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JP2020104074A - ファインバブル供給装置、冷却装置、ファインバブルの供給方法及び冷却方法 - Google Patents

ファインバブル供給装置、冷却装置、ファインバブルの供給方法及び冷却方法 Download PDF

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JP2020104074A
JP2020104074A JP2018246958A JP2018246958A JP2020104074A JP 2020104074 A JP2020104074 A JP 2020104074A JP 2018246958 A JP2018246958 A JP 2018246958A JP 2018246958 A JP2018246958 A JP 2018246958A JP 2020104074 A JP2020104074 A JP 2020104074A
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英里 干場
Eri Hoshiba
英里 干場
伊達 博充
Hiromitsu Date
博充 伊達
工 西本
Takumi Nishimoto
工 西本
林 聡
Satoshi Hayashi
聡 林
三浦 雅人
Masato Miura
雅人 三浦
徳丸 慎司
Shinji Tokumaru
慎司 徳丸
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Abstract

【課題】冷却液の温度変化に応じた、冷却対象物のより均一な冷却を実現すること。【解決手段】本発明に係るファインバブル供給装置は、液温TS[℃]が5℃以上100℃以下である溶液中に、平均気泡径が100μm以下であるファインバブルを発生させるファインバブル発生機構と、前記ファインバブル発生機構に導入されるガスの流量を、0.1L/min以上3.0L/min以下に制御するガス流量制御部と、前記ファインバブル発生機構に導入されるガスの温度TG[℃]を、0.05<TG/TS≦15の関係を満足するように制御するガス温度制御部と、を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、ファインバブル供給装置、冷却装置、ファインバブルの供給方法及び冷却方法に関する。
鉄鋼材料の製造プロセスにおいて、所望の材料組織を形成するために、熱処理後の鉄鋼材料を冷却する際の冷却状態を制御することは、極めて重要である。かかる冷却処理の際には、冷却対象物をより均一に冷却することが重要であるため、冷却対象物をより均一に冷却するための技術が、各種提案されている。
例えば、以下の特許文献1には、冷却対象物をより均一に冷却するために、冷却液中に可溶性ガスを溶解させて、かかる可溶性ガスの発泡を利用する技術が提案されている。
特開2013−112849号公報
しかしながら、上記特許文献1で開示されている技術では、発生する気泡の量や気泡の大きさを意図的に制御することはできず、また、冷却液が保持されている処理槽が外気に接している状況では、可溶性ガスの冷却液への溶解度も低くなると考えられるため、発泡する可溶性ガスの量も少なくなる可能性がある。更には、例えば、鉄鋼材料の製造プロセスにおいて連続鋳造鋳片を冷却する場合等のように、冷却対象物が高い温度を有している場合には、冷却液の液温が容易に変化してしまうことが考えられる。そのため、上記特許文献1で開示されている技術を用いた場合であっても、冷却の均一性という観点で未だ改善の余地があった。
そこで、本発明者らは、可溶性ガスではなく、ファインバブルを用いて冷却対象物を冷却することに着想し、冷却液の温度変化に応じて、冷却対象物をより均一に冷却可能とする技術を提供することを目的とした。
すなわち、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、冷却液の温度変化に応じて、冷却対象物をより均一に冷却することが可能な、ファインバブル供給装置、冷却装置、ファインバブルの供給方法及び冷却方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、冷却対象物をより均一に冷却するためには、用いるファインバブルの平均気泡径を適切に制御することが重要であるとの着想を得て、ファインバブルの平均気泡径を制御するための技術について、更なる検討を行った。その結果、ファインバブルを発生させるファインバブル発生機構に導入されるガスの流量及び温度を適切に制御することで、ファインバブルの平均気泡径を制御可能であるとの知見を得て、本発明を完成するに至った。
上記知見に基づき完成された本発明の要旨は、以下の通りである。
(1)液温T[℃]が5℃以上100℃以下である溶液中に、平均気泡径が100μm以下であるファインバブルを発生させるファインバブル発生機構と、前記ファインバブル発生機構に導入されるガスの流量を、0.1L/min以上3.0L/min以下に制御するガス流量制御部と、前記ファインバブル発生機構に導入されるガスの温度T[℃]を、0.05<T/T≦15の関係を満足するように制御するガス温度制御部と、を備える、ファインバブル供給装置。
(2)外部に供給される前記ファインバブルについて、気泡径が100μm以下の前記ファインバブルが気泡総数に占める割合が70%以上となるように制御する、(1)に記載のファインバブル供給装置。
(3)前記ガス温度制御部は、前記ファインバブル発生機構に導入される前記ガスの流路に設けられた熱交換器を含む、(1)又は(2)に記載のファインバブル供給装置。
(4)5≦T[℃]≦100の範囲内での前記溶液の動粘度νは、0.2[mm/s]以上200[mm/s]以下である、(1)〜(3)の何れか1つに記載のファインバブル供給装置。
(5)外部に供給される前記ファインバブルの平均気泡径を測定する気泡径測定機構を更に備え、前記ガス温度制御部は、前記気泡径測定機構による前記ファインバブルの平均気泡径の測定結果に基づき、前記ガスの温度Tを制御する、(1)〜(4)の何れか1つに記載のファインバブル供給装置。
