JP2020176042A - シラス細骨材を用いた建築構造用コンクリートの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】シラス細骨材を用い、良好な自己充填性をもち、また、長期の耐久性に優れた、建築構造用コンクリートの製造方法を提供する。【解決手段】採取したシラスを含水率13%以下に調整する第1工程と、第1工程で得られた含水率13%以下のシラスを目開き5mmのふるいに通過させ、平均粒径0.15mm以下の微粒分を少なくとも10%含む、シラス細骨材を得る第2工程と、第2工程で得られたシラス細骨材を、セメント、水、混和剤と混合してコンクリートを得る第3工程を備える構成とする。【選択図】図1
Description
本発明は、コンクリートの製造方法に関し、特にシラス細骨材を用いた建築構造用コンクリートの製造方法に関するものである。
建築土木分野では、主要材料にコンクリートが幅広く用いられている。コンクリートは、セメントに骨材として砂、砂利、砕石を混ぜ合わせて水練りしたもので、水和熱反応により時間とともに硬化する。セメントは、石灰と粘土だけで焼成したポルトランドセメント、高炉セメントやシリカセメント、石灰スラグなどを混合した混合セメントなどの種類がある。骨材のうち砂を細骨材、砂利を粗骨材と呼び、細骨材に用いられる砂は、主に河川から川砂を採取してきたが、コンクリート需要の増大や河川の環境保全から、川砂の採取が規制された結果、山砂や海砂の使用が主流となっている。
近年は、コンクリートの施工性の改善を目的として流動化剤を添加してコンクリートの流動性を良くした流動化コンクリート、さらに打設したコンクリートが振動や締固めなしで隅々まで行きわたるように流動性をより高めた高流動コンクリートが増えつつある。高流動コンクリートは、調合用の水が通常のコンクリートより少なく、粉体量を増やして粘性を高めたもの(材料分離に対する抵抗性がある)、増粘剤を添加して粘性を高めたもの、これらを併用して使用するものなどがある。
流動化コンクリートや高流動コンクリートの製造方法として、特許文献1〜4に示すものが知られている。
上記特許文献1〜4に示すコンクリートは、細骨材に川砂や海砂を使用するものである。上に述べた通り、川砂の採取はコンクリートの需要の増加や河川の維持保全の観点から規制され、山砂や海砂の使用が主流となっている。九州を含む西日本では海砂が主流であるが、近年では漁業に対する影響や環境保全の観点から海砂の採取に対しても規制を設ける地域が増加傾向にある。また、海砂は洗浄してから細骨材に使用するが、海水に含まれる塩分を完全に除去できないという問題がある。
本発明者らは、海砂の代替品として、特に南九州に広く分布する火山噴出物であるシラスに着目し、鋭意研究した結果、良好な自己充填性をもち、また、従来の細骨材に比べて長期耐久性に優れ、建築構造用に好適なコンクリートを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、上記に鑑みてなされたもので、シラス細骨材を用い、良好な自己充填性をもち、また、長期の耐久性に優れた、建築構造用コンクリートの製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、シラス細骨材を用いた建築構造用コンクリートの製造方法であって、
採取したシラスを含水率13%以下に調整する第1工程と、第1工程で得られた含水率13%以下のシラスを目開き5mmのふるいに通過させ、平均粒径0.15mm以下の微粒分を少なくとも10%含む、シラス細骨材を得る第2工程と、第2工程で得られたシラス細骨材を、セメント、水、混和剤と混合してコンクリートを得る第3工程を備えることを主要な特徴とする。
採取したシラスを含水率13%以下に調整する第1工程と、第1工程で得られた含水率13%以下のシラスを目開き5mmのふるいに通過させ、平均粒径0.15mm以下の微粒分を少なくとも10%含む、シラス細骨材を得る第2工程と、第2工程で得られたシラス細骨材を、セメント、水、混和剤と混合してコンクリートを得る第3工程を備えることを主要な特徴とする。
