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JP2020050744A - 単量体組成物の精製方法 - Google Patents

単量体組成物の精製方法 Download PDF

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JP2020050744A JP2018180498A JP2018180498A JP2020050744A JP 2020050744 A JP2020050744 A JP 2020050744A JP 2018180498 A JP2018180498 A JP 2018180498A JP 2018180498 A JP2018180498 A JP 2018180498A JP 2020050744 A JP2020050744 A JP 2020050744A
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祐輔 安
Yusuke Yasu
祐輔 安
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Nippon Zeon Co Ltd
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Abstract

【課題】多環芳香族ビニル化合物を含む単量体組成物に含有される、重合反応を阻害する虞のある不純物の少なくとも一部を除去することができる、単量体組成物の精製方法を提供する。
【解決手段】芳香族炭化水素単環及び芳香族複素単環からなる群より選択される単環を少なくとも2つ有する多環芳香族ビニル化合物を含む単量体組成物の精製方法である。かかる精製方法は、単量体組成物に対して吸着材を添加することにより、当該単量体組成物から硫黄を除去する不純物除去工程を含む。
【選択図】なし

Description

本発明は、単量体組成物の精製方法に関するものである。
近年、ビニルナフタレン等の芳香族炭化水素単環を2つ以上有する単量体単位と、脂肪族共役ジエン単量体単位とを有する共重合体由来の材料が、各種用途に使用し得る優れた材料として注目されている。
具体的には、例えば特許文献1には、特定のビニルナフタレン類と、特定のジエン類とを共重合反応させて得られるA−B−A型トリブロック共重合体に対して金属触媒を用いた水素添加を行うことで水素添加ブロック共重合体を得る方法と、この水素添加ブロック共重合体よりなる光学フィルムが開示されている。
特開2006−111650号公報
ここで、本発明者の検討により、特許文献1に開示されたような特定のビニルナフタレン類を含む多環芳香族ビニル化合物を含む単量体組成物を用いて重合体を製造するにあたり、かかる多環芳香族ビニル化合物に含有されうる不純物が、重合反応の進行を阻害しうることが明らかとなった。しかし、特許文献1には、多環芳香族ビニル化合物に含有されうる不純物が重合反応に及ぼし得る影響については何らの言及もなく、ひいては、かかる不純物の量を低減させるといった観点についても何ら開示されていなかった。
そこで、本発明は、多環芳香族ビニル化合物を含む単量体組成物に含有される、重合反応を阻害する虞のある不純物の少なくとも一部を除去することができる、単量体組成物の精製方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討を行った。そして、本発明者は、多環芳香族ビニル化合物を含む単量体組成物を用いて重合体を形成するにあたり、多環芳香族ビニル化合物を含む単量体組成物に不純物として含有されうる硫黄物質が、重合体の形成を阻害するように作用すること、及び、特定の吸着材により硫黄物質を効果的に除去し得ることを新たに見出し、本発明を完成させた。
即ち、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明の単量体組成物の精製方法は、芳香族炭化水素単環及び芳香族複素単環からなる群より選択される単環を少なくとも2つ有する多環芳香族ビニル化合物を含む単量体組成物の精製方法であって、前記単量体組成物に対して吸着材を添加することにより、前記単量体組成物から硫黄を除去する不純物除去工程を含むことを特徴とする。このように、多環芳香族ビニル化合物を含む単量体組成物に対して吸着材を添加して硫黄を除去することで、重合した際の重合転化率の高い単量体組成物を得ることができる。
ここで、本発明の単量体組成物の精製方法において、前記吸着材が、Alを50質量%超含有することが好ましい。このように、吸着材が、かかる組成を満たすものであれば、一層効果的に単量体組成物から硫黄を除去することができる。なお、吸着材の組成は、実施例に記載の方法に従って分析することができる。
また、本発明の単量体組成物の精製方法において、BET比表面積が100m/g以上であることが好ましい。このように、吸着材のBET比表面積が100m/g以上であれば、一層効果的に単量体組成物から硫黄を除去することができる。なお、吸着材のBET比表面積は、実施例に記載の方法に従って測定することができる。
そして、本発明の単量体組成物の精製方法において、前記不純物除去工程において、前記吸着材を、前記多環芳香族ビニル化合物の質量の0.05倍以上の割合で添加することが好ましい。吸着材の添加量を多環芳香族ビニル化合物の質量の0.05倍以上とすることで、一層効果的に単量体組成物から硫黄を除去することができる。
