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JP2020107840A - 成形用又は延伸用フィルム、成形体及び延伸フィルム - Google Patents

成形用又は延伸用フィルム、成形体及び延伸フィルム Download PDF

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JP2020107840A
JP2020107840A JP2018247995A JP2018247995A JP2020107840A JP 2020107840 A JP2020107840 A JP 2020107840A JP 2018247995 A JP2018247995 A JP 2018247995A JP 2018247995 A JP2018247995 A JP 2018247995A JP 2020107840 A JP2020107840 A JP 2020107840A
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栗原 直樹
Naoki Kurihara
直樹 栗原
文起 深津
Fumioki Fukatsu
文起 深津
西村 剛
Takeshi Nishimura
剛 西村
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Idemitsu Kosan Co Ltd
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Idemitsu Kosan Co Ltd
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Abstract

【課題】延伸や成形に伴う電磁波シールド性能の低下を防止できる成形用又は延伸用フィルムを提供する。【解決手段】延伸用フィルム1(1S)は、基材層11と、基材層上に積層された電磁波シールド層12とを含む。基材層は、熱可塑性樹脂を含み、電磁波シールド層は、ポリアニリンを含む。【選択図】図1

Description

本発明は、成形用又は延伸用フィルム、成形体及び延伸フィルムに関し、より詳しくは、電磁波シールド層を含む成形用又は延伸用フィルム、成形体及び延伸フィルムに関する。
特許文献1には、所望の形状を有する成形体に、π共役系導電性高分子を含む組成物を塗布して、膜厚が0.15mm以上である電磁波シールド層を付与する技術が開示されている。
特許文献2には、離型性を有する基体シート上に、回路パターン層、絶縁層、電磁波シールド層、接着層が順次積層された転写層を有する回路形成用転写箔を射出成形用金型内に載置し、型閉めを行い、溶融樹脂を射出して基板を成形し固化させた後、型開きを行い、基体シートを剥離することにより、転写層と基板とを一体化させる技術が開示されている。ここで、電磁波シールド層は、銀やカーボンを主成分とする導電性ペーストインキを用いたスクリーン印刷法、スッパッタリング法、イオンプレーティング法、真空蒸着法、あるいは金属箔を貼り付ける方法によって形成される。
特開2015−082548号公報 特開平05−007065号公報
本発明者は、電磁波シールド層を含むフィルムを加飾成形することによって、所望の形状を有する電磁波シールド付き成形体を製造することについて検討したところ、フィルムの加飾成形に伴う電磁波シールド性能の低下を防止する観点で、さらなる改善の余地が見出された。特許文献1、2をはじめとする従来技術は、このような課題を明らかにしておらず、このような課題を解決するものでもない。
本発明の目的は、延伸や成形に伴う電磁波シールド性能の低下を防止できる成形用又は延伸用フィルムを提供することである。
本発明によれば、以下の成形用又は延伸用フィルム等を提供できる。
1.基材層と、前記基材層上に積層された電磁波シールド層とを含み、
前記基材層は熱可塑性樹脂を含み、
前記電磁波シールド層はポリアニリンを含む、
成形用又は延伸用フィルム。
2.前記電磁波シールド層の膜厚が0.30μm以上150μm未満である、前記1に記載の成形用又は延伸用フィルム。
3.前記電磁波シールド層の表面抵抗が1200Ω/□以下である、前記1又は2に記載の成形用又は延伸用フィルム。
4.前記延伸用フィルムを1.15倍に一軸延伸した場合における前記電磁波シールド層の表面抵抗が1200Ω/□以下である、前記1〜3のいずれかに記載の成形用又は延伸用フィルム。
5.前記延伸用フィルムを1.15倍に一軸延伸した場合における前記電磁波シールド層の表面抵抗の増加量が300Ω/□以下である、前記1〜4のいずれかに記載の成形用又は延伸用フィルム。
6.前記延伸用フィルムを1.15倍に一軸延伸した場合における前記電磁波シールド層の表面抵抗の増加率が15%以下である、前記1〜5のいずれかに記載の成形用又は延伸用フィルム。
7.2GHz(吸収)でのノイズ抑制特性(Ploss/Pin)が0.8以上である、前記1〜6のいずれかに記載の成形用又は延伸用フィルム。
8.前記ポリアニリンが、該ポリアニリンとプロトン供与体とを含むポリアニリン複合体として前記電磁波シールド層に含まれる、前記1〜7のいずれかに記載の成形用又は延伸用フィルム。
9.前記プロトン供与体がスルホン酸又はスルホン酸塩である、前記8に記載の成形用又は延伸用フィルム。
10.前記スルホン酸又はスルホン酸塩が下記式(III)で示されるスルホコハク酸誘導体である、前記9に記載の成形用又は延伸用フィルム。
Figure 2020107840
(式(III)中、Mは、水素原子、有機遊離基又は無機遊離基であり、m’はMの価数である。
13及びR14は、それぞれ独立に、炭化水素基又は−(R15O)−R16で表わされる基である。m’が2以上のとき、複数存在するR13及びR14は、それぞれ互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。
15は、2価の炭化水素基又は−Si(R18−基であり、R16は水素原子、炭化水素基又はR17 Si−で表わされる基であり、rは1以上の整数である。rが2以上のとき、複数存在するR15は、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。
17は、炭化水素基である。3つ存在するR17は、互いに同一の炭化水素基であってもよいし、異なっていてもよい。
18は、水素原子、又は炭化水素基である。2つ以上存在するR18は、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。)
11.前記電磁波シールド層が、該電磁波シールド層に含まれる樹脂の総質量に対して50質量%以上の前記ポリアニリンを含む、前記1〜10のいずれかに記載の成形用又は延伸用フィルム。
12.前記1〜11のいずれかに記載の成形用又は延伸用フィルムを用いて製造された成形体。
13.前記1〜11のいずれかに記載の成形用又は延伸用フィルムを用いて製造された延伸フィルム。
本発明によれば、延伸や成形に伴う電磁波シールド性能の低下を防止できる成形用又は延伸用フィルムが提供できる。
フィルムインサート成形の一実施形態を説明する図である。 フィルムインサート成形の一実施形態を説明する図である。 フィルムインサート成形の一実施形態を説明する図である。 フィルムインサート成形の一実施形態を説明する図である。 インモールド成形の一実施形態を説明する図である。 インモールド成形の一実施形態を説明する図である。 インモールド成形の一実施形態を説明する図である。
1.成形用又は延伸用フィルム
本発明の一実施形態に係る成形用又は延伸用フィルム(以下、単に「フィルム」ともいう。)は、基材層と、前記基材層上に積層された電磁波シールド層とを含み、前記基材層は熱可塑性樹脂を含み、前記電磁波シールド層はポリアニリンを含むことを特徴とする。かかるフィルムにより、延伸や成形に伴う電磁波シールド性能の低下を防止できる。
本明細書において、「成形用フィルム」とは、成形して用いられるフィルムを意味し、そのような成形によってフィルムに3次元形状が付与されることに伴って、フィルムに延伸が生じる。
本明細書において、「延伸用フィルム」とは、延伸して用いられるフィルムを意味し、一軸延伸又は二軸延伸のような延伸処理を施して用いられるフィルムだけでなく、延伸を伴う成形処理を施して用いられるフィルムも含む。
成形用フィルムの成形に伴う延伸、及び延伸用フィルムの延伸は、加熱下で施され得る。また、そのような延伸は、フィルム全体に均一に施されてもよいし、フィルム全体に不均一に施されてもよいし、フィルム中に未延伸部分が残るように施されてもよい。
参考として、例えば、電磁波シールド層を連続的な金属層(例えば、めっき被膜や、特許文献2が記載する蒸着膜、金属箔等)によって構成する場合は、上記のような延伸に伴って電磁波シールド層に亀裂が発生するおそれがあるため、表面抵抗を維持することが困難である。また、例えば、電磁波シールド層を特許文献2が記載する銀やカーボンのような導電性粒子によって構成する場合は、上記のような延伸に伴って導電性粒子間の電気的接続が損なわれるおそれがあるため、表面抵抗を維持することが困難である。これに対して、ポリアニリンを含む電磁波シールド層は、ポリアニリンが、該電磁波シールド層の全体にわたって連続層を形成し、且つ延伸に適した柔軟性を有するため、延伸処理又は延伸を伴う成形処理後においても、表面抵抗が維持され、電磁波シールド性能の低下を防止できる。
