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JP2019067183A - 健康リスク分析装置およびプログラム - Google Patents

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中山 功
Isao Nakayama
功 中山
和幸 小林
Kazuyuki Kobayashi
和幸 小林
威夫 八木橋
Takeo Yagihashi
威夫 八木橋
香也子 濱中
Kayako Hamanaka
香也子 濱中
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Abstract

【課題】住宅の温度環境の改善による健康の維持および増進を促す。【解決手段】健康リスク分析装置(100)は、室温の時間変化を表す関数(173)に基づいて、室内温度環境の分析対象である建物の室内における第1の時刻(tp)での室温を推定する室温推定部(12)と、第1の時刻での室温の推定値(Tp1)と、室内温度環境の分析の基準となる基準温度(174)との差(ΔT)を算出する温度差算出部(13)と、前記差に基づいて室内に存在する分析対象者の血圧変動値(ΔP)を推定する血圧変動値推定部(14)と、血圧変動値に基づいて、前記分析対象者の健康リスクの変化の度合を算出する健康リスク変化度合算出部(15)と、前記健康リスクの変化の度合に基づいて、前記分析対象者の室内温度環境の変化に伴う健康リスクの変化を示す情報を出力する情報出力部(16)とを有することを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、健康リスク分析装置およびプログラムに関し、特に、室内の温度環境に基づく健康リスクを分析する健康リスク分析装置に関する。
一般に、心血管疾患は、血圧の上昇により発症リスクが増大し、生命にかかわるような重篤な症状をもたらす場合があることが知られている。心血管疾患の発症リスクを下げるためには、血圧を下げることが最も効果的である。血圧は、日々の食事や運動等の生活習慣を改善することにより、下がることが知られている。また、近年の研究によれば、上述した生活習慣の改善に加えて、住宅における曝露温度、特に冬季の住宅における曝露温度を上昇させることにより、血圧の上昇を効果的に抑えられることが知られている(非特許文献1参照)。
従来、心血管疾患などの生活習慣病の発症リスクを分析し、生活習慣の改善を促す技術が知られている。例えば、特許文献1には、被験者の検査結果および問診に関するデータに基づいて、将来における所定の疾患の発症確率を算出し、被験者の所定の疾患の発症リスクの程度を示す情報を表示する発症リスク分析装置が開示されている。
特開2011−70405号公報
「住宅の断熱化と居住者の健康への影響に関する調査の中間報告」,別添資料(断熱改修等による居住者の健康への影響調査),2017年1月13日,国土交通省,http://www.mlit.go.jp/common/001158517.pdf
上記非特許文献1によれば、冬季の住宅における曝露温度を上昇させるためには、住宅性能を向上させることが効果的である。例えば、断熱改修等のリフォームにより、住宅の断熱性能を向上させることにより、血管疾患等の発症リスクを改善できると考えられる。
しかしながら、特許文献1に代表される従来技術では、被験者の検査結果等に基づいて将来における所定の疾患の発症リスクを評価することはできるが、発症リスクの改善のために住宅の温度環境の改善を促すことまでは行われていない。
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであり、健康の維持および増進のための住宅の温度環境の改善を促すことを目的とする。
本発明の代表的な実施の形態に係る健康リスク分析装置は、室温の時間変化を表す関数に基づいて、室内温度環境の分析対象である建物の室内における第1の時刻での室温を推定する室温推定部と、前記第1の時刻での室温の推定値と、室内温度環境の分析の基準となる基準温度との差を算出する温度差算出部と、前記差に基づいて、前記室内に存在する分析対象者の血圧変動値を推定する血圧変動値推定部と、前記血圧変動値に基づいて、前記分析対象者の健康リスクの変化の度合を算出する健康リスク変化度合算出部と、前記健康リスクの変化の度合に基づいて、前記分析対象者の室内温度環境の変化に伴う健康リスクの変化を示す情報を出力する情報出力部と、を有することを特徴とする。
本発明に係る健康リスク分析装置によれば、健康の維持および増進のための住宅の温度環境の改善を促すことが可能となる。
本発明の一実施の形態に係る健康リスク分析装置の構成を示す図である。 健康リスク分析装置のハードウェア構成を示す図である。 室温関数の一例を示す図である。 室温関数の一例を示す図である。 曝露温度と起床時の血圧との関係を示す図である。 住宅の断熱性能の改善による健康リスクの改善効果を提示する場合の健康リスク分析装置における処理の流れを示す図である。 住宅の断熱性能の改善による発症リスクの改善度合を示す情報の表示例を示す図である。 空調設備の稼働による健康リスクの改善効果を提示する場合の健康リスク分析装置における処理の流れを示す図である。 空調設備の稼働による発症リスクの改善度合を示す情報の表示例を示す図である。
1.実施の形態の概要
先ず、本願において開示される発明の代表的な実施の形態について概要を説明する。なお、以下の説明では、一例として、発明の構成要素に対応する図面上の参照符号を、括弧を付して記載している。
〔1〕本発明の代表的な実施の形態に係る健康リスク分析装置(100)は、室温の時間変化を表す関数(173)に基づいて、室内温度環境の分析対象である建物の室内における第1の時刻(tp)での室温を推定する室温推定部(12)と、前記第1の時刻での室温の推定値(Tp1)と、室内温度環境の分析の基準となる基準温度(174)との差(ΔT)を算出する温度差算出部(13)と、前記差に基づいて、前記室内に存在する分析対象者の血圧変動値(ΔP)を算出する血圧変動値推定部(14)と、前記血圧変動値に基づいて、前記分析対象者の健康リスクの変化の度合を算出する健康リスク変化度合算出部(15)と、前記健康リスクの変化の度合に基づいて、前記分析対象者の室内温度環境の変化に伴う健康リスクの変化を示す情報を出力する情報出力部(16)とを有することを特徴とする。
