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JP2019094262A - 低分子化合物アジュバント及びこれを用いたワクチン - Google Patents

低分子化合物アジュバント及びこれを用いたワクチン Download PDF

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JP2019094262A JP2016072714A JP2016072714A JP2019094262A JP 2019094262 A JP2019094262 A JP 2019094262A JP 2016072714 A JP2016072714 A JP 2016072714A JP 2016072714 A JP2016072714 A JP 2016072714A JP 2019094262 A JP2019094262 A JP 2019094262A
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典保 平澤
Noriyasu Hirasawa
典保 平澤
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Tohoku University NUC
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Abstract

【課題】TSLPを選択的に誘導する化学合成アジュバントを提供すること
【解決手段】RARγのアゴニストを含むワクチンアジュバント及び当該ワクチンアジュバント及び抗原を組み合わせてなるワクチン。
【選択図】なし

Description

本発明は、低分子化合物アジュバント及びこれを用いたワクチンに関する。
近年、再興感染症、新たな感染症等の脅威が増しているが、その最も有効な対策はワクチンの投与である。
従来、多くのワクチンには不活性化又は弱毒化病原薗を用いるが、品質コントロールが難しく、非特異的炎症、副作用発現等の問題がある。そのため、低分子化合物からなるアジュバントが所望されている。
一方、Thymic Stromal Lymphopoietin(TSLP)は、主として上皮細胞が産生するサイトカインであり、樹状細胞を活性化して液性免疫を増強する。TSLPタンパク自体が回HIV抗原に対する抗体産生を高めること、及びTSLPタンパク質自体がアジュバントとして使用し得ることが報告されている(非特許文献1、2)。しかし、前述と同様の理由から、TSLPタンパク質そのものを投与するのではなく、TSLPタンパク質を誘導する低分子化合物を用いることが望ましい。
これまで、本発明者は、キシレン等の複数の低分子化合物がTSLPを誘導することを見出している(非特許文献3)
しかし、アジュバントとして使用するためには、副作用低減等の観点から、TSLPを誘導するだけでなく、それ以外のタンパク質(特に、アレルギー反応に関与するTNF-α、IL-1β、IL-4等のタンパク質)ではなくTSLPを選択的に誘導することが重要である。従来、TSLPに限らず低分子化合物で、ある種のサイトカインを選択的に誘導することはできず、かかる低分子化合物が所望されていた。
Eur.J.Immnol. 2012. 42: 293-295(2012) Eur.J.Immnol. 2012. 42: 353-363(2012) International Archives of Allergy and Immunology 157(2):194-201 ・ February 2012 Immunobiology 221(2016) 161-165
本発明は、TSLPを選択的に誘導する化学合成アジュバントを提供することを課題とする。
かかる状況の下、本発明者は、多種多様な低分子化合物のうち、RARγのアゴニストがTSLPを選択的に誘導し、ワクチンに配合した場合に中和抗体を産生することができることを見出した。本発明者らはかかる知見に基づき、さらに、RARγのアゴニスト投与とワクチンに含まれる抗原とを投与するタイミング等を鋭意検討した結果、本発明を完成させた。
従って、本発明は以下の項を提供する:
項1.RARγのアゴニストを含むワクチンアジュバント。
項2.RARγのアゴニストがレチノイドである、項1に記載のワクチンアジュバント。
項3.RARγのアゴニスト投与後、少なくとも4時間経過後に抗体が投与される投与スケジュールで用いるための、項1又は2に記載のワクチンアジュバント。
項4.RARγのアゴニストが外用剤として投与される、項3に記載のワクチンアジュバント。
項5.対象疾患がインフルエンザ、HIV、クラミジア、マラリア、結核、腫瘍、麻疹、麻疹、流行性耳下腺炎、水痘、黄熱、ロタウイルス胃腸炎、天然痘、肺炎球菌、狂犬病、コレラ、ジフテリア、百日咳、破傷風、日本脳炎、パピローマウイルス、肝炎(A型、B型、C型)及びエボラ出血熱、デング熱、ジカ熱などからなる群より選択される少なくとも一種である、項1〜4のいずれか1項に記載のワクチンアジュバント。
項6.項1又は2のいずれか1項に記載のワクチンアジュバント及び抗原を組み合わせてなるワクチン。
項7.RARγのアゴニスト投与後、少なくとも4時間経過後に抗体が投与される投与スケジュールで用いるための、項6に記載のワクチン。
項8.RARγのアゴニストが外用剤として投与される、項7に記載のワクチン。
