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JP2019155667A - 基板及び積層基板 - Google Patents

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JP2019155667A
JP2019155667A JP2018043583A JP2018043583A JP2019155667A JP 2019155667 A JP2019155667 A JP 2019155667A JP 2018043583 A JP2018043583 A JP 2018043583A JP 2018043583 A JP2018043583 A JP 2018043583A JP 2019155667 A JP2019155667 A JP 2019155667A
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山下 正晃
Masaaki Yamashita
正晃 山下
斉藤 彰
Akira Saito
彰 斉藤
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Abstract

【課題】金属箔との密着強度を維持したまま、熱伝導率を上げる基板及び積層基板を提供することを目的とする。【解決手段】本発明の基板は、無機フィラーと熱硬化性樹脂とを含む複合材料と、繊維基材と、を含むプリプレグの硬化物を含む。前記複合材料は、第一複合材料の硬化物の熱伝導率が第二複合材料の硬化物および第三複合材料の硬化物の熱伝導率よりも高いことを特徴とする。また、前記プリプレグは前記繊維基材、及び前記繊維基材に含浸された前記第一複合材料からなる第一複合材料層からなる中間層と、前記第二複合材料からなる第二複合材料層と、前記第三複合材料からなる第三複合材料層と、を有し、前記第二複合材料層及び前記第三複合材料層が前記第一複合材料層を挟む。前記繊維基材の厚さをtとした時に、前記第一複合材料層の硬化物の厚さが1/2t以上であることを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、基板及び積層基板に関する。
近年、自動車に搭載される電子機器の数は増加傾向にあり、これら電子機器の小型化が急速に進んでいる。一方で、小型化に伴い高密度化された導体から発生する発熱量は大きくなってきており、いかに熱を放散させるかが重要な課題となっている。
従来のガラス−エポキシ樹脂によるプリント基板の放熱性を改良する技術として、金属基板の一面もしくは両面に絶縁層を介して回路パターンを形成する金属ベース基板、及びアルミナや窒化アルミなどのセラミック基板に銅板をダイレクトに接合した基板が提案されている。上記の金属ベース基板およびセラミック基板は、性能およびコストの面で両立させることが難しい。
そして、樹脂基板の放熱性を得るために、樹脂粘度を低くし、無機フィラーを高濃度に充填した樹脂組成、および樹脂基板が提案されている。例えば、特許文献1には、無機充填材を高濃度に充填する事が可能で放熱性に優れた熱伝導シート状物とそれを用いた熱伝導基板が開示されており、放熱性が必要とされる基板用途に適していると考えられている。
特許第3312723号公報
しかしながら、特許文献1に記載の熱伝導基板は、無機充填材を高濃度に充填した樹脂基板を用いるので、銅箔などの金属箔との密着性が無機充填材に阻害されてしまい、金属箔との密着強度が低下するといった問題がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、金属箔との密着強度を維持したまま、熱伝導率を上げることができる基板及び積層基板を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するため、以下の手段を提供する。
[1] プリプレグの硬化物を含む基板であって、
前記プリプレグは、無機フィラーと熱硬化性樹脂とを含む複合材料と、繊維基材と、を含み、
前記複合材料は、第一複合材料と第二複合材料と第三複合材料とを含み、
前記第一複合材料の硬化物の熱伝導率が前記第二複合材料の硬化物および前記第三複合材料の硬化物の熱伝導率よりも高く、
前記プリプレグは
前記繊維基材、及び前記繊維基材に含浸された前記第一複合材料からなる第一複合材料層からなる中間層と、
前記第二複合材料からなる第二複合材料層と、
前記第三複合材料からなる第三複合材料層と、
を有し、
前記第二複合材料層及び前記第三複合材料層が前記第一複合材料層を挟み、
前記繊維基材の厚さをtとした時に、前記第一複合材料層の硬化物の厚さが1/2t以上である、
ことを特徴とする基板。
[2] 前記第二複合材料及び前記第三複合材料が、同じ材料組成からなることを特徴とする、[1]に記載の基板。
[3] [1]又は[2]の基板であって、前記プリプレグを1枚以上有する積層体の硬化物を含むことを特徴とする積層基板。
中間層に設けられている繊維基材に含浸された第一複合材料は、それを挟む第二複合材料および前記第三複合材料より硬化物の熱伝導率が高い複合材料を用いることより、金属箔との密着強度を維持したまま、熱伝導率を上げる基板及び積層基板を提供するができる。
本発明第一実施形態の基板に用いるプリプレグの構成を表す断面図である。 本発明第二実施形態の基板に用いるプリプレグの構成を表す断面図である。 本発明第一実施形態の基板の製造方法を説明するための断面図である。 本発明第一実施形態の積層基板の製造方法を説明するための断面図である。
以下、本実施形態について、図を適宜参照しながら詳細に説明する。以下の説明で用いる図面は、本発明の特徴をわかりやすくするために便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などは実際とは異なっていることがある。以下の説明において例示される材料、寸法等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
(基板)
本発明の基板は、プリプレグの硬化物を含む。前記プリプレグは、無機フィラーと熱硬化性樹脂とを含む複合材料と、繊維基材と、を含む。前記複合材料は、第一複合材料と第二複合材料と第三複合材料とを含む。前記第一複合材料の硬化物の熱伝導率が前記第二複合材料の硬化物および前記第三複合材料の硬化物の熱伝導率よりも高いことを特徴とする。
また、前記プリプレグは、前記繊維基材、及び前記繊維基材に含浸された前記第一複合材料からなる第一複合材料層からなる中間層と、前記第二複合材料からなる第二複合材料層と、前記第三複合材料からなる第三複合材料層と、を有し、前記第二複合材料層及び前記第三複合材料層が前記第一複合材料層を挟む。前記繊維基材の厚さをtとした時に、前記第一複合材料層の硬化物の厚さが1/2t以上であることを特徴とする。
繊維基材は、プリプレグおよび基板の強度を保つのに必要な素材であるが、繊維基材の熱伝導率は、樹脂と無機フィラーの複合材料よりも低いことから、繊維基材を使用することによって基板の熱伝導率が低下してしまうため、無機フィラーを高濃度に充填するなどの対策を行うが、その場合、銅箔の密着性が低下する。
本発明においては、繊維基材に含浸する複合材料の熱伝導率を周囲の複合材料よりも高くすることにより、繊維基材による熱伝導率の低下を無くし、銅箔密着性を維持したまま、熱伝導率の高いプリプレグが得られる。
また、本発明の基板に用いる第二複合材料及び第三複合材料が、同じ材料組成からなることが好ましい。第二複合材料層と第三複合材料層が同じことで、銅箔の密着性に表裏の差が無くなる
