
Figure 2020198831
ライゲーションは25℃で3時間行い、ビーズを100μLの1×B and W bufferで3回洗浄した。
(10)第2のアダプター核酸のライゲーション
(9)で得られたビーズ溶液を遠心し、溶液を取り除いた。これに表7に示す組成の溶液を添加して、ビーズ上に捕捉されたmiRNAに第2のアダプター核酸(RNadp4:配列番号16)をライゲーションさせた。ライゲーションには、T4 RNA Ligase(ThermoFisher)を用いた。
Figure 2020198831
ライゲーションは、25℃で4時間、その後16℃で一晩インキュベートすることで行った。
(11)逆転写反応
(10)で得られたビーズ溶液を遠心し、溶液を取り除いた。これに表8に示す組成の溶液を添加し、ビーズ上に捕捉されたRNAの逆転写反応を行った。逆転写反応には、PrimeScript(登録商標) II Reverse Transcriptase(タカラバイオ)を用いた。
Figure 2020198831
逆転写反応を42℃で1時間行った後、熱処理(70℃,15分)により逆転写酵素を失活させた。その後、ビーズを100μLの1×B and W bufferで3回洗浄した。
(12)PCR・シークエンス解析
(11)で得られたビーズ溶液を遠心し、溶液を取り除いた。これに表9に示す組成の溶液を添加し、逆転写反応産物をPCRにより増幅した。PCRには、KOD−Plus−(東洋紡)を用いた。
Figure 2020198831
PCR反応は、前処理(94℃,2分)の後、変性(94℃,15秒)、アニーリング(51.6℃,30秒)および伸長(68℃,15秒)を1サイクルとし、30サイクル行った。アガロース電気泳動により増幅の確認を行った。miRNA配列を有する増幅産物のバンドを切り出し、次世代シークエンサー(IonPGM)を用いて配列解析を行った。その結果、添加した9種類のmiRNA全てを検出することができた。
[実施例2]
(1)プライマーを提示したビーズの調製
プライマーを提示したビーズの調製は、上記実施例1の(1)と同様に行う。
(2)エマルジョンPCRを利用したエクソソーム識別配列とポリT配列を有するDNAビーズの調製
表10に示す組成の水溶液を調製し、図27に示す流体デバイスを用いて、直径40μmの油中水滴を作製する。油溶液は、4.5%(v/v)Span80、0.45%(v/v)Tween 80、および0.05%(v/v)Triton X−100を含むミネラルオイルを用いる。
Figure 2020198831
作製した油中液滴をPCRチューブに回収し、PCRを行う。反応は前処理(94℃,2分)の後、変性(94℃,15秒)、アニーリング(51.6℃,30秒)および伸長(68℃,15秒)を1サイクルとし、40サイクル行う。
(3)
DNAビーズの回収は、上記実施例1の(3)と同様に行う。
(4)ビーズ上のDNAの一本鎖化
ビーズ上のDNAの一本化は、上記実施例1の(4)と同様に行う。
(5)miRNAのハイブリダイゼーション
表11、12に示す組成の水溶液を調製する。次に、図26に示すマイクロ流体デバイスを用い、水溶液1および2を等量ずつ直径40μmの油中水滴に封入する。miRNAのポリアデニル化反応には、miRNA cDNA Synthesis Kit with Poly(A) Polymerase Tailing(Applied Biological Materials)を用いる。油溶液は、Pico−Surf 1(5%(w/w)in NovecTM 7500)を用いる。
Figure 2020198831
Figure 2020198831
作製した油中水滴をPCRチューブに回収し、37℃で1時間、その後65℃で5分インキュベートし、miRNAを一本鎖DNA上にハイブリダイゼーションさせる。
(6)油中水滴からのビーズ回収〜PCR・シークエンス解析
油中水滴からのビーズ回収からPCR・シークエンス解析までの操作は、上記実施例1の(8)〜(12)と同様に行う。
[実施例3]
(1)プライマーを提示したビーズの調製〜第2のアダプター核酸のライゲーション
ライマーを提示したビーズの調製から第2のアダプター核酸のライゲーションまでの操作は、上記実施例1の(1)〜(10)と同様に行う。
(2)逆転写反応・テンプレートスイッチングによるアダプターの付加
