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JP2019218228A - セメント用添加剤、セメント混和剤、およびセメント組成物 - Google Patents

セメント用添加剤、セメント混和剤、およびセメント組成物 Download PDF

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JP2019218228A
JP2019218228A JP2018116370A JP2018116370A JP2019218228A JP 2019218228 A JP2019218228 A JP 2019218228A JP 2018116370 A JP2018116370 A JP 2018116370A JP 2018116370 A JP2018116370 A JP 2018116370A JP 2019218228 A JP2019218228 A JP 2019218228A
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猛 ▲高▼山
Takeshi Takayama
茉莉絵 新井
Marie Arai
茉莉絵 新井
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Abstract

【課題】セメント組成物の硬化物の強度を長期にわたって顕著に向上させ得るとともにセメント組成物の流動性を十分に保持させ得るセメント用添加剤を提供する。また、セメント組成物の硬化物の強度を長期にわたって顕著に向上させ得るとともにセメント組成物の流動性を十分に保持させ得るセメント混和剤を提供する。さらに、硬化物の強度が長期にわたって顕著に向上し得るとともに流動性が十分に保持し得るセメント組成物を提供する。【解決手段】本発明のセメント用添加剤は、下記のA成分およびB成分を含む。A成分:アルカノールアミン化合物。B成分:奇数個の水酸基を有する多価アルコール。【選択図】なし

Description

本発明は、セメント用添加剤、セメント混和剤、およびセメント組成物に関する。
セメント組成物は、一般に、セメントと骨材と水を含んでおり、通常、流動性を高めて減水させることが求められる。
最近、セメント組成物に対し、セメント組成物の硬化物の強度性能の向上の要求が多くなってきている。例えば、セメント組成物の用途によっては、早期の強度発現が望まれており、各種検討がなされている(例えば、特許文献1)。
特に、セメント組成物の用途によっては、セメント組成物の硬化物の長期にわたっての強度向上(例えば、4週間レベルでの強度向上など)が求められるようになっている。
そこで、セメント組成物の硬化物の長期にわたっての強度向上を実現させるためのセメント用添加剤として、重量平均分子量が150000以上のポリエチレングリコール(a1成分)と3価以上の多価アルコールにアルキレンオキシドが付加された構造を有する化合物(a2成分)から選ばれる少なくとも1種(A成分)と、オキシカルボン酸もしくはその塩、ケト酸もしくはその塩、糖、糖アルコールから選ばれる少なくとも1種(B成分)と、を含む、セメント用添加剤が報告されている(特許文献2)。
上記セメント用添加剤を用いることにより、セメント組成物の硬化物の長期にわたっての強度向上が実現できる。
特開2011−84459号公報 特開2018−035012号公報
上記セメント用添加剤による効果についてさらに検討を行った結果、B成分としてソルビトールを用いた場合(特許文献2の実施例23、62に相当)、セメント組成物の硬化物の長期にわたっての強度向上が実現できる一方で、セメント組成物の流動性の保持率が低下してしまうという問題があることが判明した。ソルビトールは、特許文献2においては、B成分として用い得る1種としての糖アルコールの一例である。そこで、ソルビトールも含めて、各種の糖アルコールや糖アルコール類似構造品を採用したセメント用添加剤を開発し、セメント組成物の硬化物の強度を長期にわたって顕著に向上させ得るとともにセメント組成物の流動性を十分に保持できるセメント用添加剤が存在するかどうかについて検討を行った。
すなわち、本発明の課題は、セメント組成物の硬化物の強度を長期にわたって顕著に向上させ得るとともにセメント組成物の流動性を十分に保持させ得るセメント用添加剤を提供することにある。また、セメント組成物の硬化物の強度を長期にわたって顕著に向上させ得るとともにセメント組成物の流動性を十分に保持させ得るセメント混和剤を提供することにある。さらに、硬化物の強度が長期にわたって顕著に向上し得るとともに流動性が十分に保持し得るセメント組成物を提供することにある。
本発明のセメント用添加剤は、下記のA成分およびB成分を含む。
A成分:アルカノールアミン化合物。
B成分:奇数個の水酸基を有する多価アルコール。
好ましい実施形態においては、上記A成分が、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、メチルエタノールアミン、メチルイソプロパノールアミン、メチルジエタノールアミン、メチルジイソプロパノールアミン、ジエタノールイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールエタノールアミン、テトラヒドロキシエチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、トリス(2−ヒドロキシブチル)アミンからなる群から選ばれる少なくとも1種である。
好ましい実施形態においては、上記A成分が、トリイソプロパノールアミン、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、ジイソプロパノールエタノールアミンからなる群から選ばれる少なくとも1種である。
好ましい実施形態においては、上記B成分が、グリセリン、キシリトール、D−アラビニトール、L−アラビニトール、リビトール、ボレミトール、ペルセイトールからなる群より選ばれる少なくとも1種である。
好ましい実施形態においては、上記B成分が5個以上の奇数個の水酸基を有する多価アルコールである。
本発明のセメント混和剤は、下記のA成分およびB成分と、下記のC成分を含む。
A成分:アルカノールアミン化合物。
B成分:奇数個の水酸基を有する多価アルコール。
C成分:下記のC1成分、C2成分、C3成分、C4成分からなる群より選ばれる少なくとも1種。
C1成分:一般式(1)で表される不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体由来の構造単位(I)と不飽和カルボン酸系単量体由来の構造単位(III)とを有するポリカルボン酸系重合体である、ポリカルボン酸系分散剤。
Figure 2019218228
(一般式(1)中、RおよびRは、同一または異なって、水素原子またはメチル基を表し、Rは、水素原子または炭素原子数1〜30の炭化水素基を表し、AOは、炭素原子数2〜18のオキシアルキレン基を表し、mは、AOで表されるオキシアルキレン基の平均付加モル数を表し、mは2〜300の数であり、xは0〜2の整数である。)
C2成分:一般式(2)で表される不飽和ポリアルキレングリコールエステル系単量体由来の構造単位(II)と不飽和カルボン酸系単量体由来の構造単位(III)とを有するポリカルボン酸系重合体である、ポリカルボン酸系分散剤。
Figure 2019218228
(一般式(2)中、RおよびRは、同一または異なって、水素原子またはメチル基を表し、Rは、炭素原子数1〜30の炭化水素基を表し、AOは、炭素原子数2〜18のオキシアルキレン基を表し、nは、AOで表されるオキシアルキレン基の平均付加モル数を表し、nは2〜300である。)
C3成分:スルホン酸系分散剤。
C4成分:リン酸系分散剤。
本発明のセメント組成物は、下記のA成分およびB成分と、セメントを含む。
A成分:アルカノールアミン化合物。
B成分:奇数個の水酸基を有する多価アルコール。
本発明によれば、セメント組成物の硬化物の強度を長期にわたって顕著に向上させ得るとともにセメント組成物の流動性を十分に保持させ得るセメント用添加剤を提供することができる。また、セメント組成物の硬化物の強度を長期にわたって顕著に向上させ得るとともにセメント組成物の流動性を十分に保持させ得るセメント混和剤を提供することができる。さらに、硬化物の強度が長期にわたって顕著に向上し得るとともに流動性が十分に保持し得るセメント組成物を提供することができる。
本明細書中で「(メタ)アクリル」との表現がある場合は、「アクリルおよび/またはメタクリル」を意味し、「(メタ)アクリレート」との表現がある場合は、「アクリレートおよび/またはメタクリレート」を意味し、「(メタ)アリル」との表現がある場合は、「アリルおよび/またはメタリル」を意味し、「(メタ)アクロレイン」との表現がある場合は、「アクロレインおよび/またはメタクロレイン」を意味する。また、本明細書中で「酸(塩)」との表現がある場合は、「酸および/またはその塩」を意味する。塩としては、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩が挙げられ、具体的には、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩などが挙げられる。
≪1.セメント用添加剤≫
本発明のセメント用添加剤は、下記のA成分およびB成分を含む。
A成分:アルカノールアミン化合物。
B成分:奇数個の水酸基を有する多価アルコール。
A成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。B成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
本発明のセメント用添加剤は、A成分とB成分とを含むことにより、セメント組成物の硬化物の強度を長期にわたって顕著に向上させ得るとともにセメント組成物の流動性を十分に保持させ得るという効果を発現する。
本発明のセメント用添加剤によって発現される、セメント組成物の硬化物の強度を長期にわたって向上させ得る効果(長期強度向上効果)は、好ましくは、A成分のみに起因する長期強度向上効果とB成分のみに起因する長期強度向上効果との和から予想される効果に比べて、顕著に高い相乗効果を示す。
本発明のセメント用添加剤によって発現される、セメント組成物の流動性を十分に保持させ得る効果(保持効果)は、30分後の保持率と60分後の保持率として、好ましくは下記の通りである。
30分後の保持率は、好ましくは68%以上であり、より好ましくは70%以上であり、さらに好ましくは75%以上であり、特に好ましくは80%以上であり、最も好ましくは85%以上である。
60分後の保持率は、好ましくは60%以上であり、より好ましくは62%以上であり、さらに好ましくは65%以上であり、特に好ましくは67%以上であり、最も好ましくは70%以上である。
本発明のセメント用添加剤中の、A成分とB成分との合計量の含有割合は、好ましくは30質量%〜100質量%であり、より好ましくは50質量%〜100質量%であり、さらに好ましくは70質量%〜100質量%であり、特に好ましくは80質量%〜100質量%であり、最も好ましくは85質量%〜100質量%である。本発明のセメント用添加剤中のA成分とB成分との合計量の含有割合を上記範囲内に調整することによって、本発明のセメント用添加剤は、セメント組成物の硬化物の強度を長期にわたってより顕著に向上させ得るとともにセメント組成物の流動性をより十分に保持させ得る。
本発明のセメント用添加剤の一つの実施形態は、本発明のセメント用添加剤がA成分とB成分とからなる。この場合、セメント用添加剤中の、A成分とB成分との合計量の含有割合は、100質量%となる。
本発明のセメント用添加剤の別の一つの実施形態は、本発明のセメント用添加剤がA成分とB成分と他の成分とからなる。他の成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。この場合、本発明のセメント用添加剤中の、A成分とB成分との合計量の含有割合は、好ましくは30質量%〜99.9質量%であり、より好ましくは50質量%〜97質量%であり、さらに好ましくは70質量%〜95質量%であり、さらに好ましくは80質量%〜90質量%であり、特に好ましくは85質量%〜90質量%である。
本発明のセメント用添加剤中の、A成分に対するB成分の質量の割合((B成分の質量/A成分の質量)×100%)は、好ましくは50%〜1000%であり、より好ましくは70%〜700%であり、さらに好ましくは100%〜500%である。本発明のセメント用添加剤中のA成分に対するB成分の質量の割合を上記範囲内に調整することによって、本発明のセメント用添加剤は、セメント組成物の硬化物の強度を長期にわたってより顕著に向上させ得るとともにセメント組成物の流動性をより十分に保持させ得る。
本発明のセメント用添加剤中のA成分の含有割合は、好ましくは0.1質量%〜70質量%であり、より好ましくは3質量%〜50質量%であり、さらに好ましくは5質量%〜30質量%であり、特に好ましくは10質量%〜20質量%であり、最も好ましくは10質量%〜15質量%である。本発明のセメント用添加剤中のA成分の含有割合を上記範囲内に調整することによって、本発明のセメント用添加剤は、セメント組成物の硬化物の強度を長期にわたってより顕著に向上させ得るとともにセメント組成物の流動性をより十分に保持させ得る。
