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JP2019178450A - 繊維基材の製造方法および成形品の製造方法 - Google Patents

繊維基材の製造方法および成形品の製造方法 Download PDF

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JP2019178450A JP2018067927A JP2018067927A JP2019178450A JP 2019178450 A JP2019178450 A JP 2019178450A JP 2018067927 A JP2018067927 A JP 2018067927A JP 2018067927 A JP2018067927 A JP 2018067927A JP 2019178450 A JP2019178450 A JP 2019178450A
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光太郎 篠原
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光太郎 篠原
本間 雅登
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雅登 本間
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【課題】立体形状を有する繊維強化樹脂成形品のための繊維基材の製造方法の提供。【解決手段】曲折部(A)を有する繊維基材の製造方法であって、少なくとも以下(I)〜(IV)の工程を含む、繊維基材の製造方法。(I)強化繊維を不連続状にカットする切断工程、(II)前記強化繊維を、曲折部(A)と同形状の曲折面(C)を有する網状の支持体に堆積させる堆積工程、(III)前記強化繊維を結着剤で互いに固着させる固着工程、(IV)前記曲折面(C)に沿って曲折部(A)が形成された繊維基材を前記支持体から取り除く脱型工程【選択図】図1

Description

本発明は、繊維基材の製造方法および成形品の製造方法に関するものである。
近年、自動車、航空機、スポーツ製品等の産業用製品については、軽量性に対する市場要求が年々高まっている。このような要求に応えるべく、軽量であり、力学特性に優れる繊維強化樹脂を用いた成形品が、各種産業用途に幅広く利用されている。中でも、炭素繊維、ガラス繊維などの強化繊維などを均一に分散させた繊維基材を用いた繊維強化樹脂成形品は、2次元等方性を有するため、各構造材料での活用が期待されており、繊維基材の製造方法が広く検討されている。
特許文献1には、繊維強化熱可塑性樹脂成形体の強化繊維として、単繊維状の炭素繊維であって質量平均繊維長が0.5〜10mmであり、かつ、配向パラメータが−0.25〜0.25である炭素繊維を用いると、力学特性に優れ、等方的な力学特性を有する成形体が得られることが記載されている。この繊維強化熱可塑性樹脂成形体は、(I)成形材料に含まれる熱可塑性樹脂を加熱溶融する工程、(II)金型に成形材料を配置する工程、(III)金型で成形材料を加圧する工程、(IV)金型内で成形材料を固化する工程、(V)金型を開き、繊維強化熱可塑性樹脂成形体を脱型する工程により製造されうるとされている。
特許文献2には、熱可塑性樹脂繊維と強化繊維を混抄することで得られる繊維基材およびその製造方法が記載されている。得られた繊維基材の樹脂をプレス成形で加熱・加圧することで、繊維強化熱可塑性樹脂成形体を効率よく得ることが出来る旨が記載されている。
特許文献3、4には、繊維を3次元形状に抄造することで、3次元形状の成形を得る製造方法が記載されている。3次元形状に成形することで、3次元形状成形品を得るために平板状繊維基材を3次元形状にプレス成形などの手段により賦形する必要が無くなり、高品位な成形品を得ることが出来る旨が記載されている。
特許第5309563号公報 特許第5251342号公報 特許第5949895号公報 特許第6164885号公報 特許第2541064号公報
特許文献1および特許文献2、特許文献3における繊維基材は、マトリクス樹脂繊維の含有の有無の差はあるが、いずれも平板形状である。各構造材料に見られる、絞り、深絞り、張り出し部などの立体形状に賦形する際には、かかる繊維基材を用いると、強化繊維同士の結着が強いために加圧時に型に追従せず、基材の破れやカスレなどの品位不良が起こりうる。
特許文献4および特許文献5における繊維基材は、繊維同士の結着が弱く、繊維基材を支持体から脱型する際に、繊維基材に破れが生じやすいものとなっていた。
そこで本発明の課題は、上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、立体形状を有する繊維強化樹脂成形品のための繊維基材の製造方法を提供することにある。
曲折部(A)を有する繊維基材の製造方法であって、
少なくとも以下(I)〜(IV)の工程を含む、繊維基材の製造方法。
(I)強化繊維を不連続状にカットする切断工程
(II)前記強化繊維を、曲折部(A)と同形状の曲折面(C)を有する網状の支持体に堆積させる堆積工程
(III)前記強化繊維を結着剤で互いに固着させる固着工程
(IV)前記曲折面(C)に沿って曲折部(A)が形成された繊維基材を前記支持体から取り除く脱型工程
本発明に係る繊維基材の製造方法によれば、シワなどの外観品位に優れる繊維強化樹脂成形品を為す繊維基材を提供できる。
本発明に係る繊維基材の一例を示す模式図である。 本発明に係る繊維基材の断面(S)の一例を示す模式図である。 本発明に係る成形品における強化繊維の分散状態の一例を示す模式図である。 本発明に係る支持体の一例を示す模式図である。 本発明に係る金型の一例を示す模式図である。
以下、本発明に係る繊維基材について説明する。
本発明に係る繊維基材1は曲折部(A)を有する。繊維基材製造後のハンドリング性やトリミングの簡易性を鑑みると、繊維基材1はさらに平面部(B)を有することが好ましい。
<曲折部>
