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JP2019216061A - リチウムイオン電池用電極、及び、リチウムイオン電池 - Google Patents

リチウムイオン電池用電極、及び、リチウムイオン電池 Download PDF

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JP2019216061A JP2018113551A JP2018113551A JP2019216061A JP 2019216061 A JP2019216061 A JP 2019216061A JP 2018113551 A JP2018113551 A JP 2018113551A JP 2018113551 A JP2018113551 A JP 2018113551A JP 2019216061 A JP2019216061 A JP 2019216061A
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Abstract

【課題】抵抗値が低く、かつ、耐久性及び充放電特性にも優れるリチウムイオン電池用電極を提供することを目的とする。
【解決手段】電解液と電極活物質と樹脂集電体とを備えたリチウムイオン電池用電極であって、上記電解液がプロピレンカーボネートを含む溶媒と電解質とを含み、上記樹脂集電体が樹脂(P)と導電性フィラーとを含み、上記樹脂集電体を構成する樹脂(P)の結晶化度が31〜50であることを特徴とするリチウムイオン電池用電極。
【選択図】 なし

Description

本発明は、リチウムイオン電池用電極、及び、リチウムイオン電池に関する。
近年、環境保護のため、二酸化炭素排出量の低減が切に望まれている。自動車業界では、電気自動車(EV)やハイブリッド電気自動車(HEV)の導入による二酸化炭素排出量の低減に期待が集まっており、これらの実用化の鍵を握るモータ駆動用二次電池の開発が鋭意行われている。二次電池としては、高エネルギー密度、高出力密度が達成できるリチウムイオン電池に注目が集まっている。
リチウムイオン電池は、一般に、バインダを用いて正極または負極活物質等を正極用または負極用集電体にそれぞれ塗布して電極を構成している。また、バイポーラ(双極)型の電池の場合には、集電体の一方の面にバインダを用いて正極活物質等を塗布して正極層を、反対側の面にバインダを用いて負極活物質等を塗布して負極層を有するバイポーラ(双極)型電極を構成している。
このようなリチウムイオン電池においては、従来、集電体として金属箔(金属集電箔)が用いられてきた。近年、金属箔に代わって導電性材料が添加された樹脂から構成される、いわゆる樹脂集電体が提案されている。このような樹脂集電体は、金属集電箔と比較して軽量であり、電池の単位重量あたりの出力向上が期待される。
例えば、特許文献1には、電解液として、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとを含む溶媒を使用し、樹脂集電体を備えた電極を使用したリチウムイオン電池が開示されている。
特開2017−152383号公報
しかし、樹脂集電体を用いて、抵抗値が低く、耐久性及び充放電特性に優れたリチウムイオン電池用電極を得るためには、未だ改善の余地があると言える。
以上の状況を踏まえて、本発明は、抵抗値が低く、かつ、耐久性及び充放電特性にも優れたリチウムイオン電池用電極を提供することを目的とする。本発明はまた、上記電極を用いたリチウムイオン電池を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、本発明に想到した。
すなわち、本発明は、電解液と電極活物質と樹脂集電体とを備えたリチウムイオン電池用電極であって、電解液がプロピレンカーボネートを含む溶媒と電解質とを含み、樹脂集電体が樹脂(P)と導電性フィラーとを含み、樹脂集電体を構成する樹脂(P)の結晶化度が31〜50であることを特徴とするリチウムイオン電池用電極;セパレータを有し、本発明のリチウムイオン電池用電極を正極及び負極に備えることを特徴とするリチウムイオン電池である。
本発明のリチウムイオン電池用電極は、抵抗値が低く、かつ、耐久性及び充放電特性にも優れる。
図1(a)は本発明のリチウムイオン電池において好ましいセパレータの一例を模式的に示す斜視図であり、図1(b)は、図1(a)におけるA−A線断面図である。 図2は本発明のリチウムイオン電池において好ましいセパレータを構成する枠状部材の構成の例を模式的に示す断面図である。 図3は本発明のリチウムイオン電池において好ましいセパレータを構成するセパレータ本体と枠状部材を構成する各層との位置関係の例を示す断面図である。 図4(a)〜図4(g)は、本発明のリチウムイオン電池において好ましいセパレータを用いてリチウムイオン電池を製造する方法の一例を模式的に示す説明図である。 図5は本発明のリチウムイオン電池の一例を模式的に示す説明図である。
本発明のリチウムイオン電池用電極は、電解液と、電極活物質と、樹脂集電体とを備え、電解液が、プロピレンカーボネートを含む溶媒と、電解質とを含み、樹脂集電体が、樹脂(P)と導電性フィラーを含み、樹脂(P)の結晶化度が31〜50であることを特徴とする。
本発明のリチウムイオン電池用電極では、電解液に使用する溶媒として、環状構造を有するプロピレンカーボネートを含む溶媒を用い、樹脂集電体を構成する樹脂(P)として、結晶化度が特定の範囲であるものを用いる。このような構成であると、樹脂集電体を構成する樹脂(P)が電解液により膨潤し過ぎたり、電解液に対して馴染みが悪すぎたりすることが無いので、電気抵抗値や、容量維持率の悪化を抑制することができると考えられる。
その結果、抵抗値が低く、かつ、耐久性及び充放電特性にも優れたリチウムイオン電池用電極を得ることができると考えられる。
本発明のリチウムイオン電池用電極において電解液は、プロピレンカーボネートを含む溶媒(以下、溶媒と省略して記載することがある)と電解質とを含む。
まずは、溶媒について説明する。
溶媒の沸点は、電解液の揮発による電極の膨張を抑制する観点、電池を製造する際の電解液枯れを防ぐ観点から、160℃以上であることが好ましく、180℃以上であることがより好ましく、200℃以上であることがさらに好ましく、220℃以上であることが特に好ましい。
溶媒の引火点は、リチウムイオン電池の発熱や膨張を防止する観点から、80℃以上であることが好ましく、100℃以上であることがより好ましく、120℃以上であることがさらに好ましく、130℃以上であることが特に好ましい。
溶媒の沸点及び引火点を上記範囲にする方法は以下で述べる。
溶媒はプロピレンカーボネートを含む。プロピレンカーボネートのみであってもよいし、プロピレンカーボネート以外の非水系溶剤を含んでもよい。プロピレンカーボネート以外の非水系溶剤としてはエチレンカーボネートが好ましい。
プロピレンカーボネート及びエチレンカーボネート以外の非水系溶剤としては、公知の非水電解液に用いられているもの等が使用でき、例えば、ラクトン化合物、環状又は鎖状炭酸エステル、鎖状カルボン酸エステル、環状又は鎖状エーテル、リン酸エステル、ニトリル化合物、アミド化合物、スルホン等及びこれらの混合物を用いることができる。
ラクトン化合物としては、5員環のラクトン化合物(γ−ブチロラクトン及びγ−バレロラクトン等)及び6員環のラクトン化合物(δ−バレロラクトン等)等を挙げることができる。
環状炭酸エステルとしては、ブチレンカーボネート等が挙げられる。
鎖状炭酸エステルとしては、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチル−n−プロピルカーボネート、エチル−n−プロピルカーボネート及びジ−n−プロピルカーボネート等が挙げられる。
鎖状カルボン酸エステルとしては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル及びプロピオン酸メチル等が挙げられる。
