JP2020069883A - 舵角規制装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】車両の走行状況に従って、転舵異常の発生を運転者に知覚させることができるとともに、意図しないハンドルロック現象が発生しないこと。【解決手段】運転者のステアリング操作に応じて回転する入力軸21と、前記入力軸21と一体回転可能であり、外周の周方向に沿って突出する複数の被係合部82を備える回転部材81と、前記被係合部82に係脱可能な係合爪86aを備える係合部86と、を有している舵角規制装置80である。前記被係合部82と前記係合爪86aとの係合状態は、前記入力軸21に対して所定の閾値Tth以上の回転トルクTovが付加されたときに、強制的に解除される構成であることを特徴とする。【選択図】図2
Description
本発明は、ステアリングホイールの操舵範囲を規制可能な舵角規制装置に関する。
車両用ステアリング装置のなかには、ステアリングホイールの操舵入力が生じる操舵部に、操舵範囲を規制可能な舵角規制装置が組み込まれたものがある。この種の車両用ステアリング装置は、例えば許文献1によって知られている。
特許文献1で知られている車両用ステアリング装置は、ステアリングホイールの操舵入力が生じる操舵部と、転舵車輪を転舵する転舵部との間が機械的に分離されている、いわゆるステアバイワイヤ式(steer-by-wire)のステアリング装置である。この車両用ステアリング装置は、例えば車両の走行状態や操舵装置の状況に応じて、ステアリングホイールの操舵範囲を任意に変更することが可能な舵角規制装置を備えている。
この舵角規制装置は、ステアリングホイールと共に回転可能な入力軸と、この入力軸に設けられており回転方向に複数の歯を有したロック用ホイールと、このロック用ホイールの右回転を規制するようにスイング可能な第1レバー式ストッパと、このロック用ホイールの左回転を規制するようにスイング可能な第2レバー式ストッパと、これらの各レバー式ストッパを駆動するアクチュエータと、このアクチュエータを制御する制御部とを備えている。制御部は、操舵可能な範囲の限界のときにアクチュエータを制御して、各レバー式ストッパの一方をロック用ホイールの歯に係合させる。この結果、ステアリングホイールを操舵角の増大方向へ操舵する、いわゆる、切り増し操作を阻止することができる。従って、運転者は、車両の走行状況の変化に伴う転舵異常の発生を、知覚することができる(体感判断)。
特許文献1で知られている舵角規制装置は、ロック用ホイールの回転を、物理的に完全に固定することによって、切り増し操作を阻止している。このため、もしアクチュエータや電気系統に一次失陥が発生した場合であっても、ハンドルロック現象が発生しないように、何らかのフェールセーフ機構を備えることが好ましい。しかし、舵角規制装置のコストアップの要因と成り得る。
本発明は、車両の走行状況の変化に従って、転舵異常の発生を運転者に知覚させることができるとともに、意図しないハンドルロック現象が発生しない技術を、提供することを課題とする。
本発明によれば、
運転者のステアリング操作に応じて回転する入力軸と、
前記入力軸と一体回転可能であり、外周の周方向に沿って突出する複数の被係合部を備える回転部材と、
前記被係合部に係脱可能な係合爪を備える係合部と、
を有している舵角規制装置であって、
前記被係合部と前記係合爪との係合状態は、前記入力軸に対して所定の閾値以上の回転トルクが付加されたときに、強制的に解除される構成であることを特徴とする。
運転者のステアリング操作に応じて回転する入力軸と、
前記入力軸と一体回転可能であり、外周の周方向に沿って突出する複数の被係合部を備える回転部材と、
前記被係合部に係脱可能な係合爪を備える係合部と、
を有している舵角規制装置であって、
前記被係合部と前記係合爪との係合状態は、前記入力軸に対して所定の閾値以上の回転トルクが付加されたときに、強制的に解除される構成であることを特徴とする。
本発明では、車両の走行状況の変化に従って、係合爪が被係合部に係合する。しかし、入力軸に閾値以上の回転トルクを付加することにより、被係合部と係合爪との係合状態が外れる。また、例え、係合部を駆動する駆動源に一次失陥が発生した場合であっても、入力軸に閾値以上の回転トルクを付加することにより、係合状態が外れる。つまり、回転部材やステアリングホイールの回転を、物理的に完全に固定するわけではない。意図しないハンドルロック現象は発生しない。従って、舵角規制装置にフェールセーフ機構を設ける必要がないので、舵角規制装置のコストダウンを図ることができる。しかも、運転者は、閾値を基準とした回転トルクの変化を体感することによって、車両の走行状況の変化に伴う転舵異常の発生を、確実に知覚することができる(体感判断)。従って、例えばステアリングホイールの切り増し操作を速やかに中止することができる。
本発明を実施するための形態を添付図に基づいて以下に説明する。
<実施例1>
図1〜図4を参照しつつ実施例1の車両用ステアリング装置10を説明する。図1に示されるように、車両用ステアリング装置10は、車両のステアリングホイール11の操舵入力が生じる操舵部12と、左右の転舵車輪13,13を転舵する転舵部14と、操舵部12と転舵部14との間に介在しているクラッチ15と、制御部16とを含む。クラッチ15が開放状態となる通常時には、操舵部12と転舵部14との間が機械的に分離されている。このように、車両用ステアリング装置10は、通常時において、ステアリングホイール11の操舵量に応じて転舵用アクチュエータ39を作動させることにより、左右の転舵車輪13,13を転舵する方式、いわゆるステアバイワイヤ式(steer-by-wire、略称「SBW」)を採用している。
図1〜図4を参照しつつ実施例1の車両用ステアリング装置10を説明する。図1に示されるように、車両用ステアリング装置10は、車両のステアリングホイール11の操舵入力が生じる操舵部12と、左右の転舵車輪13,13を転舵する転舵部14と、操舵部12と転舵部14との間に介在しているクラッチ15と、制御部16とを含む。クラッチ15が開放状態となる通常時には、操舵部12と転舵部14との間が機械的に分離されている。このように、車両用ステアリング装置10は、通常時において、ステアリングホイール11の操舵量に応じて転舵用アクチュエータ39を作動させることにより、左右の転舵車輪13,13を転舵する方式、いわゆるステアバイワイヤ式(steer-by-wire、略称「SBW」)を採用している。
