JP2020108415A - 内視鏡用の先端カバー、及び、内視鏡 - Google Patents

Abstract

【課題】 長尺部材の移動に伴って起上部を動作させても、長尺部材の外側のチューブが起上部に接触するのを抑制することが可能な内視鏡用の先端カバーを提供する。【解決手段】 内視鏡の先端カバーは、カバー本体と、カバー本体に設けられた壁とを有する。カバー本体は、挿入部の長手軸に沿って先端構成部の外側に装着される。このとき、壁は、処置具が挿通されるチャンネルの一部を形成する先端構成部の第１開口縁部よりも長手軸に沿って先端側で、長尺部材を内側に配設するチューブと、起上部との間に設けられる。【選択図】図１０Ｂ

Description

この発明は、内視鏡用の先端カバー、及び、内視鏡に関する。

例えば特許文献１には、処置具等の挿入具が挿通されるチャンネルの先端側に、処置具の先端の向きを挿入部の長手軸に沿った方向から適宜に変更させる機構を有する内視鏡が開示されている。操作部で長尺部材（牽引部材）を軸方向に移動させると、挿入部の先端部に配設され長尺部材の先端に連結された起上部が長尺部材の移動にしたがって適宜の回動軸の軸周りに動作する。

特開平６−３１５４５７号公報

特許文献１に開示された内視鏡の先端構成部において、起上部を動かして処置具の向きを適宜の角度に調整する作業が行われる。このとき、長尺部材の外側のチューブと起上部とは近接しているため、チューブが起上部に接触するおそれがある。チューブが起上部に接触すると、両者の間の摩擦により、起上部を倒置位置から起上位置に動かす動作の滑らかさが低下し得る。

この発明は、長尺部材の移動に伴って起上部を動作させても、長尺部材の外側のチューブが起上部に接触するのを抑制することが可能な内視鏡用の先端カバー、及び、内視鏡を提供することを目的とする。

この発明の一態様に係る、被検体内に挿入される内視鏡本体の挿入部の長手軸に沿って先端側に装着される先端カバーは、処置具が挿通されるチャンネルの一部を形成する第１開口縁部と、前記第１開口縁部とは別に設けられた第２開口縁部とを有し、前記長手軸に沿って前記挿入部の先端側に設けられた先端構成部と、前記先端構成部に対して回動可能に取り付けられ、前記第１開口縁部から突出する前記処置具を起上させる起上部と、前記第２開口縁部に挿通されるとともに、前記起上部に接続され、前記挿入部の前記長手軸に沿って移動して前記起上部を回動させる長尺部材と、前記長尺部材を内側に配設し、前記起上部又は前記長尺部材に対して一端を水密に接続するとともに、他端を前記第２開口縁部に対して水密に接続するチューブと、を有する前記内視鏡本体に装着される、カバー本体と、前記カバー本体に設けられ、前記カバー本体が前記挿入部の前記長手軸に沿って前記先端構成部の外側に装着されたとき、前記第１開口縁部よりも前記長手軸に沿って先端側で、前記チューブと前記起上部との間に設けられる壁とを有する。
この発明の他の一態様に係る、内視鏡は、長手軸が規定され、被検体内に挿入される挿入部と、処置具が挿通されるチャンネルの一部を形成する第１開口縁部と、前記第１開口縁部とは別に設けられた第２開口縁部とを有し、前記長手軸に沿って前記挿入部の先端側に設けられた先端構成部と、前記先端構成部に対して回動可能に取り付けられ、前記第１開口縁部から突出する前記処置具を起上させる起上部と、前記第２開口縁部に挿通されるとともに、前記起上部に接続され、前記挿入部の前記長手軸に沿って移動して前記起上部を回動させる長尺部材と、前記長尺部材を内側に配設し、前記起上部又は前記長尺部材に対して一端を水密に接続するとともに、他端を前記第２開口縁部に対して水密に接続するチューブと、前記第１開口縁部よりも前記長手軸に沿って先端側に前記先端構成部に設けられ、前記チューブと前記起上部との間に設けられる壁とを有する。

この発明によれば、長尺部材の移動に伴って起上部を動作させても、長尺部材の外側のチューブが起上部に接触するのを抑制することが可能な内視鏡用の先端カバー、及び、内視鏡を提供することができる。

図１は、各変形例を含む第１実施形態及び第２実施形態に係る内視鏡を示す概略図である。 図２は、第１実施形態に係る内視鏡の内視鏡本体の挿入部の先端部及び湾曲部を示す概略的な斜視図である。 図３Ａは、第１実施形態に係る内視鏡の内視鏡本体の挿入部の先端部の起上台を倒置位置に配置した状態を示す概略的な部分断面図である。 図３Ｂは、図３Ａ中の３Ｂ−３Ｂ線に沿う概略的な断面図である。 図４Ａは、第１実施形態に係る内視鏡の内視鏡本体の挿入部の先端部の起上台を起上位置に配置した状態を示す概略的な部分断面図である。 図４Ｂは、図４Ａ中の４Ｂ−４Ｂ線に沿う概略的な断面図である。 図５は、第１実施形態に係る内視鏡の内視鏡本体の挿入部の先端部の起上台を倒置位置に配置した状態を示す、図３Ａとは異なる部分断面を示す概略図である。 図６Ａは、第１実施形態に係る内視鏡の内視鏡本体の挿入部の先端構成部に配設される起上機構の起上部、チューブ、及び、先端が起上部の連結部に固定された状態でチューブを挿通する牽引部材（長尺部材）を示す概略図である。 図６Ｂは、図６Ａに示す起上機構の起上部、チューブ及び牽引部材を示す概略的な部分断面図である。 図６Ｃは、図６Ａ及び図６Ｂに示す起上部を図６Ａに対する裏面側から見た概略図である。 図７Ａは、第１実施形態に係る内視鏡本体の挿入部の先端部に配設される、２体が組み合わせられて形成される先端カバーを示す概略図である。 図７Ｂは、図７Ａ中の７Ｂ−７Ｂ線に沿う概略的な断面図である。 図７Ｃは、図７Ａ中の矢印７Ｃの方向から見た、先端カバーを示す概略図である。 図８Ａは、第１実施形態に係る先端カバーを内視鏡本体の挿入部の先端部に対して取り付けて内視鏡として使用するために、対峙させた状態を示す概略図である。 図８Ｂは、図８Ａに示す先端カバーを、視鏡本体の挿入部の先端部に対して対峙させた状態を示す概略的な斜視図である。 図９Ａは、図８Ａ及び図８Ｂに示す先端カバーを、内視鏡本体の挿入部の先端部に対して取り付けた状態を示す概略的な斜視図である。 図９Ｂは、図８Ｂに示す先端カバーを、内視鏡本体の挿入部の先端部に対して取り付けた状態を示す概略的な斜視図である。 図９Ｃは、第１実施形態に係る先端カバーを、内視鏡本体の挿入部の先端部に対して取り付けた状態を示す概略図である。 図１０Ａは、先端カバーを内視鏡本体の挿入部の先端部に対して取り付け、起上部を倒置位置に配置したときの、先端カバーの壁に対する、起上部及び起上部を動作させる牽引部材を内側に配置したチューブの状態を示す概略的な部分断面図である。 図１０Ｂは、先端カバーを内視鏡本体の挿入部の先端部に対して取り付け、起上部を起上位置に配置したときの、先端カバーの壁に対する、起上部及び起上部を動作させる牽引部材を内側に配置したチューブの状態を示す概略的な部分断面図である。 図１０Ｃは、第１実施形態に係る内視鏡の挿入部の先端部の起上台を倒置位置に配置した状態を示す、図１０Ａとは異なる部分断面を示す概略図である。 図１０Ｄは、図１０Ｃ中の１０Ｄ−１０Ｄ線に沿う概略的な断面図である。 図１１は、図１０Ｂに示すチューブとは異なる性質のチューブを用いた場合の、先端カバーを内視鏡本体の挿入部の先端部に対して取り付け、起上部を起上位置に配置したときの、先端カバーの壁に対する、起上部及び起上部を動作させる牽引部材を内側に配置したチューブの状態を示す概略的な断面図である。 図１２は、第１実施形態の第１変形例に係る先端カバーを、図８Ａ及び図８Ｂに示す内視鏡本体の挿入部の先端部に対して取り付けた状態を示す概略的な斜視図である。 図１３は、第１実施形態の第２変形例に係る先端カバーを、図８Ａ及び図８Ｂに示す内視鏡本体の挿入部の先端部に対して、取り付けた状態を示す概略的な斜視図である。 図１４は、第１実施形態の第３変形例に係る先端カバーを、図８Ａ及び図８Ｂに示す内視鏡本体の挿入部の先端部に対して取り付けた状態を示す概略的な斜視図である。 図１５は、第１実施形態の第４変形例に係る先端カバーを、図８Ａ及び図８Ｂに示す内視鏡本体の挿入部の先端部に対して取り付けた状態を示す概略的な斜視図である。 図１６Ａは、第１実施形態の第５変形例に係る、内視鏡本体の挿入部の先端部に配設される、先端カバーを示す概略図である。 図１６Ｂは、図１６Ａに示す先端カバーを内視鏡本体の挿入部の先端部に取り付けた状態を示す、概略的な部分断面図である。 図１７は、第１実施形態の第６変形例に係る先端カバーを内視鏡本体の挿入部の先端部に対して取り付け、起上部を倒置位置に配置したときの、先端カバーの壁に対する、起上部及び起上部を動作させる牽引部材を内側に配置したチューブの状態を示す概略的な断面図である。 図１８は、第１実施形態の第７変形例に係る、内視鏡本体の挿入部の先端部に対し、壁に変位部を有する先端カバーを取り付けた状態を示す概略的な部分断面図である。 図１９は、各変形例を含む第１実施形態及び第２実施形態に係る内視鏡の内視鏡本体に取り付けられる起上機構の起上部、チューブ及び牽引部材の変形例を示す概略的な部分断面図である。 図２０Ａは、第２実施形態に係る内視鏡本体の挿入部の先端部の先端構成部に壁が形成され、起上台を倒置位置に配置した状態を示す、内視鏡本体に先端カバーを取り付けた内視鏡の部分断面を示す概略図である。 図２０Ｂは、図２０Ａ中の２０Ｂ−２０Ｂ線に沿う概略的な断面図である。 図２１Ａは、第２実施形態に係る内視鏡本体の挿入部の先端部の起上部を倒置位置に配置したときの、壁に対する、起上部及び起上部を動作させる牽引部材を内側に配置したチューブの状態を示す概略図である。 図２１Ｂは、第２実施形態に係る内視鏡本体の挿入部の先端部の起上部を起上位置に配置したときの、壁に対する、起上部及び起上部を動作させる牽引部材を内側に配置したチューブの状態を示す概略図である。 図２２は、第２実施形態の第１変形例に係る、内視鏡本体の挿入部の先端部の先端構成部に壁が形成され、起上台を倒置位置に配置した状態を示す、内視鏡本体に先端カバーを取り付けた内視鏡の部分断面を示す概略図である。 図２３Ａは、第２実施形態の第２変形例に係る、内視鏡本体の挿入部の先端部の先端構成部に壁が形成され、起上台を倒置位置に配置した状態を示す、内視鏡本体に先端カバーを取り付けた内視鏡の部分断面を示す概略図である。 図２３Ｂは、図２３Ａ中の２３Ｂ−２３Ｂ線に沿う概略的な断面図である。 図２４Ａは、先端カバーを内視鏡本体の挿入部の先端部に対して取り付け、起上部を倒置位置に配置したときの、先端構成部の壁に対する、起上部及び起上部を動作させる牽引部材を内側に配置したチューブの状態を示す概略的な部分断面図である。 図２４Ｂは、起上部を起上位置に配置したときの、先端構成部の壁に対する、起上部及び起上部を動作させる牽引部材を内側に配置したチューブの状態を示す概略図である。 図２４Ｃは、図２４Ａ中の２４Ｃ−２４Ｃに沿う概略的な断面図である。 図２４Ｄは、図２４Ａ中の符号２４Ｄで示す位置を拡大した、壁に対する起上機構の起上台本体及び嵌合アームの関係を示す概略的な部分断面図である。 図２５は、第２実施形態の第２変形例における起上機構の起上部、連結部が先端に固定された牽引部材、及び、牽引部材を内側に配設するチューブを示す部分断面図である。 図２６Ａは、第２実施形態の第２変形例に係る内視鏡本体の挿入部の、壁が設けられた先端構成部に対して、起上機構を取り付け、その後、先端カバーを取り付けようとしている状態を示す概略図である。 図２６Ｂは、図２６Ａ中の符号２６Ｂで示す位置を拡大した断面図である。 図２７は、第２実施形態で説明した内視鏡本体の先端部に対して、第１実施形態で説明した先端カバーを取り付けた状態を示す概略的な断面図である。

