JP2020147653A - フィルム用アクリル樹脂組成物、及びアクリル樹脂フィルム - Google Patents
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Abstract
Description
[1] 平均粒子径が70nm以上110nm以下の架橋弾性体層(A)と、該架橋弾性体層(A)にグラフト重合している一層以上のシェル層(B)とを含む多層構造重合体粒子(C)、及び、
メタクリル酸メチルを75重量%以上含有する熱可塑性樹脂(D)、を含有する、フィルム用アクリル樹脂組成物(E)であって、
架橋弾性体層(A)は、アクリル酸アルキル(a−1)75重量%以上、(メタ)アクリル酸アリルである架橋・グラフト交叉剤(H)、及び、他のモノマー(a−2)0重量%以上25重量%未満を含む単量体成分の重合体から構成される架橋エラストマー層を1層以上含み、
シェル層(B)は、メタクリル酸メチル(b−1)50重量%以上、炭素数1〜12の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステル(b−2)、他のモノマー(b−3)0重量%以上50重量%未満、及び、連鎖移動剤を含有し、多官能性単量体を含まない単量体成分の重合体から構成され、
アクリル樹脂組成物(E)の全体量に対する架橋弾性体層(A)の重量割合が15.5重量%以上21重量%未満であり、
アクリル樹脂組成物(E)の全体量に対するアクリル酸アルキルエステル(b−2)の重量割合が0.8重量%以上3重量%未満であり、
多層構造重合体粒子(C)は、以下の1)〜4)を満たす、フィルム用アクリル樹脂組成物(E)。
1)多層構造重合体粒子(C)の全体量に対する架橋弾性体層(A)の重量割合が、40重量%を超え、60重量%以下である。
2)架橋弾性体層(A)の平均粒子径d(nm)と、架橋・グラフト交叉剤(H)の含有量w(但し、前記含有量wは、前記架橋エラストマー層を構成する前記単量体成分のうち、架橋・グラフト交叉剤(H)を除く成分の合計量を100重量部とした時の、架橋・グラフト交叉剤(H)の量の比率を示す)が、次の関係式を満たす。
0.029d≦w≦0.045d
3)架橋弾性体層(A)に対するシェル層(B)のグラフト率が、51%以上80%以下である。
4)多層構造重合体粒子(C)の全体量に対するアクリル酸アルキルエステル(b−2)の重量割合が、2重量%以上5重量%未満である。
[2] フィルム用アクリル樹脂組成物(E)から構成される75μm厚さのフィルムが、以下の5)〜7)を満たす、[1]に記載のフィルム用アクリル樹脂組成物(E)。
5)前記フィルムを23℃条件下でカッターにて切断し、形成された切断部に、目視で確認できるクラックがない。
6)23℃における引張破断伸度が、50%以上である。
7)前期フィルムの表面硬度が鉛筆硬度でHB以上である。
[3] フィルム用アクリル樹脂組成物(E)から構成される125μm厚さのフィルムが、以下の8)を満たす、[1]又は[2]に記載のフィルム用アクリル樹脂組成物(E)。
8)JIS P8115に準拠したMIT試験の測定回数が50回以上である。
[4] フィルム用アクリル樹脂組成物(E)から構成される125μm厚さのフィルムが、以下の9)を満たす、[1]〜[3]のいずれかに記載のフィルム用アクリル樹脂組成物(E)。
9)23℃にて前記フィルムを15%延伸した時の延伸部位のヘイズ値が20%以下である。
[5] フィルム用アクリル樹脂組成物(E)から構成される125μm厚さのフィルムが、以下の10)を満たす、[4]に記載のフィルム用アクリル樹脂組成物(E)。
10)23℃にて前記フィルムを15%延伸した時の延伸部位のヘイズ値が10%以下である。
[6] 平均粒子径が150nm以上400nm以下の架橋弾性体層を含む多層構造重合体粒子(G)を、フィルム用アクリル樹脂組成物(E)の全体量に対して0.5〜2.5重量%の割合で、さらに含有する、[1]〜[5]のいずれかに記載のフィルム用アクリル樹脂組成物(E)。
[7] [1]〜[6]のいずれかに記載のフィルム用アクリル樹脂組成物(E)から構成されるアクリル樹脂フィルム(F)。
[8] 有機溶剤を含む液が塗布される対象として使用される、[7]に記載のアクリル樹脂フィルム(F)。
[9] [7]又は[8]に記載のアクリル樹脂フィルム(F)、及び
