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JP2020124810A - 構造体の製造方法及び構造体 - Google Patents

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JP2020124810A
JP2020124810A JP2019016729A JP2019016729A JP2020124810A JP 2020124810 A JP2020124810 A JP 2020124810A JP 2019016729 A JP2019016729 A JP 2019016729A JP 2019016729 A JP2019016729 A JP 2019016729A JP 2020124810 A JP2020124810 A JP 2020124810A
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Abstract

【課題】低コストであるにもかかわらず、高い形状精度及び強度を有する構造体の製造方法及び構造体を提供する。【解決手段】構造体の製造方法は、強化繊維と、未硬化の熱硬化性樹脂とを含むシートを複数枚、マンドレルMDの周囲に巻き付けて筒状の積層体LMを形成する第1工程と、前記積層体LMの全周を、テープTPにより圧迫する第2工程と、前記熱硬化性樹脂が完全硬化する前の状態まで、前記積層体LMを加熱する第3工程と、前記積層体LMより前記マンドレルMDを抜き出す第4工程と、前記テープTPを巻き付けた前記積層体LMを、成形型UD,LD内に配置して加圧し、前記熱硬化性樹脂が完全硬化するまで前記積層体LMを加熱する第5工程と、前記成形型UD,LDから前記積層体LMを取り出して、前記テープTPを剥がす第6工程と、を有する。【選択図】図12

Description

本発明は、構造体の製造方法及び構造体に関する。
部品軽量化の観点から、金属製の構造体を、例えばカーボンファイバー等の強化繊維を樹脂で固めたFRP(Fiber Reinforced Plastics)製の構造体へと置換する試みがある。ここで、FRP製の構造体としては、例えば自転車のフレームなどに既に用いられている中空円筒部材が知られている。
しかるに、自転車のフレームは、元々金属製の丸パイプをつなぎ合わせたものであるから、これをFRP製の中空円筒部材に置換することは、接合部の問題などを除けば比較的容易である。一方、例えば車両に使用される構造体は、その設置スペースが限られるため、中空円筒部材のままでは使用しにくいという問題がある。そこで、構造体として広範囲の使用を可能にすべく、FRP製の構造体を、板状或いは非円形中空断面形状(例えば角筒状)に形成したいという要請がある。
板状のFRP製の構造体を形成する一案としては、プリプレグを平面上で複数枚積層して互いに接着し、完全硬化させる手法がある。プリプレグとは、強化繊維にエポキシなどの熱硬化性樹脂を均等に含浸させ、加熱または乾燥して半硬化状態にしたシート状の強化プラスチック成形品である。
しかしながら、このようにして形成されたFRP製の構造体は、硬化過程でひずみが生じやすく、精度良い平板形状を得られないという問題がある。
また、このように積層して形成された板状のFRP製の構造体の両端に、ねじりトルクが繰り返し付与された場合、上面側のシートと下面側のシートとの間に相対移動が生じる。このため、構造体の中央幅方向の両縁でシートの接着が剥がれて繊維がはがれやすく、強度低下を招くという問題がある。
一方、非円形中空断面形状のFRP製の構造体を形成する一案としては、積層したプリプレグなどを外周に配置した可撓性の中空中子を成形型内に配置し、加圧により中空中子を膨張させつつ加熱することによって、プリプレグの外表面を型に倣わせて成形する手法がある。しかしながら、このような製法で成形を行うと、成形時の加圧・加熱工程において生じるプリプレグの肉厚変化時に、型に倣った形状変化に追従できない強化繊維を起因としたシワ、ボイド、樹脂リッチが発生する虞れがある。これにより、FRP製の構造体における製品品質や製品強度の低下を招くこととなる。