〔2〕上記健康リスク分析装置において、前記建物の性能を示す建物性能情報を取得するデータ取得部(11)を更に有し、前記室温推定部は、前記建物性能情報(170)に基づいて前記関数を決定する関数決定部(121)と、前記関数決定部によって決定した前記関数を用いて、前記第1の時刻での室温を算出する温度算出部(122)とを含んでもよい。
〔3〕上記健康リスク分析装置において、前記関数決定部は、断熱性能改善前の前記建物に関する前記建物性能情報に基づいて第1の前記関数(173_1)を決定するとともに、断熱性能改善後の前記建物に関する前記建物性能情報に基づいて第2の前記関数(173_2)を決定し、前記温度算出部は、前記第1の前記関数を用いて前記第1の時刻での第1の室温(Tp1)を算出するとともに、前記第2の前記関数を用いて前記第1の時刻での第2の室温(Tp2)を算出し、前記第2の室温を前記基準温度(174)として設定し、前記温度差算出部は、前記第1の室温と前記基準温度との差を算出し、前記情報出力部は、前記健康リスクの変化を示す情報として、前記建物の断熱性能の改善による健康リスクの改善度合を示す情報を出力してもよい。
〔4〕上記健康リスク分析装置において、前記関数決定部は、断熱性能改善前の前記建物に関する前記建物性能情報に基づいて前記関数を決定し、前記温度算出部は、前記関数決定部によって決定した前記関数を用いて前記第1の時刻での室温(Tp1)を算出するとともに、前記室内における室温の目標値(Ttgt)を前記基準温度(174)として設定し、前記温度差算出部は、前記温度算出部によって算出した前記第1の時刻での室温(Tp1)と、前記基準温度として設定した前記目標値との差(ΔT)を算出し、前記情報出力部は、前記健康リスクの変化を示す情報として、空調設備を稼働させることによる健康リスクの改善度合を示す情報を出力してもよい。
〔5〕上記健康リスク分析装置において、前記建物性能情報は、前記住宅の熱損失係数を含んでもよい。
〔6〕上記健康リスク分析装置において、前記建物性能情報は、前記住宅の築年数を含んでもよい。
〔7〕本発明の代表的な実施の形態に係るプログラムは、室温の時間変化を表す関数に基づいて、室内温度環境の分析対象である建物の室内における第1の時刻での室温を推定する室温推定ステップ(S2,S3,S2A,S3A)と、前記室温推定ステップによって推定した前記第1の時刻での室温と、室内温度環境の分析の基準となる基準温度(174)との差を算出する温度差算出ステップ(S4)と、前記温度差算出ステップによって算出した前記差に基づいて、前記室内に存在する分析対象者の血圧変動値を推定する血圧変動値推定ステップ(S5)と、前記血圧変動値推定ステップによって推定した前記血圧変動値に基づいて、前記分析対象者の健康リスクの変化の度合を算出する健康リスク変化度合算出ステップ(S6)と、前記健康リスク変化度合算出ステップによって算出した前記健康リスクの変化の度合に基づいて、前記分析対象者の室内温度環境の変化に伴う健康リスクの変化を示す情報を出力する情報出力ステップ(S7,S7A)とを、コンピュータに実行させることを特徴とする。
〔8〕上記プログラムにおいて、前記建物の性能を示す建物性能情報(170)を取得するデータ取得ステップ(S1,S1A)を更に含み、前記室温推定ステップは、前記建物性能情報に基づいて前記関数を決定する関数決定ステップ(S2)と、前記関数決定ステップによって決定した前記関数を用いて、前記第1の時刻での室温を算出する温度算出ステップ(S3)とを含んでもよい。
〔9〕上記プログラムにおいて、前記関数決定ステップ(S2)は、断熱性能改善前の前記建物に関する前記建物性能情報に基づいて第1の前記関数を決定するステップ(S21)と、断熱性能改善後の前記建物に関する前記建物性能情報に基づいて第2の前記関数を決定するステップ(S22)とを含み、前記温度算出ステップ(S3)は、前記第1の前記関数を用いて前記第1の時刻での第1の室温(Tp1)を算出するステップ(S31)と、前記第2の前記関数を用いて前記第1の時刻での第2の室温(Tp2)を算出し、前記第2の室温を前記基準温度(174)とするステップ(S32)とを含み、前記温度差算出ステップは、前記温度算出ステップによって算出した前記第1の室温(Tp1)と前記基準温度(174)との差を算出するステップを含み、前記情報出力ステップは、前記健康リスクの変化を示す情報として、前記建物の断熱性能の改善による健康リスクの改善度合を示す情報を出力するステップ(S7)を含んでもよい。
〔10〕上記プログラムにおいて、前記関数決定ステップ(S2A)は、断熱性能改善前の前記建物に関する前記建物性能情報に基づいて前記関数を決定するステップ(S21A)を含み、前記温度算出ステップ(S3A)は、前記関数決定ステップによって決定した前記関数を用いて前記第1の時刻での室温を算出するステップ(S31A)と、前記室内における室温の目標値を前記基準温度として設定するステップ(S32A)とを含み、前記情報出力ステップは、前記健康リスクの変化を示す情報として、空調設備を稼働させることによる健康リスクの改善度合を示す情報を出力するステップ(S7A)を含んでもよい。
〔11〕上記プログラムにおいて、前記建物性能情報は、前記建物の熱損失係数を含んでもよい。
〔12〕上記プログラムにおいて、前記建物性能情報は、前記建物の築年数を含んでもよい。
2.実施の形態の具体例
以下、本発明の実施の形態の具体例について図を参照して説明する。なお、以下の説明において、各実施の形態において共通する構成要素には同一の参照符号を付し、繰り返しの説明を省略する。
〈健康リスク分析装置の構成〉
図1は、本発明の一実施の形態に係る健康リスク分析装置の構成を示す図である。
同図に示される健康リスク分析装置100は、建物の室内温度環境の変化に伴う健康リスクを分析するための装置であり、具体的には、建物の室内温度環境を改善することによる健康リスクの改善効果をユーザに提示する。