環状エーテルとしては、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,3−ジオキソラン及び1,4−ジオキサン等が挙げられる。
鎖状エーテルとしては、ジメトキシメタン及び1,2−ジメトキシエタン等が挙げられる。
リン酸エステルとしては、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸エチルジメチル、リン酸ジエチルメチル、リン酸トリプロピル、リン酸トリブチル、リン酸トリ(トリフルオロメチル)、リン酸トリ(トリクロロメチル)、リン酸トリ(トリフルオロエチル)、リン酸トリ(トリパーフルオロエチル)、2−エトキシ−1,3,2−ジオキサホスホラン−2−オン、2−トリフルオロエトキシ−1,3,2−ジオキサホスホラン−2−オン及び2−メトキシエトキシ−1,3,2−ジオキサホスホラン−2−オン等が挙げられる。
ニトリル化合物としては、アセトニトリル等が挙げられる。アミド化合物としては、N,N−ジメチルホルムアミド(以下、DMFともいう)等が挙げられる。
スルホンとしては、ジメチルスルホン及びジエチルスルホン等の鎖状スルホン及びスルホラン等の環状スルホン等が挙げられる。
本発明のリチウムイオン電池用電極においてプロピレンカーボネートの含有量は、上述した沸点及び引火点を好適に充足する観点から、溶媒100重量部に対して、50重量部以上であることが好ましく、70重量部以上であることがより好ましい。
溶媒がプロピレンカーボネートとエチレンカーボネートの混合物である場合、エチレンカーボネートの含有量は、上述した沸点及び引火点を好適に充足する観点から、溶媒100重量部に対して、50重量部以下であることが好ましく、30重量部以下であることがより好ましい。
電解質としては、公知の電解液に用いられているもの等が使用でき、好ましいものとしては、例えば、LiPF、LiBF、LiSbF、LiAsF及びLiClO等の無機酸のリチウム塩系電解質、LiN(FSO、LiN(CFSO及びLiN(CSO等のフッ素原子を有するスルホニルイミド系電解質、LiC(CFSO等のフッ素原子を有するスルホニルメチド系電解質等が挙げられる。
電解液における電解質濃度としては、特に限定されないが、電解液の取り扱い性及び電池容量の観点から、0.1〜5mol/Lであることが好ましく、0.5〜4mol/Lであることがより好ましく、1〜3mol/Lであることがさらに好ましい。
本発明のリチウムイオン電池用電極は、樹脂集電体を備える。
樹脂集電体は、該樹脂集電体を構成する樹脂(P)の結晶化度が31〜50である。
このような樹脂(P)は、上述した電解液により膨潤し過ぎたり、電解液に対して馴染みが悪すぎたりすることが無いので、電気抵抗値や、容量維持率の悪化を抑制することができると考えられる。
樹脂(P)の結晶化度は、35〜47であることが好ましく、38〜44であることがより好ましい。
本明細書において、樹脂(P)の結晶化度は、「JIS K7122−1987 プラスチックの転移熱測定方法」に準じて、示差走査熱量(DSC)測定にて吸熱ピークの面積から測定融解熱量(J/g)を求め、測定された測定融解熱量に基づき以下の式により結晶化度を算出することにより定める。
結晶化度=(測定融解熱量/完全結晶体融解熱量)×100
上記式中、完全結晶体融解熱量は、結晶化度が100となるように外挿した場合の融解熱量である。
樹脂(P)は、結晶化度が異なる2種以上の樹脂を含む混合物であることが好ましい。樹脂(P)がこのような構成であることにより、樹脂(P)の結晶部と非結晶部とにおいて、後述する導電性炭素フィラーの分散に偏りが生じ、導電パスを形成するのに適した状態とすることができるので、低抵抗性、耐電位性及び液滲みの防止性を好適に付与することができる。
なお、樹脂(P)が2種以上の樹脂を含む混合物である場合、樹脂(P)の結晶化度は、混合前の樹脂のそれぞれの結晶化度から、結晶化度の加重平均値を算出し、これを樹脂(P)の結晶化度とする。
樹脂(P)としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリメチルペンテン(PMP)及びポリシクロオレフィン(PCO)等の混合物が挙げられる。また、これらの樹脂は、変性物(以下、変性ポリオレフィンという)であってもよい。
これらの樹脂の中でも、防湿特性や機械的強度の点で、ポリエチレン、ポリプロピレンが好ましい。
ポリプロピレンとしては、例えば、ホモポリプロピレン、ランダムポリプロピレン、ブロックポリプロピレン、長鎖分岐構造を有するポリプロピレン及び酸変性ポリプロピレン、メタロセン系ポリプロピレン等が挙げられる。
ホモポリプロピレンは、プロピレンの単独重合体である。ランダムポリプロピレンは、不規則に導入された少量(好ましくは4.5重量%以下)のエチレン単位を含有する共重合体である。ブロックポリプロピレンは、ホモポリプロピレンの中にエチレンプロピレンゴム(EPR)が分散している組成物であり、ホモポリプロピレンの「海」の中にEPRを含む「島」が浮かぶ「海島構造」を有している。長鎖分岐構造を有するポリプロピレンとしては、特開2001−253910号公報等に記載されたポリプロピレン等が挙げられる。酸変性ポリプロピレンは、カルボキシル基を導入したポリプロピレンであり、無水マレイン酸等の不飽和カルボン酸とポリプロピレンとを有機過酸化物の存在下で反応する等の公知の方法で反応して得ることができる。メタロセン系ポリプロピレンは、メタロセン触媒により重合されたエチレンとプロピレンとのランダム共重合体である。
変性ポリオレフィンとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン又はこれらの共重合体に極性官能基を導入したものが挙げられ、極性官能基としては、カルボキシル基、1,3−ジオキソ−2−オキサプロピレン基、ヒドロキシル基、アミノ基、アミド基及びイミド基等が挙げられる。
ポリエチレン、ポリプロピレン又はこれらの共重合体に極性官能基を導入した変性ポリオレフィンの例としては、三井化学株式会社製アドマーシリーズ等が市販されている。
これらのポリオレフィンの中でも、結晶性が高いポリオレフィンがより好ましい。
結晶化度が高い樹脂としては、例えば、ホモポリプロピレン、ブロックポリプロピレン、高密度ポリエチレン(HDPE)、メタロセン系ポリプロピレン等が挙げられる。
結晶化度が異なる2種以上の樹脂を含む混合物としては、例えば、ホモポリプロピレン、ブロックポリプロピレン、高密度ポリエチレン(HDPE)、メタロセン系ポリプロピレンからなる群より選ばれる少なくとも2種以上の混合物が好ましい。
樹脂(P)が結晶化度の異なる2種以上の樹脂を含む混合物である場合、導電性炭素フィラーが導電パスを好適に形成することができる観点から、樹脂(P)に含まれる結晶化度が最小の樹脂を樹脂(p1)とし、結晶化度が最大の樹脂を樹脂(p2)としたときに、樹脂(p1)と樹脂(p2)の結晶化度の差が5〜18であることが好ましく、10〜18であることがより好ましい。
樹脂(P)を構成する樹脂としては、例えば、以下のものが市場から入手できる。
ホモポリプロピレン:「サンアロマーPM600A:結晶化度44」、「サンアロマーPM900A:結晶化度47」いずれもサンアロマー(株)製
ブロックポリプロピレン:「クオリアCM688A:結晶化度34」、「サンアロマーPC684S:結晶化度37」、「サンアロマーPM854X:結晶化度39」いずれもサンアロマー(株)製
高密度ポリエチレン(HDPE):「サンテックB680:結晶化度52」、「サンテックA260:結晶化度60」いずれも旭化成ケミカルズ(株)製
ランダムポリプロピレン:「サンアロマーPC630A:結晶化度31」サンアロマー(株)製、「サンアロマーPB222A:結晶化度25、」サンアロマー(株)製
メタロセン系ポリプロピレン:「ウィンテックWFX6:結晶化度40」日本ポリプロ(株)製
