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JP2019177811A - 車両用シート - Google Patents

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JP2019177811A
JP2019177811A JP2018069036A JP2018069036A JP2019177811A JP 2019177811 A JP2019177811 A JP 2019177811A JP 2018069036 A JP2018069036 A JP 2018069036A JP 2018069036 A JP2018069036 A JP 2018069036A JP 2019177811 A JP2019177811 A JP 2019177811A
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JP2018069036A
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健 塩谷
Takeshi Shiotani
健 塩谷
晃 小森
Akira Komori
晃 小森
美緒 古井
Mio Furui
美緒 古井
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Panasonic Intellectual Property Management Co Ltd
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Abstract

【課題】送風機の大型化を回避して騒音や振動の発生を抑制するとともに、着座感を良好にしながら、効率よく乗員に冷涼感を与えるようにして快適性を向上させる。【解決手段】車両用シート1は、乗員の冷却部位に対応する部分に通気性を持たせたシート表皮材11と、通気性を有する通気パッド材12、13と、通気パッド材12、13から車両用シート1の着座面以外の部位にかけて、空気の流れを形成するように延びる空気通路14a、14bを有するクッション材14と、空気通路14a、14b内の空気を排出する送風機15、16とを備えている。【選択図】図3

Description

本発明は、例えば自動車等に搭載される車両用シートに関し、特にシートの内部に空気通路を設ける構造の技術分野に属する。
従来より、自動車に搭載される車両用シートの内部に空気通路を設けることによってシート表面に気流を形成する構造が知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
特許文献1に開示されている車両用シートは、表皮材に覆われたシートパッドと、シートパッドを裏側から支持する支持パネルと、支持パネルの裏側に配設される送風機とを有している。シートパッドには、乗員の着座面に開口する複数の通気孔が前後方向及び左右方向に互いに間隔をあけて形成されている。支持パネルには、各通気孔に連通する通気溝が前後方向及び左右方向に延びるように形成されている。送風機は、支持パネルの中央部近傍において1つ配設されており、送風機の作動によってシートパッドの通気孔から空気を吸い込み、通気孔から吸い込まれた空気が支持パネルの通気溝を流れてシートの下方に吹き出すようになっている。
特許文献2に開示されている車両用シートは、乗員の着座面に開口する複数の吸込口が前後方向や左右方向に互いに間隔をあけて形成されたシート座部を備えている。このシート座部の内部には、送風機収容部が設けられている。この送風機収容部に収容された1つの送風機が作動することにより、吸込孔から空気を吸い込み、吸込孔から吸い込まれた空気がシートの座面以外の方向に吹き出すようになっている。
また、特許文献1、2では、空気を着座面から吹き出すように制御する形態も開示されている。
特開2012−197032号公報 特許第5556619号公報
ところで、特許文献1には、複数の通気孔がシートパッドの前後方向及び左右方向に互いに間隔をあけて形成されているが、これら通気孔と乗員の各部位との位置関係について具体的な開示はない。例えば、通気孔が乗員との接触面から離れた箇所に形成されていると、乗員の各部位を効果的に冷却することができず、また室内の空調風が通気孔に向かって流れて乗員の近傍を通ることなく当該通気孔に直接流入してしまい、乗員へ供給される空調風の流れを阻害する要因になるおそれがある。
また、特許文献1では、複数の通気孔が支持パネルの通気溝に連通し、この通気溝が前後方向及び左右方向に延びるように形成されていて、その中央部に1つの送風機が配設された構成となっているので、流路が長くなるとともに、送風機1つで賄う風量が多くなってしまう。従って、空気の吸込から排出までの間で圧力損失が大きくなり、十分な風量を確保しようとすると必然的に送風機が大型化する、もしくは回転数を増加する必要が生じてしまう。どちらの場合も、騒音や振動の原因になり、特にシートは乗員が常時触れているものなので送風機の騒音や振動を乗員が感じやすく、問題となりやすい。
また、特許文献1では、シートパッドにおける乗員の着座面となる面に通気孔が開口しているので、乗員が着座した際に通気孔の内と外とで面圧が異なることになり、乗員の着座感が悪化する懸念がある。
一方、特許文献2では、乗員の大腿部近傍に複数の吸込口が形成されているので、特許文献1に比べれば、乗員の各部位の冷却性は高まると考えられる。
しかしながら、複数の吸込口から送風機に至る空気通路が長くなるとともに、送風機1つで賄う風量が多くなってしまう点は特許文献1と同様である。従って特許文献1と同様に、送風機が大型化する、もしくは回転数を増加する必要が生じ、騒音や振動の問題が懸念される。
また、特許文献2においても特許文献1と同様に、吸込口が乗員の着座面に開口している場合には、乗員の着座感が悪化する懸念がある。尚、特許文献2では、吸込口が着座した状態にある乗員から離れた所に開口している形態も開示されているが、この形態の場合は、上述したように、乗員の各部位を直接冷却することができなくなるので快適性が低下してしまい、また室内の空調風が吸込口に直接流入してしまうので乗員へ供給される空調風の流れを阻害する。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、送風機の大型化を回避して騒音や振動の発生を抑制するとともに、着座感を良好にしながら、効率よく乗員に冷涼感を与えるようにして快適性を向上させることにある。
上記目的を達成するために、本発明の第1の側面に係る車両用シートは、少なくとも乗員の冷却部位に対応する部分に通気性を持たせたシート表皮材と、前記シート表皮材の裏側において乗員の所定の冷却部位に対応するように配置され、通気性を有する通気パッド材と、前記シート表皮材により覆われた状態で前記通気パッド材を前記シート表皮材とは反対側から支持するとともに、前記通気パッド材における前記シート表皮材とは反対側の面から前記車両用シートの着座面以外の部位にかけて、空気の流れを形成するように延びる空気通路を有するクッション材と、前記空気通路内に、前記シート表皮材側から前記車両用シートの着座面以外の部位へ向けて流れる空気の流れを形成して該空気通路内の空気を排出する送風機とを備えている。
