図1(a)、(b)に示す発明の好ましい一実施形態に係る物品送出しユニット10は、例えば物品の製品化工場等において、例えば化粧品類等を製品化するシステムに組み込まれて用いられ、内容物である化粧品類等を収容して1次包装したチューブ容器20を、例えば人手や自動機械による作業によって箱や袋に収納する2次包装を行なうための次工程に送り出す際に、2次包装を効率良く行なえるように、チューブ容器20を、表裏や向きを揃えた状態で一列に送り出すことができるようにするためのユニットとして組み込まれたものである。本実施形態の物品送出しユニット10は、表裏や向きをランダムにして物品供給部11に供給された、表裏のある物品である複数のチューブ容器20を、ピックアンドプレイス装置として機能するロボット30により各々ピックして(取り上げて)、コンベア部13を備える送り出し装置12にスピーディーにプレイスする(定められた位置および方向に置く)ことを可能にすると共に、チューブ容器20の表裏の反転は送り出し装置12に設けた表裏反転機構14で行うことで、ロボット30の制御を複雑にすることなく、ロボット30によって効率良く表裏のある物品20を整列させながら、次工程に送り出せるようにする機能を備えている。
そして、本実施形態の物品送出しユニット10は、物品供給部11に供給された表裏のある物品である複数のチューブ容器20を、ピックアンドプレイス装置として機能する好ましくはロボット30により各々取り上げて移送し、搬送方向Xに移動するコンベア部13を備える送り出し装置12に置くことにより、表側20a又は裏側20b(本実施形態では表側20a)を上に向けて揃えた状態で一列に並べて送り出せるようにする、例えば化粧品類を製品化するシステムに組み込まれて用いられるユニットである。ピックアンドプレイス装置であるロボット30は、物品であるチューブ容器20の表裏を判別して、揃える側である例えば表側20aとは逆側の裏側20bを上に向けているチューブ容器20を、裏側20bを上に向けたままの状態で、送出し装置12のコンベア部13の側方に配置された表裏反転機構14に移送して置くようになっている(図1(a)、図3参照)。表裏反転機構14は、図4(a)〜(d)に示すように、置かれたチューブ容器20を、当該チューブ容器20のコンベア部13側の部分20cとは反対側の部分20dを持ち上げることで、コンベア部13側の部分(以下「反転基部」とも称する。)20cとは反対側の部分20dを当該チューブ容器20の反転基部20cの上方を通過させてコンベア部13側に倒すことにより、反転させた状態でコンベア部13の上に載置させるようになっている。
また、本実施形態では、表裏反転機構14は、送り出し装置12のコンベア部13の側方に、送り出し方向Xに沿って配置される回転軸部15と、回転軸部15に一体として接合されて回転軸部15を中心に回動する反転プレート16とを備えており、反転プレート16は、図4(a)〜(d)に示すように、回転軸部15からの張出し長さが長い長面部16aと、長面部16aの回転軸部15側の端縁部から折曲がって延設する、回転軸部15からの張出し長さが短い短面部16bとからなる。反転プレート16は、チューブ容器20のコンベア部13側の部分である反転基部20cを短面部16bに係止し、長面部16aの上に置かれた裏側20bを上にしたままのチューブ容器20を(図4(a)参照)、反転プレート16を回動することで、表裏反転機構14によって、物品20における反転基部20cとは反対側の部分20dを持ち上げて(図4(b)参照)、反転基部20cの上方を通過させてコンベア部13側に倒すことにより(図4(c)参照)、表側が上に向くように反転させた状態でコンベア部13の上に載置させるようになっている(図4(d)参照)。
さらに、本実施形態では、送出し装置12のコンベア部13の側方に、図1(a)、(b)及び図3に示すように、送り出し方向Xに表裏反転機構14と一列に並べて配置されて、傾斜滑りプレート17が設けられている。この傾斜滑りプレート17は、図5(a)〜(c)に示すように、ピックアンドプレイス装置であるロボット30によって移送されて置かれた(図5(a)参照)、揃える側である表側20aを上に向けたチューブ容器20を滑らせて(図5(b)参照)、表側20aを上に向けたままの状態で、コンベア部13の上に載置させるようになっている(図5(c)参照)。
さらにまた、本実施形態では、送出し装置12のコンベア部13の搬送面の上方に、図1(a)、(b)及び図4(a)〜(d)に示すように、一対の搬送ガイド13aが、搬送方向である送り出し方法Xと垂直な方向に間隔をおいて、搬送方向Xに延設して設けられている。これらの一対の搬送ガイド13aは、送り出される物品であるチューブ容器20の最大幅W1よりも、小さい間隔W2をおいて設けられている(図4(d)、図5(a)参照)。
本実施形態では、物品送出しユニット10を構成するピックアンドプレイス装置30は、水平面方向への移動を可能にする水平移動機構と、垂直方向への移動を可能にする垂直移動機構と、物品20を把持するハンド部32の旋回を可能にする旋回機構とを備える公知の装置であり、図1(a)、(b)に示すように、好ましくはロボット30を用いることができる。また、ロボッット30は、左右両側に一対のアーム部31及びハンド部32を備える、双腕形ロボットであることが好ましい。ピックアンドプレイス装置を構成するロボット30として、双腕形ロボットを用いることにより、後述するように表裏反転機構14と傾斜滑りプレート17の組を2式以上(本実施形態では2式)設置する場合でも、ロボット30によるピックアンドプレイス装置を、よりコンパクトに高密度に設けることが可能になると共に、チューブ容器20を並べて配置する処理能力を高めることが可能になる。
ここで、ピックアンドプレイス装置を構成するロボット30の種類は特に限定されず、例えば垂直多関ロボット、水平多関節ロボット(スカラロボット)などのシリアルリンクロボット、パラレルリンクロボット等を好ましく用いることができる。垂直多関節ロボットは、広範囲な動作が可能で、ハンド部32の方向を自在にすることができことから、本実施形態で要求される全ての動作を行うことが可能である。水平多関節ロボット(スカラロボット)は、高速動作が可能で、安価である。水平多関節ロボットは、追加の回転軸をアーム部31の先端に設けることにより、ハンド部32の傾きを自在にすることができる。パラレルリンクロボットは、特に高速動作が可能である。パラレルリンクロボットは、追加の回転軸をアーム部31の先端に設けたり、追加の駆動部からの駆動を追加の回転ロッドによってアーム部31に伝達するなどの回転軸数の多いロボットを選定することにより、ハンド部32の傾きを自在にすることができる。
