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JP2020189443A - 多層フィルム、加飾シート、加飾成形体、多層フィルムの製造方法および加飾シートの製造方法 - Google Patents

多層フィルム、加飾シート、加飾成形体、多層フィルムの製造方法および加飾シートの製造方法 Download PDF

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JP2020189443A JP2019096118A JP2019096118A JP2020189443A JP 2020189443 A JP2020189443 A JP 2020189443A JP 2019096118 A JP2019096118 A JP 2019096118A JP 2019096118 A JP2019096118 A JP 2019096118A JP 2020189443 A JP2020189443 A JP 2020189443A
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Abstract

【課題】印刷適性、耐傷付性、耐薬品性、成形性、耐衝撃性、耐侯性の全てを同時に満たすことのできる多層フィルム、加飾シート、加飾成形体、多層フィルムの製造方法および加飾シートの製造方法を提供する。【解決手段】フッ素系樹脂層およびアクリル系樹脂層が積層したラミネート層と、ポリカーボネート系樹脂層と、前記アクリル系樹脂層と前記ポリカーボネート系樹脂層とを接合するポリウレタン接着層と、を備える多層フィルム。【選択図】図1

Description

本発明は、多層フィルム、加飾シート、加飾成形体、多層フィルムの製造方法および加飾シートの製造方法に関する。
自動車の内装や外装、家電、家具、建材、スマートフォンおよびアミューズメント製品等の樹脂部分や金属部分、塗膜等の表面を保護するべく、これらの対象の表面にフィルムが付される場合がある。フィルムによって、対象面での傷の発生や、紫外線等による劣化を防止することができる。また、フィルムが金属調の加飾性や模様がある等、意匠性を有する場合には、対象物へ意匠性を付与することができる。
例えば、特許文献1には、自動車用内装材用、家電、家具、建材等用のフィルムとして、塗装の代替が可能な塗装代替用フィルムおよびこれを用いた積層成形体が開示されている。そして、このような塗装代替用フィルムや積層成形体は、製膜成形性、靱性、表面光沢度、表面硬度、透明性および耐熱性の特性バランスが良好であることが記載されている。
特許第5564336号 特許第6405004号
このように、対象面を保護するフィルムとしては、同時に種々の特性が要求されている。特に、上記した樹脂部分や金属部分、塗膜等の表面を保護し、また、意匠性を付与する観点から、印刷適性、耐傷付性、耐薬品性、成形性、耐衝撃性、耐侯性の全てを同時に満たすフィルムへの需要が高まっている。ただし、従来、これらの特性の全てを高い水準で同時に満たすフィルムは実現していない。
上記問題点に鑑み、本発明は、印刷適性、耐傷付性、耐薬品性、成形性、耐衝撃性、耐侯性の全てを同時に満たすことができる多層フィルム、加飾シート、加飾成形体、多層フィルムの製造方法および加飾シートの製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の多層フィルムは、フッ素系樹脂層およびアクリル系樹脂層が積層したラミネート層と、ポリカーボネート系樹脂層と、前記アクリル系樹脂層と前記ポリカーボネート系樹脂層とを接合するポリウレタン接着層と、を備える。
前記フッ素系樹脂層の厚みは5μm〜50μmであり、前記アクリル系樹脂層の厚みは50μm〜125μmであり、前記ポリウレタン接着層の厚みは5μm〜10μmであり、前記ポリカーボネート系樹脂層の厚みは125μm〜500μmであってもよい。
前記フッ素系樹脂層に用いられるフッ素樹脂は、ポリフッ化ビニリデン樹脂であり、前記アクリル系樹脂層に用いられるアクリル樹脂は、ポリメタクリル酸メチル樹脂であってもよい。
前記ラミネート層は、前記フッ素系樹脂層と前記アクリル系樹脂層とを接合するポリウレタン接着層を備えてもよい。
また、上記課題を解決するために、本発明の多層フィルムの製造方法は、上記した本発明の多層フィルムの製造方法であって、前記アクリル系樹脂層の表面に溶剤系ポリウレタン接着剤を塗付する塗付工程と、塗付した前記溶剤系ポリウレタン接着剤を乾燥する乾燥工程と、前記乾燥工程後、前記アクリル系樹脂層の前記溶剤系ポリウレタン接着剤が塗付された面と、前記ポリカーボネート系樹脂層とを接合する接合工程と、を含む。
また、上記課題を解決するために、本発明の加飾シートは、上記した本発明の多層フィルムと、前記多層フィルムの前記ポリカーボネート系樹脂層に配置された意匠層を備える。
また、上記課題を解決するために、本発明の加飾シートの製造方法は、上記した本発明の加飾シートの製造方法であって、上記した本発明の多層フィルムの前記ポリカーボネート系樹脂層に意匠層を配置する配置工程を含む。
