JP2020143417A - 繊維用集束剤、繊維束、繊維製品及び成形体 - Google Patents
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Abstract
Description
これらの複合材料に使用される繊維としては、ガラス繊維、炭素繊維、セラミック繊維、金属繊維、鉱物繊維及びスラッグ繊維等の繊維が用いられている。これらの繊維は、前記の複合材料とする加工工程において、毛羽立ちや糸切れを防止するため、通常、集束剤が付与されている。
しかしながら、従来の集束剤では、ビニルエステル樹脂及び不飽和ポリエステル樹脂等のマトリックス樹脂において、繊維とマトリックス樹脂との接着性が不十分であるという問題があった。
この問題を解決するため、エポキシ樹脂がアルコキシポリオキシエチレン構造とエポキシ基とを有するウレタン樹脂によって水性媒体に分散された繊維集束剤(例えば特許文献1)や分子中にエポキシ基と不飽和基を有する化合物、ウレタンアクリレート及びポリウレタン樹脂を含有する繊維集束剤(例えば特許文献2)が知られている。
しかし、特許文献1で提案された集束剤は、繊維とマトリックス樹脂との接着性を十分に満たすものではなく、その結果、複合材料の強度も十分でないという課題があり、特許文献2で提案された集束剤は、繊維とマトリックス樹脂との接着性は良好であるが、開繊性が不十分という課題があった。
すなわち、本発明は、ウレタン基を有する化合物(A)と、ウレタン基を有さず一般式(1)で示される官能基(a)及びポリオキシアルキレン鎖を有する化合物(B)と、化合物(C)とを含有する繊維用集束剤であって、前記化合物(A)が、(メタ)アクリロイル基を有さないポリウレタン樹脂及びウレタン(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物であり、前記化合物(C)がエポキシ基を有する化合物、ポリエステル樹脂及びポリビニル樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物であり、前記化合物(C)はウレタン基及び前記官能基(a)のいずれをも有さない化合物である繊維用集束剤;炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、セラミック繊維、金属繊維、鉱物繊維及びスラッグ繊維からなる群より選ばれる少なくとも1種の繊維を、前記繊維用集束剤で処理してなる繊維束;前記繊維束を含有する繊維製品;前記繊維製品を成形してなる成形体である。
CH2=C(R)− (1)
[一般式(1)中、Rは、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表し、化合物(B)が複数の官能基(a)を有する場合、複数あるRは、同一でも異なっていても良い。]
CH2=C(R)− (1)
[一般式(1)中、Rは、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表し、化合物(B)が複数の官能基(a)を有する場合、複数あるRは、同一でも異なっていても良い。]
なお、本願において、「(メタ)アクリレート」の表記は、「アクリレート」及び/又は「メタクリレート」を意味し、「(メタ)アクリロイル」の表記は、「アクリロイル」及び/又は「メタクリロイル」を意味する。
また、前記のポリオール(α)と、ジイソシアネート(β)とを反応させてなる化合物が、末端にイソシアネート基を有する場合、末端にイソシアネート基を有する(α)と(β)との反応物と炭素数1〜20の1価のアルコール(δ)(メタノール、エタノール及びオクタデカノール等)とを反応させた化合物を、(メタ)アクリロイル基を有さないポリウレタン樹脂として用いても良い。
鎖伸長剤及び架橋剤としては、特開2007−145609号公報に記載された鎖伸長剤及び架橋剤等が挙げられる。
脂肪族ポリオール(α1)としては、鎖状脂肪族ポリオール(α11)、脂環式ポリオール(α12)等が挙げられる。
鎖状脂肪族ポリオール(α11)としては、炭素数2〜10の鎖状脂肪族ポリオール(例えば、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオール等の直鎖脂肪族ジオール、1,2−プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール及び2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール等の分岐脂肪族ジオール、グリセリン及びトリメチロールプロパン及びペンタエリスリトール等の3価以上の鎖状脂肪族ポリオール等)等が挙げられる。
脂環式ポリオール(α12)としては、炭素数5〜12の脂環式ポリオール[1,3−シクロペンタンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘプタンジオール、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン及び1,3,5−シクロヘキサントリオール等]等が挙げられる。
ポリオール1モルに対するアルキレンオキサイドの付加モル数としては、後述の水性溶液とした場合の水溶性、後述の水性エマルジョンとした場合の乳化性及びマトリックス樹脂との密着性の観点から、2〜50モルであることが好ましい。
