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JP2019113579A - クロミックデバイスおよびクロミックデバイスの製造方法 - Google Patents

クロミックデバイスおよびクロミックデバイスの製造方法 Download PDF

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JP2019113579A
JP2019113579A JP2017244380A JP2017244380A JP2019113579A JP 2019113579 A JP2019113579 A JP 2019113579A JP 2017244380 A JP2017244380 A JP 2017244380A JP 2017244380 A JP2017244380 A JP 2017244380A JP 2019113579 A JP2019113579 A JP 2019113579A
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崇 口山
Takashi Kuchiyama
崇 口山
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Kaneka Corp
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Abstract

【課題】視野角制限の応答速度を向上させるクロミックデバイスを提供する。【解決手段】クロミックデバイス1は、フィルム状またはシート状のクロミックデバイスであって、クロミックデバイス1の主面に交差する主面を有し、クロミックデバイス1の主面に沿った面方向において離間して配置される、透明な複数の基板10と、隣り合う複数の基板10同士により生じる間隔のうち少なくとも1個の間隔に介在し、透明状態と非透明状態とを切り替えられるクロミック層31と、クロミック層31を挟むとともに、間隔に介在する、一対の電極層21,22とを備える。【選択図】図2A

Description

本発明は、クロミックデバイスおよびクロミックデバイスの製造方法に関する。
光の方向性を制御する技術が、種々の用途(表示デバイス(例えば、ディスプレイ)、車両の窓ガラス、建材(例えば、窓ガラス)等)において要望されている。
例えば、表示デバイスにおいて、画面(画像)の視野角を制御する技術がある。例えば、公共の場においても使用可能なスマートフォンまたはタブレットなどの携帯端末において、第三者による覗き見を防止するために、視野角を制限する技術がある。特許文献1には、携帯端末等の表示部に設けられ、広視野角モードと狭視野角モードとの切り換えが可能なプライバシー保護フィルターが開示されている。
このプライバシー保護フィルターは、フィルターの主面に沿って設けられた第1透明基板および第2透明基板と、これらの透明基板の間に、フィルターの主面に沿って設けられた第1透明導電膜(ITO)および第2透明導電膜(ITO)と、これらの透明導電膜(ITO)の間に、フィルターの主面に交差する方向に沿ってある間隔を有して重なるように設けられた複数の電気変色層(エレクトロクロミック層)と、第2透明導電膜(ITO)と電気変色層(エレクトロクロミック層)の間に設けられた電解質とを備える。
特表2013−524293号公報
上述したように、特許文献1に記載のプライバシー保護フィルターでは、エレクトロクロミック層が第1透明導電膜(ITO)および第2透明導電膜(ITO)と交差するように配置されている。そのため、エレクトロクロミック層における第1透明導電膜(ITO)側の部分が第2透明導電膜(ITO)から離れており、第2透明導電膜(ITO)からエレクトロクロミック層における第1透明導電膜(ITO)側の部分に供給されるキャリア(例えば、イオンまたは電子など)の電解質中の移動距離が長く、抵抗ロスが大きい。その結果、エレクトロクロミック層における第1透明導電膜(ITO)側の部分の透明状態から非透明状態への遷移(切り換え)の応答速度が遅くなり、エレクトロクロミック現象による調光の応答速度が遅くなる。
本発明は、視野角制限の応答速度を向上させるクロミックデバイスを提供することを目的とする。
本発明に係るクロミックデバイスは、フィルム状またはシート状のクロミックデバイスであって、クロミックデバイスの主面に交差する主面を有し、クロミックデバイスの主面に沿った面方向において離間して配置される、透明な複数の基板と、隣り合う複数の基板同士により生じる間隔のうち少なくとも1個の間隔に介在し、透明状態と非透明状態とを切り替えられる、単数または複数のクロミック層と、単数または複数のクロミック層を挟むとともに、間隔に介在する、透明な一対の電極層と、を備える。
本発明に係るクロミックデバイスの製造方法は、上記したクロミックデバイスの製造方法であって、ロールトゥロール方式を用いて、フィルム状の透明な基板を搬送する際に、基板の一方の主面に透明な一対の電極層のうちの一方を積層する工程と、基板の他方の主面に一対の電極層のうちの他方を積層する工程と、一対の電極層の少なくとも一方に、透明状態と非透明状態とを切り替えられるクロミック層を積層する工程と、一対の電極層およびクロミック層が積層された基板を、多層に重ね合わせるようにロール状に巻き取ることにより、ロール部材を得る工程と、ロール部材から、ロール部材の積層方向に沿う断面が主面となるようにフィルム状またはシート状のクロミックデバイスを切り取る工程とを含む。
本発明によれば、クロミックデバイスの視野角制限の応答速度が向上する。