また、上記課題を解決するために、本発明の加飾成形体は、上記した本発明の加飾シートを備え、前記フッ素系樹脂層を表面に備える。
本発明によれば、印刷適性、耐傷付性、耐薬品性、成形性、耐衝撃性、耐侯性の全てを同時に満たすことのできる多層フィルム、加飾シート、加飾成形体、多層フィルムの製造方法および加飾シートの製造方法を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る多層フィルムの断面を示す模式図である。 図1に示す多層フィルム100の製造方法の一例を説明するための、断面模式図である。 図1に示す多層フィルム110の製造方法の一例を説明するための、断面模式図である。 加飾シートの製造方法の一例を説明するための、断面模式図である。 加飾成形体を模式的に示す断面図である。
以下、本発明に係る多層フィルム、加飾シート、加飾成形体、多層フィルムの製造方法および加飾シートの製造方法について説明する。
[多層フィルム]
本発明の一実施形態に係る多層フィルムは、ラミネート層と、ポリカーボネート系樹脂層と、ポリウレタン接着層と、を備える。
〈ラミネート層〉
ラミネート層は、フッ素系樹脂層およびアクリル系樹脂層が積層した層である。ラミネート層は共押出成形法により成形したものでもよい。共押出成形法としては、具体的には、複数の押出機を用いて、溶融させたフッ素樹脂およびアクリル樹脂を同時に押し出し、一つのダイを通過させることで、溶融状態のフッ素樹脂とアクリル樹脂を積層させ、その積層物を冷却することにより、ラミネート層を得る方法が挙げられる。
また、ラミネート層は、フッ素系樹脂層とアクリル系樹脂層とをポリウレタン接着層で接合したものでもよい。ポリウレタン接着層としては、後述するアクリル系樹脂層とポリカーボネート系樹脂層とを接合するポリウレタン接着層と同様の層であってもよく、後述する方法と同様の接着方法により、フッ素系樹脂層とアクリル系樹脂層とを接合してもよい。
上記の他、ラミネート層は、押出ラミネート法により成形したものでもよい。押出ラミネート法としては、具体的には、押出機により溶融させたアクリル樹脂をフィルム状に押出し、これと、別に繰り出したフッ素樹脂フィルムを冷却ロールで圧着させることでラミネート層を得る方法が挙げられる。
(フッ素系樹脂層)
フッ素樹脂は、耐熱性や絶縁性、摺動性、耐薬品性、耐候性に優れる。このような特性を利用するために、本発明の多層フィルムでは、フッ素樹脂をシート状に形成したフッ素系樹脂層を、多層フィルムの最表面として用いることができる。
フッ素系樹脂層としては、保護対象の美観を損なわないよう、クリヤー性を有するものを用いることができる。クリヤー性の目安としては、屈折率や光線透過率が挙げられる。例えば、屈折率が1.38〜1.46であり、全光線透過率が85%以上であれば、クリヤー性を満足するといえる。
また、フッ素系樹脂層の艶や光沢は、ニーズに対応できるよう、グロス、艶消し、半艶、3分艶等を設定することができる。艶の調整は、例えば溶融したフッ素樹脂へアルミナ、シリカ等の艶消し剤を分散させた後にフィルム化することにより可能である。また、フィルム化したフッ素系樹脂層の表面を処理することで、艶や光沢を調整することもできる。
フッ素系樹脂層の厚みは、5μm〜50μmであることが好ましい。厚みが5μm未満であっても、耐熱性や絶縁性、摺動性、耐薬品性、耐候性といった性能に問題は生じないものの、現状において、このような薄膜のフッ素系樹脂層を安定して成膜させることが難しいため、入手が困難である。薄膜のフッ素系樹脂層を安定して成膜することができるのであれば、5μm未満の厚みであっても問題ない。そして、厚みが50μmを超えると、フッ素系樹脂層が軟らかいために、多層フィルムとしての耐傷付性が低下するおそれがあり、また、厚膜となることで多層フィルムとしての透明性が低下するおそれがある。さらに、フッ素樹脂そのものが高価であるため、厚膜になれば多層フィルムのコストが高くなる場合がある。フッ素系樹脂層の厚みが5μm〜50μmであれば、透明性や耐傷付性に問題の無い多層フィルムを得ることができる。
フッ素系樹脂層に用いられるフッ素樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(CTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA)、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体(FEP)、エチレン・四フッ化エチレン共重合体(ETFE)、エチレン・クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)等が挙げられ、特に、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)は、他のフッ素樹脂と比べ、機械的強度と加工性に優れる点から有用である。また、フッ素樹脂に種々のアクリル樹脂を配合したフッ素樹脂とアクリル樹脂のアロイや共重合体等、フッ素樹脂に他の樹脂やポリマーをブレンドしたアロイや共重合させた共重合体等も、フッ素系樹脂としてフッ素系樹脂層に含めることができる。
