JP2020059742A - ロスバスタチンカルシウムを含有する錠剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】ロスバスタチンカルシウムを含有する錠剤において、カチオンが多価である無機塩の安定化剤を含まずとも、高湿度環境下での保存において、化学的に安定で、かつ溶出性の低下しない錠剤の提供。【解決手段】ロスバスタチンカルシウムを含有する錠剤において、添加剤として糖アルコール(D−マンニトール等)又は低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを使用することで、高湿度環境下での保存においてラクトン体の生成及び溶出性の低下を抑制させることが可能である。【選択図】図1
Description
本発明は、原薬として、(E)−7−[4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−[メチル(メチルスルホニル)アミノ]ピリミジン−5−イル]−(3R,5S)−3,5−ジヒドロキシヘプト−6−エン酸(一般名:ロスバスタチン)、又は其の医薬的に許容し得る塩(特にロスバスタチンカルシウム)を含有する錠剤で、湿度に対して化学的に安定で、かつ溶出性が低下しない錠剤に関するものである。
ロスバスタチンカルシウムは、3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルCoA還元酵素(HMG−CoA還元酵素)の阻害剤として、高脂血症,家族性高コレステロール血症等の治療に用いられている化合物である。ロスバスタチンカルシウムと同じHMG−CoA還元酵素としては、プラバスタチンナトリウム、フルバスタチンナトリウム、アトルバスタチンカルシウム水和物、ピタバスタチンカルシウムなどが知られる。
ロスバスタチンカルシウムの原薬は湿度及び熱に対して不安定であることから、湿度に対して安定な錠剤の設計が困難であるという問題を有しており、主に分解物の増加及び溶出性の低下が確認される。湿度に対して不安定な錠剤は、高防湿のフィルム素材でPTP包装した後に、そのPTPシートをアルミニウム製のピロー袋に封入して湿度の影響を受けない形態とするのが一般的である。現在市販されているロスバスタチンカルシウムを含有する錠剤は、アルミニウムラミネートフィルム素材でPTP包装されている(非特許文献1)。
しかしながら、薬局で包装が開封された錠剤が患者に手渡されることを考慮すれば、無包装の状態でも保存安定性に優れていることが望ましい。
原薬由来の分解物の増加については、ロスバスタチンカルシウムを含むHMG−CoA還元酵素を含有する錠剤について、塩基性化合物又はカチオンが多価である無機塩、金属塩などを含有する錠剤が幾つかの先行技術文献で示されている。特許文献1ではロスバスタチンと多価カチオン塩である第三リン酸カルシウムを含む錠剤が示され、特許文献2ではロスバスタチンカルシウムとアルカリ土類金属塩である塩化カルシウムや塩化マグネシウムを含む錠剤が示され、特許文献3ではHMG−CoA還元酵素であるプラバスタチンナトリウムと塩基性化合物である炭酸ナトリウムやリン酸水素二ナトリウムを含む錠剤が示される。先行技術では、ロスバスタチンカルシウム由来の分解物であるラクトン体(下記式(a))の発生を抑制するために、上記記載の塩基性化合物又はカチオンが多価である無機塩、金属塩を安定化剤として使用していることが述べられている。
原薬の溶出性の低下については、HMG―CoA還元酵素を含有する錠剤について、D−マンニトールを含有する錠剤が先行技術文献で示されている。特許文献4ではピタバスタチンカルシウムとD−マンニトールを含む錠剤が示される。先行技術文献では、製剤中のピタバスタチンの含有量の低下が溶出遅延の原因であり、分解物の生成の抑制のため糖アルコールを使用することが述べられている。しかしながら、現在市販されているロスバスタチンカルシウムを含有する錠剤に使用されている有効成分は無晶形であり、吸湿により水和物へ転移することが直接的な溶出性低下の原因である可能性は否めない。
原薬の溶出性の低下については、HMG―CoA還元酵素を含有する錠剤について、D−マンニトールを含有する錠剤が先行技術文献で示されている。特許文献4ではピタバスタチンカルシウムとD−マンニトールを含む錠剤が示される。先行技術文献では、製剤中のピタバスタチンの含有量の低下が溶出遅延の原因であり、分解物の生成の抑制のため糖アルコールを使用することが述べられている。しかしながら、現在市販されているロスバスタチンカルシウムを含有する錠剤に使用されている有効成分は無晶形であり、吸湿により水和物へ転移することが直接的な溶出性低下の原因である可能性は否めない。
医薬品製剤を保存する上での、原薬由来の分解物生成の抑制は、安定した品質の医薬品を患者に提供する上で達成すべき重要な課題である。そのため、先ずロスバスタチンカルシウムを含有する錠剤に含まれる医薬品添加物の処方を考案する上では、ラクトン体の発生を抑制するために、前記の安定化剤を使用することが第一に検討される。しかしながら、ロスバスタチンカルシウムを含有する錠剤についてラクトン体の発生及び溶出性の低下を同時に抑制する発明は見当たらない。さらに、高品質な製剤を設計する上で解決しなければならない課題としては、ラクトン体の発生及び溶出性の低下の抑制以外にも、崩壊性の改善、着色防止、匂いの抑制などがあり、それらの課題を解決する上では先行技術の安定化剤を使用することが必ずしも好ましいとは限らない。そこで、本発明者は、前記の安定化剤を含まずとも、ロスバスタチンカルシウム由来の分解物の発生が抑制され、溶出性が低下しない錠剤を製造することを目的とし鋭意検討を重ねた。