ポリカーボネートポリオールとしては、前記の脂肪族ポリオール(α1)及び/又は芳香族ポリオール(α2)と、低分子カーボネート化合物(例えば、ホスゲン、アルキル基の炭素数1〜6のジアルキルカーボネート(例えば、炭酸ジメチル等)、炭素数2〜6のアルキレン基を有するアルキレンカーボネート(例えば、炭酸エチレン等)及び炭素数6〜9のアリール基を有するジアリールカーボネート(例えば、ジフェニルカーボネート等)等)から、脱塩酸又は脱アルコール反応させながら縮合させることによって製造されるポリカーボネートポリオール等が挙げられる。
なお、ポリカーボネートポリオールは、芳香環を有していなければ脂肪族ポリオール(α1)に、芳香環を有していれば芳香族ポリオール(α2)に分類される。
ポリオール(α)のうちで、集束性の観点から好ましいのは、芳香族ポリオール(α2)であり、ビスフェノール骨格を有していることが更に好ましい。また、芳香族ポリオール(α2)としては、更に集束性を高める観点から、ビスフェノール骨格を有する芳香族ポリオールのアルキレンオキサイド付加物(好ましくは2〜50モル付加物)が好ましく、特に好ましいのは、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物及びビスフェノールFのアルキレンオキサイド付加物である。
ジイソシアネート(β)は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
(メタ)アクリレート(γ)は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
芳香環は、ポリオール(α)由来のものであっても良く、ジイソシアネート(β)由来のものであっても良い。
Mnが1,000以上であると十分な集束性を有し、300,000以下であるとマトリックス樹脂との開繊性に優れる。
また、ウレタン(メタ)アクリレートのMnは、集束性及び開繊性の観点から250〜3,000であることが好ましい。
なお、Mnは、ゲルパーミエイションクロマトクラフィー(以下、GPCと略記する)により測定される。Mnは、実施例に記載の方法等で測定することができる。
なお、ウレタン基濃度は、実施例に記載の方法等で測定することができる。
なお、ウレア基濃度は、実施例に記載の方法等で測定することができる。
なお、前記の(α)と(β)と(γ)との反応物であるウレタン(メタ)アクリレートを製造する場合は、(α)と(β)とを重付加反応させて、イソシアネート基を2個以上有するウレタンプレポリマーを製造した後に、(γ)を付加化反応させて製造することが好ましい。
上記の重付加反応及び付加反応においては、ウレタン化触媒を用いても良い。
ウレタン化触媒としては、金属化合物(有機ビスマス化合物、有機スズ化合物及び有機チタン化合物等)及び4級アンモニウム塩等が挙げられる。
また、マトリックス樹脂が不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂又はフェノール樹脂である場合は、接着性の観点から、ウレタン(メタ)アクリレートが好ましい。
なお、本発明において、ポリオキシアルキレン鎖とは、オキシアルキレン基(連なっているオキシアルキレン基は同一であってもよく、異なっていてもよい。好ましくは炭素数2〜4のオキシアルキレン基である。)が連続して2個以上連なったものを意味する。
CH2=C(R)− (1)
一般式(1)中、Rは、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表し、水素原子又はメチル基であることが好ましい。なお、化合物(B)が複数の官能基(a)を有する場合、複数あるRは、同一でも異なっていても良い。
なお、ポリオールのアルキレンオキサイド付加物(α3)と(メタ)アクリル酸とのエステル化物について、ポリオールのアルキレンオキサイド付加物(α3)が有する水酸基の全てを、(メタ)アクリル酸でエステル化する必要はなく、未反応の水酸基が残っていてもよい。
CH2=C(R)−C(O)−O−(AO)m−C(O)−C(R)=CH2 (2)
一般式(2)中、Rは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表す。
また、Aは、それぞれ独立に、水素原子がヒドロキシ基で置換されていても良い炭素数2〜20の2価の炭化水素基を表す。Aとしては、ポリオール(α)から水酸基を2個除去した2価の基等が挙げられる。
また、mは2〜100の整数を表す。
一般式(2)で表されるポリエーテルとしては、ポリオキシエチレングリコールのジ(メタ)アクリレート、ポリオキシプロピレングリコールのジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンのエチレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート、グリセリンのエチレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート、及びポリオキシアルキレングリコールのジグリシジルエーテルと(メタ)アクリル酸の反応物等が挙げられる。
化合物(B)は、1種を単独で用いても、2種以上を併用しても良い。
なお、化合物(C)は、ウレタン基及び前記官能基(a)のいずれをも有さない化合物であり、前記の化合物(A)及び化合物(B)を含まないものとする。
