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JP2020111482A - Iii族窒化物結晶の製造方法 - Google Patents

Iii族窒化物結晶の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】RAMO基板に応力を緩和してIII族窒化物を製造する方法を提供する。
【解決手段】III族窒化物結晶の製造方法は、一般式RAMOで表される単結晶(Rは、Sc、In、Y、ランタノイド系元素からなる群から選択される一以上の三価の元素を表し、Aは、Fe(III)、Ga、Alからなる群から選択される一以上の三価の元素を表し、Mは、Mg、Mn、Fe(II)、Co、Cu、Zn、Cdからなる群から選択される一以上の二価の元素を表す)からなるRAMO基板を準備する工程と、RAMO基板上にIII族窒化物膜を形成する工程と、III族窒化物膜の形成されたRAMO基板の表面を、硫酸及び過酸化水素水を含む薬液で化学反応させてエッチングして当該表面に凹凸を形成すると共に、RAMO基板の凸部の上に当該凸部の長手方向の幅よりも幅広の長手方向を有するIII族窒化物膜を残置させる工程と、凹凸の形成後にIII族窒化物膜上にIII族窒化物結晶を成長させる工程と、を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、III族窒化物結晶の製造方法、特に、RAMO基板を用いたGaN結晶等のIII族窒化物結晶の製造方法に関する。
近年、一般式RAMOで表される単結晶基板が、GaN結晶成長用の基板として注目されている。ここで、Rは、Sc、In、Y、およびランタノイド系元素からなる群から選択される一つまたは複数の三価の元素を表し、Aは、Fe(III)、Ga、およびAlからなる群から選択される一つまたは複数の三価の元素を表し、Mは、Mg,Mn、Fe(II)、Co、Cu、Zn、およびCdからなる群から選択される一つはまたは複数の二価の元素を表す。
特に、特許文献1に記載されたRAMOの一例であるScAlMgO単結晶(「SCAM結晶」ともいう。)は、岩塩型構造(111)面的なScO層と、六方晶(0001)面的なAlMgO層とが交互に積層した構造となっている。六方晶(0001)面的な2層は、ウルツ鉱型構造と比較して平面的になっており、面内の結合と比較して、上下層間の結合は、0.03nmほど長く、結合力が弱い。従って、ScAlMgO単結晶は、(0001)面で劈開することができる。
また、六方晶(0001)面的なAlMgO層のa軸格子定数が、3.23Å(0.323nm)であり、GaNのa軸格子定数が、3.18Å(0.318nm)であり、両者の格子不整合は1.5%程度である。一方、サファイア単結晶とGaNとの格子不整合が16%であることから、成長用の基板としてSCAM結晶の方がサファイア結晶よりも高品質なGaN結晶が得られるものとして期待できる。
また、ScAlMgO結晶の熱膨張係数は、6.6×10−6/Kで、GaNの5.5×10−6/Kと比べて大きい。そこで、上記のc面劈開性、及び、結晶成長後の冷却過程での熱収縮時の応力差を利用することで、c面での剥離・自立化が可能であると期待されている。
しかしながら、劈開したScAlMgO単結晶上に直接400μmを超える厚めのGaN結晶を成長させると、結晶格子の整合性から予想されるような転位密度を低減させるのは困難であった。なお、サファイア基板にGaN結晶を形成する場合では、結晶成長後のGaN結晶のピット密度、欠陥密度を低減させる為に、サファイア基板にパターン溝を彫りこみ、GaNを結晶成長させるといった手法が有効であることが知られている。
例えば、特許文献2には、円錐状又は角錐状の凸部を表面に格子状に配置して形成されたサファイア基板に対してGaN結晶を形成すれば、ピット密度、欠陥密度の低減が可能になると開示されている。
特開2015−178448号公報 特開2016−060659号公報