曲折部(A)について、図面を用いてさらに説明する。図1は、本発明に係る繊維基材の一例を示す模式図であり、断面(S)は上記繊維基材の1つの断面図である。
本発明に係る曲折部(A)の形状は、曲折していれば特に制限はないが、平板状のように平面部のみからなるものではなく、曲折部(A)の内に開口を有していても、閉じていてもよい。具体的には、円錐状、半球状、多角錐上、円錐台上、半球台上、多角錘台などの凸形状、および/またはエンボス形、波状形などの凹凸パターン形状など、平板形状のみで形成されていない形状が例示される。なお、この平板形状には、立方体形状・長方体形状も含む。かかる平板形状でない曲折部(A)が成形品に含まれていることで成形品の面外方向の力学特性が向上するため望ましい。また、繊維基材に曲折部(A)が予め形成されていることで、繊維基材1とマトリクス樹脂(a)とを有する繊維強化樹脂成形品を製造する際に繊維基材を成形品形状に変形させる必要が無くなり、従来の平板形状の基材を成形する際に発生していたシワや破れなどの成形不良を回避して、高品位な繊維強化樹脂成形品を得ることができる。
本発明に係る繊維基材は、前記断面(S)における前記曲折部(A)の高さをZ、前記繊維基材の厚さをTとしたとき、Z>3Tである。より複雑な立体形状を有するという観点からは、Z>5Tであることが好ましく、より好ましくはZ>8T、さらに好ましくはZ>10Tである。高さZおよび厚さTについて、図2を用いてさらに説明する。本発明に係る繊維基材の断面(S)の一例を示す模式図であり、図2(a)および図2(b)には2種類の繊維基材が描かれている。図2(a)において、高さZは平面部(B)の底面から曲折部(A)の頂点までの高さを示しており、厚さTは繊維基材の厚みを示している。図2(b)においては、高さZは曲折部(A)の最下点から曲折部(A)までの高さを示しており、厚さTは繊維基材1の厚みを示している。かかるように高さZは断面(S)における繊維基材1の断面が外接する最小面積の長方形の高さを示しており、厚さTは繊維基材1の厚みを示す。ZおよびTが上記の範囲にあることで、繊維基材1にマトリクス樹脂(a)を含浸して得られる成形品は面外方向に関して優れた力学特性を発現するため好ましい。
測定方法としては、特に制限されないが、断面写真による測定が例示される。繊維基材のうち、曲折部を有する断面(S)を撮影し、得られた画像の曲折部(A)に外接する最小面積の長方形を描き、その高さをZとする。また、得られた画像から繊維基材の任意の10箇所の厚みを測定し、かかる10箇所の測定結果の算術平均値を厚さTとすることができる。
<(I)切断工程>
本発明に係る繊維基材1の製造方法は、強化繊維4を不連続状にカットする切断工程を含む。
強化繊維4の種類としては、アルミニウム、黄銅、ステンレス等の金属繊維、PAN系、レーヨン系、リグニン系、ピッチ系の炭素繊維、黒鉛繊維、ガラス等の絶縁性繊維、アラミド、PBO、ポリフェニレンスルフィド、ポリエステル、アクリル、ナイロン、ポリエチレン等の有機繊維、シリコンカーバイト、シリコンナイトライド等の無機繊維を例示できる。また、これらの繊維に表面処理が施されているものであってもよい。表面処理としては、導電体として金属の被着処理の他に、カップリング剤による処理、サイジング剤による処理、結束剤による処理、添加剤の付着処理等がある。また、これらの繊維は1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。中でも、軽量化効果の観点から、比強度、比剛性に優れるPAN系、ピッチ系、レーヨン系等の炭素繊維が好ましく用いられる。また、加工中に成形品中に熱がこもらないよう、熱伝導性を向上させる観点からは、PAN系、ピッチ系、レーヨン系等の炭素繊維あるいは金属繊維が好ましい。また、得られる繊維基材1の経済性を高める観点からは、ガラス繊維が好ましく用いられ、とりわけ力学特性と経済性とのバランスから炭素繊維とガラス繊維とを併用することが好ましい。さらに、得られる繊維基材1の衝撃吸収性や賦形性を高める観点からは、アラミド繊維が好ましく用いられ、とりわけ力学特性と衝撃吸収性とのバランスから炭素繊維とアラミド繊維とを併用することが好ましい。また、得られる繊維基材1の導電性を高める観点からは、ニッケルや銅やイッテルビウム等の金属を被覆した強化繊維を用いることもできる。これらの中で、強度と弾性率等の力学的特性に優れるPAN系の炭素繊維をより好ましく用いることができる。
本発明に係る強化繊維4は不連続状にカットされる。強化繊維4が不連続状であることで、後述する成形品の製造においてマトリクス樹脂(a)を容易に含浸させたり、その量を容易に調整できたりするため、強化繊維4は不連続である。
繊維基材1中の強化繊維4の質量平均繊維長は、1mm以上15mm以下の範囲内にあることが好ましい。これにより、強化繊維4の補強効率を高めることができ、繊維基材1に優れた力学特性を与えられる。また強化繊維4の質量平均繊維長を上記の範囲内とすることで、力学特性が向上するだけでなく、乾式法もしくは湿式法により支持体3へ堆積させやすくなる。堆積の容易性の観点から、質量平均繊維長は1mm以上10mm以下がより好ましい。質量平均繊維長は、繊維基材1の樹脂成分を焼き飛ばしや溶出等の方法により取り除き、残った強化繊維4から無作為に400本を選択し、その長さを10μm単位まで測定し、それらの平均長さとして算出できる。
強化繊維は、そのX線光電子分光法により測定される表面酸素濃度比O/Cが0.05〜0.50であるものが好ましく、0.06〜0.3であるものがより好ましく、0.07〜0.2であるものがさらにより好ましい。表面酸素濃度比が0.05以上であることにより、強化繊維表面の極性官能基量を確保し、熱可塑性樹脂組成物との親和性が高くなるので、より強固な接着を得ることができ、成形品の力学特性が向上する。また、表面酸素濃度比が0.5以下であることにより、表面酸化による強化繊維自身の強度の低下を少なくすることができる。