かかる構成であることで、本発明の(積層)基板は、熱伝導率及び密着性に優れた(積層)基板となる。
[第一実施形態]
<プリプレグ>
図1は、本実施形態の基板に用いるプリプレグ1の断面模式図である。図1に示すプリプレグ1は、第一複合材料層11及び繊維基材15からなる中間層10と、第二複合材料層12と、第三複合材料層13と、を備え、第二複合材料層12及び第三複合材料層13が前記第一複合材料層11を挟むように構成されている。第一複合材料層11は、繊維基材に含浸された第一複合材料からなる。繊維基材15の厚さをtとした時に、第一複合材料層11の硬化物の厚さは1/2t以上である。第一複合材料層11の硬化物の厚さは、繊維基材15の厚さをtとした時に、3/4t以上であることが好ましい。1/2t以上であれば繊維基材による熱伝導率の低下を防ぐことができ、3/4t以上であればさらに熱伝導率が向上し、t以上であれば繊維基材をほぼ覆うことができるため、より熱伝導率が向上する。
また、本実施形態にかかるプリプレグ1に用いる第二複合材料12は、第三複合材料13と同じでも異なってもよい。第一複合材料11の硬化物の熱伝導率は、第二複合材料12の硬化物の熱伝導率より高く、かつ、第三複合材料13の硬化物の熱伝導率よりも高い。
本実施形態の基板に用いるプリプレグの各構成の好ましい形状および物性は以下である。
形状:
繊維基材の厚み 20〜200μm (機械的強度及び寸法安定性などの観点から)
第一複合材料層の硬化物の厚み:10〜400μm
第二複合材料層の硬化物の厚み:10〜300μm
第三複合材料層の硬化物の厚み:10〜300μm
なお、プリプレグ1において、第一複合材料層11の硬化物と繊維基材15の厚さ、及び、第一複合材料層11の硬化物、第二複合材料層12の硬化物、第三複合材料層13の硬化物の熱伝導率の評価方法は実施例で詳細に説明する。
<複合材料>
本実施形態のプリプレグに用いる複合材料は、無機フィラーと熱硬化性樹脂を含む。
「無機フィラー」
本実施形態のプリプレグに用いる無機フィラーは、粒子状の無機材料のうちのいずれか1種類または2種類以上である。この無機フィラーの具体例は、酸化マグネシウム(MgO)、酸化アルミニウム(Al)および窒化ホウ素(BN)、窒化アルミニウム(AlN)、シリカ(SiO2)などである。
無機フィラーとしては、酸化マグネシウムが安価で熱伝導率が高く(42〜60W/(m・K))、かつ体積抵抗率も高い(>1014Ω・cm)ため、好ましい。
前記複合材料に含まれるフィラーの含有率は特に制限されない。フィラーは、複合材料の全固形分の全体積中の40体積%〜80体積%で含有されることが好ましい。複合材料において、フィラーが全体積中の40体積%〜80体積%で含有されると、複合材料の熱伝導率をより高める効果が得られる。
フィラーの含有率は、熱伝導性及び流動性を高める観点から、40体積%〜70体積%であることが好ましく、45体積%〜60体積%であることがより好ましい。
ここで、複合材料の全固形分とは、複合材料から揮発性の成分を除去した残分を意味する。
本実施形態のプリプレグに用いる複合材料は、第一複合材料と第二複合材料と第三複合材料とを含む。後述の基板において、金属箔と樹脂硬化物との密着性を高めるため、プリプレグの表面層に配置されている第二複合材料と第三複合材料において、フィラーが全体積中の40体積%〜70体積%で含有されることが好ましい。40体積%〜60体積%で含有されることがより好ましい。また、後述の基板の熱伝導率をより高める効果が得られるため、プリプレグの中間層に配置されている第一複合材料において、フィラーが全体積中の50体積%〜80体積%で含有されることが好ましい。50体積%〜70体積%で含有されることがより好ましい。
本実施形態のプリプレグに用いる第一乃至第三複合材料は、同じ種類の熱硬化性樹脂又は同じ熱硬化性樹脂を用い、第一複合材料のフィラー含有率が第二複合材料及び第三複合材料より大きいことが好ましい。その場合、例えば、第一複合材料において、フィラーが全体積中の50体積%〜70体積%で含有され、第二複合材料と第三複合材料において、フィラーが全体積中の40体積%〜60体積%で含有されることが特に好ましい。
なお、本明細書におけるフィラーの含有率(体積%)は、下記の式(1)により求めた値とする。
フィラーの含有率(体積%)=(W1/D1)/((W1/D1)+(W2/D2)+Σ(Wi/Di))×100 ・・・・・(1)
ここで、各変数は以下の通りである。
W1:フィラーの質量組成比(質量%)
W2:熱硬化性樹脂の質量組成比(質量%)
Wi:熱硬化性樹脂以外のその他の各任意固形成分の質量組成比(質量%)
D1:フィラーの比重
D2:熱硬化性樹脂の比重
Di:熱硬化性樹脂以外のその他の各任意固形成分の比重
前記フィラーは、1種単独で又は2種以上を混合して使用することができる。例えば、平均粒子径(D50)が2μm以上80μm以下の範囲に含まれる、D50が異なる2種以上のフィラーを併用することができるが、この組み合わせに限定されるものではない。
「熱硬化性樹脂」
本実施形態に係る熱硬化性樹脂は、例えばエポキシ樹脂、フェノール樹脂及びシアネート樹脂を挙げることができる。
本実施形態の熱硬化性樹脂としては、例えば、熱硬化性の官能基を有する化合物であれば特に制限はない。具体的には、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、トリアジン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、シアネートエステル樹脂、及びこれら樹脂の変性樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は1種単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。
前記熱硬化性樹脂は、耐熱性の観点から、エポキシ樹脂、フェノール樹脂及びトリアジン樹脂から選ばれる樹脂の少なくとも1種であることが好ましく、接着性の観点から、エポキシ樹脂であることがより好ましい。前記エポキシ樹脂は、1種単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。
前記熱硬化性樹脂は、モノマーであっても、モノマーを硬化剤等により部分的に反応させたプレポリマーの状態であってもよい。例えば、後述の分子内にメソゲン基を有するエポキシ樹脂の例のように、分子内にメソゲン基を有する樹脂は一般に結晶化しやすく、溶媒への溶解度も低いものが多いが、一部反応させて重合させることで結晶化を抑制することができるため、成形性が向上する場合がある。
本実施形態のプリプレグに用いる熱硬化性樹脂が、エポキシ樹脂を含んでいることが好ましい。
<<エポキシ樹脂>>
エポキシ樹脂は、1つの分子の中に1つ以上のエポキシ基(−CO)を含む化合物のうちのいずれか1種類または2種類以上である。中でも、エポキシ樹脂は、1つの分子の中に2つ以上のエポキシ基を含んでいることが好ましい。エポキシ樹脂は、モノマーであっても、モノマーを硬化剤等により部分的に反応させたプレポリマーの状態であってもよい。
エポキシ樹脂の種類は、特に限定されないが、例えば、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、環状脂肪族型エポキシ樹脂および長鎖脂肪族型エポキシ樹脂などである。
