例示的な実施形態に係る眼科撮影装置、その制御方法、プログラム、及び記録媒体について図面を参照しながら詳細に説明する。本明細書にて引用された文献の開示内容や、その他の任意の公知技術を、実施形態に援用することが可能である。また、特に言及しない限り、「画像データ」とそれに基づく「画像」とを区別しない。同様に、特に言及しない限り、被検眼の「部位」とその「画像」とを区別しない。
例示的な実施形態に係る眼科撮影装置は、フーリエドメインOCT(例えば、スウェプトソースOCT)を利用して生体眼の眼底を計測することが可能である。実施形態に適用可能なOCTのタイプは、スウェプトソースOCTに限定されず、例えばスペクトラルドメインOCT又はタイムドメインOCTであってもよい。また、OCTの適用対象は眼底には限定されず、前眼部や硝子体など眼の任意の部位であってよい。
例示的な実施形態は、OCT以外のモダリティにより取得された画像を処理可能であってよい。例えば、例示的な実施形態は、眼底カメラ、SLO、スリットランプ顕微鏡、及び眼科手術用顕微鏡のいずれかにより取得された画像を処理可能であってよい。例示的な実施形態に係る眼科撮影装置は、眼底カメラ、SLO、スリットランプ顕微鏡、及び眼科手術用顕微鏡のいずれかを含んでいてよい。
例示的な実施形態により処理可能な被検眼の画像は、任意のモダリティにより取得された画像を解析して得られた画像を含んでいてもよい。このような解析画像の例として、擬似カラー化された画像(セグメント化された擬似カラー画像等)、元画像の一部のみからなる画像(セグメント画像等)、OCT画像を解析して得られた組織の厚み分布を表す画像(層厚マップ、層厚グラフ等)、組織の形状を表す画像(曲率マップ等)、病変の分布を表す画像(病変マップ等)などがある。
〈構成〉
図1に示す例示的な実施形態の眼科撮影装置1は、眼底カメラユニット2、OCTユニット100及び演算制御ユニット200を含む。眼底カメラユニット2には、被検眼の正面画像を取得するための光学系や機構が設けられている。OCTユニット100には、OCTを実行するための光学系や機構の一部が設けられている。OCTを実行するための光学系や機構の他の一部は、眼底カメラユニット2に設けられている。演算制御ユニット200は、各種の演算や制御を実行する1以上のプロセッサを含む。これらに加え、被検者の顔を支持するための部材(顎受け、額当て等)や、OCTの対象部位を切り替えるためのレンズユニット(例えば、前眼部OCT用アタッチメント)等の任意の要素やユニットが眼科撮影装置1に設けられてもよい。
本明細書において「プロセッサ」は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、プログラマブル論理デバイス(例えば、SPLD(Simple Programmable Logic Device)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array))等の回路を意味する。プロセッサは、例えば、記憶回路や記憶装置に格納されているプログラムを読み出し実行することで、実施形態に係る機能を実現する。
〈眼底カメラユニット2〉
眼底カメラユニット2には、被検眼Eの眼底Efを撮影するための光学系が設けられている。取得される眼底Efの画像(眼底像、眼底写真等と呼ばれる)は、観察画像、撮影画像等の正面画像である。観察画像は、例えば近赤外光を用いた動画撮影により得られ、アライメント、フォーカシング、トラッキングなどに利用される。撮影画像は、例えば可視領域又は赤外領域のフラッシュ光を用いた静止画像である。
眼底カメラユニット2は、照明光学系10と撮影光学系30とを含む。照明光学系10は被検眼Eに照明光を照射する。撮影光学系30は、被検眼Eからの照明光の戻り光を検出する。OCTユニット100からの測定光は、眼底カメラユニット2内の光路を通じて被検眼Eに導かれ、その戻り光は、同じ光路を通じてOCTユニット100に導かれる。
照明光学系10の観察光源11から出力された光(観察照明光)は、凹面鏡12により反射され、集光レンズ13を経由し、可視カットフィルタ14を透過して近赤外光となる。更に、観察照明光は、撮影光源15の近傍にて一旦集束し、ミラー16により反射され、リレーレンズ系17、リレーレンズ18、絞り19、及びリレーレンズ系20を経由する。そして、観察照明光は、孔開きミラー21の周辺部(孔部の周囲の領域)にて反射され、ダイクロイックミラー46を透過し、対物レンズ22により屈折されて被検眼E(眼底Ef)を照明する。観察照明光の被検眼Eからの戻り光は、対物レンズ22により屈折され、ダイクロイックミラー46を透過し、孔開きミラー21の中心領域に形成された孔部を通過し、ダイクロイックミラー55を透過し、撮影合焦レンズ31を経由し、ミラー32により反射される。更に、この戻り光は、ハーフミラー33Aを透過し、ダイクロイックミラー33により反射され、結像レンズ34によりイメージセンサ35の受光面に結像される。イメージセンサ35は、所定のフレームレートで戻り光を検出する。なお、撮影光学系30のフォーカス(焦点位置)は、眼底Ef又は前眼部に合致するように調整される。
撮影光源15から出力された光(撮影照明光)は、観察照明光と同様の経路を通って眼底Efに照射される。被検眼Eからの撮影照明光の戻り光は、観察照明光の戻り光と同じ経路を通ってダイクロイックミラー33まで導かれ、ダイクロイックミラー33を透過し、ミラー36により反射され、結像レンズ37によりイメージセンサ38の受光面に結像される。
液晶ディスプレイ(LCD)39は固視標(固視標画像)を表示する。LCD39から出力された光束は、その一部がハーフミラー33Aに反射され、ミラー32に反射され、撮影合焦レンズ31及びダイクロイックミラー55を経由し、孔開きミラー21の孔部を通過する。孔開きミラー21の孔部を通過した光束は、ダイクロイックミラー46を透過し、対物レンズ22により屈折されて眼底Efに投射される。
LCD39の画面上における固視標画像の表示位置を変更することにより、固視標による被検眼Eの固視位置を変更できる。固視位置の例として、黄斑を中心とする画像を取得するための固視位置や、視神経乳頭を中心とする画像を取得するための固視位置や、黄斑と視神経乳頭との間の位置を中心とする画像を取得するための固視位置や、黄斑から大きく離れた部位(眼底周辺部)の画像を取得するための固視位置などがある。このような典型的な固視位置の少なくとも1つを指定するためのグラフィカルユーザーインターフェース(GUI)等を設けることができる。また、固視位置(固視標の表示位置)をマニュアルで移動するためのGUI等を設けることができる。
固視位置を変更可能な固視標を被検眼Eに提示するための構成はLCD等の表示デバイスには限定されない。例えば、複数の発光部(発光ダイオード等)がマトリクス状(アレイ状)に配列された固視マトリクスを表示デバイスの代わりに採用することができる。この場合、複数の発光部を選択的に点灯させることにより、固視標による被検眼Eの固視位置を変更することができる。他の例として、移動可能な1以上の発光部によって、固視位置を変更可能な固視標を生成することができる。
アライメント光学系50は、被検眼Eに対する光学系のアライメントに用いられるアライメント指標を生成する。発光ダイオード(LED)51から出力されたアライメント光は、絞り52、絞り53、及びリレーレンズ54を経由し、ダイクロイックミラー55により反射され、孔開きミラー21の孔部を通過し、ダイクロイックミラー46を透過し、対物レンズ22を介して被検眼Eに投射される。アライメント光の被検眼Eからの戻り光(角膜反射光等)は、観察照明光の戻り光と同じ経路を通ってイメージセンサ35に導かれる。その受光像(アライメント指標像)に基づいてマニュアルアライメントやオートアライメントを実行できる。
従来と同様に、本例のアライメント指標像は、アライメント状態により位置が変化する2つの輝点像からなる。被検眼Eと光学系との相対位置がxy方向に変化すると、2つの輝点像が一体的にxy方向に変位する。被検眼Eと光学系との相対位置がz方向に変化すると、2つの輝点像の間の相対位置(距離)が変化する。z方向における被検眼Eと光学系との間の距離が既定のワーキングディスタンスに一致すると、2つの輝点像が重なり合う。xy方向において被検眼Eの位置と光学系の位置とが一致すると、所定のアライメントターゲット内又はその近傍に2つの輝点像が提示される。z方向における被検眼Eと光学系との間の距離がワーキングディスタンスに一致し、且つ、xy方向において被検眼Eの位置と光学系の位置とが一致すると、2つの輝点像が重なり合ってアライメントターゲット内に提示される。
オートアライメントでは、データ処理部230が、2つの輝点像の位置を検出し、主制御部211が、2つの輝点像とアライメントターゲットとの位置関係に基づいて後述の移動機構150を制御する。マニュアルアライメントでは、主制御部211が、被検眼Eの観察画像とともに2つの輝点像を表示部241に表示させ、ユーザーが、表示された2つの輝点像を参照しながら操作部242を用いて移動機構150を動作させる。
フォーカス光学系60は、被検眼Eに対するフォーカス調整に用いられるスプリット指標を生成する。撮影光学系30の光路(撮影光路)に沿った撮影合焦レンズ31の移動に連動して、フォーカス光学系60は照明光学系10の光路(照明光路)に沿って移動される。反射棒67は、照明光路に対して挿脱される。フォーカス調整を行う際には、反射棒67の反射面が照明光路に傾斜配置される。LED61から出力されたフォーカス光は、リレーレンズ62を通過し、スプリット指標板63により2つの光束に分離され、二孔絞り64を通過し、ミラー65により反射され、集光レンズ66により反射棒67の反射面に一旦結像されて反射される。更に、フォーカス光は、リレーレンズ20を経由し、孔開きミラー21に反射され、ダイクロイックミラー46を透過し、対物レンズ22を介して被検眼Eに投射される。フォーカス光の被検眼Eからの戻り光(眼底反射光等)は、アライメント光の戻り光と同じ経路を通ってイメージセンサ35に導かれる。その受光像(スプリット指標像)に基づいてマニュアルフォーカシングやオートフォーカシングを実行できる。
孔開きミラー21とダイクロイックミラー55との間の撮影光路に、視度補正レンズ70及び71を選択的に挿入することができる。視度補正レンズ70は、強度遠視を補正するためのプラスレンズ(凸レンズ)である。視度補正レンズ71は、強度近視を補正するためのマイナスレンズ(凹レンズ)である。
ダイクロイックミラー46は、眼底撮影用光路とOCT用光路(測定アーム)とを合成する。ダイクロイックミラー46は、OCTに用いられる波長帯の光を反射し、眼底撮影用の光を透過させる。測定アームには、OCTユニット100側から順に、コリメータレンズユニット40、リトロリフレクタ41、収差補正デバイス47、分散補償部材42、OCT合焦レンズ43、光スキャナ44、及びリレーレンズ45が設けられている。
リトロリフレクタ41は、図1に示す矢印の方向に移動可能とされ、それにより測定アームの長さが変更される。測定アーム長の変更は、例えば、眼軸長に応じた光路長補正や、干渉状態の調整などに利用される。
分散補償部材42は、参照アームに配置された分散補償部材113(後述)とともに、測定光LSの分散特性と参照光LRの分散特性とを合わせるよう作用する。
OCT合焦レンズ43は、測定アームのフォーカス調整を行うために測定アームに沿って移動される。撮影合焦レンズ31の移動、フォーカス光学系60の移動、及びOCT合焦レンズ43の移動を連係的に制御することができる。
光スキャナ44は、実質的に、被検眼Eの瞳孔と光学的に共役な位置に配置される。光スキャナ44は、測定アームにより導かれる測定光LSを偏向する。光スキャナ44は、例えば、x方向のスキャンを行うためのガルバノミラーと、y方向のスキャンを行うためのガルバノミラーとを含む、2次元スキャンが可能なガルバノスキャナである。
収差補正デバイス47は、測定光LSの経路に位置する各種物体により生じる収差を補正するためのデバイスである。この収差は、被検眼Eに起因する収差だけでなく、測定アームを構成する要素に起因する収差(内在的収差)も含む。
