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JP2019038897A - リキッドインキ組成物 - Google Patents

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JP2019038897A
JP2019038897A JP2017160224A JP2017160224A JP2019038897A JP 2019038897 A JP2019038897 A JP 2019038897A JP 2017160224 A JP2017160224 A JP 2017160224A JP 2017160224 A JP2017160224 A JP 2017160224A JP 2019038897 A JP2019038897 A JP 2019038897A
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勝平 木場
Katsuhei Koba
勝平 木場
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DIC Graphics Corp
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Abstract

【課題】本発明の課題は、塩素化ポリプロピレン樹脂、及び水を含有していても、ポリプロピレンフィルムとの密着性が保持でき、多種多様化する各種機能フィルムへの接着性、ラミネート強度、押出しラミネート強度、耐レトルト性、及び良好な印刷適性を兼備するリキッドインキ組成物を提供することを目的とする。【解決手段】ポリウレタン樹脂(A)、組成物固形分全量に対して0.1〜3.0質量%の塩素化ポリプロピレン樹脂(B)、有機溶剤(C)、及び組成物全量の0.3〜7質量%の水(D)を含有するリキッドインキ組成物であって、前記塩素化ポリプロピレン樹脂(B)の塩素化度が30〜45%、重量平均分子量が5000〜50000であるリキッドインキ組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、軟包装用ラミネート用途のグラビアインキ、フレキソインキ向けリキッドインキ組成物に関する。特に、密着性が低下しがちなポリプロピレンフィルムや無機や有機のバリアコート材が塗布された各種フィルム向けリキッドインキ組成物に関する。
主に、軟包装材の製造に使用されるラミネート用途のリキッドインキは、ウレタン樹脂若しくはウレタンウレア樹脂が主成分として使用されている。さらに近年では、印刷時の作業衛生性と包装材料の有害性の両面から、トルエン等の芳香族溶剤やメチルエチルケトン等のケトン系溶剤の使用が制限されつつある。例えば、脱芳香族系溶剤やケトン系溶剤型のリキッドインキには、印刷適性の観点から、溶剤として芳香族、ケトン系溶剤の代わりに酢酸エチルや酢酸プロピルなどの酢酸エステル類、イソプロピルアルコールやノルマルプロピルアルコール等のアルコール系溶剤、又はそれらの混合溶剤が使用される傾向にある。
しかし、前記芳香族溶剤、ケトン系溶剤を使用しないインキの場合でも、大気中への揮発性有機化学物質(VOC)の放出は免れない。一方で、VOC放出量の低減のために、水を有機溶剤と併用する事が有用である上、更に水の併用はインキの転移性向上にも効果的である。
例えば、特許文献1(特開2014−005318)には、インキ組成中に水を10重量%未満含有するリキッドインキが例示されている。
また、塩素化ポリプロピレン樹脂は、主にポリプロピレン樹脂への密着性を付与するも
のであるが、有機溶剤や特に水への溶解性が乏しい。その添加量と、特定の組成、分子量
を有さないものを使用すると、特に水存在下では塩素化ポリプロピレン樹脂の相溶性が低
下し沈殿、分離等を生じやすくなる。その結果、インキの安定性が低下したり、沈殿によ
る印刷不良等が生じやすくなる。
軟包装材の製造にはポリエチレンテレフタラート、ポリプロピレン、ナイロンなどの各
種フィルムが用いられ、印刷インキにはこれら各種印刷基材への密着性が求められるが、
特にポリプロピレンフィルムに対しては密着性が不十分であることが多い。
一方で近年、フィルムパッケージに用いられるフィルムとして、各種バリア性を付与した高機能フィルムが増加する傾向にある。これらの高機能フィルムは、その表面に無機や有機のバリアコート剤が塗布されており、これらの高機能フィルムを原反としてグラビア印刷又はフレキソ印刷した際、フィルム原反とインキの密着性が阻害される事がしばしば発生しうる。これらの高機能フィルムは、食品用、電子部品用向けに内容物の変質を防止すべく空気を遮断する酸素バリア、水蒸気を遮断する水蒸気バリア等、業種・目的用途に応じて多種多様に存在し、また技術的にも非公開なものが多く、一般のフィルム印刷と比較して密着性が保持し難いのが現状である。
例えば、特許文献2(特開2009−073936)には、塩素化度が25〜45重量%かつ重量平均分子量5000〜30000である塩素化ポリプロピレン樹脂を含有することを特徴とする印刷インキ組成物が例示されており、ポリプロピレンフィルムとの密着性向上を目的とするものではあるが、上記背景により水を適量含有していない為、特に耐カスレ性といった印刷適性の改善が困難な上、VOCの大気への放出量を抑制する事ができない点で十分であるとは言えない。