この構成によれば、乗員が車両用シートに着座すると、乗員の所定の冷却部位がシート表皮材の通気性を有する部分に対応するように位置する。この乗員の冷却部位は、シート表皮材の通気性を有する部分、通気パッド材及びクッション材を介して支持される。通気パッド材は空気を通過するようになっているので、通気パッド材には従来例のような通気のための貫通孔を形成する必要が無くなる。また、この通気パッド材が所定の厚みを持っているので、クッション材の空気通路の存在による面圧の相違を乗員が感じにくくなる。これにより、乗員の着座感が良好になる。
そして、送風機が作動すると、クッション材の空気通路内に、シート表皮材側から車両用シートの着座面以外の部位へ向けて流れる空気の流れが形成されて該空気が排出される。これにより、乗員の冷却部位近傍に滞留する高温多湿の空気が、シート表皮材の通気性を有する部分及び通気パッド材を通過してクッション材の空気通路内に流入し、車両用シートの着座面以外の部位へ向けて排出され、冷却部位近傍には相対的に低温低湿度の空気が供給されることで、乗員に冷涼感を与える。また、室内が冷房されている場合には、空調風が乗員の冷却部位近傍に向けて流れるような気流が形成されるので、このことにより乗員の冷却部位の冷却が促進される。
シート表皮材の通気性を有する部分及び通気パッド材が共に乗員の冷却部位に対応するように配置されているので、シート表皮材の通気性を有する部分を通過した空気は通気パッド材に流入しやすくなる。さらにクッション材の空気通路は、通気パッド材から車両用シートの着座面以外の部位にかけて、空気の流れが形成されるように延びているので、空気通路に流入した空気はスムーズに車両用シートの着座面以外の部位へ流れて排出されることになる。従って、空気の吸込から排出までの間で圧力損失が小さくなり、小型または低回転数の送風機であっても十分な風量を確保することが可能になる。
本発明の第2の側面に係る車両用シートは、前記シート表皮材の通気性を持たせた部分及び前記通気パッド材は、乗員の左右の大腿部にそれぞれ対応するように車両左右方向に間隔をあけて設けられ、前記シート表皮材の通気性を持たせた各部分及び前記各通気パッド材の車両左右方向の中央部は、乗員の大腿部の幅方向中央部に対応するように配置され、前記シート表皮材の通気性を持たせた各部分及び前記各通気パッド材の車両左右方向の幅は、乗員の大腿部の幅以下とされ、前記シート表皮材の通気性を持たせた各部分及び前記各通気パッド材の後端部は、乗員の尻による着座圧が作用する部分近傍に配置されている。
この構成によれば、乗員の汗腺が集中し、かつ温冷感の感度が高い大腿部を冷却することができる。
本発明の第3の側面に係る車両用シートは、前記クッション材の車両左側及び右側に、それぞれ、前記各通気パッド材に対応するように前記空気通路が形成され、前記送風機は、車両左側及び右側の前記空気通路にそれぞれ対応するように設けられている。
この構成によれば、乗員の冷却部位が複数ある場合に、各冷却部位に対応するように送風機を配置することができるので、各送風機を小型化しながら、各冷却部位の風量を十分に確保することができる。
本発明の第4の側面に係る車両用シートは、前記シート表皮材の通気性を持たせた部分及び前記通気パッド材は、乗員の背中に対応するように設けられ、前記シート表皮材の通気性を持たせた部分及び前記通気パッド材の車両左右方向の中央部は、乗員の背中の幅方向中央部に対応するように配置され、前記シート表皮材の通気性を持たせた部分及び前記通気パッド材の車両左右方向の幅は、乗員の背中の幅以下とされ、前記シート表皮材の通気性を持たせた部分及び前記通気パッド材の車両上端部は、乗員の肩胛骨近傍に配置され、前記シート表皮材の通気性を持たせた部分及び前記通気パッド材の車両下端部は、乗員の腰近傍に配置されている。
この構成によれば、乗員の背中のうちシートと密着し高温多湿となる部位を集中的に冷却することができる。
本発明の第5の側面に係る車両用シートは、前記通気パッド材及び前記空気通路は、乗員の冷却部位の直下に配置され、前記通気パッド材及び前記空気通路の車両左右方向の寸法は、乗員の冷却部位の車両左右方向の寸法以下とされ、前記通気パッド材及び前記空気通路の車両前後方向の寸法は、乗員の冷却部位の車両前後方向の寸法以下とされていることを特徴とする。
この構成によれば、乗員の体のうちシートと密着することで高温多湿となり冷涼感が不足する部位を集中的に冷却することができる。
本発明の第6の側面に係る車両用シートは、前記空気通路は、三次元構造体によって形成された空間と前記クッション材の内部に形成された空間との少なくとも一方またはこれらの組み合わせによって構成される。
本発明の第7の側面に係る車両用シートは、前記三次元構造体の密度は、前記クッション材の密度と同等である。
この構成によれば、三次元構造体によって空気通路を構成する場合に、三次元構造体とクッション材とが同等な密度であることから、乗員の着座感が良好になる。
本発明の第8の側面に係る車両用シートは、前記通気パッド材は、前記シート表皮材側に開口する貫通孔を有さず、厚さ3cmのときフラジール法で200cc/cm・s以上の通気性を有する部材で構成されている。
この構成によれば、通気パッド材におけるシート表皮材側に開口する貫通孔が無いので、乗員の着座感が良好になる。そして、厚さ3cmのときフラジール法で200cc/cm・s以上の通気性を有する通気パッド材とすることで、通気パッド材の通気抵抗が少なくなり、小型の送風機であっても十分な風量を確保することが可能になる。
本発明の第9の側面に係る車両用シートは、前記通気パッド材と前記クッション材との間に、該通気パッド材及び該クッション材よりも通気抵抗の高い高通気抵抗層が設けられている。
この構成によれば、通気パッド材を通過する空気がクッション材の空気通路以外の部分に向けて流れるのが、高通気抵抗層によって抑制される。よって、冷却効率が向上する。
前記高通気抵抗層は、例えば塗料、樹脂材、布材、クッション材よりも密度の高いスポンジ材等で構成することができる。

本発明の第10の側面に係る車両用シートによれば、前記クッション材の外表面のうち、乗員を支持する部分以外の面に、該クッション材よりも通気抵抗の高い高通気抵抗層が設けられている。
この構成によれば、空気が、クッション材の外表面における乗員を支持する部分以外から空気通路に流入するのが高通気抵抗層によって抑制される。よって、冷却効率が向上する。
前記高通気抵抗層は、例えば塗料、樹脂材、布材、クッション材よりも密度の高いスポンジ材等で構成することができる。
本発明の第11の側面に係る車両用シートによれば、前記シート表皮材の通気性を持たせた部分には、多数の小孔が該シート表皮材を貫通するように形成されている。