化合物(C)としては、マトリックス樹脂がビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂又はフェノール樹脂である場合は、接着性の観点から、エポキシ基を有する化合物及び/又はポリビニル樹脂が好ましい。また、マトリックス樹脂がポリエステル樹脂又は不飽和ポリエステル樹脂である場合は、接着性の観点から、エポキシ基を有する化合物及び/又はポリエステル樹脂が好ましい。
ポリオールとしては、ウレタン基を有する化合物(A)の説明で例示したポリオール(α)等が挙げられる。
ポリカルボン酸としては、脂肪族ポリカルボン酸(鎖状飽和脂肪族ポリカルボン酸、鎖状不飽和脂肪族ポリカルボン酸、脂環式ポリカルボン酸及びダイマー酸等)及び芳香族カルボン酸等が挙げられる。
前記の鎖状飽和脂肪族ポリカルボン酸としては、炭素数2〜22の直鎖又は分岐の鎖状飽和脂肪族モノカルボン酸(シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、メチルコハク酸、エチルコハク酸、ジメチルマロン酸、α−メチルグルタル酸、β−メチルグルタル酸、2,4−ジエチルグルタル酸、イソプロピルマロン酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、トリデカンジカルボン酸、テトラデカンジカルボン酸、ヘキサデカンジカルボン酸、オクタデカンジカルボン酸、イコサンジカルボン酸、デシルコハク酸、ドデシルコハク酸及びオクタデシルコハク酸等)等が挙げられる。
前記の鎖状不飽和脂肪族ポリカルボン酸としては、炭素数4〜22の直鎖又は分岐の鎖状不飽和脂肪族ポリカルボン酸(マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、ドデセニルコハク酸、ペンタデセニルコハク酸及びオクタデセニルコハク酸等)等が挙げられる。
前記の脂環式ポリカルボン酸としては、炭素数7〜14の脂環式ポリカルボン酸(1,3−又は1,2−シクロペンタンジカルボン酸、1,2−、1,3−又は1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−、1,3−又は1,4−シクロヘキサンジ酢酸及びジシクロヘキシル−4,4’−ジカルボン酸等)等が挙げられる。
前記のダイマー酸としては、炭素数8〜24の鎖状不飽和脂肪族カルボン酸(オレイン酸、リノール酸及びリノレン酸等)の二量体であるポリカルボン酸が挙げられる。
前記の芳香族ポリカルボン酸としては、炭素数8〜14の芳香族ポリカルボン酸(テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、フェニルマロン酸、フェニルコハク酸、β−フェニルグルタル酸、α−フェニルアジピン酸、β−フェニルアジピン酸、ビフェニル−2,2’−又は4,4’−ジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸、5−スルホイソフタル酸ナトリウム及び5−スルホイソフタル酸カリウム等)等が挙げられる。
ビスフェノール骨格は、ポリオール由来のものであっても良く、ポリカルボン酸由来のものであっても良い。
また、ポリオキシエチレン鎖としては、ポリオール由来のものが挙げられる。
このような化合物の具体例としては、ビスフェノールAのEO付加物(1〜50モル付加物であることが好ましい)と、テレフタル酸とのポリエステル等が挙げられる。
界面活性剤(E)は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
なお、界面活性剤(E)としては、具体的には下記の化合物が挙げられる。
アルキルフェノールのアルキレンオキサイド(以下、「アルキレンオキサイド」を「AO」と略記することがある)付加物(Mn500〜5,000)、アリールアルキルフェノール{スチレン化フェノール(炭素数14〜62)、スチレン化クミルフェノール及びスチレン化クレゾール(炭素数15〜61)等}のAO付加物(Mn500〜5,000)、アルキルフェノール(炭素数10〜20)のAO付加物(Mn500〜5,000)の硫酸エステル塩(ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩及びアルカノールアミン塩等)、アリールアルキルフェノール{スチレン化フェノール(炭素数14〜62)、スチレン化クミルフェノール及びスチレン化クレゾール(炭素数15〜61)等}のAO付加物(Mn500〜5,000)の硫酸エステル塩等が挙げられる。
なお、界面活性剤(E)において、AO付加とは、エチレンオキサイド(以下、「エチレンオキサイド」を「EO」と略記することがある)単独付加、並びに、プロピレンオキサイド(以下、「プロピレンオキサイド」を「PO」と略記することがある)及びブチレンオキサイド(以下、「ブチレンオキサイド」を「BO」と略記することがある)の少なくとも一方とEOを付加した物等が挙げられる。PO及びBOの少なくとも一方を含む場合、ランダム付加物、ブロック付加物及びこれらの混合付加物が含まれる。
界面活性剤(E)のMnの測定方法は、化合物(A)の説明で挙げた化合物(A)のMnの測定方法と同様である。