第1実施形態に係るエレクトロクロミックフィルムを示す斜視図である。 図1に示すエレクトロクロミックフィルムのII−II線断面図である。 第1実施形態の第1変形例に係るエレクトロクロミックフィルムの断面図である。 第1実施形態の第2変形例に係るエレクトロクロミックフィルムの断面図である。 第1実施形態に係るエレクトロクロミックフィルムの製造工程における透明電極層形成工程、エレクトロクロミック層形成工程および電解質層形成工程を示す模式図である。 第1実施形態に係るエレクトロクロミックフィルムの製造工程における接着剤塗布工程、巻取・接着工程、切取工程および集電極形成工程を示す模式図である。 図3Aに示す透明電極層形成工程で用いられるマスクを示す斜視図である。 図3Aに示すエレクトロクロミック層形成工程で用いられるマスクを示す斜視図である。 図3Bに示す切取工程を説明するための模式図である。 第2実施形態に係るエレクトロクロミックフィルムの断面図である。 第2実施形態に係るエレクトロクロミックフィルムの製造工程における透明電極層形成工程、エレクトロクロミック層形成工程、切断工程、および絶縁部材・電解質層形成工程を示す模式図である。 広視野角状態(調光OFF時)の実施例のエレクトロクロミックフィルムを正面から観測した図である。 狭視野角状態(調光ON時)の実施例のエレクトロクロミックフィルムを正面から観測した図である。 広視野角状態(調光OFF時)の実施例のエレクトロクロミックフィルムを斜め45度から観測した図である。 狭視野角状態(調光ON時)の実施例のエレクトロクロミックフィルムを斜め45度から観測した図である。
以下、添付の図面を参照して本発明の実施形態の一例について説明する。なお、各図面において同一または相当の部分に対しては同一の符号を附すこととする。また、便宜上、ハッチングおよび部材符号等を省略する場合もあるが、かかる場合、他の図面を参照するものとする。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係るエレクトロクロミックフィルムを示す斜視図であり、図2Aは、図1に示すエレクトロクロミックフィルムのII−II線断面図である。図1および図2Aに示すエレクトロクロミックフィルム1は、スマートフォンまたはタブレットのような携帯端末等の表示部に貼付され、第三者による覗き見を防止する覗き見防止用プライバシーフィルムとして好適に用いられる。
図1および図2A、並びに後述する図面には、XYZ直交座標系を示す。YZ平面はエレクトロクロミックフィルム1の主面に平行な面であり、Y方向はエレクトロクロミックフィルム1の幅方向であり、Z方向はエレクトロクロミックフィルム1の長さ方向である。また、X方向はYZ平面に対して直交な方向であり、エレクトロクロミックフィルム1の厚さ方向である。
図1に示すように、エレクトロクロミックフィルム1は、フィルム本体3と第1集電極5および第2集電極6とを備える。なお、第1集電極5および第2集電極6は、一般にバスバー電極と称されることもある。
第1集電極5は、フィルム本体3の幅方向(Y方向)の一方の端部に配置されている。例えば図1において、フィルム本体3の一方の端部には、フィルム本体3の長さ方向(Z方向)に延在し、フィルム本体3の厚さ方向(X方向)に離間する2本の第1集電極5が設けられている。
第2集電極6は、フィルム本体3の幅方向(Y方向)の他方の端部に配置されている。例えば図1において、フィルム本体3の他方の端部には、フィルム本体3の長さ方向(Z方向)に延在し、フィルム本体3の厚さ方向(X方向)に離間する2本の第2集電極6が設けられている。
第1集電極5および第2集電極6は、通電時の抵抗ロスを極力減らすため、金属材料で形成されると好ましい。金属材料としては、例えば、Cu、Ag、Alおよびこれらの合金が用いられる。
以下、フィルム本体3について説明する。
図2Aに示すように、フィルム本体3は、複数の透明基板10と、複数対の第1透明電極層21および第2透明電極層22と、複数のエレクトロクロミック層31と、複数の電解質層40とを備える。なお、図2Aおよび後述する図面では、5層の透明基板10、4対の第1透明電極層21および第2透明電極層22、4層のエレクトロクロミック層31および電解質層40を備えるエレクトロクロミックフィルム1を模式的に示したが、実際には、エレクトロクロミックフィルム1は、更に多層の透明基板10、第1透明電極層21、第2透明電極層22、エレクトロクロミック層31および電解質層40を備えると好ましい。
透明基板10は、フィルム本体3の主面(YZ平面)に交差する主面を有するフィルム状の基板である。透明基板10は、フィルム本体3の主面(YZ平面)に沿った面方向、すなわちフィルム本体3の長さ方向(Z方向)に離間して積層されるように配置されている。
透明基板10は、少なくとも可視光に対して光学的に透明であるプラスチック材料で形成される。透明基板10の材料としては、ポリエステルやポリカーボネート、アクリル樹脂、ポリシクロオレフィンなどが挙げられる。
透明基板10の膜厚は、200μm以下であると好ましく、20μm以上130μm以下であるとより好ましく、50μm以上100μm以下であると更に好ましい。これにより、後述するエレクトロクロミック層31による斜め方向に対する遮蔽性が高い狭視野角状態(プライバシー機能)が得られる。
なお、透明基板10の主面には、ハードコート層またはアンダーコート層が設けられていてもよい。これにより、透明基板の取扱い時のキズ等の発生が防止され、または透明電極との密着性が確保される。
対の第1透明電極層21および第2透明電極層22は、透明基板10の間の各々に、フィルム本体3の長さ方向(Z方向)に積層されるように、かつ、エレクトロクロミック層31および電解質層40を挟むように配置されている。第1透明電極層21は、隣り合う透明基板10,10の一方の透明基板10の一方の主面(他方の透明基板10と対向する主面)に形成されている。第2透明電極層22は、隣り合う透明基板10,10の他方の透明基板10の他方の主面(一方の透明基板10と対向する主面)に形成されている。第1透明電極層21および第2透明電極層22は、エレクトロクロミック層31および電解質層40への電流注入の機能を有する。
第1透明電極層21の厚さは、フィルム本体3の幅方向(Y方向)の一方の端部から他方の端部へ向けて次第に薄くなっている。反対に、第2透明電極層22の厚さは、フィルム本体3の幅方向(Y方向)の他方の端部から一方の端部へ向けて次第に薄くなっている。第1透明電極層21および第2透明電極層22の膜厚の変化は、エレクトロクロミック層31の色変化の均一性の観点から、単調減少または単調増加であることが好ましい。
第1透明電極層21のY方向の一端の膜厚、および、第2透明電極層22のY方向の他端の膜厚は、第1透明電極層21と第1集電極5との導電性および第2透明電極層22と第2集電極6との導電性の観点から、80nm以上200nm以下であると好ましく、100nm以上150nm以下であるとより好ましい。また、第1透明電極層21のY方向の他端の膜厚、および、第2透明電極層22のY方向の一端の膜厚は、第1透明電極層21と第2集電極6との絶縁性および第2透明電極層22と第1集電極5との絶縁性の観点から、5nm以下であると好ましい。