「クレストール(登録商標)錠2.5mg、クレストール(登録商標)錠5mg」インタビューフォーム、2015年1月(改訂13版)
本発明の課題は、ロスバスタチンカルシウムを含有する錠剤において、カチオンが多価である無機塩の安定化剤を含まずとも、高湿度環境下での保存において、化学的に安定で、かつ溶出性の低下しない錠剤を提供することである。
本発明者らは、ロスバスタチンカルシウムを含有する錠剤において、その分解物であるラクトン体の生成及び溶出性の低下が抑制された錠剤を開発するため、汎用の添加剤(賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤等)を用い、常法により錠剤を製造して、その錠剤の品質を評価した。鋭意検討を重ねて、本発明者らは、意外にも、カチオンが多価である無機塩の安定化剤を使用せずとも、下記の特定の賦形剤(糖アルコール、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース等)を使用することで、高湿度環境下での保存においてラクトン体の生成やロスバスタチンカルシウムの溶出性の低下を抑制させることが可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記(1)〜(10)の発明に関するものである。
(1)ロスバスタチンカルシウムと、糖アルコール又は低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含有する錠剤。
(2)カチオンが多価である無機塩を含有せず、ロスバスタチンカルシウムが無晶形である、前記(1)に記載の錠剤。
(3)直接打錠法によって製造される、前記(2)に記載の錠剤。
(4)マンニトール、エリスリトール、キシリトール、ソルビトール、イソマルト、マルチトール、ラクチトールより選ばれる糖アルコールを含有する、前記(1)〜(3)のいずれかに記載の錠剤。
(5)マンニトールである糖アルコールを含有する、前記(1)〜(4)のいずれかに記載の錠剤。
(6)錠剤全重量に対して糖アルコールが49.0〜85.0%の範囲で含まれ、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースが5.0〜40.0%の範囲で含まれる、前記(1)〜(5)のいずれかに記載の錠剤。
(7)錠剤全重量に対して糖アルコールが59.0〜85.0%、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースが5.0〜30.0%の範囲で含まれる、前記(1)〜(6)のいずれかに記載の錠剤。
(8)さらに崩壊剤および滑沢剤を含む、前期(1)〜(7)のいずれかに記載の錠剤。
(9)崩壊剤がクロスポビドンであり、滑沢剤がステアリン酸マグネシウムである、前記(8)に記載の錠剤。
(10)錠剤がフィルムコーティング錠剤である、前記(1)〜(9)のいずれかに記載の錠剤。
(1)ロスバスタチンカルシウムと、糖アルコール又は低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含有する錠剤。
(2)カチオンが多価である無機塩を含有せず、ロスバスタチンカルシウムが無晶形である、前記(1)に記載の錠剤。
(3)直接打錠法によって製造される、前記(2)に記載の錠剤。
(4)マンニトール、エリスリトール、キシリトール、ソルビトール、イソマルト、マルチトール、ラクチトールより選ばれる糖アルコールを含有する、前記(1)〜(3)のいずれかに記載の錠剤。
(5)マンニトールである糖アルコールを含有する、前記(1)〜(4)のいずれかに記載の錠剤。
(6)錠剤全重量に対して糖アルコールが49.0〜85.0%の範囲で含まれ、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースが5.0〜40.0%の範囲で含まれる、前記(1)〜(5)のいずれかに記載の錠剤。
(7)錠剤全重量に対して糖アルコールが59.0〜85.0%、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースが5.0〜30.0%の範囲で含まれる、前記(1)〜(6)のいずれかに記載の錠剤。
(8)さらに崩壊剤および滑沢剤を含む、前期(1)〜(7)のいずれかに記載の錠剤。
(9)崩壊剤がクロスポビドンであり、滑沢剤がステアリン酸マグネシウムである、前記(8)に記載の錠剤。
(10)錠剤がフィルムコーティング錠剤である、前記(1)〜(9)のいずれかに記載の錠剤。
本発明によれば、ロスバスタチンカルシウムを含有する錠剤について、高湿度環境下での保存において安定な錠剤を医療現場に提供できる。本発明の錠剤は、たとえば無包装の状態で60℃75%RH環境下で1週間保存しても、錠剤中のラクトン体の増加量が1.00%以下であり、溶出性の低下量が2.0%以下である。
以下で本発明のロスバスタチンカルシウムを含有する錠剤の処方及び製造方法を詳細に説明する。但し以下の記載は本発明を説明するための例示であり、本発明をこの記載範囲にのみ限定する趣旨ではない。
本発明において使用されるロスバスタチンカルシウムの平均粒子径(光散乱法による測定値)は10.0μm以下のものが好ましく、より好ましくは1.0〜5.0μmである。必要に応じて適宜乾式又は湿式粉砕を行い、任意の粒子径に調整することも可能である。ロスバスタチンカルシウムは、錠剤全重量に対して1.0〜5.0%の範囲で含有されていることが望ましい。また、ロスバスタチンカルシウムは無晶形であることが好ましい。
