JP2019160464A - 電子顕微鏡および調整方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】対象領域の電子線による損傷を低減でき、かつ、適切な光学条件で観察や分析を行うことができる電子顕微鏡を提供する。【解決手段】電子顕微鏡は、光学系と、光学系を制御する制御部と、を含み、制御部は、光学系の光学条件を取得するための複数の調整領域4a,4b,4c,4d,4e,4f,4g,4hを設定する処理と、複数の調整領域4a,4b,4c,4d,4e,4f,4g,4hにおける光学系の光学条件を取得する処理と、複数の調整領域4a,4b,4c,4d,4e,4f,4g,4hにおける光学系の光学条件に基づいて、試料の観察または分析の対象となる対象領域2における光学系の光学条件を決定する処理と、決定された対象領域における光学系の光学条件に基づいて、光学系を制御する処理と、を行う。【選択図】図5
Description
本発明は、電子顕微鏡および調整方法に関する。
電子顕微鏡において、電子線に弱い試料を観察や分析する場合に、試料への電子線の照射量を低減するために、ミニマムドーズシステム(minimum dose system)という手法が用いられる(例えば、特許文献1参照)。
通常の観察や分析では、試料の観察や分析の対象となる領域(以下、「対象領域」ともいう)でフォーカスの調整や非点収差の補正などの光学系の調整を行う。この場合、電子線に弱い試料の場合、光学系の調整を行っている間に試料が損傷してしまう。ミニマムドーズシステムでは、対象領域とは異なる領域(以下、「調整領域」ともいう)で光学系の調整を行い、対象領域への電子線の照射は撮影時や分析時のみに制限する。これにより、対象領域への電子線の照射量を低減することができる。
ミニマムドーズシステムでは、上記のように、対象領域とは異なる調整領域で光学系の調整を行う。そのため、調整領域において光学系を適切な光学条件に調整したとしても、対象領域においてはその光学条件が適切でない場合がある。すなわち、例えば、調整領域においてフォーカスを合わせたとしても、対象領域ではフォーカスがずれてしまう場合がある。
本発明の目的は、対象領域の電子線による損傷を低減でき、かつ、適切な光学条件で観察または分析を行うことができる電子顕微鏡および調整方法を提供することにある。
本発明に係る電子顕微鏡の一態様は、
光学系と、
前記光学系を制御する制御部と、
を含み、
前記制御部は、
前記光学系の光学条件を取得するための複数の調整領域を設定する処理と、
前記複数の調整領域における前記光学系の光学条件を取得する処理と、
前記複数の調整領域における前記光学系の光学条件に基づいて、試料の観察または分析の対象となる対象領域における前記光学系の光学条件を決定する処理と、
決定された前記対象領域における前記光学系の光学条件に基づいて、前記光学系を制御する処理と、
を行う。
光学系と、
前記光学系を制御する制御部と、
を含み、
前記制御部は、
前記光学系の光学条件を取得するための複数の調整領域を設定する処理と、
前記複数の調整領域における前記光学系の光学条件を取得する処理と、
前記複数の調整領域における前記光学系の光学条件に基づいて、試料の観察または分析の対象となる対象領域における前記光学系の光学条件を決定する処理と、
決定された前記対象領域における前記光学系の光学条件に基づいて、前記光学系を制御する処理と、
を行う。
このような電子顕微鏡では、複数の調整領域における光学条件から対象領域における光学条件を推定することができるため、対象領域における光学条件を正確に推定することができる。したがって、このような電子顕微鏡では、対象領域の電子線による損傷を低減で
き、かつ、適切な光学条件で観察または分析を行うことができる。
き、かつ、適切な光学条件で観察または分析を行うことができる。
本発明に係る電子顕微鏡の調整方法の一態様は、
電子顕微鏡における光学系の調整方法であって、
前記光学系の光学条件を取得するための複数の調整領域を設定する工程と、
前記複数の調整領域における前記光学系の光学条件を取得する工程と、
前記複数の調整領域における前記光学系の光学条件に基づいて、試料の観察または分析の対象となる対象領域における前記光学系の光学条件を決定する工程と、
決定された前記対象領域における前記光学系の光学条件に基づいて、前記光学系を制御する工程と、
を含む。
電子顕微鏡における光学系の調整方法であって、
前記光学系の光学条件を取得するための複数の調整領域を設定する工程と、
前記複数の調整領域における前記光学系の光学条件を取得する工程と、
前記複数の調整領域における前記光学系の光学条件に基づいて、試料の観察または分析の対象となる対象領域における前記光学系の光学条件を決定する工程と、
決定された前記対象領域における前記光学系の光学条件に基づいて、前記光学系を制御する工程と、
を含む。
このような調整方法では、複数の調整領域における光学条件から対象領域における光学条件を推定することができるため、対象領域における光学条件を正確に推定することができる。したがって、このような調整方法では、対象領域の電子線による損傷を低減でき、かつ、適切な光学条件で観察または分析を行うことができる。
以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
1. 第1実施形態
1.1. 電子顕微鏡
まず、第1実施形態に係る電子顕微鏡について図面を参照しながら説明する。図1は、第1実施形態に係る電子顕微鏡100の構成を示す図である。
1.1. 電子顕微鏡
まず、第1実施形態に係る電子顕微鏡について図面を参照しながら説明する。図1は、第1実施形態に係る電子顕微鏡100の構成を示す図である。
電子顕微鏡100は、図1に示すように、電子源10と、光学系11と、試料ステージ20と、試料ホルダー22と、撮像装置24と、駆動装置30と、制御部40と、操作部50と、表示部52と、記憶部54と、を含む。