以下、図面を参照しながらこの発明
図１に示すように、この実施形態に係る内視鏡１０は、内視鏡本体を実施するための形態について説明する。
第１実施形態について、図１から図１１を用いて説明する。

図１に示すように、この実施形態に係る内視鏡１０は、内視鏡本体１２と、先端カバー１４とを有する。本実施形態では、カバー１４は主に、使い捨て型として形成されるものとして説明するが、内視鏡本体１２に装着された状態で適切に洗浄、消毒、滅菌可能に形成されていれば、内視鏡本体１２に装着された状態が維持されてもよい。このため、ここで説明するカバー１４は、使い捨て型に限られない。

内視鏡本体１２は、被検体内に挿入される挿入部２２と、挿入部２２の基端に設けられ、ユーザに把持される操作部２４と、操作部２４から延出されたユニバーサルコード２６とを有する。先端カバー１４は、挿入部２２の長手軸Ｌに沿って先端側に装着される。

挿入部２２は、その先端と基端とにより長手軸Ｌを規定する。挿入部２２は、その先端から基端に向かって順に、先端部３２（図２参照）と湾曲部３４と管部３６とを有する。先端部３２の外周面の一部は、上述した先端カバー１４が装着されて覆われる。管部３６はいわゆる軟性鏡と称される可撓性を有するものであっても良く、硬性鏡と称される真っ直ぐの状態を維持して曲げに対する耐性を有するものであってもよい。湾曲部３４は公知の機構により、操作部２４のノブ２４ａにより２方向又は４方向など、複数の方向に湾曲させることができる。また、レバー（起上状態調整部）５６の操作にしたがって後述する牽引部材５４が挿入部２２の長手軸Ｌに沿って移動する。このため、後述する起上部５２が挿入部２２の先端構成部７２に対して回動される。起上部５２は、図３Ａに示す倒置位置（初期位置）と図４Ａに示す最大起上位置との間を移動可能である。起上部５２は通常、図３Ａに示す倒置位置にある。

図２、図３Ａ、図４Ａ及び図５に示すように、湾曲部３４の先端には、環状の電気的絶縁部材３５が固定されている。絶縁部材３５は後述するブロック状の先端構成部７２の外周に配設されている。絶縁部材３５の基端側に隣接した位置には、糸巻部３５ａが形成されている。

図１に示すように、内視鏡本体１２は、照明光学系４２、観察光学系４４及び処置具挿通チャンネル４６を有する。その他、内視鏡本体１２は、図示しないが、送気／送水機構及び吸引機構を有する。送気／送水機構は先端に後述するノズル４５及びチューブ４５ａ（図５参照）を有し、図１に示す操作部２４のボタン２５ａで操作される。吸引機構はチャンネル４６に連通され、図１に示す操作部２４のボタン２５ｂで操作される。

照明光学系４２及び観察光学系４４は内視鏡本体１２の挿入部２２の先端部３２、湾曲部３４及び管部３６、操作部２４、更にはユニバーサルコード２６の内側に配設されている。図２に示すように、照明光学系４２は、先端部３２に照明窓４２ａを有する。観察光学系４４は先端部３２に観察窓４４ａを有する。なお、ここでは、観察光学系４４は、長手軸Ｌに対して直交する方向を観察する側視型として形成されている例について説明するが、長手軸Ｌから外れた方向を観察する斜視型として形成されていてもよい。側視型及び斜視型の観察光学系４４はいずれも公知であり、ここでは側視型の観察光学系４４を有する内視鏡本体１２について説明する。

図２、図３Ａ、図４Ａ及び図５に示すように、チャンネル４６は、その先端が内視鏡本体１２の挿入部２２の先端構成部７２で開口されている。図１に示すように、チャンネル４６は、その基端が挿入部２２の管部３６の基端部近傍又は操作部２４で開口されている。ここでは、図１に示すように、操作部２４にチャンネル４６の基端の開口（図示せず）があり、その開口に口金４６ｃを介して鉗子栓４６ｂが着脱可能である。図３Ａ、図４Ａ及び図５に示すように、チャンネル４６は、先端構成部７２に固定された口金４６ｃを介してチューブ４６ａの先端が固定されている。なお、チャンネル４６のチューブ４６ａは、例えば操作部２４の内部で公知の吸引路４６ｄに分岐されている。吸引路４６ｄはボタン２５ｂに連結されていて、ボタン２５ｂの押圧操作によりチャンネル４６の先端の後述する先端開口９２ａから口金４６ｃ、チューブ４６ａ、吸引路４６ｄ、ユニバーサルコード２６を介して吸引物が排出される。

上述したように、この実施形態では、先端部３２は、挿入部２２の長手軸Ｌに沿った方向に対して観察方向が異なる側視型として形成されている。図２から図６Ｃに示すように、内視鏡本体１２は、チャンネル４６に通した処置具（図示せず）などの向きを先端部３２で適宜に調整し、観察光学系４４の視野内に入れることが可能な起上機構４８を有する。

起上機構４８は、その先端が内視鏡本体１２の挿入部２２の先端部３２にあり、その基端が操作部２４（図１参照）にある。起上機構４８は、先端構成部７２に支持される起上部５２と、軸方向に移動することで起上部５２を動作させる長尺部材（以後、牽引部材と称する）５４と、操作部２４に支持されるレバー５６（図１参照）とを有する。

起上部５２は挿入部２２の先端部３２に設けられている。起上部５２は、先端構成部７２に対して、回動可能に取り付けられている。起上部５２は、後述する第１筒状面（第１開口縁部）９２及び口金４６ｃの先端側、かつ、後述する第２筒状面（第２開口縁部）９４及び口金５８ａの先端側に設けられ、先端構成部７２に対して動作される。起上部５２は、チャンネル４６の第１筒状面９２から突出する処置具を起上させるなど、処置具の先端部の向きを調整することができる。

牽引部材５４にはワイヤや可撓性を有する棒状部材（ロッド）等が用いられる。牽引部材５４は、挿入部２２の先端部３２の先端構成部７２の通路（口金５８ａ）を通して先端構成部７２の基端側に延出されている。このため、先端構成部７２の第２開口縁部９４には、牽引部材５４が挿通されている。そして、牽引部材５４は、湾曲部３４及び管部３６の内側を通して操作部２４に延出されている。牽引部材５４の基端（他端）は操作部２４のレバー５６に接続されている。牽引部材５４の長さは調整されている。牽引部材５４の先端（一端）は起上部５２に接続されている。すなわち、起上部５２には、牽引部材５４の先端側の先端部５４ａが接続されている。なお、起上部５２は、先端部３２の一部である。また、牽引部材５４の先端部５４ａ及びその近傍も先端部３２の一部である。

起上部５２は、処置具の案内路６２ａを有する起上台６２と、起上台６２に連結された連結部６４とを有する。起上台６２の外形は略三角柱状に形成されている。起上台６２には、例えば長手軸Ｌに直交するとともに観察方向に直交する回動軸６６と、後述する案内面８６ｂに支持され起上台６２が所定の範囲内を移動可能に案内するガイドピン６８とが配設されている。起上台６２に対して回動軸６６及びガイドピン６８が固定されて一体化されていることが好適である。起上台６２は、例えば長手軸Ｌに直交する回動軸６６を支点として回動する。このため、起上部５２は、先端構成部７２に対して回動軸６６を中心に回転可能である。なお、起上部５２の起上台６２の回動軸６６は長手軸Ｌに対して必ずしも直交する必要はなく、適宜のズレは許容される。起上部５２の起上台６２の回動軸６６の軸方向は、観察光学系４４の観察方向に対して必ずしも直交する必要はなく、適宜のズレは許容される。

図２から図５に示すように、挿入部２２の先端側には、長手軸Ｌに沿って先端構成部７２が設けられている。先端構成部７２はブロック状に形成されている。先端構成部７２は、例えばステンレス鋼材等の金属や硬質樹脂等の硬質材の円柱が切削されて適宜の形状に形成される。先端構成部７２は、概略的には、略円柱状の基部８２と、基部８２の先端８２ａから長手軸Ｌに沿って先端側に延出された第１凸部８４及び第２凸部８６とを有する。先端構成部７２の基部８２の外周には、湾曲部３４の最外周のゴム材製などの可撓性を有するチューブの先端部が被覆されている。糸巻部３５ａは先端構成部７２の基部８２の外周に湾曲部３４の可撓性を有するチューブの先端部を密着させている。絶縁部材３５は湾曲部３４の可撓性を有するチューブの先端に配設されている。

第１凸部８４には、照明光学系４２の照明窓４２ａ及び観察光学系４４の観察窓４４ａが配設されている。照明光学系４２の照明窓４２ａ及び観察光学系４４の観察窓４４ａは長手軸Ｌに対して直交する方向に向けられている。基部８２には、ノズル４５が配設されている。ノズル４５は、照明光学系４２の照明窓４２ａ及び観察光学系４４の観察窓４４ａの基端側に配設されている。ノズル４５の開口は照明光学系４２の照明窓４２ａ及び観察光学系４４の観察窓４４ａに向けられている。ノズル４５は、観察窓４４ａ及び照明窓４２ａに向かって生理食塩水などの液体を吐出可能であるとともに、観察窓４４ａ及び照明窓４２ａの付着物を送気により吹き飛ばすことが可能である。

第１凸部８４は、照明光学系４２の照明窓４２ａ及び観察光学系４４の観察窓４４ａが配設された配設面８４ａと、起上台６２の移動方向を規定する規定面（平面）８４ｂと、外周面８４ｃとを有する。配設面８４ａは長手軸Ｌに沿って延びるとともに、起上部５２の回動軸６６に平行な面として形成されていることが好適である。規定面８４ｂは長手軸Ｌに沿って延び、起上部５２の回動軸６６に直交する平面であることが好適である。ここでは、規定面８４ｂは、配設面８４ａに直交している。外周面８４ｃは円柱による曲面として形成されている。

外周面８４ｃには、長手軸Ｌに沿って凹部（ガイド溝）８４ｄが形成されている。凹部８４ｄは、起上機構４８の起上部５２及び牽引部材５４に対して離れた位置に形成されている。凹部８４ｄは、先端構成部７２の先端から基端まで連続して形成されていることが好適である。凹部８４ｄには、先端カバー１４の後述するガイド突部１９４が嵌合される。このため、先端構成部７２に対して先端カバー１４が所定の状態に装着される。

第２凸部８６は、第１凸部８４の規定面８４ｂに対向する規定面８６ａと、起上台６２の回動を案内する案内面８６ｂと、外周面８６ｃと、基部８２から延出された延出面８６ｄとを有する。第２凸部８６の規定面８６ａは第１凸部８４の規定面８４ｂから離され、第１凸部８４の規定面８４ｂに平行な平面であることが好適である。外周面８６ｃは円柱による曲面として形成されている。第２凸部８６の規定面８６ａには、起上台６２が起上位置のときに当接する突起８６ｅが形成されている。突起８６ｅは、起上台６２が最も起上した最大起上位置を規定する。

第１凸部８４の規定面８４ｂ及び第２凸部８６の規定面８６ａの間には、起上台６２を配置するとともに、起上台６２を所定の範囲内に動作させる空間８５が形成される。空間８５では特に、起上台６２を配置するとともに、起上台６２を所定の範囲内に移動させる。第１凸部８４の規定面８４ｂ及び第２凸部８６の規定面８６ａには、第１凸部８４の配設面８４ａ及び第２凸部８６の延出面８６ｄから離れた位置に、起上台６２の回動軸６６を支持する支持部８８が配設されている。このため、先端構成部７２は、起上部５２を動作可能に支持する支持部８８を有する。ここでは、支持部８８は略Ｕ字状に形成されている。空間８５に起上台６２が配設されるとともに、支持部８８に回動軸６６が配設される。そして、先端構成部７２及び起上部５２の外側にはカバー１４が取り付けられる。カバー１４の後述する内周面１４６の凸部１９８は、先端構成部７２の支持部８８から起上台６２の回動軸６６が脱落するのを防止する。