これに対し、非円形中空断面形状を持つFRP製の構造体を形成する技術として、特許文献1に示すものが開示されている。特許文献1に開示された技術によれば、外周に強化繊維基材を配置した中空中子を成形型のキャビティ内に配設し、型締めした後、中子内を加圧しながら成形型内に樹脂を注入して、FRP中空構造体を成形することができる。
特開2006−159457号公報
特許文献1の技術によれば、成形型内に配置した中空中子を加圧しながら成形型内に樹脂を注入することによって、FRP中空構造体にシワやボイドなどの不具合が生じないようにできるとされている。しかしながら、かかる技術では成形型内に樹脂を注入するための樹脂流路などの大掛かり設備が必要になり、コストがかかるという問題がある。
そこで本発明は、低コストであるにもかかわらず、高い形状精度及び強度を有する構造体の製造方法及び構造体を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明による構造体の製造方法は、
強化繊維と、未硬化の熱硬化性樹脂とを含むシート及び/又はテープを複数枚、マンドレルの周囲に巻き付けて筒状の積層体を形成する第1工程と、
前記積層体の全周を、テープまたはフィルムにより圧迫する第2工程と、
前記熱硬化性樹脂が完全硬化する前の状態まで、前記積層体を加熱する第3工程と、
前記積層体より前記マンドレルを抜き出す第4工程と、
前記テープまたはフィルムを巻き付けた前記積層体を、成形型内に配置して加圧し、前記熱硬化性樹脂が完全硬化するまで前記積層体を加熱する第5工程と、を有する。
本発明による構造体は、強化繊維に含浸させた熱硬化性樹脂から形成され、法線方向が互いに異なる第1の面と第2の面とを持つ構造体であって、前記第1の面と前記第2の面との交差部は、曲率が一定もしくは徐々に変化する曲面を持ち、前記交差部を通過する前記強化繊維が折れることなく連続している。
本発明による構造体は、
前記構造体は筒状であって、他部品と連結するための取付部材と接合されており、前記取付部材に係合する凹状もしくは凸状の係合部を内部に有する。
本発明による構造体は、
強化繊維と、未硬化の熱硬化性樹脂とを含むシート及び/又はテープを複数枚、マンドレルの周囲に巻き付けて筒状の積層体を形成し、
前記積層体の全周を、テープまたはフィルムにより圧迫し、
前記熱硬化性樹脂が完全硬化する前の状態まで、前記積層体を加熱し、
前記積層体より前記マンドレルを抜き出し、
前記テープまたはフィルムを巻き付けた前記積層体を、成形型内に配置して加圧し、前記熱硬化性樹脂が完全硬化するまで前記積層体を加熱することにより形成される。
なお、本発明による構造体は、その構造又は特性により直接的に特定することが困難であるため、その構造体の製造方法によって、構造体自体を特定したものである。
本発明によれば、低コストであるにもかかわらず、高い形状精度及び強度を有する構造体の製造方法及び構造体を提供することができる。
図1は、本実施形態にかかる構造体の本製造方法の第1工程を示す図であり、プリプレグとマンドレルを平面的に図示している。 図2は、本実施形態にかかる構造体の本製造方法の第2工程を示す図である。 図3は、本実施形態にかかる構造体の本製造方法の第3工程を示す図である。 図4は、未硬化の熱硬化性樹脂にかかるDSC曲線の一例を示す図であり、縦軸に熱流、横軸に温度を取って示す。 図5は、完全硬化後の熱硬化性樹脂にかかるDSC曲線の一例を示す図であり、縦軸に熱流、横軸に温度を取って示す。 図6は、本実施形態にかかる構造体の本製造方法の第4工程を示す図であり、積層体からマンドレルを抜き出す状態を示す。 図7は、本実施形態にかかる構造体の本製造方法の第5工程の一部を示す図であり、積層体にゴム体を挿入する状態を示す。 図8は、本実施形態にかかる構造体の本製造方法の第5工程の一部を示す断面図であり、積層体の軸線方向に見た型締め前の状態を示す。 図9は、本実施形態にかかる構造体の本製造方法の第5工程の一部を示す断面図であり、型締めして加熱した状態を示す。 図10は、本実施形態にかかる製造方法により製造された構造体の斜視図である。 図11は、構造体に取付部材を取り付ける状態を示す断面図である。 図12は、取付部材を取り付けた構造体を示す斜視図であり、一部積層体を透視して示している。 図13は、別な実施形態にかかる構造体の本製造方法の第5工程の一部を示す断面図であり、積層体の軸線方向に見た型締め前の状態を示す。 図14は、別な実施形態にかかる構造体の本製造方法の第5工程の一部を示す断面図であり、型締めして加熱した状態を示す。 図15は、別な実施形態にかかる製造方法により製造された構造体の斜視図である。 図16は、別な実施形態にかかる製造方法により製造された構造体の平面図であり、強化繊維と共に示している。 図17は、変形例の構造体の断面図である。 図18は、変形例の構造体の断面図である。
