図1は、本明細書に開示されるような走査プローブ300を利用するCMM200を備える測定システム100の様々な典型的な構成要素を示す図である。測定システム100は、操作ユニット110、CMM200の動きを制御するモーションコントローラ115、ホストコンピュータ120およびCMM200を備える。操作ユニット110は、モーションコントローラ115に結合され、CMM200を手動で操作するためのジョイスティック111を備えることができる。ホストコンピュータ120は、モーションコントローラ115に結合され、CMM200を動作させ、ワークピースWの測定データを処理する。ホストコンピュータ120は、例えば測定条件を入力するための入力手段125(例えば、キーボードなど)および、例えば測定結果を出力するための出力手段130(例えば、ディスプレイ、プリンタなど)を備える。
CMM200は、定盤210に配置された駆動機構220と、走査プローブ300を駆動機構220に取り付けるための取付部224と、を備える。駆動機構220は、走査プローブ300を3次元的に移動させるために、それぞれ、X軸、Y軸、およびZ軸スライド機構222、221、および223を備える。走査プローブ300の端部に取り付けられたスタイラス306は、接触部348を備える。以下により詳細に説明するように、スタイラス306は走査プローブ300のスタイラス懸架部に取り付けられ、これにより接触部348は接触部348がワークピースWの表面上の測定経路に沿って移動するとき、その位置を3方向に自由に変えることができる。
図2は、CMM200に結合される走査プローブ300の様々な要素を示し、回転(例えば、X、Y)および軸方向(例えば、Z)位置信号を提供するブロック図である。走査プローブ300は、スタイラス懸架部307およびスタイラス位置検出部311を組み込む(例えば、フレームを備える)プローブ本体302を備える(つまり、スタイラス懸架部307は、走査プローブ300のフレームに結合されている)。スタイラス懸架部307は、スタイラス結合部342およびスタイラス移動機構309を備える。スタイラス結合部342は、スタイラス306に堅固に結合されている。スタイラス移動機構309は、図3と図4に対して以下でより詳細に説明されるように、軸方向に沿ってスタイラス結合部342および取り付けられたスタイラス306の軸方向運動、および回転中心の周りのスタイラス結合部342および取り付けられたスタイラス306の回転運動を可能にするように構成される。走査プローブ300に備えられる信号処理および制御回路380は、以下でより詳細に説明するように、スタイラス位置検出部311に接続され、その動作を制御し、関連する信号処理を実行することができる。
図2に示すように、スタイラス位置検出部311は、誘導性検出原理を使用し、受信コイル部370、場生成コイル構成体360、およびディスラプター要素351(これは、ディスラプター構成体350の一部であり、いくつかの実施形態では複数の部分を備えることができる)を備える。受信コイル部370は、回転検出コイル部(回転検出コイルとも呼ばれる)RSCおよび軸方向検出コイル構成体ASCCを備えることができる。簡単に説明すると、移動するディスラプター要素351(または、より一般的には、ディスラプター構成体350)は、場生成コイル構成体360によって生成される変動磁場で位置に依存した変化を引き起こす。受信コイル部370は、ディスラプター要素351によって引き起こされた変動磁場およびそのなかの変化に応答する。特に、回転検出コイル部RSCは、例えば、図3、5、および6を参照して以下でより詳細に説明するように、対応する信号線上にスタイラス結合部342の回転位置(例えば、XおよびY位置信号)を示す少なくとも第1および第2の回転信号成分RSigsを出力する。そして、軸方向検出コイル構成体ASCCは、対応する信号線上にスタイラス結合部342の軸方向位置(例えば、Z位置信号)を示す1つまたは複数の軸方向信号成分ASigsを出力する。様々な実施形態では、信号処理および制御回路380は、回転信号成分RSigsおよび軸方向信号成分ASigsを受信し、様々な実施形態の様々なレベルの関連した信号処理を実行することができる。例えば、一実施形態では、信号処理および制御回路380は、様々な受信コイルからの信号成分を様々な関係で結合および/または処理し、取付部224を介して、回転および軸方向位置信号出力RPSOutおよびAPSOutとして所望の出力形式で結果を提供することができる。(例えば、CMM200、モーションコントローラ115、ホストコンピュータ120などの)1つ以上の受信部は、回転および軸方向位置信号出力RPSOutおよびAPSOutを受信することができ、接触部348が測定されるワークピースWの表面に沿って移動するとき、スタイラス結合部342および/または取り付けられたスタイラス306の接触部の3次元位置を決定するために、1つ以上の関連する信号処理および制御部が利用されてもよい。
図3は、スタイラス懸架部407および/またはスタイラス406の位置を検出するためのスタイラス位置検出部411の第1の例示的な実施形態の部分概略断面図に沿って、スタイラス406に結合されたスタイラス懸架部407の第1の例示的な実施形態の一部を示す部分概略図である(なお、スタイラス位置検出部411は、図3に示す如く、軸方向(Z方向)に平行である中心軸CAに沿って配置され、回転中心RCに名目上整列している)。図3の特定の番号付けされた構成要素4XXは、図2の同様に番号付けされた対応する構成要素3XXに対応し、および/または同様の動作を有し、それに類似することで理解でき、そうでなければ以下で説明されることが理解されよう。類似の設計および/または機能を有する要素を示すこの番号付けの手法は、以下の図4〜8Fにも適用される。図3に示すように、スタイラス懸架部407は、スタイラス移動機構409およびスタイラス結合部442を備える。スタイラス結合部442は、ワークピースW(図示せず)の表面Sに接触するための接触部448を有するスタイラス406に堅固に結合されるように構成される。
図4に関して以下により詳細に説明するように、スタイラス移動機構409は、走査プローブのフレームに取り付けられ、接触部448は、表面Sの形状に沿って3方向にその位置を変えることができるように、スタイラス結合部442および取り付けられたスタイラス406の軸方向移動および回転移動を可能にするように構成される。例示の目的のために、図3の紙面上の垂直および水平方向は、それぞれ、ZおよびY方向として定義される。そして、紙の平面への垂直な方向は、X方向として定義される。また、軸方向として参照される走査プローブ300の中心軸CAの方向は、この図のZ方向と一致する。
図3では、回転部材436、屈曲要素440、および回転部材436内に配置された移動部材412を備えるスタイラス移動機構409の回転移動部が示されている。図4において以下により詳細に説明するように、屈曲要素440は、回転中心RCの周りで回転部材436の回転移動を可能にする。以下により詳細に説明するように、様々な実施形態では、回転検出コイルTRSCiおよびBRSCi(iは特定のコイルを識別するインデックス整数である)およびスタイラス位置検出部411は、ディスラプター要素451の回転した位置を検出することができる。そして、それにより移動部材412の回転した位置(例えば、XおよびY方向)を検出することができ、および軸方向検出コイル構成体(軸方向検出コイルとも呼ばれる)TASCCおよびBASCCは、ディスラプター要素451の軸方向位置を検出することができ、それにより移動部材412の軸方向位置(例えば、Z方向)を検出することができる。
図3に示されるように、スタイラス位置検出部411の第1の例示的な実施形態は、移動部材412に結合され、それぞれ、上部コイル基板471Tと下部コイル基板471Bとの間に配置されたディスラプター移動ボリュームMV内に、走査プローブのフレーム(例えば、走査プローブ本体の部分として含まれるフレーム)に対して移動するディスラプター要素451(または、より一般的にはディスラプター構成体450)を備える。図3に示すように、移動部材412は、下部コイル基板(471B)の中心軸CAに沿って配置された穴472を通って延び、その中を移動する(すなわち、移動部材412は、中心軸CAに沿って下部コイル基板471Bに配置された穴472を通り、ほぼ中心軸CAに沿って延在する)。取り付けられたディスラプター要素451は、スタイラス懸架部407および移動部材412の偏向に応じて、非偏向位置UNDFに対してディスラプター移動ボリュームMV内を移動する。
スタイラス位置検出部411の様々な他の構成要素、例えば、受信コイル部470および場生成コイル構成体460は、特に明記しない限り、フレームに対して固定することができる。図3に示す実施形態では、場生成コイル構成体460は、ディスラプター移動ボリュームMVのほぼ中央平面に配置され、名目上平面で中心軸CAに直交する単一の平面状の場生成コイル(場生成コイル部とも呼ばれる)461を備える。図2を参照して先に概説したように、受信コイル部470は、一般に、回転検出コイル部(回転検出コイルとも呼ばれる)RSCおよび軸方向検出コイル構成体ASCCを備えることができる。回転位置検出構成体(回転検出コイル部)RSCは、一般に、上部回転検出コイルTRSCiおよび下部回転検出コイルBRSCiを備える。図3に示す断面には、2つの上部回転検出コイルTRSC1とTRSC2、および2つの下部回転検出コイルBRSC1とBRSC2のみが示されている。これらの回転検出コイルは、Y方向に沿ったディスラプター要素451の位置を示す信号成分を提供することができる。特に、それらの信号成分は、ディスラプター要素451のY方向に沿った変位ΔYの量に応じて変化し、したがって、変位ΔYの量を示している。変位ΔYは、ディスラプター要素451と様々な回転検出コイルTRSCiおよびBRSCiとの間の関連する「重複」の量を決定し、それによって、(結果としての信号成分を決定する)場生成コイル461によって生成される変動磁場への結合量を決定する。他の回転検出コイル(図示せず)は、X軸方向に沿ったディスラプター要素451の位置を示す信号成分を提供することができる。様々な回転検出コイルの信号成分はまた、上部回転検出コイルTRSC2に対して図3に示されるように、ディスラプター要素451に対するそれらの局所的な「動作ギャップ」OGに対して望ましくないほど敏感でもよい。しかしながら、そのような望ましくないギャップ感度は、以下でさらに説明されるように、本明細書で開示される様々な原理に従って実質的に除去または補償することができる。
軸方向検出コイル構成体ASCCは、一般に、上部軸方向検出コイル構成体TASCCおよび下部軸方向検出コイル構成体BASCCを備える。図3に示す実施形態では、上部軸方向検出コイル構成体TASCCは、中心軸CAを少なくとも部分的に囲む単一の上部軸方向検出コイルを備え、少なくとも1つの下部軸方向検出コイルは、図に示すように、中心軸を少なくとも部分的に囲む単一の下部軸方向検出コイルを備える。これらの軸方向検出コイルは、ディスラプター要素451によって常に完全に「重複」する。したがって、それらの信号成分は、名目上、軸方向またはZ方向に沿ったディスラプター要素451の位置にのみ応答し、Z方向に沿ってディスラプター要素451の位置を示す。様々な信号成分の生成については、図5および6を参照して以下で詳しく説明する。
図2を参照して先に概説した動作と同様に、動作中、移動するディスラプター要素451は、場生成コイル461によって生成される軸方向に沿った変動磁場において位置に依存した局所的な変動を引き起こす。受信コイル部470は、図2を参照して前述し、以下でさらに詳細に説明するように、ディスラプター要素451によって引き起こされた変動磁場およびその中の変動に応答し、ディスラプター要素451の回転位置(例えば、YおよびX位置、および対応する信号)およびディスラプター要素451の軸方向位置(例えばZ位置)を決定するように処理されてもよい回転信号成分RSigsおよび軸方向信号成分ASigsを出力する。ディスラプター要素451の位置は、スタイラス結合部442および/またはその接触部448の位置に既知の幾何学的形状によって関連付けられていることが理解できよう。例えば、小さな回転角度の場合、ヌルから(例えば、非偏向位置UNDFから)離れたY方向に沿ったディスラプター要素451の図示の動きまたは変位ΔYに対して
ΔY=HθY (式1)
ここで、Hは回転中心RCからディスラプター要素451の名目上の平面までの距離であり、θYはY方向に平行な平面における回転部材436(および移動部材412)の回転移動の傾き(つまり、回転中心RCでX軸に平行な軸を中心とした回転)である。様々な実施形態では、より大きな回転角が使用される場合、当技術分野で知られているように、より大きな回転角に対して正確な類似の表現が使用されてもよい。回転移動の傾き成分θYの関係でスタイラス406の接触部448の(例えば、非偏向位置UNDFに対応する)ヌルから離れるY方向の移動または変位YSTYLUSは、次のように近似することができる。