空間８５に起上台６２が配設されるとともに、支持部８８に回動軸６６が配設された状態で、第２凸部８６の案内面８６ｂには、起上台６２のガイドピン６８が載置される。案内面８６ｂは、適宜の曲面として形成され、起上台６２のガイドピン６８を支持した状態で、ガイドピン６８を図２から図３Ｂに示す位置と図４Ａ及び図４Ｂに示す位置との間を移動させる。このため、起上部５２は、牽引部材５４からの牽引力にしたがって、回動軸６６及び支持部８８を中心に動作する。

第２凸部８６の規定面８６ａの長手軸Ｌに直交する最大幅（高さ）は、第１凸部８４の規定面８４ｂの長手軸Ｌに直交する最大幅（高さ）に比べて、例えば半分程度である。このため、第２凸部８６に対して延出面８６ｄが向く側に隣接する部位には、上述した空間８５に連続し、牽引部材５４及び牽引部材５４を覆うチューブ（管状の弾性部材）５５が移動する移動空間８７が形成される。

先端構成部７２の基部８２は、処置具を挿通させる第１貫通孔（チャンネル孔）を形成する第１筒状面（第１開口縁部）９２、及び、例えば長手軸Ｌに対して傾斜する第２貫通孔（起上機構４８の牽引部材５４の通路）を形成する第２筒状面（第２開口縁部）９４を有する。このため、先端構成部７２は、図示しない処置具が挿通されるチャンネル４６の先端部（一部）を形成する第１開口縁部９２と、第１開口縁部９２とは別に設けられた第２開口縁部９４とを有する。先端構成部７２の基部８２は、例えば長手軸Ｌに沿う第３貫通孔（ノズル４５の通路）を形成する第３筒状面（第３開口縁部）９６を更に有する。第１筒状面９２、第２筒状面９４及び第３筒状面９６は、適宜の形状が許容される。第１筒状面９２及び第２筒状面９４は、例えば円筒状であることが好適である。第１筒状面９２の内径は第２筒状面９４の内径よりも大きく形成されていることが好適である。

第１筒状面９２は例えば長手軸Ｌに沿って先端構成部７２を貫通している。具体的には、第１筒状面９２は先端構成部７２の基部８２を貫通している。このため、第１筒状面９２は例えば長手軸Ｌに沿って先端構成部７２の基部８２の先端側と基端側とを連通させている。第１筒状面９２の先端側には、第１凸部８４及び第２凸部８６、更には、カバー１４と協働して上述した適宜の空間８５を形成する。

第２筒状面（導入孔）９４は例えば長手軸Ｌに対して傾斜した状態で先端構成部７２を貫通している。具体的には、第２筒状面９４は先端構成部７２の基部８２を貫通している。このため、第２筒状面９４は先端構成部７２の基部８２の先端側と基端側とを連通させている。第２筒状面９４の先端側には、基部８２及びカバー１４と協働して適宜の空間９５を形成する。この空間９５は、長手軸Ｌに沿って上述した空間８５及び空間８７の基端側に連続している。第２筒状面９４の貫通方向が長手軸Ｌに対して傾斜しているため、先端部３２において、チューブ５５の先端（一端）５５ａと基端（他端）５５ｂとの間の長さ（後述する弾性部材１１２の長さ）を極力長くすることができ、弾性部材１１２の単位体積あたりの変形量を小さくすることができる。弾性部材１１２の素材の選択によっては、第２筒状面９４の貫通方向が長手軸Ｌに沿っていることも好適である。

なお、第２筒状面９４の貫通方向は、牽引部材５４の中心軸（長手軸）Ｃの軸方向に一致又は略一致する。

第３筒状面９６は例えば長手軸Ｌに沿って先端構成部７２を貫通している。具体的には、第３筒状面９６は先端構成部７２の基部８２を貫通している。このため、第３筒状面９６は例えば長手軸Ｌに沿って先端構成部７２の基部８２の先端側と基端側とを連通させている。第３筒状面９６の先端側には、第１凸部８４及びカバー１４と協働してノズル４５の先端が配設される適宜の空間９７を形成する。

第１筒状面９２は、チャンネル４６の先端開口９２ａを形成する。第１筒状面９２には、口金４６ｃが固定されている。口金４６ｃの基端部には、チャンネルチューブ４６ａが固定されている。

上述したように、第２筒状面９４は、ここでは長手軸Ｌに対して傾斜して形成されている。第２筒状面９４には、起上機構４８の牽引部材５４が挿通される。第２筒状面９４には口金（通路）５８ａが固定されている。口金５８ａは貫通孔（導入孔）を形成し、牽引部材５４を通す通路を形成している。すなわち、先端構成部７２は先端側と基端側とを連通させる通路として口金５８ａを有する。口金５８ａの基端部には、チューブ５８ｂが固定されている。先端構成部７２の基部８２の第２筒状面９４の基端、口金５８ａ及びチューブ５８ｂの間は、例えば環状に塗布された接着剤５８ｃにより、口金５８ａの先端から口金５８ａの外周面と基部８２との間を通して口金５８ａの基端側に流体（液体及び気体等）が抜けるのが防止されている。

また、チューブ５５の基端部が第２筒状面９４に配設された状態で、口金５８ａには、接着剤９８ａ及び抜け止め板（保護プレート）９８ｂが配設されている。接着剤９８ａ及び抜け止め板９８ｂは絶縁部材３５の内側に配設されていることが好適である。接着剤９８ａ及び抜け止め板９８ｂは基部８２の第２筒状面９４の先端９４ａに配設されているため、チューブ５５の基端部が接着剤９８ａ及び抜け止め板９８ｂにより、口金５８ａに嵌合された状態が維持され、口金５８ａから抜けるのが防止されている。また、接着剤９８ａは、チューブ５５の後述する口金１１４の外周面と口金５８ａの内周面との間、及び、口金５８ａの外周面と第２筒状面９４との間、すなわち、口金１１４の外周面と第２筒状面９４との間を、先端側から基端側に液体が侵入することを防止している。

先端構成部７２の基部８２は、第２筒状面９４の先端側に、第１壁面１０２ａと、第２壁面１０２ｂと、第３壁面１０２ｃとを有する。第１壁面（底面）１０２ａ、第２壁面（側面）１０２ｂ及び第３壁面（基端面）１０２ｃは、長手軸Ｌに沿って第１筒状面（チャンネル孔）９２の先端開口９２ａよりも基端側の位置に形成されている。第１壁面１０２ａ、第２壁面１０２ｂ及び第３壁面１０２ｃはカバー１４の後述する開口縁１５６及び／又は内周面１４６との間に空間（間隙）９５を形成する。本実施形態では、第１壁面１０２ａは、第１凸部８４の配設面８４ａ及び第２凸部８６の延出面８６ｄに平行に形成されている。そして、第１壁面１０２ａの位置は、長手軸Ｌに直交する方向において、第１凸部８４の配設面８４ａと第２凸部８６の延出面８６ｄとの間にある。

第３筒状面９６には、ノズル４５が挿通されて固定される。ノズル４５の基端には、チューブ４５ａが固定されている。

第１筒状面９２の先端（先端開口）９２ａは、第２筒状面９４の先端９４ａよりも長手軸Ｌに沿って先端側に形成されている。第１筒状面９２の先端９２ａは、起上台６２の基端側に形成される。なお、第１筒状面９２の先端９２ａが第２筒状面９４の先端９４ａよりも長手軸Ｌに沿って先端側に形成されているため、先端構成部７２において、チューブ５５の後述する弾性部材１１２を極力長くすることができ、弾性部材１１２を中心軸Ｃに沿って圧縮したときの弾性部材１１２の単位体積あたりの変形量を小さくすることができる。

先端構成部７２の基部８２の外周面には、係止ピン７４が固定されている。ピン７４は、空間９５（第１壁面１０２ａ）に対して、長手軸Ｌの周方向に隣接するとともに、凹部（ガイド溝）８４ｄに対して先端構成部７２の長手軸Ｌを挟んで略反対側に形成されていることが好ましい。

図６Ｂに示すように、起上部５２の起上台６２は、連結部６４が嵌合される嵌合部６２ｂを有する。起上台６２の嵌合部６２ｂは、連結部６４の円筒体６４ａを配設する凹部又は貫通孔で形成されている。ここでは、嵌合部６２ｂは、長手軸Ｌに直交する方向に、起上台６２を貫通している。

連結部６４は、円筒体６４ａに牽引部材５４の先端部５４ａを固定した状態で、図３Ａ及び図４Ａに示すように起上台６２に対して適宜に回転可能である。

牽引部材５４の外周には、筒状のチューブ５５が被覆されている。このため、チューブ５５は牽引部材５４をその内側に配設している。筒状のチューブ５５の中心軸は牽引部材５４の中心軸Ｃに一致又は略一致する。チューブ５５は、牽引部材５４の軸方向に沿って弾性変形して伸縮可能な筒状の弾性部材１１２と、弾性部材１１２の基端（他端）に固定された口金１１４と、口金１１４の外周に配設されたＯリング１１６とを有する。

チューブ５５の弾性部材１１２の先端（一端）５５ａは例えば接着により、本実施形態では連結部６４の管状体６４ｂに固定されている。弾性部材１１２の先端５５ａの内周面が連結部６４の管状体６４ｂの外周面に対して全周にわたって密着しているため、液体や気体がチューブ５５の弾性部材１１２の先端（一端）５５ａから弾性部材１１２の内側に浸入するのが防止されている。すなわち、チューブ５５の一端５５ａは、起上部５２に対して水密に接続されている。

図６Ａ及び図６Ｂに示すように、チューブ５５の他端５５ｂは、弾性部材１１２、口金１１４及びＯリング１１６により形成されている。口金１１４は、弾性部材１１２の基端を例えば挟み込んで固定している。口金１１４は一体的に形成されていても良く、例えば２体など、複数体で形成されていてもよい。Ｏリング１１６は、口金１１４の外周面とＯリング１１６の内周面との間から口金１１４の軸方向に沿って液体が移動するのを防止する。

チューブ５５の基端（他端）５５ｂは、先端構成部７２に固定された口金５８ａの内周面（環状の周面）に嵌合されている。口金５８ａの内径は、チューブ５５の他端５５ｂの口金１１４の外径よりも僅かに大きく、Ｏリング１１６の外径よりも僅かに小さいことが好適である。すなわち、チューブ５５は、他端５５ｂが先端構成部７２に対して口金５８ａを介して水密に接続される。このため、チューブ５５の他端５５ｂは、通路（貫通孔）５８ａを通して先端側から基端側に液体が浸入するのを２重（接着剤９８ａ及びＯリング１１６）で防止する構造を有する。したがって、チューブ５５の他端（基端）５５ｂは、先端構成部７２の第２開口縁部９４に対して水密に接続されている。

図５に示すように、チューブ５５の基端（他端）５５ｂが口金５８ａの内周面に嵌合された状態で、基部８２には、接着剤９８ａ及び抜け止め板９８ｂが配設されている。このため、内視鏡本体１２の使用時に、チューブ５５の他端５５ｂが口金５８ａに対する嵌合が解除される力が付加されても、チューブ５５の他端５５ｂが口金５８ａに対して嵌合した状態が維持される。なお、弾性部材１１２のうち、抜け止め板９８ｂから先端側に突出した部分の長さ（一端５５ａ及び他端５５ｂを除いた、弾性部材１１２が変形可能な実効長さ）は、例えば２０ｍｍ程度であることが好ましい。