操舵部12は、運転者が操作するステアリングホイール11と、このステアリングホイール11に連結されているステアリング軸21と、このステアリング軸21に対して操舵反力(反力トルク)を付加する反力付加アクチュエータ22と、を含む。この反力付加アクチュエータ22(反力発生部22)は、運転者がステアリングホイール11の操舵力に抵抗する操舵反力を発生することによって、運転者に操舵感を与える。
反力付加アクチュエータ22は、操舵反力を発生する反力モータ23と、操舵反力をステアリング軸21に伝達する反力伝達機構24と、を含む。反力モータ23は、例えば電動モータによって構成される。反力伝達機構24は、例えばウォームギヤ機構によって構成される。このウォームギヤ機構24(反力伝達機構24)は、反力モータ23のモータ軸23aに設けられたウォームギヤ24aと、ステアリング軸21に取り付けられたウォームホイール24bとからなる。言い換えると、ウォームギヤ機構24は、反力モータ23に駆動されるウォームギヤ24aと、このウォームギヤ24aに噛み合っておりステアリング軸21に取り付けられているウォームホイール24bとからなる。反力モータ23が発生した操舵反力は、反力伝達機構24を介して、ステアリング軸21に付加される。
転舵部14は、ステアリング軸21に自在軸継手31,31及び連結軸32とによって連結されている入力軸33と、この入力軸33にクラッチ15を介して連結されている出力軸34と、この出力軸34に操作力伝達機構35によって連結されている転舵軸36と、この転舵軸36の両端にタイロッド37,37及びナックル38,38を介して連結されている左右の転舵車輪13,13と、転舵軸36に転舵用動力を付加する転舵用アクチュエータ39と、を含む。
操作力伝達機構35は、例えばラックアンドピニオン機構によって構成される。このラックアンドピニオン機構35(操作力伝達機構35)は、出力軸34に設けられたピニオン35aと、転舵軸36に設けられたラック35bとからなる。転舵軸36は、軸方向(車幅方向)へ移動可能である。
転舵用アクチュエータ39は、転舵用動力を発生する転舵動力モータ41と、転舵用動力を転舵軸36に伝達する転舵動力伝達機構42とからなる。転舵動力モータ41が発生した転舵用動力は、転舵動力伝達機構42によって転舵軸36に伝達される。この結果、転舵軸36は車幅方向にスライドする。転舵動力モータ41は、例えば電動モータによって構成される。
上記制御部16は操舵角センサ51、操舵トルクセンサ52、モータ回転角センサ53、出力軸回転角センサ54、車速センサ55、ヨーレートセンサ56、加速度センサ57、その他の各種センサ58からそれぞれ検出信号を受けて、クラッチ15、反力モータ23、転舵動力モータ41及び後述するソレノイド85に電流を付与する。
操舵角センサ51は、ステアリングホイール11の操舵角を検出する。操舵トルクセンサ52は、ステアリング軸21に発生する操舵トルクを検出する。モータ回転角センサ53は、反力モータ23の回転角を検出する。出力軸回転角センサ54は、ピニオン35aを有した出力軸34の回転角を検出する。車速センサ55は、車両の車輪速度を検出する。ヨーレートセンサ56は、車両のヨー角速度(ヨー運動の角速度)を検出する。加速度センサ57は、車両の加速度を検出する。その他の各種センサ58には、転舵動力モータ41の回転角を検出する回転角センサを含む。この回転角センサは、例えば、転舵動力モータ41に備えたレゾルバによって構成される。
図2は、ステアリング軸21周りの断面構成を示している。ステアリング軸21は、ハウジング61を貫通するとともに、このハウジング61に軸受62,63によって回転可能に支持されている。このステアリング軸21は、一端部にステアリングホイール11(図1参照)を取り付け可能な管状の第1軸21aと、この第1軸21aの他端部に一体に設けられた第2軸21bと、この第2軸21bの内部に一端部を相対回転が可能に嵌合されている筒状の第3軸21cと、からなる。この第3軸21cの他端部には、自在軸継手31(図1参照)が連結される。第2軸21bと第3軸21cは、トーションバー71によって互いに連結されている。
操舵トルクセンサ52は、ハウジング61に収納されており、ステアリング軸21のなかの、反力伝達機構24よりもステアリングホイール11側に配置されている。この配置にすることにより、操舵トルクセンサ52によって操舵トルク(操舵負荷)を検出することができる。
反力伝達機構24は、ハウジング61に収納されている。ウォームホイール24bは、ステアリング軸21のなかの、第3軸21cに取り付けられている。
ここで、運転者がステアリングホイール11(図1参照)を操舵角の増大方向へ操舵することを、「切り増し操作」という。運転者が、切り増し操作の後に、ステアリングホイール11を操舵角の減少方向(中立方向)へ操舵することを、「切り戻し操作」という。
図1に示されるように、さらに車両用ステアリング装置10は、ステアリングホイール11の操舵範囲を「任意」に規制可能な舵角規制装置80(任意操作範囲規制装置80)と、ステアリングホイール11の操舵範囲の「限界」を規定する操作範囲限界規定装置90と、を備えている。舵角規制装置80と操作範囲限界規定装置90は、操舵部12のなかの操舵トルクセンサ52とクラッチ15との間に介在している。例えば、舵角規制装置80と操作範囲限界規定装置90とは、ウォームホイール24bに対してステアリング軸21の軸方向両側に配置されるとともに、ハウジング61(図2参照)に収納されている。以下、舵角規制装置80と操作範囲限界規定装置90とについて、詳しく説明する。
舵角規制装置80は、車両の走行状態や操舵装置の状況に応じて、ステアリングホイール11の操舵範囲を任意に変更することが可能である。例えば、転舵部14の負荷が予め設定された所定以上の過負荷となった場合(第1条件)や、転舵部14が過負荷状態であり且つ転舵軸36の位置が規定値以上である場合(第2条件)に、舵角規制装置80はステアリングホイール11の操舵範囲を規制する。
