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JP2019056109A - ポリエステルフィルムおよびその製造方法 - Google Patents

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JP2019056109A JP2018171151A JP2018171151A JP2019056109A JP 2019056109 A JP2019056109 A JP 2019056109A JP 2018171151 A JP2018171151 A JP 2018171151A JP 2018171151 A JP2018171151 A JP 2018171151A JP 2019056109 A JP2019056109 A JP 2019056109A
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Abstract

【課題】
ポリエステルフィルムの表面におけるL値がいずれの面も12以下のポリエステルフィルムおよびその製造方法を提供すること。
【解決手段】
黒色顔料を含有するポリエステルフィルムであって、前記ポリエステルフィルムの厚みが150μm以上500μm以下、フィルムの長手方向(MD方向)、幅方向(TD方向)の少なくとも一方の破断強度が150MPa以上250MPa以下であって、前記ポリエステルフィルムの表面におけるL値がいずれの面も12以下であるポリエステルフィルムを提供すること。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリエステルフィルムの表面におけるL値がいずれの面も12以下のポリエステルフィルムおよびその製造方法に関するものである。
ポリエステルフィルムは機械特性に優れ、多くの分野で用いられている。中でも、黒色顔料を含有するフィルムをはじめとした隠蔽性を有するフィルムは、デジタルカメラの絞りや、レーザービームプリンター等の電子部品の内部材、遮光部材として使用されている。同様の用途に金属製の部材が存在するが、金属製部材に比べてフィルム部材は軽量であるため、フィルム部材のシェアは伸びてきている。
黒色フィルムとしては、安価で機械特性に優れるポリエステルなどの樹脂に、カーボンブラックをはじめとした黒色顔料を練りこんだものが代表として挙げられ、隠蔽性、耐久性に優れたフィルムとして提案されている(特許文献1、2)。また、黒色フィルムの厚みとしては、用途に応じて、10μm〜500μmの要求がある。
特開2014−192180公報 特開2014−145046公報
カメラやプリンターをはじめとした電子部品に用いられる隠蔽性を有するフィルムは、耐久性も求められるためにある程度の厚みを持たせることが求められるが、厚みが増してくると両面の表面特性を同等に制御したフィルムの製造が難しくなる。
ポリエステルフィルム表裏の表面特性、色調(色味)に差が生じてしまうと、フィルムを部品として加工する際にフィルム表裏を管理する必要が出てくるため、不便である。また、製品意匠性の観点から、両面均質なポリエステルフィルムを提供することが求められる。
上述の特許文献1、特許文献2において、10μm〜50μmのフィルムについては、両面の表面特性に優れたフィルムとして提案されているが、厚物にした際の両面の表面特性については検討されていなかった。
本発明が解決しようとする課題は、黒色顔料を含有し、両面の黒味を十分に有する、高品位な厚みが150μm以上500μm以下のポリエステルフィルムおよびその製造方法を提供することである。
上記課題を解決するために、本発明は以下の構成をとる。すなわち、
[1]黒色顔料を含有するポリエステルフィルムであって、前記ポリエステルフィルムの厚みが150μm以上500μm以下、フィルムの長手方向(MD方向)、幅方向(TD方向)の少なくとも一方の破断強度が150MPa以上250MPa以下であって、前記ポリエステルフィルムの表面におけるL値がいずれの面も12以下であるポリエステルフィルム。
[2]前記ポリエステルフィルムの表面粗さ(SRa)がいずれの面も46nm以下である[1]に記載のポリエステルフィルム。
[3]前記ポリエステルフィルムに含有する黒色顔料の含有量が、ポリエステルフィルム全体に対して0.01質量%以上1.5質量%以下である[1]または[2]に記載のポリエステルフィルム。
[4]黒色顔料を0.01質量%以上1.5質量%以下含有するポリエステル樹脂を回転する冷却ドラム上に溶融押出し、ポリエステル樹脂の降温結晶化温度Tmc(℃)以下に冷却固化して厚みが1300μm以上4500μm以下の未延伸ポリエステルフィルムを得る工程を有するポリエステルフィルムの製造方法であって、前記冷却ドラム上に溶融押出されたポリエステルフィルムの冷却ドラムとは反対側のポリエステルフィルムの表面温度がTmc(℃)から(Tmc−70)(℃)に冷却するまでにかかる時間を、3.0秒以上9.0秒以下となるよう冷却した後、冷却ドラムから剥離して未延伸フィルムを得た後、少なくとも一軸に延伸するポリエステルフィルムの製造方法。
[5]前記未延伸ポリエステルフィルムを得る工程において、冷却ドラム上の冷却ドラムとは反対側のポリエステルフィルム表面に、5℃以上25℃以下のエアーを10m/秒以上40m/秒以下の速度で吹きつける[4]に記載のポリエステルフィルムの製造方法。