樹脂(P)としては、上記樹脂から結晶化度が31〜50になるようなものを適宜選択して用いることができ、これらのうち好ましい組合せは、結晶化度が30〜40の樹脂と、結晶化度が45〜55の樹脂を30:70〜70:30の重量比で混合したものである。
樹脂集電体に含まれる樹脂(P)の含有量は、樹脂集電体の強度の観点から、樹脂集電体100重量部中30〜60重量%であることが好ましい。
樹脂集電体は、導電性フィラーを含む。
導電性フィラーとしては、導電性を有する材料から選択されるが、集電体内のイオン透過を抑制する観点から、電荷移動媒体として用いられるイオンに関して伝導性を有さない材料を用いるのが好ましい。ここで、電荷移動媒体として用いられるイオンとは、例えばリチウムイオン電池であればリチウムイオンである。
導電性フィラーの材質としては、金属[ニッケル、アルミニウム、ステンレス(SUS)、銀、銅及びチタン等]、導電性カーボン[グラファイト及びカーボンブラック(アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック、サーマルランプブラック等)等]、及びこれらの混合物等が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
これらの導電性フィラーは1種単独で用いられてもよいし、2種以上併用してもよい。また、これらの合金又は金属酸化物が用いられてもよい。電気的安定性の観点から、好ましくは導電性カーボン、ニッケル、アルミニウム、ステンレス、銀、銅、チタン及びこれらの混合物であり、より好ましくは導電性カーボン、ニッケル、銀、アルミニウム及びステンレスであり、さらに好ましくは導電性カーボン及びニッケルである。また、これらの導電性フィラーは、粒子系セラミック材料や樹脂材料の周りに導電材料(上記した導電性フィラーのうち金属のもの)をめっき等でコーティングしたものでもよい。
樹脂集電体中の導電性フィラーの含有量は、導電性の観点から、樹脂集電体100重量部中5〜90重量部であることが好ましく、20〜80重量部であることがより好ましい。
特に、導電性フィラーが導電性カーボンである場合、導電性カーボンの含有量は、樹脂(P)及び導電性カーボンの合計重量に基づいて20重量%以上、30重量%以下であることが好ましい。この場合、正極用樹脂集電体として用いることが好ましい。
導電性フィラーの形状(形態)は、粒子形態に限られず、粒子形態以外の形態であってもよく、カーボンナノチューブ等、いわゆるフィラー系導電性材料として実用化されている形態であってもよい。
本明細書において、「粒子径」とは、導電性フィラーの輪郭線上の任意の2点間の距離のうち、最大の距離Lを意味する。「平均粒子径」の値としては、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、数〜数十視野中に観察される粒子の粒子径の平均値として算出される値を採用するものとする。
本発明の樹脂集電体には、本発明の効果を損なわない範囲において、樹脂(P)及び導電性フィラーの他に、その他の成分(分散剤、架橋促進剤、架橋剤、着色剤、紫外線吸収剤、可塑剤)等を適宜添加することができる。
本発明の樹脂集電体の厚さは特に限定されないが、5〜400μmであることが好ましい。
本発明の樹脂集電体は、公知の方法で製造することができるが、例えば、以下の方法で製造することができる。
まず、樹脂(P)と導電性フィラー、及び、必要に応じてその他の成分を混合することにより、樹脂集電体用材料を得る。混合の方法としては、導電性フィラーのマスターバッチを得てからさらに樹脂(P)と混合する方法、樹脂(P)、導電性フィラー、及び、必要に応じてその他の成分のマスターバッチを用いる方法、及び、全ての原料を一括して混合する方法等があり、その混合にはペレット状又は粉体状の成分を適切な公知の混合機、例えばニーダー、インターナルミキサー、バンバリーミキサー及びロール等を用いることができる。
混合時の各成分の添加順序には特に限定はない。得られた混合物は、さらにペレタイザーなどによりペレット化又は粉末化してもよい。
得られた樹脂集電体用材料を例えばフィルム状に成形することにより、本発明の樹脂集電体が得られる。フィルム状に成形する方法としては、Tダイ法、インフレーション法及びカレンダー法等の公知のフィルム成形法が挙げられる。なお、本発明の樹脂集電体は、フィルム成形以外の成形方法によっても得ることができる。
本発明のリチウムイオン電池用電極において、樹脂集電体は電解液溶媒に対する膨潤率が0.1%以下であることが好ましく、0.0%であることがより好ましい。
膨潤率が0.1%以下であると、本発明のリチウムイオン電池用電極に充分な耐久性を付与することができる。
なお、樹脂集電体の膨潤率は、以下の方法により測定することができる。
樹脂(P)及び導電性フィラーを含む樹脂集電体用材料を、水平なガラス板上に塗布して室温で半日自然乾燥を行う。次に80℃に加熱した減圧乾燥機中に3時間静置する。その後、室温まで冷却し、10×40×0.2mmの寸法に切り出した樹脂集電体用材料を試験片とする。この試験片を、リチウムイオン電池用電極を製造する際に用いる電解液に50℃で3日間浸漬させて飽和吸液状態の樹脂集電体材料を準備する。
試験片の吸液前後の重量変化から下記式によって膨潤率を求めることができる。
膨潤率[%]=[(吸液後の試験片重量−吸液前の試験片重量)/吸液前の試験片重量]×100
本発明のリチウムイオン電池用電極は電極活物質を備える。
電極活物質としては、正極活物質又は負極活物質を用いることができる。
正極活物質としては、公知のリチウムイオン電池用正極活物質が使用でき、リチウムと遷移金属との複合酸化物{遷移金属が1種である複合酸化物(LiCoO、LiNiO、LiAlMnO、LiMnO及びLiMn等)、遷移金属元素が2種である複合酸化物(例えばLiFeMnO、LiNi1−xCo、LiMn1−yCo、LiNi1/3Co1/3Al1/3及びLiNi0.8Co0.15Al0.05)及び金属元素が3種類以上である複合酸化物[例えばLiMM’M’’(M、M’及びM’’はそれぞれ異なる遷移金属元素であり、a+b+c=1を満たす。例えばLiNi1/3Mn1/3Co1/3)等]等}、リチウム含有遷移金属リン酸塩(例えばLiFePO、LiCoPO、LiMnPO及びLiNiPO)、遷移金属酸化物(例えばMnO及びV)、遷移金属硫化物(例えばMoS及びTiS)及び導電性高分子(例えばポリアニリン、ポリフッ化ビニリデン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン及びポリ−p−フェニレン及びポリビニルカルバゾール)等が挙げられ、2種以上を併用してもよい。
なお、リチウム含有遷移金属リン酸塩は、遷移金属サイトの一部を他の遷移金属で置換したものであってもよい。
正極活物質の体積平均粒子径は、電池の電気特性の観点から、0.01〜100μmであることが好ましく、0.1〜35μmであることがより好ましく、2〜30μmであることがさらに好ましい。
負極活物質としては、公知のリチウムイオン電池用負極活物質が使用でき、炭素系材料[黒鉛、難黒鉛化性炭素、アモルファス炭素、樹脂焼成体(例えばフェノール樹脂及びフラン樹脂等を焼成し炭素化したもの等)、コークス類(例えばピッチコークス、ニードルコークス及び石油コークス等)及び炭素繊維等]、珪素系材料[珪素、酸化珪素(SiOx)、珪素−炭素複合体(炭素粒子の表面を珪素及び/又は炭化珪素で被覆したもの、珪素粒子又は酸化珪素粒子の表面を炭素及び/又は炭化珪素で被覆したもの並びに炭化珪素等)及び珪素合金(珪素−アルミニウム合金、珪素−リチウム合金、珪素−ニッケル合金、珪素−鉄合金、珪素−チタン合金、珪素−マンガン合金、珪素−銅合金及び珪素−スズ合金等)等]、導電性高分子(例えばポリアセチレン及びポリピロール等)、金属(スズ、アルミニウム、ジルコニウム及びチタン等)、金属酸化物(チタン酸化物及びリチウム・チタン酸化物等)及び金属合金(例えばリチウム−スズ合金、リチウム−アルミニウム合金及びリチウム−アルミニウム−マンガン合金等)等及びこれらと炭素系材料との混合物等が挙げられる。