本発明の錠剤の製造に用いられる、医薬的に許容可能な添加剤としては、通常使用されている賦形剤、崩壊剤、滑択剤、流動化剤、遮光剤等が使用できる。なお、本発明における賦形剤、崩壊剤、滑沢剤、流動化剤、遮光剤とは「医薬品添加物辞典(日本医薬品添加剤協会編集、薬事日報社、2007年発行)」の「用途別索引」で当該名に分類されたものを指す。以下で本発明で用いられる具体的な添加物名称が列挙されるが、本発明で使用可能な医薬的に許容可能な添加剤はそれらに限定されない。本発明の錠剤は普通錠又は口腔内崩壊錠とすることが可能である。
使用可能な賦形剤としては、トウモロコシ澱粉、バレイショ澱粉、糖アルコール(マンニトール、エリスリトール、キシリトール、ソルビトール、イソマルト、マルチトール、ラクチトール等)、白糖、ショ糖、ブドウ糖、アルファー化デンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、メチルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、ポビドン、エチルセルロース等を挙げる事ができるが、好ましくは糖アルコール又は低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含む賦形剤であり、より好ましくはマンニトール又は低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含む賦形剤であり、さらにより好ましくはマンニトールと低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含む賦形剤であり、最も好ましくはマンニトールと低置換度ヒドロキシプロピルセルロースからなる賦形剤である。錠剤全重量に対して賦形剤は、好ましくは60.0〜90.0%の範囲で含まれ、より好ましくは80.0〜90.0%の範囲で含まれる。錠剤全重量に対してマンニトールは、好ましくは45.0〜89.0%の範囲で含まれ、より好ましくは49.0〜85.0%の範囲で含まれ、最も好ましくは59.0〜85.0%の範囲で含まれる。錠剤全重量に対して低置換度ヒドロキシプロピルセルロースは、好ましくは1.0〜45.0%の範囲で含まれ、より好ましくは5.0〜40.0%の範囲で含まれ、最も好ましくは5.0〜30.0%の範囲で含まれる。
使用可能な崩壊剤としては、例えばトウモロコシ澱粉、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルメロース、カルメロースカルシウム、カルメロースナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、クロスポビドン、カンテン末等を挙げる事ができ、好ましくはクロスポビドンである。錠剤全重量に対して崩壊剤は1.0〜10.0%の範囲で含まれることが好ましく、最も好ましくは3.0〜5.0%である。
使用可能な流動化剤としては、含水二酸化ケイ素、軽質無水ケイ酸、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルクなどを挙げることができ、好ましくは軽質無水ケイ酸である。錠剤全重量に対して流動化剤は0.1〜1.0%の範囲で含まれることが好ましい。
使用可能な滑択剤としては、軽質無水ケイ酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、フマル酸ステアリルナトリウム、タルク、硬化油等を挙げる事ができ、好ましくはステアリン酸マグネシウム又はフマル酸ステアリルナトリウムであり、最も好ましくはステアリン酸マグネシウムである。錠剤全重量に対して滑択剤は0.5〜3.0%の範囲で含まれることが好ましい。
また本発明の錠剤は、光に対する安定性を向上させるなどの目的に応じて素錠表面にフィルム層を形成してフィルムコーティング錠剤とすることが可能である。フィルムコーティング層に含まれる遮光剤としては、酸化チタン、タルク、黄色三二酸化鉄、三二酸化鉄等を挙げる事ができる。
本発明の錠剤において必ずしも含むことを必要としない、カチオンが多価である無機塩の安定化剤は、カチオンがカルシウム、マグネシウム、亜鉛、アルミニウム及び鉄等であり、アニオンが炭酸塩、ケイ酸塩、酸化物、水酸化物及びメタケイ酸塩等の組み合わせで形成されるものがまず挙げられ、具体的には水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、第三リン酸カルシウム、二リン酸カルシウム、一リン酸カルシウム、ヒドロタルサイト、塩化カルシウム、塩化マグネシウムなども挙げられるが、これらに限定はされない。
本発明の錠剤の製造方法としては、湿製法、圧縮打錠法(直打法、セミ直打法、顆粒圧縮法)が挙げられるが、好ましくは直打法である。直打法では通常行われる操作、すなわち原薬と一部の製剤添加物を均一に混合後、さらに滑択剤などの製剤添加物を加えて均一に混合させた打錠用混合物を回転式打錠機に供給及び打錠して成形することによって、本発明の錠剤が製造される。本発明で得られる錠剤の形状は特に限定されず、円形錠、円形R錠、円形隅角錠、円形2段R錠や異形錠等のいずれの形状でもよいが、フィルムコーティングを施す場合は、R錠等が好ましい。
フィルムコーティングの方法については、特に限定されないが、商業的に製造する場合はフィルムコーティング機を用いたコーティング法が用いられる。得られた素錠をフィルムコーティング機に仕込み、フィルム成分を水に懸濁してこれをスプレーすれば、本発明のフィルムコーティング錠が得られる。
以下、実施例、比較例及び試験例を挙げて本発明を説明するが、本発明をそれらの記載に限定するものではない。
