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JP2019116967A - 円すいころ軸受 - Google Patents

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JP2019116967A
JP2019116967A JP2018190992A JP2018190992A JP2019116967A JP 2019116967 A JP2019116967 A JP 2019116967A JP 2018190992 A JP2018190992 A JP 2018190992A JP 2018190992 A JP2018190992 A JP 2018190992A JP 2019116967 A JP2019116967 A JP 2019116967A
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tapered roller
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axial
diameter annular
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JP2018190992A
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English (en)
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鈴木 章之
Akiyuki Suzuki
章之 鈴木
宏之 大島
Hiroyuki Oshima
宏之 大島
谷口 陽三
Yozo Taniguchi
陽三 谷口
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JTEKT Corp
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Abstract

【課題】円すいころの大端面と内輪の大鍔部との間に潤滑油を供給することが可能となる円すいころ軸受を提供する。【解決手段】円すいころ軸受20は、内軌道面23を外周に有すると共に軸方向他方側の端部に径方向外方へ突出している大鍔部24を有する内輪21と、外軌道面27を内周に有する外輪22と、内輪21と外輪22との間に設けられている複数の円すいころ30と、複数の円すいころ30を周方向に間隔をあけて保持する環状の保持器40とを備えている。保持器40は、小径環状部41と、円すいころ30及び外輪22の軸方向他方側に位置する大径環状部42と、複数の柱部43とを有している。大径環状部42は、径方向内方に向かって開口している第一開口51と外軌道面27に向かって開口している第二開口52とが設けられている油溜まり部50を有している。【選択図】 図2

Description

本発明は、円すいころ軸受に関する。
図14に示すように、円すいころ軸受は、内輪91と、外輪92と、これら内輪91と外輪92との間に設けられている複数の円すいころ93と、これら円すいころ93を周方向に間隔をあけて保持する環状の保持器94とを備えている。内輪91は、軸方向一方側から軸方向他方側に向かって拡径する内軌道面95を有すると共に、軸方向他方側の端部に径方向外方へ突出している大鍔部96を有している。外輪92は、軸方向一方側から軸方向他方側に向かって拡径する外軌道面97を有している。
内輪91が回転すると、円すいころ93は内軌道面95及び外軌道面97に沿って自転しながら公転する。この際、円すいころ93が有する軸方向他方側の大端面98は、大鍔部96に滑り接触する。このため、大端面98と大鍔部96との間において潤滑油が不足すると焼付きが発生するおそれがある。そこで、特許文献1には、外輪92の軸方向他方側に(図14において二点鎖線で示す)油溜まり部99を構成するための部材100が取り付けられた円すいころ軸受が開示されている。
特開2008−223891号公報
特許文献1に記載の円すいころ軸受によれば、前記油溜まり部99の潤滑油を、大端面98と大鍔部96との間の潤滑に用いることが可能となる。これにより、大端面98と大鍔部96との間における焼付きを防止することができる。
このような円すいころの大端面と内輪の大鍔部との間の滑り接触部(摺動部)において潤滑油が不足するのを防ぐことが可能となる円すいころ軸受の開発は、更に、進められている。
そこで、本発明は、新たな技術的手段によって、円すいころの大端面と内輪の大鍔部との間に潤滑油を供給することが可能となる円すいころ軸受を提供することを目的とする。
本発明の円すいころ軸受は、軸方向一方側から軸方向他方側に向かって拡径する内軌道面を外周に有すると共に軸方向他方側の端部に径方向外方へ突出している大鍔部を有する内輪と、軸方向一方側から軸方向他方側に向かって拡径する外軌道面を内周に有する外輪と、前記内輪と前記外輪との間に設けられている複数の円すいころと、複数の前記円すいころを周方向に間隔をあけて保持する環状の保持器と、を備え、前記保持器は、前記円すいころの軸方向一方側に位置する小径環状部と、前記円すいころ及び前記外輪の軸方向他方側に位置する大径環状部と、前記小径環状部と前記大径環状部とを繋ぐ複数の柱部と、を有し、当該小径環状部と当該大径環状部との間であって周方向で隣り合う複数の柱部の間が、前記円すいころを収容するポケットであり、前記大径環状部は、径方向内方に向かって開口している第一開口と前記外軌道面に向かって開口している第二開口とが設けられている油溜まり部を有している。