この構成によれば、簡単な構成でもってシート表皮材の通気性を確実に高めることができる。
本発明の第12の側面に係る車両用シートは、前記送風機は、前記クッション材の内部に収容され、前記クッション材には、前記送風機の吐出側から前記車両用シートの着座面以外の部位である車両前部、後部、車両左側部、右側部及び下部の少なくとも1つの部位に向けて延びて当該部位に開口する空気排出通路が設けられている。
この構成によれば、送風機をクッション材の内部に収容することで省スペース化を図ることができる。
本発明の第13の側面に係る車両用シートは、前記通気パッド材は、前記車両用シートの着座圧が所定以上の箇所に対応するように設けられる一方、前記車両用シートの着座圧が所定未満となる箇所には設けられていない。
すなわち、車両用シートにおける臀部や腰部が接触する箇所は着座圧が背中の高さ方向中央部等に比べて高いので、所定以上の着座圧が作用することになり、このような着座圧が高い箇所には、通気パッド材が設けられる一方、背中の高さ方向中央部等のように、着座圧が所定未満となる箇所には通気パッド材が設けられないので、効率よく冷涼感を与えることができる。
本発明によれば、空気の吸込から排出までの間で圧力損失が小さくなるので、送風機の大型化を回避して騒音や振動の発生を抑制することができ、しかも、部位による面圧の相違を小さくして着座感を良好にすることができるとともに、乗員の冷却部位を効率良く冷却して快適性を向上させることができる。
本発明の実施形態1に係る車両用シートを備えた自動車の室内の一部を示す側面図である。 車両用シートの前後・垂直方向断面図である。 シートクッション部の左右・垂直方向断面図である。 シート表皮材の一部を示す拡大断面図である。 シートバック部の水平断面図である。 乗員が着座した状態の図2相当図である。 車両用空調装置のブロック図である。 本発明の実施形態2に係る図3相当図である。 本発明の実施形態3に係る図3相当図である。 本発明の実施形態4に係り、シートクッション部の前後方向の縦断面図である。 本発明の実施形態4に係る図3相当図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る車両用シート1を備えた自動車の室内(車室内)Rの一部を示す側面図である。以下の説明において、「前」とは車両前後方向の前側であり、「後」とは車両前後方向の後側であり、「左」とは車両左右方向の左側であり、「右」とは車両左右方向の右側である。
室内Rのフロアパネル100には、車両用シート1がスライド装置101を介して取り付けられている。室内Rの前端部には、図示しない計器類を有するインストルメントパネル102が配設されている。インストルメントパネル102の運転席側には、ステアリングコラム103が後側へ突出するように設けられている。ステアリングコラム103の後端部には、ステアリングホイール104が乗員Aと正対するように設けられている。
スライド装置101は、フロアパネル100に固定された前後方向に延びるレール部材101aと、車両用シート1の下部に固定され、レール部材101aによって前後方向に案内される被案内部材101bと、被案内部材101bをレール部材101aに対して所望位置で固定するロック部材(図示せず)とを備えている。
(車両用シート1の全体構成)
この実施形態で説明する車両用シート1は、運転席を構成するものであるが、本発明は助手席を構成するシートや、後席を構成するシートに適用することもできる。また、左右方向に複数人が並んで着座可能に構成された、いわゆるベンチシートに本発明を適用することもできる。
車両用シート1は、シートクッション部10と、シートバック部20と、リクライニング機構30と、ヘッドレスト40とを備えている。シートクッション部10は、シート座部とも呼ぶことができるものであり、乗員Aの主に尻から大腿部を下方から支持するように構成されている。シートクッション部10の下面に、スライド装置101の被案内部材101bが固定されている。シートバック部20は、シート背もたれ部とも呼ぶことができるものであり、乗員Aの主に腰、背中、肩胛骨周り、肩を後方から支持するように構成されている。シートクッション部10の後端部と、シートバック部20の下端部とは、リクライニング機構30を介して連結されている。リクライニング機構30は、シートバック部20をシートクッション部10に対して左右方向に延びる水平軸周りに揺動可能にする機構であり、従来から周知のものである。リクライニング機構30によってシートバック部20のシートクッション部10に対する角度を変更し、任意の角度でシートバック部20を固定することができるようになっている。また、ヘッドレスト40は、シートバック部20の上端部に設けられている。ヘッドレスト40とシートバック部20とは一体成形されていてもよい。
乗員Aの乗車姿勢は、スライド装置101による車両用シート1の前後位置の調整と、リクライニング機構30によるシートバック部20の角度調整の他、図示しないが、車両用シート1の昇降装置や、シートクッション部10の傾動装置等によって変更することができる。尚、各調整機構は必須なものではなく、いずれか1つまたは複数を省略したシートであってもよい。
以下の説明では、乗員Aが平均的な身長及び体重の成人(男性、女性)である場合を想定し、その乗員Aの乗車姿勢が標準的な乗車姿勢(例えば図1に示す姿勢)、即ち、運転者であれば安全上、支障のない乗車姿勢、助手席乗員や後席乗員であれば、一般的な乗車姿勢である場合を想定しており、例えば腰を前へずらして寝そべったような乗車姿勢等は除外する。
車両用シート1は、後述するように、乗員Aの所定の冷却部位を冷却するための気流を形成することができるように構成されたシートであり、ベンチレーション機能付きシート、あるいはベンチレーションシート等と呼ぶこともできる。乗員Aの所定の冷却部位とは、乗員Aとシート1の間で温度および湿度が上昇しやすく、乗員Aの温冷感が悪化しやすい部位とすることができる。「温冷感が悪化しやすい」とは、温度および湿度によって人が不快に感じるようになりやすいということである。つまり、冷却部位とは、乗員Aとシート1が密着することで高温多湿となりやすい部位や、加温されているか冷却されているかを感じ易い部位であるということができる。乗員Aの所定の冷却部位は、具体的には、乗員Aの大腿部の裏側の部位、大腿部の裏側から内股部にかけての部位、尻から大腿部の裏側にかけての部位、肩胛骨周りの部位、背中、腰部等を挙げることができる。
(シートクッション部10の構成)
図3に示すように、シートクッション部10は、シート表皮材11と、左側クッション部通気パッド材12と、右側クッション部通気パッド材13と、クッション材14と、左側クッション部ファン(送風機)15と、右側クッション部ファン(送風機)16とを少なくとも備えている。