[6]前記冷却ドラムの表面温度が10℃以上40℃以下であることを特徴とする[4]または[5]に記載のポリエステルフィルムの製造方法。
本発明によれば、厚みが150μm以上500μm以下といった厚いフィルムであっても、両面の色調(L値)を抑えたポリエステルフィルムおよびその製造方法を提供できる。
本発明のポリエステルフィルムを構成するポリエステル樹脂としては、たとえば酸性分として、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカジオン酸、アゼライン酸などの脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸を用い、アルコール成分として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコールなどの脂肪族グリコール、シクロヘキサンジメタノールなどの芳香族グリコールを用いたものが挙げられる。これらのポリエステル樹脂は、単独で用いてもよく、他の成分と共重合したものであってもよい。具体的には、コスト、特性からみて、ポリエチレンテレフタレート、あるいはポリエチレン−2,6−ナフタレートが好適である。
ポリエステル樹脂としてポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2、6−ナフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸等のホモ重合体、およびこれらの共重合体が挙げられ、本発明のフィルムを構成するポリエステル樹脂は前記のホモ重合体および共重合体の中から1種類を選択して用いても良く、ホモ重合体同士、またはホモ重合体と共重合体をブレンドして用いても良い。
ここでポリエステル樹脂のホモ重合体としては、製膜性の観点からポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2、6−ナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸が好ましく、中でも加工性が容易であることからポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2、6−ナフタレート、がより好ましく、製膜性により優れることからポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。
また、ポリエステル樹脂の共重合体とは、ポリエステル樹脂全体の50mol%未満を異なるジカルボン酸成分とジオール成分のいずれか、または両方で構成される共重合体のことを示し、ホモ重合体とのブレンドを想定する場合は、対象のホモ重合体と同じ分子構造が全体の50mol%以上を構成する共重合体を用いることが好ましい。
ここでポリエステル樹脂の共重合体としては、重合適性や熱安定性、ホモ重合体との相溶性に優れる観点からジカルボン酸成分として、脂環族ジカルボン酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸が、ジオール成分としてはブタンジオール、エチレングリコール、スピログリコール、シクロヘキサンジメタノールを共重成分として含むものが好ましく用いられ、これらは単独で用いても、必要に応じて組み合わせて用いても良い。中でも製膜性を向上させる観点からジカルボン酸成分としてイソフタル酸を共重合体成分として含むものや、ジオール成分としてシクロヘキサンジメタノールを共重合体成分として含むものがより好ましく用いられる。
本発明のポリエステルフィルムは、黒色顔料を含有する必要がある。こうすることでポリエステルフィルムに隠蔽性を付与することができる。また、黒色顔料を含有するポリエステルフィルムは、カメラのシャッターなど、製品外観の一部として加工される電子機器のデザイン性の観点から好ましく用いられる。
フィルムの隠蔽性は、光学濃度を指標として評価することができる。光学濃度が3.0以上であれば、隠蔽性があるとみなされ、好ましい。
本発明のポリエステルフィルムは、厚さが150μm以上500μm以下であることが必要である。厚さが150μm未満であると、フィルムの剛性が不足するために、電子部品として加工される際に、シワが発生しやすくなる。また、ポリエステルフィルムの製膜において、厚さが500μmを超えると、フィルムが厚すぎるために、剛性が強くなりすぎることで、顧客での搬送加工が難しくなる。より好ましくは、180μm以上320μm以上である。
本発明のポリエステルフィルムは、フィルムの長手方向(MD)、幅方向(TD)の少なくとも一方の破断強度が150MPa以上250MPa以下であることが必要である。破断強度が150MPa未満であると、フィルムの強度が不足しているため、電子部品として使用された際に、破断等の不具合を生じる恐れがある。破断強度が250MPaを超えると、フィルムの剛性が強すぎるために伸度が不足し、製品加工が難しくなる。フィルムの長手方向(MD)、幅方向(TD)のいずれの破断強度も上記の範囲であることがより好ましい。