(アクリル系樹脂層)
アクリル樹脂は、例えば、アクリル酸およびそのエステルなどの誘導体,およびメタクリル酸メチルなどのメタクリル酸誘導体の重合体および共重合体の総称であるが、特にはアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルの重合体であり、透明性の高い非晶質の合成樹脂である。また、硬度が高いため、耐傷付性に優れる層を形成することができる。特に、アクリル系樹脂層にとって上層であるフッ素系樹脂層が、アクリル樹脂よりも軟らかいことで耐傷付性に劣る樹脂であっても、フッ素系樹脂層の下層であるアクリル系樹脂層が硬い層であることにより、薄膜のフッ素系樹脂層の軟らかさをアクリル系樹脂層がカバーすることができるため、多層フィルムとしては耐傷付性に優れるフィルムとなる。
アクリル系樹脂層としては、保護対象の美観を損なわないよう、クリヤー性を有するものを用いることができる。クリヤー性の目安としては、屈折率や光線透過率が挙げられる。例えば、屈折率が1.47〜1.55であり、全光線透過率が85%以上であれば、クリヤー性を満足するといえる。
アクリル系樹脂層の厚みは、50μm〜125μmであることが好ましい。厚みが50μm未満であっても、アクリル樹脂の性能に問題は生じないものの、現状において、50μm未満のアクリル系樹脂層を安定して成膜させることが難しいため、入手が困難である。薄膜のアクリル系樹脂層を安定して成膜することができるのであれば、5μm未満の厚みであっても問題ない。そして、厚みが125μmを超えると、割れやすくなるため、多層シートにおける各層の積層に不具合が生じることにより、多層シートの製造において歩留まりが低下するおそれがある。また、厚膜になることで多層フィルムとしての柔軟性が低下するおそれや、コストが高くなるおそれがある。アクリル系樹脂層の厚みが50μm〜125μmであれば、製造の歩留まりが低下せず、柔軟性に問題の無い多層フィルムを得ることができる。
アクリル系樹脂層に用いられるアクリル樹脂としては、ポリメタクリル酸エチル(PEMA)、ポリメタクリル酸ブチル(PBMA)、ポリメタクリル酸シクロヘキシル(PCHMA)、ポリメタクリル酸エチルヘキシル(PEHMA)等が挙げられ、特にポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)は、透明性が高く、硬度が高いことによる耐傷付性に優れ、更に熱可塑性で複雑な形状に加工することができるため、有用である。また、着色が容易であり、多層フィルムの美観を調整できる点においても有用である。また、アクリル樹脂に他の樹脂やポリマーをブレンドしたアロイや共重合させた共重合体等も、アクリル系樹脂としてアクリル系樹脂層に含めることができる。
〈ポリカーボネート系樹脂層〉
ポリカーボネート樹脂(PC樹脂)は、透明性、耐熱性、耐衝撃性、成形性、密着性に優れ、また、印刷対象として印刷特性に優れる樹脂である。このような特性を利用して、本発明の多層フィルムでは、ポリカーボネート樹脂をシート状に形成したポリカーボネート系樹脂層を、多層フィルムの最下層として用いることができる。そして、ポリカーボネート系樹脂層に対し、後述する意匠層を配置することで、加飾シートを製造することができる。また、ポリカーボネート樹脂に他の樹脂やポリマーをブレンドしたアロイや共重合させた共重合体等も、ポリカーボネート系樹脂としてポリカーボネート系樹脂層に含めることができる。
ポリカーボネート系樹脂層としては、保護対象の美観を損なわないよう、クリヤー性を有するものを用いることができる。クリヤー性の目安としては、屈折率や光線透過率が挙げられる。例えば、屈折率が1.52〜1.62であり、全光線透過率が85%以上であれば、クリヤー性を満足するといえる。
ポリカーボネート系樹脂層の厚みは、125μm〜500μmであることが好ましい。厚みが125μm未満の場合には、多層フィルムを成形する際の延伸により多層フィルムがさけるおそれや、多層フィルムを成形した成形品の剛性が不足して、例えば射出成型金型へ多層フィルムを上手く設置することができなくなるおそれがある。また、厚みが500μmを超えると、成形性が悪化し、多層フィルムを所望の形状に成形することが困難となるおそれがある。さらに、ポリカーボネート系樹脂層が厚膜になることで、多層フィルムのコストが高くなる場合がある。ポリカーボネート系樹脂層の厚みが125μm〜500μmであれば、成形性に問題の無い多層フィルムを得ることができる。
〈ポリウレタン接着層〉
ポリウレタン樹脂としては、ポリオール成分とイソシアネート成分の共重合からなるポリマーが挙げられ、各種基材への高い密着性や、高い反発弾性を有する。また、用途に応じたポリマー設計が可能であり、繊維やフィルム、金属接着といった幅広い分野で有用な樹脂である。本発明の多層フィルムでは、ポリウレタンを接着剤として使用し、アクリル系樹脂層とポリカーボネート系樹脂層とを接合するポリウレタン接着層を形成する。ポリウレタン接着層であれば、多層フィルムの透明性を損なうことなく、アクリル系樹脂層とポリカーボネート系樹脂層とを強固に接合することができ、また、変形に追従する柔軟性も備えている。
