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JP2020119844A - 巻線用被覆電線 - Google Patents

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Yukiko Nakano
由紀子 中野
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枢覚 白井
義信 村上
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義信 村上
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Abstract

【課題】樹脂中に最適な気孔を含むことで部分放電による侵食が抑制される絶縁被膜を備える巻線用被覆電線を提供する。【解決手段】導体と導体の周りに被覆される絶縁被膜とを含む巻線用被覆電線であって、絶縁被膜が、特定の測定方法により求められる気孔径以上の平均径を有する気孔を一定体積包含している巻線用被覆電線に関する。【選択図】図16

Description

本発明は、モータのコイル(巻線)などに用いられる巻線用被覆電線に関するものである。
ハイブリッド車や電気自動車などの駆動用モータをはじめ、車両に搭載される多くのモータにおいては、その小型化と高出力化を図るための技術開発が日々おこなわれている。双方の目的を満たす方策の一つとして、ステータコアのスロット内における巻線の占積率を高めることが挙げられる。また、磁界を高めるために、その巻線に流す電流も大電流にすることが要求される。
前記のように、高占積率の巻線に大電流を流すことにより、小型化した電動機による出力向上・高効率化が可能になるが、一方で、銅損や渦電流損、鉄損なども大きくなる。このような損失で発生する熱は、絶縁被膜を劣化させる原因になる。
熱による絶縁被膜の劣化を防止するために、例えば、特許文献1には、電動機に用いられる巻線であって、銅99.96重量%以上、酸素0.005重量%以下の無酸素銅の導体と、その導体を被覆し、無機フィラーを含む有機系樹脂の絶縁体層とを備えることを特徴とする、巻線が記載されている。
前記のような熱による絶縁被膜の劣化に加え、大電流を流すことによって、部分放電の問題が生じ得る。電流を流すと、巻線間や巻線とコアの間などで電位差が生じる。その電位差がある箇所では、絶縁性が不十分である場合、例えば、絶縁被膜が薄かったり、絶縁距離が不十分だったりする場合、部分放電が発生しやすくなる。この部分放電は、巻線表面の絶縁被膜を侵食し、絶縁性の低下、最悪の場合、絶縁破壊を引き起こす。
部分放電の発生を抑制するために、例えば、特許文献2には、導体の外周が絶縁被膜で被覆された絶縁電線であって、該絶縁被膜が熱可塑性樹脂を含有する熱硬化性樹脂組成物の硬化物で形成され、該絶縁被膜が平均径で1μm以下の微細な気孔を有することを特徴とする絶縁電線が記載されている。
さらに、特許文献3には、導線と、導線表面を被覆して設けられ、ボイドを含む多孔質樹脂被膜と、を備え、最大ボイド径は、ボイドにかかる電圧であるボイド電圧とボイド径との関係を示すボイド電圧特性線と、パッシェンカーブとが交差する点に対応する臨界ボイド径未満であることを特徴とする絶縁被覆導線が記載されている。
特開2008−278664号公報 特開2011−238384号公報 特開2012−113836号公報
しかしながら、特許文献2のように、樹脂中に平均径で1μm以下の微細な気孔(「気泡」、「空孔」、「ボイド」ともいう)を実現することは困難である。
また、特許文献3では、パッシェンカーブを利用して最大ボイド径を求めるが、当該パッシェンカーブは、大気中における金属の電極間の距離と放電の起こる電圧の関係を実測により求めた曲線であり、当該パッシェンカーブ作成の際に使用される環境と、実際の実施形態である樹脂中に存在する気孔の環境、例えば、気孔の大きさと放電の起こる電圧の関係、樹脂の破壊モード、電圧・電界分布などは異なる。
そこで、本発明は、樹脂中に最適な気孔を含むことで部分放電による侵食が抑制される絶縁被膜を備える巻線用被覆電線を提供することを課題とする。
本発明者らは、前記課題を解決するための手段を種々検討した結果、導体と導体の周りに被覆される絶縁被膜とを含む巻線用被覆電線において、絶縁被膜に、特定の測定方法により求められる気孔径以上の平均径を有する気孔を一定体積包含させることによって、部分放電による侵食を抑制し、巻線用被覆電線の絶縁寿命を向上できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の要旨は以下の通りである。
(1)導体と導体の周りに被覆される絶縁被膜とを含む巻線用被覆電線であって、
絶縁被膜が、気孔及び絶縁樹脂を含み、