該フィルム(F)に積層された他のフィルム、を含む、積層フィルム。
[10] 成形品本体、並びに
該成形品本体の表面に積層された、[7]又は[8]に記載のアクリル樹脂フィルム(F)及び/又は[9]に記載の積層フィルム、を含む、成形品。
本発明のアクリル樹脂組成物(E)は、少なくとも、多層構造重合体粒子(C)、及び、熱可塑性樹脂(D)、を含有するものである。本発明の好適な実施形態によると、アクリル樹脂組成物(E)においては、熱可塑性樹脂(D)からなるマトリックス中に、多層構造重合体粒子(C)が分散している。
本発明で使用する熱可塑性樹脂(D)は、メタクリル酸メチルを75重量%以上含有するアクリル樹脂である。熱可塑性樹脂(D)中のメタクリル酸メチル割合は、硬度、成形性の観点から、好ましくは80重量%以上、より好ましくは85重量%以上、さらに好ましくは90重量%以上である。また、上限値は100重量%であってもよいし、99重量%以下であってもよく、また、98重量%以下であってもよい。
多層構造重合体粒子(C)は、架橋弾性体層(A)と、該架橋弾性体層(A)にグラフト重合している一層以上のシェル層(B)とを含む、多層構造の重合体粒子である。本発明の好ましい実施形態によると、架橋弾性体層(A)は、粒子状のものであり、シェル層(B)は、架橋弾性体層(A)の粒子の表面側に位置しており、多層構造重合体粒子(C)は、いわゆるコアシェル構造を有することが好ましい。
0.029d≦w≦0.045d
を満足するように、架橋弾性体層(A)の平均粒子径と架橋・グラフト交叉剤(H)の含有量を設定する。上記関係式の範囲内においては、優れたトリミング性、表面硬度、及び、耐折り曲げ白化性を兼ね備えたフィルムを実現することができる。wが0.029d未満の場合は、耐折り曲げ白化性が悪化する可能性がある。またwが0.045dを超えると、トリミング性が低下する可能性がある。ただし、架橋・グラフト交叉剤(H)の含有量wは、前記架橋エラストマー層を構成する単量体成分のうち、架橋・グラフト交叉剤(H)を除く成分の合計量を100重量部とした時の、架橋・グラフト交叉剤(H)の量の比率を示すものである。
シェル層(B)は、架橋弾性体層(A)の粒子の存在下に、シェル層用の単量体成分をグラフト重合して、架橋弾性体層(A)にシェル層(B)の重合体をグラフト結合させることで形成することができる。なお、前記グラフト重合では、架橋弾性体層(A)にグラフト結合していない重合体成分(フリーポリマーともいう)が一部生じる場合があるが、このフリーポリマーも多層構造重合体粒子(C)に含まれるものである。
多層構造重合体粒子(C)の製造方法は、特に限定されず、公知の乳化重合法、ミニエマルジョン重合法、懸濁重合法、塊状重合法、溶液重合法、又は分散重合法が適用可能である。樹脂構造の調整幅が大きい点から、乳化重合法が特に好ましい。
本発明のアクリル樹脂組成物(E)は、多層構造重合体粒子(C)に加えて、比較的大粒径の架橋弾性体層を含む多層構造重合体粒子(G)を少量含有するものであってもよい。多層構造重合体粒子(G)はアクリル樹脂に耐衝撃性と耐割れ性とを付与する効果に優れており、これを多層構造重合体粒子(C)と併用することによって、アクリル樹脂フィルムのトリミング性と表面硬度のバランスをより良好なものとすることができる。
本発明のアクリル樹脂フィルム(F)は、上述したアクリル樹脂組成物(E)から構成されるものであって、優れたトリミング性(トリミング時の耐割れ性)、表面硬度、及び、二次成形時や切断時の白化が少ない耐折り曲げ白化性を兼ね備えたものである。
アクリル樹脂フィルム(F)は、公知の加工方法により製造できる。公知の加工方法の具体例としては、溶融加工法、カレンダー成形法、プレス成形法、及び溶剤キャスト法等が挙げられる。溶融加工法としては、インフレーション法やTダイ押出法等が挙げられる。また、溶剤キャスト法では、アクリル樹脂組成物を溶剤に溶解・分散させた後、得られた分散液(ドープ)を、ベルト状基材上にフィルム状に流涎する。次いで、流涎されたフィルム状のドープから溶剤を揮発させることにより、アクリル樹脂フィルムを得る。
