JP2019094445A - アマニ油の製造方法 - Google Patents
アマニ油の製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2019094445A JP2019094445A JP2017225897A JP2017225897A JP2019094445A JP 2019094445 A JP2019094445 A JP 2019094445A JP 2017225897 A JP2017225897 A JP 2017225897A JP 2017225897 A JP2017225897 A JP 2017225897A JP 2019094445 A JP2019094445 A JP 2019094445A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- linseed oil
- oil
- enzyme
- fat
- linseed
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Immobilizing And Processing Of Enzymes And Microorganisms (AREA)
- Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
- Fats And Perfumes (AREA)
Abstract
【課題】アニシジン価の大幅な上昇を抑えつつアマニ油の過酸化物価を減少でき、油脂加水分解酵素活性への影響が少ないアマニ油の提供。【解決手段】酵素分解法による加水分解に供するアマニ油の製造方法であって、アマニ油を窒素雰囲気下又は減圧下、1時間以内で加熱処理する工程を含む、製造方法。【選択図】なし
Description
本発明は、酵素分解の対象となるアマニ油の製造方法に関する。
アマの種子であるアマニにはα−リノレン酸(C18:3、ALA)が豊富に含まれる。α−リノレン酸は、体内で生理活性の高いエイコサペンタエン酸やドコサヘキサエン酸に変換されることが知られ、近年、アマニ油の需要が増加している。また、α−リノレン酸の機能を有効に発現させるべく、アマニ油由来の脂肪酸類とグリセリンをエステル化したα−リノレン酸を豊富に含む機能性油脂が提案されている(例えば、特許文献1)。
油脂を加水分解して脂肪酸類を製造する方法としては酵素分解法がある。酵素分解法は、リパーゼ等の油脂加水分解酵素を触媒として用い、油脂に水を加えて比較的低温の条件で反応を行うもので、トランス不飽和脂肪酸を生成しないという利点を有する。
しかしながら、酵素は、それが作用する原料油脂において油脂の酸化が進行し一次酸化物である過酸化物が多く生成されていると、過酸化物の影響を受けて失活し易いことが知られている。特にアマニ油は不飽和結合を多く有しているために酸化し易く、過酸化物が生成され易いため、酵素の耐久性が懸念される。
しかしながら、酵素は、それが作用する原料油脂において油脂の酸化が進行し一次酸化物である過酸化物が多く生成されていると、過酸化物の影響を受けて失活し易いことが知られている。特にアマニ油は不飽和結合を多く有しているために酸化し易く、過酸化物が生成され易いため、酵素の耐久性が懸念される。
過酸化物による酵素の失活を防止する方法として、特許文献2では、PV(過酸化物価)が高いパーム油を窒素気流下で加熱処理してパーム油中の過酸化物を分解し、代わりに二次酸化物を増加させることでエステル交換工程時における酵素の失活を少なくすることが提案されている。当該特許文献2によれば、パーム油では処理温度130〜150℃で2〜8時間の加熱処理によりPVが4meq/kg以下に減少し、二次酸化物の量的指標であるアニシジン価が5以下から8〜12程度に大きく増加して、酵素エステル交換パーム油が生産効率よく得られることが報告されているものの、アマニ油については報告されていない。
そこで、前記特許文献2に記載の方法によってアマニ油中の過酸化物の分解を試みたところアマニ油の過酸化物価を減少でき、過酸化物による油脂加水分解酵素活性への影響を低減できるが、アマニ油では元来二次酸化物も多く生成されているためにアニシジン価がより高い値となり、アニシジン価が一層高くなると当該アマニ油由来の脂肪酸類を用いたエステル化油において保存時の風味を悪化させることが判った。