気孔が、絶縁樹脂中に、絶縁被膜の総体積に基づいて、25体積%〜75体積%含まれ、
電線を長さ方向に対して垂直に切断した場合の絶縁被膜の断面のSEM画像により求められる気孔の平均径が、以下の(i)〜(vi)のステップ
(i)絶縁樹脂中において、向かい合う2つの電極の間に1つの中空シリカ粒子又は気孔が配置されている試料を調製するステップ
(ii)(i)のステップで調製した試料の向かい合う2つの電極の間に電圧を印加し、PDIV(部分放電開始電圧)を測定するステップ
(iii)(ii)のステップで測定されたPDIVから、中空シリカ粒子中の気孔又は気孔の分担電圧Vaを、以下の式
Figure 2020119844
[式中、εr−eは、絶縁樹脂の比誘電率であり、Vは、(ii)のステップで測定されたPDIVであり、dは、中空シリカ粒子又は気孔の気孔径であり、εr−aは、空気の比誘電率であり、dは、向かい合う2つの電極の間の距離である]
に基づいて求めるステップ
(iv)(i)のステップで使用した中空シリカ粒子又は気孔と異なる気孔径を有する少なくとも1種の中空シリカ粒子又は気孔について、前記(i)〜(iii)のステップを実施し、それぞれの中空シリカ粒子又は気孔の気孔径dに対する分担電圧Vaを求めるステップ
(v)気孔径(x軸)と電圧(y軸)の関係図において、中空シリカ粒子又は気孔の気孔径dに対する(iii)及び(iv)のステップで求めた分担電圧Vaをプロットし、曲線を作成するステップ、及び
(vi)(v)のステップで得られた曲線から、絶縁被膜に求められる耐電圧に対して気孔径を求めるステップ
より求められる気孔径〜絶縁被膜の膜厚の1/3の範囲内である、
前記巻線用被覆電線。
(2)絶縁被膜の膜厚が、20μm〜150μmである、(1)に記載の巻線用被覆電線。
本発明により、樹脂中に最適な気孔を含むことで部分放電による侵食が抑制される絶縁被膜を備える巻線用被覆電線が提供される。
中空シリカ粒子を模式的に示す図である。 絶縁被膜中の気孔の平均径が本発明における特定の測定方法により求められる気孔径よりも小さくなった場合の絶縁被膜を含む巻線用被覆電線の絶縁被膜部分を拡大して模式的に示す図である。 絶縁被膜中の気孔の平均径が絶縁被膜の膜厚の1/3よりも大きくなった場合の絶縁被膜を含む巻線用被覆電線の絶縁被膜部分を拡大して模式的に示す図である。 従来の巻線用被覆電線と、本発明の巻線用被覆電線とを比較した図である。 従来の巻線用被覆電線をステータコアに導入したモータと、本発明の巻線用被覆電線をステータコアに導入したモータとを比較した図である。 絶縁被膜が絶縁樹脂及び中空シリカ粒子を含む巻線用被覆電線を模式的に示す図である。 絶縁被膜が絶縁樹脂及び気孔を含む巻線用被覆電線を模式的に示す図である。 実施例のI.絶縁被膜中の気孔の平均径の下限値の決定における、(i)のステップの(5)で調製した試料(粒径30μmの中空シリカ粒子を使用)を模式的に示す図である。 実施例のI.絶縁被膜中の気孔の平均径の下限値の決定における、(ii)のステップで使用したPDIVの測定システム回路を模式的に示す図である。 実施例のI.絶縁被膜中の気孔の平均径の下限値の決定における、(iii)のステップで使用した中空シリカ粒子(粒径30μm)中の気孔の分担電圧Vaの計算モデルを模式的に示す図である。 実施例のI.絶縁被膜中の気孔の平均径の下限値の決定における、(iv−1)のステップでの(i)のステップの(5)で調製した試料(粒径100μmの中空シリカ粒子を使用)を模式的に示す図である。 実施例のI.絶縁被膜中の気孔の平均径の下限値の決定における、(iv−1)のステップでの(i)のステップの(5)で調製した試料(粒径100μmの中空シリカ粒子を使用)を図11の真上方向から見た光学写真を示す図である。 実施例のI.絶縁被膜中の気孔の平均径の下限値の決定における、(iv−1)のステップでの(iii)のステップで使用した中空シリカ粒子(粒径100μm)中の気孔の分担電圧Vaの計算モデルを模式的に示す図である。 実施例のI.絶縁被膜中の気孔の平均径の下限値の決定における、(iv−2)のステップでの(i)のステップの(5)で調製した試料(粒径70μmの中空シリカ粒子を使用)を模式的に示す図である。 実施例のI.絶縁被膜中の気孔の平均径の下限値の決定における、(iv−2)のステップでの(iii)のステップで使用した中空シリカ粒子(粒径70μm)中の気孔の分担電圧Vaの計算モデルを模式的に示す図である。 実施例のI.絶縁被膜中の気孔の平均径の下限値の決定における、(iii)のステップで求めた中空シリカ粒子(粒径30μm、シェル厚さ1μm)の値(気孔径=28μm、Va=1.1kVp)と、(iv)のステップで求めた中空シリカ粒子(粒径100μm、シェル厚さ1μm)の値(気孔径=98μm、Va=7.3kVp)及び中空シリカ粒子(粒径70μm、シェル厚さ1μm)の値(気孔径=68μm、Va=2.7kVp)とをプロットして作成した、気孔径(x軸)と電圧(y軸)の関係を示す図である。 サンプルA−1〜A−6、B−1及びB−2について、被膜の膜厚とPDIVの関係を示す図である。 サンプルA(ポリイミド+気孔)、及びサンプルB(ポリイミド)の比誘電率の平均値を示す図である。
