JP2019504011A - グルテン不耐症およびそれにより発生する障害を治療するための組成物および方法 - Google Patents
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Abstract
本明細書に記載される本発明は、1つまたは複数のウツボカズラ酵素を含む医薬組成物の投与による、グルテン不耐症ならびに関連の状態(例えば、セリアック病およびグルテン過敏症)の1つまたは複数の症状の治療のための方法および組成物に関する。【選択図】図1
Description
[関連出願との相互参照]
本願は、参照によりその全体を本明細書に組み込まれている2015年12月16日出願の米国仮特許出願第62/268,445号の優先権を請求するものである。
本願は、参照によりその全体を本明細書に組み込まれている2015年12月16日出願の米国仮特許出願第62/268,445号の優先権を請求するものである。
本明細書に提供されるのは、グルテン不耐症および関連の状態、例えばセリアック病やグルテン過敏症などの治療のための組成物および方法である。食物タンパク質抗原としては、グルテンを含有するコムギ、オオムギ、ライムギなどに見られるタンパク質など、難消化性のプロリンに富む食物が挙げられる。特にグルテンは、消化管中で部分的に加水分解されて、炎症性応答および臨床症状に至らしめることがある。この発明の組成物および方法は、腸でそのような食物タンパク質抗原の量の低減をもたらし、次にそれによって、グルテン不耐症およびセリアック病の症状が低減される。
いくつかの疾患は、過敏性の高い個体内で、抗原性の食物タンパク質に対する反応によって媒介される。例えば、コムギ、オオムギおよびライムギは、抗原性の食物タンパク質(例えば、グルテン)を含有し、その摂取によって、異常な自己免疫応答、例えばセリアック病、小麦アレルギー、や疱疹状皮膚炎をグルテン不耐症の個体に引き起こすことがある。グルテンとは、グルタミンおよびプロリンに富むグルテニンタンパク質分子とプロラミンタンパク質分子との混合物である。
セリアック病は、小腸に影響を及ぼす自己免疫障害である。セリアック病の特徴である異常な自己免疫応答を有する個体の多くが、ヒト白血球抗原(HLA)DQ2分子またはDQ8分子を発現する。臨床的には、セリアック病は、グルテンおよび組織トランスグルタミナーゼ(tTG)に特異的な抗体を定量することによって、部分的に検出可能である。自己免疫応答の結果として、腺窩の過形成および粘膜の炎症を伴って、小腸粘膜の絨毛の萎縮が発達する。セリアック病の症状は、個体によって様々になり得るものであり、疲労、慢性下痢、便秘、栄養の吸収不良、体重減少、腹部膨満、貧血、ならびに骨粗鬆症および腸の悪性腫瘍(リンパ腫および癌腫)の発達するリスクの実質的な亢進のうち、1つまたは複数を含むことがある。
疾患の症状は、グルテンタンパク質に対する反応によって引き起こされ、消費される穀物製品中の他の貯蔵タンパク質(例えばセルピン、プリニン)も含むことがある。これらのタンパク質/プロラミンは、胃の酵素による完全なタンパク質分解に対し部分的な抵抗性を付与する配列の組合せで、高いレベルのプロリン(15%)およびグルタミン(35%)を有する。この配列は、全体の消化の動力学を乏しいものとし、腸のエキソプロテアーゼおよびエンドプロテアーゼによるさらに進んだ消化に耐性である長さ30〜40アミノ酸残基のペプチドを生成する。αおよびγ−グリアジンに主に由来するこれらの産物のある画分は、90%を超えるCD患者に随伴するMHCクラスII分子であるヒト白血球抗原(HLA)DQ2およびDQ8に親和性を有する。上記のペプチドは、複数の抗原性領域にわたって広がるのに充分な大きさがあり、腸での酵素による脱アミド化のためのグルタミン残基を呈示する。HLA親和性はグルタミンからグルタメートへの変換によって増加することから、この脱アミド化によって、炎症性応答が大幅に増幅される。
I型糖尿病は、セリアック病のリスク要因である。自閉症もまた、セリアック病に関連があり、グルテンフリー制限食は、自閉症のいくつかの症状を軽減する助けとなることがある。同様に、注意欠陥多動性障害のある人には、常食物からグルテンが除去されると示す症状がさらに少なくなる人がいるものと考えられる。食事由来のグルテンの排除により恩恵を受けることがある他の状態としては、関節リウマチおよび線維筋痛症が挙げられる。
グルテン不耐症、特にセリアック病のための治療は、通例、一生続く厳格なグルテンフリー制限食を含む。しかし、グルテンフリー制限食は、不便かつ拘束的であり、グルテンを避けるのは困難である。それゆえ、グルテン不耐症およびセリアック病の有効な代替の治療が求められている。
この発明は、本明細書に記載されるような1つまたは複数のウツボカズラ(Nepenthes)酵素を含む医薬組成物を投与する結果、グルテン不耐症およびセリアック病を含めて、食物抗原に対する免疫応答により発生する症状の低下が生じるという発見に関する。具体的には、1000:1と15000:1との間の比(総タンパク質と酵素)で組成物を投与することは、組成物の安全性および認容性を維持しつつタンパク質(具体的にはグルテンペプチド)の抗原性を低減するのに充分であると考えられる。
グルテンタンパク質(例えば、グリアジンおよびグルテニン)の毒性は、ヒトの消化酵素(ペプシンを含む)がタンパク質を不完全に分解する間に生産される、プロリンおよびグルタミンに富むペプチドに大きく起因すると考えられる。胃および膵臓のエンドプロテアーゼは、これらの不完全な分解による毒性または免疫原性のペプチド副産物を切断することができず、それは、少なくとも部分的には、そのような酵素がプロリンおよび/またはグルタミンに対する特異性に欠けるという事実に起因する。これらのペプチドは、過敏性の個体に非常に数多くの腸の症状を引き起こすと考えられ、そのような症状としては、上皮内のリンパ球増多、絨毛の萎縮および/または炎症が挙げられる。コムギに存在する他のタンパク質もまた、自己免疫応答に関与する場合があり、そのようなタンパク質としては、セルピン、プリニン、アルファ−アミラーゼ/プロテアーゼ阻害物質、グロブリンおよびファリニンが挙げられる。
T細胞は、過敏性の個体における抗原性の侵襲(すなわち、毒性の食物ペプチドの存在)に対する最初のレスポンダーである。T細胞は、抗原の侵襲に敏速に反応して、炎症を引き起こし、場合によっては、腸の崩壊を引き起こす。そのため、腸でのT細胞の低減は、免疫応答の低下を標示するものであり、過敏性の個体における免疫原性食物(例えばグルテン)の消費に伴う症状の低減または排除の潜在的な指標である。
理論に拘束されるものではないが、グルテン(または他の抗原性のタンパク質)を本明細書に記載されるような医薬組成物と接触させることによって、タンパク質は、免疫応答を低減または排除する(すなわち、毒性ではないか、または毒性の少ない)小さなポリペプチド断片に解体されると考えられる。
本明細書に記載されるような医薬組成物を使用して、食事由来のタンパク質、具体的には消化管酵素によって有効に分解されないプロリンおよび/またはグルタミンに富むタンパク質を分解できるものと想定される。さらに、そのような分解は、タンパク質の吸収を増加させるおよび/または免疫原性を低下させるものと想定される。そのような結果によって、腸の疾患および障害(例えば、セリアック病、グルテン不耐症、過敏性腸症候群、大腸炎、クローン病、食物アレルギーなど)の症状に有益な効果がもたらされることがある。一実施形態では、医薬組成物の投与によって、栄養吸収が改善される。
GI管の酵素補充は、グルテンの消化の結果生じるものを含めて、抗原性ペプチドに対する免疫応答を鈍らせるための可能性ある療法として登場しており、この療法は、炎症を誘発する主要な抗原性領域においてペプチドサイズを低減することによって行われる。少数の候補物が、そのような目的のために供試されており、多くはプロリルエンドプロテアーゼ(PEP)またはプロリルオリゴペプチダーゼ(POP)を含む。試験が進んでいる2つの選択肢は、AN−PEP、すなわちコウジカビ(Aspergillus niger)由来のプロリルエンドプロテアーゼと、ALV003、すなわちスフィンゴモナス・カプスラーテ(Sphingomonas capsulate)由来のPOPとグルタミンを標的とするシステインエンドプロテアーゼとの組合せである。
しかしながら、典型的な食事の総タンパク質負荷の複雑さは、補充ストラテジーおよび適切な投薬量を規定するはずである。乳製品、赤身の肉や魚などの食品は、高レベルのプロリンを含むタンパク質を含有し、プロリルエンドプロテアーゼにのみ依存する療法に対し基質負荷を増加させるものとなる。例えば、プロリンは、グリアジンとおおよそ同じ画分レベルで、ベータ−カゼインでは最も豊富なアミノ酸である。チーズサンドイッチは、1.6gのグリアジンだけでなく1.8gのベータカゼインをも与え、これはPEPベースの療法の基質負荷の2倍である。それゆえ、グルテンフリー制限食の代替として酵素ベースのグルテン解毒療法を考える場合に、総タンパク質は、より安全な程度の基質負荷となる。すなわち、平均総タンパク質消費は、1日当たり20gと75gとの間、好ましくは1日当たり約50gであるものと見積もられる。理に適った投薬量で効能を達成することは、セリアック病の最適な治療としてグルテンフリー制限食と置き換えることの障害となったままである。上述の酵素補充の候補は、消費の限定された状況でグルテンフリー制限食を補うのに最も適するように思われる。
熱帯地域でサルのコップとして通例知られる食虫性の嚢状葉植物である、ウツボカズラの嚢状葉分泌物は、複数のプロテアーゼを含む。濃縮されたウツボカズラ嚢状葉体液は、プロリンおよびグルタミンに富むグルテンペプチドに高い特異性を有する。本明細書に参照によりその全体が組み込まれる米国特許出願公開第2014/0186330号および第2014/0140980号は、濃縮されたウツボカズラ嚢状葉体液および組換えウツボカズラ酵素の活性および特異性を記載している。嚢状葉体液は酸性であり、その中にある酵素は、概して酸性のpHで最も活性がある。
ネペンテシン(EC3.4.23.12)は、ウツボカズラ嚢状葉分泌物ならびに種々の他の植物源から単離または濃縮することができる、アスパラギン酸プロテアーゼである。Tokes et al, Digestive Enzymes Secreted by the Carnivorous Plant Nepenthe smacferlanei L., Planta (Berl.) 119, 39-46 (1974)。ネペンテシンの活性は、食物タンパク質をペプチドに分解する役割を部分的に担う、ヒトの胃に存在する酵素であるペプシン(EC3.4.23.1)よりも高いことが見出されている。ネペンテシンは、2つの公知のアイソタイプ、すなわちネペンテシンI(2つのバリアント:ネペンテシンlaおよびネペンテシンlbを有することで知られる)およびネペンテシンIIを有する。
新規のプロリルエンドペプチダーゼであるネプロシンは、プロリンに富むタンパク質およびオリゴペプチド(グルテンタンパク質など)を切断するための高いタンパク質分解活性を有する。ネプロシンは、ウツボカズラの嚢状葉分泌物から単離または濃縮することができ、広いpH範囲で活性であり、低いpH(例えば、約3から5)で特に活性である。ネプロシンのタンパク質配列は、ゲノムデータベースにある他のどの公知のタンパク質とも相同ではない。ネプロシンは、プロリンのカルボキシ(C)末端側でペプチドを効率良く切断することができる。この切断は、高度に特異的であるものと思われる。ネプロシンは、参照によりその全体を本明細書に組み込まれている米国特許出願公開第2016/0022785号に記載されている。
ネプロシン、ネペンテシンI、およびネペンテシンIIは、単独または組合せで、高いタンパク質と酵素との比で、毒性の食物ペプチドをさらに小さな非毒性ペプチドに切断することができる。酵素は広い酸性pH範囲で活性であるため、酵素による消化を、胃の酸性環境中で開始することができる。
一実施形態では、腸の炎症は、腸におけるIELの浸潤および/または増殖という特徴がある。したがって、一態様では、この発明は、哺乳動物の腸中のペプチド性食物抗原(複数可)の存在に起因する腸の炎症を減弱させるまたは予防するための方法に向けられ、この方法は、少なくとも1つのウツボカズラ酵素を含む有効量の医薬組成物を哺乳動物に投与することを含む。一実施形態では、医薬組成物の量は、ペプチド性食物抗原の存在に起因する腸の炎症を減弱させるまたは予防するのに有効である。一実施形態では、腸の炎症は、内在的な胃のおよび/または腸の酵素による、潜在的に抗原性を持つ食物タンパク質の不完全な消化に起因する。
一態様では、この発明は、哺乳動物の腸中のペプチド性食物抗原の存在に起因する上皮内のリンパ球増多を減弱させるまたは予防するための方法に向けられ、この方法は、少なくとも1つのウツボカズラ酵素を含む有効量の医薬組成物を哺乳動物に投与することを含む。一実施形態では、医薬組成物の量は、腸中で上皮内のリンパ球増多を阻害するのに有効である。
一実施形態では、組成物は、抗原性の可能性がある食物またはタンパク質の摂取の前に、哺乳動物に投与される。一実施形態では、組成物は、抗原性の可能性がある食物またはタンパク質の摂取とともに、哺乳動物に投与される。一実施形態では、組成物は、抗原性の可能性がある食物の摂取後に、哺乳動物に投与される。一実施形態では、組成物は、抗原性の可能性がある食物またはタンパク質の消費に関わらず、哺乳動物に投与される。一実施形態では、抗原性の可能性があるタンパク質はグルテンである。一実施形態では、抗原性の可能性があるタンパク質は、1つまたは複数のコムギタンパク質である。
一実施形態では、医薬組成物の有効量は、約1mgと約1gの間である。一実施形態では、医薬組成物の有効量は、消費される抗原性の可能性があるタンパク質の量に依存する。好ましくは、組成物は、100:1と15000:1の間の総タンパク質と酵素との比で投与される。
一実施形態では、ウツボカズラ酵素は、ウツボカズラ植物の嚢状葉体液から濃縮、単離、または抽出される。一実施形態では、ウツボカズラ酵素は、組換えネペンテシンI、組換えネペンテシンII、組換えネプロシン、それらのバリアント、またはそれらの混合物を含む。
一実施形態では、それらのバリアントは、配列番号1、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号20、および配列番号21からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも85%の配列相同性をアミノ酸配列が有する、タンパク質を含む。一実施形態では、それらのバリアントは、配列番号2、配列番号4、および配列番号14からなる群から選択されるcDNAによってコードされるアミノ酸と少なくとも85%の配列相同性をアミノ酸配列が有する、タンパク質を含む。
一実施形態では、食物は液体である。一態様では、食物は固体である。好適な一実施形態では、医薬組成物は経口的に投与される。
一実施形態では、医薬組成物は、潜在的に免疫原性のタンパク質を含有する食物を患者が摂取しているか(例えば、そうと知りながら摂取しているか)否かに関わらず投与される。一実施形態では、医薬組成物は、必要に応じて、例えば、潜在的に免疫原性のタンパク質によって汚染される可能性があるか、または潜在的に免疫原性のタンパク質の含有量が未知である、食事の前に、間におよび/または後に投与される。一実施形態では、医薬組成物は、定期的に投与される。一実施形態では、医薬組成物は、1日当たり少なくとも1回投与される。一実施形態では、医薬組成物は、1日当たり2回、3回、4回、またはそれを超える回数で投与される。一実施形態では、医薬組成物は、各食事および/または軽食と併せて(例えば、前に、間に、または後に)投与される。一実施形態では、医薬組成物は、徐放性製剤の一部として含まれ、そこでは、食物の抗原性タンパク質の含有量に関わらず断続的な軽食などを可能にする、酵素の継続的な放出がある。
一実施形態では、医薬組成物は、水系で約pH2で維持され、そこでは、前記酵素の遊離アミノ基が荷電している。一実施形態では、組成物は、胃の中で酸に接触する前に中性pHで維持される。一実施形態では、医薬組成物は、組成物のpHが胃の中で酸に接触するとpH5または6で維持されるように、医薬的に許容可能な緩衝液を含む。
一実施形態では、医薬組成物の有効量は、約1mgと約1gの間である。好ましくは、医薬組成物の有効量は、約1mgと約10mgの間である。さらに好ましくは、医薬組成物の有効量は、1日当たり約5mg未満である。
一実施形態では、医薬組成物の有効量は、基質(例えば、グルテンもしくは他の潜在的に免疫原性のタンパク質、または総タンパク質)1g当たり約1mgと約1gの間である。一実施形態では、医薬組成物の有効量は、1日の総タンパク質50グラム当たり約1mgと約20mgの間である。好適な一実施形態では、医薬組成物の有効量は、1日の総タンパク質50グラム当たり約1mgと約10mgとの間である。
一実施形態では、医薬組成物は、ネペンテシンI、ネペンテシンII、ネプロシン、またはそのバリアントのうち2つ以上を含む。
一実施形態では、哺乳動物はヒトである。一態様では、ヒトは、グルテン過敏症またはセリアック病に罹っている。一態様では、腸の抗原タンパク質過敏性は、直接的または間接的に、注意欠陥多動性障害、自閉症、関節リウマチ、線維筋痛症および/または疱疹状皮膚炎と相互に関係があることが想定される。この発明の組成物を用いてそのような抗原性の腸のタンパク質を腸から除去することは、注意欠陥多動性障害、自閉症、関節リウマチ、線維筋痛症および/または疱疹状皮膚炎に正の効果を有するものとなることがさらに想定される。好適な一実施形態では、ヒトはセリアック病に罹っている。
一態様では、この発明は、腸に移動する摂取タンパク質の毒性ペプチドの含有量を低減するための、有効量のネペンテシンI、ネペンテシンII、ネプロシン、それらのバリアント、またはそれらの混合物を含む、医薬組成物に向けられる。好適な一実施形態では、医薬組成物は、ネプロシンもしくはバリアントおよび/またはそれらの塩を含む。さらに好適な一実施形態では、医薬組成物は、少なくとも1つの追加のウツボカズラ酵素をさらに含む。一実施形態では、追加のウツボカズラ酵素は、ネペンテシンI、ネペンテシンII、それらのバリアントおよび/またはそれらの塩を含む。
理論に拘束されるものではないが、ネペンテシンI、ネペンテシンII、およびネプロシンは、中性から酸性のpHで、より活性が低いかまたは実質的に不活性であると考えられる。このことは、酵素による望ましくない消化の可能性がある場合には、重要であることがある。例えば、医薬組成物が経口的に投与される場合にでは、口腔粘膜、食道粘膜および組成物と接触する状態となり得る他の細胞が、その中の酵素によって消化されることのないように、組成物をpH5、pH6、pH6.5、またはそれよりも大きく緩衝し、その結果、より活性の低い形態の酵素を生じるものとすることがある。同様に、組成物を食物に添加する際に、緩衝された酵素は、食物が消費される前にそれを消化することができない(またはあまりできない)ものとなる。そのような状況では、胃の酸性環境に組成物を導入することは、pHの低下および酵素の活性化をもたらすものとなる。
一実施形態では、医薬組成物は、約pH5、pH6、もしくはpH6.5に、またはそれよりも高く緩衝されている。好適な一実施形態では、組成物は、約pH5から約pH8.5に緩衝されている。一実施形態では、組成物は、液体の形態である。一実施形態では、組成物は、固体の形態である。一実施形態では、組成物のpHは、液体の形態に調整され、組成物は乾燥されて固体を形成する。