なお、内在的収差が実質的に一定であることを考慮し、これを補正するための収差補正デバイスを収差補正デバイス47とは別に設けてもよい。また、前述した前眼部OCT用アタッチメントのように、測定アームへの配置及びそれからの退避が可能な光学素子(群)が設けられている場合には、この光学素子(群)の使用時における内在的収差に対応する収差補正デバイスと不使用時における内在的収差に対応する収差補正デバイスとを別々に設けてもよいし、使用時と不使用時とで補正状態を切り替えられる単一の収差補正デバイスを設けてもよい。
このように、収差補正デバイス47は、少なくとも被検眼Eに起因する収差を補正するために用いられる。収差補正デバイス47は、例えば、デフォーマブルミラー(可変形状ミラー)又は空間位相変調器であってよい。
特許文献3に開示されているように、デフォーマブルミラーは、変形自在な反射面を有する膜状ミラーと、反射面の裏側の面に対向して2次元的に配列された複数のアクチュエータとを含む。これらアクチュエータを選択的に駆動することによって、膜状ミラーの反射面の形状が変化する。各アクチュエータの駆動は、主制御部211によって制御される。
同じく特許文献3に開示されているように、空間位相変調器は、典型的には、液晶素子を利用した反射型変調器であり、2次元的に配列された複数の電極に対して選択的に電圧を印加することによって液晶分子の配向を局所的に変化させる。これにより、大局的な屈折率分布が変化し、空間的な位相変調を可能にする。各電極に対する電圧制御は、主制御部211により行われる。
収差補正デバイス47として使用可能なデバイスは、デフォーマブルミラーや反射型空間位相変調器のような反射型波面補正デバイスには限定されず、屈折型デバイスであってもよい。
屈折型収差補正デバイスの例として、再公表第2010/007665号公報(その図17、図18)に開示されたものがある。この収差補正デバイスは、タンジェンシャル方向(又はラジアル方向)の直線に対称なパターンが形成された複数の領域に分割された透明電極を有し、この直線に対称なコマ収差を補正するために用いられる。
これら例示のほかにも、液体レンズ(例えば、特開2009−037711号公報に開示された液体レンズ)、相対的に回動可能な2つのシリンダーレンズ、フォーカス機構などの任意のデバイスを、収差補正デバイス47として適用することが可能である。
〈OCTユニット100〉
図2に例示するように、OCTユニット100には、スウェプトソースOCTを適用するための光学系が設けられている。この光学系は干渉光学系を含む。この干渉光学系は、波長可変光源(波長掃引型光源)からの光を測定光と参照光とに分割し、被検眼Eからの測定光の戻り光と参照光路を経由した参照光とを重ね合わせて干渉光を生成し、この干渉光を検出する。干渉光学系により得られた検出結果(検出信号)は、干渉光のスペクトルを表す信号であり、演算制御ユニット200に送られる。
光源ユニット101は、例えば、出射光の波長を高速で変化させる近赤外波長可変レーザーを含む。光源ユニット101から出力された光L0は、光ファイバ102により偏波コントローラ103に導かれてその偏光状態が調整される。更に、光L0は、光ファイバ104によりファイバカプラ105に導かれて測定光LSと参照光LRとに分割される。測定光LSの光路は測定アームなどと呼ばれ、参照光LRの光路は参照アームなどと呼ばれる。
参照光LRは、光ファイバ110によりコリメータ111に導かれて平行光束に変換され、光路長補正部材112及び分散補償部材113を経由し、リトロリフレクタ114に導かれる。光路長補正部材112は、参照光LRの光路長と測定光LSの光路長とを合わせるよう作用する。分散補償部材113は、測定アームに配置された分散補償部材42とともに、参照光LRと測定光LSとの間の分散特性を合わせるよう作用する。リトロリフレクタ114は、これに入射する参照光LRの光路に沿って移動可能であり、それにより参照アームの長さが変更される。参照アーム長の変更は、例えば、眼軸長に応じた光路長補正や、干渉状態の調整などに利用される。
リトロリフレクタ114を経由した参照光LRは、分散補償部材113及び光路長補正部材112を経由し、コリメータ116によって平行光束から集束光束に変換され、光ファイバ117に入射する。光ファイバ117に入射した参照光LRは、偏波コントローラ118に導かれてその偏光状態が調整され、光ファイバ119を通じてアッテネータ120に導かれてその光量が調整され、光ファイバ121を通じてファイバカプラ122に導かれる。
一方、ファイバカプラ105により生成された測定光LSは、光ファイバ127により導かれてコリメータレンズユニット40により平行光束に変換され、リトロリフレクタ41、収差補正デバイス47、分散補償部材42、OCT合焦レンズ43、光スキャナ44及びリレーレンズ45を経由し、ダイクロイックミラー46により反射され、対物レンズ22により屈折されて被検眼Eに投射される。測定光LSは、被検眼Eの様々な深さ位置において散乱・反射される。測定光LSの被検眼Eからの戻り光は、往路と同じ経路を逆向きに進行してファイバカプラ105に導かれ、光ファイバ128を経由してファイバカプラ122に到達する。
ファイバカプラ122は、光ファイバ128を介して入射された測定光LSと、光ファイバ121を介して入射された参照光LRとを重ね合わせて干渉光を生成する。ファイバカプラ122は、生成された干渉光を所定の分岐比(例えば1:1)で分岐することで一対の干渉光LCを生成する。一対の干渉光LCは、それぞれ光ファイバ123及び124を通じて検出器125に導かれる。
検出器125は、例えばバランスドフォトダイオードを含む。バランスドフォトダイオードは、一対の干渉光LCをそれぞれ検出する一対のフォトディテクタを有し、これらにより得られた一対の検出結果の差分を出力する。検出器125は、この出力(検出信号)をデータ収集システム(DAQ)130に送る。
データ収集システム130には、光源ユニット101からクロックKCが供給される。クロックKCは、光源ユニット101において、波長可変光源により所定の波長範囲内で掃引される各波長の出力タイミングに同期して生成される。光源ユニット101は、例えば、各出力波長の光L0を分岐して2つの分岐光を生成し、これら分岐光の一方を光学的に遅延させ、これら分岐光を合成し、得られた合成光を検出し、その検出結果に基づいてクロックKCを生成する。データ収集システム130は、検出器125から入力される検出信号のサンプリングをクロックKCに基づいて実行する。データ収集システム130は、このサンプリングの結果を演算制御ユニット200に送る。
本例では、測定アーム長を変更するための要素(例えば、リトロリフレクタ41)と、参照アーム長を変更するための要素(例えば、リトロリフレクタ114、又は参照ミラー)との双方が設けられているが、一方の要素のみが設けられていてもよい。また、測定アーム長と参照アーム長との間の差(光路長差)を変更するための要素はこれらに限定されず、任意の要素(光学部材、機構など)であってよい。
〈制御系・処理系〉
眼科撮影装置1の制御系及び処理系の構成例を図3及び図4に示す。制御部210、画像構築部220及びデータ処理部230は、例えば演算制御ユニット200に設けられる。眼科撮影装置1は、外部装置との間でデータ通信をおこなうための通信デバイスを含んでいてもよい。眼科撮影装置1は、記録媒体からデータを読み出す処理や、記録媒体にデータを書き込む処理を行うためのドライブ装置(リーダ/ライタ)を含んでいてもよい。
〈制御部210〉
制御部210は、各種の制御を実行する。制御部210は、主制御部211と記憶部212とを含む。また、図4に示すように、本実施形態の制御部210は、スキャン制御部213とフォーカス制御部214と収差補正制御部215とを含む。
〈主制御部211〉
主制御部211は、プロセッサを含み、眼科撮影装置1の各要素(図1〜図4に示された要素を含む)を制御する。主制御部211は、プロセッサを含むハードウェアと、制御ソフトウェアとの協働によって実現される。
主制御部211は、スキャン制御部213とフォーカス制御部214とを連係的に(同期的に)動作させることができる。これにより、OCTスキャンとフォーカス調整とが連係的に(同期的に)実行される。
撮影合焦駆動部31Aは、主制御部211の制御の下に、撮影光路に配置された撮影合焦レンズ31と照明光路に配置されたフォーカス光学系60とを移動する。リトロリフレクタ(RR)駆動部41Aは、主制御部211の制御の下に、測定アームに設けられたリトロリフレクタ41を移動する。OCT合焦駆動部43Aは、主制御部211(フォーカス制御部214)の制御の下に、測定アームに配置されたOCT合焦レンズ43を移動する。測定アームに設けられた光スキャナ44は、主制御部211(スキャン制御部213)の制御の下に動作する。収差補正デバイス47は、主制御部211(収差補正制御部215)の制御の下に動作する。リトロリフレクタ(RR)駆動部114Aは、主制御部211の制御の下に、参照アームに配置されたリトロリフレクタ114を移動する。上記した駆動部のそれぞれは、主制御部211の制御の下に動作するパルスモータ等のアクチュエータを含む。
移動機構150は、例えば、少なくとも眼底カメラユニット2を3次元的に移動する。典型的な例において、移動機構150は、±x方向(左右方向)に移動可能なxステージと、xステージを移動するx移動機構と、±y方向(上下方向)に移動可能なyステージと、yステージを移動するy移動機構と、±z方向(奥行き方向)に移動可能なzステージと、zステージを移動するz移動機構とを含む。これら移動機構のそれぞれは、主制御部211の制御の下に動作するパルスモータ等のアクチュエータを含む。
〈記憶部212〉
記憶部212は各種のデータを記憶する。記憶部212に記憶されるデータとしては、OCT画像、眼底像、被検眼情報、制御パラメータなどがある。
被検眼情報は、患者IDや氏名などの被検者情報や、左眼/右眼の識別情報や、電子カルテ情報などを含む。
制御パラメータは、例えば、OCTスキャンの制御に用いられるパラメータ(スキャン制御パラメータ)と、フォーカス(焦点位置)制御に用いられるパラメータ(フォーカス制御パラメータ)とを含む。
スキャン制御パラメータは、光スキャナ44に対する制御の内容を示すパラメータである。スキャン制御パラメータの例として、スキャンパターンを示すパラメータ、スキャン速度を示すパラメータ、スキャン間隔を示すパラメータなどがある。スキャン速度は、例えば、Aスキャンの繰り返しレートとして定義される。スキャン間隔は、例えば、隣接するAスキャンの間隔、つまりスキャン点の配列間隔、として定義される。スキャンパターンについては後述する。
フォーカス制御パラメータは、OCT合焦駆動部43Aに対する制御の内容を示すパラメータである。フォーカス制御パラメータの例として、測定アームの焦点位置を示すパラメータ、焦点位置の移動速度を示すパラメータ、焦点位置の移動加速度を示すパラメータなどがある。焦点位置を示すパラメータは、例えば、OCT合焦レンズ43の位置を示すパラメータである。焦点位置の移動速度を示すパラメータは、例えば、OCT合焦レンズ43の移動速度を示すパラメータである。焦点位置の移動加速度を示すパラメータは、例えば、OCT合焦レンズ43の移動加速度を示すパラメータである。移動速度は、一定であってもよいし、一定でなくてもよい。移動加速度についても同様である。
〈収差マップ219〉
記憶部212は収差マップ219を記憶する。収差マップ219は、収差補正デバイス47を制御するために収差補正制御部215によって用いられる。収差マップ219は、収差補正を伴うOCTスキャンの適用よりも前に取得され、記憶部212に保存される。
収差マップ219には、OCTスキャンの適用エリア(スキャンエリア)の少なくとも一部における収差補正量が定義されている。収差補正量が定義されているエリアを特定エリアと呼ぶことがある。特定エリアはスキャンエリアの全体であってもよいし、その一部のみであってもよい。