実施例、比較例中の錠剤の製造で使用した添加物は以下の各社製のものを使用した。乳糖水和物はフロイント産業株式会社製の「ダイラクトーズ(登録商標)S」を使用した。D−マンニトールはフロイント産業株式会社製の「グラニュトール(登録商標)S」を使用した。結晶セルロースは旭化成ケミカルズ株式会社製の「セオラス(登録商標)PH−302」を使用した。低置換度ヒドロキシプロピルセルロースは信越化学工業株式会社製の「LH−21」を使用した。クロスポビドンにはISP社製の「ポリプラスドンXL−10」を使用した。軽質無水ケイ酸はフロイント産業株式会社製の「アドソリダー(登録商標)101」を使用した。第三リン酸カルシウムはnacalai tesque社製のものを使用した。ステアリン酸マグネシウムは太平化学産業株式会社製の「ステアリン酸マグネシウム植物性」を使用した。ロスバスタチンカルシウムはYUNJIN社製の「ロスバスタチンカルシウム」を使用し、形態は無晶形である。また、本発明の錠剤を製造する上では上記社製以外の適当な品質の添加物を代わりに使用しても特別差し支えはないと考えられる。
ロスバスタチンカルシウム2.6g、D−マンニトール63.25g、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース3.75g、クロスポビドン4.0g及び軽質無水ケイ酸0.4gをポリエチレン製の袋に投入し、混合した。次いで、この混合物にステアリン酸マグネシウム1.0gを加え、ポリエチレン製の袋にて混合した。次いで、この混合物を、ロータリー式打錠機(菊水製作所:VELA5−M型)を用いて直径5.5mmに圧縮成形し、下記組成の錠剤を得た。
[成 分] [1錠当たりの重量(mg)]
ロスバスタチンカルシウム 2.6
D−マンニトール 63.25
低置換ヒドロキシプロピルセルロース 3.75
クロスポピドン 4.0
軽質無水ケイ酸 0.4
ステアリン酸マグネシウム 1.0
[成 分] [1錠当たりの重量(mg)]
ロスバスタチンカルシウム 2.6
D−マンニトール 63.25
低置換ヒドロキシプロピルセルロース 3.75
クロスポピドン 4.0
軽質無水ケイ酸 0.4
ステアリン酸マグネシウム 1.0
ロスバスタチンカルシウム2.6g、D−マンニトール59.5g、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース7.5g、クロスポビドン4.0g及び軽質無水ケイ酸0.4gをポリエチレン製の袋に投入し、混合した。次いで、この混合物にステアリン酸マグネシウム1.0gを加え、ポリエチレン製の袋にて混合した。次いで、この混合物を、ロータリー式打錠機(菊水製作所:VELA5−M型)を用いて直径5.5mmに圧縮成形し、下記組成の錠剤を得た。
[成 分] [1錠当たりの重量(mg)]
ロスバスタチンカルシウム 2.6
D−マンニトール 59.5
低置換度ヒドロキシプロピルセルロース 7.5
クロスポピドン 4.0
軽質無水ケイ酸 0.4
ステアリン酸マグネシウム 1.0
[成 分] [1錠当たりの重量(mg)]
ロスバスタチンカルシウム 2.6
D−マンニトール 59.5
低置換度ヒドロキシプロピルセルロース 7.5
クロスポピドン 4.0
軽質無水ケイ酸 0.4
ステアリン酸マグネシウム 1.0
ロスバスタチンカルシウム2.6g、D−マンニトール52.0g、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース15.0g、クロスポビドン4.0g及び軽質無水ケイ酸0.4gをポリエチレン製の袋に投入し、混合した。次いで、この混合物にステアリン酸マグネシウム1.0gを加え、ポリエチレン製の袋にて混合した。次いで、この混合物を、ロータリー式打錠機(菊水製作所:VELA5−M型)を用いて直径5.5mmに圧縮成形し、下記組成の錠剤を得た
[成 分] [1錠当たりの重量(mg)]
ロスバスタチンカルシウム 2.6
D−マンニトール 52.0
低置換ヒドロキシプロピルセルロース 15.0
クロスポピドン 4.0
軽質無水ケイ酸 0.4
ステアリン酸マグネシウム 1.0
[成 分] [1錠当たりの重量(mg)]
ロスバスタチンカルシウム 2.6
D−マンニトール 52.0
低置換ヒドロキシプロピルセルロース 15.0
クロスポピドン 4.0
軽質無水ケイ酸 0.4
ステアリン酸マグネシウム 1.0
ロスバスタチンカルシウム2.6g、D−マンニトール44.5g、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース22.5g、クロスポビドン4.0g及び軽質無水ケイ酸0.4gをポリエチレン製の袋に投入し、混合した。次いで、この混合物にステアリン酸マグネシウム1.0gを加え、ポリエチレン製の袋にて混合した。次いで、この混合物を、ロータリー式打錠機(菊水製作所:VELA5−M型)を用いて直径5.5mmに圧縮成形し、下記組成の錠剤を得た。
[成 分] [1錠当たりの重量(mg)]
ロスバスタチンカルシウム 2.6
D−マンニトール 44.5
低置換ヒドロキシプロピルセルロース 22.5
クロスポピドン 4.0
軽質無水ケイ酸 0.4
ステアリン酸マグネシウム 1.0
[成 分] [1錠当たりの重量(mg)]
ロスバスタチンカルシウム 2.6
D−マンニトール 44.5
低置換ヒドロキシプロピルセルロース 22.5
クロスポピドン 4.0
軽質無水ケイ酸 0.4
ステアリン酸マグネシウム 1.0
ロスバスタチンカルシウム2.6g、D−マンニトール37.0g、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース30.0g、クロスポビドン4.0g及び軽質無水ケイ酸0.4gをポリエチレン製の袋に投入し、混合した。次いで、この混合物にステアリン酸マグネシウム1.0gを加え、ポリエチレン製の袋にて混合した。次いで、この混合物を、ロータリー式打錠機(菊水製作所:VELA5−M型)を用いて直径5.5mmに圧縮成形し、下記組成の錠剤を得た。