図６Ａ及び図６Ｂに示すチューブ５５の弾性部材１１２は牽引部材５４の牽引にしたがって変形可能な樹脂材で形成されている。弾性部材１１２は、特に一端５５ａと他端５５ｂとの間の全体が弾性変形可能であることが好適である。弾性部材１１２は、先端側部位１１２ａと、基端側部位１１２ｂとを有する。本実施形態では、先端側部位１１２ａの基端と基端側部位１１２ｂの先端とは連続している。上述したように、弾性部材１１２のうち、抜け止め板９８ｂから先端側に突出した部分の長さが２０ｍｍ程度である場合、先端側部位１１２ａ及び基端側部位１１２ｂがそれぞれ１０ｍｍ程度であることが好ましい。また、本実施形態では、弾性部材１１２は先端から基端まで肉厚が一定である。一方、弾性部材１１２の素材は、先端側部位１１２ａと基端側部位１１２ｂとで異なっていてもよいし、組成の調整により、変形し易さを調整してもよい。弾性部材１１２は、一端５５ａに近接する先端側部位１１２ａの方が、他端５５ｂに近接する基端側部位１１２ｂよりも変形し易い性質を有する。例えば基端側部位１１２ｂは先端側部位１１２ａに比べて、材料の変形し難さが１０％から３０％程度増加し、好ましくは２０％程度増加していることが好適である。弾性部材１１２は、一例として、先端側部位１１２ａをフッ素樹脂又はシリコーン樹脂で形成し、基端側部位１１２ｂをウレタン樹脂で形成することが好ましい。また、弾性部材１１２は、例えば、基端側部位１１２ｂ、及び、基端側部位１１２ｂと先端側部位１１２ａとの境界を、上述した樹脂材で適宜に例えば二色成型（異質材成形）されて形成されていてもよい。弾性部材１１２は、中心軸Ｃに沿って圧縮力が負荷されたときに、先端側部位１１２ａが基端側部位１１２ｂに比べて変形し易い状態が維持される、適宜の樹脂材が選択される。

このように、弾性部材１１２は、一端５５ａに近接する先端側部位１１２ａの方が、他端５５ｂに近接する基端側部位１１２ｂよりもチューブ５５の中心軸Ｃに沿って圧縮する変形を起こし易く形成されている。すなわち、弾性部材１１２のうち、起上部５２に対して接続される側の方が、貫通孔の周囲に接続される側よりも変形を起こし易い。

弾性部材１１２の先端側部位１１２ａが弾性部材１１２の軸方向に沿って圧縮する変形を起こす際、図４Ａに示すように複数の皺が寄るようにクセが付けられていることが好適である。すなわち、先端側部位１１２ａが弾性部材１１２の軸方向に沿って圧縮する変形を起こす際、好ましくは複数の皺（複数の山及び谷）が形成される。例えば弾性部材１１２の先端側部位１１２ａが弾性部材１１２の軸方向に沿って圧縮する変形を起こす際、１つの山のみが形成される場合、先端側部位１１２ａの最大外径が大きくなり得る。これに対し、複数の皺が形成されることにより、先端側部位１１２ａの最大外径をより小さくすることができる。以下、ここでは、先端側部位１１２ａに弾性部材１１２の軸方向に沿って圧縮する変形を起こす場合は、複数の皺が形成されるものとして説明する。

図３Ａ及び図３Ｂに示すように、チューブ５５の弾性部材１１２が自然長である場合、先端側部位１１２ａは空間８５及び空間８７に配設され、基端側部位１１２ｂは空間８７及び空間９５に配設される。このため、チューブ５５の弾性部材１１２の先端側部位１１２ａは、長手軸Ｌに沿って、第１筒状面９２の先端開口９２ａと起上部５２との間に配置される。また、長手軸Ｌに沿って、通路９４の先端９４ａとチャンネル孔９２の先端開口９２ａとの間には、弾性部材１１２の基端側部位１１２ｂのみが配置され、先端側部位１１２ａは配置されないことが好適である。

なお、チューブ５５の弾性部材１１２が自然長である場合、弾性部材１１２の外周面は、第１壁面１０２ａ、第２壁面１０２ｂ、及び、第３壁面１０２ｃの先端側の抜け止め板９８ｂの先端面のいずれにも接触しないことが好適である。また、弾性部材１１２は、第１凸部８４及び第２凸部８６のいずれにも接触しないことが好適である。

なお、牽引部材５４の外径は例えば０．５ｍｍ程度である。弾性部材１１２の内径は例えば０．８ｍｍ程度、弾性部材１１２の外径は例えば１．３ｍｍから１．５ｍｍ程度である。なお、牽引部材５４の外周面と弾性部材１１２の内周面との間のクリアランスは例えば０．２ｍｍ程度である。

そして、先端構成部７２に対して、照明光学系４２の照明窓４２ａ、観察光学系４４の観察窓４４ａ、チャンネル４６の先端部の口金４６ｃ、起上機構４８の起上部５２、牽引部材５４、チューブ５５、口金５８ａ等が適宜に取り付けられた状態で、更にこれらの外周に先端カバー１４が取り付けられて、先端部３２が形成される。

図７Ａから図８Ａに示すように、先端カバー１４は、カバー本体１４２と、カバー本体１４２に設けられた壁１４４とを有する。

カバー１４は、電気絶縁性を有する素材で形成されている。カバー１４は樹脂材及び／又は電気絶縁性を有するゴム材で形成されていることが好適である。本実施形態では、カバー１４のカバー本体１４２は、樹脂材製の第１構造体（本体）１４２ａとゴム材製の第２構造体（オサエリング）１４２ｂとが組み合わせられて形成されている。第１構造体１４２ａ及び第２構造体１４２ｂはともに筒状に形成されている。

第１構造体１４２ａは、先端構成部７２の外側に配設され先端構成部７２、起上部５２、牽引部材（長尺部材）５４及びチューブ５５を保護する。第１構造体１４２ａは、その先端に閉塞部１５２を有し、その基端に先端構成部７２の周囲を囲む環状部１５４を有している。閉塞部１５２は略半球面状に形成されている。第１構造体１４２ａの基端、すなわち環状部１５４の基端１５４ａは基端開口として形成されている。

図７Ａ及び図７Ｂに示すように、第１構造体１４２ａは、閉塞部１５２と環状部１５４との間に、開口縁１５６、及び、横断面が略Ｃ字状の回動周面１５８を有する。回動周面１５８は円筒の一部として形成されている。回動周面１５８により、カバー１４及び先端部３２の長手軸（中心軸）Ｌが規定される。

図７Ａから図８Ａに示すように、開口縁１５６は長手軸Ｌに対して例えば直交する方向に開口している。開口縁１５６は、先端部３２の照明窓４２ａ、観察窓４４ａ、ノズル４５及び起上台６２をカバー１４の外部に露出させる。

開口縁１５６は、長手軸Ｌに沿って基端側から先端側に向かって右側にある右側縁部１６２と、右側縁部１６２に連続するＵ字状の凹部１６４と、凹部１６４に連続した先端側縁部１６６と、長手軸Ｌに沿って基端側から先端側に向かって左側にある左側縁部１６８と、右側縁部１６２及び左側縁部１６８の基端部の間にある基端側縁部１７０とを有する。開口縁１５６は、これら右側縁部１６２、凹部１６４、先端側縁部１６６、左側縁部１６８及び基端側縁部１７０により閉じた環を形成する。右側縁部１６２及び左側縁部１６８は互いに平行又は略平行であることが好ましい。先端側縁部１６６及び基端側縁部１７０は互いに平行又は略平行であることが好ましい。

右側縁部１６２は、環状部１５４及び回動周面１５８と協働して、起上機構４８の牽引部材５４及びチューブ５５を、移動可能に覆っている。同様に、左側縁部１６８は、回動周面１５８と協働して、先端構成部７２の第１凸部８４の配設面８４ａのうち、照明窓４２ａ及び観察窓４４ａに対して左側を覆っている。なお、先端側縁部１６６は、閉塞部１５２と協働して、先端構成部７２の第１凸部８４の配設面８４ａのうち、照明窓４２ａに対して先端側を覆っている。

右側縁部１６２の先端には、右側縁部１６２に連続してＵ字状の凹部１６４が形成されている。凹部１６４は、閉塞部１５２の先端１５２ａに向かって形成されている。凹部１６４が形成された部位は、長手軸Ｌに沿って先端側に向かうにつれて先細となっている。

環状部１５４は、その外周面に、第２構造体１４２ｂが嵌合される嵌合部１７２を有する。嵌合部１７２は、開口縁１５６の基端側縁部１７０から長手軸Ｌに沿って基端側に離れた位置に円周状に形成されている。嵌合部１７２は、第１構造体１４２ａに対して第２構造体１４２ｂが長手軸Ｌに沿って移動するのを抑制するとともに、長手軸Ｌの軸周りに移動するのを抑制する。環状部１５４の嵌合部１７２の基端には、嵌合部１７２に対して長手軸Ｌに対して径方向外方に向かって突出する環状のフランジ部１７４が形成されている。フランジ部１７４の内周は、長手軸Ｌに沿って基端側に向かうほど薄肉となるスカート部１７４ａが形成されている。スカート部１７４ａは基端側に向かうほど内径を大きくしている。

第１構造体１４２ａの環状部１５４の基端１５４ａを含む位置には、スリット１７４ｂが形成されている。このため、スカート部１７４ａは弾性変形により内径を拡大することができる。

第１構造体１４２ａの内周面１４６ａの内径は、開口縁１５６の右側縁部１６２の先端近傍及び左側縁部１６８の先端近傍から、フランジ部１７４のスカート部１７４ａの先端まで一定であることが好適である。

第２構造体１４２ｂは、その内周面１４６ｂに形成され、第１構造体１４２ａの嵌合部１７２に嵌合される嵌合部１８２を有する。第２構造体１４２ｂは、第１構造体１４２ａの開口縁１５６を露出させた状態で環状部１５４の基端（基端開口）１５４ａの外周を保持する。第２構造体１４２ｂは、その内周面１４６ｂに形成され、フランジ部１７４が嵌合される環状の嵌合凹部１８４を有する。このため、図８Ａに示すように、第１構造体１４２ａの環状部１５４に対して第２構造体１４２ｂが嵌合される。なお、第２構造体１４２ｂは、その内周面１４６ｂに形成され、嵌合凹部１８４の基端側に、湾曲部３４の先端部の糸巻部３５ａが嵌合される嵌合部１８６を有する。嵌合部１８６の基端の内周には、長手軸Ｌに沿って基端側に向かうほど薄肉となるスカート部１８６ａが形成されている。スカート部１８６ａは基端側に向かうほど内径を大きくしている。スカート部１８６ａは弾性変形により内径を拡大することができる。

図７Ａ、図７Ｃ及び図８Ａに示すように、第１構造体１４２ａの基端の環状部１５４には、その内周面１４６ａに、係止ピン７４に係止可能な係止凹部（係止部）１９２が形成されている。係止凹部１９２は、第１構造体１４２ａを先端部３２に係止する。係止凹部１９２は第１構造体１４２ａの内周面１４６ａと外周面とが連通した状態に形成されていても良く、単に第１構造体１４２ａの内周面１４６ａに対して凹状に形成されていてもよい。係止凹部１９２は嵌合部１７２に形成されていることが好適である。

図７Ａから図８Ａに示すように、第１構造体１４２ａの内周面１４６ａには、先端構成部７２の凹部（ガイド溝）８４ｄに沿って移動可能なガイド突部（第２ガイド）１９４が形成されている。すなわち、ガイド突部１９４は、第１構造体１４２ａの内周面１４６ａから径方向内方に向かって突出している。ここでは、ガイド突部１９４は、第１構造体１４２ａの内周面１４６ａの先端近傍から基端近傍まで形成されていることが好ましい。ガイド突部１９４は適宜の形状に形成されることが可能であるが、横断面が略矩形状に形成されている。その他、図示しないが、ガイド突部１９４は複数が適宜の間隔に離隔していてもよい。