シート表皮材11は、少なくとも乗員A(標準的な乗車姿勢の乗員)の冷却部位に対応する部分に通気性を持たせた部材であり、例えば、合成繊維、天然繊維、合成皮革、天然皮革等のいずれか1つまたは複数を組み合わせて構成することができる。シートクッション部10における乗員Aの冷却部位は、図3に示す乗員Aの左右の大腿部A1、A2の裏側の部位である。従って、シート表皮材11の通気性を持たせた部分は、乗員Aの左大腿部A1に対応した左側通気部(符号11aで示す部分)と、乗員Aの右大腿部A2に対応した右側通気部(符号11bで示す部分)とであり、左側通気部11aと右側通気部11bとは左右方向に間隔をあけて設けられることになる。
図4に左側通気部11aの断面を拡大して示すように、左側通気部11aは、多数のピンホール状の小孔11cがシート表皮材11を貫通するように形成された部分である。小孔11cの形成によって所望の通気性を確保する手法は従来から周知のものであり、その径は従来から形成されている小孔の径と同程度にすることができる。小孔11cの形成は必須ではなく、例えば合成繊維、天然繊維の場合には、左側通気部11aのみメッシュ状にするとか、網目を粗くする等の手法によって所望の通気性を確保することができる。右側通気部11bも同様に構成することができる。シート表皮材11における左側通気部11a及び右側通気部11bのみ、他の部分と比べて通気性が高くなるように構成することができる。
図3に示すように、左側通気部11aの左右方向中央部は、乗員Aの左大腿部A1の左右方向中央部に対応するように配置されている。左側通気部11aの左縁部B1は乗員Aの左大腿部A1の左端部よりも右に配置され、また、左側通気部11aの右縁部B2は乗員Aの左大腿部A1の右端部よりも左に配置される。これにより、左側通気部11aの左右方向の寸法(幅W1)は、乗員Aの左大腿部A1の幅以下となる。図2に示すように、左側通気部11aの前端部B5は、シートクッション部10の前端部よりも後に位置している。左側通気部11aの後端部B6は、乗員Aの尻A3(図6に示す)による着座圧が作用する部分の後端よりも前方近傍に配置されている。このように左側通気部11aの左縁部B1、右縁部B2、前端部B5及び後端部B6の各位置が設定されるので、左側通気部11aは、その長さL1(図2に示す)が幅W1(図3に示す)よりも長くなり、従って、左大腿部A1に沿って前後方向に延びる形状となる。尚、乗員Aによる着座圧は、臀部や腰部が接触する部分では所定以上になる一方、背中の高さ方向中央部や肩、その近傍が接触する部分では所定未満になる。
右側通気部11bは、シートクッション部10の左右方向中心部を対称の中心とし、左側通気部11aと左右対称に設けることができる。すなわち、図3に示すように、右側通気部11bの左右方向中央部は、乗員Aの右大腿部A2の左右方向中央部に対応するように配置されている。右側通気部11bの左縁部B3は乗員Aの右大腿部A2の左端部よりも右に配置され、また、右側通気部11bの右縁部B4は乗員Aの右大腿部A2の右端部よりも左に配置される。これにより、右側通気部11bの左右方向の寸法(幅W2)は、乗員Aの右大腿部A2の幅以下となる。右側通気部11bの前端部及び後端部の位置、前後方向の寸法は、左側通気部11aの前端部及び後端部の位置、前後方向の寸法L1と同じである。
図3に示すように、左側クッション部通気パッド材12及び右側クッション部通気パッド材13は、シート表皮材11の裏側において乗員Aの冷却部位に対応するように配置され、通気性を有するクッション材である。左側クッション部通気パッド材12は、乗員Aの左大腿部A1に対応するように配置されており、左大腿部A1の直下に位置している。右側クッション部通気パッド材13は、乗員Aの右大腿部A2に対応するように配置されており、右大腿部A2の直下に位置している。左側クッション部通気パッド材12と右側クッション部通気パッド材13とは共通化することができる。
図2に示すように、左側クッション部通気パッド材12の前端部と、左側通気部11aの前端部B5との前後方向の位置は同じとされ、また左側クッション部通気パッド材12の後端部と、左側通気部11aの後端部B6との前後方向の位置は同じとされている。図3に示すように、左側クッション部通気パッド材12の左端部と、左側通気部11aの左端部B1との左右方向の位置は同じとされ、また左側クッション部通気パッド材12の右端部と、左側通気部11aの右端部B6との左右方向の位置は同じとされている。左側クッション部通気パッド材12の左右方向の寸法は、乗員Aの左大腿部A1の左右方向の寸法以下であればよい。また、左側クッション部通気パッド材12の前後方向の寸法は、乗員Aの左大腿部A1の前後方向の寸法以下であればよい。
右側クッション部通気パッド材13は、シートクッション部10の左右方向中心部を対称の中心とし、左側クッション部通気パッド材12と左右対称に設けることができる。すなわち、右側クッション部通気パッド材13の前端部と、右側通気部11bの前端部との前後方向の位置は同じとされ、また右側クッション部通気パッド材13の後端部と、右側通気部11bの後端部との前後方向の位置は同じとされている。図3に示すように、右側クッション部通気パッド材13の左端部と、右側通気部11bの左端部B3との左右方向の位置は同じとされ、また右側クッション部通気パッド材13の右端部と、右側通気部11bの右端部B4との左右方向の位置は同じとされている。右側クッション部通気パッド材13の左右方向の寸法は、乗員Aの右大腿部A2の左右方向の寸法以下であればよい。また、右側クッション部通気パッド材13の前後方向の寸法は、乗員Aの右大腿部A2の前後方向の寸法以下であればよい。
左側クッション部通気パッド材12及び右側クッション部通気パッド材13は、シート表皮材11側に開口する貫通孔を有さず、厚さ3cmのときフラジール法で200cc/cm・s以上の通気性を有する部材で構成されている。ここで、シート表皮材11側に開口する貫通孔とは、乗員Aがシートクッション部10に着座したときに、貫通孔の内と外とで面圧が異なることを乗員が感じる程度の大きさの開口を持つ貫通孔のことである。例えば直径が数mm以下の開口であれば、左側クッション部通気パッド材12及び右側クッション部通気パッド材13のシート表皮材11側に開口していてもよい。
フラジール法で使用する試験機は、例えばJIS L 1096で規定されているフラジール型通気性試験機を使用することができ、JIS L 1096に準拠する方法で試験を行うことができる。その結果、厚さ3cmのとき200cc/cm・s以上の通気性を有する部材を左側クッション部通気パッド材12及び右側クッション部通気パッド材13として用いることができる。左側クッション部通気パッド材12及び右側クッション部通気パッド材13の通気性は、厚さ3cmのときフラジール法で300cc/cm・s以上とすることができ、また厚さ3cmのときフラジール法で400cc/cm・s以上とすることができ、さらに、厚さ3cmのときフラジール法で200cc/cm・s以上500cc/cm・s以下の範囲とすることができる。