以下、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。
本明細書では、適宜図面を参照して本発明の特徴を説明する。図面では、明確化のために各部の寸法及び形状を誇張しており、実際の寸法及び形状を正確に描写してはいない。それ故、本発明の技術的範囲は、これら図面に表された各部の寸法及び形状に限定されるものではない。なお、本発明の巻線用被覆電線は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、当業者が行い得る変更、改良などを施した種々の形態にて実施することができる。
本発明は、導体と導体の周りに被覆される絶縁被膜とを含む巻線用被覆電線であって、絶縁被膜が、特定の測定方法により求められる気孔径以上の平均径を有する気孔を一定体積包含している巻線用被覆電線に関する。
ここで、導体は、電気を流す材料をひも(線)状に成形した導線である。導体としては、当該技術分野において通常使用されているものを挙げることができ、限定されないが、例えば、銅線、アルミ線などを挙げることができる。導体としては、電気伝導率が高く、加工性がよい利点があることから、銅線が好ましい。
導体の形状としては、限定されないが、例えば、丸線状や、平角線状を挙げることができる。導体の形状としては、巻線にした場合のスロット断面における占積率を確保できる利点があることから、平角線状が好ましい。
導体としては、例えば無酸素銅やタフピッチ銅などを挙げることができる。
絶縁被膜は、絶縁樹脂及び気孔を含む。
絶縁被膜中の気孔は、中空材料(内部に空気を含む材料)により形成されていてもよい。この場合、絶縁被膜は、絶縁樹脂及び中空材料を含む。
絶縁被膜は、絶縁被膜の誘電率を低くする観点から、絶縁樹脂及び気孔からなることが好ましい。
絶縁樹脂(本明細書等では、単に「樹脂」ともいう)としては、当該技術分野において通常使用されているものを挙げることができ、限定されないが、例えば、ポリイミド(PI)樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド(PAI)樹脂、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリフェニルサルホン樹脂、エナメル樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂などを挙げることができる。絶縁樹脂としては、耐熱性、耐反応性(耐加水分解など)、耐変形性、絶縁性(低誘電性)に優れた利点があることから、ポリイミド樹脂が好ましい。
絶縁樹脂としては、例えばIST社製のポリイミド樹脂を挙げることができる。
絶縁被膜中の気孔が中空材料により形成されている場合、中空材料の材質としては、前記絶縁樹脂、無機フィラーなどが挙げられる。無機フィラーとしては、絶縁性を有する絶縁材料が挙げられ、絶縁樹脂と同等の誘電率を有するものが好ましい。無機フィラーとしては、限定されないが、例えば、シリカ、アルミナ、マグネシア、酸化ベリリウム、炭化ケイ素、炭化チタン、炭化ホウ素、タングステンカーバイド、窒化ホウ素、窒化ケイ素などが挙げられる。無機フィラーは、絶縁性、製造安定性を考慮して、シリカが好ましい。したがって、中空材料は、図1に模式的に示されるような中空シリカ粒子が好ましい。
中空材料は、表面処理されていてもよい。表面処理剤としては、当該技術分野において通常使用されているものを挙げることができ、限定されないが、例えば、シランカップリング剤を挙げることができる。中空材料が表面処理されていることで、中空材料の樹脂中への相溶性、分散性が向上され、中空材料の樹脂中における局所的な凝集が防止される利点がある。
絶縁被膜中の気孔の形状は、限定されないが、球状であることが好ましい。ここで、球状とは、必ずしも真球という意味ではなく、長球状、扁球状などの楕円状、ドーナツ状などその他の様々な形状も含まれる。例えば、中空材料を使用する場合、中空材料の形状が中空球状であることで、絶縁被膜中の気孔の大きさを制御しやすい利点がある。
絶縁被膜中の隣接する気孔は、互いに貫通して連続することなく、それぞれ独立形態であることが好ましい。絶縁被膜中の気孔が、それぞれ独立形態であることにより、絶縁被膜の低誘電率化、絶縁被膜加工時の破れなどを抑制することができる。
絶縁被膜中の気孔は、絶縁樹脂中に、絶縁被膜の総体積に基づいて、25体積%〜75体積%、好ましく25体積%〜50体積%含まれる。言い換えれば、絶縁被膜の気孔率は、25%〜75%、好ましく25%〜50%である。