これらのロボット30は、表裏反転機構14と傾斜滑りプレート17の組を2式以上設けた場合には、各々の組に対してロボット30を各々配置して物品20のプレイスを行うことにより、チューブ容器20を並べて配置する処理能力を高めることが可能になる。各々のロボット30は、ピック時にハンド部32同士が干渉しないようにするために、ピックのタイミングをずらしたり、ピックの領域を制御によって制限したりすることが好ましい。また各々のロボット30に、独立した物品20の供給部を設けることもできる。各々のロボット30に独立した物品20の供給部を設ける場合、送出し装置12のコンベア部13による搬送方向Xの下流側に配置されたロボット30は、上流側のロボット30によりプレイスされて送出し装置12によって下流側に搬送される物品20と干渉しないタイミングで、傾斜滑りプレート17からコンベア部13の上に物品20が載置されるように、傾斜滑りプレート17に物品20をプレイスすることが必要である。また、上流側から下流側に搬送される物品20と干渉しないタイミングで、表裏反転機構14からコンベア部13の上に物品20が載置されるように、表裏反転機構14に物品20をプレイスすることが必要である。
表裏反転機構14と傾斜滑りプレート17の組を2式以上設けた場合には、上述のように、ロボット30を、左右両側に一対のアーム部31及びハンド部32を備える双腕形ロボットとすることが、複数のピックアンドプレイス装置をコンパクトに高密度に設置できるため好ましい。物品20をピックするタイミングをずらしたり、ピックの領域を互いに制限する制御は、双腕形ロボットに容易に組み込むことができる。ピックアンドプレイス装置として、垂直多関節ロボットを左右のアーム部31として備えた双腕形ロボット30を用いることが、本実施形態で要求される動作を容易に行うことができ、かつ複数のピックアンドプレイス装置をよりコンパクトに設けることができるので、より一層好ましい。
ロボット30のハンド部32には、物品20を把持する手段や機構が設けられるが、その方式は特に限定されることなく、公知の種々の把持手段や把持機構を用いることができる。一例として、バキュームパッド、エアー駆動式や電動式の開閉式チャック、電磁石式の把持機構などを用いることができる。バキュームパッドは物品20と接触するだけで把持できるので、把持動作を短時間に行うことが可能である。エアー駆動式や電動式の開閉式チャックは、吸着が容易な面が物品20に無い場合でも、物品20を挟み込むことで物品20を容易に把持することが可能である。また物品20が磁性体により吸着可能な物性を備えている場合には、物品20の形状や表面の状態にかかわらず、電磁石式の把持機構によって把持することが可能である。把持機構や把持手段は、通常は1つのハンド部32に1式設置されるが、2式以上の把持機構や把持手段を備えることにより、物品20をピックした位置からプレイスする位置までの移動回数を低減することができるので、短時間で多数の物品20を移送することが可能になる。
また、本実施形態では、ピックアンドプレイス装置として機能するロボット30は、物品供給部11に供給された物品であるチューブ容器20を、撮像装置33によって撮像できるようになっている。撮像した画像を画像処理装置(図示せず)に送って画像処理を行なうことにより、チューブ容器20の位置と方向、及び表裏を画像認識し、認識された画像の情報が再びロボット30に送られることで、ロボット30は、目標とするチューブ容器20を個々に取り上げる(ピックする)ことができる。撮像装置33は、物品20を撮像することが可能な公知の種々の装置を用いることができ、設置する位置は特に限定されないが、例えば双腕形ロボットであるロボット30の一対のアーム部31の付け根の中央部分である、頭部34に設置することが、両方の腕で作業できる範囲を撮像可能になるため好ましい(図1(b)参照)。撮像装置33を双腕形ロボット30の頭部34に設置することで、アーム部31と撮像装置33の相対的な位置関係を一定に保つことが可能になり、また撮像された画像とアーム部31の位置関係をマーカー等を利用して容易に調整することが可能になるので、例えばロボット30を移動した場合でも、撮像装置33からの情報とハンド部32との動きに関する微調整を最小にすることが可能になる。
また、撮像装置は、物品供給部11の上方に設けることもできる。物品供給部11の上方に撮像装置を設けることにより、物品供給部11の全体を少ない歪で撮像することが可能になるので、物品であるチューブ容器20の位置や方向や表裏を、さらに容易に且つ正確に画像認識することが可能になる。
物品であるチューブ容器20を画像認識することで行なわれる表裏の判断は、画像処理装置でチューブ容器20の位置や方向を認識する際に、同時に行っても良く、別の撮像装置や画像処理装置を用いて行っても良い。物品20によっては、バーコードリーダーによってバーコードのあるべき場所を確認して、バーコードが読めたか読めないかにより表裏を判断したり、表裏の色を判別するセンサにより表裏を判断したり、物品の表裏の形状差を確認可能な、簡易に対象物の有無を検知できるセンサを介して表裏を判断したりすることもできる。
本実施形態では、1次包装した複数のチューブ容器20が供給される物品供給部11は、撮像装置33によって撮像することが可能で、且つロボット30のハンド部32によりピックできる範囲に、多数の物品20を存在させることが可能な領域を備えていることが好ましい。物品供給部11は、例えば画像処理を行なう際に物品が互いに接触したり重なり合うことで誤認識が生じないように、また、ピックの際にピック対象の物品に重なった物品によって吸着が外れてピックが失敗したり、さらには、ピック対象の物品に重なった物品が飛ばされて物品ロスとなったり、飛ばされた物品により周辺装置に危険が生じたりしないように、物品20同士が重なったり接触したりするのを回避できるように、適度に分散させて物品20を存在させることが可能な機能を備えることが好ましい。物品供給部11は、図1(a)に示すように、1次包装後のチューブ容器20が搬送されるベルトコンベア部11aと、ベルトコンベア部11aを介して供給された物品20を分散させる分散部11bとを含んで構成されている。ベルトコンベア部11aは、例えば撮像装置や分散部11bに設けられた、物品20の有無を検知するセンサによって、物品20が分散部11bに無いことが認識されると、ストックされている1次包装後の物品20を搬送して、適量の物品20を分散部11bに供給する。