スキャンエリアは、事前に設定されたエリアであり、例えば所定形状且つ所定サイズを有する。スキャンエリアの形状は、例えば矩形状又は円形状であり、典型的にはスキャンパターンに応じて設定される。矩形状のスキャンエリアは、例えば、互いに平行に配列された複数のBスキャンからなるラスタースキャン(3次元スキャン)が適用される場合に採用される。円形状のスキャンエリアは、例えば、渦巻状スキャン、同心円状スキャン、及び、互いに異なる向きの複数のBスキャンが等角度間隔で配列されたラジアルスキャンのいずれかが適用される場合に採用される。
例えば、スキャンエリアには、スキャン位置を表現するための2次元座標系(スキャン座標系)が定義されている。スキャン位置は、例えば、Aスキャンの適用目標位置、又は測定光LSの投射目標位置とも言える。スキャン座標系は、図1に示すxyz座標系(3次元座標系)におけるxy座標系であってよい。また、スキャンエリアのサイズが被検眼Eの眼軸長や視度に応じて変化することを考慮して、xy座標系とは異なる2次元座標系をスキャン座標系として設定してもよい。以下、眼軸長等による倍率補正が適用されることを仮定し、スキャン座標系はxy座標系であるとする。
或るスキャン位置の座標を(x,y)とすると、このスキャン位置に対して収差補正量W(x,y)が対応付けられる。収差マップ219は、特定エリア内の各スキャン位置(x,y)に対して収差補正量W(x,y)が対応付けられたマップである。換言すると、収差マップ219は、特定エリア内における収差補正量の分布を表す。
上記の例では、スキャン位置を定義するために2次元座標系が用いられているが、スキャン位置の定義はこれに限定されない。例えば、OCTスキャンのために測定光を偏向する光スキャナに関するパラメータをスキャン位置を定義するために用いることができる。本実施形態では、光スキャナ44に含まれる偏向ミラー(ガルバノミラー)の向きを示すパラメータ、又は、光スキャナ44を制御するための信号に含まれるパラメータを、スキャン位置の定義に用いることが可能である。
本実施形態において、スキャンエリアは、後述の広角OCTスキャン適用エリアと同じであってよい。なお、収差の影響が眼底周辺部において大きいことを考慮すると、収差マップ219に基づく収差補正はスキャンエリアが大きくなるほど有効性が高い。つまり、本実施形態の収差補正は、広角OCTスキャンにおいて有効である。
特定エリアは、スキャンエリアにおいて収差補正量が定義されているエリアであり、スキャンエリアの少なくとも一部に相当する。
スキャンエリアが広角OCTスキャン適用エリアの少なくとも一部を含む場合、特定エリアは、広角OCTスキャン適用エリアの少なくとも一部を含んでいてよい。典型的には、特定エリアは、広角OCTスキャン適用エリアにおける周縁領域(後述)の少なくとも一部を含み、より典型的には周縁領域の全体を含む。これは、眼底周辺部における大きな収差を補正するためである。
収差マップ219は、例えば、生体眼における収差分布にしたがって作成される。収差マップ219は、標準的な眼における収差分布から得られた収差補正量分布を含んでいてよい。或いは、収差マップ219は、多数の生体眼の測定によって統計的に求められた収差分布から得られた収差補正量分布を含んでいてよい。各スキャン位置における収差補正量は、例えば、当該スキャン位置における収差を低減させる量であり、典型的には当該スキャン位置における収差を打ち消す量である。なお、眼科撮影装置1に波面測定機能を設け、OCTスキャンの実施よりも前に収差マップの作成を行うようにしてもよい。
2以上の収差マップを準備し、これらを選択的に使用することができる。例えば、近視眼用収差マップ、遠視眼用収差マップ、強度近視眼用収差マップ、強度遠視眼用収差マップのような、視度に応じた2以上の収差マップを準備し、被検眼Eの視度に対応する収差マップを選択することができる。
〈スキャン制御部213〉
スキャン制御部213は、スキャン制御パラメータに基づいて光スキャナ44を制御する。スキャン制御部213は、光源ユニット101の制御を更に実行してもよい。スキャン制御部213が実行する処理の内容については後述する。スキャン制御部213は主制御部211に含まれる。スキャン制御部213は、プロセッサを含むハードウェアと、スキャン制御ソフトウェアとの協働によって実現される。
〈フォーカス制御部214〉
フォーカス制御部214は、フォーカス制御パラメータに基づいてOCT合焦駆動部43Aを制御する。フォーカス制御部214が実行する処理の内容については後述する。フォーカス制御部214は主制御部211に含まれる。フォーカス制御部214は、プロセッサを含むハードウェアと、フォーカス制御ソフトウェアとの協働によって実現される。
〈収差補正制御部215〉
収差補正制御部215は、収差マップ219に基づいて収差補正デバイス47を制御する。
主制御部211は、少なくとも収差補正制御部215とスキャン制御部213とを連係動作させる。すなわち、主制御部211は、スキャン制御パラメータに基づきスキャンエリア(例えば広角OCTスキャン適用エリア)にOCTスキャンを適用するためのスキャン制御部213の動作と、収差マップ219に基づき収差補正デバイス47を制御するための収差補正制御部215の動作とを連係させる。
これにより、特定エリアに対応する眼底Efの領域にOCTスキャンを適用しつつ、特定エリア内の各スキャン位置に応じた収差補正を適用することができる。つまり、特定エリア内の各スキャン位置に対して適切に収差補正を行いつつAスキャンを適用することが可能になる。スキャンエリアにおいて特定エリア以外の部分エリアについては、収差補正を適用することなくOCTスキャンが適用される。つまり、特定エリア外の各スキャン位置に対しては収差補正を行わずにAスキャンが適用される。
主制御部211は、収差補正制御部215とスキャン制御部213とフォーカス制御部214とを連係動作させてもよい。すなわち、主制御部211は、スキャン制御パラメータに基づきスキャンエリア(例えば広角OCTスキャン適用エリア)にOCTスキャンを適用するためのスキャン制御部213の動作と、収差マップ219に基づき収差補正デバイス47を制御するための収差補正制御部215の動作と、フォーカス制御パラメータに基づきOCT合焦駆動部43Aを制御するためのフォーカス制御部214の動作とを連係させることができる。
これにより、特定エリアに対応する眼底Efの領域にOCTスキャンを適用しつつ、特定エリア内の各スキャン位置に応じた収差補正とフォーカス調整とを適用することができる。つまり、特定エリア内の各スキャン位置に対して適切に収差補正及びフォーカス調整を行いつつAスキャンを適用することが可能になる。スキャンエリアにおいて特定エリア以外の部分エリアについては、収差補正及びフォーカス調整を適用することなくOCTスキャンが適用されるか、又は、収差補正を適用することなくフォーカス調整及びOCTスキャンが適用される。つまり、特定エリア外の各スキャン位置に対しては少なくとも収差補正を行わずにAスキャンが適用される。
2以上の収差マップが記憶部212に記憶されている場合、収差補正制御部215は、例えば、アライメント及びフォーカス調整後における撮影合焦レンズ31(又はOCT合焦レンズ43)の位置や、視度補正レンズ70及び71の使用の有無に基づいて被検眼Eの視度を求め、被検眼Eの視度に対応する収差マップを2以上の収差マップのうちから選択することができる。或いは、収差補正制御部215は、被検者の医療情報(電子カルテ等)から被検眼Eの視度を取得し、被検眼Eの視度に対応する収差マップを2以上の収差マップのうちから選択することができる。収差補正制御部215は、2以上の収差マップのうちから選択された収差マップに基づいて収差補正デバイス47の制御を行う。
〈画像構築部220〉
画像構築部220は、プロセッサを含み、データ収集システム130から入力された信号(サンプリングデータ)に基づいて、眼底EfのOCT画像データを形成する。OCT画像データは、例えば、Bスキャン画像データ(2次元断層像データ)である。
OCT画像データを形成する処理は、従来のフーリエドメインOCTと同様に、ノイズ除去(ノイズ低減)、フィルタ処理、高速フーリエ変換(FFT)などを含む。他のタイプのOCT装置の場合、画像構築部220は、そのタイプに応じた公知の処理を実行する。
画像構築部220は、データ収集システム130から入力された信号に基づいて、眼底Efの3次元データを形成する。この3次元データは、眼底Efの3次元領域(ボリューム)を表現した3次元画像データである。この3次元画像データは、3次元座標系により画素の位置が定義された画像データを意味する。3次元画像データの例として、スタックデータやボリュームデータがある。
スタックデータは、複数のスキャンラインに沿って得られた複数の断層像を、これらスキャンラインの位置関係に基づき3次元的に配列して得られた画像データである。すなわち、スタックデータは、元々個別の2次元座標系により定義されていた複数の断層像を、1つの3次元座標系により表現する(つまり、1つの3次元空間に埋め込む)ことにより得られた画像データである。或いは、スタックデータは、2次元的に配列された複数のスキャン点(スキャン点アレイ)についてそれぞれ取得された複数のAスキャンデータを、これらスキャン点の位置関係に基づき3次元的に配列して得られた画像データである。
ボリュームデータは、3次元的に配列されたボクセルを画素とする画像データであり、ボクセルデータとも呼ばれる。ボリュームデータは、スタックデータに補間処理やボクセル化処理などを適用することによって形成される。
画像構築部220は、3次元画像データにレンダリングを施して表示用画像を形成する。適用可能なレンダリング法の例として、ボリュームレンダリング、サーフェスレンダリング、最大値投影(MIP)、最小値投影(MinIP)、多断面再構成(MPR)などがある。
画像構築部220は、3次元画像データに基づいてOCT正面画像(OCT en−face画像)を形成することが可能である。例えば、画像構築部220は、3次元画像データをz方向(Aライン方向、深さ方向)に投影してプロジェクションデータを構築することができる。また、画像構築部220は、3次元画像データの一部をz方向に投影してシャドウグラムを構築することができる。
シャドウグラムを構築するために投影される部分的3次元画像データは、例えば、セグメンテーションを利用して設定される。セグメンテーションは、画像中の部分領域を特定する処理である。典型的には、セグメンテーションは、眼底Efの所定組織に相当する画像領域を特定するために利用される。セグメンテーションは、例えば、画像構築部220又はデータ処理部230により実行される。
眼科撮影装置1は、OCT血管造影(OCT−Angiography)を実施可能であってよい。OCT血管造影は、網膜血管や脈絡膜血管が強調された画像を構築するイメージング技術である(例えば、特表2015−515894号公報を参照)。一般に、眼底組織(構造)は時間的に変化しないが、血管内部の血流部分は時間的に変化する。OCT血管造影では、このような時間的変化が存在する部分(血流信号)を強調して画像を生成する。なお、OCT血管造影は、OCTモーションコントラスト撮影(motion contrast imaging)などとも呼ばれる。また、OCT血管造影により取得される画像は、血管造影画像、アンジオグラム、モーションコントラスト画像などと呼ばれる。
OCT血管造影が実施される場合、眼科撮影装置1は、眼底Efの同じ領域を所定回数だけ繰り返しスキャンする。例えば、所定のスキャンパターン(例えば渦巻状スキャンパターン)上の2点間の軌跡に沿って繰り返しスキャンを行うことができる。画像構築部220は、繰り返しスキャンにおいてデータ収集システム130により収集されたデータセットからモーションコントラスト画像を構築することができる。このモーションコントラスト画像は、眼底Efの血流に起因する干渉信号の時間的変化を強調して画像化した血管造影画像である。典型的には、眼底Efの3次元領域に対してOCT血管造影が適用され、眼底Efの血管の3次元的な分布を表す画像が得られる。
OCT血管造影が実施された場合、画像構築部220は、3次元血管造影画像データから、任意の2次元血管造影画像データ及び/又は任意の擬似的3次元血管造影画像データを構築することが可能である。例えば、画像構築部220は、3次元血管造影画像データに多断面再構成を適用することにより、眼底Efの任意の断面を表す2次元血管造影画像データを構築することができる。
