JP2020161243A - リチウム二次電池セパレータ用不織布基材及びリチウム二次電池セパレータ - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、耐熱性に優れ、引張強度が高く、セパレータの生産性の高いリチウム二次電池セパレータ用不織布基材を提供しようとするものである。
【解決手段】延伸ポリエステル繊維と、バインダー繊維として未延伸ポリエステル繊維と湿熱接着性繊維とを含有することを特徴とするリチウム二次電池セパレータ用不織布基材。
【選択図】なし
【解決手段】延伸ポリエステル繊維と、バインダー繊維として未延伸ポリエステル繊維と湿熱接着性繊維とを含有することを特徴とするリチウム二次電池セパレータ用不織布基材。
【選択図】なし
Description
本発明は、リチウム二次電池セパレータに用いる不織布基材及びリチウム二次電池セパレータに関する。
リチウム二次電池、アルミニウム電解キャパシタ、電気二重層キャパシタ、リチウムイオンキャパシタ等の電気化学素子には、極板間の接触を防ぐための電気化学素子セパレータが用いられている。
特に、リチウム二次電池セパレータ(以下、「リチウム二次電池セパレータ」を「セパレータ」と略記する場合がある)として多く使用されているのは、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン系微多孔膜である。これら微多孔膜は、熱による膜の融解により孔を塞ぎ、正極と負極を絶縁するシャットダウン効果を利用して、セパレータに安全性を持たせている。しかし、ポリオレフィン系微多孔膜は電解液への親和性が低く、電解液保持性が良くないという問題があった。そのため、微多孔膜の代わりに不織布等を用い、電解液保持性を高めることが試みられている。
電解液保持性と共に、内部短絡防止、イオン透過性及びシート強度の向上を目的として、湿熱接着性樹脂からなる繊維とオレフィン樹脂からなる繊維とを主体とし、湿式抄造法で製造されてなる不織布タイプのセパレータが開示されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、耐熱性に劣るオレフィン樹脂を主体繊維とする特許文献1のセパレータは、電池が異常発熱した場合、溶解・収縮し、正負極を隔離する機能が失われて、著しい短絡を生じるおそれがある。
電池が異常発熱した場合でも溶融・収縮を生じにくいセパレータとして、ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維を含有してなるリチウム二次電池セパレータ用不織布基材(以下、「リチウム二次電池セパレータ用不織布基材」を「不織布基材」と略記する場合がある)に、無機粒子を塗工してなるセパレータが提案されている(例えば、特許文献2〜4参照)。
特許文献2には、繊維径0.1〜10μmの繊維を含有してなるPET不織布基材が記載されている。特許文献3には、結晶化PET繊維とバインダー用PET繊維を含有し、平均繊維径が3μm以下の短繊維を必須成分として含有する不織布基材が記載されている。そして、特許文献4には、結晶化PET繊維とバインダー用PET繊維を含有し、結晶化PET繊維として繊維長が2mm以下の繊維を含み、カレンダーにより熱圧処理された不織布基材が記載されている。
しかしながら、PET繊維のみからなる特許文献2〜4の不織布基材は引張強度が低く、厚みの薄いセパレータを製造する場合、製造工程において破断が発生するおそれがあった。
本発明は、上記課題を解決しようとするものである。すなわち、耐熱性に優れ、引張強度が高く、セパレータの生産性の高いリチウム二次電池セパレータ用不織布基材を提供しようとするものである。
上記課題は、下記発明によって解決された。
(1)延伸ポリエステル繊維と、バインダー繊維として未延伸ポリエステル繊維と湿熱接着性繊維とを含有することを特徴とするリチウム二次電池セパレータ用不織布基材。
(2)湿熱接着性繊維が、エチレン−ビニルアルコール系繊維である(1)に記載のリチウム二次電池セパレータ用不織布基材。
(3)不織布基材に含まれる繊維全体に対し、バインダー繊維の含有率が20〜60質量%であり、湿熱接着性繊維の含有率が3〜20質量%である(1)又は(2)に記載のリチウム二次電池セパレータ用不織布基材。
(4)上記(1)〜(3)のいずれかに記載のリチウム二次電池セパレータ用不織布基材と、無機粒子層、有機粒子層、樹脂微多孔層、微細繊維層、固体電解質及びゲル状電解質からなる群から選ばれる1以上の層又は電解質とを含有してなるリチウム二次電池セパレータ。
本発明の不織布基材によれば、耐熱性に優れ、引張強度が高く、セパレータの生産性の高いリチウム二次電池セパレータ用不織布基材を提供することができる。
本発明のリチウム二次電池セパレータ用不織布基材は、耐熱性に優れた延伸ポリエステル繊維により骨格を形成することから熱寸法安定性に優れた不織布基材とすることができる。また、バインダー繊維として未延伸ポリエステル繊維と湿熱接着性繊維とを含有する。未延伸ポリエステル繊維はカレンダー等の熱圧処理により軟化又は溶融し、その他の繊維と強固に接着する。一方、湿熱接着性繊維は、湿潤状態において、ある温度で繊維状態から流動又は容易に変形して接着機能を発現し、本発明の不織布基材の好ましい製造方法である湿式抄造法において不織布基材の強度を著しく向上させることができる。本発明においては、これら2種類のバインダー繊維を含有することにより、引張強度が高く、セパレータの生産性の高い不織布基材を得ることができる。