よって、本発明は、アニシジン価の大幅な上昇を抑えつつアマニ油の過酸化物価を減少でき、油脂加水分解酵素活性への影響が少ないアマニ油を提供することに関する。
よって、本発明は、アニシジン価の大幅な上昇を抑えつつアマニ油の過酸化物価を減少でき、油脂加水分解酵素活性への影響が少ないアマニ油を提供することに関する。
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意研究を行ったところ、アマニ油に対して窒素雰囲気下又は減圧下、1時間以内の短い時間で加熱処理を行えば、アニシジン価の上昇を抑えながらアマニ油の過酸化物価を減少できることを見出した。
すなわち、本発明は、酵素分解法による加水分解に供するアマニ油の製造方法であって、アマニ油を窒素雰囲気下又は減圧下、1時間以内で加熱処理する工程を含む、製造方法を提供するものである。
本発明によれば、短い時間の加熱処理により、アニシジン価の上昇を抑えながらアマニ油の過酸化物価を減少できる。これによって、酵素分解法による加水分解に供しても酵素の失活が少ないアマニ油が得られる。
〔アマニ油の製造方法〕
本発明の酵素分解法による加水分解に供するアマニ油の製造方法は、アマニ油を窒素雰囲気下又は減圧下、1時間以内で加熱処理する工程を有する。
本発明に用いられる「アマニ油」は、アマ(Linum usitatissimum)の種子であるアマニから搾油された食用油脂である。
本明細書において「油脂」は、「油」と同義であり、油脂(油)を構成する物質にはトリグリセリド(TAG)のみならずモノグリセリド(MAG)やジグリセリド(DAG)も含まれる。すなわち、油脂(油)は、モノグリセリド、ジグリセリド及びトリグリセリドのいずれか1種以上を含むものである。
本発明の酵素分解法による加水分解に供するアマニ油の製造方法は、アマニ油を窒素雰囲気下又は減圧下、1時間以内で加熱処理する工程を有する。
本発明に用いられる「アマニ油」は、アマ(Linum usitatissimum)の種子であるアマニから搾油された食用油脂である。
本明細書において「油脂」は、「油」と同義であり、油脂(油)を構成する物質にはトリグリセリド(TAG)のみならずモノグリセリド(MAG)やジグリセリド(DAG)も含まれる。すなわち、油脂(油)は、モノグリセリド、ジグリセリド及びトリグリセリドのいずれか1種以上を含むものである。
アマニ油は不飽和結合を多く有しているため、通常、一次酸化物及び二次酸化物の量が多い。本発明で加熱処理される原料としては、過酸化物価(POV)が、5meq/kg以上20meq/kg以下、更に7meq/kg以上20meq/kg以下、更に10meq/kg以上15meq/kg以下で、アニシジン価(AnV)が5以上30以下、更に10以上20以下、更に10以上15以下であるアマニ油が好ましく適用できる。
アマニ油は、アマニから搾油後、油分以外の固形分をろ過や遠心分離等により除去するのが好ましい。次いで、水、場合によっては更に酸を添加混合した後、遠心分離等によってガム分を分離することにより脱ガムすることが好ましい。また、アマニ油は、アルカリを添加混合した後、水洗し脱水することにより脱酸を行うことが好ましい。更に、アマニ油は、活性白土等の吸着剤と接触させた後、吸着剤をろ過等により分離することにより脱色を行うことが好ましい。これらの処理は、以上の順序で行うことが好ましいが、順序を変更しても良い。また、この他に、アマニ油は、ろう分の除去のために、低温で固形分を分離するウインタリングを行っても良い。
後記実施例に示すように、脱色を行った脱色アマニ油に対して加熱処理を行うと特に色相改善効果に優れ、更に酵素分解法で加水分解して得たアマニ油由来の脂肪酸類においても色相が良好となる。よって、本発明では脱色を行った脱色アマニ油を用いるのが好ましい。
また、脱臭は、高温・減圧条件下で水蒸気を吹き込みながら有臭成分を除去する工程であり、本発明では脱臭を行った脱臭アマニ油を用いてもよいが、色相改善効果とアマニ油由来の脂肪酸類を用いたエステル化油における保存時の風味悪化抑制の点から、脱臭を行っていないアマニ油、即ち未脱臭アマニ油を用いるのが好ましい。
後記実施例に示すように、脱色を行った脱色アマニ油に対して加熱処理を行うと特に色相改善効果に優れ、更に酵素分解法で加水分解して得たアマニ油由来の脂肪酸類においても色相が良好となる。よって、本発明では脱色を行った脱色アマニ油を用いるのが好ましい。