一実施形態では、医薬組成物は、1つまたは複数の追加のプロテアーゼを含む。一実施形態では、1つまたは複数の追加のプロテアーゼは、アスパラギン酸プロテアーゼ、セリンプロテアーゼ、スレオニンプロテアーゼ、システインプロテアーゼ、グルタミン酸プロテアーゼ、またはメタロプロテアーゼである。一実施形態では、医薬組成物は、1つまたは複数の追加のエキソプロテアーゼ、例えば、ロイシンアミノペプチダーゼやカルボキシペプチダーゼなどを含む。一実施形態では、1つまたは複数の追加のプロテアーゼは、トリプシンである。好適な一実施形態では、1つまたは複数の追加のプロテアーゼは、酸性pH(例えば、pH2〜6)で活性である。
一態様では、本発明は、本発明の医薬組成物を含む製剤に向けられ、ここでは、製剤が胃の中に存在する間に酵素が継続的に放出されるように、酵素は、遅延放出性の媒体中に存在する。一実施形態では、製剤は、胃の中で酸と接触する前に、約5超のpHを有する。一実施形態では、組成物のpHが胃の中で酸と接触すると、少なくとも一時期は約pH5または6のままとなるように、製剤は生物学的に許容可能な緩衝液を含む。
一実施形態では、本発明は、単位用量の医薬組成物の製剤に向けられる。例えば、そして限定はないが、単位用量は、錠剤、カプセルなどの中に存在していてもよい。単位用量は、固体、液体、粉末、または任意の他の形態であってもよい。理論に拘束されるものではないが、単位用量の医薬組成物の製剤は、過剰量の組成物を投与することの潜在的な負の副作用を回避するとともに、適正な用量投与(例えば、摂取された免疫原性タンパク質の量に基づいて)を可能にするものとなることが想像される。
一実施形態では、本発明は、ネペンテシンI、ネペンテシンII、ネプロシンおよび/またはそれらのバリアントのプロ酵素の形態に向けられる。一実施形態では、プロペプチドは、酵素の上に存在する。好適な一実施形態では、プロペプチドは、酸性pHによって除去され、それによって酵素が活性化される。一実施形態では、プロペプチドは、天然に発生する酵素のプロペプチドのアミノ酸配列を含む。一実施形態では、プロペプチドは、人工のプロペプチドまたは異種のプロペプチド(すなわち、異なるタンパク質および/または種由来の酸に不安定なプロペプチド)である。
図1BはN末端切断選好性(Ρ1’位置)を昇温での蓄積時間の関数として示す図である。データは、図1Aについて記載されたように生成し収集した。広範に非特異的に消化するという抽出物の特徴の変化は、時間を通じて観察されなかった。
図1Cは組換えのネペンテシンIおよびIIの切断選好性を、P1位置のウツボカズラ体液タンパク質濃縮物と比較して示した図である。一連のタンパク質標品由来のLC−MS/MSデータを用いて、上記に規定されたように総量に対する相対的な%切断としてデータを示す。この比較では、3つ全ての酵素調製物について、試料を溶液中37℃で5分間消化した。C末端プロリン(P)の切断がないことは、組換え酵素と体液タンパク質濃縮物との主な違いを表している。
図1Dは組換えのネペンテシンIおよびIIの切断選好性を、P1’位置のウツボカズラ体液タンパク質濃縮物と比較して示す図である。図1Cについて記載されたようにデータを示す。
図2Bはタンパク質分解阻害剤がウシ血清アルブミン(BSA)の消化に及ぼす効果を、SDS PAGEによって測定した図である。阻害剤:PMSF(フッ化フェニルメチルスルホニル)、P(ペプスタチン)、L(ロイペプチン)、E(EDTAおよびEGTA)、DTT(ジチオスレイトール)、ZPP(Z−Pro−Pro−アルデヒド−ジメチルアセタール)。記述されたところを除いて、全ての阻害剤濃度を1mMとした。抽出物:体液タンパク質抽出物、M:レーンマーカー。
図2Cは抽出物のアリコートを用いて消化した粗グリアジンスラリーの重量分析を示す図である。挿入図:タンパク質富化体液抽出物を用いた、スラリーの経時プロファイリング(左から右:0、30、60、90分)。
図2Dはタンパク質−富化体液の銀染色SDS PAGEを示す図であり、画分の限定的な複雑さと、ペプシン存在下でのタンパク質分解の高い安定性とを示す。
図3Bはこの研究で名称をネプロシンとした画分2の酵素を2つのドメインからなる構築物として同定する、配列同定のストラテジーを示す図である。
図4Bは単離された画分のタンパク質含有量のMALDI−TOF分析により、純度が確認され、成熟した酵素が図4Aの完全配列よりも小さいことが示唆されることを示す図である。推定分子量は28,860である。
図8Bはウツボカズラ体液プロテアーゼのマイクロモル濃度を標示した、10mg/mLグリアジンの経時の消化を示す図である(37℃でpH2.5)。消化されたグリアジンの濁度を、595nm(A595)での吸光度としてモニターした。黒線はプロテアーゼ非存在下でのグリアジンスラリーの濁度を表す。測定精度は<3%RSD(n=3)であった。
図8Dはウツボカズラ体液酵素のみ、およびペプシンのみを用いた消化について、最大限の効果の90%で測定された、スラリーの清澄化速度を示す図である。データは図8A〜図8Cから得た。値を消化時間分当たりのマイクロモル酵素濃度当たりのグリアジンのミリグラムとして出力した。
図9Bは標示濃度のペプシンで消化された10mg/mLグリアジンのSDS−PAGEを示す図である。消化は、pH2.5および37℃で90分間とした。全ての濃度をμΜとした。M:分子量マーカー、およびグリアジン:プロテアーゼ非存在下での総粗グリアジン。
図9Cは標示濃度の体液プロテアーゼで消化された10mg/mLグリアジンのSDS−PAGEを示す図である。消化は、pH2.5および37℃で90分間とした。全ての濃度をμΜとした。M:分子量マーカー、およびグリアジン:プロテアーゼ非存在下での総粗グリアジン。
図9Dは体液プロテアーゼと組み合わせて標示濃度のペプシンで消化された10mg/mLグリアジンのSDS−PAGEを示す図である。消化は、pH2.5および37℃で90分間とした。全ての濃度をμΜとした。M:分子量マーカー、およびグリアジン:プロテアーゼ非存在下での総粗グリアジン。
図9Fは記された酵素濃度における図9E由来のデコンヴォルーションされたスペクトルのバーコード表現を示す図であり、強度の単純な2値モデルを用いた分子量の分布を示す。(白:<0.2%、黒:>0.2%).
図9Gはグリアジン消化産物から脱アミド化カウンターパートへのTG2誘導性変換を示す図である。画分の脱アミド化を、全てのペプチドについてイオンクロマトグラム強度から定量した。すなわち、データを比として示し、その際に、抗原性ペプチドの脱アミド化を、標示されたプロテアーゼ濃度での非抗原性ペプチドの脱アミドに正規化した。抗原性領域を、挿入された表のDQ2クライテリアを用いて規定した。
図12Bはαおよびγ−グリアジンの抗原性領域にわたって広がる3つのペプチド(上部図12A)の経時的な消化プロファイルを示す図である。10mg/mLの粗グリアジンスラリーおよび90mg/mLのウシ血清アルブミンに、t=0で0.46μΜの体液プロテアーゼ(ネペンテシンとネプロシン4:1)および5μΜのペプシンを補充した。上部にペプチドの名称でコードされたデータの色は、決定した値の平均(n=3、相対標準偏差<2%)を表し、この値は、ペプチドの安定同位体標識バージョンに対し標準化されて、最大強度に正規化された値として出力された。
この発明は、記載される具体的な実施形態に限定されず、それはそのようなものが当然ながら様々となり得るためであることを理解されたい。また、この発明の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されることから、本明細書に使用される用語は、具体的な実施形態を記載することのみを目的としており、限定を意図しないものであることを理解されたい。
本発明の詳細な記載は、読み手の利便性のためにのみ、様々な項に分けられているのであって、いかなる項に見出される開示も、別の項にあるものと組み合わされてもよい。
I.定義
I.定義
別段規定されない限り、本明細書に使用される全ての技術用語および科学用語は、この発明が属する分野の当業者が一般に理解するものと同じ意味を有する。本明細書に記載のものと同様または同等のいかなる方法および材料も、本発明の実践または試験において使用することができるが、好適な方法、デバイスおよび材料をこれより記載する。本明細書に引用される全ての技術刊行物および特許公報は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。先行発明により本発明がそのような開示に先行する権利が与えられないことを認めると解釈されるものは、本明細書にはない。
本明細書および特許請求の範囲で使用される際に、単数形「a」、「an」および「the」とは、文脈が別段明記しない限り、複数形を含む。
本明細書に使用される際に、用語「含んでいる(comprising)」とは、組成物および方法が、記載される要素を含むが他を除外しないことを意味することを意図する。組成物および方法を定義するために使用される際の「から本質的になる(consisting essentially of)」は、その組み合わせにとって任意の本質的な重要性を持つ他の要素を除外することを意味するものとする。例えば、本明細書で定義されるような要素から本質的になる組成物は、特許請求の範囲に記載される発明の基本的なおよび新規の特徴に実質的に影響を及ぼさない他の要素を除外しないものとなる。「からなる(Consisting of)」とは、痕跡量よりも多い他の成分および記載される実質的な方法ステップを除外することを意味するものとする。これらの移行用語のそれぞれによって定義される実施形態は、本発明の範囲内にある。
本明細書に使用される際に、「抗原性の可能性がある食物またはタンパク質」とは、過敏性個体の腸において免疫および/または炎症性応答を引き起こし得る任意の食物またはタンパク質である。好適な一実施形態では、個体とはヒトであり、食物とはヒトによる消費を意図されている食物である。抗原性の可能性がある食物としては、限定はないが、コムギ、ライムギ、オオムギ、ピーナッツ、ナッツおよび種子が挙げられる。一実施形態では、これらの食物由来の抗原性の可能性があるタンパク質としては、プロラミンタンパク質、2Sアルブミン、非特異的脂質輸送タンパク質、二機能性α-アミラーゼ/プロテアーゼ阻害剤、ダイズ疎水性タンパク質、インドリン、グルテン、セルピン、プリニン、アルファ-アミラーゼ/プロテアーゼ阻害物質、グロブリンおよびファリニンが挙げられる。好適な一実施形態では、抗原性の可能性があるタンパク質(またはペプチド)は、プロリンおよび/またはグルタミン残基に富む。特に好適な一実施形態では、抗原性の可能性があるタンパク質は、グルテンである。別の好適な一実施形態では、抗原性の可能性があるタンパク質は、コムギタンパク質である。
本明細書で使用される際に、用語「グルテン」とは、一般に、ある個体に潜在的な有害作用を有する、コムギ、またはオオムギおよびライムギを含めた近縁の穀物種に存在するタンパク質を指す。グルテンタンパク質は、単量体タンパク質であるα-グリアジン、β-グリアジン、γ-グリアジンやω-グリアジンなどのグリアジン、ならびにジスルフィド結合によって結び付けられた高分子量サブユニットおよび低分子量サブユニットの凝集体の高度に不均一な混合物であるグルテニンを含む。多くのコムギグルテンタンパク質は特徴が明らかになっている。例えば、Woychik et al, Amino Acid Composition of Proteins in Wheat Gluten, J. Agric. Food Chem., 9(4), 307-310 (1961)を参照されたい。本明細書に使用される際の用語グルテンとは、グルテン含有食物由来のグルテンタンパク質の通常のヒトでの消化に由来し異常な免疫応答を引き起こし得る、オリゴペプチドも含む。これらのオリゴペプチドの中には、通常の消化酵素に抵抗性であるものもある。上記のタンパク質およびオリゴペプチドを含めて、グルテンは、グルテン不耐症(例えば、セリアックスプルー)の患者において、T細胞(例えば、IEL)に対する抗原として作用するものと考えられる。用語グルテンはまた、例えば焼成製品に見出されるであろう変性グルテンも指す。
本明細書に使用される際に、用語「グルテン過敏性および関連する状態」とは、グルテンタンパク質またはペプチドに対する不耐性または過敏性に起因する任意の状態を指す。これらとしては、限定はないが、セリアックスプルー(セリアック病)、コムギアレルギー、グルテン過敏症、グルテン過敏性腸症、特発性グルテン過敏症、および疱疹状皮膚炎が挙げられる。関連する状態としては、限定はないが、自閉症、注意欠陥多動性性障害(ADHD)、関節リウマチ、線維筋痛症、クローン病、栄養の吸収不良、および過敏性腸症候群(IBS)も挙げられる。
用語「ネプロシン」とは、およそ29キロダルトン(kDa)の分子量を持つプロリルエンドプロテアーゼを指す。ネプロシンは、ウツボカズラ種の嚢状葉分泌物から単離することができる。ネプロシンは、高い特異性で、プロリンのカルボキシ末端でタンパク質を切断する。この酵素は、約pH2から約pH6で活性である。一実施形態では、ネプロシンは、配列番号1のアミノ酸配列を有する。ネプロシンのアミノ酸配列は、いかなる他の公知のタンパク質にも相同でない。一実施形態では、ネプロシンは、配列番号2のcDNA配列によってコードされる。一実施形態では、ネプロシンはシグナル配列を含む。一実施形態では、シグナル配列は、配列番号3のアミノ酸配列を含む。一実施形態では、ネプロシンはシグナル配列を含まない。
ネプロシンは、ネプロシン、組換えネプロシン、およびそれらの塩の全てのアイソフォーム、アイソタイプ、およびバリアントを含む。塩とは、遊離ネプロシンの生物学的な有効性および性質を保持し、かつ生物学的にまたはその他の点で望ましくないものではない、1つもしくは複数の塩基または1つもしくは複数の酸とともにネプロシンによって形成される塩を指す。無機塩基由来の塩としては、以下に限定されないが、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、マンガン、アルミニウムの塩などが挙げられる。有機塩基由来の塩としては、以下に限定されないが、第1級、第2級、および第3級アミン、天然に発生する置換アミンを含めた置換アミン、環状アミンおよび塩基性イオン交換樹脂、例えば、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、エタノールアミン、2-ジメチルアミノエタノール、2-ジエチルアミノエタノール、ジシクロヘキシルアミン、リジン、アルギニン、ヒスチジン、カフェイン、プロカイン、ヒドラバミン、コリン、ベタイン、エチレンジアミン、グルコサミン、メチルグルカミン、テオブロミン、プリン、ピペラジン、ピペリジン、N−エチルピペリジン、ポリアミン樹脂などの塩が挙げられる。塩を形成することができる酸としては、以下に限定されないが、無機酸、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸など、および有機酸、例えば、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸などが挙げられる。
プロテアーゼの例としては、限定はないが、アスパラギン酸プロテアーゼ、セリンプロテアーゼ、スレオニンプロテアーゼ、システインプロテアーゼ、グルタミン酸プロテアーゼ、およびメタロプロテアーゼが挙げられる。本発明で有用となり得るプロテアーゼとしては、限定はないが、BACE、カテプシンD、カテプシンE、キモシン(または「レンニン」)、ナプシン、ペプシン、プラスメプシン、プレセニリン、レニン、トリプシン、ケモトリプシン(chemotrypsin)、エラスターゼ、およびシステインエンドプロテアーゼ(EP)B2(EPB2としても知られる)が挙げられる。プロテアーゼは、例えば、そのそれぞれが参照により本明細書に明確に組み込まれる米国特許第7,320,788号、第7,303,871号、第7,320,788号、第7,628,985号、第7,910,541号、および第7,943,312号;PCT特許公開第2005/107786号、第2008/115428号、第2008/115411号、第2010/021752号、第2010/042203号、第2011/097266号に記載されるものを含む。好適な一実施形態では、少なくとも1つの追加のプロテアーゼは、酸性pH、例えば胃に見られるもの(例えば、pH1.5から3.5)などで活性である。
用語「ネペンテシン」とは、酵素委員会番号EC3.4.23.12を有するアスパラギン酸プロテアーゼを指し、ネペンテシンIやネペンテシンIIなどのネペンテシンの全てのアイソフォーム、アイソタイプ、およびバリアント、ネペンテシンアイソフォームおよび組換えネペンテシン、ならびにそれらの塩を含む。ネペンテシン(EC3.4.23.12)は、種々の植物源、例えば、熱帯地域でサルのコップとして通例知られる食虫性の嚢状葉植物であるウツボカズラの嚢状葉分泌物から単離および濃縮することのできる、植物起源のアスパラギン酸プロテアーゼである。ネペンテシンは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第9,005,610号に詳細に記載されている。
一実施形態では、「有効量」とは、対象における症状の阻害もしくは寛解、または所望の生物学的アウトカム、例えば、臨床徴候の改善、疾患の発症の遅延などを結果として生じる組成物の量を指す。有効量は、当業者が決定することができる。選択される投薬量レベルは、治療されている状態の重症度、ならびに治療されている哺乳動物の状態および以前の病歴に依存することがある。しかし、所望の治療効果を達成するのに必要とされるより低いレベルで組成物の用量投与を開始すること、および所望の効果が達成されるまで投薬量を徐々に増加させることは、当技術分野の技能の範囲内である。
用語「セリアック病の発現」とは、セリアック病の症状または臨床像のうちのいずれかを指す。そのような発現としては、限定はないが、腸の炎症、「ぼんやりとした精神状態」、抑うつ、不安、ADHD様行動、腹痛、腹部膨満、下痢、便秘、頭痛、片頭痛、骨または関節の痛み、慢性疲労、小腸の損傷、組織トランスグルタミナーゼ(tTG)抗体の発生、重度のざ瘡、嘔吐、体重減少、易刺激性、鉄欠乏性貧血、関節炎、四肢の刺痛・しびれ、不妊、および口の潰瘍性口内炎が挙げられる。発現は、陰窩過形成を伴う小腸粘膜絨毛の萎縮、腸の粘膜の炎症、栄養の吸収不良、腹部膨満、ならびに骨粗鬆症および腸の悪性腫瘍(リンパ腫および癌腫)の発生の危険性の実質的な亢進をさらに含む。
「同時投与」または「共治療」は、本明細書に使用する際には、一緒に、または互いに前後する薬剤の投与を含む。
用語「調節する」、「減弱させる」、または「寛解させる」とは、哺乳動物などの対象における疾患または障害の任意の治療を意味し、
・疾患もしくは障害を予防もしくは保護すること、すなわち、異常な生物学的反応もしくは症状を発生させないようにすること、
・疾患もしくは障害を阻害すること、すなわち、異常な生物学的反応および/もしくは臨床症状の発生を抑止または抑制すること、ならびに/または
・疾患もしくは障害を軽減すること、すなわち、異常な生物学的反応および/もしくは症状を後退させること
を含む。
・疾患もしくは障害を予防もしくは保護すること、すなわち、異常な生物学的反応もしくは症状を発生させないようにすること、
・疾患もしくは障害を阻害すること、すなわち、異常な生物学的反応および/もしくは臨床症状の発生を抑止または抑制すること、ならびに/または
・疾患もしくは障害を軽減すること、すなわち、異常な生物学的反応および/もしくは症状を後退させること
を含む。
本明細書に使用される際に、用語「予防する」または「阻害する」とは、それを必要とする対象の予防的治療を指す。予防的治療は、病気に罹る危険性がある対象に適切な用量の治療剤を与え、それによって、病気の発症を実質的に防ぐことによって達成することができる。
本明細書に使用される際に、用語「状態」とは、本明細書に提供される化合物、組成物、および方法が使用されている病態を指す。