特開2014−005318 特開2009−073936
本発明は、塩素化ポリプロピレン樹脂、及び水を含有していても、ポリプロピレンフィルムとの密着性が保持でき、多種多様化する各種機能フィルムへの接着性、ラミネート強度、押出しラミネート強度、耐レトルト性、及び良好な印刷適性を兼備するリキッドインキ組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記した課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、リキッドインキ組成物において、ポリウレタン樹脂に、塩素化ポリプロピレン樹脂、有機溶剤及び水を併用する事で、課題解決に有効であることを見出した。
即ち、本発明は、ポリウレタン樹脂(A)、組成物固形分全量に対して0.1〜3.0質量%の塩素化ポリプロピレン樹脂(B)、有機溶剤(C)、及び組成物全量の0.3〜7質量%の水(D)を含有するリキッドインキ組成物であって、前記塩素化ポリプロピレン樹脂(B)の塩素化度が30〜45%、重量平均分子量が5000〜50000であることを特徴とするリキッドインキ組成物に関する。
更に、本発明は、着色剤(E)を含有するリキッドインキ組成物に関する。
更に、本発明は、前記ポリウレタン樹脂(A)がポリエーテル樹脂を反応原料とするものであり、ポリウレタン樹脂(A)全量に対するポリエーテル樹脂が1〜50質量%であるリキッドインキ組成物に関する。
更に、本発明は、前記有機溶剤(C)が、芳香族有機溶剤及び/又はケトン系溶剤を含まないリキッドインキ組成物に関する。
更に、本発明は、塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂(F)を含有するリキッドインキ組成物に関する。
更に、本発明は、前記水酸基を有する塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂(F)の水酸基価が、50〜200mg当量KOH/gであり、かつ前記共重合体樹脂中の塩化ビニル成分の含有比率が80〜95質量部であるリキッドインキ組成物に関する。
更に、本発明は、該リキッドインキ組成物を印刷してなる印刷物に関する。
更に、本発明は、該印刷物からなるラミネート積層体に関する。
本発明により、塩素化ポリプロピレン樹脂、及び水を含有していても、ポリプロピレンフィルムとの密着性が保持でき、多種多様化する各種機能フィルムへの接着性、ラミネート強度、押出しラミネート強度、耐レトルト性、及び良好な印刷適性を兼備するリキッドインキ組成物が得られる。
本発明について詳細に説明する。尚、以下の説明で用いる「インキ」とは全て「印刷インキ」を示す。また「部」、「%」は、全て「質量部」、「質量%」を示す。
本発明のリキッドインキ組成物は、ポリウレタン樹脂(A)、塩素化ポリプロピレン樹脂(B)、有機溶剤(C)、及び水(D)を含有する事を必須とする。
本発明のリキッドインキ組成物は、具体的には前記ポリウレタン樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂を酢酸エチル、メチルエチルケトン、トルエン、IPAなど各種有機溶剤、水を予め混合する。水は有機溶剤に予め添加して含水の有機溶媒としてもよいし、別途特定量の水を添加してもよい。ニス組成物であれば、分散攪拌機にて前記溶液を攪拌しながら各種添加剤を投入し更に攪拌することでニス組成物を得る事ができる。インキ組成物であれば、着色剤を添加し十分分散する事でインキ組成物を得る。
本発明のリキッドインキ組成物で使用するポリウレタン樹脂(A)としては、公知公用のポリウレタン樹脂を使用することができる一方で、ポリエーテル樹脂を反応原料とする事が好ましく、ポリウレタン樹脂(A)全量に対してポリエーテル樹脂を1〜50質量%の割合で使用したものが好ましい。より好ましくは3〜30質量%である。
尚、前記ポリエーテル樹脂の数平均分子量が100〜3500のものであることが好ましい。詳細は後述するが、ポリエーテルポリオールとしては、酸化エチレン、酸化プロピレン、テトラヒドロフランなどの重合体または共重合体のポリエーテルポリオール類が挙げられる。具体的には、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなど公知汎用のものでよい。ポリエーテル樹脂を上記の範囲で含有することにより、特に高機能バリアーフィルム上での密着性が大幅に向上し、結果として耐ブロッキング性、ラミネート強度が優れるようになる。
前記ポリエーテル樹脂の数平均分子量が100より小さいと、ポリウレタン樹脂(A)の皮膜が硬くなる傾向にありフィルムへの接着性が低下し易い。数平均分子量が3500より大きい場合、ポリウレタン樹脂の皮膜が脆弱になる傾向にありインキ皮膜の耐ブロッキング性が低下する。ポリウレタン樹脂(A)100質量部に対してポリエーテルポリオールが1質量部未満であると、該ポリウレタン樹脂(A)のケトン、エステル、アルコール系溶剤への溶解性が低下する傾向となる。またインキ皮膜の該溶剤への再溶解性が低下し、印刷物の調子再現性が低下する傾向となる。また50質量部を超えると、インキ皮膜が過剰に柔らかくなり、耐ブロッキングが劣る傾向と成り易い。