この過負荷は、例えば次の状況のときに発生し得る。転舵車輪13が縁石等の障害物に当たっている場合、または転舵車輪13がスタックした場合には、転舵部14の負荷が大きくなる。この状況下において、ステアリングホイール11の切り増し操作を続けたのでは、クラッチ15や反力付加アクチュエータ22に大きい負担がかかる。
従来の技術では、転舵車輪13が、スタックしたときや縁石等の障害物に当たったとき、運転者にこれを知覚させるため制御部16が、クラッチ15を係合させたり、運転者が操舵できないほどの反力を発生させたりしていた。故に、転舵部14、クラッチ15、反力付加アクチュエータ22は、大きい負荷に耐えられる強度を有する必要があるので、必然的に大型化になりがちである。
これに対し、本実施例では、制御部16から制御信号を受けた舵角規制装置80は、ステアリングホイール11の切り増し操作を規制するように、操舵範囲を規制する。この結果、クラッチ15や反力付加アクチュエータ22には、大きい負担がかからない。クラッチ15や反力付加アクチュエータ22の小型化を図ることができる。
このように、前記第1条件や前記第2条件の発生の有無を判断するのは、制御部16である。従って制御部16は、舵角規制装置80の構成要素の一部である。
図2及び図3に示されるように、舵角規制装置80(任意操作範囲規制装置80)は、運転者のステアリング操作に応じて回転するステアリング軸21(つまり、入力軸21)と、この入力軸21と一体回転可能な回転部材81と、係合部86とを有している。
詳しく述べると、回転部材81は、図1に示されるステアリングホイール11によって回転可能な盤状の部材であって、ステアリング軸21(より具体的には第3軸21c)に取り付けられている。回転部材81を回転中心線CL1(ステアリング軸21の中心線CL1)に沿って見たときに、回転部材81の全体形状は星形多角形である。つまり、この回転部材81は、外周の周方向に沿って突出する複数の被係合部82(歯82)を備えた、平盤状の部材である。複数の歯82は、回転方向に一定のピッチ(好ましくは30°ピッチ)で配列されている。回転中心線CL1に沿って見た各歯82の形状は、回転中心線CL1に交差して放射状に延びる各直線83に対して、左右対称形の三角形である。
なお、各歯82において、歯先82aから歯底82bまでの高さ(全歯たけ)は任意に設定される。互いに対向し合う歯面82c,82cの成す角α(開き角α)の最大値は180°よりも小さいことが好ましい。回転部材81を回転中心線CL1に沿って見たときに、歯面82cの形状は、ストレート面に限定されるものではなく、凸面や凹面などの曲面とすることも可能である。
係合部86は、回転部材81に係合することによって、この回転部材81の回転範囲を規制することが可能である。係合部86は、例えばソレノイド85のプランジャロッド86によって構成される。以下、係合部86のことを、適宜「プランジャロッド86」と言い換える。
ソレノイド85は、ハウジング61に取り付けられており、プランジャロッド86を励磁用コイル87の励磁によって前進させるプッシュ型ソレノイドによって構成されている。プランジャロッド86は、ハウジング88に内蔵している付勢部材89によって、後退方向(ハウジング88から内方へ縮む方向)へ常に付勢されている。付勢部材89は、例えば「圧縮コイルばね」によって構成される。このプランジャロッド86は、ステアリング軸21の中心線CL1に向かって進退運動をすることが可能に位置している。
プランジャロッド86の先端部86aは、回転部材81の複数の被係合部82(歯82)に直接に係合することが可能である。つまり、プランジャロッド86の先端部86aは、回転部材81の複数の被係合部82に係合することによって、回転部材81の回転範囲を規制することが可能な、係合爪に相当する。以下、プランジャロッド86の先端部86aのことを、適宜「係合爪86a」と言い換える。
ステアリングホイール11(図1参照)を操舵することによって、入力軸21に付加される操舵トルクTrのことを、適宜「回転トルクTr」という。
舵角規制装置80は、被係合部82(歯82)と係合爪86a(プランジャロッド86先端部86a)との係合状態が、入力軸21に対して所定の閾値Tth(図示せず)以上の回転トルクTrが付加されたときに、強制的に解除される構成であることを特徴とする。
ここで、説明の理解を容易にするために、前記回転トルクTrの値を2段階に分けて、次のように定義する。回転トルクTrのうち、係合爪86aが被係合部82に係合する前の、いわゆる通常の回転トルクTnのことを、「通常回転トルクTn」という。回転トルクTrのうち、閾値Tth以上の回転トルクTov、つまり転舵異常の発生を運転者に知覚させることが可能な値Tovのことを、「知覚可能回転トルクTov」という。知覚可能回転トルクTovは、車両の走行中のときの値であり、停車中の回転トルクTsp(図示せず)、つまり停車中回転トルクTspよりも小さい。前記各値の関係は、関係式「Tn<Tth≦Tov<Tsp」によって表すことができる。
詳しく述べると、閾値Tthは、車両の走行状況の変化に従って、転舵異常の発生を運転者に知覚させることが可能な値に設定されている。ここで、車両の走行状況の変化とは、例えば、(1)任意の操舵範囲の限界点に達したとき、(2)図1に示される転舵車輪13,13がスタックしたとき、及び(3)転舵車輪13,13が縁石等の障害物に当たったときを含む。
しかも、閾値Tthは、回転部材81やステアリングホイール11の回転を、物理的に完全に固定することのない、いわゆる、意図しないハンドルロック現象が発生しない範囲に設定される。例えば、閾値Tthは、0〜20N・mの値に設定されている。
回転部材81の、各歯82の歯面82cの形状や全歯たけの大きさ、歯面82c,82cの成す開き角α、プランジャロッド86の先端部86aの形状や大きさ、励磁用コイル87への印可電圧の大きさ、プランジャロッド86のストロークは、前記条件の閾値Tthを設定することが可能に設定される。
次に、図1及び図3を参照しつつ、舵角規制装置80の作用を説明する。
車両の通常の走行状況では、車両の走行状況の変化に従った転舵異常が発生していないので、プランジャロッド86の先端部86a(係合爪86a)が回転部材81の歯82(被係合部82)に係合していない。従って、ステアリングホイール11(図1参照)を自由に操舵することができる。