上記負極活物質のうち、内部にリチウム又はリチウムイオンを含まないものについては、予め負極活物質の一部又は全部にリチウム又はリチウムイオンを含ませるプレドープ処理を施してもよい。
これらの中でも、電池容量等の観点から、炭素系材料、珪素系材料及びこれらの混合物が好ましく、炭素系材料としては、黒鉛、難黒鉛化性炭素及びアモルファス炭素がさらに好ましく、珪素系材料としては、酸化珪素及び珪素−炭素複合体がさらに好ましい。
負極活物質の体積平均粒子径は、電池の電気特性の観点から、0.01〜100μmが好ましく、0.1〜20μmであることがより好ましく、2〜10μmであることがさらに好ましい。
本明細書において、電極活物質の体積平均粒子径は、マイクロトラック法(レーザー回折・散乱法)によって求めた粒度分布における積算値50%での粒径(Dv50)を意味する。マイクロトラック法とは、レーザー光を粒子に照射することによって得られる散乱光を利用して粒度分布を求める方法である。なお、体積平均粒子径の測定には、日機装(株)製のマイクロトラック等を用いることができる。
本発明のリチウムイオン電池用電極は、樹脂集電体に導電助剤を含むことが好ましい。
導電助剤としては、導電性を有する材料から選択される。
具体的には、金属[ニッケル、アルミニウム、ステンレス(SUS)、銀、銅及びチタン等]、カーボン[グラファイト及びカーボンブラック(アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック、サーマルランプブラック等)等]、及びこれらの混合物等が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
これらの導電助剤は1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。また、これらの合金又は金属酸化物を用いてもよい。電気的安定性の観点から、好ましくはアルミニウム、ステンレス、カーボン、銀、銅、チタン及びこれらの混合物であり、より好ましくは銀、アルミニウム、ステンレス及びカーボンであり、さらに好ましくはカーボンである。またこれらの導電助剤としては、粒子系セラミック材料や樹脂材料の周りに導電性材料(上記した導電助剤の材料のうち金属のもの)をめっき等でコーティングしたものでもよい。
導電助剤の平均粒子径は、特に限定されるものではないが、電池の電気特性の観点から、0.01〜10μmであることが好ましく、0.02〜5μmであることがより好ましく、0.03〜1μmであることがさらに好ましい。なお、本明細書中において、「粒子径」とは、導電助剤の輪郭線上の任意の2点間の距離のうち、最大の距離Lを意味する。「平均粒子径」の値としては、走査型電子顕微鏡(SEM)や透過型電子顕微鏡(TEM)等の観察手段を用い、数〜数十視野中に観察される粒子の粒子径の平均値として算出される値を採用するものとする。
導電助剤の形状(形態)は、粒子形態に限られず、粒子形態以外の形態であってもよく、カーボンナノチューブ等、いわゆるフィラー系導電助剤として実用化されている形態であってもよい。
導電助剤は、その形状が繊維状である導電性繊維であってもよい。
導電性繊維としては、PAN系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維等の炭素繊維、合成繊維の中に導電性のよい金属や黒鉛を均一に分散させてなる導電性繊維、ステンレス鋼のような金属を繊維化した金属繊維、有機物繊維の表面を金属で被覆した導電性繊維、有機物繊維の表面を、導電性物質を含む樹脂で被覆した導電性繊維等が挙げられる。これらの導電性繊維の中では炭素繊維が好ましい。また、グラフェンを練りこんだポリプロピレン樹脂も好ましい。
導電助剤が導電性繊維である場合、その平均繊維径は0.1〜20μmであることが好ましい。
電極活物質は、その表面の少なくとも一部が高分子化合物を含む被覆層により被覆された被覆活物質であってもよい。
電極活物質の周囲が被覆層で被覆されていると、電極の体積変化が緩和され、電極の膨張を抑制することができる。さらに、被覆活物質の電解液に対する濡れ性を向上させることができ、電極が有する被覆活物質に電解液を吸収させる工程に掛かる時間の短縮が可能になる。
なお、電極活物質として正極活物質を使用した場合の被覆活物質を被覆正極活物質といい、また電極活物質として負極活物質を使用した場合の被覆活物質を被覆負極活物質という。
被覆層を構成する高分子化合物としては、特開2017−054703号公報に非水系二次電池活物質被覆用樹脂として記載されたものを好適に用いることができる。
被覆層は、上述の樹脂集電体に含むことが好ましい導電助剤と同じ導電性を有する材料を含んでも良く、好ましいものとしてはカーボンがあげられる。
電極活物質として被覆活物質を用いる場合には、例えば、電極活物質を万能混合機に入れて30〜500rpmで撹拌した状態で、被覆層を構成する高分子化合物を含む樹脂溶液を1〜90分かけて滴下混合し、さらに必要に応じて導電助剤を混合し、撹拌したまま50〜200℃に昇温し、0.007〜0.04MPaまで減圧した後に10〜150分保持することにより被覆活物質を得ることができる。
以下、本発明のリチウムイオン電池用電極を製造する方法について説明する。
本発明のリチウムイオン電池用電極は、例えば、樹脂集電体上に電極活物質を含む電極活物質層を形成し、必要に応じて加圧等を行うことにより製造することができる。
なお、電極活物質として正極活物質を使用した電極活物質層を正極活物質層ともいい、電極活物質として負極活物質を使用した電極活物質層を負極活物質層ともいい、また電極活物質層として被覆正極活物質を使用した電極活物質層を被覆正極活物質層ともいい、電極活物質層として被覆負極活物質を使用した電極活物質層を被覆負極活物質層ともいう。
電極活物資層には被覆活物質が有する被覆層が含んでいても良い導電性を有する材料とは別に、上述の樹脂集電体に含むことが好ましい導電助剤と同じ導電性を有する材料を含んでも良く、好ましいものも同じである。
樹脂集電体上に電極活物質層を形成する方法としては、例えば、被覆活物質を、溶媒の重量に基づいて30〜60重量%の濃度で分散した分散液を、樹脂集電体上にバーコーター等の塗工装置で塗布後、不織布を活物質上に静置して吸液すること等で、溶媒を除去し、必要によりプレス機でプレスする方法が挙げられる。
なお、被覆活物質の分散液を乾燥させて得られる電極活物質層は、樹脂集電体上に直接形成する必要はなく、例えば、アラミドセパレータ等の表面に上記分散液を塗布し乾燥して得られる層状物(電極活物質層)を樹脂集電体上に積層することでも得られる。電極活物質層が被覆活物質の分散液を乾燥させて得られた電極活物質層である場合、得られた電極活物質層に電解液を添加することで本発明のリチウムイオン電池用電極を製造することができる。
また、電極活物質層を形成する際に、被覆活物質を、電解液の重量に基づいて30〜60重量%の濃度で電解液に分散した分散液を、樹脂集電体上にバーコーター等の塗工装置で塗布後、必要により不要な電解液の吸液やプレスを行うことでも本発明のリチウムイオン電池用電極を製造することもできる。
電極活物質と被覆層を構成する高分子化合物との配合割合は特に限定されるものではないが、重量比率で電極活物質:高分子化合物=1:0.001〜0.1であることが好ましい。
被覆活物質を分散する溶媒としては、1−メチル−2−ピロリドン、メチルエチルケトン、DMF、ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン及びテトラヒドロフラン、上述した電解液等を用いることができる。
本発明のリチウムイオン電池用電極を用いたリチウムイオン電池は、対極となる電極を組み合わせて、セパレータと共にセル容器に収納し、電解液を注入し、セル容器を密封することで得られる。
また、樹脂集電体の一方の面に正極を形成し、もう一方の面に負極を形成してバイポーラ(双極)型電極を作製し、バイポーラ(双極)型電極をセパレータと積層してセル容器に収納し、電解液を注入し、セル容器を密封することでも得られる。