本発明のセメント用添加剤中のA成分の含有割合は、セメントに対しては、好ましくは0.005質量%〜0.05質量%であり、より好ましくは0.01質量%〜0.03質量%である。本発明のセメント用添加剤中のA成分の含有割合をセメントに対して上記範囲内に調整することによって、本発明のセメント用添加剤は、セメント組成物の硬化物の強度を長期にわたってより顕著に向上させ得るとともにセメント組成物の流動性をより十分に保持させ得る。
本発明のセメント用添加剤中のB成分の含有割合は、好ましくは30質量%〜95質量%であり、より好ましくは40質量%〜90質量%であり、さらに好ましくは50質量%〜90質量%である。本発明のセメント用添加剤中のB成分の含有割合を上記範囲内に調整することによって、本発明のセメント用添加剤は、セメント組成物の硬化物の強度を長期にわたってより顕著に向上させ得るとともにセメント組成物の流動性をより十分に保持させ得る。
本発明のセメント用添加剤中のB成分の含有割合は、セメントに対しては、好ましくは0.005質量%〜0.5質量%であり、より好ましくは0.007質量%〜0.3質量%であり、さらに好ましくは0.01質量%〜0.2質量%である。本発明のセメント用添加剤中のB成分の含有割合をセメントに対して上記範囲内に調整することによって、本発明のセメント用添加剤は、セメント組成物の硬化物の強度を長期にわたってより顕著に向上させ得るとともにセメント組成物の流動性をより十分に保持させ得る。
<1−1.A成分>
A成分はアルカノールアミン化合物である。アルカノールアミン化合物は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
アルカノールアミン化合物としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切なアルカノールアミン化合物を採用し得る。このようなアルカノールアミン化合物としては、例えば、低分子型のアルカノールアミン化合物、高分子型のアルカノールアミン化合物などが挙げられる。
低分子型のアルカノールアミン化合物としては、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、メチルエタノールアミン、メチルイソプロパノールアミン、メチルジエタノールアミン、メチルジイソプロパノールアミン、ジエタノールイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールエタノールアミン、テトラヒドロキシエチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、トリス(2−ヒドロキシブチル)アミンなどが挙げられる。これらの中でも、低分子型のアルカノールアミン化合物としては、好ましくは、トリイソプロパノールアミン、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、ジイソプロパノールエタノールアミンが挙げられる。他の低分子型のアルカノールアミン化合物としては、例えば、トリイソプロパノールアミンの骨格を有するモノマーなども挙げられる。
高分子型のアルカノールアミン化合物としては、例えば、アルカノールアミンの一部がポリマーと結合している構造のアルカノールアミンが挙げられる。このような高分子型のアルカノールアミン化合物としては、例えば、トリイソプロパノールアミンの骨格を有するポリマーが挙げられる。
<1−2.B成分>
B成分は、奇数個の水酸基を有する多価アルコールである。B成分である多価アルコールが有する水酸基が奇数個であることによって、糖アルコールの水酸基のうちカルシウムイオンとのキレートに使用されない水酸基が存在することで、糖アルコールにキレートされたカルシウムイオンの水溶解性を向上させ、水和の進行を抑制することで保持性が維持されたと推察され、本発明のセメント用添加剤は、セメント組成物の硬化物の強度を長期にわたってより顕著に向上させ得るとともにセメント組成物の流動性をより十分に保持させ得る。
B成分としては、具体的には、好ましくは、グリセリン、キシリトール、D−アラビニトール、L−アラビニトール、リビトール、ボレミトール、ペルセイトールからなる群より選ばれる少なくとも1種であり、より好ましくは、グリセリン、キシリトールからなる群より選ばれる少なくとも1種である。B成分として、グリセリン、キシリトールからなる群より選ばれる少なくとも1種を採用することにより、本発明のセメント用添加剤は、セメント組成物の硬化物の強度を長期にわたってより顕著に向上させ得るとともにセメント組成物の流動性をより十分に保持させ得る。
B成分は、特に、5個以上の奇数個の水酸基を有する多価アルコールであることが好ましい。B成分が5個以上の奇数個の水酸基を有する多価アルコールであれば、本発明のセメント用添加剤は、セメント組成物の硬化物の強度を長期にわたってより顕著に向上させ得るとともにセメント組成物の流動性をより十分に保持させ得る。このような5個以上の奇数個の水酸基を有する多価アルコールとしては、具体的には、例えば、キシリトール、D−アラビニトール、L−アラビニトール、リビトール、ボレミトール、ペルセイトールからなる群より選ばれる少なくとも1種である。
<1−3.アルキレンオキシド付加構造含有化合物>
本発明のセメント用添加剤は、A成分、B成分以外に、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な、アルコール1モルにアルキレンオキシドが5モル以上付加された構造を有する化合物(以下、アルキレンオキシド付加構造含有化合物と称する)を含みうる。このようなアルキレンオキシド付加構造含有化合物は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
本発明のセメント用添加剤がアルキレンオキシド付加構造含有化合物を含む場合、本発明のセメント用添加剤中のアルキレンオキシド付加構造含有化合物の含有割合は、好ましくは5質量%〜70質量%であり、より好ましくは10質量%〜60質量%であり、さらに好ましくは10質量%〜50質量%である。本発明のセメント用添加剤中のアルキレンオキシド付加構造含有化合物の含有割合を上記範囲内に調整することによって、本発明のセメント用添加剤は、セメント組成物の硬化物の強度を長期にわたってより顕著に向上させ得るとともにセメント組成物の流動性をより十分に保持させ得る。
本発明のセメント用添加剤がアルキレンオキシド付加構造含有化合物を含む場合、セメント用添加剤中のアルキレンオキシド付加構造含有化合物の含有割合は、セメントに対しては、好ましくは0.003質量%〜0.07質量%であり、より好ましくは0.005質量%〜0.05質量%であり、さらに好ましくは0.01質量%〜0.03質量%である。本発明のセメント用添加剤中のアルキレンオキシド付加構造含有化合物の含有割合をセメントに対して上記範囲内に調整することによって、本発明のセメント用添加剤は、セメント組成物の硬化物の強度を長期にわたってより顕著に向上させ得るとともにセメント組成物の流動性をより十分に保持させ得る。
アルキレンオキシドとしては、本発明の効果をより発現し得る点で、好ましくは炭素数2〜10のアルキレンオキシドであり、さらに好ましくは炭素数2〜8のアルキレンオキシドであり、より好ましくは炭素数2〜6のアルキレンオキシドであり、特に好ましくは炭素数2〜4のアルキレンオキシドであり、最も好ましくは炭素数2〜3のアルキレンオキシド(すなわち、エチレンオキシド、プロピレンオキシド)である。また、アルキレンオキシドは、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
アルコール1モルに対するアルキレンオキシドの付加モル数は、下限値として、好ましくは10モル以上であり、より好ましくは20モル以上であり、さらに好ましくは30モル以上であり、さらに好ましくは40モル以上であり、さらに好ましくは50モル以上であり、さらに好ましくは100モル以上であり、特に好ましくは500モル以上であり、上限値として、好ましくは20000モル以下であり、より好ましくは10000モル以下であり、さらに好ましくは7000モル以下であり、さらに好ましくは5000モル以下である。アルコール1モルに対するアルキレンオキシドの付加モル数を上記範囲内に調整することによって、本発明のセメント用添加剤は、セメント組成物の硬化物の強度を長期にわたってより顕著に向上させ得るとともにセメント組成物の流動性をより十分に保持させ得る。
アルキレンオキシド付加構造含有化合物の重量平均分子量は、下限値として、好ましくは4000以上であり、より好ましくは5000以上であり、さらに好ましくは10000以上であり、特に好ましくは20000以上であり、最も好ましくは100000以上であり、上限値として、好ましくは1000000以下であり、より好ましくは700000以下であり、さらに好ましくは300000以下である。アルキレンオキシド付加構造含有化合物の重量平均分子量を上記範囲内に調整することによって、本発明のセメント用添加剤は、セメント組成物の硬化物の強度を長期にわたってより顕著に向上させ得るとともにセメント組成物の流動性をより十分に保持させ得る。重量平均分子量の測定方法は後述する。
アルコールとしては、1価アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールが挙げられ、多価アルコールとしては、2個以上のヒドロキシル基を有する化合物であればよく、低分子化合物やポリマーでもよく、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な多価アルコールを採用し得る。このような多価アルコールとしては、好ましくは2価〜500価のアルコールであり、より好ましくは2価〜100価のアルコールであり、さらに好ましくは3価〜50価のアルコールである。このような多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ペンタンジオール、ブタンジオール、グリセリン、ソルビトールなどが挙げられる。
アルコールとしては、水酸基を有するモノマーを重合して得られるものも挙げられる。水酸基を有するモノマーとしては、例えば、ビニルアルコール、アリルアルコール、メタアリルアルコール、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシプロピルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、ブテニルアルコール、3−メチル−3−ブテニルアルコール、3−メチル−2−ブテニルアルコール、2−メチル−3−ブテニルアルコールなどが挙げられる。これらは、単独で重合させてもよく、他の重合可能なモノマーと共重合させてもよい。
アルキレンオキシド付加構造含有化合物は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な官能基を有していてもよい。しかしながら、アルキレンオキシド付加構造含有化合物は、本発明の効果を十分に発現し得る点で、カルボキシル基は有さないことが好ましい。
アルキレンオキシド付加構造含有化合物を合成する方法としては、公知の方法など、本発明の効果を損なわない範囲で任意の適切な方法を採用し得る。このような方法としては、例えば、水酸基を有するモノマーを重合した後、アルキレンオキシドを付加する方法、水酸基を有するモノマーに先にアルキレンオキシドを付加してから重合する方法、などが挙げられる。
アルキレンオキシド付加構造含有化合物としては、具体的には、好ましくは、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、メタクリル酸のアルキレンオキシド付加体由来の構造単位を有する重合体、ソルビトールのアルキレンオキシド付加体、ネオペンチルグリコールのアルキレンオキシド付加体、ペンタンジオールのアルキレンオキシド付加体、ブタンジオールのアルキレンオキシド付加体、グリセリンのアルキレンオキシド付加体、ビニルアルコールのアルキレンオキシド付加体由来の構造単位を有する重合体、ヒドロキシエチルビニルエーテルのアルキレンオキシド付加体由来の構造単位を有する重合体、ヒドロキシプロピルビニルエーテルのアルキレンオキシド付加体由来の構造単位を有する重合体、ヒドロキシブチルビニルエーテルのアルキレンオキシド付加体由来の構造単位を有する重合体、アリルアルコールのアルキレンオキシド付加体由来の構造単位を有する重合体、メタアリルアルコールのアルキレンオキシド付加体由来の構造単位を有する重合体、ブテニルアルコールのアルキレンオキシド付加体由来の構造単位を有する重合体、3−メチル−3−ブテニルアルコールのアルキレンオキシド付加体由来の構造単位を有する重合体、3−メチル−2−ブテニルアルコールのアルキレンオキシド付加体由来の構造単位を有する重合体、2−メチル−3−ブテニルアルコールのアルキレンオキシド付加体由来の構造単位を有する重合体、ポリエチレンイミンのアミノ基に結合している活性水素へのアルキレンオキシド付加体からなる群より選ばれる少なくとも1種である。ここで、「ポリエチレンイミンのアミノ基に結合している活性水素へのアルキレンオキシド付加体」とは、ポリエチレンイミンが有するアミノ基に結合している活性水素にアルキレンオキシド(エチレンオキシドなど)が任意の適切な付加モル数で付加した付加体をいう。
アルキレンオキシド付加構造含有化合物が3−メチル−3−ブテニルアルコールのアルキレンオキシド付加体由来の構造単位を有する重合体の場合、本発明の効果をより発現し得る点で、該重合体がカルボキシル基またはその塩(アルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩など)を含まないことが好ましい。