本発明のリキッドインキ組成物で使用するポリウレタン樹脂(A)に必要に応じて使用される併用ポリオールとしては、ポリウレタン樹脂の製造に一般的に用いられる各種公知のポリオールを用いることができ、1種または2種以上を併用してもよい。例えば、酸化メチレン、酸化エチレン、テトラヒドロフランなどの重合体または共重合体のポリエーテルポリオール類(1);エチレングリコール、1,2―プロパンジオール、1,3―プロパンジオール、2メチル−1,3プロパンジオール、2エチル−2ブチル−1,3プロパンジオール、1,3―ブタンジオール、1,4―ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ペンタンジオール、3−メチル−1,5ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、1,4−ブチンジオール、1,4―ブチレンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、ソルビトール、ペンタエスリトールなどの飽和または不飽和の低分子ポリオール類(2);これらの低分子ポリオール類(2)と、アジピン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マレイン酸、フマル酸、こはく酸、しゅう酸、マロン酸、グルタル酸、ピメリン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸などの多価カルボン酸あるいはこれらの無水物とを脱水縮合または重合させて得られるポリエステルポリオール類(3);環状エステル化合物、例えばポリカプロラクトン、ポリバレロラクトン、ポリ(β−メチル−γ−バレロラクトン)等のラクトン類、を開環重合して得られるポリエステルポリオール類(4);前記低分子ポリオール類(2)などと、例えばジメチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、エチレンカーボネート、ホスゲン等との反応によって得られるポリカーボネートポリオール類(5);ポリブタジエングリコール類(6);ビスフェノールAに酸化エチレンまたは酸化プロピレンを付加して得られるグリコール類(7);1分子中に1個以上のヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロプル、アクリルヒドロキシブチル等、或いはこれらの対応するメタクリル酸誘導体等と、例えばアクリル酸、メタクリル酸又はそのエステルとを共重合することによって得られるアクリルポリオール(8)などが挙げられる。
尚、前記ポリエステルポリオール類(3)のなかで、ジオール類(グリコール類)と二塩基酸とから得られる高分子ジオールは、ジオール類のうち5モル%までを前記水酸基を3つ以上有する低分子ポリオール類(2)に置換することが出来る。
本発明の軟包装用ラミネート用インキ組成物におけるポリウレタン樹脂(A)に使用されるジイソシアネート化合物としては、ポリウレタン樹脂の製造に一般的に用いられる各種公知の芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネートなどが挙げられる。例えば、1,5―ナフチレンジイソシアネート、4,4’―ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’―ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、4,4’―ジベンジルイソシアネート、ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、1,3―フェニレンジイソシアネート、1,4―フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ブタン―1,4―ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソプロピレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、2,2,4―トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、シクロヘキサン―1,4―ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジメリールジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン―4,4’―ジイソシアネート、1,3―ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、mーテトラメチルキシリレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ビス−クロロメチル−ジフェニルメタン−ジイソシアネート、2,6−ジイソシアネート−ベンジルクロライドやダイマー酸のカルボキシル基をイソシアネート基に転化したダイマージイソシアネート等があげられる。これらのジイソシアネート化合物は単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