図７Ａに示すように、第１構造体１４２ａの開口縁１５６の基端側縁部１７０と環状部１５４のフランジ部１７４の基端１７４ａとの間には脆弱部１９６が形成されている。脆弱部１９６は、第１構造体１４２ａの環状部１５４に少なくとも一部が設けられ、環状部１５４に応力を加えることにより環状部１５４が破壊されるように形成されており、環状部１５４の他の部位よりも機械的強度が低い。ここでは、脆弱部１９６は、スリット１９６ａ，１９６ｂを有する。一方のスリット１９６ａは開口縁１５６の基端側縁部１７０に連続的に形成されている。他方のスリット１９６ｂは環状部１５４のフランジ部１７４の基端１７４ａに連続的に形成されている。ここでは、スリット１９６ａ，１９６ｂ同士は、長手軸Ｌに沿って形成されている。スリット１９６ａ，１９６ｂ間は連通しておらず、連結部１９６ｃが形成されている。このため、環状部１５４の嵌合部１７２は、環状である。なお、係止凹部１９２は連結部１９６ｃに対して長手軸Ｌに対して周方向に略９０°離れた位置に形成されている。ガイド突部１９４は連結部１９６ｃに対して長手軸Ｌに対して、係止凹部１９２とは反対側の周方向に略９０°離れた位置に形成されている。このため、脆弱部１９６は、ガイド突部１９４、係止凹部１９２からそれぞれ中心軸Ｃに対して周方向に略９０°程度離れた位置にあることが好ましい。すなわち、ガイド突部１９４は、長手軸Ｌを中心として係止凹部１９２に対して周方向位置が異なっている。後述するが、ガイド突部１９４に対して脆弱部１９６は９０°を超えるように離され、ガイド突部１９４と脆弱部１９６との間よりも、脆弱部１９６と係止凹部１９２との間の方が近接した位置にあることが更に好ましい。

なお、脆弱部１９６にはスリット１９６ａ，１９６ｂが形成されていることにより、環状部１５４を構成する肉部分は、連結部１９６ｃの部分にしか確保されていない。そのため、環状部１５４に外部からの応力を加えると、連結部１９６ｃに応力が集中し、連結部１９６ｃが環状部１５４の他の部分よりも容易に機械的に破壊される。つまり、脆弱部１９６は、スリット１９６ａ，１９６ｂ及び連結部１９６ｃを含む脆弱部全体として、環状部１５４の他の部分よりも機械的強度が低くなっている。

この実施形態では、脆弱部１９６は先端構成部７２の第１凸部８４の配設面８４ａでなく、牽引部材５４の移動空間９５の上に配置されるように形成されることが好ましい。基端側のスリット１９６ｂは、環状部１５４が弾性変形するのに寄与する。すなわち、係止凹部１９２が係止ピン７４に係止する際に、フランジ部１７４を弾性変形させる。

図７Ａから図８Ａに示すように、カバー１４の内周面１４６のうち、開口縁１５６に対向する位置には、開口縁１５６に向かって突出する凸部１９８が形成されている。凸部１９８は内周面１４６の他の部位よりも肉厚があり、長手軸Ｌに平行に適宜の長さに形成されている。凸部１９８は、起上台６２の回動軸６６を先端構成部７２の支持部８８に向かって押圧可能である。なお、凸部１９８の基端は、段差がなく、又は小さく、カバー１４の内周面１４６ａに対して滑らかに連続していることが好ましい。このため、先端構成部７２に対してカバー１４を装着しようとする際に、凸部１９８が第２凸部８６の先端等に引っ掛けられることを防止することができる。

壁１４４は、開口縁１５６に設けられている。本実施形態では、壁１４４は、カバー本体１４２の第１構造体１４２ａの右側縁部１６２に一体化されている。壁１４４は、開口縁１５６から、開口縁１５６に対向する第１構造体１４２ａの内周面１４６ａに向かって延出されている。壁１４４は、起上台６２とチューブ５５との間に配設される。壁１４４は、起上台６２とチューブ５５との間の干渉を防止できればよい。このため、壁１４４は、右側縁部１６２のうち、基端から先端まで形成されている必要はない。壁１４４は、先端構成部７２の空間８５及び空間８７に配設されていることが好ましい。

なお、壁１４４及びチューブ５５は、壁１４４にチューブ５５が接触したときに、壁１４４とチューブ５５との間の摩擦を最小限に抑制することが可能な形状又は素材が適宜に選択される。

次に、この実施形態に係る内視鏡１０の作用について説明する。

図８Ａ及び図８Ｂに示すように、カバー１４は、第１構造体１４２ａと第２構造体１４２ｂとを組み合わせておくことが好ましい。そして、図８Ａ及び図８Ｂに示す状態から、図９Ａから図９Ｃに示す状態に、内視鏡本体１２の挿入部２２の先端部３２に対して、長手軸Ｌの周方向の向きを規定して先端カバー１４を装着する。このとき、図８Ｂ及び図９Ｂに示すように、先端構成部７２の凹部（ガイド溝）８４ｄに対して、カバー１４のガイド突部１９４を嵌合させて、長手軸Ｌに沿って移動させる。このため、先端構成部７２に対して、カバー１４の周方向の位置ズレが防止される。

そして、先端部３２に対してカバー１４を装着する際、図８Ａに示す先端構成部７２の係止ピン７４に対して、カバー１４の第２構造体１４２ｂの嵌合部１８６のスカート部１８６ａ、第１構造体１４２ａの環状部１５４のスカート部１７４ａが順に当接される。このとき、環状部１５４はスリット１９６ｂにより弾性変形する。このため、係止ピン７４に対して、係止凹部１９２が係合する。そして、先端部３２に対して、カバー１４の軸方向及び周方向の位置ズレが防止される。

なお、壁１４４の基端側縁部１４４ｂは、先端カバー１４を内視鏡本体１２の先端部３２に装着したときに、先端構成部７２の基部８２の先端８２ａに当接し得る。このため、壁１４４の基端側縁部１４４ｂは、先端構成部７２に対する先端カバー１４の軸方向の位置決めに用いられ得る。

先端部３２に対してカバー１４が位置ズレが防止された状態で装着されるのに伴って、図８Ａに示すカバー１４の内周面１４６ａの凸部１９８は、起上部５２の回動軸６６を先端構成部７２の支持部８８に向かって押圧する。凸部１９８は内周面１４６ａから開口縁１５６に向かって突出している。そして、凸部１９８は他の部位よりも肉厚がある。このため、図１０Ａから図１０Ｃに示すように、カバー１４の第１構造体１４２ａは凸部１９８の他の部位が薄肉に形成されていても、凸部１９８により、起上部５２の重力を含む外力に抗して、先端構成部７２の支持部８８から起上部５２の回動軸６６が脱落するのを防止している。このため、起上部５２の回動軸６６は、先端構成部７２の支持部８８に回動可能に支持された状態が維持される。すなわち、カバー１４が先端部３２の先端構成部７２の外側に装着されたとき、起上部５２の回動軸６６は、壁１４４がチューブ５５と起上台６２との間に設けられるのにしたがって先端構成部７２に対して先端カバー１４の内周面で位置決めされる。

凸部１９８は長手軸Ｌに沿って適宜の長さに形成されている。凸部１９８には、支持部８８が当接される。このため、カバー１４の凸部１９８、起上部５２の回動軸６６及び先端構成部７２の支持部８８の間に汚物等が入り込むのが極力防止されている。

図９Ａから図１０Ｄに示すように、内視鏡本体１２の先端部３２に対してカバー１４が位置ズレが防止された状態で装着されるのに伴って、壁１４４は、先端構成部７２の先端側から、空間８５及び空間８７の順に挿入される。このとき、起上台６２は倒置位置にあり、先端構成部７２に対してカバー１４が周方向への位置ズレが防止されている。このため、壁１４４が起上台６２及びチューブ５５に接触することが防止されている。すなわち、壁１４４は、起上台６２及びチューブ５５に干渉することが防止されている。そして、壁１４４は、起上台６２とチューブ５５との間に配設される。

カバー１４は、先端構成部７２の基部８２の外周面を覆っているとともに、第１凸部８４の外周面８４ｃ及び第２凸部８６の外周面８６ｃを覆っている。カバー１４の開口縁１５６は、照明光学系４２の照明窓４２ａ及び観察光学系４４の観察窓４４ａを内視鏡１０の外側に向けて露出させている。また、カバー１４の開口縁１５６は、起上台６２が配設された空間８５を内視鏡１０の外側に向けて露出させている。カバー１４の内周面１４６ａ及び先端構成部７２は、空間８５、空間８７及び空間９５を規定し、カバー１４の内周面１４６と協働して、牽引部材５４及び弾性部材１１２の移動可能領域を規定する。

このとき、図９Ｃ及び図１０Ｄに示すように、カバー１４の開口縁１５６に対して、照明窓４２ａ、観察窓４４ａ及びノズル４５が露出しているとともに、起上台６２が適宜の範囲を揺動可能に露出している。そして、図示しない処置具が起上台６２により案内されて起上台６２の先端に対して突出したとき、開口縁１５６の凹部１６４により、カバー１４に対して処置具が干渉するのを防止することができる。なお、起上台６２とカバー１４との間には、隙間が形成されている。そして、起上台６２を揺動させても、起上台６２とカバー１４との間は、隙間量は変動するものの、隙間の存在は維持される。このため、起上台６２がカバー１４により動きが妨げられるのを防止している。

そして、図１に示す操作部２４に支持されたレバー５６を操作すると、牽引部材５４を介して、先端構成部７２に支持された起上部５２が連動して動く。レバー５６を最も押し上げた状態（第１位置）で起上部５２が図１０Ａに示す倒置位置に配置される。このとき、牽引部材５４に対する牽引力が解除されて牽引部材５４が最も先端側に移動している。レバー５６を押し下げるにしたがって牽引部材５４が基端側に向かって牽引されて、起上部５２が先端構成部７２の支持部８８に支持された回動軸６６を支点として回動する。このとき、レバー５６を最も押し下げた状態（第２位置）で起上部５２が図１０Ｂに示す起上位置に配置される。

図１に示すレバー５６を第１位置に配置して、起上部５２を図１０Ａに示す倒置位置に配置する。このとき、牽引部材５４の外側のチューブ５５の弾性部材１１２は、自然長である。このとき、チューブ５５の弾性部材１１２には皺が生じていない。又は、チューブ５５の弾性部材１１２の皺は、最も延ばされている。

図１に示すレバー５６を第２位置に配置して、起上部５２を図１０Ｂに示す起上位置に配置する。チューブ５５の一端５５ａは先端構成部７２に対して移動可能であるが、他端５５ｂは先端構成部７２に対して嵌合された状態で固定されているため、移動することができない。このため、レバー５６の操作により牽引部材５４を牽引して起上部５２を倒置位置から起上位置に移動させたとき、チューブ５５の一端５５ａが他端５５ｂに向かって移動する。このとき、チューブ５５の弾性部材１１２には自然長から弾性部材１１２の中心軸Ｃに沿って縮む圧縮力が付加される。このため、起上部５２が起上位置にある場合、チューブ５５の弾性部材１１２には皺が形成される。

ここで、弾性部材１１２は、先端側部位１１２ａの方が、基端側部位１１２ｂよりも弾性部材１１２の中心軸Ｃに沿う方向（長さ方向）に圧縮する変形を起こし易く形成されている。このため、弾性部材１１２は、先端側部位１１２ａが大きく変形し、基端側部位１１２ｂは先端側部位１１２ａに比べて変形量が小さい。弾性部材１１２に対して自然長から縮む圧縮力が負荷されると、基端側部位１１２ｂは、一例として、図１０Ａに示す真っ直ぐの状態から、図１０Ｂに示すように弾性部材１１２の内径及び外径を維持した状態で、波型に変形される。基端側部位１１２ｂは波型に変形するが、皺が形成される変形には至らない。先端側部位１１２ａは、図１０Ａに示す状態から、図１０Ｂに示すように弾性部材１１２の内径及び外径を維持することなく、複数の皺が形成される。このため、チューブ５５の弾性部材１１２は、先端側部位１１２ａが基端側部位１１２ｂに対して牽引部材５４及びチューブ５５の弾性部材１１２の中心軸Ｃに沿って圧縮して連なる皺が生じる変形を起こし易い。すなわち、チューブ５５の弾性部材１１２は、第１筒状面９２の先端開口９２ａと起上部５２との間に配設される部位である先端側部位１１２ａが、通路９４の先端９４ａとチャンネル孔９２の先端開口９２ａとの間に配設される部位である基端側部位１１２ｂよりも、チューブ５５の中心軸Ｃに沿って圧縮して連なる皺が生じる変形を起こし易い。したがって、弾性部材１１２に形成される皺は、主に先端側部位１１２ａに形成され、基端側部位１１２ｂに形成されるのが抑制される。