本発明のポリエステルフィルムは、ポリエステルフィルムの表面における色調(L値)がいずれも12以下である必要があり、11以下であることが好ましい。色調(L値)が前述の範囲であると、フィルムの黒味が強くなり意匠外観性に優れ、さらに漆黒の黒味とすることができるため好ましい。ポリエステルフィルム表面の色調(L値)が12を超えると、フィルムが白色がかり、灰色に近い見た目となり、意匠性の観点から、使用できる製品に制限が生じる。また、本発明では、本発明のフィルムの色調(L値)を12以下としつつも、フィルムの表裏の色調(L値)の差を3.0以下とすると、外観評価(白化具合)と表裏の識別困難性のいずれも良好となるため好ましい。表裏の識別困難性については、目視で表裏を確認した際に、色調の違いが識別できる指標であり、本発明においては、後述する測定方法によるものとする。フィルムの表裏で見た目に差があると、フィルムの表裏を意識しながら加工する必要が生じ、取扱いにくくなるため、一方の面ともう一方の面の色調(L値)の差は3.0以下であることが好ましく、さらには2.0以下、より好ましくは1.0以下であることがさらに好ましい。フィルムの表裏で見た目に差があると、加工時においてフィルムロールの巻き出し向きを選択して機械設備に設置しなければならず、加工前にフィルムロールを巻き返したりしてフィルム面をその機会設備にあわせるなど、その加工先の設備に応じてフィルム面を考慮して巻き取るという手間がかかる。そのため、表裏の識別困難性の観点からは、フィルムの表裏の色調(L値)の差は0.0であることが好ましい。
表裏の識別困難性の評価は、後述するとおりであるが、どれだけ表裏が識別できないか、という評価であり、識別ができないほど良好であり、識別ができるほど不良となる。
色調(L値)の下限値は限定する必要はないが、実質的に8.0以上である。フィルム両面の色調(L値)を上記の範囲とする方法は特に限られるものでは無いが、表層を有する層の黒色顔料含有量の差(A層/B層の2層積層フィルムであればA層の黒色顔料含有量とB層の黒色顔料含有量の差、A層/B層/C層の3層積層フィルムであればA層の黒色顔料含有量とC層の黒色顔料含有量の差)を0.1質量%以下となるよう小さくし(なお、単層フィルムであれば差は0となる)、かつ、後述する製造方法を用いてポリエステルフィルムを得る方法が挙げられる。
色調はフィルムの色を評価する指標であり、そのうちL値は色の明るさを評価するものである。L値には0〜100までの範囲があり、L値が大きいほど白色、小さいほど黒色に近づく。
本発明のポリエステルフィルムは、ポリエステルフィルムを構成するポリエステル組成
物中のカーボンブラックの含有量が、ポリエステル組成物全体に対して0.01質量%以上1.5質量%以下含有することが好ましい。カーボンブラック含有量が0.01質量%に満たないと隠蔽性が充分ではなく、1.5質量%を超えるとポリエステル組成物の結晶化速度が速くなるため、フィルム表面の色調(L値)は上がり易くなり、後述する表面粗さSRaも粗れ易くなる。より好ましくは、0.1質量%以上1.5質量%以下であり、さらに好ましくは0.3質量%以上1.2質量%以下である。
本発明のポリエステルフィルムは、フィルム両面の表面粗さSRaがいずれも46nm以下であることが好ましく、37nm以下であることがより好ましい。フィルムの表面粗さSRaが46nmを超えると、フィルム表面の平滑性が悪化し光沢性が低下し意匠外観を悪化させる場合があり、また、粗大突起によるフィルムロール作成時の転写痕が発生する場合があることから、フィルムの用途に制限が生じる。本発明の平滑性の観点からは、フィルムの表面粗さSRaはより低い値であることが好ましいが、フィルムの製造工程時やフィルムの加工時における走行性の観点や、フィルムロールとして巻き取られる際のフィルム同士のブロッキングの観点から、フィルムの表裏のSRaはいずれも10nm以上であることが好ましく、より好ましくは15nm以上である。走行性の観点から、ある程度の光沢性を有するフィルムの表面粗さとしながらも、表裏を選択して、工程設備ラインに接する面側に表面粗さSRaが高い方を用いられることが多く、フィルムの表裏を意識しながら加工する必要が生じ、表裏の表面粗さSRaの差が少ない方が取り扱い性に優れる。本発明のフィルムは、一方の面ともう一方の面の表面粗さSRaの差は30nm以下であることが好ましく、20nm以下であることがさらに好ましい。フィルム両面のSRaを上記の範囲とする方法は特に限られるものでは無いが、表層を有する層の粒子と黒色顔料の含有量の和の差(A層/B層の2層積層フィルムであればA層の粒子と黒色顔料の含有量の和とB層の粒子と黒色顔料の含有量の和の差、A層/B層/C層の3層積層フィルムであればA層の粒子と黒色顔料の含有量の和とC層の粒子と黒色顔料の含有量の和の差)を0.1質量%以下となるよう小さくし(なお、単層フィルムであれば差は0となる)、かつ、後述する製造方法を用いてポリエステルフィルムを得る方法が挙げられる。
黒色顔料としては、例えばカーボンブラック(ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラック等)、グラファイト、酸化銅、二酸化マンガン、アニリンブラック、ペリレンブラック、チタンブラック、シアニンブラック、活性炭、フェライト、マグネタイト、酸化クロム、酸化鉄、二硫化モリブテン、クロム錯体、複合酸化物系黒色色素、アントラキノン系有機黒色色素等の黒色顔料を、単独または2種以上組合せ使用することができ、なかでも、安価で遮光性及び前記樹脂への分散性に優れるカーボンブラックを使用することが好ましい。
