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JP2020079218A - 水中油型乳化化粧料 - Google Patents

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Abstract

【課題】閉塞力が認められ、使用感が良好でありながらも、皮膚刺激性の危険性が低い、水中油型乳化化粧料を提供すること及び製造時のエネルギー効率が良好であり、かつ、作業上の危険性が低減された、水中油型乳化化粧料の製造方法を提供する。【解決手段】下記の成分(A)〜成分(D)を含有し、かつ、乳化粒子のメディアン径(D50)が1.0μm未満である、水中油型乳化化粧料及び該水中油型乳化化粧料の製造方法。(A)ワセリン、流動パラフィン、パラフィン、流動イソパラフィン、流動オゾケライト、プリスタン、スクワラン及び水素添加スクワランからなる群から選ばれる少なくとも1種の炭化水素系油性成分、(B)高級脂肪酸、(C)高級アルコール、(D)少なくとも2個の長鎖疎水基及び少なくとも2個の親水基を分子内に有する多鎖多親水基型界面活性剤【選択図】図1

Description

本発明は、水中油型乳化化粧料に関する。
皮膚は生体の表面にあって、直接外界に接していることから、絶えず色々な刺激にさらされている。皮膚はこのような刺激から生体を保護し、身体の働きを周囲の変化に順応させる働きをしている。
このように皮膚は生体の最外層に位置していることから、生体内部に比べて乾燥した外部環境に曝されている。そうした環境の中で、皮膚、特に角質層には、適度に水分を保持する水分保持機能及び生体内部の水分が失われないようにする水分バリア機能が備わっている。
しかし、乾燥した皮膚では水分バリア機能が低下している。そこで、化粧料によって皮膚表面からの過剰な水分蒸発を防ぐことが望まれる。
化粧品や医薬品の原料として、皮膚表面からの水分蒸発を抑制する機能、すなわち、閉塞力を備えたワセリン、流動パラフィン、パラフィン、スクワラン、水素添加スクワランといった炭化水素系油性成分が汎用されている。しかし、このような炭化水素系油性成分は、それ単体で使用すると伸びが悪く、皮膚へのなじみが悪いといった不快な使用感を生じる。
そこで、炭化水素系油性成分を水中油型乳化物にすることで使用感を改善する試みがなされている。しかし、炭化水素系油性成分の閉塞力を十分に発揮しようと配合量を増やそうとした場合、やはりぬるつきが残り、皮膚へのなじみが悪くなるばかりでなく、経時安定性を保つことができなくなるという問題が生じる。
上記問題を解決するものとして、例えば、特許文献1には、10wt%のワセリンと、合計で0.5wt%の界面活性剤とを含有し、かつ、高速撹拌機の処理後に80℃にて高圧ホモジナイズ処理に供して得られる、内油相粒子径が約0.5μmである、液状乳化型皮膚用組成物が記載されている。
特開2001−72581号公報
しかし、特許文献1に記載の液状乳化型皮膚用組成物は、ワセリンに対する界面活性剤の割合が5wt%と高いものである。そこで、水分バリア機能を期待して、ワセリンの含有量を増やそうとした場合には、界面活性剤を多量に配合することとなり、界面活性剤の量に起因する皮膚刺激性が生じ得るという問題がある。
また、特許文献1に記載の液状乳化型皮膚用組成物を製造する方法は、乳化粒子の粒子径を小さくするために、80℃での高圧ホモジナイズ処理を含む方法である。このような高温での高圧ホモジナイズ処理は、製造時のエネルギー効率が悪く、さらに作業上の危険性が大きいという問題がある。
そこで、本発明は、閉塞力が認められ、使用感が良好でありながらも、皮膚刺激性の危険性が低い、水中油型乳化化粧料を提供することを、発明が解決しようとする第1の課題とする。
また、本発明は、製造時のエネルギー効率が良好であり、かつ、作業上の危険性が低減された、水中油型乳化化粧料の製造方法を提供することを、発明が解決しようとする第2の課題とする。
本発明者らは、上記の課題を解決しようとして、種々検討したところ、使用感の観点から、炭化水素系油性成分の乳化に分子内に複数個の長鎖疎水基及び親水基を有する多鎖多親水基型界面活性剤を使用するという着想に至った。しかし、炭化水素系油性成分と多鎖多親水基型界面活性剤とを撹拌混合して予備乳化した後に高圧ホモジナイズ処理に供することを試みようとしたところ、油浮きが生じて、高圧ホモジナイズ処理を実施することができなかった。
かかる問題に直面した本発明者らは、試行錯誤を繰り返して鋭意研究開発に励んだところ、遂に、炭化水素系油性成分及び多鎖多親水基型界面活性剤に加えて、高級脂肪酸及び高級アルコールをさらに配合することにより、予備乳化後の油浮きを回避することができることを見出した。
驚くべきことに、本発明者らは、これらを配合した水中油型乳化化粧料を作製するにあたり、炭化水素系油性成分の量に対する多鎖多親水基型界面活性剤の量の割合を比較的小さくすることができることを見出した。さらに驚くべきことに、本発明者らは、上記成分を混合して予備乳化した後に高圧ホモジナイズ処理に供する際に、室温であっても微細エマルションを作製することが可能であることを見出した。
本発明者らは、このような知見を基に、本発明の課題を解決するものとして、炭化水素系油性成分、高級脂肪酸、高級アルコール及び多鎖多親水基型界面活性剤を含有し、かつ、乳化粒子の粒子径が小さい水中油型乳化化粧料及び該水中油型乳化化粧料の製造方法を創作することに成功した。本発明は、これらの知見及び成功例に基づき完成された発明である。
したがって、本発明の一態様によれば、以下の[1]〜[11]の水中油型乳化化粧料及び方法が提供される。
[1]下記の成分(A)〜成分(D)を含有し、かつ、乳化粒子のメディアン径(D50)が1.0μm未満である、水中油型乳化化粧料。
(A)ワセリン、流動パラフィン、パラフィン、流動イソパラフィン、流動オゾケライト、プリスタン、スクワラン及び水素添加スクワランからなる群から選ばれる少なくとも1種の炭化水素系油性成分
(B)高級脂肪酸