電子源10は、電子を発生させる。電子源10は、例えば、陰極から放出された電子を陽極で加速し電子線を放出する電子銃である。
光学系11は、集束レンズ12と、偏向コイル13と、対物レンズ14と、偏向コイル15と、中間レンズ16と、投影レンズ17と、を含む。なお、光学系11は、これらのレンズや偏向コイル以外のレンズや、偏向コイル(偏向器)、絞りなどを備えていてもよい。
集束レンズ12は、電子源10から放出された電子線を集束する。集束レンズ12は、図示はしないが、複数の電子レンズで構成されていてもよい。
偏向コイル13は、電子線を二次元的に偏向させる。偏向コイル13で電子線を偏向させることにより、試料Sにおける電子線の照射位置を制御できる。
対物レンズ14は、試料Sを透過した電子で透過電子顕微鏡像(以下、TEM(Transmission Electron Microscope)像ともいう)を結像する。
偏向コイル15は、試料Sを透過した電子線を二次元的に偏向させる。偏向コイル15で電子線を偏向させることによって、イメージシフト、すなわち、撮像装置24上に結像されたTEM像を移動させることができる。
中間レンズ16および投影レンズ17は、対物レンズ14によって結像された像をさらに拡大し、撮像装置24上に結像する。対物レンズ14、中間レンズ16、および投影レンズ17は、電子顕微鏡100の結像系を構成している。
試料ステージ20は、試料ホルダー22に保持された試料Sを支持している。試料ステージ20によって試料Sを位置決めすることができる。
撮像装置24は、結像系によって結像されたTEM像を撮影する。撮像装置24は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)カメラ等のデジタルカメラである。
操作部50は、ユーザーによる操作に応じた操作信号を取得し、制御部40に送る処理を行う。操作部50の機能は、例えば、ボタン、キー、タッチパネル型ディスプレイ、マイクなどにより実現できる。
表示部52は、制御部40によって生成された画像を表示するものであり、その機能は、LCD(liquid crystal display)などのディスプレイにより実現できる。
記憶部54は、制御部40が各種の計算処理や制御処理を行うためのプログラムやデータ等を記憶している。また、記憶部54は、制御部40の作業領域として用いられ、制御部40が各種プログラムに従って実行した算出結果等を一時的に記憶するためにも使用される。記憶部54の機能は、ハードディスクや、RAM(random access memory)などにより実現できる。
制御部40は、電子顕微鏡100の光学系11を制御する処理を行う。また、制御部40は、TEM像を取得するための処理を行う。制御部40の処理については後述する。制御部40の機能は、各種プロセッサ(CPU(Central Processing Unit)等)でプログラムを実行することにより実現できる。
駆動装置30は、制御部40からの制御信号に基づいて、光学系11を動作させる。制御部40は、駆動装置30を介して、光学系11を制御する。
1.2. 電子顕微鏡像の取得方法
次に、第1実施形態に係る電子顕微鏡像(TEM像)の取得方法について説明する。第1実施形態に係るTEM像の取得方法は、第1実施形態に係る調整方法を含む。以下では、第1実施形態に係るTEM像の取得方法として、電子顕微鏡100を用いたTEM像の取得方法を説明する。
次に、第1実施形態に係る電子顕微鏡像(TEM像)の取得方法について説明する。第1実施形態に係るTEM像の取得方法は、第1実施形態に係る調整方法を含む。以下では、第1実施形態に係るTEM像の取得方法として、電子顕微鏡100を用いたTEM像の取得方法を説明する。
電子顕微鏡100では、ミニマムドーズシステムを用いてTEM像を取得することができる。そのため、電子顕微鏡100では、フォーカスの調整を行う場合と撮影を行う場合で、異なる光学条件を用いることができる。具体的には、電子顕微鏡100では、光学系11を、フォーカスの調整を行うためのフォーカスモードと、撮影を行うためのフォトモードと、に切り替え可能である。
図2および図3は、電子顕微鏡100の光学系11を説明するための図である。なお、図2は、光学系11がフォトモードの場合であり、図3は、光学系11がフォーカスモードの場合である。また、図2および図3では、便宜上、偏向コイル13、対物レンズ14、および偏向コイル15のみを図示している。
フォーカスモードでは、図3に示すように、偏向コイル13によって電子線EBを偏向させることにより、電子線EBを観察や分析の対象となる対象領域2とは異なる調整領域4aに照射することができる。フォーカスモードでは、偏向コイル13によって電子線EBが偏向されるため、偏向コイル15によって電子線EBを振り戻して、撮像装置24上にTEM像が形成されるようにしている。なお、図示の例では、電子線EBが調整領域4aに照射されている場合を図示しているが、偏向コイル13を制御することによって、調整領域4a以外の調整領域に電子線EBを照射することも可能である。
図2に示すように、偏向コイル13および偏向コイル15をもとの状態に戻すことによって、電子線EBを対象領域2に照射することができる(フォトモード)。
次に、電子顕微鏡100を用いたTEM像の取得方法について説明する。図4は、TEM像の取得方法の一例を示すフローチャートである。
まず、観察対象となる対象領域2を指定する(S10)。例えば、観察倍率を低倍率にするなどして、試料Sから対象領域2を探し、対象領域2を指定する。
対象領域2が指定されると、対象領域2とは異なる領域に、対物レンズ14のフォーカス条件を取得するための調整領域を設定する(S20)。
図5は、対象領域2と、複数の調整領域4a,4b,4c,4d,4e,4f,4g,4hと、を模式的に示す図である。図5は、試料Sを光学系11の光軸に沿った方向から見た図である。
調整領域4a,4b,4c,4d,4e,4f,4g,4hは、複数(図示の例では、8つ)設定されている。調整領域4a,4b,4c,4d,4e,4f,4g,4hは、対象領域2を囲むように設定されている。