本発明のポリエステルフィルムには、必要に応じて前記黒色顔料を除いた各種添加物を含有することができる。添加物の含有量は、フィルム全体に対して、黒色顔料と合わせて1.5質量%以下の範囲とすることが好ましく、1.2質量%以下の範囲とすることがより好ましい。添加物としては、各種無機、有機粒子を用いることができ、その粒子形状も、真球状粒子、凝集状粒子、燐片状粒子、数珠状粒子など各種形状のものを使用できる。有機粒子として、架橋ポリスチレン、架橋アクリル樹脂、フッ素樹脂、イミド樹脂などの熱可塑性樹脂から成るものも使用できる。粒子を含有させると、フィルムに易滑性をもたせることができ、加工がし易くなる。各種添加物が1.5質量%を超えると、ポリエステル組成物の結晶化速度が速くなるため、フィルム表面の色調(L値)は上がり易くなり、後述する表面粗さSRaも粗れ易くなる。
本発明のポリエステルフィルムは、少なくとも一軸配向フィルムであることが機械強度の向上、熱安定性の向上、耐薬品性の向上、電気特性の向上など、フィルムの機能として必要な主要特性が発現されるため好ましい。ここで言う「一軸配向」とは、広角X線回折で一軸配向のパターンを示すものをいう。一軸配向フィルムは、一般に、未延伸状態のシートをシート長手方向または幅方向に2.5〜5.0倍程度延伸し、その後、熱処理を施し、結晶配向を完了させることにより得ることができる。なお、二軸配向フィルムの場合、長手方向と幅方向の延伸は、それぞれ個別に順次実施するいわゆる逐次二軸延伸法であっても、同時に実施する同時二軸延伸法であってもよい。
(フィルムの製造方法)
本発明のポリエステルフィルムの製造方法について、例えば以下に示した工程によって製造することが好ましい。
まず、ポリエステルフィルムを構成する樹脂の製造方法は、以下の方法で製造することができる。
ポリエステル樹脂は、ジカルボン酸、もしくはそのエステル誘導体と、ジオールを周知の方法でエステル交換反応、もしくはエステル化反応させることによって得ることができる。従来公知の反応触媒としてはアルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、亜鉛化合物、鉛化合物、マンガン化合物、コバルト化合物、アルミニウム化合物、アンチモン化合物、チタン化合物、リン化合物などを挙げることが出来る。好ましくは前記のポリエステル樹脂の製造方法が完結する以前の任意の段階において、重合触媒としてアンチモン化合物またはゲルマニウム化合物、チタン化合物を添加することが好ましい。このような方法としては例えば、ゲルマニウム化合物を例に取ると、ゲルマニウム化合物粉体をそのまま添加することが好ましい。
本発明のポリエステルフィルムに黒色顔料を含有させる方法としては、黒色顔料を0.01質量%以上1.5質量%以下含有するポリエステル樹脂を溶融押出することが挙げられる。黒色顔料を高濃度でマスターバッチ化した原料を作成し、押出機に投入する際に黒色顔料を含まないポリエステル樹脂で、前記範囲の黒色顔料濃度になるように希釈する方法(マスターバッチ法)が好ましく用いられ、具体的には、ポリエステル樹脂にカーボンブラックを1〜30質量%練りこみ、カーボンブラック含有のポリエステルチップを得た後、カーボンブラックを含有していないポリエステル樹脂と目的とする黒色顔料含有量となるようにブレンドすることができる。
その黒色顔料を含有したポリエステル樹脂原料を押出ホッパー内に投入し、押出機内で270〜320℃で樹脂を溶融させ、スリット状のダイに押出し、表面温度10〜40℃の冷却ドラムに巻き付け、冷却ドラムとは反対側のポリエステルフィルムにエアーを吹きつけて冷却固化させ、未延伸フィルムとする。続いて未延伸フィルムを60〜120℃で長手方向に2.5倍〜3.5倍延伸して、一軸配向フィルムを得る。二軸配向フィルムを製造する場合は、その後一軸配向フィルムをテンター内に導入し、90〜140℃で予熱した後、幅方向に2.0〜4.0倍延伸し、二軸配向フィルムを得る。その後、一軸配向または二軸配向フィルムを210〜240℃で熱処理してもよい。前述の熱処理前にさらに縦ないし横方向、または縦横両方向に再度延伸させて強度を高めることも可能である。フィルム幅方向の延伸倍率を4.0以上にすると、フィルム幅方向の熱収縮率が大きくなり過ぎて、製品とするときに、精密な寸法規定がある加工過程で不具合を招く場合がある。
本発明のポリエステルフィルムの製造方法においては、延伸後のポリエステルフィルムの厚みが150μm〜500μmである場合、冷却ドラムに押し出して冷却固化した未延伸フィルムの厚みが1300μm以上4500μm以下であることが好ましい。未延伸フィルムの厚みが1300μm以下であると、延伸後のフィルム厚みが不足し、ポリエステルフィルムの強度が不足する。未延伸フィルムの厚みが4500μmを超えると、冷却ドラム、エアーによる未延伸フィルムの冷却が不十分となり、冷却ドラムとは反対側のフィルム面の色調(L値)や表面粗さSRaを抑えにくくなる。冷却固化した未延伸フィルムの厚みは1600μm以上3000μm以下であることがより好ましい。
