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JP2019063835A - マグネシウム合金からなる鍛造用素材の製造方法 - Google Patents

マグネシウム合金からなる鍛造用素材の製造方法 Download PDF

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JP2019063835A JP2017193958A JP2017193958A JP2019063835A JP 2019063835 A JP2019063835 A JP 2019063835A JP 2017193958 A JP2017193958 A JP 2017193958A JP 2017193958 A JP2017193958 A JP 2017193958A JP 2019063835 A JP2019063835 A JP 2019063835A
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岳彦 柳屋
Takehiko Yanagiya
岳彦 柳屋
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Chikara Kawabe
主税 川▲辺▼
山口 毅
Takeshi Yamaguchi
毅 山口
恭弘 岸
Takahiro Kishi
恭弘 岸
裕紀 堀
Yuki Hori
裕紀 堀
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Abstract

【課題】アルミニウムとマグネシウムを含有し難燃性を備えたマグネシウム合金から、小コストで鍛造性を備えた鍛造用素材を製造する方法を提供する。
【解決手段】5.0〜10.0質量%のアルミニウムと、1.0〜3.0質量%のカルシウムと不可避的不純物とを含むマグネシウム合金から鍛造用に利用される鍛造用素材を製造する製造方法として構成する。本発明の製造方法はマグネシウム合金からインライン式射出成形機により射出成形して所定の形状の鍛造用素材を成形する射出成形工程と、該鍛造用素材を350〜450℃にて溶体化処理する溶体化工程とから構成する。なお、溶体化工程における溶体化処理は、400℃未満では5時間以上、400℃以上では1時間以上処理するようにし、その後毎秒5℃以上の冷却速度で冷却する。また、射出成形工程は、液相線温度に対して±30℃の温度範囲で前記マグネシウム合金を溶融して射出するように構成する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、アルミニウムとカルシウムとを所定の割合で含むマグネシウム合金からなり、鍛造用に供されるインゴット等の鍛造用素材の製造方法に関するものである。
マグネシウムを主成分としアルミニウムを所定の割合で含有するマグネシウム合金は、アルミニウム合金に比較すると強度は小さいが、密度あたりの強度である比強度は大きく、そして鍛造加工を施すことにより必要な強度が得られる。従って自動車や航空機等のように軽量化が要求される輸送機器分野において、マグネシウム合金からなる鍛造部品の適用が検討されている。
特開2000−280059号公報 特開2006−152401号公報
マグネシウム合金から部品等の製品を製造する場合、製品の形状に近い所定の形状のインゴット、すなわち鍛造用素材を製造し、この鍛造用素材から鍛造により製品を製造する。鍛造用素材は、例えば特許文献1に記載されているようにインライン式射出成形機によって成形することもできる。インライン式射出成形機によって成形する場合、マグネシウム合金を半溶融状態で混練して金型に射出する。そうすると短いサイクルタイムで鍛造用素材が成形できる。これに対して特許文献2に記載されているように、鍛造用素材は鋳造材を押出加工あるいは圧延によって製造されることが多い。射出成形により、あるいは鋳造により得られた鍛造用素材を所定の金型により鍛造加工して製品を製造する。