積層フィルムは、前述のアクリル樹脂フィルムと、少なくとも一種の機能層又は他のフィルムからなる層を備える。積層フィルムは、アクリル樹脂フィルムの片面のみに機能層又は他のフィルムからなる層を備えてもよく、両面に備えてもよい。また、複数の機能層又は他のフィルムを重ねてアクリル樹脂フィルムに積層してもよい。またアクリル樹脂フィルムの両面に備える場合、それぞれの面には異なる機能層又は他のフィルムからなる層を備えてもよい。
各機能層又は他のフィルムの厚さは特に限定されず、積層フィルムの使用目的や、機能に応じて適宜設定される。典型的には、積層フィルムの厚さは、20μ以上1mm以下が好ましく、40μm以上700μm以下がより好ましい。
本発明の成形品は、成形品本体の表面に、前述のアクリル樹脂フィルム、及び/又は積層フィルムが積層されたものである。かかる成形品の好ましい用途としては、車輌内装材、建材、電気・電子機器の筐体等の、3次元形状や立体意匠を有する成形体、部材に対する表面保護や加飾用途が挙げられる。
各架橋弾性体層の粒子の平均粒子径は、各架橋弾性体層のラテックスの状態で、レーザー回折式の粒度分布測定装置(日機装株式会社製、Microtrac粒度分布測定装置MT3000等)を使用して測定した体積平均粒子径である。
多層構造重合体粒子(C)2gを秤量し、メチルエチルケトン50mlに溶解させ、遠心分離機(日立工機(株)製CP60E)にて30000rpmで1時間遠心分離を行い、不溶分と可溶分を分離した。得られたメチルエチルケトン不溶分を用いて、次式によりグラフト率を算出した。
グラフト率(%)=[(メチルエチルケトン不溶分の重量−R)/R]×100
ただし、Rは、多層構造重合体粒子(C)2g中の、架橋弾性体層(A)を構成する単官能単量体の仕込み重量である。
<多層構造重合体粒子(C1)の製造>
攪拌機付き8L重合装置に、以下の物質を仕込んだ。
・脱イオン水 200部
・ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸ナトリウム 0.12部
(東邦化学工業株式会社製、商品RD−510Yのナトリウム塩)
・ソディウムホルムアルデヒドスルフォキシレ−ト 0.15部
・エチレンジアミン四酢酸−2−ナトリウム 0.0048部
・硫酸第一鉄 0.0012部
<多層構造重合体粒子(C2)の製造>
表1に示した架橋弾性体層(A2)、シェル層(B2)の原料混合物を用いた以外は製造例1と同様の重合を行い、凝固、水洗、乾燥をして多層構造重合体粒子(C2)の粉末を得た。架橋弾性体層(A2)の粒子の体積平均粒子径は80nmであった。多層構造重合体粒子(C2)について測定したグラフト率は70%であった。
<多層構造重合体粒子(C3)の製造>
重合初期に仕込むポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸ナトリウムを0.135部とし、表1に示した架橋弾性体層(A3)、シェル層(B3)の原料混合物を用いた以外は製造例1と同様の重合を行い、凝固、水洗、乾燥をして多層構造重合体粒子(C3)の粉末を得た。架橋弾性体層(A3)の粒子の体積平均粒子径は86nmであった。多層構造重合体粒子(C3)について測定したグラフト率は61%であった。
<多層構造重合体粒子(C4)の製造>
表1に示した架橋弾性体層(A4)、シェル層(B4)の原料混合物を用いた以外は製造例3と同様の重合を行い、凝固、水洗、乾燥をして多層構造重合体粒子(C4)の粉末を得た。架橋弾性体層(A4)の粒子の体積平均粒子径は85nmであった。多層構造重合体粒子(C4)について測定したグラフト率は64%であった。
<多層構造重合体粒子(C5)の製造>
重合初期に仕込むポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸ナトリウムを0.28部とし、表1に示した架橋弾性体層(A5)、シェル層(B5)の原料混合物を用いた以外は製造例1と同様の重合を行い、凝固、水洗、乾燥をして多層構造重合体粒子(C5)の粉末を得た。架橋弾性体層(A5)の粒子の体積平均粒子径は72nmであった。多層構造重合体粒子(C5)について測定したグラフト率は62%であった。
<多層構造重合体粒子(C6)の製造>
重合初期に仕込むポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸ナトリウムを0.06部とし、表1に示した架橋弾性体層(A6)、シェル層(B6)の原料混合物を用いた以外は製造例1と同様の重合を行い、凝固、水洗、乾燥をして多層構造重合体粒子(C6)の粉末を得た。架橋弾性体層(A6)の粒子の体積平均粒子径は103nmであった。多層構造重合体粒子(C6)について測定したグラフト率は66%であった。