グリシジルエーテル型エポキシ樹脂は、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂およびビスフェノールF型エポキシ樹脂などである。ノボラック型エポキシ樹脂は、例えば、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂およびフェノールノボラック型エポキシ樹脂などである。この他、エポキシ樹脂の種類は、例えば、難燃性エポキシ樹脂、ヒダントイン系エポキシ樹脂およびイソシアヌレート系エポキシ樹脂などでもよい。
なお、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂の具体例は、グリシジルエーテル型の構造(基)を含んでいる化合物であれば、特に限定されない。このように特定の構造を含んでいれば種類が限定されないことは、グリシジルエステル型エポキシ樹脂などの他のエポキシ樹脂の具体例に関しても同様である。
中でも、エポキシ樹脂は、1つの分子の中にメソゲン骨格を含んでいることが好ましい。その理由は、以下の通りである。
第1に、エポキシ樹脂の分子同士において、ベンゼン環同士が重なりやすくなるため、そのベンゼン環間の距離が小さくなる。これにより、エポキシ樹脂を含む複合材料では、エポキシ樹脂の密度が向上する。また、エポキシ樹脂硬化物では、分子の格子振動が散乱しにくくなるため、高い熱伝導率が得られる。
この「メソゲン骨格」とは、2つ以上の芳香環を含むと共に剛直性および配向性を有する原子団の総称である。具体的には、メソゲン骨格は、例えば、2つ以上のベンゼン環を含むと共にベンゼン環同士が単結合および非単結合のうちのいずれかを介して結合された骨格である。
なお、3つ以上のベンゼン環が結合される場合、その結合の方向性は、特に限定されない。すなわち、3つ以上のベンゼン環は、直線状となるように結合されてもよいし、途中で1回以上折れ曲がるように結合されてもよいし、2つ以上の方向に分岐するように結合されてもよい。
「非単結合」とは、1または2以上の構成元素を含むと共に1または2以上の多重結合を含む2価の基の総称である。具体的には、非単結合は、例えば、炭素(C)、窒素(N)、酸素(O)および水素(H)などの構成元素のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。また、非単結合は、多重結合として、二重結合および三重結合のうちの一方または双方を含んでいる。
メソゲン骨格は、ベンゼン環同士の結合の種類として、単結合だけを含んでいてもよいし、非単結合だけを含んでいてもよいし、単結合および非単結合の双方を含んでいてもよい。また、非単結合の種類は、1種類だけでもよいし、2種類以上でもよい。
メソゲン骨格の具体例は、ビフェニルおよびターフェニルなどである。なお、ターフェニルは、o−ターフェニルでもよいし、m−ターフェニルでもよいし、p−ターフェニルでもよい。
本実施形態のプリプレグに用いる熱硬化性樹脂の具体例としては、例えば、三菱化学株式会社製YL−6121H(テトラメチルビフェノール型エポキシ樹脂50%、4,4’−ビフェノール型エポキシ樹脂50%混合物、エポキシ当量175g/eq)、日本化薬株式会社製BREN105(臭素化多官能エポキシ樹脂、エポキシ当量271g/eq)、新日鉄住金化学株式会社製YH434L(四官能ポリグリシジルアミン、エポキシ当量122g/eq)、DIC株式会社製830−S(ビスフェノールF型エポキシ樹脂、エポキシ当量173g/eq)新日鉄住金化学株式会社製FX289Z(リン変性エポキシ樹脂、エポキシ当量225g/eq)、などが挙げられる。
前記熱硬化性樹脂は、成形性、接着性、及び熱伝導性の観点から、複合材料の全固形分の全体積中の20体積%〜60体積%で含有されることが好ましく、30体積%〜60体積%で含有されることがより好ましく、40体積%〜55体積%で含有されることがさらに好ましい。
なお、前記複合材料が後述の硬化剤や硬化促進剤を含む場合、ここでいう熱硬化性樹脂の含有率には、これら硬化剤や硬化促進剤の含有率を含めるものとする。
「硬化剤」
本実施形態の複合材料が、さらに硬化剤を少なくとも1種類含むことが好ましい。硬化剤としては熱硬化性樹脂を熱硬化可能であれば特に制限されない。前記熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂の場合の硬化剤としては、例えば、酸無水物系硬化剤、アミン系硬化剤、フェノール系硬化剤、及びメルカプタン系硬化剤等の重付加型硬化剤や、イミダゾール等の触媒型硬化剤等を挙げることができる。
中でも、耐熱性の観点から、アミン系硬化剤及びフェノール系硬化剤から選ばれる少なくとも1種類を用いることが好ましく、さらに、保存安定性の観点から、フェノール系硬化剤の少なくとも1種類を用いることがより好ましい。
アミン系硬化剤としては、通常用いられるものを特に制限なく用いることができ、市販されているものであってもよい。中でも、硬化性の観点から、2以上の官能基を有する多官能硬化剤であることが好ましく、更に熱伝導性の観点から、剛直な骨格を有する多官能硬化剤であることがより好ましい。
2官能のアミン系硬化剤として、例えば、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメトキシビフェニル、4,4’−ジアミノフェニルベンゾエート、1,5−ジアミノナフタレン、1,3−ジアミノナフタレン、1,4−ジアミノナフタレン、1,8−ジアミノナフタレン等が挙げられる。中でも、熱伝導率の観点から、4,4’−ジアミノジフェニルメタン及び1,5−ジアミノナフタレンから選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、1,5−ジアミノナフタレンであることがより好ましい。
フェノール系硬化剤としては、通常用いられるものを特に制限なく用いることができ、市販の低分子フェノール化合物や、それらをノボラック化したフェノール樹脂を用いることができる。
低分子フェノール化合物として、例えば、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール等の単官能のものや、カテコール、レゾルシノール、ハイドロキノン等の2官能のもの、さらに、1,2,3−トリヒドロキシベンゼン、1,2,4−トリヒドロキシベンゼン、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン、1,3,5−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン等の3官能のものなどが使用可能である。また、これら低分子フェノール化合物をメチレン鎖等で連結してノボラック化した、フェノールノボラック樹脂を硬化剤として用いることもできる。
フェノール系硬化剤としては、熱伝導性、耐熱性、溶剤溶解性などの観点から、多官能低分子フェノール硬化剤である、1,3,5−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼンが好ましい。
本実施形態の複合材料が硬化剤を含む場合、複合材料中の硬化剤の含有量は特に制限されない。例えば、硬化剤がアミン系硬化剤の場合は、アミン系硬化剤の活性水素の当量(アミン当量)と、エポキシ樹脂のエポキシ当量との比(アミン当量/エポキシ当量)が0.5〜2となることが好ましく、0.8〜1.2となることがより好ましい。また、硬化剤がフェノール系硬化剤の場合は、フェノール性水酸基の活性水素の当量(フェノール性水酸基当量)と、メソゲン含有エポキシ樹脂のエポキシ当量との比(フェノール性水酸基当量/エポキシ当量)が0.5〜2となることが好ましく、0.8〜1.2となることがより好ましい。