本発明によれば、多環芳香族ビニル化合物を含む単量体組成物に含有される、重合反応を阻害する虞のある不純物の少なくとも一部を除去することができる、単量体組成物の精製方法を提供することができる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
ここで、本発明の単量体組成物の精製方法により得られた精製済単量体組成物は、重合体の製造に際して好適に用いることができる。
(単量体組成物の精製方法)
本発明の単量体組成物の精製方法は、芳香族炭化水素単環及び芳香族複素単環からなる群より選択される単環を少なくとも2つ有する多環芳香族ビニル化合物を含む単量体組成物の精製方法である。かかる精製方法は、単量体組成物に対して吸着材を添加することにより、前記単量体組成物から硫黄を除去する不純物除去工程を含むことを特徴とする。本発明の単量体組成物の精製方法では、吸着材を用いて精製対象である単量体組成物に不純物として含有される硫黄物質を除去することで、精製済単量体組成物として、重合した際の重合転化率の高い単量体組成物を得ることができる。ここで、ある単量体組成物を重合した際の重合転化率が高い、ということは、かかる単量体組成物を用いて重合体を得た場合の収率が高いということを意味する。従って、重合体を効率的に製造する観点から、重合した際の重合転化率の高い単量体組成物は有利である。以下、精製対象である単量体組成物、及び本発明の単量体組成物の精製方法にて用いる吸着材等について、説明する。
<精製対象である単量体組成物>
本発明の単量体組成物の精製方法における精製対象である単量体組成物は、所定の多環芳香族ビニル化合物と、不純物とを含む。
<<多環芳香族ビニル化合物>>
多環芳香族ビニル化合物は、芳香族炭化水素単環及び芳香族複素単環からなる群より選択される単環を少なくとも2つ有する化合物である。なお、多環芳香族ビニル化合物中に2つ以上存在する単環は、互いに独立していてもよく、縮合して縮合環を形成していてもよいが、2つ以上存在する単環は縮合して存在することが好ましい。また、精製対象である単量体組成物は、1種又は複数種の多環芳香族ビニル化合物を含んでいても良い。
そして、芳香族炭化水素単環としては、例えば、ベンゼン環、及び、置換基を有するベンゼン環等が挙げられる。また、置換基としては、メチル基、プロピル基、t−ブチル基等のアルキル基、フッ素、塩素、臭素等のハロゲン基等が挙げられる。
また、芳香族複素単環としては、例えば、オキサジアゾール環、オキサゾール環、オキサゾロピラジン環、オキサゾロピリジン環、オキサゾロピリダジル環、オキサゾロピリミジン環、チアジアゾール環、チアゾール環、トリアジン環、ピラノン環、ピラン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピロール環等が挙げられる。
そして、多環芳香族ビニル化合物としては、例えば、1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、1,1−ジフェニルエチレン等が挙げられる。これらの中でも、多環芳香族ビニル化合物としては、1−ビニルナフタレン及び2−ビニルナフタレン等のビニルナフタレンが好ましい。ビニルナフタレンを含む単量体組成物は、各種用途に好適に用いることができる。
<<不純物>>
精製対象である単量体組成物に含まれる不純物としては、硫黄が挙げられる。不純物としての硫黄は、特に限定されることなく、遊離硫黄、及び各種の硫黄含有化合物といった硫黄物質等として含有されうる。また、硫黄以外の不純物としては、フッ素、塩素、臭素、及びヨウ素等のハロゲン、並びに水等が挙げられる。不純物としてのハロゲンの含有態様としては、特に限定されることなく、各種のハロゲン含有化合物が挙げられる。
本発明者の検討により、単量体組成物を重合した際の重合転化率の阻害効果については、上記不純物の中でも、種々の含有態様で含有されうる硫黄の寄与が大きいことが明らかとなった。さらに、本発明者の検討により、単量体組成物から硫黄を除去するにあたり、吸着材を用いることで、良好な除去効果が得られることが明らかとなった。そこで、本発明の単量体組成物の精製方法では、単量体組成物に対して吸着材を添加することにより、単量体組成物から、少なくとも硫黄を除去する不純物除去工程を行うことを必須の要件とした。
<不純物除去工程>
不純物除去工程では、単量体組成物に対して吸着材を添加して、単量体組成物から硫黄を除去する。具体的には、吸着材を用いた方法では、精製対象としての単量体組成物に対して吸着材を添加し、接触させることにより、単量体組成物中に含まれる硫黄を除去することができる。
<<吸着材>>
吸着材としては、少なくとも遊離硫黄又は硫黄物質を吸着可能である限りにおいて、あらゆる物質を用いることができる。さらに、吸着材としては、その組成におけるAlの割合が50質量%超である、無機酸化物が好ましい。そして、吸着材としての無機酸化物の組成におけるAlの割合が、60質量%以上であることがより好ましく、75質量%以上であることがより好ましく、95質量%以上であることが更に好ましい。吸着材としての無機酸化物の組成におけるAlの含有割合が高ければ、より効果的に単量体組成物から硫黄を除去することができる。なお、吸着材としての無機酸化物の組成が、実質的にAlのみからなるものであっても良い(即ち、吸着材が高純度アルミナであってもよい)。さらに、吸着材としての無機酸化物が、Feを含むことが好ましい。吸着材としての無機酸化物がFeを含む場合の含有割合は、0.01質量%以上0.05質量%以下であり得る。
また、吸着材のBET比表面積が、100m/g以上であることが好ましく、150m/g以上であることがより好ましい。吸着材のBET比表面積が上位下限値以上であれば、より効果的に単量体組成物から硫黄を除去することができる。なお、吸着材のBET比表面積は、通常、400m/g以下であり得る。