ここで、絶縁被膜中に含まれる気孔の量(体積)又は絶縁被膜の気孔率は、気孔の形成に使用された中空材料の量又は当該技術分野において通常使用されている方法、例えばアルキメデス法、重量気孔率法、水銀気孔率法などにより求めることができる。
あるいは、絶縁被膜中の気孔の面積割合{(絶縁被膜の断面における気孔の面積/絶縁被膜の面積)×100}は、25%〜75%、好ましく25%〜50%である。
ここで、絶縁被膜中の気孔の面積割合は、電線を長さ方向に対して垂直に切断した場合の絶縁被膜の断面のSEM(走査型電子顕微鏡)画像における、絶縁被膜全体の面積に対する気孔の面積の割合として計算することができる。例えば、当該割合は、絶縁被膜の断面のSEM画像として、100μm×100μmの視野範囲を無作為に3箇所〜10箇所選択し、それぞれの視野範囲において計算された割合の平均値とすることができる。
絶縁被膜中に前記範囲の量の気孔が包含されることで、絶縁被膜が低誘電率化され、耐電圧が向上する。
絶縁被膜中の気孔の平均径は、以下の(i)〜(vi)のステップより求められる気孔径〜絶縁被膜の膜厚の1/3の範囲内である。いいかえれば、絶縁被膜中の気孔の平均径の下限値は、以下の(i)〜(vi)のステップより求められ、絶縁被膜中の気孔の平均径の上限値は、絶縁被膜の膜厚の1/3である。
(i)のステップ
絶縁樹脂中において、向かい合う2つの電極の間に1つの中空シリカ粒子又は気孔が配置されている試料を調製する。
ここで、絶縁樹脂としては、限定されないが、例えば、前記の絶縁樹脂を使用することができる。絶縁樹脂としては、前記の絶縁樹脂と同じ材料が好ましい。
向かい合う2つの電極としては、当該技術分野において通常使用されているものを使用することができ、限定されないが、金属製、例えばアルミ製、銅製などの導電性テープを挙げることができる。
中空シリカ粒子としては、当該技術分野において通常使用されているものを使用することができる。中空シリカ粒子としては、例えばポッターズ・バロティーニ製のSphericelである。
中空シリカ粒子又は気孔の粒径は、通常0.1μm〜100μmである。なお、中空シリカ粒子又は気孔の粒径は、中空シリカ粒子又は気孔の粒径の断面観察による実測値である。中空シリカ粒子又は気孔の断面観察は、当該技術分野において通常使用されている方法により実施することができ、例えば光学顕微鏡により測定することができる。
向かい合う2つの電極の間の距離は、限定されないが、通常100μm〜1000μm、好ましくは250μm〜500μmである。
中空シリカ粒子又は気孔は、向かい合う2つの電極の間の中心に位置することが好ましい。
例えば、(i)のステップでは、以下のようにして試料を調製することができる。まず、ガラス基板上に絶縁樹脂を載せ、厚さ50μm〜200μm、例えば70μm、80μm又は160μmの、金属テープ、例えば銅テープ又はアルミテープを、例えば250μm〜500μm隔てて配置して電極系を作製する。続いて、マイクロマニピュレータを用いて1つの中空シリカ粒子を電極間に配置する。ここで、中空シリカ粒子の代わりに、スポイトや注射器などを用いて1つの気孔を電極間に配置してもよい。その後、調製した試料を、使用した絶縁樹脂の硬化方法に基づいて、例えば、熱硬化性樹脂であれば熱を加えることにより、常温硬化性樹脂であれば常温で放置することにより、硬化させる。
したがって、(i)のステップで調製された試料は、絶縁樹脂、絶縁樹脂中に配置される向かい合う2つの電極、及び2つの電極の間、好ましくは中心に配置される1つの中空シリカ粒子又は気孔を含む。
(ii)のステップ
(i)のステップで調製した試料の向かい合う2つの電極の間に電圧を印加し、PDIV(部分放電開始電圧)を測定する。
より詳細には、(i)のステップで調製した試料の向かい合う2つの電極に、それぞれ端子を、電極の一方+(陽極)、電極のもう一方が−(陰極)になるように接続する。向かい合う2つの電極間への電圧の印加を開始し、電圧を上げることにより、PDIVを測定する。
(iii)のステップ
(ii)のステップで測定されたPDIVから、中空シリカ粒子中の気孔(空気)又は気孔(空気)の分担電圧Vaを計算する。
ここで、中空シリカ粒子中の気孔又は気孔の分担電圧Vaは、以下の式
Figure 2020119844
に基づいて求める。
式中、εr−eは、絶縁樹脂の比誘電率であり、試料の調製に使用した絶縁樹脂に依存して変化する。εr−eは、絶縁樹脂としてポリイミドを使用した場合、3.0〜3.5である。
式中、Vは、(ii)のステップで測定されたPDIVである。
式中、dは、中空シリカ粒子又は気孔の気孔径である。なお、中空シリカ粒子の気孔径は、中空シリカ粒子の粒径からシェル厚さを引いた値であり、中空シリカ粒子の気孔径の断面観察による実測値である。気孔の気孔径は、気孔の断面観察による実測値である。中空シリカ粒子又は気孔の断面観察は、当該技術分野において通常使用されている方法により実施することができ、例えば光学顕微鏡により測定することができる。中空シリカ粒子のシェル厚さは、通常0.1μm〜10μmであり、中空シリカ粒子又は気孔の気孔径は、通常0.1μm〜100μmである。