[成 分] [1錠当たりの重量(mg)]
ロスバスタチンカルシウム 2.6
D−マンニトール 37.0
低置換度ヒドロキシプロピルセルロース 30.0
クロスポピドン 4.0
軽質無水ケイ酸 0.4
ステアリン酸マグネシウム 1.0
[成 分] [1錠当たりの重量(mg)]
ロスバスタチンカルシウム 2.6
D−マンニトール 37.0
低置換度ヒドロキシプロピルセルロース 30.0
クロスポピドン 4.0
軽質無水ケイ酸 0.4
ステアリン酸マグネシウム 1.0
ロスバスタチンカルシウム5.4g、D−マンニトール103.8g、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース30.0g、クロスポビドン8.0g及び軽質無水ケイ酸0.8gをポリエチレン製の袋に投入し、混合した。次いで、この混合物にステアリン酸マグネシウム2.0gを加え、ポリエチレン製の袋にて混合した。次いで、この混合物を、ロータリー式打錠機(菊水製作所:VELA5−M型)を用いて直径5.5mmに圧縮成形し、下記組成の錠剤を得た
[成 分] [1錠当たりの重量(mg)]
ロスバスタチンカルシウム 2.7
D−マンニトール 51.9
低置換ヒドロキシプロピルセルロース 15.0
クロスポピドン 4.0
軽質無水ケイ酸 0.4
ステアリン酸マグネシウム 1.0
[成 分] [1錠当たりの重量(mg)]
ロスバスタチンカルシウム 2.7
D−マンニトール 51.9
低置換ヒドロキシプロピルセルロース 15.0
クロスポピドン 4.0
軽質無水ケイ酸 0.4
ステアリン酸マグネシウム 1.0
ロスバスタチンカルシウム5.4g、イソマルト103.8g、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース30.0g、クロスポビドン8.0g及び軽質無水ケイ酸0.8gをポリエチレン製の袋に投入し、混合した。次いで、この混合物にステアリン酸マグネシウム2.0gを加え、ポリエチレン製の袋にて混合した。次いで、この混合物を、ロータリー式打錠機(菊水製作所:VELA5−M型)を用いて直径5.5mmに圧縮成形し、下記組成の錠剤を得た
[成 分] [1錠当たりの重量(mg)]
ロスバスタチンカルシウム 2.7
イソマルト 51.9
低置換ヒドロキシプロピルセルロース 15.0
クロスポピドン 4.0
軽質無水ケイ酸 0.4
ステアリン酸マグネシウム 1.0
[成 分] [1錠当たりの重量(mg)]
ロスバスタチンカルシウム 2.7
イソマルト 51.9
低置換ヒドロキシプロピルセルロース 15.0
クロスポピドン 4.0
軽質無水ケイ酸 0.4
ステアリン酸マグネシウム 1.0
ロスバスタチンカルシウム5.4g、ラクチトール103.8g、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース30.0g、クロスポビドン8.0g及び軽質無水ケイ酸0.8gをポリエチレン製の袋に投入し、混合した。次いで、この混合物にステアリン酸マグネシウム2.0gを加え、ポリエチレン製の袋にて混合した。次いで、この混合物を、ロータリー式打錠機(菊水製作所:VELA5−M型)を用いて直径5.5mmに圧縮成形し、下記組成の錠剤を得た
[成 分] [1錠当たりの重量(mg)]
ロスバスタチンカルシウム 2.7
ラクチトール 51.9
低置換ヒドロキシプロピルセルロース 15.0
クロスポピドン 4.0
軽質無水ケイ酸 0.4
ステアリン酸マグネシウム 1.0
[成 分] [1錠当たりの重量(mg)]
ロスバスタチンカルシウム 2.7
ラクチトール 51.9
低置換ヒドロキシプロピルセルロース 15.0
クロスポピドン 4.0
軽質無水ケイ酸 0.4
ステアリン酸マグネシウム 1.0
<比較例1>
ロスバスタチンカルシウム2.6g、D−マンニトール52.0g、結晶セルロース15.0g、クロスポビドン4.0g及び軽質無水ケイ酸0.4gをポリエチレン製の袋に投入し、混合した。次いで、この混合物にステアリン酸マグネシウム1.0gを加え、ポリエチレン製の袋にて混合した。次いで、この混合物を、ロータリー式打錠機(菊水製作所:VELA5−M型)を用いて直径5.5mmに圧縮成形し、下記組成の錠剤を得た。
[成 分] [1錠当たりの重量(mg)]
ロスバスタチンカルシウム 2.6
D−マンニトール 52.0
結晶セルロース 15.0
クロスポピドン 4.0
軽質無水ケイ酸 0.4
ステアリン酸マグネシウム 1.0
ロスバスタチンカルシウム2.6g、D−マンニトール52.0g、結晶セルロース15.0g、クロスポビドン4.0g及び軽質無水ケイ酸0.4gをポリエチレン製の袋に投入し、混合した。次いで、この混合物にステアリン酸マグネシウム1.0gを加え、ポリエチレン製の袋にて混合した。次いで、この混合物を、ロータリー式打錠機(菊水製作所:VELA5−M型)を用いて直径5.5mmに圧縮成形し、下記組成の錠剤を得た。
[成 分] [1錠当たりの重量(mg)]
ロスバスタチンカルシウム 2.6
D−マンニトール 52.0
結晶セルロース 15.0
クロスポピドン 4.0
軽質無水ケイ酸 0.4
ステアリン酸マグネシウム 1.0
<比較例2>
ロスバスタチンカルシウム2.6g、乳糖水和物52.0g、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース15.0g、クロスポビドン4.0g及び軽質無水ケイ酸0.4gをポリエチレン製の袋に投入し、混合した。次いで、この混合物にステアリン酸マグネシウム1.0gを加え、ポリエチレン製の袋にて混合した。次いで、この混合物を、ロータリー式打錠機(菊水製作所:VELA5−M型)を用いて直径5.5mmに圧縮成形し、下記組成の錠剤を得た。