本発明のリキッドインキ組成物におけるポリウレタン樹脂(A)に使用される鎖伸長剤としては、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、イソホロンジアミン、ジシクロヘキシルメタン―4,4’―ジアミンなどの他、2―ヒドロキシエチルエチレンジアミン、2―ヒドロキシエチルプロピルジアミン、2―ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、ジ―2―ヒドロキシエチルエチレンジアミン、ジ―2―ヒドロキシエチレンジアミン、ジ―2―ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、2―ヒドロキシピロピルエチレンジアミン、ジ―2―ヒドロキシピロピルエチレンジアミン、ジ―2―ヒドロキシプロピルエチレンジアミンなど分子内に水酸基を有するアミン類も用いることが出来る。これらの鎖伸長剤は単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
また、反応停止を目的とした末端封鎖剤として、一価の活性水素化合物を用いることもできる。かかる化合物としてはたとえば、ジーnーブチルアミン等のジアルキルアミン類やエタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類があげられる。更に、特にポリウレタン樹脂中にカルボキシル基を導入したいときには、グリシン、L−アラニン等のアミノ酸を反応停止剤として用いることができる。これらの末端封鎖剤は単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
本発明のリキッドインキ組成物におけるポリウレタン樹脂(A)は、例えば、ポリプロピレングリコールおよび併用ポリオールとジイソシアネート化合物とをイソシアネート基が過剰となる割合で反応させ、末端イソシアネート基のプレポリマーを得、得られるプレポリマーを、適当な溶剤中、すなわち、グラビアインキ用の溶剤として通常用いられる、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチルなどのエステル系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶剤;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノールなどのアルコール系溶剤;トルエン、キシレン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサンなどの炭化水素系溶剤;あるいはこれらの混合溶剤の中で、鎖伸長剤および(または)末端封鎖剤と反応させる二段法、あるいはポリプロピレングリコールおよび併用ポリオール、ジイソシアネート化合物、鎖伸長剤および(または)末端封鎖剤を上記のうち適切な溶剤中で一度に反応させる一段法により製造される。これらの方法のなかでも、均一なポリウレタン樹脂を得るには、二段法によることが好ましい。また、ポリウレタン樹脂を二段法で製造する場合、鎖伸長剤および(または)末端封鎖剤のアミノ基の合計(当量比)が1/0.9〜1.3の割合になるように反応させることが好ましい。イソシアネート基とアミノ基との当量比が1/1.3より小さいときは、鎖伸長剤および(または)末端封鎖剤が未反応のまま残存し、ポリウレタン樹脂が黄変したり、印刷後臭気が発生したりする場合がある。さらに近年、作業環境の観点から、トルエン、キシレンといった芳香族系溶剤やケトン系溶剤を用いないことがより好ましい。
このようにして得られるポリウレタン樹脂(A)の重量平均分子量は、15,000〜100,000の範囲内とすることが好ましく、より好ましくは15,000〜80,000の範囲である。ポリウレタン樹脂の重量平均分子量が15,000未満の場合には、得られるインキの組成物の耐ブロッキング性、印刷被膜の強度や耐油性などが低くなる傾向があり、100,000を超える場合には、得られるインキ組成物の粘度が高くなり、印刷被膜の光沢が低くなる傾向がある。
本発明のリキッドインキ組成物で使用するポリウレタン樹脂(A)のインキにおける含有量は、インキの被印刷体への接着性を十分にする観点からインキの総質量に対して4質量%以上、適度なインキ粘度やインキ製造時・印刷時の作業効率の観点から25質量%以下が好ましく、更には6〜15質量%の範囲が好ましい。
本発明のリキッドインキ組成物では、各種有機溶剤を使用することができ、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族有機溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル系溶剤、n−プロパノール、イノプロパノール、n−ブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール系溶剤があげられ、これらを単独または2種以上の混合物で用いることができる。近年、作業環境の観点から、トルエン、キシレンといった芳香族系溶剤やケトン系溶剤を用いないことがより好ましい。
更に、本発明のリキッドインキ組成物は、塩素化ポリプロピレン樹脂(B)を含有する事を必須とする。前記塩素化ポリプロピレン樹脂(B)としては塩素化度が30〜45%、重量平均分子量が5000〜50000であることが好ましい。ここで本発明における塩素化度とは、塩素化ポリプロピレン樹脂中の塩素原子の重量%である。塩素化度が30%未満では有機溶剤に対する溶解度が低下する傾向にあり、45%を越えるとフィルム基材との密着性が低下する傾向が生じ易い。また重量平均分子量が5000未満ではフィルム基材への密着性の効果が得られにくく、また50000を越えると溶解性、特にエステル系溶剤、アルコール系溶剤への溶解性が低下する傾向が生じ易い。
