本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。以下では、電子制御ユニット(Electronic Control Unit)を、「ECU」と称する。
[実施の形態1]
図1は、本開示の実施の形態1に係る給電システムの全体構成図である。図1を参照して、この実施の形態に係る給電システムは、電力変換ユニット100と車両200と給電設備300とを備える。電力変換ユニット100は、車両200と給電設備300との間で電力変換を行なうように構成される。
車両200は、DC専用車である。すなわち、車両200はACインレットを備えていない。車両200は、直流電力用インレット(DCインレット)210と、バッテリ240(車載バッテリ)と、車両ECU250とを備える。DCインレット210は、端子T51〜T53及び端子群T54を有する。端子T51,T52は電力端子であり、端子T53はグランド端子である。また、端子群T54は、複数の信号端子を含む。端子群T54に含まれる各信号端子は、信号線を介して車両ECU250に接続されている。
外部電源(たとえば、系統電源311)の電力は、電力変換ユニット100を経てDCインレット210の端子T51,T52に入力される。DCインレット210に入力される電力はバッテリ240に供給される。DCインレット210は、入力される電力に所定の処理を行なう回路(たとえば、図示しないフィルタ回路等)をさらに含む。こうした回路の処理により、バッテリ240の充電に適した電力が、DCインレット210からバッテリ240へ出力される。車両200は、バッテリ240に蓄えられた電力のみを用いて走行可能な電気自動車であってもよいし、バッテリ240に蓄えられた電力とエンジン(図示せず)の出力との両方を用いて走行可能なハイブリッド車であってもよい。
給電設備300は、AC方式の給電設備である。給電設備300は、電源装置310と充電ケーブル320とを備える。電源装置310は、系統電源311及びコンセント312を含んで構成される。系統電源311は、電力系統(電力会社等によって提供される電力網)から電力の供給を受ける交流電源(たとえば、電圧100V又は200Vの単相交流電源)である。系統電源311は、図示しない配線用遮断器(いわゆるブレーカー)を介してコンセント312に接続されている。配線用遮断器は、過負荷又は短絡などの要因で異常な電流が流れたときに電力経路を遮断し、系統電源311からコンセント312(ひいては、充電ケーブル320)への電力の供給を強制的に停止させるように構成される。電源装置310は、コンセントタイプの普通充電器であってもよい。また、コンセント312は、住宅の外壁に設けられたコンセント(たとえば、屋外コンセントボックス)であってもよい。
充電ケーブル320は、交流電力用ケーブル(ACケーブル)であり、たとえばAC方式の給電で使用される一般的な充電ケーブルである。図2は、充電ケーブル320の外観を示す図である。図2を参照して、充電ケーブル320は、CCID(Charging Circuit Interrupt Device)ボックス321と、コンセントプラグ322と、ACコネクタ323とを備える。
再び図1を参照して、コンセントプラグ322は端子T11〜T13を有する。コンセントプラグ322がコンセント312(プラグ受け)に接続される(たとえば、差し込まれる)と、コンセントプラグ322の端子T11、T12、T13がそれぞれ系統電源311のホットエンド、コールドエンド、グランドに電気的に接続される。
CCIDボックス321は、リレー31a,31bと、リレー31a,31bを制御する制御装置32と、CPLT回路33とを内蔵する。ACコネクタ323は、端子T21〜T25を有する。端子T21、T22、T23はそれぞれ電線を介して端子T11、T12、T13に接続されている。ただし、端子T11と端子T21とをつなぐ電線にはリレー31aが設けられ、端子T12と端子T22とをつなぐ電線にはリレー31bが設けられている。端子T13と端子T23とをつなぐ電線はグランド線に相当し、端子T23はグランド端子に相当する。CPLT回路33は、信号線を介して端子T24と接続されている。CPLT回路33と端子T24とをつなぐ信号線はPISW信号線に相当し、端子T24はPISW信号端子に相当する。また、制御装置32は、信号線を介して端子T25と接続されている。制御装置32と端子T25とをつなぐ信号線はCPLT信号線に相当し、端子T25はCPLT信号端子に相当する。なお、CPLT信号(コントロールパイロット信号)及びPISW信号(ケーブル接続信号)は、「エスエーイー・エレクトリック・ビークル・コンダクティブ・チャージ・カプラ」の規格に準拠する信号である。
制御装置32は、ACコネクタ323がACインレット(たとえば、電力変換ユニット100のACインレット102)に接続された状態において、他の制御装置(たとえば、電力変換ユニット100の制御装置)との間で、CPLT信号による通信を行なうように構成される。たとえば、制御装置32は、CPLT信号を用いて、充電ケーブル320の接続状態、及び充電ケーブル320の電流容量などを通知することができる。また、制御装置32は、CPLT信号により、他の制御装置から電力供給の可否などの通知を受けることができる。制御装置32は、初期においてはリレー31a,31bを遮断状態にしており、電力供給が許可されると、リレー31a,31bを導通状態にする。
CPLT回路33は、ACコネクタ323がACインレット(たとえば、電力変換ユニット100のACインレット)に接続された状態と接続されていない状態とで信号経路のインピーダンスが変化するように構成される。CPLT回路33は、こうしたインピーダンスの変化を利用して生成されるPISW信号(すなわち、充電ケーブル320が接続/未接続のいずれの状態であるかを示す信号)を制御装置32に出力する。制御装置32は、CPLT回路33から入力されるPISW信号に基づいて充電ケーブル320の接続状態(接続/未接続)を判断することができる。
図3は、電力変換ユニット100が車両200に接続された状態を示す図である。また、図4は、電力変換ユニット100について、筐体の概略的な外形、及び筐体内の構成(内部構成)を示す図である。以下で用いられる各図において、互いに直交するX軸、Y軸、及びZ軸のうち、Z軸は鉛直方向を示している。Z軸において、矢印Z1は鉛直上向き、矢印Z2は鉛直下向き(重力の向き)を示している。また、Y軸において、矢印Y1は車両前方を示している。
