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JP2020111766A - 冷間工具鋼 - Google Patents

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JP2020111766A
JP2020111766A JP2019001182A JP2019001182A JP2020111766A JP 2020111766 A JP2020111766 A JP 2020111766A JP 2019001182 A JP2019001182 A JP 2019001182A JP 2019001182 A JP2019001182 A JP 2019001182A JP 2020111766 A JP2020111766 A JP 2020111766A
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JP2019001182A
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優 梅岡
Masaru Umeoka
優 梅岡
前田 雅人
Masahito Maeda
雅人 前田
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Sanyo Special Steel Co Ltd
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Sanyo Special Steel Co Ltd
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Abstract

【課題】下地との密着性に優れた炭化物層を有する工具が得られる冷間工具鋼の提供。【解決手段】冷間工具鋼は、C:0.6質量%以上0.9質量%以下、Si:0.7質量%以上1.0質量%以下、Mn:0.3質量%以上0.6質量%以下、Cr:5.0質量%以上9.0質量%以下、V:0.3質量%以上0.7質量%以下、及びS:≦0.070質量%以下を含む。この冷間工具鋼は、下記数式(I)で算出される含有率P1が1.5質量%以上3.4質量%以下となる量のMo又はWをさらに含む。残部は、Fe及び不可避不純物である。P1 = P(Mo)+P(W) / 2 (I)【選択図】なし

Description

本発明は、冷間塑性加工に使用される抜き型、曲げ型、絞り型、口金等に適した冷間工具鋼に関する。
金属の冷間塑性加工に供される近年の被加工材は、高強度である。さらに、近年の冷間塑性加工では、ニアネットシェイプ又はネットシェイプの要請がある。従って、この冷間塑性加工において工具(金型等)は、過酷な条件下で使用される。この工具には、耐摩耗性及び高硬度が要求される。
特開2003−321749公報には、980−1030℃の溶融塩浴中に工具母材が浸漬される表面処理が開示されている。この表面処理により、その表面に炭化物層を有する工具が得られる。この炭化物層は、工具の長寿命に寄与しうる。この表面処理は、TRD処理(溶融塩浸漬法、Thermo―reactive Deposition and Diffusion)と称されている。類似のTRD処理が、特開2009−120886公報及び特開2017−203176公報にも開示されている。
特開2003−321749公報 特開2009−120886公報 特開2017−203176公報
TRD処理では、母材中のCが消費される。従って、TRD処理後の工具では、炭化物層の下に、C欠乏層が存在する。C欠乏層の硬度は、不十分である。工具が力を受けたとき、C欠乏層は変形しやすい。この変形に炭化物層が追従できず、炭化物層が剥離してしまう。