調整領域4aと調整領域4hとは、調整領域4aと調整領域4hとの間に対象領域2が位置するように、設定されている。例えば、図5に示すように試料Sを光軸に沿った方向から見て、調整領域4aの中心と調整領域4hの中心とを結ぶ仮想直線(図示せず)と対象領域2が重なるように、調整領域4aと調整領域4hとが設定されている。
同様に、調整領域4bと調整領域4gとは、調整領域4bと調整領域4gとの間に対象領域2が位置するように、設定されている。同様に、調整領域4cと調整領域4fとは、調整領域4cと調整領域4fとの間に対象領域2が位置するように、設定されている。同様に、調整領域4dと調整領域4eとは、調整領域4dと調整領域4eとの間に対象領域2が位置するように、設定されている。
調整領域4aと調整領域4hの配列方向、調整領域4bと調整領域4gの配列方向、調整領域4cと調整領域4fの配列方向、および調整領域4dと調整領域4eの配列方向は、互いに異なっている。
図示の例では、調整領域4aは対象領域2に接しているが、調整領域4aと対象領域2とは離間していてもよい。その他の調整領域4b,4c,4d,4e,4f,4g,4hについても同様であり、これらの調整領域は対象領域2に接していてもよいし、対象領域2から離間していてもよい。
また、図示の例では、隣り合う調整領域は接しているが、隣り合う調整領域が離間していてもよい。
次に、複数の調整領域4a,4b,4c,4d,4e,4f,4g,4hの各々における対物レンズ14のフォーカス条件を取得する(S30)。
具体的には、例えば、まず、光学系11をフォーカスモードとして調整領域4aに電子線を照射し、調整領域4aにおいて対物レンズ14を調整してフォーカスをあわせる。そして、このときの対物レンズ14のフォーカス条件を記録する。ここでは、フォーカス条件としてフォーカス値を記録する。フォーカス合わせは、オートフォーカス機能を用いて行われてもよいし、ユーザーがTEM像を確認しながら手動で行ってもよい。
同様に、調整領域4bにおいて対物レンズ14を調整してフォーカスをあわせ、このときの対物レンズ14のフォーカス値を記録する。調整領域4c、調整領域4d、調整領域4e、調整領域4f、調整領域4g、調整領域4hにおいても同様に、対物レンズ14を調整してフォーカスをあわせ、このときの対物レンズ14のフォーカス値を記録する。
次に、取得した複数の調整領域4a,4b,4c,4d,4e,4f,4g,4hの各々における対物レンズ14のフォーカス値に基づいて、対象領域2における対物レンズ14のフォーカス値を決定する(S40)。
例えば、調整領域4aにおけるフォーカス値と調整領域4hにおけるフォーカス値から、対象領域2における対物レンズ14のフォーカス値を推定する。具体的には、対象領域2、調整領域4a、および調整領域4bの位置関係に基づいて、対象領域2におけるフォーカス値を推定する。例えば、図5に示すように、対象領域2が調整領域4aと調整領域4hとの間に位置し、かつ、調整領域4aと対象領域2との間の距離と調整領域4hと対象領域2との間の距離とが等しい場合、対象領域2におけるフォーカス値は、調整領域4aにおけるフォーカス値と調整領域4hにおけるフォーカス値の中間の値とする。
なお、対象領域2におけるフォーカス値を推定する手法は、これに限定されない。例えば、調整領域4aにおけるフォーカス値と調整領域4hにおけるフォーカス値から試料S上の位置とフォーカス値との関係を示す関数(例えば一次関数)を導出し、この関数に対象領域2の位置を代入して、対象領域2におけるフォーカス値を推定してもよい。
同様に、調整領域4bにおけるフォーカス値と調整領域4gにおけるフォーカス値から、対象領域2におけるフォーカス値を推定する。同様に、調整領域4cにおけるフォーカス値と調整領域4fにおけるフォーカス値から、対象領域2におけるフォーカス値を推定する。同様に、調整領域4dにおけるフォーカス値と調整領域4eにおけるフォーカス値から、対象領域2におけるフォーカス値を推定する。
このようにして得られた4つの推定値から、対象領域2におけるフォーカス値を決定す
る。例えば、4つの推定値の平均値を対象領域2におけるフォーカス値と決定する。なお、対象領域2におけるフォーカス値を決定する手法は、上記の例に限定されず、複数の調整領域4a,4b,4c,4d,4e,4f,4g,4hの各々における対物レンズ14のフォーカス値から様々な手法を用いて対象領域2におけるフォーカス値を推定可能である。
る。例えば、4つの推定値の平均値を対象領域2におけるフォーカス値と決定する。なお、対象領域2におけるフォーカス値を決定する手法は、上記の例に限定されず、複数の調整領域4a,4b,4c,4d,4e,4f,4g,4hの各々における対物レンズ14のフォーカス値から様々な手法を用いて対象領域2におけるフォーカス値を推定可能である。
次に、決定された対象領域2におけるフォーカス値に基づいて、対物レンズ14を制御する(S50)。
具体的には、対物レンズ14のフォーカス値が決定されたフォーカス値となるように対物レンズ14を制御する。
次に、光学系11をフォトモードとして対象領域2に電子線を照射し、対象領域2においてTEM像の撮影を行う(S60)。
以上の工程により、対象領域2においてTEM像を取得することができる。
1.3. 制御部の処理
制御部40の処理について説明する。制御部40は、上述した第1実施形態に係るTEM像の取得方法を用いて、TEM像を取得する処理を自動で行う。図6は、制御部40の処理の一例を示すフローチャートである。
制御部40の処理について説明する。制御部40は、上述した第1実施形態に係るTEM像の取得方法を用いて、TEM像を取得する処理を自動で行う。図6は、制御部40の処理の一例を示すフローチャートである。
まず、制御部40は、対象領域2の指定を受け付ける(S100)。例えば、ユーザーが表示部52に表示されているTEM像を確認しながら、操作部50に対して対象領域2の位置を指定する操作を行うことで、対象領域2を指定することができる。このとき、制御部40は、指定された対象領域2の位置情報を取得する。