本明細書に使用される際に、用語「患者」または「対象」とは、哺乳動物を指し、ヒトおよびヒト以外の哺乳動物を含む。本明細書の具体的な実施形態では、患者または対象はヒトである。
数値の前で使用される場合、用語「約」とは、値が合理的な範囲、すなわち±5%、±1%または±0.2%内で変化することがあることを示す。
別の配列とあるパーセンテージ(例えば、80%、85%、90%または95%)の「配列同一性」を有するポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチド領域(またはポリペプチドもしくはポリペプチド領域)とは、整列させた際に、塩基(またはアミノ酸)のパーセンテージが、その2つの配列の比較において同じであることを意味する。アライメントおよびパーセント相同性または配列同一性は、当技術分野に公知のソフトウェアプログラム、例えば、Current Protocols in Molecular Biology (Ausubel et al, eds. 1987) Supplement 30, section 7.7.18, Table 7.7.1.に記載されているものを使用して決定することができる。好ましくは、アライメントについてデフォルトパラメーターを使用する。アライメントプログラムの1つは、デフォルトパラメーターを使用するBLASTである。プログラムの例としては、BLASTNおよびBLASTPが挙げられ、これは、以下のデフォルトパラメーターを使用する:Genetic code = standard; filter = none; strand = both; cutoff = 60; expect = 10; Matrics= BLOSUM62; Descriotions = 50 sequences; sort by = HIGH SCORE; Databases = non-redundant, GenBank + EMBL + DDBJ + PDB + GenBank CDS translations + SwissProtein + SPupdate + PIR。これらのプログラムの詳細は、以下のインターネットアドレス:ncbi.nlm.nih.gov/cgi-bin/BLASTに見出すことができる。
「相同性」または「同一性」または「類似性」とは、2つのペプチド間または2つの核酸分子間の配列類似性を指す。相同性は、比較の目的で整列され得る各配列における位置を比較することによって決定することができる。比較される配列における位置が、同じ塩基またはアミノ酸で占められている場合に、これらの分子はその位置で相同である。配列間の相同性の程度は、配列が共通に有する合致しているかまたは相同な位置の数の関数である。「無関係の」または「非相同な」配列は、本開示の配列の1つと40%未満の同一性、あるいは25%未満の同一性を共通に有する。
II.方法
II.方法
一態様では、本発明は、患者でグルテン不耐症によって媒介される状態を調節するための方法であって、ウツボカズラ酵素を含む有効量の医薬組成物を患者に投与することを含む方法に関する。好適な一実施形態では、状態はセリアック病またはコムギアレルギーである。
別の一態様では、この発明は、哺乳動物の腸中のペプチド性食物抗原の存在に起因する、腸におけるIELの生産および/または動員を、減弱させるまたは予防するための方法に関する。一実施形態では、方法は、ウツボカズラ酵素を含む有効量の医薬組成物を哺乳動物に投与することを含む。一実施形態では、腸におけるIELの生産および/または動員を減弱させるかまたは予防するように、グルテンタンパク質が、医薬組成物によって分解される。
一態様では、この発明は、哺乳動物の腸中のペプチド性食物抗原の存在に起因する腸の炎症を減弱させるかまたは予防するための方法に関する。一実施形態では、方法は、ウツボカズラ酵素を含む有効量の医薬組成物を哺乳動物に投与することを含む。一実施形態では、腸の炎症を減弱させるかまたは予防するように、ペプチド性食物抗原は、酵素によって分解される。
一態様では、この発明は、哺乳動物の腸中のペプチド性食物抗原の存在に起因する上皮内のリンパ球増多を減弱させるかまたは予防するための方法に関する。一実施形態では、方法は、ウツボカズラ酵素を含む有効量の医薬組成物を哺乳動物に投与することを含む。一実施形態では、腸の上皮内のリンパ球増多を減弱させるかまたは予防するように、ペプチド性食物抗原は、医薬組成物によって分解される。
一態様では、この発明は、哺乳動物の腸中のペプチド性食物抗原の存在に起因する絨毛の萎縮を減弱させるかまたは予防するための方法に関する。一実施形態では、方法は、ウツボカズラ酵素を含む有効量の医薬組成物を哺乳動物に投与することを含む。一実施形態では、腸中の絨毛の萎縮を減弱させるかまたは予防するように、ペプチド性食物抗原は、医薬組成物によって分解される。一実施形態では、絨毛の萎縮は、腸の炎症の結果である。
一実施形態では、ウツボカズラ酵素は、ネペンテシンI、ネペンテシンII、ネプロシン、それらのバリアント、またはそれらの混合物である。好適な一実施形態では、医薬製剤は徐放性製剤である。
一実施形態では、バリアントは、配列番号1、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号20、または配列番号21のアミノ酸配列と少なくとも85%の配列相同性を有するアミノ酸配列を有するタンパク質である。一実施形態では、バリアントは、配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも85%の配列相同性を有するアミノ酸配列を有するタンパク質である。一実施形態では、バリアントは、配列番号5のアミノ酸配列と少なくとも85%の配列相同性を有するアミノ酸配列を有するタンパク質である。一実施形態では、バリアントは、配列番号6のアミノ酸配列と少なくとも85%の配列相同性を有するアミノ酸配列を有するタンパク質である。一実施形態では、バリアントは、配列番号7のアミノ酸配列と少なくとも85%の配列相同性を有するアミノ酸配列を有するタンパク質である。一実施形態では、バリアントは、配列番号8のアミノ酸配列と少なくとも85%の配列相同性を有するアミノ酸配列を有するタンパク質である。一実施形態では、バリアントは、配列番号9のアミノ酸配列と少なくとも85%の配列相同性を有するアミノ酸配列を有するタンパク質である。一実施形態では、バリアントは、配列番号20のアミノ酸配列と少なくとも85%の配列相同性を有するアミノ酸配列を有するタンパク質である。一実施形態では、バリアントは、配列番号21のアミノ酸配列と少なくとも85%の配列相同性を有するアミノ酸配列を有するタンパク質である。
一実施形態では、医薬組成物は、ウツボカズラ嚢状葉体液の抽出物を含む。一実施形態では、医薬組成物は、ウツボカズラ嚢状葉体液の抽出物から精製されたネペンテシンI、ネペンテシンII、および/またはネプロシンを含む。一実施形態では、ネペンテシンI、ネペンテシンII、ネプロシン、またはそれらのバリアントのうち少なくとも1つは、組換えタンパク質である。一実施形態では、医薬組成物は、投与の前に約pH5と約pH8の間である。本明細書に記載の方法で使用するための医薬組成物は、下記にさらに詳細に議論される。
好適な一実施形態では、哺乳動物はヒトである。一実施形態では、ヒトは、グルテン不耐症、セリアック病、注意欠陥多動性障害、自閉症、関節リウマチ、線維筋痛症、および疱疹状皮膚炎からなる群から選択される疾患に罹っている。一実施形態では、ヒトは、食物アレルギーに罹っている。
一実施形態では、医薬組成物は、グルテン含有食物の消費の前に、間に、または直後に経口的に投与される
実施形態によっては、医薬組成物は、グルテンを含むか、またはグルテンを含む疑いがある食物を対象が摂取する前に、対象に投与される。実施形態によっては、医薬組成物は、対象が摂取することになる食物中のグルテンを分解する際に、酵素が少なくとも部分的に有効(例えば、本来の活性の少なくとも約10%、20%、50%、70%、90%)である期間内に投与される。実施形態によっては、医薬組成物は、対象が食品を摂取する前の約4時間、3時間、2時間、1時間または30分以内に投与される。
実施形態によっては、医薬組成物は、免疫原性の可能性がある食物を対象が摂取するのと同時に対象に投与される。実施形態によっては、酵素組成物は、食物とともに投与される。実施形態によっては、医薬組成物は、食物とは別に投与される。
実施形態によっては、医薬組成物は、免疫原性の可能性がある食物を対象が摂取したすぐ後に対象に投与される。実施形態によっては、医薬組成物は、食物中の抗原の少なくとも一部(例えば、少なくとも約10%、20%、50%、70%、90%)がまだ対象の胃の中にある期間内に投与される。実施形態によっては、医薬組成物は、対象が食物を摂取した後の4時間、3時間、2時間、1時間または30分以内に投与される。
典型的には、医薬組成物は、安全でありかつペプチド性食物抗原の解毒という所望の効果をもたらすのに充分な量で投与される。医薬組成物の投薬量は、多くの要因、例えば、投与される具体的な酵素、食物に対する対象の過敏性、摂取される抗原含有食物の量および種類、酵素の薬力学的特性、投与様式、レシピエントの年齢、健康および体重、症状の特質および程度、治療の頻度、ならびにもしあれば併用療法の種類、ならびに酵素のクリアランス速度に応じて変わることがある。当業者は、上記の要因に基づいて、適切な投薬量を決定することができる。組成物は、臨床応答に応じて、必要に応じて調整され得る適切な投薬量で、最初に投与することができる。最適な投薬量の範囲を特定する一助とするために、In vitroアッセイを任意選択で採用してもよい。製剤に採用される正確な用量はまた、投与経路および/または疾患もしくは障害の重症度にも依存するものとなり、医師の判断および各対象の状況に従って決定されるべきである。
成人対象の投薬または用量投与のレジメンを、小児および幼児用に比例的に調整してもよいし、また、例えば分子量または免疫応答に応じて、他の投与または他の形式用に調整してもよい。医師の裁量で、投与または治療を適切な間隔で反復してもよい。
一般に、医薬組成物は、必要な場合に、例えば、抗原性タンパク質を含むか、もしくは抗原性タンパク質を含む疑いがある食物を対象が摂取することになる、または摂取している、または摂取した場合などに、投与される。いずれにしても、それは、1日につきkg体重あたり約0.001mgから約1000mgの酵素の投薬量で、または平均的な人に対して、用量あたり約1mgから約100gの投薬量で投与することができる。実施形態によっては、酵素は、1日当たり0.001、0.01、0.1、1、5、10、50、100、500、または1000mg/kg体重でおよびこれらの値のうちいずれか2つの間の範囲(端点を含む)で、投与することができる。実施形態によっては、酵素は、用量当たり1mg、10mg、100mg、200mg、500mg、700mg、1g、10g、20g、50g、70g、100gでおよびこれらの値のうちいずれか2つの間の範囲(端点を含む)で、投与することができる。実施形態によっては、それは、対象が抗原性タンパク質を含む食物を消費する回数および/またはそのような食物のどのくらいが消費されるかに応じて、1日に1回、2回、3回など投与されてもよい。本明細書に記載される酵素の量は、組成物中の総酵素または各酵素に関するものとしてよい。
実施形態によっては、投与される医薬組成物の量は、消費された/消費される基質(例えば、グルテンおよび/または他のタンパク質もしくは抗原性の可能性があるタンパク質)の量(またはおおよその量)に依存する。一実施形態では、約1mgから約1gの酵素が基質1g当たりに投与される。一実施形態では、約5mgから約1gの酵素が基質1g当たりに投与される。一実施形態では、約10mgから約1gの酵素が基質1g当たりに投与される。一実施形態では、約100mgから約1gの酵素が基質1g当たりに投与される。一実施形態では、約1mgから約500mgの酵素が基質1g当たりに投与される。一実施形態では、約1mgから約250mgの酵素が基質1g当たりに投与される。一実施形態では、約1mgから約100mgの酵素が基質1g当たりに投与される。一実施形態では、約1mgから約10mgの酵素が基質1g当たりに投与される。これは、これらの範囲(端点を含む)、およびこれらの値のいずれか2つの間にある部分範囲のいずれかの内にある、任意の値を含む。
一実施形態では、医薬組成物の有効量は、約1mgと約1gの間である。好ましくは、医薬組成物の有効量は、約1mgと約10mgの間である。さらに好ましくは、医薬組成物の有効量は、1日当たり約5mg未満である。一実施形態では、医薬組成物の有効量は、約10mgと約1gの間である。一実施形態では、医薬組成物の有効量は、約20mgと約1gの間である。一実施形態では、医薬組成物の有効量は、約30mgと約1gの間である。一実施形態では、医薬組成物の有効量は、約40mgと約1gの間である。一実施形態では、医薬組成物の有効量は、約50mgと約1gの間である。一実施形態では、医薬組成物の有効量は、約60mgと約1gの間である。一実施形態では、医薬組成物の有効量は、約70mgと約1gの間である。一実施形態では、医薬組成物の有効量は、約80mgと約1gの間である。一実施形態では、医薬組成物の有効量は、約100mgと約1gの間である。一実施形態では、医薬組成物の有効量は、約500mgと約1gの間である。一実施形態では、医薬組成物の有効量は、約1mgと約500mgの間である。一実施形態では、医薬組成物の有効量は、約1mgと約250mgの間である。一実施形態では、医薬組成物の有効量は、約1mgと約200mgの間である。一実施形態では、医薬組成物の有効量は、約1mgと約100mgの間である。一実施形態では、医薬組成物の有効量は、約1mgと約90mgの間である。一実施形態では、医薬組成物の有効量は、約1mgと約80mgの間である。一実施形態では、医薬組成物の有効量は、約1mgと約70mgの間である。一実施形態では、医薬組成物の有効量は、約1mgと約60mgの間である。一実施形態では、医薬組成物の有効量は、約1mgと約50mgの間である。一実施形態では、医薬組成物の有効量は、約1mgと約40mgの間である。一実施形態では、医薬組成物の有効量は、約1mgと約30mgの間である。一実施形態では、医薬組成物の有効量は、約1mgと約20mgの間である。一実施形態では、医薬組成物の有効量は、約1mgと約5mgの間である。一実施形態では、医薬組成物の有効量は、約1mgと約4mgの間である。一実施形態では、医薬組成物の有効量は、約1mgと約3mgの間である。これは、これらの範囲(端点を含む)、およびこれらの値のいずれか2つの間にある部分範囲のいずれかの内にある、任意の値を含む。
一実施形態では、基質(総タンパク質)と投与される酵素(単独のウツボカズラ酵素またはウツボカズラ酵素の組合せ)との比は、約1:1と約15000:1の間である。一実施形態では、基質と酵素との比は、約10:1と約15000:1の間である。一実施形態では、基質と酵素との比は、約100:1と約15000:1の間である。一実施形態では、基質と酵素との比は、約500:1と約15000:1の間である。一実施形態では、基質と酵素との比は、約1000:1と約15000:1の間である。一実施形態では、基質と酵素との比は、約5000:1と約15000:1の間である。一実施形態では、基質と酵素との比は、約10000:1と約15000:1の間である。一実施形態では、基質と酵素との比は、約1:1と約10000:1の間である。一実施形態では、基質と酵素との比は、約10:1と約10000:1の間である。一実施形態では、基質と酵素との比は、約100:1と約10000:1の間である。一実施形態では、基質と酵素との比は、約500:1と約10000:1の間である。一実施形態では、基質と酵素との比は、約1000:1と約10000:1の間である。一実施形態では、基質と酵素との比は、約5000:1と約10000:1の間である。一実施形態では、基質と酵素との比は、約1:1と約5000:1の間である。一実施形態では、基質と酵素との比は、約10:1と約5000:1の間である。一実施形態では、基質と酵素との比は、約100:1と約5000:1の間である。一実施形態では、基質と酵素との比は、約500:1と約5000:1の間である。一実施形態では、基質と酵素との比は、約1000:1と約5000:1の間である。一実施形態では、基質と酵素との比は、約1:1と約1000:1の間である。一実施形態では、基質と酵素との比は、約10:1と約1000:1の間である。一実施形態では、基質と酵素との比は、約100:1と約1000:1の間である。一実施形態では、基質と酵素との比は、約1:1と約500:1の間である。一実施形態では、基質と酵素との比は、約10:1と約500:1の間である。一実施形態では、基質と酵素との比は、約100:1と約500:1の間である。一実施形態では、基質と酵素との比は、約1:1と約100:1の間である。一実施形態では、基質と酵素との比は、約10:1と約100:1の間である。これは、これらの範囲(端点を含む)、およびこれらの値のいずれか2つの間にある部分範囲のいずれかの内にある、任意の値を含む。
総タンパク質は、例えば、所与の食事で消費される総タンパク質,または特定の期間に(例えば、1時間、2時間、もしくは3〜24時間に)消費される総タンパク質としてもよい。一実施形態では、総タンパク質は、対象が1時間に消費する全タンパク質の総量である。一実施形態では、総タンパク質は、対象が2時間に消費する全タンパク質の総量である。一実施形態では、総タンパク質は、対象が3時間に消費する全タンパク質の総量である。一実施形態では、総タンパク質は、対象が4時間に消費する全タンパク質の総量である。一実施形態では、総タンパク質は、対象が5時間に消費する全タンパク質の総量である。一実施形態では、総タンパク質は、対象が10時間に消費する全タンパク質の総量である。一実施形態では、総タンパク質は、対象が12時間に消費する全タンパク質の総量である。一実施形態では、は、対象が15時間に消費する全タンパク質の総量である。一実施形態では、総タンパク質は、対象が20時間に消費する全タンパク質の総量である。一実施形態では、は、対象が24時間に消費する全タンパク質の総量である。
この発明の医薬組成物は、単独の活性剤として投与することができるか、またはそれは、他の薬剤と組み合わせて(同時に、連続的にもしくは別々に、または共製剤によって)投与することができ、そのような他の薬剤としては、同じもしくは同様の治療活性を示し、そのような併用投与に安全かつ効果的であると判定される他の化合物が挙げられる。
実施形態によっては、医薬組成物は、追加の酵素、例えば、胃のプロテアーゼ、アスパラギン酸プロテアーゼ(ペプシン、ペプシノーゲンやChen et al, Aspartic proteases gene family in rice: Gene structure and expression, predicted protein features and phylogenetic relation, Gene 442: 108-118 (2009)によって記載されるものなど)や、別のプロリルエンドペプチダーゼ(PEP)、ジペプチジルペプチダーゼIV(DPP IV)、およびジペプチジルカルボキシペプチダーゼ(DCP)またはシステインプロテイナーゼB(米国特許第7,910,541号に記載)などの酵素とともに投与される。一実施形態では、他の酵素は、追加の酵素を生産および/または分泌する細菌の形態で投与される。一実施形態では、細菌は、ネペンテシンI、ネペンテシンII、ネプロシン、および/またはそれらのバリアントを生産および/または分泌するように遺伝子操作される。
