JP2019183317A - アラミドパルプ紙 - Google Patents
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Abstract
【課題】アラミドパルプが90重量%より大きい場合においても,阻害要因を解消されており,使用に適したアラミドパルプ紙を提供することを本発明の課題とする。【課題を解決するための手段】ミクロフィブリル構造を有するアラミドパルプを90重量%以上含有するアラミドパルプ紙を提供する。これにより,アラミドパルプの含量が90重量%を超えている場合においても,表面が滑らかで気泡が視認できない程度であるアラミドパルプ紙を提供することができる。【選択図】図1
Description
本発明は,アラミドパルプを用いた紙及び当該紙の製造方法に関するものである。
従来より,アラミドを用いた紙及び当該紙の製造方法が知られている。アラミドを用いた紙は,耐熱性に優れているものとして高い評価を受けてきたことに加えて,軽い,強度が高い,寸法安定性が良い,非導電性であるなどの特性を有している。
また,出願人は,アラミドのうちミクロフィブリル構造を有するアラミドパルプは,アラミド繊維を叩解することにより生成されるため,繊維がより柔軟であり,かつ乾燥時の繊維間結合が強いことから,それに起因する効果が得られるのではないかと考えた。
アラミド繊維とアラミドパルプの両方を用いている紙の発明として,特許文献1が存在する。
特許文献1では,芳香族ポリアミドから形成されるファイブリッド及び短繊維との混合物から形成されたアラミド紙であり、下記不等式(1)及び(2)を満たすファイブリッド含量及び厚みを有するアラミド紙が開示されている(請求項1)。ここにおける「ファイブリッド」とは,アラミドパルプのことである(段落[0006])。
40≦[FB] ≦90 (1)
[厚み]/([短繊維の繊維径]×2)≦1.25 (2)
〔式中、[FB]はアラミド紙中のファイブリッドの含量(重量%)である〕
40≦[FB] ≦90 (1)
[厚み]/([短繊維の繊維径]×2)≦1.25 (2)
〔式中、[FB]はアラミド紙中のファイブリッドの含量(重量%)である〕
しかしながら,特許文献1にかかる発明では,「(ファイブリッドの含量が)90重量%より大きくなると、相対的に短繊維の含量が少なくなり、後述する少なくとも一対の発熱体の間に挟んで熱圧加工した後の上記のアラミド紙の収縮率が3%を越え、収縮による厚み増加により、上記(2)式の範囲の厚みを有することが困難となる」とされており(段落[0008]),アラミドパルプが90重量%より大きい場合の阻害要因を指摘し,発明対象から明示的に除外している。
本発明は,アラミドパルプが90重量%より大きい場合においても,阻害要因を解消されており,使用に適したアラミドパルプ紙を提供することを目的とする。
本発明は,前記課題を解決するため,ミクロフィブリル構造を有するアラミドパルプを90重量%以上含有するアラミドパルプ紙を提供する。
第2の発明として,前記特徴に加えて,前記アラミドパルプが,パラアラミド又は/及びメタアラミドであるアラミドパルプ紙を提供する。
第3の発明として,アラミド短繊維を叩解したアラミドパルプ含有原料を準備するアラミドパルプ含有原料準備工程と,生成されたアラミドパルプ含有原料を抄紙してアラミドパルプ原紙を生成するアラミドパルプ原紙生成工程と,生成されたアラミドパルプ原紙を後記する加熱温度よりも相対的に低温で加熱する低温加熱工程と,前記低温加熱工程の加熱温度よりも相対的に高温で加熱する高温加熱工程とからなるアラミドパルプ紙の製造方法を提供する。