本発明のポリエステルフィルムの製造方法では、ポリエステル樹脂を回転する冷却ドラム上に溶融押出し、冷却固化して未延伸ポリエステルフィルムを得る工程において、冷却ドラム上に溶融押出されたポリエステルフィルムの冷却ドラムとは反対側のポリエステルフィルムの表面温度がTmc(℃)から(Tmc−70)(℃)に冷却するまでにかかる時間を、3.0秒以上9.0秒以下となるようにすることが好ましい。ただし、Tmcはポリエステル樹脂の降温結晶化温度である。ポリエステルフィルムの冷却ドラムとは反対側のフィルムの表面温度がTmc(℃)から(Tmc−70)(℃)に冷却するまでにかかる時間が9.0秒を超えると、ポリエステルフィルムの冷却ドラムとは反対側の面の冷却が不十分であることから結晶化が進行し、色調(L値)や表面粗さSRaを抑えることができなくなる。なお、1300μm以上の未延伸フィルムを冷却するためには、フィルムの冷却ドラムとは反対側のフィルムの表面温度がTmc(℃)から(Tmc−70)(℃)に冷却するまでにかかる時間は3.0秒未満とするには、実質的に困難である。より好ましくは、4.0秒以上7.0秒以下である。冷却ドラム上に溶融押出されたポリエステルフィルムの冷却ドラムとは反対側のポリエステルフィルムの表面温度がTmc(℃)から(Tmc−70)(℃)に冷却するまでにかかる時間を制御する方法は特に限られるものでは無いが、後述する、冷却ドラム上の冷却ドラムとは反対側のポリエステルフィルム表面に吹き付けるエアーの温度や風速を調整する方法と、キャストドラムの回転速度を調整して、キャストドラム上にフィルムが接触している時間を調整する方法が挙げられる。
本発明のポリエステルフィルムの製造方法では、未延伸ポリエステルフィルムを得る工程において、冷却ドラム上の冷却ドラムとは反対側のポリエステルフィルム表面に、5℃以上25℃以下のエアーを吹き付けることが好ましい。エアーの温度が25℃を超えると、未延伸ポリエステルフィルムの冷却が不足して、ポリエステルフィルムの結晶化が進行するために、冷却ドラムとは反対側のフィルム面の色調(L値)や表面粗さSRaを抑えることができなくなる場合がある。エアーの温度が5℃未満であると、冷却ドラムやエアー吹きつけ装置で結露が生じ、ポリエステルフィルムの加水分解を引き起こし、厚みムラができてしまう場合がある。
本発明のポリエステルフィルムの製造方法では、未延伸ポリエステルフィルムを得る工程において、冷却ドラム上の冷却ドラムとは反対側のポリエステルフィルム表面に、10m/秒以上40m/秒以下の速度でエアーを吹き付けることが好ましい。エアーの速度が10m/秒未満であると、未延伸ポリエステルフィルムの冷却が不足して、ポリエステルフィルムの結晶化が進行するために、冷却ドラムとは反対側のフィルム面の色調(L値)や表面粗さSRaを抑えることができなくなる。エアーの速度が40m/秒を超えると、色調(L値)は12以下にしやすくなるが、未延伸フィルムにバタつきが生じ、厚みムラができてしまう場合があり、製品価値が低くなり現実的ではない。より好ましくは、12m/秒以上35m/秒以下である。
本発明者らは、層厚みが厚いポリエステルフィルムが冷却条件によって一方のフィルム表面ともう一方のフィルム表面の色調(L値)や表面粗さSRaに差が発生するのは、以下のように推定している。ポリエステルフィルムは冷却が不足すると、粒子を核としてポリエステルの結晶化が進行し、白色がかった灰色のポリエステルフィルムが形成され、表面突起が形成される。一般的なポリエステルフィルムの製造方法では、溶融押出後、冷却ドラムにポリエステルフィルムの片面を接触させることで、ポリエステルフィルムを冷却させるところ、厚みが厚いポリエステルフィルムにおいては、冷却ドラムに接するポリエステル表面と、冷却ドラムに接しないポリエステル表面での冷却条件が大きく異なるため、前述の現象が顕著に発生する。なお、代表的な黒色顔料であるカーボンブラックは、結晶核材ともなりうるため、カーボンブラック粒子の含有量を、本発明の下限値に近づければ、表面粗さSRaは小さくしやすくなるが、冷却条件によっては、ポリエステルの結晶化が進行し、色調(L値)を小さくすることが難しくなる。
本発明のポリエステルフィルムの製造方法では、未延伸ポリエステルフィルムを得る工程において、冷却ドラムの表面温度が10℃以上40℃以下であることが好ましい。冷却ドラムの表面温度が40℃を超えると、未延伸ポリエステルフィルムの冷却が不足して、ポリエステルフィルムの結晶化が進行するために、冷却ドラムとは反対側のフィルム面のL値や表面粗さSRaを抑えることができなくなる場合がある。冷却ドラムの表面温度が10℃未満であると、冷却ドラム上に結露が生じ、ポリエステルフィルムの加水分解を引き起こし、厚みムラができてしまう場合がある。より好ましくは、11℃以上24℃である。
冷却ドラムでのポリエステルフィルム冷却に関して、冷却ドラム側のフィルム面の表面粗さSRaは、冷却ドラムに密着されるため本発明の範囲を満たし易いが、冷却ドラム側のフィルム面の色調(L値)は、冷却が遅いと本発明の範囲を超えやすい傾向にある。
本発明のポリエステルフィルムは、遮光性に優れ、かつ、フィルムの表裏で見た目に差がないため、フィルムの表裏を意識しながら加工する必要がなく、電子機器の遮光、絶縁基材としては、デジタルカメラ、ビデオカメラ、レーザービームプリンター、リチウムイオンバッテリーなどの電子機器、装置の内部に組み込まれて好適に使用できる。本発明のフィルムは両面の表面特性が高品位であるため、基材への加工が容易で、軽量で高強度かつ意匠性に優れた基材を得ることができる。