また、本発明のリチウムイオン電池用電極を正極及び負極のいずれか一方に備えてもよいが、本発明のリチウムイオン電池用電極を正極及び負極に備えることが好ましい。
このような、セパレータを有し、本発明のリチウムイオン電池用電極を正極及び負極に備えるリチウムイオン電池もまた、本発明の一態様である。
本発明のリチウムイオン電池においてセパレータは、製造効率の観点から、ポリオレフィン多孔質膜からなるシート状のセパレータ本体と、上記セパレータ本体の外周に沿って環状に配置される枠状部材とからなり、上記枠状部材は、耐熱性環状支持部材と、上記耐熱性環状支持部材の表面に配置される、正極集電体又は負極集電体と熱圧着が可能なシール層とからなることが好ましい。
本発明のリチウムイオン電池において好ましいセパレータの構成を図1(a)及び図1(b)を用いて説明する。
図1(a)はセパレータの一例を模式的に示す斜視図であり、図1(b)は、図1(a)におけるA−A線断面図である。
図1(a)に示すように、リチウムイオン電池用セパレータ1は、平板状のセパレータ本体10と、セパレータ本体10の外周に沿って環状に配置される枠状部材20とからなる。
また、図1(a)及び図1(b)に示すように、枠状部材20の外形寸法はセパレータ本体10の外形寸法よりも大きいため、セパレータ本体10の側面は枠状部材20により覆われている。
続いて、本発明のリチウムイオン電池において好ましいセパレータを構成する枠状部材の構成について、図2を用いて説明する。
図2は、セパレータを構成する枠状部材の構成の例を模式的に示す断面図である。
セパレータを構成する枠状部材(20)は、図2に示すように、耐熱性環状支持部材21と、その表面に配置される正極集電体又は負極集電体と熱圧着が可能なシール層22で構成されている。
図2に示すように、枠状部材20を構成するシール層22は、正極集電体と熱圧着が可能な第1シール層22aと、負極集電体と熱圧着が可能な第2シール層22bから構成されていてもよく、枠状部材20が、第1シール層22aと第2シール層22bの間に耐熱性環状支持部材21が配置された積層体であってもよい。なお、図2に示す枠状部材では、セパレータ本体の記載を省略しているが、セパレータ本体が配置される位置は特に限定されない。
本発明のリチウムイオン電池において好ましいセパレータでは、セパレータ本体の外周に沿って環状に配置された枠状部材がセパレータ本体を支持しているため、セパレータ本体単独の場合と比較して取扱性に優れる。さらに、セパレータ本体が熱変形を起こすような条件に晒された場合であっても、耐熱性環状支持部材がその形状を保持することで、セパレータ本体の熱変形を抑制することができる。また、枠状部材が配置されているのはセパレータ本体の外周部のみであるため、正極活物質層及び負極活物質層の間に挟まれるセパレータ本体の厚さは薄いままで維持され、電極間のイオン抵抗を増加させるものではない。従って、本発明のリチウムイオン電池において好ましいセパレータでは、セパレータの厚さを変えることなく、優れた取扱性と熱変形の抑制とを両立させることができる。そして、耐熱性環状支持部材の表面に形成されたシール層がセパレータと集電体との接着を可能とするため、セパレータと集電体とを接着する際に、別途接着剤を準備する必要がなく、製造工程を簡素化することができる。
耐熱性環状支持部材の表面とは、耐熱性環状支持部材の集電体と対向する面を指すが、それ以外の面(例えば耐熱性環状支持部材の外側面や内側面)にもシール層が配置されていてもよい。すなわち、シール層は、耐熱性環状支持部材のうち集電体と対向する面だけに配置されていてもよく、それ以外の面にも配置されていてもよい。
耐熱性環状支持部材は、溶融温度が200℃以上である耐熱性樹脂組成物を含んでいることが望ましい。
耐熱性感状支持部材が、溶融温度が200℃以上である耐熱性樹脂組成物を含むことで、枠状部材が熱に対してより変形しにくくなる。
耐熱性樹脂組成物の溶融温度(単に融点ともいう)は、JIS K7121−1987に準拠して示差走査熱量測定によって測定される。
耐熱性樹脂組成物を構成する樹脂としては、熱硬化性樹脂(エポキシ樹脂及びポリイミド等)、エンジニアリング樹脂[ポリアミド(ナイロン6 溶融温度:約230℃、ナイロン66 溶融温度:約270℃等)、ポリカーボネート(PCともいう 溶融温度:約150℃)及びポリエーテルエーテルケトン(PEEKともいう 溶融温度:約330℃)等]及び高融点熱可塑性樹脂{ポリエチレンテレフタレート(PETともいう 溶融温度:約250℃)、ポリエチレンナフタレート(PENともいう 溶融温度:約260℃)及び高融点ポリプロピレン(溶融温度:約160〜170℃)等}等が挙げられる。
なお、高融点熱可塑性樹脂とは、JIS K7121−1987に準拠して示差走査熱量測定によって測定される溶融温度が150℃以上の熱可塑性樹脂を指す。
耐熱性樹脂組成物は、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、高融点ポリプロピレン、ポリカーボネート及びポリエーテルエーテルケトンからなる群から選択される少なくとも1種の樹脂を含むことが望ましい。
耐熱性樹脂組成物はフィラーを含んでいてもよい。
耐熱性樹脂組成物がフィラーを含むことで、溶融温度を向上させることができる。
上記フィラーとしては、ガラス繊維等の無機フィラー及び炭素繊維等が挙げられる。
フィラーを含む耐熱性樹脂組成物としては、ガラス繊維に硬化前のエポキシ樹脂を含浸させて硬化させたもの(ガラスエポキシともいう)及び炭素繊維強化樹脂などが挙げられる。
本発明のリチウムイオン電池において好ましいセパレータでは、構成する枠状部材が第1シール層と第2シール層の間に耐熱性環状支持部材が配置された積層体であったとしても、該積層体はセパレータを構成するセパレータ本体の外周部に沿って配置されているに過ぎない。すなわち、セパレータの中央部は、積層構造を有しない。従って、電池の内部抵抗を低下させることができる。
本発明のリチウムイオン電池において好ましいセパレータでは、枠状部材を構成するシール層は単層構造であってもよく、複層構造であってもよい。
すなわち、シール層は、正極集電体と熱圧着が可能な第1シール層と、負極集電体と熱圧着が可能な第2シール層とからなっていてもよい。
シール層を構成する材料は、樹脂集電体と熱圧着が可能であればよく、例えばポリオレフィンを含むことが望ましい。
シール層を構成するポリオレフィンとしては、例えば、市販のポリオレフィン系ホットメルト接着樹脂[三井化学(株)製アドマー及び東ソー(株)製メルセン等]及び低融点ポリエチレン等が挙げられる。
またシール層が複層構造である場合、第1シール層と第2シール層を構成する材料は同じであってもよく、異なっていてもよい。
なお、低融点ポリエチレンとは、JIS K7121−1987に準拠して示差走査熱量測定によって測定される溶融温度が150℃未満のポリエチレンを指し、熱圧着時におけるセパレータ本体の温度上昇を抑制する観点から、シール層に用いる低融点ポリエチレンの溶融温度は100℃以下が好ましい。なお、本発明のリチウムイオン電池において好ましいセパレータに用いることのできる低融点ポリエチレンには、市販の低密度ポリエチレン樹脂及び高密度ポリエチレン樹脂等が含まれる。
本発明のリチウムイオン電池において好ましいセパレータでは、枠状部材の厚さは特に限定されないが、60〜600μmであることが望ましい。
本発明のリチウムイオン電池において好ましいセパレータでは、シール層の厚さは特に限定されないが、合計で10〜100μmであることが望ましい。
シール層の厚さが10〜100μmであると、集電体との接着性が良好となり好ましい。
本発明のリチウムイオン電池において好ましいセパレータでは、耐熱性環状支持部材の厚さは特に限定されないが、50〜500μmであることが望ましい。
耐熱性環状支持部材の厚さが50〜500μmであると、熱変形しにくくなり好ましい。