「硬化促進剤」
本実施形態の複合材料においてフェノール系硬化剤を用いる場合、必要に応じて硬化促進剤を併用しても構わない。硬化促進剤を併用することで、さらに十分に硬化させることができる。硬化促進剤の種類や配合量は特に限定されないが、反応速度や反応温度、保管性などの観点から、適切なものを選択することができる。硬化促進剤の具体例としては、イミダゾール系化合物、有機リン系化合物、第3級アミン、及び第4級アンモニウム塩などが挙げられる。これらは1種単独でも、2種類以上を併用してもよい。
前記複合材料が硬化促進剤を含む場合、複合材料中の硬化促進剤の含有率は特に制限されない。成形性の観点から、熱硬化性樹脂と硬化剤の合計質量の0.5質量%〜1.5質量%であることが好ましく、0.5質量%〜1質量%であることがより好ましく、0.75質量%〜1質量%であることがさらに好ましい。
「シランカップリング剤」
前記複合材料は、シランカップリング剤の少なくとも1種をさらに含むことが好ましい。シランカップリング剤を添加する効果としては、フィラーや第二のフィラーの表面とその周りを取り囲む熱硬化性樹脂の間で共有結合を形成する役割(バインダ剤に相当)を果たし、熱を効率良く伝達する働きや、さらには水分の浸入を妨げることによって絶縁信頼性の向上にも寄与する。
前記シランカップリング剤の種類としては特に限定されず、市販のものを使用して構わない。熱硬化性樹脂(好ましくはエポキシ樹脂)や、必要に応じて含まれる硬化剤との相溶性、及び樹脂とフィラーとの界面での熱伝導欠損を低減することを考慮すると、本発明においては、末端にエポキシ基、アミノ基、メルカプト基、ウレイド基、又は水酸基を有するシランカップリング剤を用いることが好適である。これらシランカップリング剤は1種単独でも、2種類以上を併用してもよい。
「その他の成分」
本発明における複合材料は、上記成分に加え、必要に応じてその他の成分を含むことができる。例えば、エラストマー、分散剤等が挙げられる。エラストマーとしては、アクリル樹脂が挙げられ、より具体的には(メタ)アクリル酸または(メタ)アクリル酸エステルから誘導されるホモポリマーまたはコポリマーを挙げることができる。分散剤としては、味の素ファインテック株式会社製アジスパーシリーズ、楠本化成株式会社製HIPLAADシリーズ、株式会社花王製ホモゲノールシリーズ等が挙げられる。これら分散剤は二種類以上を併用することができる。
「複合材料のスラリー」
前記複合材料は、例えば、固体状の熱硬化性樹脂を用いる場合、有機溶剤の少なくとも1種を添加して複合材料のスラリーを調整してもよい。有機溶剤を含むことで、種々の成形プロセスに適合させることができる。有機溶剤としては、通常用いられる有機溶剤を用いることができる。具体的には、アルコール系溶剤、エーテル系溶剤、ケトン系溶剤、アミド系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤、エステル系溶剤、ニトリル系溶剤等を挙げることができる。例えば、メチルイソブチルケトン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、スルホラン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン等を用いることができる。これらは1種単独でも、2種類以上を併用した混合溶剤として用いてもよい。
「半硬化複合材料」
本発明の半硬化複合材料(単に「複合材料」という場合がある)は前記複合材料に由来するものであり、前記複合材料を半硬化処理してなる。前記半硬化複合材料は、例えば、これをシート状に成形した場合に、半硬化処理していない複合材料からなる複合材料シートに比べて取り扱い性が向上する。その観点から、本実施形態のプリプレグに構成される複合材料が半硬化複合材料であることが好ましい。
ここで、前記半硬化複合材料とは、常温ではシート形状を保持できるが、100℃程度の高温にすると溶融する状態である。また、後述する硬化後の硬化複合材料は加温によって溶融することはない。なお、上記粘度は、回転式レオメータ(例えば、サーモサイエンティフィック株式会社製Rheo Stress 6000)によって測定される。なお、測定条件は、周波数1Hz、荷重40g、昇温速度3℃/分であり、せん断試験により行う。
前記半硬化処理としては、前記複合材料を温度60℃〜200℃で1分間〜30分間加熱する方法を挙げることができる。
「複合材料の硬化物」
複合材料の硬化物は前記複合材料に由来するものであり、前記複合材料を硬化処理してなる。前記複合材料の硬化物は熱伝導性と絶縁性に優れる。本発明の一実施形態の基板と積層基板は、例えば、本実施形態のプリプレグを硬化してなるものであり、本実施形態のプリプレグに用いる複合材料を硬化処理してなる複合材料の硬化物を含む。
複合材料の硬化物は、未硬化状態の複合材料又は前記半硬化複合材料を硬化処理することで製造することができる。前記硬化処理の方法は、複合材料の構成や硬化物の目的等に応じて適宜選択することができるが、加熱・加圧処理であることが好ましい。
例えば、未硬化状態の複合材料又は前記半硬化複合材料を100℃〜250℃で1時間〜10時間、好ましくは130℃〜230℃で1時間〜8時間加熱することで複合材料の硬化物が得られる。
<繊維基材>
本実施形態に係る繊維基材としては、金属箔張り積層基板や多層プリント配線板を製造する際に通常用いられるものであれば特に制限されず、通常織布や不織布等の繊維基材が用いられる。
本実施形態に係る繊維基材の目開きは特に制限されない。熱伝導率及び絶縁性の観点から、目開きは前記フィラーの平均粒子径(D50)の2倍以上であることが好ましい。また、繊維基材の空隙率が30%以上であることが好ましい。繊維基材の空隙率とは繊維基材の面積に対する目開き部分の面積の割合である。
繊維基材の材質は特に制限されない。具体的には、ガラス、アルミナ、ボロン、シリカアルミナガラス、シリカガラス、チラノ、炭化ケイ素、窒化ケイ素、ジルコニア等の無機繊維や、アラミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルサルフォン、カーボン、セルロース等の有機繊維、及びこれらの混抄系を挙げることができる。中でも、ガラス繊維の織布が好ましく用いられる。これにより例えば、プリプレグを用いて基板を構成する場合、屈曲性があり任意に折り曲げ可能な基板を得ることができる。さらに、製造プロセスでの温度変化や吸湿等に伴う多層基板の寸法変化を小さくすることも可能となる。
本実施形態に係る繊維基材の厚さは特に限定されない。より良好な可とう性を付与する観点から、75μm以下であることがより好ましく、含浸性の観点から60μm以下であることが好ましい。繊維基材の厚みの下限は特に制限されないが、通常10μm程度である。
<中間層>
本実施態様のプリプレグの中間層は、繊維基材と第一複合材料からなる層(第一複合材料層)とを含む。第一複合材料は、後述の第二複合材料及び第三複合材料より、熱伝導率の高い複合材料を用いる。熱伝導率の異なる複合材料の調整方法は、例えば、異なる熱硬化性樹脂の種類、異なるフィラーの種類、異なるフィラーの体積含有率を用いる方法が挙げられる。例えば、同じ熱硬化性樹脂と同じフィラーとを含む複合材料を用いる場合、フィラーの体積含有率を調整する方法が好ましい。
中間層は、例えば、繊維基材と第一複合材料からなる中間層用シートを用いて形成することができる。
中間層用シートは、上記のような繊維基材に、例えば、上記第一複合材料を含浸させることにより得られる。具体的には、第一複合材料を繊維基材に含浸し、繊維基材に含浸した第一複合材料を加熱乾燥することにより、第一複合材料層を含む中間層用シートが得られる。