実施形態によっては、医薬組成物は、別の薬剤とともに対象に投与される。医薬組成物とともに投与することができる薬剤の非限定的な例としては、組織トランスグルタミナーゼの阻害剤、抗炎症剤、例えば、アミラーゼ、グルコアミラーゼ、エンドペプチダーゼ、HMG-CoA還元酵素阻害剤(例えば、コンパクチン、ロバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、およびアトルバスタチン)、ロイコトリエン受容体アンタゴニスト(例えば、モンテルカストおよびザフィルルカスト)、COX-2阻害剤(例えば、セレコキシブおよびロフェコキシブ)、p38 MAPキナーゼ阻害剤(例えば、BIRB-796)、肥満細胞安定化剤、例えば、クロモグリク酸ナトリウム(クロモリン)、ペミロラスト、プロキシクロミル、レピリナスト、ドキサントラゾール、アンレキサノクス ネドクロミルおよびプロビクロミル、抗潰瘍剤、抗アレルギー剤、例えば、抗ヒスタミン剤(例えば、アクリバスチン、セチリジン、デスロラタジン、エバスチン、フェキソフェナジン、レボセチリジン、ロラタジン、およびミゾラスチン)、トランスグルタミナーゼ2(TG2)の阻害剤、抗TNFα剤ならびに抗生物質が挙げられる。一実施形態では、追加の薬剤はプロバイオティクスである。プロバイオティクスとしては、限定はないが、ラクトバチルス、酵母、バチルスまたはビフィズス菌の種および株が挙げられる。一実施形態では、他の薬剤はエラフィンである。一実施形態では、他の薬剤は、追加の薬剤を生産および/または分泌する細菌の形態で投与される。
実施形態によっては、他の薬剤は、腸で活性である酵素(例えば、プロテアーゼ)を含む。理論によって制限されるものでないが、そのような酵素は、医薬組成物の酵素と相乗的に作用して、免疫原性タンパク質をさらに分解することがあるものと考えられる。
また、本明細書に提供されるのは、前述の状態および疾患のうちの1つを治療または予防するための医薬の製造における、ネペンテシンI、ネペンテシンII、ネプロシン、それらのバリアントおよび/またはそれらの塩を含む酵素組成物の使用である。
III.医薬組成物
III.医薬組成物
医薬組成物は、種々の組成物で、単独で、または適切な医薬的に許容可能な担体、賦形剤、もしくは希釈剤とともに、投与することができる。
したがって、別の一態様では、本明細書で提供されるのは、ネペンテシンI、ネペンテシンII、ネプロシン、それらのバリアント、および/またはそれらの塩を含む組成物である。実施形態によっては、組成物は医薬組成物である。組成物は、固体、半固体、または液体の形態、例えば、錠剤、カプセル、粉末、顆粒、軟膏、溶液、注射剤、ゲル、およびマイクロスフェアに製剤化されてもよい。組成物の投与は、様々な方法で、例えば経口投与によって達成することができる。
実施形態によっては、医薬組成物は、治療有効量のネペンテシンI、ネペンテシンII、ネプロシン、それらのバリアント、またはそれらの混合物、および医薬的に許容可能な担体を含む。具体的な一実施形態では、用語「医薬的に許容可能な」とは、動物で、さらに具体的にはヒトで使用するために、連邦または州政府の規制当局によって認可されているか、または米国薬局方もしくは他の一般に認められた薬局方に収載されていることを意味する。用語「担体」とは、希釈剤、アジュバント、賦形剤、またはともに治療剤が投与される媒体を指す。そのような医薬担体は、滅菌した液体、例えば水や、石油、動物、植物、または合成の起源のものを含めた油、例えば、ピーナッツ油、ダイズ油、鉱物油、ゴマ油などとすることができる。生理食塩水溶液ならびにデキストロース水溶液およびグリセロール水溶液も、液体担体として採用することができる。
適した医薬賦形剤としては、デンプン、グルコース、ラクトース、ショ糖、ゼラチン、麦芽、米、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、グリセロールモノステアレート、タルク、塩化ナトリウム、乾燥スキムミルク、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、エタノールなどが挙げられる。組成物はまた、所望に応じて、少量の加湿剤もしくは乳化剤、またはpH緩衝剤を含有することができる。これらの組成物は、溶液、懸濁液、エマルジョン、錠剤、丸剤、カプセル、粉末、徐放性製剤などの形態をとることができる。適した医薬担体の例は、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる、E. W. Martinによる「Remington's Pharmaceutical Sciences」に記載されている。そのような組成物は、対象に適切に投与するための形態を提供するように、治療有効量の酵素を好ましくは精製された形態で、適した量の担体とともに含有するものとなる。製剤は投与様式に適合するべきである。
経口投与については、医薬組成物を、単独で、または適切な添加剤と組み合わせて使用して、錠剤、粉末、顆粒、カプセル、シロップ、液体、懸濁液などを作製することができる。例えば、組成物の固体の経口形態は、従来の添加剤、崩壊剤、潤滑剤、希釈剤、緩衝剤、湿潤剤、防腐剤、および着香剤を用いて調製することができる。賦形剤の非限定的な例としては、ラクトース、マンニトール、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、結晶セルロース、セルロース誘導体、アラビアゴム、トウモロコシデンプン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、タルク、ステアリン酸マグネシウム、香料、および着色剤が挙げられる。実施形態によっては、製剤は、対象の胃の中に酵素を放出し、その結果、ペプチド性食物抗原を、酵素によって分解することができる。
組成物を、任意選択で適切な緩衝液(例えば、リン酸、クエン酸、ヒスチジン、イミダゾール緩衝液)および賦形剤(例えば、ショ糖、ラクトース、トレハロースなどの抗凍結剤)の存在下で、水溶液から凍結乾燥することができる。凍結乾燥ケークを、任意選択で賦形剤と混ぜることができ、様々な形態に作製することができる。
別の一態様では、提供されるのは、それを必要とする患者において、グルテン不耐症または関連する状態、例えば、セリアック病、コムギアレルギー、グルテン過敏症および疱疹状皮膚炎を治療するための方法であって、グルテンを含むか、またはグルテンを含む疑いがある食物を、患者が消費する前に、有効量の組成物で処理することを含む方法である。実施形態によっては、食物は、その調製の間に有効量の組成物と組み合わされる。一実施形態では、組成物は、食物の調製の任意の加熱ステップの後に添加される。一実施形態では、組成物は、食品の調製の1つまたは複数の加熱ステップの前に添加される。
ネペンテシンI、ネペンテシンIIおよびネプロシンは、活性化前に、ウツボカズラ中にプロ酵素として発生する。すなわち、これらのタンパク質は、嚢状葉体液中で酵素を活性化するために切断されるプロペプチドを含む。一実施形態では、組成物は、プロペプチドを含む、ネペンテシンI、ネペンテシンII、ネプロシン、それらのバリアント、および/またはそれらの塩を含む。一実施形態では、プロペプチドは、酵素のN末端に隣接する。一実施形態では、プロペプチドは、天然に発生する、酵素のプロペプチドである。一実施形態では、プロペプチドは、(例えば、異なるタンパク質もしくは種に由来する、または合成の)異種のプロペプチドである。一実施形態では、プロペプチドは酸性条件によって切断される。一実施形態では、プロペプチドは酵素によって切断される。一実施形態では、プロペプチドが存在する結果、(例えば、プロペプチドを除去し、成熟した酵素を生産するのに必要とされる時間に起因して)胃で酵素の活性が遅延する。一実施形態では、プロペプチドは、胃での酵素の活性を遅延させるために、よりゆっくりと除去されるように遺伝子操作される。一実施形態では、プロペプチドは、胃での酵素の活性のスピードを上げるために、より敏速に除去されるように遺伝子操作される。
好適な一実施形態では、製剤は制御放出製剤である。用語「制御放出製剤」とは、徐放性製剤および時間放出製剤を含む。制御放出製剤は、当技術分野に周知である。これらは、薬物の持続性放出、周期的放出、パルス放出、または遅延放出を可能にする賦形剤を含む。制御放出製剤は、限定はないが、マトリックス中に薬物を包埋すること、腸溶性コーティング、マイクロカプセル化、ゲルおよびハイドロゲル、ならびに薬物の制御放出を可能にする任意の他の製剤を含む。
実施形態によっては、組成物は、抗原性の可能性がある食物タンパク質を含むか、または含む疑いがある食物とともに、食物添加剤として投与される。一実施形態では、食物はグルテンを含むか、または含む疑いがあり、例えば、コムギ、ライムギ、およびオオムギなどから作られたパン、パスタ、シリアルなどである。
一実施形態では、組成物中の酵素は、酸に接触すると(すなわち、胃の中で)活性化される。
実施形態によっては、ネプロシン、ネペンテシンI、ネペンテシンII、それらのバリアント、またはそれらの組合せを含む組成物は、食物と混ぜ合わされるか、またはグルテンを含有する食材を前処理するために使用される。食物中に存在する組成物は、摂取の前または間の食物中のグルテンのレベルを低減するために、酵素的に活性にすることができる。
実施形態によっては、組成物は、約0.1%から約99%まで、約0.5%から約95%まで、約1%から約95%まで、約5%から約95%まで、約10%から約90%まで、約20%から約80%まで、約25%から約75%までの酵素を含む。実施形態によっては、組成物中の酵素の量は、総組成物または総食品の約0.01%、約0.1%、約0.5%、約1%、約5%、約10%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、もしくは約95%、またはそれらの値のうちいずれか2つの間の範囲にある(端点を含む)。
実施形態によっては、組成物は、ネプロシンおよびネペンテシン、またはそれらのバリアントを含む。実施形態によっては、ネペンテシンは、ネペンテシンIおよび/もしくはネペンテシンII、またはそれらのバリアントである。実施形態によっては、ネペンテシンは、組換えネペンテシンIおよび/もしくは組換えネペンテシンII、またはそれらのバリアントである。実施形態によっては、ネペンテシンは、組換えネペンテシンIおよび組換えネペンテシンII、またはそれらそれぞれのバリアントである。実施形態によっては、ネプロシンは、組換えネプロシンまたはそのバリアントである。好適な一実施形態では、組成物は、ウツボカズラ種由来のネペンテシンI、ネペンテシンII、および/もしくはネプロシンのアミノ酸配列を含む、ネペンテシンI、ネペンテシンII、および/もしくはネプロシン、またはそれらのバリアントを含む。
ネペンテシンIのmRNA/cDNA配列は、いくつかのウツボカズラ種、例えば、ネペンテス・ミラビリス(Nepenthes mirabilis)(GenBank受入番号JX494401)、ネペンテス・グラシリス(Nepenthes gracilis)(GenBank受入番号AB114914)およびネペンテス・アラータ(Nepenthes alata)(GenBank受入番号AB266803)を由来として記載されている。ネペンテシンIIのmRNA/cDNA配列は、いくつかのウツボカズラ種、例えば、ネペンテス・ミラビリス(GenBank受入番号JX494402)およびネペンテス・グラシリス(GenBank受入番号AB114915)を由来として記載されている。
ネペンテシンIのタンパク質配列は、いくつかのウツボカズラ種、例えば、ネペンテス・ミラビリス(GenBank受入番号AFV26024;配列番号5)、ネペンテス・グラシリス(GenBank受入番号BAD07474;配列番号7)、およびネペンテス・アラータ(GenBank受入番号BAF98915;配列番号6)を由来として記載されている。ネペンテシンIIのタンパク質配列は、いくつかのウツボカズラ種、例えば、ネペンテス・ミラビリス(GenBank受入番号AFV26025;配列番号8)およびネペンテス・グラシリス(GenBank受入番号BAD07475;配列番号9)を由来として記載されている。これらの配列はまた、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開2014/0186330に見出される。
本明細書に提供されるGenBank受入番号によって表される配列のそれぞれは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
実施形態によっては、ネペンテシンは、ネペンテシンIのアミノ酸配列(例えば、配列番号5、配列番号6、配列番号7、または配列番号21)と少なくとも約85%の配列相同性を有するネペンテシンのバリアントである。実施形態によっては、バリアントは、ネペンテシンIのアミノ酸配列と少なくとも約90%の配列相同性を有する。実施形態によっては、バリアントは、ネペンテシンIのアミノ酸配列と少なくとも約95%の配列相同性を有する。実施形態によっては、バリアントは、ネペンテシンIのアミノ酸配列と少なくとも約96%の配列相同性を有する。実施形態によっては、バリアントは、ネペンテシンIのアミノ酸配列と少なくとも約97%の配列相同性を示す。実施形態によっては、バリアントは、ネペンテシンIのアミノ酸配列と少なくとも約98%の配列相同性を有する。実施形態によっては、バリアントは、ネペンテシンIのアミノ酸配列と少なくとも約99%の配列相同性を有する。一実施形態では、ネペンテシンは、配列番号5、配列番号6、配列番号7、または配列番号21のアミノ酸配列を含む。
実施形態によっては、ネペンテシンは、ネペンテシンIIのアミノ酸配列(例えば、配列番号8、配列番号9、または配列番号22)と少なくとも約85%の配列相同性を有するネペンテシンのバリアントである。実施形態によっては、バリアントは、ネペンテシンIIのアミノ酸配列と少なくとも約90%の配列相同性を有する。実施形態によっては、バリアントは、ネペンテシンIIのアミノ酸配列と少なくとも約95%の配列相同性を有する。実施形態によっては、バリアントは、ネペンテシンIIのアミノ酸配列と少なくとも約96%の配列相同性を有する。実施形態によっては、バリアントは、ネペンテシンIIのアミノ酸配列と少なくとも約97%の配列相同性を示す。実施形態によっては、バリアントは、ネペンテシンIIのアミノ酸配列と少なくとも約98%の配列相同性を有する。実施形態によっては、バリアントは、ネペンテシンIIのアミノ酸配列と少なくとも約99%の配列相同性を有する。一実施形態では、ネペンテシンは、配列番号8、配列番号9、または配列番号22のアミノ酸配列を含む。
本発明の一態様では、組成物中のネプロシンとネペンテシンIおよび/またはIIとの比は、グルテン不耐症、セリアック病、コムギアレルギー、もしくは疱疹状皮膚炎、対象の腸における炎症、IELの増殖もしくは動員、上皮内のリンパ球増多、および/もしくは絨毛の萎縮、またはそれらの任意の症状を予防するように、ペプチド性食物抗原が充分に小さくおよび/または無害な断片に切断されるような比である。
実施形態によっては、ネプロシン:ネペンテシンの比は、約1:100から約100:1の間である。好ましくは、ネプロシン:ネペンテシンの比は、約1:1から約1:10の間である。さらにいっそう好ましくは、ネプロシン:ネペンテシンの比は約1:4である。
実施形態によっては、組成物は、少なくとも約100:1のネプロシンとネペンテシン(ネペンテシンIおよび/またはII)との比を含む。実施形態によっては、組成物は、少なくとも約90:1のネプロシンとネペンテシンとの比を含む。実施形態によっては、組成物は、少なくとも約70:1のネプロシンとネペンテシンとの比を含む。実施形態によっては、組成物は、少なくとも約60:1のネプロシンとネペンテシンとの比を含む。実施形態によっては、組成物は、少なくとも約50:1のネプロシンとネペンテシンとの比を含む。実施形態によっては、組成物は、少なくとも約40:1ネプロシンとネペンテシンとの比を含む。実施形態によっては、組成物は、少なくとも約30:1のネプロシンとネペンテシンとの比を含む。実施形態によっては、組成物は、少なくとも約20:1のネプロシンとネペンテシンとの比を含む。実施形態によっては、組成物は、少なくとも約10:1のネプロシンとネペンテシンとの比を含む。実施形態によっては、組成物は、少なくとも約5:1のネプロシンとネペンテシンとの比を含む。実施形態によっては、組成物は、少なくとも約4:1のネプロシンとネペンテシンとの比を含む。実施形態によっては、組成物は、少なくとも約3:1のネプロシンとネペンテシンとの比を含む。実施形態によっては、組成物は、少なくとも約2:1のネプロシンとネペンテシンとの比を含む。実施形態によっては、組成物は、少なくとも約1:1のネプロシンとネペンテシンとの比を含む。実施形態によっては、組成物は、少なくとも約1:2のネプロシンとネペンテシンとの比を含む。実施形態によっては、組成物は、少なくとも約1:3のネプロシンとネペンテシンとの比を含む。実施形態によっては、組成物は、少なくとも約1:4のネプロシンとネペンテシンとの比を含む。実施形態によっては、組成物は、少なくとも約1:5のネプロシンとネペンテシンとの比を含む。実施形態によっては、組成物は、少なくとも約1:10のネプロシンとネペンテシンとの比を含む。実施形態によっては、組成物は、少なくとも約1:20のネプロシンとネペンテシンとの比を含む。実施形態によっては、組成物は、少なくとも約1:30のネプロシンとネペンテシンとの比を含む。実施形態によっては、組成物は、少なくとも約1:40のネプロシンとネペンテシンとの比を含む。実施形態によっては、組成物は、少なくとも約1:50のネプロシンとネペンテシンとの比を含む。実施形態によっては、組成物は、少なくとも約1:60のネプロシンとネペンテシンとの比を含む。実施形態によっては、組成物は、少なくとも約1:70のネプロシンとネペンテシンとの比を含む。実施形態によっては、組成物は、少なくとも約1:80のネプロシンとネペンテシンとの比を含む。実施形態によっては、組成物は、少なくとも約1:90のネプロシンとネペンテシンとの比を含む。実施形態によっては、組成物は、少なくとも約1:100のネプロシンとネペンテシンとの比を含む。
本発明の一態様では、組成物中のネペンテシンIとネペンテシンIIの比は、対象の腸における炎症、IELの増殖もしくは動員、上皮内のリンパ球増加、および/または絨毛の萎縮を予防するように、ペプチド性食物抗原が充分に小さくおよび/または無害な断片に切断されるような比である。実施形態によっては、ネペンテシンI:ネペンテシンIIの比は、約1:100から約100:1の間である。