ΔYSTYLUS =θY*(hS+lS) (式2)
ここで、hSはスタイラス結合部442の端から回転中心RCまでの距離であり、lSはスタイラス406の長さである。式1と式2を組み合わせて、接触部448のY方向の変位に対するディスラプター要素451の変位ΔYの比率は、次のように近似することができる。
ΔY/ΔYSTYLUS = H/(hS+lS) (式3)
X座標の移動成分は上記の式に類似しているため、本明細書ではこれ以上詳細に説明しないことが理解できよう。様々なスタイラスのスタイラス長lSは、X−Y検出スポット位置に基づいて接触部448のX−Y位置を決定するために(例えば、システムの三角法に関する)方程式を利用することができる。 Z座標変位または位置成分に関して、スタイラスの接触部(例えば、接触部448)のZ方向の変位ΔZSTYLUSに対する(例えば、非偏向位置UNDFに対応する)ヌルから離れる軸方向またはZ方向に沿ったディスラプター要素451の変位ΔZ(図示せず)については次のように近似することができる。
ΔZ/ΔZSTYLUS ≒ 1 (式4)
図4は、図3に示されるスタイラス位置検出部411に類似するスタイラス位置検出部511の一実施形態ならびに、図3に示されたスタイラス懸架部407として使用可能なスタイラス懸架部407'の一実施形態の断面と、信号処理および制御回路480と、を示す部分概略図である。上記要素は、走査プローブ400のプローブ本体402のフレーム408内に含まれるように示されている。上部および下部コイル基板571T、571B、およびスタイラス位置検出部511の場生成コイル561またはその基板(例えば、プリント回路型基板)は、調整および搭載部417、または他の既知の技術を使用して、走査プローブ400における適切な動作のために配置されている。スタイラス位置検出部511に関連する様々な信号接続は、既知の技術に従って、コネクタ(例えば、フレックスプリントおよび/またはワイヤ接続)419などによって提供することができる。いくつかの実施形態では、図4に示すように、信号処理および制御回路480の一部またはすべてを別個の回路アセンブリとして提供することができる。他の実施形態では、必要に応じて、信号処理および制御回路480の一部またはすべてをスタイラス位置検出部511の基板上に組み合わせることができる。
図4に示すように、スタイラス懸架部407'は、スタイラス移動機構409と、スタイラス406に結合されたスタイラス結合部442と、を備える。スタイラス移動機構409は、移動部材412、回転部材436、回転部材436の回転移動を支持および可能にするためにフレーム408に結合された屈曲要素440、および移動部材412の軸方向移動を可能にするために移動部材412を支持しそれを回転部材436に結合する屈曲要素414および415(すなわち第1の屈曲要素と呼ばれる)を備える。走査プローブ400は、スタイラス移動機構409および/またはスタイラス406の接触部448の位置および/または移動を決定するために、図5を参照して以下により詳細に説明される構成要素および動作を有するスタイラス位置検出部511を備える。
屈曲要素440(すなわち、第2の屈曲要素と呼ばれる)は、軸方向Oにおいて一対の屈曲要素414と415(すなわち、第1の屈曲要素と呼ばれる)のそれぞれの平面の間に配置することができる。屈曲要素414、415、および440に対する適切なたわみ設計は、当技術分野で知られている原理に従って決定することができる。例えば、同時係属中の共通に譲渡された米国特許出願第14/973,376号に1つの可能な実施形態が示されている。その出願は、「多重化された位置信号を備えた測定装置」という名称であり、2015年12月17日に出願され、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。回転部材436は、第2の屈曲要素440に対して対称な形状を有することができ、2つのリング部436A、2つの接続部436Bおよび1つの円筒部436Cを一体的に備えることができる。第1の屈曲要素414および415の周辺部は、リング部436Aに固定されている。接続部436Bは、中空部を有する円筒部436Cに接続するように、リング部436Aの内側に延びている。第1の屈曲要素414および415は、第2の屈曲要素440に対して対称な距離に配置されてもよいが、そのような実施形態は例示に過ぎず、限定ではない。
移動部材412を備える軸方向移動機構410は回転部材436の内側に支持され、回転部材436および軸方向移動機構410はスタイラス移動機構409の一部である移動モジュールを一緒に構成する。軸方向移動機構410は、接触部448を軸方向Oに移動可能にしている。回転部材436を備える回転移動機構434は、回転中心RCを中心とした回転移動によってスタイラス406の接触部448が軸方向Oに対して横方向(例えば、ほぼ垂直)に移動することを可能にする。
移動部材412は、下部412A、ロッド部412B、および上部412Cを一体的に備える。図3を参照して先に概説し、図5に示すスタイラス位置検出部511に関して以下により詳細に説明するように、移動部材412の上部412Cに取り付けられたディスラプター要素551は、回転および軸方向位置表示要素の両方として機能する。ロッド部412Bは、一対の第1の屈曲要素414と415との間に配置される。ロッド部412Bは、回転部材436に収納される。下部412Aはロッド部412Bの下に形成され、スタイラス結合部442(例えば、フランジ部材)は下部412Aに取り付けられている。スタイラス406の取り付けのためにフランジ部444が設けられている。フランジ部444とスタイラス結合部442とはともに、様々なスタイラス406とスタイラス結合部442との間の脱着(例えば、スタイラスを脱落させる衝突の場合、または意図的にスタイラスを変更する場合)を繰り返し位置決め可能にする取り外し可能な結合機構(例えば、既知のタイプのキネマティックジョイントあるいはキネマティックカップリング)を構成することができる。
図5は、図4に示されるスタイラス位置検出部511に類似するスタイラス位置検出部511’の代替実施形態の部分概略等角図であり、本明細書に開示される原理による特定の態様を強調する。スタイラス位置検出部511’および511は、以下でさらに説明するように、場生成コイル構成体560の違いを除いて類似している。一般に、スタイラス位置検出部511’は、図2、3および4のスタイラス位置検出部311、411および511の構成要素と同様の特定の構成要素を備え、以下で特に説明する場合を除いて同様に動作することが理解されよう。
図5に示される実施形態では、スタイラス位置検出部511’は、受信コイル部570、ディスラプター要素551を備えるディスラプター構成体550、および場生成コイル構成体560を備える。
様々な実施形態では、ディスラプター要素551(または、より一般的にディスラプター構成体550)は、導電性プレートまたは導電性ループ、または(例えば、プリント回路基板の2つの側面に設けられ、プリント回路基板製造技術によりパターン化された)平行な導電性プレートまたは導電性ループ、またはディスラプター領域(例えば、その内部領域)を提供するその他の望ましい動作構成体を備えることができる。ディスラプター要素551は、上部コイル基板571Tと下部コイル基板571Bとの間のディスラプター移動ボリュームMVの中心軸CAに沿って配置され、(例えば、移動部材512を備える)結合構成体によってスタイラス懸架部507に結合される。説明の目的のために、スタイラス懸架部507および/またはスタイラス506および/または移動部材512の偏向に応じて、図5に示す非偏向位置(図3の非偏向位置UNDFを参照)に対して移動するようなディスラプター要素551が記述されてもよい。ディスラプター要素は、軸方向の動きに応じて軸方向に沿った動作移動範囲+/−Rzにわたって変位増分ΔZで、および回転運動に応じて、軸方向(Z方向)に直交する直交XおよびY方向に沿ったそれぞれの動作移動範囲+/−Rxおよび+/−Ryにわたって変位増分ΔXおよびΔYで、動くように記述されてもよい。指定または予想される動作移動範囲については、以下で詳しく説明する。
受信コイル部570は、N個の上部回転検出コイルTRSC(例えば、N=4で、TRSC1〜TRSC4)および(例えば、この実施形態では単一の図示された個別のコイルを備える)上部軸方向検出コイル構成体TASCCを備える平面状の上部コイル基板571T、およびN個の下部回転検出コイルBRSC(例えば、N=4で、BRSC1〜BRSC4)、および(例えば、この実施形態では単一の図示された個別のコイルを備える)下部軸方向検出コイル構成体BASCCを備える平面状の下部コイル基板571Bを備えることができる。上部および下部コイル基板571Tおよび571Bは、スタイラス506および/またはスタイラス懸架部507により近い下部コイル基板で、走査プローブのフレームに一定の関係で取り付けられる。上部および下部コイル基板571Tおよび571Bは、名目上互いに平行であり、名目上中心軸CAに直交し、中心軸CAに沿って間隔を空けて配置され、それらの間にディスラプター移動ボリュームMVを配置することができる。図5に示される様々な検出コイルは説明を簡単にするために「閉ループ」によって表されているが、すべてのコイルは1つ以上の誘導性で結合された「ターン」として動作するように構成される(例えば、図6に表す)第1および第2の接続端を有する巻線または導体を備えることが理解できよう。
場生成コイル構成体(例えば、場生成コイル構成体560)は、一般に、ディスラプター移動ボリュームMVに近接して配置され、名目上平面で中心軸CAに直交する少なくとも1つの第1の場生成コイルを備える。図3に示された実施形態における単一の平面状の場生成コイル461(これは、ディスラプター移動ボリュームMVのほぼ中央平面に位置する)とは対照的に、図5に示された実施形態では、場生成コイル構成体560は中心軸CAに沿ってディスラプター移動ボリュームMVの中央平面からほぼ等距離に配置され、名目上平面であり中心軸CAに直交する一対の(それぞれ、上部および下部コイル基板571Tおよび571Bに配置される)平面状の場生成コイル561Tおよび561Bを備える。一般的に言えば、場生成コイル構成体が、軸方向(Z方向)に沿ったその(すなわち、第1の場生成コイルの)コイル領域の投影が(例えば、ディスラプター要素551の)ディスラプター構成体550のディスラプター領域と、上部および下部コイル基板571Tおよび571Bに配置されるすべての回転および軸方向検出コイルRSCiおよびASCCのコイル領域と、を提供する導電性プレートまたはループを包含するように構成される少なくとも第1の場生成コイルを備える(すなわち、軸方向に沿った第1の場生成コイルのコイル領域の投影は、コイル基板構成体に配置されたディスラプター領域と、すべての回転および軸方向検出コイルRSCiおよびASCCのコイル領域と、を提供する導電性プレートまたはループを包含する)ならば、場生成コイル構成体460または560のいずれかは受信コイル部570(または本明細書に開示される他の受信コイル部)で使用することができる。そのような場合、場生成コイル構成体は、スタイラス位置検出部511'の動作に望まれるように、コイル駆動信号に応じてディスラプター移動ボリュームMV内にほぼ軸方向に沿って変動磁束を生成するように構成される。図5に示す様々な場生成コイルは、説明を簡単にするために、(エッジが示されている)幅の広い平らな導電性トレースを備える1つの単一の「閉ループ」で表されるが、実際のデバイスでは(例えば、図6に表されるように)すべてのコイルは、第1および第2の接続端を有する巻線または導体を備え、1つ以上の場生成「ターン」として動作するように構成されることが理解できよう。
図5に示すように、上部軸方向検出コイル構成体TASCCの内部コイル領域を通る(例えば、図5の細破線PRJで示す)軸方向に沿ったディスラプター要素551の投影は、(その内部コイル領域を埋めるドットパターンで示される)上部軸方向検出重複領域TASOAを定義する。また、下部軸方向検出コイル構成体BASCCの内部コイル領域を通る軸方向に沿ったディスラプター要素551の投影は、(その内部コイル領域を埋めるドットパターンで示される)下部軸方向検出重複領域BASOAを定義する。同様に、iは1〜Nの範囲の個別のコイル識別インデックスであり、それぞれの上部回転検出コイルTRSCi(例えば、TRSC1〜TRSC4)の内部コイル領域を通る軸方向に沿ったディスラプター要素551の投影は、それぞれの上部回転コイル検出重複領域TRSCOAi(例えば、TRSCOA1〜TRSCOA4)を定義する。図5に示す様々なそれぞれの重複領域を埋めるドットパターンで示され、それぞれの下部回転検出コイルBRSCi(例えば、BRSC1〜BRSC4)の内部コイル領域を通る軸方向に沿ったディスラプター要素551の投影は、それぞれの下部回転コイル検出重複領域BRSCOAi(例えば、TRSCOA1〜TRSCOA4)を定義する。