<1−4.その他の成分>
本発明のセメント用添加剤が含み得るその他の成分(A成分、B成分、および必要に応じて含みうるアルキレンオキシド付加構造含有化合物以外の成分)としては、例えば、オキシカルボン酸もしくはその塩、ケト酸もしくはその塩、糖、B成分に該当しない糖アルコールなどが挙げられる。その他の成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
本発明のセメント用添加剤がその他の成分を含む場合、本発明のセメント用添加剤中の、その他の成分の含有割合は、好ましくは0.1質量%〜30質量%であり、より好ましくは0.1質量%〜20質量%であり、さらに好ましくは0.1質量%〜15質量%である。本発明のセメント用添加剤中のその他の成分の含有割合を上記範囲内に調整することによって、本発明のセメント用添加剤は、セメント組成物の硬化物の強度を長期にわたってより顕著に向上させ得るとともにセメント組成物の流動性をより十分に保持させ得る。
オキシカルボン酸としては、任意の適切なオキシカルボン酸を採用し得る。このようなオキシカルボン酸としては、例えば、グルコン酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、グルコヘプトン酸、アラボン酸などが挙げられ、本発明の効果がより発現し得る点で、好ましくは、グルコン酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸から選ばれる少なくとも1種である。
オキシカルボン酸の塩として採用し得る塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩、トリエタノールアミン塩等の、無機塩または有機塩が挙げられる。
ケト酸としては、任意の適切なケト酸を採用し得る。このようなケト酸としては、例えば、ピルビン酸、オキソグルタル酸などが挙げられ、本発明の効果がより発現し得る点で、好ましくは、ピルビン酸である。
ケト酸の塩として採用し得る塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩、トリエタノールアミン塩等の、無機塩または有機塩が挙げられる。
糖としては、任意の適切な糖を採用し得る。このような糖としては、例えば、グルコース、フラクトース、ガラクトース、マンノース、キシロース、アラビノース、リボース、異性化糖などの単糖類;マルトース、シュークロース、ラクトースなどの二糖類;ラフィノースなどの三糖類;デキストリンなどのオリゴ糖;などが挙げられ、本発明の効果がより発現し得る点で、好ましくは、グルコースである。
B成分に該当しない糖アルコールとしては、B成分に該当しない任意の適切な糖アルコールを採用し得る。このようなB成分に該当しない糖アルコールとしては、例えば、偶数個の水酸基を有する多価アルコールが挙げられ、本発明の効果がより発現し得る点で、好ましくは、エリスリトール、ソルビトール、マンニトール、ガラクチトール、D−トレイトール、L−トレイトール、D−イジトール、D−グリシドール、D−エリトローD−ガラクト-オクチトールである。
≪2.セメント混和剤≫
本発明のセメント混和剤は、下記のA成分およびB成分と、下記のC成分を含む。
A成分:アルカノールアミン化合物。
B成分:奇数個の水酸基を有する多価アルコール。
C成分:下記のC1成分、C2成分、C3成分、C4成分からなる群より選ばれる少なくとも1種。
C1成分:一般式(1)で表される不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体由来の構造単位(I)と不飽和カルボン酸系単量体由来の構造単位(III)とを有するポリカルボン酸系重合体である、ポリカルボン酸系分散剤。
Figure 2019218228
(一般式(1)中、RおよびRは、同一または異なって、水素原子またはメチル基を表し、Rは、水素原子または炭素原子数1〜30の炭化水素基を表し、AOは、炭素原子数2〜18のオキシアルキレン基を表し、mは、AOで表されるオキシアルキレン基の平均付加モル数を表し、mは2〜300の数であり、xは0〜2の整数である。)
C2成分:一般式(2)で表される不飽和ポリアルキレングリコールエステル系単量体由来の構造単位(II)と不飽和カルボン酸系単量体由来の構造単位(III)とを有するポリカルボン酸系重合体である、ポリカルボン酸系分散剤。
Figure 2019218228
(一般式(2)中、RおよびRは、同一または異なって、水素原子またはメチル基を表し、Rは、炭素原子数1〜30の炭化水素基を表し、AOは、炭素原子数2〜18のオキシアルキレン基を表し、nは、AOで表されるオキシアルキレン基の平均付加モル数を表し、nは2〜300である。)
C3成分:スルホン酸系分散剤。
C4成分:リン酸系分散剤。
A成分については、<1−1.A成分>の項における説明を援用し得る。
B成分については、<1−2.B成分>の項における説明を援用し得る。
本発明のセメント混和剤は、A成分とB成分とを含むので、セメント組成物の硬化物の強度を長期にわたって顕著に向上させ得るとともにセメント組成物の流動性を十分に保持させ得るという効果を発現する。
本発明のセメント混和剤によって発現される、セメント組成物の硬化物の強度を長期にわたって向上させ得る効果(長期強度向上効果)は、好ましくは、A成分のみに起因する長期強度向上効果とB成分のみに起因する長期強度向上効果との和から予想される効果に比べて、顕著に高い相乗効果を示す。
本発明のセメント混和剤によって発現される、セメント組成物の流動性を十分に保持させ得る効果(保持効果)は、30分後の保持率と60分後の保持率として、好ましくは下記の通りである。
30分後の保持率は、好ましくは68%以上であり、より好ましくは70%以上であり、さらに好ましくは75%以上であり、特に好ましくは80%以上であり、最も好ましくは85%以上である。
60分後の保持率は、好ましくは60%以上であり、より好ましくは62%以上であり、さらに好ましくは65%以上であり、特に好ましくは67%以上であり、最も好ましくは70%以上である。
本発明のセメント混和剤中の、A成分とB成分とC成分との合計量の含有割合は、好ましくは30質量%〜100質量%であり、より好ましくは50質量%〜100質量%であり、さらに好ましくは70質量%〜100質量%であり、特に好ましくは80質量%〜100質量%であり、最も好ましくは85質量%〜100質量%である。本発明のセメント混和剤中の、A成分とB成分とC成分との合計量の含有割合を上記範囲内に調整することによって、本発明のセメント混和剤は、セメント組成物の硬化物の強度を長期にわたってより顕著に向上させ得るとともにセメント組成物の流動性をより十分に保持させ得る。
本発明のセメント混和剤の一つの実施形態は、本発明のセメント混和剤がA成分とB成分とC成分からなる。この場合、セメント混和剤中の、A成分とB成分とC成分との合計量の含有割合は、100質量%となる。
本発明のセメント混和剤の別の一つの実施形態は、本発明のセメント混和剤がA成分とB成分とC成分と他の成分とからなる。他の成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。この場合、本発明のセメント混和剤中の、A成分とB成分とC成分の合計量の含有割合は、好ましくは30質量%〜99.9質量%であり、より好ましくは50質量%〜97質量%であり、さらに好ましくは70質量%〜95質量%であり、さらに好ましくは80質量%〜90質量%であり、特に好ましくは85質量%〜90質量%である。
本発明のセメント混和剤中の、A成分に対するB成分の質量の割合((B成分の質量/A成分の質量)×100%)は、好ましくは50%〜1000%であり、より好ましくは70%〜700%であり、さらに好ましくは100%〜500%である。本発明のセメント混和剤中のA成分に対するB成分の質量の割合を上記範囲内に調整することによって、本発明のセメント混和剤は、セメント組成物の硬化物の強度を長期にわたってより顕著に向上させ得るとともにセメント組成物の流動性をより十分に保持させ得る。
本発明のセメント混和剤中のA成分の含有割合は、好ましくは5質量%〜70質量%であり、より好ましくは10質量%〜60質量%であり、さらに好ましくは10質量%〜50質量%である。本発明のセメント混和剤中のA成分の含有割合を上記範囲内に調整することによって、本発明のセメント混和剤は、セメント組成物の硬化物の強度を長期にわたってより顕著に向上させ得るとともにセメント組成物の流動性をより十分に保持させ得る。
本発明のセメント混和剤中のA成分の含有割合は、セメントに対しては、好ましくは0.005質量%〜0.05質量%であり、より好ましくは0.01質量%〜0.03質量%である。本発明のセメント混和剤中のA成分の含有割合をセメントに対して上記範囲内に調整することによって、本発明のセメント混和剤は、セメント組成物の硬化物の強度を長期にわたってより顕著に向上させ得るとともにセメント組成物の流動性をより十分に保持させ得る。
本発明のセメント混和剤中のB成分の含有割合は、好ましくは3質量%〜80質量%であり、より好ましくは5質量%〜60質量%であり、さらに好ましくは10質量%〜50質量%であり、特に好ましくは15質量%〜45質量%であり、最も好ましく20質量%〜40質量%である。本発明のセメント混和剤中のB成分の含有割合を上記範囲内に調整することによって、本発明のセメント混和剤は、セメント組成物の硬化物の強度を長期にわたってより顕著に向上させ得るとともにセメント組成物の流動性をより十分に保持させ得る。
本発明のセメント混和剤中のB成分の含有割合は、セメントに対しては、好ましくは0.005質量%〜0.5質量%であり、より好ましくは0.007質量%〜0.3質量%であり、さらに好ましくは0.01質量%〜0.2質量%である。本発明のセメント混和剤中のB成分の含有割合をセメントに対して上記範囲内に調整することによって、本発明のセメント混和剤は、セメント組成物の硬化物の強度を長期にわたってより顕著に向上させ得るとともにセメント組成物の流動性をより十分に保持させ得る。
本発明のセメント混和剤中のC成分の含有割合は、好ましくは25質量%〜99質量%であり、より好ましくは30質量%〜97質量%であり、さらに好ましくは35質量%〜95質量%であり、特に好ましくは40質量%〜93質量%であり、最も好ましくは45質量%〜90質量%である。本発明のセメント混和剤中のC成分の含有割合を上記範囲内に調整することによって、本発明のセメント混和剤は、セメント組成物の硬化物の強度を長期にわたってより顕著に向上させ得るとともにセメント組成物の流動性をより十分に保持させ得る。
本発明のセメント混和剤中のC成分の含有割合は、セメントに対しては、好ましくは0.01質量%〜10質量%であり、より好ましくは0.02質量%〜5質量%であり、さらに好ましくは0.05質量%〜3質量%であり、特に好ましくは0.07質量%〜1質量%であり、最も好ましくは0.1質量%〜0.7質量%である。本発明のセメント混和剤中のC成分の含有割合をセメントに対して上記範囲内に調整することによって、本発明のセメント混和剤は、セメント組成物の硬化物の強度を長期にわたってより顕著に向上させ得るとともにセメント組成物の流動性をより十分に保持させ得る。
<2−1.C1成分>
C1成分は、一般式(1)で表される不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体由来の構造単位(I)と不飽和カルボン酸系単量体由来の構造単位(III)とを有するポリカルボン酸系重合体である、ポリカルボン酸系分散剤である。C1成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
Figure 2019218228
一般式(1)で表される不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体由来の構造単位(I)は、下記式で表される。
Figure 2019218228
一般式(1)および構造単位(I)中、RおよびRは、同一または異なって、水素原子またはメチル基を表す。
一般式(1)および構造単位(I)中、Rは、水素原子または炭素原子数1〜30の炭化水素基を表す。炭素原子数1〜30の炭化水素基としては、例えば、炭素原子数1〜30のアルキル基(脂肪族アルキル基や脂環式アルキル基)、炭素原子数1〜30のアルケニル基、炭素原子数1〜30のアルキニル基、炭素原子数6〜30の芳香族基などが挙げられる。本発明の効果を一層発現させ得る点で、Rは、好ましくは、水素原子または炭素原子数1〜20の炭化水素基であり、より好ましくは、水素原子または炭素原子数1〜12の炭化水素基であり、さらに好ましくは、水素原子または炭素原子数1〜6の炭化水素基であり、特に好ましくは、水素原子または炭素原子数1〜3のアルキル基である。
一般式(1)および構造単位(I)中、AOは、炭素原子数2〜18のオキシアルキレン基であり、好ましくは炭素原子数2〜8のオキシアルキレン基であり、より好ましくは炭素原子数2〜4のオキシアルキレン基である。また、AOが、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基、オキシスチレン基等の中から選ばれる任意の2種類以上の場合は、AOの付加形態は、ランダム付加、ブロック付加、交互付加等のいずれの形態であってもよい。なお、親水性と疎水性とのバランス確保のため、オキシアルキレン基中にオキシエチレン基が必須成分として含まれることが好ましく、オキシアルキレン基全体の50モル%以上がオキシエチレン基であることがより好ましく、オキシアルキレン基全体の90モル%以上がオキシエチレン基であることがさらに好ましく、オキシアルキレン基全体の100モル%以上がオキシエチレン基であることが特に好ましい。