次に、制御部40は、複数の調整領域4a,4b,4c,4d,4e,4f,4g,4hを設定する(S102)。制御部40は、例えば、対象領域2の位置情報に基づいて、図5に示すように、対象領域2が複数の調整領域4a,4b,4c,4d,4e,4f,4g,4hで囲まれるように、複数の調整領域4a,4b,4c,4d,4e,4f,4g,4hを設定する。
次に、制御部40は、複数の調整領域4a,4b,4c,4d,4e,4f,4g,4hの各々においてフォーカス条件(フォーカス値)を取得する(S104)。
具体的には、制御部40は、光学系11をフォーカスモードとし、複数の調整領域4a,4b,4c,4d,4e,4f,4g,4hの各々において、オートフォーカス機能を用いてフォーカスを合わせ、そのときのフォーカス値を記憶部54に記録する。
次に、制御部40は、複数の調整領域4a,4b,4c,4d,4e,4f,4g,4hの各々におけるフォーカス条件に基づいて、対象領域2におけるフォーカス条件を決定する(S106)。
制御部40は、上述したように、複数の調整領域4a,4b,4c,4d,4e,4f,4g,4hの各々におけるフォーカス条件から、対象領域2におけるフォーカス条件を推定することで、対象領域2におけるフォーカス条件を決定する。
次に、制御部40は、決定された対象領域2におけるフォーカス条件に基づいて、対物レンズ14を制御する(S108)。
次に、制御部40は、光学系11をフォトモードとして対象領域2に電子線を照射し、対象領域2においてTEM像の撮影を行う(S110)。
以上の処理により、TEM像を取得することができる。
1.4. 特徴
電子顕微鏡100は、例えば、以下の特徴を有する。
電子顕微鏡100は、例えば、以下の特徴を有する。
電子顕微鏡100では、制御部40は、対物レンズ14のフォーカス条件を取得するための複数の調整領域4a,4b,4c,4d,4e,4f,4g,4hを設定する処理と、複数の調整領域4a,4b,4c,4d,4e,4f,4g,4hにおけるフォーカス条件を取得する処理と、複数の調整領域4a,4b,4c,4d,4e,4f,4g,4hにおけるフォーカス条件に基づいて対象領域2におけるフォーカス条件を決定する処理と、決定されたフォーカス条件に基づいて対物レンズ14を制御する処理と、を行う。
そのため、電子顕微鏡100では、複数の調整領域4a,4b,4c,4d,4e,4f,4g,4hにおけるフォーカス条件から対象領域2におけるフォーカス条件を推定するため、対象領域2におけるフォーカス条件を正確に推定することができる。したがって、例えば、調整領域4aでフォーカスを合わせた後、そのまま対象領域2でTEM像の撮影を行う場合と比べて、より適切なフォーカス条件でTEM像を取得できる。よって、電子顕微鏡100では、対象領域2の電子線による損傷を低減でき、かつ、より適切なフォーカス条件でTEM像を取得できる。
電子顕微鏡100では、複数の調整領域4a,4b,4c,4d,4e,4f,4g,4hを設定する処理において、対象領域2が複数の調整領域4a,4b,4c,4d,4e,4f,4g,4hのうちの第1調整領域と第2調整領域との間に位置するように、複数の調整領域4a,4b,4c,4d,4e,4f,4g,4hが設定される。
例えば、図5に示す例では、対象領域2が調整領域4a(第1調整領域の一例)と調整領域4h(第2調整領域の一例)との間に位置するように、複数の調整領域が設定されている。
そのため、電子顕微鏡100では、第1調整領域におけるフォーカス条件と第2調整領域におけるフォーカス条件から、対象領域2におけるフォーカス条件をより正確に推定することができる。したがって、電子顕微鏡100では、より適切なフォーカス条件でTEM像を取得できる。
電子顕微鏡100では、複数の調整領域4a,4b,4c,4d,4e,4f,4g,4hを設定する処理において、対象領域2が複数の調整領域4a,4b,4c,4d,4e,4f,4g,4hのうちの第3調整領域と第4調整領域との間に位置するように、複数の調整領域4a,4b,4c,4d,4e,4f,4g,4hが設定される。また、第3調整領域および第4調整領域は、第3調整領域と第4調整領域との配列方向が、第1調整領域と第2調整領域との配列方向と異なるように、設定される。
例えば、図5に示す例では、対象領域2が調整領域4a(第1調整領域の一例)と調整領域4h(第2調整領域の一例)との間に位置し、対象領域2が調整領域4c(第3調整領域の一例)と調整領域4f(第4調整領域の一例)との間に位置するように、複数の調整領域が設定されている。また、調整領域4c(第3調整領域の一例)と調整領域4f(第4調整領域の一例)の配列方向は、調整領域4a(第1調整領域の一例)と調整領域4
h(第2調整領域の一例)の配列方向と異なっている。
h(第2調整領域の一例)の配列方向と異なっている。
そのため、電子顕微鏡100では、対象領域2におけるフォーカス条件をより正確に推定することができる。
第1実施形態に係る調整方法は、以下の特徴を有する。
第1実施形態に係る調整方法は、対物レンズ14のフォーカス条件を取得するための複数の調整領域4a,4b,4c,4d,4e,4f,4g,4hを設定する工程と、複数の調整領域4a,4b,4c,4d,4e,4f,4g,4hにおける対物レンズ14のフォーカス条件を取得する工程と、複数の調整領域4a,4b,4c,4d,4e,4f,4g,4hにおける対物レンズ14のフォーカス条件に基づいて、対象領域2における対物レンズ14のフォーカス条件を決定する工程と、決定された対象領域2における対物レンズ14のフォーカス条件に基づいて対物レンズ14を制御する工程と、を含む。