表面酸素濃度比とは、繊維表面の酸素(O)と炭素(C)の原子数の比を意味する。表面酸素濃度比をX線光電子分光法により求める場合の手順を、以下に一例を挙げて説明する。まず、溶剤で強化繊維表面に付着しているサイジング剤などを除去した強化繊維を20mmにカットして、銅製の試料支持台に拡げて並べた後、X線源としてA1Kα1、2を用い、試料チャンバー中を1×108Torrに保つ。測定時の帯電に伴うピークの補正値としてC1sの主ピークの運動エネルギー値(K.E.)を1202cVに合わせる。C1sピーク面積をK.E.として1191〜1205eVの範囲で直線のベースラインを引くことにより求める。O1sピーク面積をK.E.として947〜959eVの範囲で直線のベースラインを引くことにより求める。
表面酸素濃度は、上記O1sピーク面積とC1sピーク面積の比から装置固有の感度補正値を用いて原子数比として算出したものである。X線光電子分光法装置として、例えば国際電気社製モデルES−200を用いることができ、感度補正値を1.74として算出し得る。
強化繊維の表面酸素濃度O/Cを0.05〜0.5に制御する手段としては、特に限定されるものではないが、電界酸化処理、薬液酸化処理、気相酸化処理などの手法が例示される。中でも電界酸化処理が取り扱いやすく好ましい。
電界酸化処理に用いられる電解液としては、以下に挙げる化合物の水溶液が好ましく用いられる。硫酸、硝酸、塩酸等の無機酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及び水酸化バリウム等の無機水酸化物、アンモニア、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等の無機金属塩類、酢酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム等の有機塩類、さらにこれらナトリウム塩の代わりにカリウム塩、バリウム塩その他の金属塩、アンモニウム塩、その他にはヒドラジンなどの有機化合物である。これらの中でも電解液としては無機酸が好ましく、硫酸及び硝酸が特に好ましく使用される。電界処理の程度は、電界処理で流れる電気量を設定することにより強化繊維表面のO/Cを制御することができる。
また、強化繊維4を構成する単繊維の本数には、特に制限はないが、生産性の観点からは24,000本以上が好ましく、48,000本以上がさらに好ましい。単繊維の本数の上限については特に制限はないが、生産性や取り扱い性とのバランスも考慮して、300,000本程度もあれば生産性と取り扱い性を良好に保つことができる。
<(II)堆積工程>
本発明に係る繊維基材1は、強化繊維4を、曲折部(A)と同形状の曲折面(C)を少なくとも1箇所に有する網状の支持体3に堆積させることにより得られる。
支持体3が網状であることで、支持体3の強化繊維4を堆積させる面と反対側の面から吸引することで、強化繊維4を支持体6に固定させることが出来るだけでなく、過剰に付着した添加物を取り除くことが出来る。
さらに、図4に示される通り、支持体3には連続して強化繊維4が堆積されることが好ましく、支持体3は前記曲折部(A)と同形状の曲折面(C)を有し、曲折面(C)に沿って成形品の曲折部(A)の形状が決定される。連続して強化繊維4が堆積されるよう支持体3は長尺となっていてもよく、バッチ単位で強化繊維4が堆積されるよう短尺となっていても良いが、支持体3が長尺となっており、かつ前記曲折面(C)の形状を少なくとも1箇所に有することで、支持体3はコンベア等の搬送装置を用いて連続的に搬送され、そこに強化繊維4が供給されることで繊維基材1を連続的に製造できるため、生産性の観点から好適である。
また、堆積を支持体に不偏的に行うために、支持体の任意の点における繊維が堆積する側の支持体面に対する法線ベクトルは、このベクトルが鉛直上向きとした時に水平方向よりも上方に向いていることが好ましい。かかる状態とすることで、強化繊維4を支持体に途切れなく堆積することが出来るため好ましい。
発明の目的を損なわない範囲で、後述する結着剤または/およびマトリクス樹脂(a)を含む繊維、あるいはエラストマー又はゴム成分等の耐衝撃性向上剤、他の充填材や添加剤を強化繊維4と併せて堆積させてもよい。充填材や添加剤の例としては、無機充填材、難燃剤、導電性付与剤、結晶核剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、制振剤、抗菌剤、防虫剤、防臭剤、着色防止剤、熱安定剤、離型剤、帯電防止剤、可塑剤、滑剤、着色剤、顔料、染料、発泡剤、制泡剤、または、カップリング剤が例示される。併せて堆積することで、その後の成形品の製造工程において、結着剤および/またはマトリクス樹脂(a)の強化繊維4への含浸が容易になるだけでなく、成形品のボイドなどの不良を減らすことが出来るため、好ましい。
強化繊維4の堆積は、乾式法、或いは湿式法のいずれかによることができる。乾式法とは強化繊維4を空気中で堆積させる方法であり、湿式法とは強化繊維4を水中で堆積する方法である。
乾式法の場合、強化繊維4を気相中で堆積させて繊維基材を得ることができる。強化繊維4の気相中での堆積は、強化繊維4を非接触式で開繊し、開繊した強化繊維4を堆積させる方法(非接触式法)、強化繊維4に空気流を当てて開繊し、開繊した強化繊維4を堆積させる方法(空気流を用いる方法)、強化繊維4を接触式で開繊し、開繊した強化繊維4を堆積させる方法(接触式法)の3種類がある。
非接触式法は、強化繊維4に固体や開繊装置を接触させることなく開繊させる方法である。例えば、空気や不活性ガスなどの気体を強化繊維4に吹き付ける方法、なかでもコスト面で有利な空気を加圧して吹き付ける方法が好ましく挙げられる。
空気流を用いる方法において、強化繊維4に対し空気流を当てる条件は特に限定されない。一例を挙げると、加圧空気(通常0.1MPa以上10MPa以下、好ましくは0.5MPa以上5MPa以下の圧力がかかるような空気流)を強化繊維4が開繊するまで当てる。空気流を用いる方法において、使用し得る装置は特に限定されないが、空気管を備え、空気吸引が可能であり、強化繊維4を収容し得る容器を例示し得る。かかる容器を用いることにより、強化繊維4の開繊と堆積を一つの容器内で行うことができる。