母材のCの含有率が高ければ、C欠乏層の生成が抑制されうる。しかし、過剰のCはマトリクスにおける一次炭化物の晶出を助長する。一次炭化物は、炭化物層と下地との特性差を助長する。一次炭化物は、炭化物層の剥離を招く。
本発明の目的は、下地との密着性に優れた炭化物層を有する工具が得られる冷間工具鋼の提供にある。
本発明に係る冷間工具鋼は、
C:0.6質量%以上0.9質量%以下、
Si:0.7質量%以上1.0質量%以下、
Mn:0.3質量%以上0.6質量%以下、
Cr:5.0質量%以上9.0質量%以下、
V:0.3質量%以上0.7質量%以下、
及び
S:≦0.070質量%以下
を含む。この冷間工具鋼はさらに、下記数式(I)で算出される含有率P1が1.5質量%以上3.4質量%以下となる量のMo又はWを含む。残部は、Fe及び不可避不純物である。この冷間工具鋼では、下記数式(II)で算出される値K1は、8.0以上である。この冷間工具鋼がTRD処理に供されて常温まで冷却された後の、固溶C量は0.4質量%以上であり、一次炭化物面積率は5.5%以下である。
P1 = P(Mo)+ P(W) / 2 (I)
K1 = 15.0 + 8.0 × P(C) - 4.4 × P(Mn) - 1.2 × P(Cr) - 0.2 × (P(Mo)
+ P(W) / 2)- 2.4 × P(V) (II)
上記数式(I)及び(II)において、P(Mo)、P(W)、P(C)、P(Mn)、P(Cr)及びP(V)は、それぞれ、Mo、W、C、Mn、Cr及びVの質量含有率を表す。
この冷間工具鋼がTRD処理及び焼戻しに供された後の内部硬さは、58HRC以上である。
本発明に係る工具は、
C:0.6質量%以上0.9質量%以下、
Si:0.7質量%以上1.0質量%以下、
Mn:0.3質量%以上0.6質量%以下、
Cr:5.0質量%以上9.0質量%以下、
V:0.3質量%以上0.7質量%以下、
及び
S:≦0.070質量%以下
を含む。この工具はさらに、下記数式(I)で算出される含有率P1が1.5質量%以上3.4質量%以下となる量のMo又はWを含む。残部は、Fe及び不可避不純物である。この工具では、下記数式(II)で算出される値K1は、8.0以上であり、固溶C量は0.4質量%以上であり、一次炭化物面積率は5.5%以下である。この工具は、その表面にTRD処理による炭化物層を有する。
P1 = P(Mo)+ P(W) / 2 (I)
K1 = 15.0 + 8.0 × P(C) - 4.4 × P(Mn) - 1.2 × P(Cr) - 0.2 × (P(Mo)
+ P(W) / 2)- 2.4 × P(V) (II)
上記数式(I)及び(II)において、P(Mo)、P(W)、P(C)、P(Mn)、P(Cr)及びP(V)は、それぞれ、Mo、W、C、Mn、Cr及びVの質量含有率を表す。
好ましくは、この工具の内部硬さは、58HRC以上である。
本発明に係る冷間工具鋼により、TRD処理によって得られた炭化物層の、下地との密着性に優れた工具が、得られうる。
本発明に係る冷間工具鋼は、Fe基合金である。この冷間工具鋼は、所定量の添加元素を含む。残部は、Fe及び不可避不純物である。この冷間工具鋼にTRD処理が施されて、工具が得られる。以下、この冷間工具鋼における各元素の役割が詳説される。
[炭素(C)]
CはFeに固溶し、かつ焼戻しによって析出する。従ってCは、工具の硬度に寄与する。Cはさらに、TRD処理(浸透拡散処理)によって炭化物層を形成する。この炭化物層を表面に有する工具は、耐摩耗性に優れる。Cの含有率が十分であると、TRD処理の後の下地が十分な硬度を有しうる。従ってこの工具では、炭化物層が剥離しにくい。これらの観点から、Cの含有率は0.6質量%以上が好ましく、0.7質量%以上が特に好ましい。Cが過剰であると、炭化物層に粗大な炭化物が形成される。粗大な炭化物は、炭化物層の下地との密着性を阻害する。過剰なCはさらに、工具の靱性を阻害する。これらの観点から、Cの含有率は0.9質量%以下が好ましく、0.8質量%以下が特に好ましい。