項9.対象疾患がインフルエンザ、HIV、クラミジア、マラリア、結核、腫瘍、麻疹、麻疹、流行性耳下腺炎、水痘、黄熱、ロタウイルス胃腸炎、天然痘、肺炎球菌、狂犬病、コレラ、ジフテリア、百日咳、破傷風、日本脳炎、パピローマウイルス、肝炎(A型、B型、C型)及びエボラ出血熱、デング熱、ジカ熱などからなる群より選択される少なくとも一種である、項6〜8のいずれか1項に記載のワクチン。
項10.RARγのアゴニストがレチノイドであり、かつ対象疾患がインフルエンザである、項6〜8のいずれかに記載のワクチン。
項11.ワクチンとして使用するための、抗原及び項1又は2のいずれか1項に記載のワクチンアジュバントの組合せ。
項12.RARγのアゴニストがレチノイドであり、かつ対象疾患がインフルエンザである、項11に記載の組合せ。
項13.RARγのアゴニストがレチノイドである、項11に記載の組合せ。
項14.RARγのアゴニスト投与後、少なくとも4時間経過後に抗体が投与される投与スケジュールで用いるための、項11〜13のいずれか1項に記載の組合せ。
項15.RARγのアゴニストが外用剤として投与される、項14に記載の組合せ。
項16.対象疾患がインフルエンザ、HIV、クラミジア、マラリア、結核、腫瘍、麻疹、麻疹、流行性耳下腺炎、水痘、黄熱、ロタウイルス胃腸炎、天然痘、肺炎球菌、狂犬病、コレラ、ジフテリア、百日咳、破傷風、日本脳炎、パピローマウイルス、肝炎(A型、B型、C型)及びエボラ出血熱、デング熱、ジカ熱などからなる群より選択される少なくとも一種である、項11、13〜15のいずれか1項に記載の組合せ。
項17.ワクチンを製造するための、抗原及び項1又は2のいずれか1項に記載のワクチンアジュバントの使用。
項18.RARγのアゴニストがレチノイドであり、かつ対象疾患がインフルエンザである、項17に記載の使用。
項19.RARγのアゴニストがレチノイドである、項17に記載の組合せ。
項20.RARγのアゴニスト投与後、少なくとも4時間経過後に抗体が投与される投与スケジュールで用いるための、項17〜19のいずれか1項に記載の組合せ。
項21.RARγのアゴニストが外用剤として投与される、項20に記載の組合せ。
項22.対象疾患がインフルエンザ、HIV、クラミジア、マラリア、結核、腫瘍、麻疹、麻疹、流行性耳下腺炎、水痘、黄熱、ロタウイルス胃腸炎、天然痘、肺炎球菌、狂犬病、コレラ、ジフテリア、百日咳、破傷風、日本脳炎、パピローマウイルス、肝炎(A型、B型、C型)及びエボラ出血熱、デング熱、ジカ熱などからなる群より選択される少なくとも一種である、項17、19〜21のいずれか1項に記載の組合せ。
項23.哺乳動物に項1又は2のいずれか1項に記載のワクチンアジュバントを投与する工程、及び
哺乳動物に抗原を投与する工程
を含む、疾患の予防又は治療方法。
項24.RARγのアゴニストがレチノイドであり、かつ対象疾患がインフルエンザである、項23に記載の方法。
項25.RARγのアゴニストがレチノイドである、項23に記載の方法。
項26.RARγのアゴニスト投与後、少なくとも4時間経過後に抗体が投与される投与スケジュールで用いるための、項23〜25のいずれか1項に記載の方法。
項27.RARγのアゴニストが外用剤として投与される、項26に記載の方法。
項28.対象疾患がインフルエンザ、HIV、クラミジア、マラリア、結核、腫瘍、麻疹、麻疹、流行性耳下腺炎、水痘、黄熱、ロタウイルス胃腸炎、天然痘、肺炎球菌、狂犬病、コレラ、ジフテリア、百日咳、破傷風、日本脳炎、パピローマウイルス、肝炎(A型、B型、C型)及びエボラ出血熱、デング熱、ジカ熱などからなる群より選択される少なくとも一種である、項23、25〜27のいずれか1項に記載の方法。
本発明によれば、TSLPを選択的に誘導し、ワクチンに配合した場合に中和抗体を産生することができる化学合成アジュバントを提供することができる。
実施例1の結果を示す。*P<0.05, **P<0.01, ***P<0.001. 実施例2の結果を示す。 実施例3の結果を示す。 実施例4の結果を示す。 実施例5の結果を示す。 実施例6の結果を示す。**P<0.01, ***P<0.001. 実施例7の結果を示す。
ワクチンアジュバント
本発明は、レチノイン酸受容体γ(Retinoic acid receptor γ、RARγ)のアゴニストを含むワクチンアジュバントを提供する。レチノイン酸の受容体としては、レチノイン酸受容体(Retinoic acid receptor、RAR)及びレチノイドX受容体(retinoid X receptor, RXR)が知られている。本発明において、RARγのアゴニストとは、これら受容体のうち、レチノイン酸受容体(RAR)に属するRARγに対しアゴニスト活性を有する化合物を意味する。
本発明において、RARγのアゴニストとしては、レチノイド及びレチノイド以外のRARγアゴニストが挙げられ、レチノイドが好ましい。また、本発明において、レチノイドとしては、レチノイン酸又はその塩、レチナール、レチノール等が挙げられ、レチノイン酸又はその塩が好ましい。レチノイン鎖又はその塩としては、典型的には下記式
で表されるAll−trans−レチノイン酸(atRA):9-cis−レチノイン酸、13-cis−レチノイン酸、9,13-cis−レチノイン酸、これらの塩等が挙げられる。