本発明のリチウム二次電池セパレータ不織布基材は、延伸ポリエステル繊維と、バインダー繊維として未延伸ポリエステル繊維と湿熱接着性繊維とを含有することを特徴とする。
本発明において、バインダー繊維として用いられる湿熱接着性繊維としては、ビニルアルコール系繊維、エチレン−ビニルアルコール系繊維が挙げられる。ビニルアルコール系繊維、エチレン−ビニルアルコール系繊維としては、ビニルアルコール系単繊維、エチレン−ビニルアルコール系単繊維、ビニルアルコールとそれ以外の樹脂からなる複合繊維、エチレン−ビニルアルコールとそれ以外の樹脂からなる複合繊維等が挙げられる。複合繊維としては、芯鞘型(コアシェルタイプ)、並列型(サイドバイサイドタイプ)、放射状分割型等の複合繊維が挙げられる。
複合繊維の場合、ビニルアルコール系繊維、エチレン−ビニルアルコール系繊維と組み合わされる樹脂としては特に限定されず、例えば、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)等のオレフィン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂等が挙げられる。これらの内、エチレン−ビニルアルコール系単繊維、ポリエステル系繊維を芯とし、エチレン−ビニルアルコール系繊維を鞘とする芯鞘型複合繊維が好ましく使用される。
本発明において、バインダー繊維として用いられる未延伸ポリエステル繊維としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート及びそれを主体とした共重合体などのポリエステルを紡糸速度800〜1,200m/分で紡糸した未延伸繊維が挙げられる。
本発明において、バインダー繊維の平均繊維径は0.1〜15μmが好ましく、0.5〜12μmがより好ましく、0.7〜10μmがさらに好ましい。平均繊維径が0.1μm未満の場合には、不織布基材の強度が不十分となるおそれがある。平均繊維径が15μmより太いと、厚みを薄くすることが困難になる場合がある。
本発明において、「繊維径」とは、不織布基材断面の走査型電子顕微鏡観察により、不織布基材を形成する繊維断面の面積を計測し、真円に換算した繊維の直径である。「平均繊維径」は無作為に選んだ50本の繊維における繊維径の平均値である。
本発明において、バインダー繊維の繊維長は、1〜15mmが好ましく、2〜12mmがより好ましく、3〜10mmがさらに好ましい。繊維長が1mmより短いと不織布基材の強度が不十分となるおそれがあり、15mmより長いと、繊維がもつれてダマになることがあり、厚みむらが生じる場合がある。
本発明において、不織布基材に含まれる全繊維成分に対して、バインダー繊維の含有率は20〜60質量%であることが好ましく、25〜55質量%であることがより好ましく、30〜50質量%であることがさらに好ましい。バインダー繊維の含有率が20質量%未満の場合、不織布基材の強度が低下し、不織布基材の製造工程において破断が発生するおそれがある。一方、バインダー繊維の含有率が60質量%より多い場合、不織布基材表面がフィルム化しやすく、電解液保持性が低下し、内部抵抗の高いセパレータとなるおそれがある。
本発明において、不織布基材に含まれる全繊維成分に対して、湿熱接着性繊維の含有率は3〜20質量%であることが好ましく、4〜15質量%であることがより好ましく、5〜10質量%であることがより好ましい。湿熱接着性繊維の含有率が3質量%未満では、不織布基材の強度が不十分となるおそれがあり、20質量%を超えると、湿熱接着性繊維の溶融によって不織布基材表面がフィルム化しやすく、内部抵抗の高いセパレータとなるおそれがある。
本発明において、不織布基材に含まれる全繊維成分に対して、未延伸ポリエステル繊維の含有率は10〜57質量%であることが好ましく、15〜51質量%であることがより好ましく、20〜45質量%であることがさらに好ましい。未延伸ポリエステル繊維の含有率が10質量%未満の場合、不織布基材の強度が低下し、不織布基材の製造工程において破断するおそれがある。未延伸ポリエステル繊維の57質量%を超えると、バインダー繊維の含有率を好ましい範囲とした場合、相対的に湿熱接着性繊維の含有率が減少し、不織布基材の強度が不十分となるおそれがある。
本発明において、延伸ポリエステル繊維のポリエステルとしては、主たる繰り返し単位がアルキレンテレフタレートであるポリエステルが挙げられるが、耐熱性の高いポリエチレンテレフタレートであることが好ましい。また、繊維の断面形状は円形が好ましい。ただし、T型、Y型、三角等の異形断面を有する繊維も、電解液の保液性のために、他の特性を阻害しない範囲内で含有することができる。
本発明において、延伸ポリエステル繊維の平均繊維径は、0.1〜10μmが好ましく、0.5〜10μmがより好ましく、0.7〜8μmがさらに好ましい。延伸ポリエステル繊維の平均繊維径が0.1μm未満では不織布基材の強度が不十分となるおそれがあり、平均繊維径が15μmより太いと、厚みを薄くすることが困難になる場合がある。