[ケイ素(Si)]
Siは、製鋼工程での脱酸に寄与する。Siは、工具鋼の熱処理特性を高める。Siはさらに、固溶強化にも寄与する。これらの観点から、Siの含有率は0.7質量%以上が好ましく、0.8質量%以上が特に好ましい。過剰のSiは、工具の靱性を阻害する。靱性の観点から、Siの含有率は1.0質量%以下が好ましく、0.9質量%以下が特に好ましい。
[マンガン(Mn)]
Mnは、製鋼工程での脱酸に寄与する。Mnはさらに、工具鋼の熱処理特性を高める。これらの観点から、Mnの含有率は0.3質量%以上が好ましく、0.4質量%以上が特に好ましい。過剰のMnは、工具の靱性を阻害する。靱性の観点から、Mnの含有率は0.6質量%以下が好ましく、0.5質量%以下が特に好ましい。
[クロム(Cr)]
Crは、工具鋼の熱処理特性を高める。Crは、硬質の炭化物を形成する。従ってCrは、工具の硬さ及び耐摩耗性に寄与しうる。これらの観点から、Crの含有率は5.0質量%以上が好ましく、5.5質量%以上がより好ましく、6.0質量%以上が特に好ましい。Crが過剰であると、粗大な炭化物が形成される。粗大な炭化物は、炭化物層の下地との密着性を阻害する。過剰なCrはさらに、工具の靱性を阻害する。これらの観点から、Crの含有率は9.0質量%以下が好ましく、8.5質量%以下がより好ましく、8.0質量%以下が特に好ましい。
[バナジウム(V)]
Vを含有する工具鋼では、焼戻し時に微細な炭化物が析出する。この炭化物は、工具の強靱性に寄与する。この観点から、Vの含有率は0.3質量%以上が好ましく、0.4質量%以上が特に好ましい。Vが過剰であると、粗大な炭化物が形成される。粗大な炭化物は、炭化物層の下地との密着性を阻害する。この観点から、Vの含有率は0.7質量%以下が好ましく、0.6質量%以下が特に好ましい。
[硫黄(S)]
Sは、必要に応じて添加される。Sは、工具鋼の快削性に寄与しうる。工具鋼が、不純物以外のSを含まなくてもよい。不純物としてのSの含有率は、0.001質量%以上である。過剰のSは、工具鋼の熱間加工性を阻害する。過剰のSはさらに、工具の靱性を阻害する。これらの観点から、Sの含有率は0.070質量%以下が好ましく、0.060質量%以下がより好ましく、0.055質量%以下が特に好ましい。
[モリブデン(Mo)及びタングステン(W)]
Mo及びWは、それぞれ、工具鋼の熱処理特性を高める。Mo又はWを含有する工具鋼では、焼戻し時に微細な炭化物が析出する。この炭化物は、工具の強靱性に寄与する。工具鋼が、Mo及びWの両方を含有してもよく、いずれか一方を含有してもよい。下記数式(I)で算出される含有率P1は、1.5質量%以上3.4質量%以下が好ましい。含有率P1が1.5質量%以上である工具鋼から、強靱な工具が得られる。この観点から、含有率P1は1.8質量%以上がより好ましく、2.0質量%以上が特に好ましい。含有率P1が3.4質量%以下である工具鋼では、TRD処理によって粗大炭化物が析出しにくい。この観点から、含有率P1は3.0質量%以下がより好ましく、2.5質量%以下が特に好ましい。
含有率P1は、下記の数式(I)によって算出される。
P1 = P(Mo)+ P(W) / 2 (I)
この数式(I)において、P(Mo)はMoの質量含有率を表し、P(W)はWの質量含有率を表す。
[TRD処理]
本発明に係る冷間工具鋼にTRD処理が施されることで、種々の工具が製造される。TRD処理では、溶融塩浴に母材が浸漬される。この塩浴の温度は、900℃以上1030℃以下である。浸漬により、母材に含まれるCが塩浴の元素と反応し、炭化物層が形成される。この処理の条件は、用途に応じて決定される。冷間工具鋼が本発明の範囲に含まれるか否かの検証には、以下の条件でTRD処理がなされる。
処理温度:1000℃
処理時間:4時間
冷却方法:空冷
[固溶に関する指標]
下記の数式(II)で算出される値K1は、TRD処理のときの、CのFeへの固溶しやすさの指標である。