さらにまた、吸着材は、数平均粒径が10mm以下であることが好ましい。数平均粒径が10mm以下であれば、吸着材と単量体組成物との接触頻度を十分に高めることができ、硫黄除去効率を高めることができる。なお、吸着材の形状は、球状であることが好ましい。球状であれば、吸着材と単量体組成物との接触頻度を十分に高めることができるからである。また、吸着材の数平均粒径は、通常、1mm以上であり得る。なお、吸着材の数平均粒径は、吸着材10個の直径測定値の数平均値として、実施例に記載の方法に従って算出することができる。
さらにまた、吸着材は、充填密度が0.70kg/l以上0.90kg/l以下であることが好ましい。吸着材の充填密度が上記範囲内であれば、硫黄除去効率を一層十分に高めることができるからである。さらに、吸着材の比表面積が同等である場合には、充填密度がより大きい吸着材の方が、硫黄除去効率に優れる傾向がある。なお、吸着材の充填密度は、常法に従って測定することができる。
上述したような好適な性状を満足し得る吸着材としては、特に限定されることなく、住友化学社製活性アルミナ「KHシリーズ」及び「NKシリーズ」が挙げられる。
そして、不純物除去工程で単量体組成物に対して吸着材を添加するにあたり、添加する吸着材の質量が多環芳香族ビニル化合物の質量の0.05倍以上となるようにすることが好ましく、0.10倍以上となるようにすることがより好ましく、0.15倍以上となるようにすることがさらに好ましく、2.0倍以下となるように添加することが好ましい。吸着材の添加量の多環芳香族ビニル化合物の質量に対する割合(倍)が上記下限値以上となるようにすることで、硫黄除去効率を一層高めることができる。また、吸着材の添加量の多環芳香族ビニル化合物の質量に対する割合(倍)が上記上限値以下であれば、不純物除去工程を実施する容器内にて、吸着材の占める容積が過度に大きくなることに起因して、容器内への単量体組成物の導入量が過度に少なくなることを抑制することができる。
なお、不純物除去工程は、例えば、−80℃以上70℃以下の温度条件にて、0.5時間以上30日以内の処理時間(期間)で、実施することができる。
そして、不純物除去工程では、単量体組成物に含有される硫黄量を、多環芳香族ビニル化合物の質量を基準として、200ppm以下とすることが好ましく、150ppm以下とすることがより好ましい。不純物除去工程にて、単量体組成物に含有される硫黄量を上記上限値以下とすることで、重合した際の重合転化率の一層高い単量体組成物を得ることができる。なお、不純物除去工程で硫黄を完全に除去しても良く、即ち、不純物除去工程を経た精製済単量体組成物に含まれる硫黄量が0ppmとなるような条件で不純物除去工程を実施しても良い。しかし、不純物除去工程に要する時間が過度に長くなること、及び、重合した際の重合転化率を効率的に高める観点等から、不純物除去工程を経た精製済単量体組成物の硫黄量が、30ppm以上であっても良い。
また、不純物除去工程では、不純物除去工程を経て得られる精製済単量体組成物に含有される硫黄量を、精製前の単量体組成物に含有される硫黄量の90質量%以下とすることが好ましく、70質量%以下とすることがより好ましい。不純物除去工程を経た精製済単量体組成物に含まれる硫黄量の、精製前の単量体組成物に含有される硫黄量に対する比率(以下、単に「対精製前硫黄量比率」とも称する)を上記上限値以下とすることで、重合した際の重合転化率の一層高い単量体組成物を得ることができる。その理由は明らかではないが、不純物除去工程にて、対精製前硫黄量比率が上記上限値以下となる程度まで処理した場合に、重合反応の阻害作用が大きい硫黄物質が効率的に除去されることに起因すると推察される。
さらに、吸着材が、遊離ハロゲン又はハロゲン含有化合物の少なくとも一方を吸着可能であることが好ましい。この場合、不純物除去工程において、硫黄に併せてハロゲンも、単量体組成物から除去することができるからである。そして、硫黄に併せて、単量体組成物中に含まれるハロゲンをも除去することができれば、重合した際の重合転化率の一層高い単量体組成物を得ることができる。ここで、吸着材が、ハロゲンの中でも少なくとも臭素を吸着可能であることが好ましい。この場合、不純物除去工程において、単量体組成物に含まれる臭素の量を、後述する好適な範囲内とすることが好ましい。
吸着材がハロゲンも除去可能である場合には、不純物除去工程において、単量体組成物に含有されるハロゲン量(好ましくは、臭素量)を、多環芳香族ビニル化合物の質量を基準として、300ppm以下とすることが好ましく、200ppm以下とすることがより好ましい。不純物除去工程において、単量体組成物に含有されるハロゲン量を上記上限値以下とすることで、重合した際の重合転化率の一層高い単量体組成物を得ることができる。なお、不純物除去工程でハロゲンを完全に除去しても良く、即ち、不純物除去工程を経て得られる精製済単量体組成物におけるハロゲン量が0ppmとなるような条件で不純物除去工程を実施しても良い。しかし、不純物除去工程に要する時間及び工数、並びに、重合した際の重合転化率の観点から、不純物除去工程を経た精製済単量体組成物のハロゲン量が、50ppm以上であっても良い。
また、不純物除去工程では、不純物除去工程を経て得られる精製済単量体組成物に含有されるハロゲン量(好ましくは、臭素量)を、精製前の単量体組成物に含有されるハロゲン量(好ましくは、臭素量)の90質量%以下とすることが好ましく、55質量%以下とすることがより好ましい。不純物除去工程を経た精製済単量体組成物に含まれるハロゲン量の、精製前の単量体組成物に含有されるハロゲン量に対する比率(以下、単に「対精製前ハロゲン量比率」とも称する)を上記上限値以下とすることで、重合した際の重合転化率の一層高い単量体組成物を得ることができる。