第4の発明として,アラミド短繊維を叩解したアラミドパルプ含有原料を準備するアラミドパルプ含有原料準備工程と,アラミド短繊維を準備するアラミド短繊維準備工程と、準備されたアラミドパルプ含有原料に準備したアラミド短繊維を混合して調整済アラミドパルプ含有原料とする混合工程と,混合して得られた調整済アラミドパルプ含有原料を抄紙してアラミドパルプ原紙を生成するアラミドパルプ原紙生成工程と,生成されたアラミドパルプ原紙を後記する加熱温度よりも相対的に低温で加熱する低温加熱工程と,前記低温加熱工程の加熱温度よりも相対的に高温で加熱する高温加熱工程とからなるアラミドパルプ紙の製造方法を提供する。
第5の発明として,アラミド短繊維を準備するアラミド短繊維準備工程と,準備されたアラミド短繊維を叩解してアラミドパルプ含有原料を生成するアラミドパルプ含有原料生成工程と,生成されたアラミドパルプ含有原料を抄紙してアラミドパルプ原紙を生成するアラミドパルプ原紙生成工程と,生成されたアラミドパルプ原紙を後記する加熱温度よりも相対的に低温で加熱する低温加熱工程と,前記低温加熱工程の加熱温度よりも相対的に高温で加熱する高温加熱工程とからなるアラミドパルプ紙の製造方法を提供する。
さらに,第3の発明から第5の発明の特徴に加えて,前記アラミドパルプ紙が,パラアラミド又は/及びメタアラミドであるアラミドパルプ紙の製造方法を提供する。また,前記アラミドパルプ含有原料生成工程が,生成されたアラミドパルプ含有原料中でアラミドパルプを90重量%以上含有するアラミドパルプ紙の製造方法を提供する。
以上の発明によって,アラミドパルプが90重量%より大きい場合においても,阻害要因を解消されており,使用に適した紙を提供することができる。アラミドパルプ紙を多く含有することに固有の効果については,後記段落[0054]以降に記載する。
以下では,本発明を実施するための実施形態を説明する。なお,本件発明は,以下に記載する実施形態に限定して解釈されるべきものでない。
<アラミドパルプ紙の構成>
本発明のアラミドパルプ紙は,ミクロフィブリル構造を有するアラミドパルプを90重量%以上含有するアラミドパルプ紙である。「ミクロフィブリル」とは,繊維に付着して、繊維の主(幹)部分に対する直径よりも小さく幅がマイクロ、サブマイクロレベル の状態をいう。人工的には得られない優れた特性を持っている。また,「アラミドパルプを90重量%以上含有」とは,アラミドパルプ100重量%の場合を含むが,それ以外の場合にはアラミド繊維を10重量%未満含有していてもいい。アラミド短繊維であれば,耐熱性に優れている。アラミド繊維を用いる場合には,繊維径が1μm以上から30μm以下の範囲内であって,繊維長が1mmから10mmの範囲内であるアラミド繊維が望ましい。他には,ナイロン(ここではアラミド繊維とは区別されて用いられる場合のナイロンのことを意味する。)であっても良い。ナイロンは,耐熱性には弱いが,繊維自体の抵抗力が強いため,油類、カビ、虫、細菌などに影響されず、酸やアルカリに強くすることができる。あるいは,炭素繊維であってもいい。炭素繊維であれば,耐熱性に優れていることに加えて,軽量であって強度が強く,さらに電気伝導性も良い,電磁遮蔽特性にも優れている,X線透過性に優れているなどの特長を有している。
本発明のアラミドパルプ紙は,ミクロフィブリル構造を有するアラミドパルプを90重量%以上含有するアラミドパルプ紙である。「ミクロフィブリル」とは,繊維に付着して、繊維の主(幹)部分に対する直径よりも小さく幅がマイクロ、サブマイクロレベル の状態をいう。人工的には得られない優れた特性を持っている。また,「アラミドパルプを90重量%以上含有」とは,アラミドパルプ100重量%の場合を含むが,それ以外の場合にはアラミド繊維を10重量%未満含有していてもいい。アラミド短繊維であれば,耐熱性に優れている。