(6)前記溶液の液温Tを測定する液温測定機構を更に備え、前記ガス温度制御部は、前記液温測定機構による前記液温Tの測定結果に基づき、前記ガスの温度Tを制御する、(1)〜(5)の何れか1つに記載のファインバブル供給装置。
(7)前記ファインバブル発生機構から供給されるファインバブルの個数濃度が10個/mL以上となるように、前記ファインバブルを発生させる、(1)〜(6)の何れか1つに記載のファインバブル供給装置。
(8)前記ファインバブル発生機構は、ファインバブル発生ノズルから気体を取り込む方式のファインバブル発生機構である、(1)〜(7)の何れか1つに記載のファインバブル供給装置。
(9)前記溶液は、水、又は、油の少なくとも何れかである、(1)〜(8)の何れか1つに記載のファインバブル供給装置。
(10)冷却対象物の表面を冷却する冷却液により当該冷却対象物を処理する処理機構と、前記処理機構に設けられたファインバブル供給装置と、を備え、前記ファインバブル供給装置は、液温T[℃]が5℃以上100℃以下である前記冷却液中に、平均気泡径が100μm以下であるファインバブルを発生させるファインバブル発生機構と、前記ファインバブル発生機構に導入されるガスの流量を、0.1L/min以上3.0L/min以下に制御するガス流量制御部と、前記ファインバブル発生機構に導入されるガスの温度T[℃]を、0.05<T/T≦15の関係を満足するように制御するガス温度制御部と、を備える、冷却装置。
(11)前記冷却液で処理される前の冷却対象物の温度は、300℃以上1000℃以下の範囲内である、(10)に記載の冷却装置。
(12)前記冷却対象物は、鉄鋼材料である、(10)又は(11)に記載の冷却装置。
(13)液温T[℃]が5℃以上100℃以下である溶液中に、平均気泡径が100μm以下であるファインバブルを発生させるファインバブル発生機構に対して、導入されるガスの流量を0.1L/min以上3.0L/min以下に制御し、かつ、導入されるガスの温度T[℃]を、0.05<T/T≦15の関係を満足するように制御する、ファインバブルの供給方法。
(14)冷却対象物の表面を冷却する冷却液により当該冷却対象物を処理する処理機構を用いて、前記冷却対象物を冷却する冷却方法であって、前記処理機構には、液温T[℃]が5℃以上100℃以下である前記冷却液中に、平均気泡径が100μm以下であるファインバブルを発生させるファインバブル発生機構と、前記ファインバブル発生機構に導入されるガスの流量を制御するガス流量制御部と、前記ファインバブル発生機構に導入されるガスの温度T[℃]を制御するガス温度制御部と、を有するファインバブル供給装置が設けられており、前記ガス流量制御部により、前記ファインバブル発生機構に導入されるガスの流量を0.1L/min以上3.0L/min以下に制御し、かつ、前記ガス温度制御部により、前記ガスの温度T[℃]を、0.05<T/T≦15の関係を満足するように制御する、冷却方法。
以上説明したように本発明によれば、冷却液の温度変化に応じて、冷却対象物をより均一に冷却することが可能となる。
本発明の実施形態に係るファインバブル供給装置の構成の一例を模式的に示した説明図である。 ファインバブル供給装置に導入されるガスの温度と、ファインバブルの平均気泡径とその標準偏差と、の関係を示したグラフ図である。 液温に対するガス温度の比とファインバブルの平均気泡径の標準偏差σとの関係を示したグラフ図である。 同実施形態に係るファインバブル供給装置を備えた冷却装置の構成の一例を模式的に示した説明図である。 同実施形態に係るファインバブルを用いた場合の冷却速度比を示したグラフ図である。 実験例2で用いた冷却装置を模式的に示した説明図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
(本発明者らによる検討内容について)
本発明者らは、冷却対象物をより均一に冷却するために、ファインバブルと呼ばれる気泡を利用することに着想し、鋭意検討を行った。
ここで、ファインバブルとは、平均気泡径が100μm以下である微細気泡である。かかるファインバブルのうち、平均気泡径がμmサイズのファインバブルを、マイクロバブルと称することがあり、平均気泡径がnmサイズのファインバブルを、ウルトラファインバブル又はナノバブルと称することがある。
冷却液よりも高い温度を有する冷却対象物を冷却液中に浸漬させた場合、冷却対象物の表面には、冷却対象物の温度に応じて小さな気泡が発生する状態から、気泡が合体し表面を覆う蒸気膜の状態に変化する。蒸気膜が覆われた冷却対象物は、冷却効果が急速に低下する。この蒸気膜を、ファインバブルによってより確実に破壊・微細化することが、より冷却効果を向上させ、かつ、均一な冷却を実現するために重要である。ファインバブルが破泡することによって生じる衝撃力は、ファインバブルの気泡径に依存する。そのため、冷却対象物の表面に生じる蒸気膜をより確実に破壊・微細化するためには、用いるファインバブルの平均気泡径を適切に制御することが重要になると考えられる。
ここで、ファインバブルの平均気泡径を制御するためには、ファインバブル発生装置と、ファインバブルの供給先となる処理槽との間に、所望の平均気泡径に対応するような微細孔を有するフィルタ等を設けられればよいように、一見考えられる。しかしながら、実際にそのようなフィルタを設けてファインバブルの平均気泡径を制御しようとしても、フィルタの近傍に気体が溜まるなどして不具合が生じ、ファインバブルの平均気泡径を所望の大きさに制御することは、困難を伴う。そのため、従来、ファインバブルの平均気泡径を制御するためには、ファインバブルの発生方式や、ファインバブルを発生させる際に印加する圧力の大きさを変化させることが多かった。また、ファインバブルの発生器に供給するガス流量を極微量に絞り、ファインバブルを微細化することもあった。
しかしながら、上記のような発生方式や印加圧力を変化させる場合でも、所望のファインバブルの平均気泡径に変化させるというよりは、発生方式や印加圧力を変えた結果生じた平均気泡径をただ利用しているに過ぎず、発生するファインバブルの平均気泡径の大きさが所望の値となるように制御しているというものではなかった。また、供給するガス流量を微量に絞る場合には、気泡径は小さくなるものの気泡濃度は低くなるため、大型の処理槽には対応できなかった。