図3及び図4を参照して、電力変換ユニット100は、ACインレット102及びDCコネクタ103を備える筐体101を有する。筐体101は、長尺状の外形を有し、一端に第1端部E1を、他端に第2端部E2を有する。より具体的には、筐体101は、X軸を長手方向とする筒状(たとえば、円筒状)の胴体部を有し、第1端部E1及び第2端部E2は胴体部の両端に位置する。筐体101は、たとえば樹脂で形成される。樹脂は絶縁性に優れる。樹脂としては、熱硬化性樹脂又は架橋樹脂のような高い硬度を有する樹脂が好ましい。ただし、筐体101を形成する材料は、樹脂には限られず、金属(たとえば、アルミニウム又はその合金)も採用可能である。
ACインレット102は、筐体101の第1端部E1に設けられ、充電ケーブル320のACコネクタ323(図1)に接続可能に構成される。DCコネクタ103は、筐体101の第2端部E2に設けられ、車両200のDCインレット210(図1)に接続可能に構成される。なお、ACインレット102及びDCコネクタ103の少なくとも一方は、接続状態で固定するためのロック機構(たとえば、ラッチ)、及びロック解除のための操作部(たとえば、解除レバー又はエジェクタボタン)を備えてもよい。また、ACインレット102は、未使用時に接続面F1を覆うためのリッド又はキャップを備えてもよい。DCコネクタ103は、未使用時に接続面F2を覆うためのキャップを備えてもよい。
この実施の形態では、DCコネクタ103がDCインレット210に接続されることによって、電力変換ユニット100の筐体101が車両200に支持される。筐体101が車両200に支持されることによって、電力変換ユニット100全体が車両200のみで支持される。そして、電力変換ユニット100のDCコネクタ103がDCインレット210に接続(たとえば、嵌合)された状態(以下、「DC接続状態」とも称する)において、ACインレット102及びDCコネクタ103は、車両200の接地面(すなわち、地表面F20)よりも上方(Z1側)に位置する。電力変換ユニット100は、地面から浮いた状態で車両200に支持される。このため、雨や雪などによって地表面F20が濡れていても、電力変換ユニット100は水没しにくい。
電力変換ユニット100のDC接続状態において、ACインレット102の接続面F1は矢印X2の向きになり、DCコネクタ103の接続面F2は矢印X1の向きになる。接続面F1,F2は、外部端子を接続できるように筐体101の表面に露出している。矢印X1によって示される方向は、DC接続状態の電力変換ユニット100から見て車両200側に相当する。
筐体101のACインレット102側の第1端部E1は、ACインレット102の接続面F1の周囲において先端側(DC接続状態においてX2側)に突出するスカート部104を含む。ACインレット102の接続面F1はスカート部104によって囲まれている(後述する図5参照)。スカート部104の一部は、ACインレット102の接続面F1の上(Z1側)に位置し、接続面F1に対する屋根部材(ひいては、雨よけ)として機能し得る。スカート部104は、雨、雪、及び風(ひいては、風で飛ばされた異物)などからACインレット102の接続面F1を保護するように作用する。
上記電力変換ユニット100は、以下に説明する内部構成により、DCインレットのみを備える車両(DC専用車)がAC方式の給電設備から電力の供給を受けることを可能にする。
図4を参照して、電力変換ユニット100の筐体101内には、制御装置111と、AC側センサ112と、電力変換回路PC1と、DC側センサ116と、電源回路120とが収容されている。電力変換回路PC1は、力率改善(PFC:Power Factor Correction)回路113と、絶縁回路114と、整流回路115と、遮断スイッチ131,132とを含む。ACインレット102は、端子T31〜T35を有する。DCコネクタ103は、端子T41〜T43及び端子群T44を有する。
図5は、筐体101の第1端部E1におけるACインレット102の接続面F1を示す図である。図4とともに図5を参照して、ACインレット102において、端子T31,T32は、交流電力が入力される電力端子(HOT端子/COLD端子)である。端子T33は、グランド端子であり、筐体101内のグランド線に電気的に接続されている。端子T34は、PISW信号端子であり、筐体101内のPISW信号線を介して制御装置111に接続されている。端子T35は、CPLT信号端子であり、筐体101内のCPLT信号線を介して制御装置111に接続されている。ACインレット102の接続面F1は筐体101のスカート部104によって囲まれている。
図1及び図4を参照して、ACインレット102の端子T31〜T35は、それぞれ充電ケーブル320のACコネクタ323の端子T21〜T25に対応する。ACインレット102とACコネクタ323とが接続された状態(嵌合状態)においては、ACインレット102の端子T31〜T35がそれぞれACコネクタ323の端子T21〜T25に接続される。端子T21,T22と端子T31,T32とが電気的に接続されることによって、系統電源311から充電ケーブル320を通じてACインレット102へ交流電力を供給することが可能になる。端子T23と端子T33とが電気的に接続されることによって、充電ケーブル320のグランド線が筐体101内のグランド線と電気的に接続される。端子T24と端子T34とが電気的に接続されることによって、充電ケーブル320のCPLT回路33から出力されるPISW信号が電力変換ユニット100の制御装置111に入力されるようになる。端子T25と端子T35とが電気的に接続されることによって、充電ケーブル320の制御装置32と電力変換ユニット100の制御装置111との間で、CPLT信号による通信を行なうことが可能になる。なお、ACインレット102は、充電ケーブル320から受信するPISW信号及びCPLT信号を制御装置111で処理(又は、認識)できるように変換する回路(図示せず)を有していてもよい。
図6は、筐体101の第2端部E2におけるDCコネクタ103の接続面F2を示す図である。図6には、一例として、チャデモ方式のDCコネクタを示しているが、本開示の技術は、他の方式(CCS方式、GB/T方式、又はTesla方式等)のコネクタにも適用可能である。