平滑剤としては、ワックス(ポリエチレン、ポリプロピレン、酸化ポリエチレン、酸化ポリプロピレン、変性ポリエチレン及び変性ポリプロピレン等)、高級脂肪酸(脂肪酸の炭素数6〜30)アルキル(アルキルの炭素数1〜24)エステル(メチルステアレート、エチルステアレート、プロピルステアレート、ブチルステアレート、オクチルステアレート及びステアリルステアレート等)、高級脂肪酸(脂肪酸の炭素数6〜30)(ミリスチン酸、パルミチン酸及びステアリン酸等)、天然油脂(ヤシ油、牛脂、オリーブ油及びナタネ油等)及び流動パラフィン等が挙げられる。
防腐剤としては、安息香酸、サリチル酸、ソルビン酸、第4級アンモニウム塩及びイミダゾール等が挙げられる。
酸化防止剤としては、フェノール(2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール等)、チオジプロピオネート(ジラウリル3,3’−チオジプロピオネート等)及びホスファイト(トリフェニルホスファイト等)等が挙げられる。
繊維用集束剤の固形分中に含まれる化合物(A)の重量割合は、接着性及び開繊性の観点から、繊維用集束剤が含有する固形分の重量に基づき、好ましくは1〜80重量%、更に好ましくは5〜70重量%、特に好ましくは10〜60重量%である。
繊維用集束剤の固形分中に含まれる化合物(B)の重量割合は、集束性及び開繊性の観点から、繊維用集束剤が含有する固形分の重量に基づき、好ましくは1〜90重量%、更に好ましくは5〜80重量%、特に好ましくは10〜70重量%である。
繊維用集束剤の固形分中に含まれる化合物(C)の重量割合は、乳化安定性の観点から、繊維用集束剤が含有する固形分の重量に基づき、好ましくは2〜90重量%、更に好ましくは10〜70重量%である。
繊維用集束剤の固形分中に含まれる界面活性剤(E)の重量割合は、乳化安定性の観点から、繊維用集束剤が含有する固形分の重量に基づき、好ましくは0.1〜40重量%、更に好ましくは0.5〜35重量%、特に好ましくは1〜30重量%である。
繊維用集束剤の固形分中に含まれるその他の添加剤としての平滑剤、防腐剤及び酸化防止剤の重量割合は、流動性及び経時安定性の観点から、繊維用集束剤が含有する固形分の重量に基づき、好ましくは0.01〜20重量%、更に好ましくは0.05〜15重量%、特に好ましくは0.1〜10重量%である。
ここで、固形分とは、試料1gを130℃45分間循風乾燥機で加熱乾燥した後の残渣である。
水性媒体を含有すると、繊維用集束剤が含有する固形分の繊維への付着量を適量にすることが容易であるため、成形体としたときの強度が更に優れる繊維束を得ることができる。
水性媒体としては、公知の水性媒体等を用いることができ、具体的には、水及び親水性有機溶媒[炭素数1〜4の1価のアルコール(メタノール、エタノール及びイソプロパノール等)、炭素数3〜6のケトン(アセトン、エチルメチルケトン及びメチルイソブチルケトン等)、炭素数2〜6のグリコール(エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール及びトリエチレングリコール等)及びそのモノアルキル(炭素数1〜2)エーテル、ジメチルホルムアミド並びに炭素数3〜5の酢酸アルキルエステル(酢酸メチル及び酢酸エチル等)等]が挙げられる。
これらは2種以上を併用してもよい。これらのうち、安全性等の観点から、水並びに親水性有機溶媒及び水の混合溶媒が好ましく、更に好ましいのは水である。
高濃度の水性溶液又は水性エマルジョンの濃度(水性溶液状又は水性エマルジョン状である繊維用集束剤に含まれる固形分の重量割合)は、保存安定性等の観点から、好ましくは20〜80重量%、更に好ましくは30〜70重量%である。
一方、低濃度の水性溶液又は水性エマルジョンの濃度(水性溶液状又は水性エマルジョン状である繊維用集束剤に含まれる固形分の重量割合)は、繊維束の製造時に集束剤の付着量を適量にする観点等から、好ましくは0.5〜15重量%、更に好ましくは1〜10重量%である。
上記の成分をいかなる順序で混合しても製造することができるが、好ましくは、水性媒体以外の成分を予め混合し、得られた混合物中に、水性媒体を投入して溶解又は乳化分散させる方法である。
前記溶解又は乳化分散させる時間は、好ましくは1〜20時間、更に好ましくは2〜10時間である。
本発明の繊維束は、3,000〜3万本程度の繊維が束ねられていることが好ましい。
前記の繊維製品としては、織物、編み物、不織布(フェルト、マット及びペーパー等)、チョップドファイバー及びミルドファイバー等が含まれる。
加熱成形の方法は特に限定されず、フィラメントワインディング成形法(回転するマンドレルに張力をかけながら巻き付け、加熱成形する方法)、プレス成形法(プリプレグシートを積層して加熱成形する方法)、オートクレーブ法(プリプレグシートを型に圧力をかけ押しつけて加熱成形する方法)及びチョップドファイバー又はミルドファイバーをマトリックス樹脂と混合して射出成形する方法等が挙げられる。
Mnは、以下の条件のGPCにより測定した。
機種:Alliance(日本ウォーターズ(株)製液体クロマトグラフ)
カラム:Guardcolumn Super H−L
+TSK gel Super H4000
+TSK gel Super H3000
+TSK gel Super H2000
(いずれも東ソー(株)製)
カラム温度:40℃
検出器:RI(Refractive Index)
溶離液:テトラヒドロフラン
溶離液流量:0.6ml/分
試料濃度:0.25重量%
注入量:10μl