そのため、第1実施形態に係る調整方法では、複数の調整領域4a,4b,4c,4d,4e,4f,4g,4hにおけるフォーカス条件から対象領域2におけるフォーカス条件を推定するため、対象領域2におけるフォーカス条件を正確に推定することができる。したがって、より適切なフォーカス条件でTEM像を取得できる。よって、第1実施形態に係る調整方法では、対象領域2の電子線による損傷を低減でき、かつ、より適切なフォーカス条件でTEM像を取得できる。
2. 第2実施形態
2.1. 電子顕微鏡
第2実施形態に係る電子顕微鏡の構成は、上述した図1に示す電子顕微鏡100の構成と同じであり、図示および説明を省略する。
2.1. 電子顕微鏡
第2実施形態に係る電子顕微鏡の構成は、上述した図1に示す電子顕微鏡100の構成と同じであり、図示および説明を省略する。
2.2. 電子顕微鏡像の取得方法
次に、第2実施形態に係るTEM像の取得方法について説明する。上述した第1実施形態では、対象領域2が1つ指定されたが、第2実施形態では、対象領域2が複数指定される。
次に、第2実施形態に係るTEM像の取得方法について説明する。上述した第1実施形態では、対象領域2が1つ指定されたが、第2実施形態では、対象領域2が複数指定される。
以下では、第2実施形態に係るTEM像の取得方法を、上述した図4に示すフローチャートを用いて説明する。また、以下では、上述した第1実施形態に係るTEM像の取得方法と異なる点について説明し、同様の点については説明を省略する。
対象領域2を指定する工程(S10)では、複数の対象領域2が指定される。ここでは、4つの対象領域(対象領域2a,2b,2c,2d、図7および図8参照)が指定されたものとする。
次に、調整領域を設定する工程(S20)では、対象領域2a,2b,2c,2dの位置関係に基づいて、調整領域を設定する。具体的には、対象領域間の距離が小さい場合と、対象領域間の距離が大きい場合と、で調整領域の設定が異なる。
図7は、複数の対象領域2a,2b,2c,2dと、複数の調整領域4a,4b,4c,4d,4e,4f,4g,4h,4i,4j,4k,4lと、を模式的に示す図である。図7では、対象領域2a,2b,2c,2d間の距離が小さい場合を図示している。
図7に示す例では、複数(図示の例では、12個)の調整領域4a,4b,4c,4d,4e,4f,4g,4h,4i,4j,4k,4lが設定されている。複数の調整領域
4a,4b,4c,4d,4e,4f,4g,4h,4i,4j,4k,4lは、複数の対象領域2a,2b,2c,2dの全体を囲むように設定されている。
4a,4b,4c,4d,4e,4f,4g,4h,4i,4j,4k,4lは、複数の対象領域2a,2b,2c,2dの全体を囲むように設定されている。
調整領域4aと調整領域4lとは、調整領域4aと調整領域4lとの間に対象領域2aおよび対象領域2dが位置するように、設定されている。同様に、調整領域4bと調整領域4jとは、調整領域4bと調整領域4jとの間に対象領域2aおよび対象領域2cが位置するように、設定されている。同様に、調整領域4cと調整領域4kとは、調整領域4cと調整領域4kとの間に対象領域2bおよび対象領域2dが位置するように、設定されている。同様に、調整領域4dと調整領域4iとは、調整領域4dと調整領域4iとの間に対象領域2bおよび対象領域2cが位置するように、設定されている。同様に、調整領域4eと調整領域4fとは、調整領域4eと調整領域4fとの間に対象領域2aおよび対象領域2bが位置するように、設定されている。同様に、調整領域4gと調整領域4hとは、調整領域4gと調整領域4hとの間に対象領域2cおよび対象領域2dが位置するように、設定されている。
調整領域4aと調整領域4lの配列方向、調整領域4bと調整領域4jの配列方向、調整領域4dと調整領域4iの配列方向、および調整領域4eと調整領域4fの配列方向、は、互いに異なっている。なお、調整領域4bと調整領域4jの配列方向と、調整領域4cと調整領域4kの配列方向は、同じである。また、調整領域4eと調整領域4fの配列方向と、調整領域4gと調整領域4hの配列方向は、同じである。
図示の例では、対象領域2a、対象領域2b、対象領域2c、および対象領域2dは、互いに接しているが、対象領域2a、対象領域2b、対象領域2c、および対象領域2dは、互いに離間していてもよい。
複数の調整領域4a,4b,4c,4d,4e,4f,4g,4h,4i,4j,4k,4lが設定されると、複数の調整領域4a,4b,4c,4d,4e,4f,4g,4h,4i,4j,4k,4lの各々における対物レンズ14のフォーカス条件を取得する(S30)。
図7に示す例において、対象領域2におけるフォーカス値を決定する工程(S40)では、取得した複数の調整領域4a,4b,4c,4d,4e,4f,4g,4h,4i,4j,4k,4lの各々におけるフォーカス値に基づいて、対象領域2a,2b,2c,2dにおけるフォーカス値を決定する。
例えば、調整領域4aにおけるフォーカス値と調整領域4lにおける対物レンズ14のフォーカス値から、対象領域2aにおけるフォーカス値および対象領域2dにおけるフォーカス値を推定する。
具体的には、対象領域2a、対象領域2d、調整領域4a、および調整領域4lの位置関係に基づいて、対象領域2aにおけるフォーカス値および対象領域2dにおけるフォーカス値を推定する。例えば、調整領域4aにおけるフォーカス値と調整領域4lにおけるフォーカス値から試料S上の位置とフォーカス値との関係を示す関数(例えば一次関数)を導出し、この関数を用いて対象領域2aにおけるフォーカス値および対象領域2dにおけるフォーカス値を推定する。
同様に、調整領域4bにおけるフォーカス値と調整領域4jにおけるフォーカス値から、対象領域2aにおけるフォーカス値および対象領域2cにおけるフォーカス値を推定する。同様に、調整領域4cにおけるフォーカス値と調整領域4kにおけるフォーカス値から、対象領域2bにおけるフォーカス値および対象領域2dにおけるフォーカス値を推定