<その他の下処理工程>
さらに、任意で、単量体組成物中に含有される水等を除去する下処理工程を実施することができる。単量体組成物中に含有される水を除去する方法としては、特に限定されることなく、モレキュラーシーブ等のゼオライトよりなる乾燥剤と単量体組成物とを接触させる方法等が挙げられる。かかる下処理工程は、特に限定されることなく、あらゆるタイミングで実施することができるが、製造効率を高める観点から、上述した不純物除去工程と同時に実施することが好ましい。なお、かかる下処理工程で用いられうる乾燥剤は、組成及び/又は性状の点で、上記吸着材とは異なる。また、乾燥剤は、遊離硫黄又は硫黄物質を実質的に吸着しない。
(重合体の製造)
本発明の単量体組成物の精製方法を経て得られた精製済単量体組成物を含む組成物(I)を用いて重合体を製造する場合には、アニオン重合法に従って重合することで、高い重合転化率で重合体を形成することができる。その理由は明らかではないが、不純物除去工程にて除去される硫黄物質が、種々の重合様式の中でも、特にアニオン重合を阻害するように作用するため、上記不純物除去工程を経た精製済単量体組成物を用いることで、アニオン重合による重合転化率を顕著に高め得るためであると推察される。
<重合工程>
重合工程では、組成物(I)をアニオン重合して重合体を得る。組成物(I)は、上述した芳香族炭化水素単環及び芳香族複素単環からなる群より選択される単環を少なくとも2つ有する多環芳香族ビニル化合物を含むことを必要とする。そして、重合工程では、アニオン重合触媒を用いたアニオン重合を実施して、多環芳香族ビニル化合物に由来する単量体単位のみからなるホモポリマー、又は、多環芳香族ビニル化合物に由来する単量体単位と他の化合物に由来する単量体単位とを含む共重合体を得ることができる。なお、アニオン重合は、特に限定されることなく、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下で、有機溶媒中にて行うことができる。
重合工程では、多環芳香族ビニル化合物を、脂肪族共役ジエン化合物と共重合させることができる。脂肪族共役ジエン化合物としては、例えば、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)等の鎖状共役ジエン化合物が挙げられ、重合後、共重合体組成物に対し可撓性を付与できるため2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)及び1,3−ブタジエンが特に好ましい。これらは、1種単独で、或いは2種以上を混合して用いることができる。
ここで、組成物(I)は、上記した化合物以外のその他の化合物を含んでいても良い。かかるその他の化合物としては、例えば、単環芳香族ビニル化合物及び不飽和カルボン酸エステル等が挙げられる。単環芳香族ビニル化合物とは、上述した芳香族炭化水素単環を1つ有する単量体単位である。具体的には、単環芳香族ビニル化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン等が挙げられる。また、具体的には、不飽和カルボン酸エステルとしては、アクリル酸メチル及びメタクリル酸メチル等が挙げられる。これらは、1種単独で、或いは2種以上を混合して用いることができる。
そして、重合工程で用いるアニオン重合触媒としては、例えば、アルキル基の炭素数が1〜10のアルキルリチウム化合物が挙げられる。アルキル基の炭素数が1〜10のアルキルリチウムをアニオン重合触媒として用いた場合に、組成物(I)中に硫黄物質が存在すると、アルキルリチウムが塩基として作用するなどしてアニオン重合が阻害されると推定される。このため、本発明の精製方法により単量体組成物に含まれる遊離硫黄及び硫黄物質の少なくとも一部を除去することで、アルキル基の炭素数が1〜10のアルキルリチウムをアニオン重合触媒として用いた場合に、アニオン重合反応が阻害されることを効果的に抑制することができる。
アルキルリチウム化合物としては、例えば、メチルリチウム、エチルリチウム、ペンチルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム等が挙げられる。中でも、重合反応を効率的に進行させる観点から、アニオン重合触媒として、n−ブチルリチウムを用いることが好ましい。また、アニオン重合触媒の使用量は、目的とする共重合体の分子量に応じて適宜調節すればよく、例えば、組成物(I)中の単量体のアニオン重合触媒に対するモル当量が、50当量以上3000当量以下となる範囲、より好ましくは、100当量以上2000当量以下となる範囲とすることができる。なお、アニオン重合触媒に併せて、任意で、ジブチルエーテル等の既知の共触媒を用いても良い。
さらに、重合工程で使用する有機溶媒としては、特に限定されることなく、例えば、ぺンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、トリメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ジエチルシクロヘキサン、デカヒドロナフタレン、ビシクロヘプタン、トリシクロデカン、ヘキサヒドロインデン、シクロオクタン等の脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン系脂肪族炭化水素;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン系芳香族炭化水素;ニトロメタン、ニトロベンゼン、アセトニトリル等の含窒素炭化水素系溶媒;又はこれらの混合溶媒が挙げられる。中でも、重合反応を効率的に進行させる観点から、有機溶媒としてトルエンを使用することが好ましい。なお、これらの有機溶媒は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。有機溶媒の使用量は、例えば、組成物(I)中の単量体の全質量を100質量部として、20質量部以上20000質量部以下とすることができる。