本発明は、第2工程において、含水率13%以下のシラスを、目開き10mm超と目開き5mmの二段のふるいに通過させることを第2の特徴とする。
本発明は、第3工程において、混和剤を、AE減水剤または高性能AE減水剤から構成することを第3の特徴とする。
本発明は、第3工程において、水セメント比を30〜70%とし、セメント270〜600kg、水185〜200kg、シラス細骨材300〜700kg、粗骨材800〜1300kg、混和剤をセメント使用量の0.50〜5.00%として、配合することを第4の特徴とする。
本発明は、シラス細骨材を、表乾密度1.8〜2.7g/cm3、絶乾密度1.0g/cm3以上、吸水率13.0%以下、粗粒率1.0〜7.0%、平均粒径0.15mm以下の微粒分量10%以上であるシラスから構成することを第5の特徴とする。
本発明によると、未利用資源であるシラスを活用し、良好な自己充填性をもち、かつ、施工後は長期耐久性に優れた建築構造用コンクリートを得ることができるという効果を奏する。
また、本発明によると、環境に優しい建築構造用コンクリートを得ることができるという効果を奏する。
本発明を実施するための最良の形態について図面を参照しながら説明する。図1ないし図11は本発明に係る一実施形態を示すもので、図1は本発明に係る建築構造用のコンクリート(以下、シラスコンクリートという。)の製造手順を示すフロー図、図2はシラス細骨材の製造手順を示すフロー図である。最初に、図1ないし図3を参照しながら、本発明に係るシラスコンクリートの製造手順を説明する。
(シラスの採取)
図2のフローに従い、最初に細骨材の材料となるシラスを採取する。シラスは火砕流堆積物の一種であり、産地として例えば入戸火砕流、阿多火砕流の一次堆積シラス層から採取する。シラスの化学組成は、SiO2、Al2O3、CaO、Fe2O3、K2Oを含む。当該産地で採取されるシラスの物性値は、凡そ、表乾密度1.8〜2.7g/cm3、絶乾密度1.0g/cm3以上、吸水率13.0%以下、粗粒率1.0〜7.0%、平均粒径0.15mm以下の微粒分量10%以上である。
図2のフローに従い、最初に細骨材の材料となるシラスを採取する。シラスは火砕流堆積物の一種であり、産地として例えば入戸火砕流、阿多火砕流の一次堆積シラス層から採取する。シラスの化学組成は、SiO2、Al2O3、CaO、Fe2O3、K2Oを含む。当該産地で採取されるシラスの物性値は、凡そ、表乾密度1.8〜2.7g/cm3、絶乾密度1.0g/cm3以上、吸水率13.0%以下、粗粒率1.0〜7.0%、平均粒径0.15mm以下の微粒分量10%以上である。
シラスの採取に際して、最初に採取検査を行い(雨天時やその直後の高含水率のシラスは採取しない)、次いで受入れ目視検査を行う(目視で土砂、雑物の混入を避ける)。
(シラスの乾燥)
次に、受入れ目視検査に合格したシラスは、乾燥場に搬入し、天日により自然乾燥させる。天候によりシラスの乾き具合を確認しながら、集積と薄く拡げる作業を繰り返し、搬入したシラスが均一に乾燥するようにする。集積の都度、含水率を測定する。
次に、受入れ目視検査に合格したシラスは、乾燥場に搬入し、天日により自然乾燥させる。天候によりシラスの乾き具合を確認しながら、集積と薄く拡げる作業を繰り返し、搬入したシラスが均一に乾燥するようにする。集積の都度、含水率を測定する。
(シラスのふるい分け)
次に、含水率が13%以下になったら、上段が目開き14mmのふるい、下段が目開き5mmのふるいを備えた振動ふるい機を用いて、シラスをふるい分けする。上下2段のふるいを通過したシラスを細骨材とする。
次に、含水率が13%以下になったら、上段が目開き14mmのふるい、下段が目開き5mmのふるいを備えた振動ふるい機を用いて、シラスをふるい分けする。上下2段のふるいを通過したシラスを細骨材とする。
(シラス細骨材の製造)
次に、ふるい分け後のシラスを受入れ精密検査する。表乾密度1.8〜2.7g/cm3、絶乾密度1.0g/cm3以上、吸水率13.0%以下、粗粒率1.0〜7.0%、平均粒径0.15mm以下の微粒分量10%以上の各基準に合格したシラスを細骨材(シラス細骨材)とする。