上記記載する方法によれば、ピット密度、欠陥密度の低減を実現することはできるが、サファイア基板とその上に成長されるIII族窒化物結晶との界面に、依然、大きな歪を残すこととなり、全体的に応力が大きくなるという本質的な課題を解決することはできない。異種基板上に厚膜のIII族窒化物結晶を形成しようとすると、この界面における応力の低減は重要になる。なぜならば、界面における応力を低減することができなければ、III族窒化物結晶と異種基板間との格子定数の違いに起因する歪を緩和できずに、結晶成長が進行するにつれて結晶の割れやクラックの発生といった品質不良の原因となるからである。
本開示は、基板の上に成長させるIII族窒化物結晶の結晶歪みを緩和できるIII族窒化物結晶の製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本開示に係るIII族窒化物結晶の製造方法は、一般式RAMOで表される単結晶(前記一般式において、Rは、Sc、In、Y、およびランタノイド系元素からなる群から選択される一つまたは複数の三価の元素を表し、Aは、Fe(III)、Ga、およびAlからなる群から選択される一つまたは複数の三価の元素を表し、Mは、Mg,Mn、Fe(II)、Co、Cu、Zn、およびCdからなる群から選択される一つはまたは複数の二価の元素を表す)からなるRAMO基板を準備する工程と、
前記RAMO基板上にIII族窒化物膜を形成する工程と、
前記III族窒化物膜の形成された前記RAMO基板の表面を、硫酸、及び、過酸化水素水を少なくとも含む薬液で化学反応させてエッチングすることで当該表面に凹凸を形成すると共に、前記RAMO基板の凸部の上に当該凸部の長手方向の幅よりも幅広の長手方向を有するIII族窒化物膜を残置させる工程と、
前記凹凸の形成後に前記III族窒化物膜上にIII族窒化物結晶を成長させる工程と、
を有する。
本開示に係るIII族窒化物結晶の製造方法によれば、応力を緩和して、III族窒化物結晶を製造できる。
実施の形態1に係るRAMO基板上へのIII族窒化物結晶の製造方法の各工程を示す概略断面図である。 実施の形態1に係るIII族窒化物結晶の製造方法を実現する概略設備図である。 典型的なエッチング条件にてScAlMgO基板を加工した時のエッチング量と時間との関係の一例を示す図である。 実施の形態1に係るIII族窒化物結晶の製造方法におけるScAlMgOのウェットエッチ前のGaN薄膜パターニング後の概略断面図である。 実施の形態1に係るIII族窒化物結晶の製造方法におけるScAlMgOのウェットエッチ前のGaN薄膜パターニング後の表面からみた顕微鏡写真である。 実施の形態1に係るIII族窒化物結晶の製造方法におけるScAlMgOのウェットエッチ前のGaN薄膜中の結晶歪の評価結果を示す概略図である。 実施の形態1に係るIII族窒化物結晶の製造方法におけるScAlMgOウェットエッチ後の概略断面図である。 実施の形態1に係るIII族窒化物結晶の製造方法におけるScAlMgOウェットエッチ後の表面からの顕微鏡写真である。 実施の形態1に係るIII族窒化物結晶の製造方法におけるScAlMgOのウェットエッチ後のGaN薄膜中結晶歪評価結果である。 エッチング溝の概略断面図である。 実施の形態2に係るIII族窒化物結晶の製造方法におけるGaN結晶の剥離工程を示す概略断面図である。
第1の態様に係るIII族窒化物結晶の製造方法は、一般式RAMOで表される単結晶(前記一般式において、Rは、Sc、In、Y、およびランタノイド系元素からなる群から選択される一つまたは複数の三価の元素を表し、Aは、Fe(III)、Ga、およびAlからなる群から選択される一つまたは複数の三価の元素を表し、Mは、Mg、Mn、Fe(II)、Co、Cu、Zn、およびCdからなる群から選択される一つまたは複数の二価の元素を表す)からなるRAMO基板を準備する工程と、
前記RAMO基板上にIII族窒化物膜を形成する工程と、