車両の通常の走行状況では、車両の走行状況の変化に従った転舵異常が発生していないので、プランジャロッド86の先端部86a(係合爪86a)が回転部材81の歯82(被係合部82)に係合していない。従って、ステアリングホイール11(図1参照)を自由に操舵することができる。
その後、ステアリングホイール11が任意の操舵範囲の限界点に達したとき、転舵車輪13,13(図1参照)がスタックしたとき、または転舵車輪13,13が縁石等の障害物に当たったときに、制御部16は車両の走行状況の変化に従った転舵異常が発生したと判断して、ソレノイド85をオン状態にする。励磁用コイル87は励磁して、プランジャロッド86を前進させ、その前進状態を保持する。この結果、プランジャロッド86の先端部86aは歯溝に入り込んで、歯底82bに当接する。つまり、先端部86a(係合爪86a)が歯82(被係合部82)に係合する。
このときには、ステアリングホイール11及び入力軸21に、閾値Tth以上の回転トルクTov(知覚可能回転トルクTov)を加えないと、ステアリングホイール11を切り増し操作できない。運転者は、切り増し操作できないという突き当て感、つまり節度感(クリック感)を体感する。突き当て感を体感した運転者は、任意の操舵範囲の限界点に達した、転舵車輪13,13がスタックした、または転舵車輪13,13が縁石等の障害物に当たった、つまり、車両の走行状況の変化に伴う転舵異常の発生を、確実に知覚することができる(体感判断)。この結果、ステアリングホイール11の切り増し操作を、速やかに中止することができる。
しかも、運転者がステアリングホイール11に知覚可能回転トルクTovを加えた場合には、係合爪86aと被係合部82との係合状態を解除、つまりロック解除をすることができる。
具体的には、ステアリングホイール11及び回転部材81を回転させることにより、歯82の歯面82cは、磁用コイル87の磁力による前進力に抗して、プランジャロッド86の先端部86aを押し戻す。回転部材81が回転するにつれて、先端部86aは後退しつつ歯82の歯先82aを乗り越え、その後に、次の歯82の歯面82cに沿って前進する。このように、回転部材81の回転に従って、プランジャロッド86の先端部86aが、後退と前進とを繰り返すことによって、回転トルクTrが変動する。運転者は、このような回転トルクTrの繰り返し変動(脈動)によっても、車両の走行状況の変化に伴う転舵異常の発生を、確実に知覚することができる(体感判断)。
以上の説明から明らかなように、舵角規制装置80は、回転部材81やステアリングホイール11の回転を、物理的に完全固定するわけではない。意図しないハンドルロック現象は、発生しない。さらには、例え、係合部86を駆動する励磁用コイル87(駆動源87)に一次失陥が発生した場合であっても、ハンドルロック現象は発生しない。従って、舵角規制装置80にフェールセーフ機構は不要である。舵角規制装置80のコストダウンを図ることができる。
上述のように、閾値Tthは、例えば各歯82の全歯たけの大きさ、歯面82c,82cの成す開き角αの大きさ、励磁用コイル87への印可電圧の大きさを適宜決めることによって設定することができる。
一例として、励磁用コイル87への印可電圧を微小にすることによって、閾値Tthを0N・m近くまで下げることができる。その場合には、運転者は、回転トルクTrの繰り返し変動や、異音の発生によってのみ、車両の走行状況の変化に伴う転舵異常の発生を知覚することができる。
また、閾値Tthを大きく設定した場合には、ステアリングホイール11及び入力軸21に、大きい知覚可能回転トルクTovを加えないと、ステアリングホイール11を切り増し操作できない。このため、運転者は、知覚可能回転トルクTovが小さいうちに、車両の走行状況の変化に伴う転舵異常の発生を、より迅速に知覚することができる。
本発明者等が実施したベンチモニター試験によれば、閾値Tthは最大で20N・m以下が好ましい。20N・m以下であれば、強制解除までに転舵異常に気付くことができる人が多い。より好ましくは、閾値Tthは最大で30N・m以下が好ましい。30N・m以下であれば、強制解除までに転舵異常に気付くことができる人がより多い。さらに好ましくは、閾値Tthは最大で40N・m以下が好ましい。40N・m以下であれば、強制解除までに転舵異常に気付くことができる人が更に多い。
閾値Tth以上の回転トルクTr(知覚可能回転トルクTov)は、車両の走行中のときの値であり、停車中の回転トルクTspよりも小さい。この停車中の回転トルクTspは、停車中にステアリングホイール11を操舵する、いわゆる据え切り操舵時のトルクであるから、知覚可能回転トルクTovに比べて十分に大きい。運転者は、停車中の回転トルクTspに比べて極めて小さい知覚可能回転トルクTovによって、車両の走行状況の変化に伴う転舵異常の発生を知覚することができる。
また、車両の走行中に、ソレノイド85の誤作動などの要因によって、被係合部82(歯82)と係合爪86aとが係合状態になっても、ステアリングホイール11を操舵するのに必要な回転トルクTrは、最大でも知覚可能回転トルクTovですむ。つまり、回転トルクTrは、通常の回転トルクTnから知覚可能回転トルクTovまで変化するだけであり、停車中の回転トルクTspまで変化する場合に比べて、トルク変化量が少なくてすむ。
なお、実施例1では、歯82に対するプランジャロッド86の先端部86aの係合状態を解除する方向に付勢するための補助的な付勢部材を、ソレノイド85の外部に設けることは任意である。
次に、図2及び図4を参照しつつ、操作範囲限界規定装置90について説明する。操作範囲限界規定装置90は、主回転体91と従回転体92と当接部93と第1規制部94と第2規制部95とによって構成されている。主回転体91と従回転体92とは、平行軸の歯車である。
主回転体91は、ステアリングホイール11(図1参照)によって回転可能であり、例えばステアリング軸21(より具体的には第3軸21c)に取り付けられた外歯歯車によって構成されている。
従回転体92は、外歯歯車(主回転体91)に噛み合い可能な環状の内歯歯車によって構成されており、ハウジング61に軸受96によって回転可能に支持されている。従回転体92は、ステアリング軸21の中心線CL1に対して径方向にオフセットした回転中心線CL2を有しており、主回転体91により所定の回転比(減速比)を有して連続して駆動することが可能である。外歯歯車の歯数に対して内歯歯車の歯数は多い。この結果、従回転体92の角速度は、主回転体91の角速度よりも低速である。