そして、多環芳香族ビニル化合物と脂肪族共役ジエン化合物とを共重合させる方法としては、ランダム共重合させる方法や、ブロック共重合させる方法が挙げられる。
ここで、多環芳香族ビニル化合物と、脂肪族共役ジエン化合物とをランダム重合させる方法は、特に限定されず、従来公知のランダム共重合体の製造方法を採用することができる。多環芳香族ビニル化合物と脂肪族共役ジエン化合物とをランダム重合させる場合に、多環芳香族ビニル化合物を、本発明の精製方法に従って得られた精製済単量体組成物とすることで、高い重合転化率でランダム重合体を形成することができる。さらに、多環芳香族ビニル化合物と脂肪族共役ジエン化合物とをランダム重合させる場合において、組成物(I)中の多環芳香族ビニル化合物の含有割合は、組成物(I)中の全単量体を100質量%として、例えば、5質量%以上99質量%以下であり得る。特に、組成物(I)中の多環芳香族ビニル化合物の含有割合を上記下限値以上とする場合に、本発明の精製方法に従って得られた精製済単量体組成物を用いることで、重合転化率を顕著に高めることができる。
また、多環芳香族ビニル化合物と、脂肪族共役ジエン化合物とをブロック共重合させる方法は、特に限定されず、従来公知のブロック共重合体の製造方法を採用することができる。例えば、多環芳香族ビニル化合物由来の構造単位を含み、且つ芳香族ビニル化合物由来の構造単位を主成分とする重合体ブロック[A](以下、単に「所定の重合体ブロック[A]」とも称する)及び脂肪族共役ジエン化合物由来の構造単位を主成分とする重合体ブロック[B](以下、単に「所定の重合体ブロック[B]」とも称する)を含んでなる、([A]−[B]−[A])型のトリブロック共重合体を製造する場合であれば、
(i)多環芳香族ビニル化合物を含む単量体混合物(a1)を重合させて、所定の重合体ブロック[A]を形成する第1の重合工程と、脂肪族共役ジエン化合物を含有する単量体混合物(b1)を重合させて、所定の重合体ブロック[B]を形成する第2の重合工程と、多環芳香族ビニル化合物を含有する単量体混合物(a2)を重合させて、所定の重合体ブロック[A]を形成する第3の重合工程とを含む方法;及び
(ii)多環芳香族ビニル化合物を含有する単量体混合物(a1)を重合させて、所定の重合体ブロック[A]を形成する第1の重合工程と、脂肪族共役ジエン化合物を含有する単量体混合物(b1)を重合させて、脂肪族共役ジエン化合物由来の構造単位を主成分とする重合体ブロック[B’]を形成する第2の重合工程と、重合体ブロック[B’]の末端同士をカップリング剤によりカップリングさせる工程とを含む方法、
等が挙げられる。なお、上記(ii)の方法において使用するカップリング剤としては、特に限定されることなく、従来公知のカップリング剤を使用することができる。また、カップリング剤の使用量は、目的とするブロック共重合体の分子量に応じて適宜調節すればよい。なお、本明細書において、ある重合体ブロックがある構造単位を「主成分とする」とは、当該重合体ブロックを構成する全単位を100質量%として、ある構造単位の割合が、50質量%超であることを意味し、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは80質量%以上であることを意味する。なお、ある重合体ブロックがある構造単位を「主成分とする」場合に、当該重合体ブロックの全単位がある構造単位であっても良い。即ち、ある重合体ブロックが、主成分である構造単位のみからなるブロックであっても良い。そして、かかる重合体ブロックを形成する際に用いる単量体混合物における各化合物間の質量比率は、目的とする重合体ブロックにおける各構造単位の割合に準ずる。
なお、上記の多環芳香族ビニル化合物を含む単量体混合物(a1)は、単環芳香族ビニル化合物を含んでいても良く、多環芳香族ビニル化合物及び単環芳香族ビニル化合物よりなる芳香族ビニル化合物の含有量が、単量体混合物(a1)に含有される全単量体量を100質量%として、50質量%超であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることが更に好ましく、80質量%以上であることが特に好ましい。なお、単量体混合物(a1)に含まれる単量体の全てが芳香族ビニル化合物であっても良い。さらに、単量体混合物(a1)における、多環芳香族ビニル化合物及び単環芳香族ビニル化合物の比率は、質量基準で、多環芳香族ビニル化合物:単環芳香族ビニル化合物=5:95〜100:0の範囲であり得る。かかる単量体混合物(a1)を重合して得られる上記重合体ブロック[A]における各種単量体単位の割合も、上記含有量及び比率に準じた割合となる。
そして、重合温度は、特に限定されることなく、例えば20℃以上150℃以下とすることができ、25℃以上120℃以下とすることが好ましい。重合温度が上記下限値以上であれば、重合触媒を十分に機能させることができるからである。また、重合温度が上記上限値以下であれば、重合触媒の分解を抑制することができるからである。
また、重合時間は特に限定されることなく、例えば1時間以上10時間以下とすることができる。重合時間が上記下限値以上であれば、重合反応を十分に進行させることができるからである。また、重合時間が上記上限値以下であれば、共重合体の製造に要する時間を低減することができるからである。