(1)で得られたビーズ溶液を遠心し、溶液を取り除く。これに表13に示す組成の溶液を添加し、ビーズ上に捕捉されたRNAの逆転写反応を行うとともに、アダプターを付加する。逆転写反応には、Maxima H Minus Reverse Transcriptase(ThermoFisher)を用いる。
Figure 2020198831
ビーズを室温で30分、42℃で90分インキュベーションした後、熱処理(85℃,5分)により逆転写酵素を失活させる。その後、ビーズを100μLの1×B&W bufferで3回洗浄する。
(3)PCR・シークエンス解析
PCR・シークエンス解析は、上記実施例1の(12)と同様に行う。
[実施例4]
(1)プライマーを提示したビーズの調製〜miRNAのハイブリダイゼーション
プライマーを提示したビーズの調製からmiRNAのハイブリダイゼーションまでの操作は、上記実施例2の(1)〜(5)と同様に行う。
(2)油中水滴からのビーズ回収〜第2のアダプター核酸のライゲーション
油中水滴からのビーズ回収〜第2のアダプター核酸のライゲーションまでの操作は、上記実施例1の(8)〜(10)と同様に行う。
(3)逆転写反応・テンプレートスイッチングによるアダプターの付加
逆転写反応・テンプレートスイッチングによるアダプターの付加は、上記実施例3の(2)と同様に行う。
(4)PCR・シークエンス解析
PCR・シークエンス解析は、上記実施例1の(12)と同様に行う。
1…ビーズ、2…第3のアダプター核酸、3…プライマー、4…DNAポリメラーゼ、6…界面活性剤、7…RNAリガーゼ、8…ポリ(A)ポリメラーゼ、10…エクソソーム識別核酸、11…エクソソーム識別配列、12…第2の相補配列、13…第1の相補配列、14…ポリ(T)配列、20…第1のアダプター核酸、21…第1のRNA識別配列、22…第1の相補配列に相補的な配列、30…エクソソーム、31…RNA、32…ポリ(A)配列、40…第2のアダプター核酸、41…第2のRNA識別配列、42…特定相補配列、61…第1のアダプター核酸−RNAの相補配列、62…特定配列、63…第2のアダプター核酸の相補配列、100…第2の流体デバイス、101…油溶液用インレット、102…水溶液用インレット、103…交差部、104…油中水滴用アウトレット、105…油溶液用流路、106…水溶液用流路、107…油中水滴用流路、110…第1の流体デバイス、111…油溶液用インレット、112…第1の水溶液用インレット、113…第2の水溶液用インレット、114…交差部、115…油中水滴用アウトレット、116…油溶液用流路、117…第1の水溶液用流路、118…第2の水溶液用流路、119…油中水滴用流路。

Claims (28)

  1. (a)エクソソームに由来するRNAの配列またはその相補配列と、前記エクソソームを識別するエクソソーム識別配列と、前記RNAを識別するRNA識別配列と、を有する核酸を作製する工程と、
    (b)前記核酸の配列を解析する工程と、
    を含む、RNAの解析方法。
  2. 前記RNA識別配列が、前記RNAの配列またはその相補配列の5’末端側および3’末端側のいずれか一方に位置する、請求項1に記載のRNAの解析方法。
  3. 前記RNA識別配列が、前記RNAの配列またはその相補配列の5’末端側および3’末端側の両方に位置する、請求項1に記載のRNAの解析方法。
  4. 前記工程(a)が、
    前記エクソソーム識別配列またはその相補配列と第1の相補配列とを有するエクソソーム識別核酸に、前記第1の相補配列に相補的な配列を有する第1のアダプター核酸を結合させる工程と、
    前記第1のアダプター核酸に、前記RNAを結合させる工程と、
    前記RNAに、第2のアダプター核酸を結合させる工程と、を含み、
    前記第1のアダプター核酸および前記第2のアダプター核酸の少なくとも一方が、前記RNA識別配列またはその相補配列を有する、
    請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のRNAの解析方法。
  5. 前記第2のアダプター核酸が、前記RNAの5’末端側に結合される請求項4に記載のRNAの解析方法。
  6. 前記第1のアダプター核酸が、第1の前記RNA識別配列またはその相補配列を有する、請求項4又は5に記載のRNAの解析方法。