このようにしてマグネシウム合金から鍛造により製造された製品は、軽量であると共に必要な強度を備えているので優れている。従って軽量化が要求される分野への応用が期待されている。ところでマグネシウム合金は、発火しやすいという欠点がある。これに対してマグネシウム合金にカルシウムを所定の割合で添加すると、特許文献2にも記載されているように難燃性を備えることが知られている。マグネシウム合金から鍛造用素材を製造するとき、溶湯の表面においてカルシウムは酸素と反応してカルシウム酸化物が生成されて溶湯表面を覆う。これによってマグネシウムと酸素の反応が阻害されることになる。つまりカルシウムの添加により難燃性を備えることになる。しかしながら、詳しくは後で説明することになるが、本出願人が実験によって明らかにしたころによるとカルシウムが所定の割合で添加されたマグネシウム合金は鍛造時に亀裂が生じやすい。つまり鍛造性が大きく劣る。そうすると品質の高い製品が製造できないという問題がある。
一般的に、カルシウムの含有の有無に拘わらず、アルミニウムを所定の比率で含有するマグネシウム合金は鍛造性に若干の問題があり、鍛造性を改善するために色々な方法で処理されている。特許文献2にも処理方法が記載されており、次のようにしている。まず、アルミニウムを含有するマグネシウム合金を鋳造して鋳造材を製造し、その後、鋳造材を押出加工して棒状の押出材を製造する。次いでこの押出材を350〜450℃の環境で数時間、例えば7時間処理する溶体化処理を実施する。溶体化処理を施した押出材をダイスにより引き抜き加工して引抜材を得る。最後にこの引抜材を焼鈍し処理する。このようにして得られた引抜材が鍛造用素材になり、所定の鍛造加工が施されて製品が製造される。特許文献2の方法を実施すると鍛造性を改善することができるが、問題も見受けられる。第1の問題は、処理の工程が多く処理が複雑でコストが大きい点である。すなわち鍛造用素材を得るために、鋳造した後に、溶体化処理と、引抜き加工と、焼鈍し処理を実施しなければならず、コストが大きい。第2の問題は、カルシウムを含有するマグネシウム合金についても鍛造性が改善するか否かが不明な点である。一応引用文献2にはアルミニウムを含むマグネシウム合金において、難燃性を得るためにカルシウムを所定の割合で含有してもいい旨記載はされている。しかしながらこの記載はカルシウムの添加の可能性について示唆したに過ぎず、カルシウムを含有したマグネシウム合金についてその鍛造性が向上するか否かを確認する実験はされていない。本出願人が明らかにしたようにカルシウムを含有するマグネシウム合金は、これを含まない他のマグネシウム合金に比して鍛造性が大きく劣るが、引用文献2に記載の方法によって鍛造性が改善するか否か保証はないと言える。
本発明は、上記したような問題点を解決したマグネシウム合金の鍛造用素材の製造方法を提供することを目的とし、具体的には、アルミニウムとマグネシウムを所定の割合で含有し難燃性を備えたマグネシウム合金から、比較的シンプルな工程によって、つまり小コストで、鍛造性を十分に備えた鍛造用素材を製造する方法を提供することを目的としている。
本発明は上記目的を達成するために、5.0〜10.0質量%のアルミニウムと、1.0〜3.0質量%のカルシウムと不可避的不純物とを含むマグネシウム合金から鍛造用に利用される鍛造用素材を製造する製造方法として構成する。本発明の製造方法はマグネシウム合金からインライン式射出成形機により射出成形して所定の形状の鍛造用素材を成形する射出成形工程と、該鍛造用素材を350〜450℃にて溶体化処理する溶体化工程とから構成する。なお、溶体化工程における溶体化処理は、400℃未満では5時間以上、400℃以上では1時間以上処理するようにし、その後毎秒5℃以上の冷却速度で冷却する。また、射出成形工程は、液相線温度に対して±30℃の温度範囲で前記マグネシウム合金を溶融して射出するように構成する。
かくして、請求項1記載の発明は、上記目的を達成するために、5.0〜10.0質量%のアルミニウムと、1.0〜3.0質量%のカルシウムと不可避的不純物とを含むマグネシウム合金から鍛造用に利用される鍛造用素材を製造する製造方法であって、該製造方法は前記マグネシウム合金からインライン式射出成形機により射出成形して所定の形状の鍛造用素材を成形する射出成形工程と、該鍛造用素材を350〜450℃にて溶体化処理する溶体化工程とからなることを特徴とするマグネシウム合金の鍛造用素材の製造方法として構成される。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の方法において、前記溶体化工程における溶体化処理は、400℃未満では5時間以上、400℃以上では1時間以上処理するようにし、その後毎秒5℃以上の冷却速度で冷却するようにすることを特徴とするマグネシウム合金の鍛造用素材の製造方法として構成される。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の方法において、前記射出成形工程は、液相線温度に対して±30℃の温度範囲で前記マグネシウム合金を溶融して射出することを特徴とするマグネシウム合金の鍛造用素材の製造方法として構成される。