これにより、フィルム本体3の一方の端部に配置された第1集電極5は、第1透明電極層21と電気的に接続され、第2透明電極層22とは電気的に実質的に接続されない。また、フィルム本体3の他方の端部に配置された第2集電極6は、第2透明電極層22と電気的に接続され、第1透明電極層21とは電気的に実質的に接続されない。なお、実質的に接続されないとは、接触されていない絶縁状態のみならず、接触しているが接触面積が極めて小さく接触抵抗が極めて大きく絶縁状態と等価な状態を含む。
第1透明電極層21および第2透明電極層22は、透明導電性材料で形成される。透明導電性材料としては、透明導電性金属酸化物、例えば、酸化インジウム、酸化錫、酸化亜鉛、酸化チタンおよびそれらの複合酸化物等が用いられる。これらの中でも、酸化インジウムを主成分とするインジウム系複合酸化物が好ましい。高い導電率と透明性との観点からは、特にインジウム錫複合酸化物(ITO)、インジウム亜鉛複合酸化物(IZO)、またはインジウムチタン複合酸化物(InTiO)などが特に好ましい。
透明導電性材料は結晶化されることで透明性が向上する。これにより、後述する広視野角状態時の正面方向および斜め方向に対する視認性が優れる。結晶化は、一般的にはアニール処理によって行われることが多く、透明基板10のガラス転移温度以下であり、かつ60℃以上で処理されると好ましい。
エレクトロクロミック層31は、透明基板10の間の各々に、フィルム本体3の長さ方向(Z方向)に積層されるように配置されている。エレクトロクロミック層31は、隣り合う透明基板10,10のうちの一方の透明基板10の一方の主面(他方の透明基板10と対向する主面)に形成された第1透明電極層21に積層されている。エレクトロクロミック層31は、電気化学的な反応(酸化還元反応)により、有色状態と無色状態とを切り換える。
エレクトロクロミック層31の材料としては、電気化学的な反応(酸化還元反応)によって色が変化する材料であり、かつ、酸化状態または還元状態において無色透明であればよい。例えば、エレクトロクロミック層31の材料としては、酸化タングステン、酸化ニッケル、または酸化バナジウムのような金属酸化物、或いは、ヘキサシアニド鉄(II)酸鉄(III)などの金属錯イオン等が挙げられる。
エレクトロクロミック層31の膜厚は、透明時と遮光時(無色状態と有色状態)との透過率のバランスを考慮して決定されればよい。例えば、エレクトロクロミック層31の膜厚は、80nm以上600nm以下であると好ましく、100nm以上500nm以下であるとより好ましく、150nm以上300nm以下であると更に好ましい。
電解質層40は、透明基板10の間の各々に、フィルム本体3の長さ方向(Z方向)に積層されるように配置されている。電解質層40は、隣り合う透明基板10,10の一方の透明基板10の一方の主面(他方の透明基板10と対向する主面)に形成されたエレクトロクロミック層31と、隣り合う透明基板10,10の他方の透明基板10の他方の主面(一方の透明基板10と対向する主面)に形成された第2透明電極層22との間に形成されている。
電解質層40の材料としては、支持電解質が溶媒に溶解した溶液、すなわち液状またはゲル状の電解質、または固体状の電解質が挙げられる。
支持電解質としては、例えばハロゲン化リチウム、テトラフルオロホウ酸リチウム、過塩素酸リチウム、ヘキサフルオロリン酸リチウム、トリフルオロメタンスルホン酸リチウムのようなリチウム塩が代表的に用いられるが、アルカリ金属の塩やアンモニウム塩などが用いられてもよい。
溶媒としては、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、プロピレンカーボネート、水などが用いられるが、揮発し難さの観点から、プロピレンカーボネートが用いられると好ましい。
液状またはゲル状の電解質材料としては、塗布性を向上させる目的から、マトリクス樹脂が用いられてもよい。マトリクス樹脂としては、ポリアルキレンオキサイドやポリハロゲン化ビニリデン、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレートなどが用いられる。また、液状またはゲル状の電解質材料としては、塗布の容易性および硬化の容易性の観点から、ポリメチルメタクリレートなどのアクリル系樹脂が用いられると好ましい。
また、固体状の電解質材料としては、リン酸リチウム、窒化リン酸リチウム、チタン酸リチウム、ケイ酸リチウム、ホウ酸リチウム、タンタル酸リチウムなどのリチウム塩、または、これらのリチウム塩にランタンを微量にドーピングしたリチウム複合塩がリチウム移動の電解質として用いられる。固体状の電解質材料によれば、スパッタリング法または蒸着法を用いることが可能である。これにより、第1透明電極層21、第2透明電極層22、エレクトロクロミック層31および電解質層40を連続的に形成でき、生産面の向上だけでなく、各層の界面への水または有機物の付着が抑制される。
電解質層40の膜厚は、電極間の短絡抑制の観点から、極力薄いと好ましい。例えば、電解質層40の膜厚は、50nm以上50000nm以下であると好ましく、75nm以上10000nm以下であるとより好ましい。
なお、フィルム本体3の主面には、アクリル樹脂またはガラスなどの透明な保護膜が設けられてもよい。
次に、図3Aおよび図3B、並びに図4および図5を参照して、第1実施形態に係るエレクトロクロミックフィルム1の製造方法について説明する。図3Aは、第1実施形態に係るエレクトロクロミックフィルム1の製造工程における透明電極層形成工程、エレクトロクロミック層(EC層)形成工程および電解質層形成工程を示す模式図である。図3Bは、第1実施形態に係るエレクトロクロミックフィルム1の製造工程における接着剤塗布(貼付)工程、巻取・接着工程、切取工程および集電極形成工程を示す模式図である。図4Aは、図3Aに示す透明電極層形成工程で用いられるマスクを示す斜視図である。図4Bは、図3Aに示すEC層形成工程で用いられるマスクを示す斜視図である。図5は、図3Bに示す切取工程を説明するための模式図である。
(透明電極層形成工程)