  7. 前記第2のアダプター核酸が、第2の前記RNA識別配列またはその相補配列を有する、請求項4から請求項6のいずれか一項に記載のRNAの解析方法。
  8. 前記工程(a)が、さらに、
    前記エクソソーム識別配列またはその相補配列と、前記第1のRNA識別配列またはその相補配列と、前記RNAの配列またはその相補配列と、を含む領域を増幅する工程、
    を含む、請求項6に記載のRNAの解析方法。
  9. 前記工程(a)が、さらに、
    前記エクソソーム識別配列またはその相補配列と、前記RNAの配列またはその相補配列と、前記第2のRNA識別配列またはその相補配列と、を含む領域を増幅する工程、
    を含む、請求項7に記載のRNAの解析方法。
  10. 前記工程(a)が、さらに、
    前記エクソソーム識別配列またはその相補配列と、前記第1のRNA識別配列またはその相補配列と、前記RNAの配列またはその相補配列と、前記第2のRNA識別配列またはその相補配列と、を含む領域を増幅する工程、
    を含む、請求項7に記載のRNAの解析方法。
  11. 前記第1のアダプター核酸と前記RNAとの結合が、前記第1のアダプター核酸の5’末端と前記RNAの3’末端とを結合するものであり、前記第1のアダプター核酸の5’末端がアデニル化されている、請求項4から請求項10のいずれか一項に記載のRNAの解析方法。
  12. 前記エクソソーム識別配列と、前記RNAを捕捉するRNA捕捉配列とを有するエクソソーム識別核酸に、前記RNA捕捉配列を介して、前記RNAを結合させる工程と、
    前記RNAに、前記RNA識別配列またはその相補配列を有する核酸を結合させる工程と、を含む、
    請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のRNAの解析方法。
  13. 前記工程(a)が、さらに、
    前記エクソソーム識別配列またはその相補配列と、前記RNAの配列またはその相補配列と、前記RNA識別配列またはその相補配列と、を含む領域を増幅する工程、
    を含む、請求項12に記載のRNAの解析方法。
  14. 前記工程(a)が、さらに、
    担体に結合させた第3のアダプター核酸に、前記エクソソーム識別核酸を結合させて、前記担体上で前記エクソソーム識別核酸を増幅する工程を含み、
    前記エクソソーム識別核酸は、前記第3のアダプター核酸の少なくとも一部に相補的な第2の相補配列をさらに有し、前記第2の相補配列を介して、前記第3のアダプター核酸に結合する、
    請求項4から請求項13のいずれか一項に記載のRNAの解析方法。
  15. エクソソームに由来するRNAの配列またはその相補配列と、前記エクソソームを識別するエクソソーム識別配列と、前記RNAを識別するRNA識別配列と、を有する核酸の作製方法であって、
    前記エクソソーム識別配列またはその相補配列と第1の相補配列とを有するエクソソーム識別核酸に、前記第1の相補配列に相補的な配列を有する第1のアダプター核酸を結合させる工程と、
    前記第1のアダプター核酸に、前記RNAを結合させる工程と、
    前記RNAに、第2のアダプター核酸を結合させる工程と、を含み、
    前記第1のアダプター核酸および前記第2のアダプター核酸の少なくとも一方が、前記RNA識別配列またはその相補配列を有する、
    核酸の作製方法。
  16. エクソソームに由来するRNAの配列またはその相補配列と、前記エクソソームを識別するエクソソーム識別配列と、前記RNAを識別するRNA識別配列と、を有する核酸の作製方法であって、
    前記エクソソーム識別配列またはその相補配列と、前記RNAを捕捉するRNA捕捉配列とを有するエクソソーム識別核酸に、前記RNA捕捉配列を介して、前記RNAを結合させる工程と、
    前記RNAに、前記RNA識別配列またはその相補配列を有する核酸を結合させる工程と、を含む、
    核酸の作製方法。
  17. 前記エクソソーム識別配列またはその相補配列と、前記RNA識別配列またはその相補配列と、前記RNAの配列またはその相補配列と、を含む領域を増幅する工程、
    をさらに含む、請求項15または請求項16に記載の核酸の作製方法。
  18. エクソソームに由来するRNAの配列またはその相補配列と、前記エクソソームを識別するエクソソーム識別配列と、前記RNAを識別するRNA識別配列と、