スタイラス位置検出部(例えば、511')における軸方向位置検出に関して、本明細書で説明および要求される原理によれば、受信コイル部(例えば、570)およびディスラプター要素(例えば、551)は、一般に、上部軸方向検出重複領域TASOAおよび下部軸方向検出重複領域BASOAを提供するように構成される。ここで、重複領域TASOAおよびBASOAのそれぞれの量は、動作移動範囲+/−Rz、+/−Rx、および+/−Ry内でのディスラプター要素551の位置では変化しない、またはその位置に依存しない。(特定の走査プローブについては、必要であれば、この要件を満たすためにプローブの特定のスタイラス位置検出部の構成と組み合わせて、動作移動範囲が規定または指定されることが理解できよう。)このように、上部および下部軸方向検出コイル構成体TASCCおよびBASCCで生成される信号成分は、名目上、回転運動(つまり、XおよびY方向に沿ったディスラプター要素551の位置)に依存せず、名目上、ディスラプター要素551との「近接状態」の変化またはギャップのみに敏感である。なお、「近接状態」の変化またはギャップは、ディスラプター要素551の軸方向(Z)位置または変位ΔZに応じて変化する。動作中、場生成コイル構成体560の変動磁場によってディスラプター要素551に誘導される電流は、反対の磁場を引き起こす。一般的に、ディスラプター要素551が図5の軸(Z)方向に沿って上方に移動すると、変動磁場から生じるその信号成分を低減するように、対向する磁場は上部軸方向検出コイル構成体TASCCにより強く結合する。逆に、変動磁場から生じるその信号成分を増加するように、対向する磁場は下部軸方向検出コイル構成体BASCCにより弱く結合する。本開示で使用される慣例により、信号成分SIGTASCCを、特定の上部軸方向検出コイル構成体(またはコイル)TASCCなどから生じる信号成分と呼ぶことができる。
非偏向位置UNDFでは、正味の信号成分SIGTASCCとSIGBASCCはほぼバランスが取れていることが理解できよう。動作中に予想されるような小さな変位ΔZの場合、正味の信号成分SIGTASCCおよびSIGBASCCは、互いに比較してほぼ直線的、かつ逆に変化することができる。このような信号の非線形性の程度に関連する特定の考慮事項については、以下でさらに説明される。一実施形態では、軸方向の変位または位置ΔZは、信号関係によって示されるか、または信号関係に対応することができる。
ΔZ=関数 [(SIGBASCC−SIGTASCC)/(SIGBASCC+SIGTASCC)] (式5)
この信号関係は単なる例示であり、限定するものではない。様々な実施形態では、必要に応じて、様々な変位方向または信号成分間の幾何学的および/または信号クロスカップリングの影響を低減する動作を含むように、この信号関係は追加のキャリブレーションまたは信号処理動作によって調整または補償されてもよい。様々な実施形態では、上部軸方向検出コイル構成体は、N個の上部回転検出コイルの1つではなく、上部回転検出コイルよりも中心軸の近くに配置された少なくとも1つの上部軸方向検出コイルを備えることができる。そして、少なくとも1つの上部軸方向検出コイルがディスラプター要素よりも小さい内部コイル領域を有し、軸方向に沿ったディスラプター要素の投影が動作移動範囲+/−Rz、+/−Rx、および+/−Ry内のディスラプター要素の任意の位置に対する少なくとも1つの上部軸方向検出コイルの内部コイル領域を完全に満たすように、少なくとも1つの上部軸方向検出コイルとディスラプター要素は特徴づけられている。これにより、上部軸方向検出重複領域TASOAは、ディスラプター要素の位置では変化しない。同様に、様々なそのような実施形態では、下部軸方向検出コイル構成体は、N個の下部回転検出コイルの1つではなく、下部回転検出コイルよりも中心軸の近くに配置された少なくとも1つの下部軸方向検出コイルを備えることができる。そして、少なくとも1つの下部軸方向検出コイルがディスラプター要素よりも小さい内部コイル領域を有し、軸方向に沿ったディスラプター要素の投影が動作移動範囲+/−Rz、+/−Rx、および+/−Ry内のディスラプター要素の任意の位置に対する少なくとも1つの下部軸方向検出コイルの内部コイル領域を完全に満たすように、少なくとも1つの下部軸方向検出コイルとディスラプター要素は特徴づけられている。これにより、下部軸方向検出重複領域BASOAは、ディスラプター要素の位置では変化しない。図5に示されるスタイラス位置検出部511’の特定の実施形態は、上部軸方向検出コイル構成体TASCCおよび下部軸方向検出コイル構成体BASCCがそれぞれ単一の検出コイルを備えており、この説明に適合することが分かる。上部および下部軸方向検出コイル構成体TASCCおよびBASCCの様々な構成体を使用することができ、図5に示す特定の構成体は例示にすぎず、限定されるものではないことが理解できよう。様々な代替構成を、以下の他の図を参照して説明する。
本明細書に記載および請求される原理によれば、スタイラス位置検出部(例えば、511')における回転位置検出に関して、受信コイル部(例えば、570)およびディスラプター要素(例えば、551)は、一般に、上部回転検出コイルTRSCiと下部回転検出コイルBRSCiをそれぞれ備える回転検出コイルのN個の相補対CPi(例:CP1〜CP4、N=4)を提供する構成とされている。ここで、動作移動範囲+/−Rz、+/−Rx、および+/−Ry内の任意のディスラプター要素の変位増分に対する任意の相補対CPiにおいて、そのディスラプター要素の変位増分に関連する重複領域TRSCOAiおよびBRSCOAiの変化の大きさは、その相補対において名目上同じである。(特定の走査プローブでは、この要件を満たすために必要な場合、その特定のスタイラス位置検出部の構成と組み合わせて、その動作移動範囲が決定または指定されることが理解できよう。)図5の表CPTableは、図5に示される実施形態の各相補対CPiの各回転検出コイルTRSCiおよびBRSCiを示す。
前述の原理に準拠することにより、図5に示す相補対CPiを使用して、特定のクロスカップリング誤差を補償または除去し、および/または(例えば、Xおよび/またはY方向に沿って)正確な回転位置または変位の測定値を提供するように要求された信号処理を単純化することができる。特に、図5に示す実施形態の回転検出コイルの相補対CPiで発生する信号成分の対は、相補対の個別のコイルとディスラプター要素551との間の「近接状態」の変化またはギャップに対して名目上鈍感な結果の信号を提供する関係で結合または処理されてもよい。すなわち、結果として生じる信号は、以下でさらに詳しく説明するように、ディスラプター要素551の軸方向(Z)位置または変位ΔZに鈍感であり、名目上、(例えば、Xおよび/またはY方向に沿って)回転位置または変位のみに敏感であってもよい。図5に示す特定の実施形態では、Y軸方向に沿った変位成分ΔYを有するディスラプター要素551の変位により、相補対CP2における重複領域TRSCOA2およびBRSCOA2が増加(または減少)し、相補対CP1における重複領域TRSCOA1およびBRSCOA1が減少(または増加)することが理解されよう。同様に、X軸方向に沿った変位成分ΔXを有するディスラプター要素551の変位により、相補対CP3における重複領域TRSCOA3およびBRSCOA3が増加(または減少)し、相補対CP4における重複領域TRSCOA4およびBRSCOA4が減少(または増加)する。
前に概説したように、動作中、場生成コイル構成体560の変動磁場によってディスラプター要素551に誘導される電流は、反対の磁場を引き起こす。一般的に、任意の回転検出コイルTRSCi(またはBRSCi)で生成される信号成分SIGTRSCi(またはSIGBRSCi)は、ディスラプター要素551の近接部分が軸方向に沿ってその回転検出コイルに近づくか、または回転検出コイルによるその重複領域TRSCOAi(またはBRSCOAi)を増大させるかで減少する。
図5に示されている相補対CP1〜CP4(相補対CPiのコイルは同一で軸方向に沿って整列されている)については、図示されている非偏向位置UNDFで、各相補対(例えば、SIGTRSC1とSIGBRSC1)の信号成分はほぼバランスが取れていることが理解できよう。相補対(例えばCP1)に近接するディスラプター要素551の一部おける、動作中に予想されるような小さな変位ΔZに対する先に概説した原理によれば、正味の信号成分(例えばSIGTRSC1およびSIGBRSC1)はおおよそ線形で、互いに比較して逆に変化することができる。したがって、相補対CPiのこのような信号の合計は、ディスラプター要素551の近接部分に関連するΔZに対して名目上鈍感でもよい。さらに、図5に示される実施形態では、動作移動範囲+/−Rxおよび+/−Ry内で、Y方向の変位成分が回転コイル検出重複領域TRSCOA3、BRSCOA3、および/またはTRSCOA4およびBRSCOA4を変更せず、X方向の変位成分は、回転コイル検出重複領域TRSCOA2、BRSCOA2、および/またはTRSCOA1およびBRSCOA1を変更しないように、ディスラプター要素551のエッジをXおよびY方向に対して平行とすることができる。したがって、一実施形態では、理想的にはΔZおよび/またはΔYに関係なく、X方向に沿った回転変位または位置成分ΔXは、以下の信号関係によって示されるか、またはそれに対応することができる。
ΔX=関数 [(SIGTRSC3+SIGBRSC3)−(SIGTRSC4+SIGBRSC4)]÷
[(SIGTRSC3+SIGBRSC3)+(SIGTRSC4+SIGBRSC4)]
(式6)
同様に、一実施形態では、理想的にはΔZおよび/またはΔXに関係なく、Y方向に沿った回転変位または位置成分ΔYは、以下の信号関係によって示されるか、それに対応することができる。
ΔY=関数 [(SIGTRSC2+SIGBRSC2)−(SIGTRSC1+SIGBRSC1)]÷
[(SIGTRSC2+SIGBRSC2)+(SIGTRSC1+SIGBRSC1)]
(式7)
これらの信号の関係は単なる例であり、限定するものではない。様々な実施形態では、これらの信号関係は、必要に応じて、様々な変位方向または信号成分間の幾何学的および/または信号クロスカップリングの影響を低減する動作を備える追加のキャリブレーションまたは信号処理動作によって調整または補償される。
いくつかの特に有利な実施形態では、動作移動範囲+/−Rz、+/−Rx、および+/−Ry内の任意の相補対CPiと任意のディスラプター要素の変位増分に対して、そのディスラプター要素の変位増分に関連する重複領域TRSCOAiとBRSCOAiの変化の大きさと符号の両方がその相補対において同じであるように、受信コイル部(例えば、570)とディスラプター要素(例えば、551)は構成されている。いくつかのそのような実施形態では、軸方向に沿って投影されたときにそれら(即ち、上部回転検出コイルTRSCiおよび下部回転検出コイルBRSCi)の内部領域の形状が名目上一致することを特徴とする上部回転検出コイルTRSCiおよび下部回転検出コイルBRSCiを各相補対CPiが備えるように、受信コイル部は構成される。図5に示されるスタイラス位置検出部511’の特定の実施形態は、この説明に適合することが理解されよう。しかしながら、図5に示される特定の構成は例示に過ぎず、限定するものではなく、相補対の様々な構成が使用されてもよいことが理解されよう。様々な代替構成について、以下の他の図を参照して説明する。
いくつかの特に有利な実施形態では、ディスラプター要素が少なくともN個の直線側辺を備え、任意のそれぞれの相補対CPiについて、ディスラプター要素の直線側辺のそれぞれは、そのそれぞれの相補対の上部回転検出コイルTRSCiと下部回転検出コイルBRSCiの両方を横断するように、受信コイル部(例えば、570)およびディスラプター要素(例えば、551)は構成されている。いくつかのそのような実施形態では、N=4であり、少なくともN個の直線側辺は、長方形または正方形の辺に平行に配置された4つの辺を備える。図5に示されるスタイラス位置検出部511’の特定の実施形態は、この説明に適合することが分かるであろう。しかし、相補対の構成体とディスラプター要素のエッジ構成体の様々な組み合わせを使用することができ、図5に示す特定の構成の組み合わせは単なる例示であり、限定されるものではないことが理解できよう。構成の様々な代替の組み合わせについて、以下の他の図を参照して説明する。