する。同様に、調整領域4dにおけるフォーカス値と調整領域4iにおけるフォーカス値から、対象領域2bにおけるフォーカス値および対象領域2cにおけるフォーカス値を推定する。同様に、調整領域4eにおけるフォーカス値と調整領域4fにおけるフォーカス値から、対象領域2aにおけるフォーカス値および対象領域2bにおけるフォーカス値を推定する。同様に、調整領域4gにおけるフォーカス値と調整領域4hにおけるフォーカス値から、対象領域2cにおけるフォーカス値および対象領域2dにおけるフォーカス値を推定する。
する。同様に、調整領域4dにおけるフォーカス値と調整領域4iにおけるフォーカス値から、対象領域2bにおけるフォーカス値および対象領域2cにおけるフォーカス値を推定する。同様に、調整領域4eにおけるフォーカス値と調整領域4fにおけるフォーカス値から、対象領域2aにおけるフォーカス値および対象領域2bにおけるフォーカス値を推定する。同様に、調整領域4gにおけるフォーカス値と調整領域4hにおけるフォーカス値から、対象領域2cにおけるフォーカス値および対象領域2dにおけるフォーカス値を推定する。
このようにして求めた推定値から、対象領域2aにおけるフォーカス値、対象領域2bにおけるフォーカス値、対象領域2cにおけるフォーカス値、および対象領域2dにおけるフォーカス値を決定する。
次に、決定された対象領域2a,2b,2c,2dにおけるフォーカス値に基づいて、対物レンズ14を制御し(S50)、光学系11をフォトモードとして対象領域2a,2b,2c,2dにおいてTEM像の撮影を行う(S60)。
以上の工程により、対象領域2a,2b,2c,2dにおいてTEM像を取得することができる。
図8は、複数の対象領域2a,2b,2c,2dと、調整領域4a,4b,4c,4d,4e,4f,4g,4hと、を模式的に示す図である。図8では、対象領域2a,2b,2c,2d間の距離が大きい場合を図示している。
対象領域2aにおけるフォーカス条件は、上述した図5に示す対象領域2と同様に、複数の調整領域4a−a,4b−a,4c−a,4d−a,4e−a,4f−a,4g−a,4h−aから決定する。
同様に、対象領域2bにおけるフォーカス条件は、複数の調整領域4a−b,4b−b,4c−b,4d−b,4e−b,4f−b,4g−b,4h−bから決定する。同様に、対象領域2cにおけるフォーカス条件は、複数の調整領域4a−c,4b−c,4c−c,4d−c,4e−c,4f−c,4g−c,4h−cから決定する。同様に、対象領域2dにおけるフォーカス条件は、複数の調整領域4a−d,4b−d,4c−d,4d−d,4e−d,4f−d,4g−d,4h−dから決定する。
ここで、対象領域2bにおけるフォーカス条件を決定するための調整領域4a−bは、対象領域2aにおけるフォーカス条件を決定するための調整領域4c−aとの間の距離が小さい。そのため、調整領域におけるフォーカス条件を取得する工程(S30)では、調整領域4a−bにおけるフォーカス条件として、調整領域4c−aにおけるフォーカス条件を用いる。
同様に、対象領域2bにおけるフォーカス条件を決定するための調整領域4d−bは、対象領域2aにおけるフォーカス条件を決定するための調整領域4e−aとの間の距離が小さい。そのため、調整領域4d−bにおけるフォーカス条件として、調整領域4e−aにおけるフォーカス条件を用いる。
同様に、対象領域2bにおけるフォーカス条件を決定するための調整領域4f−bは、対象領域2aにおけるフォーカス条件を決定するための調整領域4h−aとの間の距離が小さい。そのため、調整領域4f−bにおけるフォーカス条件として、調整領域4h−aにおけるフォーカス条件を用いる。
この結果、調整領域4a−b、調整領域4d−b、および調整領域4f−bにおいてフォーカス合わせを行ってフォーカス条件を記録する必要がなく、調整に係る時間を短縮することができる。
その他の工程は、上述した図7に示す場合と同様に行われる。
2.3. 制御部の処理
次に、制御部40の処理について説明する。制御部40は、上述した第2実施形態に係るTEM像の取得方法を用いて、TEM像を取得する処理を自動で行う。図9は、制御部40の処理の一例を示すフローチャートである。以下では、上述した図6に示す第1実施形態に係る制御部40の処理と異なる点について説明し、同様の点については説明を省略する。
次に、制御部40の処理について説明する。制御部40は、上述した第2実施形態に係るTEM像の取得方法を用いて、TEM像を取得する処理を自動で行う。図9は、制御部40の処理の一例を示すフローチャートである。以下では、上述した図6に示す第1実施形態に係る制御部40の処理と異なる点について説明し、同様の点については説明を省略する。
まず、制御部40は、複数の対象領域2a,2b,2c,2dの指定を受け付ける(S200)。
次に、制御部40は、対象領域2a,2b,2c,2d間の距離を求めて、対象領域2a,2b,2c,2d間の距離が所定値a以下か否かを判定する(S202)。
所定値aは、例えば、調整領域の大きさ、すなわち、TEM像の視野の大きさに設定される。なお、所定値aは、任意の値に設定可能である。
制御部40は、対象領域2a,2b,2c,2d間の距離が所定値a以下と判定した場合(S200のYes)、図7に示すように複数の対象領域2a,2b,2c,2dの全体を囲むように複数の調整領域4a,4b,4c,4d,4e,4f,4g,4h,4i,4j,4k,4lを設定する(S204)。
一方、制御部40は、対象領域2a,2b,2c,2d間の距離が所定値a以下ではないと判定した場合(S200のNo)、図8に示すように複数の対象領域2a,2b,2c,2dの各々を囲むように複数の調整領域4a,4b,4c,4d,4e,4f,4g,4hを設定する(S206)。
次に、制御部40は、複数の調整領域の各々においてフォーカス条件を取得する(S208)。このとき、制御部40は、複数の調整領域において、2つの調整領域間の距離が所定値未満の場合には、いずれか一方の調整領域におけるフォーカス条件のみを取得し、取得したフォーカス条件を、他方の調整領域におけるフォーカス条件としても用いる。所定値は、任意に設定可能である。
なお、2つの調整領域間の距離が所定値以上の場合には、それぞれの調整領域において、フォーカス条件を取得する。