<多層構造重合体粒子(C7)の製造>
表1に示した架橋弾性体層(A7)、シェル層(B7)の原料混合物を用いた以外は製造例1と同様の重合を行い、凝固、水洗、乾燥をして多層構造重合体粒子(C7)の粉末を得た。架橋弾性体層(A7)の粒子の体積平均粒子径は77nmであった。多層構造重合体粒子(C7)について測定したグラフト率は90%であった。
<多層構造重合体粒子(C8)の製造>
表1に示した架橋弾性体層(A8)、シェル層(B8)の原料混合物を用いた以外は製造例3と同様の重合を行い、凝固、水洗、乾燥をして多層構造重合体粒子(C8)の粉末を得た。架橋弾性体層(A8)の粒子の体積平均粒子径は78nmであった。多層構造重合体粒子(C8)について測定したグラフト率は50%であった。
<多層構造重合体粒子(C)の製造>
表1に示した架橋弾性体層(A9)、シェル層(B9)の原料混合物を用いた以外は製造例3と同様の重合を行い、凝固、水洗、乾燥をして多層構造重合体粒子(C9)の粉末を得た。架橋弾性体層(A9)の粒子の体積平均粒子径は85nmであった。多層構造重合体粒子(C9)について測定したグラフト率は66%であった。
<多層構造重合体粒子(C10)の製造>
重合初期に仕込むポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸ナトリウムを0.04部とし、表1に示した架橋弾性体層(A10)、シェル層(B10)の原料混合物を用いた以外は製造例1と同様の重合を行い、凝固、水洗、乾燥をして多層構造重合体粒子(C10)の粉末を得た。架橋弾性体層(A10)の粒子の体積平均粒子径は112nmであった。多層構造重合体粒子(C10)について測定したグラフト率は65%であった。
<多層構造重合体粒子(C11)の製造>
重合初期に仕込む乳化剤をポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸ナトリウムに代えてジオクチルスルホコハク酸ナトリウム0.28部とし、架橋弾性体層(A)の重合後に添加する乳化剤をポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸ナトリウムに代えてジオクチルスルホコハク酸ナトリウムとし、表1に示した架橋弾性体層(A11)、シェル層(B11)の原料混合物を用いた以外は製造例1と同様の重合を行った。得られたラテックスの塩析を塩化マグネシウムに換えて塩化カルシウムを用いて行った以外は同様に凝固、水洗、乾燥をして多層構造重合体粒子(C11)の粉末を得た。架橋弾性体層(A11)の粒子の体積平均粒子径は80nmであった。多層構造重合体粒子(C11)について測定したグラフト率は84%であった。
<多層構造重合体粒子(C12)の製造>
表1に示した架橋弾性体層(A12)、シェル層(B12)の原料混合物を用いた以外は製造例11と同様の重合を行い、凝固、水洗、乾燥をして多層構造重合体粒子(C12)の粉末を得た。架橋弾性体層(A12)の粒子の体積平均粒子径は80nmであった。多層構造重合体粒子(C12)について測定したグラフト率は150%であった。
<多層構造重合体粒子(C13)の製造>
表1に示した架橋弾性体層(A13)、シェル層(B13)の原料混合物を用いた以外は製造例11と同様の重合を行い、凝固、水洗、乾燥をして多層構造重合体粒子(C13)の粉末を得た。架橋弾性体層(A13)の粒子の体積平均粒子径は80nmであった。多層構造重合体粒子(C13)について測定したグラフト率は135%であった。
特許第4291994号の製造例5に従い、多層構造重合体粒子(C14)を製造した。架橋弾性体層の粒子径は80nm、シェル層のグラフト率は90%であった。
<多層構造重合体粒子(G)の製造>
撹拌機付き8L重合装置に、以下の物質を仕込んだ。
・脱イオン水 220部
・ホウ酸 0.3部
・炭酸ナトリウム 0.03部
・N−ラウロイルサルコシン酸ナトリウム 0.09部
・ソディウムホルムアルデヒドスルフォキシレート 0.09部
・エチレンジアミン四酢酸−2−ナトリウム 0.006部
・硫酸第一鉄 0.002部