(C)高級アルコール
(D)少なくとも2個の長鎖疎水基及び少なくとも2個の親水基を分子内に有する多鎖多親水基型界面活性剤
[2]前記成分(A)の含有量は、5質量%以上である、[1]に記載の水中油型乳化化粧料。
[3]前記成分(D)の含有量は、0.005質量%〜1.0質量%である、[1]〜[2]のいずれか1項に記載の水中油型乳化化粧料。
[4]前記成分(A)の量に対する前記成分(D)の量の割合(成分(D)/成分(A))は、0.005〜0.05である、[1]〜[3]のいずれか1項に記載の水中油型乳化化粧料。
[5]前記成分(B)は炭素数が12〜20である高級脂肪酸であり、及び/又は、前記成分(C)は炭素数が6〜20である高級アルコールである、[1]〜[4]のいずれか1項に記載の水中油型乳化化粧料。
[6]前記成分(D)は、ジラウロイルグルタミン酸リシンナトリウムを含む多鎖多親水基型界面活性剤である、[1]〜[5]のいずれか1項に記載の水中油型乳化化粧料。
[7]前記水中油型乳化化粧料は、皮膚用水中油型乳化化粧料である、[1]〜[6]のいずれか1項に記載の水中油型乳化化粧料。
[8]下記の成分(A)〜成分(D)を高速撹拌処理に供して予備乳化液を得る工程;及び
前記予備乳化液を高圧ホモジナイズ処理に供して、乳化粒子のメディアン径(D50)が1.0μm未満である水中油型乳化化粧料を得る工程
を含む、水中油型乳化化粧料の製造方法。
(A)ワセリン、流動パラフィン、パラフィン、流動イソパラフィン、流動オゾケライト、プリスタン、スクワラン及び水素添加スクワランからなる群から選ばれる少なくとも1種の炭化水素系油性成分
(B)高級脂肪酸
(C)高級アルコール
(D)少なくとも2個の長鎖疎水基及び少なくとも2個の親水基を分子内に有する多鎖多親水基型界面活性剤
[9]下記の成分(A)〜成分(D)を高速撹拌処理に供して予備乳化液を得る工程を含む、予備乳化液の油浮きを抑制する方法。
(A)ワセリン、流動パラフィン、パラフィン、流動イソパラフィン、流動オゾケライト、プリスタン、スクワラン及び水素添加スクワランからなる群から選ばれる少なくとも1種の炭化水素系油性成分
(B)高級脂肪酸
(C)高級アルコール
(D)少なくとも2個の炭素数が5〜20個である長鎖疎水基及び少なくとも2個の親水基を分子内に有する多鎖多親水基型界面活性剤
[10]上記[1]〜[7]のいずれか1項に記載の水中油型乳化化粧料を、皮膚に塗布する工程を含む、皮膚表面からの水分蒸発を防ぐ方法。
[11]乳化粒子のメディアン径(D50)が1.0μm未満である、水中油型乳化化粧料を製造するための、下記の成分(A)〜成分(D)の組み合わせの使用。
(A)ワセリン、流動パラフィン、パラフィン、流動イソパラフィン、流動オゾケライト、プリスタン、スクワラン及び水素添加スクワランからなる群から選ばれる少なくとも1種の炭化水素系油性成分
(B)高級脂肪酸
(C)高級アルコール
(D)少なくとも2個の長鎖疎水基及び少なくとも2個の親水基を分子内に有する多鎖多親水基型界面活性剤
本発明の一態様である水中油型乳化化粧料は、皮膚表面からの水分蒸発を抑制する閉塞力が認められながらも、皮膚へ塗布した際のぬるつきが少なく、なじみが良いことによる使用感が良好であり、かつ、界面活性剤の量が炭化水素系油性成分の量に対して少量であることによる皮膚刺激性の危険性が低いことから、使用者や利用シーンを選ばずに日常的に利用されることが期待できる。また、本発明の一態様である水中油型乳化化粧料は、経時安定性に優れていることから、長期間の使用及び保存が可能である。
本発明の一態様である水中油型乳化化粧料によれば、クリーム、乳液、化粧水、ジェル、美容液などのスキンケア化粧品や、ファンデーションなどのメーキャップ化粧品といった種々の化粧品形態をとることにより、使用者の皮膚の水分バリア機能を改善又は維持することが期待できる。
本発明の一態様である方法によれば、高圧ホモジナイズ処理をする際に、加温せずに室温などで実施することが可能であることから、製造時のエネルギー効率を良好にして、かつ、作業上の危険性を低減して、水中油型乳化化粧料を製造することが可能である。
図1は、実施例に記載されているとおりの、往復回数(N)と動摩擦係数(μk)との関係をプロットした摩擦試験の結果を示す図である。図中の「○」は実施例2の水中油型乳化化粧料の結果を示し、「△」は比較例1の水中油型乳化化粧料の結果を示す。
以下、本発明の一態様である水中油型乳化化粧料及び方法の詳細について説明するが、本発明の技術的範囲は本項目の事項によってのみに限定されるものではなく、本発明はその目的を達成する限りにおいて種々の態様をとり得る。
本明細書における各用語は、別段の定めがない限り、当業者により通常用いられている意味で使用され、不当に限定的な意味を有するものとして解釈されるべきではない。
例えば、「及び/又は」との用語は、列記した複数の関連項目のいずれか1つ、又は2つ以上の任意の組み合わせ若しくは全ての組み合わせを意味する。
「含有量」は、濃度と同義であり、水中油型乳化化粧料の全体量に対する成分の量の割合を意味する。本明細書では、別段の定めがない限り、含有量の単位は「質量%(wt%)」を意味する。
数値範囲の「〜」は、本明細書において、その前後の数値を含む範囲であり、例えば、「0質量%〜100質量%」は、0質量%以上であり、かつ、100質量%以下である範囲を意味する。
「閉塞力」は、水中油型乳化化粧料が有する皮膚表面からの水分蒸発を抑制する機能であり、後述する実施例に記載の閉塞性試験により評価及び確認できる。
「使用感」は、水中油型乳化化粧料を皮膚へ塗布した際の皮膚へのなじみ、ぬるつき又はこれらの両方を意味する。また、「なじみ」は水中油型乳化化粧料を皮膚へ塗布した際に指止まり感が早くきて、いつまでも表面でヌルヌルしない感覚を意味し、「ぬるつき」は水中油型乳化化粧料を皮膚へ塗布した際の上滑りする感覚を意味する。「なじみ」は、後述する実施例に記載の使用感官能評価及び/又は摩擦試験により評価及び確認できる。「ぬるつき」は、後述する実施例に記載の使用感官能評価により評価及び確認できる。