図6は、図5に示すスタイラス位置検出部511’の特定の要素の部分概略等角図であり、本明細書で開示する原理による信号処理および制御回路680の例示的な一実施形態のブロック図に概略的に示された接続CONNを含んでいる。図6に示されるように、信号処理および制御回路680は、スタイラス位置検出部511’の様々なコイルに動作可能に接続される。図6に示される実施形態では、信号処理および制御回路680は、その様々な相互接続された構成要素間の様々なタイミングおよび信号接続を管理するまたは動作を交換できるデジタル制御装置/プロセッサ681を備える。デジタル制御装置/プロセッサ681は、駆動信号発生器682、増幅器/スイッチング部683、サンプル・ホールド部684、多重化部685、およびA/D変換部686を備える。デジタル制御装置/プロセッサ681は、図2を参照して先に概説し、以下でさらに説明するように、様々なデジタル信号処理動作を実行して、出力信号APSOutおよびRPSOutを決定することもできる。信号処理および制御回路680の設計および動作は、一般に、既知の原理に従って、当業者によって認識および理解することができる。例えば、一実施形態では、信号処理および制御回路680の様々な要素は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第5,841,274号に開示された対応する要素と同様に設計および動作することができる。したがって、図示された信号処理および制御回路680の動作はここでは簡単にのみ説明する。
動作中、駆動信号発生器682は、変化するコイル駆動信号Dsig(例えば、パルス)を場生成コイル構成体560に提供するように動作する。場生成コイル構成体560は、コイル駆動信号に応答してディスラプター移動ボリュームMVの軸方向にほぼ沿って変動磁束を生成する。図示の構成では、上部場生成コイル561Tおよび下部場生成コイル561Bは、互いに強め合う変動磁束を提供するように構成される。増幅器/スイッチング部683は、受信コイル部570から信号成分RSIGsおよびASIGsを入力するように構成されている。受信コイル部570は、上部および下部コイル基板上に配置されたそれぞれの回転および軸方向検出コイルによって提供されるそれぞれの信号成分(例えば、既に概説された信号成分SIGTASCC、SIGBASCC、SIGTRSC1〜SIGTRSC4、およびSIGBRSC1〜SIGBRSC4)を備える。いくつかの実施形態では、例えば、式5〜7などに示された関係で規定されたように、増幅器/スイッチング部683は、様々なアナログ信号を組み合わせて様々な所望の和信号または差信号を(例えば、適切なシリアルまたはパラレル接続などによって)提供するスイッチング回路を備えることができる。しかし、他の実施形態では、増幅器/スイッチング部683は、増幅および信号調整動作(および場合によっては信号反転動作)のみを実行し、すべての信号結合動作は他の回路部分で実行されてもよい。
サンプル・ホールド部684は、増幅器/スイッチング部683から様々なアナログ信号を入力し、例えば、受信コイル部570の様々なそれぞれの検出コイルから生じるすべてのそれぞれの信号成分を同時にサンプリングしホールドするように、既知の原理に従ってサンプル動作とホールド動作を実行する。一実施形態では、多重化部685は、様々な信号を連続的にA/D変換部686に、および/または(例えば、式5〜7などに示される関係で規定されるような)様々な所望の信号関係に関連する組み合わせで接続することができる。A/D変換部686は、対応するデジタル信号値をデジタル制御装置/プロセッサ681に出力する。次いで、デジタル制御装置/プロセッサ681は、(例えば、式5〜7などに示される関係で規定されるような)様々な所望の関係に従って、出力信号APSOutおよびRPSOutを決定および出力するように、デジタル信号値を処理しおよび/または結びつける。出力信号APSOutおよびRPSOutは、走査プローブのフレームまたはハウジングに対するディスラプター要素551またはスタイラス506の少なくとも1つの軸方向位置および回転位置を示す。いくつかの実施形態では、出力信号APSOutおよびRPSOutが走査プローブのフレームに対するスタイラス506またはその接触部548の3次元位置を直接示すように、デジタル制御装置/プロセッサ681を構成することができる。他の実施形態では、デジタル制御装置/プロセッサ681は、走査プローブのフレームに対するスタイラス506またはその接触部548の3次元位置を間接的に示す信号を出力するように構成することができる。そして、ホストシステム(例えばCMM)は、そのような信号をさらに結合または改良し、走査プローブおよび/またはCMM測定に使用される全ての座標システム全体に対するスタイラス506またはその接触部548の3次元位置を決定するように、そのような信号を入力し、追加の処理を実行する。
本明細書で開示および特許請求される様々な原理によるスタイラス位置検出部(例えば、511')の実施形態では、受信コイル部(例えば、570)の様々な受信コイルによって提供される信号成分は、ロバストで高精度の3次元位置表示を提供するために比較的高速で単純な信号処理を使用しながら、特定の信号誤差および/または信号クロスカップリング誤差の除去または修正に関して特に有利であることが理解できよう。
ロバストで高精度の3次元位置表示を提供するための比較的高速で単純な信号処理の使用に関して、1つの考慮事項は、位置または変位信号成分の線形性(または式5で示されるZ信号関係のような特定の結合信号の線形性)である。重要な3次および/または5次の信号変化の寄与に応じて変位とともに変化する信号または信号関係は、一般に、正確な変位または位置の表示を提供するために、より複雑な信号処理および/または補正および/または較正を必要とすることを理解されたい。本発明者らは、特定の望ましい構成が、軸方向信号成分ASigsおよび/またはそれらの組み合わせにおける高次の信号変化の寄与を抑制する傾向があることを発見した。これらの望ましい構成を説明する1つの方法として、上部および下部軸方向検出コイル構成体TASCCおよびBASCCの検出コイルは、中心軸CAと同心で、上部および下部軸方向検出コイル(例えば、図5に示す上部および下部軸方向検出コイル構成体TASCCおよびBASCCの検出コイル)がその内側に適合するような必要最小限の半径を有するように定義される「軸方向検出コイル内接シリンダー」を定義すると考えられてもよい(つまり、軸方向検出コイル内接シリンダーは、中心軸CAと同心で、上部および下部軸方向検出コイルのエッジ内に内接できる最大半径である半径を有するように定義されてもよい)。「ディスラプター内接シリンダー」は、中心軸CAと同心で、ディスラプター要素(例えば、ディスラプター要素551など)のエッジ内に内接できる最大半径である半径を有するように定義することができる。様々な実施形態では、ディスラプター内接シリンダーの半径は、軸方向検出コイル領域内接シリンダーの半径の少なくとも1.1倍であることが望ましい(が必須ではない)。いくつかの実施形態では、ディスラプター内接シリンダーの半径が、軸方向検出コイル領域内接シリンダーの半径の少なくとも1.2または少なくとも1.5倍であることが望ましい(が、必須ではない)。
図7A〜7Eは、本明細書に開示された原理に従って、それぞれ、受信コイル部770A〜770Eおよびディスラプター要素751A〜751Eを備えるスタイラス位置検出部の構成要素のそれぞれ「4つの相補対」の実施形態を表す(軸方向またはZ方向に沿って見た)「平面視」図を示す。図示された構成要素は、本明細書に開示された原理によるスタイラス位置検出部の様々な実施形態において使用可能である。場生成コイルは図7A〜7Eには示されていないが、それらは先に開示された原理に従って提供されることが理解されよう。図7A〜7Eに示される様々な構成要素は、前述のスタイラス位置検出部311、411、511、および/または511'における類似の番号付けされた構成要素と同様または類似であり、それとの類似によって一般に理解することができる。したがって、図7A〜7Eに含まれる「4つの相補対」の実施形態の特定の固有性または重要な特性のみを以下に説明する。
図7Aは、スタイラス位置検出部511’を参照して前述したものと同様の受信コイル部770Aおよびディスラプター要素751Aの実施形態を示しており、それとの類推によって理解することができる。スタイラス位置検出部511'を参照して前述したものと同様の円形の上部および下部軸方向検出コイル構成体TASCCおよびBASCCを示すことに加えて、図7Aは、破線で示された、代替の正方形の上部および下部軸方向検出コイル構成体TASCC'およびBASCC'も示す。より一般的には、本明細書で開示および/または特許請求される様々な原理に従って望ましい動作を提供するように構成される限り、任意の所望の形状を上部および下部軸方向検出コイル構成体に使用できることが理解されよう。
ディスラプター要素751Aの形状は、コンパクト化のために「トリミングされた角」を備えることに留意されたい。本明細書で以前に開示された原理を実現するために、ディスラプター変位増分に関連する重複領域TRSCOAiおよびBRSCOAiの変化の大きさは、例示された相補対のいずれにおいても名目上同じであるため、直交XおよびY方向に沿った動作移動範囲+/−Rxおよび+/−Ryは、この原則を満たすために、各相補対を横断する直線エッジ部分を超えないように規定または指定することができる。
図7Bは、受信コイル部770Bの相補対CP1〜CP4が上部および下部軸方向検出コイル構成体TASCCおよびBASCCの検出コイルと重なるより大きな回転検出コイルを備えることを除いて、図7Aを参照して前述したものと同様の受信コイル部770Bおよびディスラプター要素751Bの実施形態を示す。なお、相補対CP1〜CP4がそのような大きな回転検出コイルを備えることは、本明細書で開示される様々な原理に従って禁止されてはいない。そのような構成を製造するために、回転および軸方向検出コイルは、例えば、多層プリント回路基板のそれぞれの層に製造することができる。
図7Cは、上部および下部軸方向検出コイル構成体TASCCおよびBASCCは、様々な回転検出コイルTRSCiおよびBRSCiから分離された軸方向検出コイルによって提供されないことを除いて、図7Bを参照して前述したものと同様の受信コイル部770Cおよびディスラプター要素751Cの実施形態を示す。代わりに、上部軸方向検出コイル構成体TASCCは、N個(N=4)の上部回転検出コイルTRSC1〜TRSC4の組み合わせを備え、上部軸方向検出重複領域TASOAは、N個の上部回転検出コイルに関連する個別の重複領域TRSCOAiの合計を備えることが理解されよう。N個の上部回転検出コイルTRSC1〜TRSC4の類似の形状と、それらを重複するディスラプター要素の平行な2組の対とにより、ディスラプター要素751Cの変位増分による重複領域TRSCOA1で失われるすべての重複領域は、重複領域TRSCOA2で得られ、その逆も同様であることが観察される。同様に、重複領域TRSCOA3で失われるすべての重複領域は、重複領域TRSCOA4で得られ、その逆も同様である。したがって、重複領域TRSCOAiの合計は、その構成する個別の重複領域TRSCOAiがディスラプター要素751Cの位置に応じて変化する場合でも、動作移動範囲+/−Rz、+/−Rx、および+/−Ry内のディスラプター要素751Cの位置では変化しない、またはその位置に依存しない。同様に、下部軸方向検出コイル構成体BASCCは、N個(N=4)の下部回転検出コイルBRSC1〜BRSC4の組み合わせを備え、下部軸方向検出重複領域BASOAは、N個の下部回転検出コイルに関連する個別の重複領域BRSCOAiの合計を備える。重複領域BRSCOAiの合計は、また、その構成する個別の重複領域BRSCOAiがディスラプター要素751Cの位置に応じて変化する場合でも、動作移動範囲+/−Rz、+/−Rx、および+/−Ry内のディスラプター要素751Cの位置では変化しない、またはその位置に依存しない。したがって、前述の構成との違いにもかかわらず、図7Cに示される実施形態は、本明細書に開示される一般原理による構成を提供し、受信コイル部770Cおよびディスラプター要素751Cは、上部軸方向検出重複領域TASOAおよび下部軸方向検出重複領域BASOAを提供するように構成される。重複領域TASOAおよびBASOAのそれぞれの量は、動作移動範囲+/−Rz、+/−Rx、および+/−Ry内のディスラプター要素の位置では変化しない、またはその位置に依存しない。