画像構築部220は、プロセッサを含むハードウェアと、画像構築ソフトウェアとの協働によって実現される。
〈データ処理部230〉
データ処理部230は、プロセッサを含み、被検眼Eの画像に対して各種のデータ処理を適用する。例えば、データ処理部230は、プロセッサを含むハードウェアと、データ処理ソフトウェアとの協働によって実現される。
データ処理部230は、眼底Efについて取得された2つの画像の間の位置合わせ(レジストレーション)を行うことができる。例えば、データ処理部230は、OCTで取得された3次元画像データと、眼底カメラユニット2により取得された正面画像との間のレジストレーションを行うことができる。また、データ処理部230は、OCTで取得された2つのOCT画像の間のレジストレーションを行うことができる。また、データ処理部230は、眼底カメラユニット2により取得された2つの正面画像の間のレジストレーションを行うことができる。また、OCT画像の解析結果や、正面画像の解析結果に対してレジストレーションを適用することも可能である。レジストレーションは、公知の手法によって実行可能であり、例えば特徴点抽出とアフィン変換とを含む。
図4に例示するように、本実施形態のデータ処理部230は、パラメータ設定部231と移動検出部232と収差マップ作成部233とを含む。
〈パラメータ設定部231〉
パラメータ設定部231は、予め取得された眼底EfのOCT画像に基づいてフォーカス制御パラメータを設定する。このOCT画像(準備的画像)は、広角OCTスキャンの適用エリアの大まかな形状を検出するために用いられ、これにより検出された形状に基づいてフォーカス制御パラメータが設定される。
眼科撮影装置1は、フォーカス制御パラメータの設定に用いられるOCT画像を取得することができる。例えば、眼科撮影装置1は、広角OCTスキャンを被検眼Eに適用する前に、被検眼Eに対して準備的OCTスキャンを適用することができる。
準備的OCTスキャンは、広角OCTスキャン適用エリアの中心領域と周縁領域との双方を通過するように実行される。例えば、眼底Efの広角OCTスキャンのための準備的OCTスキャンにおいて、黄斑領域(及びその近傍領域)を眼底Efの中心領域に設定し、且つ、黄斑から所定距離以上離れた領域を周縁領域に設定することができる。また、前眼部の広角OCTスキャンのための準備的OCTスキャンにおいては、角膜頂点及びその近傍領域を前眼部の中心領域に設定し、且つ、角膜頂点から所定距離以上離れた領域を周縁領域に設定することができる。より一般に、被検眼Eの眼軸及びその近傍領域を中心領域に設定し、且つ、眼軸から所定距離以上離れた領域を周縁領域に設定することが可能である。
準備的OCTスキャンのパターンは、3次元スキャン(ラスタースキャン)のように多数のスキャン点を含むスキャンパターンであってもよいが、準備的OCTスキャンの目的が広角OCTスキャン適用エリアの大まかな形状の把握であることを考慮すると、Bスキャン(ラインスキャン)、クロススキャン、ラジアルスキャンのように比較的シンプルなスキャンパターンで十分である。
画像構築部220は、準備的OCTスキャンにより収集されたデータから準備的画像を構築する。準備的画像は、典型的には、広角OCTスキャン適用エリアの中心領域の1以上の断面と周縁領域の1以上の断面とを表す1以上のBスキャン画像を含む。
なお、以下の例では、中心領域の外縁並びに周縁領域の外縁及び内縁がいずれも円形状であるが、中心領域の形状及び周縁領域の形状はこれらに限定されない。例えば、中心領域の外縁並びに周縁領域の外縁及び内縁のいずれかが矩形状であってよく、また、任意形状であってよい。また、周縁領域の外縁形状と内縁形状とが同じでもよいし、互いに異なってもよい。
図5Aに示す準備的OCTスキャンの例は、眼底Efの黄斑Emを含む中心領域310と、黄斑Emから離れた周縁領域320(斜線で示す領域)とを通過する、1つのBスキャン330である。符号Edは視神経乳頭を示す。本例では、Bスキャン330が適用された断面を表す1つのBスキャン画像が得られる。本例のBスキャン画像は、中心領域310の深さ位置(z位置)と周縁領域320の深さ位置との間の相対的な関係を表している。本例では、Bスキャン330が適用された方向についてのみ、中心領域310と周縁領域320との間の相対的深さ位置関係が得られる。
図5Bに示す準備的OCTスキャンの例は、中心領域310と周縁領域320とをそれぞれが通過する2つのBスキャン341及び342である。2つのBスキャン341及び342は、互いに直交している。つまり、本例の準備的OCTスキャンはクロススキャンである。本例では、Bスキャン341が適用された断面を表すBスキャン画像と、Bスキャン342が適用された断面を表すBスキャン画像とが得られる。本例の2つのBスキャン画像のそれぞれは、中心領域310の深さ位置(z位置)と周縁領域320の深さ位置との間の相対的な関係を表している。本例では、Bスキャン341が適用された方向とBスキャン342が適用された方向とについて、つまり互いに直交する2方向について、中心領域310と周縁領域320との間の相対的深さ位置関係が得られる。
図示は省略するが、準備的OCTスキャンとしてラジアルスキャン(等角度間隔で配置された複数のBスキャン)が適用される場合、互いに等角度間隔で配置された複数の方向について、中心領域と周縁領域との間の相対的深さ位置関係が得られる。また、同じく図示は省略するが、準備的OCTスキャンとして3次元スキャン(例えばラスタースキャン)が適用される場合、xy面における任意の方向について、中心領域と周縁領域との間の相対的深さ位置関係が得られる。他のスキャンパターンが適用される場合においても、そのスキャンパターンに応じた1以上の方向について、中心領域と周縁領域との間の相対的深さ位置関係が得られる。
このように準備的OCTスキャンのパターンは、相対的深さ位置関係として取得される情報の内容(方向等)や量(角度間隔等)を決定する。逆に、相対的深さ位置関係として取得したい情報の内容や量に応じて準備的OCTスキャンのパターンを決定することができる。準備的OCTスキャンパターンの決定は、例えば、事前に又は検査毎に行われる。
準備的OCTスキャンにより収集されたデータは画像構築部220に送られ、準備的画像が構築される。パラメータ設定部231は、この準備的画像に基づいて1以上のフォーカス制御パラメータを設定する。前述したように、フォーカス制御パラメータは、OCT合焦駆動部43Aに対する制御の内容を示すパラメータであり、その例として、測定アームの焦点位置を示すパラメータ、焦点位置の移動速度を示すパラメータ、焦点位置の移動加速度を示すパラメータがある。
パラメータ設定部231が実行する処理の例を説明する。準備的画像の例を図6Aに示す。準備的画像Gは、例えば、図5Aに示すBスキャン330(又は、図5Bに示すBスキャン341若しくは同様のBスキャン)で収集されたデータから構築された画像である。符号310が付された点線を輪郭とする領域は、図5Aに示す中心領域310とBスキャン330との交差領域(共通領域)に相当する。符号320が付された斜線で示す領域は、図5Aに示す周縁領域320とBスキャン330との交差領域(共通領域)に相当する。なお、準備的画像Gには周縁領域320が2つ存在する。また、符号Emは黄斑の画像領域であり、符号Edは視神経乳頭の画像領域である。
パラメータ設定部231は、準備的画像Gの中心領域310を解析して黄斑領域Emを検出し、その深さ位置(z座標)を特定する。そのために、パラメータ設定部231は、例えば、内境界膜(ILM)の画像領域を特定するセグメンテーションと、特定された内境界膜領域の形状(凹み)から黄斑領域Emを検出する形状解析と、検出された黄斑領域Emの代表点の画素のz座標を求める処理とを含む。黄斑領域Emの代表点は、例えば、黄斑中心(中心窩、凹みの最深部)であってよい。本例により求められた黄斑中心のz座標をz1とする(図6Bを参照)。なお、z座標が特定される部位は黄斑中心に限定されず、中心領域310内の任意の代表点であってよい。
また、パラメータ設定部231は、準備的画像Gの周縁領域320を解析して所定組織(例えば内境界膜)の画像領域を検出し、その深さ位置(z座標)を特定する。そのために、パラメータ設定部231は、例えば、所定組織の画像領域を特定するセグメンテーションと、特定された画像領域の代表点の画素のz座標を求める処理とを含む。所定組織の画像領域の代表点は、例えば、Bスキャン方向における周縁領域320の中心位置、又は、周縁領域320の端点であってよい。準備的画像Gの2つの周縁領域320のそれぞれの中心位置が代表点である場合に本例により求められた内境界膜のz座標をz21及びz22とする(図6Cを参照)。
更に、パラメータ設定部231は、中心領域310の代表点のz座標(z1)と、周縁領域320の代表点のz座標(z21、z22)とに基づいて、フォーカス制御パラメータを設定する。
例えば、パラメータ設定部231は、中心領域310の代表点のz座標(z1)に対応するOCT合焦レンズ43の位置と、周縁領域320の代表点のz座標(z21及びz22のそれぞれ)に対応するOCT合焦レンズ43の位置とを求めることができる。OCT合焦レンズ43の位置は、測定アームの焦点位置に対応する。本例は、OCT合焦レンズ43の絶対位置を求める処理と言える。本例の処理は、例えば、準備的画像Gが取得されたときのコヒーレンスゲート位置(アーム長、リトロリフレクタ41の位置、リトロリフレクタ114の位置)と、z軸のスケール(例えば、1ピクセル当たりの距離)とに基づいて実行される。
パラメータ設定部231は、中心領域310の代表点のz座標(z1)に対応するOCT合焦レンズ43の位置(焦点位置)と、周縁領域320の代表点のz座標(z21及びz22のそれぞれ)に対応するOCT合焦レンズ43の位置(焦点位置)との間の差分を求めることができる。換言すると、本例は、OCT合焦レンズ43の相対位置を求める処理と言える。本例の処理は、例えば、z軸のスケールに基づいて実行される。
パラメータ設定部231は、中心領域310の代表点のz座標(z1)に対応するOCT合焦レンズ43の位置(焦点位置)と、周縁領域320の代表点のz座標(z21及びz22のそれぞれ)に対応するOCT合焦レンズ43の位置(焦点位置)とを含む、焦点位置変更範囲を求めることができる。焦点位置変更範囲は、フォーカス制御によって変更される焦点位置の範囲であり、例えばOCT合焦レンズ43の移動範囲として定義される。本例の処理は、例えば、準備的画像Gが取得されたときのコヒーレンスゲート位置と、z軸のスケールとに基づいて実行される。
パラメータ設定部231は、測定アームの焦点位置を移動する速度を設定することができる。本例の処理は、例えば、前述したOCT合焦レンズ43の絶対位置若しくは相対位置に基づいて、又は、OCT合焦レンズ43の移動範囲に基づいて、実行される。
パラメータ設定部231は、測定アームの焦点位置を移動する加速度を設定することができる。本例の処理は、例えば、OCT合焦レンズ43の絶対位置若しくは相対位置に基づいて、又は、OCT合焦レンズ43の移動範囲に基づいて、或いは、OCT合焦レンズ43の移動速度に基づいて、実行される。
準備的画像Gが得られた場合、例えば、図7に示すように、左側の周縁領域320側から中心領域310側に向かうにつれて焦点位置が+z方向に移動し、且つ、中心領域310側から右側の周縁領域320側に向かうにつれて焦点位置が−z方向に移動するように、パラメータ設定部231はフォーカス制御パラメータを設定する。
パラメータ設定部231は、例えば上記したフォーカス制御パラメータの例のいずれかに基づいて、スキャン制御パラメータとフォーカス制御パラメータとの関係を表す情報を設定することができる。
その前提として、広角OCTスキャンのためのスキャンパターンが設定される。広角OCTスキャンパターンは、例えば、事前に又は検査毎に設定される。