この円すいころ軸受が回転すると、内輪の大鍔部の周囲に存在している潤滑油は遠心力によって保持器の大径環状部側へ移動する。このように移動した潤滑油は、第一開口から油溜まり部へ入り、第二開口から外軌道面側へと流れることができる。外軌道面側へ流れた潤滑油は、円すいころの回転により内輪側へ移動することができ、内輪の大鍔部と円すいころの大端面との間に供給され得る。この結果、大端面と大鍔部との間の摺動抵抗を小さくし、焼付きの発生を防ぐことが可能となる。
また、保持器の大径環状部は、円すいころの他に外輪の軸方向他方側にも位置していて、この大径環状部が有する油溜まり部は外軌道面に向かって開口している。このため、仮に外軌道面に沿って潤滑油が軸方向一方側から軸方向他方側へ流れた場合であっても、その潤滑油を、第二開口を通じて油溜まり部は受けることが可能となる。また、柱部の径方向内側面に沿って潤滑油が軸方向一方側から軸方向他方側へ流れた場合であっても、その潤滑油を、第一開口を通じて油溜まり部は受けることが可能となる。
また、前記大径環状部の軸方向一方側の第一側面は、前記外輪の軸方向他方側の第二側面と微小隙間を有して対向しているのが好ましい。この構成によれば、大径環状部と外輪との間にラビリンス隙間(前記微小隙間)が構成され、油溜まり部に溜められた潤滑油が、大径環状部と外輪との間から排出されるのを抑制することができる。
また、前記ポケットと円すいころとの間には隙間が設けられていることから、内輪と外輪との間で軸方向について位置決めされている円すいころに対して、保持器は軸方向に変位可能である。そこで、前記保持器が軸方向一方側へ変位すると、前記大径環状部の一部が前記円すいころの大端面に接触するよりも先に、前記大径環状部の軸方向一方側の第一側面が、前記外輪の軸方向他方側の第二側面と接触する構成とするのが好ましい。この構成によれば、保持器が軸方向一方側へ変位しても、円すいころの大端面に大径環状部が接触しない。このため、円すいころの大端面に付着する潤滑油が、大径環状部の一部によって掻き取られるのを防ぐことができ、大端面に付着する潤滑油が、内輪の大鍔部との間の潤滑に用いられる。
また、前記円すいころ軸受が回転すると、流体が軸方向一方側から軸方向他方側へと流れる作用(ポンプ作用)が発生する。この作用が強すぎると軸方向一方側において潤滑油が不足する場合がある。そこで、前記内輪の軸方向一方側の一部と前記小径環状部との間にラビリンス隙間が設けられているのが好ましい。この構成によれば、内輪の軸方向一方側の潤滑油が、内輪と外輪との間の環状空間を通過して軸方向他方側へ流れるのを抑制することができる。そして、前記のとおり、油溜まり部の潤滑油は第二開口から外軌道面側へと流れることによって、潤滑油を軸方向一方側へ向かって流す作用が働き、前記ポンプ作用に抗することができる。この結果、軸方向一方側の潤滑油が不足するのを防ぐことが可能となる。
また、前記大径環状部は、前記外輪の軸方向他方側の隣に位置する円筒部と、当該円筒部の軸方向他方側の端部から径方向内方へ延びて設けられている円環部と、を有し、前記円筒部の径方向内方側であって前記円環部の軸方向一方側の空間が、前記油溜まり部であるのが好ましい。これにより、油溜まり部を有する大径環状部が簡単に構成される。
また、この場合において、前記円筒部が有する軸方向一方側の端部の内径は、前記外輪が有する軸方向他方側の端部の内径以下であるのが好ましい。この構成によれば、油溜まり部の潤滑油が外輪の内周面(外軌道面)側へと流れやすくなり、潤滑油を、第二開口を通じて外軌道面及び円すいころに供給しやすくなる。
また、前記大径環状部が前記円環部を有する場合において、前記大径環状部は、更に、複数の前記柱部の軸方向他方側を繋ぐ環状連結部を有し、当該環状連結部よりも軸方向他方側に前記円環部が位置しているのが好ましい。この構成によれば、複数の柱部の軸方向他方側を環状連結部が繋ぐことにより、保持器の剛性が高まる。そして、環状連結部よりも円環部が軸方向他方側に位置していることによって、これら環状連結部と円環部との間に、前記第一開口が形成される。
前記大径環状部は、前記外輪の軸方向他方側の隣に位置する円筒部と、当該円筒部の軸方向他方側の端部から径方向内方へ延びて設けられている円環部と、前記円すいころの軸方向他方側の隣に位置しかつ前記円筒部よりも径方向内方側に位置すると共に前記柱部の軸方向他方側の一部と前記円環部とを繋げる継手部と、を有し、前記継手部には、前記ポケット側、径方向外方側、及び径方向内方側に開口するスリットが設けられているのが好ましい。この構成によれば、継手部に設けられているスリットの径方向内側の端が、前記第一開口となる。継手部と円筒部との間が前記油溜まり部となり、スリットも前記油溜まり部に含まれ、油溜まり部の容量が増える。そして、継手部と円筒部との間の軸方向一方側の端が、前記第二開口となる。
前記円環部の内周面は、前記継手部の径方向外側面よりも径方向内方側に位置しているのが好ましい。この構成によれば、円環部の径方向寸法が大きくなり、油溜まり部の容量が大きくなる。
本発明の円すいころ軸受によれば、円すいころの大端面と内輪の大鍔部との間に潤滑油を供給することが可能となり、大端面と大鍔部との間の摺動抵抗を小さくし、焼付きの発生を防ぐことが可能となる。
本発明の円すいころ軸受を備えているギヤ機構の一例を示す断面図である。 円すいころ軸受の断面図である。 保持器の軸方向他方側を外周側から見た斜視図である。 保持器の軸方向他方側を内周側から見た斜視図である。 大径環状部及びその周囲を示す拡大断面図である。 他の形態に係る円すいころ軸受の断面図である。 大径環状部及びその周囲を示す拡大断面図である。 保持器の軸方向他方側を外周側から見た斜視図である。 保持器の軸方向他方側を内周側から見た斜視図である。 第一の形態に係る保持器を成形する金型の説明図である。 第一の形態に係る保持器の変形例を成形する金型の説明図である。 第二の形態に係る保持器を成形する金型の説明図である。 第二の形態に係る保持器を成形する金型の説明図である。 従来の円すいころ軸受の断面図である。
〔ギヤ機構の説明〕