図4とともに図6を参照して、DCコネクタ103において、端子T41,T42は、直流電力が出力される電力端子(P(ポジティブ)端子/N(ネガティブ)端子)である。端子T43は、グランド端子であり、筐体101内のグランド線に電気的に接続されている。端子群T44は、複数の信号端子を含む。端子群T44には、CAN(Controller Area Network)信号端子や、CNCT信号端子(コネクタ接続確認用端子)などが含まれる。
図1及び図4を参照して、DCコネクタ103の端子T41〜T43及び端子群T44は、それぞれ車両200のDCインレット210の端子T51〜T53及び端子群T54に対応する。DCコネクタ103とDCインレット210とが接続された状態(嵌合状態)においては、DCコネクタ103の端子T41〜T43がそれぞれDCインレット210の端子T51〜T53に接続される。また、端子群T44に含まれる各端子も、端子群T54の対応する端子に接続される。DCコネクタ103とDCインレット210とが接続されることで、電力変換ユニット100の制御装置111と車両200の車両ECU250とが相互通信可能に接続される。
再び図4を参照して、電力変換ユニット100は、ACインレット102から入力される交流電力にAC/DC変換(交流から直流への変換)を行なってDCコネクタ103に直流電力を出力するように構成される。ACインレット102の端子T31,T32に入力された交流電力は、AC側センサ112、電力変換回路PC1(PFC回路113、絶縁回路114、遮断スイッチ131,132、及び整流回路115)、及びDC側センサ116を経て、DCコネクタ103の端子T41,T42に出力される。
AC側センサ112は、ACインレット102の端子T31,T32とPFC回路113との間に配置されている。AC側センサ112は、ACインレット102に入力される電力の電圧を検出する電圧センサと、ACインレット102とPFC回路113との間を流れる電流を検出する電流センサとを含む。
PFC回路113は、ACインレット102側から入力される交流電圧を直流電圧に変換し、さらに、その直流電圧を高周波の交流電圧に変換するように構成される。この電力変換によって、電流の波形が電圧の波形と同位相の正弦波に近づき、力率が改善される。なお、PFC回路113としては、公知のPFC回路を採用し得る。PFC回路113の構成の具体例については後述する(図7参照)。
絶縁回路114は、PFC回路113と整流回路115との間に位置する。絶縁回路114は、ACインレット102側の回路とDCコネクタ103側の回路とを電気的に絶縁するように構成される。絶縁回路114としては、公知の絶縁回路を採用し得る。この実施の形態では、絶縁回路114として絶縁トランスを採用する。絶縁回路114における電力の伝達は、電流ではなく電圧によって行なわれる。絶縁回路114の構成の具体例については後述する(図7参照)。
絶縁回路114は、ACインレット102側から入力される交流電圧を昇圧してDCコネクタ103側の回路に印加する。この電圧の印加により、絶縁回路114よりもDCコネクタ103側の回路に電流が流れる。絶縁回路114からDCコネクタ103側へ出力される交流電力は、遮断スイッチ131,132を介して、整流回路115に供給される。
遮断スイッチ131,132は、絶縁回路114と整流回路115との間に配置されている。遮断スイッチ131,132は、絶縁回路114と整流回路115との間で電流の導通/遮断を切り替えるように構成される。遮断スイッチ131,132の状態(導通状態/遮断状態)は、制御装置111によって制御される。遮断スイッチ131,132が導通状態であるときには、絶縁回路114から整流回路115へ電流が流れることが許容され、遮断スイッチ131,132が遮断状態であるときには、絶縁回路114から整流回路115へ電流が流れることが禁止される。この実施の形態に係る遮断スイッチ131,132は、本開示に係る「第1スイッチ」の一例に相当する。
整流回路115は、絶縁回路114よりもDCコネクタ103側に位置し、絶縁回路114から供給される交流電力を直流電力に変換するように構成される。整流回路115としては、公知の整流回路を採用し得る。整流回路115の構成の具体例については後述する(図7参照)。
DC側センサ116は、整流回路115とDCコネクタ103の端子T41,T42との間に配置されている。DC側センサ116は、DCコネクタ103に出力される電力の電圧を検出する電圧センサと、整流回路115とDCコネクタ103との間で電流を検出する電流センサとを含む。この実施の形態に係る整流回路115、DC側センサ116の電流センサは、それぞれ本開示に係る「第1電力変換回路」、「第1電流センサ」の一例に相当する。
図7は、電力変換回路PC1の詳細を示す図である。図4とともに図7を参照して、PFC回路113は、整流回路113a及びインバータ113bを含んで構成される。絶縁回路114は、第1コイル114a及び第2コイル114bを含む絶縁トランスである。
整流回路113aは、入力される交流電力を整流するとともに昇圧するように構成される。より具体的には、整流回路113aは、2つの上下アームと、2つのリアクトルと、1つの平滑コンデンサを含んで構成される。各上下アームにおいて、上アームはダイオードを含み、下アームはスイッチング素子を含む。下アームのスイッチング素子は、制御装置111によって制御される。整流回路113aに含まれる各スイッチング素子が制御装置111によって制御されることで、整流回路113aが昇圧チョッパ回路として機能する。
インバータ113bは、4つのスイッチング素子を含むフルブリッジ回路である。各スイッチング素子は、制御装置111によって制御される。インバータ113bに含まれる各スイッチング素子が制御装置111によって制御されることで、整流回路113aからインバータ113bに入力される直流電力が高周波の交流電力に変換される。