図3Aに示すように、まず、ロールトゥロール方式を用いて、フィルム状の透明基板10を搬送する。次に、搬送中の透明基板10の一方の主面側に第1透明電極層21を形成する。第1透明電極層21の形成方法としては、例えばスパッタリング法が用いられると好ましい。スパッタリング法によれば、導電性の高い透明電極層が形成される。スパッタリング法では、透明電極材料の酸化物をターゲットとした放電が好ましく、放電の方式としては、生産性の観点から直流(DC)方式若しくは交流(AC)方式、または、高周波(MF,RF)方式が好ましい。
このとき、図4Aに示すマスク200を用いる。マスク200は、三角形状の開口201、すなわち、透明基板10の幅方向(TD方向)の一方の端部から他方の端部へ向けて次第に幅が小さくなる開口201を有する。これにより、透明基板10の幅方向において透明電極材料の積層時間が異なり、透明基板10の幅方向の一方の端部から他方の端部へ向けて膜厚が次第に薄くなる第1透明電極層21が得られる。
なお、透明基板10の幅方向(TD方向)において、複数のエレクトロクロミックフィルムを形成し、切り取る場合には、マスクには、透明基板10の幅方向(TD方向)に並んだ複数の三角形状の開口が形成されていればよい。
なお、第1透明電極層21の形成方法としては、塗布法が用いられてもよい。例えば、第1透明電極層21は、インジウム錫複合酸化物ペーストを塗布することにより、特に高温処理の観点から、有機系の導電材料であるポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)を塗布することにより、形成されてもよい。例えば、PEDOTの塗布方法としては、スプレー塗布、ロール塗布、または刷毛による塗布などが好ましい。
次に、搬送中の透明基板10の他方の主面側に第2透明電極層22を形成する。第2透明電極層22の形成方法は、第1透明電極層21の形成方法と同様であればよい。このとき、図4Aに示すマスク200を、透明基板10の幅方向(TD方向)において反対に配置する。これにより、マスク200は、透明基板10の幅方向(TD方向)の他方の端部から一方の端部へ向けて次第に幅が小さくなる開口201を有する。これにより、透明基板10の幅方向において透明電極材料の積層時間が異なり、透明基板10の幅方向の他方の端部から一方の端部へ向けて膜厚が次第に薄くなる第2透明電極層22が得られる。
(EC層形成工程)
次に、搬送中の透明基板10の一方の主面側の第1透明電極層21にエレクトロクロミック層31を形成する。エレクトロクロミック層31の形成方法としては、材料によって種々の方式が用いられる。
例えば、材料として金属酸化物を用いる場合、エレクトロクロミック層31は、酸素ガスが添加された真空プロセス中でのスパッタリング法または蒸着法を用いて形成される。これにより、エレクトロクロミック層31の膜質および膜厚が均一となる。
スパッタリング法としては、生産性の観点から、タングステンまたはニッケルのような金属をターゲットとし、酸素を導入した反応性スパッタリングが好適である。反応性スパッタリング法で製膜する場合、一般的に放電電圧は酸素分圧に依存するが、放電電圧を一定値に制御すると好ましい。例えば、放電用印加電源からの電圧をモニタリングし、その電圧を一定にするためにマスフローコントローラーの酸素流量を制御すればよい。
このとき、図4Bに示すマスク300を用いる。マスク300は、長方形状の開口301、すなわち、透明基板10の幅方向(TD方向)の一方の端部から他方の端部へ向けて幅が一定である開口301を有する。これにより、透明基板10の幅方向においてエレクトロクロミック材料の積層時間が均一となり、透明基板10の幅方向の一方の端部から他方の端部へ向けて膜厚が均一なエレクトロクロミック層31が得られる。
蒸着法では、ストイキオメトリックな材料を蒸着源として、電子線または加熱により蒸着する。
また、材料として金属錯イオンからなる化合物を用いる場合、エレクトロクロミック層31は、塗布法(ウエットコーティング法)を用いて形成される。塗布方法としては、スプレー塗布、スクリーン印刷、グラビア印刷、またはスリットコーティングなどが挙げられる。
塗布材料は、化合物の水および有機溶媒の分散液を含んでもよい。また、塗布材料は、分散液の粘度調整のために、増粘材を含んでもよい。増粘材としては、セルロース系化合物の微粒子、またはヒュームドシリカ微粒子などが挙げられる。増粘材の添加量は、エレクトロクロミック層31の機能発現の観点から、エレクトロクロミック化合物に対して5重量部以上40重量部以下であると好ましく、特には8重量部以上25重量部以下であるとより好ましい。
(電解質形成工程)
次に、搬送中の透明基板10の一方の主面側のエレクトロクロミック層31に電解質層40を形成する。電解質層40の形成方法としては、電解質材料が固体状である場合、スパッタリング法または蒸着法が用いられ、電解質材料が液体状またはゲル状である場合、塗布法(ウエットコーティング法)が用いられる。
(接着剤塗布(貼付)工程)
次に、図3Bに示すように、電解質層形成工程において電解質材料が固体状である場合、搬送中の透明基板10の一方の主面側の電解質層40に接着剤を塗布する(便宜上、接着剤の層は図面にて省略)。接着剤としては、導電性の接着剤、例えばオプティカルクリア粘着材(OCA)またはゲル状の電解質材料等が挙げられる。なお、OCAの場合、電解質層40にOCAを貼付することとなる。
また、OCAを用いる場合、OCAを透明基板と見立てられる。例えば、図3Aに示される第2透明電極層22を形成する工程を、電解質層40を形成する工程後でOCAを貼り合わせる工程(接着剤貼付工程)前に行った後に、巻取・接着工程が行われると、OCAと透明基板10とが積み重なる。そのため、透明基板10の厚さを100μmで設計する場合、透明基板10の厚みとOCAの厚みとをそれぞれ50μmとすることで、貼り合せ前の透明基板10の長さ(=ロールの巻き径を同じにしたまま、長さ)が確保される。また、この場合、電解質層40にOCAを貼り合わせせずに、第2透明電極層22にOCAを貼り合わせることから、エレクトロクロミック層31および電解質層40が、第1透明電極層21と第2透明電極層22とだけで挟持される。
なお、電解質層形成工程において電解質材料が液体状またはゲル状である場合、この電解質材料を接着剤として用いることができ、接着剤塗布工程を省略できる。
(巻取・接着工程)