本発明において、延伸ポリエステル繊維の繊維長は、1〜15mmが好ましく、2〜12mmがより好ましく、3〜10mmがさらに好ましい。繊維長が1mmより短いと不織布基材の強度が不十分となるおそれがあり、15mmより長いと、繊維がもつれてダマになることがあり、厚みむらが生じる場合がある。
本発明において、不織布基材に含まれる延伸ポリエステル繊維の含有率は、全繊維に対して、20〜80質量%であることが好ましく、25〜75質量%であることがより好ましく、30〜70質量%であることが好ましい。延伸ポリエステル繊維の含有率が20質量%未満の場合、バインダー繊維である未延伸ポリエステル繊維が軟化又は溶融するまで温度を上げる工程において、不織布基材にシワが発生するおそれがある。また、延伸ポリエステル繊維の含有率が80質量%を超えると、相対的にバインダー繊維であるバインダー繊維の含有率が減るため、不織布基材の強度が不十分となるおそれがある。
本発明の不織布基材においては、必要に応じて、前記した延伸ポリエステル繊維及びバインダー繊維以外の繊維を加えても良い。例えば、溶剤紡糸セルロースや再生セルロースの短繊維やフィブリル化物;天然セルロース繊維;天然セルロース繊維のパルプ化物やフィブリル化物;ポリオレフィン、アクリル、全芳香族ポリエステル、全芳香族ポリエステルアミド、ポリアミド、半芳香族ポリアミド、全芳香族ポリアミド、全芳香族ポリエーテル、全芳香族ポリカーボネート、全芳香族ポリアゾメチン、ポリイミド、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリ−p−フェニレンベンゾビスオキサゾール(PBO)、ポリベンゾイミダゾール(PBI)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などの樹脂からなる単繊維や複合繊維、これらの樹脂からなる単繊維や複合繊維のフィブリル化物や分割物を含有しても良い。これらの繊維は、1種含有しても良いし、2種以上含有しても良い。半芳香族とは、主鎖の一部に例えば脂肪鎖などを有するものを指す。全芳香族ポリアミドはパラ型、メタ型いずれでも良い。これら繊維の中で不織布基材の耐熱性を向上させるためには、特に全芳香族ポリアミドのフィブリル化物を含有することが好ましい。
不織布基材の製造方法としては、繊維ウェブを形成し、繊維ウェブ内の繊維を接着・融着・絡合させて不織布を製造する方法を用いることができる。得られた不織布は、そのまま使用しても良いし、複数枚からなる積層体として使用することもできる。繊維ウェブの製造方法としては、例えば、カード法、エアレイ法、スパンボンド法、メルトブロー法等の乾式法;湿式抄造法;静電紡糸法等がある。これらの内、本発明の不織布基材の製造方法としては、湿式抄造法が好ましい。湿式抄造法によって得られる繊維ウェブは、均質かつ緻密であり、リチウム二次電池セパレータ用不織布基材として好適に用いることができる。
湿式抄造法では、まず、原料となる繊維を均一に水中に分散させ、その後、スクリーン(異物、塊等除去)等の工程を通り、最終の繊維濃度を0.01〜0.50質量%に調整されたスラリーが抄紙機で抄き上げられ、湿紙が得られる。繊維の分散性を均一にするために、工程中で分散剤、消泡剤、親水剤、帯電防止剤、高分子粘剤、離型剤、抗菌剤、殺菌剤等の薬品を添加する場合もある。
抄紙機としては、例えば、円網、長網、傾斜ワイヤー等の抄紙網が単独で設置されている抄紙機、同種又は異種の2種以上の抄紙網がオンラインで設置されているコンビネーション抄紙機等を使用することができる。また、2層以上の多層構造の不織布を製造する方法としては、各々の抄紙機で抄き上げた湿紙を積層する抄き合わせ法、一方の層を形成した後に、該層上に繊維を分散したスラリーを流延して積層とする方法等を用いることができる。繊維を分散したスラリーを流延する際に、先に形成した層は湿紙状態であっても、乾燥状態であってもいずれでも良い。また、2枚以上の層を熱融着させて、多層構造の不織布とすることもできる。
本発明において、多層構造の不織布を製造する場合、各層の繊維配合が同一である多層構造であっても良く、各層の繊維配合が異なっている多層構造であっても良い。多層構造の場合、各層の坪量が下がることにより、スラリーの繊維濃度を下げることができるため、不織布の地合が良くなり、その結果、塗布面の平滑性や均一性が向上する。また、各層の地合が不均一であった場合でも、積層することで補填できる。さらに、抄紙速度を上げることができ、操業性が向上する。
抄紙網で製造された湿紙を、ヤンキードライヤー、エアードライヤー、シリンダードライヤー、サクションドラム式ドライヤー、赤外方式ドライヤー等で乾燥することにより、シート(原紙)を得る。湿紙の乾燥の際に、ヤンキードライヤー等の熱ロールに密着させて熱圧乾燥させることによって、密着させた面の平滑性が向上する。熱圧乾燥とは、タッチロール等で熱ロールに湿紙を押しつけて乾燥させることをいう。熱ロールの表面温度は、100〜150℃が好ましく、105〜145℃がより好ましく、110〜140℃がさらに好ましい。圧力は、好ましくは5〜100kN/m、より好ましくは10〜80kN/mである。