図１０Ｂに示すように、皺は主に空間８７（図４Ｂ参照）で形成される。このとき、壁１４４は、空間８７を含む位置で、起上台６２とチューブ５５との間に配設されている。壁１４４は、起上台６２に対向する側とは反対側の面で、皺が形成されたチューブ５５の弾性部材１１２の先端側部位１１２ａと接触することが有り得る。この場合であっても、皺が形成されたチューブ５５の先端側部位１１２ａが、起上台６２に接触することが壁１４４の存在によって防止されている。このため、壁１４４によって、チューブ５５が起上台６２に干渉することが防止されている。

内視鏡１０の使用時、起上台６２の案内路６２ａは、倒置位置（図１０Ａ、図３Ａ及び図３Ｂ参照）と起上位置（図１０Ｂ、図４Ａ及び図４Ｂ参照）との間の動作によって、処置具の先端の向きを、挿入部２２の長手軸Ｌに沿った方向から外れる方向に変える。このとき、処置具には案内路６２ａから反力を受けるだけでなく、重力等の外力も負荷される。このため、起上台６２の案内路６２ａから処置具が外れようとすることがある。この場合であっても、壁１４４により、処置具がチューブ５５に接触するのを防止する。このため、チューブ５５が起上台６２及び／又は処置具に接触し得る状態のときよりも、チューブ５５の寿命を延ばすことができる。

チューブ５５の弾性部材１１２の外周面がカバー１４の壁１４４に接触した状態でチューブ５５が移動されると、チューブ５５の弾性部材１１２の外周面とカバー１４の壁１４４との間に摩擦が生じる。このとき、チューブ５５の弾性部材１１２の外周面とカバー１４の壁１４４との間は、摩擦が最小限に抑制される形状に形成され、かつ、素材が選択されている。このため、チューブ５５の弾性部材１１２の外周面とカバー１４の壁１４４との間に発生する摩擦は最小限に抑制される。

なお、チューブ５５の弾性部材１１２の先端側部位１１２ａに複数の皺が形成されると、牽引部材５４の外周面が、弾性部材１１２の先端側部位１１２ａの内周面に接触し易くなる。しかしながら、チューブ５５の弾性部材１１２に対する牽引部材５４の移動量は、弾性部材１１２の先端（チューブ５５の一端５５ａ）に近づくほど小さい。このため、牽引部材５４の外周面と弾性部材１１２の先端側部位１１２ａの内周面との間に発生する摩擦は最小限に抑制される。

上述したように、チューブ５５の弾性部材１１２の基端側部位１１２ｂは、長手軸Ｌに沿って、通路９４の先端９４ａと第１筒状面（チャンネル孔）９２の先端開口９２ａとの間に配置されている。すなわち、チューブ５５の弾性部材１１２の基端側部位１１２ｂは、基端側部位１１２ｂの変形を許容し、先端カバー１４の内周面１４６との間に形成される適宜の空間９５に配置されている。チューブ５５の弾性部材１１２の基端側部位１１２ｂは、長さ方向に圧縮する変形が抑制されている。このため、チューブ５５の弾性部材１１２の基端側部位１１２ｂは、例えば波型に変形される。このため、基端側部位１１２ｂが第１壁面１０２ａ、第２壁面１０２ｂ及び先端カバー１４の内周面１４６に接触するのが防止されている。したがって、弾性部材１１２の基端側部位１１２ｂの変形は、空間９５の範囲内に抑えられる。チューブ５５の弾性部材１１２の基端側部位１１２ｂの変形が抑制されているため、基端側部位１１２ｂが変形したとしても先端カバー１４の内周面１４６に接触するのが防止されている。

また、起上部５２に対する牽引部材５４の移動量は一端５５ａから他端５５ｂに近づくほど大きくなるが、基端側部位１１２ｂの内周面と牽引部材５４との間のクリアランスは適宜に維持される。このため、牽引部材５４の外周面と、弾性部材１１２の基端側部位１１２ｂの内周面との間に発生する摩擦は最小限に抑制される。

空間９５を形成する第２筒状面９４の先端側の第１壁面１０２ａの位置よりも、空間８７を形成する第２凸部８６の延出面８６ｄの方が、図１０Ｂ中の紙面の下側にある。また、空間９５を形成する第２筒状面９４の先端側の第２壁面１０２ｂの位置よりも、空間８７を形成する第１凸部８４の規定面８４ｂの方が、図４Ｂ中の紙面の右側にある。このため、空間９５よりも空間８７の方が上下方向及び幅方向に大きく形成されている。図１０Ｂ（図４Ｂ）に示すように、チューブ５５の弾性部材１１２の先端側部位１１２ａに皺が形成される部分の、弾性部材１１２の中心軸（長手軸）Ｃに沿う方向の長さＬａは、基端側部位１１２ｂが変形される部分の、弾性部材１１２の中心軸（長手軸）Ｃに沿う方向の長さＬｂに比べて短い。このため、チューブ５５の弾性部材１１２の先端側部位１１２ａが皺を形成する場合に上下方向及び幅方向に膨出されても、弾性部材１１２の先端側部位１１２ａは、空間８７の範囲内に抑えられる。そして、チューブ５５の弾性部材１１２の先端側部位１１２ａが複数の皺を形成する状態に変形されても、変形された先端側部位１１２ａが先端構成部７２の第１凸部８４、第２凸部８６、及び先端カバー１４の内周面１４６に接触するのが防止されている。

なお、チューブ５５は、素材の調整等により、中心軸Ｃに沿って圧縮力を加えたとき、図１０Ｂに示す例とは異なり、図１１に示すように、先端側部位１１２ａと基端側部位１１２ｂとの間が略均一的に波型に変形するように形成することができる。この場合、チューブ５５の先端側部位１１２ａに皺が形成されるよりも変形させたときの最大外径を小さくすることができる。このため、起上部５２を起上位置に配置したときにチューブ５５が全体的に波型に変形される場合であっても、壁１４４によって、チューブ５５が起上台６２に干渉することが防止されている。

レバー５６により牽引部材５４の牽引を解放して起上部５２を起上位置から倒置位置に移動させたとき、チューブ５５の一端５５ａが他端５５ｂから弾性部材１１２の中心軸Ｃに沿って離れる方向に移動する。このとき、チューブ５５の弾性部材１１２に対する圧縮力（縮み）は次第に解除され、自然長に戻される。

内視鏡１０の使用後、内視鏡本体１２の先端部３２に対して先端カバー１４を取り外す。この場合、内視鏡本体１２の先端部３２に対して、先端カバー１４の開口縁１５６の右側縁部１６２を、長手軸Ｌ及び中心軸Ｃに対して左側縁部１６８からの距離を大きくするように押圧する。先端構成部７２の凹部（ガイド溝）８４ｄに対してカバー１４の突部１９４が嵌合しているため、先端部３２に対してカバー１４が長手軸Ｌの軸周りに移動することが抑制されている。このため、カバー１４に負荷がかけられると、突部１９４から離れた脆弱部１９６の連結部１９６ｃが破壊される。また、連結部１９６ｃが破壊されるのにしたがって、カバー１４の係止凹部１９２と先端部３２の係止ピン７４との係合が外される。

連結部１９６ｃが破壊されるのに伴って、壁１４４は、チューブ５５及び牽引部材５４を先端構成部７２の第１凸部８４の規定面（平面）８４ｂから離隔させるように負荷をかけるおそれがある。壁１４４は第１構造体１４２ａと一体化された薄肉の樹脂材で形成されている。このため、壁１４４がチューブ５５及び／又は牽引部材５４に対し、破損させるような負荷をかけることは防止されている。

そして、先端部３２に対して先端カバー１４を長手軸Ｌに沿って先端側に移動させて、先端構成部７２の凹部（ガイド溝）８４ｄに対するカバー１４の突部１９４の嵌合を解除して、先端部３２からカバー１４を取り外す。

なお、カバー１４が先端部３２の先端構成部７２外側から取り外されて壁１４４がチューブ５５と起上部５２との間から出されるのに伴って、カバー１４の内周面１４６の凸部１９８での起上部５２の回動軸６６の支持が解除される。このため、起上部５２の回動軸６６は先端構成部７２に対する位置決めが解除される。

取り外したカバー１４は廃棄される。内視鏡本体１２は洗浄される。内視鏡本体１２の先端部３２を洗浄する場合、適宜にブラシ等を用いて洗浄する。このとき、先端構成部７２の支持部８８に対する起上部５２の回動軸６６の嵌合を外すことができる。このため、起上部５２が支持される支持部８８も容易に洗浄される。その後、内視鏡本体１２は、消毒、滅菌されて再利用される。

以上説明したように、本実施形態に係る内視鏡１０によれば、以下のことが言える。

内視鏡１０の先端カバー１４に、牽引部材５４を内側に配置したチューブ５５と起上部５２との間に設けられる壁１４４を形成している。このため、本実施形態によれば、牽引部材５４の移動に伴って起上部５２を動作させても、牽引部材５４の外側のチューブ５５が起上部５２に接触するのを抑制することが可能な内視鏡１０用の先端カバー１４、及び、内視鏡１０を提供することができる。また、本実施形態によれば、起上部５２を動作させて起上部５２の動作に伴って処置具を移動させても、牽引部材５４の外側のチューブ５５が起上部５２及び処置具に接触するのを抑制することが可能な内視鏡１０用の先端カバー１４、及び、内視鏡１０を提供することができる。

内視鏡１０の使用時は、起上台６２とチューブ５５との間に壁１４４が設けられている。このため、壁１４４により、汚物等がカバー１４の開口縁１５６を通して起上台６２からチューブ５５に向かって入り込むのを抑制することができる。一方、先端部３２からカバー１４を取り外すと、壁１４４は先端部３２から除去される。このため、先端部３２の起上機構４８の起上部５２及びその近傍を容易に洗浄することができる。したがって、カバー１４の本体１４２に設けられた壁１４４は、内視鏡本体１２の先端部３２のブラシ等を用いた洗浄性に影響を及ぼすのを防止することができる。

チューブ５５は、先端側部位１１２ａが基端側部位１１２ｂに比べて変形し易いことが好ましい。起上部５２を起上させたときにチューブ５５の先端側部位１１２ａと起上台６２との間に壁１４４を配置しているため、チューブ５５の変形した先端側部位１１２ａが起上台６２に接触するのを防止することができる。

なお、起上台６２が起上位置に移動され、第２凸部８６の規定面８６ａに形成された突起８６ｅに起上台６２が当接されるとき、本実施形態に係る壁１４４の先端側縁部１４４ａは、起上台６２に近接又は当接されてもよい。このとき、壁１４４の先端側縁部１４４ａは、起上台６２が起上する最大位置を規定することができる。

次に、先端カバー１４の第１変形例について、図１２を用いて説明する。
図１２に示すように、右側縁部１６２と壁１４４との間には、脆弱部２０２が形成されている。上述したように、内視鏡本体１２の挿入部２２の先端部３２からカバー１４を取り外す場合、壁１４４は、チューブ５５及び牽引部材５４を、起上台６２から離す方向に押圧する。この場合、チューブ５５及び牽引部材５４に負荷がかけられるおそれがある。壁１４４は、脆弱部２０２によって、先端カバー１４の第１構造体１４２ａが、内視鏡本体１２から取り外される際に、チューブ５５（及びチューブ５５の内側に配設された牽引部材（長尺部材）５４）から受ける圧力により曲げられる。このため、壁１４４がチューブ５５（及び牽引部材５４）から反力を受けると、壁１４４は、脆弱部２０２で壁１４４による負荷を抑制するように変形、又は、破壊される。このため、内視鏡本体１２の挿入部２２の先端部３２からカバー１４を取り外す際に、壁１４４でチューブ５５及び牽引部材５４に負荷をかけるのを極力抑制することができる。

次に、先端カバー１４の第２変形例について、図１３を用いて説明する。
図１３に示すように、壁１４４は、第１構造体１４２ａとは別体のゴム材で開口縁１５６の右側縁部１６２に固定されている。上述したように、内視鏡本体１２の挿入部２２の先端部３２からカバー１４を取り外す場合、壁１４４は、チューブ５５及び牽引部材５４を、起上台６２から離す方向に押圧する。この場合、チューブ５５及び牽引部材５４に負荷がかけられるおそれがある。しかしながら、壁１４４がチューブ５５及び牽引部材５４から反力を受けると、ゴム材製の壁１４４は壁１４４による負荷を抑制するように変形される。このため、内視鏡本体１２の挿入部２２の先端部３２からカバー１４を取り外す際に、壁１４４でチューブ５５及び牽引部材５４に負荷をかけるのを極力抑制することができる。すなわち、本変形例に係るゴム材製の壁１４４は、第１構造体（カバー本体）１４２ａが先端構成部７２の外側から取り外される際にチューブ５５及び牽引部材５４により変形される変形部として用いられる。