前記III族窒化物膜の形成された前記RAMO基板の表面を、硫酸、及び、過酸化水素水を少なくとも含む薬液で化学反応させてエッチングすることで当該表面に凹凸を形成すると共に、前記RAMO基板の凸部の上に当該凸部の長手方向の幅よりも幅広の長手方向を有するIII族窒化物膜を残置させる工程と、
前記凹凸の形成後に前記III族窒化物膜上にIII族窒化物結晶を成長させる工程と、
を有する。
第2の態様に係るIII族窒化物結晶の製造方法は、上記第1の態様において、前記エッチングにおける前記薬液の温度を、35℃〜290℃の範囲にして前記RAMO基板の表面に凹凸を形成してもよい。
第3の態様に係るIII族窒化物結晶の製造方法は、上記第1又は第2の態様において、前記薬液は、(硫酸÷過酸化水素水)の値が、1〜10の範囲であってもよい。
第4の態様に係るIII族窒化物結晶の製造方法は、上記第3の態様において、前記エッチングは、前記凸部の長手方向の幅をr、前記残置されたIII族窒化物膜の長手方向の幅をRとしたとき、30%≦r/R≦70%以下を満たすように前記凹凸を形成してもよい。
(本発明に至った経過)
まず、RAMO基板の一種であるScAlMgO基板上に高品質なGaNを形成し、自発自立・剥離化する技術を以下に説明する。ScAlMgO単結晶は、岩塩型構造(111)面的なScO層と、六方晶(0001)面的なAlMgO層とが交互に積層した構造となっている。六方晶(0001)面的な2層は、ウルツ鉱型構造と比較して平面的になっており、面内の結合と比較して、上下層間の結合は、0.03nmほど長く、結合力が弱い。このため、ScAlMgO単結晶は、(0001)面で劈開させることができる。
剥離面には、六方晶(0001)面的なAlMgO面が出ており、そのa軸格子定数が、0.323nm(3.23Å)となっており、一方、GaN結晶のa軸格子定数が、0.318nm(3.18Å)である。両者のa軸格子定数は非常に近く、ScAlMgO基板の剥離面にGaN結晶を結晶成長させることが可能である。
ScAlMgO結晶とGaN結晶との格子不整合は1.5%程度であり、サファイア単結晶とGaN結晶との格子不整合が16%である。それぞれの格子不整合を比較すると、成長用の基板としてはScAlMgO結晶の方がサファイア結晶よりもふさわしいことがわかる。実際に、それぞれの結晶に厚さ10μm程度のGaN結晶の結晶成長を実施したところ、結晶内転位密度がサファイア基板上では5×10cm−2程度であるのに対して、ScAlMgO基板上では8×10cm−2と大幅に低減した。
このことから、従来、サファイア基板上で転位密度低減化を目的に行われてきた選択エピ技術は、ScAlMgO基板上GaN結晶における低転位化という目的では必要ない。しかし、ピット抑制の為のScAlMgO上GaN結晶の内部応力の低減、自発剥離化を促進するようなScAlMgO基板面内におけるGaN結晶/ScAlMgO結晶の界面における結晶内応力分散を実現する構造は必要となる。
そこで、本発明者らは、ScAlMgO基板上にGaNの互いに分離したアイランド状の種結晶を形成し、ScAlMgO基板表面を露出した状態で硫酸及び過酸化水素水を含む薬液で化学反応させてエッチングしてScAlMgO基板の表面に凹凸を形成すると共に、ScAlMgO基板の凸部の上に凸部の長手方向の幅よりも幅広の長手方向を有するGaNを残置すれば、GaNのアイランド直下の領域を周囲から中心に向かって順番に中空領域を形成できることを発見した。
このような構造をもつScAlMgO上のGaN結晶は、完全にフリーな状態になる為に、結晶の内部応力は低減し、結晶割れ、クラック発生の抑制を実現できることを見出し、本発明に至ったものである。
以下、実施の形態に係るIII族窒化物結晶の製造方法について、添付図面を参照しながら説明する。なお、図面において実質的に同一の部材については同一の符号を付している。