次に、第1透明電極層21、第2透明電極層22、エレクトロクロミック層31および電解質層40(および接着剤)が積層された透明基板10を、多層に重ね合わせるようにロール状に巻き取りながら、硬化設備400による紫外線硬化法または熱硬化法を用いて硬化・接着し、ロール部材100を得る。
(切取工程)
次に、図3Bおよび図5に示すように、ロール部材100から、ロール部材100の積層方向に沿う断面が、主面となるように、フィルム状のフィルム本体3を切り取り、フィルム本体3の両主面を研磨する。
(集電極形成工程)
次に、得られたフィルム本体3の幅方向(Y方向)における一方の端部に第1集電極5を形成し、フィルム本体3の幅方向(Y方向)における他方の端部に第2集電極6を形成する。第1集電極5および第2集電極6の形成方法としては、例えば塗布法が用いられる。例えば、ディスペンサー等を用いて、銀ペースト、銅ペースト、またはアルミニウムペーストなどの金属ペーストを塗布することにより、第1集電極5および第2集電極6を形成する。
以上のようなエレクトロクロミックフィルム1は、電気的な制御により、視野角を制限することができる。
例えば、第1集電極5と第2集電極6との間に電力が供給されていない場合、エレクトロクロミック層31は無色状態(透明状態)となり、エレクトロクロミックフィルム1は、正面方向および斜め方向に対して透明性が高い広視野角状態となる。
一方、第1集電極5と第2集電極6との間に電力が供給されると、第1透明電極層21および第2透明電極層22からエレクトロクロミック層31および電解質層40へ電流が供給され、エレクトロクロミック層31は有色状態(非透明状態)に切り換わる。これにより、エレクトロクロミックフィルム1は、正面方向に対しては透明基板10、第1透明電極層21、第2透明電極層22および電解質層40により透明性が高く、斜め方向に対してはエレクトロクロミック層31により遮蔽性が高い狭視野角状態に切り換わる。すなわち、エレクトロクロミックフィルム1は、電気的な制御により、視野角が制限される。
この第1実施形態のエレクトロクロミックフィルム1によれば、エレクトロクロミックフィルム1の長さ方向(Z方向、エレクトロクロミックフィルム1の主面に沿った面方向)において、第1透明電極層21と第2透明電極層22とが、エレクトロクロミック層31を挟むように積層されている。これにより、エレクトロクロミック層31の面と第2透明電極層22の面とが向かい合い、両面間の距離が均一でありながら比較的短くなる。そのため、第2透明電極層22からエレクトロクロミック層31に供給されるキャリアの電解質層40中の移動距離にむらが無くかつ短いことから、抵抗ロスが小さい。そのため、エレクトロクロミック層31の無色状態から有色状態への遷移(切り換え)の応答速度が向上し、エレクトロクロミックフィルム1の視野角制限の応答速度が向上する。
ところで、特許文献1に記載のプライバシー保護フィルターでは、電気変色層(エレクトロクロミック層)における意図的な変色(調光)とは別に、フィルターの主面に配置された第1透明導電膜(ITO)および第2透明導電膜(ITO)に起因する意図しない光吸収が生じる。そのため、正面視における光学特性(例えば、透過率)が低下する。
これに対して、本実施形態のエレクトロクロミックフィルム1では、第1透明電極層21および第2透明電極層22はフィルム1の主面に交差するように配置されており、フィルム1の主面に沿って透明電極層は配置されていない。これにより、透明電極層に起因する不要な光吸収が生じず、正面視における光学特性(例えば、透過率)が優れる。
また、一般に、透明電極層の形成方法としては、スパッタリング法または蒸着法などの真空プロセスが採用される。これらのプロセスを、特許文献1に記載のプライバシー保護フィルターのように凹凸パターンの第1透明基板に第1透明導電膜(ITO)を形成する場合に適用すると、製膜の等方性により、凹凸パターンの垂直面(側部)の製膜速度が水平面(頂上部または底部)の製膜速度よりも遅くなる。これにより、凹凸パターンの垂直面に十分な膜厚の第1透明導電膜(ITO)を形成しようとすると、水平面に過剰な膜厚の第1透明導電膜(ITO)を形成する必要があった。
また、これらのプロセスを、凹凸パターンの第1透明基板に電気変色層(エレクトロクロミック層)を形成する場合に適用すると、製膜の等方性により、凹凸パターンの垂直面に十分な膜厚の電気変色層(エレクトロクロミック層)を形成しようとすると、水平面に不要な電気変色層(エレクトロクロミック層)を過剰な膜厚で形成する必要があった。
これに対して、本実施形態のエレクトロクロミックフィルム1の製造方法では、ロールトゥロール方式を用い、平坦なフィルム状の透明基板10に第1透明電極層21、第2透明電極層22およびエレクトロクロミック層31(および電解質層40)を予め形成し、これらを多層に重ね合わせる。これにより、スパッタリング法または蒸着法などの真空プロセスにおける製膜の等方性に起因して、過剰な膜厚の透明電極層が形成されることがなく、また不要なエレクトロクロミック層が過剰な膜厚で形成されることがない。
(第1変形例)
図2Bは、第1実施形態の第1変形例に係るエレクトロクロミックフィルムの断面図である。図2Bに示すように、第1変形例のエレクトロクロミックフィルム1は、図2Aに示すエレクトロクロミックフィルム1においてエレクトロクロミック層32を更に備える点で第1実施形態と異なる。
エレクトロクロミック層32は、透明基板10の間の各々に、フィルム本体3の長さ方向(Z方向)に積層されるように配置されている。エレクトロクロミック層32は、隣り合う透明基板のうちの他方の透明基板10の他方の主面(一方の透明基板10と対向する主面)に形成された第2透明電極層22に積層されている。これにより、エレクトロクロミック層31とエレクトロクロミック層32とは、電解質層40を挟んで配置されている。
エレクトロクロミック層32は、エレクトロクロミック層31と反対の電気化学的な反応(酸化還元反応)により、有色状態と無色状態とを切り換えると好ましい。例えば、エレクトロクロミック層31が酸化反応により有色状態となるエレクトロクロミック材料を含む場合、エレクトロクロミック層32は、還元反応により有色状態となるエレクトロクロミック材料を含むことが好ましい。
このように、第1透明電極層21と第2透明電極層22との間の各々に、2層のエレクトロクロミック層31,32が設けられることにより、狭視野角状態における斜め方向に対する遮蔽性を向上できる。