次に、制御部40は、複数の調整領域の各々におけるフォーカス条件に基づいて、対象領域2a,2b,2c,2dにおけるフォーカス条件を決定する(S210)。
次に、制御部40は、決定された対象領域2におけるフォーカス条件に基づいて、対物レンズ14を制御し(S212)、光学系11をフォトモードとして対象領域2a,2b,2c,2dにおいてTEM像の撮影を行う(S214)。
以上の処理により、TEM像を取得することができる。
2.4. 特徴
第2実施形態に係る電子顕微鏡では、第1実施形態に係る電子顕微鏡100と同様に、対象領域2a,2b,2c,2dの電子線による損傷を低減でき、かつ、より適切なフォーカス条件でTEM像を取得できる。
第2実施形態に係る電子顕微鏡では、第1実施形態に係る電子顕微鏡100と同様に、対象領域2a,2b,2c,2dの電子線による損傷を低減でき、かつ、より適切なフォーカス条件でTEM像を取得できる。
さらに、第2実施形態に係る電子顕微鏡では、複数の調整領域を設定する処理では、複数の対象領域2a,2b,2c,2dが第1調整領域と第2調整領域との間に位置するように、複数の調整領域が設定される。例えば、図7に示す例では、対象領域2aおよび対象領域2bは、調整領域4e(第1調整領域の一例)と調整領域4f(第2調整領域の一例)との間に位置している。
そのため、第2実施形態に係る電子顕微鏡では、第1調整領域におけるフォーカス条件と第2調整領域におけるフォーカス条件から、対象領域2aにおけるフォーカス条件および対象領域2bにおけるフォーカス条件を正確に推定することができる。したがって、適切なフォーカス条件でTEM像を取得できる。
また、第2実施形態に係る電子顕微鏡では、対象領域2a,2b,2c,2dにおけるフォーカス条件を決定する処理では、複数の対象領域2a,2b,2c,2dの各々の位置に基づいて、複数の対象領域2a,2b,2c,2dの各々におけるフォーカス条件を決定する。
例えば、図7に示す例では、調整領域4e(第1調整領域の一例)におけるフォーカス値と調整領域4f(第2調整領域の一例)におけるフォーカス値から、試料S上の位置とフォーカス値との関係を示す関数を導出し、この関数を用いて対象領域2aの位置、および対象領域2bの位置を代入して、対象領域2aにおけるフォーカス値および対象領域2bにおけるフォーカス値を推定する。
そのため、第2実施形態に係る電子顕微鏡では、第1調整領域におけるフォーカス条件と第2調整領域におけるフォーカス条件から、対象領域2aにおけるフォーカス条件および対象領域2bにおけるフォーカス条件を正確に推定することができる。
また、第2実施形態に係る電子顕微鏡では、複数の調整領域を設定する処理において、2つの対象領域のうちの一方が複数の調整領域のうちの第1調整領域と第2調整領域との間に位置し、かつ、2つの対象領域のうちの他方が複数の調整領域のうちの第3調整領域と第4調整領域との間に位置するように、複数の調整領域を設定する。また、複数の調整領域におけるフォーカス条件を取得する処理では、第2調整領域と第3調整領域との間の距離が所定値未満の場合に、第3調整領域におけるフォーカス条件として、第2調整領域におけるフォーカス条件を用いる。
例えば、図8に示す例では、対象領域2aおよび対象領域2bが指定された場合に、対象領域2aが調整領域4d−a(第1調整領域の一例)と調整領域4e−a(第2調整領域の一例)との間に位置し、対象領域2bが調整領域4d−b(第3調整領域の一例)と調整領域4e−b(第4調整領域の一例)との間に位置するように、複数の調整領域が設定されている。このとき、調整領域4e−aと調整領域4d−bとの間の距離が所定値未満であり、調整領域4d−bにおけるフォーカス条件として調整領域4e−aにおけるフォーカス条件を用いる。
この結果、調整領域4d−bにおいてフォーカス合わせを行ってフォーカス条件を取得する必要がなく、調整に係る時間を短縮することができる。
3. 変形例
なお、本発明は上述した実施形態に限定されず、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。以下では、上述した電子顕微鏡100の例と異なる点について説明し、同様の点については説明を省略する。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されず、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。以下では、上述した電子顕微鏡100の例と異なる点について説明し、同様の点については説明を省略する。
例えば、上述した実施形態では、電子顕微鏡100が透過電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope、TEM)であり、対象領域2においてTEM像を取得する場合について説明したが、電子顕微鏡100が走査透過電子顕微鏡(Scanning Transmission Electron Microscope、STEM)であり、対象領域2においてSTEM像を取得してもよい。これにより、対象領域の電子線による損傷を低減でき、かつ、適切なフォーカス条件でSTEM像を取得できる。
また、例えば、電子顕微鏡100がエネルギー分散型X線分光器(energy dispersive X-ray spectrometer)を備えており、対象領域2においてEDSマップを取得してもよい。これにより、対象領域の電子線による損傷を低減でき、かつ、適切なフォーカス条件でEDSマップを取得できる。さらに、例えば、図7に示すように、複数の対象領域2a,2b,2c,2dを指定して、これらの対象領域2a,2b,2c,2dで得られたEDSマップを重ね合わせることで、S/Nの良いEDSマップを得ることができる。
また、例えば、電子顕微鏡100が走査電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope、SEM)であり、対象領域2においてSEM像を取得してもよい。これにより、対象領域の電子線による損傷を低減でき、かつ、適切なフォーカス条件でSEM像を取得できる。