次に、ふるい分け後のシラスを受入れ精密検査する。表乾密度1.8〜2.7g/cm3、絶乾密度1.0g/cm3以上、吸水率13.0%以下、粗粒率1.0〜7.0%、平均粒径0.15mm以下の微粒分量10%以上の各基準に合格したシラスを細骨材(シラス細骨材)とする。
(シラス細骨材の保管)
上記のようにして得られたシラス細骨材はフレキシブルコンテナバッグに収容して屋根付きの骨材貯蔵ヤード内に保管する。
上記のようにして得られたシラス細骨材はフレキシブルコンテナバッグに収容して屋根付きの骨材貯蔵ヤード内に保管する。
(シラス細骨材の搬送と計量)
次に、図1のフローに示すように、保管されたシラス細骨材を、骨材貯蔵ヤードから、ベルトコンベアによりプラント上部の貯蔵部に搬送し、計量部を通してプラント下部のミキサへ送る。
次に、図1のフローに示すように、保管されたシラス細骨材を、骨材貯蔵ヤードから、ベルトコンベアによりプラント上部の貯蔵部に搬送し、計量部を通してプラント下部のミキサへ送る。
(他の材料の搬送と計量)
同様に、骨材貯蔵ヤードから、粗骨材をベルトコンベアによりプラント上部の貯蔵部に搬送し、計量部を通してプラント下部のミキサへ送る。セメントサイロからは、セメントをベルトコンベアによりプラント上部の貯蔵部に搬送し、計量部を通してプラント下部のミキサに送る。さらに水と混和剤を、各貯蔵タンクから計量部を通してミキサに送る。
同様に、骨材貯蔵ヤードから、粗骨材をベルトコンベアによりプラント上部の貯蔵部に搬送し、計量部を通してプラント下部のミキサへ送る。セメントサイロからは、セメントをベルトコンベアによりプラント上部の貯蔵部に搬送し、計量部を通してプラント下部のミキサに送る。さらに水と混和剤を、各貯蔵タンクから計量部を通してミキサに送る。
(シラスコンクリートの製造)
ミキサに送られる各材料(セメント、シラス細骨材、粗骨材、水、混和剤)は予め決められた配合量となるようにコンピュータで制御される。配合量の割合は、建築構造用コンクリートの性能を満たせるように、設計基準強度を18〜36N/mm2の範囲内で決定し、水セメント比を30〜70%とし、また、セメント270〜600kg、水185〜200kg、シラス細骨材300〜700kg、粗骨材800〜1300kg、混和剤をセメント使用量の0.50〜5.00%の範囲から選択し決定する。混和剤はAE減水剤、高性能AE減水剤から選択する。ミキサに送られた各材料は、ミキサ内で混錬され、流動性の高い建築構造用のシラスコンクリートを得る。
ミキサに送られる各材料(セメント、シラス細骨材、粗骨材、水、混和剤)は予め決められた配合量となるようにコンピュータで制御される。配合量の割合は、建築構造用コンクリートの性能を満たせるように、設計基準強度を18〜36N/mm2の範囲内で決定し、水セメント比を30〜70%とし、また、セメント270〜600kg、水185〜200kg、シラス細骨材300〜700kg、粗骨材800〜1300kg、混和剤をセメント使用量の0.50〜5.00%の範囲から選択し決定する。混和剤はAE減水剤、高性能AE減水剤から選択する。ミキサに送られた各材料は、ミキサ内で混錬され、流動性の高い建築構造用のシラスコンクリートを得る。
(シラスコンクリートの搬送)
得られた建築構造用のシラスコンクリートは、下部の積込みホッパから直下のミキサ車に移し替えられ、プラントからコンクリート打設現場へ搬送される。
得られた建築構造用のシラスコンクリートは、下部の積込みホッパから直下のミキサ車に移し替えられ、プラントからコンクリート打設現場へ搬送される。
図3は上記手順に従い製造された建築構造用の6種類(設計基準強度24〜36)のシラスコンクリートの配合例と、海砂と山砂の混合砂を細骨材に利用した普通コンクリートの配合例を示している。
発明者らは、試験コンクリートとして、図4に示す配合例のシラスコンクリート(実施例1〜4)と普通コンクリート(比較例)、高流動シラスコンクリート(実施例5、6)を製造し、ブリーディング状況、コンクリートの充填性評価、コンクリートのヤング係数、コンクリートの長さ変化、コンクリートの促進中性化、コンクリートの凍結融解性について、それぞれ試験および評価を行った。