また、脱臭は、高温・減圧条件下で水蒸気を吹き込みながら有臭成分を除去する工程であり、本発明では脱臭を行った脱臭アマニ油を用いてもよいが、色相改善効果とアマニ油由来の脂肪酸類を用いたエステル化油における保存時の風味悪化抑制の点から、脱臭を行っていないアマニ油、即ち未脱臭アマニ油を用いるのが好ましい。
アマニ油の加熱処理は窒素雰囲気下又は減圧下で行われる。アマニ油の過酸化物価減少効果の点から、雰囲気中の酸素濃度が2%以下、更に1%以下、更に0.5%以下となるように窒素置換を行うことが好ましい。また、減圧の程度は、同様の点から、10kPa以下、更に5kPa以下、更に0.5kPa以下が好ましい。なお、本明細書において圧力は大気圧を101.3kPaとする。
アマニ油に対して窒素雰囲気下又は減圧下で短い時間の加熱処理を行えば、アマニ油中の過酸化物が分解し過酸化物価を減少できるが、二次酸化物の大幅な増加、すなわちアニシジン価の大幅な上昇を抑える効果に優れることから、本発明では減圧下で短い時間の加熱処理を行うことが好ましい。
アマニ油に対して窒素雰囲気下又は減圧下で短い時間の加熱処理を行えば、アマニ油中の過酸化物が分解し過酸化物価を減少できるが、二次酸化物の大幅な増加、すなわちアニシジン価の大幅な上昇を抑える効果に優れることから、本発明では減圧下で短い時間の加熱処理を行うことが好ましい。
アマニ油の加熱処理の時間は、1時間以内であるが、アニシジン価の上昇を抑えながらアマニ油の過酸化物価を減少できる点から、0.1時間以上0.8時間以下、更に0.25時間以上0.6時間以下が好ましい。
また、アマニ油の加熱処理の温度は、アマニ油中の過酸化物の分解性の点、トランス不飽和脂肪酸生成抑制の点から、130〜200℃、更に140〜180℃、更に150〜160℃が好ましい。
このような加熱処理により、アマニ油の過酸化物価が減少し、代わりにアニシジン価が増加する。加熱処理後の過酸化物価(POV)は、油脂加水分解酵素活性の失活が少ない点から、4meq/kg以下であり、更に、3meq/kg以下、更に2meq/kg以下が好ましい。また、アニシジン価は、アマニ油由来の脂肪酸類を用いたエステル化油における保存時の風味及び色相悪化抑制の点から、30以下、更に25以下、更に22以下が好ましい。
また、加熱処理によりアマニ油の色相が改善する。加熱処理後のアマニ油の色相は、アマニ油由来の脂肪酸類における色相が良好となる点から、実施例記載の方法で測定される10R+Yの値が50以下、更に30以下、更に25以下であることが好ましい。
〔アマニ油由来の脂肪酸類の製造方法〕
本発明のアマニ油由来の脂肪酸類の製造方法は、前述の本発明の製造方法により得られたアマニ油を酵素分解法で加水分解する工程を有する。所定の加熱処理を経たアマニ油は、加熱処理前と比べて過酸化物の量が少ないため油脂加水分解酵素活性への影響が少ない。そのため、加熱処理を施したアマニ油を酵素分解法によって加水分解すれば、脂肪酸類を生産性良く得ることができる。
本明細書において「酵素分解法」は、油脂に水を加えて、油脂加水分解酵素を触媒として用い、低温の条件で反応することにより、脂肪酸類とグリセリンを得る方法である。脂肪酸類は、脂肪酸の他、油脂を含んでいてもよい。
本発明のアマニ油由来の脂肪酸類の製造方法は、前述の本発明の製造方法により得られたアマニ油を酵素分解法で加水分解する工程を有する。所定の加熱処理を経たアマニ油は、加熱処理前と比べて過酸化物の量が少ないため油脂加水分解酵素活性への影響が少ない。そのため、加熱処理を施したアマニ油を酵素分解法によって加水分解すれば、脂肪酸類を生産性良く得ることができる。
本明細書において「酵素分解法」は、油脂に水を加えて、油脂加水分解酵素を触媒として用い、低温の条件で反応することにより、脂肪酸類とグリセリンを得る方法である。脂肪酸類は、脂肪酸の他、油脂を含んでいてもよい。
油脂加水分解酵素としては、リパーゼが好ましい。リパーゼは、特に制限されず、動物由来、植物由来、又は微生物由来のリパーゼを用いることができる。例えば、リゾプス(Rhizopus)属、アスペルギルス(Aspergillus)属、ムコール(Mucor)属、リゾムコール(Rhizomucor)属、シュードモナス(Pseudomonas)属、ジオトリケム(Geotrichum)属、ペニシリウム(Penicillium)属、キャンディダ(Candida)属等の起源のリパーゼが挙げられる。
なかでも、加水分解効率の点から、位置・鎖長選択性のない、所謂非選択性リパーゼを用いるのが好ましく、更にキャンディダ・シリンドラセア(Candida cylindracea)によって生産される非選択性リパーゼを用いるのが好ましい。