「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸及びメタクリル酸を包含する総称である。
本発明の一態様の水中油型乳化化粧料は、ワセリン、流動パラフィン、パラフィン、流動イソパラフィン、流動オゾケライト、プリスタン、スクワラン及び水素添加スクワランからなる群から選ばれる少なくとも1種の炭化水素系油性成分(成分(A))と、高級脂肪酸(成分(B))と、高級アルコール(成分(C))と、少なくとも2個の長鎖疎水基及び少なくとも2個の親水基を分子内に有する多鎖多親水基型界面活性剤(成分(D))とを少なくとも含有する。
成分(A)の炭化水素系油性成分は、ワセリン、流動パラフィン、パラフィン、流動イソパラフィン、流動オゾケライト、プリスタン、スクワラン及び水素添加スクワランからなる群から選ばれる。成分(A)の炭化水素系油性成分は、上記列挙した中の1種、2種、3種、4種、5種、6種、7種又は8種全部の炭化水素系油性成分であれば特に限定されないが、ワセリン及び/又はスクワランを含むことが好ましい。
成分(A)の含有量は、閉塞力が発揮される量であれば特に限定されないが、例えば、1質量%以上であり、好ましくは5質量%以上であり、より好ましくは10質量%以上である。上限は特に限定されないが、典型的には50質量%以下である。成分(A)の含有量がこれらの範囲内にあることにより、本発明の一態様の水中油型乳化化粧料は経時安定性に優れつつも、閉塞力を発揮して、塗布した皮膚表面からの水分蒸発を抑制することが可能になり、皮膚の水分バリア機能を改善又は維持することができる。
成分(B)の高級脂肪酸は、通常知られているとおりの炭素数が12以上である直鎖又は分岐鎖のモノカルボン酸であれば特に限定されない。成分(B)は、成分(C)とともに、成分(A)と成分(D)とを混合して予備乳化する際に生じる油浮きを回避するように機能する。
成分(B)としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、パルミトオレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸、アラキドン酸、エルカ酸、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸、イソヘキサデカン酸、アンテイソヘンイコサン酸などが挙げられるが、これらに限定されない。成分(B)としては、化粧料の原料としての実績が豊富な、親油性の脂肪酸であるという観点から、炭素数が12〜20である高級脂肪酸が好ましく、ステアリン酸、ミリスチン酸及びパルミチン酸がより好ましい。
成分(B)の含有量は、成分(C)とともに配合することにより、本発明の一態様の水中油型乳化化粧料の製造に際して予備乳化した後に生じ得る油浮きを回避し得る量であれば特に限定されないが、例えば、0.01質量%〜10質量%であり、好ましくは0.1質量%〜1質量%である。成分(B)の含有量が0.01質量%未満又は10質量%を超える場合、予備乳化後の油浮きを回避できないことや経時安定性が損なわれることなどの問題が生じ得る。ただし、成分(B)の含有量は、成分(A)及び成分(D)の含有量によって適宜設定され得る。
成分(C)の高級アルコールは、通常知られているとおりの炭素数が6以上であるアルコールであれば特に限定されない。成分(C)は、成分(B)とともに、成分(A)と成分(D)とを混合して予備乳化する際に生じる油浮きを回避するように機能する。
成分(C)としては、例えば、セタノール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、ラウリルアルコール、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコール、ホホバアルコール、キミルアルコール、セラキルアルコール、バチルアルコール、ヘキシルデカノール、イソステアリルアルコール、2−オクチルドデカノール、ダイマージオールなどが挙げられるが、これらに限定されない。成分(C)としては、化粧料の原料としての実績が豊富な親油性のアルコールであるという観点から、炭素数が6〜20である高級アルコールが好ましく、セタノール、セトステアリルアルコール及びベヘニルアルコールがより好ましい。
成分(C)の含有量は、成分(B)とともに配合することにより、本発明の一態様の水中油型乳化化粧料の製造に際して予備乳化した後に生じ得る油浮きを回避し得る量であれば特に限定されないが、例えば、0.01質量%〜10質量%であり、好ましくは0.1〜5質量%である。成分(C)の含有量が0.01質量%未満又は10質量%を超える場合、予備乳化後の油浮きを回避できないことや経時安定性が損なわれることなどの問題が生じ得る。ただし、成分(C)の含有量は、成分(A)及び成分(D)の含有量によって適宜設定され得る。
成分(D)の多鎖多親水基型界面活性剤は、少なくとも2個の長鎖疎水基及び少なくとも2個の親水基を分子内に有する。成分(D)は、少量であっても乳化力が強く、乳化粒子を保持する機能に優れており、本発明の一態様の水中油型乳化化粧料が皮膚へ塗布した際の良好な使用感を発揮するために機能する。
成分(D)における少なくとも2個の長鎖疎水基は、それぞれ独立して、直鎖、分岐鎖、環状鎖の炭化水素鎖を含む疎水基であれば特に限定されないが、例えば、炭素数が8個〜20個の飽和又は不飽和の疎水基などを挙げることができ、好ましくは炭素数が8個〜20個の飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸から誘導される長鎖アシル基である。少なくとも2個の長鎖疎水基は、それぞれが異なるものでも同一のものであってもよい。