分散部11bは、ベルトコンベア部11aの下流側端部に一方の短辺部分を重ねるようにして、ベルトコンベア部11aに隣接して一段下がった位置に配置される、物品が区画外に落下しないように周囲を区画壁11cによって囲まれた、矩形の平面形状を有する板状部分となっている。分散部11bの上面は、適度に滑りの良い面となっていることで、ベルトコンベア部11aから供給された物品20が、分散部11bの全域に容易に散らばるようになっている。分散部11bの上面を摩擦係数の小さい樹脂で形成したり、分散部11bの上面に滑り易いテープを貼ったり、分散部11bの全域に複数のローラーを配置することなどによって、分散部11bの上面を、適度に滑りの良い面とすることができる。分散部11bの上面の滑りが悪いと、供給された物品20は他の供給された物品20に押される形でベルトコンベア部11aの下流側端部付近に集まってしまい、相互に重なったり接触した状態となり易い。滑りが良過ぎると、物品20は分散部11bの周縁部分に集まってしまい、同様に、相互に重なったり接触した状態となり易い。このため、分散部11bの上面の滑り易さは、物品20の形状や表面の状態、ベルトコンベア部11aによる供給速度等の状況に応じて、適宜調整することが好ましい。分散部11bにおける物品20の分散性を高めるために、分散部11bを振動させる機構や、水平方向や垂直方向に揺さぶる機構を設けることもできる。これらの機構を適宜組み合わせて設けることもできる。
また、本実施形態では、ピックアンドプレイス装置は、ロボット30により構成されているので、好ましくはロボット30のハンド部32を、物品供給部11の分散部11bの直上部分で移動させることにより、例えばハンド部32に設けられた把持機構の先端部によって物品20を散らして、物品分散部11に供給された物品20が重ならないように分散させることもできる。分散部11bにおいて、物品20が密着していたり、重なり合ったりしていると、撮像装置33によって撮像された画像からでは、個々の物品20を正確に画像認識することが困難になる場合がある。また複数のピックアンドプレイス装置30や複数のハンド部32を使用する際に、例えば分散部11bにおけるベルトコンベア部11aの下流側端部付近にばかり物品20が存在していて、ベルトコンベア部11aと離れた側には物品20が存在していないと、ベルトコンベア部11aとは離れた側のピックアンドプレイス装置30やハンド部32が、物品20をピックできなくなる場合がある。このような場合に、ハンド部32を分散部11bの直上部分で移動させて、物品20に作用させることで、バキュームパッド等の把持機構の先端部を介して物品20を散らし、物品20の間に距離を持たせたり、分散部11bの全域に物品を分散させたりすることで、撮像装置33によって撮像された画像から、個々の物品20を容易に且つ正確に画像認識できるようにし、これにより複数のピックアンドプレイス装置30やハンド部32の各々によって、個々の物品20を容易にピックできる状態とすることが可能になる。
ロボット30のハンド部32を、分散部11bの直上部分で移動させて物品20を散らす際の、例えば把持機構による作用方向は、特に限定されないが、物品20の存在が密なところから疎な方向に作用させることが好ましい。本実施形態では、例えば物品20が、ベルトコンベア部11aによって、矩形の平面形状を備える分散部11bの一短辺部側から供給されている場合には、好ましくは分散部11bの長辺部における明らかに物品20が存在していない箇所から進み、ベルトコンベア部11aから物品20が供給される部分である物品の存在が密になっている一短辺部の付近に移動させ、さらに物品20の存在が疎になっているベルトコンベア部11aによる供給方向の延長側へと移動させることにより、複数の物品20を、分散部11bの全域に効率良く散らすことが可能になる。
また、ロボット30のハンド部32に設けられた把持機構が、バキュームパッドによるものである場合は、バキュームパッドを物品20に作用させることで、物品20を散らすことが可能である。把持機構が開閉式チャックによるものである場合は、その先端部を物品20に作用させることで、物品20を散らすことが可能である。また物品20を散らすための、例えば板状や棒状の分散用の部材をハンド部32に取り付けて、物品20を散らすことも可能である。バキュームパッドは柔らかい素材からなるので、バキュームパッドを使用する場合は、物品20を傷つけることなく分散でき、しかも追加の分散用部材が不要であるため特に好ましい。開閉式チャックの先端部や分散用の部材を用いる際は、物品20に作用させる部分に弾性のあるゴムやスポンジなどを取付けることで、物品20が傷つくのを防止できる。
本実施形態では、物品供給部11の分散部11bは、搬送方向Xに移動するコンベア部13を備える後述する送り出し装置12を挟んで、ロボット30によるピックアンドプレイス装置30とは反対側に配置されて、矩形の平面形状の長辺方向を搬送方向Xに沿わせるようにして設けられていることが好ましい。分散部11bとロボット30がこのように配置されることで、ロボット30のハンド部32は、分散部11bから物品であるチューブ容器20を持ち上げるようにしてピックし、ピックしたチューブ容器20をロボット30側に引き戻した後に、下降して送り出し装置12の表裏反転機構14や傾斜滑りプレート17やベルトコンベア部11aにプレイスし、さらに分散部11bに次のチューブ容器20を取りに行くといったような、例えば搬送方向Xの下流側から見て、時計方向に円運動するような動作を繰り返して、各々のチューブ容器20を送り出し装置12に置くことが可能になる。これによって、さらに効率良く、チューブ容器20の表裏と前後の方向を揃えて一列に整列させる作業を行うことが可能になる。