ポリウレタン接着剤としては、溶剤系、水性、無溶剤系の接着剤が挙げられ、また、湿気硬化型ポリウレタン等の一液タイプの接着剤や、ポリオール成分を主剤とし、イソシアネート成分を硬化剤とする二液タイプの接着剤が挙げられる。本発明の多層フィルムの特性を損なうものでなければ、いずれのポリウレタン接着剤も用いることができる。
ポリウレタン接着層としては、保護対象の美観を損なわないよう、クリヤー性を有するものを用いることができる。クリヤー性の目安としては、屈折率や光線透過率が挙げられる。例えば、屈折率が1.45〜1.53であり、全光線透過率が85%以上であれば、クリヤー性を満足するといえる。
ポリウレタン接着層の厚みは、5μm〜10μmであることが好ましい。厚みが5μm未満であると、接着性に劣ることでアクリル系樹脂層とポリカーボネート系樹脂層との接合を維持できないおそれがある。また、厚みが10μmを超えると、接着剤の乾燥過程において発泡することにより、硬化したポリウレタン接着層が気泡を有することで外観不良となるおそれがある。ポリウレタン接着層の厚みが5μm〜10μmであれば、接合性を満足し、外観も良好な接着層となる。
(その他の層)
本発明の多層フィルムは、上記の層のほか、他の層を含むことができる。例えば、フッ素系樹脂層の上へ、艶消し剤の添加や表面処理により艶や光沢が調整された、クリヤー樹脂からなる艶消し層を含んでもよい。このように、多層フィルムの艶や光沢は、フッ素系樹脂層を調整することのみならず、艶消し層を追加することによっても調整することができる。
図1に、本発明の一実施形態に係る多層フィルムの断面を示す模式図を示す。図1(a)にあるように、多層フィルム100は、フッ素系樹脂層10、アクリル系樹脂層20、ポリカーボネート系樹脂層30およびポリウレタン接着層40を備える。フッ素系樹脂層10とアクリル系樹脂層20は、共押出成形法により成形されたラミネート層50となっている。また、ポリウレタン接着層40は、アクリル系樹脂層20とポリカーボネート系樹脂層30とを接合する。
また、図1(b)に示す多層フィルム110は、フッ素系樹脂層10とアクリル系樹脂層20が接着層60によって接合され、これらがラミネート層51を構成する。その他の構成については、多層フィルム100と同様である。
上記した本発明の多層フィルムであれば、フッ素系樹脂層、アクリル系樹脂層、ポリカーボネート系樹脂層、ポリウレタン接着層が適切に配置されることにより、印刷適性、耐傷付性、耐薬品性、成形性、耐衝撃性、耐侯性の全てを同時に満たすことができる
[多層フィルムの製造方法]
次に、上記した本発明の多層フィルムについて、図1に示す多層フィルムの製造方法の一例を説明するための断面模式図(図2、3)を参照しつつ、その製造方法を説明する。本発明の一実施形態に係る多層フィルムの製造方法は、以下に説明する塗布工程と、乾燥工程と、接合工程とを含む。
〈塗付工程〉
本工程は、アクリル系樹脂層の表面に溶剤系ポリウレタン接着剤を塗付する工程である。例えば、図2(a)に示すように、フッ素系樹脂層10とアクリル系樹脂層20を用いて共押出成形法により成形されたラミネート層50に対し、アクリル系樹脂層20の表面の一面全体に溶剤系ポリウレタン接着剤45を塗付する。
(溶剤系ポリウレタン接着剤)
溶剤系のポリウレタン接着剤を用いることで、多層フィルム100のクリヤー性を阻害することなく、溶剤がアクリル系樹脂層20の表面を若干溶解させる等により発現するアンカー効果が付与されることで、アクリル系樹脂層20とポリカーボネート系樹脂層30とを強固に接合することができる。水性の接着剤では、このようなアンカー効果が付与されないことで接合が不十分となるおそれがあり、また、無溶剤系の接着剤は汎用的ではなく、入手が困難であったり、コストが高くなるおそれがある。具体的には、湿気硬化型ポリウレタン等の一液タイプの接着剤や、ポリオール成分を主剤とし、イソシアネート成分を硬化剤とする二液タイプの接着剤を用いることができるが、二液タイプの溶剤系ポリウレタン接着剤が汎用的であり、性能、入手の容易性、コストの観点から有用である。溶剤としては、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ミネラルスピリット等の接着剤にとって一般的な溶剤が挙げられる。
なお、溶剤系ポリウレタン接着剤45は、これに含まれる溶剤がポリカーボネート系樹脂層30を溶解させて層そのものを膨潤させたり、層内に侵入した溶剤が経時的に気化してガスを発生させるおそれがあり、層が白化する等により多層フィルム100のクリヤー性を満足できないおそれがある。そのため、溶剤系ポリウレタン接着剤45は、アクリル系樹脂層20の表面に塗付する。
溶剤系ポリウレタン接着剤45の塗付量は、特に限定されないが、乾燥してポリウレタン接着層40となった状態の厚み(ドライ膜厚)が5μm〜10μmとなるように塗付することが好ましい。ドライ膜厚が5μm未満であると、接着性に劣ることでアクリル系樹脂層とポリカーボネート系樹脂層との接合を維持できないおそれがある。また、ドライ膜厚が10μmを超えると、接着剤の乾燥過程において発泡することにより、硬化したポリウレタン接着層40が気泡を有することで外観不良となるおそれがある。ポリウレタン接着層の厚みが5μm〜10μmとなるように、溶剤系ポリウレタン接着剤45を塗付すれば、アクリル系樹脂層20とポリカーボネート系樹脂層30との接合性を満足し、外観も良好な接着層となる。