図1は、本発明の円すいころ軸受を備えているギヤ機構の一例を示す断面図である。図1に示すギヤ機構は、自動車に搭載されるディファレンシャルギヤ機構5である。このディファレンシャルギヤ機構5(以下、単に「ギヤ機構5」という。)は、ケース(デフケース)6と、ケース6から突出して設けられている回転軸(ドライブシャフト)7a,7bと、ケース6内に設けられているピン8、サイドギヤ9及びピニオンギヤ10とを備えている。ギヤ機構5は、更に、全体ハウジング11に対してケース6を支持する円すいころ軸受20を備えている。円すいころ軸受20が有する内輪21がケース6に取り付けられており、円すいころ軸受20が有する外輪22が全体ハウジング11に取り付けられている。全体ハウジング11内には、潤滑油(オイル)が溜められており、この潤滑油が、円すいころ軸受20、及びケース6内の各種ギヤ及び各部における摺動面の潤滑のために用いられる。回転軸7a,7bの外周面には、図示していないが溝(螺旋溝)が形成されている。回転軸7a,7bが回転すると、全体ハウジング11内であってケース6外の潤滑油は前記溝に誘導されてケース6内に供給される。図1において、左側の円すいころ軸受20と右側の円すいころ軸受20とは同じ構造である。図2は、図1において左側の円すいころ軸受20の断面図である。
〔円すいころ軸受20の説明〕
図2において、円すいころ軸受20は、内輪21と、外輪22と、これら内輪21と外輪22との間に設けられている複数の円すいころ30と、複数の円すいころ30を保持する環状の保持器40とを備えている。
内輪21は、その外周に、軸方向一方側から軸方向他方側に向かって拡径する内軌道面23を有している。内輪21は、軸方向他方側の端部に径方向外方へ突出している大鍔部24を有している。更に、内輪21は、軸方向一方側に径方向外方へ突出している小鍔部25と、円筒状の端部26を有している。大鍔部24及び小鍔部25は、円環形状である。大鍔部24の外周面は、小鍔部25の外周面よりも外径が大きい。小鍔部25の外周面は、円筒状の端部26の外周面よりも外径が大きい。
外輪22は、その内周に、軸方向一方側から軸方向他方側に向かって拡径する外軌道面27を有している。このような構成を備えている円すいころ軸受20は回転すると(本実施形態では内輪21が回転すると)、内輪21と外輪22との間に形成されている環状空間29において、流体が軸方向一方側から軸方向他方側へ流れる作用(以下、「ポンプ作用」という。)が発生する。このポンプ作用は、内輪21及び保持器40の回転により流体が遠心力によって径方向外側へ移動し、更に、この流体が外軌道面27に沿って軸方向他方側へ移動することにより発生する。このポンプ作用により、円すいころ軸受20の軸方向一方側に存在する潤滑油が、環状空間29を通過して、軸方向他方側へ流れようとする。しかし、本実施形態の円すいころ軸受20では、後にも説明するが、このようなポンプ作用による潤滑油の流れに抗する作用を発生させることができる。
円すいころ30は、円すいに沿った形状の外周面31と、軸方向一方側の小端面32と、軸方向他方側の大端面33とを有している。大端面33は小端面32よりも直径が大きい円形の面である。大端面33が内輪21の大鍔部24の側面24aに接触することで、円すいころ30は軸方向について位置決めされる。円すいころ軸受20が回転すると(内輪21が回転すると)、各円すいころ30は、自転しながら公転し、内軌道面23及び外軌道面27に対して転がり接触する。円すいころ軸受20が回転すると、各円すいころ30の大端面33は、大鍔部24の側面24aに対して滑り接触する。
保持器40は、全体として環状であり、円環状の小径環状部41と、円環状の大径環状部42と、複数の柱部43とを有している。小径環状部41は、円すいころ30の軸方向一方側に位置している。小径環状部41と小端面32との間には隙間が設けられている。大径環状部42は、円すいころ30及び外輪22の軸方向他方側に位置している。大径環状部42は、大鍔部24の径方向外方側に位置している。大径環状部42の一部(環状連結部47)と大端面33との間には隙間が設けられており、大径環状部42の他部(円筒部45)と外輪22の側面54との間には隙間が設けられている。これらの隙間については、後に説明する。各柱部43は、小径環状部41と大径環状部42とを繋いでいる。小径環状部41と大径環状部42との間であって周方向で隣り合う複数の柱部43の間が、ポケット44であり、ポケット44に円すいころ30が収容されている。以上の構成により、保持器40は、複数の円すいころ30を周方向に間隔をあけて保持することができる。本実施形態の保持器40は樹脂製であり、射出成形により製造される。
ポケット44と円すいころ30との間には周方向及び軸方向それぞれにおいて隙間が設けられている。このため、軸方向について位置決めされている円すいころ30に対して、保持器40は軸方向に変位可能である。
〔保持器40の説明〕
図3は、保持器40の軸方向他方側を外周側から見た斜視図である。図4は、保持器40の軸方向他方側を内周側から見た斜視図である。図5は、大径環状部42及びその周囲を示す拡大断面図である。大径環状部42は、円筒部45と円環部46とを有している。円筒部45は、円筒状であり、図5に示すように、外輪22の軸方向他方側の隣に位置している。円環部46は、円環状であり、円筒部45の軸方向他方側の端部45aから径方向内方へ延びて設けられている。円筒部45の径方向内方側であって円環部46の軸方向一方側の空間が、油溜まり部50となる。
油溜まり部50は、径方向内方及び軸方向一方側に向かって開口している。油溜まり部50において、径方向内方に向かう開口が「第一開口51」であり、軸方向一方側に向かう開口が「第二開口52」である。このように、油溜まり部50には、径方向内方に向かって開口している第一開口51と、外軌道面27に向かって開口している第二開口52とが設けられている。