K1 = 15.0 + 8.0 × P(C) - 4.4 × P(Mn) - 1.2 × P(Cr) - 0.2 × (P(Mo)
+ P(W) / 2)- 2.4 × P(V) (II)
この数式(II)において、P(Mo)、P(W)、P(C)、P(Mn)、P(Cr)及びP(V)は、それぞれ、Mo、W、C、Mn、Cr及びVの質量含有率を表す。
本発明に係る冷間工具鋼では、値K1は8.0以上である。この工具鋼から得られた工具では、TRD処理後の炭化物層と下地との硬度差が小さい。この炭化物層は、下地との密着性に優れる。密着性の観点から、値K1は8.5以上がより好ましく、9.0以上が特に好ましい。値K1は14.0以下が好ましく、12.0以下が特に好ましい。
[固溶C量]
TRD処理の後、工具は常温まで冷却される。冷却後の工具における固溶C量は、0.4質量%以上である。固溶C量が0.4質量%以上である工具では、炭化物層と下地との硬度差が小さい。この炭化物層は、下地との密着性に優れる。この観点から、固溶C量は0.5質量%以上が特に好ましい。固溶C量は、EPMA(Electron Prove Micro Analysis)法によって測定される。工具の断面から一次炭化物がないマトリックス領域が選定され、この領域において測定がなされる。
[一次炭化物面積率]
TRD処理及び冷却がなされた後の工具の、一次炭化物面積率は、5.5%以下である。一次炭化物面積率が5.5%以下である工具では、炭化物層が下地から剥離しにくい。この観点から、一次炭化物面積率は5.3%以下がより好ましく、5.1%以下が特に好ましい。一次炭化物面積率は、2.0%以上が好ましい。一次炭化物面積率は、マトリクスが撮影された、倍率が500である顕微鏡写真にて測定される。
[焼戻し]
TRD処理は、焼入れに相当する。TRD処理後の工具は、焼戻しに供されうる。焼き戻しでは、工具が500−540℃の温度下に保持され、その後に徐冷される。焼戻しにより、二次硬化が生じる。焼戻しにより、強靱な組織が得られる。
[内部硬さ]
焼戻し後の工具の内部硬さは、58HRC以上が好ましい。内部硬さが58HRC以上である工具では、炭化物層が下地から剥離しにくい。この観点から、内部硬さは59HRC以上が特に好ましい。内部硬さは、65HRC以下が好ましい。内部硬さは、工具の断面にて、測定される。測定には、ロックウェル硬度計が使用される。
[工具の製造方法]
本発明に係る製造方法は、下記の工程(1)及び(2)を含む。
(1)C:0.6質量%以上0.9質量%以下、
Si:0.7質量%以上1.0質量%以下、
Mn:0.3質量%以上0.6質量%以下、
Cr:5.0質量%以上9.0質量%以下、
V:0.3質量%以上0.7質量%以下、
及び
S:≦0.070質量%以下
を含み、さらに、下記数式(I)で算出される含有率P1が1.5質量%以上3.4質量%以下となる量のMo又はWを含み、残部がFe及び不可避不純物であり、下記数式(II)で算出される値K1が8.0以上である冷間工具鋼が準備される工程
並びに
(2)上記冷間工具鋼にTRD処理が施されて、固溶C量が0.4質量%以上であり、一次炭化物面積率が5.5%以下である工具が得られる工程。
P1 = P(Mo)+ P(W) / 2 (I)
K1 = 15.0 + 8.0 × P(C) - 4.4 × P(Mn) - 1.2 × P(Cr) - 0.2 × (P(Mo)
+ P(W) / 2)- 2.4 × P(V) (II)
上記数式(I)及び(II)において、P(Mo)、P(W)、P(C)、P(Mn)、P(Cr)及びP(V)は、それぞれ、Mo、W、C、Mn、Cr及びVの質量含有率を表す。
好ましくは、この製造方法は、
(3)上記工具に焼戻しが施され、この工具の内部硬さが58HRC以上に調整される工程
をさらに含む。
以下、実施例によって本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。