以上によると本発明は、5.0〜10.0質量%のアルミニウムと、1.0〜3.0質量%のカルシウムと不可避的不純物とを含むマグネシウム合金から鍛造用に利用される鍛造用素材を製造する製造方法として構成される。カルシウムを含むので難燃性を備えているが、鍛造性が大きく劣るマグネシウム合金を対象としている。そして本発明は、製造方法はマグネシウム合金からインライン式射出成形機により射出成形して所定の形状の鍛造用素材を成形する射出成形工程と、該鍛造用素材を350〜450℃にて溶体化処理する溶体化工程とからなる。鍛造用素材をインライン式射出成形機により射出成形すると、マグネシウム合金が射出成形機のスクリュによって混練されるので、強いせん断力を受けながら分散混合される。従って液相線温度の近傍の比較的低温であってもマグネシウム合金を半溶融して射出でき、凝固するまでの時間を大幅に短縮化できる。これらによって成形される鍛造用素材中の結晶は微細化することになる。つまり鍛造に適した形状に鍛造用素材を成形する工程と、結晶を微細化する工程を1つの工程である射出成形工程だけで実施できることになる。ところでマグネシウム合金はこのように微小な結晶が形成されるが結晶粒界にはアルミニウムやカルシウムの濃度が高い所定の化合物が形成される。つまりラメラー共晶が形成される。このラメラー共晶の面積が大きいと鍛造時に亀裂が発生しやすい。本発明においては鍛造用素材は射出成形工程後に溶体化工程が実施されるので、アルミニウムやカルシウムが結晶中に溶け込んでラメラー共晶の面積が縮小する。これによって鍛造性に優れた鍛造用素材を得ることができる。本発明によると、鍛造用素材を得る工程は射出成形工程と溶体化工程だけであるので製造工程がシンプルであり、比較的小コストで鍛造用素材を製造できる。他の発明によると、溶体化工程における溶体化処理は、400℃未満では5時間以上、400℃以上では1時間以上処理するようにし、その後毎秒5℃以上の冷却速度で冷却するようにする。これによって確実に鍛造性の向上を確保できる。他の発明によると、射出成形工程は、液相線温度に対して±30℃の温度範囲でマグネシウム合金を溶融して射出する。この温度範囲のマグネシウム合金は半溶融状態でスクリュによって混練されるので、成形される鍛造用素材において結晶の粒径は確実に小さくなって、一定の鍛造性が得られることが保証される。
本発明の実施の形態に係る鍛造用素材の製造に使用される金属射出成形機を示す正面図である。 本実施の形態に係る鍛造用素材の製造方法の各工程を示すフローチャートである。 本実施の形態に係る鍛造用素材や、比較例としての鍛造用素材を据え込み鍛造したときに要した荷重の変化を示すグラフである。 本実施の形態に係る鍛造用素材について、色々な条件下で溶体化処理したときのラメラー共晶の面積率の変化を示すグラフである。 本実施の形態に係る鍛造用素材について、色々な条件下で溶体化処理を実施後、鍛造用素材の切断面を撮影した写真である。
以下、本発明の実施の形態について説明する。本実施の形態に係る鍛造用素材は、次のようなマグネシウム合金から製造する。すなわち、マグネシウムに対して、アルミニウムを5.0〜10.0質量%と、カルシウムを1.0〜3.0質量%とを含むマグネシウム合金である。このマグネシウム合金は、不可避的不純物として他の元素を微量に含んでいてもよい。アルミニウムをこのような割合とした理由は、5.0質量%以下では、固相線温度と液相線温度の差が小さすぎるので半溶融状態で混練して射出することが困難であるからであり、10質量%を超えると高温割れが生じやすくなるからである。カルシウムは溶融時に溶湯表面において酸素と反応してカルシウム酸化物が生成され、これがマグネシウムの酸化を阻害することになる。すなわち難燃性を備えることができる。カルシウムの含有量が1.0質量%以下では十分な難燃性が得られず、3.0質量%を超えると成形品に割れが生じやすくなり好ましくない。従って前述の割合で添加している。