なかでも、加水分解効率の点から、位置・鎖長選択性のない、所謂非選択性リパーゼを用いるのが好ましく、更にキャンディダ・シリンドラセア(Candida cylindracea)によって生産される非選択性リパーゼを用いるのが好ましい。
油脂加水分解酵素は、当該酵素を担体に固定化した固定化油脂加水分解酵素を用いることが酵素活性を有効利用できる点から好ましい。
固定化担体としては、セライト、ケイソウ土、カオリナイト、シリカゲル、モレキュラーシーブス、多孔質ガラス、活性炭、炭酸カルシウム、セラミックス等の無機担体、セラミックスパウダー、ポリビニルアルコール、ポリプロピレン、キトサン、イオン交換樹脂、疎水吸着樹脂、キレート樹脂、合成吸着樹脂等の有機高分子等が挙げられる。なかでも、保水力が高い点からイオン交換樹脂が好ましい。また、イオン交換樹脂の中でも、大きな表面積を有することにより酵素の吸着量を高くできるという点から、多孔質であることが好ましい。
固定化担体としては、セライト、ケイソウ土、カオリナイト、シリカゲル、モレキュラーシーブス、多孔質ガラス、活性炭、炭酸カルシウム、セラミックス等の無機担体、セラミックスパウダー、ポリビニルアルコール、ポリプロピレン、キトサン、イオン交換樹脂、疎水吸着樹脂、キレート樹脂、合成吸着樹脂等の有機高分子等が挙げられる。なかでも、保水力が高い点からイオン交換樹脂が好ましい。また、イオン交換樹脂の中でも、大きな表面積を有することにより酵素の吸着量を高くできるという点から、多孔質であることが好ましい。
固定化担体として用いる樹脂の粒子径は50〜2000μmが好ましく、更に100〜1000μmが好ましい。細孔径は10〜150nmが好ましく、更に10〜100nmが好ましい。材質としては、フェノールホルムアルデヒド系、ポリスチレン系、アクリルアミド系、ジビニルベンゼン系等が挙げられ、更にフェノールホルムアルデヒド系樹脂(例えば、Rohm and Haas社製Duolite A−568)が酵素吸着性向上の点から好ましい。
このとき、用いる油脂加水分解酵素量は、担体質量に対して0.1〜300質量%、更に0.5〜200質量%、更に1〜150質量%が工業的生産性の点から好ましい。固定化の際、酵素を溶液状態にするが、緩衝剤を用いてpH3〜7に調整して用いることが好ましい。固定化時の温度は0〜60℃、更に3〜40℃が好ましい。
このとき、用いる油脂加水分解酵素量は、担体質量に対して0.1〜300質量%、更に0.5〜200質量%、更に1〜150質量%が工業的生産性の点から好ましい。固定化の際、酵素を溶液状態にするが、緩衝剤を用いてpH3〜7に調整して用いることが好ましい。固定化時の温度は0〜60℃、更に3〜40℃が好ましい。
固定化酵素の活性を高めるために、油脂加水分解酵素の固定化前に予め脂溶性脂肪酸又はその誘導体を担体に吸着させる処理を施しても良い。処理を施す方法としては、例えば、クロロホルム、ヘキサン、エタノール等の有機溶剤に脂溶性脂肪酸又はその誘導体を一旦分散、溶解させた後、水に分散させた担体に加える方法が挙げられる。
使用する脂溶性脂肪酸としては、炭素数8〜18の飽和又は不飽和の、直鎖又は分岐鎖の、水酸基が置換していても良い脂肪酸が挙げられる。具体的には、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、オレイン酸、リノール酸、α-リノレン酸、リシノール酸等が挙げられる。また、その誘導体としては、これらの脂肪酸と一価又は多価アルコールとのエステル、リン脂質、及びこれらのエステルにエチレンオキサイドを付加した誘導体が挙げられる。具体的には、上記脂肪酸のメチルエステル、エチルエステル、モノグリセリド、ジグリセリド、それらのエチレンオキサイド付加体、ポリグリセリンエステル、ソルビタンエステル、ショ糖エステル等が挙げられる。これらの脂溶性脂肪酸又はその誘導体は2種以上を併用しても良い。
使用する脂溶性脂肪酸としては、炭素数8〜18の飽和又は不飽和の、直鎖又は分岐鎖の、水酸基が置換していても良い脂肪酸が挙げられる。具体的には、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、オレイン酸、リノール酸、α-リノレン酸、リシノール酸等が挙げられる。また、その誘導体としては、これらの脂肪酸と一価又は多価アルコールとのエステル、リン脂質、及びこれらのエステルにエチレンオキサイドを付加した誘導体が挙げられる。具体的には、上記脂肪酸のメチルエステル、エチルエステル、モノグリセリド、ジグリセリド、それらのエチレンオキサイド付加体、ポリグリセリンエステル、ソルビタンエステル、ショ糖エステル等が挙げられる。これらの脂溶性脂肪酸又はその誘導体は2種以上を併用しても良い。