以下、図面を参照して本発明にかかる実施の形態を説明する。
なお、本明細書中、「強化繊維」は、炭素(カーボン)繊維、ガラス繊維、アラミド繊維に代表される有機繊維、シリコンカーバイド繊維、金属繊維などであると好ましい。さらに、「熱硬化性樹脂」は、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、ポリイミド樹脂などであると好ましい。
「筒状の積層体」は、強化繊維に熱硬化性樹脂を含浸させ、加熱または乾燥して半硬化状態にしたプリプレグのシートを、シートワインディング製法を用いて巻くことで形成でき、またプリプレグのテープを、テープワインディング製法を用いて巻くことで形成できる。
あるいは、ロービンク繊維に樹脂を含浸しながら巻き付けるフィラメントワインディング製法で巻くことによっても、筒状の積層体を形成できる。ただし、シートワインディング製法やテープワインディング製法であれば、樹脂と強化繊維の比率が管理され安定したプリプレグを用いることができるので、より好ましい。
プリプレグとしては、例えば東レ株式会社製のトレカ(登録商標)を好適に用いることができる。
「マンドレル」の材質は金属、樹脂、セラミックスなどいずれでも良いが、コストや耐久性の観点からは金属を用いることが好ましい。また、マンドレルの形状は、中実円筒状、或いは中空円筒状であると好ましく、単一ではなく分割可能な形状であってよい。
本明細書中、「テープ又はフィルム」は、素材を問わない薄肉状部材を指すものとする。ただし、使いやすさの観点からテープを用いると好ましい。テープは、樹脂製、金属製いずれのものでも良いが作業性の良い樹脂性のものを用いることが好ましい。また、樹脂製テープを用いる場合、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、セロファン、テフロン(登録商標)、ポリイミドなどいずれでも良いが、テープ性状のバランスの良さから、ポリプロピレン、ポリエステルを使用することが好ましい。
[第1の実施形態]
第1の実施形態にかかる構造体の製造方法について説明する。図1は、第1工程を模式的に示す図である。図1に示すように、マンドレルMDおよび各種プリプレグシートPS1〜PS6を準備する。
マンドレルMDの外径は、最終的に形成する構造体の外周長に対し、外側に巻き付ける積層体の厚みを考慮して、若干短めに設定する。すなわち、マンドレルMDに複数枚のプリプレグシートを巻き付けた状態における外径を、最終的に形成する構造体の外周長の設計値と略一致させることが望ましい。
プリプレグシートPS1〜PS6は、ここではカーボン繊維をエポキシ樹脂の原料に含浸させたシートを用いる。各プリプレグシートでは、カーボン繊維が規則性を持って配向されており、図1中の実線は、そのカーボン繊維の配向方向を示している。以下、カーボン繊維の配向方向は、プリプレグシートを展開した状態でいうものとする。
(第1工程)
本製造方法の第1工程について説明する。プリプレグシートPS1は、カーボン繊維の配向方向がマンドレルMDの軸線に対し+45度方向のシートと、−45度方向のシートを2層に重ねて張り合わせて1枚のプリプレグシートとしたものであり、構造体が受けるねじれ応力に抗する作用を持つ。このプリプレグシートPS1を、必要に応じて外周に剥離処理を施したマンドレルMDの外周に巻き付ける。
プリプレグシートPS2、PS3及びPS4は、それぞれカーボン繊維の配向方向がマンドレルMDの軸線に平行であり、構造体が受ける引っ張り応力に抗する作用を持つ。このプリプレグシートPS2、PS3及びPS4を、プリプレグシートPS1上に順次巻き付けてゆく。