ここで、健康リスクとは、例えば心血管疾患等の疾患の発症リスクを言う。また、本実施の形態では、室内温度環境の分析対象である建物が「住宅」である場合を一例として説明するが、これに限定されるものではない。
より具体的には、健康リスク分析装置100は、断熱性能の改善またはエアコン等の空調設備の稼働による、住宅の居住者の心血管疾患やその他疾患の発症リスクの改善効果をユーザ(例えば居住者)に提示する。
図1に示されるように、健康リスク分析装置100は、機能ブロックとして、データ取得部11、室温推定部12、温度差算出部13、血圧変動値推定部14、健康リスク変化度合算出部15、情報出力部16、および記憶部17を備えている。これらの機能部は、例えばパーソナルコンピュータ、タブレット端末、スマートフォン、およびサーバ等のコンピュータがプログラムを実行することによって実現される。
図2は、健康リスク分析装置100のハードウェア構成を示す図である。
図2に示すように、健康リスク分析装置100は、演算装置101、記憶装置102、入力装置103、I/F(Interface)装置104、表示装置105、およびバス106を主要なハードウェア構成要素として備えている。
演算装置101は、CPU(Central Processing Unit)やDSP(Digital Signal Processor)等のプロセッサによって構成されている。記憶装置102は、演算装置101に各種のデータ処理を実行させるためのプログラム1021と、演算装置101によるデータ処理で利用されるパラメータや演算結果等のデータ1022とを記憶する記憶領域を有し、例えばROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD、およびフラッシュメモリ等から構成されている。
入力装置103は、外部から情報の入力を検出する機能部であり、例えばキーボード、マウス、ポインティングデバイス、ボタン、またはタッチパネル等から構成されている。I/F装置104は、外部との情報の送受を行う機能部であり、有線または無線によって通信を行うための通信制御回路や入出力ポート、アンテナ等から構成されている。
表示装置105は、演算装置101によるデータ処理によって得られた情報等を表示する機能部であり、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)や有機EL(Electro Luminescence)等のディスプレイと、当該ディスクプレイへの情報の表示を制御する表示制御回路等から構成されている。バス106は、演算装置101、記憶装置102、入力装置103、I/F装置104、および表示装置105を相互に接続し、これらの装置間でデータの授受を可能にする機能部である。
健康リスク分析装置100では、演算装置101が記憶装置102に記憶したプログラム1021に従って演算を実行して、記憶装置102、入力装置103、I/F(Interface)装置104、表示装置105、およびバス106を制御することにより、図1に示したデータ取得部11、室温推定部12、温度差算出部13、血圧変動値推定部14、健康リスク変化度合算出部15、情報出力部16、および記憶部17等の機能ブロックが実現される。
なお、健康リスク分析装置100は、図2に示すように一台のコンピュータによって実現されてもよいし、有線または無線によって互いに通信可能に接続された複数台のコンピュータ(例えば、クライアントサーバシステム)によって実現されていてもよく、健康リスク分析装置100は、図2に示したハードウェア構成に限定されない。
以下、健康リスク分析装置100を構成する各機能ブロックについて説明する。
データ取得部11は、外部から入力された、健康リスク分析装置100による演算に必要な各種パラメータ等のデータを取得し、記憶部17に記憶する機能部である。例えば、データ取得部11は、後述する建物性能情報170を外部から取得し、記憶部17に記憶する。
記憶部17は、健康リスク分析装置100による演算に必要な各種パラメータ等のデータや、上記演算によって得られた演算結果等を記憶する機能部である。具体的に、記憶部17には、健康リスク分析装置100による演算に必要なデータとして、建物性能情報170、室温関数173、基準温度174、血圧変動値関数175、および健康リスク変化度合関数176等が記憶される。なお、これらのデータの詳細については、後述する。
室温推定部12は、室内温度環境の分析対象である建物(住宅)の室温(曝露温度)を推定するための機能部である。室温推定部12は、室温関数173に基づいて、所望の時刻での室温を算出する。
ここで、室温関数173とは、建物の室温の時間変化を表す関数である。室温関数173は、例えば下記式(1)によって表すことができる。
上記式(1)において、tは時間を表し、Tは時間tにおける室温を表し、Tintは室温の初期値を表し、Tbは建物の外気温を表す。Aは、建物性能情報170に基づいて決定される係数である。
ここで、建物性能情報170とは、建物の性能を表す情報であり、例えば、建物の断熱性能を表す一つの指標である熱損失係数(Q値)である。係数Aは、熱損失係数と相関があり、熱損失係数が大きくなるほど大きくなる。
図3A,3Bは、室温関数の一例を示す図である。
図3A,3Bにおいて、横軸は時間を表し、縦軸は室温を表す。図3Aにおいて、参照符号173_1は、熱損失係数がQ1である住宅においてエアコン等の空調設備が稼働していない場合の室温の時間変化を表す関数であり、参照符号173_2は、熱損失係数がQ2(<Q1)である住宅においてエアコン等の空調設備が稼働していない場合の室温の時間変化を表す関数である。
図3Aに示されるように、住宅の熱損失係数が大きくなるほど(Q2→Q1)、時間の経過に伴う室温の低下率が大きくなる。逆の観点から言えば、住宅の熱損失係数を小さくすることにより(Q1→Q2)、時間の経過に伴う室温の低下率を小さくして、室内温度環境を改善することができる。