成分(D)における少なくとも2個の親水基は、それぞれ独立して、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、硫酸残基、リン酸残基、アミノ基、4級アンモニウム基、ピリジニウム基、スルホニウム基及びそれらの塩など、オキシアルキレン基、ポリエチレングリコール基などを挙げることができる。塩は、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩、塩基性アミノ酸塩などを挙げることができる。
成分(D)における長鎖疎水基及び親水基の数は、それぞれが2個以上であれば特に限定されず、それぞれが異なる数でも同一の数であってもよい。
成分(D)の多鎖多親水基型界面活性剤は、分子内における長鎖疎水基及び親水基の種類並びに数が上記したものであれば特に限定されないが、例えば、エチレンジコカミドポリエチレングリコールジ硫酸2ナトリウム、ビス(カルボキシメチル)コハク酸ジラウリル、ジラウロイルグルタミン酸リシンナトリウムなどを挙げることができ、皮膚に対する良好な使用感及び皮膚への高い安全性の観点から、ジラウロイルグルタミン酸リシンナトリウムを含むものであることが好ましい。ジラウロイルグルタミン酸リシンナトリウムとしては、例えば、商品名「ペリセア(登録商標) L−30」及び「ペリセア(登録商標) LB−10」(それぞれ旭化成ファインケム株式会社製)として市販されているものなどを使用できる。
成分(D)の含有量は、成分(A)を乳化して本発明の一態様の水中油型乳化化粧料において乳化粒子として保持し得る量であれば特に限定されないが、例えば、0.001質量%〜5.0質量%であり、好ましくは0.005質量%〜1.0質量%であり、より好ましくは0.01質量%〜0.5質量%であり、さらに好ましくは0.03質量%〜0.3質量%である。成分(D)の含有量が0.001質量%より小さい場合は、本発明の一態様の水中油型乳化化粧料が閉塞力を発揮し得るだけの成分(A)を配合できないおそれがある。また、成分(D)の含有量が5.0質量%より大きい場合は、本発明の一態様の水中油型乳化化粧料において皮膚刺激性の危険性が高まるので好ましくない。
また、成分(D)は、成分(A)を乳化して本発明の一態様の水中油型乳化化粧料において乳化粒子として保持する機能を果たすことから、成分(D)の含有量は成分(A)の含有量に影響する。成分(D)の含有量は、例えば、成分(A)の含有量に対して(成分(D)/成分(A))、0.001〜0.1であり、好ましくは0.005〜0.05であり、より好ましくは0.008〜0.03である。
本発明の一態様の水中油型乳化化粧料は、成分(A)〜(D)を含有し、さらに乳化粒子のメディアン径(D50)が1.0μm未満である微細エマルションであることにより、皮膚に対して良好な使用感を付与することができる。乳化粒子のメディアン径(D50)が1.0μm以上であると、本発明の一態様の水中油型乳化化粧料の使用感や経時安定性が低下する傾向にある。
乳化粒子のメディアン径(D50)とは、水中油型乳化化粧料中に存在する乳化粒子の粒径を、小粒径側から積算した累計体積が50%となるときの粒子径(μm)をいう。乳化粒子のメディアン径(D50)の測定は、後述する実施例に記載があるとおりに、レーザー回折粒度分布計によって測定することができる。
本発明の一態様の水中油型乳化化粧料のpHは、通常知られているとおりの水中油型乳化化粧料のpHの範囲内であれば特に限定されないが、例えば、5〜9であり、好ましくは6〜8である。pHの値が5〜9の範囲外にある場合は、経時安定性を維持することが困難になるおそれがある。
本発明の一態様の水中油型乳化化粧料は、本発明の課題を解決し得る限り、成分(A)〜(D)に加えて、その他の成分を含有してもよい。
その他の成分は特に限定されず、例えば、通常の水中油型乳化化粧料に用いられる成分などが挙げられ、より具体的には水などの基剤、成分(A)以外の油性成分、保湿剤、清涼剤、防腐剤、キレート剤、pH調整剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、紫外線散乱剤、増粘剤、美白剤、ビタミン類、その他各種薬効成分、粉体、香料、色材などが挙げられる。その他の成分の含有量は、本発明の課題解決を妨げない限り、当業者により適宜設定し得る。その他の成分のいくつかについて以下に列挙するが、これらはあくまでも例示であり、限定されるものではない。
成分(A)以外の油性成分は、例えば、油性エモリエント成分などが挙げられ、好ましくは水中油型乳化化粧料に通常用いられる室温(25℃)で液体状又は半固形状である油性エモリエント成分である。成分(A)以外の油性エモリエント成分の具体例としては、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、トリエチルヘキサノイン、パルミチン酸イソプロピル、2−エチルヘキサン酸セチル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、セバシン酸ジイソプロピル、テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリチル、コハク酸ジエチルヘキシル、炭素数12〜15のアルキルベンゾエートなどのエステル油;ジメチルポリシロキサン、ジメチルシクロポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、高級アルコール変性シリコーン油などのシリコーン油;アセトグリセリル、トリイソオクタン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、トリイソパルミチン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリル、トリミリスチン酸グリセリルなどのグリセライド油;液状ラノリンなどの動物油;フルオロポリエーテル、パーフルオロアルキルエーテルシリコーンなどのフッ素油;オリーブ油、ホホバ油、ラベンダー油、月見草油、アボガド油、ツバキ油、タートル油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、ナタネ油、卵黄油、ゴマ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、日本キリ油、胚芽油などの天然油性成分などが挙げられるが、これらに限定されない。成分(A)以外の油性エモリエント成分は、上記したものの1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。成分(A)以外の油性エモリエント成分の含有量は、0質量%〜10質量%であることが好ましい。