接触式法とは、強化繊維4に固体や開繊装置を物理的に接触させて開繊させる方法である。接触式法としては、カーディング、ニードルパンチ、ローラー開繊が例示されるが、このうちカーディング、ニードルパンチによることが好ましく、カーディングによることがより好ましい。接触式法の実施条件は特に限定されず、強化繊維4が開繊する条件を適宜定めることができる。
湿式法の場合、強化繊維4の堆積を水中で行い繊維基材を得ることができる。
強化繊維4を堆積させる水(分散液)は、通常の水道水のほか、蒸留水、精製水等の水を使用することができる。水には必要に応じて界面活性剤を混合し得る。界面活性剤は、陽イオン型、陰イオン型、非イオン型、両性の各種に分類されるが、このうち非イオン性界面活性剤が好ましく用いられ、中でもポリオキシエチレンラウリルエーテルがより好ましく用いられる。界面活性剤を水に混合する場合の界面活性剤の濃度は、通常は0.0001質量%以上0.1質量%以下、好ましくは0.0005質量%以上0.05質量%以下である。この範囲にあることで、繊維基材1の好ましい態様である後述の略モノフィラメントランダム状に強化繊維4を分散させやすくなる。
水(分散液)に対する強化繊維4の添加量は、水(分散液)1lに対する量として、通常0.1g以上10g以下、好ましくは0.3g以上5g以下の範囲で調整し得る。前記範囲とすることにより、強化繊維4が水(分散液)に効率よく開繊したスラリーを短時間で得ることができる。水(分散液)に対し強化繊維4を分散させる際には、必要に応じて撹拌を行う。
スラリーとは固形成分が分散している懸濁液をいい、本発明においては水系スラリーであることが好ましい。かかるスラリーから水を吸引することで、強化繊維4を支持体3上に堆積することが出来る。スラリーによる堆積は、いわゆる抄造法に倣って行うことが出来る。湿式法による堆積は抄造法に制限はされないが、一例を挙げて説明すると、底部に網状の支持体を有し水を底部から吸引できる槽に、スラリーを流し込み水を吸引して行うことができる。
スラリーにおける固形分濃度(スラリー中の強化繊維の質量含有量)は、0.01質量%以上1質量%以下であることが好ましく、0.03質量%以上0.5質量%以下であることがより好ましい。上記範囲であることにより曲折部を有する支持体に堆積を均質に効率よく行うことができる。
繊維基材の目付は、10g/m2以上500g/m2以下であることが好ましく、50g/m2以上300g/m2以下であることがより好ましく、繊維基材の目付の好ましい範囲としては、上記した上限のいずれの値を上限としてもよく、上記した下限のいずれの値を下限としてもよい。10g/m2未満であると基材の破れなどの取り扱い性に不具合を生じるおそれがあり、500g/m2を超えると、湿式法では基材の乾燥に長時間かかることや、乾式法では基材が厚くなる場合があり、その後のプロセスで取り扱い性が難しくなるおそれがある。
さらに、強化繊維4は、不連続であり、略モノフィラメント状、且つ、繊維基材1中にランダムに分散していることが望ましい。強化繊維4をかかる態様とすることで、成形基材1から得られる成形品に等方性および均質性を付与することが出来る。
ここで、略モノフィラメント状とは、強化繊維単糸が500本未満の細繊度ストランドにて存在することを指す。さらに望ましくは、モノフィラメント状、つまり単糸として分散していることである。
また、略モノフィラメント状、又は、モノフィラメント状に分散しているとは、繊維基材1中にて任意に選択した強化繊維4について、その二次元配向角が1°以上である単繊維の割合(以下、繊維分散率とも称す)が80%以上であることを指し、言い換えれば、繊維基材1中において単繊維の2本以上が接触して平行した束が20%未満であることをいう。従って、ここでは、少なくとも強化繊維4におけるフィラメント数100本以下の繊維束の質量分率が100%に該当するものが特に好ましい。
さらに、強化繊維4はランダムに分散していることが、とりわけ望ましい。強化繊維4がランダムに分散しているとは、繊維基材1における任意に選択した強化繊維4の二次元配向角の算術平均値が30°以上、60°以下の範囲内にあることをいう。かかる二次元配向角とは、強化繊維4の単繊維とこの単繊維と交差する単繊維とで形成される角度のことであり、交差する単繊維同士が形成する角度のうち、0°以上、90°以下の範囲内にある鋭角側の角度と定義する。
この二次元配向角について、図面を用いてさらに説明する。図3は、本発明に係る繊維基材1における強化繊維4の分散状態の一例を示す模式図であり、図3(a)は面方向、図3(b)は厚み方向から見た図である。図3(a)、(b)において、単繊維4aを基準とすると、単繊維4aは他の単繊維4b〜4fと交差している。ここで、交差とは、観察する二次元平面において、基準とする単繊維が他の単繊維と交わって観察される状態のことを意味し、単繊維4aと単繊維4b〜4fとが必ずしも接触している必要はなく、投影して見た場合に交わって観察される状態についても例外ではない。つまり、基準となる単繊維4aについて見た場合、単繊維4b〜4fの全てが二次元配向角の評価対象であり、図3(a)中において二次元配向角は交差する2つの単繊維が形成する2つの角度のうち、0°以上、90°以下の範囲内にある鋭角側の角度αである。
二次元配向角を測定する方法としては、特に制限はないが、例えば、構成要素の表面から強化繊維4の配向を観察する方法を例示できる。二次元配向角の平均値は、次の手順で測定する。すなわち、無作為に選択した単繊維(図3における単繊維4a)に対して交差している全ての単繊維(図3における単繊維4b〜4f)との二次元配向角の平均値を測定する。例えば、ある単繊維に交差する別の単繊維が多数の場合には、交差する別の単繊維を無作為に20本選び測定した算術平均値を代用してもよい。この測定を別の単繊維を基準として合計5回繰り返し、その算術平均値を二次元配向角の算術平均値として算出する。
強化繊維4が略モノフィラメント状、且つ、ランダムに分散していることで、上述した略モノフィラメント状に分散した強化繊維4により与えられる性能を最大限まで高めることができる。また、繊維基材1において力学特性に等方性を付与できる。かかる観点から、強化繊維4の繊維分散率は90%以上であることが望ましく、100%に近づくほどより望ましい。また、強化繊維4の二次元配向角の算術平均値は、40°以上、50°以下の範囲内にあることが望ましく、理想的な角度である45°に近づくほど望ましい。二次元配向角の好ましい範囲としては、上記した上限のいずれの値を上限としてもよく、上記した下限のいずれの値を下限としてもよい。強化繊維4をかかる態様にする方法としては、上記のスラリーによる抄造法が例示される。