一般式(1)および構造単位(I)中、mは、AOで表されるオキシアルキレン基の平均付加モル数(「鎖長」と称することがある)を表し、2〜300の数であり、好ましくは2〜200の数であり、より好ましくは5〜200の数であり、さらに好ましくは8〜100の数であり、特に好ましくは20〜70の数であり、最も好ましくは40〜60の数である。mが上記範囲内にあることにより、本発明のセメント混和剤は、セメント組成物の硬化物の強度を長期にわたってより顕著に向上させ得るとともにセメント組成物の流動性をより十分に保持させ得る。
一般式(1)および構造単位(I)中、xは0〜2の整数である。
一般式(1)で表される不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体としては、例えば、ビニルアルコール、(メタ)アリルアルコール、3−メチル−3−ブテン−1−オール、3−メチル−2−ブテン−1−オール、2−メチル−3−ブテン−2−オール、2−メチル−2−ブテン−1−オール、2−メチル−3−ブテン−1−オール、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシプロピルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテルのいずれかにアルキレンオキシドを平均1〜500モル付加した化合物;であり、好ましくは、3−メチル−3−ブテン−1−オールにアルキレンオキシドを平均1〜500モル付加した化合物、メタリルアルコールにアルキレンオキシドを平均1〜500モル付加した化合物である。
一般式(1)で表される不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
不飽和カルボン酸系単量体は下記一般式(3)で表され、不飽和カルボン酸系単量体由来の構造単位(III)は下記一般式(III)で表される。
Figure 2019218228
Figure 2019218228
一般式(3)および一般式(III)中、R〜Rは、同一または異なって、水素原子、メチル基、または−(CHCOOM基を表す。−(CHCOOM基は−COOX基または他の−(CHCOOM基と無水物を形成していても良い。zは0〜2の整数である。
Mは、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム基、有機アンモニウム基、または有機アミン基を表す。
Xは、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム基、有機アンモニウム基、または有機アミン基を表す。
一般式(3)で表される不飽和カルボン酸系単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸などのモノカルボン酸系単量体またはこれらの塩;マレイン酸、イタコン酸、フマル酸などのジカルボン酸系単量体またはこれらの塩;マレイン酸、イタコン酸、フマル酸などのジカルボン酸系単量体の無水物またはこれらの塩;などが挙げられる。ここでいう塩としては、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、有機アンモニウム塩、有機アミン塩などが挙げられる。
アルカリ金属塩としては、例えば、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩などが挙げられる。アルカリ土類金属塩としては、例えば、カルシウム塩、マグネシウム塩などが挙げられる。
有機アンモニウム塩としては、例えば、メチルアンモニウム塩、エチルアンモニウム塩、ジメチルアンモニウム塩、ジエチルアンモニウム塩、トリメチルアンモニウム塩、トリエチルアンモニウム塩などが挙げられる。
有機アミン塩としては、例えば、エタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、モノイソプロパノールアミン塩、ジイソプロパノールアミン塩、トリイソプロパノールアミン塩、ヒドロキシエチルジイソプロパノールアミン塩、ジヒドロキシエチルイソプロパノールアミン塩、テトラキス(2-ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、ペンタキス(2-ヒドロキシプロピル)ジエチレントリアミン等のアルカノールアミン塩などが挙げられる。これらの中でも、好ましくは、ジイソプロパノールアミン塩、トリイソプロパノールアミン塩、ヒドロキシエチルジイソプロパノールアミン塩、テトラキス(2-ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン塩、ペンタキス(2-ヒドロキシプロピル)ジエチレントリアミン塩であり、より好ましくは、トリイソプロパノールアミン塩、ヒドロキシエチルジイソプロパノールアミン塩である。
一般式(3)で表される不飽和カルボン酸系単量体としては、本発明の効果を一層発現させ得る点で、好ましくは、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸であり、より好ましくは、アクリル酸、メタクリル酸である。
一般式(3)で表される不飽和カルボン酸系単量体は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
C1成分であるポリカルボン酸系重合体における、該ポリカルボン酸系重合体を構成する全構造単位に対する構造単位(I)の含有割合は、本発明の効果をより発現させ得る点で、好ましくは5モル%〜80モル%であり、より好ましくは5モル%〜70モル%であり、さらに好ましくは10モル%〜60モル%であり、特に好ましくは15モル%〜50モル%であり、最も好ましくは20モル%〜40モル%である。
C1成分であるポリカルボン酸系重合体における、該ポリカルボン酸系重合体を構成する全構造単位に対する構造単位(III)の含有割合は、本発明の効果をより発現させ得る点で、好ましくは20モル%〜95モル%であり、より好ましくは30モル%〜95モル%であり、さらに好ましくは40モル%〜90モル%であり、特に好ましくは50モル%〜85モル%であり、最も好ましくは60モル%〜80モル%である。
C1成分であるポリカルボン酸系重合体における、該ポリカルボン酸系重合体を構成する全構造単位に対する構造単位(I)と構造単位(III)の合計の含有割合は、本発明の効果をより発現させ得る点で、好ましくは50モル%〜100モル%であり、より好ましくは60モル%〜100モル%であり、さらに好ましくは70モル%〜100モル%であり、特に好ましくは80モル%〜100モル%であり、最も好ましくは90モル%〜100モル%である。
C1成分であるポリカルボン酸系重合体中には、構造単位(I)と構造単位(III)以外に、他の単量体由来の構造単位(IV)を含んでいてもよい。
他の単量体は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
他の単量体としては、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類;メチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等の不飽和モノカルボン酸類と炭素原子数1〜30のアルコールとのエステル類;ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシ(ポリ)エチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等の各種(アルコキシ)(ポリ)アルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート類;(無水)マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸類と炭素原子数1〜30のアルコールとのハーフエステル類;(無水)マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸類と炭素原子数1〜30のアルコールとのジエステル類;上記不飽和ジカルボン酸類と炭素原子数1〜30のアミンとのハーフアミド類;上記不飽和ジカルボン酸類と炭素原子数1〜30のアミンとのジアミド類;上記アルコールやアミンに炭素原子数2〜18のアルキレンオキシドを平均1〜500モル付加させたアルキル(ポリ)アルキレングリコールと上記不飽和ジカルボン酸類とのハーフエステル類;上記アルコールやアミンに炭素原子数2〜18のアルキレンオキシドを平均1〜500モル付加させたアルキル(ポリ)アルキレングリコールと上記不飽和ジカルボン酸類とのジエステル類;上記不飽和ジカルボン酸類と炭素原子数2〜18のグリコールまたはこれらのグリコールの平均付加モル数2〜500のポリアルキレングリコールとのハーフエステル類;上記不飽和ジカルボン酸類と炭素原子数2〜18のグリコールまたはこれらのグリコールの平均付加モル数2〜500のポリアルキレングリコールとのジエステル類;マレアミド酸と炭素原子数2〜18のグリコールまたはこれらのグリコールの平均付加モル数2〜500のポリアルキレングリコールとのハーフアミド類;(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等の(ポリ)アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート類;ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート類;ポリエチレングリコールジマレート等の(ポリ)アルキレングリコールジマレート類;ビニルスルホネート、(メタ)アリルスルホネート、2−メチルプロパンスルホン酸(メタ)アクリルアミド、スチレンスルホン酸等の不飽和スルホン酸(塩)類;メチル(メタ)アクリルアミド等の不飽和モノカルボン酸類と炭素原子数1〜30のアミンとのアミド類;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等のビニル芳香族類;1,4−ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート等のアルカンジオールモノ(メタ)アクリレート類;ブタジエン、イソプレン等のジエン類;(メタ)アクリル(アルキル)アミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド等の不飽和アミド類;(メタ)アクリロニトリル等の不飽和シアン類;酢酸ビニル等の不飽和エステル類;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、ビニルピリジン等の不飽和アミン類;ジビニルベンゼン等のジビニル芳香族類;(メタ)アリルアルコール、グリシジル(メタ)アリルエーテル等のアリル類;(メトキシ)ポリエチレングリコールモノビニルエーテル等のビニルエーテル類;(メトキシ)ポリエチレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル等の(メタ)アリルエーテル類;などが挙げられる。
C1成分であるポリカルボン酸系重合体中における、該ポリカルボン酸系重合体を構成する全構造単位に対する構造単位(IV)の含有割合は、本発明の効果をより発現させ得る点で、好ましくは0モル%〜50モル%であり、より好ましくは0モル%〜40モル%であり、さらに好ましくは0モル%〜30モル%であり、特に好ましくは0モル%〜20モル%であり、最も好ましくは0モル%〜10モル%である。
C1成分であるポリカルボン酸系重合体中における、該ポリカルボン酸系重合体を構成する全構造単位に対する構造単位(I)の含有割合、該ポリカルボン酸系重合体を構成する全構造単位に対する構造単位(III)の含有割合、該ポリカルボン酸系重合体を構成する全構造単位に対する構造単位(IV)の含有割合、該ポリカルボン酸系重合体を構成する全構造単位に対する構造単位(I)と構造単位(III)との合計の含有割合は、それぞれ、例えば、該ポリカルボン酸系重合体の各種構造解析(例えば、NMRなど)によって知ることができる。また、上記のような各種構造解析を行わなくても、C1成分であるポリカルボン酸系重合体を製造する際に用いる不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体と不飽和カルボン酸系単量体と他の単量体の使用量と重合率に基づいて算出される該不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体由来の構造単位と該不飽和カルボン酸系単量体由来の構造単位と該他の単量体由来の構造単位の含有割合に基づいて、C1成分であるポリカルボン酸系重合体中における、該ポリカルボン酸系重合体を構成する全構造単位に対する構造単位(I)の含有割合、該ポリカルボン酸系重合体を構成する全構造単位に対する構造単位(III)の含有割合、該ポリカルボン酸系重合体を構成する全構造単位に対する構造単位(IV)の含有割合、該ポリカルボン酸系重合体を構成する全構造単位に対する構造単位(I)と構造単位(III)との合計の含有割合を算出してもよい。