レチノイド以外のRARγアゴニストとしては、3-フルオロ-4-[[2-ヒドロキシ-2-(5,5,8,8-テトラメチル-5,6,7,8,-テトラヒドロ-2-ナフタレニル)アセチル]アミノ]-安息香酸(3-fluoro-4-[[2-hydroxy-2-(5,5,8,8-tetramethyl-5,6,7,8,-tetrahydro-2-naphthalenyl)acetyl]amino]-benzoic acid)(BMS189961、CAS 番号: 185629-22-5)又はその塩;3-フルオロ-4-[[(2R)-ヒドロキシ-2-(5,5,8,8-テトラメチル-5,6,7,8,-テトラヒドロ-2-ナフタレニル)アセチル]アミノ]-安息香酸(3-fluoro-4-[[(2R)-hydroxy(5,5,8,8-tetramethyl-5,6,7,8-tetrahydro-2-naphthalenyl)acetyl]amino]-benzoic acid)(BMS 270394、CAS 番号:262433-54-5)又はその塩等が挙げられる。本発明の有効成分であるRARγのアゴニストが塩の形態の場合、当該塩は、酸付加塩、及び塩基との塩を包含する。酸付加塩の具体例として、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、過塩素酸塩、リン酸塩等の無機酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、安息香酸塩、トリフルオロ酢酸塩、酢酸塩、メタンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩等の有機酸塩、及びグルタミン酸塩、アスパラギン酸塩等の酸性アミノ酸塩が挙げられる。塩基との塩の具体例としては、ナトリウム塩、カリウム塩又はカルシウム塩のようなアルカリ金属又はアルカリ土類金属塩、ピリジン塩、トリエチルアミン塩のような有機塩基との塩、リジン、アルギニン等の塩基性アミノ酸との塩が挙げられる。これらのRARγのアゴニストは自体公知であるか、公知の化合物から適宜製造することができる。また、これらのRARγのアゴニストは、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。尚、本発明には、RARγのアゴニストが水和物又は溶媒和物の形で存在する場合も包含される。また、RARγのアゴニストが立体異性体、幾何異性体等を生じ得る場合、特に明記しない限り、立体異性体、及び幾何異性体は本発明の有効成分であるRARγのアゴニストに包含される。
本発明においては、有効成分であるRARγのアゴニストそのものをアジュバントとして用いても、薬学的に許容される各種担体(例えば、例えば等張化剤、キレート剤、安定化剤、pH調節剤、防腐剤、抗酸化剤、溶解補助剤、粘稠化剤等)と組み合わせたアジュバント組成物として用いてもよい。また、本発明においては、RARγのアゴニストにRARαアゴニストを併用すると共同作用をもたらすことができ好ましい。RARαアゴニストとしては、特に限定されないが、例えば、4-[[(2,3-ジヒドロ-1,1,3,3-テトラメチル-2-オキソ-1H-インデン-5-ニル)カルボニル]アミノ]-安息香酸(4-[[(2,3-Dihydro-1,1,3,3-tetramethyl-2-oxo-1H-inden-5-yl)carbonyl]amino]-benzoic acid)(BMS753、CAS 番号:215307-86-1);4-[[(5,6,7,8-テトラヒドロ-5,5,8,8-テトラメチル-2-ナフタレニル)アミノ]カルボニル]安息香酸 (4-[[(5,6,7,8-Tetrahydro-5,5,8,8-tetramethyl-2-naphthalenyl)amino]carbonyl]benzoic acid) (Tamibarotene、CAS 94497-51-5)、4-[(5,6,7,8-テトラヒドロ-5,5,8,8-テトラメチル-2-ナフタレニル)カルボキサミド]安息香酸(4-[(5,6,7,8-Tetrahydro-5,5,8,8-tetramethyl-2-naphthalenyl)carboxamido]benzoic acid)(CAS 102121-60-8)等が挙げられる。RARγのアゴニストとRARαアゴニストとの配合割合は特に限定されないが、例えば、前者1モルに対し、後者を0.1〜10モル、好ましくは0.5〜6モル、好ましくは1〜5モルの範囲で適宜設定できる。
等張化剤としては、例えば、グルコース、トレハロース、ラクトース、フルクトース、マンニトール、キシリトール、ソルビトール等の糖類、グリセリン、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール等の多価アルコール類、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム等の無機塩類等が挙げられる。
キレート剤としては、例えば、エデト酸二ナトリウム、エデト酸カルシウム二ナトリウム、エデト酸三ナトリウム、エデト酸四ナトリウム、エデト酸カルシウム等のエデト酸塩類、エチレンジアミン四酢酸塩、ニトリロ三酢酸又はその塩、ヘキサメタリン酸ソーダ、クエン酸等が挙げられる。
安定化剤としては、例えば、亜硫酸水素ナトリウム等が挙げられる。
pH調節剤としては、例えば、塩酸、炭酸、酢酸、クエン酸等の酸が挙げられ、さらに水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、炭酸ナトリウム等のアルカリ金属炭酸塩又は炭酸水素塩、酢酸ナトリウム等のアルカリ金属酢酸塩、クエン酸ナトリウム等のアルカリ金属クエン酸塩、トロメタモール等の塩基等が挙げられる。