一方、ファインバブルは、その内部には、ファインバブルを発生させる際に用いられた気体が存在している一方で、ファインバブルの外部には、ある液温の冷却液が存在している。その結果、ファインバブルは、泡の内外の温度差によって膨張又は収縮し、ファインバブルの平均気泡径が変化してしまう。そのため、ファインバブルを発生させる際にファインバブルの平均気泡径を制御するだけでは不十分であり、供給先の液温をも考慮して、ファインバブルの平均気泡径を制御し、ファインバブルを安定して発生させることが重要である。従来の装置では、ファインバブルの発生する液温等の外部環境によって気泡径の変化は著しく、発生する気泡径の分布は変化しやすいものであり、高温域においては制御が困難であった。特に、鉄鋼材料の製造プロセスにおいて、冷却媒を用いて高温状態にある鉄鋼材料を冷却するという工程は随所に見られ、冷却対象物が高温であるほど、冷却媒の液温は容易に変化してしまう。また、冷却工程によっては、冷却液の温度を変化させて冷却速度を制御することもあるため、安定操業のためにはどの温度域においても常に同じ気泡分布を発生させることが求められる。一方で、上記特許文献1に開示されているような技術を含む従来の方式では、溶液の温度変化に対応しながら平均気泡径を制御することは、困難であった。
このような状況に鑑み、本発明者らは、鋭意検討した結果、ファインバブルを発生させるファインバブル発生機構に導入されるガスの流量及び温度を適切に制御することで、冷却に用いられる溶液の温度が変化した場合であっても、ファインバブルの平均気泡径を制御可能であるとの知見を得た。
以下では、かかる知見に基づき完成された、本発明の実施形態に係るファインバブル供給装置、冷却装置、ファインバブルの供給方法及び冷却方法について、詳細に説明する。
(実施形態)
<ファインバブル供給装置の構成について>
まず、図1〜図3を参照しながら、本実施形態に係るファインバブル供給装置及びファインバブルの供給方法について、詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るファインバブル供給装置の構成の一例を模式的に示した説明図である。図2は、ファインバブル供給装置に導入されるガスの温度と、ファインバブルの平均気泡径とその標準偏差と、の関係を示したグラフ図である。図3は、液温に対するガス温度の比とファインバブルの平均気泡径の標準偏差σとの関係を示したグラフ図である。
本実施形態に係るファインバブル供給装置10は、図1に模式的に示したように、ファインバブルを発生させるファインバブル発生機構101と、ファインバブル発生機構101に導入されるガスの温度を制御するガス温度制御部103と、ファインバブル発生機構101に導入されるガスの流量を制御するガス流量制御部105と、を主に備える。また、本実施形態に係るファインバブル供給装置10は、上記のファインバブル発生機構101及びガス温度制御部103に加えて、液温測定機構107又は気泡径測定機構109の少なくとも何れかを更に備えることが好ましい。
ファインバブル発生機構101は、図1に模式的に示したように、溶液供給管を介して供給される溶液(冷却液)と、ガス供給管を介して導入されるガスと、を用いて、溶液中に所定の平均気泡径を有するファインバブルを発生させる機構である。発生したファインバブルを含む溶液は、溶液供給管を介して、処理槽等の供給先へと供給される。
より詳細には、ファインバブル発生機構101は、導入されるガスを利用して、液温T[℃]が5℃以上100℃以下である溶液中に、平均気泡径が100μm以下であるファインバブルを発生させる。
なお、ファインバブル発生機構101に供給される溶液は、特に限定されるものではないが、ファインバブルを含む溶液の供給先に保持されている溶液と同種の溶液であることが好ましい。かかる溶液は、水又は油の少なくとも何れかであってもよいし、これらの溶液に、各種の混入物が含まれていてもよい。
ここで、ファインバブル発生機構101に供給される溶液の液温Tが5℃未満である場合には、ファインバブル発生した後に消滅してしまい、液中に保持することが困難となるため、好ましくない。一方、ファインバブル発生機構101に供給される溶液の液温Tが100℃を超える場合には、液中の分子運動が激しくなり、ファインバブルを液中に保持することが困難となるため、好ましくない。
また、ファインバブル発生機構101に供給される溶液の液温Tは、ファインバブル発生後の溶液が供給される先に存在している溶液の液温に近い値であることが好ましい。ファインバブル発生機構101に供給される溶液の液温Tを、供給先に存在している溶液の液温に近づけることで、供給先でのファインバブルの平均気泡径の変化を、より低減することが可能となる。ファインバブル発生機構101に供給される溶液の液温Tは、より好ましくは、供給先に存在している溶液の液温の±10℃以内であり、更に好ましくは、供給先に存在している溶液の液温の±5℃以内である。
また、液温が変わると溶液の粘度が変化することが考えられ、粘度によって発生するファインバブルの安定性が変化する。また、冷却には、動粘度νが影響を与えることが知られている。ここで、動粘度νとは、粘度μを密度ρで除したものである。このため、粘度によって変化するファインバブルの変化は、溶液の動粘度νにも影響を受ける。そのため、ファインバブル発生機構101に供給される溶液は、5≦T[℃]≦100の範囲内での動粘度νが、0.2[mm/s]以上200[mm/s]以下であることが好ましい。5≦T[℃]≦100の範囲内での溶液の動粘度νが、0.2[mm/s]以上200[mm/s]以下となることで、発生するファインバブルをより安定化させることが可能となり、実現した平均気泡径をより確実に保持させることが可能となる。また、溶液の動粘度νが200[mm/s]を大きく超えて高くなりすぎる場合には、ファインバブルを取り巻く膜の粘度が強くなって膜が破れにくくなるため、平均気泡径を変化させにくくなる可能性がある。なお、溶液の動粘度νは、市販されている公知の各種の粘度計を用いて測定することが可能である。