保湿剤としては、例えば、グリセリン、ジグリセリン、トレハロース、ブチレングリコール(BG)、キシリトール、マルチトール、マルトース、ソルビトール、ブドウ糖、果糖、加水分解エラスチン、乳酸ナトリウム、シクロデキストリン、ピロリドンカルボン酸などが挙げられ、これらの1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。保湿剤の含有量は、0質量%〜15質量%であることが好ましい。
防腐剤としては、例えば、安息香酸、サリチル酸、石炭酸、ソルビン酸、パラオキシ安息香酸メチル、パラクロルメタクレゾール、ヘキサクロロフェン、塩化ベンザルコニウム、塩化クロルヘキシジン、トリクロロカルバニリド、感光素、フェノキシエタノールなどが挙げられ、これらの1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。防腐剤の含有量は、0質量%〜1質量%であることが好ましい。
pH調整剤としては、例えば、乳酸、クエン酸、グリコール酸、コハク酸、酒石酸、リンゴ酸、エチドロン酸、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリエタノールアミン、モノエタノールアミンなどが挙げられ、これらの1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。pH調整剤の含有量は、0質量%〜1質量%であることが好ましい。
酸化防止剤としては、例えば、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、δトコフェロールなどのビタミンE及びその誘導体;チオタウリン、メマツヨイグサ抽出液、βカロチン、カテキン化合物、フラボノイド化合物、ポリフェノール化合物などが挙げられ、これらの1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。酸化防止剤の含有量は、0質量%〜1質量%であることが好ましい。
増粘剤としては、例えば、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、アセチル化ヒアルロン酸、アセチル化ヒアルロン酸ナトリウム、コンドロイチン硫酸、コンドロイチン硫酸ナトリウム、フコイダン、チューベロース多糖体、キサンタンガムなどの水溶性多糖類;カラギーナン、アルギン酸などの天然高分子;カルボキシメチルセルロースナトリウムなどの半合成高分子;カルボマー、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸アルキル共重合体などのアクリル酸系ポリマーなどの合成高分子などが挙げられる。カルボマーは、例えば、商品として「カーボポール980」、「カーボポール910」、「カーボポール934」、「カーボポール940」、「カーボポール941」、「カーボポール981」(それぞれLubrizol Advanced Materials,Inc.製)などとして市販されている。(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸アルキル共重合体は、例えば、「カーボポールSC−500」、「カーボポール1382」、「カーボポールETD2020」、「PEMULEN TR−1」、「PEMULEN TR−2」(それぞれLubrizol Advanced Materials,Inc.製)などとして市販されている。カルボキシメチルセルロースナトリウムは、例えば、商品として「CMCダイセル」(ダイセル化学工業株式会社製)などとして市販されている。増粘剤は、これらの1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。増粘剤の含有量は、0質量%〜1質量%であることが好ましい。
本発明の一態様の水中油型乳化化粧料は、化粧料として用いられる限りにおいて、その機能や効果については特に限定されない。本発明の一態様の水中油型乳化化粧料は、閉塞力について、例えば、後述する実施例に記載の閉塞性試験により、水分蒸発抑制率が10%以上であり、優れた閉塞力を有するという観点では、水分蒸発抑制率が20%以上であることが好ましく、30%以上であることがより好ましい。水分蒸発抑制率の上限は特に限定されず、典型的には90%程度である。
本発明の一態様の水中油型乳化化粧料は、経時安定性について、例えば、後述する実施例に記載の経時安定性試験により、水相と油相との間の相分離や油浮きが認められない程度であることが好ましい。
本発明の一態様の水中油型乳化化粧料は、使用感について、例えば、後述する実施例に記載の「なじみ」に関する使用感評価により、パネラー間の平均点が3.5以上である。本発明の一態様の水中油型乳化化粧料は、使用感のうち、皮膚へのなじみが優れていることに特徴がある。
本発明の一態様の水中油型乳化化粧料のより具体的な態様は、成分(A)を5質量%〜20質量%、成分(B)を0.05質量%〜0.25質量%、成分(C)を0.5質量%〜2.0質量%及び成分(D)を0.05質量%〜0.20質量%で含有し、かつ、乳化粒子のメディアン径(D50)が0.01〜0.50μmであることにより、閉塞力が認められつつも、使用感及び経時安定性が良好である水中油型乳化化粧料であるが、これに限定されない。