本発明では、上記した延伸ポリエステル繊維と、バインダー繊維として、未延伸ポリエステル繊維と湿熱接着性繊維とを含有してなる不織布をそのまま不織布基材とすることもできる。より好ましくは、不織布を加熱された金属ロールと弾性ロールとの間を通過させて、加熱・加圧処理(熱カレンダー処理)が施されて、不織布基材とすることが好ましい。一般に、熱カレンダー処理装置としては、加熱機構を有する金属製のヒートロール(金属ロール)と、金属芯の外周面に弾性体層を被着してある弾性ロールとで構成された装置がある。これは、両ロールを略平行に対接させ、両ロールの間で不織布を挟接し、高いニップ圧を加えながら回転・走行させて、不織布の機械的強度を発現や厚みの調整等を目的に用いられるものである。
本発明における、熱カレンダー処理時の金属ロール温度は、未延伸ポリエステル繊維の融点又は軟化温度に対して−60〜−10℃であることが好ましく、−50〜−20℃であることがより好ましい。金属ロールの温度が未延伸ポリエステル繊維の融点又は軟化温度に対して−60℃より低い場合では、未延伸ポリエステル繊維の接着が不十分となりやすく、不織布基材の強度が低下する場合がある。一方、金属ロールの温度が未延伸ポリエステル繊維の融点又は軟化温度に対して−10℃より高い場合には、不織布が金属ロールに貼り付きやすくなり、不織布基材表面に欠陥が生じるおそれがある。
熱カレンダー処理時のニップのニップ圧力(線圧)は、好ましくは9〜130kN/mであり、より好ましくは14〜110kN/mである。加工速度は、好ましくは5〜100m/minであり、より好ましくは10〜80m/minである。
本発明において、不織布基材の坪量は、5〜20g/m2が好ましく、6〜18g/m2がより好ましく、8〜16g/m2がさらに好ましい。20g/m2を超えると、セパレータの薄膜化が難しい場合があり、5g/m2未満であると、十分な強度を得ることが難しい場合がある。なお、坪量はJIS P 8124:2011(紙及び板紙−坪量測定法)に規定された方法に基づき測定される。
本発明において、不織布基材の厚みは、10〜30μmが好ましく、12〜27μmがより好ましく、15〜25μmがさらに好ましい。厚みが10μm未満では、強度が不十分となるおそれがある。一方、厚みが30μmを超えると、セパレータの薄膜化が難しくなる。
本発明において、不織布基材の密度(坪量/厚み)は、0.40〜0.90g/cm3であることが好ましく、0.45〜0.80g/cm3がより好ましく、0.50〜0.75g/cm3がさらに好ましい。密度が0.40g/cm3未満では、強度が不十分となるおそれがある。一方、密度が0.90g/cm3を超えると、内部抵抗の高いセパレータとなるおそれがある。
本発明のセパレータは、本発明の不織布基材と、無機粒子層、有機粒子層、樹脂微多孔膜、微細繊維層、固体電解質及びゲル状電解質からなる群から選ばれる1以上の層又は電解質とを含有してなる。最も好ましい層は、無機粒子層である。不織布基材と無機粒子層とを含有してなるセパレータは、無機顔料を含む塗液を不織布基材に塗工して製造される。不織布基材と有機粒子層とを含有してなるセパレータは、不織布基材に有機粒子を含む塗液を塗工して製造される。不織布基材と樹脂微多孔層を含有してなるセパレータは、ポリエチレン微多孔膜、ポリプロピレン微多孔膜等の樹脂微多孔膜と不織布基材とを積層して製造される。不織布基材と微細繊維層とを含有してなるセパレータは、不織布基材上に、例えば、静電紡糸法により微細繊維層を形成して製造される。不織布基材と固体電解質やゲル状電解質とを含有してなるセパレータは、固体電解質やゲル状電解質を不織布基材に塗工して製造される。このように、本発明の不織布基材は、そのままでセパレータとはならず、リチウム二次電池セパレータの前駆体シートである。
無機粒子としては、アルミナ、ギブサイト、ベーマイト、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、シリカ、酸化チタン、チタン酸バリウム、酸化ジルコニウムなどの無機酸化物、窒化アルミニウムや窒化珪素などの無機窒化物、アルミニウム化合物、ゼオライト、マイカなどが挙げられる。
有機粒子としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリロニトリル、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンオキシド、ポリスチレン、ポリフッ化ビニリデン、エチレン−ビニルモノマー共重合体、ポリオレフィンワックスなどの粒子が挙げられる。
無機粒子や有機粒子を含む塗液を調製するための媒体としては、バインダーや無機粒子、有機粒子等を均一に溶解又は分散できるものであれば特に限定されず、例えば、トルエンなどの芳香族炭化水素類、テトラヒドロフランなどのエーテル類、メチルエチルケトンなどのケトン類、イソプロピルアルコールなどのアルコール類、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、水などを必要に応じて用いることができる。また、必要に応じてこれらの媒体を混合して用いても良い。なお、使用する媒体は、不織布基材を膨張あるいは溶解させないものが好ましい。
無機粒子や有機粒子を含む塗液を不織布基材上に塗工する方法としては、例えばブレード、ロッド、リバースロール、リップ、ダイ、カーテン、エアーナイフ等各種の塗工方式、フレキソ、スクリーン、オフセット、グラビア、インクジェット等の各種印刷方式、ロール転写、フィルム転写などの転写方式、ディッピング等の引き上げ方式等を、必要に応じて選択して用いることができる。