アラミド繊維を用いる場合には,繊維径が1μm以上から30μm以下の範囲内であって,繊維長が1mmから10mmの範囲内であるアラミド繊維が望ましい。他には,ナイロン(ここではアラミド繊維とは区別されて用いられる場合のナイロンのことを意味する。)であっても良い。ナイロンは,耐熱性には弱いが,繊維自体の抵抗力が強いため,油類、カビ、虫、細菌などに影響されず、酸やアルカリに強くすることができる。あるいは,炭素繊維であってもいい。炭素繊維であれば,耐熱性に優れていることに加えて,軽量であって強度が強く,さらに電気伝導性も良い,電磁遮蔽特性にも優れている,X線透過性に優れているなどの特長を有している。
以下でいう「アラミド」とは,メタアラミド及びパラアラミドの2種類のことである。特に断りがある場合を除いて,この2種類の任意のものを意味しており,いずれかに限定されない。
図1は,パラアラミドの構造式である。分子骨格が全体に直線状であることが特徴である。引張強度や弾性率が強く、耐熱性に優れるという特性がある。
図2は,メタアラミドの構造式である。分子骨格が全体にジグザグ状であることが特徴である。パラアラミドより引張強度や耐熱性は劣るが、加工性に優れている。
これらアラミドとしては,アラミド繊維と,そのアラミド繊維を叩解して生成されるアラミドパルプが存在する。ここにおける「叩解」とは、繊維に機械的剪断力を与えることにより毛羽立たせたり,同心円状の緩みを与えることにより繊維の柔軟性を上げ,乾燥時の繊維間結合を強くする工程を意味する。この叩解により,繊維の枝分かれが促進される。叩解の方法は,古典的には繊維を叩き盤の上に置いて棒で叩くという方法が挙げられるが,効率性の観点から,より望ましくは,歯車を配置した空間内に繊維の懸濁液(スラリー)を回流させて歯車で叩くという方法,あるいは叩解するための空間に繊維の懸濁液(スラリー)を均等に送り込み,2組の回転刃物と固定刃物の作用によって叩解するなどの方法が考えられる。
図3は,アラミド繊維の拡大図の一例である。図4は,アラミドパルプの拡大図の一例である。アラミド繊維(0301)よりも,アラミドパルプ(0401)の方が,繊維がほぐれ枝分かれがあることが明らかである。
アラミドパルプを用いることにより,後述する固有の効果が得られるものの,アラミドパルプの含量が90重量%を超えると,最終的に得られる紙の厚みが増すというデメリットがある。その厚みが増すことの要因としては,製造工程にて気泡が発生してしまうことにある。
図5は,アラミドパルプの含量が90重量%を超えている場合において,通常の製造方法によったときの紙の気泡発生状況を示す図である。気泡が大量に発生していることがわかる。これでは,紙としての使用に耐えることができない。
本発明は,以下のような製造方法により製造することにより,アラミドパルプの含量が90重量%を超えている場合においても,表面が滑らかで気泡が発生しないアラミドパルプ紙を製造することを可能とした。本発明は,以下で述べる製造方法に加えて,それによって得られたアラミドパルプ紙も発明対象に含むものである。
<製造方法>
本発明のアラミドパルプ紙の製造方法は,アラミド短繊維を叩解したアラミドパルプ含有原料を準備するアラミドパルプ含有原料準備工程と,生成されたアラミドパルプ含有原料を抄紙してアラミドパルプ原紙を生成するアラミドパルプ原紙生成工程と,生成されたアラミドパルプ原紙を後記する加熱温度よりも相対的に低温で加熱する低温加熱工程と,前記低温加熱工程の加熱温度よりも相対的に高温で加熱する高温加熱工程とからなる製造方法である。他にも製造方法があり得るため,以下では「製造方法1」という。