式中、εr−aは、空気の比誘電率であり、1である。
式中、dは、向かい合う2つの電極の間の距離であり、前記の通り、通常100μm〜1000μm、好ましくは250μm〜500μmである。
(iv)のステップ
(i)のステップで使用した中空シリカ粒子又は気孔と異なる気孔径を有する少なくとも1種の中空シリカ粒子又は気孔について、前記(i)〜(iii)のステップを実施し、それぞれの中空シリカ粒子又は気孔の気孔径dに対する分担電圧Vaを求める。
中空シリカ粒子又は気孔の気孔径は、(i)のステップで使用した中空シリカ粒子又は気孔と異なる気孔径であれば限定されず、(i)のステップで使用した中空シリカ粒子又は気孔の気孔径と同様に、通常0.1μm〜100μmである。当然ながら、(i)のステップで使用する中空シリカ粒子又は気孔を(iv)のステップで使用する中空シリカ粒子又は気孔の任意の1種として使用し、(iv)のステップで使用する中空シリカ粒子又は気孔の任意の1種を(i)のステップで使用することもできる。
(v)のステップ
気孔径(x軸)と電圧(y軸)の関係図において、中空シリカ粒子又は気孔の気孔径dに対する(iii)及び(iv)のステップで求めた分担電圧Vaをプロットし、曲線を作成する。
(vi)のステップ
(v)のステップで得られた曲線から、絶縁被膜に求められる耐電圧に対して気孔径を求める。
(vi)のステップにおいて、絶縁被膜に求められる耐電圧に対する気孔径は、(v)のステップで得られた曲線における、絶縁被膜に求められる耐電圧をy軸とした時の、対応するx軸の値である。
絶縁被膜に求められる耐電圧は、絶縁被膜中の気孔1個あたりに求められる耐電圧であり、絶縁被膜を含む巻線用被覆電線の用途に依存して異なり、通常0.4kVp〜2kVpである。より具体的には、絶縁被膜に求められる耐電圧は、絶縁被膜を含む巻線用被覆電線の用途が、高耐圧が求められるモータである場合、通常1.2kVp〜2kVpである。
絶縁被膜中の気孔の平均径の下限値が前記(i)〜(vi)のステップより求められることにより、気孔が連結することによる絶縁性の低下、機械強度(伸び)の低下を抑制することができ、絶縁被膜の低誘電率化を達成することができる。特に、絶縁被膜中の気孔の平均径の下限値が(vi)のステップにおいて絶縁被膜に求められる耐電圧に基づいて求められることにより、最終的に得られる本発明の巻線用被覆電線におけるPDIVは、一定の値以上になる。
図2に、絶縁被膜中の気孔の平均径が前記(i)〜(vi)のステップより求められる気孔径よりも小さくなった場合の絶縁被膜を含む巻線用被覆電線の絶縁被膜部分の拡大図を模式的に示す。この場合、絶縁被膜中の気孔は、隣接する気孔同士が連結して連泡となり、絶縁被膜加工時の破れや絶縁不良の原因になり得る。
絶縁被膜中の気孔の平均径の上限値は、絶縁被膜の膜厚の1/3である。
絶縁被膜の膜厚は、絶縁被膜を含む巻線用被覆電線の用途に依存して異なり、限定されないが、通常20μm〜150μmである。より具体的には、絶縁被膜の膜厚は、絶縁被膜を含む巻線用被覆電線の用途が、高耐圧が求められるモータである場合、通常60μm〜150μmである。
絶縁被膜の膜厚を前記の膜厚にすることにより、導体の体積割合を確保することができる。
したがって、絶縁被膜中の気孔の平均径の上限値は、絶縁被膜を含む巻線用被覆電線の用途に依存して異なり、限定されないが、通常6μm〜50μmである。より具体的には、絶縁被膜中の気孔の平均径の上限値は、絶縁被膜を含む巻線用被覆電線の用途が、高耐圧が求められるモータである場合、通常20μm〜50μmである。
絶縁被膜中の気孔の平均径の上限値が絶縁被膜の膜厚の1/3であることにより、絶縁被膜中の部分的な気孔の不足を抑制し、低誘電率化を達成することができる。
図3に、絶縁被膜中の気孔の平均径が絶縁被膜の膜厚の1/3よりも大きくなった場合の絶縁被膜を含む巻線用被覆電線の絶縁被膜部分の拡大図を模式的に示す。図3において、OKとは、絶縁被膜表面から導体の最短距離の間に気孔が存在する部分を示し、NGとは、絶縁被膜表面から導体の最短距離の間に気孔が存在しない部分を示す。NGでは、部分放電が起きやすくなる。したがって、この場合、絶縁被膜中に形成された気孔の有無のムラは、絶縁不良の原因になり得る。
絶縁被膜中の気孔の平均径は、電線を長さ方向に対して垂直に切断した場合の絶縁被膜の断面のSEM画像における、各気孔の面積より求められる円相当径の平均値として求めることができる。例えば、絶縁被膜中の気孔の平均径は、第一に、絶縁被膜の断面のSEM画像から、無作為に、通常10個以上の気孔を選択し、第二に、各気孔について円相当径を求め、第三に、それらの平均値を計算することで、求めることができる。