〈乾燥工程〉
本工程は、塗付した溶剤系ポリウレタン接着剤を乾燥する工程である。ポリカーボネート系樹脂層30と接合させる前に、溶剤系ポリウレタン接着剤45に含まれる溶剤を乾燥により揮発させることで、上記したポリカーボネート系樹脂層30の膨潤やガスの発生を防止することできるため、白化や気泡の発生等により多層フィルム100の外観を損なうことが無く、クリヤー性を維持することができる。
〈接合工程〉
本工程は、乾燥工程後、アクリル系樹脂層の溶剤系ポリウレタン接着剤が塗付された面と、ポリカーボネート系樹脂層とを接合する工程である。例えば、図2(b)に示すように、乾燥してポリウレタン接着層40となった層の表面にポリカーボネート系樹脂層30を貼り合わせることが、接合工程に該当する。これにより、多層フィルム100が形成される。ポリウレタン接着層40とポリカーボネート系樹脂層30との貼り合わせは、貼り合わせ面において気泡が発生しないよう、ピッタリと接合するように適宜工夫して行うことができる。また、強固に接合できるよう、圧力をかけてポリウレタン接着層40とポリカーボネート系樹脂層30とを圧着させてもよい。
(他の工程)
本発明の多層フィルムの製造方法は、上記した工程以外にも他の工程を含んでもよい。例えば、まず、図3に示すように、アクリル系樹脂層20の表面全体に溶剤系ポリウレタン接着剤45を塗付して(図3(a) 塗付工程)、溶剤系ポリウレタン接着剤45を乾燥させ(乾燥工程)、ポリウレタン接着層40とポリカーボネート系樹脂層30とを貼り合わせる(図3(b) 接合工程)。そして、その後にアクリル系樹脂層20へ接着剤65を塗付して(図3(c))、フッ素系樹脂層10を接合することでラミネート層51を形成する(図3(d))、ラミネート層形成工程を含んでもよい。なお、接着剤65としては、溶剤系ポリウレタン接着剤45と同様に溶剤系ポリウレタン接着剤が有用であり、アクリル系樹脂層20とポリカーボネート系樹脂層30とを貼り合わせる方法と同方法により、アクリル系樹脂層20とフッ素系樹脂層10を接合することができる。
[加飾シート]
次に、本発明の加飾シートについて説明する。本発明の一実施形態に係る加飾シートは、本発明の多層フィルムと、前記多層フィルムのポリカーボネート系樹脂層に配置された意匠層を備える。ポリカーボネート樹脂は、印刷対象として印刷特性に優れる樹脂であることから、ポリカーボネート系樹脂層に意匠層を配置する。
〈意匠層〉
意匠層としては、種々の色や模様、パターン等が挙げられる。例えば、装飾部分に用いられるメッキ部分や、金属材料からなる部品等と同等の装飾性や意匠性を付与することが出来る金属により形成された層(金属層)が挙げられる。また、特許文献2に示すような、光反射性凸部と、当該光反射性凸部上に黒色インキにより形成された黒色層を備える加飾パターンも、意匠層として挙げられる。
(その他の構成)
加飾シートは、上記の構成に加え、他の構成を備えてもよい。例えば、加飾シートを使用するまでの間、表面11や表面11とは反対の面等を清浄な状態に維持し、汚れが付くのを防止するため、離型紙や保護フィルム等を表面11や表面11とは反対の面等に貼り付けることができる。
[加飾シートの製造方法]
次に、上記した本発明の加飾シートについて、加飾シートの製造方法の一例を説明するための断面模式図(図4、5)を参照しつつ、その製造方法を説明する。本発明の一実施形態に係る加飾シートの製造方法は、以下に説明する配置工程を含む。
〈配置工程〉
配置工程は、本発明の多層フィルムのポリカーボネート系樹脂層に意匠層を配置する工程である。例えば、図4に示すように、フッ素系樹脂層10の表面11をおもて面とし、ポリカーボネート系樹脂層30の表面31をうら面とすると、表面31に意匠層として金属層300を配置することで、加飾シート200を製造することができる。
(金属層)
金属層300の具体例としては、装飾部分に用いられるメッキ部分や、金属材料からなる部品等と同等の装飾性や意匠性を付与することが出来る金属により形成された層であれば、特に限定されない。用いることの出来る金属としては、充分な金属光沢を金属調の加飾シートに付与することができ、かつ、展性に優れた金属または合金を1種または組み合わせたものである。具体的には、アルミニウム、インジウム、クロム、亜鉛、ガリウム、ニッケル、錫、銀、金、ケイ素、クロム、チタン、白金、パラジウム、ニッケル、ステンレススチールおよびハステロイ等ならびにこれらの合金からなる群から選択される1種または2種以上を用いることができる。
上記した金属の中でも、特にインジウム、錫またはこれらの合金は、深絞りの立体成形を行う場合に有利である。特にインジウムやインジウム合金を用いることにより、金属調の加飾成形体とした場合における成形体の種々の形状に追従しつつ、装飾性や意匠性を満足することができる。