本発明のアラミドパルプ紙の製造方法は,アラミド短繊維を叩解したアラミドパルプ含有原料を準備するアラミドパルプ含有原料準備工程と,生成されたアラミドパルプ含有原料を抄紙してアラミドパルプ原紙を生成するアラミドパルプ原紙生成工程と,生成されたアラミドパルプ原紙を後記する加熱温度よりも相対的に低温で加熱する低温加熱工程と,前記低温加熱工程の加熱温度よりも相対的に高温で加熱する高温加熱工程とからなる製造方法である。他にも製造方法があり得るため,以下では「製造方法1」という。
図6は,製造方法1における工程のフローチャートを示す図である。製造方法1は,アラミドパルプ含有原料準備工程(S0601)と,アラミドパルプ原紙生成工程(S0602)と,低温加熱工程(S0603)と,高温加熱工程(S0604)とからなる。
「アラミドパルプ含有原料準備工程」とは,アラミド短繊維を叩解したアラミドパルプ含有原料を準備する工程である。叩解の方法については,前述のとおりである。
「アラミドパルプ原紙生成工程」とは,生成されたアラミドパルプ含有原料を抄紙してアラミドパルプ原紙を生成する工程である。抄紙の方法としては,アラミドパルプ原料を水に分散させた懸濁液(スラリー)を作り,その懸濁液をワイヤー(網)上に抄き上げることでシート化し,その後にロータリードライヤーで乾燥をするという方法であり、いわゆる湿式抄紙法が好ましく選択される。抄紙機としては、紙パルプや湿式不織布の生産で使用される一般的な機器が使用可能で、特に限定されるものではない。抄紙機での生産条件は、生産速度は5〜100m/分が望ましく、乾燥温度は105〜135℃が望ましい。
アラミドパプル原紙は、一般に5〜200g/平方メートル、好ましくは30〜110g/平方メートルの範囲の坪量を有している。また、好ましい範囲の坪量では、厚さ50〜400μmの範囲となる。
アラミドパプル原紙は、一般に5〜200g/平方メートル、好ましくは30〜110g/平方メートルの範囲の坪量を有している。また、好ましい範囲の坪量では、厚さ50〜400μmの範囲となる。
「低温加熱工程」とは,生成されたアラミドパルプ原紙を後記する加熱温度よりも相対的に低温で加熱する工程である。加熱は,いわゆるカレンダー加工機による加熱を想定している。
「高温加熱工程」とは,前記低温加熱工程の加熱温度よりも相対的に高温で加熱する工程である。この高温加熱工程は,通常であれば,低温加熱工程後の工程であることを想定している。また,ここでの加熱も,いわゆるカレンダー加工機による加熱を想定している。
≪低温加熱工程と高温加熱工程の2段階加熱工程を経ることの効果≫
本発明の製造方法は,通常の製造方法と比較して,低温加熱後に高温加熱という2段階の加熱工程を経る点に特徴がある。そこで,以下では,そのような2段階加熱工程を経ることの効果を述べる。
本発明の製造方法は,通常の製造方法と比較して,低温加熱後に高温加熱という2段階の加熱工程を経る点に特徴がある。そこで,以下では,そのような2段階加熱工程を経ることの効果を述べる。
まず,1段階目の「低温」とは,高温過熱工程よりも高温であることを意味するが,摂氏210度程度すなわち,摂氏180度から230度の範囲内、より望ましくは摂氏205度から215度の範囲内であることが望ましい。
次に,2段階目の「高温」とは,その温度よりも相対的に高温であることを意味する。そして,2段階目の「高温」とは,摂氏240度から290度の範囲内であれば気泡は発生せずに紙としての使用には耐えられるものの,この高温の温度条件により,製造された紙の引張強度が異なることから,引張強度が高い範囲内であることが望ましい。
図7は,2段階目の「高温」の加熱条件を変更した場合の引張強度の比較を示す図である。1段階目の低温加熱については,いずれも摂氏210度の条件であるところ,2段階目の高温加熱の条件を変更した場合の引張強度との関係は,(a)摂氏210度のままであれば0.9N/mm,(b)摂氏250度であれば気泡は存在しないものの引張強度は1.05N/mm,(c)摂氏280度であれば気泡は存在せずに引張強度が1.7N/mmであった。したがって,摂氏240度から260度の範囲内であっても気泡は存在せずに紙としての使用は耐えられるものの,引張強度の点からより望ましくは,摂氏280度程度,具体的には,摂氏270度から290度の範囲内,より具体的には摂氏275度から285度の範囲内であることが望ましい。