標準物質:ポリスチレン(東ソー(株)製;TSK STANDARD POLYSTYRENE)
ウレタン基を有する化合物(A)のウレタン基含量及びウレア基含量は、窒素分析計[ANTEK7000(アンテック社製)]によって定量されるN原子含量と1H−NMRによって定量されるウレタン基とウレア基の比率及び後述のアロハネート基及びビューレット基含量から算出する。
1H−NMR測定については、「NMRによるポリウレタン樹脂の構造研究:武田研究所報34(2)、224−323(1975)」に記載の方法で行う。すなわち1H−NMRを測定して、脂肪族を使用した場合、化学シフト6ppm付近のウレア基由来の水素の積分量と化学シフト7ppm付近のウレタン基由来の水素の積分量の比率からウレア基とウレタン基の重量比を測定し、該重量比と上記のN原子含量及びアロハネート基及びビューレット基含量からウレタン基及びウレア基含量を算出する。芳香族イソシアネートを使用した場合、化学シフト8ppm付近のウレア基由来の水素の積分量と化学シフト9ppm付近のウレタン基由来の水素の積分量の比率からウレア基とウレタン基の重量比を算出し、前記重量比と上記のN原子含量からウレア基含量を算出する。
1)試料0.6〜0.7gを三角フラスコに0.1mgの単位まで精秤する。
2)次に、0.2mol/l塩酸ジオキサン溶液25mlを加え、栓をして室温で15分間マグネチックスタラーを用いて撹拌し反応させる。
3)反応終了後、フラスコの内壁および栓を20mlのメチルアルコールで洗う。クレゾールレッド指示薬を約10滴加え、0.1mol/l水酸化カリウム標準溶液で滴定する。
滴定の終点は、ピンク色から一旦黄色に変色した後、1滴程度の0.1mol/l水酸化カリウム標準溶液の滴下で紫色に変色した点とする。
4)以上の操作を2個の試料について行う。又、同時にブランクも測定する。
5)下記の計算式に基づき計算し、2個の測定値の平均値を算出する。
エポキシ当量(g/eq)=〔10000×{試料の重量(g)}〕/[〔{ブランクの滴定量(ml)}−{3)での滴定量(ml)}〕×f]
なお、fは、0.1mol/l水酸化カリウム標準溶液の力価を示す。
撹拌機、加熱冷却装置及び滴下ボンベを備えた耐圧反応容器に、ビスフェノールAのEO4モル付加物「ニューポールBPE−40」[三洋化成工業(株)製]404部(1モル部)、及び水酸化カリウム2部を投入し、窒素置換後、圧力を−0.08MPaとした。130℃に昇温し、EO1584部(36モル部)を圧力が0.5MPaG以下になるように調整しながら6時間かけて滴下した後、130℃で3時間熟成した。次いで100℃に冷却後、吸着処理剤「キョーワード600」[協和化学工業(株)製]30部を投入し、100℃で1時間撹拌して処理した後、吸着処理剤をろ過してビスフェノールAのEO40モル付加物(a−1)を得た。
ビスフェノールAのEO2モル付加物「ニューポールBPE−20」[三洋化成工業(株)製]316部(1モル部)、ビスフェノールAのEO40モル付加物(a−1)663部(0.33モル部)及びトルエンジイソシアネート174部(1モル部)をガラス反応容器中に仕込み、撹拌均一化後、80℃で6時間反応させ、Mn=3500、ウレタン基濃度=1.7mmol/g、ウレア基濃度=0mmol/gのポリウレタン樹脂(A−1)を得た。
ビスフェノールAのEO2モル付加物「ニューポールBPE−20」[三洋化成工業(株)製]316部(1モル部)、ポリエチレングリコール「PEG1000」[三洋化成工業(株)製]86部(0.14モル部)、トリエチレングリコール64部(0.43モル部)及びトルエンジイソシアネート174部(1モル部)をガラス反応容器中に仕込み、撹拌均一化後、80℃で6時間反応させ、Mn=3900、ウレタン基濃度=3.6mmol/g、ウレア基濃度=0mmol/gのポリウレタン樹脂(A−2)を得た。
トルエンジイソシアネート348部(2モル部)をガラス反応容器中に仕込み、撹拌しながら60℃に温調しビスフェノールAのEO6モル付加物「ニューポールBPE−60」[三洋化成工業(株)製]492部(1モル部)を5時間かけて滴下し反応させた後、空気を通気しながら2−ヒドロキシエチルアクリレート232部(2モル部)を2時間かけて滴下し更に5時間反応させ、Mn=1100、ウレタン基濃度=3.7mmol/g、ウレア基濃度=0mmol/gのウレタンアクリレート(A−4)を得た。
イソホロンジイソシアネート444部(2モル部)及びテトラ−n−ブトキシチタン0.1部をガラス反応容器中に仕込み、撹拌しながら80℃に温調しポリエチレングリコール「PEG400」[三洋化成工業(株)製]400部(1モル部)を5時間かけて滴下し反応させた後、空気を通気しながら2−ヒドロキシエチルアクリレート232部(2モル部)を2時間かけて滴下し更に5時間反応させ、Mn=1100、ウレタン基濃度=3.7mmol/g、ウレア基濃度=0mmol/gのウレタンアクリレート(A−5)を得た。
トルエンジイソシアネート348部(2モル部)をガラス反応容器中に仕込み、撹拌しながら60℃に温調しビスフェノールAのEO6モル付加物「ニューポールBPE−60」[三洋化成工業(株)製]394部(0.8モル部)及びトリエチレンジアミン22.4部(0.2モル部)を5時間かけて滴下し反応させた後、空気を通気しながら2−ヒドロキシエチルアクリレート232部(2モル部)を2時間かけて滴下し更に5時間反応させ、Mn=1000、ウレタン基濃度=3.2mmol/g、ウレア基濃度=0.4mmol/gのウレタンアクリレート(A−6)を得た。