実施形態によっては、組成物は、少なくとも約100:1のネペンテシンIとネペンテシンIIとの比を含む。実施形態によっては、組成物少なくとも約90:1のネペンテシンIとネペンテシンIIとの比を含む。実施形態によっては、組成物は、少なくとも約70:1のネペンテシンIとネペンテシンIIとの比を含む。実施形態によっては、組成物は、少なくとも約60:1のネペンテシンIとネペンテシンIIとの比を含む。実施形態によっては、組成物は、少なくとも約50:1のネペンテシンIとネペンテシンIIとの比を含む。実施形態によっては、組成物は、少なくとも約40:1のネペンテシンIとネペンテシンIIとの比を含む。実施形態によっては、組成物は、少なくとも約30:1のネペンテシンIとネペンテシンIIとの比を含む。実施形態によっては、組成物は、少なくとも約20:1のネペンテシンIとネペンテシンIIとの比を含む。実施形態によっては、組成物は、少なくとも約10:1のネペンテシンIとネペンテシンIIとの比を含む。実施形態によっては、組成物は、少なくとも約5:1のネペンテシンIとネペンテシンIIとの比を含む。実施形態によっては、組成物は、少なくとも約4:1のネペンテシンIとネペンテシンIIとの比を含む。実施形態によっては、組成物は、少なくとも約3:1のネペンテシンIとネペンテシンIIとの比を含む。実施形態によっては、組成物は、少なくとも約2:1のネペンテシンIとネペンテシンIIとの比を含む。実施形態によっては、組成物は、少なくとも約1:1のネペンテシンIとネペンテシンIIとの比を含む。実施形態によっては、組成物は、少なくとも約1:2のネペンテシンIとネペンテシンIIとの比を含む。実施形態によっては、組成物は、少なくとも約1:3のネペンテシンIとネペンテシンIIとの比を含む。実施形態によっては、組成物は、少なくとも約1:4のネペンテシンIとネペンテシンIIとの比を含む。実施形態によっては、組成物は、少なくとも約1:5のネペンテシンIとネペンテシンIIとの比を含む。実施形態によっては、組成物は、少なくとも約1:10のネペンテシンIとネペンテシンIIとの比を含む。実施形態によっては、組成物は、少なくとも約1:20のネペンテシンIとネペンテシンIIとの比を含む。実施形態によっては、組成物は、少なくとも約1:30のネペンテシンIとネペンテシンIIとの比を含む。実施形態によっては、組成物は、少なくとも約1:40のネペンテシンIとネペンテシンIIとの比を含む。実施形態によっては、組成物は、少なくとも約1:50のネペンテシンIとネペンテシンIIとの比を含む。実施形態によっては、組成物は、少なくとも約1:60のネペンテシンIとネペンテシンIIとの比を含む。実施形態によっては、組成物は、少なくとも約1:70のネペンテシンIとネペンテシンIIとの比を含む。実施形態によっては、組成物は、少なくとも約1:80のネペンテシンIとネペンテシンIIとの比を含む。実施形態によっては、組成物は、少なくとも約1:90のネペンテシンIとネペンテシンIIとの比を含む。実施形態によっては、組成物は、少なくとも約1:100のネペンテシンIとネペンテシンIIとの比を含む。
本発明の一態様では、1つまたは複数のウツボカズラ酵素を含む組成物は、約2000:1から約1:1の基質(例えば、総タンパク質またはグルテン)と酵素との比で対象に投与される。
IV.調製の方法
IV.調製の方法
ネペンテシンおよび/またはネプロシンを、当技術分野に公知の方法、例えば(以下に限定されないが)、濾過または固定化されたペプスタチンに基づくアフィニティ精製によって、ウツボカズラなどの植物の嚢状葉分泌物を含めた天然源から、濃縮(もしくは抽出)または精製できることが想定される。また、古典的なタンパク質クロマトグラフィー、例えば、サイズ排除クロマトグラフィー(ゲル浸透クロマトグラフィーとしても知られる)および/またはクロマトフォーカシングクロマトグラフィーを使用して、ネペンテシンおよび/またはネプロシンを濃縮(もしくは抽出)または精製してもよい。クロマトフォーカシングは、サイズ排除の前に使用しても後に使用してもよい。ネペンテシンI、ネペンテシンIIおよびネプロシンは、天然の植物分泌物中に比較的少量で見出される。ネペンテシンI、ネペンテシンIIおよび/またはネプロシンの生産量は、例えば、量の増加した所望の酵素またはそのバリアントを発現および/または分泌するトランスジェニック植物を作出するための生物工学技術を使用して、増加させることができる。
植物源から単離することに加えて、ウツボカズラ酵素またはそのバリアントを、化学合成によって調製してもよい。化学合成は、所望の酵素またはバリアントの配列に従ってアミノ酸をカップリングすることによって達成することができる。様々なペプチドカップリング方法および市販のペプチド合成装置が、ペプチドまたはタンパク質を合成するのに利用可能であり、例えば、Applied Biosystems,Inc.、フォスターシティ、カリフォルニア州、Beckman、および他の製造者による自動合成機などがある。
別の一態様では、提供されるのは、細胞が酵素を生産することが可能となるように、酵素のDNA(例えば、cDNA)および/またはメッセンジャーRNAを用いて細胞を形質転換またはトランスフェクションすることによる組換え生産系を使用して、ウツボカズラ酵素またはそれらのバリアントを調製する方法である。例えば、ネペンテシンは、生物、例えば大腸菌(Escherichia coli)、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)、ラクトバチルス(Lactobacillus)、バチルス(Bacilli)、コウジカビ(Aspergilli)、およびタバコ細胞などの植物細胞培養における宿主-ベクター系を確立することによって生産することができる。
また、本明細書に記載されるようなポリヌクレオチドまたはポリペプチドのいずれかを含有するポリヌクレオチドおよび組成物を含む、ベクターおよび大腸菌などの宿主細胞が提供される。
別の一態様では、提供されるのは、組換えウツボカズラ酵素(ネペンテシンI、ネペンテシンII、および/もしくはネプロシン、またはそれらのバリアント)を生産するための方法であって、選ばれた宿主生物において前記酵素をコードする核酸配列を発現すること、および適切に設計されたベクター内に核酸配列を挿入することを含む方法である。一態様では、組換え酵素は、ネペンテシンIまたはそのバリアントである。一態様では、組換え酵素は、ネペンテシンIIまたはそのバリアントである。一態様では、組換え酵素は、ネプロシンまたはそのバリアントである。一態様では、組換え酵素は、ネペンテシンI、ネペンテシンII、および/もしくはネプロシン、またはそれらのバリアントの混合物である。
別の一態様では、提供されるのは、組換えネペンテシン、例えばネペンテシンIおよび/またはネペンテシンIIまたはそれらのバリアントなどを含む組成物である。一態様では、組換えネペンテシンは、ネペンテシンIまたはそのバリアントである。一態様では、組換えネペンテシンは、ネペンテシンIIまたはそれらのバリアントである。一態様では、組換えネペンテシンは、ネペンテシンIおよびネペンテシンIIまたはそれらのバリアントの混合物である。
一態様では、この発明は、本明細書に記載されるようなcDNAに関する。一実施形態では、この発明は、本明細書に記載されるようなcDNAを含むベクターに関する。好適な一実施形態では、ベクターは発現ベクターである。一実施形態では、この発明は、組換えネペンテシンI、組換えネペンテシンII、組換えネプロシン、それらのバリアントまたは混合物を発現する細胞に関する。
実施形態によっては、ウツボカズラ酵素の生合成は、ネペンテシンIをコードするcDNA、例えば配列番号4、配列番号5、配列番号6、GenBank受入番号JX494401、GenBank受入番号AB114914、またはGenBank受入番号AB266803のヌクレオチド配列を含むベクターを用いて、細胞を形質転換することによって達成することができる。実施形態によっては、ネペンテシンの生合成は、ネペンテシンIをコードするcDNAに相同な配列を含むベクターを用いて、細胞を形質転換することによって達成することができ、その配列は、プロテアーゼ活性を有するタンパク質をコードする。配列は、ネペンテシンIをコードするcDNAと少なくとも約60%の相同性を有することがある。配列は、ネペンテシンIをコードするcDNAと少なくとも約70%の相同性を有することがある。配列は、ネペンテシンIをコードするcDNAと少なくとも約80%の相同性を有することがある。配列は、ネペンテシンIをコードするcDNAと少なくとも約85%の相同性を有することがある。配列は、ネペンテシンIをコードするcDNAと少なくとも約90%の相同性を有することがある。配列は、ネペンテシンIをコードするcDNAと少なくとも約95%の相同性を有することがある。配列は、ネペンテシンIをコードするcDNAと少なくとも約96%の相同性を有することがある。配列は、ネペンテシンIをコードするcDNAと少なくとも約97%の相同性を有することがある。配列は、ネペンテシンIをコードするcDNAと少なくとも約98%の相同性を有することがある。配列は、ネペンテシンIをコードするcDNAと少なくとも約99%の相同性を有することがある。好適な一実施形態では、配列は、グルテナーゼ活性を保持するネペンテシンIのバリアントをコードする。特に好適な一実施形態では、配列は、少なくとも1つの毒性のグルテンペプチドを分解するネペンテシンIのバリアントをコードする。
実施形態によっては、ウツボカズラ酵素の生合成は、ネペンテシンIIをコードするcDNA、例えば配列番号8、配列番号9、GenBank受入番号JX494402、またはGenBank受入番号AB114915のヌクレオチド配列を含むベクターを用いて、細胞を形質転換することによって達成することができる。実施形態によっては、ネペンテシンの生合成は、ネペンテシンIIをコードするcDNAに相同な配列を含むベクターを用いて、細胞を形質転換することによって達成することができ、その配列は、プロテアーゼ活性を有するタンパク質をコードする。配列は、ネペンテシンIIをコードするcDNAと少なくとも約60%の相同性を有することがある。配列は、ネペンテシンIIをコードするcDNAと少なくとも約70%の相同性を有することがある。配列は、ネペンテシンIIをコードするcDNAと少なくとも約80%の相同性を有することがある。配列は、ネペンテシンIIをコードするcDNAと少なくとも約85%の相同性を有することがある。配列は、ネペンテシンIIをコードするcDNAと少なくとも約90%の相同性を有することがある。配列は、ネペンテシンIIをコードするcDNAと少なくとも約95%の相同性を有することがある。配列は、ネペンテシンIIをコードするcDNAと少なくとも約96%の相同性を有することがある。配列は、ネペンテシンIIをコードするcDNAと少なくとも約97%の相同性を有することがある。配列は、ネペンテシンIIをコードするcDNAと少なくとも約98%の相同性を有することがある。配列は、ネペンテシンIIをコードするcDNAと少なくとも約99%の相同性を有することがある。好適な一実施形態では、配列は、グルテナーゼ活性を保持するネペンテシンIIのバリアントをコードする。特に好適な一実施形態では、配列は、少なくとも1つの毒性のグルテンペプチドを分解するネペンテシンIIのバリアントをコードする。
実施形態によっては、ウツボカズラ酵素の生合成は、ネプロシンをコードするcDNA、例えば配列番号2のヌクレオチド配列を含むベクターを用いて、細胞を形質転換することによって達成することができる。実施形態によっては、ネプロシンの生合成は、ネプロシンをコードするcDNAに相同な配列を含むベクターを用いて、細胞を形質転換することによって達成することができ、その配列は、プロテアーゼ活性を有するタンパク質をコードする。配列は、ネプロシンをコードするcDNAと少なくとも約60%の相同性を有することがある。配列は、ネプロシンをコードするcDNAと少なくとも約70%の相同性を有することがある。配列は、ネプロシンをコードするcDNAと少なくとも約80%の相同性を有することがある。配列は、ネプロシンをコードするcDNAと少なくとも約85%の相同性を有することがある。配列は、ネプロシンをコードするcDNAと少なくとも約90%の相同性を有することがある。配列は、ネプロシンをコードするcDNAと少なくとも約95%の相同性を有することがある。配列は、ネプロシンをコードするcDNAと少なくとも約96%の相同性を有することがある。配列は、ネプロシンをコードするcDNAと少なくとも約97%の相同性を有することがある。配列は、ネプロシンをコードするcDNAと少なくとも約98%の相同性を有することがある。配列は、ネプロシンをコードするcDNAと少なくとも約99%の相同性を有することがある。好適な一実施形態では、配列は、プロリルエンドプロテアーゼ活性を保持するネプロシンのバリアントをコードする。特に好適な一実施形態では、配列は、グルテナーゼ活性を保持するネプロシンのバリアントをコードする。特に好適な一実施形態では、配列は、少なくとも1つの毒性のグルテンペプチドを分解するネプロシンのバリアントをコードする。
理論に拘束されるものではないが、罹患した個体の腸におけるグルテンに対する炎症性応答は、毒性の(免疫毒性の)グルテンペプチドの形成をもたらすグルテンタンパク質の不完全な加水分解に起因すると考えられる。免疫毒性のおよび/または免疫毒性の可能性があるいくつかのグルテンペプチドが公知である。これらとしては、以下に限定されないが、α−グリアジン由来の33−mer(配列番号15、LQLQPF(PQPQLPY)3PQPQPF)およびp31−49(配列番号16、LGQQQPFPPQQPYPQPQPF);低分子量グルテニン由来のGly−156(配列番号17、QQQQPPFSQQQQSPFSQQQQ);ならびに高分子量グルテニン由来のノナペプチドリピート(配列番号18、GYYPTSPQQ)およびヘキサペプチドリピート(配列番号19、PGQGQQ)が挙げられる。
実施形態によっては、ネペンテシンI、ネペンテシンII、ネプロシンおよび/またはそのバリアントは、所望の各酵素のcDNA配列を含む1つまたは複数のベクターを用いて細胞をトランスフェクションする、感染させる、または形質転換することによって合成される。すなわち、単一細胞、細胞株、または生物が、2つ以上の酵素を生産するように遺伝子操作されることがある。実施形態によっては、所望の酵素は、別々の細胞によって合成され、医薬組成物中に組み合わされる。好適な一実施形態では、組換えのネペンテシンI、ネペンテシンII、ネプロシン、および/またはそれらのバリアントは、グリコシル化されていない。一実施形態では、組換えのネペンテシンI、ネペンテシンII、ネプロシン、および/またはそれらのバリアントは、天然の酵素(すなわち、ウツボカズラ植物から単離されるネペンテシンI、ネペンテシンII、またはネプロシン)とは異なるグリコシル化パターンを有する。
合成の(例えば、組換えの)ウツボカズラ酵素は、公知の方法、例えば植物の嚢状葉液からウツボカズラ酵素を単離するための方法に従って、濃縮または精製することができる。
実施形態によっては、天然源または合成(例えば、組換え)源から単離されたタンパク質産物は、少なくとも20重量%の少なくとも1つのウツボカズラ酵素またはそのバリアントを含む。実施形態によっては、単離されたタンパク質産物は、少なくとも約50%、約75%、約90%、約95重量%のウツボカズラ酵素またはそのバリアントを含む。実施形態によっては、単離されたタンパク質産物は、少なくとも99重量%のウツボカズラ酵素またはそのバリアントを含む。
実施形態によっては、組換えウツボカズラ酵素またはそのバリアントは、実質的に組換えネペンテシンまたはそのバリアントのみを含む。実施形態によっては、組換えネペンテシンまたはそのバリアントは、実質的に組換えネペンテシンIまたはそのバリアントのみを含む。実施形態によっては、組換えネペンテシンまたはそのバリアントは、実質的にネペンテシンIIまたはそのバリアントのみを含む。実施形態によっては、組換えネペンテシンまたはそのバリアントは、ネペンテシンIおよびネペンテシンII、またはそれらのバリアントを含む。実施形態によっては、組換えネペンテシンまたはそのバリアントは、少なくとも約100:1のネペンテシンIとネペンテシンII(またはそれらのそれぞれのバリアント)との比を含む。実施形態によっては、組換えネペンテシンは、少なくとも約90:1のネペンテシンIとネペンテシンIIとの比を含む。実施形態によっては、組換えネペンテシンは、少なくとも約70:1のネペンテシンIとネペンテシンIIとの比を含む。実施形態によっては、組換えネペンテシンは、少なくとも約60:1のネペンテシンIとネペンテシンIIとの比を含む。実施形態によっては、組換えネペンテシンは、少なくとも約50:1のネペンテシンIとネペンテシンIIとの比を含む。実施形態によっては、組換えネペンテシンは、少なくとも約40:1のネペンテシンIとネペンテシンIIとの比を含む。実施形態によっては、組換えネペンテシンは、少なくとも約30:1のネペンテシンIとネペンテシンIIとの比を含む。実施形態によっては、組換えネペンテシンは、少なくとも約20:1のネペンテシンIとネペンテシンIIとの比を含む。実施形態によっては、組換えネペンテシンは、少なくとも約10:1のネペンテシンIとネペンテシンIIとの比を含む。実施形態によっては、組換えネペンテシンは、少なくとも約5:1のネペンテシンIとネペンテシンIIとの比を含む。実施形態によっては、組換えネペンテシンは、少なくとも約4:1のネペンテシンIとネペンテシンIIとの比を含む。実施形態によっては、組換えネペンテシンは、少なくとも約3:1のネペンテシンIとネペンテシンIIとの比を含む。実施形態によっては、組換えネペンテシンは、少なくとも約2:1のネペンテシンIとネペンテシンIIとの比を含む。実施形態によっては、組換えネペンテシンは、少なくとも約1:1のネペンテシンIとネペンテシンIIとの比を含む。実施形態によっては、組換えネペンテシンは、少なくとも約1:2のネペンテシンIとネペンテシンIIとの比を含む。実施形態によっては、組換えネペンテシンは、少なくとも約1:3のネペンテシンIとネペンテシンIIとの比を含む。実施形態によっては、組換えネペンテシンは、少なくとも約1:4のネペンテシンIとネペンテシンIIとの比を含む。実施形態によっては、組換えネペンテシンは、少なくとも約1:5のネペンテシンIとネペンテシンIIとの比を含む。実施形態によっては、組換えネペンテシンは、少なくとも約1:10のネペンテシンIとネペンテシンIIとの比を含む。実施形態によっては、組換えネペンテシンは、少なくとも約1:20のネペンテシンIとネペンテシンIIとの比を含む。実施形態によっては、組換えネペンテシンは、少なくとも約1:30のネペンテシンIとネペンテシンIIとの比を含む。実施形態によっては、組換えネペンテシンは、少なくとも約1:40のネペンテシンIとネペンテシンIIとの比を含む。実施形態によっては、組換えネペンテシンは、少なくとも約1:50のネペンテシンIとネペンテシンIIとの比を含む。実施形態によっては、組換えネペンテシンは、少なくとも約1:60のネペンテシンIとネペンテシンIIとの比を含む。実施形態によっては、組換えネペンテシンは、少なくとも約1:70のネペンテシンIとネペンテシンIIとの比を含む。実施形態によっては、組換えネペンテシンは、少なくとも約1:80のネペンテシンIとネペンテシンIIとの比を含む。実施形態によっては、組換えネペンテシンは、少なくとも約1:90のネペンテシンIとネペンテシンIIとの比を含む。実施形態によっては、組換えネペンテシンは、少なくとも約1:100のネペンテシンIとネペンテシンIIとの比を含む。