製造例1で得た多層構造重合体粒子(C1)を40部と、熱可塑性樹脂(D)(メタクリル系重合体 住友化学製 スミペックスMG5、メタクリル酸メチル含量:95重量%)60部とを、ヘンシェルミキサーを用いて混合した。次いで、シリンダ温度を200℃〜260℃に調整した58mmΦ単軸押出機((株)日本精鋼所製)を使用し、スクリュー回転数90rpm、吐出量130kg/時間にて溶融混練を行い、ストランド状に引き取り、水槽にて冷却後、ペレタイザーを用いて切断して、アクリル樹脂組成物のペレットを得た。
多層構造重合体粒子(C)及び熱可塑性樹脂(D)の種類及び使用量(部)、並びに多層構造重合体粒子(G)の使用量(部)を、それぞれ表2及び表3に記載の種類及び量(部)に変更した。なお、表2中、熱可塑性樹脂(D)の「HM」はクラレ製パラペットHM(メタクリル酸メチル含量:100重量%)、「EX」は住友化学製スミペックスEX(メタクリル酸メチル含量:95重量%)を意味する。これらの変更の他は、実施例1と同様にして、実施例2〜12、及び比較例1〜8の厚さ75μm、および125μmのアクリル樹脂フィルムを得た。
特許第4291994号の実施例6に従い、製造例14で得た多層構造重合体粒子(C14)を使用し、熱可塑性樹脂(D)としてスミペックスEXを使用して、厚さ75μm、および125μmのアクリル樹脂フィルムを得た。
市販のアクリル樹脂フィルム(住友化学社製、製品名テクノロイ(登録商標)S014G、コアシェルゴム含有アクリル樹脂フィルム)を使用した。
日本電色工業製Haze Meter NDH7000SPを用いて、JIS K6174に準じ、厚さ125μmのアクリル樹脂フィルムの全光線透過率およびヘイズ値、及び、後述する室温延伸後の試験片のヘイズ値を測定した。
厚さ75μmのアクリル樹脂フィルムを押出成形時のMD方向にJIS B6732 SDK−600型ダンベル形状に打ち抜いた試験片を使用し、テンシロン引張試験機を用いて、標線間距離40mm、引張速度200mm/分の条件で、引張破断伸度の測定を行った。引張破断伸度の値は、5つの試験片を用いて得られた測定結果のうち、最も高い値と、最も低い値とを除いた平均値である。
厚さ75μmのアクリル樹脂フィルムを約A4サイズに切り出し、23℃×12時間以上静置後、以下の条件にて評価を実施した。
5+:(合格)切削痕は直線状で、全てのサンプルで試験後の切削痕に目視でクラックの発生なし。さらに切削時の感触が延性的である(連続的でスムースな切削感触である)
5:(合格)切削痕は直線状で、全てのサンプルで試験後の切削痕に目視でクラックの発生なし。切削時の感触が脆性的である(少なくとも一部にパリパリと不連続な切削感触がある)
4:切削痕は直線状であるが、小さなクラック(長さ1mm以下)が切削痕長さ10cmあたり10個以下発生する
3:切削痕がギザギザであり、大きなクラック(長さ1mm以上)が発生する
2:切削痕がギザギザであり、切削時にフィルム全体が割れることがある
1:初回の切削時にフィルム全体が割れ、n=5での測定が不可能である
JIS P8115に準拠し、厚さ125μmのアクリル樹脂フィルムを押出成形時のMD方向にJIS B6732 SDK−600ダンベル形状に打ち抜いた試験片を使用し、TOYOSEIKI製FOLDING ENDURANCE TESTERを用いて23℃でn=5にて測定を行ない、最小値と最大値を除く3点の平均値をMIT値とした。測定条件はANGLE:75、SPEED:175、MODE:N、荷重100g、折り曲げ装置のR:0.38,T:0.25にて実施した。
マイズ試験機製 No.601―BI 鉛筆硬度試験機を用い、JIS K5600−5−4に準じて、500gの荷重にて鉛筆硬度を測定した。鉛筆硬度の測定は、厚さ75μmのアクリル樹脂フィルムに対して実施した。
厚さ125μmのアクリル樹脂フィルムをJIS B6732 SDK−600ダンベル形状に打ち抜き、テンシロン引張試験機を用いて、23℃で標線間距離40mm、引張速度500mm/分の条件で、15%の延伸を行った。延伸後のサンプルについて、23℃で12時間静置した後に、上述した条件でヘイズ値を測定した。
Claims (10)
- 平均粒子径が70nm以上110nm以下の架橋弾性体層(A)と、該架橋弾性体層(A)にグラフト重合している一層以上のシェル層(B)とを含む多層構造重合体粒子(C)、及び、