各加熱工程の加工速度は、1段階目と2段階目とも,1.5〜60.0m/分の範囲内であることが望ましい。加工速度が遅く加熱時間が長くなった場合には、熱ロールへ張り付きが発生し、他方において,加工速度が速く加熱時間が短くなった場合には、シート表面に泡立ちが発生する。また,必須ではないが,1段階目の加熱と2段階目の加熱の間には,一旦,室温に戻るまで温度を冷ましてから,2段階目の加熱に移行することが望ましい。間隔を空けて室温に戻すことにより,紙の温度が上がりすぎることを抑え、2段階目の加熱工程においてカレンダー加工機の熱ロールへ接着を防ぐことができる。
以上のような温度での2段階加熱工程を経ることにより,1段階目での加熱で空気が外に逃げることができるため,気泡が発生しにくくなるという効果がある。
図8は,アラミドパルプの含量が90重量%を超えている場合において,上記本発明の製造方法によって製造されたアラミドパルプ紙の気泡発生状況を示す図である。表面が滑らかで気泡が存在していないことがわかる。このようなアラミドパルプ紙は,今までの製造方法では存在していなかったものである。
<上記製造方法と同様の物を得られる変形的な製造方法>
上記の製造方法とは異なり,アラミド短繊維を叩解したアラミドパルプ含有原料を準備するアラミドパルプ含有原料準備工程と,アラミド短繊維を準備するアラミド短繊維準備工程と、準備されたアラミドパルプ含有原料に準備したアラミド短繊維を混合して調整済アラミドパルプ含有原料とする混合工程と,混合して得られた調整済アラミドパルプ含有原料を抄紙してアラミドパルプ原紙を生成するアラミドパルプ原紙生成工程と,生成されたアラミドパルプ原紙を後記する加熱温度よりも相対的に低温で加熱する低温加熱工程と,前記低温加熱工程の加熱温度よりも相対的に高温で加熱する高温加熱工程とからなるアラミドパルプ紙の製造方法であっても良い。このような製造方法につき,以下では「製造方法2」という。
上記の製造方法とは異なり,アラミド短繊維を叩解したアラミドパルプ含有原料を準備するアラミドパルプ含有原料準備工程と,アラミド短繊維を準備するアラミド短繊維準備工程と、準備されたアラミドパルプ含有原料に準備したアラミド短繊維を混合して調整済アラミドパルプ含有原料とする混合工程と,混合して得られた調整済アラミドパルプ含有原料を抄紙してアラミドパルプ原紙を生成するアラミドパルプ原紙生成工程と,生成されたアラミドパルプ原紙を後記する加熱温度よりも相対的に低温で加熱する低温加熱工程と,前記低温加熱工程の加熱温度よりも相対的に高温で加熱する高温加熱工程とからなるアラミドパルプ紙の製造方法であっても良い。このような製造方法につき,以下では「製造方法2」という。
図9は,製造方法2における工程のフローチャートを示す図である。製造方法2は,アラミドパルプ含有原料準備工程(S0901)と,アラミド短繊維準備工程(S0902)と,混合工程(S0903)と,アラミドパルプ原紙生成工程(S0904)と,低温加熱工程(S0905)と,高温加熱工程(S0906)とからなる。
「アラミドパルプ含有原料準備工程」とは,アラミド短繊維を叩解したアラミドパルプ含有原料を準備する工程である。この工程の内容は,製造方法1と同様である。
「アラミド短繊維準備工程」とは、アラミド短繊維を準備する工程である。アラミド短繊維の繊維長は,1mm以上から30mm以下であることが望ましく,具体的には,2mmから10mmの範囲内,より望ましくは3mmから6mmの範囲内であることが望ましい。