本発明の一態様の水中油型乳化化粧料は、成分(A)〜成分(D)を高速撹拌処理及び高圧ホモジナイズ処理の双方に供して乳化することにより得られる。本発明の別の一態様は、本発明の一態様の水中油型乳化化粧料の製造方法である。本発明の一態様の製造方法は、成分(A)〜成分(D)を高速撹拌処理に供して予備乳化液を得る工程;及び予備乳化液を高圧ホモジナイズ処理に供して、本発明の一態様の水中油型乳化化粧料を得る工程を少なくとも含む。高速撹拌処理及び高圧ホモジナイズ処理のいずれか一方のみによる乳化では、経時安定性及び/又は使用感に優れた微細エマルション組成物を得ることができない。
本発明の一態様の製造方法の具体例としては、それぞれ60℃〜80℃に加温した成分(A)〜成分(C)及びその他の親油性成分の混合物と成分(D)及びその他の親水性成分の混合物とを、高速撹拌機を用いて、3,000rpm〜8,000rpm、数分間高速撹拌処理に供して予備乳化液を得て、次いで得られた予備乳化液を、50℃程度に冷却した後、高圧乳化機を用いて、高圧ホモジナイズ処理に供して高圧乳化液として本発明の一態様の水中油型乳化化粧料を得る方法などが挙げられるが、これに限定されない。高圧ホモジナイズ処理のその他の条件は、乳化粒子のメディアン径(D50)が1.0μm未満である高圧乳化液を得られるような条件であればよい。上記のようにして得られた高圧乳化液に、増粘剤、保湿剤、防腐剤などのその他の成分を混合したものを、本発明の一態様の水中油型乳化化粧料としてもよい。
成分(A)及び成分(D)に加えて、成分(B)及び成分(C)を配合することにより、これらを高速撹拌処理に供して得られる予備乳化液を、室温において数日間程度は油浮きを抑制して維持することができる。したがって、本発明の別の一態様は、成分(A)〜成分(D)を高速撹拌処理に供して予備乳化液を得る工程を少なくとも含む、予備乳化液の油浮きを抑制する方法である。
本発明の一態様の水中油型乳化化粧料は、その使用態様や剤形については特に限定されず、例えば、スキンケア化粧品、メーキャップ化粧品、フレグランス化粧品、ボディケア化粧品などが挙げられ、より具体的にはクリーム、乳液、ファンデーション、化粧水、美容液、サンスクリーンジェル、ローション、パック、洗顔クリーム、ハンドクリーム、メーキャップクレンジング、化粧下地、コンシーラー、ほほ紅、アイシャドウ、アイライナー、アイブロウ、口紅、日焼け止めクリーム、脱毛・除毛クリーム、オールインワン化粧品などが挙げられる。本発明の一態様の水中油型乳化化粧料は、ジェル、乳液、ローション、クリームなどの一定の粘性を有する剤形とすることにより、安定性に優れ、さらにしっとりとした良好な使用感触を有し得るものとなることから好ましい。
本発明の一態様の水中油型乳化化粧料は、皮膚に塗布することで、皮膚表面からの水分蒸発を防ぐことが可能になることから、皮膚用水中油型乳化化粧料であることが好ましい。また、本発明の一態様の水中油型乳化化粧料は、水分及び保湿剤を含有することにより、塗布した乾燥皮膚を改善すること又はさらなる乾燥による悪化を抑制することが可能である。
以下、本発明を実施例によってさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではなく、本発明の課題を解決し得る限り、本発明は種々の態様をとることができる。
[1.被験試料の調製]
(1−1)実施例1〜実施例15の水中油型乳化化粧料
表1Aに示した処方に従い、以下の手順により、実施例1〜実施例15の水中油型乳化化粧料を調製した。なお、表中の数値は、質量%(wt%)を表わす。
表中のA相、B相及びC相のそれぞれについて、各成分を溶解混合することにより調製した。次いで、A相及びB相を70℃に加温した後、A相をB相に投入して、5,000rpm、5分間ホモミキサー(「ラボ・リューション」;プライミクス株式会社製)を用いて高速撹拌処理に供することにより予備乳化液を得た。
得られた予備乳化液を、50℃に冷却した後、圧力を170MPa×3Pass、背圧を3MPaにして、高圧乳化機(高圧ホモジナイザー)(「スターバースト ミニ」;株式会社スギノマシン製)を用いて高圧ホモジナイズ処理に供することにより、高圧乳化液を得た。次いで、得られた高圧乳化液に、C相を添加して混合することにより、実施例1〜実施例15の水中油型乳化化粧料を調製した。
(1−2)比較例1〜比較例7の水中油型乳化化粧料
表1Bに示した処方に従い、上記(1−1)と同様にして、A相、B相及びC相をそれぞれ調製した後、A相をB相に投入して、ホモミキサーを用いて高速撹拌処理に供して予備乳化液を得た。
得られた予備乳化液に、C相を添加して混合することにより、比較例1〜比較例7の水中油型乳化化粧料を調製した。
(1−3)参考例1〜参考例5の溶液
表1Bに示した処方に従い、上記(1−1)と同様にして、A相及びB相をそれぞれ調製した後、A相をB相に投入して、ホモミキサーを用いて乳化処理に供した。しかし、得られた乳化処理後の溶液において、乳化が認められず、相分離が認められた。
※1 表中の「30%ジラウロイルグルタミン酸リシンナトリウム」としては、「ペリセア(登録商標)L−30」(旭化成ファインケム株式会社製)を用いた。
※2 表中の「カルボマー」としては、「カーボポール980」(Lubrizol Advanced Materials,Inc.製)を用いた。
※3 表中の「(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10−30))クロスポリマー」としては、「カーボポールSC−500」(Lubrizol Advanced Materials,Inc.製)を用いた。
[2.評価方法]
(2−1)粒子径測定
被験試料を精製水で希釈し、レーザー回折粒度分布計(「SALD−2000」;株式会社島津製作所製)を用いて、屈折率1.60−0.10iにて乳化粒子のメディアン径(D50)を測定した。ただし、比較例1〜3の水中油型乳化化粧料については、顕微鏡観察によって、目視により、乳化粒子の粒子径が1〜50μmの範囲内にあることを確認した。
(2−2)経時安定性試験
規格ビンに被験試料を充填し、45℃で1ヵ月保管した後、目視にて分離の有無を確認した。
(2−3)使用感評価