なお、エレクトロクロミックフィルム1は、図2Aに示すエレクトロクロミックフィルム1においてエレクトロクロミック層31に代えてエレクトロクロミック層32を備える形態であってもよい。換言すれば、エレクトロクロミックフィルム1は、第1透明電極層21と電解質層40との間に設けられたエレクトロクロミック層31、および、第2透明電極層22と電解質層40との間に設けられたエレクトロクロミック層32との少なくとも一方を備える形態であってもよい。
また、エレクトロクロミックフィルム1において、エレクトロクロミック層31およびエレクトロクロミック層32の少なくとも一方は、電気化学的な反応(酸化還元反応)により、異なる有色状態となるエレクトロクロミック材料を含む多層のエレクトロクロミック層を含んでもよい。これにより、狭視野角状態における斜め方向に対する遮蔽性が向上する。
(第2変形例)
図2Cは、第1実施形態の第2変形例に係るエレクトロクロミックフィルムの断面図である。図2Cに示すように、第2変形例のエレクトロクロミックフィルム1は、図2Aに示すエレクトロクロミックフィルム1において絶縁部材50を更に備える点で第1実施形態と異なる。
絶縁部材50は、フィルム本体3の幅方向(Y方向)の一方の端部において、電解質層40と第1集電極5との間に設けられている。また、絶縁部材50は、フィルム本体3の幅方向(Y方向)の他方の端部において、電解質層40と第2集電極6との間に設けられている。絶縁部材50の材料としては、光硬化性のアクリル樹脂等が用いられる。絶縁部材50の形成方法としては、例えば、塗布法(ウエットコーティング法)および光硬化法が用いられる。
実際には、電解質層40の導電性は、第1透明電極層21および第2透明電極層22の導電性と比較して低いため、絶縁部材50を備えなくても、電解質層40を介した第1集電極5と第2集電極6との短絡の問題は無視できる。しかし、この第2変形例のように絶縁部材50を備えることにより、電解質層40を介して第1集電極5と第2集電極6とが短絡することをより回避できる。
(第2実施形態)
第1実施形態では、第1透明電極層21および第2透明電極層22の膜厚を、フィルム本体3の幅方向(Y方向)において次第に薄くすることにより、第1集電極5と第2集電極6との短絡を防止した。
第2実施形態では、第1透明電極層21および第2透明電極層22の膜厚を均一としつつ、第1集電極5と第2集電極6との短絡を防止する。
図6は、第2実施形態に係るエレクトロクロミックフィルムの断面図である。図6に示すエレクトロクロミックフィルム1は、図2に示すエレクトロクロミックフィルム1においてフィルム本体3の構成の点で第1実施形態と異なる。
図6に示すフィルム本体3では、第1透明電極層21および第2透明電極層22の厚さは、フィルム本体3の幅方向(Y方向)において均一となっている。
第1透明電極層21およびエレクトロクロミック層31におけるフィルム本体3の幅方向(Y方向)の他方の端部には、これらの層が除去された切断部55が形成されている。これにより、第1透明電極層21と第2集電極6とが絶縁される。
また、第2透明電極層22および電解質層40におけるフィルム本体3の幅方向(Y方向)の一方の端部には、絶縁部材50が設けられている。これにより、第2透明電極層22と第1集電極5とが絶縁される。
なお、第1透明電極層21におけるフィルム本体3の幅方向(Y方向)の他方の端部に、絶縁部材50が設けられてもよい。また、第2透明電極層22におけるフィルム本体3の幅方向(Y方向)の一方の端部に、切断部55が設けられてもよい。
次に、図7および図3Bを参照して、第2実施形態に係るエレクトロクロミックフィルム1の製造方法について説明する。図7は、第2実施形態に係るエレクトロクロミックフィルム1の製造工程における透明電極層形成工程、EC層形成工程、切断工程、および絶縁部材・電解質層形成工程を示す模式図である。これらの工程は、連続的な工程であってもよいし、不連続的な工程であってもよい。
(透明電極層形成工程)
図7に示すように、まず、ロールトゥロール方式を用いて、フィルム状の透明基板10を搬送する。次に、搬送中の透明基板10の一方の主面側に第1透明電極層21を形成する。第1透明電極層21の形成方法は、上述した第1透明電極層21の形成方法と同様であればよい。このとき、図4Bに示すマスク300を用いると、透明基板10の幅方向の一方の端部から他方の端部へ向けて膜厚が均一な第1透明電極層21が得られる。
(EC層形成工程)
次に、搬送中の透明基板10の一方の主面側の第1透明電極層21にエレクトロクロミック層31を形成する。エレクトロクロミック層31の形成方法は、上述した通りである。
(切断工程)
次に、搬送中の透明基板10の一方の主面側における、第1透明電極層21およびエレクトロクロミック層31の幅方向(Y方向)の他方の端部に、これらの層を除去した切断部55を形成する。例えば、YAG、またはその第3高調波などのレーザ500を用いて、第1透明電極層21およびエレクトロクロミック層31の一部を除去すればよい。
(透明電極層形成工程)
次に、搬送中の透明基板10の他方の主面側に第2透明電極層22を形成する。第2透明電極層22の形成方法は、上述した第2透明電極層22の形成方法と同様であればよい。このとき、図4Bに示すマスク300を用いると、透明基板10の幅方向の他方の端部から一方の端部へ向けて膜厚が均一な第2透明電極層22が得られる。
(絶縁部材・電解質層形成工程)
次に、搬送中の透明基板10の一方の主面側における幅方向(Y方向)の一方の端部に、絶縁部材50を形成する。絶縁部材50の形成方法としては、塗布法(ウエットコーティング法)および光硬化法等が用いられればよい。
次に、搬送中の透明基板10の一方の主面側のエレクトロクロミック層31に電解質層40を形成する。電解質層40の形成方法は、上述した通りである。
その後、上述した図3Bの接着剤塗布工程、巻取・接着工程、切取工程、および集電極形成工程を行う。
以上説明したように、第2実施形態のエレクトロクロミックフィルム1およびエレクトロクロミックフィルムの製造方法でも、第1実施形態のエレクトロクロミックフィルム1およびエレクトロクロミックフィルムの製造方法と同様の利点が得られる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく種々の変形が可能である。例えば、上述した実施形態では、クロミックデバイスとして、フィルム状のエレクトロクロミックフィルム1を例示した。しかし、本発明の特徴はこれに限定されず、例えばシート状のエレクトロクロミックデバイスにも適用可能である。