左側クッション部通気パッド材12及び右側クッション部通気パッド材13の厚みは、シート表皮材11の厚みよりも厚く設定されており、例えば1cm以上、3cm以上または5cm以上に設定することができる。左側クッション部通気パッド材12及び右側クッション部通気パッド材13の厚みの上限は、特に限定されないが、例えば10cm以下にすることができる。
クッション材14は、例えば発泡ウレタン等で構成されており、シート表皮材11により覆われた状態で、左側クッション部通気パッド材12及び右側クッション部通気パッド材13をシート表皮材11とは反対側(下側)から支持する弾性材である。尚、図示しないがクッション材14の内部には、クッション材14の形状を維持するとともに乗員Aの体重を支える金属製のフレームが設けられており、このフレームにスライド装置101の被案内部材101bが固定されるとともに、リクライニング機構30が固定されている。
クッション材14の上部は、左側クッション部通気パッド材12及び右側クッション部通気パッド材13が嵌まるように形成されている。左側クッション部通気パッド材12及び右側クッション部通気パッド材13がクッション材14の上部に嵌まった状態で、両通気パッド材12、13が前後方向及び左右方向に位置ずれしないように、該クッション材14によって保持される。この状態で、左側クッション部通気パッド材12及び右側クッション部通気パッド材13の上面と、クッション材14の上面とは略面一となるように各部材を形成することができる。
クッション材14の内部の左側には左側空気通路14aが形成され、右側には右側空気通路14bが形成されている。左側空気通路14aと右側空気通路14bは左右方向に離れており、左側空気通路14aは乗員Aの左大腿部A1の直下に配置され、右側空気通路14bは乗員Aの右大腿部A2の直下に配置されている。左側空気通路14aは、左側クッション部通気パッド材12におけるシート表皮材11とは反対側の面(下面)からシートクッション部10の着座面以外の部位にかけて延びる通路であり、この実施形態では、シートクッション部10の下面に開口している。左側空気通路14aが上下方向に延びていることで、空気の流れは、上下方向に形成されることになる。
図3に示すように、左側空気通路14aの左側面は、乗員Aの左大腿部A1の左端部よりも右に位置し、左側空気通路14aの右側面は、乗員Aの左大腿部A1の右端部よりも左に位置している。左側空気通路14aの左右方向の寸法は、乗員Aの左大腿部A1の左右方向の寸法以下であればよい。また、図2に示すように、左側空気通路14aの前縁部と、左側通気部11aの前端部B5との前後方向の位置は、同じにすることもできるし、左側空気通路14aの前縁部を左側通気部11aの前端部B5よりも後に位置付けることもできる。左側空気通路14aの後縁部と、左側通気部11aの後端部B6との前後方向の位置は、同じにすることもできるし、左側空気通路14aの後縁部を左側通気部11aの後端部B6よりも前に位置付けることもできる。つまり、左側空気通路14aの前後方向の寸法は、乗員Aの左大腿部A1の前後方向の寸法以下であればよい。
図3に示すように、右側空気通路14bの左側面は、乗員Aの右大腿部A2の左端部よりも右に位置し、右側空気通路14bの右側面は、乗員Aの右大腿部A2の右端部よりも左に位置している。右側空気通路14bの左右方向の寸法は、乗員Aの右大腿部A2の左右方向の寸法以下であればよい。また、図2に示すように、右側空気通路14bの前縁部と、右側通気部11bの前端部との前後方向の位置は、同じにすることもできるし、右側空気通路14bの前縁部を右側通気部11bの前端部よりも後に位置付けることもできる。右側空気通路14bの後縁部と、右側通気部11bの後端部との前後方向の位置は、同じにすることもできるし、右側空気通路14bの後縁部を右側通気部11bの後端部よりも前に位置付けることもできる。つまり、右側空気通路14bの前後方向の寸法は、乗員Aの右大腿部A2の前後方向の寸法以下であればよい。
左側空気通路14a及び右側空気通路14bは、上述したようにクッション材14の内部に形成された空間で構成することができるが、これに限らず、例えば図示しないダクトのような形状を有する三次元構造体、立体構造物等によって構成することもできる。また、左側空気通路14a及び右側空気通路14bは、クッション材14の内部に形成された空間と、上記三次元構造体の内部に形成された空間とを組み合わせて構成することもできる。上記三次元構造体は、例えば発泡ウレタン等で形成することができ、この場合、三次元構造体の密度は、クッション材14の密度と同等にすることができる。発泡体で三次元構造体を作成する場合、密度を発泡倍率で置き換えて表現することもできる。密度を同等にすることで、三次元構造体がクッション材14に埋め込まれた状態であっても着座感を良好にすることができる。
左側クッション部ファン15は、左側空気通路14a内に、シート表皮材11側からシートクッション部10の着座面以外の部位へ向けて流れる空気の流れを形成して該左側空気通路14a内の空気をシートクッション部10の外部へ排出するためのものであり、シートクッション部10の左側に配設されている。また、右側クッション部ファン16は、右側空気通路14b内に、シート表皮材11側からシートクッション部10の着座面以外の部位へ向けて流れる空気の流れを形成して該右側空気通路14b内の空気をシートクッション部10の外部へ排出するためのものであり、シートクッション部10の右側に配設されている。従って、左側クッション部ファン15及び右側クッション部ファン16は、左側空気通路14a及び右側空気通路14bにそれぞれ対応するように設けられることになる。これにより、乗員Aの冷却部位毎にファン15、16を設けることができるので、各ファン15、16を小型化しながら、各冷却部位に対して十分な風量を得ることができる。
(シートバック部20の構成)
図2及び図5に示すように、シートバック部20は、シート表皮材21と、バック部通気パッド材22と、クッション材24と、バック部ファン(送風機)25とを少なくとも備えている。シート表皮材21は、シートクッション部10のシート表皮材11と同様な部材とすることができ、少なくとも乗員Aの冷却部位に対応する部分に通気性を持たせた部材である。シートバック部20における乗員Aの冷却部位は、図6に示すように乗員Aの肩胛骨近傍A4、背中A5、腰近傍A6である。従って、シート表皮材21の通気性を持たせた部分は、乗員Aの肩胛骨近傍A4から背中A5を経て腰近傍A6にかけての部分であり、符号21aで示す通気部となっている。通気部21aの構成は、シートクッション部10の左側通気部11aと同じにすることができる。
図5に示すように、通気部21aの左右方向中央部は、乗員Aの背中A5の左右方向中央部に対応するように配置されている。通気部21aの左縁部B7は乗員Aの背中A5の左端部よりも右に配置され、また、通気部21aの右縁部B8は乗員Aの背中A5の右端部よりも左に配置される。これにより、通気部21aの左右方向の寸法(幅W3)は、乗員Aの背中A5の幅以下となる。