トルエンジイソシアネート348部(2モル部)をガラス反応容器中に仕込み、撹拌しながら60℃に温調しテトラメチレングリコール194部(1モル部)を5時間かけて滴下し反応させた後、空気を通気しながら2−ヒドロキシエチルアクリレート232部(2モル部)を2時間かけて滴下し更に5時間反応させ、Mn=770、ウレタン基濃度=5.3mmol/g、ウレア基濃度=0mmol/gのウレタンアクリレート(A−7)を得た。
トルエンジイソシアネート174部(1モル部)及びヘキサメチレンジイソシアネート168部(1モル部)をガラス反応容器中に仕込み、撹拌しながら60℃に温調しテトラメチレングリコール116部(0.6モル部)及びトリエチレンジアミン44.8部(0.4モル部)を5時間かけて滴下し反応させた後、空気を通気しながら2−ヒドロキシエチルアクリレート232部(2モル部)を2時間かけて滴下し更に5時間反応させ、Mn=740、ウレタン基濃度=3.2mmol/g、ウレア基濃度=2.2mmol/gのウレタンアクリレート(A−8)を得た。
オートクレーブに1,2−プロパンジオール100部、水酸化カリウム(東亞合成(株)製)の50重量%水溶液3部を仕込み、窒素置換後120℃にて60分真空脱水し水分を0.1重量%以下とした。次いで、105〜130℃で、PO865部とEO865部とを約3時間で同時に圧入し、揮発分が0.1重量%以下となるまで同温度で反応を続け、更に120℃にて60分真空脱水し水分を0.05重量%以下とした。
得られた反応物に水とアルカリ吸着剤(キョーワード600、協和化学工業(株)製)とを加え、ろ過した後、加熱脱水することによりポリエーテルポリオール(b7−1)を得た。
得られたポリエーテルポリオール(b7−1)のMnは1400であった。
温度計、撹拌機及び窒素ガス導入管を備えた反応容器に、製造例9で作成したポリエーテルポリオール(b7−1)1540部、エピクロルヒドリン420部及び水酸化ナトリウム182部を仕込み、激しく撹拌しながら窒素雰囲気下50℃で5時間反応させた。反応後、水730部を加え10分間撹拌して水洗した。
静置後、上層を分液し、濾過後、濾液から過剰のエピクロルヒドリンを減圧除去し、残渣としてポリエーテルポリオールグリシジルエーテル(b7−2)1600部を得た。
このグリシジルエーテルのエポキシ当量は890g/eqであった。
加熱冷却、撹拌装置、還流冷却管、滴下ロート及び温度計を取り付けたガラス製の反応容器に、製造例10で作成したポリエーテルポリオールジグリシジルエーテル(b7−2)320部とトルエン99.7部を仕込み、110℃まで加熱して均一に溶解させた。
続いて、アクリル酸25.8部、トリフェニルホスフィン0.3部及びp−メトキシフェノール0.03部を仕込み、110℃にて10時間反応させた。
エステル化の終点は酸価で規定し、酸価が1.0以下になったのを確認した後60℃に冷却した。更に、重合禁止の目的で酸素濃度を8体積%に調整した窒素と酸素の混合気体を液中に通気し、80℃に昇温、減圧下トルエンを留去して、水酸基を分子内に有するエポキシアクリレート(B−7)を得た。
ビスフェノールAのEO2モル付加物「ニューポールBPE−20」[三洋化成工業(株)製]316部(1モル部)、製造例1で作成したビスフェノールAのEO40モル付加物(a−1)1988部(1モル部)、テレフタル酸249部(1.5モル部)及びシュウ酸チタン酸カリウム5部を、ガラス反応容器中、230℃で0.001MPaまで減圧し水を留去しながら15時間反応させ、Mn=5000のポリエステル樹脂(C−1)を得た。
製造例12において、ビスフェノールAのEO2モル付加物316部(1モル部)を569部(1.8モル部)、(a−1)1988部(1モル部)を398部(0.2モル部)、テレフタル酸249部(1.5モル部)を166部(1モル部)に変更した以外は製造例12と同様にし、Mn=1100のポリエステル樹脂(C−2)を得た。
オートクレーブにキシレン500部を仕込み、窒素で置換した後、撹拌下密閉状態で185℃まで昇温した。スチレン948部、n−ブチルアクリレート45部、アクリル酸7部、ジ−t−ブチルパーオキサイド25部、およびキシレン180部の混合溶液を、オートクレーブ内温度を185℃にコントロールしながら、3時間かけて滴下し重合させた。更に同温度で1時間保ち重合を完結させた後、キシレンを減圧留去し、Mn=2400のポリビニル樹脂(C−5)を得た。
水以外の表1に記載の部数の原料を、万能混合機[万能混合攪拌機、(株)三英製作所製]中で60℃に温調しながら30分均一溶解させた後、そこに水を6時間かけて滴下し、固形分濃度が40重量%の本発明の繊維用集束剤(D−1)〜(D−23)及び比較用の繊維用集束剤(D’−1)〜(D’−7)をそれぞれ250部得た。
(A−1):製造例2で得たポリウレタン樹脂[Mn=3500、ウレタン基濃度=1.7mmol/g、ウレア基濃度=0mmol/g]
(A−2):製造例3で得たポリウレタン樹脂[Mn=3900、ウレタン基濃度=3.6mmol/g、ウレア基濃度=0mmol/g]
(A−3):ポリウレタン樹脂を含有する水溶液[芳香環を有さないポリカーボネート系ポリウレタン樹脂エマルションを含有する水溶液(固形分濃度:50質量%)、商品名「パーマリンUA−368」、三洋化成工業(株)製、(A−3)のウレタン基濃度0〜5.0mmol/g、ウレア基濃度2.0mmol/g以下]