絶縁被膜中の気孔の気孔径範囲(気孔径のばらつき)は、限定されないが、気孔の90%が、通常平均径の50%〜150%の範囲に存在する。例えば絶縁被膜中の気孔の平均径が50μmである場合、絶縁被膜中の気孔の90%は、25μm〜75μmの範囲に存在する。
本発明の巻線用被覆電線では、絶縁被膜中に特定の気孔を一定量包含させることにより従来技術と比較して絶縁被膜の部分放電による侵食を抑制している。したがって、巻線用被覆電線の目的に応じて、モータの体格を維持したまま絶縁寿命を長くしたい場合は、絶縁被膜の総膜厚を従来の絶縁被膜の膜厚と同等にすればよく、あるいは、絶縁寿命を維持したままモータを小型化したい場合は、絶縁被膜の総膜厚を従来の絶縁被膜の膜厚より薄くすればよい。
図4には、従来の巻線用被覆電線と、本発明の巻線用被覆電線とを比較した図を示す。図4より、本発明の巻線用被覆電線における絶縁被膜中には、特定の測定方法により求められる気孔径以上の平均径を有する気孔が一定体積包含されており、絶縁被膜の低誘電率化の達成から、絶縁性が向上し、従来と比較して部分放電による侵食が抑制され、その結果、絶縁被膜の総膜厚を従来の絶縁被膜の膜厚より薄くすることができる。
本発明の巻線用被覆電線は、ハイブリッド車や電気自動車などの駆動用モータ、発電機、補機モータなどに使用することができる。
図5には、従来の巻線用被覆電線をステータコアに導入したモータと、本発明の巻線用被覆電線をステータコアに導入したモータとを比較した図を示す。図5より、本発明の巻線用被覆電線における絶縁被膜の総膜厚は従来の絶縁被膜の膜厚より薄くなっているので、本発明の巻線用被覆電線をステータコアに導入したモータは、導体面積の増大から占積率を向上させることができ、さらに、電流増によるトルク密度向上から小型化すること、抵抗率の低減から銅損を低減させることができる。
本発明の巻線用被覆電線は、絶縁被膜中に気孔を形成させること以外は、当該技術分野で通常使用されている方法を使用して、導体上に被膜形成材を塗布・硬化させて絶縁被膜を形成し、製造することができる。
本発明の巻線用被覆電線において、絶縁被膜中に気孔を形成させる方法としては、(1)気孔源として中空材料を使用する方法、及び(2)絶縁被膜の多孔質化などの方法が挙げられる。
(1)気孔源として中空材料を使用する方法
(1)の方法では、気孔は、当該技術分野で通常使用されている巻線用被覆電線の製造方法において、絶縁樹脂及び/又は有機溶剤中に、中空材料、例えば中空シリカ粒子などを添加し、形成される。
中空シリカ粒子としては、前記の市販の中空シリカ粒子を使用することができる。また、例えば、中空シリカ粒子は、炭酸カルシウム球状粒子などの支持体となる核粒子の表面にシェルを形成し、その後、核粒子を、酸で流出するなどにより除去することにより製造することができる。
本発明の巻線用被覆電線の一例としては、例えば、有機溶剤と、樹脂と、適量の中空材料とを含む絶縁被膜用混合溶液を、導体と共に押出成形又は繰り返し塗布することにより、導体上に絶縁被膜を形成させた巻線用被覆電線を得る。また、絶縁被膜用混合溶液を、得られた巻線用被覆電線と共に押出成形又は繰り返し塗布することにより、得られた巻線用被覆電線絶縁被膜上にさらに絶縁被膜を形成させてもよい。絶縁被膜は、導体上に複数層、例えば5層以上形成させてもよい。ここで、有機溶剤としては、樹脂を溶解することができる有機溶剤を使用し、例えば樹脂としてPI樹脂を使用する場合には、有機溶剤としてN−メチルピロリドン(NMP)を使用することができる。
図6に、絶縁被膜が絶縁樹脂及び中空シリカ粒子を含む巻線用被覆電線を模式的に示す。
(2)絶縁被膜の多孔質化
(2)の方法では、例えば、気孔源として加工時に除去可能な材料を使用する方法があり、気孔は、当該技術分野で通常使用されている巻線用被覆電線の製造方法において、絶縁樹脂及び/又は有機溶剤中に、後加工において除去可能な材料であり、絶縁樹脂及び/又は有機溶剤に溶解しない材料を添加し、後加工において当該材料を除去することで形成される。
例えば、後加工として塩酸処理を実施する場合、希塩酸により粒子を溶出する。例えば、後加工として熱処理を実施する場合、除去可能な材料として熱分解性ポリマーを使用する。例えば、後加工として溶剤除去を実施する場合、除去可能な材料として界面活性剤ミセルを使用する。
加えて、(2)の方法では、例えば、気孔源として熱分解性ポリマーなどの発泡剤を使用する方法があり、気孔は、当該技術分野で通常使用されている巻線用被覆電線の製造方法において、絶縁樹脂及び/又は有機溶剤中に、発泡剤を添加し、後加工において発泡させることで形成される。
さらに、(2)の方法として、例えば、導体の表面上に予め絶縁被膜を形成させ、当該絶縁被膜に、超臨界状態又は亜臨界状態の流体を含侵させた後、圧力を急減して流体をガス化させることで気孔を形成させる方法や、絶縁被膜中にミクロ相分離構造を形成させ、適切な溶剤や超臨界流体、さらには熱分解などにより、選択的に一部の相を除去することで気孔を形成させる方法がある。