また、前記塩素化ポリプロピレン樹脂(B)は、リキッドインキ組成物の全固形分に対して0.1〜3.0質量%であることが好ましい。0.1質量%に満たないと基材フィルムとの密着性が低下する傾向にあり、3.0質量%を上回るとリキッドインキ組成物中での相溶性が不足し、沈殿が生じやすく皮膜中でピンホールが生じたり印刷適性が悪化する現象が発生しやすい。
本発明のリキッドインキ組成物は、着色剤(E)を添加しなければ、ニスとして使用できる一方で、着色剤(E)を添加すればプロセスカラーリキッドインキ、特色リキッドインキとして使用できる。前記着色剤(E)としては、一般のインキ、塗料、および記録剤などに使用されている有機、無機顔料や染料を挙げることができる。有機顔料としては、アゾ系、フタロシアニン系、アントラキノン系、ペリレン系、ペリノン系、キナクリドン系、チオインジゴ系、ジオキサジン系、イソインドリノン系、キノフタロン系、アゾメチンアゾ系、ジクトピロロピロール系、イソインドリン系などの顔料が挙げられる。藍インキには銅フタロシアニン、透明黄インキにはコスト・耐光性の点からC.I.Pigment No Yellow83を用いることが好ましい。
無機顔料としては、カーボンブラック、酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化クロム、シリカ、ベンガラ、アルミニウム、マイカ(雲母)などが挙げられる。また、ガラスフレークまたは塊状フレークを母材とした上に金属、もしくは金属酸化物をコートした光輝性顔料(メタシャイン;日本板硝子株式会社)を使用できる。白インキには酸化チタン、墨インキにはカーボンブラック、金、銀インキにはアルミニウム、パールインキにはマイカ(雲母)を使用することがコストや着色力の点から好ましい。アルミニウムは粉末またはペースト状であるが、取扱い性および安全性の面からペースト状で使用するのが好ましく、リーフィングまたはノンリーフィングを使用するかは輝度感および濃度の点から適宜選択される。
着色剤はインキの濃度・着色力を確保するのに充分な量、すなわちインキの総質量に対して1〜50質量%の割合で含まれることが好ましい。また、着色剤は単独で、または2種以上を併用して用いることができる。
更に、本発明のリキッドインキ組成物では、塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂(F)を添加してもよい。塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂があると、耐ブロッキング性や耐レトルト性が向上する。特に塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂(F)が水酸基を含有する場合、耐レトルト性等の耐熱水性が格段に向上する。
前記水酸基を有する塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂(F)としては、水酸基価が50〜200mgKOH/gであり、かつ前記共重合体樹脂中の塩化ビニル成分の含有比率が80〜95質量%である事が好ましい。
本発明のリキッドインキ組成物に用いられる水酸基を有する塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂(F)は、二種類の方法で得ることができる。一つは塩化ビニルモノマー、酢酸ビニルモノマーおよびビニルアルコールを適当な割合で共重合して得られる。もう一つは、塩化ビニルと酢酸ビニルを共重合した後、酢酸ビニルを一部ケン化することにより得られる。水酸基を有する塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂は、塩化ビニル、酢酸ビニルおよびビニルアルコールのモノマー比率により樹脂被膜の性質や樹脂溶解挙動が決定される。即ち、塩化ビニルは樹脂被膜の強靭さや硬さを付与し、酢酸ビニルは接着性や柔軟性を付与し、ビニルアルコールは極性溶剤への良好な溶解性を付与する。
リキッドインキを軟包装用ラミネートインキとして使用する場合、接着性、耐ブロッキング、ラミネート強度、ボイルレトルト適性、印刷適性、これら全ての性能を満足する必要があるため、水酸基を有する塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂は適正なモノマー比率が存在する。即ち、水酸基を有する塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂100質量部に対し、塩化ビニルは80〜95質量部が好ましい。80質量部未満だと樹脂被膜の強靭さが劣る傾向となり、耐ブロッキング性が低下する傾向にある。95質量部を超えると樹脂被膜が硬くなりすぎ、接着性が低下する傾向にある。また、ビニルアルコールから得られる水酸基価は50〜200mgKOH/gが好ましい。50mgKOH/g未満だと極性溶媒への溶解性が劣り、印刷適性が不良と成り易い。200mgKOH/gを超えると耐水性が低下して、ボイル、レトルト適性が不良となる傾向にある。