本実施形態に係るファインバブル発生機構101は、平均気泡径が100μm以下であるファインバブルを発生させる。ファインバブルの平均気泡径が100μmを超える場合には、浮上速度が大きくなり、また負に帯電する等のファインバブル特性が得られなくなり、冷却対象物を均一に冷却することが困難となる。ファインバブル発生機構101が発生させるファインバブルの平均気泡径は、例えば、ファインバブル供給装置10を管理する制御装置(例えば、各種のコンピュータ、サーバ、プロセスコンピュータ等。図示せず。)から出力される設定情報に基づき、かかる設定情報に規定されている平均気泡径となるように制御される。
ここで、ファインバブル発生の基本方式には、気泡のせん断、気泡の微細孔通過、気体の加圧溶解、液体の高速旋回、超音波、電気分解、化学反応等といった様々な方式が存在する。本実施形態に係るファインバブル発生機構101として、上記のような各種の発生方式を利用したガス取り込み機構を有する装置を用いることが可能である。ただし、ファインバブルを発生させる吐出ノズルにガスを取り込む方式を用いたファインバブル発生機構を用いることで、ファインバブルの平均気泡径をより確実に制御可能となるため、より好ましい。
本実施形態に係るガス温度制御部103は、ガス供給管を介してファインバブル発生機構101に導入されるガスの温度を、所定の条件を満たすように制御する。これにより、本実施形態に係るファインバブル供給装置10では、発生させるファインバブルの平均気泡径を所望の値とすることが可能となる。
先だって言及したように、ファインバブルは、その内部には、ファインバブルを発生させる際に用いられた気体が存在している一方で、ファインバブルの外部には、ある液温の冷却液が存在している。そのため、ファインバブルは、泡の内外の温度差によって膨張又は収縮し、ファインバブルの平均気泡径が変化する。そこで、本発明者らが鋭意検討した結果、ファインバブルを発生させるために用いられるガスの流量及び温度を制御することで、ファインバブルの平均気泡径を制御できるのではないかと知見した。
そこで、本発明者らは、図2に示したように、旋回流方式のファインバブル発生機構に供給される水の液温を25℃に維持したままで、ファインバブル発生機構に導入されるガス(空気)の温度T[℃]を変化させて(常温、30℃、40℃、100℃)、発生するファインバブルの平均気泡径D[μm]を繰り返し10回計測し、その標準偏差σを算出した。この際、ファインバブル発生機構に導入されるガス(空気)の流量は、供給経路に設けられたバルブ等を制御して、0.2L/minに保持した。
なお、ファインバブルの平均気泡径、気泡総量及び濃度(密度)は、液中パーティクルカウンターや気泡径分布計測装置等といった、公知の機器により測定することが可能であり、本検証では、ファインバブルの平均気泡径は、画像解析法(マイクロトラック・ベル製MicrotracPartAnSI)を用いて測定した。
図2から明らかなように、ファインバブル発生機構に導入されるガスの温度Tが高くなるにつれて、発生するファインバブルの平均気泡径は小さくなり、繰り返し10回計測した平均気泡径の標準偏差σは、大きくなっていくことがわかる。また、ファインバブル発生機構におけるファインバブルの発生方式を変えた場合、及び、ファインバブル発生機構に導入されるガスの流量を変えた場合であっても、図2に示したものと同様の傾向を得ることができた。かかる検証結果から、本発明者らは、ファインバブルを発生させるために用いられるガスの流量及び温度を制御することで、ファインバブルの平均気泡径を制御可能であることを確認し、気泡分布のばらつきを抑制することに有効であることを確認した。
かかる知見をもとに、本発明者らは、ファインバブル発生機構に供給される溶液の液温T[℃]と、ファインバブル発生機構に導入されるガスの流量及び温度T[℃]とを変化させながら、ファインバブルの平均気泡径を制御可能な範囲について、詳細な検証を行った。その結果、ガス温度Tと液体の温度Tとの比によって、ファインバブルの平均気泡径Dのばらつきを小さくできることを見出した。
かかる検証結果を、図3に示した。図3では、ガス温度Tと液体の温度Tとの比を、横軸に常用対数目盛を用いて図示しており、発生するファインバブルの平均気泡径D[μm]を繰り返し10回計測した標準偏差σの算出値の関係を示している。ガス温度Tと液体の温度Tとが離れるほど、気泡が安定せずに、平均気泡径のばらつきが大きくなることがわかる。このときの平均気泡径Dは、液温により異なっており、一律ではないが、液体の温度Tに関わらず、ガス温度Tを制御することにより、発生するファインバブルの平均気泡径を安定的に発生させることが可能であることがわかる。
上記知見に基づき、本実施形態に係るガス温度制御部103は、ファインバブル発生機構101に導入されるガスの温度T[℃]を、0.05<T/T≦15の関係を満足するように制御する。T/Tの値が0.05以下となる場合には、ファインバブル発生機構101に供給されるガスの温度Tが低すぎて、気体の凝縮が起こり液化してしまうため発生するファインバブルの平均気泡径を制御することができず、気泡径のばらつきも大きくなる。一方、T/Tの値が15を超える場合には、ファインバブル発生機構101に供給されるガスの温度Tが高すぎて、ファインバブル供給装置としての耐熱性を確保できない。また、図3に示した知見の通り平均気泡径がばらついてしまい、発生するファインバブルの平均気泡径を制御することができない。本実施形態に係るガス温度制御部103は、所望のファインバブルの平均気泡径が得られるように、ファインバブル発生機構101に導入されるガスの温度Tを、上記の関係が満たされるような範囲内で制御することで、所望の平均気泡径を有するファインバブルを発生させることができる。
ファインバブルの平均気泡径Dの標準偏差σに関して、ファインバブル発生位置からの距離、測定方法、発生装置、溶液種等によって、ファインバブルの平均気泡径Dが変化することがある。また、同位置、同発生装置、同発生方法にて繰り返し連続測定を行う中で、気泡の安定性が得られないことがあった。ファインバブルの特性として、収縮する気泡と膨張する気泡とが混在しており、浮力を持つ気泡の流れによっても、平均気泡径が変化してしまう。冷却に用いる場合は、このような気泡制御も重要となるため、標準偏差σを小さくすることは重要である。