そして、重合工程終了後、得られた共重合体の回収方法は特に限定されず、例えば重合溶液としてそのまま回収することができる。なお、重合工程によって得られる反応混合物は、通常、共重合体と、有機溶媒とを含みうる。
精製済単量体組成物を用いる、上記重合工程により得られた重合体は、多環芳香族ビニル化合物由来の構造単位を含み、任意に、脂肪族共役ジエン化合物由来の構造単位、及び、その他の化合物由来の構造単位を含み得る。より具体的には、上記重合工程により得られた重合体は、多環芳香族ビニル化合物由来の構造単位のみからなるホモポリマー、或いは、脂肪族共役ジエン化合物由来の構造単位、及び、任意のその他の化合物由来の構造単位を含みうるランダム共重合体若しくはブロック共重合体であり得る。そして、かかる重合体は、精製済単量体組成物を用いることなく従来法に従って重合した重合体と比較して、分子量分布が狭い。従って、本発明の精製方法に従って得られた精製済単量体組成物を用いることで、分子量が比較的揃った重合体を得ることができる。なお、「分子量分布」は、実施例に記載の方法により測定することができる。
中でも、上記重合工程にてブロック共重合を実施して得られた反応混合物中に存在するブロック共重合体が、([A]−[B]−[A])型のトリブロック構造を有するトリブロック共重合体である場合に、純度が45%以上であることが好ましい。かかるブロック共重合体は、光学部品の形成材料を製造するに際して好適に用いることができる。なお、「トリブロック共重合体の純度」は、形成したブロック共重合体の全質量に対するトリブロック共重合体の質量の比率として、実施例に記載した方法により算出することができる。
トリブロック共重合体の純度は、70%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。トリブロック共重合体の純度が上記下限値以上であれば、かかる共重合体を含んでなる材料をフィルム状に成形した場合に、3次元位相差といった光学性能を一層良好に発揮することができる。
さらに、上記重合工程にてブロック共重合を実施して得られた反応混合物中に存在するブロック共重合体が、([A]−[B]−[A])型のトリブロック構造を有するトリブロック共重合体である場合に、分子量分布が1.50以下であることが好ましい。かかるブロック共重合体は、光学部品の形成材料を製造するに際して好適に用いることができる。
トリブロック共重合体の分子量分布は、2.0以下であることが好ましく、1.50以下であることがより好ましい。得られるトリブロック共重合体の分子量分布が上記上限値以下であれば、かかる共重合体を含んでなる材料をフィルム状に成形した場合に、3次元位相差といった光学性能を一層良好に発揮することができる。
以下、本発明について実施例に基づき具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下の説明において、量を表す「%」及び「部」は、特に断らない限り、質量基準である。以下に各種物性の測定法を示す。
<吸着材の組成>
吸着材を約0.5mm厚さに切断し、窒化ボロンの乳鉢で粉砕し、誘導結合プラズマ(Inductively Coupled Plasma:ICP)発光法で組成を求めた。結果を表1に示す。
<吸着材のBET比表面積>
吸着材のBET比表面積は、JIS Z 8830:2013に基づいて、BET法に従って測定した。結果を表1に示す。
<吸着材の粒径>
ノギスを用いて球状である吸着材10個の直径を測定し、数平均値を算出した。結果を表1に示す。
<硫黄量及び臭素量の測定>
実施例、比較例で得られた精製済単量体組成物を減圧下で蒸留して溶媒を除去し、試料を得た。約0.02gの試料を磁性ボードに量り取り、自動燃焼装置(ヤナコ社製)で燃焼後、イオンクロマトグラフィー(DIONEX社製、ICS−1500)により硫黄量及び臭素量を定量した。なお、硫黄量及び臭素量は、それぞれ、多環芳香族ビニル化合物の質量1g当たりに含有される、硫黄量(μg)及び臭素量(μg)、即ち、多環芳香族ビニル化合物の質量を基準とした量(ppm)として定量した。
なお、対精製前硫黄量比率、及び対精製前臭素量比率は、上記に従って定量した精製済単量体組成物中における各量(ppm)を、精製前の単量体組成物中における硫黄量(ppm)、臭素量(ppm)でそれぞれ除して、100分率とすることで得ることができる。
<数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、ピークトップ分子量(Mp)及び分子量分布(Mw/Mn)>
ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いて、実施例、比較例で得た各種重合体について、数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、及びピークトップ分子量(Mp)を測定し、分子量分布(Mw/Mn)を算出した。
その際、測定器としてはHLC−8320(東ソー社製)を用いた。カラムとしてはTSKgelα−M(東ソー社製)二本を直列に連結して用いた。検出器としては示差屈折計RI−8320(東ソー社製)を用いた。そして、展開溶媒としてテトラヒドロフランを用いて、上記各種重合体について、数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、及びピークトップ分子量(Mp)を標準ポリスチレン換算値として求めた。それから分子量分布(Mw/Mn)を算出した。
<転化率>