防腐剤としては、例えば、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル等のパラオキシ安息香酸エステル、グルコン酸クロルヘキシジン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化セチルピリジニウム等の第4級アンモニウム塩、アルキルポリアミノエチルグリシン、クロロブタノール、ポリクォード、ポリヘキサメチレンビグアニド、クロルヘキシジン等が挙げられる。
抗酸化剤としては、例えば、亜硫酸水素ナトリウム、乾燥亜硫酸ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、濃縮混合トコフェロール等が挙げられる。
溶解補助剤としては、例えば、安息香酸ナトリウム、グリセリン、D−ソルビトール、ブドウ糖、プロピレングリコール、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、マクロゴール、D−マンニトール等が挙げられ、
粘稠化剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、メチルセルロース、エチルセルロース、カルメロースナトリウム、キサンタンガム、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール等が挙げられる。
また、上記アジュバント組成物は、RARγのアゴニスト以外に、アジュバントとして使用し得ることが知られている化合物をさらに含んでいてもよい。
アジュバント組成物の実施形態において、組成物中のRARγのアゴニストの含有量は特に限定されず、RARγのアゴニストの含有量換算で、例えば、90質量%以上、70質量%以上、50質量%以上、30質量%以上、10質量%以上、5質量%以上、1質量%以上等の条件から適宜設定できる。
本発明においてRARγのアゴニストを投与するための製剤形態は、特に限定されず、例えば錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、シロップ剤等の経口投与剤;注射剤(静脈注射、筋肉注射、局所注射等)、含嗽剤、点滴剤、外用剤(軟膏、クリーム、貼付薬、吸入薬)、座剤等の非経口投与剤等等の各種製剤形態を挙げることができる。上記製剤形態のうち、好ましいものとしては、例えば、経口投与剤、注射剤、外用剤等が挙げられる。本発明の有効成分であるRARγのアゴニストは、塗布によってもTSLPの産生誘導作用を奏することができる。侵襲性の低さ、非特異的なアジュバント効果発現の抑制(投与部位付近に対するアジュバント効果が期待できる)、簡便性等の観点から、軟膏、クリーム、貼付薬等の外用剤として用いることが特に好ましい。外用剤として投与する場合、投与部位は、特に限定されず、外用剤が通常適用される箇所に使用することができるが、例えば、皮膚、口腔内等が挙げられ、皮膚が好ましい。
本発明のワクチンアジュバントは、抗原と組み合わせてワクチンとし、これを哺乳動物等の対象に投与することにより使用することができる。従って、本発明は、哺乳動物に前記ワクチンアジュバントを投与する工程、及び哺乳動物に抗原を投与する工程を含む、疾患の予防又は治療方法も提供する。後述するように、本発明の方法には、前記ワクチンアジュバントと抗原とを間隔を空けて投与する方法だけでなく、両者を同時に投与する方法も包含される。従って、本発明の方法には、哺乳動物に前記ワクチンアジュバントを投与する工程と哺乳動物に抗原を投与する工程とを別々に行う方法(例えば、アジュバント投与工程の、前、同時及び/又は後に抗原投与工程を行う方法)、及び両工程を同時に行う方法のいずれもが含まれる。
哺乳動物としては、ヒト、サル、マウス、ラット、ウサギ、ネコ、イヌ、ブタ、ウシ、ウマ、ヒツジ等が挙げられる。本発明のワクチンアジュバントは従来ワクチン治療の対象となっている疾患のいずれに対しても使用可能であるが、典型的な対象疾患としては、例えば、インフルエンザ(A型、B型及びC型)、HIV、クラミジア、マラリア、結核、腫瘍、麻疹、流行性耳下腺炎、水痘、黄熱、ロタウイルス胃腸炎、天然痘、肺炎球菌、狂犬病、コレラ、ジフテリア、百日咳、破傷風、日本脳炎、パピローマウイルス、肝炎(A型、B型、C型)及びエボラ出血熱、デング熱、ジカ熱等が挙げられる。本発明は、上記疾患の予防、治療、特に予防に用いることができる。
製剤中のRARγのアゴニストの含有量は、投与経路、患者の年齢、体重、症状等によって異なり一概に規定できないが、RARγのアゴニストの1回投与量が通常0.001〜10mg程度とすればよい。
本発明において、アジュバントの有効成分であるRARγのアゴニストは、ワクチンと同時に投与してもよいが、一定の間隔を空けて別々に投与することが好ましい。本発明者らは、RARγのアゴニストを患者に投与した際、一定時間経過後(典型的には、外用剤の場合、投与後約24時間後)にTSLPの産生誘導作用が最大化することを見出した。従って、本発明の好ましい実施形態において、本発明のワクチンアジュバントは、RARγのアゴニスト投与後、少なくとも4時間経過後、好ましくは少なくとも12時間経過後、より好ましくは23時間経過後、より好ましくは24時間経過後に抗原が投与される投与スケジュールで用いることができる。また、本発明の好ましい実施形態において、本発明のワクチンアジュバントは、RARγのアゴニスト投与後、50時間経過より前、好ましくは36時間経過より前、より好ましくは25時間経過より前に抗原が投与される投与スケジュールで用いることができる。軟膏、クリーム、貼付薬等の外用剤の実施形態においては、軟膏、クリームの塗布後又は貼付薬の貼り付け後も、所定時間、持続的に有効成分が皮膚から吸収され続ける。この場合、本発明においては、「RARγのアゴニスト投与後、t時間経過後」とは、軟膏、クリームを塗布した時点又は貼付薬の貼り付けた時点からt時間経過後を意味する。また、本発明において、抗原を複数日に分けて(典型的には数日間の間隔を空けて)投与するスケジュールの場合、複数回の抗原投与のうち少なくとも1回に対してRARγのアゴニストを投与してもよいが、複数回の抗原投与の全てに対してRARγのアゴニストを投与することが好ましい。