C1成分であるポリカルボン酸系重合体中の構造単位の含有比率を求める場合には、構造単位がカルボキシル基の塩を有する場合には、カルボキシル基の酸部分を全てナトリウム塩に換算して計算を行う。
C1成分であるポリカルボン酸系重合体のゲルパーミエーションクロマトグラフィーで得られたポリエチレングリコール換算の重量平均分子量(Mw)は、本発明の効果をより発現させ得る点で、好ましくは65000以上であり、より好ましくは65000〜1000000であり、さらに好ましくは67000〜800000であり、特に好ましくは70000〜400000であり、最も好ましくは75000〜200000である。
C1成分であるポリカルボン酸系重合体は、本発明の効果を損なわない範囲で任意の適切な方法によって製造し得る。C1成分であるポリカルボン酸系重合体は、好ましくは、単量体成分の重合を重合開始剤の存在下で行って製造し得る。
<2−2.C2成分>
C2成分は、一般式(2)で表される不飽和ポリアルキレングリコールエステル系単量体由来の構造単位(II)と不飽和カルボン酸系単量体由来の構造単位(III)とを有するポリカルボン酸系重合体である、ポリカルボン酸系分散剤である。C2成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
Figure 2019218228
一般式(2)で表される不飽和ポリアルキレングリコールエステル系単量体由来の構造単位(II)は、下記式で表される。
Figure 2019218228
一般式(2)および構造単位(II)中、RおよびRは、同一または異なって、水素原子またはメチル基を表す。
一般式(2)および構造単位(II)中、Rは、炭素原子数1〜30の炭化水素基を表す。炭素原子数1〜30の炭化水素基としては、例えば、炭素原子数1〜30のアルキル基(脂肪族アルキル基や脂環式アルキル基)、炭素原子数1〜30のアルケニル基、炭素原子数1〜30のアルキニル基、炭素原子数6〜30の芳香族基などが挙げられる。本発明の効果を一層発現させ得る点で、Rは、好ましくは、炭素原子数1〜20の炭化水素基であり、より好ましくは、炭素原子数1〜12の炭化水素基であり、さらに好ましくは、炭素原子数1〜6の炭化水素基であり、特に好ましくは、炭素原子数1〜3のアルキル基である。
一般式(2)および構造単位(II)中、AOは、炭素原子数2〜18のオキシアルキレン基であり、好ましくは炭素原子数2〜8のオキシアルキレン基であり、より好ましくは炭素原子数2〜4のオキシアルキレン基である。また、AOが、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基、オキシスチレン基等の中から選ばれる任意の2種類以上の場合は、AOの付加形態は、ランダム付加、ブロック付加、交互付加等のいずれの形態であってもよい。なお、親水性と疎水性とのバランス確保のため、オキシアルキレン基中にオキシエチレン基が必須成分として含まれることが好ましく、オキシアルキレン基全体の50モル%以上がオキシエチレン基であることがより好ましく、オキシアルキレン基全体の90モル%以上がオキシエチレン基であることがさらに好ましく、オキシアルキレン基全体の100モル%以上がオキシエチレン基であることが特に好ましい。オキシアルキレン基は、1種であってもよいし、2種以上であってもよい。
一般式(2)および構造単位(II)中、nは、AOで表されるオキシアルキレン基の平均付加モル数(「鎖長」と称することがある)を表し、2〜300であり、好ましくは5〜150であり、より好ましくは10〜100であり、さらに好ましくは15〜75であり、特に好ましくは20〜50である。nが上記範囲内にあることにより、本発明のセメント混和剤は、セメント組成物の硬化物の強度を長期にわたってより顕著に向上させ得るとともにセメント組成物の流動性をより十分に保持させ得る。
一般式(2)で表される不飽和ポリアルキレングリコールエステル系単量体としては、例えば、炭素数1〜20の飽和脂肪族アルコール類に、炭素数2〜18のアルキレンオキシドを付加することによって得られるアルコキシポリアルキレングリコール類と、(メタ)アクリル酸またはクロトン酸とのエステル化物;(メタ)アリルアルコール、クロチルアルコール、オレイルアルコールなどの炭素数3〜20の不飽和脂肪族アルコール類に、炭素数2〜18のアルキレンオキシドを付加することによって得られるアルコキシポリアルキレングリコール類と、(メタ)アクリル酸またはクロトン酸とのエステル化物;シクロヘキサノールなどの炭素数3〜20の脂環式アルコール類に、炭素数2〜18のアルキレンオキシドを付加することによって得られるアルコキシポリアルキレングリコール類と、(メタ)アクリル酸またはクロトン酸とのエステル化物;炭素数6〜20の芳香族アルコール類に、炭素数2〜18のアルキレンオキシドを付加することによって得られるアルコキシポリアルキレングリコール類と、(メタ)アクリル酸またはクロトン酸とのエステル化物;などが挙げられる。
一般式(2)で表される不飽和ポリアルキレングリコールエステル系単量体としては、本発明の効果を一層発現させ得る点で、好ましくは、(メタ)アクリル酸のアルコキシポリアルキレングリコール類のエステルである。
一般式(2)で表される不飽和ポリアルキレングリコールエステル系単量体は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
不飽和カルボン酸系単量体および不飽和カルボン酸系単量体由来の構造単位(III)については、前述の、C1成分の説明における不飽和カルボン酸系単量体および不飽和カルボン酸系単量体由来の構造単位(III)の説明を援用し得る。
C2成分であるポリカルボン酸系重合体における、該ポリカルボン酸系重合体を構成する全構造単位に対する構造単位(II)の含有割合は、本発明の効果をより発現させ得る点で、好ましくは5モル%〜95モル%であり、より好ましくは10モル%〜90モル%であり、さらに好ましくは20モル%〜80モル%であり、特に好ましくは30モル%〜70モル%であり、最も好ましくは40モル%〜60モル%である。
C2成分であるポリカルボン酸系重合体における、該ポリカルボン酸系重合体を構成する全構造単位に対する構造単位(III)の含有割合は、本発明の効果をより発現させ得る点で、好ましくは5モル%〜95モル%であり、より好ましくは10モル%〜90モル%であり、さらに好ましくは20モル%〜80モル%であり、特に好ましくは30モル%〜70モル%であり、最も好ましくは40モル%〜60モル%である。
C2成分であるポリカルボン酸系重合体における、該ポリカルボン酸系重合体を構成する全構造単位に対する構造単位(II)と構造単位(III)の合計の含有割合は、本発明の効果をより発現させ得る点で、好ましくは50モル%〜100モル%であり、より好ましくは60モル%〜100モル%であり、さらに好ましくは70モル%〜100モル%であり、特に好ましくは80モル%〜100モル%であり、最も好ましくは90モル%〜100モル%である。
C2成分であるポリカルボン酸系重合体中には、構造単位(II)と構造単位(III)以外に、他の単量体由来の構造単位(IV)を含んでいてもよい。
他の単量体および他の単量体由来の構造単位(IV)については、前述の、C1成分の説明における他の単量体および他の単量体由来の構造単位(IV)の説明を援用し得る。
C2成分であるポリカルボン酸系重合体中における、該ポリカルボン酸系重合体を構成する全構造単位に対する構造単位(IV)の含有割合は、本発明の効果をより発現させ得る点で、好ましくは0モル%〜50モル%であり、より好ましくは0モル%〜40モル%であり、さらに好ましくは0モル%〜30モル%であり、特に好ましくは0モル%〜20モル%であり、最も好ましくは0モル%〜10モル%である。
C2成分であるポリカルボン酸系重合体中における、該ポリカルボン酸系重合体を構成する全構造単位に対する構造単位(II)の含有割合、該ポリカルボン酸系重合体を構成する全構造単位に対する構造単位(III)の含有割合、該ポリカルボン酸系重合体を構成する全構造単位に対する構造単位(IV)の含有割合、該ポリカルボン酸系重合体を構成する全構造単位に対する構造単位(II)と構造単位(III)との合計の含有割合は、それぞれ、例えば、該ポリカルボン酸系重合体の各種構造解析(例えば、NMRなど)によって知ることができる。また、上記のような各種構造解析を行わなくても、C2成分であるポリカルボン酸系重合体を製造する際に用いる不飽和ポリアルキレングリコールエステル系単量体と不飽和カルボン酸系単量体と他の単量体の使用量と重合率に基づいて算出される該不飽和ポリアルキレングリコールエステル系単量体由来の構造単位と該不飽和カルボン酸系単量体由来の構造単位と該他の単量体由来の構造単位の含有割合に基づいて、C2成分であるポリカルボン酸系重合体中における、該ポリカルボン酸系重合体を構成する全構造単位に対する構造単位(II)の含有割合、該ポリカルボン酸系重合体を構成する全構造単位に対する構造単位(III)の含有割合、該ポリカルボン酸系重合体を構成する全構造単位に対する構造単位(IV)の含有割合、該ポリカルボン酸系重合体を構成する全構造単位に対する構造単位(II)と構造単位(III)との合計の含有割合を算出してもよい。
C2成分であるポリカルボン酸系重合体中の構造単位の含有比率を求める場合には、構造単位がカルボキシル基の塩を有する場合には、カルボキシル基の酸部分を全てナトリウム塩に換算して計算を行う。
C2成分であるポリカルボン酸系重合体のゲルパーミエーションクロマトグラフィーで得られたポリエチレングリコール換算の重量平均分子量(Mw)は、本発明の効果をより発現させ得る点で、好ましくは3000以上であり、より好ましくは5000〜1000000であり、さらに好ましくは10000〜500000であり、特に好ましくは20000〜300000であり、最も好ましくは30000〜200000である。
C2成分であるポリカルボン酸系重合体は、本発明の効果を損なわない範囲で任意の適切な方法によって製造し得る。C2成分であるポリカルボン酸系重合体は、好ましくは、単量体成分の重合を重合開始剤の存在下で行って製造し得る。
<2−3.C3成分>
C3成分は、スルホン酸系分散剤である。C3成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
スルホン酸系分散剤は、主にスルホン酸基によってもたらされる静電的反発によりセメントに対する分散性を発現する分散剤であって、任意の適切なスルホン酸系分散剤を用いることができ、分子中に芳香族基を有する化合物であることが好ましい。スルホン酸系分散剤としては、例えば、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、メチルナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、アントラセンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物等の、ポリアルキルアリールスルホン酸塩系スルホン酸系分散剤;メラミンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物等の、メラミンホルマリン樹脂スルホン酸塩系スルホン酸系分散剤;アミノアリールスルホン酸−フェノール−ホルムアルデヒド縮合物等の、芳香族アミノスルホン酸塩系スルホン酸系分散剤;リグニンスルホン酸塩、変性リグニンスルホン酸塩等のリグニンスルホン酸塩系スルホン酸系分散剤;ポリスチレンスルホン酸塩系スルホン酸系分散剤;不飽和アルコールにエチレンオキシド等を付加したアルケニルエーテル系単量体および不飽和スルホン酸系単量体を含む単量体から得られる重合体またはその塩;などが挙げられる。
<2−4.C4成分>
C4成分は、リン酸系分散剤である。C4成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
リン酸系分散剤としては、分子中にリン酸基を有する任意の適切なリン酸系分散剤を用いることができ、例えば、特開2006−52381号公報に記載のリン酸系分散剤、特表2008−517080号公報に記載のリン酸系分散剤などが挙げられる。
≪3.セメント組成物≫
本発明のセメント組成物は、下記のA成分およびB成分と、セメントを含む。
A成分:アルコール1モルにアルキレンオキシドが5モル以上付加された構造を有する化合物。
B成分:奇数個の水酸基を有する多価アルコール。
A成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。B成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
本発明のセメント組成物は、A成分とB成分とを含むことにより、硬化物の強度が長期にわたって顕著に向上し得るとともに流動性が十分に保持し得るという効果を発現する。
本発明のセメント組成物によって発現される、硬化物の強度が長期にわたって向上し得る効果(長期強度向上効果)は、好ましくは、A成分のみに起因する長期強度向上効果とB成分のみに起因する長期強度向上効果との和から予想される効果に比べて、顕著に高い相乗効果を示す。
本発明のセメント組成物によって発現される、流動性が十分に保持し得る効果(保持効果)は、30分後の保持率と60分後の保持率として、好ましくは下記の通りである。
30分後の保持率は、好ましくは68%以上であり、より好ましくは70%以上であり、さらに好ましくは75%以上であり、特に好ましくは80%以上であり、最も好ましくは85%以上である。