次に、先端カバー１４の第３変形例について、図１４を用いて説明する。
図１４に示すように、壁１４４は、第２構造体１４２ｂに対して、アーム２０４を介して一体化されている。すなわち、壁１４４は、第２構造体１４２ｂの先端に形成されている。壁１４４は、第１構造体１４２ａの開口縁１５６の右側縁部１６２に当接されていることが好適である。上述したように、内視鏡本体１２の挿入部２２の先端部３２からカバー１４を取り外す場合、壁１４４は、チューブ５５及び牽引部材５４を、起上台６２から離す方向に押圧する。この場合、チューブ５５及び牽引部材５４に負荷がかけられるおそれがある。しかしながら、壁１４４がチューブ５５及び牽引部材５４から反力を受けると、ゴム材製の壁１４４は壁１４４による負荷を抑制するように変形される。このため、内視鏡本体１２の挿入部２２の先端部３２からカバー１４を取り外す際に、壁１４４でチューブ５５及び牽引部材５４に負荷をかけるのを極力抑制することができる。すなわち、本変形例に係るゴム材製の壁１４４は、第１構造体（カバー本体）１４２ａが先端構成部７２の外側から取り外される際にチューブ５５及び牽引部材５４により変形される変形部として用いられる。

次に、先端カバー１４の第４変形例について、図１５を用いて説明する。
図１５に示す先端カバー１４は、壁１４４が、第１構造体１４２ａの開口縁１５６のうち、右側縁部１６２でなく、基端側縁部１７０に一体化されている。壁１４４は特に脆弱部１９６よりも、左側縁部１６８に近接した位置から延出されている。壁１４４は、アーム２０６により、上述した第１実施形態で説明したのと同様に、チューブ５５と起上台６２との間に設けられる。ここでは、脆弱部１９６に連続して壁１４４が形成されている。
上述したように、挿入部２２の先端部３２に対してカバー１４を取り外す際、開口縁１５６の右側縁部１６２を左側縁部１６８に対して離隔させることで、脆弱部１９６が破壊される。このとき、アーム２０６は、基端側縁部１７０のうち、脆弱部１９６よりも左側縁部１６８に近接する位置にある。このため、脆弱部１９６が破壊される際に、壁１４４が一緒に移動することが防止されている。すなわち、壁１４４でチューブ５５及び牽引部材５４に負荷をかけることを防止することができる。

次に、先端カバー１４の第５変形例について、図１６Ａ及び図１６Ｂを用いて説明する。
図１６Ａ及び図１６Ｂに示す先端カバー１４は、第１構造体１４２ａと第２構造体１４２ｂとが一体化された例である。すなわち、カバー１４は、必ずしも複数の部材が組み合わせられて構成される必要はない。このように、カバー１４は、１つの部材で形成されていても良く、２つなど、複数の部材で形成されていてもよい。

次に、先端カバー１４の第６変形例について、図１７を用いて説明する。
図１７に示す先端カバー１４は、壁１４４の形状が上述した例とは異なっている。ここでは、壁１４４の先端が、倒置位置での起上部５２の連結部６４に近接する位置にある。すなわち、壁１４４は、起上部５２に干渉しない状態であれば、空間８７だけでなく、空間８５に配設されて、チューブ５５と起上台６２との間の干渉を防止することも好適である。
このように、壁１４４は、起上部５２の連結部６４の動作に干渉しない形状であれば、適宜に設定される。例えば、壁１４４は、カバー１４の開口縁１５６から第２凸部８６の延出面８６ｄに向かって延出された、壁１４４の縁部１４４ｃが延出面８６ｄに当接又は近接可能であってもよい。壁１４４は、起上台６２の案内路６２ａから処置具がはみ出し易い位置に形成されていてもよい。このため、壁１４４の大きさや形状は、適宜に設定される。

次に、先端カバー１４の第７変形例について、図１８を用いて説明する。
図１８に示す先端カバー１４は、壁１４４の形状が上述した例とは異なっている。壁１４４は、平面ではない。壁１４４の基端１４４ｂは基部８２の先端８２ａに近接した位置で、起上台６２の基端側部位の上方にある。図１８に示すように、壁１４４の変位部２０８よりも基端側が、起上台６２が配設される空間８５（図３Ａから図４Ｂ参照）上に配設されている。なお、壁１４４の変位部２０８の代わりに、曲面として形成されて壁１４４の基端側が、起上台６２が配設される空間８５上に配設されていてもよい。このため、壁１４４の変位部２０８よりも基端側の部位と、起上台６２の起上により皺が形成されたチューブ５５の先端側部位１１２ａとの接触を極力避けることができる。

なお、変形例を含む第１実施形態では、チューブ５５の先端５５ａが起上部５２に接続されている例について説明した。図１９に示すように、チューブ５５の先端５５ａが符号５５ｃで示す接着剤等により、牽引部材５４に水密に接続されていることも好適である。

次に、第２実施形態について、図２０Ａから図２１Ｂを用いて説明する。この実施形態は各変形例を含む第１実施形態の変形例であって、第１実施形態で説明した部材と同一の部材又は同一の機能を有する部材には極力同一の符号を付し、詳しい説明を省略する。

ここでは、図２０Ａから図２１Ｂに示すように、内視鏡本体１２の先端構成部７２に壁２４４が形成されている例について説明する。すなわち、壁２４４は、先端構成部７２と同じ素材（例えばステンレス鋼材）により形成されている。このため、本実施形態に係る内視鏡１０の先端カバー２１４には、図２０Ｂに示すように、壁１４４（図７Ｂ及び図１０Ｃ参照）が形成されている必要はない。ここでの先端カバー２１４は、例えば図７Ｂ及び図１０Ｃに示す先端カバー１４に壁１４４が形成されていないだけである。

壁２４４は、第１筒状面（第１開口縁部）９２の先端開口９２ａよりも長手軸Ｌに沿って先端側で先端構成部７２に設けられている。壁２４４は、先端構成部７２のうち例えば第２凸部８６の延出面８６ｄに形成されている。壁２４４は、第２凸部８６の延出面８６ｄから、空間８７に向かって延出されている。このため、壁２４４は、カバー２１４の開口縁１５６に向かって延出されている。

壁２４４は、第１実施形態で説明した先端カバー１４の壁１４４と同様に、チューブ５５と起上部５２との間に設けられる。なお、図２１Ｂに示すように、壁２４４の長手軸Ｌに沿う先端は、起上台６２が起上位置に配置されたときに、起上部５２の連結部６４に接触しない位置にある。

図２０Ａから図２１Ｂに示すように、壁２４４のうち、起上台６２に対向する側は、起上台６２の移動方向を規定する規定面（平面）８４ｂに平行な面として形成されていることが好ましい。壁２４４のうち、チューブ５５及び牽引部材５４に対向する側は、規定面８４ｂに平行な面を有していることが好適である。壁２４４のうち、チューブ５５及び牽引部材５４に対向する側は、チューブ５５及び牽引部材５４に向かって突出する凸状であっても良く、チューブ５５及び牽引部材５４に対して変形を許容する凹状であってもよい。なお、壁２４４のうち、チューブ５５に当接又は近接する面には、例えばフッ素コーティングされているなど、チューブ５５に対する滑り性を向上させるように形成されていることが好ましい。

本実施形態に係る内視鏡１０によれば、以下のことが言える。
内視鏡１０の先端構成部７２に、牽引部材５４を内側に配置したチューブ５５と起上部５２との間に設けられる壁２４４を形成している。このため、本実施形態によれば、牽引部材５４の移動に伴って起上部５２を動作させても、牽引部材５４の外側のチューブ５５が起上部５２に接触するのを抑制することが可能な内視鏡１０を提供することができる。また、本実施形態によれば、起上部５２を動作させて起上部５２の動作に伴って処置具を移動させても、牽引部材５４の外側のチューブ５５が起上部５２及び処置具に接触するのを抑制することが可能な内視鏡１０用の先端カバー１４、及び、内視鏡１０を提供することができる。

図２１Ｂ中のチューブ５５は、起上台６２が起上位置にあるときに図１０Ｂ、図４Ａ及び図４Ｂに示すものとは異なり、波型に形成されている。この場合、チューブ５５として第１実施形態で説明した弾性部材１１２を用いるものよりも、変形量が少ない。このため、起上部５２を起上させたときにチューブ５５と起上台６２との間に壁２４４を配置しているため、チューブ５５の変形した部位が起上台６２に接触するのを防止することができる。

チューブ５５は、第１実施形態で説明した弾性部材１１２を用いてもよい。この場合、起上部５２を起上させたときにチューブ５５の先端側部位１１２ａと起上台６２との間に壁２４４を配置しているため、チューブ５５の変形した先端側部位１１２ａが起上台６２に接触するのを防止することができる。

次に、内視鏡１０の第１変形例について、図２２を用いて説明する。
図２２に示す先端構成部７２に設けられた壁２４４の形状は、上述した例とは異なっている。壁２４４は、平面ではない。壁２４４の基端２４４ｂは基部８２の先端８２ａに近接した位置で、起上台６２の基端側部位の上方にある。図２２に示すように、壁２４４の変位部２０８よりも基端側が、起上台６２が配設される空間８５（図３Ａから図４Ｂ参照）上に配設されている。なお、曲面として形成されて壁２４４の基端側が、起上台６２が配設される空間８５上に配設されていてもよい。チューブ５５として弾性部材１１２を用いる場合、起上台６２を起上位置に配置する際、チューブ５５の先端側部位１１２ａに皺が形成される。この場合であっても、壁２４４の変位部２０８よりも基端側の部位と、起上台６２の起上により皺が形成されたチューブ５５の先端側部位１１２ａとの接触を極力避けることができる。

次に、内視鏡１０の第２変形例について、図２３Ａから図２６Ｂを用いて説明する。
ここでは、図２３Ａから図２４Ｂに示すように、内視鏡本体１２の先端構成部７２に壁３４４が形成されている例について説明する。このため、図２３Ｂ及び図２４Ａに示すように、先端カバー２１４には壁１４４（図７Ａから図７Ｃ参照）が形成されている必要はない。

図２３Ａに示すように、壁３４４は、例えば先端構成部７２の基部８２の第２壁面（側面）１０２ｂに連続して長手軸Ｌに沿って先端側に向かって延びている。すなわち、壁３４４は、先端構成部７２と同じ素材（例えばステンレス鋼材）により形成され、先端構成部７２の基部８２の先端８２ａから長手軸Ｌに沿って先端側に向かって延びている。壁３４４は、起上部５２の起上台６２が配設される空間８５と、牽引部材５４及びチューブ５５が配設される空間８７とを仕切るように設けられている。壁３４４のうち、チューブ５５に当接又は近接する面には、例えばフッ素コーティングされているなど、チューブ５５に対する滑り性を向上させるように形成されていることが好ましい。

先端カバー２１４の閉塞部１５２の内周面には、先端側嵌合受部２１６が形成されている。壁３４４の先端３４４ａは先端カバー２１４の先端側嵌合受部２１６に嵌合されている。図２３Ｂに示すように、先端カバー２１４の右側縁部１６２には、右側嵌合受部２１８が形成されている。右側嵌合受部２１８は先端側嵌合受部２１６に連続していることが好ましい。そして、図２４Ａに示すように、壁３４４の縁部は、先端３４４ａだけでなく、開口縁１５６に近接する部位も、カバー２１４に支持されていることが好ましい。

図２５に示すように、起上部５２は、処置具の案内路６２ａを有する起上台６２と、起上台６２に連結された連結部６４とを有する。

起上台６２は、案内路６２ａを有する起上台本体３６２と、本体から略Ｌ字状に延出された嵌合アーム３６４とを有する。嵌合アーム３６４は起上台本体３６２の基端から長手軸Ｌに直交するとともに観察方向に直交する回動軸３７２と、回動軸３７２に直交するアーム部３７４とを有する。回動軸３７２は、起上台本体３６２に設けられている。アーム部３７４の基端には、回動軸３７２が一体化されている。回動軸３７２は、壁３４４の後述する支持部３８２に回動可能に支持される円形ロッド状である。アーム部３７４の先端には、連結部６４を支持する支持部３７６が設けられている。アーム部３７４の基端（回動軸３７２）と先端（支持部３７６）との間には、長手軸Ｌに直交するとともに観察方向に直交する方向に貫通する貫通孔３７８が形成されている。