抗原としては、特に限定されず、例えば、炭水化物、脂質、糖脂質、リン脂質、ポリペプチド、タンパク質、糖タンパク質、リポタンパク質、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、これらの化学的又は組換え型結合体等が挙げられる。また、抗原としては、ウイルス、真菌、細菌、寄生虫微生物、アレルゲン、自己分子等も挙げられる。インフルエンザワクチンに用いる抗原としては、例えば、ヘマグルチニン(HA)、ノイラミニダーゼ(NA)、M1タンパク質、M2タンパク質、核タンパク(NP)等が挙げられる。これらの抗原は1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明のワクチンアジュバントを用いることにより、TSLPを選択的に誘導することができ、主に液性免疫を増強することができる。また、本発明においては、RARγのアゴニストが樹状細胞、リンパ球等ではなく、上皮細胞を作用点としてTSLPを選択的に誘導しているものと考えられる。
ワクチン
本発明は、前述のワクチンアジュバント及び前述の抗原を組み合わせてなるワクチンを提供する。本発明のワクチンは、前記ワクチンアジュバント及び前記抗原を共に含む製剤の形態であってもよく、ワクチンアジュバントと、抗原を含む製剤とを別個に備えたキットの形態であってもよい。本発明における「ワクチンアジュバント及び抗原を組み合わせてなるワクチン」には、上記両方の形態が包含される。
本発明において、ワクチンアジュバント及び前記抗原を共に含むワクチン製剤、又はワクチンキットに備えた抗原含有製剤は、薬学的に許容される各種担体(例えば、例えば等張化剤、キレート剤、安定化剤、pH調節剤、防腐剤、抗酸化剤、溶解補助剤、粘稠化剤等)をさらに配合してもよい。
等張化剤としては、例えば、グルコース、トレハロース、ラクトース、フルクトース、マンニトール、キシリトール、ソルビトール等の糖類、グリセリン、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール等の多価アルコール類、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム等の無機塩類等が挙げられる。
キレート剤としては、例えば、エデト酸二ナトリウム、エデト酸カルシウム二ナトリウム、エデト酸三ナトリウム、エデト酸四ナトリウム、エデト酸カルシウム等のエデト酸塩類、エチレンジアミン四酢酸塩、ニトリロ三酢酸又はその塩、ヘキサメタリン酸ソーダ、クエン酸等が挙げられる。
安定化剤としては、例えば、亜硫酸水素ナトリウム等が挙げられる。
pH調節剤としては、例えば、塩酸、炭酸、酢酸、クエン酸等の酸が挙げられ、さらに水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、炭酸ナトリウム等のアルカリ金属炭酸塩又は炭酸水素塩、酢酸ナトリウム等のアルカリ金属酢酸塩、クエン酸ナトリウム等のアルカリ金属クエン酸塩、トロメタモール等の塩基等が挙げられる。
防腐剤としては、例えば、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル等のパラオキシ安息香酸エステル、グルコン酸クロルヘキシジン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化セチルピリジニウム等の第4級アンモニウム塩、アルキルポリアミノエチルグリシン、クロロブタノール、ポリクォード、ポリヘキサメチレンビグアニド、クロルヘキシジン等が挙げられる。
抗酸化剤としては、例えば、亜硫酸水素ナトリウム、乾燥亜硫酸ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、濃縮混合トコフェロール等が挙げられる。
溶解補助剤としては、例えば、安息香酸ナトリウム、グリセリン、D−ソルビトール、ブドウ糖、プロピレングリコール、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、マクロゴール、D−マンニトール等が挙げられ、
粘稠化剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、メチルセルロース、エチルセルロース、カルメロースナトリウム、キサンタンガム、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール等が挙げられる。