また、図3Bに示すように、参照符号173_1に従って室温が変化している住宅において、例えば時刻tfにエアコン等の空調設備が稼働させた場合、参照符号180に示されるように室温を所望の温度(例えば、室温の目標値Ttgt)まで上昇させて、室内温度環境を改善することができる。
室温推定部12は、関数決定部121と温度算出部122とを含んで構成されている。
関数決定部121は、建物性能情報170に基づいて室温関数173を決定する機能部である。具体的に、関数決定部121は、データ取得部11によって取得した建物性能情報170としての熱損失係数に基づいて係数Aを決定し、その係数Aに基づいて室温関数173を決定する。
例えば、熱損失係数(Q値)と係数Aとの関係を示す関数またはテーブルを予め記憶部17に記憶しておく。関数決定部121は、記憶部17に記憶されたその関数またはテーブルを用いて、データ取得部11によって取得した熱損失係数から係数Aを決定する。そして、関数決定部121は、決定した係数Aを上記式(1)のパラメータ(変数)とした室温関数173を生成する。
なお、室温関数173の係数A以外のパラメータ、すなわち式(1)における室温の初期値Tintおよび外気温Tbは、予め記憶部17に記憶しておいた値を用いてもよいし、データ取得部11によって外部から取得した値を用いてもよい。
温度算出部122は、関数決定部121が決定した室温関数173を用いて、室内温度環境の分析対象である建物の室内における所望の時刻での室温を算出する機能部である。
例えば、図3Aにおける時刻tpでの室温を算出する場合を考える。図3Aにおいて、関数決定部121が室温関数173_1を生成した場合、温度算出部122は、室温関数173_1を表す上記式(1)の変数“t”に“tp”を代入することにより得られた温度Tを、時刻tpにおける温度の推定値(第1の室温)Tp1として出力する。また、関数決定部121が室温関数173_2を生成した場合、温度算出部122は、室温関数173_2を表す上記式(1)の変数“t”に“tp”を代入することにより得られた温度Tを、時刻tpにおける温度の推定値(第2の室温)Tp2として出力する。
温度差算出部13は、室温推定部12によって推定した所望の時刻での室温と基準温度174との差(以下、「曝露温度差」とも称する。)ΔTを算出する機能部である。
ここで、基準温度174は、室内温度環境の分析の基準となる室温である。詳細は後述するが、基準温度174は、温度差算出部13によって記憶部17に設定される。
血圧変動値推定部14は、温度差算出部13によって算出した曝露温度差ΔTに基づいて、室内に存在する分析対象者の血圧変動値ΔPを推定する機能部である。具体的に、血圧変動値推定部14は、曝露温度差ΔTと血圧変動値ΔPとの関係を表す関数(血圧変動値関数)175を用いて、温度差算出部13によって算出した曝露温度差ΔTから血圧変動値ΔPを算出する。
図4は、曝露温度と起床時の血圧との関係を示す図である。
図4において、横軸は曝露温度(室温)であり、縦軸は起床時の血圧である。
一般に、人の起床時の血圧は、その人の曝露温度が大きくなるほど小さくなることが知られている(非特許文献1参照)。例えば、図4に示すように、血圧変動値をΔP、曝露温度差をΔT、係数をβとしたとき、血圧変動値関数175は、下記式(2)で表すことができる。ここで、β<0である。
上述の式(1)と上記式(2)から理解されるように、例えば住宅の断熱性能を改善させることにより、起床時(時刻tp)における居住者の曝露温度を上昇させて血圧の上昇量を減らすことが可能となる。
また、例えば、図3Bに示すように、室温が室温関数173_1に従って時間の経過とともに低下している場合に、エアコンを稼働させて、時間変化に伴う室温の特性が関数180となるように制御することにより、起床時(時刻tp)における居住者の曝露温度を室温の目標値Ttgtまで上昇させて血圧の上昇量を減らすことが可能となる。
具体的に、血圧変動値推定部14は、例えば上記式(2)で表される血圧変動値関数175に、温度差算出部13によって算出した曝露温度差ΔTを代入することによって、血圧変動値ΔPを算出する。なお、係数βを含む血圧変動値関数175は、例えば記憶部17に予め記憶されている。
健康リスク変化度合算出部15は、血圧変動値推定部14によって推定した血圧変動値ΔPに基づいて、健康リスクの変化の度合を算出する機能部である。
例えば、疾病の発症リスクと、血圧変動値ΔP、疾病の発症リスクと強い相関を持つ血液検査項目の値(例えばLDLコレステロール値等)、性別、および年齢との関係を表す関数を、実際の発症実績(発症確率)等を考慮して予め回帰分析を行うことにより導出し、その関数を健康リスク変化度合関数176として記憶部17に予め記憶しておく。
健康リスク変化度合関数176は、例えば、疾病の標準的な発症リスクを基準(基準値=1)とした場合に、その基準値に対する相対値と血圧変動値ΔPとの関係を示す関数として表される。健康リスク変化度合関数176は、例えば、心血管疾患や糖尿病等の疾病毎に用意され、記憶部17に記憶されている。
具体的に、健康リスク変化度合算出部15は、記憶部17に記憶した健康リスク変化度合関数176を用いて、血圧変動値推定部14によって推定した血圧変動値ΔPから疾病毎の発症リスクの変化の度合を算出する。算出される発症リスクの変化の度合は、上述したように、疾病の標準的な発症リスクの基準値(=1)に対する相対値で表され、例えば、“1/4”,“1/3”,“1/2”等である。
ここで、健康リスク変化度合関数176における血圧変動値ΔP以外のパラメータ、すなわち血液検査項目、性別、および年齢は、データ取得部11によって外部から取得してもよいし、固定値として予め記憶部17に記憶しておいてもよい。例えば、性別および年齢範囲(例えば50代、60代等)毎の血圧検査項目の標準値をテーブルとして予め記憶部17に記憶しておき、データ取得部11によって外部から取得した性別および年齢のデータに対応する血圧検査項目の標準値を、上記テーブルから読み出してもよい。
なお、健康リスク変化度合関数176は、少なくとも変動値ΔPと疾病の発症リスクとの関係を表す関数であればよく、回帰分析の方法やパラメータ等は、上述の例に制限されない。