図6に示すように、通気部21aの上端部B9は、乗員Aの肩胛骨近傍A4に配置されている。また、通気部21aの下端部B10は、乗員Aの腰近傍A6に配置されている。従って、通気部21aは、乗員Aの肩胛骨近傍A4から腰近傍A6までの広範囲に設けられることになる。
バック部通気パッド材22は、左側クッション部通気パッド材12及び右側クッション部通気パッド材13と同様な部材で構成することができ、乗員Aの肩胛骨近傍A4から腰近傍A6の直後方に位置している。バック部通気パッド材22の上端部と、通気部21aの上端部B9との上下方向の位置は同じとされ、またバック部通気パッド材22の下端部と、通気部21aの下端部B10との上下方向の位置は同じとされている。図5に示すように、バック部通気パッド材22の左端部と、通気部21aの左端部B7との左右方向の位置は同じとされ、またバック部通気パッド材22の右端部と、通気部21aの右端部B8との左右方向の位置は同じとされている。従って、バック部通気パッド材22も乗員Aの背中A5に対応するように設けられることになり、バック部通気パッド材22の左右方向の中央部は、乗員Aの背中A5の幅方向中央部に対応するように配置され、左右方向の幅は、乗員Aの背中A5の幅以下とされている。
バック部通気パッド材22は、例えば乗員Aの背中A5の上下方向中央部に対応する箇所には設けられないようにしてもよい。これにより、バック部通気パッド材22は、上下方向に不連続になる。
クッション材24は、シートクッション部10のクッション材14と同様な部材で構成することができ、シート表皮材21により覆われた状態で、バック部通気パッド材22をシート表皮材21とは反対側(後側)から支持する弾性材である。尚、図示しないがクッション材24の内部には、クッション材24の形状を維持するとともに乗員Aを後から支える金属製のフレームが設けられており、このフレームにリクライニング機構30が固定されている。
クッション材24の前面部は、バック部通気パッド材22が嵌まるように形成されている。バック部通気パッド材22がクッション材24の前面部に嵌まった状態で、バック部通気パッド材22が上下方向及び左右方向に位置ずれしないように、該クッション材24によって保持される。この状態で、バック部通気パッド材22の前面と、クッション材24の前面とは略面一となるように各部材を形成することができる。
クッション材24の内部には、バック側空気通路24aが形成されている。バック側空気通路24aは、乗員Aの背中A5の直後方に配置され、バック部通気パッド材22におけるシート表皮材21とは反対側の面(後面)からシートバック部20の着座面以外の部位にかけて延びる通路であり、この実施形態では、シートバック部20の後面に開口している。バック側空気通路24aが前後方向に延びていることで、空気の流れは、前後方向に直線状に形成されることになる。
図5に示すように、バック側空気通路24aの左側面は、乗員Aの背中A5の左端部よりも右に位置し、バック側空気通路24aの右側面は、乗員Aの背中A5の右端部よりも左に位置している。バック側空気通路24aの左右方向の寸法は、乗員Aの背中A5の左右方向の寸法以下であればよい。また、図2に示すように、バック側空気通路24aの上縁部と、通気部21aの上端部B9との上下方向の位置は、同じにすることもできるし、バック側空気通路24aの上縁部を通気部21aの上端部B9よりも下に位置付けることもできる。バック側空気通路24aの下縁部と、通気部21aの下端部B10との上下方向の位置は、同じにすることもできるし、バック側空気通路24aの下縁部を通気部21aの下端部B10よりも上に位置付けることもできる。
バック側空気通路24aは、上述したようにクッション材24の内部に形成された空間で構成することができるが、これに限らず、例えば図示しないダクトのような三次元構造体によって構成することもできる。また、バック側空気通路24aは、クッション材24の内部に形成された空間と、上記三次元構造体とを組み合わせて構成することもできる。
バック部ファン25は、バック側空気通路24a内に、シート表皮材21側からシートバック部20の着座面以外の部位へ向けて流れる空気の流れを形成して該バック側空気通路24a内の空気をシートバック部20の外部へ排出するためのものであり、シートバック部20の内部において略中央部に配設されている。バック部ファン25から排出された空気は、シート表皮材21を通過させることができるようになっている。
(車両用空調装置5の構成)
この自動車には、車両用空調装置5(図7に示す)が搭載されている。車両用空調装置5は、制御装置50と、空調装置スイッチ51と、冷凍サイクル装置のコンプレッサ52と、ブロアファンモータ53と、冷凍サイクル装置のエバポレータ(図示せず)と、エンジン冷却水が循環するヒータコア(図示せず)とを備えている。空調装置スイッチ51は、例えばインストルメントパネル102等に配設されており、車室内温度の設定やブロアファンモータ53の回転速度(風量)を設定するためのものである。制御装置50は、空調装置スイッチ51で設定された温度や風量となるように、コンプレッサ52やブロアファンモータ53、エアミックスダンパ(図示せず)を制御するように構成されている。エバポレータとヒータコアとが車室内に配設されており、空気がエバポレータやヒータコアを通過することによって温度調節された後、車室の各部に供給されるようになっている。
左側クッション部ファン15、右側クッション部ファン16及びバック部ファン25は、制御装置50に接続されており、該制御装置50によって制御される。制御装置50が冷房を行う場合に、左側クッション部ファン15、右側クッション部ファン16及びバック部ファン25を作動させるように構成されている。尚、左側クッション部ファン15、右側クッション部ファン16及びバック部ファン25は、乗員が任意に作動させるようにしてもよく、この場合は、別途、操作スイッチ(図示せず)を設ければよい。
(実施形態の作用効果)
以上説明したように、この実施形態に係る車両用シート1によれば、乗員Aが車両用シート1に着座すると、乗員Aの左大腿部A1及び右大腿部A2がそれぞれシートクッション部10の左側通気部11a及び右側通気部11bに対応するように位置することになる。また、乗員Aの肩胛骨近傍A4、背中A5、腰近傍A6がシートバック部20の通気部21aに対応するように位置することになる。
従って、乗員Aの各冷却部位は、シート表皮材11の通気性を有する部分11a、11b、21a、通気パッド材12、13、22及びクッション材14、24を介して支持される。通気パッド材12、13、22は空気を通過するようになっているので、通気パッド材12、13、22には従来例のような通気のための貫通孔を形成する必要が無くなる。また、この通気パッド材12、13、22が三次元形状を有していて所定の厚みを持っているので、クッション材14、24の空気通路14a、14b、24aの存在による面圧の相違を乗員が感じにくくなる。これにより、乗員の着座感が良好になる。