(物性の測定法)
(1)厚み(μm)
日本ミクロトーム研究所製電動ミクロトームST−201を用いて断面切削したフィルムのスライス片を透過光顕微鏡で観察し、厚み(μm)を測定した。
(2)破断強度(MPa)
A4サイズのフィルムをカットし、これを試料に用いた。定速緊張形引張試験機にて原長(チャック間距離)100mm、引張り速度200mm/分で試料長さ方向に引張り、フィルムが破断したときの引張り荷重値を試料の試験前のフィルムの断面積で除した値(MPa)を算出した。なお測定はフィルムの長手方向(MD方向)、幅方向(TD方向)それぞれについて5回ずつ行い、平均値を破断強度とした。なお、長手方向が特定できない場合は、フィルム面内の超音波伝導速度を、SONIC SHEET TESTER SST−4000(野村商事社製)にて測定し、最も速度の速い方向を長手方向、それに直角な方向を幅方向とみなす。
(3)色調(L値)
分光式色差計(日本電色工業製ZE−2000)を用いて、任意のフィルムの色調(L値)を反射法により測定した。標準合せは、付属の標準白色板(上述の測定方法におけるX値、Y値、Z値が、93.11、95.11、112.05)を用いた。
(4)黒色顔料含有量(質量%)
フィルム片5mgを、示差熱分析装置(TAインスツルメント製(型番Q5000IR)に設置し、空気中、2℃/分の昇温速度にて室温から1000℃まで昇温した。その時の550℃から900℃の間での質量減少(質量%)を黒色顔料の減量として解析した。質量減量率0.3%以下は装置検出誤差範囲内である。
(5)表面粗さSRa(nm)
フィルムの任意の表面を、3次元表面粗さ計ET4000AK(小坂研究所社製)を用い、次の条件で触針法により測定を行った。なお、表面粗さSRa(nm)は、粗さ曲面の高さと粗さ曲面の中心面の高さの差をとり、その絶対値の平均値を表したものである。
針径 2μmR
針圧 10mg
測定長 500μm
縦倍率 20000倍
CUT OFF 250μm
測定速度 100μm/s
測定間隔 5μm
記録本数 80本
ヒステリシス幅 ±6.25nm
基準面積 0.1mm
(6)降温結晶化温度(Tmc)(℃)
フィルム片を、示差走査熱量計TAC7DXを用いて300℃の温度で5分間溶融後20℃/分の冷却速度で冷却し、結晶化に伴う発熱ピークの温度を読み取りTmc(℃)とした。
(7)冷却ドラム上の冷却ドラム面とは反対側の未延伸ポリエステルフィルム表面温度がTmc(℃)から(Tmc−70)(℃)に冷却するまでにかかる時間(秒)
キーエンス製非接触温度計IT2−80を用いて、放射率0.95で冷却ドラム上の未延伸ポリエステルフィルム温度を測定し、フィルム温度がTmc(℃)である位置(A点)と、フィルム温度が(Tmc−70)(℃)である位置(B点)を探索した。その後、冷却ドラム側面に目印をつけ、冷却ドラムが回転して、A点とB点の間を通過する時間(秒)を測定した。
(8)エアーの温度(℃)および速度(m/s)
カノマックス製アネモマスター速度計Model6112を用いてエアー吹きつけ装置の給気ノズル先端の温度(℃)および速度(m/s)を測定した。ノズルの幅方向5点を測定し平均した。
(9)冷却ドラム表面温度(℃)
キーエンス製非接触温度計IT2−80を用いて、放射率0.95で冷却ドラム上の温度(℃)を測定した。
(10)外観評価
(A)フィルム表面白化具合評価
(3)で評価したフィルムの表裏の色調(L値)の高い方の面のフィルム表面のL値によりフィルム表面白化具合についての評価基準を以下のように定義し、○、△を合格とした。
いずれのフィルム表面もL値が11以下:○
いずれかのフィルム表面がL値が11を超え12以下:△
いずれかのフィルム表面がL値が12を超える:×
(B)フィルム表面平滑性評価
(5)で測定したフィルムの表裏の表面粗さ(SRa)の高い方の面のフィルム表面の表面粗さ(SRa)についての評価基準を以下のように定義し、○、△を合格とした。
いずれのフィルム表面もSRaが37nm以下:○
いずれかのフィルム表面がSRaが37nmを超え46nm以下:△
いずれかのフィルム表面がSRaが46nmを超える:×
(C)フィルムの表裏の識別困難性評価
(3)で評価したフィルムの表裏の色調(L値)の差により、フィルム表面の識別ができにくいかを評価基準を以下のように定義し、◎、○、△を合格とした。
L値の差が0.0を超え1.0以下:◎
L値の差が1.0を超え2.0以下:〇
L値の差が2.0を超え3.0以下:△
L値の差が3.0を超える:×。
[フィルムの製造]
(樹脂の製造方法)
1.ポリエチレンテレフタレート(PET)
テレフタル酸ジメチル100質量部、エチレングリコール57.5質量部、酢酸マグネシウム2水和物0.03質量部、三酸化アンチモン0 .03質量部を150℃、窒素雰囲気下で溶融した。この溶融物を撹拌しながら230℃まで3時間かけて昇温し、メタノールを留出させ、エステル交換反応を終了した。エステル交換反応終了後、リン酸0.005質量部をエチレングリコール0.5質量部に溶解したエチレングリコール溶液(pH5.0)を添加した。このときのポリエステル組成物の固有粘度は0.2未満であった。この後、重合反応を最終到達温度285℃、真空度0.1Torrで行い、固有粘度0.65、末端カルボキシル基量が34当量/トンのポリエチレンテレフタレートを得た。