<(III)固着工程>
本発明に係る繊維基材1は、上述した強化繊維4同士を結着剤で互いに固着させる固着工程を含む。
結着剤の種類は特に制限されないが、熱硬化性樹脂または/および熱可塑性樹脂である樹脂の溶融物、水溶液、エマルジョンまたはサスペンジョンが例示される。結着剤を繊維基材に付与することで、強化繊維4同士が固着し、支持体3から脱型可能となる。
樹脂としては、特に制限されないが、後述するマトリクス樹脂(a)と同種の樹脂、もしくは、アクリル系重合体、ビニル系重合体、ポリウレタン、ポリアミド及びポリエステルが例示される。本発明においてはこれらの例より選ばれる1種、または2種以上が好ましく用いられる。これらの樹脂を用いることにより、強度に優れた繊維基材1を得ることができる。また、樹脂は、アミノ基、エポキシ基、カルボキシル基、オキサゾリン基、カルボン酸塩基及び酸無水物基から選ばれる1種又は2種以上の反応性官能基を有することが好ましく、2種以上を有していてもよい。中でも、アミノ基および/またはオキサゾリン基を有する樹脂がより好ましい。
上記した樹脂の溶融物とは、熱硬化性樹脂または/および熱可塑性樹脂をその溶融温度Taに加熱した状態のものである。結着剤が熱硬化性樹脂を含む場合、溶融温度Taは最低粘度の観測温度±40℃とする。熱硬化性樹脂は、加熱によって熱硬化する前に流動性を有する状態となるので、この流動性が最大となる最低粘度の観測温度付近に温度制御することで、繊維基材1への含浸性が向上する。
熱硬化性樹脂の最低粘度の観測温度はレオメーター(回転型動的粘度弾性測定装置)を用いて、1.5℃/分の速度にて40℃から250℃まで温度を上げた際の熱硬化性樹脂の最低粘度の観測温度を観測することで評価できる。
結着剤が熱可塑性樹脂を含む場合、溶融温度Taは熱可塑性樹脂の融点(Tm)以上とする。かかる温度とすることで熱可塑性樹脂は流動性を示し、繊維基材1への優れた含浸性を示すようになる。
熱可塑性樹脂の融点(Tm)としては、示差走査熱量測定(DSC:Differential ScanningCalorimetry)により求めることができる。昇温速度10℃/minの昇温条件にて得られた熱量カーブにおける融解ピークのピークトップをTmとして取り扱う。
上記した樹脂の水溶液とは、水にほぼ完全に溶解した状態の溶液を意味し、また、樹脂のエマルジョンとは完全に溶解しない2つの液体が液中で微細粒子を形成している状態の溶液(乳濁液)を意味し、サスペンジョンとは水に懸濁した状態の溶液(懸濁液)を意味する。液中の成分粒径の大きさは、水溶液<エマルジョン<サスペンジョン<溶融物の順である。
繊維基材1への結着剤の付与は、これらの水溶液、エマルジョンまたはサスペンジョンの形態で行うことが好ましい。付与方式は特に問わないが、例えば結着剤を繊維基材に滴下する方式、噴霧する方法、繊維基材1を結着剤が満たされた槽に浸漬する方式が例示される。付与後は乾燥工程の前に過剰分の結着剤を例えば支持体3下から吸引または吸収紙などの吸収材へ吸収させるなどして除去しておくことが好ましい。
固着工程における結着剤の結着量は、取り扱い性の観点および後述する切断工程での作業性から、繊維基材1に対する結着剤の量で0.5〜40質量%であることが好ましく、1〜20質量%であることがより好ましく、2〜10質量%であることが特に好ましく、結着剤の量の好ましい範囲としては、上記した上限のいずれの値を上限としてもよく、上記した下限のいずれの値を下限としてもよい。
また、固着工程における繊維基材1の含水率は、結着剤を付与する前に、予め10質量%以下、好ましくは5質量%以下に調整されることが好ましい。これにより、繊維基材1に樹脂を充分に結着させることができ、強度に優れる繊維基材1を得ることができる。さらに、繊維基材1に結着剤を付与した後、100℃以上まで加熱し、繊維基材1の含水率を5質量%以下とすることが好ましい。結着剤付与後に繊維基材1の含水率が5質量%を超える場合は、後述のマトリクス樹脂(a)と複合化させた場合に、水蒸気となってボイド形成などの要因となる。また追加で乾燥させる工程を設ける必要があるなど、生産性の面でも効率が悪くなる。加熱温度としては結着剤が付与された繊維基材が乾燥する温度を適宜定めることができ、120〜300℃であることが好ましく、150〜250℃であることがより好ましい。
続いて、付与された結着剤により強化繊維4同士を互いに固着させる。強化繊維同士を結着させる方法については、効率よく熱を付与できるという観点から、プレス加熱、真空加熱、オーブン加熱が好ましい。中でも、より強固に固着するために圧力をかけるという観点から、プレス加熱が好適に用いられる。プレス加熱の条件は特に限定されないが、油圧式プレス機などの加圧成形機により行う場合には、面圧0.01MPa以上10MPa以下であることが好ましく、0.05MPa以上5MPa以下であることが特に好ましく、面圧の好ましい範囲としては、上記した上限のいずれの値を上限としてもよく、上記した下限のいずれの値を下限としてもよい。また、繊維基材1中の結着剤が溶融している状態で固着させることが好ましい。溶融している状態とするために、繊維基材1は加熱されることが好ましい。加熱温度は樹脂の種類によるが、50℃以上400℃以下とすることが好ましく、100℃以上300℃以下とすることがより好ましく、加熱温度の好ましい範囲としてはの好ましい範囲としては、上記した上限のいずれの値を上限としてもよく、上記した下限のいずれの値を下限としてもよい
<(IV)脱型工程>
本発明に係る成形基材の製造方法は、支持体3上で固着した繊維基材1を取り除く脱型工程(IV)を含む。
工程(III)に続き、繊維基材1は冷却される。この時、取り扱い性の観点から、溶融温度Ta−20℃以下の温度まで冷却することが好ましい。