60分後の保持率は、好ましくは60%以上であり、より好ましくは62%以上であり、さらに好ましくは65%以上であり、特に好ましくは67%以上であり、最も好ましくは70%以上である。
A成分については、<1−1.A成分>の項における説明を援用し得る。
B成分については、<1−2.B成分>の項における説明を援用し得る。
セメントは、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。セメントとしては、任意の適切なセメントを採用し得る。このようなセメントとしては、例えば、ポルトランドセメント(普通、早強、超早強、中庸熱、耐硫酸塩、およびそれぞれの低アルカリ型)、各種混合セメント(高炉セメント、シリカセメント、フライアッシュセメント)、白色ポルトランドセメント、アルミナセメント、超速硬セメント(1クリンカー速硬性セメント、2クリンカー速硬性セメント、リン酸マグネシウムセメント)、グラウト用セメント、油井セメント、低発熱セメント(低発熱型高炉セメント、フライアッシュ混合低発熱型高炉セメント、ビーライト高含有セメント)、超高強度セメント、セメント系固化材、エコセメント(都市ごみ焼却灰、下水汚泥焼却灰の一種以上を原料として製造されたセメント)などが挙げられる。
本発明のセメント組成物は、骨材を含んでいてもよい。骨材は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。骨材としては、細骨材(砂等)や粗骨材(砕石等)などの任意の適切な骨材を採用し得る。このような骨材としては、例えば、砂利、砕石、水砕スラグ、再生骨材が挙げられる。また、このような骨材としては、珪石質、粘土質、ジルコン質、ハイアルミナ質、炭化珪素質、黒鉛質、クロム質、クロマグ質、マグネシア質等の耐火骨材も挙げられる。
本発明のセメント組成物は、任意の適切な混和材を含んでいてもよい。混和材としては、例えば、高炉スラグ、フライアッシュ、シンダーアッシュ、クリンカーアッシュ、ハスクアッシュ、シリカフューム、高炉スラグ微粉末、膨張剤などが挙げられる。
本発明のセメント組成物は、構成成分を任意の適切な方法で配合して調整すれば良い。例えば、構成成分をミキサー中で混練する方法などが挙げられる。
本発明のセメント組成物は、A成分、B成分、セメント、および必要によりその他の成分が独立して配合されて調製されたものであってもよいし、A成分とB成分を含む本発明のセメント用添加剤、セメント、および必要によりその他の成分が配合されて調製されたものであってもよい。また、上記その他の成分として≪2.セメント混和剤≫の項で説明したC成分が配合される場合には、本発明のセメント組成物は、A成分、B成分、C成分、セメント、および必要によりその他の成分(C成分を除く)が独立して配合されて調製されたものであってもよいし、A成分とB成分を含む本発明のセメント用添加剤、C成分、セメント、および必要によりその他の成分(C成分を除く)が配合されて調製されたものであってもよいし、A成分とB成分とC成分を含む本発明のセメント混和剤、セメント、および必要によりその他の成分(C成分を除く)が配合されて調製されたものであってもよい。
本発明のセメント組成物中のA成分の含有割合は、セメントに対して、好ましくは0.003質量%〜0.07質量%であり、より好ましくは0.005質量%〜0.05質量%であり、さらに好ましくは0.01質量%〜0.03質量%である。本発明のセメント組成物中のA成分の含有割合をセメントに対して上記範囲内に調整することによって、本発明のセメント組成物は、硬化物の強度が長期にわたってより顕著に向上し得るとともに流動性がより十分に保持し得る。
本発明のセメント組成物中のB成分の含有割合は、セメントに対して、好ましくは0.005質量%〜0.5質量%であり、より好ましくは0.007質量%〜0.3質量%であり、さらに好ましくは0.01質量%〜0.2質量%である。本発明のセメント組成物中のB成分の含有割合をセメントに対して上記範囲内に調整することによって、本発明のセメント組成物は、硬化物の強度を長期にわたってより顕著に向上し得るとともに流動性をより十分に保持し得る。
本発明のセメント組成物においては、その1mあたりの単位水量、セメント使用量、および水/セメント比としては任意の適切な値を設定し得る。このような値としては、好ましくは、単位水量が100kg/m〜250kg/mであり、使用セメント量が200kg/m〜800kg/mであり、水/セメント比(質量比)=0.1〜0.7であり、より好ましくは、単位水量が120kg/m〜185kg/mであり、使用セメント量が250kg/m〜800kg/mであり、水/セメント比(質量比)=0.12〜0.65である。このように、本発明のセメント組成物は、貧配合〜富配合まで幅広く使用可能であり、単位セメント量の多い高強度コンクリート、単位セメント量が300kg/m以下の貧配合コンクリートのいずれにも有効である。
本発明のセメント組成物は、C成分を含んでいてもよい。C成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
C成分としては、≪2.セメント混和剤≫の項で説明したC成分を採用し得る。
本発明のセメント組成物がC成分を含む場合、本発明のセメント組成物中のC成分の含有割合は、セメントに対して、好ましくは0.01質量%〜10質量%であり、より好ましくは0.02質量%〜5質量%であり、さらに好ましくは0.05質量%〜3質量%であり、特に好ましくは0.07質量%〜1質量%であり、最も好ましくは0.1質量%〜0.7質量%である。本発明のセメント組成物中のC成分の含有割合を上記範囲内に調整することによって、単位水量の低減、強度の増大、耐久性の向上等の各種の好ましい諸効果がもたらされる。
本発明のセメント組成物は、C成分以外にも、任意の適切なその他の成分を含んでいてもよい。このようなその他の成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。このようなその他の成分としては、例えば、水溶性高分子物質、高分子エマルジョン、早強剤・促進剤、AE剤、消泡剤、ひび割れ低減剤、界面活性剤、防水材、防錆剤、膨張材、セメント湿潤剤、増粘剤、分離低減剤、凝集剤、乾燥収縮低減剤、強度増進剤、セルフレベリング剤、着色剤、防カビ剤などが挙げられる。
水溶性高分子物質としては、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等の非イオン性セルロースエーテル類;酵母グルカンやキサンタンガム、β−1.3グルカン類等の微生物醗酵によって製造される多糖類;ポリエチレングリコール等のポリオキシアルキレングリコール類;ポリアクリルアミド;が挙げられる。
高分子エマルジョンとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキル等の各種ビニル単量体の重合物が挙げられる。
早強剤・促進剤としては、例えば、塩化カルシウム、亜硝酸カルシウム、硝酸カルシウム、臭化カルシウム、ヨウ化カルシウム等の可溶性カルシウム塩;塩化鉄、塩化マグネシウム等の塩化物;硫酸塩;水酸化カリウム;水酸化ナトリウム;炭酸塩;チオ硫酸塩;ギ酸及びギ酸カルシウム等のギ酸塩;が挙げられる。
AE剤としては、例えば、樹脂石鹸、飽和又は不飽和脂肪酸、ヒドロキシステアリン酸ナトリウム、ラウリルサルフェート、ABS(アルキルベンゼンスルホン酸)、アルカンスルホネート、ポリオキシエチレンアルキル(フェニル)エーテル、ポリオキシエチレンアルキル(フェニル)エーテル硫酸エステル又はその塩、ポリオキシエチレンアルキル(フェニル)エーテルリン酸エステル又はその塩、タンパク質材料、アルケニルスルホコハク酸、α−オレフィンスルホネートが挙げられる。
消泡剤としては、例えば、オキシアルキレン系消泡剤、鉱油系消泡剤、油脂系消泡剤、脂肪酸系消泡剤、脂肪酸エステル系消泡剤、アルコール系消泡剤、アミド系消泡剤、リン酸エステル系消泡剤、金属石鹸系消泡剤、シリコーン系消泡剤が挙げられる。オキシアルキレン系消泡剤としては、例えば、ジエチレングリコールヘプチルエーテル等のポリオキシアルキレンアルキルエーテル類;ポリオキシアルキレンアセチレンエーテル類;(ポリ)オキシアルキレン脂肪酸エステル類;ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル類;ポリオキシアルキレンアルキル(アリール)エーテル硫酸エステル塩類;ポリオキシアルキレンアルキルリン酸エステル類;ポリオキシプロピレンポリオキシエチレンラウリルアミン(プロピレンオキシド1〜20モル付加、エチレンオキシド1〜20モル付加物等)、アルキレンオキシドを付加させた硬化牛脂から得られる脂肪酸由来のアミン(プロピレンオキシド1〜20モル付加、エチレンオキシド1〜20モル付加物等)等のポリオキシアルキレンアルキルアミン類;ポリオキシアルキレンアミド;が挙げられる。
ひび割れ低減剤としては、例えば、ポリオキシアルキルエーテルが挙げられる。
界面活性剤としては、例えば、各種アニオン性界面活性剤;アルキルトリメチルアンモニウムクロライド等の各種カチオン性界面活性剤;各種ノニオン性界面活性剤;各種両性界面活性剤;が挙げられる。
防水剤としては、例えば、脂肪酸(塩)、脂肪酸エステル、油脂、シリコーン、パラフィン、アスファルト、ワックスが挙げられる。
防錆剤としては、例えば、亜硝酸塩、リン酸塩、酸化亜鉛が挙げられる。
膨張材としては、例えば、エトリンガイト系膨張材、石炭系膨張材が挙げられる。
その他の成分の種類、組み合わせ、配合量等は目的に応じて適切に設定され得る。
本発明のセメント組成物中におけるその他の成分の含有割合は、固形分割合として、好ましくは0質量%〜50質量%であり、より好ましくは0質量%〜10質量%であり、さらに好ましくは0質量%〜1質量%であり、特に好ましくは0質量%〜0.1質量%である。
本発明のセメント組成物は、例えば、レディーミクストコンクリート、コンクリート2次製品用のコンクリート、遠心成形用コンクリート、振動締め固め用コンクリート、蒸気養生コンクリート、吹付けコンクリート等に有効であり得る。
本発明のセメント組成物は、例えば、中流動コンクリート(スランプ値が22〜25cmのコンクリート)、高流動コンクリート(スランプ値が25cm以上で、スランプフロー値が50〜70cmのコンクリート)、自己充填性コンクリート、セルフレベリング材等の高い流動性を要求されるモルタルやコンクリートにも有効であり得る。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例には限定されない。なお、特に明記しない限り、部とある場合は質量部を意味し、%とある場合は質量%を意味する。
<重量平均分子量分析条件>
ポリエチレングリコールの重量平均分子量については、市販品でカタログやホームページ上で公開されている場合は、実施例および比較例において特記(例えば、「実測値」などと記載)していない限り、その値を採用した(カタログやホームページ上での公開が「平均分子量」等の他の表現になっている場合はその値を採用した)。
・使用カラム:東ソー株式会社製、TSKguardcolumnα+TSKgelα−5000+TSKgelα−4000+TSKgelα−3000を各1本ずつ連結して使用した。
・溶離液:リン酸二水素ナトリウム・2HO:62.4g、リン酸水素二ナトリウム・12HO:143.3gを、イオン交換水:7794.3gに溶解させた溶液に、アセトニトリル:2000gを混合した溶液を用いた。
・検出器:Viscotek社製のトリプル検出器「Model302光散乱検出器」、直角光散乱として90°散乱角度、低角度光散乱として7°散乱角度、セル容量として18μL、波長として670nm。
・標準試料:東ソー株式会社製、ポリエチレングリコールSE−8(Mw=l07000)を用い、そのdn/dCを0.135ml/g、溶離液の屈折率を1.333として装置定数を決定した。
・打ち込み量
標準試料:ポリマー濃度が0.2vol%になるように上記溶離液で溶解させた溶液を100μL注入した。
サンプル:ポリマー濃度が1.0vol%になるように上記溶離液で溶解させた溶液を100μL注入した。
・流速:0.8ml/min
・カラム温度:40℃
<フロー値、保持率、28日圧縮強度の測定>
(フロー値と空気量の測定)
セメントとして普通ポルトランドセメント(太平洋セメント社製)、細骨材として大井川水系産陸砂、粗骨材として青海産砕石、A成分および/またはB成分、減水剤、混練水として水道水を用い、セメント:382kg/m、水:172kg/m、細骨材:796kg/m、粗骨材:930kg/m、細骨材率(細骨材/細粗骨材+粗骨材)(容積比):47%、水/セメント比(質量比)=0.45の配合にてセメント組成物を調製した。
なお、セメント組成物の温度が20℃の測定温度になるように、測定に使用する材料、強制練りミキサー、測定器具類を上記の測定温度雰囲気下で調温し、混練および各測定は上記の測定温度雰囲気下で行った。また、セメント組成物中の気泡がセメント組成物の流動性に及ぼす影響を避けるために、必要に応じてオキシアルキレン系消泡剤を用い、空気量が1.0±0.5%となるように調整した。
上記条件下に強制練りミキサーを用いて混練時間90秒間でコンクリートを製造し、フロー値と空気量を測定した。なお、フロー値と空気量の測定は、日本工業規格(JIS−A−1101、1128)に準拠して行った。また、A成分および/またはB成分、減水剤の添加量は、フロー値が375mm〜425mmになる添加量とした。