上記知見に基づき、本実施形態に係るガス温度制御部103は、ファインバブル発生機構101に導入されるガスの温度T[℃]を、0.05<T/T≦15の関係を満足するように制御する。これにより、ファインバブルの平均気泡径の標準偏差σを10以下に制御することができる。
また、上記の制御範囲は、ファインバブルの平均気泡径が100μm以下であるときに成立するが、気泡径が100μm以下であるファインバブルの占める割合が、気泡総数に対して70%以上であれば、ファインバブルの平均気泡径をより確実に制御することが可能となる。換言すれば、気泡径の分布を考えたときに、気泡総数の70%に当たる気泡が気泡径100μm以下となっていれば、ファインバブルの平均気泡径をより確実に制御することが可能となる。そのため、気泡総数に対する気泡径100μm以下のファインバブルの占める割合は、70%以上であることが好ましい。また、気泡径が100μmを超えるファインバブルの割合が多くなりすぎると、浮上する気泡が増え、浮上の気泡に連なって気泡が上昇し、気泡の制御が困難となる可能性が生じうる。そのため、気泡総数に対する気泡径100μm以下のファインバブルの占める割合は、より好ましくは、90%以上である。ここで、気泡総数に対する気泡径100μm以下のファインバブルの占める割合は、ガス流量やファインバブル発生ノズルの数を制御することで、所望の状態に制御することが可能である。
なお、ファインバブル発生機構101へと供給されるガスの種類については、特に限定されるものではなく、公知の各種のガスを利用することが可能である。ただし、発生させたファインバブルを用いて冷却対象物をより均一かつ確実に冷却するためには、溶液中に存在したときに収縮崩壊しやすいガスを用いることが好ましい。このようなガスとして、例えば、空気(air)、Oガス、Nガス、COガス等を挙げることができる。
また、本実施形態に係るガス温度制御部103において、ファインバブル発生機構101へ導入されるガスの温度を制御するための方法は、特に限定するものではなく、公知の各種の方法を用いることが可能であり、例えば、熱風を利用する方法、冷風を利用する方法、排熱と蒸気とを混合させる方法等を挙げることができる。ただし、所望の平均気泡径を有するファインバブルを安定して発生させるためには、安定したガス温度を実現可能な制御機構を用いることが好ましい。本実施形態では、かかる安定したガス温度を実現可能な制御機構として、熱交換器を用いることが好ましい。本実施形態に係るガス温度制御部103は、ファインバブル発生機構101に導入されるガスの流路(すなわち、ガス供給管)に設けられた熱交換器を含むことで、より安定したガス温度Tを実現することが可能となる。
また、上記のような知見に基づき、本実施形態に係るガス流量制御部105は、本実施形態に係るファインバブル発生機構101に導入されるガスの流量を、0.1L/min以上3.0L/min以下に制御する。ファインバブル発生機構101に導入されるガスの流量が0.1L/min未満となる場合には、ガスの取り込み量が少なくなるためにガス温度の影響が小さくなり、発生するファインバブルの平均気泡径を制御することができず、気泡径のばらつきも大きくなる。一方、ファインバブル発生機構101に導入されるガスの流量が3.0L/minを超える場合には、取り込みガス量が多くなりすぎてファインバブルよりも大きな気泡の発生頻度が増えてしまい、ガス温度の制御でも平均気泡径のばらつきを抑制することが困難となってしまう。
なお、ガス流量制御部105は、ガス供給管に対して、公知の各種のバルブ等を設けることで実現することが可能である。また、ファインバブル発生機構101に導入されるガスの流量は、ガス供給管に対して公知の各種の流量計を設けることで、容易に計測することができる。
再び図1に戻って、本実施形態に係るファインバブル供給装置10が備えることが好ましい液温測定機構107及び気泡径測定機構109について、説明する。
液温測定機構107は、ファインバブルを発生させた溶液の液温Tを測定する機構であり、公知の各種の温度計を用いて構成される。液温測定機構107によって測定された溶液の液温Tは、例えば、ガス温度制御部103へと出力される。これにより、本実施形態に係るガス温度制御部103は、溶液の液温Tの測定結果と、ガス温度制御部103に入力される設定情報と、を参照しながら、ファインバブル発生機構101へと導入されるガスの温度Tを、フィードバック制御することが可能となる。
また、気泡径測定機構109は、ファインバブルを発生させた溶液中におけるファインバブルの平均気泡径を測定する機構であり、ファインバブルの平均気泡径や濃度(密度)を測定可能な液中パーティクルカウンター又は気泡径分布計測装置等といった測定機器を用いて構成される。気泡径測定機構109によって測定されたファインバブルの平均気泡径Dは、例えば、ガス温度制御部103へと出力される。これにより、本実施形態に係るガス温度制御部103は、現在のファインバブルの平均気泡径Dの大きさと、ガス温度制御部103に入力される設定情報と、を参照しながら、ファインバブル発生機構101へと導入されるガスの温度Tを、フィードバック制御することが可能となる。
本実施形態に係るファインバブル供給装置10では、ファインバブルの濃度(気泡総量)が10〜10個/mLの範囲内となるように、溶液中にファインバブルを発生させることが好ましい。ファインバブルの気泡総量が10個/mL未満である場合には、十分な冷却促進効果を実現することができない可能性がある。一方、ファインバブルの気泡総量が10個/mLを超える場合には、ファインバブル供給装置が大型になったり、ファインバブル供給装置の台数を増やすことになったりして、ファインバブルの供給が現実的ではない場合がある。ファインバブルの気泡総量は、より好ましくは、10〜10個/mLの範囲内である。
なお、ファインバブルの気泡総量は、ファインバブル発生機構101に導入されるガスの流量及び圧力により制御することが可能である。
以上、図1〜図3を参照しながら、本実施形態に係るファインバブル供給装置10について、詳細に説明した。
<ファインバブルの供給方法について>