以下に、一実施形態に係るフィルムを構成する各層についてさらに詳しく説明する。
(基材層)
基材層に含まれる熱可塑性樹脂は格別限定されず、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、シクロオレフィン系樹脂(例:JSR株式会社製「ARTON」、日本ゼオン株式会社製「ZEONOR」、「ZEONEX」)、ポリメチルペンテンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系樹脂、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース、アセチルセルロースブチレートなどのセルロース系樹脂、ポリスチレン、シンジオタクチックポリスチレン、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂(ABS樹脂)などのスチレン系樹脂、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミドなどのイミド系樹脂、ナイロンなどのポリアミド系樹脂、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトンなどのケトン系樹脂、ポリスルホン、ポリエーテルスルホンなどのスルホン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなどの塩化ビニル系樹脂、ポリメタアクリル酸メチルなどのアクリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンスルフィド、ポリアセタール、変性ポリフェニレンエーテル、ポリビニルアルコール、エポキシ樹脂、フッ素樹脂などを挙げることができ、前記ポリマーを複数混合したポリマーアロイ、ポリマーブレンドでもよい。また、基材層は、単層構造体であっても、互いに異なる上記樹脂を複数積層した積層構造体であってもよい。
基材層は、上述した熱可塑性樹脂以外の他の成分を含むことができる。他の成分は格別限定されず、例えば、顔料、酸化防止剤、安定剤、紫外線吸収剤等が挙げられる。基材層において、他の成分は、熱可塑性樹脂中に分散された状態であり得る。
基材層における熱可塑性樹脂の含有量は、延伸処理又は延伸を伴う成形処理に対する適性を向上させる観点で、例えば、50質量%以上、60質量%以上、70質量%以上、80質量%以上、90質量%以上、95質量%以上、99質量%以上、99.5質量%以上、さらには99.9質量%以上であってもよく、また基材層の全体が実質的に熱可塑性樹脂のみからなってもよい。
基材層の膜厚は格別限定されず、例えば、10μm以上、20μm以上、30μm以上、50μm以上、80μm以上、さらには100μm以上であることによって、該基材層上に電磁波シールド層を安定に支持できる。また、延伸処理又は延伸を伴う成形処理をより安定に施すことも可能になる。具体的には、例えば、延伸処理又は延伸を伴う成形処理において、温度、引張り速度といった条件によらず安定な延伸が可能になる。一方、基材層の膜厚が、例えば、500μm以下、450μm以下、400μm以下、350μm以下、さらには300μm以下であることによって、延伸処理又は延伸を伴う成形処理に対する適性がさらに向上する。また、そのような処理に際してフィルムを均一に加熱することが容易になり、均一な延伸、あるいは高精度な成形が可能になる。
(電磁波シールド層)
次に、電磁波シールド層についてさらに詳しく説明する。
(ポリアニリン)
一実施形態に係るフィルムにおいて、電磁波シールド層に含まれるポリアニリンは格別限定されず、置換若しくは無置換のポリアニリン分子であり得る。
「置換若しくは無置換のポリアニリン分子」は、置換若しくは無置換のアニリン(単量体)が重合した重合体を意味し、本明細書では、「置換若しくは無置換のポリアニリン分子」を「ポリアニリン分子」と略称することがある。
一実施形態においては、ポリアニリン分子は、好ましくは重量平均分子量(以下、「分子量」ともいう。)が10,000以上であり、より好ましくは20,000以上であり、さらに好ましくは30,000以上1,000,000以下であり、さらに好ましくは40,000以上1,000,000以下であり、特に好ましくは50,000以上1,000,000以下である。ポリアニリン分子の重量平均分子量が10,000以上であることによって、延伸処理又は延伸を伴う成形処理に対する適性がさらに向上する。
ポリアニリン分子の分子量分布は、好ましくは1.5以上20.0以下であり、より好ましくは1.5以上5.0以下であり、さらに好ましくは1.5以上4.5以下であり、特に好ましくは1.5以上4.0以下であり、最も好ましくは1.5以上3.6以下である。分子量分布は重量平均分子量/数平均分子量で表わされる値であり、良好な電磁波シールド性能を付与する観点から、分子量分布は小さい方が好ましい。また、上記重量平均分子量及び分子量分布は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)により測定できるポリスチレン換算値として得られる。
置換ポリアニリンの置換基としては、例えばメチル基、エチル基、ヘキシル基、オクチル基等の直鎖又は分岐の炭化水素基;メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基;フェノキシ基等のアリールオキシ基;トリフルオロメチル基(−CF基)等のハロゲン化炭化水素基が挙げられる。ポリアニリン分子は、汎用性及び経済性の観点では、無置換のポリアニリン分子であってもよい。
ポリアニリンは、電磁波シールド層に含まれる樹脂の総質量に対して50質量%以上、70質量%以上、85質量%以上、90質量%以上、95質量%以上、98質量%以上、さらには99質量%以上であってもよく、又は電磁波シールド層に含まれる樹脂全体がポリアニリンからなってもよい。
(ポリアニリン複合体)
置換若しくは無置換のポリアニリン分子は、該置換若しくは無置換のポリアニリン分子と、ドーパントとの複合体(本明細書において、「ポリアニリン複合体」と略称することがある。)として、電磁波シールド層に含まれてもよい。
ポリアニリン複合体のドーパント(プロトン供与体)としては、例えばブレンステッド酸又はブレンステッド酸の塩から生じるブレンステッド酸イオンが挙げられ、好ましくは有機酸又は有機酸の塩から生じる有機酸イオンであり、さらに好ましくは下記式(I)で示される化合物から生じる有機酸イオンである。
M(XAR (I)
式(I)のMは、水素原子、有機遊離基又は無機遊離基である。
式(I)のmは、Mの価数/Xの価数である。
上記有機遊離基としては、例えば、ピリジニウム基、イミダゾリウム基、アニリニウム基が挙げられる。また、上記無機遊離基としては、例えば、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、セシウムイオン、アンモニウムイオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、及び鉄イオンが挙げられる。
式(I)のXは、アニオン基であり、例えば−SO 基、−PO 2−基、−OPO 2−基、−OPO(OH)基、−COO基が挙げられ、好ましくは−SO 基である。
式(I)のAは、置換若しくは無置換の炭化水素基である。
上記炭化水素基は、鎖状若しくは環状の飽和脂肪族炭化水素基、鎖状若しくは環状の不飽和脂肪族炭化水素基、又は芳香族炭化水素基である。
mが2以上のとき、複数存在するX及びAは、それぞれ互いに同一でもよいし、異なっていてもよい。
鎖状の飽和脂肪族炭化水素基としては、直鎖若しくは分岐状の飽和脂肪族炭化水素基が挙げられる。炭素数は、例えば1以上24以下、2以上8以下である。
環状の飽和脂肪族炭化水素基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等のシクロアルキル基が挙げられる。環状の飽和脂肪族炭化水素基は、複数の環状の飽和脂肪族炭化水素基が縮合していてもよい。例えば、ノルボルニル基、アダマンチル基、縮合したアダマンチル基が挙げられる。
芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基が挙げられる。
鎖状の不飽和脂肪族炭化水素基としては、直鎖若しくは分岐状のアルケニル基が挙げられる。
環状の不飽和脂肪族炭化水素基としては、シクロヘキセニル基等が挙げられる。
ここで、Aが置換の炭化水素基である場合の置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、ビニル基、アリル基、アリール基、アルコキシ基、ハロゲン基、ヒドロキシ基、アミノ基、イミノ基、ニトロ基、シリル基又はエステル基が挙げられる。