(A−4):製造例4で得たウレタンアクリレート[Mn=1100、ウレタン基濃度=3.7mmol/g、ウレア基濃度=0mmol/g]
(A−5):製造例5で得たウレタンアクリレート[Mn=1100、ウレタン基濃度=3.7mmol/g、ウレア基濃度=0mmol/g]
(A−6):製造例6で得たウレタンアクリレート[Mn=1000、ウレタン基濃度=3.2mmol/g、ウレア基濃度=0.4mmol/g]
(A−7):製造例7で得たウレタンアクリレート[Mn=770、ウレタン基濃度=5.3mmol/g、ウレア基濃度=0mmol/g]
(A−8):製造例8で得たウレタンアクリレート[Mn=740、ウレタン基濃度=3.2mmol/g、ウレア基濃度=2.2mmol/g]
(B−1):ポリオキシプロピレングリコールジアクリレート[商品名「APG−400」、新中村化学工業(株)製、1分子あたりのオキシプロピレン基の数:7]
(B−2):ポリオキシプロピレングリコール(末端エポキシアクリレート)[商品名「エポキシエステル200PA」、共栄社化学(株)製、2個の水酸基を有するジアクリレート、1分子あたりのオキシプロピレン基の数:3]
(B−3):ポリオキシエチレングリコールジアクリレート[商品名「ライトアクリレート9EG−A」、共栄社化学(株)製、1分子あたりのオキシエチレン基の数:9]
(B−4):ポリオキシエチレングリコールジアクリレート[商品名「ライトアクリレート14EG−A」、共栄社化学(株)製、1分子あたりのオキシエチレン基の数:14]
(B−5):ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物ジアクリレート[商品名「ライトアクリレートBP−4EAL」、共栄社化学(株)製、1分子あたりのオキシエチレン基の数:4]
(B−6):ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物ジアクリレート[商品名「ライトアクリレートBP−4PA」、共栄社化学(株)製、1分子あたりのオキシプロピレン基の数:4]
(B−7):製造例11で得たエポキシアクリレート[1分子あたりのオキシエチレン基の数:15、1分子あたりのオキシプロピレン基の数:11.3]
(B−8):PTMGのジアクリレート[商品名「A−PTMG−65」、新中村化学(株)製、1分子あたりのオキシテトラメチレン基の数:9]
(B’−1):ビスフェノールAジグリシジルエーテルアクリル酸付加物[商品名「エポキシエステル3000A」、共栄社化学(株)製]
(B’−2):1,6−ヘキサンジオールジアクリレート[商品名「ライトアクリレート1.6ND−A」、共栄社化学(株)製]
(B’−3):ポリエチレングリコール[商品名「PEG−1000」、三洋化成工業(株)製、数平均分子量=1000]
(C−1):製造例12で得たポリエステル樹脂[Mn=5000]
(C−2):製造例13で得たポリエステル樹脂[Mn=1100]
(C−3):ビスフェノールA型エポキシ樹脂[商品名「jER1001」、三菱ケミカル(株)製、Mn=900]
(C−4):ビスフェノールA型エポキシ樹脂[商品名「jER834」、三菱ケミカル(株)製、Mn=470]
(C−5):製造例14で得たポリビニル樹脂[Mn=2400]
(E−1):スチレン化フェノールのプロピレンオキサイドエチレンオキサイド付加物[商品名「Soprophor 796/P」、ソルベイ日華(株)製]
(1)固形分濃度が1.5重量%となるように繊維用集束剤をさらに水で希釈した水溶液に、未処理炭素繊維(繊度800tex、フィラメント数12,000本)を浸漬して集束剤を含浸させ、180℃で3分間熱風乾燥させて炭素繊維束を作製した。炭素繊維束の重量を基準として固形分として1重量%の繊維用集束剤が付着した炭素繊維束を作製した。
(2)得られた炭素繊維束の集束性を、JIS L1096−2010 8.21.1 A法(45°カンチレバー法)に準じて評価した。
数値(cm)が大きいほど集束性に優れることを意味する。
この処理条件で得られた炭素繊維束をカンチレバーで評価した集束性の値は、一般に13cm以上が好ましい。
70℃に温めた表面が平滑な直径10mmのステンレス棒5本を、ステンレス棒同士の水平方向の間隔が50mmとなるようにそれぞれ平行に、かつ、炭素繊維束がステンレス棒と接触しながらジグザグに通過するように配置した(図1)。なお、炭素繊維束が1番目と3番目と5番目に通過するステンレス棒の中心を結ぶ直線、及び、炭素繊維束が2番目と4番目に通過するステンレス棒の中心を結ぶ直線は、水平面と平行になるように配置した。また、前記の2〜4番目のステンレス棒の通過前後で、通過前の炭素繊維束の進行方向となる直線と、通過後の炭素繊維束の進行方向となる直線とが、120度の角度をなすように(例えば、前記の1番目と2番目のステンレス棒の間を通過する炭素繊維束の進行方向となる直線と、前記の2番目と3番目のステンレス棒の間を通過する炭素繊維束の進行方向となる直線とが、120度の角度をなすように)配置した。
このステンレス棒間に各集束剤で処理をした炭素繊維束をジグザグにかけ、巻取ロールと巻出ロールとの間の張力1000g、速度3m/分で炭素繊維束を巻出ロールから巻取ロールへ巻き取り、5本のステンレス棒を通過した後の、炭素繊維束の拡がり幅(mm)を測定した{(株)浅野機械製作所製 糸走行試験装置を使用した}。