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係るRAMO基板(1)上へのIII族窒化物結晶(2)の製造方法の各工程を示す概略断面図である。図2Aは、実施の形態1に係るIII族窒化物結晶の製造方法を実現する概略設備図である。図2Bは、典型的なエッチング条件にてScAlMgO基板を加工した時のエッチング量と時間との関係の一例を示す図である。
本開示の実施の形態1として、RAMO基板としてScAlMgO基板上にIII族窒化物結晶としてGaN結晶を形成するIII族窒化物結晶の製造方法におけるプロセス工程を図1の(a)から(d)に示す。以下にプロセスの内容を詳細に説明する。
(a)ScAlMgO基板(1)上に、例えば、MOCVD法によりGaN薄膜結晶(2)を堆積する(図1(a))。このGaN薄膜(2)は、種結晶として用いるだけではなく、ScAlMgO結晶のマスク材としても利用する。そこで、GaN薄膜(2)の厚みが厚すぎるとパターニングする際に困難を伴う。また、GaN薄膜(2)の厚みが逆に薄すぎるとMOCVD法を用いても厚みが一様な膜を形成できないので種結晶としての品質が伴わない。従って、適正な膜厚範囲としては、例えば、1μm〜5μm程度に設定するのが好ましい。
(b)続けて、工程(b)において、上記GaN薄膜(2)上にレジストマスク(3)を形成し、露光してパターニングする(図1(b):GaN薄膜のパターニングプロセス)。このレジストマスク(3)によりGaN薄膜(2)に対してパターニングを実施する。例えば、塩素ガスを用いたドライエッチプロセスといった手法を用いて容易に実施することが可能である。レジストマスク(3)は、GaN薄膜(2)のパターニング加工後には除去しておくことが好ましい。このようなプロセスを経てパターニングされたGaN薄膜(2)を形成することが可能である。
(c)次に、ScAlMgO基板(1)上にパターニング加工されたGaN薄膜(2)を形成した状態で、化学式HSOで表される硫酸、及び、化学式Hで表される過酸化水素水を少なくとも含む薬液中でScAlMgO結晶と化学反応させる(図1(c):ScAlMgO基板のエッチングプロセス)。この薬液の温度としては、35℃以上の高温状態に保持した状態でエッチングすることで実用上問題ないエッチング速度にてScAlMgO基板をエッチング加工することが可能である。また、少なくとも硫酸、過酸化水素水を混合した薬液に浸潤させることでScAlMgO基板(1)をエッチング加工する。硫酸、過酸化水を混合した直後の反応熱により100℃近くまで温度が上がるのでそのような薬液でエッチング処理を行ってもよい。あるいは、例えば、図2Aに示す恒温槽(13)に石英容器(12)をセットする。この石英容器(12)内で、硫酸と過酸化水素水とを3:1の割合で混合した薬液(11)を温度75℃に調節する。この薬液(11)中に、上に記載したパターニング加工されたハードマスクを形成したScAlMgO基板(10)を浸潤させてもよい。これによって、図2Bに示すエッチング速度にて基板に溝を形成する加工を施すことが可能となる。ここで薬液の温度は、35℃〜290℃、より好ましくは、50℃〜150℃の範囲に設定されるのが望ましい。温度が高ければ高いほどエッチング速度は高速になるが、硫酸の沸点である290℃を超えると薬液の混合比を一定に保つのが困難になり、図1(d)のU字溝(4)(パターン溝)の形状制御が困難になる。又、工業的には、安価で温度制御性の良い50℃〜150℃程度に薬液温度を設定するのが好ましい。