式(I)のRは、Aと共有結合しており、−H、−R、−OR、−COR、−COOR、−(C=O)−(COR)、又は−(C=O)−(COOR)で表わされる基である。
式(I)のnは1以上の整数であり、nが2以上及び/又はmが2以上のとき、複数存在するRは互いに同一でも、異なっていてもよい。
は、置換若しくは無置換の炭化水素基、置換若しくは無置換のシリル基、置換若しくは無置換のアルキルシリル基、−(RO)−R基、又は−(OSiR −OR(Rはアルキレン基、Rは炭化水素基であり、xは1以上の整数である。xが2以上のとき、複数存在するR及びRは、それぞれ互いに同一であっても、異なっていてもよい。)である。
の炭化水素基としては、例えば鎖状若しくは環状の飽和脂肪族炭化水素基、鎖状若しくは環状の不飽和脂肪族炭化水素基、又は芳香族炭化水素基が挙げられる。具体例として、メチル基、エチル基、直鎖若しくは分岐のブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、ペンタデシル基、エイコサニル基が挙げられる。また、上記炭化水素基の置換基は、アルキル基、シクロアルキル基、ビニル基、アリル基、アリール基、アルコキシ基、ハロゲン基、ヒドロキシ基、アミノ基、イミノ基、ニトロ基又はエステル基である。Rの炭化水素基もRと同様である。
のアルキレン基としては、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基等が挙げられる。
式(I)で示される化合物としては、スルホン酸又はスルホン酸塩が好ましい。そのような化合物として、ジアルキルベンゼンスルホン酸、ジアルキルナフタレンスルホン酸、又はエステル結合を2以上含有する化合物が好ましい。
上記エステル結合を2以上含有する化合物としては、スルホフタール酸エステル、又は下記式(II)で表される化合物がより好ましい。
Figure 2020107840
(式(II)中、M、X及びmは、式(I)と同様である。Xは、−SO 基が好ましい。)
式(II)のR、R及びRは、それぞれ独立して水素原子、炭化水素基又はR Si−基(ここで、Rは炭化水素基であり、3つのRは互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。)である。
、R及びRが炭化水素基である場合の炭化水素基としては、炭素数1〜24の直鎖若しくは分岐状のアルキル基、芳香環を含むアリール基、アルキルアリール基等が挙げられる。
の炭化水素基としては、R、R及びRの場合と同様である。
式(II)のR及びRは、それぞれ独立に、炭化水素基又は−(R10O)−R11基[ここで、R10は、2価の炭化水素基又は−Si(R19−基であり、R11は水素原子、炭化水素基又はR12 Si−(R12は、炭化水素基であり、3つのR12は同一又は異なっていてもよい)であり、qは1以上の整数である。qが2以上のとき、複数存在するR10は互いに同一でもよいし、異なっていてもよい。
19は、水素原子、又は炭化水素基である。2つ以上存在するR19は、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。]である。
及びRが炭化水素基である場合の炭化水素基としては、鎖状若しくは環状の飽和脂肪族炭化水素基、鎖状若しくは環状の不飽和脂肪族炭化水素基、又は芳香族炭化水素基等が挙げられる。例えば、炭素数1〜24、好ましくは炭素数4以上24以下の直鎖若しくは分岐状のアルキル基、芳香環を含むアリール基、アルキルアリール基が挙げられる。
及びRが炭化水素基である場合の炭化水素基の具体例としては、例えば、直鎖若しくは分岐状のブチル基、直鎖若しくは分岐状のペンチル基、直鎖若しくは分岐状のヘキシル基、直鎖若しくは分岐状のオクチル基、及び、直鎖若しくは分岐状のデシル基が挙げられる。好ましくは、直鎖若しくは分岐状のオクチル基である。さらに好ましくは、2−エチルヘキシル基である。
及びRにおける、R10が炭化水素基である場合の炭化水素基としては、例えば炭素数1〜24の直鎖若しくは分岐状のアルキレン基、芳香環を含むアリーレン基、アルキルアリーレン基、アリールアルキレン基である。また、R及びRにおける、R11及びR12が炭化水素基である場合の炭化水素基としては、R、R及びRの場合と同様であり、qは、1〜10であることが好ましい。
及びRが−(R10O)−R11基である場合の式(II)で表わされる化合物の具体例としては、下記式で表わされる2つの化合物である。
Figure 2020107840
(式中、Xは式(I)と同様である。)
上記式(II)で表わされる化合物は、下記式(III)で示されるスルホコハク酸誘導体であることがさらに好ましい。
Figure 2020107840
(式(III)中、Mは、水素原子、有機遊離基又は無機遊離基であり、m’はMの価数である。
13及びR14は、それぞれ独立に、炭化水素基又は−(R15O)−R16で表わされる基である。m’が2以上のとき、複数存在するR13及びR14は、それぞれ互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。
15は、2価の炭化水素基又は−Si(R18−基であり、R16は水素原子、炭化水素基又はR17 Si−で表わされる基であり、rは1以上の整数である。rが2以上のとき、複数存在するR15は、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。
17は、炭化水素基である。3つ存在するR17は、互いに同一の炭化水素基であってもよいし、異なっていてもよい。
18は、水素原子、又は炭化水素基である。2つ以上存在するR18は、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。)
13及びR14が炭化水素基である場合の炭化水素基としては、R及びRと同様である。例えば、鎖状の飽和脂肪族炭化水素基、炭素数4以上24以下の直鎖若しくは分岐状のアルキル基である。具体的には、直鎖若しくは分岐状のブチル基、直鎖若しくは分岐状のペンチル基、直鎖若しくは分岐状のヘキシル基、直鎖若しくは分岐状のオクチル基、デシル基が挙げられる。好ましくは、直鎖若しくは分岐状のオクチル基である。さらに好ましくは、2−エチルヘキシル基である。
13及びR14において、R15が炭化水素基である場合の炭化水素基としては、上記R10と同様である。また、R13及びR14において、R16及びR17が炭化水素基である場合の炭化水素基としては、上記R、R及びRと同様である。
rは、1〜10であることが好ましい。
13及びR14が−(R15O)−R16基である場合の具体例としては、R及びRにおける−(R10O)−R11と同様である。
13及びR14の炭化水素基としては、R及びRと同様であり、ブチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、デシル基が好ましい。
上記ドーパントはその構造を変えることにより、ポリアニリン複合体の導電性や、溶媒への溶解性をコントロールできることが知られている(特許第3384566号)。本発明においては、用途毎の要求特性によって最適なドーパントを選択できる。
式(I)で示される化合物(ドーパント)としては、ジ−2−エチルヘキシルスルホコハク酸イオン、ジ−2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウムが好ましく、ジ−2−エチルヘキシルスルホコハク酸イオンがより好ましい。
ポリアニリン複合体のドーパントが、置換若しくは無置換のポリアニリンにドープしていることは、紫外・可視・近赤外分光法やX線光電子分光法によって確認することができ、当該ドーパントは、ポリアニリンにキャリアを発生させるのに十分な酸性を有していれば、特に化学構造上の制限なく使用できる。
ポリアニリン複合体は、周知の製造方法で製造することができるが、例えば、ドーパント、リン酸、及びドーパントとは異なる乳化剤を含み、2つの液相を有する溶液中で、置換若しくは無置換のアニリンを化学酸化重合することにより製造できる。また、置換若しくは無置換のアニリン、ドーパント、リン酸、及びドーパントとは異なる乳化剤を含み、2つの液相を有する溶液中に、酸化重合剤を加えることにより製造できる。
尚、乳化剤は、後述する転相を防ぐ役割を担っていると考えられる。ドーパント及びリン酸を含み2つの液相を有する溶液中で、置換若しくは無置換のアニリンを化学酸化重合してポリアニリン複合体を製造すると、リン酸ではなく塩酸を用いていた場合に比べて、低分子量成分が増えてしまう。ここでリン酸を用いた際の重合中の様子から、上記2つの液相は重合中に転相を起こしていると考えられる。そして、この転相が低分子量成分を増加させる理由と考えられる。この転相という現象は、連続相であった液相が分散相へ、分散相であった他方の液相が連続相へ変化する現象である。
ここで「2つの液相を有する溶液」とは、溶液中に相溶しない2つの液相が存在する状態を意味する。例えば、溶液中に「高極性溶媒の相」と「低極性溶媒の相」が存在する状態を意味する。