プリプレグシートPS5は、カーボン繊維の配向方向がマンドレルMDの軸線に対し直交しており、構造体が圧縮応力を受けた際の膨張に抗する作用を持つ。このプリプレグシートPS5を、プリプレグシートPS4に巻き付ける。
一対のプリプレグシートPS6は、カーボン繊維の配向方向がマンドレルMDの軸線に対し直交しており、台形状を持つ。このプリプレグシートPS6を、プリプレグシートPS5の両端に巻き付ける。
本実施形態の構造体は、その両端部に取付部材(後述)などを取り付けることができるため、最外周のプリプレグシートPS6を両端部にのみ巻き付けることで、補強効果を図っている。プリプレグシートの枚数やカーボン繊維の配向方向は、所望する構造体の機械的強度に合わせて適宜変更可能である。
このようにして、マンドレルMD上に複数のプリプレグシートを巻き付けてなる筒状の積層体LM(図2)が形成される。
(第2工程)
本製造方法の第2工程について説明する。図2は、第2工程を模式的に示す図である。図2において、積層体LMを巻き付けたマンドレルMDの一端を、モータ回転軸などの回転駆動体RDに連結し、薄いテープTP(ここでは透明とする)の一端を積層体LMの外周に張り付ける。
かかる状態から、回転駆動体RDと共にマンドレルMDを回転させ、所定の張力を付与しつつテープTPを積層体LMの外周に巻き付ける。所定の張力は、積層体LMの外径などの条件によって異なるが、1〜5kgfの範囲であると好ましい。これにより積層したプリプレグシートPS1〜PS6を圧迫加圧することにより、プリプレグシート間の空隙等を排除して積層体LMの緻密化を図ることができる。
さらにテープTPをマンドレルMDの軸線Oの方向に沿って相対移動させることで、テープTPが積層体LMの軸線Oの方向全体にわたって巻きつき、略均一な厚さの薄い層を形成する。
ただし、マンドレルMDに巻き付けた積層体LMを加圧する手段としては、テープに限らない。例えば、熱収縮フィルムからなるチューブなどを積層体LMの周囲に配置して、加熱により熱収縮フィルムを収縮させて積層体LMを圧迫しても良い。
あるいはゴムテープや、ゴムフィルムをチューブ化したもの(ゴムチューブ)を積層体LMの周囲に配置して、その弾性力で積層体LMを圧迫することもできる。これにより、マンドレルMDを回転させる回転駆動体が不要になり、設備コストが低減される。
(第3工程)
本製造方法の第3工程について説明する。図3は、第3工程を模式的に示す図である。テープTPを巻いた積層体LMを、マンドレルMDとともにオーブンOV内に配置する。オーブンOV中で加熱して、積層体LMのプリプレグシートの樹脂を完全硬化前の状態まで加熱する。より具体的には、積層体LMの熱硬化性樹脂の硬化度を、30〜90%になるように加熱する。
ここで、熱硬化性樹脂の硬化度について説明する。例えば未硬化のエポキシ樹脂を、室温から200℃まで5℃/minの速度で加熱していったとき、DSC(示差走査熱量測定法)を用いて熱流(発熱又は吸熱)を測定すると、熱硬化性樹脂に特有の現象が生じることがわかる。
具体的には、図4に示すDSC曲線のように、約103℃付近から急激な発熱が生じ、110.7℃で発熱ピークが生じ、以降、急激に発熱が減少する。この発熱は、エポキシ樹脂の昇温加熱により重合(硬化)が生じたことを表す。ここで、110.7℃を、このエポキシ樹脂の最大発熱温度という。
このエポキシ樹脂を、再度室温まで冷やし、再び200℃まで5℃/minの速度で加熱していくと、図5に示すDSC曲線のように、発熱ピークは現れず、むしろ吸熱が生じ、116。1℃にガラス転移が生じることがわかる。これは、エポキシ樹脂が既に完全硬化しているために生じる現象である。(「エポキシ樹脂の硬化温度・ガラス転移温度調査」、MST技術資料:No.C0220,掲載日:2011/10/20、財団法人:材料科学技術振興財団)
一方、エポキシ樹脂を完全硬化させる前に加熱を中断すると、発熱ピークは110.7℃を下回るX℃となる(図4)。これは、エポキシ樹脂が更に重合できる余地があることを示し、すなわちエポキシ樹脂は完全硬化前の状態となる。
換言すれば、熱硬化性樹脂を加熱していった時の発熱ピークを随時測定し、最大発熱温度未満のX℃となったときに加熱を中断することで、熱硬化性樹脂を完全に硬化する前の状態にとどめることができる。