図5はブリーディング試験の結果を示している。ブリーディングはコンクリート中の水が表面に浮き出す現象であり、ブリーディング量が多いと、コンクリートの品質に悪影響を及ぼすとされている。試験はJISA1123に準拠した。図5に示すように、普通コンクリート(W/C=60%)は時間経過とともにブリーディング量が大幅に増加するが、実施例1(W/C=60%)および実施例2(W/C=50%)のシラスコンクリートは時間が経過してもブリーディング量の増加がほとんど見られず、従来に比べてブリーディング量が大幅に低減した。
実施例1、2のシラスコンクリートは、吸水性に優れたシラス細骨材を多く含むため、ブリーディング量の大幅低減につながったと考えられる。ブリーディング量の大幅低減により、コンクリートの品質向上が図られる。
図6はコンクリートの充填性評価の結果を示している。本評価は、JISA1119「ミキサで練り混ぜたコンクリート中のモルタルの差および粗骨材量の差の試験方法」を用いて、試験体として図7に示す壁部材(模擬壁部材)1に打ち込んだコンクリートを同図に示す箇所(左側、中央、右側)から試料を採取し、粗骨材量の差から、実施例1〜3のシラスコンクリートについて、充填性の評価を行った。
図6に示すように、実施例1〜3のシラスコンクリートは、いずれも調合設計に対する単位粗骨材量最大差が5%以下であり、充填性に支障がないことが確認された。
図8はコンクリートのヤング係数(静弾性係数)試験の結果を示している。図7に示す材齢56日の壁部材(模擬壁部材)1の中央部コア供試体で行った。実施例1〜4のシラスコンクリートのヤング係数は、以下の式1で計算される値の80%以上の範囲内に収まることが確認できた。これにより実施例1〜4のシラスコンクリートは、建築構造用コンクリートとして十分な強度を備えることが確認された。なお、コンクリートの単位容積質量(γ)は、圧縮強度とコア単位容積質量の関係から最小二乗法で求め、表1に示す数値を用いた。
図9はコンクリートの長さ変化試験の結果を示すもので、試験方法は「モルタル及びコンクリートの長さ変化試験方法」および「CCDレーザ変位センサー法」を用いた。測定器の最小表示は0.01mm、供試体の形状寸法は100×100×400mm、基長材齢は材齢1週、基長までの養生方法は標準水中養生に依った。
図9に示すように、実施例1〜4のシラスコンクリートは長さ変化率が800×10−6以下であり、JASS5(建築工事標準仕様書・同解説 JASS5鉄筋コンクリート工事)における基準を満たしていることが分かった。
図10はコンクリートの促進中性化試験の結果を示している。試験はJISA1153に依り、促進条件は温度20±2℃、湿度60±5%、二酸化炭素濃度5±0.2%とし、促進材齢が1週、4週、8週、13週、26週の時点の供試体の中性化深さを測定した。図10に示すように、実施例1、2のシラスコンクリートは、中性化に対する抵抗性が比較例のコンクリートと同等であることが確認できた。
図11はコンクリートの凍結融解抵抗性試験の結果を示している。試験は水中凍結融解試験方法(A法)に依った。コンクリートの凍結融解作用に対する抵抗性は、耐久性指数で表され、通常の場合はサイクル数200回で相対動弾性係数60(%)以上が求められ、激しい凍結融解作用に対する抵抗が必要とされる場合はサイクル数300回で相対動弾性係数80(%)以上が求められる。
図11によると、実施例1、2のシラスコンクリートはサイクル数200回で相対動弾性係数80(%)を優に超えており、また、実施例2のシラスコンクリートはサイクル数300回で相対動弾性係数80(%)を超えている。これにより、実施例1、2のシラスコンクリートはコンクリートの凍結融解作用に対する抵抗性が十分高いことが確認され、また、実施例2のシラスコンクリートは激しい凍結融解作用に対する抵抗性も十分高いことが確認された。