(保持率)
コンクリートを製造して0分後のフロー値(F0)、30分後のフロー値(F30)、60分後のフロー値(F60)を測定し、F0を保持率100%としたときの、30分後の保持率を((F30/F0)×100)%とし、60分後の保持率を((F60/F0)×100)%とした。
(28日圧縮強度)
フロー値と空気量を測定した後、圧縮強度試験用試料を作成し、以下の条件にて、28日後の圧縮強度を測定した。
供試体作成:100mm×200mm
供試体養生(28日):温度約20℃、湿度60%、恒温恒湿空気養生を24時間行った後、27日間水中で養生
供試体研磨:供試体面研磨(供試体研磨仕上げ機使用)
圧縮強度測定:自動圧縮強度測定器(前川製作所)
(28日圧縮強度(%)相乗効果分)
表3中における「28日圧縮強度比」とは、比較例1cにおいて測定された28日圧縮強度(p%)を100としたときの、他の実施例、比較例における28日圧縮強度(q%)の比、すなわち、100×(q/p)を表す。
また、表3中における「28日圧縮強度相乗効果分」とは、A成分とB成分を併用した実施例において、「用いたA成分のみを用いた場合の対応する比較例における28日圧縮強度比−100」と「用いたB成分のみを用いた場合の対応する比較例における28日圧縮強度比−100」との単純和をXとし、「該A成分と該B成分を併用した実施例における28日圧縮強度比−100」をYとしたときの、「Y−X」のことであり、この値が大きいほど、A成分とB成分を併用したことによる単純和に対する、28日圧縮強度向上の相乗効果が大きいことを示している。
〔製造例1〕:分散剤としての重合体(1)の製造
ジムロート冷却管、テフロン(登録商標)製の撹拌翼と撹拌シール付の撹拌器、窒素導入管、温度センサーを備えたガラス製反応容器にイオン交換水80.0部を仕込み、250rpmで撹拌下、窒素を200mL/分で導入しながら70℃まで加温した。次に、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリル酸エステル(エチレンオキシドの平均付加モル数9個)133.4部、メタクリル酸26.6部、メルカプトプロピオン酸1.53部およびイオン交換水106.7部の混合溶液を4時間かけて滴下し、それと同時に過硫酸アンモニウム1.19部とイオン交換水50.6部の混合溶液を5時間かけて滴下した。滴下完了後1時間、70℃に保って重合反応を完結させた。そして、水酸化ナトリウム水溶液で中和して、質量平均分子量100000の重合体(1)の水溶液を得た。
〔製造例2〕:分散剤としてのリン酸系分散剤の製造
特開2006−52381号公報記載の方法に準じて共重合反応を行い、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(エチレンオキシドの平均付加モル数:23モル)、リン酸モノ(2−ヒドロキシエチル)メタクリル酸エステル、リン酸ジ−[2−(ヒドロキシエチル)メタクリル酸]の共重合組成比が30/47/23(モル%)、質量平均分子量(Mw)が20000の重合体を含有するリン酸系分散剤(2)の水溶液を得た。
〔製造例3〕:分散剤としてのリン酸系分散剤の製造
特表2008−517080号公報記載の方法に準じて縮合反応を行い、ポリエチレングリコール(エチレンオキシドの平均付加モル数:20モル)モノフェニルエーテルとフェノキシエタノールホスフェートのホルムアルデヒドによる縮合によって、ポリエチレングリコール(エチレンオキシドの平均付加モル数:20モル)モノフェニルエーテルとフェノキシエタノールホスフェートの比率が30/70(モル%)、質量平均分子量(Mw)が25000の縮合体を含有するリン酸系分散剤(3)の水溶液を得た。
〔製造例4〕:分散剤としての重合体(4)の製造
特表2004−519406号公報記載の方法に準じて共重合反応を行い、アリルアルコールにエチレンオキシドを平均25モル付加した不飽和ポリアルキレングリコールエーテルとアクリル酸ナトリウムの共重合組成比が75/25(質量%)、20/80(モル%)、質量平均分子量(Mw)が18000の重合体(4)の水溶液を得た。
〔製造例5〕:アルキレンオキシド付加構造含有化合物としての重合体(5)の製造
ジムロート冷却管、テフロン(登録商標)製の撹拌翼と撹拌シール付の撹拌器、窒素導入管、温度センサーを備えたガラス製反応容器にイオン交換水103.7部を仕込み、250rpmで撹拌下、窒素を200mL/分で導入しながら70℃まで加温した。次に、IPN−50(80%水溶液)188部、アクリルアミド9.6部、イオン交換水53.07部からなる混合溶液を4時間かけ滴下し、それと同時に3−メルカプトプロピオン酸0.13部、イオン交換水29.47部からなる混合溶液と過硫酸アンモニウム0.48部とイオン交換水15.55部の混合溶液をそれぞれ5時間かけて滴下した。滴下完了後1時間、70℃に保って重合反応を完結させた。そして、水酸化ナトリウム水溶液で中和して、質量平均分子量130000の重合体(5)の水溶液を得た。
〔製造例6〕:アルキレンオキシド付加構造含有化合物としての重合体(6)の製造
ジムロート冷却管、テフロン(登録商標)製の撹拌翼と撹拌シール付の撹拌器、窒素導入管、温度センサーを備えたガラス製反応容器にイオン交換水:103.7部を仕込み、250rpmで撹拌下、窒素を200mL/分で導入しながら70℃まで加温した。次に、IPN−50(80%水溶液)180部、ヒドロキシエチルアクリレート16.0部、イオン交換水44.0部からなる混合溶液を4時間かけて滴下し、それと同時に、3−メルカプトプロピオン酸0.06部とイオン交換水40.2部からなる混合溶液と、過硫酸アンモニウム1.98部とイオン交換水64.05部からなる混合溶液をそれぞれ5時間かけて滴下した。滴下完了後、1時間、70℃に保って重合反応を完結させた。そして、水酸化ナトリウム水溶液で中和して、質量平均分子量350000の重合体(6)の水溶液を得た。
〔製造例7〕:アルキレンオキシド付加構造含有化合物としての重合体(7)の製造
ジムロート冷却管、テフロン(登録商標)製の撹拌翼と撹拌シール付の撹拌器、窒素導入管、温度センサーを備えたガラス製反応容器にイオン交換水80.0部を仕込み、250rpmで撹拌下、窒素を200mL/分で導入しながら70℃まで加温した。次に、メタクリル酸にエチレンオキシドを付加(エチレンオキシドの平均付加モル数8)させたもの(日油株式会社製、PE350)80.0部、イオン交換水88.0部からなる混合溶液を4時間かけて滴下し、それと同時に、3−メルカプトプロピオン酸0.58部とイオン交換水122.0部からなる混合溶液と、過硫酸アンモニウム0.37部とイオン交換水37.09部からなる混合溶液をそれぞれ5時間かけて滴下した。滴下完了後、1時間、70℃に保って重合反応を完結させた。そして、水酸化ナトリウム水溶液で中和して、質量平均分子量130000の重合体(7)の水溶液を得た。
〔実施例1a〕:セメント用添加剤(1)
EDIPA(ジイソプロパノールエタノールアミン、アルドリッチ社製)、キシリトール(和光純薬社製)を表1の条件で配合して、セメント用添加剤(1)を調製した。
〔実施例2a〕:セメント用添加剤(2)
TIPA(トリイソプロパノールアミン、和光純薬工業社製)、グリセリン(和光純薬社製)を表1の条件で配合して、セメント用添加剤(2)を調製した。
〔実施例3a〕:セメント用添加剤(3)
EDIPA(ジイソプロパノールエタノールアミン、アルドリッチ社製)、グリセリン(和光純薬社製)、SB300(質量平均分子量=13000、ソルビトール1モルに対してエチレンオキシドを300モル付加したもの)を表1の条件で配合して、セメント用添加剤(3)を調製した。
〔実施例4a〕:セメント用添加剤(4)
TIPA(トリイソプロパノールアミン、和光純薬工業社製)、キシリトール(和光純薬社製)、製造例6で得られた重合体(6)を表1の条件で配合して、セメント用添加剤(4)を調製した。
〔実施例5a〕:セメント用添加剤(5)
TIPA(トリイソプロパノールアミン、和光純薬工業社製)、キシリトール(和光純薬社製)、製造例7で得られた重合体(7)を表1の条件で配合して、セメント用添加剤(5)を調製した。
〔実施例6a〕:セメント用添加剤(6)
TIPA(トリイソプロパノールアミン、和光純薬工業社製)、キシリトール(和光純薬社製)、製造例6で得られた重合体(6)を表1の条件で配合して、セメント用添加剤(6)を調製した。
〔実施例7a〕:セメント用添加剤(7)
EDIPA(ジイソプロパノールエタノールアミン、アルドリッチ社製)、キシリトール(和光純薬社製)、製造例6で得られた重合体(6)を表1の条件で配合して、セメント用添加剤(7)を調製した。
〔実施例1b〕:セメント混和剤(1)
EDIPA(ジイソプロパノールエタノールアミン、アルドリッチ社製)、キシリトール(和光純薬社製)、製造例1で得られた重合体(1)を表2の条件で配合して、セメント混和剤(1)を調製した。
〔実施例2b〕:セメント混和剤(2)
TIPA(トリイソプロパノールアミン、和光純薬工業社製)、グリセリン(和光純薬社製)、製造例1で得られた重合体(1)を表2の条件で配合して、セメント混和剤(2)を調製した。
〔実施例3b〕:セメント混和剤(3)
EDIPA(ジイソプロパノールエタノールアミン、アルドリッチ社製)、グリセリン(和光純薬社製)、SB300(質量平均分子量=13000、ソルビトール1モルに対してエチレンオキシドを300モル付加したもの)、製造例1で得られた重合体(1)を表2の条件で配合して、セメント混和剤(3)を調製した。
〔実施例4b〕:セメント混和剤(4)
TIPA(トリイソプロパノールアミン、和光純薬工業社製)、キシリトール(和光純薬社製)、製造例6で得られた重合体(6)、製造例2で得られたリン酸系分散剤(2)を表2の条件で配合して、セメント混和剤(4)を調製した。
〔実施例5b〕:セメント混和剤(5)
TIPA(トリイソプロパノールアミン、和光純薬工業社製)、キシリトール(和光純薬社製)、製造例7で得られた重合体(7)、製造例3で得られたリン酸系分散剤(3)を表2の条件で配合して、セメント混和剤(5)を調製した。
〔実施例6b〕:セメント混和剤(6)
TIPA(トリイソプロパノールアミン、和光純薬工業社製)、キシリトール(和光純薬社製)、製造例6で得られた重合体(6)、製造例4で得られた重合体(4)を表2の条件で配合して、セメント混和剤(6)を調製した。
〔実施例7b〕:セメント混和剤(7)
EDIPA(ジイソプロパノールエタノールアミン、アルドリッチ社製)、キシリトール(和光純薬社製)、製造例6で得られた重合体(6)、マイティ150(花王社製)を表2の条件で配合して、セメント混和剤(7)を調製した。
〔実施例8b〕:セメント混和剤(8)
EDIPA(ジイソプロパノールエタノールアミン、アルドリッチ社製)、キシリトール(和光純薬社製)、製造例6で得られた重合体(6)、マスターポゾリスNo.8(BASFジャパン社製)を表2の条件で配合して、セメント混和剤(8)を調製した。
Figure 2019218228
Figure 2019218228
〔実施例1c〕
表3に示す配合にて、セメント組成物(1)を調製し、フロー値、保持率、28日圧縮強度を測定した。結果を表3に示した。なお、A成分、B成分、C成分を個々に配合した場合であっても、A成分とB成分をセメント用添加剤(1)として配合した場合であっても、A成分とB成分とC成分をセメント混和剤(1)として配合した場合であっても、同様の結果が得られた。
〔実施例2c〕
表3に示す配合にて、セメント組成物(2)を調製し、フロー値、保持率、28日圧縮強度を測定した。結果を表3に示した。なお、A成分、B成分、C成分を個々に配合した場合であっても、A成分とB成分をセメント用添加剤(2)として配合した場合であっても、A成分とB成分とC成分をセメント混和剤(2)として配合した場合であっても、同様の結果が得られた。
〔実施例3c〕
表3に示す配合にて、セメント組成物(3)を調製し、フロー値、保持率、28日圧縮強度を測定した。結果を表3に示した。なお、A成分、B成分、アルキレンオキシド付加構造含有化合物、C成分を個々に配合した場合であっても、A成分とB成分とアルキレンオキシド付加構造含有化合物をセメント用添加剤(3)として配合した場合であっても、A成分とB成分とアルキレンオキシド付加構造含有化合物とC成分をセメント混和剤(3)として配合した場合であっても、同様の結果が得られた。
〔実施例4c〕
表3に示す配合にて、セメント組成物(4)を調製し、フロー値、保持率、28日圧縮強度を測定した。結果を表3に示した。なお、A成分、B成分、アルキレンオキシド付加構造含有化合物、C成分を個々に配合した場合であっても、A成分とB成分とアルキレンオキシド付加構造含有化合物をセメント用添加剤(4)として配合した場合であっても、A成分とB成分とアルキレンオキシド付加構造含有化合物とC成分をセメント混和剤(4)として配合した場合であっても、同様の結果が得られた。
〔実施例5c〕
表3に示す配合にて、セメント組成物(5)を調製し、フロー値、保持率、28日圧縮強度を測定した。結果を表3に示した。なお、A成分、B成分、アルキレンオキシド付加構造含有化合物、C成分を個々に配合した場合であっても、A成分とB成分とアルキレンオキシド付加構造含有化合物をセメント用添加剤(5)として配合した場合であっても、A成分とB成分とアルキレンオキシド付加構造含有化合物とC成分をセメント混和剤(5)として配合した場合であっても、同様の結果が得られた。
〔実施例6c〕