図２４Ａから図２４Ｃ、及び、図２６Ａに示すように、壁３４４のうち、第１凸部８４の規定面８４ｂに対向する面に対する裏面には、凹溝３８０が形成されている。また、図２４Ａ、図２４Ｂ、図２４Ｄ、及び、図２６Ａに示すように、壁３４４のうち、カバー２１４の右側縁部１６２の右側嵌合受部２１８に当接される位置と反対側の縁部には、回動軸３７２を回動中心として支持する支持部３８２が形成されている。ここでは、支持部３８２は略Ｕ字状に形成されている。凹溝３８０は、支持部３８２に支持された嵌合アーム３６４の回動軸３７２を中心として、円弧を描く位置に設けられている。

図２３Ａから図２４Ｄに示すように、空間８５に起上台本体３６２が配設されるとともに、支持部３８２に回動軸３７２が配設される。アーム部３７４は、空間８７に配設される。そして、貫通孔３７８にピン３７８ａを配置する。ピン３７８ａは、回動軸３７２から離間した位置に回動軸３７２と平行に設けられている。ピン３７８ａの一端は、凹溝３８０に当接されている。このため、先端部３２にカバー２１４が配設されていなくても、起上台６２の回動軸３７２が壁３４４の支持部３８２から脱落することが防止されている。すなわち、ピン３７８ａの一端が凹溝３８０に配設されているとき、凹溝３８０及びピン３７８ａは、支持部３８２で嵌合アーム３６４の回動軸３７２を支持した状態を維持する。

なお、図２４Ａに示すように、起上台６２が倒置位置にあるとき、ピン３７８ａの一端は凹溝３８０の一端３８０ａに近接又は当接される。図２４Ｂに示すように、起上台６２が起上位置にあるとき、ピン３７８ａの一端は凹溝３８０の他端３８０ｂに近接又は当接される。

そして、先端部３２の外側にはカバー２１４が取り付けられる。図２６Ａ及び図２６Ｂに示すように、カバー２１４の内周面１４６の凸部１９８には、円弧状の凹部３９２ａを有する凸部３９２が形成されている。図２４Ｄに示すように、凹部３９２ａは、回動軸３７２を支持する。このとき、凹部３９２ａは、支持部３８２と協働して、略円環状に回動軸３７２を支持する。このため、カバー２１４の凹部３９２ａ、起上台６２の回動軸３７２及び壁３４４の支持部３８２によって、起上台本体３６２から回動軸３７２を通して、アーム部３７４に向かって液体が移動する隙間を極力小さくし、液体の移動を抑制している。このため、空間８５から空間８７に体液等が移動することが極力抑制されている。

なお、凸部３９２の凹部３９２ａを第１実施形態で説明した回動軸６６及び支持部８８に嵌合させてもよい。この場合、起上台６２の側から、第２凸部８６の外周面８６ｃに向かって液体等が移動することが極力抑制される。

図２３Ａから図２４Ｂに示すように、壁３４４の先端３４４ａは、先端部３２にカバー２１４が適切に装着された状態で、カバー２１４の内周面に近接又は当接する。また、壁３４４は、カバー２１４の第１構造体１４２ａの開口縁１５６の右側縁部１６２に近接又は当接する。この場合、チューブ５５及び牽引部材５４が配設される空間には、汚物等が入り難くなる。内視鏡１０の使用後、内視鏡本体１２の先端部３２のチューブ５５近傍には、汚れが付着する可能性が低くなっている。このため、上述した例よりも洗浄を念入りにする必要がない可能性が高い。したがって、洗浄時間を短縮することができる。

なお、第２実施形態に係るカバー２１４は、壁１４４を有していないものとして説明した。図２７に示すように、第１実施形態に係るカバー１４の壁１４４、及び、第２実施形態に係る先端構成部７２の壁３４４によって、１つの壁を形成してもよいことはもちろんである。この場合、壁３４４と先端カバー１４との関係に応じて、第１実施形態で説明した起上部５２の構造、第２実施形態の第２変形例で説明した起上部５２の構造を選択して用いることができる。

これまで、いくつかの実施形態について図面を参照しながら具体的に説明したが、この発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で行なわれるすべての実施を含む。

１４…先端カバー、２２…挿入部、３２…先端部、４６…処置具挿通チャンネル、４８…起上機構、５２…起上部、５４…牽引部材（長尺部材）、５５…チューブ、６２…起上台、６２ａ…案内路、６２ｂ…嵌合部、６４…連結部、６６…回動軸、６８…ガイドピン、７２…先端構成部、７４…係止ピン、８２…基部、８４…第１凸部、８５…空間、８６…第２凸部、８７…移動空間、８８…支持部、９２…第１筒状面（第１開口縁部）、９４…第２筒状面（第２開口縁部）、９５…移動空間、９７…空間、１０２ａ…第１壁面、１０２ｂ…第２壁面、１０２ｃ…第３壁面、１４２…カバー本体、１４４…壁、１４４ａ…先端側縁部、１４４ｂ…基端側縁部、１４４ｃ…縁部、１４６…内周面、１５６…開口縁、１５８…回動周面、１６２…右側縁部、１６４…凹部、１６６…先端側縁部、１６８…左側縁部、１７０…基端側縁部。

Claims (17)

1. 被検体内に挿入される内視鏡本体の挿入部の長手軸に沿って先端側に装着される先端カバーであって、
   処置具が挿通されるチャンネルの一部を形成する第１開口縁部と、前記第１開口縁部とは別に設けられた第２開口縁部とを有し、前記長手軸に沿って前記挿入部の先端側に設けられた先端構成部と、
   前記先端構成部に対して回動可能に取り付けられ、前記第１開口縁部から突出する前記処置具を起上させる起上部と、
   前記第２開口縁部に挿通されるとともに、前記起上部に接続され、前記挿入部の前記長手軸に沿って移動して前記起上部を回動させる長尺部材と、
   前記長尺部材を内側に配設し、前記起上部又は前記長尺部材に対して一端を水密に接続するとともに、他端を前記第２開口縁部に対して水密に接続するチューブと、
   を有する前記内視鏡本体に装着される、カバー本体と、
   前記カバー本体に設けられ、前記カバー本体が前記挿入部の前記長手軸に沿って前記先端構成部の外側に装着されたとき、前記第１開口縁部よりも前記長手軸に沿って先端側で、前記チューブと前記起上部との間に設けられる壁と
   を有する、内視鏡の先端カバー。
2. 前記カバー本体は、基端開口と、前記処置具が挿通される開口縁とを有する筒状を有し、
   前記壁は、前記開口縁に設けられている、請求項１に記載の先端カバー。
3. 前記壁は、前記カバー本体とは別体で形成され、前記開口縁に固定されている、請求項２に記載の先端カバー。
4. 前記壁は、前記カバー本体に一体的に形成されている、請求項２に記載の先端カバー。
5. 前記壁は、前記カバー本体が、前記先端構成部の外側から取り外される際に前記チューブ及び前記長尺部材により変形される、請求項４に記載の先端カバー。
6. 前記壁は、前記カバー本体が、前記内視鏡本体から取り外される際に、前記チューブから受ける圧力により曲げられる脆弱部を有する、請求項４に記載の先端カバー。
7. 前記壁は、前記開口縁から、前記開口縁に対向する前記カバー本体の内周面に向かって延出されている、請求項２に記載の先端カバー。
8. 前記カバー本体は、基端開口と前記処置具が挿通される開口縁とを有し、前記先端構成部の外側に配設され前記先端構成部、前記起上部、前記長尺部材及び前記チューブを保護する筒状の第１構造体と、前記開口縁を露出させた状態で前記基端開口の外周を保持する筒状の第２構造体とを有し、
   前記壁は、前記第２構造体と一体化して、前記開口縁から、前記開口縁に対向する前記第１構造体の内周面に向かって延出されている、請求項１に記載の先端カバー。
9. 長手軸が規定され、被検体内に挿入される挿入部と、
   処置具が挿通されるチャンネルの一部を形成する第１開口縁部と、前記第１開口縁部とは別に設けられた第２開口縁部とを有し、前記長手軸に沿って前記挿入部の先端側に設けられた先端構成部と、
   前記先端構成部に対して回転可能に取り付けられ、前記第１開口縁部から突出する前記処置具を起上させる起上部と、
   前記第２開口縁部に挿通されるとともに、前記起上部に接続され、前記挿入部の前記長手軸に沿って移動して前記起上部を回動させる長尺部材と、
   前記長尺部材を内側に配設し、前記起上部又は前記長尺部材に対して一端を水密に接続するとともに、他端を前記第２開口縁部に対して水密に接続するチューブと、
   を有する内視鏡本体と、
   請求項１に記載の先端カバーと、
   を有する内視鏡。
10. 前記チューブは、前記長尺部材の移動にしたがって、皺が形成されることが可能であり、
    前記壁は、前記チューブと前記起上部との間で、前記チューブに前記皺が形成された部分を前記起上部と隔てる、請求項９に記載の内視鏡。
11. 前記チューブは、前記他端に近い位置よりも前記一端に近い位置の方が、前記皺が形成され易い、請求項１０に記載の内視鏡。
12. 前記先端構成部は、前記第２開口縁部の先端開口よりも前記長手軸に沿って先端側に、前記第１開口縁部の先端開口が配置されている、請求項９に記載の内視鏡。
13. 前記起上部は、前記先端構成部に対して回動軸を中心に回転可能で、
    前記カバー本体が前記先端構成部の外側に装着されたとき、前記回動軸は、前記壁が前記チューブと前記起上部との間に設けられるのにしたがって前記先端構成部に対して前記先端カバーの内周面で位置決めされ、
    前記カバー本体が前記先端構成部の外側から取り外されて前記壁が前記チューブと前記起上部との間から出されるのに伴って、前記回動軸は前記先端構成部に対する位置決めが解除される、請求項９に記載の内視鏡。
14. 前記先端構成部は、前記カバー本体が前記挿入部の前記長手軸に沿って前記先端構成部の外側に装着される際に、前記カバー本体を前記先端構成部に係止する係止部を有し、
    前記係止部は、前記壁が設けられる、前記チューブと前記起上部との間から離れている、請求項９に記載の内視鏡。
15. 長手軸が規定され、被検体内に挿入される挿入部と、
    処置具が挿通されるチャンネルの一部を形成する第１開口縁部と、前記第１開口縁部とは別に設けられた第２開口縁部とを有し、前記長手軸に沿って前記挿入部の先端側に設けられた先端構成部と、
    前記先端構成部に対して回動可能に取り付けられ、前記第１開口縁部から突出する前記処置具を起上させる起上部と、
    前記第２開口縁部に挿通されるとともに、前記起上部に接続され、前記挿入部の前記長手軸に沿って移動して前記起上部を回動させる長尺部材と、
    前記長尺部材を内側に配設し、前記起上部又は前記長尺部材に対して一端を水密に接続するとともに、他端を前記第２開口縁部に対して水密に接続するチューブと、
    前記第１開口縁部よりも前記長手軸に沿って先端側に前記先端構成部に設けられ、前記チューブと前記起上部との間に設けられる壁と
    を有する、内視鏡。
16. 前記起上部は、
    起上台本体と、
    前記起上台本体に設けられた回動軸と、前記回動軸から離間した位置に前記回動軸と平行に設けられたピンとを有するアームと
    を有し、
    前記壁は、
    前記アームの前記回動軸を回動中心として支持する支持部と、
    前記支持部に支持された前記アームの前記回動軸を中心として円弧を描く位置に設けられ、前記ピンの一端が配設されたときに、前記支持部で前記アームの前記回動軸を支持した状態を維持する溝と
    を有する、請求項１５に記載の内視鏡。
17. 前記先端構成部の外側に装着される、筒状の先端カバーを有し、
    前記壁は、前記先端カバーの内周面に嵌合されている、請求項１５に記載の内視鏡。