絶縁回路114において、第2コイル114bは、第1コイル114aよりもACインレット102側(PFC回路113側)に位置する。整流回路115は遮断スイッチ131,132を介して絶縁回路114の第1コイル114aに接続されており、PFC回路113は電線を介して絶縁回路114の第2コイル114bに接続されている。第1コイル114aと第2コイル114bとは互いに電気的に絶縁されている。第2コイル114bよりもACインレット102側(PFC回路113側)の電力経路と、第1コイル114aよりもDCコネクタ103側(整流回路115側)の電力経路とは、絶縁回路114によって電気的に絶縁されている。絶縁回路114は、第2コイル114bに印加される交流電圧を昇圧して第1コイル114aに出力する。
遮断スイッチ131及び132の各々は、第1コイル114aに直列に接続されており、第1コイル114aに流れる電流の導通/遮断を切り替えるように構成される。遮断スイッチ131,132としては、たとえば電磁式のメカニカルリレーを採用できる。ただし、SSR(Solid State Relay)とも称される半導体リレーを遮断スイッチ131,132として採用してもよい。半導体リレーの例としては、サイリスタ、トライアック、又はトランジスタ(IGBT、MOSFET、バイポーラトランジスタ等)から構成されるリレーが挙げられる。
整流回路115は、4つのダイオードを含むダイオードブリッジ回路である。整流回路115は、絶縁回路114の第1コイル114aから供給される交流電力を直流電力に変換するように構成される。
再び図4を参照して、電力変換ユニット100において、ACインレット102の端子T31,T32に交流電力が入力されると、電力変換回路PC1によって直流電力が生成され、生成された直流電力がDCコネクタ103の端子T41,T42に出力される。この際、ACインレット102とPFC回路113との間を流れる電流がAC側センサ112によって検出されるとともに、整流回路115とDCコネクタ103との間を流れる電流がDC側センサ116によって検出される。AC側センサ112及びDC側センサ116の各々の検出結果は、制御装置111に入力される。
制御装置111は、演算装置、記憶装置、及び入出力ポート(いずれも図示せず)を含んで構成される。演算装置としては、たとえばCPU(Central Processing Unit)を採用できる。記憶装置は、データを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)と、各種情報を保存するストレージ(たとえば、ROM(Read Only Memory)及び書き換え可能な不揮発性メモリ)とを含む。ストレージには、各種制御で用いられるプログラムのほか、プログラムで使用される各種パラメータも予め格納されている。記憶装置に記憶されているプログラムを演算装置が実行することで、各種制御が実行される。なお、各種制御については、ソフトウェアによる処理に限られず、専用のハードウェア(電子回路)で処理することも可能である。
電源回路120は、所定の電源から供給される電力を用いて制御装置111の駆動電力(すなわち、制御装置111を作動させるための電力)を生成し、生成された駆動電力を制御装置111に供給するように構成される。電源回路120は、筐体101内の電池(図示せず)の電力を用いて制御装置111の駆動電力を生成してもよいし、ACインレット102とDCコネクタ103との間(より特定的には、端子T31,T32と端子T41,T42との間)を流れる電力を利用して制御装置111の駆動電力を生成してもよい。
この実施の形態に係る制御装置111は、充電制御部11及び遮断制御部12を含む。充電制御部11及び遮断制御部12は、たとえば、演算装置と、演算装置により実行されるプログラムとによって具現化される。この実施の形態では、遮断スイッチ131,132と、DC側センサ116の電流センサと、制御装置111とが、本開示に係る「遮断装置」の一例を構成する。この実施の形態に係る遮断装置は、筐体101内に収容されている。
充電制御部11は、バッテリ240(車載バッテリ)の充電電力を制御するように構成される。より具体的には、充電制御部11は、AC側センサ112及びDC側センサ116の各々の検出結果に基づいてPFC回路113を制御することにより、電力変換ユニット100の出力電力(ひいては、バッテリ240の充電電力)を制御するように構成される。
遮断制御部12は、ACインレット102とDCコネクタ103との間で電流の異常が検知されたときに、ACインレット102とDCコネクタ103との間において電流の遮断を行なうように構成される。より具体的には、遮断制御部12は、ACインレット102に電力が入力されているとき(たとえば、給電設備300から電力変換ユニット100を経て車両200へ電力が供給されているとき)に、DC側センサ116の電流センサによって電流の異常(たとえば、漏電又は過電流など)が検知された場合には、遮断スイッチ131,132を遮断状態にすることにより上記電流の遮断を行なうように構成される。遮断制御部12は、端子T41及びT42(P端子/N端子)に流れる電流の平衡状態が崩れたときに、電流の異常(より特定的には、漏電)が生じたと判断してもよい。また、遮断制御部12は、端子T41及びT42(P端子/N端子)のいずれかにおいて過大な電流が検知されたときに、電流の異常(より特定的には、過電流)が生じたと判断してもよい。
以上説明したように、この実施の形態に係る電力変換ユニット100は、車両200のDCインレット210(直流電力用インレット)に接続可能なDCコネクタ103と、充電ケーブル320(交流電力用ケーブル)のACコネクタ323に接続可能なACインレット102と、ACインレット102とDCコネクタ103との間に位置する整流回路115(第1電力変換回路)とを備える。整流回路115は、ACインレット102側から入力される交流電力を直流電力に変換してDCコネクタ103側へ出力するように構成される。上記構成を有する電力変換ユニット100を用いることで、AC方式の給電設備300から供給される交流電力を直流電力に変換して車両200に供給することが可能になる。このため、上記電力変換ユニット100によれば、DCインレットのみを備える車両200が給電設備300から電力の供給を受けることが可能になる。
ところで、上記電力変換ユニット100の構成を、電力変換回路PC1とDCコネクタ103とが別々の筐体に設けられるように変更することも考えられる。しかし、こうした構成を有する電力変換ユニット(以下、「比較例に係る電力変換ユニット」とも称する)では、以下に説明するような課題が生じ得る。図8は、比較例に係る電力変換ユニットで生じ得る課題について説明するための図である。