また、「2つの液相を有する溶液」は、片方の液相が連続相であり、他方の液相が分散相である状態も含む。例えば「高極性溶媒の相」が連続相であり「低極性溶媒の相」が分散相である状態、及び「低極性溶媒の相」が連続相であり「高極性溶媒の相」が分散相である状態が含まれる。
ポリアニリン複合体の製造方法に用いる高極性溶媒としては、水が好ましく、低極性溶媒としては、例えばトルエン、キシレン等の芳香族炭化水素が好ましい。
上記ドーパントは、好ましくは上記式(I)で表わされる化合物であり、より好ましくは上記式(II)で表わされる化合物であり、さらに好ましくは上記式(III)で表わされる化合物である。
上記乳化剤は、親水性部分がイオン性であるイオン性乳化剤、及び親水性部分が非イオン性である非イオン性乳化剤のどちらでも使用でき、また、1種又は2種以上の乳化剤を混合して使用してもよい。
イオン性乳化剤としては、カチオン性乳化剤、アニオン性乳化剤及び双性乳化剤が挙げられる。
アニオン性乳化剤(陰イオン乳化剤)の具体例としては、脂肪酸、不均化ロジン石けん、高級アルコールエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸、アルケニルコハク酸、ザルコシネート、及びそれらの塩が挙げられる。
カチオン性乳化剤(陽イオン乳化剤)の具体例としては、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、アルキルトリメチルアンモニウム塩が挙げられる。双性乳化剤(両イオン乳化剤)の具体例としては、アルキルベタイン型、アルキルアミドベタイン型、アミノ酸型、アミンオキサイド型が挙げられる。
非イオン乳化剤の具体例としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールポリエチレングリコールエーテル、ポリオキシエチレングリセロールボレート脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルが挙げられる。
上記乳化剤のうち、アニオン性乳化剤及び非イオン乳化剤が好ましい。
アニオン性乳化剤としては、リン酸エステル構造を有するアニオン性乳化剤がさらに好ましい。また、非イオン乳化剤としては、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル構造を有する非イオン乳化剤がさらに好ましい。
ドーパントの使用量は、アニリン単量体1molに対して、好ましくは0.1〜0.5molであり、より好ましくは0.3〜0.45molであり、さらに好ましくは0.35〜0.4molである。
ドーパントの使用量が当該範囲より多い場合、重合終了後に例えば「高極性溶媒の相」と「低極性溶媒の相」を分離することができないおそれがある。
リン酸の使用濃度は、高極性溶媒に対して0.3〜6mol/Lであり、より好ましくは1〜4mol/Lであり、さらに好ましくは1〜2mol/Lである。
乳化剤の使用量は、アニリン単量体1molに対して好ましくは0.001〜0.1molであり、より好ましくは0.002〜0.02molであり、さらに好ましくは0.003〜0.01molである。
乳化剤の使用量が当該範囲より多い場合、重合終了後に「高極性溶媒の相」と「低極性溶媒の相」を分離することができないおそれがある。
化学酸化重合に用いる酸化剤(以下、酸化重合剤という場合がある)としては、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素のような過酸化物;二クロム酸アンモニウム、過塩素酸アンモニウム、硫酸カリウム鉄(III)、三塩化鉄(III)、二酸化マンガン、ヨウ素酸、過マンガン酸カリウム、あるいはパラトルエンスルホン酸鉄等が使用でき、好ましくは過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩である。
これら酸化剤は単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
酸化剤の使用量は、アニリン単量体1molに対して好ましくは0.05〜1.8molであり、より好ましくは0.8〜1.6molであり、さらに好ましくは1.2〜1.4molである。酸化剤の使用量を当該範囲とすることで、十分な重合度が得られる。また、アニリンが十分に重合しているので、分液回収が容易であり、また重合体の溶解性が低下するおそれもない。
重合温度は通常−5〜60℃で、好ましくは−5〜40℃である。また、重合温度は重合反応の途中に変えてもよい。重合温度が当該範囲であることで、副反応を回避することができる。
ポリアニリン複合体は、具体的には以下の方法で製造することができる。
ドーパント及び乳化剤をトルエンに溶解した溶液を、窒素等の不活性雰囲気の気流下においたセパラブルフラスコに入れ、さらにこの溶液に、アニリンを加える。その後、塩素を含まないリン酸を溶液に添加し、溶液温度を冷却する。
溶液内温を冷却した後、撹拌を行う。過硫酸アンモニウムをリン酸に溶解した溶液を、滴下ロートを用いて滴下し、反応させる。その後、溶液温度を上昇させ、反応を継続する。反応終了後、静置することで二相に分離した水相側を分液する。有機相側にトルエンを追加し、リン酸及びイオン交換水で洗浄を行うことでポリアニリン複合体(プロトネーションされたポリアニリン)のトルエン溶液が得られる。
得られたポリアニリン複合体のトルエン溶液に含まれる若干の不溶物を除去し、ポリアニリン複合体のトルエン溶液を得る。この溶液をエバポレーターに移し、加温及び減圧することにより、揮発分を蒸発留去し、ポリアニリン複合体が得られる。
また、予めポリアニリン分子を製造した後、ポリアニリン分子にドーパントをドープしてポリアニリン複合体(プロトネーションされたポリアニリン)を製造することもできる。
ポリアニリン複合体の原料であるポリアニリン分子は、周知の方法で製造することができる。具体例として、特開平3−28229に記載の製造方法が挙げられる。プロトン酸の存在下、溶媒中にてアニリンの温度を例えば5℃以下に保持しつつ、酸化剤の水溶液をアニリン1モル当りに、酸化剤の1モルを、酸化剤1分子を還元するのに必要な電子数で割った量として定義される当量で、例えば2当量以上、徐々に加えて、上記プロトン酸にてドーピングされたアニリンの酸化重合体を生成させ、次いで、この重合体を塩基性物質によって脱ドーピングすることによって製造することができる。
また、先に述べたポリアニリン複合体を1M水酸化ナトリウム水溶液と混合して脱ドープしたポリアニリン粉末を作り、NMP(N−メチルピロリドン)に溶解させることにより、ポリアニリン分子の溶液を製造することができる。
ポリアニリン粉末又はポリアニリン粉末を溶媒に溶解した溶液を用いて、プロトネーションされたポリアニリン複合体を製造することができる。
(耐熱安定化剤)
電磁波シールド層は、耐熱安定化剤をさらに含んでもよい。耐熱安定化剤とは、酸性物質又は酸性物質の塩であり、酸性物質は有機酸(有機化合物の酸)、無機酸(無機化合物の酸)のいずれでもよい。
耐熱安定化剤である酸性物質は、好ましくは有機酸であり、より好ましくはスルホン酸基、カルボキシ基、リン酸基、又はホスホン酸基を1以上有する有機酸であり、さらに好ましくは、スルホン酸基を1以上有する有機酸である。耐熱安定剤である酸性物質の塩としては、これら酸性物質の塩が挙げられる。
上記スルホン酸基を1以上有する有機酸は、好ましくはスルホン酸基を1以上有する、環状、鎖状若しくは分岐のアルキルスルホン酸、置換若しくは無置換の芳香族スルホン酸、又はポリスルホン酸である。
上記アルキルスルホン酸としては、例えば、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ジ−2−エチルヘキシルスルホコハク酸が挙げられる。ここでのアルキル基は、好ましくは炭素数が1〜18の直鎖又は分岐のアルキル基である。
上記芳香族スルホン酸としては、例えば、ベンゼン環を有するスルホン酸、ナフタレン骨格を有するスルホン酸、アントラセン骨格を有するスルホン酸、置換若しくは無置換のベンゼンスルホン酸、置換若しくは無置換のナフタレンスルホン酸及び置換若しくは無置換のアントラセンスルホン酸が挙げられ、好ましくは置換若しくは無置換のナフタレンスルホン酸である。具体例としては、ナフタレンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、アントラキノンスルホン酸が挙げられる。
ここで芳香族スルホン酸の置換基は、例えば、アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、カルボキシ基、及びアシル基からなる群から選択される基であり、2以上置換していてもよい。
上記ポリスルホン酸は、高分子鎖の主鎖又は側鎖に複数のスルホン酸基が置換した高分子化合物である。例えば、ポリスチレンスルホン酸が挙げられる。
上記カルボキシ基を1以上有する有機酸は、好ましくはカルボキシ基を1以上有する、環状、鎖状若しくは分岐のアルキルカルボン酸、置換若しくは無置換の芳香族カルボン酸、又はポリカルボン酸である。