本発明のリキッドインキ組成物に必要に応じて併用される樹脂の例としては、前記ポリウレタン樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂以外の樹脂として、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ロジン系樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ケトン樹脂、環化ゴム、塩化ゴム、ブチラール、石油樹脂などを挙げることができる。併用樹脂は、単独で、または2種以上を混合して用いることができる。併用樹脂の含有量は、インキの総質量に対して0.1〜25質量%が好ましく、更に好ましくは2〜15質量%である。
本発明のリキッドインキ組成物には、揮発性成分として前記有機溶剤と共に、水(D)を含有させることが必須である。水(D)の添加により、インキの乾燥性を制御する事ができ、特にグラビア印刷では、その特徴であるインキ転移量の少ないグラデーション部をきれいに再現することができる。前記水(D)の添加量は、印刷適性が良好となる点からインキ組成物全量の0.3〜7質量%の範囲であることが好ましい。前記水の添加量が0.3質量%を下回るとインキの乾燥抑制効果が低下しグラデーション部の再現性が低下する傾向にあり、水の添加量がインキ組成物全量の7質量%を上回ると、インキ安定性が低下し好ましくない。
また、このような水(D)の添加により、使用有機溶剤成分を低減させることも可能である。水(D)は有機溶剤に予め添加して含水の有機溶媒としてもよいし、別途特定量を添加してもよい。
本発明では更に必要に応じて、併用樹脂、体質顔料、顔料分散剤、レベリング剤、消泡剤、ワックス、可塑剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、芳香剤、難燃剤なども含むこともできる。
顔料を有機溶剤に安定に分散させるには、前記樹脂単独でも分散可能であるが、さらに顔料を安定に分散するため分散剤を併用することもできる。分散剤としては、アニオン性、ノニオン性、カチオン性、両イオン性などの界面活性剤を使用することができる。例えばポリエチレンイミンにポリエステル付加させた櫛型構造高分子化合物、あるいはα−オレフィンマレイン酸重合物のアルキルアミン誘導体などが挙げられる。具体的にはソルスパーズシリーズ(ZENECA)、アジスパーシリーズ(味の素)、ホモゲノールシリーズ(花王)などを挙げることができる。またBYKシリーズ(ビックケミー)、EFKAシリーズ(EFKA)なども適宜使用できる。分散剤は、インキの保存安定性の観点からインキの総質量に対して0.05質量%以上、ラミネート適性の観点から5質量%以下でインキ中に含まれることが好ましく、さらに好ましくは、0.1〜2質量%の範囲である。
本発明のリキッドインキ組成物は、樹脂、着色剤などを有機溶剤中に溶解及び/又は分散することにより製造することができる。具体的には、顔料をポリウレタン樹脂により有機溶剤に分散させた顔料分散体を製造し、得られた顔料分散体に、必要に応じて他の化合物などを配合することによりインキを製造することができる。
顔料分散体における顔料の粒度分布は、分散機の粉砕メディアのサイズ、粉砕メディアの充填率、分散処理時間、顔料分散体の吐出速度、顔料分散体の粘度などを適宜調節することにより、調整することができる。分散機としては、一般に使用される、例えば、ローラーミル、ボールミル、ペブルミル、アトライター、サンドミルなどを用いることができる。
インキ中に気泡や予期せずに粗大粒子などが含まれる場合は、印刷物品質を低下させるため、濾過などにより取り除くことが好ましい。濾過器は従来公知のものを使用することができる。
前記方法で製造されたインキ粘度は、顔料の沈降を防ぎ、適度に分散させる観点から10mPa・s以上、インキ製造時や印刷時の作業性効率の観点から1000mPa・s以下の範囲であることが好ましい。尚、上記粘度はトキメック社製B型粘度計で25℃において測定された粘度である。
インキの粘度は、使用される原材料の種類や量、例えばポリウレタン樹脂、着色剤、有機溶剤などを適宜選択することにより調整することができる。また、インキ中の顔料の粒度および粒度分布を調節することによりインキの粘度を調整することもできる。
本発明のリキッドインキ組成物の内、着色剤(E)を使用する場合、色相としては使用する着色剤(E)の種類に応じて、プロセス基本色として黄、紅、藍、墨、白の5色があり、プロセスガマット外色として赤(橙)、草(緑)、紫の3色がある。更に透明黄、牡丹、朱、茶、金、銀、パール、色濃度調整用のほぼ透明なメジウム(必要に応じて体質顔料を含む)などがベース色として準備される。ボイルレトルト用インキには顔料のマイグレーション性、耐熱性を考慮して適宜選定される。各色相のベースインキは、グラビア印刷、又はフレキソ印刷に適した粘度及び濃度にまで希釈溶剤で希釈され、単独でまたは混合されて各印刷ユニットに供給される。
利用可能なプラスチックフィルムとしては、ポリエステル樹脂フィルムが特に好ましい一方、本発明のリキッドインキ組成物は密着性が低下しがちなポリプロピレンフィルムに対して特に有用であり、その他のポリプロピレン、ナイロン、ポリエチレン樹脂フィルム等の表面に無機や有機のバリアコート材が塗布された種々高機能フィルムに対しても幅広く用いることが出来る。
本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。以下、「部」及び「%」は、いずれも質量基準によるものとする。