図8を参照して、比較例に係る電力変換ユニット500は、ACインレット501と、ケーブル502と、DCコネクタ503とを備える。ACインレット501の筐体とDCコネクタ503の筐体とはケーブル502を介して接続されている。ケーブル502は、一般的な充電ケーブルで使用されている公知の可撓性ケーブルである。ACインレット501の筐体内には、前述した電力変換回路PC1(図7参照)が収容されている。ACインレット501とDCコネクタ503とは、互いにケーブル502内の電線を介して電気的に接続されている。
上記電力変換ユニット500では、電力変換回路PC1を内蔵するACインレット501が重くなる。このため、ACインレット501の重さによってケーブル502にストレスが加わりやすくなる。また、可撓性のケーブル502が使用されているため、ケーブル502にねじれが発生しやすい。さらに、図8の例では、重いACインレット501を地表面F20に置いている。このため、ACインレット501が水没しやすくなる。
これに対し、この実施の形態に係る電力変換ユニット100では、図3及び図4に示されるように、ACインレット102とDCコネクタ103と電力変換回路PC1とが単一の筐体101に設けられることによって一体化している。このため、電力変換ユニット100のDCコネクタ103を車両200のDCインレット210に接続することによって、電力変換ユニット100全体を車両200で支えることができる。このため、可撓性ケーブルを使用する上記の比較例と比べてストレスが軽減され、電力変換ユニット100の耐久性は高くなる。また、この実施の形態に係る電力変換ユニット100は地表面F20よりも高い位置で保持される(図3参照)。このため、電力変換ユニット100の水没を回避しやすくなる。
この実施の形態に係る電力変換ユニット100では、筐体101内に収容される電力変換回路PC1が、ACインレット102とDCコネクタ103との間に位置する絶縁回路114を備える(図4参照)。また、制御装置111は、ACインレット102に電力が入力されているときに、DC側センサ116によって電流の異常が検知された場合には、遮断スイッチ131,132を遮断状態にすることにより電流の遮断を行なうように構成される。上記構成を有する電力変換ユニット100では、絶縁回路114によってACインレット102側の回路とDCコネクタ103側の回路とが電気的に絶縁されているため、絶縁回路114よりもACインレット102側の回路で過電流が生じても、絶縁回路114よりもDCコネクタ103側の回路に過電流が流れ込まない。また、制御装置111は、電流の異常が検知されると、遮断スイッチ131,132によって電流を遮断する。このため、たとえばバッテリ240の充電中に電流の異常が生じても、受電側の回路(たとえば、車両200の電子回路)を適切に保護することができる。
この実施の形態に係る電力変換ユニット100では、遮断スイッチ131及び132の各々が、絶縁回路114(より特定的には、絶縁トランス)の第1コイル114aに直列に接続されており、第1コイル114aに流れる電流の導通/遮断を切り替えるように構成される。こうした電力変換ユニット100では、異常電流が検知されたときに、絶縁回路114の近傍で電流の遮断を行なうことができる。絶縁回路114と遮断スイッチ131,132との両方で絶縁が行なわれることにより、より確実に受電側の回路の保護が図られる。
この実施の形態に係る電力変換ユニット100のACインレット102は、充電ケーブル320の電力線が接続される端子T31,T32(電力端子)と、充電ケーブル320のCPLT信号線が接続される端子T35(CPLT信号端子)と、充電ケーブル320のグランド線が接続される端子T33(グランド端子)とを備える。こうした電力変換ユニット100によれば、バッテリ240の充電を適切に行なうことが可能になる。
[実施の形態2]
本開示の実施の形態2に係る電力変換ユニットについて説明する。実施の形態2に係る電力変換ユニットも、たとえば図1に示されるような給電システムに適用できる。実施の形態2は実施の形態1と共通する部分が多いため、主に相違点について説明し、共通する部分についての説明は割愛する。
図9は、本開示の実施の形態2に係る電力変換ユニットの構成を示す図である。図9を参照して、実施の形態2に係る電力変換ユニット100Aは、基本的には、実施の形態1に係る電力変換ユニット100(図4参照)に準ずる構成を有する。ただし、電力変換ユニット100Aは、筐体101の代わりに、筐体101Aを備える。筐体101Aは、筐体101における電力変換回路PC1及び制御装置111の代わりに、電力変換回路PC2及び制御装置111Aを収容している。また、筐体101Aは、スイッチ171,172、電流センサ173、及びコンセント180をさらに備える。
電力変換ユニット100Aは、ACインレット102に交流電力が入力されたときには、入力された交流電力にAC/DC変換(交流から直流への変換)を行なってDCコネクタ103に直流電力を出力するように構成される。また、電力変換ユニット100Aは、DCコネクタ103に直流電力が入力されたときには、入力された直流電力にDC/AC変換(直流から交流への変換)を行なってACインレット102に交流電力を出力するように構成される。電力変換ユニット100Aにおける電力変換回路PC2は、双方向に電力変換可能に構成される。
電力変換回路PC2は、インバータ143と、遮断スイッチ151,152と、絶縁回路144と、遮断スイッチ161,162と、インバータ145とを含んで構成される。電力変換回路PC2は、双方向コンバータとして機能する。電力変換回路PC2の構成の具体例については後述する(図10参照)。電力変換ユニット100Aにおいて、電力変換回路PC2のACインレット102側にはAC側センサ112が設けられており、電力変換回路PC2のDCコネクタ103側にはDC側センサ116が設けられている。AC側センサ112及びDC側センサ116の構成は、たとえば実施の形態1と同じである。この実施の形態に係るインバータ145、DC側センサ116の電流センサは、それぞれ本開示に係る「第1電力変換回路」、「第1電流センサ」の一例に相当する。また、この実施の形態に係るインバータ143、AC側センサ112の電流センサは、それぞれ本開示に係る「第2電力変換回路」、「第2電流センサ」の一例に相当する。