冷却された繊維基材1は支持体3から脱型される。脱型する手法は特に制限は無いが、手動で引き剥がしても、吸引等の機械によって脱型しても良い。ここでは、成形基材1の平面部端部をローラーにより支持体3から引き剥がす方向に張力をかける方法が例示される。
<(V)トリミング工程>
工程(IV)に続き、本発明に係る繊維基材1の製造方法は、前記平面部(B)を切断し、分割するトリミング工程をさらに含むことが好ましい。繊維基材1がトリミングされることで、後述される成形品の製造における繊維基材1の取り扱い性が向上する。
トリミングする手法は、特に制限されないが、ロータリーカッターやギロチンカッター、フライングシャーなど、公知のスリッター装置を用いることが出来る。
<成形品>
本発明に係る成形品は、繊維基材1とマトリクス樹脂(a)とを一体化して得られる。
<マトリクス樹脂(a)>
ここで、マトリクス樹脂(a)の種類としては、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂を例示できる。また、本発明においては、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂とがブレンドされていてもよい。本発明におけるマトリクス樹脂(a)に用いられる熱可塑性樹脂としては、「ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、液晶ポリエステル等のポリエステル、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリブチレン等のポリオレフィン、ポリオキシメチレン(POM)、ポリアミド(PA)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)等のポリアリーレンスルフィド、ポリケトン(PK)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、ポリエーテルニトリル(PEN)、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂、液晶ポリマー(LCP)」等の結晶性樹脂、「スチレン系樹脂の他、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリサルホン(PSU)、ポリエーテルサルホン、ポリアリレート(PAR)」等の非晶性樹脂、その他、フェノール系樹脂、フェノキシ樹脂、さらにポリスチレン系、ポリオレフィン系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系、ポリイソプレン系、フッ素系樹脂、及びアクリロニトリル系等の熱可塑エラストマー等や、これらの共重合体及び変性体等から選ばれる熱可塑性樹脂を例示できる。中でも、得られる成形品の軽量性の観点からはポリオレフィンが好ましく、強度の観点からはポリアミドが好ましく、表面外観の観点からポリカーボネートやスチレン系樹脂のような非晶性樹脂が好ましく、耐熱性の観点からポリアリーレンスルフィドが好ましく、連続使用温度の観点からポリエーテルエーテルケトンが好ましく、さらに耐薬品性の観点からフッ素系樹脂が好ましく用いられる。
本発明におけるマトリクス樹脂(a)に用いられる熱硬化性樹脂としては、不飽和ポリエステル、ビニルエステル、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、熱硬化性ポリイミド、これらの共重合体、変性体、及びこれらの少なくとも2種類をブレンドした樹脂を例示できる。
また、本発明の目的を損なわない範囲で、マトリクス樹脂(a)は、エラストマー又はゴム成分等の耐衝撃性向上剤、他の充填材や添加剤を含有してもよい。充填材や添加剤の例としては、無機充填材、難燃剤、導電性付与剤、結晶核剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、制振剤、抗菌剤、防虫剤、防臭剤、着色防止剤、熱安定剤、離型剤、帯電防止剤、可塑剤、滑剤、着色剤、顔料、染料、発泡剤、制泡剤、バインダー、または、カップリング剤を例示できる。
<製造方法>
本発明に係る成形品は繊維基材1とマトリクス樹脂(a)を一体化することにより得られる。通常、繊維基材1にマトリクス樹脂が含浸した成形品として得られ、例えばプリプレグのような形態が挙げられる。一体化する手法は、特に制限はないが、プレス成形、RTM成形、Va−RTM成形などが例示される
一体化に用いるマトリクス樹脂(a)の形態としては、特に制限はなく、溶融状態、フィルム状態、固形物(繊維やフレーク、粒子など)の状態で用いることが出来る。一体化の手法に合わせて、マトリクス樹脂(a)の形態を選択することが好ましい。例えば、プレス成形においては、マトリクス樹脂(a)は固形物、フィルムの形態が好ましく、より好ましくはフィルムの形態で、かつ真空成形などで予め繊維基材1の形状を為していることが好ましい。RTM成形あるいはVa−RTM成形にて一体化する場合、マトリクス樹脂(a)は溶融した状態で繊維基材1が配置された型内に注入されることが好ましい。
また、マトリクス樹脂(a)は前述の堆積工程または/および固着工程において繊維基材1に付与されてもよい。付与される方法としては、マトリクス樹脂(a)を繊維状、フレーク状、粒子状として、堆積工程または/および固着工程において、強化繊維4と混ぜ合わせて堆積させる方法、交互に堆積させて積層させる方法などが例示される。マトリクス樹脂(a)が堆積工程または/および固着工程において繊維基材1に予め含まれている場合、繊維基材1をプレス成形などにより加熱・加圧することにより効率よく成形品を得ることが出来るため好ましい。