本発明のうち、前記ワクチンアジュバント及び前記抗原を共に含むワクチン製剤の実施形態において、製剤中の抗原の含有量の上限は特に限定されないが、本発明の方法を用いることにより抗原量を低減することが期待でき、例えば、1質量%以下、好ましくは、0.1質量%以下、より好ましくは0.01質量%以下、より好ましくは0.001質量%以下等の条件から設定できる。製剤中の抗原の含有量の下限は特に限定されないが、好ましくは0.1質量%以上、0.001質量%以上、0.000001質量%以上等の条件から設定できる。本発明においてワクチン製剤の製剤形態は、特に限定されず、例えば錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、シロップ剤等の経口投与剤;注射剤(静脈注射、筋肉注射、局所注射等)、含嗽剤、点滴剤、外用剤(軟膏、クリーム、貼付薬、吸入薬)、座剤等の非経口投与剤等等の各種製剤形態を挙げることができる。上記製剤形態のうち、好ましいものとしては、例えば、経口投与剤、注射剤、外用剤等が挙げられる。製剤中の抗原の含有量は、投与経路、患者の年齢、体重、症状等によって異なり一概に規定できないが、抗原の1日投与量が通常10〜5000mg程度、より好ましくは100〜1000mg程度になる量とすればよい。1日1回投与する場合は、1製剤中にこの量が含まれていればよく、1日3回投与する場合は、1製剤中にこの3分の1量が含まれていればよい。
ワクチンキットの実施形態において製剤中の抗原の含有量は特に限定されず、例えば、通常の使用量と同等の量からその約1/1000程度の量までの間で適宜設定できる。また、本発明の別の好ましい実施形態において、製剤中の抗原の含有量の上限としては、例えば、1質量%以下、好ましくは、0.1質量%以下、より好ましくは0.01質量%以下、より好ましくは0.001質量%以下等の条件から設定できる。また、1つの好ましい実施形態において、製剤中の抗原の含有量の下限は、例えば、好ましくは0.1質量%以上、0.001質量%以上、0.000001質量%以上等の条件から設定できる。本発明においてワクチンキットに備えられる抗原製剤の製剤形態は、特に限定されず、例えば錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、シロップ剤等の経口投与剤;注射剤(静脈注射、筋肉注射、局所注射等)、含嗽剤、点滴剤、外用剤(軟膏、クリーム、貼付薬、吸入薬)、座剤等の非経口投与剤等等の各種製剤形態を挙げることができる。上記製剤形態のうち、好ましいものとしては、例えば、注射剤等が挙げられる。製剤中の抗原の含有量は、投与経路、患者の年齢、体重、症状等によって異なり一概に規定できないが、抗原の1日投与量が通常10〜5000mg程度、より好ましくは100〜1000mg程度になる量とすればよい。1日1回投与する場合は、1製剤中にこの量が含まれていればよく、1日3回投与する場合は、1製剤中にこの3分の1量が含まれていればよい。また、ワクチンキットの実施形態において、本発明には、必要に応じて他の成分を含めることができる。他の成分は、例えばアジュバント採取するための道具(例えば、注射器。)、等が挙げられるが、これに限定されない。また、前述の投与スケジュールを書き記した書面などを含むこともできる。
本発明のワクチンの対象疾患、投与スケジュール等としては、本発明のワクチンアジュバントについて前述したのと同様である。本発明にかかるワクチンのうち、RARγのアゴニストがレチノイドであり、かつ対象疾患がインフルエンザであるものが好ましい。
本発明は、TSLP産生能を有する化合物のうち、RARγのアゴニストが単にTSLP産生能を有するだけでなく、それ以外のタンパク質(特に、アレルギー反応に関与するTNF-α、IL-1β、IL-4等のタンパク質)よりもTSLPを選択的に誘導すること、及び実際にワクチンに配合して被験体に投与した場合に中和抗体を産生することを見出し完成させたものである。
尚、これに対し、非特許文献4(Immunobiology 221(2016) 161-165)には、単にレチノイン酸がTSLPを誘導したことが記載されているに止まり、それ以外のタンパク質ではなくTSLPを選択的に誘導することについても開示がない。そもそも、また、当該非特許文献4は、オボアルブミンで感作したマウスの血中TSLPが測定されているに止まり、なんらかの疾患に関連する抗原と共にTSLPを投与することについても、当該疾患に対する中和抗体を産生したとの具体的な開示もない。従って、非特許文献3には、レチノイン酸を含むワクチンを使用できる程度に記載されているとはいえない。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。
実施例1 レチノイン酸のTSLP発現誘導作用(図1)
All-trans retinoic acid (atRA, Sigma Aldrich) を 0.2 〜 20 nmolを含むアセトン溶液20μlをICRマウス (日本エスエルシー, 雄, SPF, 6週齢) の耳介に塗布した。24時間後にマウスを脱血死させ、耳介を採取した。重量を測定し、それをサンプルチューブ (TOMY) に入れ、10 倍量 (w/v) のホモジナイズ用 buffer を加えて、ビーズ式細胞破砕装置(Precyllys 24, Bertin tech.) 用いて、5,000 rpm・30 秒間, 2 回ホモジナイズを行った。得られたホモジネートを21,600 xg, 4 ℃ で 20 分間遠心し、その上清中のTSLP量をELISA キット (R&D Systems)で測定した (左)。また、採取した皮膚試料を 500 μl の RNAiso Plus(タカラバイオ)中で同様にビーズ式細胞破砕装置を用いてホモジナイズし、引き続いて、RNAiso Plus 付属の protocol に準じ、RNA を抽出した。得られた RNA 溶液の濃度を NanoDrop(R) spectrophotometer ND-1000 (Thermo Fisher Scientific) を用いて測定した。その後、PrimeScript(R)RT Master Mix (perfect Real Time) 付属の protocol に準じて、PCR thermal Cycler Dice(R) Gradient(タカラバイオ)を用いて cDNA 溶液を作製した。Thermal Cycle DiceTM Real Time System(タカラバイオ)において、SYBR(R) Premix Ex TaqTM II (Tli RNaseH Plus) を用いて、PCR 反応行った。以下のプライマーを用いた。