情報出力部16は、健康リスク変化度合算出部15によって算出した健康リスクの変化の度合に基づいて、分析対象者の室内温度環境の変化に伴う健康リスクの変化を示す情報を出力する機能部である。例えば、情報出力部16は、上記健康リスクの変化を示す情報を表示装置105の表示部(ディスプレイ)に表示させる。
上記健康リスクの変化を示す情報としては、例えば、住宅の断熱性能の改善による健康リスクの改善度合を示す情報や、エアコン等の空調設備を稼働させることによる健康リスクの改善度合を示す情報である。これらの情報の詳細については後述する。
〈健康リスク分析装置の動作〉
次に、本実施の形態に係る健康リスク分析装置100の動作について説明する。
以下、健康リスク分析装置100が、住宅の室内温度環境の改善による健康リスクの改善効果をユーザに提示するための処理の流れを、図を用いて説明する。
ここでは、一例として、分析対象の住宅の居住者が就寝してから起床するまでの冬季における室温の変化を分析し、その分析結果に基づいて、住宅の断熱性能の改善またはエアコン等の空調設備の稼働による健康リスクの改善効果をユーザに提示するための処理について説明する。
先ず、健康リスク分析装置100が、住宅の断熱性能の改善による健康リスクの改善効果を提示する場合の処理について説明する。
図5は、住宅の断熱性能の改善による健康リスクの改善効果を提示する場合の健康リスク分析装置100における処理の流れを示す図である。
図5に示すように、先ず、健康リスク分析装置100は、入力装置103としてのキーボードやタッチパネル等から、住宅の断熱性能の改善による健康リスクの分析の実行命令が入力された場合、室内温度環境の分析対象である住宅の建物性能情報170を取得する(ステップS1)。このとき、その住宅の居住者(分析対象者)に関する情報(性別および年齢等)も合わせて取得する。
具体的には、データ取得部11が、入力装置103としてのキーボードやタッチパネル等から入力された、現在(断熱性能改善前)の住宅の熱損失係数(Q値)、その住宅の居住者の性別、および年齢(または年齢範囲)等のデータを取得し、記憶部17に記憶する。
次に、健康リスク分析装置100は、室温関数173を決定する(ステップS2)。具体的には、先ず、関数決定部121が、上述した手法により、ステップS1で取得した断熱性能改善前の住宅の熱損失係数(Q1)と、室温の初期値Tintと、外気温Tbとに基づいて、断熱性能改善前の住宅に係る室温関数173を決定する(ステップS21)。
室温の初期値Tintは、就寝時の室温である。外気温Tbは、例えば、分析対象の住宅が存在する地域における冬季の外気温の平年値である。室温の初期値Tintおよび外気温Tbは、例えば予め記憶部17に記憶されており、関数決定部121は、記憶部17に記憶された値を用いるものとする。
ここでは、断熱性能改善前の住宅に係る室温関数173として、上述した図3における関数173_1が決定されたとする。
次に、関数決定部121が、断熱性能改善後の住宅に係る室温関数173を決定する(ステップS22)。具体的に、関数決定部121は、上述した手法により、断熱性能改善後の住宅の熱損失係数(Q2)と、室温の初期値Tintと、外気温Tbとに基づいて、断熱性能改善後の住宅に係る室温関数173を決定する。
断熱性能改善後の熱損失係数は、例えば、リフォーム等により断熱改修を行った住宅(例えば木造住宅)における熱損失係数の一般的な値(例えば平均値)であり、その値は予め記憶部17に記憶されているものとする。
ここでは、断熱性能改善後の住宅に係る室温関数173として、上述した図3Aにおける関数173_2が決定されたものとする。
次に、健康リスク分析装置100は、分析対象の住宅の室温を推定する(ステップS3)。具体的には、先ず、温度算出部122が、断熱性能改善前の住宅において、居住者が起床する時刻での室温を算出する(ステップS31)。例えば、図3Aにおいて、居住者が時刻tpに起床する場合、温度算出部122は、関数173_1の変数tに“tp”を代入することにより、起床時刻tpでの室温の推定値Tp1を算出する。
なお、起床時の時刻tpは、データ取得部11によって外部から取得した値であってもよいし、予め記憶部17に記憶されている固定値(例えば、午前7時)であってもよい。
次に、住宅の断熱性能を改善した場合を仮定し、その場合における、起床時刻tpでの室温を算出する(ステップS32)。例えば、住宅の断熱改修後の室温関数173が図3に示す関数173_2で表されると仮定した場合、温度算出部122は、関数173_2の変数tに“tp”を代入することにより、起床時刻tpでの室温の推定値Tp2を算出する。温度算出部122は、算出した室温の推定値Tp2を、基準温度174として記憶部17に設定する(ステップS33)。
次に、健康リスク分析装置100は、断熱性能改善前の住宅における起床時刻tpでの室温の推定値Tp1と記憶部17に設定した基準温度174との差を算出し、曝露温度差ΔTとして記憶部17に記憶する(ステップS4)。
上述したように、基準温度174は、断熱性能改善後の住宅における起床時刻tpでの室温の推定値Tp2であるので、曝露温度差ΔTは、図3Aに示すように、ステップS31で算出した室温の推定値Tp1とステップS32で算出した室温の推定値Tp2との差ΔTである。
次に、健康リスク分析装置100は、血圧変動値ΔPを推定する(ステップS5)。具体的には、血圧変動値推定部14が、上述の手法により、記憶部17に記憶されている血圧変動値関数175を用いて、ステップS4で算出した曝露温度差ΔTから血圧変動値ΔPを算出し、記憶部17に記憶する。
次に、健康リスク分析装置100は、健康リスク変化度合を算出する(ステップS5)。具体的には、健康リスク変化度合算出部15が、上述の手法により、記憶部17に記憶されている健康リスク変化度合関数176を用いて、ステップS5で推定した血圧変動値ΔPと、ステップS1で取得した居住者の性別および年齢(年齢範囲)とから、疾病毎の発症リスクの変化度合を算出する。
次に、健康リスク分析装置100は、住宅の断熱性能改善後の健康リスクの情報を出力する(ステップS7)。具体的には、情報出力部16が、ステップS6で算出した疾病毎の発症リスクの変化度合に基づいて、住宅の断熱性能の改善による発症リスクの改善度合を示す情報56を、分析対象者の室内温度環境の変化に伴う健康リスクの変化を示す情報として表示装置105の表示部に表示させる。