2.CBマスターバッチ(CB−MB)
上記1.項によって得られたポリエチレンテレフタレート95質量%と、一次粒径18nmのファーネス法によって製造されたカーボンブラック(CB−1)5質量%を、ベントした280℃の押出機内で溶融混練し、CBマスターバッチ1を作製した。
3.シリカマスターバッチ(Si−MB)
上記1.項によって得られたポリエチレンテレフタレート98.0質量%と、一次粒径2.6μmのシリカ粒子2.0質量%をベントした280℃の押出機内で溶融混練し、SiOマスターバッチを作製した。
(実施例1)
原料ポリマーを、以下に示す配合比で混合し、以下の手順でフィルムとした。
・PET:85.5質量%
・CB−MB:13質量%
・Si−MB:1.5質量%
上記原料チップを、回転式真空乾燥機を用いて3.0kPa以下の減圧下にて160℃で2時間乾燥した後、押出機に供給し280℃で溶融押出を行った。ステンレス鋼繊維を焼結圧縮したフィルターでろ過した後、T字型口金よりシート状に押し出し、静電印加キャスト法を用いて表面温度20℃の鏡面冷却ドラムに巻きつけ、エアーノズルを冷却ドラムに対して平行に13本有するエアー吹きつけ装置で、冷却ドラム上のフィルムに12.4℃、速度19.4m/秒のエアーを吹きつけて冷却固化せしめた。冷却ドラム上の冷却ドラム面とは反対側の未延伸ポリエステルフィルム表面温度がTmc(℃)から(Tmc−70)(℃)に冷却するまでにかかる時間は5.7秒であった。この未延伸フィルムを予熱ロールにて80℃に予熱後、ラジエーションヒーターを用いて90℃まで加熱しつつロール間の周速差を利用して長手方向に2.8倍延伸し、引き続き冷却ロールにて40℃まで冷却し、一軸配向フィルムとした。この一軸配向フィルムの幅方向両端部をクリップで把持してオーブン中にて雰囲気温度130℃で予熱し、引き続き連続的に幅方向に3.3倍延伸した。得られた二軸配向フィルムを引き続き230℃の加熱ゾーンで熱処理し、150℃まで冷却しながら幅方向に向かい合うクリップ間隔を縮めることで2.3%の弛緩処理を施した。その後さらに冷却後フィルム幅方向両端部を把持しているクリップを離間することでオーブンからフィルムを取り出し、幅方向両端部を切断除去し、搬送ロールにて搬送後に巻き取り、フィルムの厚さが250μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
(実施例2〜19)
表に記載した以外は、実施例1と同様の方法でポリエステルフィルムを得た。
(比較例1〜8)
表に記載した以外は、実施例1と同様の方法でポリエステルフィルムを得た。
(参考例1)
表に記載した以外は、実施例1と同様の方法でポリエステルフィルムを得た。
(観察まとめ)
実施例1〜7、9〜13で得られたポリエステルフィルムを観察したところ、いずれの面にも白化、平滑性の悪い箇所の無い、高品位なポリエステルフィルムだった。
実施例8では、冷却ドラムへの吹きつけエアー速度が実施例1に比べ遅いため、冷却ドラム面とは反対側のフィルム面の色調(L値)、表面粗さSRaが若干高いものの、白化、平滑性の悪い箇所がほぼ見られないポリエステルフィルムが得られた。
実施例14では、冷却ドラムへの吹きつけエアー温度が実施例1に比べ高いため、冷却ドラム面とは反対側のフィルム面の表面粗さSRaが若干高いものの、白化が無く、平滑性の悪い箇所もほぼ見られないポリエステルフィルムが得られた。
実施例15では、冷却ドラムへの吹きつけエアー速度が実施例1に比べ遅く、エアー温度が高いため、冷却ドラム面とは反対側のフィルム面の色調(L値)、表面粗さSRaが若干高いものの、白化、平滑性の悪い箇所がほぼ見られないポリエステルフィルムが得られた。
実施例16では、冷却ドラム上の冷却ドラム面とは反対側の未延伸ポリエステルフィルム表面温度がTmc(℃)から(Tmc−70)(℃)に冷却するまでにかかる時間が実施例1に比べ長いため、冷却ドラム面とは反対側のフィルム面の表面粗さSRaが若干高いものの、白化が無く、平滑性の悪い箇所もほぼ見られないポリエステルフィルムが得られた。
実施例17では、ポリエステルフィルム中のカーボンブラック濃度が実施例1に比べ多いため、冷却ドラム面とは反対側のフィルム面の色調(L値)が若干高いものの、平滑性の悪い箇所が無く、白化もほぼ見られないポリエステルフィルムが得られた。
実施例18では、冷却ドラム上の冷却ドラム面とは反対側の未延伸ポリエステルフィルム表面温度がTmc(℃)から(Tmc−70)(℃)に冷却するまでにかかる時間が実施例1に比べ長いため、冷却ドラム面とは反対側のフィルム面の色調(L値)、表面粗さSRaが若干高いものの、白化、平滑性の悪い箇所がほぼ見られないポリエステルフィルムが得られた。
実施例19では、冷却ドラムへの吹きつけエアー速度が実施例1に比べ速いため、フィルムに局所的な厚みムラが見られたが、白化、平滑性の悪い箇所が見られないポリエステルフィルムが得られた。
比較例1では、冷却ドラム上の冷却ドラム面とは反対側の未延伸ポリエステルフィルム表面温度がTmc(℃)から(Tmc−70)(℃)に冷却するまでにかかる時間が9秒を超えているため、ポリエステルフィルムの結晶化が冷却ドラム面とは反対側の面で進行し、冷却ドラムとは反対側の面の色調(L値)が12を超え、表面粗さSRaが46nmを超えてしまったことで、冷却ドラム面とは反対側の面の白化、平滑性の悪化が明確に現れ、低品位なポリエステルフィルムが得られた。