この条件で測定した炭素繊維束の拡がり幅は、一般に8mm以上が好ましい。
マイクロドロップレット法により接着性を評価した。
(1)上記の方法にて得られた炭素繊維束から、炭素繊維フィラメントを取り出し、試料ホルダーにセットした。
(2)ビニルエステル樹脂「リポキシR−804」[昭和電工(株)製]100重量部、硬化剤「パーメックN」[日本油脂(株)製]25重量部からなるマトリックス樹脂のマイクロドロップレットを炭素繊維フィラメント上に形成し、25℃×24時間、120℃×5時間加熱し硬化させ接着性の測定用の試料を得た。
(3)測定試料を複合材料界面特性評価装置HM410[東栄産業株式会社製]にセットし、炭素繊維フィラメントからマイクロドロップレットを引き抜く際の最大引き抜き荷重Fを測定した。
(4)界面剪断強度τを次式により算出した。
界面剪断強度τ(単位:MPa)=F/πdL
[但し、Fは最大引き抜き荷重(N)、dは炭素繊維フィラメント直径(μm)、Lはマイクロドロップレットの引き抜き方向の粒子径(μm)を表す。]
この界面剪断強度τが大きいほど接着性が高いことを意味し、一般に45MPa以上が好ましい。
一方、ウレタン基を有する化合物(A)を含まない比較例1は集束性及び接着性が低いことがわかる。
また、化合物(B)に代えて、官能基(a)を有するがポリオキシアルキレン鎖を有さない化合物を含有する比較例3及び4は、開繊性及び接着性が低いことがわかる。
また、化合物(B)に代えて、官能基(a)を有さないポリエーテルを含有する比較例5は、集束性及び接着性が低いことがわかる。
また、化合物(B)を含まない比較例2並びにウレタン基を有する化合物(A)及び化合物(B)の両方を含まない比較例6は、開繊性及び接着性が低いことがわかる。
また、化合物(C)を含まない比較例7は、集束性、開繊性及び接着性が低いことがわかる。
また、本発明の繊維用集束剤組成物で処理して得られた繊維束を含有する繊維製品を成形して成形体(繊維強化複合材料)を得ることができる。
2.巻出ロール
3.巻取ロール
4.炭素繊維束
5.開繊性の測定位置
Claims (12)
- ウレタン基を有する化合物(A)と、ウレタン基を有さず一般式(1)で示される官能基(a)及びポリオキシアルキレン鎖を有する化合物(B)と、化合物(C)とを含有する繊維用集束剤であって、
前記化合物(A)が、(メタ)アクリロイル基を有さないポリウレタン樹脂及びウレタン(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物であり、
前記化合物(C)がエポキシ基を有する化合物、ポリエステル樹脂及びポリビニル樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物であり、前記化合物(C)はウレタン基及び前記官能基(a)のいずれをも有さない化合物である繊維用集束剤。
CH2=C(R)− (1)
[一般式(1)中、Rは、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表し、化合物(B)が複数の官能基(a)を有する場合、複数あるRは、同一でも異なっていても良い。] - 前記化合物(A)のウレタン基濃度が、化合物(A)の重量を基準として0.5〜5.0mmol/gである請求項1に記載の繊維用集束剤。
- 前記化合物(A)のウレア基濃度が、化合物(A)の重量を基準として2.0mmol/g以下である請求項1又は2に記載の繊維用集束剤。
- 前記化合物(A)が、芳香環を有するウレタン(メタ)アクリレートを含有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の繊維用集束剤。
- 前記ウレタン(メタ)アクリレートの数平均分子量が250〜3000である請求項1〜4のいずれか1項に記載の繊維用集束剤。
- 前記化合物(B)が一般式(2)で表される化合物である請求項1〜5のいずれか1項に記載の繊維用集束剤。
CH2=C(R)−C(O)−O−(AO)m−C(O)−C(R)=CH2 (2)
[一般式(2)中、Rは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表し、Aは、それぞれ独立に、水素原子がヒドロキシ基で置換されていても良い炭素数2〜20の2価の炭化水素基を表し、mは2〜100の整数を表す。] - 前記化合物(A)と、化合物(B)との重量比[(A)/(B)]が、1/99〜70/30である請求項1〜6のいずれか1項に記載の繊維用集束剤。
- 前記ポリエステル樹脂がビスフェノール骨格とポリオキシエチレン鎖を有する請求項1〜7のいずれか1項に記載の繊維用集束剤。
- 前記化合物(A)及び化合物(B)の合計重量と、化合物(C)との重量比[{(A)+(B)}/(C)]が、10/90〜99/1である請求項1〜8のいずれか1項に記載の繊維用集束剤。
- 炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、セラミック繊維、金属繊維、鉱物繊維及びスラッグ繊維からなる群より選ばれる少なくとも1種の繊維を、請求項1〜9のいずれか1項に記載の繊維用集束剤で処理してなる繊維束。
- 請求項10に記載の繊維束を含有する繊維製品。
- 請求項11に記載の繊維製品を成形してなる成形体
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