実施形態によっては、組換えウツボカズラ酵素またはそのバリアントは、実質的に組換えネプロシンまたはそのバリアントのみを含む。実施形態によっては、組換えウツボカズラ酵素またはそれらのバリアントは、ネプロシンおよびネペンテシンまたはそれらのバリアントを含む。実施形態によっては、組換えウツボカズラ酵素またはそのバリアントは、ネプロシンおよびネペンテシンIまたはそれらのバリアントを含む。実施形態によっては、組換えウツボカズラ酵素またはそのバリアントは、ネプロシンおよびネペンテシンIIまたはそれらのバリアントを含む。実施形態によっては、組換えウツボカズラ酵素またはそれらのバリアントは、ネプロシン、ネペンテシンIおよびネペンテシンII、またはそれらのバリアントを含む。実施形態によっては、組換えウツボカズラ酵素またはそのバリアントは、少なくとも約100:1のネプロシンとネペンテシン(またはそれらのそれぞれのバリアント)との比を含む。実施形態によっては、組換えウツボカズラ酵素は、少なくとも約90:1のネプロシンとネペンテシンとの比を含む。実施形態によっては、組換えウツボカズラ酵素は、少なくとも約70:1のネプロシンとネペンテシンとの比を含む。実施形態によっては、組換えウツボカズラ酵素は、少なくとも約60:1のネプロシンとネペンテシンとの比を含む。実施形態によっては、組換えウツボカズラ酵素は、少なくとも約50:1のネプロシンとネペンテシンとの比を含む。実施形態によっては、組換えウツボカズラ酵素は、少なくとも約40:1のネプロシンとネペンテシンとの比を含む。実施形態によっては、組換えウツボカズラ酵素は、少なくとも約30:1のネプロシンとネペンテシンとの比を含む。実施形態によっては、組換えウツボカズラ酵素は、少なくとも約20:1のネプロシンとネペンテシンとの比を含む。実施形態によっては、組換えウツボカズラ酵素は、少なくとも約10:1のネプロシンとネペンテシンとの比を含む。実施形態によっては、組換えウツボカズラ酵素は、少なくとも約5:1のネプロシンとネペンテシンとの比を含む。実施形態によっては、組換えウツボカズラ酵素は、少なくとも約4:1のネプロシンとネペンテシンとの比を含む。実施形態によっては、組換えウツボカズラ酵素は、少なくとも約3:1のネプロシンとネペンテシンとの比を含む。実施形態によっては、組換えウツボカズラ酵素は、少なくとも約2:1のネプロシンとネペンテシンとの比を含む。実施形態によっては、組換えウツボカズラ酵素は、少なくとも約1:1のネプロシンとネペンテシンとの比を含む。実施形態によっては、組換えウツボカズラ酵素は、少なくとも約1:2のネプロシンとネペンテシンとの比を含む。実施形態によっては、組換えウツボカズラ酵素は、少なくとも約1:3のネプロシンとネペンテシンとの比を含む。実施形態によっては、組換えウツボカズラ酵素は、少なくとも約1:4のネプロシンとネペンテシンとの比を含む。実施形態によっては、組換えウツボカズラ酵素は、少なくとも約1:5のネプロシンとネペンテシンとの比を含む。実施形態によっては、組換えウツボカズラ酵素は、少なくとも約1:10のネプロシンとネペンテシンとの比を含む。実施形態によっては、組換えウツボカズラ酵素は、少なくとも約1:20のネプロシンとネペンテシンとの比を含む。実施形態によっては、組換えウツボカズラ酵素は、少なくとも約1:30のネプロシンとネペンテシンとの比を含む。実施形態によっては、組換えウツボカズラ酵素は、少なくとも約1:40のネプロシンとネペンテシンとの比を含む。実施形態によっては、組換えウツボカズラ酵素は、少なくとも約1:50のネプロシンとネペンテシンとの比を含む。実施形態によっては、組換えウツボカズラ酵素は、少なくとも約1:60のネプロシンとネペンテシンとの比を含む。実施形態によっては、組換えウツボカズラ酵素は、少なくとも約1:70のネプロシンとネペンテシンとの比を含む。実施形態によっては、組換えウツボカズラ酵素は、少なくとも約1:80のネプロシンとネペンテシンとの比を含む。実施形態によっては、組換えウツボカズラ酵素は、少なくとも約1:90のネプロシンとネペンテシンとの比を含む。実施形態によっては、組換えウツボカズラ酵素は、少なくとも約1:100のネプロシンとネペンテシンとの比を含む。
実施形態によっては、天然源または合成源から単離されたタンパク質産物は、ウツボカズラのネペンテシンIのアミノ酸配列に少なくとも約70%相同なアミノ酸(例えば、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号21)を含む。一実施形態では、タンパク質産物は、プロテアーゼ活性を保持する。タンパク質は、ウツボカズラのネペンテシンIと少なくとも約80%相同であることがある。タンパク質は、ウツボカズラのネペンテシンIと少なくとも約85%相同であることがある。タンパク質は、ウツボカズラのネペンテシンIと少なくとも約90%相同であることがある。タンパク質は、ウツボカズラのネペンテシンIと少なくとも約95%相同であることがある。タンパク質は、ウツボカズラのネペンテシンIと少なくとも約96%相同であることがある。タンパク質は、ウツボカズラのネペンテシンIと少なくとも約97%相同であることがある。タンパク質は、ウツボカズラのネペンテシンIと少なくとも約98%相同であることがある。タンパク質は、ウツボカズラのネペンテシンIと少なくとも約99%相同であることがある。
実施形態によっては、天然源または合成源から単離されたタンパク質産物は、ウツボカズラのネペンテシンIIに少なくとも約70%相同なタンパク質(例えば、配列番号8、配列番号9、配列番号20)を含む。一実施形態では、タンパク質産物は、プロテアーゼ活性を保持する。タンパク質は、ウツボカズラのネペンテシンIIと少なくとも約80%相同であることがある。タンパク質は、ウツボカズラのネペンテシンIIと少なくとも約85%相同であることがある。タンパク質は、ウツボカズラのネペンテシンIIと少なくとも約90%相同であることがある。タンパク質は、ウツボカズラのネペンテシンIIと少なくとも約95%相同であることがある。タンパク質は、ウツボカズラのネペンテシンIIと少なくとも約96%相同であることがある。タンパク質は、ウツボカズラのネペンテシンIIと少なくとも約97%相同であることがある。タンパク質は、ウツボカズラのネペンテシンIIと少なくとも約98%相同であることがある。タンパク質は、ウツボカズラのネペンテシンIIと少なくとも約99%相同であることがある。
実施形態によっては、天然源または合成源から単離されたタンパク質産物は、ウツボカズラのネプロシンに少なくとも約70%相同なタンパク質(例えば、配列番号1)を含む。一実施形態では、タンパク質産物は、プロテアーゼ活性を保持する。タンパク質は、ウツボカズラのネプロシンと少なくとも約80%相同であることがある。タンパク質は、ウツボカズラのネプロシンと少なくとも約85%相同であることがある。タンパク質は、ウツボカズラのネプロシンと少なくとも約90%相同であることがある。タンパク質は、ウツボカズラのネプロシンと少なくとも約95%相同であることがある。タンパク質は、ウツボカズラのネプロシンと少なくとも約96%相同であることがある。タンパク質は、ウツボカズラのネプロシンと少なくとも約97%相同であることがある。タンパク質は、ウツボカズラのネプロシンと少なくとも約98%相同であることがある。タンパク質は、ウツボカズラのネプロシンと少なくとも約99%相同であることがある。
実施形態によっては、天然源または合成源から単離されたタンパク質産物は、ウツボカズラのネペンテシンIの本来のプロテアーゼ活性の少なくとも約10%を有するネペンテシンまたはそのバリアントを含む。実施形態によっては、タンパク質産物は、ネペンテシンIの本来のプロテアーゼ活性の少なくとも約20%を有するネペンテシンまたはそのバリアントを含む。実施形態によっては、タンパク質産物は、ネペンテシンIの本来のプロテアーゼ活性の少なくとも約30%を有するネペンテシンまたはそのバリアントを含む。実施形態によっては、タンパク質産物は、ネペンテシンIの本来のプロテアーゼ活性の少なくとも約40%を有するネペンテシンまたはそのバリアントを含む。実施形態によっては、タンパク質産物は、ネペンテシンIの本来のプロテアーゼ活性の少なくとも約50%を有するネペンテシンまたはそのバリアントを含む。実施形態によっては、タンパク質産物は、ネペンテシンIの本来のプロテアーゼ活性の少なくとも約60%を有するネペンテシンまたはそのバリアントを含む。実施形態によっては、タンパク質産物は、ネペンテシンIの本来のプロテアーゼ活性の少なくとも約70%を有するネペンテシンまたはそのバリアントを含む。実施形態によっては、タンパク質産物は、ネペンテシンIの本来のプロテアーゼ活性の少なくとも約80%を有するネペンテシンまたはそのバリアントを含む。実施形態によっては、タンパク質産物は、ネペンテシンIの本来のプロテアーゼ活性の少なくとも約90%を有するネペンテシンまたはそのバリアントを含む。実施形態によっては、タンパク質産物は、ネペンテシンIの本来のプロテアーゼ活性の約100%超を有するネペンテシンまたはそのバリアントを含む。
実施形態によっては、天然源または合成源から単離されたタンパク質産物は、ウツボカズラのネペンテシンIIの本来のプロテアーゼ活性の少なくとも約10%を有するネペンテシンまたはそのバリアントを含む。実施形態によっては、タンパク質産物は、ネペンテシンIIの本来のプロテアーゼ活性の少なくとも約20%を有するネペンテシンまたはそのバリアントを含む。実施形態によっては、タンパク質産物は、ネペンテシンIIの本来のプロテアーゼ活性の少なくとも約30%を有するネペンテシンまたはそのバリアントを含む。実施形態によっては、タンパク質産物は、ネペンテシンIIの本来のプロテアーゼ活性の少なくとも約40%を有するネペンテシンまたはそのバリアントを含む。実施形態によっては、タンパク質産物は、ネペンテシンIIの本来のプロテアーゼ活性の少なくとも約50%を有するネペンテシンまたはそのバリアントを含む。実施形態によっては、タンパク質産物は、ネペンテシンIIの本来のプロテアーゼ活性の少なくとも約60%を有するネペンテシンまたはそのバリアントを含む。実施形態によっては、タンパク質産物は、ネペンテシンIIの本来のプロテアーゼ活性の少なくとも約70%を有するネペンテシンまたはそのバリアントを含む。実施形態によっては、タンパク質産物は、ネペンテシンIIの本来のプロテアーゼ活性の少なくとも約80%を有するネペンテシンまたはそのバリアントを含む。実施形態によっては、タンパク質産物は、ネペンテシンIIの本来のプロテアーゼ活性の少なくとも約90%を有するネペンテシンまたはそのバリアントを含む。実施形態によっては、タンパク質産物は、ネペンテシンIIの本来のプロテアーゼ活性の約100%超を有するネペンテシンまたはそのバリアントを含む。
実施形態によっては、天然源または合成源から単離されたタンパク質産物は、ウツボカズラのネプロシンの本来のプロテアーゼ活性の少なくとも約10%を有するネプロシンまたはそのバリアントを含む。実施形態によっては、タンパク質産物は、ネプロシンの本来のプロテアーゼ活性の少なくとも約20%を有するネプロシンまたはそのバリアントを含む。実施形態によっては、タンパク質産物は、ネプロシンの本来のプロテアーゼ活性の少なくとも約30%を有するネプロシンまたはそのバリアントを含む。実施形態によっては、タンパク質産物は、ネプロシンの本来のプロテアーゼ活性の少なくとも約40%を有するネプロシンまたはそのバリアントを含む。実施形態によっては、タンパク質産物は、ネプロシンの本来のプロテアーゼ活性の少なくとも約50%を有するネプロシンまたはそのバリアントを含む。実施形態によっては、タンパク質産物は、ネプロシンの本来のプロテアーゼ活性の少なくとも約60%を有するネプロシンまたはそのバリアントを含む。実施形態によっては、タンパク質産物は、ネプロシンの本来のプロテアーゼ活性の少なくとも約70%を有するネプロシンまたはそのバリアントを含む。実施形態によっては、タンパク質産物は、ネプロシンの本来のプロテアーゼ活性の少なくとも約80%を有するネプロシンまたはそのバリアントを含む。実施形態によっては、タンパク質産物は、ネプロシンの本来のプロテアーゼ活性の少なくとも約90%を有するネプロシンまたはそのバリアントを含む。実施形態によっては、タンパク質産物は、ネプロシンの本来のプロテアーゼ活性の約100%超を有するネプロシンまたはそのバリアントを含む。
特段に述べない限り、本明細書を通じて使用される略称は、以下の意味を有する。
g=グラム
kDa=キロダルトン
kg=キログラム
L=リットル
LC=液体クロマトグラフィー
mg=ミリグラム
min=分
mL=ミリリットル
mM=ミリモル
MS=質量分析
nM=ナノモル
pM=ピコモル
s.d.=標準偏差
μCi=マイクロキュリー
μgマイクログラム
μL=マイクロリットル
μΜ=マイクロモル
μm=マイクロメートル
℃=摂氏度
g=グラム
kDa=キロダルトン
kg=キログラム
L=リットル
LC=液体クロマトグラフィー
mg=ミリグラム
min=分
mL=ミリリットル
mM=ミリモル
MS=質量分析
nM=ナノモル
pM=ピコモル
s.d.=標準偏差
μCi=マイクロキュリー
μgマイクログラム
μL=マイクロリットル
μΜ=マイクロモル
μm=マイクロメートル
℃=摂氏度
これらの1文字記号は、アミノ酸を表す際に以下の意味を持つ。
A=アラニン
R=アルギニン
N=アスパラギン
D=アスパラギン酸
C=システイン
E=グルタミン酸
Q=グルタミン
G=グリシン
H=ヒスチジン
I=イソロイシン
L=ロイシン
K=リジン
M=メチオニン
F=フェニルアラニン
P=プロリン
S=セリン
T=スレオニン
W=トリプトファン
Y=チロシン
V=バリン
A=アラニン
R=アルギニン
N=アスパラギン
D=アスパラギン酸
C=システイン
E=グルタミン酸
Q=グルタミン
G=グリシン
H=ヒスチジン
I=イソロイシン
L=ロイシン
K=リジン
M=メチオニン
F=フェニルアラニン
P=プロリン
S=セリン
T=スレオニン
W=トリプトファン
Y=チロシン
V=バリン
実施例1:園芸およびウツボカズラ体液の生産
ネペンテス・ベントラータ(N. ventrata)(8”ポットに100植物体)を専用の温室(アーバンボグ(Urban Bog)、ラングリー、ブリティッシュコロンビア州、カナダ)で成長させた。植物を木の樹皮、パーライト、ピートモスおよび腐植土の混合物(それぞれ40、35、10、5%)に鉢植えして、天然光下、制御された湿度および温度で成長させた。水を嚢状葉に加えないように灌漑を地表面に適用した。嚢状葉には、環境から昆虫も捕獲されたものの(例えばスズメバチ)、各嚢状葉1匹または2匹(およそ1000枚の嚢状葉)の凍結ショウジョウバエを給餌した。翌週、体液をピペットで採取し、このサイクルを、5リットルの体液が収集されるまで繰り返した。0.22μmフィルターを使用して粗嚢状葉体液を清澄化し、Amicon 10kDaカットオフスピンフィルター(ミリポア)を使用してタンパク質画分を10×に濃縮し、100mMグリシン−HCl(pH2.5、活性条件)を用いて3×洗浄して、自己の消化または残りの獲物の消化の結果生じた何らかのペプチドを除去した。
実施例2:ウツボカズラ体液の特性解析
ネペンテス・ベントラータ(N. ventrata)(8”ポットに100植物体)を専用の温室(アーバンボグ(Urban Bog)、ラングリー、ブリティッシュコロンビア州、カナダ)で成長させた。植物を木の樹皮、パーライト、ピートモスおよび腐植土の混合物(それぞれ40、35、10、5%)に鉢植えして、天然光下、制御された湿度および温度で成長させた。水を嚢状葉に加えないように灌漑を地表面に適用した。嚢状葉には、環境から昆虫も捕獲されたものの(例えばスズメバチ)、各嚢状葉1匹または2匹(およそ1000枚の嚢状葉)の凍結ショウジョウバエを給餌した。翌週、体液をピペットで採取し、このサイクルを、5リットルの体液が収集されるまで繰り返した。0.22μmフィルターを使用して粗嚢状葉体液を清澄化し、Amicon 10kDaカットオフスピンフィルター(ミリポア)を使用してタンパク質画分を10×に濃縮し、100mMグリシン−HCl(pH2.5、活性条件)を用いて3×洗浄して、自己の消化または残りの獲物の消化の結果生じた何らかのペプチドを除去した。
実施例2:ウツボカズラ体液の特性解析
pHプロファイリングのために、ヘモグロビン活性アッセイの改変バージョンを使用して、タンパク質分解活性を測定した。アッセイは、4μLの濃縮ウツボカズラ体液を1.25mgのウマヘモグロビン(シグマアルドリッチ)と混合して、適切な緩衝液での最終体積を100μLとすることから成った。タンパク質を37℃、200rpmで30分消化し、10%TCAでクエンチした。沈殿を遠心分離(14000g、10分)によって除去し、上清を使用して、可溶性ペプチドの吸光度を280nm(GE Nanovue plus分光光度計)で測定した。全てのデータポイントは、3つの技術的な再現および3つの生物学的な再現の平均である。
酵素阻害試験については、ウシ血清アルブミン(1mg/mL)を、0.12μΜウツボカズラ酵素により37℃で15分間消化し、短時間の煮沸によりクエンチして、次いで、10%SDS−PAGEによって分析した。酵素を対照および阻害剤とともに4℃で2日間、前処理した後、消化実験に供した。PMSF、ペプスタチン、ロイペプチン、EDTA、EGTA、DTTはシグマアルドリッチから、ZPP(Z−Pro−Pro−アルデヒド−ジメチルアセタール)はバッヘム(Bachem)からのものである。
結果:濃縮画分は、可溶性タンパク質標品に対する高いタンパク質分解活性を有し(図1A〜1D)、4℃で何週間もの間、および凍結/融解サイクルの下で安定なままであった。消化についての古典的なヘモグロビンアッセイを使用すると、体液濃縮物は、pH2.5で最大の活性を示し、pH5まで活性を保持し(図2A)、ヒトの胃の典型的なpHの範囲を網羅するものであった。pHプロファイルは、ペプシンにいくらか類似性を示したが、消化は、体液中に存在することで知られるアスパラギン酸プロテアーゼの構成成分のみに帰属させることができなかった(図1A、1Bおよび2B)。アスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤であるペプスタチンは、部分的に酵素活性を抑制できたに過ぎなかった。しかし、これらの条件下で効果を有する他の阻害剤はなかった。粗コムギグリアジンのスラリーを調製して、体液のタンパク質画分を添加した。すると、体液のタンパク質画分は、pH2.5で速やかにスラリーを清澄化した(図2C)。
タンパク質抽出物は、ペプシンの存在下で安定なままである、複雑さの限定された植物サブプロテオームを含有していた(図2D)。
実施例3:ウツボカズラ体液の分画
実施例3:ウツボカズラ体液の分画
2つのタンパク質分解構成成分を単離した。MALDI−TOFを使用して、α−グリアジン由来の33merに対する活性を再試験した。また、MALDI−TOF(シナピン酸をマトリックスとする)を使用して、画分をタンパク質含有量について分析すると、29kDaに単一のピークが浮かび上がった。非特異的な切断性に富化された画分を、ゲル濾過を使用してさらに精製し、純度についておよび33merに対する活性について再試験した。
体液タンパク質濃縮物を、50mMグリシンに交換し、分画付きのカラムクロマトフォーカシングに供した。MALDI−TOF(Sciex 5800 TOF/TOF、α−シアノ−4−ヒドロキシケイ皮酸をマトリックスとする)を使用して、活性について画分を分析した。活性について試験するために、タンパク質基質を、カラム画分のアリコートとともに、室温で20分インキュベーションし、消化物をMALDI−TOFによって分析した。プロリン切断に富化された画分を、Protein MacroTraps(オプティマイズテクノロジーズ)上の逆相クロマトグラフィーによって手動で精製した。酵素を溶出し、タンパク質基質に対し活性であることを確認した。
体液タンパク質濃縮物を、50mMグリシンに交換し、分画付きのカラムクロマトフォーカシングに供した。MALDI−TOF(Sciex 5800 TOF/TOF、α−シアノ−4−ヒドロキシケイ皮酸をマトリックスとする)を使用して、活性について画分を分析した。活性について試験するために、タンパク質基質を、カラム画分のアリコートとともに、室温で20分インキュベーションし、消化物をMALDI−TOFによって分析した。プロリン切断に富化された画分を、Protein MacroTraps(オプティマイズテクノロジーズ)上の逆相クロマトグラフィーによって手動で精製した。酵素を溶出し、タンパク質基質に対し活性であることを確認した。
結果:各画分は、6つの重なり合うT細胞エピトープにわたって広がり、セリアック患者において強力なT細胞応答を刺激する、α−グリアジン由来の33merのペプチドLQLQPFPQPQLPYPQPQLPYPQPQLPYPQPQPF(配列番号22)を消化することができた(図3A)。このペプチド配列は、胃のペプシンによる消化に対する高い抵抗性を、期間を延長しても有しており、このことは対照の消化を用いて確認された(データ示さず)。