耐熱性環状支持部材は2層以上で構成されていてもよく、耐熱性環状支持部材が2層以上で構成されている場合には、耐熱性環状支持部材同士の間に、セパレータ本体が配置されていてもよい。
本発明のリチウムイオン電池において好ましいセパレータでは、セパレータ本体と枠状部材とを接合する方法は特に限定されないが、接着剤により接合されていてもよいし、正極集電体又は負極集電体と熱圧着が可能なシール層の一部を用いて接合されていてもよい。
接着剤としては、上述した市販のポリオレフィン系ホットメルト接着樹脂及び低融点ポリエチレン等が挙げられる。
また、枠状部材の原料を溶融させた状態でセパレータ本体上に塗布した後冷却する等の方法により、セパレータ本体上で直接枠状部材を作製することによっても、セパレータ本体と枠状部材とを接合させることができる。
本発明のリチウムイオン電池において好ましいセパレータでは、ポリオレフィン多孔質膜からなるシート状のセパレータ本体の厚さは特に限定されないが、10〜1000μmであることが望ましい。
本発明のリチウムイオン電池において好ましいセパレータでは、セパレータ本体としては、多孔質ポリオレフィンからなる公知のリチウムイオン電池用セパレータ[旭化成(株)製ハイポア、旭化成(株)製セルガード及び宇部興産(株)製ユーポア等]を用いることができる。
本発明のリチウムイオン電池において好ましいセパレータでは、平面視形状は特に限定されないが、三角形、四角形、五角形等の多角形や、円形、楕円形等が挙げられる。
本発明のリチウムイオン電池において好ましいセパレータを構成するセパレータ本体及び枠状部材の形状は、上述した樹脂集電体(正極集電体及び負極集電体)の形状並びに電池外装体等の形状にあわせて調整すればよい。
上面視におけるセパレータ本体の外形寸法は、セパレータ本体と枠状部材との接続の関係から、枠状部材の内形寸法よりも大きく、枠状部材の外形寸法以下であることが望ましい。
上記条件を満たすセパレータ本体の外形寸法は、例えば、枠状部材の内形寸法よりも大きく外形寸法よりも小さい寸法、枠状部材の外形寸法と同一の寸法が挙げられるが、これらの中では、枠状部材の内形寸法よりも大きく外形寸法よりも小さい寸法がより望ましい。
セパレータ本体の外形寸法が、枠状部材の内形寸法よりも大きく外形寸法よりも小さいと、セパレータ本体と枠状部材とが充分な面積で接合されるため、シール時の熱応力によってセパレータ本体から枠状部材が剥離することがない。
一方、セパレータ本体の外形寸法が枠状部材の外形寸法よりも大きいと、枠状部材から外側に向かってセパレータ本体がはみ出すため、リチウムイオン電池を製造する際に不要な空間となってしまい、エネルギー密度の低下を招くことがある。また、セパレータ本体の外形寸法が枠状部材の外形寸法と同一であると、リチウムイオン電池用セパレータの側面にセパレータ本体が露出することとなるため、セパレータ本体からの電解液の漏れなどを防ぐために、別途対策が必要となることがある。
本発明のリチウムイオン電池において好ましいセパレータでは、セパレータ本体と枠状部材との位置関係は、特に限定されず、例えば、第1シール層の表面(耐熱性環状支持部材とは反対側)にセパレータ本体が配置されていてもよく、第1シール層と耐熱性環状支持部材との間にセパレータ本体が配置されていてもよく、耐熱性環状支持部材の中間(第1耐熱性環状支持部材と第2耐熱性環状支持部材との間)にセパレータ本体が配置されていてもよく、耐熱性環状支持部材と第2シール層との間にセパレータ本体が配置されていてもよく、第2シール層の表面(耐熱性環状支持部材とは反対側)に配置されていてもよい。第1シール層の表面(耐熱性環状支持部材とは反対側)にセパレータ本体が配置される場合及び第2シール層の表面(耐熱性環状支持部材とは反対側)にセパレータ本体が配置される場合、枠状部材の全部がセパレータ本体の片側だけに配置されることとなる。
リチウムイオン電池用セパレータの取扱性を考慮すると、セパレータ本体が耐熱性環状支持部材と直接接触していることが望ましく、耐熱性環状支持部材の中間(第1耐熱性環状支持部材と第2耐熱性環状支持部材との間)にセパレータ本体が配置されていることがより望ましい。
本発明のリチウムイオン電池において好ましいセパレータについて、セパレータ本体と枠状部材を構成する各層(第1シール層、第2シール層及び耐熱性環状支持部材)との位置関係について、図3を用いて説明する。
図3では、セパレータ本体10は、耐熱性環状支持部材21を構成する第1耐熱性環状支持部材21aと第2耐熱性環状支持部材21bとの間に配置されている。
セパレータ本体10の位置については、特に限定されず、例えば、第1シール層22aのみと接するように配置されていてもよく、第1シール層22aと耐熱性環状支持部材21との間に配置されていてもよく、耐熱性環状支持部材21と第2シール層22bとの間に配置されていてもよく、第2シール層22bのみと接するように配置されてもよい。
また、セパレータ本体の外形寸法は、特に限定されず、枠状部材の内形寸法よりも大きくてもよく、外形寸法よりも小さくてもよい。
[リチウムイオン電池用セパレータを製造する方法]
本発明のリチウムイオン電池において好ましいセパレータを製造する方法は特に限定されないが、例えば、板状のセパレータ本体と枠状部材を別々に作製して組み合わせる方法や、板状のセパレータ本体の表面に枠状部材を構成する各層を順次積層する方法などが挙げられる。
セパレータ本体の外周に枠状部材を配置する方法としては、枠状部材を構成する各層に用いる材料を、それぞれフィルム状に成形して、さらに所定の形状に切断した後、必要に応じて接着剤等によりセパレータ本体の外周にそれぞれ接着する方法、枠状部材の各層を構成するフィルムを所定の形状に切断した後、加熱溶融してセパレータ本体の外周にそれぞれ接着する方法、枠状部材を構成する各層の積層体を多層フィルムとした後、セパレータ本体に接着する方法等が挙げられる。接着剤としては、上述した市販のポリオレフィン系ホットメルト接着樹脂及び低融点ポリエチレン等が挙げられる。
各層を構成する材料をフィルム状に成形する方法は特に限定されないが、例えば、インフレーション法、T−ダイ法、溶液流延法、カレンダー法などが挙げられる。これらの方法で得られたフィルムは、必要に応じて延伸などを行ってもよい。延伸は、一軸延伸であってもよく、二軸延伸であってもよい。また、市販のフィルムを所定の形状に切断して用いてもよい。
枠状部材の各層を構成するフィルムを加熱溶融してセパレータ本体の外周に接着する場合、公知の熱圧着装置[加熱ロール及びヒートシーラー(インパルスシーラー等)等]を用いることができる。また、セパレータ本体の熱変形を抑える観点から、枠状部材を配置する部分のみを加熱して圧着することが好ましく、枠状部材となる部分だけをヒートシーラー(インパルスシーラー等)により加熱圧着することがより好ましい。
セパレータ本体上に直接枠状部材を構成する各層を順次積層する方法としては、例えば、セパレータ本体の一方の面に耐熱性環状支持部材となる原料溶液を塗布して乾燥することで耐熱性環状支持部材を形成し、さらに上記耐熱性環状支持部材の面上に第1シール層となる原料溶液を塗布して乾燥させる。続いて、セパレータ本体を回転させて、第1シール層が形成されていない側の面に対して、第1シール層と同様の手順で、耐熱性環状支持部材及び第2シール層を積層する方法が挙げられる。
耐熱性環状支持部材、第1シール層及び第2シール層の大きさ及び配置については、得たいリチウムイオン電池用セパレータにおける枠状部材とセパレータ本体との位置にあわせて適宜調整することができる。
本発明のリチウムイオン電池では、セパレータとして、ポリエチレン又はポリプロピレン製の多孔性フィルム、多孔性ポリエチレンフィルムと多孔性ポリプロピレンとの積層フィルム、合成繊維(ポリエステル繊維及びアラミド繊維等)又はガラス繊維等からなる不織布、及びそれらの表面にシリカ、アルミナ、チタニア等のセラミック微粒子を付着させたもの等の公知のリチウムイオン電池用のセパレータを用いることもできる。
[リチウムイオン電池の製造方法]