前記中間層用シートにおける前記第一複合材料の含浸量(含有率)は、前記繊維基材の厚さをtとした時に前記第一複合材料層の硬化物の厚さが1/2t(0.5t)以上になるように設定すれば特に限定することはない。第一複合材料で繊維基材を覆う事により繊維基材による熱伝導率低下を軽減する観点から、厚さが0.7t以上であることが好ましく、0.9t以上であることがより好ましい。また、多層基板の位置合わせ精度、成形性、金属箔密着性の観点から、2t以下であることが好ましく、1.5t以下であることがより好ましく、1.1t以下であることが更に好ましい。例えば、繊維基材の厚さが100μmである場合、第一複合材料層の硬化物の厚さが50μm以上になるように設定すれば特に限定することはなく、厚さが70μm以上であることが好ましく、90μm以上であることがより好ましい。
なお、第一複合材料層の硬化物と繊維基材の厚さを測定する方法は、後述の実施例において詳細に説明する。
第一複合材料を繊維基材に含浸する方法に特に制限はない。例えば、塗工機により塗布する方法を挙げることができる。詳細には、繊維基材を第一複合材料にくぐらせて引き上げる縦型塗工法、及び支持フィルム上に第一複合材料を塗工してから繊維基材を押し付けて含浸させる、横型塗工法などを挙げることができる。
第一複合材料としては、具体的には、例えば、前記第一複合材料に含まれているエポキシ樹脂および硬化剤それぞれが固形である場合、粉体状に粉砕して混合し粉体状の第一複合材料を加熱、溶融させて、溶融した第一複合材料中に繊維基材を含浸させることより、中間層用シートを得ることができる。
また、第一複合材料に、メチルエチルケトンやシクロヘキサノン等の溶剤を加えて第一複合材料のスラリーとした場合は、第一複合材料のスラリー中に繊維基材を含浸させる。その後、乾燥により溶剤分を除去し、樹脂組成物を固化させる。
乾燥方法は、スラリーに含まれる有機溶剤の少なくとも一部を除去できれば特に制限されず、通常用いられる乾燥方法から、スラリーに含まれる有機溶剤に応じて適宜選択することができる。一般的には、60℃〜150℃程度で加熱処理する方法を挙げることができる。
このときの固化とは、流動性を有する液状物が自立可能な状態の固体状態に変化することを指す。スラリーに含まれる有機溶剤が一部残留する状態も、半硬化状態も固化状態に含むことができる。例えば、60〜150℃で1〜120分程度、好ましくは70〜120℃で3〜90分程度の条件下で固化させることができる。
本発明の「繊維基材に含浸された前記第一複合材料」ということは、繊維基材と第一複合材料との相互関係を表す意味であり、繊維基材又は中間層用シートを、特定な製造方法で限定する意味ではない。例えば、本実施態様のプリプレグの一例である図1に示すプリプレグ1において、中間層10は、繊維基材15の繊維と繊維との間にできた空隙に第一複合材料を充填するように形成されている。第一複合材料層11の中において繊維基材15の一部または全部が含まれている。
その意味で、本発明の第一複合材料を繊維基材に含浸する方法は、繊維基材の空隙の一部に第一複合材料が充填されるように形成することができれば、特に限定されることはない。例えば、繊維基材の一面または両面に上記の溶融した第一複合材料又は上記の第一複合材料のスラリーを塗布などにより表面に塗り広げ、その後、放冷または冷却することにより、中間層用シートを得ることができる。また、後述の第二複合材料シートと同様な方法で得られた、第一複合材料からなるシート(繊維基材を含まない)を用いて、このシートを繊維基材の一面または両面に配置し、第一複合材料が繊維基材の空隙を少なくとも1部充填するように、加熱プレスなどの方法で中間層用シートを製造することができる。
<第二複合材料層>
第二複合材料シートは、第二無機フィラーと第二熱硬化性樹脂を含む第二複合材料からなる。第二複合材料の硬化物は、第一複合材料の硬化物より低い熱伝導率を有することを特徴とする。第二複合材料は、第一複合材料と異なる種類の無機フィラー及び異なる種類の熱硬化性樹脂を用いることができる。また、第一複合材料と異なる種類の無機フィラー及び同じ種類の熱硬化性樹脂とを用いてもよく、第一複合材料と同じ種類の無機フィラー及び異なる種類の熱硬化性樹脂とを用いてもよい。第一複合材料と同じ種類の無機フィラー及び同じ種類の熱硬化性樹脂を用いることが好ましい。例えば、第一複合材料と同じ種類の無機フィラー及び同じ種類の熱硬化性樹脂を用いる場合、第二複合材料のフィラーの含有率(体積%)が、第一複合材料のフィラーの含有率(体積%)より少なくすることで、第一複合材料の熱伝導率より低い熱伝導率を有する第二複合材料が得られる。
第二複合材料層は、第二複合材料シートを用いて上記中間層用シートと積層して製造することができる。第二複合材料シートが第二複合材料をシート状に成形してなる。前記第二複合材料シートは、例えば、前記複合材料を離型フィルム上に塗布し、必要に応じて含まれる溶剤を除去することで製造することができる。前記樹脂シートは、前記複合材料から形成されることで、熱伝導性、流動性、及び可とう性に優れる。
前記第二複合材料シートの厚みは特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、シートの硬化物の厚みとして、10μm〜400μmとすることができ、成形性、金属箔の密着性、熱伝導率、電気絶縁性、及び可とう性の観点から、20μm〜100μmであることが好ましい。
前記第二複合材料シートは、例えば、PETフィルム等の離型フィルム上に、前記複合材料にメチルエチルケトンやシクロヘキサノン等の有機溶剤を添加して調製される複合材料のスラリー(以下、単に「スラリー」ともいう)を塗布して塗布層を形成した後、塗布層から前記有機溶剤の少なくとも一部を除去して乾燥することで製造することができる。
スラリーの塗布は、公知の方法により実施することができる。具体的には、コンマコート、ダイコート、リップコート、グラビアコート等の方法が挙げられる。所定の厚みに複合材料層を形成するための塗布方法としては、ギャップ間に被塗工物を通過させるコンマコート法、ノズルから流量を調節した複合材料のスラリーを塗布するダイコート法等を適用する。例えば、乾燥前の塗布層(複合材料層)の厚みが50μm〜500μmである場合は、コンマコート法を用いることが好ましい。
乾燥方法は、スラリーに含まれる有機溶剤の少なくとも一部を除去できれば特に制限されず、通常用いられる乾燥方法から、スラリーに含まれる有機溶剤に応じて適宜選択することができる。一般的には、60℃〜150℃程度で加熱処理する方法を挙げることができる。
前記第二複合材料シートの複合材料層は硬化反応がほとんど進行していないため、可とう性を有するものの、シートとしての柔軟性に乏しく、支持体である前記PETフィルムを除去した状態ではシート自立性に乏しく、取り扱いが困難である。その第二複合材料シートを用いて、本実施形態のプリプレグを製造する場合、例えば、第一複合材料シート上に、第二複合材料シートと支持体を、その順で積層してから、支持体を除去する方法がある。
また、前記第二複合材料シートは、これを構成する樹脂組成物を半硬化処理してなる半硬化樹脂組成物であることが好ましい。すなわち、前記樹脂シートは、半硬化状態になるまで、さらに加熱処理されてなる半硬化状態の第二複合材料シートであることが好ましい。前記樹脂シートが前記複合材料を半硬化処理してなる半硬化複合材料から構成されることで、熱伝導率及び電気絶縁性に優れ、可とう性及び可使時間に優れる。