「混合工程」とは,準備されたアラミドパルプ含有原料に準備したアラミド短繊維を混合して調整済アラミドパルプ含有原料とする工程である。この工程におけるアラミド短繊維とアラミドパルプの含有量の割合は,アラミド短繊維が0.1重量%から9.9重量%の範囲内であるのに対して,アラミドパルプが90.1重量%から99.9重量%の範囲内であることが望ましい。後述で引用する前述の2段階過熱工程であれば,そのような含有量であっても気泡は紙としての使用に支障ある程度には発生しないし,他方で耐熱性等に優れた効果を発揮するからである。
「アラミドパルプ原紙生成工程」とは,混合して得られた調整済アラミドパルプ含有原料を抄紙してアラミドパルプ原紙を生成する工程であるところ,その工程の作業内容は,製造方法1における「アラミドパルプ原紙生成工程」と同様であるが,原料が混合して得られた調整済アラミドパルプ含有原料である点が異なる。
「低温加熱工程」と「高温加熱工程」については,製造方法1と同様である。
以上のような製造方法2によっても,製造方法1と同様の効果を発揮する。
<製造方法3>
上記製造方法とは異なり,アラミド短繊維を準備するアラミド短繊維準備工程と,準備されたアラミド短繊維を叩解してアラミドパルプ含有原料を生成するアラミドパルプ含有原料生成工程と,生成されたアラミドパルプ含有原料を抄紙してアラミドパルプ原紙を生成するアラミドパルプ原紙生成工程と,生成されたアラミドパルプ原紙を後記する加熱温度よりも相対的に低温で加熱する低温加熱工程と,前記低温加熱工程の加熱温度よりも相対的に高温で加熱する高温加熱工程とからなるアラミドパルプ紙の製造方法であっても良い。このような製造方法につき,以下では「製造方法3」という。
上記製造方法とは異なり,アラミド短繊維を準備するアラミド短繊維準備工程と,準備されたアラミド短繊維を叩解してアラミドパルプ含有原料を生成するアラミドパルプ含有原料生成工程と,生成されたアラミドパルプ含有原料を抄紙してアラミドパルプ原紙を生成するアラミドパルプ原紙生成工程と,生成されたアラミドパルプ原紙を後記する加熱温度よりも相対的に低温で加熱する低温加熱工程と,前記低温加熱工程の加熱温度よりも相対的に高温で加熱する高温加熱工程とからなるアラミドパルプ紙の製造方法であっても良い。このような製造方法につき,以下では「製造方法3」という。
図10は,製造方法3における工程のフローチャートを示す図である。製造方法3は,アラミドパルプ短繊維準備工程と(S1001),アラミドパルプ含有原料準備工程(S1002)と,アラミドパルプ原紙生成工程(S1003)と,低温加熱工程(S1004)と,高温加熱工程(S1005)とからなる。
製造方法3において製造方法1及び2と異なる点は,「アラミドパルプ短繊維準備工程」であるところ,その「アラミドパルプ短繊維準備工程」とは,アラミド短繊維を準備する工程である。そして,「アラミドパルプ含有原料生成工程」では,その準備されたアラミド短繊維を叩解してアラミドパルプ含有原料を生成することになる。その後の工程は,生成されたアラミドパルプ含有原料を抄紙してアラミドパルプ原紙を生成し(アラミドパルプ原紙生成工程),生成されたアラミドパルプ原紙を後記する加熱温度よりも相対的に低温で加熱し(低温加熱工程,前記低温加熱工程の加熱温度よりも相対的に高温で加熱する(高温加熱工程)という意味において同様である。
以上のような製造方法3によっても,製造方法1及び2と同様の効果を発揮する。
<以上の製造方法の詳細>
以上の製造方法1から3について,使用するアラミドパルプは,パラアラミド又は/及びメタアラミドであることが望ましい。パラアラミドとメタアラミドの構造式は,前記のとおりである。