樹脂微多孔層としては、多孔質フィルムを使用できる。多孔質フィルムの樹脂としては、フィルムを形成できる樹脂であれば、特に制限はないが、ポリエチレン系樹脂及びポリプロピレン系樹脂といったポリオレフィン系樹脂が好ましい。ポリエチレン系樹脂としては、超低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、又は超高密度ポリエチレンのようなポリエチレン系樹脂単独の樹脂が挙げられる。また、エチレンプロピレン共重合体、ポリエチレン系樹脂と他のポリオレフィン系樹脂との混合物なども挙げられる。ポリプロピレン系樹脂としては、ホモプロピレン(プロピレン単独重合体)、プロピレンとエチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−へキセン、1−へプテン、1−オクテン、1−ノネン若しくは1−デセンなどのα−オレフィンとのランダム共重合体又はブロック共重合体などが挙げられる。
本発明において、リチウム二次電池とは、充放電において正負極間をリチウムイオンが移動する二次電池をいう。リチウム二次電池には、負極活物質としてリチウム吸蔵性の物質を用いたリチウムイオン二次電池、負極活物質として金属リチウムを用いた金属リチウム二次電池が含まれる。
リチウムイオン二次電池の負極活物質には、リチウム吸蔵性の物質が用いられる。リチウム吸蔵性の物質の例としては、炭素系材料、珪素系材料、遷移金属とリチウムの複合酸化物等が例示される。炭素系材料は、質量当たりのリチウム吸蔵可能量とリチウムの吸収・放出に伴う劣化のし難さとのバランスが良好である点で、好ましく使用される。炭素系材料としては、天然黒鉛、人造黒鉛等の黒鉛;ハードカーボン、ソフトカーボン、メソポーラスカーボン等の非晶性炭素;カーボンナノチューブ、グラフェン等のナノ炭素材料が例示される。珪素系材料は、質量当たりのリチウム吸蔵可能量が大きい点で、好ましく使用される。珪素系材料としては、珪素、一酸化珪素(SiO)、二酸化珪素(SiO2)が例示される。遷移金属とリチウムの複合酸化物の1種であるチタン酸リチウムは、リチウムの吸収・放出に伴う劣化が生じにくい点で、好ましく使用される。
リチウムイオン二次電池の負極としては、前記の負極活物質を含む負極材料を、金属箔上に塗工した電極が例示される。負極材料には、必要に応じて、ポリフッ化ビニリデン、スチレン−ブタジエン共重合体等のバインダー;カーボンブラック、ナノ炭素材料等の導電剤;分散剤;増粘剤等を混合することができる。金属箔に使用される金属としては、銅、アルミニウム等が例示される。
リチウム二次電池の正極活物質としては、遷移金属とリチウムの複合酸化物、遷移金属とリチウムのオリビン構造を有する複合塩、硫黄等が例示される。遷移金属とリチウムの複合酸化物としては、コバルト、ニッケル、マンガンから選択される1種以上の遷移金属とリチウムの複合酸化物が例示される。これらの複合酸化物には、アルミニウム、マグネシウム等の典型金属;チタン、クロム等の遷移金属等をさらに複合することができる。遷移金属とリチウムのオリビン構造を有する複合塩としては、鉄、マンガンから選択される1種以上の遷移金属とリチウムのオリビン構造を有する複合塩が例示される。
リチウム二次電池の正極としては、前記の正極活物質を含む正極材料を、金属箔上に塗工した電極が例示される。正極材料には、必要に応じて、ポリフッ化ビニリデン、アクリル酸エステル共重合体等のバインダー;カーボンブラック、ナノ炭素材料等の導電剤;分散剤;増粘剤等を混合することができる。金属箔に使用される金属としては、アルミニウム等が例示される。
リチウム二次電池の電解液としては、極性溶媒にリチウム塩を溶解した溶液、イオン液体にリチウム塩を溶解した溶液が例示される。リチウム二次電池の電解液に用いられる極性溶媒としては、炭酸プロピレン(PC)、炭酸エチレン(EC)、炭酸ジエチル(DEC)、炭酸エチルメチル(EMC)等の炭酸エステル;酢酸エチル、酢酸プロピル、プロピオン酸エチル等の脂肪酸エステルが例示される。リチウム二次電池の電解液に用いられるリチウム塩としては、ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF6)、テトラフルオロホウ酸リチウム(LiBF4)が例示される。固体電解質又はゲル状電解質としては、ポリエチレングリコールやその誘導体、ポリメタクリル酸誘導体、ポリシロキサンやその誘導体、ポリフッ化ビニリデンなどのポリマーにリチウム塩又はリチウム塩と電解液を溶解させたものが用いられる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は本実施例に限定されるものではない。なお、実施例中における部や百分率は断りのない限り、すべて質量によるものである。
<延伸ポリエステル繊維>
延伸PET1:ポリエチレンテレフタレートからなる、繊維径2.3μm、繊維長3mmの延伸ポリエステル単繊維
延伸PET2:ポリエチレンテレフタレートからなる、繊維径3.0μm、繊維長3mmの延伸ポリエステル単繊維