さらに、金属層が99.9%以上の高純度のインジウムからなるものであると、深絞りがあり、かつ、曲率半径の極めて小さい成形体の成形に応用することができるため、より好ましい。なお、通常の深絞り成形体を成形する場合、適宜、アルミニウム、亜鉛、ガリウム、ニッケル、錫、銀、金、ケイ素、クロム、チタン、白金、パラジウム、ニッケル、ステンレススチールおよび/またはハステロイ等を、インジウムと混合した混合物として用いることができる。また、これらの金属をインジウムと合金化して用いることができる。特に、インジウムや錫とこれらの金属や、インジウム錫合金を用いることにより、優れた装飾性や意匠性を満足することができる。
金属層300の厚さは、特に限定されないが、装飾性や意匠性を考慮すると、10nm〜100nmであることが好ましい。金属層300の厚さが10nm未満である場合には、金属調の加飾シート200とした場合に充分な金属光沢を付与できないおそれがあり、装飾性や意匠性を満足しないおそれがある。一方、金属層300の厚さが100nmを超える場合には、装飾性や意匠性への影響は飽和し、さらに金属調の加飾シート200の製造コストの上昇を引き起こすおそれがある。また、金属調の加飾シート200とバックライトとの構成により、金属層300を介して光を透過させることで、装飾性や意匠性を演出する場合がある。このような場合であっても、金属層300の厚さが10nm〜100nmであれば、装飾性や意匠性等を満足することができる。通常は、金属層300の厚さは50nmであり、例えば、光線透過用の金属調加飾シートの場合には、金属層300の厚さは25nmに設定することができる。
金属層300は、優れた装飾性や意匠性を付与するための重要な層であり、均一で薄い層であることが好ましい。例えば、金属層300が金属粒子の島が互いに離れた隙間を有する海島構造であることにより、深絞りの立体成形を行っても、白化現象等を防止し、金属光沢を保持することができる。このような金属層を形成する方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法またはイオンプレーティング法等が挙げられ、真空応用技術等の通常の方法で金属層300を形成することができる。
[加飾成形体]
次に、本発明の加飾成形体について説明する。本発明の一実施形態に係る加飾成形体は、本発明の加飾シートを備え、フッ素系樹脂層を表面に備える。
図5に、加飾成形体を模式的に示す断面図を示す。この図に示す加飾成形体は、例えば押出ラミネート法や射出成形法等により、目的に応じて所望の形状に成形されたものであり、加飾シート200を成形したものが加飾成形体210である。また、フッ素系樹脂層10の表面11が、加飾成形体210の最表面となる。
加飾成形体は、例えば、スマートフォン、携帯電話の筐体、自動車用ドアミラーハウジング、フロントグリル、ドアハンドル、センターホイールキャップ、エンブレム、オーナメント、ガーニッシュ、ランプリフレクター、センターコンソール、インストールパネル等、パソコンやTV、家電の筐体や装飾部分、パチンコ、パチスロ、ゲーム機等の筐体や装飾部分、あるいは一般用途としてキャリーバックやスーツケース等に用いられる。
(その他の構成)
加飾成形体は、上記の構成に加え、他の構成を備えてもよい。例えば、加飾成形体を使用するまでの間、表面11を清浄な状態に維持し、汚れが付くのを防止するため、離型紙や保護フィルム等を表面11に貼り付けることができる。
なお、図5に示す加飾成形体210は、一例であり、本発明はこれに限定されない。種々の方法によりさまざまな形状に成形されたものも、本発明の加飾成形体に含まれる。
以下、本発明について、実施例を用いてさらに具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に何ら限定されるものではない。
[多層フィルムの製造]
表1に示すシートを原料とし、実施例1〜2、比較例1〜4に示すように多層フィルムを製造した。
Figure 2020189443
〈実施例1〉
ラミネートシートのPMMA層の表面に、主剤と硬化剤と溶剤を適切に混合したポリウレタン接着剤を、ドライ膜厚が5μmとなるように塗付し(塗付工程)、80℃で30秒乾燥させた(乾燥工程)。その後、PMMA層の接着剤が塗布された面と、ポリカーボネート樹脂シートとを貼り合わせることにより接合し(接合工程)、その後40℃で4日間養生した。これらの工程により、実施例1の多層フィルムを製造した。
〈実施例2〉
アクリル樹脂シートの表面に、主剤と硬化剤と溶剤を適切に混合したポリウレタン接着剤を、ドライ膜厚が5μmとなるように塗付し(塗付工程)、80℃で30秒乾燥させた(乾燥工程)。その後、アクリル樹脂シートの接着剤が塗布された面と、ポリカーボネート樹脂シートとを貼り合わせることにより接合し(接合工程)、その後40℃で4日間養生した。そして、アクリル樹脂シートにおいてポリカーボネート樹脂シートを接合した面とは反対の面に、同様にポリウレタン接着剤をドライ膜厚が5μmとなるように塗付し、80℃で30秒乾燥させた。その後、乾燥させた接着剤とフッ素樹脂シートとを貼り合わせることにより、アクリル樹脂シートとフッ素樹脂シートとを接合し、その後40℃で4日間養生した。これらの工程により、実施例2の多層フィルムを製造した。