    を備える核酸。
  19. 前記RNA識別配列が、前記RNAの配列またはその相補配列の5’末端側および3’末端側のいずれか一方に位置する、請求項18に記載の核酸。
  20. 前記RNA識別配列が、前記RNAの配列またはその相補配列の5’末端側および3’末端側の両方に位置する、請求項18に記載の核酸。
  21. 前記核酸の5’末端および3’末端の少なくとも一方に、さらに任意の配列を含む、請求項18から請求項20のいずれか一項に記載の核酸。
  22. エクソソームを識別するエクソソーム識別配列またはその相補配列を有するエクソソーム識別核酸と、
    前記エクソソームに由来する個々のRNAを識別するRNA識別配列またはその相補配列を有するアダプター核酸と、
    1個の液滴内に1個の担体と1個の前記エクソソームとを封入させる流路を有する流体デバイスと、
    を備える、キット。
  23. 前記エクソソーム識別核酸の前記エクソソーム識別配列もしくはその相補配列、前記エクソソーム識別核酸に結合された前記RNAの配列もしくはその相補配列、および前記エクソソーム識別核酸もしくは前記RNAに結合された前記アダプター核酸の前記RNA識別配列もしくはその相補配列を含む領域を増幅可能なプライマーセット、
    をさらに備える、請求項22に記載のキット。
  24. 前記キットが、第1のアダプター核酸と、第2のアダプター核酸と、を備え、
    前記エクソソーム識別核酸が、さらに第1の相補配列を有し、
    前記第1のアダプター核酸が、前記第1の相補配列に相補的な配列を有し、
    前記第1のアダプター核酸および前記第2のアダプター核酸の少なくとも一方が、前記RNA識別配列を有する、
    請求項22または23に記載のキット。
  25. 前記第1のアダプター核酸の5’末端がアデニル化されている、請求項24に記載のキット。
  26. RNAリガーゼ、DNAポリメラーゼ、ポリ(A)ポリメラーゼ、逆転写酵素、dNTP、ATP、および界面活性剤からなる群より選択される、少なくとも1種をさらに備える、請求項22から請求項25のいずれか一項に記載のキット。
  27. エクソソームに由来するRNAの配列またはその相補配列と、前記エクソソームを識別するエクソソーム識別配列と、前記RNAを識別するRNA識別配列と、を有する核酸を作製する核酸作製部と、
    前記核酸の配列を解析する配列解析部と、
    を備える、RNA解析システム。
  28. 前記核酸作製部が、
    前記エクソソーム識別配列またはその相補配列と第1の相補配列と第2の相補配列とを有するエクソソーム識別核酸を1分子と、前記第2の相補配列に相補的な配列を有する第3のアダプター核酸を結合させた担体を1個と、プライマーと、DNAポリメラーゼと、dNTPと、を1個の液滴内に封入する、第1の油中液滴作製部と、
    前記エクソソーム識別核酸を、前記第2の相補配列を介して前記第3のアダプター核酸に結合させて、前記担体上で、前記エクソソーム識別核酸を増幅する、第1の核酸増幅部と、
    前記担体上で増幅した前記エクソソーム識別核酸に、前記第1の相補配列に相補的な配列を有する第1のアダプター核酸を、前記第1の相補配列を介して結合させる、第1のアダプター核酸結合部と、
    前記第1のアダプター核酸を結合させた前記担体を1個と、前記エクソソームを1個と、RNAリガーゼと、界面活性剤と、を1個の液滴内に封入する、第2の油中液滴作製部と、
    前記界面活性剤で前記エクソソームを破壊し、前記第1のアダプター核酸に、前記エクソソームから放出されたRNAを結合させる、RNA結合部と、
    前記第1のアダプター核酸に結合させた前記RNAに、第2のアダプター核酸を結合させる、第2のアダプター核酸結合部と、
    前記エクソソーム識別配列またはその相補配列と、前記RNAの配列またはその相補配列と、前記RNAを識別するRNA識別配列またはその相補配列と、を含む領域を増幅する、第2の核酸増幅部と、
    を備え、
    前記第1のアダプター核酸および前記第2のアダプター核酸の少なくとも一方が、前記RNA識別配列またはその相補配列を有する、
    請求項27に記載のRNA解析システム。
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