なお、本発明におけるGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)による重量平均分子量(ポリスチレン換算)の測定は東ソー(株)社製HLC8220システムを用い以下の条件で行った。
分離カラム:東ソー(株)製TSKgelGMHHR−Nを4本使用。カラム温度:40℃。移動層:和光純薬工業(株)製テトラヒドロフラン。流速:1.0ml/分。試料濃度:1.0重量%。試料注入量:100マイクロリットル。検出器:示差屈折計。
粘度はトキメック社製B型粘度計で25℃において測定した。
〔合成実施例1〕:エーテル(ポリエチレングリコール)を用いたポリエステル樹脂溶液A1の合成
攪拌機、温度計、環流冷却器および窒素ガス導入管を備えた4つ口フラスコに、ネオペンチルグリコールアジペートジオール62部(水酸基価:56.6mgKOH/g)とポリエチレングリコール38部(水酸基価:160mgKOH/g)およびイソホロンジイソシアネート24.50部を仕込み、窒素気流下に90℃で10時間反応させ、イソシアネート基含有率1.68質量%のウレタンプレポリマーを製造した後、これに酢酸エチル67.0部を加えてウレタンプレポリマーの均一溶液とした。次いで、イソホロンジアミン4.71部、ジ−n−ブチルアミン0.11部、酢酸エチル129.1部およびイソプロピルアルコール105.6部からなる混合物に、前記ウレタンプレポリマー溶液を添加し、45℃で5時間攪拌反応させて、ポリウレタン樹脂溶液A1を得た。得られたポリウレタン樹脂溶液A1は、樹脂固形分濃度30.3質量%、樹脂固形分のMwは54,000であった。
〔合成実施例2〕:エーテルを用いないポリエステル樹脂溶液A2の合成
攪拌機、温度計、環流冷却器および窒素ガス導入管を備えた4つ口フラスコに、ネオペンチルグリコールアジペートジオール80部(水酸基価:56.6mgKOH/g)とネオペンチルグリコールアジペートジオール20部(水酸基価:109.8mgKOH/g)およびイソホロンジイソシアネート22.49部を仕込み、窒素気流下に90℃で10時間反応させ、イソシアネート基含有率2.84質量%のウレタンプレポリマーを製造した後、これに酢酸エチル65.96部を加えてウレタンプレポリマーの均一溶液とした。次いで、イソホロンジアミン7.25部、ジ−n−ブチルアミン0.27部、酢酸エチル131.2部およびイソプロピルアルコール106.2部からなる混合物に、前記ウレタンプレポリマー溶液を添加し、45℃で5時間攪拌反応させて、ポリウレタン樹脂溶液A2を得た。得られたポリウレタン樹脂溶液A2は、樹脂固形分濃度30.4質量%、樹脂固形分のMwは50,000であった。
ポリウレタン樹脂と併用して用いる水酸基を有する塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂(樹脂モノマー組成が質量%で塩化ビニル/酢酸ビニル/ビニルアルコール=92/3/5、水酸基価(mgKOH)=64)を酢酸エチルで15%溶液とし、これを塩酢ビ樹脂溶液Gとした。
[実施例1]
ポリウレタン樹脂溶液A−1(固形分30%)を25部、塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂G(固形分15%)10部、酸化チタン顔料35部テイカ(株)製JR−805、イソプロピルアルコール10部、酢酸エチル10部からなる混合物をダイノーミル(ウィリー・エ・バッコーフェノン社製)を用いて混練し、得られた白色練肉ベースインキに更に、イソプロピルアルコール:酢酸エチル=1:1混合溶液5.5部、塩素化ポリプロピレン樹脂B−1(塩素化度32%、重量平均分子10,000、固形分30%)を1.5部、水3部を添加し、本発明のリキッドインキを作成した。
[実施例2〜8、及び比較例1〜8]
表1に示す実施例2〜8、表2に示す比較例1〜8については実施例1と同様の手順にて白色練肉ベースインキを作成した。
尚、実施例1、及び実施例4〜7に使用した塩素化ポリプロピレン樹脂B−1の代わりに、塩素化ポリプロピレン樹脂B−2(塩素化度37%、重量平均分子42,000、固形分30%)の酢酸エチル溶液、塩素化ポリプロピレン樹脂B−3(塩素化度43%、重量平均分子21,000、固形分30%)の酢酸エチル溶液を使用して、表1、2に示す配合にて白色練肉ベースインキを作成した。
また、比較例4では、塩素化ポリプロピレン樹脂B−4(塩素化度43%、重量平均分子72,000、固形分30%)の酢酸エチル溶液を使用した。
作成した白色練肉ベースインキを、更に水3部と表1及び表2に記載の酸化合物のイソプロピルアルコール:酢酸エチル=1:1混合溶液1部(固形分5%)を添加しそれぞれ作成した。
尚、相溶性試験の評価サンプルに関しては、酸化チタン顔料JR−805を添加しないサンプルを別途作成し評価を実施した。
1)相溶性試験
表1、2の着色剤を含まない配合にて、塩素化ポリプロピレン樹脂による溶液の透明性と沈殿性を、製造から1週間後の状態にて目視評価した。

○:溶液が透明で、沈殿も生じていない。
△:溶液に少し濁りがあるものの、沈殿は生じていない。
×:沈殿が生じている。
2)皮膜外観
版深度30μmを有するグラビア版を取り付けたグラビア印刷機(DICエンジニアリング株式会社製)を用いて、片面にコロナ放電処理を施した二軸延伸ポリエステルフィルム(東洋紡株式会社製 E−5100 厚さ12μm)の処理面に印刷を行い、印刷面のピンホールの有無を目視評価する。

○:ピンホールがない。
×:ピンホールがある。
3)フィルムへの密着性(OPPフィルムと透明蒸着フィルム)