続いて、本発明のリチウムイオン電池において好ましいセパレータを用いてリチウムイオン電池を製造する方法について説明する。例えば、図4(a)〜図4(g)に示す工程により行われる。
図4(a)〜図4(g)は、本発明のリチウムイオン電池を製造する方法の一例を模式的に示す説明図である。
図4(a)に示すように、正極集電体40の一方の面に、上述した電解液と正極活物質と混合した正極活物質スラリー30aを塗工する。この工程により、図4(b)に示すように、正極集電体40の一方の面に正極活物質層30が形成された正極50を得ることができる。
その一方で、図4(c)に示すように、負極集電体41の一方の面に、上述した電解液と負極活物質スラリー31aを塗工する。この工程により、図4(d)に示すように、負極集電体41の一方の面に負極活物質層31が形成された負極51を得ることができる。
その後、図4(e)に示すように、正極50の正極活物質層30が形成された面を上にし、セパレータ本体10及び枠状部材20によって形成されたリチウムイオン電池用セパレータ1を重ねる。
次いで、図4(f)に示すように、リチウムイオン電池用セパレータ1を反転させて、負極51の負極活物質層31が形成された面の上に重ねる。
図4(a)〜図4(f)に示す工程を経ることにより、図4(g)に示すリチウムイオン電池100が得られる。
なお、正極50又は負極51と、リチウムイオン電池用セパレータ1とを組み合わせる際には、シール層22(枠上部材20と、正極集電体40又は負極集電体41とが接する部分)の3辺をヒートシールした後、残った1辺を真空シールして接着することが好ましい。
図4(g)に示すリチウムイオン電池100は電池外装体に収容されていないが、必要に応じて電池外装体に収容してもよい。また、電池外装体に収容する際には、複数個のリチウムイオン電池100を直列又は並列に積層してもよい。
なお、本発明のリチウムイオン電池では、正極集電体40及び負極集電体41のうち少なくとも一方が上述した樹脂(P)を用いた樹脂集電体である。正極集電体40及び負極集電体41のうち一方が上述した樹脂(P)を用いた樹脂集電体であれば、他方の集電体は公知の集電体であってもよい。
公知の集電体としては、銅、アルミニウム、チタン、ステンレス鋼及びニッケル等の金属箔、上述した樹脂(P)を含まない樹脂集電体、導電性炭素シート及び導電性ガラスシート等が挙げられる。
図4(g)に示すリチウムイオン電池100を電池外装体に収容した例を、図5を用いて説明する。
図5は、本発明のリチウムイオン電池の一例を模式的に示す説明図である。
図5に示すリチウムイオン電池100’では、図4(g)に示すリチウムイオン電池100が、電池外装体である正極外装体150及び負極外装体151により覆われている。
正極外装体150及び負極外装体151は、対応する集電体(正極集電体40及び負極集電体41)とそれぞれ電気的に接続されている。一方で、互いの電池外装体と接触する部分には絶縁性の樹脂層(図示しない)が形成されており、正極外装体150と負極外装体151とは絶縁されている。
本発明のリチウムイオン電池は、耐久性及び充放電特性の観点から、電気抵抗値増加率が100%以下であることが好ましく、90%以下であることがより好ましい。
なお、電気抵抗値増加率は、以下の方法により求めることができる。
室温下、充放電測定装置「バッテリーアナライザー1470型」[東陽テクニカ(株)製]を用いて、0.2Cの電流で4.2Vまで充電し、10分間の休止後、0.2Cの電流で2.5Vまで放電し、この充放電を100サイクル繰り返す。
リチウムイオン電池の電気抵抗値は、放電開始から10秒後の値から算出する。
電気抵抗値=[{放電開始10秒後の電圧(V)−放電開始時の電圧(V)}/{放電開始10秒後の電流(A)−放電開始時の電流(A)}]
電気抵抗値増加率(%)=[100サイクル後の電気抵抗値(Ω)−初期電気抵抗値(Ω)]÷初期電気抵抗値(Ω)×100]
本発明のリチウムイオン電池は、充放電特性の観点から、容量維持率が50%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましい。
なお、容量維持率は、以下の方法により求めることができる。
室温下、充放電測定装置「バッテリーアナライザー1470型」[東陽テクニカ(株)製]を用いて、0.2Cの電流で4.2Vまで充電し、10分間の休止後、0.2Cの電流で2.5Vまで放電し、この充放電を100サイクル繰り返す。
この時の初回充電時の電池容量(初期放電容量)と100サイクル目充電時の電池容量(100サイクル後放電容量)を測定し、下記式から放電容量維持率を算出することができる。数値が大きいほど、電池の劣化が少ないことを示す。
放電容量維持率(%)=(100サイクル後放電容量/初期放電容量)×100
次に本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明の主旨を逸脱しない限り本発明は実施例に限定されるものではない。なお、特記しない限り部は重量部、%は重量%を意味する。
<電解液の調製>
プロピレンカーボネート(PC)溶媒に、LiN(FSOを1mol/Lの割合で溶解させ、電解液(X−1)を作製した。
エチレンカーボネート(EC)とプロピレンカーボネート(PC)の混合溶媒(体積比率1:1)にLiN(FSOを1mol/Lの割合で溶解させて電解液(X−2)を作製した。
ジメチルカーボネート(DMC)溶媒に、LiN(FSOを1mol/Lの割合で溶解させ、電解液(X−3)を作製した。
以下の実施例で使用した樹脂集電体の材料は下記の通りである。
樹脂(P)
p−1:[ランダムポリプロピレン、結晶化度25、商品名「サンアロマーPB222A」、サンアロマー(株)製]
p−2:[ランダムポリプロピレン、結晶化度31、商品名「サンアロマーPC630A」、サンアロマー(株)製]
p−3:[ブロックポリプロピレン、結晶化度34、商品名「クオリアCM688A」、サンアロマー(株)製]
p−4:[ブロックポリプロピレン、結晶化度37、商品名「サンアロマーPC684S」、サンアロマー(株)製]
p−5:[ホモポリプロピレン、結晶化度47、商品名「サンアロマーPM900A」、サンアロマー(株)製]
p−6:[高密度ポリエチレン、結晶化度52、商品名「サンテックB680」、旭化成ケミカルズ(株)製]
p−7:[高密度ポリエチレン、結晶化度60、商品名「サンテックA260」、旭化成ケミカルズ(株)製]
導電性炭素フィラー
黒鉛粒子:[商品名「SNH−A1F1」、JFEケミカル(株)製]
アセチレンブラック:[商品名「デンカブラック」、デンカ(株)製]
ニッケル粉:[商品名「Nickel Powder Type255」、Vale社製]
分散剤
[商品名「ユーメックス1001(酸変性ポリプロピレン)」、三洋化成工業(株)製]
<実施例1>
〔負極樹脂集電体の作製〕
2軸押出機にて、p−4を14部、p−5を14部、ニッケル粉を70部及び分散剤2部を180℃、100rpm、滞留時間5分の条件で溶融混練して樹脂集電体用材料を得た。
得られた樹脂集電体用材料をTダイから押し出し、50℃に温調した冷却ロールで圧延することで、膜厚100μmの負極樹脂集電体を得た。
〔正極樹脂集電体の作製〕
2軸押出機にて、p−2を55部、黒鉛粒子を30部、アセチレンブラックを10部及び分散剤5部を180℃、100rpm、滞留時間5分の条件で溶融混練して樹脂集電体用材料を得た。
得られた樹脂集電体用材料をTダイから押し出し、50℃に温調した冷却ロールで圧延することで、膜厚100μmの正極樹脂集電体を得た。
[膨潤率]
樹脂集電体用材料を水平なガラス板上に塗布して室温で半日自然乾燥を行った。次に80℃に加熱した減圧乾燥機中に3時間静置した。その後、室温まで冷却した10×40×0.2mmの寸法に切り出した樹脂集電体用材料を試験片とした。この試験片を後述するリチウムイオン電池を作製する際に用いた電解液に、50℃で3日間浸漬させて飽和吸液状態の樹脂集電体材料を準備した。
試験片の吸液前後の重量変化から下記式によって膨潤率を求めた。結果を表2に示す。