遮断スイッチ151,152は、インバータ143と絶縁回路144との間に配置されている。遮断スイッチ151,152は、インバータ143と絶縁回路144との間で電流の導通/遮断を切り替えるように構成される。遮断スイッチ151,152の状態(導通状態/遮断状態)は、制御装置111Aによって制御される。遮断スイッチ151,152が導通状態であるときには、インバータ143と絶縁回路144とをつなぐ電流経路が接続され、遮断スイッチ151,152が遮断状態であるときには、インバータ143と絶縁回路144とをつなぐ電流経路が遮断される。この実施の形態に係る遮断スイッチ151,152は、本開示に係る「第2スイッチ」の一例に相当する。
遮断スイッチ161,162は、絶縁回路144とインバータ145との間に配置されている。遮断スイッチ161,162は、絶縁回路144とインバータ145との間で電流の導通/遮断を切り替えるように構成される。遮断スイッチ161,162の状態(導通状態/遮断状態)は、制御装置111Aによって制御される。遮断スイッチ161,162が導通状態であるときには、絶縁回路144とインバータ145とをつなぐ電流経路が接続され、遮断スイッチ161,162が遮断状態であるときには、絶縁回路144とインバータ145とをつなぐ電流経路が遮断される。この実施の形態に係る遮断スイッチ161,162は、本開示に係る「第1スイッチ」の一例に相当する。
図10は、電力変換回路PC2の詳細を示す図である。図9とともに図10を参照して、インバータ143は、第1インバータ143a及び第2インバータ143bを含んで構成される。第1インバータ143aは、4つのスイッチング素子を含むフルブリッジ回路と、2つのリアクトルと、1つの平滑コンデンサを含んで構成される。また、第2インバータ143bは、4つのスイッチング素子を含むフルブリッジ回路である。また、インバータ145も、4つのスイッチング素子を含むフルブリッジ回路である。インバータ143及び145に含まれる各スイッチング素子は、制御装置111Aによって制御される。
絶縁回路144は、第1コイル144a及び第2コイル144bを含む絶縁トランスである。第2コイル144bは、第1コイル144aよりもACインレット102側(インバータ143側)に位置する。インバータ143は遮断スイッチ151,152を介して絶縁回路144の第2コイル144bに接続されており、インバータ145は遮断スイッチ161,162を介して絶縁回路144の第1コイル144aに接続されている。第1コイル144aと第2コイル144bとは互いに電気的に絶縁されている。第2コイル144bよりもACインレット102側(インバータ143側)の電力経路と、第1コイル144aよりもDCコネクタ103側(インバータ145側)の電力経路とは、絶縁回路144によって電気的に絶縁されている。
遮断スイッチ151及び152の各々は、第2コイル144bに直列に接続されており、第2コイル144bに流れる電流の導通/遮断を切り替えるように構成される。遮断スイッチ161及び162の各々は、第1コイル144aに直列に接続されており、第1コイル144aに流れる電流の導通/遮断を切り替えるように構成される。遮断スイッチ151,152,161,162としては、たとえば電磁式のメカニカルリレーを採用できる。ただしこれに限られず、遮断スイッチ151,152,161,162として半導体リレーを採用してもよい。
再び図9を参照して、コンセント180は、DCコネクタ103に入力される直流電力から電力変換回路PC2を経て生成される交流電力を出力するためのコンセントである。コンセント180は、スイッチ171,172を介して端子T31,T32に接続されている。スイッチ171,172の状態(導通状態/遮断状態)は、制御装置111Aによって制御される。電流センサ173は、端子T31とスイッチ171との間に設けられている。電流センサ173は、コンセント180の電流を計測するように構成される。電流センサ173の検出結果は、制御装置111Aへ出力される。上記スイッチ171,172が導通状態であるときには、端子T31,T32に出力される電力と同じ電力がコンセント180に出力される。また、スイッチ171,172が遮断状態であるときには、コンセント180に電力が出力されなくなる。なお、図9の例では、分岐点D1よりもスイッチ171側に電流センサ173が設けられているが、電流センサ173は、分岐点D1よりも端子T31側に設けられてもよい。
この実施の形態に係る電力変換ユニットでは、ACインレット102とDCコネクタ103と電力変換回路PC2とコンセント180とが単一の筐体101Aに設けられることによって一体化している。コンセント180は、筐体101のACインレット102側の端面に露出している。また、筐体101AのACインレット102側の第1端部E1は、ACインレット102の接続面F1の周囲において突出するスカート部104を含む。この実施の形態では、スカート部104で囲まれる領域が、ACインレット102の接続面F1だけでなく、コンセント180の接続面F3も含む。
図11は、ACインレット102及びコンセント180が露出する筐体101の第1端部E1の端面を示す図である。図11の例では、第1端部E1の端面(より特定的には、接続面F1,F3を含む端面)が矩形状に形成されているが、第1端部E1の端面の形状は、矩形状に限られず、楕円形状であってもよいし、円形状であってもよい。
図11を参照して、ACインレット102の接続面F1と、コンセント180の接続面F3とは、外部端子を接続できるように筐体101の表面に露出しており、スカート部104によって囲まれている。スカート部104は、接続面F1,F3の周囲において先端側(DC接続状態においてX2側)に突出するように構成される。スカート部104の一部は、接続面F1,F3の上に位置し、接続面F1,F3に対する屋根部材(ひいては、雨よけ)として機能し得る。スカート部104は、雨、雪、及び風(ひいては、風で飛ばされた異物)などから接続面F1,F3を保護するように作用する。