比較例2では、冷却ドラムへの吹きつけエアー速度が10m/秒を下回っているため、冷却ドラム面とは反対側の面の白化、平滑性の悪化が明確に現れ、低品位なポリエステルフィルムが得られた。
比較例3では、冷却ドラム面とは反対側の面にエアーを吹きつけなかったために、ポリエステルフィルムの結晶化が冷却ドラム面とは反対側の面で進行し、冷却ドラムとは反対側の面の色調(L値)が12を超え、表面粗さSRaが46nmを超えてしまったことで、冷却ドラム面とは反対側の面の白化、平滑性の悪化が明確に現れ、低品位なポリエステルフィルムが得られた。
比較例4では、ポリエステルフィルム中のカーボンブラック含有量が1.5質量%を超えていることと合わせて、冷却ドラム面とは反対側の面にエアーを吹きつけなかったために、ポリエステルフィルムの結晶化が冷却ドラム面とは反対側の面で進行し、冷却ドラムとは反対側の面の色調(L値)が12を超え、表面粗さSRaが46nmを超えてしまったことで、冷却ドラム面とは反対側の面の白化、平滑性の悪化が明確に現れ、低品位なポリエステルフィルムが得られた。
比較例5では、ポリエステルフィルム中のカーボンブラック含有量とSi粒子含有量の和が1.5質量%を超えていることと合わせて、冷却ドラム面とは反対側の面にエアーを吹きつけなかったために、ポリエステルフィルムの結晶化が冷却ドラム面とは反対側の面で進行し、冷却ドラムとは反対側の面の色調(L値)が12を超え、表面粗さSRaが46nmを超えてしまったことで、冷却ドラム面とは反対側の面の白化、平滑性の悪化が明確に現れ、低品位なポリエステルフィルムが得られた。
比較例6では、ポリエステルフィルム中のカーボンブラック含有量が1.5質量%を超えているために、ポリエステルフィルム両面にて結晶化が進行し、フィルム両面の色調(L値)が12を超えたことと合わせて、冷却ドラムへの吹きつけエアー速度が40m/sを超えているため、フィルムバタつきによる厚みムラが生じ、両面が白化し厚みムラが明確に見られる低品位なポリエステルフィルムが得られた。
比較例7では、ポリエステルフィルム中のカーボンブラック含有量が1.5質量%を越えているため、冷却ドラムとは反対側のフィルム面の色調(L値)が12を超えてしまったことと合わせて、冷却ドラムへの吹きつけエアー温度が10℃を下回っているために、エアー吹きつけ装置や冷却ドラム上に結露が発生し、フィルムの厚みムラが生じたことで、白化、厚みムラが明確に見られる低品位なポリエステルフィルムが得られた。
参考例1では、冷却ドラム上の未延伸フィルム厚みが660μmであり、エアー吹きつけをしなくともフィルム両面の冷却が十分で、ポリエステルの結晶化を抑えられたことから、いずれの面にも白化、平滑性の悪い箇所の無い、高品位なポリエステルフィルムが得られた。
比較例8では、ポリエステルフィルム中のカーボンブラック含有量が1.5質量%を超えているために、ポリエステルフィルム両面にて結晶化が進行し、フィルムND面の色調(L値)が12を超え、ND面が白化した低品位なポリエステルフィルムが得られた。
Figure 2019056109
Figure 2019056109

Claims (7)

  1. 黒色顔料を含有するポリエステルフィルムであって、前記ポリエステルフィルムの厚みが150μm以上500μm以下、フィルムの長手方向(MD方向)、幅方向(TD方向)の少なくとも一方の破断強度が150MPa以上250MPa以下であって、前記ポリエステルフィルムの表面におけるL値がいずれの面も12以下であるポリエステルフィルム。
  2. 前記ポリエステルフィルムの表面粗さ(SRa)がいずれの面も46nm以下である請求項1に記載のポリエステルフィルム。
  3. 前記ポリエステルフィルムに含有する黒色顔料の含有量が、ポリエステルフィルム全体に対して0.01質量%以上1.5質量%以下である請求項1または請求項2に記載のポリエステルフィルム。
  4. 黒色顔料を0.01質量%以上1.5質量%以下含有するポリエステル樹脂を回転する冷却ドラム上に溶融押出し、ポリエステル樹脂の降温結晶化温度Tmc(℃)以下に冷却固化して厚みが1300μm以上4500μm以下の未延伸ポリエステルフィルムを得る工程を有するポリエステルフィルムの製造方法であって、前記冷却ドラム上に溶融押出されたポリエステルフィルムの冷却ドラムとは反対側のポリエステルフィルムの表面温度がTmc(℃)から(Tmc−70)(℃)に冷却するまでにかかる時間を、3.0秒以上9.0秒以下となるよう冷却した後、冷却ドラムから剥離して未延伸フィルムを得た後、少なくとも一軸に延伸するポリエステルフィルムの製造方法。
  5. 前記未延伸ポリエステルフィルムを得る工程において、冷却ドラム上の冷却ドラムとは反対側のポリエステルフィルム表面に、5℃以上25℃以下のエアーを10m/秒以上40m/秒以下の速度で吹きつける請求項4に記載のポリエステルフィルムの製造方法。
  6. 前記冷却ドラムの表面温度が10℃以上40℃以下である請求項4または請求項5に記載のポリエステルフィルムの製造方法。
  7. 延伸後のポリエステルフィルムの厚みが150μm以上500μm以下である請求項4〜6のいずれかに記載のポリエステルフィルムの製造方法。
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