上記アルキルカルボン酸としては、例えばウンデシレン酸、シクロヘキサンカルボン酸、2−エチルヘキサン酸が挙げられる。ここでアルキル基は好ましくは炭素数が1〜18の直鎖又は分岐のアルキル基である。
上記置換若しくは無置換の芳香族カルボン酸としては、例えば、置換若しくは無置換のベンゼンカルボン酸及びナフタレンカルボン酸が挙げられる。ここで置換基は、例えば、スルホン酸基、アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基、及びアシル基からなる群から選択される基であり、2以上置換していてもよい。具体例としては、安息香酸、ナフトエ酸、トリメシン酸が挙げられる。
上記リン酸基又はホスホン酸基を1以上有する有機酸は、好ましくはリン酸基又はホスホン酸基を1以上有する環状、鎖状若しくは分岐のアルキルリン酸若しくはアルキルホスホン酸;置換若しくは無置換の芳香族リン酸若しくは芳香族ホスホン酸;ポリリン酸若しくはポリホスホン酸である。
上記アルキルリン酸又はアルキルホスホン酸としては、例えば、ドデシルリン酸、及びリン酸水素ビス(2−エチルヘキシル)が挙げられる。ここでアルキル基は好ましくは炭素数が1〜18の直鎖又は分岐のアルキル基である。
上記芳香族リン酸及び芳香族ホスホン酸としては、置換若しくは無置換のベンゼンスルホン酸又はホスホン酸、及びナフタレンスルホン酸又はホスホン酸等が挙げられる。ここで置換基は、例えば、アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、カルボキシ基、及びアシル基からなる群から選択される基であり、2以上置換していてもよい。例えば、フェニルホスホン酸が挙げられる。
(他の成分)
電磁波シールド層は、樹脂や添加剤等の他の成分をさらに含んでもよい。
樹脂は、例えば、バインダー基剤、可塑剤、マトリックス基剤として添加される。
樹脂の具体例としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、塩素化ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリアセタール、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、及びポリビニルアルコールが挙げられる。
また上記樹脂の代わりに、また上記樹脂と共に、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂、又はこれら熱硬化性樹脂を形成し得る前駆体を含んでもよい。
電磁波シールド層は、他の成分として、グラフェン、カーボンナノチューブ等の炭素繊維等の成分や、磁性粒子等の透磁率の高い成分を含んでいてもよい。グラフェン(graphene)とは、炭素原子のsp2結合により形成される蜂の巣状六角形格子を平面状に敷き詰めた、1原子分の厚さのシート状構造を有する炭素材料である。グラフェンは厳密には上記のように1層のシートを指すが、本願明細書では当該シートが例えば2層〜1000層積層した炭素膜もグラフェンと称する。また、グラフェンが3次元的に積層したグラファイトも含む。グラフェンは、例えば数枚〜20枚程度の単層グラフェンが重なったシート状の炭素材料であり、厚さは例えば2〜10nmであり、平均粒子径は例えば5〜10μmである。尚、粒子径とは当該シート状炭素材料のシート表面における長径である。電磁波シールド層は、グラフェン、炭素繊維、金属粒子等のような導電性粒子及び導電性繊維の含有量が少ないことによって延伸や成形に対する適性がさらに向上する。一実施形態において、電磁波シールド層における導電性粒子及び導電性繊維の総含有量は、例えば、1質量%以上、5質量%以上、さらには10質量%以上であり得る。また、電磁波シールド層における導電性粒子及び導電性繊維の総含有量は、例えば、50質量%以下、40質量%以下、30質量%以下、さらには20質量%以下であり得る。
電磁波シールド層は、金属成分を含まないものであってもよい。電磁波シールド層が金属成分を含まないことによって、フィルムは、延伸処理や延伸を伴う成形処理への適性がさらに向上し、電磁波シールド性能がさらに向上する。
(電磁波シールド層の膜厚)
電磁波シールド層の膜厚は格別限定されないが、例えば、0.30μm以上、0.50μm以上、1.0μm、5.0μm以上、10μm以上、15μm以上、20μm以上、25μm以上、さらには26μm以上であることによって、良好な電磁波シールド性能の発揮に適した表面抵抗が付与される。一方、電磁波シールド層の膜厚が、150μm未満、125μm以下、さらには100μm以下であることによって、延伸処理又は延伸を伴う成形処理に際して、均一な加熱と良好な延伸が実現し、これらの処理後においても優れた電磁波シールド性能を維持できる。
また、一実施形態において、延伸処理又は延伸を伴う成形処理後の電磁波シールド層の膜厚は、安定的な電磁波シールド性能を発揮する観点で、1μm以上、5μm以上、さらには10μm以上であり得る。、延伸処理又は延伸を伴う成形処理後にそのような目標膜厚が達成されるように、延伸処理又は延伸を伴う成形処理前の電磁波シールド層の膜厚を適宜設定できる。具体的には、延伸処理又は延伸を伴う成形処理前の電磁波シールド層に、目標膜厚よりも延伸倍率分だけ厚い膜厚を付与することができる。
電磁波シールド層の膜厚は、接触式の膜厚計、又は集束イオンビーム加工観察装置を用いた断面観察像から測定できる。これら2つの膜厚の測定方法では、測定自体が適正に行われるならば、同じ膜厚が得られる。但し、接触式の膜厚計は、針が基材に触れるため、ガラス基板など硬い平板状の基材上に電磁波シールド層が形成されている場合であれば適正に測定できる。しかし、電磁波シールド層がその上に形成されている基材が柔軟である場合や、平板状ではない(基材自体が変形している)場合には、接触式の膜厚計では適正な測定が困難である。このような場合には、集束イオンビーム加工観察装置を用いた断面観察像による測定方法を用いる。例えば、基材がPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム等のプラスチックである場合には、収束イオンビーム加工観察装置を用いることができる。
(電磁波シールド層の形成方法)
以上に説明した電磁波シールド層の形成方法は格別限定されず、例えば塗布法等を用いることができる。塗布法においては、例えば、上述した各成分を溶媒に溶解又は分散させた電磁波シールド層形成用組成物(塗布液)を、基材層上に塗布することによって、電磁波シールド層を形成できる。
電磁波シールド層形成用組成物の製造方法は特に限定されず、公知の方法で調製することができ、例えばWO05/052058に開示の方法により調製することができる。
電磁波シールド層形成用組成物の基材層上への塗布方法としては、キャスト法、スプレー法、ディップコート法、ドクターブレード法、バーコート法、スピンコート法、コンマコート法、エレクトロスピニング法、スクリーン印刷、グラビア印刷法等、公知の方法を用いることができる。
電磁波シールド層形成用組成物を塗布して得られる塗膜を乾燥する際、溶媒の種類によっては、塗膜を加熱してもよい。例えば、空気気流下250℃以下、好ましくは50以上200℃以下の温度で加熱し、さらに、必要に応じて、減圧下に加熱する。加熱温度及び加熱時間は、特に制限されず、用いる材料に応じて適宜選択すればよい。
(溶媒)
電磁波シールド層形成用組成物に含まれる溶媒としては、有機溶媒でも水等の無機溶媒でもよく、また1種のみでも2種以上の混合溶媒でもよい。好ましくは有機溶媒である。
また、有機溶媒は、水溶性有機溶媒でもよいし、実質的に水に混和しない有機溶媒(水不混和性有機溶媒)であってもよい。
電磁波シールド層形成用組成物に含まれる溶媒には、例えばポリアニリン複合体の製造に用いた溶媒の一部又は全部が持ち込まれてもよい。
上記水溶性有機溶媒は、プロトン性極性溶媒でも非プロトン性極性溶媒でもよく、例えば、イソプロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−ペンタノール、ベンジルアルコール等のアルコール類;アセトン等のケトン類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;Nメチルピロリドン等の非プロトン性極性溶媒等が挙げられる。
上記水不混和性有機溶媒としては、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、テトラリン等の炭化水素系溶媒;塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン等の含ハロゲン系溶媒;酢酸エチル、酢酸イソブチル、酢酸n−ブチル等のエステル系溶媒;1−ブトキシ−2−プロパノール、2−tert−ブトキシエタノール等のブトキシ基を有する分岐アルコール溶媒;メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等のケトン類溶媒;シクロペンチルメチルエーテル等のエーテル類溶媒等が挙げられる。これらの中では溶解性に優れる点でトルエン、キシレン、メチルイソブチルケトン(MIBK)、クロロホルム、トリクロロエタン及び酢酸エチルが好ましい。また、ブトキシ基を有する分岐アルコール溶媒も好ましい。