図7Dは、図7Cを参照して前述したものと類似の方法で機能する受信コイル部770Dおよびディスラプター要素751Dの実施形態を示し、軸方向検出コイル構成体TASCCおよびBASCCは、様々な回転検出コイルTRSCiおよびBRSCiとは分離されている軸方向検出コイルによっては提供されない。代わりに、上部および下部軸方向検出コイル構成体TASCCおよびBASCCは、N(N=4)個の上部および下部回転検出コイルTRSC1〜TRSC4およびBRSC1〜BRSC4のそれぞれの組み合わせを備える。上部軸方向検出重複領域TASOAはN個の上部回転検出コイルに関連付けられた個別の重複領域TRSCOAiの合計を備え、下部軸方向検出重複領域BASOAはN個の下部回転検出コイルに関連付けられた個別の重複領域BRSCOAiの合計を備える。図7Cに示された構成と同様に、重複領域TRSCOAiの合計は、その連続した個別の重複領域TRSCOAiがディスラプター要素751Dの位置に依存して変化しても、動作移動範囲+/−Rz、+/−Rx、および+/−Ry内でディスラプター要素751Dの位置では変化しない、またはその位置に依存しない。そして、重複領域BRSCOAiの合計も、その連続した個別の重複領域BRSCOAiがディスラプター要素751Dの位置に依存して変化しても、動作移動範囲+/−Rz、+/−Rxおよび+/−Ry内でディスラプター要素751Dの位置では変化しない、またはその位置に依存しない。したがって、前述の構成との違いにもかかわらず、図7Dに示される実施形態は、本明細書に開示される一般原理による構成を提供している。受信コイル部770Dおよびディスラプター要素751Dは、上部軸方向検出重複領域TASOAおよび下部軸方向検出重複領域BASOAを提供するように構成される。重複領域TASOAおよびBASOAのそれぞれの量は、動作移動範囲+/−Rz、+/−Rx、および+/−Ry内でディスラプター要素の位置では変化しない、またはその位置に依存しない。ディスラプター要素751Dの図示された形状により、本明細書で先に開示された原理を満たすために、ディスラプター変位増分に関連する重複領域TRSCOAiおよびBRSCOAiの変化の大きさは、図示された相補対のいずれにおいても名目上同じであり、直交XおよびY方向に沿った動作移動範囲+/−Rxおよび+/−Ryは、ディスラプター要素751Dの角のいずれも、それらが任意の相補対CP1〜CP4の検出コイルの境界を横断するような程度でそれらの図示された位置に移動しないように規定または指定されることが理解されよう。
図7Eは、各相補対CPiの上部および下部回転検出コイルが中心軸を中心に互いに対して角度2 * NAAだけ回転することを除いて、図7A(またはスタイラス位置検出部511')を参照して前述したものと同様の受信コイル部770Eおよびディスラプター要素751Eの実施形態を示す。なお、NAAは「非整列角度」である。しかし、この実施形態は、非整列角度NAAが増加するにつれて、(各相補対CPiの上部と下部回転検出コイルが軸方向に沿って整列している)前述の構成と比較してますます不利になる。ますます不利になる理由は、ディスラプター要素751Eとのそれらの重複領域が「同じ場所」にないので、ディスラプター要素751Eと各相補対CPiの上部および下部回転検出コイルとの間の動作ギャップ(例えば、図3に示されている動作ギャップOG)の合計がディスラプター要素751Eのすべての変位に対して必ずしも一定ではないことである。したがって、それらの信号の合計は、式6を参照して前述したように、理想的に軸方向の変位ΔZから独立していないかもしれない。上記の如く概説され図7で示された構成は、本明細書で開示された様々な原則に従って禁止されていない。そのような構成は、本明細書で開示および請求される最も基本的な原理を依然として満たし、既知の誘導性センサ構成体と比較して上記で概説した様々な利点を少なくとも部分的に保持する信号成分を提供することができることが理解されよう。図7Eに示す構成を説明する1つの方法として、相補対の一方の形状が中心軸を中心に他方の角度位置と一致するように中心軸周りに(例えば、角度2 * NAA)回転され、軸方向に沿って投影される場合に、それらの内部領域の形状が名目上一致する(つまり、上部回転検出コイルTRSCiおよび下部回転検出コイルBRSCiの内部領域の形状が、それらの一方の形状が中心軸の周りで他方の角度位置で一致するように中心軸の周りで回転したときに名目上一致する)ことを特徴とする上部回転検出コイルTRSCiおよび下部回転検出コイルBRSCiを各相補対CPiが備えるように、受信コイル部770Eは構成される。様々な実施形態では、受信コイル部770Eおよびディスラプター要素751Eは、ディスラプター要素751Eが少なくともN個の直線側辺(例えばN=4)を備え、任意のそれぞれの相補対CPi(例えばCP1〜CP4)に対して、ディスラプター要素751Eの直線側辺のそれぞれは、その各相補対CPiの上部回転検出コイルTRSCiと下部回転検出コイルBRSCiの両方を横断するように構成されてもよい。N=4であるそのような実施形態では、ディスラプター要素751Eの少なくともN個の直線側辺は、長方形または正方形の辺に平行に配置された4つの辺を備える。
図8A〜8Fは、本明細書に開示された原理に従って、それぞれ、受信コイル部870A〜870Fおよびディスラプター要素851A〜851Fを備えるスタイラス位置検出部の構成要素のそれぞれ「3(または6)つの相補対」の実施形態を表す(軸方向またはZ方向に沿った)「平面視」図を示す。図示された構成要素は、本明細書に開示された原理によるスタイラス位置検出部の様々な実施形態において使用可能である。場生成コイルは図8A〜8Fには示されていないが、それらは先に開示された原理に従って提供されることが理解されよう。図8A〜8Fのいくつかに示される「3(または6)つの相補対」の構成に示される様々な構成要素は、図7A〜7Eを参照して前述した対応する「4つの相補対」の構成に示される対応する要素と類似であり、それとの類似によって一般に理解することができる。したがって、図8A〜8Fに含まれる「3つの相補対」の実施形態の特定の固有性または重要な特性のみを以下に説明する。
図8A〜8Cは、対応する図7A〜7Cに示される、「4つの相補対」の構成体の「3つの相補対」の類似体である。それらは一般に、以下の追加の説明に基づいて、それらの対応する構成の説明(例えば、図8Aではその対応する図7Aなど)との類似によって理解することができる。
(例えば、図7Aに示すように)互いから90度に向けられた前述の4つの相補対とは対照的に、任意の変位増分またはディスラプター要素(例えば、851A)の位置が、本書の様々な図に示されているX軸方向とY軸方向に沿って向けられた変位または位置ベクトル成分または座標によるので、図8A〜8Fに示された各ベクトル成分方向VC1、VC2、VC3に沿って向けられた変位または位置ベクトル成分または座標によって容易に特徴付けられていることを考慮することによって、互いから120度に向けられた3つの相補対の使用を理解することができる。ある座標系から別の座標系にベクトル成分を変換する方法はよく知られており、ここで詳細に説明する必要はない。これに基づいて、図8A〜8Cに示される相補対CPiは、相補対の前述の説明で概説された同じ原理に従って構成され、それらのそれぞれの重複領域は、それらの対応するベクトル成分方向VC1、VC2、およびVC3に沿ってディスラプター要素の変位または位置を示すことが理解されよう。例えば、図8Aに示されている代表的な重複領域TRSCOA1とBRSCOA1は、対応するベクトル成分方向VC1等に沿ったディスラプター要素の変位または位置を示す前述の原理に従って、関連する信号成分SIGTRSC1およびSIGBRSC1をもたらす。図8A、8C、および8Eに示される実施形態では、1つの実施形態において、VC1方向に沿った回転変位または位置成分ΔVC1は、以下の信号関係によって示されるか、その信号関係に対応することができ、この信号関係は比較可能な相補対に対する以前に概説された原理によるΔZから名目上は独立している。
ΔVC1=関数 [(SIGTRSC1+SIGBRSC1)−(SIGTRSC1UNDF+SIGBRSC1UNDF] (式8)
ここで、SIGTRSC1UNDFおよびSIGBRSC1UNDFは、ディスラプター要素(例えば、851Aなど)の非偏向位置UNDFに対応する重複領域TRSCOA1およびBRSCOA1から生じる参照信号値である。
同様に、VC2方向に沿った回転変位または位置成分ΔVC2およびVC3方向に沿った回転変位または位置成分ΔVC3は、次の信号関係によって示されるか、それに対応することができる。
ΔVC2=関数 [(SIGTRSC2+SIGBRSC2)−(SIGTRSC2UNDF+SIGBRSC2UNDF] (式9)
ΔVC3=関数 [(SIGTRSC3+SIGBRSC3)−(SIGTRSC3UNDF+SIGBRSC3UNDF] (式10)
図8A〜8Cに示される軸方向検出コイル構成体TASCCおよびBASCCは、対応する構成を参照して本明細書で前述したものと実質的に同じであり、同じタイプの信号成分および信号関係に従って決定できることが理解されよう。上記で概説した信号の関係は例示にすぎず、それに限定されるものではない。様々な実施形態では、これらの信号関係は、必要に応じて、様々な変位方向または信号成分間の幾何学的および/または信号クロスカップリングの影響を低減する操作を備え、追加のキャリブレーションまたは信号処理操作によって調整または補償されてもよい。
図8Dは、合計6つの相補対を備えるために、相補対CP1〜CP3から中心軸を横切って対称的に構成される追加の相補対CP4〜CP6が提供されることを除いて、図8Aを参照して前述したものと同様の受信コイル部870Dおよびディスラプター要素851Dの実施形態を示す。特に、CP1とCP4はVC1方向に沿って互いに反対向きであり、CP2とCP5はVC2方向に沿って互いに反対向きであり、CP3とCP6はVC3方向に沿って互いに反対向きである。これらの対向する対は、図7A〜7DのXおよびY軸方向に沿って示される対向する相補対に類似している。このような構成は、式8〜10で使用される参照信号値(例:SIGTRSC1UNDFなど)に依存する必要はない。したがって、このような構成は、(例えば、様々な原因による信号ドリフトなどに対して本質的な補償をすることで、)よりロバストで正確である。図8Dに示す実施形態の場合、一実施形態では、VC1方向に沿った回転変位または位置成分ΔVC1は、以下の信号関係によって示されるか、または対応することができる。なお、これは、比較可能な相補対に対して前述の原理に従って、名目上、変位ΔZから独立している。
ΔVC1=関数 [(SIGTRSC1+SIGBRSC1)−(SIGTRSC4+SIGBRSC4)]÷
[(SIGTRSC1+SIGBRSC1)+(SIGTRSC4+SIGBRSC4)] (式11)
ΔVC2=関数 [(SIGTRSC2+SIGBRSC2)−(SIGTRSC5+SIGBRSC5)]÷
[(SIGTRSC2+SIGBRSC2)+(SIGTRSC5+SIGBRSC5)] (式12)
ΔVC3=関数 [(SIGTRSC3+SIGBRSC3)−(SIGTRSC6+SIGBRSC6)]÷
[(SIGTRSC3+SIGBRSC3)+(SIGTRSC6+SIGBRSC6)] (式13)
図8Bおよび8Cに示される「3つの相補対」の実施形態は、6つの相補対を備えるように同様に適合され、類似の利点を有する類似の信号処理を使用できることが理解されよう。
図8Eは、図7Eを参照して前述したものに類似する受信コイル部870Eおよびディスラプター要素851Eの実施形態を示し、図8A〜8Cの前述の説明と併せてその説明と類似していることにより一般に理解することができる。その説明を簡単に言い換えると、図8Eでは、各相補対CPiの上部および下部回転検出コイルは、中心軸の周りで互いに対して角度2 * NAA回転している。なお、NAAは「非整列角度」である。この実施形態は、図7Eを参照して前述したように、非整列角度NAAが増加するにつれて、先に概説した(各相補対CPiの上部および下部回転検出コイルが軸方向に沿って整列されている)構成と比較してますます不利になる。ここで、相補対からの信号の合計は、式6を参照して前述したように、理想的に軸方向の変位ΔZから独立していないかもしれないことが説明されている。それでも、そのような構成は、本明細書で開示される様々な原理にしたがって禁止されていない。そのような構成は、本明細書で開示および請求される最も基本的な原理を依然として満たし、既知の誘導性センサ構成体と比較して上記で概説した様々な利点を少なくとも部分的に保持する信号成分を提供できることが理解されよう。
図8Fは、受信コイル部870Fおよびディスラプター要素851Fの実施形態を示し、検出コイルの相補対CPiは、前述の相補対(例えば、図8Aに示す)のそれらとは異なる構成の検出コイルを有し、中心軸を挟んで対称に配置されている。したがって、動作移動範囲+/−Rz、+/−Rx、および+/−Ry内の任意の相補対CPiと任意のディスラプター要素の変位増分に対して、ディスラプターの変位増分に関連する重複領域TRSCOAiおよびBRSCOAiの変化の大きさがその相補対において同じであるように、受信コイル部とディスラプター要素がさらに構成されている点で、それらは前述の相補対と同様に特徴付けられている。さらに、図8Fに示す実施形態では、受信コイル部は、本明細書で前述したいくつかの相補対と同様に構成され、それら(つまり、上部回転検出コイルTRSCiおよび下部回転検出コイルBRSCi)のうちの一方の形状が中心軸の周りで他方の角度位置に一致するように、中心軸の周りにオフセット角度(例えば180度)で回転されて、軸方向に沿って投影された場合に、それらの内部領域の形状が名目上一致するように特徴づけられた上部回転検出コイルTRSCiおよび下部回転検出コイルBRSCiを各相補対CPiは備える。