膨潤率[%]=[(吸液後の試験片重量−吸液前の試験片重量)/吸液前の試験片重量]×100
膨潤率が0.1%以下である場合を○と表示し、膨潤率が0.1%を超える場合を×と表示した。
[負極活物質スラリーの作製]
電解液(X−1)36部に難黒鉛化性炭素粒子[(株)クレハ・バッテリー・マテリアルズ・ジャパン製カーボトロン(登録商標)、体積平均粒子径25μm]63部及び導電材料である炭素繊維[大阪ガスケミカル(株)製 ドナカーボ・ミルド S−243]1部を添加した後、遊星撹拌型混合混練装置{あわとり練太郎[(株)シンキー製]}を用いて2000rpmで1.5分間混合して負極活物質スラリーを作製した。
〔正極活物質スラリーの作製〕
導電性炭素フィラー[商品名デンカブラック、デンカ(株)製]1部と正極活物質粒子としてのLiNi0.8Co0.15Al0.05粉末57部を電解液(X−1)42部と混合して、正極活物質スラリーを作製した。
[セパレータ本体の製造]
平板状のセルガード2500(PP製、厚さ25μm)を14mm×14mmの正方形に切り出して、セパレータ本体とした。
[枠状部材の作製]
耐熱性環状支持部材となるポリエチレンナフタレートフィルム[帝人(株)製PENフィルム、テオネックスQ51、厚さ250μm]の両面にシール層となる接着性ポリオレフィン系樹脂フィルム[三井化学(株)製、アドマーVE300、厚さ50μm]を重ね、加熱ロールにより耐熱性環状支持部材とシール層とを接着して積層体を準備した。その後、積層体を15mm×15mmの正方形に切断し、さらに、中央の11mm×11mmの領域を打ち抜くことにより、PENからなる耐熱性環状支持部材(PEN層)とシール層とが積層され、正方形の4辺における幅が2mmとなった環状の積層体(枠状部材)を得た。
[セパレータ本体と枠状部材との接合]
枠状部材の外形寸法に基づく重心とセパレータ本体の外形寸法に基づく重心が重なるように、かつ、各枠状部材の一方のシール層(第2シール層とする)がセパレータ本体と接触するように、セパレータ本体の一方の面に枠状部材を重ね、枠状部材をインパルスシーラーで加熱することによりセパレータ本体に溶融接着して、セパレータ本体の外周に沿って片面に枠状部材が環状に配置されたリチウムイオン電池用セパレータを得た。
〔リチウムイオン電池の作製〕
正極樹脂集電体の一方の面に正極活物質スラリーを塗工して電極厚みが300μmになる正極を作製した。同様に、負極樹脂集電体の一方の面に負極活物質スラリーを塗工して電極厚みが300μmになる負極を作製した。正極の正極活物質層が形成された面を上にして、枠状セパレータを重ねた。その後、枠状セパレータを反転させて、負極の負極活物質層が形成された面の上に重ねた。枠上部材のシール層(枠上部材と、正極樹脂集電体又は負極樹脂集電体とが接する部分)の3辺をヒートシールし、残った1辺を真空シールして接着し、リチウムイオン電池を得た。
[電極強度]
正極及び負極について、電極強度を下記の巻き付け試験により評価した。
巻き付け試験は、上記リチウムイオン電池の作製における正極及び負極を直径6mmの円筒に巻き付けて、樹脂集電体から活物質が剥離するか否かを目視で観察して行った。樹脂集電体からの電極活物質層の剥離がないものを○と表示し、樹脂集電体から電極活物質層の剥離があったものを×と表示した。結果を表2に示す。
[電気抵抗値増加率]
室温下、充放電測定装置「バッテリーアナライザー1470型」[東陽テクニカ(株)製]を用いて、0.2Cの電流で4.2Vまで充電し、10分間の休止後、0.2Cの電流で2.5Vまで放電し、この充放電を100サイクル繰り返した。
リチウムイオン電池の電気抵抗値は、放電開始からの10秒値から算出した。
電気抵抗値=[{放電開始10秒後の電圧(V)−放電開始時の電圧(V)}/{放電開始10秒後の電流(A)−放電開始時の電流(A)}]
下記式から電気抵抗値増加率を算出した。結果を表2に示す。
電気抵抗値増加率(%)=[100サイクル後の電気抵抗値(Ω)−初期電気抵抗値(Ω)]÷初期電気抵抗値(Ω)×100
電気抵抗値増加率が100%以下の場合を〇と表示し、100%を超える場合を×と表示した。
[容量維持率]
室温下、充放電測定装置「バッテリーアナライザー1470型」[東陽テクニカ(株)製]を用いて、0.2Cの電流で4.2Vまで充電し、10分間の休止後、0.2Cの電流で2.5Vまで放電し、この充放電を100サイクル繰り返した。
この時の初回充電時の電池容量(初期放電容量)と100サイクル目充電時の電池容量(100サイクル後放電容量)を測定した。下記式から放電容量維持率を算出した。結果を表2に示す。なお、数値が大きいほど、電池の劣化が少ないことを示す。
放電容量維持率(%)=(100サイクル後放電容量/初期放電容量)×100
放電容量維持率が50%以上の場合を〇と表示し、50%未満の場合を×と表示した。
<実施例2、4及び7、比較例1〜4>
樹脂集電体における樹脂(P)の配合比率、及び、電解液の種類を変更したこと以外は実施例1と同様の方法により、実施例2、4及び7、比較例1〜4に係るリチウムイオン電池を得た。なお、膨潤率の測定については、それぞれのリチウムイオン電池を作製する際に用いた電解液を用いて測定を行った。
<実施例3>
正極樹脂集電体を金属集電体(アルミニウム箔)に変更したこと以外は実施例1と同様の方法により、実施例3に係るリチウムイオン電池を得た。なお、膨潤率及び電極強度については、リチウムイオン電池を作製する際に用いた電解液を用いて測定を行った。
<実施例5及び6>
負極樹脂集電体を金属集電体(銅箔)に変更し、正極樹脂集電体における樹脂(P)の配合比率を変更したこと以外は実施例1と同様の方法により、実施例5及び6に係るリチウムイオン電池を得た。なお、膨潤率の測定については、それぞれのリチウムイオン電池を作製する際に用いた電解液を用いて測定を行った。
Figure 2019216061
Figure 2019216061
本発明のリチウムイオン電池用電極は、特に、携帯電話、パーソナルコンピューター、ハイブリッド自動車及び電気自動車用に用いられるリチウムイオン電池用電極として有用である。
1 リチウムイオン電池用セパレータ
10 セパレータ本体
20 枠状部材
21、21a、21b 耐熱性環状支持部材
22 シール層
22a 第1シール層
22b 第2シール層
30a 正極活物質スラリー
30 正極活物質層
31a 負極活物質スラリー
31 負極活物質層
40 正極集電体
41 負極集電体
50 正極
51 負極
100、100’ リチウムイオン電池
150 正極外装体(電池外装体)
151 負極外装体(電池外装体)

Claims (5)

  1. 電解液と電極活物質と樹脂集電体とを備えたリチウムイオン電池用電極であって、
    前記電解液がプロピレンカーボネートを含む溶媒と電解質とを含み、
    前記樹脂集電体が樹脂(P)と導電性フィラーとを含み、
    前記樹脂集電体を構成する樹脂(P)の結晶化度が31〜50であることを特徴とするリチウムイオン電池用電極。
  2. 前記溶媒がプロピレンカーボネートのみである、又は、プロピレンカーボネートとエチレンカーボネートとの混合物である請求項1に記載のリチウムイオン電池用電極。
  3. 前記樹脂(P)が、結晶化度が異なる2種以上の樹脂を含む混合物である請求項1又は2に記載のリチウムイオン電池用電極。
  4. セパレータを有し、請求項1〜3のいずれかに記載のリチウムイオン電池用電極を正極及び負極に備えることを特徴とするリチウムイオン電池。
  5. 前記セパレータが、ポリオレフィン多孔質膜からなるシート状のセパレータ本体と、前記セパレータ本体の外周に沿って環状に配置される枠状部材とからなり、
    前記枠状部材は、耐熱性環状支持部材と、前記耐熱性環状支持部材の表面に配置される、正極集電体又は負極集電体と熱圧着が可能なシール層とからなる請求項4に記載のリチウムイオン電池。
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