又、薬液の濃度比率に関しても硫酸と過酸化水素水の比の値(硫酸÷過酸化水素水)は、1〜10の範囲で実施することが好ましい。ScAlMgO結晶は、硫酸のみではほとんどエッチングは進まない。本発明者は、ScAlMgO結晶が適量の過酸化水素水を混ぜた硫酸と過酸化水素水との混合溶液にはよく溶けることを発見した。硫酸と過酸化水素水との混合溶液は、ScAlMgO基板に対して以下に説明する化学反応によりエッチング加工を進行させるものと考えられる。過酸化水素水により酸素ラジカルを供給することでAlMgO層中の結合距離が短いMg−Oといった強固な結合を切断する。Mg−O結合が切断されると、Alは、硫酸により溶解し硫酸アルミニウムができる。AlMgO層が溶解すれば、次にScO層は、硫酸と反応し硫酸スカンジウムを形成しながら溶解する。この繰り返しでScAlMgO結晶は、上記薬液に溶解することになる。過酸化水素水の役割は、Mg−O結合を切断するのが主な役割であり、ScAlMgO結晶の溶解は、ほぼ硫酸によるものが主である。従って、硫酸に対する過酸化水素水の割合は、1割もあれば十分である。但し、1割よりも低い割合で混合すれば反応熱の発生が抑制されるので薬液として実用上使用しづらい面がある。従って過酸化水素水の割合の下限として硫酸との構成比で10%程度は存在している薬液が好ましい。また、過酸化水素水は、実用上の安全性の制約から35%の水溶液として取り扱われている。従って、硫酸と過酸化水素水との比率を1:1で構成したとしても、混合溶液は過酸化水素水に含まれる水により半分程度の濃度にうすめられてしまう。これ以上に薄められてしまうとエッチング速度が半分以下になってしまうことから実用的ではなくなる。従って、硫酸と過酸化水素水の比の値は、上記した1〜10の範囲で実施するのが好ましい。
図1(c)に示すように、このような加工処理を施した後にGaN薄膜(2)は、ほとんど実質的なエッチングが進行せずに、一方、ScAlMgO基板(1)に対してU字溝(4)を形成することが可能になる。特に、GaN薄膜(2)のアイランドの周囲からScAlMgO結晶のエッチングは進行するので、GaN薄膜(2)のアイランドの周囲の下部には空洞が形成されることになる。すなわち、III族窒化物膜の一例であるGaN薄膜(2)の形成されたRAMO基板一例であるScAlMgO基板(1)の表面を、硫酸、及び、過酸化水素水を少なくとも含む薬液で化学反応させてエッチングすることで当該表面にU字溝(4)のような凹凸を形成する。このとき、RAMO基板の凸部一例であるScAlMgO支柱(38)の上に当該凸部よりも幅広のIII族窒化物膜(37)を残置させることができる(図4D)。この場合、III族窒化物膜(37)は、その下のScAlMgO支柱(38)の頂部の面内の長手方向の幅rより幅広の長手方向の幅Rを有する。具体的には、III族窒化物膜(37)は、ScAlMgO支柱(38)の頂部の面内のいずれの方向についても幅広である。なお、上記凹凸は、U字溝に限られず、他のパターン溝であってもよい。
(d)最後に、洗浄を施すことで結晶成長ができる状態になる。このようにしてパターニングされたGaN薄膜(2)を種結晶として厚膜を形成することで、最終的に高品質なGaN結晶(図1(d):(5))を得ることができる。
このとき、GaN薄膜(2)の外周部の直下に位置するScAlMgO結晶も一部エッチングされるため、GaN薄膜(2)の外周から内周側にオフセットされた領域でのみ、ScAlMgO結晶とGaN結晶とが接続される。すなわち、GaN結晶(5)とScAlMgO基板(1)との界面には、空間領域であるボイドが形成されこの部分で結晶歪が緩和されるので得られたGaN結晶(5)の内部応力を低減させ、クラック、基板割れのないGaN結晶を実現することができる。
図3A、図3B、図3Cに、それぞれ、前記工程(b)のマスク除去後の断面構造を示す概略断面図と、表面から見た顕微鏡写真と、図3Bの領域(26)で結晶歪を評価した結果を示す概略図とである。また、図4A、図4B、図4C、図4Dは、前記工程(c)のScAlMgO基板(1)のウェットエッチ後の断面構造を示す概略断面図と、表面から見た顕微鏡写真と、GaN結晶内の結晶内歪の分布を評価した結果を示す概略図とである。