表3に示す配合にて、セメント組成物(6)を調製し、フロー値、保持率、28日圧縮強度を測定した。結果を表3に示した。なお、A成分、B成分、アルキレンオキシド付加構造含有化合物、C成分を個々に配合した場合であっても、A成分とB成分とアルキレンオキシド付加構造含有化合物をセメント用添加剤(6)として配合した場合であっても、A成分とB成分とアルキレンオキシド付加構造含有化合物とC成分をセメント混和剤(6)として配合した場合であっても、同様の結果が得られた。
〔実施例7c〕
表3に示す配合にて、セメント組成物(7)を調製し、フロー値、保持率、28日圧縮強度を測定した。結果を表3に示した。なお、A成分、B成分、アルキレンオキシド付加構造含有化合物、C成分を個々に配合した場合であっても、A成分とB成分とアルキレンオキシド付加構造含有化合物をセメント用添加剤(7)として配合した場合であっても、A成分とB成分とアルキレンオキシド付加構造含有化合物とC成分をセメント混和剤(7)として配合した場合であっても、同様の結果が得られた。
〔実施例8c〕
表3に示す配合にて、セメント組成物(8)を調製し、フロー値、保持率、28日圧縮強度を測定した。結果を表3に示した。なお、A成分、B成分、アルキレンオキシド付加構造含有化合物、C成分を個々に配合した場合であっても、A成分とB成分とアルキレンオキシド付加構造含有化合物をセメント用添加剤(7)として配合した場合であっても、A成分とB成分とアルキレンオキシド付加構造含有化合物とC成分をセメント混和剤(8)として配合した場合であっても、同様の結果が得られた。
〔比較例1c〕
表3に示す配合にて、セメント組成物(C−1)を調製し、フロー値、保持率、28日圧縮強度を測定した。結果を表3に示した。セメント組成物(C−1)は、A成分、B成分、アルキレンオキシド付加構造含有化合物は含まないセメント組成物である。
〔比較例2c〕
表3に示す配合にて、セメント組成物(C−2)を調製し、フロー値、保持率、28日圧縮強度を測定した。結果を表3に示した。なお、B成分、C成分を個々に配合した場合であっても、B成分をセメント用添加剤(C−2)として配合した場合であっても、B成分とC成分をセメント混和剤(C−2)として配合した場合であっても、同様の結果が得られた。
〔比較例3c〕
表3に示す配合にて、セメント組成物(C−3)を調製し、フロー値、保持率、28日圧縮強度を測定した。結果を表3に示した。なお、B成分、C成分を個々に配合した場合であっても、B成分をセメント用添加剤(C−3)として配合した場合であっても、B成分とC成分をセメント混和剤(C−3)として配合した場合であっても、同様の結果が得られた。
〔比較例4c〕
表3に示す配合にて、セメント組成物(C−4)を調製し、フロー値、保持率、28日圧縮強度を測定した。結果を表3に示した。なお、A成分、C成分を個々に配合した場合であっても、A成分をセメント用添加剤(C−4)として配合した場合であっても、A成分とC成分をセメント混和剤(C−4)として配合した場合であっても、同様の結果が得られた。
〔比較例5c〕
表3に示す配合にて、セメント組成物(C−5)を調製し、フロー値、保持率、28日圧縮強度を測定した。結果を表3に示した。なお、A成分、C成分を個々に配合した場合であっても、A成分をセメント用添加剤(C−5)として配合した場合であっても、A成分とC成分をセメント混和剤(C−5)として配合した場合であっても、同様の結果が得られた。
〔比較例6c〕
表3に示す配合にて、セメント組成物(C−6)を調製し、フロー値、保持率、28日圧縮強度を測定した。結果を表3に示した。なお、B成分、C成分を個々に配合した場合であっても、B成分をセメント用添加剤(C−6)として配合した場合であっても、B成分とC成分をセメント混和剤(C−6)として配合した場合であっても、同様の結果が得られた。
〔比較例7c〕
表3に示す配合にて、セメント組成物(C−7)を調製し、フロー値、保持率、28日圧縮強度を測定した。結果を表3に示した。なお、B成分、C成分を個々に配合した場合であっても、B成分をセメント用添加剤(C−7)として配合した場合であっても、B成分とC成分をセメント混和剤(C−7)として配合した場合であっても、同様の結果が得られた。
〔比較例8c〕
表3に示す配合にて、セメント組成物(C−8)を調製し、フロー値、保持率、28日圧縮強度を測定した。結果を表3に示した。なお、B成分、C成分を個々に配合した場合であっても、B成分をセメント用添加剤(C−8)として配合した場合であっても、B成分とC成分をセメント混和剤(C−8)として配合した場合であっても、同様の結果が得られた。
〔比較例9c〕
表3に示す配合にて、セメント組成物(C−9)を調製し、フロー値、保持率、28日圧縮強度を測定した。結果を表3に示した。なお、B成分、アルキレンオキシド付加構造含有化合物、C成分を個々に配合した場合であっても、B成分とアルキレンオキシド付加構造含有化合物をセメント用添加剤(C−9)として配合した場合であっても、B成分とアルキレンオキシド付加構造含有化合物とC成分をセメント混和剤(C−9)として配合した場合であっても、同様の結果が得られた。
〔比較例10c〕
表3に示す配合にて、セメント組成物(C−10)を調製し、フロー値、保持率、28日圧縮強度を測定した。結果を表3に示した。なお、B成分、アルキレンオキシド付加構造含有化合物、C成分を個々に配合した場合であっても、B成分とアルキレンオキシド付加構造含有化合物をセメント用添加剤(C−10)として配合した場合であっても、B成分とアルキレンオキシド付加構造含有化合物とC成分をセメント混和剤(C−10)として配合した場合であっても、同様の結果が得られた。
〔比較例11c〕
表3に示す配合にて、セメント組成物(C−11)を調製し、フロー値、保持率、28日圧縮強度を測定した。結果を表3に示した。なお、A成分、B成分、C成分を個々に配合した場合であっても、A成分とB成分をセメント用添加剤(C−11)として配合した場合であっても、A成分とB成分とC成分をセメント混和剤(C−11)として配合した場合であっても、同様の結果が得られた。
〔比較例12c〕
表3に示す配合にて、セメント組成物(C−12)を調製し、フロー値、保持率、28日圧縮強度を測定した。結果を表3に示した。なお、A成分、B成分、C成分を個々に配合した場合であっても、A成分とB成分をセメント用添加剤(C−12)として配合した場合であっても、A成分とB成分とC成分をセメント混和剤(C−12)として配合した場合であっても、同様の結果が得られた。
〔比較例13c〕
表3に示す配合にて、セメント組成物(C−13)を調製し、フロー値、保持率、28日圧縮強度を測定した。結果を表3に示した。ESPは、ポリエチレンイミン(質量平均分子量=600)のアミノ基の活性水素1モルに対してエチレンオキシドを20モル付加したものであり、質量平均分子量が23000の化合物である。なお、A成分、B成分、アルキレンオキシド付加構造含有化合物、C成分を個々に配合した場合であっても、A成分とB成分とアルキレンオキシド付加構造含有化合物をセメント用添加剤(C−13)として配合した場合であっても、A成分とB成分とアルキレンオキシド付加構造含有化合物とC成分をセメント混和剤(C−13)として配合した場合であっても、同様の結果が得られた。
〔比較例14c〕
表3に示す配合にて、セメント組成物(C−14)を調製し、フロー値、保持率、28日圧縮強度を測定した。結果を表3に示した。なお、A成分、B成分、アルキレンオキシド付加構造含有化合物、C成分を個々に配合した場合であっても、A成分とB成分とアルキレンオキシド付加構造含有化合物をセメント用添加剤(C−14)として配合した場合であっても、A成分とB成分とアルキレンオキシド付加構造含有化合物とC成分をセメント混和剤(C−14)として配合した場合であっても、同様の結果が得られた。
Figure 2019218228
表3に示すように、比較例1cの28日圧縮強度を100としたとき、A成分(EDIPA)とB成分(キシリトール)を用いた実施例1cの28日圧縮強度比は112であり、112−100=12に相当する強度向上効果が発現できている。一方、実施例1cで用いているA成分(EDIPA)に起因する強度向上効果は比較例4cに示されているように28日圧縮強度比として104であり、実施例1cで用いているB成分(キシリトール)に起因する強度向上効果は比較例2cに示されているように28日圧縮強度比として107であり、それらの効果の単純和は(104+107)−100=11である。したがって、実施例1cにおいては強度向上の有意な相乗効果が見られる。
他の実施例2c〜8cについても同様に、強度向上の有意な相乗効果が見られる。
なお、比較例11c、12cにおいては、28日圧縮強度相乗効果分が1となっており、比較例9c、10c、13c、14cにおいては、28日圧縮強度相乗効果分が8〜14となっており、強度向上の有意な相乗効果が見られる。しかしながら、これらの比較例9c〜14cにおいては、フロー値の保持率が非常に低くなっており、セメント組成物の流動性を十分に保持できていないことがわかる。
本発明のセメント用添加剤は、モルタルやコンクリートなどのセメント組成物に好適に用いられる。

Claims (7)

  1. 下記のA成分およびB成分を含む、セメント用添加剤。
    A成分:アルカノールアミン化合物。
    B成分:奇数個の水酸基を有する多価アルコール。
  2. 前記A成分が、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、メチルエタノールアミン、メチルイソプロパノールアミン、メチルジエタノールアミン、メチルジイソプロパノールアミン、ジエタノールイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールエタノールアミン、テトラヒドロキシエチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、トリス(2−ヒドロキシブチル)アミンからなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載のセメント用添加剤。
  3. 前記A成分が、トリイソプロパノールアミン、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、ジイソプロパノールエタノールアミンからなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項2に記載のセメント用添加剤。
  4. 前記B成分が、グリセリン、キシリトール、D−アラビニトール、L−アラビニトール、リビトール、ボレミトール、ペルセイトールからなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1から3までのいずれかに記載のセメント用添加剤。
  5. 前記B成分が5個以上の奇数個の水酸基を有する多価アルコールである、請求項1から4までのいずれかに記載のセメント用添加剤。
  6. 下記のA成分およびB成分と、下記のC成分を含む、セメント混和剤。
    A成分:アルカノールアミン化合物。
    B成分:奇数個の水酸基を有する多価アルコール。
    C成分:下記のC1成分、C2成分、C3成分、C4成分からなる群より選ばれる少なくとも1種。
    C1成分:一般式(1)で表される不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体由来の構造単位(I)と不飽和カルボン酸系単量体由来の構造単位(III)とを有するポリカルボン酸系重合体である、ポリカルボン酸系分散剤。
    Figure 2019218228
    (一般式(1)中、RおよびRは、同一または異なって、水素原子またはメチル基を表し、Rは、水素原子または炭素原子数1〜30の炭化水素基を表し、AOは、炭素原子数2〜18のオキシアルキレン基を表し、mは、AOで表されるオキシアルキレン基の平均付加モル数を表し、mは2〜300の数であり、xは0〜2の整数である。)
    C2成分:一般式(2)で表される不飽和ポリアルキレングリコールエステル系単量体由来の構造単位(II)と不飽和カルボン酸系単量体由来の構造単位(III)とを有するポリカルボン酸系重合体である、ポリカルボン酸系分散剤。
    Figure 2019218228
    (一般式(2)中、RおよびRは、同一または異なって、水素原子またはメチル基を表し、Rは、炭素原子数1〜30の炭化水素基を表し、AOは、炭素原子数2〜18のオキシアルキレン基を表し、nは、AOで表されるオキシアルキレン基の平均付加モル数を表し、nは2〜300である。)
    C3成分:スルホン酸系分散剤。
    C4成分:リン酸系分散剤。
  7. 下記のA成分およびB成分と、セメントを含む、セメント組成物。
    A成分:アルカノールアミン化合物。
    B成分:奇数個の水酸基を有する多価アルコール。




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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN118145911A (zh) * 2024-03-27 2024-06-07 四川圣吉鸿博建筑材料有限公司 一种高性能混凝土用减胶剂及其制备方法和应用
JP7509060B2 (ja) 2021-03-05 2024-07-02 住友大阪セメント株式会社 セメント組成物の製造方法及び固化材の製造方法

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