油脂加水分解酵素の加水分解活性は、後述する方法により測定した力価が20U/g(乾燥質量)以上、更に100〜10000U/g(乾燥質量)、更に500〜5000U/g(乾燥質量)の範囲であることが好ましい。
加水分解反応は、常法に従って行うことができる。
酵素分解法に用いる固定化酵素の使用量(乾燥質量)は、酵素の活性を考慮して適宜決定することができるが、アマニ油に対して、1〜20質量%、更に2〜15質量%使用するのが工業的生産性の点から好ましい。
アマニ油の加水分解後は、加水分解反応物を分別して固体を除去することが好ましい。分別方法としては、溶剤分別法、自然分別法(ドライ分別法)、湿潤剤分別法が挙げられる。析出した固体の除去手段としては、静置分離、濾過、遠心分離、脂肪酸に湿潤剤水溶液を混合し分離する方法等が挙げられる。
得られたアマニ油由来の脂肪酸類は後述するエステル化反応に用いることができる。
酵素分解法に用いる固定化酵素の使用量(乾燥質量)は、酵素の活性を考慮して適宜決定することができるが、アマニ油に対して、1〜20質量%、更に2〜15質量%使用するのが工業的生産性の点から好ましい。
アマニ油の加水分解後は、加水分解反応物を分別して固体を除去することが好ましい。分別方法としては、溶剤分別法、自然分別法(ドライ分別法)、湿潤剤分別法が挙げられる。析出した固体の除去手段としては、静置分離、濾過、遠心分離、脂肪酸に湿潤剤水溶液を混合し分離する方法等が挙げられる。
得られたアマニ油由来の脂肪酸類は後述するエステル化反応に用いることができる。
〔エステル化油の製造方法〕
本発明のエステル化油の製造方法は、前述の本発明の製造方法により得られたアマニ油を酵素分解法で加水分解した後、アマニ油由来の脂肪酸類とグリセリンとをエステル化反応させる工程を有する。所定の加熱処理を経たアマニ油に由来する脂肪酸類を用いることで、保存時の風味の悪化が抑えられ、品質のよいエステル化油を製造することができる。
グリセリンは、エステル化の反応性の点から、純度95質量%以上のものが好ましい。
本発明のエステル化油の製造方法は、前述の本発明の製造方法により得られたアマニ油を酵素分解法で加水分解した後、アマニ油由来の脂肪酸類とグリセリンとをエステル化反応させる工程を有する。所定の加熱処理を経たアマニ油に由来する脂肪酸類を用いることで、保存時の風味の悪化が抑えられ、品質のよいエステル化油を製造することができる。
グリセリンは、エステル化の反応性の点から、純度95質量%以上のものが好ましい。
アマニ油脂由来の脂肪酸類とグリセリンとのエステル化反応は、アルカリ触媒等を用いる化学法と酵素を用いる酵素法のいずれで行ってもよいが、酵素法により温和な条件で行うのが風味等の点で優れており好ましい。
酵素法によるエステル化反応は、前述のリパーゼ等の固定化酵素を用いて、常法に従って行うことができる。リパーゼは、グリセロールのsn−1位とsn−3位に特異性を示す1,3位選択リパーゼを用いるのが好ましい。
エステル反応に用いる固定化酵素の量は、酵素の活性を考慮して適宜決定することができるが、反応速度を向上する点から、原料(アマニ油由来の脂肪酸類とグリセリン)の合計量100質量部に対して、1〜30質量%、更に2〜20質量%が好ましい。
エステル化反応の後は、通常油脂に対して用いられる精製工程を行ってもよい。具体的には、蒸留処理、酸処理、水洗、脱色、脱臭等の工程を挙げることができる。
酵素法によるエステル化反応は、前述のリパーゼ等の固定化酵素を用いて、常法に従って行うことができる。リパーゼは、グリセロールのsn−1位とsn−3位に特異性を示す1,3位選択リパーゼを用いるのが好ましい。
エステル反応に用いる固定化酵素の量は、酵素の活性を考慮して適宜決定することができるが、反応速度を向上する点から、原料(アマニ油由来の脂肪酸類とグリセリン)の合計量100質量部に対して、1〜30質量%、更に2〜20質量%が好ましい。
エステル化反応の後は、通常油脂に対して用いられる精製工程を行ってもよい。具体的には、蒸留処理、酸処理、水洗、脱色、脱臭等の工程を挙げることができる。
〔原料油〕