得られたリキッド白インキの粘度を酢酸エチルでザーンカップ#3(離合社製)で16秒(25℃)に調整し、版深35μmグラビア版を備えたグラビア校正機により、表1、2に示す各種バリアフィルム(W、X、Y、Z)と二軸延伸ポリプロピレンフィルムU(以下、OPP、東洋紡績株式会社製 P2161 厚さ20μm)で作製した印刷物を1日放置後、印刷面にセロハンテープ(ニチバン製12mm幅)を貼り付け、これを急速に剥がしたときの印刷皮膜の外観の状態を次の3段階で目視判定した。

○:印刷皮膜が全く剥がれなかった。
△:印刷皮膜の50〜80%がフィルムに残った。
×:印刷皮膜の50%以下がフィルムに残った。
4)耐カスレ性(印刷適性:二軸延伸ポリエステルフィルム(PETフィルム))
得られたリキッド白インキの粘度を酢酸エチル/イソプロピルアルコール=50/50の混合有機溶剤で希釈し、25℃にてザーンカップ#3(離合社製)で16秒になるように希釈した。得られたリキッド白インキを、版深度25μmを有するグラビア版を取り付けたグラビア印刷機(DICエンジニアリング株式会社製)を用いて、片面にコロナ処理を施した二軸延伸ポリエステルフィルム(東洋紡績株式会社製 E−5100 厚さ12μm)の処理面に印刷を行った。そして、印刷物の印刷部分へのインキの転移度(カスレ度)を次の3段階で目視評価した。カスレ試験は、グラビア版の円周600mmφで300m/分の印刷速度での評価を行った。

○:カスレが発生していない。
△:少しカスレが発生している。
×:カスレが多発している。
5)ラミネート強度
上記印刷物にウレタン系のドライラミネート接着剤ディックドライLX−703VL/KR−90(DIC製)にてドライラミネート機(DICエンジニアリング製)によって無延伸ポリプロピレンフィルム(以下、R−CPP:東レ合成フィルム社製 ZK−75 50μm)を積層し、40℃で5日間エージング施し、ラミネート物を得た後、15mm幅に切り出し引っ張り速度300mm/分で90度剥離試験を行った。
数値が大きい方が、ラミネート強度は強い。
6)耐レトルト性
上記印刷物をドライラミネート加工後、ラミネート物を製袋し、内容物として水/サラダ油の混合物を入れ、密封後、125℃、30分間加熱した後、ラミ浮きの有無を概観により目視評価した。なお、評価基準は以下の通りとした。

○:全くラミ浮きがない
△:ごく一部がデラミネーションしているか、またはブリスターが生じた。
×:全面デラミネーションが生じた。
表1、2に、各リキッド白インキの配合、及び評価結果を記す。
Figure 2019038897

Figure 2019038897
評価対象のバリアフィルム
W:大日本印刷(株)製 アルミナ蒸着透明PETフィルム IB−PET−PUB(厚み:12μm)
X:三菱樹脂(株)製 シリカ蒸着透明PETフィルム テックバリア TX−R(厚み:12μm)
Y:尾池工業(株)製 シリカ蒸着透明PETフィルム MOS−TEB(厚み:12μm)
Z:凸版印刷(株)製 酸化アルミニウム蒸着透明PETフィルム GL−ARH(厚み:12μm)

評価対象のOPPフィルム
U:東洋紡(株)製 P2161(厚み:20μm)
実施例では、組成物自体の相溶性、皮膜外観性、耐レトルト性、耐カスレ性が共に良好な上、各種バリアフィルム及びOPPフィルムへの接着性も良好な結果となった。比較例では、これらの特性全てを兼備する事は困難であり、比較例2、4、5、及び8については、相溶性とインキ皮膜の外観が悪化した為、それら以外の評価を断念した。
本発明のリキッドインキ組成物は、食品包材・サニタリー・コスメ・電子部品等工業製品向け用途に幅広く展開され得る。

Claims (8)

  1. ポリウレタン樹脂(A)、組成物固形分全量に対して0.1〜3.0質量%の塩素化ポリプロピレン樹脂(B)、有機溶剤(C)、及び組成物全量の0.3〜7質量%の水(D)を含有するリキッドインキ組成物であって、前記塩素化ポリプロピレン樹脂(B)の塩素化度が30〜45%、重量平均分子量が5000〜50000であることを特徴とするリキッドインキ組成物。
  2. 更に、着色剤(E)を含有する請求項1に記載のリキッドインキ組成物。
  3. 前記ポリウレタン樹脂(A)がポリエーテル樹脂を反応原料とするものであり、ポリウレタン樹脂(A)全量に対するポリエーテル樹脂が1〜50質量%である請求項1又は2に記載のリキッドインキ組成物。
  4. 前記有機溶剤(C)が、芳香族有機溶剤及び/又はケトン系溶剤を含まない請求項1〜3の何れか1つに記載のリキッドインキ組成物。
  5. 更に、塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂(F)を含有する請求項1〜4の何れか1つに記載のリキッドインキ組成物。
  6. 前記塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂(F)が水酸基を含有し、その水酸基価が50〜200mgKOH/gであり、かつ前記共重合樹脂中の塩化ビニル成分の含有比率が80〜95質量部である請求項1〜5の何れか1つに記載のリキッドインキ組成物。
  7. 請求項1〜6何れか1つに記載のリキッドインキ組成物を印刷してなる印刷物。
  8. 前記印刷物からなるラミネート積層体。
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