前記樹脂シートを加熱処理する条件は、樹脂組成物の構成に応じて適宜選択することができる。加熱処理には、塗工の際に生じた樹脂組成物層中の空隙(ボイド)をなくす目的から、熱真空プレス、熱ロールラミネート等から選択される加熱処理方法が好ましい。
また、上記第二複合材料層は、上記PETフィルム等の離型フィルムの代わりに、前述の中間層用シートを用いて、同様な方法で、中間層用シート上に第二複合材料シート(層)を形成することもできる。
<第三複合材料層>
第三複合材料層は、第三無機フィラーと第三熱硬化性樹脂を含む第三複合材料からなる。第三複合材料の硬化物は、第一複合材料の硬化物より低い熱伝導率を有することを特徴とする。第三複合材料は、第一複合材料と異なる種類の無機フィラー及び異なる種類の熱硬化性樹脂を用いることができる。また、第一複合材料と異なる種類の無機フィラー及び同じ種類の熱硬化性樹脂とを用いてもよく、第一複合材料と同じ種類の無機フィラー及び異なる種類の熱硬化性樹脂とを用いてもよい。第一複合材料と同じ種類の無機フィラー及び同じ種類の熱硬化性樹脂を用いることが好ましい。例えば、第一複合材料と同じ種類の無機フィラー及び同じ種類の熱硬化性樹脂を用いる場合、第三複合材料のフィラーの含有率(体積%)が、第一複合材料のフィラーの含有率(体積%)より少なくすることで、第一複合材料の熱伝導率より低い熱伝導率を有する第三複合材料が得られる。
第三複合材料層を製造する方法、前述の第二複合材料層の製造方法と同様の方法を用いることができる。
第一複合材料層を有する中間層用シート上に直接に第三複合材料層(シート)を製造する場合、中間層用シートの一面に第二複合材料層が形成されている場合、その他の面上に、第三複合材料層を形成すればよい。
<プリプレグの製造方法>
本実施形態の基板に用いるプリプレグの製造方法は、第一複合材料層と繊維基材とを有する中間層の両側にそれぞれ第二複合材料層と第三複合材料層を形成できれば特に限定することはない。例えば、上記の第二複合材料シートと、上記の中間層用シートと、上記の第三複合材料シートと、をその順で重ねて、所定温度及び所定圧力で加熱プレスすることにより本実施態様のプリプレグが得られる。
次に、本実施形態の基板に用いるプリプレグの一例である、図1に示すプリプレグ1の製造方法を説明する。
プリプレグ1の製造方法の一例としては、例えば、以下の工程を含む。
(I) 上記と同様な方法で中間層用シートを形成する工程、
(II) 上記と同様な方法で第二複合材料シートを形成する工程、
(III)上記と同様な方法で第三複合材料シートを形成する工程、
(IV) 第二複合材料シート、第三複合材料シート、中間層用シートをその順で積層する工程。
プリプレグ1の製造方法のその他一例としては、例えば、以下の工程を含む。
(I) 上記と同様な方法で中間層用シートを形成する工程、
(II) 離型フィルムの代わりに、中間層用シートを用いること以外、第二複合材料シートの製造方法と同様な方法で、中間層用シートの一面に第二複合材料層12を形成する工程、
(III)離型フィルムの代わりに、(II)で得られたシートを用いること以外、第三複合材料シートの製造方法と同様な方法で、中間層用シートの他の面に第三複合材料層13を形成する工程。
プリプレグ1の製造方法のその他一例としては、例えば、以下の工程を含む。
(I) 上記と同様な方法で、繊維基材15に第一複合材料を含浸し、第一複合材料層11を形成する工程、
(II) 第一複合材料層11の一面に第二複合材料層12を形成する工程、
(III)第一複合材料層11の他の面に第三複合材料層13を形成する工程、
(IV) 第一複合材料層11〜第三複合材料層13を乾燥・半硬化する工程。
前記プリプレグは、積層又は貼付する前に、プレスやロールラミネータなどによる熱間加圧処理により、あらかじめ表面を平滑化してから使用してもよい。熱間加圧処理の方法は、半硬化複合材料シートの製造方法で挙げた方法と同様である。また、前記プリプレグの熱間加圧処理における加熱温度、減圧度、及びプレス圧等の処理条件についても、半硬化複合材料の加熱・加圧処理で挙げた条件と同様である。
前記プリプレグを複合材料のスラリーを用いて作製した場合、前記プリプレグにおける溶剤残存率は、2.0質量%以下であることが好ましく、1.0質量%以下であることがより好ましく、0.8質量%以下であることがさらに好ましい。
前記溶剤残存率は、プリプレグを40mm角に切り出し、190℃に予熱した恒温槽中に2時間乾燥させたときの、乾燥前後の質量変化から求める。
本実施形態の基板に用いるプリプレグの具体例は表1に示す。
Figure 2019155667
エポキシ樹脂A:エポキシ樹脂(三菱化学株式会社製 YL−6121H)
硬化剤A: (1,3,5−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン)
エポキシ樹脂B:エポキシ樹脂(新日鉄住金株式会社製 YH434L)
硬化剤B: (エアウォーター株式会社製 HE200)
エポキシ樹脂C:エポキシ樹脂(DIC株式会社製 830−S)
硬化剤C: (4,4’ージアミノジフェニルメタン)
<基板>
本実施形態の基板は、前述のプリプレグを硬化したものであり、プリプレグの硬化物を含む。また、その硬化物が本発明の熱硬化性樹脂の硬化物と無機フィラーを含む。すなわち、本発明の基板は、第一複合材料の硬化物と、第二複合材料の硬化物と、第三複合材料の硬化物と、繊維基材とを含む。本実施形態の基板は更に銅箔などの金属箔を有してもよい。本実施形態の基板に用いるプリプレグを硬化した基板なので、熱伝導率の高い基板が得られる。
本実施形態の基板は、本実施形態の基板に用いるプリプレグを硬化したものである。図3(a)〜(c)に示すように、例えば、プリプレグ1の両面に金属箔35を設け、加熱プレス・成形工程により、基板5を形成することができる。基板5の金属箔35をさらにパターンニングなどの回路形成工程で加工することができる。以下、図3を参照しながら基板5を詳細に説明する。
基板5は、例えば、図1に示すプリプレグ1の硬化物で構成されている。そして、その表層には、さらに金属箔35が積層されて金属箔張基板を形成している。金属箔35は、一方の面のみに付設しても、両面に付設してもよい。
図3に示す例において、基板5に用いるプリプレグ1が1枚であるが、1枚に限らず、2枚以上でもよい。この枚数は、樹脂プリプレグ1の厚さおよび強度などの条件に基づいて適宜設定可能である。
前記金属箔としては特に制限されず、通常用いられる金属箔から適宜選択することができる。具体的には金箔、銅箔、アルミニウム箔等を挙げることができ、一般的には銅箔が用いられる。前記金属箔の厚みとしては、1μm〜200μmであれば特に制限されず、使用する電力等に応じて好適な厚みを選択することができる。
また、前記金属箔として、ニッケル、ニッケル−リン、ニッケル−スズ合金、ニッケル−鉄合金、鉛、鉛−スズ合金等を中間層とし、この両表面に0.5μm〜15μmの銅層と10μm〜150μmの銅層を設けた3層構造の複合箔、又はアルミニウムと銅箔とを複合した2層構造複合箔を用いることもできる。
前記金属板は熱伝導率が高く、熱容量が大きい金属材料からなることが好ましい。具体的には、銅、アルミニウム、鉄、及びリードフレームに使われる合金等が例示できる。
前記金属板の板厚は用途に応じて適宜選択することができる。例えば、前記金属板は、軽量化や加工性を優先する場合はアルミニウムを、放熱性を優先する場合は銅を、というように目的を応じて材質を選定することができる。
前記基板5において、金属箔(銅箔)ピール強度を高めるため、従来の公知の方法で、金属箔を表面処理する前工程があってもよい。