(2−3−1)「なじみ」の評価
実施例1〜8及び比較例1〜7の水中油型乳化化粧料については、訓練を受けたパネラー5名を対象として、被験試料を直接的に皮膚へ塗布することにより、比較例1の水中油型乳化化粧料を対照として、皮膚への「なじみ」を下記の基準により点数をつけてパネラー間の平均点及び標準偏差を求めた。また、パネラー間の平均点が3.5以上であるものを「○」とし、パネラー間の平均点が3.5未満であり、かつ、パネラー1名以上が2以下の点数をつけたものを「×」として評価した。また、実施例9〜15の水中油型乳化化粧料については、訓練を受けたパネラー1名を対象として、被験試料を直接的に皮膚へ塗布することにより、比較例1の水中油型乳化化粧料と比べてなじみが良いものを「○」とし、比較例1の水中油型乳化化粧料と比べてなじみが同等又は悪いものを「×」として評価した。
「なじみ」の基準:
5 比較例1の水中油型乳化化粧料と比べて、非常になじみが良い
4 比較例1の水中油型乳化化粧料と比べて、なじみが良い
3 比較例1の水中油型乳化化粧料と同等のなじみ
2 比較例1の水中油型乳化化粧料と比べて、なじみが悪い
1 比較例1の水中油型乳化化粧料と比べて、非常になじみが悪い
(2−3−2)「ぬるつき」の評価
実施例1〜15及び比較例1〜7の水中油型乳化化粧料について、訓練を受けたパネラー1名を対象として、被験試料を直接的に皮膚へ塗布することにより、比較例1の水中油型乳化化粧料を対照として、皮膚への「ぬるつき」を下記の基準により評価した。
「ぬるつき」の基準:
○ 比較例1の水中油型乳化化粧料と比べて、ぬるつきを感じない
× 比較例1の水中油型乳化化粧料と比べて、ぬるつきを感じる
(2−3−3)総合評価
「なじみ」及び「ぬるつき」がともに「○」として評価したものを使用感の総合評価として「○」とし、少なくともいずれか一方を「×」として評価したものを使用感の総合評価として「×」とした。
(2−4)摩擦試験
使用感で確認した項目「なじみ」について客観的に数値評価するために、被験試料を塗布した際の摩擦係数の挙動を次の方法により確認した。
特願2017−193824号明細書に記載の摩擦試験機(触覚計測装置)の測定部位である摩擦面に被験試料を塗布し、荷重を0.5N、塗布速度を10mm/s、往復回数を50回として、塗擦した。塗擦中の摩擦係数の変化を確認した。
(2−5)閉塞性試験
フィルター(「JHWP04700 Omnipore disc PTFE philic 0.45μm」;メルク株式会社製)に被験試料を100μmの厚さに均一に塗布し、一晩室温で自然乾燥させた。規格ビンに精製水15.00gを量りとり、ビンの口にフィルターを乗せて密栓状態にして固定し、室温で静置した。静置後の規格ビン内の精製水の量を測定し、水分蒸発抑制率を下記式により算出した。なお、フィルターに被験試料を塗布せずに試験したときの精製水の量をブランクとした。
水分蒸発抑制率(%)=(ブランクの水分蒸発量−サンプルの水分蒸発量)/ブランクの水分蒸発量×100
(2−6)保水性試験
ろ紙(「ADVANTEC No.5A」;ADVANTEC製)に500μmの厚みで被験試料を塗布し、デシケーター内で6時間にて静置した。静置後の被験試料の量から算出した水分蒸発率により保水性を評価した。
(2−7)保湿力試験
被験者の前腕内側に被験試料を1mg/cmで塗布し、塗布後の角層水分量をコルネオメーター(「Corneometer CM825」;Courage+Khazaka社製)で測定した。水分変化率(%)を、塗布前の水分量に対し、塗布後60〜90分後の水分変化量(平均)にて算出した水分変化率により保湿力を評価した。
[3.評価結果]
(3−1)粒子径、経時安定性、使用感、pH及び摩擦試験
実施例1〜実施例15の水中油型乳化化粧料及び比較例1〜比較例7の水中油型乳化化粧料について、粒子径、経時安定性及び使用感を測定した結果を表1A及び表1Bに示す。なお、pHは、常法に従ってpHメーター(「pH METER F−22」;株式会社堀場製作所製)を使用して測定した。
実施例1〜実施例15の水中油型乳化化粧料及び比較例1〜比較例7の水中油型乳化化粧料は、いずれにおいても製造過程において油相及び水相の分離が認められないものであった。
表1Aが示すとおり、実施例1〜実施例15の水中油型乳化化粧料は、乳化粒子のメディアン径(D50)が0.067〜0.462μmの範囲内にあった。それに対して、表1Bが示すとおり、比較例1〜比較例3の水中油型乳化化粧料については乳化粒子の粒子径が1〜50μmの範囲内にあり、比較例4〜比較例7の水中油型乳化化粧料については乳化粒子のメディアン径(D50)が1〜50μmの範囲内にあった。このように、実施例1〜実施例15の水中油型乳化化粧料は、比較例1〜比較例7の水中油型乳化化粧料に比べて、乳化粒子のメディアン径(D50)がより小さいものであった。
また、表1A及び表1Bが示すとおり、実施例1〜実施例8の水中油型乳化化粧料は、いずれのものも経時安定性に優れていたが、比較例1〜比較例7の水中油型乳化化粧料の中には経時安定性の悪いものが見られた。
さらに、表1A及び表1Bが示すとおり、実施例1〜実施例15の水中油型乳化化粧料は、いずれのものも使用感に優れていたが、比較例1〜比較例7の水中油型乳化化粧料はいずれのものも使用感、特に皮膚へのなじみが悪いものであった。
また、なじみの良悪をさらに評価するために、実施例2の水中油型乳化化粧料及び比較例1の水中油型乳化化粧料を摩擦試験に供した。試験結果として、往復回数(N)と動摩擦係数(μk)との関係をプロットしたグラフを図1に示す。図1に示すとおり、実施例2の水中油型乳化化粧料(図中の「○」)は、比較例1の水中油型乳化化粧料(図中の「△」)に比べて、往復回数とともに摩擦係数が大きく上昇した。このように、実施例2の水中油型乳化化粧料は、低摩擦感から高摩擦感へ大きく変化する挙動から、いつまでも肌表面においてヌルヌルした感覚を与えない、「なじみの良さ」を感じるものであることがわかった。
(3−2)閉塞性試験、保水性試験及び保湿力試験