本発明者らは、さらに、実施例1、2のシラスコンクリートと比較例の普通コンクリートについて、硫黄泉浴槽中(泉温40℃)で長期(12か月)の耐久性試験を行い、供試体のコンクリート表面からの浸食深さ(mm)、圧縮強度(MPa)の経時変化を測定したところ、普通コンクリートに比べ、実施例1、2のシラスコンクリートは、コンクリート表面の浸食深さや強度低下が抑制されることを確認した。
これは、実施例1、2のシラスコンクリートに含まれるシラスがコンクリート中でポゾラン反応を起こし、アルカリ骨材反応(膨張)を抑制するためと考えられる。実施例のシラスコンクリートは長期にわたり高耐久性を維持するという効果を期待することができる。
本実施形態のシラスコンクリートは、上で述べた各試験の結果および評価により、普通コンクリートと同等の強度と耐久性(中性化、凍結融解抵抗性など)を備え、さらに、耐久性については普通コンクリートよりも長期の高耐久性を期待できることが分かった。さらに、シラス細骨材に0.15mm以下の微粒子分を10%以上含むことにより、混和剤の配合量は増えるが、材料分離抵抗性が高まるため、流動性を高めた生コンクリートを製造することができることが分かった。
シラス細骨材は、0.15mm以下の微粒子100%も適用することが可能であるが(吉田シラスなど)、同微粒分量は10〜60%が望ましい。
本実施形態のシラスコンクリートによると、普通コンクリートのように細骨材から微粒子分を取り除く必要がなく、採取したシラスに含まれる微粒子分をそのまま活用することができ、また、良好な自己充填性から施工不良の低減を図ることができる。
以上のような優れた作用を発揮することから、本実施形態のシラスコンクリートは建築構造用コンクリートとして最適であり、建築物の屋根、柱、壁、梁、床、基礎や、建築物に付随する設備(門や塀など)に幅広く適用可能である。特に普通コンクリートでは長期の耐久性に課題のある地域(例えば塩害を受けやすい海岸沿いや、温泉地など)の建築物に好適である。
かくして、本発明によると、流動化コンクリート、高流動コンクリートを特殊な材料を用いることなく実現でき、長期耐久性に優れた建築構造用のシラスコンクリートを製造することができるようになった。
本発明は、シラス細骨材を用いたコンクリートの製造方法として利用可能である。
1 壁部材(模擬壁部材)
Claims (5)
- シラス細骨材を用いた建築構造用コンクリートの製造方法であって、
採取したシラスを含水率13%以下に調整する第1工程と、第1工程で得られた含水率13%以下のシラスを目開き5mmのふるいに通過させ、平均粒径0.15mm以下の微粒分を少なくとも10%含む、シラス細骨材を得る第2工程と、第2工程で得られたシラス細骨材を、セメント、水、混和剤と混合してコンクリートを得る第3工程を備えることを特徴とするシラス細骨材を用いた建築構造用コンクリートの製造方法。 - 第2工程において、含水率13%以下のシラスを、目開き10mm超と目開き5mmの二段のふるいに通過させることを特徴とする、
請求項1記載のシラス細骨材を用いた建築構造用コンクリートの製造方法 - 第3工程において、混和剤を、AE減水剤または高性能AE減水剤から構成することを特徴とする、
請求項1または請求項2に記載のシラス細骨材を用いた建築構造用コンクリートの製造方法。 - 第3工程において、水セメント比を30〜70%とし、セメント270〜600kg、水185〜200kg、シラス細骨材300〜700kg、粗骨材800〜1300kg、混和剤をセメント使用量の0.50〜5.00%として、配合することを特徴とする、
請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載のシラス細骨材を用いた建築構造用コンクリートの製造方法。 - シラス細骨材を、表乾密度1.8〜2.7g/cm3、絶乾密度1.0g/cm3以上、吸水率13.0%以下、粗粒率1.0〜7.0%、平均粒径0.15mm以下の微粒分量10%以上であるシラスから構成することを特徴とする、
請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載のシラス細骨材を用いた建築構造用コンクリートの製造方法。
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