〈比較例1〉
実施例2と同様に、アクリル樹脂シートの表面に、主剤と硬化剤と溶剤を適切に混合したポリウレタン接着剤を、ドライ膜厚が5μmとなるように塗付し、80℃で30秒乾燥させた。その後、アクリル樹脂シートの接着剤が塗布された面と、ポリカーボネート樹脂シートとを貼り合わせることにより接合し、その後40℃で4日間養生した。なお、フッ素樹脂シートは使用しなかった。これらの工程により、比較例1の多層フィルムを製造した。
〈比較例2〉
実施例2と同様に、アクリル樹脂シートの表面にポリウレタン接着剤をドライ膜厚が5μmとなるように塗付し、80℃で30秒乾燥させた。その後、乾燥させた接着剤とフッ素樹脂シートとを貼り合わせることにより、アクリル樹脂シートとフッ素樹脂シートとを接合し、その後40℃で4日間養生した。なお、ポリカーボネート樹脂シートは使用しなかった。これらの工程により、比較例2の多層フィルムを製造した。
[多層フィルムの物性評価]
以下に示す方法により、実施例1、2、比較例1、2の多層フィルムの物性を評価した。また、比較例3、4として単層のアクリル樹脂シートおよびポリカーボネート樹脂シートについても、同様に物性を評価した。
(印刷適性)
多層フィルム等のPC層(実施例1、2、比較例1、4)またはPMMA層(比較例2、3)にスクリーンインキ ISX911(墨)(帝国インキ製造株式会社製)をスクリーン印刷し、乾燥させて印刷層を形成したものを試験体とした。その後、JIS K 5600(クロスカット法)に準じ、印刷層の表面にカッターナイフにて2mmピッチで縦横に11本の切りつけを施し、その面にニチバン社製セロテープ(登録商標)(幅18mmまたは24mm)を指の腹でしっかり貼り、密着状態を確認した。その後にセロテープ(登録商標)の先端を持ち、45度の角度を保ちながら瞬間的に引張り剥がした。印刷層の剥がれが無い場合を〇、印刷層が剥がれた場合を×と評価した。
(耐傷付性)
多層フィルム等を5%伸張した状態で準備した。そして、幅20mm、半径10mmの摩擦子に綿帆布(6号)を被せ、摩擦子の荷重を4.9±0.49Nとし、多層フィルム等のラミネート層(実施例1)、PVDF層(実施例2、比較例2)、PMMA層(比較例1、3)、PC層(比較例4)の表面について140mmの間を10回摩擦した。摩擦の結果、著しい傷残りが無い場合を〇、著しい傷残りが認められた場合を×と評価した。
(耐水性)
多層フィルム等を55℃の温水に4時間浸漬処理した。浸漬処理終了直後の状態で温水より取り出した多層フィルム等に白化、変色、著しい瘢痕等の異常が無い場合を〇、これらのいずれかの異常が認められた場合を×と評価した。
(耐薬品性)
多層フィルム等の表面に0.1N H2SO4水溶液を5ml滴下し、20℃で24時間静置することにより、耐酸性試験を行った。多層フィルム等の表面に0.1N NaOH水溶液を5ml滴下し、55℃で4時間静置することにより、耐アルカリ性試験を行った。多層フィルム等の表面に白灯油を5ml滴下し、55℃で4時間静置することにより、耐薬品性試験を行った。また、耐薬品性試験として、多層フィルム等の表面に50質量%エタノールを5ml滴下し、55℃で4時間静置する試験、多層フィルム等のラミネート層(実施例1)、PVDF層(実施例2、比較例2)、PMMA層(比較例1、3)、PC層(比較例4)の表面に日焼け止めクリーム(SPF45)を塗付して、その後80℃で24時間静置後にクリームを除去する試験を行った。試験終了直後の状態で各薬品を除去した多層フィルム等に白化、変色、著しい瘢痕等の異常が無い場合を〇、これらのいずれかの異常が認められた場合を×と評価した。
(成形性)
真空圧空成形機(キーフェル社製)を使用し、多層フィルム等の表面温度が180℃に達するように40秒加熱後、真空(1barr)および圧空(6barr)をかけて賦形処理を行い、成形品を製造した。クランプのサイズは300×350mm、ヒーターの設定は上ヒーターを350℃、下ヒーターを400℃とした。また、試作型サイズは縦10.5cm、横8.5cm、高さ0.7cmとした。成形品が、目視評価で試作型通り成形できており、成形に異常がない場合を〇、成形品に試作型とは異なる変形が認められた場合や成形に異常が認められた場合を×と評価した。
(耐衝撃性)
上記の成形性の評価にて賦形処理を行い製造した成形品を使用し、射出成型機(株式会社日本製鋼所製)を用いてインサート射出成形を行い、平板状の射出成形品を製造した。製造した射出成型品に、2.94Nのおもりを落下距離0.2mで落下させた。その後の射出成型品に割れや剥がれが無い場合を〇、割れや剥がれが認められた場合を×と評価した。なお、射出成形に用いた射出樹脂としては、SABIC社製のPC/ABSアロイ樹脂を使用した。
(促進耐候性)
印刷適性を評価後の試験体を使用し、スーパーキセノンウェザーメーター(スガ試験機株式会社製 SX−75)を用いて以下の条件にて促進耐候性試験を実施した。
・照射方法 連続照射
・放射照度 150W/m2(300〜400nm)