メタクリル酸メチルを75重量%以上含有する熱可塑性樹脂(D)、を含有する、フィルム用アクリル樹脂組成物(E)であって、
架橋弾性体層(A)は、アクリル酸アルキル(a−1)75重量%以上、(メタ)アクリル酸アリルである架橋・グラフト交叉剤(H)、及び、他のモノマー(a−2)0重量%以上25重量%未満を含む単量体成分の重合体から構成される架橋エラストマー層を1層以上含み、
シェル層(B)は、メタクリル酸メチル(b−1)50重量%以上、炭素数1〜12の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステル(b−2)、他のモノマー(b−3)0重量%以上50重量%未満、及び、連鎖移動剤を含有し、多官能性単量体を含まない単量体成分の重合体から構成され、
アクリル樹脂組成物(E)の全体量に対する架橋弾性体層(A)の重量割合が15.5重量%以上21重量%未満であり、
アクリル樹脂組成物(E)の全体量に対するアクリル酸アルキルエステル(b−2)の重量割合が0.8重量%以上3重量%未満であり、
多層構造重合体粒子(C)は、以下の1)〜4)を満たす、フィルム用アクリル樹脂組成物(E)。
1)多層構造重合体粒子(C)の全体量に対する架橋弾性体層(A)の重量割合が、40重量%を超え、60重量%以下である。
2)架橋弾性体層(A)の平均粒子径d(nm)と、架橋・グラフト交叉剤(H)の含有量w(但し、前記含有量wは、前記架橋エラストマー層を構成する前記単量体成分のうち、架橋・グラフト交叉剤(H)を除く成分の合計量を100重量部とした時の、架橋・グラフト交叉剤(H)の量の比率を示す)が、次の関係式を満たす。
0.029d≦w≦0.045d
3)架橋弾性体層(A)に対するシェル層(B)のグラフト率が、51%以上80%以下である。
4)多層構造重合体粒子(C)の全体量に対するアクリル酸アルキルエステル(b−2)の重量割合が、2重量%以上5重量%未満である。 - フィルム用アクリル樹脂組成物(E)から構成される75μm厚さのフィルムが、以下の5)〜7)を満たす、請求項1に記載のフィルム用アクリル樹脂組成物(E)。
5)前記フィルムを23℃条件下でカッターにて切断し、形成された切断部に、目視で確認できるクラックがない。
6)23℃における引張破断伸度が、50%以上である。
7)前期フィルムの表面硬度が鉛筆硬度でHB以上である。 - フィルム用アクリル樹脂組成物(E)から構成される125μm厚さのフィルムが、以下の8)を満たす、請求項1又は2に記載のフィルム用アクリル樹脂組成物(E)。
8)JIS P8115に準拠したMIT試験の測定回数が50回以上である。 - フィルム用アクリル樹脂組成物(E)から構成される125μm厚さのフィルムが、以下の9)を満たす、請求項1〜3のいずれか1項に記載のフィルム用アクリル樹脂組成物(E)。
9)23℃にて前記フィルムを15%延伸した時の延伸部位のヘイズ値が20%以下である。 - フィルム用アクリル樹脂組成物(E)から構成される125μm厚さのフィルムが、以下の10)を満たす、請求項4に記載のフィルム用アクリル樹脂組成物(E)。
10)23℃にて前記フィルムを15%延伸した時の延伸部位のヘイズ値が10%以下である。 - 平均粒子径が150nm以上400nm以下の架橋弾性体層を含む多層構造重合体粒子(G)を、フィルム用アクリル樹脂組成物(E)の全体量に対して0.5〜2.5重量%の割合で、さらに含有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載のフィルム用アクリル樹脂組成物(E)。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載のフィルム用アクリル樹脂組成物(E)から構成されるアクリル樹脂フィルム(F)。
- 有機溶剤を含む液が塗布される対象として使用される、請求項7に記載のアクリル樹脂フィルム(F)。
- 請求項7又は8に記載のアクリル樹脂フィルム(F)、及び
該フィルム(F)に積層された他のフィルム、を含む、積層フィルム。 - 成形品本体、並びに
該成形品本体の表面に積層された、請求項7又は8に記載のアクリル樹脂フィルム(F)及び/又は請求項9に記載の積層フィルム、を含む、成形品。
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