実施例4:ウツボカズラタンパク質の同定
実施例4:ウツボカズラタンパク質の同定
ゲルフリーおよびゲルベースのプロテオミクス法を用いて、体液濃縮物およびカラム画分を分析した。ゲルフリー法については、標準的な方法を用いて、タンパク質をDTTで還元し、ヨードアセトアミドでアルキル化した。変性した試料を、トリプシンとともに一晩、または濃縮されたウツボカズラ体液とともに1時間消化した。消化物溶液を凍結乾燥し、1%ギ酸(FA)に再懸濁した後、データ依存LC−MS/MS解析のため質量分析計に注入した。タンパク質を脱グリコシル化するため、製造業者の方法に従って試料をPNGase F(ニューイングランドバイオラボ)で処理した後、トリプシン消化に供した。体液画分のゲルベースのプロテオミクス分析のため、タンパク質をSDS−PAGEによって分離し、バンドを産物のゲル内トリプシン消化およびデータ依存LC−MS/MSに用いるために選択した。洗浄、還元およびアルキル化の後、ゲル片をトリプシンとともに一晩インキュベーションし、次いで質量分析用に抽出した。
ナノ流速構成で動作するLCシステム(Easy−nLC 1000、サーモサイエンティフィック)を使用して、タンパク質消化物を分離した。高/低の構成のThermo Orbitrap Velos ETD質量分析計(MS:分解能60,000のOrbitrapおよびMS/MS:イオントラップ)における衝突誘導性解離(CID)についてのトップ10データ依存実験で、ペプチドを選択した。従来のトリプシン消化用の設定を用いて、NCBIの緑色植物亜界(Viriplantae)(緑色植物)、ショウジョウバエ(Drosophila)および細菌/真正細菌のデータベースに対しMascot v2.3(マトリックスサイエンシズ)を使用して、データを検索した。体液ベースの消化については、「no enzyme」の特異性を使用して検索を構成し、他の設定は同じままとした。ネプロシンの同定については、体液抽出物を使用して生成されたペプチドを、PEAKSソフトウェアv7.1による支援の下、de novoでシークエンシングして、正確性>90%の4kDaの配列を生じ、ウツボカズラのトランスクリプトームに対し検索した(下記を参照)。
結果:画分1によるグリアジン33merの消化は、体液中のアスパラギン酸プロテアーゼの作用に起因するものと思われる。ネペンテシンIおよびIIは、アスパラギン酸プロテアーゼでは非正準な切断性を有する。プロテオミクス手法を用いておよび利用可能なデータベースを検索して、タンパク質抽出物中にネペンテシンIが存在することを確認した(表1および表2)。従来のボトムアップのプロテオミクス法は、トリプシン消化に基づくものであり、この体液に理想的なものとなりそうになかった。ネペンテシンIの配列解析では、1つのトリプシン切断部位が1つのみ示されたが、このことは、他の構成成分が同様に、このアプローチで特定するのが困難である可能性があることを示唆する。標準的なプロテオミクスのワークフローにおいて、トリプシンを活性の体液プロテアーゼに置き換えて、同様に体液中にネペンテシンIIが存在することを確認した(補遺の表3)。同じように分析された精製画分1では、ネペンテシンIIのみを同定した。
トリプシンまたは活性体液による消化のストラテジーを用いて画分2を分析した結果、ヒットはなかった。ウツボカズラのシークエンシングされたゲノムが利用不能であることを考慮し、異なるストラテジーを実行して、プロリンに活性である酵素と思われるものを特定した。画分のゲル分析では、組成物が単純であることが示唆されるため(図3A)、全トランスクリプトームのショットガンシークエンシングを、タンパク質画分の非特異的な消化によって生成されたペプチドのde novoシークエンシングと組み合わせた。
ネペンテス・アンプラリア(N. ampullaria)を、小さなテラリウム中15−9時間の明暗光周期で、実験室で成長させた。嚢状葉が成熟したところで、RNA抽出の24時間前に、嚢状葉当たり1匹または2匹のショウジョウバエを植物に給餌した。RNA抽出のために、消化体液を除去し、嚢状葉を脱イオン水で洗浄して、部分的に消化された物質および他の残骸を除去した。分泌細胞を含有する嚢状葉の下部3分の1を切り取り、液体窒素中で凍結し、液体窒素下で微粉末に摩砕した。改変されたCTABプロトコールを用いて、総RNAが抽出した。
ネペンテス・アンプラリアのトランスクリプトームのSOLiDシークエンシングは、カルガリー大学ゲノミクス施設(カルガリー、アルバータ州)が実施した。Micro Purification Kit(Dynabeads mRNA DIRECT、ライフテクノロジーズ)を使用し、製造業者のプロトコールに従って、ポリ(A)RNAを10μgの総RNAから富化した。SOLID Total RNA−Seqキット(ライフテクノロジーズ)を使用し、製造業者のプロトコールに従って、全トランスクリプトームRNAライブラリーをポリA捕捉RNAから調製した。ペアエンド75+35bpランを使用して、cDNAライブラリーをABI SOLID 5500シークエンサー(ライフテクノロジーズ)でシークエンシングした。解析のために、SOLiDのXSQ ToolsおよびローカルPerlスクリプトを使用して、シークエンシングの生データをcsFastqに変換した。FastQC品質管理統計に基づきクリーニングフィルターをデータファイルに適用し、Cutadaptを用いてSoLiDシークエンシングアダプターを検出した。スライディングウィンドウを4として、Phred20の閾値でTrimmomatic PEを使用して、リードを切り取り、切り取られた配列を最小長25bpで戻した。フォワードリードとリバースリードの両方が保持されていた事例のみを確保した。クリーニングしたこれらのリードペアを、アセンブリのために擬似ベーススペースに変換した。カラースペースに適合させて、Velvet(バージョン1.2.10)およびOasis(バージョン0.2.8)を用いて、de novo転写物アセンブリを様々なk−merで実施した。最終的に39のk−merを使用し、全シークエンスレーンの組み合わされたフォワードリードセットをシングルエンドアセンブリでアセンブリした。de novo MS/MSによって生成された配列タグの検索には、アセンブリをベーススペースに転換することが必要であった。これをSOLiDのdenovo2パイプラインのパッケージおよびローカルperlスクリプトのユーティリティを使用して実施した。tBlastnを使用して、クエリに最も合致した628bpの部分コンティグを特定した。ヒットの上流および下流の配列を決定するために、以下のプライマーを使用した:
それぞれ5’および3’RACE用にGATTACGCCAAGCTTCATTCCCGTTGGGATCTACGCATTG(LS02R;配列番号23)およびACGACAACTCAGATGGGAAGCGG(LS07F;配列番号24)(カルガリー大学コアDNAサービスにより合成)。SMARTer RACE 573’キット(クロンテック、マウンテンビュー、カリフォルニア州)を使用し、製造業者のプロトコールに従って、5’および3’RACEを実施した。簡潔に述べれば、製造業者の改変オリゴ(dT)および/またはSMARTer II Aオリゴヌクレオチドプライマーを使用して、第1鎖cDNAを逆合成した。Phusion high−fidelity DNAポリメラーゼ(ニューイングランドバイオラボ)を用いて、特異的なプライマー(LS02RまたはLS07R)と対をなすSMARTerユニバーサルプライマーを使用して、5’および3’RACE PCRを増幅した。PCRは、98℃での30秒間の変性、62℃での30秒間のアニーリング、および72℃での90秒間の伸長からなる30サイクルを含むものであった。1kbの5’RACEおよび500bpの3’RACEのPCR産物をゲル精製し、カルガリー大学コアDNAサービスによりシークエンシングした。5’および3’RACEをネペンテス・ベントラータおよびネペンテス・ラフレシアナ(N. rafflesiana)由来のcDNAに繰り返して、97%の同一性があるNprl配列(示さず)を見出した。
それぞれ5’および3’RACE用にGATTACGCCAAGCTTCATTCCCGTTGGGATCTACGCATTG(LS02R;配列番号23)およびACGACAACTCAGATGGGAAGCGG(LS07F;配列番号24)(カルガリー大学コアDNAサービスにより合成)。SMARTer RACE 573’キット(クロンテック、マウンテンビュー、カリフォルニア州)を使用し、製造業者のプロトコールに従って、5’および3’RACEを実施した。簡潔に述べれば、製造業者の改変オリゴ(dT)および/またはSMARTer II Aオリゴヌクレオチドプライマーを使用して、第1鎖cDNAを逆合成した。Phusion high−fidelity DNAポリメラーゼ(ニューイングランドバイオラボ)を用いて、特異的なプライマー(LS02RまたはLS07R)と対をなすSMARTerユニバーサルプライマーを使用して、5’および3’RACE PCRを増幅した。PCRは、98℃での30秒間の変性、62℃での30秒間のアニーリング、および72℃での90秒間の伸長からなる30サイクルを含むものであった。1kbの5’RACEおよび500bpの3’RACEのPCR産物をゲル精製し、カルガリー大学コアDNAサービスによりシークエンシングした。5’および3’RACEをネペンテス・ベントラータおよびネペンテス・ラフレシアナ(N. rafflesiana)由来のcDNAに繰り返して、97%の同一性があるNprl配列(示さず)を見出した。
結果:4kDaのセグメントをオーバーラッピングペプチドからアセンブリし、トランスクリプトームを検索して、5’および3’RACEによる伸展に基づき、未知の機能を持つ2つのドメインであるPfamエントリDUF239およびDUF4409によって表されるタンパク質(図3B)を特定するコンティグを明らかにした。質量分析により、主にDUF239から成る成熟した酵素であることが支持された(図4A〜図4C)。PfamにおけるDUF239についての機能予測では、C末端ペプチダーゼ活性が示唆されているが、このことは実証されていない。その多くが植物に見られるDUF239ドメインを担持する、他のメンバーと共通に有する配列同一性のレベルは、僅かなものに過ぎない(図5Aおよび5B)。興味深いことに、この酵素は、構造面と機能面のどちらも、公知のプロリン切断酵素とは異なっている(図6)。そのことは、DUF239が、以前に未知であったプロリン指向性プロテアーゼのクラスを表すことを示唆する。大きなタンパク質の標品を使用してタンパク質分解マップを生成したところ、マップは、Pro−X切断特異性の際立っているエンドプロテアーゼを明確に示した(図7)。29kDaで、その酵素は、どの公知のプロリルエンドプロテアーゼよりも極めて小さく、プロリルオリゴペプチダーゼに観察される基質の長さの制限がないようであった。この新たに発見されたタンパク質分解酵素を、ネプロシン(Npr1)と命名した。
実施例6:ウツボカズラタンパク質の定量
実施例6:ウツボカズラタンパク質の定量
グルテン解毒の可能性について抽出物を試験する前に、および治療概念には投薬量が重要であることを考慮し、AQUAペプチドを含む方法を利用して、活性のタンパク質分解構成成分の濃度を測定した。AQUA法には、特定可能なトリプシン処理ペプチドおよび完全な消化が必要であり、活性酵素を表す安定同位体標識ペプチドを内部標準として添加した。成熟したネペンテシンIIはK残基またはR残基を持たないため、ネペンテシンIおよびネプロシンのみをこの方式でモニターすることができた。
FASPプロトコールの変形を適用して体液濃縮物を消化し、AQUAペプチド定量法と組み合わせた。簡潔に述べれば、重原子標識されたペプチドを、ネペンテシンI(GPLSLPSQLDVTK;配列番号25)およびネプロシン(ASYVR;配列番号26)について合成した(Sigma−Aldrich)。体液濃縮物を、8M尿素中、中性pHかつ還元条件下で変性させた。タンパク質をヨードアセトアミドでアルキル化し、次いで、トリプシンで消化した。AQUAペプチドを添加し、次いで、試料を質量分析用に精製した。Orbitrap Velos ETDで、消化物を逆相LC−MSによって分析した。トリプシン処理ペプチドの軽原子形態と重原子形態との相対強度を、Xcaliburソフトウェアで測定し、タンパク質濃度の決定に使用した。タンパク質濃度がプラトーに達するまで、消化時間を徐々に長く、酵素と基質との比をさらに高く、適用した。ネペンテシンIIのレベルを見積もるために、体液プロテアーゼ画分の非特異的な消化物に適用する標識フリーの方法(emPAIおよびT3PQ)が必要であった。
結果:強烈な変性および消化のプロトコールを用いて、完全な消化を達成した。濃縮体液画分中に、ネペンテシンIは450+/−50nM(n=3)で、ネプロシンは250+/−40nM(n=3)で存在していた。非特異的な消化のプロトコールを用いて体液全体のサブプロテオームから収集された標識フリーのプロテオミクスのデータに基づくと、ネペンテシンIIの濃度は、ネペンテシンIとほぼ等しかった。グルテン解毒実験での用量評価を目的として、濃縮物の総酵素濃度を、900nMのネペンテシンI/IIと250nMのネプロシンからなるおよそ1.15μΜとした。
実施例7:ウツボカズラ酵素によるグリアジンの消化
実施例7:ウツボカズラ酵素によるグリアジンの消化
次に、ウツボカズラ酵素濃度の範囲にわたって、粗グリアジンの消化の特徴をモニターした。消化産物を、複数の方法を用いて、対照としてペプシンで生成されたペプチドと比較した。胃の条件のみをシミュレーションするために、消化をpH2.5で実施した。腸のプロテアーゼ(すなわちトリプシン、キモトリプシン)を用いた中性pHでの消化の第2段階は使用しなかった。
粗グリアジン(シグマアルドリッチカタログ番号G3375)を粉末に摩砕した。20〜50mg/mLのストックのグリアジンスラリーを酸性溶液(100mMグリシンHC1、pH2.5)に調製し、少しの間超音波処理して大きな粒子をさらに細かく砕き、懸濁液化を促進した。10mg/mLのグリアジンスラリーの消化を、酵素(ペプシン、体液酵素、または両方)の添加によって開始し、緩やかに回転させながら37℃に保持した。消化の進行を重量分析、光透過、SDS−PAGE、および質量分析によってモニターした。重量分析に用いるために、消化物を煮沸によってクエンチし、TCA/クロロホルムで処理した後、遠心分離して未消化または消化不足のタンパク質を除去した。光透過を用いてモニターするために、消化反応を、96ウェルプレート中、各反応条件について>3連のレプリカを用いて実施し、濁度を595nm、37℃で2分毎に90分間、モニターした(SpectraMaxプレートリーダー、モレキュラーデバイス)。測定と測定の間に、プレートを中程度のスピードで少しの間振盪した。90分間の反応の後、消化物を、10分間煮沸することによってクエンチした(事後に、消化プロファイルに何も影響がないことを確認した)。反応混合物のアリコートを8%SDS−PAGEゲル上で分析した。残りの量を遠心分離して、上清を質量分析によって分析した。
結果:まず、光学密度測定を用いて、10g/Lの粗グリアジン抽出物のスラリーの清澄化速度をモニターした(図8A〜図8C)。ペプシンをヒトの胃の濃度の範囲の高めの域(約5μΜ)までアプライし、体液プロテアーゼをこの量のおよそ1/10とした。ペプシンのみでは0.3mg/μΜ/分という最大の清澄化速度が達成された(図8D)。いくらかの不透明度の残存が認められたが、それは、水に不溶性の高分子量グルテニンまたは抽出プロセス由来の典型的な残渣、例えば脂質などに起因する可能性がある。体液プロテアーゼのみでは、清澄化速度が10倍超増加した(図8D)。興味深いことに、この試験で使用された高めの体液プロテアーゼのレベルでは、不透明度は消化時間に伴って増加し、ペプシンを用いた共消化はその効果を増幅した。この知見は、グルテン加水分解物の乳化性に一致する。エマルジョンによる粗画分中の脂質の安定化は、散乱を増すものとなり、消化の進行につれて高まるものと思われた。この効果は、ペプシンと体液プロテアーゼとの組合せを使用した清澄化速度の測定を妨げるものであった。しかし、体液抽出物の清澄化速度は高く、体液プロテアーゼは、ペプシンとともに相乗的にグリアジンを消化するように思われる。
実施例8:グリアジン消化物のプロテオミクス分析
実施例8:グリアジン消化物のプロテオミクス分析
上記の結果は、有効な消化のプロセスを示唆しているが、消化の完全性に関する情報を伝えるものではない。ペプシン耐性の33merを使用して、希釈条件下でペプチド産物の進展をモニターした。
高/低構成でCIDを使用してトップ10のイオン選択について構成された2つの1時間逆相勾配ランで、データ依存LC−MS/MSによって、上清を分析した。あるランでは、イオン選択を2+およびさらに高い電荷状態に制限した。他のランでは、イオン選択を1+電荷状態のみに適用した。両ラン由来のデータを組み合わせて、全UniprotKB/Swiss−Protエントリに対しパンコムギ由来のグリアジンおよびグルテニン(25種のタンパク質)について検索した。検索には、Mascot v2.3を使用し、非特異的な消化について構成し、ペプチドヒットについてp<0.05でフィルタリングした。ペプチドサイズの分布を見積もるために、全LC−MSスペクトルを組み合わせて、Protein Deconvolution v1.0で適切な設定を用いてデコンヴォルーションした。データベース検索で特定された消化物のサブセットを使用した標識フリーの定量分析のために、ヒットのリストをMass Spec Studioで生データと組み合わせ、一連のペプチドイオンクロマトグラムを生成するのに使用した。このペプチドイオンクロマトグラムは、特定された各ペプチド配列について重量平均強度を決定するために、全ての同位体にわたって一元化されたものである。
添加されるタンパク質がグリアジンの消化効率に及ぼす影響を決定するために、グリアジン(10mg/mL)を超える過剰量でウシ血清アルブミン(BSA、90mg/mL)をアプライして、0.46μΜの体液プロテアーゼおよび5μΜのペプシンを用いて消化した。試料を37℃、pH2.5で消化し、分析用に複数の時点でアリコートを抜き取った。試料を希釈し、煮沸によってクエンチした。対照として、同様のコースの反応をBSA非存在下で実施した。消化物の質量分析の前に、α−グリアジンの抗原性領域を表す固定量のAQUAペプチド2種[YLQLQPFPQP(配列番号27)およびLQLQPFPQP(配列番号28)]と、γ−グリアジンの抗原性領域を表す固定量のAQUAペプチド1種(QQPYPQQP;配列番号29)とを添加した(下線部は重原子標識アミノ酸)。逆相LC−MSシステム(Qtrap 6500のEksigent microLC)で定期的なMRM法を用いて、各ペプチド(軽原子形態および重原子形態)の複数の転移をモニターした。各消化および時点についてデータを3連で収集した。それぞれの数量の転移についてクロマトグラフィーのピーク強度を測定し、対応の重原子ペプチドに対応する転移に対して標準化した。