このように、本発明に係る電子顕微鏡は、様々な観察手法、および分析手法に適用可能である。
また、例えば、上述した実施形態では、対象領域におけるフォーカスの調整を行う場合について説明したが、本発明は、対象領域における非点収差の補正を行う場合にも適用できる。すなわち、複数の調整領域において、非点収差の補正条件を取得し、取得した非点収差の補正条件から対象領域における非点収差の補正条件を推定して補正条件を決定してもよい。これにより、フォーカスの調整を行う場合と同様に、対象領域における非点収差を補正できる。したがって、対象領域の電子線による損傷を低減でき、かつ、非点収差が適切に補正された状態でTEM像を取得できる。
なお、対象領域におけるフォーカスの調整と非点収差の補正の両方を行ってもよい。
このように、本発明に係る電子顕微鏡では、複数の調整領域における光学系の光学条件を取得して、対象領域における光学条件を決定することで、対象領域の電子線による損傷を低減でき、かつ、適切な光学条件で観察や分析を行うことができる。
また、上述した実施形態では、例えば、図5に示すように対象領域2を囲むように8つの調整領域4a,4b,4c,4d,4e,4f,4g,4hが設定されているが、調整領域は、2以上であればその数は限定されない。例えば、調整領域が2つの場合、対象領域2が2つの調整領域の間に位置するように、2つの調整領域が設定されていることが好ましい。これにより、対象領域におけるフォーカス条件をより正確に推定することができる。
なお、上述した実施形態及び変形例は一例であって、これらに限定されるわけではない。例えば各実施形態及び各変形例は、適宜組み合わせることが可能である。
本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
10…電子源、11…光学系、12…集束レンズ、13…偏向コイル、14…対物レンズ、15…偏向コイル、16…中間レンズ、17…投影レンズ、20…試料ステージ、22…試料ホルダー、24…撮像装置、30…駆動装置、40…制御部、50…操作部、52…表示部、54…記憶部、100…電子顕微鏡
Claims (7)
- 光学系と、
前記光学系を制御する制御部と、
を含み、
前記制御部は、
前記光学系の光学条件を取得するための複数の調整領域を設定する処理と、
前記複数の調整領域における前記光学系の光学条件を取得する処理と、
前記複数の調整領域における前記光学系の光学条件に基づいて、試料の観察または分析の対象となる対象領域における前記光学系の光学条件を決定する処理と、
決定された前記対象領域における前記光学系の光学条件に基づいて、前記光学系を制御する処理と、
を行う、電子顕微鏡。 - 請求項1において、
前記複数の調整領域を設定する処理では、
前記対象領域が前記複数の調整領域のうちの第1調整領域と第2調整領域との間に位置するように、前記複数の調整領域が設定される、電子顕微鏡。 - 請求項2において、
前記複数の調整領域を設定する処理では、
複数の前記対象領域が前記第1調整領域と前記第2調整領域との間に位置するように、前記複数の調整領域が設定される、電子顕微鏡。 - 請求項3において、
前記対象領域における前記光学系の光学条件を決定する処理では、
複数の前記対象領域の各々の位置に基づいて、複数の前記対象領域の各々における前記光学系の光学条件を決定する、電子顕微鏡。 - 請求項2ないし4のいずれか1項において、
前記複数の調整領域を設定する処理では、
前記対象領域が前記複数の調整領域のうちの第3調整領域と第4調整領域との間に位置するように、前記複数の調整領域が設定され、
前記第3調整領域および前記第4調整領域は、前記第3調整領域と前記第4調整領域の配列方向が、前記第1調整領域と前記第2調整領域の配列方向と異なるように、設定される、電子顕微鏡。 - 請求項1において、
前記複数の調整領域を設定する処理では、
2つの前記対象領域のうちの一方が前記複数の調整領域のうちの第1調整領域と第2調整領域との間に位置し、かつ、2つの前記対象領域のうちの他方が前記複数の調整領域のうちの第3調整領域と第4調整領域との間に位置するように、前記複数の調整領域が設定され、
前記複数の調整領域における前記光学系の光学条件を取得する処理では、
前記第2調整領域と前記第3調整領域との間の距離が所定値未満の場合に、前記第3調整領域における前記光学系の光学条件として、前記第2調整領域における前記光学系の光学条件を用いる、電子顕微鏡。 - 電子顕微鏡における光学系の調整方法であって、
前記光学系の光学条件を取得するための複数の調整領域を設定する工程と、
前記複数の調整領域における前記光学系の光学条件を取得する工程と、
前記複数の調整領域における前記光学系の光学条件に基づいて、試料の観察または分析の対象となる対象領域における前記光学系の光学条件を決定する工程と、
決定された前記対象領域における前記光学系の光学条件に基づいて、前記光学系を制御する工程と、
を含む、調整方法。
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---|---|---|---|
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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KR20240090428A (ko) | 2021-11-29 | 2024-06-21 | 주식회사 히타치하이테크 | 보정 방법 및 보정 장치 |
-
2018
- 2018-03-08 JP JP2018042153A patent/JP2019160464A/ja active Pending
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