本実施の形態に係る鋳造用素材の製造方法は、このようなマグネシウム合金から鍛造に適した形状のインゴット、あるいは線材に形成する。この成形は、いわゆるインライン式金属射出成形機による射出成形によって実施する。図1には本実施の形態に係る鍛造用素材の製造に使用される金属射出成形機1が示されている。金属射出成形機1は、従来周知のように構成されており、射出装置2、その一部のみが示されている型締装置3等から構成されている。射出装置2は、加熱シリンダ4と、この加熱シリンダ4内に回転方向と軸方向とに駆動可能に設けられている本実施の形態に係るスクリュ6とから構成されている。加熱シリンダ4には、その後方にホッパ7が設けられ金属材料が加熱シリンダ4内に供給されるようになっている。そして加熱シリンダ2の先端には射出ノズル8が設けられ、図1に示されていないが、その外周面には複数のヒータが設けられ加熱シリンダ2が加熱されるようになっている。スクリュ6は、所定の駆動機構10によって回転方向と軸方向に駆動されるようになっている。型締装置3は固定盤12と可動盤13と、図に示されていない型締機構とから構成され、固定盤12には固定側金型15が、可動盤13には可動側金型16が設けられている。射出ノズル8は固定側金型15のスプルに当接しており、これらの金型15、16は型締めされると、鍛造用のインゴットつまり鍛造用素材が成形されるキャビティが形成されるようになっている。
本実施の形態に係る鍛造用素材の製造方法を説明する。図2に示されているように、射出成形工程(ステップS1)を実施する。射出材料として使用されるペレットを用意する。ペレットはマグネシウム合金を鋳造した塊を機械的に切削して得ることができるが、粒径は2〜6mm、好ましくは3〜4mmにするとよい。金属射出成形機1において加熱シリンダ4を加熱してスクリュ6を回転させ、ホッパ7からこのようなペレットを投入する。そうするとペレットはスクリュ6のせん断力による熱とヒータによる熱とによって溶融し、加熱シリンダ4の先端に計量される。型締装置3を駆動して金型15、16を型締めし、スクリュ6を軸方向に駆動して射出する。そうすると鍛造用素材が成形される。ところでマグネシウム合金を溶融するとき、その温度は液相線温度の近傍になるようにし、液相線温度を中心として−30〜30℃の範囲になるように調整する。このような温度で溶融するとマグネシウム合金は半溶融状態で溶融されることになり、スクリュ6の回転によって混練され強いせん断力を受ける。さらに比較的低温で射出するので、金型15、16内で凝固する時間が短い。これらによって成形される鍛造用素材中において結晶の粒径が微細になる。
鍛造用素材中には、微細な結晶が形成されるがこれらの結晶間にアルミニウムとカルシウムとからなるラメラー共晶も形成される。ラメラー共晶の割合が大きいと鍛造性に悪影響を及ぼす。ラメラー共晶の大きさは、鍛造用素材の切断面におけるラメラー共晶の面積の全体に対する割合、つまり面積率で評価できる。鍛造性を改善するために、ラメラー共晶の面積率が18%以下、好ましくは15%以下になるように溶体化処理(ステップS2)を実施する。すなわち鍛造用素材を所定の溶体化炉に入れ、350〜450℃の温度で1〜20時間、溶体化処理を実施する。なお、350℃以下では溶体化の効果が小さく、450℃以上では、結晶の粒子が粗大化するのでこの温度範囲としている。溶体化処理を実施することにより、ラメラー共晶を構成しているアルミニウムとカルシウムは結晶中に溶け込んで、ラメラー共晶の面積が縮小する。
ラメラー共晶の面積は、溶体化処理を実施する処理温度と処理時間によって変化する。図5には、鍛造用素材の断面の写真が示されている。射出成形しただけで溶体化処理を実施しないもの、350℃の処理温度で、1時間、5時間、10時間溶体化処理を実施したもの、400℃の処理温度で、1時間、5時間、10時間溶体化処理を実施したもの、430℃の処理温度で、1時間、5時間、10時間溶体化処理を実施したもの、の断面写真がそれぞれ示されている。これらの写真は、鍛造用素材をカーボン樹脂に埋込み、耐水研磨紙、ダイヤモンドペーストで研磨し、酢酸、硝酸、エチレングリコールを主成分とする腐食液により腐食させた面を光学顕微鏡にて400倍で撮影したものである。これらの写真から分かるように、ラメラー共晶33の面積が変化している。断面写真から、全体に対するラメラー共晶の面積率を計算すると、図4に示されるグラフが得られる。符号35の点は、射出成形しただけで溶体化処理をしていない鍛造用素材のラメラー共晶の面積率を示している。符号36のグラフは350℃の処理温度で、符号37のグラフ400℃の処理温度で、そして符号38のグラフは430℃の処理温度で、それぞれ溶体化処理を実施したときの、処理時間によって変化するラメラー共晶の面積率を示している。ラメラー共晶の面積率を18%以下にするためには、350〜400℃であれば5時間以上、400℃を超える場合には1時間以上溶体化処理を実施すればよい。