表1に示すアマニ油とパーム油を用いた。過酸化物価、アニシジン価及び色相は、次に示す方法にて測定した。
表1に示すアマニ油とパーム油を用いた。過酸化物価、アニシジン価及び色相は、次に示す方法にて測定した。
〔分析方法〕
(i)過酸化物価(POV)
日本油化学会編「基準油脂分析試験法2.5.2」に従って測定した。
(i)過酸化物価(POV)
日本油化学会編「基準油脂分析試験法2.5.2」に従って測定した。
(ii)アニシジン価
日本油化学会編「基準油脂分析試験法2.5.3」に従って測定した。
日本油化学会編「基準油脂分析試験法2.5.3」に従って測定した。
(iii)色相
色相は、日本油化学会編「基準油脂分析試験法2.2.1.1」に従って、ロビボンド比色計を用い5.25インチセルにより測定し、次の式で求めた値をいう。
色相=10R+Y
(式中、R=Red値、Y=Yellow値)
色相は、日本油化学会編「基準油脂分析試験法2.2.1.1」に従って、ロビボンド比色計を用い5.25インチセルにより測定し、次の式で求めた値をいう。
色相=10R+Y
(式中、R=Red値、Y=Yellow値)
実施例1
100mL容の四つ口フラスコに脱色アマニ油を50g仕込み、気相部に窒素を吹込み、酸素濃度0.5%以下になったことを確認した後、マントルヒーターを用いて加熱撹拌を行った。条件は加熱温度150℃、加熱時間0.5時間とした。加熱処理後に冷却し、アマニ油の分析を行った。
100mL容の四つ口フラスコに脱色アマニ油を50g仕込み、気相部に窒素を吹込み、酸素濃度0.5%以下になったことを確認した後、マントルヒーターを用いて加熱撹拌を行った。条件は加熱温度150℃、加熱時間0.5時間とした。加熱処理後に冷却し、アマニ油の分析を行った。
実施例2
100mL容の四つ口フラスコに脱色アマニ油を50g仕込み、四つ口フラスコ内を400Paまで減圧し、マントルヒーターを用いて加熱撹拌を行った。条件は加熱温度150℃、加熱時間0.5時間とした。加熱処理後に冷却及び真空ブレイクをし、アマニ油の分析を行った。
100mL容の四つ口フラスコに脱色アマニ油を50g仕込み、四つ口フラスコ内を400Paまで減圧し、マントルヒーターを用いて加熱撹拌を行った。条件は加熱温度150℃、加熱時間0.5時間とした。加熱処理後に冷却及び真空ブレイクをし、アマニ油の分析を行った。
実施例3
100mL容の四つ口フラスコに粗アマニ油を50g仕込み、四つ口フラスコ内を400Paまで減圧し、マントルヒーターを用いて加熱撹拌を行った。条件は加熱温度150℃、加熱時間0.5時間とした。加熱処理後に冷却及び真空ブレイクをし、アマニ油の分析を行った。
100mL容の四つ口フラスコに粗アマニ油を50g仕込み、四つ口フラスコ内を400Paまで減圧し、マントルヒーターを用いて加熱撹拌を行った。条件は加熱温度150℃、加熱時間0.5時間とした。加熱処理後に冷却及び真空ブレイクをし、アマニ油の分析を行った。
実施例4
100mL容の四つ口フラスコに脱臭アマニ油を50g仕込み、四つ口フラスコ内を400Paまで減圧し、マントルヒーターを用いて加熱撹拌を行った。条件は加熱温度150℃、加熱時間0.5時間とした。加熱処理後に冷却及び真空ブレイクをし、アマニ油の分析を行った。
100mL容の四つ口フラスコに脱臭アマニ油を50g仕込み、四つ口フラスコ内を400Paまで減圧し、マントルヒーターを用いて加熱撹拌を行った。条件は加熱温度150℃、加熱時間0.5時間とした。加熱処理後に冷却及び真空ブレイクをし、アマニ油の分析を行った。
比較例1
100mL容の四つ口フラスコに脱臭パーム油を50g仕込み、四つ口フラスコ内を400Paまで減圧し、マントルヒーターを用いて加熱撹拌を行った。条件は加熱温度150℃、加熱時間0.5時間とした。加熱処理後に冷却及び真空ブレイクをし、パーム油の分析を行った。
結果を表1に示す。
100mL容の四つ口フラスコに脱臭パーム油を50g仕込み、四つ口フラスコ内を400Paまで減圧し、マントルヒーターを用いて加熱撹拌を行った。条件は加熱温度150℃、加熱時間0.5時間とした。加熱処理後に冷却及び真空ブレイクをし、パーム油の分析を行った。
結果を表1に示す。
表1より明らかなように、アマニ油に対しては短い時間の加熱処理を行えば、アニシジン価の上昇を抑えながらアマニ油の過酸化物価を減少できることが確認された。パーム油においては短い時間の加熱処理では過酸化物価が十分に減少しなかった。