図5では、保持器40の中心軸と外輪22の中心軸とが一致した状態が示されている。円筒部45が有する軸方向一方側の端部45bの内径D1は、外輪22が有する軸方向他方側の端部48の内径D2以下に設定されている(D1≦D2)。円筒部45は、保持器40の中心軸を中心とする内周面49を有しており、前記内径D1は、この内周面49の軸方向一方側の端における内径である。外輪22の端部48には面取り加工が施されており、前記内径D2は、この面取り加工された面の軸方向他方側の端における内径である。なお、円筒部45の内周面49は、保持器40の中心軸を中心とする円筒面であるが、軸方向一方側又は軸方向他方側に向かって縮径するテーパー面であってもよい。
円環部46の軸方向一方側の端部46aの内径D3は、外輪22の端部48の内径D2よりも小さい。これにより、円環部46、円筒部45、及び外軌道面27により囲まれた領域に潤滑油が溜まることができる。この潤滑油は、円すいころ30の大端面33に付着し大鍔部24との間の潤滑に用いられる。また、図5に示す形態では、前記端部46aの内径D3は、環状連結部47の外径D4よりも大きいが、小さくてもよく、更に、環状連結部47の内径D5よりも小さくてもよい。内径D3が小さくなるほど潤滑油を多く溜めることができる。内径D3を小さくすることで油溜まり部50の容量を拡大した形態については、後に説明する(図7参照)。
図3〜図5に示すように、本実施形態では、大径環状部42は環状連結部47を有している。環状連結部47は、円環状であり、複数の柱部43の軸方向他方側を繋いでいる。環状連結部47が複数の柱部43の軸方向他方側を繋ぐことにより、保持器40の剛性が高まる。図5に示すように、円環部46は、環状連結部47よりも軸方向他方側に位置している。大径環状部42が環状連結部47を有している本実施形態の場合、環状連結部47と円環部46との間が第一開口51となり、環状連結部47と円筒部45との間が第二開口52となる。円筒部45、円環部46、及び環状連結部47に囲まれた空間が、油溜まり部50となる。
環状連結部47に関して説明する。環状連結部47の軸方向一方側の側面56は、円すいころ30の大端面33と軸方向に対向している。環状連結部47は、円筒部45及び円環部46(の内周面)よりも径方向内方側に位置している。環状連結部47の軸方向一方側の側面56は、外輪22の側面54よりも軸方向一方側に位置している。軸方向他方側の側面59は、外輪22の側面54及び円筒部45の側面53よりも軸方向他方側に位置していると共に、円環部46の軸方向一方側の側面61よりも軸方向一方側に位置している。なお、環状連結部47については、前記構成に限ったものではない。また、環状連結部47は省略されてもよい。
図4に示すように、大径環状部42は、各柱部43から延長された部分である部分連結部58を更に有している。部分連結部58は、環状連結部47と円環部46とを繋いでいる。なお、環状連結部47が省略される場合、部分連結部58は、柱部43と円環部46とを繋ぐ。図4に示す部分連結部58は、柱部43の軸方向他方側の端部43aと(略)同じ断面形状を有しており、部分連結部58によって油溜まり部50は周方向に沿って複数の領域に区画されている。なお、図4に示す部分連結部58のうち、径方向内側の範囲を省略してもよい。つまり、図示しないが、部分連結部58は、柱部43の端部43aよりも小さい断面形状を有していてもよい。
前記のとおり、保持器40は円すいころ30に対して軸方向に変位可能である。保持器40が軸方向他方側へ変位した場合(図2参照)、保持器40の小径環状部41が円すいころ30の小端面32に接触することで、その変位は制限される。反対に、保持器40が軸方向一方側へ変位した場合、保持器40の大径環状部42が、円すいころ33の大端面33ではなく、外輪22に接触することで、その変位は制限される。
保持器40が軸方向他方側へ変位した場合について更に説明する。図5において、大径環状部42(円筒部45)の軸方向一方側の第一側面53は、外輪22の軸方向他方側の第二側面54と微小隙間55を有して対向している。保持器40が軸方向他方側へ変位した状態であっても、第一側面53と第二側面54との隙間寸法(微小隙間55)は微小寸法(例えば、0.5ミリメートル未満)となる。
保持器40が軸方向一方側へ変位する場合について更に説明する。大径環状部42の一部(本実施形態では環状連結部47)は、円すいころ30の大端面33と対向している。環状連結部47の軸方向一方側の側面56と大端面33との間には、隙間57が形成されている。保持器40が軸方向他方側(図5において右側)へ変位した状態で(図5に示す状態で)、隙間57は微小隙間55よりも軸方向について大きい。このため、保持器40が軸方向一方側(図5において左側)へ変位すると、大径環状部42の一部(本実施形態では環状連結部47)が円すいころの大端面33に接触するよりも先に、大径環状部42(円筒部45)の軸方向一方側の第一側面53が、外輪22の軸方向他方側の第二側面54と接触する。つまり、保持器40が軸方向一方側へ変位しても、円すいころ30の大端面33に大径環状部42は接触しない。本実施形態の保持器40は樹脂製であることから、大径環状部42は外輪22に対して(保持器40が金属製である場合よりも)円滑に滑り接触することができる。
〔円すいころ軸受20の軸方向一方側の構成の説明〕
図2において、円すいころ軸受20の軸方向一方側の構成について説明する。前記のとおり、内輪21は、軸方向一方側に、小鍔部25と円筒状の端部26とを有している。保持器40の小径環状部41の内周側端部41aは、小鍔部25及び円筒状の端部26と接近しており、内周側端部41aと、小鍔部25及び円筒状の端部26それぞれとの間に微小隙間が形成されている。この微小隙間は、軸方向一方側において保持器40と内輪21との間に形成されたラビリンス隙間60となる。つまり、本実施形態の円すいころ軸受20では、内輪21の軸方向一方側の一部(小鍔部25及び円筒状の端部26)と、小径環状部41(内周側端部41a)との間に、ラビリンス隙間60が設けられている。このラビリンス隙間60によれば、内輪21よりも軸方向一方側に存在する潤滑油が軸受内部(環状空間29)に浸入し難くなる。