再び図9を参照して、制御装置111Aは、実施の形態1における制御装置111と同じハードウェア構成を有する。すなわち、制御装置111Aも、演算装置及び記憶装置等(いずれも図示せず)を含んで構成される。ただし、制御装置111Aの記憶装置には、制御装置111とは異なるプログラムが記憶されており、制御装置111とは異なる処理を行なうように構成される。制御装置111Aは、充電制御部11A、遮断制御部12A、及び給電制御部13Aを含む。充電制御部11A、遮断制御部12A、及び給電制御部13Aは、たとえば、演算装置と、演算装置により実行されるプログラムとによって具現化される。この実施の形態では、遮断スイッチ151,152,161,162と、AC側センサ112の電流センサと、DC側センサ116の電流センサと、制御装置111Aとが、本開示に係る「遮断装置」の一例を構成する。この実施の形態に係る遮断装置は、筐体101A内に収容されている。
充電制御部11Aは、たとえば図1に示されるバッテリ240(車載バッテリ)の充電電力を制御するように構成される。ACインレット102に電力が入力されているとき(たとえば、図1に示される給電システムにおいて給電設備300から電力変換ユニット100Aを経て車両200へ電力が供給されているとき)には、図10に示した電力変換回路PC2が次のように動作する。
第1インバータ143aは、ACインレット102から入力される交流電力を整流して第2インバータ143bへ出力し、第2インバータ143bは、第2インバータ143bから受ける直流電力を高周波の交流電力に変換する。絶縁回路144は、第2インバータ143bの出力(交流電力)をインバータ145に伝達し、インバータ145は、絶縁回路144から受ける交流電力を整流してDCコネクタ103に出力する。充電制御部11Aは、AC側センサ112及びDC側センサ116の各々の検出結果に基づいてインバータ143及び145を制御することにより、電力変換ユニット100Aの出力電力(ひいては、バッテリ240の充電電力)を制御するように構成される。
遮断制御部12Aは、上記のようにACインレット102に電力が入力されているときに、DC側センサ116の電流センサによって電流の異常(たとえば、漏電又は過電流など)が検知された場合には、遮断スイッチ161,162を遮断状態にするように構成される。このため、電流の異常が生じたときに受電側の回路(たとえば、車両200の電子回路)を保護することができる。
給電制御部13Aは、たとえば図1に示される車両200の電力(たとえば、車載バッテリに蓄電された電力、又は車両200において発電された電力)を車両外部へ給電するときに、その給電電力を制御するように構成される。給電制御部13Aは、車両外部への給電を開始するとき(たとえば、所定の開始条件が成立したとき)にスイッチ171,172を導通状態にし、車両外部への給電が終了すると(たとえば、所定の終了条件が成立すると)、スイッチ171,172を遮断状態に戻すように構成される。DCコネクタ103に電力が入力されているとき(たとえば、図1に示される給電システムにおいて車両200から電力変換ユニット100Aを経て車両外部へ電力が供給されているとき)には、図10に示した電力変換回路PC2が次のように動作する。
インバータ145は、DCコネクタ103から入力される直流電力を高周波の交流電力に変換して絶縁回路144へ出力する。絶縁回路144は、インバータ145の出力(交流電力)を第2インバータ143bに伝達し、第2インバータ143bは、絶縁回路144から受ける交流電力を整流して第1インバータ143aへ出力する。第1インバータ143aは、第2インバータ143bから受ける直流電力を交流電力に変換してACインレット102及びコンセント180に出力する。これにより、ACインレット102及びコンセント180から出力される電力を電気負荷(図示せず)に供給することが可能になる。電気負荷につながるコンセントプラグをコンセント180に接続するか、又は、電気負荷につながるACコネクタをACインレット102に接続することで、車両200の電力を電気負荷に供給することができる。電気負荷の例としては、V2H(Vehicle to Home)スタンド、電化製品(アウトドアで使用される調理器具や照明等)、他の車両の蓄電装置が挙げられる。
遮断制御部12Aは、上記のようにDCコネクタ103に電力が入力されているときに、AC側センサ112の電流センサによって電流の異常(たとえば、漏電又は過電流など)が検知された場合には、遮断スイッチ151,152を遮断状態にするように構成される。このため、電流の異常が生じたときに受電側の回路(たとえば、電気負荷の電子回路)を保護することができる。
以上説明したように、この実施の形態に係る電力変換ユニット100Aによっても、AC方式の給電設備から供給される交流電力を直流電力に変換して車両に供給することが可能になる。さらに、この実施の形態に係る電力変換ユニット100Aによれば、車両から電力変換ユニット100Aを経て車両外部へ交流電力を供給することも可能になる。
[他の実施の形態]
上記筐体101,101Aは、ストレート形状であり、筐体101,101Aの一端(DC接続状態においてX1側)にはDCコネクタ103が、その反対側(DC接続状態においてX2側)にはACインレット102が形成されている。しかし、筐体101,101Aの形状は、こうした形状に限られず、適宜変更可能である。以下に説明する第1変形例のように、電力変換ユニットの筐体の胴体部は曲がっていてもよい。
図12は、第1変形例に係る電力変換ユニットの外観を示す図である。また、図13は、第1変形例に係る電力変換ユニットが車両200に接続された状態を示す図である。
図12及び図13を参照して、第1変形例に係る電力変換ユニット100Bでは、筐体101Bの胴体部が曲がっていることによって、DC接続状態において、ACインレット102の接続面F1が下向きになり、DCコネクタ103の接続面F2が矢印X1の向きになる。接続面F1,F2は、外部端子を接続できるように筐体101Bの表面に露出している。ACインレット102の接続面F1が下を向くことで、雨が降ったときにACインレット102の接続面F1が雨で濡れにくくなる。また、雪が降ったときにはACインレット102の接続面F1に対する積雪を回避しやすくなる。なお、「下を向く」とは、側方(水平)よりも下側を向くことを意味する。すなわち、鉛直下向きになることだけでなく、鉛直方向に対して傾いた斜め下の方向を向くことも、「下を向く」に含まれる。