実施例1(窒素雰囲気)と実施例2(減圧)を比べると、過酸化物価の減少は同程度であるが、アニシジン価の上昇は実施例2でより抑えられた。また、脱色アマニ油において色相の大幅な改善が認められた。
実施例1(窒素雰囲気)と実施例2(減圧)を比べると、過酸化物価の減少は同程度であるが、アニシジン価の上昇は実施例2でより抑えられた。また、脱色アマニ油において色相の大幅な改善が認められた。
Claims (6)
- 酵素分解法による加水分解に供するアマニ油の製造方法であって、アマニ油を窒素雰囲気下又は減圧下、1時間以内で加熱処理する工程を含む、製造方法。
- アマニ油が脱色アマニ油である、請求項1記載の製造方法。
- 130〜200℃で加熱処理を行う、請求項1又は2記載の製造方法。
- 10kPa以下の減圧下に加熱処理を行う、請求項1〜3のいずれか1項記載の製造方法。
- 請求項1〜4のいずれか1項記載の製造方法により得られたアマニ油を酵素分解法で加水分解する工程を含む、アマニ油由来の脂肪酸類の製造方法。
- 請求項1〜4のいずれか1項記載の製造方法により得られたアマニ油を酵素分解法で加水分解した後、アマニ油由来の脂肪酸類とグリセリンとをエステル化反応させる工程を含む、エステル化油の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017225897A JP2019094445A (ja) | 2017-11-24 | 2017-11-24 | アマニ油の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017225897A JP2019094445A (ja) | 2017-11-24 | 2017-11-24 | アマニ油の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2019094445A true JP2019094445A (ja) | 2019-06-20 |
Family
ID=66971050
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2017225897A Pending JP2019094445A (ja) | 2017-11-24 | 2017-11-24 | アマニ油の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2019094445A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN112877129A (zh) * | 2021-01-19 | 2021-06-01 | 荣海生物科技有限公司 | 一种中长碳链亚麻籽油制取方法 |
Citations (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5763092A (en) * | 1980-09-30 | 1982-04-16 | Agency Of Ind Science & Technol | Enzymatic hydrolysis of solid fat |
JPH0984590A (ja) * | 1995-09-21 | 1997-03-31 | Itouen:Kk | α−リノレン酸の製造法 |
JP2006325465A (ja) * | 2005-05-25 | 2006-12-07 | Nisshin Oillio Group Ltd | 官能基交換反応用リパーゼ含有組成物、その製造方法及びその使用 |
JP2008011779A (ja) * | 2006-07-06 | 2008-01-24 | Nof Corp | エステル交換パーム油の製造方法 |
JP2010090383A (ja) * | 2008-10-10 | 2010-04-22 | Kao Corp | ジアシルグリセロール高含有油脂の製造方法 |
JP2013028752A (ja) * | 2011-07-29 | 2013-02-07 | Nisshin Oillio Group Ltd | グリセリド組成物の製造方法 |
-
2017
- 2017-11-24 JP JP2017225897A patent/JP2019094445A/ja active Pending