〔他の形態に係る円すいころ軸受20について〕
図6は、他の形態に係る円すいころ軸受20の断面図である。図1〜図5に示す形態を「第一の形態」という。図6〜図9に示す形態を「第二の形態」という。第一の形態と第二の形態とにおいて、同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号(参照番号)を付し、重複する詳細な説明を省略する。
第一の形態と第二の形態とを比較すると、内輪21の軸方向一方側の形状と、保持器40の形状とが異なり、その他については同じである。第二の形態では、内輪21の軸方向一方側は、小鍔部25を有するが、第一の形態が有する円筒状の端部26を有していない。第二の形態の円すいころ軸受20は、小鍔部25よりも外径が小さい端部26を有していないが、保持器40の小径環状部41と小鍔部25との間には、微小隙間が設けられていて、ラビリンス隙間60が形成されている。
〔第二の形態に係る保持器40の説明〕
図7は、保持器40の大径環状部42及びその周囲を示す拡大断面図である。図8は、保持器40の軸方向他方側を外周側から見た斜視図である。図9は、保持器40の軸方向他方側を内周側から見た斜視図である。大径環状部42は、円筒部45と円環部46と継手部65とを有する。円筒部45は、円筒状であり、図7に示すように、外輪22の軸方向他方側の隣に位置している。円環部46は、円環状であり、円筒部45の軸方向他方側の端部45aから径方向内方へ延びて設けられている。円環部46は、第一の形態(図5参照)における円環部46よりも径方向について長い。継手部65は、円すいころ30の軸方向他方側の隣に位置し、かつ、円筒部45よりも径方向内方側に位置する。円筒部45と継手部65とは間隔をあけて設けられている。図9に示すように、継手部65は、柱部43の軸方向他方側の一部43bと、円環部46とを繋ぐ。継手部65の軸方向一方側に、ポケット44が形成されている。
継手部65には、スリット66が設けられている。スリット66は、ポケット44側、径方向外方側(つまり、円筒部45側)、及び径方向内方側(つまり、大鍔部24側)に開口している。図7に示すように、円筒部45の径方向内方側であって円環部46の軸方向一方側の空間が、油溜まり部50となる。第二の形態では、スリット66も油溜まり部50の一部として機能する。
油溜まり部50は、径方向内方及び軸方向一方側に向かって開口している。油溜まり部50において、径方向内方に向かう開口が「第一開口51」であり、軸方向一方側に向かう開口が「第二開口52」である。スリット66の径方向内側の端66aが、油溜まり部50の第一開口51となる。継手部65と円筒部45との間の軸方向一方側の端が、油溜まり部50の第二開口52となる。このように、油溜まり部50には、径方向内方に向かって開口している第一開口51と、軸方向一方側の外軌道面27に向かって開口している第二開口52とが設けられている。
継手部65について更に説明する。図8及び図9に示すように、継手部65は、ポケット44毎に設けられている。継手部65の径方向内側面65a(図9参照)及び径方向外側面65b(図8参照)それぞれは、保持器40の中心軸を中心とする仮想の円筒面又はテーパー面に沿った形状を有する。径方向内側面65aは、円環部46の内周面46bと連続していて、これら径方向内側面65a及び内周面46bは、前記円筒面又はテーパー面に沿って形成されている。各継手部65のポケット44側における周方向の中央にスリット66が形成されている。継手部65の軸方向一方側の側面67は(図7参照)、円すいころ30の大端面33と軸方向に対向している。
図7に示すように、円環部46の軸方向一方側の端部46aの内径D3は、外輪22の端部48の内径D2よりも小さい。これにより、円環部46、円筒部45、及び外軌道面27により囲まれた領域に潤滑油が溜まることができる。この潤滑油は、円すいころ30の大端面33に付着し大鍔部24との間の潤滑に用いられる。前記端部46aの内径D3は、継手部65の外径D6よりも小さい(D3<D6)。つまり、円環部46の内周面46bは、継手部65の径方向外側面65bよりも径方向内方側に位置している。内径D3が小さくなるほど、油溜まり部50の径方向寸法が大きくなり(つまり、油溜まり部50が径方向に深くなり)、潤滑油を多く溜めることができる。
前記のとおり、保持器40は円すいころ30に対して軸方向に変位可能である。保持器40が軸方向他方側へ変位した場合(図2参照)、保持器40の小径環状部41が円すいころ30の小端面32に接触することで、その変位は制限される。反対に、保持器40が軸方向一方側へ変位した場合、保持器40の大径環状部42が、円すいころ33の大端面33ではなく、外輪22に接触することで、その変位は制限される。
保持器40が軸方向一方側へ変位する場合について更に説明する。図7に示すように、大径環状部42の一部(第二の形態では継手部65)は、円すいころ30の大端面33と対向している。継手部65の軸方向一方側の側面67と大端面33との間には、隙間57が形成されている。保持器40が軸方向他方側(図7において右側)へ変位した状態で(図7に示す状態で)、隙間57は、外輪22と円筒部45との間の微小隙間55よりも軸方向について大きい。このため、保持器40が軸方向一方側(図7において左側)へ変位すると、大径環状部42の一部(継手部65)が円すいころの大端面33に接触するよりも先に、大径環状部42(円筒部45)の軸方向一方側の第一側面53が、外輪22の軸方向他方側の第二側面54と接触する。つまり、保持器40が軸方向一方側へ変位しても、円すいころ30の大端面33に大径環状部42は接触しない。