しかしながら、前述の相補対とは対照的に、ディスラプター変位増分に関連する重複領域TRSCOAiとBRSCOAiの変化の符号は、図8Fに示す相補対では反対である。そのような実施形態は、ディスラプター変位増分に関連する重複領域TRSCOAiとBRSCOAiの変化の符号が各相補対で同じである実施形態と比較して、特定の不利な点を持つかもしれない。しかしながら、図8Fに示される構成は、それにもかかわらず、本明細書で開示される様々な原理に従って禁止されていない。適切な信号処理により、そのような実施形態は、既知の誘導性検出構成体と比較して、走査プローブで使用するための特定の利点を提供することができる。信号処理は、様々なクロスカップリング効果などを修正または補償するために、(例えば、より複雑な信号成分関係を使用して様々な変位または位置ベクトル成分を示す)本明細書で以前に開示された実施形態で必要とされるよりも複雑である必要があるかもしれない。しかしながら、受信コイル部870Fについては、そのような効果は、一般に、既知の幾何学的および/または信号関係の制約と、ディスラプター要素851Fの与えられた変位に対する重複領域の変化の大きさが各相補対の検出コイルで同じであるという事実に基づいて補償することができる。例えば、図8Fに示される実施形態では、ディスラプター要素851Fは、(例えば、正六角形の辺に平行に配置される)3対の平行な直線側辺を備え、任意のそれぞれの相補対CPiに対して、平行な直線側辺の対の第1のものが上部回転検出コイルTRSCiを横断し、その平行な直線側辺の対の第2のものがそのそれぞれの相補対の下部回転検出コイルBRSCiを横断する。ディスラプター要素851Fの既知の剛体並進および回転特性に基づいて、各検出コイルのそれぞれの重複領域および局所動作ギャップは互いに対する既知の関係によって制約されるように受信コイル部870Fに備えられ、これらの既知の関係は受信コイル部870Fによって提供される信号成分の信号処理において、正確な変位ベクトルを決定するのに使用することができる。
図7A〜7Eおよび図8A〜8Fに示される変形例は、本明細書に開示および要求される様々な原理に関連して前述した利点の多くまたはすべてを保持する一方で、これらの原理に従ってスタイラス位置検出部内の様々な要素の構成および組み合わせをさらに再配置および/または調整する可能性を示していることが理解されよう。一般に、本明細書で開示される様々な実施形態は、例示のみを目的とし、限定するものではないことを理解されたい。
図9Aおよび9Bは、スタイラス位置検出部911の代替構成を示す。このスタイラス位置検出部は、例えば、図2の走査プローブ300でスタイラス位置検出部311として、図3の実施形態においてスタイラス位置検出部411の代わりに、図4の実施形態においてスタイラス位置検出部511などの代わりに、使用することができる。誘導性構成要素が図9Bに示されている。スタイラス位置検出部911は、誘導性検出原理を使用し、受信コイル部970を有するコイル基板構成体990と、図示のように送信コイル(第1の場生成コイル)961を備える場生成コイル構成体960と、図示のように第1および第2のディスラプター要素951を備えるディスラプター構成体950と、を備える。受信コイル部970は、回転検出コイル部(回転検出コイルとも呼ばれる)RSCおよび軸方向検出コイル構成体ASCCを備えることができる。簡単に言えば、移動するディスラプター要素951(または、より一般的には、ディスラプター構成体950)は、場生成コイル構成体960によって生成される変動磁場の位置に依存した変動を引き起こす。受信コイル部970は、ディスラプター要素951で引き起こされる変動磁場およびその間の変動に応答する。
コイル基板構成体990は、N個の上部回転検出コイル部(上部回転検出コイル、図示のようにTRSC1〜TRSC4であり、この例ではN=4)と上部軸方向検出コイル構成体(図示のようにTASCC)とを備える第1基板部992と、N個の下部回転検出コイル部(下部回転検出コイル、図示のようにBRSC1〜BRSC4であり、この例ではN=4)と下部軸方向検出コイル構成体(図示のようにBASCC)を備える第2基板部994と、を備える。コイル基板構成体990は、また、第1基板部992と第2基板部994との間に配置された中央基板部996を備える。中央基板部996は、(図示のように、送信コイル961を備える)少なくとも第1の場生成コイル構成体960を備える。コイル基板構成体990は、スタイラス懸架部307/407(図2および3を参照)により近いコイル基板構成体990の第2基板部994で、走査プローブのフレーム(図2の走査プローブ300および図4のフレーム408を参照)に一定の関係で取り付けられる。コイル基板構成体990の第1基板部992、第2基板部994および中央基板部996は、名目上互いに平行であり、名目上、走査プローブ300(図2参照)の中心軸CA(図3参照)に直交する。コイル基板構成体990は、例えば、基板またはプリント回路基板の層にプリント導体として製造されたコイルを有する両面基板またはプリント回路基板、基板またはプリント回路基板に固定された自立コイルなど、および/またはそれらの様々な組み合わせを備えることができる。
様々な実施形態では、ディスラプター構成体950のディスラプター要素951は、それぞれ、ディスラプター領域を提供する導電性プレートまたは導電性ループの少なくとも1つを備え、ディスラプター要素951は、コイル基板構成体990の反対側に延在するディスラプター移動ボリュームにおいて中心軸CA(図3を参照)に沿って配置されている。ディスラプター要素951は、(例えば、図3の移動部材412と同様の)移動部材912の上部を備え、結合構成体953によって互いに対して一定の関係でスタイラス懸架部307/407(図2および3を参照)に結合される。ディスラプター要素は、軸方向移動に応じて軸方向に沿った動作移動範囲+/−Rz、および回転移動に応じて軸方向に直交するそれぞれの直交XおよびY方向に沿った各動作移動範囲+/−Rxおよび+/−Ryにわたって移動して、ディスラプター要素951は、スタイラス懸架部307/407(図2および図3を参照)の偏向に応じて非偏向位置に対してディスラプター移動ボリューム内で移動する。軸方向に沿った第1の場生成コイル961のコイル領域の投影は、コイル基板構成体990に配置されたすべての回転および軸方向検出コイルのディスラプター領域およびコイル領域を提供する導電性プレートまたはループを包含する。場生成コイル構成体960は、コイル駆動信号に応じて、ディスラプター移動ボリューム内に軸方向にほぼ沿って変動磁束を生成する。
図10は、図9Aおよび9Bに示されるスタイラス位置検出部911に類似するスタイラス位置検出部1011の実施形態の部分概略等角図であり、本明細書に開示される原理による特定の態様を強調している。一般に、スタイラス位置検出部1011は、図2、3、4、9Aおよび9Bのスタイラス位置検出部311、411、511および911の構成要素と同様の特定の構成要素を含み、以下に記載された場合を除いて同様に動作することが理解されよう。スタイラス位置検出部1011の構成は、例えば、図2の走査プローブ300においてスタイラス位置検出部311として、図3の実施形態においてスタイラス位置検出部411の代わりに、図4の実施形態においてスタイラス位置検出部511の代わりに、図9Aおよび9Bの実施形態などにおいてスタイラス位置検出部911の代わりに、使用されてもよい。
図10に示される実施形態では、スタイラス位置検出部1011は、コイル基板構成体1090およびディスラプター構成体1050を備える。コイル基板構成体1090は、上部受信コイル基板部1070Tと下部受信コイル基板部1070Bとの間に配置された場生成コイル基板部1060を備え、上部および下部受信コイル基板部1070T、1070Bを備える。様々な実施形態では、上部および下部受信コイル基板部1070T、1070Bは第1および第2基板部1070T、1070Bとも呼ばれ、場生成コイル基板部1060は中央基板部1060とも呼ばれる。ディスラプター構成体1050は、ディスラプター要素1051T、1051Bまたはスケールを備える。様々な実施形態では、ディスラプター要素1051T、1051Bは、第1および第2のディスラプター要素1051T、1051Bとも呼ばれる。
様々な実施形態では、ディスラプター要素1051T、1051B(または、より一般的にディスラプター構成体1050)はそれぞれ、ディスラプター領域(例えば、その内部領域)を提供する導電性プレートまたは導電性ループ、または(例えば、プリント回路基板製造技術によりパターン化されたプリント回路基板の2面に設けられたような)平行な導電性プレートまたは導電性ループ、または任意の他の望ましい動作構成体の少なくとも1つを備えることができる。図10に示すように、ディスラプター要素1051Tおよび1051Bはそれぞれ、導電性プレートを備える。ディスラプター要素1051Tおよび1051Bは、コイル基板構成体1090の反対側に延在するディスラプター移動ボリュームMVの中心軸CAに沿って配置され、(例えば、図3の移動部材412と同様の移動部材1012の少なくとも上部を備える)結合構成体によってスタイラス懸架部1007に結合される。説明の目的で、ディスラプター要素1051T、1051Bは、(例えば、図3のスタイラス懸架部407、スタイラス406および移動部材412と類似または同一であってもよい)スタイラス懸架部1007および/またはスタイラス1006および/または移動部材1012の偏向に応じて、(例えば、図3の非偏向位置UNDFに類似している)図10に示される非偏向位置に対して移動する。ディスラプター要素1051T、1051Bは、軸方向移動に応じて軸方向に沿って動作移動範囲+/−Rzにわたって変位増分ΔZで、回転移動に応じて軸方向(Z方向)に直交する直交XおよびY方向に沿ってそれぞれの動作移動範囲+/−Rxおよび+/−Ryにわたってそれぞれ変位増分ΔXおよびΔYで移動するものとして説明することができる。
上部受信コイル基板部1070Tは、N個の上部回転検出コイルTRSC(例えば、図示のTRSC1〜TRSC4、N=4)および(例えば、この実施形態では単一の図示された個別のコイルを備える)上部軸方向検出コイル構成体TASCC、そして、下部受信コイル基板部1070Bは、N個の下部回転検出コイルBRSC(例えば、図示のBRSC1〜BRSC4、N=4)および(例えば、この実施形態では単一の図示された個別のコイルを備える)下部軸方向検出コイル構成体BASCCを備える。
コイル基板構成体1090は、スタイラス1006および/またはスタイラス懸架部1007により近い下部受信コイル基板部1070Bで、走査プローブのフレーム(例えば、図4のフレーム408)に一定の関係で取り付けられる。図10に示す様々な検出コイルに関して、すべてのコイルは、誘導性に結合された1つ以上のターンで動作するように構成された(例えば図6に示すような)第1および第2接続端を有する巻線または導体の少なくとも1つを備えることが理解されよう。図に示すように、上部および下部軸方向検出コイル構成体TASCCおよびBASCC、ならびに上部および下部回転検出コイル構成体TRSCおよびBRSCは、ディスラプター構成体1050および対応するディスラプター要素1051T、1051Bの位置に対して名目上対称的に空間が設けられている。他の構成も可能である(例えば、いくつかの実施形態では、回転検出コイル構成体TRSCおよびBRSCは、ディスラプター構成体1050に対して名目上中心にならない場合がある)。
場生成コイル基板部1060は、一般に、少なくとも第1の場生成コイル1061を備え、上部受信コイル基板部1070Tと下部受信コイル基板部1070Bとの間に配置される。図10に示すように、少なくとも第1の場生成コイルは、ディスラプター要素1051T、1051Bの面積よりも大きい面積を有する単一の場生成コイル1061を備える。上部受信コイル基板部1070T、場生成コイル基板部1060、および下部受信コイル基板部1070Bは、名目上平面であり、名目上互いに平行であり、名目上中心軸CAに直交する。
図3、4、および5に図示された実施形態では、ディスラプター要素は場生成コイル要素の内側に配置され(例えば、図4のディスラプター要素551は場生成コイル561の内側に収まっている)、ディスラプター要素の面積は場生成コイル要素の面積よりも小さい。図9A、9B、および10の図示された実施形態では、ディスラプター要素は、場生成コイル要素に平行に配置される(例えば、ディスラプター要素1051T、1051Bは、場生成コイル1061の上下に配置される)。図9A、9B、および10の構成は、ディスラプター要素および場生成コイル要素の相対的なサイズに関して柔軟性を向上させる。加えて、(例えば、第1基板部、第2基板部、および中央基板部が単一の多層プリント回路基板の部分を含み得る場合に)単一のプリント回路基板を利用することで、複数のプリント回路基板を利用する構成体に対してコストと複雑さを低減することができる。