分散部11bが配置される高さは、特に限定されないが、分散部11bからピックされたチューブ容器20が、移送されて送り出し装置12にプレイスされる際に、分散部11bに残された他のチューブ容器20と干渉しない最小の高さであって、しかもその高さが、送り出し装置12におけるプレイス時の高さと概ね一致する高さとすることが好ましい。これによって、ロボット30のハンド部32のピック時における高さ方向の移動時間を最小とし、かつプレイス時におけるチューブ容器20の高さ調整の時間を最小とすることが可能になる。
ここで、本実施形態では、物品供給部11の分散部11bから取り出されて、送り出し装置12のコンベア部13に置かれることで、例えば箱や袋に収納する2次包装を行なう次工程に送り出される物品は、1次包装により内容物として例えば化粧品類を収容した、チューブ容器20となっている。チューブ容器20は、図2(a)〜(e)に示すように、可撓性を有する合成樹脂製のシート材料を用いて形成されたチューブ本体20eと、チューブ本体20eの一端部に取り付けられた注出口部材(図示せず)を覆って着脱可能に装着される合成樹脂製のキャップ部材20fとを含んで形成されている。チューブ本体20eは、注出口部材が取り付けられた側とは反対側の他端部が、薄く平坦に押し潰されるようにしてシール接合部20gとしてシール接合されており、シール接合部20gは直線形状の部分となっており、その他の部分は、楕円状の断面形状を備えている。これによって、チューブ本体20aは、チューブ容器20の表側20aとなる部分と、裏側20bとなる部分とを備えることになり、チューブ容器20は、表裏のある物品となっている。またチューブ容器20は、例えばキャップ部材20fが装着された側を前側、シール接合部20gの側を後側として、前後のある物品となっている。
チューブ容器20のチューブ本体20aによる表側20aの表面には、例えば印刷によって装飾、商品名、また商品特長などが目立つように施されており、裏側20bの表面には、商品名、使用方法、原材料などの能書きが細かい文字で施されていたり、製造番号やバーコードが表示されている。これによって、物品供給部11で撮像装置33により撮像されたチューブ容器20の画像から、画像処理装置による画像認識によって、各々のチューブ容器20の表裏や前後を、容易に判別できる。
本実施形態では、物品供給部11においてロボット30によりピックされたチューブ容器20がプレイスされる送り出し装置12は、プレイスされた表裏や前後のある物品であるチューブ容器20を、例えば表側20aを上に向けて揃えると共に、キャップ部材20f側を搬送方向Xの前方側に配置して前後を揃えた状態で、次工程に向けて一列に並べて送り出す装置である。送り出し装置12は、搬送面である上面を搬送方向Xに所定の速度で移動させる帯状のコンベア部13と、コンベア部13を挟んだ両側に配置されて、回転ローラ等を介してコンベア部13を回動可能に支持する一対の支持フレーム部18とを含んで構成されている。支持フレーム部18には、搬送方向Xに所定の間隔をおいて、複数の支持プレート片18aが、支持フレーム部18の上方まで突出した状態で接合固定されている。これらの支持プレート片18aの突出部分に一端部が固定されて、張出し支持ロッド18bが、コンベア部13の上方に至るまで内側に張り出した状態で各々取り付けられている(図4(a)〜(d)参照)。これらの張出し支持ロッド18bに支持されて、一対の搬送ガイド13aが、搬送方向である送り出し方法Xと垂直な方向に間隔をおくと共に、搬送方向Xに延設して、コンベア部13の搬送面の上方に配置されて設けられている。ここで、コンベア部13の搬送面は、水平面に沿って配置されるのが一般的であるが、必要に応じて搬送方向Xに登りや下りの傾斜面としても良い 。
ここで、本実施形態では、好ましくは一対の搬送ガイド13aの内幅である搬送方向Xと垂直な方向の間隔W2は、チューブ容器20の最大幅W1よりも小さくなっている(図4(d)、図5(a)参照)。これによって、図4(d)及び図5(c)に示すように、チューブ容器20の一方の側部を一方の搬送ガイド13aの内側面に沿わせ、他方の側部を他方の搬送ガイド13aに乗り上げさせた、斜めに傾斜した状態で、チューブ容器20をコンベア部13に載置することが可能になる。またこれによって、例えばコンベア部13の終端部において、コンベア部13を搬送方向Xに移動させたまま、コンベア部13に置かれたチューブ容器20の移動をストッパ部13bによってストップさせた際に、前方のチューブ容器に後方のチューブ容器が乗り上げて上下に重なり、次工程で行なわれる例えば上方への取り出し作業などに支障を来すことになるのを効果的に回避できる。図6(a)、(b)は比較例であって、搬送方向Xと垂直な方向の間隔W2が、チューブ容器20の最大幅W1よりも大きくなっている。この場合に、チューブ容器20が斜めに傾斜することなくコンベア部13に平坦に載置されることになり、ストッパ部13bによってストップさせた際に、前方のチューブ容器20の、厚さが薄くなっているシール接合部20g側の後端部の上に、後方のチューブ容器20の先端部が乗り上げることで上下に重なることになって、次工程で行なわれる作業に支障を来すことがある。
このような支障を来さないようにする観点から、一対の搬送ガイド13aの搬送方向Xと垂直な方向の間隔W2は、チューブ容器20の最大幅W1の60〜80%程度とすることが好ましい。一対の搬送ガイド13aの間隔W2が、チューブ容器20の最大幅W1の60%以上となっていることにより、確実に且つ安定的に、斜めに傾斜させた状態で物品20を送り出し方向Xに搬送することが可能になる。一対の搬送ガイド13aの間隔W2が、チューブ容器20の最大幅W1の80%以内となっていることにより、チューブ容器20が傾斜する角度が大きくなり過ぎて、チューブ容器20が起立したり逆方向に転倒したりするのを効果的に回避することが可能になる。