図6は、住宅の断熱性能の改善による発症リスクの改善度合を示す情報の表示例を示す図である。
例えば、図6に示すように、住宅の断熱性能の改善による発症リスク(健康リスク)の改善度合を示す情報56は、表示装置105の表示部(ディスプレイ)50に表示される。
具体的に、情報56は、居住者の年齢に関する情報51と、分析対象の疾病名称の情報52と、情報52によって特定される疾病の発症リスクに関する情報53と、住宅の室温環境の改善に関する情報54とを含む。
ここで、情報51は、上述のステップS1において取得した居住者の年齢に関する情報であり、情報53は、上述のステップS6で算出した病毎の発症リスクの変化度合に基づく情報であり、情報54は、住宅の断熱性能の改善を促す情報である。
図6には、リフォーム等によって住宅の断熱改修を行うことによって、50代男性の心血管病の発症リスクが三分の一になることを示す情報を表示装置105に表示した場合が一例として示されている。
健康リスク分析装置100が、以上の手順で処理を行うことにより、住宅の断熱性能の改善による健康リスクの改善効果をユーザに提示することができる。
次に、健康リスク分析装置100が、エアコン等の空調設備の稼働による健康リスクの改善効果を提示する場合の処理について説明する。
図7は、空調設備の稼働による健康リスクの改善効果を提示する場合の健康リスク分析装置100における処理の流れを示す図である。
例えば、入力装置103としてのキーボードやタッチパネル等から、空調設備の稼働による健康リスクの分析処理の実行命令が入力された場合、先ず、健康リスク分析装置100は、室温環境の分析対象である住宅の建物性能情報170を取得する(ステップS1)。このとき、その住宅の居住者に関する情報(性別および年齢等)も合わせて取得する。
具体的には、データ取得部11が、入力装置103としてのキーボードやタッチパネル等から入力された、現在(断熱性能改善前)の住宅の熱損失係数(Q値)、その住宅の居住者の性別、および年齢(または年齢範囲)等のデータを取得し、記憶部17に記憶する。
次に、健康リスク分析装置100は、室温関数173を決定する(ステップS2A)。具体的には、関数決定部121が、上述した手法により、ステップS1で取得した断熱性能改善前の住宅の熱損失係数と、室温の初期値Tintと、外気温Tbとに基づいて、断熱性能改善前の住宅に係る室温関数173を決定する(ステップS21A)。
ここでは、断熱性能改善前の住宅に係る室温関数173として、図3Bにおける関数173_1が決定されたとする。
次に、健康リスク分析装置100は、分析対象の住宅の室温を推定する(ステップS3A)。具体的には、温度算出部122が、断熱性能改善前の住宅において、居住者が起床する時刻での室温を算出する(ステップS31A)。例えば、図3Bにおいて、居住者が時刻tpに起床する場合、温度算出部122は、図3Bに示す関数173_1の変数tに“tp”を代入することにより、起床時刻tpでの室温の推定値Tp1を算出する。
次に、温度算出部122が、室温の目標値Ttgtを基準温度174として記憶部17に設定する(ステップS32A)。
ここで、室温の目標値Ttgtは、疾病予防の室温として推奨されている温度(例えば18℃)であることが好ましい。室温の目標値Ttgtは、例えば、ステップS1において建物性能情報170等と共にデータ取得部11が外部から取得してもよいし、予め記憶部17に記憶しておいてもよい。
次に、健康リスク分析装置100は、断熱性能改善前の住宅における起床時刻tpでの室温の推定値Tp1と基準温度174との差を算出し、曝露温度差ΔTとして記憶部17に記憶する(ステップS4)。例えば、図3Bにおいて、ステップS31Aにおいて算出した室温の推定値Tp1とステップS32Aにおいて基準温度174として設定した室温の目標値Ttgtとの差を曝露温度差ΔTとして記憶部17に記憶する。
次に、健康リスク分析装置100は、図5に示したフロー図と同様に、ステップS4で算出した曝露温度差ΔTに基づいて血圧変動値ΔPを算出し(ステップS5)、ステップS5で算出した血圧変動値ΔPに基づいて健康リスク変化度合を算出する(ステップS6)。
次に、健康リスク分析装置100は、空調設備の稼働による健康リスクの変化の情報を出力する(ステップS7A)。具体的には、情報出力部16が、ステップS6で算出した疾病毎の発症リスクの変化度合に基づいて、空調設備の稼働による発症リスクの改善度合を示す情報56Aを、分析対象者の室内温度環境の変化に伴う健康リスクの変化を示す情報として表示装置105の表示部に表示させる。
図8は、空調設備の稼働による発症リスクの改善度合を示す情報の表示例を示す図である。
例えば、図8に示すように、空調設備の稼働による発症リスクの改善度合を示す情報56Aは、表示装置105の表示部50に表示される。
具体的に、情報56Aは、居住者の年齢に関する情報51と、分析対象の疾病名の情報52と、情報52によって特定される疾病の発症リスクに関する情報53と、空調設備の稼働に関する情報54Aとを含む。
図8には、起床時刻より前(例えば1時間前)にエアコン(設定温度:18℃)を稼働させることにより、50代男性の心血管病の発症リスクが三分の一になることを示す情報を表示装置105の表示部50に表示した場合を一例として示している。
健康リスク分析装置100が、以上の手順で処理を行うことにより、空調設備の稼働による健康リスクの改善効果をユーザに提示することができる。
〈健康リスク分析装置の効果〉
以上、本実施の形態に係る健康リスク分析装置100は、室温の時間変化を表す室温関数173に基づいて、室内温度環境の分析対象である建物の室内における第1の時刻(起床時刻tp)での室温を推定するとともに、推定した第1の時刻での室温と基準温度174との曝露温度差ΔTに基づいて算出した血圧変動値ΔPから健康リスクの変化の度合を算出し、その健康リスクの変化の度合に基づいて住宅の室内温度環境の変化に伴う健康リスクの変化を示す情報を出力する。