重クロロホルムを溶剤とするH−NMRを測定することにより、2−ビニルナフタレンの転化率及びイソプレンの転化率を算出した。
<トリブロック共重合体の純度>
実施例7〜9、比較例2で得られたトリブロック共重合体の純度について、下記式に基づいて算出した。
トリブロック共重合体の純度(%)=[単離したトリブロック共重合体の質量(g)/反応混合物中に含まれる全重合体の質量(g)]×100
なお、反応混合物中に含まれる各重合体の質量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)による面積比に基づいて算出した。
(実施例1)
<不純物除去工程>
耐圧ガラス容器に、多環芳香族ビニル化合物としての2−ビニルナフタレンを含む単量体組成物(粉体、硫黄量:150ppm、臭素量:300ppm、2−ビニルナフタレン基準)28gを量り取り、トルエン84gに溶解させた。その後、乾燥剤としてのモレキュラーシーブス3A(巴工業株式会社製、Al含有割合:40質量%未満、直径:1.6mm、高さ:3.2mm、円柱形状)を14gと吸着材としての活性アルミナ(住友化学社製、KHO−46)14g(多官能芳香族ビニル化合物の質量を基準として0.5(倍))を、それぞれ加え、25℃で21日間静置した。なお、モレキュラーシーブス3Aは、硫黄及びハロゲンの除去には寄与せず、単量体組成物中の水分子を吸着除去する目的で添加される乾燥剤である。
<重合工程>
窒素雰囲気下で乾燥し、反応器内雰囲気を窒素ガスに置換した耐圧反応器に、溶媒としてのトルエン30ml、及びアニオン重合触媒としてのn−ブチルリチウムの1.6Mヘキサン溶液32μl(n−ブチルリチウム:52μモル)をそれぞれ入れた。その後、上記耐圧反応器に、上記<不純物除去工程>で得られた、21日間精製処理をした精製済単量体組成物である、2−ビニルナフタレンの25質量%トルエン溶液8g(n−ブチルリチウムに対して250当量)加えた。25℃で1時間反応させた後、得られた2−ビニルナフタレン単位よりなるホモポリマーの一部を採取し、上記に従って各種測定を行った。結果を表1に示す。
(実施例2)
<不純物除去工程>における吸着材の添加量を、28gに変更して、吸着材の添加量を、多環芳香族ビニル化合物の質量を基準として、1.00(倍)とした以外は、実施例1と同様にして、各種操作及び測定を行った。結果を表1に示す。
(実施例3)
<不純物除去工程>における吸着材の添加量を、7gに変更して、吸着材の添加量を、多環芳香族ビニル化合物の質量を基準として、0.25(倍)とした以外は、実施例1と同様にして、各種操作及び測定を行った。結果を表1に示す。
(実施例4)
<不純物除去工程>において、吸着材として、実施例1で使用した吸着材とは粒子径の異なる(実施例1よりも粒子径が小さい)活性アルミナ(住友化学社製、KHO−24)14gを添加した以外は、実施例1と同様にして、各種操作及び測定を行った。結果を表1に示す。
(実施例5)
<不純物除去工程>において、吸着材として、実施例1で使用した吸着材とは比表面積の異なる(実施例1よりも比表面積が大きい)活性アルミナ(住友化学社製、NKHD−46HD)14gを添加した以外は、実施例1と同様にして、各種操作及び測定を行った。結果を表1に示す。
(実施例6)
<不純物除去工程>において、吸着材として、実施例1で使用した吸着材とは粒子径及び比表面積の異なる(実施例1よりも粒子径が小さく、比表面積が大きい)活性アルミナ(住友化学社製、NKHD−24HD)14gを添加した以外は、実施例1と同様にして、各種操作及び測定を行った。結果を表1に示す。
(実施例7)
<不純物除去工程>
吸着材として、実施例1で使用した吸着材とは粒子径及び比表面積の異なる(実施例1よりも粒子径が小さく比表面積が大きい)活性アルミナ(住友化学社製、NKHD−24HD)14gを添加し、25℃で7日間静置し、精製済単量体組成物を得た。
<ブロック共重合体の製造工程>
<<第1の重合工程>>
窒素雰囲気下、乾燥し、窒素で置換された耐圧反応器に、有機溶媒としてトルエン30ml、重合触媒としてn−ブチルリチウムの1.6Mヘキサン溶液32μl(n−ブチルリチウム:52μモル)をそれぞれ入れた。その後、上記の耐圧反応器に、多環芳香族ビニル化合物として上記で得られた精製済単量体組成物である2−ビニルナフタレンの25%トルエン溶液8g(n−ブチルリチウムに対して250当量)を添加して25℃で1時間反応させ、一段回目の重合反応を行い、重合体を得た。得られた重合体について、数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、ピークトップ分子量(Mp)、及び分子量分布(Mw/Mn)を、上記に従って測定し、また、2−ビニルナフタレンの転化率を上記に従って測定した。結果を表1に示す。
<<第2の重合工程>>
一段階目の重合反応の終了後、次いで、上記耐圧反応器中の反応混合物に、鎖状共役ジエン化合物としてイソプレン2g(n−ブチルリチウムに対して567当量)を添加し、更に50℃で30分間反応させ、二段階目の重合反応を行った。その結果、反応混合物中に、[2−ビニルナフタレンブロック]−[イソプレンブロック]のブロック構成を有するジブロック共重合体を得た。得られたジブロック共重合体の数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、ピークトップ分子量(Mp)、及び分子量分布(Mw/Mn)を、上記に従って測定した。また、上記に従って本工程で添加したイソプレンの転化率を測定した。結果を表1に示す。なお、H−NMRの測定結果から、1段階目の重合反応後に残っていた2−ビニルナフタレンは全て消費されたことを確認した。