第1変形例に係る電力変換ユニット100Bは、DCコネクタ103がDCインレット210に嵌合された状態において、DCコネクタ103とDCインレット210との嵌合面F10に対してACインレット102の接続面F1が傾斜するように構成されている。嵌合面F10とACインレット102の接続面F1との角度θは0°よりも大きく90°よりも小さい。ACインレット102の接続面F1は、車両200とは反対側を向いている。こうした構成によれば、ユーザがACインレット102の接続面F1を目視しやすくなる。図13には、DC接続状態においてACインレット102の接続面F1が斜め下向きになる例を示しているが、DC接続状態におけるACインレット102の接続面F1の向きは、矢印Z2の向き(鉛直下向き)であってもよい。
電力変換ユニット100Bでは、筐体101Bにおける第1端部E1と第2端部E2との間(すなわち、胴体部)に、電力変換回路PC1(図7参照)が収容されている。また、電力変換ユニット100Bでは、ACインレット102がDCコネクタ103よりも下方(Z2側)に位置する。これにより、地表面F20に置かれた充電ケーブル320のACコネクタ323をACインレット102に接続しやすくなる。
図14は、第2変形例に係る電力変換ユニットの外観を示す図である。図14を参照して、第2変形例に係る電力変換ユニット100Cの筐体101Cでは、筐体101Cの胴体部が曲がっていることによって、DC接続状態において、ACインレット102の接続面F1が下向き(より特定的には、鉛直方向に対して傾いた斜め下方向の向き)になり、DCコネクタ103の接続面F2が矢印X1の向きになる。接続面F1,F2は、外部端子を接続できるように筐体101Cの表面に露出している。ACインレット102の接続面F1が下向きになることで、雨が降ったときにACインレット102の接続面F1が雨で濡れにくくなる。また、電力変換ユニット100CのDC接続状態において、ACインレット102の接続面F1が鉛直方向(Z軸)に対して傾いた斜め下方向の向きになることで、鉛直下向きよりもユーザが接続面F1を目視しやすくなり、充電ケーブルをACインレット102に接続しやすくなる。
また、筐体101Cは、第1端部E1と第2端部E2との間(すなわち、胴体部)に、グリップ部G1,G2、収容部P1、及び段差部P2を有する。グリップ部G1には、リング状の持ち手が形成されている。また、グリップ部G2は、棒状(たとえば、円筒状)に形成されている。ユーザはグリップ部G1又はG2を持つことによって、電力変換ユニット100Cの持ち運びを容易に行なうことができる。収容部P1は、グリップ部G2の第2端部E2側に位置し、グリップ部G2よりも太い筒状(たとえば、円筒状)に形成されている。収容部P1内に、電力変換回路PC1(図7参照)が収容されている。収容部P1とグリップ部G2との間には、段差部P2が形成されている。ユーザは、この段差部P2を利用して、収容部P1及び第2端部E2を車両側(X1側)へ押すことができる。これにより、DCコネクタ103を車両のDCインレットに接続しやすくなる。なお、筐体101Cの第1端部E1はスカート部を備えてもよい。
前述した実施の形態1及び2では、ACインレット102の接続面F1の周囲に形成されたスカート部104を、ACインレット102の接続面F1に対する屋根部材として利用している。しかし、ACインレット102の接続面F1に対する屋根部材は、スカート部104には限定されない。
図15は、ACインレット102の接続面F1に対する屋根部材の第1変形例を説明するための図である。図16は、図15に示した例において、下カバーが閉じた状態を示す図である。
図15を参照して、この変形例に係る電力変換ユニットの筐体101Dは、第1端部E1に上カバー105a及び下カバー105bを備える。第1端部E1における上カバー105aと下カバー105bとは、互いにヒンジH1を介して連結されている。下カバー105bは、ヒンジH1による回転によって上カバー105aに対して開閉可能に構成される。図15に示される状態は、下カバー105bが開いた状態である。この状態では、ACインレット102の接続面F1が外部に露出するため、接続面F1に外部端子を接続しやすくなる。
図16を参照して、下カバー105bが閉じると、ACインレット102の接続面F1が筐体101D内に収容され、外部に露出しなくなる。下カバー105bが閉じた状態では、ACインレット102の接続面F1が下カバー105bで覆われ、雨、雪、及び風(ひいては、風で飛ばされた異物)などから接続面F1が保護される。
図15及び図16を参照して、下カバー105bが開いた状態でも閉じた状態でも、上カバー105aは、接続面F1の上に位置し、接続面F1に対する屋根部材(ひいては、雨よけ)として機能する。上カバー105aによってACインレット102の接続面F1が雨で濡れにくくなる。
図17は、ACインレット102の接続面F1に対する屋根部材の第2変形例を説明するための図である。
図17を参照して、この変形例に係る電力変換ユニットの筐体101Eでは、ACインレット102の接続面F1に対する屋根部材106が第1端部E1に設けられている。屋根部材106は、接続面F1の上に固定され、第1端部E1の先端側へ突出している。こうした屋根部材106が設けられることで、ACインレット102の接続面F1が雨で濡れにくくなる。なお、屋根部材106の突出量は、たとえば3cm以上20cm以下であることが好ましい。
必要に応じて、前述した各電力変換ユニットに部材及び/又は機構を追加してもよい。たとえば、電力変換ユニットを車両で支えやすくするために、電力変換ユニットの第2端部E2にブラケット(サポート部材)を設けてもよい。また、接続面F1,F2の角度を変えることができるように、ACインレット102及びDCコネクタ103の少なくとも一方に回転機構を設けてもよい。ACインレット102及びDCコネクタ103の各々の数は、1つ以上であれば任意であり、2つ以上であってもよい。電力変換ユニット(ひいては、筐体)の大きさも任意である。電力変換ユニットは、全長30cm未満の小型のユニットであってもよいし、全長1mを超える大型のユニットであってもよいし、全長30cm以上1m以下のユニットであってもよい。電力変換ユニットは、車両に搭載されてもよいし、給電設備の管理者によって提供されてもよい。
上記した各変形例において、電力変換回路PC1に代えて電力変換回路PC2を採用してもよい。また、上記した各実施の形態及び各変形例は組み合わせて実施されてもよい。
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。