また、本実施形態では、図1(a)、(b)に示すように、コンベア部13の側方に設けられた一対の支持フレーム部18のうち、ロボット30が配置された側の一方の支持フレーム部18に支持させて、送出し装置12に表裏反転機構14が設けられている。表裏反転機構14は、ロボット30の頭部34が配置される部分の両側に、一対設けられている。表裏反転機構14は、図3及び図4(a)〜(d)に示すように、一方の支持フレーム部18に固定される、内部に回転軸部15の駆動制御機構を備える取付け基台部19と、基台部19からコンベア部13による送り出し方向Xと平行に延設して、コンベア部13の側方に沿って配置される回転軸部15と、回転軸部15に一体として固着されて、回転軸部15を中心に回動する反転プレート16とを含んで構成されている。
表裏反転機構14の反転プレート16は、回転軸部15からの張出し長さが長い長面部16aと、長面部16aの回転軸部15側の端縁部から90°未満の角度θ1(図4(a)参照)で折曲がって延設する、回転軸部15からの張出し長さが短い短面部16bとからなる、略L形の断面形状を備える板状の部材となっている。反転プレート16は、長面部16aにおける、短面部16bが折れ曲って連設する側の端縁部と近接する部分において、短面部16bが折曲る側とは反対側の背面部に、回転軸部15が接合されていることにより、短面部16bと間の折曲り部を回転軸部15と平行に配置して、回転軸部15に一体として固定されている。
ここで、短面部16bの長面部16aに対する折曲り角度θ1は、好ましくは90°未満20°以上となっており、物品20の厚みや形状に応じて、最適な角度を適宜選択することができる。また、短面部16bの長面部16aに対する折曲り角度θ1は、30〜60°となっていることが特に好ましい。短面部16bの折曲り角度θ1を60°以下とすることにより、置かれた物品20が短面部16bと長面部16aとの間の部分からはみ出し易くなって、反転プレート16の回転中に物品20にがたつきか生じることで物品20の表裏の反転が不安定になるのを、効果的に回避するが可能になる。短面部16bの折曲り角度θ1を30°以上とすることにより、置かれた物品20が短面部16bと長面部16aとの間の部分に納まり難くなって、反転させながら物品20をコンベア部13にプレイスする際に、物品20が反転プレート16から反転が不十分な状態で落下し易くなるのを、効果的に回避することが可能になる。
また、ピックされた裏側20bを上に向けているチューブ容器20がプレイスされる反転プレート16の長面部16aの、反転プレート16を回転させる前のコンベア部13の搬送面に対する傾斜角度θ2(図4(a)参照)は、20〜60°となっていることが好ましい。反転プレート16の長面部16aの搬送面に対する傾斜角度θ2が、20°以上となっていることにより、プレイスされたチューブ容器20が、長面部16aに沿って下方に滑り易くなるので、チューブ容器20のプレイス位置が長面部16aの上の方になったり、チューブ容器20が斜めの状態でプレイスされても、長面部16aを容易に滑らせて、反転プレート16の下端部の短面部16bに、プレイスされたチューブ容器20のコンベア部13側の部分である反転基部20aを容易に係止させて、支持させることが可能になる。反転プレート16の長面部16aの搬送面に対する傾斜角度θ2が、60°以下となっていることにより、チューブ容器20をプレイスした際に、チューブ容器20が急斜面となった長面部16aによって予期せぬ方向に倒れ易くなるのを、効果的に回避することが可能になる。
反転プレート16にプレイスされたチューブ容器20を反転させてコンベア部13の上に載置させる際に、反転プレート16を回転させる回転角度は、反転プレート16の短面部16bと長面部16aとの折曲り角度θ1や、回転させる前の反転プレート16の長面部16aのコンベア部13の搬送面に対する傾斜角度θ2等を鑑みて、チューブ容器20が確実に反転する角度となるように適宜調整することができる。また反転プレート16を回転させる回転角度は、70〜110°とすることが好ましい。反転プレート16の回転角度を70°以上とすることにより、チューブ容器20のプレイス時と反転後とで、長面部16aの傾きに差をつけることができるので、プレイス時の安定性、及び反転時のチューブ容器20の挙動の安定性を向上させることが可能になる。反転プレート16の回転角度を110°以下とすることにより、目標時間における回転角度が小さくなり、その結果、回転角速度を小さくすることができるので、チューブ容器20の表裏の反転が安定した状態で行われるようにすることが可能になる。
さらに、本実施形態では、反転プレート16の好ましくは矩形形状を備える長面部16aの、短面部16bとの折曲り部からの長さは、物品であるチューブ容器20の最大幅W1の1.5〜3.0倍の長さとなっていることが好ましい。長面部16aの折曲り部からの長さが、物品20の最大幅W1の1.5倍以上となっていることにより、プレイス時に物品が長面部16aからはみ出して落下したり、長面部16aの上に正確に物品をプレイスするためのプレイス時間が長くなって、処理能力が低下し易くなるのを、効果的に回避することが可能になる。長面部16aの折曲り部からの長さが、物品20の最大幅W1の3.0倍以下となっていることにより、物品であるチューブ容器20の表裏を反転させるために反転プレート16を回転させる際に、長面部16aの先端が物品供給部11の分散部11b側に大きな軌跡を描くことになって、分散部11bでチューブ容器20をピックしているロボット30のハンド部32と干渉するのを、効果的に回避することが可能になる。
反転プレート16の好ましくは矩形形状を備える短面部16bの、長面部16aとの折曲り部からの長さは、チューブ容器20の表裏を反転させるために反転プレート16を回転させる際の、搬送方向Xの上流側又は下流側から見たチューブ容器20の重心位置Gとの関係を鑑みて、適宜設定することができる。例えば図4(b)に示すように、反転プレート16を所定の回転角度で回転させた際に、物品であるチューブ容器20の重心位置Gから鉛直方向に引いた線Zと、短面部16bの先端が干渉しない長さとなうように短面部16bを設けることによって、チューブ容器20の表裏の反転がスムーズに行われるようにすることが可能になる。