結果:10分でおよそ50%の33merが消化され、全体の消化が100分で達成された(図9A)。ペプシンもミキソコッカス・ザンサス(Myxococcus xanthus)(MX)由来の細菌性プロリルエンドプロテアーゼも、至適pH(それぞれ2および7)での同等の消化条件では、ペプチドをあまり多くの程度(データ示さず)には加水分解できなかった。これらの知見を拡げるために、プロテオミクス手法を用いて、スラリーの消化産物を大規模にマッピングした。まず、SDS−PAGEでは、体液プロテアーゼを用いて総タンパク質が広範に消化されることが示され、この消化は、ペプシンのみでは達成できなかった(図9B〜図9D)。次に、データ依存LC−MS/MSのデータを消化産物について収集し、全体的にペプチドのサイズおよび配列の特徴を分析した。同一性に関わらずLC−MSデータ由来の全てのペプチドシグナルを定量する標識フリーの方法を用いたところ、高濃度のペプシン(5μΜ)が予想通りにグリアジンを中程度のレベルに加水分解し(図9E)、平均ペプチド長19.2残基を産生することが観察された。体液抽出物は、はるかに低い用量(0.23μΜ)を用いて、平均長13.2残基で飽和する。ペプシンとの共消化を用いると、平均長はさらに11.5残基まで低減する。体液プロテアーゼもまた、さらに狭い分布の産物長を生成した(図9F)。高濃度のペプシンによって、4000Da超の分子量を有する25重量%の検出産物を含む消化が生じるが、このことは、グルテンのタンパク質分解耐性の性質を確定するものである。体液プロテアーゼは、この画分を2重量%未満に低減する。
MS/MSペプチド断片化データは、消化産物の特定および代替的な定量分析を支援する。公知のグルテンタンパク質から構成されるデータベース検索に基づくと、粗グリアジン画分は、α/β−グリアジンのアイソタイプおよびγ−グリアジンのアイソタイプの分布を含有する。グルテニンについても多くのペプチドが明らかであった。低分子量サブユニットが特に豊富であり、このことは、従来のグリアジン抽出プロセスの粗製物の特質を浮き彫りにしている(表4および図10)。5μΜのペプシンによる消化についての加重平均ペプチド長は16.9残基(1030形体に基づく)であり、それは、総消化シグナルのうち13%を占めるに過ぎなかった。0.46μΜでの体液プロテアーゼによる消化は、平均ペプチド長11.2残基を生じ(1370形体)、総シグナルの30%を占めていた。これら2つの濃度を用いた共消化は、加重平均10.2残基を生成し(1571形体)、消化シグナルの40%を占めていた。この画分は、プロテオミクス実験での高いシグナル使用を表す。すなわち、未同定の画分は、殆どの場合、未消化のタンパク質というよりも、サンプリング率の限界と僅かなペプチドスコアとの組合せを表す。プロテアーゼの組合せを用いてさらに長く消化することによって、総LC−MSシグナルは、サイズ分布の変化を生じることなく低減するが、このことは、長さ<6アミノ酸残基のペプチドを検出することができないプロテオミクス法に一致する。以上をまとめると、プロテオミクスのデータは、低濃度の体液プロテアーゼの作用下での粗グリアジンの広範な消化に向いており、この消化では、体液酵素が飽和しているように見えるとしても、ペプシンとの共消化によってタンパク質分解が亢進する。
ペプチド配列を精査すると、数多くのPro−X切断部位が観察された。消化効率の大幅な増加の発生をネプロシンのみが担うのか否かを試験するために、精製ネプロシンを用いて、粗グリアジンスラリーを消化した。二峰性分布の産物が観察され、その分布は低分子量および高分子量の両方の画分からなっていた(図11)。低分子量画分の加重平均ペプチド長は12.5であり、総シグナルの10%を占めていたが、濃度を2倍にしても二峰性は減少せず、覆域の深度も大幅には向上しなかった。高分子量画分は充分にあるままであったが、このことは、アスパラギン酸プロテアーゼが消化を促進する役割を果たすことを裏付けている。天然のアスパラギン酸プロテアーゼとネプロシンとの比を、組換えネペンテシンII(以前に記載された方法、例えば、それぞれが参照によりその全体を本明細書に組み込まれるPCT国際特許出願公開第2015/192211号および国際特許出願公開第2014/138927に記載されたものなどを用いて作製)および精製ネプロシンを用いて再構成した。グリアジン消化のプロファイルは、体液抽出物のものと同等であった(示さず)。このことは、抽出物のタンパク質分解活性が、アスパラギン酸プロテアーゼおよびネプロシンのみから生じることを裏付けている。
実施例9:抗原性領域の脱アミド化
実施例9:抗原性領域の脱アミド化
消化の亢進したプロファイルが抗原性領域の脱アミドに影響を及ぼすか否かを検討した。T細胞による免疫優性ペプチドの認識は、これらのペプチドがそのコア結合領域で、特にセリアック病に関連のあるHLA DQ2のP4位またはP6位で、組織トランスグルタミナーゼ2(TG2)によって脱アミド化されると、増幅される。脱アミド化は、ペプチドの配列と長さの両方に依存し、主要な抗原性領域の脱アミド化レベルは、配列の他のどこよりもはるかに高い。粗グリアジン消化物を、脱アミド化されていないペプチドから脱アミド化された形態への変換について分析し、DQ2結合モチーフを特定するために既に公開されているアルゴリズムを使用して、全てのペプチドをソートした。
公開されているプロトコールに従って、粗グリアジン消化物由来の上清を、100mM Tris−HCl pH7.5、2mM CaCl2中、0.1mg/mLのヒトトランスグルタミナーゼ−2(R&Dシステムズ、カタログ番号4376−TG−050)を用いて37℃で90分処理し、95℃で15分間クエンチした。処理された消化物を、上に記載されたようにデータ依存LC−MS/MSによって分析し、データベース検索の際に様々にNおよびQを脱アミド化させた。明確に特定された全ての脱アミド化ペプチドおよび脱アミド化されていないペプチドのクロマトグラフィー強度を、Mass Spec Studioを用いて決定し、相対的な脱アミド化度を表す比を、ペプチド当たりで決定した。
図9G(および表5)に示されるように、ペプシン消化によって、非抗原性領域に比べて5.5倍を超える高いペプチド変換が抗原性領域に生じた。濃度を増加させて体液プロテアーゼを適用することによって、抗原性領域における変換レベルは非抗原性配列のものに近付き、特に、ペプチドの各カテゴリーについて相対的なQ含有量を考慮した際に近付いた(高い酵素濃度では、抗原性ペプチドのみの中でのさらに高いQ含有量に基づき、変換比1.3となるものと予想される)。
実施例10:ウツボカズラ酵素によるグルテン解毒の効能に及ぼす非グルテンタンパク質の効果
実施例10:ウツボカズラ酵素によるグルテン解毒の効能に及ぼす非グルテンタンパク質の効果
これらの分析に基づき、1265:1の基質と体液プロテアーゼとの比を用いて、粗グリアジンスラリーの大規模な消化を達成することができ、その際に、酵素は、4:1のネペンテシンとネプロシンとの混合からなる。添加される非グルテンタンパク質がグルテン解毒の有効性に及ぼす影響を試験するために、90g/Lの血清アルブミンを10g/Lの粗グリアジンスラリーに添加することによって消化実験を実施し、そこでは、グリアジンは、総タンパク質の10重量%のみを占めていた。体液プロテアーゼを0.46μΜに、ペプシンを5μΜに維持した。過剰なアルブミンによって、データ依存プロテオミクス法の使用が妨げられたため、α−グリアジンの抗原性領域から選んだペプチドを、標的プロテオミクス法、および内部標準としてAQUAペプチド(上記を参照)を用いてモニターした。アルブミンフリーのスラリーの消化に対する方法を適用することによって、上に記載されるような抗原性領域の断片化が確認され(図12A)、抗原のプロセッシングが60分にまで及ぶことが示された。大過剰のアルブミンを含有する消化によって、α−グリアジン抗原の断片化の時間枠は2〜3倍延長されたのみであったが、γ−グリアジン抗原の断片化には大きな影響がなかった。
実施例11:腸のバリア機能不全およびグリアジン過敏症に及ぼすネペンテシンの効果
実施例11:腸のバリア機能不全およびグリアジン過敏症に及ぼすネペンテシンの効果
体液プロテアーゼ抽出物の効能および認容性を、腸バリア機能不全およびグリアジン過敏症を示すトランスジェニックNOD/HLA−DQ8マウスモデルで、DQ8依存的な方式で試験した。
NOD DQ8マウスを、グリアジンへの経口寛容を破壊するためにコレラ毒素(CT)およびペプシン−グリアジン(P−G)消化物を用いて感作し、腸の炎症の陽性対照として3週間にわたってP−Gを継続的に給餌した(図13)。陰性対照は、CTおよびP−Gで処理したが、以降の経口のグリアジン曝露をしないままとした。感作マウスを2群に分け、うち一方の群をペプシンおよび体液プロテアーゼで共消化されたグリアジンに曝露し、他方をペプシンおよび組換えネペンテシンIIで共消化されたグリアジンに曝露した。8頭のマウスを4群のそれぞれに使用した。マウスを全体の外観(挙動、開眼、毛繕い)について評価し、実験を通して体重を記録した。腸の組織を免疫組織化学によりCD3+上皮内リンパ球について試験した。動物試験は、全ての施設の倫理的なガイドラインを満たすものであった。
結果:ペプシンで消化された粗グリアジンを感作後3週間にわたって5mgの用量で給餌されたマウスは、予想通り、小腸のCD3+上皮内リンパ球(IEL)のカウントが大幅に増加した(図13)。対照として、感作マウスのコホートを、同じ期間にわたって媒体のみで処理して、グリアジンフリーの制限食を模倣したところ、IELのカウントは大幅に低下した。これら2つの対照により、植物抽出物が誘導する効果を計量する手段が提供された。富化された体液プロテアーゼ画分および組換えネペンテシンIIを供試した。どちらも良好な認容性があり、どちらもグリアジンフリーの制限食の対照とは区別できないレベルにまで大幅なIELカウントの低減を生じた。驚くべきことに、これらの結果は、非正準のアスパラギン酸プロテアーゼのみを補充することによって、おそらくはネプロシンの存在が効能を向上させているとはいえ無視できないほどの効果を誘導できることを示している。
考察
考察
嚢状葉植物のウツボカズラ属は、脊椎動物、植物由来物、および動物の排泄物を消化することが可能な分泌物を含有する嚢状葉の下位層内に、窒素に富んだ獲物を引き寄せて罠に捕らえることによって、窒素欠乏条件での成長に適応している。嚢状葉は、咀嚼の助けを借りることなく、哺乳動物の全消化管に相当するたった1段階で、消化を達成する。キチナーゼ、ホスファターゼ、リボヌクレアーゼ、およびプロテアーゼが、獲物の解体に関与するが、この栄養分の捕捉および取込みの見事な妙技を発揮させる特有の酵素構成成分については、知られていることは極めて僅かである。タンパク質構成成分のアミノ酸組成が異色であること、および利用可能な配列データベースがないことは、徹底したプロテオミクス特性解析の妨げとなっている。初期の検討の間にカバーされなかった2つのアスパラギン酸プロテアーゼ(ネペンテシンIおよびII)は、これまでに最も多くの研究の対象となっており、体液のタンパク質分解能を規定するものと推定されている。上記の体液は、アスパラギン酸プロテアーゼのみでは殆どが異色である、切断特異性のプロファイルを有していた。上記のネペンテシンは、切断特異性が非正準であり、ペプシンのように疎水性残基の後を切断するだけでなく、低いpHで異色のトリプシン性およびキモトリプシン性の特性を持つ。堅固なC末端プロリン切断活性が、さらに体液に観察され、それはアスパラギン酸プロテアーゼのみでは再現されなかった。これらの知見は、グルテン解毒で使用するための分泌物の評価に際して我々の関心を刺激し、我々は、プロリン切断を担う酵素の解明を目指した。
最新の研究では、体液のプロリン切断の特徴は、アスパラギン酸プロテアーゼの作用と区別され、併せて強力なグルテン消化のプロファイルを含むことが実証されている。ネプロシンは、植物でよく代表される未知のドメインについてコアの機能を規定する新しいクラスのプロリルエンドプロテアーゼと思われるもののうち、最初に特性が明らかにされたメンバーである。DUF239の他のメンバーと共通に有する配列の同一性は、僅かに過ぎず、このことは、このプロリルエンドプロテアーゼが、アスパラギン酸プロテアーゼのように、クラスの基準外の何らかの性質を有する可能性があることを示唆する。DUF239の他のメンバーへのさらに進んだ研究は当然である。しかしながら、ネプロシンが堅固な消化のプロファイルに重要である一方で、植物のアスパラギン酸プロテアーゼは、効率の良いプロセスに寄与する。ネペンテシンIIのみをペプシンと組み合わせた際の腸の炎症の驚くほどの低減は、これらのアスパラギン酸プロテアーゼの特質が同等でないことを浮き彫りにしている。ペプシンもまた、体液プロテアーゼの存在下でのグリアジンの消化にさらに有効であり(図9E)、このことは、宿主プロテアーゼと植物プロテアーゼとの間の相乗効果がある可能性を示唆している。
これらの知見は、酵素補充ストラテジーを通じてセリアック病を治療するための可能性を広げた。極めて低い酵素レベルによって、グリアジンスラリーの可溶化速度は大幅に亢進し、胃の条件下での消化の完全性は向上し、それゆえグルテンの脱アミド化および抗原性は低減する。我々は、非特異的なアスパラギン酸プロテアーゼをネペンテシンのクラスに補充することが、胃での消化を必要とするどの概念にも重要な要素であるものと提案する。胃の複雑な環境では、グルテンタンパク質をさらに低減することを効果的とすることができるよりも、総タンパク質を効率良く解体することが必要となり、このことは、ネペンテシンの役割であると思われる。体液プロテアーゼよりも高い用量であろうとネペンテシンの補充のみで炎症の低減に繋がるという知見は、このアスパラギン酸プロテアーゼの非正準の特質が、効能への重要な貢献要素であることを示唆している。有効な補充の閾値が高いことから、食事の持つ様々なサイズと複雑な特質を考慮すると、両方の酵素が必要となりそうに思われる。測定された天然のレベルで混ぜ合わせる場合、比が(総タンパク質と体液酵素とで)12,000:1を超える場合でさえ、高い抗原解体能が保持される。これは、50グラムの1日の総タンパク質負荷に対する5ミリグラム未満の酵素を表す。代替の配合および投薬量の僅かな増加により、セリアック病の治療で、グルテンフリー制限食の有効な代替を補助することができる可能性がある。
Claims (26)
- それを必要とする患者においてグルテン不耐症の1つまたは複数の症状を減弱させるための方法であって、グルテンを非抗原性ペプチドへと切断して、それによって前記症状を減弱させるように、ネペンテシンI、ネペンテシンII、ネプロシン、それらのバリアント、およびそれらの混合物から選択される酵素を含む有効量の医薬組成物を前記患者に投与することを含み、前記有効量は、前記患者が摂取する1日の総タンパク質と酵素との比を、約1000:1と約15000:1の間で含むものである方法。
- 前記1つまたは複数の症状が、腸の炎症、絨毛の萎縮、上皮内のリンパ球増多からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
- 前記組成物が、ネプロシンおよびネペンテシンを約1:4の比(ネプロシン:ネペンテシン)で含む、請求項1または2に記載の方法。
- 前記ネペンテシンが、ネペンテシンI、ネペンテシンII、またはそれらの混合物である、請求項3に記載の方法。
- 前記医薬組成物が、グルテン含有食物の消費の前に、間に、または直後に経口的に投与される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
- 前記患者が、セリアック病,注意欠陥多動性障害、自閉症、関節リウマチ、線維筋痛症、栄養吸収不良および疱疹状皮膚炎からなる群から選択される疾患に罹っている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
- 前記医薬組成物が徐放性製剤である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
- 前記医薬組成物が、ウツボカズラ嚢状葉体液の抽出物を含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
- ネペンテシンI、ネペンテシンII、ネプロシン、またはそれらのバリアントのうち少なくとも1つが組換えタンパク質である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
- 前記バリアントが、配列番号1、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号20、および配列番号21からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも85%の配列相同性を持つアミノ酸配列を有するタンパク質であって、前記バリアントが、プロテアーゼ活性を保持する、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
- 前記医薬組成物が、約pH5と約pH8との間である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
- 前記酵素が、ネプロシンまたはそのバリアントである、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
- 前記酵素が、ネペンテシンIまたはそのバリアントである、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
- 前記酵素が、ネペンテシンIIまたはそのバリアントである、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
- 前記酵素が、ネペンテシンIまたはそのバリアントとネプロシンまたはそのバリアントとの混合物である、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
- 前記酵素が、ネペンテシンIIまたはそのバリアントとネプロシンまたはそのバリアントとの混合物である、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
- 前記酵素が、ネペンテシンIまたはそのバリアントとネペンテシンIIまたはそのバリアントとの混合物である、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
- 前記酵素が、ネペンテシンIまたはそのバリアントとネペンテシンIIまたはそのバリアントとネプロシンまたはそのバリアントとの混合物である、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
- ネプロシンおよび医薬的に許容可能な賦形剤を含む医薬組成物であって、前記ネプロシンは、配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列相同性を有するアミノ酸配列を含むタンパク質であり、ネペンテシン酵素またはそれらのバリアントをさらに含み、前記組成物中のネプロシンとネペンテシン酵素との比は、約1:1と約1:10の間である、医薬組成物。
- 前記ネプロシンのアミノ酸配列が、シグナル配列のない配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列相同性を有するアミノ酸配列を含む、請求項19に記載の医薬組成物。
- 前記ネペンテシン酵素またはそれらのバリアントが、ネペンテシンI、ネペンテシンIIおよび/またはそれらの混合物である、請求項19または20に記載の医薬組成物。
- 徐放性製剤である、請求項19〜21のいずれか1項に記載の医薬組成物。
- 固体組成物であって、前記組成物のpHがpH5超である、請求項19〜22のいずれか1項に記載の医薬組成物。
- 少なくとも1つの追加のプロテアーゼをさらに含む、請求項19〜23のいずれか1項に記載の医薬組成物。
- 前記少なくとも1つの追加のプロテアーゼが、アスパラギン酸プロテアーゼ、セリンプロテアーゼ、スレオニンプロテアーゼ、システインプロテアーゼ、グルタミン酸プロテアーゼ、またはメタロプロテアーゼである、請求項24に記載の医薬組成物。
- 製剤が胃に存在する間、前記ネプロシンが継続的に放出されるように、前記ネプロシンが多重層に存在する、請求項19〜25のいずれか1項に記載の組成物を含む医薬製剤。
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