保持器40は、熱可塑性樹脂製である。保持器40は、軸方向に分割する二つの割金型を用いて射出成形により製造される。この点については、第一の形態及び第二の形態で共通である。
図10は、第一の形態に係る保持器40を成形する金型79の説明図である。金型79は、二つの割金型として、第一割型78と第二割型77とを有する。第一割型78と第二割型77との間の一部において、大径環状部42を成形可能であり、成形後、これら第一割型78と第二割型77とは、軸方向に分離可能である。第一割型78と第二割型77とは軸方向に移動して分離することで、成形品である保持器40から脱型される。
図11は、第一の形態に係る保持器40の変形例を成形する金型79の説明図である。この変形例では、大径環状部42の円環部46の内径D3が、環状連結部47の外径D4よりも小さい(D3<D4)。この変形例の場合、図10に示す第一の形態のように、軸方向に二分割する割金型(77,78)の採用が不可能である。すなわち、図11に示す変形例の場合、油溜まり部50の第一開口51を形成するために、円環部46と環状連結部47との間に金型部分76が必要となる。しかし、この金型部分76を有する一方の割金型(第一割型78)は、射出成形後、軸方向に移動不能となる。このため、変形例の場合、軸方向に二分割する割金型(77,78)の採用が不可能であり、図示しないが、径方向に移動可能とする第三の割型が更に必要となる。
図12及び図13は、第二の形態に係る保持器40を成形する金型70の説明図である。図12は、図9のスリット66を通る軸方向におけるX1矢視の断面図であり、図13は、図9の継手部65及びポケット44を通る軸方向におけるX2矢視の断面図である。金型70は、二つの割金型として、第一割型71と第二割型72とを有する。第二の形態では、大径環状部42の円環部46の内径D3が、継手部65の外径D6よりも小さい(D3<D6)。第二の形態と前記変形例とを比較すると、第二の形態では、図9に示すように継手部65にスリット66が形成されている。スリット66は、軸方向一方側に開口している。スリット66は、油溜まり部50の第一開口51を形成する。図12において、スリット66を形成するための金型部分73は、第一割型71の一部である。第一割型71は軸方向一方側へ移動することができる。よって、第二の形態では、第一割型71と第二割型72との間の一部において、大径環状部42を成形可能であり、成形後、これら第一割型71と第二割型72とは、軸方向に分離可能である。つまり、第二の形態の場合、軸方向に二分割する割金型(71,72)の採用が可能であり、前記変形例のように、径方向に移動可能とする第三の割金型は不要である。
第二割型72の形状について更に説明する。大径環状部42の軸方向他方側の内周側端部に相当する第一位置72aから、柱部43の径方向外側面における軸方向中央部に相当する第二位置72bまでの間、第二割型72は、外径Diが軸方向一方に向かうにしたがって縮径する仮想のテーパー面に沿った形状を有する。更に、第二位置72bから、小径環状部41の軸方向一方側の外周端部に相当する第三位置72cまでの間、第二割型72は、外径Djが軸方向一方に向かうにしたがって縮径する仮想のテーパー面に沿った形状を有する。この構成により、第一割型71と第二割型72とを軸方向に沿って移動させて脱型する作業が容易となる。
第二の形態において(図9参照)、継手部65に形成されているスリット66の周方向に沿った幅寸法Wは、軸方向に沿って一定である、又は、軸方向一方側に向かうにしたがって広がっている。この構成により(図12参照)、第一割型71のうち、スリット66を形成する金型部分73が、脱型の際に、軸方向一方側に容易に移動することができる。
〔前記各形態の円すいころ軸受20について〕
前記各形態(前記第一の形態及び前記第二の形態それぞれ)の円すいころ軸受20において(図2及び図6参照)、大径環状部42は、潤滑油を溜める油溜まり部50を有している。油溜まり部50には、径方向内方に向かって開口している第一開口51と、外軌道面27に向かって開口している第二開口52とが設けられている。この円すいころ軸受20によれば、内輪21が回転すると、内輪21の大鍔部24の周囲に存在している潤滑油は遠心力によって保持器40の大径環状部42側へ移動する。このように移動した潤滑油は、第一開口51から油溜まり部50へ入り、第二開口52から外軌道面27側へと流れることができる。外軌道面27側へ流れた潤滑油は、円すいころ30の回転(自転)により内輪21側へ移動し、内輪21の大鍔部24と円すいころ30の大端面33との間に供給される。この結果、大端面33と大鍔部24との間の摺動抵抗を小さくすることができ、大端面33と大鍔部24との間の滑り接触部において焼付きが発生するのを防ぐことが可能となる。
内輪21の大鍔部24の周囲に存在している潤滑油は、遠心力によって径方向外方へ移動して油溜まり部50に浸入し溜められる。内輪21が高速で回転するほど遠心力は大きくなり、油溜まり部50に溜められる潤滑油の圧力は高くなる。
これに対して、環状空間29のうち、保持器40と外輪22との間の潤滑油も、保持器40の回転により遠心力を受け、外軌道面27に沿って軸方向他方側、つまり、油溜まり部50側へ流れようとする。つまり、これが前記ポンプ作用を生じさせる。しかし、保持器40の回転速度は、内輪21の回転速度のおよそ半分である。
このため、外軌道面27に沿って油溜まり部50側へ流れようとする潤滑油の圧力は、内輪21の大鍔部24から油溜まり部50へ浸入して溜められた潤滑油の圧力よりも低い。この結果、油溜まり部50の潤滑油は第二開口52から外軌道面27側へと流れることができ、潤滑油を軸方向一方側へ向かって流す作用が働く。つまり、本実施形態の円すいころ軸受20の場合、ポンプ作用による潤滑油の流れに抗する作用が発生し、油溜まり部50の潤滑油は、軸方向一方側へ圧送される。