金属箔35とプリプレグ1をプレス・成形する条件は、プリプレグ1の未硬化・半硬化熱硬化性樹脂を硬化することができれば、特に限定されない。上記したプリプレグの製造方法とは異なり、硬化反応を実質的に進行させる条件であることが好ましい。例えば、加熱及び加圧処理であることが好ましい。加熱及び加圧処理における加熱温度は特に限定されない。通常100℃〜250℃の範囲であり、好ましくは130℃〜230℃の範囲である。また、加熱及び加圧処理における加圧条件は特に限定されない。通常1MPa〜20MPaの範囲であり、好ましくは1MPa〜15MPaの範囲である。また、加熱及び加圧処理には、真空プレスが好適に用いられる。
金属箔とプリプレグの硬化物とは容易に剥離しないよう、密着強度が高くなければならない。密着強度は、後述する金属箔ピール強度(引き剥がし強度)で測定を行うことができる。
本実施形態の基板は、熱伝導率が3W/(m・K)以上であり、後述の密着性評価方法で評価した結果より、金属(銅箔)と熱硬化性樹脂の硬化物との密着性が高い。
[第二実施形態]
図2は、本実施形態の基板に用いるプリプレグ2の断面模式図である。図2に示すプリプレグ2は、第一複合材料層21及び繊維基材25からなる中間層20と、第二複合材料層22と、第三複合材料層23と、を備え、第二複合材料層22及び第三複合材料層23が前記第一複合材料層21を挟むように構成されている。第一複合材料層21は、繊維基材に含浸された第一複合材料からなる。繊維基材25の厚さをtとした時に第一複合材料層21の硬化物の厚さが1/2t以上である。第一複合材料層21は、繊維基材25の厚さをtとした時に、3/4t以上であることが好ましく、t以上であることがより好ましい。
本実施形態にかかるプリプレグの一例である図2に示すプリプレグ2に用いる第二複合材料22は、第三複合材料23と同じ組成の複合材料である。第一複合材料21の熱伝導率は、第二複合材料22の熱伝導率より高い。その他について、図1に示す第一実施形態の基板に用いるプリプレグ1と同じである。
本実施形態の基板に用いるプリプレグの具体例は表2に示す。
Figure 2019155667
エポキシ樹脂A〜C:同表1
硬化剤A〜C: 同表1
本実施態様の基板に用いるプリプレグを用いる以外は、第一実施形態と同様な方法で本実施形態の基板を作製できる。
(積層基板)
本発明の積層基板は、プリプレグを1枚以上使用して積層して硬化したものであり、プリプレグ積層体の硬化物を含む。その硬化物が熱硬化性樹脂の硬化物と無機フィラーを含む。すなわち、本発明の積層基板は、第一複合材料の硬化物と、第二複合材料の硬化物と、第三複合材料の硬化物と、繊維基材とを含む。本発明の積層基板は更に金属箔を有してもよい。本発明のプリプレグを硬化した基板なので、熱伝導率の高い基板が得られる。
本発明の一実施形態の積層基板は、本発明の第一実施形態又は第二実施形態の基板に用いるプリプレグを硬化したものである。図4(a)〜(c)に示すように、例えば、本発明の第一実施形態の基板に用いるプリプレグ1を2枚用いて両面に金属箔35を設けて、加熱プレス・成形工程により、積層基板7を形成することができる。基板7の金属箔35をさらにパターンニングなどの回路形成工程で加工することができる。
積層基板7は、図4(d)〜(f)に示すように、更に、本発明の第一実施形態の基板に用いるプリプレグ1を4枚用いて、外側に金属箔35を設けて、加熱プレス・成形工程により、積層基板9を形成することができる。積層基板9の金属箔35をさらにパターンニングなどの回路形成工程で加工することができる。
図4に示す例において、積層基板7に用いるプリプレグ1が2枚であるが、2枚に限らず、1枚でも、3枚以上でもよい。この枚数は、樹脂プリプレグ1の厚さおよび強度などの条件に基づいて適宜設定可能である。また、積層基板9に用いるプリプレグ1が6枚であるが、6枚に限らず、4枚、5枚でもよく、7枚以上でもよい。
前記積層基板7と9に使用されている金属箔、加熱プレス・成形条件などは上記基板5と同様である。
本発明の積層基板の厚さは、5000μm以下であることが好ましく、200μm〜3000μmであることがより好ましい。厚さが5000μm以下であると、可とう性に優れ曲げ加工時にクラックが発生するのが抑えられ、厚さが3000μm以下の場合は、その傾向がより見られる。また、厚さが200μm以上の場合には、作業性に優れる。
本発明の積層基板は、熱伝導率が3W/m・K以上であり、後述の密着性評価方法で評価した結果より、金属(銅箔)と熱硬化性樹脂の硬化物との密着性が高い。
本発明の実施例に関して、詳細に説明する。
(実施例1)
<第一複合材料層を有する中間層用シート>
第一複合材料として、以下の材料を準備した。
熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂(テトラメチルビフェノール型エポキシ樹脂50%、4,4’−ビフェノール型エポキシ樹脂50%混合物、エポキシ当量175g/eq、三菱化学株式会社製 YL−6121H) … 60質量部
硬化剤(1,3,5−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン(THPB)、活性水素当量118g/eq) … 40質量部
硬化促進剤(2−エチル−4−メチルイミダゾール、四国化成社製 2E4MZ) … 1質量部
有機溶剤としてメチルエチルケトン … 50質量部
これらの材料をメディアレス分散機(浅田鉄工社製 デスパミル MD−10)に投入し、撹拌して樹脂混合液を作製した。次に、この樹脂混合液に無機フィラーとして酸化マグネシウム粉末(平均粒径30μm、熱伝導率45W/(m・K))を投入し、よく撹拌分散させ、第一複合材料のスラリーを作製した。このとき、酸化マグネシウム粉末は、第一複合材料のスラリーからメチルエチルケトンを除いた固形分体積を100体積%としたときに65体積%(以下、充填率)となるように調整した。さらに、繊維基材として厚さ0.05mmのガラス繊維織布(IPC規格1080、株式会社有沢製作所製)を、この第一複合材料のスラリーに含浸し、その後のプリプレグにおいて第一複合材料層の硬化物の厚さが0.025mmになるように調整した。100℃にて加熱乾燥してメチルエチルケトンを除去し第一複合材料層と繊維基材を含む中間層用シートを得た。
<第二複合材料シート>
フィラーの種類が酸化マグネシウム粉末(平均粒径30μm、熱伝導率45W/(m・K))、充填率が52体積%である以外に、第一複合材料と同様な方法で、第二複合材料のスラリーを準備した。
支持体(PETフィルム,厚さ=0.05mm)の表面に第二複合材料のスラリーを塗布したのち、その液体状の第二複合材料を乾燥(温度=100℃)した。これにより、支持体の表面に第二複合材料層が形成されたため、単層体である第二複合材料シート(厚さ=0.06mm)が得られた。
<第三複合材料シート>
フィラーの種類が酸化マグネシウム粉末(平均粒径30μm、熱伝導率45W/(m・K))、充填率が48体積%である以外に、第二複合材料と同様な方法で、第三複合材料のスラリーを準備した。
第二複合材料シートと同様な方法で第三複合材料シートが得られた。
<プリプレグ>
上記得られた中間層用シートを挟むように、上記得られた第二複合材料シートと第三複合材料シートを100℃で積層し、プリプレグ1を形成した。
<基板>