これによれば、住宅の室内温度環境を改善することによって居住者の血圧変動値が低下し、健康リスクが改善することをユーザに提示することが可能となるので、健康の維持および増進のための住宅の室内温度環境の改善をユーザに促すことが可能となる。
また、健康リスク分析装置100は、分析対象の住宅の建物性能情報170に基づいて室温関数173を決定し、決定した室温関数173を用いて第1の時刻(例えば起床時刻)での室温を推定するので、分析対象の住宅の性能に基づく室内温度環境の改善度合を算出することが可能となる。これにより、居住者に対して、正確な健康リスクに関する情報を提示することが可能となる。
また、建物性能情報170として熱損失係数(Q値)を用いることにより、分析対象の住宅の室温の変化を正確に算出することが可能となる。これにより、分析対象の住宅の室内温度環境の改善度合をより正確に算出することが可能となり、ユーザに提示する健康リスクに関する情報の精度を高めることが可能となる。
また、健康リスク分析装置100は、断熱性能改善後の住宅における第1の時刻での室内温度を基準温度174に設定し、その基準温度174と断熱性能改善前の住宅における第1の時刻での室温との曝露温度差を算出するとともに、その曝露温度差に基づいて生成した健康リスクの変化の度合に基づいて、図6に示すような住宅の断熱性能の改善による健康リスクの改善度合を示す情報を出力する。
これによれば、居住している住宅の断熱性能の改善によって健康リスクがどの程度改善されるかを、ユーザに明確に提示することができる。これにより、ユーザに対して、健康の維持および増進のために、リフォーム等による住宅の断熱改修を促すことが可能となる。
また、健康リスク分析装置100は、住宅における曝露温度の目標値を基準温度174に設定し、その基準温度174と断熱性能改善前の住宅における第1の時刻での室温との曝露温度差を算出するとともに、その曝露温度差に基づいて生成した健康リスクの変化の度合に基づいて、図8に示すような空調設備の稼働による健康リスクの改善度合を示す情報を出力する。
これによれば、居住している住宅において空調設備を適切に稼働させることによって健康リスクがどの程度改善されるかを、ユーザに明確に提示することができる。これにより、ユーザに対して、健康の維持および増進のために、空調設備を適切に利用することを促すことが可能となる。
≪実施の形態の拡張≫
以上、本発明者らによってなされた発明を実施の形態に基づいて具体的に説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは言うまでもない。
例えば、上記実施の形態では、建物性能情報170として熱損失係数(Q値)を用いる場合を例示したが、住宅の断熱性能に係るパラメータであれば、熱損失係数以外のパラメータを用いてもよい。例えば、建物性能情報170として住宅の築年数を用いてもよい。一般に、木造住宅の場合、築年数が長くなるほど断熱性能が低くなる傾向がある。そこで、室内温度環境の分析対象の住宅が木造住宅である場合には、築年数に応じて上記式(1)における係数Aの値を変更することにより、室温関数173を決定してもよい。これによれば、建物性能情報170として熱損失係数を用いる場合と同様に、分析対象の住宅の性能に応じた室内温度環境の改善度合を算出することが可能となり、居住者に対して、正確な健康リスクに関する情報を提示することが可能となる。
また、上記実施の形態では、室温関数173として式(1)で示される関数を用いる場合を例示したが、これに限られない。例えば、熱損失係数(Q値)毎の室温の時間変化の実測値を用いて回帰分析を行い、それによって得られた関数を熱損失係数毎に対応させたテーブルとして記憶部17に記憶してもよい。この場合、関数決定部121は、例えば、データ取得部11によって取得した建物性能情報170(熱損失係数)に対応する関数を上記テーブルから読み出すことにより、室温関数173を決定すればよい。
また、上記実施の形態では、分析対象者の室内温度環境の変化に伴う健康リスクの変化を示す情報(56,56A)として、情報51〜54,54Aをユーザに提示する場合を例示したが、これに限られず、室内温度環境の改善前後の室温の時間変化の情報も合わせて提示してもよい。
例えば、図6に示される情報51〜54と共に、図3Aに示すようなグラフ情報58(少なくとも、参照符号173_1,173_2およびΔTの情報)を表示装置105の表示部50に表示してもよいし、図8に示される情報51〜54Aと共に、図3Bに示すようなグラフ情報58A(少なくとも参照符号173_1,180およびTtgtの情報)を表示装置105の表示部50に表示してもよい。
これによれば、室内温度環境の改善効果をより効果的にユーザに示すことが可能となる。
また、図6および図8に示した情報51〜56A等は、一例であって、室内温度環境の変化に伴う健康リスクの変化をユーザに示すことができれば、その表示内容や表示形式等は、図6および図8に限定されない。
100‥健康リスク分析装置、11…データ取得部、12…室温推定部、13…温度差算出部、14…血圧変動値推定部、15…健康リスク変化度合算出部、16…情報出力部、17…記憶部、56…住宅の断熱性能の改善による発症リスクの改善度合を示す情報、56A…空調設備の稼働による発症リスクの改善度合を示す情報、170…建物性能情報、173,173_1,173_2…室温関数、174…基準温度、175…血圧変動値関数、176…健康リスク変化度合関数、101…演算装置、102…記憶装置、103…入力装置、104…I/F装置、105…表示装置、106…バス、1021…プログラム、1022…データ、ΔT…曝露温度差、ΔP…血圧変動値。

Claims (12)

  1. 室温の時間変化を表す関数に基づいて、室内温度環境の分析対象である建物の室内における第1の時刻での室温を推定する室温推定部と、
    前記第1の時刻での室温の推定値と、室内温度環境の分析の基準となる基準温度との差を算出する温度差算出部と、
    前記差に基づいて、前記室内に存在する分析対象者の血圧変動値を推定する血圧変動値推定部と、
    前記血圧変動値に基づいて、前記分析対象者の健康リスクの変化の度合を算出する健康リスク変化度合算出部と、