図7に、絶縁被膜が絶縁樹脂及び気孔を含む巻線用被覆電線を模式的に示す。
以下、本発明に関するいくつかの実施例につき説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。
I.絶縁被膜中の気孔の平均径の下限値の決定
(i)絶縁樹脂中において、向かい合う2つの電極の間に1つの中空シリカ粒子が配置されている試料を調製するステップ
(1)スライドガラス上に、エポキシ製のスペーサを作製した(厚さ約250mm、室温硬化型エポキシ(主剤:CY−221、硬化剤:HY−2967))。
(2)エポキシ樹脂上に2つの電極(厚さ80μmの銅テープ)を向かい合うように500μmの間隔で配置した。
(3)電極間を未硬化のエポキシ樹脂でモールドした。
(4)注射器を用いて電極間に中空シリカ粒子(球状の中空シリカ粒子、粒径30μm、シェル厚さ1μm)を配置した。
(5)エポキシ樹脂を室温で硬化した。
図8に、(5)で調製した試料を模式的に示す。
(ii)(i)のステップで調製した試料の向かい合う2つの電極の間に電圧を印加し、PDIVを測定するステップ
(i)のステップの(5)で調製した試料を、シリコーンオイル中に配置し、向かい合う2つの電極の間に電圧を印加し、PDIVを測定した。その結果、PDIVは、13.6kVpであった。
図9に、(ii)のステップで使用したPDIVの測定システム回路を模式的に示す。
(iii)(ii)のステップで測定されたPDIVから、中空シリカ粒子中の気孔の分担電圧Vaを求めるステップ
中空シリカ粒子中の気孔の分担電圧Vaを、以下の式
Figure 2020119844
に基づいて、当該式に、εr−e=6、V=13.6kVp、d=28μm、εr−a=1、d=500μmを代入することにより求めた。その結果、Vaは、1.1kVpと計算された。
図10に、(iii)のステップで使用した中空シリカ粒子中の気孔の分担電圧Vaの計算モデルを模式的に示す。
(iv)(i)のステップで使用した中空シリカ粒子と異なる気孔径を有する1種の中空シリカ粒子について、前記(i)〜(iii)のステップを実施し、当該中空シリカ粒子の気孔径dに対する分担電圧Vaを求めるステップ
(iv−1)
中空シリカ粒子(球状の中空シリカ粒子、粒径100μm、シェル厚さ1μm)について、2つの電極として厚さ160μmの銅テープを使用して、前記(i)〜(iii)のステップを実施した。図11に、粒径100μmの中空シリカ粒子の(i)のステップで調製した試料を模式的に示す。図12に、粒径100μmの中空シリカ粒子の(i)のステップで調製した試料を図11の真上方向から見た光学写真を示す。当該中空シリカ粒子の気孔径d(98μm)に対する分担電圧Vaを以下のように求めた。
粒径100μmの中空シリカ粒子の(ii)のステップの結果、PDIVは、26.8kVpであった。当該中空シリカ粒子中の気孔の分担電圧Vaを、図13に示す、粒径100μmの中空シリカ粒子中の気孔の分担電圧Vaの計算モデルを使用して、以下の式
Figure 2020119844
に基づいて、当該式に、εr−e=6、V=26.8kVp、d=98μm、εr−a=1、d=500μmを代入することにより求めた。その結果、Vaは、7.3kVpと計算された。
(iv−2)
中空シリカ粒子(球状の中空シリカ粒子、粒径70μm、シェル厚さ1μm)について、2つの電極として厚さ160μmの銅テープを使用して、前記(i)〜(iii)のステップを実施した。図14に、粒径70μmの中空シリカ粒子の(i)のステップで調製した試料を模式的に示す。当該中空シリカ粒子の気孔径d(68μm)に対する分担電圧Vaを以下のように求めた。
粒径70μmの中空シリカ粒子の(ii)のステップの結果、PDIVは、14.4kVpであった。当該中空シリカ粒子中の気孔の分担電圧Vaを、図15に示す、粒径70μmの中空シリカ粒子中の気孔の分担電圧Vaの計算モデルを使用して、以下の式
Figure 2020119844
に基づいて、当該式に、εr−e=6、V=14.4kVp、d=68μm、εr−a=1、d=500μmを代入することにより求めた。その結果、Vaは、2.7kVpと計算された。
(v)気孔径(x軸)と電圧(y軸)の関係図において、中空シリカ粒子の気孔径dに対する(iii)及び(iv)のステップで求めた分担電圧Vaをプロットし、曲線を作成するステップ
気孔径(x軸)と電圧(y軸)の関係図において、(iii)のステップで求めた中空シリカ粒子(粒径30μm、シェル厚さ1μm)の値(気孔径=28μm、Va=1.1kVp)と、(iv)のステップで求めた中空シリカ粒子(粒径100μm、シェル厚さ1μm)の値(気孔径=98μm、Va=7.3kVp)及び中空シリカ粒子(粒径70μm、シェル厚さ1μm)の値(気孔径=68μm、Va=2.7kVp)とをプロットし、曲線を作成した。結果を図16に示す。