ステアリング軸21の中心線CL1は、主回転体91の回転中心線CL1でもある。以下、ステアリング軸21の中心線CL1のことを、適宜「主回転中心線CL1」と言い換えることにする。また、従回転体92の回転中心線CL2のことを、適宜「副回転中心線CL2」と言い換える。
当接部93は、従回転体92の側面92aからハウジング61の内壁面61aへ向かって突出している。第1規制部94と第2規制部95は、ハウジング61の内壁面61aから従回転体92の側面92aへ向かって突出している。第1規制部94と第2規制部95の位置は、副回転中心線CL2を基準とした当接部93の回転軌跡上に位置している。
図4に示されるように、操作範囲限界規定装置90をステアリング軸21の軸方向から見て、主回転中心線CL1と副回転中心線CL2とを通る直線Lsのことを、「基準線Ls」という。従回転体92に対する当接部93の中立位置Pnは、ステアリングホイール11(図1参照)の中立位置に対応している。第1規制部94は、当接部93の一方への回転角の範囲を規制する位置に設定されている。第2規制部95は、当接部93の他方への回転角の範囲を規制する位置に設定されている。
ステアリングホイール11を中立位置から右へ最大操舵角まで切り増し操作したときに、当接部93は中立位置Pnから右方向(矢印R1方向)へ右規制位置P1まで最大角θ1だけ回り、第1規制部94によって、それ以上の回転を規制される。一方、ステアリングホイール11を中立位置から左へ最大操舵角まで切り増し操作したときに、当接部93は中立位置Pnから左方向(矢印R2方向)へ左規制位置P2まで最大角θ2まで回り、第2規制部95によって、それ以上の回転を規制される。
<実施例2>
図5及び図6を参照しつつ、実施例2の車両用ステアリング装置10Aを説明する。図5は上記図3に対応させて表してある。実施例2の車両用ステアリング装置10Aは、図1〜図3に示される上記実施例1の車両用ステアリング装置10の舵角規制装置80を、図5及び図6に示される舵角規制装置100に変更したことを特徴とし、他の構成は実施例1と同じなので、説明を省略する。
図5及び図6を参照しつつ、実施例2の車両用ステアリング装置10Aを説明する。図5は上記図3に対応させて表してある。実施例2の車両用ステアリング装置10Aは、図1〜図3に示される上記実施例1の車両用ステアリング装置10の舵角規制装置80を、図5及び図6に示される舵角規制装置100に変更したことを特徴とし、他の構成は実施例1と同じなので、説明を省略する。
なお、実施例2では、1つの回転部材101と2つの係合部111,111とを有している舵角規制装置100について説明する。しかし、これに限定されるものではなく、1つの回転部材101と1つの係合部111との組み合わせ構造であってもよい。
実施例2の舵角規制装置100(任意操作範囲規制装置100)は、運転者のステアリング操作に応じて回転する入力軸21(ステアリング軸21)と、この入力軸21と一体回転可能な1つの回転部材101と、2つの係合部111,111と、を有している。以下、舵角規制装置100について詳しく説明する。
回転部材101は、ステアリングホイール11(図1参照)によって回転可能な円盤状の部材であって、ステアリング軸21(より具体的には第3軸21c)に取り付けられている。この回転部材101は、外周の周方向に沿って突出する複数の被係合部102(歯102)を備える。複数の歯102は、回転部材101の外周面に対し、回転方向に配列されている。例えば、複数の歯102のピッチは30°である。複数の歯102は、例えば円盤状の回転部材101の外周面から放射状に延びている。
2つの係合部111,111は、回転部材101に係合することによって、この回転部材101の回転範囲を規制することが可能であり、回転部材101に対して係合可能にスイングするレバー式ストッパによって構成されている。2つの係合部111,111のなかの、一方の係合部111を「第1係合部111A」または「第1レバー式ストッパ111A」といい、他方の係合部111を「第2係合部111B」または「第2レバー式ストッパ111B」という。
第1レバー式ストッパ111Aは、ステアリングホイール11が一方(右への操舵方向)へ回転する場合に、回転部材101に係合可能である。第2レバー式ストッパ111Bは、ステアリングホイール11が他方(左への操舵方向)へ回転する場合に、回転部材101に係合可能である。
図5に示されるように、ステアリング軸21を軸方向から見て、第1レバー式ストッパ111Aに対し、第2レバー式ストッパ111Bは逆向きに配置されている。例えば、第1レバー式ストッパ111Aと第2レバー式ストッパ111Bとは、ステアリング軸21の中心線CL1に交差する直線104に対して、互いに対称形である他には同じ構成である。
各レバー式ストッパ111A,111Bは、それぞれ中央部をハウジング61に支持軸112,112によってスイング可能に支持された概ねバー状の部材である。この各レバー式ストッパ111A,111Bは、各一端(第1端)に係合爪113,113を有し、各他端(第2端)に被駆動レバー114,114を有している。つまり、係合部111,111は、被係合部102にそれぞれ係脱可能な係合爪113,113を備える。各係合爪113,113は、回転部材101の複数の歯102に係合するフック状の部分であって、歯溝105(各歯102,102の間)に対して出没することが可能である。各被駆動レバー114,114は、それぞれアクチュエータ120,120によって個別にスイング駆動される。
このアクチュエータ120,120は、ハウジング61に取り付けられており、例えば進退可能なプランジャロッド121,121を有したソレノイドによって構成される。このソレノイド120,120(アクチュエータ120,120)は、励磁用コイル122,122の励磁によってプランジャロッド121,121を後退させるプル型ソレノイドによって構成されている。