溶体化処理において所定時間鍛造用素材を処理したら、冷却(ステップS3)する。このとき鍛造用素材は5℃/秒以上の温度変化率で冷却するようにする。冷却するときの温度変化率が小さいと、熱処理によって縮小したラメラー共晶が再び大きくなるからである。
本実施の形態に係る鍛造用素材の製造方法が、鍛造性を改善させるために有効であることを確認するため実験を行った。実験では、直径6mm、高さ9mmの円柱状の鍛造用素材を製造し、これを据え込み加工して亀裂の有無を観察し、鍛造性を評価した。鍛造性素材は4本、つまり鍛造用素材A〜D製造した。それぞれ次のようにして製造した。
鍛造用素材A:アルミニウム9.0質量%、カルシウム2.0質量%含むマグネシウム合金を使用し、本実施の形態に係る製造方法により製造した。すなわち射出成形工程により鍛造用素材Aを成形し、これを350℃で10時間、溶体化処理を実施した。
鍛造用素材B:アルミニウム9.0質量%、カルシウム2.0質量%含むマグネシウム合金を使用し、射出成形工程により鍛造性素材Bを成形した。溶体化処理は実施しなかった。
鍛造用素材C:アルミニウム9.0質量%含むマグネシウム合金を使用した。つまりカルシウムは含まないマグネシウム合金を使用し射出成形工程により鍛造性素材Cを成形した。溶体化処理は実施しなかった。
鍛造用素材D:アルミニウム9.0質量%、カルシウム2.0質量%含むマグネシウム合金を使用し、射出成形によってではなく鋳造により鍛造性素材Dを成形した。溶体化処理は実施しなかった。
鍛造用素材A〜Dのそれぞれについて据え込み加工を実施し、圧下量に対する荷重の変化を測定し図3のグラフを得た。グラフA〜Dはそれぞれ鍛造用素材A〜Dの荷重の変化を示している。鍛造用素材Aは、圧下量が5mmを超えても割れは生じなかった。これに対して鍛造用素材Bは、符号41に示されているように、圧下量3.7mmにおいて割れが生じた。鍛造用素材Cは圧下量が5mmを超えても割れは生じなかった。鍛造用素材Dは、符号42で示されているように圧下量0.7mmにおいて割れが生じた。
考察:
カルシウムを含まないマグネシウム合金は、鍛造用素材Cの据え込み加工において割れが生じなかったことからも、その鍛造性が良好であることが確認できる。カルシウムを含むマグネシウム合金は、鍛造用素材Dの据え込み加工においてわずか圧下量0.7mmにおいて割れが生じたように鍛造性に問題がある。鋳造によって製造された鍛造用素材Dに比べると、同じ材料から射出成形により成形された鍛造用素材Bは鍛造性がかなり改善していることが分かる。射出成形により結晶の粒径が微細になったからであると推測される。しかしながら圧下量3.7mmにおいて割れが生じたように十分な鍛造性を備えているとは言えない。これに対して、射出成形工程を実施し溶体化処理を実施した鍛造用素材A、つまり本実施の形態に係る製造方法により製造した鍛造用素材Aは、カルシウムを含むマグネシウム合金から形成されているにも拘わらず、優れた鍛造性を備えることが確認できた。射出成形により結晶が微細化し、さらに溶体化処理によってラメラー共晶が小さくなったからだと考えられる。
1 金属射出成形機 2 射出装置
4 加熱シリンダ 6 スクリュ
7 ホッパ 8 射出ノズル
15 固定側金型 16 可動側金型
33 ラメラー共晶
本発明は上記目的を達成するために、5.0〜10.0質量%のアルミニウムと、1.0〜3.0質量%のカルシウムと不可避的不純物とを含むマグネシウム合金から鍛造用に利用される鍛造用素材を製造する製造方法として構成する。本発明の製造方法はマグネシウム合金から射出成形して所定の形状の鍛造用素材を成形する射出成形工程と、該鍛造用素材を350〜450℃にて溶体化処理する溶体化工程とから構成する。射出成形工程は、加熱シリンダと該加熱シリンダ内に設けられているスクリュとからなり該スクリュを回転して金属材料を溶融し該スクリュを軸方向に駆動して射出する射出成形機によって実施するようにすると共に、液相線温度に対して±30℃の温度範囲でマグネシウム合金を溶融して射出するように構成する。なお、溶体化工程における溶体化処理は、400℃未満では5時間以上、400℃以上では1時間以上処理するようにし、その後毎秒5℃以上の冷却速度で冷却する。