成形品は、各産業製品に用いられる。成形品の用途としては、例えば、「パソコン、ディスプレイ、OA機器、携帯電話、携帯情報端末、PDA(電子手帳等の携帯情報端末)、ビデオカメラ、音響機器、光学機器、オーディオ、エアコン、照明機器、娯楽用品、玩具用品、その他家電製品等の筐体、トレイ、シャーシ、内装部材、又はそのケース」等の電気、電子機器部品、「各種メンバ、各種フレーム、各種ヒンジ、各種アーム、各種車軸、各種車輪用軸受、各種ビーム」、「フード、ルーフ、ドア、フェンダ、トランクリッド、サイドパネル、リアエンドパネル、フロントボディー、アンダーボディー、各種ピラー、各種メンバ、各種フレーム、各種ビーム、各種サポート、各種レール、各種ヒンジ等の、外板、又は、ボディー部品」、「バンパー、バンパービーム、モール、アンダーカバー、エンジンカバー、整流板、スポイラー、カウルルーバー、エアロパーツ等の外装部品」、「インストルメントパネル、シートフレーム、ドアトリム、ピラートリム、ハンドル、各種モジュール等の内装部品」、又は、「モーター部品、CNGタンク、ガソリンタンク」等の自動車、二輪車用構造部品、「バッテリートレイ、ヘッドランプサポート、ペダルハウジング、プロテクター、ランプリフレクター、ランプハウジング、ノイズシールド、スペアタイヤカバー」等の自動車、二輪車用部品、「遮音壁、防音壁等の壁内部材」等の建材、「ランディングギアポッド、ウィングレット、スポイラー、エッジ、ラダー、エレベーター、フェイリング、リブ、シート、小型無人航空機のボディー」等の航空機用部品、「義肢、プロテクター、サポーター、医療機器、衝撃吸収部材」等の医療用部品などに用いることができる。力学特性の観点からは、本発明の製造方法により得られる成形品は、自動車内外装、電気・電子機器筐体、自転車、スポーツ用品用構造材、航空機内装材、輸送用箱体、建材に好ましく用いられる。なかでも、とりわけ複数の部品から構成されるモジュール部材に好適である。
<実施例>
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。
(1)繊維基材の厚みT、高さZ
繊維基材において曲折部を含む断面を光学顕微鏡で観察し、その観察画像より厚みTおよび高さZを求めた。測定はn=10でおこない、その算術平均値を算出した。
[炭素繊維1]
アクリロニトリル(AN)99.4モル%とメタクリル酸0.6モル%からなる共重合体を用いて、乾湿式紡糸方法により単繊維デニール1d、フィラメント数12,000のアクリル系繊維束を得た。得られたアクリル系繊維束を240〜280℃の温度の空気中で、延伸比1.05で加熱し、耐炎化繊維に転換し、次いで窒素雰囲気中300〜900℃の温度領域での昇温速度を200℃/分とし10%の延伸を行った後、1,300℃の温度まで昇温し焼成した。この炭素繊維束に、硫酸を電解質とした水溶液で、炭素繊維1gあたり3クーロンの電解表面処理を行い、さらに浸漬法によりサイジング剤を付与し、120℃の温度の加熱空気中で乾燥し、以下に示すPAN系炭素繊維を得た。
総フィラメント数 12,000本
単繊維直径 7μm
単位長さ当たりの質量 0.8g/m
密度 1.8g/cm3
引張強度(注1) 4.2GPa
引張弾性率(注2) 230GPa
サイジング種類 ポリオキシエチレンオレイルエーテル
サイジング付着量(注3) 1.5質量%
O/C(注4) 0.10
(注1)引張強度、(注2)引張弾性率の測定条件
日本工業規格(JIS)−R−7601「樹脂含浸ストランド試験法」に記載された手法により、求めた。ただし、測定する炭素繊維の樹脂含浸ストランドは、“BAKELITE”(登録商標)ERL4221(100質量部)/3フッ化ホウ素モノエチルアミン(3質量部)/アセトン(4質量部)を炭素繊維に含浸させ、130℃、30分で硬化させることにより形成した。また、ストランドの測定本数は、6本とし、各測定結果の平均値を、その炭素繊維の引張強度、引張弾性率とした。
(注3)サイジング剤の付着量の測定条件
試料として、上記のサイジング剤が付着している炭素繊維約5gを採取し、耐熱性の容器に投入した。次にこの容器を120℃で3時間乾燥した。吸湿しないようにデシケーター中で注意しながら室温まで冷却後、秤量した質量をW1(g)とした。続いて、容器ごと、窒素雰囲気中で、450℃で15分間加熱後、同様にデシケーター中で吸湿しないように注意しながら室温まで冷却後に秤量した質量をW2(g)とした。以上の処理を経て、炭素繊維へのサイジング剤の付着量を次の式により求めた。
(式)付着量(質量%)=100×{(W1−W2)/W2
なお、測定は3回行い、その平均値を付着量として採用した。
(注4)O/Cの測定条件
X線光電子分光法により次の手順に従って求めた。まず、溶剤で炭素繊維表面に付着物などを除去した炭素繊維を20mmにカットして、銅製の試料支持台に拡げて並べた。X線源としてA1Kα1、2を用い、試料チャンバー中を1×108Torrに保った。測定時の帯電に伴うピークの補正値としてC1sの主ピークの運動エネルギー値(K.E.)を1202cVに合わせた。C1sピーク面積を、K.E.として1191〜1205eVの範囲で直線のベースラインを引くことにより求めた。O1sピーク面積を、K.E.として947〜959eVの範囲で直線のベースラインを引くことにより求めた。
[結着剤1]
結着剤1は、日本触媒(株)製“ポリメント”(登録商標)SK−1000を用いた。その物性は下記の通りである。
・アミノアルキレン基を側鎖に有するアクリル系重合体
・アミン水素当量650g/eq
・軟化温度160℃
[PP樹脂シート]
未変性ポリプロピレン樹脂(プライムポリマー(株)製“プライムポリプロ”(登録商標)J105G)80質量%と、酸変性ポリプロピレン樹脂(三井化学(株)製“アドマー”QB510)20質量%とからなる目付100g/mのシート(融点160℃)を作製した。
[支持体1]
図4に示される、多角台形状の曲折面が幅方向に2箇所ずつ搬送方向に連続して形成された網状の支持体。
[支持体2]
曲折面を有さない、平面のみで構成された網状の支持体。
[金型1]
プレス成形に使用する金型として、下記に示す寸法を有する、凹型に図5(a)、凸型に図5(b)に示す金型1を用いた。
W1=W2=200mm、W3=100mm、W4=50mm
W5=W6=200mm、W7=100mm、W8=50mm
D1=100mm、D2=49.5mm、D3=100mm、D4=49.5mm
(実施例1)
炭素繊維1をカートリッジカッターで5mmにカットし、チョップド炭素繊維を得た。水と界面活性剤(ナカライテクス(株)製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(商品名))とからなる濃度0.1質量%の分散液を作製し、この分散液とチョップド炭素繊維とを強化繊維マットの製造装置を用いて、繊維基材1を製造した。