プランジャロッド121,121は、ハウジング123,123に内蔵している付勢部材124,124によって、前進方向(ハウジング123,123から外方へ伸びる方向)へ常に付勢されている。付勢部材124,124は、例えば「圧縮コイルばね」によって構成される。プランジャロッド121,121によって被駆動レバー114,114を引くことにより、レバー式ストッパ111A,111Bの係合爪113,113を回転部材101の各歯102に係合することができる。
このプランジャロッド121,121は、レバー式ストッパ111A,111Bの被駆動レバー114,114に連結されている。なお、プランジャロッド121,121と被駆動レバー114,114とは、必ずしも連結した構成に限定する必要はない。例えば、プランジャロッド121,121によって被駆動レバー114,114を押すことにより、レバー式ストッパ111A,111Bを回転部材101の複数の歯102に係合する構成としてもよい。以下、第1レバー式ストッパ111Aを駆動するソレノイド120のことを「第1ソレノイド120A」という。第2レバー式ストッパ111Bを駆動するソレノイド120のことを「第2ソレノイド120B」という。
次に、回転部材101と第1レバー式ストッパ111Aとの関係について、図6(a)及び図6(b)を参照しつつ詳しく説明する。なお、回転部材101と第2レバー式ストッパ111Bとの関係は、回転部材101と第1レバー式ストッパ111Aとの関係に対して逆向きである他には、同じなので、説明を省略する。
図6(a)は、図5に示された回転部材101が右方向(矢印R1方向)に回転する状態を表している。ステアリングホイール11(図1参照)を右へ操舵した場合に、回転部材101は右方向へ回転する。
第1レバー式ストッパ111Aの係合爪113は、第1係合面113aと第2係合面113bとを有する。第1係合面113aに対し、第2係合面113bは第1レバー式ストッパ111Aのスイング中心115(支持軸112のスイング中心115)寄りに位置している。
ここで、説明の理解を容易にするために、係合爪113が回転部材101の歯溝105に入り込んだ状態において、複数の歯102のなかの、第1係合面113aに向かい合う歯102のことを「第1歯102A」といい、第2係合面113bに向かい合う歯102のことを「第2歯102B」ということにする。
係合爪113が回転部材101の歯溝105に入り込んだ状態において、係合爪113の第1係合面113aは、回転部材101の第1歯102Aの一方の歯面102a(第1歯面102a)に対して傾斜しつつ向いている斜面である。回転部材101が右方向R1へ回転すると、第1歯102Aの第1歯面102aの先端と歯先面102cとの角P11(歯先の回転方向の角P11)は、係合爪113の第1係合面113aに当たる。この角P11のことを「第1当接点P11」という。第1当接点P11が第1係合面113aに当たる力によって、係合爪113は第1歯102Aから外れる方向にスイングすることが可能である。つまり第1係合面113aは、回転部材101の回転力を、第1レバー式ストッパ111Aの係合状態を強制的に解除する力(第1解除力)に転換する。
図6(b)は、図6(a)に示された回転部材101が左方向に回転した状態を表している。ステアリングホイール11(図1参照)を左へ操舵した場合に、回転部材101は左方向(矢印R2方向)へ回転する。
係合爪113が回転部材101の歯溝105に入り込んだ状態において、係合爪113の第2係合面113bは、回転部材101の第2歯102Bの他方の歯面102b(第2歯面102b)に対して傾斜しつつ向いている斜面である。係合爪113が回転部材101の歯溝105に入り込んだ状態において、回転部材101が左方向R2へ回転すると、第2歯102Bの第2歯面102bの先端と歯先面102cとの角P12(歯先の回転方向の角P12)は、係合爪113の第2係合面113bに当たる。この角P12のことを「第2当接点P12」という。第2当接点P12が第2係合面113bに当たる力によって、係合爪113は第2歯102Bから外れる方向にスイングすることが可能である。つまり第2係合面113bは、回転部材101の回転力を、第1レバー式ストッパ111Aの係合状態を強制的に解除する力(第2解除力)に転換する。
ここで、第2係合面113bによって転換される第2解除力は、第1係合面113aによって転換される第1解除力に対して、小さく設定されてもよい。具体的には、図6(a)に示された第1当接点P11における、第1歯102Aの第1歯面102aに対する第1係合面113aの傾斜角に対し、図6(b)に示された第2当接点P12における、第2歯102Bの第2歯面102bに対する第2係合面113bの傾斜角は、大きく設定される。
このように、第2係合面113bの傾斜角を設定する理由は、次の通りである。例えば、運転者がステアリングホイール11(図1参照)を切り増し操作から切り戻し操作へ、急激に切り替えた場合を想定する。つまり、運転者がステアリングホイール11の切り増し操作をしている途中に、第1係合部111Aが回転部材101に係合し、その直後に、運転者がステアリングホイール11の切り戻し操作を素早く行った場合である。この場合には、図6(b)に示されるように、第2係合面113bは、回転部材101に対する第1係合部111Aの係合状態を、小さい第2解除力によって強制的に解除する。このため、切り増し操作から切り戻し操作へ、速やかに且つ円滑に移行することができる。車両用ステアリング装置10Aの操縦性を高めることができる。
上記実施例1の関係式「Tn<Tth≦Tov<Tsp」の関係については、実施例2でも同じである。つまり、被係合部102と係合爪113(より具体的には、第1係合面113a)との係合状態は、入力軸21に対して所定の閾値Tth以上の回転トルクTovが付加されたときに、強制的に解除される構成である。従って、実施例2の舵角規制装置100は、上記実施例1の舵角規制装置80と同様の効果を発揮する。
しかも、実施例2では、係合爪113(より具体的には、第1係合面113a)に対して複数の被係合部102が個別に当たるたびに衝突音、いわゆるラチェット音のような異音が発生する。運転者は、この異音を知覚することによっても、車両の走行状況の変化に伴う転舵異常の発生を、確実に知覚することができる(体感判断)。従って、例えばステアリングホイールの切り増し操作を速やかに中止することができる。