図4において、完全硬化時のDSC曲線とベースラインBSとで囲む面積(発熱ピーク面積という)をS1とし、発熱ピークがX℃であるDSC曲線とベースラインBSとで囲む面積S2としたときに、(S2/S1)×100%を熱硬化性樹脂の硬化度と定義する。
本発明者らは、この熱硬化性樹脂の熱特性を利用して、熱硬化性樹脂が完全に硬化する前、例えば30〜90%の硬化度で積層体LMの加熱を中断することによって、積層体LMの成形性を向上させることを見出した。30〜90%の硬化度に対応する発熱ピークX℃は、実験やシミュレーションで求めることができる。積層体LMの成形性の向上効果については、第5工程に関連して後述する。
(第4工程)
本製造方法の第4工程について説明する。図6は、第4工程を模式的に示す図である。テープTPを巻いた積層体LMをオーブンOVから取り出して、図6に示すようにマンドレルMDを引き抜く。積層体LMの外周にテープTPが所定の張力で巻かれており、また第3工程にて積層体LMの熱硬化性樹脂が30%以上の硬化度で加熱されているので、積層体LMは、マンドレルMDを引き抜いても筒形状を維持できる剛性を持つ。この筒形状をプリフォーム体という。
未加熱の積層体LMは、樹脂材料の劣化を防ぐべく、冷蔵庫や冷凍庫での保存が必要である。一方、第4工程を経て形成されたプリフォーム体は、樹脂材料の硬化度が調整されたものであり、常温で保管しても樹脂材料の劣化が殆どない。したがって、プリフォーム体を量産して保存しておくことで、急な需要にも対応して製品の供給が可能になる。
また、1種類のプリフォーム体から複数種類の構造体を形成できるため、製造コスト低減を図れる。
(第5工程)
本製造方法の第5工程について説明する。図7〜9は、第5工程を模式的に示す図である。まず、図7に示すように、マンドレルMDを引き抜いた積層体LM内に、円筒状のゴム体GMを挿入する。マンドレルMDとほぼ同径の円筒状であるゴム体GMは、加熱すると膨張する特性を有する。
更に、図8に示すように、ゴム体GMを内挿した積層体LMを、板状の上型UDと、樋状の下型LDとの間に配置する。上型UDと下型LDとで成形型を構成する。
ここで、下型LDにおける樋底面の幅をWとし、樋内壁の高さをHとし、テープTPを巻いた積層体LMの外径をDとしたときに、πD≒2(W+H)であると、型の内周長と、最終の構造体の外周長とを略一致させることができ、それにより安定した形状を持つ構造体を得られる。
その後、図9に示すように、上型UDと下型LDとを相対接近させて型締めを行う。このとき、先の第3工程で積層体LMの熱硬化性樹脂が90%以下の硬化度で加熱されているので、上型UDと下型LDとで形成される内壁形状に倣うように、積層体LMを変形させることができる。一方、所定の張力でテープTPを巻いているので、積層体LMが上型UDと下型LDの圧力でつぶれることはない。
更に、不図示のヒータを用いて上型UDと下型LDの内部を加熱することにより、ゴム体GMが膨張し、それにより積層体LMの内圧が高まる。これにより、積層体LMは、上型UDと下型LDとの内壁面に向かって押圧され、特に上型UDと下型LDとの内壁形状の角部CRと、積層体LMとの間隙が詰まり、積層体LMを角筒状とするよう精度よく変形させることができる。また、積層体LMを加熱することにより、完全に硬化させることができる。
このとき、内圧を受けた積層体LMの周囲に摺動性が高いテープTPが巻かれているので、ゴム体GMの膨張に伴って、積層体LMの外表面と成形型の内壁面との間に相対変位が生じた場合にも、両者間に殆ど抵抗なく滑りを生じさせることができる。これにより積層体LMの型馴染み性が向上し、安定した製品形状を得られる。また、仮に積層体LMと上型UDあるいは下型LDとの間に隙間が生じたとしても、積層体LMの外周に巻かれたテープTPがゴム体GMの内圧受けることができるため、特に角部CRの近傍において生じることが多い、積層体LMのシワやボイド、樹脂リッチなどの不具合を効果的に抑制できる。
一方、積層体LMの型馴染み性が向上することで、成形型の圧力を小さくできるとともに、型の強度や剛性を下げることができるから、使用可能な型材料の選択自由度が広がる。また成形型を駆動する設備も簡素化できるので、設備コスト低減を図れる。