[実施例1]
原料を真空誘電溶解炉にて溶融し、この原料から工具鋼のインゴットを得た。このインゴットに熱間の鍛伸を施して、角棒を得た。鍛伸時のインゴットの温度は、1100−1200℃であった。角棒の一辺は、50mmであった。この角棒にTRD処理を施した。TRD処理の条件は、以下の通りであった。
温度:1000℃
時間:4時間
冷却:空冷
このTRD処理により、厚みが10μmである炭化物層を有する工具試料を得た。この試料に焼戻しを施した。焼戻しの温度として、500−540℃の中から焼戻し後の試料の硬度が最高となる温度を、選定した。この試料の組成が、下記の表1に示されている。
[実施例2−16及び比較例17−30]
下記の表1及び2に示される通りの組成とした他は実施例1と同様にして、実施例2−16及び比較例17−30の工具試料を得た。
[固溶C量]
前述の方法にて、試料の固溶C量を測定した。下記の基準に基づき、格付けを行った。
A:固溶C量が0.4質量%以上
B:固溶C量が0.4質量%未満
この結果が、下記の表1及び2に示されている。
[一次炭化物]
前述の方法にて、試料の一次炭化物の面積率を測定した。下記の基準に基づき、格付けを行った。
A:面積率が5.5%以下
B:面積率が5.5%超
この結果が、下記の表1及び2に示されている。
[内部硬さ]
前述の方法にて、試料の内部硬さを測定した。下記の基準に基づき、格付けを行った。
A:内部硬さが58HRC以上
A’:内部硬さが58HRC未満
この結果が、下記の表1及び2に示されている。
[硬度差]
炭化物層と下地との境界から30μm内側の硬度H1と、この境界から2mm内側の硬度H2とを、マイクロビッカース硬度計にて測定した。これらの硬度の差(H2−H1)を算出した。下記の基準に基づき、格付けを行った。
A:硬度差が50未満
B:硬度差が50以上
この結果が、下記の表1及び2に示されている。
[密着性]
試料をスクラッチ試験に供し、臨界荷重を測定した。スクラッチ試験の試験条件は、下記の通りである。
最小荷重:1N
荷重スピード:30N/min
スクラッチスピード:1.51mm/min
圧子:ダイヤモンド
圧子曲率半径:200μm
下記の基準に基づき、格付けを行った。
A:臨界荷重が38N以上
B:臨界荷重が38N未満
この結果が、下記の表1及び2に示されている。
Figure 2020111766
Figure 2020111766
表1及び2に示されるように、各実施例の工具鋼は、全ての評価項目において優れている。
比較例17の鋼では、固溶C量が少ない。この鋼では、硬度差(H2−H1)が大きい。この鋼は、炭化物層の密着性に劣る。
比較例18の鋼では、Cの含有率が少ない。この鋼の内部硬さは小さい。従ってこの鋼では、硬度差(H2−H1)が大きい。この鋼は、炭化物層の密着性に劣る。
比較例19の鋼では、Cの含有率が過剰である。この鋼の炭化物層は、多量の一次炭化物を含む。この鋼は、炭化物層の密着性に劣る。
比較例20の鋼では、Siの含有率が少ない。この鋼の内部硬さは小さい。この鋼は、炭化物層の密着性に劣る。
比較例21の鋼では、Sの含有率が多い。この鋼は、過剰の硫化物を含む。この鋼は、炭化物層の密着性に劣る。
比較例22の鋼では、Crの含有率が少ない。この鋼の内部硬さは小さい。この鋼は、炭化物層の密着性に劣る。
比較例23の鋼では、Crの含有率が過剰である。この鋼では、Cr以外の元素の炭化物が十分には析出しないので、内部硬さが小さい。この鋼ではさらに、炭化物層が多量の一次炭化物を含む。一次炭化物の析出は、固溶C量を低下させる。この鋼では、硬度差(H2−H1)が大きい。この鋼は、炭化物層の密着性に劣る。
比較例24の鋼では、Mo及びWの含有率P1が少ない。この鋼の内部硬さは小さい。この鋼は、炭化物層の密着性に劣る。
比較例25の鋼では、Mo及びWの含有率P1が過剰である。この鋼の炭化物層は、多量の一次炭化物を含む。この鋼は、炭化物層の密着性に劣る。