Patent Citations (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5763092A (en) * | 1980-09-30 | 1982-04-16 | Agency Of Ind Science & Technol | Enzymatic hydrolysis of solid fat |
JPH0984590A (ja) * | 1995-09-21 | 1997-03-31 | Itouen:Kk | α−リノレン酸の製造法 |
JP2006325465A (ja) * | 2005-05-25 | 2006-12-07 | Nisshin Oillio Group Ltd | 官能基交換反応用リパーゼ含有組成物、その製造方法及びその使用 |
JP2008011779A (ja) * | 2006-07-06 | 2008-01-24 | Nof Corp | エステル交換パーム油の製造方法 |
JP2010090383A (ja) * | 2008-10-10 | 2010-04-22 | Kao Corp | ジアシルグリセロール高含有油脂の製造方法 |
JP2013028752A (ja) * | 2011-07-29 | 2013-02-07 | Nisshin Oillio Group Ltd | グリセリド組成物の製造方法 |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN112877129A (zh) * | 2021-01-19 | 2021-06-01 | 荣海生物科技有限公司 | 一种中长碳链亚麻籽油制取方法 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5586914B2 (ja) | ジアシルグリセロール高含有油脂の製造方法 | |
JP5101206B2 (ja) | ジアシルグリセロール高含有油脂の製造方法 | |
JP2017073980A (ja) | 高度不飽和脂肪酸の製造方法 | |
JP5242230B2 (ja) | 固定化酵素の製造方法 | |
JP2005287510A (ja) | 不飽和脂肪酸のトリグリセリドを酵素合成するための方法 | |
JP5307806B2 (ja) | ジアシルグリセロール高含有油脂の製造方法 | |
KR100944071B1 (ko) | 디글리세라이드의 제조방법 | |
KR100985423B1 (ko) | 고정화 효소의 제조방법 | |
JP2019094445A (ja) | アマニ油の製造方法 | |
JP3813585B2 (ja) | ジグリセリドの製造方法 | |
JP4220957B2 (ja) | 固定化酵素の製造方法 | |
JP7365202B2 (ja) | ジアシルグリセロール高含有油脂の製造方法 | |
JP7092460B2 (ja) | 構造油脂の製造方法 | |
JP5782130B2 (ja) | ジアシルグリセロール富化な油又は油脂の製造プロセス | |
JP4012117B2 (ja) | 固定化酵素の製造方法 | |
JP2012034622A (ja) | ジアシルグリセロール高含有油脂の製造方法 | |
JP5527983B2 (ja) | ドコサヘキサエン酸高含有油脂の製造方法 | |
JP3813584B2 (ja) | ジグリセリドの製造方法 | |
JP2019054738A (ja) | 脂肪酸類の製造方法 | |
JP4694938B2 (ja) | 脂肪酸類の製造方法 | |
JP2004208546A (ja) | 脂肪酸の製造方法 | |
JP2004208539A (ja) | ジグリセリドの製造方法 | |
JP6859212B2 (ja) | ジアシルグリセロール高含有油脂の製造方法 | |
JP6990019B2 (ja) | 脂肪酸類の製造方法 | |
JP3893106B2 (ja) | ジグリセリドの製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20200917 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20210407 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20210511 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20211102 |