またテープTPが持つ形状保持機能によって、直角の角部CRに強く押し付けることで形成される積層体LMの側面(第1の面)と上下面(第1の面とは法線方向が異なる第2の面)との交差部が、その曲率が一定もしくは徐々に変化する曲面を持つ(すなわち交差部にエッジが形成されない)。また、その交差部における強化繊維が折れずに曲がる(繊維の連続性が維持される)ことで、構造体の強度を確保できる。
(第6工程)
その後、加熱を中止し上型UDと下型LDとを離間させて、各筒状に変形した積層体LMを取り出す。ゴム体GMは、冷えると収縮するので、硬化した積層体LMから容易に抜き出すことができる。さらに積層体LMからテープTPを剥がすことで、図10に一部を示すごとき構造体ST1が完成する。
なお、ゴム体GMの代わりに、空気などを注入することで膨らむエアバッグなどを用いてもよい。
(変形例)
以上のようにして形成した構造体ST1に、取付部材を取り付けることで、他部品との連結が可能になる。図11は、変形例にかかる第5工程を模式的に示す図である。ここでは、予め金属製などの取付部材ATを準備する。
取付部材ATは、リング状の頭部RGに、先細形状の板部PTが一体的に接合した形状を有する。板部PTの上下面には、それぞれ溝GVが形成されている。
図7を参照して、ゴム体を介装することなく積層体LMを上型UDと下型LDとの間に配置する際に、その両端に取付部材ATの板部PTを対向させ(図11(a))、板部PTを積層体LMに差し入れる(図11(b))。
その後、図9に示すように、上型と下型との型締めを行って、加熱しながら積層体LMを板部PTに密着させると、まだ比較的柔らかい積層体LMの内周面の一部が突起PJとなって、板部PTの溝GV内に進入し、その状態で固化する。突起PJが係合部を構成する(図11(c))。
これにより、取付部材ATは積層体LMに対して抜けなくなる。その後は、第6工程でテープを剥がすことで、図12に示すようなビーム状の構造体ST1を得ることができる。
図12に示す構造体ST1は、取付部材ATの頭部RGと、不図示の他部品とをボルト締結を行うことで、設置が可能になる。
[第2の実施形態]
第2の実施形態にかかる構造体の製造方法について説明する。図13、14は、第2実施形態にかかる第5工程を模式的に示す図である。第2の実施形態においては、第1工程〜第4工程までは、第1の実施形態と同様である。つまり、第1工程〜第4工程で形成したプリフォーム体を共通に用いることができる。
(第5工程)
第4工程で形成され、マンドレルMDを引き抜いたプリフォーム体である積層体LMを、ゴム体など挿入することなく、図13に示すように、板状の上型UDと板状の下型LDとの間に配置する。
その後、上型UDと下型LDとを平行状態のまま相対接近させて型締めを行う。積層体LMの内部は空洞になっているので、図14に示すように、上型UDの下平面と下型LDの上平面とに押しつぶされ、積層体LMは板状となって、内部の空洞はなくなる。
このとき、先の第3工程で積層体LMの熱硬化性樹脂が90%以下の硬化度で加熱されているので、積層体LMが平板状に押しつぶされるような大きな変形も許容される。
またテープTPが持つ形状保持機能によって、積層体LMが平板状に押しつぶされても、積層体LMの上面(第1の面)と下面(第1の面とは法線方向が異なる第2の面)の交差部となる積層体LMの両縁EDの外表面は、曲率が一定もしくは徐々に変化する曲面を持つ。このため、構造体の外観品質、及び曲げやねじれに対する強度を向上できる。また、両縁EDを通る強化繊維も折れずに曲がる(繊維の連続性が維持される)ことで、更に高い強度を確保できる。
(第6工程)
その後、上型UDと下型LDとを離間させて、板状に変形した積層体LMを取り出し、さらに積層体LMからテープTPを剥がすことで、図15に一部を示すごとき構造体ST2が完成する。構造体ST2は、その両端近傍に穴をあけて、他部品にボルト締結することができる。
図16は、構造体ST2の上面図であって、1本の連続する強化繊維FBを、表面側を通過するものを実線で、裏面側を通過するものを点線で示している。本実施形態では円筒状の積層体LMを押しつぶすことで、構造体ST2を形成している。したがって、円筒状の積層体LMの周囲に螺旋状に巻き付けられた強化繊維FBは、いずれの位置で押しつぶされても、幾何学的関係より、図16に示すように表面側の強化繊維FBの傾斜角θ1と、裏面側の強化繊維FBの傾斜角θ2は等しくなる。これにより、構造体ST2のゆがみが抑制され、精度良い平板形状を維持できる。