・キセノンロングライフアークランプ 7.5kW 1灯
・ランプ冷却方式 水冷式
・ガラスフィルター (インナーフィルター:石英ガラス、アウターフィルター:#275)
・ブラックパネル温度83℃
・相対湿度50%
・積算光量 150MJ/m2
促進耐候性試験の前後の色差(ΔE)が3.0以下であり、促進耐候性試験後の試験体において上記と同様の印刷適性試験を行い、印刷層の剥がれが無い場合を〇と評価した。また、これらの促進耐候性試験の前後の色差(ΔE)が3.0より大きい場合や、促進耐候性試験後の試験体において上記と同様の印刷適性試験を行い、印刷層が剥がれた場合を×と評価した。
(透明性)
多層フィルム等について、JIS K 7136に準じて全光線透過率とヘイズを測定した。全光線透過率が85%以上であり、ヘイズ値が4.0%以下である場合を〇、全光線透過率が85%未満の場合やヘイズ値が4.0%より大きい場合を×と評価した。
表2に多層フィルムの層の構成、および物性評価の結果を示す。
Figure 2020189443
実施例1、2では、PVDFが最表面を構成することで、耐薬品性や耐候性を満足した。また、PVDFよりも硬いPMMAがPVDFの次の層を構成することで、耐傷付性を満足した。そして、PCが最下層としての印刷対象となる層を構成することで、印刷適性を満足した。耐水性、成形性、耐衝撃性および透明性については、多層フィルムとしてこれらの性能を満足した。
一方、比較例1では、PMMAが最表面を構成することで、耐薬品性を満足しなかった。比較例2では、PMMAが印刷対象となる層となることにより、印刷適性を満足しなかった。また、比較例3では、シート構成がPMMAの単層のみであることから、印刷適性、耐薬品性を満足せず、耐衝撃性についてはシートが硬いことで割れが発生し、性能を満足しなかった。さらに、比較例4では、シート構成がPCの単層のみであることから、耐傷付性、耐薬品性および耐候性を満足しなかった。
[まとめ]
上記の実施例の結果から、本発明の多層フィルムであれば、フッ素系樹脂層およびアクリル系樹脂層が積層したラミネート層と、ポリカーボネート系樹脂層と、前記アクリル系樹脂層と前記ポリカーボネート系樹脂層とを接合するポリウレタン接着層と、を備えることにより、印刷適性、耐傷付性、耐薬品性、成形性、耐衝撃性、耐侯性の全てを同時に満たすことができる。また、このような多層フィルムは印刷特性に優れることから、意匠層を配置した加飾シートとしても有用であることは、明らかである。
10 フッ素系樹脂層
11 表面
20 アクリル系樹脂層
30 ポリカーボネート系樹脂層
31 表面
40 ポリウレタン接着層
45 溶剤系ポリウレタン接着剤
50 ラミネート層
51 ラミネート層
60 接着層
65 接着剤
100 多層フィルム
110 多層フィルム
200 加飾シート
210 加飾成形体
300 金属層

Claims (8)

  1. フッ素系樹脂層およびアクリル系樹脂層が積層したラミネート層と、
    ポリカーボネート系樹脂層と、
    前記アクリル系樹脂層と前記ポリカーボネート系樹脂層とを接合するポリウレタン接着層と、を備える多層フィルム。
  2. 前記フッ素系樹脂層の厚みは5μm〜50μmであり、
    前記アクリル系樹脂層の厚みは50μm〜125μmであり、
    前記ポリウレタン接着層の厚みは5μm〜10μmであり、
    前記ポリカーボネート系樹脂層の厚みは125μm〜500μmである、請求項1に記載の多層フィルム。
  3. 前記フッ素系樹脂層に用いられるフッ素樹脂は、ポリフッ化ビニリデン樹脂であり、
    前記アクリル系樹脂層に用いられるアクリル樹脂は、ポリメタクリル酸メチル樹脂である、請求項1または2に記載の多層フィルム。
  4. 前記ラミネート層は、前記フッ素系樹脂層と前記アクリル系樹脂層とを接合するポリウレタン接着層を備える、請求項1〜3のいずれかに記載の多層フィルム。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の多層フィルムの製造方法であって、
    前記アクリル系樹脂層の表面に溶剤系ポリウレタン接着剤を塗付する塗付工程と、
    塗付した前記溶剤系ポリウレタン接着剤を乾燥する乾燥工程と、
    前記乾燥工程後、前記アクリル系樹脂層の前記溶剤系ポリウレタン接着剤が塗付された面と、前記ポリカーボネート系樹脂層とを接合する接合工程と、を含む、多層フィルムの製造方法。
  6. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の多層フィルムと、前記多層フィルムの前記ポリカーボネート系樹脂層に配置された意匠層を備える、加飾シート。
  7. 請求項6に記載の加飾シートの製造方法であって、
    請求項1〜4のいずれか1項に記載の多層フィルムの前記ポリカーボネート系樹脂層に意匠層を配置する配置工程を含む、加飾シートの製造方法。
  8. 請求項6に記載の加飾シートを備え、前記フッ素系樹脂層を表面に備える、加飾成形体。
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