本実施形態において、広角OCTスキャンパターンは、広角OCTスキャン適用エリアの中心領域に対する連続的な第1部分パターンと,周縁領域に対する連続的な第2部分パターンとを含むスキャンパターンとを含む。第1部分パターンは、中心領域の少なくとも一部を連続的にスキャンするためのパターンであり、第2部分パターンは、周縁領域の少なくとも一部を連続的にスキャンするためのパターンである。ここで、「連続的にスキャンする」とは、例えば、所定パターンで配列された複数のスキャン点をその配列順序にしたがって順次にスキャンすることを意味する。
広角OCTスキャンパターンは、広角OCTスキャン適用エリアの中心を原点とする極座標系で定義される曲線状スキャンパターンを含んでいてよい。広角OCTスキャン適用エリアの中心は、例えば黄斑中心であってよく、眼底の他の部位であってもよい。このように被検眼の部位や組織を基準として広角OCTスキャン適用エリアの中心が定義されてもよいが、眼科撮影装置1を基準としてこれを定義することも可能である。例えば、広角OCTスキャン適用エリアの中心は、光スキャナ44の向き可変ミラー(ガルバノミラー等)のニュートラル位置(ニュートラル向き)として定義されてもよいし、測定アームの光軸(対物レンズ22の光軸)の位置として定義されてもよい。広角OCTスキャン適用エリアの中心を原点とする極座標系で定義される曲線状の広角OCTスキャンパターンの例として、渦巻状パターン、同心円状パターンなどがある。
広角OCTスキャンパターンが上記の曲線状スキャンパターンである場合、この広角OCTスキャンパターンは、広角OCTスキャン適用エリアの中心から外縁に向かう渦巻状スキャンパターン(図8Aに示す渦巻状スキャンパターン510を参照)、又は、広角OCTスキャン適用エリアの外縁から中心に向かう渦巻状スキャンパターン(図8Bに示す渦巻状スキャンパターン520を参照)であってよい。
図8Aに示す渦巻状スキャンパターン510は、中心領域(図示せず)内の黄斑中心をスキャン開始点とし、偏角の変化とともに動径を増加しながら周縁領域(図示せず)を通過して外縁(付近)のスキャン終了点に至る。
図8Bに示す渦巻状スキャンパターン520は、外縁(付近)をスキャン開始点とし、偏角の変化とともに動径を減少しながら周縁領域(図示せず)を通過して中心領域(図示せず)内の黄斑中心に設定されたスキャン終了点に至る。
なお、渦巻状スキャンパターン510及び520のそれぞれでは、図解のために、渦巻の間隔が実際よりも粗に描かれている。実際は、例えば、3次元画像データを構築可能な程度に渦巻の間隔が密であってよい。
広角OCTスキャンパターンが前述の曲線状スキャンパターン(例えば渦巻状スキャンパターン)である場合にパラメータ設定部231により設定可能なフォーカス制御パラメータの幾つかの例を図9A〜図9Dを参照しつつ説明する。
なお、パラメータ設定部231により設定可能なフォーカス制御パラメータはこれらの例に限定されず、本実施形態において要求される条件を満足する任意のフォーカス制御パラメータであってよい。
図9Aに示す例において、座標系の横軸はスキャン位置を示し、縦軸は焦点位置を示す。横軸のスキャン位置は、適用されるスキャンパターンにしたがって順序付けされたN個のスキャン点の番号n(n=0,1,2,・・・,N−1)として定義されている。また、縦軸の焦点位置はz座標として定義されている。図9Aのフォーカス制御パラメータは、例えば図8Aに示す渦巻状スキャンパターン510のように、広角OCTスキャン適用エリアの中心から外縁に向かう渦巻状スキャンパターンが採用される場合に適用可能である。以下、例示として、渦巻状スキャンパターン510とともに説明する。
図9Aにおける最初のスキャン位置n=0は、渦巻状スキャンパターン510におけるスキャン開始点(黄斑中心)に相当し、最後のスキャン位置n=N−1は、渦巻状スキャンパターン510におけるスキャン終了点(外縁上の位置又は外縁の近傍位置)に相当する。
スキャン開始位置n=0に割り当てられた焦点位置ζ11は、例えば図6Bに示す中心領域310(例えば黄斑中心)のz座標z1に基づき設定される。例えば、ζ11はz1に等しく設定されるか、或いはζ11はz1にほぼ等しい値に設定される。
スキャン終了位置n=N−1に割り当てられた焦点位置ζ12は、例えば図6Cに示す周縁領域320のz座標z21及びz22の少なくとも一方に基づき設定される。例えば、ζ12はz21に等しく設定されるか、ζ12はz21にほぼ等しい値に設定されるか、ζ12はz22に等しく設定されるか、ζ12はz22にほぼ等しい値に設定されるか、或いは、ζ12はz21及びz22の双方から得られた値に設定される。z21及びz22の双方からζ12を求める場合の例として、z21とz22との平均を算出することや、z21とz22との加重平均を算出することや、z21とz22とのうち大きい方の値又は小さい方の値を選択することなど、任意の統計処理を用いることが可能である。
図9Aに示すフォーカス制御パラメータは、2次元座標系(n,z)においてスキャン開始点に対応する座標(0,ζ11)とスキャン終了点に対応する座標(N−1,ζ12)とを接続する滑らかな曲線(例えば、スプライン曲線、ベジエ曲線)として設定可能である。
図9Bに示す例における2次元座標系(n,z)は、図9Aに示す例のそれと同じである。図9Bのフォーカス制御パラメータは、例えば図8Bに示す渦巻状スキャンパターン520のように、広角OCTスキャン適用エリアの外縁から中心に向かう渦巻状スキャンパターンが採用される場合に適用可能である。以下、例示として、渦巻状スキャンパターン520とともに説明する。
図9Bにおける最初のスキャン位置n=0は、渦巻状スキャンパターン520におけるスキャン開始点(外縁上の位置又は外縁の近傍位置)に相当し、最後のスキャン位置n=N−1は、渦巻状スキャンパターン520におけるスキャン終了点(黄斑中心)に相当する。
スキャン開始位置n=0に割り当てられた焦点位置ζ21は、例えば、図9Aの焦点位置ζ12と同じ要領で設定可能である。また、スキャン終了位置n=N−1に割り当てられた焦点位置ζ22は、例えば、図9Aの焦点位置ζ11と同じ要領で設定可能である。
図9Bに示すフォーカス制御パラメータは、2次元座標系(n,z)においてスキャン開始点に対応する座標(0,ζ21)とスキャン終了点に対応する座標(N−1,ζ22)とを接続する滑らかな曲線(例えば、スプライン曲線、ベジエ曲線)として設定可能である。
図9Cに示す例における2次元座標系(n,z)は、図9Aに示す例のそれと同じである。図9Cのフォーカス制御パラメータは、例えば図8Aに示す渦巻状スキャンパターン510のように、広角OCTスキャン適用エリアの中心から外縁に向かう渦巻状スキャンパターンが採用される場合に適用可能である。以下、例示として、渦巻状スキャンパターン510とともに説明する。
図9Cにおける最初のスキャン位置n=0は、渦巻状スキャンパターン510におけるスキャン開始点(黄斑中心)に相当し、最後のスキャン位置n=N−1は、渦巻状スキャンパターン510におけるスキャン終了点(外縁上の位置又は外縁の近傍位置)に相当する。
スキャン位置の区間n=[0,n31]に割り当てられた焦点位置ζ31は、例えば、図9Aの焦点位置ζ11と同じ要領で設定可能である。また、スキャン位置の区間n=[n32,N−1]に割り当てられた焦点位置ζ33は、例えば、図9Aの焦点位置ζ12と同じ要領で設定可能である。更に、スキャン位置の区間n=(n31,n32)=[n31+1,n32−1]に割り当てられた焦点位置ζ32は、例えば、焦点位置ζ31及びζ33に基づき設定可能である。典型的には、焦点位置ζ32は、例えば任意の統計処理により求められる。求められる統計値の例として、ζ31とζ33との平均、ζ31とζ33との加重平均、ζ31とζ33とのうちの大きい方の値、ζ31とζ33とのうちの小さい方の値などがある。
図9Aに示すフォーカス制御パラメータと図9Bに示すフォーカス制御パラメータとの間の関係と同様に、図9Cに示す階段状のフォーカス制御パラメータを反転することができる。反転により得られたフォーカス制御パラメータは、例えば図8Bに示す渦巻状スキャンパターン520のように、広角OCTスキャン適用エリアの外縁から中心に向かう渦巻状スキャンパターンが採用される場合に適用可能である。
また、図9Cに示すフォーカス制御パラメータに変形を施すことが可能である。例えば、スキャン位置の区間n=[0,n31]に、座標(0,ζ31)と座標(n31,ζ32)とを接続する滑らかな曲線(例えば、スプライン曲線、ベジエ曲線)を割り当てることができる。また、スキャン位置の区間n=[n32,N−1]に、座標(n32,ζ32)と座標(N−1,ζ33)とを接続する滑らかな曲線(例えば、スプライン曲線、ベジエ曲線)を割り当てることができる。例えば図8Bに示す渦巻状スキャンパターン520のように、広角OCTスキャン適用エリアの外縁から中心に向かう渦巻状スキャンパターンが採用される場合、このように一部が曲線に置換されたフォーカス制御パラメータを反転することが可能である。
或いは、スキャン位置の区間n=[0,n31]に、座標(0,ζ31)と座標(n31,ζ32)とを接続する直線(斜線)を割り当てることができる。また、スキャン位置の区間n=[n32,N−1]に、座標(n32,ζ32)と座標(N−1,ζ33)とを接続する直線(斜線)を割り当てることができる。例えば図8Bに示す渦巻状スキャンパターン520のように、広角OCTスキャン適用エリアの外縁から中心に向かう渦巻状スキャンパターンが採用される場合、このように一部が斜線に置換されたフォーカス制御パラメータを反転することが可能である。
図9Dに示す例における2次元座標系(n,z)は、図9Aに示す例のそれと同じである。図9Dのフォーカス制御パラメータは、例えば図8Aに示す渦巻状スキャンパターン510のように、広角OCTスキャン適用エリアの中心から外縁に向かう渦巻状スキャンパターンが採用される場合に適用可能である。以下、例示として、渦巻状スキャンパターン510とともに説明する。
図9Dにおける最初のスキャン位置n=0は、渦巻状スキャンパターン510におけるスキャン開始点(黄斑中心)に相当し、最後のスキャン位置n=N−1は、渦巻状スキャンパターン510におけるスキャン終了点(外縁上の位置又は外縁の近傍位置)に相当する。
スキャン位置の区間n=[0,n41]に割り当てられた焦点位置ζ41は、例えば、図9Aの焦点位置ζ11と同じ要領で設定可能である。また、スキャン位置の区間n=[n42,N−1]に割り当てられた焦点位置ζ42は、例えば、図9Aの焦点位置ζ12と同じ要領で設定可能である。更に、スキャン位置の区間n=(n41,n42)=[n41+1,n42−1]には、座標(n41,ζ41)と座標(n42,ζ42)とを接続する直線が割り当てられている。
図9Aに示すフォーカス制御パラメータと図9Bに示すフォーカス制御パラメータとの間の関係と同様に、図9Dに示すフォーカス制御パラメータを反転することができる。反転により得られたフォーカス制御パラメータは、例えば図8Bに示す渦巻状スキャンパターン520のように、広角OCTスキャン適用エリアの外縁から中心に向かう渦巻状スキャンパターンが採用される場合に適用可能である。
また、図9Dに示すフォーカス制御パラメータに変形を施すことが可能である。例えば、スキャン位置の区間n=(n41,n42)=[n41+1,n42−1]に、座標(n41,ζ41)と座標(n42,ζ42)とを接続する滑らかな曲線(例えば、スプライン曲線、ベジエ曲線)を割り当てることができる。例えば図8Bに示す渦巻状スキャンパターン520のように、広角OCTスキャン適用エリアの外縁から中心に向かう渦巻状スキャンパターンが採用される場合、このように一部が曲線に置換されたフォーカス制御パラメータを反転することが可能である。
パラメータ設定部231が実行する処理の例と、それにより作成されるフォーカス制御パラメータの例とを以上に説明したが、これらは限定を意図するものではなく、各種の変形が許容される。
例えば、図6Bに示す例では、中心領域310内の1つの代表点(黄斑中心)の深さ位置(z座標)を求め、これを中心領域310の深さ位置として用いている。一方、中心領域内の2以上の点のそれぞれの深さ位置を求め、求められた2以上の深さ位置から中心領域の深さ位置を求めることが可能である。例えば、2以上の深さ位置に統計処理を適用して中心領域の深さ位置を求めることができる。2以上の深さ位置から得られる統計値は、例えば、平均値、加重平均値、中間値、最頻値、最大値、及び最小値のいずれかであってよい。周縁領域の深さ位置を求める場合においても、同様の処理を適用することが可能である。