さらにまた、本実施形態では、反転プレート16を形成する長面部16a及び短面部16bの、コンベア部13による搬送方向Xの長さは、物品であるチューブ容器20の長さL(図2(a)参照)の80〜150%とすることが好ましい。長面部16a及び短面部16bの搬送方向Xの長さをチューブ容器20の長さLの80%以上とすることにより、プレイス時のずれによって、チューブ容器20が長面部16a及び短面部16bの長さ方向に大きくはみ出すことになるのを抑制し、はみ出した側の動きが反転時に不安定になって、うまく反転させることができなくなるのを、効果的に回避することが可能になる。150%以下の長さとすることにより、物品であるチューブ容器20に対して反転プレート16の長さ方向のサイズが大きくなり過ぎるのを防止し、後述する傾斜滑りプレート17の部分を含めた、ロボット30のハンド部32によって行われるチューブ容器20のプレイス範囲が広くなり過ぎないようにして、ピックアンドプレイス装置として、より小型のロボット30を使用できるようにすることが可能になる。
本実施形態では、ロボット30のハンド部32によってピックされた、裏側を上に向けている物品であるチューブ容器20を、表裏反転機構14の反転プレート16にプレイスするには、プレイスされるチューブ容器20のコンベア部13側の部分である反転基部20aが、短面部16bに係止されて支持されるように、長面部16aの下部にチューブ容器20を直接プレイスすることができる。また、チューブ容器20を、短面部16bと離間させて長面部16aの上部にプレイスした後に、長面部16aに沿って下方に滑らせて、コンベア部13側の部分である反転基部20aが短面部16bに係止されるようにすることもできる。反転基部20aが短面部16bに係止されるように、チューブ容器20を長面部16aの下部に直接プレイスすることにより、反転プレート16を回転させるまでは、チューブ容器20は反転プレート16上で動かないことになるので、反転プレート16を回転させる前に位置ずれが生じて不安定な状態になるのを、回避することが可能になる。チューブ容器20を、短面部16bと離間させて長面部16aの上部にプレイスすることにより、プレイス時の位置決めを正確に行う必要が無くなるので、プレイスの時間を短縮して、複数のチューブ容器20を、効率良く送り出し装置12のコンベア部13に並べて配置することが可能になる。
また、本実施形態では、図3(a)に示すように、チューブ容器20をプレイスする際に、物品であるチューブ容器20は、その重心位置Gが、当該チューブ容器20の長手方向においては、片側(キャップ部材20f側)に偏っていることから、重心位置Gが偏ったキャップ部材20f側を下方にして斜めに傾けた状態で、反転プレート16の長面部16aにプレイスすることが好ましい。プレイスされた重心位置Gが偏ったチューブ容器20は、キャップ部材20f側を下方に配置して斜めに傾けられた状態のまま、反転プレート16の長面部16aを滑り落ちる。これによって、例えば反転プレート16の長面部16aへのプレイス時にチューブ容器20の位置にずれが生じても、チューブ容器20は長面部16aを安定的に滑り、まず重心位置Gのあるキャップ部材20f側が短面部16bに接触して係止され、しかる後に反対のシール接合部20g側が短面部16bに接触して係止されるので、長面部16aを滑る際に、チューブ容器20が自ら回転したり、反転プレート16から飛び出したりすることになるのを効果的に回避することが可能になると共に、チューブ容器20を安定的な動きとすることが可能になる。
ここで、反転プレート16を形成する長面部16aや短面部16bのチューブ容器20がプレイスされる側の表面は、物品であるチューブ容器20を傷つけることがないように、平滑な面とすることが好ましい。平滑な面は、例えば、ステンレス製の磨き板や、表面の摩擦係数が小さいエンジニアリングプラスチック等を用いて形成することができる。また、反転プレート16が一体として取り付けられた回転軸部15の駆動を制御する、取付け基台部19の内部に設けられた駆動制御機構は、回転軸部15と共に反転プレート16を回転駆動させることのできる公知の種々の機構を採用することができる。例えば、減速機及びモーターからなる機構や、エアーシリンダーなどによる直線駆動をリンク機構を介して回転駆動に変換する機構等を用いることができる。モーターを用いた駆動機構の場合は、回転量により回転角度を容易に調整することが可能であり、直線駆動をリンク機構を介して回転駆動に変換する機構の場合は、直線駆動の直線移動距離やリンク機構のアームの長さを変更することなどによって、回転角度を容易に調整することが可能である。本実施形態では、回転軸部15は、好ましくは、例えばブラケットによって固定された減速機を介してモーターを回転させる駆動機構によって、その回転が駆動制御されるようになっている。
本実施形態では、送り出し装置12には、さらに、図1(a)、(b)に示すように、好ましくはピックアンドプレイス装置であるロボット30によって移送されて置かれ、揃える側である表側20cを上に向けたチューブ容器20を滑らせてコンベア部13の上に載置させる、傾斜滑りプレート17が設けられている。傾斜滑りプレート17は、送出し装置12のコンベア部13の側方において、コンベア部13による送り出し方向Xに沿って、表裏反転機構14と一列に並べて配置されて設けられている。すなわち、傾斜滑りプレート17は、コンベア部13の上方に設けられた一対の搬送ガイド13aのうち、ロボット30が配置された側の一方の搬送ガイド13aに支持させて(図5(a)〜(c)参照)、ロボット30の頭部34が配置される部分の送り出し方向Xの両側に、各々の表裏反転機構14の下流側に隣接させて、一対設けられている。これによって、本実施形態では、上述のように、双腕形ロボットとなっているロボット30の左右に配された各ハンド部32に対して、表裏反転機構14と傾斜滑りプレート17の組がそれぞれ設けられることになる。
傾斜滑りプレート17は、図5(a)〜(c)に示すように、矩形の正面形状を備えるプレート部材の一方の長辺部に沿った縁部分を、折曲げ縁部17bとして折り曲げて形成された、への字状の断面形状を有する板状部材となっている。傾斜滑りプレート17は、折曲げ縁部17bの折り曲げ側の面を、一方の搬送ガイド13aの上部内側面に密着させて接合固定することにより、折曲げ縁部17bから延設する本体部17aを、一方の搬送ガイド13aの上端部から外側に向けて斜め上方に所定の角度で張り出させた状態で、一方の搬送ガイド13aに取り付けられる。