このような円すいころ軸受20は図1に示すギヤ機構5に設けられている。全体ハウジング11内には潤滑油が溜められており、この潤滑油が、円すいころ軸受20及びケース6内のギヤ等の潤滑に用いられる。
ここで、円すいころ軸受20の回転に伴い、流体(潤滑油)が軸方向一方側から他方側へ流れるポンプ作用が強すぎると、軸方向一方側において潤滑油が不足することがある。図1の左側の円すいころ軸受20の場合、更にその左側の空間K1の潤滑油がポンプ作用により右側へ流れる。すると、空間K1の潤滑油が減少し、ケース6内に浸入する潤滑油量が減少し、ケース6内において潤滑油不足が発生する可能性がある。
しかし、前記各形態の円すいころ軸受20によれば、前記のとおり、ポンプ作用による潤滑油の流れに抗する作用が発生することから、軸方向一方側の空間K1の潤滑油が、環状空間29を通過して軸方向他方側へ流れるのを抑制することができる。この結果、空間K1の潤滑油が不足するのを防ぐことができ、空間K1の潤滑油はケース6内に十分に浸入することができ、ギヤ等の潤滑に用いられる。
更に、前記各形態では(図2及び図6参照)内輪21の軸方向一方側の一部(図2の場合、小鍔部25及び円筒状の端部26)と、保持器40の小径環状部41との間にラビリンス隙間60が設けられている。このため、内輪21の軸方向一方側の潤滑油が環状空間29を通過して軸方向他方側へ流れるのを抑制することができる。そして、前記のとおり、油溜まり部50の潤滑油は第二開口52から外軌道面27側へと流れることによって、潤滑油を軸方向一方側へ向かって流す作用が働き、前記ポンプ作用に抗することができる。この結果、軸方向一方側の潤滑油が不足するのを、より一層効果的に防ぐことが可能となる。
また、前記各形態の円すいころ軸受20によれば、保持器40の大径環状部42は、円すいころ30の他に外輪22の軸方向他方側にも位置している。そして、大径環状部42が有する油溜まり部50は外軌道面27に向かって開口している。このため(前記ポンプ作用によって)外軌道面27に沿って潤滑油が軸方向一方側から軸方向他方側へ流れた場合であっても、その潤滑油を、第二開口52を通じて油溜まり部50は受けることが可能となる。また、保持器40の柱部43の径方向内側面に沿って潤滑油が軸方向一方側から軸方向他方側へ流れた場合であっても、その潤滑油を、第一開口51を通じて油溜まり部50は受けることが可能となる。
そして、前記各形態の円すいころ軸受20は、油溜まり部50に溜められている潤滑油が大径環状部42と外輪22との間から排出され難くする構成を備えている。つまり、図5(図7)において、大径環状部42の軸方向一方側の第一側面53と、外輪22の軸方向他方側の第二側面54との間に、微小隙間55が形成されていて、この微小隙間55はラビリンス隙間として機能する。この構成により、油溜まり部50の潤滑油が大径環状部42と外輪22との間から排出されるのを抑制し、油溜まり部50の潤滑油の圧力を高い状態に維持することができる。油溜まり部50の圧力の高い潤滑油が、それよりも圧力の低い外輪22の内周側へ流れやすくなる。
図5により説明したように、大径環状部42の円筒部45が有する軸方向一方側の端部45bの内径D1が、外輪22が有する軸方向他方側の端部48の内径D2以下である。この構成によれば、油溜まり部50の潤滑油が外輪22の内周面側へと流れやすくなり、潤滑油を、第二開口52を通じて外軌道面27及び円すいころ30に供給しやすくなる。この点、図7に示す第二の形態においても同様である。
また、前記各形態の円すいころ軸受20では、保持器40が軸方向一方側へ変位すると、大径環状部42の一部(図2の場合は環状連結部47、図6の場合は継手部65)が円すいころ30の大端面33に接触するよりも先に、大径環状部42の軸方向一方側の第一側面53が、外輪22の軸方向他方側の第二側面54と接触する。このため、円すいころ30の大端面33に付着する潤滑油が、大径環状部42の一部(環状連結部47、継手部65)によって掻き取られるのを防ぐことができる。この結果、大端面33に付着する潤滑油が、内輪21の大鍔部24との間の潤滑に用いられる。
図6〜図9に示す第二の形態について説明する。保持器40が備える大径環状部42は、円筒部45と、円環部46と、柱部43の軸方向他方側の一部43bと円環部46とを繋ぐ継手部65とを有する。継手部65は、円すいころ30の軸方向他方側の隣に位置し、かつ、円筒部45よりも径方向内方側に位置する。継手部65には、ポケット44側、径方向外方側、及び径方向内方側に開口するスリット66が設けられている。この第二の形態によれば、継手部65に設けられているスリット66の径方向内側の端が、前記第一開口51となる。継手部65と円筒部45との間が油溜まり部50となり、スリット66も油溜まり部50に含まれ、油溜まり部50の容量が増える。そして、継手部65と円筒部45との間の軸方向一方側の端が、前記第二開口52となる。
第二の形態では(図7参照)、円環部46の内周面46bは、継手部65の径方向外側面65bよりも径方向内方側に位置している(つまり、D3<D6)。この構成によれば、円環部46の径方向寸法が大きくなり、油溜まり部50の容量が大きくなる。D3<D6となっているが、継手部65において、軸方向一方側に向かって開口するスリット66が形成されていることから、前記のとおり(図12及び図13参照)、軸方向に二分割する割金型(71,72)によって、保持器40の成形が可能となる。