中心領域内の2以上の深さ位置を求める場合において、上記のようにこれら深さ位置から単一の統計値を算出してこれを中心領域の深さ位置として用いる代わりに、これら深さ位置から中心領域内における深さ位置の変化を表す情報を求めることができる。例えば、これら深さ位置に基づいて、中心領域における深さ位置の曲線的、直線的、又は階段的な変化を表すグラフ(フォーカス制御パラメータ)を求めることができる。図9A及び図9Bは、曲線的な変化の例である。図示は省略するが、中心領域における深さ位置の直線的な変化の例として、図9Cに示す2次元座標系において、座標(0,ζ31)と座標(n31,ζ32)とを結ぶ直線を求めることが可能である。また、図示は省略するが、中心領域における深さ位置の階段的な変化の例として、図9Cに示す2次元座標系において、スキャン位置の区間n=[0,n31]に、焦点位置の値がζ31からζ32まで段階的に変化するフォーカス制御パラメータを設定することが可能である。周縁領域のフォーカス制御パラメータを求める場合においても、同様の処理を適用することが可能である。
以上のように、中心領域内の2以上の深さ位置を求めてフォーカス制御パラメータを設定する処理は、例えば、中心領域の幅(z方向に直交する方向における長さ)が比較的広い場合や、中心領域内における深さ位置の変化が大きい場合(例えば、中心領域内における最大深さ位置と最小深さ位置との差が大きい場合)などに有効と考えられる。パラメータ設定部231は、中心領域の幅の大きさに応じて、及び/又は、中心領域内における深さ位置の変化の大きさに応じて、深さ領域が求められる中心領域内の点の個数(及び位置)を決定するように構成されていてよい。周縁領域のフォーカス制御パラメータを求める場合においても、同様の処理を適用することが可能である。
以上に説明した例では、中心領域(310)と周縁領域(320)とが互いに離間している。換言すると、以上に説明した例では、中心領域の外縁と周縁領域の内縁との間に環帯(アニュラス)状の中間領域が存在する。他の例において、中心領域の外縁と周縁領域の内縁とが一致していてもよい。
より一般に、本実施形態において、中心領域及び周縁領域は任意に定義可能である。例えば、中心領域及び周縁領域は、眼底の部位に応じて定義されてよい。その具体例として、眼底の所定部位(例えば、黄斑中心)を中心とし、且つ、この中心から所定の第1距離以内の領域を、中心領域に設定することができる。更に、この中心から所定の第2距離(第1距離以上の距離である)以上の領域を周縁領域に設定することができる。ここで、周縁領域の外縁を表す第3距離を更に設定してもよいし、広角OCTスキャン適用エリアの外縁を周縁領域の外縁に設定してもよい。本例における距離は、眼底における距離でもよいし、光学的に算出される距離でもよいし、模型眼や臨床データから得られる標準的な距離でもよい。
中心領域及び周縁領域の他の定義として、OCTスキャンに応じた定義がある。例えば、広角OCTスキャン適用エリアにおける所定の第1領域を中心領域に設定し、且つ、第2領域と異なる所定の第2領域を周縁領域に設定することが可能である。典型的には、広角OCTスキャン適用エリアの中心を含む第1領域が中心領域に設定され、且つ、この第1領域の外側に位置する第2領域が周縁領域に設定される。
以上に説明した例では、渦巻状スキャンパターンのように曲線からなるスキャンパターンについて特に説明したが、少なくとも一部が直線からなるスキャンパターンを採用することも可能である。例えば、x方向のラインスキャンとy方向のラインスキャンとを交互に組み合わせることによって、複数の直線からなる渦巻状のスキャンパターンを適用することができる。
以上に例示した広角OCTスキャンパターン及びフォーカス制御パラメータ(並びにスキャン速度)の設定は、焦点位置の移動速度及び/又は移動加速度の設定を含む。例えば、図9A〜図9Dのそれぞれに例示されたフォーカス制御パラメータにおいて、フォーカス制御パラメータを示すグラフの傾きは移動速度に対応し、グラフの傾きの変化率は移動加速度に対応する。逆に、焦点位置の移動速度及び/又は移動加速度の設定を通じてフォーカス制御パラメータの設定を行うことが可能である。
図9A〜図9Dのそれぞれに例示されたフォーカス制御パラメータでは、中心領域に適用される焦点位置(第1焦点位置)は、周縁領域に適用される焦点位置(第2焦点位置)よりも+z側に位置する。つまり、第1焦点位置に対応する焦点距離(第1焦点距離)は、第2焦点位置に対応する焦点距離(第2焦点距離)よりも長く設定されている。これは、被検眼(眼底)の形状に応じたものである。ただし、第1焦点距離が第2焦点距離よりも長い必要はない。
以上のような処理を実行可能なパラメータ設定部231は、プロセッサを含むハードウェアと、パラメータ設定ソフトウェアとの協働によって実現される。
〈移動検出部232〉
眼科撮影装置1は、被検眼Eを繰り返し撮影して時系列画像を取得する眼底カメラユニット2を備える。眼底カメラユニット2により取得される時系列画像は、例えば、前述した観察画像である。
移動検出部232は、眼底カメラユニット2により取得された観察画像を解析して被検眼Eの移動を検出する。例えば、移動検出部232は、観察画像に含まれる各画像を解析して特徴点を検出し、特徴点の位置の時系列変化を求める。特徴点は、例えば、瞳孔の中心・重心・輪郭、虹彩の中心・重心・輪郭などであってよい。
少なくとも収差補正制御部215の動作と並行して、スキャン制御部213は、広角OCTスキャンパターンにしたがって光スキャナ44及びOCTユニット100を制御しつつ、移動検出部213からの出力に基づき光スキャナ44を制御することができる。移動検出部213からの出力に基づく光スキャナ44の制御は、いわゆるトラッキング制御である。
トラッキングは、例えば特開2017−153543号公報に開示された次の一連の処理により実行される。まず、移動検出部232は、眼底カメラユニット2により取得された観察画像のいずれかのフレーム(正面画像)を基準画像として登録する。
更に、移動検出部232は、基準画像における特徴点の位置に対する、他のフレームにおける特徴点の位置の変化を求める。これは、特徴点の位置の時系列変化を求めること、つまり、基準画像と他のフレームとの間の変位を求めることに相当する。なお、瞬きや固視ズレによって変位が閾値を超えた場合や変位の検知が不可能になった場合、移動検出部232は、その後に取得されたフレームを新たな基準画像として登録することができる。また、特徴点の位置の時系列変化を求める手法はこれに限定されず、例えば、連続する2つのフレームの間における特徴点の変位を順次に求めるようにしてもよい。
移動検出部232は、特徴点の位置の時系列変化が求められる度に、この時系列変化をキャンセルするための制御情報をスキャン制御部213に送る。少なくとも収差補正制御部215の動作と並行して、スキャン制御部213は、逐次に入力される制御情報に基づいて光スキャナ44の向きを補正する。
移動検出部232は、プロセッサを含むハードウェアと、移動検出ソフトウェアとの協働によって実現される。
〈収差マップ作成部233〉
収差マップ作成部233は、収差マップを作成する。作成された収差マップ(219)は記憶部212に保存される。
例えば、収差マップ作成部233は、眼底EfのOCT画像に基づき収差マップを作成することができる。OCT画像から収差マップを作成する処理の例について図10を参照しつつ以下に説明する。
本例では、眼科撮影装置1(又は他の眼科撮影装置)により眼底Efに広角OCTスキャンを適用して広角OCT画像を取得し、この広角OCT画像から眼底Efの形状を把握し、把握された眼底形状と既定の眼底形状−収差データベースとに基づき収差マップを作成する。
眼底形状−収差データベースは、眼底形状と収差との間の関係を表すデータベースであり、様々な眼底形状の眼について収差測定を実際に行うことによって作成される。眼底形状−収差データベースは、眼科撮影装置1又は他の装置に格納されており、収差マップ作成部233により参照可能である。
図10に示す複数のBスキャン画像600u(u=1,2,・・・,U:Uは2以上の整数)は、眼底Efの広角OCTスキャンにより得られたOCT画像の例である。
収差マップ作成部233は、各Bスキャン画像600uを解析して眼底Efの形状を求める。そのために、収差マップ作成部233は、例えば、Bスキャン画像600uを構成する各Aスキャン画像から最大輝度の画素を特定することで、各Aスキャン位置(x,y)における眼底Efの位置(z位置)を特定する。例えば、図10に示すように、各Aスキャン位置における最大輝度の画素610uvを特定する(v=1,2,・・・,Vu:Vuは、Bスキャン画像600u毎に設定された2以上の整数)。これにより、各Bスキャン画像600uに描出された眼底Efの形状(x,y,z)が得られる。
なお、最大輝度の画素を特定する代わりに、例えば、セグメンテーションによって所定の眼底組織の画像を特定するようにしてもよい。特定される眼底組織としては、内境界膜、神経線維層、神経節細胞層、網膜色素上皮層などがある。なお、眼底の位置(形状)を検出する方法はこれらに限定されず、任意の手法を採用することができる。
次に、収差マップ作成部233は、眼底形状−収差データベースを参照することで、例えば、各Aスキャン位置(x,y)における眼底Efのz位置に対応する収差(収差補正量)を求める。この処理を複数のAスキャン位置(x,y)について行うことで、広角OCTスキャンが適用されたエリアにおける収差補正量の分布が得られる。この収差補正量分布が収差マップとして用いられる。
広角OCTスキャンが適用されたエリアの全体について収差マップを作成する必要はない。つまり、広角OCTスキャンが適用されたエリアの一部のみについて収差マップを作成するようにしてもよい。例えば、収差補正量が所定閾値以上である箇所についてのみ収差補正量が記録された収差マップを作成することができる。また、所定領域(例えば、周縁領域、又はその一部を含む領域)についてのみ収差補正量が記録された収差マップを作成することができる。
作成された収差マップは記憶部212に保存される。ここで、被検者の識別情報及び被検眼Eの識別情報のいずれかを、作成された収差マップに関連付けることができる。また、作成された収差マップに作成日情報等を関連付けることもできる。これにより、被検者毎の収差マップや被検眼毎の収差マップを利用することが可能になる。収差補正制御部215は、入力された識別情報(被検者識別情報、被検眼識別情報)に関連付けられた収差マップを記憶部212から読み出して使用する。
このようにして収差マップ作成部233により作成された収差マップは、標準的、統計的な収差マップではなく、被検眼Eを実際に計測して作成された個別的な収差マップである。個別的収差マップと標準的収差マップとの双方が記憶部212に格納されている場合には収差補正制御においていずれを利用してもよいが、典型的には、被検眼Eに対応する個別的収差マップが選択される。
〈ユーザーインターフェイス240〉
ユーザーインターフェイス240は表示部241と操作部242とを含む。表示部241は表示装置3を含む。操作部242は各種の操作デバイスや入力デバイスを含む。ユーザーインターフェイス240は、例えばタッチパネルのような表示機能と操作機能とが一体となったデバイスを含んでいてもよい。ユーザーインターフェイス240の少なくとも一部を含まない実施形態を構築することも可能である。例えば、表示デバイスは、眼科撮影装置に接続された外部装置であってよい。
〈動作〉
眼科撮影装置1の動作について説明する。なお、患者IDの入力、固視標の提示、固視位置の調整、アライメント、フォーカス調整、OCT光路長調整など、従来と同様の準備的な処理は、既になされたものとする。
図11を参照しつつ眼科撮影装置1の動作の例を説明する。
(S1:準備的OCTスキャンを眼底に適用して準備的画像を取得)
まず、眼科撮影装置1は、光スキャナ44やOCTユニット100を用いて、眼底Efに準備的OCTスキャンを適用する。準備的OCTスキャンは、例えば広角OCTスキャンである。画像構築部220は、準備的OCTスキャンにより収集されたデータから準備的画像を構築する。準備的画像は、パラメータ設定部231に送られる。