ここで、傾斜滑りプレート17の本体部17aのコンベア部13の搬送面に対する傾斜角度θ3(図5(a)参照)は、20〜60°となっていることが好ましい。本体部17aの傾斜角度θ3を20°以上とすることにより、プレイスされたチューブ容器20が本体部17aを滑り落ち易くなるので、表側20cを上に向けたまま、チューブ容器20をコンベア部13まで容易に移動させることが可能になる。本体部17aの傾斜角度θ3を60°以下することにより、プレイスされたチューブ容器20が、急斜面となった本体部17aによって予期せぬ方向に倒れ易くなるのを、効果的に回避することが可能になる。
また、傾斜滑りプレート17の下端部は、一方の搬送ガイド13aの上端面よりも下方まで延設していることが好ましい。本実施形態では、傾斜滑りプレート17の本体部17aの下端に折れ曲がって連続する折曲げ縁部17bが、一方の搬送ガイド13aの上部内側面に接合固定されていることで、傾斜滑りプレート17の下端部は、搬送ガイド13aの上端面よりも下方まで延設している。これによって、表側20cを上に向けたチューブ容器20は、段差のない傾斜滑りプレート17の本体部17aを介して、搬送ガイド13aまで滑り落ちることができるので、表側20cを上に向けたまま、安定した状態でコンベア部13の上に移動させることが可能になる。一方の搬送ガイド13aの上部内側面に接合される傾斜滑りプレート17の折曲げ縁部17bは、その厚さをできるだけ薄くしたり、上流側の部分をテーパー加工したりすることによって、搬送方向Xの上流側から流れてくる、表裏反転機構14によって表裏が反転されてコンベア部13に載置された物品であるチューブ容器20や、上流側の傾斜滑りプレート17を滑り落ちてコンベア部13に載置されたチューブ容器20が、折曲げ縁部17bの上流側端部に引っ掛かって、コンベア部13による複数のチューブ容器20の搬送状態が不安定になるのを、効果的に回避することが可能になる。
傾斜滑りプレート17の本体部17aの一方の搬送ガイド13aの上端部からの張り出し長さは、反転プレート16の長面部16aの、短面部16bとの折曲り部からの長さと同様に、物品であるチューブ容器20の最大幅の1.5〜3.0倍の長さとなっていることが好ましい。傾斜滑りプレート17の本体部17aの搬送ガイド13aの上端部からの張り出し長さが、物品20の最大幅の1.5倍以上となっていることにより、プレイス時に物品が本体部17aからはみ出して落下したり、本体部17aの上に正確に物品をプレイスするためのプレイス時間が長くなって、処理能力が低下し易くなったりするのを、効果的に回避することが可能になる。本体部17aの搬送ガイド13aの上端部からの張り出し長さが、物品20の最大幅の3.0倍以下となっていることにより、送り出し装置12が占める占有面積を、小さく留めることが可能になる。
また、傾斜滑りプレート17のコンベア部13による搬送方向Xの長さは、反転プレート16の搬送方向Xの長さと同様に、物品であるチューブ容器20の長さLの80〜150%となっていることが好ましい。傾斜滑りプレート17の搬送方向Xの長さをチューブ容器20の長さLの80%以上とすることにより、プレイス時のずれによって、チューブ容器20が傾斜滑りプレート17の本体部17aの長さ方向に大きくはみ出すことになるのを抑制し、チューブ容器20が本体部17aを滑る際に、物品の動きが不安定になって表裏が入れ換わってしまうのを、効果的に回避することが可能になる。150%以下の長さとすることにより、物品であるチューブ容器20に対して本体部17aの長さ方向のサイズが大きくなり過ぎるのを防止し、上述の表裏反転機構14の部分を含めた、ロボット30のハンド部32によって行われるチューブ容器20のプレイス範囲が広くなり過ぎないようにして、ピックアンドプレイス装置として、より小型のロボット30を使用できるようにすることが可能になる。
また、本実施形態では、図3(b)に示すように、チューブ容器20をプレイスする際に、物品であるチューブ容器20は、上述のように、その重心位置Gが、当該チューブ容器20の長手方向においては、片側(キャップ部材20f側)に偏っていることから、重心位置Gが偏ったキャップ部材20f側を下方にして斜めに傾けた状態で、傾斜滑りプレート17の本体部17aにプレイスすることが好ましい。プレイスされた重心位置Gが偏ったチューブ容器20は、キャップ部材20f側を下方に配置して斜めに傾けられた状態のまま、傾斜滑りプレート17の本体部17aを滑り落ちる。これによって、例えば傾斜滑りプレート17の本体部17aへのプレイス時にチューブ容器20の位置にずれが生じても、チューブ容器20は本体部17aを安定的に滑り、まず重心位置Gのあるキャップ部材20f側が一方の搬送ガイド13aの内側面に沿ってコンベア部13の上に載置され、しかる後に反対のシール接合部20g側が一方の搬送ガイド13aの内側面に沿ってコンベア部13の上に載置されるので、本体部17aを滑る際に、チューブ容器20が自ら回転したり、本体部17aから飛び出したりすることになるのを効果的に回避することが可能になると共に、チューブ容器20を安定的な動きとすることが可能になる。
そして、本実施形態では、上述の構成を備える物品送出しユニット10において、物品供給部に供給された表裏のある物品であるチューブ容器20を、ピックアンドプレイス装置であるロボット30により各々取り上げて移送し、搬送方向Xに移動するコンベア部13を備える送り出し装置12に置くことにより、例えば表側20aを上に向けて揃えた状態で一列に並べて送り出すようになっている。また、本実施形態では、表裏のある物品であるチューブ容器20は、前後のある物品となっており、ピックアンドプレイス装置であるロボット30は、チューブ容器20の前後を揃えた状態で、表裏反転機構14、コンベア部13、又は傾斜スライドプレート17の上に載置して、一列に並べて送り出すようになっている。