延伸PET3:ポリエチレンテレフタレートからなる、繊維径5.1μm、繊維長5mmの延伸ポリエステル単繊維
延伸PET1:ポリエチレンテレフタレートからなる、繊維径2.3μm、繊維長3mmの延伸ポリエステル単繊維
延伸PET2:ポリエチレンテレフタレートからなる、繊維径3.0μm、繊維長3mmの延伸ポリエステル単繊維
延伸PET3:ポリエチレンテレフタレートからなる、繊維径5.1μm、繊維長5mmの延伸ポリエステル単繊維
<未延伸ポリエステル繊維>
未延伸PET1:ポリエチレンテレフタレートからなる、繊維径4.2μm、繊維長3mmの未延伸ポリエステル単繊維
未延伸PET2:ポリエチレンテレフタレートからなる、繊維径6.6μm、繊維長5mmの未延伸ポリエステル単繊維
未延伸PET1:ポリエチレンテレフタレートからなる、繊維径4.2μm、繊維長3mmの未延伸ポリエステル単繊維
未延伸PET2:ポリエチレンテレフタレートからなる、繊維径6.6μm、繊維長5mmの未延伸ポリエステル単繊維
<湿熱接着性繊維>
湿熱接着性繊維1:エチレン−ビニルアルコール共重合体からなる、繊維径7.2μm、繊維長5mmの単繊維
湿熱接着性繊維2:ポリビニルアルコールからなる、繊維径6.3μm、繊維長3mmの単繊維
湿熱接着性繊維3:芯部がポリエチレンテレフタレート、鞘成分がエチレン−ビニルアルコール共重合体であり、繊維径11.0μm、繊維長5mm、芯部/鞘部の体積比が50/50の芯鞘型複合繊維
湿熱接着性繊維1:エチレン−ビニルアルコール共重合体からなる、繊維径7.2μm、繊維長5mmの単繊維
湿熱接着性繊維2:ポリビニルアルコールからなる、繊維径6.3μm、繊維長3mmの単繊維
湿熱接着性繊維3:芯部がポリエチレンテレフタレート、鞘成分がエチレン−ビニルアルコール共重合体であり、繊維径11.0μm、繊維長5mm、芯部/鞘部の体積比が50/50の芯鞘型複合繊維
<その他の繊維>
PP繊維:ポリプロピレンからなる、繊維径5μm、繊維長5mmの延伸オレフィン単繊維
FPA繊維:繊維径12μm、繊維長5mmのパラ系全芳香族ポリアミド繊維を、ダブルディスクリファイナーを用いて処理し、さらに高圧ホモジナイザーにて処理して得られた、変法濾水度50mlのフィブリル化物。
PP繊維:ポリプロピレンからなる、繊維径5μm、繊維長5mmの延伸オレフィン単繊維
FPA繊維:繊維径12μm、繊維長5mmのパラ系全芳香族ポリアミド繊維を、ダブルディスクリファイナーを用いて処理し、さらに高圧ホモジナイザーにて処理して得られた、変法濾水度50mlのフィブリル化物。
変法濾水度とは、ふるい板として線径0.14mm、目開き0.18mmの80メッシュ金網を用い、試料濃度を0.1%にした以外はJIS P8121−2:2012に準拠して測定した値のことである。
実施例1〜13、比較例1のリチウム二次電池セパレータ用不織布基材を、以下の条件で作製した。
2m3の分散タンクに水を投入後、表1に示す原料配合比率(%)で配合し、分散濃度0.2%で5分間分散して、傾斜式抄紙機を用い、傾斜ワイヤーで形成した湿紙を表面温度130℃のヤンキードライヤーにて熱圧乾燥して湿式不織布を作製した。湿式不織布を金属ロール−弾性ロール(ショア硬度D91)の構成の熱カレンダー装置を使用して、金属ロール温度195℃、線圧100kN/m、加工速度30m/min、1ニップ(nip)の条件で熱カレンダー処理を行い、実施例1〜13、比較例1及び2のリチウム二次電池セパレータ用不織布基材を得た。
上記PP繊維50%と、ポリプロピレンからなる繊維とエチレン−ビニルアルコール共重合体からなる繊維とにより構成される、繊維径14μm、繊維長5mmの16分割型複合繊維(ポリプロピレン/エチレン−ビニルアルコール分割繊維)50%を、2m3の分散タンク内にて分散濃度0.2%で5分間分散して、傾斜式抄紙機を用い、傾斜ワイヤー上に湿紙を表面温度130℃のヤンキードライヤーにて熱圧乾燥して得た湿式不織布を作製した。該湿式不織布に水を含浸させ、金属ロール−樹脂ロール(ショア硬度D91)の構成の熱カレンダー装置を使用して、金属ロール温度130℃、線圧100kN/m、加工速度30m/min、1ニップ(nip)の条件で熱カレンダー処理を行い、比較例2のリチウム二次電池セパレータ用不織布基材とした。
実施例及び比較例の不織布基材について、下記物性の測定と評価を行い、結果を表2に示した。
<坪量>
JIS P8124:2011に準拠して、不織布基材の坪量を測定した。
JIS P8124:2011に準拠して、不織布基材の坪量を測定した。
<厚み>
JIS B7502:2016に規定された外側マイクロメーターを用いて、5N荷重時の厚みを測定した。
JIS B7502:2016に規定された外側マイクロメーターを用いて、5N荷重時の厚みを測定した。
<引張強度>
実施例及び比較例で得た不織布基材より、MD方向が長辺と平行になるように、短辺50mm、長辺250mmの短冊形試験片を切り出し、これら試験片を卓上型材料試験機(株式会社オリエンテック製、装置名:STA−1150)を用いて、つかみ間隔100mm、引張速度200mm/minの条件で伸長し、切断時の荷重値を引張強度とし、以下の基準で評価した。