TSLP
Forward: 5’-AGCTTGTCTCCTGAAAATCGAG -3’(配列番号1)
Reverse: 5’-AGGTTTGATTCAGGCAGATGTT -3’(配列番号2)
GAPDH
Forward: 5’-TGT GTC CGT CGT GGA TCT GA-3’(配列番号3)
Reverse: 5’-TTG CTG TTG AAG TCG CAG GAG-3’(配列番号4)。
各サンプルの threshold cycle(Ct)値は2nd derivative maximum法により算出し、相対的検量線を作成して各遺伝子のPCR反応条件は増幅効率が100%に近いことを確認した後、Ct法によりRNA相対量に換算した(図1右)。
図1から明らかなように、atRAはTSLPの発現を蛋白レベル(図1、左)およびmRNAレベル(図1、右)を濃度依存的に増加させた。
実施例2 レチノイン酸によるTSLP産生の経時変化(図2)
All-trans retinoic acid (atRA, Sigma Aldrich) を 2 nmolを含むアセトン溶液 あるいはアセトン20μlをICRマウス(日本エスエルシー, 雄, SPF, 6週齢)の耳介に塗布した。一定時間後にマウスを脱血死させ、耳介を採取した。重量を測定し、それをサンプルチューブ (TOMY) に入れ、10 倍量 (w/v) のホモジナイズ用 buffer を加えて、ビーズ式細胞破砕装置(Precyllys 24, Bertin tech.) 用いて、5,000 rpm・30 秒間, 2 回ホモジナイズを行った。得られたホモジネートを21,600 xg, 4 ℃ で 20 分間遠心し、その上清中のTSLP量をELISAキット (R&D Systems)で測定した。atRA群、黒丸、アセトン群、白丸。
図2から明らかなように、atRAによるTSLP産生は塗布後24時間で最大に達し、以後減少した。
実施例3 レチノイン酸のTSLP選択的発現誘導作用(図3)
All-trans retinoic acid (atRA, Sigma Aldrich) を 2 nmolを含むアセトン溶液 あるいはアセトン20μlをICRマウス (日本エスエルシー, 雄, SPF, 6週齢) の耳介に塗布した。8時間後および24時間後にマウスを脱血死させ、耳介を採取した。重量を測定し、それをサンプルチューブ (TOMY) に入れ、10 倍量 (w/v) のホモジナイズ用 buffer を加えて、ビーズ式細胞破砕装置(Precyllys 24, Bertin tech.) 用いて、5,000 rpm・30 秒間, 2 回ホモジナイズを行った。得られたホモジネートを21,600 xg, 4 ℃ で 20 分間遠心し、その上清中のサイトカイン量をELISAで測定した。使用したELISAキットは以下の通りである。TSLP (R&D Systems), IL-1β(R&D Systems), TNF-α(eBioscience), およびIL-4 (eBioscience)。
図3から明らかなように、atRAはTSLPの発現を誘導したが、IL-1β, TNF-αおよびIL-4の発現は誘導しなかった。黒カラム アセトン塗布群、白カラム atRA (2 nmol) 塗布群、 *P<0.05, ***P<0.001.
実施例4 TSLP産生組織(図4)
All-trans retinoic acid (atRA, Sigma Aldrich) を 2 nmolを含むアセトン溶液 あるいはアセトン20μlをICRマウス(日本エスエルシー, 雄, SPF, 6週齢)の耳介に塗布した。24時間後にマウスを脱血死させ、耳介を採取した。1凍結切片を作成し、抗TSLP抗体(SantaCruz)を用いて蛍光免疫染色を行った。
図4から明らかなように、TSLPは主として上皮組織で発現していることが明らかになった。
実施例5 レチノイン酸塗布24時間後の耳介組織(図5)
All-trans retinoic acid (atRA, Sigma Aldrich) を 2 nmolを含むアセトン溶液 あるいはアセトン20μlをICRマウス(日本エスエルシー, 雄, SPF, 6週齢)の耳介に塗布した。24時間後にマウスを脱血死させ、耳介を採取した。凍結切片を作製し、Hematoxylin-Eosin 染色をおこなった。
atRAを塗布した場合でも、白血球浸潤などの炎症反応が誘発された所見はみられなかった。
実施例6 RARγアゴニストの作用(図6)
RARα アゴニストBMS753 (100 nnoml)ならびにRARγアゴニスト BMS189961 (20, 100 nmol) を含むアセトン溶液20μlをICRマウス (日本エスエルシー, 雄, SPF, 6週齢) の耳介に塗布した。24時間後にマウスを脱血死させ、耳介を採取した。重量を測定し、それをサンプルチューブ (TOMY) に入れ、10 倍量 (w/v) のホモジナイズ用 buffer を加えて、ビーズ式細胞破砕装置(Precyllys 24, Bertin tech.) 用いて、5,000 rpm・30 秒間, 2 回ホモジナイズを行った。得られたホモジネートを21,600 xg, 4 ℃ で 20 分間遠心し、その上清中のTSLP量をELISA キット (R&D Systems)で測定した。