そして、左側クッション部ファン15が作動すると、クッション材14の左側空気通路14a内に、シート表皮材11側からシートクッション部10の着座面以外の部位へ向けて流れる空気の流れが形成されて該空気が排出される。また、右側クッション部ファン16が作動すると、クッション材14の右側空気通路14b内に、シート表皮材11側からシートクッション部10の着座面以外の部位へ向けて流れる空気の流れが形成されて該空気が排出される。これにより、乗員Aの左大腿部A1近傍及び右大腿部A2近傍の空気が、それぞれ、シート表皮材11の左側通気部11a及び右側通気部11bと、左側クッション部通気パッド材12及び右側クッション部通気パッド材13を通過し、その後、クッション材14の左側空気通路14a内及び右側空気通路14b内に流入し、シートクッション部10の着座面以外の部位へ向けて排出されるので、左大腿部A1及び右大腿部A2が直接冷却される。また室内が冷房されている場合には、空調風が乗員Aの左大腿部A1近傍及び右大腿部A2に向けて流れるような気流が形成されるので、このことによっても乗員Aの左大腿部A1及び右大腿部A2が冷却される。
シート表皮材11の左側通気部11a及び右側通気部11bと、左側クッション部通気パッド材12及び右側クッション部通気パッド材13とが共に乗員Aの左大腿部及び右大腿部に対応するように配置されているので、シート表皮材11の左側通気部11a及び右側通気部11bを通過した空気は左側クッション部通気パッド材12及び右側クッション部通気パッド材13に流入しやすくなる。さらにクッション材14の左側空気通路14a及び右側空気通路14bは、通気パッド材12、13からシートクッション部10の着座面以外の部位にかけて、空気の流れが形成されるように延びているので、空気通路14a、14bに流入した空気はスムーズにシートクッション部10の着座面以外の部位へ流れて排出されることになる。従って、空気の吸込から排出までの間で圧力損失が小さくなり、小型の左側クッション部ファン15及び右側クッション部ファン16であっても十分な風量を確保することが可能になる。
また、バック部ファン25が作動すると、シートバック部20のクッション材24のバック側空気通路24a内に、シート表皮材21側からシートバック部20の着座面以外の部位へ向けて流れる空気の流れが形成されて該空気が排出される。これにより、乗員Aの肩胛骨近傍A4、背中A5、腰近傍A6の空気が、シート表皮材21の通気部21aと、バック部通気パッド材22を通過し、その後、クッション材24のバック側空気通路24a内に流入し、シートバック部20の着座面以外の部位(後側)へ向けて排出されるので、肩胛骨近傍A4、背中A5、腰近傍A6が直接冷却される。また室内が冷房されている場合には、空調風が乗員Aの肩胛骨近傍A4、背中A5、腰近傍A6に向けて流れるような気流が形成されるので、このことによっても乗員Aの肩胛骨近傍A4、背中A5、腰近傍A6が冷却される。
シート表皮材21の通気部21aと、バック部通気パッド材22とが共に乗員Aの肩胛骨近傍A4、背中A5、腰近傍A6に対応するように配置されているので、シート表皮材21の通気部21aを通過した空気はバック部通気パッド材22に流入しやすくなる。さらにクッション材24のバック側空気通路24aは、バック部通気パッド材22からシートバック部20の着座面以外の部位にかけて、空気の流れが形成されるように延びているので、空気通路24aに流入した空気はスムーズにシートバック部20の着座面以外の部位へ流れて排出されることになる。従って、空気の吸込から排出までの間で圧力損失が小さくなり、小型のバック部ファン25であっても十分な風量を確保することが可能になる。
(実施形態2)
図8は、本発明の実施形態2に係るシートクッション部10を示すものである。この実施形態2では、高通気抵抗層17、18を設けている点で実施形態1のものと異なっており、他の部分は実施形態1と同じであるため、以下、実施形態1と同じ部分には同じ符号を付して説明を省略し、異なる部分について詳細に説明する。
左側クッション部通気パッド材12とクッション材14との間には、該通気パッド材12及び該クッション材14よりも通気抵抗の高い高通気抵抗層17が設けられている。高通気抵抗層17は、例えば塗料、樹脂材、布材、クッション材よりも密度の高いスポンジ材等で構成することができる。高通気抵抗層17は、クッション材14の左側空気通路14aの内面にも設けられている。また、右側クッション部通気パッド材13とクッション材14との間にも左側と同様な高通気抵抗層18が設けられている。高通気抵抗層18は、クッション材14の右側空気通路14bの内面にも設けられている。
この実施形態2によれば、実施形態1の作用効果に加えて、左側クッション部通気パッド材12及び右側クッション部通気パッド材13を通過する空気がクッション材14の空気通路14a、14b以外の部分に向けて流れるのを高通気抵抗層17、18によって抑制することができ、その結果、冷却効率を向上させることができるという効果を奏することができる。
尚、シートバック部20も同様に、バック部通気パッド材22とクッション材24との間に高通気抵抗層(図示せず)を設けることができる。
(実施形態3)
図9は、本発明の実施形態3に係るシートクッション部10を示すものである。この実施形態3では、クッション材14の外表面に高通気抵抗層19を設けている点で実施形態1のものと異なっており、他の部分は実施形態1と同じであるため、以下、実施形態1と同じ部分には同じ符号を付して説明を省略し、異なる部分について詳細に説明する。
クッション材14の外表面のうち、乗員Aを支持する部分以外の面に、該クッション材14よりも通気抵抗の高い高通気抵抗層19が設けられている。乗員Aを支持する部分以外の面とは、例えば左側面、右側面、前端面、後端面、下面であり、また上面であっても左縁部近傍、右縁部近傍は、乗員Aを支持する部分以外の面となり得る。高通気抵抗層19は、実施形態2の高通気抵抗層17と同様に構成することができる。
この実施形態3によれば、実施形態1の作用効果に加えて、空気が、クッション材14の外表面における乗員Aを支持する部分以外から空気通路14a、14bに流入するのを高通気抵抗層19によって抑制することができるので、冷却効率を向上させることができる。
尚、シートバック部20も同様に、クッション材24の外表面のうち、乗員Aを支持する部分以外の面に、該クッション材24よりも通気抵抗の高い高通気抵抗層(図示せず)を設けることができる。
(実施形態4)
図10及び図11は、本発明の実施形態3に係るシートクッション部10を示すものである。この実施形態4では、送風機をクッション材14の内部に設けている点で実施形態1のものと異なっており、他の部分は実施形態1と同じであるため、以下、実施形態1と同じ部分には同じ符号を付して説明を省略し、異なる部分について詳細に説明する。