本実施形態に係るファインバブルの供給方法では、以上説明したようなファインバブル供給装置10を用い、液温T[℃]が5℃以上100℃以下である溶液中に、平均気泡径が100μm以下であるファインバブルを発生させるファインバブル発生機構101に対して導入されるガス流量を、0.1L/min以上3.0L/min以下に制御し、かつ、ファインバブル発生機構101に導入されるガスの温度T[℃]を、T0.05<T/T≦15の関係を満足するように制御する。これにより、本実施形態に係るファインバブルの供給方法では、所望の平均気泡径を有するファインバブルを供給することが可能となる。
<冷却装置について>
続いて、図4及び図5を参照しながら、本実施形態に係るファインバブル供給装置10を備える冷却装置について説明する。図4は、本実施形態に係るファインバブル供給装置を備えた冷却装置の構成の一例を模式的に示した説明図である。図5は、本実施形態に係るファインバブルを用いた場合の冷却速度比を示したグラフ図である。
本実施形態に係る冷却装置1は、図4に模式的に示したように、冷却対象物の表面を冷却する冷却液の収容された処理槽20と、処理槽20に設けられた、本実施形態に係るファインバブル供給装置10と、を備える。かかる処理槽20は、冷却液により冷却対象物を処理する処理機構の一例である。
ここで、処理槽20には、冷却液として機能する各種の溶液が保持されており、処理対象とする冷却対象物が冷却液中に浸漬される。この処理槽20の材質は特に限定されるものではなく、鉄、鋼、ステンレス鋼板等といった各種の金属材料で形成された処理槽であってもよいし、繊維強化プラスチック(FRP)やポリプロピレン(PP)等といった各種のプラスチック樹脂で形成された処理槽であってもよいし、各種のレンガで形成された処理槽であってもよい。すなわち、本実施形態に係る冷却装置1を構成する処理槽20として、既設の処理槽を利用することができる。
また、処理槽20の大きさについても、着目する冷却対象物の大きさに応じて適宜設定すればよく、各種形状の大型処理槽であっても、本実施形態に係る冷却装置1の処理槽20として利用可能である。
かかる処理槽20には、上記のような本実施形態に係るファインバブル供給装置10が設けられる。なお、ファインバブル供給装置10の設置方法については、特に限定されるものではなく、処理槽20の内壁の何れかに設けられていてもよいし、図4に示したように、処理槽20に設けられた冷却液の循環ラインを冷却液供給管として用いて設けられていてもよい。
ファインバブル供給装置10が有していることが好ましい、液温測定機構107や気泡径測定機構109は、処理槽20の内部における冷却液の液温を測定したり、処理槽20の内部におけるファインバブルの平均気泡径を測定したりすることが好ましい。
ここで、処理槽20内に浸漬される冷却対象物は、特に限定されるものではなく、冷却処理が施されうる公知の各種のものを、冷却対象物とすることが可能である。例えば鉄鋼材料の製造プロセスに着目すると、各種の鋼板材や鋼線材、鋼管材等といった、あらゆる鉄鋼材料を冷却対象物とすることができる。また、鉄鋼材料以外にも、各種の非鉄金属材料や、各種のガラス製品や、プラスチック製品や、紙製品等についても、冷却対象物とすることが可能である。
また、冷却液で処理される前の冷却対象物の温度についても、特に限定されるものではないが、例えば、300℃以上1000℃以下の範囲内であることが好ましい。このような温度範囲内にある冷却対象物であれば、本実施形態に係る冷却装置1を用いることで、より均一な冷却を施すことが可能となる。
直径12mm×200mmの鋼線材、及び、幅150mm×長さ300mm×厚み19mmの鋼板材を用いて、鋼材断面方向の中心部にシース熱電対を設置し、本実施形態に係る冷却装置1による冷却性能を評価した結果を、図5に示した。本検証では、鋼材中心温度が800℃である鋼線材、又は、鋼板材を、図4に示したような冷却装置1(冷却液は、水であり、ファインバブルの平均気泡径は、31μmとした。)に浸漬させて、鋼材中心温度が300℃となるまでの冷却速度を測定した。また、比較対象として、ファインバブルを含有させていない冷却装置を同様に使用して冷却速度を測定し、冷却速度比を算出した。
図5から明らかなように、鋼線材において、20℃の冷水を冷却媒として用いた場合と、60℃の温水を冷却媒として用いた場合の双方において、冷却速度の向上が確認された。また、冷却速度の向上度合いは、60℃の温水を冷却媒として用いた場合の方が大きいことがわかる。同様に、20℃の冷水を冷却媒として用いた場合、冷却速度比が約1.50となっており、冷却速度の向上が確認された。かかる結果は、本実施形態に係る冷却装置1を用いることで、冷却対象物をより均一に冷却できたことを示している。
以上、図4及び図5を参照しながら、本実施形態に係る冷却装置1について説明した。
なお、上記では、処理機構として、冷却液の収容されている処理槽20を用いる場合を例に挙げて説明を行ったが、処理機構は、上記の例に限定されるものではなく、例えば、冷却対象物に対して冷却液を噴射するスプレーノズルを、処理機構として用いることも可能である。
<冷却方法について>
本実施形態に係る冷却方法は、冷却対象物の表面を冷却する冷却液の収容された処理槽を用いて、被冷却対象物を冷却する冷却方法であり、処理槽には、液温T[℃]が5℃以上100℃以下である冷却液中に、平均気泡径が100μm以下であるファインバブルを発生させるファインバブル発生機構と、ファインバブル発生機構に導入されるガスの流量を制御するガス流量制御部と、ファインバブル発生機構に導入されるガスの温度T[℃]を制御するガス温度制御部と、を有するファインバブル供給装置が設けられている。その上で、ガス流量制御部により、ファインバブル発生機構に導入されるガスの流量を、0.1L/min以上3.0L/min以下に制御し、かつ、ガス温度制御部により、ガスの温度T[℃]を、0.05<T/T≦15の関係を満足するように制御する。これにより、これにより、本実施形態に係る冷却方法では、冷却液の液温に応じて、所望の平均気泡径を有するファインバブルを供給することが可能となり、冷却対象物をより均一に冷却することが可能となる。
以下に、実施例及び比較例を示しながら、本発明について具体的に説明する。なお、以下に示す実施例及び比較例は、本発明のあくまでも一例にすぎず、本発明は以下に示す例に限定されるものではない。