実施例2〜実施例4の水中油型乳化化粧料及び比較例1〜比較例3の水中油型乳化化粧料について、閉塞性試験を実施した結果を表2に示す。なお、被験試料を塗布せずに同様の操作により試験した結果をコントロールとした。
表2が示すとおり、実施例群の水中油型乳化化粧料及び比較例群の水中油型乳化化粧料のいずれにおいても、ワセリンの含有量の増加に伴い、同程度の水分蒸発抑制率であった。この結果より、得られた水中油型乳化化粧料は、高圧乳化処理の有無にかかわらず、閉塞性が維持されたものであった。
また、実施例2の水中油型乳化化粧料及び比較例1の水中油型乳化化粧料について、保水性試験(水分蒸発率)及び保湿力試験(水分変化量)を実施したところ、両者の測定結果に大きな差異は認められなかった。この結果より、得られた水中油型乳化化粧料は、高圧乳化処理の有無に依拠する、保水性及び保湿力の変化は認められなかった。
(3−3)まとめ
高級脂肪酸及び高級アルコールを含有し、さらに乳化粒子のメディアン径(D50)が1.0μm未満である水中油型乳化化粧料は、含有する炭化水素系油性成分によって期待される閉塞性を発揮しながらも、経時安定性に優れ、かつ、使用感に優れたものであることがわかった。
以下に本発明の一態様として、経時安定性の評価が「○」であり、かつ、使用感の総合評価が「○」である蓋然性のある水中油型乳化化粧料の処方例を挙げるが、本発明の技術的範囲はこれらの処方例に限定されない。なお、表中の数値は全て「wt%」である。
(処方例1) オールインワンジェル
表3に示すA相とB相とを70℃に加熱し、高速撹拌処理をした後、室温にて高圧乳化処理を行い、次いであらかじめ均一溶解したC相と混合することにより調製できる。
(処方例2) 美容液
表4に示すA相とB相とを70℃に加熱し、高速撹拌処理をした後、室温にて高圧乳化処理を行い、次いであらかじめ均一溶解したC相と混合することにより調製できる。
(処方例3) サンスクリーンジェル
表5に示すA相とB相とを70℃に加熱し、高速撹拌処理をした後、室温にて高圧乳化処理を行い、次いであらかじめ均一溶解したC相と混合することにより調製できる。
本発明の一態様に係る水中油型乳化化粧料は、皮膚表面からの水分蒸発を抑制する閉塞力が認められながらも、使用感が良好であり、かつ、界面活性剤の量が炭化水素系油性成分の量に対して少量であることによる皮膚刺激性の危険性が低いことから、クリーム、乳液、化粧水、ジェル、美容液などのスキンケア化粧品、またはファンデーションなどのメーキャップ化粧品として利用することができるものである。使用者は、本発明の一態様に係る水中油型乳化化粧料を使用することにより、日常的に快適に、皮膚の乾燥を低減又は防止することができるようになる。

Claims (9)

  1. 下記の成分(A)〜成分(D)を含有し、かつ、乳化粒子のメディアン径(D50)が1.0μm未満である、水中油型乳化化粧料。
    (A)ワセリン、流動パラフィン、パラフィン、流動イソパラフィン、流動オゾケライト、プリスタン、スクワラン及び水素添加スクワランからなる群から選ばれる少なくとも1種の炭化水素系油性成分
    (B)高級脂肪酸
    (C)高級アルコール
    (D)少なくとも2個の長鎖疎水基及び少なくとも2個の親水基を分子内に有する多鎖多親水基型界面活性剤
  2. 前記成分(A)の含有量は、5質量%以上である、請求項1に記載の水中油型乳化化粧料。
  3. 前記成分(D)の含有量は、0.005質量%〜1.0質量%である、請求項1〜2のいずれか1項に記載の水中油型乳化化粧料。
  4. 前記成分(A)の量に対する前記成分(D)の量の割合(成分(D)/成分(A))は、0.005〜0.05である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の水中油型乳化化粧料。
  5. 前記成分(B)は炭素数が12〜20である高級脂肪酸であり、及び/又は、前記成分(C)は炭素数が6〜20である高級アルコールである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の水中油型乳化化粧料。
  6. 前記成分(D)は、ジラウロイルグルタミン酸リシンナトリウムを含む多鎖多親水基型界面活性剤である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の水中油型乳化化粧料。
  7. 前記水中油型乳化化粧料は、皮膚用水中油型乳化化粧料である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の水中油型乳化化粧料。
  8. 下記の成分(A)〜成分(D)を高速撹拌処理に供して予備乳化液を得る工程;及び
    前記予備乳化液を高圧ホモジナイズ処理に供して、乳化粒子のメディアン径(D50)が1.0μm未満である水中油型乳化化粧料を得る工程
    を含む、水中油型乳化化粧料の製造方法。
    (A)ワセリン、流動パラフィン、パラフィン、流動イソパラフィン、流動オゾケライト、プリスタン、スクワラン及び水素添加スクワランからなる群から選ばれる少なくとも1種の炭化水素系油性成分
    (B)高級脂肪酸
    (C)高級アルコール
    (D)少なくとも2個の長鎖疎水基及び少なくとも2個の親水基を分子内に有する多鎖多親水基型界面活性剤
  9. 下記の成分(A)〜成分(D)を高速撹拌処理に供して予備乳化液を得る工程を含む、予備乳化液の油浮きを抑制する方法。
    (A)ワセリン、流動パラフィン、パラフィン、流動イソパラフィン、流動オゾケライト、プリスタン、スクワラン及び水素添加スクワランからなる群から選ばれる少なくとも1種の炭化水素系油性成分
    (B)高級脂肪酸
    (C)高級アルコール
    (D)少なくとも2個の炭素数が5〜20個である長鎖疎水基及び少なくとも2個の親水基を分子内に有する多鎖多親水基型界面活性剤


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