しかも、実施例2では、係合爪113(より具体的には、第1係合面113a)に対して複数の被係合部102が個別に当たるたびに衝突音、いわゆるラチェット音のような異音が発生する。運転者は、この異音を知覚することによっても、車両の走行状況の変化に伴う転舵異常の発生を、確実に知覚することができる(体感判断)。従って、例えばステアリングホイールの切り増し操作を速やかに中止することができる。
なお、実施例2の舵角規制装置100は、図5に想像線によって示されるように、補助的な付勢部材126,126を設けてもよい。この補助的な付勢部材126,126は、係合爪113,113が複数の歯102から外れる方向(外れ方向)へ、各レバー式ストッパ111A,111Bを付勢する。この結果、各レバー式ストッパ111A,111Bが外れ方向にスイングする動作を、より円滑にすることができる。補助的な付勢部材126,126は、例えば「ねじりコイルばね」や「圧縮コイルばね」によって構成される。
さらに、上述のように、実施例2の舵角規制装置100は、回転部材101と第1レバー式ストッパ111Aと第1ソレノイド120Aとの組み合わせ構造と、回転部材101と第2レバー式ストッパ111Bと第2ソレノイド120Bとの組み合わせ構造の、いずれか一方のみを有した構成であってもよい。その場合には、図6(a)〜(b)に示される、第2係合面113bによって転換される第2解除力は、第1係合面113aによって転換される第1解除力と同一に設定してもよい。
<実施例3>
図7及び図8を参照しつつ、実施例3の車両用ステアリング装置10Bを説明する。
図7(a)は、車両用ステアリング装置10Bの舵角規制装置200をステアリング軸21の軸方向から見て、回転部材101の被係合部102と係合部211の係合爪213との「非係合状態」を説明する断面図である。図7(b)は、図7(a)に示される舵角規制装置200を矢視線b方向から見た図である。
図7及び図8を参照しつつ、実施例3の車両用ステアリング装置10Bを説明する。
図7(a)は、車両用ステアリング装置10Bの舵角規制装置200をステアリング軸21の軸方向から見て、回転部材101の被係合部102と係合部211の係合爪213との「非係合状態」を説明する断面図である。図7(b)は、図7(a)に示される舵角規制装置200を矢視線b方向から見た図である。
図8(a)は、車両用ステアリング装置10Bの舵角規制装置200をステアリング軸21の軸方向から見て、回転部材101の被係合部102に係合部211の係合爪213が「係合した状態」を説明する断面図である。図8(b)は、図8(a)に示される舵角規制装置200を矢視線b方向から見た図である。
実施例3の車両用ステアリング装置10Bは、図5に示される上記実施例2の車両用ステアリング装置10Aの舵角規制装置100を、図7及び図8に示される舵角規制装置200に変更したことを特徴とし、他の構成は実施例1及び実施例2と同じなので、説明を省略する。
実施例3の舵角規制装置200(任意操作範囲規制装置200)は、運転者のステアリング操作に応じて回転する入力軸21と、この入力軸21(ステアリング軸21)と一体回転可能な1つの回転部材101と、1つの係合部111と、を有している。以下、舵角規制装置200について詳しく説明する。
舵角規制装置200の回転部材101は、図5に示される実施例2の回転部材101と同じ構成である。上述のように、ステアリングホイール11(図1参照)を右へ操舵した場合に、回転部材101は右方向(矢印R1方向)へ回転する。ステアリングホイール11を左へ操舵した場合に、回転部材101は左方向(矢印R2方向)へ回転する。
舵角規制装置200の係合部211は、一端部をハウジング61に支持軸212によってスイング可能に支持されたレバー式ストッパであり、回転部材101に係合することによって、この回転部材101の回転範囲を規制することが可能である。以下、係合部211のことを、適宜「レバー式ストッパ211」と言い換える。
このレバー式ストッパ211は、他端に係合爪213を有している。この係合爪213は、回転部材101の被係合部102(歯102)に係合するフック状の部分であって、歯溝105に対して出没することが可能である。係合爪213は、被係合部102に対して個別に係合可能な、第1係合面213aと第2係合面213bとを有する。第1係合面213aに対し、第2係合面213bはレバー式ストッパ111のスイング中心215(支持軸212のスイング中心215)寄りに位置している。
さらに、レバー式ストッパ211は、係合爪113が複数の歯102に係合する方向(係合方向)へ、付勢部材226によって付勢されている。この付勢部材226は、例えば「ねじりコイルばね」や「圧縮コイルばね」によって構成される。
レバー式ストッパ211は、ソレノイド120によって駆動される。このソレノイド120は、図5に示される実施例2のソレノイド120(アクチュエータ120)と同じ構成である。このソレノイド120のプランジャロッド121は、レバー式ストッパ211の係合爪213を、回転部材101の歯溝105に対して出没可能に駆動する。
より具体的に述べると、プランジャロッド121は、支持軸212に対して平行(略平行を含む)に位置しており、この支持軸212に沿う方向に進退可能である。図7(a)〜(b)に示されるように、プランジャロッド121が前進して、回転部材101と係合爪213(例えば第2係合面213b)との間に入り込むことにより、係合爪213は被係合部102(歯102)から外れる。なお、プランジャロッド121の先端面121aは、前進したときに第2係合面213bを回転部材101から離れる方向へ押し開くように斜面に構成されている。
その後、図8(a)〜(b)に示されるように、プランジャロッド121が後退して、回転部材101と係合爪213(例えば第2係合面213b)との間から離れることにより、係合爪213は被係合部102(歯102)に係合する。
ここで、説明の理解を容易にするために、図8(a)に示されるように、係合爪213が回転部材101の歯溝105に入り込んだ状態において、複数の歯102のなかの、第1係合面213aに向かい合う歯102のことを「第1歯102A」といい、第2係合面213bに向かい合う歯102のことを「第2歯102B」ということにする。