(実験例1)
試験材として、直径12mm×200mmの鋼線材を用い、かかる鋼線材の中心部にシース熱電対を設置して、加熱中及び冷却中の鋼材温度を測定した。冷却試験は、かかる鋼線を800℃程度まで加熱した後、冷却液として工業用水が満たされた冷却槽(容積30L)に鋼線を浸漬し、各条件における800〜100℃までの平均冷却速度にて冷却促進効果を評価した。なお、冷却液の液温は、5〜95℃の範囲内で調整した。また、冷却液に関して、テンパー油(液温95℃)を用いた場合についても、評価を行った。なお、外気温は20℃であった。ガス温度を調整しない場合、ガス温度はかかる外気温となる。
ファインバブル発生機構として機能するファインバブル供給装置は、関西オートメ製MBelifMBLL11−102V−Sを使用し、圧力を変化させることによる旋回式及び加圧溶解式、並びに、加圧しながら旋回流ノズルでガス取り込み可能な方式、の3種で使い分け、供給ガスを0.05L/min、0.5L/min、又は、3.0L/minと一定にした上で、ガス温度を5〜200℃の範囲内で設定して試験を行った。供給するガス温度の調整には、ヒートガンを用いた。冷却試験は、繰り返し測定を2回行った。
ファインバブル発生部から5cm離れた位置に測定用配管を設置し、かかる測定用配管において、ファインバブルの平均気泡径及び個数、並びに、気泡総量を測定した。ファインバブルの平均気泡径及び個数、並びに、気泡総量は、画像解析法(マイクロトラック・ベル製MicrotracPartAnSI)を気泡径測定機構の一例として用いて、測定した。上記測定用配管を通過したファインバブルを連続的にモニタリングしながら、条件を変えて平均気泡径D50の繰り返し測定を10回行い、平均気泡径の標準偏差σを算出した。また、気泡総数の70%が下回る最大気泡径を、「D70」と称することとし、測定された解析結果を、以下の表1に示した。
冷却試験の結果を、以下表1にまとめて示した。
冷却速度の評価は、比較例1の95℃冷却液の測定結果、すなわち、ファインバブルを添加していない冷却速度を1としたときの相対値で示している。比較例1では、ファインバブルを含有させていないため、ファインバブルに供給するガス温度を制御していない。
Figure 2020104074
まず、比較例をみると、ファインバブルを含有させていない条件で液温が変化した場合、比較例1の液温95℃で冷却した場合よりも、比較例5、6、7の液温を下げて冷却した場合の方が、冷却速度は5倍、8倍、10倍程度になった。これは、液温の低い方が、熱を奪う速度が大きいためである。また、水と油で冷却液を変えた場合の比較例1と比較例10では、油の方が冷却速度が小さい。これは、動粘度の高い油の方が、鋼材表面での液の動きが小さくなるためである。比較例2〜7、11〜12、14〜17では、ガス流量とガス温度を調整し、かつ、ファインバブル発生装置の種類を変えて冷却した結果である。中でも、比較例2〜4、11〜12、17では、T/Tが0.05以下、又は、15を超えていたため、ファインバブルを含有させた場合であっても、冷却速度比が大きくなったり、ならなかったりして、安定しなかった。この結果は、ファインバブルの平均気泡径D50がばらついていること、及び、D70の100μmを超える泡が増えていることが関係している。また、比較例5〜7、14〜16では、ガス温度を調整しているが、ガス流量が0.1L/min未満であるために、ガス温度を調整しても気泡径のばらつきを抑えることができず、冷却速度比は安定しなかった。
一方、ファインバブルを含有させ、かつ、ファインバブルのガス流量が0.1L/min以上3.0L/min以下であり、かつ、ガス温度が0.5<T/T≦15の範囲にある実施例1〜18では、比較例1の冷却速度に比べて28〜65%も冷却速度が増加し、2回の測定結果でも安定した冷却速度の向上が観察された。液温を変えた、実施例19〜26では、比較例8〜10の冷却速度に比べて、冷却速度が26〜45%増加し、2回の測定結果でも安定した冷却速度が観察された。実施例27〜33では、比較例13の冷却速度に比べて、冷却速度が56〜97%増加した。
特に、気泡総数の70%が100μm以下となる条件では、冷却速度がより増加し、また、ファインバブル発生ノズルからガスを取り込んだ旋回流式とその混合方式では、ファインバブルの平均気泡径の標準偏差を小さくすることができ、冷却速度のばらつきが小さくなった。これら結果から、安定した冷却速度を得るために、ファインバブル発生機構に導入されるガス流量及びガス温度を制御する手法が有効であることが確認された。
(実験例2)
試験材として、厚さ19mmのSM490(鋼構造用鋼材)を用い、かかる鋼材の断面方向の中央部近傍(中心部)にシース熱電対を設置して、加熱中及び冷却中の鋼材温度を測定した。冷却試験は、鋼板を800℃程度まで加熱した後、図6に模式的に示したように、加熱試験片をスプレーノズルの直上5cmの位置に配置して、下方からスプレーを噴射させることで行った。設置した熱電対の温度履歴から、板厚中心部での冷却速度を求めた。噴射される冷却液は、液温が20℃となるように調整した。冷却液には、上水を用いた。
ファインバブル発生機構として機能するファインバブル供給発生器には、旋回流方式と同様のせん断による気泡を発生するループ流方式を採用した、OKエンジニアリング製OKE−MB01FJを使用した。かかるファインバブル供給発生器を、スプレーノズルに冷却液を供給する冷却液供給ラインの途中に設置した。スプレーノズル供給ガスを、0.1L/min、2.0L/min、又は、3.5L/minとし、ガス温度を、5℃、50℃、又は、120℃に設定して、冷却試験を行った。ガス温度調整機構には、熱交換器を用いた。冷却試験は、繰り返し測定を2回行った。
ファインバブルの平均気泡径は、画像解析法(マイクロトラック・ベル製MicrotracPartAnSI)を用いて測定した。より詳細には、水を溜めた冷却槽を別途準備し、スプレーノズルから、各実験条件下におけるファインバブルを噴射した。かかる冷却槽には、スプレーノズルから5cm離れた位置に、測定用配管が設置されている。かかる測定用配管を通過したファインバブルを連続的に回収し、平均気泡径D50の繰り返し10回測定を行い、平均気泡径の標準偏差σを算出した。また、気泡総数の70%が下回る最大気泡径を、「D70」と称することとし、測定された解析結果を、以下の表2に示した。