製造装置は、堆積槽としての容器下部に開口コックを有する直径1000mmの円筒形状の容器、堆積槽と抄紙槽とを接続する直線状の輸送部(傾斜角30°)を備えている。堆積槽の上面の開口部には撹拌機が付属し、開口部からチョップド炭素繊維及び分散液を投入可能である。抄紙槽は、底部に支持体1を有するメッシュコンベアを備える槽であり、繊維基材を運搬可能なコンベアをメッシュコンベアに接続している。抄紙は分散液中の繊維濃度を0.05質量%として行った。抄紙した繊維基材を200℃の乾燥炉で30分間乾燥した。
続いて、結着剤槽の開口コックを開放して、コンベア上を流れてくる繊維基材の上面部に結着剤として結着剤1の3質量%の水分散液(エマルジョン)を200g散布した。余剰分の結着剤を吸引して結着剤1を付与した繊維基材1を得た。
該繊維基材を200℃の長さ5mの乾燥炉に通して乾燥したのち、支持体から離型し、ロータリーカッターにてトリミングして、繊維基材1を得た。得られた繊維基材1の厚さTは0.5mm、高さZは30mm、目付は50g/mであった。
(比較例1)
結着剤を使用しなかったこと以外は実施例2と同様にして製造した。脱型工程において、繊維基材が支持体から剥がれずに破れてしまい、繊維基材を得ることが出来なかった。
(実施例2)
繊維基材として実施例1にて作製した繊維基材1、金型として金型1、マトリクス樹脂としてPP樹脂シートを用いて、プレス成形にて以下の工程(I)〜(V)を経ることにより成形品を得た。得られた成形品の厚みは0.5mmで、成形品は光沢のある良好な外観を有していた。
(I)PP樹脂シート2層を200℃に予熱し、真空成形にて金型に賦形し、50℃に冷却して取り出す。
(II)140℃に予熱したプレス成形用金型キャビティ内に実施例1にて作製した繊維基材1を4層と上記PP樹脂シートを配置して金型を閉じ、200℃まで昇温する。
(III)次いで、120秒間保持した後、50kNの圧力を付与してさらに60秒間保持する。
(IV)その後、圧力を保持した状態でキャビティ温度を50℃まで冷却する。
(V)金型を開いて構造体を取り出す。
(比較例2)
支持体を支持体2としたこと以外は実施例1と同様にして繊維基材2を得た。得られた繊維基材2の厚さTは0.5mm、高さZも0.5mm、目付は50g/mであった。
該繊維基材とPP樹脂シートを用いて、以下の工程(I)〜(IV)を経ることにより成形品を得た。得られた成形品の厚みは0.5mmであったが、成形品は繊維基材にシワがよっているとともに、曲折部に繊維基材に破れが生じており、外観品位は不良であった。
(I)140℃に予熱したプレス成形用金型キャビティ内に4層の繊維基材2と2層のPP樹脂シートを配置して金型を閉じ、200℃まで昇温する。
(II)次いで、120秒間保持した後、50kNの圧力を付与してさらに60秒間保持する。
(III)その後、圧力を保持した状態でキャビティ温度を50℃まで冷却する。
(IV)金型を開いて構造体を取り出す。
<検討>
実施例1では本製造方法により、曲折部を有する繊維基材を得ることが出来ることが示された。また実施例1と比較例1との比較により、本発明の製造方法においては強化繊維の固着状態が繊維基材の製造において重要であることが示された。
また、比較例2に示される、平面形状の繊維基材、樹脂シートを用いて成形された曲折部を有する繊維強化樹脂成形品は外観品位に劣る一方で、実施例2に示される、本発明に係る製造方法により製造された繊維基材1を用いた成形品は良好な外観を有しており、3次元形状の成形においては本発明の製造方法による繊維基材が好適であることが明らかとなった。
本発明に係る成形品の製造方法によれば、シワなどの外観品位、軽量性に優れるプレス成形品を提供できる。
S:断面
1:繊維基材
2:断面
3:支持体
4:強化繊維

Claims (11)

  1. 曲折部(A)を有する繊維基材の製造方法であって、
    少なくとも以下(I)〜(IV)の工程を含む、繊維基材の製造方法。
    (I)強化繊維を不連続状にカットする切断工程
    (II)前記強化繊維を、曲折部(A)と同形状の曲折面(C)を有する網状の支持体に堆積させる堆積工程
    (III)前記強化繊維を結着剤で互いに固着させる固着工程
    (IV)前記曲折面(C)に沿って曲折部(A)が形成された繊維基材を前記支持体から取り除く脱型工程
  2. 前記繊維基材が、平面部(B)を有する、請求項1に記載の繊維基材の製造方法。
  3. 曲折部を有する断面(S)における曲折部(A)の高さをZ、前記繊維基材の厚さをTとしたとき、Z>3Tである、請求項1または2に記載の繊維基材の製造方法。
  4. 前記強化繊維が炭素繊維で、かつ質量平均繊維長が1〜15mmである、請求項1〜3のいずれかに記載の繊維基材の製造方法。
  5. 前記支持体が、曲折面(C)を複数有する、請求項1〜4のいずれかに記載の繊維基材の製造方法。
  6. 前記堆積工程が乾式法で行われる、請求項1〜5のいずれかに記載の繊維基材の製造方法。
  7. 前記堆積工程が湿式法で行われる、請求項1〜5のいずれかに記載の繊維基材の製造方法。
  8. 前記固着工程において、プレス加熱、真空加熱およびオーブン加熱からなる群より選ばれる少なくとも1つの手法を用いて、前記結着剤により前記強化繊維同士を固着する、請求項1〜7のいずれかに記載の繊維基材の製造方法。
  9. 前記繊維基材における任意の点で、前記強化繊維が略モノフィラメントで、かつランダムに分散している、請求項1〜8のいずれかに記載の繊維基材の製造方法。
  10. 前記工程(IV)に続いて、さらに以下の工程(V)を含む、請求項1〜9のいずれかに記載の繊維基材の製造方法。
    (V)前記平面部(B)を切断し、分割するトリミング工程
  11. 請求項1〜10のいずれかに記載の繊維基材とマトリクス樹脂(a)を一体化して得られる、成形品の製造方法。
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