(S2:制御パラメータを設定・収差マップを作成)
パラメータ設定部231は、ステップS1で得られた準備的画像に基づいてフォーカス制御パラメータを設定する。設定された制御パラメータは、例えば記憶部212に保存される。
なお、ステップS2又はそれより前の段階において、眼科撮影装置1は、広角OCTスキャン適用エリアの設定、中心領域の設定、周縁領域の設定、スキャン制御パラメータの設定などを行ってもよい。なお、これら条件のいずれかは、固定された条件であってもよいし、複数の選択肢から選択された条件であってもよいし、ユーザーが手動で設定した条件であってもよい。パラメータ設定部231は、これら設定の結果と準備的画像とに基づいてフォーカス制御パラメータの設定を実行してもよい。
本例では、図5Aに示す中心領域310及び周縁領域320と、図8Aに示す渦巻状スキャンパターン510と、図9Aに示すフォーカス制御パラメータとが適用されるものとする。また、周縁領域320の外縁が広角OCTスキャン適用エリアの外縁を定義しているものとする。
また、収差マップ作成部233は、ステップS1で取得された準備的画像に基づいて、被検眼Eの収差マップを作成する。作成された収差マップは、記憶部212に保存される。
(S3:スキャン開始位置に基づき光スキャナを制御)
スキャン制御部213は、ステップS2又はそれより前の段階において設定されたスキャン制御パラメータに基づいてスキャン開始位置を特定し、このスキャン開始位置に基づき光スキャナ44を制御する。これにより、光スキャナ44に含まれる各ガルバノミラーが、スキャン開始位置に対応する向きに配置される。
本例では、典型的には、黄斑を中心とする画像を取得するための固視位置に対応する固視標がLCD39に表示され、且つ、広角OCTスキャン適用エリアの中心が黄斑中心に設定される。被検眼Eのアライメント状態及び固視状態が好適であると仮定すると、測定アームの光軸上に黄斑中心が配置される。よって、本例では、光スキャナ44の各ガルバノミラーはニュートラル位置に配置される。
(S4:初期焦点位置に基づきOCT合焦レンズを移動)
フォーカス制御部214は、ステップS2で設定されたフォーカス制御パラメータに基づいてフォーカス制御における初期焦点位置を特定し、この初期焦点位置に基づきOCT合焦駆動部43Aを制御してOCT合焦レンズ43を移動させる。
本例では、図9Aに示すスキャン開始位置n=0に対応する焦点位置ζ11が初期焦点位置として特定され、この初期焦点位置ζ11に対応する位置にOCT合焦レンズ43を配置させるようにOCT合焦駆動部43Aの制御が実行される。
なお、ステップS3に係る制御の前にステップS4に係る制御を実行してもよい。また、ステップS3に係る制御とステップS4に係る制御とを並行して行ってもよい。
(S5:初期収差補正量に基づき収差補正デバイスを制御)
収差補正制御部215は、ステップS2で作成された収差マップに基づいて収差補正制御における初期収差補正量を特定する。例えば、収差補正制御部215は、ステップS3で特定されたスキャン開始位置(x,y)に対応する収差補正量を収差マップから求めることができる。
このとき、収差マップに定義された複数のスキャン位置のいずれかが、ステップS3で特定されたスキャン開始位置に一致する場合、収差補正制御部215は、例えば、スキャン開始位置に一致するスキャン位置の収差補正量を初期収差補正量に設定する。
また、収差マップに定義された複数のスキャン位置のいずれも、ステップS3で特定されたスキャン開始位置に一致しない場合、収差補正制御部215は、例えば、収差マップに定義された複数のスキャン位置のうちスキャン開始位置に最も近いスキャン位置を特定し、特定されたスキャン位置の収差補正量を初期収差補正量に設定する。
収差補正制御部215は、特定された初期収差補正量が適用されるように収差補正デバイス47を制御する。
(S6:広角OCTスキャンの開始指示)
ステップS3に係る制御とステップS4に係る制御とステップS5に係る制御とが終了した後、広角OCTスキャンの開始指示がスキャン制御部213、フォーカス制御部214及び収差補正制御部215に入力される。この指示は、ユーザーが手動で行ってもよいし、所定の条件が満足されたこと(例えば、ステップS3に係る制御とステップS4に係る制御とステップS5に係る制御とが完了したこと)を受けて主制御部211が自動で行ってもよい。
(S7:スキャン制御とフォーカス制御と収差補正制御との連係的実行を開始)
ステップS6の開始指示を受けて、スキャン制御部213とフォーカス制御部214と収差補正制御部215とが連係的に制御を開始することで、広角OCTスキャンが開始される。
本例では、図9Aに示すフォーカス制御パラメータ(スキャン位置nと焦点位置zとの関係を表すグラフ)に基づいて、スキャン制御部213によるスキャン制御とフォーカス制御部214によるフォーカス制御とが実行される。更に、これら制御と並行して収差補正制御部215による収差補正制御が実行される。
より詳細に説明すると、スキャン制御部213は、図8Aに示す渦巻状スキャンパターン510に沿って配列された複数のスキャン点(図9Aに示すスキャン位置n=0〜N−1)に対して順次にAスキャンを適用するように、光スキャナ44及びOCTユニット100の制御を行う。
これと並行して、フォーカス制御部214は、図9Aに示す各スキャン位置nにAスキャンが適用されるときに、このスキャン位置nに対応する焦点位置z=ζ(n)に応じた位置にOCT合焦レンズ43が配置されるように、OCT合焦駆動部43Aの制御を行う。
更に、これらと並行して、収差補正制御部215は、図9Aに示す各スキャン位置nにAスキャンが適用されるときに、このスキャン位置nに対応する収差マップ中のスキャン位置を特定し、特定されたスキャン位置に関連付けられた収差補正量が適用されるように収差補正デバイス47の制御を行う。なお、図9Aに示す各スキャン位置nに対応する収差補正量を広角OCTスキャンの開始前に求めておくことができる。
このような並行的制御により、図9Aに示すフォーカス制御パラメータにしたがって焦点位置を移動しつつ、且つ、収差マップにしたがって収差補正量を変化させつつ、図8Aに示す渦巻状スキャンパターン510にしたがって眼底Efをスキャンすることが可能である。
(S8:トラッキングを開始)
ステップS7で連係的制御が開始されたことを受けて、又は、この連係的制御の開始前の任意のタイミングで、被検眼Eの動きに合わせて測定光LSの投射位置(Aスキャンの適用位置)を補正するためのトラッキングが開始される。トラッキングは、眼底カメラユニット2、移動検出部232、スキャン制御部213等によって前述した要領で実行される。これにより、広角OCTスキャンの実行中に被検眼Eが動いた場合であっても、図8Aに示す渦巻状スキャンパターン510を適用することが可能である。
(S9:広角OCTスキャン終了)
ステップS7で開始された広角OCTスキャンは、例えば図8Aに示す渦巻状スキャンパターン510に沿ったOCTスキャンが行われたことを受けて終了となる。
なお、広角OCTスキャンパターンに沿ったOCTスキャンは、1回以上の所定回数だけ実行される。例えば、渦巻状スキャンパターン510に沿ったOCTスキャンを2回以上実行することができる。この場合、次のステップS9において、これら2回以上のOCTスキャンにより収集された2以上のデータセットから2以上のOCT画像を構築し、且つ、これら2以上のOCT画像を合成(加算平均)することができる。
(S10:広角OCTスキャンパターンに応じたOCT画像を構築)
画像構築部220は、ステップS7〜S9で実行された広角OCTスキャンにより収集されたデータからOCT画像を構築する。
図8Aに示す渦巻状スキャンパターン510は、典型的には、2次元極座標系(r,θ)を用いて定義される。2次元極座標系(r,θ)を用いると、渦巻状スキャンパターン510は、例えば次式により定義される:x=cosθ−θ×sinθ、y=sinθ+θ×cosθ。
この場合、ステップS10で構築されるOCT画像も2次元極座標系(r,θ)を用いて定義される。つまり、ステップS10で構築されるOCT画像を構成する複数のAスキャン画像の位置は、2次元極座標系(r,θ)を用いて定義される。
本例では、図8Aに示す渦巻状スキャンパターン510を構成する複数のAスキャンの位置が、それぞれ、図9Aに示す複数のスキャン位置n=0〜N−1に対応するので、ステップS10で構築される複数のAスキャン画像の位置も、それぞれ、複数のスキャン位置n=0〜N−1に対応する。例えば、ステップS10によって、図12に示すOCT画像H1が構築される。OCT画像H1は、各スキャン位置n=npに割り当てられたAスキャン画像A(np)により構成されている。なお、各スキャン位置n=npは2次元極座標系(r,θ)を用いて定義されている。
なお、渦巻状スキャンパターンの定義式は本例に限定されず、また、広角OCTスキャンパターンやOCT画像を定義する座標系は2次元極座標系には限定されない。
(S11:OCT画像に座標変換を適用)
画像構築部220は、ステップS10で構築されたOCT画像に座標変換を適用する。
例えば、OCTスキャン適用エリアの中心を原点とする極座標系で定義された曲線状スキャンパターンを含む広角OCTスキャンパターンが適用される場合、画像構築部220は、この曲線状スキャンパターンにしたがって被検眼Eに適用されたOCTスキャンにより収集されたデータから極座標系で定義されたOCT画像を形成し(S10)、このOCT画像を3次元直交座標系で定義された画像に変換する(S11)。
ステップS10において図12に示すOCT画像H1が構築された場合、画像構築部220は、2次元極座標系(r,θ)と2次元直交座標系(x,y)との間の座標変換式にしたがって、2次元極座標系(r,θ)で定義された各スキャン位置n=npの座標を、2次元直交座標系(x、y)で定義された座標に変換する。この座標変換式は、例えば、前述した(x=cosθ−θ×sinθ、y=sinθ+θ×cosθ)である。
このような座標変換により、例えば、図13に示す一群のOCT画像H2(m)(m=1,2,・・・,M)が得られる。各OCT画像H2(m)は、x方向に沿ったBスキャン画像であり、2次元直交座標系(x,z)を用いて定義されている。更に、M枚のOCT画像H2(1)〜H2(M)は、y方向に沿って配列されている。このように、M枚のOCT画像H2(1)〜H2(M)は、3次元直交座標系(x,y,z)を用いて定義されている。
(S12:座標変換されたOCT画像から3次元画像を構築)
画像構築部220は、ステップS11において得られた座標変換後のOCT画像から3次元画像を構築することができる。
本例では、ステップS11により、例えば、スタックデータであるM枚のOCT画像H2(1)〜H2(M)が得られる。画像構築部220は、M枚のOCT画像H2(1)〜H2(M)をボクセル化してボリュームデータを構築することができる。
(S13:3次元画像のレンダリング画像を表示)
画像構築部220は、ステップS12において構築された3次元画像をレンダリングすることができる。主制御部211は、これにより得られたレンダリング画像を表示部241に表示させることができる。
〈作用・効果〉
例示的な実施形態の作用及び効果について説明する。
例示的な実施形態に係る眼科撮影装置(1)は、データ収集部と、記憶部と、収差補正部と、制御部とを含む。
データ収集部は、被検眼(E)の後眼部を光でスキャンしてデータを収集する。上記の例において、データ収集部は、OCTユニット100と、測定アームを構成する眼底カメラユニット2内の要素(リトロリフレクタ41、OCT合焦レンズ43、光スキャナ44、対物レンズ22等)とを含む。
上記の例のデータ収集部はOCT機能を有しているが、データ収集部はこれに限定されず、光学的なスキャンによって後眼部のデータを収集可能であればよい。例えば、データ収集部は、SLO機能を有していてよい。
記憶部は、データ収集部によるスキャンエリアの少なくとも一部である特定エリアにおける収差補正量の分布を表すマップ(収差マップ)を予め記憶する。上記の例において、記憶部は記憶部212を含む。