図11は、図10に示されるスタイラス位置検出部1011に類似するスタイラス位置検出部1111の代替実施形態の部分概略等角図であり、本明細書に開示される原理による特定の態様を強調している。一般に、スタイラス位置検出部1111は、図10のスタイラス位置検出部1011の構成要素に類似する特定の構成要素を備え、以下で特に説明する場合を除き、同様に動作することが理解されるであろう。スタイラス位置検出部1111の構成は、例えば、図2の走査プローブ300においてスタイラス位置検出部311として、図3の実施形態においてスタイラス位置検出部411の代わりに、図4の実施形態においてスタイラス位置検出部511の代わりに、図9Aおよび9Bの実施形態においてスタイラス位置検出部911の代わりに、図10の実施形態においてスタイラス位置検出部1011の代わりに、など、使用されてもよい。
図11に示される実施形態では、スタイラス位置検出部1111は、コイル基板構成体1190およびディスラプター構成体1150を備える。コイル基板構成体1190は、上部受信コイル基板部1170Tと下部受信コイル基板部1170Bとの間に配置された場生成コイル基板部1160を備え、上部および下部受信コイル基板部1170T、1170Bを備える。様々な実施形態では、上部および下部受信コイル基板部1170T、1170Bは第1および第2基板部1170T、1170Bとも呼ばれ、場生成コイル基板部1160は中央基板部1160とも呼ばれる。ディスラプター構成体1150は、ディスラプター要素1151T、1151Bまたはスケールを備える。様々な実施形態では、ディスラプター要素1151T、1151Bは、第1および第2のディスラプター要素1151T、1151Bと呼ばれる。図示の上部および下部受信コイル基板部1170T、1170Bは、図10の対応する上部および下部受信コイル基板部1070T、1070Bと概ね同様である(導電性ビアおよびパッドの詳細は図11に示されている)。
様々な実施形態では、ディスラプター要素1151T、1151B(または、より一般的にディスラプター構成体1150)はそれぞれ、導電性プレートまたは導電性ループ、または(例えば、プリント回路基板製造技術によりパターン化されたプリント回路基板の2面に設けられたような)平行な導電性プレートまたは導電性ループ、またはディスラプター領域(例えば、その内部領域)を提供する任意の他の望ましい動作構成体の少なくとも1つを備えることが出来る。様々な実施形態では、導電性ループを備えた構成体は、同心ループ、スパイラルパターンなどの少なくとも1つを備えることができる。図11に示すように、ディスラプター要素1151Tおよび1151Bはそれぞれ、図10に図示された実施形態で使用された導電性プレートの代わりに複数の同心導電性ループ1153を備える。ディスラプター要素1151Tおよび1151Bは、コイル基板構成体1190の反対側に延在し、図10を参照して上述した方法と同様の方法(図10のスタイラス懸架部1007を参照)でスタイラス懸架部に結合されるディスラプター移動ボリュームMVの中心軸CAに沿って配置される。
場生成コイル基板部1160は、一般に、少なくとも第1の場生成コイルを備える。図示のように、場生成コイル基板部1160は、上部場生成コイル部1161Tおよび下部場生成コイル部1161Bを備え、上部受信コイル基板部1170Tと下部受信コイル基板部1170Bとの間に配置されている。上部受信コイル基板部1170T、場生成コイル基板部1160および下部受信コイル基板部1170Bは、名目上平面であり、名目上互いに平行であり、名目上中心軸CAに直交する。図11の実施形態では、場生成コイル基板部1160は、2ターンのマルチターン場生成コイルを備える。そして、2つの対応する場生成コイル部1161Tおよび1161Bは、ビアによって接続され、中心軸に沿ったディスラプター移動ボリュームの中央平面からほぼ等距離に位置し、名目上平面で中心軸に直交する(すなわち、場生成コイル構成体は、少なくとも2ターンで、中心軸CAに沿ってディスラプター移動ボリュームMVの中央平面からほぼ等距離に配置され、名目上平面で中心軸CAに直交する2つの対応する場生成コイル部1161Tおよび1161Bを持つマルチターン場生成コイルを備える)。
図11に示すように、上部場生成コイル部1161Tおよび下部場生成コイル部1161Bは、ディスラプター要素1151T、1151Bの面積よりも小さい面積を有する。ディスラプター要素の面積よりも小さな面積を有する場生成コイルを使用することにより、ディスラプター要素またはスケールのサイズに対するスタイラス位置検出部1111の感度を低減することが容易になる。導電性プレートまたは単一の導電性ループの代わりに、ディスラプター要素で導電性ループ(例えば、同心ループ、スパイラルパターンなど)を使用すると、良好なXおよびY位置信号強度を維持したまま、ディスラプター要素またはスケールのサイズに対するスタイラス位置検出部1111の感度の低減も容易になる。ディスラプター要素またはスケールのサイズに対するスタイラス部の感度を低減すると、測定の精度が向上し、望ましい出力形式で結果を生成することに関連する処理コストを削減することができる。
いくつかの実施形態では、受信コイル(例えば、回転検出コイルBRSC1〜BRSC4、TRSC1〜TRSC4)が送信機(例えば、場生成コイル部1161T、1161B)に近接しているため、非接続のビア/パッドは、そうでなければ接続トレース(送信機と受信機のリードなど)またはその他の要素によって生成されるオフセットをバランスさせるように追加されてもよい。図示した例として、図11の実施形態では、(例えば、電子回路または構成および/またはその一部に接続されたような)特定の接続ビア/パッド/リードは、対称な回転検出コイルBRSC4/TRSC4内に対称的に接続された対応物(例えば、中心軸に対して対称)を持たない(例えば、接続トレース用の)回転検出コイルBRSC3/TRSC3内に示されている(例えば、5つのそのようなビア、ならびに上部および下部送信リードは、図11の構成例の回転検出コイルBRSC3/TRSC3内に示され、軸方向検出コイル構成体TASCC、BASCCのための接続用の3つのビア、正規化コイルRNの部分の接続用のビア、場生成コイル部1161T、1161Bの接続用のビア、および場生成コイル部1161T、1161Bのための上部および下部送信リードを備える)。いくつかの実施形態では、そのようなトレース/ビア/パッド/リードは、補償されない場合、信号オフセットに帰結する受信コイルへの磁場を低減することができる。いくつかの実施形態では、そのようなオフセットは、非接続のビア/パッド/リードを備えた対称的な受信コイル内でそのような特徴を(例えば、中心軸の反対側に)反映すること(mirroring)により対処することができる。例えば、一実施形態では、回転検出コイルBRSC4/TRSC4内に非接続のビア/パッド/リードを追加することができ、回転検出コイルBRSC4/TRSC4それぞれでは、回転検出コイルBRSC3/TRSC3内の対応する接続ビア/パッド/リードを反映/対称にすることができる(例えば、回転検出コイルBRSC4/TRSC4内に5つの非接続のビアならびに上部および下部パッドを追加でき、回転検出コイルBRSC4/TRSC4ではそれぞれ、回転検出コイルBRSC3/TRSC3内に示された対応する接続ビア/パッド/リードを反映/対称に配置することができる)。
そのような概念の特定の図示する例として、図11では、正規化コイルRNの部分の接続用の要素(例えばビア)は、VIA1Cを介して電気的に接続されるように示され、回転検出コイルBRSC3/TRSC3内に示される。上述の原理に従って、回転検出コイルBRSC3/TRSC3内に示された対応する接続用のビアVIA1Cを反映/対称にする(例えば、その構成体の中心軸に対して反映および対称にする)回転検出コイルBRSC4/TRSC4内に非接続のビアVIA1Dを含めることができる。より具体的には、ビアVIA1Dは、(例えば、ビアVIA1Cの位置とビアVIA1Dの位置の間のラインがその構成体の中心軸を通り、各位置が中心軸から等距離にあるような)回転検出コイルBRSC3/TRSC3内のビアVIA1Cの位置と対称にある/反映する回転検出コイルBRSC4/TRSC4内の位置にある。ビアVIA1Dは、それにより、上記のようにビアVIA1Cによって生成されるオフセットのバランスを取る。より具体的には、非接続の要素VIA1Dは、回転検出コイルBRSC4/TRSC4(第1回転検出コイル)内に配置され、回転検出コイルBRSC3/TRSC3(第2回転検出コイル)内に配置された同様の電子的に接続された要素VIA1Cと対称に(つまり、中心軸および/または軸方向に対して)反対側にある。そして、非接続の要素VIA1Dは、それにより、回転検出コイルBRSC3/TRSC3内に接続された要素VIA1Cの存在により回転検出コイルBRSC3/TRSC3およびBRSC4/TRSC4によって提供される信号成分で生じる信号オフセットを低減する。
図11の実施形態では、正規化コイルRNの部分の接続用のビアVIA1Cは、軸方向検出コイル構成体TASCC、BASCCのための接続用のビアに近接するように示されている。正規化コイルRNは上部と下部を備え、上部は直線で半径方向に延在し、ビアVIA1Cによって直線で同じく半径方向に延在する下部に接続されている(下部は、図を簡単にするために、他の要素によって不明瞭になっているため図11には示していないが、上部の真下に配置されている。)。様々な実施形態では、正規化コイルRNは、(例えば、場生成コイル構成体(場生成コイル基板部とも呼ばれる)1160によって生成される変動磁束に対応する)送信場の測定値を提供するのに使用される(つまり、正規化コイルRNは、場生成コイル構成体1160によって生成される変動磁束の測定値を提供するために利用される)。ここで、測定された信号はディスラプター要素1151T、1151Bの位置から相対的に独立している(例えば、ディスラプター要素1151T、1151Bの位置によって名目上だけ影響を受けてもよい)。様々な実施形態では、位置測定値は、この測定された信号で(場生成コイル構成体1160からの)送信振幅の変動に対して比較的鈍感になるようにされてもよい。様々な実施形態では、そのような処理は、信号処理および制御回路(例えば、図2の信号処理および制御回路380)によって実行することができる。
図9A、9B、10および11を参照すると、図2〜8Fを参照して上述した方法と同様の方法で、(TRSC1〜TRSC4およびBRSC1〜BRSC4に示すような)回転検出コイル部RSCは、対応する信号線上のスタイラス結合部342(図2を参照)の回転位置(XおよびY位置信号など)を示す少なくとも第1および第2の回転信号成分RSigsを出力し、そして、(TASCCおよびBASCCに示すような)軸方向検出コイル構成体ASCCは、対応する信号線上のスタイラス結合部の軸方向位置(例えば、Z位置信号)を示す1つまたは複数の軸方向信号成分ASigsを出力する。様々な実施形態では、信号処理および制御回路380(図2を参照)は、回転信号成分RSigsおよび軸方向信号成分ASigsを受信し、様々な実施形態において様々なレベルの関連する信号処理を実行することができる。例えば、一実施形態では、信号処理および制御回路は、様々な受信コイルからの信号成分を様々な関係で結合および/または処理し、取付部224を介して(図2を参照)回転および軸位置信号出力RPSOutおよびAPSOutとして結果的に所望の出力形式で提供する。図2を参照すると、(例えば、CMM200、モーションコントローラ115、ホストコンピュータ120などにおける)1つまたは複数の受信部は回転および軸方向位置信号出力RPSOutおよびAPSOutを受信することができ、そして、1つまたは複数の関連する処理および制御部は、その接触部348が測定されているワークピースWの表面に沿って移動するとき、スタイラス結合部342および/または取り付けられたスタイラス306の接触部の3次元位置を決定するように利用されてもよい。様々な実施形態で使用される受信コイル、場生成コイル、およびディスラプター要素の導電性プレートまたはループの数、サイズ、および形状は、位置検出の改善や高次の非線形性の低減などのような、所望の動作特性に基づいて選択することができる。低次の非線形性は、CMMによって較正できることに注意されたい。
いくつかの実施形態では1つの基板のみが搭載に必要とされている(例えば、別々のボード間のフレキシブルケーブルは不要な場合である)ので、図9A、9B、10、および11の実施形態は、より少ない機械部品の使用を容易にしている。また、このような実施形態は、受信コイルのアライメントに関する自由度が低いため、再現性の向上とアセンブリコストの削減を容易にし、例えば、XY位置決め信号に関して、マルチボード実施形態で発生する可能性のある傾斜や回転の問題に対して敏感でなくてもよい。
いくつかの実施形態では、軸方向に沿った第1の場生成コイルのコイル領域の投影は、コイル基板構成体上に配置されたすべての回転および軸方向検出コイルのディスラプター領域とコイル領域を提供する導電性プレートまたはループを包含し、場生成コイル構成体は、コイル駆動信号に応じて、ディスラプター移動ボリューム内の軸方向にほぼ沿って変動磁束を生成する。