冷却試験の結果を、以下の表2にまとめて示した。冷却速度の評価は、比較例12の測定結果、すなわち、ファインバブルを含有させておらず、かつ、ファインバブルに供給するガス温度を制御していない冷却速度を1としたときの相対値で示している。
Figure 2020104074
まず、比較例をみると、ファインバブルを含有させていない比較例1に対して、ガス温度を制御しているが、ガス流量を3.5L/minに増やした比較例2〜4では、ファインバブルも発生しているものの気泡径がばらつき、平均気泡径が100μmを超えて、冷却速度比は安定しなかった。
一方、ファインバブル発生機構に供給されるガス流量とガス温度を制御し、気泡をファインバブルとして発生させた実施例1〜6では、比較例1の冷却速度に比べて冷却速度が40〜73%増加し、繰り返し測定を行っても安定した冷却速度の増加が観察された。特に、気泡総数の70%が100μm以下となる条件では、冷却速度がより増加し、繰り返し測定においてもより安定した冷却速度が観察された。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
1 冷却装置
10 ファインバブル供給装置
20 処理槽
101 ファインバブル発生機構
103 ガス温度制御部
105 ガス流量制御部
107 液温測定機構
109 気泡径測定機構

Claims (14)

  1. 液温T[℃]が5℃以上100℃以下である溶液中に、平均気泡径が100μm以下であるファインバブルを発生させるファインバブル発生機構と、
    前記ファインバブル発生機構に導入されるガスの流量を、0.1L/min以上3.0L/min以下に制御するガス流量制御部と、
    前記ファインバブル発生機構に導入されるガスの温度T[℃]を、0.05<T/T≦15の関係を満足するように制御するガス温度制御部と、
    を備える、ファインバブル供給装置。
  2. 外部に供給される前記ファインバブルについて、気泡径が100μm以下の前記ファインバブルが気泡総数に占める割合が70%以上となるように制御する、請求項1に記載のファインバブル供給装置。
  3. 前記ガス温度制御部は、前記ファインバブル発生機構に導入される前記ガスの流路に設けられた熱交換器を含む、請求項1又は2に記載のファインバブル供給装置。
  4. 5≦T[℃]≦100の範囲内での前記溶液の動粘度νは、0.2[mm/s]以上200[mm/s]以下である、請求項1〜3の何れか1項に記載のファインバブル供給装置。
  5. 外部に供給される前記ファインバブルの平均気泡径を測定する気泡径測定機構を更に備え、
    前記ガス温度制御部は、前記気泡径測定機構による前記ファインバブルの平均気泡径の測定結果に基づき、前記ガスの温度Tを制御する、請求項1〜4の何れか1項に記載のファインバブル供給装置。
  6. 前記溶液の液温Tを測定する液温測定機構を更に備え、
    前記ガス温度制御部は、前記液温測定機構による前記液温Tの測定結果に基づき、前記ガスの温度Tを制御する、請求項1〜5の何れか1項に記載のファインバブル供給装置。
  7. 前記ファインバブル発生機構から供給されるファインバブルの個数濃度が10個/mL以上となるように、前記ファインバブルを発生させる、請求項1〜6の何れか1項に記載のファインバブル供給装置。
  8. 前記ファインバブル発生機構は、ファインバブル発生ノズルから気体を取り込む方式のファインバブル発生機構である、請求項1〜7の何れか1項に記載のファインバブル供給装置。
  9. 前記溶液は、水、又は、油の少なくとも何れかである、請求項1〜8の何れか1項に記載のファインバブル供給装置。
  10. 冷却対象物の表面を冷却する冷却液により当該冷却対象物を処理する処理機構と、
    前記処理機構に設けられたファインバブル供給装置と、
    を備え、
    前記ファインバブル供給装置は、
    液温T[℃]が5℃以上100℃以下である前記冷却液中に、平均気泡径が100μm以下であるファインバブルを発生させるファインバブル発生機構と、
    前記ファインバブル発生機構に導入されるガスの流量を、0.1L/min以上3.0L/min以下に制御するガス流量制御部と、
    前記ファインバブル発生機構に導入されるガスの温度T[℃]を、0.05<T/T≦15の関係を満足するように制御するガス温度制御部と、
    を備える、冷却装置。
  11. 前記冷却液で処理される前の冷却対象物の温度は、300℃以上1000℃以下の範囲内である、請求項10に記載の冷却装置。
  12. 前記冷却対象物は、鉄鋼材料である、請求項10又は11に記載の冷却装置。
  13. 液温T[℃]が5℃以上100℃以下である溶液中に、平均気泡径が100μm以下であるファインバブルを発生させるファインバブル発生機構に対して、導入されるガスの流量を0.1L/min以上3.0L/min以下に制御し、かつ、導入されるガスの温度T[℃]を、0.05<T/T≦15の関係を満足するように制御する、ファインバブルの供給方法。
  14. 冷却対象物の表面を冷却する冷却液により当該冷却対象物を処理する処理機構を用いて、前記冷却対象物を冷却する冷却方法であって、
    前記処理機構には、液温T[℃]が5℃以上100℃以下である前記冷却液中に、平均気泡径が100μm以下であるファインバブルを発生させるファインバブル発生機構と、前記ファインバブル発生機構に導入されるガスの流量を制御するガス流量制御部と、前記ファインバブル発生機構に導入されるガスの温度T[℃]を制御するガス温度制御部と、を有するファインバブル供給装置が設けられており、
    前記ガス流量制御部により、前記ファインバブル発生機構に導入されるガスの流量を0.1L/min以上3.0L/min以下に制御し、かつ、前記ガス温度制御部により、前記ガスの温度T[℃]を、0.05<T/T≦15の関係を満足するように制御する、冷却方法。


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