[成 分] [1錠当たりの重量(mg)]
ロスバスタチンカルシウム 2.6
乳糖水和物 52.0
低置換度ヒドロキシプロピルセルロース 15.0
クロスポピドン 4.0
軽質無水ケイ酸 0.4
ステアリン酸マグネシウム 1.0
ロスバスタチンカルシウム2.6g、乳糖水和物52.0g、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース15.0g、クロスポビドン4.0g及び軽質無水ケイ酸0.4gをポリエチレン製の袋に投入し、混合した。次いで、この混合物にステアリン酸マグネシウム1.0gを加え、ポリエチレン製の袋にて混合した。次いで、この混合物を、ロータリー式打錠機(菊水製作所:VELA5−M型)を用いて直径5.5mmに圧縮成形し、下記組成の錠剤を得た。
[成 分] [1錠当たりの重量(mg)]
ロスバスタチンカルシウム 2.6
乳糖水和物 52.0
低置換度ヒドロキシプロピルセルロース 15.0
クロスポピドン 4.0
軽質無水ケイ酸 0.4
ステアリン酸マグネシウム 1.0
<比較例3>
ロスバスタチンカルシウム2.6g、乳糖水和物52.0g、結晶セルロース15.0g、クロスポビドン4.0g及び軽質無水ケイ酸0.4gをポリエチレン製の袋に投入し、混合した。次いで、この混合物にステアリン酸マグネシウム1.0gを加え、ポリエチレン製の袋にて混合した。次いで、この混合物を、ロータリー式打錠機(菊水製作所:VELA5−M型)を用いて直径5.5mmに圧縮成形し、下記組成の錠剤を得た。
[成 分] [1錠当たりの重量(mg)]
ロスバスタチンカルシウム 2.6
乳糖水和物 52.0
結晶セルロース 15.0
クロスポピドン 4.0
軽質無水ケイ酸 0.4
ステアリン酸マグネシウム 1.0
ロスバスタチンカルシウム2.6g、乳糖水和物52.0g、結晶セルロース15.0g、クロスポビドン4.0g及び軽質無水ケイ酸0.4gをポリエチレン製の袋に投入し、混合した。次いで、この混合物にステアリン酸マグネシウム1.0gを加え、ポリエチレン製の袋にて混合した。次いで、この混合物を、ロータリー式打錠機(菊水製作所:VELA5−M型)を用いて直径5.5mmに圧縮成形し、下記組成の錠剤を得た。
[成 分] [1錠当たりの重量(mg)]
ロスバスタチンカルシウム 2.6
乳糖水和物 52.0
結晶セルロース 15.0
クロスポピドン 4.0
軽質無水ケイ酸 0.4
ステアリン酸マグネシウム 1.0
<比較例4>
ロスバスタチンカルシウム2.6g、乳糖水和物46.5g、結晶セルロース15.5g、クロスポビドン3.75g及び第三リン酸カルシウム5.66gをポリエチレン製の袋に投入し、混合した。次いで、この混合物にステアリン酸マグネシウム0.94gを加え、ポリエチレン製の袋にて混合した。次いで、この混合物を、ロータリー式打錠機(菊水製作所:VELA5−M型)を用いて直径5.5mmに圧縮成形し、下記組成の錠剤を得た。
[成 分] [1錠当たりの重量(mg)]
ロスバスタチンカルシウム 2.6
乳糖水和物 46.5
結晶セルロース 15.5
クロスポピドン 3.75
第三リン酸カルシウム 5.66
ステアリン酸マグネシウム 0.94
ロスバスタチンカルシウム2.6g、乳糖水和物46.5g、結晶セルロース15.5g、クロスポビドン3.75g及び第三リン酸カルシウム5.66gをポリエチレン製の袋に投入し、混合した。次いで、この混合物にステアリン酸マグネシウム0.94gを加え、ポリエチレン製の袋にて混合した。次いで、この混合物を、ロータリー式打錠機(菊水製作所:VELA5−M型)を用いて直径5.5mmに圧縮成形し、下記組成の錠剤を得た。
[成 分] [1錠当たりの重量(mg)]
ロスバスタチンカルシウム 2.6
乳糖水和物 46.5
結晶セルロース 15.5
クロスポピドン 3.75
第三リン酸カルシウム 5.66
ステアリン酸マグネシウム 0.94
〔試験例1〕賦形剤間の安定性及び溶出性への影響の評価
実施例3の錠剤並びに比較例1、2、3、4の錠剤について、60度75%相対湿度条件下で1週間、無包装状態で保存した検体のラクトン体の生成量及び溶出性を測定した結果を図1に示した。
実施例3の錠剤並びに比較例1、2、3の錠剤について、ラクトン体の増加量を二元配置分散分析により評価した。その結果、乳糖水和物及びD−マンニトール間で有意確率(以後、p値)は0.012であり、結晶セルロース及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロース間でp値は0.032とそれぞれの群間で有意な差を示し、D−マンニトールと低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの組み合わせ(実施例1)が最もラクトン体の生成を抑制する結果となった。さらにD−マンニトールと低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの組み合わせ(実施例1)は、カチオンが多価である無機塩(第三リン酸カルシウム)を配合している比較例4よりもラクトン体の増加量が抑制された。
また、ロスバスタチンカルシウムの溶出性の低下量についても、二元配置分散分析により評価した。その結果、乳糖水和物及びD−マンニトール間でp値は0.5であり有意な差でなかったが、結晶セルロース及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロース間でp値が0.037と有意な差を示し、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースでは溶出が低下しなかった。このことから、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースには溶出性の低下を抑制する効果を有することが確認された。