(フェノール性水酸基を有する化合物)
電磁波シールド層形成用組成物は、フェノール性水酸基を有する化合物をさらに含んでもよい。これにより、フィルムが未延伸であっても、電磁波シールド層におけるポリアニリンの分子配向が揃い易くなる。その結果、完全に均一な延伸が困難である場合においても、延伸に依拠することなく、良好な分子配向が達成され、電磁波シールド性能が向上する。
フェノール性水酸基を有する化合物とは、フェノール性水酸基を1つ有する化合物、フェノール性水酸基を複数有する化合物、及びフェノール性水酸基を1つ又は複数有する繰り返し単位から構成される高分子化合物である。
フェノール性水酸基を1つ有する化合物としては、好ましくは下記式(A)、(B)及び(C)で表わされる化合物である。
Figure 2020107840
(式(A)中、R101は、炭素数1〜20のアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルアリール基又はアリールアルキル基である。
n1は1〜5の整数であり、好ましくは1〜3であり、より好ましくは1である。n1が2以上のとき、複数存在するR101は、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。)
式(A)で表されるフェノール性化合物において、−OR101の置換位置はフェノール性水酸基に対し、メタ位、又はパラ位であることが好ましい。−OR101の置換位置をメタ位又はパラ位とすることにより、フェノール性水酸基の立体障害が低減され、組成物の導電性をより高めることができる。
式(A)で表わされるフェノール性化合物の具体例としては、メトキシフェノール(例えば4−メトキシフェノール)、エトキシフェノール、プロポキシフェノール、イソプロポキシフェノール、ブチルオキシフェノール、イソブチルオキシフェノール、ターシャルブチルオキシフェノールが挙げられる。
Figure 2020107840
(式(B)中、R102は、炭素数1〜20のアルキル基、アルケニル基、アルキルチオ基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、アルキルアリール基又はアリールアルキル基である。
n2は0〜7の整数であり、好ましくは0〜3であり、より好ましくは1である。n2が2以上のとき、複数存在するR102は、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。)
式(B)で表わされるフェノール性化合物の具体例としては、ヒドロキシナフタレンが挙げられる。
Figure 2020107840
(式(C)中、R103は、炭素数1〜20のアルキル基、アルケニル基、アルキルチオ基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基、ハロゲン原子又はカルボキシ基である。
n3は1〜5の整数であり、好ましくは1〜3であり、より好ましくは1である。n3が2以上のとき、複数存在するR103は、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。)
式(C)で表わされる化合物の具体例としては、o−,m−若しくはp−クレゾール、o−,m−若しくはp−エチルフェノール、o−,m−若しくはp−プロピルフェノール(例えば4−イソプロピルフェノール)、o−,m−若しくはp−ブチルフェノール、o−,m−若しくはp−ペンチルフェノール(例えば、4−tert−ペンチルフェノール)、o−,m−若しくはp−クロロフェノール、サリチル酸、ヒドロキシ安息香酸が挙げられる。
式(A)、(B)及び(C)のR101〜R103について、炭素数1〜20のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ターシャルブチル等が挙げられる。
アルケニル基としては、上述したアルキル基の分子内に不飽和結合を有する基が挙げられる。
シクロアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロヘキサニル基等が挙げられる。
アリール基としては、フェニル、ナフチル等が挙げられる。
アルキルアリール基、及びアリールアルキル基としては、上述したアルキル基とアリール基を組み合わせて得られる基等が挙げられる。
フェノール性水酸基を複数有する化合物の具体例としては、カテコール、レゾルシノール、及び下記式(D)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2020107840
(式(D)中、R104は炭化水素基、ヘテロ原子含有炭化水素基、ハロゲン原子、カルボキシ基、アミノ基、−SH基、スルホン酸基、又は水酸基である。
n4は0〜6の整数である。n4が2以上のとき、複数存在するR104は互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。)
式(D)で表わされるフェノール性水酸基を有する化合物の2つのフェノール性水酸基は、互いに隣接しないナフタレン環上の位置に置換していることが好ましい。
また、式(D)で表されるフェノール性水酸基を有する化合物の具体例としては、1,6−ナフタレンジオール、2,6−ナフタレンジオール、2,7−ナフタレンジオールが挙げられる。
フェノール性水酸基を1つ又は複数有する繰り返し単位から構成される高分子化合物の具体例としては、フェノール樹脂、ポリフェノール、ポリ(ヒドロキシスチレン)が挙げられる。
(電磁波シールド層の組成)
電磁波シールド層における各成分の含有量は格別限定されず、例えば、下記の範囲であり得る。
電磁波シールド層におけるポリアニリンの含有量は、例えば、20質量%以上90質量%以下、さらには30質量%以上60質量%以下とすることができる。尚、電磁波シールド層における「ポリアニリンの含有量」は、電磁波シールド層においてポリアニリン複合体を形成していないポリアニリン、及び電磁波シールド層においてポリアニリン複合体を形成しているポリアニリンの合計の含有量であり、ポリアニリン複合体を構成するドーパントはこの含有量に含まない。
電磁波シールド層は、上述したフェノール性水酸基を有する化合物を含んでもよいし含まなくてもよい。含む場合の含有量は、通常、上記ポリアニリン100質量部に対して0.01〜20質量部である。
電磁波シールド層における上述した耐熱安定化剤の含有量は、例えば、5質量%以上50質量%以下、さらには10質量%以上30質量%以下とすることができる。
電磁波シールド層における上述した他の成分の含有量は、例えば、導電性材料のグラフェンであれば10質量%以上50質量%以下、さらには10質量%以上40質量%以下とすることができる。
本発明の一態様に係る電磁波シールド層は、本質的に、ポリアニリン複合体として含有されてもよいポリアニリン、及び、任意に耐熱安定化剤からなってもよい。この場合、不可避不純物を含んでもよい。
本発明の一態様に係る電磁波シールド層の、例えば、70質量%以上、80質量%以上、90質量%以上、98質量%以上、99質量%以上、99.5質量%以上、99.9質量%以上、又は100質量%が、ポリアニリン複合体として含有されてもよいポリアニリン、及び、耐熱安定化剤であってもよい。
(他の層)
フィルムは、上述した基材層及び電磁波シールド層以外の他の層を含むことができる。他の層は格別限定されず、例えば、保護層等が挙げられる。保護層は、例えば、電磁波シールド層を保護する目的で、電磁波シールド層上に積層することができる。保護層の材質は格別限定されず、例えば、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、アクリル系、シリコーン系、フッ素系、ポリエチレン系、スチレンブタジエン系、ニトリルブタジエン系、エポキシ系等の樹脂を例示することができる。また、保護層の厚みは、例えば0.5〜80μmとすることができる。
(電磁波シールド層の表面抵抗)
一実施形態において、フィルムの電磁波シールド層の表面抵抗は、例えば、1200Ω/□以下、1000Ω/□以下、800Ω/□以下、600Ω/□以下、500Ω/□以下、400Ω/□以下、300Ω/□以下、200Ω/□以下、150Ω/□以下、さらには125Ω/□以下であることが好ましい。これにより、良好な電磁波シールド特性を発揮することができる。また、フィルムの電磁波シールド層の表面抵抗は、例えば、1Ω/□以上、5Ω/□以上、さらには10Ω/□以上であり得る。尚、ここでいう表面抵抗は、実施例に記載の測定方法によって測定される値である(以下同様)。
また、一実施形態において、フィルムを1.15倍に一軸延伸した場合における電磁波シールド層の表面抵抗は、例えば、1200Ω/□以下、1000Ω/□以下、800Ω/□以下、600Ω/□以下、500Ω/□以下、400Ω/□以下、300Ω/□以下、200Ω/□以下、150Ω/□以下、さらには125Ω/□以下であることが好ましい。これにより、良好な電磁波シールド特性を発揮することができる。また、フィルムを1.15倍に一軸延伸した場合における電磁波シールド層の表面抵抗は、例えば、1Ω/□以上、5Ω/□以上、さらには10Ω/□以上であり得る。