いくつかの実施形態では、信号処理および制御回路は、コイル駆動信号を提供するようにスタイラス位置検出部のコイルに動作可能に接続され、コイル基板構成体のそれぞれの回転および軸方向検出コイルによって提供されるそれぞれの信号成分を備えるコイル基板構成体から信号を入力し、走査プローブのフレームに対するディスラプター要素またはスタイラスの少なくとも一方の軸方向位置および回転位置を示す信号を出力するするように構成されている。
いくつかの実施形態では、上部軸方向検出コイル構成体の内部コイル領域を通る軸方向に沿った第1のディスラプター要素の投影は上部軸方向検出重複領域TASOAを定義し、下部軸方向検出コイル構成体の内部コイル領域を通る軸方向に沿った第2のディスラプター要素の投影は下部軸方向検出重複領域BASOAを定義し、任意のそれぞれの上部回転検出コイルTRSCiの内部コイル領域を通る軸方向に沿った第1のディスラプター要素の投影はそれぞれの上部回転コイル検出重複領域TRSCOAiを定義し、および任意のそれぞれの下部回転検出コイルBRSCiの内部コイル領域を通る軸方向に沿った第2のディスラプター要素の投影はそれぞれの下部回転コイル検出重複領域BRSCOAiを定義する。ここで、iは1〜Nの範囲の個別のコイル識別インデックスである。
いくつかの実施形態では、コイル基板構成体およびディスラプター要素は、上部軸方向検出重複領域TASOAおよび下部軸方向検出重複領域BASOAを提供するように構成され、重複領域TASOAおよびBASOAのそれぞれの量は、動作移動範囲+/−Rz、+/−Rx、および+/−Ry内のディスラプター要素の位置では少なくとも変化しない、またはその位置に依存しない(その位置に依存しない)。
いくつかの実施形態では、正規化コイルは(つまり、場生成コイル構成体からの)送信場の測定値を提供するのに使用される。これは、ディスラプター要素の位置にほとんど依存しなくてもよい。位置測定値は、それらで(つまり、場生成コイル構成体からの)送信振幅の変動に対して比較的鈍感になるようにされてもよい。
いくつかの実施形態では、コイル基板構成体とディスラプター要素は、上部回転検出コイルTRSCiと下部回転検出コイルBRSCiをそれぞれ備えるN個の回転検出コイルの相補対CPiを提供するように構成されている。ここで、動作移動範囲+/−Rz、+/−Rx、および+/−Ry内の任意のディスラプター要素の変位増分に対する任意の相補対CPiに対して、ディスラプター要素の変位増分に関連する重複領域TRSCOAiおよびBRSCOAiの変化の大きさは、その相補対において名目上同じである。
いくつかの実施形態では、ディスラプター構成体の第1および第2のディスラプター要素は、非偏向位置で軸方向に沿って投影されたときにそれらの形状が名目上一致することを特徴とする。
いくつかの実施形態では、第1基板部、第2基板部、および中央基板部は、単一の多層プリント回路基板の部分を備える。
いくつかの実施形態では、動作移動範囲+/−Rz、+/−Rx、+/−Ry内の任意の相補対CPiと任意のディスラプター要素の変位増分に対して、ディスラプター要素の変位増分に関連する重複領域TRSCOAiとBRSCOAiの変化の大きさと記号の両方は、その相補対で同じであるように、コイル基板構成体とディスラプター要素は構成される。いくつかの実施形態では、各相補対CPiが、軸方向に沿って投影したときにそれらの内部領域の形状が名目上一致することを特徴とする上部回転検出コイルTRSCiと下部回転検出コイルBRSCiを備えるように、コイル基板構成体が構成されている。いくつかの実施形態では、各相補対CPiが、それらの1つの形状が中心軸の周りで他方の角度位置と一致するように中心軸周りで回転して、そして、軸方向に沿って投影され、それらの内部領域の形状が名目上一致することを特徴とする上部回転検出コイルTRSCiと下部回転検出コイルBRSCiを備えるように、コイル基板構成体は構成されている。いくつかの実施形態では、各ディスラプター要素が少なくともN個の直線側辺を備え、第1および第2のディスラプター要素の形状および向きが名目上同じであり、軸方向に沿って名目上整列しているコイル基板構成体およびディスラプター要素が構成される。任意のそれぞれの相補対CPiに対して、第1のディスラプター要素の第1の直線側辺が上部回転検出コイルTRSCiを横断し、第1のディスラプター要素の第1の直線側辺に平行な第2のディスラプター要素の第2の直線側辺がそのそれぞれの相補対の下部回転検出コイルBRSCiを横断する。いくつかの実施形態では、N=3であり、少なくともN個の直線側辺は、正三角形の辺に平行に配置された3つの辺を備える。いくつかの実施形態では、N=4であり、少なくともN個の直線側辺は、長方形または正方形の辺に平行に配置された4つの辺を備える。
いくつかの実施形態では、上部軸方向検出コイル構成体は、N個の上部回転検出コイルの組み合わせを備え、上部軸方向検出重複領域TASOAは、N個の上部回転検出コイルに関連する個別の重複領域TRSCOAiの合計を備える。ここで、その構成する個別の重複領域TRSCOAiがディスラプター要素の位置によって異なる場合でも、その合計は、少なくとも動作移動範囲+/−Rz、+/−Rx、および+/−Ry内のディスラプター要素の位置では変化しない、またはその位置に依存しないのうちの1つである。そのような構成では、下部軸方向検出コイル構成体は、N個の下部回転検出コイルの組み合わせを備え、下部軸方向検出重複領域BASOAは、N個の下部回転検出コイルに関連する個別の重複領域BRSCOAiの合計を備える。ここで、その構成する個別の重複領域BRSCOAiがディスラプター要素の位置によって異なる場合でも、その合計は、少なくとも動作移動範囲+/−Rz、+/−Rx、および+/−Ry内のディスラプター要素の位置では変化しない、またはその位置に依存しないのうちの1つである。
いくつかの実施形態では、上部軸方向検出コイル構成体は、N個の上部回転検出コイルの1つではなく、上部回転検出コイルよりも中心軸の近くに配置された少なくとも1つの上部軸方向検出コイルを備えることができる。そして、少なくとも1つの上部軸方向検出コイルがディスラプター要素よりも小さい内部コイル領域を有し、軸方向に沿った第1のディスラプター要素の投影が動作移動範囲+/−Rz、+/−Rx、および+/−Ry内の第1のディスラプター要素の任意の位置に対する少なくとも1つの上部軸方向検出コイルの内部コイル領域を完全に満たすことを、少なくとも1つの上部軸方向検出コイルとディスラプター要素は特徴とする。ここで、上部軸方向検出重複領域TASOAは、第1のディスラプター要素の位置によっては変化しない。そのような構成において、下部軸方向検出コイル構成体は、N個の下部回転検出コイルの1つではなく、下部回転検出コイルよりも中心軸の近くに配置された少なくとも1つの下部軸方向検出コイルを備えることができる。そして、少なくとも1つの下部軸方向検出コイルがディスラプター要素よりも小さい内部コイル面積を有し、軸方向に沿った第2のディスラプター要素の投影が動作移動範囲+/−Rz、+/−Rx、および+/−Ry内の第2のディスラプター要素の任意の位置に対する少なくとも1つの下部軸方向検出コイルの内部コイル領域を完全に満たすことを、少なくとも1つの下部軸方向検出コイルおよびディスラプター要素は特徴とする。ここで、下部軸方向検出重複領域BASOAは、第2のディスラプター要素の位置によっては変化しない。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの上部軸方向検出コイルは、中心軸を少なくとも部分的に囲む単一の上部軸方向検出コイルを備え、少なくとも1つの下部軸方向検出コイルは、中心軸を少なくとも部分的に囲む単一の下部軸方向検出コイルを備える。軸方向検出コイル内接シリンダーは、中心軸と同心で、上部および下部軸方向検出コイルのエッジ内に内接できる最大半径である半径を有するように定義される。ディスラプター内接シリンダーは、中心軸と同心で、ディスラプター要素のエッジ内に内接できる最大半径である半径を有するように定義される。そして、ディスラプター内接シリンダーの半径は、軸方向検出コイル内接シリンダーの半径の少なくとも1.1倍である。いくつかの実施形態では、ディスラプター内接シリンダーの半径は、軸方向検出コイル内接シリンダーの半径の少なくとも1.2倍である。いくつかの実施形態では、ディスラプター内接シリンダーの半径は、軸方向検出コイル領域内接シリンダーの半径の最大でも1.5倍である。
いくつかの実施形態では、コイル基板構成体とディスラプター要素は、動作移動範囲+/−Rz、+/−Rx、および+/−Ry内の少なくとも1つの相補対CPiおよび任意のディスラプター要素の変位増分に対して、ディスラプター要素の変位増分に関連する重複領域TRSCOAiとBRSCOAiの変化の符号は、その相補対では反対であるように、コイル基板構成体とディスラプター要素は構成されている。いくつかの実施形態では、各相補対CPiが、それらの1つの形状が中心軸の周りで他方の角度位置に一致するように中心軸の周りでオフセット角度で回転し、そして、軸方向に沿って投影されると、それらの内部領域の形状が名目上一致することを特徴とする上部回転検出コイルTRSCiと下部回転検出コイルBRSCiを備えるように、コイル基板構成体は構成される。いくつかの実施形態では、各ディスラプター要素はN対の平行な直線側辺を備え、第1および第2のディスラプター要素の形状および向きは、名目上同じであり、名目上軸方向に沿って整列され、それぞれの相補対CPiについては第1のディスラプター要素の第1の直線側辺は上部回転検出コイルTRSCiを横断し、第1のディスラプター要素の第1の直線側辺に平行な第2のディスラプター要素上の第2の直線側辺はそのそれぞれの相補対の下部回転検出コイルBRSCiを横断する。いくつかの実施形態では、N=3であり、N対の平行な直線側辺は、正六角形の辺に平行に配置されている。
いくつかの実施形態では、走査プローブは、ディスラプター要素とスタイラス結合部に結合された移動部材を備え、移動部材は、中心軸に沿ってコイル基板構成体に配置された穴を通り、ほぼ中心軸に沿って延在する。
いくつかの実施形態では、場生成コイルの構成体は、a)ディスラプター移動ボリュームのほぼ中央平面に配置され、名目上平面で中心軸に直交する単一の平面状の場生成コイル、またはb)中心軸に沿ってディスラプター移動ボリュームの中央平面からほぼ等距離に配置され、名目上平面で中心軸に直交する一対の平面状の場生成コイルの1つを備える。
いくつかの実施形態では、第1のディスラプター要素および第2のディスラプター要素の面積は、少なくとも第1の場生成コイル構成体の面積よりも大きい。いくつかの実施形態では、ディスラプター要素はそれぞれ、複数の同心円状の導電性ループを備える。いくつかの実施形態では、少なくとも第1の場生成コイル構成体は、第1および第2場生成コイルを備える。
いくつかの実施形態では、システムは、本明細書に開示される走査プローブ、駆動機構、および駆動機構を走査プローブに結合するように構成された取付部を備える。いくつかの実施形態では、システムは、駆動機構の動きを制御するモーションコントローラを備えている。
いくつかの実施形態では、方法は、本明細書に開示される走査プローブをワークピースの表面に沿って移動させる工程と、走査プローブがワークピースの表面に沿って移動するときに走査プローブによって生成される誘導性検出信号に基づいて3次元位置情報を生成する工程と、を含む。いくつかの実施形態では、信号処理および制御回路は、コイル駆動信号を提供するようにスタイラス位置検出部のコイルに動作可能に接続され、コイル基板構成体のそれぞれの回転および軸方向検出コイルによって提供されるそれぞれの信号成分を備えるコイル基板構成体から信号を入力し、走査プローブのフレームに対するディスラプター要素またはスタイラスの少なくとも一方の軸方向位置および回転位置を示す信号を出力するように構成されている。ここで、出力される信号は、走査プローブがワークピースの表面に沿って移動するとき、走査プローブによって生成される誘導性検出信号を備える。
本開示の好ましい実施形態が図示および説明されたが、特徴および動作のシーケンスの図示および説明された配置の多数の変形例は、本開示に基づいて当業者には明らかであろう。本明細書に開示される原理を実施するために、様々な代替形態を使用することができる。さらに、上記の様々な実施形態を組み合わせて、さらなる実施形態を提供することができる。本明細書で言及されるすべての米国特許および米国特許出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。必要に応じてさらに実施形態を提供するために様々な特許および出願の概念を採用して、実施形態の側面を変更することができる。
上記の詳細な説明に照らして、これらの変更および他の変更を実施形態に加えることができる。一般に、以下の請求項では、使用される用語は、請求項を明細書および請求項に開示された特定の実施形態に限定するように解釈されるべきではなく、そのような請求項に権利される同等の全範囲に沿って可能なすべての実施形態を備えると解釈されるべきである。