比較例26の鋼は、Vを実質的に含まない。この鋼の内部硬さは小さい。この鋼は、炭化物層の密着性に劣る。
比較例27の鋼で、固溶C量が少ない。従ってこの鋼では、硬度差(H2−H1)が大きい。さらにこの鋼では、Vの含有率が過剰である。この鋼の炭化物層は、多量の一次炭化物を含む。この鋼は、炭化物層の密着性に劣る。
比較例28の鋼では、K値が小さい。従ってこの鋼では、固溶C量が少なく、硬度差(H2−H1)が大きい。この鋼は、炭化物層の密着性に劣る。
比較例29の鋼では、Mnの含有率が過剰である。従ってこの鋼では、K値が小さく、固溶C量が少ない。この鋼では、硬度差(H2−H1)が大きい。この鋼は、炭化物層の密着性に劣る。
比較例30の鋼では、炭化物層が多量の一次炭化物を含む。この鋼は、炭化物層の密着性に劣る。
以上の評価結果から、本発明の優位性は明らかである。
本発明に係る工具鋼は、手工具、機械工具、刃物、金型、口金等、種々の用途に用いられうる。

Claims (4)

  1. C:0.6質量%以上0.9質量%以下、
    Si:0.7質量%以上1.0質量%以下、
    Mn:0.3質量%以上0.6質量%以下、
    Cr:5.0質量%以上9.0質量%以下、
    V:0.3質量%以上0.7質量%以下、
    及び
    S:≦0.070質量%以下
    を含み、
    さらに、下記数式(I)で算出される含有率P1が1.5質量%以上3.4質量%以下となる量のMo又はWを含み、
    残部がFe及び不可避不純物であり、
    下記数式(II)で算出される値K1が8.0以上であり、
    TRD処理後の常温における固溶C量が0.4質量%以上であり、
    TRD処理後の常温における一次炭化物面積率が5.5%以下である冷間工具鋼。
    P1 = P(Mo)+ P(W) / 2 (I)
    K1 = 15.0 + 8.0 × P(C) - 4.4 × P(Mn) - 1.2 × P(Cr) - 0.2 × (P(Mo)
    + P(W) / 2)- 2.4 × P(V) (II)
    (上記数式(I)及び(II)において、P(Mo)、P(W)、P(C)、P(Mn)、P(Cr)及びP(V)は、それぞれ、Mo、W、C、Mn、Cr及びVの質量含有率を表す。)
  2. TRD処理及び焼戻しの後の内部硬さが58HRC以上である請求項1に記載の冷間工具鋼。
  3. C:0.6質量%以上0.9質量%以下、
    Si:0.7質量%以上1.0質量%以下、
    Mn:0.3質量%以上0.6質量%以下、
    Cr:5.0質量%以上9.0質量%以下、
    V:0.3質量%以上0.7質量%以下、
    及び
    S:≦0.070質量%以下
    を含み、
    さらに、下記数式(I)で算出される含有率P1が1.5質量%以上3.4質量%以下となる量のMo又はWを含み、
    残部がFe及び不可避不純物であり、
    下記数式(II)で算出される値K1が8.0以上であり、
    固溶C量が0.4質量%以上であり、
    一次炭化物面積率が5.5%以下であり、
    その表面にTRD処理による炭化物層を有している工具。
    P1 = P(Mo)+ P(W) / 2 (I)
    K1 = 15.0 + 8.0 × P(C) - 4.4 × P(Mn) - 1.2 × P(Cr) - 0.2 × (P(Mo)
    + P(W) / 2)- 2.4 × P(V) (II)
    (上記数式(I)及び(II)において、P(Mo)、P(W)、P(C)、P(Mn)、P(Cr)及びP(V)は、それぞれ、Mo、W、C、Mn、Cr及びVの質量含有率を表す。)
  4. 内部硬さが58HRC以上である請求項3に記載の工具。
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