実施例及び比較例で得た不織布基材より、MD方向が長辺と平行になるように、短辺50mm、長辺250mmの短冊形試験片を切り出し、これら試験片を卓上型材料試験機(株式会社オリエンテック製、装置名:STA−1150)を用いて、つかみ間隔100mm、引張速度200mm/minの条件で伸長し、切断時の荷重値を引張強度とし、以下の基準で評価した。
A:700N/m以上
B:700N/m未満600N/m以上
C:600N/m未満
B:700N/m未満600N/m以上
C:600N/m未満
<加熱寸法維持率>
100mm角に断裁した不織布基材を、160℃の乾燥機内で1時間加熱処理した。加熱処理前後の流れ方向の寸法を0.1mm単位で測定し、加熱処理前の寸法に対する加熱処理後の寸法の維持率(加熱処理後の寸法/加熱処理前の寸法×100、単位:%)を求め下記の基準で評価した。
100mm角に断裁した不織布基材を、160℃の乾燥機内で1時間加熱処理した。加熱処理前後の流れ方向の寸法を0.1mm単位で測定し、加熱処理前の寸法に対する加熱処理後の寸法の維持率(加熱処理後の寸法/加熱処理前の寸法×100、単位:%)を求め下記の基準で評価した。
A:98%以上
B:98%未満95%以上
C:95%未満
B:98%未満95%以上
C:95%未満
<セパレータの作製>
体積平均粒子径0.9μm、BET比表面積5.5m2/gのベーマイト100部を、水150部に分散したものに、その1%水溶液の25℃における粘度が200mPa・sのカルボキシメチルセルロースナトリウム塩2%水溶液75部を添加・攪拌混合し、ガラス転移点−18℃、体積平均粒子径0.2μmのカルボキシ変性スチレン−ブタジエン共重合樹脂エマルジョン(固形分濃度50%)10部を添加・攪拌混合し、最後に調整水を加えて固形分濃度25%に調整し、塗液Aを作製した。
体積平均粒子径0.9μm、BET比表面積5.5m2/gのベーマイト100部を、水150部に分散したものに、その1%水溶液の25℃における粘度が200mPa・sのカルボキシメチルセルロースナトリウム塩2%水溶液75部を添加・攪拌混合し、ガラス転移点−18℃、体積平均粒子径0.2μmのカルボキシ変性スチレン−ブタジエン共重合樹脂エマルジョン(固形分濃度50%)10部を添加・攪拌混合し、最後に調整水を加えて固形分濃度25%に調整し、塗液Aを作製した。
実施例及び比較例の不織布基材の弾性ロール面に、塗工装置としてリバースグラビアコーターを用い、30m/minのライン速度にて、塗液Aを、液としての付着量が47g/m2となるように片面塗工した。塗工された不織布基材は、リバースグラビアコーターに直結されたフローティングエアドライヤーで、90℃の熱風を吹き付けて乾燥させ、不織布基材と無機粒子層とを含有するセパレータを得た。「セパレータ作製時の破断」の評価として、セパレータをリーラーで500m巻き取った際に、不織布基材の破断回数を、次の3段階に分類した。
A:0回
B:1回
C:2回以上
B:1回
C:2回以上
<評価用電池の作製>
各セパレータを用い、正極にマンガン酸リチウム、負極にメソカーボンマイクロビーズ、電解液にヘキサフルオロリン酸リチウムの1mol/L炭酸ジエチル/炭酸エチレン(容量比7/3)混合溶媒溶液を用い、各セパレータの無機粒子層を負極に対向するようにして、設計容量30mAhの評価用パウチ型リチウムイオン二次電池を作製し、下記の内部抵抗と漏れ電流の評価に供した。
各セパレータを用い、正極にマンガン酸リチウム、負極にメソカーボンマイクロビーズ、電解液にヘキサフルオロリン酸リチウムの1mol/L炭酸ジエチル/炭酸エチレン(容量比7/3)混合溶媒溶液を用い、各セパレータの無機粒子層を負極に対向するようにして、設計容量30mAhの評価用パウチ型リチウムイオン二次電池を作製し、下記の内部抵抗と漏れ電流の評価に供した。
<内部抵抗>
各電池について、60mA定電流充電→4.2V定電圧充電(1時間)→60mAで定電流放電→2.8Vになったら次のサイクルのシーケンスにて、5サイクルの慣らし充放電を行った後、60mA定電流充電→4.2V定電圧充電(1時間)→6mAで30分間定電流放電(放電量3mAh)→放電終了直前の電圧を測定(電圧a)→60mA定電流充電→4.2V定電圧充電(1時間)→90mAで2分間定電流放電(放電量3mAh)→放電終了直前の電圧(電圧b)を測定、を行い、内部抵抗Ω=(電圧a−電圧b)/(90mA−6mA)の式で内部抵抗を求めた。結果を表2に記す。
各電池について、60mA定電流充電→4.2V定電圧充電(1時間)→60mAで定電流放電→2.8Vになったら次のサイクルのシーケンスにて、5サイクルの慣らし充放電を行った後、60mA定電流充電→4.2V定電圧充電(1時間)→6mAで30分間定電流放電(放電量3mAh)→放電終了直前の電圧を測定(電圧a)→60mA定電流充電→4.2V定電圧充電(1時間)→90mAで2分間定電流放電(放電量3mAh)→放電終了直前の電圧(電圧b)を測定、を行い、内部抵抗Ω=(電圧a−電圧b)/(90mA−6mA)の式で内部抵抗を求めた。結果を表2に記す。
A:内部抵抗4.0Ω未満
B:内部抵抗4.0Ω以上5.0Ω未満
C:内部抵抗5.0Ω以上
B:内部抵抗4.0Ω以上5.0Ω未満
C:内部抵抗5.0Ω以上
表2に示した通り、実施例1〜13で作製した不織布基材は、延伸ポリエステル繊維と、バインダー繊維として未延伸ポリエステル繊維と湿熱接着性繊維とを含有する不織布基材である。そのため、引張強度が高く、セパレータ作製時に破断しにくい不織布基材であることから、セパレータの生産性に優れた不織布基材であった。また、加熱寸法維持率が高く、耐熱性に優れる不織布基材であった。