<<第3の重合工程>>
その後、上記反応混合物に、更に、芳香族ビニル化合物として、上記で得られた精製済単量体組成物である2−ビニルナフタレンの25%トルエン溶液8g(n−ブチルリチウムに対して250当量)、及び共触媒としてのジブチルエーテル8.7μL(n−ブチルリチウムに対して1当量)添加して、25℃で17時間反応させ、三段階目の重合反応を行った。重合反応終了後、50μLのメタノールを添加して重合反応を停止させた。その結果、反応混合物中に、[2−ビニルナフタレンブロック]−[イソプレンブロック]−[2−ビニルナフタレンブロック]のブロック構成を有するトリブロック共重合体を得た。得られたトリブロック共重合体の数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、ピークトップ分子量(Mp)、及び分子量分布(Mw/Mn)、及びトリブロック共重合体の純度を上記に従って測定した。また、本工程で添加した2−ビニルナフタレンの転化率を上記に従って測定した。なお、H−NMRの測定結果から、2段階目の重合反応後に残っていたイソプレンは全て消費されたことを確認した。
(実施例8)
ブロック共重合体を製造するにあたり、<<第1の重合工程>>及び<<第3の重合工程>>にて、多環芳香族ビニル化合物として、精製処理期間を14日間とした以外は実施例7と同様の<不純物除去工程>を経て得られた精製済単量体組成物である2−ビニルナフタレンの25%トルエン溶液8g(n−ブチルリチウムに対して250当量)を添加した以外は、実施例7と同様にして、各種操作、及び測定を実施した。結果を表1に示す。なお、実施例7と同様に、第2の重合工程の完了時に、1段階目の重合反応後に残っていた2−ビニルナフタレンは全て消費されたことを確認し、第3の重合工程の完了時に、2段階目の重合反応後に残っていたイソプレンは全て消費されたことを確認した。
(実施例9)
ブロック共重合体を製造するにあたり、<<第1の重合工程>>及び<<第3の重合工程>>にて、多環芳香族ビニル化合物として、精製処理期間を21日間とした以外は実施例7と同様の<不純物除去工程>を経て得られた精製済単量体組成物である2−ビニルナフタレンの25%トルエン溶液8g(n−ブチルリチウムに対して250当量)を添加した以外は、実施例7と同様にして、各種操作、及び測定を実施した。結果を表1に示す。なお、実施例7と同様に、第2の重合工程の完了時に、1段階目の重合反応後に残っていた2−ビニルナフタレンは全て消費されたことを確認し、第3の重合工程の完了時に、2段階目の重合反応後に残っていたイソプレンは全て消費されたことを確認した。
(比較例1)
<不純物除去工程>を行わずに、下記の下処理をして、下処理済単量体組成物(2−ビニルナフタレンの25質量%トルエン溶液)を得て、<重合工程>において、精製済単量体組成物に代えて、下処理済単量体組成物を用いた以外は実施例1と同様にして、各種測定を行った。結果を表1に示す。
<下処理工程>
活性アルミナを用いず、更に、処理期間を1日間とした以外は、実施例1の<不純物除去工程>と同じ操作を行った。即ち、本下処理工程では、モレキュラーシーブス3Aを加えて1日間静置することにより、単量体組成物から水を除去して乾燥させることで、下処理済単量体組成物を得た。
(比較例2)
ブロック共重合体を製造するにあたり、<<第1の重合工程>>にて、多環芳香族ビニル化合物として、比較例1と同様の<下処理工程>を経て得られた下処理済単量体組成物である2−ビニルナフタレンの25%トルエン溶液8g(n−ブチルリチウムに対して250当量)を添加した以外は、実施例7と同様にして、各種操作を順次行うことを試みたが、第2の重合工程にて転化率が5%未満となり、それ以上反応を進めることができなかった。可能な範囲で測定を実施した結果を表1に示す。なお、H−NMRの測定結果から、1段階目の重合反応後に残っていた2−ビニルナフタレンが90%残っていることを確認した。
表中、「VN」は、ビニルナフタレンを、「IP」は、イソプレンを、それぞれ示す。
Figure 2020050744
表1より明らかなように、実施例1〜9のように、単量体組成物に対して吸着材を添加して単量体組成物から少なくとも硫黄を除去する不純物除去工程を含む精製方法に従って得られた精製済単量体組成物は、重合した場合の重合転化率が高いことが分かる。また、比較例1〜2のように、不純物除去工程を実施しなかった場合には、単量体組成物の重合転化率が低かったことが分かる。
本発明によれば、多環芳香族ビニル化合物を含む単量体組成物に含有される、重合反応を阻害する虞のある不純物の少なくとも一部を除去することができる、単量体組成物の精製方法を提供することができる。

Claims (4)

  1. 芳香族炭化水素単環及び芳香族複素単環からなる群より選択される単環を少なくとも2つ有する多環芳香族ビニル化合物を含む単量体組成物の精製方法であって、
    前記単量体組成物に対して吸着材を添加することにより、前記単量体組成物から硫黄を除去する不純物除去工程を含む、
    単量体組成物の精製方法。
  2. 前記吸着材が、Alを50質量%超含有する、請求項1に記載の単量体組成物の精製方法。
  3. 前記吸着材が、BET比表面積が100m/g以上である、請求項1又は2に記載の単量体組成物の精製方法。
  4. 前記不純物除去工程において、前記吸着材を、前記多環芳香族ビニル化合物の質量の0.05倍以上の割合で添加する、請求項1〜3の何れかに記載の単量体組成物の精製方法。
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