    前記健康リスクの変化の度合に基づいて、前記分析対象者の室内温度環境の変化に伴う前記健康リスクの変化を示す情報を出力する情報出力部と、を有する
    健康リスク分析装置。
  2. 請求項1に記載の健康リスク分析装置において、
    前記建物の性能を示す建物性能情報を取得するデータ取得部を更に有し、
    前記室温推定部は、
    前記建物性能情報に基づいて前記関数を決定する関数決定部と、
    前記関数決定部によって決定した前記関数を用いて、前記第1の時刻での室温を算出する温度算出部と、を含む
    ことを特徴とする健康リスク分析装置。
  3. 請求項2に記載の健康リスク分析装置において、
    前記関数決定部は、断熱性能改善前の前記建物に関する前記建物性能情報に基づいて第1の前記関数を決定するとともに、断熱性能改善後の前記建物に関する前記建物性能情報に基づいて第2の前記関数を決定し、
    前記温度算出部は、前記第1の前記関数を用いて前記第1の時刻での第1の室温を算出するとともに、前記第2の前記関数を用いて前記第1の時刻での第2の室温を算出し、前記第2の室温を前記基準温度として設定し、
    前記温度差算出部は、前記第1の室温と前記基準温度との差を算出し、
    前記情報出力部は、前記健康リスクの変化を示す情報として、前記建物の断熱性能の改善による前記健康リスクの改善度合を示す情報を出力する
    ことを特徴とする健康リスク分析装置。
  4. 請求項2に記載の健康リスク分析装置において、
    前記関数決定部は、断熱性能改善前の前記建物に関する前記建物性能情報に基づいて前記関数を決定し、
    前記温度算出部は、前記関数決定部によって決定した前記関数を用いて前記第1の時刻での室温を算出するとともに、前記室内における室温の目標値を前記基準温度として設定し、
    前記温度差算出部は、前記温度算出部によって算出した前記第1の時刻での室温と、前記基準温度として設定した前記目標値との差を算出し、
    前記情報出力部は、前記健康リスクの変化を示す情報として、空調設備を稼働させることによる前記健康リスクの改善度合を示す情報を出力する
    健康リスク分析装置。
  5. 請求項2乃至4の何れか一項に記載の健康リスク分析装置において、
    前記建物性能情報は、前記建物の熱損失係数を含む
    ことを特徴とする健康リスク分析装置。
  6. 請求項2乃至4の何れか一項に記載の健康リスク分析装置において、
    前記建物性能情報は、前記建物の築年数を含む
    ことを特徴とする健康リスク分析装置。
  7. 室温の時間変化を表す関数に基づいて、室内温度環境の分析対象である建物の室内における第1の時刻での室温を推定する室温推定ステップと、
    前記室温推定ステップによって推定した前記第1の時刻での室温と、室内温度環境の分析の基準となる基準温度との差を算出する温度差算出ステップと、
    前記温度差算出ステップによって算出した前記差に基づいて、前記室内に存在する分析対象者の血圧変動値を推定する血圧変動値推定ステップと、
    前記血圧変動値推定ステップによって推定した前記血圧変動値に基づいて、前記分析対象者の健康リスクの変化の度合を算出する健康リスク変化度合算出ステップと、
    前記健康リスク変化度合算出ステップによって算出した前記健康リスクの変化の度合に基づいて、前記分析対象者の室内温度環境の変化に伴う前記健康リスクの変化を示す情報を出力する情報出力ステップとを、コンピュータに実行させるための
    プログラム。
  8. 請求項7に記載のプログラムにおいて、
    前記建物の性能を示す建物性能情報を取得するデータ取得ステップを更に含み、
    前記室温推定ステップは、
    前記建物性能情報に基づいて前記関数を決定する関数決定ステップと、
    前記関数決定ステップによって決定した前記関数を用いて、前記第1の時刻での室温を算出する温度算出ステップと、を含む
    ことを特徴とするプログラム。
  9. 請求項8に記載のプログラムにおいて、
    前記関数決定ステップは、
    断熱性能改善前の前記建物に関する前記建物性能情報に基づいて第1の前記関数を決定するステップと、
    断熱性能改善後の前記建物に関する前記建物性能情報に基づいて第2の前記関数を決定するステップとを含み、
    前記温度算出ステップは、
    前記第1の前記関数を用いて前記第1の時刻での第1の室温を算出するステップと、
    前記第2の前記関数を用いて前記第1の時刻での第2の室温を算出し、前記第2の室温を前記基準温度とするステップとを含み、
    前記温度差算出ステップは、
    前記温度算出ステップによって算出した前記第1の室温と前記基準温度との差を算出するステップを含み、
    前記情報出力ステップは、前記健康リスクの変化を示す情報として、前記建物の断熱性能の改善による前記健康リスクの改善度合を示す情報を出力するステップを含む
    ことを特徴とするプログラム。
  10. 請求項8に記載のプログラムにおいて、
    前記関数決定ステップは、断熱性能改善前の前記建物に関する前記建物性能情報に基づいて前記関数を決定するステップを含み、
    前記温度算出ステップは、前記関数決定ステップによって決定した前記関数を用いて前記第1の時刻での室温を算出するとともに、前記室内における室温の目標値を前記基準温度として設定するステップを含み、
    前記情報出力ステップは、前記健康リスクの変化を示す情報として、空調設備を稼働させることによる前記健康リスクの改善度合を示す情報を出力するステップを含む
    プログラム。
  11. 請求項8乃至10の何れか一項に記載のプログラムにおいて、
    前記建物性能情報は、前記建物の熱損失係数を含む
    ことを特徴とするプログラム。
  12. 請求項8乃至10の何れか一項に記載のプログラムにおいて、
    前記建物性能情報は、前記建物の築年数を含む
    ことを特徴とするプログラム。
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