図3Aは、前記工程(b)後のマスク3除去後の概略断面図である。図3Aに示すように、ScAlMgO基板(22)上にGaN薄膜がパターニングされている。つまり、図3A中のパターニングされたGaN薄膜(21)がアイランド状となり、その間の領域(23)では、ScAlMgO基板(22)の表面が露出している状態を示している。図3Bは、表面から見た顕微鏡写真であり、アイランド状のGaN薄膜(24)と、そのアイランド間のScAlMgO基板の領域(25)を示している。また、図3Cは、図3Bの領域(26)(縦50.13μm×横50.19μm)で結晶歪を評価した結果を示す概略図である。図3Cに示すように、ScAlMgOのウェットエッチ前には、アイランド中央ではGaN薄膜結晶中に圧縮応力が発生していることがわかる。
図4Aは、前記工程(c)後の概略断面図である。図4Aに示すように、ScAlMgO基板(32)上のGaN薄膜(31)をマスクとして、ScAlMgO結晶(32)をエッチング溝(33)を形成している。この図4Aより、GaN薄膜(31)の下端面に潜り込むようにエッチング溝(33)が形成され、GaN薄膜(31)とScAlMgO基板(32)との界面の面積が減少していることがわかる。すなわち、III族窒化物膜の一例であるGaN薄膜(31)でパターン溝の一例であるエッチング溝(33)の端部を覆うように、エッチング溝(33)を形成する。図4Bは、表面から見た顕微鏡写真であり、アイランド状のGaN薄膜(34)と、そのアイランド間のエッチングされた領域(35)と、を示している。また、図4Cは、図4Bの領域(36)(縦50.13μm×横50.19μm)で結晶歪を評価した結果を示す概略図である。図4Cに示すように、ScAlMgOのウェットエッチ後では、図3Cの場合に比べてアイランド中央におけるGaN薄膜結晶中に圧縮応力が抑制されていることがわかる。
GaN薄膜中の応力の低減効果を実現する為には、GaN薄膜下のエッチング溝(35)の領域割合には好ましい範囲がある。図4Dは、このエッチング溝(35)をより詳細に描いた概略断面図である。GaNアイランド領域(37)、及び、そのアイランドを支えるScAlMgO支柱(38)が存在する。GaN薄膜とScAlMgO基板(40)に挟まれた中空領域(39)がGaN結晶中に発生する応力を緩和する構造となっている。GaNアイランド領域(37)中に発生する応力は、GaN薄膜アイランドの幅(R)とそれを支えるScAlMgOの支柱(32)の幅(r)の比に大きく依存する。ScAlMgOの支柱(32)は、台形状であり、ここでいう幅(r)は、厚さ方向の断面において縮径する側に位置する上底の辺の長さを示す。ScAlMgOとGaN結晶とに挟まれた中空領域(39)上のGaN結晶は、ほぼフリーな状態であるので歪が発生することはない。これに対してScAlMgO支柱(38)上のGaN結晶は、ScAlMgO結晶との界面を有し歪が発生する。しかし、GaNアイランドの幅(R)とそれを支えるScAlMgOの支柱(32)の幅との逆比であるr/Rの値が小さければ小さいほど結晶中の歪は小さくなる。一方、r/Rの値が1に近づくほど界面における歪は大きくなる。ここで、GaNアイランドの幅(R)とは、厚さ方向の断面における最長の辺の長さを示す。
r/Rの値が30%よりも小さくなると結晶成長が進むにつれてGaN結晶中の転位密度が低減する。その結果、発生する結晶歪に耐えられなくなりScAlMgOの支柱(32)の一部が剥がれてしまい結晶配向性を維持するのが困難となり結晶品質は低下してしまう。r/Rの値が30%以上になるとこのような不具合はなく安定な結晶成長を実現することが可能となる。
逆に、r/Rの値が70%を超えてしまうとScAlMgO結晶とGaN結晶との界面に発生する歪によりGaN結晶内部にクラック、ピットを発生させてしまう。最悪の場合、GaN結晶に割れが発生してしまう結果となる。
従って、応力緩和の観点から、本開示に係るエッチングは、凸部の一例であるScAlMgOの支柱(32)の幅をr、残置されたIII族窒化物膜の一例であるGaNアイランド領域(37)の幅をRとしたとき、比の値r/Rが30%≦r/R≦70%を満たすように凹凸を形成するよう、実施されることが望ましい。
(実施の形態2)