係合爪213が回転部材101の歯溝105に入り込んだ状態において、係合爪213の第1係合面213aは、回転部材101の第1歯102Aの第1歯面102aに対して傾斜しつつ向いている斜面である。回転部材101が右方向(矢印R1方向)に回転したときに、第1歯102Aの角が第1係合面213aに当たる力によって、係合爪213は第1歯102Aから外れる方向にスイングすることが可能である。つまり第1係合面213aは、回転部材101の回転力を、レバー式ストッパ211の係合状態を強制的に解除する力(第1解除力)に転換する。
また、係合爪213の第2係合面213aは、回転部材101の第2歯102Bの第2歯面102bに対して傾斜しつつ向いている斜面である。回転部材101が左方向(矢印R2方向)に回転したときに、第2歯102Bの角が第2係合面213bに当たる力によって、係合爪213は第2歯102Bから外れる方向にスイングすることが可能である。つまり第2係合面213bは、回転部材101の回転力を、レバー式ストッパ211の係合状態を強制的に解除する力(第2解除力)に転換する。
第2係合面213bによって転換される第2解除力は、第1係合面213aによって転換される第1解除力と同一に設定されている。
上記実施例1の関係式「Tn<Tth≦Tov<Tsp」の関係については、実施例3でも同じである。つまり、被係合部102と係合爪213(より具体的には、第1係合面213a及び第2係合面213b)との係合状態は、入力軸21に対して所定の閾値Tth以上の回転トルクTovが付加されたときに、強制的に解除される構成である。従って、実施例3の舵角規制装置200は、上記実施例1の舵角規制装置80と同様の効果を発揮する。
しかも、実施例3では、係合爪213(より具体的には、第1係合面213a及び第2係合面213b)に対して複数の被係合部102が個別に当たるたびに衝突音、いわゆるラチェット音のような異音が発生する。運転者は、この異音を知覚することによっても、車両の走行状況の変化に伴う転舵異常の発生を、確実に知覚することができる(体感判断)。従って、例えばステアリングホイールの切り増し操作を速やかに中止することができる。
しかも、実施例3では、係合爪213(より具体的には、第1係合面213a及び第2係合面213b)に対して複数の被係合部102が個別に当たるたびに衝突音、いわゆるラチェット音のような異音が発生する。運転者は、この異音を知覚することによっても、車両の走行状況の変化に伴う転舵異常の発生を、確実に知覚することができる(体感判断)。従って、例えばステアリングホイールの切り増し操作を速やかに中止することができる。
なお、本発明による車両用ステアリング装置10,10A,10Bは、本発明の作用及び効果を奏する限りにおいて、実施例に限定されるものではない。
例えば、回転部材81,101は、ウォームホイール24bや主回転体91に一体に設けられた構成であってもよい。
例えば、回転部材81,101は、ウォームホイール24bや主回転体91に一体に設けられた構成であってもよい。
本発明の車両用ステアリング装置10,10A,10Bは、自動車に搭載するのに好適である。
10,10A,10B 車両用ステアリング装置
11 ステアリングホイール
16 制御部
21 入力軸
80 舵角規制装置
81 回転部材
82 被係合部
85 ソレノイド
86 係合部(ソレノイドのプランジャロッド)
86a 係合爪(プランジャロッドの先端部)
100 舵角規制装置
101 回転部材
102 被係合部
111 係合部
113 係合爪
120 ソレノイド
200 舵角規制装置
211 係合部
213 係合爪
Tth 閾値
Tov 閾値以上の回転トルク
Tsp 停車中の回転トルク
11 ステアリングホイール
16 制御部
21 入力軸
80 舵角規制装置
81 回転部材
82 被係合部
85 ソレノイド
86 係合部(ソレノイドのプランジャロッド)
86a 係合爪(プランジャロッドの先端部)
100 舵角規制装置
101 回転部材
102 被係合部
111 係合部
113 係合爪
120 ソレノイド
200 舵角規制装置
211 係合部
213 係合爪
Tth 閾値
Tov 閾値以上の回転トルク
Tsp 停車中の回転トルク
Claims (3)
- 運転者のステアリング操作に応じて回転する入力軸と、
前記入力軸と一体回転可能であり、外周の周方向に沿って突出する複数の被係合部を備える回転部材と、
前記被係合部に係脱可能な係合爪を備える係合部と、
を有している舵角規制装置であって、
前記被係合部と前記係合爪との係合状態は、前記入力軸に対して所定の閾値以上の回転トルクが付加されたときに、強制的に解除される構成であることを特徴とする舵角規制装置。 - 前記閾値は、0〜40N・mの値に設定されていることを特徴とする請求項1に記載の舵角規制装置。
- 前記閾値以上の前記回転トルクは、車両の走行中のときの値であり、停車中の回転トルクよりも小さい、ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の舵角規制装置。
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JP (1) | JP2020069883A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US20220297744A1 (en) * | 2019-09-13 | 2022-09-22 | Honda Motor Co., Ltd. | Vehicle steering system |
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2018
- 2018-10-31 JP JP2018204594A patent/JP2020069883A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US20220297744A1 (en) * | 2019-09-13 | 2022-09-22 | Honda Motor Co., Ltd. | Vehicle steering system |
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