かくして、請求項1記載の発明は、上記目的を達成するために、5.0〜10.0質量%のアルミニウムと、1.0〜3.0質量%のカルシウムと不可避的不純物とを含むマグネシウム合金から鍛造用に利用される鍛造用素材を製造する製造方法であって、該製造方法は前記マグネシウム合金から射出成形して所定の形状の鍛造用素材を成形する射出成形工程と、該鍛造用素材を350〜450℃にて溶体化処理する溶体化工程とからなり、前記射出成形工程は、加熱シリンダと該加熱シリンダ内に設けられているスクリュとからなり該スクリュを回転して金属材料を溶融し該スクリュを軸方向に駆動して射出する射出成形機によって実施するようにすると共に、液相線温度に対して±30℃の温度範囲で前記マグネシウム合金を溶融して射出することを特徴とするマグネシウム合金の鍛造用素材の製造方法として構成される。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の方法において、前記溶体化工程における溶体化処理は、400℃未満では5時間以上、400℃以上では1時間以上処理するようにし、その後毎秒5℃以上の冷却速度で冷却するようにすることを特徴とするマグネシウム合金の鍛造用素材の製造方法として構成される。
以上によると本発明は、5.0〜10.0質量%のアルミニウムと、1.0〜3.0質量%のカルシウムと不可避的不純物とを含むマグネシウム合金から鍛造用に利用される鍛造用素材を製造する製造方法として構成される。カルシウムを含むので難燃性を備えているが、鍛造性が大きく劣るマグネシウム合金を対象としている。そして本発明は、製造方法はマグネシウム合金から射出成形して所定の形状の鍛造用素材を成形する射出成形工程と、該鍛造用素材を350〜450℃にて溶体化処理する溶体化工程とからなる。射出成形工程は、加熱シリンダと該加熱シリンダ内に設けられているスクリュとからなり該スクリュを回転して金属材料を溶融し該スクリュを軸方向に駆動して射出する射出成形機によって実施するようにすると共に、液相線温度に対して±30℃の温度範囲で前記マグネシウム合金を溶融して射出するように構成されている。鍛造用素材をこのような射出成形機により射出成形すると、マグネシウム合金が射出成形機のスクリュによって混練されるので、強いせん断力を受けながら分散混合される。そして液相線温度に対して±30℃の温度範囲でマグネシウム合金を溶融して射出するので、半溶融状態でスクリュによって混練されることになる。そうすると、成形される鍛造用素材において結晶の粒径は確実に小さくなって、一定の鍛造性が得られることが保証される。つまり鍛造に適した形状に鍛造用素材を成形する工程と、結晶を微細化する工程を1つの工程である射出成形工程だけで実施できることになる。また液相線温度の近傍の比較的低温でマグネシウム合金を半溶融して射出するので、凝固するまでの時間を大幅に短縮化できる効果も得られる。ところでマグネシウム合金はこのように微小な結晶が形成されるが結晶粒界にはアルミニウムやカルシウムの濃度が高い所定の化合物が形成される。つまりラメラー共晶が形成される。このラメラー共晶の面積が大きいと鍛造時に亀裂が発生しやすい。本発明においては鍛造用素材は射出成形工程後に溶体化工程が実施されるので、アルミニウムやカルシウムが結晶中に溶け込んでラメラー共晶の面積が縮小する。これによって鍛造性に優れた鍛造用素材を得ることができる。本発明によると、鍛造用素材を得る工程は射出成形工程と溶体化工程だけであるので製造工程がシンプルであり、比較的小コストで鍛造用素材を製造できる。他の発明によると、溶体化工程における溶体化処理は、400℃未満では5時間以上、400℃以上では1時間以上処理するようにし、その後毎秒5℃以上の冷却速度で冷却するようにする。これによって確実に鍛造性の向上を確保できる。

Claims (3)

  1. 5.0〜10.0質量%のアルミニウムと、1.0〜3.0質量%のカルシウムと不可避的不純物とを含むマグネシウム合金から鍛造用に利用される鍛造用素材を製造する製造方法であって、
    該製造方法は前記マグネシウム合金からインライン式射出成形機により射出成形して所定の形状の鍛造用素材を成形する射出成形工程と、該鍛造用素材を350〜450℃にて溶体化処理する溶体化工程とからなることを特徴とするマグネシウム合金の鍛造用素材の製造方法。
  2. 請求項1に記載の方法において、前記溶体化工程における溶体化処理は、400℃未満では5時間以上、400℃以上では1時間以上処理するようにし、その後毎秒5℃以上の冷却速度で冷却するようにすることを特徴とするマグネシウム合金の鍛造用素材の製造方法。
  3. 請求項1または2に記載の方法において、前記射出成形工程は、液相線温度に対して±30℃の温度範囲で前記マグネシウム合金を溶融して射出することを特徴とするマグネシウム合金の鍛造用素材の製造方法。
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