実施例1と実施例2との比較から、不織布基材に含まれる繊維全体に対し、バインダー繊維の含有率が20質量%以上である実施例1の不織布基材は、バインダー繊維の含有率が20質量%未満である実施例2の不織布基材よりも、セパレータ作製時の破断回数が少なく、好ましい結果となった。
実施例3と実施例4との比較から、不織布基材に含まれる繊維全体に対し、バインダー繊維の含有率が60質量%以下である不織布基材を用いて作製した実施例3のセパレータは、バインダー繊維の含有率が60質量%を超える不織布基材を用いて作製した実施例4のセパレータよりも、電池の内部抵抗が低く、好ましい結果となった。
実施例5と実施例6との比較から、不織布基材に含まれる繊維全体に対し、湿熱接着性繊維の含有率が3質量%以上である実施例5の不織布基材は、湿熱接着性繊維の含有率が3質量%未満である実施例6の不織布基材よりも、高い引張強度を示し、セパレータ作製時の破断回数が少なく、好ましい結果となった。
実施例7と実施例8との比較から、不織布基材に含まれる繊維全体に対し、湿熱接着性繊維の含有率が20質量%以下である不織布基材を用いた実施例7のセパレータは、湿熱接着性繊維の含有率が20質量%を超える不織布基材を用いて作製した実施例8のセパレータよりも、電池の内部抵抗が低く、好ましい結果となった。
実施例1と実施例9との比較から、不織布基材に含まれる繊維全体に対し、未延伸ポリエステル繊維の含有率が10質量%以上である実施例1の不織布基材は、未延伸ポリエステル繊維の含有率が10質量%未満である実施例9のセパレータよりも、高い引張強度を示し、セパレータ作製時の破断回数が少なく、好ましい結果となった。
実施例10と実施例11との比較から、バインダー繊維として未延伸ポリエステル繊維とエチレン−ビニルアルコールからなる繊維とを含有する実施例10の不織布基材は、バインダー繊維として未延伸ポリエステル繊維とポリビニルアルコールからなる繊維とを含有する実施例11のセパレータよりも、高い引張強度を示し、セパレータ作製時の破断回数が少なく、好ましい結果となった。
実施例10と実施例12との比較から、全芳香族ポリアミドのフィブリル化物を含む実施例12の不織布基材は、全芳香族ポリアミドのフィブリル化物を含まない実施例10の不織布基材よりも、加熱寸法維持率が高く、耐熱性に優れていた。
バインダー繊維として湿熱接着性繊維を含有しない比較例1の不織布基材は、引張強度が低く、セパレータ作製時の破断回数が多くなる結果となった。
オレフィン系繊維と湿熱接着性繊維とからなる比較例2の不織布基材は、加熱寸法維持率が非常に低く、耐熱性に劣る結果となった。
本発明の活用例としては、リチウム二次電池セパレータ用不織布基材及びリチウム二次電池セパレータが好適である。
Claims (4)
- 延伸ポリエステル繊維と、バインダー繊維として未延伸ポリエステル繊維と湿熱接着性繊維とを含有することを特徴とするリチウム二次電池セパレータ用不織布基材。
- 湿熱接着性繊維が、エチレン−ビニルアルコール系繊維である請求項1に記載のリチウム二次電池セパレータ用不織布基材。
- 不織布基材に含まれる繊維全体に対し、バインダー繊維の含有率が20〜60質量%であり、湿熱接着性繊維の含有率が3〜20質量%である請求項1又は2に記載のリチウム二次電池セパレータ用不織布基材。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のリチウム二次電池セパレータ用不織布基材と、無機粒子層、有機粒子層、樹脂微多孔層、微細繊維層、固体電解質及びゲル状電解質からなる群から選ばれる1以上の層又は電解質とを含有してなるリチウム二次電池セパレータ。
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JP2019057063A JP2020161243A (ja) | 2019-03-25 | 2019-03-25 | リチウム二次電池セパレータ用不織布基材及びリチウム二次電池セパレータ |
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WO2022172850A1 (ja) | 2021-02-10 | 2022-08-18 | ニッポン高度紙工業株式会社 | 支持体及びリチウムイオン二次電池 |
WO2023027008A1 (ja) | 2021-08-24 | 2023-03-02 | ニッポン高度紙工業株式会社 | 固体電解質を用いたリチウムイオン二次電池用支持体、およびそれを用いたリチウムイオン二次電池 |
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-
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KR20230144526A (ko) | 2021-02-10 | 2023-10-16 | 닛폰 고도시 코포레이션 | 지지체 및 리튬 이온 2차 전지 |
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