また、上述した実施形態では、クロミックデバイスとして、エレクトロクロミック材料を含むエレクトロクロミック層31(32)および電解質材料を含む電解質層40を有した、クロミック層を備えるエレクトロクロミックフィルム1を例示した。しかし、本発明の特徴はこれに限定されず、エレクトロクロミック層31(32)および電解質層40に代えて液晶材料を有した、クロミック層を備えるクロミックデバイスにも適用可能である。
また、上述した実施形態では、スマートフォンまたはタブレットのような携帯端末等の表示部に貼付され、第三者による覗き見を防止する覗き見防止用プライバシーフィルムとして好適に用いられるエレクトロクロミックフィルム1を例示した。しかし、本発明の特徴はこれに限定されず、例えば種々の表示デバイス(例えば、ディスプレイ)において、画面(画像)の視野角の制御を行うフィルム、シートまたはフィルター等に適用可能である。更に、本発明の特徴は、例えば車両の窓ガラスまたは建材(例えば、窓ガラス)等の種々の用途において、光の方向性の制御を行うフィルム、シートまたはフィルター等に適用可能である。
以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
以下のとおり、図1および図2Aに示すエレクトロクロミックフィルム1を、図3Aおよび図3Bに示す工程に従って作製した。
(透明電極層の形成)
まず、ロールトゥロール方式のマグネトロンスパッタリング装置を用いて、透明基板10としてのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ製「ルミラーU34」、厚さ50μm、幅150mm、長さ720m)の一方の主面側に、第1透明電極層21としてインジウム錫複合酸化物(ITO)を製膜した。同様に、ロールトゥロール方式のマグネトロンスパッタリング装置を用いて、ポリエチレンテレフタレートフィルムの他方の主面側に、第2透明電極層22としてインジウム錫複合酸化物(ITO)を製膜した。
スパッタリング条件としては、酸化錫を10重量%含む酸化インジウムをターゲットとし、アルゴンガスを500sccm流し、圧力0.6Paで酸素分圧4×10−3Pa(シート抵抗が最も低くなるボトム条件の酸素量)とし、DC電源のパワー密度を0.1W/cmとし、基板温度を室温とした。また、図3に示すマスク200を使用した。これにより、透明基板10の幅方向(TD方向)において、膜厚が次第に薄くなる(傾斜した)第1透明電極層21および第2透明電極層22が得られた。第1透明電極層21の一方の端部の膜厚は140nmであり、他方の端部の膜厚は5nmであった。また、第2透明電極層22の他方の端部の膜厚は140nmであり、一方の端部の膜厚は5nmであった。
その後、ロールトゥロールプロセスを用いて、第1透明電極層21および第2透明電極層22が製膜された透明基板10を100度で20分間アニール処理することにより、第1透明電極層21および第2透明電極層22が結晶化された。
(エレクトロクロミック層の形成)
次に、ロールトゥロール方式のマグネトロンスパッタリング装置を用いて、透明基板10の一方の主面側の第1透明電極層21に、エレクトロクロミック層31として酸化タングステンを製膜した。
スパッタリング条件としては、タングステン金属をターゲットとし、アルゴンガスを400sccm流し、圧力4.0Paとした。また、放電電圧が−470V(タングステンの放電プロセスが遷移モードから酸化物モードに切り替わる電圧)となるようにマスフローコントローラーに信号を送信し、酸素流量を調整した(いわゆる電圧制御方式)。また、MF電源のパワー密度を0.04W/cmとし、基板温度を室温とした。これにより、エレクトロクロミック層31の膜厚は250nmであり、膜厚分布は幅方向(TD方向)において3%以下であった。
(電解質層の形成)
次に、ロールトゥロール方式のマグネトロンスパッタリング装置を用いて、透明基板10の一方の主面側のエレクトロクロミック層31に、電解質層40として窒化リン酸リチウム(LiPON)を製膜した。
スパッタリング条件としては、LiPONをターゲットとし、アルゴンガスを500sccm流し、圧力4.0Paで酸素分圧1×10−2Paとし、MF電源のパワー密度を0.1W/cmとし、基板温度を室温とした。これにより、電解質層40の膜厚は100nmであり、膜厚分布は幅方向(TD方向)において3%以下であった。
(接着剤塗布)
次に、ロールトゥロールプロセスにおいて、窒素雰囲気下で、透明基板10の一方の主面側の電解質層40に、紫外線硬化型電解質溶液を膜厚20nmとなるように塗布する(密着性向上を目的として)。
紫外線硬化型電解質溶液は、メトキシポリエチレングリコールアクリレート(新中村化学工業社製「NKエステルAM−90G」)2kgに対して、プロピレンカーボネート(キシダ化学社製「プロピレンカルボナート」)200g、光重合開始剤として2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン(Ciba社製「Irugacure651」)350g、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(シグマアルドリッチ製)6gを加え、24時間混ぜた後、窒素で1時間バブリングすることで溶存酸素を除去し、真空攪拌脱泡により脱ガス処理をして作製した。
(巻取・接着)
次に、ロールトゥロールプロセスにおいて、第1透明電極層21、第2透明電極層22、エレクトロクロミック層31および電解質層40(および接着剤)が製膜された透明基板10を、多層に合わせるようにロール状に巻き取りながら、このロール部材に1,000mJの紫外線を照射することで電解質溶液を硬化・接着させ、ロール部材100が得られた。
巻取り時のロールの張力は100N/mとした。
(切断)
次に、図5に示すように、ロール部材100から、ロール部材100の積層方向に沿う断面が主面となるようにフィルム状のフィルム本体3を切り取り、フィルム本体3の両主面をグラインダーで研磨することにより、フィルム本体3が得られた。このようにして、厚さ0.1mm、幅150mm、長さ150mmのフィルム本体3を作製した。