さらに、一実施形態において、フィルムを1.15倍に一軸延伸した場合における電磁波シールド層の表面抵抗の増加量は、300Ω/□以下、200Ω/□以下、100Ω/□以下、50Ω/□以下、30Ω/□以下、20Ω/□以下、10Ω/□以下、さらには5Ω/□以下であることが好ましい。これにより、良好な電磁波シールド特性を発揮することができる。また、一実施形態において、フィルムを1.15倍に一軸延伸した場合における電磁波シールド層の表面抵抗の増加量は、3Ω/□以下、2Ω/□以下、さらには1Ω/□以下であってもよい。さらに、一実施形態において、フィルムを1.15倍に一軸延伸した場合における電磁波シールド層の表面抵抗は、延伸前の表面抵抗と同等であるか、延伸前の表面抵抗よりも低いものであり得る。
さらにまた、一実施形態において、フィルムを1.15倍に一軸延伸した場合における電磁波シールド層の表面抵抗の増加率は、50%以下、30%以下、20%以下、15%以下、10%以下、8%以下、5%以下、3%以下、さらには表面抵抗が増加しないことが好ましい。これにより、良好な電磁波シールド特性を発揮することができる。ここで、表面抵抗の増加率は、[(延伸後の表面抵抗−延伸前の表面抵抗)/延伸前の表面抵抗]×100によって算出される値である。
以上に説明した表面抵抗の各特徴に関して、フィルムを1.15倍に一軸延伸する際の延伸条件は、フィルム加熱温度100℃〜250℃、引張り速度10〜20mm/分とする。
一実施形態において、フィルムは、1.15倍の一軸延伸に際し、フィルム加熱温度を100℃〜250℃のいずれかの温度とし、かつ引張り速度を10〜20mm/分のいずれの速度としても、上述した表面抵抗の各特徴のいずれか1以上、好ましく全てを満たす。
一実施形態において、フィルムは、2GHz(吸収)でのノイズ抑制特性(Ploss/Pin)が0.8以上であることが好ましい。ノイズ抑制特性(Ploss/Pin)は、IEC62333に準拠して測定される値である。
2.成形体(電磁波シールド層付き成形体)
本発明の一実施形態に係る成形体は、本発明の一実施形態に係るフィルムを用いて製造されたことを特徴とする。かかる成形体は、フィルムを成形することによって製造することができる。かかる成形に伴って、フィルムは少なからず延伸される。そのような延伸は、加熱下で施され得る。また、そのような延伸は、フィルム全体に均一に施されてもよいし、フィルム全体に不均一に施されてもよいし、フィルム中に未延伸部分が残るように施されてもよい。フィルムを成形するための方法の具体例として、フィルムインサート成形、インモールド成形及び真空成形等のような加飾成形等が挙げられる。そのような加飾成形によって、フィルムは、少なくとも一部が、一軸延伸又は二軸延伸され得、通常は二軸延伸される。そのような加飾成形によって、成形体に電磁波シールド層を加飾することができる。そのような電磁波シールド層付き成形体は、電磁波をシールドするために好適に用いることができる。
(フィルムインサート成形)
以下、図1〜図4を参照してフィルムインサート成形の一実施形態を説明する。
図1に示すように、加熱されたフィルム1に図示しない金型を用いて賦形(「プレフォーミング」ともいう。)を施す。ここで、フィルム1は、基材層11及び電磁波シールド層12を備えている。賦形は、第1の金型21の凹部形状と一致するように行うことができる。賦形に伴って、フィルム1の少なくとも一部は延伸される。延伸後のフィルム1を、延伸フィルム1sと称する。
次いで、図2に示すように、延伸フィルム1sを第1の金型21内に装着し、第1の金型21に対向する第2の金型22を第1の金型21に組み合わせて型締めを行う。ここでは、延伸フィルム1sの電磁波シールド層12側の面を第1の金型21に対向させているが、上述した賦形の仕様を変更して、延伸フィルム1sの基材層11側の面を第1の金型21に対向させることもできる。
次いで、図3に示すように、第1の金型21及び第2の金型22の内部に形成された空洞部に、第2の金型22に設けられた射出口から成形用樹脂3を供給し、延伸フィルム1sと成形用樹脂3とを一体化する。成形用樹脂は格別限定されず、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のようなポリオレフィン等のような熱可塑性樹脂等を用いることができる。
次いで、図4に示すように、一定時間冷却した後、第1の金型21と第2の金型22を開放することにより、延伸フィルム1sを含む成形体4が得られる。延伸フィルム1sに含まれる電磁波シールド層12は、優れた電磁波シールド性能を維持している。
(インモールド成形)
以下、図5〜図7を参照してインモールド成形の一実施形態を説明する。
図5に示すように、フィルム1を第1の金型21上に配置する。配置の方法に特に制限はないが、通常、第1の金型21の空洞部の一部又は全部を覆うようにフィルム1を配置する。ここでは、フィルム1の電磁波シールド層12側の面を第1の金型21に対向させているが、フィルム1の基材層11側の面を第1の金型21に対向させることもできる。
次いで、図6に示すように、第1の金型21に対向する第2の金型22を第1の金型21に組み合わせて型締めを行い、第2の金型22に設けられた射出口から成形用樹脂3を供給し、フィルム1と成形用樹脂3とを一体化する。成形用樹脂には、フィルムインサート成形について例示したものを用いることができる。かかる成形用樹脂3の供給に伴って、フィルム1は、その少なくとも一部が延伸されて、延伸フィルム1sになる。そのような延伸は、予め加熱された成形用樹脂3による加熱下で施され得る。
次いで、図7に示すように、一定時間冷却した後、第1の金型21と第2の金型22を開放することにより、延伸フィルム1sを含む成形体4が得られる。延伸フィルム1sに含まれる電磁波シールド層12は、優れた電磁波シールド性能を維持している。
3.延伸フィルム(電磁波シールド層付き延伸フィルム)
本発明の一実施形態に係る延伸フィルムは、本発明の一実施形態に係るフィルムを用いて製造されたことを特徴とする。かかる延伸フィルムは、フィルムを延伸することによって製造することができる。そのような延伸は、加熱下で施され得る。また、そのような延伸は、フィルム全体に均一に施されてもよいし、フィルム全体に不均一に施されてもよいし、フィルム中に未延伸部分が残るように施されてもよい。フィルムを延伸するための方法の具体例として、一軸延伸又は二軸延伸のような延伸処理等が挙げられる。延伸フィルムは、電磁波をシールドするために好適に用いることができる。
4.用途
フィルムを用いて製造された成形体及び延伸フィルムは、電子機器のハウジングやガスケット、壁材、カーテン、ブラインダー、自動車部品等の種々の用途に広く用いることができる。成形体又は延伸フィルムによって構成される自動車部品は格別限定されず、例えば、ルーフ、ボンネット、フェンダー、ドア、リフトゲート、トランクリッド等が挙げられる。以上に説明した各種部品のそれぞれは、一部又は全部が成形体又は延伸フィルムによって構成され得る。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
実施例1〜4
[基材層の用意]
下記の基材層を用意した。
基材層1:未延伸ポリエステル(非結晶ポリエチレンテレフタレート、略称:A−PET)シート(膜厚250μm)
基材層2:ポリエチレンナフタレート(略称:PEN)シート(帝人フィルムソリューション株式会社製「テオネックスQ51」、膜厚250μm)
基材層3:ポリカーボネート(略称:PC)シート(AGC株式会社製「カーボグラス」、膜厚180μm)
基材層4:ポリプロピレン(略称:PP)シート(出光ユニテック株式会社製「ピュアサーモ」、膜厚200μm)
[塗布液の調製]
(1)ポリアニリンコート剤A(塗布液A)
1,000mLセパラブルフラスコにネオコールSWC(ジ−2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム:第一工業製薬製)32.4g、アニリン13.3g及びソルボンT−20(ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル構造を有する非イオン乳化剤:東邦化学工業株式会社製)0.9gを入れ、トルエン320.4gにて溶解させた。そこに8.4重量%リン酸水溶液450gを加え、トルエンと水の2つの液相を有する反応液を撹拌し、反応液の内温を5℃まで冷却した。反応液の内温を5℃に到達した時点で撹拌しながら、過硫酸アンモニウム(APS)39.3gを8.4重量%リン酸水溶液90.2gに溶解した溶液を、滴下漏斗を用いて1時間かけて滴下した。滴下終了後、溶液内温を5℃に保ったままさらに18時間撹拌した(合計反応時間19時間)。