以上の製造方法1から3について,使用するアラミドパルプは,パラアラミド又は/及びメタアラミドであることが望ましい。パラアラミドとメタアラミドの構造式は,前記のとおりである。
また,アラミドパルプ含有原料生成工程は,生成されたアラミドパルプ含有原料中でアラミドパルプを90重量%以上含有していることが望ましい。
以上の製造方法により,アラミドパルプの含量が90重量%を超えている場合においても,表面が滑らかで気泡が視認できない程度であるアラミドパルプ紙を製造することが可能となる。
0301:アラミド繊維
0401:アラミドパルプ
0401:アラミドパルプ
Claims (7)
- ミクロフィブリル構造を有するアラミドパルプを90重量%以上含有するアラミドパルプ紙。
- 前記アラミドパルプは,パラアラミド又は/及びメタアラミドである請求項1に記載のアラミドパルプ紙。
- アラミド短繊維を叩解したアラミドパルプ含有原料を準備するアラミドパルプ含有原料準備工程と,
生成されたアラミドパルプ含有原料を抄紙してアラミドパルプ原紙を生成するアラミドパルプ原紙生成工程と,
生成されたアラミドパルプ原紙を後記する加熱温度よりも相対的に低温で加熱する低温加熱工程と,
前記低温加熱工程の加熱温度よりも相対的に高温で加熱する高温加熱工程と,
からなるアラミドパルプ紙の製造方法。 - アラミド短繊維を叩解したアラミドパルプ含有原料を準備するアラミドパルプ含有原料準備工程と,
アラミド短繊維を準備するアラミド短繊維準備工程と、
準備されたアラミドパルプ含有原料に準備したアラミド短繊維を混合して調整済アラミドパルプ含有原料とする混合工程と,
混合して得られた調整済アラミドパルプ含有原料を抄紙してアラミドパルプ原紙を生成するアラミドパルプ原紙生成工程と,
生成されたアラミドパルプ原紙を後記する加熱温度よりも相対的に低温で加熱する低温加熱工程と,
前記低温加熱工程の加熱温度よりも相対的に高温で加熱する高温加熱工程と,
からなるアラミドパルプ紙の製造方法。 - アラミド短繊維を準備するアラミド短繊維準備工程と,
準備されたアラミド短繊維を叩解してアラミドパルプ含有原料を生成するアラミドパルプ含有原料生成工程と,
生成されたアラミドパルプ含有原料を抄紙してアラミドパルプ原紙を生成するアラミドパルプ原紙生成工程と,
生成されたアラミドパルプ原紙を後記する加熱温度よりも相対的に低温で加熱する低温加熱工程と,
前記低温加熱工程の加熱温度よりも相対的に高温で加熱する高温加熱工程と,
からなるアラミドパルプ紙の製造方法。 - 前記アラミドパルプ紙は,パラアラミド又は/及びメタアラミドである請求項3から請求項5のいずれか一に記載のアラミドパルプ紙の製造方法。
- 前記アラミドパルプ含有原料生成工程は,生成されたアラミドパルプ含有原料中でアラミドパルプを90重量%以上含有する請求項3から請求項6のいずれか一に記載のアラミドパルプ紙の製造方法。
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WO2020170902A1 (ja) * | 2019-02-22 | 2020-08-27 | デュポン帝人アドバンスドペーパー株式会社 | アラミド紙の製造方法 |
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CN115075045A (zh) * | 2022-06-16 | 2022-09-20 | 赣州龙邦材料科技有限公司 | 一种均匀平整的芳纶蜂窝纸的制备方法 |
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2018
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