また、実施例6、7、8の錠剤について、50度75%相対湿度条件下で1週間、無包装状態で保存した検体のラクトン体の生成量を測定した結果を図3に示した。マンニトールを使用した実施例6に比べて、イソマルトを使用した実施例7及びラクチトールを使用した実施例8はラクトン体の生成量が幾分か多いため、本発明の糖アルコールとしてはマンニトールを使用することが好ましいと考えられる。
以上より、糖アルコール(D−マンニトール等)や低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを使用することで、加湿条件下でのラクトン体の生成や溶出性の低下を抑制することが可能であることが明らかとなった。
実施例3の錠剤並びに比較例1、2、3、4の錠剤について、60度75%相対湿度条件下で1週間、無包装状態で保存した検体のラクトン体の生成量及び溶出性を測定した結果を図1に示した。
実施例3の錠剤並びに比較例1、2、3の錠剤について、ラクトン体の増加量を二元配置分散分析により評価した。その結果、乳糖水和物及びD−マンニトール間で有意確率(以後、p値)は0.012であり、結晶セルロース及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロース間でp値は0.032とそれぞれの群間で有意な差を示し、D−マンニトールと低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの組み合わせ(実施例1)が最もラクトン体の生成を抑制する結果となった。さらにD−マンニトールと低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの組み合わせ(実施例1)は、カチオンが多価である無機塩(第三リン酸カルシウム)を配合している比較例4よりもラクトン体の増加量が抑制された。
また、ロスバスタチンカルシウムの溶出性の低下量についても、二元配置分散分析により評価した。その結果、乳糖水和物及びD−マンニトール間でp値は0.5であり有意な差でなかったが、結晶セルロース及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロース間でp値が0.037と有意な差を示し、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースでは溶出が低下しなかった。このことから、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースには溶出性の低下を抑制する効果を有することが確認された。
また、実施例6、7、8の錠剤について、50度75%相対湿度条件下で1週間、無包装状態で保存した検体のラクトン体の生成量を測定した結果を図3に示した。マンニトールを使用した実施例6に比べて、イソマルトを使用した実施例7及びラクチトールを使用した実施例8はラクトン体の生成量が幾分か多いため、本発明の糖アルコールとしてはマンニトールを使用することが好ましいと考えられる。
以上より、糖アルコール(D−マンニトール等)や低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを使用することで、加湿条件下でのラクトン体の生成や溶出性の低下を抑制することが可能であることが明らかとなった。
〔試験例2〕糖アルコールと低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの添加量の違いによる安定性及び溶出性の低下への影響の評価
実施例1、2、3、4、5の錠剤について、60度75%相対湿度条件下で1週間、無包装状態で保存した検体のラクトン体の生成量及び溶出性を測定した結果を図2に示した。
実施例1、2、3、4、5の錠剤について、D−マンニトールの添加量を減少させていくことでラクトン体の生成量が増加していく傾向が得られ、D−マンニトールの添加量が49.3%の実施例5では、比較例1、4のラクトン体増加量を上回った。
また、溶出性の低下については、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの添加量が5.0〜40.0%の範囲であれば溶出遅延を起こさず、良好な溶出性を示した。
以上のことから、錠剤全重量に対して糖アルコール(D−マンニトール等)が49.0〜85.0%の範囲の処方において加湿条件下でのラクトン体の生成を抑制しうる効果があり、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースが5.0〜40.0%の範囲の処方において溶出性の低下を抑制しうる効果があることを見出した。
実施例1、2、3、4、5の錠剤について、60度75%相対湿度条件下で1週間、無包装状態で保存した検体のラクトン体の生成量及び溶出性を測定した結果を図2に示した。
実施例1、2、3、4、5の錠剤について、D−マンニトールの添加量を減少させていくことでラクトン体の生成量が増加していく傾向が得られ、D−マンニトールの添加量が49.3%の実施例5では、比較例1、4のラクトン体増加量を上回った。
また、溶出性の低下については、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの添加量が5.0〜40.0%の範囲であれば溶出遅延を起こさず、良好な溶出性を示した。
以上のことから、錠剤全重量に対して糖アルコール(D−マンニトール等)が49.0〜85.0%の範囲の処方において加湿条件下でのラクトン体の生成を抑制しうる効果があり、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースが5.0〜40.0%の範囲の処方において溶出性の低下を抑制しうる効果があることを見出した。