(集電極形成)
次に、ディスペンサーを用いて、フィルム本体3の幅方向(Y方向)における一方の端部に第1集電極5として銀ペースト(東洋紡社製「DW−114L−1」)を印刷し、フィルム本体3の幅方向(Y方向)における他方の端部に第2集電極6として銀ペースト(東洋紡社製「DW−114L−1」)を印刷した。第1集電極5および第2集電極6の太さは70μmであり、高さは10μmであった。その後、常温・真空(0.05MPa)下で第1集電極5および第2集電極6を乾燥させた。このようにして、実施例1のエレクトロクロミックフィルム1を作製した。
以上のように作製した実施例1のエレクトロクロミックフィルム1の広視野角状態と狭視野角状態とを観測した。
図8Aは、広視野角状態(調光OFF時)の実施例1のエレクトロクロミックフィルム1を正面から観測した図であり、図8Bは、狭視野角状態(調光ON時)の実施例1のエレクトロクロミックフィルム1を正面から観測した図である。また、図8Cは、広視野角状態(調光OFF時)の実施例1のエレクトロクロミックフィルム1を斜め45度から観測した図であり、図8Dは、狭視野角状態(調光ON時)の実施例1のエレクトロクロミックフィルム1を斜め45度から観測した図である。
図8Aおよび図8Bによれば、広視野角状態(調光OFF時)および狭視野角状態(調光ON時)の両方において、正面方向に対する透明性が高いことがわかる。一方、図8Cおよび図8Dによれば、広視野角状態(調光OFF時)では斜め45度方向に対する透明性が高いが、狭視野角状態(調光ON時)では斜め45度方向に対する遮蔽性が高いことがわかる。
1 エレクトロクロミックフィルム(クロミックデバイス)
3 フィルム本体
5 第1集電極
6 第2集電極
10 透明基板(基板)
21 第1透明電極層(第1電極層)
22 第2透明電極層(第2電極層)
31,32 エレクトロクロミック層(クロミック層)
40 電解質層
50 絶縁部材
55 切断部
100 ロール部材
200,300 マスク
201,301 開口
400 硬化設備

Claims (10)

  1. フィルム状またはシート状のクロミックデバイスであって、
    前記クロミックデバイスの主面に交差する主面を有し、前記クロミックデバイスの主面に沿った面方向において離間して配置される、透明な複数の基板と、
    隣り合う前記複数の基板同士により生じる間隔のうち少なくとも1個の間隔に介在し、透明状態と非透明状態とを切り替えられる、単数または複数のクロミック層と、
    単数または複数の前記クロミック層を挟むとともに、前記間隔に介在する、透明な一対の電極層と、
    を備える、クロミックデバイス。
  2. 前記の一対の電極層のうち、一方を第1電極層、他方を第2電極層とすると、
    前記クロミックデバイスの幅方向の一方の端部に配置され、前記複数の第1電極層に電気的に接続された第1集電極と、
    前記幅方向の他方の端部に配置され、前記複数の第2電極層に電気的に接続された第2集電極と、
    を更に備える、請求項1に記載のクロミックデバイス。
  3. 前記第1電極層の厚さは、前記幅方向の前記一方の端部から前記他方の端部へ向けて次第に薄くなっており、
    前記第2電極層の厚さは、前記幅方向の前記他方の端部から前記一方の端部へ向けて次第に薄くなっている、
    請求項2に記載のクロミックデバイス。
  4. 前記第1電極層は、前記幅方向の前記他方の端部において前記第2集電極と絶縁されており、
    前記第2電極層は、前記幅方向の前記一方の端部において前記第1集電極と絶縁されている、
    請求項2に記載のクロミックデバイス。
  5. 前記クロミック層は、酸化反応または還元反応により、無色状態と有色状態とを切換可能なエレクトロクロミック材料と、電解質材料とを含む、請求項1〜4の何れか1項に記載のクロミックデバイス。
  6. 前記クロミック層は、前記電解質材料を挟んで、前記酸化反応により有色状態となるエレクトロクロミック材料、および、前記還元反応により有色状態となるエレクトロクロミック材料を含む、請求項5に記載のクロミックデバイス。
  7. 前記クロミック層は、酸化反応または還元反応により、異なる有色状態となる複数のエレクトロクロミック材料を含む、請求項5または6に記載のクロミックデバイス。
  8. 前記クロミック層は、液晶材料を含む、請求項1〜4の何れか1項に記載のクロミックデバイス。
  9. 請求項1〜8の何れか1項に記載のクロミックデバイスの製造方法であって、
    ロールトゥロール方式を用いて、フィルム状の透明な基板を搬送する際に、
    前記基板の一方の主面に透明な一対の電極層のうちの一方を積層する工程と、
    前記基板の他方の主面に前記一対の電極層のうちの他方を積層する工程と、
    前記一対の電極層の少なくとも一方に、透明状態と非透明状態とを切り替えられるクロミック層を積層する工程と、
    前記一対の電極層および前記クロミック層が積層された前記基板を、多層に重ね合わせるようにロール状に巻き取ることにより、ロール部材を得る工程と、
    前記ロール部材から、前記ロール部材の積層方向に沿う断面が主面となるようにフィルム状またはシート状の前記クロミックデバイスを切り取る工程と、
    を含む、クロミックデバイスの製造方法。
  10. 前記の一対の電極層のうち、一方を第1電極層、他方を第2電極層とすると、
    前記第1電極層を積層する工程では、前記第1電極層の厚さが前記基板の幅方向の一方の端部から他方の端部へ向けて次第に薄くなるように、前記ロールトゥロール方式において、前記幅方向の前記一方の端部から前記他方の端部へ向けて次第に幅が小さくなる開口を有するマスクを用い、
    前記第2電極層を積層する工程では、前記第2電極層の厚さが前記幅方向の前記他方の端部から前記一方の端部へ向けて次第に薄くなるように、前記ロールトゥロール方式において、前記幅方向の前記他方の端部から前記一方の端部へ向けて次第に幅が小さくなる開口を有するマスクを用いる、
    請求項9に記載のクロミックデバイスの製造方法。
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