図5は、実施の形態2に係るIII族窒化物結晶の製造方法におけるGaN結晶の剥離工程を示す概略断面図である。
実施の形態2に係るIII族窒化物結晶の製造方法は、実施の形態1に係るIII族窒化物結晶の製造方法と対比すると、GaN結晶をRAMO基板から剥離する工程(図5(b))を有する点で相違する。実施の形態1にて説明した手法によれば、ウェットエッチングの等方的なエッチングの性質により、アイランド下に中空領域を形成することができる。実施の形態2に係るIII族窒化物結晶の製造方法では、さらに剥離工程を有するので、より剥離を促進した構造を実現することが可能となる。
つまり、図5(a)に示すような構造で結晶成長を終えることができれば、結晶成長後の冷却化過程においてGaN薄膜(41)とScAlMgO基板(42)の熱膨張係数差により界面に剥離を促す応力が進む。その結果、アイランド領域により集中して応力が加わることになり、図5(b)に示すように、よりたやすくScAlMgO基板(42)の剥離を進展させることが可能となる。
これによって、結晶歪を抑制したIII族窒化物結晶であるGaN結晶の単体を得ることができる。
なお、本開示においては、前述した様々な実施の形態及び/又は実施例のうちの任意の実施の形態及び/又は実施例を適宜組み合わせることを含むものであり、それぞれの実施の形態及び/又は実施例が有する効果を奏することができる。
1 ScAlMgO基板
2 GaN薄膜
3 パターニングされたマスク
4 ScAlMgO基板上に形成されたパターンU溝
5 ScAlMgO基板上エピ領域
6 U溝がパターン加工されたScAlMgO基板
10 パターニングされたハードマスクを備えたScAlMgO基板
11 エッチング薬液
12 石英槽
13 恒温槽
21 GaN薄膜
22 ScAlMgO基板
23 GaNアイランド間領域
24 GaNアイランド領域
25 GaNアイランド間領域
26 GaN中歪評価領域
31 GaN薄膜
32 ScAlMgO基板
33 ScAlMgO中エッチング領域
34 GaNアイランド領域
35 GaNアイランド間領域
36 GaN中歪評価領域
41 GaN厚膜結晶領域
42 U溝がパターン加工されたScAlMgO基板

Claims (4)

  1. 一般式RAMOで表される単結晶(前記一般式において、Rは、Sc、In、Y、およびランタノイド系元素からなる群から選択される一つまたは複数の三価の元素を表し、Aは、Fe(III)、Ga、およびAlからなる群から選択される一つまたは複数の三価の元素を表し、Mは、Mg、Mn、Fe(II)、Co、Cu、Zn、およびCdからなる群から選択される一つまたは複数の二価の元素を表す)からなるRAMO基板を準備する工程と、
    前記RAMO基板上にIII族窒化物膜を形成する工程と、
    前記III族窒化物膜の形成された前記RAMO基板の表面を、硫酸、及び、過酸化水素水を少なくとも含む薬液で化学反応させてエッチングすることで当該表面に凹凸を形成すると共に、前記RAMO基板の凸部の上に当該凸部の長手方向の幅よりも幅広の長手方向を有するIII族窒化物膜を残置させる工程と、
    前記凹凸の形成後に前記III族窒化物膜上にIII族窒化物結晶を成長させる工程と、
    を有するIII族窒化物結晶の製造方法。
  2. 前記エッチングにおける前記薬液の温度を、35℃〜290℃の範囲にして前記RAMO基板の表面に凹凸を形成する、請求項1に記載のIII族窒化物結晶の製造方法。
  3. 前記薬液は、(硫酸÷過酸化水素水)の値が、1〜10の範囲である、請求項1又は2に記載のIII族窒化物結晶の製造方法。
  4. 前記エッチングは、前記凸部の長手方向の幅をr、前記残置されたIII族窒化物膜の長手方向の幅をRとしたとき、30%≦r/R≦70%以下を満たすように前記凹凸を形成する、請求項3に記載のIII族窒化物結晶の製造方法。
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