図4(a)〜(c)に示すように、本実施例で得られたプリプレグ1を2枚重ね、2枚の銅箔35を用いてプリプレグ1を挟むように、加熱加圧(温度170℃、1MPaにて20分間)を行い、加えてさらに2回目の加熱加圧(温度200℃、4MPaにて1時間)を行い、厚さ0.3mmの無機フィラー含有エポキシ樹脂硬化物を備える(積層)基板7を得た。エッチング法により配線パターンを備える(積層)基板7を形成した。
<積層基板>
図4(d)〜(f)に示すように、得られた配線パターンを備える(積層)基板7の両面にそれぞれ、2枚のプリプレグを配置し、さらに、2枚の銅箔を用いて(積層)基板7を挟むように配置した後、加熱加圧(温度170℃、1MPaにて20分間)を行い、加えてさらに2回目の加熱加圧(温度200℃、4MPaにて1時間)を行い、厚さ0.9mmの無機フィラー含有エポキシ樹脂硬化物を備える積層基板9を得た。エッチング法により、両表面に配線パターン形成し、配線パターンを備える積層基板9を形成した。
(実施例2)
繊維基材として厚さ0.05mmのガラス繊維織布を、この第一複合材料の溶液に含浸し、その後のプリプレグにおいて第一複合材料層の硬化物の厚さが0.05mmになるように調整したこと以外は、実施例1と同様な方法で本実施例の中間層用シートが得られた。
また、本実施例の中間層用シートを用いたこと以外は、実施例1と同様方法で本実施例の(積層)基板が得られた。
(実施例3)
第二複合材料のフィラー充填率を50体積%とし、第三複合材料は、第二複合材料と同じ複合材料を用いたこと以外は、実施例2と同様な方法で、本実施例の中間層用シートが得られた。
また、本実施例の中間層用シートを用いたこと以外は、実施例1と同様方法で本実施例の(積層)基板が得られた。
(比較例1)
第一複合材料、第二複合材料、第三複合材料のフィラー充填率を55体積%としたこと以外は、実施例2と同様な方法で、本比較例の中間層用シートが得られた。
また、本比較例の中間層用シートを用いたこと以外は、実施例1と同様方法で本比較例のプリプレグ、積層基板が得られた。
(比較例2)
繊維基材として厚さ0.05mmのガラス繊維織布を、この第一複合材料の溶液に含浸し、その後のプリプレグにおいて第一複合材料層の厚さが0.017mmになるように調整したこと以外は、実施例3と同様な方法で、本比較例の中間層用シートが得られた。
また、本比較例の中間層用シートを用いたこと以外は、実施例1と同様方法で本比較例のプリプレグ、積層基板が得られた。
(比較例3)
第一複合材料のフィラー充填率を53体積%とし、第二複合材料と第三複合材料のフィラー充填率を56体積%としたこと以外は、実施例2と同様な方法で、本比較例の中間層用シートが得られた。
また、本比較例の中間層用シートを用いたこと以外は、実施例1と同様方法で本比較例のプリプレグ、積層基板が得られた。
(評価方法)
このプリプレグ、基板、積層基板のそれぞれの特性を調べたところ、表3に示した結果が得られた。ここでは、プリプレグの成形性を調べると共に、(積層)基板の熱伝導性、銅箔との密着性を調べた。
<複合材料の硬化物の熱伝導率>
実施例1〜3、比較例1〜3の第一複合材料〜第三複合材料の硬化物の熱伝導率の評価方法は以下である。
支持体(PETフィルム,厚さ=0.05mm)の表面に評価対象の複合材料のスラリーを、複合材料の硬化物の厚さが0.1mmとなるように塗布したのち、その液体状の複合材料を乾燥(温度=100℃)した。これにより支持体の表面に複合材料層が形成され、単層体である複合材料シートが得られた。こののち、支持体から複合材料層を剥離し、単層の複合材料層を10枚重ねて加熱加圧(温度170℃、1MPaにて20分間)を行い、加えてさらに2回目の加熱加圧(温度200℃、4MPaにて1時間)を行い、厚さ1.0mmの複合材料の硬化物が得られた。この硬化物の熱伝導率を後述の「基板の熱伝導率」と同様な方法で測定した。その結果は、評価対象の複合材料の硬化物の熱伝導率が得られた。
例えば、上記の硬化条件で実施例1の第一複合材料の硬化物が得られた。この硬化物の熱伝導率を測定したところ、5.0W/(m・K)であった。その結果、表3に示すように、実施例1の第一複合材料の硬化物の熱伝導率が5.0W/(m・K)であった。
<基板の熱伝導率>
実施例1〜3、比較例1〜3の基板の熱伝導率の評価方法は以下である。
評価対象のプリプレグを6枚重ねて加熱加圧(温度170℃、1MPaにて20分間)を行い、加えてさらに2回目の加熱加圧(温度200℃、4MPaにて1時間)を行い、厚さ870〜900μmの硬化物(基板)を得た。得られた基板を切断して、円形状の測定用試料(直径=10mm,厚さ=0.87〜0.9mm)を作製した。続いて、熱伝導率測定装置(アドバンス理工株式会社(旧アルバック理工株式会社)製のTCシリーズ)を用いて測定用試料を分析して、熱拡散係数α(m/s)を測定した。また、サファイアを標準試料として、示差走査熱量分析(DSC)を用いて測定用試料の比熱Cpを測定した。さらに、アルキメデス法を用いて測定用試料の密度rを測定した。最後に、下記の数式(2)に基づいて、熱伝導率λ(W/(m・K))を算出した。
λ=α×Cp×r ・・・・・(2)
(λは熱伝導率(W/(m・K))、αは熱拡散率(m/s)、Cpは比熱(J/kg・K)、rは密度(kg/m)である。)
<基板の銅箔ビール強度>
(銅箔ピール強度測定)
JIS C6481に準じて、(積層)基板の回路幅10mm銅箔付きの試験片(150mm×150mm×10mm)用い、50mm/minの速度で銅箔の直角方向に引っ張り、その剥離力を幅の長さで割った値を銅箔ピール強度とした。単位はkN/mである。
<第一複合材料層の硬化物の厚さ>
基板を厚み方向に切断し、切断した断面を研磨したのち、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察を行い、繊維基材の厚さ、および第一複合材料層の硬化物の厚さを測定した。
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、各実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。
Figure 2019155667
1、2…プリプレグ、
5…基板(積層基板)
7、9…積層基板
10、20…中間層、
12、22…第二複合材料層、
11、21…第一複合材料層、
13、23…第三複合材料層、
15、25…繊維基材、
35…金属箔。

Claims (3)

  1. プリプレグの硬化物を含む基板であって、
    前記プリプレグは、無機フィラーと熱硬化性樹脂とを含む複合材料と、繊維基材と、を含み、
    前記複合材料は、第一複合材料と第二複合材料と第三複合材料とを含み、
    前記第一複合材料の硬化物の熱伝導率が前記第二複合材料の硬化物および前記第三複合材料の硬化物の熱伝導率よりも高く、
    前記プリプレグは
    前記繊維基材、及び前記繊維基材に含浸された前記第一複合材料からなる第一複合材料層からなる中間層と、
    前記第二複合材料からなる第二複合材料層と、
    前記第三複合材料からなる第三複合材料層と、
    を有し、
    前記第二複合材料層及び前記第三複合材料層が前記第一複合材料層を挟み、
    前記繊維基材の厚さをtとした時に、前記第一複合材料層の硬化物の厚さが1/2t以上である、
    ことを特徴とする基板。
  2. 前記第二複合材料及び前記第三複合材料が、同じ材料組成からなることを特徴とする、請求項1に記載の基板。
  3. 請求項1又は請求項2の基板であって、前記プリプレグを1枚以上有する積層体の硬化物を含むことを特徴とする積層基板。
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