図11に示すように、左側クッション部ファン15は、クッション材14の内部の左側に収容されており、また右側クッション部ファン16は、クッション材14の内部の右側に収容されている。クッション材14における左側クッション部ファン15の下方には、左側クッション部ファン15の吐出側(下側)からシートクッション部10の下部に向けて延びて当該下部において開口する左側空気排出通路14cが設けられている。また、クッション材14における右側クッション部ファン16の下方には、右側クッション部ファン16の吐出側(下側)からシートクッション部10の下部に向けて延びて当該下部において開口する右側空気排出通路14dが設けられている。
左側空気排出通路14c及び右側空気排出通路14dは、車両前部、後部、車両左側部及び右側部の少なくとも1つの部位に向けて延びて当該部位において開口するように設けることもできる。
この実施形態4によれば、実施形態1の作用効果に加えて、左側クッション部ファン15及び右側クッション部ファン16をクッション材14の内部に収容することで省スペース化を図ることができる。
尚、シートバック部20も同様に空気排出通路を設けることができる。
上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
以上説明したように、本発明に係る車両用シートは、例えば自動車の室内に配設することができる。
1 車両用シート
11 シート表皮材
11a 左側通気部
11b 右側通気部
11c 小孔
12 左側クッション部通気パッド材
13 右側クッション部通気パッド材
14 クッション材
14a 左側空気通路
14b 右側空気通路
14c 左側空気排出通路
14d 右側空気排出通路
15 左側クッション部ファン(送風機)
16 右側クッション部ファン(送風機)
17 高通気抵抗層
18 高通気抵抗層
19 高通気抵抗層

Claims (13)

  1. 車両に配設される車両用シートにおいて、
    前記車両用シートは、
    少なくとも乗員の冷却部位に対応する部分に通気性を持たせたシート表皮材と、
    前記シート表皮材の裏側において乗員の所定の冷却部位に対応するように配置され、通気性を有する通気パッド材と、
    前記シート表皮材により覆われた状態で前記通気パッド材を前記シート表皮材とは反対側から支持するとともに、前記通気パッド材における前記シート表皮材とは反対側の面から前記車両用シートの着座面以外の部位にかけて、空気の流れを形成するように延びる空気通路を有するクッション材と、
    前記空気通路内に、前記シート表皮材側から前記車両用シートの着座面以外の部位へ向けて流れる空気の流れを形成して該空気通路内の空気を車室内空間のうち前記着座面以外の箇所に向けて排出する送風機とを備えている車両用シート。
  2. 請求項1に記載の車両用シートにおいて、
    前記シート表皮材の通気性を持たせた部分及び前記通気パッド材は、乗員の左右の大腿部にそれぞれ対応するように車両左右方向に間隔をあけて設けられ、
    前記シート表皮材の通気性を持たせた各部分及び前記各通気パッド材の車両左右方向の中央部は、乗員の大腿部の幅方向中央部に対応するように配置され、
    前記シート表皮材の通気性を持たせた各部分及び前記各通気パッド材の車両左右方向の幅は、乗員の大腿部の幅以下とされ、
    前記シート表皮材の通気性を持たせた各部分及び前記各通気パッド材の後端部は、乗員の尻による着座圧が作用する部分近傍に配置されている車両用シート。
  3. 請求項2に記載の車両用シートにおいて、
    前記クッション材の車両左側及び右側に、それぞれ、前記各通気パッド材に対応するように前記空気通路が形成され、
    前記送風機は、車両左側及び右側の前記空気通路にそれぞれ対応するように設けられている車両用シート。
  4. 請求項1から3のいずれか1つに記載の車両用シートにおいて、
    前記シート表皮材の通気性を持たせた部分及び前記通気パッド材は、乗員の背中に対応するように設けられ、
    前記シート表皮材の通気性を持たせた部分及び前記通気パッド材の車両左右方向の中央部は、乗員の背中の幅方向中央部に対応するように配置され、
    前記シート表皮材の通気性を持たせた部分及び前記通気パッド材の車両左右方向の幅は、乗員の背中の幅以下とされ、
    前記シート表皮材の通気性を持たせた部分及び前記通気パッド材の車両上端部は、乗員の肩胛骨近傍に配置され、
    前記シート表皮材の通気性を持たせた部分及び前記通気パッド材の車両下端部は、乗員の腰近傍に配置されている車両用シート。
  5. 請求項1から4のいずれか1つに記載の車両用シートにおいて、
    前記通気パッド材及び前記空気通路は、乗員の冷却部位の直下に配置され、
    前記通気パッド材及び前記空気通路の車両左右方向の寸法は、乗員の冷却部位の車両左右方向の寸法以下とされ、
    前記通気パッド材及び前記空気通路の車両前後方向の寸法は、乗員の冷却部位の車両前後方向の寸法以下とされている車両用シート。
  6. 請求項1から5のいずれか1つに記載の車両用シートにおいて、
    前記空気通路は、三次元構造体によって形成された空間と前記クッション材の内部に形成された空間との少なくとも一方またはこれらの組み合わせによって構成される車両用シート。
  7. 請求項6に記載の車両用シートにおいて、
    前記三次元構造体の密度は、前記クッション材の密度と同等である車両用シート。
  8. 請求項1から7のいずれか1つに記載の車両用シートにおいて、
    前記通気パッド材は、前記シート表皮材側に開口する貫通孔を有さず、厚さ3cmのときフラジール法で200cc/cm・s以上の通気性を有する部材で構成されている車両用シート。
  9. 請求項1から8のいずれか1つに記載の車両用シートにおいて、
    前記通気パッド材と前記クッション材との間に、該通気パッド材及び該クッション材よりも通気抵抗の高い高通気抵抗層が設けられている車両用シート。
  10. 請求項1から9のいずれか1つに記載の車両用シートにおいて、
    前記クッション材の外表面のうち、前記冷却部位以外の面に、該クッション材よりも通気抵抗の高い高通気抵抗層が設けられている車両用シート。
  11. 請求項1から10のいずれか1つに記載の車両用シートにおいて、
    前記シート表皮材の通気性を持たせた部分には、多数の小孔が該シート表皮材を貫通するように形成されている車両用シート。
  12. 請求項1から11のいずれか1つに記載の車両用シートにおいて、
    前記送風機は、前記クッション材の内部に収容され、
    前記クッション材には、前記送風機の吐出側から前記車両用シートの車両前部、後部、車両左側部、右側部及び下部の少なくとも1つの部位に向けて延びて当該部位に開口する空気排出通路が設けられている車両用シート。
  13. 請求項1から11のいずれか1つに記載の車両用シートにおいて、
    前記通気パッド材は、前記車両用シートの着座圧が所定以上の箇所に対応するように設けられる一方、前記車両用シートの着座圧が所定未満となる箇所には設けられていない車両用シート。
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