(変形例)
図17、18は、第2の実施形態の変形例を示す断面図である。筒状の積層体LMを押しつぶす成形型の形状を変えることで、図17に示すように、断面がL字状の構造体ST2を形成したり、図18に示すように、断面がC字形状の構造体ST2を形成できる。
本発明は、以上の実施形態に限られることはない。例えば構造体に取り付ける取付部材には、溝以外に孔やディンプルなど任意の凹凸形状を設け、構造体には凹凸形状に係合する凹状または凸状の係合部を設けることができる。
PS1〜PS6 プリプレグシート
MD マンドレル
TP テープ
OV オーブン
RD 回転駆動体
GM ゴム体
UD 上型
LD 下型
AT 取付部材
ST1,ST2 構造体

Claims (12)

  1. 強化繊維と、未硬化の熱硬化性樹脂とを含むシート及び/又はテープを複数枚、マンドレルの周囲に巻き付けて筒状の積層体を形成する第1工程と、
    前記積層体の全周を、テープまたはフィルムにより圧迫する第2工程と、
    前記熱硬化性樹脂が完全硬化する前の状態まで、前記積層体を加熱する第3工程と、
    前記積層体より前記マンドレルを抜き出す第4工程と、
    前記テープまたはフィルムを巻き付けた前記積層体を、成形型内に配置して加圧し、前記熱硬化性樹脂が完全硬化するまで前記積層体を加熱する第5工程と、を有する、
    構造体の製造方法。
  2. 前記成形型から前記積層体を取り出して、前記テープまたはフィルムを剥がす第6工程を更に有する、
    請求項1に記載の構造体の製造方法。
  3. 前記シートは、前記強化繊維に前記熱硬化性樹脂を含浸させてなるプリプレグである、
    請求項1又は2に記載の構造体の製造方法。
  4. 前記第2工程において、前記マンドレルを回転させながら、所定の張力を付与しつつ前記積層体の周囲にテープを巻き付ける、
    請求項1〜3のいずれか1項に記載の構造体の製造方法。
  5. 前記第2工程において、前記積層体の周囲に熱収縮フィルムからなるチューブを配置して、前記熱収縮フィルムを加熱する、
    請求項1〜3のいずれか1項に記載の構造体の製造方法。
  6. 前記第3工程において、前記熱硬化性樹脂の硬化度が30%〜90%の範囲になるよう、前記積層体を加熱する、
    請求項1〜5のいずれか1項に記載の構造体の製造方法。
  7. 前記第5工程で、前記積層体の内部に空間を設けるように前記成形型内で加圧する、
    請求項1〜6のいずれか1項に記載の構造体の製造方法。
  8. 前記第5工程で、前記積層体の内部に空間を設けないように前記成形型内で加圧する、
    請求項1〜6のいずれか1項に記載の構造体の製造方法。
  9. 強化繊維に含浸させた熱硬化性樹脂から形成され、法線方向が互いに異なる第1の面と第2の面とを持つ構造体であって、
    前記第1の面と前記第2の面との交差部は、曲率が一定もしくは徐々に変化する曲面を持ち、前記交差部を通過する前記強化繊維が折れることなく連続している、
    構造体。
  10. 前記構造体は板状であって、内部に空間を有しない、
    請求項9に記載の構造体。
  11. 前記構造体は筒状であって、他部品と連結するための取付部材と接合されており、前記取付部材に係合する凹状もしくは凸状の係合部を内部に有する、
    請求項9に記載の構造体。
  12. 強化繊維と、未硬化の熱硬化性樹脂とを含むシート及び/又はテープを複数枚、マンドレルの周囲に巻き付けて筒状の積層体を形成し、
    前記積層体の全周を、テープまたはフィルムにより圧迫し、
    前記熱硬化性樹脂が完全硬化する前の状態まで、前記積層体を加熱し、
    前記積層体より前記マンドレルを抜き出し、
    前記テープまたはフィルムを巻き付けた前記積層体を、成形型内に配置して加圧し、前記熱硬化性樹脂が完全硬化するまで前記積層体を加熱することにより形成される、
    構造体。
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