RARγアゴニスト BMS189961は単独でTSLP産生を亢進した。RARα アゴニストBMS753単独ではTSLP産生の増加はみられなかったが、RARγアゴニスト BMS189961と併用することによりその作用を増強した。
実施例7 レチノイン酸による 抗OVA抗体(IgG1, IgE)の産生増強作用(図7)
All-trans retinoic acid (atRA, Sigma Aldrich) を 4, 12, 40 nmolを含むアセトン溶液 あるいはアセトン40μlをICRマウス(日本エスエルシー, 雄, SPF, 6週齢)の背部に塗布した。24時間後に同部位に、ovalbumin (OVA) 3 μgを含む生理食塩水50 μlを皮内注射した。2週間後、採血し、血清中の抗OVA IgG1および 抗OVA IgEレベルをそれぞれのELISAキット(Cayman)により測定した。
OVAを単独で注射した場合IgG1の産生はわずかにみられ、IgEの産生はほとんどみられなかった。IgG1の産生はatRA 4 nmolの前処理から顕著に誘導された。一方、IgEの産生は 12 nmol以上の塗布でわずかに増加した。
実施例8 レチノイン酸の組換えインフルエンザヘムアグルチニンに対する中和抗体産生増強作用
A(H1N1)株 (A/カリフォルニア/7/2009(H1N1) あるいはBビクトリア株(B/ブリスベン・60/2008)がもつインフルエンザヘムアグルチニンの遺伝子組換え体を抗原としてワクチン活性を評価した。All-trans retinoic acid (atRA, Sigma Aldrich) 40 nmolを含むアセトン溶液 あるいはアセトン40μlをBALB/cマウス(日本エスエルシー, 雌, SPF, 6週齢)の背部に塗布した。24時間後、組換えインフルエンザヘムアグルチニン3μgを含む生理食塩水 0.1 mlを皮下注射した。3週間後、再びall-trans retinoic acid (atRA, Sigma Aldrich) を 40 nmolを含むアセトン溶液 あるいはアセトン40μlを背部に塗布し、24時間後に組換えインフルエンザヘムアグルチニン3μgを含む生理食塩水 0.1 mlを皮下注射した。さらに2週間後採血した。組換えインフルエンザワクチンヘムアグルチニンによる赤血球凝集に対する血清の抑制作用を中和抗体価として評価した。1群5匹のマウスを用い、抗体価 (GMT) はGeomean関数を用いて算出した。結果を下記表1に示す。
表1から明らかなように、atRAの前処理によりいずれの組換えインフルエンザワクチンヘムアグルチニン皮内注射による中和抗体の産生をそれぞれ、8.6倍および12.2倍増加させた。
本発明は、純度の高く、起炎性が極めて低い低分子有機化合物がワクチンとして利用できるとする初めての発明である。また、本発明により、ワクチンとして従来用いていた未精製の抗原自身による副作用の低減、使用する抗原量の低減が期待できるとともに、個人差が少なく、安価で、後進国へのワクチンの提供も容易となると期待される。さらに、本発明のワクチンアジュバントは外用剤として塗布することができるため、侵襲性の低さ、非特異的なアジュバント効果発現の抑制、簡便性等の点で有用である。従って、本発明は産業上、非常に有用な発明である。

Claims (10)

  1. RARγのアゴニストを含むワクチンアジュバント。
  2. RARγのアゴニストがレチノイドである、請求項1に記載のワクチンアジュバント。
  3. RARγのアゴニスト投与後、少なくとも4時間経過後に抗体が投与される投与スケジュールで用いるための、請求項1又は2に記載のワクチンアジュバント。
  4. RARγのアゴニストが外用剤として投与される、請求項3に記載のワクチンアジュバント。
  5. 対象疾患がインフルエンザ、HIV、クラミジア、マラリア、結核、腫瘍、麻疹、麻疹、流行性耳下腺炎、水痘、黄熱、ロタウイルス胃腸炎、天然痘、肺炎球菌、狂犬病、コレラ、ジフテリア、百日咳、破傷風、日本脳炎、パピローマウイルス、肝炎及びエボラ出血熱、デング熱、及びジカ熱からなる群より選択される少なくとも一種である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のワクチンアジュバント。
  6. 請求項1又は2のいずれか1項に記載のワクチンアジュバント及び抗原を組み合わせてなるワクチン。
  7. RARγのアゴニスト投与後、少なくとも4時間経過後に抗体が投与される投与スケジュールで用いるための、請求項6に記載のワクチン。
  8. RARγのアゴニストが外用剤として投与される、請求項7に記載のワクチン。
  9. 対象疾患がインフルエンザ、HIV、クラミジア、マラリア、結核、腫瘍、麻疹、麻疹、流行性耳下腺炎、水痘、黄熱、ロタウイルス胃腸炎、天然痘、肺炎球菌、狂犬病、コレラ、ジフテリア、百日咳、破傷風、日本脳炎、パピローマウイルス、肝炎及びエボラ出血熱、デング熱、及びジカ熱からなる群より選択される少なくとも一種である、請求項6〜8のいずれか1項に記載のワクチン。
  10. RARγのアゴニストがレチノイドであり、かつ対象疾患がインフルエンザである、請求項6〜8のいずれかに記載のワクチン。
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