すなわち、本実施形態では、撮像装置33によって物品供給部11の分散部11bに供給された各々のチューブ容器20を撮像し、画像処理装置で画像処理を行なうことにより、位置と方向、及び表裏が画像認識されたチューブ容器20のうち、揃える側である表側20aとは逆側の裏側20bを上に向けたチューブ容器20を、ロボット30のハンド部32によって把持することによりピックし、裏側20bを上に向けたままの状態で、且つキャップ部材20f側を搬送方向Xの上流側に向けて前後を揃えた状態で、送出し装置12のコンベア部13の側方に配置された表裏反転機構14に移送して反転プレート16に上にプレイスする。チューブ容器20がプレイスされた表裏反転機構14の反転プレート16は、図4(a)〜(d)に示すように、チューブ容器20のコンベア部13側の部分である反転基部20cを短面部16bに係止した状態で、長面部16aの上に置かれた裏側20bを上にしたままのチューブ容器20を(図4(a)参照)、反転プレート16を回動することで、当該チューブ容器20の反転基部20cとは反対側の部分20dを持ち上げさせて、チューブ容器20の重心位置Gから鉛直方向に引いた線Zが短面部16bの先端から外れるようにし(図4(b)参照)、反対側の部分20dを反転基部20cを超えさせてチューブ容器20をコンベア部13側に倒すことにより(図4(c)参照)、表側に反転させた状態でコンベア部13の上に載置させる(図4(d)参照)。
また、本実施形態では、位置と方向、及び表裏が画像認識されたチューブ容器20のうち、揃える側である表側20aを上に向けたチューブ容器20を、ロボット30のハンド部32によって把持することによりピックし、表側20aを上に向けたままの状態で、且つキャップ部材20f側を搬送方向Xの上流側に向けて前後を揃えた状態で、送出し装置12のコンベア部13の側方に配置された傾斜滑りプレート17に移送して当該反転プレート16に上にプレイスする。チューブ容器20がプレイスされた傾斜滑りプレート17は、図5(a)〜(c)に示すように、揃える側である表側20aを上に向けたチューブ容器20を滑らせて(図5(b)参照)、表側20aを上に向けたままの状態で、コンベア部13の上に載置させる(図4(c)参照)。
これらによって、本実施形態では、物品供給部11に供給された表裏のある物品である複数のチューブ容器20を、図1(a)に示すように、表側20aを上に向けて揃えた状態で、且つキャップ部材20f側を搬送方向Xの上流側に向けて前後を揃えた状態で、次工程に向けて一列に並べて順次搬送方向Xに送り出すことができるようになっている。
そして、上述の構成を備える本実施形態の物品送出しユニット10又は物品送出し方法によれば、ピックアンドプレイス装置であるロボット30のみの動きでチューブ容器20の表裏を反転するといった複雑な動作を行うことなく、ロボット30の単純な動きによって、スピィーディーに効率良く表裏のある物品を整列させて、次工程に送り出すことが可能になる。
すなわち、本実施形態によれば、ロボット30は、表裏が判別されて、揃える側である表側20aとは逆側の裏側20bを上に向けているチューブ容器20を、裏側20bを上に向けたままの状態で、表裏反転機構14に移送してプレイスするようになっており、表裏反転機構14は、プレイスされたチューブ容器20を、当該チューブ容器20のコンベア部13側の部分を反転基部20cとして、この反転基部20cとは反対側の部分20dを持ち上げることで、反転基部20cとは反対側の部分20dを反転基部20cの上方を通過させてコンベア部13側に倒すことにより、反転させた状態でコンベア部13の上に載置させるようになっている。
これによって、本実施形態によれば、ピックアンドプレイス装置であるロボット30は、把持したチューブ容器20を、表裏を反転させる複雑な動作を要することなく、選択された表裏反転機構14又は傾斜滑りプレート17の上にチューブ容器20の前後を揃えてプレイスするといった、ピックアンドプレイス装置としての本来の機能のための動きに専念することが可能になり、チューブ容器20の表裏を反転させる操作は、ロボット30により選択されてチューブ容器20がプレイスされた、ロボット30とは別の簡易な構成の表裏反転機構14によって行うようになっているので、ロボット30の制御を複雑にすることなく、ロボット30によって、スピィーディーに効率良く、表裏のある1次包装されたチューブ容器20を整列させて、例えば2次包装するための次工程に送り出すことが可能になる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されることなく種々の変更が可能である。例えば送出し装置のコンベア部の側方に、表裏反転機構と並べて配置して、傾斜滑りプレートを設ける必要は必ずしも無く、揃える側を上に向けた物品は、傾斜滑りプレートを介することなく、揃える側を上に向けたままの状態で、ピックアンドプレイス装置によってコンベア部の上に直接載置させるようにすることもできる。このようにした場合でも、揃える側とは逆側を上に向けている物品は、表裏反転機構によって反転させることができるので、上述と同様の作用効果が奏される。
また、物品送出しユニットにより表側又は裏側を上に向けて揃えた状態で送り出される物品は特に限定されない。送り出される物品は、内容物を収容して1次包装したチューブ容器である必要は必ずしも無く、例えば図7(a)〜(d)に示すように、平坦な底部25bに向けて断面積を徐々に減少させている、本体部25aが楕円の断面形状を備える内容物が入っていないボトル容器25や、図8(a)〜(d)に示すように、平坦な底部26bまで本体部26aが同様の楕円の断面形状を備えているボトル容器26等であっても良い。内容物は、上記の実施形態で示した化粧品類に限らず、例えば、紫外線防止剤、液体せっけん、シャンプーやリンス、洗剤、食品などであっても良いし、液体以外の粉末や固液混合品であっても良い。また、物品は、1次包装で内容物を収容する、前後のある容器である必要は必ずしも無く、図9(a)〜(d)に示すように、表裏はあるが前後のない平板状の箱や板などの物品27や、図10(a)〜(d)に示すように、上下(表裏)はあるが前後のない円形の平面形状を備えるキャッ部材28等であっても良い。
なお、上記の実施形態では物品の表側を上向きに揃えて送り出したが、裏側を上向きに揃えて送り出しても良い。
さらに、ピックアンドプレイス装置は、ロボットである必要は必ずしも無く、例えば図11(a)、(b)に示すような、水平面方向への移動を可能にする水平移動機構40,41と、垂直方向への移動を可能にする垂直移動機構42と、物品20を把持するハンド部43の旋回を可能にする旋回機構44とを備える、公知の種々のピックアンドプレイス装置を用いることもできる。