収差補正部は、少なくとも被検眼(E)に起因する収差を補正する。上記の例において、収差補正部は収差補正デバイス47を含む。
制御部は、収差マップの特定エリアに対応する後眼部の領域をスキャンするためのデータ収集部の制御と、収差マップに基づく収差補正部の制御とを連係的に実行する。上記の例において、制御部は主制御部211を含み、スキャン制御部213がデータ収集部の制御を実行し、且つ、収差補正制御部215が収差補正部の制御を行う。
本実施形態によれば、事前に得られた収差マップを利用して眼底形状に応じた収差補正を行いつつスキャンを実行するように構成されているので、スキャンを行いながら収差測定も収差補正量算出も行う必要がない。これに対し、従来技術では、能動光学を利用した補償光学によって収差補正を行うので、スキャンを行いながら収差測定及び収差補正量算出を行わなければならない。
なお、手術前後や疾患長期観察などのケースの除き、被検眼の眼底形状が大きく変化することはないと考えられる。よって、従来のようにスキャンと並行して収差測定及び収差補正量算出を行わずとも、収差マップを参照しても十分な確度及び十分な精度で収差補正を行うことができる。
したがって、本実施形態によれば、処理負荷の増大、ハードウェア及びソフトウェアの複雑化及び高コスト化、演算及び制御の煩雑化といった問題を招くことなく、後眼部の広い範囲に対して高速な光スキャンを適用し、高品質の画像を取得することが可能である。
本実施形態において、収差マップには、特定エリア内の複数の位置のそれぞれに対応する収差補正量が記録されていてよい。上記の例において、2次元座標系(スキャン座標系)でスキャン位置を定義した収差マップ219が、本例の「複数の位置」に相当する。
更に、制御部は、特定エリア内の複数の位置のうちの一の位置をスキャンするためのデータ収集部の制御と、収差マップに記録された当該一の位置に対応する収差補正量に基づく収差補正部の制御とを並行的に実行するように構成されていてよい。
本実施形態において、データ収集部は、後眼部のスキャンのための光を偏向する光スキャナを含んでいてよい。上記の例において、光スキャナは光スキャナ44を含む。
また、収差マップには、光スキャナに対する複数の制御情報のそれぞれに対応する収差補正量が記録されていてよい。上記の例において、光スキャナ44に含まれる偏向ミラー(ガルバノミラー)の向きを示すパラメータをスキャン位置の定義に用いる場合や、光スキャナ44を制御するための信号に含まれるパラメータをスキャン位置の定義に用いる場合が、本例の「複数の制御情報」に相当する。
更に、制御部は、複数の制御情報のうちの一の制御情報に基づく光スキャナの制御と、収差マップに記録された一の制御情報に対応する収差補正量に基づく収差補正部の制御とを並行的に実行するように構成されていてよい。
本実施形態において、収差マップの特定エリアは、スキャンエリアの周縁領域を少なくとも含んでいてよい。
一般に、スキャンエリアの周縁領域は眼底中心から離れた箇所に相当し、更に、広角スキャンエリアの周縁領域は眼底周辺部に相当する。よって、周縁領域のスキャンは収差の影響を比較的大きく受ける。スキャンエリアの周縁領域を含むように収差マップの特定エリアを設定することで、収差補正の必要性が高い眼底周辺部等のスキャンにおいて発生する収差を効果的に補正することが可能になる。
本実施形態において、制御部は、周縁領域と異なるスキャンエリアの中心領域に対する連続的な第1部分パターンと周縁領域に対する連続的な第2部分パターンとを含むスキャンパターンにしたがうデータ収集部の制御を、収差マップに基づく収差補正部の制御と連係的に実行するように構成されていてよい。
本例によれば、中心領域に対する連続的な第1部分パターンと周縁領域に対する連続的な第2部分パターンとを含むスキャンパターンを適用することができる。前述したように、眼底中心部では収差の影響は比較的小さく、眼底周辺部ではその影響は比較的大きい。よって、本例のスキャンパターンを適用することで、収差補正部の制御が容易になる。より具体的には、中心領域を連続的にスキャンしている間には収差補正量を(大きく)変化させる必要はなく、周縁領域を連続的にスキャンしている間にも収差補正量を(大きく)変化させる必要はなく、中心領域のスキャンの終了から周縁領域の開始までの間にのみ収差補正量を(大きく)変化させれば十分である。これに対し、従来のようにラスタースキャンが適用される場合には、各Bスキャンの間に収差補正量を大きく変化させる必要があるため、収差補正部の制御を極めて高速に行わねばならない。
本実施形態において、スキャンパターンは、スキャンエリアの中心を原点とする極座標系で定義される曲線状スキャンパターンを含んでいてよい。
曲線状スキャンパターンの設定には、例えば、光スキャナ(44)の構造特性や制御特性、要求されるスキャン速度、要求されるスキャン密度などを考慮することができる。
本実施形態において、曲線状スキャンパターンは、スキャンエリアの中心から外縁に向かう渦巻状スキャンパターン(510)であってよい。或いは、曲線状スキャンパターンは、スキャンエリアの外縁から中心に向かう渦巻状スキャンパターンであってよい(520)。
曲線状スキャンパターンの他の例として、同心円状スキャンパターンがある。
本実施形態に係る眼科撮影装置(1)は、データ収集部により収集されたデータから画像を構築する画像構築部を含んでいてよい。上記の例において、画像構築部は画像構築部220を含む。
画像構築部は、曲線状スキャンパターンにしたがって後眼部に適用されたスキャンにより収集されたデータから極座標系で定義された画像(例えばOCT画像H1)を形成することができる。更に、画像構築部は、この極座標系で定義された画像(例えばOCT画像H1)を、3次元直交座標系で定義された画像(例えばOCT画像H2(m))に変換することができる。
このような構成によれば、曲線状スキャンパターンを用いて得られた画像から、画像処理や解析を容易に実施可能な3次元直交座標系で定義された画像を構築することが可能である。
本実施形態に係る眼科撮影装置(1)は、被検眼(E)を繰り返し撮影する撮影部と、撮影部により取得された時系列画像を解析して被検眼の移動を検出する移動検出部とを更に含んでいてよい。本例において、撮影部は眼底カメラユニット2を含み、移動検出部は移動検出部232を含む。
また、データ収集部は、後眼部のスキャンのための光を偏向する光スキャナを含んでいてよい。本例において、光スキャナは光スキャナ44を含む。
更に、制御部は、データ収集部と収差補正部とを連係的に制御しつつ、移動検出部からの出力に基づき光スキャナを制御するように構成されていてよい。ここで、データ収集部及び光スキャナの制御はスキャン制御部213が実行し、収差補正部の制御は収差補正制御部215が実行する。
このような構成によれば、被検眼の動きに合わせてスキャン光の投射位置を補正するためのトラッキングを行いつつ広角スキャンを実施することが可能である。これにより、広角スキャン中に被検眼が動いたとしても、広角スキャンパターンに応じたスキャンを好適に行うことができる。また、スキャンの中断ややり直しを回避することができる。
本実施形態において、記憶部は、2以上の視度値に対応する2以上のマップを予め記憶してよい。この場合、制御部は、被検眼の視度値に対応するマップを2以上のマップのうちから選択し、選択されたマップに基づいて収差制御部の制御を実行することができる。
このような構成によれば、被検眼の視度に応じた収差マップを用いてスキャン時の収差補正を行うことができるので、更なる高画質化を図ることが可能になる。
本実施形態において、データ収集部は、OCTスキャンを後眼部に適用してOCTデータを収集するOCTデータ収集部を含んでいてよい。上記の例において、OCTデータ収集部は、OCTユニット100と、測定アームを構成する眼底カメラユニット2内の要素(リトロリフレクタ41、OCT合焦レンズ43、光スキャナ44、対物レンズ22等)とを含む。
また、本実施形態に係る眼科撮影装置(1)は、OCTデータ収集部により収集されたOCTデータからOCT画像を構築するOCT画像構築部を含んでいてよい。上記の例において、OCT画像構築部は画像構築部220を含む。
更に、本実施形態に係る眼科撮影装置(1)は、OCT画像構築部により構築されたOCT画像に基づいて、記憶部に記憶される収差マップを作成するマップ作成部を含んでいてよい。上記の例において、マップ作成部は収差マップ作成部233を含む。
このような構成によれば、被検眼に応じた個別的な収差マップを用いてスキャン(OCTスキャン、SLOスキャン等の光スキャン)時の収差補正を行うことができるので、更なる高画質化を図ることが可能になる。
例示的な実施形態は、眼科撮影装置を制御する方法を提供する。この制御方法が適用される眼科撮影装置は、被検眼の後眼部を光でスキャンしてデータを収集するデータ収集部と、少なくとも被検眼に起因する収差を補正する収差補正部とを含む。
この制御方法は、マップ準備ステップと、制御ステップとを含む。マップ準備ステップは、データ収集部によるスキャンエリアの少なくとも一部である特定エリアにおける収差補正量の分布を表すマップを準備する。制御ステップは、特定エリアに対応する後眼部の領域をスキャンするためのデータ収集部の制御と、マップに基づく収差補正部の制御とを連係的に実行する。
このような眼科撮影装置の制御方法に対して、例示的な実施形態において説明された事項のいずれかを組み合わせることが可能である。
例示的な実施形態は、このような制御方法をコンピュータに実行させるプログラムを提供する。このプログラムに対して、例示的な実施形態において説明された事項のいずれかを組み合わせることが可能である。
また、このようなプログラムを記録したコンピュータ可読な非一時的記録媒体を作成することが可能である。この記録媒体に対して、例示的な実施形態において説明された事項のいずれかを組み合わせることが可能である。また、この非一時的記録媒体は任意の形態であってよく、その例として、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、半導体メモリなどがある。
例示的な実施形態に係る方法、プログラム、又は記録媒体によれば、処理負荷の増大、ハードウェア及びソフトウェアの複雑化及び高コスト化、演算及び制御の煩雑化といった問題を招くことなく、後眼部の広い範囲に対して高速な光スキャンを適用し、高品質の画像を取得することが可能である。また、例示的な実施形態に係る方法、プログラム、又は記録媒体に組み合わされる事項に応じた作用及び効果が奏される。
以上に説明した構成は、この発明の実施態様の例に過ぎない。よって、この発明の要旨の範囲内における任意の変形(省略、置換、付加等)を施すことが可能である。
例えば、収差補正部は、光学的要素としての収差補正デバイスには限定されず、例えば演算による収差補正が可能なプロセッサ及びプログラムであってもよい。演算による収差補正は、例えば次の文献に記載されている:S. A. Hojjatoleslami, M. R. N. Avanaki, and A. Gh. Podoleanu “Image quality improvement in optical coherence tomography using Lucy-Richardson deconvolution algorithm”, Applied Optics, Vol.52, Issue 23, pp.5663-5670 (2013)。
この場合、次のような変形例を構成可能である。すなわち、この変形例に係る眼科撮影装置は、データ収集部と収差補正部とを含む。データ収集部は、被検眼の後眼部を光でスキャンしてデータを収集する。収差補正部は、プログラムにしたがって動作するプロセッサを含み、データ収集部により収集されたデータに基づく画像の収差を補正する。収差補正部が収差補正を適用する画像領域は、例えば、収差マップにおける特定エリアと同様であってよい。
この変形例においても、上記の例示的な実施形態と同様の制御方法、プログラム、及び記録媒体を構成することができる。また、この変形例に対して、例示的な実施形態において説明された事項のいずれかを組み合わせることが可能である。