図6において、小径環状部41の円すいころ30側(軸方向他方側)の側面には、凹部80が設けられている。凹部80は、円すいころ30の小端面30aと対向し、この小端面30a側に向けて開口している。凹部80は、小径環状部41の剛性を低下させる。小径環状部41の軸方向他方側の側面(81,82)は、円すいころ30の小端面30aに対向する対向面とされている。凹部80よりも径方向外側に位置する外側対向面81は、円すいころ30の小端面30aと平行に配置されている。また、外側対向面81は、円すいころ30の中心軸線C1よりも径方向外側において小端面30aに対向している。凹部80よりも径方向内側に位置する内側対向面82も、小端面30aと平行に配置されている。内側対向面82は、円すいころ30の中心軸線C1よりも径方向内側において小端面30aに対向している。外側対向面81は、小端面30aとの間に第一の隙間をあけて配置されている。内側対向面82は、小端面30aとの間に第二の隙間をあけて配置されている。そして、前記第一の隙間は前記第二の隙間よりも小さく設定されている。つまり、内側対向面82は、外側対向面81よりも小端面30aから離れて配置されている。この構成は、主に円すいころ軸受20を組み立てる際に役立つ。なお、図6に示す小径環状部41の構成を、第一の形態(図2)に適用してもよい。
図8において、小径環状部41の軸方向他方側の側面(円すいころ30の小端面30aが対向する側面)には、径方向に延びる凹部83が設けられている。凹部83は、中央の凸部84の周方向両側に設けられている。凹部83は、円すいころ30の小端面30aと対向する。凸部84は小端面30aと接触可能である。凹部83により、小径環状部41と円すいころ30の小端面30aとの間に隙間が形成される。このため、前記ポンプ作用が働く際、このポンプ作用に伴って、径方向内方の潤滑油が径方向外方へ流れる流路(誘導路)として、凹部83は機能する。なお、図8に示す小径環状部41の前記構成(凹部83)を、第一の形態(図2)に適用してもよい。
今回開示した実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の権利範囲は、上述の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の範囲に記載された構成と均等の範囲内でのすべての変更が含まれる。例えば、保持器40の小径環状部41は、図示した形状以外であってもよい。
20:円すいころ軸受 21:内輪 22:外輪
23:内軌道面 24:大鍔部 27:外軌道面
30:円すいころ 33:大端面 40:保持器
41:小径環状部 42:大径環状部 43:柱部
44:ポケット 45:円筒部 45a:端部
45b:端部 46:円環部 46b:円環部の内周面
47:環状連結部 50:油溜まり部 51:第一開口
52:第二開口 53:第一側面 54:第二側面
55:微小隙間 60:ラビリンス隙間 65:継手部
65b:継手部の径方向外側面 66:スリット D1:内径
D2:内径

Claims (9)

  1. 軸方向一方側から軸方向他方側に向かって拡径する内軌道面を外周に有すると共に軸方向他方側の端部に径方向外方へ突出している大鍔部を有する内輪と、
    軸方向一方側から軸方向他方側に向かって拡径する外軌道面を内周に有する外輪と、
    前記内輪と前記外輪との間に設けられている複数の円すいころと、
    複数の前記円すいころを周方向に間隔をあけて保持する環状の保持器と、を備え、
    前記保持器は、前記円すいころの軸方向一方側に位置する小径環状部と、前記円すいころ及び前記外輪の軸方向他方側に位置する大径環状部と、前記小径環状部と前記大径環状部とを繋ぐ複数の柱部と、を有し、当該小径環状部と当該大径環状部との間であって周方向で隣り合う複数の柱部の間が、前記円すいころを収容するポケットであり、
    前記大径環状部は、径方向内方に向かって開口している第一開口と前記外軌道面に向かって開口している第二開口とが設けられている油溜まり部を有している、円すいころ軸受。
  2. 前記大径環状部の軸方向一方側の第一側面は、前記外輪の軸方向他方側の第二側面と微小隙間を有して対向している、請求項1に記載の円すいころ軸受。
  3. 前記保持器が軸方向一方側へ変位すると、前記大径環状部の一部が前記円すいころの大端面に接触するよりも先に、前記大径環状部の軸方向一方側の第一側面が、前記外輪の軸方向他方側の第二側面と接触する、請求項1又は2に記載の円すいころ軸受。
  4. 前記内輪の軸方向一方側の一部と前記小径環状部との間にラビリンス隙間が設けられている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の円すいころ軸受。
  5. 前記大径環状部は、前記外輪の軸方向他方側の隣に位置する円筒部と、当該円筒部の軸方向他方側の端部から径方向内方へ延びて設けられている円環部と、を有し、前記円筒部の径方向内方側であって前記円環部の軸方向一方側の空間が、前記油溜まり部である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の円すいころ軸受。
  6. 前記円筒部が有する軸方向一方側の端部の内径は、前記外輪が有する軸方向他方側の端部の内径以下である、請求項5に記載の円すいころ軸受。
  7. 前記大径環状部は、更に、複数の前記柱部の軸方向他方側を繋ぐ環状連結部を有し、当該環状連結部よりも軸方向他方側に前記円環部が位置している、請求項5又は6に記載の円すいころ軸受。
  8. 前記大径環状部は、前記外輪の軸方向他方側の隣に位置する円筒部と、当該円筒部の軸方向他方側の端部から径方向内方へ延びて設けられている円環部と、前記円すいころの軸方向他方側の隣に位置しかつ前記円筒部よりも径方向内方側に位置すると共に前記柱部の軸方向他方側の一部と前記円環部とを繋げる継手部と、を有し、
    前記継手部には、前記ポケット側、径方向外方側、及び径方向内方側に開口するスリットが設けられている、請求項1〜6のいずれか一項に記載の円すいころ軸受。
  9. 前記円環部の内周面は、前記継手部の径方向外側面よりも径方向内方側に位置している、請求項8に記載の円すいころ軸受。
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