図16では、パッシェンカーブ(理論値)は、以下の式
Figure 2020119844
[式中、Aは、11.3m−1Pa−1であり、Bは、274V/(mPa)であり、pdは、電極間の距離であり、図16中において気孔径に相当し、Φは、衝突電離係数である。]
に基づいて、作成された。
(vi)(v)のステップで得られた曲線から、絶縁被膜に求められる耐電圧に対して気孔径を求めるステップ
絶縁被膜に求められる耐電圧に応じて、(v)のステップで得られた曲線から、気孔径を任意に求めることができる。
II.気孔を包含する絶縁被膜の調製
(方法Aによる調製サンプル)
(1)下地層としてポリイミドを塗布した銅板を、あらかじめ150℃に加温した乾燥炉に入れ、1時間加熱し、その後250℃に昇温し、1時間加熱した。下地層となるポリイミド層の厚さは約9μmに調整した。
(2)ポリイミドにポリメタクリル酸メチル微粒子を添加し、さらに撹拌子を加えて、スターラーで撹拌した。
(3)(1)の下地層としてポリイミドを焼き付けた銅板に、(2)で調製したワニスをアプリケータで塗布し、得られたものを、あらかじめ150℃に加温した乾燥炉に入れ、1時間加熱し、その後250℃に昇温し、1時間加熱し、その後300℃に昇温し、1時間加熱した。
(4)(1)〜(3)を6回繰り返して、サンプルA−1〜A−6を得た。
(気孔を含まない比較サンプル)
(1)ポリイミドを塗布した銅板を、あらかじめ150℃に加温した乾燥炉に入れ、1時間加熱し、その後250℃に昇温し、1時間加熱した。
(2)(1)を2回繰り返して、B−1及びB−2を得た。
III.IIで調製した絶縁被膜の分析
(絶縁被膜の気孔率、膜厚、及び気孔の平均径)
得られたサンプルA−1〜A−6について、電線を長さ方向に対して垂直に切断した場合の絶縁被膜の断面のSEM画像などから、絶縁被膜の気孔率、膜厚、及び気孔の平均径が、絶縁被膜に求められる耐電圧に応じて調整できていることを確認した。
(PDIV測定)
得られたサンプルA−1〜A−6、B−1及びB−2について、PDIVを測定した。結果を図17に示す。
図17より、A−1〜A−6のPDIVは、B−1及びB−2のPDIVと比較して、高くなることがわかった。したがって、本発明によって、絶縁被膜は高耐圧化されることがわかった。
(比誘電率測定)
得られたサンプルA、及びサンプルBについて、比誘電率を測定した。各サンプルの比誘電率の平均値の結果を図18に示す。
図18より、サンプルAの比誘電率は、サンプルBの比誘電率と比較して、低くなることがわかった。したがって、本発明によって、絶縁被膜の低誘電率化が達成されることがわかった。

Claims (2)

  1. 導体と導体の周りに被覆される絶縁被膜とを含む巻線用被覆電線であって、
    絶縁被膜が、気孔及び絶縁樹脂を含み、
    気孔が、絶縁樹脂中に、絶縁被膜の総体積に基づいて、25体積%〜75体積%含まれ、
    電線を長さ方向に対して垂直に切断した場合の絶縁被膜の断面のSEM画像により求められる気孔の平均径が、以下の(i)〜(vi)のステップ
    (i)絶縁樹脂中において、向かい合う2つの電極の間に1つの中空シリカ粒子又は気孔が配置されている試料を調製するステップ
    (ii)(i)のステップで調製した試料の向かい合う2つの電極の間に電圧を印加し、PDIV(部分放電開始電圧)を測定するステップ
    (iii)(ii)のステップで測定されたPDIVから、中空シリカ粒子中の気孔又は気孔の分担電圧Vaを、以下の式
    Figure 2020119844
    [式中、εr−eは、絶縁樹脂の比誘電率であり、Vは、(ii)のステップで測定されたPDIVであり、dは、中空シリカ粒子又は気孔の気孔径であり、εr−aは、空気の比誘電率であり、dは、向かい合う2つの電極の間の距離である]
    に基づいて求めるステップ
    (iv)(i)のステップで使用した中空シリカ粒子又は気孔と異なる気孔径を有する少なくとも1種の中空シリカ粒子又は気孔について、前記(i)〜(iii)のステップを実施し、それぞれの中空シリカ粒子又は気孔の気孔径dに対する分担電圧Vaを求めるステップ
    (v)気孔径(x軸)と電圧(y軸)の関係図において、中空シリカ粒子又は気孔の気孔径dに対する(iii)及び(iv)のステップで求めた分担電圧Vaをプロットし、曲線を作成するステップ、及び
    (vi)(v)のステップで得られた曲線から、絶縁被膜に求められる耐電圧に対して気孔径を求めるステップ
    より求められる気孔径〜絶縁被膜の膜厚の1/3の範囲内である、
    前記巻線用被覆電線。
  2. 絶縁被膜の膜厚が、20μm〜150μmである、請求項1に記載の巻線用被覆電線。
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