以下に上記試験例1、2で行った試験方法及び試験条件についての詳細な補足説明を記載する。
(補足1)分解生成物含量の測定方法
高湿度条件下での保存(ナガノサイエンス株式会社製:恒温恒湿槽LH21−11M、60℃75%RH、無包装状態にて1週間)後、HPLCを用いて加湿前後の分解生成物の含量を測定した条件を以下に示す。
「HPLC測定条件」
検出器:フォトダイオードアレイ検出器
測定波長:242nm
カラム:CERi化学物質評価研究機構 L−column ODS(4.6×150、3μm)
カラム温度:50℃
移動相A:pH3.0の0.02mol/Lリン酸塩緩衝液/アセトニトリル混液(700:300)
移動相B:アセトニトリル/pH3.0の0.02mol/Lリン酸塩緩衝液混液(750:250)
グラジエント条件:以下の表1に示す通りに設定した。移動相組成は容量%で記載した。
分析時間:30分
流量:1.5mL/分
試料注入量:10μL
試料溶液の調整:ロスバスタチン2.5mg相当のロスバスタチンカルシウム錠を精製水・アセトニトリル混液(精製水75:アセトニトリル25)を用いて5mLとする。
本発明における加湿条件にて生成されるラクトン体は、上記手法による分解生成物の解析において、ロスバスタチンのピークの保持時間に対して、相対保持時間1.72に出現するピークである。なお、ラクトン体の含量はラクトン体のピーク面積をロスバスタチンのピーク面積で除して100をかけた数値とする。
高湿度条件下での保存(ナガノサイエンス株式会社製:恒温恒湿槽LH21−11M、60℃75%RH、無包装状態にて1週間)後、HPLCを用いて加湿前後の分解生成物の含量を測定した条件を以下に示す。
「HPLC測定条件」
検出器:フォトダイオードアレイ検出器
測定波長:242nm
カラム:CERi化学物質評価研究機構 L−column ODS(4.6×150、3μm)
カラム温度:50℃
移動相A:pH3.0の0.02mol/Lリン酸塩緩衝液/アセトニトリル混液(700:300)
移動相B:アセトニトリル/pH3.0の0.02mol/Lリン酸塩緩衝液混液(750:250)
グラジエント条件:以下の表1に示す通りに設定した。移動相組成は容量%で記載した。
流量:1.5mL/分
試料注入量:10μL
試料溶液の調整:ロスバスタチン2.5mg相当のロスバスタチンカルシウム錠を精製水・アセトニトリル混液(精製水75:アセトニトリル25)を用いて5mLとする。
本発明における加湿条件にて生成されるラクトン体は、上記手法による分解生成物の解析において、ロスバスタチンのピークの保持時間に対して、相対保持時間1.72に出現するピークである。なお、ラクトン体の含量はラクトン体のピーク面積をロスバスタチンのピーク面積で除して100をかけた数値とする。
(補足2)溶出性の測定方法
高湿度条件下での保存(ナガノサイエンス株式会社製:恒温恒湿槽LH21−11M、60℃75%RH、無包装状態にて1週間)後、第16改正日本薬局方溶出試験法に基づき、錠剤からのロスバスタチンの溶出速度を測定した。試験液には溶出試験第2液900mLを用い、パドル回転数は50rpmとした。溶出性の観測ポイントは、溶出の遅延傾向が顕著に現れる溶出開始から10分後の溶出率で評価した。
高湿度条件下での保存(ナガノサイエンス株式会社製:恒温恒湿槽LH21−11M、60℃75%RH、無包装状態にて1週間)後、第16改正日本薬局方溶出試験法に基づき、錠剤からのロスバスタチンの溶出速度を測定した。試験液には溶出試験第2液900mLを用い、パドル回転数は50rpmとした。溶出性の観測ポイントは、溶出の遅延傾向が顕著に現れる溶出開始から10分後の溶出率で評価した。
本発明によれば、ロスバスタチンカルシウムを含有する錠剤において、カチオンが多価である無機塩の安定化剤を含まずとも、高湿度環境下での保存において、化学的に安定で、かつ溶出性の低下しない錠剤を医療現場に提供できる。
Claims (10)
- ロスバスタチンカルシウムと、糖アルコール又は低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含有する錠剤。
- カチオンが多価である無機塩を含有せず、ロスバスタチンカルシウムが無晶形である、請求項1に記載の錠剤。
- 直接打錠法によって製造される、請求項2に記載の錠剤。
- マンニトール、エリスリトール、キシリトール、ソルビトール、イソマルト、マルチトール、ラクチトールより選ばれる糖アルコールを含有する、請求項1〜3のいずれかに記載の錠剤。
- マンニトールである糖アルコールを含有する、請求項1〜4のいずれかに記載の錠剤。
- 錠剤全重量に対して糖アルコールが49.0〜85.0%の範囲で含まれ、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースが5.0〜40.0%の範囲で含まれる、請求項1〜5のいずれかに記載の錠剤。
- 錠剤全重量に対して糖アルコールが59.0〜85.0%、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースが5.0〜30.0%の範囲で含まれる、請求項1〜6のいずれかに記載の錠剤。
- さらに崩壊剤および滑沢剤を含む、請求項1〜7のいずれかに記載の錠剤。
- 崩壊剤がクロスポビドンであり、滑沢剤がステアリン酸マグネシウムである、請求項8に記載の錠剤。
- 錠剤がフィルムコーティング錠剤である、請求項1〜9のいずれかに記載の錠剤。
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