撹拌停止後、分液漏斗に内容物を移し、水層とトルエン層を静置分離した。分離後、有機層を1Mリン酸水溶液180.3gで1回、イオン交換水328.0gで5回洗浄した後、No.2の濾紙にて濾過することで不溶分を除去し、さらに、ポリアニリンとドーパントとの複合体(ポリアニリン複合体)の濃度が5.5質量%になるように濃度調整(濃縮処理)して、ポリアニリンのトルエン溶液(主剤A)を得た。主剤A中のポリアニリン複合体を構成するポリアニリン分子の重量平均分子量は65000である。
一方で、4−メトキシフェノール55gを2−プロパノール45gに溶解して、添加剤Aとした。
60gの主剤Aに40gの添加剤Aを添加し、常温で15分間撹拌して、ポリアニリンコート剤Aを調製した。
(2)ポリアニリンコート剤B(塗布液B)
上記の主剤Aを加温してポリアニリン複合体の濃度が20〜30質量%になるまで濃縮し、1−ブトキシ−2−プロパノールにてポリアニリン複合体の濃度が5.5%質量になるまで希釈する溶媒置換操作を5回繰り返し、溶媒を1−ブトキシ−2−プロパノールに置換したポリアニリン複合体の濃度が5.5質量%である溶液(主剤B)を調製した。60gの主剤Bに40gの添加剤Aを添加し、室温で15分間撹拌して、塗布液Bを調製した。
[電磁波シールド層の形成]
#40〜#100バー(テスター産業株式会社製)を使用して、塗布液A又はBを、各基材層1〜4に塗工した。塗工後、60℃〜120℃にて30分間乾燥した(温度は基材層の耐熱性に応じて設定した。)。塗膜の表面抵抗値が表1に示す初期表面抵抗値になるように塗工回数を調整して、電磁波シールド層を形成した。
実施例1〜4において、電磁波シールド層におけるポリアニリンの含有量はおおよそ40質量%、ドーパントの含有量はおおよそ40質量%、耐熱安定化剤の含有量はおおよそ20質量%である。
比較例1(無電解銅めっきフィルム)
上述した主剤Aにポリウレタン樹脂(大日精化工業株式会社製「MAU−1008」)を添加して、無電解めっき用の下地コート剤を調製した。この下地コート剤をポリプロピレンシートに塗布し、80℃で30分間乾燥して、下地コートを形成した。
下地コートは、該下地コートに含まれる樹脂の総量に対して、45質量%のポリアニリン、及び55質量%のポリウレタンを含む。
下地コートの表面を界面活性剤で洗浄し、水洗した後、塩化パラジウム水溶液に浸漬して、触媒である塩化パラジウムを付与した(触媒付与工程)。触媒が付与された下地コートの表面を水洗した後、無電解銅めっき浴(奥野製薬工業株式会社製「アドカッパーIW」)を用いて無電解銅めっき処理した。無電解銅めっき処理後に、めっき被膜を水洗し、60℃で30分間乾燥して、無電解銅めっきフィルムを得た。
尚、比較例1において、主剤Aに由来する下地コート中のポリアニリン複合体は無電解めっき工程(強アルカリ下)によって導電性を失っており、下地コートは電磁波シールド性能を有しない。そのため、下地コートは電磁波シールド層ではない。比較例1においては、下地コート上に形成された無電解銅めっき被膜が電磁波シールド層として機能する。
比較例2(PEDOT/PSS塗工フィルム)
PEDOT/PSS水分散液(シグマアルドリッチジャパン合同会社製)18gに、エチレングリコール2g、及びレベリング剤を添加して撹拌し、PEDOT/PSS塗布液を得た。#40バー(テスター産業株式会社製)を用いて、PEDOT/PSS塗布液を、上述した基材層3(AGC株式会社製「カーボグラス」、ポリカーボネート)にバーコート法で塗工して、PEDOT/PSS塗工フィルムを得た。
評価方法
(1)表面抵抗の測定
電磁波シールド層(比較例1においては無電解銅めっき被膜、比較例2においてはPEDOT/PSS塗膜)の表面抵抗を、株式会社三菱ケミカルアナリテック製抵抗率計「ロレスター」を用い、四探針法にて測定した。
(2)電磁波シールド性能の測定
電磁波シールド性能として、IEC62333に準拠して、3GHzでのノイズ抑制特性(Ploss/Pin)を、吸収及び反射のそれぞれについて測定した。
(3)延伸処理
上述した表面抵抗及び電磁波シールド性能は、フィルム延伸処理の前後で測定した。このフィルム延伸処理は、A−PETは二軸延伸機(株式会社井元製作所製「IMC−1AA6型」)を用い、他は手動式延伸機を用いた。これらのフィルム延伸処理は、下記延伸条件での一軸延伸処理(1.15倍)である。これらの延伸条件は一例であり、樹脂グレードや厚み、延伸装置等で適宜条件を変更することができる。
[延伸条件]
実施例1(基材:A−PET):一軸延伸、加熱温度100℃
実施例2(基材:PEN):一軸延伸、加熱温度250℃
実施例3及び比較例2(基材:PC):一軸延伸、加熱温度165℃
実施例4及び比較例1(基材:PP):一軸延伸、加熱温度145℃
いずれの実施例及び比較例も、引張り速度は、10〜20mm/分である。
以上の結果を表1に示す。
Figure 2020107840
評価
熱可塑性樹脂を含む基材層と、前記基材層に積層されたポリアニリンを含む電磁波シールド層とを含む実施例1〜4のフィルムは、延伸前後において同等の表面抵抗を保持し、またノイズ抑制性能も維持できることがわかる。
これに対して、無電解銅めっきフィルム(比較例1)及びPEDOT/PSS塗工フィルム(比較例2)は、延伸により無電解銅めっき被膜及びPEDOT/PSS塗膜に亀裂が発生し、表面抵抗が大幅に低下した(比較例1については表面抵抗の測定を省略したが、亀裂によって表面抵抗が大幅に低下していることが明らかであった。)。比較例2の結果は、表面抵抗の低下に伴いノイズ抑制性能も低下することを示している。
本発明の成形用又は延伸用フィルムは、例えば、延伸用途及び成形用途に利用できる。
1:延伸用フィルム
1s:延伸フィルム
11:基材層
12:電磁波シールド層

Claims (13)

  1. 基材層と、前記基材層上に積層された電磁波シールド層とを含み、
    前記基材層は熱可塑性樹脂を含み、
    前記電磁波シールド層はポリアニリンを含む、
    成形用又は延伸用フィルム。
  2. 前記電磁波シールド層の膜厚が0.30μm以上150μm未満である、請求項1に記載の成形用又は延伸用フィルム。
  3. 前記電磁波シールド層の表面抵抗が1200Ω/□以下である、請求項1又は2に記載の成形用又は延伸用フィルム。
  4. 前記延伸用フィルムを1.15倍に一軸延伸した場合における前記電磁波シールド層の表面抵抗が1200Ω/□以下である、請求項1〜3のいずれかに記載の成形用又は延伸用フィルム。
  5. 前記延伸用フィルムを1.15倍に一軸延伸した場合における前記電磁波シールド層の表面抵抗の増加量が300Ω/□以下である、請求項1〜4のいずれかに記載の成形用又は延伸用フィルム。
  6. 前記延伸用フィルムを1.15倍に一軸延伸した場合における前記電磁波シールド層の表面抵抗の増加率が15%以下である、請求項1〜5のいずれかに記載の成形用又は延伸用フィルム。
  7. 2GHz(吸収)でのノイズ抑制特性(Ploss/Pin)が0.8以上である、請求項1〜6のいずれかに記載の成形用又は延伸用フィルム。
  8. 前記ポリアニリンが、該ポリアニリンとプロトン供与体とを含むポリアニリン複合体として前記電磁波シールド層に含まれる、請求項1〜7のいずれかに記載の成形用又は延伸用フィルム。
  9. 前記プロトン供与体がスルホン酸又はスルホン酸塩である、請求項8に記載の成形用又は延伸用フィルム。
  10. 前記スルホン酸又はスルホン酸塩が下記式(III)で示されるスルホコハク酸誘導体である、請求項9に記載の成形用又は延伸用フィルム。
    Figure 2020107840
    (式(III)中、Mは、水素原子、有機遊離基又は無機遊離基であり、m’はMの価数である。
    13及びR14は、それぞれ独立に、炭化水素基又は−(R15O)−R16で表わされる基である。m’が2以上のとき、複数存在するR13及びR14は、それぞれ互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。
    15は、2価の炭化水素基又は−Si(R18−基であり、R16は水素原子、炭化水素基又はR17 Si−で表わされる基であり、rは1以上の整数である。rが2以上のとき、複数存在するR15は、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。
    17は、炭化水素基である。3つ存在するR17は、互いに同一の炭化水素基であってもよいし、異なっていてもよい。
    18は、水素原子、又は炭化水素基である。2つ以上存在するR18は、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。)
  11. 前記電磁波シールド層が、該電磁波シールド層に含まれる樹脂の総質量に対して50質量%以上の前記ポリアニリンを含む、請求項1〜10のいずれかに記載の成形用又は延伸用フィルム。
  12. 請求項1〜11のいずれかに記載の成形用又は延伸用フィルムを用いて製造された成形体。
  13. 請求項1〜11のいずれかに記載の成形用又は延伸用フィルムを用いて製造された延伸フィルム。
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